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堕ちた竜機

#クロムキャバリア #円卓連合

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#クロムキャバリア
#円卓連合


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●開戦
 砲声と鉄の軋む音が市街に響き、騒々しい機械の竜がアスファルトに無残な爪跡を残す。爆炎が辺りを彩る度、立ち昇る硝煙と轟音が破壊のパレードをそこかしこに催した。
『鈴蘭騎士団現着! 状況は、一体何が起こっている!?』
 古めかしい中世の騎士然としたキャバリアの一団がそこに辿り着いた時、目の前には漆黒の竜機の群れが辺り構わず暴れ回る地獄の姿があった。それは紛れも無い暴虐の化身。鈍色の装甲が音を立て、その渦中へ雪崩れ込む。
『報告! 敵部隊は飛行船の影より降下し破壊活動を開始! 総数不明!』
『鳳仙花騎士団の砲撃により敵の連携は分断。ですが……』
 五分前、空を横切る巨大な飛行船の影よりそれらは現れた。ダイナリオン、機動殲龍『空翔』――名機と呼ばれる恐竜を模した飛行型キャバリア達は、豪奢な帝都を僅かな時で凄惨な殺戮現場へと作り変えたのだ。
 ガキン、と鋼がぶつかる音が響いて竜が地に落ちた。しかし竜は一つでは無い。狂気じみた赤いアイセンサに光を滾らせ、その群れが一際目立つ騎士型キャバリアへと殺到する。猛攻を往なし、続く配下の声にキャバリアのパイロットは耳を澄ませた。
『あれはドワーオの特務です! 降下後に飛行タイプのキャバリアで低空侵入を――』
 ドワーオ……八ヶ月ほど前にオブイエへ強硬査察を決行した連中が、なぜ我が国――クリスクワイア帝国へ牙を向けるというのだ。まさか――逡巡する思考を一旦置いて、パイロットは力強くペダルを踏み込んだ。
『おのれ……全軍抜刀、トカゲ擬きをブチのめしてやれ!』
 今は戦闘中だ。やるべき事は、目の前の臣民の敵を叩き潰す事のみ。

「……そして一時間後にクリスクワイア帝国の帝都は陥落。皇帝も生死不明となる」
 朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)はスクリーンに背を向けて、哀しそうに言葉を続ける。この戦は止められない。だが放っておけば事態は最悪へと突き進むだけ。
「これを止めて貰いたい。ただでさえ出所不明のキャバリアが先の戦いで連合諸国にいらぬ波紋を投げているんだ。元凶がオブリビオンマシンだとしても、誰も納得してはくれないだろう。だから――」
 クリスクワイア、ドワーオ、オブイエの三国を主体として成立している『円卓連合』は、今や一触即発の状態だった。この戦を皮切りに全土は戦渦に巻き込まれるだろう。だからこそ、真実を知る者達にこれを止めて貰う他、事態を食い止める術は無いのだ。
「皆の、猟兵の力が必要なんだ。どうか力を貸してくれないかな」
 そう呟き、仄かな灯りが異世界への門を開く。
 作戦目的はただ一つ。全オブリビオンマシンの殲滅。
 既に、賽は投げられたのだ。

『――たった五分で中枢まで攻め込まれるとはな。住民の避難は?』
『はい。大半が地下シェルターへの避難を完了。ですが……』
 物陰に隠れ半壊したキャバリアから身を乗り出したパイロット――燃える炎の様な赤い髪の女が長髪をなびかせる。足元の配下の言葉も歯切れが悪く、風に混じった煤けた臭いが嫌が応にも現実を感じさせた。
『見れば分かる。帝国の一番槍とまで言われた我等が、不甲斐無い』
 これほどの戦だ。何もかもが無事で済む訳が無い。部隊は全滅。命を落とした臣民も大勢いるだろう。奥歯を噛み締め、最早守るべき者の無い廃墟を睨みつけ――不意に光が、空を歪めて煌々とパイロットを照らした。
『……ああ、貴殿らが猟兵という者か。私はクリスクワイア帝国首都防衛隊、鈴蘭騎士団長グリンダ、だった』
 パイロット――グリンダは光の奥より現れた兵達に頭を垂れる。そしてぎらついた目を伏せて、静かに言葉を紡いだ。
『騎士団はほぼ全てを失ったよ。それとキャバリアの準備は出来ている。もう、乗り手も無い。この後も好きに使ってくれていい』
 自嘲気味に後ろを向いて、整然と並ぶトレーラーに手をかざす。本来であればこの国の兵達がその装甲を駆り、帝国の盾として剣として働いたであろうキャバリアを、無償で提供すると言うのだ。必要であれば譲り受ける事も出来るし、自前があればそれでも、無論生身で戦っても構わない。敵は余りにも多く、強い。少しでも力になればと、これが帝国の精一杯の助力だった。
『敵の第一波はダイナリオン。続いて機動殲龍『空翔』が来る。先の敵から捕虜を奪えば続く敵に声を掛ける事も出来るだろうし、今後の交渉でも有利になるだろう。だが』
 相手が人間ならばそういった駆け引きも出来るとグリンダは続ける。相手が人間であれば――グリンダの目には、焦燥の様な、あるいは狂気を孕んだ思いが垣間見えた。
『私は見た。竜の様な、悪魔の様なマシンの姿を。あれには何も通じない。言葉も届かない。あれは破壊しなければならない、絶対に……』
 絶対に……この国を守る為に。
 あのマシンは、破壊しなければならない、と。


ブラツ
 ご無沙汰ブラツです。
 今回の舞台はクロムキャバリアのとある国家を守る為、
 全ての敵を殲滅する事が目的です。

 第1章は集団戦です。低空飛行型キャバリアを迎撃して下さい。

 第2章は集団戦です。同じく低空飛行型キャバリアを迎撃して下さい。

 第3章はボス戦です。現時点で詳細は不明です。

 戦場は廃墟と化した市街地です。背の高い建造物はありません。
 また、殲禍炎剣の影響により高高度高速飛行戦闘は不可能です。
 空中戦は敵キャバリアと同高度が限度となります。
 その他、詳細はオープニングに準じます。

 特に第1章で捕虜を得た場合、第2章で敵兵に声を掛ける事で攻撃の手を緩める事が可能ですが、特に気にせず戦っても一向に問題ありません。但し第1章で敵パイロットが死亡した分、第2章の敵の戦闘力が上がりますのでご注意下さい。

 今回キャバリアの借用に関しては以下の機種になります。
 ■MCK04N-パラティヌス(鈴蘭騎士団仕様)
 RXキャバリアソードとEPキャバリアシールド、
 あるいはRBXSランスライフルを装備した騎士型量産キャバリアです。
 使用キャバリアが無い場合、上記の機体を借用出来ます。
 シナリオ終了後に希望があれば譲渡の可能です。
 (アイテム化は自前でお願いします)

 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。

 プレイングは開幕と同時に募集します。
 書けるタイミングで執筆しますので、募集期間は設けません。
 その為、状況によりプレイングを流してしまう場合もあります。
 再送依頼は致しませんが、お送り頂ければ力の続く限り善処します。
 環境の変化に伴い執筆可能人数は概ね6~8名様くらいを想定しています。
 他、追記はタグにて行います。
 何卒、ご了承いただければ幸いです。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ダイナリオン』

POW   :    トライホーングレネード
【RS自動擲弾銃トライホーン】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    プテラダイブ
【高高度へ飛翔し脚部】から【捕縛用アンカー】を放ち、【対象を掴み上げ高速で建物に叩きつける事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    レクスセンス
【Tレックスの因子を活性化させ殺気を察知。】対象の攻撃を予想し、回避する。

イラスト:aQご飯

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メサイア・エルネイジェ

オブリビオンの悪行と聞いて駆け付けましたわ
あれがダイナリオンですわね
確かに竜の様な悪魔の様な機体…なぜ皆様ヴリちゃんを疑わしげに見てるのです?

正々堂々名乗りを挙げて推して参りますわ!プリンセスプレッシャー!
ヴリちゃんはガンフューラー仕様で行きますわよ
市街を駆け回りながら対空戦闘ですわ
速射式ビームガンで蜂の巣にしてさしあげ…なかなか当たりませんわ!むきー!
なんですヴリちゃん?こういう相手にはミサイルを使えと?
なるほど!ヴリちゃんは賢いですわね!
ビームガンで追い立てたところにミサイルをシュートですわ!
予測出来ても振り切れるとは限りませんわよ!
苦し紛れに降りてきたらヴリちゃんの牙の餌食ですわ!



●吼える鉄竜
『残りは我々だけか……このままでは』
 開戦から十分が経過した帝都。瓦礫の影に身を潜めるキャバリア達の数は最早僅か、獲物を狙い空を舞うダイナリオンから逃れつつ、起死回生の時を待っていた。
『直上! 来る!』
 けたたましく鳴り響くアラートと共に、増大する敵反応が風を裂いて殺到する。殺気に反応する原初の因子が、その爪を、牙を、剥き出しにした闘争本能が一斉に――消えた。
『あれは……』
 遅れて聞こえたのはガラガラと崩れ落ちる残骸の音。カメラアイを上げれば、そこには鮮やかな光跡が。その奥、光を放った獰猛な機械の獣が、瓦礫に足を掛け雄々しく空を仰いでいた。
「オブリビオンの悪行と聞いて駆け付けましたわ! わたくしこそがエルネイジェ王国の皇女にして――」
 メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は威風堂々と宣戦を布告し、そして小首をかしげる。皆様、どうしてこっちに銃を向けるのでしょう?
「――なぜ皆様ヴリちゃんを疑わしげに見てるのです?」
『敵じゃねえ、みたいだな』
 一見してダイナリオンと同系統に見えるシルエット。だがメサイアの『ヴリトラ』に翼は無い。代わりに長大な連装砲を備え付け、その巨躯も滑らかに連動した骨格と装甲が、ダイナリオンとは全く違う竜型戦機である事を示していた。
「あれがダイナリオンですわね。確かに竜の様な悪魔の様な機体……ですが!」
 メサイアの目に映る異形は竜を模した銃を持つ機械の竜。一見して悍ましいそれを睨み、口元を歪ませる。
「わたくしこそが暴虐の機械竜ヴリちゃんのお友達、メサイアですわ!」
 再びヴリトラの光学兵装が火を放つ。しかし大胆な三次元機動をとるダイナリオンには早々に当たらない。先の奇襲と違い今度はヴリトラがダイナリオンのターゲットとなっていた。故にその剥き出しの殺気は原初の衝動が尽く察知していた。
「速射式ビームガンで蜂の巣にしてさしあげ……なかなか当たりませんわ! むきー!」
 歪めた口元を尖らせて、メサイアは――ヴリトラは狂った様に光条を空へ乱射する。廃墟と化した市街を駆けながら、されど猛追は当てられない。不意にアラート――コクピットに示されたヴリトラからの提案が、メサイアの目に入る。

>>Recommended: Armament Selection
>>Quadruple Missile Launcher

「……なるほど! ヴリちゃんは賢いですわね! セレクト! ミサイルマニューバ!」
 こちらで狙いを定めるビームでは殺気が駄々洩れだ。だが自動で追尾するミサイルならば容易に見切る事は出来まい。セレクターを滑らかな手つきで操作して、同時にヴリトラの両大腿部側面のハッチが大音と共に展開する。
「予測出来ても振り切れるとは限りませんわよ! そして!」
 ターゲット・マルチロック――シュート! 一斉に放たれた無数の刺客は空を舞い、ダイナリオンの背後から、足元から、続々と空に鮮やかな爆光を描いて自由を奪う。自在な三次元機動が仇となった――全方位から殺到するヴリトラの猛攻を躱すには、自らも大地を壁とする他ない。それこそがメサイアの狙いとも知らず。
「苦し紛れに降りてきたらヴリちゃんの牙の餌食ですわ!」
 終わりだ。ダイナリオンのカメラアイが捉えた最後の映像は巨大な鋼鉄の咢。ぐしゃりと鉄がひしゃげた音が爆音に飲み込まれ、爆発が大地を揺らす。
『救世主、いや』
『あれは、まるで……』
 ダイナリオンを圧倒する新たな鉄竜――その姿は余りにも。
『……マシンの暴君だ』
 余りにも、恐ろしかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大町・詩乃


あの形状のロボットは昔のTVで見た事が有ります(恐竜帝国と勘違い)。
人々を護る為に頑張りますよ!
と、ゲッ●ー線は無いですが、焔天武后を操縦して戦います。

敵機の攻撃は第六感で読み、焔天武后の推力移動で飛行しての空中戦&見切りで回避(殲禍炎剣対策で敵機と同高度で戦闘)。
躱せない時は大型化した天耀鏡にオーラ防御を纏って盾受け。

遠距離戦ではUCで敵機を一時的に無力化し、レーザー射撃・一斉発射・スナイパーで(コクピットを外して)オーバーフレームを纏めて破壊。
接近戦では大型化した雷月に炎の属性攻撃を籠めての鎧無視攻撃&なぎ払いで(コクピットを外して)オーバーフレームを纏めて破壊。

誰も殺さずに勝ちますよ。



●神機見参
「あの形状のロボットは昔のTVで見た事が有ります」
『そうか。だが現実はTVほど甘くないぞ。やれるのか?』
 パイロットスーツを纏った大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は柔和な笑みを浮かべ、焦燥する兵士の気持ちを和らげた。確かに敵は圧倒的な数で鈴蘭騎士団の防衛網を尽く突破した。だがこの先の相手は――我等は尋常では無い。
「大丈夫です。変な宇宙線もありませんし、人々を護る為に頑張りますよ!」
 世界の埒外たる猟兵だ。その中でも一柱の神である詩乃にしてみれば、この戦も普段の行いの延長戦に過ぎない――ふわりと、いずこから舞った花弁が光の円を描き、次元を超えて神たる詩乃の力が顕現する。
『サイキックキャバリア? いや――』
「スーパーロボット『焔天武后』! 推して参ります!」
 光に包まれた詩乃の姿は瞬く間に機体のコクピットへ。途端、神々しい光が辺りを染め上げて、力ある巨兵は音も無く宙へ立つ。同時に新たな獲物を目にしたダイナリオン達が一斉に飛び掛かり、無数のアンカーショットが焔天武后を捕らえんと空を裂いて放たれた。
「顕現、天耀鏡!」
 しかし、それは既に詩乃も見切っていた。かざされた焔天武后の両手から姿を現わした浮遊する大鏡――詩乃が御する神性合金の逸品は、声と共に巨大化し辺り一帯を覆うエネルギーフィールドを形成する。
『何という……だが、アニメじゃ無い。やらなきゃやられるぞ!」
 不可視の力場が無数のアンカーショットを遠ざけて、同時にそれらが意図せぬ動きで絡み合いダイナリオンの自由を奪う。
「いいえ、誰も殺さずに勝ちますよ」
 世界は変われど神は神。その権能に些かの衰えも無い。
「――人の手で作られし悪しき物よ」
 紡がれた力ある言葉は形を成して、鮮やかな神気となり開放――動きを止めたダイナリオンを包み込み、血走った様な真紅のカメラアイが漆黒のレンズと化す。
「アシカビヒメの名において、あるべき姿へ回帰なさい」
 途端、ばらばらと飛翔していたダイナリオンが地に落ちる。彼我の位置は逆転した。それでも尚、鎌首をもたげて空に座する焔天武后を睨みつける鉄の竜達。だが、神気に当てられたオブリビオンマシンにはもう、為す術は無い。
「自在光線砲塔、一斉射! 続いて!」
 背後ではらりと踊る紙垂が変化した兵装の先端から、赤い光が嵐の様に放たれ、無数の光条が動きを止めたダイナリオンの直上から降り掛かる。コクピットは外してオーバーフレームを破壊……これで敵は無力化された筈。
『下方、来るぞ!』
「――雷月抜刀!」
 それでも、たった一機が残る闘志を滾らせて焔天武后の足元を喰らわんと跳躍/刹那、焔天武后が手にした懐刀が声と共に刃を伸ばして、逆袈裟にその牙と腕を圧し切った。刹那の交錯、起死回生の一手も神には届かなかった。
 紫電が爆ぜて、マシンの中よりパイロットの姿が見える。それはオブリビオンマシンの呪詛に当てられた意思無き尖兵の姿。
「やはり、目がぐるぐると……」
 思った通り只事では無い。焔天武后――詩乃は遠くを見やる。
 未だ見えぬ元凶を倒さんと、この戦の悪しき意思に思いを馳せて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖


面倒臭ぇ局面ではある、が
…やる事は分かりやすいな
全部ぶっ壊すとかそういうのは得意だ
頼むぜ相棒
スタークドラゴンに声掛け

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
同時にUC
衝撃波撒き散らし残像纏い手近な敵に接敵しグラップル
拳で殴る
迎撃しようと思ったけど俺には向いてねぇわ
撃って出た方が楽だし

オブリビオンマシン
って事は操られてるだけだよな?
コクピットは避け脚部や翼狙い部位破壊
一丁上がりっと
動かなくなりゃ捕まえんのも楽だな

地上と空行き来し
背後取られないよう地形も利用し
ヒット&アウェイ
優先的に脚部狙って破壊しつつ
脚から出るなら壊せば余裕だな
アンカー見切り
飛んで避け
掴まれたら逆に引っ張り投げ技
やらせねぇ



●竜、相打つ
「面倒臭ぇ局面ではある、が」
 明滅する計器を見やり、陽向・理玖(夏疾風・f22773)はすぅと深く息を吸う。
「……やる事は分かりやすいな」
 目を見開きアイドリングをカット。同時にコンバットモード起動――けたたましい振動と機関の咆哮が理玖の身を揺らす。それは自身の闘志そのもの。
「頼むぜ、相棒」
 途端、青白い炎を猛烈に吐き出して、青き龍――『STALK DRAGON』は稲妻の様に悪意の渦中へと飛び込んだ。
『そこの味方機! 単機では無謀だ!』
「心配してくれてありがとな。俺達は大丈夫だ」
 ああ――もうニュービーは卒業だ。マシンの鼓動と一体化した五体を重ねて、理玖は片手の『龍珠』を爪弾く。
「――変身ッ!」
>>Start Up Elimination<<
 そして虹色の奔流が戦場を駆け巡った。遅れて聞こえた爆音と共に、熱風が、衝撃が、膝を突いた鈴蘭騎士団のキャバリアを大きく揺らす。
『モーターブームッ!? いや……』
 キャバリアを用いた突撃剣術――嫌が応にも大技を想起させる理玖のマニューバは、更に遅れて理玖に気付いたダイナリオンを強烈な拳打で吹き飛ばした。
「やっぱり、迎撃しようと思ったけど俺には向いてねぇわ」
 稲妻を纏った残像が十重二十重に戦場を蹂躙する。視覚的電子的に敵を欺瞞するステップは、卓越したダイナリオンのセンサすらも容易に欺く。撃って出た方が楽――そのまま組み付いてハッチを引き剥がし、強引に中の兵士を放り出した。
「一丁上がりっと。動かなくなりゃ……」
『回収は任せろ! アンタは思う存分暴れてくれ!』
 ダイナリオンは翻弄されていた。衝撃と残像は敵機の数を見誤り、上を取ろうにも音より早い龍の一撃が鋼の五体を強引に突き飛ばし、振動が中のパイロットを無力化すれば――。
「了解、そうさせてもらう!」
 後は戦えぬ兵達が身柄を確保する。積み上がった瓦礫が幸いにも緩衝材となり、あるいは壁となって救助の助けとなった。その上を縦横無尽に跳び回る理玖の姿は、さながら地上に顕現した怒れる龍の姿そのものだ。
「やらせねぇ、よ!」
 飛行型と言えど半身が潰れれば自由には動けまい。鋭い手刀がアンダーフレームを根こそぎ引き千切り、瓦礫に身を隠しつつヒット&アウェイ。英雄の世界で身に付けた一撃離脱戦法はこの局面でも十分に役立った。
「凧揚げかい? 手伝ってやろうか!」
 理玖の上より迫ったダイナリオンのアンカーショットを掴み取り、まるでハンマー投げの様に大きく振り回す。軌道上のダイナリオンをも巻き込んで、崩れたアスファルトに叩きつけられた鉄の竜共は瞬く間にガラクタと化す。
「こうなりゃ捕まえんのも楽だ……な?」
 悪しき竜に抗う術は無い。それは余りにも圧倒的な光景――理玖の視線が見据えるものは積み上がった骸では無い。その先、人々を悲しませる悍ましき悪意を、青き龍は許さない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉岡・紅葉

愛用のキャバリア「くれはカスタム」に乗りこんで、出撃しますよ。
いけませんッ!!!
これ以上の破壊活動は、私達が許しませんよ!

飛行する敵なら、今回はコレを使う必要がありますね…
あやかしメダル「烏天狗」をコンソールにペタリ。
音速飛行能力を得て、勢いよく舞い上がるハイカラキャバリア!
いざ、決戦の大空へ!機体をブーンドドドと《操縦》、
放たれるワイヤーアンカーを《集中力》で見切り、
《軽業》《咄嗟の一撃》で切り払って《空中機動》でグワッと旋回。
メダルの効果で回避能力は上がっています!
「春日」を《クイックドロウ》して、重力弾をお見舞いしてあげます。
地べたに沈むのはあなた達のほうですよーっ!

アドリブ何でもOK



●櫻舞う
『我々の街が……こんな、姿に』
『畜生! 一体何だってんだ……!』
 激化する戦闘の最中、立ち昇る噴煙を見やり兵士達が慟哭する。余りにも無力だった我等。如何に奇襲と言えど、こんなにも容易く帝都を蹂躙されるとは……その心は、一人の猟兵も同じ。
「これ以上の破壊活動は、私達が許しませんよ!」
 吉岡・紅葉(ハイカラさんが通り過ぎた後・f22838)は激怒した。目の前の光景は、無残にも蹂躙された街並みは他人事では無い。何故ならば。
「世界は違えど帝都は同じ! 罪無き民草の生命を守る為!」
 力及ばず敗れた彼らの心はよく分かる。自身がもし猟兵でなければ、自らの世界で防人として同じ目に遭えば、怒りと悲しみを吐き出したくもなろう。
『何だ、あのキャバリアは!』
 故に、これ以上は許さない。ここで彼奴等は止めねばならぬ。それこそが世界を――己に課された根源の使命を果たす為の、誓いだから。
「帝都桜學府學徒兵吉岡紅葉、クロムキャバリアに只今参上!」
 黄金色の桜の紋が輝いて、名乗りと共にハイカラキャバリア『くれはカスタム』』が雄々しく漆黒の翼を開き、灰色の空へと羽ばたいた。
「あやかしメダル「烏天狗」! いざ、決戦の大空へ!」
 きぃん、と甲高い音と共に妖の力が解き放たれる。音よりも早い飛翔――その威を止めんと、無数のワイヤーショットがくれはカスタムの五体を狙う。
「おお! しかしそのような五月雨で、私は止まらない!」
 途端、爆音と衝撃がワイヤーの軌道を歪め、さながら早咲きの櫻の様に散ってゆく。その渦中を抜けて、ギリギリの高度からダイナリオンの背を取った紅葉が長銃を抜き放つ。対キャバリア用幻朧ブラスタア『春日』――その銃口が歪み、変成重力の塊がミシリと空を震わせて。
「地べたに沈むのはあなた達のほうですよーっ!」
 目標、飛行型キャバリア。フルオート一斉射! 放たれた重力の牙は為す術も無く漂うダイナリオンに喰らい付き、攻め手の優位であった鋼鉄の翼を無用のガラクタへと作り替える。
「まだまだ行きますよッ! それ、ブーンドドドドドド!!!!」
『あれが、猟兵……』
 自由を失ったダイナリオンが一つ、また一つと地に落ちる。関節ごと捻じ曲げられた鉄の竜の五体は最早、まともに動く事すらままならない。
『世界の防人という話は、本当だったのか……』
 大地へ降り立ち、手にした機甲退魔刀『天香具山』が息の根を――悪しき意思そのものを断ち切って。さながらその姿は、異世界に舞い降りた巨大な烏天狗。
 全ては、人々が楽しい明日を勝ち得る為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャック・スペード


自機のファム・ファタルで出撃を
未だ操縦には不慣れだが
足手纏いに成らぬよう善処しよう

捕虜を得るのも手と
グリンダはそう言っていたか
俺としてもヒトは殺めたくない
コックピットは狙わず行こう

機翼を広げて空へ
敵と同程度の高さで飛びながら
自機の片腕を機関銃に変換
我が身総てが引鉄也
視界に映る敵に片っ端から
麻痺の弾丸を散撒こう

アンカーの追撃は
軌道を観察し学習することで
上手く躱せればと

敵機の動きが止まったら
勢いをつけて滑空、のち
飛び蹴りを喰らわせて
鐡の踵で地へと叩き落としてやる
戦場が廃墟で何よりだ

スマートな遣り方じゃなくて悪いな
だが、もう暫し
無骨なダンスに付き合ってくれ
総べての空飛ぶ恐竜が、地に堕ちる迄



●運命の黒鳥
 帝都外縁部――既に前線から外れ、それでも敵の侵入を食い止めんとその身を盾にして立つキャバリアがあった。
『クソッ……残りは俺だけ、か……!!』
 だが、敵の数は圧倒的。戦線は既に後方の帝都中枢へ移動しても尚、殿として、あるいは先駆けとしてここで倒れる訳にはいかない。
「未だ操縦には不慣れだが――」
 不意に、オープン回線から男の声が聞こえた。厳かにして愁いを帯びた声音……同時に風が、砂埃を巻き上げて漆黒の巨体を露わにする。
『黒い……キャバリア……?』
 濡れ羽色の鋼の翼に蹄めいた鋼鐵の踵。それは今まで戦ってきた黒き鉄の竜とは違う、悪魔的な美しさを誇っていた。
「足手纏いに成らぬよう善処しよう」
 再び男の――ジャック・スペード(J♠️・f16475)の声が響く。その黒きキャバリア『Femme fatale』はゆっくりと浮かび上がり、眼前のダイナリオンを厳しく睨む。マシンに言葉は無い。ただ、漆黒より迸る紫電が、声の主の怒りを代弁しているかのようだった。
『慣れてないなら……高度に、気をつけろ』
「承知。それに――」
 瞬間、黒鳥の片腕が鈍色の機関銃と化す。同時に青白い尾を引いて、猛然と空を舞う敵の渦中へ飛び込んだ。
「我が身総てが引鉄也」
 その宣告は超常の呪文。苛烈な砲火がドラムロールの様に敵機を打ち鳴らし、アンカーを出す間も無く動きを止めていく。紫電を纏ったパルス弾頭――機械を麻痺させる為の特別性だ。
「捕虜を得るのも手、か……。俺としてもヒトは殺めたくない」
 がらりと崩れ落ちるその背中を強引に蹴飛ばして、追撃のアンカーを優雅なステップで躱していく姿は、さながら戦場に舞い降りた貴人の如し。崩れた廃墟にぶつかって動きを止めたダイナリオンから、力無く敵兵の姿が投げ出される。目的は敵の無力化――無駄に生命を散らす必要は無い。
「スマートでは無いが……戦場が廃墟で何よりだ」
『後でまとめてお掃除すればいいってか、アンタ』
 否、ジャックは機人だ。潜り抜けた修羅場の数は計り知れない。故に即座に学習した敵の動きを反芻し、更に加速した黒鳥から止めどなく放たれる烈火の下、続々と鉄の竜は無力化していった。
『まだ来るぞ。行けるか?』
 戦の質が違うのだ。無論こなした量も。ウォーマシン故に、それは本能にも等しい生存行動に過ぎないから。それでも目の前のマシンとは決定的に違うモノがある。
「ああ。もう暫く無骨なダンスに付き合ってもらおう」
 総べての空飛ぶ恐竜が、地に堕ちる迄。
 機械仕掛けの心は煌々と燃えていた。
 自らの正義を成す為の、ヒーローとしての心が。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上喰・益巵

悪いけど、あたしはキャバリアより生身の方が慣れてるんでね。愛用の銃で戦わせてもらうよ。
【UC:崩壊の魔弾】(POW)を発動、飛んでるデカブツに向かって〈弾幕〉で攻撃する。
まずは武装を全てぶっ壊しちまおうか。持ち前の〈戦闘知識〉から武装の弱いところは大体検討がつくんでな。
次に羽、足と撃ち抜いてまだ抵抗するなら腕も壊せば流石に投降すんだろ。
残弾も余裕があるし、どんどん撃ってどんどん撃墜しよう。
捕虜になったからってひどい目に合わせるつもりはないから安心しなよ。



●機甲狩り
「ありがと。でも、あたしはキャバリアより生身の方が慣れてるんでね」
 入り組んだ帝都の片隅、いわゆる下町のスラムと呼ばれる荒んだ区画にも敵の魔の手は伸びていた。密集した建造物が一つ倒壊すればドミノ倒しの様に崩れる。故に、ただでさえ巨大なキャバリアでは足の置き場も無い劣悪な戦場だった。
「悪いけど、愛用の銃で戦わせてもらうよ」
 だからこそ、上喰・益巵(酔っ払いの銃使い・f30263)にしてみればこの上ない戦場でもあった。図体ばかりデカいトカゲ擬きに一泡吹かせるには最高のシチュエーション。そして暴れた分だけ金が貰える……正にWin-Winの関係だ。
『……行けるのか?』
 キャバリア越しに問いかける兵士に愛用の機関銃を掲げ、意気揚々とスラムに消えて行く益巵。見据える先は鉄の竜が屯する瓦礫の砦にして、猟兵の狩場。

「さあ、まずは武装を全てぶっ壊しちまおうか」
 幸い、敵はキャバリアにかまけて益巵には気付いていない。舐められたものだ――だからこそ教えてやろう。てめぇらの弱点はまるっとお見通しだって事を。
「フン……イカれちまいな」
 照星に奴の翼を捉え、発砲。鉛弾の洗礼が風通しのいい無数の穴を開くと同時に、鉄の竜はグルグルと渦を巻いて地に落ちる。この時点で、あの地獄なら生命を落としたも同然だ……だが。
「――次は駆動部、っと!」
 撃ちまくった機関銃を背に担ぎ、もう一丁を水平に構える。僅かでも銃身をクールダウンさせて、その間に落ちた奴の関節を武装ごと撃ち砕く。しかし。
「クッ! 流石に七面鳥射ちとはいかないか。だけどね」
 地に落ちたダイナリオンは雄叫びを上げて、手にした擲弾銃で益巵の方を無差別に撃ちまくる。その爆風を躱しながら疾走。高揚する戦意に応じて浮かび上がった鬼の証が、益巵に力を漲らせて。
「あたしのいた地獄はこんなもんじゃ無かったよ――!」
 咆哮、一閃――炸裂した機関銃がダイナリオンの咢を砕く。銃身変更/対装甲高速徹甲弾。重さと速さを兼ね備えたこの弾で、かつては戦車どもを狩りまくったものだ。アポカリプスヘルという、地獄の戦場で。
「降りろ。酷い目にはあわせない」
 力を失い煙を噴くダイナリオンからパイロットが這い出てくる。捕虜を獲れば交渉でも有利、だったか。ボーナスが貰えるなら喜んで協力しよう。しかし……ぐるぐるとした目つきのパイロットは、益巵を見上げてニタリと口を歪める。
「何だい、その目は」
 忌々しい目つきだ。まるで全てを諦めた様な、心を失った目つき。
 よく知った目だ……その目は、地獄を見た奴の目だ。
 そして狩人の目は次なる獲物を見据える。この戦いで生き残る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン

※ロシナンテⅣ搭乗

帝国は三国で最も軍事力に秀でていた筈、0マシンの介入とはいえこうも…
これ以上の犠牲を出す訳には参りません
Ⅳのベース機はパラティヌス、騎士団の無念を晴らすにも打ってつけでしょう

UCで限界突破した推力移動で空へ
ミサイル乱れ撃ちで敵部隊の出鼻を挫き煙幕内部へ肉薄
Ⅳの優れたセンサーの●情報収集能力で回避行動見切り、敵センサー補正が間に合う前に操縦席残し剣で解体

健在な敵機に機体ワイヤーアンカー射出
ロープワークと振り子運動の如き機体操縦による不規則な空中機動で翻弄
敵アンカーを躱し、敵機同士をぶつけ剣で撃破

フラットランダー(平地人)とは申しませんが…重力に縛られては捉えられませんよ


中小路・楓椛
ごきげんよう、ダゴン――面倒なので目的主張を先出しです。

今回の件ドクター・ヘルムは何処まで関わっているのですかね?
度を越したニンゲンの好奇心は私との不幸な再会が在り得る…そう警告した筈なのですが、もしも今回の件が彼の重過失或いは主導であるならば、私は誠に愉…もとい、遺憾の意(物理)を以て誓約を果たさねばならない訳デスが。

ばーざい全技能行使、神罰・呪詛・封印を解く・限界突破 併用にてUCにとくりす起動、黒き不定形(ショゴス)の集団を召喚。

先行したクロさんがダイナリオンと接敵した時点で飛行推進機を破壊、落とした敵をパイロット以外捕食。ショゴスと連携し掴んで敵目掛け投擲して牽制し場の敵を減らします。


荒谷・つかさ


ドワーオって確か、あのドクター・ヘルムが頭領を務める国だったわよね?
何の理由もなしに侵攻を仕掛けるような男ではなかった筈だけれど……それは今考える事じゃないか。

低空とはいえ飛行型、更に数は多くてしかも有人機。
陸戦型で高火力タイマン特化のスルトとは悉く相性が悪いわね。
こうなったら、出し惜しみしてる場合じゃないか。

初手からいきなり【黄昏の鉄巨神】発動
強化合体によって飛行能力と対空砲撃能力を追加獲得し、敵群に対抗する
多分派手で目立つので、囮も兼ねて最前線へ突撃
攻撃は弾幕の展開範囲を重視、擲弾の撃墜や損傷による敵機の行動不能を狙っていく
また気分で近接格闘戦も交え、パターンを読ませないようにする



●疑惑
「帝国は三国で最も軍事力に秀でていた筈、オブリビオンマシンの介入とはいえこうも……」
 自身を模したかの様な蒼銀の愛機『ロシナンテIV』のコクピットで、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は独り言ちる。円卓連合最大の戦力は今やオブリビオンマシンの蹂躙に敗れ、華やかな帝都は見るも無残な瓦礫の街と化していた。戦闘の爪跡を――擱座したキャバリアをそっと見やり、余りにも圧倒的な敵戦力を推し量るトリテレイア。何より愛機と同型たるパラティヌスが続々と倒れ伏せている光景は、じわりとトリテレイアの胸にも迫るものがあった。
「ドワーオって確か、あのドクター・ヘルムが頭領を務める国だったわよね? 何の理由もなしに侵攻を仕掛けるような男ではなかった筈だけれど……」
 続けてスーパーロボット――『機煌炎神』スルトの中で、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が複雑な心の内を開ける。あの正義感の塊の様な男がこのような暴挙に出るとは考えにくい。何よりあの事件の渦中にあって、オブリビオンマシンに心を許す様な事は無いだろうと思考するつかさ。だが今考えるべき事はドクター・ヘルムの身辺では無い。この国は、クリスクワイア帝国は未だ戦闘中なのだ。
「……それは今考える事じゃないか」
「ええ。もしも今回の件が彼の重過失或いは主導であるならば、私は誠に愉……もとい、遺憾の意(物理)を以て誓約を果たさねばならない訳デスが」
 ふと、貧相な装甲のキャバリア――『クロさん』の肩に乗る狐、中小路・楓椛(ダゴン焼きの可能性を信じている狐・f29038)が物騒な言葉を吐く。あの男が私の言葉を理解出来ないとは思えない……出来ないなら出来ないなりに『愉しみ』が増えるだけですが、それは決して本意では無いでしょう。この子にしてみても、多分。
「え、今なんて?」
「! 感づかれました。行きますよ、つかさ様、中小路様」
 不意に警報音が両機のコクピットに響く。合わせてクロさんの三つの赤い眼が煌々と輝いて。眼前には交戦中の敵部隊――ダイナリオンの群れと、防戦一方の鈴蘭騎士団の姿がある。迷っている場合では無い。即座に二つのスラスターの噴射炎が鮮やかな弧を描き、その姿を追う様に痩せぎすのキャバリアが影も残さず地を駆けた。あれを破らねば未来は無い。それだけが、今分かっているただ一つの事実だから。

『この、何だってこんな数が……しまっ!』
 無数の砲火が地を穿ち、舞い上がる爆炎に圧されて膝を突く鈴蘭騎士団。これまでか――今際の時を悟ったパイロットは、不意に訪れた荘厳な機体に目を奪われる。
『あれはパラティヌス! 鈴蘭か鳳仙花の生き残りか?』
「残念ながら違います。ですが」
 ミサイルの爆圧がグレネードの爆風を押し返し、その威に合わせて追撃の火線がダイナリオンの擲弾銃を貫いた。豪快にして精緻な射撃――右腕に備えた大盾を地に刺して、蒼銀の機体は凛と前を向く。
「本機ならば、騎士団の無念を晴らすにも打ってつけでしょう。これ以上の犠牲を出す訳には参りません」
「今回は最初から出し惜しみ無しよ。レーヴァテインユニット、エンゲージ!」
 それはトリテレイアのキャバリア、ロシナンテIV。鈴蘭騎士団と同じパラティヌスをベースにした特注の専用機。更にその前に立つ者はつかさのスルト――鬼の咆哮と共に、空を破って現れた大剣型の増加装備ユニットが展開し、マシンの五体を鎧の様に包み込む。
「さて……それではお約束を守る為に、一仕事しましょうか」
 その力はキマイラフューチャージェネレーター――かつて異世界の戦争で作られた奇跡のマシンの力を行使する希望の炎。黄昏を乗り越える終焉の使者を顕現させるまで、からんと大地に焜鉾『ばーざい』を突き刺した楓椛が呪文を唱える。合体中を狙う様な不届き者に罰を与える為に。
「ばーざい全技能行使――テケリ・リ」
 ぐわん、と空が歪み現れた不定形の群れ。極致に住まう名状し難き存在は楓椛の命に従い、牙を剥いたダイナリオンの機械部分を喰らう様に包み込んだ。そして。
「お行きなさい、クロさん」
 声を受けた痩身のキャバリアが引き下がるダイナリオンを一つ、二つと二振りの巨大な鉈で斬り伏せる。さながら殺意に群がる悪魔の舞踏会と――そして、騎士と闘士の逆襲が始まった。

「重力下戦闘とは言え、戦場は空中――」
 高度限界にはまだ余裕がある。むしろ勝手に敵が寄ってくるのだ――スラスターの噴射炎を翼の様に広げたまま、ロシナンテIVは自在に空を駆け抜ける。幾度となくこんな死線は潜り抜けた。故に今回も同じ――まるで背中に目が付いている様な正確な背面撃ちが、奇襲してきたダイナリオンを地に落として。
「フラットランダー(平地人)とは申しませんが……重力に縛られては捉えられませんよ」
 同時にミサイル全弾斉射。灰色の空を真っ白に塗り潰す煙幕が充満し、僅かにダイナリオンの動きが鈍る。更にミサイルコンテナをパージしたロシナンテIVが急接近/敵を踏み台の様に蹴飛ばして、その上から全周に向けて両副腕のライフルを斉射する。正に降臨した能天使の如き、苛烈な電気騎士の逆襲であった。
『凄い、まるで羽が生えた様だ……』
『パラティヌスであんな戦い方が出来るとは……!』
 それは当然だ。トリテレイアはずっと、天も地も無い宇宙の海で戦ってきたのだから。故に重力という鎖を意識せずに(精々動きが少しばかり重い程度か)全方位を囲む敵以上の優位性で戦場を制圧していく。
「ジャイロセンサ正常、誤差修正Zマイナス2Yプラス3――」
 光速の思考で機体を制御――気をつけるのは残りの燃料くらい。だがこの程度の敵、気にする前にカタが付くだろう。左腕抜刀、接敵した敵のオーバーフレームをまるでケーキの様に滑らかな所作で切り捨てる。無論、コクピットは無事だ。
「高度限界で戦えるのは、何もあなた方だけではありません」
 破れかぶれのワイヤーショットの猛追を絡め取り、すかさず重心をずらして辺りの敵へと投げつける。距離を詰めて包囲したのが仇となった――故に、ダイナリオンは本能的にロシナンテIVを囲んだまま一斉に距離を取る。そして手にした擲弾銃が鈍い光を放った直後、騎士を微塵に還さんとグレネードが白煙の中心目掛けて一斉に投射された。
「全周からの包囲飽和攻撃ですか。ですが」
「ちょっとばかし遅かったわね。行くわよ――」
 その威が届く事は無かった。地上から放たれた眩い光が、鋼の悪意を滅さんとツタの様に絡みつく。
「スルト・ラグナロク!!」
 それは超常の奇跡が生み出した絶対無敵のスーパーロボット。オーバードライブの輝きの中、大地にそそり立ち両腕を天に突き出したスルトの全身から光が――悪意を骸へと還す超常のミサイルの雨が曇天を破る様に放たれた。
「両腕両脚部ミサイルカーテン! 次! グレートキャノンもよ!」
 無数のミサイルはグレネードを相殺し、爆光が花火の如く空に咲く。続けて腰部連装荷電粒子砲――グレートキャノンが、散開したダイナリオンの尽くを打ち据えて地に落とす。その度に大きく揺れるアスファルトと瓦礫に足元を取られない様に、派手な立ち回りでスルトは回避行動を取った。
「余り足元をうろつかないで。踏まれたいのッ!?」
『何だあのスーパーロボット……』
『おかしいですよ……』
 そのサイズは凡そキャバリア三機分。ただでさえ巨大なスルトを更に大きくせしめたスルト・ラグナロクの威容は、鈴蘭騎士団の精鋭を以てしても底知れぬ恐怖を感じさせた。
「邪魔よ……大車輪爆熱鉄拳!!」
 一足先に離脱を試みたダイナリオンの背後目掛けて、放たれたるは灼熱の剛腕。肩を軸にした回転でより加速する弾体はスルトの拳そのもの。獣の様にコンクリートジャングルを駆け回ろうと、その剛拳はアスファルトごと装甲を粉砕する。
「っと……パイロットは無事よね? 次!」
 ゆっくりと開かれたスルトの手にはダイナリオンのコクピットが。豪快にして繊細な挙動は全て、卓越したつかさの操縦によるもの。声と共に大地と白煙の間で狼狽するダイナリオン目掛けて、続けて背負った巨大なウイングが唸りを上げる。
「一気に蹴散らす! フェザーストームナイフ!」
 叫ぶと同時にウイングの排熱口らしき隙間から鋭い金属質の羽根が扇状に放たれた。逃げる間も無く射止められたダイナリオンは力を失い、一つ、また一つと大地へ還っていく。最早、空にも大地にも鉄の竜の逃げ場は無いのだ。

「……さて」
 一方、楓椛は撃墜されたダイナリオンのコクピットから敵兵士を引きずり出して、この戦いの真相を探っていた。
「意識は確かですね、ドワーオの兵士」
『な、何だアンタぁ!?』
 比較的目がぐるぐるしていない……これならば大丈夫でしょう。多分。
「ごきげんよう、ダゴン――面倒なので先に伺いましょう」
 自己紹介も半ば、手にした焜鉾を兵士の顎に当てて楓椛は続ける。
「今回の件ドクター・ヘルムは何処まで関わっているのですかね?」
 心なしか早口に。思考する暇は与えさせない――お前が知る事、感じた事を思うままに吐け、と。
『何で、ドクター・ヘルムの名前が出てくるんだ?』
「ほぅ」
 そっちでしたか。したり顔で焜鉾を握る手に力を込めて、楓椛はくいと兵士の顔をこちらへ向けさせる。まだ話は終わっていない。
『……あの男は投獄中だよ。最後までサカモト隊長に歯向かってたからな』
「サカモト。それが今回の首謀者ですか」
 ヘルムは投獄中でサカモトという輩と対立している。否――楓椛は即座に思考を切り替える。Why done it……何が起点でこうなったというのだ?
『いや……首謀者というか……』
 兵士は冷や汗を垂らしながら胡乱な眼で言葉を続ける。その様子は心ここにあらずと言わんばかり。どうしてこんな事になった?
『俺達、演習に向かってた筈なんだが。こんな所で、一体、俺達は……!』
 演習の筈が実戦で侵略行為に加担していた。その現実に気付いた時、兵士は目をぐるぐるとさせて事切れた。いや、幸いまだ息はある……幸い?
「成程、ねぇ」
 こんな事に巻き込まれてそれは無いだろう、と。
 激震するマシンの鼓動に身体を揺らせて、楓椛は鋭く口端を吊り上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
【渡り禽】【SPD】
アドリブ絡み連携歓迎
不殺厳守

ドクター、この案件に由来するオブリビオンマシン事件について解決に当たっていたようですが折を見て説明を求めても?
まずはこのオブリビオンマシンを撃破しなくてはいけませんね

瞬間、ダイナリオンの四肢が『消失』する
その『消失』は他の機体と同様に四肢を消し去り、無力化していく

我がUCの一つは絶対なる『無』を展開し、万象を消し去るエントロピー消失
この業の精密操縦性を極めれば一斉制圧とパイロットの不殺を両立させながら立ち回るのは容易い事です

ドクター、一通り特務隊は無力化しました
負傷者の保護に移りましょう
そう言ってノインツェーンから治癒の光を放射し、負傷者を癒す


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【渡り禽】【SPD】
※アドリブ絡み連携大歓迎
※【ナインス・ライン】搭乗
※不殺厳守

何さ、今度はドワーオの暴走?
そりゃ「後はお好きに」と言ったけどね
※『地底の悪魔』ED
まずは敵機排除…解説はその後でっ

【ソスピタ】で光学迷彩とジャミング展開
敵機降下地点に【マギ・メルキオール】で急行しつつ
直近でオペ47番【マトリクスドライブ・グラビティ】起動

1機残らず超重力で引き摺り墜としたら
愛機の機動力を3段階アゲつつ右腕対物ライフルを連射して
【デンジャー・バレット】の『侵蝕プログラム』で無力化

後は協力して敵機を壊しつつ捕虜の確保かな
負傷者は戦域外縁の【ファルマコン】で救護するよ
ドクター・ヘルムの状態も心配だけど…


朱鷺透・小枝子
●デモニック・ララバイを【操縦】
ドワーオ、ドクター・ヘルム殿がトップを務める国であった筈。
……オブリビオンマシンがッ!!

魔音【衝撃波】を放ち、アンカーを吹き飛ばす。
【瞬間思考力】と人工魔眼の【視力】で敵機群を視認!
少なくとも、ヘルム殿は斯様な事はしない筈。ならばやはりオブリビオンマシンだ!

壊せ、壊してやる!『奏でろ』ドロモス!!

『小さな恐楽隊』ドロモス・コロス達を虚空から呼びだし【楽器演奏】。【斬撃波】超音波の斬撃で敵機武装を【切断】!!

……壊すのは、マシンだ。

ドロモス達で落下する機体等から搭乗員を回収。魔音の【催眠術】で抵抗を奪う。
…なぜ攻めたか、ヘルム殿は一体どうしたのか、話して頂きたい。



●戦慄の渦中
「ドクター、この案件に由来するオブリビオンマシン事件について解決に当たっていたようですが、折を見て説明を求めても?」
「んー……まずは敵機排除。解説はその後でっ」
 白亜の宮殿めいたサイキックキャバリアが静かに戦場を歩む――神騎『ノインツェーン』を駆るフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は傍らの重厚なキャバリア『ナインス・ライン』のリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)へ質問を。事態は急を要する。故にかつての戦の禍根があるならば、それを識る事で現状打破に繋がる可能性を見つけたかった。しかしリーゼロッテは口を尖らせて沈黙を守る。
(何さ、今度はドワーオの暴走? そりゃ「後はお好きに」と言ったけど)
 まさかそれがこの暴挙の切っ掛けでは無いだろう……だからこそ、今、自身の目で見たものだけを信じる為に、リーゼロッテはあえて口を噤む事を選択した。
「ドクター・ヘルムの状態も心配だけど……ううん、今は」
「確かに……まずはこのオブリビオンマシンを撃破しなくてはいけませんね」
 そうだ。戦いが始まれば余計な事を考える必要は無いのだから。爆音を裂く赤色灯のサイレンが響いて、同時にナインス・ラインがゆらりと形を崩す。
「現着! 状況開始!」
 まるで大気に溶け込む様に音と形が消えていった。光学迷彩とジャミングがナインス・ラインの存在を隠した僅かな時と共に、崩れたアスファルトがみしりと音を立てて一筋の線を描いた。
「迷彩、ジャミング、共に正常。それじゃあオペの時間よ――47番【マトリクスドライブ・グラビティ】!」
 瞬間、描かれた線に沿って周囲の瓦礫が津波の様に大音を立てて崩れ落ちる。超常の重力攻撃――目標はダイナリオン。駐機していた鉄の竜はいつの間にか自陣の懐へ滑り込んだ侵入者に気付く間も無く、十重二十重に重なった重力の渦に飲み込まれ、飛翔する間も無く大地に縫い付けられた。
「下拵えは完了。フレスさん!」
「ありがとうドクター。おかげでやり易いわ」
 地に伏せた鉄の竜を見下ろす様に、ノインツェーンは厳かに歩みを進めた。一歩、一歩、触れた爪先の瓦礫が光と化して。その姿はまるで裁きを下す天の使いの様。否、それは光では無い――。
「無よ、其れは万有を残らず貪る全ての終わり」
 その光は『物体』の成れの果て。徐々にダイナリオンへ近付くそれは、音すらも虚空へ消して。
「無よ、万象を礼賛する私は汝を征服する」
 それは、万象全てを消滅させる『Ain』なる『無』――紡がれた呪文が力と化し、万象を消し去るエントロピー消失の業。触れたる何もかもを文字通り『無』へと帰すのだ。
「無よ、全てを飲み込む汝を以て礼賛を証明しよう」
 それはフレスベルクの思うが儘まま、選択した対象を『無かった物』にしてしまう超常。重力と無の連弾はダイナリオンに為す術を与えず、音も無く強靭な四肢と翼は形を無くす。後に残るは戦う力を失った鋼鉄の棺のみ。
「これで、意のまま」
「って、ちょっと待って!」
 後は中のパイロットを全部引きずり出せば……リーゼロッテが次のオペに取り掛かろうとした刹那、赤色の光点が一斉にレーダーを埋め尽くした。
「これ、全部そうだって言うの?」
 無力化されたダイナリオンに気付いた別動隊が、大挙してリーゼロッテ達の方へと侵攻を開始したのだ。
「厄介な群れです……が」
 フレスベルクはもう一つ灯った青い光点の方位を向き、見知った機体の姿を確かめる。同じ渡り禽、魔導士めいた三角帽子の意匠と鋭い得物を携えた、戦を奏でる漆黒のマシン――。
「デモニック・ララバイ……」
「小枝子さん、かな。でも」
 彼女らの仲間、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が駆るサイキックキャバリア『デモニック・ララバイ』は双眸に光を滾らせ、空を舞う鉄の竜を厳しく睨みつけた。

「……オブリビオンマシンがッ!!」
 怒りという感情が、いつの間にか小枝子の五体を支配していた。その衝撃が空を裂くアンカーショットを吹き飛ばし、人工魔眼が狩るべき敵の姿を捉える。
「少なくとも、ヘルム殿は斯様な事はしない筈。ならばやはりオブリビオンマシンだ! そうだろう!?」
 声と共に跳躍/全身の鋭く伸びた『殺戮音叉』が続々とダイナリオンの自由を奪う。風よりも早く地面すれすれを高速移動したデモニック・ララバイは、足元に回り込んだダイナリオンを百舌の早贄の如く、片っ端から串刺しにして大地へと叩き付けた。
「ヤバいね、これは」
 スロットル、プラス3。迷彩を解除し更に加速したナインス・ラインがあわやの所で墜落した鉄の竜の身を躱す。続々と落ち行く塊を対物ライフルで吹き飛ばし、退路を確保して要救助者を『ファルマコン』へ運び出す手筈は整えた。
「ではこちらは負傷者の保護に移りましょう」
 ナインス・ラインを追うノインツェーンは再び光を放ち――それは虚無を齎す超常では無く、癒しを齎す治癒の光――負傷した敵兵士を賦活して、迅速にリーゼロッテの元へと運ぶ。そして。
「――『奏でろ』ドロモス!!」
 壊せ、壊してやる! 兵士としての本能が思考を凌駕して、小枝子の意のままに無数の飛翔兵器『ドロモス・コロス』が雲霞の如くダイナリオンの群れへ殺到する。まるで暴風の如き黒の大群は、更にデモニック・ララバイが放つ旋律を――ミラーボールの様な光条を反射して、戦域を取り囲むように地獄を形成した。
(オブリビオンマシン、罪無き人々を……)
 沈んだ思考が僅かに、小枝子の内面に波紋を広げる。まずは破壊……じゃない。やるべき事は、この事態を収める事。
(人々を……守る為には……)
 荒ぶる殺意を抑えながら、荒々しい旋律は徐々に、精緻な譜面をなぞる様な甲高い連弾へと変調して。ミラーボールの光が整然としたイルミネーションの様に、デモニック・ララバイの蹂躙は鉄の竜の関節を切断する早業に変化していった。
「……壊すのは、マシンだ」
 バラバラに解体され落下するコクピットを、放たれたドロモスがそっと抱きとめる。楽器を携えた小人の群れは優しく大地へとコクピットを降ろし、鋒鋩の体で抜け出したパイロット達をノインツェーンの光が癒す。
「……なぜこの国を攻めたのか、ヘルム殿は一体どうしたのか、話して頂きたい」
 それは小枝子の声。幾何か穏やかな声音と共に、デモニック・ララバイの内臓スピーカーが全周へその威を知らしめた。
 私達は殺し合いに来たのではない。救いに来たのだ。
 内なる衝動を抑えながら、マシンはただ虚空を眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サブリナ・カッツェン
●SPD

へへっ、ロケット発射施設跡地じゃ色んなトラブル続きでB.O.S.Sに缶詰だったけどよ
今回は初っ端からアイリーゼの十八番、高機動戦を活かせる空の下だぜ
MK、気張ってサポートしろよな

『了解した。だが、あのB.O.S.Sも存外に悪い機体ではなかったぞ』

ま、まぁな
これでもかってまでのポンコツっぷりにはホトホト参ったけどよ
なんつーか、妙に愛嬌があって憎めないのは確か…

『エンゲージ、敵キャバリア反応多数感知。サブ、お喋りに夢中になって注意を怠るな』

おめーが話を振ったんじゃねぇか!?


地表を縫うように超低空飛行による【空中機動】で高層構造物に身を隠しながら、アイリーゼの【空中戦】だ
MKからの【索敵】を元に魔導コンバーターから漏れ出す青白い残光で軌跡を描きながら、ダイナリオンの捕縛用アンカーを躱していくぜ
すぐ反撃に転じてぇが今は【魔力溜め】だ
可能な限り敵を引きつけ、MKには四肢や翼をロックオンして貰う

『この場合は、腕だ、脚だ、翼だ、か?』

無力化についてはそんなもんだ
UCをぶっ放してダルマにすんぞ



●野生開放
「へへっ、ロケット発射施設跡地じゃ色んなトラブル続きでB.O.S.Sに缶詰だったけどよ――」
 瓦礫に囲われたまるで回廊の様な廃墟――帝都だった薄暗い空間を一機のキャバリアが静かに飛翔する。そのキャバリアの中チカチカと明滅するコンソールをちらりと見やり、サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)はかつての戦いに思いを馳せていた。オブイエ王朝地下に隠されていた真実――それを暴き、オブリビオンマシンの暗躍を止めたのは随分と昔の話だった。その際は愛機に乗り換える暇も無く、同行したドワーオのリサイクルキャバリア『B.O.S.S』を運用せざるを得なかった。だが今回は違う。
「今回は初っ端からアイリーゼの十八番、高機動戦を活かせる空の下だぜ。MK、気張ってサポートしろよな」
『了解した。だが、あのB.O.S.Sも存外に悪い機体ではなかったぞ』
 相槌を打つアドバイザーロボット『MK』の返しに苦笑するサブリナ。確かに自身のやる気をそのまま力へと変えるあのマシンは、見た目以上に一体感のある妙な機体だった、と。
「ま、まぁな。これでもかってまでのポンコツっぷりにはホトホト参ったけどよ……なんつーか、妙に愛嬌があって憎めないのは確か……」
『エンゲージ、後方に敵キャバリア反応多数感知。サブ、お喋りに夢中になって注意を怠るな』
 瞬間、静寂を破る警報がレーダーを赤く染める。アイリーゼを感知したダイナリオンが一斉に雄叫びを上げて、放たれたアンカーショットが風を裂いてアイリーゼに迫り来る。しかし。
「そんな紐でアイリーゼを縛れるかよ!」
 これがB.O.S.Sなら地べたを這いずり捕らえられていたかもしれない。だが今の乗機はアイリーゼ――天翔ける白と金のマシンは眼前でそれらを軽く往なし、目標を失ったアンカーが続々と瓦礫に打ち付けられる。
『せいぜいゴミを引っ掛けるがいい……サブ、直上!』
 その衝撃で頭上の瓦礫が大音と共に崩れ落ち、低空を這う様に飛翔していたダイナリオンが続々とその崩落に飲み込まれていった。刹那の攻防――かような量産機とアイリーゼとでは、圧倒的に機動性が違うのだ。
「崩壊するコンクリートジャングルってか。んなもん」
 地表を縫う様な超低空飛行で続々と崩落する瓦礫を紙一重で躱しながら、アイリーゼは更に加速する。ギリギリの回避は追撃するダイナリオンの判断を鈍らせ、その遅れは全て致命となる。マシンの本能を凌駕するのはサブリナの野生の本能――未だにアイリーゼは、一度も自ら手を下してなどいない。戦闘力の差は余りにも圧倒的。
「目ェ瞑っても避けられるぜ。さあ追って来い――」
 何も手を出す必要はない。地形そのものがアイリーゼの武器となり鎧となる。魔導コンバーターから漏れ出す青白い残光が尾を引いて、描く軌跡はあたかもこの戦で散った生命の慟哭の様であった。
「っと、チャージ完了……MK、ターゲットロック。照準は任せる!」
 追う者は後ろだけではない。制圧された帝都は今や敵の巣も同然。正面から徒党を組んで現れたダイナリオンの群れは、されど自身らが誘き出された事に気が付かないままだ。
『了解……この場合は、腕だ、脚だ、翼だ、か?』
「上出来! まとめてダルマにしてやらぁ!」
 ここまでの飛行中に溜め込んだ魔力は全てアイリーゼの力となり、全身の青白い輝きが紫電を纏って肥大化する。
「さあ――いっちょサーカスでもお披露目してやんよ!」
 瞬間、廃墟が花火の様に爆ぜた。その光は解放されたアイリーゼの魔力――大量の魔導光弾が複雑に絡み合った残光を描いて、立ち塞がった鉄の竜の尽くを光で飲み込む。それらは正確に鋼の四肢を穿ち、ダイナリオンは為す術も無く地に崩れた。
『出口の掃除は完了だ。サブ、お望み通り――』
「ああ。無力化した連中は騎士団がどうにかすんだろ」
 本当にそれでいいかは置いといて――瓦礫に埋もれ、四肢をもがれた鉄の竜は物言わぬ棺と化した。かつてのオブイエの様に何かされている訳では無いだろうが、オブリビオンマシンに乗せられていたパイロットが無事とは思えない。
(だけど……人にはそれぞれ役割ってモンがあるんでね)
 一抹の不安を抱き、サブリナは次の戦場へ青き光を滑らせる。今はこの蛮行を止める事が優先。そこから先は当事者同士の問題……運び屋が関わるのは荷物を届けるまで。戦闘の終結という、途方もなくでっかい荷物を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華

円卓連合の依頼は久しぶりだけど、
なんだか連合が各個撃破されてるみたいな感じだね。

オブリビオンマシンの思惑を阻止するためにも、
これ以上被害をださないためにも、のんびりはしてられないね。

『パラティヌス』を借りたら【フレキシブル・スラスター】を装備して、空間戦闘用にするね。
チューンは速度を5倍、攻撃力を半分にして、相手パイロットを傷つけないようにしたいな。
高度は上げられないけど、速度で圧倒して翼を狙えば怪我くらいで済むよね。

装備は、騎士団の装備にプラスして【スネイル・レーザー】を持って行いくことにしょう。

自分の装備でもいいんだけど、
みんなに『騎士団はまだ健在だ』ってところを見せておいたほうがいいだろうしね。

基本戦術は、射撃で勢いを止めてからの【ランスチャージ】、でいいのかな?
騎士団の基本戦法を教えてもらえるなら、それに倣っていきたいところだね。

『ダイナリオン』の翼を狙って、爆発させないように墜としていきたいな。
もし戦法とか自由でいいなら、スネイル・レーザーも翼狙いで撃たせてもらおうかな。



●騎士は朽ちず
 吹き上がる煙が戦場を黒く染めていく。鋼が打ち鳴らす轟音が、炸裂する火薬の爆音が響き渡り、僅かに揺れた刹那に鋼の竜の首が宙を舞い、落ちる。
「――これ以上被害をださないためにも、のんびりはしてられないね」
 それは健在な鈴蘭騎士団のパラティヌス――搭乗しているのは猟兵の支倉・錫華(Gambenero・f29951)の苛烈な反撃。数多の戦場を数多のキャバリアで駆け抜けた戦闘のプロフェッショナルは力無く倒れたダイナリオンを一瞥し、この機体を借り受けた時を思い返した。

 円卓連合の依頼は久しぶりだ。最初はガフの谷、次はオブイエ、そして今回はクリスクワイア帝国とまるで各国が個別に攻撃を受けている様だ。どんな思惑かは分からないが、これらは全てオブリビオンマシンの仕業……放置は出来ない。
「ありがとう。いい機体だ」
『エース仕様の特別製だ。フレーム強度を300%増している」
 血と汗が染みついたコクピットは錫華にしてみれば少し大きかった。だが機関を始動しても殆ど振動の無いフレームの頑健さは言われるまでも無く、むしろ想像以上の特注ぶりに疑問を持つ。
「過剰スペックじゃない? 騎士団の戦術と関係が?」
 幾らエース使用とは言えこんなチューニングは常識外れだ。これなら最初から頑丈なスーパーロボットでも用意すればいい所を、何故パラティヌスにここまでの事をするのだろうかと錫華は訝しんだ。
『ああ……ウチは、鈴蘭は昔からな――』
 その言葉に騎士団長のグリンダが苦笑を交え答える。常識外れの頑丈さが齎す恩恵は何も継戦能力だけでは無い。動力も、装備も、通常仕様とは比べ物にならない強力なモノが扱える。だがこの機体に用意された力はそんな生半なモノでは無かった。
『これでテッペン獲ってなんぼだからな。安心して存分に暴れてくれ』
 パシンと拳を掌で打ち鳴らすグリンダ。要はそういう事らしい――。

(……騎士団、ねえ)
 不意に警報音が喧しく錫華の耳に刺さる。動けるダイナリオンが徒党を組んで最後の反撃に向かって来ている、らしい。
「まあ、こういう時だからこそ」
 それこそ錫華の望んだ通りだ。スロットルを開いてペダルを力強く踏む。途端、力強いマシンサウンドが――『脈動臨界チューニング』で限界まで力を振り絞ったパラティヌスが、大地を震わせ鋼の弾丸と化した。
「みんなに『騎士団はまだ健在だ』ってところを見せておいたほうがいいだろうし……それにしても」
 正面、放たれたアンカーをランスで絡め取り、強引に引き寄せて空いた拳で思い切りブン殴る!
『あれは! ハルの機体か!』
『生きてたのか、やっぱりサイコーだぜ!』
 一発、二発、強化されたフレームと動力が誇る圧倒的な力はダイナリオンの翼を基部ごとぶち抜いて、その衝撃で中のパイロットが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。残りは四機、天を仰ぎパラティヌスがカメラアイを鈍く光らせて。
「……何だか騎士団とやらの認識を改める必要がありそうだね」
 続けて飛翔し奇襲を仕掛けた鉄の竜の一撃を『フレキシブル・スラスター』の急噴射で回避して、背中から強烈な回し蹴りをお見舞い/爆ぜた部品が翼を砕き、鉄の竜は呆気なく地に伏せた。これで残り三機。
『ウオオオオオ!!!!』
『そうだ、鈴蘭は最強だッ!!』
(まあ、戦意を取り戻したなら良しとしようか)
 叫ぶ兵士たちの声援を受けて、錫華のパラティヌスが飛翔する。翼の様な火を吐きながら『スネイル・レーザー』の弾幕がダイナリオンの自由を奪い、一つ、二つと鋼の剛腕が大地へ沈めていく。鋼鉄の騎士の道を遮るモノは、最早無い。

 大勢は決した。その機体の主はかつて帝国最強を誇る騎士団長と唯一渡り合った凄腕のパイロットらしい。だがこの戦が始まる前に何処かへ姿を消した。それでも騎士は朽ちず、その魂は帝国の兵士達へしっかりと受け継がれている……のだろう。
「さて……次の相手は」
 じろりと空を見やる錫華。いつの間にか黒雲が辺りを覆っている――否、あれは雲などでは無い。全て鋼の竜機、悪しき者共が再び、帝国の空へ襲来した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『機動殲龍『空翔』』

POW   :    ブリッツウィング
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【ミサイルと機銃による追尾攻撃】を放つ。
SPD   :    オーバーブーストマキシマイズ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリアを更に加速。敵に近づき翼】から【敵機を吹き飛ばす衝撃波】を放つ。
WIZ   :    ダブルバレルカノン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【鋼鉄をも貫くビームカノンによる連続攻撃】を放つ。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜機、再び
 その咆哮は地に落ちた同胞を嘆く悲しみか、怒りか。
 空を震わせ飛来した新たなる鉄の竜――機動殲龍『空翔』
 全てを殲滅する鋼の群れは自らを速めると共に、一斉にミサイルを廃墟と化した帝都へばら撒いた。静まり返った瓦礫の街は再び炎の海に呑まれ、同胞の骸を糧に自らの翼をより強靭な鋼と化す。
 それでも、猟兵の活躍により彼奴等の魂――パイロットは大勢が解放されていた。魂を蝕むオブリビオンマシンたる空翔はその力を十二分に発揮する事は叶わず、その勢いは徐々に薄れていった。そして、ようやく気が付いたのだ。

 ここは猟兵の狩場。獲物は帝国ではないという事を。故に。
 生命を蔑ろにする機械に、生命の強さを見せつけてやろう。
 狩られるのは貴様らだと知らしめてやろう。

 どこかで響いた砲声が――反撃の狼煙が上がる。
 ここからは、猟兵の時間だ。
大町・詩乃
次はプテラノドン型のキャバリアですか、きっと乗り手の方の目がぐるぐるとなっているのでしょうが説得は効きそうですね。

先の戦闘と同様に焔天武后を操縦し、UCを発動して敵機を無力化します。
その上で「先鋒の機体の乗り手は全員無事に保護していますよ。貴方達も投降して下さい。」と光の属性攻撃を纏った雷月によるなぎ払い・鎧無視攻撃やレーザー射撃・一斉発射でオーバーフレームのみを破壊して、乗り手は無傷で捕えます。

衝撃波で反撃を試みる敵機には第六感・見切りで軌道とタイミングを読み、カウンター・レーザー射撃・スナイパー・貫通攻撃でオーバーフレームのみを破壊。
衝撃波は結界術・天耀鏡盾受け・オーラ防御で防ぎます。


荒谷・つかさ
さて、第二ラウンドね。
相変わらず空からうじゃうじゃと鬱陶しいんだから……まあ、これから纏めてお返ししてあげる訳だけど。

まず敵ミサイルは搭載火器で自動迎撃をセット、機銃は装甲で弾くため無視する
そして『黄昏を灼く焔の巨剣』を抜き、構えながら詠唱
輪転する刃から焔の魔力を溢れさせ【黄昏を灼く焔の巨剣・焼滅斬】を発動する
戦場の仲間の受けた痛みを力とするこの刃
猟兵は勿論のこと、今回の友軍である帝国の被害も含めれば、その効果は飛躍的に跳ね上がるはず
ただし今回は行動不能にさえできればいいので、パイロットを殺さないよう威力は可能な限り絞り、逆に効果範囲にリソースを全振りして放つ

踏み込みが甘い、そこは私の距離よ!



●炎の刻
「次はプテラノドン型のキャバリアですか、きっと乗り手の方の目がぐるぐるとなっているのでしょうが説得は効きそうですね」
「ぐるぐる……何か思い出しそうだけどきっと気のせいね」
 廃墟と化した帝都に飛来する黒い影――機動殲龍『空翔』の群れを睨む二大マシン、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)の『焔天武后』と荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)の『スルト・ラグナロク』は互いに頷いて、天に向けてその手を掲げる。同時に衝撃波とミサイルの雨が両機目掛けて牙を剥き――。
「さて、第二ラウンド――相変わらず空からうじゃうじゃと鬱陶しいんだから……」
 モーショントレース式の大柄な球体コクピットに浮かぶ無数の光点。視線を向ければ即ち、それは狙いを定めたという事。ニヤリと口端を歪ませて、つかさが雄々しく吼える!
「まあ、これから纏めてお返ししてあげる訳だけど!」
 途端、両腕のハッチが全開放/無数の対空砲火が火線を描き、その後を追尾する様に大小様々なミサイルが尾を引いた。衝突するミサイル群が鮮やかな光球を灰色の空に打ち上げて――間隙を縫う機銃などスルトの装甲の前には無力。甲高い音を打ち鳴らす哀れな抵抗はやがて過ぎ去った夕立の様に静けさを取り戻し、無謀にも接近した空翔が一つ、二つと煙を噴いて落ちてくる。
『何だ、あのスーパーロボット!』
『まるで……炎の巨人だ』
 正しく、全身から猛烈な火線を放ち、灰色の空を紅蓮の炎で塗り潰したその姿は黄昏の巨人――スルトの名に相応しい。そして。
『ヒッ!?』
「先鋒の機体の乗り手は全員無事に保護していますよ。貴方達も投降して下さい」
 更に高くへ逃れた空翔を包み込む穏やかな光は詩乃の――焔天武后の『自然回帰』の超常。柔らかな詩乃の声音に重なって放たれた光は、空翔の、パイロットの戦意を根こそぎ奪っていく。最早戦う理由など無い――それでも、破れかぶれに突っ込む空翔は迎撃の光条で真っ二つに両断されて鉄の骸となる。落ち行く骸は伸ばした『紙垂』が優しく包み、天も地も、正に機械の戦神に歯向かえる者など一つとして存在しなかった。
 故に、荒ぶる鉄の竜は己を捨てて、役目を果たさんとその威を高める。
「……成程、目がぐるぐるしているだけの事はあるって訳ね。でも」
 更に加速する敵影を見やり、つかさはスルトの手に携えた巨大な剣に力を込める。それは尋常ならざる巨大な鎖鋸剣。ガチリと鳴ったスタンバイの音は終末の鐘の音か、続いて響く回転動力の唸りに、空翔達もようやく異変を察知した。
「この輝きは終末の光。世界樹をも焼き尽くす終焉の焔!」
 炎が音を立てて噴き上り、その姿は悪夢めいた帝都の廃墟に煌々と灯る一筋の光となる。人々の怒りと嘆きを――受けた痛みを力とするこの刃、その名は。
                  レーヴァテイン・フルドライブ
「この痛み、そっくり返してあげるわ――『黄昏を灼く焔の魔剣』!!!」
 そして全てを灰燼と帰す終末の炎が、帝都の空を焼き尽くした。

「流石です……では人々は私が!」
 黄昏の炎はつかさの精妙な制御で効果範囲を広げつつ威力は最小限に抑えられた。だからこそ、まるで火山が噴火したかのような煌めきが帝都を覆い尽くしたのだった。その破壊の炎から人々を――空翔のパイロットを護るべく詩乃が神なる力を最大限に開放する。
「アシカビヒメの名において、現世の常ならざるを退けよ!」
 途端、祝詞と共に直下のシェルターを、戦闘力を失った敵パイロットを包む様に、顕現した光の花が咲き乱れては炎を退ける。天耀鏡で増幅された詩乃の結界術を広域に展開し、レーヴァテインの威力を最小限に止めたのだ。
『そんなデカブツ、この距離まで近付けば……』
 だからこそ、僅かばかりの残党はその隙を逃さない。超低空で加速した空翔が天に剣を掲げたスルトの足元へ急接近――だが、その判断が過ちであると気付くには、遅すぎた。
「――踏み込みが甘い、そこは私の距離よ!」
 スラスター噴射/片脚を軸に急回転/空いた手に握られた鋼の拳――出てこなければ、やられなかったのに。鉄がぶつかる鈍い音が僅かに響いて、影は地に落ちる。
「これで、終わりでしょうか?」
「ええ……一応は」
 空が昏く染まる頃、火の粉が舞う戦場を羽ばたく影は、一つとして残らなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メサイア・エルネイジェ
廃墟だからといって好き勝手撃ってくれますわね!
また飛んでる機体ですの?しかも先ほどのより速いですわね
でもわたくしにはミサイルがありますのよ!
これでばったばったと撃ち落とし…あらー?弾がねぇですわ!
さっき調子に乗って撃ち過ぎましたわ!
なんですヴリちゃん?無ければ補充すれば良いと?
そんな簡単に補充できたら世話ねぇですわ…
いえお待ちを…ひょっとしたら…
ミサイルランチャーをパージしてクイックドレスチェーンジ!
ランチャーごと新しくなりましたわ!さすがヴリちゃん!
さあ反撃致しますわよ
命中率抜群のミサイルに追い回されて逃げ惑いやがれですわ!
そちらのミサイルはビーム砲で撃ち落としますわよ



●暴竜進撃
「廃墟だからといって好き勝手撃ってくれますわね! しかもまた飛んでる機体ですの?」
 メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は激怒した。救世主としてこの様な蹂躙を許せる訳が無い。許せる訳が無いのでミサイルを全ブッパし続けていたのだ。飛んで火にいる何とやら、誘導弾が打ち上げた花火はそこかしこに哀れな鋼の残骸をばら撒いて、炎に包まれた帝都を更なる恐怖が襲い掛かる。
「先ほどのより速いですわね。でもわたくしにはミサイルがありますのよ!」
 幾ら早かろうとヴリちゃんの目から逃れられる訳がありませんわ! 目標をセンターに入れてスイッチ……しかし何も起こらない。何故ならばミサイルを全ブッパしていたから。よく見たら残弾ゼロの警告がチカチカと明滅している。
>>Warning: No missile left
「これでばったばったと撃ち落とし……あらー? 弾がねぇですわ!」
 流暢な電子音が告げる無慈悲な現実。こりゃヤベェですわ。詰んだですわ。奥の手の荷電粒子砲では廃墟が文字通り灰燼と化す――これ以上はいけませんわ、流石に。困った顔をするメサイアはふと、サブモニターに浮かんだヴリちゃん――『ヴリトラ・ガンフューラー』の戦術提案を流し見る。
「さっき調子に乗って撃ち過ぎましたわ――なんですヴリちゃん?」
>>Suggestion: Armament change
 チカチカと太文字ゴシック体でこれ見よがしに見せつけるヴリトラ。確かに、武装を交換出来れば戦況は一変する。現に有効な反撃を封じられたメサイアは瓦礫の山を器用に駆けて、縦横無尽に空翔からのミサイルの洗礼を躱し続けていた。瓦礫は増えた。
「無ければ補充すれば良いと? そんな簡単に補充できたら世話ねぇですわ……」
 いえお待ちを……ひょっとしたら……。
 そう、こんな事もあろうかと身に付けたユーベルコードがわたくしにはありましてよ!
 滑らかな手つきでコンソールを叩き、タァーン! とエンター(実行)――途端、虚空にクレーンめいた物体がニョキリと姿を現わし、ヴリトラの『RS四連装ミサイルランチャー』を瞬く間に交換したのだ。
>>Update: RS Quadruple Missile Launcher
「ランチャーごと新しくなりましたわ! さすがヴリちゃん!」
 それと同時にクレーンは姿を消す。正にトップクラスのピット作業を想起させる神業めいた武装交換。チカチカと明滅していた残弾ゼロの警告はもう、無い。
>>Are you ready, princess?
「出来てますわ! さあ反撃致しますわよ!」
 命中率抜群のミサイルに追い回されて逃げ惑いやがれですわ! 気を吐くメサイアの言葉と共に、暴竜は再び破壊の火を放つ。逃げるのはもう止め、さあ反撃の時間だ。光条が敵のミサイルを貫いて爆散/噴煙に隠れて放たれたヴリトラのミサイルが一斉に空翔の翼を穿ち、爆ぜる。
「怯えてお竦みなさいな! そぅれそれー!」
 暴竜が吼える。救世主が叫ぶ。
 止められる者など、ここにはいない。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽向・理玖


変身状態維持

竜っつーか恐竜みたいな機体だなぁ

同じ龍でも格が違うってとこ見せてやろうぜ
スタークドラゴン

UC起動
空中戦なら同じ方がやりやすいか
残像纏い空を駆けるようにダッシュで更に加速し
間合い詰めグラップル
拳で殴る

つかちょこまかうぜぇ
機動力奪ってやる
翼にも手にも見える部位狙い部位破壊
刈るように蹴り
落ちろッ!

追いかけてくんならこっちから向かえばいいだけじゃね?
追尾攻撃は加速し誘導敵群に突っ込み
同士討ちの誘爆狙い
数が減れば見切り
攻撃し破壊
あんま変な壊されても狙われても困るしな

そろそろ正気に戻ったらどうだ?
俺のが
いや俺たちの方が強いぜ
コクピットの位置見極め避け
拳の乱れ撃ち
徹底的に機動力と攻撃手段を削ぐ



●蒼龍飛翔
「竜っつーか恐竜みたいな機体だなぁ。だけど」
 青き龍の装甲を纏った陽向・理玖(夏疾風・f22773)はモニターに映る黒い影を睨みながら独り言ちる。あれはプテラノドンを模したキャバリアか。相変わらず空を飛ぶのは厄介だ――だが。
「同じ龍でも格が違うってとこ見せてやろうぜ、スタークドラゴン」
 ドラゴン退治は初めてじゃない。むしろ、こんなモノより余程ヤバい奴と何度も戦い抜いてきた。吼える理玖に呼応して『STALK DRAGON』が青い炎をぶちまける。途端、七色の光がスタークドラゴンの全身を包み、天翔ける星と化した。
『! 人型が飛んでいる、だと!?』
「つかちょこまかうぜぇ――」
 オープンチャンネルで拾った敵パイロットの声――驚いたか? こういうのは俺達の日常さ。正面に捉えた空翔の鼻先を殴り飛ばし、更に高く翔ぶ。
『俺達を足場に!』
 飛び越えた空翔を踏み抜いて跳躍。温いぜ――加速したスタークドラゴンはその影を残し、突然増えた敵の姿に空翔の動きが僅かに鈍る――瞬間、反転したスタークドラゴンの足刀がざっくりと空翔の翼を破った。
「そこにいんのが悪い――落ちろッ!」
 揚力を失い落ちていく眼下の空翔。同時に警告音/背後から仲間の仇を討たんと猛烈なミサイルの雨が理玖の目に映る……だが。
「一つ、二つ――いや、面倒だッ!」
 軌道は既に見切った。行儀よく殺到するなら頭から潰せばいい――手にした空翔の残骸を投げつけて、爆ぜた先頭のミサイルが周りを巻き込み誘爆した爆炎を越えて、七色の龍は容赦なく鉄の竜を地に叩き付けた。

「そろそろ正気に戻ったらどうだ?」
 一しきり――僅か十秒の戦いで、理玖を襲った空翔は須らく地に落ちた。コクピットは避けた。それにキャバリアの安全装置が生きていればとりあえず死ぬ事も無い筈だ。半開きの空翔だった残骸のコクピットからパイロットの身を起こして、理玖は素顔を晒して声を掛ける。
『あ……ああ……』
 まだ目玉が若干ぐるぐるしている……だが、自身を取り戻したパイロットは目の前の惨状を見やり、ぐったりと地に腰を落とした。
『こんな事を……だが、サカモト隊長ならこの程度では済まない』
 怯えるパイロットの言葉に理玖は苦笑する。その隊長は余程なのだろう――それでも、と、力強く理玖は言葉を続けた。
「俺のが――いや」
 理玖の背後ではスタークドラゴンが排熱の蒸気を上げて、鈍く輝きそびえ立つ。その後ろ――爆音が止まぬ戦場で仲間達は今も戦っている。誰も、負ける気など無い。そして、僅かに間を置いて理玖は言葉を結んだ。絶対の意志を込めて。
「俺たちの方が強いぜ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

上喰・益巵
さて、第二陣か。さっきのよりも早そうだな。
ただ、こんな早いだけのやつに当てれないようじゃあ、射手としては三流以下だ。あたしの敵じゃないね。

「あんたらの仲間はもう投降してる。ご自慢の機体を木偶にされたくなきゃあ、とっとと白旗上げな。」っと<恫喝>してみる。
これで止まるんならよし、それでも攻撃してくんなら……いいぜ、てめぇら全員スクラップにしてやる。
市街地を駆け抜け相手が行動しにくい場所に誘い込む。
【UC:殲滅の鋭弾】(SPD)を発動、相手の射程距離外からの<貫通攻撃>だ。
跳弾や曲射なんかを利用し駆動部を同時に撃ち抜き、一瞬で無力化させる。反撃なんてのは許さない。

あたしはちゃんと忠告したはずだぜ。



●狩る者、狩られる者
 鼻に突く煤けた臭いが、否が応にも上喰・益巵(酔っ払いの銃使い・f30263)の心を昂らせる。立ち昇る黒煙、赤く燃える空。これこそ懐かしくも忌まわしい故郷の景色――戦場の景色だ。
「さて、第二陣か」
 懐の『グルメツール』――スキットルの褐色の液体を口に流し込む。焼ける様な喉の感触が生を実感させて、頭も冴えてきた。何も酒は酔う為だけにある訳じゃない。この戦場に酔う前に、景気付けの一杯って奴さね。
「さっきのよりも早そうだな……ただ」
 飛翔する黒い影は先のダイナリオンより大分早い。その分動きが直線的――こんな早いだけの奴に当てれないようじゃあ、射手としては三流以下だ。スキットルを再び懐へ忍ばせて、益巵はニヤリと口元を歪める。
「あたしの敵じゃないね」

「あんたらの仲間はもう投降してる。ご自慢の機体を木偶にされたくなきゃあ、とっとと白旗上げな」
 ダイナリオンの残骸から無線機を取り出して、オープンチャンネルで降伏を勧告する益巵。我ながら大した役者だ……こんな生身の兵隊に脅された所で、奴等が屈する訳が無い。むしろ。
『ふざけるな……たかが生身の雑兵如きが!』
 思った通りだ。口車に乗せられて空翔が衝撃と共に迫る。しかし入り組んだ廃墟を音速で飛べば、如何に頑丈なキャバリアと言えどただでは済まない。ソニックブームの反響は自らを傷つける恐れもある。
「……いいぜ」
 そして、それこそが益巵の狙い。自傷するならそれも良し。それが出来なければ……そのデカブツでどこまで追いかけっこ出来るかな?
「てめぇら全員スクラップにしてやる」
 途端、急降下した空翔に無数の火線が襲い掛かる。それは落ちたダイナリオン、あるいは擱座したパラティヌス、それぞれの手にした銃器が突如として息を吹き返した様に、瓦礫のそこかしこから迎撃の弾幕を張り巡らせたのだ。
『こいつ! まだ生きてるのか!?』
 いーや、とっくの昔に死んでるよ。
『待てッ! 俺達は味方だ!!』
 違う違う、味方『だった』の間違いだぜ?
『クソッ! 四方が囲まれて!』
 そう……だから言ったろう。
「あたしはちゃんと忠告したはずだぜ」
 混沌とした無線が地獄めいた戦場をここに示す。それこそが『殲滅の鋭弾』――捉われれば逃げ場はない。カチャリと、対物仕様に組み替えた『改造機関銃』で空翔の急所に狙いを定める益巵。
「じゃあな」
 一つ、二つ、三つ……瓦礫に響いた銃声が静けさを取り戻した時、黒い影は一つたりとも空には無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
エース仕様の『パラティヌス』か。
これは、へたなところは見せられなくなちゃったね。
騎士団の流儀も解ったし、ここは『鈴蘭のエース』として働かないとかな。

アミシア、チューンはそのままで、
【フレキシブル・スラスター】から【Hammer】にパーツ換装。
殴り墜としていくよ。

アミシアの呆れたような、諦めたような、
そんな溜息が聞こえたような気がするけど、そこはあえてスルー。

ほら、せっかく上がった士気だもん、大事でしょ?

【Hammer】でダッシュしながら【ワイヤーハーケン】を『空翔』に絡めてそのまま大ジャンプ。
『空翔』を殴りor蹴り墜としたら、こちらは地上に落ちる前に別の『空翔』にハーケンを絡めて移動して、
敵の攻撃を躱しながら、格闘を叩き込んでいこう。

ノーマルの機体ならちょっと厳しい動きだけど、この機体なら、ね。
装甲を削った軽さと【蜘蛛の舞】を応用すれば、こんなこともできるんだよ。

ホバーの推力が限界になったら着地しないとだけど、そのときが一番危険かな。
再ジャンプまでは【天磐】でしっかり防御を固めよう。


トリテレイア・ゼロナイン


ドクター投獄の報は幸いでした
処刑されていれば今後の三国にどんな影が落ちていたか…
サカモト隊長をOマシンの呪縛から解放し、その後にドクターを救助する
為すべきは御伽噺の如くシンプル、騎士として存分に腕を振るえるとゆうものです

電脳禁忌剣で偵察用機械妖精をキャバリアサイズに拡大
ロシナンテⅣ背部コンテナから出撃

大盾の防御、各部スラスターの推力移動の回避運動駆使しつつビーム砲火に真正面から切り込み

機体性能強化、破損装備の再生産、サブアームの銃器の威力拡大
妖精による性能強化と武装生産で戦線維持

これで決めます!

UC範囲…刃渡り百メートル越え巨大光刃を生成
空翔達を蹂躙し、破壊機体をナノマシン鱗粉で修復し救助



●騎士として
「大分タフな連中が相手だね。ま、やりがいはあるけどさ」
 支倉・錫華(Gambenero・f29951)は最終防衛ラインに迫った空翔を辛くも撃破し終えていた。何分、敵も確実に攻撃を当てるには高度を下げざるを得ない――その僅かな隙を狙い、スラスターフル稼働で高度を合わせて迎撃する。機体への負荷も大きい古典的なキャバリア空中戦の手法だが、頑丈な分そういう無茶が利くのはありがたかった。
『流石だな猟兵。久々に震えたよ』
 その声の主は鈴蘭騎士団長グリンダ――錫華にエース仕様のパラティヌスを与えた張本人だ。攻撃の手が引いた僅かなインターバル、補給の為にわざわざ出張ってくれたらしい。だがグリンダは錫華の手元に補給のドリンクを投げて寄越すと、おもむろに話題を変えた。
『なあ、このままウチで戦わないか?』
 意外にも彼女は既に戦後の事を考えていた。確かに錫華の腕があればどこでもエースとして戦えるだろう。僅かに真剣な面持ちでグリンダは言葉を続ける。
『アンタの戦いぶりに惚れちまった奴が沢山いてな……』
「申し出は嬉しいけど、そういうのはパス」
 それが真意なのかどうかはさておき、勧誘に乗る気はそもそも無い。それ以上に。
「わたしは流しの傭兵だからね。留まるのは性に合わないんだ」
 わたしは影だから。日の当たる場所には出られないさだめだから。
『そか。じゃあ仕方ないな……それじゃ、今だけは続けて頼むよ』
 後ろめたい事は無い。わたしは今もこれからも、わたしのやるべき事をやるだけ。
「うん。補給ありがと。行くよ、パラティヌス!」
 インゴットを補給し終えマシンに再び火が入る。彼女達を背にゆっくりと前に出て、スラスターを点火して再び戦場へ。惚れられちゃったか……これは、へたなところは見せられなくなちゃったね。

「ドクター投獄の報は幸いでした。処刑されていれば今後の三国にどんな影が落ちていたか……」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は思考した。ドクター・ヘルムがあの戦いの後、オブリビオンマシンの毒に当てられ正気を失ったのだとしたら最悪。そして正気だったとしても政治的な争いに巻き込まれ命を落としていたら、それを理由にドワーオが開戦に踏み切る可能性すらありえると。だがドクターは存命、この件が片付けば直に開放されるだろう。であれば今やるべき事は唯一つ。
「為すべきは御伽噺の如くシンプル、騎士として存分に腕を振るえると……」
 電脳に過った思いを果たさんと愛機『ロシナンテIV』に力を込めた刹那、いきなり空翔が空から大地に落ちてきた。
「! これは……」
 不快な振動をスタビライザーで吸収し状況を確認。レーダーに浮かぶ光点は無数。その内の一つは鈴蘭騎士団所属のパラティヌス――たった一機で無数の空翔と渡り合い、絶望的な戦線を支えていたのだ。
「急ぎましょう、ロシナンテ」
 兵は神速を貴ぶ。世界が変わろうとそれは不変の理だ。青白い炎を吐いて、蒼銀の電気騎士は大地を駆け抜けた。

「…………」
 トリテレイアが戦線に到着した時に見た光景――それは跳び上がり拳一つで次々に空翔を叩き落とすパラティヌスの姿だった。騎士。この国の騎士とは一体。
「ほら、せっかく上がった士気だもん、大事でしょ?」
「ええ、はい」
 髪をかき上げ微笑する錫華は、当然の様に空を舞う鉄の竜を問答無用で叩き伏せる。拳一つでのし上がる。それこそがクリスクワイア帝国首都防衛隊『鈴蘭騎士団』の流儀なのだと言う。ならばそれを実践するまで――その姿を見た帝都の兵士達は続々と戦意を取り戻し、ギリギリ稼働出来るパラティヌスを掻き集めて最終防衛ラインを再構築しているらしい。
「しかしその……騎士の戦いとは」
「タイマン張って拳で解決、だって」
 だからこそ、数に物を言わせて奇襲された緒戦は、限りなく劣勢になってしまったと。まあ、そういうのもあるのかとトリテレイアは不思議な気持ちになった。
「って、またぞろ出て来たわね……アミシア、チューンはそのままで【フレキシブル・スラスター】から【Hammer】にパーツ換装」
『…………』
「さあ、殴り落としていくよ」
 何か、アミシアの――錫華のパートナーユニット『アミシア・プロフェット』の溜息がモニター越しに漏れてたような気もするけど、気にしない。
「ノーマルの機体ならちょっと厳しい動きだけど、この機体なら、ね」
 僅かのインターバル、ローラーダッシュとホバーでの高高度ジャンプを可能にする外付けの高機動ユニット『Hammer』を装着したパラティヌスは、砂埃を巻き上げて敵群へと切り込んだ。
「壁役はお任せください。同型機同士、連携は組みやすいですし……って」
 トリテレイアが言うより早く、錫華のパラティヌスは既に空中戦を展開していた。スラスターで飛翔し殴打/同時にワイヤーハーケンを敵機に打ち込んで三次元戦闘。流石の手練れだ。これならば、ギアを三つ四つ上げても合わせられる。
「この状況……騎士として望む所です」
 チカチカとカメラアイが点滅する。電脳をフル稼働したトリテレイアは四つ腕の武装を全て展開し、敵の渦中で奮戦する錫華の元へ飛び込んだ。

 キャバリアの空中戦は『殲禍炎剣』の影響で高度に上限がある。それ以外、重力や気圧、天候によるイレギュラーがある事を除けば宙間戦闘とよく似ている。むしろ、イレギュラーが起こるのは宇宙でも同じ――気が付けば飛翔したロシナンテIVは大盾で錫華の死角を守りつつ、サブアームのRSライフルで弾幕を張り敵機の急襲を見事に防いでいた。三次元戦闘はウォーマシンのお家芸。故に飛翔型キャバリアが相手だろうと、決して遅れをとる事は無い。
 錫華も同じく、空翔を蹴り飛ばした反動で縦横無尽に動き回り、背後からの直突きで翼をぶち抜き、あるいはワイヤーハーケンを利用した攻撃と回避が一体となった機動で無数の空翔を攪乱した。圧倒的な戦場支配――だが敵も、その動きを黙って見過ごす訳が無い。少しずつ距離を取って散開しつつ、方位陣形は崩さず両機の動きを抑える。しかしそれも二人の手の内であるとは、まだ気付き様が無かった。
『四つ腕が……何かヤバイ剣を抜いたぞ!』
 最初に気付いた者は地上の鈴蘭騎士団の生き残りだった。天翔けるパラティヌスの縦横無尽の活躍に喝采を上げながら、いつの間にかロシナンテIVが歪ながら壮麗な、まるで生き物の様な剣を抜く様を目撃したのだ。
『何だ、これは一体……』
 その剣こそ『電脳禁忌剣』――奇跡を現出する超常の剣。キャバリアサイズで実体化した電脳禁忌剣からきらきらと雪の結晶めいた力場が軌跡を描き、軌跡が魔方陣めいた印を象った時、ロシナンテIVの背部コンテナから無数のマシンが――トリテレイアの姿に似た機械妖精の群れがキャバリアサイズに巨大化して一斉に発進した。
『あの四つ腕、一体何なんだ……だけど!』
 それは奇しくもパラティヌスと似通った飛行型キャバリアに見えた。散開した空翔をスリーマンセルで囲って各個撃破。あるいは退路を塞ぎ、逃げ惑う空翔へ一所に追い込みをかける。
『ハルも健在だ! これなら!』
 何よりもエース機たるパラティヌスもワイヤーハーケンを巧みに操り、絡め取った空翔を振り回し一塊にして強引に投げつける。まるで蜘蛛の糸玉の様に一つにされた空翔は、逃れる間も無く妖精が導いた葬送の列へ加えられた。そして。

>>Enhanced Cavalier performance.
>>Regeneration of damaged weapons.
>>Enhanced of secondary arm guns.
「妖精による性能強化と武装生産で戦線維持――」
 祝詞の様な電子音を復唱し、トリテレイアは『勇気の妖精』の真価を解き放つ。
「くっ! ここらが潮時かな――?」
 それは自身だけでは無い。仲間にも治癒の恩恵を与える妖精は、限界を超えて稼働する錫華のパラティヌスをそっと支えた。煙を噴いて赤熱化するスラスターと装甲を包んだナノマシンの鱗粉が、徐々にその熱を冷まして――。
「ダメージが回復している。トリテレイアさん!?」
「間に合いましたね。そして――」
 いつの間にか大地に降り立ったロシナンテIVは、手にした電脳禁忌剣から巨大なプラズマの刃を天に向けて伸ばしていた。それは刃渡り100mを越える必滅の業。それは星すらも砕く文字通り禁忌の剣。
「これで決めます!」
 電脳禁忌剣の内蔵縮退炉が音も無く力を開放する。プラズマは白と黒が入り混じった原初のエネルギー体と化し、炎を噴いて跳び上がったロシナンテIVが一所に集まった空翔を一太刀で骸に還す。まるでビッグバンの様な極大のエネルギー放射は、オブリビオンマシンの存在そのものを消し去り――その機体から妖精達がパイロットを捨て身で救助して。それらが大地に降りた頃、空には星が上がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サブリナ・カッツェン
●POW

ダイナリオンのお次は空翔かい
『先程とは違い、空戦により特化されたヤツだな。イケるかサブ?』
あったぼうよ
あたしの腕、MKのサポート、んでアイリーゼの力が合わせりゃ百万パワーってな

低空でのドッグファイトと洒落込もうじゃねぇか
MK、奴はミサイルをぶっ放してきやがる
レーダーから目を逸らすんじゃねぇぞ
『そっちも敵機を見逃すんじゃないぞ』

尻を追いかける分では問題ねぇが、逆に食いつかれたら機銃とミサイルの追尾攻撃は厄介だ
MK、転がるんじゃねぇぞ
エンジンと飛行翼じゃ真似できねぇ【空中機動】の曲芸を披露して、後ろを取ってやるぜ
成功したら命中率優先の『リヒトシュトラール』で片翼にしてご退場して貰うぜ



●極限の曲芸師
「ダイナリオンのお次は空翔かい」
 瓦礫が舞い、爆ぜる。濁った風の中を一際美しい影が疾る。サイキックキャバリア『アイリーゼ』――それを駆るサブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)は口元を歪ませて、後ろに迫る空翔の猛攻を軽やかに避けていた。
『先程とは違い、空戦により特化されたヤツだな。イケるかサブ?』
「あったぼうよ」
 周囲を瓦礫に囲まれた閉鎖空間。迂闊にスラスターを吹かせばバラバラと戦の跡が崩れ落ちる。それすらも、まるでサーカスの様にくるりと躱し、踏み越え、追尾するミサイルの目を眩ませては、再び瓦礫の空洞へ身を隠す。
「MK、奴はミサイルをぶっ放してきやがる。レーダーから目を逸らすんじゃねぇぞ」
『そっちも敵機を見逃すなよ……さあ』
 あたしの腕、MKのサポート、んでアイリーゼの力が合わせりゃ百万パワーってな――暗がりすら手玉に取って舞う我が愛機。マシンが捉えた気配を握り潰す様にサブリナは拳を握って、光の射す方へ反転/真正面から加速する空翔を迎え撃つ。
「MK、転がるんじゃねぇぞ」
 再び、炸裂したミサイルが尾を引いてアイリーゼに迫る。だがこの場所は――剥き出しの鉄骨が輪の様な回廊を織成すこの空間は、奴らを根こそぎ仕留める為の狩場だ。誘い込まれた事も知らずに加速する空翔/ミサイルは一つ、二つとアイリーゼの手前の瓦礫にぶつかってその威を失う。爆炎と噴煙が空間を黒く埋め尽くして――刹那、空翔はアイリーゼの反応を見失う。
 やったか……? 濛々と舞い上がる煙が、炎が、正確な判断を鈍らせる。僅かにスロットルを緩めた――瞬間、空翔達の背後でぼうと光が灯った。
『勿論。アイリーゼを汚す訳にはいかないからな』
「上等! それじゃあフィナーレだ」
 奴だ! だが気付いた時にはもう遅い/エンジンを切り、爆発の衝撃でふわりと浮かんだその姿は無傷。そしてサブリナが両の掌を開くと同時に、苛烈な光弾がアイリーゼの十指より嵐となって放たれる。『リヒトシュトラール』――超常の光弾はミサイルよりも早く、その牙を猛然と突き立てた。
「墓穴掘る手間も省けたろう。なあ?」
『行動不能にすればいい。行くぞ!』
 無数の光弾は爆音と共に空翔の翼を穿ち、揚力を失った鉄の竜がばたばたと地に落ちる。その衝撃が瓦礫を崩して――竜は二度と立ち上がる事は無いだろう。
 骸を背にアイリーゼは舞う。勝利を、夜明けの光を届けるその日まで。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレスベルク・メリアグレース
●【渡り禽】
※不殺厳守

クーデター…
わたくしも他人事ではないのですよね…

それはともかく、高速飛翔特化のオブリビオンマシンを撃破しないとですね
説得が有効ならばわたくしにおまかせを
なぜなら、わたくしはメリアグレース聖教皇国教皇なのですから

教皇としてのカリスマ性を遺憾なく発揮し、オブリビオンマシンに登場している兵士へと語りかけ、戦意を無くした者を確認した後尚も戦闘を続行する兵士の機体が有する飛翔武装を大鎌で時空間を切り裂いて破壊し、墜落させていきます
地面には激突しないよう異界を展開する事でクッションとし、兵士を確保していきますね


久遠寺・遥翔
【渡り禽】
キャバリア・イグニシオンに[騎乗]して遅ればせながら参戦
「こちらイグニシオン、久遠寺遥翔。援護する」
渡り禽の皆と連携を開始するぜ

状況は把握してる
今回の相手は説得が通じる相手ってことだ
ならばより話をしやすい環境を作ろう
衛星に捕捉されない程度の限定的な[空中戦]を展開
[戦闘知識]と[第六感]から敵の動きを予測して
敵の飛ぶ先にUCで網を張り戦意を奪っていく
説得自体は任せるぜ、小枝子!

パイロットは不殺厳守!
[結界術]で敵コックピットを守りながら敵機を迦具土による[範囲攻撃]で墜としていくぜ
俺への攻撃はしっかり[見切り]、[残像]で回避だ


朱鷺透・小枝子
●【渡り禽】へ合流いたします
不殺厳守
デモニック・ララバイ【操縦】

『揺籃の子守唄』
敵の攻撃をドロモスの魔音【衝撃波】で相殺、味方・周囲への被害を抑えます
【催眠術】捕虜達の気持ちを落ち着かせ回復、彼等から敵機へ戦闘をやめるよう説得します

あなた方同様、彼等もオブリビオン…
何物かに操られ、この国を襲っています。

この国の為、そして不義を働かされるあなた方の同胞達の為、
彼等の心を取り戻すのに、あなた達の言葉が必要です!

その声は、ララバイが、自分が届けます!
だから、彼等に、戦いをやめるよう呼び掛けてください!!

【闘争心】味方捕虜達の心を奮わせ、
彼等の【大声】をララバイからドロモスへ経由させ、敵機へ伝えます!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
●【渡り禽】【POW】
※【ナインス・ライン】搭乗
※不殺厳守

クーデターか…国家代表も楽じゃないねえ
ま、ドクター・ヘルムの救出は後でっ

「アンタらさー、迷子にも程がない?」
楓椛さんの証言を元に空翔へ通信
小枝子さん達の説得の合間で手短にね

「さっきの連中?心配せずとも仲良く治療中さ」
無力化後に【ファルマコン】へ運び込んだよ

好戦的な奴は合流組とも連携して処置開始
最適な狩場を陣取り【ソスピタ】で隠れ
オペ9番【セラフ・アンサラー】開始

得物を【ドミナント・バレル】一挺に変更後【瞬間思考力】駆使
翼やタービンを【デンジャー・バレット】で精密狙撃
飛行能力は勿論、弾の侵蝕プログラムで火力も潰す
遥翔さんにも期待してるよ♪



●猛き禽の空
「クーデター……わたくしも他人事ではないのですよね……」
「国家代表も楽じゃないねえ。ま、ドクター・ヘルムの救出は後でっ」
 自ら教皇――国家元首を務めるフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、ドワーオの現状に沈痛な面持ちを浮かべる。僅かにうつむいたフレスベルクの『ノインツェーン』を横目に、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は『ナインス・ライン』の中であえて明るく振舞った。死んでないならどうにでもなる……時間の問題なら、最短で突破するだけよ。微笑しつつコンソールを軽やかに叩いて――既に戦術プランは動いているのだ。後はこの前と同じ、一人でも多く救い出すのみ。
「説得が有効ならばわたくしにおまかせを」
 ゆらりと、面を上げたノインツェーンが――フレスベルクが凛と宣う。それは教皇としての決意、遍く衆生を救わんとする強き意志。
「なぜなら、わたくしはメリアグレース聖教皇国教皇なのですから」

「アンタらさー、迷子にも程がない?」
『……迷子? 何の事だ?』
 空より放たれたミサイルの雨を『シリウス・マイン』の――多弾頭ミサイルの弾幕が傘の様に防ぐ。そのままオープンチャンネルでリーゼロッテは敵パイロットへ呼び掛け、ナインス・ラインを滑らせて言葉を続けた。
「余所に演習で来たんでしょ。ここで何してるって訳?」
『それは……』
 矢張り、楓椛さんの証言通りだ。記憶が確かならこの状況に違和感を覚える筈。そこに付け入る隙がある……でしょ?
「あなた方同様、彼等もオブリビオン……」
 言葉にするより早く、リーゼロッテに続いて漆黒のマシンが、『デモニック・ララバイ』の朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が穏やかに声を掛ける。
「マシンに、何物かに操られ、この国を襲っていました」
 その声は空翔の羽ばたきよりも大きく、空を包み込む様な旋律と共に放たれた。『揺籃の子守唄』――マシンが織成す超常の音色は瞬く間に戦場に浸透して、荒れ狂う空翔の兵士達の心を鎮めた。
「この国の為、そして不義を働かされるあなた方の同胞達の為、彼等の心を取り戻すのに、あなた達の言葉が必要です!」
『そうだ……皆、聞いてくれ』
 その声は先の戦いでオブリビオンマシンの支配から抜けたドワーオの同胞、ダイナリオンのパイロット達。デモニック・ララバイの端末『ドロモス・コロス』とリーゼロッテの治療を受けて正気を取り戻した兵士達が、続々と空翔のパイロットへ呼び掛けた。
『俺達は生きている! マシンに操られてこんな事をさせられていたんだ!』
『無事なのか!? 皆は、鉄竜部隊の仲間達は?』
 声が、届いた。最接近していた空翔がふわりと速度を落として、ゆっくりと空中を旋回しながら猟兵達へ問いかける。
「さっきの連中? 心配せずとも仲良く治療中さ」
 その問いに割り込んだのはリーゼロッテ。負傷した兵士達は既に機動医療艇ファルマコンに収容し随時治療を受けさせている。誰一人死なせやしないと、リリー先生は親指を立てて破顔した。
「その声は、ララバイが、自分が届けます! だから、彼等に、戦いをやめるよう呼び掛けてください!!」
『ああ、出来る限りの事をしよう……』
『こんな事の為に、俺達はキャバリア乗りになった訳じゃない!』
 こんな事――望まぬ侵略行為に加担させられた己を奮い立たせ、一刻も早くこの戦を終わらせる為に、今は声を上げる時だ。

『おい、聞こえてるんだろう!?』
『駄目だ! 奴等こっちへ向かってくる!』
 それでも、声が届かぬ者もいる。子守歌の届かぬ遥か彼方、徒党を組んだ空翔の群れが一斉にミサイルを放ったのだ。ダイナリオン無き今、これを防ぐ手立ては無い――死を覚悟した刹那、不意に空中で橙の火球が連なった。
「こち……イグニシオン、久遠寺遥翔……援護する」
『…………』
 一つは、ノイズ混じりの男の声と白いキャバリア。
 一つは、物言わぬ痩身の漆黒――キャバリアらしき巨人。
 遠くに現れた長大な砲を構えた黒いキャバリアは有無を言わさず砲口を天に向け、火を放つ。轟音と同時に幾つもの火球が空を彩り、爆炎の合間を縫う様に飛翔した白いキャバリア――久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)の『イグニシオン』が、すり抜けた空翔を炎の網で捕らえて落とす。
「状況は把握してる。まあ任せてくれ」
 ガン、と落ちた衝撃で大地が振える。その炎は心を蝕む超常の『戦意を食む焔籠』――故に、捕らわれた空翔に戦う力はもう、無い。
「俺達――渡り禽にな」
 ノイズが晴れた通信は、雄々しい遥翔の声を仲間達へ確かに届けた。
「説得自体は任せるぜ、小枝子!」
「了解です! 久遠寺殿!」
 そうだ。敵はまだ多い。だからこそ渡り禽達は駆ける。悪しき呪縛からこの空を取り戻す為に。

「さあ、仕上げと行こうか! 下拵えはしておくぜ!」
「期待してるよ、遥翔さん♪ バラすのはアタシがやる!」
 合流した遥翔と漆黒のキャバリア――楓椛の『クロさん』は対空砲火を交えつつ安全圏を確保。そこからデモニック・ララバイの支配領域を広めつつ、本命の発動まで時間を稼ぐ事が目的。
「中小路殿はやる事があります。だから、ここは!」
 衝撃が風を巻き起こし、未だ声の届かぬ空翔の翼を大地へ縫い付ける。同時に増幅された兵士達の声が、ドロモスの旋律と共に荒んだ空翔のパイロットへ、その心へ直接呼びかけた。
「流石だな。こっちも負けてられねえぜ、なあ!」
『…………』
 漆黒の機神太刀『迦具土』が揺らめく炎の照り返しを受けて、いつの間にか懐へ入り込んだイグニシオンの斬撃が空翔の翼を断ち切る。迎撃の火線はクロさんの支援砲撃が分断し、落ち行く空翔はイグニシオンが織り成した結界が優しく受け止める。言葉を交わす事も無く、されど盤石の連携は次々に敵を無力化して。
「空中遊撃と対空砲火がこれだけあれば十分でしょ!」
 光学迷彩で己が身を隠し、一際高く頑丈にそびえる瓦礫の上へ登ったナインス・ラインが、重厚なアウトリガーを展開/固定用ボルトを打ち込んで機体を安定状態に。武装選択『ドミナント・バレル』――キャバリア用大型対物ライフルを手に、弾種は『デンジャー・バレット』の侵蝕プログラム弾。これで空翔の翼も爪も牙も、潰して見せる。
「オペ9番【セラフ・アンサラー】――フレスさん!」
 展開した電子ターレットを覗き込みつつ、本命の――フレスベルクに声を掛けるリーゼロッテ。同時に轟音と振動が連続してマシンを襲い、遥か彼方に飛翔する敵群を順繰りに墜落せしめる。必中の狙撃――奴らを地に着ければ、それで終わり。
「わたくしはメリアグレース聖教皇国教皇、フレスベルク・メリアグレース……あなた達を救いに来ました」
 そしてリーゼロッテの声に続いて、フレスベルクが秘められし超常を発露する。神々しい輝きと深淵の様な闇、ナインス・ラインの下方に位置するノインツェーンが手にした大鎌が虚空を鳴らし、途端、世界は二つに裂けた。
「全ては、その機体を含め――悪しきマシンの仕業なのです」
 対象は視界に入ったモノ――故に、立体的に広がり過ぎた敵全てに当てる事は難しい。だからこそ、リーゼロッテが彼らを地に落とし続ける限り。
「蒼穹を閉ざして砕く侵略者――わたくし達がオブリビオンと呼ぶ存在」
 視界にさえ入ればその権能は須らく執行される。地に落ちた鉄の竜が鎌首をもたげ、吐き出すようにパイロットを放出すればそれで良し。そうすれば、フレスベルクの声は必ず届く。落ち行く機体は分かたれた世界の狭間がそのまま緩衝材となり、執行の鎌が齎すは遍く悪意の殲滅のみ。
「世界を歪めたその存在を、須らく駆逐する――それが使命」
 その声が戦場に響き渡った時、遂に歯向かう悪意は尽く地に落ちた。
 最早、そこには骸すら残らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

中小路・楓椛
【渡り禽】と協働。原則不殺。

――縁あってドクター・ヘルムが国家元首としてしくじったのを私は是非とも祝福したいのですよ。その為の彼の身柄の安全確保を。
うちの団員ならこの戦況で無双できると信じた上で谺を高速狙撃砲形態でクロさんに召喚貸与してメンバーの援護に廻します。当たらなくとも直線的なマニューバしかできない相手なら牽制になるでしょう。クロさんの火砲だけに集中すると後ろからバッサリ、どっちもどっちも、ですよ?

さて私は一章と二章で無力化した複数の兵士からインタビュー(物理)した情報から「ドクター・ヘルムの現在位置」を分析類推…【ミスラ】さん、ドクター・ヘルムが収監されていると思われる監獄建物周囲の武装兵を死なない程度で無力化、防衛機構を破壊し逃走経路の確保をお願いします。
もしかすると彼は何らかの策を講じ自前で逃走手段を確保している可能性はありますが早目に恩着せるのも旅団としての交渉準備の内です。

そしてサカモト隊長。今回の事変が当人の意志の行動かどうか気になります。少し探ってみましょうか。



●深淵/真実
「――うちの団員ならこの戦況で無双できるでしょう」
 背後で煌めく爆光を見返しもせず、小柄な黒い影が戦場をゆらりと動く。
「クロさんの火砲だけに集中すると後ろからバッサリ」
 自らの対神霊絶滅神器『谺』を拡大化/高速狙撃砲形態で『クロさん』へと貸与し、友軍の『渡り禽』の援護を遂行。漆黒の痩身は手にした漆黒の魔杖をさながら高射砲の様に掲げ、射突概念を司る神器は空より迫った鉄の悪魔を叩いて落とす。さながら禽が餌を啄む様に――最早、恐るべき悪魔はどちらか。
「どっちもどっちも、ですよ? さて」
 影がピタリと動きを止める。目の前には空翔の剥き出しになったコクピット。
「少々お話を伺いたいのですが……意識は確かでしょうか?」
 その影――中小路・楓椛(ダゴン焼きの可能性を信じている狐・f29038)は流血し視点も定まらぬパイロットに対し、冷たいナイフの様な声色で話を続けた。
「一つ、演習中の行為とはいえ、随分と度が過ぎてますね……雑で乱暴」
 地響きが二人を揺らす。増援が到着した頃合いだろうか、これで戦力も盤石。空飛ぶトカゲ擬きが束になろうと、進化の果てに辿り着いた禽という空の王者の翼が破られる筈も無い。戦場の制圧は時間の問題だ……残る課題は一つ。
「これはドクター・ヘルムの望まぬ結果だと思いますが、彼は今どこに?」
『ドクター……ここにはいない。本当だ! 本国で投獄されて、その後は……』
 狐の双眸がニタリと歪む。つまり、少なくともこの戦場で何をしようが彼に影響は無い。結果如何で無事に済むかどうかが決まるならば、やるべき事は決まった。
『なんで……ドクターに拘る……?』
「二つ、縁あってドクター・ヘルムが国家元首としてしくじったのを私は是非とも祝福したいのですよ、だから」
 瞬間、ぐにゃりと周囲の影が崩れた。[角張った時間]を経て顕れる疲れぬ狼――野に放たれていた不可視の猟犬達は、楓椛の命に従いあるべき空間へ還っていく。果たすべき目的はここには無い――だが、猟犬達は既に見つけていたのだ。
 真実へ辿り着く為に倒すべき、本当の悪しき存在を。

『そんなにヘルムに会いてえってか、えぇ?』
「ほぉ……」
 ザリ、と擱座した空翔の無線がノイズを孕んで音を吐く。粗野な男の声……地獄の炎の様な、ギラついた雰囲気がその声音だけでも理解出来る。
『だったら会わせてやるよ! 地獄でな!』
 猟犬が見つけたモノ――それは三つの小型飛翔体。ギラついた男の声と共に、キャバリアのオーバーフレームを小型化した歪なマシンが、大地を蹴り上げる様な衝撃を巻き起こし飛来する。その声を聞いたパイロットが、青ざめた顔で焦燥した。
『ああ……終わりだ、隊長達が来た』
 終わり? この戦況をひっくり返せるほどの戦力という事か。ならば何故こんなにも……このパイロットは怯えているのだ? 楓椛はその様を見やり、口端をニタリと曲げる。
『行くぞ、サツマ、ベンK!』
『フン……恥晒しどもめ』
『そうだね、行こうね』
 そうですか。彼奴等が元凶――続けて聞こえた二つの声。すかした声とねっとりとした声――そのどちらも先のギラついた声と同じく、ぐつぐつと煮え滾るマグマの様な地獄を秘めて。
「あれはキャバリア、いえ……」
 マシンが、一直線に楓椛の前を横切って垂直上昇。物凄い速さだ――そして殲禍炎剣限界高度ギリギリの所で、三機のマシンが真っ直ぐに重なって、激突。
『チェェェェンジ! エビルガァァァ!!!』
 否、これは合体だ。極限まで小型化したキャバリアの合体――つまりはドワーオのお家芸、スーパーロボットのユーベルコード。先程から叫んでいるこの男がリーダーだろうか……ならば、この戦闘の元凶に違いない。
「あなたがサカモト隊長とやらで?」
 途端、漆黒の稲妻が戦場に落ちる。合体の余剰エネルギーが周囲に破壊を撒き散らして、星明りが灯る夜空を禍々しい闇が覆い尽くした。
『だったらどうするよ! サタァァンッ! スイッチオォォォン!!!』
 楓椛の質問に応じる男――サカモト。稲妻が、爆音と共に暴風に変わって周囲の瓦礫を吹き飛ばす。その中心、鬼の様な一対の角を生やした巨大なスーパーロボットが、血走った双眸をギラつかせて楓椛をジロリと睨んだ。
「……ここはあえて、あなた方の流儀で迎えましょう」
 矢張り、オブリビオンマシン……であれば、中てられたのはドクター・ヘルムでは無くこの者達がそうなってしまったと考えるのが妥当、か。
 それならばそれで良し、と、楓椛はゆっくり面を上げた。

『待たせたな。貴様らにもたっぷりと味わわせてやるよ――』
 サカモトが吼える。獣の様な雄叫びを上げて。
 楓椛が宣う。ここからが真の戦いの始まりと。
 竜の様な翼を広げ、鉄の悪魔は再び飛翔する。
『コイツの恐ろしさって奴をなあッ!!!!』
「――でたなエビルガーロボ」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エビルガーロボ』

POW   :    チェンジ・ダゴン「メイルシュトロム」
自身の【超高速回転する八本の腕】から【あらゆる物を飲み込む、激しく大きな渦潮】を放出し、戦場内全ての【キャバリアの防御力と機動力】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
SPD   :    チェンジ・パズス「エビルマッハ」
【腕から生える巨大なドリル】で攻撃する。[腕から生える巨大なドリル]に施された【超音速による分身と残像攻撃】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    チェンジ・サタン「オブリビオンスパーク」
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【光り輝く全身】から【あらゆる生物を一瞬で消滅させる邪悪な閃光】を放つ。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルは常に中継配信+後で編集しての動画配信
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先!
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNG!

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!


夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュのクリスタリアン。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師をしている。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


イスラ・ピノス(サポート)
 セイレーンの冒険商人×ゴーストキャプテン、16歳の女です。
 普段の口調は(僕、あなた、~さん、だね、~だよ、~の?)、
商売とか交渉でのお仕事向きは(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)

 ユーベルコードは使えそうなものはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 損得勘定や意識は強いので『全体の被害を減らすこと>より大きな結果を出すこと』の優先度で出来る限り頑張ります!
 基本現地の人や敵性でない動植物・建造物は大事にします
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●狩る者達
『エビルガータイプ……厄介な』
 歯噛みするグリンダを見下ろして、鉄の悪魔が悠然と空に佇む。
『あのマシンはパイロットの意思を力に変える、化け物だ』
 クロムキャバリアで既に幾つかの遭遇報告があるそのマシンは、邪神や魔王を冠した名に相応しく、パイロットの精神を刺激して悪魔の如き力を発揮する。ならばこれまで通り説得を試みれば? と部下が宣う。その言を聞き、顔色一つ変えずにグリンダは続けた。
『話を? 無駄だ。あのサカモトとやら』
 聞いた話ではサカモトというドワーオのパイロットは投獄されていた筈。それがどうしてヘルムと入れ替わる様に……何よりも、サカモトが犯した罪は。
『端から正気では無い』
 ギラつくマシンの双眸を睨み返すグリンダ。最早、戦う以外に道は無い。

『行くぞォッ! エビルトマホゥゥゥク!!』
 叫ぶサカモトに呼応して、エビルガー・サタンの両肩がスパーク――その手にはいつの間にか長大な両刃の斧が握られていた。両手で天高く掲げたそれを振り回し、サタンは眼下の廃墟に投げつけんと力を込めた。
『トマホゥゥゥク――何だと!?』
 刹那、大地が瞬いて、幾条もの光の鎖が夜の闇を裂いて飛び出した。それらはまるで蛇の様に、意志持つ光の波が大斧に絡んで機体ごと縛り付ける。
「はーっはっはっは! 待たせたなぁ!」
 そして戦場に轟く声――両手を組んでそそり立つ姿は、まるで邪神――否、蛇神。御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は長い舌をちらりと出して、蛇の様な無数の鎖を従えて、さも支配者の如く言葉を続けた。
「これだけデカければ当て放題だ! ならば見事に打ち上げてみせようぞ!」
『そんなチンケな花火でアがるかよッ!!』
 瞬間に裂帛の気合を込めたサタンが鎖を引き剥がす。『禁鎖・千鳥落とし』――空の威を狩るユーベルコードはそれでも、続いてサタンの翼を、脚を、腕を狙って迸る。鎖は一つでは無い。束になった光の津波が、風と雷を伴ってサタンの周囲で渦を巻いた。
「ならば耐えてみせるがよい! 鋼の邪神め!!」
 邪神――オブリビオンマシン。鉄の悪魔が放つ禍々しい気はまさしくそれ。だが邪神ならば、悪魔ならば、幾度となく屠ってきた菘だ。奴が空にある限り追撃は止まらない、決して。
『チッ――こうなりゃ』
『サカモト、オープンデッドだ』
 だからこそ悪魔はその運命を覆さんと吼える。冷たい鉄の様な声は同じくエビルガーに搭乗するサツマのもの。そうだ。エビルガーはただの合体スーパーロボットでは無い。
『ああ……万死をこじ開ける!!』
 視線を潜り抜けてきたのは彼らとて同じ。レバーをガチャリと乱暴に動かし、サカモトはニヤリと口端を吊り上げた。

「口ほどにも無いなぁ! それで妾に勝とうなどと――」
『だったらコイツでどうだッ! オープンデェェッド!!』
 瞬間、閃光が菘の目を眩ませる。だがそんな幻惑、千鳥落としの前では無力――その筈だった。
『チェンジパズス・スイッチオン!』
 光と共に一瞬、三基のマシンに分離したエビルガーの姿が見えた。それは再び影を重ねると、サタンとは違う別のエビルガー……パズスへと変形したのだ。
「バラバラに分解……してない!?」
 スラリと伸びた両手足、スレンダーな鋼の片腕には歪な円錐状のドリルを備えて。土気色の装甲は正しく大地より這い出た亡者――それがエビルガー・パズス。
『エビルマッハ……オレに追い付けるか?』
 ゆらりとパズスの影が増える。否、超高速で大地を駆けるパズスが、放った衝撃波と共に菘の視界を歪めて迫る。地上では千鳥落としの威力も半減――だが、その様を見て菘はニタリと微笑んだ。
「ええ、追いつきます」
 風と共に声が聞こえた。びゅう、と吹いた一陣の疾風は翼持つ銀狼の背に乗った女の――夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の声。
「行きますよ白銀、さあッ!」
 それは風よりも早く、光と共に戦場を駆ける。衝撃をものともせず、パズスの背を取った藍の手には二振りの神器たる刃。星明りを受けて鈍く煌く切先は悪魔を見据えて――しかし。
『ほう、ならば……ミラージュエビルッ!!』
 薩摩の叫びと共にパズスの影が何重にも増大した。音速を越えた多重残像分身攻撃。くるりと反転したパズスはその全てが、鋭く回転するドリルの先端を藍に向けて一斉に突進した。
「大丈夫よ白銀、本体は――」
 それに翻弄される事も無く、藍は悠然と立ち向かう。『銀狼招来』――高められた己の力が定めた未来は一つ。何も誤る事は、無い。
「ここです!」
『何ッ!?』
 ドリルの回転をなぞる様に藍と共にある銀狼――『白銀』はパズスの懐へ。探し物は元より得意なのだ――対峙した時点で、運命は決まってた。
『チッ……ならば』
『オープンデッド――チェンジダゴン』
 ならば、その運命すら覆そう。巨漢のベンKがぼそりと呟き、エビルガーは再び閃光に包まれた。

『スイッチオン……なんだな』
「これは、何という力……!」
 間一髪、変形したエビルガー・ダゴンが分厚い装甲で藍の攻撃を受け止めた。
『終わりなんだな。メイルシュトロム……!?』
 まるで蛸の様な異形――邪神たる名に相応しい禍々しい姿は、ねちゃりと伸ばした八本の腕を高速回転すると共に、瀑布の様な溢れる水流を周囲へぶち撒ける。
「そうはいかないよ! そーちゃん!」
 突如、明るい少女の声が響くと共に巨大な水の巨人が姿を現わした。それはダゴンが放った水流すら呑み込んで、自身の体躯を更に巨大な姿へと転じる。
「いいんですか。どんどん大っきくなっちゃうんですよ?」
 イスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)が操る『ソーダジャイアント』――パチパチと弾ける泡が濁流を清めながら、藍を守る様に雄々しく腕を振り下ろす。それをかろうじで受け止め、両者はロックアップの体勢となった。
『グヌヌ……イア……!』
 苦悶の声を上げるベンK。何よりダゴンのユーベルコード『メイルシュトロム』はイスラの技と壊滅的に相性が悪かった。キャバリアのみに影響を与える水流攻撃……つまり相手がキャバリアでなければ。
「そんな渦潮、三の王笏に比べれば――」
 ひたすら水を流す故、ソーダジャイアントの勢いを増していくだけ。このまま動きを封じられ――否。
「全ッ然平気ですから!!」
 力では既にイスラの超常が完全に圧倒していた。身体を反らせて押さえ込まれるダゴン。このままいけば背中を真っ二つにへし折られるだろう。だから。
『替われベンK! オープンデッド!』
 サカモトが吼える。エビルガーにはまだ、これを覆す力が残っているから。無言でレバーを倒し操縦をサカモトへチェンジするベンK。光が猟兵達の目を眩ませ、マシンは三つに分離して急上昇――。
『だったら全部まとめて消し飛ばしてやる! チェェェンジサタンッ!!』
 激突し変形するエビルガー。竜の様な、悪魔の様な翼を生やして現れた姿は最初と同じ。
『スイッチオン! エビルシャァァァイン!!』
「あれは、いけない!」
 魔王たるその威容は、禍々しい黒き光を全身より放ち、闇色の戦場を漆黒に塗り潰す。それは余りにも恐ろしく、美しい光景だった。

「掛かったわね。そうやって動きを止める瞬間を――」
 だが、その闇を晴らす事こそ猟兵の使命。轟木・黒夢(モノクローム・f18038)は青い瞳に黒を映して、凛として宣告した。
「待っていたのよ。さぁ」
 はらりと、闇に紛れた桜の花弁――『朽ち果ての黒桜』がサタンの強靭な装甲へ染み渡る。
「この黒桜の餌食となるが良いわ」
 闇に紛れた黒を躱す術は無い。漆黒の光が徐々にその威を失い、辺りは再び星明りが灯る原初の光景へと戻る。
『何、だと……パワーが!?』
 浸食した超常はサタンの動力に損傷を与え、腐食した経路から漆黒の闘気が滲み出る。滲み出た闘気は内側からマシンを破壊する程の凄まじいパワーとなり――サカモトは歯噛みしてスロットルを急に絞る。
「機械が相手なら造作も無い事。それに」
 同時に闇色の光は完全に消失し、そこには宙に浮かぶ鉄の塊が鎮座するだけ。重ね合わせた歴戦の業は、遂に魔王の動きを封じ込めたのだ。これで終焉だ。
「倍返しの時間よぉ! 絡め取られて墜ちるがよい!」
「全弾あげます。お釣りはいりませんッ!」
「力の中心は……そこッ!」
 光の鎖がサタンの全身を縛り上げ、ソーダ水の巨人が放つ無数の礫が深緑の装甲を穿ち、銀狼に跨る女の一閃がサタンの額をかち割った。
「ゲームエンドね。でも……」
 ずしんと、地響きを立てて魔王が堕ちる。だがこれで終幕では無い。悪意は未だ絶えていない――そして、こちらもそれは同じ。
 時間は稼いだ。補給も戦線の立て直しも十分。
 ここから先が、終わりの始まりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

吉岡・紅葉


愛機「くれはカスタム」に乗って出撃!
変形した、カッコイイ!

おっといけない、今は作戦中でした。
紅葉行きまーす!!
ここはやはり、敵の速度に合わせてパワーアップですかね!
コンソール部分にあやかしメダル【烏天狗】を貼り付け、
超音速戦闘開始!
《空中機動》《操縦》でドリル突撃を躱しながら、
振り向きざまに《クイックドロウ》で「春日」の重力弾をプレゼント。
敵ユーベルコードは代償を伴うものですし、こちらからも
《継続ダメージ》を与えれば有利に戦闘を運べますよね。
僚機と連携を取りながら《切り込み〉、「天香具山」で
《武器受け〉したら、必殺の暗殺剣をお見舞いしますよ。
胴!籠手!面面面ーーーっ!!(頭部をしばきまわす)


サブリナ・カッツェン
●SPD&真の姿

大将は三位一体の合体スーパーロボット、エビルガーか
『先程の戦いぶりを見ると、敵は相手に合わせて形態を変える変幻自在さを持っている所か』
そうだ、MK
手痛い一撃を喰らったみてぇだが、奴さんも本気になって来やがるぞ
『了解した。リミッターを解除する手筈をしておくか?』
あたぼうよ、相棒
アイリーゼの魔術回路をあたしに直結しな
脳髄が焼きれちまいそうな負荷にも耐えきってやるぜ!

まずは奴にカマをかけさせるぞ
アイリーゼを超低空飛行させながらの高機動戦で魔導光弾を撃ち込んで、パズスに変形するまで【挑発】だ
変形したらこっちの手を読まれねぇよう、マッハの戦いに付き合ってやろうぜ
『どこで仕掛ける?』
奴が突撃してきたタイミングでだ
変形の決定はあたしがアイリーゼに送って、外部装甲を展開
同時に異空間の武器蔵からクローを転送させろ
それを同時にやりながら、こっちはエビルガーのパズスより速く、地上戦に特化したアイリーゼの真の姿を拝ませてやる
分身する前に『Hühnerspiel』で三機のマシンごと切り裂いてやるぞ



●Sonic Demon
『一旦替われサカモト! オープンデッド!』
 猟兵達の猛攻を受けて墜落したエビルガーロボは、そのまま三機の小型機動兵器へと分離し、夜空に光の尾を垂直に伸ばす。
『チェンジパズス! スイッチオン!』
 ダメージは喰らったがこの位ならば自動で修復出来るレベル。三機が激突した閃光と共にエビルガー・パズスは再び戦場へ姿を現わして――紫電が迸る五体は、さながら三人の怒りを体現しているかの様だ。
「わぁ変形した、カッコイイ!」
 明らかに超常めいたその合体変形――吉岡・紅葉(ハイカラさんが通り過ぎた後・f22838)はくれはカスタムのコクピットでその様を見やり喚声を上げる。あたかもサーカスの様な、手品の様な、超越的な力の発露は敵と言えど心に来る。だからこそ、そんな恐ろしいモノを野放しには出来ない。
『矢張りな。先程の戦いぶりを見ると、敵は相手に合わせて形態を変える変幻自在さを持っている所か』
「そうだ、MK」
 同じく、その様を見てサブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)はアドバイザーロボット『MK』と共に顔を渋らせる。あらゆる環境に対応する万能兵器といえるエビルガーに対し、下手な搦め手は却って愚策。故に覚悟を決めねばなるまい。その意思に呼応してアイリーゼが淡く輝く。
『感動してる場合かお嬢ちゃん?』
 頭上で見下ろす二機のキャバリアへ返す言葉と共に、パズスの右腕――ドリルが唸る。その回転は周囲の空を裂き、巨大な竜巻を空に目掛けて解き放つ!
「おっといけない、今は作戦中でした」
 ひらりと、くれはカスタムがその一撃を往なして空を舞う。乱れた気流が機体を揺らすも直撃では無い。それでも機体が不安定に――距離を取ること自体がリスクになりかねないのならば。
「手痛い一撃を喰らったみてぇだが、奴さんも本気になって来やがるぞ」
『そういう事だッ!』
「私も……紅葉行きまーす!!」
 最早常人が追い切れぬ加速を伴って、影が闇夜に乱舞する。風を裂き闇に光が瞬いて――最後の戦いが始まった。

『まあまあだな。それじゃあこれに付いてこれるか!』
 激突する超常は瓦礫が積もる帝都をなだらかな大地へと変えた。疾風に混ざる砂埃が広がって、ただでさえ暗い夜を濁った闇に落として――サツマの声と共に、パズスは更に速度を上げた。
『ギアを上げたな。こっちもリミッターを解除する手筈をしておくか?』
「あたぼうよ、相棒」
「ここはやはり、敵の速度に合わせてパワーアップですかね!」
 両者共に一撃離脱を繰り返しながらパズスの出方を伺っていた。だがこれ以上そんな余裕無い。あの速度に対抗するには、その先を押えるには出端を狙うなどと悠長な事は言ってられなかった。
『エビルマッハ! ハアッ!』
 不意にパズスの姿が増えた。超常の多重残像分身攻撃――だがそれぞれが威力を持った、超音速の超絶技巧。吹き上がる竜巻の本数が追い切れぬ程に増大し、大地は抉られ痛々しい亀裂を晒す。飛行型キャバリアたる両機でなければ、危うく足元を取られてしまう所だったろう。
「アイリーゼの魔術回路をあたしに直結しな。脳髄が焼きれちまいそうな負荷にも耐えきってやるぜ!」
 叫ぶサブリナの声に従い、アイリーゼに光が迸る。その全身に煌く結晶状の高エネルギー体が展開し、マシンの両袖からは雄々しい五本一対の鋭い爪が姿を曝す。
『OK。どこで仕掛ける?』
 先の牽制で奴は腹を括ったのだろう――ならば、それ以上に至る前に決着をつける。ただ姿形が変わっただけでは無い。アイリーゼの真の姿、理性を越えた野生の煌めきを見せつけてやろう。
「――今だ!」
『スロットルマキシマム、リミッターリリース!』
「あやかしメダル【烏天狗】――超音速戦闘開始!」
 合わせてくれはカスタムが空に輝いた。幽世の超常――妖の力を発現するマシンの真価を見せつけて、両機は光と化した。
『フ……面白い。だが!』
 光は渦を巻いてパズスの残像を喰い破る様に消していった。まるで妖精が舞う空に、悪魔はただ翻弄されるだけ。だがサツマは愉快そうに声を上げてパズスのスロットルを更に開放する/同時に右腕のドリルは更に激しい音を立てながら、周囲の瓦礫を飲み込んで強烈な磁気嵐を形成――瞬間、光すら塗り潰す闇が空を埋め尽くす。
『プラズマエビルハリケーン!!』
 サツマの咆哮が乗り移ったかの様に、土気色のマシンは暴威を解き放った。天を貫く漆黒はキャバリアの操縦系に甚大なダメージを与える闇の風。既に大半のキャバリアが退避済みである事が唯一の幸い――落ちた鉄の竜の骸がガラガラと大音を立てて、舞い上がり、捩じ切られ、再び沈む。さながら嵐の大海とかした戦場でパズスは更に加速して――超音速の悪魔はふらついた猟兵に狙いを定める。だが。
『! 捻じ曲がっただと!?』
 不意に磁気嵐がぐにゃりと歪む。同時にパズスの体勢が僅かに傾いて――その様を見やり、紅葉はニヤリと口端を緩めた。
「下に加速しちゃいましたねっと!」
 先の牽制、くれはカスタムが放った重力弾が既に戦場の重力を変異させていたのだ。逃げるように見えたくれはカスタムの動きはパズスを誘い込む為の罠。そして、超音速戦闘で僅かに乱れた動きはそのまま……反撃の機会となる。
「胴! 籠手! 面面面ーーーっ!!」
 すかさずパズスの懐へ滑り込んだくれはカスタムが超大型退魔刀でドリルを摺り上げ、振り下ろした刃で怒涛の連撃を加えた。如何に通常のキャバリアより巨大なエビルガーロボとは言え、晒した隙を付け込まれればただでは済まない。
『クッ!! だが!!』
 更に帝都桜學府の剣も尋常では無い。人ならざるものを想定し百年以上練られた至高の剣技は、悪魔の息の根を止めんと苛烈に炸裂する。こうなれば残された手段は――オープンデッドで回避する他無い。
「させねえよッ!」
 その瞬間を待っていた――音よりも、光よりも早く、加速したアイリーゼが煌めく双腕を振り上げて、僅かにのけぞったパズスの正面に回り込む。
『オープン……』
「いいやクローズだ。とっとと畳んでお家へ帰んなッ!!」
 サブリナの声よりも早く、アイリーゼのクローがパズスの胸部を切り裂いた。マシンが分離する瞬間、絶対回避の体勢に移る瞬間こそエビルガーロボの弱点の一つ。地上戦に特化した輝ける猛獣の一撃は、遂に悪魔を地に伏せたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽向・理玖


うわぁどうしよう
すっげぇかっけぇ
オブリビオンマシンじゃなかったらなぁ
でもまぁつまり
遠慮はいらねぇって事だな
行くぞスタークドラゴン
全力でぶっ潰す
覚悟決め

衝撃波目晦ましに放ちダッシュで間合い詰めグラップル
フェイントで拳で殴ると見せかけて足払いでなぎ払い
追撃で間接目掛けて蹴り
正直こいつ動きも早そうだし
ちょっと戦闘スタイル俺に似てる気がしてやりにくいが
それならそれでやりようはある
足回りや翼の可動部狙って部位破壊
機動力潰す

ドリルもすっげぇ

UC起動
十分対抗出来る
狙いぶれる様に残像纏い
衝撃波でドリルの動き受け流し限界突破し加速
懐がら空きだぜ
腹狙い
拳の乱れ撃ち

勿体ねぇ
意思を力にするなら
もっと違う風に使えよ



●Demon Slayer
「うわぁどうしよう、すっげぇかっけぇ」
 その戦いを遠目に見た陽向・理玖(夏疾風・f22773)は感嘆した。確かにエビルガーロボも元はと言えば正義のスーパーロボットだった筈だ。色味や雰囲気を整えれば格好いいマシンだろう。だが目の前のそれはまさしく悪魔――故に放っておく訳にはいかない。
『サカモト、変形サーキットがやられた』
『自己修復に時間がかかるんだな。だけど』
『機体はまだ動く! 恥晒すんじゃねえぞサツマ!』
 声を荒げる三人のやり取りを耳にして――ていうかどうして皆オープン回線なんだ――理玖は握る拳に力を込めた。既に青い装甲を纏い“変身”した理玖の五感は極限まで研ぎ澄まされている。だから、あの鋼鉄の悪魔は未だ健在だという事はひしひしと感じていた。
「でもまぁつまり――遠慮はいらねぇって事だな」
 スタークドラゴンのペダルに力を込めて急加速/青白い炎の尾を吐いて、理玖はパズスの前に敢然と立ちはだかった。
『新手か。だが――』
「……行くぞスタークドラゴン」
 全力でぶっ潰す。覚悟は既に決まっているんだ。

『恥を晒すには、まだ早いんでな!』
 パズスはその巨体に似合わず極限のスピードで戦うマシンだ。故にただでさえ視界の悪い夜戦で、足場が悪く土埃が舞う戦場は非常にやりにくい敵だ。
(ちょっと似てるな、俺のスタイルと)
 だがそれは相手も同じ――『閃光烈破』の衝撃で瓦礫と埃を吹き飛ばし、パズスの足を払い連撃を加える理玖。その追撃を体を反らして器用に回避しつつ、左腕の巨大な鉤爪でスタークドラゴンの上半身目掛けて無数の連打を繰り返すパズス。
『中々やるようだな――だが!』
(でも、それならそれで――)
 先に相手を捕らえた方が勝つ。スピードは互角でもパワーは恐らく相手が上……だからこそ、虎口に飛び込む位の気迫がなければ、奴は倒せない!
『エビルビジョン! 躱せるか!』
 瞬間、距離を取ろうと飛び退いたスタークドラゴンを追う様にパズスの影が伸びて――否、増えた。高速機動が生み出したパズスの残像攻撃。だがそれこそが理玖の狙い。軌道が読めれば、動きが分かればその先の行動だって――。
『残像に残像をぶつけただと、フ……フフフ』
(やりようは、ある)
 相手の出頭を全て押さえてやればいい。そうすれば動きは絞られる。超常の加速はこんなものでは無い――限界を超えたスタークドラゴンの機動は、残像を伴ってパズスの動きを遮った。超音速のぶつかり合いはそのまま主導権争いに移行して、互いの右腕がグンと空を揺らした。
『そうでなければなッ! 猟兵!!』
「勿体ねぇ。意思を力にするなら」
 一つはドリル。回転が耳をつんざく音を立て、巻き込んだ瓦礫を破裂させながら理玖へと迫る。音速の衝撃がスタークドラゴンを揺らして――接触まで僅か。だが軌道は既に見切った。後は拳を合わせるだけ。
『エビルテンペストッ!!』
「もっと違う風に使えよ」
 理玖は静かに息を吐き――もう一つ、闘気を纏ったスタークドラゴンの拳が炸裂する。巨大なドリルがマシンの左肩を抉る様に、されど紙一重の体捌きが装甲のみを抉らせて、飛び散った火花が、剥き出しになったメインカメラをそのままに、容赦の無い拳の乱れ撃ちがパズスの胴体を深々と抉っていった。
『そん、な……ただのキャバリア、如きが……』
 半身を抉られながら、スタークドラゴンは星明りの下で静かに佇む。
 違うね……キャバリア如きと侮ったのがあんたの敗因だ。
 意思を力に変えられるのは、あんたのキャバリアだけじゃないって事さ。

成功 🔵​🔵​🔴​

上喰・益巵

あれが親玉か。流石に今までの奴等よりも強そうだが、倒せないほどじゃない
このあたしをなめるんじゃないよ

いくら速かろうとも、あたしの目だったら捉えきれる
手始めに<スナイパー>仕様にして狙撃してみるけど、あいつ弾丸を見てから回避してやがる
ならしゃあなし、至近距離でやりあうことにしよう
相手に向かって駆け出して、一気に間合いを詰める
んでもって、相手の攻撃はギリギリまで引き付けてから回避だ
あたしの反射神経と<戦闘知識>なら不可能じゃない
懐に潜り込んだら【UC:滅砲の連弾】(SPD)を発動、どれだけ速くても<零距離射撃>なら避けれねぇだろ

この距離なら、あたしの弾丸がてめぇをぶち抜く方が速いんだよ



●Demon Hunt
「あれが親玉か。流石に今までの奴等よりも強そうだが――」
 上喰・益巵(酔っ払いの銃使い・f30263)はスコープ越しに獲物を見据え呟く。これまでの猛攻で擱座……いや、まだ健在か。だが大分叩かれてるのは間違いない。ならば。
「倒せないほどじゃない」
『生身でデカい口を叩く度胸だけは褒めてやろう』
 不意に無線から男の声が――サツマの声が漏れる。感づかれたか。だが、それも織り込み済みだ。顔を上げて佇むパズスを睨み、益巵は前へ駆けだした。
『いいパイロットになれるぜ。俺達みたいにな』
「このあたしをなめるんじゃないよ。玩具がなきゃ戦えない程、落ちぶれちゃあないんでね」
 挨拶代わりの一撃を――走りながらと言えど的はデカい。遠くより対装甲徹甲弾を叩き込みながら、瓦礫に身を隠しつつ徐々に距離を詰めていく益巵。
『抜かせ……エビルミサイル!』
 しかしパズスは、音速の弾丸を僅かに身を反らして躱す。信じられない反応速度だ――だが躱したという事は、当てられれば十分に勝機はあるという事。
(誘導弾か……いや)
 返す刃に放たれたミサイルの爆風を受けて吹き飛ぶ益巵。受け身を取って身を潜めながら、再びスコープ越しに奴を覗き込む。流石にこのサイズの的を攻め立てるにはキャバリアと同じ訳にはいかないだろう。だからこそ先制のミサイルでこちらの位置を把握して――。
『そこか! エビルテンペストッ!!』
 瞬間、暴風が戦場に吹き荒れる。超回転したドリルから放たれた烈風が瓦礫を裂いて、身を隠す益巵の姿を曝しながら更に暴れ狂った。
(フン。その図体であたしを追い切れないのは分かっていたさ……)
 だからこそ、そんな搦め手でなければ反撃も出来ない。対装甲戦闘のセオリーを思考しつつ、益巵は機関銃の砲身を組み替える。矢張り、一気に仕留めるにはこれしかない。
『どうした、逃げるだけじゃあこのパズスは倒せんぞ?』
 んな事ぁ言われなくても分かっている。だが初手でミサイルをぶっ放したのは悪手だよ。炎を背に駆ける益巵。所々で剥き出しのマガジンをばら撒いて引火を誘い、その都度吹き荒れる嵐の中を潜り抜けて――。
『どこから狙うつもりだスナイパー。逃げ場はもう無いぞ、ん?』
 あたかも掃除機の様に瓦礫を吹き飛ばすパズス。これでは身を隠す場所は無い――。だからこそ、狙いは最初から一つなのさ。
『! 直下に熱源!?』
「この距離なら、あたしの弾丸がてめぇをぶち抜く方が速いんだよ」
 残弾は十分。引火したマガジンを囮に熱源をそこら中に仕掛け、益巵はパズスの懐へ飛び込んでいた。
『……狂ってやがる!』
「ありがとよ、そう言うこった」
 そして鉛弾の洗礼がパズスの前面装甲をぶち抜いた。飛び散った火花が回路を焼いて、引火したエネルギータンクが爆散する。その炎を見やり、益巵はスキットルの蓋を開けた。
 ああ……世界は変わろうが、相変わらず汚え花火だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャック・スペード


敵パイロットと味方に
どんな因縁があるかは知らないが
あの狂騒は止めなければな

引き続きキャバリアに搭乗して戦闘を
エビルと云うだけあって
如何にも悪役らしい見た目じゃないか
ファムファタルと暫し踊ってくれ

その腕、ドリルに成るのか
生憎だが此方も変身能力は備えている
機体の片腕を暴食の機械竜に転じさせ
ドリルの一撃を其の顎で受け止めよう

幾ら魔性を冠する機体といえど
御手は触れぬように――

さあ、ハインリヒ
封印が解かれる前に
鋭い牙で腕を食い破って遣れ

説得は無駄とのことだが
コックピットは狙わない
オブリビオン以外のヒトを
進んで殺したくは無いからな

損傷は激痛耐性で堪えつつ
攻撃はビームシールドを展開して防ぎたいところだ



●Dance with the Demon
「敵パイロットと味方にどんな因縁があるかは知らないが――」
 炎に包まれるエビルガーロボを見下ろして、ジャック・スペード(J♠️・f16475)は静かに呟く。夜の闇を裂く赤い光景は、さながら悪魔の大宴会と言えよう。余りにも美しく、余りにも悍ましい。
「あの狂騒は止めなければな」
 英雄として。終止符を打たねばなるまい、と。

『死んだか、サツマ?』
『まだ呼ばれちゃいねえ。エビルガーは?』
 おどけた口調で呼びかけるサカモトに対し悪態を返すサツマ。まさか生身の猟兵にまでしてやられるとは――せめて変形サーキットさえ復調していれば回避は出来たものの、事態はさらに深刻な状況となっていた。
『至近距離の直撃でエネルギーサーキットがまだイカれてるが』
『問題無い。直に治るんだな』
「だったら……」
 炎の中心で佇むエビルガーロボに、漆黒の刃が放たれる。それは機翼の礫、ファムファタルを包む濡れ羽色の洗礼。
「その前にカタを付けさせてもらおうか」
『!』
 間一髪、身を転がしてそれを回避したパズス。頭上には漆黒のキャバリアが厳めしく見下ろしている。その姿は美しく、恐ろしい――まるで死神の如し。
「ファムファタルと暫し踊ってくれ」
『生憎だが俺の好みはボインちゃんでね』
 鋼の声音に返礼するサツマ――言葉はふざけていても、その声音にはしっかりと恐怖が刻まれている。ここまでの連戦は完全に想定外。更に現れたマシンは限りなくヤバい代物――全身が総毛立ち、サツマは初めて死を意識した。故に。
『アンタじゃ釣り合わない……エビルアーム!』
 それをこじ開けて前に進むマシンこそ、エビルガーパイロットたる自身に課せられた使命。細身の脚をグンと曲げて跳躍、淑女の五体を貫かんと回転する憎悪が唸りを上げる。
「その腕、ドリルに成るのか」
『それだけじゃない。エビルビジョン!』
 同時にパズスの姿が幾重にも増殖し――その残像が一斉にファムファタルへ牙を剥く。しかしその牙はより巨大な牙に組み伏せられた。
『……アンタもかい』
「生憎だが此方も変身能力は備えている」
 一点目掛け殺到したドリルの先端に機械の銀竜が――『暴食に狂いし機械竜』が喰らいつく。それがジャックの超常。ファムファタルの腕部を荘厳な機械竜へと変化させ、あらゆる悪意を貪る裁定者として顕現したのだ。
「幾ら魔性を冠する機体といえど、御手は触れぬように――」
『ハッ! 喰らうか、俺達を!』
 音速の交錯、正確無比な狙いだからこそ返す事が出来たジャックの反撃。ずぶりと食い込んだ機械竜“ハインリヒ”の咢は徐々に、パズスの肩口まで迫りつつあった。回転出来ないドリルなどただの飾りだ。そして攻撃能力の大半をドリルに依存しているパズスにしてみれば、正しく致命の一打である。
「さあ、ハインリヒ」
『まだかベンK!」
 これを撥ね退けるエネルギーさえあれば……エビルガーの力はこんなものでは無い。叫ぶサツマに応える様、身悶えするパズスは両脚で強引にファムファタルを蹴り飛ばす。
「封印が解かれる前に――鋭い牙で腕を食い破って遣れ」
『間に合った……んだな』
 ぼそりと、ベンKが呟いた。途端、巨大なパズスの全身を緑色の光が――エビルガーエネルギーが駆け巡る。こうなれば体躯の差でパワーは完全に上。すわ逆襲と思われたその時。
「いいや」
 ジャックは動じない。そうなる事は分かっていた。だからこそ、ハインリヒをここに呼び出したのだ。ギラリと機械竜の双眸に光が灯って、その威に合わせてパズスの光が力を失っていく。
『エネルギーが、吸われている!?』
「――餌の時間だ」
 ガツン、と衝撃が両者を襲う。食い破ったパズスの右腕を飲み込んで咆哮するハインリヒ。同時に爆発がパズスを包み込んで、刹那に張った光波防壁がファムファタルの全身を守った。
 ハインリヒは他者を喰らいエネルギーを奪う暴食に狂った銀の竜。たとえ悪魔と言えど、その牙からは決して逃れられないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メサイア・エルネイジェ
なんだかあの機体とヴリちゃんは物凄く相性が悪い気がしますわ…
なんですヴリちゃん?そんな事は無いと?
まぁヴリちゃんがそう言うなら…
そちらが三つの力で百万パワーならわたくしとヴリちゃんで千万パワーですわ!

分離したり合体したり忙しいですわね
速過ぎて攻撃が当たんねぇですわ!
なんですヴリちゃん?合体する瞬間を狙えと?
なるほど!ヴリちゃんは賢いですわね!
チャンスが訪れるまで牽制射撃でじっと我慢でしてよ
危ねぇ光はヴリちゃんに乗っている限り平気な筈ですわ
合体する瞬間を…そこでしてよ!
エルネイジェ流狙撃術の見せ所ですわ!
ヴリちゃんビィィィィム!
はっ!?つい力み過ぎてジェノサイドバスターを使ってしまいましたわ!



●竜の王
(なんだか、あの機体とヴリちゃんは物凄く相性が悪い気がしますわ……)
 片腕を失い退避するパズスを見やり、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は溜め息を吐いた。何かヤベェ予感がするんですわ。関わったら目がぐるぐるしそうな……そんな思考を読み取ったのか、ヴリトラ・ガンフューラーはモニタ上に落ち着けと表示する。
>>Don't Panic, Princess.
「なんですヴリちゃん? そんな事は無いと?」
 流石ヴリちゃん、わたくしが言う前に平然と答えを導く。だったらやるべき事はただ一つ、慌てず騒がず目標をセンターに入れて――。
「まぁヴリちゃんがそう言うなら……そうなのでしょう!」
 スイッチ! スイッチ! やる事は変わらねえんですわ! 全ブッパされたミサイルに続いて、速射ビーム砲、連装ビーム砲が鮮やかな光を闇に描く。束ねられた光条は遅れて届いたミサイルと共に、パズスを暴力的な烈火に包み込んだ。
『今度は何だ! アレは恐竜か!?』
『サーキットが回復した! サツマ、一旦空へ逃げるぞ! オープンデッド!』
 叫ぶサツマに荒ぶるサカモト。寸での所で分離して空へ逃れるエビルガーロボ。それを追って弧を描く光条とミサイルの雨が、漆黒の戦場を再び炎で包み込んだ。
「分離したり合体したり忙しいですわね! 速過ぎて攻撃が当たんねぇですわ!」
 というか片腕はどうなったんですの? 生えてきた? うげぇ……やっぱりヤバいロボですわあれ。再生したパズスの――エビルガーロボの直前の挙動をじっくり見て、メサイアは再び溜息を吐いた。ヴリトラも自己再生する事は棚上げしつつ……やはり敵は恐ろしい悪魔だ。解決するには――。
『チェェェェンジサタンッ! スイッチオン!』
>>Suggestion: Just before transformation
>>Suggestion: Smash!
「なるほど! ヴリちゃんは賢いですわね!」
 ヴリトラの戦術提案。暴力だ。暴力しかない。それも奴が暴力する直前――変形と同時に狙うのが確実!
「合体する瞬間を……そこでしてよ!」
 そちらが三つの力で百万パワーならわたくしとヴリちゃんで千万パワー! 十倍ですわ十倍! 合ってますわよね?
「ヴリちゃんビィィィィム!!!!」
『このッ! エビルッビィィィィム!!!』
 しかし敵も――サカモトもその弱点はとうに承知していた。変形直前に放たれたヴリトラの強烈な光線に対し、変形しながら迎撃のビームを展開し相殺を狙う。エネルギーが十分に行き渡らない状態だが、直撃は回避出来る筈だ――その考えが甘かった。
「はっ!? やっべぇですわ――」
 不意にメサイアに電流が走る。何か嫌な予感が……モニタを見れば選択武装がいつの間にかとんでもない事になっていた。
>>Armament Selection: Genocide Buster
「これジェノサイドバスターですわ」
 よりによって一番デンジャーな武装が帝都の夜空を切り裂いた。荷電粒子の白光が稲妻を伴って、周囲に落ちた落雷が再び瓦礫を濫造する。その一撃を受けて再びバラバラになったエビルガーロボ。
 まあ、結果オーライですわ。後は知らねぇですわ。何故なら悪魔は、救世主の一撃で滅びた筈なのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
…至難ですね

機体性能、エネルギー、そして何よりも搭乗者…マシンの狂気より救うべき者は三名
加減して勝てる相手では無いというのに…

ですが、だからこそ使える物があります

用途申請、搭乗者の救助…充填開始!

電脳魔術でロシナンテⅣサイズに剣を巨大化
相手のエネルギー…それに匹敵する威力に到達させるまで近接戦闘

投擲トマホークをサブアームの銃器で落とし
剣と盾で切り結び

その一撃…通しはしません!

剣を一閃
電脳魔法陣より破滅光発射しスパークと相殺

……

最後に決する要素はただ“為す”という意志!
機械の狂気より解放させて頂く!

役目は終えたと沈黙する剣と限界迎えた機体捨て、推力移動で跳躍
大技後の隙を強襲
怪力で振るう拳で解体


荒谷・つかさ
三機の合体変形で、どんな戦場・相手でも即座に適応して見せる機体、か。
それに、揃って頭のネジが数本外れた奴らがパイロットと。
不謹慎なのは解ってるけれど……最高に面白くなってきたわ。

放たれる渦潮には真っ向から突入
そのまま流れに身を任せつつ、邪魔になる追加武装類を目くらましも兼ねてパージする
そして両腕部にブレードを展開し【竜巻旋風神薙刃】発動
渦潮の回転に逆らわずに乗り、その威をこちらの回転へと利用
あとはスクリューの如く回転しながら渦の中央を突破して一撃ぶちかますわ

燃ゆる命の嵐をここに……!
撃ち抜く時よ。吼えなさい、スルト!
私達の嵐が巻き起これば……悪魔の機体など、物の数ではないわ!



●奇跡の魂
「三機の合体変形で、どんな戦場・相手でも即座に適応して見せる機体、か」
「……至難ですね」
 眼前の脅威、悪夢的な超常を見せつけられながら荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)とトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は揃って息を吐いた。
「それに、揃って頭のネジが数本外れた奴らがパイロットと」
「加減して勝てる相手では無い……ですが」
 その溜め息は恐怖では無い。怒りでも無い。一つは、ただ只管に強者を求めた戦士の昂り。一つは、誰かの為に剣を手にした騎士の矜持。
「不謹慎なのは解ってるけれど……最高に面白くなってきたわ」
「だからこそ使える物があります」
 だからこそ、幾多の地獄を乗り越えてきた二人は揃って前に出る。それぞれが成すべきを成す為に。二つの炎が空に踊る。目標はエビルガー……災厄の根源に今こそ終焉を齎さんと。
「用途申請、搭乗者の救助……充填開始!」
『エネルギー反応が増大……あの厄介な剣かよ!』
 超常を抜き放ち身構えるトリテレイアのロシナンテIV。それを止めるべく仕掛けたのはエビルガー・サタン。サカモトの勘は正しい――あの禁忌の超常こそ、最も恐るべき猟兵の御業に他ならない。それを潰さんと諸手に繰り出した長斧を構えて、サタンは稲妻の様な機動でトリテレイアに迫る。
「邪魔はさせないわ、エビルガーロボ!」
 その前に立ちはだかるはつかさのスルト・ラグナロク。体躯は同等、パワーも技も決して引けを取りはしない。叫ぶつかさに呼応して、スルトは虚空より対要塞白兵武装を繰り出した。
『エビィィィル! トマホゥゥゥク!!』
「零式抜刀! はあッ!!」
 ガキンッ! 打ち付けられた大斧の一撃を辛うじて受け止めるスルト。矢張り尋常では無い……このマシン、エビルガーロボは。
『中々のパワーだ。でもな』
『サカモト、全システムリブート完了だ。エネルギーを全部攻撃に回すぞ!』
『ついでに止めてやる……オープンデッド! チェンジダゴン!』
 閃光と共に禍々しい大蛸の様なマシン――エビルガー・ダゴンへと変形した敵を追って、つかさはスルトを更に加速させる。
「出たわね化け物……!」
 あのパワーと装甲は並大抵では無い。だがサタンとは比較にならない鈍重さは、スルトにしてみれば明らかに御しやすい相手だ。加速と同時にスルトが放った噴進鉄拳がダゴンにぶち当たって体勢を崩す。
『そんなモノか……ぬぅん! メイルシュトロム!!』
 しかし、その超常はあらゆる物を飲み込んで、キャバリアを無力化する死の大渦。頭上を貫く濁流にスルトも囚われ、放った拳も力無く落ちていく――その様を見て、つかさは不意にほくそ笑んだ。
「次にお前は『どうして止まらない』と言う」
『どうして止まらないんだな……ハッ!?』
 言う通り、スルトは止まらない。鋼の巨人は更に加速――大渦を貫く様な赤黒い炎を放ち、その両腕にはいつの間にか、黄金に輝く炎の刃が抜き放たれていた。
「このマシンをただのスーパーロボットだと思ったら……大間違いよッ!」
 この黄金――人の魂の光、異世界の奇跡、必中の思いを込めたキマイラフューチャージェネレーターの光は、キャバリアを越えた気迫をスルトに乗せて。
『だが、動きは丸見えなんだな』
 それでも、巨大な触腕を掲げたダゴンがミサイルの雨でスルトを迎撃する。爆炎に包まれた炎の巨人は――。
『消えた!?』
「燃ゆる命の嵐をここに……!」
 見せつけてやるわ、スルトのド根性。脱落した強化パーツを盾にして、爆炎の中より姿を現わした黄金の巨人は両腕の刃を真正面に構え、大渦の回転に合わせて自らを巨大な弾丸と化した。
「撃ち抜く時よ。吼えなさい、スルト!」
『いかん、ベンK!!』
 その一撃――『竜巻旋風神薙刃』がダゴンの胴体を貫いた時、閃光が闇夜を白く染め上げた。雷の様な轟音と共に、爆炎と怨嗟を道連れにして。

『オープンデッド!』
 刹那の間隙――サツマの叫びと共に機体を分離したエビルガーロボは、そのままスルトの射程から必死で逃れる。
「いいや、逃がしません!」
 その後を追ったロシナンテIVが一斉に火器を放つ。機体性能、エネルギー、そして何よりも搭乗者……マシンの狂気より救うべき者は三名。今の内、合体させなければ、それは成せる筈だった。
『チッ……鬱陶しい奴め』
『替われ! だったら俺がやる!』
 火線を潜り抜けサーカスの様な機動でマシンが激突する。先の攻撃でダウンしたベンKの自動操縦が忌々しい……だが、これで決めてしまえばお終いだ。故に。
『チェェェンジサタァァンッ! スイッチオン!!』
 世界最後の災いとなろう、このマシンが。合体したエビルガー・サタンの胸に道化師の紋章が浮かび上がる。それはかつて、二つの国で争いを起こしたモノと同じ。
『エビルトマホゥゥク!! ブゥゥメランッ!!!』
「矢張り……ですが、その一撃を通しはしません!」
 大盾を前に出し投げられた大斧を受け止めるトリテレイア。そのまま片手の直剣で払い落として、もう一つの手――禁忌を携えた超常の切札が吼える。
「最後に決する要素はただ“為す”という意志! 機械の狂気より解放させて頂く!」
『何が狂気だ! 腕四本も生やしやがって!』
 禁忌が――彼女の名を持つ破滅の光が、宙に描かれた魔方陣より放たれて。
『エビィィィル! シャァァァァイン!!』
 それを下さんとするサカモトの咆哮に合わせて、サタンが全身より漆黒の光を解き放った。
「こっちも忘れないで貰いたいわね!」
 だが、マシンは一つでは無い。熱き怒りの炎を噴き上げながら、鋼の巨人は残された力を振り絞り大地に立つ。その手には黄昏を灼く焔の巨剣――長大な鎖鋸剣を携えて、スルトが果敢に飛び上がる。
「私達の嵐が巻き起これば……悪魔のマシンなど、物の数ではないわ!」
「不肖の騎士たる我が責において、貴女が嘆いた悪夢を此処に!」
『オブリビオォォォン!! スパァァァァク!!!!』
 光が、炎が、漆黒を喰い破り爆ぜる。爆縮したエネルギーが音すらも吸い込んで――途端、帝都の上空を虹色のオーロラが覆い尽くす。その中に動く物は最早、無い。星すら砕く超常と世界すら終わらせる超常がぶつかったのだ。何も無事でいられる筈は無い――尋常であれば。
『やったか!?』
「ええ、ご苦労さん……なんてね」
『まだだ、サカモト!!』
 飛び交う怒声の最中、地に落ちるロシナンテIVを蹴り飛ばし、トリテレイアは自らサタンに取り付き、その怪力で掴んだ装甲を剥ぎ取った。
「言ったでしょう……救うと」
 戦う力さえ無ければ相手は生身の人間。オブリビオンマシンに汚染されていようが、その狂気ごと凌駕する――つもりだった。
『悪いな……デカブツ』
 もう手遅れだ。銃声が鋼を打ち鳴らす――サカモトが手にする対装甲大口径拳銃が、トリテレイアの胸部目掛けて火を噴いた。
「どう、して……」
『貴様の言い分は分かる。だがな、俺達にも俺達の道理があるのさ』
 サカモトの目は至って正気、堕ちた鉄の竜の兵士とは違うギラついた闘志だけが迸り、それを見てトリテレイアはようやく悟る。
 ああ、オブリビオンマシンの問題では無いのだ。
 これは、彼らが望んだ戦争なのだ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
【渡り禽】
不殺厳守

わたくしは今回の事件においては完全に新参者
故に関係者の皆様方の思いを伝える事をサポートしながら立ち回るとしましょう

UCを起動
無を顕現させてドリルを削っていき、戦力を削っていきましょう
UCだけというのも芸がない事ですし、これを使いますか
ノインツェーンの手に具現化されるは『生と死から解き放つもの(ヤマラージャ・ローズマリー)』
悪しき万象を断ち切る藍の匕首
その斬撃を延長させる帰天を付与し、斬撃放射をオブリビオンマシンに仕掛けていきます

更にその斬撃放射にUCの無を付与し、万象を断ち切ると同時に無に帰す斬撃を放ちましょうか


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
●【渡り禽】【POW】
※愛機搭乗継続
※不殺厳守

ソイツの力は十分知ってるさ
大渦は今でも目に焼き付いてるよ

大渦が来たら【ツェンタオア】脚部バンカー射出
更に【アーク・ファランクス】を前に立て防壁展開
その上DA12号【ハイドラ】起動で耐久準備完了
プラズマ爆雷の豪雨を大渦にぶつけるよ

…怖いって誰か言った?

だって大渦攻撃は特に負荷が激しい
何時までも堪えるワケにはイカないよね
でも解除すれば即爆雷の餌食…♪

あ、今回は切り札があってね?
※前回:『死ぬ気で働けば国は栄える?』3章

事前射出済【オウレット・アイズ】で
【ユーディット】の重力弾を外部転送し
小枝子さん達の奇襲を全方位砲撃で支援

コレで愛機が動けずとも大丈夫♪



●地獄の門
『もう一度体勢を立て直す。ベンK!』
 エビルガーロボを襲った荷電粒子砲は間一髪、マシンの破壊には至らなかった。
『御意……オープンデッド』
 しかし全リソースを機体の修復に回した代償として、戦闘能力の大半を失ったまま、今は耐え忍ぶ時だと瓦礫の海へ姿を隠す。
『チェンジダゴン、スイッチオン!』
 そして現れた巨兵――エビルガー・ダゴンは三機の中で最も装甲が厚いマシンだ。これならばオープンデッドと合わせて、多少の攻撃で怯む事は無いだろう。
「ソイツの力は十分知ってるさ……大渦は今でも目に焼き付いてるよ」
 だからこそ、彼らが追い詰められていると察したリーゼロッテ・ローデンヴァルト(マッド&セクシーなリリー先生・f30386)は、ナインス・ラインを走らせてダゴンの前に立ち塞がった。あのマシン――ダゴンはかつて同型機とやりあった覚えがある。ならば基本的な戦術は変わらない筈。
『だったら沈むんだな。メイルシュトロム!』
 そこに勝機がある。如何に頑強なマシンと言えど、手管が分かれば御するのは容易い。何よりそのユーベルコードこそリーゼロッテの秘策の一部。
「来た! ツェンタオア脚部バンカー射出、アーク・ファランクス防壁展開、DA12:HYDRA起動。WD機関フルドライブ――」
 滑らかにコンソールを叩き、同時に機体が重厚な鉄杭を瓦礫に炸裂させる。噴煙が視界を遮り、一瞬の強烈な振動がナインス・ラインを揺らした後にしっかりと固定した。
『グフ、止まったな……臆したか猟兵?』
 違うね。留まったのよ――展開した可変防盾が光を放って大渦の猛威を遮る。アーク・ファランクスの特殊粒子が立ち上がる濁流を裂いて、ナインス・ラインの動力が唸りを上げる。
「……怖いって誰か言った?」
 本当の恐怖はこれからよ。途端、重厚なマシンがパズルの様に展開し、さながら巨大な擲弾筒の如く大地にしっかりと聳え立つ。
「狙いをつけても無駄、キャバリア自体の装甲と機動力が無になるなら」
 否、これは拠点攻撃用重兵装――甘い声音と共に要塞さながらのダゴンを叩く為の、リリー先生の執刀が開始された。
「ばら撒けばいい訳よ。こうやってね!」
 それは振り下ろされたメスの如く、正確にダゴンを密集包囲する爆雷投射。大渦で水浸しになるならば、そこで使える得物があればいいだけの事。
「大渦攻撃は特に負荷が激しい。何時までも堪えるワケにはイカないよね」
 そしてダゴンのメイルシュトロムは敵機の機動と防御を奪う代償に、自らの稼働時間を著しく縮めるのだ。展開した特殊粒子の防壁で自身の装甲を補えば、後は爆雷が渦の中心で炸裂して手術は完了だ。
『グヌヌ…………』
 機動も何も、根を下ろした様にがっしりと立つナインス・ラインを流す事など出来はしない。そしてメイルシュトロムの水流が無くなれば――。
「でも解除すれば即爆雷の餌食……♪」
『もういい! ベンK、オープンデッドだ!』
 回転を止めた爆雷は一斉に中心で起爆する。どう足掻こうと、リリー先生の完璧な手術にひれ伏す以外、道は無いのだ。

『……止む無しか。オープンデッド』
『チェンジパズス! スイッチオン!』
 だからこそ悪魔は再び姿を変える。大渦が消え炸裂した爆雷が大地を揺らして――その中をゆらりと、痩躯の巨体が風よりも早く飛び出した。
「そのドリルは、わたくしがお相手しましょう」
 それこそがリーゼロッテと、道を共にしたフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)の作戦だった。三機の中で一番やわなパズスが相手ならば、その速度にさえ追い付けば確実に仕留められる。
「わたくしは今回の事件においては完全に新参者――故に少々、お手伝いを」
 ぐるんと、フレスベルクのノインツェーンが手にした藍色の懐刀で円を描く。途端、裂けた天より夜よりも昏い漆黒の異界が姿を現わした。
『そういうのか。だがな』
 異界は――異界の津波は続々とパズスに殺到し、その五体を蝕んでいく。1ナノ以下の極薄の断裂空間は正に刃と化して、残像を振り撒いて逃げ惑うパズスの右腕をばっさりと断ち切った。しかし。
『生えてくるんだ、これがな』
 音も立てずに異界へ飲み込まれたドリルを捨てて、パズスはその腕に新たな凶器をズバリと生やす。このドリルは鉄槌にして弾丸。替えは幾らでもあるのだと言わんばかりに。
「でしたら」
 悪魔的なパズスの変異に顔色一つ変えずに、手にした懐刀を掲げるノインツェーン――瞬間、歪んだ空間が藍色の刀身に束ねられて。
「こういうのは如何でしょう?」
 収束した超常は天をも貫く脅威と化した。白と黒に明滅する超常の御業は蛇の様にグンと伸びて、遠間にあるパズスを喰らう様に頭上から襲い来る!
『刀身が伸びた。いや……』
 あたかも猛禽の襲撃――地を抉り、装甲を穿つフレスベルクの猛攻を凌ぎ、サツマはようやく超常の正体へと辿り着いた。
『それ自体が断裂空間! 厄介な奴め!』
 逃げようと空間の裂け目がパズスを吸い寄せる様に追い付いて、振られた刃が無数の断裂空間で退路を塞ぐ。
『だが……追いつけるか!!』
 余りにも容赦の無い追撃――だからこそ面白い! ニタリを笑みを浮かべたサツマはペダルを踏みこみ、超常がマシンの限界を超えた加速させる。ただ足が速いだけが能では無い事を教えてやる!
『エビルスペシャル! ミラージュエビルッ!!』
 加速が引き起こした超常はパズスの姿を無数に増やす。超音速多重残像分身攻撃――衝撃波を纏ったパズスの幻影が、荒れ狂う蛇の如き懐刀の刃に触れる度姿を消す。だがその速度は遠くで刃を振るうノインツェーンの喉元まで、あと僅か。
「幾ら数が増えようと無駄です。それに――」
 これは生と死から解き放つもの――異世界の骸の主が携えた魔晶の対極。ここに辿り着くまで、あなたの魂が持つでしょうか。何より。
「オウレット・アイズ、目標捕捉」
 わたくしも一人ではありません。いつの間にかパズスの頭上には無数の環状斬撃ビット群――リーゼロッテが操る端末が虚空より砲台を召喚し、追撃の火線を炸裂させた。
「ユーディット一斉射! 逃げられるかしら?」
 最早星の光すら望めない漆黒の渦中、放たれた矢は大地を歪めてパズスの行く手を遮った。またしても――歯噛みするサツマの脳裏に先の戦いが過る。
『クソッ! また重力攻撃か!』
 超加速に対するカウンターとしてこれ程厄介な攻撃は無い。積み重なった反転ベクトルは容易にパズスの足を奪い、振り下ろされた漆黒の一撃はエビルガーを真っ二つに両断――それは同時に、彼らへ最早猶予など無い事を突きつける。
 最大の戦いが、始まろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

朱鷺透・小枝子
●【渡り禽】不殺厳守
デモニック・ララバイ【操縦】

魔音【催眠術】味方の声に魔音を乗せ敵の注意を自機から逸らしサイキックシールドで透明化【迷彩】
先の戦闘で大量展開していたドロモス・コロス達を使い【武器受け】。
ドロモス達の躯体を張って残像攻撃の妨害や味方の攻撃支援を行います。

(…元から狂ってるかどうかはどうでも良い。まず壊す。その後の事は彼等に任す…!)

敵がチェンジ・ダゴンした段階で『揺れ刃』を発動。
【オーラ防御】あらゆる障害を無視する力を纏い、【継戦能力】渦潮の影響を弾き、人工魔眼の超動体視力で敵機の隙を【見切り】高速【推力移動】!

……!!ぁぁあああアアアアッ!!!揺らせララバイッ!!!

殺戮音叉を突き立て【楽器演奏】ユーベルコードを封じる魔音で搭乗者全員へ【精神攻撃】

貴様らが地獄か!!!吼え狂う獣ごときが!!!!!

素早く距離を取り、味方の攻撃に合せて殺戮音叉の【弾幕】射撃を行う!
…破壊を振りまくそれが、そのマシンが、オブリビオンが、

そんなものが地獄であってたまるものかぁあああああ!!!!!!


久遠寺・遥翔
【渡り禽】
不殺厳守
アドリブ歓迎

「オーバーロード、イグニシオン・ソーリス。標的を焼却する!」
以前にも同型機と戦ったけどあの時よりもパイロットの面で強力な相手だ
三つの心がひとつになってる辺り特にな
けれどあの時は俺も一人だった
今は仲間がいる
同じマシンに乗っていなくとも俺達渡り禽の連携なら負けないさ

真の姿のキャバリアで衛星に捕捉されない程度の短時間の高速機動[空中戦]を展開
ライガ…もといパズスで来いと挑発するように機神太刀で攻め立てる
敵の攻撃は[戦闘知識]による予測と[視力]を駆使した[見切り]
そして[第六感]による反射を複合した心眼で
[残像]を捕らえさせるように回避

UCによる、音速をはるかに超える高速飛行からの斬撃ラッシュでコックピット直撃は避けるように斬り刻み、そして機体を[焼却]する
敵のコア部分は[結界術]で守ってくりぬき、なんとか生かして捕らえるぜ


中小路・楓椛
【渡り禽】と連携、原則不殺。

戦闘の趨勢がドクター・ヘルムの生死に直結しないのであればこの戦闘終結に注力しましょう。

制御補助の【すたりさん】と共にクロさんに搭乗。ばーざい全技能行使、【神罰・呪詛・封印を解く・限界突破】併用にてUCアトラナート起動、銀の蜘蛛を多数神威召喚。
蜘蛛の皆さんが紡ぐ光糸によってキャバリアサイズの可視/不可視を織り交ぜた制動網の構築。クロさんに谺を二丁PDW形態で召喚装備。団員と連携して目標に接近し近距離機動射撃戦で牽制し網に向かって追い込み漁です。

網で動きが鈍った瞬間に取りついた蜘蛛の皆さんによる生気吸収(エナジードレイン)によってエビルガーロボの各機能の発動を阻害、直接の無力化は他の方にお任せします。
本来なら将来の禍根を断つべく機体諸共…ですが、旅団の不殺の意思を尊重しましょう。

――話は変わりますが貴方の言うところの「地獄」とやら、ニンゲンの思想行動規範理解の為にも是非お聞かせ願えませんか? 私の知識と比較検証し「今後」に活かすつもりですので、ハイ。



●禽の詩
(……元から狂ってるかどうかはどうでも良い)
 二つに割れたエビルガーロボを見下ろして、デモニック・ララバイの朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は思案する。その巨体からずぶずぶとコードが伸びて、分かたれた身体を結び付ける様に絡みつく姿を見やり、小枝子はすぅと息を吸った。
(まず壊す。その後の事は彼等に任す……!)
 やるべき事は決まっている。仲間が繋いだこのチャンスを無駄にはしない。その為にも――。
『サツマ、もう一度ダゴンのパワーでここを抜けるぞ』
『チッ……奥の手を使う!』
 途端、悪魔のマシンがぐにゃりと姿形を変えた。分離合体変形では無い超常めいた挙動……エビルガーロボは、まるで不定形生物の様にマシンの形状をその場で作り替えたのだ。
『チェンジダゴン、スイッチオン』
 ベンKの咆哮/不定形が強固な装甲を持つエビルガー・ダゴンへと変形し、大地を揺らしてそそり立つ。先程のダメージも見当たらない――全エネルギーを開放し強制修復されたエビルガーロボは、邪なオーラを四方へ放ちながら首都へ向けて驀進した。
「そんな事で、今更手が緩むとでも」
 だが、それがどうした。たかが変形――ララバイを加速させつつ透明化、音の嵐と共に迫る小枝子。最早容赦はいらない相手……真っ向から叩き潰すのみ!
「思ったかぁぁぁッ!!!!」
 側方からの強襲。先の戦いで気を逸らされたベンK達はそれに気付く事が出来なかった。慌ててマシンを急制動し、闇夜に砂埃が大きく舞い上がる。
「……!! ぁぁあああアアアアッ!!!」
 迎撃の火の手が上がる/展開したドロモスの対空砲火が火球をまばらに広げて、その中を壮麗な黒い影が風よりも早く舞う。揺らされた空が火球を消して、間隙を縫う様に目標――ダゴンの下へ。
『何だかヤバいんだな』
「――揺らせララバイッ!!!」
 刹那、影が突き立てた殺戮音叉が超常の旋律をエビルガーロボへ流し込む。その音は精神を沈める魔音/異変は瞬く間にパズスの、ベンKの精神に現れた。
『メ、イル……シュトロム!』
『駄目だ! 一旦替われ! チェンジパズス!!』
 力は起こらない。それは全てを打ち消す魔音なのだから。止むを得ずその場でエビルガー・パズスへ変形させたサツマは、音を掻き消す旋風を放って超速で離脱を試みる。
『エビルハリケーンッ! 脱出するぞ!』
「そうは行くかよ」
 途端、続けて放たれた劫火がパズスの足元を真紅に染めた。それは灼熱、悪魔の自由を奪う地獄への道標。頭上にはいつの間にか、赤く燃え上がる白銀のキャバリアが――久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)のイグニシオン・ソーリスが裁きを下さんと静かに佇んでいた。
「オーバーロード、イグニシオン・ソーリス。標的を焼却する!」
 ギラリとイグニシオンの双眸が輝く。以前の同型より凶悪な連中だ。敵の人数も多い――だが。
「音より早く逃げるってか。笑わせるぜ」
『……後悔するなよ』
 あの時は俺も一人だった。今は仲間がいる……あんなマシンに乗っていなくとも、俺達渡り禽の連携なら絶対に負けはしない!
『プラズマエビルハリケーンッ!!!!』
 サツマの咆哮が怒涛の如き竜巻を呼び起こす。強烈な磁気嵐が天を目掛けて聳え立ち、されどイグニシオンの威は全く削がれず。
「そうだ、掛かってこい」
 重ねて超音速の攪乱攻撃がイグニシオンを襲う。だが遥翔は、始まりより刃を振るい続けた歴戦の猟兵がこの程度で動じはしない。その感覚は目の前の悪魔より鋭く、その闘志は更に激しい。攪乱の残像を退けては一撃必滅の太刀筋でパズスを追いやり、嵐渦巻く戦場を焔の赤で塗り潰していく。そして、何よりも。
「――行くぞイグニシオン!!」
 三つの心が一つになっていない今ならば――小枝子の超常が利いているこの瞬間こそ好機。ズラリと抜いた機神太刀が『天照』の炎を纏い、迦具土の名に相応しい苛烈な焔の刃と化して。
「殺しはしない。さあ――」
 年貢の納め時だ! 磁気嵐の間隙を縫う様に炎を吐いて舞うイグニシオンは、超音速で逃げ回るパズスを頭上から一太刀、二太刀と、休む暇も与えずに圧倒する。何も超音速戦闘が出来るのはお前だけじゃない……炎を纏った残像がパズスのそれを掻き消して、必殺の一撃が振り下ろされたその時。
『フッ……その甘さが命取りだ』
 瞬間、漆黒の光がイグニシオンの視界を遮る。目の前には追い立てられたパズスが、エビルガーロボが――。
『チェェェンジサタァァァン!! スイッチオン!!!!』
 魔王の名を冠する災厄と化して、大斧を掲げ垂直に飛び上がった。最早出し惜しみなど出来る状況では無い――本能に従い、サツマは、ベンKは、全てをサカモトのエビルガー・サタンへと託したのだ。
「上を取った!?」
『エビィィィル! トマホゥゥゥク!!』
「させませんよ」
 されど、魔王は羽ばたけず。突然の対空砲火/眼下には二丁の銃を携えた漆黒の痩身――中小路・楓椛(ダゴン焼き普及委員会会長・f29038)のクロさんが、じろりと真っ赤な三つ目をサタンへ向けていた。
『貴様か狐野郎!』
「そんな芸当も出来たのですね。ますます悪魔らしい」
 そも分離合体変形などしなくてもそういった事が出来るとは……あくまで人の手で止める為の機能だった、という事でしょうかね。
「ばーざい全技能行使、行きますよクロさん」
 ならば今は、その枷から解き放たれた存在ならば……声と共に、クロさんの巨大な痩身に紋様めいた呪詛が走る。この世ならざる神の罰――蜘蛛の形を取った超常が、空を割って巨大な銀糸の束を投げつけた。
「本来なら将来の禍根を断つべく機体諸共……ですが」
 今は今を生きるものの為、その意思を尊重しましょう。あたかも銀河の様に渦を巻いて、超新星大爆発の如く散らばって、多面系の立体監獄を形成した超常の銀糸は、浮かんだサタンの全身を蝕み、じっとりと拘束した。
『動きを封じられた!? だが――』
「一つ質問を」
 捕らえた獲物を舐めるような視線で眺め、楓椛は淡々と言葉を紡ぐ。ここまで詰めれば、後はどうにでもなろう……だからこそ。
「貴方の言うところの「地獄」とやら、ニンゲンの思想行動規範理解の為にも是非お聞かせ願えませんか?」
 興味があるのはそれだけだ。悪いが後は些事に過ぎない。それでも、魂すら蝕む超常で締め上げられながら、サカモトは呆れた口調で言葉を返した。
『ハァ……馬鹿か? 貴様』
 そんな事、あの博士を討った時から今までずっと……続いている。
「私の知識と比較検証し「今後」に活かすつもりですので、ハイ」
 それが言い聞かせで分かる事ならばどれだけ楽だろう。だが、見たモノそのままを言語化出来る事と、出来ぬ事象がある。それでも識りたいのであれば。
『だったら、同じモノを見せてやるッ!!』
 ドワォ……音ならぬ感覚が世界を支配する。終わりの音、地獄の門、全てを虚無へ誘う悪魔の調べ――超常の銀糸の向こう、割れた空を更に引き裂いて、それらは現れようとした。
『今からここが――地獄だッ!!!!』

 オブリビオンスパークはあらゆる生物を一瞬で消滅させる邪悪な閃光だ。だがそれは結果に過ぎない。過程は――消滅の源は、サタンを越えた何かの意思。
「ええ、それならば理解ります」
 空の向こう、巨大な漆黒と、緑と、赤と、青と、空間を埋め尽くす無数のマシン――それらは全てエビルガーにも似た、邪悪そのものが具象化した神にも等しい……否、悪魔の軍団。それらが一斉に咢を開き、漆黒を解き放たんとしたその時。
「貴様らが地獄か!!! 吼え狂う獣ごときが!!!!!」
 かつて世界には幾つもの輝きがあった。無限へ至る死と隣り合わせの日常。終焉を打ち砕く超常の番犬。そして彼等も、第六の猟兵も――。
「そんなものが地獄であってたまるものかぁあああああ!!!!!!」
 ララバイが全身を震わせて、その地獄と対峙する。
「だったらよ、見せてやらねえとな……」
 己の内なるイグニスの熱が、遥翔を奮い立たせる。
「地獄よりも熱い、俺達の焔をッ!!」
 灼熱の赤が虚無たる漆黒を染め上げんと未知を越えて、無数の旋律と共にサタンの呼び起こした悪魔に打って出た。
『それが……どうしたァァァァッ!!!!』
 膨れ上がる漆黒の虚無。寸での所で楓椛の超常が――異界の銀糸が空の裂け目を塞がんと一杯に広がって。
「……大体分かりました。が」
 それはまだ、ここでは早いですね。糸目をちらりと開いて楓椛が宣う。
「ララバイ! 駆け抜けろぉぉぉぉッ!!!!」
 その隙間を埋め尽くす様に、形ある旋律が空を鎮める。小枝子の叫びと共に、展開したドロモス達が奏でる交響曲は音ならぬ感覚を超えて、猟兵達へ力を。
「……破壊を振りまくそれが、そのマシンが、オブリビオンが」
 地獄そのものならば、それすら覆してくれよう。それこそが生を受けた意味。ここに存在する理由。声も無く只管に、小枝子は並居るサタンの軍勢を押し留めて。
「行くぜ相棒! 今はただ全霊を以てこの空を翔ける――」
 あのマシンを止める……灼熱の大太刀が狙うはサタン本体。数多の敵を仲間が押さえている今が、その時だ!
『ハッ! まあ精々……』
「足掻くさ! 終わるまで!」
 そして、闇を払う炎がサタンの胸を貫いた。コクピットは外し、パイロットを結界で保護しつつ、灼熱がエビルガーの五体を焼き焦がす。
「その足掻きこそが……でしょうか」
 煌々と夜空を照らす炎を見やり、楓椛は口端を歪ませた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
アドリブ・連携歓迎

「あのロボットは(TVで)知っています!
とても強く、倒す事は難しい…。
ですが此処は宇宙への道を塞がれた世界、進化途中の”今の”機体ならまだ間に合うかも、いいえ間に合わせます!」

と相手を何かと勘違いしたままオーバーロードで真の姿に。

相手の邪悪な閃光は第六感・見切りでタイミングを読み、大型化させた天耀鏡の盾受け・カウンターで反射してお返し(周囲の人々に当てないよう注意)。

天候操作で雨を降らしてUC発動。
「宇宙の戦いとは空間の奪い合い。いかに多くの空間をもてるかが神の証明です!」と戦場全体を絶対支配。

UC効果&催眠術&念動力で「止まりなさい。」と相手に命令。
止まった相手に対し、UC効果&神罰&光の属性攻撃&全力魔法&破魔&浄化によって焔天武后が輝き、周囲一帯を飲み込む巨大な光の女神に変化。

「邪悪な意思によって誤った進化を遂げた者よ、ここでその道を断ち斬ります!」
建物や人々は無事ですが、相手だけは光によって消滅させます。

いつか正しく進化する意思の力持つ者が宇宙に出る日を夢見て。



●女神がいく
「あのロボットは知っています!」
 最早、そこが華やかなる帝都であった面影など微塵も無い。炎の赤と闇夜の黒、おどろおどろしいツートーンは正に地獄の様相だ。
『なら……やれるのか?』
 問うグリンダへ応える凛とした少女――大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、沈痛な面持ちで言葉を続ける。
「とても強く、倒す事は難しい……ですが」
 その姿は凛々しいパイロットスーツから天女めいた神の装束に。アレはこちらの力だけでは到底立ち向かえる代物では無い。だからこそ。
「此処は宇宙への道を塞がれた世界、進化途中の“今の”機体ならまだ間に合うかも」
 今こそ、自身の神たる権能を解き放つ時だ。光が――魂命霊気が詩乃の内より淡く輝き、焔天武后に宇宙を超越した神威を発露する。
「いいえ――間に合わせます!」
 その光は地獄の赤と黒を引き裂く清廉なる白。世界を取り戻す為の奇跡の光。光は翔ぶ、世界を――遍く生命を守り抜く為に。

『ハッ! 形だけは一丁前だがなぁ!!』
 苛烈に迫るはエビルガー・サタンのサカモト。倍以上の体躯で焔天武后の上を取り、稲妻めいた機動から必殺の一撃を繰り出して。
『エビルッ!! ビィィィィム!!!!』
「させません! 天耀鏡よ!」
 グンと、巨大化した一対の鏡が悪しき光を遮って。弾かれた漆黒のビームは赤々と燃える帝都に新たな薪をくべるかの様に、荒々しく炎を燃え盛らせる。
『これを弾くか! だったらッ!』
 矢張り、ただの力比べをしている場合では無い――詩乃は覚悟した。この悪魔を終わらせる為に、この帝都に平穏を取り戻す為に。
『エビィィル!! シャァァァァイン!!!!』
「干天の慈雨を以って! 私はこの地を治めましょう!」
 爆光がサタンを黒く輝かせ/遥かに高い空より、しとしとと雫が堕ちて。
『ハッ――どうした? そんなんじゃこっちが先に!』
 雫は――詩乃の超常は神域を広げる神の慈雨。その雨は燃え盛る帝都を徐々に鎮めていく。その雨は悪魔の五体を濡らし、邪悪な光を徐々に薄めていく。
『待て、サカモト!』
 その雨は、降らされた大地神の意を――恵みを齎す超常。恵みは木々や草花となり、それらは破壊された街並みを上書く様に広がって。
「宇宙の戦いとは空間の奪い合い。いかに多くの空間をもてるかが神の証明です!」
 その空間こそ詩乃が絶対支配権を持つアシカビヒメの神域。神たる自身の権能を発揮する超常のフィールドだ。故にこの地で悪魔に自由など無い。
『何が神だ! 神だろうと何だろうと……敵ならばブチ殺す!!』
 吼えるサカモトの威勢と共に、エビルガーがどす黒く染まっていく。あたかもブラックホールの様な漆黒。光を否定する闇が、全身に広がって。
『こんなんで止まれるかよォォォォッ!!!!』
「従う者には恵みを、抗う者には――滅びを!」
 サカモトが、悪魔のマシンが呼び起こしたるは再びの破壊の軍勢。空を裂き巨烈な影をそこかしこに侍らせる。圧倒する闇はされど、詩乃の神威が降らせた超常が寸での所で食い止めた。止まりなさい――薄く輝く詩乃の瞳に力が宿る。
『サカモト! エネルギーがオーバーロードしている!』
『ヤバいんだな』
 両者が持てる力の全てを振るい、震える空が唸りを上げて互いのフィールドを滅ぼさんと明滅する。オセロの様にそれぞれの支配領域が入れ替わり、その度互いのマシンに迸る紫電が、意思を持つ力となって新たな力を空に知らしめる。
『オブリビオォォォォン!!』
「それがこの地の定めとなる!」
 綯交ぜになった光と闇は――サカモトの叫びと共に破裂した。
『スパァァァァァァァァァクッ!!!!』
 稲妻が、破壊の嵐が空を破る。破られた空はしかし、詩乃の権能が塗り潰す様に光を広げて――その光がフィールドに満ちていく。光は巨大な女神の形となり、暖かな意思と共に戦場を包み込んだ。
「邪悪な意思によって誤った進化を遂げた者よ――」
 既にこの地は神域。それを侵す事など出来はしない。全てはこの瞬間の為!
「ここでその道を断ち斬ります!」
 破裂した黒き稲妻が真っ白な陽光に晒されて、溶けていく。終わり――否、始まりだ。光は悪魔を――エビルガーロボだけをバラバラに分解し、消していった。
『ハ……ここまで、か』
 胸の紋章が、道化師のエンブレムが亀裂と共に割れて落ちた。鉄の竜の骸、堕ちた悪魔と、渦巻く悪意だけを掻き消して――三人のパイロットは、ふわりと大地に下ろされる。

「いつか正しく進化する意思の力を持つ者が、宇宙に出る日を夢見て」
 閉ざされた夜空を見上げ詩乃が呟いた。意志も力もある。後は本当に空を取り戻した時、世界があるべき姿となれば、必ずその日は訪れるだろう。
 慈愛の微笑が星明りと共に大地を照らす。
 だから、その日まで――世界を変える風と共に、猟兵は駆けるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月17日


挿絵イラスト