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大祓百鬼夜行⑪〜蜘蛛の裁縫糸

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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『××行きー、××行きです。だぁしえりぇっす……』
 人魂の灯りをヘッドライトに、今日も今日とて妖怪バスは運行中。
 大した舗装もされていない田舎道をガタゴトと走った先、ぽつんと立ってるのは停留所を示す標識版と、一人の妙齢女性妖怪。
 キキィ……プシュウっ。
 バスが停まり、そこによいせとその妖怪は乗ってくる。人間の上半身に蜘蛛の下半身を備えた彼女。西洋妖怪アラクネだ。
「おや、アラクねーさん。どうしたんだい珍しい」
「イイから行っとくれよ。アタシの仕事の番が来たようだからね」
 運転手を促す彼女の手には質素ながらも立派な裁縫箱。
 そしてバスは再びガタゴト走り出す。
 この不安定なカクリヨに生じた、『世界のほつれ』へと――。


 グリモアベースに映し出されるのは、そんな田舎の路線バス。
 妖怪バス、と言っても昭和期のバスをカスタマイズした感じである。
「ライトが人魂仕様なくらいで普通にタイヤ走行。空飛んだりとかその辺は割と普通。運転手もただのタコ妖怪だしな」
 梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)はまずバスについて軽く説明し、守るべき対象について話し出す。
「停留所で待ってりゃ、お裁縫妖怪のアラクネ姉さんが乗り込んでくる。何でも百鬼夜行の影響で世界にほつれが出来てるらしくて……それの修正に行くらしい」
 UDCアースから見てのあの世とこの世の境目が曖昧になりつつある現在。ほつれが広がって、両方の世界が崩壊しては堪らない。
「ただ、途中に山道にさしかかるんだけどな。断崖絶壁を走ってる最中に崖崩れが発生するみてぇなんだ、どうも」
 大きな岩がごろんごろんと降って来る、らしい。
 車一台通るのがやっとの崖っぷちの道を大岩が塞げば勿論通行止め。
 更に大岩をマトモに食らえば妖怪バスもペシャンコだ。
「そんな訳でさ。同乗して困難から守ってやって欲しい訳」
 岩を迎撃するなり塞いでるのどうにかしたり。運転を変わって狭い道を素早く走り抜けてみたり。崖崩れから生じる困難に対し、対処する事も方法も色々あるだろう。
「アラクネ姉さんが無事に仕事しに行ける様に、頼んだぜ?」
 そう言って玲頼は転移の光を描き、猟兵達を送り出すのであった。


天宮朱那
 天宮です。
 道東の路線バスに乗った時を思い出しました。
 一時間半くらい、私と運転手さんしか乗ってなかった。

 プレイングボーナス『妖怪バスとお裁縫妖怪を、危険から守る』

 無茶苦茶切り立った崖に面した山道をバスは走ります。
 上からは大量の落石がごろんごろん。
 バスがぺちゃんこになったり、岩で道が塞がれたり、うっかり崖からバスが落ちたりしないように助けてあげてください。
 妖怪バスは見た目がちょっと不気味で古いだけで割と普通のバスです。

・西洋妖怪アラクネ
 上半身が女性、下半身が蜘蛛のお裁縫妖怪。
 姉御肌だけど今回のピンチにはちょっとビビっちゃうかも。
・東方妖怪コロモダコ
 バスの運転手さん。まんまタコの妖怪。八本足仲間でアラクネと仲良し。
 運転技術はそれなりのベテラン運転手。

 早期完結目指す為に全員採用とならない可能性もありますのでご了承を。
 人数多かったら似たようなのオカワリでやるかも。
 技能の『』【】等のカッコ書きは不要。しっかり読まれてる方優先。

 複数合わせは二人まで。迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載のご協力を。

 オープニング公開されたらプレイング受付開始。
 タグやマスターページ、Twitterなどでも随時告知をしますので宜しくです。
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第1章 冒険 『妖怪バスでほつれに向かえ』

POW   :    肉体や気合いで苦難を乗り越える

SPD   :    速さや技量で苦難を乗り越える

WIZ   :    魔力や賢さで苦難を乗り越える

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

杼糸・絡新婦
なんちゅう悪路や。
さて、糸は糸でもこちらはこちらでお役目果たしましょ。
錬成カミヤドリで鋼糸・絡新婦をレベル分召喚。
障害物は【掃除】していきましょか。
織りなすように網状にして落ちてくる岩を受け流したり、
出来るだけ細かく粉砕する。
鋼糸を張り巡らせ【空中戦】の要領で迎撃。
道路周囲を見て【情報収集】行けそうな場所へ
運転手さんに声掛けしていきます。

あと、アラクネさん達に声を【勇気】づけ。
あ、飴ちゃんでも舐める?車酔いにはええらしいで。



 ガタゴトと悪路を走る妖怪バス。座席についていても何度も尻が宙に浮く。
「なんちゅう悪路や」
 杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は思わずぼやく。そして視線をちらと同乗の乗客に向ける。西洋妖怪アラクネ。蜘蛛の下半身で器用に座席に収まり、大事そうに抱えているのは裁縫箱か。
(「なんや……親近感、かなぁ」)
 絡新婦、という己の名と同じ東方妖怪も存在するらしい。いずれにしても蜘蛛の妖怪の名だ。そして彼自身は鋼糸のヤドリガミで己の本質もまた蜘蛛に近しいのだから。そう感じてしまうのは無理もないのだろうか。
 そう思った矢先、バスは山道にさしかかる。絡新婦が窓から身を乗り出して外の様子を伺えば。
「うぉ、崖崩れだ……!」
「タコの運転手さん、自分に任しとき――!」
 進行方向には小さな岩が雪崩れ始めてごろごろ降り出している。絡新婦は運転手にそう告げて手にした物は鋼糸――彼の本体たる物品。
「さて、糸は糸でもこちらはこちらでお役目果たしましょ」
 糸が躍る。錬成された数多の糸は彼の意思で自在に動き、降って来る岩を時に受け流し、時に細かく切り刻んで粉砕する。そしてバスの上、空中に張り巡らせた鋼糸はネットの様に岩を受け止め、ワンバウンドさせて更に下の崖へと落ちていく。
「すごいねぇ、あんたの糸」
 アラクネは感心したように絡新婦の技を見て呟いた。
「自分なんてまだまだ。世界のほつれを縫い留めるアラクネさんの方が凄い思うよ」
 絡新婦は手をひらひらふって謙遜しつつ。同じく糸を使った業を有す者同士、その糸の性質は違えども通じ合うものがあったらしい。
「それよりアラクネさんは怪我はあらへん? あ、飴ちゃんでも舐める?」
 車酔いにはエエらしいで、と渡した飴玉をアラクネは喜んで受け取り、口の中に頬張ったところを見て。絡新婦はタコの運転手に告げる。
「あそこの木ぃ生えとるトコは崖崩れの心配はなさそうやな。運転手さん、一旦あそこに待避して少し収まるの待とか」
「あいよ!」
 彼の指示で一旦バスは緊急避難。この先も崖崩れが起きそうな道はあるという。安全運転の為、僅かながらの休憩を促して。まずは最初の困難をくぐり抜けた妖怪バスとその乗員乗客達なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイル・ミーツァ
バスの席にちょこんと座って断崖絶壁な山道に差し掛かるまでは妖怪バスを楽しむのだ
断崖絶壁って場所に来たら予知の場所、ユーベルコードを発動させてルイルの仲間達へ屋根の上で見張りをしてもらうよう頼むのだ
崖崩れの兆候を発見したらルイルに知らせてもらって、ルイルは運転手さんに崖が崩れそうなのだと伝えて手前で止まってもらうのだ
岩が道を塞いだら仲間達、お仕事なーのだー!
お城も作れるような仲間達なのだ、大岩を動かすのは得意なのだ!
ルイルは王者のホイッスルで仲間達を統率・応援するのだ
大丈夫なのだ、すぐ岩をどけてまた走れるようにするのだ


夜鳥・藍
世界のほつれも興味という意味で気になりますが、それを直せるというのもすごいですね。

UCで神器鳴神を複製し操作する事で、道に落ちた岩、頭上から落ちてくる岩を砕いたり、小さくとも数が多ければ払うようにして直撃する数を減らしましょう。
鳴神自体は小さい物ですが数を集中すれば何とかなると思いますし。
運転のお手伝いとかは全くできないので、せめて障害を少しでも減らせればと。
運転手の方もお裁縫のお姉さんもしっかりと手に職を持つ方。尊敬しております。
ならば私もできる事をきっちりこなさなければ。

百鬼夜行が原因で世界のほつれができるなら、この崖崩れもそのほつれの、百鬼夜行の影響でなのかしらね。



 ガタゴトガタゴト。タイヤが跳ねれば座席に乗った尻も跳ねる。
 ルイル・ミーツァ(内緒のアリスナイト・f31419)は妖怪バスの派手な揺れすらも楽しむ様にちょこんと席に着き、外の流れる景色を楽しんでいた。
「不思議の国とは違う面白い世界なのだ」
 愉快な仲間である彼はアリスラビリンスの生まれ。あの世界もなかなか不思議な世界だが、このカクリヨもまた違う意味で奇妙不可思議な世界である。
 その間、夜鳥・藍(kyanos・f32891)はアラクネの通路挟んで隣の座席に落ち着いたまま、彼女と世間話の様に会話を楽しんでいた。
「世界のほつれ――興味という意味で気になりますが」
「そうかい? この世界は不安定だからね。服と同じで綻びが生まれちまうんだよ」
「そうなんですね。それを直せるというのもすごいです」
「裁縫はアタシの仕事だからね。服でも空間でも縫ってやるのさ」
 褒められて悪い気はしないらしい。アラクネはふふっと嬉しそうに笑みを浮かべ、大事な裁縫箱を揺れで手放さない様にしかと抱え込んでいた。
 そうこう言っている内に、タコの運転手さんが車内アナウンスで呼びかけてきた。
「そろそろ難所の峠越えですぜ――しっかり捕まっててくんな」
 その言葉に猟兵達は緊張の面持ちで小さく頷いた。
「みんな、出番なのだー!」
 ルイルが喚び出したのはウサギ族の愉快な仲間達。屋根の上、そして左右・後方の座席へと仲間達は見張りにスタンバイ。崖崩れの兆候を察知したらすぐにルイルに知らせる様にお願いも完了!
「ふふ、急に賑やかになったねぇ」
 可愛い、とアラクネ姉さんはウサギの頭を撫でてご機嫌らしい。
 慎重に、でもそれなりの速度で妖怪バスはガタゴトと未舗装の山道を走っていく。
 すると。
「崖崩れ、始まってるのだーっ!」
 愉快な仲間の一匹が叫ぶ。カラコロと小さな石が崖の上から零れ落ちてきたのが見える。
「運転手さん、崖が崩れそうなのだ! 一旦止まるのだ!」
「あいよぉ!!」
 ききぃ、とブレーキかけて、バスは山道の途中に止まる。崩れだした崖の上からは大小ゴロゴロと岩が落ちてくるのが見えた。
「響け――鳴神っ!!」
 藍は手にした神器である黒き三鈷剣を手にすると術を紡ぐ。あっという間に彼女の周囲には複製された神器が展開し、各々が藍の意思に従って落ちてくる岩に向けて飛ぶ。
 小さな石は切っ先にて弾き飛ばし、大きな岩は一点集中させる事で相手の自重をも利用して突き砕く。多少パラパラと降り注ぐ音がバスの天井に感じられるも、走行を不能にするものでは無い。
 屋根の上に構えていたルイルの仲間達もてしてしっと降って来る岩を迎撃し、バスへの大きな直撃を防いでくれていた。
「崖崩れが収まってきましたね……」
「まずは一安心なのだ!」
 しばらく凌いでいるうちに降って来る岩が止み、山道に元の静寂が訪れる。
 改めて出発進行、と思いきや。先程降って来た大岩が鎮座して狭い道を完全に塞いでいるのが見えた。
「あちゃあ……こいつぁ邪魔だなぁ」
 タコの運転手さんがぼやくも、ルイルとその仲間達がずずいとバスの前に出た。
「お仕事なーのだー!」
 王者のホイッスルをピィーッと一拭きすれば、ウサギの仲間達が見事な統率の元に大岩を片付けていく。お城だって作れる仲間達だ。土木作業はお手の物である。
「おお、安全第一で頼むぜ坊主!」
「大丈夫なのだ、すぐ岩をどけてまた走れるようにするのだ!」
 やがて、岩をすっかり除けた道をエンジン音が走り抜ける。
 ガタゴトガタゴトと峠を越えて、目指すは世界がほつれる場所。
「百鬼夜行が原因で世界のほつれができるなら――」
 揺れるバスの車内で藍は後ろを振り返りながらふと零した。
「この崖崩れもそのほつれの……百鬼夜行の影響でなのかしらね」
「どうだかねぇ。まァ……」
 アラクネは大事に抱えていた裁縫箱をそっと開ければ、綺麗に整理された針や糸が収まっているのが見える。一本の縫い針に糸を通し、その針先を指でなぞって彼女は微笑んだ。
「アタシはアタシの仕事をするだけさ。タコもそうだ。アンタもそうだろう?」
「ええ、そうですね……」
「あんがとさん。アタシもタコも感謝してるよ」
 二人共しかと手に職を持ち、カクリヨの危機に動く妖怪達。尊敬に値する者達。
 だからこそ藍もまた、自分の出来る事をこなし、彼らを含む妖怪達を助けねば……と心に思う。
「もうすぐ終点、終点でござーまっす」
 そして、バスは辿り着くのだ――修復を待つ、世界の綻びの場所へ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月16日


挿絵イラスト