羊さん達が突然見た事も無いレベルに興奮し、メアリーを振り落としたかと思うと。大暴走大激走を開始した羊さん達はフェアリーランドの中を縦横無尽に駆けずり回り始めたのであった。
天宮朱那
天宮です。ラムもマトンも好き。
ほのぼの入れつつの猟書家シナリオをお届け。
プレイングボーナスは「フェアリーに楽しいことを考えてもらう」
特に一章において適用になります。
一章は冒険。フェアリーランドを縦横無尽に駆け回り暴走中の羊たちを連れ戻して下さい。悪夢の影響を受けている羊たちの毛皮は蛍光七色変化してます。追いやるなり捕獲するなり、もふって浄化させるなり。メアリーがもふもふへの情熱と幸福感を取り戻せばイイ感じ。
二章はボス戦。レプ・ス・カム相手の戦闘です。
各章、断章追記予定。その前からでもプレイングは受付します。
マスターページやTwitterなどでも随時告知をしますので宜しくお願いします。
適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。
複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。最大3人組まで。
技能の『』【】等のカッコ書きは不要。技能名並べたのみで具体的な使用方法の記述が無いものは描写も薄くなります、ご了承を。
第1章 冒険
『動物たちを連れ戻せ!』
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POW | 騎乗して従わせたり、力ずくで動物たちを連れ戻す |
SPD | 速さを活かして追い込んだり、罠を仕掛けて動物たちを捕える |
WIZ | 動物たちと心を通わせたりして、穏やかに連れ戻す |
👑7 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴 |
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
名張・辿
傍目にゃ愉快とも取れなくはないが、当人らは大変だよねぇ
まずはメアリーさんにお話ししてみるよ
羊さんたちが戻ったら、まずは何がしてみたい? なんて、
楽しみに思いをはせて貰いながら羊との関係性について、前提知識を補完していこう
次は手近な羊に待ち伏せしたり忍び足で近寄って話したり触れたりしてみようかね
で、幾らか問いかけと観察をしてから【数多の被験者の所見】を使用、
集めた判断材料を、色々されてきた齧歯類の集合知と照らし合わせて、暴走している・正気な部分を推測、
最適なアプローチを考えて改めて説得を試みるよ
愛着あるんなら自力で戻っちゃくれないかい、ふわもこの旦那
皆無理やりじゃなんていうか、こう、寂しいだろ?
「「「め゛ぇぇぇぇ!!!!」」」
「ぴええぇぇ!!?」
七色にチカチカ輝きながらあっちへこっちへ大暴走を続ける羊さん達。
その小さすぎる身体では収拾が付かず、涙目でただただウロウロしていたフェアリーのメアリーさんはとうとう羊の突撃を受けて、ひゅーんと吹っ飛ばされ。
「おおっと、危ない」
名張・辿(鼠遣われ・f04894)が何とか彼女の身体をキャッチして、地面との衝突を回避してやった。
「あ~……傍目にゃ愉快とも取れなくはないが。当人らは大変だよねぇ」
「きゃっ!? お、おじさんはだぁれ?」
いつの間にか自分のフェアリーランドに来ていた辿の存在に、小さな身体を更に小さくしてメアリーは恐る恐る尋ねてきた。
「ん、おじさんは辿って名のしがねぇ渡世人よ」
「とせーにん?」
「なぁメアリーさん。あの羊さん達が落ち着いて元に戻ったら、まずは何がしてみたい?」
「え? んー、と……」
優しそうなおじさんだ、と思ったのか。メアリーは警戒を解きつつもぽつりぽつりと彼の問いに答えを返していく。
「ふわふわの背中に乗せてもらって、いっぱいもふもふさせて貰うの」
「うんうん」
「一緒に散歩したりお昼寝したりするの。だって羊さんは仲良しなんですもの」
「つまり、大事なお友達って訳かいね」
辿の言葉にぶんぶんと縦に首を振って肯定するメアリー。
そうか、と小さな声で呟くと。辿は彼女をそっと囲い柵の上に乗せて降ろし、頭巾を目深に被り直した。
「ここで待っておいで。ちょっくらおじさんが一肌脱ごうじゃあないか」
さて、前提知識は備えた。メアリーが楽しい事を思い出した分、幾ばくか羊たちの点滅が弱まっている気もする。
暴走羊達もずっと走り続けては流石に息も切れるのか。数匹立ち止まっている所に向かって抜き足差し足忍び足。
「やあ、羊さん達」
「めえ゛っ!?」
突然現れた辿の姿にビビった羊は数歩後退り。
「メアリーさんの所に帰ってやらなくて良いのかい?」
「めめぇっ!!」
興奮気味に返事をする羊さん。その鼻息が荒くなるにつれ、羊の七色点滅がやや激しさを増した気がした。
「ふむ……」
少し下がって羊を刺激しない距離を置いてから、辿はそっと黙祷を捧げる。それは実験動物とされてきた齧歯類達がもたらす集合知。彼等の為に祈る時間が、辿の思考に正しき推測を与える事となる。
「……そう、か」
そして彼が出した結論とは。
「よーしよしよし」
「めぇぇぇ~~~♪」
捕まえてとにかく優しく撫でて、落ち着いて貰う事だった。
羊は虹色に光る自分達の色に怯え、その興奮度合いと虹色変化の激しさは連動していると見立てたのだ。であれば、まずは落ち着かせる事が必要なのだと判断したまで。
「な、メアリーさんへの愛着あるんだろ?」
「めぇ」
「なら自力で戻っちゃくれないかい、ふわもこの旦那」
「めえぇぇ!」
撫でられて心落ち着かせた羊さんはすっかり元の色に戻り、辿と共にメアリーの待つ牧場の柵の中へと戻っていく。
「皆無理やりじゃなんていうか、こう、寂しいだろ?」
そう笑って告げる辿の表情は動物使いならではの優しい笑みであった。
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
もふもふはいいものですね
人の心を落ち着かせ穏やかにしてくれます
そのもふもふを悪夢に変えようとは許せませんねあのウサギ
ああ、そうです、妖精さん
猟書家を捕まえたらお仕置きにもふもふ返しをしてあげましょう
あれでもウサギですから多少はもふもふしているでしょう、ふふ
さて、我が鎖を広範囲に舞わせて羊さんを追い込んでいきましょうか
鎖にオーラを纏わせて優しい感触にしておけば
羊さんが怪我をすることもないでしょう
ユーベルコードを加減してほんのちょっとだけ使用し
羊さんたちを少し眠い状態にしておけばもっと捕まえやすくなるでしょうね
羊が一匹、羊が二匹……
眠そうなのは羊さんの方ですけれどね、ふふ
「もふもふは……いいものですね」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は穏やかな表情を浮かべながらそうぽつりと呟いた。
「人の心を落ち着かせ、穏やかにしてくれます」
目の前の光景は決して穏やかとは程遠い惨状ではあるのだが。
「「めえ゛え゛ぇぇぇぇっっ!!!」」
どどどどど。あっちにこっちに激走中。しかも七色に目まぐるしく光ってるし。
「ひぇぇぇぇ……」
そう文字通り悪夢の如き状況に頭を抱えている涙目妖精メアリーを見つけると、魅夜はそっと近づいて声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「うぇっ!? お、おねーさんは……?」
「素敵なもふもふの羊さん達だと言うのに……悪夢に変えようだなんて許せませんよね」
「……どういうこと? これって誰かの仕業なの??」
首を傾げるメアリーに、魅夜はええ、と優しく微笑んで頷いた。
「そうです、妖精さん。猟書家という悪いウサギの仕業なんですよ」
「そんな……わたしが何をしたっていうのよ……」
「安心して下さい。私達はこの悪夢を止めに来たのですから」
そっとメアリーの目元を拭いてやり、魅夜は告げた。
「猟書家を捕まえたらお仕置きにもふもふ返しをしてあげましょう」
「もふもふ、返し?」
「あれでもウサギですから多少はもふもふしているでしょう、ふふ」
きょとんとするメアリーをその場に、魅夜は暴走する羊達の群に向かって進み出した。
「さて――」
魅夜は己の武器たる鎖を手にすると、まるで舞う様に鎖を広げ、躍らせる。
本来であれば敵を拘束する為の鎖だが、オーラ防御の要領で優しく包んだ上で放てば、羊に当たった所で優しい感触しか与えない。
「めぇぇぇっ!!」
「ふふ、そんなに暴れたら疲れてしまうでしょう?」
魅夜の力が羊達の魂に触れる。そっと優しく植え付けるのは、夢の欠片。彼らを喰らい尽くすような真似はしない。ただ、その興奮した心を抑えるだけに留めるのだ。
「めぇ、ぇぇ……」
「さぁ、大人しくしてて下さいね?」
自在に操る鎖が羊達を囲い、捕らえていく。大きな欠伸をする羊達は、ふらふらと集まりながらもそのふわふわ毛並みの点滅を次第に薄れさせて元の色に戻っていく。
「羊が一匹、羊が二匹……おやまぁ」
「ZZzz……」
「眠そうなのは羊さんの方ですけれどね、ふふ」
魅夜の周囲に集まって、すっかり眠ってしまった羊さん達。そのふわふわもふもふに顔を埋めれば、彼女もまたつられて眠りに落ちそうな感覚に呑み込まれていた。
どうぞ、悪夢では無い素敵な夢を。
成功
🔵🔵🔴
ユニ・エクスマキナ
か、可愛い羊さんたちが…カラフルになってるのねー!?
でも、羊さんは羊さんのはず…だよね?
確認すると毛皮はちゃんともふもふで一安心
あぁ、よかった
メアリーちゃんはびっくりしてるかもしれないけど
羊さんたちは変わってないのね
大丈夫、元に戻るよ!
ユニお手伝いしてあげるのねー!
メアリーちゃんは羊さんたちと一緒にどんなことして遊んでるの?
もふもふ毛皮にダイブしてみたり、一緒にお昼寝したりとか?
他にもあったら教えてほしいのね
それで、一緒にやってみよ~!
大丈夫、見た目は変…じゃなかった不思議な色だけど
中身はカワイイ羊さんのままだから!ね、ね、ほら!
もふもふ羊さんの気持ち良さにうっとり
ふわぁ、眠くなってきたのね…
「「 めええええええええええええ 」」
ずどどどどど。
虹色羊達があっちへこっちへ右往左往している様子に、ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は思わず目をぱちくり。
「か、可愛い羊さんたちが……カラフルになってるのねー!?」
「うう……正直お目々が痛いです……」
このフェアリーランドの主であるメアリーはすっかり泣き腫らした目をこしこしこすりながら、ふらふらとやってきたユニを見つけて近づいてきた。
「うわ、メアリーちゃん大丈夫?」
「もう、羊さんどうしちゃったのってカンジで……」
めそめそしているメアリー。だがユニは彼女を肩に乗せてあげながらそっと問う。
「でも、羊さんは羊さんのはず……だよね?」
「ふぇ……?」
見ると走り疲れたのか一休みしている虹色羊が数匹座り込んでいるのがいた。
メアリーを肩に乗せたまま、ユニはそっとその羊さんに近づいてその毛皮に手を伸ばす。
――ふわっふわ!の、もっふもふ。
「あぁ、よかった……」
一安心して大きく息を吐くユニ。これで羊毛がカチンコチンだったり低反発だったりしたらイヤな所だったけど。ちゃんともふもふしてる。
「めぇぇ」
「よしよし。びっくりしてたのね?」
その頭を撫でてやれば、羊のいつもと変わらぬ反応にメアリーも安堵した様子。
「メアリーちゃんはびっくりしてたけど、羊さんたちは変わってないのね」
「本当だわ……ああ、凶暴になったりしてたらどーしようって思ってたわ」
でも……とメアリーは周囲をぐるりと見渡した。
さっき出会った猟兵達のお陰で元に戻った羊さんもいるものの、依然駆け回る羊さんにやたらカラフリャーな羊さんもまだまだ多くいる。
「どうしたら良いのかな、わたし」
「大丈夫、ユニお手伝いしてあげるのねー!」
それでもメアリーが少し前向きな気持ちになってくれたのを察し、ユニはニコッと微笑んで力強く協力を申し出れば。メアリーもまた釣られる様に口元に笑み浮かべた。
「ねぇ、メアリーちゃんは羊さんたちと一緒にどんなことして遊んでるの?」
たとえば、もふもふ毛皮にダイブしてみたり。
もしくは、一緒にお昼寝したり。
「――とか? 他にもあったら教えてほしいのね」
「うん、大体いつもそんなカンジよ。あとはお散歩したり、ミルク貰ったり……」
羊のミルクは牛のミルクとはまた違った味わいがあるのだとメアリーは言う。流石にこの状況じゃ乳搾りは無理だけど、それ以外なら出来そうな気がする。
「それじゃ、一緒にやってみよ~!」
「う、うん……!」
七色にカラフルな羊さんがとっとこ走ってくる前に立ち塞がって、ユニとメアリーはええいっとそのふわもこボディにダイブを仕掛けた。
羊さんはびっくりしてそのまま立ち止まり、二人と一緒に草むらに倒れ込む。
「めえええ」
「ん、だいじょーぶよ。わたしよ、メアリーよ」
ドキドキ心配そうに羊に声を掛けるメアリー。そんな彼女を力づけるようにユニもまた彼女に声を掛け続ける。
「大丈夫、見た目は変……じゃなかった、不思議な色だけど――中身はカワイイ羊さんのままだから!」
「めえぇぇぇ」
ふわふわもふもふ。最初はじたじた戸惑う羊さんだったが、二人がもっふり甘える様子に落ち着いたのか。その虹色ボディの点滅は徐々に収まっていく。
「ね、ね、ほら!」
「羊さん、羊さん、お怪我はない? だいじょーぶ?」
「めぇっ」
羊さんの元気な返事に文字通り飛び上がってくるくる喜ぶメアリー。
一方ユニは。
「ふわぁ……眠くなってきたのね……」
もふもふ羊さんの気持ち良さにうっとりまったり。
敵が襲ってくるまでのほんの僅かな時間。ちょっとだけ、おやすみなさい。
大成功
🔵🔵🔵
高砂・オリフィス
【ファブル】
よーし任しとけ! みなまで言うなっ、ぼくがひつじさんたちをぜーんぶ捕まえてくるよ!
ヘザーさんがいるなら百人力だね!
やるぞー! あははっ
おらーっ、捕まえるぞー! って逃げる逃げる足はやいって!
カラフルー!? ってやっぱり足はやいムリムリ追いつけない!?
うそお……結構体力自信あるのに……ヘザーさんなんか手ある?
いやー話せるなんてねっ! おかげでなんとかなったよ!
このもふもふ味わうのはダメじゃないよね? いいよねっ? もふもふさせろー!
うーん疲れも吹き飛ぶねっ、なでもふは癒し! あははっ!
ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】
あなたがメアリーちゃんね!
だいじょうぶよ、ひつじたちはすぐに連れもどすの!
ね、オリフィスちゃん?
だから、あなたはここでまっててね!
まかせてオリフィスちゃん!
ひつじをダッシュで探して見つけたら野生の勘で怖がられないところまで近づいて、動物と話すでせっとくするの。
メアリーちゃん、あなたたちのことすごく心配してたの。
あなたたちだってメアリーちゃんのこと好きで、悲しませたくないでしょ?
ほら、帰ろう?
ただいま、メアリーちゃん!
さっきはみんな走り回りたい気分だったの。
でもあなたのこと大好きだって!
だからあなたがこの子たちの帰るところなのよ。
ほら、なでなでしてあげて?
ふわふわで気持ちいいの!
立ち止まった虹色羊は徐々にその色を元に戻しつつあるものの、あちこち走り回る羊達は未だに落ち着きを失ったまま右往左往駆け回っている。
「あの子達もなんとかしないと……」
フェアリーのメアリーがおろおろしながら羊達を眺めていると、そこに二人の女子がそっと近づき声かけた。
「あなたがメアリーちゃんね!」
ウサギ耳を揺らしながら、ヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)が問いかければ。驚いたように目を見開きながらこくりとメアリーは頷いた。
「は、はい……」
「だいじょうぶよ、ひつじたちはすぐに連れもどすの! ね、オリフィスちゃん?」
「よーし任せとけ! みなまで言うなっ!」
ヘザーが視線を向けた相手――高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は何から何まで彼女とは対照的。健康的な小麦色の肌と豊満な身体が印象的なオリフィスは、見た目通り元気いっぱいな笑顔でメアリーに言葉かけた。
「ぼくがひつじさんたちをぜーんぶ捕まえてくるよ! それに」
オリフィスは視線を向け直す。今回の相棒であるヘザーに向けて。
「ヘザーさんがいるなら百人力だね!」
「ふふ、まかせてオリフィスちゃん!」
息の合った二人の会話。それにメアリーは軽く呆気にとられながらもぺこりと頭を下げ。
「えっと、おねがいしても……よいんだよね??」
「もちろん!! だから、あなたはここでまっててね!」
「やるぞー! あははっ!!」
メアリーをその場に残しながら、ヘザーとオリフィスの二人は残り駆け回る羊達に向かって走り出した。
「おらーっ、捕まえるぞー!」
「め゛えぇぇぇっっ!!??」
オリフィスの猛ダッシュと気迫に思わず逃げる羊達。
「って逃げる逃げる足はやいって!」
ぜーはー言いながら立ち止まると、それに合わせて向こうも立ち止まる。
「……」
「……」
しばし見つめ合う。見てる。めっちゃ見てる。
「カラフルーーっっ!!」
「ンメェェェ!!??」
不意を撃つ様に突然走り出して接近を狙うも、オリフィスの持つ元気な圧に逃げ出すカラフルひつじ達。
「ってやっぱり足はやいムリムリ追いつけない!?」
再び息を切らして膝から崩れ落ちたオリフィス。想像以上に本気で走ると早いこと。成る程、羊の番をする牧羊犬が生まれた理由が良く解った。
「オリフィスちゃん、だいじょうぶ?」
「あー、もー、うそぉ……結構体力自身有るのに……」
仰向けでぶっ倒れているオリフィスの顔を覗き込むヘザー。大きく胸を揺らしながら呼吸するオリフィスは、そんな相手に尋ねる様に視線を向けた。
「ねぇ、ヘザーさんはなんか手ある?」
「ん、そうね……」
そう首を傾げたヘザー。第二ラウンドは彼女の番である。
「ひつじさん、ひつじさん……?」
ゆっくりと慎重に。ヘザーは彼ら羊の恐れない距離を勘で掴みながら近づいて行くと、そっと彼らに声をかける。
「メアリーちゃん、あなたたちのこと、すごく心配してるのよ」
「めぇぇっ?」
羊達がその声に乗せるのは驚きと怯えと。ヘザーは更に説得を続ける。
「あなたたちだって、メアリーちゃんのこと好きだよね。悲しませたくないでしょ?」
「めめぇ」
「ほら、帰ろう?」
そっと手を差し延べ、一歩二歩と近づく。怯えと信頼したい気持ちが鳴き声に混じり合っていたが……。
「ただいま、メアリーちゃん!」
「うわぁ! 羊さんたち!!」
ヘザーの言葉に応じた羊達はその心を落ち着かせたのか、虹色の点滅も消えていつも通りのふわもこナチュラルカラーの羊に戻っていた。
「さっきはみんな走り回りたい気分だったの。でもあなたのこと大好きだって!」
「そうだったんだ!? でも良かった、戻ってきてくれて……!」
メアリーは嬉しそうに涙ぐむ。そんな彼女の背をオリフィスは指先で小突いて促した。
「ささ、たっぷりもふりに行こう!」
「あなたがこの子たちの帰るところなのよ。ほら、なでなでしてあげて?」
「うん!!」
メアリーは大きく頷くと、戻ってきた羊達のふわもふ毛の上に飛び乗って埋もれながら嬉しそうに彼らの頭を撫でて叫んだ。
「おかえりなさい、みんな!!」
「いやー話せるなんてねっ! おかげでなんとかなったよ!」
走りたかっただけなのか、とオリフィスは言うも。ヘザーは小さく首を横に振った。
「いいえ、じつは――なぜかわからないけど、とつぜん足が走り出しちゃったんだって。からだも七色に光って、こわかったんだって」
「なんだって……? きっとそれって」
「ええ、猟書家のチカラよね」
でも出来るだけメアリーを怖がらせない為に、そう告げた。彼女が気を確かに持つ事で、悪夢の如き状況は打破出来るだから。
「まぁお陰で何とかなったし……ねぇ、このもふもふ味わうのはダメじゃないよね? いいよねっ?」
うずうず。落ち着いたこの状況に、猟書家が気付くまでの少しの間だけで、良い。
「もふもふさせろーー!!」
「めぇぇぇぇ!!??」
羊達は驚き叫びつつも、今度はオリフィスから逃げる様なことはしない。ヘザーも思わず追随して羊達のふわもこボディに身を委ねた。
「ふわふわで気持ちいいの!!」
「うーん疲れも吹き飛ぶねっ……なでもふは癒し! あははっ!」
メアリーと一緒に、羊達のふわふわもふもふの温もりに、一時の癒やしを得る二人なのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴