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小江戸に隕石ぞ降り注ぐ

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #真柄十郎左衛門直隆 #ヤドリガミ #風魔小太郎 #猟書家 #魔軍転生

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●隕石落とし再び
 ここは、小江戸とも呼ばれる武蔵国は川越の町。
 その、川越の象徴ともいえる鐘楼『時の鐘』の屋根の上に、一人の男が仁王立ちして町を見下ろしていた。
「さあて、江戸にもほど近いこの町を、ド派手に壊滅させてやるとするか。江戸幕府転覆の狼煙にゃあ、丁度いいってもんだ」
 言って男は、凶悪な笑みを顔に刻む。
「さあ行け、紫陽衆。おまえらに憑装させてやった魔軍将『風魔小太郎』の力で、奴が成し遂げられなかった隕石落としを実現させてやれ!」
 男の号令を受け、禍々しい髑髏の仮面を付けた忍び装束の一団が、音もなくそれぞれに川越の町に散っていった。
「町中に隕石落としゃあ、この町に住んでるヤドリガミ共も粉微塵に砕け散るだろうぜ。こいつぁ今から楽しみってもんだ」
 男は愉快でたまらないといった笑みを浮かべると、自らも時の鐘の上から身を躍らせ、町の中へと降り立って行ったのだった。

●超・魔軍転生
「サムライエンパイアにおいて、新たな猟書家、真柄十郎左衛門直隆の行動が予知されました」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、集まった猟兵達に張り付いたような笑顔のままそう告げた。
「真柄十郎左衛門直隆は猟書家『クルセイダー』の秘術『超・魔軍転生』で配下の紫陽衆に魔軍将『風魔小太郎』を憑装させ、風魔忍法『隕石落とし』で川越の町を壊滅させようとしています」
 『超・魔軍転生』とは、かつて織田信長が使っていた『魔軍転生』の強化版で、死んだ魔軍将の魂を大量に複製して召喚し、配下全員に装備として憑依させるという、恐るべき荒業だ。
「紫陽衆は川越の町中に散らばり『隕石落とし』の準備をしています。まずは彼らを探し出し、『隕石落とし』を阻止して下さい。紫陽衆を撃破していけば、いずれ真柄十郎左衛門直隆も姿を現すはずです」
 そして、真柄十郎左衛門直隆の真の目的は川越の町にいるヤドリガミ達なのだという。
「真柄十郎左衛門直隆はヤドリガミの器物を都市ごと破壊し、かつての主とヤドリガミを合成した強力なオブリビオンとして蘇らせるという、おぞましい計画を立てているようなのです」
 そんなことのために町一つを破壊しようという猟書家の計画は、なんとしても阻止する必要がある。
「そこで、川越の町にいるヤドリガミ達に事情を説明して、うまく協力してもらうことができれば、戦いを有利に進めることができるでしょう。彼らは戦闘力はそれほど高くありませんが、何しろ川越の住人ですから、圧倒的な地の利を得ることができるはずです」
 真柄十郎左衛門直隆をうまく誘い出し、彼を撃破できれば残された紫陽衆は烏合の衆となり、撃破は容易いだろう。
「もちろん真柄十郎左衛門直隆自身も恐るべき力を備えた猟書家ですが、みなさんならきっと彼を撃破できると、ワタシは信じています」
 エルシーはにこやかにそう言うとグリモアを取り出し、川越の町への転送を開始したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 隕石落としという言葉になぜか惹かれました。

 これは2章構成の幹部シナリオです。
 第1章では、川越の各地に潜んでいる紫陽衆を探し出し、撃破してください。
 ヤドリガミ達と協力して戦うことで、プレイングボーナスが得られます。
 第2章では、真柄十郎左衛門直隆との決戦になります。

 それでは、みなさんの工夫を凝らしたプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『模擬忍法・紫陽衆』

POW   :    苦無乱舞
【レベル×1の苦無】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    我らに理解できぬ戦術なし
対象のユーベルコードを防御すると、それを【即座に理解し時には秘術で種族や体格を変え】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    我らに唱えられぬ忍術なし
いま戦っている対象に有効な【忍術が書かれた巻物と忍具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛菊・璃奈
街の人達を傷つけさせない…!

【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
UCの効果で強化された凶太刀の高速化と飛行能力で街中を移動…。
ヤドリガミのみんなには道中で敵の位置や逃げた方角を教えて貰いつつ、探知術式【呪詛、情報収集、高速詠唱】で紫陽衆を探知…。

敵を見つけ次第、無限の魔剣による斉射で攻撃して敵の隕石召喚を妨害し、凶太刀で仮面ごと敵を斬り捨てるよ…!

万一隕石落としを発動されたら、空中に飛び上がってUCの力で強化したアンサラーで隕石を受け止め、アンサラーによる反射【呪詛、オーラ防御、武器受け、カウンター】と防御結界【呪詛、結界術、オーラ防御、高速詠唱、全力魔法】で町と町のみんなを守ってみせるよ…!



●分身を断つ魔剣
川越の町に転送されてきた雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、素早く町中を見回した。小江戸と称されるだけあって、川越の町は広く、また多くの人々で賑わっている。
(「街の人達を傷つけさせない……!」)
 璃奈は心の中でそう強く決意すると、近くにあった小さな神社の敷地内に足を踏み入れた。そして、周りに人のいないことを確認すると、
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
 自らが身に纏う幾つもの魔剣・妖刀の封印を解き放つ。同時に彼女自身からも莫大な呪力が吹き上がり、その尾が九つに分かれていった。
 魔剣の巫女媛と化した璃奈は、強化された『妖刀・九尾乃凶太刀』の力で宙へと舞い上がると、上空から探知術式で紫陽衆の存在を感知していく。
「見つけた……!」
 璃奈はほど近い酒蔵の軒下に紫陽衆の存在を見い出すと、自身の周囲に無数の魔剣を顕現。それらを、一斉に紫陽衆目掛けて降り注がせた。
「……!?」
 『隕石落とし』の準備に集中していた紫陽衆は突然の奇襲に驚愕しつつも、辛うじて魔剣の雨から身をかわす。
「おのれ……我らに唱えられぬ忍術なし。見よ、影分身!」
 紫陽衆が懐から巻物を取り出し、素早く呪文を唱える。すると紫陽衆の姿が無数に分裂していった。降り注いだ魔剣が分裂した紫陽衆を貫くが、その姿はかき消えるのみで手応えは感じられない。
「分身……? でも、ならば全部消してしまえばいい……!」
 璃奈の顕現することのできる魔剣はほぼ無限。対して、紫陽衆の唱える忍術は所詮付け焼き刃だ。当然、生み出せる分身の数にも限度がある。
「見つけた……!」
 数を減らしていく紫陽衆の中から探知術式で本物の紫陽衆を見つけ出した璃奈は、紫陽衆が反応する間もないほどの神速で急接近。そのまま九尾乃凶太刀を一閃させて髑髏の仮面ごと紫陽衆を切り捨てた。
「あ、あわわ……」
 そんな声に気づくと、たまたま戦いを目撃していたらしい若い男が、蔵の壁に寄りかかるようにして腰を抜かしていた。一見すると普通の人間に見えるが、精神を研ぎ澄ませている璃奈には、彼がヤドリガミであることがすぐに分かる。
「怖がらないで……。この町に侵入した忍者達が、この町を破壊しようとしてるの……。さっきの忍者の仲間を、どこかで見かけなかった……?」
 璃奈の問いかけに、ヤドリガミの青年はまだ震えながらも、少し離れた閉店した商家の建物を指さした。
「ありがとう……」
 璃奈はそう言い残すと、再び宙へと舞い上がっていく。
「町と町のみんなを守ってみせるよ……!」
 万一隕石落としが発動したら、反射の魔力を秘めた『魔剣アンサラー』で隕石を受け止める覚悟も固めて。璃奈は次の紫陽衆を倒すべく、高速で空を飛んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

篝・倫太郎
【華禱】
羅刹が今川に狙われる事態よりも腹立たしい

町に着いたら聞き込み
ヤドリガミの住人を見つけたら協力を仰ぐ
人の多い場所……
特にヤドリガミが多く住まう場所を教えて貰う

隕石なんてでかいもん落とすんだ
対象が多く居る場所を選ぶのは理に適ってるだろ?

エンパイアウォー規模の戦いを阻止したい事や
戦いの手駒にするためにヤドリガミが狙われてる事
そうした事も正直に話しとく

情報を元に敵と接触したら戦闘開始
拘束術使用

射程内の総ての敵に鎖での先制攻撃と拘束
苦無が放たれている場合は鎖で打ち落とすようにして対処

拘束と同時に衝撃波を乗せた華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
夜彦と分担して手早く片付ける

敵の攻撃にはオーラ防御を纏って対処


月舘・夜彦
【華禱】
町に着いたら情報収集
春暁を呼び出し、彼女には動物使いで空から偵察をお願いします
少しでも怪しい者を見つけたら知らせて貰います

人の多い所、大きな蔵がある所がないか聞いてみましょう
ヤドリガミの中には人に触れられないよう本体を隠していることもあります
蔵といった所ならば保管するには良いでしょう

話を聞いてくださった方にはヤドリガミの器物が狙われていること
都市ごと破壊しようとしている事情を話して協力をお願いします

敵と接触時、速やかに戦闘
付近に人が居る際には逃げるよう指示、逃げるまで守りながら戦います
攻撃は2回攻撃と基本とし、倫太郎の術で拘束されている敵を優先
苦無は武器落としとなぎ払いにて対処



●ヤドリガミ達を守るために
 多くの人々が行き交う川越の町の大通りを、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は油断なく周囲に目を向けながら歩いていた。
「今回の猟書家のやり口、羅刹が今川に狙われる事態よりも腹立たしい」
 町に紛れ込んだ紫陽衆の姿を探しながらも、倫太郎がその苛立ちのままに拳を打ち合わせる。
「その気持ちは私にも分かりますよ」
 猟書家に対する思いは当然、ヤドリガミである夜彦も同じだ。
「とはいえ、この人混みの中から姿を隠している忍者を探し出すのは骨が折れそうですね」
 夜彦は少し考え込むと、
「来たれ、春暁」
 ユーベルコードの力で、一羽のイヌワシを呼び出す。そしてそのイヌワシ――春暁に空からの偵察を任せると、自身は周囲の人々への聞き込みを開始すべく動き出した。やはり自分達の目と足だけで探すのには限界がある。ここは地元の人々に話を聞くことが、一番の近道のはずだ。
「確認すべきは、人の多い場所……特にヤドリガミが多く住まう場所だな。隕石なんてでかいもん落とすんだ。対象が多く居る場所を選ぶのは理に適ってるだろ?」
 倫太郎の言葉に、夜彦も頷く。
「確かに。他に探すとするなら、大きな蔵がある所ですね。ヤドリガミの中には人に触れられないよう本体を隠しているものもいます。蔵といった所ならば保管するには良いでしょう」
 もちろん、ただ情報だけを聞き出そうとしても、怪しまれるだけだ。だから二人は、エンパイアウォー規模の戦いを阻止したい事や、その戦いの手駒とするためにヤドリガミがオブリビオンに狙われている事、さらには都市ごと破壊しようという陰謀が進行していることを正直に話して、川越の住人達に協力を仰ぐことにした。
 幸い、エンパイアウォーの記憶もまだ新しい人々は、第六天魔王・織田信長を討ち取った猟兵達の言うことを素直に信じ、積極的に情報提供してくれる。
 倫太郎と夜彦は、住人達の情報に春暁の上空からの観察の結果も加味して、ヤドリガミ達が多く住まう長屋に当たりを付け、その区画へと向かっていった。
「すみません、この長屋の近辺で、怪しいよそ者を見かけませんでしたか?」
 井戸端で水汲みをしていたヤドリガミの女性に夜彦が声をかける。はじめは警戒していた女性だったが、2人が正直に自分達が猟兵であることと猟書家の目的を話せば、
「なら、長屋のみんなにも聞いてみるよ」
 と、すぐに長屋中の人々に声をかけてくれた。
 まもなく、長屋の住人の一人が、忍び装束の怪しい一団が普段は使っていない集会所に入っていったのを目撃したことを教えてくれる。
 倫太郎と夜彦は、さっそくその集会所へと踏み入っていった。
「何奴っ!?」
 中にいたのは、揃いの髑髏の仮面を付けた忍び装束の3人組だ。彼らが魔軍将『風魔小太郎』を憑装した紫陽衆で間違いなさそうだった。
「おっと、反撃の隙は与えねえ。それよりも先に縛めをくれてやる」
 真っ先に動いたのは、倫太郎だった。彼の一族に伝わる災いを縛る見えない鎖で、たちまちの内に2人の紫陽衆を拘束する。
「おぬしら、猟兵か! だがこれ以上手出しはさせんっ!」
 なんとか束縛を逃れた紫陽衆の一人が手にした苦無を突きつけたのは、縛られて床に転がされていたまだ幼い少年だった。
「人質とは、卑劣な真似を」
 夜彦が歯を食いしばる一方で、紫陽衆は懐から取り出した数十の苦無を、一斉に投じた。
「くっ!」
 倫太郎は見えない鎖で、夜彦は抜いた2刀の刀『夜禱』と『霞瑞刀 [ 嵐 ]』で、苦無を打ち落としていくが、
「抵抗するなっ! この小僧の命が惜しければなっ!」
 紫陽衆は苦無の切っ先で少年の頬を切り裂いてみせる。痛みに、少年が悲鳴を上げた。
「てめえっ!」
 倫太郎が紫陽衆に駆け寄ろうとするのを、夜彦が制する。今のままでは、紫陽衆を倒す前に、少年が殺されてしまうだろう。
「そうだ、それでいい。お前達はそこでこの町が壊滅していく様子を、指を咥えて見ているのだ」
 紫陽衆が勝ち誇った次の瞬間。飛び込んできた春暁が、鋭いくちばしで紫陽衆の苦無を握る手を突っついた。倫太郎と夜彦の動きに集中していた紫陽衆は、予想外の一撃に対応できず、苦無を取り落としてしまう。
「今です!」
 その隙に、夜彦は少年に駆け寄って抱きかかえると、空いている方の手で刀を振るい、紫陽衆を下段から切り上げた。血しぶきを上げて紫陽衆が倒れていく。
 ほぼ同時に、倫太郎は『華焔刀 [ 凪 ]』を横薙ぎに振るい、放った衝撃波で拘束されていた2人の紫陽衆を一撃の下にたたき伏せていた。
「なんとかここは片付いたな」
「春暁が別の紫陽衆の動きを捉えたようです。今度はそちらに向かいましょう」
 助け出した子供を長屋の住人達に預け、倫太郎と夜彦は紫陽衆の隕石落としを阻止すべく、再び駆けだしていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楠葉・狐徹
【WIZ】

「皆、袖のない服に襟巻きを巻いた怪しい奴を見なかったか?実はそいつらはこの町に隕石を落とそうと目論んでる。皆、俺に手を貸してくれないか?俺にこの町の詳しい地理を教えてくれたり、案内してくれるだけで構わない。」と【コミュ力】も利用して町のヤドリガミ達に協力要請

ついでに女性のヤドリガミには「貴女は俺が守るよ」と軽く【誘惑】も使う

敵を見つけたら巻物や忍具を召喚した隙を突いてフォックスファイアを放ち、それを焼き捨てる事を試みる。また、反撃に周辺の木や石畳の一部、武器のエクスカリバールを【怪力】で振り回したり、投げつけたりする

刀は殺意が暴走してヤドリガミ達を殺傷してしまう恐れがあるため抜かない



●軽薄なる守り手
「皆、袖のない服に襟巻きを巻いた怪しい奴を見なかったか?」
 ヤドリガミが多く働く古物商の縁台に腰をかけ、楠葉・狐徹(表裏一体の刃・f17109)は店の人々にそう尋ねていた。
「その方々が、どうしたんですかい?」
 店の主人が、話を合わせるようにそう聞き返すと、狐徹はよくぞ聞いてくれたとばかりに、滔々と語り始める。
「実はそいつらはこの町に隕石を落とそうと目論んでる。皆、俺に手を貸してくれないか?俺にこの町の詳しい地理を教えてくれたり、案内してくれるだけでも構わない」
 店に居合わせた人々は、荒唐無稽に見えるその話が果たして本当のことかどうか、半信半疑のようだ。
 だが狐徹はそんなことは意にも介さず、看板娘らしきヤドリガミの少女の手をそっと握ると、
「大丈夫、貴女は俺が守るよ」
 魅惑的な笑顔を浮かべてそう囁きかけていた。すると看板娘は頬を赤く染めて、
「みなさん、この方に協力しましょう!」
 力強く店にいる人々にそう呼びかけたのだった。

 ほどなく狐徹は、紫陽衆を見かけたという庭師の老人に案内されて、武家屋敷内にある庭園を訪れていた。
 果たしてそこには、木陰に身を隠しつつ何やら呪文を唱えている紫陽衆の姿。
「じいさん、案内ありがとう。危ないから、後は下がっててくれ」
 庭師の老人にそう声をかけ、紫陽衆へと悠然と向かっていく狐徹。
「何者だ、貴様!?」
 当然紫陽衆は狐徹の存在に気づき、咄嗟に懐から巻物と忍具を取り出そうとする。
「おおっと、そうはいかないぜ」
 だが紫陽衆が巻物を開き忍術を発動しようとした直前に、狐徹は【フォックスファイア】を放っていた。燃えさかる狐火が、たちまちの内に巻物と忍具を焼き尽くしていく。
「くっ、ならばこれで!」
 忍術の発動を邪魔された紫陽衆は、代わりに苦無を構えて狐徹へと斬りかからんとした。だが狐徹は周囲の樹から枝をもぎ取り、あるいは庭石を持ち上げて、デタラメに紫陽衆目掛けて投げつける。そして勢いを削がれた紫陽衆目掛け、とどめとばかりに伸縮式のバール――通称『エクスカリバール』を思いっきり叩きつけた。
「馬鹿な……なぜ腰の刀を使わん……っ!?」
 そんな言葉を残し、白目を剥いて倒れる紫陽衆。
(「悪いが刀を抜くと殺意が暴走して、庭師のじいさんや屋敷の人を殺傷してしまう恐れがあるんでね」)
 心の中でそうつぶやくと、狐徹は悠然と庭園を後にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・刀也
ふーん。忍びねぇ
任務遂行のためならどんな手段でも使う連中か
まぁ、何でも良い。俺の前に立つなら斬り捨てる。武器をもって立ってる以上、その覚悟はあると見なす。腰抜かして逃げるなよ?

苦無乱舞で苦無を投げられたら第六感、見切り、残像で避けながら、避けられないものは武器受けで弾きつつ、勇気で被弾を恐れずダッシュで一気に距離を詰めて捨て身の一撃で斬り捨てる
「まるで食いたりん。忍びと言ってもこの程度か。風魔小太郎が泣いてるぞ?」



●一刀両断
 川越の町の外れにある竹林。そこに身を潜めつつ、髑髏の仮面を付けた忍び装束の男が、今まさに風魔忍法『隕石落とし』を発動せんと呪文を唱えていた。
「ふーん。忍びねぇ。任務遂行のためならどんな手段でも使う連中か」
 そこへ姿を現したのは、手に日本刀『獅子吼』を構えた御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。
「貴様……猟兵かっ!」
 紫陽衆は呪文をいったん中断すると、問答無用で刀也目掛けて苦無を投げつけた。その苦無は中空で二つに分かれ、さらには四つ、八つと次々に分裂していく。
「まぁ、何でも良い。俺の前に立つなら斬り捨てる。武器をもって立ってる以上、その覚悟はあると見なす。腰抜かして逃げるなよ?」
 四方八方から飛んでくる苦無を、刀也はあるいは残像を残すほどの素早い身のこなしで、あるいは長年の経験から培った勘で、竹の間を縫うようにして次々とかわしていった。それでもかわしきれない苦無は刀で弾きつつ、被弾を恐れぬ勇猛さで一気に距離を詰めていく。
「くっ、こやつ!?」
 その姿に恐れを抱いた紫陽衆は、後方へと飛び退き刀也の間合いから逃れんとする。
 だが、
「甘い」
 刀也はさらに強く踏み込んで一瞬で紫陽衆との距離を詰めると、問答無用で唐竹割りに『獅子吼』を振り抜いた。
 血しぶきが吹き上がり、紫陽衆の身体が縦一文字に切り裂かれていく。同時に、真っ二つに割れた髑髏の仮面が、地面へと落ちた。
「まるで食いたりん。忍びと言ってもこの程度か。風魔小太郎が泣いてるぞ?」
 刀を振って血糊を飛ばすと、刀也は平然とその竹林を後にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
ヤドリガミを砕き、力ある器物に魂を宿らせるというわけか。
…色々と他人事とは思えんな。ともあれ、阻ませてもらう。

協力者のヤドリガミから川越の地形を【情報収集】、探し出すのは狭い場所に潜む敵。
発見次第【錬成カミヤドリ】で90以上の複製鎧を展開し包囲、襲撃。
敵UCで真似られるが…この能力、弱点があってな。「五感は飽く迄本体にしか伴わん」。
複製鎧総てが所謂念力によるラジコン操作、操るのは容易くなく、このような狭い場で乱戦など土台不可能。

増えるのを止めるか逃げ出すか、ともあれ動きを見せる本人を追撃だ。
複製鎧の包囲網で【物を隠す】ように潜ませていた短剣【誘導弾】と、黄金魔剣で【串刺し】にして仕留める。



●ヤドリガミとして
(「ヤドリガミを砕き、力ある器物に魂を宿らせるというわけか。……色々と他人事とは思えんな。ともあれ、阻ませてもらう」)
 黒騎士の鎧のヤドリガミであるルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、川越の町で出会ったヤドリガミから、情報を聞き出していた。日本鎧のヤドリガミであるその侍とは、東西の差こそあれ同じ鎧のヤドリガミ同士、不思議と通じ合うものがある。
「なるほど、蔵の中か」
 蔵の町とも呼ばれるこの川越には、大小様々な蔵が並んでいる。その中の一つに、紫陽衆が潜んでいるというのだ。
 ルパートはヤドリガミの侍に礼を言うと、さっそくその蔵へと向かった。蔵の入り口の分厚い鉄扉には鍵がかかっていたが、明かり取り用の窓から覗き込めば、果たしてそこには紫陽衆の姿。
「我が分身よ……ここに集え!」
 ルパートがユーベルコードを発動させると、彼の本体である黒騎士の鎧が次々に複製されていく。その数なんと90以上。ルパートはその漆黒の鎧の軍団で蔵を包囲すると、鍵を鉄扉ごと破壊し、蔵の中へと飛び込んでいった。
「まさかここが見つかるとは!」 
 紫陽衆が驚愕したのはほんの一瞬。だがその隙に、複製された鎧の一つが紫陽衆へと突進していく。小太刀を抜き放ってなんとかその突進を受け止めた紫陽衆は、
「我らに理解できぬ戦術なし!」
 秘術を以てルバートのユーベルコードを複製し、即座に発動させた。たちまち、紫陽衆の周囲に90を数える鎧の軍団が出現する。
「ふははははっ、これで数の不利はなくなったぞ」
 高笑いする紫陽衆に、
「実はこの能力、弱点があってな。『五感は飽く迄本体にしか伴わん』」
 ルバートは冷静にそう指摘した。それはつまり、複製鎧総てがいわゆる念力によるラジコン操作であるということ。いかに能力を真似たところで、その操作には熟練を要する。
 さらに、蔵の中のような狭い場所でこの能力を発動させればどうなるか。
「み、身動きが取れん……」
 いくら大きな蔵とはいえ、人間サイズの鎧が90以上入れるほどの広さはない。今や蔵の中は鎧達で溢れんばかりで、動くことすら容易ではない。これでは乱戦など、到底不可能。
「や、やむを得ん。能力を、解除する!」
 紫陽衆がそう叫ぶと同時に、召喚された鎧達が一斉に消えてなくなる。だがそれは、自ら数の優位を捨てたということ。
 ルバートは自身の周囲を固めさせていた複製鎧の内部に隠していた『ブラックスミスの短剣』を解き放った。短剣はまるで誘導弾のように、咄嗟に避けようとした紫陽衆を追尾していく。そして、紫陽衆の意識が短剣に向いている隙に、ルバート本体は『黄金魔剣ルパート』を、紫陽衆の腹部に突き立てていた。
「がはっ!」
 紫陽衆の口から血が噴き出す。それでもなお逃れようとした紫陽衆だったが、そこへ宙を舞って『ブラックスミスの短剣』が迫る。避けようにも、いつの間にかルバートの操る複製鎧達が周囲を埋め尽くし、逃れるだけの空間を塞いでいた。短剣はついに紫陽衆の喉に突き立ち、断末魔の叫びすら上げさせぬまま、その命を奪い去ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽環・柳火
江戸幕府の転覆ねえ。目的は何であろうと止めないわけにはいかねえな
「そんな訳で力を貸してくれ」
ヤドリガミ達に事情を話して手伝ってもらうよう持ちかける。天下自在符を見せれば猟兵って信じてもらえるだろう

街の構造を聞いて地の利を得たら、【ブラッド・ガイスト】で強化した刀で炎の【属性攻撃】【クイックドロウ】で居合い斬り
敵の攻撃は護符装束の一部を護符に分解して【化け術】で自分そっくりの分身を作って撹乱
「攻撃対象を選べる攻撃ってことは、逆に言えば、選ばなきゃ同士討ちの危険もあるってことだ。じっくり選んどけや!」
攻撃対象の選択に相手が時間をかければ、その隙に斬り伏せる。



●天下御免
「江戸幕府の転覆ねえ。目的は何であろうと止めないわけにはいかねえな」
 川越の町へとやってきた陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は、おもむろに懐から天下自在符を取り出した。これこそは、江戸幕府から猟兵へと与えられし治外法権の証。それを見て、たちまち周囲の人々が平伏する。
「あ、いや、そういうのはいいから」
 柳火はちょっと焦りつつ、町の人達に事情を手短に説明していった。
「そんな訳で、ヤドリガミがいたら力を貸してくれ」
 柳火の呼びかけに、数人のヤドリガミが名乗り出る。柳火は町の地図を取り出すと、ヤドリガミ達から詳しい町の構造を逐一聞き出していった。
 さらに紫陽衆の目撃情報も聞き出した柳火は、紫陽衆が隠れているという寺院へと向かっていく。
 既に仲間達が猟兵に敗北したことを聞きつけていたらしい紫陽衆達は、各個撃破を防ぐためか3人がまとまって寺院の裏手にある墓地で風魔忍法『隕石落とし』の準備を行っていた。
「群れて行動してるとは都合がいい。一網打尽にしてやるぜっ!」
 柳火は愛用の名刀『マタタビ丸』を抜き放つとその切っ先で自らの指先に傷を付け、流れ出た血を刀に吸わせる。すると刀は不気味に蠢きつつその血をすすり、刀身から炎を噴き上げ始めた。その刀をいったん鞘に戻し、柳火は3人の紫陽衆目掛けて駆け出していく。
「猟兵!? やはり来たか!」
 猟兵の襲撃を半ば予測していた紫陽衆が、それぞれに投擲用の苦無を構えたが、柳火は意に介さずまっすぐに紫陽衆へと駆け寄り、鞘から刀を抜きざま、電光石火の早業で次々に3人に斬りつけていった。炎を纏った刃が紫陽衆の忍装束を焼き切っていく。
「くっ、調子に乗るなよ!」
 それでも素早く飛び退いて致命傷だけは免れた紫陽衆達は、刀の間合いの外から、一斉に苦無を柳火目掛けて投げつけた。
「おっと、そう簡単には食らわねえぜっ!」
 柳火は身に纏う『護符装束』の一部を護符へと分解すると、得意の化け術でその護符を自分そっくりに変じせていく。
「馬鹿な、分身だと!?」
 思わず、紫陽衆達の苦無を投げる手が止まった。
「攻撃対象を選べる攻撃ってことは、逆に言えば、選ばなきゃ同士討ちの危険もあるってことだ。じっくり選んどけや!」
 相手が手を止めたからといって、柳火まで攻撃の手を緩めるつもりは毛頭ない。柳火はその一瞬の隙をついて、瞬く間に居合い斬りで3人の紫陽衆を次々と斬り伏せていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『真柄十郎左衛門直隆』

POW   :    太刀嵐
【太郎太刀】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    戦場こそが我が死に場所
【防具】を脱ぎ、【戦を求める鬼】に変身する。武器「【次郎太刀】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    ヤドリガミ殺し
【道具やヤドリガミ目掛けて、気合】を籠めた【太郎太刀】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【使い手や本体の命】のみを攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リカルド・マスケラスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟書家・真柄十郎左衛門直隆
 川越の町の中心にはこの周辺の行政および軍事の中心たる川越城がある。
 その川越城の本丸御殿に、突如姿を現したのは巨漢の羅刹だった。
「な、何者だっ!」
 城兵達が、突然の闖入者に色めきだつ。
「騒ぐんじゃねえよ。てめえら雑兵なんざ眼中にねえ。俺は骨のある奴らと戦いたいだけなんだよ」
 その巨漢――猟書家・真柄十郎左衛門直隆はそう言って凶悪な笑みを浮かべた。
「お、おのれっ! 我らを愚弄するか!」
 十郎左衛門を包囲し、今にも斬りかからんとした城兵達を止めたのは、川越城の城主だった。
「待て! その者、尋常の者とは思えん。相手が先に仕掛けてこない限り、手出しはならん! それよりも、丁度この町に天下自在符を持った猟兵の方々が訪れていると聞く。急ぎかの方々を探し出し、ご助力を依頼するのだ!」
 城主の指示で城兵達が駆け出していくのを悠然と見守って、真柄十郎左衛門直隆は手にした大刀を肩に担いだ。
「紫陽衆達は総崩れらしいが、猟兵共を蹴散らした後、クルセイダーから増援を送ってもらえば問題はねえ。俺は久しぶりに戦いを楽しませてもらうぜ!」
御剣・刀也
真の姿、いしはま絵師のJC参照

おー、でけぇなぁ
使ってる得物もまたでけぇ
まぁ、図体のでかさだけで勝負は決まらねぇ。楽しませてくれよ?つまらなかったら、利子つけて返してやるからよ

太刀嵐で、太刀を巨大化させて振り回してきたら、第六感、見切り、残像で避けながら、ダッシュで一気に懐に飛び込んで、捨て身の一撃で斬り捨てる
相手の武器の大きさによる恐怖を勇気で闘志に変え、正面から恐れず立ち向かう
「力だけで勝てるほど、勝負は簡単じゃない。力だけで勝てると思ってるなら、一から出直してこい。それで俺と同等だ」


楠葉・狐徹
【POW】
「誘惑の方便とはいえ守る約束しちまったからな。俺は吐いた唾は飲まない主義だぜ。美人に対してならなおさら。」と刀を抜いて本気を出す

まずは敵の3回攻撃に対し、【カウンター】と【2回攻撃】を駆使し、受け流す。最後の一撃はあえて敵の直線上に立ち、振り下ろしを狙う

「見えたぜ…お前の殺し方!」

振り下ろされた刃を回避し、そのまま横から【怪力】と【グラップル】で刃を地面にめり込ませる。それにより隙が出来たら敵の懐目掛けて散桜斬りを放つ

「隕石を斬るより、お前を八つ裂きにする方が簡単だからな。」と殺意を増幅させ一言

※アドリブ&連携OK



●嵐を超えて
「ようやく来たか、猟兵共」
 猟書家・真柄十郎左衛門直隆が顔に凶悪な笑みを浮かばせたのと、2人の猟兵が川越城内に駆け込んで来たのは、ほぼ同時だった。
「おー、でけぇなぁ。使ってる得物もまたでけぇ」
 御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が、十郎左衛門直隆の巨躯と太刀に目を向け、感嘆の声を上げる。刀也も人間としてはかなり背が高い方だが、十郎左衛門はその刀也が見上げるほどの体躯だ。
「想像してたよりもずいぶんと厄介そうな相手だが……誘惑の方便とはいえ守る約束しちまったからな」
 楠葉・狐徹(表裏一体の刃・f17109)が思い浮かべるのは、先ほど紫陽衆探しを手伝ってくれた古物商の看板娘の姿だ。
「俺は吐いた唾は飲まない主義だぜ。美人に対してならなおさら」
 そう言って抜き放つのは、水晶のごとく燦めく澄んだ刀身を持つ妖刀『浄玻璃刀』。抜くと『殺意が異常に増幅する』という危険な代物ゆえ滅多なことでは抜かないが、今は手を抜いてなんとかなる状況ではなさそうだ。
「まぁ、図体のでかさだけで勝負は決まらねぇ。楽しませてくれよ? つまらなかったら、利子つけて返してやるからよ」
 先に仕掛けたのは、全身から青く輝くオーラを吹き上げた刀也だった。不屈の獅子の如く煌く日本刀『獅子吼』を構え、正面切ってまっすぐに真柄十郎左衛門直隆へと向かっていく。
「真っ向勝負か! いいじゃねぇか、勝負ってのはこうじゃなくちゃあなっ!!」
 十郎左衛門直隆は歓喜の笑みを浮かべると、手にした大太刀『太郎太刀』に自らの覇気を送り込んだ。すると、ただでさえ巨大な『太郎太刀』が、さらに禍々しく巨大なものへと姿を変えていく。
「名付けて秘剣『太刀嵐』! てめえらに見切れるかぁっ!」
 その巨大刀を、十郎左衛門直隆は軽々と振り回した。その様は、まさに吹き荒れる嵐そのもの。そしてその間合いは突撃を仕掛ける刀也のみならず、後方で仕掛ける隙をうかがっていた狐徹をも巻き込んでいく。
「うぉっと、危ねっ!」
 かろうじて『浄玻璃刀』で『太郎太刀』を受け流した狐徹だったが、強力から繰り出されるその斬撃で腕に痺れが走り、思わず刀を取り落としそうになる。
「だが、それだけ巨大な刀であれば、かえって太刀筋を読むのは容易い」
 残像を残すほどの速度で駆け抜けながら、刀也はぎりぎりの間合いで『太郎太刀』をかわし、勢いを止めるどころかさらに加速していった。斬るべき相手を見失った『太郎太刀』が、勢い余って城内にあった石灯籠を粉々に粉砕する。その太刀の巨大さと破壊力には、刀也とてもちろん恐怖を覚える。だがその恐怖すら勇気を以て闘志に変え、正面から恐れず立ち向かえば、勝機は必ず見えてくる。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
 そして、『太郎太刀』の間合いの内側へと飛び込むと、捨て身の覚悟で上段から一気に『獅子吼』を振り下ろした。
「うぐっ!?」
 胸から腹部に駆けて深く切り裂かれた十郎左衛門直隆の巨体が、大きく揺らぐ。
「力だけで勝てるほど、勝負は簡単じゃない。力だけで勝てると思ってるなら、一から出直してこい。それで俺と同等だ」
「……はっ! 抜かすじゃねぇかっ!!」
 なんとか気力で倒れるのを堪えた十郎左衛門直隆が、さらにもう一度『太郎太刀』を振るった時には、刀也は既に間合いの外へと飛び退いていた。代わりに飛び込んでいたのは狐徹だ。
 石畳を砕くほどの威力で振り下ろされた『太郎太刀』を再び『浄玻璃刀』で受け止めると、今度は渾身の力で逆にその軌道を逸らし、刃を地面へとめり込ませる。
「その隙が命取りだ。さあ、命を散らせ!」
 『浄玻璃刀』によって増幅された殺意もそのままに、狐徹は高速で十郎左衛門直隆に接近すると、身を屈めて下から半月を描くように斬り上げた。これぞ奥義【散桜斬り】。
「ちぃっ!」
 顎を裂かれた十郎左衛門直隆が、もんどりを打って転倒する。
「隕石を斬るより、お前を八つ裂きにする方が簡単だからな」
 倒れた十郎左衛門直隆に向かって、狐徹は殺意の赴くままにそう言い捨てたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「相手が太刀を使うのでしたら、こちらも剣で戦いましょう。」「そう簡単に増援を送ってもらえるような状況にはさせませんよ。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【銀の流れ星】で、『真柄十郎左衛門直隆』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


雛菊・璃奈
隕石を落として罪も無い一般人達を巻き込もうとしておいて、よく他者を馬鹿にできたものだね…。
貴方はここで討ち倒す…!

【九尾化・天照】封印解放…!

幻影術式【呪詛、残像、高速詠唱】と天照の光操作の能力で自身や他の猟兵達の幻影を無数に投影し、敵がUCの代償で理性を喪失して正常な判断を行い難くなっているのも利用し、敵を攪乱…。

自身は光を集束させて【呪詛】を乗せたレーザーで牽制を掛けつつ、光速化の能力で一気に接近…。
敵の動きや剣を【見切り、第六感】で読み、魔剣の中でも最大の威力を持つバルムンクによる一撃【呪詛、切断、鎧砕き、鎧無視、衝撃波、力溜め】をヒット&アウェイで叩き込んでいくよ…。

その首、貰った…!



●戦鬼に挑む乙女達
「……ははっ! これが猟兵かっ! いいぞ、もっとこの俺を楽しませて見せろっ!」
 胸を大きく裂かれ、顎を砕かれながらも、血まみれの姿で真柄十郎左衛門直隆は平然と立ち上がった。だが、新たに現れた猟兵達の姿を見て、その表情が拍子抜けしたようなものに変わる。
「なんでぇ、今度は小娘共か? そんなちっぽけな身体でこの大太刀『次郎太刀』の相手ができるたぁ思えねぇが。まあ精々楽しませてくれよ?」
 十郎左衛門直隆の小馬鹿にしたような態度に、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はわずかに目を細める。
「隕石を落として罪も無い一般人達を巻き込もうとしておいて、よく他者を馬鹿にできたものだね……」
 竜殺しの魔剣『バルムンク』を構えつつ、璃奈は怯むことなく十郎左衛門直隆の巨躯と対峙する。
「相手が太刀を使うのでしたら、こちらも剣で戦いましょう」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)もまた、愛用の『銀の剣』を抜いて構えた。明は魔術師ではあるが、同時にマジックナイトでもある。剣を使っての戦いでも、決してオブリビオンに引けを取らない自信はある。
「おもしれえ。戦場こそが我が死に場所。全て忘れて楽しもうじゃねぇか!」
 十郎左衛門直隆は、先ほどの戦いで大きく破損した甲冑を躊躇なく脱ぎ捨てると、全身に力を込めていった。たちまち、その只でさえ巨大な体躯がさらに一回り膨れ上がり、頭部の黒曜石の角が長く鋭く伸びていく。同時に、その瞳から理性の光が消え失せていった。
「なるほど、理性を捨てて本能に身を任せることで、その力を解放したということですか」
 明が分析する間にも、十郎左衛門直隆は本能のままに『次郎太刀』を振り回し、この場にいる全ての者を皆殺しにせんとする。そしてその狂気の刃が、もっとも近くにいた明を切り裂いた。だが、次の瞬間切られたはずの明の姿が、ゆらめくように消え失せる。
「残念、それは残像です」
 魔術と体術を組み合わせた身のこなしで、明はデタラメに振り回される太刀を次々とかわしていった。そして、明が十郎左衛門直隆を引きつけている間に、璃奈は【九尾化・天照】の封印を解放する。
「我らに仇成す全ての敵に太陽の裁きを……」
 たちまち璃奈の全身が太陽のごとき黄金の輝きに包まれ、その身が金髪金毛の九尾へ変化していった。
「貴方はここで討ち倒す……!」
 光を自在に操る力を得た璃奈は、その力で自分自身や明、さらにはこの場にいない猟兵達の幻影を大量に出現させる。平常時であれば、剣の達人たる十郎左衛門直隆がそのようなまやかしに惑わされることはないだろう。だが戦の狂気に身を任せ理性を捨て去った今の十郎左衛門直隆は、相手が幻影だろうと関係なく、目に付いたものにひたすら刀を振るい、切り裂いていく。
 そして、自分への注意が逸れたこの隙を、明は逃さなかった。
「流れる星に、魔を断つ力を」
 黒いマントを翻しながら、手にした『銀の剣』で死角から十郎左衛門直隆の背中を貫く。
 いくら鎧を着ていなくても、十郎左衛門直隆の鍛え上げられた筋肉はそれ自体が強固な鎧のようなもの。本来なら非力な明の力では貫くことはできないだろう。だが【銀の流れ星】の魔力を籠めたその一撃は、軽々と十郎左衛門直隆の筋肉を貫通し、その身に突き刺さった。
「少しでもダメージを与えて次の方に」
 一撃を与えては素早く距離を置き、再度突き刺す。ヒット・アンド・アウェイで確実にダメージを積み重ねていく明。
 さらにそこに、
「光よ……、敵を貫いて……」
 璃奈の放ったレーザー光線が降り注ぎ、十郎左衛門直隆の皮膚を焼いていく。
「ちぃっ!」
 レーザーを振り払うように、十郎左衛門直隆が太刀を振るった。だがレーザーはあくまで牽制。先ほどの幻影と同じく目くらましにすぎない。璃奈は光のごとき速度で十郎左衛門直隆に急接近すると、自身の所有する魔剣の中でも最大の威力を持つ『バルムンク』の一撃を、全力で叩き込んだ。
 グキッという骨の砕ける嫌な音が響き渡る。十郎左衛門直隆のあばらが折れたのだろう。
「まだまだ……。その首、貰った……!」
 璃奈の攻撃もまた、一撃では終わらない。ある時は首に、ある時は膝に、光速の連撃が叩き込まれていく。
 たとえ小柄で非力だとしても。明と璃奈の連続攻撃は確実に十郎左衛門直隆に無視できないダメージを刻んでいったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
強者を求めるならば猟兵である我々が御相手致しましょう
――御覚悟を

周囲の安全は保障出来ません
皆様はお逃げください、此処は私達をお任せを

基本は2回攻撃の手数、なぎ払いにより広範囲で躱し難い攻撃を意識
倫太郎と連携して攻撃する合間、視力と見切りによる敵の動きの観察
太刀の攻撃が重いならば残像による回避
受け止められる程度ならば怪力と武器受けによる防御
いずれも凌いだ後に反撃

太刀が巨大化時、早業の抜刀術『八重辻』
敵の攻撃に併せて反撃、3回攻撃を凌いだ後に解除して再び攻撃

負傷は激痛耐性にて耐える

ヤドリガミの一人として同族が利用されることは許しません
私達は、そのようなことの為に生まれてきたのではない


篝・倫太郎
【華禱】
戦いを楽しむなんて言わせてたまるか
往こうぜ、夜彦

あーっと、お城の人達は離れててネ
巻き込むつもりはねぇけど、出てこられると気が散る
守ってやる余裕はねぇからな

防御力強化に篝火使用

衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀でなぎ払いの先制攻撃
同時にフェイントを混ぜつつダッシュで接近
返す刃で二回攻撃

攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防いで凌ぎ
華焔刀で武器受けからのカウンター

負傷は激痛耐性で緩和
以降の攻撃には生命力吸収を乗せてく

敵しか居ねぇ状態だ
端っから無差別の三回攻撃で来るだろさ
来ないならそれはそれだ

夜彦が一撃通すまでは持ちこたえてやるし
通させねぇよ

盾の矜持舐めて貰っちゃ困る
夜彦、任せた!



●返しの技
「くくっ、この血の味、この痛み、久しく忘れていたものだっ! これこそ戦、これこそ真の愉悦っ!」
 変身を解除し理性を取り戻した真柄十郎左衛門直隆だったが、その口から発せられたのはまさに戦闘狂の戯れ言そのもの。
「戦いを楽しむなんて言わせてたまるか。往こうぜ、夜彦」
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が、共に川越城へとやってきた月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)へとそう声をかける。
「ええ。強者を求めるならば猟兵である我々が御相手致しましょう――御覚悟を」
 夜彦はそう応じると、愛刀『夜禱』と霞瑞刀 [ 嵐 ]の柄へと手を添えた。
「あーっと、お城の人達は離れててネ。巻き込むつもりはねぇけど、出てこられると気が散る。守ってやる余裕はねぇからな」
 遠巻きに戦いの様子を見守っていた城主以下の川越城の人々に倫太郎がそう声をかけると、夜彦も続けて、
「周囲の安全は保障出来ません。皆様はお逃げください、此処は私達をお任せを」
 そう退去を促す。これまでの猟兵と十郎左衛門直隆の超常的な戦いぶりを目の当たりにしていた川越城の人々は、その忠告に素直に従って場内へと避難していった。
「さあ、戦う準備ができたってんなら、どこからでもかかってきな!」
 既にこれまでの戦いで常人なら致命傷レベルの傷を複数負いながら、十郎左衛門直隆の戦意はますます高まっているようだ。
「まさに戦狂いって奴か。なら、望み通りに見せてやるよ。祓い、喰らい、砕く、カミの力を!」
 炎と水と風、三つの神力で守りを固めた倫太郎が、なぎ払うように華焔刀 [ 凪 ]を振るった。すると華焔刀から衝撃波が発生し、十郎左衛門直隆に襲いかかる。
「ぬるいっ!!」
 だが十郎左衛門直隆は、太郎太刀を一振りしてその衝撃波をかき消した。けれどその程度は倫太郎も想定済み。追い打ちをかけるように、ダッシュで十郎左衛門直隆に接近していく。
「はっ、甘いぞ小僧っ! 今度はこちらの手番と知れっ!!」
 十郎左衛門直隆の覇気を受け、太郎太刀が巨大化。そのまま振るわれた剛剣が、倫太郎の接近を阻む。倫太郎は咄嗟に上へと跳んでその一撃をかわすが、その空中の倫太郎へと、返された二撃目が襲いかかった。咄嗟に神力で身を守り、辛うじて致命傷を避ける。
「まだです! 三撃目が来ます!」
 間合いの外から十郎左衛門直隆の動きを観察していた夜彦が警告の声を発した。
「敵しか居ねぇ状態だ。そりゃあ端っから無差別の三回攻撃で来るだろさ」
 直後襲いかかってきた三撃目を、倫太郎は華焔刀 [ 凪 ]で受け止めると、お返しとばかりに十郎左衛門直隆を切り返す。
「ほう、全て耐えきるとはやるな、小僧」
「あたりめえだ、夜彦が一撃通すまでは持ちこたえてやるし、通させねぇよ」
 その言葉に十郎左衛門直隆が後方の夜彦がいた場所に目を遣れば、その姿はいつの間にかかき消えていて。
「倫太郎が作ってくれた好機、逃しません」
 気づけば十郎左衛門直隆の懐に飛び込んでいた夜彦が、抜刀術の構えを取っていた。
「てめえ、ヤドリガミだな? こしゃくな真似を!」
 十郎左衛門直隆は再び太郎太刀を巨大化させ、間髪入れず夜彦目掛けて振り下ろす。
 だがその一撃を受け止めたのは、華焔刀 [ 凪 ]を両手で構えた倫太郎だった。太郎太刀に比べれば遙かに細く華奢な薙刀で、しかし倫太郎は重い一撃を持ち堪えてみせる。
「盾の矜持舐めて貰っちゃ困る。夜彦、任せた!」
 ついに倫太郎が太郎太刀を押し返した。十郎左衛門直隆は即座に刀を返し、再び夜彦に切りつけるが、
「――全て、返そう」
 夜彦は超高速の抜刀術【八重辻】をもって太郎太刀を撥ね返すと、無防備となった十郎左衛門直隆の身体に、素早く一太刀を浴びせる。さらに十郎左衛門直隆が体勢を立て直して放った最後の一撃をも【八重辻】で受け流し、そのまま十郎左衛門直隆の顔を切り裂いた。
「俺の剣技が返されただとっ!?」
 顔の傷を手で塞ぎながら、十郎左衛門直隆が驚愕の声を上げる。
 抜刀術【八重辻】は、ほぼあらゆる攻撃を抜刀術にて返す、究極の返し技。だがそのためには敵の攻撃に対し極限まで集中する必要があるため、発動中はその場から動くこともできなくなるという大きすぎるリスクも伴う。それでも、ヤドリガミである夜彦にとって、十郎左衛門直隆のやらんとしていることは許しがたい所業だった。どんなリスクを背負っても、阻止しなければならないと思い定めるほどの。
「ヤドリガミの一人として同族が利用されることは許しません。私達は、そのようなことの為に生まれてきたのではない」
 夜彦は【八重辻】の構えを解くと、駄目押しとばかりにもう一太刀、抜刀術の一撃を十郎左衛門直隆に浴びせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
生粋の戦士の手合いか。
いいだろう、黒騎士ブラックスミスが相手になってやる。
【決闘】だ、真柄十郎左衛門直隆。

UC【黒と青の舞刀曲】、【投擲】短剣【誘導弾】による四方八方から【弾幕】を繰り出しつつ黄金魔剣での【切り込み】にかかる。

短剣で狙うは敵の攻撃【体勢を崩す】のと同時に腕の【部位破壊】による【武器落とし】だ。
結局は剣を振るってるには違いないのだ、腕力を損なえばむしろ巨大化した太刀を担いでいられまい。
敵の攻勢を挫けたらすかさず【ダッシュ】で接敵、黄金魔剣で【串刺し】にしてくれよう。

戦いに生きるならばわかっているだろう?
敗者は造作もなく死ぬがいい。


陽環・柳火
見るからにヤバそうな相手だが、引くわけにはいかねえな
「さあ、骸の海に還る時間だぜ大将」

ケルビンカードの『烈火乱れ咲き』で派手に【弾幕】を仕掛け、そこから斬り込む
「俺のマタタビ丸はその大太刀とかみてーに業物って訳じゃねーけどよ。まあ、そこは気合いでカバーだ。って、聞いちゃいねえか?」
弾幕張ったり、護符をばら撒いてそれを踏み台にして【空中機動】しながら、理性を失った相手の攻撃タイミングを外してやりすごしつつ、
攻撃は炎の【属性攻撃】【クイックドロウ】とUCによる高速の居合い斬りを叩き込む
「これで終わりだ!」



●弾幕の彼方に
 猟兵達の中で、一番遅れて川越城にたどり着いたのはルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)と陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)だった。
 そして川越城に到達した2人が目にしたのは、全身を血に染めながら、なお修羅の笑みを浮かべて太刀を構える猟書家・真柄十郎左衛門直隆の姿。
「戦に全てを捧げた男……生粋の戦士の手合いか」
 ルパートのつぶやきに、
「そうかぁ? 戦士は戦士でも狂戦士の類いじゃねえか、あれ」
 柳火が首をひねりながらそう応じる。
「また新手か。いいぜ、どこまででも何人でも相手になってやる。その代わり、この俺を存分に楽しませてくれよ!」
 十郎左衛門直隆は2人に気付くと手にした『太郎太刀』に覇気を籠め、只でさえ巨大なその刀身をさらに巨大化させていった。
「いいだろう、黒騎士ブラックスミスが相手になってやる。決闘だ、真柄十郎左衛門直隆」
 ルパートが『黄金魔剣ルパート』を正眼に構え、
「まあ見るからにヤバそうな相手だが、引くわけにはいかねえな」
 柳火は懐から爆符『烈火乱れ咲き』を取り出した。
「いくぜぇ、秘剣『太刀嵐』!!」
 十郎左衛門直隆が驚異的な膂力で巨大化した『太郎太刀』を振るう直前。
「我が名に栄光はもはやなく。されど、我が剣の輝きは未だ鈍らず!」
 ルパートは自身の周囲に100近い投擲用の短剣を呼び出し、その短剣を操って四方八方から十郎左衛門直隆へと襲いかからせた。同時に、柳火も爆符『烈火乱れ咲き』を連続で投じ、派手な爆発をいくつも巻き起こしていく。
「飛び道具とは小賢しいっ!!」
 十郎左衛門直隆は秘剣『太刀嵐』で巻き起こした剣圧で短剣や爆発を吹き飛ばしていくが、それでも全ての短剣を払いのけることができたわけではない。ついに何本かの短剣が、十郎左衛門直隆の腕に突き立つ。しかもその短剣は、的確に十郎左衛門直隆の腕の腱や手の平を切り裂いていた。
「ぐっ、こいつは!」
 傷ついた腕では巨大化し重量も増した『太郎太刀』を支えきれず、十郎左衛門直隆は思わず太刀を取り落としてしまう。それこそまさに、ルパートの狙い通り。
 ルパートは素早く十郎左衛門直隆へ駆け寄ると、勢いそのままに黄金魔剣でその腹部を串刺しに貫いた。
「戦いに生きるならばわかっているだろう? 敗者は造作もなく死ぬがいい」
 黄金魔剣を引き抜きながら、ルパートが引導を渡すように冷たくそう言い放つ。だが、
「まだだ……、戦場こそが我が死に場所。俺はまだ、暴れ足りねえっ!!」
 十郎左衛門直隆は理性をかなぐり捨てたようにそう叫ぶと、虚空から『次郎太刀』を呼び出し、『太郎太刀』の代わりにその手に握った。その全身から禍々しい邪気が立ち昇り、身体が一回り大きくなっていく。
 十郎左衛門直隆はそのまま、狂乱したように滅茶苦茶に太刀を振り回し始めた。
「最期の悪あがきというわけか。見苦しい」
 太刀を避けるように、ルパートが飛び退く。
「あんたは短剣で牽制を続けてくれ。今度は俺が仕掛ける!」
 柳火は爆符『烈火乱れ咲き』を投じつつルパートにそう呼びかけると、『マタタビ丸』を構えつつ、十郎左衛門直隆に切り込んでいった。
「俺のマタタビ丸はその大太刀とかみてーに業物って訳じゃねーけどよ。まあ、そこは気合いでカバーだ。って、聞いちゃいねえか?」
 ある時は爆発や短剣を目隠し代わりにし、ある時は斬撃を身を低くしてやり過ごし、そしてある時は護符を踏み台代わりに宙を駆けながら、柳火は既に理性をなくし暴れ回る十郎左衛門直隆へと肉薄する。
「さあ、骸の海に還る時間だぜ大将」
 そして放たれたのは、炎を纏った『マタタビ丸』による居合い斬りの一撃。狙うは十郎左衛門直隆のその首、ただ一点のみ。
「これで終わりだ!」
 電光石火で放たれた居合い斬りが、十郎左衛門直隆の首を一撃の下に跳ね飛ばす。首が宙を舞い、巨体がよろめき倒れ伏す。
 隕石落としをもって川越の町を壊滅させんと試みた、狂気の猟書家・真柄十郎左衛門直隆の計画は、こうして猟兵隊の手により阻止されることとなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月25日
宿敵 『真柄十郎左衛門直隆』 を撃破!


挿絵イラスト