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フェアリーちゃん、苦しみ悶えて死んで頂戴

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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●嗜虐の悪夢化
 フェアリーランドを悪夢によって変質させれば、その持ち主たるフェアリーは体力を消耗し、やがて死に至る。
「あぁん、間近で見られないのが、本当に残念ねぇ」
 リザ・トレゾアは悪夢化したフェアリーランドの中を徘徊しながら妖艶な呟きを漏らしていた。苦しみの果てに命の灯火が消えていく様を小瓶に封じて眺めれば、この灼熱の洞窟も南国の楽園に違いない。
 後ろ髪を引かれる思いの中、リザは灼熱の洞窟を奥へ奥へと。先にあるであろう宝は輝く鍵だ。宝らしく宝箱にでも入っているのか、それとも岩や地面の中に埋まっているのか。それはまだわからない。
 掘り返すなら槍がある。叩き割るなら杖がある。トラップがあれば魔法で粉砕してやればいい。何が来ようと目的の物さえ見つけてしまえば構わないのだ。
「さっさと見つけて、フェアリーの苦悶を少しでも長く……考えただけで、ゾクゾクしちゃうわぁ」

●アックス&ウィザーズ・8thラウンド
「フェアリーさんが危ないのはいつものことですが、今回の相手はなんかそれ以上に危ない気がします!」
 大きな戦いも終わり、グリモアベースに少しばかり平穏が訪れた頃。ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)はやっぱり猟兵達に事件の概要を説明していた。
「『アックス&ウィザーズ』で起きた『フェアリーランドの悪夢化』の事件ですね! これはかつて『レプ・ス・カム』という猟書家が使っていた手法ですが、彼女の意志を継いだオブリビオンが同じ手法を用いて、やっぱり同じような事件を起こしています!」
 もう耳にタコができるほど聞いた説明かもしれないが、最近はあまり聞かなくなっていたのでおさらいといこう。
「フェアリーランドが悪夢化してしまったフェアリーさんは自分でフェアリーランドを解除することができず、しかも悪夢化のせいで体力を消耗し、やがて死んでしまいます! それを止めるためには、フェアリーランドの中に入って悪夢化を起こしたオブリビオンを倒さなければなりません!」
 オブリビオンを倒せばフェアリーランドは元に戻る。だが、悪夢化したフェアリーランドは当然猟兵達に牙を剥くのだ。
「今回皆さんに向かってもらうフェアリーランドですが、火山内部のような灼熱の洞窟になってます! 熱いです! 湿気もあってとにかく熱いので、どうにかして突破する方法を考えた方がよさそうですね!」
 洞窟を進んでいくと、やがて元凶に追いつくことだろう。
「今回皆さんに倒していただく相手は『リザ・トレゾア』という魔法使いです! 色々な魔法を使ってくるようなので注意してください! 今は一息つきたい時でもありますが、力を合わせて乗り切りましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 他のシナリオフレームも使ってみたいですが、突貫で出すならこれかなあ、って。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『灼熱迷宮の進め』
 兎に角熱いです。溶岩とかも近くを流れているのではないでしょうか。
 熱さ対策がメインになりそうな感じですね。
 洞窟の複雑な構造を考慮していたらそんな描写も挟まるかもしれません。

 第2章:ボス戦『リザ・トレゾア』
 一応熱さには耐性があるボスです。
 ファクターコアについては「こういうの来そうだからこう対処しますー」って感じで言っておくとそんな流れになりそうな気がしますね。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『灼熱迷宮の進め』

POW   :    高温多湿の環境に耐えながら洞窟内を進む

SPD   :    体力が尽きる前に洞窟内を素早く進む

WIZ   :    高温多湿に耐える対策を行い洞窟内を進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

確かに熱い!
だが、今の俺には心強い味方がいるのだ!
洞窟内の無機物を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
【多重詠唱】にて水と風の疑似精霊を同時召喚

結界内の温度を水の疑似精霊の力で冷却、適温へと変化させる
また風の疑似精霊の力で結界内の空気を循環させ快適空間を作り出す

始めてA&Wに来た時には灼熱の地を必死に耐えながら進んだものだけど…疑似精霊達に感謝!

あとは迷宮なんで迷う可能性があり得るかな?
手持ちの羅針盤で方向を確認しながら進むとしよう



●迷宮に涼風を
 熱気もさらさらと肌を撫でていくだけならまだ耐えようがある。しかし湿気を存分に含んだ熱気は濡れたシャツのようにべちゃべちゃ体に貼り付いて、侵入者を蒸していく。
「確かに……熱い!」
 グリモア猟兵の言った通りだ、と鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は得心する。耐えなければ。凌がねば。
 幸い、辺りは一面岩石だらけ。今も地下深くの火山活動が影響してか、迷宮全体が揺れてがらごろと壁が崩れてきている。
 迷宮全体が崩壊はしないだろうが、フェアリーの命というタイムリミットがある。ひりょは辺りの岩石に向けて呼び掛けた。
『場よ変われ!』
 無機物を疑似精霊に。四大元素を作り出すことができるが、ひりょが作り出したのは当然とも言うべき水に、風という二つの疑似精霊。
「まずは……水!」
 疑似精霊が支配する固有結界内に水の力を拡散する。この場において水とは冷気の象徴だ。大気から熱を奪い、適温の雰囲気に変えていく。
 だが、まだじめっとした空気は残る。
「次は、風!」
 そこへ風の疑似精霊の力を使うのだ。風を思い切り流して常に新鮮な空気を結界内に取り込めば、何をするにも快適な空間へと早変わり。これなら迷宮探索の足も捗ることだろう。
 かつて似たような状況に遭遇したが、その時は忍耐力を振りかざして強引に前に進んだ。それを思えば、疑似精霊を使って場に適応できるようになったというのは、確かな成長と言えた。
 そして、事あるごとに世話になっている疑似精霊達へ感謝を。今は有事のため言葉は心の内に留め、羅針盤を取り出す。
 針はふらふらと揺れながら、ゆっくりと一方向を示す。これを頼りに歩いていけば、自分が今進んでいるのか戻っているかもわかりやすい。
「迷う可能性に注意しないとね……さぁ、行こう」
 二体の疑似精霊を従えひりょは進み始める。灼熱迷宮に挑むひりょの表情は真剣味を帯びた中にも爽やかさがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
まったく、悪夢化の方法などと
レプ・ス・カムもつまらぬ置き土産をしてくれたものです
模倣犯が後を絶たないではありませんか
滅びる前にもっとじっくりたっぷり折檻してあげるべきでしたね……

まあ、その分の責め苦は
リザとやらに十分ぶつけさせてもらいましょう
ええ、苦悶を少しでも長く、という考え自体は
私もリザとやらに完全に賛成ですからね
もっとも、苦悶を与える相手はリザ自身ですけれど
ふふ……性格の悪さで負ける気はしませんよ

私のアイテム・呪刻の麗衣は、それ単体でも超高温にも耐えうる魔力を展開しますが
オーラによる結界を張ることでさらに熱気や湿気を遮断しましょう
あとは吸血により時を支配し超加速で駆け抜けるだけです



●同類にて異族なる者
 オブリビオン達の中では、今も脈々と受け継がれているのだろう。
 レプ・ス・カムという一人の猟書家が残した、フェアリーランドの改竄方法。
 それを悪用して、同じような事件が様々なオブリビオンの手によって引き起こされている。黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はその現状に辟易していた。
(まったく……模倣犯が後を絶たないではありませんか。滅びる前にもっとじっくりたっぷり折檻してあげるべきでしたね……)
 元凶たるレプ・ス・カムは宿命の星の下にある者により滅ぼされている。今となっては相まみえることはもう無いが、こうなると逆にそれがもどかしく感じられた。
(……まあ、その分の責め苦はリザとやらに十分ぶつけさせてもらいましょう)
 聞けば、このフェアリーランドを改竄したリザなる者は嗜虐体質だとか。猟兵とオブリビオン、相容れない魅夜とリザに共通点があるとすれば、「対象をできるだけ長く苦しめたい」その欲求。だが魅夜はそこらのフェアリーを適当に捕まえて苦しめるリザのような節操無しではない。対象はきちんと選別している。
(ふふ……性格の悪さで負ける気はしませんよ)
 リザと邂逅を果たす時が魅夜の今の楽しみだった。
 そのためには、この灼熱迷宮の中を進まなければならない。滞留する熱気は湿気を多く含み、汗をかくことはあっても蒸発しないので熱さが和らがない。魅夜が苦手とする環境だが、身に付ける呪刻の麗衣が魔力壁を展開し、過剰な熱量が体へ降り注ぐのを防いでいた。
「これだけでも十分と言えそうですが……今から激しく動きますからね」
 先のことを考え、魅夜はさらにオーラを上塗りして二重の防壁とし、熱気を完全にシャットアウト。これでもう外部の環境に左右されることなく自由に動き回れる。
「リザも私を待ち焦がれているでしょうね。類は友を呼ぶ、と言いますから。友になる気はありませんけど。……時よ脈打つ血を流せ、汝は無敵無傷にあらぬもの」
 魅夜は時を吸い、そして支配する。あらゆる物――大気を構成する分子の一つ一つさえ今や魅夜の手の内。魅夜が駆け抜ける速度は、時で換算すると光にも迫る。
 迷宮内を猛追する。多少の悪路はあったものの、慎重に進めばいいだけのこと。魅夜の体感では至って普通の行軍なのだ。時の流れが異なる周囲から見ると異次元の動きをしているように見えるだけで。
 踏み出す時に足裏で跳ねた小石は弾丸のように迷宮の壁に弾けていたが、魅夜は気にせず突き進む。
 リザとの邂逅は、もう間もなくだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藍沢・織姫(サポート)
 バーチャルキャラクターのシンフォニア×ブレイズキャリバー、21歳女性です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、死を覚悟した時は「無口(私、あなた、呼び捨て、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。迷惑行動・公序良俗に反する行動はしないように注意します。
 割と真面目な性格で難しい言葉等は事前に勉強しますが、たまに天然ボケをかます可能性有。
 エロNG、その他アドリブ歓迎です。



●灼熱迷宮サウナ事変
「灼熱迷宮と聞いて来てみれば……ただ『熱い』だけではないですか」
 灼熱、という響きにどこか怖いもの見たさのような好奇心を覚えていた藍沢・織姫(紺碧の歌姫・f03959)だったが、悪夢化したフェアリーランドを訪れての第一声は落胆によるものだった。
 熱い、ということは肌で感じる。サウナのような蒸し暑さ――だが、所詮はその程度。
 と言うのも、織姫はブレイズキャリバーであり、左腕に地獄の炎を宿す。炎が体の一部を構成する身であるから、ただ強烈な熱気というだけでは物足りないのも頷けた。
「何かもっと、こう『熱い』ものはないですか? ……あぁ、ありました、そうそう、こういうのです」
 辺りを見回しながら迷宮を進んでいくと、煌々と赤熱する溶岩に出くわした。ドロリした粘度のある流体が迷宮内を川のように流れていた。
「あぁ~……あっつぅ~……」
 織姫は溶岩流に近づくと、まるで暖を取るように手をかざす。むわっと立ち昇ってくる熱気が顔に当たり、熱い。それは灼熱の名に恥じぬ、織姫も納得の熱さだった。
 しばし堪能。その後、役目を思い出して、
「おっと、フェアリーさんの一大事でした。チャージも完了したことですし、サクッと進んでしまいましょう」
 鉄塊剣をぶんと振り上げて気合を高めながら、織姫は溶岩流を遡り、迷宮の奥を目指すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『リザ・トレゾア』

POW   :    マーベリック・ローズ
自身の装備武器を無数の【様々な毒を持つ薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ファントム・バタフライ
【背に大きな蝶翅を持つ姿】に変身し、武器「【スピリットローズ】」の威力増強と、【死を呼ぶ嵐風】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ   :    ファクターコア
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔性の薔薇乙女
 たまたま涼やかな衣装であるということもあったが、リザ自身、高度な魔法を会得した魔法使い。熱気を受け付けない魔力壁を形成するなど朝飯前だ。
 今は薔薇槍で適当に地面をつついているところ。地面にはもうボコボコと無数の穿孔が出来上がり、ともすればモグラの頭が出てくるのではないか、と思わせるほどだった。
「見つからないわねぇ……諦めてフェアリーの顔でも見に行こうかしら。今頃はきっと熟成された苦痛に塗れて……イイ顔をしているでしょうねぇ」
 何ならいっそそのまま剥製にでもしてしまおうか、などと欲望を垂れ流しにしていると、張り巡らせていた魔力結界に何者が触れた。その者は魔力に身を焦がすでもなく、内部へと侵入を果たしている。
「……だぁれ? 私の邪魔をするのは……丁度今、虫の居所が悪くなったところだからぁ……目一杯いたぶってあげるわよぉ?」
黒城・魅夜
あなたとは性格の悪いもの同士気が合うかと思いましたが
そうでもないようです
虫の居所が悪いからいたぶる?
なんともヌルいことですね
息をするよりも自然に敵をなぶりいたぶりつくすものこそが真の邪悪
ええ、私のようにね、ふふ

私はダンピールゆえに流水に弱く
水の竜巻などを使って来るでしょう
ですが、それが何か?
私のアイテムは魔力を展開し環境に適応するもの
さらに「早業」で鎖を舞わせ「衝撃波」を生み出し水流を防ぎながら
「オーラ」の「結界」で身を包み「空中戦」で飛翔し竜巻を抜け出します
波や飛沫の作り出す「闇に紛れ」ながら接近
さあ真の悪夢がどういうものかその身で味わいなさい
その身が崩れ爛れ落ちていく悪夢をたっぷりとね



●ナイトメアにはナイトメア
「あなたとは性格の悪いもの同士気が合うかと思いましたが、そうでもないようです」
 リザの言葉に耳を傾けていた魅夜は落胆のため息を漏らす。
「虫の居所が悪いからいたぶる? なんともヌルいことですね」
「アナタ……何が言いたいの?」
「いえ、ただあなたの邪の底が見えただけのこと……息をするよりも自然に敵をなぶりいたぶりつくすものこそが真の邪悪。ええ、私のようにね、ふふ」
 リザは黙って聞いていたが、眉根をぴくぴくと震わせる。勝ち誇ったような魅夜の笑みが気に食わない。
 ぶち、と槍杖に巻き付く茨の一本が指先で押し潰された。
「……うるさいわね、アンタから潰してあげる!」
 怒りの矛先が完全に魅夜へと向いていた。薔薇に囲まれた髑髏を勢いよく魅夜へ差し向けると、虚ろな眼孔が瞳を得たように怪しく水色の光を放つ。
 途端、リザの正面に渦を巻いた水流が立ち上がった。リザが操る属性魔法、ファクターコア。発生した水の竜巻は這うように地面を進み、周辺に散らばる岩片を巻き上げていた。
「ダンピールは流水に弱い……よくお勉強してますね、ふふ。ですが……それが何か?」
 種族を見抜き即座に弱点を突く魔法を撃ってきたリザに、魅夜は拍手の一つでも送ってやりたい気分だった。
 水の竜巻を目の前にしても、魅夜は怯まない。当然だ。自分の弱点を知っていて、それを野ざらしのままにしておくはずはないのだから。
 魅夜は真っ直ぐ水の竜巻へと突っ込んでいく。気でも振れたか、とリザが眉根を顰めるところ、魅夜は二本の鎖を地面に叩きつけた反動で跳び上がると、今度は鎖を前方に放っていた。
 水の竜巻は水流を螺旋としたもの――故に隙間というものが存在する。だがそこを通り抜けるには、上下の水流が引き起こす空気圧の変化、即ち風が邪魔だった。二本の鎖は魅夜が竜巻に突入するに先立って水流へと叩きつけられ、衝撃波を発する。それにより一瞬風の空隙が出現し、そこへ魅夜が投げ出されるように飛び込んでいく。
 通り抜けた直後にまた水流と風が息を吹き返すが、魅夜を包む衣の魔力が弾いて体を守った。
「まさか……そのまま抜けてくる気!? させないわ!」
 リザは魔力圧を強め、ぐっと水の竜巻を圧縮した。それにより水流間の距離が縮まり、魅夜が通り抜けるべき隙間はより過酷な環境となる。衣の魔力だけでは凌ぎきれないと見て、魅夜はオーラを張って体を保護しながら水の竜巻の中を跳び、わずかでも通り抜けられる可能性の高い隙間を探していた。
 まだ下部には十全に魔力が届いていない。魅夜は宙を蹴って今まさに狭まろうかという水流の隙間に突っ込んでいた。波飛沫は徐々に激しくなるが、魅夜にとってはむしろ隠れ蓑。闇に紛れるように気配を抑え込み、水の竜巻を切り抜ける。
 ぱしゃんと体の表面を水が弾いていった。触れたが軽度、なんてことはない。
「くっ……!」
 水音から魅夜に水の竜巻を突破されたことはわかる。だが、リザはその姿を捉えきれずにいた。リザの目を欺いた魅夜には、動揺するリザの表情が逆によく見える。
「肉も鋼も魂までも朽ち果てよ、終焉の赤き闇夜今来たれり――さあ、真の悪夢がどういうものかその身で味わいなさい」
 血よりも鮮やかな真紅の闇が忽然と虚空に現れる。リザがそれを胡蝶と認識する頃には一面、視界を覆い尽くすように広がり、キラキラと輝く鱗粉が降り注いでいた。
「……あが、はっ……!? こ、れ……!!」
 一息吸えば肺が冒され、身動き一つで肌に触れる。露出度の高い服が災いして鱗粉を全身に浴びたリザはがくがくと痙攣ながら、杖を遮二無二振り回し始めた。
 ぼろ、と肉が崩れていく様は思考力までも奪ったか。リザは地上を逃げ惑うばかり。
「いや! 来る、な! いやああ!!」
 悪夢には悪夢を返す。リザの醜態を見下ろす魅夜の笑みは底知れぬ邪に満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ
相手は高レベル魔法使い、なんとかその膨大な魔力を何とかしないとな

ファクターコアは炎の竜巻を想定
周囲の無機物を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
【多重詠唱】【高速詠唱】にで水と地の疑似精霊を同時召喚
2精霊の力で氷で覆われた岩壁を生成
炎・風に対抗出来ればいいが…
その上で突破される可能性も考え【オーラ防御】で防御を固める
敵の周囲へ光陣の呪札を複数投擲
呪符を頂点にした【生命力吸収】効果のある【結界術】を形成
相手から奪った生命力を魔力に変え【エネルギー充填】、【全力魔法】力を籠めた【破魔】付与の【レーザー射撃】で敵を撃ち抜く
俺の全力攻撃喰らえっ!



●魔に極まる
「燃え、尽き……なさいっ!」
 降りかかる鱗粉を一掃するためにリザが放ったのは炎の竜巻。冷えた戦場は一転、業火立ち昇り灼熱の名に恥じぬ地獄と化した。
 熱風に火の粉が混じり、蛍火のように舞い上がる。ひりょは必死に腕で顔を守りながら炎の竜巻を伺っていた。
「この魔力の圧……なんとか、しないと……!」
 見た目に騙されてはいけない。相手は高位の魔法使い。元素の扱いには長けている。生半可な術式では勝ち目が無い、とひりょは詠唱を速め重ねた。
「場よ変われっ!」
 ひりょの中で高められた魔力がリフレインする。水と地の疑似精霊が同時召喚されると、予め決めていた筋道通りに魔力を注ぎ込んで眼前に氷で覆われた岩壁を形成した。
 炎は氷で、風は地で対抗する。四属性が激しくぶつかり合うその場所は気流が著しく乱され、ひりょの体は少しでも気を抜こうものなら地面へ叩きつけられそうなほどの風圧を受ける。
 耐えられるか。耐えられればいいが――ひりょは技を繋ぐ。オーラを張り万が一の事態に備えながら、光陣の呪札を岩壁の左右に流し込んだ。
「そんな壁……吹っ飛ばしてやるんだからぁ!!」
 氷は炎で溶かされ、風が岩壁を削り進む。熱はひりょが目にする壁面に到達し、溶けて流れ落ちる水は地面に辿り着く度にしゅうしゅうと蒸発した。
 岩壁がついに破られる。びき、と入った亀裂から炎の竜巻が漏れ出すのを見たが、同時に呪札が正四面体を成すようにリザの周囲に配置されていた。
 砕け散って飛んできた岩石の嵐に巻き込まれるまでの数秒の猶予。リザまで通る視線などなかったが、眼前に迫り来る岩石にも怯まずひりょは手に力を込めた。
 呪札がそれぞれの頂点に向けて光を放ち、形成された立体が輝きを増す。
「これ、は……くっ」
 力が抜けていく感覚に、リザは怨念籠った双眸をひりょに向けた。竜巻によって吹き荒れた岩石の嵐が体に打ち付けてくる中でもじっと耐え貫いたひりょの体に、呪札から生命力が流れ込んでくる。
(一撃で決める……そのために、魂を、燃やすんだ!)
 生命力はそのまま魂にくべた。燃え上がる炎は魔力へと転じ、ひりょの手の中に集まってくる。
 右手の人差し指と中指をぴたりと密着させて突き出し、その先端を砲口に。
「俺の全力攻撃――喰らえっ!」
 呪札と同じ白い輝きが迸った。岩壁を突き破った炎の竜巻を今度はこちらから撃ち抜いて、結界をすり抜け貫通する。
「間に合わ――」
 リザの体の前に垂れる薄いベールが射抜かれて、端が地面から翻った。レーザーが体の中心をじゅわりと焼き穿つと、リザは開いた穴を確かめるかのように左手で傷口を押さえながら、よろよろと後退る。
 腹部は丸く焼け爛れていた。破魔の力が虫食いのように傷口を広げる。
「この、力……アンタは、絶対に……っ!」
 魔力の源が何なのか。リザは即座に把握して、ひりょへ一層強い敵愾心を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●愛が願う平和
「ぶっ壊す……全部ぶっ壊してやるんだからぁ!!」
 リザの昂る感情は彼女を蝶へと変えていた。背に大きな蝶翅を生やしたリザは自分を閉じ込める結界を槍杖で叩き壊し、鋭い穂先で地面を抉りながら飛び出してくる。
 妖精が作り出すフェアリーランドも、外の世界も何もかも――。溢れ出した憎悪がリザの顔を般若のように作り替えていた。
「そんなの……絶対にダメ!」
 赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)が願うのは世界の平和。アックス&ウィザーズに一度は取り戻された平穏な日々は今、猟書家とその意志を継ぐオブリビオン達によって再び脅かされている。世界の危機――それは、愛がここに立つのに十分な理由だった。
『皆の平和の為に、私は戦うよ!』
 愛の想いは純真無垢。平和という形の無いものをひたすらに追い求めることに懐疑を示す者もいるだろう。だが真っ直ぐな信念を持ち続け、道を見失わない限り、愛の前にはきっと平和が現れる。
 優しき力は呪を打ち破る。オーラを纏った愛の前には地面を抉りながら突っ込んできた黒刃があった。振り上げられたそれをオーラで受け流しながら愛は右方向への高速移動。いくらかオーラが削られたが、刃は体に触れていない。
 高速で飛翔を続けるリザは大きく輪を描く。速度故に細かく機敏な動きができないリザは翅を羽ばたかせて力を溜めた。
 愛は愛用のバスタードソード、オーバー・ハートブレイクを下段に構えて待ち受ける。オーラが愛の手を伝って刃先まで流れ込んでいく。
「やぁぁあっ!!」
 愛は魔力が充填された刃を思い切り振り上げた。迸る魔力の余波が淡い半透明の衝撃波となって立ち昇る。剣の振りに合わせて放たれた魔力弾は先が無数に割れ、やがて矢となりリザへと殺到した。
「この、程度……っ!」
 弾速と角度を読んでリザは死の風と共に矢の雨の中を飛び抜けていく。密になって襲い掛かってきたところへは薔薇の髑髏を薙いで撃ち落としていた。
 手数対速度の勝負。翅がある分大きくなった的ながら、リザには魔術の神髄へと迫る者としての意地がある。ばさり、とまた翅が動いた。
 ぐん、と高度を落とし地面スレスレの高さを水平に滑空するリザ。少しでも着弾を遅らせて限界を突き詰め、愛へと凶刃を向けた。黒光りする穂先に鮮やかな薔薇の真紅が映える。
 継ぎ矢の装填はまだ終わっていない。リザの槍に対抗するには剣をぶつけていくしかなかった。愛は足元へ影のように伸びてくる槍に向けて剣を振り下ろす。地面に引っかかってしまうのではないかと思うほどにギリギリの高さを攻めた剣先が槍とかち合い、双方反発して跳ね上がった。
「うっ……くぅ!」
 リザの体が宙に押し戻される。体への衝撃は傷に響いたか、リザは苦痛に顔を歪めていた。
 猟兵達が繋いできた力が作り出した一瞬の隙。魔力充填量が最高点に達した時、愛の剣は金色に輝く。
「いっけぇぇ!!」
 体に巻き込むような捻りを加えて振り出された剣から光の矢が飛んだ。八方に緩く弧を描く矢は頂点となるリザを狙う。
 光は眩しかった。髑髏の闇ではもう払い除けることはできない。
「いや――いやあああ!!!」
 光の矢群は間髪入れずにリザの両側から命中。両腕から体へと串刺しだった。翅も無数の穴だらけになると、滞空の役目を失ってリザの体は地に落ちる。
 それは翅をもがれた蝶のように、みすぼらしく、傷ついていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。


ルイズ・ペレンナ(サポート)
『お代は結構ですわよ。けれど懐には注意なさいませね?』
ブラックタールのシーフ × スターライダー
特徴 金目の物が好き 錠前マニア グルメ 快楽主義者 実は恋をしていた
口調 貴婦人(わたくし、あなた、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
敵には 高慢(わたくし、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

・金目の物をお宝と認識し獲得するのが行動理念
 直接の機会でなくても獲得出来るかも知れないと思えば動きます

・愛情や人助けのような金銭にならない価値は興味ないですが
 それを大事にする人を貶めもしません。趣味の相違

・利害が一致すれば他人との共闘やサポートはむしろ積極的です



●真逆のピース
 フェアリーを狙う悪の手は未だ、世界に蔓延っている。元凶が討伐されてなおこうして事件の発生報告が上がってくるのが現状だ。
「フェアリーの皆様を苦しめるものがある限り、わたくしは何度でも立ち向かいましょう!」
 相手は魔を従える悪女だ。マルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)にとっては少々分が悪い戦いになるか――いや、有利不利などといった目先の損得に囚われては何も掴めない。無尽蔵に湧き上がる元気と、フェアリーを助けたいというマルコの願いが力に変わる。
「その衣装も武器も、然るべきところへ持っていけば良い値が付きそうですわね……」
 リザの身なりに鑑定眼を利かせていたのはルイズ・ペレンナ(怪盗淑女・f06141)だった。金目の物があらばどこへでも。この世界へ足を踏み入れたのも第一の目的は宝の獲得であり、それでフェアリーも助かるならば一石二鳥、といったところだ。
 ではルイズが求めるのはリザの服か? 槍杖か? いいやそのどちらでもない。結局それらはリザ自身を倒した後には消滅してしまう。
 ルイズが聞いたのは、その後に残るという鍵の噂。はっきりとした値打ちはついていないが、それが逆に興味をそそる。
「いきましょう! フェアリーさんのために!」
「ええ、そうですわね。『お宝』のために」
 まるでひっくり返して噛み合わせたピースのような二人だった。
 マルコの快活な声がリザの耳には痛かった。ルイズの舐めるような視線にリザは身震いした。不快な猟兵達だった。
「いっそ……吹き飛んでしまえば、いいのよ……っ!!」
 今のリザは体を維持するだけでも相当の魔力を消耗している。その中で操る大魔法は体へ強烈な負担を強いた。闇の嵐を呼び起こした体はふらついていた。
 光が失われていく。リザが闇に紛れていく。薄ら笑いが影に染まり、世界が閉ざされようとしていた。
『笑い合える未来の為に……!』
 握り締めた手は何のためにある。未来に手を伸ばすためにあるのだ。マルコはルイズを置き去るように加速すると、拳で闇の中に突き込んだ。
 風を破る。すると円形に風が散っていった先にリザの姿が現れた。闇に紛れて身を隠そうとしていたようだが、体が思うように動いていない。
「受け取ってくださいませ! わたくし『達』のエールを!」
 天使の声援。それはマルコ一人の物ではない。リザへと辿り着くために身を粉にしてきた猟兵達の全ての想い。
 希望はルイズに託される。
「ええ、受け取りましたわ。随分と『重たい』エールですから、あなたもどうぞ、味わいなさいな」
 ルイズは駆けながら柔軟な自分の体を球体に変え、ぼんと跳ねた。斜めに打ち上げられた黒球はリザの頭上へ落ちる隕石となる。
 翅は使い物にならない。穴だらけで、動かしても空気を掴めないのだ。足も満足に動かない。頼みの綱の槍杖を、最後の最後、必死に掲げたが。
「――ぎゃっ」
 黒球は何の抵抗も感じずにリザを丸ごと押し潰していた。扁平に広がった黒球はまた弾力を取り戻し、びよんと宙に跳ね返っていく。
 その下で地面にめり込んでいたリザは地熱で焼けて灰となった。身に付けたもの、掲げた槍杖も巻き込んで。
 それが魔力の残滓と共に吹き飛ばされて。人型に押し固められた地面の真ん中に顔を出したのは金色の鍵。バウンドモードを解除して戻ってきたルイズは輪の部分をつまんで引き抜いた。
「お代は確かに、頂きましたわ」
「これで今日も、美味しいご飯が頂けますわね!」
 噛み合っていないようで噛み合った二人が、ついにフェアリーランドの夢を取り戻したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月13日


挿絵イラスト