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パニックひつじと猟書家ウサギ

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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●メアリーさんのひつじ
 あるところにメアリーという、やさしいフェアリーがおりました。
 かのじょはふわふわしたひつじさんがだいすきで、じぶんのフェアリーランドのなかでたくさんのひつじとくらしてました。
 メアリーは、ふわふわもこもこのひつじさんにうもれて、おひるねするのがだいすきなのです。
 きょうもあしたもあさっても、だいすきなひつじさんといっしょにいるだけでメアリーはとってもしあわせなのです。
 しかし……。

『よいこらしょっと』
 にゅ。突然フェアリーランドの地面に穴が空いたかと思えば、そこから顔を覗かせたのは可愛い顔した時計ウサギのお嬢さん。
「めぇぇ~~~」
『って、きゃ、こら、なにするの』
 好奇心旺盛な羊さん包囲網に取り囲まれつつ時計ウサギ――レプ・ス・カムは何とかこの小さな世界の状況把握に周囲を見回す。
『なるほどなるほど。つまりは羊いっぱいのふわもこ世界。じゃあ早速悪夢に変えて差し上げちゃいますかっと!』

 しばしして。
「ぴええぇぇっっ!!??」
 羊さん達が突然見た事も無いレベルに興奮し、メアリーを振り落としたかと思うと。大暴走大激走を開始した羊さん達はフェアリーランドの中を縦横無尽に駆けずり回り始めたのであった。

●求む羊飼い
 そんな訳で、と梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)は集まった猟兵達に告げた。
「アックス&ウィザーズの世界で暗躍してる猟書家の一人が事件を起こす。フェアリーの嬢ちゃんが作り出したフェアリーランドを悪夢そのものに変えようってしてる」
 大人しい性格の羊さん達と一緒に暮らすメアリーと言う名のフェアリー。羊たちは彼女に従順で決して勝手に居なくなったり暴走したりするような子たちでは無いのだが。
「まぁさっき話したとおりだぜ。大暴走して収拾付かねぇ事になってやがる」
 今までは暴走する事も逃げ出す事も無かった為、メアリーが声をかければ集まってきたし集団の管理は出来たので、特に牧羊犬もいないらしく。
 小さなフェアリー一人で広大なフェアリーランドの四方八方に散った羊たちを回収するなんて、まぁ無理にも程がある。
 案の定、メアリーは憔悴する一方でこのままでは衰弱して命すら危ぶまれる訳だ。

「猟書家の悪夢の影響を受けた羊は色が有り得ない事になってるけど、捕獲したりメアリー嬢ちゃんの思いが伝わればすぐに浄化されて落ち着くし元に戻るぜ」
 有り得ない色ってどんなだ、と言う質問に対し、玲頼は苦笑いしながら答える。
「蛍光イエローやピンクやグリーン。しかも意味も無く七色に光る」
 成る程、ゲーミング羊追い。そりゃファンタジー世界の妖精からしたら悪夢だ。

「羊をある程度回収して、メアリーの気持ち落ち着かせたら、状況を察した猟書家のお出ましだ。そしたら容赦無くぶっ倒せよ」
 猟書家さえ倒せば残る羊たちも元に戻って平和が戻るだろうから。
 そんな激励しつつ。玲頼はグリモアの光を指先に描き転送を開始するのであった。


天宮朱那
 天宮です。ラムもマトンも好き。
 ほのぼの入れつつの猟書家シナリオをお届け。

 プレイングボーナスは「フェアリーに楽しいことを考えてもらう」
 特に一章において適用になります。

 一章は冒険。フェアリーランドを縦横無尽に駆け回り暴走中の羊たちを連れ戻して下さい。悪夢の影響を受けている羊たちの毛皮は蛍光七色変化してます。追いやるなり捕獲するなり、もふって浄化させるなり。メアリーがもふもふへの情熱と幸福感を取り戻せばイイ感じ。
 二章はボス戦。レプ・ス・カム相手の戦闘です。

 各章、断章追記予定。その前からでもプレイングは受付します。
 マスターページやTwitterなどでも随時告知をしますので宜しくお願いします。
 適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。

 複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。最大3人組まで。
 技能の『』【】等のカッコ書きは不要。技能名並べたのみで具体的な使用方法の記述が無いものは描写も薄くなります、ご了承を。
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第1章 冒険 『動物たちを連れ戻せ!』

POW   :    騎乗して従わせたり、力ずくで動物たちを連れ戻す

SPD   :    速さを活かして追い込んだり、罠を仕掛けて動物たちを捕える

WIZ   :    動物たちと心を通わせたりして、穏やかに連れ戻す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

名張・辿
傍目にゃ愉快とも取れなくはないが、当人らは大変だよねぇ

まずはメアリーさんにお話ししてみるよ
羊さんたちが戻ったら、まずは何がしてみたい? なんて、
楽しみに思いをはせて貰いながら羊との関係性について、前提知識を補完していこう

次は手近な羊に待ち伏せしたり忍び足で近寄って話したり触れたりしてみようかね
で、幾らか問いかけと観察をしてから【数多の被験者の所見】を使用、
集めた判断材料を、色々されてきた齧歯類の集合知と照らし合わせて、暴走している・正気な部分を推測、
最適なアプローチを考えて改めて説得を試みるよ

愛着あるんなら自力で戻っちゃくれないかい、ふわもこの旦那
皆無理やりじゃなんていうか、こう、寂しいだろ?



「「「め゛ぇぇぇぇ!!!!」」」

「ぴええぇぇ!!?」
 七色にチカチカ輝きながらあっちへこっちへ大暴走を続ける羊さん達。
 その小さすぎる身体では収拾が付かず、涙目でただただウロウロしていたフェアリーのメアリーさんはとうとう羊の突撃を受けて、ひゅーんと吹っ飛ばされ。
「おおっと、危ない」
 名張・辿(鼠遣われ・f04894)が何とか彼女の身体をキャッチして、地面との衝突を回避してやった。
「あ~……傍目にゃ愉快とも取れなくはないが。当人らは大変だよねぇ」
「きゃっ!? お、おじさんはだぁれ?」
 いつの間にか自分のフェアリーランドに来ていた辿の存在に、小さな身体を更に小さくしてメアリーは恐る恐る尋ねてきた。
「ん、おじさんは辿って名のしがねぇ渡世人よ」
「とせーにん?」
「なぁメアリーさん。あの羊さん達が落ち着いて元に戻ったら、まずは何がしてみたい?」
「え? んー、と……」
 優しそうなおじさんだ、と思ったのか。メアリーは警戒を解きつつもぽつりぽつりと彼の問いに答えを返していく。
「ふわふわの背中に乗せてもらって、いっぱいもふもふさせて貰うの」
「うんうん」
「一緒に散歩したりお昼寝したりするの。だって羊さんは仲良しなんですもの」
「つまり、大事なお友達って訳かいね」
 辿の言葉にぶんぶんと縦に首を振って肯定するメアリー。
 そうか、と小さな声で呟くと。辿は彼女をそっと囲い柵の上に乗せて降ろし、頭巾を目深に被り直した。
「ここで待っておいで。ちょっくらおじさんが一肌脱ごうじゃあないか」

 さて、前提知識は備えた。メアリーが楽しい事を思い出した分、幾ばくか羊たちの点滅が弱まっている気もする。
 暴走羊達もずっと走り続けては流石に息も切れるのか。数匹立ち止まっている所に向かって抜き足差し足忍び足。
「やあ、羊さん達」
「めえ゛っ!?」
 突然現れた辿の姿にビビった羊は数歩後退り。
「メアリーさんの所に帰ってやらなくて良いのかい?」
「めめぇっ!!」
 興奮気味に返事をする羊さん。その鼻息が荒くなるにつれ、羊の七色点滅がやや激しさを増した気がした。
「ふむ……」
 少し下がって羊を刺激しない距離を置いてから、辿はそっと黙祷を捧げる。それは実験動物とされてきた齧歯類達がもたらす集合知。彼等の為に祈る時間が、辿の思考に正しき推測を与える事となる。
「……そう、か」
 そして彼が出した結論とは。
「よーしよしよし」
「めぇぇぇ~~~♪」
 捕まえてとにかく優しく撫でて、落ち着いて貰う事だった。
 羊は虹色に光る自分達の色に怯え、その興奮度合いと虹色変化の激しさは連動していると見立てたのだ。であれば、まずは落ち着かせる事が必要なのだと判断したまで。
「な、メアリーさんへの愛着あるんだろ?」
「めぇ」
「なら自力で戻っちゃくれないかい、ふわもこの旦那」
「めえぇぇ!」
 撫でられて心落ち着かせた羊さんはすっかり元の色に戻り、辿と共にメアリーの待つ牧場の柵の中へと戻っていく。
「皆無理やりじゃなんていうか、こう、寂しいだろ?」
 そう笑って告げる辿の表情は動物使いならではの優しい笑みであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
もふもふはいいものですね
人の心を落ち着かせ穏やかにしてくれます
そのもふもふを悪夢に変えようとは許せませんねあのウサギ
ああ、そうです、妖精さん
猟書家を捕まえたらお仕置きにもふもふ返しをしてあげましょう
あれでもウサギですから多少はもふもふしているでしょう、ふふ

さて、我が鎖を広範囲に舞わせて羊さんを追い込んでいきましょうか
鎖にオーラを纏わせて優しい感触にしておけば
羊さんが怪我をすることもないでしょう
ユーベルコードを加減してほんのちょっとだけ使用し
羊さんたちを少し眠い状態にしておけばもっと捕まえやすくなるでしょうね
羊が一匹、羊が二匹……
眠そうなのは羊さんの方ですけれどね、ふふ



「もふもふは……いいものですね」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は穏やかな表情を浮かべながらそうぽつりと呟いた。
「人の心を落ち着かせ、穏やかにしてくれます」
 目の前の光景は決して穏やかとは程遠い惨状ではあるのだが。
「「めえ゛え゛ぇぇぇぇっっ!!!」」
 どどどどど。あっちにこっちに激走中。しかも七色に目まぐるしく光ってるし。
「ひぇぇぇぇ……」
 そう文字通り悪夢の如き状況に頭を抱えている涙目妖精メアリーを見つけると、魅夜はそっと近づいて声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「うぇっ!? お、おねーさんは……?」
「素敵なもふもふの羊さん達だと言うのに……悪夢に変えようだなんて許せませんよね」
「……どういうこと? これって誰かの仕業なの??」
 首を傾げるメアリーに、魅夜はええ、と優しく微笑んで頷いた。
「そうです、妖精さん。猟書家という悪いウサギの仕業なんですよ」
「そんな……わたしが何をしたっていうのよ……」
「安心して下さい。私達はこの悪夢を止めに来たのですから」
 そっとメアリーの目元を拭いてやり、魅夜は告げた。
「猟書家を捕まえたらお仕置きにもふもふ返しをしてあげましょう」
「もふもふ、返し?」
「あれでもウサギですから多少はもふもふしているでしょう、ふふ」
 きょとんとするメアリーをその場に、魅夜は暴走する羊達の群に向かって進み出した。

「さて――」
 魅夜は己の武器たる鎖を手にすると、まるで舞う様に鎖を広げ、躍らせる。
 本来であれば敵を拘束する為の鎖だが、オーラ防御の要領で優しく包んだ上で放てば、羊に当たった所で優しい感触しか与えない。
「めぇぇぇっ!!」
「ふふ、そんなに暴れたら疲れてしまうでしょう?」
 魅夜の力が羊達の魂に触れる。そっと優しく植え付けるのは、夢の欠片。彼らを喰らい尽くすような真似はしない。ただ、その興奮した心を抑えるだけに留めるのだ。
「めぇ、ぇぇ……」
「さぁ、大人しくしてて下さいね?」
 自在に操る鎖が羊達を囲い、捕らえていく。大きな欠伸をする羊達は、ふらふらと集まりながらもそのふわふわ毛並みの点滅を次第に薄れさせて元の色に戻っていく。
「羊が一匹、羊が二匹……おやまぁ」
「ZZzz……」
「眠そうなのは羊さんの方ですけれどね、ふふ」
 魅夜の周囲に集まって、すっかり眠ってしまった羊さん達。そのふわふわもふもふに顔を埋めれば、彼女もまたつられて眠りに落ちそうな感覚に呑み込まれていた。
 どうぞ、悪夢では無い素敵な夢を。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユニ・エクスマキナ
か、可愛い羊さんたちが…カラフルになってるのねー!?
でも、羊さんは羊さんのはず…だよね?
確認すると毛皮はちゃんともふもふで一安心
あぁ、よかった
メアリーちゃんはびっくりしてるかもしれないけど
羊さんたちは変わってないのね
大丈夫、元に戻るよ!
ユニお手伝いしてあげるのねー!
メアリーちゃんは羊さんたちと一緒にどんなことして遊んでるの?
もふもふ毛皮にダイブしてみたり、一緒にお昼寝したりとか?
他にもあったら教えてほしいのね
それで、一緒にやってみよ~!
大丈夫、見た目は変…じゃなかった不思議な色だけど
中身はカワイイ羊さんのままだから!ね、ね、ほら!
もふもふ羊さんの気持ち良さにうっとり
ふわぁ、眠くなってきたのね…



「「 めええええええええええええ 」」
 ずどどどどど。
 虹色羊達があっちへこっちへ右往左往している様子に、ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は思わず目をぱちくり。
「か、可愛い羊さんたちが……カラフルになってるのねー!?」
「うう……正直お目々が痛いです……」
 このフェアリーランドの主であるメアリーはすっかり泣き腫らした目をこしこしこすりながら、ふらふらとやってきたユニを見つけて近づいてきた。
「うわ、メアリーちゃん大丈夫?」
「もう、羊さんどうしちゃったのってカンジで……」
 めそめそしているメアリー。だがユニは彼女を肩に乗せてあげながらそっと問う。
「でも、羊さんは羊さんのはず……だよね?」
「ふぇ……?」
 見ると走り疲れたのか一休みしている虹色羊が数匹座り込んでいるのがいた。
 メアリーを肩に乗せたまま、ユニはそっとその羊さんに近づいてその毛皮に手を伸ばす。
 ――ふわっふわ!の、もっふもふ。
「あぁ、よかった……」
 一安心して大きく息を吐くユニ。これで羊毛がカチンコチンだったり低反発だったりしたらイヤな所だったけど。ちゃんともふもふしてる。
「めぇぇ」
「よしよし。びっくりしてたのね?」
 その頭を撫でてやれば、羊のいつもと変わらぬ反応にメアリーも安堵した様子。
「メアリーちゃんはびっくりしてたけど、羊さんたちは変わってないのね」
「本当だわ……ああ、凶暴になったりしてたらどーしようって思ってたわ」
 でも……とメアリーは周囲をぐるりと見渡した。
 さっき出会った猟兵達のお陰で元に戻った羊さんもいるものの、依然駆け回る羊さんにやたらカラフリャーな羊さんもまだまだ多くいる。
「どうしたら良いのかな、わたし」
「大丈夫、ユニお手伝いしてあげるのねー!」
 それでもメアリーが少し前向きな気持ちになってくれたのを察し、ユニはニコッと微笑んで力強く協力を申し出れば。メアリーもまた釣られる様に口元に笑み浮かべた。
「ねぇ、メアリーちゃんは羊さんたちと一緒にどんなことして遊んでるの?」
 たとえば、もふもふ毛皮にダイブしてみたり。
 もしくは、一緒にお昼寝したり。
「――とか? 他にもあったら教えてほしいのね」
「うん、大体いつもそんなカンジよ。あとはお散歩したり、ミルク貰ったり……」
 羊のミルクは牛のミルクとはまた違った味わいがあるのだとメアリーは言う。流石にこの状況じゃ乳搾りは無理だけど、それ以外なら出来そうな気がする。
「それじゃ、一緒にやってみよ~!」
「う、うん……!」
 七色にカラフルな羊さんがとっとこ走ってくる前に立ち塞がって、ユニとメアリーはええいっとそのふわもこボディにダイブを仕掛けた。
 羊さんはびっくりしてそのまま立ち止まり、二人と一緒に草むらに倒れ込む。
「めえええ」
「ん、だいじょーぶよ。わたしよ、メアリーよ」
 ドキドキ心配そうに羊に声を掛けるメアリー。そんな彼女を力づけるようにユニもまた彼女に声を掛け続ける。
「大丈夫、見た目は変……じゃなかった、不思議な色だけど――中身はカワイイ羊さんのままだから!」
「めえぇぇぇ」
 ふわふわもふもふ。最初はじたじた戸惑う羊さんだったが、二人がもっふり甘える様子に落ち着いたのか。その虹色ボディの点滅は徐々に収まっていく。
「ね、ね、ほら!」
「羊さん、羊さん、お怪我はない? だいじょーぶ?」
「めぇっ」
 羊さんの元気な返事に文字通り飛び上がってくるくる喜ぶメアリー。
 一方ユニは。
「ふわぁ……眠くなってきたのね……」
 もふもふ羊さんの気持ち良さにうっとりまったり。
 敵が襲ってくるまでのほんの僅かな時間。ちょっとだけ、おやすみなさい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高砂・オリフィス
【ファブル】
よーし任しとけ! みなまで言うなっ、ぼくがひつじさんたちをぜーんぶ捕まえてくるよ!
ヘザーさんがいるなら百人力だね!
やるぞー! あははっ

おらーっ、捕まえるぞー! って逃げる逃げる足はやいって!
カラフルー!? ってやっぱり足はやいムリムリ追いつけない!?
うそお……結構体力自信あるのに……ヘザーさんなんか手ある?

いやー話せるなんてねっ! おかげでなんとかなったよ!
このもふもふ味わうのはダメじゃないよね? いいよねっ? もふもふさせろー!
うーん疲れも吹き飛ぶねっ、なでもふは癒し! あははっ!


ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】

あなたがメアリーちゃんね!
だいじょうぶよ、ひつじたちはすぐに連れもどすの!
ね、オリフィスちゃん?
だから、あなたはここでまっててね!

まかせてオリフィスちゃん!
ひつじをダッシュで探して見つけたら野生の勘で怖がられないところまで近づいて、動物と話すでせっとくするの。
メアリーちゃん、あなたたちのことすごく心配してたの。
あなたたちだってメアリーちゃんのこと好きで、悲しませたくないでしょ?
ほら、帰ろう?

ただいま、メアリーちゃん!
さっきはみんな走り回りたい気分だったの。
でもあなたのこと大好きだって!
だからあなたがこの子たちの帰るところなのよ。
ほら、なでなでしてあげて?
ふわふわで気持ちいいの!



 立ち止まった虹色羊は徐々にその色を元に戻しつつあるものの、あちこち走り回る羊達は未だに落ち着きを失ったまま右往左往駆け回っている。
「あの子達もなんとかしないと……」
 フェアリーのメアリーがおろおろしながら羊達を眺めていると、そこに二人の女子がそっと近づき声かけた。
「あなたがメアリーちゃんね!」
 ウサギ耳を揺らしながら、ヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)が問いかければ。驚いたように目を見開きながらこくりとメアリーは頷いた。
「は、はい……」
「だいじょうぶよ、ひつじたちはすぐに連れもどすの! ね、オリフィスちゃん?」
「よーし任せとけ! みなまで言うなっ!」
 ヘザーが視線を向けた相手――高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は何から何まで彼女とは対照的。健康的な小麦色の肌と豊満な身体が印象的なオリフィスは、見た目通り元気いっぱいな笑顔でメアリーに言葉かけた。
「ぼくがひつじさんたちをぜーんぶ捕まえてくるよ! それに」
 オリフィスは視線を向け直す。今回の相棒であるヘザーに向けて。
「ヘザーさんがいるなら百人力だね!」
「ふふ、まかせてオリフィスちゃん!」
 息の合った二人の会話。それにメアリーは軽く呆気にとられながらもぺこりと頭を下げ。
「えっと、おねがいしても……よいんだよね??」
「もちろん!! だから、あなたはここでまっててね!」
「やるぞー! あははっ!!」
 メアリーをその場に残しながら、ヘザーとオリフィスの二人は残り駆け回る羊達に向かって走り出した。

「おらーっ、捕まえるぞー!」
「め゛えぇぇぇっっ!!??」
 オリフィスの猛ダッシュと気迫に思わず逃げる羊達。
「って逃げる逃げる足はやいって!」
 ぜーはー言いながら立ち止まると、それに合わせて向こうも立ち止まる。
「……」
「……」
 しばし見つめ合う。見てる。めっちゃ見てる。
「カラフルーーっっ!!」
「ンメェェェ!!??」
 不意を撃つ様に突然走り出して接近を狙うも、オリフィスの持つ元気な圧に逃げ出すカラフルひつじ達。
「ってやっぱり足はやいムリムリ追いつけない!?」
 再び息を切らして膝から崩れ落ちたオリフィス。想像以上に本気で走ると早いこと。成る程、羊の番をする牧羊犬が生まれた理由が良く解った。
「オリフィスちゃん、だいじょうぶ?」
「あー、もー、うそぉ……結構体力自身有るのに……」
 仰向けでぶっ倒れているオリフィスの顔を覗き込むヘザー。大きく胸を揺らしながら呼吸するオリフィスは、そんな相手に尋ねる様に視線を向けた。
「ねぇ、ヘザーさんはなんか手ある?」
「ん、そうね……」
 そう首を傾げたヘザー。第二ラウンドは彼女の番である。
「ひつじさん、ひつじさん……?」
 ゆっくりと慎重に。ヘザーは彼ら羊の恐れない距離を勘で掴みながら近づいて行くと、そっと彼らに声をかける。
「メアリーちゃん、あなたたちのこと、すごく心配してるのよ」
「めぇぇっ?」
 羊達がその声に乗せるのは驚きと怯えと。ヘザーは更に説得を続ける。
「あなたたちだって、メアリーちゃんのこと好きだよね。悲しませたくないでしょ?」
「めめぇ」
「ほら、帰ろう?」
 そっと手を差し延べ、一歩二歩と近づく。怯えと信頼したい気持ちが鳴き声に混じり合っていたが……。

「ただいま、メアリーちゃん!」
「うわぁ! 羊さんたち!!」
 ヘザーの言葉に応じた羊達はその心を落ち着かせたのか、虹色の点滅も消えていつも通りのふわもこナチュラルカラーの羊に戻っていた。
「さっきはみんな走り回りたい気分だったの。でもあなたのこと大好きだって!」
「そうだったんだ!? でも良かった、戻ってきてくれて……!」
 メアリーは嬉しそうに涙ぐむ。そんな彼女の背をオリフィスは指先で小突いて促した。
「ささ、たっぷりもふりに行こう!」
「あなたがこの子たちの帰るところなのよ。ほら、なでなでしてあげて?」
「うん!!」
 メアリーは大きく頷くと、戻ってきた羊達のふわもふ毛の上に飛び乗って埋もれながら嬉しそうに彼らの頭を撫でて叫んだ。
「おかえりなさい、みんな!!」

「いやー話せるなんてねっ! おかげでなんとかなったよ!」
 走りたかっただけなのか、とオリフィスは言うも。ヘザーは小さく首を横に振った。
「いいえ、じつは――なぜかわからないけど、とつぜん足が走り出しちゃったんだって。からだも七色に光って、こわかったんだって」
「なんだって……? きっとそれって」
「ええ、猟書家のチカラよね」
 でも出来るだけメアリーを怖がらせない為に、そう告げた。彼女が気を確かに持つ事で、悪夢の如き状況は打破出来るだから。
「まぁお陰で何とかなったし……ねぇ、このもふもふ味わうのはダメじゃないよね? いいよねっ?」
 うずうず。落ち着いたこの状況に、猟書家が気付くまでの少しの間だけで、良い。
「もふもふさせろーー!!」
「めぇぇぇぇ!!??」
 羊達は驚き叫びつつも、今度はオリフィスから逃げる様なことはしない。ヘザーも思わず追随して羊達のふわもこボディに身を委ねた。
「ふわふわで気持ちいいの!!」
「うーん疲れも吹き飛ぶねっ……なでもふは癒し! あははっ!」
 メアリーと一緒に、羊達のふわふわもふもふの温もりに、一時の癒やしを得る二人なのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『レプ・ス・カム』

POW   :    ミラージュ・ラパン
自身と自身の装備、【自身がしたためた招待状を持つ】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    兎の謎掛け
【困惑】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【鬼火の塊】から、高命中力の【蒼白い炎の矢】を飛ばす。
WIZ   :    素敵な嘘へご案内
【巧みな話術】を披露した指定の全対象に【今話された内容は真実に違いないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハーバニー・キーテセラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『……なんで元に戻っちゃってるワケ?』
 猟書家幹部――レプ・ス・カムは怪訝な表情ですっかり落ち着いた羊達の様子を見て小さな声でそうぼやいた。
 このフェアリーランドを悪夢の如き世界に変えて、主で有るフェアリーが衰弱死する前に『天上界への鍵』さえ見つかれば、それで良かった筈なのに。
 それさえ見つけさえすれば、こんな世界なぞ用済みなのに。
 レプ・ス・カムがメアリーの家と羊小屋のある場所に急行すれば、そこにはふわふわもふもふを堪能するメアリー、そして――。
『やだやだ、邪魔しに来ちゃってるよ、もー!?』
 猟兵達の存在を認めると、レプ・ス・カムはそのウサギ耳をぴくんと立て、手にしたカンテラを掲げ持って怒りを顕わに叫んだ。
『まぁいいか。あんたたち全員やっつけたらイイ話だよね。そして――』
 ニッと笑って、猟書家は告げた。
『もっともっとキツい悪夢に変えてやれば、鍵なんて早く見つかるかなー!』
 その可愛い笑顔に邪悪を籠めて。レプ・ス・カムは猟兵達に襲いかかる……!
名張・辿
可能であれば、メアリーさんと羊達には事前にこっち気にしないように言っておこうか
こういうのを面白い光景と思えるガラでもなさそうだしな

女の子達の協力でメアリーさんと羊たちと仲良くしてさ、今良いトコなんだよ
悪夢っぽい絵面作りならおじさんと連れが手伝うからさ、それはこっち側でやろうな

【穴倉の監視所】を使用。敵が家や羊小屋との間を邪魔する位置に砦を召喚するよ
鼠の幽霊たちには仲間に損害が出ても気にせず攻めるようにさせようかな
問答したり変な行動をとる暇をできるだけ与えないようにするよ

俺自身は鼠達に紛れた状態から、毒を塗った短刀や鋼糸で切りつけたりしてみよう

齧歯類っぽいののよしみだ、仲良くやろうぜ



「……メアリーさんよ」
「ん?」
 落ち着いた羊たちの背中に埋もれてもふもふしていた、この小さな世界の主に対し、名張・辿は頭巾の縁を指先で摘まんで顔を見せながら静かに言った。
「ちょいと羊さんにちょっかいかけた悪戯者が来たらしい。少し懲らしめて来るよ」
「わたしからもガツンと言ってやりたいわ。ついてっていい?」
「いや――」
 辿はメアリーの言葉に苦笑いを浮かべると、その人差し指で軽く彼女の頭を撫でてから優しい声で告げる。
「手荒な光景をお前さん達には余り見せたくないんだよ」
 オブリビオン相手に戦うその光景を面白いと思うガラじゃないだろう。そう思う辿の、彼なりの気遣い故に。
「辿おじさん……」
 その声に含まれている真剣さにメアリーも何かを感じ取ったのか。彼の指先にそっとキスを落としてから彼女はニッと笑みを見せた。
「わかったわ。羊さん達にもそっちにはいかないでっておねがいするわね」
 その代わり、とメアリーは言う。
「ガツンと言ってきてね、わたしのかわりに」

 このフェアリーランドの中心的場所とも言えるメアリーの家と羊舎。
 そこを目指してやってきたレプ・ス・カムの前にすっと現れたのは辿の姿。
『この世界のファッションじゃないよね。やっぱ猟兵?』
「まぁな」
『私の邪魔、しないでくれる?』
 レプ・ス・カムは肩を竦めながらそう問いかける。声は穏やかだがその瞳は敵意に満ちているのが充分見て取れる。辿もまた、やれやれとわざとらしく肩を竦めて言葉を返す。
「女の子達の協力で、メアリーさんと羊たちと仲良くしてさ……今良いトコなんだよ」
『――それで?』
「悪夢っぽい絵面作りなら、おじさんと連れが手伝うからさ――」

 ――それはこっち側でやろうな。

 辿がそう告げ、軽く手を上げて外套翻しながら言うと同時。
 彼の背後に突如、廃墟の如き小さな砦が出現したかと思えば。数多の二足歩行幽霊鼠が飛び出して来るや否や、その錆び付いた槍や剣を手にレプ・ス・カムに襲いかかる!
『はあぁぁっ!? やだネズミ!? キモいし臭うし、ちょっとぉぉ!?』
 必死にカンテラ振り回して応戦するレプ・ス・カムに、問答したり会話したりする余裕なぞ欠片も存在しなかった。嫌悪感丸出しでその攻撃を回避するのに必死である。
「隙だらけだよ、お嬢ちゃん」
『ひっ!?』
 鼠軍団に紛れた辿の短刀が煌めく。毒のぬめりとした色が彼女の肌を僅かに裂けば傷口を侵食していく。
『こんな地獄絵図は、趣味じゃ、ない……!!』
「おやおやつれないな?」
 くくっと辿は再び短剣を女の脇腹に向けて突き出しながら、不敵な笑み一つ。
「齧歯類っぽい生き物のよしみだ、仲良くやろうぜ」
 悲鳴を上げるウサギに対し、ネズミ達の猛攻は留まる事を知らないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
見つけた!アナタのせいで可愛い羊ちゃんたちがあんな目に!(ぷんぷん)
邪魔とかいわないで!
ユニはユニのお仕事をしてるだけなんだから!
むしろ邪魔をしてるのはアナタでしょ!(ぷんすか)
ちょっと、ユニのお話を聞いて…ってぎゃー!?
なんか青い火の塊が飛んできた!?
あ、危ない…他人に向かって投げたらダメなヤツでしょ!
悪夢!?これが悪夢なの…かな?
空を飛んだり、経験を生かして避けてるけど
ずっとやってるのは疲れるし…
あ、そうだ!イルカさんを喚んでみよう!
イルカさん、ちょっと手伝って!
ユニを助けてほしいのねー!

ユニは悪夢なんていらない!
メアリーちゃんを苦しめた罰を受けるといいのね
(振り被ったマニュアルでガツン



「見つけた!!」
 ユニ・エクスマキナはネズミ包囲網から辛うじて脱出したレプ・ス・カムを見つけると一気に駆けて近づいた。
「アナタのせいで可愛い羊ちゃんたちがあんな目に!」
 ぷんすこ怒りながら、まずはガツンと思い切り言ってやる。
 しかしレプ・ス・カムは頬を膨らませながら目の前でいきりたつユニを睨むとぼそっと文句を言うように一言。
『本当にもう、邪魔者ばっかり……!』
「邪魔とか言わないで! ユニはユニのお仕事をしてるだけなんだから!」
『私は私の仕事をしに来てるだけ! 邪魔なのは邪魔!』
「むしろ邪魔をしてるのはアナタでしょ!」
 そろそろ頭にやかんを乗せたら沸騰しそうな勢いでまくし立てる二人。
『もう、燃やしてやるんだから!!』
 口論に終わりが見えないと察したのか。レプ・ス・カムは蒼い火矢を鬼火から生み出すと一斉にそれを飛ばしてきた。
「ちょっと、ユニのお話を聞いて……ってぎゃー!?」
 突然の攻撃転化にユニは驚きながら必死にその火矢を回避して叫ぶ。
「あ、危ない……他人に向かって投げたらダメなヤツでしょ!」
『何言ってんの! これはバトルで命の取り合いなんだからね!!』
 レプ・ス・カムも割とムキになって反論しつつ、容赦無く攻撃を続けてきた。
「悪夢……!? これが悪夢なの……かな!?」
 とうとう空まで飛んで必死に逃げるユニ。そんな彼女を追いかける火矢。
「もうしつこーい!! あ、そうだ……!」
 ここはイルカさんの出番だ!!
 ユニは電子の海に即座にアクセスし、助けを呼びかけた。
「イルカさん、ちょっと手伝って! ユニを助けてほしいのねー!」
「きゅるっ!!」
 その声に応じる様に。編まれた電子コードが桃色のイルカを彼女の目の前に顕現させ、海を泳ぐようにユニを背に乗せて身を翻せば。レプ・ス・カムは目を丸くして叫んだ。
『うわ、何その夢色イルカ……!』
「イルカさん、お願い……!」
 ユニの願いに応えるように。イルカは彼女を乗せたまま、まっしぐらに空中を駆け泳いでレプ・ス・カムに向かって突撃開始!
『うっそ、早い!?』
「ユニは悪夢なんていらない!!」
 その手には、電話帳かと思うくらいに分厚いマニュアル本!
「メアリーちゃんを苦しめた罰を受けるといいのね!!」
 イルカの速度と遠心力によってMAXまで強化され。すれ違い様に振りかぶったそのマニュアルの角は殺人的な威力でもって――。
 ガツン!!
『ひぎぃぃっ!?』
 したたかなまでに、猟書家幹部の頭蓋を震盪させたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
それはそうでしょう
私たち猟兵が来るに決まっています、こんな事件を起こせばね
それに気づかずのんびり探し物ができるとでも?
まったく困惑です、どこまであなたは愚かなのかと

相手の火矢を逆に利用しましょう
鎖を旋回させ竜巻を起こし
周囲に散った無数の羊さんたちの毛を巻き上げます
多量の羊毛を燃やすことで炎の渦を作り出し
その明暗に紛れて攻撃を見切ると同時に
燃え上がった炎はそれだけ濃い影も作り出すでしょう
ふふ、今更気づいても遅い
私の影はすでにあなたを捉えています
影の底から伸びてきた鎖に呪縛され
虚無の彼方へ飲み込まれなさい

ああ、影に飲まれ尽くす前にその耳だけでももふらせてもらいましょう
妖精さんとの約束ですもの、ふふ



『もう……何でこう上手くいかないの。邪魔ばかり入るし』
 辛うじて猟兵の猛追から脱し、頭を抑えるレプ・ス・カムであったが。そんな彼女の元に黒い影が静かに現れる。黒城・魅夜の姿。時計ウサギが彼女に気が付くと、至って冷静に魅夜は告げた。
「邪魔って、それはそうでしょう……私たち猟兵が来るに決まっています」
 こんな事件を起こせばね――肩をわざとらしく竦めた魅夜のその様子に、レプ・ス・カムは視線を彼女に向けて唇を噛み締める。
『うぐぐ、言ってくれるじゃない』
「それに気づかずのんびり探し物ができるとでも? まったく困惑です」
 ふふっと魅夜は口の端をあげて笑みを零した。
「どこまであなたは愚かなのかと」
『もー、もー! ムカつくったら!! 燃えてしまえー!!』
 むしろ困惑の感情はレプ・ス・カム自身が抱いてしまった気がしないでもないが。彼女の周囲に漂う鬼火より放たれる蒼き炎の矢。
 しかしその軌道は魅夜が放った鎖に阻まれる。
「利用させて頂きましょう、か」
 火矢を受け止めたその鎖を旋回させる魅夜。その風圧は渦の如く巻き上がり、辺りに散った無数の羊の毛を巻き上げる。
『なっ……!?』
 立ち上る竜巻はまるで火の柱。その青白い熱気に時計ウサギの意識が呑み込まれている間、魅夜の足元では燃え上がる炎によって影が色濃く浮かび上がっていた。
 そして――。
『なに、これ……!?』
「ふふ、今更気づいても遅い。私の影はすでにあなたを捉えています」
 伸びる影は自在に動き、その先端はとっくにレプ・ス・カムの足元に及んでいた。鎖が影の底より現れると時計兎の四肢を絡め取り、一気に闇たる影の中へと引きづり込む!
『……!!』
 抜けられない、とレプ・ス・カムが察したのも束の間。
 闇が、虚無が、とぷんっと彼女を呑み込んでいく……!
「ああ、影に飲まれ尽くす前に――」
 抜け出せない底無し沼に沈みゆく時計ウサギに魅夜は徐に近づけば、その頭に揺れるウサギ耳を両手でもふっと摘まんだ。
『この期に及んで一体なにっ!?』
「その耳だけでももふらせてもらいましょうか」
『……はぁっ!!??』
「妖精さんとの約束ですもの、ふふ……」
『うっそ……マジ信じられない……』
 ずぶずぶずぶ、と虚無の闇に沈んでいくレプ・ス・カムは呆れた表情のまま消えていき、魅夜はその手に残ったもふもふの感触に微笑みを浮かべていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】

出たの!兎のひょーばんを落とす悪い兎!
もうメアリーちゃんとひつじたちに悪いことさせないんだからね!
オリフィスちゃんとわたしの連携でぶっ壊すの!

敵が見えなくなった?!…でも、音や匂いはするの。
それなら、野生の勘と聞き耳で匂いと音の情報収集して敵のいばしょを探して、ダッシュで素早く駆け寄ってUCで攻撃するの!
ここよ、オリフィスちゃん!
攻撃力重視、ついでにマヒ攻撃で敵を動けなくしてオリフィスちゃんたちが攻撃しやすくするの。
止めは任せたの!
もしもメアリーちゃんやひつじたちに攻撃しようとしたらオーラ防御で守るの。

勝ったのー!ってオリフィスちゃんとハイタッチ!
ひつじたちをもふもふして休むのー!


高砂・オリフィス
【ファブル】
見るからに邪悪そうなヤツ! 放っておいたら大惨事になるとこだった……でもね! ぼくらのコンビネーションの前にはそんな野望は粉砕さ!
いくよ、ヘザーさん! 笑顔でいこー!

ぼくの連撃は一発外すと当たらないから、まずは様子見しつつ、距離を詰めてくよ!
動きに注目してメアリーさんやひつじを攻撃されないように立ち回る!
それでそれでヘザーさんが動きを止めてくれたら必殺のカポエイラコンビネーション! 空の果てまで飛んでけキック!

勝ったー!とハイタッチして喜びを分かち合うよ! ぼくらの連携は無敵! だねっ
あとはひつじをモフって癒し摂取! はふー



 猟兵の攻撃により、闇の沼に呑み込まれたと思われたレプ・ス・カムであったが、まだ完全に骸の海に投げ出されるまでは行かず。
『ぷっは……』
 スーパーウサギ穴から出てきた猟書家は息も絶え絶えに這い出ると、深呼吸を繰り返す。
 そこに。悪のウサギ許すまじと二人の女傑が颯爽と姿を現した。
「出たの! 兎のひょーばんを落とす悪い兎!」
 と、ヘザー・デストリュクシオンが人差し指を突きつけて叫べば。
「見るからに邪悪そうなヤツ!」
 と高砂・オリフィスがやる気満々にぐるぐる肩を回してウォーミングアップ。
『く、まだ私の邪魔をする猟兵達がいたわけ……!』
「ああ、あなたを放っておいたら大惨事になるとこだった……でもね!」
 オリフィスは隣に立つヘザーをちらっと見て不敵な笑みを浮かべ。
「ぼくらのコンビネーションの前にはそんな野望は粉砕さ!」
「もうメアリーちゃんとひつじたちに悪いことさせないんだからね!」
 ヘザーの怒りはMAX。彼女はウサギの要素を有するキマイラ。それだけにレプ・ス・カムのような悪のウサギが何だかとても許せないのだ。
「オリフィスちゃんとわたしの連携でぶっ壊すの!」
「いくよ、ヘザーさん! 笑顔でいこー!」
 元気と気合い一杯な二人が構えたのに対し、割とダメージが蓄積しつつあるレプ・ス・カムは若干よろけながらも立ち上がって身構え、懐から何かを握りしめた。
『冗談じゃない……こうなったら一度出直すしかない、か』
 ぐっと彼女が掴んだそれは、レプ・ス・カム自身がしたためた招待状。その瞬間、時計ウサギの姿は風景に解ける様に掻き消えた。
「敵が見えなくなった!?」
「うっそ、これじゃ逃げられちゃう!!」
 二人は戦う相手が消えてしまった事に一瞬動揺を見せるものの。
「……いや、でも、音や匂いはするの」
 クンクン、とヘザーはその鼻を利かせ、大きなウサギ耳の聴力を目一杯働かせて嗅覚と聴覚、そして野生の勘――感覚神経全てを敵のサーチへと傾ける。
「――そこなのっ」
 感じる気配。居場所であろう位置目掛け、ヘザーは強く地を後ろに蹴り出せば、その両の足はウサギのそれに変化する。
「てぇぇぇいっっ!!」
『ひぎっっ!!??』
 ヘザーのラビットキックをまともに受けたレプ・ス・カムは悲鳴を上げながら衝撃で思わず握りしめていた招待状を手放してしまい、その姿を再び二人の前にさらけ出してしまう。
「ここよ、オリフィスちゃん!」
 トドメは任せたの!とヘザーが相方に視線を送れば、オリフィスは既にレプ・ス・カムの目前まで距離を詰めていた。
『ひっ!?』
「ぼくの連撃は一発外すと当たらないから、ね……!!」
 だからこそ。ヘザーを信頼し、その立ち回りを意識して待っていた。彼女が透明化した敵を炙り出し、その動きを止めてくれると解っていたから。
「行くよ、必殺の――必殺のカポエイラコンビネーション!!」
 押し出し蹴りから開始された高威力のコンボ。初撃を食らってしまっては、ゲージ10割持っていくその攻勢から逃れる術は皆無!
「空の果てまで――」
『!!』
 最後、オリフィスの身が翻り、トドメの回し蹴りが炸裂する!
「飛んでけキーック!!!」
『うっそぉぉぉぉ!!??』
 ドゴォォッ!! 強烈なその一撃はレプ・ス・カムの身を重力無視する勢いで吹っ飛ばし、遙か彼方のお空の星にしてしまった。落ちてきたり戻ってこない辺り、そのまま骸の海まですっ飛ばせた事なのだろう。
「っしゃ! 勝ったーっ! ぼくらの連携は無敵!」
「勝ったのーーっ!!」
 ヘザーとオリフィスは勝利を分かち合う様にハイタッチを決め。
 そこにめぇめぇ鳴く声と共に、彼女達の周りに羊達が集まってきた。
「ありがとーーっ!! 羊さんたち、みんなみーんな落ち着いたよ!!」
 メアリーが乗っていた羊の上から羽根を羽ばたかせて二人の元に嬉しそうに報告にやってきた。見ると虹色に変わっていた羊達も全部元の色に戻っており、穏やかにめぇめぇ鳴いては彼女達に擦り寄ってくるではないか。
「羊さんたちもありがとうって! いっぱいもふもふしてあげて!!」
「やったーー! もふもふして休むのー!!」
「モフって癒やし摂取! はっふー!!」
 お言葉に甘えてヘザーもオリフィスも羊達の暖かな毛皮の海にダイブ!
 ふわふわでもこもこで、時々ぺろっと舌で舐められるのがまたくすぐったくて。
「……あれ、これなんだろう?」
「めえぇぇ?」
 気が付けば、羊さんの一匹が何やらキラキラ光るものを持って来た。
 手に取ってみれば――それは、一本の輝く鍵。
「これって猟書家が探してたもの?」
「かなぁ?」
 再び狙われない様に大事に守らなきゃね、とヘザーとオリフィス、そしてメアリーさんと羊達はその不思議な鍵を見つめていたのでありました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月31日
宿敵 『レプ・ス・カム』 を撃破!


挿絵イラスト