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大祓百鬼夜行⑥〜ひめごと

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行


●ひめごと
 優しいそよ風に、さあさあと淡く揺れる。
 咲き乱れる異世界の桜は、丘一面に薄紅化粧を施して。
 その光景は、あなたの心を躍らせるかも知れないし、感傷に浸らせるかもしれない。

 空からこぼれ落ちそうな月が照らす桜の下で。
 あなたは今、何を思いますか?

●グリモアベース
「少し休憩しましょう」
 思いつきのようにそう告げる太宰・寿(パステルペインター・f18704)は、ふわと笑って手を合わせた。
「『幻朧桜の丘』と呼ばれる場所が、カクリヨにあります。幻朧桜は皆さんご存知ですよね?」
 魂と肉体を癒やす不思議な桜。サクラミラージュから流れ着いたと言われ、『幻朧桜の丘』には、その幻朧桜が咲き乱れているのだという。
「この場所も制圧しないといけないそうなのですが……ふふ、なんとお花見を楽しめば制圧できちゃうんですって」
 嬉しそうに告げる寿。
 なんでも、制圧できれば幻朧桜の花吹雪が百鬼夜行を包み込み、敵方の戦力を落とすことができるのだとか。

「だから、行きましょう! 私がちゃんと『幻朧桜の丘』までご案内します。私的にここいいなって思う場所、見つけておきましたから」
 そこには、透き通ったコバルトブルーの湧泉と一等立派な幻朧桜が一本だけ咲いている。
「ある竜神が流した涙から出来た泉、なんて言われてるみたいです。小さな泉ですが、とっても綺麗ですよ」
 丘の外れにあるため、喧騒からも遠い。のんびり静かに過ごすのに丁度いいのだと寿は話す。

「静かに桜を満喫したい方にオススメです」
 内緒話をするように言葉を紡いで。
「魂と肉体を癒やしてくれるなら、きっと皆さんの疲れも少し和らげてくれると思うんです」
 ──なんて、気の持ちようでしょうか。
 小さくはにかんで、寿はスケッチブックを広げた。ふわりと広がる柔い光が猟兵たちを包み込んだなら、降り立つ先は薄紅の海の外れ。

 さやさやと風の吹く、静かな月夜。


105
 105です。
 こちらは一章で完結する戦争シナリオです。『大祓百鬼夜行』に影響を及ぼします。

 静かに桜を楽しんだり、デートしたり、感傷に浸ったりできます。飲食は各自持ち込みください。タイトルっぽいプレイングが来ると105が喜びますが、過ごし方はご自由にどうぞ!

●プレイングボーナス
 よその戦争を無視して宴会する!

●採用方針
 ・判定が成功以上。
 ・6名程度。合わせは2名まで。
 ・イメージ出来たものから着手。
 22日には完結させたいと思っています。

 プレイングはOP公開より受付します。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『桜の下で宴会しよう!』

POW   :    美味しい料理や飲み物を提供する

SPD   :    巧みな芸を披露する

WIZ   :    桜の下で語り明かす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
スキアファール・イリャルギ
幻朧桜がカクリヨに……?
ふむ……なんだか故郷に帰った気分になりますね
それに静かでいい場所だ
ひとりでゆっくりと杯を傾けながら花見をしましょう

しかし、此度の戦争は食べて呑んでばかりだ
屋台、月見、そして今回の花見……
駄菓子兵器もありましたね――私は食べていませんが
ふふ、でもとても楽しかった
……あれ
これ戦争が終わった後に言うべき言葉では?
でもまぁこうやってこっそりとサボr(咳払い)
のんびりするのも一興ですよね

(ふぁ、と欠伸)
眠くなってきた……
お酒を飲みすぎたせいでしょうか
それとも幻朧桜が馴染み深くて安心するからか……

……ちょっとだけ寝ても、ここなら怒られませんよね
樹にもたれ掛かって休むとしましょう……




 一面に薄紅化粧を施した丘の外れ。夜陰に溶けるには、今宵の月は些か明るすぎるようだ。
 淡く輝いてすら映る幻朧桜の下、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)はその景色を眺め自身の顎を撫でる。
「幻朧桜がカクリヨに……?」
 視線だけを動かして見上げた桜は、確かに見知ったもの。
「ふむ……なんだか故郷に帰った気分になりますね」
 ふっと眦を緩めて、澄んだコバルトブルーの水面に映り込む彩に視線を移す。
「──それに静かでいい場所だ」

 喧騒は遠くに、時折吹く風が心地よい。月の光を湛える泉も、殊更に静寂を表しているようで美しかった。こんな日は、ひとりゆっくりと杯を傾けるのもいいかもしれない。そんな思いで、スキアファールは幻朧桜の袂に腰を下ろす。

 とくりと杯に酒を注ぐと、ひらりと舞い落ちた薄紅が透明なそれに色を添えた。おや、とスキアファールは微笑んで口をつけた。ふわりと香る般若湯のなんと心地よいことか。何か摘めるものも用意すればよかっただろうか、と思ったけれど。
「この景色を肴にするのも悪くないか」
 かざす杯には月と桜。
「しかし、此度の戦争は食べて呑んでばかりだ」
 屋台、月見、そして今回の花見……指折り数えて、そういえばと笑みをこぼす。
「駄菓子兵器もありましたね――私は食べていませんが。ふふ、でもとても楽しかった……あれ」
 思い出して表情を和らげていたスキアファールが、はて? と首を傾げる。これは、戦争が終わった後に言うべき言葉では? そんな考えが頭をよぎって。
「でもまぁこうやってこっそりとサボ」
 こほん。ひとつ咳払いして、言葉を濁す。
「のんびりするのも一興ですよね」
 それで戦況も有利になると、案内されて来ているのだ。この泉を作ったなんて言われる竜神様も泣きはしないだろう。杯を傾ければ、口をふくよかな香りが満たす。

 静かな時に身を任せた花見酒に、ふぁ、と欠伸がこぼれる。
「眠くなってきた……」
 美しい肴に楽しい思い出は、酒を進ませたのかもしれない。或いは、幻朧桜が馴染み深くて安心するからか、だろうか。
「……ちょっとだけ寝ても、ここなら怒られませんよね」
 そうっと樹にもたれ掛かって、瞼を閉じる。

 優しく桜が揺れる音がして、スキアファールは穏やかな時間に身を委ねるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戀鈴・シアン
【硝華】

参ったな、気付いてたの
大切なものをこの手で護れるよう、強くなりたくて
……心配かけた?

白い指から逃げる薄紅のひとひら
俺みたい?
桜が?
瞬いて、考える

俺だったら、お前の手から逃げたりしないのに
なんて紡ぎかけて、はっとする
こんなの、まるで花弁に妬いているみたい

……秘密にしている事なら、あるよ
イトが誰かに恋をしていると聞いた日から
屹度、嫉妬しているんだって
けれど本当の事は言えないと胸に秘める
実はラグにお茶を溢したのは俺なのに、知らないフリをしてたことでも白状するか

イトは?
…え、エクレア
今の今まで忘れてた…
……ううん、俺の方こそ

いつか、この秘め事を打ち明ける時が来るんだろうか
その日までどうか、隣に


戀鈴・イト
【硝華】

シアン、お疲れ様
戦いの場に何度も足を運んでいるでしょう?
僕、知っているんだからね
今日くらいはゆっくりしてくれよ

ほら、桜がとても綺麗だ
ひいらり舞って揺れて
手を伸ばしても掴めはしない
なんだか、シアンみたいだね
美しくて、でも掴めはしなくて

あ、いや、深い意味はないよ
シアンへの想いを隠そうとすればするほど
上手くいかなくて、こうしてボロが出てしまう
もっと気を付けなければ

そういえば
桜の下には秘密が眠るなんて話も聞いたな
シアンは何か秘密ってあるかい?
ふふ、可愛い秘め事だね
僕は?
……好きなんて、言える訳もなくて
シアンが冷蔵庫に入れてたエクレア
食べたの僕なんだ
ごめんね

本当の事を言えなくて




 月明かりの下、一輪の華が咲む。それは澄んだ泉よりなお美しく、少年── 戀鈴・シアン(硝子の想華・f25393)の硝子の如く澄んだ瞳に映り込んだ。
「シアン、お疲れ様」
 見上げる動きに合わせて、さら、と揺れる髪を優しい風が撫でる。
「戦いの場に何度も足を運んでいるでしょう? 僕、知っているんだからね」
 じっと見上げてくる華──戀鈴・イト(硝子の戀華・f25394)に、シアンは小さく眉を下げて笑う。
「参ったな、気付いてたの」
 華を導くように自然と重ねられたその手を、シアンはほんの僅かに力を込めて握り返す。
「……心配かけた?」
 大切なものをこの手で護れるよう、強くなりたくて──。目の前の華こそ、自身の存在意義だから。
 そんなシアンの言葉に、イトもきゅっと手を握り返して笑顔で応えた。
「今日くらいはゆっくりしてくれよ。
 ──ほら、桜がとても綺麗だ」

 見上げた幻朧桜は、さわさわ風に揺れては花弁を零す。ひいらり舞って揺れて、薄紅のひとひらはイトの白い指から逃げるよう。

 手を伸ばしても、掴めはしない。

 とらえられない薄紅を見つめれば、イトの脳裏に浮かぶ姿がひとつ。
「なんだか、シアンみたいだね」
 美しくて、でも掴めはしなくて。こんなにも近くにいるのに──届かない。届けられない。

「俺みたい? 桜が?」
 ぱちり瞬いて、首を傾げるシアン。
「あ、いや、深い意味はないよ」
 きょとんとしたシアンを見て、イトは慌てて左右に手を振った。シアンへの想いを隠そうとすればするほど上手くいかなくて。愛しさを感じれば感じる程に、こうしてボロが出てしまう。せめて声が沈んでいなければいいと思う。
 もっと気を付けなければ、と視線を舞い落ちる薄紅に移すイト。シアンもまた花弁を追い、そのまま視線を落とす。
「俺だったら──」
「?」

 俺だったら──お前の手から逃げたりしないのに。

 シアンはそう紡ぎかけて、はっとする。自分は今、何を言おうとした?

「(こんなの、まるで……)」

 花弁に妬いているみたいだ。
 目を瞬いて見上げるイトに、シアンはなんでもないよと首を振る。頬に僅かな熱を感じて、そっと隠すように己の手の甲で押さえた。

 イトは不思議そうに首を傾げながらもそれ以上は追求せず、そういえば、と幻朧桜の幹に触れる。
「桜の下には秘密が眠るなんて話も聞いたな」
 シアンは何か秘密ってあるかい? イトは雑談のように、シアンに問う。同じ職人によって、この世に生み出されたふたり。揃いの彩が、ぱちりとぶつかって。

「……秘密にしている事なら、あるよ」
 小さく紡がれた言葉。
 イトが誰かに恋をしていると聞いた日から、シアンの胸に宿る感情がある。これは屹度、嫉妬だ。
けれど、この秘密を伝えることはできない。胸に秘めて、隠している。
 イトは己の半身、愛しい家族。シアンはまだ計りかねている。この嫉妬が、家族だから抱いているのか、それとも恋なのか──なにより、イトの曇る顔は見たくない。己の知らぬ人に恋するイトを、困らせたくない。
 ──だから、
「……実はラグにお茶を溢したのは俺なんだ。知らないフリをしてごめんな」
 シアンは、いつもの声音で告げる。
「ふふ、可愛い秘め事だね」
「イトは?」
 くすりと笑みをこぼすイトが、こてりと首を傾げる。
「僕は?」

 真っ先に浮かぶ秘め事なんて、ひとつだけ。
 だけど、シアンにとってイトは家族であり半身。少なくとも、イトはシアンのこころをそう認識している。

「(……好き、なんて)」
 ──言える訳ない。
 だってこの好きは、シアンのとは違う。
 ちくりと痛む胸を誤魔化すように、イトは唇に笑みを浮かべる。

「シアンが冷蔵庫に入れてたエクレア、食べたの僕なんだ」
「……え、エクレア」
 今の今まで忘れてた……、そう呟くとシアンにイトは笑って見せる。今は、これでいい。

「ごめんね」
 本当の事を言えなくて。

「……ううん、俺の方こそ」
 胸に秘めて、隠したままで。

「(いつか、この秘め事を打ち明ける時が来るんだろうか)」
 シアンは、隣で桜を見上げる横顔を見つめた。
「(その日までどうか、隣に)」
 さらりと揺れる髪に触れた薄紅を、そっと掬う。触れるたび込み上げるこの想いの名は、なんというのだろう。ありがとう、とはにかむ姿に懐くこの想いの名は──。

 互いを想って、希って、愛しんで。
 きゅっと締めつける胸の痛みも、今はまだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
湖面に映る桜の木々というのも風情があっていいものだな。
これで独りだったらいうことはないんだが…うっとおしい。
「露、離れてくれ。うっとおしい」
言っても無駄だとはわかっている。が一応言う。

「ん? …そういう好意的とか慕うという感情はよくわからん。
両親も行方不明な私は、恐らく欠如しているんだろうな」
桜舞う中で『大好きなのに何で応えてくれないの?』の対応だ。
「世の中には好きにも種類があるらしいが…それもよくわからん。
だから対応がわからない。それにしても君の『大好き』はどっちだ?」
逆に露に聞く。露の方は普段と変わらない笑顔で答えも普段と変化がない。
だからそれだとわからんのだが…。。


神坂・露
レーちゃん(f14377)。
今日も今日とて親友の腕にぎゅーってするわ♪
『離れてくれ』って言っても離れない。だって大好きだから。
本当に迷惑そうな顔と視線で離れて欲しそうよね。むぅ…。
「あたし大好きなのに…レーちゃんって応えてくれないわ~」
何度も本人に言った言葉をいってみるけど反応は同じ。
逆に大好きの種類?を聞かれて一瞬だけきょとんって顔をするわ。
「え? 大好きに種類ってあるの? うーん。種類かあ~。
レーちゃんをぎゅっとしたい気持ちも傍に居たい気持ちも…。
あたしにとっては同じこと…だと思うわ♪ 大好き~」
あれ?何か違うって顔されたわ。いつもと同じこと言ったのに。
…大好きに種類。あたしは…?




 今宵は、月の明るい夜だった。
 湖面に浮かぶ月と幻朧桜は、時折そっと吹く風に姿を揺らめかせ、きらきらと輝いている。

「湖面に映る桜の木々というのも風情があっていいものだな」
 泉の縁に腰掛け、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は水面にそっと触れる。ゆらりと湖面で揺れる薄紅。穏やかな気候に、ひやりとした水が何処か心地よい。
「そうね、レーちゃん♪ とっても綺麗だわ」
 静寂の中で景色を楽しもうとするシビラとは反対に、きゃっきゃとはしゃぐ神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は、今日も今日とて親友シビラの腕にぎゅっとくっついて。楽しそうに、にこにこと嬉しそうに笑顔を咲かせている。

「(これで独りだったらいうことはないんだが…うっとおしい)」
 そう心の中で呟く──
「露、離れてくれ。うっとおしい」
 ──だけに留めず、声に出すシビラ。長い付き合いのふたりだから、言っても無駄だとシビラはわかっている。でも、一応言う。ふたりのお決まりのようなやり取り。

「むぅ……」
 ぷく、と頬を膨らませて露はじーっとシビラの顔を見る。
「……離れたくないわ」
 だって、大好きなんだもの。
 シビラを見つめる露の瞳には、シビラが本当に迷惑そうな顔をしているように映る。視線で離れて欲しそうに訴えているのも、露は分かっている。
「──分かっているのよ。……でも離れたくないわ」
 なんて。露に尻尾があったなら、きっとへにゃりと垂れているだろう。

「あたし大好きなのに……レーちゃんって応えてくれないわ~」
 それでも凹み過ぎない、めげないのが露なのだろう。何度だってシビラに伝える『大好き』は、露の嘘偽りない本当の気持ちだ。
 けれど、当のシビラの反応はいつだって同じ。
「ん? ……そういう好意的とか慕うという感情はよくわからん」
 あっさりしたものだった。
「両親も行方不明な私は、恐らく欠如しているんだろうな」
 家族の愛情というものに関する記憶は薄い。時の流れのせいもあるかもしれない。外見より遥かに長い刻をシビラは生きてきた。
 そうして生きてきた中でも、他者に対して関心が持てないのだ。応え方が分からない。
「世の中には好きにも種類があるらしいが……それもよくわからん」
 親愛、友愛、思慕、恋慕……言葉はたくさんあるけれど。

「だから対応がわからない。
 それにしても君の『大好き』はどっちだ?」
 シビラが返す問いに、露はきょとりと首を傾げた。
「え? 大好きに種類ってあるの?」
 驚きを隠せない表情で目を瞬く。シビラに絡めてない方の指を唇に当てて、露は視線を上へ。露の月のような大きな瞳に、桜の彩が映り込むのをシビラは黙って見つめている。

「うーん。種類かあ~。レーちゃんをぎゅっとしたい気持ちも傍に居たい気持ちも……あたしにとっては同じこと……だと思うわ♪」
 大好き〜と笑う露。
 浮かべる表情も導きだす答えも、普段と変わりなく無垢で。それ故に、シビラは要領を得ないと言わんばかり。
「だから、それだとわからんのだが……」
 普段表情の少ないかんばせに僅かな呆れの彩を乗せて、ため息を零す。その表情に、露はますます首を傾げる。いつもと同じことを言ったのに、シビラの表情は『何か違う』と告げている。

「(……大好きに種類。あたしは……?)」
 大好きなシビラの疑問。答えられるものなら答えたい、けれど。
「……やっぱり、大好きは大好きだわ。レーちゃんと一緒にいたいし、ぎゅっとしていたいの」
 そうしてぎゅっとくっつく露。
「……もういい」
 そう告げる声はいつも通り。クールで冷たくて。でも、決して自らその腕を振り払いはしない。
「えへへ、レーちゃん〜♪」
 嬉しそうに笑う露に、シビラはもう答えない。
 ただ、隣の温もりを感じながら。揺れる湖面に映る月を静かに見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「此処にもこんなに素敵な幻朧桜があったのですね」
感慨深げに幹撫で

リュックに丸めた緋毛氈括りつけお花見へ
行き掛けに竜神の泉の水が飲めそうか聞き歩く
一応大型水筒で水持参
「野外で新茶を楽しむだけなら、お道具省略でも良いかな、と思いましたの」
照れ笑う

他の人の邪魔にならない、でも泉と幻朧桜の近くに緋毛氈広げお茶の支度
登山用のバーナーとコッヘルで湯を沸かすが急須や茶器は白磁の煎茶器
最初の一杯は泉と桜へ供え
自分用や他に茶を所望する人には新たに淹れ直し三色団子もつける

「何時か異界で幻朧桜になって、転生の縁を結びたい…其れが私の夢ですの。此処は私の夢が叶った場所かもしれないので…先達に感謝を捧げたかったのです」




 月が照らす夜空の下、一面の薄紅は御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の足元も染め上げて。一度足を止めて、背負いなおすリュックから丸めた緋毛氈が顔を覗かせている。
 見上げる幻朧桜は、桜花にとって見慣れたもので思い入れも強いもの。眦を緩めて、ゆっくり景色を楽しみながら『幻朧桜の丘』の端を目指す。

 やがて現れたコバルトブルーの泉は、底が見える程に透き通っていて。側に咲く幻朧桜の彩を化粧代わりに添えている。
「……此処にもこんなに素敵な幻朧桜があったのですね」
 桜花は、感慨深げに呟き幹を撫でる。確かにそこに存在する感触に、ふと表情が和らぐ。
 少しだけ離れた場所にリュックを下ろすのは、他の来客を慮ってのこと。泉と桜を臨みながら、緋毛氈を広げる。此処に向かう途中尋ねたところ、この泉の水は飲めるのだという。

「竜神様、少し頂きますね」
 持参した湯呑みで控えめに掬う。口に含めばクセがなく、そのまま飲めばほんの少し甘い感じがした。
「美味しい、優しい味ですね」
 桜花は柔く笑んで、リュックから登山用のバーナーとコッヘルを取り出す。コッヘルに注ぐのは、泉の水。湯を沸かす傍らで、白磁の煎茶器も並べる。お湯が沸いたなら、まずは茶器を温めて。やがてふわと香る新茶の甘やかな香り。

「野外で新茶を楽しむだけなら、お道具省略でも良いかな、と思いましたの」
 照れ笑いを浮かべ、幻朧桜と泉へお茶を供える。桜花の手元にもお茶と三色団子を並べて、改めて幻朧桜を見上げた。

「──何時か異界で幻朧桜になって、転生の縁を結びたい……其れが私の夢ですの」
 幻朧桜に語りかけるように、桜花は話す。両手で包んだ湯呑みの中には小さな波紋。
「此処は私の夢が叶った場所かもしれないので……先達に感謝を捧げたかったのです」
 この景色は、桜花にとっての可能性。夢への希望だ。
 大切に思いを抱きながら広げた手のひらに、薄紅がひとひら。桜花は眩げに微笑んで、花弁をそっと手に包み込んだ。

 ──胸に秘めた桜花の願いは、桜だけが知っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リラ・ラッテ
円さん(f10932)と
お揃いの紫のリボンをつけて

ふふ、ほんと不思議な気分
円さんのいる帝都の桜も好きだけれど
幽世でみる帝都の桜もまた一興かしら
こないだもお花見したものね
ほんと、桜に縁があるわね

えぇ、楽しみましょう
賑やかなの、私も好きだけれど
ゆっくり癒される時間も必要よね

ふふ、それは私も同じだわ
円さんと桜を独り占め
贅沢しすぎて、なんだか怒られてしまいそう
なんて笑み零して

桜?えぇ、好きよ
帝都で実際に見て好きになったかしら
ふふ。いつの間にか、桜が心に棲みついたのかも
散っても忘れないで…なんて

ふふ、嬉しい
好きなお花はたくさんあるのよ
別の世界へ行くのも素敵ね
どんなところでも円さんとなら楽しめる気がするわ


百鳥・円
リラのおねーさん(f31678)と!
お揃いの青いリボンを付けて行きましょ

あららー、これは不思議!
カクリヨなのにサクミラに居る感覚がしてきますの
キレイな桜に縁がありますねえ

せっかくなのでお花見を楽しみましょ
静かで落ち着くよーなカンジがしますね?
普段の喧騒を忘れられそうですん
もちろん、賑やかなのも好きなのですが

このひと時だけ
おねーさんと桜を独り占め出来るなんて
ふふ、密やかな贅沢をしている気分です

おねーさんは桜はお好きです?
わたしは、とても好きですよう
何時から好きなのかは覚えてないんですけどね

今度はリラのおねーさんが好きなお花を見に行きたいですね
んふふ、普段とは別の世界へと赴くのだって楽しそう!




 冴え冴えした月の下、さらと流れる風にたなびく揃いのリボン。百鳥・円(華回帰・f10932)の青と、リラ・ラッテ(ingénue・f31678)紫。薄紅桜の中に映えて、ふたりの動きに合わせて揺れる。

「あららー、これは不思議!」
 真っ先に感嘆の声を上げたのは、円。その隣でリラが柔らかい笑みを浮かべる。
「ふふ、ほんと不思議な気分」
「カクリヨなのにサクミラに居る感覚がしてきますの」
 ぱちりと瞬く円の二色の瞳が、淡く輝く花びらを捉える。広げた両手で、舞い散るひとひらを掬って見せる。
「円さんのいる帝都の桜も好きだけれど」
 そのひとひらを白磁の指でリラが拾って、ふわと笑む。
 幽世でみる帝都の桜もまた一興かしら、なんて。おっとり笑みを浮かべた花唇が紡ぐ。
「こないだもお花見したものね」
「キレイな桜に縁がありますねえ」
 楽しげに笑う円に、リラも頷いて。
「ほんと、桜に縁があるわね」
 戯れに風が吹いて、ふたりの髪が踊る。リラの髪に触れた花弁を円がそっと摘んで、ふたり目が合えば笑いあう。
「せっかくなのでお花見を楽しみましょ」
「えぇ、楽しみましょう」

 ふたり並んでのんびり歩き、辿り着いたのは月を抱くターコイズブルーの泉。側に咲く幻朧桜が、月の光を浴びて水面で煌めいていた。
 きょろりきょろりと周囲を見回す円。そっと泉を覗き込んでみる。
「……わ、すごく綺麗ですよ! おねーさんも見てみてください」
 こっちこっち、と手招く円にリラはくすりと笑って。円を真似て、そうっと覗き込む。
「本当。底まで見えるのね、吸い込まれそう」
 ふたりの色彩鮮やかな瞳に、水面の光が反射して夜闇にきらきら輝く。

「静かで落ち着くよーなカンジがしますね?
普段の喧騒を忘れられそうですん」
 もちろん、賑やかなのも好きなのですが。そう言って笑う円は、賑やかな場所もよく似合う。
「賑やかなの、私も好きだけれど。ゆっくり癒される時間も必要よね」
 ふたり並んで、泉の縁に腰掛ける。いたずらに素足を晒せば、初夏の空気が心地よい。ちゃぷんと水の遊ぶ音が響くだけの、静かな夜。
「このひと時だけ、おねーさんと桜を独り占め出来るなんて。ふふ、密やかな贅沢をしている気分です」
 ふたりの他は、月と泉と桜だけ。
「ふふ、それは私も同じだわ。円さんと桜を独り占め。贅沢しすぎて、なんだか怒られてしまいそう」
 なんて笑み零して、ふたり軽やかな会話を交わす。

「おねーさんは桜はお好きです?」
「桜?」
 ふと空を見上げて尋ねる円に、リラは小さく首を傾げる。
「わたしは、とても好きですよう」
「えぇ、私も好きよ」
 リラの言葉に、円はへへ、と笑う。
「リラおねーさんと同じですね。何時から好きなのかは覚えてないんですけどね」
 住まう世界でも見慣れた花を見つめる眼差しは、柔らかい。
「私は……帝都で実際に見て好きになったかしら。ふふ。いつの間にか、桜が心に棲みついたのかも」
 散っても忘れないで……なんて。花はいつか散り、枯れる。永遠などというものは、この世にほんの僅かだ。それでも、心に住み着いた花は、きっといつまでも美しい。

「今度はリラのおねーさんが好きなお花を見に行きたいですね」
 リラを覗き込む瞳が、夜の中に煌めく。人を惹きつけるその宝玉に湛えるのは、ちょっぴりの好奇心。
「ふふ、嬉しい。好きなお花はたくさんあるのよ」
「んふふ、普段とは別の世界へと赴くのだって楽しそう!」
「別の世界へ行くのも素敵ね」
 世界の数だけ、知らない景色が広がっているだろう。ふたり想像しては、楽しげな笑い声が溢れて水音と混じる。
「どんなところでも円さんとなら楽しめる気がするわ」
「わたしもですよう」

 ──ね、おねーさんの好きな花、教えてください?
 人差し指を花唇へ。内緒話するように、円が紡ぐ。少しだけ目を瞬いて、リラも同じ仕草で返す。

 薄紅舞う月夜、ふたりで紡ぐ内緒の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月23日


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#大祓百鬼夜行


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト