大祓百鬼夜行⑬〜最強駄菓子決定戦
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骸魂が取り込んだ、たくさんの付喪神。彼ら一人一人はとても弱いけれど、集団戦術には長けていた。互いを補い合うように集まって、そうして生まれたのは『付喪アーミー』――、妖怪達の軍隊だ。
「戦争だ!」
「イエッサー!」
「今から、この武器庫で装備を整える!」
「イエッサー!」
刃物を扱う事に長けた付喪神達は、砥石の付喪神を呼び出した。だが研ぐのは愛用の柳葉包丁ではない。
「砥石よ。この硬度の剣を研げば、お前もただでは済まないぞ」
「存分にやってくれ。最高硬度を誇るその剣を研ぐ事は我が誉れ……!」
そんな茶番を経て誕生したのが、『すっごく硬いあずきのアイス剣』である。
肉弾戦、特にボクシングが得意な付喪神達は、自身の拳の強化に徹した。
「美しい……、この輝きはどんな宝石にも負けまい」
「ああ、このカット……一体どこの職人が作ったんだろうな」
全ての指に、キラキラキャンディ。『宝石飴指輪のナックル』を装備した彼らはご満悦だ。
射撃に特化した付喪神達は、その特殊な弾丸を前に戦慄する。
「なんて恐ろしい弾だ」
「ああ……、俺達の腕なら猟兵の口をピンポイントで狙うのは容易い。完璧だ」
三分の一というエグい確率で超絶すっぱい。想像するだけで口の中を満たした唾液を飲み込み、『ロシアンルーレットのチューインガム弾』を装填した。
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「はい、どうぞ」
ずいと白い紐の束を差し出され、戦場の説明を聞きに来たはずの猟兵は戸惑いながらも一本引いた。タコ糸の先には、砂糖が塗された大きな水色の飴玉が一つ。当たりだね、とカー・ウォーターメロンは笑った。
「カクリヨにある駄菓子屋さんってね、有事の際の『武器庫』なんだって」
話によれば、戦闘モードに移行したオブリビオンが『駄菓子屋迷宮』に侵入、『駄菓子兵器』で武装してしまったとの事だ。とはいえまだ占拠されたわけではない。こちらも駄菓子屋に突入し、駄菓子兵器で装備を固めて施設を取り返して欲しいとカーは言った。
――いくら巨大化しようと硬度が変わろうと、所詮は駄菓子。自前の武器で戦った方が早いのでは?
そんな猟兵達の疑問に、カーは首を横に振る。
「実はね、駄菓子兵器にはユーベルコードを増幅する力があるんだよ!」
既に敵が駄菓子の武装で強化されている以上、こちらも対抗するのが得策らしい。ちなみに一般的に駄菓子屋で売られている物は全て兵器として存在する為、自分にあった装備が調達可能だ。
「付喪神さん達は倒せば骸魂と妖怪に分離出来るよ。助けてあげてね!」
カーがよろしくね、と頭を下げて。駄菓子屋奪還作戦が開始された。
宮下さつき
とてもゆるい感じですが戦争です。宮下です。
●敵
ユーベルコード使用時の武器が駄菓子兵器になります。
WIZは描写が【痛み】から【強烈な酸味】に変わりますが、判定に影響はありません。
敵はオープニングに書かれた駄菓子兵器しか使いません。
●駄菓子兵器
是非皆様の好きな駄菓子、兵器化したら最強だと思う駄菓子を教えてください。
大体どんな駄菓子兵器でもあるそうなので、ぼくのかんがえたさいきょうのだがしへいきをお待ちしております。
(ストレートな商品名をご記入頂いた場合はマスタリングする事があります)
全シナリオ中で一番カッコよかった駄菓子兵器は「アイテム化」するかも、との事です。
●プレイング
このシナリオでは、以下のプレイングボーナスがあります。
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プレイングボーナス……ユーベルコードを増幅する「駄菓子兵器」で戦う。
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それではよろしくお願い致します。
第1章 集団戦
『付喪アーミー』
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POW : 召喚! 砥石の付喪神トッシー!
【砥石の付喪神の命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【柳葉包丁を研がれた柳葉包丁】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 悶絶必至・超絶デンプシーハリケェーンッ!!
【仲間の声援を受けて強力なボディブロー連打】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 俺は荒野を流離う愛の狩人さ。
【口笛を吹くことで凄腕ガンマンになりきる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【殺傷力はないが痛みで動きを止める連続射撃】で攻撃する。
👑11
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アイン・セラフィナイト
最近の駄菓子は凄いね。相手を倒せる兵器だなんて。最終的に食べられるのかな?
それじゃあボクも何かしらの駄菓子兵器を拝借させてもらおうかな。
敵からの連続射撃は『第六感・早業』で回避してみよう。迷宮先にいる敵の動きを『見切り』、立ち回ってみるよ。
口笛ならボクも負けないよ!口笛じゃなくて、「笛ラムネ空気鉄砲」だけどね!
笛ラムネ空気鉄砲を口に構えてUC発動、シルフの力で風の防壁を鎌鼬のように薄く展開、特大の超強力空気砲を撃ち放つよ!(属性攻撃・全力魔法・範囲攻撃)
……このラムネも食べられるのかな?
兵器を消費(食料)ってなんかもう色々と訳分からない気がするけど……。
(アドリブ等歓迎です)
フィロメーラ・アステール
「おー、色々な武器があるんだな!」
どれにしようか迷っちゃうね!
あ、コレなんかいいんじゃない?
うめぼし3兄弟……!
宇宙的雰囲気をまとったヒーローみたいなのが描いてある!
梅干しエネルギーで戦う3兄弟……なのに4個入り?
え、今はもう3個なの?
まあいいや。
コレを食べれば一時的に凄いパワーが出るっぽい!
なんなら変身・巨大化だってしちゃう!
……大きすぎても邪魔だから人間サイズくらいでいいかな?
そして【薄暮に踊る払暁の恒星】を併せて発動!
駄菓子から得た梅干しエネルギーと、高めた魔法力をミックスさせて相乗効果を得るぞ!
放て必殺のスッパビーム光線!
灼熱の魔法の光なら流石のあずきアイスだって溶かせるはず!
リサ・マーガレット
駄菓子兵器って面白そうね。ちょっと作ってみたから試しにきたよ
僕は、あの占いが書いてあるチョコをベースにしたキャノン砲で戦います
名前?とりあえず、ラッキーチョコキャノンってつけようかな?(名前は変えてもらってよし)
性能は、二重丸なら威力が高くて必中、丸なら、3倍、三角なら普通、バツだと威力が低い代わりにチョコで移動を制限するって感じ。
これを魔法を組み合わせて作るの大変なんだよね。でも結構楽しかった。
スカイステッパーで間合いをとりつつ、ランチャーを乱射しよう
けど、結構バツと二重丸は確率低いから運良く引き当てれれば強いんだけど…。
ミスって被弾しないように気をつけてここを解放するために戦うよ
トリテレイア・ゼロナイン
駄菓子兵器…騎士らしい武装が中々無いのが頭を悩ませますね
風情が無い物はありましたが…
手に持つは『シガレットチョコ爆弾』
正規使用はライターで先端を炙って着火するものらしいが、頭部格納銃器を展開し手に持ったそれをスナイパー射撃、弾丸の擦過熱で着火
少々乱暴ですが…ご容赦を!
怪力でシガレットチョコ爆弾を投擲
UCの効果も乗せた爆発で敵を一網打尽に
…こうした手榴弾も止む無く使う機会はこれまでもありましたが
騎士としては、やはり気持ちの良い物ではありませんね
転がってるあずきアイス剣を拾い
生き残っている敵を真正面から近接戦闘で撃破してゆき
現地調達だとしても、やはりこうした武装のほうが私の性に合っているようです!
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
安くて美味いだけでも一石二鳥なのに兵器にもなれるなんて最高すぎるぞ!
世界を滅ぼす為じゃなくて妖怪達を助ける為に使ってあげたいぜ
どの駄菓子も良さそうだが、この食べ応えのある大きいカツヒレの駄菓子が面白そうだ
もっと大きく、もっとビッグに、カツだけに使い手にビクトリーを齎す兵器になれば……
って、うお、イメージどおりもっと大きくなった!
想像力で大きくなれるビッグビクトリー、使わせて貰うぜ!
付喪神の命が使われているなら早急に助けなきゃ
尚更防御より攻撃を、アースジャイアントも召喚して
オレと巨人のWビッグビクトリーの2倍攻撃回数であずき氷菓剣を粉砕してやるぞ!
剣と戦意だけを粉砕して骸魂には出て行って貰うぜ!
生浦・栴
何とも緊張感のない絵面だが油断は禁物か
近接戦は苦手故、俺も飛び道具で何とかしたい
UDCの駄菓子には詳しくないのよなと攻撃を避けつつ物色
丸いアルミのパッケージに数粒入ったチョコと氷砂糖、此れで行くか
チョコには予め合図と共に高熱で弾けるよう魔法の細工を加えておく
属性攻撃で風の魔法とスナイプ技能を織り交ぜ
アルミパッケージを手裏剣替わりにしよう
狙いは相手の武器を持つ手元
刺さるのを見ればそのままブレイク
高熱で溶けるチョコの散弾で攪乱を狙う
氷砂糖にはUCを籠めて弾き飛ばす
店に類焼しないようには心がける
酸味は苦手ではないが…毒認識すれば中和できる、か?
妖怪に戻るのに立ち会えたなら、医術で手当てはしておこう
青梅・仁
駄菓子は良いよな!俺もこの間色々買ったわ。そんな駄菓子が武器なぁ。
俺はラムネ菓子が好きだから何か……どした小吉?
瓶型の入れ物に入ったラムネのバズーカがある?
しかも速射可能に改造されてる?マジ?それバズーカって言わなくない?
『わかってねーな、こういうのは浪漫が大事なんだよ!』
……お前がそれが良いならそれにしてみっか。
相手が撃って来たらウチの連中を呼び出し、壁になって貰いつつ突撃して貰う。俺は後ろから支援砲撃。
やっぱこんな浪漫武器でどうにか――なってるわ。
効果があるならヨシ!たまには射撃も悪くねえ、『浄化』の力を込めてドンドン撃つとするか!
どっちが先に相手の口に弾ぶち込めるか勝負しようじゃねえの!
朧・紅
紅人格で
アドリブ歓迎
三分の二の確率で、美味しいガムが僕のお口に…ごくり
いえ、いえ。いけないです
もしもの時のダメージたるやヤバいのやつ(ごごご
僕のお口にはおいしーお菓子がお似合いです
グミを一杯ぱくん
それもかわゆき肉球のグミですよぅ!
おいしぃを得た僕はフルパワー180%なのです、そやー!
空飛ぶギロチン足場に身体に刻み込まれた戦闘知識ステップで肉薄
弾丸はもしお口に入っても、ぷにんって頬張った肉球グミの弾力が優しく脅威を押し返すの
平手打ち
いいえ
肉球グミグローブぱんち
そして連打うにゃにゃにゃにゃにゃ!
外れた力は増幅され僕にお菓子の猫耳尻尾まで生えちゃう
にくきぅは尊いのですっ
幸せ気分で逝ってらっしゃ~い♪
シトリー・コーウェン
ふむー、ここにあるお菓子で戦っていいのかだぜ?
……じゃ、これにするんだぜー
でも、使い慣れてないから練習が必要なんだぜー
ご先祖様に時間稼ぎしてもらうだぜ!(悪魔召喚「シトリー」発動)
練習できただぜー
行くんだぜ、こんぺいとう1〜7号!
(※超巨大金平糖が先っぽについてる7尾鞭)
このトゲトゲと重さと速さでオシオキしちゃうんだぜー!
……あ、ご先祖様にもちゃんとふつーの金平糖あげるだぜー
バロン・ゴウト
うーむ、お菓子が武器になるとは不思議なのにゃ。
強そうな駄菓子なんて考えたこともないけど……あ、このお菓子なら戦えそうなのにゃ!
選んだ駄菓子はニンジンの形の袋に入ったポン菓子。
敵の攻撃を【武器受け】で受け流し、敵に隙が出来たら【カウンター】で攻撃にゃ。
鞘の代わりに袋を留めているネジネジを捨てて、【金色の一閃】で一気に加速して敵の駄菓子武器を破壊するのにゃ!
絡み、アドリブ大歓迎にゃ。
錆びて読めない店名と、くすんだ色をしたオーニングテントの下をくぐり、UDCではとうに製造中止になったジュースのブリキ看板を横目に猟兵達は駄菓子屋の店内へと足を踏み入れた。
「ぅや? とっても広いですねえ」
猫のぬいぐるみと共にひょこりと棚の向こう側を覗き込み、朧・紅は感嘆の声を上げた。
「外観からは想像も付かない広さだね」
「魔術的な異空間というよりは……なるほど、これが『迷宮化』か」
リサ・マーガレットと生浦・栴の視界には、見渡す限りの菓子、菓子、菓子――、駄菓子屋の建物の大きさに見合わない広大な空間が広がっていた。このように不可思議な光景を見せられては、幽世の全容を把握する者が居ないという話にも頷ける。
「おー、色々な武器があるんだな!」
「安くて美味いだけでも一石二鳥なのに、兵器にもなれるなんて最高すぎるぞ!」
好奇心に目を輝かせながら物色するフィロメーラ・アステールとグァーネッツォ・リトゥルスムィスとは異なり、トリテレイア・ゼロナインは少しばかり困惑気味だ。
「駄菓子兵器……騎士らしい武装が中々無いのが頭を悩ませますね」
そもそも見た目からして兵器の印象からかけ離れているのだ。試しに幾つかを手に取り、精査してゆく。
「最近の駄菓子は凄いね。相手を倒せる兵器だなんて」
世界には未知が溢れている――、アイン・セラフィナイトは興味深げに菓子で埋め尽くされた陳列棚を見上げた。アインの書架はまだまだ蔵書が増えそうだ。
「最近の、というかカクリヨの、だな。俺もこの間色々買ったわ。……そんな駄菓子が武器、なぁ」
幽世に居を構えているにも関わらず、それは知らなかったと青梅・仁は肩を竦めた。近所に駄菓子屋があるならば他世界にわざわざ赴く必要が無いのだが、兵器だと言われるとどうにも複雑な気持ちだ。
「お菓子が武器になるとは不思議なのにゃ……むむ、敵にゃ!」
耳をピンと立てて敵の足音を聞きつけたバロン・ゴウトが注意を促した直後、武装した付喪神達が姿を現した。
「お前達、猟兵が侵入しているぞ! 配置に付け!」
「イエッサー!」
「ふむー。じゃ、ご先祖様に時間稼ぎしてもらうんだぜ!」
まだ態勢の整わぬ猟兵達の前に歩み出て、シトリー・コーウェンは右腕のバングルを掲げる。呼び出されたのはご先祖様の呼び名の通り、彼によく似た翼を持つ豹獣人。その実態は軍団を従える地獄の君主であり、猟兵達が兵装を整えるまでオブリビオンを抑える事など容易いだろう。――対価が駄菓子で済む辺り、どうやら悪魔も子孫には甘いらしい。
「援軍だ、数で押せ!」
「イエッサー!」
次から次へと現れる付喪神に、悪魔の『シトリー』もやや押され気味だ。トリテレイアは微かな迷いを振り払うようにかぶりを振り、小さな紙箱を手に取った。
「風情が無い物はありましたが……そうも言っていられませんか」
騎士兜が、『口』を開く。舌を伸ばすように突き出た機銃で棒状の菓子の端を焼き、力任せに敵陣へと投じる。
「少々乱暴ですが……ご容赦を!」
トリテレイアが投げたのは、『シガレットチョコ爆弾』。本来はライターで炙って着火するものだが、弾丸の擦過で生じる熱で代替したようだ。爆風に吹き飛ばされ、付喪神達の陣形は滅茶苦茶だ。
「……騎士としては、やはり気持ちの良い物ではありませんね」
理想の戦い方はあれど、背後に控える仲間を守る事を、延いては任務の成功を優先する。戦機故かその判断は非常に合理的で、だが葛藤は酷く騎士らしかった。
「UDCの駄菓子には詳しくないのよな」
近接戦闘は得手ではない為、出来ればトリテレイアのように投擲武器を――、そう考えた栴が手にしたのは『チャクラムチョコ』。手裏剣のように投げて使えるようだが、彼はもう一工夫欲しいと手を加える。
「此れで行くか」
高温、炸裂……幾つかの魔術的な細工を施し、栴はチョコを投げた。直線的な軌道を読んだ付喪神は回避を試みるも、風の魔法に後押しされたチョコは不自然に弧を描き、拳銃を持つ手の甲に突き刺さる。
パアァンッ!
「な、なんだ?!」
「爆発したぞ!」
栴が小さな炎を飛ばして炙ればアルミのパッケージが弾け、硬い糖衣チョコが四散する。殺傷力が高いわけではないが、高速で飛び散るチョコレートと大きな音に敵陣は大混乱だ。
同じく糖衣チョコの、ただしこちらは球体の――を選んだリサもまた、魔法を用いて駄菓子に効果を追加する。
「折角占いが書いてあるんだから、遊び心も欲しいところだよね」
粒状のチョコレートは巨大化して榴弾として使えるようだが、リサの魔法によりパッケージに書かれた占い結果に合わせて追加効果が付随されるようになった。占いという可愛らしい響きの割になかなかギャンブル性の高いアイテムとなったが、相対的に見ても威力は元の駄菓子兵器より遥かに良い物となっている。
「名前は……そうだなぁ、『ラッキーチョコキャノン』ってどうかな?」
ぺりりと剝がした銀色の紙の裏側に、大きく書かれた『〇』の記号。
「威力……三倍っ!」
轟音を立て、特大チョコレートが着弾する。
「飛び道具が多いのかね。俺はラムネ菓子が好きだから何か……どした小吉?」
目移りする仁に傍らの怨霊が勧めてきたのは、ラムネを射出するというバズーカ。しかも速射可能なのだと胸を張る少年の霊は、心なしか得意げだ。仁は果たしてそれはバズーカと呼んで良いのかと訝しがっていたが、『わかってねーな、こういうのは浪漫が大事なんだよ!』の一言に押し切られてしまった。
「……お前がそれが良いって言うなら、それにしてみっか」
瓶型の『ラムネバズーカ』を構え、発射。撃った際の反動は本物さながらで、だが撃ち出されたのは白い錠菓で。こんなのただの浪漫武器じゃねえのと悪態を吐いた直後、ラムネが爆発した。仁は思わず倒れた付喪神達を指差し確認し、呟いた。
「……ヨシ!」
「よくねえ!」
爆発を逃れた付喪神が、怒り任せに発砲した。ガンマンになりきれていない彼らの狙いは甘く、ガムの弾丸は運悪く隣に居たアインへと命中する。
すこここん。
「んぐっ」
幸か不幸かアインはリング型のラムネを咥えており、ガムは一つも口に入らずパラパラと落ちた。――が、ラムネはすっぽりと口の中に入ってしまったようだ。反射的に噛んでしまったが、味も食感もごく普通のラムネのようで、彼は胸を撫で下ろす。
「……このラムネ、普通に食べられるんだね?」
なんかもう、色々と訳分からない。悟りを開けそうな顔で咀嚼するアインに対し、紅は輝かしいばかりの笑顔を見せた。
「駄菓子兵器は食べられる……つまり、三分の二の確率で、美味しいガムが僕のお口に……!」
計算上なんら間違ってはいないが、チャレンジ精神が振り切っている。紅自身にも自覚はあったらしく、はたと我に返った。
「いえ、いえ。いけないです。もしもの時のダメージたるやヤバいのやつ」
鬼気迫る表情でそう言いつつも、敵の銃口に視線が行ってしまうのはご愛敬。ならばもっと素晴らしいお菓子を選ぼう。美味しくてふんわりしていて、更に可愛ければ最高で最強だ。
「僕のお口にはおいしーお菓子がお似合いです!」
紅が選んだ一品は、ピンクの可愛い『ぷにぷに肉球グミ』。頬張ればぷにゅりと幸せな食感と優しい甘さが広がって、紅は空飛ぶギロチンを足場に空中を駆け抜ける。
「おいしぃを得た僕はフルパワー180%なのです、そやー!」
「わ、近、うわあ!」
肉薄され、銃での応戦は不可能だ。その時、仲間の危機を察した付喪神が、あずきのアイス剣を手に割って入った。
「狙撃隊は下がれ、ここは俺が……」
「お前はオレが相手するぜ!」
グァーネッツォは硬い剣の腹を叩き、猟兵に向けられた切っ先を逸らす。使用武器は食べ応えのあるソースカツのお菓子だ。しっかりとした歯応えの魚肉に衣が付いて、それなりの強度がある――が、剣を交えた彼女は、このままではあずきのアイス剣に圧し負ける可能性がありそうだと感じ取る。
「もっと大きく、もっとビッグに。そう、カツだけに使い手にビクトリーを齎す兵器になれば……!」
他の猟兵達のように魔術を用いたわけではない。突如、グァーネッツォの渇望に兵器が応えるかのように光り輝き、カツはみるみる質量を増してゆく。
「って、うお?! イメージ通りにもっと大きくなった!」
いける、と。勝利を確信し、彼女は敵陣の中央で一抱えもあるカツを振り回す。
「おー! でもあまり大きくなるとあたしが持てないな?」
グァーネッツォの大きな武器にはしゃぎながらも、フィロメーラは自身の体格を鑑みて肩を落とした。身長、約二十二センチ。普通の駄菓子ですら大きく感じる。
「どれにしようか迷っちゃうね。……ん、コレは
……?!」
彼女の目に留まったのは、『うめぼし3兄弟』。宇宙的ヒーローの描かれたパッケージは、UDCでも見覚えがある。
「三兄弟なのに四個入ってるのがまた不思議で……あれ」
印字された、内容量:三個の文字。原材料の高騰、生産コストの増加……実質値上げの波は、カクリヨにまで及んでしまったというのか。言いようのない切なさを覚えながら、フィロメーラはカリカリの梅干をひと齧り。
「パワーが漲ってきたぞー!」
「うわ、お前どっから?!」
力が滾り、今なら変身でも何でも出来そうだ――、そんな万能感と共に、フィロメーラの身体が巨大化する。小さなフェアリーが平均的な成人女性のサイズになり、付喪神達には突然猟兵が現れたように映ったようだ。パニック状態の彼らを見やり、フィロメーラはにんまりと笑みを浮かべる。
「コレを食べれば一時的に凄いパワーが出るっぽい! そーれ!」
大きくなったのは身体だけではないらしく、威力の増した魔法が付喪神達を襲った。
「よーし、練習できたんだぜー」
「強そうな駄菓子なんて考えたこともないけど……このお菓子なら戦えそうなのにゃ!」
慣れない武器の使用は危険を伴う事もある。シトリーとバロンは幾度か素振りをして使用感を確認したようだ。獣らしいしなやかさで床を蹴った二人を警戒し、付喪神達は拳銃を構えた。
「近付かせるな! 全員、構え……」
「残念だけどもう射程内なんだぜー。行くんだぜ、『こんぺいとう一号二号三号……七号』!」
シトリーの選んだ武器をあえて分類するならば七尾の鞭といった所だろうが、一つ一つの先には超巨大な金平糖が下がっている。七連のモーニングスターにも近しい凶悪な見た目の武器を軽々と振り回され、付喪神はすっかりすくみ上ってしまった。
「格闘班、前へ! 接近戦では負けないぞ!」
「させないにゃ!」
宝石飴の指輪をナックルにした付喪神が拳を向けるも、バロンの武器に受け流されて体勢を崩す。彼の装備は『ポン菓子の突撃槍』。見た目は人参のようで愛らしいが、片手武器の中ではずば抜けたリーチを誇る。レイピアで刺突武器に慣れたバロンにとって取り回しも申し分なく、すかさず繰り出された突きは敵のナックルを砕いた。怯んだ隙に叩き込まれる、シトリーの金平糖。
ひゅう。仲間の活躍を持て囃すように、口笛が鳴る。
(「口笛じゃなくて、『笛ラムネ空気鉄砲』だけどね」)
一つ目は食べてしまったけれど、気を取り直してテイクツーだ。アインの周囲で空気が渦巻き、異変に気付いた付喪神達が一斉に射撃を開始する。だが、もう遅い。その空気の流れは、全ての攻撃を受け流す風の絶対防壁。一発も貫く事が出来ず、チューインガムの弾丸が風に舞った。
「怯むな! 懐に潜り込めばこっちのもんだ!」
「おっと」
火砲装備のウィザードならば、近接戦に持ち込めばあるいは――、ボクシングの得意な付喪神達はそのような考えからリサを取り囲むが、彼女はスカイダンサー。虚空を蹴り、彼らの頭上、拳の届かぬ高みへと逃れる。
「占いは……バツだね」
記された記号は、『×』。一見すると残念な結果にも思えるが、出現率の低いそれはむしろ。
「僕は、運が良い」
敵陣の頭上に陣取り、遮蔽物はゼロ。リサの撃ち込んだチョコの榴弾はどろりと溶け、付喪神達へと降り注ぐ。
「う、動けなくとも問題ない! 撃て!」
「んむ?」
チョコレートに捉えられながらも銃を撃つが、確かに紅の口へと入ったはずの弾丸は、ぽよんと跳ね返ってきた。――既に少女の小さなお口はグミで満たされていて、ガムの入る隙間は無い。むぐむぐ、ごくん。呆気に取られる付喪神に無邪気な笑顔を向けて、紅は猫のように軽快に跳躍する。
「にくきぅは尊いのですっ」
少女に猫耳と尻尾が生えているように見えるのは、幻覚か、それとも。繰り出された連続猫パンチはふにょりと心地良い感触で、だというのに確実にダメージが入っているのは何故だろうか。まあ、幸せだからいっか。そんな独り言が漏れた。
「うにゃにゃっ、幸せ気分で逝ってらっしゃ~い♪」
紅のパンチに沈んだ付喪神は、心なしか満足気だった。
「さて、此方は如何であろうか」
先程の糖衣チョコは満足のゆく仕上がりであったが――、栴が次に取り出したのは『氷砂糖の撒菱』。当然ただの撒菱などではなく、自身のユーベルコードを封じた特別製だ。リサのチョコレートを逃れた者達の足元にざらりと撒けば、一つ一つから闇色の炎が燃え上がる。ちょっとした悪戯心からチョコの散弾を投じてみれば――、
ぱぱぱぱぱぱぱぱん!
「うわあああん!」
「……店に類焼せぬよう心掛けねばな」
付喪神達は、右往左往。大惨事であった。
「! これは……」
慌てふためく付喪神が、どうやら手放したらしい。トリテレイアは足元に転がっていたあずきのアイス剣をそっと拾い上げ、柄を握り締める。
「現地調達だとしても、やはりこうした武装のほうが私の性に合っているようです!」
先程とはうってかわって生き生きとした様子で、トリテレイアは敵陣へと踏み込んだ。使い慣れた長剣とは勝手が違えど、道具の違いなど些末な事だ。対する付喪神は慣れた柳葉包丁でない事が影響しているようで、随分と難儀しているようだった。同じ武器を用いた剣戟は、圧倒的な剣技の差でトリテレイアに軍配が上がる。
「くっ、援軍を……」
「迷宮の奥にまだ仲間がいるはずだ! 呼んでこい!」
「あっ、待つんだぜー!」
全滅が近い事を悟り、何体かの付喪神が踵を返した。バロンは菓子の留め具を放り捨て、武器の重さを調整する。
「戦闘中に背を向けるなんて、一番やったらいけない事だにゃ」
加速、そして一閃。艶やかなセロファンが煌いて、一拍遅れて付喪神達は武器を破壊された事に気付いた。
「……え? お、俺の武器が!」
付喪神は見る間に戦意を失ってゆくが、骸魂と引き剥がす必要がある以上、攻撃の手を止める理由は無い。シトリーは大きく振りかぶった七尾の鞭を、全身の筋肉を用いて振り下ろす。
「このトゲトゲで、オシオキしちゃうんだぜー!」
鈍い音を立て、付喪神が床へと倒れ込んだ。
「あと一息だな!」
折角の人間サイズだ、全力で堪能したい。フィロメーラは普段肉体の駆動を補助する為に用いていた魔力をも攻撃に回し、このユーベルコードに全てを注ぎ込む事にした。高めた魔力と、梅干しのエネルギー。未だかつて混ぜた事のない力をより合わせ、必殺の一撃を放つ。
「放て、必殺のスッパビーム光線!」
何処となく気の抜けるネーミングだが、放たれた光線は苛烈だった。光の魔法に灼かれ、最高の硬度を誇るはずのあずきのアイス剣が溶けてゆく。
「諦めるな……撃て、撃てェー!」
「もうその攻撃は効かないよ。次はボクが撃つ番だ」
如何に連射されようとも、アインはもう彼らの射線を見切った。手本を見せるとばかりに息を大きく吸い込み、笛ラムネを構えた。
ピィイー――。澄んだ音が鳴り響き、大精霊の後押しもあって風の防壁は薄く、ひたすらに大きく――、そうして編み上がった、特大の超強力空気砲が放たれた。付喪神達は木っ端のように散り散りになり、もはや壊滅状態だ。
「こうなったら一人でも道連れに……!」
「たまには射撃も悪くねえな。どっちが先に相手の口に弾ぶち込めるか勝負しようじゃねえの!」
ただし弾のサイズの違いは恨むなよと、仁は拳銃相手にバズーカで応戦し、更に怨嗟の海より呼び出した怨霊達も従えていて。付喪神達の数の優位など、とっくに覆されていた。からりと笑い飛ばしたその裏で、ひそりと浄化の力を込めて、仁は残る敵へと砲口を向けた。
「くっ、砥石の力を借りるしかないのか……」
「いーや、その必要は無いぜ」
溶け始めた剣を手に攻めあぐねる付喪神を見つめ、グァーネッツォは言い切った。付喪神の命を代償にする技など、使わせてなるものか。彼女の隣に大地の巨人が立ち上がり、それぞれが巨大化したカツの駄菓子を構えた。
「オレと巨人のW『ビッグビクトリー』がその剣を粉砕し、骸魂には出て行ってもらう!」
研ぐ刃が無ければ、もう砥石の付喪神は犠牲にならずとも済む。グァーネッツォが巨人と共に駆け抜け――、軽い音を立てて、砕けたあずきのアイスが床へと落ちた。猟兵達を迎え撃つべく現れた付喪神の、最後の一人が膝を着いた。
大成功
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木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
おぼえてる?まつりん
小さな頃、駄菓子屋さんへ社会見学(お買い物)に行った事
所狭しと並ぶお菓子の数々、お面や紙風船
そして、ぺかりと輝いて見えた、夜店でも見かけた、あの袋
そこに入ったふわふわの…アレを
いでよ、【ふわわたがしの盾】!>UC発動
周囲を包むオーラは虹色のわたがしの盾となる
ボディブロー?ふふ、どんなに硬く重い攻撃も、このふわふわは甘く優しく包み込み、受け流す
どこまでも柔く、軽やかにジャンプし、そして反撃
くらえ、わりばし(わたがし棒)の乱れ撃ち!
ん、まつりん、ぼんばーいっちゃえ
駄菓子屋も付喪神さん達も返して頂く
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と、わたがしきょうだい!
わーい、お店がいっぱいー♪
あ、黄色い指輪。母ちゃんが作った鼈甲飴の色だ!
おいらのナックルとどっちが強いかなぁ?
あ、綿菓子ましん!
ん、アンちゃんのも作ってあげるー♪(割箸しゃきーん☆)
ハイ、まんまるふわふわ、でっかい奴!
父ちゃんが作ってたの、わざとカチカチに固めてあったよね!
おいらのは、そんなカンジの逸品ー♪
如意な棒に、こうして……
じゃーん。
わたがしボンバー!(モーニングスター型☆)
ふわふわに見えるケド、実はトゲトゲで痛いよー♪
ゆべこ発動!
母ちゃんの代わりに、ひまりん見ててねー♪(ゆ~らゆら)
トゲトゲはアイス剣なんかには負けないー!(ボンバー!)
「わーい、お菓子がいっぱいー♪」
小手を翳して、目一杯の背伸びをして。きょろきょろと辺りを見回す木元・祭莉の尾がはたりと揺れた。
「壮観、かも」
ここは迷宮化した空間の中で、恐らく近くにオブリビオンも居て。重々承知はしているはずの木元・杏から発せられた声もまた、少しばかり弾んでいる。これ程までに菓子ばかりが並んでいる光景など、卸売り業者ですら見た事が無いだろう。
「あ、綿菓子ましん!」
視線の先には、カラフルなドーム型の屋根が付いた綿菓子製造機。駆けて行く兄の背に既視感を覚え、杏は目を細めた。
「ね、おぼえてる? まつりん」
小さな頃、駄菓子屋さんへ社会見学に行ったよね、と。決して広くない空間に並ぶたくさんの種類の菓子と、レトロな玩具。中でもそのふわふわは、夜店でもぺかりと輝いて見える程で――、
「ん、アンちゃんのも作ってあげる!」
店頭にもビニール包装された綿菓子が並んでいるが、その場で作られた物は一味違うのだ。既に両手に割り箸を構えている祭莉の姿に、杏の頬が緩んだ。
「猟兵だ!」
「さっき入口に送った援軍は……まさかやられたのか?!」
二人が綿菓子を作っていると、付喪神達が芳しい香りに気付いたようだ。集まってきた彼らを視界の端に認め、祭莉は綿菓子の形を手早く整える。
「ハイ、アンちゃんの。まんまるふわふわ、でっかい奴!」
「ありがと。いでよ、『ふわわたがしの盾』!」
杏を包むオーラは普段と様相が異なり、綿花のようにふわふわと優しく、満開のヒトツバタゴのように大きく立ち上り、大きな綿菓子を虹色に照らした。
「行け、仲間の仇だー!」
声援を受けた付喪神のストレートが、杏の身体の中央を捉えた。スピードの乗った攻撃を見切れないのか、杏が動く気配は無い。貰った、と付喪神が呟いた。だが。
――もすん。
「……はい?」
手応え、ゼロ。付喪神の拳を包むふんわり柔らかな綿菓子は、出来立てでほんのり温かい。戦意が急速に萎むのを感じ、付喪神はかぶりを振る。
「くっ、この盾を突破するのは難しい……!」
「先にもう一人をやれ! ……なんだあれ」
祭莉の傍らには、一輪の向日葵が咲いていた。否、『踊っていた』。付喪神達の外見も十分シュールだが、負けず劣らず奇妙な光景である。
「母ちゃんの代わりに、ひまりん見ててねー♪」
こんな玩具が昔あったような。付喪神達の視線は向日葵に釘付けだ。
「よそ見してる場合じゃないよ。くらえ、わりばし乱れ撃ち!」
杏は軽やかに跳ぶと反撃に打って出て、付喪神達に割り箸の雨が降り注ぐ。
「ん、まつりん、ぼんばーいっちゃえ」
「じゃーん。『わたがしボンバー』!」
杏の背後からぴょこりと飛び出した祭莉の手には、綿菓子とは名ばかりな、超特大のモーニングスター。
「前に父ちゃんが作った綿菓子、わざとカチカチに固めてあったよね。おいらのも、そんなカンジの逸品ー♪」
杏のふかふかな盾に包まれた直後の、重量級のトゲトゲ。凄まじい落差に押し黙ってしまった付喪神達に向けて、祭莉は得物をフルスイング。付喪神達の指輪のナックルは砕け、あずきのアイス剣は折れるのだった。
「黄色い指輪、母ちゃんが作った鼈甲飴の色だったけど」
おいらのナックルの方が強かったね。そう呟いた祭莉は、少しだけ残念そうだ。
「アンちゃんの目とおんなじ色で、キレイだったのに」
「ふふ。――あ、まつりん。黄色いザラメがあるよ」
黄色い飴は壊れてしまったけれど、黄色い綿菓子が作れるかもしれないね。杏がそう言えば、祭莉は目を輝かせた。
「もういっこ、作ってこっか」
「やったー!」
大成功
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朱赫七・カムイ
【六道】
参ろうか、ネネコ
まだ私は駄菓子は詳しくない
グミ紐にチョコレイ刀
ぱちぱち飴雲に…悩むばかり
ネネコはどろっぷ弾丸─綺麗で強そうだ
何と見事なバス停捌きだと拍手を贈る
きらきらと飛んでいく飴弾丸は美しく
更に色と味による効果の頼もしさ
楽しげに弾丸を放つネネコの姿も愛らしくて微笑ましい
そなたらしく
そして美味しい
私も一緒に打ってもいいかい?
こんなの絶対楽しい
私は喰桜で素早く斬撃のように飴を放っていく
当たったと喜んで、また次を放つ
ネネコそっちに行ったよ!
飛んできた攻撃には赫を当てて相殺
此方は私が
弾がよくあたるよう、幸運を約そう
ネネコ!凄い
見事な場外ほーむらんだ
私もできるかな
どんどんいこう
皆を救い出すのだ
花嶌・禰々子
【六道】
駄菓子決戦とあらば、あたしの出番
紐に刀にどれも素敵な兵器だけど、これに決めた!
用意したるは大きなドロップ弾丸
砲台はなくとも、あたしのバス停でぶっ飛ばしていくわ
勿論よ。さあ、やるわよカムイ!
聞いて驚け、味わって楽しんで!
イチゴ味の赤は弾ける爆弾、レモン味の黄は目潰し閃光
ハッカ味の白は煙幕で、メロン味の緑は回復弾
煙幕からの爆発、更に閃光飴をシュート!
緑飴は頭上に投げてあたし達の回復に
んん、甘ーいっ
何だか楽しくなってきたわ
禰々子選手、大きく振りかぶって
やりました、場外ホームラン!ってね
まだまだ行くわよ、カムイ
付喪神くんととことん真剣勝負をすること
それが妖怪みんなを助けることに繋がるんだから!
猟兵に着々と制圧され、駄菓子屋迷宮も残すところは最奥の区画のみとなった。木目の浮いたアイランド型什器を見下ろし、朱赫七・カムイはふむと顎に手を当てる。
「グミ紐に、チョコレイ刀。ぱちぱち飴雲に……」
煩雑な印象を受ける陳列は、駄菓子屋ならではかもしれない。坪効率を上げねば商売として成り立たない業種なのだから仕方ないとはいえ、視界に入るだけでも数十種類。駄菓子に詳しくないという事もあり、カムイは選べずに花嶌・禰々子へ視線を向けた。
「どれも素敵な兵器だけど、あたしはこれに決めた!」
駄菓子決戦とあらば自分の出番だと胸を張る禰々子の手には、『ドロップ弾丸』と書かれた昔ながらの缶入りドロップス。見覚えのあるそれにカムイが視線を下げれば、禰々子がいつも提げているポシェットとよく似ていた。
「こんな所にまで猟兵がっ」
「我々で最後か。気張っていくぞ!」
二人の姿を認めるなり、付喪神がわらわらと集う。闘志を燃やす彼らの姿に、その意気や良しとカムイは頷いた。
「参ろうか、ネネコ」
「勿論よ。さあ、やるわよカムイ!」
からん。ドロップは円い穴から出るなり巨大化し、見る間に禰々子の掌からはみ出て転がり落ちそうなサイズになった。銃弾ではなく砲弾なのかとカムイは目を丸くして、火砲が必要ではなかろうかと首を傾げる。
「砲台はなくとも、あたしのバス停でぶっ飛ばせばいいの」
禰々子は白球ならぬ白ドロップを軽く放ると、勢いよくバス停を振り抜いた。
――かきぃん。
ドロップ弾丸は真っ直ぐ敵陣へ。彼女の思いの外整ったフォームに、カムイは思わず拍手を送る。
「俺に任せろ。一刀両断にしてやる!」
付喪神はよく狙いを定め、あずきのアイス剣を振り下ろした。ドロップが真っ二つに割れ、左右に分かれて飛んで行く。
「やったぞ! ……うわ、なんだ?!」
「前が見えねえ!」
割れたドロップから煙が噴き出し、白く濁った空気が視界を覆った。
「聞いて驚け、味わって楽しんで!」
禰々子がハッカ味は煙幕なのだと自慢げに笑い、カムイも「そなたらしい」と釣られて笑う。白いハッカが煙幕ならば、こちらの赤は何味で、こちらの黄色の効果は何だろうか。尽きぬ興味に、カムイは提案する。
「私が投げようか」
要はトスバッティングだ。打ち易いよう緩やかに投げれば、彼女は面白いくらいに綺麗な球を打つ。対する付喪神は、斬っても殴っても効果を発揮し、あまつさえ避けても床で爆発するドロップに戦々恐々だ。小気味よい音が響く度にイチゴ味が赤々と爆ぜ、レモン味が燦然と輝く。
「この緑のどろっぷはなんだい?」
「緑はこうやって――」
他の砲弾とは違い一口大の飴を禰々子は真上に投げると、ぱくりと口で受け止めた。
「んん、甘ーいっ」
メロン味の、回復弾。彼女があまりにも楽しそうに笑うものだから、好奇心に満ちた声がカムイの口を衝いて出た。
「私も一緒に打ってもいいかい?」
――なんだか楽しくなってきたわ。こっちは任せて! みんなを助けなきゃ。
――当たった、今の見たかい。ネネコ、そっちに行ったよ! 皆を救い出すのだ。
二人は時折朗らかな笑い声を上げながら、だが敵の数は着実に減らしていた。
「禰々子選手、バッターボックスに立ちました……ってね」
「弾がよくあたるよう、幸運を約そう」
カムイはバット代わりの神刀を収め、バス停の素振りをする禰々子に笑みを向ける。直後、ひと際大きな打球音が響いた。特大サイズのイチゴ味ドロップが炸裂し、付喪神達が宙を舞う。
「やりました、場外ホームラン!」
「ネネコ、凄い! 見事な場外ほーむらんだ」
マウンドの上は死屍累々。コールドゲームで猟兵の勝利だ。
こうして猟兵達は駄菓子屋迷宮を踏破し、武器庫をオブリビオンの魔の手から守る事が出来た。
「やっぱり最高の強度を持つこの剣が……」
「いや武器は大きい程強いに決まってんだろ」
「そんなの射程の長い武器にかかれば……」
「チョコがおいしいからチョコ最強」
「飴だって」
骸魂を引き剥がす事が出来た為、妖怪達も皆無事だ。今では元気に推し駄菓子について議論を交わしている。
「「「猟兵はどれが最強だと思う
?!」」」
――急に話題を振ってきた彼らから逃れるように、猟兵達は新たな戦場に向かうのだった。
大成功
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