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ダイエットするなら回るしかねぇ。ゲロイン再び

作者：にゃあら

●キマイラフューチャーは今日も大SAN事
　某所。何かとてもイケてる建築物。
「なあ。知ってるか。この建物の野菜はダイエットに向いているらしいぞ」
「きゃああ！　素敵。生で齧れば好いのね」
　キラキラと目を輝かせる一般人が男性の言葉に頷いた。
　そう。キマイラフューチャーでは最近食べ過ぎの人々が多く、健康体を維持する為にダイエットが流行しているのだ。
「僕と一緒にあそこの建物――」
　男性が女性を口説こうとした瞬間、大SAN事は幕を開けた。
「其処の貴様等。痩せるならばもっと良い方法が有るぜ！」
　じゃらじゃらとモザイクを撒き散らす怪人が顔色悪く登場したのだ。
「回転椅子こそがダイエットに最良！　楽しく遊んで食欲減退！」
　その日からキマイラフューチャーはモザイクの波に呑まれたのだ。

●隣人ですよ！
「はいはい。はいはいはい！！！　今日は隣・人（Yhoundeh・f13161）ちゃんと遊びましょうよ。きっと楽しいですよ！　あ。依頼内容ですね。ええっと」
　椅子に座って高速回転するグリモア猟兵。資料を捲ろうと腕を伸ばすが掴める筈もなく、仕方がないので他の猟兵が手に取った。
「キマイラフューチャーで七色な事件が発生しました。怪人が奇妙なダイエット方法を流行させてモザイクの海を造ろうと企てて在るのです。衛生上よくないのでさっさと殺してしまいましょう。あ。私は怪人ではありません。決して。はい」
　回転が止まる――嫌な予感を背負いながら猟兵達は現場に向かうだろう。
　グリモアがモザイクに塗れて。

第1章 冒険 『エセ科学を元に押しを強引に売る怪人を阻止』

POW   :    気合と勢いを込めた言い方で強引に論破 SPD   :    兎に角、相手に疑問を挟ませず只管言葉を重ねて論破 WIZ   :    理路整然と、しっかりとした理屈で分かり易く相手に説明 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●これはひどい
　きゃあきゃあ叫ぶ女性達が怪人に毒されモザイクをぶち撒ける。
　この世の地獄とは此れの事か。
　回転椅子ダイエットを押し付ける怪人の高笑いが響いた。
　SAN劇を止める為に猟兵達は動き出す。


モザイクの海を掻き分けて怪人を狩るのは誰だって嫌だ。キマイラフューチャーの民――特に女性――が二度、悪質な『ただいま映像が乱れております』に包まれない為にも『猟兵』の知恵が必要不可欠なのだ。真っ先に召喚された水貝・雁之助（おにぎり大将放浪記・f06042）は美味しいおにぎりを食す気力も無く、心配そうな表情で諭す――そもそも、嘔吐って健康に悪いから起きる現象だからね？
「何ですって！　怪人さんは健康的な、絶対に太らないダイエッtrrrrr！」
　椅子から降りて窶れた女子高生がシャーマンズゴーストの足元で※※※※。背中をさする掌は大きくて優しいものだ。
「下手すると体が危機感を感じて危険を乗り越えるエネルギーを求めて脂肪をより吸収し易くなったりしない？」
　無理なリバースはリバウンドの種。おにぎり何個分のエネルギーが蓄えられるのだろうか。それを聞いた数人が壁をつたって這（吐）う這（吐）うと。
「女の子に言うのもアレだけど嘔吐してると臭いも酷いし見た目的にも酷いから止めた方が・・・親御さんが見たら泣くよ？」
　ママに泣かれるのはイヤだわ――一人が力なく呟いて、母親の待つ家に足を向けた。水貝の言葉は父親のようで、反抗的な態度を示そうにも『温かい』瞳を拒める筈がなく。
「地道な努力が一番なんだなー」
　そもそもキマイラフューチャーの民は猟兵を英雄と認識している。お茶の間の子供がテレビから離れて明るくするように、いい返事が聞こえてきた。

成功 🔵​🔵​🔴​

一方、回転するのは女性だけでは在らず。中年男性や悩める青年達が広場でぐるんぐるんと、一種の地獄のように――ラザロ・マリーノ（ドラゴニアンのバーバリアン・f10809）は現場に着いたと同時、彼等に向けて熱い思いを叫んだ。

筋トレは至善！
筋トレは至高！
筋トレは人生を変える！
筋トレは世界を救う！
レッツトレーニングナウ！

　ぽかんとした者も在るだろう。されど高速での回転が彼等の表情を塗り潰している。モザイクによる妨害よりも線と化した勢いが厄介なのだ。兎角。素晴らしいマッスルを魅せる為にドラゴニアンは上半身を晒した――此れに見惚れる数名は筋肉好きに違いない。凸とした腕に支えられ、凹と浮いたバーベル。ぱちぱちと響く拍手は説得が成功した証拠だろう。
「筋トレの効果はダイエットだけじゃない。血行が良くなる、うつ症状の緩和、ポジティブで幸福な精神状態になれる等いいこと尽くめだ！」
　うおおおおおおお！！！
　いいねの数が増えていく。キマイラフューチャーで筋肉こそが至高、ダイエットするならばバーベル上げ。などの動画流行の切っ掛けに成るだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

いや、ぐるぐるしてるだけでやせられる訳ないだろ――心の底から溜息を吐いた空見・彼方（ゾンビアタッカー・f13603）は喧騒の渦を眺めていた。彼等の思考回路が理解出来ず頭を抱えていると。唐突に声が響き渡る。隣に人が在るのではない。多重人格者たる彼の『彼女』空白の楽しそうな言葉だ――マジでそれやるの？　俺死ぬよ？
　跳ねるような彼女と足が重い彼は回転キマイラの群れ、中央に陣取った。どかり。空き椅子に座った瞬間、新たなる独楽が誕生した――ぎゅるるるるるるるる――効果音で表現するならば『こう』だ。高速を越えて音速とも呼べる暴風の雄叫び。衝撃波を纏った『それ』は遥か彼方に吹っ飛ばされないのが不思議なもので。
　脳味噌が撹拌されると世界の中心が爆ぜる。モザイクの破裂は喜劇的な死を演出……否。空を見上げても彼は居ない。実際に死んだのだ。
「大変だ！　回ってたやつが爆散したぞ！」
　怪人か何かが椅子に仕掛けた花火だろう。何だ花火か。なら回っても大丈夫だな。ほら。今叫んだのさっきの奴と同じ声だし――如何やら作戦は失敗したようだ。何処かで怪人が笑みを浮かべているような気がした。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

「やっぱり怪人の言葉に嘘偽りなしだな。俺の彼女がもっと可愛くなった」
「あら。本当に。嬉しいわね。私も頑張って回ったおろろろろろ」
「おう。今日も可愛いぞ。特にこのモザイクが好い味だしてるぜ」
「頭が痛くて世界が回るけど、今日も狂ったようにダイエットするわよ」
「ああ。怪人さんの伝えたソウル、俺達が受け継がねぇとな」
「あはははははははははははは」
「あっはっはっはっはっはっは」
「ところで其処に在るのは何だい」
「ええ。なんでしょうね」
「たるですって。転がして遊ぶのかしら」
「たるがいたんだよ。だったら転がして遊ぶほかないさ」
「たるってなんだい」「たるですよ」
「ねこはいないんだってさ」「なんでねこがいるんだい」
「ねえ。たるがまわりだしたわ」「まわりだしたな」
「まわりだしたたる。たーるってこわいわね」
「そういわれるとなんだかきぶんがわるくなってきたぜ」
「ねこまでまわりだしたぞ」「どうすればいいのよ」
「まわされたんだと」
「ああ。そうだ。たるにもざいくだせばいいんじゃぁないか」
「たるにはいてはいけないわ」
「たるはたるだからな。そのとおりだ」

「このことをみんなにつたえないと」

　タールダール・ダルタン（樽詰めタルタルソースタール風味・f13756）です。
　たるはいます。ぐるぐる。ぐるぐる。

成功 🔵​🔵​🔴​

汚染と汚物に塗れた世界にレイチェル・ケイトリン（心の力・f09500）は語り掛ける。地獄に棲む火車も真っ蒼に成る、回転のモザイクを止める為に、彼女も首を傾げるのだ。鏡の自分や体重計の針も重要だが、キマイラの民は最も大切な事柄を忘れている――なんのためにこんなにがんばってるのかな？
　さあ。此処からはちょっとしたおさらいだ。用意するのは椅子や遊具。恥ずかしがる心は棄てるんだ。きっと君達のダイエットも成功する。HAHAHA――おもいえがいてください――怪人の声が消失する。流れる言の葉は念動力で、特殊機器の成せる上塗りだ。レイチェルの思いは真剣極まりなく、偶像（アイドル）好きの民たちが見逃す筈もない――すきな人と寄り添い、想いをつたえ、そしてキスする。いま、あなたはそれができますか？
　できる筈がない。モザイクでも臭いは消せず、ダイエットに盲目と化した男女は無意識的に遠退けるものだ。複数のカップル。片思いの人々が青色悪くハッと成る――目にみえなくてもたいせつなものはあるの――確かにそうだ。乱れた視界でも観る事の不可能な領域。正常でも難しい、されど近しい温かな感情――すこやかなあなたこそが最高のプレゼントです。

　――あなたとあなたのだいすきなひとのために。

　画面の前で泣きじゃくる。いいねの嵐が止まらない。
　尊い……好き。私もよ。
　怪人の存在は拭い取られた、涙のようで。

成功 🔵​🔵​🔴​

ぽちりと押した配信動画はキマイラの民に愛されるもので、ジィン・カデシュ（歯車と蒸気と黒猫・f14713）の教えはガチとの噂だ。本来は相当なマニアだけの視聴者も『今回』は首を傾げるに違いない。画面の前でモザイクを撒き散らす彼等には視るのも困難だが、声だけでも理解は可能だろう――えーっとカデシュのメカニック講座―・・の番外変――気の抜けたような。呆れたような声は常日頃、語る男のそれではなく。寧ろ、彼等の気を引いた――今回はメディカル講座になるっす、なんか最近変な噂を聞いたんでそのことについてっすね――変な噂って何だ？　ぐるぐると廻るキマイラの民は『それ』とも判らず首を傾げる。
　ゲロ吐いてダイエットってやつっす、これやっちゃダメっス、結果から言えば歯がなくなるっす――衝撃を受けるキマイラ数名。歯が無ければ食事も出来ず、こんこんの楽しみも早々に失ってしまう。画面にブチ撒けられるモザイクが悲しそうに――歯はエナメル質と象牙質っていうので出来ていて、人体の中で最も堅いんっす、でも酸には弱いっす、具体的に言うと胃酸で簡単に溶けるっす、ゲロ吐くと口の中酸っぱく成るっすよね、アレが胃酸っス、特に腹に何も入ってない状態で吐くと覿面に歯が解けるっす。
　溶けた。酸性の液体に落ちた、動物性の歯がどろどろと嘲笑うよう。画面の前では冷や汗の雨。この日、奇怪なダイエットを行う『民』は居なくなった。

　――体系スマートでも歯がないふがふがじゃイケてないっすよ。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 集団戦 『スロットマシン怪人』

POW   :    プレジャー・プリーズ 自身の【刹那的な楽しみ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。 SPD   :    スリーセブン・スラッシャー 【頭部のスロットをフル回転しての連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。 WIZ   :    ロスト・ロケット 自身の装備武器に【遺失技術製のロケットエンジン】を搭載し、破壊力を増加する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●またおまえか
　じゃららららららららら。
　モザイクダイエットはとってもざんしん！
　だから流行らねばならない！
　でもでも。
　なんか誰かが邪魔したらしいから！
　じゃらららららららららら。
　そんなものははいじょぉろろろろろろｒ！！！


うん、何というかキュマフューの怪人の安定したアレっぷりは或る意味安心するかなあ――民の奇行は止められたが怪人どもの混迷は止まらない。水貝は首を傾げて疑問符を浮かべ、壊すべきモザイクマシンを視認する。虹色の波とダンスする前に彼等の術を利用せよ。如何なる存在でもオブリビオンはオブリビオン。旧きものには忌避が不可欠。水貝の言葉を借りるならば、まあ其れは其れとして倒すけど。
　遺失技術のロケットが椅子に付属し回転加速。もはやマシンを阻むものは無く、ぐるぐる唸る――唸るのは彼等ではない。水貝が召喚した悉平太郎。即ち、猿神殺しの柴犬霊だ。数多に置かれた回転椅子の上を跳ねたり下潜ったり。モザイクマシンのおろろろも愛すべきものに留められる。
　刹那的な快楽は永劫に続く苦しみと化す。悉平太郎と共に椅子へと突撃し、モザイクマシンを突き飛ばす。無限に回る虹色は黄金よりも輝いて、数体のマシンが故障した。静止知らずの柴犬とUDCは見事な連携でSAN事の海を搔き乱す――何というか他の世界に比べれば凄く平和だから良い事じゃないんだけど安心しちゃうよねえ。

成功 🔵​🔵​🔴​

――回転して三半規管を狂わせる事で破壊力を増加。ざんしん！

　改めて。皆の気持ちを言葉に籠めて、最も死から遠い男が叫ぶ――何が斬新だ！　ふざけるなぁ！！　おかげで俺は死んだわ！　いや死ぬわ！　畜生！　もっと普通のやり方考えろよぉッ！　痛いもんは痛いんだよ――回転過多で爆発四散した多重人格者の心は重い。ふわふわと揺れる人形が、呆れたように刃を飛ばした。収納空間から放出された武装が宙を踊り、構え。
　突撃在るのみ。回転には回転をぶつけて槍を振る。轢き壊したら刺し壊す。刺し壊したら虹色塗れ。塗れて窒息数秒前に大爆発。
　自殺行為も無謀の所業も彼等にとっては喜劇の一種だ。捨て身よりも時間稼ぎに重きを置いた暴力がモザイクの海を泳ぎ始める――巻き込まれないコレ？　大丈夫？　ごっふ――死んでも死なない補正とは凄まじいものだ。新たなる空見が出現する。空白曰く、復活するから当っても大丈夫。

――死んでから強くなるオマエもざんしん！

成功 🔵​🔵​🔴​

椅子を回転させてモザイクを吐くダイエット。リールを回転させてコインを吐くスロットマシン――素晴らしい筋肉を魅せ付けた竜派の男はじゃらじやらおろろろろ喧しいマシンに視線を向ける。溜息を吐くほどに詰まらない――ダジャレみたいな理由で流行らせようとしてるわけじゃないだろうな。
　――いたって真剣だからざんしん！
　手遅れだ。早いとこ倒さねばキマイラフューチャーが文字通りモザイクフューチャーと化してしまう。解き放たれたのは勇ましい姿。常の如く頑健な肉体は隆々と、生える牙と角の荒々しさ。宙を覆い尽くさんと広げられた翼が、奇怪な機械どもを睨み憑ける。されど男は飛翔せずに対象を撲るべく足を使う。不意の高速にマシンは対応出来ず爆破された。地を裂くような咆哮が修羅の業を叩き込み――機械は繋がれた。竜と呼ばれる暴力に繋がったのだ。超常的な力で『羂索』が扱われる。浮き上がったマシンが竜巻に巻き込まれたが如く振り回され――リールばっかり回してねえで、本体も回転しろ――遠心力に苛まれたマシンが満を持して虹色の雨。動画映えするには『デフォルメ』以外にないだろう。天から落としてフィニッシュを決める。片付ける為の気力。生命すらも嘔吐して。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーム汚染は止まらない。数多のキマイラがたるの真似して遊びだす。マシンを囲んで――ぐるぐるぐるぐるたるです――永久機関とも思考可能な樽の回転。ブラックタールのたるは虹色には染まらず無限の遊具を晒して魅せる――ぐるぐるぐるぐるぐるぐるよろしくおねぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるがいします――見ている此方が吐きそうだが黒の戯れは留まらない。ざんしんと叫んでいたマシンも奇怪を覗いて混乱の渦――ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるたるはいます――たるはいるらしい。マシンの一個体が囚われてたるの中に這入り込む――ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるとまりませんぐるぐるぐるぐるだれかとめて――止めてほしかったのだろうか。たるのタールは楽しそうだが如何だろう。マシンが次々と巻き込まれ、摩擦皆無のすぃぃぃぃぃ――ぐるぐるぐるぐるぐるぐるきいてますかぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる――聞き取れる筈がない。数人のキマイラとマシンがモザイクを垂れ流す。

成功 🔵​🔵​🔴​

あらまあすごいスロット。きっとぶっ壊せばいっぱいお金が出るのね――ハイテンションだが静かな足取り。出るのは金銭ではなくモザイクだが、ライアン・ウィルソン（ノイジーマシーナリー・f02049）は常日頃の狂気ではしゃぎ始める。リバースする機体の背後へ接近し、斬新ならぬ斬撃を浴びせる。否。頑丈な得物で獲物を叩き壊す。擬音で表現するならばズッバズバのぼっごぼご――先制攻撃は敵のモザイクを赦さず連撃と化す。目にも止まらぬ。敵は目玉も回せないが、兎角、溜め込まれた力ば爆発し――動くんじゃねえぞぉ…動くんじゃねえぞぉ――動く動くスロットマシンは回転する。されど場から動く事は無く、サンドバッグの七色無限（メダル）放出。最後に放つは閃く一撃。スロットの脳天から撒き散らす、酷く汚らしいもの。
　肉なり焼くなり好きにしていいならばハイパー美少女美少年にはゲロイン属性も付与してあげよう。メタの領域に足を突っ込めるならば『理解』出来るのだろう――これが一部の人に人気なゲロインってやつなのね！　デートに誘うなりしたらいいわ！
　スロットの回転に巻き込まれた猟兵は老若男女問わず目を回してしまうのだろう。さあ。これはひどいと呟くが好い――壊しちゃったのはアタシの三半規管ってことね！　サイボーグなのに！　お金が汚れちゃったらどうするのよ！

成功 🔵​🔵​🔴​

遊馬・美湖（パワフルギャル・f12819）が視た景色は🌈に包まれた世界で☆彡すらも逃れるような名状し難いもので在った――ミコ、酔った事ないんだよね。だからリーバスとかもしたことないし――斬新斬新鳴き続けるマシンが絶句した。此れではダイエットもモザイクも無意味ではないか。まったく斬新じゃぁない！！！　一機が吐けば二機三機と連なるブーイング――だいいちミコのこのスタイル見てよ、完璧ボディ！

　ダイエットなんて必要ないっしょ。

　正しい。里を飛び出し理、蹴破った羅刹でも『肉体』だけは屈強の極み。自由奔放な生活を維持するにはキマイラ世界で最も難しい事だ。意外と彼女は『田舎』の伝えを守っているのかもしれない。戒律は嫌でも美だけは取り入れる――てかなんかコイン出てるだけなのにきったな――重ねて正しい。お客様の期待に応えるのがスロットなのに、如何してモザイク塗れなのか。理解し難い。理解したくない。もっと言えばそういうメンドーなのパス☆
　ぶっ壊してぶっ倒す。行きついた答えは単純明快で、やはり鬼の腕――振り回されるのは数珠か椅子かマシンの三半規管？　か。全部纏めて羅刹系☆彡女子の旋風に巻き込まれ、あっという間に🌈が吹き飛ぶ。キラーン🌟自分と椅子と手元の武器、数多の回転力がギャルを最強にしたのだ！

　こんな汚いダイエット、流行るわけないじゃん超BM☆(バカ丸出し)

　モザイクマシンは宙の彼方で、やっぱり斬新じゃないよね☟と爆発四散した。

成功 🔵​🔵​🔴​

第3章 ボス戦 『パスト・フォーサイス』

POW   :    来い！俺様の手下どもっ！！質より量で押し潰せ！！ 【相手している猟兵の10倍の数の雑魚キャラ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。 SPD   :    おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ！！！ 【武器を使った怒涛の連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。 WIZ   :    俺様は逃げるから、後は任せたぞ！俺様ちゃん人形！ 自身が戦闘で瀕死になると【逃げる時間稼ぎ用の巨大パスト君ぬいぐるみ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　あっはっはっはっはっはっは！！！！
　いやぁーバカだねぇ。本当に回ってゲロったらダイエットになると思っていたのか！　俺様の口車も捨てたもんじゃぁねぇな！！！
　おう。俺様が元凶さ。
　何せ楽しいだろう。俺様の言葉一つで手下どもが動き、手下どものモザイクでキマイラ連中がおろろろろだとよ！　まったく愉快な遊びじゃあねぇか！
　せっかくだから俺様と遊んで、お前らもダイエットしたらどうだ！
　やーいやーい！！！

　君達はこのクソガキを普通に懲らしめてもいいし。
　自業自得、因果応報という言葉を教えてやってもいい。


やーいやー……おい。ちょっと。これは何――度が過ぎた悪戯っ子の視線に這入ったのは奇怪奇天烈摩訶不思議理解不可能以下省略の光景で在った。ころころと転がる物体は回転椅子でもコーヒーカップでも在らず、ねちょりと音を立てた――たるです。ぐるぐる。よろしくおねがいします――たーるの詰まったたるがぐるんぐるんと横回転に縦回転。カオスに垂れた漆黒の不定が、汚染の音色を奏でるのみ。言葉は柔らかく伸び縮み、もはやたーるを止める術など無い。止めるものは存在しない――たるはまわりつづけます。ぐるぐる。ぐるぐる――視ているだけで酔いそうだが、中身のたーるは知らぬ存ぜず。目玉も果たして本物か。ブラックタールの身体は誰にも理解出来ない物質――まわってないひとがいます。ぐるぐる。ひとりだけなかまはずれはかわいそうです――伸びる闇黒の腕。呆然と立ち尽くすクソガキは容易く絡まれたるへと誘われ。悪態吐く暇も隙も与えられず、ダイエット地獄へと突き落とされる――たるをまわします。ぐるぐる。これできみもなかまいり。

　あ、あああああああああああああ！？

　自らの陥った状況に漸く気が付いたのか。オブリビオンの悲鳴が木霊する。現れて早々にゲロイン一直線のクソガキは男なのか女なのか。何方にせよ――ところで、どうしてたるはまわっているのでしょう。ぐるぐる。かんがえてもよくわかりません――たーるのたるは頑丈で、幾等暴れても壊れない。考えるのを止めたたーるが、飽きるまでぐるぐる続く……停止。
　這い這い樽から逃れたクソガキ。顔色を青、紫、白と愉快なほどに変化させ。因果応報という言葉を思い出すのだろう。だが。やはり其処は怪人だ。数分も経たずに回復するだろう――な。な。何が起こった？　あっ――摩擦抵抗が減っていた。ぐるんぐるんと笑うように回るたるの横、楽しそうな再度の悲鳴が滑るように過ぎ去った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゲロイン化する前に脱出した怪人はぜぇはぁと違う猟兵を視る。歪む輪郭は竜の筋肉、屈強な戦士の貌――ただの悪ふざけでこんなに酷い…酷い――クソガキの顔色を何度も何度も確認し、吐いた言葉を脳内で繰り返す。果たして子供の成した事柄は本当に残酷だったのか――結論、そんなに酷くもねえか。絵面は最悪だが。
　町中モザイクまみれのまま放っておくわけにもいかねえな――動きの鈍ったオブリビオンに慈悲など不要。召喚すべきは蹂躙の雄叫びで、誇り高きドラゴニアンの『在り方』として相応しいものだ。出現したのは二十九体の恐ろしき生命。過去、地球を――キマイラフューチャーでは不明だが――支配していた強大なる群れ。恐竜を称される存在の再興。最高と呼ぶべき自然の力が現に顕現し――おおお！！！　かっけぇな！　俺様の乗り物にしてや――興奮気味のガキが台詞を終えるか終えないか、追い始めた恐竜が轢くか跳ねるか。否。彼等は走り去るのみ。
　せっかくだからもうちょっと回転してもらおうか――突撃の勢いで喜劇的な『もの』が撮れた。狂った独楽のように回転するクソガキ。たるのぐるぐるに巻き込まれた際と違って悲鳴も聞こえない――そういや、コレって誰が掃除するんだろうな…。

　ようやく停止した怪人は、遂にエチケット袋を取り出した。
　えれえれえれえれ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

お……俺様はまだ諦めねぇ。ていうか。俺様は肉体的にも精神的にも健康だし、ダイエットなんて――因果応報。自らを地獄に叩き墜とすには誰かを叩き墜とすのが手っ取り早い。今回の旧人類文化はおそらく怪人が考えた戯言なのだろう。袋をポイ捨てしながらガキは次の猟兵へと貌を向ける――西部劇みたいに縄の先にくくりつけて引きずるとか考えたけど――ぞくり。ガキの背中に嫌な汗が垂れる。この感覚は何だろうか。自身の生命の危機。死の予感。否。男の子（ガキ）が覚えたのは親に叱られる予感。おそろしいゲンコツが飛んでくる気配――子供が真似したら後遺症が起こりかねないんだし――ぼこりと沸き立つ名状し難い、粘液じみた物体が輪郭を得て足を生やす。がやがやと騒ぎ始める妖どもが『首無し』馬の指揮を貰い。

　いや、実際さあ・・・誤嚥性肺炎起こして後遺症が残る子とか出てきたらどうするつもりじゃ手前ぇ・・・！
人は壊れやすいんじゃぞ！　手前程度で償えるもんじゃなあんじゃっ！

　シャーマンズゴーストの憤慨（ガチギレ）と共に夜行の囁きが始まった――いやちょっと。別に。俺様オブリビオンだから人の生死なんて――どごぉ！　首無し馬が衝突する。何故か其処に生えていた椅子へと怪人すっぽり。地形を利用した『無限』は更なるモザイクを齎すだろう。兵器の使い方としては微妙だがクソガキを仕置きするには丁度良い。酔いだけに――ぶつかり。融けて。消滅する。浮き上がるほどに高速回転。何度も何度も何度も何度も、新たなる猟兵に『席』を譲るまで。

成功 🔵​🔵​🔴​

百鬼夜行に衝突されてモザイクどころか魂まで吐き出したクソガキはふわふわと抜ける『それ』を口の中に押し込んだ。されど彼の魂は喜劇的な世界に囚われ、何度も何度も殺されるに違いない――はーん、なるほど、なるほど――今、オブリビオンの目の前（回り過ぎてよくわからないが）に存在する男の如く。依頼で複数の死（オート）を経験して骸の海に還るのだ――おまえが元凶かッ！
　おう。お、おれっさまが元凶だぁ……登場した時の元気は何処へやら。胃袋と食道と脳味噌が瀕死のクソガキは手招きすると同時に自身の『ぬいぐるみ』を召喚する。時間稼ぎの為に用意された巨大モフモフが『死んでも安い』と特攻を仕掛ける。されど死は易くない。滅びに愛された忘却が生命を冒涜して好いものか――はらり。先の戦闘で撒かれた刃が『空白』の周囲で優雅に踊る。彼岸の花と化した刃が衝撃を持って雑魚キャラ一掃に取り掛かる。正しく英雄と悪役無数。ヒーローズアースでも『観る』事が可能だろう。だが、キマイラ達の声援は猟兵と呼ばれる『男』に伝わり――ただし。残念な事柄が一個。モザイク塗れで彼岸花の香りと色が台無しだ。視覚的にも聴覚的にも酷い有様で在る。
　お片づけは完了した。次は本命への突撃だ。這う這うの体で離れようとするクソガキを『見切った』人形が捕獲する――なにすんだ！　やめろ！　俺様は美味しくない――怪力から逃れる術はなく、咀嚼するとは真逆のお約束。君達に問おう。公園でぶら下がっている『タイヤ』で遊んだ事はないか。ふよふよと空で戯れるもの――おい！　またか。またなのか。もう中身ないぞ俺様！
　がしり。車輪部分を掴んだ人形。片手での拘束は高速の合図。放たれた衝撃波がタイヤの片側に中りくるり。ぐるり。ぐる……ぎゃるるるるるるるるるる――覚悟の有無など知らない。まわれ、まわれまわれまわれまわれー。

　モザイクは極少量だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数分間の高速回転から解放された怪人は顔色を紫に染めて目玉を乱す。叫ぶ気力も悪戯を仕掛ける気力も無いようで、迷い込んだ猟兵の姿にも気付かない――ここが次の現場……ってオイ何かおかしい――某グリモア猟兵に嵌められた虻須・志郎（第四の蜘蛛・f00103）はモザイク塗れの現場に到着する。無数に設置された回転椅子を『観て』彼は確信した――畜生ビハインドめ謀ったか――仕方がない。どうしようもない。キマイラフューチャーに召喚された猟兵が『使命』を全うせねば英雄の『いいね』が減るのだ。成すべき事柄はオブリビオンの討伐。神でもオブジェクトでも怪人でも『やること』は変わらないのだ――そこの小さいの、お前が今回の邪神だな。邪神なんだよお前は！　邪神だろお前。生命力置いてけ！！！
　うぇ……は？　誰だお前。見かけない顔だな。歪んで見えるなんて、何処の怪人――ぐるぐるに囚われた邪神に対して邪神を召喚、ターンエンド！　食　べ　て　や　る――女子高生風の邪神、即ち蜘蛛が何かを探し始める。

『貴様またこの世界か。叩けば牛肉が出てくる柱は何処』

　怪人も邪神も虻須も混沌（カオス）の渦に呑み込まれる寸前だが、おそらく此れに巻き込まれた結果だろう。妙に冷静な虻須が邪神を留める。今日叩くべきは『アレ』で貪るべきは『アレ』だ。怪人の服がモザイク気味なのは気の所為に違いない。兎角――『……吐かせて酔わせて踊らせようとは』――さあ。回転椅子のネジが吹き飛んだ。最後まで『綺麗』なのは誰だろうか。第四から放たれた糸はベーゴマで戯れる為に『アレ』を縛り付ける。注がれるのは遅延性の恐怖と即効性の毒物。痺れるような痛みが『アレ』を蝕み、生命の一滴まで吸い尽くす――妾がげろいんだと？　脳髄まで吐き出してみるか、小僧。
　どろりと撹拌されたモザイクが地を濡らす。飛び散る『アレ』が異常な臭いを撒き散らす。漂う七色の空気が誰かに直撃するだろう――良いか。私は好きに描写するぞ――虻須の脳髄を貫く、視得るものは！

●※※※※
　キマイラフューチャーに平和が訪れた。
　猟兵（犠牲）（英雄）に敬礼とエチケット袋を。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年04月03日