16
封神群侠傳 借刀殺人

#封神武侠界


「黄寨主、見損ないましたぞ」
 朗々と山中に響き渡る声。まるで差し向かいで話すような口調だが、その声量はさながら軍勢の鬨の声のよう。これだけでも、声の主の内功の深さが知れよう。
 声の主は、長剣を背負った白髪長髯の老道士である。しかし、その眼は炯々と輝き、まるで衰えを感じさせない。老道士は、その眼で見据える先にある、砦に向けて語りかけているのだ。
「貴殿を英雄と思えばこそ友誼を結んできたが、それも今日まで。まさか色魔に堕ちようとは」
 声の反響が静まると共に、青い陰がざざざと動き、そして目映い光がきらめいた。揃いの道袍を纏う道士達が現れ、そして同時に剣を抜いたのだ。
 良く訓練されたと見える陣形を取りいざと言う時、砦の中から怒号が発せられた。

「霊虚道長!色魔とはなんたる言い種!我ら飛虎山の仲間、英雄好漢と言えぬまでも、そのような謗りを受ける謂れは無いわ!」
 霊虚と呼ばれる老道士に勝るとも劣らぬ声量からは、その雄渾な内力が窺える。
 城壁に姿を現した壮年の豪傑風の男は、更にまくし立てる。
「鶴鳴派の名を思いこれまで見逃して来たが、貴様らこそ我らの足下で狼藉を働いておるそうでは無いか。名門正派が聞いて呆れる!」
 互いに悪事を罵り合い、そして争いが始まる。その数互いに数百名。
 武林の争いとして、決して珍しいとは言えない出来事だ。しかしその裏には、オブリビオンの陰謀が渦巻いていた。

「誤解の連鎖から大規模な争いになる。全く典型的だ」
 心なしか楽し気にも見えるように、馮・志廉(千里独行・f04696)は言った。
 今回彼が事件を予知した世界は、封神武侠界。人界と仙界の交流により仙術武侠文明が発達した、古代の中国に似た世界。
 その中でも三国時代蜀漢の領域であった益州において、武林の大勢力同士の争いが予見されていた。
 仕掛けたのは霊虚道長率いる鶴鳴派。鶴鳴山を本拠地とする道教教団であると同時に武林の名門である彼らは、若い女性が飛虎山の山寨に連れ去られると聞きつけ、正派の務めとばかりに撃って出た。
 対する飛虎山は緑林の徒――すなわち山賊だが悪徳商人ばかりを狙う義賊として知られている。頭目の“五虎刀”こと黄彰も婦女子を拐かす様な人物では無いが、部下から鶴鳴派の道士が飛虎山付近の庶民をいたぶっているとの報告を受け不審を募らせていた所に襲撃を受け、堪忍袋の尾が切れた。

「放っておけば深い怨恨を結ぶ事になる。少々手荒な真似をしてでも、止めるのが良いだろう」
 方法としては、力ずくでも双方を止める、戦場を撹乱して有耶無耶にする、説得して止めるなどが考えられる。
 猟兵達が割って入り戦いを止めようとすれば、首謀者であるオブリビオンも焦って姿を現すだろう。
 オブリビオンの陰謀と言ってもそう複雑なものでは無さそうである。説得など簡単そうなものだが。
「簡単には止まらないだろう。……まぁ、そういうものだ」
 そう言って、志廉は笑った。


鉄錆
 鉄錆と申します。
 武侠。武侠です。

 第一章は、戦場の中心となる砦に近づくために、双方の侠客達を何とかして頂きます。互いに互いを悪党と思っているため、中々話を聞きません。中心部にいる互いのリーダーを守るために戦場に入れまいと立ち塞がるので、どちらか一方、或いは双方同時に蹴散らしましょう。
 鶴鳴派の弟子は剣を、飛虎山の面々は刀を主に使います。武芸の心得はありますが、ユーベルコードの域には達していません。
 第二章は集団戦、第三章はボス戦で、この事態を作った首謀者達との戦闘になります。
 特に正体を探るような事をせずとも自ずと姿を現しますので、謎解き等は必要ではありません。
28




第1章 冒険 『立ち塞がる武侠達』

POW   :    圧倒的な力量差で武侠達を倒し、無力化する

SPD   :    逃走するふりをして武侠達を引き付ける

WIZ   :    説得や取引で武侠達を味方につけようと試みる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「ふん、やはり賊はやはり賊、早晩このような事になると思っておったわ」
「はっ、日頃取り澄ましてやがる癖に裏じゃ悪行三昧じゃねえか!」
 戦場の周辺部で、剣が閃き刀が風を払う。流石は武林の大門派の名に恥じず、末端の弟子達とはいえ、その武功は中々のものである。
 未だ致命的な傷を追うものは出ていないが、時間の問題ではある。そこに、猟兵達は現れたのだ。
「何者だ!?」
「なんだてめぇら!?」
天海空・奏楽
鶴鳴派の皆さんのところへ出向きます。
あっ、どーも。奏楽っていいます。
攻撃は全部回避、のらりくらりと回避。
自分超やる気なのに、相手が全くとり合わない。
そういうの、やる気なくしますよね。
うん、それが狙い。

霊虚道長~。
あの、それ自分の眼で見たワケじゃないっすよね?
人の噂話を鵜呑みにするって、耄碌の始まりですよ?
言いたかないですけど。
俺、ちょっと考えてもらいに来たっす。
そのための時間を作りたくて。
……あっ、霊虚道長、お強い。
(道長の威光を貶めに来たわけじゃない。
手合わせとなれば、下手な小細工はきかない。)
それほど人の動きが読め、心正しくあろうとする方が
偽りを信じ真の忠言を聞かぬなど、ありえましょうか。



 剣呑な空気を纏う鶴鳴派の道士達。その背後に、その男は現れた。
「何者だ!?」
 男はゆるりと拱手し、一礼。
「あっ、どーも。奏楽っていいます」
 場の空気を意に介さぬ男、天海空・奏楽(道士見習い・f13546)の様子に、それぞれ顔を見合わせる道士達。まるで意図が読めぬ。
「まさか飛虎山の縁者でもあるまい。そうそうに立ち去ることだ」
 拱手の礼を返し、適当に追い払おうとするのだが。
「いやぁ、どーっすかね?」
 人を喰ったような返答を返すでは無いか。改めて見るに、なるほどただ者ではあるまい。飛虎山の差し金かと怒った道士の一人が剣を抜いて飛びかかった。
「うわっとと!?」
 突如、奏楽が何かに躓いたようにたたらを踏んだ。と思えば、その動きが見事剣をかわしている。
 その後も数手をしかけるが、よろよろと歩く奏楽に、何故かかすりもしないではないか?見かねた道士が一人加わり、二人加わり――五、六人でかかってもまるで同じ事である。
 頭に血が上る道士達は気づかないが、奏楽の足取りはまさに八卦を踏んでおり、道士達の動きを先読みするもの。当たる道理が無いのだ。

 遠方に居た霊虚が、騒がしさに目をやれば、弟子達がいいようにあしらわれているではないか?ふん、と鼻を鳴らすや地面の小石を掌風で巻き上げ、一つ一つを飛ばして行く。狙いは、奏楽の足下。的確に、次に踏む方位を狙ってくる。
「……あっ、霊虚道長、お強い」
 流石、こちらの狙いを読まれていると知るや、奏楽は飛びすさる。
「俺、ちょっと考えてもらいに来たっす。そのための時間を作りたくて」
 霊虚に切々と語りかけ、その誤解を説く。
 霊虚は一つ咳払いをして砦へ向かったのみだが、確かにその声は届き、心中に残るものがある様子。
 後には、疲れ果て、体力と毒気を抜かれた道士達が残るのみだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

徳川・家光
「名を問われたならば答えよう。我が名は徳川家光!汝らに熱血あるを信じ、暴を以って汝らを平定する者なり…羅刹、大伽藍…!」

そう言って羅刹大伽藍に乗り込み、双方の只中に飛び込んで、滅茶苦茶に暴れ回ります!

そも、この乱はオブリビオンの起こせしもの。ならば今なすべき事は、ただただ愚かな大暴れを見せつける事で、彼ら自身に己の矜持、真実を見極める目を取り戻してもらう事。

…とはいえ、何という大軍か!
これが、僅か二つの流派の争いとは! 封神武侠界、なんと広大な世界なんでしょう!



 誰何の声に、美しい黒曜石の角を持つ青年が答える。その様は実に泰然自若としたものだ。
「名を問われたならば答えよう。我が名は徳川家光!汝らに熱血あるを信じ、暴を以って汝らを平定する者なり」
 そう。彼こそはサムライエンパイアにおける江戸幕府三代将軍、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)その人である。
 と、言っても、ここ封神武侠界ではその名を知るものもまだ居ない。しかし。
 これを見れば、嫌が応にもその名を。その姿を。覚えずには居られまい。
「羅刹、大伽藍…!」
 左腕の籠手が輝くや、その背後に現れる巨大な甲冑。家光がひらりと飛び乗ると、その背丈、八尺ではとても収まらぬ鋼鉄の巨人と化したではないか。
 驚愕する両派の侠客達を一瞥するや、大喝一声、羅刹大伽藍が戦場へと飛び込んだ。
 太刀を振るえば到底近寄れぬ。腕を振るえば纏めて薙ぎ払われる。何のために?そのような物の無い、ただひたすらな暴力。
「な、なんだあれは……?まるで意味が分からん!」
「道士達とやりあってる場合じゃねえ、お頭に報告だ!」
 得てして、怒る者は自分よりも理不尽な存在を前にすれば却って平静を取り戻すものだ。

 かくして、この方面における両派の衝突は避けられたのである。
 その成果に満足げに頷く家光。しかし。
 たかが武術流派二つの争いがこれ程大規模なものになるとは?故郷サムライエンパイアでは考えがたい事態を目の当たりにして、この封神武侠界の広大さに想いを馳せる家光であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

萬・道
戦場に天秤棒を担いで現れた、目元を覆う奇抜な面の女道士
誰だと問われれば、拱手して口元に穏やかな笑みを浮かべ

「腹は減ってないか?」

争う両者の前で「ウォー・アイ・満漢全席!」を使い、突然料理を作り始める
剣戟のさなかにあっても、まるで動じず手早く準備を続ける
もし切り掛かって来る者がいても、包丁で受け流す程度で傷付けない

花椒とラー油の香りが、戦う者たちの鼻腔をくすぐる
差し出されたのは、四川式の汁なし担担麺

「怪我人は、これでも食べて落ち着け」

料理の力で戦意を削ぎ、無益な争いを止めるのが狙い

「封神台が失われて以来、あふれ出た死者どもに多くの村が滅ぼされた。お前の武は、何のためにある?」



 刀剣の輝きが乱れ舞う戦場。鍛えた武芸者同士、一瞬の気の緩みで命を落とす事になる。
 怒声が飛び、鮮血が散るその最中、軽やかな足取りで飛び込む者があった。
 まず目に飛び込むのは、その肩に担いだ天秤棒。出で立ちを見るに、どうやら女道士、道姑らしい。そしてその目元を覆う、奇抜な仮面。
 一見して掴めぬその姿に、思わず手を止めて訪ねる侠客がいた。すると彼女はこう答える。
「腹は減ってないか?」
 穏やかな笑顔で拱手する彼女は、萬・道(マンドー・f32802)。自らを救った一門の名を名乗り、その理念を実践して歩く者。

 困惑する彼らを尻目に、萬道はさっと天秤棒を降ろし、手早く調理の準備を進めて行く。さもそれが当然とでも言わんばかりに。
 元より血の気の多い侠客連である。ふざけるなと刀で斬りかかるものも居たが――彼女には触れられない。舞うように麺を打ち、軽やかな動きで身をかわす。
 剣の刺突を送る道士も居た。それも、まるで汗を拭うように自然な動作でいなし、具材を刻んで行く。
 鮮やかな手並みと、花椒、ラー油の香しさに、周囲の注目は萬道に集まっている。そして差し出されたのは。
「怪我人は、これでも食べて落ち着け」
 ここ、四川式の汁無し担々麺である。先ほどまで争っていた事も忘れ、我先にと食べ始める両派の侠客達。
「封神台が失われて以来、あふれ出た死者どもに多くの村が滅ぼされた。お前の武は、何のためにある?」
 萬道の説く封神武侠界の現状に、項垂れつつも、深く肯首するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神酒坂・恭二郎
まずは喧嘩の仲裁だね
お互いに頭の血が下がったらまともな話もできるだろう
争っている前線にぶらりと足を向けます

「ほいさっ!!」

両掌を高らかに打ち合わせ、巨大な【覇気】を放って注目を集める
功夫を積んでいるなら見過ごせはしない筈だ

「すまんね。自分は神酒坂風桜子一刀流、神酒坂恭二郎だ。鶴鳴派と飛虎山。いずれも名高い方々と伺いに参った次第だ」

武門の【礼儀作法】で挨拶し、ゆったりと刀を抜く。

「つきましては、自分が御方々に面会が叶う腕前か一つ試して頂きたい。貴兄等にお願いできましょうか?」

飄々と、だが【覚悟】を秘めて願おう
お相手いただければ、猫柳の剣で柔らかく受け止めいなし、彼等の頭から血気を抜き去りたい



「ほいさっ!!」
 両派互いに激しく斬り合う中、声と共に激しい破裂音が響き渡った。驚愕した彼らは、一人の男を見つける事になる。
 神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)その人だ。
 肝の据わった武芸者のこと、音そのものに驚いた訳では無論無い。その響きに込められた、巨大な覇気を感じ取ったからだ。
「すまんね。自分は神酒坂風桜子一刀流、神酒坂恭二郎だ。鶴鳴派と飛虎山。いずれも名高い方々と伺い参った次第だ」
 武林の礼にかなった動作に、警戒しつつも礼を返す両派。しかし、恭二郎の次なる言葉には黙ってはいられない。
「つきましては、自分が御方々に面会が叶う腕前か一つ試して頂きたい。貴兄等にお願いできましょうか?」
 つまるところ、敵方と組んでこちらを攻撃しようと言うのだ――と互いに考えた。ならばやることは一つだ。

「望み通り、試してくれる!」
「俺の刀を十手受けれれば会わせてやるわ!行くぞ!」
 結果、挟み撃ちの形で恭二郎を攻める形となる。片や古松の様に重厚な剣法。片や狂風の如く翻る刀法。同時に受ければ一溜りも無いかに思えたが。
 恭二郎は、両者を受け流した。重さに対しては軽やかに。速さに対してはしなやかに。これぞ絶技、猫柳。
 約束の十手などはとうに超え、相手が疲れ果てるまで捌き続ける恭二郎。これで彼らも正気を取り戻してゆくだろう。敵も味方も無く、ただ技に没頭しているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・ルカルト
なんだかんだと聞かれたら、答えてやるのが良い子じゃの。
自称音楽神、アルカ・ルカルト登場なのじゃ~!
世のため子らのため参ったぞい!
(チャイナ風戦闘服姿 https://tw6.jp/gallery/?id=81368 で拱手)

まあお主ら少し頭を冷やすのじゃ。互いに潰し合い共倒れになることで得となる者が別にいるのじゃと説得を試みるぞい。
そして説得を聞かぬのなら、いや、聞いたとしてもわしは歌おう、手を取り合う平和の歌を。
【シンフォニック・キュア】で傷ついた者達を癒すのじゃ。
子らが利用され無駄に傷つく姿は見たくないと願いをこめて、の。



 なんだかんだと聞かれたら?
「答えてやるのが良い子じゃの。……こほん。音楽神、アルカ・ルカルト登場なのじゃ~!」
 少年の姿ながらも堂々とした佇まいで、アルカ・ルカルト(音楽系ショタジジイ・f16458)は言い放った。
 江湖には変わり者も多いとはいえ、自ら神を名乗るとは?まして、このような年端も行かぬ少年が?
 呆気にとられる両派の面々を余所に、アルカは更に語りかける。
「やーやー子供らよ。少し頭を冷やすのじゃ。互いに潰し合い共倒れになることで得となる者が別にいるのじゃ」
 子らが無為に傷つくのは見るに忍びない、と遥か神の視点より説く。
 真に慈悲心よりの言葉だが、それだけではそう簡単に納得しない頑固者達である。それどころか。
「誰が儂の親じゃと!?」
 酷い侮辱と受け取る者も居る様子。
 仕方があるまい。聞かぬなら、いや、説得を素直に受け入れたとしても、アルカのやるべき事は決まっている。

 躍りかかる侠客達の刃を多節棍で受け流しつつ、アルカは歌う。互いに手を取り合う平和の歌を。
 するとどうか?傷つき倒れた者が、見る間に息を吹き返すではないか。
 穏やかに歌い上げるアルカの姿と力に、なるほど真に神仙の類いであったかと両派頷くばかりであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・深耶
本来の口調は凛とした生徒会長然な上から的な口調
今回は武侠に対する礼を尽くす敬語。

やれやれ、両者ともたぶらかされたとはいえ情けの無い
『真に武侠たるものならば相手の誇りを信じるが故に、戦った後で相手の意を探ればよい』
という境地に至れているはずでしょう

『霊虚道長』、『五虎刀』……少し頭を冷やさせてもらいましょう
――閃空人奉流流祖、東雲・深耶。推して参る

放たれるは両勢力を傷つけずに無力化する『影響』を断つ魔剣
それは命ではなく人を傷つける『刃』の影響のみを断つ斬閃
距離座標と範囲射程を無視して放たれる斬撃こそ我が『理』の境地
お二人とも、どうか我が剣を持って話し合いを設けてはくれないだろうか



 両派の争う地の間に立つように、少女は姿を現した。一見、たおやかで可憐な花。
「姑娘!ここは危険じゃ。早々に去るが良かろう」
 踏み潰されるのを見るに忍びないと、声をかける者もいた。しかし。
「失礼いたします」
 雑然とする中にあって、声を張り上げている訳でも無いのに良く通る澄んだ声。
 東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)の、芯の通った凛然たる様子に、面々は認識を改める。
 彼女の説くところはこうだ。『真に武侠たるものならば相手の誇りを信じるが故に、戦った後で相手の意を探ればよい』この境地にあるはずの両者が、このように深い憎しみをもって争うのは何故か?決して礼を失わず、切々と語りかける。そして。
「――閃空人奉流流祖、東雲・深耶。推して参る」
 その手の妖刀が、閃いた。

 抜く手も見せぬ抜刀が、この場の多数を斬り裂いた。時を、空を断つ彼女の太刀筋ならでは可能な事だ。
 そして斬ったは肉体に非ず、その身の受ける『影響』という概念。皆己の信ずるところにより刃を取っているとはいえ、他者の影響を断てば冷静にもなる。
 そしてその太刀は両派の長にも。
「お二人とも、どうか我が剣を持って話し合いを設けてはくれないだろうか」
 ここからでは、見事影響を断ち斬れたかは確認できない。しかし、その『理』は武芸を極めんとする両者に、確かに届いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アスカ・ユークレース
(拱手であいさつ)你好!何やら揉めているようなので仲裁に参じました!ここは一度冷静に…

駄目だわ、完全に頭に血が上ってる…
兎に角戦いを止めさせれば良いのよね?とはいえなるべく傷つけたくはないし…となるとUCで両者を分断し囲むのが一番ね

加えて両者の意識が互いからそれるようにパフォーマンス
大丈夫ですよー怖くないですよー皆さんが武器を下ろせばその魚も私も何もしませんからー。
私とっても平和主義者なのでー

アドリブ絡み可


スリジエ・シエルリュンヌ
たっ、大変なことですね…!
しかし、できることをするのみ。文豪探偵、推して参ります!

ううん、できれば双方、怪我をさせずに沈静化できれば…。
…!そうです、私は桜の精、なればこそ、この【桜の癒し】にて…!
できるだけ、双方の人たちを多く巻き込める位置に行きましょう。わりと力ずくな気がしますが、仕方ないんです!

眠って、そして…怪我も癒して。
そうすれば、起きた頃には頭も冷えてますでしょうし。そうすれば、何かおかしいと気づくかもしれませんから。



「你好!」
 朗らかな笑顔とともに拱手にて礼をとるアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)。
「何やら揉めているようなので仲裁に参じました!ここは一度冷静に……」
 しかし、両派はまるで聞く耳を持つ様子が見られない。頭に血が上るとはこの事だ。
「たっ、大変なことですね……!」
 隣に現れたスリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)もまた、穏便に事を運ぼうと考えていたのだが、とりつくしまも無い。互いに顔を見合わせる二人。
 やるべき事は一つ、とにかく戦いを終わらせる事。それも、できれば双方傷つけないように。そのために全力を尽くそう。

 両派の間に、激しく舞う刃。その隙間を、奇妙なものが通り抜けた。魚だ。
 河川からも離れたこの飛虎山。しかも空中を、魚が泳いでいるではないか?それも、その数は次第に増えて行き、美しく光を反射する魚群となる。
 その渦に導かれるように、両派はいつの間にか刃の届く距離から引き離されていた。
「大丈夫ですよー怖くないですよー皆さんが武器を下ろせばその魚も私も何もしませんからー」
 アスカが改めて声をかければ、流石に今度は注目せざるを得ない。言葉通り、アスカには傷つけるつもりなど毛頭無いのだが――跳ねっ返りは居るもの。
「ふざけるな!こんなもの……!」
「あっ、私言いましたよねー」
 少々痛い目を見る者もいるが、仕方無い。これが一番平和的なはず。
「私とっても平和主義者なのでー」

 幻の魚群の渦の中、スリジエがゆったりと歩む。行く先は、両派が別れたその中心地。自分ができることを、精いっぱいにやるために。
「文豪探偵、推して参ります!」
 眼を閉じ一つ念ずれば、魚の泳ぐ空の海に、桜吹雪がぱっと散る。桜の精ならではの、『桜の癒し』だ。
 魚達によって誘導された両派の侠客達に、十分に行き渡る範囲である。
 先程まであんなにも血が沸き立っていたのが嘘のように、桜吹雪に導かれ、穏やかな眠りに落ちていく。
 やがて目覚める頃には、体の傷も癒え、落ち着いて考える時間もできるだろう。

 ――結果として、この近辺にいた侠客達は、皆倒れた事になる。
「わりと力ずくですよねー」
「し、しかたないんです!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蘇・燎
<連携・アドリブOK>

……やれやれ、“侠”として名を馳せた先主昭烈帝の治めていた地で、
このような茶番が興じられていようとはな。

「お前たち、五十歩を逃げた男が百歩を逃げた男を嘲った話を知っているか?
 それと同じだよ。側から見れば『暴』である事にかわりはないということさ」

こういった言葉で挑発しながら、【軽業】で敵集団を小馬鹿にしながら
[宿星天剣戟]で翻弄し、逃げるフリをしながら連中を引きつけさせてもらう。
時折【切り込む】所作で相手の反応を伺いつつ、
戦局に応じて攻撃か挑発か逃亡を使い分けるとしよう。

「まあ、この位で良いだろう。少しは頭を冷やしてくれるといいんだがな」



「茶番、全く以て茶番だ!」
 刀光剣影渦巻く最中、突如浴びせかけられる一声。
「“侠”で名を馳せた先主昭烈帝の遺風ははどこへ行ったのか?嘆かわしい」
 頭上だ。声の主は、樹上に居る。誰何の声に応えひらりと舞い降りた精悍な男。蘇・燎(星火、曠原を燎く・f32797)だ。
「何者かは知らんが、邪魔立てをするな。我らはこの暴虐の徒を討たねばならん」
 そういう鶴鳴派の道士に、蘇燎は更に冷笑を向ける。
「お前たち、五十歩を逃げた男が百歩を逃げた男を嘲った話を知っているか?それと同じだよ。側から見れば『暴』である事にかわりはないということさ」
 当てこすりを受けた鶴鳴派は無論の事、茶番茶番と連呼される飛虎山も黙ってはいない。互いに向けていた敵意を、今度は一斉に蘇燎に向ける。
 これこそが、彼の狙いである。

「ハハハ、話にならんな」
 戦いが始まるや、蘇燎は見事な軽功を披露する。まるで宙を舞うが如く、跳びつつ頭上から剣戟を加えるのだ。
 これはたまらぬと頭を守れば、今度は地を滑るように動き回り、まるで掴みどころが無い。
 この地を庭とする飛虎山の面々さえも、影を踏むことすら出来なかった。
 やがて追い疲れて戦意も失せる頃に、蘇燎はいつの間にか姿を消している。
 汗が引く頃には、少しは頭が冷える事だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

高岩・凛
【アドリブ改変歓迎】
【女傑二人旅】

よしっと……多喜、半分づつな!
っつっても最近やたら調子いいし遅かったら勝手に半分以上やっちまうからな!
あー……でも根性なさそうなのしかいねぇしよ、楽しむ前にすーぐ終わっちまいそうだな?

侠客達の中に飛び込み、襲い来る刃を義手で『武器受け』していなし、はしゃぎまわるようにチンピラファイトで『怪力』任せに大暴れします。
デカブツ相手に選択UC「ダブルホッパー」を叩きこんだり、弟子の体を掴み上げて振り回し剣も刀も関係なく巻き込んだり、とにかく好き勝手にかき乱して暴れ放題です。


数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【女傑二人旅】

おいおい、新しい世界が見つかったと思ったら
何やらきな臭い空気だねぇ?
女にうつつを抜かすってのは
アタシらからするとちょっと鼻持ちならないねぇ。
どうだいお兄さん方、女に腑抜けてる風もないんなら、
ちょいとアタシらの相手をしてみないかい?

そう言って『コミュ力』で時間を作りながら、
凛さんと二人して双方を相手取るように『挑発』してみせるよ。

そうしてその間にアタシはサイキックを練り上げる。
剣と刀が抜かれたが最後、アタシの電撃の『マヒ攻撃』が
強かに打ち据えるだろうさ!
その後は『グラップル』で一気にボコる。
無手の女に負ける気分はどうだい?



「おいおい、何やらきな臭い空気だねぇ?」
 剣呑な空気の中に足を踏み入れた女性が二人。その片割れ、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が問いかける。
「色魔に引導を渡すのだ。邪魔をせんで貰おう!」
「ふうん、そいつは鼻持ちならないねぇ」
「ふざけるな!そのような恥知らずな真似をするか!」
 話をしながらも、すたすたと歩く多喜。相手の感情を揺さぶりつつ、こちらのタイミングで事を進める。喧嘩の鉄則である。
 そしてもう一人。

「……よしっと。多喜、半分づつな!」
 頭数を確認しつつ裏側に廻っていたのは、高岩・凛(傷だらけの鎧・f17279)。
「っつっても最近やたら調子いいし遅かったら勝手に半分以上やっちまうからな!」
 位置としては、両派侠客集団に隔てられ、まるで連携がとれるものではない。しかし、彼女達は、孤立したのではない。二対多数で、“挟撃”を仕掛けているのだ。

「うっし!根性入れろよ!」
 戦端は、凜の気合いと共に開かれた。一見考え無しに飛び込む様に見える凜。その実……何も考えてはいない。それで十分だからだ。
 迫る刃は義手で叩き落とす。通行の邪魔であれば首根っこ捕まえて放り投げる。挙げ句の果てに、若い道士の足首を掴み吊し上げ、まるでそれが武器だと言わんばかりに振り回すではないか?
 凜の倍ほどもある巨漢相手のにも果敢に跳び蹴り――受けられた!
「お、ちったぁ楽しませてくれよ!」
 巨漢を足場に跳び上がり、空中から踏みつけたのだからたまらない。
 武芸の定石など知らぬ、チンピラの大立ち回りが、武林の名門をかき乱していた。

「お、あっちは始めたみたいだね」
「ふん、ここまで侮辱したのだ。女だからと手心は加えぬぞ」
 両派の侠客それぞれが刀剣を抜き、多喜を囲まんと動く。しかし、その動きは一手遅いのだ。
「ムダ話してるからさ、もう練り上がってるよ」
 言うが速いか、多喜の両手から閃電が奔った。それはまるで避雷針かのように抜き身の刀剣を目掛け真っ直ぐに飛び、受けた侠客達の体の自由を奪う。
 まさかこれが狙いで時間を?気づいたときには、もう遅い。ぐるぐると肩を回して迫る多喜に、満足に抵抗もできぬだろう。
「女だからと何だって?」
 にっこり笑って、蹂躙するのだ。

 女傑二人、まさに無人の荒野を行くが如し。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
ハハ、流石江湖の人間は血の気が多い。
見せもんとしてはなかなかだがオブリビオンのシナリオ通りってのは気分が悪いからな。邪魔させてもらうぜ。

鶴鳴派と飛虎山の戦いに第三勢力として介入。
手当たり次第にゴッドハンドの体術で後遺症が残るような打撃は避けつつ蹴散らして無力化していきましょう。
蹴散らす過程で彼らの持つ刀剣は『万象斬断』により根本から切断します。
頭を押さえれば良いと言うことでとりあえずは霊虚道長を目指し、その後黄彰を目指しますが、まあ他にも猟兵が来ているので彼等の動きに合わせて鎮静化に寄与するように動きます。
武林の人間は面子が大事ってことでトップは無力化したとしても適当に誉めて上げておきます。



「ハハ、流石江湖の人間は血の気が多い」
 笑いながら手を打ち現れた男。刀剣がひしめくこの場に、無手で姿を現したのは余裕の表れか?
 否。
「見せもんとしてはなかなかだが、オブリビオンのシナリオ通りってのは気分が悪いからな。邪魔させてもらうぜ。」
 彼、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は無手こそが恐ろしいのだ。

 アレクサンドルが仕掛ける。両者を蹴散らせば、万事解決なのだから。
 その拳撃は鋭い。様々な功夫が発達したこの封神武侠界においても全く遜色の無い、ゴッドハンドと称するに恥じないものだ。
 殊にその手刀、足刀の鋭さたるや、白刃に引けをとらぬ……それどころではない。
「腕、貰った!」
 手刀に合わせて刀で待ち受ける者がいた。常識ならば、腕の方が斬れ飛ぶことになろう。しかし現実は。
「なっ…!?」
 刀が鍔本から“斬れ”ていたのだ。
 勢いのまま、霊虚のもとを目指すアレクサンドル。一気に近づき、飛び蹴り一閃。
 甲高い金属音を響かせ、今度は剣も脚も、どちらも無傷である。
「掌門ともなると流石に簡単には斬れないな」
 戦いを止めに来た以上、剣まで折って顔を潰すのはまずい。
 心中その配慮を察した霊虚だったが。
「かたじけない!しかし、義は果たさねばならぬ」
 拱手をすると、奔り去るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

楊・美美
義侠心に篤いのは結構だが、まずは冷静に話し合うべきだったねえ。
間違いや勘違いは誰にでもある。間違わないのは天才たる私くらいのものだよ。はっはっは!

超級料理人らしくこの場は食でおさめてみせよう。【美食饗応】にて彼らに料理を振舞おうじゃないか。
戦場で料理を作る僵尸が現れたらさぞ驚き訝しがるだろうが、出来上がった料理を見れば些末な事に感じるだろう。

空腹による血糖値の低下は判断力を鈍らせ、イライラの原因にもなる。私の料理で満腹になればきっと落ち着くだろう。
さらに眠り薬にも使用される鎮静効果のある薬草を入れておいた。これで彼らも大人しく――ふむ?眠ってしまったか。分量を間違ったかな?はっはっは!



 いざ、斬り合いが始まる――その刹那、空腹を示す腹の虫が、大きく鳴った。これほどの緊張感の中であり得ぬ事だ。
 が、更にあり得ぬ事に、それは一人では無い。次々と、波紋が広がるように大勢の腹の虫が鳴いているのだ。
 異常事態に困惑する面々。とはいえ、原因は明らかなのだ。そう、先程から視界の端にちらちらと入る、あの僵尸料理人――。

「どうだい素晴らしい香りだろう?薬膳を振る舞うよ。何、待たせはしないさ!」
 超級料理人の神業で、驚くべき速度で料理を仕上げていく彼女の名は、楊・美美(超級毒膳師・f32765)。本人は、薬膳師を自認しているのだが。
「義侠心に篤いのは結構だが、まずは冷静に話し合うべきだったねえ」
 手を止めずに次々と料理を完成させつつ、語りかける美美。
「間違いや勘違いは誰にでもある。間違わないのは天才たる私くらいのものだよ。はっはっは!」
 田舎ではそうそうお目にかかれないような料理の数々に、侠客達は既に心奪われていた。

 闘争心というものは、少なからず空腹が影響するものだ。満腹になれば落ち着くというものだろう。
 まして、彼女は薬膳師。更なる沈静効果をもとめ、薬草を配合してあるのだ。これなら心穏やかに――。
「ふむ?眠ってしまったか。分量を間違ったかな?はっはっは!」
 いや、失敗ではなく、壮大な研究の過程に過ぎないのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

姚・陽天
拱手一礼、破顔一笑、初めまして!
名乗る前に聞きたいのだけれど、双方剣を納めるつもりはあるかしら?無いわよね!
互いに義あり、されど偽なり
虚なる拠に酔って騒乱動じ
力を以て勇を示すなら、力で以て理を示しましょう
――轟き唸れ、我は竜撃公主なり!
ユーベルコードで派手な音と光を放って、周囲の子達を行動不能にさせるわ
すごく痛いだろうけれど、一端の武侠を己に誇る者達を、赤子のように気遣うなんてそれこそ無礼でしょう? 男の子達だもの! 女の子も居る? 言葉の綾よ!
皆が落ち着いたらオブリビオンの仕業だと説くわ
なにより互いの誤解を解かないと! それでも腹に据えかねるというならば、うん、気の済むまで殴り合いなさい!



「初めまして!」
 突如大輪の華が咲いたかのようだ。
 輝く笑顔とともに拱手の礼を行う道士風の美女。仙女、天女といった方が相応しいか。
「名乗る前に聞きたいのだけれど、双方剣を納めるつもりはあるかしら?」
 何事かと構えておれば、なるほど邪魔立てをしようとの魂胆か。
 それぞれの口から喧々諤々と否定の言葉が飛び交う。
「そうよね、無いわよね!」
 むしろ喜ばしい事かのように笑顔で言い放つ天女に、呆気にとられる両派。
 そして空気は一変する。
「互いに義あり、されど偽なり」
 静かに、重く言葉が響く。
「虚なる拠に酔って騒乱動じ」
 それは黒雲に轟く鳴動にも似る。
「力を以て勇を示すなら、力で以て理を示しましょう」
 瞬間、髪が逆立つような感覚を覚え。
「――轟き唸れ、我は龍撃公主なり!」
 天女――姚・陽天(龍撃公主・f32682)の纏う薄衣の龍が、眩しい雷撃を吐き出した。

 正しく晴天の霹靂、両派の侠客達は突如襲った稲妻に、弾き飛ばされ体も痺れる。
「さて、これで話を聞いてくれるかしら?大丈夫よね、男の子達だもの!」
 視界の端にちらりと鶴鳴派の道姑、つまり女道士が映るが、それは言葉の綾というものだ。
 姚陽天は動けなくなった面々に、この事態がオブリビオンの仕業であることを説く。
 怨みは解くもの。誤解であればなおさらだ。
「それでも腹に据えかねるというならば、うん、気の済むまで殴り合いなさい!」
 快活な笑顔でそういう彼女を前に、両派互いに顔を見合わせるしか無いのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四宮・かごめ
※アドリブ連携OK
然りその通り。今すぐ鶴鳴山に取って返し、道士としての務めに励むがいい。
四宮かごめ、これより飛虎山側に助太刀致す!(ばばーん)

……と宣言し、一人でも多くの鶴鳴派を、飛虎山と協力して叩き出すでござる。

UCで召喚した槍兵を密集させて、槍衾を組ませる。
山というからには、坂もあるはず。
逆落としの要領で、高所から全員足並み揃えて突っ込ませるでござる。
そのまま槍の間合いで押していけば、自然と鶴鳴派は追い落とされるという寸法でござる。

習得日数は戦場での強さを意味しない。
少なくとも竹槍には、刀の重い斬撃の方が脅威でござる。
飛虎山側には土地勘もあるし、長いものには巻かれろでござる。にんにん。



「腐れ道士共め!さっさと出ていきやがれ!」
 飛虎山の面々が口汚く罵る。鶴鳴派が言い返そうとしたところ――。
「然りその通り。今すぐ鶴鳴山に取って返し、道士としての務めに励むがいい」
 頭上より響く声。一体いつの間に?飛虎山勢の更に後方、樹上に四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)は居た。
「四宮かごめ、これより飛虎山側に助太刀致す!」
 堂々たる宣言。忍者とは一体?いや、目標達成のためならば、目立たない事にすら拘ってはならない。

「タダ働き、お願いするでござる。にんにん」
 かごめが印を結べば、数多の兵士が地より出ずる。封神武侠界から見れば異国風の出で立ち。落武者だ。その手には、漏れ無く竹槍が握られている。
 ここは山道。斜面の上方を取るのは兵法の常道。落武者達が横列を組み一斉に竹槍を構えれば、立派な槍衾の出来上がりだ。
 鶴鳴派も武芸者同士の戦いに慣れているとはいえ、統率の取れた“軍勢”を相手取るのは勝手が違う。組織的な抵抗も難しく、次々と追い落とされて行くのだった。
「助かったぜ!しかし、何故こちらに味方した?」
「長いものには巻かれろでござる。にんにん」
 実際、どちらでも構わなかったのだ。ただ、落武者達の竹槍にとって剣より刀が驚異と見ただけのこと。
 俗に百日刀、万日剣などと言われるが、戦場における有効性の話とは違う。
 最も合理的な選択を行う、彼女のしたたかな判断力と言えるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『僵尸兵士』

POW   :    僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ   :    僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

 鶴鳴派と飛虎山の衝突は、猟兵の介入により随分様変わりすることとなった。
 戦う中で受けた説得も心にしこりを残すものであるし、何より、双方まともに戦う余力の有るものも少なくなっている。
「黄寨主、貧道に考えが有り申す。お出まし頂けぬか」
「霊虚道長、改めて話そうぞ!」
 戦うにせよ和解するにせよ、今日はここらで手を打たねばなるまい。両派の長が歩み寄る――その時。
 互いの側近が、武器を取り相手に飛びかかった。
「止さぬか!」
「何をする!」
 霊虚、黄彰、両者とも素早く止めに入るが、信じがたい事が起きる。互いの側近が、己の長を刃にかけたのだ。

 咄嗟の反撃により側近達は脳漿を散らす事となったが、深手を負う二人。見れば斃れた側近達は、確かに致命傷を負ったにも関わらず、血を流していないではないか?
 ――僵尸。
 互いに騙されていた事を悟った時には、今まで何処に隠れていたものか?わらわらと武装した僵尸が湧いて出る。
 深手を負った両名と、既に消耗している弟子たちでは、到底凌ぎきる事はできまい。
アレクサンドル・バジル
成る程、側近クラスにまで潜り込まれてたんじゃあ、情報操作も楽々だったろーな。不覚だったな、お二人さん。
まあ、ここは任せな。別にチャチャを入れに来た訳じゃねー
コイツらを滅ぼすのがお仕事さ。

相変わらず無手で僵尸兵士の群へ。先程同様のゴッドハンドの体術を以って蹴散らしますが使う技は『紫微天尊』
触れられた僵尸兵士は爆裂したり同士討ちしたりします。

さあ、こんな回りくどい事をする黒幕はさっさと姿を現しな。
兵隊が全滅するぜ?


アルカ・ルカルト
姿を現しおったか。ここはわしら猟兵…いや、武侠英傑と言った方がわかりやすいかの?に任せるのじゃ!

◆SPD◆
シエロ、シエラの双剣を手に取り、【神速】を使用しかけて戦場を素早く駆け回り斬り刻むのじゃ!
特に侠客達が僵尸兵士に襲われそうな場面があれば優先してさせるものかと駆けつけて割って入るのじゃ。
僵尸兵士共は受け止めたユーベルコードをコピーしてくるようじゃが…わし自身に掛けたユーベルコードもコピーできるのかの~?

アドリブ、連携、歓迎じゃ~。



「掌門をお守りせよ!」
「寨主!危ねぇ!」
 自らの長を守るべく、皆口々に叫ぶ。しかし、力及ばず。涌き出る僵尸に阻まれ近づく事もできない。
 哀れ一代の豪傑もここまでか?
 否。
「不覚だったな、お二人さん」
 まさに霊虚に斬りかかろうとする僵尸を、蹴り飛ばした者がいた。アレクサンドルだ。
「お主は……」
「おっと、別にチャチャを入れに来た訳じゃねー。コイツらを滅ぼすのがお仕事さ」
 先程はそうと気付かれぬ様に手心を加えられ、今また命を救われるとは。己の不明に恥じ入るばかりの霊虚。
 しかし、その目に、僵尸が双刀で黄彰へと斬りかかる姿が映る。
「黄寨主、用心!」
 だがこれも、問題は無かったのだ。

 黄彰を狙う僵尸の双刀が、地に転げていた。それも、腕ごとである。
「姿を現しおったか」
 その前には、シエロ、シエラの双剣を手にするアルカが、いつの間にか立っていたのだ。霊虚、黄彰の両名すら、その早業を確かには捉える事ができなかった。
「ここはわしら猟兵……いや、武侠英傑と言った方がわかりやすいかの?まぁなんでもよい、任せるのじゃ!」
「……もはや言葉も無い。かたじけない……」
「なに、“年の功”というやつなのじゃ。気にするでないぞ」
 年端も行かぬ少年が年の功とは?霊虚、黄彰も不思議そうに顔を見合わせるのだった。

 そんな話をする間にも、僵尸は迫ってくる。アレクサンドルとアルカは互いにちらりと視線を交わすと、僵尸の群れに飛び込んで行った。正面から蹴散らしてくれようというのだ。
 アレクサンドルは相変わらず無手。オブリビオンである僵尸相手にも、その体術は些かも遅れをとる事は無い。
 打ち、突き、蹴り飛ばし、次々と標的を変え、神出鬼没の戦いぶり。
 一方アルカはその双剣を構えると、僵尸に視線をくれる。
「受け止めたユーベルコードをコピーしてくるそうじゃが……これならどうかの~?」
 先程より、見られるアルカの身のこなし、これはユーベルコードに依るものだ。
 『神速』の名の通り、その速さはまさに入神の域。反応すらさせずに僵尸共を斬り倒して行く。それぞれ得意の武器が有るようだが、それらも腕を落とされては使えまい。
 あくまでも僵尸が受けるのはただの剣。これではコピーのしようも無い。
 しかしユーベルコードをコピーするというなら、アレクサンドルの技は如何に?
 確かに、コピーはされていたのだ。
 しかし。
「そんな暇あんのかよ?」
 既に撃たれた僵尸に、異変が起きていた。
 突如爆発四散するもの。或いは、同士討ちを始めるもの。
 コピーしたとて、使う間もなく既にその魔力が連中を蝕んでいたのだ。
 それはあたかも紫微天尊の如し。生殺与奪は思いのままだ。
 結局、僵尸の得意を見事に殺し、危なげなく処理して行く二人。この茶番の黒幕が現れるまで、暴れ続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スリジエ・シエルリュンヌ
ひゃああああ!僵尸軍団ですか!?さすがは古代中国に似た世界…。
しかも、側近のかたが僵尸になっていたなんて…うう、種族のことを知っていたのに気づかなかったのは、探偵の名折れです。
(しょんぼりしつつ、指定UC発動で頭かりかり)

…起こったことを後悔しても仕方ありません。反省はすべて終わった後。
蹴りorキセルパイプでの殴打+範囲攻撃+破魔+マヒ攻撃をしていきましょう。
僵尸にマヒ効くのかどうか、怪しいですが!でも、その成立上、破魔は効くはず…!
そう、私、実は超前衛バリツ探偵なんです…!バリバリ近接型なんです!

※養父の影響で近接攻撃得意になってる



「ひゃああああ!」
 山中に悲鳴が響く。見た目にもおぞましき僵尸の集団を目の当たりにしたスリジエの喉から発せられたものだ。
 流石古代中国に近しい封神武侠界。僵尸という種族を知っていたとはいえ、実際に目にすればやはり驚いてしまう。
 しかし、知っていた、と言えば。
 何故、僵尸という存在を知りながら、僵尸が鶴鳴派、飛虎山の両派に潜り込んでいたことに気づけなかったのか?
 これでは探偵の名折れ、とうなだれ頭をカリカリと掻くスリジエ。
 見た目には、後悔にうちひしがれる乙女そのものだが……。

 そんな後悔する乙女とて、僵尸共は見逃さない。むしろ好機とばかり、音もなく這い寄り、その刃を振り上げた。
 ――しかし、その刃は、再び降ろされる事は無かった。スリジエが握るキセルパイプによって、僵尸は強かに打たれ吹き飛ばされていたからだ。
 感情の無い僵尸達も、一様に警戒する。今だスリジエは後悔に頭を掻き、落ち込んでいるように見えるが……?
 その実、この頭を掻くという動作がユーベルコードの起点。彼女の力を大きく増しているのだ。
 それだけではない。彼女、こう見えて
案外……否。バリバリの近接型である。義父仕込みのバリツが、そしてキセルパイプに仕込まれた破魔に功ある薬品が、僵尸共をなぎ倒して行く。
 探偵というものは、事が起きる前よりも、起きてから真価を発揮する。そんなものなのかも知れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

楊・美美
ふむ、敵に囲まれてしまったね。おまけに侠客たちは消耗しきっている。まあそれは我々の所為でもあるのだけれど。
だが案ずる事はない。天才たる私にかかれば状況を覆すことなど簡単さ。

侠客諸君には【強肉豪食】による先ほどとは趣向を変えた品々を馳走しよう。
これを食せば怪我人を抱えて戦場から離脱するくらいの元気は出せる。
なんなら戦いに加わってくれてもいいぞ。その方が私も楽ができる。

さて、調理に集中したい所だがそうはいかないだろうね。むしろ戦いの要である私を狙うのは当然と言えるだろう!
だが奴らの相手は調理の片手間で十分。近づいてきた所を早業の暗器術で仕留めてみせよう。



「やあ侠客諸君。敵に囲まれてしまったね。おまけに諸君らは消耗して……え、我々のせい?まぁいいじゃないか、そんなことは」
 端から見れば絶体絶命。そんな状況下においても、美美の態度は崩れる事がない。
 むしろ、自らの力を発揮する好機であることを喜びすらしているものか。
「案ずる事はない。天才たる私にかかれば、この状況を覆すことなど簡単さ」
 そういって、嬉々として薬膳に腕を振るうのだ。

 次々に提供されてゆく料理の数々。聞けば、これを食せば滋養強壮比類無く、たちまち力を取り戻すという。
 正味、恐れ知らずの侠客達にとっても胡散臭さは拭えない。しかし、この状況。逃げるにせよ、戦うにせよ、このままでは何もできないのは変わり無い。ならば、答えは決まっている。
「喰ってやるとも!」
 恐る恐るも口をつければ、これがなんとも旨い。そして、言葉通り失われた力が湧いてくる……むしろ増してすらいるではないか?
 そうなれば、元より血気盛んな者共である。逃げようとするものなど、いなかった。

 状況の変化に、流石の僵尸も美美の料理が力の源であると気づく。
 邪魔せんと殺到する僵尸達に、させじと侠客達が集おうとするが。
「邪魔をしないでくれたまえよ」
 まるで塩でも降るかのように腕を一振り。それで、美美を狙った僵尸は倒れ伏してゆく。
 見れば、僵尸に突き立つ鉤爪、手裏剣、棘鉄球――。美美が放った暗器らしい。
「こ、これは……?」
「なに、護身用だよ。護身用」
 一切手を止める事無く、彼女の調理は続くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天海空・奏楽
ブ ッ 殺 す 。

あ? 側近に化けけただぁ?
すっげ卑怯。
卑怯なうえ、話し合おうとした二人に手傷を負わせるなんざ、
ぜってー許せねえ!
防げなかった自分もマジ許せねェ。

俺の道術をとくと見やがれ!
雷神震撃だ!
どんだけ湧いて出てこようとも、全部討ち滅ぼしてやる。
あと、各派弟子の皆にも声かけ!
霊虚道長と黄寨主を守り切ろうぜ!
俺達で!
俺の道術はスゲーけどな、一人勝ちじゃ意味ねェの。
僵尸兵士を雷撃で弱らせたところに、弟子に一撃入れてもらうとか、
弟子の一撃に俺が追撃を入れるとかで。
一緒に戦ってるっていう連帯感を持ちたい。
これは霊虚道長と黄寨主を信じる者の戦いでもあるんだぜ。
道士たちよ、今こそ心を奮いたたせろ!



 “キレ”ていた。
 信頼する側近に成り変わり暗躍する卑怯に。
 和解を模索した二人に不意討ちで深手を負わせた手口に。
 そしてなにより、それらを防ぐ事ができなかった己に。
 許さねぇ。
 故に。
「ブ ッ 殺 す」

 奏楽が一つ凄むと同時、手にする霊符が天に向けて掲げられた。
 パッと霊符が空に舞い上がるや、ひらりひらりと浮き上がるでもなく落ちてくるでもなく、宙に浮かんでいる。
 僵尸共は恐るるに足りずと奏楽に殺到するが、ギリギリまで引き付けた所で、それは発動された。
「打雷了!」
 辺りが激しい閃光に包まれた、次の瞬間。あまりの眩しさに目を閉じてしまった道士が恐る恐る目を開くと、黒煙を上げて斃れる僵尸が映る。そして耳には今だ反響が残っていた。
 道士は理解した。雷撃が僵尸を襲ったのだ。
 凄まじい道術に唖然とする両派。格の違いを悟ったが……。
「霊虚道長と黄寨主を守り切ろうぜ、俺達で!」
 奏楽が求めるのは、己一人でなく、皆の勝利。
 その言葉に喝を入れられた侠客達は奮い立つ。猟兵にばかり戦わせてなるものか。
 奏楽の雷撃で討ち洩らした僵尸に止めを刺すべく一斉に飛び出す侠客達。
 雷撃と刀剣。水も漏らさぬ布陣で次々に僵尸を討ち果たしてゆく。
「どんだけ湧いて出てこようとも、全部討ち滅ぼしてやる」
 奏楽の力強い言葉に、道士達も心を奮い立たせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

蘇・燎
<連携・アドリブOK>

なるほど、これが奴らの「借刀殺人計」って事か。
薄々何かを仕込んでたとは思ってたが、
死屍を利用し新たな屍の山を築き上げようと目論むは、
やはりオブリビオン、外道の所業だな。

「さて、これでお前たちが真に向き合わなければならない敵が分かっただろう! 故に、ここより先は我ら猟兵、義によって助太刀致す!」

まず両派の長の近くに位置取り、【軽業】や
伏兵の潜んでいそうな場所を戦いで蓄えた【戦闘知識】を駆使して、
両者に近づく敵をUCで一閃、撃退する事に専念する。

周りの味方に、より敵を効率良く退けられる策がある時はそっちに
乗って手助けをしよう。

「まずはここを護り抜く。それからだな」


神酒坂・恭二郎
「そこまでだ。この喧嘩、この先は俺が貰うよ」

間に割り入って見得を切ろう
こう言うのは誇張する位で丁度良い

戦闘は死人相手に腰の物は要らない、両の拳で十分だ
【功夫、早業、覇気、防御無視攻撃】
相手の攻撃を掻い潜り、強靭なボディを更に強烈な拳で殴りつける
一撃で倒れずにUCを返して来たら、その呼吸と重心を覚えてるので【カウンター】で更に殴りつける
これが攻防一体の「風車」だ
相手が倒れるまで、そして目の前の死人達をのきなみ倒すまで続けよう



「なるほど、これが奴らの“借刀殺人計”って事か」
 露見してみれば、至極単純なものである。しかし、血気に逸る両派をいがみ合わせる事には成功している訳で、必要十分なものではあったのだろう。
 蘇燎は納得と共に、更なる怒りの炎を燃え上がらせる。死屍を利用し新たな屍の山を築き上げようと目論む外道の所業、断じて許す訳にはいかない。
「さて、これでお前たちが真に向き合わなければならない敵が分かっただろう!故に、ここより先は我ら猟兵、義によって助太刀致す!」
 鶴鳴派、飛虎山、それぞれに聞こえるよう、蘇燎は声を上げる。少しでも戦う気力を呼び覚まさなければ。
 とはいえ、正面から迫る僵尸は中々の数。まともにぶつかって勝算が無いわけでは無いが、伏兵の恐れも……。
 そう考えていたところ、もう一人の男が名乗りを上げた。

「そこまでだ。この喧嘩、この先は俺が貰うよ」
 恭二郎だ。蘇燎の考えを察しての事か、こちらは引き受けようとばかりに間に割って入ったのだ。
 注意を引き付け、味方の行動を容易にするためにも、ここは一つ、派手に暴れて見せねば。
「お前さん方は各々好きな得物を使うと良い。俺?……はっはっは。哀れな死人に腰の物まで使っては悪いからね」
 両の拳で十分だ、と軽く握った拳を構えて見せた。
 このような挑発により動揺する心すら、僵尸達には残されてはいない。しかし、だからといって無手だからと容赦するような慈悲心など、無論僵尸達は持ち合わせていない。
 結果としては思惑どおり、恭二郎が敵を引き付けるという策は当たりである。
 数多の刃が恭二郎を貫かんと奔る!しかし、彼はもう、そこには居ない。のみならず僵尸の一体に、おまけとばかりボディーブローを打ち込みつつ、恭二郎はその動きを始めていた。

 その動きとは即ち、8の字の動き。
 僵尸の群れの中を規則的な8の字に動きながら、その両拳で水月を打つ。
 なるほど流石は僵尸、硬質な感触である。しかし、何度も打てば。
 僵尸とて愚かではない。受けた攻撃がユーベルコードであると理解し、コピーする能力を持つのだ。僵尸もまた、恭次郎の腹部を打たんとするが――まるで掠りすらしない。
 さもあろう、恭二郎の『風車』。肝要なのは拳に非ず。脚である。この道理までは、おいそれとは真似できまい?
 ひたすら動き続け、打ち込み続ける。全員が倒れるまで繰り返す心算であった。

 恭二郎が縦横に僵尸の群れを泳ぐのを横目に、蘇燎は冷静に戦場を俯瞰していた。
 先程両派の長を襲った手口を見ても、あれだけで終わりとは限らぬ。更なる伏兵に備え、霊虚、黄彰の元へ駆ける。
 更なる不意討ちをするならどこか?
 自分が敵ならどうするか?
 豊富な経験より導かんとする彼は、まさに将たる視点を持っていた。そしてそれにより弾き出されたのは。

 ガサ、と僅かに音をたて、霊虚達の頭上より降ってくる僵尸二体。
 十分な機を計り、満を持しての不意討ちであったが……彼らが着地することは無かった。
 既に見破っていた蘇燎の紫電一閃。四つの肉塊と化したからだ。
 礼を言う二人に礼を返しつつ、更なる新手に備える蘇燎。
「まずはここを護り抜く。それからだな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高岩・凛
【アドリブ改変大歓迎】
【女傑二人旅】

あんだってんだ、何が起きてんだよ?死んでんの?
あーもう!訳がわかんねえけどとにかくカタつけてからとっ捕まえてゆっくり聞き出しゃいいか!

向かってくる敵から多喜を『かばって』押し留め、相手の数が多くなって限界が来たら「ハザードライバー・リゲイン」でハザードリゲイン(選択ICの姿)になって力を底上げし、多喜が電撃をばら撒くまでとにかく時間を稼ぐ。

雷が落ちたらそこまで散々ボロッカスにしてくれた分たっぷり返してやる!【Regainst】を起動し、『武器改造』で「ヒュームブレイカー」を巨大な鋏に変形させて僵尸共をまとめて真っ二つにしてやる!


数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【女傑二人旅】

うっわぁまさかキョンシーかこれ?
ゾンビよか見てくれは良いけれど、
数を頼むだけの戦い方じゃあ頂けないね。
行くぜ凛さん、大暴れのアンコールだ!

凛さんと背中合わせに陣取って、
不敵に笑って周囲を睨めつけ、
かかってこいと言わんばかりに『挑発』するよ。
さっきまでの侠客たちとの大立ち回りで、
周囲にゃ静電が満ち満ちてるだろ。
そうすりゃここは【超感覚領域】の只中さ。
凛さんが庇ってくれるのを期待しつつ、
襲いくる僵尸どもを『マヒ攻撃』の電撃『属性攻撃』で
『範囲攻撃』の返り討ちさ!
そうして動きを止めたなら凛さん、後の始末を任せたよ!

さっさと蹴散らし、黒幕へお目にかかりたいもんだね!



「あんだってんだ、何が起きてんだよ?死んでんの?」
「うっわぁまさかキョンシーかこれ?ゾンビよか見てくれは良いけどなぁ?」
 女傑二人、うぞうぞと現れた醜い僵尸どもに、嫌悪も顕に言い立てる。
 とはいえ、口でいくら言っても拉致が開かぬのは承知の事。結局のところ、彼女達の最も得意とする方法で解決するしかないのだ。
「あーもう!訳がわかんねえけどとにかくカタつけてからとっ捕まえてゆっくり聞き出しゃいいか!」
「ああ、行くぜ凛さん。大暴れのアンコールだ!」
 先程侠客達相手に演じて見せた大立ち回り、今度は僵尸相手に再演となった。

 多喜と凜、今回は多数で取り囲む僵尸に対し、背中合わせの布陣をとる。
 この数には流石の女傑も恐れをなすか?
 答えは否。恐れるどころか、不敵に笑う。多喜に至っては手招きで挑発までするではないか。
 既に魂の抜けた彼らにはそれで動かされる感情など残ってはいないが、それでもやはり標的とはなろう。
 この数を二人で如何にしのぐか。

 なんと、迫り来る僵尸共を、凜が一人で引き受けているではないか。
 確かに接近戦は凜の得意とするところ。合理的ではあるかもしれぬが、多喜を狙うものまでかばって引き受けるとは?
 凜が優れた体術を持つと言っても、多喜をかばいながらでは限界がある。
 しかし、その限界を超えて見せるのが、高岩凜という女だ。もう無理だというその時に、彼女の腰のベルトは輝きを放つのだ。
 右腕の義手がうごめき、全身を覆う。これこそが彼女の限界に挑む姿。『ハザードリゲイン』である。
 これならまだ戦える。なぜこれほどまでに多喜をかばい限界の戦いを続けるのか?
 それは、多喜を、信じているからだ。

 多喜は、守られている。それは弱さからではない。この数を相手取るための、準備のためだ。
 先程の侠客達との戦い、そして今また僵尸達との戦いにより、この空間は静電に満ちている。
 それは、多喜の“超感覚領域”の条件を満たすもの。彼女の神経が空間に拡散したかのように、戦場の様子が手に取るように解る。自分を守るために戦う凜の様子も。
 しかし、多喜は焦らない。十分な準備が整うまで、確実を期す。
 それは、凜を信じているからだ。
 果たして、機は満ちる。

 二人に殺到していた僵尸達の背後より、凄まじいまでの衝撃が襲った。
 それは多喜へ向ける敵意に反応する、空間より放たれる雷撃。
 遅い来る僵尸の全てに放たれ、そして感電が体の自由を奪う。
 こうなれば、凜ももはや多喜をかばう必要もない。体の動かぬ僵尸など、何ほどのことがあろう?
 これまで受けた攻撃を、そのまま、それ以上に己の力に変える『Regainst』により、彼女の剣は更なる力を得る。
 巨大な鋏と化したそれは、僵尸達を裁断し続けた。それはまさに、名前の通りの代物である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四宮・かごめ
※アドリブ連携OK
「……にんにん(かさり)」
派手だった先程とは一転、
木陰などに身を隠し、そこから奇襲を行うでござる、

僵尸、つまり死体でござる。
なので、敵にこのUCを撃ち込み、同士討ちを誘うでござる。
頭とか体が筍の人間と僵尸達がぶつかり合う間にも、
それがしは味方を増やしていくでござる。
UCさえ効けば、筍人間に負けはない。にんにん。

僵尸連携陣。効果は目覚ましいものの
寡兵で戦う為の陣形ではないと見たでござる。
なら物陰から手裏剣を撃ち込んで一体処理すれば、
戦いを互角に持ち込むような動きも出来る筈。

生き残った筍人間には好きに動くように命令し、
それがしも再び奇襲の機会を窺うでござる。

抜き足差し足忍び足。



「くそったれ、囲まれたか!」
 わらわらと何処からか湧いて出る僵尸に、両派の者達も抗しきれず追い詰められる者もいた。
 死などは怖れぬと豪語する連中だが、訳の分からぬままに死んでいくのは如何にも口惜しい。
 歯噛みしつつ侠客達が覚悟を固めた時、奇妙な事が起こった。

 数的にも絶対的有利で包囲を行っている僵尸の背後より、騒ぎが起きたのだ。
 騒ぎと言っても、はじめは僅かの事。剣戟の音が響き、そしてすぐに静まる。僵尸と何者かが争い、そして倒れたのだろう。
 そして次は二ヶ所より争う物音が聞こえる。その次は四ヶ所、その次は八ヶ所、その次は……。
 次々と拡大していく騒ぎに、互いに顔を見合わせる侠客達。次の瞬間、彼らは騒ぎの原因を目の当たりにする事となる。その原因とは?

 筍である。いや、厳密には、頭部に筍を生やした、恐らくは僵尸。
 筍僵尸は何故か同士討ちをはじめ、各方面で戦いを起こしている。
 騒ぎの原因はわかったが、それが何なのかは全くわからぬ。しかし、またとない好機であることには違いない。侠客達は息を吹き替えしたように戦いを再開するのだった。

 元より、僵尸達の戦いぶりは整然とした陣形を組むものだった。それは数的優位を最大限利用し、効率的に侠客達を追い詰めていった。
 だが今はどうか?筍僵尸と化したものも含め、数的優位は揺らぎつつある。そして――。
「うわっ!?……あれ?」
 剣を弾かれ止めを刺されようとしていた一人の道士。しかし、その目の前で何処からか放たれた手裏剣が、僵尸を地に縫い止めた。
 かくして、次々と増える筍僵尸、侠客達の奮闘、そして姿の見えぬ手裏剣の主により、僵尸達はその陣を崩され、敗走と相成ったのだった。
 命は助かったが、相変わらず訳はわからぬ。
 首を傾げるしか無い彼らの頭上で“……にんにん”と聞こえた――しかし、彼らには風の音としか思われなかった。それほどに、かごめの陰行は見事なものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『赤顔大王』

POW   :    破頭地落砕
レベル×1tまでの対象の【頭部】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    赤顔王軍
自身の【身体の赤い部分のいずれか】を代償に、1〜12体の【分身体】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    赤死撃
【錘の振り下ろし】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に赤い毒池を作り出し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 僵尸共も粗方片付き、皆一息つく事が出来た。しかし、今回の一件、一体どういう事なのか?
 互いにもはや争う積もりも無い。しかし、事の黒白ははっきりさせねばならぬ。
 改めて両派の長が確認し合おうと言うとき、轟音が響いた。
 飛虎山の根城となっている、砦の壁に風穴が空いたのだ。
「カカカ、そろそろ全滅したか?」
 土煙を割って現れたのは、赤い巨人。鎧、戦袍のみならず、その顔も、指先に至るまで赤い。その中にあって異彩を放つのが、日月一対の金瓜錘。これで城壁を討ち壊したのだろう。
「お?まだ生きておるか。深手を負っておる様だし、まぁ良い。簡単に騙されおって、これだから江湖の武芸者は御し易いわ」
 哄笑を放つ巨人こそは、かつて戦場に名を馳せた“赤顔大王”その人。封神台より蘇りしオブリビオンである。
天海空・奏楽
さあて、真の敵は見えたぜ。
全滅させてどーする気だったか、
そこまでしっかり言ってもらわねえとなあ!
……両派に一切の怨恨が残らねェようにするためだ。
それと砦の壁の代償は、おまえにしっかり払ってもらうぜ。

じゃ、俺は狼牙棒で挑む。
大王ってのがどんなもんだか、見せてくれよ。
ま、こんな卑怯なやり方しなきゃ勝てねぇってんなら、
相応かもしれんがな!
正々堂々とした戦いにはならんはずだと、予測はしつつ。
相手の戦法を逆に利用してやるぐらいの覚悟で対峙。
赤顔大王が狙いをつけずらいように、低い姿勢で相対する。
叩きつけてくる金瓜錘の横をすり抜けるように棒を突き動かし、
翻弄と策略の二段攻撃、膝を狙って一撃喰らわすぜ。爆破!



「さあて、真の敵のお目見えだな」
 肩に狼牙棒を担いだ奏楽が、赤頭大王を睨みつける。
 回りくどい策を労し、あたら無辜の人間を傷つけたのだ。許しておけるはずもない。
 五十斤は下らないと見える狼牙棒軽々と操り、ひょいとその先端で赤頭大王を指す。
「せっかく姿を現したんだ。全滅させてどーする気だったか、そこまでしっかり言ってもらわねえとなあ!」
 策により互いに争っていただけとは言え、互いの武器により少なからず双方の血は流れている。
 洗いざらい白状してもらわねば、今後に禍根を残さぬとも限らない。
「うん?どうする気だと?フン!山賊風情に武装する生臭道士、討伐されて当然と言うものだろうが!」
 生前は一廉の将として鳴らした赤頭大王である。国家に基づかぬ武装勢力など、看過できる筈もない。尤も――。
「どの口が言いやがる。そこの壁も、弁償させてやるからな!」
 自らがまさに権力に基づかぬ危険な武力と化している事に考えが及ばぬのも、オブリビオンとして蘇った身の悲しさか。
 奏楽は、す、と腰を落とすと、あたかも獲物を狙う虎の如く、ピタリと構えたのだった。

 するすると大地を滑るように駆ける奏楽。決して直線的ではなく、その軌道を容易には読ませない。
 着かず離れずといった間合いの取り方にしびれを切らした赤頭大王は、豪快な踏み込みとともにその一対の錘を乱打する。
 それでも奏楽には当たらない。とうとう外した錘が勢い余って大王の手を離れ飛ぶ。好機か!?
 否。
 双錘を囮とし、空いたその手で奏楽を掴みあげる策。
 見た目に似ず、大王は存外小技を好むらしい。喉を狙った一手は、先の錘に気をとられて居ては一溜りもなく掴みあげられていただろう。
 とはいえ、両派を争わせる手口から、正々堂々は好まぬ事を既に察知していた奏楽。
「こんなもんか!?」
 奏楽はザザザと滑り込むように更に身を低くして、すんでのところで交わしている。
 そればかりでは無い。滑りすれ違い様に、狼牙棒のびっしりと生える刺の一つが、赤頭大王の膝の経穴を突いた。
 通常点穴といえば素手或いは軽量の武器で急所を突く、軽やかな技法である。
 しかし奏楽は、あまりにも重い狼牙棒を軽々とふりまわし、見事点穴を施して見せたではないか。並々ならぬ事である。
「爆破!」
 令とともにバッと膝から鮮血を噴出する赤頭大王。完全な破壊は免れたが、重傷には違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
お~見事な赤ら顔だな。お前が今回の首謀者か。
ハハハ、まあまあの策謀だったぜ。
仲違いさせるまでは良かったが、俺達が来たのは計算外か。
結局目的は達せられねーんだから及第点はやれねえけどな。

『戦闘モードⅠ』を発動して戦闘態勢へ。
増大した戦闘能力でゴッドハンドの体術を振るって戦います。
(この時点では飛行能力を使わず)
敵POWUC発動を見切って、掴もうとする腕を搔い潜って跳躍。(見切り×カウンター)
超音速で巨人の頭上に翔け上がり、頭部に渾身の蹴りを喰らわします。
(飛行能力解放)(貫通攻撃×部位破壊)



「お~見事な赤ら顔だな」
 からからと笑いながら、アレクサンドルは歩む。
「ハハハ、まあまあの策謀だったぜ。
仲違いさせるまでは良かったが、俺達が来たのは計算外か」
 ゆったりと、それでいて軽やかに。地面の起伏など感じさせぬ、滑るような歩み。
「ま、結局目的は達せられねーんだから……不合格だ」
 平然と敵の策を講評しつつ、するすると迫るアレクサンドル。既に、間合いだ。
 意図を測りかねた赤頭大王が目を凝らす。するとどうだ?アレクサンドルから、黄金に輝く気が立ち上って行くではないか。
 これこそは彼の体内より湧き出る魔力。そして戦闘態勢をとった証である。それを認めた赤頭大王もまた、顔に更なる赤みが差した。互いに戦闘態勢は整ったということだ。

 鈍い衝突音が響いた。聞き慣れぬ音だ。それもそのはず。金属と、肉体がそれぞれ全力で、しかも互角にぶつかり合う音だ。
 普通なら骨は砕け、肉は潰れるだろう。しかし、アレクサンドルの体に満ちる真気を以てすれば、武器と無手の差など無いのも同じである。
 一対の金瓜錘と両拳が数合を交わす。互いに一歩も退くことは無い。打撃では埒が空かぬならと、大王は次なる一手を繰り出す。錘を手放し、その掌で頭を掴みあげんとするのだ。
 しかし、この変化こそがアレクサンドルの待ち望んだ“機”。凄まじい風をはらみながら迫る掌を掻い潜り、懐に飛び込んだアレクサンドル。
 次の瞬間、アレクサンドルは翔んだ。単なる跳躍ではない。それは文字通りの飛翔である。
 視界から敵を見失った大王が先ず認識したのは、激しい衝撃。そして激痛とともに理解したのは、アレクサンドルが己の頭上に翔び上がり、渾身の蹴撃を見舞ったということだ。
 激しく噴出する鼻血が、赤頭大王の顔を一層赤く染め上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蘇・燎
<連携・アドリブOK>

……遂に黒幕のおでましか。
しかしまあ、なんというか『わかりやすい』ヤツである意味安心したよ。

頭部を掴もうとする大王の腕を、身のこなし(【軽業】【早業】)や、
周囲の【地形の利用】でいなしつつ、機会を図って、
可能であれば[剣刃一閃]による(主に腕、後は脚)【部位破壊】を
狙いながら、着実に攻撃を当てて行こう。
勿論急所を狙えるならそちらにも一閃を与える。

また、俺個人での攻撃より打撃を与えられうる作戦・策が履行されるなら、
そっちに積極的に加勢するとしようか。

「我が宿星は開陽星! 玄天に在りて武を司る北斗が一星なり!
 覚悟せよ外道、星々たる我ら猟兵がお前の命脈を断つ!」


スリジエ・シエルリュンヌ
真の姿にて。

はっ、出ましたね、黒幕…!
探偵として反省するためにも。ここは戦い、倒しましょう!

ううん、錘の一撃は避けないと。避けると毒池になってしまいますが、今の姿ならば浮けますから…!
そして、炎剣で動ける範囲を狭めます…!
あとは、煙管を投擲したり、煙管で殴打したりします。足技だって使います!
万一のことを考え、オーラ防御での軽減もしましょう。

何を考え、この騒動を引き起こしたのかは知りませんが。ここで止めてみせます。
文豪探偵として、猟兵として。推して参ります…!



「……遂に黒幕のおでましか」
 キィン、と長剣を弾き、蘇燎が呟く。武林の門派に混乱をもたらした黒幕、どんな輩かと思えば――。
「まあ、なんというか『わかりやすい』ヤツである意味安心したよ」
 彼にとってみれば、与し易い手合いである。
「ううん、やっぱり悔しいですね。謎を紐解くまでもない、ある意味探偵には厄介な相手でしたが」
 探偵として、反省は必要だろう。そのためにも、まずはこの場を鎮めなければ。
 スリジエの背後に焔が揺らめき、その美しい髪もふわりとたなびく。これが彼女の真の姿。
 剣侠と探偵。並び立ちて、外道を討つ。

 ぼっ、と音が発せられる。錘が空を叩き潰す音だ。
 ゆらりと天女の如く宙を舞うスリジエを捉えんと、赤頭大王が錘を振るう。まともに受けたくは無い一撃だ。
 とはいえ地を打たせれば、当たらずとも彼の者に有利な地形を生み出させてしまう。
 ならば、このようにひらりひらりと身を躱すのが、合理的と言うもの。
 更に言えば、ただ躱すのみでは無い。木や、岩の位置。斜面や、窪みの様子。
 それらをつぶさに観察していたスリジエは、機は熟したと反撃に転ずる。
「妄執に取り憑かれたその魂胆、ここで止めてみせます。文豪探偵として、猟兵として。推して参ります……!」
 パッと、桜吹雪が舞い散った――否。桜吹雪に非ず。それは花弁の一片にそれぞれ擬した、炎の剣。
 それは木々の隙間を縫い、触れれば焼き斬れる刃が、大王の行動可能な範囲を著しく狭める。
 有利な地形を構築したのは、スリジエだ。

 厄介な炎剣を避けて地を這う大王。しかしその先には。
 紫電一閃、脚を払うように剣が飛ぶ。
 すんでの所で避けた大王立ったが、身を起こせば炎剣が身を焼く。更に、脚を払った剣はなおもしつこく、まるで毒蛇の如く足許を狙い来る。
「おのれ!この剣技、さては宿星武侠か!?」
「いかにも我が宿星は開陽星!玄天に在りて武を司る北斗が一星なり!」
 脚を狙った剣は突如跳ね上がり、大王の手首を狙う。
 躱しきれずに腕から鮮血を散らした大王は、錘を取り落としてしまう。
「覚悟せよ外道、星々たる我ら猟兵がお前の命脈を断つ!」
 堂々たる剣の冴え。その宿星に相応しいと言えよう。

 舞い散る炎の剣と、閃く宿星の剣が、見事に連携し、大王を追い詰める。
 厄介な錘を持たぬと見てスリジエも間合いを詰め、その煙管で大王を翻弄してゆく。
 そして蘇燎の剣が鋭く肩を突いた。ついに残る錘をも取り落とす大王。完全に無手となったその隙を突き、スリジエの煙管が大王の脳天を打ち据えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高岩・凛
【アドリブ改変大歓迎】
【女傑二人旅】
こういうのだよこういうの!わかりやすく黒幕ですみたいな顔して出てきやがって!ボッコボコにしてやっから覚悟しろや!

多喜に便乗し「半端に小細工やるくせにバカだから余計な真似して全部台無しにすんだよ、頭いいフリしたかったか?」と散々コケにして挑発、掴みかかってくるのを見計らって「ケテルドライバー」でケテル(選択ICの姿)になり頭の角を伸ばして掴もうとする手を『串刺し』にする。
さらに全身から伸ばした棘で赤顔大王を拘束し、トドメをぶち込む隙を作る。
多喜ィ、あと任せたぞ!


数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【女傑二人旅】

ようやく黒幕のお出ましだね、
しかしまあ最後に腕ずくで押し切ろうとするなんざ、
やっぱり総身に知恵が回りかねるのかねぇ?
それともアレかい?
その赤ら顔、酔っぱらい過ぎて碌でもない頭も
もっと回らなくなったかい?
そう『コミュ力』で『挑発』して、
口を塞ごうと思い切り頭に掴みかかってきた所で、
被ってるメットを身代わりにして
チャイナ服に『早着替え』しながら抜け出すよ!
凛さんが反撃して動きを鈍らせてくれた所に、
思い切りサイキックエナジーを練り上げて
【漢女の徹し】をぶち込ませてもらうよっ!

我流の喧嘩殺法だけど、喰らえば痛いに変わりはないさ。
思い切り悶絶しやがれ!



「くーッ!こういうのだよこういうの!わかりやすく黒幕ですみたいな顔して出てきやがって!」
 歴戦の勇将を前に嬉々として腕を鳴らす凜。こういう手合いをボコボコにしてこそ、である。
「全く回りくどいねぇ。しかしまあ最後に腕ずくで押し切ろうとするなんざ、
やっぱり総身に知恵が回りかねるのかねぇ?」
 ライダースーツにフルフェイスヘルメット姿の多喜もまた、随分と軽い口調で捲し立てる。
 余裕に見えるが、必ずしもそうではない。これも歴とした戦術――もとい、喧嘩殺法の内である。
「半端に小細工やるくせにバカだから余計な真似して全部台無しにすんだよ、頭いいフリしたかったか?」
 凜もまた便乗し、ケラケラと笑って見せる。存分に煽り、こちらの隙を見せ。
それともアレかい?
「いやいや、その赤ら顔。酔っぱらい過ぎて碌でもない頭ももっと――」
 ほら来た。

 怒りにうち震えた赤頭大王が、多喜の頭部を握り潰さんと、その巨躯に似合わぬ速度で迫る。
 元々真っ赤な顔が、今は額と鼻からの流血で更に赤く染まった顔。恐らくは怒りで更に赤くなっているのだろうが、もはや判別は不能だ。
 そして多喜のヘルメットに指がかかる。まるで卵でも握り潰す様に、なんの障害も無くヘルメットは砕け散る。しかし、その中身は空。変わり身だ。
 いつの間にか、するりと抜け出ていた多喜は、これまたいつの間に?その服装はこの世界に合わせたか、チャイナドレス姿である。
 大王は盛大な舌打ちとともに、狙いを切り替える。今度は、凜だ。
 あのような小娘の頭など、地に打ち付けるまでもない。握った途端に中身が飛び出る事になろう。
 身じろぎもしない凜に、大王の右手が迫る。次の瞬間、案に違わず鮮血が飛び散った。
 ただし、それは大王の右手から滴り落ちるもの。掌を貫くその鋭い角は?
 赤頭大王は、己の目を疑う事となる。

 凜の体内に眠る『ケテル』細胞。それはドライバーにより活性化した時、その全身を怪物へと変えるのだ。
 掴むはずだったその頭から、鋭利かつ強靭な角が突き出して、大王の掌を阻んだのだ。
 それだけではない。
「へへ、気ィつけなよ?」
 『ケテル』の全身より、無数の細い棘が伸びる。それは大王の体に次々と突き立ち、その衣服を更なる赤に染める。
「多喜ィ、あと任せたぞ!」
 その言葉に応じるように、ゆったりと大王に近づく多喜。動けぬ大王に対し、多喜の右腕には存分に凝縮された真気が溢れんばかり。
「我流の喧嘩殺法だけどさ」
 技、等という代物ではない。まるで排球のように飛び上がり、思い切り反り、思い切り振りかぶり――。
「痛いよ?」
 凄まじいまでの破裂音とともに、顔面を強打された赤頭大王は後方へその巨体を転がされる事となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
こいつは大層な豪傑だねぇ
赤いのも良い
だが、やる事がちょいとばかし野暮だねぇ

「楽して勝つのは兵法だが。見かけによらずに陰湿さね」

軽く笑んで正面に立とう
飄々と歩いて間合いを詰め、打撃に逆らわず【見切り】で避けよう
力に満ちた連打に大して反撃の隙間は少ないが、ギリギリを見極め、掻い潜って間合いを詰めたい
素手で頭部を掴まれるのが危険だが、更に踏み込んでサイドを抜こう
【覚悟】あるのみだ

「忠告だよ。そこを動くな」

鍔鳴りと共に一つ告げたい【早業、切断、覇気】



 元より、赤い武将であった。
 しかし今は、その顔も。その鎧も。服も肌も、その赤さは己の血によるものだ。
 満身創痍の赤頭大王の前に現れた男が一人。
「こいつは大層な豪傑だねぇ。……赤いのも、良い」
 皮肉では無い。自然体で敵将を評価できる、恭二郎はそういう男だった。尤も――。
「楽して勝つのは兵法だが。見かけによらずに陰湿さね」
 野暮と無粋を何より嫌う。そういう男であった。

 まるで友人の前にでも立っているかのように、恭二郎は微笑んでいる。
 刀は抜かない。そのまま彼の肩でも叩きに行くのではないか。そんな気軽さで、恭二郎は赤頭大王へと近づいて行く。
 大王としても、一瞬呆気に取られ、そしてまた、怒りを発する。この自分を舐めているに違いない。
 大王は一つ咆哮を放つと、その両掌を猛禽の如く形作り、引き裂かんばかりの勢いで掴みかかった。

 恭二郎は、舐めてなどいない。赤頭大王の手筋、武術の達人といった趣は無いが、むしろ戦場で磨き抜かれた武骨な匂いを放っている。
 あくまでも恭二郎は、恭二郎の流儀に従い、するりするりとその擒拿をほんの僅かの動き、ほんの僅かの見切りで躱して行く。
 暴風の如く吹き荒れる両掌の間を、柳の如くすり抜ける。全ては、風桜子の導きのままに――。

 キン。と一つ、鍔鳴りが響いた。
 何時の間にか両者の位置は逆転している。恭二郎が、大王の脇をすり抜けたのだ。
「忠告だよ。そこを動くな」
「ふざけるな!貴様な……ど……」
 噴水の如く、赤が散った。満身創痍の痛みの末に、己が斬られた事にも気付かなかった彼の将は、憐れ、首と胴が泣き別れと相成ったのだ。

 斯くして、益州武林に巻き起こった騒乱は終わりを告げた。
 雨降って地固まるとやら、鶴鳴派と飛虎山、両派の結びつきは更に強固なものとなったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月11日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト