●花の水辺
ひらり、はらり。落ちる花弁がある。
水辺には花々が漂う――それは落ちてきた花弁だけではなく、水の中で咲く花から生まれたもの。それは浮かんで、ふわりと消える。
その消える瞬間は、鮮やかで美しいもの。
きらきら輝くばかりの世界――だったのだ。
けれど今は、水は濁り花は浮かんでこない。花弁が降り注ぐことはない。それは枯れ落ちてしまったから。
「いや、いや……こんな、私の世界じゃ、ないの……!」
あの美しい世界――それがどんな姿だったのか、汚されて思い出せなくてフェアリーの少女は蹲る。
●予知
猟書家『レプ・ス・カム』は倒れた。しかし、その意志を継ぐオブリビオンは、大天使ブラキエルの目論む『天上界への到達』を実現すべく存在している。
そのひとつを倒してきてほしいのだと終夜・嵐吾(灰青・f05366)は猟兵達へと告げた。
「そのオブリビオンによってな、あるフェアリーのフェアリーランドが書き換えられておるんじゃ」
壺の中のフェアリーランド――そこは水と花の美しい世界であった。しかし今、水は濁り花は咲かず枯れ落ちた。
その世界を解除することも出来ず、少女はそのうち生命力を失ってしまうだろう。
しかしそうなる前に助けることが、猟兵ならできるのだ。
壺の中に飛び込んで、楽しい事を少女に思い出してもらう。
「壺の中は不思議な世界じゃからね。皆がこうであるはずと想像すればそれが世界に伝わるじゃろう」
例えば淀んだ水は澄んだ色をしていた、とか。ここには赤い花が咲き誇っていた。水の中から浮かぶ花の道があった、と――彼女がもっていたかつての世界と同じでなくていい。
けれど美しい世界であったことを想い出せるように声をかけていけばいい。
「きっと皆が想像する、水と花の美しい世界があるじゃろうから、それを教えて思い出させてやっておくれ」
この世界は淀んだ世界ではないことを。そしてその世界で楽しく遊んでいる姿を見せることも少女の心を明るく楽しくさせるだろう。
そして世界が美しさを取り戻していけば、オブリビオンも現れる。
「そこを叩くのも、猟兵の仕事じゃな」
皆ならきっと、綺麗な世界を取り戻せるじゃろうと笑って嵐吾は手の内のグリモアを輝かせた。
志羽
御目通しありがとうございます、志羽です。
詳細な受付期間については【マスターページ】【シナリオ上部のタグ】で案内しますのでお手数ですが確認お願いいたします。
●シナリオについて
第一章:冒険『花筏に溺れて』
第二章:ボス戦
『???』
以上の流れとなっております。
どちらも、追加する冒頭の確認をお願いします。
一章は、楽しい世界を想像して口にしていただければ、きっとそれが目の前に広がります。
世界がきらきら輝いて、楽し気に遊んでいる姿を見れば、彼女の心は明るく楽しく、素敵な世界であったことを思い出せますのでフェアリーの少女への声かけは必須ではありません。
あとは楽しんでくだされば!
●プレイングボーナス
『フェアリーに楽しいことを考えてもらう』
あなたの思い描く世界を伝えれば、フェアリーの少女も己が描く世界を取り戻せるはずです。
●お願い
複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章参加の場合、IDについては必要ありません)
ご協力よろしくお願いします。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『花筏に溺れて』
|
POW : 花びらや水飛沫を跳ね上げながら渡る
SPD : 花びらの合間をたゆたうように泳ぐ
WIZ : ゆらゆらしてる花筏を眺める
|
どんな場所だったのか――もうわからない。
フェアリーの少女は水辺にある木、その小さな洞に籠っていた。
その木だって、緑生い茂り花を咲かせるものだったはずがからからに乾いている。
木の傍らの水辺。その水の色は茶色く濁っていた。そこも澄んだ湖であったはずなのに。
そう少女が思うと、水の色がさらに濁る。
水の中から花が咲いて、散って。花弁が浮き上がって消えていく美しい場所だったはずなのに。
そう少女が思うと、花ではなく腐った澱が浮き上がる。
かつてどんな光景だったかわからないほどに変わってしまった。
「だれか、教えて……」
ここは、どんな場所だったのか――少女がかつての姿を忘れて、今の変わり切った姿を受け入れてしまうたびに世界が枯れて淀んでいく。
けれど誰かが違うと紡いだなら。
ここがきらきら輝く美し場所であった事を紡いだなら、そして楽し気な声を聞いたなら――少女も思い出していくだろう。
この世界がきらきら輝く水と花の世界であったことを。
ミリアリア・アーデルハイム
幹にもたれて、澱んでしまった景色を見るともなく見ながら
わたしは思わず微笑んだ。
わたしの所属する旅団は『桔梗の花宿』という。所属申請するときはどきどきした。
でも、どうしてもこの旅団に入りたかったのだ。
だってすごいんですよ!薄桃色の花弁がふあ〜ふあ〜って!!
故郷ではあんなの見たこと無かったんです。
小川の水の上でくるくるする花が集まって...
ちっとも飽きなくて、日が暮れるまでずうっと見ていたんです。
生まれ故郷が極寒の地であること、花ある景色が心を打つことを伝える。
スキル「祈り」を使用:「だから、還ってきてください
...!」
ユーベルコード【生まれながらの光】で、フェアリーの心の傷を癒す
導かれた先、世界の中心とでもいうのだろうか――淀んだ水辺に枯れた樹がひとつ。
他の木々は、枯れておりやせ細って。朽ち果てて崩れていくのが末のように見える。
そんな世界でただひとつ残る樹にそうっとミリアリア・アーデルハイム(かけだし神姫・f32606)は背を預けた。
樹の洞の中で妖精が嘆いている、泣いている。
思い出せないと――その声を耳に捉えながらミリアリアはこの澱んでしまった景色を見るともなく見ながら、思わず微笑んだ。
今はこんな世界でも、きっと。
ミリアリアは妖精へと聞こえる様。言葉紡ぐ。
「どきどきしたんです」
それはミリアリアが身を寄せる『桔梗の花宿』へと、届出をしたときの気持ちだ。
どうしても、そこに身を置きたかったのだ。
だってそこは――それを想い出すだけでミリアリアの表情は笑み綻ぶ。
「だってすごいんですよ! 薄桃色の花弁がふあ~ふあ~って!」
故郷ではあんなの見たこと無かったんです、とその声色には喜色が満ちる。
すると、その思い描いた色が視界の端で踊り始めた。
ふわり、ふわりと――花弁が。そう、あんな風にとミリアリアは指をさす。
故郷ではあんなの見たことが無かったんです、とくすぐったそうに。
生まれ故郷は極寒の地だ。だから花とは縁が遠い世界でミリアリアは生きてきた。
けれど、一歩外に出たらどうだろうか――花ある景色はいくつもある。
「小川の水の上でくるくるする花が集まって……ちっとも飽きなくて、日が暮れるまでずうっと見ていたんです」
その、花のある光景に心打たれて、ミリアリアは今ここにいる。
澱む水の色が僅かに綺麗になった。その場所で花弁が集って遊んでいく。
ミリアリアはそうっと樹に触れて、祈る。
「だから、還ってきてください……!」
あなたの心の傷が癒えるようにと、ミリアリアは輝きをその場にもたらした。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
それは月
澄んだ優しい光が揺蕩う水面に映って揺らめく夜の貌
それは星
鮮やかに可憐に瞬く光が柔らかく夜の風に乗って眠る花を包む夜の姿
薫る花々も煌めく水も安らかな静寂の中で夢に癒され
また明日の朝日までゆっくりと時を過ごす
そんな景色がきっとあったはずです
まばゆい太陽の輝きによってだけではなく
夜の安寧の中で静かにたたずむ水と花々の世界もね
それもまた深く心を打つ美しい景色
その中で妖精さんたちもまた月に抱かれ星に夢見て優しく夜を過ごしていく
……そんな世界を取り戻すために
愚かな猟書家の成りそこないごときは私が必ず討ち滅ぼしてみせましょう
我が二つ名、悪夢の滴の名にかけてね
「それは月」
と、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は空を撫でるように指先動かした。
すると空の一部に夜が現れて月が浮かびあがる。
その月が行く先は水の上。
「澄んだ優しい光が揺蕩う水面に映って揺らめく夜の貌」
魅夜の紡いだ言葉の通りに、澱んだ水面は鳴りを潜め輝く美しい水が冴えわたる。
「それは星」
鮮やかに可憐に瞬く光が柔らかく夜の風に乗って眠る花を包む夜の姿――紡げば、ふわりと魅夜の髪を風が撫でていく。
きらきらと輝く光が柔らかに表れてまた水面にも映り込むのだ。
とても静か。
けれど美しく、清らかな気配が広がっていくような。
薫る花々も煌めく水も安らかな静寂の中で夢に癒され、また明日の朝日までゆっくりと時を過ごす。
今は静かな夜をここにと紡いで、歩んでいく。
一歩進めば枯れていた土に巡る花々。しかしそれはまだつぼみで眠ったままなのだろう。
魅夜はそれらを視線で撫でていく。
今は、それでいいのだ。夜、眠る時間なのだから。
そう、この景色。こんな景色がきっとここにもあったはずと瞳細める。
まばゆい太陽の輝きによってだけではなく、夜の安寧の中で静かにたたずむ水と花々の世界もここにはあったはずだ。
それもまた深く心を打つ美しい景色――ここできっと、楽しく過ごしていた者達がいるはずだ。
だからそんな世界の中で、妖精さんたちもまた月に抱かれ星に夢見て優しく夜を過ごしていく。
その様を魅夜は思い描く。
「……そんな世界を取り戻すために」
と、思い描いた世界の優しさとはかけ離れた冷たい声色が響く。
この世界を枯らそうとしていたものがいる。その、相手を。
「愚かな猟書家の成りそこないごときは私が必ず討ち滅ぼしてみせましょう」
我が二つ名、悪夢の滴の名にかけてね――魅夜はその口端に僅かに笑み乗せて、歩む。
枯れた世界に、静かな夜を教えていくために。
大成功
🔵🔵🔵
ベル・ルヴェール
どうした?困っているのか?
僕で良ければ力になろう。
ここがどのような場所だったか分からないのだな。
ここは砂漠のオアシスのように
水源の豊かな場所だったかもしれない。
照りつく太陽を浴びて水面が燦くんだ。
月を浴びると青く輝く。
あまりにもキレイすぎて、宝石の湖なんて呼ばれているかもしれないな。
オアシスには木があるはずだ。
背の高い木で、登ると世界の果てまで覗いたような気になる。
豆の木を知っているか?
それみたいな木が一本あったかもしれない。
僕の住む場所は豆の木は無いがキレイな水はある。
宝石の湖みたいにとてもキレイに輝く。
ここにもそんな場所があったら良いな。
どうだ?思い出したか?
眩しい光が見えた。
世界は澱んで廃れていく――そんな世界のはずなのに。
ベル・ルヴェール(灼熱の衣・f18504)の足はそちらへと自然と向く。
ひとりの女が光で、その樹を、その洞に隠れているものを癒そうとしていた。
その洞からは、小さな声が聞こえてくる。話に聞いていたフェアリーの声だろう。
「どうした? 困っているのか?」
その洞をベルはそうっと覗き込んだ。僕で良ければ力になろうと紡ぐ言葉。
フェアリーの少女はこんな世界じゃなかったのにと。
どんな世界だったかもうわからないのと頭を振る。
「ここがどのような場所だったか分からないのだな」
ベルは頷いて、紡ぐ。
かつての場所は知らないが、それでもこれからどんな世界になれるかを想像するのは自由。
フェアリーの少女の心が楽し気方向に傾けば、それでこの世界は色づいていくのだから。
「ここは砂漠のオアシスのように水源の豊かな場所だったかもしれない」
照りつく太陽を浴びて水面が燦くんだ、とベルはその様を思い浮かべる。
昼の姿もあれば、夜の姿もまたあると続けて。
「月を浴びると青く輝く。あまりにもキレイすぎて、宝石の湖なんて呼ばれているかもしれないな」
今は澱んでいるけれど――いや、少しばかり輝き取り戻している場所もある。
それは広がっていく。ベルが紡いだ言葉の通りにきらきらと水面は燦くのだ。
けれど水だけでは寂しい。オアシスは水だけでは成り立たないのだから。
「オアシスには木があるはずだ」
そう紡ぐと、にゅにゅっと芽が出て。
「背の高い木で、登ると世界の果てまで覗いたような気になる」
そう、例えば。
「豆の木を知っているか? それみたいな木が一本あったかもしれない」
しゅるしゅると伸びていく緑。それは豆の木だ。背が高く何処までも――伸びていく。
豆の木とはこんなに大きくなるものだろうか、とベルは思うけれどここは何が起こってもおかしくはない世界。
きっとこんな木もあるだろうと思っていると、まだ泣きべそだがそうっとフェアリーの少女が顔を出す。
ベルはふふと小さく笑み向けて。
「僕の住む場所は豆の木は無いがキレイな水はある。宝石の湖みたいにとてもキレイに輝く。ここにもそんな場所があったら良いな」
手を指し伸ばせば、彼女は恐る恐るその指先に掴まって外を見詰めて――でもまだ、その心に不安はある様子。
「どうだ? 思い出したか?」
しかしまだ首を横にふるりと。けれど、彼女の心が小さな一歩踏み出すには十分な言葉をベルは向けていた。
ここから世界が変わっていく様をいくつも目にすれば――きっと、思い出すだろう。
この世界が素敵な場所だったことを。
洞の奥で蹲ったままだった少女は、顔を少しあげ外の世界を見詰めていた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェル・ラルフ
花と水の世界は荒れ果てて
誰かのすすり泣く声が聞こえてきそうな、悲しい世界
美しい世界を思い出せないきみへ、そっと声かけて
目を閉じて
透き通る水の跳ねる音
溢れる湧き水、流れる清水
音が聞こえてきた?
次は草木
きらきら光る葉の擦れる音
風にそよぐ緑、揺れる木漏れ日
ね、取り戻そう
さあ、目を開けて
今度はきっと、花が咲くよ
君は何色の花が好き?
始まりを告げる陽のような赤、優しい絹のような白、悪戯な蜜蜂のような黄色
春の喜びが地を蔽う
さっきの水が花びらを運ぶよ
さっきの風が花びらを運ぶよ
一緒に外へ踏み出そう
羽を広げて顔あげて
この美しい世界は君のちから
君のもの
共に春を、寿いで
★アドリブ歓迎
猟兵達の力で、世界は僅かに満たされて。
けれど、本当に僅かだ。
まだ、花と水の世界は荒れ果てている。
その様を痛ましげにヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は瞳細めて見詰めていた。
「誰かのすすり泣く声が聞こえてきそうな、悲しい世界」
まだ、どうだったか思い出せないのと――猟兵の力を借りても嘆きの中にフェアリーの少女はまだいる。
樹の洞から、恐る恐る外を見詰める少女。
そんな少女へと、ヴェルはそっと声をかけた。
「美しい世界を思い出せないきみ」
目を閉じて――ヴェルの声が静かに促す。
戸惑いを見せながらも少女はそっと瞳を閉じた。そのまつげが震えて、不安を抱いているのがわかってしまう。
そんな彼女へと、ヴェルは柔らかに紡ぐ。
「透き通る水の跳ねる音、溢れる湧き水、流れる清水」
ぽつん、ぽつんと小さな水音がする。ちょろちょろと優しくあふれる水の音、そしてそれが――しゃらしゃらと流れていく。
それはこの世界のどこかで生まれた光景だ。
「音が聞こえてきた?」
「……ええ、小さな、音ね」
そう、それはまだ小さな力。けれどその次にとヴェルはまた紡ぐ。
「次は草木」
きらきら光る葉の擦れる音。風にそよぐ緑、揺れる木漏れ日――優しい音が少しずつ、重なっていく。
「ね、取り戻そう」
澱んだ色ばかりの世界にまた花と水の気配がともっていく。
先程まで枯れていたヴェルの足元には緑が生まれていた。それはまだ小さなものだけれども、枯れ果て終わったわけではないのだとわかる。
「さあ、目を開けて」
今度はきっと、花が咲くよとヴェルは導く。
お花……とフェアリーの少女は呟きながらゆっくりとその瞼を開いた。
「君は何色の花が好き?」
花もいろんな色がある、形がある。
「始まりを告げる陽のような赤、優しい絹のような白、悪戯な蜜蜂のような黄色」
春の喜びが地を蔽う――ヴェルが口にした花が彼の足元から広がっていく。
土色から緑を得て、沢山の色が開いていくのだ。
「お花、すごい……!」
あなたの髪の色みたいな優しい赤い色もあるわと彼女は言って。
「私も……あなたみたいにお花を咲かせていたのかな」
ぽつりと零れる声。
ヴェルは、花を咲かせるだけじゃなかったはずだよと紡ぐ。
「さっきの水が花びらを運ぶよ、さっきの風が花びらを運ぶよ」
水の音、風の音が柔らかにその耳へとたどり着く。
一緒に外へ踏み出そうと、ヴェルは手を差し伸べた。
「羽を広げて顔あげて、この美しい世界は君のちから」
君のもの、とヴェルは言う。
君のちからを少し借りただけ。花ももっと咲くはずとヴェルは外へと誘おうとする。
「共に春を、寿いで」
大丈夫、ひとりじゃない。
力を貸す猟兵は沢山いるとヴェルは少女へと向ける。
彼女は差し出された指先にそうっと、触れた。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
仲良しのシャルちゃん(f01440)と一緒に
世界には、こんな魔法もあるんだよ!
といって取り出すのはスマートフォン
写メを見て見せて楽しく撮影
記憶の中の大好きな風景を思い出せなくなることって
気持ちはわかるんだ
でも、
大好きだった
って気持ちまで失わないでいいんじゃないかな
好きになれることだって、たくさんあるんだから!
この世界はこんなにキレイなんだよ
あなただって!
羊羹に驚き、シャルちゃんらしい!といって
にっこりパーティー。めっちょなついなー。
一人でアガれるの!?
いつのまにかオトナになったね!
年の離れた友達の成長にもにっこり
あなたが好きなもののことを教えて?思い出して?
一緒におしゃべりしよ!
アドリブ大歓迎
清川・シャル
f02317すずと一緒に
私が初めてこの世界に来た時、故郷とは全然違う空と空気にドキドキしました。キラキラしてました。
あ、その時の写メあるんですよ。すずも見ます?
ついでに盛り写メ撮りましょう、いきますよ、いえーい!(カメラ目線)
一服でもしましょうよ。袖の中に色々入ってますから。
必殺非常食の羊羹と、お茶セット、新鮮なイチゴもありますよ。
ちっちゃいティーパーティーが出来ますね!
何してても友達と居たら楽しいですよ、まぁ私なら1人でもアガれるんですけど、これは高等技術なので…
気持ちが下がる時って下を向きがちですよね。
春だから芽吹く季節ですよ、土と草のいい匂いで気分上がる季節です!上向いてたいですね!
世界は少し、澱まぬ様を取り戻したのだけれどもフェアリーの少女の心はまだくもりのまま。
そんな彼女の下へコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)と清川・シャル(夢探し鬼・f01440)は足を運ぶ。
洞から顔を出せるようになった彼女へと二人は声をかける。
「世界には、こんな魔法もあるんだよ!」
コイスルが取り出して見せたのはスマートフォンだ。コイスルのそれには写真が沢山入っている。
ここはどんな場所だったのか、ここでの思い出は――それを一つずつ、見せていく。
そしてシャルも、私もと話をする。
「私が初めてこの世界に来た時、故郷とは全然違う空と空気にドキドキしました。キラキラしてました」
あ、とシャルもスマートフォンを取り出す。
「その時の写メあるんですよ。すずも見ます?」
見る見る! とコイスルも一緒にシャルの手元をのぞき込む。
其処に広がる世界は少女が知らぬところもあれば、何だか見たことあるような。そんな場所もある。
世界に綺麗な、きらきら輝く場所があるという事――少女は己の世界を眺めて、こんな場所ばかりじゃないのだと思い出す。
じゃあ、かつてはどんな場所だったのか――それを想い出そうとするけれど、目の前の光景がそれを覆い隠してしまうようだ。
きゅっと泣きそうな表情。
その様を目に、コイスルとシャルは僅かに視線を合わせる。
「ついでに盛り写メ撮りましょう、いきますよ、いえーい!」
「いえーい!」
と、ぱっと自分たちに向けたカメラ。コイスルとシャルは距離縮めて写真をとる。
その表情はとても楽しそうで、少女は瞬きをひとつ。
彼女へとコイスルはそうっと言葉を向ける。
「記憶の中の大好きな風景を思い出せなくなることって、気持ちはわかるんだ」
でも、と小さく区切って。
「大好きだった――って気持ちまで失わないでいいんじゃないかな」
「大好き……」
「そう、大好きだったんだよね?」
問えば、少し考えて。大好きだったと思うと、彼女は自分の気持ちを想い出して。
「好きになれることだって、たくさんあるんだから!」
この世界はこんなにキレイなんだよ、とコイスルは言う。
まだ澱んだ場所もあるけれど、でも――少なくともこの樹の周りは、花が咲いて木があって。
「あなただって!」
水の流れる音、風の音――少しずつ、何かが変わっているのだ。
少女は樹の洞から出ようと心動かされて。けれど一歩がまだ踏み出せないところにいるようだ。
シャルはそれなら、と微笑んで。
「一服でもしましょうよ。袖の中に色々入ってますから」
必殺非常食の羊羹と、お茶セット、新鮮なイチゴもありますよとシャルの袖は魔法の鞄の様に色々なものが入っている。
「羊羹? シャルちゃんらしい!」
「ちっちゃいティーパーティーが出来ますね!」
「にっこりパーティー。めっちょなついなー」
しよしよ、とコイスルは笑み、シャルもあなたもと少女に誘いかける。
「何してても友達と居たら楽しいですよ、まぁ私なら1人でもアガれるんですけど、これは高等技術なので……」
「一人でアガれるの!? いつのまにかオトナになったね!」
ええ、私はオトナですから、なんて笑って返してお茶を淹れましょうと準備しつつ。
「気持ちが下がる時って下を向きがちですよね」
そんな時は楽しく過ごすのが一番。
「春だから芽吹く季節ですよ、土と草のいい匂いで気分上がる季節です!」
ぽこぽことシャルの足元から小さな芽が。コイスルはしゃがんでその先をちょんちょんとつついて。
土と草のいい匂いと、緑の香りが広がっていく。
「上向いてたいですね!」
ふわりと、上向けるように。顔をあげたくなるようなそんな香りもするのだ。
「あなたが好きなもののことを教えて? 思い出して?」
一緒におしゃべりしよ! とコイスルも紡ぐ。
あなた用のカップも、と――そう言えばぽんっと表れて手の中に落ちてきた。それはこの世界を作る少女の力なのだ。
何かを生み出す事ができたのはきっと小さな一歩。
小さなカップに気を付けてお茶を注いで。自分たちの手にもカップを。
あたたかなぬくもりと、楽しい話は――少女を洞から外へと導きだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
逆戟・イサナ
ほぅほぅ
水と花の美しい世界か
海底のクジラが知る景色は
ちぃとばかし違うものかもしれないが
輝く美しい場所が水辺とあらば
オレもひと肌脱ぐとしようかね
底から見上げる水面の花弁は、
降る雪のようだったり
夜空を流れる星のようにも見えたり
…おっと、今回は湖もあるんだったな
其れなら導の花道ってのは如何だろう七色の
赤い道を辿れば赤花の、
橙の道を辿れば陽色な花の咲く先
単純なようでいて虹も渡れるようで
なかなか粋な水と花の世界じゃないかねェ
「ほぅほぅ、水と花の美しい世界か」
逆戟・イサナ(渡し守・f28964)はくるりと視線を巡らせる。
けれどその姿は――今は本来のものではないことも知っていた。
「海底のクジラが知る景色はちぃとばかし違うものかもしれないが」
輝く美しい場所が水辺とあらばオレもひと肌脱ぐとしようかねとイサナも思いめぐらせる。
水辺はイサナにとって落ち着く場所だ。イサナは肉体をもつ悪霊だ。骨鯨の妖怪であるイサナにとって水とは切っても切り離せぬものなのだ。
イサナが思い描く世界――それは水の底からの世界だ。
其処から見上げる水面の花弁は、降る雪のようだったり。
夜空を流れる星のようにも見えたり、と思い描いてふと気づく。
「……おっと、今回は湖もあるんだったな」
其れなら導の花道ってのは如何だろう、と傍らの水面へと視線を向ける。
濁っていた色はきらめきを取り戻して花弁がふわりと水中で踊る。
そして、イサナの想う導の花道は七色を纏うものだ。
その花の色の導く先はどれも違う世界だろう。
赤い道を辿れば赤花の、橙の道を辿れば陽色な花の咲く先。
きっとどの行く先でも花は可憐に咲き誇り、ひらひらはらはらと踊っているのだろう。
単純なようでいて虹も渡れるようで――描いた世界に向かってイサナは笑み向ける。
「なかなか粋な水と花の世界じゃないかねェ」
こんな世界がもっともっと広がっていくならきっと淀みも晴れていくだろう。
その為に、水の中の世界を少しずつ取り戻す手伝いを。
イサナは一歩ごとに、水の中に鮮やかな花の道を生み出していく。
大成功
🔵🔵🔵
豊水・晶
水は透き通り、水葵の花が水面下で揺蕩う。空は蒼く晴れ渡り、陽の光りを浴びて水面は水晶のように輝き、岸では多様な花が咲き乱れ、花吹雪によって舞台が彩られる。
舞いましょう舞いましょう、美しい世界で。
舞いましょう舞いましょうあなたの世界で。
あなたの世界は美しくそして楽しい場所です。どうか思い出してください、この世界のあるべき姿を。
フェアリーの少女の世界は、今目の前に広がる世界とは違うのだろう。
豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)も彼女の世界を助けるためにここに赴いた。
水は、澱んでいる。
けれど晶が思い描けば、それは変わっていくのだ。
水は透き通り、水葵の花が水面下で揺蕩う。
そう思えば、きらきらと輝きを取り戻していく水。その水面下で揺蕩う色を見つけて晶は瞳細めた。
水が輝き取り戻せば、と晶は視線を上へ。
「空は蒼く晴れ渡り、陽の光りを浴びて水面は水晶のように輝き、岸では」
と、晶の視線は岸部へと向けられた。
空が晴れる。陽の光が注がれて、水面は水晶のようにきらきらと輝いた。
空と水とが美しく輝いて。次は――何も色のない地面。
そこに多様な花が咲いていく。
咲き乱れていく。その、花開いた花弁はふわりと踊って。
花吹雪によって舞台が彩られると、晶は微笑んだ。
「舞いましょう舞いましょう、美しい世界で」
舞いましょう舞いましょうあなたの世界で――晶は紡ぐ。
見えているだろうか。この舞い踊る姿を、フェアリーの少女に見えているだろうか。
あなたの世界は美しくそして楽しい場所です、とその想いを込めて晶は舞い踊る。
「どうか思い出してください、この世界のあるべき姿を」
その言葉は風にのって少女の耳へと届いただろうか。
言葉は届かずとも、晶の紡いだものは世界を変えて、少女のもとへきっとたどり着く。
大成功
🔵🔵🔵
ルーシー・ブルーベル
【月光】
フェアリーさんの大世界がこんな悲しいことに
でもオブリビオンのせいであって、
あなたの心にはキレイな世界が残っているハズだわ
ええ、ゆぇパパ
思い出すお手伝いをしましょう
お絵かき!いいわね
絵にすればもっとイメージが広がっていくはず
画用紙とクレヨンを用意して、
パパが聞いて下さった世界をルーシーも描いていくわ
真っ青なお空
ピカピカ太陽
それと
ツヤツヤのブルーベリー畑でしょ
たくさんのヒマワリ畑でしょ
黒くてフワフワのヒナさんと、
蒼いウサギさんがキレイな湖の近くで住んでいて
毎日笑顔なの!
あっ、ルーシーのイメージも足しちゃった
で、でもいいよね
ねえパパは何を足したい?
それいい!
みんな、とびきりの笑顔にしましょう
朧・ユェー
【月光】
小さな女の子
この子の世界が悲しい世界になってしまったんだね
それもこの子が想えば想うほど
ルーシーちゃん、この子の大切な世界を思い出させてあげようね
ねぇ、教えて君の大切な世界はどんなだったのかい?
ベラーターノ瞳で過去を観る
彼女の言葉と瞳に映る光景を彼女に思い出してもらう為に
ルーシーちゃん一緒にお絵描きしましょうか
彼女の大切な大好きな世界をそのまま絵にして
こんな感じの雰囲気かな?と彼女に見せる
ルーシーちゃんはどうかな?
おや?それは僕達の世界も一緒なのですねぇ
とても素敵な絵です。
足すもの?そうですねぇ
彼女さんと仲間達の妖精さん。ルーシーちゃんと僕も一緒だと楽しいですねぇ
つないだ手。その指先をルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)はきゅっと握りこんだ。
それは足を運んだ世界が――色を失って。少し、取り戻せはしたもののまだまだ寂しい姿であるからだ。
「フェアリーさんの大世界がこんな悲しいことに」
しゅんとするルーシーの、その指先を優しく握り返して朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)は、ああと零す。
樹の洞からは出てきたけれどどうしたらいいのかと惑いの中にまだあるフェアリーの少女の姿をみつけて。
「小さな女の子」
この子の世界が悲しい世界になってしまったんだね、とユェーは視線向ける。
それもこの子が想えば想うほど――わからなくなってしまうのだろう。
そしてルーシーも少女の姿を見つけてぱちりと瞬く。
「でもオブリビオンのせいであって、あなたの心にはキレイな世界が残っているハズだわ」
大丈夫というように向けられる言葉。
そしてぱっと、ルーシーはユェーを振り仰いだ。
同時にユェーもルーシーへと柔らかに視線を向けて笑み零す。
「ルーシーちゃん、この子の大切な世界を思い出させてあげようね」
「ええ、ゆぇパパ。思い出すお手伝いをしましょう」
その為に何ができるだろうか。
それは沢山あるはずだ。新たにこの世界をかたどるのを手伝ってもいい。
けれどユェーは過去を見る瞳を持っていた。ベラーターノ瞳――その瞳が世界を映す。その過去も、未来も。
「ねぇ、教えて君の大切な世界はどんなだったのかい?」
その瞳で見る世界――花々が咲いて光が溢れる。楽しそうな声が響いている――彼女が気に入っていた樹には蔦が絡んで、それがブランコを作っていたようだ。
その暖かな、幸せな様にユェーの眦に笑みが滲んでいく。
そしてこれを伝えるのはきっとこの方法がいい。
「ルーシーちゃん一緒にお絵描きしましょうか」
「お絵かき! いいわね」
絵にすればもっとイメージが広がっていくはず、とルーシーは画用紙とクレヨンを取り出した。
ルーシーが描くその世界はあたたかさにも満ちているはず。楽しそうな雰囲気を伝えることはルーシーの方がきっと上手。
ユェーはどんな世界だったのかをルーシーにも伝える。
その様子を少女はじぃと見詰めていた。
ユェーは己がみた世界を。少女の大切な、大好きな世界をそのまま絵にしていく。
「こんな感じの雰囲気かな?」
鮮やかな色。そして樹にブランコが掛かっていて楽しそうな様子。
少女はこくこくと頷いていた。
「ルーシーちゃんはどうかな?」
そしてルーシーの描く絵をユェーと少女はのぞき込む。
真っ青なお空、ピカピカ太陽――その絵を見詰めて少女は瞬く。
そう、そんな世界だった気がする。
そう思うと、世界が開けていくように変わっていく。
「ツヤツヤのブルーベリー畑でしょ、たくさんのヒマワリ畑でしょ」
と、ルーシーはさらに描きこんでいた。
黒くてフワフワのヒナさんと、蒼いウサギさんがキレイな湖の近くで住んでいてとふふと笑い零しながら画用紙一杯に描いて。
「毎日笑顔なの!」
そう言った彼女も満面の笑みだ。
「おや? それは僕達の世界も一緒なのですねぇ」
「あっ、ルーシーのイメージも足しちゃった」
で、でもいいよねとそうっとうかがうような視線を向ける。ユェーはもちろんと頷いて、とても素敵な絵ですと紡いだ。
「ねえパパは何を足したい?」
「足すもの? そうですねぇ」
思い描いたものは、考える前から思いついていた。
けれどちょっともったいぶってみたのはルーシーがわくわくといった表情で待っているから。
「彼女さんと仲間達の妖精さん。ルーシーちゃんと僕も一緒だと楽しいですねぇ」
「それいい!」
みんな、とびきりの笑顔にしましょうと描くルーシーが一番の笑顔で。
そして少女も、楽しいと硬い表情が崩れていく。
樹の洞に蹲っていた少女は、猟兵達の力を借りて、かつてのこの世界の姿を。そして楽しく笑っていた彼女自身の事も思い出そうとしていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
尭海・有珠
レイリ(f14253)と
思えば、その通りに世界が形を成すのなら
私が、望む世界を。
足を沈めれば、その爪先まではっきりと見える程、透き通った水面がある
そう言いながら、レイリの手を取って、生まれた水の中に足を沈める
底に足を下ろしても、水が濁ることさえなくて
冷たくて、さらさらとした水が心地好くてどこまでも沈んで行きたいくらい
清涼な水が湧く処なら、空気だって同様だろう
深く息を吸えば、花が香る
プルメリアだと思ったけれど、言われてみれば華やかな甘い香りもするな
静かだけど光と色彩は賑やかで引きこまれる
その身ごと水の中に沈めようとするけれど
腕を引かれて意識が戻る
大丈夫、泳ぎたかっただけ――嘯いて私は笑うんだ
雨煤・レイリ
有珠ちゃん(f06286)と
素敵な想像をして、それを糧にして貰えるっていうのは嬉しいね
水中へ踏み出して、有珠ちゃんに手を差し出す
体感もした方が、楽しさもより伝わるかなって
肌を撫でる位のさらりとした風に
咲き乱れた花々が、雨の様に花弁を降らせる
水中から浮かび上がる様に咲くのは、きっと薔薇
空いた手を伸ばす先にある髪飾りと同じ様な淡い桃色の薔薇が
綻んで甘く華やかに香るんじゃないかな
気づけば深くなる水の中へどんどん進んでいく有珠ちゃんの
繋いだ手を強く引く
それ以上はダメだよ
――水が、気持ち良いもんね
笑顔を被る彼女に、分かるよと俺も困り笑いを返すけど
時たま、消えそうな姿を見せるのはいつだって心臓に悪いんだよ
世界は少しずつ明るく、そして美しく変わっていく。
大きな湖。その色は澄み、淀みや濁りは追いやられている。草木や花々も在り様を想い出したかのようにその色を、姿を見せ始めていた。
けれどまだ水底は――暗く澱んでいるのだろう。
尭海・有珠(殲蒼・f06286)は足を止めて、思う。
思えば、その通りに世界が形を成すのなら――
「私が、望む世界を」
小さく紡いで、視線向けた先。
冷たい水、その感覚が冴えていくが悪い気はしない。
爪先まではっきりと見える程、透き通った水面がそこにはあった。一歩歩めばぱしゃりと楽し気に水音が躍る。
雨煤・レイリ(花綻・f14253)はその足元に視線向け、様変わりした様に笑み零していた。
「素敵な想像をして、それを糧にして貰えるっていうのは嬉しいね」
先に水中へと踏み出したレイリは有珠へと手を差し伸べた。
その手へと瞬き向けた有珠へとレイリは笑いかける。
「体感もした方が、楽しさもより伝わるかなって」
そのレイリの手を取って、生まれた水の中に足を沈めていく。
底に足を下ろしても、水が濁ることさえなくて綺麗なまま。
しゃららとうたうように水が生まれて流れていく。
どう、と視線で問うレイリに有珠は言葉をもって返す。
「冷たくて、さらさらとした水が心地好くてどこまでも沈んで行きたいくらい」
こんな気持ちの良い、清涼な水が湧く処なら、空気だって同様だろう。
すぅ、と心地よい空気。
深く息を吸えば――花が香る。
その香りを運んでくるのは、風だ。一体その香をどこから運んできているのだろうかと有珠は視線を巡らせる、
その肌を撫でるくらいのさらりとした風に気づいて、レイリも思う。
咲き乱れた花々が、雨の様に花弁を降らせる――水中から浮かび上がる様に咲くのは、きっと薔薇だろうか。
その薔薇は――そう、これときっと同じだろう。
そうと、レイリが触れたのは己の髪に飾られた薔薇。その薔薇の持つ淡い桃色が水中から生まれて、花開いて。
そして水上に顔を出して。
「綻んで甘く華やかに香るんじゃないかな」
これはきっと、その花の香り。
「プルメリアだと思ったけれど、言われてみれば華やかな甘い香りもするな」
ふわりと、鼻の先を撫でていく香りに有珠は瞳細めて、誘われるように歩む。
ぱしゃりと水の跳ねる音が耳を擽って、一歩進めば少しずつ深くなっていくような。
静かだけれども、光と色彩は賑やかになっていく。
引きこまれてしまう、誘われてしまう。
有珠は光の優しい眩しさに瞳細め、水の色に、その中に浮かぶ花の色に導かれるようにまた一歩、進もうとして――
「それ以上はダメだよ」
強く、手を引かれて水の中に向かうのを引き留められた。
その身ごと、水の中に沈めようとしていたところ、レイリに意識ごとどこか行ってしまっていたのを連れ戻されて。
「大丈夫、泳ぎたかっただけ――」
「――水が、気持ち良いもんね」
嘯いて、有珠は笑う。
分かるよとレイリも困り笑いを返して。
その言葉の下の気持ちを察してそれでも、気づかぬようにしているだけか。
けれどこんな風に、時たま、消えそうな姿を見せる。
それは、いつだって心臓に悪いんだよと言葉にはせず、レイリは笑みにのせて伝えて。
有珠はやんわりと微笑んで、言葉は返さず。
澄んだ水、その中にあふれる色を今度は追いかけていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
筧・清史郎
淀んだ水と枯れ落ちた花、か
俺は桜模様の箱であるし、水の加護を受けた箱だ
なので放っては置けないな
UCでさめさめ達喚び、乗れる大きさに変じたさめさめの背に
フェアリーにも楽しく思って貰うべく
自由に狐達を遊ばせながら、彩りと輝きを取り戻そうか
そういえば先日、しゃらんら~と詠唱し世界に彩を与えたな
扇広げ、桜花弁きらきらひらり舞わせながら
しゃらんら~と空翔け、降らせた春の彩で世界を満たそう
桜の翼を得たさめさめ達が水面に蒼き炎を投じ咲かせれば
水も浄化されて輝きを取り戻し
翼から舞う桜花弁が美しい花筏となるだろう
水辺の木には、清らかなる水を花弁と共にはらり降らせて
この世界は美しい、そうフェアリーに教えてあげよう
「淀んだ水と枯れ落ちた花、か」
筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)が足を運んだ場所はまだ生気を取り戻せぬ場所だ。
この地にすんだ美しい水を、そして花の彩を――清史郎はふと笑み零す。
清史郎は桜模様を纏う硯箱だ。そして水の加護を受けた箱でもある。
だからか、淀んだ水と枯れ落ちた花の世界は放ってはおけないものがあった。
「灯り咲け、蒼狐――さめさめ」
狐の使い魔・氷雨を呼ぶ。遊んでくるといいと伝えれば、数匹は連れ立って歩み出す。
枯れたその大地に花を咲かせながら。その様を見ればきっとフェアリーも楽しく思うだろうと。
そしてその場に残っていた氷雨はその身を大きくし、背に清史郎を迎える。
「では、彩りと輝きを取り戻そうか」
とんと大地の上で跳ねるように走る。
猟兵達の力もあって緑を、花の色を。そして澄んだ水の色を取り戻していたがまだ、淀んだ場所もあるようだ。
そういえば、と清史郎は思い出す。
「しゃらんら~と詠唱し世界に彩を与えたな」
それは先日、友と共にした事だ。
ふふと笑み零し、扇広げて桜花弁をきらきらひらりと、舞わせ。清史郎の思いを受け取ったか、桜の翼を得て氷雨は空へとあがる。
「しゃらんら~」
空翔けながら、降らせた春の彩が世界を満たしていく。
そして水辺で氷雨達が蒼き炎を咲かせれば、水の穢れを払い浄化していく。
きらきらと輝く水面にひらりはらりと、羽ばたきと共に桜花弁が舞い落ちる。
美しい花筏を生み出して、水の上を滑るように翔ける。
清史郎と氷雨が向かうのはフェアリーのもとだ。
清らかなる水を花弁と共にはらりと、水辺の木々へと手向けながら。
この世界は美しい。そう、フェアリーの少女に教えるために。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
水と花……今のところ
思いつくのはこれしかないんだが……
これは『楽しい』とは少し異なるか
深い場所まで見通すことの出来る澄んだ水
水底や水面に咲くのは少し緑がかった白い花
海芋や水芭蕉に似た、白い花
いや、実際に白い部分は花じゃないらしい
けど、そんなことは些末だろう
澄んだ水に映える白
楽しい、とは少し異なるかもしれないけれど
大切で愛おしいと思える
俺の記憶のどこかにある風景
幻想のようなもの
幻想ゆえに美しく、儚いもの
彼女の知る水と花の世界とは異なるもの
どんな世界だったのか
聞いてみるのもいいだろうか
思い出せないなら、賑やかな色だったのか
どんな色があったのか、そんな事も手掛かりに
大丈夫、それは取り戻せる世界だから
フェアリーの生み出す世界はどんな世界だったのだろうか。
鈴久名・紡(境界・f27962)はそれを考えてみる。
「水と花……今のところ、思いつくのはこれしかないんだが……」
これは『楽しい』とは少し異なるか、と紡は思い描く。
淀みを忘れていくように。
深い場所まで見通すことの出来る澄んだ水がそこにある。
紡が思えば、近くの水辺の水は澄み渡る。
その水面に紡が思うのは、花だ。
水底や水面に咲くのは少し緑がかった白い花。それがいくつか、ぽつぽつと生まれて咲いていく。
海芋や水芭蕉に似た、白い花――と思ったけれど。
実際に白い部分は花じゃないという。
けれど、そんなことは些末なこと。
澄んだ水に映える白。
その光景は美しいと、その心に語りかけるものはある。
「楽しい、とは少し異なるかもしれないけれど」
大切で愛おしいと思える――それは紡の記憶の、どこかにある風景だった。
これは幻想のようなもの。
幻想ゆえに美しく、儚いもの。
この世界の主であるフェアリー。彼女の知る水と花の世界とは異なるものだということは紡もわかっている。
では、彼女の世界はいったいどんな世界だったのだろうかと、思い馳せて。
「聞いてみるのもいいだろうか」
思い出せないなら、賑やかな色だったのか。どんな色があったのか、そんな事も手掛かりに聞いてみるのも良い。
言葉重ねればそのうちに思い出すこともあるだろうから。
淀み、枯れていた世界は――色を取り戻している。
だから紡はこう告げることができると確信していた。
大丈夫、それは取り戻せる世界だからと。
フェアリーの少女の思い描く世界は、過去と同じでなくともきっと新たな、素敵な世界がやってくる。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『水の大蛇』
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POW : 水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD : 口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ : 身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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きらきらと、世界は輝いていた――
「ああ、そう、こんな。ううん、今までよりももっと素敵!」
猟兵達がフェアリーの少女に見せた世界。少女は嘗ての世界を完全に思い出したわけではないのかもしれない。
けれど彩られた世界が美しいことは間違いなく彼女の心を楽しいものにさせていく。
ありがとうと笑って、次はどんな花が咲くかしらと水辺をのぞきこむ。
しかし花が咲くのではなく。ばしゃりと大きな水音たててその姿を現したのは水の大蛇だ。
それはこの世界を歪め少女から力を奪おうとしていたもの。世界が美しく、清らかになりこのままでは思惑を達成できぬと現れたのだ。
邪魔をするものたちを排するために現れた水の大蛇――その姿に少女は小さな叫び声あげ、自分が一番安全と思う樹の洞へと隠れてしまう。
しかし恐ろしい事は何もない。
だってここには猟兵達がいるのだから。
黒城・魅夜
妖精さん、私はダンピール、ゆえに本来は水が苦手なのですが
きっと本当のあなたの世界の美しい水ならば
楽しめると思います
すぐに取り戻してあげますから、あとで一緒に遊びましょうね
ふふ、猟書家のなり損ないよ
苦手な水属性とはいえども
あなた程度の小物を相手に後れを取るほどではありません
「早業」で鎖を舞わせ「衝撃波」を発生させて水弾を迎撃
水弾と衝撃波がぶつかって舞い上がった霧を利用し
「闇に紛れる」ように姿を隠します
霧の中に「オーラ」を使った無数の「残像」を投影して敵の誤射を「誘惑」
その隙をついて接近しこの牙の一撃をお見舞いしましょう
因果と時空ごと消え失せなさい
ふふ、文字通りあなたもその目的も水泡に帰すのです
樹の洞へと隠れてしまった少女。
その樹へとそっと、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は触れて。
「妖精さん、私はダンピール、ゆえに本来は水が苦手なのですが」
きっと本当のあなたの世界の美しい水ならば、と魅夜は紡ぐ。
あなたの世界の美しい水ならば――楽しめると思います、と笑みと共に紡ぐ。
「すぐに取り戻してあげますから、あとで一緒に遊びましょうね」
魅夜は言葉向けて、敵たる水の大蛇へと視線を向ける。
それは美しい世界を奪って力としようとしたもの。
頭を持ち上げ、大きな動きで威嚇をしているが、魅夜にとっては恐れるものではなかった。
「ふふ、猟書家のなり損ないよ」
苦手な水属性のものではあるけれど――
「あなた程度の小物を相手に後れを取るほどではありません」
しゃらりと音をもって舞うのは「悪夢」の中で魅夜自身を拘束していた、先端に鈎の付いた鎖。
それを躍らせれば、大蛇の意識が魅夜へと向けられた。
大蛇は己の周りに水を躍らせる。それはまるで鎖に対抗するかのように。
そしてその水はいくつかに別れ、魅夜へと向かって放たれた。
飛沫と共に向けられた水弾だったが、鎖を舞わせて衝撃波を生み出し魅夜は全てを打ち砕く。
水弾が散って広がれば――それは霧のようにぶわりと広がった。
その中へ、闇に紛れるように魅夜は溶け込んで姿を消す。
そして霧の中にオーラ纏った残像を投影すれば、大蛇はそれを狙って水弾を再び放っていた。
しかしどれも魅夜ではない。姿を通り過ぎて、水弾は地面にぶつかってばしゃりと跳ねて消えていく。
どこに――大蛇が左右へと大きく首を振ってその姿を探す。
その隙をついて、魅夜は大蛇の後方へと回り込んでいた。
見舞うのは、魅夜の持つ牙の一撃。
「泣き叫べ因果、枯れ果てよ縁、消を超え滅を超え我が牙よ絶となれ」
因果と時空ごと消え失せなさいと放つ一撃に大蛇の身の一部が爆ぜて消えた。
ふふ、と魅夜の口端には笑みが綻ぶ。
「文字通りあなたもその目的も水泡に帰すのです」
爆ぜて消えたその部分を補うためか、大蛇の身が少し小さくなったような気がする。
攻撃を重ねていけば、その身も消えていくのでしょうと魅夜は次の一手をふるった。
大成功
🔵🔵🔵
豊水・晶
ようやく姿を現しましたね。
妖精さんの美しい世界を汚したこと。そして妖精さん自身の命を危険にさらしたこと。その他色々考慮しても、貴方を野放しにするという選択肢は存在しませんので、ここで骸の海に帰っていただきます。
オブリビオン死すべし慈悲はない!
かわいいかわいい妖精を狙ったこと、後悔させて差し上げますので大人しく首を置いていきなさい。
指定UC発動。神罰、破魔ものせて攻撃します。
アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。
水の大蛇の身がうねる。
その姿を見つけ、豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)は追いかけた。
その前に回り込み、行く手を防げば大蛇の赤い瞳は晶を射抜くように向けられる。
しかしそれに気おされる晶ではなかった。
「ようやく姿を現しましたね」
晶は、あなたには言いたいことがあります、と大蛇へとぴしゃりと言ってのける。
「妖精さんの美しい世界を汚したこと。そして妖精さん自身の命を危険にさらしたこと。その他色々考慮しても、貴方を野放しにするという選択肢は存在しませんので、ここで骸の海に帰っていただきます」
そこまで言い切って、すぅと晶は生き吸い込んで。
「オブリビオン死すべし慈悲はない!」
向けられた言葉の意味は、理解しているのだろう。
大蛇はばしゃりと、水の中に半身を置きその水を吸い上げ肥大化する。
しかし、晶はそんなことをしても意味はないと思うのだ。
「かわいいかわいい妖精を狙ったこと、後悔させて差し上げますので大人しく首を置いていきなさい」
八大竜王が持っていたとされる宝珠。晶はそれを大蛇の方へと差し向けた。
宝珠の秘めた力は絶大なもの。
「天におられる竜王よ。われらが敵を滅されますよう願い奉る」
あの大蛇に、神罰を、破魔の力を――晶の差し向けた力が大蛇へと落ちる。
誰かと戦い、身を削られたのだろう。その身を補うように周囲の水を吸い上げ自身を再生したようだが、天から落ちる雷は――その水の体に対してよく効く。
雷がその身を貫くように走り抜けるとともに、その身の一部は大きくはねて、砕け散る。
すると、その身は見上げるばかりの、今も見上げる大きさではあるのだがひとまわり、いや二回りほど小さくなっていた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェル・ラルフ
成る程、美しい水に直接働きかけていたのは水のからだをもつものだったんだね
お前はこの美しい世界の住民じゃないな
ご退場願おう
液体ならば刃物は不利だろうから
武器は出さずにその身一つでもって、陽動と消耗を狙う
残像を残すほどの早業でもって敵を翻弄
相手の動きは見切りながらナイフで己のてのひらを切りつけて【紅血変転】
──這いずる紅赤、身を焦がせ
高温の炎の大蛇に変えて水の体を削りながら陽動する
この半身に流れる忌まわしい血も、役に立つことはあるんだね
封印を大きく解くことになるから疲弊は免れない
他の猟兵の邪魔になる前に大きく跳躍して身を引き、少女が逃げ込んだ樹の防御に転じよう
★アドリブ・連携歓迎
もっと容易く、この世界を汚し、そして力を手に入れるはずだったのだろう。
攻撃を受け、身を削られた水の大蛇が近場の水場へと飛び込んだのは避難だったのだろう。
しかし、その様をヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は瞳に捉えていたのだ。
「成る程、美しい水に直接働きかけていたのは水のからだをもつものだったんだね」
水辺にヴェルが近づけば、大蛇は首を持ち上げて威嚇するように水をうならせた。
けれど、ヴェルは静かに大蛇を見詰め唇開く。
「お前はこの美しい世界の住民じゃないな」
ご退場願おうと告げる。
まっすぐに射抜く瞳に対するためか、自ら這い出てヴェルの周りをぐるりと囲むように動く大蛇。
その身は水のうねりだ。その身に刃物は突きたてられぬのだろう。
ふたふりの短剣はある。しかしそれがあの大蛇に対して有効かといえばそうはいえないだろう。
そも、武器というものを向けることが不利になる気がする。
ヴェルはその身一つで、大蛇と向かいあうことにした。
陽動と消耗を狙ってその視界に残像残すほどの早業でもって動く。
その動きを追うべく大蛇も首を大きく右へ左へと動かすが、どれも影だ。
大蛇は自分の位置を図り切れてはいないということはわかる。
苛ついたように水弾をいくつも生み出し、散らばすように大蛇は攻撃を仕掛けてきた。
それを躱しながらふぇるはナイフで己のてのひらを切りつけた。
滲む紅い血の色を琥珀の瞳でとらえて。
「──這いずる紅赤、身を焦がせ」
ヴェルの体内を巡っている炎が傷口から噴出する。それは高温の炎であり大蛇の姿をとり水の大蛇へと絡みつくように動く。
じゅわりと音たてて、熱と水が交わって削り合って消えていく。
確実に水の大蛇の身を削っているのは目に見えて明らかだった。
「この半身に流れる忌まわしい血も、役に立つことはあるんだね」
けれど――代償はある。
吸血鬼の血の封印を大きく解いたのだ。ヴェルの疲弊は免れない。
体が鈍く、重くなってくる感覚。
しかしここにいるのは自分だけでなく、他にも猟兵たちがいるのだ。
皆の邪魔になってしまう前にヴェルは大きく跳躍して身を引く。
少女が逃げ込んだ樹の傍らに来たのはもしもの時に対するため。
けれど僅かに、口端に笑みが乗る。きっとそんな時は来ないだろうと。
ヴェルの生み出した炎の大蛇が消える。そこに残っているのは水の大蛇だが――それは力奪われ小さくなっていた。
大成功
🔵🔵🔵
清川・シャル
f02317すずと一緒に
そうだね、思い出せて本当に良かった。
私もこの世界の事は大切に思っています。思い出深いしね。
大丈夫です、敵が現れても平和を取り戻すのも私達の役目。生きましょうね。
すず、後ろはお任せするね。
ぐーちゃん零で氷の魔弾を撃ち込みます。全力魔法の弾に氷結化の魔法を乗せて。
撃ち終わり次第、すずのハートの紙片に乗って近接攻撃に切り替えます。ダッシュで走り抜けて。カラフルハート可愛いなあ。
そーちゃんをチェーンソーモードに切り替えての攻撃です。
凍っていれば殴りやすいでしょう?粉砕してあげましょう。
櫻鬼で蹴りも入れてあげましょうか。仕込み刃が唸りますよ。
コイスル・スズリズム
仲良しのシャルちゃん(f01440)と
フェアリーさん、自分の中の世界を思い出せたようで、何よりだよ
彼女たちと、シャルちゃんと過ごしたこの世界が
今のすずにとっても、すっごくキレイで大事なものになったよ
だから、
すずたちがこの世界を守るね
使う武器はドラゴンランス、影の龍
すずは主にシャルちゃんの後ろにたって、サポートする役割
UC「リーディング・ブックス」で属性攻撃を込めて攻撃
同時にシャルちゃんの動きに合わせ、シャルちゃんの足元に
【環境耐性】を込めたカラフルなハート型の紙片の足場を作る
シャルちゃんと戦うのは久しぶりだね
思いっきり遠慮せず
清らかなシャルちゃんが持ってるその力、この世界に放って
アドリブ大歓迎
フェアリーの少女は、水の大蛇を恐れて樹の洞に隠れてしまったけれど。
その隠れた樹に手を添えて、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)は紡ぐ。
「フェアリーさん、自分の中の世界を思い出せたようで、何よりだよ」 その言葉に清川・シャル(夢探し鬼・f01440)は頷いて。
「そうだね、思い出せて本当に良かった」
フェアリーの少女と過ごした時間は短い。
けれどその時間は楽しくて、心に残るものだった。
そんな時間を過ごしたこの世界はコイスルにとって。
「今のすずにとっても、すっごくキレイで大事なものになったよ」
「私もこの世界の事は大切に思っています。思い出深いしね」
シャルはくるりと周囲を見回す。
幾人もの猟兵たちの力で世界は明るく美しく、綺麗な姿を取り戻していた。
けれど今は、それが全てではないけれど曇ってしまったように見える。
「大丈夫です、敵が現れても平和を取り戻すのも私達の役目。生きましょうね」
「すずたちがこの世界を守るね」
シャルとコイスルは少女へと言葉向ける。
そうっと樹の洞から顔をだした少女はこくりと頷いた。一緒に戦うことは、怖くてできないけれども。
あの怖い大きな、水の大蛇を払うことはきっとできるのだと。
二人が視線を向けた大蛇は、大きく長い身をくねらせている。
シャルとコイスル、ふたりをぎゅるっと囲んで締め上げられそうな大きさをまだ保っていた。
「すず、後ろはお任せするね」
シャルが告げるとコイスルは任せてと頷く。
シャルが構えるのはイカしたピンク色。12連装式グレラン&30弾アサルトだ。
銃口が向けられたのを目にした大蛇は攻撃される前にと水弾をいくつも放ってくる。
シャルはそれをかわして、そしてどうにか受け切って。
「お返し!」
氷の魔弾を撃ち込んだ。その弾は全力で魔法の力をもって紡いだもの。氷結化の魔法は水の体に当たると同時に凍てつかせ固めていく。
凍ればその場に身を縫い留められたかのようだ。
そこへコイスルも踏み込む。その手にあるのはドラゴンランス。影の龍の、その槍の姿をもって氷の部分を貫くように攻撃を繰り出した。
凍った部分は堅い。しかし壊せぬものではないと僅かに砕け、そして生まれた亀裂が言っている。
それと同時に、ひらりとコイスルの服の袖から破かれた小冊の紙片が躍る。
その上をシャルが駆ける様に乗って、大蛇へと距離を詰めるのだ。
カラフルなハートの紙片。水の上に道作る様にそれは広がっていた。
「カラフルハート可愛いなあ」
ありがと、とシャルはコイスルへと一瞬視線向ける。その視線にコイスルは笑み浮かべて応えるのだ。
「シャルちゃんと戦うのは久しぶりだね」
思いっきり遠慮せず、とコイスルは後ろから言葉向ける。
この上を走る事は心も楽しくなってくる。けれど今は遊んでいられる時間ではなくて、シャルは桜色の鬼の金棒を手に。
しかしそれはただの金棒ではなく、チェーンソーとしても動ける金棒。
「凍っていれば殴りやすいでしょう? 粉砕してあげましょう」
その身全てが凍り付いているわけではないけれど、水の体で凍った部分は重そうだ。そしてコイスルが作ったその傷、その場所をシャルの瞳はとらえていた。
水の大蛇は周囲の水を吸い上げて、その身に力を蓄えようとするが凍っている場所からは上手くいかない様子。
「清らかなシャルちゃんが持ってるその力、この世界に放って」
任せて、と背中でコイスルに応えてシャルは回転する棘をもって振りぬいた。
鈍くて硬い。その手に重い感触を感じながらシャルは氷の身を砕いて、もう一撃いれられそうと身をひねってその態勢をつくりあげる。
ピンクの鼻緒の厚底高下駄履いた足を振り上げて。
「仕込み刃が唸りますよ」
繰り出した一蹴が水の大蛇の氷をまた削り砕く。
凍らされた部分を捨てるように、一度ばしゃりとその身を水へと変えて、再び大蛇の形をそれはとる。
しかし、凍った部分は置き去りで、今やその身は――人と変わらぬほどの大きさとなっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鈴久名・紡
……水の蛇か
そうか、蛇か……
尤も、蛇であれなんであれ
猟書家の思惑を許容する理由にはならないから、ご退場願おう
かりそめの記録使用
葬焔を弓に禮火を矢に変化させて敵へと先制攻撃の射撃
当てる部位は問わず、当てやすい場所を狙っていく
初撃を当てさえすればどうにでもなるから
記録した攻撃タイミングは回避に応用
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御使用
以降の攻撃には生命力吸収を乗せて
攻撃タイミングを読めるようになったら
禮火の氷結能力も属性攻撃に転化して使用していく
水は凍る
凍れば砕く事も容易になる
既にダメージがある場所がある場合は其処を部位破壊で狙い
ない場合は、ダメージ箇所を作る形で攻撃
砕けて、還れ
猟兵たちからの攻撃を受け、どうにか身を削りながらもまだ抗うか、この場から逃げるか――水の大蛇は思考を巡らせていた。
「……水の蛇か」
その姿を鈴久名・紡(境界・f27962)は見つめ、ほとりと落とす。
「そうか、蛇か……尤も、蛇であれなんであれ」
猟書家の思惑を許容する理由にはならないから、ご退場願おう――言って、紡が見せるのは狙い済ませた視線。
黄泉路を示す熱のない焔を宿した漆黒の鬼棍棒、葬焔の形が変わる。紡の思う形は――弓だ。
そしてそれに番える矢は、禮火だ。
狙う部位は、どこでもいい。
初撃を当てさえすればどうにでもなるのだから。
番えた矢、それを放つ一瞬がある。
「暫くは覚えておくよ」
当てやすい場所、それは胴体だろうか。紡の一矢が大蛇の身を貫いた。
しかし水の体はぬるりとそれを通り過ぎるように逃げていく。だが、無事に見えても痛みはあるようだ。
大蛇は紡の視線にとらわれぬようにその身を大きく揺らして移動しながら水の弾丸をいくつも放ってくる。
その弾丸を、先ほどの攻撃のタイミングを回避へと応用して見切る。
残像を追いかけるように放たれる弾丸だが、どれも本体ではない。
しかし爆ぜるように向けられる水は紡を掠めてもいく。傷を負うなら、その生命を逆に吸い取るように次の攻撃を仕掛ければいいだけだ。
禮火に、氷結能力ものせて貫けば、その尾を凍てつかせ動きを留めた。
水は凍る。凍れば砕く事も容易になるのだ。凍り付いたその場所に向けて紡は矢を向ける。
「砕けて、還れ」
凍ったその身に向けて放たれた矢がその体の一部を砕いて大蛇の力を削ぐ。
大蛇は己の身が削られていくことに恐怖を覚えていた。フェアリーの力を奪うつもりが己の力が奪われている。
このままでは命尽きてしまう――大蛇は水弾を撒いて紡の前から消えるように姿を眩ました。
大成功
🔵🔵🔵
ミリアリア・アーデルハイム
「氷獄に現の花が咲くならば…」詠唱しつつ
「屏氷万里鏡」を展開し、敵の弱点を探る。
私の周囲に、しゃらりと蒼い氷の花が舞い始める
故郷を心に描いて…吹雪のように渦巻いて!
「咲け!」
氷花が水の蛇に向かって飛んで行く
ねぇ、大丈夫ですよ。
私の魔法を見せてあげる。
この花のまほろばにこそ相応しい。
その身はもっと大きかったのだろう。
しかし猟兵たちからの攻撃を受け、水の大蛇は弱り始めていた。
液体の体でするりと、すべての上を駆け抜けるように進んで――逃げ足は速い。
けれど、その姿をミリアリア・アーデルハイム(かけだし神姫・f32606)はすでにとらえていたのだ。
「氷獄に現の花が咲くならば」
無数の氷の欠片があらゆる角度の景色を映し、見えざるものの存在を暴くという屏氷万里鏡をミリアリアは展開する。
それに何が映るのか。敵の弱点となるところを探れたらいいと思って。
見た目の通り、水の体はするすると形を自由に変えていく。そして水辺があればそれを吸い上げて体を大きくさせていた。
しかし、水を取り入れてもすでにかさましであり大蛇自身の力が回復しているわけではなさそうだ。
「柵木に花を告うものか……」
しゃらりと、蒼い氷の花がミリアリアの周囲を舞い始める。。
ひらりはらりと踊る花。ミリアリアは己の心のうちに故郷を描いて。
(「……吹雪のように渦巻いて!」)
その動きを、光景を現実へと映し出すように。
「咲け!」
氷花が咲き初める。大蛇へと向かって、花開いて包み込むように。
その光景は美しいものだった。
ミリアリアは笑みを浮かべる。
「ねぇ、大丈夫ですよ」
また樹の洞へと隠れてしまったフェアリーの少女へと言葉向けて。
「私の魔法を見せてあげる」
この花のまほろばにこそ相応しい――水の大蛇の身に氷花が振れれば、蒼炯の炎が燃え上がる。
大蛇はその炎から逃れるように身をくねらせて地面を這いまわる。
己の身が焼き尽くされるのは嫌だとばかりに、逃げ惑って。
大成功
🔵🔵🔵
ルーシー・ブルーベル
【月光】
フェアリーさんが楽しい気持ちになって下さってよかった
せっかくここまでキレイな世界になったのだもの
ええ、守りましょうね、ゆぇパパ
グールさんのサポートをしましょうか
ララ、出番よ
「変身するお友だち」
例えあなたの身体がすべらかな水で出来ていても
麻痺誘う香りはさけられるかしら
動きを鈍らせて、切りつつけて
グールさん、がんばって
あら、ふふ
パパの事もいつも応援してるわ?
もしその大きな尻尾や牙がパパを襲うようなことがあれば
パパもララに乗って!
空中へ逃げてしまいましょう
絶対に傷つけさせはしないわ
わ、弾けた水が雨みたい
ありがとう、パパ
雨ならきっとお花たちが喜ぶわね
はい、つぎはパパの番よ
身体、屈んでくださいな
朧・ユェー
【月光】
おやおや、せっかく世界が清らかに美しくなったのに
それを邪魔するのはいけない子ですねぇ
妖精さん大丈夫ですよ
世界と妖精さん達を守りましょうねぇ、ルーシーちゃん
水の大蛇ですか
綺麗な水で勿体ないですね
どちらの牙が強いでしょうか?
炎魔
暴走グールの牙が噛み付く
敵の身体の中から地獄の炎の爆破させる
ルーシーちゃんに応援してもらってグール良かったですねぇ
おや?ララちゃんに?
僕が乗っても大丈夫でしょうか?
ふふっ、有り難うねぇ
ルーシーちゃん、ララちゃん
ルーシーちゃんすみません
濡れてしまいましたね
彼女の頭をタオルで拭いて
僕も?有り難うと身体を屈む
世界が彩られていく様を目にして、ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)の心も弾んだ。
フェアリーさんが楽しい気持ちになって下さってよかった、とルーシーは紡ぐ。
けれど、その世界を失わせようとする水の大蛇がまだここにいるのだ。
そしてそれは、ルーシーと朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)の目の前にも現れる。
最初に目にしたときはとても大きな水の大蛇だった。しかし今は、猟兵達からの攻撃を重ねられ、その身を削られて誰かから逃げてきたのだろう。
大蛇は力を求めてか水場に来たところ、ルーシーとユェーへと行き当たった。
「おやおや、せっかく世界が清らかに美しくなったのに、それを邪魔するのはいけない子ですねぇ」
にこりと、微笑んで告げる言葉は優しい響きのようなのに、そうではない。ユェーは樹の洞へと隠れたフェアリーへと微笑んだ。
「妖精さん大丈夫ですよ。世界と妖精さん達を守りましょうねぇ、ルーシーちゃん」
彼女を安心させるように。そして傍らのルーシーとユェーは紡ぐ。
その言葉にこくりとルーシーは頷いた。
「せっかくここまでキレイな世界になったのだもの」
この世界を守りたい。ルーシーはぱっとユェーへと顔向けて。
「ええ、守りましょうね、ゆぇパパ」
ふたりの視線が水の大蛇を射抜く。
前に出たのはユェーだ。
その背中にルーシーを、そしてフェアリーの少女を守る様に。
「水の大蛇ですか、綺麗な水で勿体ないですね」
牙もある、とユェーは瞳細める。そして向ける言葉は。
「どちらの牙が強いでしょうか?」
ユェーの身より暴食グールが大蛇へと向かう。大蛇を追いかけて、噛みついて捕えようとするけれど大蛇も逃げようと必死だ。
ぬるりと逃げて、攻撃をかわそうとする。
その様を見て、ルーシーは自分の出来ることを。
グールさんのサポートをしましょうか、とルーシーはヌイグルミをぎゅっと抱いて。
「ララ、出番よ」
おねがい、飛び立って――その手から飛び出るように変わっていく。
ヌイグルミのララは青花咲く蔦竜へと姿を変えて羽ばたいた。
「例えあなたの身体がすべらかな水で出来ていても、麻痺誘う香りはさけられるかしら」
ふわりと、かすかに広がる香りがある。その香は麻痺を含んだものだ。
大蛇の動きが僅かに鈍っていく。そこへその身刻む花の花弁をララは向ける。
そしてルーシーはぐっと拳握って。
「グールさん、がんばって」
「ルーシーちゃんに応援してもらってグール良かったですねぇ」
その言葉にぱちりとルーシーは瞬いて。
「あら、ふふ。パパの事もいつも応援してるわ?」
笑み零して紡げば今度はユェーも大きく瞬き一つ。
それは知ってること。けれど改めて言葉として受け取ると嬉しいものでもある。
そしてララがもたらす麻痺がきいてきたその時、その牙がとらえた。
その牙がもたらすのは。
「熱いかい? ごめんねぇ。悪魔の様な地獄よ炎を延々に味わって」
地獄の炎だ。噛みついた場所から流し込まれる地獄の炎が大蛇の身の中で爆ぜるように踊り狂う。
苦しいのだろう。暴れて、その大きな尻尾が跳ねる。
その動きはいつユェーに届いてもおかしくない。
「パパもララに乗って!」
その大きな尻尾に牙。それがユェーを傷つけるようなことがあっては悲しいのだから。
空中に逃げてしまいましょうとルーシーは傍らに。
「おや? ララちゃんに?」
僕が乗っても大丈夫でしょうか? と言うユェーの声に大丈夫とルーシーは頷く。
「絶対に傷つけさせはしないわ」
「ふふっ、有り難うねぇ。ルーシーちゃん、ララちゃん」
その背中にユェーも乗って、一緒に空へ。
そして二人の視界の下では地獄の炎は体内で踊る大蛇は苦しんで、そして地獄の炎が爆ぜていく。
途端、その体を作る水が跳ねた。細やかな雫になって落ちてくるそれは、二人へも降り注がれる。
「わ、弾けた水が雨みたい」
「ルーシーちゃんすみません。濡れてしまいましたね」
ユェーは濡れてしまったその髪をタオルで拭いていく。それは優しくてあたたかくて、ちょっとくすぐったいような心地。
「ありがとう、パパ。雨ならきっとお花たちが喜ぶわね」
さぁさぁと小さな音たてて振る雨は優しい。
「はい、つぎはパパの番よ」
身体、屈んでくださいなと紡ぐルーシーに僕も? といって有り難うとユェーは身を屈めた。
今度はルーシーの小さな手がユェーに触れる番。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
筧・清史郎
しゃらんら~と皆で咲かせた新たなる彩り
この世界は美しいと、フェアリーにも告げたからな
再び枯らせ淀ませたりなどさせない
1体に戻ったさめさめを不安がるフェアリーの元へ差し向け
傍で彼女を守りつつ、もふもふ安心させてやってくれ
俺は水龍の加護を受けし桜模様の箱だ
悪しき淀んだ水は祓ってやろう
敵の攻撃はその動きを見切り、深く手負わぬよう確りと回避
避けられぬ場合は水纏わせた刀で受け流そう
闇雲に攻撃はせず、接敵できる機会を窺う
摩擦抵抗を極限まで減らす、か
機を見て接敵すれば、すらりと刀を抜き放ち薄く笑む
至近から桜嵐の連撃を突き刺してやれば、摩擦など関係あるまい
ほら、その悪しきいろを今、桜の刃で美しく彩ってやろう
爆ぜた体。その水をどうにか集わせたのだろう。
水の大蛇はよぼよぼとした動きで地を這っていた。
その姿を筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は赤と青混じる瞳細めて見つけて。
「さめさめ」
ぽん、とその背中叩いて一体に氷雨戻す。
「傍で彼女を守りつつ、もふもふ安心させてやってくれ」
不安がるフェアリーの元へ、と氷雨を少女の下へ向かわせる清史郎。そして己は大蛇の前に立ちゆく手を阻む。
しゃらんら~と皆で咲かせた新たなる彩り。
この世界は美しいと、フェアリーの少女に告げたばかりだ。
再び枯らせ淀ませたりなどさせないと清史郎は思いながら刀を抜く。
「俺は水龍の加護を受けし桜模様の箱だ」
大蛇に、笑みと共に清史郎は言葉向ける。
己は水龍の加護を受けているが、大蛇にはそういったものは内容だ。
それになんとなく感じるものは良いものではない。
「悪しき淀んだ水は祓ってやろう」
水の体を大蛇はうねらせる。この男をどうにかしてかわさなければ、この先はないのだと感じたのだろう。
逃げても敵たる猟兵は多々いるのだ。大蛇は目の前の清史郎をかわすことに注力することにした。
その動きに合わせて清史郎も動く。大蛇が逃げようとするなら先に回り込み、頭持ち上げて威嚇するならば構えてと闇雲に攻撃はせず、接敵できる機会をうかがった。
その身は水でできているが――するりと、周囲を滑っているように見えた。
言葉を落とす。その瞬間、大蛇は大きく体を振って清史郎の脇を抜けようとした。
しかし清史郎は一足、距離を詰めすらりと抜き放った刀と共に薄く笑む。
至近距離だ。
桜花弁を纏って刃が躍る。嵐の如き刀の連撃は突き刺すように水の体へと向けられた。
突き刺すという動きは、摩擦など関係なく。鋭い切っ先は水の体を貫いていく。
口端にふふ、と。
「ほら、その悪しきいろを今、桜の刃で美しく彩ってやろう」
清史郎は綺麗な笑み浮かべて、その表情と裏腹に苛烈な攻撃叩き込む。
水の大蛇の体内で桜花弁が嵐のように暴れまわっていた。
大成功
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尭海・有珠
レイリ(f14253)と
「折角美しい世界になったというのにな」
どう行く?と訊きはするが、既に私は後退済み
後ろから攻撃させてもらう
余剰の冷気で凍らぬかな、と氷の≪憂戚の楔≫を多段に撃ち込む
敵の攻撃は、レイリが全部請け負ってくれると信じているので
回避は基本せず、攻撃に集中
動きの癖が分かっているから、レイリを避けてUCを撃つのに迷いがなくて済む
遊んでたわけではないんだが!
まあ、水を浴びて気持ち良かった事は否定しないが
大蛇からの水はちょっとな
動きが少しずつでも鈍れば、回数を減らし冷気増強に余力を回しUCを撃ち込む
氷の欠片にでもなれば、美しい光景の一部にもなるかもしれんが…
またのんびりしに来たい所だな
雨煤・レイリ
有珠ちゃん(f06286)と
「俺達が守るよ。君も、美しくなったこの世界も」
有珠ちゃんの問いに、いつもの布陣で、と答えて前に出る
僕はひとまずは盾役に徹する
僕達のこと、そんなに邪魔かな?
殴りかかっても手応えは薄そうだけど、≪朱帷≫で強化した上なら
時間稼ぎも多少はできるかなって
朱忌、好きなだけ呑み干して、ほら遠慮しないで
悪食なのが君の良い処だよ
有珠ちゃんに攻撃が行きそうなときは腕を伸ばして盾にする
もう充分水浴びもして満足したよね、そろそろだと思うけど
一部でも凍れば俺でも殴れるかな
叩きつけるように力任せに、拳を振り抜いて砕く
君を怖がらせる者はもういないよ
また怖いことがあったら、いつだって僕達を呼んでね
水の大蛇はのろのろとその身を動かす。どうにか攻撃を逃げ切って己の身を顧みた。
体は、猟兵達の前へ姿を現した時よりも量を減らしていた。そしてこのままでは、絶えてしまうと逃げ道を探す大蛇。
「折角美しい世界になったというのにな」
「俺達が守るよ。君も、美しくなったこの世界も」
尭海・有珠(殲蒼・f06286)がほとりと零した言葉に雨煤・レイリ(花綻・f14253)は答えながらすでに動いていた。
どう行く? と有珠は、訊きはする。訊きはするが、すでに後退して。そしてレイリはいつもの布陣で、と答えてすでに前へ。
盾役として前に立つレイリ。そして有珠は後ろから攻撃をかけるのだ。
有珠は瞳細めて、水の大蛇を見詰める。
余剰の冷気で凍らぬかな、と思って紡ぐ。
「来たれ、世界の滴。凝れよ、奔れ――≪憂戚の楔≫」
魔法の杭が纏うのは、氷だ。
それは水の体に次々と突き刺さる。大蛇は体をくねらせてそれより逃れようとする。しかし冷気は内側からも大蛇を苛んでいく。
大蛇はその杭を己の身に穿つ有珠を狙って、その身を躍らせた。
けれどその前にレイリがいる。そしてレイリが請け負ってくれると有珠は信じているから、大蛇の動きに躊躇いなどなく攻撃に集中できた。
レイリの動きの癖は分かっているから、避けて撃つのに迷いがいらなくて済むからだ。
「僕達のこと、そんなに邪魔かな?」
大蛇がその尾を躍らせて弾こうとしてくる。
その体は、殴りかかっても手応えは薄そうだ。
けれど、とレイリは己の右腕を一瞬見遣る。
「ひとときのみ戒めを解く。塞げ――≪朱帷≫」
花弁の幻影が吹雪く巨腕が、そこに。血液と魔力を代償にしてその右腕は強化される。
この腕ならば、その水の体も捕らえられるだろうか。
平時は爪を朱に彩るのみのそれは、今は巨大な腕としてある。
「朱忌、好きなだけ呑み干して、ほら遠慮しないで」
悪食なのが君の良い処だよとレイリは水の大蛇の体を掴んだ。その体は、水はばしゃりと弾けて散る。
レイリの腕より逃れようと身を捩じり水の大蛇は有珠の方へ――その首伸ばしたけれど、叩き落すようにレイリの右腕は伸ばされた。
「もう充分水浴びもして満足したよね、そろそろだと思うけど」
そう言ってレイリは有珠へと僅かに視線向ける。
「遊んでたわけではないんだが!」
まあ、水を浴びて気持ち良かった事は否定しないが――と、呟き有珠は大蛇を見て瞬き一つ。
「大蛇からの水はちょっとな」
その水は願い下げだと有珠は冷気を杭へと強めて重ねていく。
大蛇の動きは鈍っていた。
猟兵達が今まで重ねてきた攻撃。そして、今ここでさらに追い詰められていく水の大蛇。
レイリはその右腕をぎゅっと握りこむ。一部でも凍れば、殴ることはできる。
そしてその瞬間が訪れる事を感じていたからだ。
有珠が大蛇を示す。その身に向けて振り落とされる冷気纏う杭は、大蛇の身を地面に縫い留めるようにその身を撃ちばきばきと音を立てて凍らせた。
今がその時とレイリは叩きつけるように力任せに拳を振りぬいた。
レイリの拳がとらえた場所は大蛇の喉元だ。
拳に伝わる堅い感触。それが響いて、砕けていく。凍り付いた身にその力が加わって、大蛇の頭は地に落ちた。
水に戻ることもなく、それは粉々に砕けて、きらきらと輝いて散っていく。
「氷の欠片にでもなれば、美しい光景の一部にもなるかもしれんが……」
水の大蛇がその身砕かれて、消えていく。その様を有珠は視線で追っていた。
この世界を、フェアリーの少女を脅かしていたものは消えたのだ。
もう大丈夫? と樹の洞から様子を伺う少女。
「君を怖がらせる者はもういないよ」
レイリはもう外に出ても大丈夫と少女を促す。
「また怖いことがあったら、いつだって僕達を呼んでね」
レイリが微笑みと共に紡ぐと、怖い事がないと来ないの? と少女は返した。
だってここは素敵な場所なんだから、とフェアリーの少女は飛び出して、問いかける。
「そう思わない?」
「またのんびりしに来たい所だな」
有珠は彼女の言葉に頷いて、次に来たときはどうなっているのか楽しみだなと返す。
猟兵達の想いを受けて変わった世界。そしてこれからもフェアリーの少女の心を映す様に変わっていく世界は――輝きと共にある、花と水の世界となるのだろうから。
大成功
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