「あぁ~、極楽極楽」
人の言葉が、仄かに光る湯に満ちた洞穴に響き渡る。円型の広間のような洞穴の中。盆のような鍾乳石の岩場が重なるその最上段の湯に、大猿が浸かっていた。
人の言葉を話す大猿は、獣を従えて法力に満ちた風を吸う。不思議なことに、湯は温かいというのに洞窟内の風は冷えて、夜風のようだ。
更には、上る湯気に含まれた法力が天井で煌き、岩の天蓋に星空がきらめいているようでもあった。
その溢れんばかりの法力をその身に宿しながら、大猿は気持ちよさそうに、目を閉じ、鼻歌を歌うのだった。
◇◇◇
仙界と人界を繋ぐ洞穴。数ある中の一つ。法力を宿す温泉が湧き出る洞穴に突如として強力なオブリビオンが姿を現した。
それは大猿の姿をし、様々な獣を従える獣の王『魔猿王』。その出現によって、人界にあった洞穴近くの山村は仙界との交流を絶たれてしまっている。密接に繋がった世界、これを分断し各個に破滅させようとするオブリビオンの策略を見逃してはおけない。
秋茶瑪・流(繁盛店長・f32732)はそう告げる。
「ですが、魔猿王へと至る前に、尖兵として放たれた猛虎がその障害となります」
それらは、湧き出る温泉の法力を浴び、強化されているらしい。それに対抗するためには、まずは猟兵たちもその法力を身に宿す必要があるのだという。
法力を宿す、とはいえ、それは一時的なものとなる。魔猿王もそれを分かっていて、自らは動こうとはしない。
山村にも数多くの湯殿があり、洞穴への道の岩場にも天然の温泉が多くある。山村にて身を清めても、山を上る最中に立ち寄っても法力を身に浴びることは可能だろう。
半ば湯の水路になった洞穴の中。そこで猛虎と接敵することになる。だが、猛虎の存在は猟兵にとってただ悪いばかりではない。
「猛虎を倒せば、その猛虎が蓄えていた法力を宿すこともできます。そうすれば、大猿にも対抗出来るようになるのではないかと思われます」
つまり、まずは、温泉を楽しむこと。それがその後の戦いの力となる。
流は、そう言ってグリモアを起動する。そしてグリモアの光が、猟兵達をその山村へと導いていくのだった。
熱血漢
いつもの感じです。
第一章
温泉に入ります。湯に含まれる法力が宿る設定がありますが、このシナリオのみです。
山の天然岩場温泉とかも、入りに来ている旅人がいるかもしれません。湯殿のある山村の人々と触れ合うも、一人で景色を楽しむもお好きにどうぞ。
第二章
洞穴へと侵入し、虎と戦います。倒した虎の蓄えた法力が宿る設定がありますが、このシナリオのみです。
所によっては腰まで浸かったりしますが、服が濡れても特に判定のマイナスはありません。纏わりついて億劫に感じたりとか程度はプレイングとかから描写したりしなかったりです。
お好きにどうぞ。
第三章
魔猿王との戦闘です。
洞窟内の温泉棚田での戦闘です。法力がなければ敵わない程強化されていますが、ここまで法力で強化されてる設定なので、つまり普通のボス戦です。
そんな感じです。
よろしくおねがいします!
第1章 日常
『湯煙たなびく温泉郷へようこそ』
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POW : 礼に始まり礼に終わる。温度高めの温泉で我慢比べだ。
SPD : 礼に始まり礼に終わる。すべての温泉を楽しむのも、一つの礼儀である。
WIZ : 礼に始まり礼に終わる。管理する人々に感謝をして、ゆったりと楽しもう。
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ジェムス・ゴールドシップ
…まぁこういう時だからこそゆっくりする
温泉につかるのも山村の者たちに行商じみた商売をするのも。
ついでにあわよくば旅人がいるならばモノを売る。それが商人の性って奴よ
平常運転といえばそれまでな気もするがまぁ事前準備という奴だな。
というわけでのらりくらりと進めていこうか
「ふう」
低い声が、山村にほど近い岩場の湯を震わせる。ジェムス・ゴールドシップ(経済界のラスボス(多分)・f32116)は胸までを熱い湯に浸けていた。日頃酷使している足が、温度にじわじわとほぐされていくのが分かる。
「まぁ、こういう時だからこそゆっくりするのは大事だな」
近くの洞穴がオブリビオンに侵略されているというのに悠長に温泉に浸かっているという状況は、些か呑気にも見えるかも知れない。だが、結局準備というものは十全にして意味があるものだ。過ぎるも足らぬも不備に違いない。
僅かに身体に馴染む温泉の中に揺蕩う法力を感じながら露天の空に息を吐く。
「やあ、行商さんかい?」
ふと通り掛かった旅人がジェムズの荷に興味を持ったように話しかけてきた。僅かに濁る程度の湯に裸を晒すジェムズに、同姓だからか、いや、そもそも温泉という場所だからか。気恥ずかしげもなく、ジェムズの背中を預ける岩の側に寄って、湯に手を浸す男性。ジェムズも表情は変えずに、気さくな言葉を返していた。
「ああ、要り用なものはあるか?」
「残念、麓の村で支度は済ませたんだ」
聞くに、洞穴の周囲はオブリビオンに出くわす可能性があるから、回り道をする必要がある。となれば旅程が伸びる。準備は整えて行くようにと山村の者に言われたらしい。
(強かだな)
商機を逃した事よりも、商魂逞しい村に好感を覚えていた。
「行商さんもこれから山回りかい?」
「いや、俺はまあ、ここらに用があってな」
「へえ、そいつは大変だ」
気を付けてな、と告げる旅人は、どうやらジェムズが麓の山村へと向かうと勘違いしたのだろう。
まさか、洞穴に陣取ったオブリビオンに用があるとは思うまい。
去っていく旅人の背を見送り、ジェムズは湯気の立つ体を、まだ春めいて冷える風に晒し、僅かに宿る法力を巡らせる。
異なる力だ。もう少し異物感があるかと予想していたが、意外と馴染みが良い。
「さ、ぼちぼち向かうとするか」
湯冷めしないよう布で体を拭ったジェムズは、洞穴へと再度向かっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
泡夢・雪那
法力を身体に宿すために行動
和風の作法に倣って温泉に浸る。
辺りを見遣っては、ふと後の戦いに備えて情報を整理し
湯を掬っては、つい法力とは何なのか分析を始めてしまうような性分。
けれど山村の人々の和やかな語らいに耳を傾けているうち
自然に肩の力は抜け、温泉や景色を楽しんで英気を養う。
冷徹を型紙にしたような、皺ひとつ無いスーツを脱ぎ払った泡夢・雪那(夢魔皇姫・f32415)は、その蠱惑的な肢体を惜しげもなく晒し、伸びをした。顔立ちもさることながら、衣服に隠れた場所までも整った曲線に彩られる彼女に、同姓ばかりの湯であっても視線が集まる。
憧憬、僅かに気恥ずかしさを覚えたのか慌てたように逸らされる視線にも、雪那が表情ひとつ変えることはなかった。
(先ずは、身を清めて……)
洗い場へと向かい、全身を丁寧に洗い上げる。戦闘に、営業に。多忙を極める雪那の生活にこの時間は希少だ。どれだけ働いても眉ひとつ動かず、冷静に立ち回る様子に、疲れなど無いと思われがちだが、溜まるものは溜まるのだ。
程よく筋肉のついた体を解すように洗い、石鹸を洗い流せば、流れる風が清らかに感じて心地良い。
「法力、か」
湯に足先を沈めながら、確かに感じる何かしらの力に思考を巡らせた。
両足を水面にくぐらせ、腰を下ろしては熱めの湯と空気の境の僅かにくすぐったい感覚を足から腰へと上らせていく。
腹の半ばまでを浸せば、胸の中へと染み込んでいく力が感じられる。
「魔力とも違う……聖気とも、純粋なエネルギーとも違う」
湯を手に掬い、力を分析してしまうのは職業病か。己の力と混ぜ合わせ、どう反応するのかを繰り返している雪那の耳には様々な声が入ってくる。
木の塀の向こうで少年が駆ける音。商店の呼び込み、赤子の鳴き声。
「あの綺麗な子、お湯をじっと見つめてるわ」
「法力の宿るお湯だもの、きっと珍しいのね」
それと、どうやら自分を見つめる声。その声に雪那は、また仕事を増やそうとしていた事に気付く。少しの恥ずかしさに、自然と肩から力が抜けていく。
「……ああ、でも確かに心地良い」
向こうの山は春めき、山桜が緑に白を添えている。空を駆ける鳥の囀りが、湯気に揺れる。
静かに、雪那は癒されながらオブリビオンとの闘いに向けて英気を養っていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
李・玉明
◎じゃ!
「あ”あ”あ”あ”、天国なのじゃあああ」
あったかい温泉に浸かってとろけてるのじゃ!下着代わりの水着を着ているのでご安心なのじゃ!
「ふっふっふっー。この温泉の法力を身につければ、妾も強くなれるのじゃな!」
みんなや姐々と一緒に戦えるようになると考えて、ルンルン気分で来たのじゃ!
ちなみに、効能が一時的なもので時間が過ぎると効果がなくなるって話は聞いてないのじゃ。
一人で戦うのは不安じゃが、他にも来ている人がいるから、不安を振り払って楽しむのじゃー。
「ごくらく、ごくらく、というのじゃなぁ。歌いたくなる気分じゃ」
鼻歌を楽しんでいると、心地よくなって……眠くなってくるのじゃあ……。
「あ”あ”あ”あ”」
いやいやまさか。こんな世界中の光という光が集まって悪戯に浮かべた幻のような絶世の美少女が、そんな声出すわけないやろ。と言いたくなるような声を李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)はお湯に浸かって出していた。
「天国なのじゃあああ」
水着をつけて、お湯にどろどろと解けていってしまいそうな玉明ではあるが、その姿すら絵になってしまうというのは世の女性からすれば嫉妬すら通り越して崇拝すら覚えるかもしれない。
まあ、誰もいないので遠慮なく、そんな声を上げているので、実際の所は分からないけれど。
「法力の湯、素晴らしいのう……!」
玉明はじわじわと温度と一緒に体に染み込んでくるその異なる力に、こんな良いものがあったとは、と浸る。
彼女自身に力への渇望というのは正直薄い。だが、力があったとしても彼女に何の得も無いのか、と言えばそれは断じて否。
否である。
大好きな次姉や仲間と、堂々と肩を並べて戦える。この事件を解決し、この力を身に付けたと証明すれば、きっと危ないから下がってろ的な庇われ方はしないはず。
「ふっふっふっー。この温泉の法力を身につければ、妾も強くなれるのじゃな!」
しかも、一人で闘うのなら不安もあるが、他の猟兵も来ている。となれば不安も振り払って、今はこの湯を楽しみながら法力を蓄えるのだ。
そういうわけで、彼女は鼻歌も口ずさみながら、上機嫌であった。
「……ふう、しかし、心地よく……眠くなってくるのじゃあ」
うつらうつらとしながら、火照った体を冷やそうと休憩スペースへと向かう。
その身に宿る法力は、一日も持たず離れていくという説明を、うっかり聞き逃していた事を彼女はまだ知らないのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビビ・クロンプトン
○
一人でのんびりと温泉に
ふう…温泉、気持ちいい
温泉に入るのは、これで2度目
やっぱり、温泉は気分がよくなる、ね
それに…すごく景色、綺麗
封神武侠界…初めて来たけど、いいところ、だね
…でも、これで法力が本当に宿る、のかな?
あんまり、自覚ないけれど…もしかして、サイボーグには効果が薄かったりするのかな?
これで、魔猿王と戦えるようになるのかな…?
…不安に思っても、しょうがない、よね
身体を丁寧に拭いて、水気をとってから、先に進もう
ちゃぷり。
揺れる水音。
「ふう……温泉、気持ちいい」
ビビ・クロンプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)は、静かに流れる風の音。湯が涌き出て岩肌を撫でる音に耳を澄ませながら、微かな波に揺られ、湯の温度に癒されていた。
ビビにとって二度目の温泉ではあるが、景色も空気も、何もかもが全く違う情景に嘆息する。
封神武侠界の険しく雄壮な自然風景。荒々しくも、動植物の柔軟さが醸し出す複雑な生存競争。それを引き起こす豊かな丘陵の重なりが、ビビを圧倒するように広がっている。
「すごく、綺麗」
突き詰めたもの特有の、研ぎ澄む美しさ。湯から立ち上がり、その景色を少しでも瞳に焼き付けたいと自然の岩湯船を歩く。
体の表面を流れる風は、心地よく冷え、時折油断を突くように強く吹いて消え去っていく。
靡く髪を押さえつけながら、少し冷えた体を湯の中に戻して、一つ息を吐いた。
「それにしても」
水滴を滴らせながら、ビビは湯を拐うように腕を上げた。掌から滴る水滴が肩まで流れて元の水面に散っていく
「これで法力が本当に宿る、のかな?」
あまり自覚はない。
もしかしたら、無機物が多く体を埋めるこの体には効果が薄いのかもしれない。
分析を繰り返す。グリモア猟兵の予知も、前提が異なる状況であるなら外れる事もあるだろう。
「これで、魔猿王と戦えるようになるのなら良いけど」
ビビは、再度立ち上がり、湯を離れた。
表皮に滑る水滴を拭きながら、肌着に足を通す。この先に先ずは強化された虎が遅い来る洞穴がある。
長い髪を纏めるようにして、水気を布へと移しながら考える。
法力が宿っているかどうか。それはその虎との戦闘で確かめる事もできるだろうと。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『虎』
|
POW : 虎視眈眈
予め【敵を睨みつけて唸る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 猛虎幻翼
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 三回攻撃
【爪・爪・牙の連続攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
冷えた風が流れる。
暖かな滴りが床を埋める温泉に跳ねる。
広い洞穴は、さながら染み出す温泉が水路のように、足首を――深ければ腰までを、悠に包むように半ば水没していた。
進む。低く唸る声がする。
風鳴りでは無い。獣の唸り声。そして法力に反応する仄かな光に影を作り、猛虎が洞穴を駆け抜け迫り来る。
主の居城。そこに無遠慮に足を踏み入れた不心得者を成敗せんと。
牙を向く。
◇◇◇
第二章
虎との戦闘です。
強化されていますが猟兵も強化されてます。いつもより動きやすいかったり術の制御がしやすかったりするかもしれません。
所によっては腰まで浸かったりしますが、服が濡れても特に判定のマイナスはありません。纏わりついて億劫に感じたりとか程度はプレイングとかから描写したりしなかったりです。
お好きにどうぞ。
李・玉明
◎じゃ!
むー、風が冷たいのじゃ。温泉に温まりながら進むのじゃー。
この先に、まさるおー? がいるのじゃな。
ふっふっふっー。どんな敵でも妾の力で……えっ?
と、虎じゃー!?
えっ、虎がいるなんて聞いてないのじゃー!?(※聞いてなかっただけです)
えと、えっと! 飛び上がって空中に逃げ、にゅああ跳んでくるのじゃあ!?
落ち着くのじゃ、落ち着くのじゃ! ほうりきぱわーで強くなってるはずなのじゃ!
回避して、避けててて、落ち着いててて! 隙を見て芭蕉扇で吹き飛ばすのじゃー!
……洞穴の中で大変なことになっておるのぅ。
こんなにボロボロになるとは、思わなかったのじゃ……。
これが、法力パワー……ちょっと怖いのじゃあ……。
「むー、風が冷たいのじゃ」
李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は、濡れた服が風に冷やされて震える体を暖かい湯に浸しながら、先へと進む。
「……しかし、この暑いほど温まってから冷たい風に打たれるのも中々……離れがたい感覚じゃなあ……」
玉明は温泉への新たな発見を見出だしながら、先へと進む。
「この先にはまえんおー……? とかいうのがいるんじゃよな」
さてさて、どう戦おうか。この法力すら纏った、超玉明たる私がどう料理してくれよう。ふっふっふー、とギラリンとなんだか悪い顔をする玉明の、その頭上。
逆さ筍の鍾乳石を蹴った影が踊る。
「うん……? の、ぅあーっ!?」
ふと見上げた先には、今にも玉明に爪を振り落とさんと迫る虎の姿!
玉明は慌てて横っ飛びにその爪を回避すれば、空ぶった虎はグルルルと唸って彼女を睨みつけた。
「お、おお、穏やかではないのう……と! いうか!」
玉明は突っ込んだお湯から顔を上げながら、目の前の獣に指を突きつけた。
おっきなけもの。というか猛獣。猛々しい獣。オオトラ。
「えっ、虎がいるなんて聞いてないのじゃー!?」
叫ぶ玉明だが、残念ながら言われている。ちゃんと事前にグリモア猟兵は言っていたのだが。
「うん、未来予知なんじゃし、未来が変わることも、そりゃあるんじゃよっ!」
玉明は柔軟な思考を披露した。
つまり、結論として誰も悪くない。
なので。
「一回距離を……っ、跳んでくるのじゃ!?」
空中なら自由も利くまいと、飛び上がった玉明に、虎は見事な虚蹴りにて追い縋る。宙すら足場に駆ける虎の一撃をまたしてもどうにか避けた玉明は、ふとそこで気付く。
「うん? なんぞや動きやすいのう?」
これは……!
ビビーン! と玉明に電撃走る! 法力の強化だ!
「落ち着くのじゃ、落ち着くのじゃ! ほうりきぱわーで強くなってほわーッ!?」
だけど虎は、落ち着くのを待ってはくれない。情け容赦無用、とばかりに野生の牙が爪が玉明が遅い来る。
ぬあー! ぐあー! と声が木霊する洞穴のなかで盛大に声を張りながら、玉明は虎と命からがらの追いかけっこを繰り広げ――。
「こんなにボロボロになるとは、思わなかったのじゃ……」
最終的に芭蕉扇で吹き飛ばしたはいいものの、服は結構ビリビリ、周囲も手加減なし法力マシマシ扇烈風のせいでズタズタになった光景に肩を落とす。
振り返ってみれば冷静に対処すれば、全然焦る必要は無かったという事に気付いて、玉明は熱い体を冷風に冷やさせてから進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
泡夢・雪那
◎☆
猛虎を倒す為に行動
また、最終戦に備えて法力で強化された状態に慣れておく。
足を取られないよう、湯の浅い場所を選んで戦う
必要ならば猛虎を足場にしてジャンプで移動する。
猛虎の攻撃及び『三回攻撃』は
残像による攪乱と、紙一重のジャストガードでかわす。
そして「殺意」を研ぎ澄ませて猛虎を攻撃
更に『傾城』の力が二虎競食を誘う(その影響下にある猛虎とは共闘する)
「……なるほど」
泡夢・雪那(夢魔皇姫・f32415)は眼前を過ぎていく虎の爪を観察するように回避し、頷いた。
足を取られぬよう選んだ浅瀬の湯が跳ねて頬に流れる。だが、気にはならない。動きやすいだけではない、自分の体の制御、感覚器官の感受性。そういった全体の出力と精度が細かく伸び上がり、今の『動きやすいように感じる』という状態を作り出しているらしい。
「グルァアアッ!!」
次ぐ爪を拳に生やした刃で受け流しながら、雪那は己の状態を分析していた。
こうしている間にも、虎は次から次へと増えていくようだ。先ほど屠ったにも関わらず追加された敵影に、形のいい唇の間から息を吐く。
その表情は世の男性であれば堪らずに身の全てを捧げるほどの愁いを帯びているが。
猛虎。
その正体は力の象徴としての恐れが形を持ったものだ。故に、狩った対象を食らうことはなく。故に対象を手に入れたいと願うこともない。
二体の虎が同時に雪那へと爪を振り上げた。
つまり、『傾城』――雪那の持つ蠱惑の美貌の影響を猛虎が受けることは無い。
――わけではなかった。
「ゴッ、グルァ!?」
雪那へと爪を向けていた筈の虎が、その隣。同種個体の虎へと躍りかかっていく。驚愕に声を上げながらも反撃し、縺れ合う二体の虎。雪那は突如として寝返ったように見えた虎ではなく、もう一方の個体へと銃口を向け弾丸を放った。
反響する銃声に、飛び散る血液。同種個体の己の傷を気にしない猛攻に合わせて放たれる弾丸に堪らず、虎はその屍を湯の中へと晒す。
「グルァ……ッ!」
邪魔物を排した虎は雪那に振り向き、即座にその爪を雪那へと放つ。
虎は雪那に魅了されている。だが、それは『この獲物を殺すのは自らだ』という破壊衝動によってのみ。
雪那は飛びかかる虎の背を蹴り、上空へと――そして虎の背後へと降り立った。
「さあ、踊りましょうか」
愉悦もなく、雪那は告げた。その腕には刃と弾丸。それは目の前の凶獣を殺すに足る得物ではあるが、まだ殺さない。
その爪で雪那を殺す。それに執着する虎は、たとえそれが同種であろうと、他者が雪那を殺すことを拒絶する。
虎が跳ぶ。雪那が背を向ける。雪那の背に食らいつかんとした新たな虎へと、牙と刃が食らいつき命を吹き散らす。
「ラストダンスには早いでしょうから」
互いに互いを殺す。それを目的とした連携が始まっていた。
大成功
🔵🔵🔵
ビビ・クロンプトン
風が、冷たい
服が濡れて、ちょっと動きにくい
けれど…いつもより、身体が軽くて、動きやすい気がする
これがあの温泉の…法力の効力、なのかな?
…疑って、ごめんなさい
…気持ちよかったし、後でもう一回、入ろう
相手も強くなってるけど、こっちも強くなっていることがなんとなく実感できた
なら…やることは、いつもと同じだね
【ミライヲミルメ】で相手の動きを予測、回避して…特注ブラスターの一撃を撃ち込むだけ…!
虎さんの動きがどれだけ速くても、私だって速いし、未来予測だってしているから、あなたの攻撃は当たらないよ…!
「……風が、冷たい」
と、ビビ・クロンプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)は少し悴む指先で腕を擦る。
足を包む湯は暖かいのに、濡れた服をさらう風が、その温度が全身に行き渡るより先に奪いさってしまう。
とはいえ、弱音を言ってもいられないのが現状だ。
「来る……ね」
ビビは、高速で近づく気配に熱線銃の引き金に指を沿えた。法力の光に照らされる洞穴。その向こうから壁を蹴り、地を蹴り迫る獣の姿。
虎。
複数体迫る敵影に、ビビは少しだけ重心を前へと傾けて、接敵の瞬間を待つ。
揺れた全身が煩わしい。ビビの体の輪郭に張り付いて皺に肌着の形を明瞭に浮かび上がらせるそれが、動きを僅かに阻害している。
それでも。
(むしろ、動きは……軽い。法力のおかげ、なのかな)
暫くは自覚すら出来なかった動きの精細さ。正直なところ、ただ洞穴を進んでいるだけではあまり実感はない。だからこそ、虎との戦闘を心待にしていた部分もある。
法力の効力。それはビビがフルスペックを駆使する際に最も明確に表れるはず。
それは、放たれた弾丸のごとく。迫り来る虎の牙が、一歩遅れれば首を噛み千切られていただろう軌跡を描いて空を裂いた!
「……!」
一体だけではない。一、二。――三。包囲するように、初撃から間髪いれずに群れでの狩猟がビビを襲う。
視線を全方位に巡らせる。その一瞬、いつも以上の瞬間的な情報量にビビは困惑し、そして、困惑する以上の理解力を以て、体を僅かに逸らした。ほぼ同時に放たれた爪の間隙。
通常よりも早く、多くの情報を解析してのけた演算デバイスが導きだした安全地帯。僅かに体の動きが乱れれば、即座に連撃の中の死を見るだろう紙一重の回避を、ビビは易々とこなす。
(……疑って、ごめんなさい)
疑念を拭い、ビビは宿る法力に謝罪した。疑いようもなく、法力はこの身にあり、ビビを補助してくれている。普段であれば脅威である虎の速度と秘めた威力も、今のビビの前では特筆するまでもない。差異を瞳のデバイスが即座に修整する。
未来予知の瞳。虎の動きを緻密に読み説く神のごとき瞳を開き、虎をブラスターの光線で迎撃していく。
(……気持ちよかったし、後でもう一回、入ろう)
そのなかでビビは、そんなどこか暢気な事を考え、ほんの少しだけ口端に笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
須野元・参三(サポート)
気品高き須野元・参三の輝かしいサポートプレイングコンセプト
『泥にまみれるような悲惨な目にあいつつも、気品的機転、幸運でなんかシナリオが成功させている』
「気品」ということを行動原理の中心とし
・気品と光る発想と異常な行動力を発揮
・輝く【存在感】
・過剰な【パフォーマンス】
・無駄に【挑発】罵声を飛ばす
・そのせいで敵や厄介を【おびき寄せ】るぞ
・気品は痛いの嫌いなので悲鳴と罵詈雑言騒ぎながら【第六感】や【見切り】で逃げ惑う
華麗に気品にエレガントに臨機応変的に頑張ってる描写期待してるぞ
性格・設定
気品高く高邁で地位の高い貴族で見栄を張っている
本当は気弱なため小物臭・ヘタレ・負け犬属性という言葉がよく似合う
須野元・参三(気品の聖者・f04540)は湯に濡れるのも厭わず水路を進んでいた。
全身を水に濡らすのは気品に欠ける? いや、そんなもので参三の気品は濁らない。それどころか、むしろ気品に満ちている。その歩き姿は陰りひとつ無く、堂々とした振る舞いが、闇にひっそりと宝石の輝きのごとき気品を醸し出している……!
「この水の滴る気品高き艶姿……ふっ、ふふふっ! ああ、残念だ!」
シャラン、と音がなりそうな所作で、濡れた髪をかき上げた参三は嘆く。
「法力をも宿した私の姿を拝する者が誰もいないというのは!」
「ガウ」
「そうだろうとも。今や私は世界における気品の最頂上、それをただ岩戸に隠すばかりだなんて……ガウ?」
思わずかけられた合いの手に振り向く参三。目が合う虎。参三を取り囲む虎。
まあ、無防備に喋っていれば捕捉も容易くされるだろう。
「ほ」
「グ?」
「ほぁああああああッ!?」
「ゴァアアアアアアッ!!」
参三はそれを認知した瞬間に、奇声を発していた。と同時に虎が一斉に襲いかかる!
「こ、この! ビックリしたじゃない! ばか! ばーかっ!!」
十歳児も中々しない罵倒を浴びせかけながらも、しかしエレガントに気品高く参三は爪の攻撃を避けまくる。
そしてひとしきり攻撃を、必死――ではなく気品に満ちた動きで避けきった後。
「ぁ
……、……そろそろフィナーレとしよう」
まるで今対抗手段を思い出したかのような「ぁ」ではあったが、回避に専念していたのは相手に花を持たせるためだ。決して、思わぬ遭遇に焦ってそれを失念していた訳ではない。
とにかく。
「ぐがあああああ!!」
参三が放った気品力の光で虎達はたちまちに消滅させられるのだった。
「……ふ、安らかに眠るがいい。暴虐の獣よ……」
それっぽいセリフを残し、参三はそそくさとその場を去っていった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『魔猿王』
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POW : 獣王顕現
【宝貝の力を解放する】事で【獣の王者】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 猿王の拳
【自身の拳】が命中した部位に【妖気】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ : 野獣軍団
自身の【ため込んだ食糧】を代償に、【配下にした獣ども】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【それぞれ持つ牙や爪】で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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「極楽極楽……とは言ってられねえかな」
しわがれた声。魔猿王が法力に満ちた体を起こして、棚田状の湯の上部から猟兵を見下ろす。
折れた剣を手に、残る虎を従えた魔猿王が、告げる。
「立ち去れ。ああ、いや返事は要らん……断ることは目に見えている」
迂遠な台詞に余裕を滲ませるそれは。
「その力持つ血で杯を満たそうか」
猟兵へと宣戦布告を行うのだった。
◇◇◇
第三章
魔猿王との戦闘です。
OP最初の贋星の煌めく洞窟内、温泉棚田での戦闘です。法力がなければ敵わない程強化されていますが、ここまで法力で強化されてる設定なので、つまり普通のボス戦です。
ボス戦後、温泉に入るプレイングがあれば、戦闘描写より戦後描写が多くなる場合もあります。
よろしくお願いします。
李・玉明
◎なのじゃ!
ふっふっふー。見つけたぞ、まえんおー!
逃げずに出てくるとは敵ながらあっぱれなのじゃ!
妾たちが懲らしめて……って、なんでまだ虎がいるのじゃー!?
いや、大丈夫なのじゃ! 今の妾は法力パワーで強くなっておる!
むしろ僥倖と思うのじゃ、そう。こー、目に力を込めてじゃな。ほー……。よし!
虎たちよ。美しい妾に屈服するのじゃー!(キラッ☆)
法力パワーでますます美しくなった妾の瞳で、寝返らせるのじゃー!
妾のために、まえんおーと戦ってくれるとうれしいのじゃ♪
頑張れ、頑張れ、虎ー! 妾は法力エールを送るのじゃー!
無事に戦いが終わったら、虎たちとのんびり温泉に浸かってから帰るのじゃー♪
「ふっふっふー。見つけたぞ、まえんおー!」
ビシィッ! と魔猿王を指差した李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は、腰に手を当てて、高らかに笑う。
「……騒がしい女だな」
「逃げずに出てくるとは敵ながらあっぱれなのじゃ!」
「虎ども、喰らってしまえ」
魔猿王は玉明が話してる最中に既に気を逸らしていた。碎けた剣で玉明を指し示す。
「妾たちが懲らしめて……って、なんでまだ虎がいるのじゃー!?」
そうして、ざっぱーと湯から上がって襲い来た虎にようやく危機に気づいた玉明は、慌てて横っ飛びで爪を回避する。
「のわー!! 不穏なるもの再来なのじゃ……って、いや?」
そういえば、さっきも似た感じでピンチになって、どうにかなったのを思い出す。
「そうなのじゃ、さっきよりも法力パワーでますます美しくなった妾の瞳……、ふっふっふ」
確信に満ちた表情で、玉明は飛び込んだ湯から飛び起きた。
「そう。こー、目に力を込めてじゃな。ほー……。よし!」
そして、玉明は、かわいいポーズを取った!
さらには、きらんとウインク!
かわいい!
「妾のために、まえんおーと戦ってくれるとうれしいのじゃ♪」
「グオオオオ!!」
怒るように吠えた虎は、しかし玉明へと背を向ける。そして睨むは魔猿王。
「面妖な……」
残る虎を、魅了された虎に差し向けながら、憎々しげに魔猿王は玉明を睨む。
だが。
「頑張れ、頑張れ、虎ー! そこなのじゃー!」
法力エールを送ることに夢中で、玉明は気にもしないのだった。
◇◇◇
「ふー……極楽なのじゃー」
「ギャフー、グルルルー」
戦闘後、玉明は魅了化にある虎達と温泉に浸かってまったりとしていた。
瞳の効果を解除すれば、魔猿王撃破の影響か分からないが、骸の海へと還るらしい。なので、まだ解除しないメリットも特にはないのだが。
「妾と温泉に入りたそうにしておったからのー、妾ももふもふを触って見たかったしの」
そういうことである。
ういのう、ういのう。と玉明にもふもふをもふもふされる虎も、幸せそうなので、まあ堪能してから骸の海に還った方がいいのかもしれない。
当然、玉明も幸せそうではあったが。
「あうー、心地よく更に法力でパワーアップ、ふふ、良いこと尽くしなのじゃあ」
……法力パワーアップが一時的だ、と知る不幸が目の前にある事を、彼女はまだ知らない。
大成功
🔵🔵🔵
ハンナ・レドウィッチ(サポート)
ふふん、どうやら大天才邪竜神様の手助けが必要なようね。
不要と言われても助けに行くから、安心して崇め奉りなさい!
超自信過剰なオラトリオの自爆魔法使い。UC大召喚を使用しない間(使用予定無し)、UCの成功率が下がる(お任せ)為、よく自爆して気絶します。
棒術に長け、マイケルくんでの接近戦が得意ですが見た目は若くてもお婆ちゃんなので腰に来ると戦闘不能に。
UCは選択した物を自爆を何故か恐れず強気で使用し、成功すると小躍りして喜びます。
接近戦ではマイケルくんで攻防一体の戦闘を行い、他猟兵と積極的に連携。
隙を見て、あるいは調子に乗ってUCを使用します。
アレンジその他全てお任せ致します!
「さあ! 敵とはいえ、この私、大天才邪竜神様を崇め奉ることを許してあげるわ! 存分に崇めなさい!!」
のっけからフルスロットルなハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)に、魔猿王は何とも言えない表情で、彼女を見つめていた。
「いや、遠慮しよう」
「不要よ!! だって私の懐は宇宙大なんだから!」
「成る程、言葉の通じぬ手合いか」
ふんす、と胸を張るハンナに、魔猿王はどうしたものかと、折れた剣を突きつける。即座に虎が動きだし、ハンナへと殺到する!
だが、ハンナは冷静だった。冷静にはっちゃけていた。
素早い詠唱。そして、即座に召喚される八百を越える魔法の棒(めちゃくちゃ痛いけど、殺傷能力はない)!
「さあ! 見なさい私の極限魔法を! 八百の頭持つ怪物が、絶えぬ激痛をもたらすのだか、――らは!?」
狙いを定めて魔法が放たれる。丁度その寸前。
ハンナの足が、温泉成分が固まって、ちょっと滑りやすくなってるところを思いっきり踏みつけた。
それはもう魔法を使うというテンションアッパーな場面だったので、洞窟を踏み鳴らす勢いでそこを踏み――。
「んあ、だあ!?」
盛大にすっころぶ。と同時に術の制御が乱れに乱れ、結果。
「い゛――ッ!?」
召喚した棒の幾つかがハンナへと襲いかかり、あまりの激痛に意識をうしなった彼女は。
「きゅ~」
と目をバッテンにして、温泉の湯にプカリと浮かぶのだった。
成功
🔵🔵🔴
嵐月・白
おお!こいつは調子が良いぜ!
法力+風の気で縦横無尽。虎も猿もまとめてぶっとばしてやる。
猿王の拳は、風来如鎧で気を乱して、軽減できねえか試してみよう。ま、できなきゃ出来ないで、やることは変わんねえがな!
終わったら、下の街でも湯巡りするか。
猫科は水が嫌い?まあ、俺は毛皮の処理が面倒なだけで、平気だからよ!
湯に居合わせた他の客と談笑したり筋肉自慢したりで、楽しくすごそうか。
極楽極楽ってな。
「おお! こいつは調子が良いぜ!」
温泉の法力を纏い気炎をあげる白虎が、魔猿王へと吠えた。
「ずいぶん気勢の良い小僧だ」
「お褒めの言葉ありがとうよッ!」
ドウ! と手足から放たれる爆風が嵐月・白(白虎乱風・f33160)の体を吹き飛ばす。空中でさらに爆風を起こして、空中機動を実現させる白は、襲い来る虎へと次々に拳をぶちこんでいく。
さながら流れ星のように駆ける、その白虎を魔猿王は虎では武が悪いと、退けさせる。
「来るが良い」
剣ではなく拳を握り魔猿王は挑発する。普通であれば罠を疑うのだろうが、しかし、白はその可能性をあえて捨てていた。爆風に体をのせて魔猿王へと一直線。
刹那の勝負。一瞬先に拳を叩き込む方の勝ち。
白の拳が届く、それよりも先に魔猿王の拳が白の腹へと突き刺さる!
「――!」
流れ込む気が膨れ上がる。はぜる。その瞬間。
「なに?」
注いだ筈の気が乱れ、弾けるはずの白の腹を、薄い火炎が舐めたのみ。
白の体には気を混ぜた風の鎧が存在する。嵐を纏うようなそれに気が制御を乱されたのだ。
にっと白が笑う。拳を引き絞る。
「喰らい、やがれ!」
放たれた拳が魔猿王の顔面に突き刺さった!
◇◇◇
「はあー」
白は数時間後、町の温泉へと浸かっていた。
戦闘後の風呂は格別だ。猫科は濡れるのが嫌いというが、白はそうでもない。濡れた毛を乾かす時に面倒だなあというくらいである。
「お、兄ちゃん鍛えてるねえ」
「へへ、だろ? 体が資本だからな」
共に湯で居合わせた人と会話をかわす。
「なんなら触ってみるか?」
「はは、おー、こいつは凄い」
「って、どこ触って、……んっ、たく」
穏やか空の下。
「にしても気持ちいいぜ」
極楽極楽。白はそんな事を思いながら、温泉を堪能するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビビ・クロンプトン
魔猿王…あなたも法力で強化されてるみたいだけど、それはこっちも、同じ
その杯が満たされることは残念だけれど…ないよ
折れた剣…それで戦えるの?
…警戒するに越したことは、ないよね
距離をとって…特注ブラスターで撃ち抜くよ
相手の攻撃を、第六感を最大限に駆使して回避…スピードを最大限に活かして戦うよ
私のフューチャーアイの分析能力を持ってすれば、一度見た攻撃は簡単に対応できる…
隙を見てシンクノダンガンで焼き尽くす…!
その後は、温泉…
…ふぅ、やっぱり、気持ちいい…思わず、ため息が出ちゃう
でも…気のせいかもしれないけど、何か、視線を感じる…気がする
…見ちゃ、ダメ
「そんな剣で……戦えるのか、なんて思ってた……けど」
ビビ・クロンプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)は、白の拳で吹き飛び受け身を取った魔猿王に語りかける。
「それが……虎を操る宝貝……なのね?」
「それだけの代物だと思っているのか?」
「……いいえ、でも……」
余裕を見せて笑う魔猿王に、ビビは眉一つ動かさずにブラスターを向け、熱線を放った! 熱線が駆ける、と同時に虎が一斉に襲いきた。
ビビは、まるで攻撃がどう来るのか分かっているかのように、紙一重で避けながら更に熱線を放っていく。
「……ぐっ」
折れた剣で熱線を剃らしながら、しかしながらも体を焼く痛みに魔猿王は舌を打つ。
「ここまで法力を溜め込んだというのに……ッ!」
「ええ……だから、私たちも、同じ」
法力で強化されている。だとしても猟兵も同じなのだ。当然猟兵より長く法力を蓄えた魔猿王の方が法力は濃い。
だが、だとしても。
「その杯が満たされることは残念だけれど……ないよ」
ビビの周囲。気づけば虎は全て討ち滅ぼされていた。接近することはない。用心を残したまま、ビビは銃口を魔猿王に向ける。
瞬間。
「――ぇ」
眼前に魔猿王が肉薄していた。拳が握られる。その速度に、頭がついていかず。
「きゃ……ッ!」
交差した腕で拳を受け止めた体が吹き飛ばされた。水面にバウンドするように起き上がったビビに、魔猿王が追い討ちをかける。
真上から叩き込むように、拳がうち下ろされた!
砕け散る。
「……なぜ」
「今、解析が終わったから」
拳が岩を砕き、その魔猿王の胸にブラスターが押し当てられている。『まるで攻撃を読んだように』
ビビの瞳に電脳の光は瞬く。
「一度見た攻撃は簡単に対応できるよ」
そもそも、折れた剣は警戒していた。これまでと全く違う動きの冴えに、即座に剣による強化であり、その動きを今の1秒未満で解析することなど容易い。
かちり、とブラスターの引き金が引かれる。
紅の熱線が、魔猿王の体を貫き。
魔猿王は温泉へと倒れこみ、光に溶けるようにその姿を消したのだった。
◇◇◇
「……ふぅ、やっぱり、気持ちいい……」
思わず、と言ったような。普段の彼女からはあまり想像できない緩んだ声を発する。ビビは再び温泉に浸かっている。
今度は闘いのためではなく、ただただ休息。心地よさも一入というものだ。
「……」
でも、と、ビビはお湯のなかで体を抱えるようにした。白い肌に華奢で柔らかな肢体。
見られている。直感がその視線を見抜いていた。
「……見ちゃ、ダメ」
視線を合わせ、そう呟いた。
少し顔が赤らんでいるのは、温泉のせいか、芽生えた羞恥のせいか。
それは本人にすら、分からないのであった。
大成功
🔵🔵🔵