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大祓百鬼夜行⑩〜懐かしの学校給食をめしあがれ

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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「大祓百鬼夜行の攻略に参戦していただき感謝します。リムは戦況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は戦場を現す大きなマップを広げると、淡々とした口調で語りだした。
「緒戦の滑り出しは順調で、幾つかの戦場を攻略することができました。ですが百鬼夜行は今も増殖を続けており、カクリヨファンタズムの各地で事件が起こり続けています」
 百鬼夜行の戦力が増えるほど、此度の戦争の元凶たる『大祓骸魂』が纏う虞(おそれ)も大きくなる。勝利のためには幽世と地球の双方で骸魂妖怪が引き起こす事件を解決し、百鬼夜行の戦力を弱めなければならない。

「今回皆様にお願いしたいのは、夜の幽世に現れる『給食屋台』の攻略です」
 カクリヨファンタズムでは夜になると謎の屋台が現れ、晩酌好きな妖怪達の憩いの場になっている。どんな料理が出てくるかは屋台の主人によってラーメンやおでん、焼き鳥、カレー、フレンチなど様々だが、今回の屋台で出てくる料理は「学校の給食」である。
「こちらの屋台を開いているのは、かの有名な『トイレの花子さん』です。彼女はかつて自分がいた学校の思い出を元に、学校給食のメニューを屋台で再現していたようです」
 揚げパン、コッペパン、ソフト麺、ビビンバ、カレー、冷凍みかん、脱脂粉乳、クジラの肉など、定番メニューから今では見られなくなったものまで、品揃えはとても幅広い。主人である花子さんの人柄も良く、近所の妖怪の間での評判はなかなか良かったようだ。

「ですが大祓百鬼夜行との戦いが始まると、こちらの花子さんも敵の軍門に降りました。骸魂と合体した彼女は今も給食屋台の営業を続けていますが、オブリビオン化によって『もてなし衝動』が暴走しているようです」
 トイレの花子さん改め『七不思議の花子さん』と化した彼女はとにかく誰かをもてなしたいという欲により、通りがかった者を妖力で無理やり屋台に引きずり込み、凄まじい量の給食を食べさせようとする。それこそ客のお腹がパンクしようともお構いなしにだ。
「このままでは延々と給食を作り続ける花子さんにより、幽世が無限の給食で埋まってしまいます。冗談のように聞こえるかもしれませんが、マジです」
 ふざけた怪談めいた終末が本当に起こり得てしまうのが幽世の恐ろしいところである。ともかく一刻も早く花子さんを正気に戻して、給食を作るのを止めてもらう必要がある。

「普通に戦って料理をやめさせることもできますが、給食を食べて『もてなし衝動』を沈静化させることもできます。力尽きるか衝動が鎮まれば、花子さんは元に戻るでしょう」
 次々とふるまわれるレパートリー豊かな給食を、とにかく食べて食べて食べまくる――という方法でも、今回のオブリビオンは退治できるということだ。とはいえ幽世が危機に陥るほどの大量の給食だ、食べ切るのは普通に戦うのとは違う意味で一苦労だろう。
「給食を食べずに戦いを挑んだ場合、花子さんは『学校の七不思議』にカウントされる様々な怪談を具現化させてきます」
 元から名の知れた強大な妖怪だった事もあり、オブリビオン化した今はかなりの強敵になるだろう。ともすれば無尽蔵に現れる怪談と給食の物量に呑まれ「もてなし殺され」てしまいかねない。くれぐれも油断は禁物である。

「どちらの作戦で挑むかは、各自の判断にお任せします。この花子さんも『大祓骸魂』を倒すために、猟兵に望みを託した妖怪の一人。どうかその期待に応えてあげてください」
 幽世で屋台をやっていたのも、故郷の学校の給食を作り続けていたのも、それだけ花子さんは二つの世界を愛していたのだろう。その想いを歪められたままにはしておけない。
 リミティアは真剣な表情と期待をこめた眼差しで猟兵達を見つめ、手のひらにグリモアを浮かべる。開かれた道の先に待つのは幽世にて今夜も営業中、花子さんの給食屋台だ。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 大祓百鬼夜行の開戦から早くも一週間が過ぎました。今回は『七不思議の花子さん』が営む謎の屋台を攻略する依頼です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……屋台グルメを食べまくる(戦わずともダメージを与えられます)。

 今回の屋台の主である『七不思議の花子さん』が提供するのは学校の給食。
 プレイヤーの皆様が小学生の頃に食べたものや、それよりもっと昔のメニューが、山のような量で出てくるので、これを食べまくることで花子さんの「もてなし衝動」の暴走を鎮め、オブリビオン化を解除できます。先割れスプーンでめしあがれ。
 もちろん普通に戦っても(ちょっと手強いですが)大丈夫です。七不思議の花子さんは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」ですので、倒せば救出できます。
 でもなんで屋台で給食を出してるのかって? おばけには学校がなかったので。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七不思議の花子さん』

POW   :    ねぇ、こんな噂を知っている?
【動く二宮金次郎像】と【動く人体模型】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【から生える見えない手が敵の動きを封じ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    友達の友達が聞いたそうなんだけれど
攻撃が命中した対象に【七不思議の呪い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【テケテケ】【ヨジババ】【赤い紙、青い紙】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    この学校には七不思議があるんだって
戦闘力のない【、戦場全体を内包する夜の旧校舎】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【校舎内に溢れだす学校の七不思議たち】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は九頭竜・聖です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

小烏・安芸
学校給食! UDCアース出身でもウチは学校に行く機会無かったからなぁ。それこそアルダワで学食に寄ったくらいか。
いや役得役得、とはいえ今回はしっかりお仕事やしちゃんと考えて食べんとな。

こういう時は一つの種類を一杯食べるんやなくて、いろんなおかずをちょいちょい食べていくんがコツやな。
調理の手間を増やして時間を稼ぐ意味もあるけど、給食っていうのはバランス良く食べていくのを前提にしとるらしいからそれに習うってことで。サラダとカレーと唐揚げと……とりあえず定番メニュー中心で。

ついでにテイクアウトできるか聞いてみよ。パンとかチーズとか隠れ家に備蓄しときたいんよ。行けそうならカクレガチケットでお持ち帰りや。



「学校給食! UDCアース出身でもウチは学校に行く機会無かったからなぁ」
 それこそアルダワで学食に寄ったくらいかと、小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)は振り返る。彼女にとって給食とは聞いたことはあっても馴染みの薄いもの、故にこその興味を誘うように、目の前ではノスタルジックな屋台が怪しげな妖気を放つ。
「いや役得役得、とはいえ今回はしっかりお仕事やしちゃんと考えて食べんとな」
 にっかりと笑いながら暖簾をくぐると、その中はもはやある種の異界。この世に二つとないであろう「給食屋台」が、空きっ腹をくすぐるような匂いを放って彼女を出迎えた。

「いらっしゃい。何にする?」
 人好きのする笑顔で安芸を出迎えたのは、おかっぱ頭に白いブラウスと赤いスカートの少女。日本の新しい妖怪の中でも屈指の知名度を誇り、今は給食屋台を営む花子さんだ。
 しかし今の花子さんはどこか妖艶で不気味な雰囲気を漂わせ、その瞳には正気ではない光が宿っている。周りでは彼女の力で具現化された「学校の七不思議」達が、一心不乱に給食を作っていた。
「ここは給食ならどんなメニューもあるわよ。どんどん食べて。いっぱい食べて」
 大祓骸魂打倒のために骸魂に取り憑かれた彼女は今『もてなし衝動』が暴走している。
 このままでは客の腹がはち切れても給食を食べさせ続け、幽世が埋まるまで給食を作り続けるだろう――そうなる前にこの異変を収拾するのが、安芸達猟兵の役目であった。

「そんじゃまずはサラダとカレーと唐揚げと……とりあえず定番メニュー中心で」
 空いている席に腰を降ろして、ぱっと頭に浮かんだメニューを注文する安芸。すぐさま出てきたのはどこか懐かしい感じのある給食の数々。どれから食べるか少し迷ってから、先割れスプーンを手にとってまずはカレーを一口。
「へぇ、美味いなぁ」
 骸魂に憑かれているとはいえ、コレ自体に害があるわけではないようだ。料理店や家庭の味とはまた異なる味わいを楽しみながら、次は唐揚げを一口。その次はサラダをという具合に、安芸は初めての学校給食を堪能していく。

「こういう時は一つの種類を一杯食べるんやなくて、いろんなおかずをちょいちょい食べていくんがコツやな」
 注文すれば注文しただけ、いやそれ以上の量が出てくる屋台の給食に、安芸は順番に匙を付けていく。たとえ山のようにメニューが積み重なってきてもペースを乱すことなく、しっかり味わいつつも適度な速さで。
「給食っていうのはバランス良く食べていくのを前提にしとるらしいからそれに習うってことで」
「へえ、わかってるじゃない。お客さん、通ね?」
 これには花子さんも嬉しそう。そこまで考えて色んなメニューを食べてくれる相手は、彼女にとってもてなし甲斐のある客だろう。ちなみにこの作戦には調理の手間を増やして食べきるまでの時間を稼ぐという意味もある。

「うちのメニューはまだまだ豊富よ。次はこれなんてどうかしら?」
 花子さんは次々と新しい学校給食をお出ししてくるが、厨房担当の七不思議たちはてんてこ舞い。もてなし衝動が少し満たされたのもあってか、ペースが若干落ちた気もする。それでも流石にこの量はすぐには食べ切れないかと感じた安芸は、ひとつ質問してみる。
「ここってテイクアウトできる? パンとかチーズとか隠れ家に備蓄しときたいんよ」
「ええ、できるわよ。良ければここに来ていない子達にも食べさせてあげてほしいわ」
 持ち帰りたくなるほどうちのメニューを気に入ってくれたのかと、花子さんは上機嫌。
 すぐさま給食の中でも日持ちしやすい食品が大量に用意され、安芸はそれを【グレイヴヤードへの招待状】を使って自分の隠れ家に収容する。

「いや助かるわ、ありがとなぁ」
 山と積まれたパンやチーズが、安芸の手にある小さな黒塗りの札に吸い込まれていく。彼女から心からの感謝の気持ちを伝えられて、七不思議の花子さんはとても嬉しそうだ。
「いいのよ、いいのよ。まだまだ沢山作るから」
 一度も矛を交えることはなかったが、花子さんから発せられる骸魂の妖気は弱まった。暴走する『もてなし衝動』を満たしてやることで、彼女を救えるのは本当の事のようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
給食かぁ~ボクは小さい時から研究所暮らしだからうれしいね
今日はいっぱい食べるよ
なんか戦争始まってからひたすら食べてる気が・・・まあいいよね?おいしいもの
そうだ、ボクの姉妹達も呼んであげよう
みんなで学校気分を味わえるね
温かいご飯にパン野菜やスープうん幸せだね
あ、プリンもあるね
姉妹達も沢山食べるから今日は1日貸し切りだね
反抗の導きに感謝して
いただきます



「給食かぁ~ボクは小さい時から研究所暮らしだからうれしいね」
 あまり平凡とは言い難い幼少期を送ってきた、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)こと紅明日香。この屋台に来れば給食が食べられると聞き、興味を引かれてやって来た。
「なんか戦争始まってからひたすら食べてる気が……まあいいよね? おいしいもの」
 猫まんまやらかき氷やら月見料理やら、様々な屋台グルメを食べ歩いてきた彼女だが、まだ食欲には余裕がある。今度は何を食べられるのかと、意気揚々とのれんをくぐった。

「いらっしゃい。何名様?」
 屋台の中では『七不思議の花子さん』が、七不思議と共に給食を作っている真っ最中。
 人数を聞かれたニクロムは「1人で……」と答えようとして、ふと良い事を思いついたようにぽんと手を打つ。
「そうだ、ボクの姉妹達も呼んであげよう」
 そう言って召喚するのは【哀れな姉妹達】。研究所では同じ2966ナンバーズの被検体として過酷な目にあわされてきた、ニクロムにとっては血より強い繋がりで結ばれた仲間。自分だけ美味しい思いをするのも勿体ないからと、一緒に給食を頂くことにしたようだ。

「みんなで学校気分を味わえるね」
 屋台の席にニクロムをはじめ、セーラー服の姉妹達が揃って着席すると、本当に学校のような雰囲気が出てくる。その光景にUDCアースの学校にいた頃の事を思い出したのか、花子さんは懐かしそうな笑顔を浮かべた。
「こんなに沢山生徒さんがいると、私も作りがいがあるわ」
 ざっと数えただけでも100人を超える2966ナンバーズ。1クラスの生徒数としては多いが、しかし全学級の生徒と比較すればまだまだ余裕。大鍋かき混ぜ大釜炊いて、できたての学校給食がきっちり配膳された状態で彼女らの前に並ぶ。

「温かいご飯にパン野菜やスープ。うん幸せだね」
 学校の給食を忠実に再現していることもあり、出された食事は(量はかなり異常だが)豪華と言うほどでもない。だが研究所にいた頃と比べれば、間違いなくごちそうだった。
「反抗の導きに感謝して、いただきます」
 学級長のようにニクロムが音頭を取り、姉妹達が両手と声を揃えて「いただきます」。
 仲の良いクラスメートのように、あるいは大家族の団欒のように、彼女らは楽しそうに給食を食べはじめた。

「姉妹達も沢山食べるから今日は1日貸し切りだね」
「あら。まだまだ来てくれても平気よ?」
 ニクロムの姉妹はもぐもぐと美味しそうに、かつハイペースで給食を平らげていくが、花子さんも負けてはいない。テケテケやヨジババなど様々な学校の七不思議を具現化してどんどん料理を作らせている。傍目には七不思議が給食を作るのはシュールな光景だが。
「あ、プリンもあるね」
「それは最後のお楽しみ……と言いたいけど今日は好きに食べていいわ♪」
 給食のデザートとしてはヨーグルトや冷凍みかんに並ぶ定番のおやつも、ピラミッドを作れるくらい用意されている。一口食べれば蕩けるような甘さとほろ苦いカラメルの味がいっぱいに広がる絶品だ。
「うん、すごく美味しいよ。おかわりある?」
「もちろん!」
 無表情ながらも年相応な食欲旺盛さを見せるニクロムに、花子さんはニコニコの笑顔。
 姉妹ともども沢山給食を食べてもらえたおかげで、彼女の『もてなし衝動』も大いに発散された様子だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・チモシー
給食食べ放題!?
もしかして、給食のプリンたくさん頼むとかもできるの?
じゃんけん勝たなくても何個も食べられるの? やったー!

んー、デザートの前に……まずは、ソフト麺くださーい
あの簡単にちぎれる麺、結構好きー
ミートソースと、味噌ラーメンと、焼きそば!
わーい、ソフト麺大集合!
学校の給食だと見られない光景、夢みたい!
いただきまーす♪

食べおわったら、いよいよプリン!
プリンいっぱいくださーい
あっそうだ、せっかくだから、るーさんたちも呼んじゃおう
すいませーん、プリン92個追加お願いしまーす

おいしいねー。しあわせー♪



「給食食べ放題!? もしかして、給食のプリンたくさん頼むとかもできるの?」
「もちろん、いいわよ」
 興奮を隠しきれずにいる三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)に、給食屋台の主こと『七不思議の花子さん』はにこやかな笑顔で答える。今も休みなく作られている給食の中には、ピラミッドのように積み上げられたプリンの器も確かにあった。
「じゃんけん勝たなくても何個も食べられるの? やったー!」
 いわくUDCアースの小学校では、給食の時間になるとこれを巡って子供たちによる熾烈なバトルが繰り広げられるとか。そんな貴重(?)なおやつが食べ放題と聞かされては、スイーツ好きとして見逃すわけにはいかない。

「んー、デザートの前に……まずは、ソフト麺くださーい」
 すぐにプリンに直行したい衝動を抑えて、チモシーはまず主食となる料理から攻める。
 学校給食の定番メニューも色々あるが、彼はその中でもソフト麺がお気に入りらしい。正式名称をソフトスパゲッティ式めんという、学校給食のために開発された麺である。
「あの簡単にちぎれる麺、結構好きー」
「美味しいわよねー。私も大好きよ」
 花子さんはチモシーの話に相槌を打ちながら、ソフト麺を使った料理を作りはじめる。
 ソースを絡めたものが多いが、汁物にしたり蒸したり焼いたり、学校によってソフト麺を利用した料理は様々だ。ここには花子さんが学校で目にしてきた、その全てがあった。

「ミートソースと、味噌ラーメンと、焼きそば! わーい、ソフト麺大集合!」
 机の上を埋め尽くさんばかりにずらりと並んだ料理に、目を輝かせるチモシー。調理のバリエーションは様々とはいえ、複数のソフト麺が同時に出てくることはそうそう無い。
「学校の給食だと見られない光景、夢みたい!」
「ふふ、夢だと味わえないでしょう? さあ召し上がれ」
「いただきまーす♪」
 花子さんの微笑みに促され、チモシーは先割れスプーンを手にソフト麺のフルコースを堪能する。見た目はうどんに似ているがそれとは違う食感、絡めるソースや調理によって変わる味わい。作った料理人の腕もいいらしく、どれもこれも文句なしの絶品だ。

「ふー、おいしかった。じゃあ次はプリン! プリンいっぱいくださーい」
「はい、プリンいっぱいね♪」
 チモシーはあっという間にソフト麺を食べ終えると、いよいよ待望のデザートに移る。
 もてなし衝動が暴走している今の花子さんに「いっぱい」と注文すればどうなるのか。それはもう限度なく、さっきのフルコースが可愛く思える量のプリンが用意される。
「あっそうだ、せっかくだから、るーさんたちも呼んじゃおう」
 山のようなプリン、いやさプリンのような山を眺めながら、チモシーはふと思いついたように【猫行進曲】を発動。UDC-P『増える灰色の猫』こと「るーさん」の群れを喚び、一緒にプリンをいただくことにする。

「すいませーん、プリン92個追加お願いしまーす」
「あら、かわいい猫ちゃん。すぐに用意するわ」
 さらに大きく積み上がるプリンの山。放っておけばどこまでも高くなりそうなそれを、チモシーとるーさん達はパクパクと夢中で食べる。口当たりのいい甘さと食感のプリンにほろ苦いカラメルが合わさって、ほっぺが落ちそうなくらい美味しい。
「おいしいねー。しあわせー♪」
「ふふ、よかった……」
 心から幸せそうなチモシーの笑顔を見て、どこか満たされたような顔をする花子さん。
 給食を食べてもらえるたび、おいしいと言ってもらえるたびに、彼女の胸の中に空いた底なしの『もてなし衝動』は少しずつ埋まりだしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゲニウス・サガレン
なるほど学校給食か
ある世界にはそのようなものがあり、国や地域によっても差異があると何かで読んだことがある
実際に体験できるのは初めてだ
私がオーシャンで通った学校でも食事が出たけど、豆のスープと粗末なパンくらいだったからなぁ(遠い目

一度食べてみたかったんだ、文献で読んだ「揚げパン」、「ソフト麺」、「コーヒー牛乳」を!

……うっぷ、美味しいけど、さすがに甘い物と炭水化物だらけの組み合わせはおなかにくるものが……!

UC「眠れる力を呼び起こせ!」

私もみんなも頑張れ!奇跡よおきよ!
余ったアイスはじゃんけんって文化だったっけ?
(食べきれなければ、アイテム「フライングシュリンプ」を動員します)



「なるほど学校給食か。ある世界にはそのようなものがあり、国や地域によっても差異があると何かで読んだことがある」
 グリードオーシャン出身の探検家であるゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は、以前何かの本で読んだ知識を頭から引き出す。学びの場である学校で給食が提供されるのは、育ち盛りの子供に適切な栄養と食の知識を与えるためらしい。
「実際に体験できるのは初めてだ。私がオーシャンで通った学校でも食事が出たけど、豆のスープと粗末なパンくらいだったからなぁ」
「それはずいぶん寂しいご飯ね。今日はうちの給食をたんと食べていって?」
 遠い目をするゲニウスの思い出話に、七不思議の花子さんは思うところがあったのか、慈しむような優しい笑顔を見せる。ここは学校の給食を出す屋台だが、客はなにも学生に限りはしない。大人でも妖怪でも誰でも全力でもてなすのが彼女の流儀である。

「一度食べてみたかったんだ、文献で読んだ『揚げパン』、『ソフト麺』、『コーヒー牛乳』を!」
 名前は知っていても実際に口にしたことはない異界の食事。ゲニウスが挙げたそれらはUDCアースでも提供される場が意外と限られており、普通に暮らしていると食べる機会もあまり無い。今回はまたとないチャンスと言っても良かった。
「へえ、お客さん、お目が高いわね♪」
 注文を聞いた花子さんは、妖力で具現化させた七不思議達とノリノリで調理を始める。
 あっという間にゲニウスのテーブルは、どこか懐かしさを感じさせる給食のメニューで埋まった。どれも文献で読んだ通りだと、彼は目を輝かせて先割れスプーンを手に取る。

「さあ、めしあがれ」
「では、いただこう」
 花子さんの笑みに促され、好奇心のおもむくままに給食を食すゲニウス。この屋台では懐かしの味を再現することは勿論、美味しさの追求についても余念がなく、オブリビオンと化した今でも味は損なわれてはいない。
「……うっぷ、美味しいけど、さすがに甘い物と炭水化物だらけの組み合わせはおなかにくるものが……!」
 問題となるのはやはり量。もてなし衝動の暴走した花子さんが給食を作るスピードは、ゲニウスの食べるスピードと胃袋の容量を遥かに超えている。食べても食べても目の前の料理は増えていき、やがて喉が食事を通すのに抵抗を覚えはじめ――。

「いや、まだだ! 眠れる力を呼び起こせ!」
 学校給食の圧倒的な物量に屈しかけた心を鼓舞して、ゲニウスは助っ人を呼び寄せる。
 それは空飛ぶエビ「フライング・シュリンプ」の大群。主人と認めた者に従う社会性を持った彼らは、主の前にうず高く積もる給食の山に群がり、むしゃむしゃと食べ始めた。
「私もみんなも頑張れ! 奇跡よおきよ!」
 1人で食べきれなければ仲間を動員すればいい。皆を応援しながら揚げパンをコーヒー牛乳で流し込むゲニウスの周りで、フライングシュリンプ達はバトルオーラに包まれる。ここはもはや戦場――まさに「食うか食われるか」の真剣勝負の場であった。

「お客さんが増えて嬉しいわ♪」
 一気にエビの群れが押しかけてきても、元から妖怪相手に屋台を営んできた花子さんは怯まない。だが客の数が増えた事実は食事のペースにはっきりと現れており、給食の山が徐々に小さくなっていくのが分かる。それはそれで作るほうは嬉しそうだが。
「余ったアイスはじゃんけんって文化だったっけ?」
 一方のゲニウスも給食の量に苦慮しつつ、食事を楽しむ余裕までは失っていなかった。
 それとなくデザートの所有権について議題を挙げると「それじゃ俺達不利なんですが」と言わんばかりにエビが抗議。チョキしか出せない彼らにその勝負はあまりに不公平だ。

「では早いもの勝ちにするか? いやしかしな……」
 そんな事を面白半分に相談する学者とエビを見て、花子さんが楽しげにくすくす笑う。
 彼女の望みは給食を楽しんでもらうこと。この様子なら彼女に取り憑いた骸魂が放れていくのも、そう遠いことでは無さそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三ツ橋・夕花
給食屋台…?給食は食べた記憶がないので新鮮かも
『学校の七不思議』は気になるけど…いやいや、ここはちゃんとおもてなしを受けましょうとも!
花子さんの思い出の給食の味、教えてください!

なるほどなるほど、色々なメニューがあるんですね
しかも栄養バランスも考えられてて健康的とはすばらしい
よーし、食欲のリミッター解除!
このために今日の食事は抜いてきました…
私はいま空腹が限界突破です!

それでは、手を合わせていただきます
せっかくのおもてなし、ゆっくり噛んで味わっていただきます
なんだか懐かしい雰囲気を感じる味ですね…
特にカレーが気に入りました!
瓶牛乳もおいしいし、何倍でもいける気がします!
おかわりください!



「給食屋台……? 給食は食べた記憶がないので新鮮かも」
 耳慣れない単語の組み合わせに首を傾げつつも、三ツ橋・夕花(夕闇の花・f33111)は興味を引かれていた。数年前より昔の記憶を失っている彼女は、子供の頃に学校に通ったことがあるのかも、給食を食べたことがあるかも覚えていない。だからこそ心は踊る。
「『学校の七不思議』は気になるけど……いやいや、ここはちゃんとおもてなしを受けましょうとも!」
 怪談好きとしては"学校の怪談"なる存在も見てみたくはあるが、そのために避けられる戦いを挑むのは気が引けよう。そんな訳で彼女はわくわくする胸を押さえながら、屋台の暖簾をくぐるのだった。

「花子さんの思い出の給食の味、教えてください!」
「あら、ハイカラなお姉さんね。いらっしゃい♪」
 日傘を閉じて屋台に入ってきた大正浪漫な娘を見て、屋主の花子さんはにこりと笑う。
 ここで再現されているのは花子さんがまだ地球にいた頃に体験した給食。思い出も沢山あるだろう。それを尋ねられると彼女は嬉しそうに語り始める。
「そうね、どれもこれも思い出深い味ばかりだけど、私が好きなのはコッペパンかしら。ミルクとか黒糖とか色んな味があるのよ。それとやっぱりソフト麺は外せないわね……」
 休みなく給食を作り続けていた彼女も、この時ばかりは手を止めて、思い出話に花を咲かせる。夕花はそれに時折相槌を打ち、花のように優しく微笑みながら耳を傾けていた。

「なるほどなるほど、色々なメニューがあるんですね。しかも栄養バランスも考えられてて健康的とはすばらしい」
 花子さんから一通りのお勧めメニューとその思い出を教えてもらったところで、夕花はよーし、と気合いを入れる。今日はとにかく食べまくる依頼と聞いていたこともあって、食欲のリミッターは解除済み。戦い(?)に向けて準備は万端だ。
「このために今日の食事は抜いてきました……私はいま空腹が限界突破です!」
「ふふ、嬉しいわ。そんなに楽しみにして来てくれたなんて♪」
 空きっ腹をさすりながら力強く宣言する夕花に、花子さんもまた満面の笑みで応じる。
 同時にぶわっと屋台の中に満ちる妖力のオーラ。お腹をすかせた客を前にして、彼女の『もてなし衝動』が昂ぶっているのが分かった。

「さあ、めしあがれ!」
 またたく間にテーブルを埋め尽くすコッペパン、ソフト麺、牛乳瓶、カレー、プリン、エトセトラエトセトラ。味、量、栄養どれも申し分のない学校の給食メニューの数々が、花子さんの手で振る舞われる。
「それでは、いただきます」
 夕花はそっと手を合わせると、用意された先割れスプーンで初めての給食を口に運ぶ。
 せっかくのおもてなし、ゆっくり噛んで味わっていただかなければ失礼だし勿体ない。カフェーのパーラーメイドとして働いている事もあり、食への敬意はしっかりしている。
 黒糖の味がするコッペパンを齧り、控えめな辛さのカレーを食べ、牛乳瓶の蓋を取って一口。一品一品をまずは順番に丁寧に味わってから、彼女は美味しそうに目を細める。

「なんだか懐かしい雰囲気を感じる味ですね……特にカレーが気に入りました!」
 辛さが控えられているのは、きっと子供でも食べやすいようにだろう。ノスタルジックで素朴な味わいに作り手の優しさを感じさせる品だ。ご飯粒ひとつ残さず奇麗に食べて、夕花はにこにこと感想を伝える。
「瓶牛乳もおいしいし、何倍でもいける気がします! おかわりください!」
「ええ♪ たくさん作るから、たくさん食べてね!」
 彼女の口元にうっすら牛乳ひげが付いているのに気付き、花子さんはくすりと笑いつつ調理場に入る。用意されていたのは大鍋いっぱいに煮込まれたカレーと炊きたてのご飯。今も増産され続けているそれを見て、夕花はぱあっと目を輝かせた。

「はい、どうぞ。パンにカレーをつけて食べるのも美味しいわよ」
「わあ、やってみます!」
 大盛りでやって来たおかわりカレーを受け取り、ぱくぱくとペース良くいただく夕花。
 心から喜んでいると分かるその食べ方と笑顔は、暴走していた花子さんのもてなし衝動を優しく宥めていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…世界を越えてよく来てくれたわね

私達の故郷とは異なる世界の争いに貴方達を巻き込むのは心苦しいのだけど…

此度の戦いは私だけの手に余る。どうか手を貸してほしい



…ありがとう。早速だけど貴方達に頼みたい事を伝えるわ
此処でお腹一杯に、いいえ、動けなくなるまで食事をして

何を言っているか分からないと思うけど安心しなさい
私も頭がどうにかなりそうだから…

…ただ一つだけ言えることは、異世界の常識は私達の常識とは違う
貴方達もこの世界の理不尽なノリを味わいなさい


…ちなみに逃げようとしても無駄だから
此処に来た時点で店主の呪力に捕らわれるからネ

UCを発動し21人の吸血鬼狩人(犠牲者)を召喚し限界突破して給食を食べるわ



「……世界を越えてよく来てくれたわね」
 幽世で営業中の給食屋台の前で、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は【吸血鬼狩りの業・血盟の型】で召喚した吸血鬼狩人の弟子達と、作戦前のミーティングを行っていた。
「私達の故郷とは異なる世界の争いに貴方達を巻き込むのは心苦しいのだけど……此度の戦いは私だけの手に余る。どうか手を貸してほしい」
 ダークセイヴァーで数多くのヴァンパイアを討ち倒してきた歴戦の吸血鬼狩人であり、狩人としての業と心得を教えた師匠でもある少女が「手に余る」と言うほどの事件とは。
 果たして自分達で力になれるのか不安を抱きながらも、血盟の弟子達は重々しく頷く。師からこれほど真剣に頼まれて逃げたとあっては、夜と闇を終わらせる者の名が廃ろう。

「……ありがとう。早速だけど貴方達に頼みたい事を伝えるわ」
 弟子達の答えを受け取って、リーヴァルディはすっと屋台を指差す。ノスタルジックな雰囲気と不気味な妖気を同時に漂わせるその場所に、今回彼女らが挑むべき相手がいる。そこで血盟の弟子達に課せられる使命とは――。
「此処でお腹一杯に、いいえ、動けなくなるまで食事をして」
 ――弟子達は揃って「今何と?」と首を傾げた。たぶん聞き違いだと思ったのだろう。
 だが彼らの耳は正常だった。あの屋台で、オブリビオン化した妖怪がお出しする給食を食べて食べて食べまくる。それが今回の異変の解決、ひいては世界の救済に繋がるのだ。

「何を言っているか分からないと思うけど安心しなさい。私も頭がどうにかなりそうだから……」
 弟子に食事を命じた当のリーヴァルディこそが、おそらくこの場で一番困惑していた。
 闇と絶望に支配された世界で、未来と希望を掴み取るための戦いの日々と比較すると、こっちの世界のノリはあまりにもユルい。しかも本人達は大真面目で、この戦い(食事)の成否が実際に世界の命運に関わるのだから、雑なジョークだと笑い飛ばせもしない。
「……ただ一つだけ言えることは、異世界の常識は私達の常識とは違う。貴方達もこの世界の理不尽なノリを味わいなさい」
 頭痛に悩むような表情で少女が言うと、弟子達は喉に何かが詰まったような顔をする。
 まあ、すぐには飲み込めない話だろうとは思う。しかしそれでも協力してもらわないと困るのだ――自分一人で、あの量を完食するのは、無理。

「あら、またお客さん? 嬉しいわ」
 その時、屋台ののれんを上げてひょこりと顔を出したのは、おかっぱ頭の可憐な少女。
 歓迎するわよ、と『七不思議の花子さん』が手招きすると、弟子達の足はまるで磁力に引き寄せられるように屋台に向かってひとりでに歩いていく。
「……ちなみに逃げようとしても無駄だから。此処に来た時点で店主の呪力に捕らわれるからネ」
 彼らよりもちょっぴりこの世界の不条理を分かってきたリーヴァルディは、小さく舌を出して笑う。がんばってこのノリに適用しようという茶目っ気だろうか。どう反応すればいいものかと困惑しているうちに、弟子達はあえなく給食屋台に巻き込まれてしまった。

「さあ、めしあがれ! おかわりもあるわよ♪」
 それからの展開はまさに戦いだった。物凄いペースで花子さんが作り出す学校給食を、リーヴァルディと弟子達がひたすら食べる。もう満腹だと身体が訴えても限界を超えて、目の前にある食事の山がなくなるまで食べ続ける。
「……どうかしら、感想は」
 匙を動かしながらリーヴァルディが聞くと、弟子達の返事は「凄く美味しいので感想に困る」だった。日々の糧にも困ることの多い故郷での生活を考えれば、美味しくて栄養もある給食をいくらでも食べられるのはそれだけで幸せなことかもしれない――。
「はい、追加よ。デザートもあるからね♪」
 ――それも過ぎたるは猶及ばざるが如しという格言を、彼女らは心に刻んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
なに?その給食ただで食っていいの?

即決で戦いではなく食いまくる方を選択して
引き摺りこまれるまでもなく自分から屋台に入っていく

「飢渇」と一緒に席を占領し押し寄せる給食を飲み込んでいく

汁がかなり熱くなってるから麵入れると丁度良いな温かさになるわね、おかわり

鯨肉の竜田揚げ、良い感じに独特の臭みが抑えられててが癖になるわ、おかわり!

きなこ揚げパン、塗されたきなこと砂糖の比率が絶妙でいくらでも入ってくわ、おかわり!!

しまいには「飢渇」が屋台の内側に侵入して調理前の食材まで喰い散らかしかねない勢いになる

私はまだまだいけるわよ?さあもっとよこしなさい、もっと沢山もてなしなさい!
もっと、もっともっともっと!!



「なに? その給食ただで食っていいの?」
 屋台のテーブルに所狭しと並べられた食べ物の山を見て、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)はキラキラと目を輝かせる。飢餓の衝動を植え付けられ、常に捕食浴に悩まされている彼女は、妖力に引き摺りこまれるまでもなく自分から屋台に入っていった。
「いらっしゃい。今日は特別サービスだから、いくら食べてもお代は取らないわ♪」
 出迎えるのはおかっぱ頭の女店主こと、妖怪『七不思議の花子さん』。骸魂に憑かれた影響で『もてなし衝動』が暴走している彼女には、代金を貰うよりも客をもてなし給食を食べさせることしか頭にない。たとえ客のお腹が張り裂けようともお構いなしに。

「じゃあ遠慮なくいただくわね」
 しかし此度の客――メフィスに限ってその心配は不要だろう。躰から滲み出す「飢渇に喘ぐ」眷属らと一緒に屋台の席を占領した彼女は、押し寄せる給食を食べる、と言うより"飲み込んで"いく。
「汁がかなり熱くなってるから麵入れると丁度良いな温かさになるわね、おかわり」
 しっかりと感想を述べるくらいきちんと味わっているのに、彼女の食事は異常に速い。汁につけた麺をつるつると吸い込むように啜り、一滴も残さぬ勢いで飲み干す。飽くなき飢餓の衝動がこれほどプラスに働く依頼も、此度の戦争を除けばなかなか無いだろう。

「いい食べっぷりね! 嬉しいわ!」
 メフィスの飢餓衝動に焚き付けられるように、花子さんのもてなし衝動も燃え上がる。妖力で具現化された『学校の七不思議』と一緒に調理を行い、新しい給食を次々と屋台の前に並べていく。
「鯨肉の竜田揚げ、良い感じに独特の臭みが抑えられててが癖になるわ、おかわり!」
 しかし、メフィスの食欲はそれさえも上回らんばかりの勢いだった。どちらかと言えば細身なその躰のどこに大量の料理が入っていくのか、まったくわからないペースで食事を続ける。肉の一欠、汁の一滴はおろか、食器まで勢い余って食べてしまいそうなほどだ。

「きなこ揚げパン、塗されたきなこと砂糖の比率が絶妙でいくらでも入ってくわ、おかわり!!」
 しかも恐ろしい事に、メフィスの飢餓衝動は食べれば食べるほど落ち着くのではなく、逆に激しさを増していく。汁物も肉もパンも糖分もドリンクもデザートも、余さず全てを捕食し味わう。「いくらでも」と豪語する、彼女の宣言はまったく誇張ではない。
「ふふ……こんなお客さん、初めて……!」
 ただ給食を食べさせる事に喜びを感じていた花子さんに、初めて違う感情が芽生える。それは自分が「もてなし切れない」かもしれない客と遭遇した戦慄。七不思議達を総動員しているのに、メフィスが食べる速度は彼女が作る速度に追い付きつつあった。

「私はまだまだいけるわよ? さあもっとよこしなさい、もっと沢山もてなしなさい!」
 今だ満たされぬ衝動のままにメフィスは叫び、バシバシとテーブルを叩いておかわりを要求する。それに呼応するように「飢渇」の眷属達は影のような身体で屋台の内側に侵入すると、まだ盛り付けられていない給食を勝手に食べ始めた。
「あ、あらあら。もうちょっと待って――」
「もっと、もっともっともっと!!」
 しまいには調理前の食材まで食い散らかしかねない勢いで捕食・増殖・膨張する眷属。
 百戦錬磨の屋台主さえ圧倒されるほどの食い意地を見せつけながら、メフィスは給食を【貪(ムサボル)】。屋台にある食料の備蓄が空っぽになる、その時まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルヴィア・ジェノス
給食メニュー!UDCアースの本とかで見たやつだわ!わあ、食べてみたいと思ったのよね!食べることならお任せよ【大食い】は大得意なんだから!

まず揚げパン!…砂糖たっぷりのと、黄な粉がまぶされたの、どっちも食べるわ!あー甘い!ふわっふわ!おいしーい!
そしてこれがソフト麺!ミートソースをかけたものを頂きます!おお、普通の麺とは違って…でもこれはこれで美味しいわ!鯨の竜田揚げもたんまり、カレーライスももぐもぐ!わかめごはんも美味しい!

デザートは冷凍みかんに、あとは冷凍パイン!きゃーつめたーいでもおいしーい!
そしてこれがミルメークとやら!
このスプーンの形も変わっていておもしろーい!

と子供の様にはしゃぎます



「給食メニュー! UDCアースの本とかで見たやつだわ! わあ、食べてみたいと思ったのよね!」
 料理を作ること、食べさせること、そして食べることが大好きなシルヴィア・ジェノス(月の雫・f00384)にとって、まだ食べたことのないグルメと出会える妖怪屋台の依頼は絶好の機会だった。今回はどんな給食が出てくるのだろうと、もう目を輝かせている。
「食べることならお任せよ。大食いは大得意なんだから!」
 どんなに量が多くても絶対にお残しはしないという決意と自信を抱いて、彼女は屋台の暖簾をくぐる。待っているのは屋主の花子さん、そして今もひっきりなしに創られ続ける学校給食の数々だ。

「いらっしゃい。さあさあ召し上がれ」
 席につくなりシルヴィアの前に出されたのは、花子さん手作りの給食メニュー。食器や配膳まで含めて懐かしの学校を再現されたそれに、食いしん坊のエルフはキラキラ笑顔。
「おいしそう! まず揚げパン!」
 粉雪のようにたっぷりと砂糖がかかったパンを取って、ぱくりと一口。ふかふかの食感と甘さが口いっぱいに広がる。世界を渡り様々な料理を食べてきた彼女もこれには納得。
「あー甘い! ふわっふわ! おいしーい!」
「ふふ。ありがと。黄な粉をまぶしたやつもあるけど」
「どっちも食べるわ!」
 花子さんの勧めに迷わず答えると、すぐに新しい揚げパンが出てくる。こちらは前より甘さは控えめでしっとりした味わい、それでいて口の中がパサつかないように分量をよく計算されている。骸魂に憑かれて暴走中だというのに、この屋台主はかなりの腕前だ。

「そしてこれがソフト麺! 頂きます!」
 揚げパンの次にシルヴィアが興味を惹かれたのは、ミートソースのかかったソフト麺。
 先割れスプーンの先端をフォークのように使って、ソースを絡めながら麺を巻き取り。ぱくりと口に運んでじっくり咀嚼すると、彼女の表情がまたもやぱあっと輝いた。
「おお、普通の麺とは違って……でもこれはこれで美味しいわ!」
 見た目はうどんに近いが、食べた時の食感はスパゲッティのようでもあり、そしてそのどちらとも違う。他の麺類とは異なる食感は、どうやらシルヴィアの口にあったようだ。

「これも、これも、これも美味しい!」
 それからもシルヴィアは給食屋台のメニューを全力で味わう。鯨の竜田揚げをたんまり確保して、カレーライスをもぐもぐしつつ、わかめごはんを合間にぱくり。もう随分な量を食べているはずだが、それでもペースが衰えないところに胃袋の強靭さを感じる。
「喜んでもらえて嬉しいわ。デザートもあるわよ?」
「冷凍みかんに、冷凍パイン! きゃーつめたーいでもおいしーい!」
 見てて気持ち良いくらいの食べっぷりに、花子さんも笑顔で新しい給食を運んでくる。
 カチカチに凍ったフルーツは、学校給食では定番のデザート。メインの献立を食べているうちに解凍されたものを頂くと、キーンとした冷たさと果汁のハーモニーが広がった。

「そしてこれがミルメークとやら!」
 もちろん飲み物を味わうことも忘れない。振りかけて混ぜるだけで簡単にコーヒー牛乳になるこの粉末は、牛乳がニガテな当時の子供たちに大人気だったそうな。これが初体験となるシルヴィアも、ふっしぎーと目をキラキラさせて飲んでいる。
「このスプーンの形も変わっていておもしろーい!」
 給食食器の定番である先割れスプーンも、一本でフォークの役割も兼任する優れもの。
 美味しいだけでなく子供たちの栄養バランスや食べやすさまで考えられた、食に対する人の知恵の結晶――それが給食なのである。

「給食ってすごいのね! おかわりー!」
「ふふ。ええ、すぐに持ってくるわ」
 慈しむように微笑みながら、給食を作る花子さん。子供のようにはしゃぐシルヴィアを見て、かつて過ごした学校での賑やかな給食風景を思い出したのかもしれない。それだとシルヴィアが子供扱いされている気もするが――心の無邪気さに年齢は関係ないだろう。
 心から給食を楽しんで味わう気持ちは、暴走していた花子さんの『もてなし衝動』を、あたたかく癒やしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼面坊・羅剛
アドリブ歓迎

たまには酒抜きの食事もいいものだ。

よし、妖怪達を召喚して学校をやろう。
酔いを覚ましてランドセルを背負うがいい、皆の衆。

何故と言われれば『給食は四時間目の体育の後に食べるのが一番美味しい』と聞いたからだ。己も小学校に通ったことはないが、折角の料理は美味しく味わいたい。校舎は花子の方が用意してくれることだしな。

花子も児童として参加せよ。
己も児童として参加する故、遠慮するな。
え、無理がある? 細かいことを言うでない。

時間割は算数、国語、図工、体育だ。
各教科の担当は七不思議と妖怪達に任せる。

さあ、共に学び、動き、給食を思う存分食べようではないか。
ただし、牛乳ジャンケンとやらは譲らんがな。



「たまには酒抜きの食事もいいものだ」
 そう言って、アルコール提供一切なしの『給食屋台』を訪れたのは鬼面坊・羅剛(幽世の守護者・f29378)。美酒と肴で飲めや歌えや踊れやと大騒ぎするのも良いが、時には趣向を変えるのも一興。それに美味いものを食って幽世を護れるなら何よりな事だろう。
「よし、学校をやろう。酔いを覚ましてランドセルを背負うがいい、皆の衆」
 そこで彼はまず【幽世妖怪大宴会】を発動し、縁のある妖怪達を召喚する。彼らはみな世界を滅ぼしかねない力を秘めた大妖怪だが、いつも酔っ払っていて戦力にはならない。今宵もどこかで宴会をやっていたのか、赤ら顔で「らんどせる?」と首を傾げていた。

「何故と言われれば『給食は四時間目の体育の後に食べるのが一番美味しい』と聞いたからだ」
 どこで聞き齧ったのかも分からぬ知識を、羅剛は大真面目に説明する。傷ついた鬼面を被った巨漢の妖怪がそんなことを言うのは割とシュールだが、当人は巫山戯てはいない。
「己も小学校に通ったことはないが、折角の料理は美味しく味わいたい。校舎は花子の方が用意してくれることだしな」
「はいはい、学校やるって? 面白そうじゃない」
 屋台で給食の仕込みをやっていた『七不思議の花子さん』も、この提案に乗ってきた。
 彼女が妖力を開放すれば、屋台を含めた周囲の環境はたちまち夜の旧校舎へと変わり、七不思議の妖怪たちが校舎に溢れだす。だいぶホラーチックだが、これで舞台は整った。

「花子も児童として参加せよ」
「え? いや私は給食係を……」
 花子さんはあくまで給食を美味しく食べさせるためのお膳立てだけのつもりだったが、羅剛は当然のごとく彼女にも授業に加わるよう要求する。一方で召喚された妖怪達のほうは「なんか面白そうじゃん」とノリノリで、ランドセルを背負って児童に扮していた。
「己も児童として参加する故、遠慮するな」
「いや、それは無理がない?」
「細かいことを言うでない」
 困惑する花子さんをよそにやる気まんまんの羅剛。正直彼の巨体に見合うランドセルはないと言うか、どんなに遠目でも児童には見えないとか、せめてそのお面を外せとか――花子さんにもいろいろ言いたいことはあったものの、全て細かいこととして処理された。

「時間割は算数、国語、図工、体育だ。各教科の担当は七不思議と妖怪達に任せる」
「先生やるなんて初めてだけど、がんばるべー」
 気付けば羅剛は自分が召喚した妖怪も花子さんが具現化した七不思議も含めて、計画の総指揮のような立場になっていた。給食を美味しく食べるために学校をやる――根本的なところで本末がすっ転んでいるような気がするが、もう止めようとする者はいなかった。
「さあ、共に学び、動き、給食を思う存分食べようではないか。ただし、牛乳ジャンケンとやらは譲らんがな」
「ふっ、私だって!」
 こうなったらノリに乗ったほうが勝ちだと悟ったのか、花子さんもランドセルを装着。
 かくして給食屋台前小(?)学校は臨時開校。個性豊か(すぎる)児童達による賑やかな授業が幕を開けたのだった――。

「うむ。有意義な時間であったな」
「そうかなあ……?」
 ――そして時は流れて現在、羅剛と妖怪達はみんなで机を合わせて給食を食べている。
 算数の授業で九九を言えない妖怪がいたりとか、図工の授業で芸術関係の七不思議が暴れだしたりとか、体育の授業があわや乱闘になったりとか、いろいろあったが割愛する。
 結果として羅剛の提唱した『給食は四時間目の体育の後に食べるのが一番美味しい』説は正しかった。大いに頭と体を使い、適度に疲れた後の食事が不味いはずが無いのだ。
「花子、おかわりを頼む」
「はいはい。待ってて!」
 この謎のノリに振り回された花子さんも、なんだかんだで悪い気はしていないようだ。
 皆と一緒に擬似的な学校生活を送ることが、骸魂に憑かれた彼女の『もてなし衝動』をいくらか癒やしたのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川村・育代
ユーベルコードで呼び出した海賊415人と一緒に給食を食べに行くわ。
一人では難しい量でもシェアすればいけるから。
海賊たちもまともな食事は久しぶり(船の上では堅パンや塩漬け肉や薄いスープ)だからきっと喜ぶわ。
あたしも子どもたちと縁の深い身だけど、学校に行けない子どもへの教育支援用バーチャルキャラクターの身で、給食は初めてだから楽しみね。
『ちょっと人数が多いんだけど、大丈夫かしら?』



「一人では難しい量でもシェアすればいけるから」
 そう考えた川村・育代(模範的児童・f28016)は、ユーベルコードで召喚した【幽霊海賊団】総勢415名と一緒に給食屋台を訪れる。物量には物量で対抗する、シンプルだが堅実な手段。相手がどんなに大量でも、これだけ頭数を揃えればきっと足りるだろう。
「海賊たちもまともな食事は久しぶりだからきっと喜ぶわ」
 船旅における食料は何より保存が重視されるため、船の上で食べるものと言えば堅パンや塩漬け肉や薄いスープなど。これでは飽きるだけでなく栄養価も偏る。その点給食なら栄養バランスも良く、きっと丘に上がった海賊達を喜ばせる食事が出てくることだろう。

「ちょっと人数が多いんだけど、大丈夫かしら?」
「あら、いらっしゃい。全然平気よ」
 いかつい海の男をゾロゾロと引き連れて、赤いランドセルを背負った女児が屋台の暖簾をくぐる。そのアンバランスさにも『七不思議の花子さん』は気にすることなく応じた。
 すぐさま人数分の配膳トレーと食器が用意され、揚げパンにソフト麺、鯨肉の竜田揚げや冷凍みかんといった、昔懐かしい給食メニューが山盛りで出てくる。
『俺、こんなモン食べるの初めてだ』
 海の食事とは比べ物にならないごちそうに、幽霊海賊達は目を丸くしながら席につく。
 慣れない手付きで先割れスプーンを持って、まず一口。UDCアースにおける食育の過程で築き上げられていった美味が、彼らの舌を打った。

『めちゃくちゃ美味え!』
「ふふ、おかわりもあるわよ」
 花子さんは妖艶な笑みを浮かべながら、新しい給食を次々と作って海賊団をもてなす。
 今の彼女は誰かをもてなしたいという衝動が暴走した状態。だが屋台にやって来た猟兵にたくさん給食を食べてもらったことで、その衝動も和らぎつつあるようだ。
「あたしも子どもたちと縁の深い身だけど、給食は初めてだから楽しみね」
 はしゃいでいる海賊達の様子を見守りつつ、育代も用意された給食をそっと口に運ぶ。
 いじめによる不登校や病気など、様々な理由から学校に行けない子どもへの教育支援用に製作されたバーチャルキャラクター。それが育代の出自だ。学校の外で子どもたちと接してきた自分が、こんな形で給食を食べられるとは、猟兵になる前は思いもしなかった。

「お味はどうかしら?」
「ええ。美味しいわ」
 初めて食べるはずなのに、どこか懐かしい。作り手の思い出が詰まった給食を、育代はしっかりと味わう。ふかふかの揚げパンも、ミートソースを絡めたソフト麺も、カチカチに冷えた冷凍みかんも。彼女にとっては初めとなる「学校」の味だ。
「おかわり、もらえるかしら?」
「ええ、ええ。いっぱい食べてね♪」
 奇麗に空っぽになった容器を差し出すと、花子さんが嬉しそうに何度も頷く。近くで食べていた海賊達も「俺もおかわり!」「おれも!」と餓鬼のように腕を振り上げて叫ぶ。
 416人分のハイペースな完食。それでもまだおかわりが残っているのは驚きだが――花子さんに宿る骸魂の気配がもう随分弱まっているのに、育代は気が付いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
当たり前のように屋台に入ると、花子に給食作りは自分がやっておく旨を伝える。

貝類をハリセンでシバきその後に炒め蒸し煮にする。次に特製カレースパイスを加える。貝類を鍋に戻し暫くしてから山の幸を入れて完成。

「給食で大人気のカレーうどん大量に作りましたぁ」

…うっ!ゴホッゴホッ!

恐る恐る鍋蓋をあけると、鋭く鼻をついてくる刺激臭。
言葉にするのもおぞましい異臭に、花子も大きく咳き込んだ。

途中までは香ばしかったのだが、ワケの解らん草とか茸とかを煮たり焼いたり投入したので屋台の中がメチャクチャ臭いのである。

カビパンのカレーうどんテロによる異臭騒ぎで屋台はもてなしどころではなくなった。本人はケロりとしていたが。



「ふふ。みんな美味しそうに食べてるわね」
 屋台に集まった猟兵が給食を食べている様子を、満足げに見守る七不思議の花子さん。骸魂に取り憑かれた彼女の『もてなし衝動』は、だいぶ弱まってきたとはいえ今も暴走中である。その身体から渦巻く妖気が、もっともっともてなさなければと彼女自身を苛む。
「次はなにを食べさせてあげようかしら、ふふふ……」
「はい、お邪魔するわよ」
「……って、誰よあなた?!」
 そんな折、当たり前のように屋台の中に入ってきたのはカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)。悪霊化した雪女の装束に身を包んだ彼女は、驚く花子さんにこれまた当たり前のことのように告げた。

「ここからの給食作りは自分がやっておくから」
「は? そんなのダメよ!」
 もてなしたい欲に衝き動かされる今の花子さんにとって、この屋台で給食を作ることは命にも代えがたい行為。それを赤の他人にかっ攫われるのを黙って認められる訳がない。
「だいたいあなた、給食は作れるの? 簡単じゃないのよ!」
「ならそこで見てなさい。あなたに味見役をさせてあげる」
 対するカビパンもやけに自信満々な様子で譲らない。料理人らしく腕前で語ろうというつもりなのか、着物の袖をまくると厨房に立つ。こう言われては花子さんもやむを得ず、まずはお手並み拝見と様子を見守ることにした。

「それだけ言うなら、一体どれほどの……ちょっと?」
「黙ってなさい」
 そんな花子さんが初手でツッコミかけるほど、カビパンの調理は妙な所が満載だった。
 彼女はまず貝類をハリセンでしばき、その後に炒めて蒸し煮にする。大きな問題は無いが何故しばいたのかわからない。【ハリセンで叩かずにはいられない女】なのだろうか。
 お次に特製カレースパイスを加えた後に貝類を鍋に戻し、暫くしてから山の幸を投入。ぐつぐつと煮える鍋の中で、果たして完成した給食メニューとは――。

「給食で大人気のカレーうどん大量に作りましたぁ」
「……うっ! ゴホッゴホッ!」

 恐る恐る鍋蓋を開けると、鋭く鼻をついてくる刺激臭。これはひどい。食べ物が出していい臭いではない。言葉にするのもおぞましい異臭に、花子さんは大きく咳き込んだ。
「な、なんで……さっきまでは……」
 そう、調理の様子を監視していた花子さんの目から見て、カビパンの調理に深刻な問題は無かった。途中までは鍋からもちゃんと、カレーらしい香ばしい匂いがしていたのだ。
 ――問題があったのは最後の行程。彼女が油断して目をそらした間に、カビパンが投入した「山の幸」にある。そう言えば聞こえはいいが、実際のところソレはワケの解らん草とか茸とかの詰め合わせ。それを適当に煮たり焼いたりして投入した結果がコレである。

「うぅっ……なによこれ、臭すぎ……!」
 鍋からあふれ出した悪臭はたちまち屋台の中から外まで広がっていく。すわ毒ガスかと思うような、間違いなく飲食店で出しちゃいけないやつであり、客足に深刻なダメージが入るのは間違いなかった。
「あれ、どうかしました?」
 ただ一人、元凶であるカビパンだけはメチャクチャ臭い屋台の中でケロリとしていた。自分がどれだけ酷いことをやったかも分かっていなさそうなその顔に、流石の花子さんも堪忍袋の緒が切れた。

「出てけ疫病神ぃーッ!!!!」

 ――こうしてカビパンのカレーうどんテロによる異臭騒ぎで屋台はもてなしどころではなくなってしまい、再び給食が作れるようになるまで暫くの準備を要することとなった。
 マジギレの余り鎮まりかけていた衝動が大暴走した『七不思議の花子さん』によって、カビパンが叩き出されたのは言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
困りました
疑似飲食機能で『味わう』ことは可能でも『消化』は…

(誰かが)食べきる必要があるのですよね、花子様?
(命令拡大解釈暴走AI宜しく条件達成)
かしこまりました

屋台から無理矢理脱出
コミュ力言いくるめブームの仕掛け人早業で
「生中継!飛び入り歓迎学校給食フードファイト」番組企画
集まる妖怪達で大食い集団戦術

次の種目は○○年代の献立
挑戦者の皆様はご準備を
厨房の花子様、この給食の再現で特に拘りの箇所は…
(世界知識・料理の知識で司会進行)

(戌MS過去依頼:鬼女の愛~3章想起し)
銀河帝国の悪用恐れて封印施したあの方もこの用途は想定外だった筈
骸の海で呆れているか…
妖怪達の為、笑って許して頂ければ良いのですが



「困りました」
 屋台で飯を食べまくれという、要約すれば大変シンプルな今回の依頼。トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとって、それは困難なミッションとなる。なにせ彼はウォーマシン、元々有機物の摂取を必要とする種族ではないのだから。
「疑似飲食機能で『味わう』ことは可能でも『消化』は……食べきる必要があるのですよね、花子様?」
「そうだね。給食をお残しされるのはイヤかな。いっぱい食べる子が好きだよ」
 屋台の主人である『七不思議の花子さん』は、彼の質問にそう答える。もてなし衝動が荒ぶっている今の彼女は、客の腹が満ちても幽世が埋まっても延々と給食を作り続ける。これを阻止するためには誰かが給食を食べきって衝動を鎮める必要があるのだが――。

「かしこまりました」
 作戦目標と達成条件を再確認したトリテレイアは、杓子定規な態度でおごそかに頷く。
 彼に搭載された電子頭脳とAIは優秀だが、機械らしく物事を解釈した結果、他人からは突拍子もない解に行き着く事もある。あるいは暴走とも呼ばれる、今回がそれだった。
「すこし席を外します」
「あっ、ちょっと、どこ行くの?!」
 急に席を立った彼を見て、花子さんは慌てて引き止めようとする。しかしウォーマシンの怪力と巨体が本気を出せば、学校の七不思議達を動員しても押さえつけるのは難しい。

「要は此処に、給食を食べていただける方を集めれば良いのです」
 屋台から無理矢理脱出したトリテレイアは【銀河帝国量産型ウォーマシン・非常時越権機能行使】を発動。受諾した「給食を食べきる」という命令を完遂するために、電子頭脳内に凍結封印されていた各種データを解放する。
「そこの方、少しお時間宜しいですか。私は今このような企画を準備中なのですが……」
「え? なになに、てれびの宣伝?」
 普段よりも滑らかで軽妙な語り口調で、彼は近くを通りがかった妖怪達を呼び止める。
 兵器にはあまり必要とされるトークやコミュニケーションの技能。こんなものがロックの中に眠っていたとは自分でも驚きだが、今はそれを活用しない手はなかった。

「題して『生中継! 飛び入り歓迎学校給食フードファイト』です」
「なにそれ面白そう!」
 一昔前のバラエティ番組のようなタイトルを、至極真面目な態度で語るトリテレイア。どうもそれが幽世の妖怪にはウケたらしく、参加したいという希望者はすぐに集まった。
 自分では食べられないなら、そして食べる口が足りないなら他から連れてくればいい。今回はこちらから仕掛けない限り戦闘が起こらないので、妖怪達の安全面も問題はない。
「それでは撮影開始です」
「「おじゃましまーす!」」
「あら? 随分お客さんが増えたわね?」
 一度は屋台から出ていった騎士が大勢の妖怪を連れて戻ってきたのを見て、花子さんは目を丸くする。だがすぐにそれは喜びの表情に変わり、新しいお客を全力でもてなそうと腕によりをかけて給食を作りはじめた。

「さあ、どんどん食べて!」
 屋台のテーブルに山のように積み上げられる、懐かしい学校給食の献立。これを番組の企画だと思い込んでいる妖怪達は、喜び勇んで立ち向かう。先割れスプーンを手に取って各種メニューをバランスよく口に運ぶと、その顔にほっこり笑顔が浮かんだ。
「「おいしーい!」」
 こんな企画に釣られてくるだけあって、どうやら大食いに自信がある者ばかりらしい。休まずに作られ続ける給食の山にもビビることなく、むしゃむしゃもぐもぐ食べまくる。

「次の種目は○○年代の献立。挑戦者の皆様はご準備を」
 当の発起人であるトリテレイアはと言うと、トーク技能と一緒に解放された料理や給食にまつわる知識を活かして、番組の司会進行を努めていた。要所要所で解説を挟んだり、実況を行うことでフードファイトの参加者を応援するのが目的である。
「厨房の花子様、この給食の再現で特に拘りの箇所は……」
「そうだね、パンの揚げ具合かな。まぶす砂糖と黄な粉の分量も気を遣って……」
 時折作り手のほうにも話を振ると、長年給食を作り続けてきた者らしい拘りポイントを花子さんが熱弁する。彼女にとって給食とは、かつて過ごした故郷・地球の思い出の味。積もる気持ちを語れる機会を欲していたのかもしれない。

(銀河帝国の悪用恐れて封印施したあの方も、この用途は想定外だった筈)
 己に隠された裏機能を駆使してフードファイトを盛り上げながら、トリテレイアはふと自身の設計者に思いを馳せる。これほど多様な技能・知識を実装しておきながら、本機にすら解けないロックが施されていたのは、"彼女"からの精一杯の抵抗だったのだろう。
 科学者としての非凡な能力と、それ故の不遇。望まずして創り上げてしまった兵器が、秘した機能をこのように「曲解」して利用しているのを見れば、彼女はどう思うだろう。
「骸の海で呆れているか……妖怪達の為、笑って許して頂ければ良いのですが」
 今だ鮮やかならぬ過去の記憶、その片隅にある"彼女"の面影にそっと言葉を投げかけ。
 機械仕掛けの騎士は追憶を抱きながら、妖怪達によるフードファイトを見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

大食い勝負か…フッ、今が戦争中だと忘れそうだな
とは言え、負ければ世界の危機だ…気は抜けん

食べれば彼女を傷つけずに救う事が出来る
どんどんと食べようか
しかし…給食とは懐かしい
定番のコッペパンはマーガリンとジャムをサンドして、ソフト麺はカレーにも合うがみそ汁もいいな、変わり種では中華ソフト麺のラーメンも旨い
ミルメークを入れた三角パックの牛乳を飲みつつ食べて行こう

まだまだ足らないな
どんどん持ってきてくれ

食べると同時に早業で密かにUCを発動
幾つかは実際に食べつつも大部分をボリードポーチ内の食糧庫に保管
食べるとは言ったが、今食べるとは言ってないからな
花子さんの眼を盗みつつ、料理を消費しよう



「大食い勝負か……フッ、今が戦争中だと忘れそうだな」
 幽世の各地で激闘が繰り広げられている中、その屋台は戦の喧騒から取り残されたように営業を続けている。キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は一見呑気とも思える光景に笑みを浮かべつつも、すぐに気持ちを引き締める。
「とは言え、負ければ世界の危機だ……気は抜けん」
 放置すれば幽世が給食で埋め尽くされる――そんな馬鹿らしい形で世界が滅びるのは、いくら何でもあんまりだろう。遊びではなく、これもれっきとした世界を救う戦いの一部なのだという自覚を持って、彼女は給食屋台の暖簾をくぐった。

「しかし……給食とは懐かしい」
「あら、いらっしゃい。あなたは初めてじゃないのね、給食」
 キリカが屋台に入るなり、屋主の花子さんがすぐさまメニューを持ってくる。テーブルの上に並ぶコッペパンやソフト麺、味噌汁に三角パックの牛乳など、それはUDCアースの出身かつ日本人の父を持つキリカにも覚えがある献立だった。
(食べれば彼女を傷つけずに救う事が出来る。どんどんと食べようか)
 にこにこと笑顔でもてなしてくれる花子さんのためにもと、キリカは早速食事に入る。
 定番のコッペパンはマーガリンとジャムをサンドしてぱくり。口に広がるのは懐かしみのある味。作った者の腕がいいのか、思い出補正を抜きにしても十分に美味い。

「ソフト麺はカレーにも合うがみそ汁もいいな、変わり種では中華ソフト麺のラーメンも旨い」
 並んだメニューの一つ一つに味の感想を述べながら、ハイペースで食べ進めるキリカ。合間合間にミルメールを入れた牛乳を飲んで喉を潤しつつ、余裕の顔で屋台主に告げる。
「まだまだ足らないな。どんどん持ってきてくれ」
「お客さん、よく食べるわね。嬉しいわ!」
 食べっぷりがいいのはもてなす方にとっても喜びなのか、花子さんもニコニコと笑う。
 テーブルには次々と新しい給食が出され、空になった器にはすぐお代わりが足される。どんな健啖家でも流石に音を上げそうな量だが――キリカはまだまだ平然と口を動かす。

「ふふ、作りがいのあるお客さんは大好きよ」
 出したものから給食がどんどん無くなっていくのを見て、凄いわと感心する花子さん。
 だが胃の容量にも限界のあるキリカが、一人でこれだけの量の給食を消費できるのには秘密があった。
(食べるとは言ったが、今食べるとは言ってないからな)
 彼女は食べると同時に密かに【シャンブル・ミニヨン】を発動し、幾つかの給食は実際に食べつつも、大部分は手に持ったボリードポーチから亜空間の食料庫に転送していた。もちろん廃棄するつもりはなく、この場を収めるための一時的な「保管」である。

(彼女には気付かれないようにしないとな)
 花子さんの眼を盗みつつ、内緒の裏技で料理を消費するキリカ。流石にこれがバレれば怒るまではないかもしれないが、テイクアウト用にさらに大量の給食を手渡されそうだ。
 幸いにして調理に忙しい花子さんに、お客の1人1人が食べている様子までじっくりと見ている余裕はなく。暴走する『もてなし衝動』もまた徐々に静まってきた様子だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
無限の給食っていうのも凄い響きだね…。

ラン達やミラ達も一緒に参加…。

穏便に(?)解放できるなら、それに越した事は無いしね…。
給食を食べて解放するよ…。

「カレー!」
「ソフト麺!」
「あげパン!」

レパートリーも多いみたい…?
ソフト麺もミートソースとか汁物とか色々あるのかな…。

「きゅ~♪」

くじら美味しい…?
あげパンとかデザート類もゼリーとかみかんとか色々あるみたいだね…。
飲み物は主に牛乳…?コーヒー牛乳とか飲むヨーグルトもたまにあったり…。
そういえば、花子さん自身は食べないの…?
給食といえば、友達と一緒に喋りながら食べたりするのが楽しいよね…。
「おもてなし」なら、花子さんも一緒に付き合って欲しいな…



「無限の給食っていうのも凄い響きだね……」
 たぶん人生で一度聞けば十分だろう謎ワードを反芻しつつ、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は給食屋台にやって来た。屋敷で共に暮らす6人のメイド人形と、3匹の仔竜も一緒である。
「穏便に解放できるなら、それに越した事は無いしね……」
 放置すれば幽世を埋め尽くしかねないほどの料理を食べきるのを、素直に穏便と言っていいのかは疑問符も付くが、少なくとも血は流れない。もてなし衝動が暴走する花子さんを救うために、彼女は給食を食べることを選んだ。

「カレー!」
「ソフト麺!」
「あげパン!」
 屋台に入るなり目に飛び込んできたのは、視界を埋め尽くすほどの給食の山。メイド達はさっそく自分と主人のぶんを確保し、璃奈は開いていた席に腰掛けつつそれを見回す。
「レパートリーも多いみたい……? ソフト麺もミートソースとか汁物とか色々あるのかな……」
「好みのトッピングがあったら言ってね。すぐに作るから」
 調理場にいる『七不思議の花子さん』は、今も料理を続けながら優しい笑みを見せる。
 ここでは彼女がかつての学校生活で見た、あらゆる給食のメニューが再現されている。味、レパートリー、そして量、どれを取っても一級だ。最後については少し多すぎるが。

「きゅ~♪」
「くじら美味しい……?」
 仔竜のミラ達はどうやらクジラの肉がお気に召したらしい。定番の竜田揚げから角煮にカツ、甘酢あえなど様々な形で調理された昔ながらの献立を、ぱくぱくと夢中で頬張る。
 そんな可愛らしい様子に和みつつ、璃奈も給食を口に運ぶ。サムライエンパイア出身の彼女にとっては物珍しい料理もあるだろうが、特に口に合わないことは無さそうだ。
「あげパンとかデザート類もゼリーとかみかんとか色々あるみたいだね……」
「プリンやヨーグルトもあるわよ。今日は1人1個なんて言わず、好きなだけどうぞ♪」
 デザートに関しても抜かりはなく、全国の小学生がじゃんけん争奪戦を繰り広げた品がピラミッドのように積み上げられている。甘いものが好きな璃奈には嬉しいサービスだ。

「飲み物は主に牛乳……?」
「コーヒー牛乳や飲むヨーグルトもあるわ。好きなのをどうぞ♪」
 ドリンク類だってもちろん飲み放題。ミルメークの粉末やオレンジジュースなど、今は見られなくなったものや珍しいものも含め、さながらドリンクバーのような充実っぷり。
 璃奈とメイドと仔竜達は至れり尽くせリな給食フルコースを存分に堪能していたが――ふと何かが気になった様子で、璃奈が食事の手を止めた。
「そういえば、花子さん自身は食べないの……?」
「私は作るほうが性にあってるから、いいのよ」
 花子さんは相変わらず給食を作り続けながら答える。感情を糧とする妖怪に普通の食事は必要ないという事もあるのだろうが、それよりも「誰かをもてなしたい」という衝動が暴走しているのが大きな理由だろう。それでも璃奈はまっすぐな眼で彼女に問いかける。

「給食といえば、友達と一緒に喋りながら食べたりするのが楽しいよね……」
「う……それは、そうだけど」
 学校の怪談だった花子さんなら、誰よりもよく分かっているだろう。給食が美味しいのは「みんな」と一緒に食べるから。先生やクラスメイトと過ごすかけがえのない時間が、大切な思い出となってお腹に残り続けるから、それは忘れられない味になるのだ。
「『おもてなし』なら、花子さんも一緒に付き合って欲しいな……」
「……わかったわ。ちょっとだけね」
 璃奈のまっすぐな眼差しとお誘いに折れて、ついに花子さんは給食を作るのを止めた。
 1人分の給食セットをトレイに乗せて、璃奈達とは向かいの席に座る。クラスメイトの友達と机をくっつけた、遠い昔のお昼休みを再現するように。

「美味しいね……」
「……ええ」
 無表情ながらもウソはないと分かる璃奈の言葉。メイドも仔竜も皆、美味しそうに給食を食べている。その輪の中に入った花子さんも、相槌を打ちながら口元をほころばせた。
 思い出されるかつての故郷の記憶。賑やかだけど穏やかな時間。彼女の中で暴れていた『もてなし衝動』が完全に鎮まるのも、そう遠いことではないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
あら、眷属にしたいくらい可愛らしい子ね♪

「おねぇさま、目的が違うのー」

解かってるわ、雪花。でも、これはこの子が元に戻っても定期的に屋台に通って常連になりたいくらいね♪

【虜の軍勢】で雪花やエビルウィッチ、ヴィラン隊、邪神のエージェント達、神龍教派のクレリック、閉幕のアリス、ハーベスター、光の断罪者、サーヴァントバニー、渚のパイレーツ、ホムンクルスの盗賊等々魔城の眷属総出で召喚。

人海戦術で給食を食べて「おもてなし」を受けさせて貰うわ♪
そもそも出身世界(ダークセイヴァー)じゃ、給食なんてあり得ないから純粋に結構給食料理が楽しみなのよね♪
UDCアースとか出身の子は馴染みあったりするのかしら?



「あら、眷属にしたいくらい可愛らしい子ね♪」
 屋台を営む『七不思議の花子さん』を見て、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)の口から出たのはそんな一言だった。怪談通りの容姿ながら、骸魂に取り憑かれた影響だろうか、今の花子さんの容姿は可憐さの中に妖艶さを含んでいる。
「おねぇさま、目的が違うのー」
「解かってるわ、雪花」
 一緒についてきた雪女見習いの眷属「雪花」にたしなめられ、フレミアは小さく頷く。
 目的はこの花子さんを骸魂による暴走から救い、幽世を危機から守ること。放っておけば給食のせいで世界が滅びるなんて、冗談みたいな冗談でない話は絶対に防がなければ。

「でも、これはこの子が元に戻っても定期的に屋台に通って常連になりたいくらいね♪」
「あらあら、お上手ね。じゃあそのためにもウチの味を満喫してもらわないと!」
 フレミアの軽口に花子さんも艷やかな笑みで応え、給食の山をテーブルに並べていく。
 揚げパン、ソフト麺、牛乳瓶、プリン。多彩な献立と呆れるほどの量は、もはや威圧感さえ与えるほど。1人で食べ切れるようには見えないが、幸いフレミアには眷属がいた。
「わたしの可愛い僕達……さぁ、いらっしゃい♪」
 過去に配下にしてきた【虜の軍勢】を、居城たる「魔城スカーレット」から召喚する。
 雪花を筆頭に、エビルウィッチ、ヴィラン隊、邪神のエージェント達、神龍教派のクレリック、閉幕のアリス、ハーベスター、光の断罪者、サーヴァントバニー、渚のパイレーツ、ホムンクルスの盗賊などなど――普段は魔城にいる眷属が総出で屋台の席についた。

「ありがたく『おもてなし』を受けさせて貰うわ♪」
 無尽蔵の給食を攻略するために、フレミアが採ったのは人海戦術。戦争中でもなかなか見られないような眷属の総動員により、花子さんの作った給食を片っ端から食べさせる。
 もちろんフレミアも見ているだけではない。むしろ眷属達よりもウキウキした様子で、初めて食べる給食、見慣れない献立に心躍らせていた。
「そもそも出身世界じゃ、給食なんてあり得ないから純粋に結構給食料理が楽しみなのよね♪」
 オブリビオンの領主が支配するダークセイヴァーでは社会制度も公共の福祉も未熟で、学校給食という制度はまだ望むべくもない。一体どんなものなのかと、用意された先割れスプーンでソフト麺を絡め、ミートソースに絡めて口に運ぶ。

「あら、なかなか美味しいわね」
 レストランに出てくる絶品料理という程ではない。かといって家庭料理の味とも違う。
 育ち盛りの児童の食欲と栄養バランスを考え、毎日作ることを前提に置いたメニュー。どこか安心感のある素朴な味わいに、フレミアはほっと口元をほころばせた。
「気に入ってくれたかしら? お代わりもあるわよ」
 彼女の反応に花子さんはにっこりと笑い、新しい給食をどんどんテーブルに並べだす。
 放っておけば雪崩を起こしそうなそれを次々と食べるのは、魔城から喚ばれた眷属達。出身世界も種族も様々なメンバーだが、花子さんが腕によりをかけて作った給食の味は、彼女らにも概ね好評なようだ。

「UDCアースとか出身の子は馴染みあったりするのかしら?」
「あ、私は食べたことあります。このカレーとか昔食べた味そっくりで……」
 フレミアの質問に答えたのは邪神のエージェント。生粋のUDC怪物ではない元人間の中には、子どもの頃を思い出す者もいるようだ。眷属達はそれぞれに食べたメニューの感想を言い合ったりしながら、席をつき合わせて和気あいあいと食事を楽しんでいる。
「ふふ。なんだか本当に学校の給食時間みたいね」
 その様子を見た花子さんは昔の事を思い出したのか、優しげな眼差しで食事を見守る。
 彼女の中からオブリビオンの気配が薄れていくのを感じ、フレミアもまた微笑みながら初めての給食を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
学校給食、ねぇ
俺にはとんと縁の無い概念だったよ
何せ学校なんてものには通えなかったからな
まともな飯だって、猟兵として活動する前は殆ど代替食だ
それがなんだ?平和な学校っては食い物まで面倒見てくれんのかよ
栄養と味をしっかり考えてさァ…恵まれすぎ

かーっ、このカレーとかよく出来てる
ジューヴの舌でも食べやすくて、野菜もしっかり入ってる
うっわ、揚げパンくっそうめえなお前!これが月1で出てたってマジ?
野菜だってちゃんと味付けてていいじゃねえか
ウダウダ言って残すなんて、ありえねえぞ
冷凍ミカンのコスパの良さやばくね?冷凍するだけでもう十分すぎるデザートじゃん
はーっ、これがいつも食えるとか…羨ましいぜ、まったく



「学校給食、ねぇ。俺にはとんと縁の無い概念だったよ」
 ストリート育ちのヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)には、給食を食べた経験が無い。文化の違いという生易しいものではない。そんなモノを食べられるほど、幼い頃の彼は恵まれた境遇にはなかったから。
「何せ学校なんてものには通えなかったからな。まともな飯だって、猟兵として活動する前は殆ど代替食だ」
 彼の生きた世界において、体制から爪弾きにされたストリートの住人に待ち受けていたのは過酷な現実だ。毎日の糧をどう得るかについてさえ頭を悩ませ、時に身を削り、命を賭けなくてはならない。まして子供がキチンとした教育を受けられる機会なんて稀有だ。

「それがなんだ? 平和な学校っては食い物まで面倒見てくれんのかよ」
 目の前に並べられた『給食屋台』のメニューを見て、ヴィクティムの口からはため息が漏れる。主食におかず、汁物や飲み物が一枚のトレイの上に纏められ、デザートのおまけまで付いている。自分がガキだった頃の食事とは何もかもが違いすぎて笑いそうになる。
「栄養と味をしっかり考えてさァ……恵まれすぎ」
「苦労してきたんだね、アンタ。今日はしっかり食べなよ」
 屋台の主である『七不思議の花子さん』は、青年のぼやきに耳を傾けながら給食を差し出す。彼女の故郷で「学校の給食」という制度は、食糧事情に問題のある欠食児童の支援活動に端を発している。食に恵まれない子供時代を送った者には思う所があるのだろう。

「かーっ、このカレーとかよく出来てる。ジューヴの舌でも食べやすくて、野菜もしっかり入ってる」
 先割れスプーンを使って給食を口に運ぶヴィクティム。素朴ながらも味わい深く、子供が食べることを念頭に入れた配慮の行き届いたメニューに、簡単の言葉しか出てこない。
「うっわ、揚げパンくっそうめえなお前! これが月1で出てたってマジ?」
「マジマジ。私もこれ大好きだったなあ……今日はおかわりもいいよ」
 砂糖や黄な粉をまぶした、甘くて柔らかい揚げパン。これは古くて固くなったパンをどうすれば子供たちにも美味しく食べられるか、昔の調理員が知恵を絞った結果だという。ストリートのゴミ箱に落ちている固くてカビたパンとは、もはやカテゴリから別物だ。

「野菜だってちゃんと味付けてていいじゃねえか。ウダウダ言って残すなんて、ありえねえぞ」
 一品一品味わうたびに、ヴィクティムはコレを食っていた当時の子供はどれだけ恵まれていたんだと、ぼやかずにはいられない。ただ物質的な豊かさだけでなく、この国の子供には食の支援を受けられる制度がある。人と社会から「愛されて」育てられていた証だ。
「ヒトってのはどんどん贅沢になる生き物だからねえ」
 青年の食べっぷりを見守りながら、花子さんもかつて自分が生きた学校と給食の変遷を思い返していた。社会が豊かになればなるほど、食べられるだけで満足する子供は減り、食への要求と不満は増えた。人の性と言えばそれまでだが、傲慢な話である。

「冷凍ミカンのコスパの良さやばくね? 冷凍するだけでもう十分すぎるデザートじゃん」
 そんな「飽食」からは遠くかけ離れた半生を生きてきたヴィクティムは、口にする給食の献立ひとつひとつに驚き、感心し、そして味わう。その生まれ故に食える時に食う習慣が付いているのだろうか、意外と大食いな彼の食事のペースはまったく落ちてこない。
「はーっ、これがいつも食えるとか……羨ましいぜ、まったく」
「だったら、あんたもまたここに来ればいいわ。いつでも食わせてあげるから」
 彼が何度目かになるため息を吐くと、花子さんが微笑みながらおかわりを出してきた。
 暴走する『もてなし衝動』の影響もあるだろうが、そもそもの面倒見がいいのだろう。出される給食をヴィクティムがじっくりと味わうたびに、彼女の骸魂は鎮まっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

六道銭・千里
給食か…小学生の時はまぁ嫌いなんの日がほんま嫌いでな…
当番の時は重いし面倒やし…やったけど

歳を取るとあの味も恋しくてな~
純粋に食べるだけでいいんやったら、まぁ楽しませてもらおうか


小おかずにクジラの唐揚げは俺はほんま好きでな、これは絶対
砂糖たっぷりの揚げパンもええなぁ
大おかずは…よっしゃ、おまかせで!
後はデザートはムースやな
牛乳瓶、これも外せへんよなぁ

食われへん量は管狐達も使って対処、数で処理やな
ほんなら、手を合わせて下さい、頂きますっと

おおぅ、懐かしい味に涙が出そうや



「給食か……小学生の時はまぁ嫌いなんの日がほんま嫌いでな……」
 懐かしい匂いのする屋台を訪れた六道銭・千里(あの世への水先案内人・f05038)は、子供時代の給食の思い出をぽつりと語る。それは別にポジティブな記憶ばかりではなく、献立などに不平不満や文句を垂れていた覚えもかなり多かった。
「当番の時は重いし面倒やし……やったけど」
 今にして思えばワガママな子供だったと思う。だが子供なんてものは皆そんなものだ。
 キライな献立も、めんどくさい当番も、全てひっくるめて「思い出」として振り返れるようになって、初めてそれが貴重なものだったと気付くのだ。

「歳を取るとあの味も恋しくてな~。純粋に食べるだけでいいんやったら、まぁ楽しませてもらおうか」
「ふふ。なら存分に味わってね、あんたの思い出の味を」
 給食屋台を営む『七不思議の花子さん』は、新しいお客ににこやかな微笑みを見せる。
 ご注文は? と彼女が尋ねると、千里は屋台に置かれている献立表と実際に並んだ料理を見つつ、空いている席に腰を下ろした。
「小おかずにクジラの唐揚げは俺はほんま好きでな、これは絶対。砂糖たっぷりの揚げパンもええなぁ」
 沢山のメニューの中から自分の好きな物を選べる給食なんて滅多にあるものではない。折角だからと昔の自分がお気に入りだったものをチョイスし、トレイの上に乗せていく。

「大おかずは……よっしゃ、おまかせで!」
「おまかせね。分かったわ、待ってて」
 花子さんがおかずを作りに調理場に向かうと、その間に千里は【管狐】達を召喚する。
 いくら好物でも流石にこの量は、1人で食べ切れるものではない。『もてなし衝動』の暴走した花子さんのペースに合わせるには、こちらも頭数を揃えておく必要があった。
「食われへん量は数で処理やな」
 千里と管狐達が準備万端で待機していると、すぐに花子さんも調理場から戻ってくる。
 持っているのは底の深い大鍋。蓋を開けると温かくていい匂いが屋台中に漂いだした。

「おまたせ。大おかずはうずらの卵入りの中華スープにしてみたよ」
「お、ええやんけ」
 コレが出てくるとやれ自分のところに卵が入ってないだの、あっちの子の卵が多いだのとよく揉め事になっていた気がする。それも今となってはいい思い出やなと、千里は薄く笑みを浮かべながらスープを器によそい、他の献立も揃えていく。
「後はデザートはムースやな。牛乳瓶、これも外せへんよなぁ」
 かくして主食からデザートまで隙のない、好物しかない完璧な学校給食が出来上がる。
 記憶との違いはちょっと量が多いことか。明日には胃もたれを起こしそうなボリュームだが、屋台の主が真心こめて作ったメニューはどれも美味しそうだった。

「ほんなら、手を合わせて下さい、頂きますっと」
 あの頃を思い出しながら千里が食前の挨拶をすると、管狐達がちょこんと真似をする。
 いよいよ実食。これまた見覚えのある先割れスプーンを使ってメニューを口に運ぶと、子供時代の記憶がふっと蘇ってくるような、素朴で優しい味がする。
「おおぅ、懐かしい味に涙が出そうや」
「ふふふ、それは良かった。おかわりもあるから、遠慮なく食べてね」
 千里の反応に花子さんは嬉しそうに目を細めながら、おかわりをどんどん出してくる。揚げパンも、唐揚げも、スープも、デザートに至るまでどれも逸品。管狐達も気に入ったらしく夢中で食べている。何十匹分でも余裕で賄えそうな量があるのは逆に幸いだった。
「本当に嬉しいわ。私の給食で昔を思い出してもらえるなら」
 思い出を糧に生きながらえる妖怪ゆえに、思い出の大切さを知る花子さんは微笑んで。
 陰陽師の青年が懐かしの味にひたる様子を、彼女は飽きもせずにじっと見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
給食…学園でいう学食のようなものでしょうか?
食べたことはないですが、何だかノスタルジックな感じがしますね…

美味しそうですが、花子さんが満足するまでわたしでは食べれそうにありません…
星霊さんの力を借りてみましょうか?

「伝説の星霊さんたち力をかしてください!」
あなたは―くじら座の星霊さん!
(くじらの星霊さんならたくさん食べれそうです。)
いっぱい食べるのに協力してくださいね♪

くじらさんの力があれば、花子さんの『もてなし衝動』を沈静化するのに協力できそうです!
わたしも微力ながら食べて協力します!

本当にいろいろな種類の給食があるんですね!
給食ってすごいです!それを作る花子さん本当にすごいです!!



「給食……学園でいう学食のようなものでしょうか?」
 学校で出される食事と聞いてルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)が思い浮かべたのは、自身の学び舎であるアルダワ魔法学園の学食だった。あの学園は規模も背景も特殊なため同じとはいかないが、UDCアースの学校給食に通じるところは確かにある。
「食べたことはないですが、何だかノスタルジックな感じがしますね……」
 いざ屋台の暖簾をくぐって、そこに並んだ数々の料理を前にすると、初めて見る献立も多いはずなのに不思議と懐かしいように思える。それはここカクリヨファンタズムに漂う空気と同じ、現代から剥がれ落ちた思い出の匂いだった。

「いらっしゃい。お代はいらないから好きなだけ食べていって」
 屋台の中から来客を迎えたのは『七不思議の花子さん』。純粋に誰かをもてなしたいという衝動の暴走により、彼女が作り出した給食は大変な量になっている。それでも大半は猟兵達の尽力にて処理されたものの、今なお圧倒されるほどのボリュームがあった。
(美味しそうですが、花子さんが満足するまでわたしでは食べれそうにありません……星霊さんの力を借りてみましょうか?)
 ルナは【夜空の仲間たちの力添え(星霊召喚)】を検討するが、果たしてこのシチュエーションに有効な星霊は出てくるのだろうか? これまでとはジャンルの違う「戦い」を乗り切るためには、ともかく試してみる他にない。

「伝説の星霊さんたち力をかしてください!」
 星のまたたく夜空に向かってルナが叫ぶと、無数の煌めきの中のひとつが流れ星のように落ちてきて、彼女の前で実体化する。それは見上げるほどの巨体を誇り、ヒレを使って宙を泳ぐ、いにしえの神話に語られし海魔を象りしもの。
「あなたは――くじら座の星霊さん!」
 うまく狙い通りの星霊さんを召喚できたようだと、少女は笑顔を浮かべる。昔はもっとランダム性が高い魔法だったのだが、勉強に戦いにと多くの経験を積む中で、彼女の魔法の腕もしっかり上達しているようだ。

(くじらの星霊さんならたくさん食べれそうです)
 そう考えながらルナが「いっぱい食べるのに協力してくださいね♪」と呼びかけると、くじら座の星霊はのそりと重々しい動きで首を縦に振る。まさか給食を食べるために召喚されるとは向こうも予想外だったかもしれないが、特に不満はないようだ。
「くじらさんの力があれば、花子さんの『もてなし衝動』を沈静化するのに協力できそうです!」
 勝算を得た魔女っ子は、意気揚々と給食の山に挑む。主食となるパンやご飯をはじめ、スープにサラダにソフト麺、プリンにゼリーに冷凍みかんなど、献立のバリエーションもボリュームも凄まじく豊富で、その全てが彼女の目には美味しそうに映った。

「クジラのお客さんは初めてね……じゃあコレはやめときましょ」
 吸い込むように給食を食べまくるくじらの星霊を見て、花子さんは用意していた鯨肉の竜田揚げをそっと隅に置いた。共食いになりそうなモノをお客に出すつもりは流石に無いようだが――そうした配慮ができるという事は、暴走が治まってきている証でもある。
「わたしも微力ながら食べて協力します!」
「ええ。どうぞめしあがれ」
 くじらほどの量は食べられないものの、ルナも少しでも給食を減らそうと食事をする。
 アルダワの学食で見たことがあるようなメニューもあれば、まったく見慣れないものもある。気になったものから順に食べてみると、素朴な美味しさが口の中に広がった。

「おいしいです! 本当にいろいろな種類の給食があるんですね!」
「お口にあったかしら。こっちのカレーはどう? ソフト麺のおかわりもあるわよ」
 子供でも食べやすいよう辛さを抑えられたカレーや、色んな味付けをされたソフト麺。花子さんが次々と作りあげる給食には、どれも栄養と食べやすさの配慮がなされていた。
 ただ美味しいだけではなく、食べさせる児童のことを心から考えて作られたメニュー。それが給食なのだと分かったとき、ルナは目をキラキラと輝かせて言った。
「給食ってすごいです! それを作る花子さん本当にすごいです!!」
「ふふ……ありがと。なんだか、照れるわね……」
 魔女っ子からのまっすぐな言葉を受けて、花子さんはほんのり赤く染まった頬をかく。
 その純粋な言葉と笑顔こそ、『もてなし衝動』に狂わされていた彼女が求めていたものだったのだろう。憑き物が落ちたような笑顔で、給食屋台の主はぽつりと呟く。

「……なんだか満足しちゃった。今夜はそろそろ店じまいにしようかしら」

 花子さんの体から漂っていたオブリビオンの気配が消える。骸魂の憑依が解けたのだ。
 それは、給食による幽世滅亡の危機が去ったことを。そして皆から愛される給食屋台の主が戻ってきたことを、猟兵達の勝利を意味するものだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月14日


挿絵イラスト