羅針盤戦争~オペレーション・イチイバル
●グリモアがキャッチした映像
猟兵、貴公らが「予知」なるもので我らコンキスタドールの行動を未然に防ぐことはすでに把握済みである。故に、敢えてわれはこの予知を利用させてもらおう。
初見となる。
七大海嘯、「鬼火」の長、フライング・ダッチマンである。
まずは貴公らの堂々たる戦いぶりに称賛を贈らせていただこう。敵ながらその勇猛果敢さ、見事である。
知っての通り、われら七大海嘯の目的はこの世界から貴公らを排除した上で、侵略形態[大オーシャンボール]へと回帰させることにある。だが、それも状況がここまで追い込まれては叶うまい。
しかしこのままおめおめと引き下がる訳にはゆかぬ。われにも意地があるのだ。よって、ここにわれは、貴公ら猟兵との一騎討ちにて真剣なる勝負を挑む。他のものに手は出させないと約束しよう。
これは七大海嘯の計略でも、王笏からの差し金でもない。
このわれ自身が独自の判断で決定した行為である。その証拠に、われ自身の権能とその弱点を教えよう。
われは、不死である。たとえ致命傷を負ったとしても冥府より舞い戻る。しかし、迷いなき心で相対する者には、その不死の権能は弱まる。覚悟を語るものにはわれは無力である。
それともう一つ、先刻一騎打ちと言ったが、この愛鳥──ゼンタの同道を許可願いたい。この鳥はわれの半身も同義なのだ。せめて、死する時は彼と共にありたいと思う。
われは鬼火島の沿岸にて待つ。良き戦いを期待する。
●オペレーション・イチイバル
「──以上が、グリモアの予知を利用してフライング・ダッチマンから送られたメッセージです」
フライング・ダッチマンが滔々と語るメッセージ映像の再生を終えて、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)が告げる。
「彼は、1対1の決闘による勝負を申し込んできました。事実、鬼火島には他のコンキスタドールの姿は見当たらず、彼はただ愛鳥のみを連れて決闘に臨むようです」
彼の挑戦は受けるべきでしょう、とジェイミィは言った。その理由は2つある。挑戦を無視した場合、真剣勝負を挑むことへの迷いを抱いたと見做され、フライング・ダッチマンの不死の権能が解除不能になる恐れがあること、そして約定を反故にした場合のデメリットが未知数であることだ。
「彼の攻略方法は彼自身がメッセージで語ったとおりです。よって、1対1で真剣勝負を行い、打ち負かすことは可能でしょう。それと、彼はペットであるゼンタのみは同道させて欲しいということなので、こちらもペットの動物程度の持ち込みならば1体までなら容認されると思います」
ここに作戦コード、オペレーション・イチイバルが発行された。死力を尽くした全力の決闘に勝利すること、それがこの作戦の目的である。
「彼の挑戦に応え、そして勝ちましょう。迷いなき心で相対すれば、1対1の戦いでもきっと打ち負かすことが可能です。皆さんの健闘を祈ります」
ジェイミィはそう言うと、グリモアを起動してポータルを開く。その先は鬼火島の沿岸だ。ポータルの先に、フライング・ダッチマンが座して瞑想し、猟兵たちを静かに待つ姿が見える。
──羅針盤戦争、作戦コード「オペレーション・イチイバル」、開始。
バートレット
どうも、バートレットです。
今回は鬼火との決闘です。1対1の戦いを正々堂々と制しましょう。
プレイングボーナスは以下のとおりです。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処した上で、「迷いなき心」を見せる。
=============================
また、上記ボーナスを獲得した上で、「正々堂々と真正面から戦いを挑む」プレイング行った場合、追加ボーナスを得られます。逆に、「召喚系ユーベルコードやキャバリアの遠隔操縦などを使用して、2人以上で戦う」行動を取った場合、上記のプレイングボーナスが失われ、マイナスボーナスが発生しますのでご注意ください。基準としては、「ペット1体を連れるのはOK」「ファンネル、自動砲台の類はOK」「オルタナティブ・ダブル等を使用して、意思を持つ存在を召喚するのはNG」となります。
今回のシナリオに限り、一切の連携が行われません。そのため、合わせプレイングは不採用となりますのでご了承ください。
それでは、皆さんのアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマン』
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POW : 鎖付き骸球
【『燃え盛る邪悪な魂』の集合体である骸球】が命中した対象を燃やす。放たれた【骸球の『口』から溢れ出す】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ブルーフレイムカトラス
自身に【怨念の青き炎】をまとい、高速移動と【カトラスからの青炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 冥鳥の羽ばたき
【飛び回る愛鳥ゼンタが青炎の羽】を降らせる事で、戦場全体が【生者を蝕む青き炎の海】と同じ環境に変化する。[生者を蝕む青き炎の海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:爪尾
👑11
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東雲・深耶
来い、白先と黒後。
私が先制攻撃で傷を負った未来と過去を斬滅しろ。
そう言って【残像】が見えるほどの【先制攻撃】と【カウンター】で白先と黒後を用いた時間干渉を開始。
更に閃空の波紋をもって時空間を知覚し干渉。時空間ごと攻撃をずらして回避していくぞ。
そして、貴公に敬意を。
意地という知性体が有する想いに殉ずるその覚悟。我が空閃人奉流の神髄を見せるに値したと私は判断した。
私の迷い無き心はこの剣術を扱っていることそのものだ。
時空間と剣と己を同一化する我が剣の道と術の果てに至った心理にして真理こそ閃空人奉流。
故に、我が剣こそ貴公に捧げる葬送の一撃。
この魔剣を以て、貴公の旅路に終わりを告げさせよう。
●1st Duel:東雲・深耶
ポータルより現れた東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)を前に、フライング・ダッチマンは相対する。
「剣士か。その立ち姿、若いながらもかなりの使い手とお見受けする」
「空閃人奉流・流祖、東雲・深耶だ。フライング・ダッチマン、貴公に骸の海への旅路を馳走に参った」
フライング・ダッチマンは油断ならぬ相手と警戒し、半身を開いて構える。深耶は白と黒の二色の刀を佩き、こちらもいつでも刀を抜けるよう構えていた。
「ほう……その剣の冴え、われと相対するに不足はないか、この一戦にて確かめるとしよう。いざ尋常に……」
「勝負……!」
深耶が二振りの刀を抜くと同時に、フライング・ダッチマンはカットラスを構えつつ、まずは小手調べとばかりに燃える骸球を放つ。骸球が届こうかというその時、深耶は白と黒の刀を一閃する。
「来い、白先と黒後……!」
その剣筋は骸珠を斬るが、骸珠は斬られたにも関わらず深耶に向けて飛び続ける。しかし、奇妙なことに、深耶に当たったはずの骸珠はその軌道が深耶に当たらない方向へとずれ、そのまま明後日の方向へと飛び続けていく。
「……む」
フライング・ダッチマンはその現象に目を細める。
「今の技……さしずめ『骸珠が当たるという事象』を斬った、といったところか」
「正確には異なるがな。この『白先』で骸珠によって傷を負う未来を斬り、『黒後』で骸珠が私に向けて放たれた過去を斬った。結果として私は傷を負うことがなく、骸珠は当たらない」
「空閃人奉流……剣によって時空間への干渉を行う流派ということか」
これは想像以上だ、と嘆息するフライング・ダッチマン。深耶もまた、一目で自らの剣の本質に迫ったフライング・ダッチマンの実力に対する認識をさらに上方修正する。
「……貴公に敬意を。意地という知性体が有する想いに殉ずるその覚悟、そしてその想いに殉ずるに十分な強さ。我が空閃人奉流の神髄を見せるに値したと私は判断した」
「われも敬意を示そう。今の一閃で理解できた。貴公がその剣術を扱うこと、その迷いのなさこそ、われと相対し、打ち克つに値するものだ」
互いの技をひと目見るだけで、戦うもの同士の相互理解が成立した。だからこそ、2人は全力を出し合える。敬意を持って相対出来るのだ。
「よくぞ見抜いた。時空間と剣と己を同一化する我が剣の道と術の果てに至った心理にして真理こそ閃空人奉流。故に、我が剣こそ貴公に捧げる葬送の一撃」
「ならば来るが良い、若き剣豪よ! 我が彷徨の終着点を見せてみよ!」
「よかろう……この魔剣を以て、貴公の旅路に終わりを告げさせよう!」
深耶が白先と黒後から放つ魔剣、それは距離や対象の性質を無視して実体あるもの全てを時空間ごと斬る閃空人奉流の奥義が一つ。第一魔剣・幻も現も割する一振りの鋼にして空。
フライング・ダッチマンもまた、カットラスを構えて魔剣破りに挑む。
交錯する2人の剣。
「──見事」
魔剣は破れず。フライング・ダッチマンは一言、深耶を讃えると、どうと斃れた。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW
一騎討ち! 浪漫デスネー! わかりマース!
いいデショー、その勝負受けて立ちマース!
そちらの覚悟に合わせて、軍装(真の姿。演出上)とまとい、我輩も宣言するであります。
この戦い、この刃(ファルシオン風サムライソード)のみ用いると。
いざ……勝負!
ダッチマンの先制攻撃に、見切った上での受け流しで対処。
溢れ出す炎はコートで防ぎ、この身に燃え移る前に脱ぎ捨てるであります。
勢いよく駆け込み、斬りかかるであります!
カトラスと切り結び合い、立ち回り、入れ替わり、鍔迫り合い。
打ち込む好機を見逃さず、必殺の一撃を放つであります。
「一刀両断、であります!」
残心を忘れず、戦いが決着するまで相対続けるであります。
●2nd Duel:バルタン・ノーヴェ
「いいデショー、その勝負受けて立ちマース!」
一騎打ちは浪漫。バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の持論である。故に、フライング・ダッチマンの此度の挑戦を彼女は喜んで受ける。
いつものメイド服を脱ぎ、装いは軍装に改めていた。フライング・ダッチマンの覚悟と矜持に敬意を評しての、「本気で相手をする」という意思表示である。さらに彼女はファルシオン風サムライソードを抜き放つと、構えながら宣言した。
「この戦い、我輩はこの刃一本のみを使用するであります」
「ほう……純粋な剣の技量のみでわれと相対するか。良かろう、相手にとって不足なし! わが名はフライング・ダッチマン……いざ!」
「バルタン・ノーヴェ、参る!」
名乗りも高らかに、決闘は始まった。フライング・ダッチマンのカットラスが振るわれると共に燃え盛る骸球が飛ぶ。
これを見切って身を翻すバルタン。直撃は避けるも、軍装のコートに炎が燃え移る。しかし再び身を翻す間に、バルタンは素早くコートを脱ぎ捨てて、身体へ燃え広がるのを防ぐ。
「良い判断だ!」
フライング・ダッチマンは骸珠が通用しないとわかると、カットラスを構えて接近戦を挑む。これにバルタンも応じ、サムライソードを構えて迎え撃つ。カットラスとサムライソードがぶつかり合い、剣戟の音が高らかに響いた。有利な位置を取ろうとバルタンが身を翻せば、入れ替わるようにフライング・ダッチマンも立ち位置を変える。目まぐるしく動きながら剣戟を重ねること数十合、時に鍔迫り合いも交え、双方互角の戦いが続いた。
しかし、先の戦いの傷が原因か、フライング・ダッチマンの動きが一瞬鈍る。その瞬間を見逃さず、バルタンはサムライソードを大きく横に薙いだ。
「隙あり……! 一刀両断、であります!」
「く、不覚……ッ!」
口惜しさの中に、どこか満足気な声色をにじませながら、フライング・ダッチマンはバルタンの剣を受ける。炎が血飛沫のごとく爆ぜ、フライング・ダッチマンはその体躯を両断されてしまうことで、決着を迎えた──。
大成功
🔵🔵🔵
クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ歓迎
「その意気や良し」
【POW】
●UC対策&迷いなき心
キャバリアからは降り、一騎打ちのため単身敵の元へ向かいます。
「決死の敵相手、背水の陣で挑めということですか」
機械化した肉体を【リミッター解除】:オーバクロック、燃やされる前に自分から燃えます(【メカニック】)。
敵の攻撃は沿岸の岩等の【地形の利用】により可能な限り回避に努め、当たる分はパイルバンカーの【盾受け】でダメージ覚悟で耐える狙いです。
●UC
「流石に熱いですよ」
紛れもなく瀕死、UCを発動します。
「GEAR:PHANTOM PAIN」
肩のAFのランチャーと予備腕99本、本体から熱【エネルギー充填】済。
「一斉砲撃開始」
●3rd Duel:クネウス・ウィギンシティ
「その意気や良し」
クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は一騎打ちを所望するフライング・ダッチマンにただ一言応え、愛機アルゲスを降りて相対する。
「ほう、その鉄騎に乗らず、あくまで生身で戦うと言うか……」
「決死の敵相手、背水の陣で挑めと受け取りました。故にこちらも決死の覚悟で臨ませて頂く」
「よかろう、その心意気気に入った。猟兵、名は」
「クネウス・ウィギンシティ。勝負です、フライング・ダッチマン」
クネウスはアームドフォート「ゲオルギウス」「ミストルティン」を身にまとい、ライオットシールドを手に身構えた。敵の攻撃に対する策はある。
まずは撃ち合いだ、とばかりにフライング・ダッチマンはカットラスを振るい、燃え盛る骸珠を放つ。しかしその骸珠が当たる「前」に、クネウス自身が激しく燃え上がった。
「む……!」
フライング・ダッチマンはこの一手に目を見開く。なんとクネウスは機械化した肉体の各部アクチュエータを過剰駆動させることで自ら発火・炎上したのだ。骸珠自体は直撃弾を盾で受け、それ以外を弾いてみせる。
「自ら燃えることでわが骸珠の影響を最小限に抑えるか……!」
「流石に熱いですがね……! ですが、ここまで自分を追い込むことこそ勝利への一手!」
クネウスの策はまさに、自らを死地へと追い込むことで発揮される。
「──GEAR:PHANTOM PAIN」
虚空より召喚される99本の腕。それは例外なく肩のアームドフォートのランチャーを装備し、エネルギーを充填していた。
「自らを死地に追いやっても、勝利への一手を打つというその曇りなき信念……! 見事、見事だ……!」
ランチャーから放たれ、迫る光の中へと溶けていくフライング・ダッチマンの双眸には、喜色が浮かぶ。今際の際に救いを見た殉教者のそれを思わせる喜びの表情を顔に浮かべたまま、フライング・ダッチマンは光の奔流を一身に浴びるのだった──。
大成功
🔵🔵🔵
シスカ・リフテット
男前が粋な計らいしてくれるじゃねぇか。嫌いじゃないぜ。敵なのが惜しいくらいだ
だから最大限の礼儀を示してやるよ
ぶん殴る
俺の相棒はこの【ブラザー】!世界最高の鎧で武器で脳足りんだ!
骸球が飛んできたら装着せずに持ってきた【強襲翼】で受ける。止めれるとは思わねえ、勢いが殺せれば十分だ。続いてブラザーで骸球か鎖を掴んで思い切り引く。【グラップル、怪力、踏み付け】
最後は俺だ。鎖を引くと同時に操縦席から飛び降りて【熱線銃】で牽制しつつ接近して【UC発動】
覚悟なんざ知らねぇ、考えたこともねぇ!だがな俺の大事なモン壊すってんなら、それより早く俺がぶっ壊す!家族を仲間を明日を奪う奴は全員気に食わねぇんだよ!散れ!
●4th Duel:シスカ・リフテット
「次は鉄騎乗りか、悪くない」
「へっ、男前が粋な計らいしてくれるじゃねぇか。嫌いじゃないぜ。敵なのが惜しいくらいだ」
3度に渡る決闘と、その度に受けていく迷いなき一撃により、フライング・ダッチマンは疲弊している。だが、そんな事情を一切感じさせない凛々しさを未だ保ちながら、次の相手──シスカ・リフテット(レプリカントとジャイアントキャバリア・f30308)と対峙する。
「だから最大限の礼儀を示してやるよ……ぶん殴る!!」
「実にシンプル、故に真理! その拳、見事届かせてみせろ!」
シスカの咆哮に応じ、この一撃を超えてこい、とばかりに骸珠を放つフライング・ダッチマン。それを手に持つ強襲翼で真っ向から受け止めるのはシスカの鎧であり剣であり世界最高の相棒である「脳足りん」ことジャイアントキャバリア「ブラザー」だ。骸珠の一撃は重く、ブラザーにも振動が響くが勢いは殺した。
「おォォらァァァ!! 俺が届かせるんじゃねぇ、お前が届きに来るんだよォ!!」
骸珠に続けて放たれた鎖を掴んでみせたブラザーは、そのまま鎖を思い切り引く。フライング・ダッチマンの顔が一瞬驚きに歪む中、操縦席のハッチを蹴破らん勢いで開けたシスカが飛び出す。
覚悟などシスカは考えたこともない。しかし、自分の仲間や家族、そして明日を奪う者には容赦しないという感情だけがシスカにはある。大事なものを壊す敵が現れたら、壊される前にそれを壊す。それがシスカの流儀だ。そして今、目の前にはその流儀を真っ向から受け止める戦士がいる。ならばやることは唯一つだ。
「散れェェェッ!!」
万言は一発にしかず。百の言葉を投げるよりも、拳を一発叩き込むだけ。
「ッ……!」
フライング・ダッチマンはその拳をしたたかに顔で受け、もんどり打って地面を転がる。その時、フライング・ダッチマンは思うのだった。
あぁ、ここまで清々しい思いで殴られたのは何時ぶりか、と。
「」
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林
名を名乗りましょう。私は『静かなる者』梓奥武・孝透(しおう・たかゆき)。
ええ、これで内部三人は、完全に手出しできないのですよ。一つの認識術式といえましょう。
…弓使いですが、武士として正々堂々といきましょう。
先制攻撃…私はすでに死者で悪霊ですし。言い換えれば生者への呪いですから、適応しますよ。
物理的攻撃には、四天霊障による結界術+オーラ防御+武器受け。
制圧射撃つき二回攻撃。一の矢は四天境地・『雪』、二の矢に破魔+氷雪属性攻撃の矢を。
私は、生者を守る悪霊なり。すでに迷わず。
ぶれぬ矢こそ証明なり。
●5th Duel:梓奥武・孝透
「その魂のあり方……4人宿しているか」
「慧眼ですね、その通りです」
フライング・ダッチマンは亡霊であるが故に、人の魂を見ることが出来る。そのため、目の前に現れた男が4人の魂を宿す多重人格者であることは一目でわかった。男の名は馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。現在表出している人格は冷静沈着な第二人格の『静かなる者』だった。
「ですが、此度は1対1の決闘。他3人と共に戦うのはこの場においては無粋というもの。そこで、改めて名乗りましょう。我が名は『静かなる者』、梓奥武・孝透」
その瞬間、フライング・ダッチマンは他の3人の魂が眠りについたことに気づく。
「面白い。敢えて一人の名を名乗ることで自らのあり方を縛るというわけか」
「ええ、これで内部三人は、完全に手出しできません。一つの認識術式といえましょう」
「……その配慮、痛み入る」
即ち、真に1対1の戦いとなる。フライング・ダッチマンは頭を下げ、改めてカットラスを体の前で構える。
「われは七大海嘯、『鬼火』が頭目フライング・ダッチマン。では、互いに本気を出せる環境で戦うとしようか」
フライング・ダッチマンがカットラスを構えたまま言うと、愛鳥ゼンタがその意を受けて青炎の羽を散らしながら飛び回り、周囲はたちまち生者を蝕む青き炎の海となる。しかし、フライング・ダッチマンも孝透も共に亡霊であり、むしろこの青き炎は互いの力を増幅させる。
青き炎の中で、海賊と武士が相対し……どちらからともなく動いた。カットラスを振るうフライング・ダッチマンに対して、孝透はその剣を霊力の障壁で防ぎ、受け流す。孝透が矢を放てば、フライング・ダッチマンはカットラスを振ってその矢を叩き落とす。青き炎の力により、どちらも常人には捉えられないほどの反応速度をもって、激しい攻防を繰り広げる。
「私は、生者を守る悪霊なり。すでに迷わず」
「われは、生者を征する悪霊なり。もとより迷わず」
武士と海賊。2人の悪霊は互いに一度離れると、それぞれの迷いなき一撃をぶつけ合う。
「この鋭き刃こそが」
「このぶれぬ矢こそが」
「「その証だ!!」」
海賊がカットラスで斬るとほぼ同時、武士は矢の二連撃を与える。
その迷いなき一撃は、しかして孝透が一瞬速かった。言葉もなく、フライング・ダッチマンはカットラスを空中で泳がせ、そのまま斃れる。
「──良き死合いでした」
残心しつつ、弓を降ろす孝透。ここに第五の戦いは決着した。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
その挑戦受けて立とう
愛鳥の同行も構わないよ
堂々とした挑戦状を送ってきたヒト(敬意を表しヒトと呼ぶ)の頼みだし
黒い衣服で現地に立つ
これは俺の決意の表れ
得意な騙し討ちもしないで正々堂々戦おう
開戦したら彼に向かって駆ける
暗夜の剣を抜きロングソード大に変形させながら
飛来する骸球の軌道を見切り跳躍して回避
躱しきれなかった場合や、飛んでくる炎がある場合は剣で斬り払う
攻撃を凌いだらカウンター、彼の懐に飛び込んで攻撃力重視のUC解放・宵を発動
出せる力の全てを彼にぶつける
傷を負わせたら何度も追撃して傷を抉るようにする
彼が実力者なのはわかっている
でも俺は恐れない
迷わず、いつもどおりの落ち着いた心で彼の挑戦に答える
●6th Duel:サンディ・ノックス
「その挑戦受けて立とう。愛鳥の同行も構わないよ」
「かたじけない」
「いいさ、堂々とした挑戦状を送ってきたヒトの頼みだし」
フライング・ダッチマンに敬意を表し、敢えて「ヒト」と呼ぶのはサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)。彼は自らの決意の証として、黒衣を身に纏う。得意の暗殺術を自ら封じ、正々堂々と真っ向から挑む気概に、フライング・ダッチマンは微笑む。
「良き戦いを」
「そちらこそ」
交わす言葉は少なく、しかし万感の思いを載せて、ここに第六の戦いは幕を開けた。
戦いの始まりと同時に駆け出すサンディは、フライング・ダッチマンの放つ骸珠を跳躍しながら回避。その勢いのまま暗夜の剣を抜き放ち、相手の懐へと飛び込む。
その恐れのなさに覚悟を見出したフライング・ダッチマンは、カットラスの剣技でこれに応える。暗夜の剣による重い一撃を、素早いカットラス捌きで受けてみせれば、サンディは一度身を引き、再び大振りの一撃を叩き込む。その心に恐れは一分もなく、感情の波は凪いでいた。フライング・ダッチマンもカットラスを振るう手付きに一切の乱れはない。
そのまま幾十合にも渡る剣戟が続くが、ふいに終わりのときが訪れた。フライング・ダッチマンも六度の戦いで疲れが生じている。その僅かな隙を見逃さずにサンディの剣がフライング・ダッチマンの体躯を捉える。
「……!」
「確かに届けたよ、一撃を」
傷を負い、崩れ落ちるフライング・ダッチマン。互角の戦いの一瞬の決着、軍配はサンディに上がった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ならば、此処をお前の終の場にしてやるわ
真っ向勝負よ、フライング・ダッチマン
お前の不滅を、私の意志で打ち砕く…!
今までの戦闘知識から敵の微かな殺気を暗視して見切り、
敵UCを怪力任せに大鎌で防御して衝撃を地面に受け流し、
骸球の炎を呪詛耐性と"怪力の呪詛"のオーラで防御して、
大鎌に魔力を溜め骸球の邪悪な魂の降霊を行いUC発動
…っ、過去を刻むものよ
悪しき魂を喰らい、その力を解放せよ…!
空中戦機動の早業で黒刃を乱れ撃ちしつつ切り込み、
大鎌と黒刃を合体して武器改造した神剣をなぎ払い、
時間ごと敵を切断する時属性攻撃の斬撃を放つ
…今さら迷いはしない
お前を討ち果たし、この世界を救済する…それが私の使命よ
●7th Duel:リーヴァルディ・カーライル
「……ならば、此処をお前の終の場にしてやるわ。真っ向勝負よ、フライング・ダッチマン」
「来るが良い、リーヴァルディ・カーライル」
リーヴァルディ・カーライル(f01841)との名乗り合いを終えたフライング・ダッチマン。それぞれが覚悟を持って相対し、眼前の敵を見据えた。
「お前の不滅を、私の意志で打ち砕く……!」
骸珠を放つフライング・ダッチマン。リーヴァルディは今までの戦闘知識から敵の微かな殺気を感知。骸珠の軌道を見切り、力任せに大鎌で防御して衝撃を地面に受け流してみせる。骸珠の炎がまとわりつこうとするが、持ち前の呪詛への耐性と"怪力の呪詛"で編み上げたオーラがこれを阻んだ。
リーヴァルディは大鎌に魔力を溜め骸球に宿る邪悪な魂の降霊を行う。その技にフライング・ダッチマンは愉快そうに笑った。
「ほう! わが骸珠を利用するか!」
「……っ、過去を刻むものよ……悪しき魂を喰らい、その力を解放せよ……!」
リーヴァルディが飛翔する。目にも留まらぬ早業で黒刃を乱れ撃ちしつつ切り込み、大鎌に黒刃を組み合わせることで神剣と成した。時間ごと敵を切断する斬撃が、フライング・ダッチマンへと襲いかかる。
「……ふ、見事……見事な一撃……!」
「……今さら迷いはしない。お前を討ち果たし、この世界を救済する……それが私の使命よ」
「その使命、見事成就してみせろ……」
リーヴァルディの見せた迷いなき一撃は、フライング・ダッチマンを両断する。斃れる前に放たれたフライング・ダッチマンからの言葉に、リーヴァルディはただ一言、こう応えた。
「……当然よ」
大成功
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リルヤ・イルマリネン
●心情
……一騎討か、良いだろう。なら、飛び道具は無粋だな。
フライングダッチマンとフライングフィン。悪くない対戦カードだ。
●行動
普段の様な隠密行動は敢えて取らず、ゆっくりとした足取りで相対する。
相手に分かる様に銃火器や爆発物の類を地面に落とし、飛び道具を使う意思が無い事を示した上で、ククリナイフにも良く似た、短刀型の媒介道具を構える。
高速移動にはユーベルコードのスピードと反応速度で対抗。
青炎の放射には相手の『体勢を崩す』事も加えて上手く受け流したい。
スピードを生かした『二回攻撃』を活用し手数で押す。
多少のダメージは『覚悟』の上だ。『激痛耐性』で耐えつつ、『捨て身の一撃』で真っ向勝負と行こう。
●8th Duel:リルヤ・イルマリネン
「フライングフィン、リルヤ・イルマリネンだ」
「七大海嘯が一人、『鬼火』、フライング・ダッチマン」
フライングフィンとフライング・ダッチマン。悪くない対戦カードだ、とリルヤ・イルマリネン(フライングフィン・f02537)は感慨にふける。
リルヤは得意の飛び道具を封じることを決めた。一騎打ちにおいて無粋であろうと判断していたからだ。フライング・ダッチマンにも見えるように、銃器や手榴弾の類を武装解除していく。射撃を一切行わない意思表示に、フライング・ダッチマンも頷く。
「ふむ、その意思、了承した。われもこのカットラスのみで戦うとしよう」
ククリナイフにも良く似た、短刀型の媒介道具「Kulta Leijona」を構えるリルヤに、フライング・ダッチマンもカットラスを構える。
蒼炎を身にまとい、高速の斬撃を披露するフライング・ダッチマン。リルヤもまた、寄生型UDCに感覚神経を明け渡し、その斬撃に対応してみせる。痛覚の倍加が弱点ではあるものの、多少の傷は覚悟の上で剣を重ねて見せる。カットラスがかすめる度に激痛がリルヤの身を苛むが、それすら意に介さず自らもKulta Leijonaの刃を閃かせる。
手数の多さは徐々にフライング・ダッチマンを圧倒していき、ついにフライング・ダッチマンを捉える。満身創痍でありながらも、高速の斬撃はフライング・ダッチマンの体を次々と貫いていった。身を焼くような斬撃の痛みに、フライング・ダッチマンは耐えてみせるものの、ついに身体が耐えきれず、膝をついた。
「痛みすら耐えるその迷いなき心……しかと響いた。良き死合いであった……」
「あぁ、良き戦いが出来たことに、感謝を」
フライング・ダッチマンはリルヤの言葉を聞くと、静かに意識を手放すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
イザベラ・ラブレス
ジョージ、わかるわ。彼と戦いたいって気持ち。(ピコピコと動く狼耳を見ながら)
でもそれは私も同じ。強敵とのサシの勝負を不意にするなんてできないわ!
これぞ浪漫!
闘るわよ、正々堂々と!
戦場が炎に包まれると同時に指定UCを発動、ジョージの怪力でスチールバスターとフェイルノートを同時に装備。
弾幕を展開しつつ砲撃を加えながら前進、攻撃は激痛耐性に火炎耐性で耐えるわよ!
その程度で止められるほどヤワじゃないわ、アポヘル育ちを舐めるんじゃないわよ!(挑発)
互いに白兵戦距離まで迫ったらクイックドロウでオールドキャノンに装備を持ち替え斬撃から身をかばう。
ジョージ!とどめは任せたわよ!
『心得た!』(喉元への噛み付き)
●9th Duel:イザベラ・ラブレス
イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)は自身に憑依する魔獣・ジョージと共にフライング・ダッチマンの前に立つ。
「ふ、その魔獣、よほど戦いに飢えていると見える」
『わかるか、亡霊よ。特に貴様のような強者とは心が躍る』
「ジョージ、わかるわ。彼と戦いたいって気持ち。でもそれは私も同じ。強敵とのサシの勝負を不意にするなんてできないわ!」
三者共に闘志は旺盛。これを浪漫と言わずしてなんというか。だからこそ。
「闘るわよ、正々堂々と!」
『応ッ!』
フライング・ダッチマンが戦場を蒼炎で包み込む。それを見るや、イザベラはジョージに身体の制御を明け渡し、持ち前の怪力でスチールバスターとフェイルノートを同時に装備する。
弾幕を展開しつつ砲撃を加えながら前進するイザベラ。蒼炎が襲いかかるが、彼女は意にも介さない。
「その程度で止められるほどヤワじゃないわ、アポヘル育ちを舐めるんじゃないわよ!」
「その言葉、挑発と受け取った。ではこちらも全力で参るとしよう……!」
互いに白兵戦距離まで迫れば、イザベラは素早くオールドキャノンに装備を持ち替える。斬撃が襲いかかるも、これをオールドキャノンを盾にすることで受け止めてみせた。フライング・ダッチマンも、先刻の撃ち合いで大きく傷を負い、剣筋にはキレが無くなっている。それを見逃すイザベラではない。
「ジョージ!とどめは任せたわよ!」
『心得た!』
魔獣がフライング・ダッチマンの喉笛を食い破り、声を失ったフライング・ダッチマンはその場にどうと斃れた。戦いを渇望する者たちの宴は、こうして幕を下ろすのであった──。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
俺は弱いが、生者がこれ以上嘆いて死なないように全力で守る
お前はもう一度俺を殺せるか?
SPDで判定
先制攻撃は銀腕を【武器改造】で盾にし【盾受け】、【オーラ防御】で防ぐと同時に【激痛耐性】【火炎耐性】でダメージを緩和
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を【スナイパー】【全力魔法】で敵に使い動ける範囲を制限
そのまま【ダッシュ】【悪路走破】で近づき、銀腕を【武器改造】で剣にして指定UCを発動
【怪力】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】を使い敵を【切断】する
俺の迷いなき心は生者を守るという意志、真面に攻撃を受けたとしても【覚悟】【気合い】で持ち堪え全力で戦う
●10th Duel:ルイス・グリッド
「俺は弱いが、生者がこれ以上嘆いて死なないように全力で守る。お前はもう一度俺を殺せるか?」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)。デッドマンである彼は、ある意味ではフライング・ダッチマンと近似した存在である。しかし決定的に違うところがあるとすれば、それは互いの信念だ。
「われはただ、コンキスタドールの使命に従い征服を続けてきた。なるほど、猟兵のお前とコンキスタドールのわれ、立場と使命から相容れぬ存在と言うわけか」
ふっ、とフライング・ダッチマンは笑う。もしも自分が違う立場であれば、きっとルイスのように再び得た生を使っていたのかも知れない、とすら考える。だが今この瞬間、自分はコンキスタドールとして戦う。ルイスも猟兵として戦うのだ。そこに一片の迷いもない。
「行くぞ、デッドマン。貴君こそ、その迷いなき心にて、われを再び冥府に送ってみよ」
「もとよりそのつもりだ……!」
蒼炎を宿すカットラスを握り、フライング・ダッチマンは裂帛の気合とともにルイスへと斬りかかる。その動きはまさに神速。しかしルイスはその動きを見切り、銀腕を素早く変形させて盾となし、フライング・ダッチマンの剣技を受け止めてみせる。
「む……! 今の剣を受けるか!」
その反応速度を見て驚きを隠せないフライング・ダッチマン。しかも、銀腕の魔力のオーラが蒼炎の燃え広がりを防いで見せる。熱までは防げなかったものの、持ち前の打たれ強さが蒼炎の焼けるような熱さと痛みに耐えるだけの胆力を生み出していた。
「ちっ……」
ここは一旦距離を置くべきだ、とフライング・ダッチマンは一時後退する。青き炎を飛ばして遠距離戦に持ち込む構えだ。しかしそれを許すルイスではない。
「逃がすか!」
眼帯を取り、魔眼を解放する。災いとして手向ける色は藍。司るのは圧壊。フライング・ダッチマンは急激に自らの四肢に重圧を感じた。天より不可視の掌で押し付けられたかのように動けなくなる。
「む……重力によってわれを縛るか……!」
動きを封じられたフライング・ダッチマンの前に、銀腕を再び変じて剣と成したルイスが一気に距離を詰める。
「俺の迷いなき心は生者を守るという意志! その心をこの刃に載せる! さぁ、骸の海に還れ、フライング・ダッチマン……!」
フライング・ダッチマンの脇を通り過ぎる過程で大きく振るわれた剣は、動きを封じられたフライング・ダッチマンの体躯に吸い込まれていく。剣を振り抜いたルイスは、その刃に血のように纏わりついた蒼炎を払った。その背後では、その身体を二つに切断された亡霊海賊の体躯が崩れ落ちていくのだった……。
大成功
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テラ・ウィンディア
…格好いいなあんた
ならば応えない訳にはいかないや
おれはテラ・ウィンディア!
竜騎士でありあんたに挑む者だ!
剣と太刀のみで挑む
対POW
【属性攻撃】
炎を全身と武器に付与
炎ダメージの軽減を図る
【戦闘知識・見切り・第六感・残像・空中戦・盾受け】
その動きと過去の戦いの記憶も含めて攻撃の癖を把握
飛び回り残像を残しながら骸球の回避に努め
避け切れない場合は盾で受け止め致命を避け
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣と太刀による連続斬撃
更に刺突による串刺しを狙い
彼のカトラスの斬撃と己の斬撃を頭に叩き込む
迷わぬ心
強くある事だ
あんたという強者におれは勝つ!!!
斬撃濃度が高まった処で
消えざる過去の痛み発動
斬斬斬斬斬斬斬斬!!
●11st Duel:テラ・ウィンディア
「格好いいなあんた」
フライング・ダッチマンの真剣なる勝負を挑むその姿勢を、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)はそう評価する。
「お褒めに預かり光栄だ、若き剣士よ。して、貴君はわれと死合うか」
「当然だ。応えない訳にはいかないだろ」
テラとフライング・ダッチマンは互いに喜色を浮かべ、これから始まる戦いに思いを馳せる。きっと、この相手ならば自らを死地に委ねるに値する相手なのだろう、と。
「おれはテラ・ウィンディア! 竜騎士でありあんたに挑む者だ!」
「フライング・ダッチマン、海賊であり貴君に挑む者。いざ尋常に勝負!」
決闘の幕が上がり、骸珠を次々と放つフライング・ダッチマン。しかし、戦闘経験を十分に積んでいるテラにとっては、これをいなすのは容易い。予め魔術により炎を全身と武器に付与することで蒼炎を防ぎつつ、これまでの経験則と動きを観察した結果から導き出される最適な位置へと自らの身体を運び、骸珠を回避してみせる。その素早い動きは残像が見えるほどであった。
「ほう、その体捌きから察するに、貴公は手練……そう受け取って良いな」
「あぁ、全部見切ってやるとも」
良い相手に恵まれたことに喜びを見出したフライング・ダッチマンは、一気に距離を詰めてカットラスでテラに斬りかかる。テラもまた、己が得物である剣と太刀を両手に構え、カットラスの斬撃を受け、流し、時に隙を見つけて刺突や斬撃を試みる。しかしフライング・ダッチマンも一筋縄では行かず、刺突は身体を捻って回避、斬撃もカットラスの刃で弾く。
剣を重ねていく中で、両者の剣技はより洗練されていった。それぞれの癖を把握し、どちらか一方がその癖を利用した一手を放てば、相手はその一手を封じるべくさらに手を打つ。しかし、この戦いの趨勢はこの状況に陥ったことでテラが有利となったことを、フライング・ダッチマンは悟らないわけにはいかなかった。
(われは既に亡霊……この少女と違い、伸びしろが無い。願わくばこの少女が至る先を見てみたかったものだが……ふ、死人にして過去の残滓たるわれには要らぬ感傷か)
テラは戦いの中でさらに成長していく。その剣技は極まり、ついにこの戦いにおける究極たる一手を放った。
「おれは常に強く在る! それがおれの迷いなき心! あんたという強者におれは勝つ
……!!」
ついにテラの刃がフライング・ダッチマンを捉えた。袈裟懸けに斬られたフライング・ダッチマンはついに膝をつく。
「そうか……ならば、その迷いなき心、決して無くすな。骸の海からわれは貴公の道行きを見守るとしよう……願わくば、この旅路が実り多いものであらんことを」
それは、フライング・ダッチマンからの餞別の言葉。さらに強く在ろうとする少女への激励だった。
「Bon voyage、テラ・ウィンディア」
良き旅を、と言い残し、亡霊は斃れた。
大成功
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アラン・スミシー
決闘かい。
それは男らしい、ならこちらも受けて立とう。
…タンブルウィードとか転がって来ないかい?
一つルールを足したい。
そこのゼンダ氏にこのコインを落とさせて地面に落ちたときが勝負の始まりとかどうだい?
古式ゆかしい決闘のスタイルさ。
さあ、始めよう。君のカトラスと私の銃、どちらが速いか決めようじゃないか。
私が考える事はそんなに無い。
ただホルスターから銃を抜き狙いを定めて引き金を引く。
それはあちらさんも同じだろう。
ただ一つ違いがあるとするのなら、私は流離う事はあっても彷徨うことは無かったのさ。
「さまよえるオランダ人」
なんてことはない、君は位置の変わらない灯台が欲しかったから迷わない者を求めたんだろう。
●Last Duel:アラン・スミシー
「決闘かい。それは男らしい、ならこちらも受けて立とう」
「感謝する。最後は一撃にて決着とゆこうか」
アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)とフライング・ダッチマンの間を分けるように吹く一陣の風。タンブルウィードが転がる西部劇のワンシーンを思わせる光景を見て、アランはひとつ提案をする。
「始める前に、一つルールを足そうと思う。一撃で決着させるんだ、そこのゼンタ氏にこのコインを落とさせて地面に落ちたときが勝負の始まり、というのはどうだい」
アランが取り出したのは1G金貨だ。アランが言うルールは、コインが落ちた瞬間に互いの武器を抜き、どちらが速いかで勝負を決める決闘のスタイルである。
「構わぬよ。古式ゆかしい決闘の仕儀のひとつと聞いている。見た所貴公は銃を使うのだろう。その早撃ちがわれに届くか、もしくはわれのカットラスが貴公を斬るか……この戦いの締めくくりとしては相応しかろう」
すでにフライング・ダッチマンの不死の権能は度重なる猟兵たちとの決闘によって失われている。次の死こそ、自分が骸の海へと旅立つ時だと彼は悟っていた。だからこそ、最後は一撃にて決着をつける。
フライング・ダッチマンは肩に止まるゼンタに頷いてみせる。彼の愛鳥はその意を受けて飛び立つと、アランが差し出した1G金貨を足で掴み、2人の間で滞空する。ゼンタは2人の顔を交互に見た。準備は良いか、と言外に告げるように。
アランとフライング・ダッチマンはゼンタに向けて首肯した。
沈黙の一瞬。吹き付けていた風が、一瞬凪いだ。
その瞬間、ゼンタはコインを落とす。コインが重力に引かれて落ちていく。その場にいる誰もが、長い長い一瞬を味わった。
コインが地面に落ち、高らかに金属音を立てた。
その瞬間、アランは銃を抜き。
フライング・ダッチマンは剣を抜いて斬りかかった。
乾いた銃声が響く。
剣が風を切る。
「……見事」
再び訪れた一瞬の静寂を破ったのは、フライング・ダッチマンが倒れる音だった。
アラン・スミシーとフライング・ダッチマン、この決闘において彼らは公平な立場であった。どちらも一撃で決着をつけるという点で違いはなかったのだ。
だが、たったひとつ違いがあるとすれば、アランは流離うことはあっても、ただ彷徨うことはなかったのだ。それこそが、迷いなきアランの心であった。
フライング・ダッチマン、「さまよえるオランダ人」。
彼が迷いなき心によって骸の海へと還ったのは、おそらく。
(位置の変わらない灯台が欲しかったから……だから、心の奥底で求めていたんだろう、迷いなき者を)
硝煙棚引く銃を降ろしたアランは、去り際に、そんなことを思うのであった。
羅針盤戦争、作戦コード「オペレーション・イチイバル」、全戦闘決着。
──フライング・ダッチマンの旅は、ここに終着点を迎えた。
大成功
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