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未来は変わらニャい

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #今川義元 #羅刹 #武田信玄 #魔軍転生 #第2章、プレイング募集中 #20(水)21(木)執筆予定

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#魔軍転生
#第2章、プレイング募集中
#20(水)21(木)執筆予定


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 山岳地帯には鬼が棲む。
 寒風吹き荒れる冬の日、羅刹達の集落にオブリビオンの軍勢が押し寄せて来た。
 赤いミニ着物の袖を揺らす、猫耳と二股の尾の少女――『猫又』だ。
 屈強な肉体を持つ羅刹の集団を襲うのなら、猫又も唯では済まないだろうが……。
「今ひとたび蘇り、我が軍勢に憑装せよ。
 我が盟友にして魔軍将、甲斐の虎『武田信玄』よ!」
 猟書家幹部がひとり『今川義元』の声が空に響き渡ると、猫又軍の空気が変わる。
「今回の身体は猫又かニャ。白虎に変化していた我には、よくニャじむ……」
 二ィイ――猫又の瞳孔は興奮したようにまあるく大きく開かれた。
 今行われた秘術は『超・魔軍転生』。
 今川義元は、魔将軍・武田信玄の魂を配下の猫又全員に憑装させたのだ。
 虎憑きの猫又は、その爪の破壊力も素早さも妖力も桁違いだ。

「皆の者恐れるな! 武器を持て!
 丸太や大岩を集めて小道を塞げ! 敵の進入路を制限するのだ!」
 羅刹は連携して動き、武器を構えた猛者達が正門に集まって、猫又の軍勢を迎え討つ。
「無駄ニャ。過去は変えられニャい。未来は変わらニャい」
 その行動は全てお見通しだと猫又が嗤う。そして――。
「我が大弓のユーベルコードは、未来より放たれ過去に着弾する『仕留めの矢』!」
 超長距離から放たれる必中必殺の今川の矢が、正門の羅刹達へ降り注いだ。

 今川と武田は嘗ての盟友だ。過去から蘇った者同士、息の合った盤石の布陣を築く。
「くっ……仕留めの矢に狙われる中、憑装軍を相手取れと……っ!」
 風に晒された汗が冷たい。武器を握る羅刹の手は震えていた。
 敵の圧倒的な軍事力を突き付けられ、……彼らの心は、既に絶望に蝕まれていた。


「未来は変わらない? 馬鹿言ってんじゃないよ。あたし達猟兵はずーっと、予知で見た数々のオブリビオン事件を解決して、不幸な未来を変え続けて来たんだからさ」
 グリモア猟兵、メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は猟兵達に尋ねる。
 今回も過去の化身を討つ為に力を貸してもらえるだろうかと。

 状況は先程の説明の通りだ。まずは今川義元の仕留めの矢を避けながら、武田信玄に憑装されパワーアップした猫又の大軍を倒してもらいたい。
「猫又戦中はずっと今川の仕留めの矢に狙われ続ける。それは羅刹にとっては必中必殺で当てられちまうチート級の技だが……今川が言う未来には猟兵の姿は無いみたいでねぇ。つまり、あんた達が関われば、その矢が当たらない未来に変えられるってわけだ」
 猟兵自身の力で矢を防ぐなり、羅刹に指示を出して防いでもらうなり、何らかの方法で対処して欲しい。羅刹は周囲の地形に詳しいし、集落を守る為ならと猟兵に協力的だ。また、ある程度の戦力にもなってくれるだろう。
 猟兵が転送された時点では今川は超長距離にいるが、猫又軍勢の不利を察すれば、別の手を打つ為に姿を現すはずだ。弓が武器だからといって接近戦が苦手とは限らない。彼も猟書家のひとりだ、心して戦うように。

「月が骸の影に飲み込まれる未来なんてお断りさ。
 ひとつひとつ確実に事件を解決して行こう! それじゃあ今回もよろしゅうにー!」


葉桜
 OPをご覧いただきありがとうございます。猫派の葉桜です。
 こちらは『2章構成の幹部シナリオ(サムライエンパイア)』です。
 せめて拮抗には乗せたいなーと。今回も宜しくお願い致します!

 プレイングボーナス(全章共通)……羅刹達と協力して戦う(猟兵ほど強くはありませんが、周辺の山岳地形を熟知しています)。

 第1章。集団戦『猫又』。
 第2章。ボス戦『今川義元』。
 情報はOPの通りです。

 ユーベルコードは指定した1種類のみの使用となります。
 プレイングはOP公開から募集開始です。

 今回はなるべくサクサク進めて行きたいと思います。
 参加状況を見つつ、サポート様の力も積極的にお借りするかもしれません。
 必要な青丸が集まったら早めに締め切る場合もございます。
 それでは、ご参加お待ちしております!
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第1章 集団戦 『猫又』

POW   :    バリバリ引っ掻くニャ
【両手の鋭い爪による引っ掻き攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    猫の本領発揮なのニャ
【両手を地に付ける】事で【四足の型・高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    これが猫又の妖術なのニャ
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

侮るわけじゃないがあの信玄公が…でも白虎の姿も今思い返せば割とかわいい部類だったのでは…?(陸奥を見やり)
いや待てそれは置いておこう。

遠くからの矢なら物理的に障害物あれば避けられるだろ。
その地形は羅刹たちに聞くしかないけど。
素人考えだが開けた場所に障害物置いただけじゃ意味ないだろうし、自然地形の方が良いだろうと思う。
存在感を消し目立たない様に立ち回り、マヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で猫又に攻撃。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。




「侮るわけじゃないがあの信玄公が……」
 随分かわいらしい姿になったものだ。
 猫又軍を集落で待ち構える黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は、エンパイアウォーで織田信長が憑装していた武田信玄の姿を思い返していた。
 戦鎧を纏ってはいたが……耳も尻尾も、もっふもふの白い虎。
「白虎の姿も割とかわいい部類だったのでは……?」
 なあ? と連れの白虎の精霊『陸奥』を見やる。
 でも、猫又よりも虎信玄よりも、陸奥の方がずっとかわいい。
「……いや待てそれは置いておこう」
 まずは矢の対処が必要だ。瑞樹は羅刹へ話しかけることにした。

 ヒゥン――バキッッ!!
 螺旋状の矢が、羅刹が積み上げようとするバリケードを突き破る。
「うおっ! ……駄目か。何て正確に狙って来るんだ……!」
「素人考えだが開けた場所に障害物置いただけじゃ意味ないだろう。自然の地形で利用出来そうな場所はないのか?」
「この正門は開けた風下で、矢に狙われやすいのは確かだ。だが、今此処を退けば猫又軍を集落に侵入させることになる……」
 オブリビオンの軍勢は、二手から攻める事で羅刹の動きを完全に封じていたようだ。
「なるほどな。なら風向きを変えて隙を作るか……陸奥」
 名を呼ばれた白虎は額の宝石に力を集めた。
 小さくとも風を司る精霊は、集落周辺の寒風の流れを少し弄くってやる。
 すると、どうだろう。
 先程まで必中で当てられていた矢は、今度は何もない地面に着弾していく。
「上手く行ったみたいだな。助かった、礼を言おう! ……んん?」
 未来を変えた猟兵に羅刹は感謝を告げたが、其処にはもう瑞樹の姿は無かったようだ。

「……【剣刃一閃】」
 寸前まで何の気配も感じなかった空間から強烈な一撃が放たれ、猫又の背を断つ。
 俯せに倒れる猫又の身体は痺れて動けず、ぴくぴくと痙攣するばかり。
 右手の胡を握り直しながら、瑞樹は隣の猫又の頸椎も黒鵺で刺し貫く。
「いつの間に!? みんニャで仕留めるのニャ!」
 奇襲に気付いた猫又は、虎並みに鋭い爪を光らせて一斉に瑞樹へ飛び掛かった。
「確かに速いが……見えないほどではない」
 鈴の音、獣の匂い、殺気――五感も第六感も研ぎ澄ませて、瑞樹は爪を躱し、躱しきれないものは黒鵺で受け流す。
 そしてもう一度、剣刃で旋風を生むように猫又を斬り散らした。
「正門から離れるように誘導出来たか。これで羅刹も動きやすくなるだろう」
 そう呟くと、瑞樹は再び気配を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミニョン・エルシェ
甲斐の虎に海道一。
ならば、相の一字を加えるとしましょう。

『韮山、滝山、小田原。甲州の猛者を退けた城に負けぬ城を普請します』
【指定UC】で羅刹さんたちにも馴染んだ地形を活かした城を築きましょう。伊勢氏…北条氏の粋は【地形を利用】した土の城。【拠点防御】なら一日の長があります。

無敵の空堀と土塁で集落と味方を守り。
堀や土塁を越えようと動きが鈍った者は格好の的。亡霊足軽や羅刹さんに弓や銃で狙撃して頂きます。
正門には敵が殺到するでしょうが、纏まっているのが命取り。
高速誘導弾システムによるミサイルの【一斉発射】で蹴散らし、散り散りになった残敵を羅刹さんたちと【蹂躙】、掃討しましょう。
深追いは駄目ですよ?




 サムライエンパイアは日本によく似た歴史を辿る世界だ。
 オブリビオン・フォーミュラも魔軍将も日本の武将の名を名乗り、その過去も江戸時代に至るまでは、語り継がれる日本の歴史と相違は殆ど見られない。
 故に、日本の歴史に詳しく、城郭マニアであるミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)の知識は、敵の策略を打破する為に有益に使えるはずだ。

「甲斐の虎に海道一。ならば、相の一字を加えるとしましょう」
 敵の二名からミニョンが連想したのは甲相駿三国同盟だ。
 甲斐の武田と駿河の今川に対抗するなら、此方は相模の北条の手を使おう。
「韮山、滝山、小田原。甲州の猛者を退けた城に負けぬ城を普請します」
 ミニョンは羅刹に策を伝える。必要以上の事を語らない彼女の説明は淡泊だったが、分かりやすく的を得ていた。
「承知した。それならあの絶壁を使って梯郭式の郭にするのが良いだろう。自然に恵まれた防御設備、使わぬ手はあるまい」
「異論はありません。では――天下に示せ、我らが城を」
 【我城普請・天守顕現】が発動されると、羅刹の集落は一時的にミニョンの想像した巨大城郭に生まれ変わった。ミニョンが自分の足で集めた数々の城の知識を使い、集落の地形を活かして創造されたその城郭は、山の絶壁を背に空堀と土塁の郭で囲って城を守る造りになっている。
「伊勢氏……北条氏の粋は地形を利用した土の城。拠点防御なら一日の長があります」
 無敵の城の内部に入った羅刹には、もう矢を当てる事は出来ない。
 猫又軍は鋭い爪を引っかけながら堀や土塁を無理矢理越えようとするが……。
「格好の的ですね」
 オウガの強弓の矢が、お返しだと言わんばかりに猫又を次々と撃ち抜く。
 また、外で城を守る精鋭の亡霊足軽衆も、弓や銃で敵の数を減らしていった。
 更に――。
「敵が殺到していますね。ですが、纏まっているのが命取りです」
 ミニョンも城の中から高速誘導弾システムを発動させる。多弾頭ミサイルランチャーの一斉発射により、集団で一点突破しようとする猫又の群れも蹴散らした。

 散り散りになった残敵を羅刹と掃討しながら、ミニョンは念の為注意を告げて置く。
「深追いは駄目ですよ?」
 この軍勢を殲滅する必要は無い。
 数を減らして敵将を誘き寄せ、首を取るのが最終目的なのだ。
 確実な勝利に向かって、小さな知将は時を待つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


まったく、年が明けたばかりだってのに、猟書家ってのはどいつも働き者だねえ。
まあ仕方ない、未来を変える仕事をするとしようか。

さて、必中の矢と猫又ねえ。
んー、引っ掻きも飛んでくる矢も【轟嵐雷駆】で全部吹き飛ばせば当たらないよね。
羅刹の人たちに派手に周りを吹き飛ばしてもいい場所が無いか聞いて、
そこには近づかないように避難してもらえばいいかな。

大雑把にやるから撃ち漏らしは出るだろうけど、
それくらいなら羅刹の人に任せても大丈夫かな。

長引けばそれだけ矢が沢山飛んでくることになるし、なるべく早めに片付けたいねえ。


鹿村・トーゴ
そーだねぇ
過去が変えられたら、って嘆く人は少なくない
今川の亡霊だって結局は過去にダダ捏ねてるんだ
大きな未来は不変かもしれねーけど
目先の未来ぐらいは変えてやろーじゃん

見た目はネコ娘でも中身は羅刹狩りに荷担する虎
オレも羅刹
もちろん黙って殺されるわけねーな

羅刹達
>オレ、奴らに近づいて気引くからそのまま遠距離から攻撃続けてくれる?
【忍び足】で走り敵に接近しつつ落ちている武器を【念動力で拾い投擲】
そこへUC発動し追随して攻撃
目や足など動きの鈍る箇所を狙わせ
鈍った個体からクナイで切り裂き櫛羅で毒を撃つ【暗殺/毒使い】
>今川の矢
【野生の勘/聞き耳/武器受け】で出来るだけ躱し
また動けない猫娘を盾にも

アドリブ可




「まったく、年が明けたばかりだってのに、猟書家ってのはどいつも働き者だねえ」
「そーだねぇ。でも結局は今川の亡霊だって過去にダダ捏ねてるんだろ」
 過去は変えられない。配下にもそう言われているくせに。
 それでも過去を変えられたらと嘆く者がいるのは、人もオブリビオンも同じらしい。
 けれど、キマイラのペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)や羅刹の鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)には、同意を得ることは出来ないだろう。
 一言では語り尽くせない過去があっても、二人は今とその先に続く道しか見ない。
「大きな未来は不変かもしれねーけど、目先の未来ぐらいは変えてやろーじゃん」
「まあ仕方ない、未来を変える仕事をするとしようか」
 世界に選ばれた猟兵達は、今日もオブリビオンを狩りに行く。

「ねえ羅刹さん。この辺りで周りを派手に吹き飛ばしてもいい場所はないかい?」
「この非常時だからな、集落の者の命が無事なら建物は壊れても構わん。物なら後から幾らでも直せるからな。それでも広い場を使いたいなら、この正門前がいいだろう」
「ん、わかった。じゃああたし達が前に出るから、皆は近づかないように避難してねぇ」
「オレらが猫又の気を引くからさ、あんた達は遠距離から攻撃してくれる?」
 猟兵の指示を受けた羅刹達は、武器を強弓に持ち代えて正門から離れて行った。
 すると、それまで羅刹達が集合していた正門前に、仕留めの矢が降り注ぐ。
「いーねいーね、……全部吹き飛ばす!」
 代わりに矢面に立ったペトニアロトゥシカは、作戦通り自分へ飛んで来る矢の雨に向かって突進した!
 獣竜の脚で地を抉るように蹴り、 電気鰻のような雷電尾の放電で白く光る――。
 雷光と衝撃波を纏った【轟嵐雷駆】が炸裂、雷の矢が敵軍に弾き返された。
「に゛ゃ!?」
「ぎにゃー!!」
「はい、もう一丁。どーん!」
 痺れて動けなくなる猫又軍の中央にペトニアロトゥシカが突っ込み、感電を広げる。
 天災のように派手な技に、多くの猫又は葬られるが……、
「皆の者慄くニャ! まだ数では我らに分があるニャ! バリバリ引っ掻くニャー!!」
 着物や尾が焦げた程度で済んだ猫又達は、今度は分散してペトニアロトゥシカを囲い飛び掛かろうとする。
「見た目はネコ娘でも中身は羅刹狩りに荷担する虎……オレも羅刹、もちろん黙って殺されるわけねーな」
 しかし、猟兵も一人ではない。忍び足と野生の勘で、飛び交う矢と雷光を避けながら戦場を駆けていたトーゴは、羅刹が置いて行った野太刀や鎖鎌を念動力で操り虎を狩る。
 もう一人の敵を発見した猫又の虎目が、ぎょろりとトーゴを捉えた。
「七針、お前たちの出番だな」
 【虚蜂】、それは古い針に使役霊を降ろす降魔降霊術。大型の七匹の蜂が猫又の大きな瞳に針を突き刺そうと追い回す。
「足でも手でもいーよ。動きが鈍くなれば、自慢の爪も当たんねーだろ」
 従順な蜂の軍隊のような連携に逃げ場を奪われ、猫又は次々と毒針を打たれていく。重い足を引き摺る猫は、クナイでその肌を切り裂いた。盲目になっても我武者羅に爪を振るう猫には、櫛羅の毒でとどめを刺す。
 また、これほど弱った敵ならば、オウガの矢で仕留めることも可能だ。
「矢はずーっと飛んで来るね、長引かせずになるべく早めに片付けたいねえ」
「ここまで削ればもう一息だろ!」
 ペトニアロトゥシカの尾とトーゴの念動力が目を回す猫娘を掴み、今川の矢に向かって放り投げた。その矢ではもう羅刹も猟兵も仕留められない。そう見せつけるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

山梨・玄信
武田信玄なら骸の海に帰したはずじゃが…魂だけ引っ張り出したか

【SPD】
羅刹には天下御免符を見せて共闘を申し出るぞ。
数人なら纏めて守れるので、着いて来るよう提案するのじゃ。
仕留めの矢が来たらオーラ防御をドーム状に展開し、羅刹達を覆って矢を弾いてやるわい。

敵のUCの弱点を指摘しておこう。オブリビオンには削れる「寿命」が存在しないので、効果は定命の者が使うより低いはずじゃ。
それでも早くはなるから、気弾を2連発するぞ。1発目を囮にして回避する所を見切りと第六感で読み、2発目を確実に当てるのじゃ。
接敵したら攻撃をオーラ防御で受け、カウンターで気の放出(範囲攻撃)をするぞ。これなら避けられまい

アドリブ歓迎


ノル・イース
猫又か。
ねこ、と言えなくも……いややはり違うな。問題ない、殴ろう。

向こうが息の合った攻撃をするというなら、こちらも連携で防ごう。羅刹の面々、よろしく頼む。
「未来は変わらない」が虚言である以上、「必中必殺」も有り得ない。案ずることはないさ。但し、絶望してる暇は無いぞ。
飛び道具は面倒だ、そちらは俺が集中的に対処しよう。念動力を練り上げ、【サイコキネシス】で伸ばしたエナジーの幾本もの手でまとめて弾いたり、掴んで猫又に向かって次々投げる。遠慮なく貫かれろ。
敵の攻撃が強力だろうが、当たらなければそこまでだ。レイシールドを展開しておくから、相手が虎だろうが猫だろうが羅刹の皆は自信持って地の利を活かせ。




「此方からニャら崩せそうだニャ!」
 正門戦の援護に強弓を放っていた羅刹の更に後ろから、猫又軍が進軍してきた。
 いつの間にか脇道のバリケードを抜けて、羅刹の里へ侵入されてしまったようだ。
「武田信玄なら骸の海に帰したはずじゃが……魂だけ引っ張り出したか」
 しかし、其処には羅刹との共闘を申し出ていた猟兵達が傍に控えていた。
 羅刹の半分程の背ではあるが、その小さな身体に破戒僧の力を秘めている山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)と、
「猫又か。ねこ、と言えなくも……いや、やはり違うな。問題ない、殴ろう」
 すっかり猫好きになった今日この頃だが、猫又は猫に非ずと判断出来たクールな人間、ノル・イース(I'm "0"・f24304)が羅刹達と猫又軍の間へ入る。
「猟兵殿危ない! 空から仕留めの矢が!!」
 脇道からの進軍も今川が指示したのだろう。
 猫又軍を阻止する為に集まる羅刹達に向けて、未来からの矢が降り注ぐ。

「『未来は変わらない』が虚言である以上、『必中必殺』も有り得ない。案ずることはないさ。但し、絶望してる暇は無いぞ」
 焦る羅刹の頭を冷やすように、ノルの涼やかな声が響く。
 寒風がまた強く吹いたのかと思えば、それはノルのオーブメイスに集まる魔力の風だった。メイスを天に向けると、【サイコキネシス】で伸ばしたエナジーの腕が仕留め矢をまとめ上げる。
「ほら、遠慮なく貫かれろ」
 奪った矢は、配下の猫又に向けて豪速でお返ししてやった。
 味方の攻撃を逆に利用されて、猫又軍は隊列を乱し散り散りになる。

「敵の連携が崩れている今が好機じゃのう。お主らも数人なら纏めて守れるから着いて来るのじゃ」
 ノルが仕留め矢を集中的に対処する内に、玄信は羅刹を率いて猫又軍を討ちに向かう。
「はっ!」
「猫の本領発揮なのニ……ニ゛ャー!!」
 気合を込めた【神聖気弾】を四足の型・高速戦闘モードになった猫又が軽々と避ける――が、回避した先に予め連射されていた二発目に見事撃ち抜かれた。
「オブリビオンには削れる『寿命』が存在しないので、効果は定命の者が使うより低いはずじゃ。お主らでもきっと仕留められるじゃろう」
「俺も援護する。相手が虎だろうが猫だろうが羅刹の皆は自信持って地の利を活かせ」
 玄信とノルの度重なる激励に、身体の内で燻っていた羅刹の闘争心が燃え上がる。
「そうだ……我らの里は我らが守るのだ!!」
「その意気じゃ! もう一度行くぞ……はっ!」
 次に玄信が広範囲へ気弾を連射すると、それを避けようとする猫又を狙って羅刹達は各々の野太刀や鎖鎌を振り回した。猫又の反射神経で刃を避けられ反撃されそうになっても、玄信のオーラ防御とノルのレイシールドが彼らを守る。
「そうだ。失敗を恐れずにどんどん攻めろ」
 それが彼らの強みだろう。戦闘狂の種族である羅刹は自由に生き生きと武器を振るう。
「うおおおお!!」
 山岳の斜面に昇っていた羅刹達が、猫又へ向けて岩石を上からぶん投げた。
 あの矢さえ防ぐ猟兵なら、雪崩れる岩だって上手く使ってくれるだろう!
「信玄公の魂よ、再び骸の海で眠るのじゃ!」
「これで終わりだ!」
 猫又に爪を振り下ろされた玄信はカウンターで気を放出して気絶させ、矢と岩をサイキックエナジーで集めたノルが残党を撃ち抜く。
 こうして猟兵と羅刹の連携により、脇道の防衛は成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『今川義元』

POW   :    仕留めの矢
【大弓の一矢】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    鷹の目
【大弓】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    飛鳥墜とし
対象のユーベルコードに対し【、蹴鞠の要領で体勢を崩すほどに強烈な蹴り】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ケーレス・ネメシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「積年の恨み重なる種族、羅刹……。徳川の一族を輩出しながらも世俗を捨てたとうそぶき、あまつさえ、信長を桶狭間へと手引した羅刹共め。我らが宿敵、猟兵を味方に付けるとは……。良いだろう。我が盟友でも敵わぬなら、我が直接引導を渡しにゆこう!」

 空に響く声が止むと、怨恨の闇を纏う血染めの矢が羅刹の里に放たれた。
 山風を切る呪いの矢は羅刹の里の正門の上空で止まり――人の形へと姿を変える。
 正門の屋根に乗るのは、大いなる力を宿した大弓を構える猟書家『今川義元』。
「貴様らの骸は、我が見事なオブリビオンに仕立ててくれるわ!」

 遂に、猫又軍の劣勢を悟った今川が、羅刹の里へ姿を現した。
 今川は猟兵だけでなく、積年の恨みを果たそうと羅刹の命も狙うだろう。
 猫又戦を経て、羅刹は自分の里を守る為に力を尽くしたいと闘志を燃やしている。
 猟兵ほどの能力はないが、この戦いでも羅刹は戦力になるだろう。
 被害を出さないように引き続き羅刹に指示をしながら、猟書家を返り討ちにしよう!
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


あんたがどんな恨みを持っているかは知らないけど、
過去が今に口出しするもんじゃあないよ。

さて、弓相手に上を取られるのはちょっと不利かな。
【天魔乱舞】で、正門よりも高く跳んで矢を避けながら近付こうか。
空を蹴って跳ぶんならいつでもどんな体勢でも避ける為に跳べるから、
後は矢が飛んでくるのを見切る反応速度の勝負だね。

あたしが上空で矢を避けてる間に羅刹の人たちに正門の下まで近付いてもらって、
適当なタイミングで正門を思い切り叩いて揺らしてもらおう。
相手の足元が揺れて矢の照準がブレた瞬間に、
一気に跳んで近付いて斧の一撃を叩き込むよ。


ノル・イース
積年の恨み、か。長々と恨みつらみを憶えているというのも大変そうだな。
ともあれ、こちらも羅刹達が息を吹き返したようだし、先の猫又戦で信頼関係も築けたから、この調子でいこう。
大切な場所は、やはり自分の手で守らないとな。そういう意味では、羅刹達が主役だろう。なに、黒子(俺)も黒子らしく立ち働かせてもらうさ。

とりあえず上から矢を撃ち下ろされるのは悪手だ。屋根から落とそう。
地形的に死角となる位置を羅刹から教えてもらい、里へ矢を射かけようとする今川の足許へ【聖かなる断罪】で雷電を撃ち込んで弾き落とす。
あとは攻撃や跳躍の余裕を与えず接近戦。羅刹達と協力して大弓を破壊したい。全力でオーブメイスを叩き付ける。




 例え過去に名を轟かせた武将だとしても、過去に囚われ過去に成り果て、オブリビオンとして世界に滲出してしまったのなら――それはもう世界の敵でしかない。
「積年の恨み、か。長々と恨みつらみを憶えているというのも大変そうだな」
「あんたがどんな恨みを持っているかは知らないけど、過去が今に口出しするもんじゃあないよ」
 世界を救う宿命を持つ猟兵は、今までにも沢山の過去を骸の海へと還してきた。
 これも還すべき過去の一つに過ぎず、猟書家『今川義元』の武勇伝は語り継がれない。
 未来を守る為、猟兵達は彼の物語を終わらせるのだ。

「さて、弓相手に上を取られるのはちょっと不利かな」
「なあに、天から降る矢も退けた猟兵殿だ。何か案があるんだろう?」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)の呟きに、羅刹達は何でも指示してくれと豪快で強気な笑顔を見せる。戦闘部族である羅刹達は、猫又戦で背を預けて戦った猟兵達にすっかり心を許しているようだ。
「地形的に今川の死角となる位置を教えてもらえるか?」
「構わないが……隠れてろって言うんかい?」
 それが最適なら致し方ないが……。若干不服そうな顔になる羅刹に、ノル・イース(I'm "0"・f24304)は口の端を少し緩める。
「いいや。大切な場所は、やはり自分の手で守らないとな」
 そういう意味では、羅刹達が主役だろう。
 だから隠れるのは俺だ、とノルは羅刹に案内された岩陰に身を潜める。
「なに、黒子(俺)も黒子らしく立ち働かせてもらうさ」

「跳ねまわるよー!」
 獣竜の脚で思いっきり跳んだペトニアロトゥシカは、屋根の高さを軽々と越えた。
 今川の鋭い鷹の目と、ペトニアロトゥシカの山羊と蛇の眼が合わさる。
「空中ならば避けられまい。風穴を開けてくれるわ!」
 屋根の上の今川は、素早い一矢でペトニアロトゥシカの腹を狙い撃った。
 鰭翼を出していない形態では空を自由に泳げないけれど――。
「避けられるんだよねぇ、これが」
 重力に従い落ちる前に、もう一度宙を蹴る。彼女は始めの宣言通り【天魔乱舞】で何度も空中を跳ねまわった。どんな体勢からでも広い視野で矢の軌道を読み、鬼さんこちら。
「何と面妖な動きを……!」
 初手を外した今川はペトニアロトゥシカの不規則に跳び回る動きの癖を見抜けず、外れた矢は次々と何もない地面に突き刺さった。

「彷徨える魂に天来の福音を。……多少暴力的だがな」
 今川が空中戦に夢中になっている内に、ノルは岩陰に隠れながらオーブメイスを正門の屋根に向けていた。集中して精密な操作で放たれた【聖かなる断罪】の雷光は、正確に今川の足を焼き貫いた。踏ん張れなければ自慢の足技も使えまい。

「ぐああっ」
「今だ!」「やっちゃってぇ!」
 猟兵達の合図で、正門の下に接近していた羅刹達が一斉に武器を振るう。
「せーーのーー!!」
 ガアアーーンッッ!! 派手に叩いて正門を揺らした。
 震える足場に負傷した足では耐えられずに、今川は膝を着いてしまう。
「そっちいくよー」
 すると、矢の狙いが逸れたペトニアロトゥシカは一気に屋根まで跳んで、戦斧で今川をぶん殴り屋根から落とした。その落下地点には羅刹達と表舞台に戻ったノルが待つ。
「これは魔力の増幅器だが、殴り飛ばすのにも使えるんだ。便利だろ?」
 オーブメイスの尖端でアイスブルーのオーブが光輝く。魔力収斂により重量と強度が増した美しい鈍器が、羅刹達の振るう野太刀や棍棒と共に今川へ襲い掛かる。
 ――ミシッ。ノルが狙った大弓が悲鳴を上げるように軋んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
御大将自らお出ましか
生れながらに鬼だの戦闘狂だの揶揄される羅刹の巣穴を突いた事忘れんなよ
アンタの手下なんか願い下げだね
オレらは自分たちの暮らしを続けるだけだ

>羅刹達
鼓舞しつつ【かばう】

奴の矢は当たれば即死だ
矢を番える時間と集中を与えんな
武器を投げ燻る火矢や砂袋を仕掛け目潰しも狙うか
投げてくれたらオレが【念動力】で援護する
鎖鎌や槍など重めの武器が飛ぶなら【ロープワーク/罠使い/追跡】で今川や弓に絡ませ少しでも動きを阻害
小刀も投げて貰いそこへ
UC発動の為棒手裏剣を紛れさせ【念動力】で命中フォロー【投擲/串刺し】

>今川のUC
【野生の勘/武器受け/激痛耐性】クナイで射線を逸らし直撃を躱す

アドリブ可


黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

相変わらず今川義元の言ってる事の意味が解らない。
輩出と世俗を捨てた事と自分が打ち取られた事は同列に並べる事じゃないと思うんだが。

標的の分散、と言いたい所だがそこまで羅刹達にして貰うのも気が引ける。もとより自分以外に誰かが傷つけるのも、傷つくのも嫌いだし。
だからできればきちんと身を隠してて欲しいと思う。伝えはするけど強要は出来ない。
存在感を消し目立たない様に立ち回り、マヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で奇襲を。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、可能ならカウンターを。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。




 正門の屋根を陣取っていた今川義元は、猟兵と羅刹達により地面へ叩き落された。
 羅刹は一斉に群がるが、今川は空へ矢を放ち、竜巻の如き風圧で彼らを吹き飛ばす。
「舐めるなよ小童ども! 死して蘇りし我は、名実共に最強の弓取りとなったのだ!」
 初めは確かに恐れていた。必中必殺の矢の嵐に絶望までしたさ。
 だがどうだ。今自分達は誰一人欠ける事無く生きている。
 猫又戦で猟兵に未来は変えられると教えられた羅刹達の目の光は、もう失われない。
「御大将も形無しだな。生れながらに鬼だの戦闘狂だの揶揄される羅刹の巣穴を突いた事忘れんなよ」
 戦意を失わず再び立ち上がる羅刹達に、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)も続く。
「アンタの手下なんか願い下げだね。オレらは自分たちの暮らしを続けるだけだ!」

(今の一撃だって、もしも直撃したら命を落としていただろうに)
 戦場に武器があるのが当たり前のように。ナイフが本体であるヤドリガミ、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は戦いが激しくなるほど、その気配は人と認識されなくなってくる。
 そんな中、意気揚々と武器を握る羅刹達へ、ぽつり本心を落とした。
「……できればきちんと身を隠してて欲しいと思う」
 その声が届いた者もいるだろう。届かなかった者もいるだろう。
 幾らかの羅刹は後方の岩陰から強弓を構えるが、前線に居続ける羅刹も少なくない。
 瑞樹はもとより、誰かが何かを傷つけるのが嫌いだ。誰かが傷つくのも嫌いだ。
 傷つけるのも、傷つくのも、自分だけでいい――。
 けれど、強要は出来ないから。静かに存在感を消す。
 なるべく早く、この戦いを終わらせる為に。

(奴の矢は当たれば即死だ……いざという時はかばわねーとな)
 一方で、トーゴも羅刹の動向には人一倍気を回していた。
「奴に矢を番える時間と集中を与えんな! いいぞ投げろ投げろ! 俺が援護する!!」
 最前線に身を置き、よく通る声で羅刹達を鼓舞し、指示を飛ばす。
 狙うならまずは自分を撃つように。だがその攻撃も通さぬように、羅刹と連携する。
「うおお!」
 槍を投擲して今川の動きを封じる羅刹達の中、一人の羅刹が重い砂袋を放り投げた。
 それをトーゴが今川に届くよう念動力で押し込むと、続けて後方から飛んで来た火矢が袋を貫き、小爆発を引き起こす。
「目潰し成功ー!」
 舞い上がる粉塵で今川の矢の狙いは甘くなり、トーゴまでも届かない。

「おのれ羅刹っ、過去だけでなく今世でも我の邪魔をするとは……!」
「相変わらずお前の言ってる事の意味が解らない」
 不意に今川の前に現れた瑞樹は、剣刃一閃の奇襲を放つ。
「がはっ」
 唐突に麻痺の刃に貫かれ、今川は崩れるように片膝を着いた。
「輩出と世俗を捨てた事と自分が打ち取られた事は同列に並べる事じゃないと思う」
 正門で喚いていた台詞を否定して、瑞樹はすぃ、と体を横にずらした。
 すると、頭上に羅刹達が投擲した武器の刃が降り注ぐ。大弓で身を庇うようにガードをするも、赤い花が散る。今川は力の入りにくい手でカタカタと大弓を構えるが――。
「“降りて隠形呼ぶ細声の糸を辿れや爪月の”……追って貫け隠形鬼」
 トーゴが両手で投げた八つの小刀の中に一刀、禍言を込めた棒手裏剣が紛れていた。
 念動力で軌道を正確に定めた幽鬼宿る毒針は、今川の左手を籠手ごと貫通する。
「我の手がっ、腕があ!!」
 悶絶する今川の左手は呪われたように黒ずんでいく。
「こんな事ではっ、我の野望は……っっ!!」
 それでも今川は大弓にしがみ付き、震える矢尻をトーゴへ向ける。
 ――もっと近くに、まだ刃は残っているのに。
 今川の背後で黒鵺と胡の二刀が光る。瑞樹は無言で十字を斬った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミニョン・エルシェ
それでは各々方、抜かり無く参りましょう。

【指定UC】で私の軍勢を召喚し、【集団戦術】に持ち込みます。
隊を2分し、
一隊は羅刹の皆さんと【地形を利用】し、弓に備えた土塁や塹壕を築いて【拠点防御】に回し、後方から弓や銃で【援護射撃】。
もう一隊は、私と共に斬り込みを。

『辰星』から『誘導弾システム』によるミサイルを【一斉発射】。それを【援護射撃】としてタンクデサントを行い、死霊将兵に連携させながら斬り込ませます。
私も【視力】【野生の勘】【第六感】【武器受け】を総動員して強弓の回避に努め、懐に飛び込んで【捨て身の一撃】を。

…この手向の刃、簪宗信。貴方と共に散った、松井宗信公から名を頂いたのですよ、義元公。


山梨・玄信
盟友のう…利害が一致しただけじゃろう。大方、上洛を果たせば滅ぼす気だったのではないか?

【POW】
引き続き、着いて来た羅刹達に協力してもらうぞい。
弓は引かねば撃てんからな。兎に角接近することじゃ。
義元が矢を放つ瞬間にオーラ防御を全力で…義元にドーム状に被せるぞ。これなら曲撃ちなどで当てる事も出来まい。
仕留めの矢などでオーラ防御を撃ち破って来たら、見切りと第六感で着弾点を読み、灰燼拳で矢を破壊するのじゃ。

接敵したら、羅刹達と連携して取り囲み距離を取らせないようにするぞい。そして、今度は義元本人に灰燼拳を叩き込むのじゃ。

「恨みがあるなら、骸の海で織田信長と戦っておれ!」

アドリブ歓迎じゃ。




 正門の屋根から殴り落とされ、猟兵と羅刹の猛攻で手にも足にも深い傷を負った今川義元は膝を着き、それでも大弓を手放さない。
「……此れで終わってなるものか……例えこの身が朽ちたとしても……!」
 猟兵も羅刹も、怨恨渦巻く骸の海に引きずり込まなければ盟友に顔向け出来ない。
 どろり――血と闇に濡れながら。過去の化身は弓を引く。

「盟友のう……利害が一致しただけじゃろう。大方、上洛を果たせば滅ぼす気だったのではないか?」
「お気を付けて。義元公は首を斬られる前に敵の指を食い千切って絶命したという話もあります。死んでも一矢報いようというその思い、用心しましょう」
 髭をさすり今川に視線を向ける山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)に、ミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)は淡々と声をかけた。
「ミニョン殿、準備は終えたのじゃろうか?」
「はい。各々方、抜かり無く」
 ミニョンは既に【我勢招来・天下布武】で死霊精鋭武将の軍勢を召喚し、策を巡らせていた。二隊に分けたうちの一隊は、羅刹の協力も得ながら弓に備える塹壕を築いていたのだ。彼らには、後方から弓や銃で援護射撃を行いながら拠点防御に徹してもらう。

 そしてもう一隊は、
「それでは参りましょう」
「弓は引かねば撃てんからな。兎に角接近することじゃ」
 戦車『Mi-2:辰星』に跨ったミニョンと玄信と共に、今川に向かって前進する。
「はっ、大きな的だ!」
 無駄に目立つと敵軍を嗤い、今川は命中した箇所を破壊する仕留めの矢を放つ。
 しかし、
「全力で封じてみせよう!」
 その瞬間を待っていた玄信は、渾身のオーラ防御を今川を中心としてドーム状に被せる。オーラドームは矢と相殺するように消えるが、開けた空には更なる一手が打たれていた。
「誘導弾システムによるミサイル一斉発射。支援隊も続きます」
 これはタンクデサントを用いた集団戦術だ。今元が次の矢を番う前に、タイミングを合わせたミニョンのミサイルランチャーと支援軍の矢と銃弾が一気に降り注ぐ。

 粉塵舞う中、猟兵は戦車を跳び出した。
 並んで走る二人は神経を張り巡らせて、見えない反撃を警戒する。
「……来ます」
「応!」
 ヒゥン――目の前に飛んで来る矢を察知していた玄信は、【灰燼拳】で粉砕した。囮となった猟兵の突撃から一拍置いて羅刹や死霊軍も続き、今川を取り囲んで退路を断つ。

「……この手向の刃、『簪宗信』。
 貴方と共に散った、松井宗信公から名を頂いたのですよ、義元公」
 『神刺し』の意を持つ妖刀の馬手差で斬り込むミニョン。
 手負いの獣のように咆哮する今川義元。
 最期の力を振り絞り、大弓で殴打するように振るう。
 バキリ――猟兵との初戦から負荷をかけられていた大弓は、遂に砕かれた。
 まつろわぬ神を屠る事に特化した一振りは、今川が望み焦がれた未来を切り捨てる。
「恨みがあるなら、骸の海で織田信長と戦っておれ!」
 爆ぜる、玄信の灰燼拳。
 大打撃を叩き込まれた今川は、天高く飛ばされた。
 燃える、燃える、消えて行く。空中で炎に包まれ、燃え残った灰が風に攫われる。
 こうして、過去は在るべき過去へ。骸の海へと還された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月21日


挿絵イラスト