羅針盤戦争~ここにカミはいない~
●それは己が誇りと自由を取り戻す為の
「きやがった!ついにあいつがきやがったよ!!」
アジトの中を女海賊が駆けていく。
「なんだって!?ついにかい!」
「ようやくこの時がきたんだね……!」
「お前ら!いつでも出られるようにしておくんだよ!!」
「男どもは避難させておきな!!」
その知らせを聞いた仲間たちは意気込んで各々の武器や、不思議な魔法道具のようなものを各々手に取っていく。
バンダナを頭に巻きつけている故にわかりにくいだろうが、髪の毛の生え際と思しきところが見当たらない。
――そう、このアジトにいる女海賊は皆、髪の毛が一本たりとて生えていなかったのだ。
「お前ら、覚悟はいいね?命を賭けた戦いになるよ」
女海賊たちの後ろから、ボスと思しき女性が姿を現した。
同じく、綺麗に生え際すら存在しないスキンヘッドを隠すように、キャプテンハットを深く被る。
「あたしたちから自由を、誇りを、髪を奪い、この島に縛り付けた奴を今度こそぶっ倒してここを出るぞ!!!」
「「「おおお―――――――――!!!!」」」
掲げたカトラスに続くかのように銃が、斧が、槍が上がる。
呪いをもたらせし元凶――堕落せし女神を討伐する為に今、命を賭した戦いの火蓋が切って落とされた。
●ここが運命の分岐点
「髪は女の命、って言うよな」
黒竜なのに髪の毛は真っ白な地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)が招集をかけた猟兵たちに口を開く。
何でいきなり髪の話?と思うが、どうやらそれが今回の予知にかかわってくるらしい。
「俺が今回予知した島なんだがよ。多分痕跡からしてアックス&ウィザーズから落ちてきたんだろうが、発見されて間もない感じの遺跡があってな。
まあ当然宝もたくさんあるワケだ。で、それを狙ってある女海賊たちが島にやってきた」
女海賊たちは無事に宝を手に入れることに成功した――だが、その遺跡に眠っていた女神すらも呼び覚ましてしまった。
眠りを覚まされた女神――名はもう失った髪の女神は信仰と共に己の存在が薄れることを恐れた余り、呪いによって彼女たちから髪の毛と共に心を奪ったという。
「その中でも強靭な精神力で心だけは護りきった連中が仲間を元に戻そうとしたんだが、女神を追い出して仲間たちの正気を取り戻すので精一杯だったらしい」
しかし女神を追いかけようにも、その呪いは彼女らを島に縛り付けてしまっていた。
故に彼女たちは島の外に出ることすら叶わず、また女神が戻ってくるその時まで静かに己の刃を磨き、ついにその時がきたのだが……。
「どうやら女神は追い出されてから七大海嘯に手懐けられたみたいでな。メガリスか何かを取り込んだのかとてつもなくパワーが上がってやがるんだ」
当時のようには行かないどころか、このままでは女海賊は返り討ちに遭い全滅するだろう。
故に凌牙は、猟兵たちに彼女らと手を組んで女神を討伐して欲しいと言う。
「この島の遺跡には古代のマジックアイテムがたくさん眠っていたらしく、女海賊共はそれらも全部使ってでも髪と自由を取り戻すつもりらしい。
協力を申し出れば喜んで貸してくれるだろうよ。それぐらいあいつらはまた海に出たいし、自分たちの髪の毛を取り戻したいからな。
海賊としてはおろか、女としての誇りも奪われたのは流石に見てらんねえ。どうか彼女たちに力を貸してやってくれ」
強き者に踏みにじられた人々の無念を刻む為ノ"報讐者"として、自分が行けないことを歯がゆく思いながら凌牙は猟兵たちを送り出した。
御巫咲絢
ここに神はいないが髪もいない、なんちゃって。
自分が第六始めて間もなく遭遇したボスのフラグメントが出てきたので気づけば筆が動いてました。
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます!
はじめましての人ははじめまして、御巫咲絢と申します。この度は当シナリオをご覧くださりありがとうございます!
御巫のシナリオが初めてだよって方はお手数ですが一度MSページをご覧の上以下にお目通しをよろしくお願いいたします。
戦争シナリオ2本目をお届けします。
女海賊たちの誇りを取り戻す戦いをどうか手伝ってあげてください。
●シナリオについて
当シナリオは「戦争シナリオ」です。一章で完結する特殊なシナリオとなっています。
また、このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
海賊たちと協力する。
●島について
アックス&ウィザーズから落ちてきた古代遺跡のある島です。
遺跡には古代のマジックアイテムがたくさん眠っており、今も使うことはできるそうです。
海賊たちに協力を申し出れば快く貸してくれるでしょう。どんなマジックアイテムが眠っているかは各自ご自由にご発想頂ければと思います!
(当然ですが、あまりにも公序良俗に反する内容の場合は不採用とさせて頂きます)
●プレイング受付について
今回はプレイング受付日を2/8(月)の8:31から、とさせて頂きます。
開始日以前にご投函頂いたプレイングは全てご返却致しますのであしからずご了承ください。また、ご再送頂いても人数次第ではキャパシティ的にお受けし切れないかもしれません。
その為プレイング人数が8人を越えました場合は不採用になる場合もありますので、予めご了承の上プレイングを投げて頂きますようお願い致します。
それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
第1章 ボス戦
『名を忘れられ堕落した『髪の女神』』
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POW : 髪鳴り(かみなり)
自身に【生えた髪の毛へ邪気で作られた雷】をまとい、高速移動と【髪に纏った超威力の雷】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 髪業(かみわざ)
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【無数に生えて来る髪の毛うちの一部】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ : 髪縛い(かみしばい)
【邪気で作られた雷】を籠めた【強靭かつ伸縮自在で自由に動く髪の巻き付き】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【意識や信仰心】のみを攻撃する。
イラスト:ekm
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠神永・衣乃」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
灰神楽・綾
【不死蝶】
いいこと思い付いた
いっそ「毎日の気分やTPOに合わせて変幻自在!」
といった謳い文句で
ウィッグをこの島の特産にしちゃうとかどうだろう
髪の女神様だけにあの髪の毛がかなり厄介だね
ならばとUC発動し、ナイフを敵の身体…ではなく
髪の毛の束に向けて次々と投げつけ切り落としていく
普通のナイフではきっと雷に弾かれていただろう
だから予め「雷」を透過する性質を与えておいた
その髪の毛は最大の武器だろうけど
それが失われれば、ほぼ全ての攻撃手段が奪われたも同然
つまり最大の弱点でもある
梓のドラゴンたちと協力し、時には庇ってもらいながら
俺は女神様の散髪に尽力するよ
あはは、ショートカットもなかなかお似合いですよ
乱獅子・梓
【不死蝶】
男ならスキンヘッドもありだが
女だとキツいだろうなぁ…同情するぞ
腕っぷしは強いであろう女海賊に
メンタル攻撃を仕掛けるとは女神恐るべし
いやお前ポジティブだな??
UC発動し、炎属性のドラゴンを召喚
敵を包囲し、ブレス攻撃や頭突きで牽制攻撃(命中率重視
ちょこまかと高速移動が出来ないように
そして髪の毛の対処をしてくれる綾が狙われないように
ここで海賊から借りたマジックアイテムの出番
これは冷凍光線のような氷の魔法が使えるらしい
敵の意識が綾とドラゴンたちに向いてる隙に
敵の足元目掛けて魔法を発射
凍りつかせて地面へ張り付ける!
これで敵はうざったい髪の毛も移動も封じられた
さぁお前たち!一斉攻撃だ!
●撃破パターン1.不死蝶と竜の舞
乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は女海賊たちの(頭の)悲惨な有様に顔を顰める。
「男ならスキンヘッドもアリだが……女だとキツいだろうなぁ……」
髪は女の命とグリモア猟兵もそう言っていたし、世界共通でまかり通っている言葉である。
その髪を奪い、さらには島に縛り付けることで海賊としての誇りたる自由も奪うということで彼女たちの精神に与えられたダメージは如何許であろうか。
恐るべし、堕落せし髪の女神。
梓が同情する傍らで、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はあ、そうだと何か閃く様子を見せる。
「いいこと思いついた、いっそ「毎日の気分やTPOに合わせて変幻自在!」といった謳い文句でウィッグを島の特産にしちゃうとかどうだろう?」
「いやお前ポジティブだな???????」
にこにこ笑う綾の隣で梓は眉間にシワを寄せて首を傾げた。
時々妙な知識を持っていたりすごくポジティブ思考な考えしたりと、長年の相棒は前向きなのか何なのか時々わからなくなる。
「ははは、あんたたち面白いこと言うね。それができたらあたしらもここまで荒まなかったかもな」
そんな綾のポジティブ思考を女海賊の首領は怒りに一蹴することなく笑い飛ばし、マジックアイテムの詰まった宝箱を部下に持ってこさせる。
「協力してくれるんだろう?あたしらも使うが、あんたらが使った方が有意義な奴もたんとあるハズだ。好きなの持っていきな」
●
『tn―――0qdktn――dj333333333333』
名を忘れ去られ堕落した髪の女神は島に降り立ち、髪の毛に纏わせた雷を島のあちらこちらに落とし続ける。
最早完全に理性も消失したのか人の言葉を介することもなくなったその有様はまさしく堕落した女神と言えるだろう。
呪いをもたらし、縛り続け、そして雷にて災害を齎す……その諸行は最早ただの"祟り神"と言っても過言ではなかった。
「こりゃ……もうダメだな」
「神様も堕ちてしまうとこうなってしまうんだねえ」
まさに文字通り"救いようがない"姿。まだダークセイヴァーの"同胞殺し"の方が救いがあるようにすら錯覚してしまう――実際はどっちもどっちであるが――。
雷を纏った自らの身体よりも恐ろしく長い女神の髪が二人を襲うがそれを難なくいなし、臨戦態勢へ。
「さて、髪の女神様だけに髪の毛がかなり厄介だね……梓、フォローよろしく」
「ああ、頼んだぞ綾」
梓はユーベルコード【竜飛鳳舞(レイジングドラゴニアン)】を発動し炎竜を召喚。
その数にして99体もの竜の双眸が髪の女神を鋭く見据え、梓の号令と共に髪の女神に殺到する。
炎のブレスが髪を炙り、頭突きで相手を怯ませ牽制の効果を齎す。
『3ze!3ze!!3ze!!eqe!!eqe!!666666!!!』
女神の口から言葉にならぬ悲鳴が飛び出す。
99体もの竜に翻弄され、満足に移動することもままならない怒りから邪気から生まれし雷をその髪と共に振るおうとするがその刹那、まるで接続を切るかのように髪の毛が切断された。
梓が召喚した竜たちで牽制している間に、綾がナイフを投げつけていたのだ。
それは邪雷をものともせず、投げつけた全てがその抜群な切れ味を以て女神の最大の武器を損なわせていく。
「――何処にいても、君を捕まえる。自由に動けるとは思わないでね」
ユーベルコード【ディメンジョン・ブレイカー】。
これにより綾の愛器の一つであるナイフ『Jack』には今、雷を透過する性質が付与されている。
普通のナイフであれば雷によって弾かれる運命にあるが、それを覆してダメージを与えているというワケである。
身体一つ傷つかずとも、髪の女神にとって髪はもう一つの生命力の象徴とも呼べるべき代物だ。そして同時に最大の武器となれば、それを損なわせることが勝利へ直結する道だろう。
最大の武器にして最大の弱点。逆に言えば攻撃は最大の防御を地で行っているようなものであるが故に、それの対策を講じられればどうしようもできないというワケである。
『8.xue!8.xue!!8.xue!8.xue!8.xue!!3@3@3@3@6@6@6@6@6@!!!』
怒りに狂う女神。
残っている髪を使って綾目掛けて雷を落としにかかるが、梓の使役するドラゴンが体当たりをしかけたことによって体勢を大きく崩し不発に終わる。
その間に綾はナイフを投げ続け、女神の髪を引き続き切断。
同時にドラゴンを指揮しているだけの梓も動き始めていた。
今現在、女神は綾とドラゴンたちに翻弄されこちらに気づく気配はない。先程女海賊から譲り受けたマジックアイテムを取り出し、女神の足元向けてその効力を発揮させる!
『6@6@6@6@!!!x]e!!x]e!!b6.!!?0qdktoq@t@b6.!?!?』
女神の足元が一瞬にして凍りついていく。
このマジックアイテムは冷凍光線のような氷属性の魔法が封入された巻物――所謂スクロールという奴だ。
含まれている魔力量から換算するに一度使用したらそれで魔力が切れる使い切りの代物であるが、一度命中させれば威力はかなりのものとなるのは予想できた。
事実、女神はその魔法をモロに浴びた結果腹部から下半身にかけての全てが凍りつき、地面に縛り付けられ移動することすらままならない。
その間に綾の雷を透過する特性を与えられた『Jack』は女神の髪の毛全てを切り落とした。
「あはは、ショートカットも中々お似合いですよ?」
その長く伸びた髪を全て切られた女神に対し綾はにこりと笑って言葉を投げかける。
髪こそが最大の武器であり、自らの命の象徴とも言えるモノ。それを千切られた上で投げられる一種の皮肉に対し女神は怒りを露わにするもなす術はなくにこにこと笑う男へ殺意の視線を投げるだけ。
「これでうざったい髪の毛も移動も封じられた――今だ!!」
「「「おおおおおお!!!!」」」
梓の号令にドラゴンが吠えると共に、海賊船が姿を表す。
そう、梓と綾で相手の動きを封じた後、ドラゴンと海賊船の大砲で始末をつける――そういう作戦だったのだ。
「クソッタレ女神ィ!!あたしらから誇りを奪った罪は神様だろうと軽く済ませられると思うんじゃねえぞォ!!!野郎ども!!撃てェ――――――ッ!!!」
「お前たち!一斉攻撃だ!!」
首領の号令と共に大砲から、梓の命令により99体ものドラゴンから一斉に火が吹き上がる。
それは最早女神という一本の薪から、巨大な火柱が噴き上がるかのような光景であった――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
オネスト・ファッション
髪は自分を魅せる大事な一部だ
伸ばすのも維持するのもスッゲー大変なんだぞ!それを奪うなんて許せねえな!
女海賊達に協力する意思を伝えUCを使用。派手な戦いには派手な衣装で行かないとな!
[ワル目立ち]衣装の女海賊達に髪の女神を引き付けてもらっている間、こっそりと後ろに回り込む
…よく見たら髪もごわごわだし毛先ダメージすごいぞ!?髪の女神も堕ちて当然だな
先程借りたマジックアイテム『被った対象のサイズぴったりになる帽子』を[早着替え]で被せ
伸び放題の髪を[物を隠す]で収納、上から[裁縫]で縫い付けて封じ込めてやるぜ!
不意打ちって最高にワルだよな!
今だぜみんな、奴が力を出しきれない内に一斉攻撃してやろうぜ!
上城・桂悟
髪の女神って、ダシャレのように聞こえるがかなり恐ろしい相手だよな……。何にせよ、ここで倒した方がよさそうだ
海賊たちには投網みたいな動きを制限するマジックアイテムがあれば使ってほしいかな
相手や戦場の様子を確認しつつ、水や風の属性攻撃や衝撃波を高速詠唱や全力魔法も使って撃っていく。味方がいるなら援護射撃で支援
敵の攻撃は見切りや第六感で回避。あと向かってきた髪は衝撃波等で味方のいない方へ吹き飛ばす
【見えざる風霊の手】は隙をついての攻撃や髪を払いのけて防御などに使う。ひょっとしたらマジックアイテムも使えるかもしれないし
他の人との連携・アドリブ歓迎
栗花落・澪
連携、アドリブ歓迎
忘れられるのは怖いもの
その気持ちもわからなくはないけど
髪を奪うのはやりすぎかな…
男の僕でも気持ちはわかるよ
僕も手伝うから、絶対に取り戻そうね
敵の髪が厄介だし
髪を巻くアイロンみたいなアイテムあるのかな
雷も邪気ならなんとかなる
島内なら飛行は阻害されないかな
可能なら【空中戦】で距離を取り攻撃対処に猶予を
難しいなら逆に地形を利用して攻撃の軌道を誘導するように
雷を纏う髪が飛んできたらすかさずマジックアイテムで巻き取り
【破魔】を宿した光魔法で邪気を払い無効化狙い
今度は僕の番
それでも、女性には少しでも優しくがモットーだから
【歌唱】で操る【指定UC】
花弁の斬撃で、せめて鮮やかに華やかに攻撃を
ナイ・デス
髪……ですか
私の『生まれながらの光』でスキンヘッドな方に生やせたこともある、ですが……
呪いであるなら、まずは元凶を倒さないと、ですね
……私は、海賊さん達を、支援します
奪り還しましょう。髪を
『光の加護』をここに
海賊さん達に光を宿し、再生能力を付与。髪は生えないけれど
肉体を傷つけない髪には再生は無意味かもしれないけれど
それでも【鼓舞】にはなって
海賊さん達の【覚悟】より強く
私はそんな海賊さん達へ【援護射撃】します
【生命力吸収】する「聖なる光」を放つ【レーザー射撃】
それと【念動力】で動きをサポートしたり
【激痛耐性継戦能力】私は負傷、なれてるので【かばう】したり
海賊さん達、自らの手で、奪り還してください
●撃破パターン2.ゴージャス・クァドラゲテット
名を忘れ去られ、堕落してしまった髪の女神。
かつてはそれなりの信仰を得ていた女神であったのだが、島が世界から切り離されグリードオーシャンに落ちてしまったことにより信仰という糧が消失、名も忘れてしまったという。
女神を動かしているのは、忘れ去られるということへの強い恐怖。故に、自身を忘れないように縛り付けようとした結果なのかもしれない。
「髪の女神って、ダジャレのように聞こえるがかなり恐ろしい相手だよな……」
「――忘れられるのは怖いもの。その気持ちもわからなくはないけど……髪を奪うのは、やりすぎかな……」
「何にせよ、ここで倒した方が良さそうだ」
女海賊たちが受けた仕打ちを実際に目の当たりにして、上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)は改めてこの女神の恐ろしさを思い知り、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は女神の行動に困ったように首を傾げた。
女ばかり注目されやすい髪だが、男にもとてつもなく大事である。
恐らく彼らを始めここにきている猟兵たちはそんなことはないと思うのだが、将来髪の毛が抜けていくことに悩まされるハメになる男性は果たしてこの世に何人いるだろうか……
と、それは抜きにしても男の彼らでも髪を奪われることの辛さはよくわかるものであった。
今回いらっしゃった猟兵の皆さんみんなしてめちゃくちゃ綺麗な髪してるしね、うん。
「全くだぜ!髪は自分を魅せる大事な一部だ、伸ばすのも維持するのもスッゲー大変なんだぞ!それを奪うなんて許せねえな!」
オネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)も女神の非道な仕打ちに心を怒りで震わせていた。
ビジュアルの悪魔たる彼はある意味では他の誰よりも髪への理解を示せる人物であり、「髪は女の命」という言葉の重さを知っていると言えるだろう。
その横でナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はうーん、と一つ考え事。
「私の【生まれながらの光】で、スキンヘッドな方に生やせたこともある、ですが……」
ユーベルコードが起こす奇跡とは毛根が根絶している頭を再び芽吹かせることもできる強力なものなのだが、そもそも奪われた原因が女神の呪いによるもの。
ならば髪を生やすだけならすぐにできたところでまた呪いによりスキンヘッドに逆戻り、という可能性も否定できない。
とするならやることはたった一つ。
「呪いであるなら、まずは元凶を倒さないと、ですね……私は、海賊さんたちを、支援します。奪り還しましょう、髪を」
「うん。僕も手伝うから、絶対に取り戻そうね」
「もちろんだ!僕がきたからにはもうこれ以上髪を奪わせたりなんてワル以下の行為は絶対にさせねえ!」
「そんな恐ろしい敵とあれば、放置しておくワケにもいかないしな」
四人の猟兵の心強い言葉に女海賊たちの士気が大きく上がる。
海賊たちの中でも猟兵という存在の実力は大きく知れ渡っており、それが4人ともなれば百人力どころか千人力の気分ともなろうもの。
「ありがたい……本当に感謝するよ猟兵たち!」
首領がキャプテンハットを脱ぎ、スキンヘッドを晒してまで深く頭を下げる。それ程までに恩義を感じているであろうことは明白だ。
必要なものを持っていきな、とマジックアイテムの詰まった宝箱の蓋を開ける。
「よし、じゃあお言葉に甘えて使わせてもらう――けど、その前に!派手な戦いには派手な衣装で行かないとな!」
戦装束というものも必要だろ?
にかりと笑ったオネストがユーベルコード【スタイリング・ゴージャス!】を発動させた――!
●
『666……j2@de……j2@de……/t@……!!』
女神はあまりにも眩しくて目を開けられないと細めていた。
「待っていたよクソッタレ女神!!」
「よくもこんな目に合わせてくれやがったねェ!!」
「この島に縛り付け髪を奪った恨み、今こそ晴らさせてもらうよッ!!」
高らかにカトラスをつきつけて啖呵を切る女海賊たちの服装が、あまりにも、えげつない光沢を放っていたからである――!
オネストのユーベルコードにより装飾と光沢をあしらわれたことにより存在感が色々な意味でワル目立ち。しかし、女海賊らは逆に好都合だと自ら遊撃を買って出てくれたのだ。
これにより戦闘能力が著しく増加している彼女たちだが、さらにナイが彼女らにユーベルコードによる強化を施す。
「"光の加護を、癒しの力をここに"」
聖者の資格を持つ猟兵が持つ生まれながらの聖なる光が女海賊たちに宿される。
これにより与えられるは例え欠損であろうとも即座に再生させられる程の強力な再生能力、そして強敵に立ち向かう強い"覚悟"だ。
残念ながら髪は生やすことはできないが、呪いにより奪われたのだからこの女神を倒せば取り戻せるハズと割り切る。
「……一緒に、戦いましょう!」
「ああ!お前達、いくよッ!!」
「「「おおお―――――!!!」」」
ナイの強い鼓舞を受けて女海賊たちが各々カトラスを、斧を、銃を片手に女神へと突撃する――!
『33<j2@de<4.xe!g5\!g5\!66666!!!!』
女神は光沢の眩しさに悶えながらその髪より邪気の雷を放ち、それが女海賊たちへと遅いかかる。
しかし、ナイの力で再生能力を得た上覚悟も固まっていた彼女たちはそれを浴びようとも怯みもせずに突撃。
それに怒り狂った女神は次に雷を纏わせた髪の毛を鞭のように振るう――だが、それを桂悟が阻んだ。
「"大気に潜む風霊よ"!」
ユーベルコード【見えざる風霊の手(インビジブル・シルフ)】を衝撃波を放つと同時に発動し、その髪鞭の軌道を大きく反らし真逆方向へと吹き飛ばす!
『6666b@6666@6@6@6@6@6@6@6@!!!!』
女神からその容貌に似つかわしくない悲鳴が上がる。
最早その悲鳴は声なのかすらわからない、常人であれば邪神の如き狂気を感じて正気を失う可能性もあるかもしれない。
そんなおぞましい声を響かせながら負けじと振るおうとする髪鞭に向かって飛来する一人の影。
「(やっぱり。島の中なら飛行を阻害されない……!)」
グリードオーシャンでは飛行・転移がままならないが、それがもし"島と島を隔てる海で行う場合のみ"であれば?
――そう仮説を立てた澪は一人空中から様子を伺うことを試みていた。
それが功を奏し、死角となる位置から雷を纏う髪鞭をマジックアイテムで絡め取る!
ヘアーアイロンのような形をしたマジックアイテムはそれは綺麗に髪の毛を巻き取り、振りほどこうとすれば髪の毛が引っ張られる痛みに女神が身悶える結果に。
この機を逃すまいと澪は光属性の破魔の魔術式を展開、巻き取った髪の毛を経由して雷の根源となる邪気を取り祓う!
『3@3@3@3@3@3@3@!!!!!!』
堕落し闇に染まりきった女神にその力は非常に有効であった、が。
痛みに劈くおぞましい悲鳴が再び響いたかと思いきや、女神は膂力を振り絞って巻き取られた髪の束を根本から引きちぎる!
「なっ……!」
流石にそんな捨て身の行動に出るまでは予測がつかなかった。
しかもこの髪束を犠牲にしたことにより女神は自らのユーベルコードの発動条件を満たし、髪の毛を戦場に拡散させる――!
予想外の行動に不意を撃たれた澪は回避行動に出るのが遅れ、髪という槍が眼前にまでくるのを許してしまうのだがその時不意に手を引っ張られるように身体が動く。
桂悟の【見えざる風霊の手】により、風霊が澪を助けたことにより難を逃れたのだ。
現在彼が最も戦場を俯瞰して見ることのできる立場におり、一番状況を把握していた。
自らも衝撃波や回避、魔法による相殺等で凌ぎながら、ユーベルコードの不可視性を利用してこちらが確実に死角を突ける位置に女神を誘導していく。
他にも回避が間に合わない女海賊たちはナイが念動力を使用して動きを支援、かすり傷程度にとどめさせることで被害を最小限に押さえ、数の利を維持。
一向に抵抗し続ける彼らに女神は怒り、それによりますます視野を狭窄させ、それが相手の攻撃を許すこととなる。
桂悟の放った水と風の属性魔法とナイによる生命吸収の特性を付与した聖なる光のレーザーが命中し、大きく体勢を崩したのだ。
「今だ!」
そこに畳み掛けるように女海賊の首領が力を合わせてマジックアイテムを投擲。
桂悟の注文通りの投網用の網が、一度投げたらまるで意志を持つようにうねりを上げ、女神の身体の動きを封じ込める!
これで動きは封じたがまだこれだけでは終わらない。
「そぉらッ!!」
女海賊たちが惹きつけている間に背後となる位置へ回り込み気を伺っていたオネストが追撃、邪気の祓われた髪をむんずと掴み上げる!
『uir.k!?!?』
「……髪ごわごわだし毛先ダメージすごいぞ!?こりゃ髪の女神も堕ちて当然だな……」
それはもう、毛先はひどく毛羽立ちつやのつの字もありはしない、ダメージケアが全然なされていない髪だった。
忘れ去られたと同時にきっとその術すら失ってしまったのであろう――この長さとこのダメージでも尚髪の黒さ夜の帳のような綺麗な黒であることから、オネストは実に残念だとも感じた。
そう、絶対にケアさえしていればそれだけで信仰を取り戻せそうなものを、と。
しかしそれはそれでこれはこれ、オネストは掴み上げた髪を借り受けたマジックアイテムの中に収納するかのようにしまい込んだ上で女神にそれを思い切り被せた。
パット見サイズが合わないように見えるが、魔法により編まれたこのマジックアイテムの帽子はあらゆる種族、あらゆる年齢層のサイズにナチュラルフィットする驚異の伸縮性を備えていた。
髪の毛を全部しまい込まれているとは思えないスリムな仕上がりに追い打ちをかけるかのようにオネストはさらに愛用のソーイングセットをから素早い手際で針と糸を取り出す。
そしてそれを使って――頭そのものにマジックアイテムを縫い付けた!
『tnt@!tnt@!!6666666666!!!!』
「これでもう自慢の髪を使った攻撃はできないぜ!不意打ちって最高にワルだよなあ!さあ今だぜみんな!」
奴が力を出しきれない内に一斉攻撃してやろうぜ!!
――オネストのその言葉に女海賊全員が各々の武器を構えた。
「……相手が相手だ。それでも女性には少しでも優しくがモットーだから」
タイミングを同じくして澪も追撃に出る構えを取る。
――せめて鮮やかに、軽やかに攻撃を。
そんな想いを込めたユーベルコード【誘幻の楽園(エデン・オブ・ネニア)】が、澪が歌い上げる美しく心洗われる旋律に乗せて放たれた。
髪も身体も封じられた女神の身体が、花弁の刃で切り裂かれる。
血に染まらず地に落ちた花弁は美しい花畑を生み出し、女海賊たちをさらに支援するフィールドとなり。
「海賊さんたち――自らの手で、奪り還してください!」
「当たり前よ!!自分たち(てめえ)の因縁は自分たち(てめえら)で引導を渡さなきゃなァ!!!」
そしてナイの祈りを込めた鼓舞が女海賊たちをより一層強く突き動かし。
カトラスの一振りが、斧の一撃が。火を拭き上げた銃の一射が、花弁と共に女神を鮮血で染め上げた――
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィリー・フランツ
(連携・アドリブOK)
心情:おいおい、ひでぇ女神だ。
ここまで来るともはや邪神だな、手加減する必要もねぇ!
手段:先ずは煙草を吸ってUC【喫煙者】を発動、女海賊から髪の女神の特徴を聞き、考えをまとめて作戦を練る。
奴は髪を触媒にして攻撃するらしいな?それなら遺跡のマジックアイテムに焼夷グレネードに近い物は無いか海賊に聞く、有るならそれを持って同行してもらい、合図と共に女神の頭上に投擲して貰う。
後は火だるまになった女神に女海賊達の銃撃に俺のブルパップ式小銃に掃射攻撃、プラズマグレネード投擲による集中攻撃だ。
髪は女の命とも言うしな、焼け焦げた自分の頭を見てやらかした所業を反省しやがれ、このバカ女神!
鈴木・志乃
(※最近知り合いがハゲてずっとため息ついてるので、何だか他人事ではない気分な上実際に禿げてる女性陣を見て言葉が出ないほど怒り心頭)
事前に天馬精霊のユミトは別行動させる。敵UCを食らった味方(自分含む)がいればヒール、浄化に当たるように伝える。
開幕UC
敵意対象、髪の女神。内容? ハゲ達の怒りだよ。
ハゲの悲しみは深いぞ。苦しいぞ。執念深いぞ。
嘆きの叫びが聞こえるか。呪詛の呟きが聞こえるか。
この戦場にいる海賊も、世界中で髪の悩みに苦しむ人も。
さぁ、あの神性を呪おう。
高速詠唱のオーラ防御を多重展開。敵UCを防ぐ。
早業念動力でガソリンを敵にぶっかけ点火。燃やす。
催眠術で自身がハゲる幻想も見せる。
セフィリカ・ランブレイ
髪型でどれだけ遊べるか…
相手は表現力の敵だね。許してはおけない
『髪の事で憤るなら寝癖頭で外に出るのやめなさいね』
シェル姉…相棒の魔剣のお小言だ
それはそれだ
朝寝ぼけ眼で買い物に行く位許して?
ともかく、
女海賊達と協力して事に当たるよ!
何か海賊達が使える武器とかお宝であればいいけど
皆で一緒に、徹底的に戦おう!
私があいつを弱らせるから、合図があったら一気に畳みかけて欲しいな
【赤杖の魔女】を呼び出すよ
熱量操作を司るこのゴーレムで超高熱と超低温の波状攻撃!
過ぎた熱も冷気も髪を痛めるには十分。自慢の髪を保てるかな…!
ゴーレムを狙う攻撃は魔剣で対応する!
相手が怯めば……
皆!髪を取り戻そう、総攻撃だ!
●撃破パターン3.髪奪いにハゲの怒りあれ
鈴木・志乃(f12101)は、言葉が出なかった。
目の前にいる女海賊たちがみな一様にそれは綺麗なスキンヘッドであるのを目の当たりにして、言葉にもできない程の怒りがこみ上げていたのだ。
最近ずっと知り合いがハゲてしまいずっとため息をついているのを見ていた矢先、このような依頼が舞い込んだとあれば放っておけるまいと飛び出したワケだが、予想以上の惨状に絶句せざるを得なかったのである。
そして、こんな仕打ちをした邪智暴虐なる髪の女神を決して放ってはおけぬと決意する。
「ここまでくると最早邪神だな……」
ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)もまた、その光景に何ともいたたまれないものを感じざるを得ない。
今まで傭兵として飛び込んだ戦場は数知れないが、ここまで無惨にも相手の誇りが奪われている光景は滅多に見ることがないものだ。
いくら何でも女にこの仕打ち、元凶に手心を加える必要はないようだと判断する。
「髪型でどれだけ遊べるか……!相手は表現力の敵だね、許してはおけない!」
『髪のことで憤るなら寝癖頭で外に出るのやめなさいね』
「それはそれなの!朝寝ぼけ眼で買い物に行く位許して??」
セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は相棒の魔剣シェル姉ことシェルファに日頃の行動を諌められる。
寝ぼけ眼で買い物に行くのはわかるのだがそれにしたって寝癖は直した方がいいのではないだろうか……女海賊たちがそんな視線を向けるがセフィリカはそっと目を逸らした。
「とにかく!容赦する必要がないんだからみんなで一緒に徹底的に戦おう!」
「絶対倒す。ハゲの悲しみの深さを思い知らせないとね……」
「う、うん……そうだね……?」
志乃がやっと口を開いたがあまりにもドスの効きが良い声だったのでセフィリカは一瞬硬直した!
どれだけ怒り心頭なのかがよく伝わってくるのはそうなのだが、女海賊たちも一瞬背筋に寒気を走らせるぐらいの怒気が今の志乃から発せられている。
ハゲの悲しみと嘆きはそれほどまでに深いのだ……
「で、だ。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」っていう言葉がある。……知ってる情報を提供してもらっても?」
「もちろんだ。まず奴は――」
語られる髪の女神の特徴。
邪気を纏い、雷として形作る能力。髪の毛を代償にあらゆる自分の行動を確定させる因果を生み出す能力、そしてグリモア猟兵の予知にも語られた意志を奪う能力――
情報を聞いた後、一言断ってヴィリーは愛用の銘柄のパッケージの煙草を取り出してその一本に火をつけた。
上がる煙がユーベルコードとして彼の思考を鋭く研ぎ澄ませ、理想の答えを導き出す力となる。
「髪を触媒にして攻撃するってことは……そうだな。マジックアイテムに焼夷グレネードに近い物はあるか?」
「しょうい……?」
「おっとこの名称じゃ通らねえか……言い方が悪かった。早い話爆弾だ、爆弾」
「ああ、それならたんとあるさね。マジックアイテムだけじゃなくあたしらが使ってるのもな」
首領が目配せすると部下が爆弾をごろごろ持ってくる――いや、爆弾だけではない。火薬箱そのものだったり油の入っているであろう樽だったりと様々だ。
管理に気をつけねばとんでもなく大事になるぐらいの量を見ておお……とヴィリーは少し目を丸くした。
●
島に降り立った髪の女神は、人語とは程遠い何かを発しながらふらふらと漂っていた。
その黒い髪を飾り付けるかのように迸る雷が弾ける度に砂浜に非常に小規模のクレーターを作っていく。
『qlue qlue dyb4 bb\ qlue q@;m 0qdを 6meq@dw h;ue 3333333』
それは何を嘆いているのだろうか、声音から感情は読み取れても決して人にはわからない。
ただ一つ確実に言えることは、理不尽に髪を奪ったという事実は例え神だからとて許されはせず、"報い"を与える者がいるということだ。
ふと髪の女神の視界に何かが空を駆けているのが目に映る。それは小さい天馬であった。
その小さく愛らしい姿で空を軽やかに駆ける姿を女神は羨ましく思ったのか手を、髪を伸ばす。
触れようとして伸ばしたそれは、もちろんそれらが届く前に飛び去っていき、また女神だけになった――その時だ。
"……いやじゃ……ハゲは嫌じゃ……"
"何でどの育毛剤も効かないんですか???ふざけんな????"
"ああ、憎い、憎い!髪の毛もっさもささらさらな連中が憎い!!しかし何よりも憎いのはすぐにハゲてしまった自らの髪の毛根の脆弱さ!!!"
『!?!?!?』
突如髪の女神の脳内にそんな深い嘆きと悲しみ、憎しみが流れ込んできた。
このグリードオーシャン――否、あらゆる世界に存在するハゲたちの心は、女神の思考要領をパンクさせ混乱を招くには十分すぎる程だ。
「……ハゲの悲しみは深い。そして苦しく、執念深い」
この攻撃を仕掛けたのは志乃だ。怒りのあまり完全に据わりきった双眸で女神を鋭く見据える彼女は、ユーベルコード【集積する祈り(カミダノミ)】によって全世界のハゲたちの意思を女神の脳内に流し込んだのだ。
その怒りに震える敵意を以て。それに呼応するかのように女海賊の首領が飛び出した。
「ここで会ったが百年目!!あたしらの誇りを還してもらうよ!!」
髪を奪われた女たちの怒りの言葉は、肉声で耳に入ると同時にユーベルコードの効果にて女神の脳内でも強烈に反響し、さらなる精神的ダメージを与えていく!
「嘆きの叫びが聞こえるか。呪詛の呟きが聞こえるか。お前が理不尽に髪を奪った女海賊たちの、そして世界中で髪の悩みに苦しむ人々の嘆きが、怒りが、苦しみが」
『e7 e7 eqe eqe eqe eqe 3qjt@ eqe qr:w e7 e7 e7!!!!!!』
女神の髪から邪気の雷が暴れ出すように放たれ、志乃へと伸びるもオーラの障壁に弾かれる。
女海賊の首領もも回避を試みるが、間に合わず被弾。しかしそれは再び姿を現した小さな天馬――志乃の使役精霊であるユミトの浄化の光によって治療され事実上の無傷に終わる。
『3333333eqeeqeeqeeq@ee@q@@e@e@e@e@e@e@e@e@e@e@!!!!!!!』
尚も流れ込むハゲたちの嘆きの念にもがき苦しむ女神に追い打ちをかけるのがセフィリカだ。
「今がチャンス、一気に弱らせるよ!」
シェルファによって切り裂かれた空間――魔剣を鍵とする次元格納庫から魔導ゴーレムを召喚。
ユーベルコード【赤杖の魔女(フェイムツェール)】、熱量を操作する悪魔のコアを核として生み出されたそれは主であるセフィリカの意に従い、仇なす者を煉獄にして氷獄へと誘うのだ。
その女性を模した美しい曲線のボディ全体から放たれる超高熱と超低温の波状攻撃は女神の髪を蝕み、最早聞いたものの正気を奪いかねない程の悍ましい悲鳴を口から飛び出させる。
「過ぎた熱も冷気も、髪を痛めるには十分だよ。自慢の髪を保てるかな……!」
『eg@#333 3ze x]e 3ze x@] 33333333333@3@ 7/w 7/w@』
苦しみ藻掻く女神の黒い髪が段々とちりぢりになりながらもこの地獄から抜け出そうと【赤杖の魔女】へと髪を伸ばす。
苦痛から強まった邪気は、確殺とまでいかずとも一度与えれば確かに大きな手傷を与えることができる程に高まっていた、が――
『そうこないと、思ってるワケが』
「ないでしょっ!!」
セフィリカとシェルファによる一刀がそれを物ともせず切り捨てる。
まさに文字通りの"早業"。
最早神速とも見紛う程の速度で雷など意に介さずシェルファを振るうセフィリカ、その光景はある意味散髪という言葉を用いるのが相応しいだろう。
幾束の髪を斬られた女神は熱の波状攻撃も相まって完全にその力を弱らせ動きが鈍る。
「みんな!今だよ!髪を取り戻そう!!」
今が好機、これを逃さぬ手はない――セフィリカは仲間たちに声をかける。
「野郎どもォ!用意はいいな!!」
「目標は補足した!投擲を開始しろ!!」
女海賊の首領が声を張り上げると、大量の爆弾や火薬、マジックアイテムに油――諸々の火器を手にした部下たちが一斉に姿を表す。
そして、それらを指揮するようにヴィリーが先頭に立ち、彼の指示に伴いそれらが一気に放り込まれた!!
『h@g@'3333333333333333333333!?!!!?!?』
炎が女神の髪を、肌を、焼き焦がしていく。だがこれだけでは終わらない。
志乃がどこからともなくガソリンを念動力で引っ張り出し追い油!ますます炎が燃え上がっていく!!まるでキャンプファイアーの如き火柱だがまだまだ終わらない、というか終わらせない。
髪という誇りを奪われた女の怒りは闇よりも恐ろしいことを、女神は嫌でも知ることになる最後の集中攻撃――
「髪は女の命とも言うしな……焼け焦げた自分の頭を見てやらかした所業を反省しやがれ、このバカ女神!!」
「撃てェ―――――――ッ!!!!!!」
ヴィリーと女海賊の首領の言葉の下、女海賊たちの持っているラッパ銃、そしてヴィリーの持っているブルパップ式小銃がこれでもかと火を吹き上げ鉛玉の雨嵐!!
そしてとどめとばかりにヴィリーが最後にプラズマグレネードを投擲すれば雷が落ちたかのような衝撃が加わり、女神は悲鳴を上げる暇もなくその身体を灰燼へと変えていく。
ひっそりと仕込まれた志乃の催眠術により、自らがハゲた幻想をその目に嫌でも焼き付けさせられ、因果応報の如き結末を迎えることとなったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノインツィヒ・アリスズナンバー
【農園】
髪は女の命っていうじゃん。そういう風に扱うのは私ちゃんダメだと思うな☆
そんなこんなで蛇塚わくわく武闘派ファーム一団からやってきたよ☆
海賊さんたちからは『絶縁体で出来た魔法の手袋』を借りるね☆
それゴム手袋じゃね?多分魔法の物だけど。
じゃあ切り込み隊長いっきまーす☆
パフォーマンスを応用したステップして接近しつつ、神様の動きを見切って、雷纏った髪を掴んで引っ張り寄せるよ☆
真ん前まで近づいたらUC発動☆
お前の胸倉掴んでみんなの元へ投げ捨ててやる☆
後は任せたぞみんな☆
蛇塚・レモン
【農園】
神も髪も、ここにあるよっ!
あたいら、蛇塚わくわく武闘派ファーム一団!
只今推参だ~っ!
女海賊さん達から『絶縁体で出来た魔法の巨大鋏』を借りるね
何でも切れる魔法の巨大鋏に、ライムの魂魄を憑依させるよ
憤怒の炎(火属性+全力魔法+切断+焼却)を纏った最強の鋏が完成っ!『髪は女の命……冒涜するなら焼き切ってやるわ!』
空中浮遊するライムと影のヤミちゃんに
女神の髪を容赦なく散髪してもらうよ!
農園の仲間と連携
ルクルちゃんの歌にあわせて神楽剣舞しつつ蛇腹剣で攻撃
神楽鈴でマヒ捕縛呪詛の精神攻撃
UC発動で呼び出した475人の埴輪兵の皆の数の暴力で圧殺!
トドメは蛇神様の八首ブレス(呪殺弾+衝撃波)で神罰爆撃!
ルクル・クルルク
【農園】
大事なものを奪われる辛さも、悔しさも、判ります。
あなた達が奪われたものは、武闘派ファームのルクル達が取り返しますから。
どどーんと大船に乗った気持ちで、お任せ下さい。
まずは海賊さん達に協力を申し出て、マジックアイテムをお借りします。
例えば『敵の魔力や生命力を吸収出来るアイテム』は無いでしょうか?避雷針のように相手の雷を誘導したり、魔力を奪い相手を弱らせて皆への被害を抑えられないかな、と。
戦闘になったらアイテムとUCをで皆を勇気付ける歌を歌い援護。
乙女の命と誇りを奪うなんて許せません。
隙あらばとびきりの呪詛を込めた呪殺弾を撃ち込みます。
皆が一緒ですから怖くないです、大丈夫ですっ
槐・白羅
農園
モルス搭乗
さて…協力というのは良いものだ
しかし…生身を相手は少し心が痛むが…神を相手にするならば神機で挑むが道理か
そうだなモルス
髪を奪う非道なる神に死を与えようではないか
アイテムを借りよう
防雷の護符
アレクトリアの石という物から作られた護符で神の裁きである雷を一時的に防ぐ(戦闘後しばらく機能停止する
UC起動
島ならどうやら空を飛ぶことはできそうだなモルスよ
敵の攻撃は剣で【受け流し】
【属性攻撃・弾幕】
プラズマライフルから超高熱線を乱射して髪も肉体も焼く
容赦なく髪をメインに生命力や魔力を吸収しながら
【重量攻撃・貫通攻撃・呪詛】
死の運命で切り裂きながら毛根が死滅する呪詛を容赦なく篭め
失う痛みを味わえ
レーヴァ・アークルージュ
【農園】
女の命を借りとるなんて許されないよ!
そう言ってユーベルコードを発動させて蒼い癒しの炎を周囲に展開させる。
女海賊の頭部に癒しの炎を付与して青髪のウィッグのようにしてあげるよ。
癒しの炎を展開しながら女海賊から炎属性を増幅するマジックアイテムを借り受けて断罪の紅い炎を蒼い贖罪の炎を出したまま限定開放。
紅の炎の矢に断罪の炎を収束させて髪の女神が放つ髪の巻き付きを燃やしていきながら本体にも炎の矢を突き刺して燃やしていくよ。
さぁ、後は止めを刺してあげて皆!
そう疲労を蒼き炎で癒しながら他の猟兵のみんなを支援していくよ。
●撃破パターン5.髪も神もここに在る!蛇塚わくわく武闘派ファーム!
「はあ、ハゲになっちまってどれぐらい経ったかね……あたしさ、これでも昔は髪の毛に自信があったんだぜ?
ボスにだって暁の水平線のような綺麗なブロンドしてるってよ……それが、それがこんなことに……!」
戦いに備える一人の女海賊のぼやき。
その例えから察するにそれはさぞ綺麗な金髪をしていたのであろう――それが生え際一つないスキンヘッドと化すことの残酷さ、女性ならばわからぬ者はほぼいないだろう。
「畜生……何が神だよ、髪を奪いやがって!神なんていないんだよ!!神様が本当にいるんならあたしたちの髪を返しやがれってんだ!!」
「――大丈夫!神も髪も、ここにあるよっ!」
「!?誰だいっ!?」
そんな風にぼやいている女海賊の背後から訪れたのは――
「あたいら『蛇塚わくわく武闘派ファーム』一団!只今推参だ~っ!!」
グリモア猟兵、蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)率いる旅団『蛇塚わくわく武闘派ファーム』一行であった!
「話は聞いてるよー。髪は女の命っていうじゃん?そういう風に扱うのは私ちゃんダメだと思うな☆」
「本当にね!女の命を刈り取るなんて許されないよ!」
ぷんぷん!と頬を膨らませるのは新人アイドルノインちゃんことノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)、それに同意を示したのはレーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)だ。
二人共女海賊たちに対するあまりにもの仕打ちに対し酷く憤っている様子。そらそうだ、こんな残酷な仕打ちがあってたまるか。
同じ女の身として女海賊たちが受けた苦しみは理解するに余りあるものだ。故に髪を取り戻すまでの間少しでも気を楽にさせてあげたいと思ったのか、レーヴァはユーベルコードを発動する。
「"滅紫の焔たる大罪に告げる。人が犯すあらゆる罪を紅き焔は裁き、人が犯すあらゆる罪を蒼き焔は許す"」
【滅紫に染まれ、紅き断罪と蒼き贖罪の双炎(ジェミニバーンズ・プライメイトカルマ)】による贖罪の蒼き癒しの焔が女海賊たちの頭を包む。
一本一本細やかに燃え伸びて、まるで髪のように――これにより女海賊の頭部全てに蒼焔のウィッグがあしらわれたのだ。
「な、何だいこれ!?熱くない、いやむしろ温かい……!」
「ああ、髪だ……これは、まごうことなき髪だよ……!!」
女海賊たちは目の当たりにした奇跡に思わず涙した。感動のあまり崩折れる者もいた。
癒しの焔故に物を燃やすこともない。ああ、自分の頭に髪があるということはこんなにも嬉しくかけがえがないことだと、感動に咽び泣く。
「大事なものを奪われる辛さも、悔しさも、判ります。あなた達が奪われたものは、ルクルたちが取り返しますから」
どどーんと大船に乗った気持ちでお任せください――と、まっすぐな瞳でルクル・クルルク(時計ウサギの死霊術士・f31003)が告げ、レモンがうんうんと頷く。
「いきなりやってきたから信じられないかもしれないけど、あたいらに任せてくれないかな?絶対に女神様を倒して髪を取り戻すからねっ!」
「……いや、信じないなんてことはないさ。一時的とはいえ、あたしらに髪のある喜びを味わわせてくれたあんたたちが悪い奴なワケがない……!」
どうか、よろしく頼むよ――と。女海賊の首領が手を差し出し、それにレモンは硬い握手で応じる。
「そうと決まればあんたたちにも渡しておこう。この島の遺跡からゲットしたマジックアイテム。あたしらよりもあんたらの方が使いこなせるだろ。好きなの持っていきな!」
「ありがとう!じゃあちょっとどんなものがあるか見させてもらうねっ!」
「……ふむふむ。例えばこの中に『敵の魔力や生命力を吸収できる』アイテムはないでしゅか?それを使えば弱らせて皆への被害を抑えられないかな、と」
「んーそれっぽい?のあった気がするよ。何分あたしらが詳しくねえから大半がわかってねえから、あんたらの方が多分わかるんじゃないか?」
「……これゴム手袋じゃね?多分魔法の物だけど。海賊さん、私ちゃんこれ借りるね☆」
一応これは作戦会議である。そう、作戦会議。マジックアイテムを見繕っているだけ。
しかし何故かな、ガールズトークみも感じさせる不思議な雰囲気。しかし、その空気の和やかさはしかと伝わってくる。
「ふふ。協力というのは良いものだ」
皆がマジックアイテムに集う中、少しだけ離れたところで槐・白羅(白雷・f30750)はその和やかな作戦会議の様子を見てふ、と微笑んだ。
●
決戦の時。
海上をふらふらと漂うように島へとやってくる髪の女神。その耳に一つの旋律が入ってくる。
『4qt@ gb5.?』
可愛らしい少女の声で歌われる旋律は、何とも綺麗なものだろうか。ああ、もっと聴かせて欲しいとふらふらと島の砂浜に足を踏み入れた女神の目に入ったのは、ルクルの歌声に合わせてレモンとノィンツィヒが踊っている光景であった!
ノインツィヒのアイドルテクニックと、レモンの巫女としての神楽剣舞が合わさったダンスはそれはとても素晴らしいもので常人が見たら語彙力をなくす魅力を発揮していた!!
忘れ去られたが故に髪を奪って縛り付けたということは逆に言えば寂しさに癇癪を起こす子供も同然、ならば歌とダンスは相手の気を引きつけることはできるのではないか?と、そんなことを提案したのは誰だっただろうか。
「今日は私ちゃんたちのライブにきてくれて、ありがとーっ☆」
女神の姿を確認したノインツィヒはパフォーマンスを応用したステップで少しずつ女神ににじり寄っていく。
それはまさしくステージの入り口から観客席を通り、舞台に上がるアイドルのそれである。
じりじり、じりじりにじり寄って――
「そんな女神様にー、私ちゃんたちからとっておきのプレゼントだよ☆」
借り受けたマジックアイテムの『絶縁体でできた魔法の手袋』を身に着けた手でその邪気を帯びた髪をむんずとひっ掴んだ!
そしてアリスズナンバーシリーズとしての驚異的な戦闘力から生み出される膂力を存分に使って思い切り引っ張り寄せる!
『333!!eqe!!!eqe!!!!』
あまりにもの痛さに髪の毛が引きちぎれそうだと女神はじたばたじたばた暴れて藻掻く。
邪気を纏った雷が髪を経由して迸るが、絶縁体でできた魔法の手袋――本人も言っていたがどう見てもゴム手袋にしか見えない――で掴んでいるおかげで全くの無害。
女神の顔がド真ん前に迫ったノインツィヒ、ぱっと髪の毛を離したと思いや思い切り胸ぐらを掴み上げ。
「女の命を奪った罪は重いんだぞ☆今から徹底的にボコしてやっから往生しろよな☆」
『!? !?』
「うぉぉおおおおおおらァァァァァアアアアアアアアアアッッ!!!!」
ユーベルコード【乙女の☆胸倉落とし・極(ブツリテキガールズトーク・キワミ)】、炸裂――!!
先程から歌い続けているルクルの【サウンド・オブ・パワー】による能力強化も相まっていつも以上に飛距離が伸びている!これが競技だったら間違いなく最高記録を更新する程だ!
思い切り飛び上がり、最早島の反対側にまで行かんばかりの勢いだが、それを白羅の駈る神機『モルス』が【対生物戦殲滅機構『死の眠りの神』(タナトスノユウワク)】により飛翔、絶妙なタイミングで死の閃光を放ちて威力を削ぎ落とし、戦場に突き落とす!
「島ならどうやら空を飛ぶことはできそうだな……生身を相手は少し心が痛むが、神を相手にするならば神機で挑むが道理。そうだなモルス?」
髪を奪う非道なる神に死を与えようではないか。
――死の眠りを司る神機が女神を眠りにつかせるべくその翼を広げ行く。
『6k;!!!6k;!!!』
死の閃光で一度生命力を吸い取っただけではまだまだ足りぬ様子。
女神は怒りに狂い白羅とモルス目掛けてその黒髪から邪気の雷を放つがそれは当然想定内。
白羅は女海賊から譲り受けた『アレクトリアの石の護符』を使い、自らへの被害を防ぎ切る。
この護符は神の裁きといった人では決して抗えぬ攻撃であろうとも無効化するとんでもない代物であった。一度使えば戦闘が終わるまで持続するが、その後は機能停止しチャージ期間が必要だというデメリットはあるものの、対神装備としてはかなり破格の性能だ。
そして白羅とモルスに気を取られたが故に、女神は他の猟兵たちからの追撃を許すこととなる。
「ライム!ヤミちゃん!いくよっ!」
『髪は女の命……冒涜するなら焼き切ってやるわ!』
レモンの妹、ライムの魂魄を憑依させたマジックアイテム『絶縁体でできた魔法の巨大鋏』が憤怒の炎を纏い空を斬るように女神の髪を焼却切断!
そして影に潜む悪魔のヤミちゃんもこれでもかというぐらいに女神の髪をずっばずっばと切っていく!
『33333!7/w!!!7/w!!tnをgouew@!!g.u#33333333333@!!!!!!』
抵抗と言わんばかりに女神は邪気の雷を呼び寄せる――だが。
「やらせません!」
先程から歌に専念していたルクルがここで動き、借り受けたマジックアイテムを空高く放り投げる。
マジックスクロールの一種であるそれから雷を吸収する特性を秘めた魔法が発動され、女神の邪気の雷を全て吸収した!
そしてそれにより生まれた隙を逃さずレモンが神楽剣舞を応用した蛇腹剣の連撃で畳み掛け、さらに神楽鈴を用いて呪詛を刻み動きを封じる!
「乙女の命と誇りを奪うなんて、許せません!とびきりのものを撃ち込みます!」
「――失う痛みを味わえ」
さらに連続で畳み掛けていく蛇塚わくわく武闘派ファーム一行。
ルクルのとっておきの呪詛を込めた呪殺弾と、白羅のモルスが放つピンポイントに毛根を死滅させる呪詛を絡めた死の閃光が女神を貫く!
女神の口から上がる最早邪神と言われても否定できぬ程のおぞましい断末魔。斬られた女神の髪の毛は次々に抜けて地に落ちていく。
『b@@6@6@6@6@6@6@!!tnt@!!0q@d@k<t@nt@#3@3@3@3@!!!』
髪の毛が抜ける度に力を奪われ消耗していく髪の女神。
しかしその髪の犠牲を逆にユーベルコードのトリガーとして器用し、何とか麻痺毒だけ振り抜いて突撃をしかけようとする。
だが、そこをレーヴァが【滅紫に染まれ、紅き断罪と蒼き贖罪の双炎】にマジックアイテムを絡め、極大の炎の矢を見舞い動きを完全に封じ込めた!
マジックアイテムにより増幅された断罪の紅い焔が収束したそれを身に受け、神も身体も焼き尽くされていく――だが、まだ女神はあがく。
しかし生命力も呪詛と死の眠りの閃光によって奪われた状態で猟兵たちに届かせる手段はない。
「さあ、後は止めを刺してあげて!」
レーヴァの贖罪の蒼焔が全員を包む。
正直に言うとほとんど傷は負っておらず現状体力の回復のみの結果となる――のだが、敢えて体力を全快させることで最後により強烈な一撃を与えてオーバーキルが可能になるだろう。
つまりはそういうことだ。
髪は女の命なのだから、そりゃあそれを奪った女神様にかける情けは当然ないのである!
「村のみんな……蛇神様とあたいに力を貸してっ! "顕現せよ、最古の人類悪……っ! 汝の名は――”」
――八岐大蛇!!
レモンのユーベルコード【戦闘召喚使役術式・目覚めよ、暴虐を奮いし古の蛇神(バトルサモンコード・ライズ・オブ・ヤマタノオロチ)】により顕現する蛇神オロチヒメの信者たち、そして白き蛇神様が姿を変えた巨大な八首の翼を携えし蛇神。
人数にして475体もの信者たちの魂の具現体である埴輪兵が女神に殺到!燃え盛っている女神を埴輪の身体の特徴を生かして炎を気にも留めず圧倒的な数の暴力で圧殺蹂躙!
最早この時点でもう完全に再起不能であるが、だからって手を抜いては何をするかわからないのがコンキスタドール、引いてはオブリビオン。
蛇神様が姿を変えた八岐大蛇、その8つの首から神罰を刻む呪詛の衝撃が奔る――!!
『3 t@ t … … … …』
砂煙が晴れた後、圧倒的オーバーキルをキメられた髪の女神の姿は。
当然、跡形もなくなっていたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●エピローグ
「……あんたたちには感謝してもし切れない。この恩は決して忘れやしないよ」
戦いが終わり、別れの時。
晴れやかな顔で感謝を告げる女海賊の首領。
その頭はスキンヘッドではなく、まさに夕焼けのような真っ赤で、情熱的な紅い長髪を纏っていた。
髪の女神を討伐したことにより、女海賊たちに無事髪が戻ったのである。
手下の女海賊たちが船の上からわいわいと猟兵たちに感謝を告げている――ありがとう、また会ったら一緒に飲もう、等など。
「もしまたこの海で会うことがあれば、その時はあたしらは絶対にあんたらの力になるよ。何でも言ってくんな。
あたしたちの誇りを取り戻してくれたあんたたちは恩人どころか英雄だ!船をあげてもてなすよ!」
今後このグリードオーシャンへ訪れた時。もし猟兵たちがこの海賊に再会することがあれば、彼女たちは命をかけて手伝ってくれることだろう。
女として、海賊としての誇りを取り戻してくれた気高き英雄の為に。
余談だが、借りたマジックアイテムはお礼ということでそのまま持っていって欲しいと言って聞かなかったので各自持って帰ることになったとか。