大祓百鬼夜行⑫〜燃えよ河童
●妖怪団地
風を切る音が団地に響いた。
それは舌と水掻きによって放たれる張り手の連打。
怪鳥音と共に舞う影は妖怪。
浴びせ倒しで鉄砲柱をへし折った蝦蟇の河童は摺り足で土俵を歩む。
妖怪達は待っている。
自分達を倒す存在を。
河童達は求めている。
自らの妖怪相撲が猟兵に及ぶのか。
彼らは知りたかった――敗北という名の意味を。
●グリモアベース
「そんなわけで、みんなには土俵という名の戦いのラビリンスの中で河童の相撲取りとバトルしてほしい」
グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)は何か妙な言葉を織り交ぜながら簡潔に内容を述べた。
「こいつらの住む妖怪団地。ここでは昔から団地の地形を利用した団地闘法を操る妖怪集団、すなわち団地武装団が住んでいた。それが今回の敵、名は――蝦蟇河童部屋一門!」
少年が猟兵の前で腰を落とし、構えるのは相撲の型。
「奴らが身に着けている団地闘法は相撲。河童の代名詞とも言われ、そして神事とも関わりのある最強……かもしれない戦闘術」
グリモア猟兵は敢えて直接的な言動を避けた。
最強の格闘技というのは基本存在しないのだから。
「河童達は自分達の部屋に用意した土俵の中で、みんなを待っている。勿論、倒されるため……いや」
男の左手に刻まれたグリモアが輝く。
「全力で猟兵という存在と立ち向かい、自分達の相撲が通用するかを知りたがっている」
開かれるゲートの向こうには幽世の団地群。
「みんな、分かってると思うけれど。全力で行こうぜ。それが大祓骸魂を弱めると共に、猟兵達にその居場所を教える助けになるし、それ以上に――妖怪達が望むものなんだから」
皆を見送る、グリモア猟兵の目には戦いに参加できない寂寥の何かがあった。
今、猟兵と妖怪による大相撲バトルがここに始まる。
みなさわ
戦いという名の迷宮(ラビリンス)を潜り抜け、目指すは勝利という名のゴール。
こんにちは、みなさわです。
今回は戦いに迷いし者達へ決着という名の出口への案内をお願いします。
●ご注意
今回は一対一のバトルになります。
シナリオのテイストとしては拳と拳で語る心情シナリオ方面なので、プレイングは自分の戦い方、攻め方、守り方に力を入れてくださると幸いです。
●戦場
団地の扉を開けたら、土俵があるんじゃよ。
ちなみに金は埋まっていないから掘らないでね。
●あらかじめのお話
過去、同様のシナリオを書いた経験から言って、字数が多くなりがちです。
申し訳ありませんが、人数を絞ってお話を書きたいと思います。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
それでは皆様、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『蝦蟇河童』
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POW : 跳躍浴びせ倒し
単純で重い【跳躍からのボディプレス】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 蝦蟇突っ張り
【張り手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【舌の攻撃を交えた連続の張り手】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 蝦蟇ベロ攻撃
【口】から【鞭のような長い舌による巻き付けや投げ】を放ち、【痛みや拘束】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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リア・ファル
武器は使うけど、卑怯だとは言わないね?
地上戦は、読み合いと牽制で
いっそ相手が焦れるほど
(情報収集、学習力、時間稼ぎ)
格闘距離(インファイト)は相手の間合いだ
『セブンカラーズ』からの射撃と
『ヌァザ』の斬撃で距離を取り続ける
反撃のための機会を……ひたすらに待つ
こちらの懐を狙った跳躍、それを待っていた!
【心髄拳】で対空アッパー・623強P!
対空始動の空中コンボこそボクの狙い
10km上空まで打ち上がるキミを
『イルダーナ』で追いかけ、七色の弾丸をプレゼントしよう
(カウンター、空中戦、追跡、弾幕)
キミは強いよ。誇っていい
ボクはただ、今を生きる誰かの明日の為に、抗うのみさ
●取り組み一番目:明日の為に空を舞う
扉を開けたら、そこは土俵だった。
「武器は使うけど、卑怯だとは言わないね?」
けれど、リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)が動じることは無い。
これ以上に理不尽なもの、不条理なものを乗り越えてきた彼女に、部屋の中に土俵があるというシチュエーションなど、もう慣れたもの。
「ああ、問題ない」
そして蝦蟇河童も動じない。
「元々、自分のホームで相手をする――これ以上の有利はどこにもないのだから」
土俵の中心で構える河童。
円周に囲まれた土俵の外は壁。
地の利は妖のもの。
場を掌握した妖怪が腰を落とし、リアが武器を構えた……そして河童の拳が土俵に着けば互いにその場から駆け出した。
――発気揚揚!
先に動いたのはリア。
リボルバーが閃光を放ち、弾丸が妖の突進を食い止めるべく孔を穿つ。
しかし蝦蟇河童はそれをものともせずに突進、そのまま体をぶつけんとする。
だが三界の魔術師にとっては一撃を与えた刹那の秒。それが稼げれば充分だった。
ステップを刻み、土俵を横へ走り肩に乗った銀虎猫が魔剣へと変われば、右手に握り、それを振り下ろす。
直後、強力な圧が伝わり、リアの右腕が跳ね上げられた。
見えるのは掌。
相撲において有名な技の一つ――張手である。
相撲の技の殆どはあるコンセプトの元、構成されている。
それは――相手の重心を上げる。
突き、押し、寄り、ほとんどが重心を上げる為の技であり、それがどんな巨体も投げ飛ばし吹き飛ばす事を可能にする。
勿論、それを知らないリア・ファルではない。
だからこそ、実際に体験する必要があったのだ。データの整合性を取るために……。
つまり、彼女の剣が跳ね上げられたのは囮。
そして本番はこれから始まる。
「――ぬう!」
河童が呻く。
リーチで上回るリアの剣と銃、そして緻密に計算されたフットワークが妖の攻め手を鈍らせる。
狭いフィールドと言えど、アウトレンジでの戦いを成立させていく三界の魔術師の手際。
蝦夷河童も流石に舌を巻くしかなかった。
勿論、妖怪の方も黙っている気はない。
動いて翻弄されるのなら、動けなくさせればいい。
水掻きの付いた両腕を広げ、リアの意識から左右へのステップという選択肢を心理的に塞ぐと河童は腰を落としぶちかましを敢行。
後ろに下がったリアが俵の感触に意識を持っていかれた瞬間――妖の姿が消えた。
いや……跳んだのだ。
跳躍浴びせ倒し
単純かつ重い浴びせ倒しがリアを襲う。
そして、それこそが――魔術師の狙う好機!
「それを待っていた!」
ファルハート・スマッシュ
心 髄 拳
天空へカチ上げる輝けるアッパーカットが蝦蟇河童の腹を貫き、その勢いで団地の天井が破壊され、妖を空高く舞わせる。
その高さ10㎞。
それに追随するのはイルダーナ。
リアが駆る制宙高速戦闘機。
土俵が妖の領域なら宙は魔術師の狩場。
「キミは強いよ。誇っていい」
すれ違いにリアのリボルバー、セブンカラーズ.357マグナム・ワイルドキャットが光を放つ。
「ボクはただ、今を生きる誰かの明日の為に、抗うのみさ」
七色の光条を叩き込まれた河童は満足した笑みを浮かべ、土俵へ叩きつけられ。
それを見送った三界の魔術師はアクセルを捻り、戦場を後にした。
決まり手:七色の弾丸
大成功
🔵🔵🔵
疎忘・萃請
……河童が
河童がふんどしを締めている
いやなに、アタシの知っている河童とすこぅしだけ見目が違ったから
驚いただけだ
うん、じゃあ勝負と行こうか
一本下駄を脱ぎ捨てて、土俵へあがろう
勝負の前に一礼を忘れない
幼い見目に小さな体躯だが
これでも鬼だ
力には自信があるんだ
小さな体躯を活かして低い姿勢で突っ込もう
河童の猛攻に投げ飛ばされそうになったら
UCを使用
土俵に明食鎖を投げつけ、自分とを繋いで飛ばされるのを阻止
月割枷で河童を絡めとり、足を引っかけてやろう
早期に力のみで行けるかどうかを見極め
駄目なら早々に小技を使う
足だ
足を狙うんだ
●取組二番目:鬼相撲
「……河童が」
疎忘・萃請(忘れ鬼・f24649)がドアを開けた時。
「河童がふんどしを締めている」
そこには廻しを締めた河童が立っていた。
「いや、廻しなんすけど」
「ちがうの?」
「いや、広義には同じ」
「そう……」
そんなやり取りが続いた後、改めて萃請が口を開く。
「いやなに、アタシの知っている河童とすこぅしだけ見目が違ったから驚いただけだ」
「気持ちは分かる」
蝦蟇河童にしては落ち着いた口調で妖が答えると、土俵中央に。
「だからこうして待っていた。そろそろいいかな?」
応える様に鬼も一本下駄を脱ぎ、土俵に礼をしてから俵を超える。
「うん、じゃあ勝負と行こうか」
互いの両手が地に着けば、土俵を蹴って二つの人外がぶつかり合った!
額と額が激突する。
萃請が低くぶつかれば、蝦蟇河童もそれに応える様に低く当たっていく。
上からはたき込んで土俵に叩きつける手もあったが河童はそれを選ばない、確実に倒すには相手の重心を上げて――。
「――獲った」
組みつくのが常道。
「まだだよ」
けれど、鬼も粘る。
腰を落とし、体躯の差を活かして懐にもぐりこみ、そして膂力で組みを切る。
再び、開いた間合い。
そこへ萃請が再びぶちかませば、妖もそれを受け止め、土俵の土を削るように後退した。
戦いは続く。
足を狙う様に鬼が手を伸ばせば、それを切るように河童が足を引いて上から体重を掛けていく。
たまらんとばかりに萃請が逃げたところに、蝦蟇河童の腕が絡んだ。
小手投げ
腕関節を極めて投げる複合技。
流石に鬼も抗うことが出来ず投げられ――そして土俵が爆発した。
爆煙が視界を塞ぐ。
煙が晴れ、立つのは萃請。
その手に握った鎖は土俵へとつながっていた。
テ ツナギ オニ
手つなぎ鬼
対象と自分を鎖でつなぐユーベルコードが彼女を転倒から防いだのだ。
そして小手投げは抜け出せば背面や脇を見せるという弱点がある。
一瞬であった。
体勢を立て直そうとした妖の足首に絡んだ鎖が引き上げられ、そして蝦蟇河童は天井を仰ぐ。
その鎖は鬼を縛る枷にして武器。
天を見た河童には為す術が無く、頭から土俵へと叩きつけられた。
決まり手:鎖による足取り
成功
🔵🔵🔴
ニコ・ベルクシュタイン
蝦蟇にして河童……ふむ、欲張りセットというものか
良かろう、ならば此方も全力でお相手せねばな
相撲の心得は無いが、拳で語れと言うならば多少はな
――いざ、道場破りと参らん
腰を落とした姿勢をキープするのは容易く見えて難しい
下半身の力強さを感じさせる強敵よ
其処から繰り出される跳躍からのボディプレスとは、考えるだに恐ろしい
近接戦闘に於いて俺が取れる術は乏しいが
其の分研ぎ澄ましてきたつもりでもある
常ならば此方から踏み込んで使用する技を、リスクを承知で迎撃に使おう
【時計の針は無慈悲に穿つ】、発動は押し潰されるギリギリまで耐え
間合いに入った瞬間、重みを全て両脚で受け止める覚悟で拳を振るう
耐えてみせよ、我が肉体!
●取組三番目:針の如き一撃を
「蝦蟇にして河童……ふむ、欲張りセットというものか」
ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)が眼鏡を掛けなおし、改めて蝦蟇河童を見る。
確かに蝦蟇の特徴を持った河童が天に足裏を向けるほどの四股を踏んでいた。
「欲張りか……そうかもしれない」
土俵へ足を叩きつけると部屋が揺れた。
「何せ、猟兵と全力で戦いたいと願っているのだから」
「良かろう、ならば此方も全力でお相手せねばな」
足に伝わる振動が相手の本気、それを悟ったニコは土俵へと上がった。
「相撲の心得は無いが、拳で語れと言うならば多少はな――いざ、道場破りと参らん」
妖が腰を落とせば、時計卿は拳を握った。
互いに間合いを詰めることは無く。
けれど戦いは既に始まっていた。
蝦蟇河童の立ち合いの姿勢。
腰を落とした姿勢を維持できるのはたゆまぬ鍛錬によって培われた下半身の結果。
ニコ自身もそれを悟っており、その下半身から放たれる一撃で自らの身が砕けるであろうことも予測できる。
だからこそ狙うは研ぎ済ました必殺の一撃!
だが河童自身も時計卿の狙いを読んでいた。
来るのはカウンター、牽制でいなすには鋭すぎる一撃。
だからこそ、こちらも狙わなくてはいけない。
全ての技を断ち切る一撃を!
沈黙はいずれ終わる。
どんな戦いにも決着という物があるのだから。
二人の足が動く。
踏む様に進むのでは無く、擦る様に音もなく。
一歩と数えるには滑らかな歩みが続き……そして、互いが地面を蹴った!
跳躍!
踏み込み!
全体重に高さを加算した浴びせ倒しに対し迎え撃つのは鍛え上げられた拳!
跳躍浴びせ倒し!
対するは――
Ruthless・Clock break!
蝦蟇河童のボディプレスに向かって放ったニコの拳が妖の鳩尾を貫く。
同時にガラスが割れる様に音が響き、時計卿の腕に走るのは冷たい亀裂が刻まれるような痛み。
「……耐えたか」
「……耐えたな」
ニコが確認するように呟き、蝦蟇河童が肯定するように答える。
直後、破裂するのは妖の背中。
「……見事」
倒れゆく河童の言葉を耳に刻み、力を失った右腕を左手で支え、時計卿はただそこに立つ。
土俵において勝者は常に立っている者。
ならば、そう振舞うのが相手に対しての礼であるのだから。
決まり手:右ストレート
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
(●世界知識+礼儀作法)事前に相撲知識インストール
骸魂の影響で戦機と同サイズ河童と相対
相撲とは、礼法を重んずるとお聞きしました
相対に際し、騎士として疎かには出来ませんので
俄か仕込みはご容赦を
剣盾、格納銃器等武装解除
一礼し土俵入り
蹲踞から塵を切り、仕切りの体勢を経て立ち会い
いざ!
脚部スラスター推力移動乗せて四つに組み付き
マルチセンサーで相手の体躯の挙動を情報収集、動きを見切り技の応酬
怪力での投げを仕掛け一旦距離を放し
小手先の勝負では骸魂も貴方も満足出来ぬ筈
全力をお出しください
その激突を持って、邪気を祓い決着を付けましょう!
跳躍をUCで迎撃
落下を見切り潜りこみ
片腕掴み狙うは八十二手の一本背負い!
●取組四番目:戦機相撲初場所
骸魂の力は侮れないもの。
相撲を極めようと求めた結果、更なる肉体を求め十尺に届かんばかりの肉体を得た河童が居た。
けれど結果は無常だった。
大きすぎるが故、誰もが戦うのを避けてしまったのだから。
だが、それも終わり。
今、巨躯の蝦蟇河童と相対する巨大な存在が土俵に立つ。
名をトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)という。
「相撲とは、礼法を重んずるとお聞きしました」
一礼から土俵へ入り、鋼鉄の四股を踏む。
「相対に際し、騎士として疎かには出来ませんので俄か仕込みはご容赦を」
升に入った塩を巻、蹲踞から塵を切る。
武器は全て置いてきた、この場に相応しくは無いのだから。
「確かに俄か仕込み」
応える妖の言葉には敬意の重みがあった。
「だが形だけの振る舞いより、十二分の物を受け取った」
蝦蟇河童も塩を巻く。
土俵と相手に感謝し、自らの不浄なる望みを、今、この時だけはこの場から清めたいと願うが故。
互いに仕切りの姿勢に入り、立ち合い。
二人の右拳が地面に着き、遅れて二人の左拳が土俵に着いた。
激突!
蝦蟇蛙独特の下半身から来る圧力を戦機はスラスターを噴射し受け止める。
互いに組み付くは四つ相撲。
脇を締めて肘を極め、腕を差し込み、脇を開かせる。
トリテレイアのマルチセンサーと戦いの渇きと熱量、湿度を感じる河童の皿。
それが感を見切り、智が挙動を悟り、互いの指し手を見抜き、潰す。
騎士の身体が大きく開き、上手投げに移る――だが、土俵に水掻きの付いた足が残り、二人の間合いがひと時だけ開いた。
「小手先の勝負では骸魂も貴方も満足出来ぬ筈」
サーボモーターが焼きつくほどのトルク、ジェネレーターを冷ましきれないオイルの熱量の中、トリテレイアが問う。
「全力をお出しください――その激突を持って、邪気を祓い決着を付けましょう!」
それでいいのか……と?
「――応!!」
良い訳が無かった。
蝦蟇河童は土俵を踏みしめ、発条を溜める。
「参る!」
「いざ!」
戦機の応えに妖が跳んだ。
跳躍浴びせ倒し!
十尺に迫った巨体が土俵を破壊せんと襲い掛かれば、正道を歩む騎士が進むは敵の懐。
マシンナイツ・バトルワルツ
機械騎士の戦闘舞踏
飛び込んでくる蝦蟇河童の腕を掴み、トリテレイアが反転すれば河童の身は高く跳ね上がる。
一本背負い!
相撲決まり手八十二手の一つにして、豪快なる投げ技。
土俵が激しく揺れ、妖は魂を吐く。
戦いは終わり、邪気は払われた。
Re-knight
再起動した騎士の手によって。
決まり手:一本背負い
成功
🔵🔵🔴
ユーフィ・バウム
妖怪相撲の雄よ、蛮人がお相手しましょう
全力で立ち向かってくるというなら、
やはり全力でお相手を
炎氷の【属性攻撃】を宿す拳にて
正面から【怪力】にてお相手します
【功夫】での打撃と見せかけて、【ダッシュ】で間合いを詰め
【グラップル】での組んでの打撃を狙う
近距離は私にとっても間合いですから
そう簡単に倒すことはできないと思いますが
【力溜め】つつ相手の投げを凌ぎ、
劣勢になれば【衝撃波】のオーラを吹き上げ
【吹き飛ばし】て仕切り直します!
相手の必殺の浴びせ倒しも、【見切り】
致命打を避けた上で逃げずに【オーラ防御】で凌ぎます
そして凌いだなら――こちらの、体で!
《トランスクラッシュ》で逆に浴びせ倒してみせましょうっ
●取組五番目:蛮妖激突
戦う者は自然とその場へと引き寄せられるのであろう。
「妖怪相撲の雄よ、蛮人がお相手しましょう」
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)もその一人。
全力に対し全力で立ち向かそうとするその佇まいは蛮勇のそれでは無く、戦士の気品。
故に蝦蟇河童も全てをぶつけるつもりで仕切りを行う。
後に続くユーフィ。
炎を宿した右の拳が土俵に着き、続いて氷を宿した左の拳が土を叩くと、二人はぶつかり合った。
機先を制したのはユーフィ。
拳に宿した炎と氷、それを囮に真っ向正面、がっぷり四つの電車道。
対する河童も上からつぶす様に差し手を切り、相手の腕に腕をねじ込んで蛮人の少女の重心を上げていく。
少女が力を溜め、ねじ込まれた腕を払いのけ、横に変化。
上手と下手が同時に動きユーフィの蝦蟇河童の投げが同時に始まりお互いの身体がぶつかり、ロックされる。
刹那の力比べ。
それを制したの蛮人の少女が放つ衝撃波。
空気が裂ける音が響き、二人の間合いが開く。
仕切り直し、そして……
ここが勝負の時!
互いに空気を探り、技の射程距離へと近づいていく。
長く思えて、短い時――それが終わった時、河童は跳躍した。
跳躍浴びせ倒し!
全体重を乗せたボディプレスがユーフィを襲う。
対する蛮人の少女。
その両手には光が宿っていた。
蝦蟇河童の重たい一撃をオーラで殺し、そして叩き落とす様に受け流す。
避けるでもなく、正面から受け止めるでもなく、流れる水のようにいなしたのだ。
「――くっ」
かろうじて、足を着いて地面に叩き落とされることを防いだ妖が振り向いた時――
少女が舞っていた。
トランスクラッシュ!
闘気を纏ったユーフィのボディプレス。
体勢を崩した蝦蟇河童にそれを防ぐ手立ては無かった。
土俵が揺れ、勝負は決した。
決まり手:浴びせ倒し
成功
🔵🔵🔴
鬼面坊・羅剛
本職の力士に相撲で勝てとは、
また無茶な話もあったものだな。
だが、いいだろう。
真っ向勝負は己も好むところだ。
「推して参る!」
開始と同時に掌打を放ち、
そのまま突っ張りの撃ち合いに縺れ込ませる。
相手は突っ張りを得意としておるようだし、
自分の土俵と考えて、乗ってくるだろう。
だが、組み合ってからの複雑な駆け引きのない、
相手を倒すまで立ち続けるという単純な勝負であれば、
それは即ち、守護者の土俵でもあるのだ。
故に、敗北を知らぬ力士よ。
加減も油断も慢心も不要だ。
全力でかかってくるがいい。
己も継戦能力を振り絞ろう。
終いには限界さえ突破しよう。
撃って、撃たれて、繰り返し、
最後に勝つのはこの己よ。
●取組六番目:撃って、撃たれて
「本職の力士に相撲で勝てとは、また無茶な話もあったものだな」
鬼面坊・羅剛(幽世の守護者・f29378)が呟いた。
別に相撲でなくても構わないのだが、彼らの全力に立ち向かうには相撲で相対し勝つのが一番だと分かっている故の言葉であろう。
「だが、いいだろう」
しかしそれ以上に
「真っ向勝負は己も好むところだ」
羅剛自身が望んでいた。
勝負を好む、修羅の武霊の性なのか。
そして対する蝦蟇河童も拒む理由が無かった。
何故なら、彼自身が望んだ闘いだから。
「推して参る!」
だからこそ言葉少なく勝負は始まっていく。
ぶつかり合う掌と掌。
一直線に貫く鬼面坊の掌底に対して、顎先をカチ上げ重心を浮かせる河童の張手。
複雑な駆け引きの無い、掌の応酬。
加減も油断も慢心も不要。
羅剛が掌を通して伝えれば。
応、と短く伝わるは蝦蟇の張手。
やがてそれは舌も交えた、連撃へと変わる。
蝦蟇ゆえに特性、長い舌も手と変わらなければ、打撃の質から言って妖の張手は――速い。
けれど、鬼面坊の膝が折れることは無い。
相手を倒すまで立ち続けるという単純な勝負であれば、それは即ち、守護者の土俵。
そこで引く道理は無く。
負ける理由は無かった。
百戦錬磨の落ち着きが相手の動きを読み取り、継戦能力を実現させる。
張手に合わせる様に掌底がぶつかり、そして打ち払われる。
乾いた音が歌のように響き渡る。
互いに足を止めて、打ち合う歌は場を清めんとする柏手の音に似ていた。
河童の一撃に脳が揺れ、羅剛が酔い、四肢への繋がりが断たれる。
だが、その膝が力を失うことは無い。
何故なら妖達は猟兵に倒されることを望んでいるのだから。
だがらこそ――限界を超えて、鬼面坊は一歩踏み込み渾身の一撃を放つ。
鋭い一手。
それが蝦蟇河童の顎を刈った。
遅れて、妖の目が白目を剥き、そして前のめりに倒れていく。
最後に勝つのは猟兵――そう、己。
鬼面坊・羅剛は守護者として妖怪を守り、勝者として妖怪の願いに応えた。
決まり手:突き出し
成功
🔵🔵🔴
ヴィクティム・ウィンターミュート
ほう、タイマン勝負とは中々粋な真似をする
卑怯卑劣、騙し討ちに不意打ちは常套手段の俺だが…
そういう気概を理解できない性質じゃない
やってやろうじゃねえか、かかってきな
純粋なパワー勝負では俺の方が不利だ
だから俺は、スピードを活かして勝負する
組み合わず、避けることに意識を集中
だがそれだけじゃ勝てない…そこで向こうのパワーを利用する
勢いをこっちが利用して、一手でキメにいこう
果たして俺のような戦士でもない奴が勝てるのかって?
勝つさ──『Obsession』
これまでの戦いで得た膨大な経験値と、強靭な意志
一挙一動を観察して、素早く行動を把握してカウンターをかます
俺はそうやって勝ってきた
今回もそれで勝つだけだ
●結びの一番:意志貫徹
ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は勝利のために様々な手を選ぶ男だ。
卑怯卑劣、騙し討ちに不意打ちは当たり前。
そんな端役も時には
「ほう、タイマン勝負とは中々粋な真似をする」
――勝負に乗ることもある。
「そういう気概を理解できない性質じゃない、やってやろうじゃねえか、かかってきな」
「お主のような男からそういう言葉が聞けるとは思わなかった」
その風体と佇まいと裏腹の行動に蝦蟇河童が呟き、そして腰を落とす。
「言ったろ……理解できない訳じゃない」
勿論、ヴィクティムは相手に付き合わず、フットワークを刻む。
空気が刃のように張り詰める。
やがて――二人が動いた。
刃の上で踊る様に。
妖の突進をすんでのところで回避するのは端役。
パワーでは不利。だからこそスピードでかきまわす。
「甘い!」
だが、河童とて翻弄されっぱなしではない。
土俵というのは丸い。真横に避けるには難しく、距離を作りにくい。
だからこそ、ヴィクティムも次第に追い詰められ土俵際でぶちかましを喰らう――かと思った瞬間。彼の身体が舞う。
縦の変化、蝦蟇河童の突進に合わせて回転するように飛び越えたのだ。
再び相対する二人。
技量は互角か端役が上。
だからこそ、妖は搦め手のユーベルコードを使う決意をした。
言葉は無く、呼吸音だけが響く。
視線は互いの目を見つめ、機を伺う。
目線を避けた時、瞬きをした時、そういう隙を狙う様に一挙一動を視界に入れながら、チャンスを狙う。
どこかの団地で天井が吹き飛ぶ音がした。
両者の意識が一瞬だけ、一部だけ持っていかれる。
先に一手打ち込んだのは蝦蟇河童。
長い舌で絡めとる奇策のユーベルコード、その名も――
蝦蟇ベロ攻撃!
「俺のような戦士でもない奴が勝てるのかって?」
ヴィクティムを捕らえ、投げ飛ばさんとする舌を見つめ、端役は笑う。
「勝つさ──」
一言、そう呟き、男は敵の懐に飛び込んだ。
オマエニ、オレハ――コエラレナイ!
Extend Code『Obsession』
長きに渡っての戦いで得た経験、強靭な意志。
そしてイカれたほどに執着する『勝利』という二文字。
それがヴィクティム・ウィンターミュートの拳を研ぎ済ませ、鋼鉄の右腕を河童の口の中――その向こうにある剥き出しの喉へと叩き込ませた!
「俺はそうやって勝ってきた」
唾液まみれな右腕を振って、倒れゆく蝦蟇河童へとヴィクティムは告げる。
「今回もそれで勝つだけだ」
その言葉に妖は笑みを浮かべ、そして地に伏した。
決まり手:意志
かくして、戦いは終わった。
猟兵は勝ち、妖怪は己が望みを満たし、そして道は大祓百鬼夜行へと続く。
成功
🔵🔵🔴