●船上に響くけたましい鳴き声
『クカカカカカカッ』
コンキスタドール大艦隊の中で、一つの船団がイルカ独特の鳴き声に包まれる。
海にはイルカの群れなどはおらず、その声は船の中から響き渡っていた。
『クカッ、カカカカカッ! キュキュ!!』
それもその筈、このコンキスタドールはイルカである。それも頭のみがイルカで、手びれや足びれなどが退化せずに残る外観で、人からイルカ、もしくはイルカから人への進化の過程で止まったかのような連中が言葉を交わすように鳴いているのだ。
『キュイキュ。キューイ!!』
コンキスタドール『イルカ原人』の船団は蒼海羅針域の破壊を諦めたコンキスタドール大艦隊から外れる。彼らは猟兵が持つお宝を奪いに、その身に宿す獣性の破壊衝動に駆られるままに欲望の海を縦断しようとしていた。
●グリモアベースにて
「七大海嘯の各拠点、並びに各島を領土とする『王笏』らの撃破の噂を知ってか、蒼海羅針域の破壊を目論んでいたコンキスタドールの大艦隊の足並みが乱れてきたようです」
シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)が語るには、七大海嘯への義理を果たせたと戦線を離脱するもの、七大海嘯配下のコンキスタドールが戦意を喪失して敗走しているもの等、様々な理由から既に統率は喪われているのも同然で、各々の意思の元で離脱する船団が後を絶えないという。
「ですが、中には我々猟兵と一線交えようとする者達も存在します。今回私が予知した原始的なイルカの深海人、敢えて言うなれば『イルカ原人』でしょうか」
彼らは謂わば類人猿に似た存在で、遠い遠い進化の過程で消えた存在がオブリビオンとして復活したものである。その証拠にグリードオーシャン内で使われる共通の言語を喋らずに、イルカの鳴き声による原始的なやり取りで仲間同士で意思疎通を図っているという。
「ですが、彼らが厄怪な存在なのは文明を持たぬ彼らは物を創り出すことはせず、各地の島々で略奪を繰り返す事で装備や物資を調達する性質です。わざわざ物を作るのであれば奪ったほうが手っ取り早いと学習した為でしょう」
つまりシグルドが言うには。独自行動を取った彼らの船団が他の島に上陸して略奪や殺戮を繰り広げる可能性があるため、彼らを退治して欲しいとの事の他、仮に『邪剣』ピサロ将軍が逃走に成功した場合には彼らも同行する可能性があるからだ。ただでさえこの海の厄介者である彼らが他の世界に出たら、何をしでかすか分かったものではない。
「なおイルカ原人ですが、その姿から想像は付きにくいと思われますでしょうが、知能は比較的高い模様です。流石はイルカを祖先に持つだけありますが、それ故に奪った物の使い方をすぐ理解する性質があります。我々の装備を奪い、それを使いこなす彼らに持ち物を奪われないように」
そのように注意を述べ、シグルドは鉄甲船『アルゴノート』に続くゲートを作り出した。
「既に彼らの船が通る進路上に鉄甲船を配置しておきました。慣れない海戦となりますでしょうが、欲望の海は空を飛ぶ者や転移しようとする者を引きずり込もうと阻害します。その点もお気をつけください」
ノーマッド
ドーモ、ノーマッドです。
遂に羅針盤戦争も残すところ僅かとなりました。
まだまだ厳しい戦いが続きますが、最良の結果を出せるよう頑張りましょう。
●シナリオ概要
イルカ原人の一団が乗り込む船団と鉄甲船との海戦となります。
相手は複数の船による船団を作り、各地で奪った物やはたまた同胞のコンキスタドールから奪った武器大砲を持って戦いを仕掛けてきます。
海戦をもって、逆に彼らを返り討ちにしてやりましょう。
プレイングボーナスは、海上戦、船上戦を工夫するです。
海上では飛行や転移が阻害されていますので、その点も留意ください。
それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちします。
第1章 集団戦
『イルカ原人』
|
POW : 記憶に覚える略奪品
いま戦っている対象に有効な【今まで略奪してきた武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : 新たな略奪品
【獲物の狙いを定めたぶんどりの一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【相手から奪った装備による一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 進化したイルカ
海の生物「【イルカ】」が持つ【様々な超音波】の能力を、戦闘用に強化して使用する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
居神・ヲリヒメ
ふん、イルカか。
なるほど、海の戦いじゃ敵に分があるってわけかよ。
オレが飛ぶのをこの海が邪魔するっていうなら、大人しく鉄甲船から敵の船を攻撃させてもらうとするか。
『視力』と『スナイパー』を生かしたUC【剣と死】で敵の飛び道具や船の砲撃を迎撃していくぜ。
一通り攻撃を無力化できたら、お次は本命、イルカどもを狙い撃つ。
どんな姿してようとオブリビオン、コンキスタドールなら倒すまでだぜ!
……って、そういやこっちの言葉は通じてんのかね? オレはイルカ語わかんねえけどな!
もし敵の超音波が直接攻撃に使われるようなことがあれば『オーラ防御』でガードだ。
……お宝が欲しい? この世で一番のお宝はテメエの命だろうが
『キュクゥイ!』
マスト上の見張り台から果てなき海原を遠望していたイルカ原人が、甲板に頭を向けながら甲高いひと吠えをあげた。視線の先には猟兵達が乗る鉄甲船が水平線上から覗かせ、潮流と海風に乗りながら彼らイルカ原人の船団に向かって来ていたのだ。
『クカカカカカッ! クカカカカカッ!』
その一報を受けた群れの首領格と思わしきイルカ原人が周囲に号令を下した。単調な鳴き声の繰り返しであるが、船員らは猟兵達を迎え撃つための準備に奔走し始める。
イルカならではの超音波によるコミュニケーション能力。低周波の鳴音に加え、通常の人間ではおおよそ聞き取れない高周波パルス状の鳴音も彼らの言語である。波音や風切り音に遮られることなく、水中同様に仲間達との連絡が取れるよう進化した現れだ。
「ふん、イルカか。なるほど、海の戦いじゃ敵に分があるってわけかよ」
居神・ヲリヒメ(折紙使い・f28587)は両手を額に当てて陽の光を遮りながら、その様子を遠くより目を凝らしながらつぶさに観察していた。イルカと言えども深海人に連なるものども。いっちょ前に人間様の道具を使いこなしているもんだと零しながら、彼女は既に相手側が大砲をこちらに向けて放つ準備をしているの視認した。
「オレが飛ぶのをこの海が邪魔するっていうなら、大人しく鉄甲船から敵の船を攻撃させてもらうとするか」
海を渡るにしても、欲望の海を渡る手段は船での往来のみ。空を飛ぼうとするものは有無を言わずに海へと引きずり込もうとしており、ならばと船から船へ飛び移る手に彼は出た。尤も、敵も簡単に接近させてはくれないはず。現にこうして大砲の砲弾が発射されたことで、その証左はされた。
──ドボーン! ドボーン!
鉄甲船の手前と横に水柱が立ち、甲板に舞い上げられた海飛沫が降り注ぐ。幸いにも直撃は免れたが、これは船へ命中させる攻撃ではない観測砲撃に過ぎないだろう。風と潮流頼みの船での速度も制限され、今度は修正された砲撃が鉄甲船に命中するかもしれない。相手は今頃、大砲に火薬を詰め直して砲弾を装填しようとしている最中だろう。それならば、反撃に転じる絶好の機会だ。
「イルカ共、覚えとけよ? オレは紙を折り、物語を織るものだ!」
ヲリヒメはベルトポーチに守られて濡れる事を免れた折紙剣の束を取り出すと、それらを先程砲撃を行った船へと投げ放つ。折紙剣はパリッとした紙から硬い金属質へと変わりながら幾何学模様を描き複雑に飛翔する。それらは海を超え、イルカ原人らの身体に突き刺さった。
『クカガガガーッ!?』
海を挟んでその叫び声が鉄甲船にも聞こえたその時、イルカ原人の船から突如爆発が起きた。恐らく前触れもなく折紙剣が突き刺さった事で、自らの船体に砲弾を炸裂させたか。それとも口火に着火させる為の松明を火薬に落として誘爆したか。どちらにせよ、思いがけない事態に彼らは浮足立っているのには間違いない。この機に乗じ、こちらも迎え撃つまでだ。
「そういやこっちの言葉は通じてんのかね? オレはイルカ語わかんねえけどな!」
再び折紙剣を抜きながら、ヲリヒメの頭にふとそのような疑問が浮かぶ。まぁ、イルカは賢いものだ。恐らく人間様の言葉は理解するだろうと結論づけながら、彼女は別の船に狙いを定め、再び紙の剣を投擲するのであった。
成功
🔵🔵🔴
イコル・アダマンティウム
「くかかかー……」
喋れない……のかな?
僕は格闘特化の愛機、キャバリアに搭乗して出撃する、よ
【水上戦】
砲撃を避ける必要もありそう
敵の船には機体で水面の上を強く蹴って
ジグザグに向かっていく、ね
<ダッシュ><水上歩行><フェイント>
【船上戦】
僕の機体は……無手だ、よ?
拳は奪えない、よね
「機体も……あげない」
群がる敵は<カウンター>で迎え撃つ
【攻撃】
UC[破鎧衝]
掌底で攻撃する、よ
「ん、結構硬め……?」
筋肉質、だ
思ったより弾性がある、かな?
だいたい分かった
次の掌底からはしっかりと内臓ダメージ狙いで
<衝撃波>を与えていく、ね<鎧無視攻撃>
そういえば、サメが食べられてたけど
「イルカは……どんな味、かな?」
「くかかかー……喋れない……のかな?」
イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は、愛機のクロムキャバリア『Tactical Armor-001:Last ONE』…通称『T.A.:L.ONE』のコクピット内で、イルカ原人の鳴き声を真似てみた。記憶にあるライブラリでは、イルカと意思疎通を図ろうとする試みで彼らが発する鳴き声を分析したり、解析した音域を元に会話をしようという実験をする様がある。こちらも鳴き声を真似れば彼らとコミュニケーションを出来るのか?
だが、容赦なく砲撃をしてくる様子ではその可能性も低いであろう。オーラエンジンから発生する力場が足場となり、海面を蹴るようにしながらイコルはイルカ原人の船への接敵を試みる。
「くかかかー……ざんねん、今のはフェイント」
水面を跳ねる小石の如く海面を走らせる『T.A.:L.ONE』の動きを先読みし、砲撃が集中砲撃されたその時、イコルは脚部のレッグスラスターを全噴射させて一気に加速させた。風の如く跳んだ後に残る波の軌跡に砲弾が虚しくも落ちる。そして海面を一気に踏みつけ、彼女と愛機はイルカ原人船団の一隻に飛翔して甲板へと降り立つ。
『グガガガガ!』
船に乗り込んだ侵入者に向けて船上のイルカ原人達がくちばしから牙を剥かせ、一斉に威嚇する。異質の機械巨人を前にしても怯えることない様子からすると、彼らはキャバリアを巨人と思っているのか。それともウォーマシンの一種とでも思っているのであろうか。何にせよ、彼らは巨大な相手であろうとも臆することなく戦いを挑む者達であるということだ。現に機体に取り付いて、その装甲板を剥がそうと手にしたカトラスで装甲との隙間に刃を立てさせている者も居る。
「機体は…あげない」
機械の鎧を纏っていると同じとは言え、彼らがこれに人間が乗っていると知ればどうにかして引きずり出せないか考え出すに違いない。そうなって奪われる前に決着をつけようと、彼らの習性に合わせて敢えて武装を持たずに徒手空拳で出撃させた『T.A.:L.ONE』をイコルが操作すると、カメラアイに刃を向けようとしたり纏わり付くイルカ原人の身体を掴んで引っ張り剥がした。だが、それでも彼らは立ち向かおうとする。
「分かった……その気なら、容赦しない」
イルカ原人へのカウンターに一発、キャバリアによる掌底を一発おみまいする。常人ならば骨が砕けてもおかしくはない重い一撃にイルカ原人の身体が船体に叩きつけられる。だが、それでも立ち上がろうとしているのを、イコルは機体越しに伝わった手応えを思い出しながら思案した。
「ん、結構硬め……で、筋肉質? 思ったより弾性がある、かな?」
その隙を見計らうかのように、別のイルカ原人が襲いかかろうとする。しかし、レプリカントとしてキャバリアと神経を直結することで半ば一体化し、センサーから得られる情報も生身のように肌で感応している彼女は直様同じように迎撃をした。
「…だいたい分かった。しっかりと内臓ダメージ狙いで、衝撃波を与えていく、ね」
先程とは違い、今の一撃を受けたイルカ原人は声なき叫び声をあげながら藻掻き、そして塵と化していく。獰猛なサメの歯も通さぬ筋肉の鎧を纏っているとは言え、生物である以上は臓物は急所となる。オーラエンジンから生じるオーラエネルギーを拳に集中させ、掌底の一撃と共にそれを爆発させて衝撃波を直接叩き込む事により、張りのある筋肉も強靭な骨格もその役割を成すことはないのだ。
「そういえば、サメが食べられてたけど、イルカは……どんな味、かな?」
船内には彼らが捕まえ、捕食したであろう巨大ザメのエラにロープを通されて吊られながら、頭を残して骨だけになっている。サメと言えばフカヒレ。だけど、フカヒレは無味そのもの。サメの肉はアンモニア臭が強いけど、イルカはどうなのか?
戻ったらライブラリを検索してみようと考えつつ、イコルは再び『T.A.:L.ONE』の拳を振るうのであった。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
POW 連携アドリブ歓迎!
イルカマン。生まれついての略奪民族でありますな。
創作の喜びを知らぬとは……その身に叩き込んであげマショー!
では、よろしくデスヨ、バルタンズ!「バルバルッ♪」
アルゴノートの上で《秘密のバルタンズ》!
集まったミニ・バルタンたちに造船してもらいマース!
1体につき1台、小型の襲撃艇で、出撃しマショー!
ワタシは水上用滑走靴で滑っていきマス。
それぞれ個性的な、ラムでの突撃、火器での砲撃、フックをかけて乗り込み迫撃、多様な手段で敵船団を翻弄しマース!
大雑把な大砲など、バルタンズの急成長した操船技術で回避できマスネー!
さあ、外縁から崩していきマショー!
ワタシはグレランとか撃ちますネ。
天王寺・七海
あら、イルカ原人って、いるのね??
でも、イルカってことは。
七海ちゃん達は獲物として襲うのはアシカやアザラシがメインなんだけど、イルカも十分な獲物なのね。
だから、今回は、七海ちゃん達の狩りの時間なのね。
というわけで、群れの仲間を呼んでから、別の群れを呼ぶためにオルカライヴを発動させる。
「今回は陸に上がったイルカが獲物なのね。みんなして、船から叩き落として喰っちゃうのね」
そして、シャチの群れで一気に船の片側にに体当たりして、船を転覆させるか、沈没させる。
ついでに、確実にするため、シャチホコファンネルで穴を開ける。
そして、落ちてきたイルカを襲っていく。
アドリブ歓迎
「イルカマン。生まれついての略奪民族でありますな」
彼らは文明など持つ前に滅びた種。故に文明が作り上げた物など知らず、彼らは島々を襲い略奪を繰り返す。確かに作るより奪う方が手っ取り早いではあろう。しかし、物を作るこそが文明であり文化の燈火だ。脳筋仕様の戦闘民族(奉公人風味)であるバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、そんな彼らが哀れと思い、ある事を思い立つ。
「創作の喜びを知らぬとは……その身に叩き込んであげマショー!」
そう、創造する事を知らないのであれば、その身に叩き込むのみ。その為にはまず準備あるのみと、財布から小銭をジャラジャラ取り出し、ひーふーみーと数え上げる。これだけ百円玉があれば問題ないと、彼女はUCを発動させた。
「では、よろしくデスヨ。バルタンズ!」
「「「バルバルッ♪」」」
15cm程度のの大きさの二頭身バルタン、通称ミニ・バルタン。彼女自身を模した自立型サポートロボット達は満足そうに百円玉をメイド服のポケットに放り込むと、やる気に満ちた顔で意気揚々に剣を掲げた。
「あら、イルカ原人って、いるのね??」
鉄甲船の甲板でミニ・バルタン達の声が響く中、生物改造実験および融合実験により若いシャチの身体に記憶を移植された事で様々な超能力を得たバイオモンスターである天王寺・七海(大海の覇者・f26687)は、海面より頭を覗かせてイルカ原人らの船を望んだ。
「七海ちゃん達は獲物として襲うのはアシカやアザラシがメインなんだけど、イルカも十分な獲物なのね。だから、今回は、七海ちゃん達の狩りの時間なのね」
海のギャング、シャチ。彼らは時としてサメやクジラ、そしてイルカも獲物として狩猟する。一見するとシャチが凶暴そうに見えるが、意外にうっかりアザラシと間違って人間を攻撃することはあっても、人間と認識して襲うことはないらしい。だが、イルカは娯楽目的に人間に危害を加える事もあるそうだ。世のため人のため、そして元は人間だったが長いことシャチの身体になっている事から、七海は狩猟本能が大いに刺激されていた。このグリードオーシャンの海をゆったり生きていくためには、あのイルカ頭の害獣を駆除せねば。
「だから、まずは仲間を集めるなのね」
そう言い残し、彼女はとぷんと海の中に再び姿を消した。
「完成しマシター! ミニ・バルタン専用の小型襲撃艇デース! バルタンズにはこれで出撃し、ワタシは水上用滑走靴で滑っていきマース」
「「「バルバルバルッ♪」」」
ミニ・バルタンらは完成した小型襲撃艇に乗り込むと、ロープを切り落として新造した船を着水させる進水式さながらに、鉄甲船の船べりから一斉に海面へと落下した。そして優雅に着水すると、モーター音を唸らせながらイルカ原人が操る巨船へと果敢に立ち向かっていった。片や、火器での砲撃、片やフックを掛けて船の挙動を阻害するミニ・バルタンズ。だが、勿論の事、イルカ原人は小癪な彼女らを沈めようと何処からか奪ったであろう機関銃を持ち出して銃撃戦を開始させた。
「おっと、そうは問屋が卸さないデース♪」
『クガーッ!?』
ポンッという射撃音と共に、ミニ・バルタン艦隊の後方に控えているバルタンが構えたグレネードランチャーから榴弾が放たれた。弾頭はイルカ原人らが密集する所に着弾し、彼らは炸裂したことで生じた破片と爆風の衝撃波で吹き飛ぶ。
「バルバルー!!」
それらの援護の元、舳先にドリル状の衝角(ラム)を取り付けた小型襲撃艇に乗ったミニ・バルタンらが突撃し始める。ドリルが唸りながら突き刺さると、その勢いの船底を突き抜け、穿った孔から一気に海水が浸水し始める。そしてバランスを崩したイルカ原人の船は、横倒しとなりながら沈没し始めた。
だが、忘れてはいけない。彼らは陸生に適応したと言って、海を捨て泳げなくなった訳ではない。
『クカカカーッ!』
イルカ原人らは両手両足にある水かきで海水を掻き分けながら、まだ戦闘の意思は健在である鳴き声をあげた。これからイルカ原人の反撃が始まるのか、そう思われた時、一匹、また一匹とイルカ原人が海の中に引きずり込まれるかのように消えていく。
「今回は陸に上がったイルカが獲物なのね。みんなして、船から落ちたイルカを喰っちゃうのね」
先程海中に消えた七海が周辺海域に居たシャチの群れをUCで呼び寄せ、彼らの協力を仰いだのだ。シャチの群れはイルカ原人の足に食らいつき、また獲物を海の中に引きずり込んだ。浮かび上がる血は、果たしてイルカの血か。それともシャチの血か。それは共に海に潜る七海にしか分からないことだ。
しかし、思いがけない海からの襲撃に焦りの色を見せ始めるイルカ原人相手に、バルタンとミニ・バルタン艦隊による攻撃の手を緩めることはない。
「船は沈めましたデース。後は残敵の掃討あるのみ、レッツパーティ!」
「「「バルバルバルッ!」」」
こうして海上と海中からの両面攻撃により、一匹、また一匹とイルカ原人は海の藻屑と消えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
えっ何この邪悪そうなコンキスタドール。
フグとかでハイになってたりしそうなヒャッハー系?
…生かしておく訳にはいかないよねーうん。
鉄甲船から降り水中から遊撃。
水泳や水中機動、素潜りである程度深くを泳ぎ回り索敵、
鉄鋼船から離れある程度敵船が密集してる所を探り仕掛けようか。
UCで雷と渦潮合成して雷帯びた渦潮作り出してコンキスタドール船を片っ端から沈めていく。
奪った装備でも基本海上戦用、水中の俺を狙うのに適した武器にはちょっとならないんじゃないかな。
更に超音波に対しては渦潮を障壁に、かつ無酸素・高速詠唱の音と水属性の魔法で中和障壁作って軽減。
反撃の雷渦潮で痺れさせて沈めてあげるよ。
※アドリブ絡み等お任せ
「えっ何この邪悪そうなコンキスタドール。フグとかでハイになってたりしそうなヒャッハー系?」
ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)の脳裏に、一時期キマヒュでも話題になった威嚇の為にゴムボールのように膨らんだフグを、生かさず殺さず容赦なく嘴で突っついたり咥えたりするイルカの写真や動画が蘇る。食べたら丈夫なキマイラでもイチコロな猛毒を持つフグとは言え、非常に少量ならば心を穏やかにする鎮静作用があるとかないとか。現に人間もトード・リッキングなるヒキガエルの毒を舐めてキメるトリップを楽しむ輩も居るらしく、フグ毒も猛毒と知りながら肝を舌に乗せてピリピリとした刺激を楽しむ命知らずも居る。
「…生かしておく訳にはいかないよねーうん」
彼らもそのようなドラッグカルチャーを持っているかはさておき、どちらにせよコンキスタドールであれば百害あって一利などない。ヴィクトルは鉄甲船から身を投げ、海を泳いで遊撃に打って出た。そして鉄甲船から離れて程なくして、敵の増援であろう船団の船底を海中より発見した。
「ひとつひとつ相手にするのも面倒だし、船ごとやっちゃおうか」
ヴィクトルは潜水艦のように音を立てさず、潮流を利用して彼らの船より前へと出た。あんな邪悪そうな姿でもイルカはイルカだ。同じ海獣でありシャチのキマイラであるヴィクトルとしては、彼らの超音波がソナーの役割を果たすのではないだろうかと警戒し、頭部の中にあるメロン体組織が彼らが発する音波を捉えながら様子を伺う。だが、彼らはイルカの声色を真似るならぬイルカの音波帯を真似たヴィクトルを、ただのイルカだと思い爆雷の類を投じることはしなかった。
「じゃあ、力加減はお構いなしにやっちゃおうか」
正面を取ったヴィクトルがUCを発動させる。彼を中心に突如潮流の速さが急激に変化する。意図的に潮の流れが速い個所と遅い個所を作り出すことで巨大な渦潮が発生し、イルカ原人船団の四方から生まれた渦潮がお互いに合流しようと徐々に狭めて来る。
『クカカカカカァ!!』
何の前触れもなく、それも同時に発生した渦潮に、船体同士が激しくぶつかり合う。イルカ原人らは船を捨て、海に飛び込み始めた。既に猟兵達の船である鉄甲船は肉眼で見える距離であるならば、このまま泳いで乗り込む奇襲に打って出ようとしたのだろう。そして、彼らの強靭な体躯はある程度の渦潮であるならば潜り抜ける物であったのだろうが、この渦潮はただの渦潮ではなくUCによるものだ。なんせ摩擦で生じたように渦潮には雷が帯びており、ただの渦潮と侮ったイルカ原人らを次々と感電させて行ったのだ。程なくしておしくらまんじゅうのように密集されて互いにぶつかりあったイルカ原人船団は、合体して巨大化した渦潮に呑まれ、貪欲な海の藻屑となって海上から消えたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アーネスト・シートン
イルカ原人…
…
……
見なかったことにしたいですね。
ということで、まずは、船に行く方法ですね。
こいつらが、陸上生物だったら貘さん呼んで眠らせて終わらせたんですが、海の生き物ゆえ、この手は使えないですし『アーネストさん、じゃあ、この船に乗り込んだ所でクジラになればいいんじゃないかなーって、ぼくは思うんだよー!』
そうか。潰せばいいのですね。じゃあ、そういう事で。
なら、来る前に、白鯨になって一気に敵船ごと尾びれで吹き飛ばせば、こいつらも無事ではいられませんね。では、実行しますね。バナーくんはここで待ってくださいね。
海に飛び込み白鯨になって、敵船ごとドルフィンキック、但し大きさは桁違い。
アドリブ歓迎
イルカ、そうイルカは可愛い天使のはず。賢くて人懐っこくて、愛嬌ある素振りで人々を癒やしてくれる…。アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は葛藤する。彼が知っているイルカとはこれだ。だが、目の前に居るのもまたイルカだ。海面から頭を覗かせていればただのイルカにしか見えないが、その首から下は……。
「イルカ原人…………見なかったことにしたいですね」
『アーネストさん、しっかりしてーっ!』
遠い目をしながら目を逸らすアーネストの肩に乗ったハイイロリスのバナーテイルが、彼を現実に呼び戻そうと必至に頭を左右に揺らす。
「…動物は好きですよ、はい。ですが、あのイルカ版な深きものどもを見ると、可愛いイルカを見る度に思い出しそうなんですよ、バナーくん…」
『アーネストさん、それはそれでこれはこれだよ。あんなのとイルカさんを同じにしちゃったら、イルカさん達が可哀想だよー!』
イルカ原人の船団の多くは既に猟兵達の手によって、残すは僅かとなっている。だが、残存する船団は状況が不利と見て逃げ出そうとはせずに、未だ鉄甲船に一矢報いようと戦いを挑んできている。そして尚且、イルカ原人達は泳いで鉄甲船に乗り込もうともしていた。アーネストが見たのはまさにそれで、いざ実物を見たらばSAN値チェック必需の夢に出そうなおぞましき怪物であったから無理もない。
「……そうですね、バナーくん。これが可愛いイルカであるはずがない。イルカの頭を被った悪魔か…」
『クカカカーッ!』
二人の会話を遮るように、鉄甲船に乗り込もうとフック付きロープで船べりを昇ってきたイルカ原人が姿を見せて威嚇する。鳴き声と顔そのものはまさしくイルカ。であるが、その下の肉体はホモサピエンスに似た何かである。
――ドンッ!
アーネストが手にしていたリボルバー型の対魔銃『滅竜銃ドラゴンブレイカー』が火を噴き、イルカ原人の胸元を撃ち貫く。イルカ原人が衝撃で鉄甲船から落ち、水面へ落下した音を聞き届けると、アーネストは続けた。
「イルカの頭を被ったコンキスタドールです。ありがとうございます、バナーくん。おかげで立ち直れました。そして、どうしましょうか。こいつらが、陸上生物だったら貘さん呼んで眠らせて終わらせたんですが、海の生き物ゆえ、この手は使えないですし…」
『アーネストさん。じゃあ、アーネストさんがクジラになってお船を襲えばいいんじゃないかなーって、ぼくは思うんだよー!』
「そうか。潰せばいいのですね。なら、白鯨になって一気に敵船ごと尾びれで吹き飛ばせば、こいつらも無事ではいられませんね。では、実行しますね。バナーくんはここで待ってくださいね」
はーい、とバナーテイルが元気よく返事をしながらアーネストから離れると、一目散にマストの柱へと走っていき登っていった。それを見届けたアーネストは、懐からタブレットケース取り出すと中のミントタブレットを取り出した。そして、それを飲み込みながら鉄甲船から飛び降りて海の中へと身を投じる。
(伝説に歌われる白きクジラよ、わたくしに、その姿を借りさせていただきます)
海の中にはイルカ原人達が両手両足で水を掻き分けてこちらに向かってきていた。だが、アーネストの身体はUCによって白いマッコウクジラへと変貌しつつある。徐々に体躯も巨大化していき、全長11メートル程にまでなった。メスのマッコウクジラ程度の大きさでオスのマッコウクジラは更に巨大だが、こちらの方が小回りが利く。白鯨となったアーネストは、大きな牙を生やした口で威嚇しながら巨大な頭でイルカ原人共を薙ぎ払う。そうして、居るかとは比べ物とならない大きさのメロン器官から発する音波がイルカ原人の船を捉え、それ目掛けてアーネストは急速浮上する。
「…取りました!」
水中より激しい水しぶきと共に姿を現した白鯨は、ブリーチングジャンプで船体をその巨体で押しつぶし、真っ二つに引き裂いた。船を失い次々と海面に飛び込むイルカ原人達。だが、アーネストは尾びれを海面に叩きつけて集団ごと一網打尽にしようとしていた。
『やったね、アーネストさん!』
その様子をマストの見張り台からバナーテイルが観戦しており、彼の声援に応えるようアーネストはイルカ原人への追撃の手を緩めることはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
イルカは頭良いから危ない者にも手を出すね。
ボクの妖刀に触れたら命吸われて大変だよ?
相手は多数、なまなかなやり方じゃあ倒せない。
反抗の竜チタノよ降り立て!
海を泳ぐのは慣れていても無重力はどうかな足元おぼつかなよ?
相手が慣れてしまう前に出来るだけ数を減らしたい、慣れて来たら今度は重力をかけて動けなくしてあげる。
さあこれより反抗を開始する、どうかチタノの加護と導きを
山神・ククリ
自然の摂理から離れた存在ですか
神の摂理を破る者は屠れとのくくり姫のお告げです。
現人神顕現でどのような攻撃も回避できます❗
隙を見つけてなぎなたの一撃を見舞います。
さぁ審判の時です。
猟兵達の手によってイルカ原人達の船団は壊滅状態となり、既に勝敗の優劣は決したも同然である。だが、船を喪って尚もイルカ原人達に諦めの色はなかった。それもそのはずで、彼らの船は『元々彼らの物』ではない。名も知れぬ海賊らの物であったり、同じコンキスタドールの船を奪うなどして得たものだ。
であれば、彼らの行動原理は自ずと見えてくる。そう、ヤドカリが背負う殻を入れ替えるように鉄甲船を奪おうとしているのだ。猟兵達の多くは海を越えてイルカ原人達の船を沈めに打って出ているが、考えようによって鉄甲船の守りは手薄ということにもなる。船を失い海に投げ出され、猟兵達の追撃を免れたイルカ原人の残存兵力は、海から鉄甲船に乗り込んできたのだ。だが、猟兵もその程度の予測は立っており、モダンな洋装に身を包みながらも薙刀を振るう山神・ククリ(人間の戦巫女・f32374)と顔の半分を炎で覆い隠しながら妖刀を構えるレプリカントのニクロム・チタノ(反抗者・f32208)が、彼らの侵略を阻害していた。
「神の摂理を破る者は屠れとのくくり姫のお告げです」
進化における淘汰により消滅した存在であるイルカ原人。蘇りし亡者どもでもあろう彼らは、ククリからして見ればそれが神の思し召しによるものであれば自然の摂理から離れたものと同然であった。
神の未来を見通し試練を与える神の信託がククリに降りる。結んで一纏めされたポニーテールの髪をなびかせ、神楽を踊るかのように彼女は薙刀を振るう。鉄甲船に乗り込んだイルカ原人達は、互いにメロン体より発する音波で連絡を密とさせながら彼女の薙刀を奪おうとする。だが、彼女には視えていた。聞こえていた。
「さあ! 審判の時間です!」
神器に相当する薙刀を奪おうとする、そんな罰当たりなイルカなど許しておけるものかと言わんばかりに、彼女は奮った薙刀で彼らの腕を斬り落とす。
『グガガガッ!?』
苦痛の叫びをあげるイルカ原人。だが、その直後に神の慈悲は与えられ、首と胴体が別れを告げると塵となって骸の海へと還って行くのだ。
「イルカは頭良いから危ない者にも手を出すね。ボクの妖刀に触れたら命吸われて大変だよ?」
その様子にチタノは、自分の妖刀を奪おうとしているイルカどもへ奪えるものなら奪ってみな挑発する。人語を理解しているかはさておき、イルカ原人は彼女の妖刀を奪おうとするが、フェイントを掛けて態勢を崩させると妖刀に纏う炎と共にイルカ原人を焼き斬ってみせる。
「このまま鉄甲船への侵入を許すのも癪だね。それに相手は多数、なまなかなやり方じゃあ倒せない。それなら……反抗の竜チタノよ降り立て!」
ククリが舞うように薙ぎ払っているが、一向に鉄甲船に侵入したイルカ原人の数が減ってはいない。いくら水を掻き出そうとも、その浸水を止めなければ何れ船は沈んでしまうものだ。ぽつぽつと雹のような物が空から落ちてくる。イルカ原人がそれを手に取ると、どろっとした液体が体表にこびり付いているのに気づいた。
その正体は半固体状の水晶の涙である。海の溶けた水晶は次第に熱を帯び始め、海を泳ぐイルカ原人らは突如違和感を覚えた。それは急に身体が軽くなったのだ。海水に含まれる塩分によって浮力が得られているとは言え、万有は重力によって沈もうとする。それが感じられないのだ。彼らは勢い付いた。これぞ天佑、天からの助けと。
だが、それはすぐに裏切られることとなる。いや、そもそも神は彼らに助力すべく無重力の海にしたわけではない。これは前兆だったのだ……チタノのUC『絶対反抗領域(アブソリュートニクロム)』により、超重力の力場を作り出す前の前兆だ。
その証拠に、一匹、また一匹と海を渡るイルカ原人が何かに引きずり込まれるかのように海の中に消えていく。彼らとて、エラ呼吸ではなく肺呼吸で酸素を取り込んでいる。いかなる強靭な肺活量で酸素を蓄えようとも、浮上して息継ぎをせねばどうなるか。彼らが沈んだ後の海面にはポコポコと泡が立ち上がっていたが、時間が経つにつれて泡の大きさは小さくなり、そして途絶えた。
「さあこれより反抗を開始する。どうかチタノの加護と導きを」
それを確認したチタノは反抗の竜へ再び助力を願い出た。水晶の雨はスコールのように海面を叩きつけ、それに合わせて鉄甲船を取り囲むように泳いでいたイルカ原人も姿を消していくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天王寺・七海
殲滅も時間の問題なのね。
じゃあ、そろそろ、最後の仕上げに行くのね。
コイツラもいい加減、諦めさせないとなのね。
というわけで、七海ちゃんも、諦めの悪さに怒りを充てがわせてもらうんだぜ!
ということで、バイオミック・オーバーロード。
船も粉砕してやるんだぜ!
ドルフィンキックや体当たり、シャチホコファンネルによる射撃で船をどんどん壊してやるぜ!
そして、落ちたイルカには、七海ちゃん自らドルフィンキックしたり、噛み付きに行ってとどめにするんだぜ!
もう、連中も残ってねぇだろ。なんせ、猟兵総出でやってのけてるんだしな。
『クカカカッ、クカカカカ!』
数では勝っていたイルカ原人の船団も、猟兵達の手により旗艦を残して海の藻屑となった。また船を喪っても海を泳ぎ鉄甲船へと取り付こうとしていた同胞らも、今や残り僅かとなっていた。イルカ原人の酋長めいた出で立ちのリーダー格が、怒りを顕にさせながら他のイルカ原人らに命令を下す。
『クカカッ? キュカ、クカカカ…』
『クカカカ、クカカッ! クカッ、クカッ!!』
手下のイルカ原人らは何やら反論を返すような素振りで船長のイルカ原人へと提言を返したが、それは鶴の一声で封殺された。船長命令に従い、イルカ原人の船員は船の軌道を変える。向かう先は…鉄甲船。彼らの意図は明らかだ。特攻である。鉄張りでグリードオーシャンの荒波を乗り越える強度を誇る鉄甲船であるが、船ごとぶつけられれば無事である保証などはどこにもない。風と潮流に乗ったイルカ原人の旗艦は勢いづいたままに速度を増していく。
「コイツラもいい加減、諦めさせないとなのね」
大半のイルカ原人を呼び寄せた野良シャチと共に駆逐し終えた七海が海面から顔を覗かせながら、諦めの悪いイルカ原人最後の船を見上げた。
「あとはこれを沈めれば終わりで、殲滅も時間の問題なのね。じゃあ、そろそろ最後の仕上げに行くのね」
彼女の念波により城の天守屋根に飾られる幻獣『鯱』を模した遠隔兵器『シャチホコファンネル』が海中より浮上し、イルカ原人の船周辺を飛び交いながら装着されたバスター砲とランチャーによる1対2砲の連携攻撃を行う。だが、イルカ原人らは必死の抵抗を行い、今まで奪ってきた物であろう弓、火砲を惜しみなく使い迎撃を始めた。射線が思うように定まらず苛立ちを募らせる七海だったが、イルカ原人の鳴き声がどこか小馬鹿にされている気がしてならない。
「コイツラ諦めが悪すぎるのね。こうなれば七海ちゃんも、諦めの悪さに怒りを充てがわせてもらうんだぜ!」
あまりのしぶとさに痺れを切らせた七海は、怒りの感情を爆発させる事によって感情の強さに比例して、自身の身体サイズや戦闘能力が増大するUC『バイオミック・オーバーロード』を解き放った。彼女の体躯はみるみると巨大化させ、抱いていた怒りはクジラサイズになるまでの物であった。だが、クジラ並にまでなったとは言え、シャチ本来の軽やかな動きは失われないない。寧ろ重量が増した分、それを活かした体当たり攻撃を使うには都合が良い。
まずは一発、せり出した舳先をドルフィンキックでへし折って見せた。その衝撃でイルカ原人の船が左右に逸れようとしてスピードが落ち始めたのを見計らい、今度は海面に浮上した勢いのまま船縁へと衝突させる。その衝撃で船はバランスを崩して横転しかける機を見計らい、シャチホコファンネルが追撃を行った。無防備に露わとなった船底が蜂の巣にされ、そこから流入した海水が沈没の速度を更に増長させた。
『クカカーッ!』
だが、リーダー格のイルカ原人はまだ諦めてはいない。海を泳ぎ、鉄甲船に取りついて猟兵にひと泡を吹かせようとしようとしたが、海中よりアザラシの影を追うかのように七海が見上げていた。
「もう、連中も残ってねぇだろう。なんせ、猟兵総出でやってのけてるんだしな」
狙いをつけて急浮上すると、怒りに満ち溢れるシャチは大口を開かせる。イルカ原人がそれに気付いた時には既に手遅れだった。なぜならば、彼は既に彼女の餌食となって、牙でその腹を噛み砕こうとばかりに喰らい付いたのだ。
『グガガガッー……』
最後に残ったイルカ原人の断末魔が響くと、今まで居た場所には赤い染みと彼が奪った物の一部が浮かんでいるのを残して消え去った。
こうしてイルカどもの逆襲は、猟兵達の勝利で潰えたのであった。
大成功
🔵🔵🔵