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侵略レッドゾーン

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #忌火起・レッカ #堕悪苦TCG #ゴッドペインター #ヴァンキッシュ! #カードバトル

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#キマイラフューチャー
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#猟書家の侵攻
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#猟書家
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#堕悪苦TCG
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#ゴッドペインター
#ヴァンキッシュ!
#カードバトル


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「喜べザコども。お前らに無敵の切り札をくれてやる」
 闇の中、男の声が響いた。
 暗い部屋の中で、黒い炎が揺らめき燃える。
 キマイラフューチャー。その世界の片隅で、密やかに燃ゆる侵略の火があった。
「くっくっく……お前らのユーベルコードと相性のいいカードをこのオレが特別に探してやったんだ。感謝しな」
 そして、その男はカードを投げ放つ。

『狂乱のジェノサイヴォルフ』。
 コスト6。パワー9000。
『【3回攻撃】:このユニットがアタックした時、このユニットを[未行動]にする。この能力はターン中に2回まで使用できる』。
『このユニットがアタックした時、自分は1ダメージ受けてよい。そうした時、このユニットを[未行動]にする』。

『魔炎のヘルヴォルペス』。
 コスト6。パワー7500。
『相手の場に1体以上ユニットがいるなら、このユニットは相手の効果を受けない』。
『[カットイン]/1コスト支払うことで、相手のユニット1体を選び、このターンの間、パワー−5000。この能力によってパワーが0以下になったユニットを相手の手札に戻す』。

『蠱惑のプリンセスパンサー』
 コスト7。パワー9000。
『相手ユニットがアタックした時、自分の手札を1枚捨ててよい。そうした時、このユニットのコスト以下のアタックしている相手のユニットのアタック対象を、相手の場のユニット1体か、相手のプレイヤー1人に変更する』。

「へへ、さすがレッカ様……超マジイカしたカードだぜ!」
「フッ。圧倒的な耐性とバウンス能力……この僕に相応しい」
「ウワーッ!超カワイ→じゃんこのカード!マジアガるんだけど〜!レッカ様ったらサイコ→!」
 カードを受け取った3人のオブリビオン――カゲキマイラーズは、歓喜と共にカードを掲げた。
「ククク……。この作戦が成功すれば、もっと強力なカードが手に入る。行け、ザコども!ゴッドペインターどもをカードバトルで拘束し、ここへ連れて来い!」
 そして猟書家・忌火起レッカは手下たちへと命令を下す。
 かくして、闇のカードバトル組織「堕悪苦TCG」による侵略が始まるのであった。

「バトルの時間だ!」
 九条・救助(f17275)はカードを手に叫んだ。
「みんな、聞いてくれ。猟書家の侵略案件だぞ!すぐにキマイラフューチャーに行くんだ!」
 曰く。
 大首領キング・ブレインのもとにキマイラフューチャーの猟書家たちによる侵略活動は続いている。今回の案件も、その中の一つであった。
「悪の組織、『堕悪苦TCG』……闇のカードバトルによってキマイラフューチャーの支配を目論む悪のカードバトル組織だ」
 幹部級猟書家、忌火起・レッカ率いるカードバトル組織である。
 彼らはあらゆる事象をカードバトルへと変換するカードバトル空間という固有の領域を展開し、そこでカードバトルによる勝負を挑んでくるのだ。
 当然、バトルの敗者は勝者の言うことをきかなくてはならない。――忌火起・レッカの配下であるカードバトル怪人となったオブリビオンたちは、その空間に犠牲者を引きずり込むことでカードバトルで制圧に、意のままに操ろうとしているのだ!
「敵の狙いは、キマイラフューチャーの中でもランクの高いイラストレーター……ゴッドペインターたちだ」
 TCGのカードに、イラストを欠かすことはできない。
 カードテキストだけでは、そのカードに設定されたキャラクターを愛することは難しいのだ。美麗なイラストは、カードゲームの魅力の中でも非常に大きなウェイトを占めると言えるだろう。堕悪苦TCGの怪人たちは、ゴッドペインターを捕らえて働かせることで、自分たちの都合のいいようにかんがえた最強カードを刷るためのイラストを描かせようと目論んでいるのである。
「っつーことで、敵がこれから事件を起こすから、今すぐ現場に突入して敵の計画を阻止してくれ!」
 救助が手元の端末を操作すると、モニターの映像が切り替わる。
 今回の戦場となるのは――キマイラフューチャーの一部で流行する人気TCG、『ヴァンキッシュ!』を扱ったイベントの会場だ。そこに集まった参加者たちの中には当然ゴッドペインターも混じっている。彼らを拐おうと敵が現れるので、それを迎え撃って撃退するのだ。
「ただ、今回はちょっと特殊なレギュレーションが適応されるんだ」
 しかし、ここで救助は補足した。
「敵はカードバトル怪人になっていて、戦いを挑めばその瞬間に特殊な力でカードバトル結界を形成するんだ。その中に取り込まれたら、もうカードバトルするしかない」
 そう、それこそがこの堕悪苦TCGのカードゲーム怪人の恐るべき能力なのだ。
「とはいえ、まあデッキ持ってなくてもバトルはできるよ。うまくアレすれば手持ちのユーベルコードとかアレコレがカードとして顕現するようにもなってる。それを使えばバトルできるって寸法さ」
 ……というわけで、要はTCGカードを持ってなくてもバトルは可能ということだ。
「敵の尖兵をやっつければ、そこから敵のアジトを掴めるはずだ。あとは、そこに乗り込んで猟書家をカードバトルで下すだけさ」
 説明は以上である。
「……あ、そうそう。いっこ補足ね。なんかあのー、会場にのゴッドペインターの人たちが応援してくれるとなんかパワーが上がったりするんだって」
 たとえば、カードにサインをしてもらうとか。白紙のカードに新たなイラストを描いてもらってカードを創造するとか。そういうヤツだ。
「ってわけで、みんなは現地のひとたちと協力して敵のカードバトル怪人をやっつけてくれ。今度こそ説明おわり!もー質問ないね?」
 いいね?とあらためて確認し、救助は猟兵たちの顔を見回した。
「それじゃ、よろしく頼むぜ!」
 かくして、グリモアが輝く。


無限宇宙人 カノー星人
 俺のターン。ドロー。ごきげんよう、イエーガー。カノー星人です。
 戦争お疲れ様でした。こちらは早々に通常営業に戻り、猟書家とのたたかいをお送りいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。

☆このシナリオはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
 プレイングボーナス(全章共通)…… ゴッドペインターに応援される(猟兵のカードにすごい絵を描いて貰えれば、何故か強化されます。理屈は謎ですが、そういうものらしいです)
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第1章 集団戦 『カゲキマイラーズ』

POW   :    狼少年「今日も過激なチャレンジを配信するぜ!
自身の【スマホ画面】が輝く間、【迷惑行為や過激な行為による攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    眼鏡狐「この僕を論破できると思っているのかい?
対象への質問と共に、【自身のスマホ】から【相手が負けを認めるまで消えない炎の怪物】を召喚する。満足な答えを得るまで、相手が負けを認めるまで消えない炎の怪物は対象を【根も葉もない誹謗中傷や魂を焼く炎】で攻撃する。
WIZ   :    パンサー娘「今から私のイケない姿を配信するね❤
【自分のイケない姿を記録した動画】を披露した指定の全対象に【この動画配信者の配下になりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「はははッ!なあ、勝負しろよ。それとも怖いのかァ?」
 デッキを手にした狼少年が、会場に設営されたテーブルを蹴倒しながらイラストレーターの青年へと迫った。
 ……赤緑。リソースブーストによる早出しと攻撃能力を重視した、速攻型の《獣魔》デッキ。
「くッ……!」
「おら、立て。……なあ、当然やるよなぁ?ほら、構えろ!ゲットレディ!」
 オブリビオンが勝負を強要する!
「さあ、状況は既に整っているんだ。ここにきて逃げる理由なんてないだろう?」
 その一方、狐人が眼鏡をくいと押し上げながらまた別の女性絵師の前に迫る。
 ……銀緑。同じくリソースブーストを得意としながら、場持ちのよいユニットを並べて圧殺する防御型の《獣魔》デッキ。
「ね→ね→イイでしょ?ほらぁ、いっぱいサービスしてあげるからさあ❤️」
 そして、パンサー娘が誘惑するように男性ペインターに指を絡めた。
 ……緑単色。リソース活用によるユニットの大量展開と、強力なキーユニット・『蠱惑のプリンセスパンサー』による勝利プランを見据えた専用構築の《獣魔》デッキ。

 それぞれにデッキを構えたカードゲーム怪人たちは、会場内のイラストレーターたちへと迫りカードバトルを強要する!

 猟兵たちよ、この傍若無人を許していてはならない!今すぐにオブリビオンたちの暴挙を止めるのだ!カードバトルで!


 ここで最初に、今回のシナリオで主に用いられる『Vanquish!(ヴァンキッシュ!)』について説明しよう。
 まず、『ヴァンキッシュ!』はトレーディングカードバトルゲームだ。さまざまな種類のカードを用いて自分の『場』にユニット(他のゲームではモンスターやクリーチャーとも言われる)を出撃させ、攻撃し、相手のライフを0にすることで敵を『ヴァンキッシュ(制圧)』することを目的としている。
 カードの種別は『ユニット(モンスターやクリーチャー、キャラクターのこと)』、『スペル(使い捨ての特殊効果カード。魔法、呪文カード)』が基本となっているほか、『アーマメント(装備)』や『フィールド(永続効果)』などが存在する。これらを駆使し、自分の場を整え、相手に攻撃を仕掛けて勝利を目指すのだ。

 カードにはそれぞれ色やコストが設定され、後述する『リソース』をタップ(カードを横向きにすることで使用済、行動済の状態をあらわすこと)することで使用できる。
 ゲーム開始時、プレイヤーはそれぞれライフを5点もつ。基本的は、ユニットによる攻撃が相手に通ったときに減らせるのは一度の攻撃につき1点だ。(カードの能力により、一度に2点以上ライフを奪えることもある)すなわち、5回攻撃を通せば勝利となる。

 詳しくはシナリオ画面上部の『ヴァンキッシュ!』タグからか、あるいはこのURLから確認できるシナリオ【https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=21394】をご覧いただきたい。

 なお、ルールがよくわからなくても「わかんないので適当に」でOKだ。
「はははッ!なあ、勝負しろよ。それとも怖いのかァ?」
 デッキを手にした狼少年が、会場に設営されたテーブルを蹴倒しながらイラストレーターの青年へと迫った。
 ……赤緑。リソースブーストによる早出しと攻撃能力を重視した、速攻型の《獣魔》デッキ。
「くッ……!」
「おら、立て。……なあ、当然やるよなぁ?ほら、構えろ!ゲットレディ!」
 オブリビオンが勝負を強要する!
「さあ、状況は既に整っているんだ。ここにきて逃げる理由なんてないだろう?」
 その一方、狐人が眼鏡をくいと押し上げながらまた別の女性絵師の前に迫る。
 ……銀緑。同じくリソースブーストを得意としながら、場持ちのよいユニットを並べて圧殺する防御型の《獣魔》デッキ。
「ね→ね→イイでしょ?ほらぁ、いっぱいサービスしてあげるからさあ❤️」
 そして、パンサー娘が誘惑するように男性ペインターに指を絡めた。
 ……緑単色。リソース活用によるユニットの大量展開と、強力なキーユニット・『蠱惑のプリンセスパンサー』による勝利プランを見据えた専用構築の《獣魔》デッキ。

 それぞれにデッキを構えたカードゲーム怪人たちは、会場内のイラストレーターたちへと迫りカードバトルを強要する!

 猟兵たちよ、この傍若無人を許していてはならない!今すぐにオブリビオンたちの暴挙を止めるのだ!カードバトルで!


 ここで最初に、今回のシナリオで主に用いられる『Vanquish!(ヴァンキッシュ!)』について説明しよう。
 まず、『ヴァンキッシュ!』はトレーディングカードバトルゲームだ。さまざまな種類のカードを用いて自分の『場』にユニット(他のゲームではモンスターやクリーチャーとも言われる)を出撃させ、攻撃し、相手のライフを0にすることで敵を『ヴァンキッシュ(制圧)』することを目的としている。
 カードの種別は『ユニット(モンスターやクリーチャー、キャラクターのこと)』、『スペル(使い捨ての特殊効果カード。魔法、呪文カード)』が基本となっているほか、『アーマメント(装備)』や『フィールド(永続効果)』などが存在する。これらを駆使し、自分の場を整え、相手に攻撃を仕掛けて勝利を目指すのだ。

 カードにはそれぞれ色やコストが設定され、後述する『リソース』をタップ(カードを横向きにすることで使用済、行動済の状態をあらわすこと)することで使用できる。
 ゲーム開始時、プレイヤーはそれぞれライフを5点もつ。基本的は、ユニットによる攻撃が相手に通ったときに減らせるのは一度の攻撃につき1点だ。(カードの能力により、一度に2点以上ライフを奪えることもある)すなわち、5回攻撃を通せば勝利となる。

 詳しくはシナリオ画面上部の『ヴァンキッシュ!』タグからか、あるいはこのURLから確認できるシナリオ【https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=21394】をご覧いただきたい。

 なお、ルールがよくわからなくても「わかんないので適当に」でOKだ。
アシェラ・ヘリオース
「相変わらず、豊かな世界だな。何とも和む」
少年の目に眩しいミニスカから伸びる太腿を晒し、カードバトルの舞台に立つ
空いた胸元が会場の光に良く映える
だが、デュエリストを象徴する※闘争心による眼差しの強さで空気を締めよう

方針は古式ゆかしい黒騎士コンボでアド稼ぎ
一味違うのは『闇理力』装備カードの扱い
罠カードで『狂乱のジェノサイヴォルフ』を相手に時間を稼ぎ

「それはどうかな?」

反撃の手番で『闇理力解放』カードを提示

「ここで闇理力解放を用い、場にある『闇理力爪』の固有の潜在能力を解放する!」

もちろん強化カードなど存在しない
“まだ”だ
デッキに忍ばせた白紙のカードを構え、時を待つ
後の勝敗はこの場が決めるだろう



「怪人だーっ!?」
「誰か、猟兵呼んで!猟兵ー!」
 恐慌!!怪人たちの出現に逃げ惑うキマイラフューチャーの人々!傍若無人に暴れるオブリビオン!
 その騒乱の最中を――カッ!高らかに靴音を鳴らし、怯え惑う人々の中をかき分けて現れる麗しの雄姿!ミニスカートから覗く脚線美は眩しく、そして開いた胸元もまた人々の目を惹いた。
「相変わらず、豊かな世界だな。何とも和む」
 かくて混迷を裂くように、不敵な笑みすら浮かべてそこに姿を見せたのはアシェラ・ヘリオース(f13819)である!
「あれは……!」
「猟兵だ!しかもあの人は……」
「“闇騎士”のアシェラ!」
「ヴァンキッシュであのミズ・ルチレイテッドを下した!」
 アシェラの登場に人々が沸いた。アシェラは涼やかに手を振り、そして男性イラストレーターを追い詰めた怪人のもとへと向かう。
「手を離せ、少年。ヴァンキッシュなら私が相手になろう」
「なにィ……?」
 狼少年は挑発的な声に視線を返した。その視線がアシェラを睨む。
「ほう……なかなかのベッピンじゃねーか」
 しかし、その視線はすぐさま獲物を前の舌舐めずりする野獣の眼光へと変わる。
「面白えじゃねーか……。アンタがどれだけのヴァンキッシャーか知らねえが、俺のカードで潰してやるぜ!」
「いいだろう。望むところだ。……さ、あなたはこちらへ」
「ああ……すまない。助かった」
 血気盛んにデッキを構える狼少年!アシェラは冷静さを崩さず対峙すると、イラストレーターの男性を引き寄せオブリビオンから離した。
「いくぜ、ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 そして、互いにデッキを抜き放つ!場面は会場には設けられたスタンディングヴァンキッシュステージへと移行!戦いを観戦すべく詰めかけたキマイラフューチャー民のオーディエンスに囲まれながら、戦いが始まる!

「俺のターンッ!4コスト支払い、『コソ泥ビシン坊』を出撃!そのままアタックだ!」
「ブロックはしない。ライフで受ける!」
 コソ泥ビシン坊!コスト4。パワー5000の《獣魔》ユニットだ。『このユニットのアタックが相手のライフを減らしたとき、自分はデッキの上から1枚を[行動済]状態でリソースに置く』!狼少年は低コスト帯をこうしたリソース加速ユニットで固め、大型となる6コスト以下のフィニッシャーを早期に出撃させる戦術をとっていた。迎えた4ターン目、これで狼少年のリソースは5枚目を数える。
「私のターン……メインフェイズ。コストを支払い、スペル『シャドウバタリオン』を使用し、場に《闇騎士》ユニット・トークンを出撃」
 一方、アシェラは盤面を固めてゆくことを優先していた。《闇騎士》のアドバンテージムーヴは古くから使われている定番のアクションだ。
「更に私はタクティカルゾーンにカードを伏せる」
「タクティクスカード……チッ!罠を仕掛けたつもりか!」
 タクティカルゾーンとは、【タクティクス】の能力を持つカードを裏向きで設置することのできる領域である。
 タクティカルゾーンには【タクティクス】をもつカードを手札から1枚まで裏向きで設置することができ、置かれたカードは発動条件を満たすことでコストを支払うことなく使用することができる。例えば、『相手によって自分のライフが減ったとき』や『相手によって自分のユニットが破壊されたとき』。『相手が手札から【カットイン】を使用したとき』などである。
 アシェラはこのカードを伏せることで罠を仕掛けたのだ。それは相手にとって大きな心理的プレッシャーとなる。
「舐めやがって……!だが、押しつぶせば俺の勝ちだ!俺のターン!リブートアンドドロー!リソースに1枚カードを置きメインフェイズ!」
 しかし、狼は恐れない。返すターン、狼少年は遂に切り札を投入する!
「赤と緑を含む6コストを支払い、狂乱のジェノサイヴォルフを出撃ッ!そのままバトルだ!」
 ガオォォンッ!!咆哮とともに戦場へと降り立つジェノサイヴォルフがフィールドを駆ける!そしてアタック時能力が発動!『3回攻撃】:このユニットがアタックした時、このユニットを[未行動]にする。この能力はターン中に2回まで使用できる』!これによって[未行動]状態となったジェノサイヴォルフは、このアタックの後に再度アタックができるのだ。このアタックで1回目、続くアタックで2回目。その際にも同じ能力を適用して3回の攻撃が可能なのである。それだけではない。3回目のアタックに合わせて第二の能力である『このユニットがアタックした時、自分は1ダメージ受けてよい。そうした時、このユニットを[未行動]にする』ことで、更なる連続攻撃が可能なのだ。このジェノサイヴォルフで一気にゲームエンドへ持ち込む戦術こそ、狼少年の理想的ムーブ!
「【カットイン】ありますか!」
「【カットイン】はない。そちらは?」
「ありません!ブロック宣言はありますか?」
「ならば《闇騎士》トークン・ユニットでブロックだ」
 アシェラは盤面のユニットで敵のアタックを防ぐ。だが、ジェノサイヴォルフのパワーは9000!対するトークンはパワー2000で一方的に打ち負ける!
「ハハハッ!そんな雑魚で俺のヴォルフを止められるか!続けてアタックを……」
「それはどうかな?」
「なに!?」
 続くアタック宣言を行おうとした狼少年を遮り、アシェラは嗤った。
「……ここでタクティカルバーストだ!『相手によって自分のユニットが破壊されたとき』の【タクティクス】を起動!」
「なにいッ!?」
 スペル、『バインドカース』!『【タクティクス:相手によって自分のユニットが破壊されたとき】相手ユニットを1体まで選び、そのユニットを[行動済]にする。そのユニットは、このターンの間[未行動]状態にならず、次の相手のリブートフェイズで[未行動]にならない』!
「バインドカースにより、ジェノサイヴォルフを[行動済]にする。これで追撃は不可能だ」
「こ、こいつ……ッ!」
 鮮やかなカウンター!これにより攻め手は止まり、アシェラには猶予が与えられる。
 返すターンでアシェラは更に盤面を展開した。ここで彼女が場に置いたのはアーマメントカードだ!
「アーマメント、『闇爪レイヴンズクロウ』を場の『近衛騎士ヘリオス』に武装する!」
「なに……アーマメントだと!」
 『闇爪レイヴンズクロウ』は《闇騎士/闇理力》をもつアーマメントカードだ。『装備条件:闇騎士』。『このユニットアタックしたとき、このターン中に自分のカードがトラッシュに置かれているなら、[武装]しているこのユニットが相手に与えるダメージ+1』!
「更に私はこのカードを使用する!」
「なに……!?」
 続けてアシェラが掲げたそのカードは――白紙!何も描かれていないブランクのカードである!
「どういうつもりだ、そんなブランクカード!」
「それは……こういうことだ!」
 しゅばッ!アシェラは抜き放ったブランクカードをイラストレーターの男性へと投げ渡した。
「……!」
 その意を解した、とばかりに。男性が絵筆を執る!凄まじい速度で描かれるカードイラスト!そしてここに顕現する切り札は――!
「いくぞ。スペル『闇理力解放』ッ!」
 ――『このターンの間、《闇理力》のアーマメントを[武装]しているユニットすべては《このユニットがアタックしたとき、自分のユニットを1体トラッシュに置いてよい。そうしたとき、このユニットを[未行動]にする》を得る』!
「なん、だとォッ!?」
「さあ、反撃開始といこう。バトルフェイズ!近衛騎士ヘリオスでアタック!」
 ヘリオスは手にした黒爪を構え、そして戦場を疾った!アタック宣言と同時に『闇理力解放』で付与されたテキストが発動する。アシェラの盤面はこれまでのボードアドバンテージを得るムーブによって不足ない数のユニットが展開していた。1体をトラッシュに置き、ヘリオスが[未行動]状態になる。そして闇爪の能力が発揮!これでヘリオスが与えるライフダメージが上昇する!
「【カットイン】は!」
「ありません!ライフで!」
 バァンッ!!2点のライフが砕ける衝撃!狼少年がダメージにうめく!
「ヘリオスで再び攻撃だ。そして、更に付与能力を発揮!」
「ば、バカな……!連続攻撃で押し勝つのは、俺の方じゃ……!」
「こちらが一枚上手だったということだ!」
 続くアタックがライフを叩く!ジェノサイヴォルフによる速攻のみを考えていた狼少年ではこれに対応することはできない。たちまち最後のダメージを叩き込まれ、ここに決着がつく!
「これで……ヴァンキッシュ!」
「グアアアアアーーーッ!!!」
 ――勝者、アシェラ・ヘリオース!勝鬨をあげる彼女を、オーディエンスの喝采が熱く包んだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

隣・人
VSパンサー
「お!!! ヴァンキッシュじゃないですか。隣人ちゃんも混ぜてくださいよ。今回も楽しませてもらいますよ。は、は、は」
そうですね。今回は【リソースブーストを軸にしたスペル型のデッキ】でいきましょうか。そろそろ相手もリソースが溜まってきた頃ですかね?
では8リソースをタップしてスペル『命葬』を発動します。効果は実にシンプルですよ。ええ。十八番ですとも
ハンデス!!!【相手は手札をすべて捨てる】
そうしたらランデス『リソース削り』のスペルその他を混ぜつつユニットを展開。あの蛆虫はここでも使えそうですね
ロック決めて圧倒してやりましょう
絶望しやがれてんです。ふふん

緑単なら手札補充も難しいでしょう?



「ね→ね→イイでしょ?ねぇ♡」
 ――一方!
 会場内を暴れ回るオブリビオンは、その魔の手を次なる犠牲者へと伸ばそうとしていた。
 パンサー娘が女性経験のなさそうな男性ペインターに絡みつく!
「ね。ヴァンキッシュ……しよ♡」
「ひ、ひいっ……」
 身体をこわばらせた男性ペインターが悲鳴を漏らした――その時である!
「お!!!ヴァンキッシュじゃないですか」
 ここに踏み込んだのは、隣・人(f13161)である!
「隣人ちゃんも混ぜてくださいよ」
 ずっ!有無を言わせぬプレッシャーと共に迫った隣人ちゃんは力づくで男性ペインターをパンサー娘ちゃんからひっぺがすと、薄ら笑いを浮かべながらパンサー娘へと這い寄ってゆく!顔が近い!
「キャッ!!!なに!?!?!?不審者!?!?」
「不審者ではありません。隣人ちゃんです。ヴァンキッシュするんでしょう?」
 ガッ!続けて隣人ちゃんは万引き犯の逮捕劇や痴漢確保めいてパンサー娘ちゃんの手首を力強くつかんだ。
「えっ!?なに!?なんなの!?ちょっと!!!」
「今回も楽しませてもらいますよ。は、は、は」
 その細腕からは想像もつかぬパワーでぎりぎりと締め上げながら、隣人ちゃんはパンサー娘ちゃんを引きずってスタンディングヴァンキッシュステージへと向かった!

「……わかった、わかったわ。とにかく、あたしが勝てばい→んでしょ!」
 遂に観念したパンサー娘ちゃんが、デッキを構えてファイティングテーブルへと向き合う!
「いくよ→!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 そして対戦が始まった。互いに序盤は堅実な動きをする。はじめの2ターンは互いにリソースを置いたほかは何もすることなくターンエンド。様子を伺うように睨みあう。
 続く第3ターン。パンサー娘は3枚目のリソースを置き、直後『獣姫の下僕・アーシィ』を出撃。コスト3。パワー3000.『このユニットが場に出たとき、自分はデッキの上から5枚オープンし、その中の『プリンセスパンサー』を1枚まで手札に加え、残ったカードを山札の下に置き、山札をシャッフルする』――。キーカードを手札に引き込むためのサーチカードだ!
「ラッキ→!プリンセスげっとぉ!」
 アーシィの能力によって、パンサー娘は『蠱惑のプリンセスパンサー』を手札に加えた。
「なるほどなるほど。コンセプトデッキということですかねぇ……隣人ちゃんのターン!」
 返すターンで隣人ちゃんはリソースへカードを加える。隣人ちゃんはここで3コストを支払ってスペルを起動した。『芽吹きの祝福』!『自分の山札の上から1枚をオープンし、そのカードを自分のリソースへ[行動済]で置く』!
「隣人ちゃんはこれでエンド!」
「うえっ!?そっちもリソブ!?まーじかー!負けてらんないじゃん!」
 ――互いにギミックが中盤以降から動き出すタイプのデッキだ。序盤は2人とも盤面を整える行動をメインにする。
 プリンセスパンサーはここから『獣姫の下僕・メーシュ』『獣姫の下僕・ミッグ』を展開。メーシュは場に出た時にリソースを1枚追加し、ミッグは1枚ドローする能力をもつサポート役のカードだ。手札とリソースを揃えることで、パンサー娘ちゃんはキーカードを活躍させるための下準備を行っているのである。
「でも、まけな→い!これで一歩リードでしょ?」
「は、は、は……!そうはいきません!!隣人ちゃんも頑張ってますよ!!!」
 一方、隣人ちゃんはスペルを回す。リソースブースト。手札補充。盤面のユニット破壊によるアタックの抑制。スペルの使用を重ね、隣人ちゃんは次なる攻め手に移るための準備を着々と整えつつあった。
 そして。

「――おーっしゃ!じゃあ私のっタ→ン!リブート・ドロー!でもってリソース置いてメーインッ!手札から~……いっくよ→!7コスト払って登場!『蠱惑のプリンセスパンサー』っ!」
 ――ついに、パンサー娘ちゃんの切り札が盤面へと降り立った!
「これで君のユニットはー、私の手札が尽きないかぎり絶対に届かないんだ!その無防備なライフにアタック!」
「くっ……!」
 バァンッ!プリンセスパンサーが隣人ちゃんのライフを砕いた!追撃!パンサー娘ちゃんの号令に従って、『姫君の下僕』もまた仕掛ける!2点目のライフダメージ!ダメージの衝撃に隣人ちゃんが呻いた!
「ど→だ!」
「……は、は、は」
 このバトルによって、隣人ちゃんのリソースは8枚に達する。ここでパンサー娘ちゃんは隣人ちゃんへとターンを渡した。
「……では、こちらもそろそろ動きますよ」
 リブート。ドロー。そして隣人ちゃんはメインフェイズでスペルを投げる。
「『命葬』――!」
「なにそのスペル!?はじめて見るんだけど!」
「おやおや、ご存じないですか?効果は実にシンプルですよ。ええ。十八番ですとも」
 『命葬』。――コスト8。黒のスペル。
 『相手は、自身の手札をすべて破棄する。その後、自分のユニットがいないなら、相手の場のコスト5以下のユニットすべてをトラッシュに置く』。
「うえっ。そ、それって――」
「――ハンデス!!!」
 ハンド・デストラクション!手札破棄の強要!
 それは多くのTCGにおいて存在し、その中でも友達をなくしやすいカードテキスト上位に君臨し続ける能力である。
「っぎゃーーーー!?」
 この能力によって手札を失うことは、パンサー娘ちゃんにとって致命的であった。そう、プリンセスパンサーの能力発揮には手札を消費するのだ!
「隣人ちゃんはこれでエンドです」
「ひ、ひどーいっ!」
「は、は、は!その悲鳴が聞きたかったんですよ!!」
 ――返すターン、パンサー娘ちゃんは引いた手札を出し渋る。このカードを使えば、プリンセスパンサーのテキストは機能不全に陥るも同然だ。しかし盤面は先のスペルで削られている。このままでは、攻め切れない。
 苦渋の決断。額に汗を滲ませながら、パンサー娘ちゃんはターンエンドを宣言した。
 そして、ここから更に戦況は動き出す。
「隣人ちゃんのターン!ここで隣人ちゃんは『祭祀代行者クリト=リトリル』を出しますよ!更にスペル『暗黒接触』を使用!」
「ま、待って!まさかそれって――!」
 スペル、『暗黒接触』――。『相手の手札を見ないで1枚破棄する』。
 『祭祀代行者クリト=リトリル』。『このユニットがアタックしたとき、自分は手札を1枚破棄してよい。そうしたとき、相手は手札を1枚破棄する』!
「ギャーッ!?」
「絶望しやがれてんです。ふふん」
 ――ここからの流れは雪崩を打つように早かった。
 隣人ちゃんによる徹底的なハンデスにより、機能不全に陥るプリンセスパンサー。更に隣人ちゃんはハンデスのみならず、相手のリソースを破棄する能力を持つ『星喰らう蛆・ブホール』や、同様にリソース破棄を行うスペル『土地喰らう幼虫』によるランデスを重ねてゆく。
 結果、完成するのは――完璧とまで言える絶対戦術!
 こうなってしまえばもはや手も足も出ない。じわじわと嬲り殺すように棋譜は詰められてゆき、そして――
「ぎゃえーーっ!!」
「これで、ヴァンキッシュ!」
 ――Vanquish!勝者、隣人ちゃん!最後のライフを砕かれて、パンサー娘ちゃんはステージから転げ落ちる!
 あまりにも徹底的な残虐ハンデスコントロールバトルに、見守るオーディエンスも静まり返っていた。拍手や歓声もまばらだ。
 しかし、その冷めた空気すらも愉しむように嗤って手を振り、隣人ちゃんはステージを降りてゆく。
 隣人ちゃんが探すのは次の犠牲者――もとい、オブリビオンだ。幸いなことに彼女のサンドバッグ――ではなく、対戦相手となるカードゲーム怪人はまだ残っている。
「さあ、次に遊んでくれるのは誰ですか!」
 そして次なるヴァンキッシュを求め、隣人ちゃんは再びイベント会場へと降りるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

へぇ、今回もヴァンキッシュかい?
最初はトーシロだったけど、
3回目ともなればアタシだってかなり慣れてくるんだからね!
それにこれだけゴッドペインターのヒトが居るんなら、
カードイラストを描いた本人さんも居たりしないかな?
いたならぜひぜひアタシのデッキの『迎撃隊長ストライバ』に
サインもらいたいんだよ!
コイツには何度も勝利を呼び込んでもらったからね!

そう、コイツを軸にした《鋼鉄皇帝軍》メインの迎撃戦術なら、
プリンセスパンサーの能力も空ぶるだけさ!
アンタとアタシで対戦のダブル配信と行こうじゃないのさ!

ストライバを強化するアーマメントカードお披露目で
アタシが話題を掻っ攫うけどな!



「くっそ→……こ、こ→なったら猟兵のやつらが来る前にオトコ……じゃなくて絵師ちゃん捕まえてさっさと逃げちゃうのが正解ね!」
 猟兵による残虐コントロール戦術の犠牲になりながらも、パンサー娘ちゃんは逃げ延びていた。
 しかし、このままおめおめと逃げ帰るわけにはいかないのだ。このまま帰ってしまっては、首領であるレッカ様から厳しいお叱りとおやつ抜きや昼寝禁止などの極めて重篤な罰が待っているだろう。それだけは絶対に避けなくてはならない。パンサー娘ちゃんはどうにかチョロくイケる獲物がいないものかと会場を走る!
「あっいた!」
「ムッ!怪人!」
 ここでパンサー娘ちゃんが目をつけたのは、ゴッドペインター界でも特にロボットやドラゴンのデザイン力で名を馳せる一流イラストレーター・ヒロウミトシハル氏である!
「よーし!!そこの絵師ちゃん!私とヴァンキッシュで勝負……」
「へぇ、今回もヴァンキッシュかい?」
 ヒロウミ氏に勝負を仕掛けようとするパンサー娘ちゃんであったが、しかしてそれを遮って現れる猟兵!
「げっ!猟兵!」
「ああ。ヴァンキッシュするんだろう?……付き合ってやるよ、いくらでもね!」
 そして数宮・多喜(f03004)はデッキを構えた!輝くカードは銀属性!《鋼鉄皇帝軍》!
「く、くっそー……!し、しかたない。こうなったら……こんどこそやっつけてやるっ!」
 こうなってしまえばパンサー娘ちゃんも勝負を避けることはできない!対峙する2人はバトルステージへと場所を移し、そして互いにデッキを構えた!
「アタシも最初はトーシロだったけど……このゲームにもかなり慣れたからね!そうそう負けやしないよ!」
「ふーんだ!レッカ様からもらった私の最強カードの方が絶対つよいし!いくよ、ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 開戦ッ!試合開始のコールから、公式ルールに則ったじゃんけんで先攻を取った多喜がターンを進める。リソースに銀属性のカード。対し、返すターンにパンサー娘ちゃんは緑を置いた。
 続くターンで多喜はフィールドカード・『鉄血宰相の令』を展開。『相手のターン終了時、そのターンに自分のライフが減っていないなら、自分は1点ダメージを受けてよい。そうしたとき、自分は1枚ドローする』。《鋼鉄皇帝軍》の定番フィールドカードだ。
 一方、パンサー娘ちゃんは『獣姫の下僕・メーシュ』でリソースを伸ばす動きに出た。更に返すターンでは多喜は『超弩級鋼鉄病棟』を展開し、『鉄血宰相』とのコンボを完成させる――。序盤はこうした地盤固めの動きが続いた。
「――アタシのターンだ!リブート・ドロー!そっからメイン!ここで4コスト支払って、『迎撃隊長ストライバ』を出撃っ!」
 『迎撃隊長ストライバ』!コスト4。パワー6000!『相手のバトルフェイズ開始時、相手のユニットを1体選び、相手はそのユニットでアタックする』!更に、『このユニットがブロックしたバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』!
 ストライバは多喜がこのヴァンキッシュというカードゲームを始めたその時から彼女のデッキに投入されている、《鋼鉄皇帝軍》のユニットだ。相手にアタックを強要する能力を持ち、そしてブロック宣言で返り討ちにすることで相手のライフを砕く!銀属性らしい攻防一体の能力を持つユニットである!
「うげっ!?私がアタックするの!?」
「そうだよ!」
 ――次のターン!アタックフェイズに能力を起動したストライバは、パンサー娘ちゃんの『メーシュ』によるアタックを強要!サポートユニットであるメーシュは4コストでパワー5000と低めの数値。当然、ストライバにブロックされて返り討ち!パンサー娘ちゃんにダメージが入る!
「くっ……!」
「ストライバ……私のデザインしたユニットじゃないか」
 ここで、戦いを見守っていたゴッドペインター・ヒロウミトシハル氏が呟いた。
 そう。ここはヴァンキッシュのイベント会場!そこに関わったクリエイターもまた現地に来ていたのだ。愛用するカードのイラストを描いた本人さんがいないかな――と、多喜が密やかに抱いていた淡い期待は、ここに成就していたのである!
「……マジか!ご本人さんかい!」
 多喜はステージから振り返り、トシハルしに手を振ってみせる。
「ありがとう。その子を使ってくれて」
「ああ。こいつには今までずっと助けられてきたよ。……絵師さん、なんなら、ぜひぜひこのカードにサインをもらえないかね!」
「ちょっと→!いまヴァンキッシュ中でしょ!!!」
「うるさい!!今大事な話してんだからちょっと待ってな!!」
 異議を申し立てるパンサー娘ちゃんを黙らせて、多喜はカードを掲げた。
「ああ、もちろんいいとも」
 そして、トシハル氏は多喜のカードにサインを書き込む。その一筆を加えた瞬間、ストライバのカードがぎらりと煌めいた――ように見えた。
「――ところで、それなら新しいカードもデッキに入れてくれているのかな?」
「もちろんさ。今からそいつの活躍も見せてやるからね!」
 ぐっと親指を立て、多喜はあらためてスタンディングヴァンキッシュステージへと向かい合った。
「ふーんだ!どの道そのストなんとかは所詮パワー6000!私のプリンセスちゃんが出れば一発だもんね!」
 ――戦いは続く!ここでパンサー娘ちゃんはコスト7に到達。手札から『獣姫の下僕・アーシィ』を出撃してデッキトップからサーチを行う。ここで遂に彼女はキーカードであるプリンセスパンサーを手札へと加えた!
「ほーら来た!次のターンでやっつけてあげる!」
「それはどうかな――アタシのターン!」
 だが、ここで切り札を投入するのは多喜もまた同じだ!
「アタシは手札から『徹底抗戦 ストライバ・アヴェンジ』を出撃だよ!」
 『徹底抗戦 ストライバ・アヴェンジ』――!コスト7!パワー7000。
 『このユニットが登場したとき、手札の「攻性防壁武装」をもつアーマメントカード1枚までをコストを支払わず場に出し、即座にこのユニットに[武装]する』!
 『[ターン1回]このユニットが場を離れるとき、このユニットが[武装]しているなら、このユニットに[武装]しているアーマメントカードをトラッシュに置くことでこのユニットを[未行動]で場に残す』!
「うっそぉ!?新カードッ!?」
「いくよ!アタシはストライバ・アヴェンジの登場時能力で手札から『バッシャーシールド』をストライバに[武装]する!」
 アーマメント、『攻性防壁武装・バッシャーシールド』!コスト3。『装備条件:《鋼鉄皇帝軍》&コスト4以上』。『[武装]しているこのユニットがブロックしたバトル中、このユニットのパワー+5000』!『このユニットがブロックしたバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』!
 ――フィールドに現れたのは、新デザインのストライバ・アヴェンジ!新たにアーマメントカードを活用する能力を得た姿である!更に登場時能力によってノーコストで場に出したバッシャーシールドを[武装]することで、ブロック時にそのパワーは12000まで上昇する!
「パワー12000っ!?ウッソでしょそれ!?」
 パンサー娘ちゃんの悲鳴!プリンセスパンサーを主軸とした彼女のデッキに、それを突破する手段はない!最新カードの活躍に湧き上がるオーディエンス!配信されている試合の様子も同時接続視聴者数が爆上がりしながらいいね数が爆発的に増加する!
「って、いう、か……そんなん出されたら勝てないじゃんっ!!!」
 ギャワーーッ!頭を抱えたパンサー娘ちゃんが、天を仰いで絶叫した!
 ――そう。『相手ユニットのアタック対象を変更させる』能力は、多喜の用いる『ブロックした時の能力によって相手を詰める』という迎撃戦術と相性が最悪なのだ!
「さあ、ストライバの能力発揮だよ!そのユニットでアタックしてもらう!」
「や、やだーーッ!!!」
 泣きっ面でのアタック宣言!強要されたパンサー娘ちゃんのユニットがアタックする――当然、迎撃!ストライバ・アヴェンジがそれを迎え撃った!上回るパワーがユニットを粉砕し、バッシャーシールドのテキストによるライフダメージがパンサー娘ちゃんに最後のダメージを叩き込む!
「ぎゃえーーっ!!」
「これで……ヴァンキッシュだよ!」
 Vanquish!――勝者、数宮・多喜!最後の一撃にライフを砕かれ、パンサー娘ちゃんがまたしてもステージを転げ落ちる!
「ああ、いいヴァンキッシュだった」
 そして、勝ち鬨を上げる多喜の姿をトシハル氏が温かく見守っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エル・クーゴー
●VS防御型《獣魔》



躯体番号L-95
当機はTCGプレイングに高い適性を発揮します
(マイデッキをスチャッと取り出す)


・低コストな白猫(デブ)の兵隊を、銃系アーマメントで逐次強化しワラワラ送り込むスタイル
・砲兵ネコによる【弾幕】や空挺ネコによる【爆撃】で抗するも、相手の硬さが硬さだけにジリ貧必至――「といった状況を演出する」

・切り札運用コストに見合う手札の充実を見次第、仕掛ける
・敵の攻撃対象指定から逃れる【迷彩】系のスペルで保護し抜きつつ、強化を重ね建造した秘密兵器――神絵師にイラストをリクエストしてた『かっこいいレールガン』をいざ解禁!

・「パワー−5000」されようがブチ抜くこのパワーを見よ!



「フン……。あれだけのカードをもらっておきながらこの体たらくとは、狼もパンサーも甘すぎる」
 熱狂するオーディエンスたちをよそに、狐獣人の青年はイベント会場に潜み捕らえるべき獲物を探していた。
「おっと、発見……。君、ちょっと!」
 そして、青年は狙いを定めた。――気弱そうな女性絵師だ。ダァンッ!狐の青年はすぐさま距離を詰め、テーブルを叩いてターゲットに迫る!
「ヴァンキッシュ、しに来たんだろう?僕が相手になってやるよ。さぁ、デッキを――」
「――対象を『カードゲーム怪人』分類のオブリビオンと確認しました。当機はこれより迎撃を開始します」
「……なにッ!?」
 しかし、ここでエル・クーゴー(f04770)が割り込んだ!無辜のキマフュー民へと迫る魔の手を遮り、エルは男の手首を掴む。
「ぐあ……ッ!こいつ、なんてパワー……」
「抵抗は推奨しません。当機の戦闘出力はそちらを大きく凌駕しています」
 ぐい――ッ。エルは掴んだ男の手首を捻る。
「待て……ッ!待て!こ、ここはヴァンキッシュ会場だぞ……!ここでの暴力沙汰はご法度……!」
「確認。……了解しました。そちらの発言には一定の正当性があると認められます」
 苦し紛れに暴力反対を訴える狐怪人であったが、たしかにこの会場内では暴力沙汰はご法度だ。ならば。状況に照らし合わせ、エルはこの状況において最適の行動を選択する。
「これより当機は『ヴァンキッシュ!』によるオブリビオン撃滅任務へと移行します」
 そして、彼女はその手にカードデッキを構えた。
「は、は……なんだって?アンドロイドのヴァンキッシャー?冗談も大概にしてもらいたいものだね」
「否定」
 嘲笑う狐怪人へと、エルは迫った。
「躯体番号L-95。当機はTCGプレイングに高い適性を発揮します」
「いいだろう。そこまで言うなら相手になってやろうじゃないか!」
 対峙!睨み合う2人の間で、空気が熱を帯びる!
「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 そして舞台はスタンディングヴァンキッシュステージへと移る!

「僕のターンだ。リブートアンドドロー。銀のリソースを置きターンエンド」
「当機のターン。リブートフェイズ・ドローフェイズによるセットアップを行います。リソースフェイズ、当機は銀のリソースを置きターンエンド」
 ――互いに置かれたカードは銀!銀は《鋼鉄皇帝軍》や《フルメタル忍軍》、《鋼獣軍》といった機械と鋼をモチーフとしたフレーバーをもつカード群だ。鉄がイメージするように防御能力の高いカードが多く、初心者から上級者まで多くのプレイヤーが耐性の強さを求めて手にすることの多いカラーである。
 しかし、返すターンで狐怪人は手札から緑のリソースを加えた。……そう、狐怪人デッキのメインカラーはむしろ緑なのだ。総じてリソースブーストに長ける緑に防御性能の高い銀を重ねることで大型の防御ユニットを展開し、敵を攻め崩す戦略なのである。
「当機のターン。リブート・ドローを経てリソースを置き、メインフェイス。3コストを支払い、『NA一等兵 マネギ』を出撃します」
 NA(ニャンニャンアーミー)!《鋼獣軍》のユニットだ。コスト3、パワー3000。『【アーミー集合!】このユニットが場に出たとき、自分の山札の上から5枚まで見て、その中からカード名に『NA』をもつユニット/アーマメントカード1枚までを選び、手札に加える。【アーミー集合!】は1ターンに1回まで使ってよい』!
 マネギの能力によってエルは手札に『NAWガトリング』を加えた。(NAWは「ニャンニャンアーミーウエポン」の略称である)
「なるほど、ニャンニャンアーミーデッキか……だけど、僕の敵じゃない!僕のターン!」
 そして、戦いは続く。互いに序盤は盤面を固めることに注力していた。エルは堅実に場を整え、NAマネギに続き『NA軍曹ミゲル』・『NA砲兵クロム』・『NA空挺兵タマキ』と低コストのNAユニットを展開。更にそれらのユニットへアーマメントを装備させながら攻め入る準備を進めてゆく。
 だがその一方で狐怪人もまた決戦に向け着々と盤面を揃えていた。銀のユニットで場を固めた上で更にリソースを増やす能力を用いて展開を加速させる!
「メインフェイズ。砲兵クロムの【爆撃】を使用し、相手のパワー4000以下のユニットを2体手札へ返します」
「ふっ。その程度で反撃したつもりかい?」
 エルは巧みにユニットの能力を活用して相手の盤面へと切り込んでゆく。だが、敵はまだ余裕を見せていた。切り札さえ来ればどうにでもなる……そう思っているのだ。
「さあ、満を持して登場だ!僕の切り札、『魔炎のヘルヴォルペス』!」
 そしてその時は訪れる!リソース加速によって早期に確保したコストで、狐怪人は遂に切り札を繰り出した!
「出ましたか」
「さあ、これでもう僕に負けはない……。バトルフェイズだ!」
 そして狐怪人は即座にバトルを開始した!
「ヘルヴォルペスでアタック!【カットイン】ありますか!」
「はい。スペルによる【カットイン】を行います」
 だが、アタックに対応してエルはカットインを宣言。手札からスペルを使用する。『ニャンニャン隠密作戦』!『【カットイン】このターンの間、自分の『NA』ユニット全ては《迷彩:このユニットは相手の効果で選ばれない》を得る』!
「なるほど、耐性をもたせてきたか!なら、このアタックは!」
「ブロックはしません。ライフダメージを受けます」
 ガァンッ!ダメージの衝撃がエルを叩く!
「くっ……損傷は、軽微……!試合続行に支障はありません」
「フッ……僕はこれでターンエンドだ。さあ、どうする?」
「……当機のターン」
 そしてエルはカードを引く。
「……ですが、こちらも整いました」
「なに……!?」
 ここでエルの電子頭脳は勝機を見出した!その手の中で輝く一枚のカード――。目配せするようにオーディエンスの中へ向けた視線。そこで微笑むのは、先ほど狐怪人に迫られていた女性絵師だ!
「当機ははじめから勝算を得ていたのです。――このカードが、今から流れを変えるでしょう」
「馬鹿な!僕のヘルヴォルペスは無敵だ。絶対に勝てない!」
「否定します。100パーセント勝利することが可能なデッキパターンは存在しません」
 エルはここでコストを支払い、アーマメントカードを展開した。
 『S-NAW(スーパー・ニャンニャンアーミーウエポン) 電磁投射砲』!コスト6!『装備条件:カード名[NA]』。
 『自分の場の『NA』のユニット1体につき、[武装]しているこのユニットのパワー+3000し、このユニットのパワーが10000以上なら、このユニットのアタックで相手に与えるダメージ+1』!
 『このユニットがアタックしたとき、自分の『NA』のユニット1体を[行動済]にすることで、このユニットを[未行動]にする』!
「――これで、突破します」
「なに……!?な、なんだ、そのカードは!」
「はい。当機がこの戦いに向けリクエストしていたカードです」
 そのカードに描かれているのは、個性豊かなニャンニャンアーミーたちが力を合わせて大型のかっこいいレールガンを運用しているイラストだ!箔押しサイン入りである!
 そしてフォーカスは盤面へと移る!エルの場に展開したユニットは――5体!ここまでブロック宣言を行わず、《迷彩》能力によるユニット保護で盤面のカードを温存していたことがここで功を奏したのだ。
「バトルフェイズに突入します」
 エルは電磁投射砲を[武装]した一等兵マネギでアタック!そのパワーは18000に達する!
「アタック時能力を解決します。『空挺兵タマキ』を[行動済]にすることでマネギをアンタップ。[未行動]状態にします」
「くそ、ッ!【カットイン】だ!そのアーマメントのアンタップ能力は他のユニットが必要!1ヘルヴォルペスの能力で除去すれば――」
 狐怪人はここであらためてエルの盤面へと視線を落とした。――そして、青ざめる。
「パワー5000以下のユニットがいないだと!?」
 本来であれば、ニャンニャンアーミーはそのほとんどがパワー5000に満たない小型ユニットだ。しかしエルはそれを見越してここに至るまでアーマメントカードを場のユニットたちへ[武装]させておくことでそのパワーを底上げしていたのだ。
 更に、狐怪人のリソースはヘルヴォルペスを出撃させたことで能力を使うためのリソースを1回分しか残せていなかったのである。
 ダメージによって発生するリソースを考えれば止められるか――?狐怪人は思考する。
「このアタックは」
「クッ……ライフダメージだ!」
 バァンッ!電磁投射砲が狐怪人のライフを叩き砕く!ダメージを負った分のカードはリソースへと置かれ、ヘルヴォルペスのカットイン能力を起動することが可能となるが――
「マネギで再びアタックします」
「ッ……!だ、ダメだ。足りないッ!馬鹿な、計算を違えたのか!?この僕が――!」
 ライフダメージ!マネギは続けて『砲兵クロム』を[行動済]にすることでアンタップ!更なる追撃が一気呵成に狐怪人のライフへと攻め寄せる!
 そして――!
「このアタックは」
「く、ッ……ライフダメージ……ぐああああああああああッ!」
 決着!5点目のライフダメージを撃ち込まれ、狐怪人が血を吐きながらステージを転げ落ちる!
「状況、終了。制圧《Vanquish》が完了しました」
 ――Vanquish!勝者、エル・クーゴー!
 歓声と共に盛り上がるオーディエンス。
 レールガンのイラストを担当した女性絵師が、微笑んでエルに手を振った。エルは視線を向けながら手を振り返し、そして彼女へと勝利を伝えるようにカードを掲げたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火霧・塔子
平和なキマフュに現れた侵略者!
これに対抗するには"革命"の力しかありません!
ライフが減った状態だと効果が発動する"革命"のカードで狼少年さんに立ち向かいます!

攻撃的な赤黒デッキ、ハンデスで相手の攻め手を削りつつ、こちらからもガンガン攻撃です!
攻撃や防御をすると自爆する代わりに低コスト高スペックな火炎瓶ユニットで攻めて行きましょう!

こちらがトドメを刺されそうになったらタイミングでUCのカードをカットイン!
ライフが残り1の時のみ使える効果、このUCは場の全てのカードを自陣もろとも破壊します!
返しのターンで空になった場にペインターさんにカード化してもらった私自身を召喚し、反逆革命な速攻アタックです!



「チクショウ、猟兵どもめ……絶対ゆるさねー!次こそ俺のカードでギタギタにしてやるッ!」
 吠える狼少年がその牙を見せつけながらイベント会場を走り、怯えるゴッドペインターを追う。
「平和なキマフュに現れた侵略者……悪事はそこまでです!」
「――来やがったな猟兵野郎ォ!」
 バーンッ!!爆裂する火薬と共に会場へと現れる火霧・塔子(f16991)が、狼少年の道を遮った!
「ええ、アナタに勝負を挑みます!」
 そしてすぐさまその手にデッキを構える。そのカードはまごうことなくヴァンキッシュ!
「ヘッ。話が早えーじゃねーか……いいぜ、俺のデッキでズタズタにしてやる!来いッ!」
 応じて嗤う狼少年。2人の間に交錯する視線が火花を散らす!そして場面はすぐさまスタンディングヴァンキッシュステージへと移行するのである!

「いくぜ、ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 そして戦いの火蓋が切って落とされる!公式ルールに則ったじゃんけんによって先攻を取ったのは狼少年だ!
「俺のターン、ドロー!リソースに緑を置いてエンド!」
「わたしのターン!リブート・アンド・ドロー!そして赤のリソースを置き、続けてメインフェイズ!赤1コストで『火炎瓶戦士ヒダネル』を出撃!」
「1コストユニットだと!?」
 火炎瓶戦士ヒダネル!コスト1!パワー3000!『このユニットが相手のライフにダメージを与えたとき、このユニットをトラッシュに置く』!《暴族》の速攻用ユニットだ!
「ヒダネルでアタックです!」
「ぐあッ!」
 バアンッ!速攻アタックが狼少年にダメージを与える。自爆テキストが起動し、ヒダネルはその瞬間に爆発四散!これで塔子はターンエンドする。
「このアマ……!だが、甘いぜ!リブート・ドロー!リソース!」
 ここで狼少年のリソースは3枚目!ヴァンキッシュのルールにおいては、受けたダメージは山札の上からリソースへと裏向きで置かれることで表現される。こうして裏向きでリソースに置かれたカードは、それより以降いずれの色のリソースとしても扱うことができるのだ。つまり、速攻でダメージを与えることは相手の展開加速にも繋がるのである!
「俺は3コスト払ってスペル『芽吹きの祝福』を使用!更にリソース加速だ!」
 『芽吹きの祝福』!『自分の山札の上から1枚をオープンし、そのカードを自分のリソースへ[行動済]で置く』。これによって更にリソースを伸ばし狼少年はターンを終了。再び塔子へと手番が回る。
「わたしのターン!リブート・ドロー!黒のリソースを加え……では、ここでわたしは『強奪する暴徒』を出撃しますよ!」
「てめえ、赤黒混色かッ!」
 『強奪する暴徒』!赤黒・コスト2!パワー1000!『このユニットがアタックしたとき、自分は手札を1枚破棄してよい。そうしたとき、相手は自身の手札を1枚選び、破棄する』!ハンデス能力をもったカードだ!
「攻め手を削らせてもらいますよ!暴徒でアタック!わたしはここで手札を1枚捨てます!さあ、ハンデスですよ!」
「クソッ!」
 ブロッカー不在のフィールドを暴徒が走る!バァンッ!2点目のダメージが狼少年へと叩き込まれた。
「ヤロー……なめやがって!俺のターン!」
 ――状況は塔子が押しているかのように見える。しかし、カードバトルとはただアタックするだけではいけないのだ。
 与えられたダメージがリソースとなり、そして先のスペルの効果によって狼少年のリソースは既に5枚目に達していた。対する塔子のリソースは2枚。これはここからの攻め手に大きく影響する。
「リソースを置いて6枚目だ……!メインフェイズ!こっからが本番だぜ、クソ女ァ!」
 6コスト!ここで狼少年の切り札が出撃する!『狂乱のジェノサイヴォルフ』の登場だ!
「……だが、ここでターンエンドだ」
 しかし、狼少年はここで攻撃の手を止める。――ダメージによる相手のリソース増加を警戒したのだ。次の手番で更にユニットを展開し、一気呵成に叩き潰してやろうという算段なのである。
「出ましたね……。侵略の切り札!わたしのターン!」
 塔子はリソースへとカードを加える。これで彼女のリソースは3枚目。――塔子は静かに息を吐き、そして思考する。
 生半可な攻め手では次のターンの逆襲を耐え切れまい。であれば、一度は防御を固めるべきだ。短く思考を纏めて、塔子は次の手を打った。
「3コストで『火炎瓶の悪魔』を出撃!」
 『火炎瓶の悪魔』は3コストのユニットであるが、7000という高水準のパワーをもつ。しかし、『このユニットがアタック/ブロックしたバトルの終了時、このユニットが場にいるなら、このユニットをトラッシュに置く』制限があるのだ。
「更に、タクティカルゾーンにカードをセットします!そしてバトルはせずターンエンド!」
「チッ。小賢しい真似を……俺のターン!リソースを置き……絶望を見せてやるぜ!出ろッ!ジェノサイヴォルフ!」
 返すターン!ここで狼少年は2体目のジェノサイヴォルフを出撃させた!
「2体目……!?」
「ハハハハッ!2体あわせて6回攻撃!しかも俺にはまだライフが3点も残っている……。テメーを殺し切るには十分だぜ!ファイナルターンだ、クソ女ァ!」
 哄笑!狂ったように嗤いながら、狼少年がバトルフェイズへと入る!
「いくぞ、1体目のジェノサイヴォルフでアタックだ!【カットイン】ありますか!」
「ありません!火炎瓶の悪魔でブロックします!」
 ざッ!狼の爪が火炎瓶の悪魔を薙ぎ払う!能力によって[未行動]になったジェノサイヴォルフで、狼少年は続けてアタックを宣言した!塔子は2回目のバトルもまたユニットでブロックする。『強奪する暴徒』が爆散!
「まだまだアッ!」
 容赦なく続くアタック宣言!続けて2体目のジェノサイヴォルフがアタックする!
「くッ……!」
 ざしゅッ!切り裂く爪の一撃!ダメージの衝撃に塔子が呻く!
「タクティカルバーストは?」
「……宣言しません!」
「【ユニットの破壊時】でも【ライフ減少時】でもねえってことか?はは、だが止められないなら好都合だ!このまま削り切ってやる!」
 またしてもアンタップするジェノサイヴォルフ!続くアタックが更に塔子へとダメージを叩き込んでゆく!2点目!3点目!この時点でまだもう一体のジェノサイヴォルフが[未行動]状態で残っている――。
「このアタックで残り1点――ハハハッ!次でとどめだ!ここでジェノサイヴォルフ第二の能力を発揮!」
 更なるアタック宣言!ここで狼少年は自身のライフにダメージを与えることで、ジェノサイヴォルフを更にもう一度[未行動]にする!
「くあ……ッ!」
 斬撃ッ!これでダメージは4点!そして未行動状態のジェノサイヴォルフが残った状態だ。絶体絶命の状況である!
 ――しかし!
「……タクティカルバースト!」
「ここでタクティカルバーストだと!」
 ――タクティカルバースト!それは、【タクティカルゾーン】に裏向きで置いたカードを発動させることを意味する。
 タクティカルゾーンに裏向きで置かれた【タクティクス】カードは、条件を満たすことでコストを払わずその効果を発揮できるのだ。
 塔子がオープンしたのは――スペル『覆せ、革命の一灯』!コスト7!『【カットイン】お互いの場の全てのカードをトラッシュに置く』。
 『【タクティクス:相手によって自分のライフが減ったとき】[革命4(自分のダメージが4以上なら使える)]コストを支払わず、このカードの【カットイン】効果を発揮する』!
「ら、ライフ1のときに使える能力だと!?」
「そうです。わたしははじめからこれを狙っていました……。その侵略に対抗するには、"革命"の力しかありません!」
 そして、爆発!燃え上がるフィールドに飲み込まれ、ジェノサイヴォルフが燃え尽きる!
「クッ……タ、ターンエンドだ……」
「わたしのターン!そして、今こそ反逆の時っ!!」
 ――返すターン!塔子の双眸に炎が燃える!抜き放つカードを掲げ、塔子は最後の切り札を盤面に投入した!
「これで決めますよ!出撃です、『燃える革命 カギリ・ザ・シェイカー』!」
 『燃える革命 カギリ・ザ・シェイカー』!それは協力的ゴッドペインターによってデザインされた、塔子自身をモチーフにしたユニットカードだ!
 コスト7!パワー8000。『[革命X]自分のダメージ1につき、このユニットのパワー+1000』!
 『[革命2(自分のダメージが2以上なら使える)]このユニットが相手に与えるダメージ+1』!
 『[革命4(自分のダメージが4以上なら使える)][ターン1回]このユニットがアタックしたとき、相手のユニットを1体まで選んでトラッシュに置き、このユニットを[未行動]にする』!
 ――いずれの能力もダメージを前提した発動条件を必要とするが、戦況を一気にひっくり返す攻撃性能をもったカードだ!
「な、なんだと……!」
「いきます!わたしでアタック!」
 そして――ライフを守るユニットは、狼少年の場にはない!狼少年に残る2点分のライフ――そこにめがけて、塔子が飛び込んだ!
「ぐ、ぐああああああああああああっ!」
 爆発!炸裂する炎が、狼少年の最後のライフを破壊した!すなわち、これにて決着である!
「さあ、勝ち名乗りをあげますよ――ヴァンキッシュ!」
 Vanquish!――勝者、火霧・塔子!狼少年がステージからもんどりうって転げ落ちる!その一方で勝ち鬨を上げる彼女の姿を、オーディエンスたちの爆発的な喝采が包んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
そうだな、オブリビオン相手だからやってもいいでしょ。
何故多くの宗教で賭博が戒められているのか。
その理由の一端を教えてあげよう!

用意したのは手札が揃えば超強いが事故率の高いコンボデッキ。
ただしサーチ系のカードはろくに入れてない。
何故こんな一見無茶なデッキなのか。

例えばカードゲームをするとき、誰しも一度は良い手札が引けるように祈り、運命を引き寄せようとしたことが有るはずだ。
それを祈りの専門家たる聖職者が行えばどうなるか?
そう、他者の運命さえねじ伏せて自らへ引き寄せてしまうのさ!
要するに、聖職者は運の絡むゲームに強いんだよ!

理解したら私の祈りの前に、ありえない手札事故を起こしつつボコられるんだな!



「ち、チクショー……!なんなんだよ、どうなってんだよ!!」
 文句!狼少年は度重なる敗北によって強大なフラストレーションに晒されていた!
「クソがッ!」
 ばがんッ!怒りに任せて会場の壁を蹴る!
「見つけたよ、オブリビオン!」
 だが、そんな悪事は許してはおけない。そこへびしと指を突き付けながら叫んだのは、エダ・サルファー(f05398)であった。
「なんだ、てめえ……いや、わかってるぞ。テメーも猟兵だな……なら俺とヴァンキッシュで勝負しやがれ!!」
 ばっ!素早い動作で狼少年がデッキを取り出す!
「カードゲームか……」
 エダは僅かに思案した。
 カードゲーム――それは即ち、『カードを用いた遊戯』であり、いわばギャンブルの範疇に入ると言えなくもないものである。
 なるほどたしかにカードパックの開封は当たり外れがあるし、実際のカード運用においても強力なカードやその場に対応したカードを手札に引き込めるかどうかという運が絡む。射幸心を煽る遊びであることは間違いないだろう。
 こうした遊戯やギャンブルは、多くの宗教において戒められている。アックスアンドウィザーズ世界においてもその価値観は通ずるものがあり、聖職者であるエダ本人としてもそれにならって賭博に関わる沙汰は避けるようにしていた。
 しかし。
「そうだな、オブリビオン相手だからやってもいいでしょ」
 そう、今回は世界の平和を守るためのオブリビオン案件である。お天道様もお許しくださることだろう。エダはその勝負に乗った。

「いくぜ!ゲットレディ!」
「えーっと……ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 かくして舞台はスタンディングヴァンキッシュステージへと移る。公式ルールに則ったジャンケンによって先手を取ったエダがカードを引き、ターンを開始した。
 リソースへと置かれたカード属性は白。《聖域》や《聖戦士》、《ヴァルハラ》といった光の戦士たちをイメージしたカラーだ。悪を阻む妨害能力や、仲間たちが結束することで力を増す能力を持つ。
 対して狼少年はこれまでの戦いと同じく赤緑のヴォルフ速攻だ。互いに序盤は動かず、静かな流れが続く。
 動き出したのは4ターン目。ここで狼少年は『コソ泥ビシン坊』を出撃させる。相手にライフダメージを与えた時にリソースを増加させる能力をもつユニットだ。
「いけッ!アタックだ!」
「カットインはないよ!ライフダメージを受ける!」
 ばぁんッ!ライフダメージの衝撃がエダを襲う。しかしエダは歯を食いしばり踏み止まった。
「はははっ!ならビシン坊の効果発揮だ!デッキの上から1枚をリソースに……」
 一方、狼少年はビシン坊の能力によってデッキの上を1枚オープン。そしてそのカードをリソースへと置く。
 置かれたカードは――『狂乱のジェノサイヴォルフ』!
「なにッ!?」
 ――リソースエリアに置かれたカードは、それ以後色のみを参照するカードとして機能する。
 また、そこに置かれたカードは、『リソースのカードを手札に加える/場に出す』の能力をもつカードを使わなければ移動することはできないのだ。
「おや、キーカードが沈んじゃったのかい」
 残念だったね、とエダは笑う。
「じゃあ、今度はこっちの番だ!いくぜ!」
 そして返すターン、エダは手札からユニットを展開した。『聖域の祈り巫女』!コスト5。『【救世の祈り】このユニットが登場したとき、自分は手札を1枚破棄してよい。そうしたとき、山札の上から3枚までオープンし、その中の《聖域》をもつコスト7以下のユニットカードを1枚まで選び、コストを支払わず場に出す。残ったカードは山札の下に置く。【救世の祈り】は1ターンに1回まで使える』!
「私は手札を1枚捨てて【救世の祈り】を発動!山札の上から3枚を開くよ!」
 そしてエダはデッキをめくった。
 1枚目は『聖騎士の誓い』。コスト4のスペル。
 2枚目は……『聖堂騎士アルバート』。コスト5の《聖域》ユニット。そして3枚目!
「……よしきた!私はここで『聖堂騎士団長オズワルド』を出すよ!」
 聖堂騎士団長オズワルド!コスト7、パワー7500。『このユニットが登場したとき、このユニットを[行動済]にし、自分の手札を3枚まで破棄してよい。そうしたとき、このユニット以外の自分のユニット1体を自分の山札の下に置き、その後、自分の山札の上から5枚まで見て、その中にある『オズワルド』以外の《聖域》をもつユニットを、この能力で破棄した手札のカード1枚につき1体、コストを支払わず場に出す』!
「よし来た!オズワルドの能力を使うよ。オズワルドを[行動済]にして、手札を3枚破棄!」
「馬鹿な……!」
 慄く狼少年をよそに、エダは続けてデッキを捲る!
「祈り巫女はデッキの下に行くけど……その分は補充するよ!オープンしたカードの中から、私は『従騎士アルエット』、『聖戦馬ゼルヴァハス』!そして『伝説騎士セイファート』を出撃だ!」
 『従騎士アルエット』。コスト4。パワー6000。『自分の《聖域》をもつユニットがアタックしたとき、このユニットを[行動済]にしてよい。そうしたとき、アタックしているユニットを1体まで選び、そのユニットのアタックが相手のライフに与えるダメージ+1する』!
 『聖戦馬ゼルヴァハス』。コスト5。パワー7000。『[ターン1回]自分のコスト6以上の《聖域》をもつユニットがアタックしたとき、このユニットを[行動済]にすることで、アタックしているユニットを1体まで選び、[未行動]にする』。
 『伝説騎士セイファート』。コスト8。パワー13000。『このユニットがアタックしたとき、相手のリソースを2枚まで選び[行動済]にする』。
 『自分の《聖域》をもつユニットが4体以上いるとき、このユニットのアタックが相手のライフに与えるダメージ+1する』!
「な、な、なんだと……!?そ、そんなのあるか!お前が出したのは『祈り巫女』だけじゃねえか!?なんで、ッ!なんでそんなに都合よく出るんだよ!?」
 エダの盤面に並んだカードは、もはやゲームエンドに持ち込むには十分だ。ランダム性が強く爆発力には定評があるものの、安定性に欠けることから『坊主めくり』と揶揄される《祈りガチャ》デッキであったが、ここに見せた盤面はその中でも最大級の『上振れ』状況であった。
「……うん。教えてあげよう」
 対し、エダは緩やかに微笑む。
「なぜ多くの宗教で賭博が戒められているか、わかるかい」
「堕落するとかそういうヤツだろ……?」
「いいや、それだけじゃないのさ」
 エダは一拍置いてひと呼吸した。そしてセイファートでのアタックを宣言。同時にアルエットの能力で与えるダメージを上昇させ、更にゼルヴァハスの能力によって[未行動]状態へ!
「例えばカードゲームをするとき、誰しも一度は良い手札が引けるように祈り、運命を引き寄せようとしたことが有るはずだ」
 そう。カードゲームは戦略のゲームであるのと同時に、都合よく必要なカードを引き込めるように願う祈りのゲームでもある。
 それを祈りの専門家たる聖職者が行えばどうなるか?
「そう、他者の運命さえねじ伏せて自らへ引き寄せてしまうのさ!」
「んな……ッ!」
 そんな馬鹿な、と言おうとした狼少年であったが、それがあながち嘘でもないかもしれない、ということは、目の前に展開された盤面がなによりも雄弁に物語っていた。
「要するに、聖職者は運の絡むゲームに強いんだよ!」
「ら、ライフダメージ!!」
 ずあ、ッ!素早く戦場を馳せた伝説騎士セイファートが、鋭く刃を突き入れる!自身の能力とアルエットの補助が重なり一撃で3点!
「これが祈りの力だよッ!!」
 ゼルヴァハスの能力によって[未行動]になっていたセイファートは、続けてもう一度アタックが可能だ!自身の能力でダメージは上昇し2点!先の攻撃と合わせて5点のライフを砕き、戦いの結末を飾る!
「ぐあぼッ!!」
 血反吐を吐いて吹き飛ぶ狼少年がステージ下に転げ落ちる!
「これで……ヴァンキッシュさ!」
 Vanquish!勝者、エダ・サルファー!滅多に見られぬ運ゲー勝ちに、オーディエンスが盛り上がる!
「ち、チクショウ、覚えてやがれ……!」
 勝ち鬨と共に挙げられた拳を、狼少年が血を拭いながら見上げていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・クロト
……相手緑多くね?
まぁ、なんとかすんのが仕事なんだけど……ひょっとしたら此処に『絵師様ご本人』とか居たりする奴?
仕事じゃなかったら挨拶したりしたいんだけどなァ………

……あ、なんか昨晩のノリでサイバーアイドルデッキとかあらぁ。
……身内見てないしいっか(油断)

ステージを維持し続けて場持ち良くして行くんだが、基本的にこいつら『自分』か『仲間』しか対象取らないんだよな……
曲がりなりにもアイドルが強化で腕太くして(打点的な意味で)一方的に殴りかかるのはどうなんだか。好きだから使うけど。

※アドリブ可&相手お任せ



「ふーん……なるほど」
 霧島・クロト(f02330)は会場内をゆっくりと歩きながら、オブリビオンの気配を探る。
「しばらくぶりのヴァンキッシュだが……、まァ、なんとかなるだろ」
 クロトは手の中でカードデッキを弄びながら、敵とのヴァンキッシュに備える。
 ――これまで他の猟兵たちが戦ってきた試合内容から、クロトは敵ヴァンキッシャ―のデッキ傾向を観察していたのだ。敵の姿を見つけ次第、クロトは仕掛けるつもりでいる。
「あーっと……。敵は『赤緑ヴォルフ速攻』、と……『銀緑ヴォルペスコントロール……あとは『緑単パンサー』だったな」
 いずれのデッキも、《獣魔》属性のフィニッシャーユニットを叩きつけて勝利を目指すスタイルだ。どのデッキもリソースブーストを多用し、キーカードを早期に出すことを基本としている。
「……緑多くね?」
 クロトは眉間にしわを寄せながら首を傾いだ。
 ――それは仕方のないことなのかもしれない。オブリビオンたちはいずれも獣人種であり、彼らはデッキに愛着をもてるように自分たちのイメージに近いカードをキーユニットとして選定したのだ。そうなれば、必然的に彼ら獣人種に近い緑属性の《獣魔》が選ばれる。3人全員が緑属性のデッキ使いになるのは当然と言えば当然であったのだ。
「まぁ、どんな相手だろうがなんとかすんのが仕事なんだけど……おっと、どうも」
 クロトは途中で差し掛かったサークル出展ブースエリアで通りがかりに頭を下げる。そこに居たのはヴァンキッシュにカードイラストを提供しているイラストレーターたちだ。
「ひょっとしたら此処に『絵師様ご本人』とか居たりする奴……?仕事じゃなかったら挨拶したりしていきたいんだけどなァ――」
「……僕に逆らおうっていうのかい?そんなことできるわけない。何しろ僕はお前達よりずうっと強い――ほら、反論できないだろう?なら僕の勝ち……」
「……おお、言ってるそばから出やがった」
 仕事の時間だ。やれやれ、と肩を竦めてからクロトは進んだ。その先にいたのは――絵師へと詰め寄るカゲキマイラーズの1人、狐怪人である!
「おい、お前」
 クロトは素早く詰め寄って、狐怪人の背を叩く。
「なん――……げっ!猟兵!」
「よう。猟兵だぜ。なあ、ヴァンキッシュすんだろ?」
 振り向いた狐怪人に、クロトは獣のような笑みを向けてみせた。
「く、クソッ!仕方がない……こうなればお前をブチのめし、猟兵の首を手土産にしてやる!」
「ハッ。威勢はいいじゃねェか。いいぜ、構えろよ……。返り討ちにしてやるぜ!」
 対峙するまなざし!ぶつかり合う闘志!かくして舞台はスタンディングヴァンキッシュステージへと移り、そして戦いが始まる!

「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!俺のターンだッ!」
 公式ルールに則ったじゃんけんにより、クロトは先手を得る!ここで彼がリソースに置いたのは――♡(ピンク)属性のカード!
「なに……!?♡(ピンク)属性だと!?そのナリで!?」
「うるせえ!」
 困惑する狐怪人へとクロトは一喝する!
 ♡属性とは、可憐なアイドルたちを扱ったカワイイイラストを用いたカード群である。個性豊かなアイドルたちを扱い、《アイドル♡》や《キラキラ☆》といった独特の属性をもつ。
 ――そして、試合は進む。
 狐怪人は緑のリソースブーストの動きを重視し、リソースエリアのカードを増やしてゆく。切り札であるヘルヴォルペスの早期出撃を念頭に置いた動きは変わらない。
 一方、クロトはまずフィールドカード『グリッターアイドルステージ!』を展開した。『自分のコスト3以下の《アイドル♡》は相手の効果でトラッシュに置かれない』『自分の《キラキラ☆》が相手の効果の対象になったとき、このカードをタップしてよい。そうしたとき、自分の《キラキラ☆》はその効果を受けない』。♡属性のユニットへと耐性を与えるカードだ。
「なに……耐性付与フィールドだと!?」
「おうよ。アイドルはおさわり厳禁だぜ」
 ヘルヴォルペスによるパワー減算能力を逃れようというつもりか。小癪な。狐怪人が歯噛みする。
「だが、そのカードだけで僕に勝つことはできない!僕のターンだ。リブート・ドロー・リソース!メインフェイズに緑と銀を含む3コストで『開拓騎兵トンデン』を出撃!搭乗時能力で山札の上から1枚をリソースへ追加!」
 開拓騎兵トンデンは登場するだけでリソースを加算できる銀緑混色デッキの定番ユニットだ。出撃するのに2色のリソースを要求することから、混色ユニットは同コスト帯のユニットよりも強力にデザインされていることが多い。トンデンはリソースブースト能力を持つうえで、コスト3ユニットの中では高いパワー5000という数値を保っていた。ブロッカーとして最低限の仕事もこなせる水準だ。
「これで準備は整った。次のターンで僕の切り札は戦場に降り立つ……ここからが本当の地獄だ!覚悟しておくといい!」
「ハッ。出してもいないのにもう勝ったつもりか?勝ち誇るにはまだ早いぜ」
 返すターンでクロトはユニットを出撃させる!『ツナガルドリーム♪ リリ・ラ』!《アイドル♡/キラキラ☆/電脳》をもつカードだ。コスト4。パワー4000。『このユニットが登場したとき、自分は手札1枚を捨ててよい。そうしたとき、自分は手札からコスト4以下の《キラキラ☆/電脳》をもつユニットをコストを支払わず場に出す』!
「リリ・ラの能力で俺は続けて手札から『ルゥ・ラ』を出撃!」
 リリ・ラの能力によってクロトが次に展開したのは、『ツナガルドリーム♪ ルゥ・ラ』!コスト4。パワー6000。同じく《アイドル♡/キラキラ☆/電脳》!『自分の《キラキラ☆》をもつユニット1体につき、このユニットのパワー+1000』!
「チッ!コスト踏み倒しの召喚能力か!だが……その程度の展開では僕のヘルヴォルペスを突破することは不可能!」
「それはやってみなくちゃわからねェな!」
「なら、今からそれを証明してやる……僕のターン!リブート・ドロー!リソースを置いてこれで7枚目!さあ、ここからだ!6コストを支払い、手札から魔炎のヘルヴォルペスを出撃する!」
 吹き上がる狐火!戦場に突如燃え広がった魔炎……その中から現れるヘルヴォルペス!その双眸をあやしく光らせながら、クロトのフィールドに展開したアイドルたちを睨めつける。
「……フッ。だけど、僕はここで焦ってバトルをしかけるような考えの浅い低級ヴァンキッシャ―じゃない。ここはターンエンドといこう。どの道、もう僕のコントロールは始まっているんだからね」
「そうかいそうかい。……で、勝ち誇ってるところ悪いけどなァ」
 ――悪いお知らせだぜ。クロトは口の端をつり上げる。
「俺のターンだ。リブート、ドロー。そしてリソースを置き、これで6コストに到達。……んじゃ、行かせてもらうぜ。メインフェイズ!」
 ひゅッ!ここでクロトは一枚のカードを掲げた。それは♡(ピンク)のハイエンドレアの1枚!クロトは♡を含む6コストを支払い、そのユニットを出撃させる!
「ショウ・タイムだ!行け、『ツナガルドリーム♪ ララ・ラ』!」
 『ツナガルドリーム♪ ララ・ラ』!コスト6。パワー1000。他の『ツナガルドリーム♪』同様に《アイドル♡/キラキラ☆/電脳》をもつユニットである!
 『自分の場の『ツナガルドリーム♪』1体につき、このユニットのパワー+3000』。『自分の『ツナガルドリーム♪』が3体以上か、《キラキラ☆》が4体以上場にいるなら、自分の《キラキラ☆》をもつユニット全ては相手のユニットの効果を受けない』!
「な……ッ!?た、耐性能力だと!?」
「『効果を受けない』能力を自分しかもってねェなんて思ったのがお前の敗因だぜ。――バトルフェイズ!『ララ・ラ』でアタックだ!」
 煌めく粒子を瞬かせ、サイバーアイドルユニット『ツナガルドリーム♪』のセンターをつとめるララが飛んだ。アイドルたちはそれぞれの電脳を繋ぐことでデータをリンクし、そして息の合ったコンビネーション・パフォーマンスを見せつけるのだ。これにより上昇しているパワーはリリ、ルゥ、ララの3体分を計算し、+9000!
「ララのパワーは1000から9000上がって10000だッ!そのキツネ野郎の効果は効かねェぞ――スペルの効果は受けちまうのが穴だが、そのデッキがカウンタースペルなんか積んでねェのはもう見え見えなんだよ!」
「く、くそッ……ライフダメージ!!」
 バァンッ!ララのアタックがライフを砕く。ダメージに呻く狐怪人!
 ――そう。狐怪人はヘルヴォルペスの能力である『[カットイン]/1コスト支払うことで、相手のユニット1体を選び、このターンの間、パワー−5000。この能力によってパワーが0以下になったユニットを相手の手札に戻す』に依存しきっていたのだ。回数制限もなくコストさえあればいくらでも打てるこの強力な能力さえあれば負けることなどない。そう思っていた――今までは。
「続けてルゥでアタック!こっちは元値6000から、ユニット3体で3000上昇!パワー9000だ!」
 続くアタック!――狐怪人はこれも素通しした。ヘルヴォルペスのパワーは7500。これはコスト5相当のパワー値である。その能力の強さから、ヘルヴォルペスはパワー値を抑えられたデザインをしているのだ。パワーで勝負を挑めば、あっさりと打ちのめされてしまうだろう。
「だ、ダメだ……返せない!返す手段がない……!」
 返すターンで狐怪人は苦肉の策に出る。手札のユニットを可能な限り展開し、強引にブロッカーを立てたのだ。
「ああ、だろうな。だからここから押し切らせてもらうぜ――2体目の『ツナガルドリーム♪ リリ・ラ』を出撃!」
「なに……ッ!!だ、だが、一体増えたくらいでッ!」
「まだだッ!更に俺は手札からスペル『キズナチェイン♪』を発動!これで決めさせてもらうッ!」
 スペル『キズナチェイン♪』!コスト3。『自分の♡(ピンク)のユニットを1体選び、このターンの間、『このユニットのアタックがブロックされたとき、このユニットを[未行動]にする』を得る。自分の場に『ツナガルドリーム♪』が3体以上いるなら、この能力は自分の『ツナガルドリーム♪』すべてが得る』!
「ブロックされたらアンタップする……ッ!?む、ムチャクチャだ。そんなの、どうやったって……!」
「ああ、そうさ。これで俺の『ツナガルドリーム♪』はお前のライフを砕くまで止まらねェ。……さあ、これで終わりだ!」
 狐怪人は慄いた。――これで“詰み”の盤面だ。ヘルヴォルペスの能力を使うだけのリソースは残っているものの、『ララ・ラ』の耐性付与能力によってそれは無力化されているに等しい。
 彼にできるのはただ、唇を噛みながら甘んじて5点目までのライフダメージを受けることだけだった。
「――ヴァンキッシュだッ!」
 Vaquish!最後のライフを砕かれた狐怪人が、悲鳴をあげて吹き飛んだ!
 ――勝者、霧島・クロト!力強く拳を掲げ、クロトは勝ち誇る!

「……しかし、こいつら」
 ――余談であるが。
「曲がりなりにもアイドルが強化で腕太くして一方的に殴りかかるってーのは……どうなんだか」
 今回クロトの用いたサイバーアイドルユニット。『ツナガルドリーム♪』は自己パンプを重ねてあげたパワーで殴りかかるパワフルなカードデザインだった。相手プレイヤーやユニットへの干渉は一切なかったと言っていい。
 よくよく考えれば『とんでもなくムキムキにビルドアップしたアイドルが敵を肉体言語で粉砕する』――ようなイメージを想起できなくもない。それを思うと、クロトはややげんなりした気持ちになるのであった。
「……まァ、好きだから使うけど」
 ――ともあれ、イメージは人それぞれである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
ホント、色々出てくるわねぇ…
ま、とりあえずブッ潰しましょうか。

あたしは狼クン相手にするわぁ。…ハウンドも引っかからないし、微妙に面倒ねぇ。
今回使うのは赤と銀。普段は黒使いなんだけど、ちょっと趣向変えましょうか。

まずは赤の展開力と銀の防衛力で時間稼ぎしましょ。【撤退命令】とか【防陣構築】とか手はいろいろあるわねぇ。
ねぇ、気づいてる?コンボパーツと違って、単騎で完成された戦力って…「相手が使っても強い」のよぉ?
切札を誘発させて【反逆の扇動】起動。「対象をアンタップし、このターンのみコントロールを得る」わぁ。ライフを削るも敵陣を荒らすもよし。使い終わったら最後は【特攻指令】で自爆させちゃいましょ。



「おらあッ!!」
 八つ当たり!!狼少年が一般キマフュ民を追い立てながら乱暴に吠える!!
「まーたヴァンキッシュとはねぇ……」
 その様子を見つめる猟兵はティオレンシア・シーディア(f04145)――既に幾度となくヴァンキッシュ戦を経験した猟兵であり、現環境のヴァンキッシャーの中でもトップクラスの実力者であった。
「前回のルチレイテッドに、今回の連中に、ホント、色々出てくるわねぇ……」
 そしてティオレンシアはホルスターめいて腰に吊るしたケースから、カードデッキを抜き放つ。その手に光るカードはまごうことなくヴァンキッシュのそれである!
「ま、とりあえずブッ潰しましょうか」
 しゅッ!素早い身のこなしで狼少年の前へと躍り出たティオレンシアは、その眼前にカードを突き付けながら道を阻む!
「はぁい。ご機嫌いかがかしらぁ?……勝負しにきてあげたわよぉ」
「テメエ……テメェも猟兵かッ!」
「猟兵だ!」
「見たことあるぜ、一流のヴァンキッシャーだ!」
 ぎりと歯を噛み鳴らし敵愾心を剥き出しにする狼!それと対照的にティオレンシアの登場に沸き立つキマフュ民たち!会場の熱気はやにわに高まる!
「今度こそ……今度この俺のジェノサイヴォルフでブッチめてやるッ!ゲットレディ!」
 対峙しながら狼少年がカードデッキを構える。そして舞台はスタンディングヴァンキッシュステージへと移行するのだ!

「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 かくして2人の試合が始まった。公式ルールに則ったじゃんけんにより狼少年が先攻を得る。リソースに赤のカードを加えてターンエンド。一方、返すターンにティオレンシアもまたリソースを置くにとどめる。
 はじめはお互いに状況を整えながら敵の出方を伺う段階だ。初見の相手については、リソースに置かれたカードからデッキタイプを類推するところからが始まりであると言える。ただし、これについてはティオレンシアに大きなアドバンテージがあった。これまでの戦いの中で、敵のデッキパターンは読み切れている。あとは、デッキが自分に応えてくれるかだ。
「メインフェイズ。あたしは手札から赤のスペル、『兵員招集』をプレイするわぁ。効果によってユニットを展開するわね」
 『兵員招集』はコスト4の赤のスペルだ。『山札の上から、コスト3以下の赤のユニットカードが2枚出るまでオープンし、オープンした中からコスト3以下の赤のユニットカード2枚を自分の場に出す』。速攻を意識した赤のスペルである。ティオレンシアはこのスペルにより『疾走するフレイムライダー』と『竜人騎兵』を出撃。盤面を増やしてターンエンドする。
「チッ、小賢しい真似を……だがッ!!」
 返すターンで狼少年は手札からスペル『息吹く緑の世界』を使ってリソースを伸ばしてターンエンド。一方ティオレンシアは続くターンで更にユニットを展開する。
 ――そして、次のターンである。ここで狼少年のリソースは7枚目に達した。
「出ろッ!俺の切り札!疾く馳せよ、そして喰い殺せッ!俺は6コスト支払い、手札から狂乱のジェノサイヴォルフを出撃ッ!!」
 かくして、盤面に切り札が降りる。赤と緑を含むリソースによって、ジェノサイヴォルフが戦場に現れた。
「……出たわねぇ」
 ティオレンシアは場に展開したそのカードを睨む。
 このカードこそ、今回ティオレンシアがデッキを変えた理由の一つだ。――本来、彼女は【カットイン】能力によるカウンター戦法を念頭に置いた黒をメインカラーとするデッキを用いて戦うヴァンキッシャーなのである。
 本来の彼女のデッキのキーカードの一枚である『“下剋上”ハウンド』は、『カットイン/【手札】このカードのコストを払い、パワー10000以上の相手のユニット1体をトラッシュに置くことで、手札にあるこのユニットを自分の場に出撃する』能力をもつ。相手の大型ユニットを除去する手段として多用していた切り札であったが、今回のジェノサイヴォルフはパワー9000。テキストの対象外だったのだ。
「だが、俺はこのターンは何もしない……次のターンでテメェを確実に仕留めてやるッ!」
「あらぁ。それはたのしみねぇ」
 敵意と共に睨めつける視線を、ティオレンシアは笑顔で躱す。――問題ない。この展開は想定通りだ。表情一つ変えることなく、ティオレンシアは盤面に対峙する。
 このターン、ティオレンシアはリソースを1枚増やすのみにとどめた。
「……銀のリソース?なるほど、赤銀混色だったか」
 ここで狼少年はティオレンシアがリソースへと加えたカードを見逃さなかった。このターンで置かれたのは銀属性のカード。そこからわかるのは、ティオレンシアのデッキは少なくとも2色以上の構成であるということだ。
「まぁいい。リソースも盤面も赤が主体。見えたカードの比率から考えりゃ、その銀だってタッチ程度のもんだろう!」
 狼少年は心中で勝算を求める。――いや、いける。恐らく、そこまで多くの防御手段は搭載していまい。――勝てる、と踏んで、狼少年は高らかに宣言した。
「こいつでファイナルターンだ!俺は手札からもう一体のジェノサイヴォルフを出撃!」
「……2体目。やっぱりそうきたわねぇ」
 戦場に降り立つ2体のジェノサイヴォルフ!合計で6回攻撃。自分にダメージを与える代償を払うことで更なる追加攻撃を可能とするユニットだ。
 現在、ティオレンシアの盤面に置かれたユニットは4体。――いずれもパワーは5000に満たない。
 もしティオレンシアがすべてのユニットでブロックを宣言したとしても、6回分の攻撃のうち2発はティオレンシアのライフを撃つ。更に、現在0ダメージの狼少年の状況であれば、ライフダメージを代償とすることでティオレンシアに5点目のダメージを叩き込むまでの連続攻撃が可能だ。
「タクティカルゾーンにもカードは無え。そして俺は、お前の手札に防御スペルは無いと睨む。……何故なら、お前は赤属性のユニットをそれだけ展開しながらアタックをかけてこなかったからだ!」
「……」
 狼少年の指摘に、ティオレンシアは静かに笑みを湛えてただ無言で肩を竦めた。
「図星ってことだろう……このターンで終わりだ!殺せ、ジェノサイヴォルフ!」
 沈黙を肯定と受け取って、狼少年がアタックを宣言する!狼の牙が地を馳せた!
「『竜人騎兵』でブロック」
「カットインは!」
「ないわぁ。そのままパワー負けでトラッシュ送りねぇ」
 ざッ――爪に払われ竜人騎兵が破壊される!連続攻撃能力で[未行動]になったジェノサイヴォルフは続けざまに攻撃!ティオレンシアはそれもユニットを犠牲にして守った。
「ハハハッ!貴重なユニットをそうやって消費してるってことは、防御札がないって証拠だぜ!だが、いくら悪あがきしても無駄だッ!」
 攻防!続くアタックがティオレンシアのブロッカーたちを薙ぎ払う!更なる攻撃!累計5回目のアタックがティオレンシアのライフを襲う!
「……ライフダメージ」
 衝撃!鋭い痛みにティオレンシアの身体が揺らぐ。だが、踏みとどまった。揺れる視線の先に、ティオレンシアはまっすぐに敵の姿を睨み返す。
「このままゲームエンドだ!俺はアタック時能力で1点のライフダメージを受け、ジェノサイヴォルフを更にアンタップ!」
「……!」
 ここで狼少年が詰めに入る!2点目のダメージがティオレンシアのライフへと叩き込まれた。
「さあ、あと3ダメージ!ジェノサイヴォルフでアタック!ここで更に能力を起動!俺はもう1点ダメージを受けることで、ジェノサイヴォルフをもう一度アンタップ!」
「く、ッ……!」
 3点目!続けてアンタップしたジェノサイヴォルフは狼少年へと更にダメージを加えながら、ティオレンシアの4点目のライフを奪う!
「俺のライフはこれで残り2点……だが、このアタックでお前も終わりだ!行け、ジェノサイヴォルフ!ラストアタック!」
 そして、魔狼がティオレンシアの喉元に牙を突き立てるべく戦場を駆け抜ける――!
「……残念だったわねぇ」
「なに……ッ!?」
 だが、ここでティオレンシアは口の端を歪めた。
「【カットイン】。――銀を含む3コスト。スペル、『撤退命令』よぉ」
 『撤退命令』――!銀の4コストスペル!『[カットイン]このバトル中、自分のライフは減らず、また、バトル終了時、このバトルフェイズを終了する』!
「馬鹿な……!防御札を持っていたのか!?」
「ええ。こっちの誘いにうまく乗ってくれて助かったわぁ」
 防壁ッ!スペルの効果が攻撃を押し止め、そして狼少年のターンを強制的に終了させるッ!
「――さ、今度はあたしのターンよ」
 そして、返すターンである。
「……だが、お前の盤面にユニットはいない!俺にとどめを刺すことなんざ……」
「できるわよぉ」
「なに……!?」
 涼やかな笑みとともに、ティオレンシアはカードを引き抜いた。
「あたしは手札から【反逆の扇動】を使うわぁ」
 コスト7。『相手の場のユニット1体を選び[未行動]にし、このターンの間、自分はそのユニットのコントロールを得る』!
「なッ……て、てめえッ!それは――」
「ふふ。……ねぇ、気づいてる?コンボパーツと違って、単騎で完成された戦力って……「相手が使っても強い」のよぉ?」
 テキスト発動――!スペルの能力が起動し、狼少年のユニットがティオレンシアの旗下へと移る!その対象は――当然、ジェノサイヴォルフだ!
「バトルフェイズ。――ジェノサイヴォルフでアタックするわぁ」
「なッ!ば、バカな……!馬鹿な!お、オレの、オレのジェノサイヴォルフがッ!!」
 ジェノサイヴォルフが素早く地を蹴り、そして飛び立った。その両腕の爪を振りかざし、狼少年のライフを切り刻む!
「アタック時能力でアンタップ――この子の能力は、『3回攻撃』だったわねぇ?」
「あ――ああ、ッ!や、やめ……」
「アタック」
 ジェノサイヴォルフがその牙を突き立てる――それがラストアタックとなった。最後のダメージが狼少年のライフへと叩き込まれる。
「ぐッ、お、ああああああああああああああああああッ!!」
 断末魔めいた叫びとともに、狼少年が吹き飛んだ。
「……ヴァンキッシュ、ねぇ」
 Vanquish!――勝者、ティオレンシア・シーディア!
 度重なる敗北によって、これで狼少年は再起不能となった。――これを詰問すれば、敵のアジトまでの道筋は開けるだろう。
 猟兵たちの刃は、猟書家忌火起・レッカの喉元へ着々と迫りつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
まずはシルヴァーナで参戦しメタで攻める
「狐狩りの始まりですわ」
イメージ的には赤銀

緑(獣魔)や銀(防御)に特攻のメタカードを織り交ぜた戦術を展開し、相手の得意な手を潰してゆく
「攻撃部分は緑に頼っているのではありません?」
そしてキーカードは「攻撃力の変化を封じる」フィールド魔法。ヘルヴォルペス封じでもあり、防御時に攻撃力を上げる系の効果を封じるカードでもある
「色々おイタをすれば対策もされますわ。有名税とでも思えば、悪い気はしないのではなくて?」
獣魔を撃破したら特殊効果を得られる獣喰らいとか居ても面白いかも

絵師さんには、裕美用にカードを描いて欲しいですわ
「プロデューサー・フランソワとかどうですの?」



「くッ……なんなんだ……どういうことだッ!猟兵どもがこんなにヴァンキッシュ慣れしているなんて聞いていないぞッ!」
 ――狐怪人が会場を走る。
 既に仲間の狼少年は再起不能に追い込まれたし、パンサー娘ちゃんもなんやかんやで白旗を上げてしまった。残っているのは自分ただ一人だ。
 もはや勝てる目はほぼないに等しいと言っていい。こうなれば、彼にできることはここから逃げ出すことくらいだ。
「フフ――」
 しかし――逃げ惑う狐怪人を追う猟兵の姿があった。
 中村・裕美(f01705)――否。その別人格であるシルヴァーナだ。
「狐狩りの始まりですわ」
 裕美/シルヴァーナは狐怪人の逃げ道を潰すように、その行く手を遮った。
「む、ッ……!お、お前は!」
「ごきげんよう、オブリビオン。――さあ、制圧(Vanquish)の時間ですわ。最後までとことん付き合ってもらいますわよ?」
「ち、ッ……!やはり最後までこうなるか!いいだろう。なら、僕はお前を倒してここから逃げ延びてみせる!」
 半ば捨て鉢になりながらも、狐怪人は裕美/シルヴァーナの挑戦へと応じる構えを見せた。

 かくして――舞台はまたしてもスタンディングヴァンキッシュステージへと移る。
「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!さあ、わたくしのターンですわ!」
 戦いが始まった。公式ルールに則ったじゃんけんによって先手を得た裕美/シルヴァーナがリソースへとカードを置く。
「大丈夫だ……。僕は今度こそ負けない。ヘルヴォルペスを信じるんだ……!」
 序盤は静かな立ち上がりを見せる。狐怪人は緑属性定番のリソースを伸ばす動きを取り、一方、裕美/シルヴァーナは赤と銀のカードをリソースへと置いて銀のユニットを中心に展開してゆく。
 互いにアタックを仕掛けないまま、バトルは中盤戦へと差し掛かりつつあった。
「僕のターン。リブート・アンド・ドロー……緑のリソースを置き、これで6コスト目だ!メインフェイズ、僕は魔炎のヘルヴォルペスを出撃する!」
 ここで先に動き出したのは狐怪人である!戦場に降りるのは彼の切り札である魔炎のヘルヴォルペス!その耐性能力の強さもさることながら、リソースさえあれば回数制限なく使えるパワー減衰能力の強さが光るパワーカード!
「これでターンエンド。フフフ、僕のヘルヴォルペスは相手のあらゆる効果を受けない……完全耐性ユニットだ!お前には突破できないのさ!」
「ふふ、そんなことはありませんわ?」
「……なに?」
 ――TCGプレイヤーであれば、誰であっても『魔炎のヘルヴォルペス』のカードパワーの強さに慄くことだろう。カゲキマイラーズの3人に与えられたカードの中でも、ヘルヴォルペスは頭一つ抜きんでるレベルの強さだ。シンプルに、パワーカードであると言える。
 しかし、裕美/シルヴァーナはその登場にもかかわらず、余裕めいた表情を湛えながら微笑んでみせた。
「わたくしのターン。リブート・ドロー。そしてメイン……わたくしは銀を含む4コストを支払い、手札からフィールドカード『抗重力結界』を展開しますわ」
「なに……!?そのカードは……!」
 『重力結界』――!コスト4。銀のフィールドカードだ。『お互いの全てのユニットは、お互いのカードの効果によってパワーが増減しない』!
 ――本来であれば、パンプ能力によって攻め込んでくる相手を止めるためのメタとして機能するカードである。しかし、このカードに描かれた記述はそうであると同時に、今この場に立つ狐怪人のキーカード、ヘルヴォルペスの能力に対するメタとしても機能していた!
「パワーが増減しない、だとォッ!?」
 そう――“増減しない”のである!それはすなわち、ヘルヴォルペスの能力によるパワー減算も無効化されるということだ!
「ええ――あなたのキーカードのその能力は、実に強力でしたわ。本来の実力を発揮できれば、多くのデッキが手も足も出ず敗れてしまうことでしょうね」
 裕美/シルヴァーナが嘲るように嗤った。
「ですが……色々おイタをすれば、対策もされますわ。有名税とでも思えば、悪い気はしないのではなくて?」
 ――そう。
 あらゆるカードゲームの世界において、『完全な一強』という環境はあってはならないのだ。それは即ち、デッキの作り方でプレイヤーの個性を出すというカードゲームの醍醐味を大きく損なってしまう。
 であるが故に、いかにカードパワーの高いカードがあったとしても、どこかしらに必ず付け入る隙が存在する――否、存在しなくてはならないのだ。裕美/シルヴァーナは、その上を取るための手段を見つけ出し、『メタった』のである。
「ば、バカな……僕のヘルヴォルペスが、またしても!?」
「これであなたの手は潰させていただきました……。さあ、他にはどんな手でいらっしゃいますの?」
 微笑む裕美/シルヴァーナの手の中に隠された手札には、『相手のデッキを見た上でそのメタとして機能するカード』が他にも搭載されていた。
 アーマメント、『枯死の槍』――『[武装]しているこのユニットがアタックしたとき、相手のリソースが自分のリソースより多いなら、このユニットのアタックが相手に与えるダメージ+1』。――緑のリソースブーストを見越して積んだカードだ。
 ユニット『トラップ忍者 ナルコ』――銀のユニット。《フルメタル忍軍》パワー6000。『相手のターン中、相手が[カットイン]を使用するとき、相手は追加で1コスト払わなければ効果を発動できない』。――ヘルヴォルペスの能力を妨害するために入れたユニットだ。
 ユニット『最強機兵ドレッドノート』――赤銀のユニット。《鋼鉄皇帝軍/戦乱》パワー7500。『[制限]このユニットがアタックするとき、自分は2コスト支払う。支払えない場合は、アタックできない』『このユニットがアタックするとき、このバトルの間、このユニットは相手の効果を受けず、相手の場にユニットがいるなら、このユニットは相手のユニットすべてとバトルする。』――“ユニットすべてとバトルする”能力で、ヘルヴォルペスと強引にバトルし、盤面から排除するためのカードだ。
 ――狐怪人のデッキは、ヘルヴォルペスの運用に大きく依存した一芸特化型だ。
 それを徹底的に叩き潰すように考えて構築した完全なメタデッキであれば――その優位性は明らかである。メタカードとの対峙を想定せず、メタカードへの対策をとってこなかった――パワーカードに酔っていたと言わざるを得ないその油断が、ここにきて致命的な隙となってしまったのだ。
「わたくしはトラップ忍者ナルコに枯死の槍を[武装]しますわ。そしてアタック!」
「く、くそッ!あのフィールドさえ、あのフィールドさえなんとかすれば……ライフダメージ!」
 気が付けば、既に戦いの趨勢は決していた。
 裕美/シルヴァーナは容赦なく仕込んだメタカードで狐怪人の手を潰し、ドレッドノートでヘルヴォルペスごとユニットを全滅させ、そして枯死の槍で攻め込んでゆく。
 そして幾度かのターンが回り――逆転のチャンスが巡らないまま、勝負は決着の瞬間へと至る!
「最後のライフ……いただきますわよ!」
「ら……ライフダメージぃぃぃッ!!」
 叩き込まれる最後のダメージ!悲鳴とともに吹き飛んだ狐怪人が、目を回しながらステージ下へと転り落ちる!
「これで、Vanquish……ですわね!」
 Vanquish!――勝者、裕美/シルヴァーナ!
 勝ち鬨を上げた裕美/シルヴァーナがステージを降りながら、オーディエンスたちに囲まれて喝采を浴びせられる。
「さて――そうですわ。せっかくの機会、絵師さんにイラストのリクエストをさせていただいてもかまいませんかしら?」
 ここでふと思いついたように裕美/シルヴァーナが顔を上げた。思い立ったが吉日。裕美/シルヴァーナは、集まった人々の中からペインターだという何人かに声をかける。
「よろしいかしら?わたくしの相方がこのカードを好きですのよ。そう、『フランソワの姉妹』シリーズですわね……こう、♡(ピンク)系にアレンジできませんこと?『フランソワーズ・シスターズ』とか……そうですわ、そう。この『ドクトリーヌ・フランソワ』も『プロデューサー・フランソワ』とかにしてですわね……」
 そして、細かい注文!裕美/シルヴァーナはペインター達に相談を持ち掛け、そしてイラストの依頼を勧めてゆく!

 ――閑話休題。

 かくして、猟兵たちの活躍によってイベント会場を襲ったオブリビオンたちは全員が無力化されたのであった。
 だが、事件はここで終わったわけではない。むしろ、本番はここからなのだ。

 猟書家、忌火起・レッカ。
 邪悪なカードを用いた侵略行為を行う、悪のカードバトラーである。――当然、この「ヴァンキッシュ!」においても相当な実力を持つヴァンキッシャーとして猟兵たちの前に立ちはだかるだろう。
 猟兵たちよ、真なる戦いへと備え、今一度デッキの確認と調整を行っておくのだ。

 決戦の時は、近い!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『忌火起・レッカ』

POW   :    来たぜ……オレの切り札がァッ!
無敵の【時と場合に応じた特殊効果付きのモンスター】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    テメェ自身が放った呪文で自滅しなァ!
対象のユーベルコードに対し【その効果対象を別のものに変更する速攻魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    時間を稼ぎやがれ、《爆弾人形(マネボム)》共ッ!
戦闘力のない、レベル×1体の【召喚者自身への攻撃を捨て身で守る爆弾人形】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう】、【時間稼ぎ】、【捨て身の一撃】」を使った支援をしてくれる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠惑草・挧々槞です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その時、会場に闇が降りた。
「フン……どいつもこいつも、揃いも揃って情けねえ」
 衝撃――ッ!!会場の屋根を突き破り、スタンディングヴァンキッシュステージへと流星めいて降り立つ漆黒の威容!
「……ゴミどもが、よくもオレの邪魔をしてくれやがったな。だが、オアソビはここまでだ」
 ばら――ッ。燃ゆる炎のような緋色の髪を揺らし、猟書家忌火起・レッカはその手にカードを掲げた。
 それは――まごうことなくヴァンキッシュのカード!

『尖兵侵略竜 スターバレット』……コスト4。パワー5000。
『【流星】手札のこのユニットは、自分の手札を1枚ゲームから除外することで2コストで出撃できる。【流星】は1ターンに1回まで使える』。

『滅びの侵略 シン・アストラバスター』……コスト7。パワー13000。『【コズミック】/このカードはゲーム開始時、コスモゾーンに置く』。
『【降臨条件:《虚滅》&コスト4以上/『侵略』&コスト4以上】』
『[カットイン]コスモゾーンにあるこのカードは、アタックしている自分のユニットがいるなら、自分の手札を1枚ゲームから除外することで、降臨条件を満たす自分のユニットの上にコストを支払わず重ねて降臨する』。
『このユニットが場に出たときと、このユニットがアタックしたとき、相手のユニットを1体まで選び、ゲームから除外する』。
『このユニットは相手の効果で場を離れない』。

『禁じられし侵略 ザクスダム』……コスト9。パワー99999。『【コズミック】/このカードはゲーム開始時、コスモゾーンに置く』。
『【降臨条件:『侵略』&コスト7以上】』
『【制限】自分の場に『侵略』が3体以上いなければ、このユニットは降臨できない』。
『【ワールドエンド】このユニットが相手のライフにダメージを与えるとき、与えるダメージ+5』。
『このユニットは相手の効果で選ばれない』。

 ……コズミックカード!
 盤上の特殊領域、【コスモゾーン】。いわゆるエクストラデッキから盤面のユニットへ降臨する、無敵の切り札!
 レッカのデッキは、これらのコズミックカードを展開する方向へとデッキを調整し、強力なフィニッシャーで一気にケリをつけるスタイルだ!
 レッカはこれだけではなく、強力な除去能力をもった『侵略宇宙竜ロードシリウス』や『侵略宇宙竜フォーマルハウト』、更に特殊条件勝利能力をもつ『光の理想郷』といったカードを用意している。

『ハザードウェーブ』……コスト4のスペル。
『このスペルの発動条件になったスペルの効果対象を、自分が選び直す。この効果は相手が手札からスペルを使ったとき、その効果解決前に割り込んで使用できる』。
『【タクティクス:相手がスペルを使用したとき】このスペルの効果を、コストを支払わず使用する』。

『惑わす侵略 スペキュラム』……コスト4。パワー5000。
『【タクティクス:相手がスペルを使用したとき】このスペルの発動条件になったスペルの効果対象を、自分が選び直す。この効果は相手が手札からスペルを使ったとき、その効果解決前に割り込んで使用できる。その後、このユニットをコストを支払わず場に出す』

 更に、スペルへのカウンター能力をもつカード。【タクティカルゾーン】に裏向きでセットすることで発動可能になるタクティクスカードの用意もまた万全だ。

『マネボム・ファクトリー』……コスト4のフィールド。
『お互いのターン開始時、自分は手札を1枚破棄してよい。そうしたとき、【コスト1・パワー1000『このユニットがアタック/ブロックしたとき、そのバトル終了時、このユニットと、このユニットとバトルしているユニットを破壊する』】をもつ《マネボム》ユニットを2体出撃する』。

 ……そして、盤面展開を補助するフィールドカード!

「このオレの最強侵略デッキに勝てるヴァンキッシャーなんざいるわけがねェ。来いよ、猟兵ども!テメェらとオレとの『格の違い』を見せてやるッ!!」
 そして、レッカは咆哮する!同時に彼固有の特殊領域であるカードバトル空間の展開によって、イベント会場はバトルフィールドへと書き換えられた!

 かくして、猟書家・忌火起レッカとの決戦が始まるのである!
塚杜・無焔
……いや私は公式レイヤーでも
コスプレイヤーでも無いのだが……。
うむ、まぁ、本当の事を話しても益が無いからな。

ところでそれは――そのカテゴリのデッキは持っているが、私に?
……何かに使える、というのであれば受け取っておくが。

知り合いがとっても趣味に走っていた気がするが、
この際見なかったことにしておこう。

強大な相手ほど、私のデッキは意味を成す。
私のデッキは使用者のライフが
『少ない程』強化される復讐者のデッキ。
……何も考えずに受けるのは危険な訳だが。

ライフを強引に吹き飛ばそうとするのなら
『同じ報いを与えればいい』。
強大さ故の代償を支払って貰うべきだとは、思うがな。

なおドMデッキとか言った者。後で話を。



「オレのターンだッ!リブート・ドロー!リソース!そしてメイン!オレは手札から尖兵竜コメットを出撃!」
 ――鮮やかなカード捌き!忌火起・レッカは堂々たる態度でカードを繰る。コストを支払い、盤面へと尖兵竜コメットを出撃。コスト3。パワー3000。『このユニットが場に出たとき、自分は山札の上から3枚までオープンし、その中にある《コスモドラゴン》か『侵略』のコスト5以下のユニットカードを1枚まで選び、手札に加える』!
 レッカはコメットの能力によって山札の上をめくり、その中から『尖兵侵略竜 スターバレット』を手札へと加えた。
「ここまでだ。ターンエンド」
「……私のターンだ」
 そして、対峙する塚杜・無焔(f24583)はカードを引く。
「フン……カッコだけのレイヤーが、このオレに勝てるかよ」
「……いや私は公式レイヤーでもコスプレイヤーでも無いのだが……」
 無焔はその姿から勘違いされていたが、まごうことなく一般的な猟兵である。――たまたま似ていたのだ。黒属性の《屍人》カテゴリにあった人気の高いエースカード、『デッドエンドパニッシャー』と。
「うむ……、まぁ、そんなことより、今はバトルに集中しなくてはな」
 無焔はターンを開始する。リブート・ドロー。リソースに黒のカードを置き、メインフェイズへと移行。
「……私はスペル、『スティグマドロー』を使用。赤と黒を含む3コストを支払い、更に自分のライフに1ダメージを与える――むぅ、ッ!」
 バァンッ!その時、無焔のライフへとダメージが加えられた!『スティグマドロー』は赤と黒の2色を持つスペルだ。『自分は1点のライフダメージを受ける。その後、自分は3枚ドローする』!
「これで、ターンエンド」
「なるほど、ハンドを整えてきたか。しかもスティグマドローの自傷効果でダメージカードがリソースへと落ちることで、次のターンからの展開にも繋がる……いいスペルだよなァ」
 しかして、レッカは嘲笑う。
「だが、そのダメージはお前が一歩死に近づいたって意味でもあるんだぜ。――さあ、侵略の時間だ。オレのターン!リブート・ドロー!リソース!そしてメイン……『スティグマドロー』を使う!」
 スティグマドロー!ミラーマッチめいてレッカは無焔と同じスペルを使った。ライフダメージからの3枚ドローで手札を補充する!
「更にオレは【流星】を使用!絶望満ちる天より堕ちよ、滅びを告げる暗黒の流れ星!オレはこの能力によって2コストでスターバレットを出撃!」
 流星!尖兵侵略竜スターバレットの能力だ。手札1枚を代償にしながら、破格の2コストでレッカは盤面にスターバレットを場に出す!
「続けてバトル!行け、スターバレット!アタックだ!カットインは!」
「……カットインはない」
 アタック宣言後のカットイン発動優先権は防御側のプレイヤーに存在する。つまり、アタックされた方が先にカウンターを撃てるのだ。このカットインタイミングは非常に重要な一瞬でもあった。――ここでもし無焔がスターバレットを除去できていれば、次の展開には繋がらないのである。
「ハハハハハッ!なら、こちらのカットインを宣言させてもらう!――コスモゾーン、解放ォッ!」
 哄笑!――そして、レッカの盤面に邪悪な光が満ちた。膨れ上がる闇のエネルギー!そして、終焉をもたらす門が宙に開く!
「虚無なる銀河の果てより、今こそここに扉を開け!其は虚ろ!其は滅び!そして其は罪業ッ!滅びの侵略、シン・アストラバスター……スターバレットに降臨ッ!」
 コスモゾーンに置かれたシン・アストラバスターのカットイン能力だッ!レッカは自らの手札をゲームから除外することで、コスモゾーンの強力なユニットをコストを踏み倒して場に降ろしたのである!
「来たか……コズミックカード!」
「登場時能力は――チッ。対象がいねえな。だが、アタック中のスターバレットに成り代わって降臨したシン・アストラバスターが引き継いでバトルだ!このアタックは!」
「ライフダメージを受ける!」
 虚ろの戦騎が、戦場を奔った。
 赤く激しく発光する光輪と赤黒い光の翼を羽撃たかせ、疾駆する闇の力が無焔のライフを穿つ――ダメージ!
「ぐあ……ッ!」
「ターンエンド」
「……私の、ターン」
 口の端から溢れた血を拭いながら、無焔は盤面を見た。
「だが……これで、いい!」
 しかして無焔は恐れることなくターン開始を宣言。リブート・ドロー。リソースを経てメインフェイズへと入る。
「私は手札より『復讐者シュラウド』を出撃!」
 『復讐者シュラウド』――コスト5。パワー7000。『[革命2(自分のダメージが2以上なら使える)]自分の『復讐者』か[革命]をもつユニットが相手の効果で場を離れるとき、そのユニットを[行動済]状態で場に残してよい』。
「なに……?場に残る能力だと?」
「……アストラバスター。強力な耐性と除去能力を持ったコズミックカード。必ず出してくると思っていた」
「ハッ。なるほどな。除外能力によるコントロールへの対策を準備していたのか。まァ、そりゃそうだろう。でなきゃアストラバスターに蹂躙されてゲームが終わるもんなァ」
「私はここで更にタクティカルゾーンへカードを伏せてエンドだ」
「いいだろう。俺のターン!リブート・ドロー、リソース!そしてメイン!オレは手札からダークマター・ドラゴンを出撃!」
 『ダークマター・ドラゴン』!コスト4。パワー4500。『このユニットの上に《コスモドラゴン》が降臨したとき、自分と相手のライフに1ダメージ』をもつ!コスモゾーンの『侵略宇宙竜ロードシリウス』の降臨条件を満たすユニットだ。
「こいつでのアタックはない。アストラバスターは行くがな!バトルフェイズ!アストラバスターでアタック!アタック時能力によってお前の場のシュラウドを盤上から除外!」
「だが、シュラウドは[革命]能力によって場に残る……!」
「それでも[行動済]だッ!お前のライフを守るユニットはいねえ!」
「……ライフダメージ!」
 バァンッ!アストラバスターのアタックがライフを砕き、無焔のリソースへと更なるダメージカードが追加される!
「……私はここでライフ減少時のタクティクスを発動する」
「なに……!」
 だが、無焔もただ無策で構えていたわけではないのだ。無焔は先のターンでタクティカルゾーンへ伏せていたカードを開いた。
 『復讐者ジェーン』。コスト6。パワー7000。『【タクティクス:相手によって自分のライフが減ったとき】相手の場のパワー5000以下のユニットを1体まで選び、破壊する。その後、このユニットをコストを支払わず場に出す』!
「ジェーンのタクティクス能力によってダークマター・ドラゴンを破壊。そしてジェーンを出撃する」
「チッ……盤面除去か!」
 ここでレッカはターンを終える。
 返すターンで無焔は更に『復讐者』を出撃し盤面を整えた。一方、更なるターンでレッカは『降誕を待つ竜魂』を場に出しつつアストラバスターでアタック。無焔へとダメージを増やしてゆく。
 ――『場を離れない』能力をもつアストラバスターに対応するのは困難だ。更にそのパワーは13000。通常のユニットであればコスト8以上に相当する。正面から当たってシン・アストラバスターを討てるユニットはそう多くはない。
 レッカに与えられたダメージは自らがスティグマドローで置いた1点。対して、無焔のライフに与えられたダメージは4点。もはや絶体絶命の状況とも言えた。
 そして、再びターンは巡る。
「私のターン――ドロー」
「ククク……来いよ」
 無焔の場のユニットは3体。対してレッカは[行動済]のアストラバスターと、[未行動]の尖兵侵略竜スターバレット、そして降誕を待つ竜魂の2体。更にタクティカルゾーンに1枚のカードを伏せていた。
「私は手札のカードを1枚タクティカルゾーンへと伏せる。そしてバトルフェイズへ――『復讐者ジェーン』でアタックだ!」
「ハハハハッ!そうだ、このターンで仕掛けないと負けるからなあ!だからその希望を今ここで断ってやる!タクティカルバーストだ!オレはここで『終焉の序曲』を使うぜッ!」
 ――終焉の序曲!コスト2!『[カットイン]自分のコスモゾーンにあるユニットカード1枚のコストを支払うことで、降臨条件を満たすユニットへそのユニットを降臨する』『【タクティクス:相手のユニットがアタックしたとき】コストを支払わず、このカードの[カットイン]効果を発揮する』!
「……相手ターン中の降臨か!」
 『降臨』とは、本来であれば自分のターンで行う行動である。コスモゾーンにあるコズミックカードは、そのカードのコストを支払った上でアタックした【降臨条件】を満たすユニットの上へと重ねて場に出すことができるのだ。
 だが、レッカは相手ターン中でも使用できるスペルを用いることでこのタイミングでの降臨を行ったのである!
「そうだ!オレはコストを支払い、コスモゾーンより降臨条件を満たす『降誕を待つ竜魂』へと侵略宇宙竜ロードシリウスを降臨ッ!更に!ロードシリウスの登場時能力だ!相手の場のユニットすべてを破壊する!」
 その時、天に光が満ちる!開かれた宇宙の門より、叫ぶ光の竜が降りた!
 『侵略宇宙竜 ロードシリウス』……コスト4。パワー12000。『【コズミック】/このカードはゲーム開始時、コスモゾーンに置く』。
『【降臨条件:《コスモドラゴン》&コスト4以上】/降臨条件を満たす自分のユニットがアタックしたとき、このユニットのコストを払ってよい。払ったら、コスモゾーンにある表向きのこのカードをそのユニットの上に重ねて登場させる』
『このユニットがコスモゾーンから登場したとき、相手のユニットを全て選び、破壊する』!
「クッ……だがシュラウドの能力は有効だ!すべて[行動済]にはなるが、場に残す!そのため、ジェーンのアタックは継続される!」
「ハハハッ!ロードシリウスでブロックだ!」
 激突!ブロック宣言によりジェーンのアタックをロードシリウスが阻む!しかしそのパワーの差は歴然であった。撃ち負けたジェーンがトラッシュへと置かれる!
「これでお前はもう終わりだぜ!」
「いいや……、私も、タクティカルバーストだ!」
 だが、無焔はここでタクティカルバースト!タクティクスゾーンのカードを開く!
 『執念』ッ!『【タクティクス:自分のユニットが相手によって場を離れたとき】自分の手札から、『復讐者』か[革命]をもつユニットカード1枚を選び、コストを支払わず場に出す』!
「私はこの『執念』によって、手札から『復讐者クリスト』を出撃する!」
「な……ッ!そのカードは!」
 『復讐者 クリスト』!コスト8。パワー10000!
 『[革命2]このユニットがアタックしたとき、そのバトル中、このユニットは相手の効果を受けない』!
 『[革命4]このユニットのアタックでは、相手はブロックを宣言できない』!
 『このユニットのアタックが相手にダメージを与えるとき、自分と相手のダメージの数を比べ、自分の方が多ければ、その差分だけこのユニットの与えるダメージを増やす』!
「――お前のカードは、たしかに強力だ」
 そして、無焔は続けてアタックする。
「だが――強大さ故の代償を支払って貰うべきだとは、思うがな」
「て、てめえ……ッ!!」
 漆黒が翔けた。復讐者クリストは能力によってブロックされない!そのアタックは相手のライフへと素通しだ。
 レッカのダメージは1点。無焔のダメージは4点。その差、3点。――その差分が、クリストの与えるダメージへと加算される!本来のアタックダメージを合わせ4点!致死ダメージがレッカのライフを貫いた!
「与えたダメージの分だけ、同じ報いを受けるといい」
「グアアアアアアアアアアアアッ!!」
 このアタックにより、レッカのダメージは5点へと至る――決着だ! 
 ――Vanquish!勝者、塚杜・無焔!

成功 🔵​🔵​🔴​

アシェラ・ヘリオース
強烈だな。来シーズンを待たずに調整不可避なレベルで強烈だ
特にあの尖兵滅びザクスダムのコンボは許されない
だが付け入る隙は幾つかある

【黒騎士】はアグロとしても優秀だ
強烈な黒殺しの白アグロの登場で環境落ちしたが、低コストサポートが充実している
その為、「場に出ている全てのユニットのコストをー1する」フィールドカードも扱う
召喚コストは据え置きなので汎用性は無いが、主力の中級ユニットの近衛騎士等に低コストサポートを用いる際に有用だ
そして、今回のようなコスト依存の「降臨条件」を殺す際にもだ

「黒騎背水陣を使用する」

尖兵侵略龍を黒騎専用スーサイドブーストで殴り、奴のコスモゾーン利用を封じる形で殴り勝ちを狙う



「コズミックカードか。強烈だな」
 アシェラ・ヘリオース(f13819)はレッカのコスモゾーンへと置かれた凄まじいパワーカードの数々を睨む。
 スターバレットからシン・アストラバスターへ繋げるのが基本戦術なのだろう。そして場を離れることのないアストラバスターを降臨元として用いてザクスダムで決着をつけるのが必勝パターンか。許されざる強さである。
 これは来シーズンを待たずに調整や制限は避けられないだろう――そう思考しながら、それと同時にアシェラは考える。
 それでも、付け入る隙はある、と。
「次の相手はテメエか。――ルチレイテッドを下したヴァンキッシャーの一人らしいが、俺に勝つことはできねえ。叩きのめしてやるぜ!」
 対峙しながらレッカは気炎を吐く。
「吠えるな。お前もヴァンキッシャーなら、言葉は盤上で語れ。……いくぞ。ゲットレディ」
「チッ!なめやがって……いくぜ、ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 ――そして、2人はカードを引いた。

「……」
 アシェラは序盤からユニットを並べる速攻戦術。いわゆるアグロによるビートダウンを狙って戦略を立てた。
 彼女の扱う《闇騎士》は旧環境において猛威を振るったこともある、展開能力を得意としたデッキタイプだ。かつて環境においては、その後に登場したバウンスやリソースロックといった除去/妨害を兼ね備えた白アグロにTier1の座を明け渡したが、それでも今なお愛用者の少なくない人気テーマである。
「私は2コストを支払い、斥候部隊を出撃。能力によって山札の上をチェック……『黒き帝国騎士』を手札に加えてエンドだ」
 『帝国軍斥候部隊』――コスト2。パワー3000。『このユニットが登場した時、山札の上から3枚まで見て、その中から《闇騎士》のユニットカードを1枚まで選び、手札に加える』。
「オレのターンだ。リブート・ドロー。リソースを置いて、オレは手札から尖兵竜コメットを出撃。能力によって山札の上を3枚オープンし、……くくく、来たぜ。スターバレットを手札に加えてターンエンドだ」
 返すターンにレッカはコンボパーツとなるカードを手札に加えた。――このままでは、次のターンにはシン・アストラバスターが降臨してしまう!
「では、私のターンだ。リブート・ドロー。リソースへカードを加え……メインフェイズ。私はここでフィールド『戦術的支配圏』を展開する」
 『戦術的支配圏』――コスト3のフィールドカード。『お互いの場の全てのユニットのコストを-1する』『コスト3以下の自分のユニットが相手によって破壊されたとき、自分は破壊されたユニット1体につき1枚ドローしてよい』!
「なに……!?場のユニットのコストを減らす能力だと!?」
「そうだ。召喚コスト自体は変わらない」
 ――今回のアシェラのデッキの中には、低コストのユニットをサポートするスペルやアーマメントが多めに投入されている。このフィールドによって、本来は中級コストであるコスト4以上のユニットを低コストのユニットとして扱い、そのサポートを受けられるように仕向ける算段なのだ。
 だが、この戦いの中においては、このフィールドカードの役目はそれ以上の務めを果たす。
「このフィールド効果によって、お互いのユニットのコストは下がる。――つまり、お前が先ほど引いたスターバレットは場に出た瞬間に『コスト3のユニットになる』というわけだな」
「テメェ……狙いはそれか!」
 アストラバスターの降臨条件は『コスト4』を要求する!他のコズミックカードについても、コスト3のユニットで降臨条件を満たすことはできないのだ!これによって、レッカのコスモゾーン利用は実質的に封じられたことになる!
「少なくとも時間稼ぎにはなるだろう。……まあ、出てくる前に決着をつけさせてもらいたいところだがな」
 ターンエンド。返す手番でレッカは怒りに顔を歪める。
「クソッ……!いや、だがまだ決まったわけじゃねえ、オレのデッキには『降臨の日』も『降誕を待つ竜魂』もあるんだ、そいつさえ引きゃあ……!」
 『降臨の日』――コスト3。『このターン中、次に自分がコスモゾーンからカードを登場させるとき、そのカードの降臨条件を無視する』。
 『降誕を待つ竜魂』――コスト3。パワー0の《コスモドラゴン》。『自分のコスモゾーンに《コスモドラゴン》があるなら、このユニットをコスト4として扱う』。
 それらは強引にでも切り札を場に引き出すためにレッカがデッキに積んでいるカードだ。特に『降臨の日』さえ引くことができれば、アストラバスターも場に出すことが可能になる。
「ならばオレはスペル、スティグマドローを使う!」
 スティグマドロー!それは、自分がライフダメージを受けることを代償に3枚カードをドローする強力なドロースペルである。レッカはコストとダメージの代償を支払い、カードを引いた!
「ほう……自分からダメージを受けたか。見上げた根性だな」
「フン……。アストラバスターさえ降りればテメエの闇騎士アグロくれぇなんてことねえんだ!オレはこれでターンエンドする!」
「……なるほどな」
 ――敵も、戦術を封じられたときのための対策を考えている。容易に勝たせてはくれない、ということだろう。
「私のターン。リブート・ドロー……」
 続くターンでアシェラは更にユニットの展開を増やした。スペル『シャドウバタリオン』による《闇騎士》トークン・ユニットを盤上に生成する。更にアーマメント・『闇爪レイヴンズクロウ』を斥候部隊に[武装]させるかたちで場に出す。
「チッ!古臭ェアド取りを!」
「案外捨てたものでもないさ」
 そして、ここでアシェラはターンを終える。――まだ仕掛けるには早い。状況から考えれば先のスティグマドローで降臨用ユニットを引いた可能性はあるが、ユニットを出せばそのまま降臨するためのコストが足りなくなるだろう。ここで攻撃を仕掛ければ、その分のリソースが降臨に繋がる可能性がある。
 返すターンでレッカはアシェラの読み通り『降誕を待つ竜魂』を出撃した。だが、この時点でレッカのリソースはダメージ分を含めて6枚。竜魂を出して残るリソースが3枚で、ロードシリウスの降臨にはコストが1足りない。アストラバスターであればコストを踏み倒して降臨することが可能だったが、竜魂はアストラバスターの降臨条件である《虚滅》カテゴリも『侵略』名称ももたないカードだ。結果、レッカはこのターンも降臨には至らずに手を終える。
「私のターンだ」
 再び巡る手番。アシェラはカードを引く。
「リブート・ドロー、リソース……そしてメイン。私はスペル『黒騎背水陣』を使用する」
 黒騎背水陣――コスト4のスペル!『このターンの間、アーマメントを無視して自分のコストが3以下の《闇騎士》すべてはパワー+2000し、【このユニットがアタックしたとき、このユニット以下のパワーの相手のユニットを1体まで選び、破壊する。そのバトル終了時、このユニットを破壊する】を得る』!
「な、んだと……ッ!?てめえッ!まさか、このターンで攻め切ろうってつもりか!」
「そうだ。竜魂が場に出た以上、ここで詰めるべきだからな」
 侵略宇宙竜ロードシリウスが場に出てしまえば、そこを起点にアストラバスターが降臨し、その対処に手間取っている間にザクスダムの登場までつなげられてしまうだろう。そうなってしまえば、もはや打つ手はない。
 敵のタクティカルゾーンにカードはなく、手札のうち1枚は出していないスターバレットであることはわかっている。……あとは、不明な手札の中にカットインで使えるカウンタースペルがないことを祈るだけだ。
 否、そうではない。信じるのだ。奴の手札にカウンターはない。そうであれば、私は勝つ!
「……私は更に2コストを支払い、『闇剣ナイトスパロウ』を闇騎士ユニット・トークンに[武装]する」
 『闇槌グリズリーハウル』――《闇騎士/闇理力》のアーマメントカードだ。『[武装]しているこのユニットがアタックしたとき、コスト3以下の相手のユニット1体を破壊してよい。破壊したなら、そのバトル終了時、このユニットをトラッシュに置く』!
 かくしてアシェラの場のユニットは3体。帝国斥候部隊と、闇爪を武装した闇騎士ユニット・トークン。そして闇槌を装備したもう一体の闇騎士ユニット・トークン!
「これでバトルフェイズに入る。――まずは闇騎士トークンでアタックだ。死んでこい」
 アタック宣言!この時、黒騎背水陣の効果によってアシェラはレッカの竜魂を破壊!残るユニットは尖兵竜コメット1体!
「闇槌の効果発動!尖兵竜コメットを破壊する!」
「馬鹿な……!」
 これでレッカのライフを守るユニットはいなくなった。戦場を走る闇騎士が、レッカのライフへとダメージを叩き込む!
「グア……ッ!」
「続け!斥候部隊でアタックだ!」
 続くアタック宣言!レッカはこれにも返すカードなく、ダメージを受け入れる!これで3点目!
「そして闇爪を[武装]した闇騎士トークンが行く!」
 ――『闇爪レイヴンズクロウ』は、『このターン中に自分のカードがトラッシュに置かれているなら、[武装]しているこのユニットが相手に与えるダメージ+1』をもつ!
 先に攻撃を仕掛けた斥候部隊ともう一体のユニット・トークンは背水陣の効果によって既に場を離れていたため、闇爪のダメージ上昇条件は満たされている!
 すなわち、このアタックで与えられるダメージは2点!致命傷である!
「カットインは」
「――ッ」
 ぎり、ッ。――忌火起・レッカが歯噛みする。
「カットインはない……ライフダメージ!」
 ライフダメージがレッカへと叩き込まれる――5点目!この瞬間、試合の決着がつく!
「ぐああああああああああああああああッ!!」
「これで、ヴァンキッシュだ」
 Vanquish!勝者、アシェラ・ヘリオース!
 拳を掲げて勝利を示すその姿を、オーディエンスの万雷めいた喝采が包んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

火霧・塔子
コズミックとは厄介な!
火炎瓶ユニットの火力による特攻や、カード化したUCの効果で敵ユニット同士を戦わせることで、相手の場を整わせない立ち回りをしましょう!

こちらもコズミックから『ムーンシャイナー』を召喚
アタックすると燃料を使い切ってアンタップ不可になりますが、高火力のカードです!

追い詰められたらムーンシャイナーに『EP変形機構:バリケード』を武装
バリケードモードは次の相手のターン、攻撃を全て防ぎます!

耐えられるのは1ターン、ここで決めねば!
このドローは重いです!
しかし! 私は引きますよ!
例え本体の硝子瓶がパッキリ割れようとも!
ドロドロドロー!!

ドローバンクで切り札を今引きして、狙え、革命勝利!



「コズミックカードとは……厄介な!」
「はははッ!どうした、怖気づいたか!
 火霧・塔子(f16991)は忌火起・レッカに対峙する。
 ――たしかに、敵のコスモゾーンに置かれた強力なカードの数々は凄まじく強力だ。
 無敵とも言える耐性と強力な除去コントロール能力を併せ持つアストラバスターの強さは言わずもがな、それ以上に99999という常識外れのパワーと、単独でゲームエンドへと持ち込む【ワールドエンド】の力を持つザクスダムは驚異的なパワーカードであった。
「ですが、勝負を挑む以上負けるつもりはありません!わたしは必ず勝ちましょう!」
 しかし、塔子は恐れることなく勝負に挑む!抜き放ったデッキを、ヴァンキッシュボードへとセット!そして初期手札を引く!
「ゲットレディ!」
「ククク……お前がどんなデッキを使うか知らねえが、返り討ちにしてやるぜ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 かくして戦いの幕が上がる!

 公式ルールに則ったじゃんけんによって先手を取った塔子からゲームは始まった。
 先のヴァンキッシュと変わらず塔子は赤を中心とした『火炎瓶』と[革命]のデッキだ。
「わたしは赤のカードをリソースに加え、手札から火炎瓶戦士ヒダネルを出撃!」
「ほう……1コストユニットか。赤のアグロビートか」
「先攻の最初のターンはアタックできませんから、これでエンドです」
「いいだろう。オレのターン――」
 対して、レッカはリソースを置くにとどめる。続くターンで塔子はリソースへと黒のリソースを加え、赤黒の2色とした。
 塔子は続いて2コストで『疾走するフレイムライダー』を出撃。パワー2000の《暴族》ユニットだ。アタック時に2コストを支払うことでブロックされない能力をもつ。
 塔子は早速このターンからヒダネルとフレイムライダーでアタックを仕掛けた。レッカはカットイン宣言なく、2点分のダメージを受ける。
「くく……ッ。だが、ダメージのカードはリソースに置かれる……それはつまり、オレの展開が早まるってことなんだよォ!」
「む……ッ!」
 レッカのリソースはダメージカードを加えて3枚。返すターンでレッカは4枚目のリソースを追加する!
「オレは手札から尖兵竜コメットを出撃!……山札の上から3枚をオープン!『惑わす侵略 スペキュラム』を手札に加えるぜ」
「サーチカード……。なるほど、アドバンテージを取ってきましたか」
 序盤のレッカの手は派手な堅実だ。強力なパワーカードを振り回すにしても、振り回すなりの準備が必要であることをレッカは知っているのだ。そうでなければ、一流のカードバトラーたりえない。
「オレはアタックせずターンエンドだ」
「わたしのターン!リブート・ドロー!リソースを置いて……ここでわたしは赤黒3コストです!スティグマドロー!」
 スティグマドロー!コストと支払うと同時に自分がダメージを受けることで3枚のカードを引く!塔子のデッキの中に多く採用されている『火炎瓶』はバトル後に場を離れるマイナステキストを持ち、多くのユニットカードを使い捨ててゆくスタイルだ。失われるカードの補充をするため、ドロースペルは非常に重要である。
「更にここでタクティカルゾーンにカードを置いてターンエンドですよ!」
「フッ。だが、お前はこれで終わりだよ――オレのターン、ドロー!」
 続くターン、レッカは盤面に尖兵侵略竜スターバレットを出撃させる!
「バトルフェイズ!オレはスターバレットでアタック!そしてアタック時、コスモゾーンのシン・アストラバスターの[カットイン]を起動することで、コストを支払わずスターバレットに降臨するッ!」
「出ましたか、コズミックカード!」
 その時、宙が割れた。
 通常空間を砕きながら、生じた裂け目よりその姿を現す侵略者。異形の戦騎シン・アストラバスター!降臨時能力が起動し、フレイムライダーを盤面から消し飛ばす!
「さあ、アストラバスターのパワーの前に震えるがいい!このままアタックでライフを頂く!」
「……これは、ライフで受けます!」
 ガァンッ!叩き込まれるライフダメージ!スティグマドローと合わせ2点目!
「深追いはしねえ。オレはこれでターンエンドだ」
 このターンの攻防によって塔子の盤面は空になった。――だが、同時に展開のチャンスでもある。ダメージによるリソース加速を含め、続くターンで塔子のリソースは6枚目に達する。
「わたしは手札から『革命戦士モエルギア』を出撃しますよ!」
 革命戦士モエルギア!コスト4。パワー0。『[革命2]このユニットがアタックしたとき、自分の手札を1枚破棄することで、自分のコスモゾーンの[革命]をもつコスト5以下のユニット1枚までを、コストを支払わずこのユニットに降臨する(降臨条件は無視できない)』
 『このユニットが降臨元になっているユニットが相手の効果によって場を離れるとき、かわりに、降臨元のこのカードが場を離れる』!
「なに……![革命]の降臨サポートだと!?」
「はい!では行きましょう。バトルフェイズ、モエルギアでアタック!こちらもコスモゾーンを解放します!モエルギアの能力によって『ムーンシャイナー』を降臨!」 
 『ムーンシャイナー』!コスト5。パワー12000!『【コズミック】/このカードはゲーム開始時、コスモゾーンに置く』。
 『【降臨条件:[革命]をもつ&コスト4以上】』
 『【制限】このユニットはリブートフェイズで[未行動]にならない』
 『[革命2]このユニットが相手のライフにダメージを与えるとき、与えるダメージ+1』
 『[革命4]このユニットが相手のライフにダメージを与えるとき、与えるダメージ+1』
 ――戦場へと、鉄の躯体が降りる!モエルギアがムーンシャイナーへと乗り込み、そして戦場を駆けた!
「こちらのダメージは2点![革命2]が発動するため、与えるダメージは2点です!」
「くッ……!ライフダメージだ!」
 ガオンッ!ムーンシャイナーの鉄拳がレッカのライフを叩き砕く!これでレッカのダメージは4点目を数える!
「ぐお……ッ!だが、このアタックが命取りだアッ!オレのターンッ!」
 だが、返すターン!レッカは更なるユニットを展開する!
「俺は手札から『降誕を待つ竜魂』を出撃!そしてバトルフェイズだ!」
「あれは――《コスモドラゴン》の降臨サポートですか!」
 ――すなわち、敵はこの手番でロードシリウスを降臨させ、盤面の『侵略』を増やすつもりだ。それはザクスダム降臨への布石でもあるのだろう。
 このターンの攻防が、勝負の分かれ目になる。塔子の額にじわと汗が滲んだ。
「まずはアストラバスターでアタックだ!アタック時能力でムーンシャイナーを除去!」
「させません!降臨元のモエルギアをかわりに除外することでムーンシャイナーを場に残します!更にカットインタイミング!」
 『リベリオン!』ここで塔子はカットインスペルを発動する。『[カットイン]アタックしている相手のユニット1体を選び、そのユニットのアタック対象を相手の場のユニット1体に変更する』!
「なに……ッ!」
「アストラバスターは場を離れない能力を持ちますが、それ以外の耐性はありません!この効果により、アストラバスターのアタック対象を『降誕を待つ竜魂』に変更します!」
「て、てめえェッ!!」
 シン・アストラバスターがその刃の矛先を変える。反転した躯体は竜魂を叩き潰した。――これでロードシリウスの降臨はない。
「舐めやがって……!くそ、ッ!オレはここでターンエンド……!」
「……」
 そしてターンは巡る。
 このターンは護り切った。しかし、塔子は内心で焦れていた。
(――手札が心もとない)
 敵の盤面のブロッカーは尖兵竜コメットを残すのみだ。しかし、ロードシリウスの降臨を防いだ分で相手はリソースの余裕を残している。カウンタースペルがくると考えていいだろう。
 相変わらず相手の盤面にはアストラバスターが健在だ。リソースも十分すぎるほどに確保している。ここでターンを返せば、今度こそ先はない。
 それに対し、塔子の手札状況は芳しいとはいえない。今の手札では、決着をつけることは不可能と言えた。
「ですが……ここで決めねば!」
 そして、塔子は山札を睨む。
「このドローは重いです……しかし!私は引きますよ!」
 塔子は山札へとその指をかけた。
 ――まるで巨大な岩盤を手にしたかのようなプレッシャー。だが、引かねばならない。ここで確実に最後のライフを叩くことのできる。切り札を!
「例え本体の硝子瓶がパッキリ割れようとも!」
 そして――塔子は、カードを手にする指先に、力を込める!
「ドロドロドロドロ…………ドローッ!!」
 ばぎ、ッ――!岩に突き立つ伝説の剣を抜き放つ勇者のように、塔子はカードを引き抜いた!
「……来ましたよ、ッ!これがわたしの最後の切り札です!」
「なに……ッ!」
 輝くその一枚のカードを掲げ、そして塔子はコストを支払う!盤面へとカードが降りた!
「『最強革命 バーン・ド・レッド』!」
 『最強革命 バーン・ド・レッド』。コスト9!パワー11000!
 『[革命X]手札のこのユニットを場に出すとき、このユニットのコストを自分のダメージ1につき1減らす』
 『[革命X]自分のダメージ1につき、このユニットのパワー+1000』
 『[革命2]このユニットは、パワー10000以上の相手ユニット1体を指定してアタックできる。そうしたとき、そのバトル終了時、相手のユニットが場を離れていたら、相手に1ダメージ。この効果は、このユニットが場を離れていても発揮する』
「バーン・ド・レッドでアタックです!アタック対象として、シン・アストラバスターを指定!」
「なんだとッ!?」
「わたしのダメージは2点!よって、レッドはパワー13000でシン・アストラバスターと同値です!さあ、[カットイン]は!」
「ぐ、ッ……!」
 レッカは顔を歪めて自らの手札を睨んだ。
 そこにあるカウンターカードは――『サクリファイスシールド』。『[カットイン]自分のユニット1体をトラッシュに置く。そうしたとき、このターンの間、自分は相手のユニットのアタックではダメージを受けない』!しかし、このスペルでは『効果によるダメージ』を防ぐことができないのだ!
「カットインは……ない!」
「では、バーン・ド・レッドとシン・アストラバスターは相討ちとなります!」
 革命闘士が仕掛けた!アストラバスターが迎え撃ち、互いに激しく打ち合う!2体の激闘の結末は――相討ちだ!凄まじい爆発とともに2体のユニットが爆ぜる!
「バトル終了時、アストラバスターが場を離れたためレッドの能力が起動!受けてもらいます、最後のダメージ!」
「ば、バカなあああああああああああああああッ!!」
 ――そして、その余波がレッカを襲った!吹き荒れる爆風に飲み込まれ、レッカのライフに決着となる5点目のダメージは叩き込まれる!
「これで5点目……ヴァンキッシュです!」
 Vanquish!――勝者、火霧・塔子!革命の勝利だ!

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
頭が高ェな
(マイデッキをスチャッと取り出す)


・神だろうが悪魔だろうが亡霊だろうが妖精だろうが、英雄だろうが賊だろうが聖人だろうが悪漢だろうが――種族もリソース色もしっちゃかめっちゃかな「トガった奴を搔き集めただけ」みたいな編成

・それを【野生の勘】によるヒキの読みに頼んだプレイング力でなんとか回す

・が、それは神絵師リクエスト品『嵐の夜』のフィールドカードが場に出るまでの仕掛け

・フィールド効果は、場の野放図なリソースの『混沌(ワイルド)』としての一括再定義
・同時、トラッシュ(あの世)から狩り好きのユニット達を『混沌』一色で稼働する一つの軍勢として呼び出すこと――!


デッキ名?
『ワイルドハント』っスよ



「猟兵どもめがぁ、ッ!」
「――頭が高ェな」
 白斑・物九郎(f04631)はその手にデッキを構えながら、忌火起・レッカを睨んだ。
「……なんだ、テメェ!」
「ハ。知れたことッスわ」
 ボードの上へと山札を置き、そして物九郎は対峙する。
「ウチのナワバリで好き放題やってるてめぇをブチのめしにきた――このへんの“王”っすよ」
「なんだとォ……?」
 その不遜な態度に、レッカは不快感を露わにした。
「……フザけやがって。どれだけ自信があるんだか知らねェが……カードバトルでこのオレに勝てる筈がねェッ!」
 ダァンッ!レッカは叩きつけるようにデッキをボードへと置いた。
「ブッ潰してやる!構えやがれ!ゲットレディ!」
「おう。――ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 公式ルールに則ったじゃんけんによって、レッカが先手を取る。まずはリソースにカードを置いてターンエンド。返すターンで物九郎もまたリソースにカードを置いた。
「……銀のカードか」
 物九郎のリソースに置かれたのは『95式マシンメイデン』。レッカはその色から物九郎のデッキを類推する。
 序盤は静かに進む。互いに手札と盤面を整える動きを続けた。レッカはスティグマドローを使い、続くターンで盤面に『マネボム・ファクトリー』を配置した。
 一方、物九郎の動きは静かなものであった。続くターンでリソースへと黒のカード、『黄昏の乙女』や白の『白き神狼』といったカードを置いてゆく。
「なんだありゃァ……。色もカテゴリもばらばらじゃねえか。たしかにどれもパワーカードだが……」
 『95式マシンメイデン』は『【爆撃】自分のメインフェイズ中、このユニットを[行動済]にすることで、相手のコスト4以下のユニットを2体まで選び、手札に戻す。【爆撃】は1ターンに1回まで使える』。
 『黄昏の乙女』は『このユニットが相手によって場を離れるとき、手札を1枚破棄することで[未行動]で場に残す。この能力を使ったターンの終了時、このユニットをトラッシュに置く』。
 『白き神狼』は『このユニットは、相手のユニット/スペルの効果を受けない』。
 いずれも強力な能力を備えたカードだ。しかし、これらすべてを有効に用いるデッキというのをレッカは知らない。――いわば、「不慣れな初心者が強いカードを何も考えずに集めた紙束」――のような印象を受けた。
(随分自信があったようだが、素人か……?)
 しかし、レッカの困惑をよそに棋譜は進む。物九郎は顔色一つ変えずにリソースへとカードを置き続けた。
「俺めのターン。リブート・ドロー、ンでリソース……。メインフェイズ。手札から『ワイルドドロー』を使うッスよ」
 『ワイルドドロー』――無色の3コストスペルである。『このスペルのコストを支払うのに使用したリソースの1色につき1枚ドローする』!物九郎はこれで銀・黒・白のリソースをタップし3枚のカードを手札に加えた。
「……ンで、タクティカルゾーンにカードを置いてエンド」
「チッ……。この期に及んで展開なしとは舐めやがって」
 続くターンにレッカは手札を破棄してマネボム・トークンを2体生成。更にメインフェイズにダークマター・ドラゴンを出撃させる。そしてアタックを宣言。物九郎はこれを受けた。1点目のダメージだ。衝撃に身体が軋むが、踏みとどまる。
「続け、マネボムども!」
 更に攻勢!2体のマネボムで追撃を仕掛けた。これも物九郎は受け止める。これで3点目のダメージ――!
「マネボム2体はアタック終了時に自壊。これでエンドだ」
「……俺めのターン」
 しかし、返すターンにおいても物九郎はユニットを展開しなかった。更なるリソースを加え、2回目のワイルドドローで更に手札を増やしてゆく。
「エンド」
「テメェ、一体何を考えてやがる……?オレのターンだ」
 そして――再びレッカのターンである。レッカは更に手札を1枚破棄し、新たなマネボム・トークンを生成した。
「これで死んだぜ、お前――俺はメインフェイズで『降臨の日』を使う」
 ――『降臨の日』。それは、『このターン中、次に自分がコスモゾーンからカードを登場させるとき、そのカードの降臨条件を無視する』!
「行け、ダークマター・ドラゴン!アタック!ここでオレはコスモゾーンを解放ッ!『降臨の日』の効果によって条件を無視し、侵略宇宙竜フォーマルハウトを降臨!」
 咆哮――ッ!光満ちる空より、絶望が舞い降りる!侵略宇宙竜フォーマルハウト!――コスト5。パワー13000。『【降臨条件:《コスモドラゴン》&コスト6以上】』『【3回攻撃】このユニットが降臨またはアタックしたとき、このユニットを[未行動]にする。この能力は、1ターンに2回まで起動できる』!
「更にッ!ここでダークマター・ドラゴンの能力を発揮!ダークマター・ドラゴンに《コスモドラゴン》が降臨したとき、お互いのライフに1ダメージだ!」
「ちッ……!」
 ライフダメージ!ここで物九郎のライフには4点目のダメージが差し込まれる!更に、アタック中のフォーマルハウトが能力によりアンタップし[未行動]状態となる!
「さあ、このアタックでとどめだ!」
「……いいや、そうはいかねえッスわ」
 だが、その瞬間。物九郎はタクティカルゾーンのカードを開く。
「ここでタクティカルバーストか!」
 『95式マシンメイデン[迎撃戦装備]』!コスト7。パワー9500。『【タクティクス:相手によって自分のライフが減ったとき】相手のユニットすべては、このターンの間、アタックできない。この効果発揮後、このユニットをコストを支払わず場に出す』!
「これで追撃はできねえッスな。――ンで、場に出たマシンメイデンでフォーマルハウトのアタックを止めまさ」
 迎撃!場に出た95式マシンメイデンがフォーマルハウトの攻撃を止める。――パワーで大きく上回るフォーマルハウトがマシンメイデンを破壊!だが、タクティクス効果によってレッカはこれ以上のアタックが不可能となった。物九郎は残りライフ1点で首の皮一枚つながったかたちだ。
「ターンエンドだ」
「おう。……俺めのターンッスな」
 そして、物九郎は再びターンを得る。
「……おっと、待ちな。オレは手札を1枚破棄し、『マネボム・ファクトリー』の効果でマネボム・トークンを更に2体場に出すぜ」
 ――これでレッカの盤面はフォーマルハウトに加え4体のマネボム・トークンを有する。その上、ライフはまだ4点。このターンで詰め切ることは、明らかに困難な状況であった。
「ハ」
 しかし、その中に在って尚、物九郎は口の端をつり上げた。
「勝負はこっからッスわ」
「なに……?」
「リブート。ドロー。リソース。そンでもって――」
 そして、物九郎は盤面へとカードを叩きつける!
「ワイルドハントの始まりッスよ」
 ――9コスト!フィールド『嵐の夜』!
 『自分の場とリソースとトラッシュのカードすべてを全ての色として扱い、ユニット/ユニットカードすべては《混沌》を得る』。
 『このフィールドが場に出たとき、自分は自分の山札を1枚だけ残し、全てトラッシュに置く。その後、自分の手札を好きな枚数だけ破棄し、破棄した枚数と同じだけ、自分のトラッシュの《混沌》のユニットを場に出す』。
 ここまでカードを温存していた物九郎の手札の枚数は、この時点で10枚を数える。
 そして――物九郎は、その手札すべてを破棄した。
「な、ッ……なん、だ、その、効果は……!」
「――俺めの軍勢ッスわ」
 かくして、『嵐の夜』が訪れる。
 『95式マシンメイデン』が、『黄昏の乙女』が、『白き神狼』が、『攻撃型電子妖精』が、『おどかし化け狸』が『まどわし宇宙山羊』が『宇宙海賊』が『花の乙女』が『黒き魔人』が『嵐の狩人』が。そして『嵐の王』が。
 ここに、集った。
 『嵐の王』――コスト8。パワー11000。《混沌》。
 『【制限】『嵐の王』は1体までしか場に出すことができない。このユニットが場にいるとき、このユニットと同名のカードが自分の場に出たなら、そのユニットをトラッシュに置く』。
 『このユニット以外の自分の《混沌》がアタックしたバトル中、相手はユニット/スペルの効果でバトルフェイズ/ターンを終了させることができない』。
 『このユニット以外の自分の《混沌》がアタックしたとき、そのバトル中、そのユニットが場を離れたなら、自分はトラッシュにある《混沌》のユニットカードを1枚まで選び、場に出す』。
「なん……ッ!」
「95式マシンメイデンの【爆撃】を発揮ッスよ。マネボム・トークン2体をどかしまさ」
 困惑するレッカをよそに、物九郎はカードテキストを起動する。これで相手の盤面にブロッカーは3体。
「続けてバトルフェイズ。アタックに入りますでよ」
 そして――バトルが始まった。嵐の王の指揮に従い、狩人の群れがレッカの盤面に押し寄せる。
「ま、マネボムでブロック!能力によって破壊だッ!」
「おう。ンなら『嵐の王』の能力を使いまさ。バトル中に《混沌》がトラッシュに行ったとき、トラッシュから《混沌》を出すッスよ」
「む、ムチャクチャじゃねえかッ!」
「その言葉、お前さんのデッキにそっくりそのまま返しますわ」
 猛攻ッ!攻め寄せる軍勢は止まることなくレッカのライフへと迫る!
「ぐお……ッ!」
 そしてブロッカーの壁を打ち崩し、吹き荒れる嵐が遂にレッカへと届いたのだ!
「続けてアタック。……カットインは?」
「ク、ッ……!」
 ――レッカの手札のカウンタースペルは、この状況を打破できるものではない。
 ぎり、と強く歯噛みしながら、甘んじてこの攻勢を受け切るしかなかった。
 2点目。3点目。4点目。次々と刻み込まれるダメージ。――そして、ラストアタック。
「『嵐の王』でアタック――ンじゃァ、これでとどめですわ」
「な、ン……ッ!なんなんだ、お前……このデッキは、ッ!?」
「アーハ。さっき言ったはずなんスがね」
 5点目。
 嵐の王が、最後のライフを打ち砕く。
「『ワイルドハント』っスよ」
「ぐ、お、あああああああああああッ!!」
 ――Vanquish!勝者、白斑・物九郎。
「ヴァンキッシュ……っつっとけばいいんでしたわな」
 喝采!キマフュ民で知らぬ者のいないワイルドハントの大勝利に、オーディエンスの歓声が響き渡った!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
…なんというかもう、自重投げ捨てたような凶カードの群れねぇ…
コントロール…というよりは攪乱アグロのが近いかしらぁ?

今回のデッキは黒銀アグロ。バーストにはタクティクスを打ち消すバーストで対処。盤面一掃は鉄壁陣で対処できるし赤ほどじゃないけどトークンで展開力も十分、トラッシュからの展開も可能。「不死身の黒銀」の真骨頂、見せてやるわぁ。
今回のジョーカーは「黄昏の聖域」。耐性が消えるのもそうだし…「アタックできないユニット」も攻撃に参加できるのよぉ?

絵師さんにお願いしておいたのはハウンドとハリケーン。
…あたしの「切り札」は大罪公主なワケだけど。「相棒」って枠なら、やっぱりこの二人なのよねぇ。



「……なんというかもう、自重投げ捨てたような凶カードの群れねぇ……」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)は忌火起・レッカのコスモゾーンに置かれた強力なコズミックカードを睨む。
(コントロール……というよりは攪乱アグロのが近いかしらぁ?)
 手札を犠牲にするものの、スターバレットの展開からシン・アストラバスターに繋げる展開は最速2ターン目で可能な動きだ。あとはアストラバスターで盤面を荒らしながら立ち回り、最終的にはザクスダムで攻め切るスタイルなのだろう。
「……さあ、デッキを抜けよ」
「ええ。準備はできてるわぁ」
 促すレッカに頷いて、ティオレンシアはヴァンキッシュボードへとデッキを置いた。
 張り詰める緊張感。交錯する視線の間に冷たい殺気と熱い戦意がぶつかり合う一瞬。
「それじゃ、始めようかしらぁ」
「ああ。ブッ潰してやるぜッ!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
 そして、バトルは始まった。

 公式ルールに則ったじゃんけんにより先手を取るティオレンシア。まずは黒のカードをリソースに置く。
 返すターン、レッカは赤のリソースを加えてターンエンド。そして続く2ターン目。ティオレンシアは銀のリソースを置くと、盤面へ『鉄輪従騎士 ラタータ』を出撃させる。コスト2。パワー5000。『[制限]このユニットはアタックできない』。銀のブロッカー用ユニットだ。
「黒銀か」
 レッカは盤面に置かれたユニットを睨む。コスト2でパワー5000という数値は破格の強さだ。3コストのバニラに相当するパワー値である。その代償としてアタックできない制限があるが、序盤のブロッカーとしては非常に優秀な数値であった。
 返すターン、レッカはリソースを置くにとどめる。本来であればここでスターバレットの【流星】を起動してアストラバスターへ繋ぐのが理想的であったが、今回はそうではなかった。
「……」
 一方、続く3ターン目でティオレンシアは3枚目のリソースを加える。
「あたしは手札からグレイブドローを使うわぁ」
 グレイブドローはコスト3の黒のスペルだ。自分は3枚ドローし、その後、手札から1枚をトラッシュへ置く。トラッシュ活用が可能な黒属性であれば優秀なカードだ。これでティオレンシアは手札から『不滅のデュラハン』をトラッシュに置いた。コスト5。パワー7000。『トラッシュにあるこのユニットカードは、自分のユニットが相手によって場を離れたとき、2コスト払って場に出すことができる』。
「これでエンドねぇ」
「フン……なら、オレのターンだ。リブート・ドロー!」
 そして再び巡るターン。ここでレッカはコストを支払い、『コズミックドロー』!レッカはカードを2枚引く。更にデッキ上から4枚をオープンし、その中から、《コスモドラゴン》をもつ『尖兵侵略竜スターバレット』を手札に加える!
「くくく……きたぜ。次のターンが楽しみだな」
「……わたしのターン」
 キーカードを引き込んで嗤うレッカ。しかし、対するティオレンシアは粛々とターンを進めてゆく。
 彼女は既に幾度となくヴァンキッシュによるオブリビオンとの対決を制してきた熟練のヴァンキッシャーだ。その経験の中には、アストラバスターやコスモゾーン使いのオブリビオンとの戦いも含まれる。
「わたしはこのままターンエンドよぉ」
「ハハハッ!とうとうやることがなくなったかァ?ならオレのターンだ!リブート・ドロー!リソース!」
 そして、再び巡りレッカのターン。
 レッカはここで手札を1枚ゲームから除外し、スターバレットの【流星】を発揮。2コストでスターバレットを盤面へと下ろす。
「さあ、お待ちかねのバトルフェイズだぜ!スターバレットでアタック!カットインありますか!」
「ええ、あるわよぉ?」
 ここで、ティオレンシアは口の端を吊り上げた。
「カットインタイミング。あたしは手札からスペル『ジャンクヤード・アライアンス』を使うわぁ」
「なに……!?なんだ、そのカードは!」
 『ジャンクヤード・アライアンス』。コスト3。銀黒2色のスペルだ。『[カットイン]このターンの間、自分の銀/黒のユニットが場を離れるとき、かわりに[行動済]で場に残す』!
「さ、そっちのカットインよぉ?」
「チッ、除去耐性付与か!それでもやってやろうじゃねえか。オレの[カットイン]!コストゾーンのシン・アストラバスターの能力で手札を1枚ゲームから除外することで、スターバレットの上に降臨するッ!」
 一方、攻め寄せるレッカはアストラバスターの能力を起動することでコストを踏み倒し、スターバレットの上へと降臨させた!
「登場に能力によってお前の場のラタータを盤面から除外!」
「スペルの効果を適用するわぁ。ラタータは[行動済]で残すわよぉ。そして、アストラバスターのアタックはライフで受けるわぁ」
 ざ、ッ!
 虚の戦騎が戦場を駆け、そしてティオレンシアのライフへと傷をつける!
「これでエンドだ。……だが、これでオレの場にはアストラバスターが立った。くくく!あとは蹂躙されるだけだぜ!」
 そして、レッカは勝ち誇る。……強力な除去性能と耐性を併せ持ったアストラバスターのカードパワーは絶大だ。このユニットだけでゲームをほぼ制圧できるといっても過言ではない。
「……ふふ」
 だが――ティオレンシアは、笑った。
「なんだ……何がおかしいッ!」
「あなたは知らないかもしれないけどぉ……無敵のカードなんて、存在しないのよぉ?」
「……なんだと?」
 ティオレンシアがカードを引く。
「わたしのターン。リブート。ドロー、リソース。そしてメイン……」
 そして、繰り出した。
「わたしは手札からフィールド『黄昏の聖域』を展開するわぁ」
「なッ……!!そのカードは!」
『黄昏の聖域』……。コスト6。『お互いの場のこのカード以外の全てのカードの効果を無効にする』フィールドカード!
「残念だけどぉ……その子とはもう遊んだことがあるのよぉ?」
「な、ッ……!!」
 ――ユニットを除外し、『場を離れない』という強力な能力をもつアストラバスター。
 ――コストゾーンから襲来する侵略の切り札、コズミックカード。
 ティオレンシアは、そのどちらとも戦い、そして下した経験をもつ一流のヴァンキッシャーだ。
 であるが故に――その対策は、既に知っている!展開された聖域の能力によって、アストラバスターは除外能力と耐性のどちらも失った!
「あたしはこれでターンエンド」
「くッ……!だが、それでもアストラバスターはパワー13000の大型ユニットだ!こいつを防げるっていうなら、防いでみやがれッ!」
 返す手番に、レッカは手札からユニットを展開した。ダークマター・ドラゴンを場に出し、続くバトルフェイズにはシン・アストラバスターでアタック。ティオレンシアはそれをライフダメージで受ける。
「あたしのターン。ドロー。リソース……そしてメイン」
 そしてティオレンシアへと再びターンが巡る。手札1枚をタクティカルゾーンへとセット。ティオレンシアはそのままアタックを宣言した。
「なに……!そのユニットはアタックできないはずじゃ」
「『黄昏の聖域』で、制限テキストも消えてるってことよぉ。ラタータでアタックねぇ」
 レッカの盤面には[行動済]のシン・アストラバスターの他にはダークマター・ドラゴンを残すのみ。しかし、ダークマター・ドラゴンのパワーは4500!これはラタータの5000に打ち負ける数値だ!
!くッ……こうなった以上、ユニットは減らせねえ。ライフダメージだ!」
 ガンッ!切り込むラタータが1点目のライフを削り取る!ティオレンシアはこれでエンドを宣言し、レッカへとターンを渡した。
「オレは続けて手札から『降誕を待つ竜魂』を出撃!そして更にスペル、『降臨の日』を使用して降臨条件を無視だッ!バトルフェイズ、ダークマター・ドラゴンでアタック!そしてコスモゾーン解放!」
 ターンを得たレッカは、咆哮とともに攻め込んだ。コスモゾーンは場のカードではないため、降臨そのものは問題なくできるのである。レッカはこのままロードシリウスやフォーマルハウトといったコズミックカードを展開し、高いパワーによって圧倒する手に出たのである。
「降りろッ!侵略宇宙竜ロードシリウスッ!」
 かくしてダークマター・ドラゴンへと降臨したロードシリウス!聖域の効果によって登場時能力は発揮できないが、12000というパワーは依然として脅威だ!
「……そうよねぇ。そうくると思っていたのよぉ」
 だが、ティオレンシアは怯まない。
「コストを支払って[カットイン]よぉ。……『“シェリフスター”ハウンド』!」
 『“シェリフスター”ハウンド』!コスト5。パワー7000。
 『[カットイン]/【手札】相手のユニットがアタックしたバトル中、このユニットのコストを払ってよい。そうしたとき、パワー10000以上の相手のユニット1体をトラッシュに置くことで、手札にあるこのユニットを場に出す。この効果を使用するときに支払うコストは自分のダメージの分減る』!
 それはデザイン担当ペインターによって新たに書き起こされた、新規イラストの『ハウンド』だ!
「あたしのダメージは2点。よってハウンドのコストは3に減るわねぇ。――そして、この能力によってトラッシュに置くのはアストラバスターよぉ」
「馬鹿な……!場のカードの能力は消えているはずじゃないのか!?」
「ごめんなさいねぇ。――この能力、『手札』で使ってるのよぉ」
 『黄昏の聖域』の効果が消しているのは『場のカード』の能力である。であるが故に、手札のハウンドはフィールド効果に阻害されることなく能力を発揮できるのだ。
 これは――以前のオブリビオンとのヴァンキッシュの際に彼女が用いていたカットイン戦術の再現でもあった!
「アストラバスターがッ!!!」
 爆発。――シン・アストラバスターが銃弾に貫かれ、そして爆ぜる。炎の中から煙を裂いて、ハウンドが戦場へと立った。
「――そして、アタックしているロードシリウスはまだ健在。バトルは継続ねぇ」
「なに……ッ!?」
 そう。――このカットインタイミングでティオレンシアが叩いたのは、アタックしているロードシリウスではなく、アストラバスターだ。よって、ブロック宣言のタイミングは未だ存在している。
「このアタックはハウンドでブロックねぇ。――パワー負けするから、そのままハウンドは消えるわよぉ」
「てめェ……わざわざ出したユニットをそのまま潰すとは、いったい……!」
「――相手のユニットとのバトルによってハウンドが破壊されたため、タクティカルバースト」
 『“シェリフスター”ハリケーン』。コスト7。パワー9000。
 『【タクティクス:相手によって自分のユニットが場を離れたとき】相手のコスト4以下のユニットを2体まで選び、破壊する。その後、このユニットを場に出す』
 『[クイックドロウ!]【手札】相手がスペルの使用を宣言したとき、その効果解決前に1コストを払ってよい。そうしたとき、手札のこのカードをトラッシュに置き、そのスペルの効果を無効化する。[クイックドロウ!]は1ターンに1回まで使える』
 ――ハリケーン!これもまた、ティオレンシアの愛用するユニットカードの新イラスト版だ!タクティカルバーストもまた場ではなくタクティカルゾーンという別領域で処理される効果のため、これもまた聖域に阻害されることはない!
「――対象はコスト4以下。ロードシリウスと竜魂よぉ」
「ば、バカな――!」
 爆散――ッ!タクティカルゾーンより飛び出したハリケーンが撃ち放つ神速のクイックドロウ!2体のユニットを撃ち抜いて、新たに戦場へと立つ!
「更に、ハウンドの破壊に反応してトラッシュの『不滅のデュラハン』の効果を発揮するわねぇ」
 そして――墓地より招かれる首無しの騎士!
 かくして、レッカがターンを終えたこの時、ターンプレイヤーだったはずのレッカの盤面に立つユニットはなく、ティオレンシアには3体のユニットが並ぶ状況となっていた。
「た……ターン、エンド……」
「――それじゃ、これでお終いよぉ」
 ファイナルターン。
 頼りのパワーカードを潰されたレッカに、もはや勝機はない。ティオレンシアは更に2体目のラタータを出撃し、そしてレッカのライフへと攻め込んだ。
「な、何故だ……何故、オレが負けるッ!!!」
「どうして負けたかわからないんだったら、何度やったって無駄よぉ?」
 そして――瞬く間に叩き込まれるダメージ!
「それじゃ、これでヴァンキッシュねぇ」
「ば、バカなああああああああああッ!!」
 ――Vanquish!勝者、ティオレンシア・シーディア!

「うん。いい仕事だったわよぉ?」
 そして、ティオレンシアは2枚のカードを手に取る。
 今回新規カードとして追加されたハウンドとハリケーンだ。
「……あたしの「切り札」は大罪公主なワケだけど。「相棒」って枠なら、やっぱりこの二人なのよねぇ」
 微かに笑みを浮かべ、そしてティオレンシアはカードをケースへとしまう。
 かくして、これで猟兵たちが得たのは都合5度目の勝利である。――忌火起・レッカのメンタルはもはやへし折れる寸前だ。間もなく、その存在核へとダメージが届くだろう。
 猟書家へととどめの一撃を叩き込むべく、史上最大のヴァンキッシュは続く!

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
そうだろうと思って組んだデッキだけど、思った以上に相性ぴったりだったねぇ。
特にこの『聖域の祈り巫女』はデザインも可愛くて素敵だわ。
え?この絵を描いた人が居るの?後でサイン頂戴!
スリーブに入れて大事にするから!

というわけで、引き続きこの《祈りガチャ》デッキで勝負だ!
とはいえ相手は猟書家、初心者の私から見ても高いヴァンキッシュ力を感じる……。
ただ祈るだけじゃ運命を引き寄せられないかも知れない。
ので、デッキシャッフルする前に祈って加護を得ておこう!
相手にとっちゃ初見だし、ユーベルコードだと気付かれなきゃ相殺もされんでしょ!
後は私の祈りと加護が、お前のヴァンキッシュ力と運命力を上回れるか、勝負だよ!



「……よし、なかなか手に馴染むじゃないか」
 エダ・サルファー(f05398)はデッキを手にしながら、展開されたカードバトル空間に臨む。
「そうだろうと思って組んだデッキだけど、思った以上に相性ぴったりだったねぇ」
 ばら、と広げたカードは白属性を中心として構成した《聖域》カテゴリのデッキだ。特に『聖域の祈り巫女』からのデッキトップオープンによる展開はその爆発力と不安定性から俗に『祈りガチャ』と揶揄される。
「あ、それ僕の描いたカードですね」
 エダの広げたカードを後ろからひょいと覗き込んだのは、イラストレーターとして名を馳せる滝子(だきし)・メル氏である。
 イラストを担当したのはちょうどエダの見ていた『聖域の祈り巫女』であった。
「え?本人さん?うわー、こりゃめぐり合わせだねぇ!後でサイン頂戴!スリーブに入れて大事にするから!」
「いいですよ。そのかわり、次の試合も必ず勝ってくださいね」
「もちろんさ!」
 エダはびしっと親指を立ててからカードゲーム空間へと向きなおり、そして一度呼吸を整えてから――飛び込む!
「じゃ、行ってくるよ!」
「ご武運を!」
 戦場へと飛び込むエダの背中を、キマイラフューチャーの人々が見守っていた。

「――さあ、来やがれ。ズタズタにしてやるぜ!」
 かくして、空気が張り詰める。
 エダに相対するのは猟書家忌火起・レッカその人である。レッカはヴァンキッシュボードへと乱暴にデッキを叩きつけると、鋭い敵意を乗せながらエダを睨みつけた。
「……なるほど、さすがに猟書家だ。初心者の私から見ても高いヴァンキッシュ力を感じる……」
 敵は、強い――ただ祈るだけでは、勝利という運命を引き寄せられないかもしれない。
「……我らの道行きに、幸いを」
 エダは強く祈った。
 敵のデッキは強力なテキストを備えたパワーカード犇めく凄まじい強デッキだ。そしてヴァンキッシャーとしての習熟度を加味して考えても、エダに勝ちの目は薄いだろう。
 ――勝機はただ、運命を引き寄せる力のみだ。
「フン。この期に及んで神頼みとはな……。いいぜ、そのツラを絶望に染め上げてやる!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 かくして、戦いの火蓋が落ちる。
 じゃんけんによって先行を取ったエダは初手リソースを置くのみにとどめてターンエンド。レッカもまた同じく序盤はリソースを置くにとどめた。
 ――盤面が動き出したのは4ターン目である。
「私はコストを支払って、手札からフィールド『聖域都市ドミナシア』を展開するよ!」
 聖域都市ドミナシア――コスト4。白のフィールドカード。『自分の《聖域》のユニットの効果で自分が山札の上をオープンするとき、オープンする枚数を+1する』。
 『【聖域都市の加護】自分のコスト7以上の《聖域》ユニットがアタックで相手にダメージを与えるとき、そのダメージを+1する。【聖域都市の加護】は、ゲーム中に1回まで使用できる』。
「なに……フィールドカードだと?」
「私はこれでエンドさ!」
「フン……だが、そんなものを出したところで無駄だ!オレのターン!ドロー!そしてコストを支払い、手札から尖兵侵略竜スターバレットを出撃!そしてバトルフェイズだ!」
 ――続くターン!レッカは手札から『侵略』のユニットを出撃する!即座にバトルフェイズへと突入し、アタックを宣言!
「[カットイン]は!」
「ないよ!」
「なら、こっちの[カットイン]だ!オレはコスモゾーンのアストラバスターの能力を使い、手札を破棄してノーコストで降臨する!」
 コスモゾーン解放!空間が砕け、割れる次元。裂けた空を抉じ開けて、異形の戦騎が戦場へと降り立つ!
「滅ぼす侵略、シン・アストラバスターッ!スターバレットに代わってこのままアタックを継続だ!このアタックは!」
「ライフダメージだよッ!」
 ずあ――ッ!アストラバスターの腕がエダのライフを穿ち砕く!衝撃に呻きながらも、エダは踏みとどまった。
「これでまず1点……くくく。これでもうオレの勝ちは決まったようなもんだぜ。あとはオレのアストラバスターが制圧するだけだ!」
「はは……ッ。どうかな。まだゲームは決まっちゃいないよ!」
 そして、エダにターンが返る。
「私のターン……リブート、ドロー!」
 ――カードを引いたエダは、その口の端を歪めて笑った。
「……きたよ。私のキーカードだ」
「ほう……」
 それを見たレッカは、眉根に皺を寄せた。
「そして、お前の場には[行動済]のアストラバスターが1体だけでリソースも使い切ってる。タクティカルっていうのも置かれてない……なら、ここが勝負どころじゃないか!このターンで一気に攻め切るよ!」
「馬鹿な!お前のリソースはたかが5枚!俺のライフはいまだ0ダメージだぞ?このターンで仕留めきれるはずがねェッ!」
「だからこそさ!……さあ、私の祈りと加護が、お前のヴァンキッシュ力と運命力を上回れるか、勝負だよ!」
 睨みあう間に交錯する戦意!かくして、エダは盤上へと運命を叩きつける!
「私は手札から『聖域の祈り巫女』を出撃!」
「テメェ……そのカードは!」
『聖域の祈り巫女』!コスト5!『【救世の祈り】このユニットが登場したとき、自分は手札を1枚破棄してよい。そうしたとき、山札の上から3枚までオープンし、その中の《聖域》をもつコスト7以下のユニットカードを1枚まで選び、コストを支払わず場に出す。残ったカードは山札の下に置く。【救世の祈り】は1ターンに1回まで使える』!
「私は手札を1枚捨て、【救世の祈り】を使うよ!山札の上から3枚……いや、聖域都市の効果で4枚オープンだ!」
「祈りガチャか……だが、そうそう都合よくは……」
 ――そして、エダはデッキを開く。
 1枚目――『聖堂騎士アースラ』。コスト3の《聖域》ユニット。
 2枚目――『伝説騎士セイファート』。コスト8の《聖域》ユニット。前回の戦いでフィニッシャーを務めたカードだが、『祈り巫女』の効果で登場できるのはコスト7以下!対象外!
 3枚目――『聖剣サンクキャリバー』。コスト4の《聖域》のアーマメント。
 ――そして、4枚目!
「きたッ!『聖堂騎士団長オズワルド』!」
「なにッ!?馬鹿な、そんな――都合よくッ!?」
「こいつが祈りの成果だよッ!私はオズワルドの能力を使うぜっ!当然、手札は3枚破棄だ!」
 ――オズワルドの能力は、デッキ上から5枚までを見て『オズワルド』以外の《聖域》ユニットを、手札を破棄した枚数分場に出すものだ!
「さあ、このまま連続展開だ!《祈りガチャ》の本領発揮といこうじゃないか!」
 かくして盤面へと立つのは――
 コスト7!『聖剣の主 アナスタシア』。パワー6000。
 『このユニットが場に出たとき、自分の手札にあるカード名に『聖剣』をもつアーマメントカードを1枚まで選び、コストを支払わずこのユニットに直接[武装]するように場に出す』!
 『このユニットが『聖剣』と[武装]しているとき、このユニットのパワー+5000し、このユニットは相手の効果で選ばれない』!
 コスト4!『従騎士アルエット』。パワー6000。自分の《聖域》がアタックしたとき、このユニットを[行動済]にすることでアタックしているユニットの与えるダメージを+1!
 コスト5!『聖拳士サイア』。パワー6500。『【制限】このユニットは[武装]できない』。
 『このユニットがアタックしたとき、このターンの間、相手は[カットイン]を使用するときに追加で1コスト支払う。支払わない場合、無効化する』。
 ――以上の3体!
「な……ん、ッ!」
「更にアナスタシアの登場時効果だ!私は手札から『聖剣ヴァルセイバー』を出してアナスタシアにつけるよ!」
 『聖剣ヴァルセイバー』!コスト4のアーマメントカード!『[武装]しているこのユニットが相手のライフにダメージを与えるとき、そのダメージ+1』!『このユニットのアタックが相手のライフにダメージを与えたとき、相手のリソースを2枚まで選び、[行動済]にする』!
 ――かくして、場に[未行動]状態で立つユニットは聖剣を携えたアナスタシア。そしてアルエットとサイアの3体!
「これで整った!それじゃいくよ……バトルフェイズだ!」
「い、イカサマだ!そんな、そんなご丁寧にフィニッシュムーヴに届くまで揃うはずが――」
「いいや、天の采配さ!さあ、いくよ!」
 エダの宣言に応じて、バトルフェイズが始まる!
 はじめにエダはサイアでアタックを仕掛けた。能力が起動し、レッカの[カットイン]を阻害する!
「まずは一発目、ッ!」
 戦場を跳んだサイアが、一気に間合いを詰めてレッカのライフへと攻め寄せた。――必殺の聖拳突きが唸る!
「ぐお……ッ!」
 ボディに重たい一撃を叩き込まれ、レッカは喉奥に苦いものがこみ上げるのを感じた。……だが、まだダメージは1点。踏みとどまる!
「続けてアナスタシア!これで……終わらせるよッ!」
 続けざま!アナスタシアが奔る。振り上げたヴァルセイバーの刃が煌めいた。
「私はアナスタシアのアタックにあわせて、アルエットの能力を使うよ。この子を[行動済]にすることで、アナスタシアの与えるダメージを更に上昇だ!」
 祈りを捧げるアルエット。そこから漏れ出た加護の光がアナスタシアを包んだ。――これで、このユニットが与えるダメージはヴァルセイバーの効果をあわせて3点!
「だ、だが……3点なら、致命傷には――!」
「いいや、終わりさ!更に私は聖域都市ドミナシアの効果を使って、アナスタシアの与えるダメージをもう1点追加するぜ!」
「な――なんだとッ!?」
 【聖域都市の加護】だ!これによって、アナスタシアの与えるライフダメージは計4点まで上昇する!
「このアタックは!」
「ち、チクショウ、止める手が……無ぇッ!ライフダメージだ!」
 そして――聖剣の一振りが、侵略者のライフを両断した!
「ぐあああああああああああああッ!!!」
 ライフダメージの衝撃に断末魔めいた悲鳴を叫びながら、忌火起・レッカが倒れて転げまわる!
「これでダメージ5点……ヴァンキッシュだ!」
 Vanquish!――勝者、エダ・サルファー!掲げた拳が示す勝利を、オーディエンスの喝采が讃えた!

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
「……これが新しいカード…嬉しいけど…後で性能の調整入りそう」

デッキはフランソワ・シスターズを中心に♡(ピンク)メインで黒も混ざっており、屍人とアイドルの両立を図ったかなり趣味が混ざったであろうデッキ
相手の除去効果は「グリッターアイドルステージ」等で凌いでおいて、攻めあぐねる振りをして場にアイドルを集める
「……特殊勝利のカードは……理想郷だけじゃない」
キラキラ⭐︎などの一部の特性を持ったカードを場に複数揃え、ライブを行う系の特殊勝利カードを切り札に出す

「……私はヴァンキッシュを通じて色々な人とお話しできたし…そういうことが出来るようになる…このゲームが好き…だから…悪用することは許さない」



「……これが新しいカード…………」
 中村・裕美(f01705)は新たに手にしたカードをためつすがめつ確認しながら、デッキの再構築を行っていた。
 『フランソワ・シスターズ☆美しきアン』。コスト2。パワー1500。《屍人/キラキラ☆》。
 『【美しさは不滅!】トラッシュにあるこのユニットカードは、自分の『フランソワ』が手札から場に出たとき、コストを支払わず場に出すことができる。【美しさは不滅!】は、1ターンに1回まで使用できる』。

 『フランソワ・シスターズ☆可憐なドゥ』。コスト3。パワー4000。《屍人/キラキラ☆》
 『【センターはわたし!】このユニットが相手によって場を離れるとき、このユニットを[行動済]で場に残せる。【センターはわたし!】は、1ターンに1回まで使用できる』。

 『フランソワ・シスターズ☆かわいいトロワ』。 コスト4。パワー3000。《屍人/キラキラ☆》
 『【あたし、輝いてるでしょ!】このユニットのパワーは、自分の『フランソワ』1体につき+2000する』

 『プロデューサー・フランソワ』。コスト6。パワー6000。《屍人》。
 『【ドクトリーヌ式プロデュース】このユニットが手札から場に出たとき、自分の山札を上から5枚まで見て、その中の『プロデューサー・フランソワ』/『ドクトリーヌ・フランソワ』以外のカード名に『フランソワ』をもつカードを2枚まで手札に加える。残ったカードはすべてトラッシュに置く。【ドクトリーヌ式プロデュース】は、1ターンに1回まで使用できる』。
 『自分の『フランソワ』が相手の効果で場を離れるとき、自分の手札を1枚破棄することで、場を離れるカードすべてを[行動済]で場に残す。この能力は1ターンに1回まで使用できる』。

 ――いずれも、黒と♡(ピンク)の2色混色カードだ。
「……うん。……これで、いってみよう」
 結果、できあがったのは裕美の愛用であった『フランソワの姉妹』を用いる黒の《屍人》に、今回獲得した新カードであるシスターズを組み込んだ屍人とアイドルの混成デッキである!
「――準備はできたようだな?」
「……ええ。できてるわ」
 そして、忌火起・レッカは裕美を睨めつける。
「さあ、デッキを構えやがれ……。今度こそッ!このデッキでブチ殺してやるぜ、猟兵がッ!」
「……」
 分厚い眼鏡のレンズの奥から、裕美はレッカを睨み返した。
「……私はヴァンキッシュを通じて色々な人とお話しできたし……、そういうことが出来るようになる……このゲームが好き」
 裕美はヴァンキッシュボードへとデッキを静かに置いた。
 そして、その顔を上げ、猟書家へと対峙する!
「だから……悪用することは、許さない」
「許さねェならどうするっつーんだ……!どの道、テメェはオレのコズミックカードの前に敗れ去るしかねェんだよ!カードを引け!ゲットレディ!」
 爆ぜるように真向から押し寄せる敵意!レッカはデッキをボードへと叩きつける!
「いいえ……私は、負けない。……始めるわ。ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 ――そして、決戦は始まった!

「私は黒を含む2コストを支払い、手札からトロワを出撃するわ」
 2ターン目。裕美は『フランソワの姉妹 ラブリー・トロワ』を場に出した。コスト2。パワー1000。『相手によってこのユニットが場を離れるとき、お互いの山札を上から3枚破棄し、自分は1枚ドローする』能力を持つ《屍人》であり、最軽量の『フランソワ』でもある。
「フランソワデッキか……だが、オレのデッキを相手に耐久しようなんざ無茶なこった」
「それは。やってみないとわからないわ」
 張り詰める緊張感。ぶつかり合う戦意。序盤の棋譜は静かに進む。
 3ターン目にレッカはスティグマドローを使用。自身にダメージを加えつつ、3枚のカードを引く。
 返すターンに裕美は3コストを支払って『フランソワ・シスターズ☆可憐なドゥ』を盤上へと出した。
「なに……?黒かと思えば♡のユニットだと……?フン。だが何体出してこようが無駄だぜ。どうせ全部消し飛ぶんだからな。オレは手札からダークマター・ドラゴンを出撃!」
 一方、続くターンでレッカは遂にユニットを出撃させた。ダークマター・ドラゴン――侵略宇宙竜ロードシリウスの降臨元として用いられるコスモドラゴンのユニットだ!
「……来ましたか」
「何度でも言ってやる。お前は、オレに勝てねぇ――。次のターンで地獄を見せてやる。これでターンエンドだ」
「私のターン……ドロー。リソース。メイン」
 だが、プレッシャーに屈することなく裕美は手番を進めてゆく。
「私は手札から、フィールド『グリッターアイドルステージ!』を展開」
「なに……ッ!」
 『グリッターアイドルステージ!』コスト3以下の《アイドル♡》へのトラッシュ送りを防ぐ能力と、《キラキラ☆》に能力耐性を持たせる♡の定番フィールドカードだ!
「これでエンド」
「チッ……だが、やることは何も変わらねェ!パワーで押し通るだけだッ!オレのターン!リブート・ドロー!そしてバトル!」
 ここでレッカはアタック宣言へと移る。ダークマター・ドラゴンでアタック!そして、同時にコスモゾーンの解放!
「コスモゾーン解放ォッ!絶望満ちる天より降りよ!侵略宇宙竜、ロードシリウスッ!」
 ガオンッ!空を裂いて降りる侵略宇宙竜!その咆哮が盤面を引き裂く!光を浴びて消し飛ぶラブリー・トロワ!しかし、可憐なドゥはステージに立つことでその影響を免れる。《キラキラ☆》をもつユニットを保護する効果で除去を逃れたのだ。
「トロワの破壊時能力を起動。お互いに山札の上から3枚破棄……そして、私は1枚ドロー」
「いいだろう。――このアタックは!」
「カットインは……ないわ。ライフダメージ……ッ!」
 竜の咆哮がライフを砕く!裕美へと刻まれる1点目のダメージ。衝撃に身体が軋み、喉奥から微かな悲鳴が漏れた。
「……私の、ターン」
 だが、膝を屈しはしない。心まではまだ折れない!裕美は視線を上げながらカードを引く。
「私は黒と♡を含む6コストで、『プロデューサー・フランソワ』を場に出す……!」
 プロデューサー・フランソワ!裕美の使う『フランソワ』デッキの中核をなす眼鏡美女カード『ドクトリーヌ・フランソワ』の別バージョンユニットである。
「【ドクトリーヌ式プロデュース】を発動……。山札の上から5枚を見て、その中から……」
 ――『フランソワ』を含むカードを2枚まで手札に加え、残りは破棄する。
「……『かわいいトロワ』と『フランソワーズ・パーティーナイト』を手札に加えるわ」
 『フランソワーズ・パーティーナイト』――コスト4のフィールドカード。
 『相手の効果によって自分の『フランソワ』が場を離れるとき、そのカードを置く場所を自分のトラッシュに変更する』。
 『相手のターンのエンドフェイズに、それぞれカード名の異なる『フランソワ』が自分の場に6体以上いるなら、自分はこのゲームに勝利する』。
「……なに?なんだ、そのカードは――」
「……気づいたようね。……そうよ。……特殊勝利のカードは……『光の理想郷』だけじゃない」
 特殊勝利カード!裕美のデッキに仕込まれていたカードは、『フランソワ』を場に揃えることで条件を満たすものだ!
「そして……トラッシュの『美しきアン』の能力が起動するわ。このカードを場に出す……!」
 ――これで、裕美の盤面には『可憐なドゥ』『美しきアン』『プロデューサー・フランソワ』の3体が整う。
「私はこれでターンエンドよ」
「そ、そうか……わかったぞ。テメェ、そのカードで無理やり勝ちを取ろうってつもりだな……!そうはさせるかよ!オレのターン!」
 手札に加わった特殊勝利カードに、レッカが焦れた。
「オレは手札から『降誕を待つ竜魂』を出撃し、そのままアタックに入る!そして再びコスモゾーン解放ォ!『侵略』名称のコスト4で降臨条件を満たし、侵略宇宙竜ロードシリウスの上にシン・アストラバスターを降臨だッ!」
 ――攻め手を急ぐ!レッカはロードシリウスを降臨元として、シン・アストラバスターを降ろしたのだ。登場時能力を起動し、『プロデューサー・フランソワ』を除外しにかかる!
「消し飛びやがれッ!」
「駄目よ……。私はプロデューサー・フランソワの能力で手札を破棄し、場に残すわ。そしてそのアタックは、『美しきアン』でブロック」
 しかし、裕美は恐れることなく保護能力を起動!手札を代償にプロデューサーを残しつつ、アタックはアンで受け止める!当然、パワー負けするアンはトラッシュへと落ちるが――
「――私のターン。ドロー。……私は手札から、『かわいいトロワ』を出撃。これに反応して【美しさは不滅】よ。トラッシュのアンを蘇生するわ」
 ――再び盤面は整う!
「ターンエンドよ」
「こ、こいつ……ッ!」
 ぎりと歯を噛み鳴らすレッカ。怒りを露わにするその姿を睨めつけて、裕美は短く息を吐く。
「……アストラバスターは、よく覚えているわ」
 思い起こすのは、彼女がはじめてヴァンキッシュに触れたときの戦いだ。
 あの時相対した名もなきオブリビオンは、カードの応酬から生まれる燃えるような情熱の火をその空虚な魂の中へとたしかに灯し、満たされながら滅びていった。
 ――その時の敵ヴァンキッシャーが用いていたキーカードこそ、『虚空よりの来訪者 アストラバスター』だ。
「けど……あなたのアストラバスターには、心が入っていない」
「……心だとォ?なにが心だ!情熱だ!魂だ!――カードは力だ!カードバトルは勝つためにやるんだろうがッ!」
「……勝ちたいと思うのは、間違いじゃない。だけど、それだけじゃない」
「ふざけるなッ!」
 怒りと共にレッカはアタックを宣言!シン・アストラバスターが攻め寄せる――しかし、このターンも裕美はプロデューサーの能力で除去を防ぎ、アンで攻撃を止めた。
「あなたのカード……泣いてるわ」
 返すターンで更に裕美は『キューティ・ドゥ』と『ビューティ・アン』を出撃する。
 『美しきアン』。『可憐なドゥ』。『かわいいトロワ』。そして元である『キューティ・ドゥ』と『ビューティ・アン』。さらに『プロデューサー・フランソワ』。
 かくして、6種の『フランソワ』が盤面へと揃う。
「『かわいいトロワ』は、『フランソワ』の数に応じてパワーが上がるわ。6体で合計12000上昇……。15000よ」
「な……ッ!アストラバスターを上回っただと!?」
 ――そして、盤面は決定的となった。
 アストラバスター1体の除去能力では、耐性と蘇生能力で固められたフランソワの完成盤面を突き崩す力はない。パワー負けしているならば猶更だ。今度はレッカが攻めあぐねる番となった。
「……フランソワーズ・パーティーナイトを展開」
 再び巡るターンで裕美はフィールドを展開。
 ――返す手番でレッカは最大限の手を打ったが、もはや手遅れであった。
 結果として――ここに、特殊勝利条件は成る。
「こ、こんな……このオレがアァァァッ!!」
「……ヴァンキッシュ」
 Vanquish――!勝者、中村・裕美!
 ヴァンキッシュは楽しいものだ。――勝利に固執するばかりでは、真のヴァンキッシャーたり得ない。
 拳を掲げ勝ち誇る裕美のその凛とした眼差しは、それを何よりも雄弁に物語っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
うっわー、そう言う事かよ。
『侵略』デッキって他の猟書家も使ってたけど、
その時よかも厄介さが増してそうだね。
『誇り高き誓い』で守りを固めるのは無理っぽい
……けれど。

アンタらの戦法に共通する弱点ってか欠点、言ってやろうか?
「相手のフィールドカードに触らない」んだよ。
確かにユニットの展開をスペルで補助した方が派手だし強い。
けれども、フィールドコンボを舐めるなよ。
検問所や図書館と言った《鋼鉄皇帝軍》の
『帝都施設』のフィールドを揃え、
対象を取らないタイプの攻撃や降臨制限を課しつつ
《ストライバ》達を強化する。

強力なアーマメントも入れてるからバランスもピーキーだけど
扱いきってみせらぁ!



「猟書家のデッキ……うっわー、そういうことかよ」
 数宮・多喜(f03004)は、対峙する忌火起・レッカのカードを前に表情を歪める。
 『侵略』名称をキーにしたコスモゾーン採用型のデッキタイプだ。以前、ミズ・ルチレイテッドとの戦いにおいて対峙した際のことを多喜は思い出す。
「シン・アストラバスターにザクスダム……。強力なカードばかりじゃないか。前にやった時よかも厄介さが増してそうだね」
「フン……オレはルチレイテッドのような甘ちゃんとは違う!オレのコズミックカードで徹底的にブチのめしてやるぜ!」
 盤面越しにレッカは多喜を睨めつける。
「随分な自信じゃないか……どれにしたって、やるしかないね」
 多喜は静かに息を吐き出し、そしてヴァンキッシュボードへとデッキを置いた。
「ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
 ――かくして、戦端は開かれる!

「オレのターンだ!リブート、ドロー!」
 忌火起・レッカの第3ターン。レッカはリソースを置き、そしてメインフェイズへと入る。ここでレッカはスティグマドローを宣言。自分のライフにダメージを与えることを代償に3枚カードを引き、ターンエンド。
「アタシのターンだ!」
 返す多喜の第4ターン、多喜は手札から『超弩級鋼鉄病棟』を展開した。前のターンにおいて『鉄血宰相の令』を展開していた多喜は、これで得意とするフィールドカード・コンボを完成させる。
「チッ……フィールドカードのコンボか!」
「アタシはこれでターンエンドさ。さあ、アンタのターンだよ!」
「いいだろう。勝負はここからだ!オレのターン!リブート・ドロー!リソースを置き、そしてメイン!手札からダークマター・ドラゴンを出撃!」
 返すターンでレッカは盤面へとユニットを出撃させる。更に、レッカはすぐさまアタックを宣言した。『相手のターン終了時、そのターンに自分のライフが減っていないなら、自分は1点ダメージを受けてよい。そうしたとき、自分は1枚ドローする』――フィールド『鉄血宰相の令』によるドロー加速を警戒したのだ。
 多喜はそのアタックをライフダメージで受ける。――リソースへと落とされるダメージカード!衝撃に多喜は歯を食いしばる。
「これでエンド!」
「アタシのターン……ターン開始時、鋼鉄病棟の効果を発揮するよ!」
 ここでフィールドカードが効果を発揮する!『自分のターン開始時、自分のライフが5以下なら、ライフを1点回復してよい』!
 多喜はこの効果によってダメージを回復する。――ヴァンキッシュにおけるダメージは、リソースエリアへと置かれる裏向きのカードの枚数によって表現される。ダメージの回復という概念は、裏向きにされたダメージカードを表向きに返すことで表現される。すなわち、受けたダメージの分増えたリソースはそのままなのだ。多喜はこれで疑似的なリソース加速を果たしたことになる。
「そしてドロー……更にリソース!これでアタシのリソースは6枚目!続けてアタシはメインフェイズでフィールドカードを展開するよ!」
 ――続けて多喜はフィールドに『帝国式重力結界』を展開する。
 『帝国式重力結界』――コスト4。『お互い、手札以外からユニットを場に出すとき、追加で2コスト支払わなければ場に出すことができない』!
「なに……ッ!?」
 トラッシュやリソースといった別領域からの特殊出撃を抑制するためのカードだ。だが、このテキストが制限しているのはそこだけではない。このカードはコスモゾーンからの降臨もまた抑制しているのである!
「更にアタシは手札から『鉄輪従騎士 ラタータ』を出撃してターンエンド!」
「こ、こいつ――!オレの手を封じてこようっていうのか!」
 返すターン、レッカはリソースを置くにとどめる。今の状況では、重力結界による抑制によってレッカはコズミックカードの展開につなげることができないのだ。
 かと言って、ダークマター・ドラゴンでのアタックはラタータにパワー負けし、返り討ちにあう。降臨元となるユニットを必要とするのはコズミックカードの弱点のひとつだ。
「くそ――ッ。ターンエンド!」
「アタシのターンだよ。――なあ、猟書家。いいや、『侵略』デッキ使い。……アンタらの戦法に共通する弱点ってか欠点、言ってやろうか?」
 多喜はカードを繰りながら、その視線を鋭くレッカへと投げかける。
「なに……オレの弱点だと!?」
「ああ、そうさ」
 困惑!無敵を標榜するデッキの弱点を指摘され、レッカはたじろいだ!
「『相手のフィールドカードに触らない』んだよ」
「なに……ッ!」
 驚愕するレッカに構うことなく、多喜はテキストを起動する。鉄血宰相の令でダメージ・ドロー。超弩級鋼鉄病棟で回復――。レッカが攻めあぐねる一方で、多喜はその地盤を固める動きを続けているのだ。
「確かにユニットの展開をスペルで補助したり、カードパワーの高いユニットで押し切った方が派手だし、強い――けれども、フィールドコンボを舐めるなよ」
 続くメインフェイズに、多喜は更にフィールドカードを展開した。
 『帝都ビルドポリス』――。『自分の《鋼鉄皇帝軍》のユニットが効果で場を離れるとき、自分のフィールドカード1枚を[行動済]にすることで、自分のユニットすべてを[行動済]で場に残す』!
 『自分の《鋼鉄皇帝軍》のユニットがブロックしたとき、そのバトル中、自分のフィールドカード1枚につきブロックしているユニットのパワー+1000』!
「こいつ……ッ!!オレのデッキの弱点を読み切って、メタを張ってきたっていうのか!」
「仮想敵相手にメタ構築を仕掛けるのだって、カードゲームの醍醐味さ!雑にパワーカード積んでればいいってもんじゃないだろう!」
 ――かくして、これで多喜の盤面には都合4枚のフィールドカードが展開される。ビルドポリスの効果を適用すれば、ラタータのパワーは都合9000まで上昇することになる。破格の数値だ!
「ふ、ふざけやがって……ッ!オレのターンだ!リブート!ドロー!そしてメイン……【流星】発揮だッ!オレは手札から尖兵侵略竜スターバレットを2コストで出撃!」
 しかし、レッカはいまだ戦意を失うことなくカードを放つ!手札から出撃させたのは、『侵略』をもつユニット!
「そしてバトルだ!いけ、スターバレット!アタックだ!」
「――カットインならしないよ!」
「ならば、コスモゾーン解放ッ!テキストを起動し、シン・アストラバスターを降臨だッ!手札以外の領域からの登場のため、重力結界の効果で2コストを支払うぜ!」
「パワー13000……ブロックはしない!ライフダメージ!」
 ガァンッ!叩きつけられるダメージ!多喜のライフに新たなダメージが追加される――!
「これでエンドだ……!」
「なら、アタシの番だ。――いくよ、ここからが勝負所さ!」
 そして、多喜へとターンが返る。
「アタシは手札から、『徹底抗戦 ストライバ・アヴェンジ』を出撃するよ!」
 銀を含む7コスト!多喜は手札から『徹底抗戦 ストライバ・アヴェンジ』を出撃させる――!コスト7!パワー7000。先の対戦でも活躍した強力なユニットだ!
「更に登場時効果を発揮!アタシは手札から『攻性防壁武装』を出してストライバに[武装]することができる!」
 続けざまに多喜が手札から展開したのは――『攻性防壁武装・カウンターアーツ』!コスト4。『装備条件:《鋼鉄皇帝軍》&コスト5以上』!
 『[武装]しているこのユニットは[行動済]でもブロックでき、ブロックしたバトル中、このユニットのパワー+4000』。
 『このユニットが[武装]しているなら、相手のバトルフェイズ開始時、自分は0コスト支払ってよい。そうしたとき、相手はそのバトルフェイズ中、自分の場のユニットでアタック宣言を行う。アタックしなかったとき、相手の場にユニットがいるなら、そのバトルフェイズ終了時に相手は2ダメージ受ける』!
「そいつは……!」
 ――相手にアタックを強要する能力をもつアーマメントカードである!
 更に、[行動済]でもブロックが可能になる能力までも付与することが可能だ。これもまた、銀属性の攻防一体の戦術のひとつであった!
「さあ、アタシはこれでターンエンドだ!」
 そして、更にターンは巡る!
「オレのターン……!ぐ、ッ、クソ!リブート、ドロー……メイン!いや、すぐにバトルだ!」
 レッカは苦悶する。――フィールドカードによる降臨抑制が思いのほか強烈な足枷となっていたのだ。苦々しくもバトルフェイズへの進行を宣言し、ターンを進める。
「ならアタシはカウンターアーツの効果を発揮するよ!さあ、アタックしな!」
 ――そして、強要!カウンターアーツの効果によって、レッカはアタック宣言をしなくてはならない!
「……ッ、シン・アストラバスターでアタック!アタック時能力でストライバを除外――!」
「そいつはビルドポリスの効果で止めるよ!カットインがなければ、ストライバでブロックだ!」
 翔けるアストラバスター!しかし、その除去能力はフィールドカードによって得られた耐性によって阻まれる。
 続けてバトル!シン・アストラバスターのパワーは13000。受けるストライバ・アヴェンジは7000――否、カウンターアーツの効果で11000!更にビルドポリスの効果で上乗せし、15000に達する!
「あ、アストラバスターがアッ!!」
 爆散――ッ!ストライバ・アヴェンジの迎撃戦闘によって制圧されるアストラバスターがパワー負けにより破壊される!返り討ちだ!
「さあ、もう終わりかい!」
「――マズい、ッ!……く、崩せない。あれを突破できない、ッ!」
 アーマメントとフィールドによる強化と保護を受けたストライバ・アヴェンジの戦闘能力は圧倒的であった。
 レッカのデッキに、それを突き崩す対策カードは積まれていない。
 コズミックカードのパワーで蹂躙し尽くしてしまえば勝てる――と。そう思っていたのだ。有体に言えば、パワーカードで固めた己のデッキに酔っていたのである。
 故に――そこから先の展開は、もはや語るまでもないだろう。
「なら……ストライバ・アヴェンジでアタックだ!こいつでとどめだよッ!」
 そして、幾度かのターンが巡ったその先で――ストライバ・アヴェンジがレッカの最後のライフを叩き砕き、決着をつける!
「ば、バカな……!お、オレが……負け越すどころか、全敗、だなんて……――!……キ、キング・ブレイン様アアアアアアアアッ!」
 ラストダメージ!最後の一撃を叩き込まれた猟書家・忌火起レッカが断末魔を叫びながら激しく転げまわり、そして爆発する!
「終わったね。なら、叫ばせてもらうよ……ヴァンキッシュだ!」
 その爆炎を背にしながら、勝ち鬨の声があがる!
 これで猟書家との戦いにひとつの決着がつけられたのである――Vanquish!勝者、数宮・多喜!

 ――かくして、空前の規模で行われた史上最大のヴァンキッシュは、猟兵たちの勝利で幕を下ろしたのである。
 だが、その胸の内に戦いの炎が燃え続ける限り、ヴァンキッシュは終わらない。
 猟兵たちよ。次なる戦いに備え、デッキ構築とプレイング、そして運命をつかみ取るドロー力を磨き続けるのだ!カードバトルはいつでも君達を待っている!

 それでは、次のヴァンキッシュでまた会おう。
 ゲットレディ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月10日
宿敵 『忌火起・レッカ』 を撃破!


挿絵イラスト