大祓百鬼夜行⑩〜満福拉麺道
●大祓百鬼夜行
「皆様、食べる事やラーメンはお好きでしょうか? 皆様に行って頂きたいラーメン屋台があり……ああ、中国のラーメンではなく、日本のラーメンです」
どちらも大変美味ですね。中国出身の汪・皓湛(花游・f28072)は黒い神剣を腕に抱いて笑う。その近くでは一羽の幽世蝶が元気に飛んでいた。
骸魂の元凶でありUDCアースの大いなる邪神が一柱、全ての知的生命体に忘れられた究極妖怪『大祓骸魂』が幽世で蘇り、UDCアースを破壊しようとしている。
このままでは狭間に浮かぶ幽世も滅んでしまうが、そうはさせまいと猟兵たちは日夜二つの世界にて戦い――その中に、『夜にのみ現れる謎の屋台』という幽世ならではの摩訶不思議戦場がある。
店主は、強大である為に骸魂と合体後も営業を続ける妖怪だ。
しかしオブリビオン化によって『もてなし衝動』が大暴走し、作っては客に食べさせ作っては食べさせ、やがては幽世が無限の食べ物で埋まってしまう――のだが、提供される料理を堪能し続ければ戦わずして勝てるという。
つまり。
“そういうこと”だ。
「味は醤油、味噌、塩、豚骨という定番に加え、赤いスープの旨辛ラーメンもございます。チャーシューや半熟茹で玉子、麺麻といったトッピングの類は、頼めば好きなだけ増やして頂けるようですよ」
ですから、存分にラーメンを楽しんで来て下さいませ。
皆様ならば必ずやという信頼が籠められた言葉と共に、グリモアが咲く。
そして聞こえてきた元気な声。ふわりふわりと良い匂いも漂ってきて――。
●満福拉麺道
「いらっしゃーい! ねえねえっ、何ラーメンにする~? あたしのオススメはね……ぜぇーーんぶっ! 醤油はさっぱりとした鶏ガラスープでね、トッピングはチャーシューと半熟ゆで玉子と麺麻にネギだよ! 味噌は甘くてほんのり辛みもあるけど、辛いのダメってひとでも平気なやつなんだ~。自慢のチャーシューにシャキッと炒めたキャベツと人参と玉葱ともやしと……そんな感じのお野菜をもりっと乗せてあるの! 塩は鶏とか昆布とか鰹節とか使った透き通った金色で超キレイ! あ、途中でバター加えたらスープがパワーアップするから楽しいよ♪ 豚骨は濃厚まろやか! スープは勿論だけど、太めに切ったぷりっぷり木耳もチャームポイントかな~。旨辛ラーメンはチャーシューじゃなくて、カリッと炒めた豚肉とたくさんのネギ乗せてるの。ゆで玉子欲しかったら言ってね! いくつ乗っける? 三つ? 六つ? 十二?」
キャッキャと笑って、ゆらゆらピョンピョン。
そのまま注文を待っていたドドメキョンシーが、舌を覗かせて首を傾げる。
「あ、もしかしてどれも美味しそうで迷ってる? じゃ、アドバイスしたげる! 全部頼んで全部食べればいいし追加注文もするといいよ! 大丈夫大丈夫、材料はいっぱいあるからね!! いいのいいの遠慮しないで。いーーーっぱい食べて、いーーーっぱい幸せになってほしいだけだから!!」
東間
ラーメン食べたいと思ったのでラーメン屋台をご案内。
東間(あずま)です。
●受付期間:公開日の8:31~翌日23:30まで
導入場面はなし。
完結を優先とする為全採用のお約束が出来ないのですが、書ける限り頑張りたく。
●プレイングボーナス:屋台グルメを食べまくる
美味しいラーメンを食べていれば戦わずともダメージを与えられます。やったぜ!
判定は緩めなので、お好きなラーメンを楽しんで下さい。
食べていたらダメージが入るので戦闘については無しで大丈夫です。
ちなみに胡椒や七味はカウンターにあります。
ラーメン鉢は一般的な大きさ。頼めば一回り大きいもので提供してくれます。
●複数人参加:二人まで
同行者がいる方はプレイングに【グループ名】の明記と【プレイング送信日の統一】をお願い致します。送信タイミングは別々で大丈夫です(【】は不要)
日付を跨ぎそうな場合は翌8:31以降だと失効日が延びますので、出来ればそのタイミングでお願い致します。
以上です。
皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 ボス戦
『ドドメキョンシー』
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POW : いただきます!
自身の【身体や服の袖の口】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[身体や服の袖の口]から何度でも発動できる。
SPD : 盗んじゃうもんね!
【振り回した袖】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【服の袖】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ : ゆらゆらぴょんぴょん
【ゆらゆら揺れつつ楽しげに跳ね回る様子】を披露した指定の全対象に【「この子に自分の持ち物を渡したい」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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包・依然
拉麺をいっぱい食べればいいと聞いたのですが!?本当に本当なんですね!
はい、拉麺いっぱい食べます〜。
中国のラーメンではなく日本のラーメンと言うことでますます興味深いです。
私は超級料理人ですからね。やっぱり新しい料理に出会えるのは嬉しいんですよね〜。
それでは私は旨辛ラーメンでお願いします!
(ラーメンが出されれば両手を合わせていただきますっ)
(UC【医食同源】発動←いっぱい食べる為)
はぁぁ〜旨辛〜です。
まんまじゃないかってそりゃそうですよ私は料理人であって料理評論家じゃないんですから。
美味しければいいんですよ。
まだまだお腹に余裕がある感じ…。
豚骨お願いします!
「いっぱい食べて、いっぱい幸せに……」
包・依然(瑞獣の超級料理人・f32887)は暖簾をくぐって即浴びた言葉をなぞる。
頭の中では店主ドドメキョンシーおすすめのラーメンがメリーゴーランドのように回っていた。醤油、味噌、塩、豚骨、旨辛――メニューはこの五つらしい。
「一つ、確認したいんですが」
「なあにっ?!」
真剣な面持ちで向けた赤い瞳にドドメキョンシーが色違いの目をキラキラさせる。依然は注文の時を今か今かと待つドドメキョンシーを見つめ――カッ! と目を見開いた。
「拉麺をいっぱい食べればいいと聞いたのですが!? 本当に本当なんですね!」
「本当に本当! めいっぱい食べいいよ寧ろ食べて!!?」
今度は依然の目が輝いた。
まさか幽世での戦争真っ只中で、中国ではなく日本のラーメンが味わえるなんて!
超級料理人である依然にとって新しい料理との出会いは“喜び”であり“幸せ”。漂うスープの香りをくんくんと嗅いで、材料には何が使われているのか考えるこの瞬間だって嬉しくてたまらない。
「ねえねえ何にする!?」
「旨辛ラーメンでお願いします!」
「オッケー!」
カウンターの向こうでドドメキョンシーが華麗に動き回る。湯切りの音がシャッと軽快に響き、テキパキと作られていくのが動きでわかる。同時に存在感を増していく美味しそうかつ刺激的な香りに依然の胸は高鳴った。そして。
「はいどうぞ!」
「いただきますっ」
両手を合わせて割り箸をパキッ。赤みを帯びたスープの表面に浮かぶ炒めた豚肉とスープの油の園。二つが溶け合ったその下から持ち上げた麺にスープが絡み、ネギの香りも加わって――。
「!」
依然は食べた。黙々と食べた。ずるるっと啜った。スープも飲んだ。
暫くして、とんっ、とカウンターに置かれたラーメン鉢は見事に空っぽで。
「はぁぁ~旨辛~です」
「あはは、まんまだね!」
「そりゃそうですよ、私は料理人であって料理評論家じゃないんですから。美味しければいいんですよ」
「あ、そっか、そうだよね!」
それにお客さんだもんねと無邪気に笑うドドメキョンシーに、依然はその通り、と大仰に頷いてからくすりと笑った。――と、ドドメキョンシーがずずいっと身を乗り出してくる。
「他のも食べない? 食べたいよね? まだ食べられるよね? ねっ!?」
食べさせたい。幸せにしたい。もてなしたい。ドドメキョンシーの瞳の奥でぐるんぐるんと燃え上がる衝動に依然は目をぱちりとさせ、お腹をさする。
あの一杯は心も体も元気に、幸せになれる一杯だった。それは『医食同源』。依然が掲げるモットーであり――こそっと発動させていたユーベルコードと同じ。故に、まだまだお腹に余裕がある感じでして!
「豚骨お願いします!」
「まっかせて~!」
大成功
🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
あぁ、良いわねラーメン。UDCのとある依頼で食べてすっかりハマったわたしである
ふむ、全部とは大見得切るわね…とりあえず最初の1杯はおまかせで
普通に食べさせてもらうわ
ふむ、スープは…成程、そして麺の選択…トッピングの方も良いもの使ってるわね…
そして2杯目、流石にお腹が空いてたとしてもこれ以上は満腹で食べれない
…それは惜しい…
ということでプチヘス達を召喚
色んな味を少しずつ頂いて残りはプチヘス達にも食べさせる
わたしは色んな味を楽しめる、プチヘス達も美味しいラーメンを食べれる、いっぱい食べて複数人?を幸せに出来て店主も幸せ…WINWINね!
「話は聞かせてもらったわ」
ふぁさ、と暖簾をくぐって現れたヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)に店主の「いらっしゃい! 全部食べる!?」という食い気味の挨拶が飛ぶが、ヘスティアは動じることなく涼し気な微笑を浮かべ、すとんと席についた。
「あなた、おすすめは全部って言ってたわね」
「言ったよー。醤油、味噌、塩、豚骨、旨辛の五つぜぇ~~んぶ、どこに出しても恥ずかしくない自慢のラーメンだから♪」
「そう……」
宇宙海賊船長を務めるヘスティアがラーメンを初めて食したのは、UDCアースのとある依頼でのこと。宇宙世界に存在する食とは全く違う存在は、ヘスティアの心と胃袋をガッチリと掴んだ。あの瞬間、ヘスティアの心と胃袋はラーメンと熱烈にゴールインしたのだ。
(「ふむ、全部とは大見得切るわね……それだけ期待してもいいってことかしら」)
ならば。
「最初の一杯はおまかせするわ」
「お任せ!? じゃあ醤油にするね、そんでトッピングはチャーシューと麺麻で山を作って周りに玉子を」
「まずは普通に」
「アッハイ」
数分後。出された醤油ラーメンは、透き通った飴色スープに卵色の麺をたたえ、チャーシューと麺麻とネギが乗って――とても美味しそうだ。ヘスティアは箸を割る前にレンゲを入れた。スープがくるりと小さな渦を作って収まる。
(「ふむ、スープは……成程、そして麺の選択……」)
ずるっ。ずるるっ。
もぐもぐ。
(「スープの味もだけど、噛めば噛むほど麺の味も感じるわ……」)
ずるるっ、ちゅるるるるーーーーっ。
もっぐもっぐもっぐもっぐ。
(「トッピングの方も良いもの使ってるわね……茹で玉子の黄身と食べて味変して……ふむ、ふむ……悪くないわね……」)
ヘスティアは最初の一杯を食べ終えると、水を飲んで口元をお手拭きで拭った。幽世のラーメンも良いわねなんてクールに言いつつ、その心と胃袋は満足している。
そう。満足してしまっているのだ。
(「二杯目……いえ、これ以上は食べられない……でもそれは惜しい……」)
だってラーメンだ。味噌と塩と豚骨と旨辛も自分を待っている。ドドメキョンシーも提供する気満々でチャッチャッと湯切りの仕草をしていた。
ならば打つ手は一つ!
「連れにも食べさせたいんだけど、良いかしら」
「いいよ勿論だよジャンジャンどうぞ!」
それじゃあと呼んだ二頭身の“連れ”はドドメキョンシーもびっくりの大所帯。空いていた椅子は全て埋まり、座れなかった連れ――もといプチヘス部隊隊員が行儀よく屋台の外に並ぶのを見て、ドドメキョンシーの瞳は喜びと興奮と衝動でそりゃあもう輝いていた。
「うわあああ、作り放題もてなし放題だぁ! ねえねえ全部にする!?」
「次は味噌ラーメンを」
「はーい!」
二杯目以降は少しずつ食べ、残りはプチヘスたちに。そうすれば自分は全種を楽しめてプチヘス部隊も美味しいラーメンを食べられる。――ヘスティアは組んだ両手の下で笑った。
(「いっぱい食べて複数人?を幸せに出来て店主も幸せ……これぞWINWINね!」)
大成功
🔵🔵🔵
クレア・オルティス
好きなラーメン頼んでいいの…?
えっとじゃぁね…スープはあっさり醤油味
油は少なめ、麺は縮れ麺でやや固茹で
トッピングは半熟煮玉子!あと焼海苔を数枚と
刻み玉ねぎをたっぷり入れてほしいな
それでは…両手を合わせていただきまぁす
まず最初はスープをじっくり味わうの
胡椒はかけなくてもいいかな
きっとこのままが一番美味しい…
あ、おかわりするね
今まで食べたラーメンの中で一番美味しいよ
できればずっとこの先も作り続けてほしいけど…あなたは妖怪さんから離れ消えなければならない存在…
いっぱい食べて幸せになってもらいたいと思うあなたの気持ちはとても美しいと思う
せめてその想いには応えるよ
だから
満面の笑みで
ごちそうさま
可愛らしい長蛇の列に「わぁ」と驚きながらその後ろに並んで待った時間は、そう長くなかった気がする。クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)は目の前までやってきた暖簾にちょっぴりドキドキしながら、お邪魔します、とくぐった。
「いらっしゃーい! 好きなラーメンどうぞ! 何なら全部どうぞ!!」
「わ……!」
暖簾の向こうは灯りと熱烈な歓迎で眩しくて、深い色をたたえた瞳はパチパチと瞬きを繰り返す。空いてる席について改めてメニューを確認すれば、どれも美味しいよとカウンター向こうでドドメキョンシーが笑っていた。
「好きなラーメン頼んでいいの……?」
「うん!」
「えっとじゃぁね……スープはあっさり醤油味。油は少なめ、麺は縮れ麺でやや固茹で。トッピングは半熟煮玉子!」
それからね、とトッピング注文が続くのに合わせてドドメキョンシーの目がぴかぴか輝いていく。真っ白な頬を桃色に染めてテキパキぴょんぴょん。
曲芸を見てるみたい、とクレアが口をほわーと開けて見入っていると、あっという間に出来上がったものが「どうぞ!」と置かれる。それでは、と両手を合わせたら大切な一言を。
「いただきまぁす」
まず最初は透き通った飴色スープにレンゲを入れて一口。口いっぱいに広がった香りと味わいを楽しんでから飲み込めば、自然と表情がほわりと綻んだ。
お願いした数枚の焼海苔とたっぷりの刻み玉葱もスープと一緒に味わうと、磯の香りにほの甘い味とシャキシャキ感が加わって――。
「わぁ……」
「美味しい? 美味しい?」
「う、うん、とっても……!」
視界に入った胡椒は気になるけれど、きっとこのままが一番美味しいという直感に従って手は伸ばさないまま。
クレアはスープをじっくり味わってから、時々ふーふーと息を吹きかけつつ麺もトッピングも、全部を全部、一口ずつしっかり味わっていった。
そうしておかわりも味わい終えたクレアの心と頬は、ぽかぽかと温かい。はふ、と満足げな息をこぼして、ちょっと首を傾げるようにして笑顔を灯す。
「今まで食べたラーメンの中で一番美味しいよ」
「うわあっ、嬉しい!!」
(「できればずっとこの先も作り続けてほしいけど……」)
彼女に憑いている骸魂はその体から離れ、消えなければならない。けれど、“いっぱい食べて幸せになってもらいたい”という気持ちは、とても美しいものだ。
(「せめてその想いには応えるよ」)
だから両手を合わせて、満面の笑みを浮かべて、
「ごちそうさま」
とってもとっても、美味しかったよ
大成功
🔵🔵🔵
ジェイ・バグショット
白ウサギ(f26711)
ラーメン食ってるだけで良いとかどんな仕事だよ
まぁラクでいいわな
つーか、お前が戦ってる姿イマイチ想像できねぇ
屋台ラーメンはUDCアースでもよく見るが
さすがにオブリビオンお手製ってのは経験ねぇな
ちゃんと美味いもん出てくんの?
白ウサギの隣に着席
白ウサギの注文を横目に思案
俺重たいのはちょっと…あっさり系がイイな
醤油のさっぱりしたラーメンにする
チャーシューと味玉追加トッピングで
へぇ、味噌味頼むとは意外
野菜抜きなのは流石っつーか
お前野菜嫌いだもんな
透き通るスープは見た目からして美味いこと確定
…おー、美味そうじゃん
珍しく箸は止まらない
随分と気前のいい賑やかな敵を前に気も緩む
ご馳走さん
真白・時政
ジェイくん(f01070)
ラーメンだってェ~!
戦わなくて倒せるナラ、か弱いウサギさんにピッタリだと思わなァ~い?
楽でイイじゃん。ラッキーって喜ばなきゃ!
ぴょんとひと飛び席をカクホシて
ジェイくんもオイデオイデって椅子をぽんぽん
ジェイくんは何味がスキ~?
ウサギさんは何でもスキなンだケド
今日はシッカリ味噌味の気分かなァ~
お野菜抜きでチャーシューと味玉追加ネ!
んフフ、そォ?
たまにコーユー味の濃いモノ食べたくなるンだよねェ
モヤシはたまァ〜にだったら食べるヨ
焦がし味噌の香りでイタダキマスからお箸がとまんなァ〜い!
エッ味玉オマケシてくれるの〜?ウレシー!
は〜お腹イッパイ!ニコニコ笑顔でゴチソウサマデシタ!
「あっ、見えた見えた。ほらほら、ラーメンだってェ~! 戦わなくて倒せるナラ、か弱いウサギさんにピッタリだと思わなァ~い?」
ね♥
ニコニコニーッコリ笑う真白・時政(マーチ・ヘア・f26711)に、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)は「あー、」と返事をしつつ、暖簾の『ラーメン』を見てマジかよと呟いた。
「ラーメン食ってるだけで良いとかどんな仕事だよ」
「楽でイイじゃん。ラッキーって喜ばなきゃ!」
「まぁラクでいいわな」
そう返しつつもジェイの目は「お邪魔しまァ~す! 二人なンだけどい~い?」と早速暖簾をぴろっとやってぴょんと飛び込んだ時政をじっと見ている。
か弱いウサギさんだなんて言っていた時政の戦う姿は、確かにイマイチ想像出来ない。それを思うとこういう戦場は確かに似合いの――、
(「戦場かこれ? ……いや、戦場だよな、一応」)
暖簾の先、満面の笑みで待ち構えていた一見妖怪に見える少女からは確かにオブリビオンの気配が漂っている。ジェイは脳内で二度目の「マジかよ」をこぼしながら、席を確保していた時政がぽんぽん叩く椅子の上へ腰を下ろした。
(「……ちゃんと美味いもん出てくんの?」)
屋台ラーメンはUDCアースでは一般的だが、オブリビオン手製なんてものは流石に未経験だ。美味いらしいが食べるまでは安心出来ないジェイをよそに、時政はカウンターに頬杖をついてルンルンと鼻歌を口ずさみそうな勢い。
「ジェイくんは何味がスキ~? ウサギさんは何でもスキなンだケド、今日はシッカリ味噌味の気分かなァ~。あ、お野菜抜きでチャーシューと味玉追加ネ!」
「オッケー!」
「俺重たいのはちょっと……あっさり系がイイな。醤油のさっぱりしたラーメンにする」
「醤油ね! ねえねえっ、トッピングは? トッピングはどうする~!?」
「俺はチャーシューと味玉」
味噌と醤油。フフフと興奮で頬を膨らませたドドメキョンシーが調理に取りかかると、カウンター向こうでシュバシュバと動き回る様がカンフー映画のよう。キョンシーだからかなァ~とニコニコしていた時政は、隣からの視線に気付いて「なァに?」と首を傾げた。
「味噌味頼むとは意外」
「んフフ、そォ? たまにコーユー味の濃いモノ食べたくなるンだよねェ」
ウサギさんだって採れたて新鮮素材以外のモノが欲しくなっちゃうノ。
内緒話を打ち明けるように囁いて、時政は両足をぷらぷら遊ばせる。楽しみだねェ~と言いながら暇潰しにお品書きをフゥ~ン、と眺めたり、お冷が入ったグラスに指先でウサギを描いてみたりとイイコにしつつ自由気まま。
ジェイも水を一口飲み――まぁ、と小さく笑った。
「野菜抜きなのは流石っつーか、お前野菜嫌いだもんな」
「モヤシはたまァ~にだったら食べるヨ」
ニィーッコリ。白ウサギの笑顔が深まった数分後、二人の前へ注文通りのラーメンがドドンと降臨する。味噌と醤油、それぞれのラーメンから漂う香りにトッピングで追加したチャーシューの香りも加わって――それが、ふわわんっと鼻を通っていった時の多幸感と言ったら。
「……おー、美味そうじゃん」
ジェイの視線を独占している醤油ラーメンのスープはつやっつやに透き通っている。この見た目からして“美味い”は確定で、試しに一口スープを飲めば鶏ガラと醤油ダレとチャーシューの脂と――と、とにかく“美味い”が大合唱。
ずるる、ずるると珍しく箸が止まらないその隣では、焦がし味噌の香りで食べる前から幸せ状態だった時政も、口の中と心が美味しい幸せで満員御礼ハッピーメリーゴーランド。
イタダキマス、と両手を合わせて食べ始めてから何分経っても、箸が止まらない。止められない。チャーシューは肉と脂身のバランスが丁度良く、食べれば肉の味わいがつるりと口の中へと“オジャマシマス”。
ジェイは黙々と食べてスープを飲んで食べて啜ってずる、ずるるっ。
時政は「んフフ」と笑って、ちょっとばかり体を左右に揺らしてゴキゲンに。
二人のラーメン鉢はあっという間に攻略されて、時政の「オイシ~!」にドドメキョンシーが万歳ポーズで飛び跳ねる。
「わーい! すっごい嬉しい食べっぷりだから、はい!」
「エッ味玉オマケシてくれるの~? ウレシー!」
「えっへへ~、あたしも嬉しー!」
チャーシューもつけちゃう? つけちゃう?
いそいそソワソワする姿は実に気前がよく賑やかだ。お冷を飲むジェイの表情は、満腹感も加わっての穏やかな空気が密かに浮かんでいて、オマケをイタダキマスした時政はジェイ以上にニッコニコだった。
「は~お腹イッパイ!」
「俺も」
最後のシメ? それは勿論笑顔での、
「ご馳走さん」
「ゴチソウサマデシタ!」
大成功
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シルヴィア・ジェノス
ラーメン!いいわね、ラーメン!!あっさりしたものもこってりしたものもおれもこれもだーいすき!ふふん【大食い】ですからね、沢山食べるわよ!勿論綺麗に、ね
全部一回り大きな鉢でお願いするわね
まずは王道醤油ラーメン!あっさりしているのにこの旨味、たまらないわ!お次はとんこつラーメンでがつんといって、その後また塩ラーメンでさっぱりと、濃厚味噌ラーメンも勿論食べる!それに旨辛ラーメンも頂きます!ゆで玉子も三つ位どどんと!
どれも美味しいー!あ、じゃあ二周目いくわね!今度は七味とかで味を変えて食べてみようっと!
どれも綺麗に、でも勢いよくずずーっとすするわ
トッピングも追加できるなら追加しちゃう!
あー幸せー♪
「美味しいラーメンが食べられるって聞いたわ!」
ばばーん! 暖簾を元気にくぐったシルヴィア・ジェノス(月の雫・f00384)の瞳には、お月様もびっくりのぴかぴかが瞬いていた。
食べる気満々お客様の到来でドドメキョンシーの目にも同じぴかぴかが瞬いて、カウンターを挟んで二人は暫し見つめ合い――ガシッ! 熱く固い握手を交わした!
「美味しいラーメン、いっぱい、いーーっぱい食べさせてあげるからね!」
「嬉しいわ! ラーメン……いいわね、ラーメン!! あっさりしたものもこってりしたものもあれもこれもだーいすき!」
「あたしもラーメン大好き! ハァ~~腕が鳴っちゃうな~~♪ ねえねえ、トッピングどうする? どうしちゃう? どれくらいしちゃう?? フフフフ……!」
「ふふ、そうね。――でもその前に」
全部一回り大きな鉢でちょうだい
キランッ。目元でくるりと一回転して煌めいたぴかぴかに、ドドメキョンシーがハッとしてから同じようにぴかぴかをくるり、キランッ。
「味は!?」
「王道醤油ラーメンで!」
「オッケ~!!」
食べたがりと食べさせたがりの二人が出逢った奇跡のせいか、ドドメキョンシーの手捌きは一瞬の光すらも焼き付けるようで――つまり嬉しさともてなし衝動が合わさったことで、凄まじい速度でシルヴィアの前に醤油ラーメンが差し出されたのである。
美しい所作での『頂きます』が紡がれれば、いっときの静寂が訪れた。
普通よりも大きい鉢に片手を添え、もう一方の手にはレンゲを持ち、すっ……と艶々のスープを掬い上げていく美しきエルフの娘。湯気を昇らすスープが音もなく吸い込まれ――、
「美味しい! あっさりしているのにこの旨味、たまらないわ!」
パアァッと笑顔が輝いた。麺を啜れば頬が染まり、チャーシューを食べれば喜びで体を震わせ、半熟茹で卵の味わいにハッと目を震わせ口元を覆って――全力でラーメンを味わったシルヴィアの勢いと食欲は止まらない。
醤油の次は豚骨ラーメンでがつんと濃厚まろやかパンチを浴び、塩ラーメンのさっぱりとした味わいを食べ尽くし、濃厚味噌ラーメンも勿論外さない。そして最後は旨辛ラーメンだ。
赤みを帯びた輝くスープに浮かぶ茹で卵三連星の眩しいこと! 半熟の黄身を崩して麺に絡めて食べれば、辛味とまろやかな味が合わさってこれも箸が止まらなくって、
「どれも美味しいー!」
旨辛ラーメンの鉢も綺麗に空っぽだ。受け取ったドドメキョンシーが大喜びで空の鉢を掲げてくるくる回る。
「ホレボレな食べっぷり! んもー茹で卵三つじゃなくて八つにすれば良かった!」
「あ、じゃあ二周目いくわね! 同じラーメンを同じ流れでちょうだい♪」
「ええっ本当!?」
「本当よ! さあ、もう一回味あわせてちょうだい……!」
“同じものをもう一週なんて飽きないか”? ご安心を。シルヴィアは正真正銘の健康優良食いしん坊。並ぶ七味たちを見て、味変を楽しもうと目を輝かせている――!
「あー幸せー♪」
「あたしも幸せー♪」
ラーメンッ、ラーメンッ♪
そんな二人の楽しそうな歌声が、暫し響いていたそうな🍥
大成功
🔵🔵🔵
陽向・理玖
【月風】
屋台のラーメンって格別な気がするよな
俺も屋台のは初めてだけど
俺は醤油
チャーシューマシマシに玉子も追加で!
瑠碧はラーメン初めて?
何にするんだ?
味噌?
んー…味噌汁とは少し違うかも…
首傾げ
玉子は必須だよな
味噌だとコーンとかも美味いぜ
おっ来た来た!
伸びる前に食おうぜ
手合わせ麺ずずっ
旨っ
チャーシューてんこ盛りだし幸せ
瑠碧どう?
食べる様子眺め
熱いけど美味いよな
よかった
ほい、水
満足げに目細め水を差出し
食い切れなかったら言えよ?
醤油も一口食う?
鉢押出し
やったありがとうな
味噌も旨いなー
コクがあって
スープまで飲んで
ご馳走様
あ、塩も頼んでもいい?
今度は鶏チャーシューにもやし多めがいいな
そりゃこれ位余裕だろ?
泉宮・瑠碧
【月風】
らーめん…?
出店は既知でも、屋台にも不思議
メニューも分からず
理玖の注文を呪文みたいに聞いて
らーめんは、初です
…では味噌、というものを
いつか、お味噌汁を作りたくて…味の調査です
あ、私も玉子
では、コーンも
自分の分が来れば
頑張ります、と手を合わせ…
食べ方が分からず理玖を眺めて
…お蕎麦と同じみたい?
見真似で啜るのは慣れずに、一口
…あつ…あ、美味しい
スープも美味…あちゅい
訊かれたら一生懸命頷いて、手で扇ぎ
醤油…?
御礼と共に一口
わ、少しさっぱり…味が違う
理玖も、と私の鉢をずいっと…
…麺も少し、お願いします
スープも飲めば、ご馳走様
はふ、満足…
って
理玖、まだ食べられるの、ですか?
今日、一番吃驚しました
「いらっしゃ~い! そこ空いてるからどうぞ! あともりもりおかわりどうぞ!」
(「注文これからなのに、もうおかわりの話すんのか
……?」)
これが『もてなし衝動』ってやつかと陽向・理玖(夏疾風・f22773)は納得の顔。隣りに座った泉宮・瑠碧(月白・f04280)は、不思議そうに周りを見ていた。出店の方は既知なのだけれど――これが、屋台の。
「らーめん……?」
「俺も屋台のは初めてだけど」
店で出してる所もあるけれど、なぜだか屋台のラーメンは格別な気がすると理玖は笑う。暖簾一枚で外と隔てられ、店主や他の客との距離が近いからか。
「俺は醤油。チャーシューマシマシに玉子も追加で!」
「はーい! あなたは何にする!?」
「ええと……」
まし、まし? メニューもわからない瑠碧には理玖の注文はまるで呪文のよう。カウンターに置かれているお品書きをじっと見つめ考える。
「瑠碧はラーメン初めて? 何にするんだ?」
「……では味噌、というものを。いつか、お味噌汁を作りたくて……味の調査です」
「味噌?」
ラーメンの味噌は味噌汁とは少し違うかも。
同じものを感じたらしいドドメキョンシーが、何かピンと来てそっかそっかあとニコニコ笑う。味の調査は大事だよねという笑顔に理玖は首を傾げつつ、そうだ、と思い出した。
「確かここ、トッピングも好きにできるんだよ」
「トッピング、ですか?」
「そう。玉子は必須だよな。味噌だとコーンとかも美味いぜ」
美味い――ということは、味噌とコーンの組み合わせは理玖の好きなもの?
きょとりとした瑠碧が何かを心得たように小さく頷き、玉子とコーンのトッピングを頼めばドドメキョンシーが元気な声で了解! と笑った。
それからさほど待たずにやって来たラーメン二つ。目の前に置かれたラーメンは好みのトッピングをしたこともあり、理玖にはキラキラと輝く逸品そのもの。自然と笑顔になり、ぱしんっと両手を合わせる。
「おっ来た来た! 伸びる前に食おうぜ」
「はい。頑張ります」
ええと、食べ方は? 頂きますと手を合わせた瑠碧は理玖を眺めることにした。
木の箸を取って? そのまま普通に割るんですね。そしてその箸で麺を摘んで?
ずずっ。
瑠碧にとっては大きな一口分を理玖は容易く啜り、青い目をパッと輝かせた。
「旨っ。チャーシューてんこ盛りだし幸せだ……!」
今度はチャーシューを大きくばくりっ。味が染み込んだチャーシューは程よい歯応えがあり、何より“THE・美味い肉!”という味わいが実に良かった。二度目の「旨っ」にドドメキョンシーがヒャッホーとガッツポーズしている。
(「……お蕎麦と同じみたい?」)
見真似で啜ってみる。けれど慣れていない一口目は上手く行かず、ちゅるちゅると可愛らしい音の後、箸で摘んで持ち上げる作戦に切り替えることにした。そして、発見ひとつ。
「瑠碧どう?」
「……あつ……あ、美味しい。スープも美味……あちゅい」
(「あちゅい、って
……!」)
天を仰ぎそうになった理玖はそれをぐっと堪えた。視線を感じてそちらを見れば、ドドメキョンシーが見守る眼差しを浮かべていた。気付いていない瑠碧は一生懸命頷いて、ぱたぱたと手で扇いでいる。
「ん、熱いけど美味いよな。よかった。ほい、水」
「あ、ありがとうございます、理玖」
一口飲んで熱をいっとき落ち着かせて。ふう、と一呼吸置いてから二口目を味わっていく。熱いけれどゆっくり食べれば大丈夫そうだ。美味しいという幸せを味わう隣では、理玖もずずっと――今度は茹で玉子と一緒に味わい、変化した醤油の風味に舌鼓。
「食い切れなかったら言えよ? あ、そうだ。醤油も一口食う?」
「醤油……? ありがとうございます。それじゃ……」
その一口で、瑠碧の目がほわ、と瞠られた。
「わ、少しさっぱり……」
当たり前だけれど味噌と味が違う。その驚きを美味しいという幸せと一緒に「理玖も」と、ずいっと差し出して――少し、すまなそうにした。
「……麺も少し、お願いします」
「大丈夫。むしろ、やったありがとうなっていうか」
味噌も旨いんだ。そう言ってからりと笑って啜れば、甘辛さの中にコクもあってと、味噌ラーメンも大きな一口を生む美味さ。暫くして二人の鉢はすっかり量を減らしていて。
「はふ、満足……」
「ご馳走様。あ、塩も頼んでもいい? 今度は鶏チャーシューにもやし多めがいいな」
「オッケーイ!」
「え。理玖、まだ食べられるの、ですか?」
「? そりゃこれ位余裕だろ?」
「ヒュー、最高! チャーシューサービスしちゃう!」
大はしゃぎする店主の声をBGMに瑠碧の目は暫く丸いまま。
だって今のは、今日一番の吃驚だったから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イヴォール・ノトス
ラーメン食べ放題…天国…
いかん、カクリヨだった
何て凶悪な骸魂だ、けしからんな!
食材に嫌いな物は無し
残さない、粗末にしないが信条
敵であれ作り手と食材には感謝して喰らい尽くすぜ
屋台の席に着くなり注文
味噌大盛、麺固め、野菜増し
あ、メンマと味玉3人前で乗せてくれ
箸文化の生まれじゃねェが、使い方はプロ級だ心配いらねーよ
ただ大食いするだけじゃなく、スープや麺もしっかり味わう
チャーシュー拘ってるらしいし、沢山乗せて貰お
食べ終わったら、メニューにある品を順繰りに注文だ!
もう最っ高…に旨い…有り難うな
ンで、悪いんだけどさ、さっきと同じのもう3杯くれ
「全部頼んで全部食べればいいし追加注文もするといい」…だもんな?
ラーメン食べ放題――何たる天国――。
きらきら降り注ぐ光のようなやわらかさで、ファー……とビジョンが浮かんだラーメン五種に腹の虫がくう、と鳴る気配をさせた瞬間、イヴォール・ノトス(暴食・f25687)は表情筋をしゃきっとさせた。
「いかん、カクリヨだった。何て凶悪な骸魂だ、けしからんな!」
ラーメン屋台など無辜の妖怪がふらふらと吸い寄せられてしまう。そうなる前に猟兵として務めを果たさなくては。そう、今回の務めとは――食すこと!
「店主! ラーメンをくれ!」
バッと暖簾をくぐればウッヒョーとテンションの高いドドメキョンシーがいた。
それもそうだ。ラーメンを食べに来る客が途切れず、中には凄まじい胃袋力を見せつける者もいる。もてなし衝動は順調に刺激され、次の客であるイヴォールも全力でもてなす気満々だ。
「じゃんじゃん注文どうぞ、じゃんじゃんっ!」
「ああ、では。味噌大盛、麺固め、野菜増し。あ、メンマと味玉三人前で乗せてくれ。……そうだ、チャーシューも沢山乗せてくれよ」
「オッケオッケー! チャーシューも拘って作ってるからすっごい美味しいよ! あ、フォークあるけど使う?」
「なに、箸文化の生まれじゃねェが、使い方はプロ級だ心配いらねーよ」
どんと椅子に腰掛け腕を組む。凛々しい眼差しと言葉にドドメキョンシーがガッテン! と敬礼をして数分後。注文通りの味噌ラーメンが置かれ、三人前分の麺麻と玉子は野菜の山を縁取るように盛り付けられていた。
「へえ、なかなか美味そうだ。それじゃあ早速……!」
割り箸は口で咥えて引っ張り、綺麗に真っ二つ。
大盛りの麺はなかなかの量だがイヴォールにはこれくらいが丁度いい。
真っ先に麺を味わい、うん! と頬張りながら頷いてすぐスープをずずっと飲む。甘辛い味噌スープは程よい濃さで、山盛り野菜と麺を一緒に食べれば歯応えが増して満足感が凄い。
花びらのように乗っていたチャーシューは単体で食べて美味、野菜と麺と一緒に食べて美味と美味尽くし。
ずるずるちゅるんっと味噌ラーメンを豪快に食らったイヴォールは旨い! と言ったその口で他の四種を順繰りに注文した。そして――、
「もう最っ高……に旨い……。有り難うな」
はあ、とこぼれた息は満足感200%オーバー。心からの賛辞にドドメキョンシーが恥じらい、そんなに噛み締められて褒められたらチャーシュー分厚く切っちゃう……! とズバズバ音をさせている。
「ンで、切ってるとこ悪いんだけどさ、」
「ん?」
「さっきと同じのもう三杯くれ」
「!! お、同じの? 同じの??」
作っていいのと確認する眼差しに、イヴォールは不敵に笑って頷いた。
「『全部頼んで全部食べればいいし追加注文もするといい』……だもんな?」
店主の情熱に、そしてラーメン食べ放題という天国に敬意を表して――おかわり!
大成功
🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
セロお兄さんf06061と
…人を何だと思っているの
食べ方ぐらいは知ってるよ
俺はよくわからないけれども量は食べる
出てきたものを片っ端からいただきます
…まあ、殺さなくても倒せるっていうのは、いいことなんじゃない?
後俺は豚骨が好き。この圧倒的にカロリーが高そうな感じがいい
あらゆる面で健康に悪そうなのが気になるけど
こっち?いいよ。じゃあお兄さんの分けて
辛め?…にしては辛みが足りなくない?
もうちょっと辛いの足してもらおうよ
ていうか足してください。そこの唐辛子っぽいのとか辛玉っぽいのとか山ほど入れて…(勝手に辛さを増やしていく
うん、これくらいだと辛みあっていい
交換?いいけど…(怪訝そうな顔をしていたという
セロ・アルコイリス
リュカ(f02586)と
リュカ、リュカ、喰うだけで勝てるんですって
ラーメンて識ってます?
おれ喰ったことねーけど、屋台飯は楽しいんで好きです!
なににしようかなって周りの人見てきょろきょろ
おれぴり辛が楽しいです、味噌かなぁ
リュカ、は……(コイツ味覚に興味ないけどどうすんだろって伺って)
──あ、いい匂いですね
確かにすげー腹が満ちそう
ねぇリュカ、リュカが選んだヤツひと口くださいよ
いろんな味識りてーし
リュカが選んだ味、楽しそうです
おれの? いいですよ、どーぞ
辛玉ってなんだろうって思いつつ足されていく辛味成分を眺めつつ
口にして涙目
かっっっっ
……!!!
……
リュカ、もう全部これあげます、(彼の焼豚奪いながら)
大変食欲が刺激される匂いとキャッキャと楽しそうな声。その源であるラーメン屋台にセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は「あー、アレですよ、アレアレ」と笑って、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)の手を引っ張っていく。
「リュカ、リュカ、喰うだけで勝てるんですって。ラーメンて識ってます?」
「……人を何だと思っているの。食べ方ぐらいは知ってるよ」
それに引っ張らなくても歩けるよと返すも、手をパッと振って離すのはそれはそれで何だか面倒くさい。わかってますよとへらり浮かべられた笑みは、そこも見通しているかのよう。
「リュカ、赤ちゃんじゃねーですからね。ていうか喰ったことあるんですか、ないんですか? あ、おれ喰ったことねーけど、屋台飯は楽しいんで好きです!」
「よかったね。……あ、丁度二人分空いてる」
暖簾をくぐった途端、ぴょんぴょこ跳ねるように調理していたドドメキョンシーからの「いらっしゃい!!」が響いた。色違いの目に爛々と浮かぶ“とにもかくにも持て成したい!”という衝動も、歓迎の声と一緒にぐわっと向けられていたのだけれど。
「何にします? 五種類あるみてーですよ」
「ふうん」
セロは参考にすべく他の猟兵たちを見てきょろきょろと。隣のリュカはお品書きをちらりと見ただけ。二人ともいつも通りかつ、もてなし衝動をそよ風のようにあしらっていた。
「おれぴり辛が楽しいです、味噌かなぁ。リュカ、は……」
ラーメンは五種類。しかしリュカという少年は味覚に興味がない。どうすんだろと伺っていた数秒の間に、味覚に興味なし少年は何にするか決めたようで。
「何でもいいよ。お任せする」
「ひゃっほーお任せしてもらえちゃったー! 好き嫌いない!? 大盛りへーき!?」
「どっちも平気」
「イエーーイ!」
ドドメキョンシーの歓喜の声が響き、カンフーパフォーマンスめいた動きがカウンターの向こうで展開する。あれで何でこの屋台無事なんだろうとリュカとセロが眺めること暫し。
「おまちどおさまーっ!! 味噌ラーメンと、チャーシュー麺麻茹で卵ネギでお山を作った醤油ラーメンね!! ハイッ!!」
初めての味噌ラーメンをまずは視覚で識ったセロは、隣の醤油ラーメンをじぃっと見た。そいつが醤油ラーメンですか、と呟いたその中で“トッピングの山”という知識もくっついて――いたのだけれど。
「いただきます」
リュカが食べ始めると、トッピングの山は麺とスープと一緒に雪解けの如く減り始めた。山が中くらいになり、小さなお山になり――あっという間にスープの平原が覗いて、醤油スープもずずずと飲まれ可愛らしい水溜りへ。
「……リュカ、ラーメンどこ行ったんです? 山になってたじゃねーですか」
「胃に決まってるでしょ」
「膨れてねー気がしますけど」
「……そう? あ、次のラーメンお願い」
「オッケー! 次も盛りっ盛りにするから~♪」
ドドメキョンシーがカウンター向こうで賑やかに動き回る。これまでラーメンを何杯提供してきたのか。元気過ぎるようでいてちゃんとダメージが入っているらしいというのが実に奇天烈だ。
(「……まあ、殺さなくても倒せるっていうのは、いいことなんじゃない?」)
はいお待ちっと出てきた味噌ラーメンもぺろりと平らげ、空になった器と入れ替わりで豚骨ラーメンがやって来る。味噌とは全く違う濃厚な香りはセロの五感もふわわんとくすぐった。
「──あ、いい匂いですね」
「……うん、俺は豚骨が好き。この圧倒的にカロリーが高そうな感じがいい。あらゆる面で健康に悪そうなのが気になるけど」
「はは、確かにすげー腹が満ちそうです」
匂いを嗅いだだけで何だか満足しかけてしまいそうだけれど、まだ識らないその味や如何に? 東雲色の目がきらりと光る。
「ねぇリュカ、リュカが選んだヤツひと口くださいよ。いろんな味識りてーし。リュカが選んだ味、楽しそうです」
「こっち? いいよ。じゃあお兄さんの分けて」
「おれの? いいですよ、どーぞ」
カウンターの上で入れ替わる味噌と豚骨。味はどちらも濃い目だけれど色は対極な二杯だ。食べればそれは実感として湧き上がり――リュカは首を傾げる。甘辛い、と聞いた筈だけど。
「お兄さん、これもうちょっと辛いの足してもらおうよ。ていうか足してください」
「え、足りねーんですか」
「うん。この唐辛子っぽいのとか……ああ、この辛玉っぽいのとかも」
辛玉? セロは識らない単語を気にしつつ、豚骨ラーメンを味わいながら眺めていた。そうこうしている間にラーメンの上に辛みマウンテンが完成していって――。
「うん、これくらいだと辛みあっていい。お兄さん食べてみなよ」
「それじゃあ――かっっっっ
……!!!」
食べた直後に言えたのはそれが限界だった。脳裏には現れた“死”の赤文字。顔は真っ赤になり涙目で突っ伏しかけ――だが! セロは力を振り絞って鉢を押す!
「リュカ、もう全部これあげます」
「交換? いいけど……あ、チャーシュー」
目の前で奪われたチャーシューを見送ったリュカの顔は、チャーシューで“死”激的辛味を和らげようとするセロを怪訝そうに見ていたという――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ライラック・エアルオウルズ
暖簾潜れば、華やぐ貌
好奇と美味には弱くてね
これがラーメンなるもの?
実物は初めて見るなあ
屋台自体も然程縁が無く
席に着くなり、まじまじと
見事な湯切りに感心したり
煮込む鍋を覗いてみたり
へえ、味が沢山あるのか
どれも美味しそうだけど
蕩ける黄身に心惹かれ
醤油にしてみようかな
差し出されたものに
思わず感嘆の声零し
ぶわり昇る湯気にと
曇る眼鏡を静々拭い
さ、気を取り直して
パスタとは、違うのだね
箸の扱いは慣れたさ
ちょいちょい、摘まんで
レンゲに作る一口分
! ――おいしい
旨味で頬の緩むまま
ぐいと啜るも良いもので
卵は蕩けて、肉も柔らか
麺麻は不思議な食感だ
スープも飲み干せば
御満悦の息吐き
――ふは、御馳走様
御代わりは、何時か
「失礼、空いているかな」
「いらっしゃあい! どうぞどうぞーっ!!」
暖簾を潜った瞬間、パアッと華やぐ顔に迎えられたライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は、先にここの料理を味わっていた他の猟兵を伺う。その手元で湯気を昇らすものこそが――、
「これがラーメンなるもの? 実物は初めて見るなあ」
「えっそうなの!? 初ラーメンにうちを選んでくれるなんて……う、嬉しい!!」
「実は屋台自体も然程縁が無くてね」
席に着くなりまじまじと観察すれば、そんな反応もドドメキョンシーの“もてなしたい!!”という衝動になったらしい。こっち来てこっち! と手招かれたのはカウンターの向こう、彼女の城ともいえる調理スペースだ。
好奇と美味は作家が抱える素敵な弱点。招かれるままにお邪魔すれば、湯切りの仕草は少女の見目を裏切る熟練度。その見事な腕前に感心しつつ煮込まれている鍋を覗くと、丸々とした鶏肉と野菜たちがぐつぐつ踊っていた。別の鍋では黒くて平たい――ああ、それは昆布でふわふわしてる茶色は鰹節ね! と知らなかった物語が増えていく。
そこから生まれるラーメンは五種類。ドドメキョンシーの飛び跳ねるような解説とお品書きを合わせて聞いていると、どれも美味しそうだ。ライラックの心を、半熟茹で卵の蕩ける黄身がくいくいと引っ張る。
「では、醤油にしてみようかな」
「はぁーい! 待っててね、めいっぱい美味しい初ラーメンにするから!!」
何がッ!
何でもッ!!
キラキラピカリとした光を双眸に宿しての宣言は常人なら気圧されてしまいそうだけれど、作家であり猟兵でもあるライラックは楽しみだと言って瞳に好奇を宿して笑む。その瞳は、数分後差し出されたものできらりと光りを走らせた。
これが、と思わずこぼれた感嘆の声をぶわり昇った湯気で撫でられる。おっと、視界が。曇った眼鏡は静々拭って、割り箸をパキッ。気を取り直し見つめるそこには、小さな満月めいた茹で卵を添えて綺麗に盛り付けられた醤油ラーメンひとつ。
(「パスタとは、違うのだね」)
同じ麺類でこの違い。それを視覚で楽しみながら、扱いに慣れた箸で麺を摘んでちょいちょいとレンゲに作った一口分に、刻まれた葱もと鮮やかな緑をそっと乗せ、
「! ――おいしい」
食んだ瞬間花開いた旨味で頬が緩むまま、ぐいと啜ればそれもまた良き瞬間。では玉子はと味わえばまろやかな満月が蕩けていくようで、肉はしっとりジューシーで柔らかい。初麺麻は――ううん、これは不思議な触感だ。
深い琥珀めいたスープを飲み干すと、笑む口からご満悦の息がほろり。
「――ふは、御馳走様」
「えへへ、どういたしまして!」
御代わり?
それは――又、何時かの楽しみに。
だって今日のラーメンと云う物語は、未だ終わっていないのだから。
大成功
🔵🔵🔵
荒久根・ジジ
【魔王城】
ラーメン♪ラーメン♬
いくらでも食べていいって
サイッコーだね!
陛下の好みはまた帰ったらリサーチしよっか
まずは定番の醤油に卵チャーシュー
ん〜王道よきよき
黄金塩バターも堪らないし
味噌もコクがあるなぁ
トマトチーズなんて変わり種もある!
凄いなぁ材料はパスタと同じなのに
ちゃんとラーメンだっ
あ、店主さんオススメトッピングマシマシ貰っていい?
…ん?あれ、どかした?(気にせずどんどん空の杯を積む
ルクアスはどれが好き?
気に入ったのがあればボクが
お城でご馳走しちゃおう
お、醤油だね、覚えたよ!
たしかに半熟卵も欠かせないよね〜
じゃ、味の勉強に同じのをもう一杯
ダイジョブまだいけるよ
あと10杯くらいは軽いね!
ルクアス・サラザール
【魔王城】
ラーメン初心者ですが…
陛下はどのお味が好きでしょうね
きらきら綺麗な塩スープかな
それとも…あぁ、陛下のお好みを聞いてくるのを忘れるなんて!
なるほど、王道は醤油…ではそれを
あっ、トッピングの半熟ゆで玉子、一つ追加で
一つでいいです、一つで
うん、とっても美味しいですね
もう一杯くらいなら…って、え、ジジさん?
え、まだ食べ……え??
呆けてる間にどんどん食べてく。凄い
お、俺も、豚骨ラーメンを…(ちょっとだけ意地を張った
二杯食べて満足しました。もう十分です
個人的には醤油が食べやすくていいですね
半熟のゆで玉子はやはり魅力的で…
えっ、さらにおかわり??
あ、はい、どうぞ、お好きなだけ…
凄いなぁ、ジジさんは
「ラーメン♪ ラーメン♬」
「ラーメン♪ ラーメン♬」
「「イェーイ!」」
荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)とドドメキョンシーはカウンターを挟んでハイタッチ。パチンッ! と軽快な音を立てたら客のジジはすとんっと椅子に座り直し、店主のドドメキョンシーはご注文どうぞ~! と両手をぱあーっと挙げた。
「いくらでも食べていいってサイッコーだね! 何にしよっかなー♪」
「……陛下はどのお味がお好きでしょうね」
俺、ラーメン初心者なんですよ。そう呟いてお品書きを見つめるルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)は物凄く真剣だ。魔王陛下全肯定過激派と書いて忠臣と読むその心には、いつだってかの尊い星が輝いている。
「きれきら綺麗な塩スープかな、それとも……あぁ、陛下のお好みを聞いてくるのを忘れるなんて! お許し下さい陛下ッ!!」
「陛下の好みはまた帰ったらリサーチしよっか。それにラーメン初心者なら、まずは自分が味を知っとかないとね」
「成る程……」
「じゃあボクは定番の醤油に玉子チャーシューで♪」
「ハーイ! 眼鏡のあなたは?」
「そうですね……定番とのことなので、俺も醤油を。あっ、トッピングの半熟ゆで玉子、一つ追加で」
「三つ追加じゃなくって大丈夫!? ひもじくならない!?」
「一つでいいです、一つで。ひもじくもなりませんので」
ルクアスがもてなし衝動の猛攻を上手く回避した数分後。満面の笑顔と一緒に差し出された醤油ラーメンは、塩ラーメンとはまた違ったきらきらさ。
「ん~王道よきよき」
「うん、とっても美味しいですね」
さっぱりとした味わいの中、鶏ガラスープと醤油が見事にとけあい一つになっている。トッピングとの相性も良く、順調に食べ進んだルクアスはもう一杯くらいならとお品書きに目をや――ろうとして固まった。
「え、ジジさん?」
「ん~~♪ 黄金塩バターも堪らないし、味噌もコクがあるなぁ」
塩ラーメン? 醤油ラーメンは一体どこへ? ルクアスがきょとんとしている間に、とろけたバターとスープは麺と一緒に減っていく。ルクアスは思わず目を擦った。幻視ではなかった、現実だった。
「ね、何か変わり種とかあったりする?」
「おおっ? やっぱりあなた、嗅覚が鋭いね! フフフ、なんとここに劇的味変をもたらすトマトチーズなるアイテムが……! ――やる?」
「やる!」
塩ラーメンへトマトチーズが華麗にピットイン。更に深まる旨味ハーモニーでジジの頬は幸せピンク色。ギザギザ鮫歯でしっかり噛んで味わって、食べるという至上の喜びを全細胞に刻みつけていく。
「凄いなぁ材料はパスタと同じなのに、ちゃんとラーメンだっ。あ、店主さんオススメトッピングマシマシ貰っていい?」
「もっちろーーん!!」
呆けている間にトマトチーズも塩ラーメンも綺麗にぺろり。次のラーメンに伸びてまたぺろり。圧倒されていたルクアスは俺も、と意気込んで豚骨ラーメンを追加注文した。
どうか見守っていて下さい、魔王陛下
このルクアス、やってみせます――!
「……ん? あれ、どかした?」
「二杯食べて満足しました。もう十分です」
きょとりとしたジジの手前に積み上げられた空のラーメン鉢はトロフィーのよう。
ルクアスの前にあるラーメン鉢の中身も綺麗に空っぽだ。けれど――ちょっとだけ、張ってしまった意地を後悔しなくもない。ただ、まあ。
「ルクアスはどれが好き? 気に入ったのがあればボクがお城でご馳走しちゃおう」
ニコニコと楽しそうなジジに聞かれて思い浮かぶのは、美味しい、という思いばかり。
「個人的には醤油が食べやすくていいですね。半熟のゆで玉子はやはり魅力的で……」
「お、醤油だね、覚えたよ! たしかに半熟卵も欠かせないよね~」
ニシシと笑うジジに、頷いたその顔には微笑みがある。醤油も豚骨も、それはそれは美味しかった。意地と一緒に腹が張って少々苦しい気がしなくもないけれど、それはそれで良いことであり、大切なことだ。
「じゃ、味の勉強に同じのをもう一杯」
「ひゃっほーう! 追加注文ダァーーイスキッ!!」
「えっ、さらにおかわり??」
「ダイジョブまだいけるよ。あと十杯くらいは軽いね!」
十杯と聞いたドドメキョンシーがまた歓声を上げ、空のラーメン鉢トロフィーをよいしょ。カチャカチャと音を立てて移っていく鉢トロフィーを見送ったルクアスは、ぱちり、ぱちりと目を瞬かせた。
「あ、はい、どうぞ、お好きなだけ……凄いなぁ、ジジさんは」
美食の道がどれだけボリューミーであろうとも、彼女なら今日みたいに楽しくぺろりと制覇してしまうのだろう。そしてかの魔王城に、それはそれは美味しいラーメンが現れるに違いない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
都槻・綾
f10471/黒羽さん
酒を飲んだ後は
食べたくなるのですよねぇ、拉麺
まだ呑んでいないのですけれども
まだ
さぁさ、
黒羽さんは何から行きます?
勿論
何杯だって食べる所存
品書きを彼に渡しつつ
早速、駆けつけ一杯!
黄金色に透き通る煮干し出汁に金胡麻の香り
清流を思わせる細麵もまた金糸の美しさ
喉越しもつるりと優美
次は愈々どっかんと!
もやしがどっさり山盛られた次男坊系のアレ
旨辛ベースを更にコク深める為
たっぷりと真っ赤な唐辛子を掛けて貰いましょ
ほぅら
まるで赤富士みたいに壮観でしょう
食欲を益々そそる香味に辛味
無限に食せるめくるめく味わい
…やっぱり酒も吞みたくなってきました
なんて
つい漏れた本音も
今日は大手を振って
目一杯!
華折・黒羽
綾さん/f01786
お酒を飲んだ後に、ですか…?
食べたい食べたいと
ずっと思っていた『らーめん』
念願叶って逸る心止められず
品書き見つめ前のめり
一体どんな食べ物なんだろうか
成程、そういう風に頼むんですね
俺は…えっと、余り作法を知らないので
この鰹節の出汁のらーめんで
ちゃーしゅーというものも乗せてもらっていいですか
野菜も多めにください
綾さん見ながら真似るよう一口
…!
見開く眸、思わず綾さんに顔を向け
らーめん、美味しいです…!
興奮覚めやらぬ間に平げて
負けじと己ももう一杯
次は豚骨に木耳、玉子も乗せて
続けて頼んだ焼豚四枚の食べ盛り
お酒、飲んでいいですよ?
機嫌上々
いつもは止める場も今日くらいはと
さあさ、もう一杯
「拉麺、良いですよねぇ」
ふくふくと微笑んだ都槻・綾(絲遊・f01786)曰く、酒を飲んだ後はラーメンが食べたくなるのだという。
「まだ呑んでいないのですけれども。まだ」
「お酒を飲んだ後に、ですか……?」
酒とラーメンが一体如何にして繋がるのか。成人すればわかるんでしょうか、と考える華折・黒羽(掬折・f10471)へと、綾はクリアホルダーを使った手作り感溢れる品書きを差し出した。
「さぁさ、黒羽さんは何から行きます?」
勿論、何杯だって食べる所存。
そう告げた綾は楽しみで堪らないといった様子で、黒羽もまた静かに心躍らせていた。
食べたい、食べたい。ずっとそう思っていた『らーめん』を、もうすぐ食べられる。念願叶って逸る心を止めるなど出来なくて、醤油、味噌、塩と品書きを見つめる瞳は煌めき、姿勢はついつい前のめり。
「では早速、駆けつけ一杯!」
(「成程、そういう風に頼むんですね」)
「はぁーいっ! あなたは何ラーメンにする? トッピング山盛りにする?」
「……えっと、余り作法を知らないので、この鰹節の出汁のらーめんで。ちゃーしゅーというものも乗せてもらっていいですか? 野菜も多めにください」
「野菜多めいいよね、あたしも好き! あとねあとね、作法はこれ!!」
ドドメキョンシーがパシンッと掌を合わせて、
「頂きますと、ご馳走様。でも手合わせる合わせない自由だし、言う言わないのも自由だから気楽にしてて大丈夫! あたしとしては美味しいって喜んでもらえたらもうそれが頂きますでご馳走様みたいな!?」
キャハハと無邪気な笑みがシュバッとカウンター向こうに引っ込んだ。
つむじ風のような、明るい方ですね――なんて、視線と微笑を綾と交わして待つこと数分。にゅっと顔を覗かせたドドメキョンシーの両手には、ラーメン鉢がどん! どどん!
「ハァ~イおまちどお! こっちの塩ラーメンがあなたで、こっちの野菜もりもり塩ラーメンがあなたのね!」
「やぁ、これはお見事。匂いでもう、大変な美味だとわかりますよ」
綾は微笑み、両手を合わせ「頂きます」。レンゲを手にほんの少し体を前に傾けると、顔を撫でていった湯気に宿るいっぱいの香りにふんわりと微笑んだ。黄金色に透き通るスープと、散らされた金胡麻。二つの香りを嗅いだだけで贅沢な幸せに包まれるよう。
一口飲めばそれ以上の幸せで頬が緩み、清流をえがくようにあった金糸の如き細麺もスープに負けず劣らずの美しさ。箸で摘んで啜れば、つるりと優美な喉越しが“美味しい”を引き連れ収まっていく。
――と、満面に幸せを浮かべた綾を見ていた黒羽は、成程あの様に食べればと見様見真似で人生初らーめんに挑んだ。まずはレンゲなるものでスープを掬って、一口。
「……!」
獣耳がぴんっ! と動き、見開かれた瞳には万華鏡のように煌めきが踊る。続いて麺も啜れば頬がふんわりと染まっていって――ばっ、と綾に顔を向けた。
「らーめん、美味しいです……!」
「ふふ、でしょう?」
えへへぇ――と聞こえたこれは、見ていたドドメキョンシーの堪えきれない喜びの声。
三人の視線が笑顔と一緒に交わって、ラーメンを啜る音が感想を挟みつつ紡がれて。気付けば塩ラーメンはつるりと綺麗に“御馳走様”。
しかし二人の美味しい幸せは一杯に留まらない。綾は当然のようにニ杯目を頼み、初らーめんの興奮覚めぬ黒羽も負けじともう一杯。そして。
「おまっちどぉー!! 木耳茹で玉子そしてチャーシューカルテットな豚骨ラーメンと、ご希望通りもやしどっさり山盛りな旨辛ラーメンね!!」
豚骨ラーメンのスープはこってりと甘く、けれどほのかに胡椒が効いていて癖になる味わい。黒羽はやや硬めの麺と木耳を一緒に摘み、ずるるっと啜った。口の中で麺と一緒に木耳がぷちぷちと音を立て――お次は茹で卵をはむりっ。そのまたお次はチャーシューを麺と一緒に味わってと、真っ黒な尻尾はいつの間にかご機嫌にゆるゆると揺れている。
綾は旨辛ラーメンをすぐに食べはせず、ふむ、と数秒思案してニコリ。
この一杯に宿るコクを更に深める為、そうと手にしたのはカウンターに置かれていた唐辛子。粉雪を降らす神様のように、ふりふり、ふりふり、ふりふりふり。
「ほぅら、まるで赤富士みたいに壮観でしょう」
ぱちり。らーめんを頬張っていた黒羽が双眸を瞬かせる。大丈夫ですか、の視線に綾は頷いて笑み、食欲をますますそそる香味と辛味をずるるる。嗚呼、これは無限に食せるめくるめく味わい――なのだけれど。
「……やっぱり酒も吞みたくなってきました」
「お酒、飲んでいいですよ?」
つい漏れた本音に、いつもは止める黒羽も“今日くらいは”と機嫌上々な尾を揺らして笑ってもう一口。ふふ、と交わした笑みにラーメンを味わう音が続いたら? 今宵はこれで終いなどと言わずに大手を振って! さあさ、もう一杯!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドガー・ブライトマン
ジャック君/f16475
いくらでも食べていいだなんて、ありがたいよね
今日まだ何も食べてなかったから丁度よかった
どれも美味しそうだけれど
とりあえずスタンダードなやつ…
ねえ店長、醬油を頼むよ。チャーシューはマシマシで
それでは私も、いただきます!
さっぱりとした味わいがとても美味しい!
チャーシューも絶品だよ。多めに頼んでよかったなあ
店長、次は味噌が欲しいな
野菜多めで、チャーシューも載せておいて
フフ、腹が減っては王子様は出来ないからね
ジャック君もよく食べるじゃないか
やはり背が高くなるためにはたくさん食べる必要があると見たよ
塩もいいね、私も美味しそうだと思っていたんだ
屋台のラーメンって本当に美味しいねえ!
ジャック・スペード
エドガー/f21503
…物凄いホスピタリティだな
満腹など知らぬ身だ
存分に食べ比べを楽しませて貰おう
俺は豚骨ラーメンを食べよう
鈍い味覚には濃厚な味わいが丁度いい
半熟ゆで卵と……ああ
俺もチャーシューマシマシで
――イタダキマス
おお、味がはっきりしてるな
なのに舌触りはしつこく無く
箸を進めても飽きが来ない
卵の黄身も良いアクセントに成ってる
繊細な見た目に依らず
意外と食うな、エドガー
ああ、当機に満腹感は無いからな
沢山食べる姿は微笑ましいが
三食ちゃんと食べないと
デカくは成れないぞ
然し、味噌も醤油も旨そうだ
俺もあと一杯食べようか
次は塩を頼むとしよう
野菜とメンマも載せてくれ
バターで違う風味も味わえるのか
…愉しみだ
「ねえ聞いたかいジャック君。ラーメン食べ放題だよ、食べ放題」
驚いてしまうよね、オスカーもそう思うだろう? エドガー・ブライトマン(“運命“・f21503)の問いかけに、定位置の肩に止まっていたツバメのオスカーがチチッと鳴いた。
「いくらでも食べていいだなんて、ありがたいよね。私、今日まだ何も食べてなかったから丁度よかった」
「え゛っ゛、何゛も゛!?」
ガタタンッ!
目を見開いて背後の壁――屋台の、にぶつかったドドメキョンシーがはらはらと涙を流すのを、ほぼ同じことを言いかけていたジャック・スペード(J♠️・f16475)はエドガーと共に見守って、
「いっぱい、いっぱいいっぱい、だべざぜであげるがらねぇええ!!」
両手を突き上げ気合を入れる様にエドガーは嬉しいなとプリンススマイルでパチパチと拍手している。その拍手で、あちらのやる気ボルテージはもてなし衝動とセットでぐんぐん上がっているようだ。
(「……物凄いホスピタリティだな」)
マシン故にジャックは満腹というものを知らない。だからこそ存分に食べ比べを楽しませてもらおうとマスクの下でかすかに笑んだ――が、まさか機械の身がこういった形で戦争に貢献する時が来ようとは。
(「わからないものだな」)
「ふふふ、楽しみだ。ねえ店長、まずは醬油を頼むよ」
「う゛ん゛!!」
「俺は豚骨ラーメンを食べよう。トッピングに半熟ゆで卵と……」
「おっといけない、忘れてた。チャーシューはマシマシで!」
「ああ、俺もチャーシューマシマシで」
「マ゛シ゛マ゛シ゛!」
おそろしく泣いているけど大丈夫だろうか、という気遣いは、ドドメキョンシーがぐいっと袖で涙を拭ってすぐに霧散した。気合いたっぷりの動きでシュパパパッと閃く包丁、湯切り、盛り付け! 華麗なパフォーマンスを思わす動きが披露された後、二人の前へ醤油と豚骨がワンツーフィニッシュを決める。
「――イタダキマス」
「いただきます!」
外されたマスクの下、普段は隠れている口に豚骨ラーメンがするるっと吸い込まれていく。咀嚼の後、おお、と感嘆の声がこぼれた。
「味がはっきりしてるな」
鈍い味覚には濃厚な味わいが丁度いいと思っていたが、これは期待以上。分析、もとい楽しむべくもう一口と啜れば“この屋台の豚骨ラーメン”というものの姿が、よりハッキリと見えてきた。
「なのに舌触りはしつこく無く、箸を進めても飽きが来ない。卵の黄身も良いアクセントに成っている」
「うーん、ジャック君のコメントはとてもわかりやすくて、そちらも食べたくなってしまうね! 私の醤油ラーメンはね、さっぱりとした味わいがとても美味しい!」
エドガーはどこか誇らしげに笑み、ほら見てご覧よと月のようにまあるいチャーシューを箸で摘む。表面をとろりと落ちていく美しい脂は、チャーシューと鶏ガラスープ、どちらのものだろう? ――どちらでもいいかな。だって美味しいからね!
「もう絶品だよ。多めに頼んでよかったなあ」
一枚食べてお終いなんて展開、このチャーシューにはあまりにも悲劇過ぎる。エドガーはチャーシューをもぐもぐ頬張ってたっぷり旨味を味わってから飲み込んだ。お冷を一口飲み、ふう、と一息。
「店長、次は味噌が欲しいな。野菜多めで、チャーシューも載せておいて」
「任してよ! 今度はチャーシューでお花作ったげるね~♪」
聞こえてきた鼻歌は胃袋を休めるのに丁度いい。味噌ラーメンに期待膨らますエドガーに対し、かすかに笑った気配は豚骨ラーメンを味わっていた隣から。
「繊細な見た目に依らず意外と食うな、エドガー」
「フフ、腹が減っては王子様は出来ないからね。ジャック君もよく食べるじゃないか」
「ああ、当機に満腹感は無いからな」
無いということはつまり? エドガーはジャックを見つめ、成程ねとウインクぱちっ。お星さまが一つぴかりと飛んだ気がした。
「やはり背が高くなるためにはたくさん食べる必要があると見たよ」
「沢山食べる姿は微笑ましいが、三食ちゃんと食べないとデカくは成れないぞ」
「うーん……うん、善処するよ」
「そうしてくれ。然し……」
首傾げたエドガーに、味噌も醤油も旨そうだと告げれば、わかるよ! と明るい同意の声。それに押されるようにして追加注文したのは野菜と麺麻も載せた塩ラーメンだ。
「いいね、私も美味しそうだと思っていたんだ」
「そりゃあもう、塩だって醤油や味噌とタメはれるくらい美味しいからね! バターでの味変も楽しみにしててよ~!」
「バターで違う風味も? ……それは愉しみだ」
「何だか魔法のようだね」
五種類あるというのに、そこからトッピング次第でまた味が増えていく。
それは当たり前のことかもしれないけれど、それこそが。
「屋台のラーメンって本当に美味しいねえ!」
「全くだ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
八乙女・櫻子
ラアメンが食べ放題と聞いて…もとい!カクリヨの危機に馳せ参じた次第であります!!
さて、この屋台は女将さんの暴走したもてなしの心が生んだもの…
であればただ量をこなすだけでなく、美味しそうに頂く事も肝要と見ました!
量だけなら最善は塩味でしょうが、ここは自分の大好物である醤油味を頂きます
汁は意外と腹に溜まりますので、麺だけをおかわりする替え玉作戦でいきましょう
しかし、いかに好物とはいえ食い続ければ飽きが来てしまうのは避けられません…
そんな時は胡椒、酢、にんにく、ラー油など調味料を使い味変する事で乗り切ります
最後に、何より大事なのはもてなしへの感謝の気持ち!
「ごっつぉうさま、ほんてぇんまかったべ!」
「失礼! ラアメンが食べ放題と聞いて……もとい! カクリヨの危機に馳せ参じた次第であります!! 八乙女・櫻子と申します、お見知りおきを!!」
八乙女・櫻子(若桜の學徒兵・f22806)は暖簾をくぐってビシリと敬礼。溌剌とした眼差し、よく通る声、そして學徒兵の制服。凛と現れた櫻子に、ドドメキョンシーがひゃーっと頬を赤くして飛び跳ねた。
「あたしね、あたしね、キョンシー! 今は百々目鬼とガッチリセット組んじゃってるけど、でもでも嬉しい! いらっしゃーい!! そこ、そこ座って~!!」
「ありがとうございます、女将さん。では、失礼致します!」
礼をして座ればまた感激され――櫻子は少し照れながらも、しゃんと背筋を伸ばした。
この屋台は、ドドメキョンシーの暴走する“もてなしの心”の出発地点のようなもの。食べ続ければダメージが貯まって倒すことが出来る為、求められるのは“食べること”だ。
しかし、櫻子は別の面にも目を向けていた。
暴走するほどの心の原点は、屋台ラーメンをやる理由。
美味しいものを食べて欲しいという、その一点。
(「であればただ量をこなすだけでなく、美味しそうに頂く事も肝要と見ました!」)
ドドメキョンシーは丁度追加注文を受けたところで、満面の笑みで大盛りラーメン作りに取り掛かっていた。
量をこなすという目的だけならば最善とされるラーメンは塩味だろう。しかし櫻子の大好物は別の味、王道中の王道である――、
「女将さん、醤油ラーメンをお願い致します」
漂う香り。美しい艶。凛と咲いていた學徒兵の顔は、大好物を前に一瞬だけ年頃の少女になって――櫻子はハッと背筋を正し、両手を合わせた。
「では、頂きます」
一口目で駆け抜けた味は目を瞠るほどの美味さ。大好物故、櫻子は瞳に宿ったキラキラを隠すことなくスープを一口飲み、チャーシューを食べ、麺を啜って一緒に味わってと、箸を止めなかった。
目を輝かせ食べる様は言葉以上に“美味しい”を表し――それでいて冷静に大好物と向き合ってもいた。麺だけを綺麗に平らげた鉢に替え玉を入れてもらい、再び存分に味わっていくという替え玉作戦。それでもいずれ避けきれない飽きが来たら、調味料による味変で難局を乗り切るというしっかりとした作戦で、順調に総食事量を増やしていった。
その作戦を見事に彩るのは、何より大事なもの。
「ごっつぉうさま、ほんてぇんまかったべ!」
櫻子が心から示した『ご馳走様』と『美味しかった』。もてなしへ示した感謝に、ドドメキョンシーから大感激の声が返ったのは言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
宵雛花・十雉
【兎十雉】
大丈夫だよ、妖怪とお化けは違うと思うし
一人で置いてかないから
尻尾を触ったのも友好の証とかだよ、きっと
ラーメン食べるだけだし、たぶん怖いことなんて起こんないよ
う、うん…お代が必要だったら奢ってあげる
任せといて
オレは味噌ラーメンにしようかな
ゆで玉子もひとつください
苺ちゃんは…
隣に座る彼女の注文を聞いて閉口し
届いたラーメンを見て唖然とする
ちょ、チョモランマ…
お、美味しそうだね…
うん、オレはこれで十分だよ
オレのチャーシューも要る?
…はぁ、男としてちょっと自信なくすな
でもラーメンは美味しい
いつもは一人で食べに行くことが多いけど
友達と食べるラーメンも美味しいね
うん、また何か食べに行こう
歌獣・苺
兎十雉
ねぇ、ホントに離れない?置いてかない…?(ときじの背中にしがみつき猫の尾を膨らませ)
…ひゃわ!?
今絶対誰か尻尾触った!
えーん!もう館帰るぅうう!
…ほんと?ラーメン
食べるだけでいいの?
ときじが奢ってくれる?
分かった…!
んーと…
ゼンマシマシチョモランマ?で!
あ!あと卵12個!
ぴゃーーー!
おっきーーーい!!
美味しそーーー!!!
ときじそれで足りる?
えっ!いいの?
…あれ、なんでしょんぼりしてるの?やっぱりチャーシュー返す?
いっただっきまーす♪
幸せそうに麺をすすって野菜も卵も食べていく
スープの1滴まで飲み干し
ふひゃあ……♪ご馳走様!
美味しかったぁ…!
ときじありがとう!!
また一緒にご飯食べに行こうね♪
賑わう屋台までの距離はそう遠くない。けれど宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)がなかなか辿り着けなかったのは、妖怪悪霊フェスティバルな幽世に歌獣・苺(苺一会・f16654)がすっかり怯えていたからだった。
「ねぇ、ホントに離れない? 置いてかない……?」
ときじ、ときじぃ。
かぼそい声で名前を呼ぶ苺は長身の背中にしがみつき、猫尾は警戒と怯えでぼんぼんに膨らんでいた。そんな状態で何かに接触されてしまったら? それは当然、
「……ひゃわ!? 今絶対誰か尻尾触った! えーん! もう館帰るぅうう!」
ぴええぇぇぇえええ!!
背中にぎゅうぎゅうくっついてひどく震える苺を落とさないよう、十雉はそっと体勢を直し、大丈夫、大丈夫だよと繰り返し笑いかけた。
「妖怪とお化けは違うと思うし」
多分。
「一人で置いてかないから。尻尾を触ったのも友好の証とかだよ、きっと。それに今回はラーメン食べるだけだし、怖いことなんて起こんないよ」
多分。
「だから大丈夫だよ」
優しく繰り返す声と笑む橙に、ようやく震えが収まった苺が顔を上げた。瞳はまだ涙でぷるぷるに潤んでいたものの、ほんと? と訊いてきた声は明るくなっている。
「ラーメン食べるだけでいいの? ときじが奢ってくれる?」
「う、うん……お代が必要だったら奢ってあげる。任せといて」
「分かった……!」
きゅ、と手を繋いで暖簾をくぐったそこは本当に怖いものなどなかった。あるのは先客である猟兵たちと、大はしゃぎで迎えたキョンシー少女の店主と、仕込まれていたラーメンから出来上がるいい香りでいっぱいの幸せ空間だけ。
「オレは味噌ラーメンにしようかな。ゆで玉子もひとつください。苺ちゃんは?」
「んーと……ゼンマシマシチョモランマ? で!」
(「ん?」)
「あ! あと卵十二個!」
(「えっ」)
注文に閉口していられたのは苺注文のラーメンが届くまでの数分間。
届いたラーメンを見た十雉は唖然とした。麺もトッピングも盛り盛りで、綺麗に並べられた十二個の半熟茹で卵はまるで月齢だ。え、これラーメン? 山じゃなくて?
「ちょ、チョモランマだ……」
「ぴゃーーー! おっきーーーい!! 美味しそーーー!!!」
「でっしょーーー!?」
ええ……と呆けている十雉をよそに乙女二人はキャッキャと笑顔を咲かせている。十雉は「お、美味しそうだね……」と言うのが精一杯だ。それが、元気がないように見えたらしい。苺が首を傾げ、二人のラーメンを見比べる。
「あれ、ときじそれで足りる?」
「うん、オレはこれで十分だよ。オレのチャーシューも要る?」
「えっ! いいの?」
ぱあっと咲いた笑顔はチャーシュー追加も大丈夫、の証。そんな苺のラーメンと自分のラーメンを見比べると、あまりの違いについつい溜息がこぼれてしまう。これは、男してちょっと自信をなくす場面だ。
「……あれ、なんでしょんぼりしてるの? やっぱりチャーシュー返す?」
「どうしたの!? 玉子五つくらいいる!?」
「う、ううん、違う、平気、平気だから……! ラーメン、ラーベン食べよう? ね?」
きょとりとした苺と猛烈にもてなそうとしてきた店主を上手く躱す。自信は、ちょっとなくしたけれど。でも、頂きますと言って箸をつけたラーメンは――。
(「……美味しい」)
ラーメンというと、いつもは一人で食べに行くことが多かった。
十雉は温かな味噌ラーメンの香りも味と一緒に噛みながら、そっと隣を見る。
「いっただっきまーす♪」
麺を啜って、んん! と頬を押さえて。野菜も玉子も食べて。ちゅるちゅる、ずるるっ。どこかリズミカルに食べていく苺の手元で、チョモランマ級ラーメンが不思議な速さで減っていく。
出来たてラーメンの中には、火傷してしまいそうなものもあるけれど。こんな光景は――ぽかぽかと永遠に続くような味は、一人ラーメンでは得られない。
(「友達と一緒に食べるラーメンも美味しいね」)
玉子を半分に割って、スープが絡んだ麺と啜る。味噌と半熟ならではの味が一緒になった一口は、甘辛い風味をまろやかに包んでいて――美味しい、とかすかな声がこぼれた。
そのかすかな声を、夢中でラーメンを食べていた苺はしっかりバッチリ拾っていた。美味しいよねと声を弾ませ、スープ一滴まで飲み干していく。
「ふひゃあ……♪ ご馳走様!」
満足満腹でいっぱいのそこに、お冷の水を一口。それでも食べ尽くした一杯の美味は、思い出とひとつになっていて薄れる様子はない。
「美味しかったぁ……! ときじありがとう!! また一緒にご飯食べに行こうね♪」
「うん、また何か食べに行こう」
美味しい彩を並べて、次の客が来た隙に屋台の外へ出て。
そして世界を二つとも助けたら――結んだ“また”を、一緒に開こう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荻原・志桜
🎲🌸
わたしは醤油ラーメンひとつ!
半熟玉子とメンマ、あとチャーシューも!
あははっ綺麗に割れたら交換して……あ、失敗した
屋台の食べ物ってなんか美味しく感じるんだよね
甘いものとかたこ焼きとか!
いただきまーす……あつっ
ふー、ふー……うん、おいしい!
ディイくんどうかした?
にひひ。わたしも一緒に過ごせる時間だいすきっ
醤油もさっぱりスープだし
とろっとした半熟の玉子もおいしい!
うん、食事って大切な習慣のひとつだなって思うの
心と体を休ませるひと時で楽しい時間
それにねディイくんと一緒に食べるときが一番美味しく感じる!
塩? しお……志桜。わたし?
ふ、ふふっ
それじゃあ今度わたし特製の志桜ラーメンをごちそうするねっ
ディイ・ディー
🎲🌸
塩ラーメンひとつ
チャーシュー増しで麺硬め、あとゆで卵も!
うわ、割り箸が上手く割れなかった
屋台には馴染みが深い
以前は昔の相棒とよく来てたし、今は友達の屋台にも行くからな
(ふーふーしてる志桜、すげー可愛い……)
ああいや、何でもないぜ
普通に過ごせる時間が最高だって思ってな
俺のこの体ってさ、飯を食わなくても保てるんだ
だけど今の俺は飯の大切さを知ってる
絶妙なスープと麺の絡み具合も最高だし
それから、一緒に食べる相手の笑顔が見られる
ただの栄養補給だけじゃないんだよ、飯って
そのことを昔の相棒が教えてくれた
だから、志桜とこうして飯を楽しめる今が幸せだ
塩ならぬ志桜ラーメン!
……あ、いや。今の忘れてくれ……
「塩ラーメンひとつ。チャーシュー増しで麺硬め、あとゆで卵も!」
「わたしは醤油ラーメンひとつ! 半熟玉子とメンマ、あとチャーシューも!」
「ハァイハァーイッ! とびっきりが出来上がるまで、ちょーっと待っててね!!」
とびっきりだってさ、楽しみだな。
ね。楽しみだね!
出来上がるまでの時間は、ディイ・ディー(Six Sides・f21861)と荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)にとって幸せが増えていくあたたかなもの。
「うわ、割り箸が上手く割れなかった」
「あははっ綺麗に割れたら交換して……あ、失敗した」
「何だ、志桜もか?」
出来上がったラーメンを前にしてのちょっとした失敗も、楽しくって笑顔が咲くばかり。まあ上手く割れなくても食えるしな、と割れた部分を見て笑むディイに、志桜は「ねえ」と話しかけた。
「私ね、屋台の食べ物ってなんか美味しく感じるんだよね」
「へえ?」
以前は昔の相棒と。今は友達の屋台にも。屋台に馴染み深いディイが「例えば?」と訊けば、志桜は「甘いものとかたこ焼きとか!」と言ってにひひと笑った。甘いものならクレープにジェラート、ちょっと前に大流行したタピオカも!
「それじゃあ早速、いただきまーす……あつっ」
慌ててお冷を一口。数秒舌を冷やしたら気を取り直して――ふー、ふー。
「……うん、おいしい!」
(「ふーふーしてる志桜、すげー可愛い……」)
本当に可愛い。マジで可愛い。
ふと視線を感じてそちらを見る。ドドメキョンシーがウンウン頷いていた。わかる、わかるよー、可愛いね! と語る眼差しに、ディイは真剣な眼差しで「だろ?」と返し――、
「あれ、ディイくんどうかした?」
「ああいや、何でもないぜ。普通に過ごせる時間が最高だって思ってな」
ディイはラーメン鉢に添えた左手も、箸を持つ右手もそのままに自分の体を見る。
「俺のこの体ってさ、飯を食わなくても保てるんだ」
だからこういった食事は必要ないものだ。屋台に行く理由だって、そう。
だけどとディイは目を細め、自分の話に耳を傾けている志桜を見る。
「今の俺は飯の大切さを知ってる」
「にひひ。わたしも一緒に過ごせる時間だいすきっ」
志桜はくすぐったそうに笑ってから、ねえ見てディイ君、と少しだけラーメン鉢を寄せる。
ほんのり揺らいだスープの色は、味わいをそのまま映したように綺麗だ。レンゲを沈めればさららと流れ込み、蜜のように濃い黄身がほろりと崩れればスープと混ざり合って、味がより豊かになる。玉子単体で食べても当然、とびきり美味しくて。
「ん~! 醤油もさっぱりスープだし、とろっとした半熟の玉子もおいしい!」
「こっちの塩ラーメンも凄いぜ。絶妙なスープと麺の絡み具合も最高だ。……一口飲んでみるか?」
「わ、いいの? 飲む飲む! ……わ、塩も美味しいね!」
食べることは大切なこと。栄養が詰まっていれば食べたものは血肉となって体を構成し、命を繋ぐ。その場に一緒に食べる相手の笑顔が見られたなら、食事は“大切”に“最高”をも加えてくれる。
「ただの栄養補給だけじゃないんだよ、飯って」
そのことを自分に教えてくれたのは昔の相棒だ。当時を見つめながら紡いだような声は春彩の緑宿した視線もやわらげて、そのあたたかさがどこまでもディイの心の中に染み込んでいく。
「だから、志桜とこうして飯を楽しめる今が幸せだ」
「……うん、食事って大切な習慣のひとつだなって思うの」
志桜にとって、食事は心と体を休ませるひとときであり楽しい時間でもある。
それにね。志桜はみょーんと麺を摘み上げ、ほっかほかの熱を上手く逃しながらにひひと幸せいっぱいに笑った。
「ディイくんと一緒に食べるときが一番美味しく感じる!」
念の為ふーふーしてから頂きます、と食べると、やっぱり一番美味しくて――、
「塩ならぬ志桜ラーメン!」
「へっ?」
ぱち。ぱちり。
笑顔のまま停止して見つめ合う鮮やかな空色と春の緑。
そこに差し込んだ朱は――ディイの頬にあった。
「……あ、いや。今の忘れてくれ……」
(「塩? しお……」)
――志桜。
わたし?
「ふ、ふふっ。それじゃあ今度わたし特製の志桜ラーメンをごちそうするねっ」
「だから忘れてくれって……」
「えー無理だよー。だってさっきのディイくん、すっごく可愛かったもん!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
片稲禾・りゅうこ
【竜と鴉】
あっ!!!出た!!!
え?いやなんか知らないけどああいう屋台があるんだよ
クロウ知らない?じゃあ今から知ろうぜ!
りゅうこさんはな~~~そうだな~~~~
……ん、んん~~~
……………
全部でいいか?全部でいいか!
トッピング?そりゃあ全部増し増しってヤツがおすすめだぜ!
さ、クロウも食べようぜ!いただきま~~~~───え?なんだよ何か変か?
……あっ!わかったぞクロウ!一口ずつ食べたいんだな!
全くしょうがないな~~~~はい、あ~~~ん
どうだ?美味いだろう!
クロウ、ひょっとして啜るの苦手か?
こうだぞこう!ずぞぞ~~~!って!
杜鬼・クロウ
【竜と鴉】アドリブ歓迎
出たってなンだ!?(第一声
とにかく食えァイイんだな!
でも俺、らぁめんって実は一度も食ったコトねェンだよ
美味いのか?
おぉ頼もしいぜ!お前に任せたわ
屋台へ
種類が多くて悩むな
オススメ教えてくれや、りゅうこ
…(急に不安
全部ってまさかこの量を?嘘だろオイ
トッピングも全部…増し増し(この女に任せたら危険だと第六感が働く
…俺は醤油味にしとくぜ
ゆで玉子は二つ
このバリカタって何だ?
初ラーメンに目輝く
彼女の食べ方を見て驚く
良い香りだな
いただきます(手合わせ
違…!どう食べるのか見てただけ…って話聞けやこのアマ!
でもあーんで食べる
そっちの味も美味ェな!
ずぞぞ…?こ、こうか…?
ラーメンは奥が深い
「あっ!!! 出た!!!」
「出たってなンだ!?」
お化け!! ――ではない。当然違う。
「え? いやなんか知らないけどああいう屋台があるんだよ」
ほらあれ。片稲禾・りゅうこ(りゅうこさん・f28178)の指す先にある屋台こそ、グリモア猟兵が『食べれば食べるほどオブリビオンにダメージが入る』と言った摩訶不思議かつ絶品ラーメン屋台だ。
しかしわかりやすいのはいい。杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は成程なァと笑い、『ラーメン』の文字揺れる暖簾を見る。
「とにかく食えァイイんだな! でも俺、らぁめんって実は一度も食ったコトねェンだよ。美味いのか?」
「クロウ知らない? じゃあ今から知ろうぜ!」
「おぉ頼もしいぜ! お前に任せたわ」
まさかこの「お前に任せたわ」を後悔することになろうとは。
この時のクロウは、知る由もなかったのである――……。
いらっしゃいと弾けるような声におうと返し、空いてる席に座る。メニューは五つ。多過ぎる数ではないが、ラーメン初体験のクロウからすれば、トッピングも合わせて結構な数だ。
「種類が多くて悩むな。オススメ教えてくれや、りゅうこ」
「りゅうこさんはな~~~そうだな~~~~」
「……」
「……ん、んん~~~
……………」
「……」
凄ェ考えてくれてンな。なんてクロウがちょっと思った時だった。
「全部でいいか? 全部でいいか!」
「……」
クロウはお前に任せたわと言った数分前の自分に「悪いコト言わねェ、止めておけ」と伝えたくなったが、残念ながら過去に戻る術はない。そうなると今出来ることは軌道修正のみになるのだが。
「……おい、りゅうこ。全部ってまさかこの量を? 嘘だろオイ」
「え? ああトッピング? そりゃあ全部増し増しってヤツがおすすめだぜ!」
「オススメー!!」
もてなし衝動と全部増し増し発言への喜びで、ドドメキョンシーまでりゅうこに援護射撃をし始めた。ちょっと話つけるまで待て。クロウの真剣な目にドドメキョンシーがぴゃっと引っ込んだ。
このままりゅうこに任せるのも危険だ。フルで働く第六感を頼りに、クロウはまず“全部”を無しにして、お品書きと見つめ合う。
「……俺は醤油味にしとくぜ。ゆで玉子は二つ」
「ハーイッ!!」
――ふう、これで危険は去った。
しかし、安堵して一息ついたクロウの目にとある単語が入ってくる。
(「この“バリカタ”って何だ?」)
それをそのまま訊ねたら、バリカタの説明に全部増し増しを強制合体させられる気がした為、クロウはバリカタの四文字からサッと目を外した。幸い、りゅうこもドドメキョンシーもそれに気付いておらず――。
「おっまたせー!!」
「こいつが『らぁめん』か……!」
「そうそう! さ、クロウも食べようぜ!」
ついに到来した初らぁめんにクロウは目を輝かせた。しかし初らぁめんだ。りゅうこの食べ方を見るかと隣を見て――、
「いただきま~~~~───え? なんだよ何か変か?」
今まさにラーメンを味わおうとしていたその食べ方を見て、驚きを隠せなかった。当然気付いたりゅうこにきょとりとされ、素早く何でもない風を装う。食べるのに使う割り箸を――よし、上手く割れた。
「良い香りだな。いただきます」
「……あっ! わかったぞクロウ! 一口ずつ食べたいんだな!」
「違……! どう食べるのか見てただけ……」
「全くしょうがないな~~~~はい、あ~~~ん」
「って話聞けやこのアマ!」
「やぁだ~仲良し~~~!」
「そこの外野は黙ってろ!」
あっはっはと爽快な笑みを浮かべるりゅうこと、キャッキャとはしゃぐドドメキョンシー。後者はすぐに引っ込んだが、りゅうこ――からの“あーん”、には大人しく口を開けることにして――更に一つ上の衝撃に包まれ、目を瞠る。
「どうだ? 美味いだろう!」
「そっちの味も美味ェな!」
「これが味噌ラーメンってやつだ!」
となると醤油ラーメンは? クロウは自分のラーメン鉢に箸を入れ、ぷりぷりとした縮れ麺を摘み上げる。それをそのまま口に入れたのだが――なぜかりゅうこに見つめられ、怪訝な顔をすることとなった。
「クロウ、ひょっとして啜るの苦手か?」
「?」
「こうだぞこう! ずぞぞ~~~!って!」
「ずぞぞ……? こ、こうか……?」
「そうそう! ラーメンはそうやって食べるんだ! 音を立てるのは行儀悪いってやつもいるけどな、まあここにはいないからずぞぞぞ~って食べろ食べろ!」
そういうこともあるのか。食べ方も含めラーメンの奥深さを感じるクロウの耳に、りゅうこが立てるそれはそれは豪快なずぞぞ~~~~! が届くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
…マジでラーメン食うだけでいいのか?
まぁ、別に良いんだけど…この戦争、今までと毛色違い過ぎるだろ
そんじゃあ俺は…味噌かな 味が濃いのが好きなんだ
量が食えるのかって?問題無しだ
何せ甲状腺サイバネの影響で代謝がとにかくヤバくてね
食ったらドンドン消費されちまう
くぁーっ!やっぱガーリックごりごりに効いた濃い目のスープは最高だな!中太麺との相性も素晴らしいし、何よりも野菜を食うなら味噌が一番美味い!日本人じゃあねえけど、なんか肌に合う気がする
そしてこのチャーチューもまたいいんだ…俺は厚い肉塊みたいな感じのが好きでね
食べ応えも最高だし、クオリティたけぇ…
これだけで勝てるとか、楽な仕事が過ぎるだろ
暖簾に書かれている文字を確認する。
(「……『ラーメン』、ってあるな」)
もう一度見る。
――本当に『ラーメン』だ。
(「……マジでラーメン食うだけでいいのか? まぁ、別に良いんだけど……」)
ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は溜息混じりに暖簾をくぐった。わあいらっしゃーい、と元気な声をかけてきた店主は自分より年下に見える少女だったが、紛れもなくオブリビオンである。
つまり、今この瞬間も幽世とUDCアースの存亡をかけた戦いが繰り広げられているという証なのだが、その証が頭痛の種になって頭の中に入り込んできそうだった。止めろ入ってくるな。
(「……この戦争、今までと毛色違い過ぎるだろ」)
何だよラーメン食い続ければ勝ちって。ついこの間も、焼きそばとお好み焼きとチキンステーキを、じゅうじゅうの鉄板焼で味わったばかりで――待てよこれ楽勝じゃねえか?
「あっ、決まった!? 決まった!?」
「……ああ。俺は……味噌かな。味が濃いのが好きなんだ」
「いいよね味噌! 長年研究して見付けた特製ブレンドだから楽しみにしててよ!!」
「へえ」
「あ、でもあなたいっぱい食べられる? 難しかったら時間を置いてお腹休めつつ未来永劫食べ放題でもいいと思うなあ!!」
「問題なしだ」
何だ未来永劫って。しかし実際そうなっても自分なら問題なく行けそうで、ヴィクティムはくつりと笑う。
「甲状腺サイバネの影響で代謝がとにかくヤバくてね。食ったらドンドン消費されちまう」
「ハハーン、ナルホドネー!」
「わかってねぇだろ。……まあそういうこった。遠慮はいらねぇよ」
――とニヒルに笑ってから数分後。
「くぁーっ! やっぱガーリックごりごりに効いた濃い目のスープは最高だな!」
「でっしょー!?」
「中太麺との相性も素晴らしいし、何よりも野菜を食うなら味噌が一番美味い!」
「わかるーー!! あっチャーシュー足す!?」
「頼む」
濃い目甘辛スープと麺と山盛りの野菜。それら全てをガッ! と食らうのがとにかく美味くてとにかく良い。味噌といえば日本人だが、なぜだか日本人ではない自分でも肌に合う気がすることも一因だろうか。
そしてもう一つ。箸で足されたばかりのチャーシューを摘み上げる。
「このチャーチューもまたいいんだ……俺は厚い肉塊みたいな感じのが好きでね。食べ応えも最高だし、クオリティたけぇ……」
これを自分で作れたら最高にキマりそうだ。ヴィクティムは味噌ラーメンとチャーシューを一緒に頬張り――す、と視界に入ったシルエットに警戒を浮かべる。
「……」
「……」
それはチャーシューだった。トングで掴まれた、チャーシューの塊だ。
ああ、確かについさっき厚い肉塊みたいなとは言った。しかし規模がおかしい。食材的な肉塊レベルを遥かに凌駕している。何でチャーシュー提供するのに、両手にトング持ってるんだ。
戻せとヴィクティムが容赦なく示すと、店主はちょっと惜しそうにしながら別の意味で規格外なチャーシューを引っ込めた。
(「……くそ、冷や汗かいたぜ」)
危なかった、もうちょっとで顎が重大な危機を迎えるところだった。
いやしかし。
(「これだけで勝てるとか、楽な仕事が過ぎるだろ」)
あー、美味い!! 最高だ!!
大成功
🔵🔵🔵
鹿忍・由紀
ラーメン食べに来たよ
安定の醤油にしとこうか
懐かしさを感じる昔ながらの鶏ガラスープ
って言われても俺は昔を知らないんだけど
美味いってことは俺にも分かるよ
素早い配膳に、いただきます
うん、これこれ
醤油の香りに食欲がくすぐられる
すぐに口へ運べばすごく熱くて
何度か息を吹きかけてからいざ一口目
やっぱり美味い
多くを語らず箸を進める
ラーメンには真剣に向き合わなくちゃね
少し食べ進めてから胡椒をプラス
ちょっとくしゃみが出そうになるが難点
なんとか耐えてさあ続きだ
元々充分美味しいのに
味変で二度美味しいなんてすごいよね
スープも味わって、ホッとひと息
かなり満足感があるんだけど
沢山食べた方が良いわけか
それなら次は何にしようか
「ラーメン食べに来たよ」
「わあ、いらっしゃーい! そこ、そこ座って~! そんでもって何ラーメンにする? 全部にする? それとも全部?」
「醤油一つ」
何か今、『答えは“イエス”か“はい”だ』みたいなこと言われた気が
鹿忍・由紀(余計者・f05760)はゆるりと視線を動かし、まあいいやと座る。
選んだ醤油ラーメンは安定オブ安定。スープは懐かしさを感じる昔ながらの鶏ガラスープ――と言われても、自分はその昔を知らないのだけれど。
静かに他の席を見る。出ているラーメンとそれを食べている他の猟兵の顔や空気で、美味い、ということは自分でもわかった。
想像以上に素早い配膳にどうもとだけ伝えたら、割り箸をパキリ。
いただきます、と呟いて、食べる為に顔を傾けたのはほんの少しだ。それだけで醤油の香りが顔を撫でて鼻腔を通り、一瞬で食欲がくすぐられる。
(「うん、これこれ」)
すぐに麺を適当に摘んで口へ運ぼうとしたが、出来たての為、当然凄く熱い。
――待ったをかけられたような気分だ。
しかし舌を火傷するよりはいい。由紀は何度か息を吹きかけ、ようやく一口目に辿り着いた。
(「やっぱり美味い」)
感想とか。批評っぽいこととか。――そういうものは、別に、いい。
由紀は多くを語らず箸を進めた。ラーメンを一口分摘み上げては程よく冷まし、ず、ずずず、と啜っていく。味と香りを楽しんで、咀嚼する。ラーメンには真剣に向き合わなくては。
(「そろそろ胡椒足そうかな」)
パキッと蓋を起こし、パッパッと振る。ふわ、ふわっ。胡椒は確かに醤油ラーメンに乗っているのに、なぜだかちょっとくしゃみが出そうになるのが難点――むずっ。
(「あ、やばい」)
だが由紀はそれを耐えた。耐えきった。
唯一の難点をなんとか耐え、さあ、醤油ラーメンの続きを!
啜った一口に加わる胡椒の香り。舌をほのかに刺激される心地良さ。調味料を足さなくとも、出された時点のもので充分美味しい。それが調味料やトッピングによる味変で二度美味しいなんて、称賛する以外何があるだろう?
運が悪いとうっかり胡椒の粒を噛んでしまって、“ほのか”どころかダイレクトに味を感じてしまうなんてこともあるけれど、ラーメンに胡椒。これは鉄板だ。
スープも静かに味わい終え、由紀はホッとひと息ついた。
「ごちそうさま」
「はぁーい。次は何ラーメンにする!?」
「……うーん」
正直かなり満足感があるのだけど、確か今回は沢山食べた方が良いという話だった筈。
由紀の目が緩やかにお品書きをなぞっていく。
「次は――」
* * *
醤油。味噌。塩。豚骨。旨辛。
チャーシュー。半熟茹で卵。葱。
炒めた野菜。歯応えバッチリ木耳。
セルフで足してね★な調味料各種。他色々。
めいっぱい用意した筈の材料はいつの間にか底が見えてた。
ラーメン鉢は何回洗ったかな? わかんないけど、きっと新記録。
「あーでも記念に数えればよかったあ!」
え? 何で、って?
だって全部終わって営業再開したら、また新記録出たかもしれないでしょ!
ねえねえ、また営業始めたら食べに来てね!
あたし、材料むちゃくちゃ用意しとくから♪
大成功
🔵🔵🔵