羅針盤戦争〜ツキノワ島より進撃せよ
●グリードオーシャン:ツキノワ島
その島は、アックスアンドウィザーズから落着したと思しき自然溢れる地だ。
月輪(ツキノワ)の名の通り、島の全体像はわずかに欠けた満月を思わせる。
つまり真円めいた島の外縁部に、険しい山々が聳え立っている、という外観だ。
船の出入りが可能なのは島の真南のみ……ここが唯一の玄関口である。
そして今は、海賊とコンキスタドールが死闘を繰り広げる防衛線と化していた。
「お頭ァ! 連中、また新手が来やがりましたぜ! まるで蜃気楼みてえだ!」
ツキノワ島南部近海、マウンテン海賊団が武装船「ルート号」。
砲撃で逆巻く海の中にあって、揺るがぬさまはまさしく根(Root)の如し。
巨大な山のような鉄壁の防御力を誇るこの海賊団をして、敵は跳ね除けがたい。
「海の藻屑に消えたってぇドデカい武装商船があるとは聞いてたが……アレがそうか」
戦傷だらけの上半身を惜しみなく晒した老年の巨人が、しわがれた声で言った。
マウンテン海賊団船長、"仁王立ちの"ジェイコブである。
対するはコンキスタドール――それが掲げるのは七大海嘯『王笏』の旗!
すなわち敵は、"王笏"カルロス・グリード直属のコンキスタドールなのだ……!
「さあて、なかなか耐えやがる。難攻不落の海賊団と言われただけはあるな」
一方、コンキスタドール側の大将首がにたりと笑った。
かつて武装商船団を率い、自由と未知を求めて海を旅した男。
その名はテンペスト――しかし今は、カルロス・グリードに従う邪悪な略奪者だ。
オブリビオンと化してなお、冒険者としての気骨だけは失わなかったこの男も、
フォーミュラである"王笏"の力により、より残忍で、無慈悲な鬼と化していた。
「だからこそ殺しがいがある。海賊ってのはどいつもこいつも骨があるからなあ!
野郎ども。砲弾を装填しろ! カトラスを握れ! 次の会戦で皆殺しにするぞ!!」
邪霊と化した乗組員たちは、血に飢えた幽鬼の如き鬨の声を上げた。
このまま奴らの上陸を許せば、ツキノワ島は血の海と化してしまう……!!
●グリモアベース:予知者、クイン・クェンビー
「ねえみんな! あの予兆っていうの、見た!?」
どんなときでも楽天的でおバカな少年は、いつになく興奮と困惑を見せていた。
大きな節目に猟兵が垣間見るという"予兆"を、彼も目にしていたようだ。
羅針盤戦争――グリードオーシャンを舞台とした大きな戦いのはじまりを!
「クインね、実はその時一緒にグリモアの予知も視たんだ。だから力を貸して!」
少年はそう言って、ツキノワ島を襲う危機について語り始める……。
ツキノワ島は、マウンテン海賊団が統治する平和な島――だった。
今やその平和は脆くも崩れ去り、必死の防衛戦もあと一度で瓦解してしまう。
「今から転移すれば、最後の戦いには間に合うはずだよ!
みんなは海賊団のおじいさんと協力して、一緒に敵をやっつけてほしいんだ」
クインによれば、マウンテン海賊団は防御に秀でた戦闘集団であるという。
そしてツキノワ島の特徴的な地形を生かすとなれば、考えられる作戦はひとつ。
「敵をあえて一度引きつけて、島の出入り口を海賊団の船で遮っちゃえばいいんだよ!
ただ、それはマウンテン海賊団の人たちもわかってるみたいなんだけど……。
海賊団だけじゃ、敵を閉じ込めても「直接敵を叩く戦力」が足りないでしょ?」
つまり猟兵たちの仕事は、まさしく敵船団の直接攻撃と相成る。
撃滅に失敗すれば、島は内側から食い尽くされ虐殺の憂き目に合うだろう。
失敗の許されない危険な作戦だ。それだけに、効果も大きい。
「この戦争の大事なポイントは、まず敵の本拠地を見つけないといけないってこと。
こうやって色んな島を敵の手から取り返していけば、探索も進むはずだよ」
いわばこれは、コンキスタドールを撃滅するための「最初の進撃」と同義である。
戦争という大事にあって、さしものクインも緊張した面持ちだったが、
転移の直前に至ると、天真爛漫な笑みを浮かべて猟兵たちを見渡した。
「ちょっとだけ心配だったけど、大丈夫だよね! だってみんなは強いし!
パパ・ササ・チョチョイと敵をやっつけて、ツキノワ島の平和を取り戻しちゃおう!」
猟兵たちを見送る信頼の眼差しは、グリモアの輝きよりも光に満ちていた。
唐揚げ
シーチキンです。グリードオーシャン戦争編、いよいよ開幕!
戦争シナリオ第一弾は、海賊と共闘するシンプルな戦闘です。
プレイングボーナス条件など、以下の事項をよくお読みください。
●プレイングボーナス条件
『海賊達と協力する』
マウンテン海賊団は、猟兵の皆さんが到着すれば足止め役に徹します。
彼らの船を守ったり、援護に合わせて攻撃を仕掛けるなど、色々考えられます。
敵は上陸よりも海賊団の殲滅を優先しますので、内陸部の心配はありません。
●プレイング採用について
本シナリオは戦争シナリオなので、1章のみで完結します。
そしてシナリオの完結本数が戦争の進退に関わるルールになっているので、
全採用よりもシナリオの完結を優先して進めていくつもりです。
普段よりも採用数は減るかもしれません。その点ご了承ください。
同様に締切は設けず書けるときに書いていくので、ご参加はお早めに。
第1章 ボス戦
『武装商船団・テンペスト』
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POW : アブソリュートクラッシュ
【全体重を乗せた大剣の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : ザッパーグロブス
【武装した商船から大量の砲弾】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 遥かなるオデッセイ
自身が戦闘で瀕死になると【かつての航海で息絶えた船員の亡霊集団】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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高砂・オリフィス
今回のステージはメインは海賊さん! よろしくねっ、頼りにしてるよっ、あははっ
とと、テンション上げてる場合じゃないね。ぼくはこそこそ隠密さ。たまには裏方もこなしてこその盛り上げ役。張り切って縁の下の力持ちをやって参りましょーっ
こっそり隠れて散弾銃をぶっ放す! 軌道を海鳥のように変えて自分の位置は気取られないように! 味方が足止めしてくれる分確実に頭を撃ち抜いて数を減らしてくよ!
うーっ、やっぱり表に出たーい! でも我慢我慢ガマン……!
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
へっ、頼もしい野郎共じゃないのさ!
防衛が得意だって話だけれど、
そのタッパとガタイは見かけだけじゃないだろう?
だったら話は決まってらぁ、
アンタらの力も存分に借りるとするよ!
『地形の利用』はマウンテン海賊団の連中の方が慣れてるだろうから、
布陣はお任せしておくよ。
アタシが手助けするのは「連絡手段」。
テレパスのネットワーク……【超感覚網】を張り巡らせば、
お互いが見えなくても声を上げずに連携できるだろ?
他の猟兵とも上手く動けるはずさ。
勿論、アタシだってボーっとしてる訳じゃないよ。
サイキックの『衝撃波』とマシンガンの『援護射撃』で、
カチコミをかけてやらぁ!
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
海賊には敬語
俺が船を守ります、存分に暴れてください
お前達にこの海はふさわしくない、大人しく元の海へ帰れ
大量の砲弾でも空中で撃ち落としてしまえば問題ない
SPDで判定
俺は船を守ることにする
遠距離は俺の目のメガリスで何とかなるから、近距離の敵を彼らに任せたい
まずは眼帯を外して、義眼のメガリスを使用
橙の災い:爆破【爆撃】を【クイックドロウ】【範囲攻撃】【全力魔法】と一緒に使い、【視力】【暗視】で捕捉した砲弾を空中で爆破させる
敵が近くに来た時は黄の災い:感電【マヒ攻撃】を【スナイパー】【全力魔法】と一緒に使い、相手の行動を制限する
必要なら海賊を【かばう】
マレア・ソレッタ
決死の防衛、って感じだね…!
よし、その頑張り、絶対無駄にはしないから!
行くよー!
サーフボードに乗っての【サーフィン】で、蛇行しながら敵船へ接近。少しでもこっちに狙いを向けさせて海賊団の人達への砲撃を減らせられればと。
敵船のそばまで行ったら飛行開始、一気にボスの処を目指すよ!
敵の大剣は当たったら痛いどころじゃ済まないから、頑張って回避。
追い詰めたと見て決めに来た時が一番の攻撃チャンス、【捨て身の一撃】で銛を叩き込んで海神殺しを発動!
棘の【継続ダメージ】も合わせて弱らせられればと!
この自由な海を、キミ達に渡しはしないんだからっ!
●会敵
「――来たぞ!!」
はたしてそう叫んだのは、猟兵か、あるいは海賊団の誰かか。
厳しい武装商船……ともはや言い切れぬ凶悪な衝角が、ぬうっと海から現れた。
テンペストの船が目指すのはただ一点、すなわちルート号である!
「よし。案の定こっちに食らいつきやがったな……まずはよし、だ」
全身に傷を帯びた"仁王立ちの"ジェイコブは、にこりともせずに言った。
「砲弾を避けながら南側を封鎖する! あとのことは……あいつらに任せるぞ!」
「「「合点承知
!!」」」
船員たちはきびきびと動き回る……そこへ降り注ぐ砲弾!
ザパーン! と、至近距離に着弾した水柱が噴き出し、甲板を濡らした。
「頼むぜ、猟兵とやら……コンキスタドールに喧嘩を売る馬鹿者どもよ……!」
ジェイコブは腕を組んだまま動かない。船長の仕事は船を守ることだ。
そしてテンペストを沈めるのは、大渦の向こうからやってきた荒くれ者たち!
砲弾で馬鹿みたいに揺れる海原を、颯爽と駆け抜けるサーフボードがひとつ。
マレア・ソレッタは潮風に青い髪をなびかせて、ハツラツと笑っていた。
「うっひゃあ、始まってる~! 決死の防衛戦、絶対無駄にはしないからっ!」
テンペスト側はマレアの接近を察知し、無数の砲撃を浴びせていた。
しかし熟練のオーシャンハンターにかかれば、この程度の弾幕はないも同然。
まるでテンペストを挑発するように、マレアは華麗に波を切り裂く!
「そうそう、相手はボクだよ! 海賊船は狙わせないっ!」
マレアは敵船に接近しつつ、前に出ることで囮を買って出たのだ。
敵の狙いはあくまでルート号……この島を支配することが連中の目的である。
それを逆手に取り、敵の攻撃をかき乱す見事な働きぶりであった!
「ハッ、なかなか肝の据わった奴が居るらしいな……」
同じ頃、武装商船テンペストの甲板上。
自らの団と同じ名を持つ団長は、少しずつ近づくマレアの影を認め、笑った。
「燃えてきたぜ。その首、この俺が手ずから叩き切ってやらァ!!」
そして羽織ったコートをはためかせ、テンペストが甲板を蹴った。
「野郎ども! お前らは船を叩け。俺はちとガキと遊んでくるぜ!」
「「「アイアイサァ
!!」」」
テンペストは凶悪な笑みを浮かべ、海面からマレアに襲いかかる!
「ウソっ、向こうから来たの!? ――上等!!」
「いい顔してるじゃねえか、殺しがいがあるぜェ!!」
テンペストは身の丈を超える大剣を軽々と振るい、横薙ぎの斬撃を放つ。
首を刈る一撃を、マレアはあえて海面に落下することで危うく回避した。
そして着水した瞬間、その反動を利用して再浮上――敵の頭上を取る!
(あの攻撃、当たったら痛いどころじゃすまない……!)
テンペストは海面を蹴りながら振り返り、ぎらりとマレアを睨みつけた。
オブリビオンとなったことで、船がなくとも自在に飛び回れるということか。
その剣筋、まさしく暴風(テンペスト)の如し。マレアは必死で海上を飛ぶ。
追いすがるテンペストと何度も交錯するさまは、まるで天を舞う猛禽の如し!
(――そこで一度沈み込むんだ! あとはこっちに任せな!)
その時である。
マレアの脳内に、突如として女の声が響いてきた。
それは幻聴や敵の攻撃ではない――むしろ逆だ、猟兵の精神波である。
(この声は……!? ううん、わかった!)
マレアは即座に意図を理解し、声の示す通りに鋭角的に着水した。
今度はテンペストがマレアの頭上を取り、ぐるぐると回転斬撃を放つ――が!
「今だ! その隙、もらったよ!」
「!!」
BRATATATATATA!! 声とともに飛来するマシンガンの弾丸!
さらに逆方向からは、何者かが打ち出したオーラの散弾が敵を襲う!
「チッ!」
テンペストは攻撃に全力を注いでいたゆえ、この弾丸を回避することが出来ない。
無理矢理に回転の方向を変えることで、弾丸を弾くのが精一杯だった。
弾かれた弾丸が海面を泡立たせる。当然、マレアは無事!
(ありがとう、助かったよ!)
(なあに、お互い様さ。それにしても一筋縄じゃいかないね……!)
精神波の主――数宮・多喜は、相棒・宇宙カブを駆りながら歯噛みした。
今の奇襲は、彼女だけではない……もうひとりの協力者も含めたものである。
(さすがに一回で仕留められるほど、甘くはないってことだね……)
高砂・オリフィスの声が、ふたりの脳内に響き渡る。
オリフィスが荒れ狂う海原を逆に利用し、敵から身を隠して戦っているのだ。
「もうひとりいやがるな、どこだ……?」
「っと、アンタの相手はアタシたちだろう!?」
「そうだよ、ボクらから目をそらさないでよね!」
「チィッ!」
マレアと多喜は波状攻撃を仕掛け、オリフィスを探そうとする敵を妨害する。
つまりテンペストは、ふたりの攻撃を捌きつつ、背後や側面から不規則な軌道で襲いかかるオーラ散弾にも対処しなければならないのだ。
(うーっ、やっぱり表に出たい! でも、たまには裏方もこなさないとね!)
(そういうことだね、その分アタシたちがあいつの目を惹きつけるよ)
(よろしくっ! ぼくだって、海鳥みたいにやれるんだから!)
オリフィスの意気込みは強く、オーラ散弾の軌道にその決意が現れていた。
発射地点の読めない歪曲した軌道は、戦闘中に防御するには相当に厄介だ!
「面白いじゃねえか、猟兵ども! "王笏"サマが警戒を促してただけはある!」
「"サマ"ねぇ? アンタは自由を愛する海賊だったって聞いてるんだが?」
「ハ――そんなモンは昔の話だ。今の俺は、"王笏"が配下、海賊殺しのテンペスト様よ!!」
回転から繰り出された剣閃が海を切り裂き、水しぶきが巻き上がった。
テンペストは水の壁を目くらましに飛び出し、多喜めがけ剣を振るう!
「させないよ! この自由な海を、キミたちには渡さないっ!!」
「ぐ
……!!」
マレアのインタラプト! 横合いから繰り出された銛が、テンペストの身体に食い込み、無数の針となって抜けなくさせる。
テンペストはにたりと笑い、自ら肉を引き裂くことで強引に脱出した!
「ボクの銛から抜けた!? そこまでの忠誠心だっていうの
……!?」
マレアは、これほどの腕前を持つ自由な海賊を隷属させるカルロス・グリードの強さに驚愕し……同時に、怒りもした。
海に生きる戦士は自由なものだ。きっと生前のテンペストもそうだったのだろう。
それを強制的に従えるフォーミュラは、オーシャンハンターとして許せない!
(いずれ"王笏"を斃すためにも、ここでこいつを倒さなきゃ!)
(ルート号のことも気がかりだけど、ここは離れられないねぇ!)
オリフィスと多喜はタイミングを合わせ、再び同時に弾丸を叩き込んだ。
銛から強引に抜け出したテンペストは、今度は弾丸を防ぎきれずに被弾する。
「やるじゃねえか、猟兵……だが海賊どもは皆殺しになってるかもなァ!」
テンペストは血を吐きながら笑う。その時、ルート号は……!?
――KA-BOOOM!!
「なんだ!? 撃ち出した砲弾が空中で爆発しやがったぞ!」
「間違いねえ……ありゃメガリスの力だ! 厄介な敵がいるぞ!」
空を染め上げる爆炎を見上げ、テンペスト号の戦士たちは歯噛みした。
そして奴らの推測通り、空中で砲弾を撃ち落としたのはメガリスによるもの。
猟兵、ルイス・グリッドが左目にはめ込んだ、"イリダセント・ウィッシュ"の力である!
「弾幕は俺が請け負います、皆さんは乗り込んできた敵を!」
「「「おお
!!」」」
ルート号の海賊たちはカトラスを振るい、飛び乗ってきたテンペスト号の戦士たちをばったばったと切り伏せる。
ルイスは次々に飛来する砲弾をメガリスの力で爆散させながら、
四方から襲いかかる戦士を卓越した体捌きで躱し、小手の一撃を叩き込む!
「こ、こいつ……! 海賊どもよりよほど強ぇぞ!?」
「お前たちにこの海はふさわしくない。だから俺はここへ来た。
おとなしく元の海に還るならよし、さもなくば痛い目を見てもらうぞ」
黄色に染まったルイスの義眼に睨まれ、敵は得も言われぬ畏怖に震え上がった。
「ナ、ナメやがって! テンペストの戦士を甘く見るなよォ!!」
「コンキスタドールに成り果てて、誇りも捨てたくせによく言うな!」
義眼のメガリスが光り輝き、バチバチと黄金の稲妻が敵を貫いた。
痺れて動けなくなった戦士を、ルイスの一撃がくの字に吹き飛ばす!
「がはぁっ!!」
「お前たちなど、俺が相手するまでもない。同じ海賊の刃で散るのが似合いだ」
ルイスの言葉通り、弾幕が防がれたことで勢いを取り戻した海賊たちは、
一気呵成の勢いで反撃を仕掛ける。甲板上に飛び込んできた敵は一網打尽だ!
オリフィスらがテンペストを足止めしていなければ、こうはいかなかっただろう。
「コンキスタドールどもの好きにさせてたまるか……!」
ルイスの声には、"王笏"への強い敵意と決意がにじみ出ていた。
大成功
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鈴木・志乃
皆さんよろしくお願いしますね。
さて……引き付けて一網打尽に出来るなら、私のUCも使えるかな。
大丈夫、大丈夫です。味方に被害はありませんので。
ところでここにメシマズ耐性のある人、何人います?
はい、敵を閉じ込めたらUC発動します。
毒のある料理をたらふく食わせて精神的に病んで下さい。新手の精神攻撃です。
味方(島民)は高速詠唱のオーラ防御で守っておきます。
手持ちのスーパーカーは念動力で操作して、敵の事を轢き殺します。さようなら。君たちの雄姿は忘れない。
荒谷・ひかる
湾内に引き付けた後、出入り口を封鎖して殲滅……ですか。
それなら、いい作戦があります。
ただ少し、下準備が必要ですので……協力していただけますか?
まずは油入りの樽を出来るだけ多く用意
敵を湾内に引き付けて封鎖した後、この樽を敵船団へと流して火矢をかければ、樽が壊れて海上に広がる油に火がついて、お手軽火計の完成です
風向きや潮の流れによっては味方が危険かもですが、そこはわたしと精霊さんが【幻想精霊舞】で燃え広がり方を制御しますので出すぎなければ大丈夫!
(具体的には風と炎の力で炎の竜巻を敵船団中央部で起こし、強力な上層気流で以て吸い込んでいく)
陸に逃げられないよう、浅瀬に障害物も配置できればベターですね
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】WIZ
マウンテン海賊団ってすっごいワルそうな名前だね、気に入ったよ!
一緒に美味しく頑張っちゃおう☆
マウンテン海賊団の船の近くでUC【潤沢なる肉肉しい満漢全席】でおもむろに「宴会」を始めちゃう!
沢山の「料理」をマウンテン海賊団の皆さんと、ついでに敵にも食べさせてしまおうね♪
味方の海賊団は美味しい料理で治療を、敵は食べすぎて動けなくなって潰れちゃう!
それだけ美味しい料理なんだよ!
さぁさぁ、猟兵の皆もどんどん召し上がれ☆☆
ディルクニア・エリスランサス
海賊との協力での包囲殲滅ねぇ
ま、このだだっ広い海でバラけてる連中を相手にするよりはマシか
つっても連携は得意じゃねぇ。こっちはこっちでラム酒狙い……
もとい、好きに引っ掻き回すからよ。上手いことやれや
*
方針:
ボス本人よりも、彼を支える戦略基盤である「船団」を削る方向性で
島の出入り口近くの海賊船を直接襲撃
航行不能な程度に破壊し、出入り口を塞ぐ「障害物」の一つとして利用する
島の外縁部、適当な高い場所からポールメイスを使った棒高跳びで敵船に突撃
可能ならば海賊団の攻撃を受けた隙に乗じる
落下の衝撃と勢いを利用して敵船の甲板を殴打してブチ抜き、船内へ
そのまま酒を探しつつ、船内で派手に破壊活動&海賊の掃討に移行
●宴会、ときどきメシマズ地獄
「……おい、向こうから樽が流れてきたぞ」
テンペスト号の甲板に立つ戦士が、ルート号から漂着した物体を訝しんだ。
それは、樽だ……しかもひとつではない。数は十をゆうに超えるだろう。
「気をつけろ、油か何かを仕込んでいるに違いねえ。面舵一杯だ!」
「いや……待て! ありゃあ中身は油じゃねえぞ!?」
「飯だ! 美味そうな飯がたらふく詰まってやがる!!」
望遠鏡を手にした戦士が叫ぶと、甲板の空気がざわりと一変した。
彼らは全員オブリビオンに成り果てた死者……だが、あくまでも海賊である。
腹が減っては戦は出来ぬ。しかも戦闘は持久戦の様相を呈していた。
樽からチラ見している飯はどれも美味そうで、それがなおさら目を惹いた。
「連中め、火の手が回って慌てて食料を放流しやがったか?」
「おいおい、酒まであるぜ! ヘヘヘ、こりゃ最高だぁ!」
「お前ら待て、船長の許可もなしに何を……」
よだれを垂らした戦士たちが鉤縄を投げて、漂着した樽を回収していく。
比較的まともな船員がその迂闊な行いを咎めようとした……その時!
「今です!」
「「「!?」」」
遠くから凛とした少女の声がしたと思うと、ルート号から放たれたのは……矢!
しかもただの矢ではない、鏃が燃えている……火矢だ!
「くそっ、やっぱり罠だったか!」
「けどよ、油が入ってるわけでもねえのに燃えるわけがうおおおおおっ!?」
「「「燃えてるじゃねーかー
!?」」」
なんたることか! 火矢が樽に突き刺さると、なぜか樽はものすごい勢いで燃える!
あっという間に火の手は甲板に広がっていく……おまけに、それだけではない。
「な、なんだこの飯ぃ!? 止まらねえ! 食う手が止まらねえよお!」
「おい、こんな時に何やってやがんだ!?」
思わず樽に手を突っ込んだ戦士は、その場でむしゃむしゃと肉を食い始めた。
明らかに異常である。だが、身体が言うことを聞いていないのだ!
そして別の方では!
「アババババーッ!!」
「こ、こっちは顔が紫色になって泡吹いてやがる
……!!」
「なんだよこれ、一体何が入ってたんだよぉ……!」
料理……であるはずの何かを食べた船員が、猛毒を浴びたように痙攣している。
一瞬にして、テンペスト号の甲板は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した……!
「いやあ、まさか私の失敗料理に可燃性まであるとは思いませんでした~」
と、ルート号の甲板でなぜか照れくさそうに頭をかく鈴木・志乃。
どうやら樽が燃えたのは、彼女がユーベルコードで作り出した想像を絶するメシマズ料理のせいらしい……。
「提案された時は本気で言ってるのかと思いましたけど、す、すごいですね」
そして火矢による火計を企てたのは、荒谷・ひかるであった。
最初は樽に油を詰めて、それで海面を燃やすというシンプルなプランだったのだ。
しかしそこで志乃が「私の料理ならどうでしょう?」とかとんでもないことを言い出し、ほんとにいいのかそれと思いつつやってみた結果がこれである。
しかも見た感じ、油より火の回りがいい。あれは本当に料理なのか……?
「さあさあ、こっちは美味しい料理で宴会だよ☆みんなた~んと召し上がれ~♪」
そして食欲をそそるまともなほうの料理は、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェのユーベルコード"潤沢なる肉肉しい満漢全席(ラ・カルナヴァル・デ・ラ・ヴィアンド)"で作り出されたものだった。
恐ろしいことにラヴィラヴァの料理は、味方には力を与え敵は食べ過ぎることで動けなくするという一石二鳥の効果を持っている。
甲板が燃えているというのに、あちらの船員が右往左往しているのはそのせいだ。
メシマズ料理と絶品料理の、あまりにも嬉しくないコラボレーション……!
「ま、まあ効果があったのはいいんですが、でも食べ物を燃やすのは……」
「大丈夫大丈夫♪おいらの料理がそばにあるなら、きっと我慢できずに食べちゃうよ☆」
「燃えてるご飯をですか!? それはそれでまずくないですか!?」
ラヴィラヴァのノリにドン引きするひかる。
「メシマズだけに、です?」
「いや、ダジャレを言ったわけでは……」
「そうでしたかー」
なぜか残念そうな志乃である。この女、いまいち琴線がわかりにくい。
ちなみにこんな話をしている間にも、テンペスト号はごうごう燃えていた。
遠くから船員たちの「うめえ~! とまらねえ~!」とか、「まずい!! まずいのに止まらねえ~!!」とか、「あちい! あちいのに止まらねえ~!!」という、身体を宇宙人か何かに乗っ取られてしまった犠牲者めいた悲鳴が聞こえる。
料理ってなんだ、料理を知りたい。ひかるは考えるのをやめにした。
「いやーこれがメシウマってやつか!? 最高だなオイ!」
「絶対に違うと思いますし、そういうのはやめたほうがいいと思いますっ」
ゲラゲラと宴会モードに入っている海賊にさえツッコミが必要な始末だ。
ともあれひかるは気を取り直すと、おもむろに精霊に呼びかけた。
「精霊さんっ、力を貸してください! 風と炎の力で竜巻を起こすんです!」
ひかるの呼びかけに応じ、風と炎の精霊が猛烈な突風を敵船めがけ起こす。
すると甲板上の炎はあっという間に竜巻と化し、さらに被害を悪化させた!
「「「おお~! 派手だねえ~
!!」」」
「見世物じゃないですよっ!?」
「料理は火力が大事だもんね☆」
「調理もしてませんからね!?」
何もかもを間違えているラヴィラヴァであった。
「このまま放っておけば、敵の船は燃えて精神的にも大ダメージ。完璧ですね」
「…………いや、まだだ」
そこで志乃の言葉に割り込んだのは、目の据わった女である。
「アタシはあそこに行かなきゃならねえ……行かなきゃならねえんだ」
ディルクニア・エリスランサスは、ぶつぶつとうわ言めいてつぶやく。
「行かなきゃ……って、あんな炎の中にですか? どうして!」
「……肝心の船長が見当たらねえ。あの騒ぎに慌てて船に戻ったはずだ。
なら、そこをブッ叩く。それともう一つ、行かなきゃいけねえ理由がある……」
「そ、それは……?」
並々ならぬ迫力を感じ、ひかるはおずおずと問うた。
ディルクニアはやおらラム酒を呷り、空になったそれを甲板に放り捨てた。
「酒が足りねえ」
「は???」
「酒が、足りねえ。……あの樽には酒も詰め込んで流したんだろ? なら行く」
「え、ちょっと待」
「酒が!! 足りねえ
!!!!」
もはや聞く耳持たずであった。ディルクニアは甲板を蹴って跳んでいく!
ディルクニアはとてつもないアルコール依存症とでもいうべき体質なのだ!
「おいらの料理じゃ満足できなかったのかな~?」
「いや、あれはそういうことではないかと……大丈夫なんでしょうか、色んな意味で」
もはや止める間もなく言ってしまったので、ひかるは呆然と呟くほかなかった。
そして、燃え盛るテンペスト号甲板上。
「おい、何が一体どうなってやがる!? わかるように説明しろ!」
「お、お頭ぁ! いきなり料理が流れてきて、燃えて、しかも食うのが止まらねえんだよぉ~!!」
「わかるように説明しろっつってんだろ!?」
船と同じ名を持つ船長・テンペストは、部下の喚きに頭を抱えた。
兎にも角にも、まずはこの火事をどうにかしなければ船が沈んでしまう。
ユーベルコードの力で修復出来るとは言え、このままではメンツが丸潰れだ!
「クソッ、とにかくてめえら、全員さっさと火を――」
「酒をよこせオラァア!!」
「今度はなんだよッ!?」
KRAAAAAAAAAAAAAASH!! ポールメイスを棒高跳びめいて利用し、ディルクニア着地!
その背後では、肉体言語で破壊された随伴船がVの字に折れて沈んでいた!
「酒が足りないんだよ……お前らの船にもあんだろ? よこせ」
「海賊が、よこせと言われてくれてやるわけねえだろうがッ!」
テンペストの大剣がディルクニアを襲う。ポールメイスで剣を受け止める!
両者はそのまま、燃え盛る甲板上で風のように駆けながら丁々発止に争うのだ!
周りには飯が止まらねえと悲鳴を上げる船員たち。阿鼻叫喚である。
「こいつはてめえの仕業か!? わけのわからねえことしやがって!」
「違う。アタシはただ酒を探しに来ただけだ。ついでにお前らをボコる」
「わけがわかんねえこと言ってるのは同じじゃねえか……!」
ディルクニアは甲板を破壊し、戦場の舞台を船内に移した。
戦いながら酒を探すという放蕩ぶりである。自分勝手ここに極まれり!
「お前の相手をしに来たわけじゃねえんだ、あばよ」
「なんだと!?」
しかもテンペストを弾くと、一目散に酒蔵に突っ込んでいく始末!
「なんなんだ、滅茶苦茶だぞこいつら
……!!」
あまりのことに、テンペストでさえも途方に暮れる地獄絵図であった。
大成功
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朱酉・逢真
心情)こりゃまたあっちもこっちも豪気なこった。海のあらくれどもだねェ。ひひ、海にさす日差しは苦手だが。海賊はいい。社会のハズレ者。欲まみれの鼻つまみ者たち。海も奴らァも、《俺》の領分さ。《過去》にとられちまうは癪ってなモンだ。
行動)海の中にいるよ。海賊らァが足止めしてくれて、敵さん海を背にしてる。堂堂と真っ向から不意打ちさ。さあ《魚》ども・《獣》ども、手伝っとくれ。眷属どもと合わせ《水》あやつって、後ろから大津波食らわせてやろう。ああ、味方の海賊らにゃ結界張っとくさ。それでもちィと揺れるだろうが、そンくらいどうにかできるだろ。立派な頭領がいるみてェだしな、ひ・ひ。
●山と根
海賊。無法のならず者、神さえも恐れぬ自由の輩たち。
この世界において、海賊とはそういう連中のことを云う。
『――ひひ。海のあらくれども、社会のハズレ者。いいねえ、豪気なこった」
嵐気逆巻く海原の下、無限めいてたゆたう水の中に朱酉・逢真は居た。
海中にありながらその身体は水滴ひとつついていない――奇妙な光景だ。
「海にさす日差しは苦手だが、海賊(れんちゅう)はいい。欲深な鼻つまみ者。
特に海を恐れてないってのがいいねぇ、ひひ――いとおしくなっちまう」
頭上――あるいは海上――では、二つの船が骨肉相食む戦いを繰り広げていた。
轟音が波となって水中に伝わる。逢真にとっては心地よい、いのちの脈動。
噫。船がなければ海に出ることも出来ない、いじましいいのちたちよ。
無限の孤独の中で結束を深め、未知と欲望のために命を賭ける馬鹿者ども。
それでこそいのちだ。
それでこそヒトである。
愚かで向こう見ずで無謀で――だからこそ、いとおしさが溢れてくる。
『《過去》にとられちまうのは、癪だなァ……』
逢真はつい、と指を上に向けて差し出した。
それは、沈みゆく哀れな犠牲者が、空気を求めるようにも見えた。
ただしもたらされた結果は、そんな生易しいものではなかったが。
「……おい、海の様子がおかしいぞ」
ルート号でも、テンペストの船でも。
どちらの甲板でも、目ざとい海賊が"それ"に気付いた。
「あ? こんな時に何言ってやがる」
「いいから見てみろ――おい! 海原が異様に荒れてやがる!!」
グリードオーシャンにおいて、異常天候のたぐいは珍しいことではない。
しかし『無いもない場所から突然大津波が起きる』なんてのは滅茶苦茶な話だ。
おお、見よ……テンペスト号を飲み込むほどの大津波が、『内陸から迫る』!!
「なんだと!?」
船長・テンペストは"島の方から迫りくる津波"を見て、目を剥いた。
こんなことはありえない。非常識的なグリードオーシャンでさえ。
いや、そんなことよりも。このままでは船が――!
「お、面舵一杯! 面舵一杯だ!」
「だめだ、お頭ァ! 避けきれねえ!!」
悲鳴、怒号、恐怖……それらは何もかも、大津波が飲み込んでしまった。
『……ひ、ひ、ひひひ!』
無数の魚と獣とに囲まれて、暗い暗い水底で死が笑う。
津波が海面を揺らし、上はさぞかし阿鼻叫喚なことだろう。
根の名を戴く船はと言えば、なるほど名の通り、しっかと転覆を防いでいた。
『いいねえ……どうだい坊やたち、海はこわいだろう。ひ、ひ――』
海賊。無法のならず者、神さえも恐れぬ自由の輩たち。
恐れを知らぬ豪傑たちも、ただ一つだけ畏れるものがある。
……それは彼らが生きる海そのもの。
なにせ海は、もっぱら彼ら"いのち"を気まぐれに弄ぶのだから。
大成功
🔵🔵🔵
シーミャ・ルザリーニ
敵、カルロス・グリード直属コンキスタドール。
優先破壊目標……殲滅します。
味方海賊団、防衛戦が得意という情報あり。
足止めに合わせて自動小銃による【掩護射撃】
ルート号の防御力を越える攻撃が届いた【瞬間思考力】で判断したときは、こちらで対処。
ディアボロの腕部を限定召喚して、攻撃を無力化。
そのまま射撃と腕部による同時攻撃を敢行。
……一匹も逃しません。
ぜんぶ、平らげます。
●悪魔の子
大津波が武装商船を飲み込み、これで危機は去ったと思われた。
安堵する海賊たち……だが、シーミャ・ルザリーニだけは違った。
「敵、コンキスタドールの生存を確認。迎撃に移ります」
「おいお嬢ちゃん、そいつはさすがに――」
のんきな海賊がシーミャの言葉に笑おうとした、その時!
ざばあ!! と逆巻く海原が二つに割れ、ボロボロの船の衝角が飛び出した!
「う、ウソだろ!? あれじゃまるで幽霊船じゃねえか!」
怯える海賊たちを追い詰めるように、ボロボロの船から大砲がせり出す。
そして……KA-DOOOOM!! 無数の砲弾が弓なりに放物線を描いて、飛来!
「くそっ、コンキスタドールどもめ! 回避しろ!」
ドウ、ドウドウ……砲弾が着弾し、いくつもの水柱が海面を騒がせた。
シーミャは雨のような水しぶきを顔に浴びつつ、無表情で敵船を睨んでいる。
「追撃、来ます」
「マジかよ……!」
BOOOOOOM!! 数秒の間を置いての次弾幕。明らかに人間業ではない。
七大海嘯直属のコンキスタドールは、船までもが化け物だというのか!?
さしものルート号とて、この密度の弾幕を凌ぐことは出来ない……!
「――迎撃、開始」
BRATATATATATATAT!! シーミャの自動小銃が、湿気った大気を切り裂いた。
すると、KRA-TOOOM!! と、空中で砲弾が爆砕し、空をあかあかと染める。
「おいおい、そんな鉄砲だけであの数の砲弾を撃ち落としたのかよ!?」
「まるで勝利の女神だな、よし……踏ん張るぞ!」
シーミャの存在に士気を取り戻したマウンテン海賊団は、鬨の声をあげた。
ボロボロの武装商船は猛烈な速度で近づいてくるが、海賊団は一歩も引かない。
弾幕は過密化する。シーミャの頭上、異空間の門から突き出す巨大な腕!
「ディアボロ、腕部召喚。殲滅します」
BRATATATATATAT!! シーミャは自動小銃で的確に砲弾を撃ち落とす。
一方召喚された腕部は、フュージングウィップを展開し船を直接攻撃。
灼熱化した鞭は海水さえも蒸発させ、大海蛇めいて波打った!
「あのガキが犯人か――しゃらくせえ!!」
「!」
敵甲板上を蹴立て、船長テンペストが飛翔する。シーミャは照準を敵に固定。
大剣が自動小銃の弾丸を切り払う。シーミャは……ディアボロの腕を駆け上がった!
「ハ! 来るかよガキィ!」
「一匹も逃しません。ぜんぶ、平らげます」
「そっちのほうが狩る側だってか? おもしれえ!!」
フューミングウィップと大剣が撃ち合い、毬めいて弾かれたテンペストに弾丸が追従する。海賊には手出しの出来ぬ領域の戦いだ。
シーミャはただ冷静に、冷徹に、悪魔の如く無表情に敵を叩く。
海賊たちは、それを勝利の女神だと称え、士気を高揚させた。
悪魔の子が幸運の象徴だとは、なんとも皮肉な話である――。
大成功
🔵🔵🔵
ロク・ザイオン
キミたちも、いつかリュウグウの客になるかも知れないな。
おれは「お客様」と「船」を守る。
船番だ。
……助太刀に来た。
……あ。
おれ、(宇宙では)船使いが荒いって、よく言われる。
……がんばって。
(【ダッシュ、ジャンプ、武器受け】で敵を焦らしながら翻弄し
敵の渾身の大振りを誘う
【野生の勘】で導いたそこは、敵船の要、竜骨の真上だ)
――いまだ!!
(【大声】の号令で【鼓舞】
砲撃でも体当たりでもいい、海賊団に敵船を傾がせて貰う
体勢を崩させ、敵の大剣が『奴らの船の』より致命的な箇所を穿つように)
もらった。
(沈む船を【地形利用】
隙を逃さず「燹咬」一斬
至近距離から斬り倒す)
●森番にして船番
大津波の中から生還した――いや、蘇った武装商船は、ボロボロだが健在だった。
どうやらこの船自体が、テンペストのユーベルコードの一部であるらしい。
そして今武装商船の甲板上で、テンペストとロク・ザイオンが切り結ぶ。
「女にしちゃあなかなかやるな! ウチの船員に誘いたいところだぜ!」
「悪いが、おれはもうリュウグウの船番だ」
「先約があるってか? 俺の船のほうが退屈しねえぞ?」
がぎん!! と、大剣と剣鉈がぶつかり合い、ふたりは大きく弾かれる。
「……それは、ありえない」
ロクは逆手に剣鉈を構えたまま、はっきりと言い切った。
「お前は、残骸だ。お前も、この船も、ほんとうはもう沈んでるはずだ。
そんな船と、おれの仕事場を比べるな。リュウグウは、こんなもんじゃない」
「ずいぶん気に入ってるみたいじゃねえか。ならあいつらはどうだ?」
テンペストは大剣を肩に担ぎ、砲撃を続けるルート号をアゴでしゃくった。
「お前にとっちゃ縁もゆかりもないただの海賊風情じゃねえのかい?」
「違う」
ロクの答えはあくまでも端的である。
「彼らは、リュウグウの客になるかもしれない。だから、"お客様"だ。
……そしておれは、"船"を守る。お前と一緒にするな、溺れそこない」
「――云うじゃねえか」
みしり、と殺意が濃度を増し、物理的な圧迫を伴って戦場を覆った。
ロクは一歩も引かない――そして両者は、同時に甲板を蹴る!
質量に勝る大剣を、ロクは見た目にそぐわぬ怪力と猫めいたしなやかな体捌きでいなし、弾き、そのたびに斬撃が武装商船の甲板をチーズめいて削り取った。
周りを取り囲む海賊たちが時折インタラプトを仕掛けるが、ロクの敵ではない。
マスケット銃の弾丸を弾き、それを逆にテンペストにぶつけてやる。
テンペストは首を傾げるようにして弾丸を避け、嵐のような斬撃を叩き込んだ。
余波で迂闊な海賊の首が飛ぶ。だが、テンペストは部下の死を気にもとめない。
「船にいるのは、みんなが家族で、仲間のはずだ。お前は家族を殺すのか」
「ハ! くだらねえ――こいつらは全員、俺も含めて所詮は死人、ただの残骸さ。
俺が力を使えば自然と蘇る。殺すだの死なすだの、そもそもがお門違いよ!」
「――やっぱり、お前とおれは相容れない」
「だろうなァ!!」
テンペストが仕掛ける! 全体重を乗せた、回転縦斬撃!
「――いまだ!!」
敵は部下さえも使い潰す。だがロクは船番であるがゆえにその逆を行く。
鑢がかった声を号令として、弾幕が着弾……武装商船が大きく傾いた!
「何……!」
斬撃は自然、近づいてきたもの……つまり、甲板に突き刺さる。
海をも断ち割る一撃が竜骨にまで浸透し、武装商船に亀裂が走った!
「てめえ……!」
「――もらった」
ロクは一瞬にして間合いを詰めていた。逆袈裟の一撃が胸板を切り裂く!
裂けた傷口は一瞬にして剣鉈の熱で蒸発し、鉄臭い匂いを甲板にばらまいた。
「おれは、船番だ」
新たなアイデンティティを得たロクの意思は、嵐などには揺るがない。
奇しくもそれは、根の名を持つ船と同じように、がっしりと彼女を支えていた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィリヤ・カヤラ
海賊と協力して敵を殴れば良いんだよね!
説得とか考えるのは苦手だけど、
こういうのは少し得意だよ。
足元に月輪の影を広げておくね。
海賊の船に注意しつつ危なそうなら
『高速詠唱』の【四精儀】で氷の雷を降らせよう。
雷ならある程度ピンポイントで狙えるから、
閉じ込めてる海賊の船に流れ弾で
当たる可能性は多分低いと思うし。
大丈夫そうなら海賊の援護にUCを混ぜていくね。
動く時は『第六感』を使いつつ、
常に周りの状況に気を付けていくね。
敵からの攻撃は受けられそうなら剣を使うか、
月輪の影に敵ごと飲み込ませて棘で串刺しかな。
血が出たら月輪のご飯にもなるしね。
アドリブ歓迎
マリン・フィニス
マウンテン海賊団……だな?助太刀に来た。
これ以上、メガリスに狂わされた者達にこの海で好き勝手させるわけにいかない
他により前衛に向いている味方がいれば、敵の船へと局所の《天候操作》を仕掛けて無力化を図りたいところだが……
そうでなければ前衛を担当する。
敵を追い詰めるまではこちらも剣を使い、《武器受け》中心で打ち合い囮役をする。海賊たちには銃での援護を頼む。
時折《氷結属性》バブルをめくらまし、或いは盾として使う
敵が弱り勝負を決めるべき時が来れば、【シャーク・エヴォリューション】、《聖属性》を付与した鮫軍団を敵の亡霊にぶつけて抑え、敵本体を……討つ
お前の歪んだ航海も、ここで終わりだ
※アドリブ歓迎です
祇条・結月
船が我が家、海こそが生業の場
そんなイメージがあるけど……航海者だって守りたい場所があって、居たい場所があるんだよね
その島を、戦場にするの覚悟。それをむげにはできない
行くよ。できることを、する
僕は、ただの学生
飛べるわけじゃないし、海で船と戦えるような大火力もない。
だから、他の猟兵のみんなの戦略の要で、それからあなたたちの「家」である船団を守るよ
【ダッシュ】と【ロープワーク】を駆使して船と船を移動しながら
敵の砲弾を【見切り】拳や蹴りを叩きつけて分解していく
質量がきつい
でもそれは顔に見せないで(【激痛耐性】【継戦能力】)
敵の砲撃が通らないなら、撃ち合いは断然有利でしょ?
反撃で敵を拘束し続けてもらう
宇佐見・晴礼
※一切の言葉を発さず、乗機を舞台上で演技をする、観客を翻弄する道化師のような挙動に操ります
※どなたかと共闘することがあっても素性は明かしません
ゆらゆらと、時に鋭く、先の読めない動きを心掛け、回避を基本に付かず離れずの陽動と挑発に徹します
その他攻防の全ては搭載兵器に任せます
全てのシガーボックスは協力する海賊たちや彼らの船を守るために動かし、ボールは彼らを攻撃する、或いは彼らが攻撃する先を狙い、リングは海中に忍ばせておき、頃合いを見て――敵の意表を突き動揺を誘えるだろうタイミングで、敵船を底から斬り裂かせます
敵がUCを使用した場合は自身もUCを使用、亡霊諸共一斉に攻撃します
●海上の死闘
竜骨にダメージを受けた武装商船は、めきめきとくの字にへし折れつつあった。
だがあちら側の船員は、船を離れるどころか動揺する素振りすらない。
「奴らめ、"船を沈めた程度で俺らをどうにか出来る"つもりかよ!」
「くだらねえ! くだらねえぜ猟兵! 海賊ども!!」
「船ごと沈むなんざ、こっちは飽きるぐらいに繰り返してるのになあ!?」
オブリビオンとは過去の残骸、すなわち死者ですらないモノたち。
連中に、死という概念はなく、ゆえに恐怖もないのだ……!
「そうだ野郎ども! 殺せ殺せ殺せ! それが俺たちの仕事だァ!!」
テンペストは凄絶な笑みを浮かべて鬨の声をあげ、最大速で船を進ませた。
奴らの目的はただひとつ――海賊を殺し、この島の人々を殺し、猟兵を殺す!
ただそれだけ。生還など、ハナから頭に入っていないのだ!
「狂った海の亡霊どもめ……いや、恐るべきはああも変質させる"王笏"の力か」
ルート号甲板上、全身鎧で身体を覆ったマリン・フィニスが言った。
くぐもった声ゆえに判別がつかないが、本来の彼女はもっと穏やかな女性だ。
しかし今は、戦士としての演技以上に、彼女を突き動かすものがあった。
「メガリスに狂わされた者たちに、この海で好き勝手させるわけにはいかない。
船長、なんとしてでも持ちこたえてくれ。奴らは我々猟兵が必ず抑える」
「言われるまでもねえ。連中が乗り込んでこようが船は動かさねえよ」
「頼もしい言葉だな」
マリンはジェイコブの言葉に頷き、片手を突き出すとメガリスの力を解放した。
空が……正しくは武装商船の真上だけが一転俄にかき曇り、稲妻を降らせる!
「この程度で止められるとは思っていないが……!」
マリンの予測通り、稲妻に撃たれながらも武装商船は接近してきた。
船は燃え、津波でマストを折られ、斬撃で竜骨を砕かれ、もはやガラクタ同然だ。
だが、止まらぬ――止まれないのだ。フォーミュラによって変質させられてしまった彼らは!
「撃て撃て撃てェ! あの船を沈めろォ!!」
武装商船の船員たちは狂ったように砲弾を詰め、弾幕を張る。
海賊船一隻を落とすには、敵側の戦力は明らかに過剰と言えた。
そもそも武装商船以外にも、呪いによって屈服された随伴船がいるのだ。
大船団は空から降り注ぐ稲妻と、ゆらゆら奇妙に動く不可思議なキャバリアの攻撃により、一隻、また一隻を沈んでいた。
「あのデカブツ、邪魔くせえ! どうしたって砲弾が当たらねえ!?」
「さっきから付かず離れずでこっちを挑発してやがる!!」
空を踊るように舞うキャバリアの動きは、まさしく観客を翻弄する道化師そのもの。
キャバリア――"ジャグラー"が扱う兵器も、また同様に道化師めいていた。
機体の周囲にはシガーボックス型の実体盾群が浮遊し、砲撃を防御してしまう。
"ジャグラー"が片手をかざすと、レーザー誘導されたボールが空中を乱れ飛び、
海賊船に飛び移ろうとする船員たちを吹き飛ばし、あるいはマストを叩き折る。
登場者の名は宇佐見・晴礼。だが、彼女は一言も言葉を発しない。
ただ淡々と、敵を翻弄し味方を引き立てる、道化師の役目に徹するのだ。
「お前らは船に集中しろ。あれは俺が落とす」
「「「お頭!」」」
見かねたテンペストは部下たちに集中攻撃を命じ、ジャグラーに挑みかかった。
ジャグラーはやはり不規則な先の読めない動きで、大剣の斬撃を躱す!
「チッ、俺を惹きつけるつもりか? 小賢しい木偶の坊だぜ……!」
敵の狙いはわかっている。陽動だ。自ら囮になってこちらを引きつけているのだ。
わかってはいる。わかってはいるが、ジャグラーの動きは無視できるものではない。
砲撃はすべてシガーボックスに防がれ、ボールによる被害は着々と広がる。
テンペスト自ら駆り出されなければならない状況。敵の狙い通り。腹立たしい!
「落ちやがれ、デカブツがぁ!!」
回転からの体重を乗せた斬撃。だがジャグラーは紙一重で回避してしまう!
斬撃が空を切った瞬間、テンペストを狙い撃つのは固体化した氷の雷だ!
「ぐおっ!?」
「七大海嘯直属のコンキスタドールが、敵に気を取られすぎなんじゃない?」
テンペストの血走った目が、術者であるヴィリヤ・カヤラを睨んだ。
ヴィリヤは敵がジャグラーによって混乱している隙に敵船に乗り移り、
テンペストが囮に気を取られているところを狙って、不意打ちを仕掛けたのだ。
KRAAAACK!! マリンの喚び出した稲妻と、ヴィリヤの氷の雷が敵船団を襲う!
「嘗めるなよ、女!! 前に出てきたことを後悔させてやるぜ!!」
「下品だね。まあそれも、"王笏"に従わされたせいだと思っておくよ?」
テンペストはジャグラーを牽制しつつ、甲板に着地するとヴィリヤに斬りかかる。
挑発は功を奏した――とはいえ、敵の攻撃はヴィリヤでは防ぎきれない威力だ。
受けるのではなく躱すことを意識し、ヴィリヤは機敏に動いた。
「月輪!」
「! 足元か!」
奇しくも島と同じ名を持つ影のUDCが、真下からテンペストを飲み込もうとする。
一瞬早くそれを察知したテンペストは、短くジャンプすることでUDCの棘を躱した。
「もらったぜ、女――その首、海に沈めてやらァ!!」
「残念だけどそれは出来ないかな。――月輪が潜むのは、影だけじゃないんだ」
「……!!」
かざしたヴィリヤの掌が裂け、そこから闇色の血が槍めいて噴き出した。
UDC『月輪』。それはヴィリヤの影と、彼女自身の血液に同化した怪物。
吸血鬼の血を引くダンピールだからこそ出来る自傷攻撃である。
「が、は……っっ」
不意を打たれたテンペストは脇腹を串刺しにされ、くの字に折れて吹き飛んだ。
追い打ちの氷雷が甲板に突き刺さる。血を撒き散らしながら転がって回避!
「くそ……野郎ども、来い……! 数だ! 数が足りねえ!!」
撒き散らされた血はどろりと撹拌しながら人型に変わっていく。
「亡霊を喚んだか。さすがに数の差で敗けるとちょっと厳しいかな……?」
カトラスを構えた死霊海賊の群れが、ヴィリヤに斬りかかる。
そこにジャグラーが海中に仕込んでいたリング型兵器が飛び出し、死霊を両断!
竜骨ごと船をも両断する。ヴィリヤは月輪に足止めを任せ甲板を蹴った!
「圧してるな……お頭、どうしやす! 俺らも前に出ますか!?」
「落ち着け。この弾幕の中に飛び込んだら、それこそ跳んで火にいるなんとやらだ」
ジェイコブは二つ名のとおりに仁王立ちし、冷静に戦況を俯瞰していた。
ジャグラーの奮闘により弾幕はギリギリのところで防がれている。
しかし、ルート号が前に出るには危険すぎた。彼らの役目はあくまで足止めだ。
とはいえ敵が弱っているのも事実。ここは距離を詰めて圧倒すべき局面だが……。
「それなら、僕に任せて」
祇条・結月はジェイコブの目を見つめて言った。
「坊主、お前さんになんとか出来るのか? あの弾幕が?」
「……自信はないよ。僕は、あんなメカも持ってないし、怪物も飼ってない」
敵船団を足場に闘うヴィリヤとジャグラーの姿を見、結月は言った。
「天気を操ることも、飛んだり船を沈めることも出来ない。でも――」
少年の瞳には、覚悟と決意の光が宿っている。
「あなたたちの守りたい場所と、居たい場所を一緒に守りたいって気持ちはある」
「……そうか。ガキに頼るってのはなんとも情けねえ話だが」
ジェイコブはにやりと笑った。
「そこまで言えるなら、お前さんはただのガキじゃなく立派な戦士ってこった。
"同じ仲間"として、頼らせてもらうぜ。なんとかあの弾幕を押さえてくれ」
「……任された。出来ることをやってくるよ」
結月は頷き、強靭な糸をくくりつけた苦無を敵船めがけて投擲。
さながら忍者が操る鉤縄めいて、苦無を支えに空中を跳んでいく!
(海賊のみんなだって、この島を戦場にする覚悟を決めてるんだ。だから僕も――)
結月はどこまで行っても「ただの人間」だ。
メガリスの力を持つわけでも、種族由来の特殊能力を持つわけでもない。
キャバリアのようなメカを操縦することも出来ない。小細工が関の山である。
……だがそんな結月にも、彼だけの武器がある。
それは覚悟。出来ることをやるという、ただの人間としての意地と矜持。
そしてもうひとつは――あらゆるものの「鍵穴」を開く、悪魔の権能!
「――……ばらけろ」
寿命を代償に"鍵ノ悪魔"の権能を宿した結月は、放物線を描く砲弾に触れた。
すると燃える砲弾は、糸をほぐされた裁縫めいてバラバラに散らばった。
拳を叩きつけた衝撃で鋭角的軌道を描き、別の砲弾を蹴り足で吹き飛ばす。
生身で砲弾を殴り、蹴るのだ。砲弾の質量と速度がそのまま反発力として返る。
一撃ごとに骨が軋む。寿命を代価とした悪魔の力が内臓を責め苛む。
結月はそれを顔に出さない。ただ、自分にできることをやり続ける……!
「くそっ、砲撃が無力化されてるだと? 次から次へと
……!!」
ヴィリヤの剣戟を弾いたテンペストは、死霊海賊たちに号令を下した。
「あの船だ、あの船を沈めろ! この数なら捨て身で行きゃあなんとかなる!!」
「そうはいかんな。お前の歪んだ航海は、ここで終わりだ」
ざばあ!! と海面を切り裂き、光り輝くサメの群れが飛び出した。
マリンが召喚した霊体サメの軍団が、死霊海賊の首に食らいつき噛み砕く!
「鮫魔術士か!?」
テンペストは術者であるマリンを探そうとした。
しかしその視界を遮るように、ぼこぼこと無数の泡が浮かび上がる。
さらにサメの群れとともに、ジャグラーの展開した念動ナイフがテンペストを襲う……!
死霊海賊たちがまたたく間に駆逐されていった。数の利が覆される!
「クソが……! あのガキさえ落とせりゃあ!!」
テンペストは忌々しげに結月を睨み――結月もまた、その凝視を見返した。
(きっとかつては、あなたも彼らと同じ自由を愛する海賊だったんだろうに)
結月の脳裏に寂寥感とも哀愍ともつかぬ感情が駆け抜け、去っていった。
戦いに情けは不要。砲弾を足場に跳びながら、苦無でテンペストを牽制!
とっさに大剣で弾いたその一瞬に、ヴィリヤが再び間合いを詰める!
「月輪のご飯、もらっていくよ?」
「――!!」
三日月めいた剣閃が、腹筋を切り裂き鮮血を噴き出させた!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イヴ・シュプリーム
心情:誘導して殲滅……こういう戦法は……確か『釣り野伏せ』、だったかしら……?
殲滅戦なら……『魔導士』の力を存分に振るえるわ……ここは任せて……
戦術:海賊団に対しては周囲の防衛とこちらへの誘導を依頼して、可能な限り援護に回ってもらいます。(周辺への被害予防のため)
その後、手始めに〈魔導弾〉による【弾幕、誘導弾、範囲攻撃】によって敵の戦力を削ぎます。
亡霊が現れた場合は、【2回攻撃】と【天候操作】により選択UCを発動。
熱線の威力を〈魔法:エネルギー操作〉によって増強させた【全力魔法】によって攻撃します。
「月の輪……ではないけれど……太陽にかかる王冠をお見せするわ……」
(アドリブ等歓迎)
●亡霊を焼く陽光
かつて自由を愛した海賊の成れの果て、テンペスト。
全身に傷を帯びたその姿は、在りし日の彼の最期を思わせるものだった。
「野郎どもォ!!」
全身の傷口から血をしとどに溢れさせて、テンペストは叫ぶ。
「まだだ、まだ終わらねえ――あの船を! 奴らを!! 殺せェ!!!」
狂気に満ちた号令に従い、飛び散った血が亡霊の群れとなって立ち上がる。
ただ与えられた命令を遂行するため、己を厭わず戦う。
それが誇りある軍人や信念を持った士であれば、ある種の美しさも垣間見える。
しかし――アイデンティティを奪われた海賊の姿は、いっそ哀れだった。
「……見てられねえぜ」
"仁王立ちの"ジェイコブは、同じ海賊としてその姿を憐れんだ。
「同じ海の男として、せめてこの手にかけてやりてえものだが……おれたちじゃあ力不足だ。だから頼めるかい、お嬢ちゃん」
「……わかったわ」
ルート号甲板上、イヴ・シュプリームはジェイコブの言葉に頷いた。
「殲滅戦なら……『魔道士』の力を存分に振るえるわ……ここは任せて……」
イヴはふわりと甲板から浮かび上がり、たったひとりで敵船団に相対した。
亡霊は無数。呼び出されるのは船員だけではない。
滅んだはずの武装商船団が再び蘇り、ボロボロの船が艦隊を築き上げた。
イヴはひとりである――だが彼女が魔力を解き放った瞬間!
まるで惑星の周囲を回遊する衛星の如く、無数の魔導弾が生まれた。
それらはプラズマ熱を放射しながら、複雑な軌道を描いて船団を襲う。
KRAAAAAACK……マストを、竜骨を砕かれ、次々に沈みゆく亡霊船団……!
「月の輪……ではないけれど……太陽にかかる王冠をお見せするわ……」
イヴの背中に巨大な光輪(ハロウ)が生まれ、さんざめく太陽光を集める。
それは光。この世でもっとも単純で、強大で、根源的な力そのもの。
「……在り方を歪められた……海賊……あなたに、鉄槌を……」
光は質量を得た熱線となり、神の振り下ろす鉄槌じみて海面を薙いだ。
――直後、爆発が海上を燃やす。
超熱量が海水と反応して蒸気爆発を起こし、亡霊たちを飲み込んだのだ。
これこそまさしく、万物を照らす太陽の、その熱を集めた原初の破滅だった。
魔法とは、このようなヒトの手に余る現象を指すのである。
大成功
🔵🔵🔵
兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎
海賊たちと共闘か…良いぜ!あいつらもきっと強い奴らだ!つまり皆で協力すりゃ勝てるな、よし!
敵を引き付けて、遮りゃ良いんだろ?
船には傷一つ付けさせねぇぜ!
あ、援護も頼む!代わりに勝利を見せてやる!
(正直怖いが)しるかー!
相手がすげぇ攻撃をしてくるなら俺様はそれに合わせて光【属性攻撃×零距離射撃】で輝光閃をぶつけてやる!
体がぼろけたってその一撃やら空気やらから光の魔力として【生命力吸収】でカバー!
おらおらどうしたー!俺様はそう簡単にくたばってやんねぇぜ!
舩も!海も!こいつらも!全部全部守ってやんよ!
いくぜテンペスト!
これが俺様の全力だ!
UC!
くらえ!
全力魔法×限界突破
輝光…踏脚ッ!
●ツキノワ島より進撃せよ
「く、くっくっく……」
自慢の船団は太陽の光に焼き尽くされ、最後の船も竜骨は折れて沈みゆくのみ。
もう勝ちの目はない。だが、テンペストは清々しい顔で笑っていた。
「……何がおかしいんだよ! まさか、まだ隠し玉があるとか言わないよな!」
「まさか。もう何もねえよ――俺だけだ」
兎乃・零時と相対するテンペストは、傷だらけの身体を見せつけた。
「そして俺もじきに死ぬ。お前らの勝ちだよ、おめでとうさん」
「ならどうして……そんな晴れ晴れとした顔で笑ってんだ?」
「"だから"だよ」
テンペストは言った。
「靄がかってた頭が晴れた気分だ。どうやら強者の威光を笠に着て威張り散らすなんざ、バカでだらしねえことをやってたらしい。無様なことこの上ないぜ」
「! それって、もしかして」
零時は思い出す。
テンペストはかつて、自由を愛する気っ風で知られた海賊だったと。
本来であれば、コンキスタドールとなってなお誇りだけは喪っていないと。
……もしや死に際にあって、"王笏"による変質から解放されたというのか?
テンペストの浮かべた笑みは、その推測を裏付けるに十分なものだった。
――とはいえ。
「さあ、殺し合おうぜ猟兵」
"コンキスタドールである"という事実は、消えはしない。
「七大海嘯のためなんかじゃねえ。俺が、俺として、俺であるために殺し合うんだ」
その姿は誇りある海賊のもので、けれども相容れることはない。
「……そうかよ。そっちがその気なら、こっちだってやることは変わらねえ」
これは、戦いだ。お互いの誇りと意地を賭けた、シンプルな決闘である。
零時は海賊たちの期待を背負っている。双肩に担うものはあまりにも重い。
……いいや、だからこそ戦える。少年は拳を強く、強く握りしめた!
「行くぜェッ!!」
崩れゆく甲板を蹴り、テンペストが嵐のような速度で間合いを詰める。
大剣の軌道は下から上へ。逆袈裟だ! しかも身体で刀身を隠している!
ゆえに剣閃は読みづらい。見てから回避するのでは間に合わないのだ。
「俺様が、そのぐらいでやられるか!!」
零時は最初から、自分の第六感をあてにして輝光閃を繰り出していた。
光閃と剣がぶつかり合い、両者は大きく弾かれる。そして零時が仕掛けた!
「今度は俺様の番だ! うおおおおおッ!!」
「く……はははは! いいねぇ!!」
光の魔力を乗せた超スピードの打撃が、テンペストの肩を砕いた。
テンペストは血を吐きながら呵々大笑し、無理矢理に剣を横に振るう。
斬撃が零時の脇腹を割った。傷口を白い光が補填する。魔力による応急処置。
「まだまだぁ!!」
追撃! 胸部に二度のパンチを叩き込み、とどめに腹筋を蹴る!
テンペストは両足で踏みとどまろうとするが、がりがりと吹き飛ばされた!
「がは……っ!」
「俺様はそう簡単にくたばってやんねぇ! お前にも! 好き勝手させねえ!!」
零時の身体が太陽のようにまばゆく輝き、魔力を放つ。
「船も! 海も! こいつらも!! ――この世界も! 全部全部守ってやる!」
「……くくっ」
テンペストは笑っていた。大剣を支えに立ち、身構える。
「云うじゃねえか、ガキ」
「ガキじゃねえ! 俺様は全世界最強最高の魔術師になる男だ!」
「ああそうかい。ならこの海ぐらい、守れて当然だよな」
戦場に、静寂が訪れた。
「――守ってみせろよ。侵略者なんぞ全員ブチ殺して、欲望のままに全部を」
「……言われるまでも! ねえッ!!」
まばゆい光が、零時を包み込む。――いや、零時そのものが光となる!
「行くぜテンペスト――これが! 俺様の!! 全力だッ!!」
そして光は、誰にも止められない速度で矢のように駆けた。
まるで、水平線を照らしながら空に登る、暁のように。
「輝光――踏脚ッ!!」
すべての力を込めた一撃が、海賊を打ち砕いた。
テンペストは最期まで笑っていた。
誇りある男として、命をくれてやるに値する戦士に討たれたからか。
あるいは、己を屈従させたコンキスタドールの破滅を予期し、ほくそ笑んだか。
はたまた自由を愛する海賊は、今際の際に本来の精神を完全に取り戻したか。
答えは定かならぬ――たしかなのは、猟兵たちは勝利したということだ。
「……やってやるさ。言われるまでもなく」
沈みゆく船に一瞥をくれ、零時はルート号へと跳んでいった。
かくして、世界を救うための大航海の進撃が、ここに始まったのである。
大成功
🔵🔵🔵