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大祓百鬼夜行⑯〜占わせてくださいにゃ

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行


●くだんグリマルキンのタロット占い
 UDCアースのゴミ置き場。
 打ち捨てられたテレビの一つが、突如、点いた。
 映し出されるのは、『存在しないはずのテレビ番組』である。

『皆様、おはようございますですにゃ。本日もこのワタクシ、くだんグリマルキンがお届け致しますですにゃ。道行く人を、突然占わせてもらうというこの突撃番組。次にワタクシに占われるのは、あなたかもしれませんにゃ』

 上品な声音で、猫が言う。
 喋る猫。それはCGではなく――妖怪である。

●グリモアベース
「このままだとUDCアースの現実世界が、テレビ番組『くだんグリマルキンのタロット占い』の世界に切り替わっちまう。止めてくれ」
 宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は語る。これはカクリヨファンタズムの、骸魂に飲み込まれて変身した妖怪が起こしている事件である。
「事件を起こしているのは、くだんグリマルキン。骸魂『くだん』が、魔女の使い魔グリマルキンを飲み込んだ存在だ。戦う時は、グリマルキンの9つある命を代償にした、未来操作とも言える予知能力を扱う」
 ――では、くだんグリマルキンと戦い、倒せばいい、ということだろうか?
 猟兵の一人が呈した疑問に、拓未はこう答える。
「いや。もっと良い方法があるぜ。『番組の企画に全力で乗っかる』ことだ。そうすりゃ、戦わなくてもくだんがダメージを受ける。つまり――」
 拓未は、悪戯っぽく笑った。
「くだんグリマルキンに占ってもらえばいいんだ! この際、どーんと悩みとか聞いてもらうといいと思うぜ」
 そう言い、拓未はグリモアを手のひらの上に浮かばせる。転送先は、『くだんグリマルキンの目の前を通れる道』だと、彼は言った。そのまま通行すれば、くだんグリマルキンの方から声を掛けてくるだろう。
「あ、ちなみにタロット占いだぜ。番組上では、予知能力は使わないみたいだな」
 キューブ型のグリモアが、輝きを帯びる。
「それじゃ、行ってらっしゃい!」


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願いします。

 これは、カクリヨファンタズムの戦争『大祓百鬼夜行』のシナリオです。
 1章のみで完結します。

●プレイングボーナス
 『番組の企画に全力で乗っかる(戦わずともダメージを与えられます)』

●シナリオ概要
 くだんグリマルキンに占ってもらってください。
 占う内容は皆様に指定していただきます。(恋の悩み、将来の悩み、総合運、など)
 それを聞いた上で、くだんグリマルキンがタロットを引き、猟兵を占います。

●記号のご記載のお願い
 プレイング冒頭に、以下の3つのいずれかを必ずご記載ください。

 ◎:占い結果はふんわり指定し、細かい内容はお任せ。(アドリブ多め)
 ×:占い結果をガッチリ細かく指定。(アドリブ控えめ)
 ★:占い結果は完全にお任せ。(アドリブ大盛り。地斬が実際にタロットを引きます)

●プレイング受付期間
 【5月11日(火)8:31】から受付開始です。(断章投下はありません)
 採用人数は少なめ、早期完結予定です。よろしくお願いします。

●ちなみに
 地斬は、タロットは素人です。心の広い方にお越しいただけると嬉しいです。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『くだんグリマルキン』

POW   :    魔女の予言
【現実に起こりうる程度の予言】が命中した対象に対し、高威力高命中の【宣告した予言の内容と全く同じ現象】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    超現実的未来選択
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【憑代である西洋妖怪「グリマルキン」の命】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    猫に九生あり
自身が戦闘で瀕死になると【忽然と姿を消し、最大8回まで無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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夜鳥・藍


私も占い師でタロットを引いたりしますけど、他の方に占って貰うのはかなり久しぶりです。
何を占って貰おうかな。……でも自分でできると既に引いていたりして咄嗟に思いつかないわね。もうここはべたなものしか。

占って欲しいのは良い人が現れるかどうか。
私は恋愛感情がわからない。一目ですごく惹きつけられた、そばに置きたいと思う人はいたけど、それが恋愛感情かどうかも分からない。
ただそれがきっかけでとても綺麗な色を持つ人を何人か見つかるようになって、もう少し見つけたいと思うようになったの。今の所、綺麗な色の人にだけだけど、他人に関心を持てるようになった。
そういう良い色を持つ人が現れるかどうか知りたいかな。



●藍色の望み
「私も占い師でタロットを引いたりしますけど、他の方に占ってもらうのはかなり久しぶりです」
「そうなんですにゃ。お手柔らかに、ですにゃ」
 夜鳥・藍(kyanos・f32891)の言葉に、くだんグリマルキンは返す。それから、藍へと尋ねた。
「何を占いますかにゃ?」
 藍は少し考え込む。自分で占いができるがゆえに、既にカードを引いたことがあったりする事柄ばかりが思い浮かんだ。
(「もうここはべたなものしか」)
 藍は意を決する。
「占って欲しいのは、良い人が現れるかどうか」
 言葉を、続ける。
「私は恋愛感情がわからない。一目ですごく惹きつけられた、そばに置きたいと思う人はいたけど、それが恋愛感情かどうかもわからない」
 藍は膝の上で、軽く両拳を握った。
「ただ、それがきっかけで、とても綺麗な色を持つ人を何人か見つけられるようになって。もう少し見つけたい、と思うようになったの。今のところ、綺麗な色の人にだけだけど、他人に関心を持てるようになった。……そういう良い色を持つ人が現れるかどうか、知りたいかな」
「わかりましたにゃ。では……」
 猫はカードをシャッフルし、まずメインのカードを一枚、表に返した。
「あ」
「あ」
 猫も藍も、思わず声を上げる。藍のようにタロットに詳しい者でなくとも、それが良くないカードであることはすぐにわかっただろう。
 すなわち――死神の正位置。
 一瞬の間の後、猫は語り出す。
「話を聞く限り、あなたは、綺麗な色を持つ人を既に見つけていますにゃ。けれど、もしも強引なアプローチをしたならば、終わりが待っていますにゃ」
 猫はもう一枚、カードをめくる。法皇の逆位置。
「そうならないために必要なのは、押しつけの親切に注意することですにゃ。それと――」
 サブのカードをもう一枚。太陽の逆位置。
「良い色を持つ人を傍に置いていないということで、あなたは不安に陥っているようですにゃ。……どう解決するかは、あなた次第ですにゃ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦

【コミュ力】で対応しながら全力で企画に乗っていきましょ。
え、なに占ってくれるん?
恋愛はちと照れるしなあ・・・
うん、「仕事運」とかどうやろう?
(猟兵の)お仕事、うまくいくかなあとは思いますんで。。
いい結果やったらお礼な感じで飴ちゃん渡して、
悪い結果やったらありゃまあ、と言いながら、
アドバイスないか聞いてみますし、

まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦言います、
基本はええ事のみを信じていきますけど。



●猟兵のお仕事に必要なもの
「そこ行くお方、占わせてくださいにゃ」
「え、なに占ってくれるん?」
  コミュ力全開。杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は、全力で番組の企画に食いついた。
「何でも構いませんにゃ。お任せ致しますにゃ」
「さよか。うーん、恋愛はちと照れるしなあ……」
 しばらく考えてから、絡新婦は、決めた。
「うん、『仕事運』とかどうやろう? お仕事、うまくいくかなあって思ってるんで」
 この場合の『お仕事』とは猟兵の仕事、すなわちオブリビオンを倒すことだが、それは口には出さない。
「かしこまりましたですにゃ。占ってみますにゃ。どうぞ、こちらの椅子におかけになってくださいにゃ」
 道端のテーブルを挟んだ、猫の正面のパイプ椅子に座るよう、猫は促した。
 絡新婦は素直に従う。自分の隣の椅子には、狐人の人形『サイギョウ』を座らせた。
 猫はカードをシャッフル。三枚のカードを場に並べ、メインである一枚目を表にした。
「月の逆位置ですにゃ」
「どんな結果なんやろう?」
「あなたのその『うまくいくかなあ』という迷いが消え、少しずつ事態が好転してゆく暗示が出ていますにゃ」
 続けて、二枚目、三枚目をめくる。愚者の逆位置と、審判の逆位置だ。
「今のあなたに必要なのは、たとえやり直しができない状況に置かれた時でも、大胆に行動するという、冒険心ですにゃ」
「冒険心かあ……」
「はいですにゃ。それさえあれば、あなたのお仕事はきっとうまくいきますにゃ」
「……ふうむ」
 当たるも八卦、当たらぬも八卦と言う。
 ならば、この占い結果を信じてみるのも悪くない、と、絡新婦には思えた。
 絡新婦は袖口から、飴を一つ取り出す。
「おおきに。飴ちゃんをどうぞ」
「ありがとうございますですにゃ」
 占いのお礼として渡されたその飴を、くだんグリマルキンは嬉しそうに自分の口に含んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルーチェ・ムート
【縁環】★

七結、七結
占いだって!
楽しそうじゃない?
わたしも心踊っちゃう!
七結は占ってもらうとしたらなーに?

へええ、七結らしいね!
わたし?
わたしは、その…
こ、恋占いをしてもらおうかなって
実はね、気になる人が居るんだ
その人との行く末とか
占ってもらえたらいいなって思ったの

かわいい猫さん!
良ければわたしの恋を占ってくれない?
優しくて素敵な彼との未来がどんなものか
告白をしようと思ってるし
勇気付けてもらえたらいいなぁなんて
どんな占い結果でも嬉しいよ

え!そうなの?
わー!ありがとう!
占ってもらってすっきりしたよ

七結の結果は?
ふふ、七結もなんだか晴れ晴れした顔してる
ふたりの笑い声弾けたなら
楽しいひとときが咲く


蘭・七結
【縁環】★

まあ、占いだなんて
こうした出来事は二度目かしら
手繰る未来は己次第だというのに
つい心が踊ってしまうようだわ

わたしは、総合運を
ふふ、欲張りすぎるかしら
ルーチェさんは、何れになさるの?

まあ――ふふ、ステキね
あなたの心をきゅうと掴んだひとが居るの
お話は、聞かせていただけるかしら

ご機嫌よう、ステキなあなた
わたしは総合運をお願いしてもよいかしら
如何なる結果でも、構わないわ
これから歩む道すじの標
その参考にさせていただきましょう

――そう。ありがとう
いただいたお言葉を大切にするわ

ルーチェさんも、よいお顔をされているわ
ふふ。ステキな結果はいただけたかしら

眸を合わせて、声を重ねて
このひと時を楽しみましょう



●何を占う?
「七結、七結、占いだって! 楽しそうじゃない?」
 くだんグリマルキンの姿を遠目に、ルーチェ・ムート(十六夜リーリエ・f10134)は、快活にはしゃぐ。
「まあ、占いだなんて。手繰る未来は己次第だというのに、つい心が躍ってしまうようだわ」
「わたしも心躍っちゃう!」
 蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)の返事を聞いたルーチェは、さらに笑顔を咲かせ、続いて問う。
「七結は占ってもらうとしたらなーに?」
「わたしは、総合運を」
 欲張りすぎるかしら、と、七結は穏やかに微笑む。
「へええ、七結らしいね!」
「ルーチェさんは、何れになさるの?」
「わたし? わたしは、その……」
 ルーチェは、もじもじして視線を泳がせた。
「こ、恋占いをしてもらおうかなって。実はね、気になる人がいるんだ」
「まあ――ふふ、ステキね。あなたの心をきゅうと掴んだひとがいるの」
 七結の言葉に、ルーチェは小さく、こくりと頷く。
「そう。その人との行く末とか占ってもらえたらいいなって、思ったの」
 恋。それがルーチェの心をいっぱいに満たしているのだろうと、七結にも想像できた。
「お先にどうぞ、ルーチェさん。わたしはここで待っているわ」
「いいの? ありがとう、七結!」
 たたた、と、くだんグリマルキンの方へ軽やかに駆けていくルーチェの背を、七結は見送る。

●恋の行方
「かわいい猫さん! 良ければわたしの恋を占ってくれない?」
 ルーチェは、くだんグリマルキンに声を掛けた。
「喜んで占いますにゃ。具体的にどんな感じに、ですにゃ?」
「優しくて素敵な彼との未来がどんなものか。告白をしようと思ってるし、勇気づけてもらえたらいいなぁなんて」
「承りましたですにゃ」
 猫はカードをシャッフルし、並べ、一枚めくる。愚者の正位置だ。
「そのまま自分を信じて、大胆に行動すれば、うまくいく、という暗示が出ていますにゃ」
「え! そうなの?」
「はいですにゃ」
 二枚目、三枚目をめくる。隠者の逆位置、死神の逆位置。
「ただ、身勝手にならないように、相手の気持ちに寄り添い、想いを込めて告白するのが大事、と出ていますにゃ。そうすれば、蛹から脱皮した蝶のように、あなたは羽ばたけますにゃ」
「わー! ありがとう!」
 すっきりした表情で、ルーチェは笑った。

●必要なこと
「ご機嫌よう、ステキなあなた」
 続いて、七結がくだんグリマルキンへと言葉を掛ける。
「わたしは総合運をお願いしてもよいかしら。如何なる結果でも、構わないわ。これから歩む道すじの標、その参考にさせていただきましょう」
「総合運ですにゃ、わかりましたですにゃ。では、正面に座っていただいて――始めますですにゃ」
 七結をじっと見据えてから、猫はカードに視線を落とす。シャッフルし、一枚引いて、表に返した。
「皇帝の逆位置ですにゃ」
「これは……どういう意味かしら?」
「今のあなたが持っている意志力よりも、さらに強い意志力が必要となる局面が、近い将来に訪れますにゃ」
 二枚目は愚者の逆位置。三枚目は運命の輪、これも逆位置だ。
「その局面で、あなたが選択を誤らないこと。それが、不運が始まることを回避する鍵ですにゃ。どうか強い意志を持って、正しい選択をされることをお祈りしますにゃ」
「――そう。ありがとう」
 七結は、ほのかに笑う。
「いただいたお言葉を大切にするわ」

●占いを終えて
「ふふ、七結、なんだか晴れ晴れした顔してる。結果はどうだった?」
「ルーチェさんも、よいお顔をされているわ。ふふ、ルーチェさんから聞かせて? ステキな結果はいただけたかしら」
「うん! 猫さんの占いだと、わたしの恋はね――」
 視線を合わせ、声を重ね、二人は笑い声を弾けさせた。
 乙女たちの楽しいひとときが、花咲く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン

藍(f28958)と
猫ではあるが只者でない佇まい
背筋を伸ばして(ハッと)
そう猫背を伸ばして接せねばならない様だよ
藍 !

ぐっ、
そう真っ当に返されると…
イヤ何でもない

占いか
あたしは、あーー…
悩みって程でもないが
恋占いは出来る?
ええと、そう
恋人、が居るのだけれど
ありが…待って藍、
これ占いだから
結果コッチから指定出来ないから!?

(咳払い)で、相談だが
友人から恋仲になった訳だけど
何か態度を変えねばならん、とかあるのかな
不満など無いし
あたしは十分幸せを頂いているが
このまま歩めば問題ない、だろうか
…何せ初めての経験でね


藍は?何か占う事はある?
――嗚呼
確かに願ってしまうな
必ず素敵な結果に、ってのをさ


歌獣・藍
あぱら(f13386)と!

まあ、まあ!
ねこさんよあぱら!
可愛い……ひゃっ!?
しゃ、喋ったわ…!
幽世の世界の猫さんは
お喋りが出来るのね…!

…?どうして言い替えたのあぱら?『背筋』であってるわよ?(きょとん)

今宵はあなたが
占いをしてくれるのね!
ふふ、どうぞよろしく。

うぅん、
何を占ってもらおうかしら。
あぱらは決めた?
……こ、恋占い!?
まぁ!まぁ!ということは
心に決めた方が…!?
なんという事なの…!
素敵よあぱら!!!
ねこさん!
素敵な結果にして頂戴!
必ずよ!!!(ずずいと身を乗り出して)

わたし……?そうね。
おしえて?ねこさん。
私が…

ーーー許される日は来るかしら。



●恋占いと許しの日
「まあ、まあ! ねこさんよあぱら! 可愛い……」
「ようこそですにゃ」
「ひゃっ!? しゃ、喋ったわ……!」
 幽世の世界の猫さんはお喋りが出来るのね……! と、歌獣・藍(歪んだ奇跡の白兎・f28958)は驚く。
「猫ではあるが只者でない佇まい。背筋を伸ばして……」
 アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)は、ふと、はっとした。
「そう。猫背を伸ばして接せねばならないようだよ、藍!」
 猫だけに! これは上手いこと言えたんじゃないかい!? という意図を込め、得意げに藍へ笑いかけるアパラだが、藍はきょとんとしていた。
「……? どうして言い替えたのあぱら? 『背筋』であってるわよ?」
「ぐっ」
 アパラは言葉に詰まる。
「そう真っ当に返されると……イヤ何でもない」
 閑話休題。
「あなたが占いをしてくれるのね! ふふ、どうぞよろしく」
「よろしくですにゃ」
「占いか……」
「うぅん、何を占ってもらおうかしら。あぱらは決めた?」
「あたしは、あーー……」
 藍に問われたアパラは、少し声を小さくして述べた。
「悩みってほどでもないが。恋占いは出来る?」
「もちろんですにゃ」
「……こ、恋占い!?」
 アパラの発言を聞いた藍に、衝撃が走る。
「まぁ! まぁ! ということは心に決めた方が……!?」
「ええと、そう。恋人、が居るのだけれど」
「なんということなの……! 素敵よあぱら!!!」
「ありが……」
「ねこさん! 素敵な結果にして頂戴! 必ずよ!!!」
「待って藍、これ占いだから、結果コッチから指定できないから!?」
 身を乗り出し、猫にずずいと迫ろうとする藍を、アパラは止めるのだった。

 アパラの咳払いが響く。
「で、相談だが。友人から恋仲になった訳だけど、何か態度を変えねばならん、とかあるのかな。不満などないし、あたしは十分幸せを頂いているが、このまま歩めば問題ない、だろうか。……何せ初めての経験でね」
「では、占ってみますですにゃ」
 猫はタロットをシャッフル。一枚引く。
「節制の逆位置。……あなたが突然に態度を変えることは、調和のとれている今のお二人の関係を崩すことに繋がる可能性がありますにゃ」
「ふうむ。つまり、今のままで良いと?」
「そういうことですにゃ。大事なのは、焦らないことですにゃ。一歩一歩、共に歩んでいくことが肝心ですにゃ」
「なるほど。ありがとうね!」
 ぱっと表情を明るくして、アパラは礼を述べた。
「藍は? 何か占うことはある?」
「わたし……? そうね」
 熱を帯びた表情でアパラの占い結果を見守っていた藍だが、問われると同時に、真剣な顔に変わった。
「おしえて? ねこさん。私が……」
 一拍置いてから、口にする。
「――許される日は来るかしら」
「――嗚呼」
 藍の言葉を聞いて、アパラは、思わず呟く。
(「確かに願ってしまうな。必ず素敵な結果に、ってのをさ」)
 今なら、藍が『素敵な結果』を願ってくれた気持ちがわかる気がする。だからアパラは祈るように手を組み、静かに占いを見守った。
 猫は、『誰に、何を許されるのか』を藍に問うこともなく、カードを一枚引く。
「魔術師の逆位置。物事が始まりにくいことの暗示……あなたにとって『許される日』は、良かれ悪かれ、何かしらの『始まりの日』になるのでしょうにゃ。けれど、許される日を迎えるのは、決して簡単なことではありませんにゃ」
 じっと見つめてくる藍色の瞳を、猫は真っ直ぐに見返した。
「もし許されたいなら、そのための行動を起こすべきですにゃ。逆に、許されたくないのならば、そのままの自分でいることを受け入れる必要がありますにゃ」
「……そう。そうなのね、ねこさん」
 藍は自分の両手を広げ、手のひらを見下ろす。
「ありがとう」
 そっと礼を口にした、その心の内を知るのは、藍自身だけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェイ・バグショット

【星鯨】

占いか…、面白そうだし良いぜ。
どんな結果だろうと気にするタチではないけれど

はは、言われてみれば確かに怪しい格好してるもんなァあんた。
え?そういう意味じゃない?
口元しか見えない風体は確かに占い師の雰囲気プンプンだと納得

俺はそうだな…金運、健康運…
パッと思い浮かぶのはそんなところだが、
占い事ですら金と体のことしか思いつかない辺り我ながらヤベーわ

ふーん、人との繋がりがあってこそアンタ自身があるってことか?
ヤドリガミってのはつくづく不思議な存在だな

相性占いの提案には少しばかり目を丸くして一拍思案
…ふは、そうだな
アンタを"使う"こともあるかもしれねぇし、相性は大事だ。
さてどんな結果になるのやら


オブシダン・ソード

【星鯨】
良いねえ、占ってもらおうよ
僕も普段から『占い師みたいな風体の男』と評判でね
あ、怪しい
いやいや、ミステリアスって言って欲しいんだけど?
ちなみに占いに関しては素人

ジェイ、君……いや、体が資本とは言うけれども
硬派な人生送ってるねえ

僕が占ってほしいのは、人との縁についてかなあ
僕は道具のヤドリガミだからね、やっぱり使ってくれる『人』とのつながりが気になるのさ
そうだジェイ、僕と相性占いとかする?

思い付きで言ったけど乗り気で良かった、と笑う
そうだねえ、良くも悪くも僕達は戦いに事欠かないから
君が『使って』くれるなら大歓迎だよ、ふふふ

いやあ、結果が楽しみだねえ



●剣と使い手
「良いねえ、占ってもらおうよ」
「占いか……面白そうだし良いぜ」
 オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)と、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)が、肩を並べて、くだんグリマルキンの方へ歩み行く。
 ジェイは、どんな結果であれ気にする性質ではないが、面白そうだと思っているのは事実だ。
「僕も普段から『占い師みたいな風体の男』と評判でね」
「はは、言われてみれば確かに怪しい格好してるもんなァ、アンタ」
 ジェイはオブシダンの言葉を聞いて、笑う。
「あ、怪しい」
 フードを目深に被ったオブシダンの表情はわかりにくいが、軽くショックを受けているようにも見えた。
「え? そういう意味じゃない?」
「いやいや、ミステリアスって言って欲しいんだけど?」
「あぁ」
 口元だけが黒いフードから覗くオブシダンの風体は、確かに占い師のような雰囲気を纏っている。ジェイは納得した。
 なお、オブシダンは、占いに関しては素人である。
 くだんグリマルキンの前まで行った二人は、軽く自己紹介を済ませてから、占いを受ける運びとなった。
「よろしくお願いしますですにゃ。何を占いますかにゃ?」
「俺はそうだな……金運、健康運……」
 ジェイの脳裏に、ぱっと思い浮かんだのはその二つ。ジェイは呟く。
「占い事ですら金と体のことしか思いつかない辺り我ながらヤベーわ」
 ジェイは虚弱である。それゆえに、自身の体のことが何よりも気にかかるのだ。
「ジェイ、君……いや、体が資本とは言うけれども。硬派な人生送ってるねえ」
 オブシダンはしみじみと呟き返した。
「そう言うアンタは何を占って欲しいんだ?」
「僕が占って欲しいのは、人との縁についてかなあ」
 ジェイに問われたオブシダンは、語る。
「僕は道具のヤドリガミだからね、やっぱり使ってくれる『人』とのつながりが気になるのさ」
 黒曜石の剣。それが、オブシダンの本体である。
「ふーん、人との繋がりがあってこそアンタ自身があるってことか? ヤドリガミってのはつくづく不思議な存在だな」
 ジェイは呟く。
 口の端を持ち上げたオブシダンは、『そうだ』と言い、人差し指を一本立てた。
「ジェイ、僕と相性占いとかする?」
 オブシダンのその提案に、ジェイの金色の眼が軽く見開かれる。
 一拍の思案の時間を置いて、『……ふは』とジェイは笑った。
「そうだな。アンタを『使う』こともあるかもしれねぇし、相性は大事だ」
「乗り気で良かった」
 笑ったオブシダンは、続ける。
「良くも悪くも僕たちは戦いに事欠かないから、君が『使って』くれるなら大歓迎だよ、ふふふ」
 オブシダンは微笑みを口元に浮かべ、ジェイはにやりと笑う。
「そういうわけだ。相性占いを頼むぜ」
「僕とジェイのね。よろしくね」
「かしこまりましたですにゃ。それでは……」
 猫はカードをシャッフルし、引く。
「皇帝の正位置ですにゃ」
 なるほど、と猫は小さく呟き、ジェイとオブシダンをじっくりと眺めた。
「これは、強い意志を持つ男性がリードすることで上手くいく、という暗示ですにゃ」
 猫が前足で示したのは、ジェイだ。
「この場合は、あなたのことですにゃ」
「……俺が? 強い意志? ふはっ」
 思わずジェイは吹き出した。
「流石に買い被りすぎだろ」
「いやいや、ジェイ。まずは最後まで聞いてみようか」
 オブシダンは言う。そのオブシダンへと猫は視線を向け、続けた。
「あなたは道具であり、チカラそのものですにゃ。ですから、強い意志でリードするのは、あなたではなく彼なのですにゃ。あなたは彼に身を委ねれば、上手くいきますにゃ」
 それから猫は、ジェイに視線を戻す。
「あなたが強い意志を持って彼を用いたならば――相性はパーフェクトですにゃ!」
「だ、そうだよ。ジェイ」
 穏やかに笑いかけてきたオブシダンへと、ジェイは笑みを返した。
「……確かに面白いモンだな、占いってやつは」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三ツ橋・夕花

突撃番組との出会いに、まずはしゃぎます!
えっ、テレビですか?
『くだんグリマルキンのタロット占い』?本当に…?
わぁ、すごい!こういうの初めて!!
私、タロット占いに興味があって…
占ってもらってみたかったんです!
グリマルキン先生、よろしくお願いします!

定番の恋のお悩みとかが番組的には面白そうだけど
残念ながらそういうご縁はないからなぁ…
あっ!『いい出会いがあるか』占ってもらえますか?
良い結果も悪い結果も受け止めますから、ばーんとお願いします!

え?なるほど、なるほど…
占いの結果に興味津々
一喜一憂しつつ真剣に受け止めます
最後は先生に一礼!
グリマルキン先生、ありがとうございます!
私、がんばります!



●最終回
 三ツ橋・夕花(夕闇の花・f33111)は、琥珀色の瞳を、ぱち、ぱちと瞬かせる。
「えっ、テレビですか?」
「そうですにゃ。カメラはもう回ってますにゃ」
「『くだんグリマルキンのタロット占い』? 本当に……?」
「はいですにゃ。本当ですにゃ」
 猫は、こくこくと夕花の言葉に頷いた。
「わぁ、すごい! こういうの初めて!! 私、タロット占いに興味があって……占ってもらってみたかったんです!」
 ぱあっと表情を明るくして、夕花ははしゃぐ。
「グリマルキン先生、よろしくお願いします!」
「あ、『くだん』の方でお願いしますですにゃ」
 骸魂のくだんがグリマルキンを飲み込んだ状態がくだんグリマルキンなので、オブリビオン側としてはそう呼んで欲しいらしい。
「わかりました、くだん先生! さてと……」
 何を占ってもらおうか、夕花は考え込む。
(「定番の恋のお悩みとかが番組的には面白そうだけど、残念ながらそういうご縁はないからなぁ……」)
 しばらく考えてから、不意に、『あっ!』と夕花は声を上げた。
「『いい出会いがあるか』占ってもらえますか? 良い結果も悪い結果も受け止めますから、ばーんとお願いします!」
「はいですにゃ。お待ちくださいにゃ」
 タロットをシャッフルしてから、猫は一枚引いた。
「女教皇の正位置。鍵となるのは、若い女性ですにゃ」
「え、若い女性?」
「そうですにゃ。この場合はあなた自身を指す、とワタクシは解釈しますにゃ」
「つまり、それは?」
 真剣な表情で夕花は聞く。
「落ち着きのあるあなたなら、良くない出会いを避け、良き人と巡り会うことが可能である。ということですにゃ」
「なるほど……」
 ぱっと笑顔を輝かせ、夕花はぺこっとお辞儀する。
「くだん先生、ありがとうございます! 私、がんばります!」
「……うぐっ」
 猫は、ばったりとテーブルに伏した。
「くだん先生!?」
「……グリマルキンでいいにゃ。助かったにゃ……こちらこそありがとうにゃ!」
 顔を上げた猫からは、牛の角が失われている。
 骸魂が消滅し、元の妖怪に戻ったのだ。
 猟兵たちの、全力で番組に乗っかる作戦は、見事成功したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月12日


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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナータ・バルダーヌです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト