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彼女たちから見た世界

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #眠りの森の魔女ターリア #クレリック #言葉の神シャルムーン


「え?」
「ええ??」
 若干気の抜けたような声が響く。響くとともにぎし、とか、みし、とか、何かが揺れるような音がした。
「え……。なに、何これ。え??」
 彼女が直前の記憶を思い出す。……そうだ。浚われて……とっさに同じ、シャルムーン様を信じる友人の手を掴んだ。そうして黒い渦に……。詳しく思い出そうと、彼女が頭に手をやろうとした、その時。
「待って、ねえ待って!」
 不意に聞こえた声の主は女性であった。一緒にいた。とっさに手を掴んだ。仲の良い、信頼できる友人の声にほんの少しホッとした。けれど、ちょっと待って、と若干高い声で言ったのは状況に対して……だけではないようで……。
「待って。動かないで」
 みしみしみし、と音がした。
「ここ……どこ?」
 目が開けて飛び込んできたのは、見たこともない空と景色。そして……、
「きゃ……!」
 多数のドラゴン、であった。

「シャルムーン……って、知ってる?」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はそういって、僅かに首を傾げた。そうして、「言葉の神シャルムーンっていう、アックス&ウィザーズで信仰されてる、たくさんの神様の一つらしいんだけれども」と、言葉を続ける。
「どうにも、シャルムーンを信仰するクレリックは皆、命尽きるときに強力な「破邪の言葉」を放つ事ができる……って、言われているらしいんだ。本当のところ、俺は見たことがないから何とも言えないんだけれども、その「破邪の言葉」を利用して、群竜大陸に隠された何かを見つけ出そうとしている人たちがいる……。って、なったら、話が変わってくるよね」
 あくまで「破邪の言葉」だけなら、そういう伝説もあるよね。で済んだ話だが、オブビリオンが関わってくると話は違う。とリュカは言う。
「大天使ブラキエルの目論む「天上界への到達」……っていうの。それを果たすために、幹部「眠りの森の魔女ターリア」が行っていた計画に、その「破邪の言葉」を使った計画があるらしくて。ターリア自体はすでに倒されたけれども、その意志を継ぐオブリビオンはがいまだに活動しているらしいんだ」
 具体的に言うと、クレリックを浚って群竜大陸のどこかにポイっとして殺して破邪の言葉を発生させることが目的らしい。
「ので、今回はそのクレリックを殺される前にそれを助けて、計画を実行しているオブビリオンを排除してほしい」
 具体的場所としては、皆殺しの平野と嘗て呼ばれていた場所である。群竜大陸の凶暴なモンスターをドラゴン化する、風の吹く荒野のその片隅で行われる計画は、二人の女性の命がかかっている。
「……ちなみに、彼女たちを住んでいた場所に返してあげられるあてはないから」
 だから、せめて命だけは助けてほしいと。リュカは言った。


ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
今回はかける分だけ書いてくスタイル。

プレイングボーナス(全章共通)……襲われるクレリックを守る。

でも無理して構わなくともそれはそれで大丈夫です。いつものように緩く行きましょう。
また、合わせて断章もご参照ください。
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第1章 集団戦 『竜の群れ』

POW   :    竜の爪
敵を【竜の爪】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    竜の尾
【竜の尾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ   :    竜の吐息
【竜の吐息】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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「……いやいやいやいやいや。ドラゴンもだけど、ちょっと待ってよ」
 ふ、とそこで、彼女が言った。緊張したようにドラゴンの群れを見ていた友人が、はて?と視線を下に戻すと、
「ひゃ……っ!!」
 足元に、風が吹いていた。
 因みに何が起こったかというと、深い深い谷に宙づりになっていた。
「ええ。えええええええええ!?」
 よくよく見れば……いや見なくとも、蜘蛛の糸で編まれたネットのようなものに二人はとらわれている。
 ネットは繭のように二人を包み込んで、頭上で一本のロープのようになっていた。それが何についているかと思えば、谷を右から左へ、谷から谷へと蜘蛛糸のようなものが張り巡らされていて、そこの一本の糸にぶら下がっているのである。
 どのロープ自体も、そこそこ太くて人が乗れるくらいはありそうだが、あんまり暴れると千切れそうな気配が、しなくもない。
 ただでさえ二人分の女性の体重を乗せている、二人がつながっている糸に関してはまた、二人が動くたびにみし、みし、と不穏な音を立てているのであった。
「あんまり動くと……落ちて死ぬかも」
 ちなみに下を向く。足元……というか谷底は見えない。相当高い。彼女の言葉に友人がすかさず「このままだとドラゴンに食べられて死ぬでしょ!」と声を上げた。……そうかもしれない。どっちが早いかはとりあえずわからない。
「夢じゃないのか。……夢じゃないのかー……」
 残念ながら、夢ではないようで。
 ドラゴンの声もまた、すぐそこまで迫っていた。


******
と、いうわけで、戦場は谷です。
ドラゴンは飛行しているので平気です。
クレリックの彼女たちを守りながら戦うことになるわけですが、彼女たちが捕まってるネットに触れたらもれなく落ちて死にますので注意。つまり、第一章で安全に助けることができません。
というわけで、できること。
1.谷から落ちます
2.ところどころにある蜘蛛の糸(人一人分くらいなら耐えられる)に捕まったり、乗ったりしながらドラゴンを退治します
3.あとは何とかします
以上。
もしくは、
1.谷から落ちます
2.ドラゴンの上に落ちて倒します
3.反動でジャンプします
4.あとは何とかします
以上。
あ、一応、普通に飛行してもオッケーです。
彼女たちの敵を排除することが彼女たちを守るということで、一つ。

蜘蛛の糸は、綱渡りの要領で渡れます。掴むこともできます。というか、谷全体にロープが張り巡らされていると思ってください。
そりゃ、100人乗れば落ちますが、PCさんがあれこれする分には、気をつければ大体大丈夫です。
なんかそんな感じ。あとは緩く、よろしくお願いします。

プレイング募集期間は2日8:31~15:00ぐらいまで
あんまり大人数は想定しておりませんので、ありがたいことに思ってた以上にお声をかけていただいた場合、プレイングをお返しすることがあります。ご了承ください。
先着順ではありませんが、明日の朝から来た順番に書けそうなのを書いていくスタイルになりそうです。
(火曜日中に一章を終わらせて水曜日も同じスケジュールで二章を募集するか、火曜水曜で一章を終わらせて二章はそれ以降にするか、どちらかのスケジュールで検討中です)(火曜日中にはご案内します)

以上になります。
それでは、良い一日を。
篝・倫太郎
あードラゴンだなー……
なんなの、これ
いや、マジどゆこと?

とか言っててもしゃーねぇんで往こ……
風で目開けてらんない事態とか避けたいから
Loreleiで目元を保護

支度済んだら騎乗可能サイズになったしょこらと
いざ、竜退治

つー訳でしょこ、頼むぜ?

谷に向かってぴょーん!と往くしょこらの背で
ドラゴンの数や動き
それとは別に『彼女達』の居場所を
Loreleiの熱探査や音源探査で確認
移動はしょこらに一任
風に乗る形で滑空

『彼女達』の居場所を把握したら拘束術・弐式使用
放った神霊達でドラゴンを先制攻撃
ついでに『彼女達』の安全を確保させる

鎧無視攻撃と鎧砕きを乗せた華焔刀でドラゴンを串刺し
攻撃はしょこらも纏めてオーラ防御


シキ・ジルモント
頼りない足場だが、無いよりマシだ
谷から蜘蛛の糸に飛び降り、その場からクレリックを襲う竜を射撃で撃ち落とす
こちらが狙われてもひとまずクレリックの守りを優先する
竜の攻撃で自分の乗っている糸が切られたら、付近の竜へフック付きワイヤーを射出し引っ掛けて落下を防ぎ、改めて別の糸へ飛び移る

振るわれる竜の尾は自分や味方やクレリックと、蜘蛛の糸にも触れないように警戒する
ユーベルコードによって尾を狙撃、狙いを逸らしたい
怯んだら更にユーベルコードで追撃して仕留める

念の為、クレリックには下手に動くなと警告しておく
応答できる元気があればとりあえずは安心だろうか
…まぁこの状況では、言われなくても動けないかもしれないがな



「あードラゴンだなー……」
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は思わずつぶやいた。崖の上から下を見おろせば、沢山の糸が見える。ついでになんかはしゃいじゃってるドラゴンもたくさんいる。
「なんなの、これ。いや、マジどゆこと?」
「頼りない足場だが、無いよりマシだ」
「いや、そういうわけじゃねえから」
 真面目なシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)がそう返すので、思わず倫太郎は突っ込んでしまった。
「なんかほら、こう……ドラゴンってこんなバーゲンセール的にいていいものだっけ?」
 そういわれて、ふむ、とシキは改めて考える。腕を組みしばしの沈黙ののち、
「確かにあまり数多くいるものではないが、そういうコトもあるだろう」
 結論として、気にしないことにしたらしい。倫太郎は軽く頭を掻いて、なるほどなるほど、と頷いた。
「ま、浪漫がないとか言っててもしゃーねぇし、いっちょ往くか……!」
 残念ながら。浪漫とは無縁のドラゴン狩りであったが、そこはそこで気持ちを持ち直せるところも倫太郎のいいところである。すちゃっとバイザータイプゴーグルをかけ、倫太郎は躊躇いなく崖に飛び込んだ。
「しょこら!」
 大きくなった黒いラビットグリフォンを呼ぶと、一瞬でそれが倫太郎の前に現れる。空中でそれに乗り込んで、
「いざ、竜退治! つー訳でしょこ、頼むぜ? あんたも、先行ってるな!」
 明るく言ってその場でグリフォンに乗り込みながら一直線に落ちて行った。
 その様子をちらりとシキは横目で見て、ああ。と頷く。もとよりそんなに喋るたちでもないので彼は彼で冷静に足元を一度確認し、ドラゴン達を見たその後で、
 ひょい、とその場から躊躇いなく飛び降りた。

 ぴょん、ぴょーん、とグリフォンが跳躍する。風に乗る形で滑るように折りていきながら、ドラゴンの数や動きを倫太郎は確認した。
「結構……多いな!」
 熱探査や音源探査で、囚われた彼女たちの居場所を確認したのち、倫太郎は声を上げた。滑空している倫太郎に気付いたのか、何やら奇声を発しながらドラゴンが近寄ってくる。
「さて……と。距離は関係ねぇぜ!」
 やられる前にやる方式。すかさず倫太郎は拘束術を放つ。破魔の力を持つ始祖の神霊複数を食らいつかせると、察するようにショコラも風向きを読んで体を傾け位置を変えた。
「そ……ら!」
 そのまま華焔刀でドラゴンを串刺しにする。ぎゃああああ。という声を上げてドラゴンは爪を振り回すが、もちろん自分もオーラで防御しているので、反撃も怖くない。ぶん回された詰めを倫太郎はしっかり受け止める。
「やっぱ量産型はダメだな。こう、浪漫が」
「ぎゃああああああああああ!!!」
 ない、と言いかけた倫太郎の声を遮るように、大絶叫が谷へとこだました。
「え、えええええええええエリナちゃん、今、ドラゴンが!! 刃物が! 血が!!」
「おちつけ、クレリック」
「いや、いやだって!! ドラゴンに! ぶんってされたのに!! 平気なの!!」
「ニアうるさい」
「うるさいって!!」
「だから、落ち着け、クレリック。下手に動くな」
「はっ。だ、誰!?」
 物凄い勢いで喋る二人組に、倫太郎にしばし遅れて降りてきたシキが冷静に声をかけた。かけながらも恩人から継いだ拳銃をシキは両手で握りこむ。落下中。さほど時間はかけられない。シキは回答しながらもその一瞬、すっと無言になり睨むことで狙いを定め、そして的確にドラゴンの眉間を撃ち抜いた。
 鳥のような悲鳴が響く。響きながらも尾がぐるりと旋回する。シキがそのまま糸の上に着地すると、その糸を叩きつぶすように尾は振るわれた。
「……」
 構わず、シキはそのままもう一撃、撃ち込む。撃ち込みながらもフック付きワイヤーを射出した。それは隣にいた別のドラゴンの肉を抉るようにして引っ掛ける。
 痛かったのだろう。悲鳴を上げるドラゴンに躊躇わずシキは銃弾を撃ち込んで、そのままロープの勢いを別の糸に移動した。
「うぇぇぇぇ。なにこれ。怖いよー。吐く……」
「いや、ここで吐かないで、お願いだから」
「……応答できる元気があればとりあえずは安心だろうか」
「……だな」
 何やらいっぱいいっぱいな二人組に、シキは思わず倫太郎を見た。このクレリックをシキが上手に喋って不安を取り除くなんて、最初からシキ自身も思ってはいなかった。倫太郎は小さく頷いた。ひとまずこういうのはほっとくに限る。
「兎に角、下手に動くな。これだけ守ればいい。……まぁこの状況では、言われなくても動けないかもしれないがな」
「本当にな。なんていうか、物理的に無理って状況でよかった」
「ああ。本人たちには辛いと思うが……」
 そんな時でもドラゴンは的確にクレリックたちを狙ってくる。その尾を撃ち牽制しながらシキが言う。ありがたい、と迄はさすがに言わなかったが大事なことだとは思った。倫太郎がそれを串刺しにして谷底へと落とした。
 ドラゴンの悲鳴とともに、賑やかなクレリックの悲鳴が聞こえていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
ドーラゴンダー!
賢い君、賢い君。黒と白の非常食の仲間。
アイツらよりも強そうなドラゴン、ドラゴン。

うんうん。うん?
アァ……助けなきゃいけないのカ…。
オーケー。任せて任せて。
賢い君、行こう。

薬指の傷を噛み切り、賢い君に食事を与えよう。
賢い君のイトを蜘蛛のイトに絡ませながら、ドラゴンの上に落ちる。

ドラゴンの上に落ちたら、あとは大丈夫大丈夫。
賢い君をぐるぐる、ドラゴンの首に巻きつけて
それから炎で燃やせばイイ。
焼きドラゴン!

賢い君、賢い君
コノドラゴンは賢い?賢い?

うんうん。そうかそうか。
ま、イイヤ。

賢い君のイトを命綱にして、避けたり戦ったりするする。
アァ……楽しいなァ…。


コノハ・ライゼ
スリルは嫌いじゃナイけど、あの世行きは勘弁なのよねぇ

落ちながら【翔影】で大勢のくーちゃんをオーラ防御纏わせて喚ぶわね
その内の一体の背に乗り飛んで、他は一網打尽にされないようにバラけさせるヨ
竜の動き見切りつ誘うように、或いは邪魔するように飛び回ってもらい空中戦といこうか
特に竜がブレス吐く動作の時には注意して避け
カウンター狙い懐へ飛び込みマショ
くーちゃんの爪牙で一閃、2回攻撃で「柘榴」捩じ込み傷口抉って生命力を頂くわ
もし落下しそうなヒトがいたらくーちゃんに助けて貰うねぇ

もし彼女達に声が届くなら、安心してじっと待つよう伝えるわ
だってアタシらが来たンだもの、絶望するには早いデショ?



「ドーラゴンダー!」
「ドラゴンねえ」
「賢い君、賢い君。黒と白の非常食の仲間」
「非常食? なるほど、あれって食べられるかしらねぇ」
 エンジ・カラカ(六月・f06959)はコノハ・ライゼ(空々・f03130)の言葉にコノハの顔を見た。
 コノハはうん? とエンジを見返した。
「なるほど食べる!」
「ええ。案外いけるかもよ」
 何せ噂に聞くドラゴンステーキだ。やってみる価値はある。料理人としては気持ちが上がるというものだ。コノハの言葉に成る程、とエンジは頷いた。非常食は食べるもの。なら……、
「アイツらよりも強そうなドラゴン、ドラゴン」
 ならもっと、強そうな分だけおいしいに違いない。
「なら、いこう! 行こう、賢い君も行こう」
「そうね。行きましょ。……スリルは嫌いじゃナイけど、あの世行きは勘弁なのよねぇ」
 若干遠い目をしながらコノハが言って、お先に、とばかりにひょいとコノハは崖の上から飛び降りた。
「アノヨイキ? ……うんうん。うん?」
 さて。とエンジもご機嫌で飛び降りようとする。飛び降りようとした瞬間に府と思い至ったように、己の大事な賢い君に目をやった。賢い君が何か言うかのように、体を揺らせている。
「アァ……助けなきゃいけないのカ……。オーケー。任せて任せて。アノヨイキ、ダメダメばーつ」
 わかってるのかわかってないのかよくわからない口ぶりだがちゃーんとわかっている。
「賢い君、行こう」
 そういって、エンジは薬指の傷を噛み切って賢い君に食事を与えてから、
 賢い君の赤く燃えるイトとともに崖の上から飛び降りた。

 落下する。落下していく。
「ほーら、ミチを……、くーちゃん大召喚よー」
 わっさわっさ。
 わっさわっさ。
 黒影の管狐がコノハから召喚される。四肢に黒い羽が生えていて、飛ぶことができるのだ。
「い~~~や~~~!! なんか黒いの来たー!! 黒!!」
「ニア、落ち着いて。何となくかわいいから」
「いや!! なんかもうこの状況で黒ってだけでダメ―! いっぱいいる!!」
「人を見かけで判断しちゃだめって教わったでしょ」
「ひとじゃ、ないし!!」
 割と失礼な声はたぶんクレリックたちの声であろう。等のコノハはどちらかというと、元気でよかったわねえ、ぐらいの心持である。大勢呼び出したクーちゃんにオーラ防御を纏わせて、そのうちの一体に乗り込んだコノハはそのまま空を駆け一直線にドラゴン達を目指した。一網打尽されないように、ばばばばばーっと周囲にばらけさせる。
「賑やか賑やか。イキがイイ、大事」
 そんな声がエンジにも届いていた。エンジは落下し風を受けながら、そのままぶんっ、と腕を振る。
「賢い君のイト、蜘蛛のイト。どっちが強い? 強いかな?」
 賢い君のイトが蜘蛛のイトに絡みつく。そうしてバウンドしながらエンジはもう一度賢い君を振るった。丁度、クレリックの上に降り立とうとしていたドラゴンの頸に、賢い君を巻き付ける。
「焼きドラゴン!」
 ぼっ。と賢い君のイトから炎が上がる。
「やー!! 火事!! こんなところで火事!!」
 何か下の方で騒いでいるが、とりあえず気にしないことにする。もちろん、燃えるのはドラゴンだけだから問題ないのだ。
 ぎゃああああ。と。クレリックの悲鳴に交じってドラゴンの声もする。その動きに、
「くーちゃん!」
 コノハが声を上げた。声に応じて、くーちゃんたちは散開する。コノハをのせたくーちゃんも、ひらりとその身をかわした。
 ブレスが傾国を通過する。蜘蛛の素の何本かが引きちぎられたがそれは誰かがつかまっていたり利用していたりする糸ではなかった。すかさずコノハは視線だけをドラゴンに向ける。察したようにくーちゃんは逆に、ドラゴンの懐につっ込んだ。
「そ……れ!!」
 最初にくーちゃんの爪がドラゴンの喉元に一閃する。そのまますかさずコノハは身を乗り出して愛用のナイフ、「柘榴」をその傷口に突き立てた。
「お料理にする前に、その力、頂いちゃうわよ」
 生命力を奪う。……が、
「ほら!! ほら、エリナ聞いて!! なんか、あの人危ないこと言ってるから、聞いて!!」
「気のせい気のせい。ニアはいろいろ気にしすぎ」
 なんかやっぱり、足元騒がしかった。
「あなたたち」
「あ、はい」
「ひぃぃぃぃ、喋った!!」
「そりゃ喋るわよ。いいから、安心してじっと待つようにね。だってアタシらが来たンだもの、絶望するには早いデショ?」
「はい……え。はいぃ!?」
「助けるって、言ってるの」
「はい、ありがとうございます」
 一人は怪しいが一人には多分通じただろう。……と、思う。
 そんなやり取りの間にも、エンジは構うことなく賢い君を振るう。時に首を絞め、時に燃え上がらせ。
「賢い君、賢い君。コノドラゴンは賢い? 賢い?」
 聞いてみる。その返答はどうだったかわからないが、大きな声をあげながら飛び回る様子はなんだか、ちょっと、賢そうには見えない……かもしれない。
「うんうん。そうかそうか。ま、イイヤ。……ドラゴン焼き、落ちちゃ食べられないなァ」
 賢くても、賢くなくても。
 周りがうるさかろうが、うるさくなかろうが、
 あんまりエンジは気にしないのである。
 ひゅっ、と、ドラゴンの尾が振るわれる。賢い君のイトを命綱にしてエンジは空中でそれをひらりとかわす。お返しのように燃える糸で縛りあげながら、
「アァ……楽しいなァ……」
「そうね。ほらくーちゃん、賑やかに行きましょう」
 しみじみ言うエンジに、コノハも笑ってくーちゃんたちを走らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「お一方は問題なく支えられます。お二方だと両手が埋まってしまうので…どうしましょう?」
首傾げ

UCで飛行能力と戦闘能力増強
盾構え竜の羽に音速越えで突っ込み竜の羽をぶち破る(シールドバッシュが乗せられれば乗せる
敵の攻撃は第六感や見切りで躱すが人質に向かった攻撃は盾受け
桜鋼扇で殴る場合は高速詠唱で雷属性付与
仲間の攻撃補助や敵の行動阻害のために制圧射撃する場合も高速詠唱で銃弾に雷属性付与し少しでも行動阻害の確率を高める

戦闘中も人質女性のフォローに入れる位置をキープ
但し戦闘人員が足りているなら2人の救助を優先する(2人を抱えてから桜鋼扇で糸切り安全地帯まで飛行、そのまま2人の前で戦闘終了までフォロー)


ベイメリア・ミハイロフ
シャルム―ン…どこかで伺ったような…
と、女性お二人をお助けするのが先決でございますね
とはいえ、故郷にはお戻しできないのでございますか…

蜘蛛の糸にはなるべく触れぬようにして
お二人を怖がらせないように注意して参ります

空中浮遊を利用し、糸をかいくぐりながら
ドラゴンめがけて、スピードをつけて
谷を落ちるように下ります
下りざま、ドラゴンをお見つけいたしましたら
先制攻撃・範囲攻撃、2回攻撃にて
複数体を巻き込むようにしつつ
ドラゴンに光の矢を浴びせます

下に辿り着く前に、再び空中浮遊を利用
お相手の攻撃は激痛耐性を活用しつつオーラ防御にて防ぎたく
間違っても、攻撃が上のお二人に当たらぬよう
かわさず受けて防ぐ方向で



 うーん? とベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は首を傾げた
「シャルム―ン……どこかで伺ったような……」
 なんか聞き覚えのあるような、ないような名前であるが、よくよく考えてみてもやっぱり覚えはない。なので、
「そう。故郷にはお戻しできないのでございますか……」
 そういうコトになる。アックス&ウィザーズは広い。何の手がかりもなければ、故郷に帰るのは難しいだろう。
「うーん……。お一方は問題なく支えられます。お二方だと両手が埋まってしまうので……どうしましょう?」
 しかし隣で、別の意味で御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は首を傾げて唸ったので、はっ、とベイメリアは顔を上げた。
「ああ。お二人をお助けするのが先決でございますね……」
 とはいえ、現時点で助けることは難しい、というのが最初の見解である。とは思うが、
「できれば助けてあげられるとよいのですが」
「そう……でございますね。とりあえずは、行ってみましょう」
 やってみるのは、まあ悪くはないだろう。ベイメリアはちょこんとスカートの裾をつまみ上げ、
「では、参りましょう」
 ひょいと飛び込んだ。桜花も頷いて、
「うん、行きましょう。我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を討ち滅ぼさん……!」
 己の身を桜吹雪で覆う。そしてしっかりと前を見据えて、飛行能力を得るとそのまま一直線に谷へと飛び込んだ。

「そう……れ!!」
 桜花が持つカフェ用の銀盆は、退魔刀と同じ素材から作られていた。それを構えて、桜花は勢いをつけてドラゴンへと一直線に落下する。
 どんっ!! というすさまじい音とともに、そもまま叩き伏せられたドラゴンが大きな悲鳴を上げて落ちて行った。
「やー!! いーやー!! なんかおっきいの来た。なんかおっきい音したー!! もう怖い!! こーわーいー!!」
「落ち着いて。落ち着いてそんなに大きくないから」
 ばささささささささ。と落下の勢いをもろに羽に受け、落下していくドラゴンに合わせるように悲鳴が上がる。あれが救助対象だろうか。
「あ、あのっ。揺らさないでくださいまし!!」
 ベイメリアが思わず声を上げる。見ているほうがなんだかもうドキドキしてしまう。そうしてその声に惹かれてか、ドラゴンはどんどんと集まってくる。正直言って、怖い。別の意味で怖い。
「わ、わたくしどもが、お守りいたします、から!!」
 迫りくるドラゴンの爪をオーラ防御をした杖で何とか受け止めつつ、ベイメリアが声を上げる。空中浮遊を使用して、二人のクレリックたちに陣取って何とかオーラ防御でそれをおしとどめて行った。
「ほら。守ってくれてるから。二人とも綺麗な女の人だよ、ニア。怖くないよ」
「ドラゴンと張り合う綺麗な女の人は綺麗な女の人に入るの!? それはもうドラゴンじゃないの!?」
「なんでそんな息をするように失礼なことを言うの、ニアちゃん」
 割と失礼なことを言われてる気がする。が、
「おいたわしい……。きっとお辛いのでしょうね」
「あ、うん。辛い……辛いのでしょうね?」
 合間に両手を組んで僅かに祈るような仕草をするベイメリアに、桜花はちょっと遠い目をした。ああいう客、カフェでたまに見る気がするけど。うるさくてもうだめだって言いながらしぶとく生き残るタイプである。
「とはいえ……やっぱり先に、周りの殲滅からですね」
 はっ! と、クレリックたちに向かった竜の爪を、盆で弾く。そのまま桜の花びらの刻印がある鋼を連ねた鉄扇を翻せば、返すようにドラゴンの懐に潜り込み、
「……」
 雷属性を付与したその大木で全力でその腹を殴打した。
「お見事、でございます」
「ほら、ドラゴンに殴り勝った!!」
「殴り勝ってもいいじゃない。可愛いんだから」
 ベイメリアの言葉になぜか後に続く言葉があり、ベイメリアは苦笑しながらメイスを振るう。放たれた尾の攻撃を、それで受け止め、はじき返した。避けることもできた攻撃だが、クレリックたちに当てたくないので、なんとかそれを受け止めた。
「なるべく、お二人を怖がらせないように注意して参りたかったのですが……」
 思わずベイメリアが小さく呟く。
「これはもう、何をしても怖がられる気がします」
「で、ございますね」
 桜花がそう言って、援護をするように軽機関銃をベイメリアの周囲のドラゴンに打ち抜いていく。ベイメリアはこっくり頷いた。
「では先に……ここを静かにして、お二方には安心していただきましょう」
 聖書の内容を兼ねた、紅い革の表紙の魔道書をベイメリアは手繰る。そして、
「裁きの光を受けなさい……!」
 声とともに、あらゆる防御を貫く光の矢を天から雨のように降らせた。銃弾と同じように、周囲に舞い跳ぶドラゴン達を撃ち、そして落としていく。
 けたたましい悲鳴はドラゴンのもの……と、なぜかクレリックのものがまじりあってる気がするけれども、二人ともあまり気にしないようにした。
 多分、戦いも終われば落ち着いてくれるだろう。……多分。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
伝説の、破邪の言葉…
それってハレルヤの言葉よりも凄いんですか?

深い谷での戦いなんてハンデにもなりませんよ
このハレルヤの俊敏性と寿命を盛大に活用すれば余裕です
敵や糸を足場にしながら『喰う幸福』の高速移動を駆使し、
敵の身体も尻尾も飛膜も全て斬り刻んで参ります
流石はハレルヤ、褒められる男です
やはりハレルヤの言葉のほうが伝説感あるのにおかしいですよねえ

クレリック達へ近付く敵へは、斬撃から衝撃波を放って攻撃と牽制を
私も彼女達のネットに触れないよう留意しますが、驚かせたらすみません
飛べない身でこんな高い所にいるなんて夢心地ですよね
命は必ず助けて差し上げますから、そのまま暫し高所をエンジョイしていて下さいよ



 とうっ。と。
 夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は躊躇いなく崖から身を躍らせた。
「深い谷での戦いなんてハンデにもなりませんよ。このハレルヤの俊敏性と寿命を盛大に活用すれば余裕です。よゆー」
 ふふん。ふふふん。ふふふんふん。
 寧ろ鼻歌歌いそうな勢いで垂直落下。若干活用してはいけないものを活用している気もしないでもないが、悪食の妖刀が喰らってきた暗色の怨念は、落ちて、落ちて、落ちて。飛び込んできたドラゴンを頭上から、ざっくりと串刺した。
 ぎゃああああああ!
 と。
 多分爬虫類のような悲鳴が複数。構わず晴夜は即座に妖刀を翻し、傷口を広げるように横に凪ぐ。そのまま高速移動を駆使して身体も尻尾も飛膜もご機嫌ですべて全て斬り刻んでいった。
 ドラゴンが倒れれば、即座に高速移動して別のドラゴンに飛び掛かる。そのままギャーギャーいうドラゴン達に向かって刀を振るい……、
「ほらー!!!!!!! やっぱり、なんか、危ないって!!」
 そしてぎゃーぎゃー言ってるのはドラゴンだけでないことに気が付いた。
「おっと」
 その声に惹かれてか、ドラゴン達が崖の真ん中あたりにぶら下がっている繭へと飛び込んでいく。それを慌てず構わず衝撃波を叩きつけて、牽制と同時に攻撃を行った。
「流石はハレルヤ、ナイスアシスト。褒められる男です」
「ほら!! なんか怖そうなの!! 怖そうなのが!! 切り刻んでる!」
「え? そうですね。この刀の切れ味、ハレルヤの俊敏な動き。褒めてくださっていいですよ!!」
「いやー! こっち来たー!! なんかこっち来たー!」
「はっはっは。歓迎、ありがとうございます!」
 半泣きのクレリックが叫んでいる。晴夜はポーズをとる。アイドル気分の晴夜に、なんか怖い刃物持った血まみれの男がいる、という認識のクレリックは半泣きだ。そうして、「そんなにこのハレルヤに会えて嬉しいなんて……」と晴夜も感無量だ。
「おっと。この大いなる輝きで驚かせたらすみません」
「ああ……。こっち見てる。こっち見てるよぉエリナぁ」
「ところで伝説の、破邪の言葉……。それってハレルヤの言葉よりも凄いんですか?」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
 こっち見た。と、泣きそうな相手に、ぶんぶんとクレリックは首を横に振る。 
「そ、そそそそそそそそそれは、なんか、恐れ多いって。言うか!!」
「ですよね。やはりハレルヤの言葉のほうが伝説感あるのにおかしいですよねえ」
「……ニア。見てて面白いけど、そろそろ落ち着いて」
「だ、だって!! わ、わわわわわ私たちの!! 破邪の!! 潰される!! 目障りだって消される!!」
 クレリックのうちのもう一人が、冷静に言っている。ちょっと話を聞いただけで、晴夜が「そういう」人間だとわかったらしい。ぼそぼそと泣きそうな声で、騒がしいほうが反論している。
「だって、目つき悪いし、刀持ってるし、ドラゴン刻んでるし、血まみれだし、何か偉そうだし、つまり……悪!」
「ニア、息を吸うように人の悪口を言っちゃだめだよ。悪はもうちょっと……」
 息を吸うように悪口を言いかけて、もう一方も黙ったようだった。だがそれを聞いているのかいないのか。晴夜は次に出現したドラゴンの翼を切り落とし、よせばいいのにそのまま足を切り落とし。とどめとばかりに首を撥ねたりして、そのまま振り返ってウィンクをするのであった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ。こっち見た!」
「声援ありがとうございます! 飛べない身でこんな高い所にいるなんて夢心地ですよね。命は必ず助けて差し上げますから、そのまま暫し高所をエンジョイしていて下さいよ」
 ウィンク。
「大人しくしてなきゃ吊るすって言ってるー!!」
「言ってないから。言ってないから……」
 熱い声援を背に、晴夜は新たなドラゴンに刃を向ける。いやあ、女性にキャーキャー言われながら戦うのは実に宜しいなあ。なんて思ったか思ってないかは定かではないが、その刃は的確にドラゴンを屠っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
猟書家いなくなっても計画継ぐ者がいるのは面倒だね。一緒に滅びてくれればいいのに。
まあ愚痴っても仕方ないか。蜘蛛の糸の竜退治、頑張ろう。

谷から竜達の頭目掛け飛び降りる。
真上からいきなり飛び降りられたら衝撃で混乱させられるだろうし。
…軽すぎてノーダメージ?あ、竜と目が合った。
こんにちは?と挨拶しつつ速攻で蜘蛛の糸へと飛び移り革命剣を構え迎撃。
お嬢さん達助けるからもうちょっと待ってね、と安心させつつ糸から糸へと飛び回り竜の気を惹いて彼女らから注意を逸らす。
体勢が崩れそうな時はUCで空を跳ねて立て直し、尾の一撃に注意して見切り回避、直後に尾に飛び乗って胴体へと走りカウンター一閃。

※アドリブ絡み等お任せ



 うーん。と、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は腕を組んで思わずつぶやいた。
「猟書家いなくなっても計画継ぐ者がいるのは面倒だね。一緒に滅びてくれればいいのに」
 言ってみる。言ってみるがそれで解決するわけではないので仕方がない。うん、と、クーナは一つ頷いて、
「まあ愚痴っても仕方ないか。蜘蛛の糸の竜退治、頑張ろう」
 やるしかないのだと。そう、クーナは決めて。
 えーい、と崖から身を躍らせるのであった。

 落ちる、落ちる、落ちる。
 物凄い勢いで落下していく。
 そうしていると、いくつもある蜘蛛の糸とともにドラゴン達の姿が見えてきた。
「よいしょっとー!」
 ドラゴンの頭上狙って飛び降りる。ボスん、と、頭に向かって着地した。ぶつかることの衝撃によって、若干のダメージを期待したが、どうやらクーナの体重は軽かったようだ。残念、と言おうとした時、クーナはドラゴンと目が合った。
「あ」
 おっと。と目と目でなんとなく通じ合ってしまう。
「こんにちは?」
 一応挨拶をしておく。クーナはそのままひらりとドラゴンの頭を蹴り、近くの蜘蛛の糸へと着地した。そのまま美しい細剣を構える。
 ぎゃああああ。と、ドラゴンが鳴く。同時に大きな繭のようなところから悲鳴が聞こえる。
「ど、どど、ドラゴン、対、猫!」
 どうやらとらわれているクレリックのようだ。
「やだもぉぉぉぉ。怖い!! いろいろ、いっぱい、怖い!!」
「お、お嬢さん達、助けるからもうちょっと待ってね」
 鳴き声のような叫び声のような声に若干気おされつつも、クーナは飛んだ。空中をジャンプして、まゆの近くにいるドラゴンに剣を突き立てる。
「こっちだよ!!」
 飛び跳ね、時に来る尾びれの攻撃を紙一重でよけてそのまま体の中に潜り込んだ。懐に飛び込眉間を突き立て、そうして倒す。……まずは、一匹。
 ドラゴンの断末魔の悲鳴にクレリックの悲鳴が重なる。
 急ごう、と、さらにジャンプして次のドラゴンの攻撃をかわしながらも、クーナは剣を振るうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユルグ・オルド
んふふ、ハンモックの心地は如何、ッて
んな気楽じゃねえわなあ
や、楽しそうだケドも
なンて聞かれたら怒られっかしら

ちょいと暢気に考えつつ
のんびりして紐が切れたら堪んないしね
さァていきましょ谷からダイブ
狙うのは一匹、ドラゴンの背な
いつものシャシュカで貫いて
空飛ぶ心地に機嫌好く
そのまま飛ぶには翼もなくて
墜ちる翼を蹴っては次の翼へ

空飛ぶ心地ってどんなかい
落ちる気は味わったことがある?
錬成カミヤドリで砕けた刃は捨て置いて
足場が無けりゃさして足場にしてさァさ次
迷っても怖気づいてもいる間もなくって

高い視界はすこしばかり空翔ける心地だケドも
別に翼は欲しかねぇかな



 そして……。
「さァていきましょ谷からダイブ」
 なんてご機嫌で谷へ飛び込んだユルグが見つけたのは、沢山の蜘蛛糸とドラゴン。そして大きな繭であった。
「うぅ。やだ。もうやだ。ドラゴン怖い。ドラゴンも怖い。人間怖い。こーわーいー」
 泣き声がする。その繭むかって、
「んふふ、ハンモックの心地は如何、ッて……、んな気楽じゃねえわなあ」
 ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)がその傍らまで下りたって、声をかけた。
「ぎゃ、ぎゃああああああああああああああああっ!! 声!! 声かけられた!!」
「ニアちゃん……」
「だってあの人!! 空中、浮いてるし!!」
「いや、浮いてない。浮いてナイナイ」
 呆れたような、もう一人の女性の声。それに泣きながら反論する声に。ユルグはひらひらと手を振った。
「や、なんだか随分楽しそうだケドも」
「うぅぅ。楽しくない。ドラゴン怖い。人間怖い……」
「あらら」
 なンて聞かれたら怒られっかしら。と、言いかけたユルグはそれを苦笑で飲みこんだ。……が、
「それなりに快適です。隣がうるさいけど」
「なるほどなるほど」
 もう一方の返答に、だったらよかったよね、なんて。若干呑気にユルグは気持ちを構える。
「じゃあ、ゆーっくり楽しんでほしいところだけど……のんびりして紐が切れたら堪んないしね」
「ひぃっ!!」
 切れるところを想像したのか、悲鳴がする。それになんとも楽しげに微笑みながら、ふわりとユルグは蜘蛛糸を蹴った。
「さあさ狙うのは一匹、ドラゴンの背な。一匹ずつちゃーんとね。仕留めていくのも乙なもんだよ」
 そのまま飛び上がる。言葉通り、狙うのはドラゴンだ。もちろん、自分に向かってくるドラゴンを、
「よっ、と」
 跳ねるように飛んで、その羽を掴んでぐるりと背後に回り込む。
「空飛ぶ心地ってどんなかい?」
 そうするとなんだか自分も空飛んでいるような気持になるかもしれない。若干ご機嫌でそう言いながらも、ユルグはいつものシャシュカでドラゴンの頸の裏あたり。翼の付け根。背のあたりを貫いいた。
「それと……落ちる気は味わったことがある?」
 双方ともに返事はない。ドラゴンのけたたましい悲鳴がする。突き刺した刃はそのまま気にせず捨て置いた。複製した自分の本体は使い捨て。次の刃を手にとって、翼のないユルグはさらに飛んで次の翼を巡っていく。
「そぉれ!」
 時に足場がなければ谷の壁面に刃を突き刺して、それを足場にさらにユルグは天をかけた。
「さァさ次。いいねえ。迷っても怖気づいてもいる間もなくってサ」
 さらに頭上から糸るように、ドラゴンの背を狙ってるら抜いて。そしてまたさらに跳んで。
 そうしていると、なんだか本当に空を駆けている気持になるけれども……、
「別に翼は欲しかねぇかな」
 楽しいけれども、なんだか違うなあ、なんて。
 自分の複製を使い捨てにしながら、ユルグはそう嘯くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『死』の冒涜者』

POW   :    生命を貪る蒼炎の衣
全身を【生への妄執たる青き炎】で覆い、自身が敵から受けた【死に体する恐怖】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    不死たる十三の蛇
自身の身体部位ひとつを【十三の首を持つ蒼炎のヒュドラ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    永遠の楽園
戦闘用の、自身と同じ強さの【何度でも蘇る蒼炎の落し子】と【落し子を生み続ける不死たる母体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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 そして……。
「エリナ……。だ、だだだだだだめだよ。逃げようよ」
「でも、助けてくれたんだから」
「だって!!」
「だって?」
「だって! 私見たもん!! エリナを何か、変な黒いのに入れた人! ちょっとだけど!!」
「うん?」
「手が二つだった!!」
「……」
「ど、ドラゴンの手じゃなかった!! だから!」
「ああ……」
 うるさいほうがニア。うるさくない方がエリナ。
 助けられたエリナが、そう自己紹介をして。ぺこりと一礼した。それを猟兵たちから庇うように前に出てニアが遮る。
「だから!! まだ、エリナを浚った人がどこかにいるの。誰かわからないなら、気を付けるしかないじゃない!」
「大丈夫だよ。この人たち、イケメンだし」
「イケメン関係ない!」
「美少女もいるし」
「美少女も、関係ない!」
「助けていただいて、本当にありがとうございます。あのままでは死んでいました」
 深々と頭を下げるエリナにニアはもう泣きそうだ。しゃがみ込みたいところを頑張って堪えている。そんなニアを放置して、エリナが言った。
「ところで、どうやら私たち、浚われてここまで来てしまったみたいで……。帰りたいのですが。――は、どちらの方向に行けばよろしいですか?」
 それは、誰も聞いたことのない土地の名前であった。
「だいたいの方角がわかれば……歩いてでも、何とか帰りたいんです。きっと親も心配していますし、仲間も……」
 といっても、誰も聞いたことがない場所である。さて、何と答えようか……と、猟兵たちが思案していた、所に、
『ドラゴンたちめ……騒ぐだけ騒いで、まだ、ひとりたりとも殺してないではないか……』
 ぼうっ。と。青白い炎のようなものが空中に浮かび上がった。
 時刻は夕暮れ。夕陽に紛れるようにして、青白い炎がぼうっと現れ、それは次第に人の形をとっていく。
「ぎゃああああっ。でーたー!!」
「なになに、お化け?」
 賑やかな反応を示す……つまりまだ生きているクレリックたちを忌々しそうにそれは見やる。もっとも、目がなかったので、忌々しそうな雰囲気が空気に乗って伝わってきたのだが。
『仕方がない。ならば……』
 ぼうっ。と、青白いそれは姿を現す。生命を貪る蒼炎の衣をまとい、骨だが……、
「あ、あいつ、手が二つある」
 そう、骨の手を二つ揺らして、
『今ここで、我が自ら始末するまで』
 『『死』の冒涜者』はそう、宣言するのであった。


※マスターより
微妙にクレリックを書くのが楽しかったので長々しくなりましたが普通の戦闘です。
クレリックは守っても、守らなくても大丈夫。構っても、かまわなくとも大丈夫。(普通に戦闘すれば、普通に守ることになります)
因みに時刻は夕暮れ。場所は崖の際です。広場のようになっているので、戦闘に支障はありません。
わざと落ちなければ大丈夫ですが、落ちればドラゴン戦があった谷へ真っ逆さまです。

リプレイ募集期間は3日8:31~18:00まで。
あんまり大人数は想定しておりませんので、ありがたいことに思ってた以上にお声をかけていただいた場合、プレイングをお返しすることがあります。ご了承ください。
(今回は、プレイング返却直前まで書ける分だけ書ける予定なので、もう少し余裕があるとは思います。二章のみの参加も大歓迎です)
先着順ではありませんが、明日の朝から来た順番に書けそうなのを書いていくスタイルになりそうですので、参加を検討していらっしゃる方は早めにプレイングを頂けると小躍りして喜びます。
それでは、よろしくお願いいたします。
注:リプレイ募集期間ってなんやねん……。プレイング募集期間です
御園・桜花
「宙が生まれ星を生み、星の上で生命が生まれる。全ては留まらず変わりゆき、生まれて滅する世界の中で。変わらず在り続ける貴方達オブリビオンは…定命の恵みから外れた、異質で哀れな存在だと思います」
「在ることは移ろいゆくこと。貴方達を、移ろう定めに還しましょう」

制圧射撃しながら炎の精霊召喚しUC使用
落とし仔と母体にぶつけ揺らがぬもの再生するものを次の攻撃から外し本体を判断
本体を見つけたらそこに制圧射撃とUCの攻撃を集中する
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「在ることは願うこと。どんな願いを持とうが自由。並び得ぬ願いが滅し合うだけ。次にお戻りになる時は、定命で、叶えられる願いを持たれますよう」
鎮魂歌で送る


シキ・ジルモント
賑やかだな…
落ち込むよりはいいのだろうが

敵がニアとエリナへ危害を加えようとする場合は、間に割って入り妨害
接近するようなら受け止めて蹴り飛ばし、二人から引き離す
指の先すら触れさせるつもりはない

クレリックの二人、特に不安定になっているニアがオブリビオンを恐れるようなら、恐怖を和らげる為に声をかける
…単純に心配でもあるし、敵の強化に繋がりかねない
「大丈夫だ、必ず助ける。あの竜の大群からも守り切っただろう、心配するな」

二人の守りとなる為に動かず、その場からユーベルコードで攻撃
エンチャント・アタッチメントを銃に装着
アタッチメントによって炎の『属性攻撃』弾となった弾丸なら「お化け」相手にも効果があるだろう


篝・倫太郎
始末するまで、って言われて
『ハイ、どうぞ』
なんてなる訳なかろ?

始末されンのはそっちだよ

天地繋鎖使用
指先で示すのは冒涜者と総ての落とし子とその母体
蘇る速度より殺す速度が上回ればいいんだろうけどな
んなシンドイ事するよりも、こっちのが早い!

鎖の攻撃と同時に衝撃波と鎧無視攻撃を乗せた華焔刀で
冒涜者を中心にしてなぎ払い
彼女達から遠ざける形で吹き飛ばし
刃先返して、傷口をえぐる

敵の攻撃は見切りと残像で回避
ただ、回避する事で彼女達に被害が出る場合は
その場でオーラ防御を展開して凌ぐ
以降の攻撃には生命力吸収も乗せてく

聞いた事ない地名で、場所も判んないから
送ってくとか言えねぇけど
領主に預けてくくらいはしても良いだろ


ベイメリア・ミハイロフ
エリナさまと、ニアさま
なんとか、故郷にお帰しする事は叶わぬのでございましょうか
と、その前に、元凶を絶たねば、でございますね
中々に見た目のパンチ力があるお相手ではございますが
…ほうらもう、お二人を怖がらせてしまいました
既に怯えていらっしゃいましたのに、更に怖がらせてしまうとは
わたくし、お許し申し上げませんよ

お二人をオーラ防御を用いてかばいつつ
第六感・野生の勘にてお相手の攻撃を見切り防御又は回避を
母体や落とし子は無視し、本体を狙って参ります
攻撃には呪詛を付与し、自己治療・生命力吸収能力を制限したく

その見た目で、死に対する恐怖、などございませんでしょうに
むしろ死を運んでいらっしゃいそうでございますよ


コノハ・ライゼ
ナルホド、お元気なようでなにより
ま、誘拐犯疑惑も晴れたコトだし?
ひとつイケメンに声援でもくれりゃ、もっとやる気も出るケド如何かしら

念の為彼女達からは離すよう意識して戦うねぇ
ハイハイ、命が欲しいならおいでなさいな
駆けて誘いながら「くーちゃん」へ【天齎】発動するヨ
ほぉら、とっても美味しそう
くーちゃん嗾け妄執の塊な炎を喰らわせ消すわネ
反撃は見切り躱してくケド、まあ少し位の生命力ならご馳走してあげてもイイわ
だってその分しっかり返してもらうもの
カウンター狙い「柘榴」で斬りつけて、念入りに傷口抉っていきましょ
お返しは恐怖のおまけを添えて、しっかり生命力を喰らい返すよぉ


クーナ・セラフィン
うーん、幽霊っぽいのが出てくるとはね。
如何にも生者を憎んでそうな感じだけど手もあるし実体があるなら切れる切れる。

お嬢さん達を不安にさせないように強気に。
大丈夫大丈夫。こんな骨しかないようなのがドラゴンより強そうに見えるかい?
イケメン…かはともかく私もいるし、騎士として守り抜くから安心してと語りかけ。
彼女達を守りながら戦闘。
ダッシュとスライディングで地を駆け召喚された二体の攻撃躱しつつ翻弄、
本体へ射線通ったらUC発動し凍らせてやろう。
ダメージで召喚存在が消えたら疾風のように飛び込み革命剣で骨部分を切ってやろう。
…帰り道はわからないけどこの大陸出るまでなら案内できるかにゃー。

※アドリブ絡み等お任せ


エンジ・カラカ
オバケダー!やったー!
オバケ。初めて見たオバケ。
うんうんイイネイイネ。
オバケと遊ぼうそうしよう。

賢い君、賢い君、どーやって遊ぶ?
うんうん。アァ……イイネイイネ…。
閉じ込めよう!そうしよう!

薬指をもう一度噛んで君に食事を与える
賢い君の好物好物。

君の糸と炎で迷宮を作ったらそこにオバケを閉じ込めようそうしよう。
助けなきゃいけないヤツラがいた気がするケド
コレはオバケと遊びたい。うんうん。

アァ……オバケ…。捕まえた捕まえた。
コレとあーそーぼ。

属性攻撃は賢い君の炎。
アカイイトの檻を作って閉じ込めようそうしよう。
賢い君、賢い君
オバケは檻の中に入る?出る?
どーっちだ。


夏目・晴夜
イケメンに命を救われて、更には守ってもらえるなんて
普通に生きているだけではあり得ない幸福でしょうね
どうぞ喜んで褒めて下さい

十三もある首は刺して抉って斬り広げてひとつずつ落とし、
あと折角なので敵の本体も刻んで参ります
もし噛まれても、その治癒を上回る傷をコツコツと与えていけば死ぬでしょう
真に増やすべきは首の数ではなく地道な努力ですよ
流石はハレルヤ、いい事言いますね

あ、クレリック達の命はちゃんと守って差し上げますから
このハレルヤへの声援と歓声と賛美と尊敬を依然お忘れなく
そして私は国王にもなれそうな程の切れ者なので、
クレリック達は棲家へ転移するUCを使えばいいと気付いておりますよ
私は使えないですがね!


ユルグ・オルド
あっは、や、仲良いわネ
元気そうでまァまず安心だわ
でもあんま逃げ回んないでね
ぴゅっと出てくと庇うに庇えない

一応まあそれなりに、庇う形はとりつつ
傾げんのは、……や、俺も手二つじゃん?じゃん?
いやまあ手二つ確かにあるケドもさア
アバウトだな……
でもシャシュカはもっとある

さってと剣の残りは何本だろ
広げ並べて首の数と勝負といこう
骨の代りにとってこい、ッてな
咥えて噛んだら蛇の開きかしら

骨だろうが断つのは首めがけて
まあ頭が落ちようが動きそうなモンだケド
崖からダイブ、行ってみるかい
存外楽しいもんだったよ




 ごう、と青白い炎が舞い上がった。即座に桜花は機関銃を構える。
「牽制します。ひとまず」
「了解した」
 桜花の言葉を察して、シキもその炎の体にハンドガンを撃ち込みながらもわずかに後退した。代わりに桜花は前に出る。
「おいで精霊、数多の精霊、お前の力を貸しておくれ」
 桜花が撃ち込むのは炎の精霊の力を込めた魔力弾だ。青白い炎に、赤々とした力強い炎が吸い込まれて行く。
「宙が生まれ星を生み、星の上で生命が生まれる。全ては留まらず変わりゆき、生まれて滅する世界の中で。変わらず在り続ける貴方達オブリビオンは……定命の恵みから外れた、異質で哀れな存在だと思います」
 青い炎の中に吸い込まれて行くそれを見ながら、桜花はしっかりと前を見た。
「在ることは移ろいゆくこと。貴方達を、移ろう定めに還しましょう」
『小癪な……!』
 炎は蒼炎の落し子とそれを生み出すものを召喚する。しかし桜花がすかさず銃弾をばらまく。生み出すと同時に攻撃を受けるそれらであるが、それらを倒すことが目的ではない。
「見つけました。あれですね」
「う……っ、しゃ!」
 ばらまいた弾丸のうちどれかが本体にも命中する。命中すると同時に作り出された母体や落し子が一瞬、消え失せた。その隙を見逃さず銃を撃ち続ける桜花。そしてそれめがけて倫太郎も駆けた。
「始末するまで、って言われて、『ハイ、どうぞ』……なんてなる訳なかろ?」
『……!』
 即座にオブビリオンが自らを隠すように再び炎のそれらを召喚する。倫太郎は冷静に指を向けた。
「其処に天地を繋ぐ鎖を穿て。……始末されンのはそっちだよ」
 詠唱と同時に天と地から現れたのは不可視の鎖だ。対象は目の前にある彼らすべてを指定する。桜花の掃討により数が減っていたことがありがたい。そのまますべての敵を鎖で穿って、
「蘇る速度より殺す速度が上回ればいいんだろうけどな……」
 倒しきるには力が足りない……が、
「んなシンドイ事するよりも、こっちのが早い!」
 要は、本体を傷つければそれらは消えるのだ。構わず倫太郎は踏み込んで、衝撃波を纏った華焔刀をぶん、と力強く薙ぎ払った。
「そこだ!!」
 吹き飛ばされる炎たち。そして確かな手ごたえとともに数多の炎が消滅する。現れたのは本体ひとつ。そのまま刃を返して傷口を抉るように、倫太郎は刃を叩きつけた。
『おぉ、おぉぉぉぉぉぉォぉ!』
 炎に血は出ない。ただ、燃え上がるように青い色が揺らめく。吹き飛ばされて後退したそれは怒りのような声を上げる。
 だが、効いている……気がすると、桜花も倫太郎も感じた。見た目に変化はないが、そんな雰囲気がしていたのだ。
 炎が骨だけの腕を伸ばす。腕を伸ばしたとたんにその形が変形する。目の前の二人には目もくれずに、
「っ。ぎゃああああ、こっち来たー!!」
 撓った。ヒュドラの形をしたそれが、ぐるりと二人を迂回するように回って伸びる。それの目的は猟兵たちではない。クレリックを殺し、破邪の言葉を生み出すことであるからだ。
 ……だが……、
「賑やかだな……。落ち込むよりはいいのだろうが」
 それを勿論、警戒していた者もいる。すかさず間に割って入ったのはシキであった。
 目立たず援護射撃を続けていた式が、ヒュドラの腕が飛んだ瞬間、二人の前に立ちそれを阻んだのだ。
「指の先すら触れさせるつもりはない……。さあ、これなら、どうだ?」
 ヒュドラの頸を素手でつかむ。掴むと同時にシキは反動のきつい特注弾を其の十三の首の付け根あたりに撃ち込んだ。反動で痛む身体。そしてヒュドラから発せられた炎がシキを包み込む。だが構わず、シキはそのまま首を掴んでヒュドラを引きちぎり、ポイと崖の上に投げ捨てた。
「大丈夫だ、必ず助ける。あの竜の大群からも守り切っただろう、心配するな」
 首は崖から落下して、おそらくは落下中に燃えて消えるだろう。シキはそれを帰りもせずに、クレリック二人に向き直る。
(笑顔のひとつでも、浮かべられれば良かったが……)
 ……単純に心配でもあるし、敵の強化に繋がりかねない。
 恐怖を和らげるために、落ち着いた声音でそれだけシキは言うと、大丈夫だ。と、もう一回念を押すように言って敵のほうへと向き直った。
「だから、そこを動くな」
「……はっ。やばい、イケメンすぎて惚れそう」
「えええ、ちょっと待ってえりなぁぁぁぁ」
「ニア謝って。今までの失礼を謝って。私の未来の旦那さんに!」
「えええ。ご、ご、ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
 ……賑やかだし、多分大丈夫だろう。落ち込まれるよりはずっといい。
 もう一度シキは心の中で呟いて、炎冠石を加工したアタッチメントを己の銃に装着する。
「これなら……、「お化け」相手にも効果があるだろう。ここから、援護する」
 そうして油断なく、炎となった弾丸を青い炎へと叩きつけた。
「ああ! 一人でも見ててくれる人がいると助かるぜ……っと!」
 倫太郎がこたえた。その時、目の前に炎が走る。青白い炎は倫太郎を夜間としていて、倫太郎はそれをよける……直前に、オーラを纏った華焔刀でそれを弾き飛ばした。避ければ後ろの二人に当たるからだ。
『小賢しい……!』
「それはこっちの台詞だっての!!」
 そのまま生命力を優秀する力をのせて、華焔刀を振るう倫太郎。
「本体……そこですね」
 その隙を桜花も逃さない。即座に銃弾を叩き込む桜花。苦しむような怒りの声が周囲に響き渡り、炎が大きく膨らんだような気がした。



 炎が揺れる。揺れる、揺れる、揺れる。青白く、力強く。。
 猟兵たちの攻撃を受けて、それは雄たけびのような声を上げた。
『まだだ……まだだぁぁぁぁぁぁ!! まだ、死ぬわけにはいかぬ!!!』
 天に骨の手を掲げて、叫ぶそれはその言葉通り、己の体を更に強く、強くと求めているようであった。声に応じてその体に炎が灯る。
「……いや、さすがにあの手は」
「だって、だってだってだって……! 二本あるし!!」
 元気に叫ぶクレリック二人組をちらりと横目で見やって、コノハは小さく頷く。
「ナルホド、お元気なようでなにより」
 まあ、しょげ返るよりはいいだろう。あとでおいしいものを御馳走しよう。
「ま、誘拐犯疑惑も晴れたコトだし? ひとつイケメンに声援でもくれりゃ、もっとやる気も出るケド如何かしら」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
『貴様ら、いいからそのクレリックどもを横せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
「ひぃぃぃぃ、が、がんばってくださーーーーーーい!!」
「もう。もう。そう怖い顔でそのようなことをお言いになる。……ほうらもう、お二人を怖がらせてしまいました。……既に怯えていらっしゃいましたのに、更に怖がらせてしまうとは。わたくし、お許し申し上げませんよ」
 また泣きそうにナルニアの前、庇うように立ったのはベイメリアだ。きっと大声で喚くそれを見つめ、にらみつける。
「……中々に見た目のパンチ力があるお相手ではございますが。此度の事態の元凶、断たせていただきますよ」
「ひゅーひゅー。かっこいー」
「まっ。あなたさままでそっちに混ざらないでくださいまし!」
「あ、ばれた?」
 思わずコノハが若干にあの声真似のような口調で言って、それからにやりと笑った。
「ま、かっこいいのは本当のことだケド。……ハイハイ、命が欲しいならおいでなさいな」
 ぽん、というなりコノハはくーちゃんとともに跳んだ。
「ほら、あんな女の子たちよりは食べ甲斐があると思うけど~?」
 それの目の前に。からかうようにひらりと走る。それと同時に、クーナもまた大地を蹴った。
「大丈夫大丈夫。こんな骨しかないようなのがドラゴンより強そうに見えるかい? イケメン……かはともかく私もいるし、騎士として守り抜くから安心して」
 そうして走る間際に、エリナとニアへも声をかけていく。不安を感じさせることがないように、力強く。なんてったって、イケネコだからね。と、冗談めかしてそう言いながらも、クーナも敵の懐へと走った。
「うーん、幽霊っぽいのが出てくるとはね……。如何にも生者を憎んでそうな感じだけど手もあるし実体があるなら切れる切れる」
 平気。とクーナは革命剣を翻す。そのまま本体を切り刻もうとした瞬間、
『まだだ。まだ……諦めきれぬ!』
 声とともに、それは青白い炎を纏う新たな敵を作り出した。落としごと母体は本体に似た青白い炎を吹き出しながら、彼らのいく手を阻む。
「いける?」
「大丈夫、見ていたさ!」
 コノハの声に、クーナが応じた。そのままクーナは全力で大地を走る。そしてそのままスライディングするかのように地面へと滑りこんだ。
「こんな趣向はどうだい?」
 そのまま槍を振るう。放たれたのは雪混じりの花吹雪だ。惑わすようなその花吹雪を、本体に向けてクーナは放つ。
「それ!」
 ダメージが少しでも通ればいい。と打った瞬間、呼び出されていた個体が消滅する。
『ぐ……っ』
「いいえ。ここはさせませんわ。申し上げましたでしょう。お許し申し上げません、と……!』
 再び敵が同じものを呼び出そうとするのを、ベイメリアが遮る。倒しきるまではいかずとも、降り注ぐ光の矢は絶え間なく敵を打ち据えていく。
「今、でございます」
「任せてにゃ」
 ベイメリアに応えて、クーナが飛び込んで敵の本体に革命剣を突き刺した。
 そして、苦し気な悲鳴のような声が聞こえる。それを聞きながら、コノハもくーちゃんに騎乗したまま走った。
「祝杯を――。ほぉら、とっても美味しそう」
 ね? と微笑むコノハ。燃え上がるその炎は確かにダメージを受けているはずだが、それが更なる憎しみを生むかのように勢い良く吹きあがっている。それをものともせずに、コノハは召喚していたくーちゃんへ思い描く空模様のオーラ纏わせた。
『ぐぅぅぅぅぅ。とことんまで、邪魔を、するか……!』
「あら。駄目。行かせない」
 なんとしてでも、クレリックのところへ。向かおうとするそれを止めるように、くーちゃんが走りこむ。
 邪魔するなとばかりに炎が走る。くーちゃんがちらりとコノハのほうを見た気がした。
「そうね。こーんな攻撃、躱してくケド……、まあ少し位の生命力ならご馳走してあげてもイイわ」
 構わず、その炎をくーちゃんもコノハも受け止める。それと同時に、くーちゃんの爪が走った。曰く、邪な力や心、惨憺たる呪縛や妄執。ただそれだけを攻撃し切り伏せる。そんな力を持つその爪が、やすやすとそれの炎を切り裂いていく。
「……だってその分しっかり返してもらうもの」
 そうしてその傷口を、コノハは抉るのであった。
 炎という、手ごたえのないもの。しかし何故か、何かを切ったという確信が確かにあった。
「お返しは恐怖のスパイスを添えて……ね」
 美味しいでしょう? と。
 「柘榴」念入りに傷をつけるコノハは、とても……とても楽しげに、笑うのであった。
「妄執の塊な炎……。喰らって、消させてもらうわネ」
『やめろ……。やめろぉぉぉぉぉぉぉォぉ!』
 炎が飛び散る。散弾銃のように出鱈目に吐き出される。すかさずベイメリアがメイスを振るって叩き落とす。確実に、クレリックたちへと向かう攻撃だけを叩き伏せながら、
「その見た目で、死に対する恐怖、などございませんでしょうに……。むしろ死を運んでいらっしゃいそうでございますよ!」
 その猛攻に、耐えかねるとでもいうように。
 炎は、おぞましい叫び声を上げ続けた……。



 炎が燃え上がる。天へと浮遊するそれにエンジはおぉ、とそれを仰いだ。
「オバケダー! やったー! オバケ。初めて見たオバケ」
 何やら感心して、そしてはしゃいでいる。そんなにいいもんじゃないよぉォぉ、と何やら声がしている気がするがエンジのほうは全く持って気にしていない。
「うんうんイイネイイネ。オバケと遊ぼうそうしよう」
「そうですねそうですよね。このハレルヤを見下ろすなんて頭が高いっていうか。ここはちょっと遊んでやらねばいけませんよね!」
 隣で何やら同じようにうなずきながら腕を組んでいるのは晴夜である。浮遊している敵に対していってるのだろうが、
「そんなこと、言ってる場合じゃない!! 怒ってる。それめっちゃ怒ってるからぁぁぁぁぁ!!」
 もういっそ泣きたい。とばかりに叫ぶニアに、思わずユルグが声をあげて笑う。
「あっは、や、仲良いわネ。元気そうでまァまず安心だわ」
「うう、安心じゃない……。むしろ安心できない……」
「まあまあ。でもあんま逃げ回んないでね。ぴゅっと出てくと庇うに庇えない」
「そうですよ。イケメンに命を救われて、更には守ってもらえるなんて、普通に生きているだけではあり得ない幸福でしょうね。どうぞ喜んで褒めて下さい」
「どうしよう、言葉、通じない!!」
「ニア、それ、最近の言葉で「おまいう」っていうんだって」
 俗にいうお前が言うな案件である。
 そんな愉快な会話を聞くと話に聞いていたエンジは、ふんふんと頷く。ふんふんと頷きながら幽霊を下から眺めていたのだが、そのうち眺めているだけでは飽きたのだろう。
「賢い君、賢い君、どーやって遊ぶ? うんうん。アァ……イイネイイネ……」
 緩く頷いた……かと思えば、
「閉じ込めよう! そうしよう!」
 ぱっ、と獣のように全力で走り出した。
『どこまでも……邪魔をするというのか!』
 炎が膨れ上がる。今までの猟兵たちの攻撃により弱まっていたその勢いがまた一段と上がる。死への恐怖を糧にして燃え上がらせたその体が、ぐにゃっ、と変形して別の生き物に姿を変えた。
「おっと、させませんよ!」
 両の腕が13の頸のあるヒュドラへと姿を変える。それがそれぞれ意思を持っているかのように伸びた。しかしそれに即座に対応したのは晴夜だ
「腕が十三もあってはご面倒でしょう。すっきりさせて差し上げますよ! あとついでに本体も刻んであげますからね!」
 なんて宣いながらも即座にヒュドラの首を串刺して、そして薙ぐ。言葉とは裏腹にその動きは的確だ。ひとつずつコツコツと、妖刀できっては落とす。途中ヒュドラに噛みつかれても気にしない。
「おや、怪我しておられる様子。ここはもう少し深く抉っておきますね」
 その治療を上回る傷を与えて行けばいいのだと、
「真に増やすべきは首の数ではなく地道な努力ですよ。流石はハレルヤ、いい事言いますね」
 なんかよくわからないことを言いながらも動きはコツコツ真面目に、着実に敵の炎を削っていくのであった。
『!』
「ひぃぃぃぃ、やっぱり手が二本あると、碌なことがないよぉぉぉぉぉ」
「まあまあ、そう言いなさんなって」
 めっちゃ切り落とされて行くヒュドラの頸に叫ぶ声。それにユルグはそう言って。……そういって。ふと、瞬きをする。一応まあそれなりに、庇う形はとりつつユルグもまた敵を見据えていたのだが……、
「……や、俺も手二つじゃん? じゃん? ……いやまあ手二つ確かにあるケドもさア」
 そっちもあるじゃん、二本。と言いたげな口調。
「アバウトだな……」
 なんて呑気に、思わず構えていたけれども仕方がない。……と、おもむろにユルグはにっ、と、笑った。
「……でもシャシュカはもっとある」
 複製していた己の本体がぼう、と浮かび上がる。さってと剣の残りは何本だろ。ずいぶん数が減ったけれども、それでも骨を相手取るぐらいには充分だろう。
「それじゃま……、広げ並べて首の数と勝負といこう。骨の代りにとってこい、ッてな!」
 そうして、一斉にユルグは刃を残ったヒュドラたちに叩きつけた。
「それ、咥えて噛んだら蛇の開きかしら」
「おや……これは良い、道が空きましたね!」
 一掃されるヒュドラに嘯いて、晴夜が一気に敵の本体へと迫る。そのままひと太刀、全力で刃を振り下ろし……、
『くそ、このままでは、このままでは死ねぬ……!』
 炎が浮かび上がる。それは青白い炎を弾丸のようにはじけさせた。それは猟兵たちではない。後ろの、クレリックに向けてである。
「む……。いけませんよ。彼女たちには私の賛美歌を歌うという使命がある! ちゃんと守って差し上げますから、このハレルヤへの声援と歓声と賛美と尊敬を依然お忘れなく!」
 即座に、晴夜は取って返して、その炎を弾いた。妖刀に炎が映る。構わず晴夜はその刃を振り落として炎を払った。……その隙に、
『今だ!』
「おやまあ」
 全力で青い炎を纏った其れは後退した。
『ここで死ぬわけにはいかぬ。体勢を立て直して、今度こそ……!』
 全速力で逃げていく青い炎。……その、背後に。
「アァ……オバケ……。捕まえた捕まえた。コレとあーそーぼ」
 心底、楽しそうな声がして。
 もはや温度を感じられないそれ飲みに、寒気が走ったような気がした。
「賢い君もね、好物貰った貰った」
『ぎゃ!』
「助けなきゃいけないヤツラがいた気がするケド……コレはオバケと遊びたい。うんうん。遊ぶの大事。あーそーぼ」
 薬指をもう一度噛んで食事を与え、準備万端だった賢い君のイトが振るわれる。
「逃がさない、逃がさない。遊ぼう遊ぼう。なにして遊ぼう。そう……オバケを閉じ込めようそうしよう」
 ぼう、と、賢い君のイトが牢獄のように青白い炎の亡者を包み込む。アカイイトの檻でそれは閉じ込められ、出ることはかなわない。
「賢い君、賢い君。オバケは檻の中に入る? 出る? どーっちだ」
「おぉい、きがすんだらこっちになげてくれないかい?」
 出ようとして出られないそれを横目で見やって、ユルグが声をかけた。
「崖からダイブ、行ってみるかい。存外楽しいもんだったよ」
「おお、いい案。ぽいぽいするー」
 イトごとぽーい、と、エンジはそれを空中に投げ捨てる。悲鳴を上げるそれに、まあ……と、ユルグは一考して、
「まあ……頭が落ちようが動きそうなモンだカラ」
 一応、とばかりにざっくり刃でとどめは刺しておいたという。



 それから。
「それで、そこから投げ落としたの?」
 戦いが終わった後……。
 崖の上から谷底を覗き込んだコノハが軽く口笛を吹く。桜花がそっと両手を合わせて、
「在ることは願うこと。どんな願いを持とうが自由。並び得ぬ願いが滅し合うだけ。次にお戻りになる時は、定命で、叶えられる願いを持たれますよう……」
 そう祈った。せめて鎮魂歌をと、歌を奏でてその魂を送り出す。その隣でうんうん、とエンジが頷いた。
「オバケオバケぶわーっと落ちてった!」
「まあ、とどめは刺しておいたから、安全安心だよね」
 エンジの言葉に、うんうんとユルグがそうつけ足す。その言葉に、コノハも納得したようにうなずいた。
「そ、じゃ……ひとまず」
 お疲れさまでした。なんて言おうとしたら、
「あの、一度ともに故郷に来て、両親に会ってくれませんか!!」
 何やら決意に満ちた声がしていた。
 一頻り安全を確認して落ち着いたので、エリナがシキにそう言った。表情は真剣だが、内容が内容すぎて本気なのかどうなのかちょっと判断がつかない。
「いや、場所がわかれば送っていくことはできるが、結婚はできない、済まない」
 なので、シキも正直に言うしかない。そうですか……と、しょんとうなだれるエリナを見ると、割と本気だったのかもしれない。
「ひぃぃ信じられない。エリナほんと信じられない……」
 ようやく戦いが終わった後、しつこいくらい安全確認したニアは力尽きたように座り込んでいて、
「あのさ」
「ひぇ!!!」
 倫太郎が若干、心配した声をかけると飛び上がらんばかりの悲鳴を上げた。
「聞いた事ない地名で、場所も判んないから、送ってくとか言えねぇけど……、領主に預けてくくらいはしても良いだろ」
 出来ることができたらいいと。思わずそうつぶやいた。その言葉に、そうだね。と頷いたのはクーナだ。
「……帰り道はわからないけどこの大陸出るまでなら案内できるかにゃー。お手伝いするにゃ」
「う、うぅ。うぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
 今たぶんすっごい、良く知らない人についていくなんて、ってのと、いや護衛してもらった方が安全、ってのでニアの心は揺れている。それがありありとわかったので、倫太郎はちらりとエリナのほうを見た。こっちもこっちで失恋のショックから無言で、無表情で、黙り込んでいる……が、多分、ある程度まで送っていく方向になるだろう。
「って言っても、大陸から出た後どうすればいいのかわからないから、ある程度のところで……ひっ、こっち見ないで! そのキラキラした目で見ないで……!」
「まあ……。エリナ様も、ニア様も、おいたわしい。なんとか、故郷にお帰しする事は叶わぬのでございましょうか……」
「祈らないでぇぇぇぇ」
 ベイメリアが祈りをささげるので、なぜかニアは悲鳴を上げた。神官的な格の違いを見せつけられたからかもしれない。やっぱりもういっそ放っておいて……と言いたげなニアであったが、
「ふ……っ。ニアさんもエレナさんも甘いですよ」
 そこでなぜかどや顔の晴夜が、ぐッ、と胸を張ったのである。
「お二人はこのハレルヤをほめたたえるための神官」
「え、いつのまに」
「そして私は国王にもなれそうな程の切れ者なので……二人達は棲家へ転移するUCを使えばいいと気付いておりますよ!!」
「……ほう」
 そこで初めて、失恋のショックから立ち直ったエリナが真顔になって首を傾げた。
「それは、どのような?」
「いえ、私は見たことがありませんし使えないですがね! どこかにあるようなそんな気がします!!」
 ちなみに今現在知られているUCの中にはありませんでした。
「あー。具体的に言うと、他者を、術者の知らない他者の思い描く場所へと転送する……みたいな?」
「多分!!」
「……み、見つかりましたら、お知らせいたします。ご連絡方法を詰めておきましょう、今から!」
 得意げな晴夜の台詞に見るからにしょぼくれたエリナを、倫太郎とベイメリアが声をかけて宥める。

 ……今は無理でも、もしかしたらいつかできる日が来るのかもしれない。
 そんな気が、しないでもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月05日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御手洗・花子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト