うつつとも 夢とも知れず ありてなければ(作者 真白ブランコ
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#スペースシップワールド  #猟書家の侵攻  #猟書家  #ヘルメスデウス・ブレインコア  #スターライダー 


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 深く果てしない暗黒天。
 ブラックホールがあるわけでも無いはずのその黒宙の片隅で、響き渡る大きな機械音たちは誰にも届かず闇に解け、静かに、順調に、密度を増していた。
『――プリンセス・エメラルドより、新たなコード受信。
 これにより、Bエリアの優先度を下げ、Cエリアにマザーボード移行。
 最優先エリアとし、防護壁γを展開』
 この暗黒天に在るには似つかわしくない程の、澄んだ硝子色した視線を建造物の外へ向ける。
 それでいて、何の感情も温もりも纏わない、瞳とおぼしきそれを微か揺らしながら。
『演算内に異分子の予兆あり。
 確定事項で無い為、即時判断不能。よってミッション変更なしとする』
 “彼女”に恐れも不安もありはしない。
 それでも、機械兵器の身の内に、プログラムを越えた何かが警鐘を鳴らすのを捉えていた。


 宙に瞬く一縷の灯。
 星の煌めきかと近づけば小惑星群に隠れるようにして、ただ時々、意思とは裏腹にその銀の機体を点滅させる、小さな宇宙船がぽつんと一つ。
「船長、生命維持装置エネルギーが残量僅かです」
「あー……すまない、またひとっ走り近くの惑星から調達してきてくれ」
「了解」
 不平不満洩らす事なく、淡々と返事をし背中を向けるアンドロイドの副船長へ、一瞥のみ送ってから一度開いたカプセルポッドを再び彼は閉じていく。
 大人一人寝そべっても悠々とした空間のあるベッドへ横たわり、目の前に広がる真っ白な天井を視界に映して後、その瞼を閉じた。
 ある時は戦の英雄、
 ある時は大富豪、
 またある時は怠惰な犬や猫だったり、空を飛ぶドラゴンであったり。
 どれも日常の自分からは考えられぬ、まさに夢の体験。
 けれど――。
「心が動かない……」
 がむしゃらに勉強し、がむしゃらに働いて、今や気付けば小型とはいえ一船の船長にまでなった己は、いつしか感動や高揚といった気持ちを忘れ去ってしまった。
 ヒトは、夢や目標、気概を失うと、こうまで無気力に堕ちるものなのか。
 最初にその兆しが表れ自覚した際、さすがにまずいと考え、このカプセルベッドを設置したわけであったが。
「……何のために『夢』はある……? 何のためにヒトは生きる……?」
 童心を思い出そうとしても、血気盛んであった頃を振り返ろうとしても、穴だらけの心のビーカーは夢を注いだ先から零れ落ち空っぽになるようで。
 自分のイマジネーションが貧困なのであろうか。
 だがもう何かを思いつく気力すらも湧かない。
 空虚な創造のまま、かつてその名を知らしめたスターライダーたる中年男性は、幾度目かの内なる世界へ旅立っていった。

●現:グリモア・ベースにて
 『ヘルメスデウス・ブレインコア』
 そう呼ばれる幹部猟書家の姿を予知したのだと、真顔を崩さずサティ・フェーニエンス(知の海に溺れる迷走っコ・f30798)が、集まってくれた猟兵たちへと告げる。
「『彼女』の、新インぺリウム(惑星型巨大戦艦)を建造する速度が上がっている感覚も受けました。
 磁気の嵐を纏う宙域にて誰も近寄らず、気付かなかったのもありますが……。
 徹底して、周囲からの熱感知等にも反応させないような、防護壁を張っているようです」
 磁気嵐や隕石群を抜けられたとしても、新インぺリウムとその近接する小惑星や航路まで包む巨大防護壁は、一見すると目には見えずしかし接触したが最後、マイクロ振動を発生させ粉々にされてしまうという。
「激しく厳しい航路の確保、そして同時に防護壁を見破るためのコンソール上での超計算。それを確実に行える同行者、スターライダーが必要です」
 たった一名、現在地が判明しているスターライダーがいるのだと、サティは続ける。
「スターライダーの名前は『アグラード』、彼の船体の名は『アウグスティ』。
 まずは彼を訪ね、協力を要請する必要があります」
 ただ……と、少年は少し眉を下げる。
「かれこれ数か月程、アグラード氏の活動記録がありません。
 彼に何かあったかもしれないのですが……僕ではその理由まで判明出来ず申し訳ありません。
 その船に猟兵が立ち寄る許可は副船長から得ているので、後は直接足を運んで確かめて欲しいんです」
 副船長さん曰く、健康状態には問題ないとの事なんですが、と首を微か傾けながら少年はグリモアを掲げた。
 どうか宜しくお願いします、お気をつけて、と続けながら。


真白ブランコ
 明けましておめでとうございます。
 まったりマイペースな身ですが、本年も何卒宜しくお願い致します、真白ブランコです。
 新年最初は猟書家戦をお送りさせていただきます。

 サブ趣旨「初夢と称してキャラらしい夢見てみようZE」

●第一章:日常
 スターライダーの船にて。
 自由に夢を創造できる、メディカル・ドリームベッドなるカプセルで件のスターライダーは夢の中。
 感動・感慨を忘れ、夢とは生きるとはなんぞや、と迷走しすっかり気力失っている彼を、UCに対応する能力値に関わらず個々の方法で気力注入してあげて下さい。

 例1:彼の夢(自由に練ってOK)に入り、共感し、励ます。
 例2:自分の夢(自由に練ってOK)に彼を招き、彼が体験した事が無さそうな刺激を与え、活力を見出す。
 例3:とりあえずカプセルを体験(コメディ・シリアス・ハートフル等自由に以下略)
    その後お互い起きてから現実でとくと語り合う。

 他、思いつく方法や夢を見る見ない等、お好きにプレイングをかけて頂いて構いません。
 カプセルの操作や分からないことは、大抵副船長が対応してくれます。

●スターライダー
 名をアグラード。
 恐らくいつかの生の夢見が悪かったと思われる。
 突如『夢とは』『生とは』なる人生の迷宮にどっぷり沈み中。
 宇宙職一筋な為、ぶっちゃけ想像力が乏しいのも否めない。
 猟兵たちの数々の体験だけでも、きっと意外と容易く刺激を見つけるであろう。

●第二章:ボス戦
 アグラード氏に導かれ、『ヘルメスデウス・ブレインコア』が待ち受ける新インペリウムにて。
 (磁気嵐などの大冒険な道中は端折ります)
 防御・長期戦を得意とする少女機械兵器を、頭脳・技・根性を駆使して打倒して下さい。
 アグラード氏は戦力にはなりませんが、ボスの裏を掻いたり支援補佐などを希望すれば行ってくれます。

●プレイングボーナス
 両章共通して、スターライダーを探す/スターライダーの指示に従い行動する。

●プレイング受付開始:1/6(水)8:31~(翌7日から執筆し始め順次お届け予定)
 締め切りはプレイング送信できなくなるまで、となります(場合によってはちょっぱやで締まる可能性もありますので、ご了承下さい)
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第1章 日常 『メディカル・ドリームベット』

POW夢の中であなたはすばらしい肉体の持ち主です
SPD夢の中であなたはすばらしいテクニシャンです
WIZ夢の中であなたは不思議な超能力の持ち主です
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ガーネット・グレイローズ
【夢の設定】
場所はとある古びた酒場
(もちろん初対面だけど)長年の友人のような感じで
アグラードと酒を交わしている。

「マシンの調子はどうだい。まだアレには乗っているのか」
アレというのは、スターライダーである彼の宇宙バイクのことだ。

宇宙の闇は果てしなく、人類の安住の地は未だ見つからない。
帝国の残党も健在だ。未踏の宙域には宇宙怪獣……
どうだ、ワクワクしないか? どうやって乗り越えてやろうか、
私はいつも考えているよ。この先の未来のことを。

私には夢がある。次世代の宇宙船を完成させるという夢がな。
夢、情熱という燃料が尽きたとき、心の内燃機関は錆びついていく……
アグラード、君のエンジンはまだ生きているか?



 年季の入った木造の香り。
 年代物の酒瓶が、シックな彩り代わりとして並べられているカウンターに腰掛け、深紅の瞳を今しがた音のした入口へと動かした。
「やあ、アグラード。今夜は君も来る気がしたよ」
「……ああ」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)の親しみ籠った声色に、一瞬違和感覚えた男はしかしすぐにそれを自然な事と受け止める。
 副船長によってガーネットの表面的情報を事前に打ち込まれたドリームカプセルは、あくまでぼんやりと、けれど実感湧く体験として二人の為の夢を創り出す。
 ここは若かりし頃、よく訪れた二人にとっての隠れ家的酒場なのだと。

「マシンの調子はどうだい。まだアレには乗っているのか」
 深みのある鮮やかなレッドカクテルを手元で揺らしながら、彼女から気軽に問われた事へ、男はしかし影落とすようにその目を伏せさせた。
「……もう長く、乗っていない。今の俺にはアイツに乗ってやる資格も無い」
 彼の思い描く“アイツ”。その姿形がガーネットの脳裏にも当たり前のものとして浮かび上がる。
 アグラードと語り合う為に必要な情報を、やはり副船長が打ち込んでくれていたのだろう。
「そんなこと、あのコはきっと思っていないさ。生涯の相棒だろう?」
 それは彼がスターライダーと呼ばれるようになった所以、宇宙を自在に駆け抜けた愛用のスペースバイクのこと。
 懐かしそうに微か表情動くも、男の視線は上がらぬまま。
「乗り方すら忘れてしまった俺を、アイツもとっくに見限っているさ」
 自虐な言葉たちへ、それでもガーネットは静かに耳を傾ける。
 割って入るでもなくただ促す空気を作ってくれているからか、男は語るつもりの無かった言の葉まで喉の奥から沸き起こるのを感じた。
「月日が経つ毎に、何のために生きているのか分からなくなるんだ……。
 俺は一体、どうやって自らを奮い起こしていたんだろう……培った体力、養われた気力を、どうやって回復していたんだろうか」
 自問自答の呟き。
 どこか、助けを求めるような叫びにも思えれば、ガーネットは男へというより独り言として声を発した。
「私には夢がある。次世代の宇宙船を完成させるという夢がな」
 今度はアグラードが耳を傾ける。長年の友のそれへ。
「この夢を抱いてから、さて幾歳過ぎただろうかな。
 君の倍以上生きている身だが、まだ耄碌したつもりは無いのだが」
 あまりにこの夢と共に生きるのが当たり前となっているからな、まぁど忘れというやつだ。
 冗談交えながらそうあっさり言葉にしていく内容に、男が驚いた表情になる。
 ガーネットの本来の年齢については、副船長に話していなかったゆえにこの夢の中には情報として溶け込んでいなかった。
 けれどそれもガーネットの思惑によるもの。
 ――長く付き合う間柄でも、今になって初めて言えることというのはあるだろう?
 その方がよりリアリティも出るであろう、と。
 事実、彼女の外見を20代半ばとして捉えていた彼の反応は、現実での素のものに思えた。
「……なぜ、なぜそんなに長い月日を変わらずに、己を見失わずに生きていける……?」
「夢、情熱というのは燃料だ。自分の身の内から溢れ出してくる。
 無論、それらは無限というわけではない。心の内燃機関は何の刺激もなければ次第に錆びついていく……。
 時に休息を取り、時に同じ景色を見る仲間の存在に、補充され更に容量も増えていくものじゃないだろうか。
 アグラード、君のエンジンはまだ生きているか?」
 穏やかな微笑みからの問いかけに、無意識に彼は自分の胸に手をあてる。
「君も知っていよう。宇宙の闇は果てしなく、人類の安住の地は未だ見付からない。
 帝国の残党も健在だ。未踏の宙域には宇宙怪獣もはびこる……。
 だがどうだ、少しワクワクしないか? 長く生きて未だ尚、未知のものたちに出会える驚きと感動。
 それらをどうやって乗り越えてやろうか、私はいつも考えているよ」
 この先歩む未来のことを――。
 そうガーネットが紡いだ瞬間、二人の頭上、夢の映像が勢いよく切り替わった。
 それはこの夢の中で共有する二人の、いつかの過去の記憶。
 初めて征く航路で遭遇した宇宙怪獣へ、アグラードが高速華麗にバイク走らせ誘導したそこへ、まさにガーネットが特大のフルチャージバスターを撃ち放った、激しくも闇弾ける大輪の花の場面であった。
 彼の瞳が見開かれる。
 この闇の中に、こんな美しい光景がそういえばあったのだ――そう何かを思い出し、何かを焼き付けるように。
 そんな横顔を確認すれば、ふ、と吐息だけで笑う。
 そうさ、未来では本当に君自身がこんな体験をするかもしれないだろう?
 君が一歩を踏み出しさえすれば。
 想いのみ視線に込めながら。ガーネットも暫し共にその光景を眺めるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

クック・ルウ
彼の夢に訪れようか
まるで古い友人のような心地で、夢ならそういうこともあるだろう
アグラード、アグラード。お前に会いに来たぞ

夢なのでクックはピチピチの黒い魚だ
伸び縮みするから大きさも自在だ
空中も泳ぐ水陸両用ゆえ、どこでもいけるぞ
お前はどんな姿をしてる?

お前はいつも頑張ってきたんだろう
だからたまにはのんびりしよう、アグラード
散歩をして景色を眺めよう
宇宙で育った私達の憧れを夢に見よう
お前はどんな景色が見てみたい?
クックはな、水辺線から上がる日の出が見たい
真っ暗な夜が明けていくのを見つめていたいのだ

目が覚めたらコーヒーを入れようか
お前も飲むだろう?
魚じゃない私を見て、誰か解るかな
楽しみだ、ふふふ



 いつもの空虚な闇。
 かと思いきや、ぴちょん、ぴちょんと水の音が聞こえてくる。
 この無重力空間に水辺? いや、夢だから何でもありか。
 闇夜にぼんやり浮かび上がってきた湖を見れば、それでもさすがに『今日は変わった夢だな』と男が思った、そんな足元からふと。
「アグラード、アグラード。お前に会いに来たぞ」
 出目金、もとい、それよりもずっとしなやかに美しく伸びた胴とヒレ、そしてつぶらな瞳を持つ黒真珠色の魚が一匹、突然声をかけてきた。
 楽々と湖から上がっては、自分の足をぺちぺち叩きながら話しかけてくるのを、呆然と目を丸くして見つめる。
 けれどすぐに、しゃがみ込んではその魚と少しでも高さを合わせる。
 ああ、そうだ。このコはいつも話し相手になってくれる、古き友人だった――

 ――ふむ。本気で何も無い真っ暗な夢と来て、さすがに一瞬どうしたものかと思ったが。
 なんとなーく、せめて景色の一つも欲しいなと考えた時には、淡い霧と共にこの湖が現れてくれれば、その身をピチピチの魚に変化させたクック・ルウ(水音・f04137)はこっそり安堵していたり。
 本来のブラックタールとしての性能そのままに、伸び縮みも自由自在、空中も泳げる水陸両用。いやさすがに現実では空中までは泳げんけども。けれど十分、彼と語らうには出来た姿じゃないか。
 己へと視線合わせてくれた男を見上げ、根の優しさと周囲の深き闇から、大分病んどるなぁ等としみじみしてから。
「今日はどこへ行く? クックはどこにでもついて行くぞ、ついて行けるぞ」
 何せクックはスゴイからな、と鱗の胸をエヘンと反らせた。
 (彼視点からすれば立派な魚である)クックを一瞥しては、ぽつりと、零れ出る沈んだ言の葉が一つ。
「きみは……どうしていつも、こんな俺にまで、元気に語り掛けてくれるんだろう」
「何を今更言っている。クックはクックで、お前はお前。
 出会った時からずっとこうだったのだから、どうしても何も無い。これがクックとお前の関係というやつだ、たぶん」
「……そうか、変わらずに居てくれるのか……」
 ちょっぴり曖昧な返答には気付かずに、男はどこか遠くへ視線をやる。
 それに倣うようにクックも首とおぼしき顔を向け、まだそちらには何もない暗闇を見つめた。
 お前はいつも頑張ってきたんだろうな。
 だから、
「たまにはのんびりしよう、アグラード」
「……え」
「さぁ、散歩をして景色を眺めよう。ん? まだその姿でいるつもりなのか?
 クックは構わんが、少々話にくくないか、首が疲れないか。“いつもみたいに”一緒に水を、宙を、泳いで行こう」
「――」
 黒き魚が紡いだのは魔法の呪文。
 呆けた心はある意味素直に言葉を受け取れば、彼の姿はあっという間にクックと並んで、大きさそっくりの銀色の鱗持つ魚へと変化していた。
 無茶ぶりだったかと思ったが。よかったよかった。
 イッツ ァ ポジティブ。
 夢だし何とかなるだろうの精神で、思い付きにて紡いだことが上手く運べば、いっそ楽しそうにクックは跳ねた。
「宇宙で育った私達の憧れを夢に見ようじゃないか。
 お前はどんな景色が見てみたい?」
「……分からない。思いつく景色が、無いんだ……」
「ん、まるで燃料切れみたいな顔だ。ちゃんと食べているのか? 食事は大事なんだぞ」
 何気なく言われた事へ、彼の現実の脳が微か思考する。
 そういえば……最後にしっかり飲食をしたのは、いつだっただろうか。
「クックはな、水辺線から上がる日の出が見たい。
 真っ暗な夜が明けていくのを見つめていたいのだ」
 ほら! こんなふうな!
 そう黒い魚がヒレで指した先にて。
 暗い夜に一筋の光の線が出来たかと思えば、それは夜の海から東雲色を昇らせた景色へと移りゆく。
「明けぬ夜は無い。
 この朝焼け空を見たら、よしっ今日も活力取り込むぞ、朝ごはんだ! とならないか。クックはなる」
 突拍子もない、けれどシンプルな思いと言葉。
 ああそうか……この世界は夜だけじゃなかった。
 朝が来て、昼が来て、そして最後に夜が来て……また日は巡るのだった。
 ぼんやりとした視界を拭おうと、銀の魚はヒレで自らの瞳をこする。
「どうやらそろそろ眠りから覚めそうだな。
 ならば、起きたらコーヒーを入れようか。お前も飲むだろう?」
「ああ、飲みたい、と思う……」
 ピチピチ動きながら紡ぐ黒の魚へ、銀の魚は少し恥ずかしそうに答えた。
 ――朝焼けの光を浴びた銀魚……焼いた色みたいで美味しそうだな、ああいかん、お腹がすいた。
 心盛り返した彼の微々たる変化には気付かぬまま。
 早く起きよう、そして食事……いやっ、約束通りまずはコーヒーだな、とクックは思う。
 ――魚じゃない私を見て、誰か解るかな。楽しみだ、ふふふ。
 現実の世界で、彼がクエスチョンマークいっぱい浮かべるまで、あと数秒……。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『ヘルメスデウス・ブレインコア』

POW ●メタルナイト・クリエイション
無敵の【超大型機動兵器】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD ●オートマティックレギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【無人戦闘マシン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ ●ヘルメスデウス・アナライズ
【今戦っている敵の情報を収集・解析した】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユエイン・リュンコイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 普段と同じ船内なのに、どこか眩しそうに目を細めるアグラードへいつもの淡々とした声が届く。
「簡単ではありますが、軽食をご用意しました。皆様もどうぞ」
「おーいいのか! 本来一度遠慮するべきなのであろうが、しかしクックは正直にいくぞ! 喜んで食べるぞー!」
「そうだな、腹が減っては戦は出来ぬと言うし。折角用意してくれたんだ、私もいただこうか」
 ブラックタールな少女の体をぴょこぴょこのびのびさせる彼女に続き、緋の相貌を微笑ましそうに和ませながらの凛とした声色が響く。
 これが……幾度も死地を経験したことのある、猟兵というものか。
 話を聞くに、これから向かう場所、相対する敵、その過程はとても激しいものとなるであろうに。
 先程淹れてもらったコーヒー。すっかり冷めてしまっていても、口に運べば未だ脳髄をはっきりとさせる苦味が広がり、それが心地よく懐かしくて。
 すっかり飲み干せば鮮明になった思考で、男は猟兵たちを案内する副船長へと視線をやった。
 ……もしかして、ずっと、いつも、食事の準備をしてくれていたのだろうか……。
 そういえば副船長の任に着いてもらってから、あのコは常に自分を気遣う行動を取っていたことを思い出す。
 自分の考えを読み取り、先を促す、あの相棒と同じように。
 例えその体は固く冷たい機械であっても。長く付き合っていけば、そこには温もり感じる瞬間が生まれるのだと、信じていたはずなのにどうして忘れていたのか。
 否……これからも、信じていることは変わらない。
 軽食のテーブルで、久しぶりの談笑と久しぶりの温かな食事は、闇に迷っていたスターライダーへ確かに道標となる手を差し伸べたのだった。

「――あの宙域か。成程、隠れるにはもってこいだ」
 腹も満ち休息も十分。
 猟兵たちの殺る気もとい気力溢れた表情見れば、相当危険な所だぞ、という言葉は笑みと共に飲み込まれた。
「人生の悪夢から覚めたといっても、長期に渡って衰弱した体は無理が利かぬだろう。微力ながら、私も道中補佐させていただこう」
「名高いステラマリア号の船長にそう言ってもらえれば、百人力だな」
「私をご存知であったか」
 貴方が開拓してくれた航路は我々のような者には希望だよと、自然と口をついた言葉にアグラード自身も驚いた様子を見せながら。
 立ち直った彼を吐息で笑うに留めて、赤き髪の麗人はその艶髪を翻し窓の外の宇宙、その向こうへと真摯な視線を送る。
「とはいえ、無数の隕石群を避ける細かなコントロールは、私には難しいが」
「任せよ。船の操縦は出来ぬが、船に当たりそうな隕石の一つや二つや三つ程度なれば、この弾力にて防いでみせようなんなら食っちゃうぞ」
 乳白色の瞳をキリッと整え、黒い光沢を瞬かせる姿に、緋色の瞳も頼もしそうにそれを細めた。
「船長のサポートを全力でさせていただきます」
 猟兵たち、そして副船長からも言葉を受けて。
 今、スターライダーの威厳は甦る――


 見えぬ稲妻狂う宙域にて。
 無機質な硝子の双眸が何度目か、とある航路の先へと注がれる。
「――エリアCの防護壁、出力プラス30%。
 計算し切れぬナニカ……しかし異質なエネルギーの気配の増強を確認。
 あと数刻以内に辿り着くと思われる。戦闘配置へ……」
 断言出来ぬ、らしくない文字列をその口から零れさせて、違和感というエラーの微々たる修正を行いながらも。
 ヘルメスデウス・ブレインコアは確信していた。
 己の出番が訪れると。そうして間もなくし――

「来ました」

 『彼女』がそう告げた瞬間、新インぺリウムに無事辿り着いた猟兵たちの前に、数多の戦闘マシーンたちが立ちはだかるのであった。

 mission:巨大な新インぺリウム。
     それを護るため姿を見せた猟書家幹部を撃破せよ。

 _______________________

【MSより】

 目的地到着からのスタートです。
 すぐに敵が襲ってきますので、迎え撃って下さい。

 宇宙空間ですが、無酸素・無重力などは気にせずとも構いません。
(きっと副船長あたりが便利な宇宙服とかアイテムとか貸してくれています)
 キャラ様らしく戦闘プレイングを自由に練ってくださいませ。
 スターライダーたるアグラードは、小型船に乗って邪魔にならぬ位置取りをしていますが、敵の誘導等は出来ますので戦いやすいよう支援要望を伝えてOKです。

 ヘルメスデウス・ブレインコアを倒せば新インペリウムは自然消滅します。
 プレイング文字数に余裕がある方は、新インペリウム破壊攻撃などを盛り込んでいただいても構いません(敵の注意を引く作戦等で)。
ガーネット・グレイローズ
お目覚めかいアグラード。どうやら君のエンジンは蘇ったようだね。
いい夢を見てこその人生だ。
さて、これから一緒に夢の続きを見に行こうじゃないか。

キャバリア「夜の女王」で出撃。機体を《操縦》し、
《空中戦》の要領で宇宙空間を泳ぎ回るように移動。
ヘルメスデウス…神殺しの力をお見せしよう。
遠隔攻撃端末「PSD」ホーネットを射出し、
【念動武闘法】で複製して《念動力》で操作する。
攻撃の主軸は遠隔操作による《レーザー射撃》、数には数で対抗だ。
アグラード、最短ルートで敵の本陣を目指すぞ。私に続け!
オールレンジからの《遊撃》砲火を浴びせてヘルメスデウスを集中攻撃、
さらに物質分解波動を帯びた光剣で斬りつけて追撃だ。



 小さな隕石群かと見間違う程の、敵のオートマティックレギオンたちの自爆突進の嵐を、繊細なカーソル操作と長年の感覚の下にて上手く躱していくアグラードの小型船を、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は嬉しそうに視界に映す。
 誰しもが永遠に夢を追い続けられるわけでは無い。
 そう理解してはいても、挫けそうであった同胞が見事再び夢の扉へ手をかけ直した姿は、やはり感慨を覚えるもので。
「すっかりお目覚めのようだな、アグラード。どうやら君のエンジンは蘇ったようだね」
「お蔭様でな。……この戦いを突破出来たなら、あの相棒とももう一度この宙を駆けてみたい、と思う。我ながら単純、だろうかね……」
 正しくはほぼ初対面な間柄。
 なれど、絆が生まれるのに時間の長さなど意味を為さない。
 あの夢での光景はスターライダーの脳裏に鮮明に刻まれ、すでにお互いを認め合った。ゆえに自然と二人の会話は遠慮のない、真の友のそれを送り合う。
 ガーネットは力強く頷いた。
「いい夢を見てこその人生だ。
 君が夢を見続ける限り、相棒殿もどこまでもついてきてくれるさ。
 さて、これから一緒に夢の続きを見に行こうじゃないか」
 気高い微笑みを浮かべていた表情を、一転、機械に似た温度纏わぬ冷徹さへと変えて。闇に浮かぶ夢の道を塞ぐ者を見据えた。
「蹴散らすぞ、“夜の女王”」
「――特殊高エネルギー体、捕捉。サイキックタイプキャバリアの確率99%。
 レギオン、ウォール形状へ」
 緋の主の呼びかけに、意志持つようにその機体から返答の音が鳴り響く。
 蒼の主の命令に、無機物の集合体として無人マシンたちが狭間において壁を形成する。
 ガーネットとの精神感応により駆動する“夜の女王”の名を掲げたキャバリアが、主の操縦と思考に準じて宇宙空間でも華麗に泳ぎ敵へと向かった。
 襲い来るレギオンからの小型ミサイルが飛び交う。
「レギオンウォール突破率、通常機体において20%以下。
 限りなく0%にすべく出力上昇」
「確かにその数で壁を展開されては、中々辿り着けないだろうな……“普通であれば”。
 ヘルメスデウス……神殺しの力をお見せしよう」
 不敵な声色に応えるように、夜の女王の腹部装甲から遠隔攻撃端末「PSD」ホーネットが射出された。
 同時に、コックピットからUC【念動武闘法】が発動されれば、自分たちを囲もうとするレギオンに劣らぬ数のPSDホーネットが複製され、主の念動力によって命あるが如く敵を撃ち据える。
「数には数で対抗しようじゃないか」
 遠隔操作によって集結した、数多のPSDホーネットたちが照準を正面の巨大なレギオンで出来た壁へと合わせた。
「ッ撃てー!!」
 覇気の号令。
 その瞬間、一斉に放たれたレーザー射撃はアグラードの位置からは闇を貫く一筋の閃光に見えた。
 閃光はばらけていたレギオンたちを塵に変えそして、ヘルメスデウスとの間にそびえた壁を粉砕し貫通した。
「アグラード、最短ルートで敵の本陣を目指すぞ。私に続け!」
「っ了解した!」
 すかさず貫通した穴へ、オールレンジからの遊撃砲火を撃ち出すのと共に猛々しい咆哮が轟く。
 やませぬ火力への対処に、ヘルメスデウスをその場から動けなくさせたのは、恐らく自分が狙われぬよう護る意味も込められているのかもしれない。
 アグラードは船体内で感嘆の吐息をつく。
 あの数の射出を操り、且つ未だこちらへも意識を向けてくれる、一体どこにそれ程の集中力があるのだろう、と。
「フィードバック制御開始……」
「仕切り直す余裕は与えんよ」
 『彼女』の、硝子玉の瞳が計算外のその姿を捉えた。
 レーザー射撃とスターライダーへの指示、それはこの超加速行動と共に行われていたのだと、ヘルメスデウスが導き出した時には、己が纏う防護壁、その半分以上をガーネット自身がその手にて握ったBXフォースセイバー「JOXブレイド」の物質分解波動によって粒子に分解され消滅させられていたのだった。
大成功 🔵🔵🔵

クック・ルウ
ジャム殿(f25969)と
不思議の国のドラゴンおじいちゃんを呼んできた
うん、楽しかったぞ。食事も頂いた!

惑星型の巨大戦艦なぞ、完成させれば何に使われるやらだ
あれを確実に破壊するには近づかねばならぬ
援護を頼むぞ、アグラード

飛翔するジャム殿の背に乗り出撃だ
一々戦闘マシーンの相手をするのはキリがなさそうだな
危険だが最短ルートで突っ込むかジャム殿

食事をしっかり摂ったから、力が漲っている
全身全霊の力を込めた魔法で猟書家を撃つぞ


ジャム・ドラドス
クック(f04137)と
呼ばれてきたが、良い顔をしておるのうクック
楽しいひと時だったのじゃな

(クックを乗せて宇宙空間へ飛び立ち
「ドラゴンブレス」で戦闘機を破壊しつつ
電光の目潰しと轟音で敵を撹乱しよう)
我が息吹は未来を信じる子らの為に
邪魔立てするなら容赦はせぬ

危険か、よいじゃろう
射程距離に入るには多少の無茶が必要じゃ
すり抜けて飛ぶからしっかり掴まっているのじゃぞ

ヘルメスデウス・ブレインコアじゃったか
感情の揺れを感じさせぬその姿は
迷いながらも夢を取り戻そうとした者とは対照的じゃの



「おー! 景気よくいったな。ほれアグラード、呆けていると先方に置いて行かれるぞ」
「あ、ああ、そうだな。……ところで……」
 並いるレギオンを消し飛ばしただけでなく、先手必勝とばかりに一撃を与えている仲間の姿が見えれば、クック・ルウ(水音・f04137)は音にならぬ口笛を吹いてみたり。タールの身は音を出すのは難しくてな。
 何となく言葉でぴゅ~ぴゅ~言いながら、スターライダーから注がれる視線にはちゃんと気付いた。
「ん? ああ、こちらが気になるのか、そうだな気になるな。
 うむ、不思議の国のドラゴンおじいちゃんを呼んできたのだ!」
「ほっほ、お初に御目に掛かる。汝がアグラード殿かの。我はジャム・ドラドスという。
 クックが世話になったようじゃ。楽しいひと時だったのがよく分かる、良い顔をしていたからの」
 霞色の肌に卯の花の如く優しき鱗を瞬かせながら、それなりにスピード出しているアグラードの小型船に平然と寄り添って飛ぶジャム・ドラドス(呪われた竜・f25969)の姿と声に、アグラードも慌てて名乗り返した。
 その背中にちょこん、ぴとぉと乗ったクックが明るく発する。
「うん、楽しかったぞ。食事も頂いた! ジャム殿ももう少し早く呼んであげれば良かったな」
「何、気にするでない。お主が元気なれば、この戦も勝利を掴み取れよう」
「そうだな、宙を駆けられるジャム殿とアグラードもいるのだから百人力だ」
 背の上で僅かな和みを得てから。
 クックは表情を切り替え、視線をヘルメスデウスの背後、惑星型の巨大戦艦へと注いだ。
 ……あんなもの、完成させれば何に使われるやらだ。
 あれを確実に破壊するには――
「近距離まで近づかねばならぬ。援護を頼むぞ、アグラード。ジャム殿もよろしいか?」
「任された」
 スターライダーとドラゴンの頼もしき声が重なった。

 暗黒空間を稲妻が割く。
 紫電と轟音を放つ【ドラゴンブレス】が、未だ沸き出るレギオンの群れを破壊し、その電光は目潰しとなって存続する戦闘機たちをも攪乱させた。
「我が息吹は未来を信じる子らの為に。邪魔立てするなら容赦はせぬ」
 灰のドラゴンが静かな、厳かな、言の葉を放てば、コードとして集約し『彼女』のセンサーにまで届く。
 それはドラゴンの言祝ぎ。可能性を表す……――不穏物質。
 『彼女』は無意識に挑発され、新たなレギオンを生み出せばジャムの背後から奇襲させる。
 しかしそれをいち早く察知したアグラードが、船体から光源を放ち高速旋回し、レギオンのサーチから目標物を一瞬見失わせた。
 数秒の隙があれば十分、とばかりに、アグラードが翻った瞬間再びのドラゴンブレスが狙ってきたレギオンすらも木っ端微塵にさせた。
「息ぴったりだな二人とも!
 しかし一々戦闘マシーンの相手をするのはキリがなさそうだ。
 危険だが最短ルートで突っ込むかジャム殿」
「危険か、よいじゃろう。射程距離に入るには多少の無茶が必要じゃ。
 すり抜けて飛ぶからしっかり掴まっているのじゃぞ」
 紡ぐが早いか、灰のドラゴンはこれまで以上の加速を見せれば、レギオンたちの隙間すら翼縫わせるように避け通り抜けていく。
 あのような御仁もいるのか……スターライダーの面目が潰れてしまうな。
 苦笑いと共にしかし、潰れる気はもう無いのだと、アグラードも寸分違わぬ動きでその後を追いかけた。
「――コンマ秒後、新たな生命体と臨戦」
「やっと顔を合わせられたな。
 食事をしっかり摂ったクックは、力が漲っているぞ。覚悟はいいか」
 新たに対峙した猟兵たちへ、『彼女』は何の変化も見せず冷たき口元を動かす。
「食事、非効率なエネルギー補給法。時代遅れの生命体と識別、敗北素数打ち出し、」
「言うにこと欠いてなんと不届きな……!」
 まだ『彼女』が淡々と声らしきものを発しているのを、クワッと乳白色の瞳を見開き妨げた。
 生きとし生けるものが物を食べるという行為、そしてその時間は、命を輝かせ絆を巡る。
 それを冒涜する言の葉は、クックにとって逆鱗のそれである。
 灰の背にしっかりと立ち上がれば、ブラックタールの両腕が大きく伸び掲げられ、全身からエネルギーの輝きがその手の先へと集まり出す。
「……ヘルメスデウス・ブレインコアじゃったか。
 感情の揺れを感じさせぬその姿は、迷いながらも夢を取り戻そうとした者とは対照的じゃの」
 それは魔法発動までの時間稼ぎであり、ジャムの内から確かに湧いた本音の言葉。
 だからこそ、無駄な応答だと分かっているはずの『彼女』の、脳を司る基盤を微か揺らしたのかもしれない。
 クックの動作をすぐ阻害しようと注視していたその硝子の視線が、ドラゴンの赤い瞳と交錯する。
「感情、迷い、それはマイクロ粒子のレベルにて判断をフォールダウンさせる、無駄なモノ。
 必要パーセンテージ皆無」
「判断の速さだけの話なら、そうじゃろうな」
 じゃが、と人生経験深き声色が、無機質な相手へ告げる。
「感情の振れ幅が、迷った末の決断が、時に思わぬ成長へと繋がる……計算し切れぬからこそ、命あるものは面白いんじゃよ。……のう、クック」
「そうだなジャム殿!
 お腹いっぱいだと思った後予想もしなかった更に美味しい物が出てきた時、信じられない程幸せになってどこまでも力が溜まっていくのだ!
 今、クックはこの戦いの後の幸せを想って全身全霊を込める!」
 研ぎ澄まされた感覚、練られた魔力。
 放たれたのは鮮やかな朝焼け色の魔法弾。
 【暁光の魔法】は全ての不安を薙ぎ払うように、暗き宇宙空間を一直線に輝かせた直後、『彼女』の残っていたシールド全てにヒビを走らせた。
 それはまさに僥倖。
 『彼女』の全身に、疑問という名のエラーが巡り出す。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

双海・忍
銀色のキャバリアで出撃します。(コクピット内の本人の服装はメイド服)
「例え相手が強大でも、みんなで力を合わせて戦えば勝てます。」(可能であればアグラードさんに小型機を一ヶ所に誘導をお願いしたいです)
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【黒薔薇の嵐】を【範囲攻撃】にして、『ヘルメスデウス・ブレインコア』と召喚されたものを纏めて攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 外界センサーと内界センサーの補正に集中し始めるヘルメスデウスの、初期の命令のままに、すでに召喚され済で未だ動く無人戦闘機たちが、これ以上の突破をさせまいと新たな標的を定めた。
「こちらに向かって来るようですね。まとめて迎撃してみせましょう。
 いきますよ、シルバースター」
 銀のキャバリアのコックピット内で、双海・忍(人間のクロムキャバリア・f04566)の凛とした声が響く。
 メイド服からすらりと伸びた黒タイツの足が力強く踏み込まれれば、それに応えた銀翼がエネルギーを放ち宙を舞った。
「……いい腕だ。まさに銀の流星の名の如し」
「ありがとうございます。
 アグラードさん、あの小型機たちを一カ所に誘導できますか?」
「何か考えがあるようだな……了解した」
 指示を受け、スターライダーの小型船が周囲の戦闘機の注意を集め始めれば、現れた隙間を流星の煌めき帯びた機体が矢となって駆け抜ける。
 防護壁の修復は無意味と判断した『彼女』が、その銀の軌道を捉え解析していた。
「――内包エネルギー、潜在加速度、把握。一機での攻撃、ほぼ無効」
「一人じゃないです。例え相手が強大でも、仲間が、みんながいます。
 力を合わせて戦えば勝てます」
「理解、不能」
 言葉のコードを音として放つと同時に、ピピッと解析終了を鳴らせたヘルメスデウスが初めて動いた。
 防戦から攻戦への切り替え。
 霧のような粒子を纏った瞬間、銀のキャバリアの目前に接近した『彼女』から近距離型ミサイルが撃ち込まれる。
 咄嗟に見切ろうと機体をずらしたそれを、しかし『彼女』は読んでいた。
 鋼鉄の拳が直接シルバースターを狙う。なれど、
「甘いです」
 避けようと動いた事が銀のキャバリアにとってのフェイントだった。
 直接的な攻撃を誘い込めば、忍は軽やかに手首を返す。
 操縦に応じて、敵の拳を受け止めたのは銀水に輝く盾。
 オーラに覆われたそれは低く鈍い音を響かせ拳を受け止める。
 『彼女』は一瞬でその身を引いた。そして次には、近距離保ったまま指先全てを対象へ向けた。
 ビ―――――ッ!
 甲高い音と共に、総じて10本の細いレーザーが銀のキャバリアど真ん中を貫いた。
 ――……ように見えた直後、銀の星は陽炎の如く揺らめいて消えた。
「計算外」
「残念でしたね、それは残像です」
 サーチ内にレギオンの点滅が一カ所に集まっているのも確認した忍の、色づく口元が微か微笑む。
「散る黒薔薇に囲まれて眠りなさい」
 瞬間、銀のキャバリアのシールドが、巨大な日本刀が、漆黒の薔薇へと姿を変え辺り一面闇に解ける花びらが覆った。
 それは鉄をも貫く花刃。
 アグラードによって誘導されたレギオンたち、そして、近距離に浮かぶ『彼女』ごと【黒薔薇の嵐】は切り刻み、機械の隙間を貫通させた。
 バチバチと火花が己の身の内から上がるのを、冷たい視線でヘルメスデウスは見下ろした。
成功 🔵🔵🔴

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ

ごきげんよう、ヘルメス様。
私はドゥルール。オブリビオン救済を掲げる者です

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力と【環境耐性】を高め
『快楽の檻』で直径96m分のオブリビオンと絡み合った姿に。
戦闘力は更に480倍化し、480km/hで【空中戦】

無駄ですよ。私達の愛は
データで読み解けるものではありません

今の私達は強大な霊の集合体も同然。
ホラー映画のように霊力で機械を【ハッキング】
金縛り【念動力・マヒ攻撃】と
無数の腕による抱擁【怪力・捕縛】で
本体の少女も無力化して【生命力吸収】のキス

今は理解できなくて結構です。
私の中でゆっくり教えて差し上げますわ。
愛も夢も……人間達だけのものではない事を



 あと少し。
 気を緩める事無く距離を一度保っては、追い込まれ始めた敵が何かを巻き起こさないか、慎重に構える猟兵たちの視界に一匹の蝙蝠が飛来する。
 鋼の体を背景に輪郭がくっきりと見て取れれば、それは生身のまま無防備に接近するドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)の姿だと分かる。
「ごきげんよう、ヘルメス様。私はドゥルール。オブリビオン救済を掲げる者です」
「? 言語エラー。猟兵の思考回路とイコールにならぬ」
「猟兵全てが人間の味方だとお思いなら、データ更新した方がいいですわよ」
 ドゥルールを映す硝子玉の瞳が、いっそドゥルールには無垢にすら見えた。
 脅威に満ちた猟書家だと聞いたけれど、これはまた可愛らしいじゃない。
 見た目にそぐわぬ妖艶な微笑みを浮かべ、狂愛に満ちたダンピールの少女は早々にUC【快楽の檻(サキュバス・レギオン)】を発動させた。
「愛は全てを包み込むの。貴方のデータごと愛してあげましょう」
「『愛』、ただの言葉、感情。ゆえに無力」
「では確かめてください」
 ドゥルールと憑依する守護霊。それはこれまでドゥルールが愛の下で集め保護した、数々のオブリビオンの魂である。
 愛に屈したかはたまた同調か、猟兵の敵であったはずの守護霊たちは従順な光の塊となり彼女の体と融合していけば、ドゥルールの身体は直径96mの群体淫魔へと変貌を遂げた。
 先程までとは全く異なる存在だと判断したヘルメスデウスが、直ちに情報・解析を開始する。
 しかし次にはその猟兵の姿が硝子の視界から消えていた。
「無駄ですよ。私達の愛はデータで読み解けるものではありません」
 環境耐性にて無重力をものともせず、UCによって莫大な強化を得た群体淫魔のスピードは480km/h。目の前を最高速度のリニアモーターカーが駆け抜けたも同然で。
 どんなに解析し直そうとしても、捉えられるのは黒い流星が残す軌跡のみ。
 何度も電子音を繰り返す『彼女』へ、強大な霊の集合体たる黒き彼女が、いくつもの顔と共に穏やかに語り掛ける。
「今は理解できなくても結構です。私の中でゆっくり教えて差し上げますわ」
 一瞬にして背後を取れば、無数の亡霊たちの腕が抱擁の如くヘルメスデウスに纏わりつき、完全に動きを封じた。
「演算、失敗。力による脱出……無効」
 何も知らぬ子供のよう。
 貴方は貴方自身のことも知らないのねきっと。
 だから教えてあげる、愛しき魂へ。
 愛も夢も……人間達だけのものではない事を――
 死して尚力を与えてくれるモノたちの霊力が、『彼女』の機械内に侵入してはハッキングを試みる。
 ウィルスプログラムとそれを認識した『彼女』の防衛プログラムが迎え撃つ。
 見えぬ体内で、静かなる攻防が繰り広げられそして。
「――おやすみなさい」
 念動力とマヒの金縛りによりその動きを完全に鎮静化させたまま、ドゥルールは優しく優しくキスを落とした。
 それはオブリビオンの為の、オブリビオンへの愛の力による能力。
 自らが所持していた悲愴の短剣を代償に、どれほど凶悪狂暴なオブリビオンの魂でさえも己が内へ吸い取ってしまう能力。 
 何をされたか、『彼女』は瞬間把握した。
 さりとて――
 この身に、魂など在り得ない。
 温度も感触も数字としてのみ判断されれば、些末な事として。この状況から抜け出す為に新インペリウムからのエネルギー拝借を行う。
 ……行おうとして、己が鉄の体からガクンと力が抜けた感覚に、思考計算バンクの動きが止まった。
 途方に暮れた迷子のコを見るように、ドゥトールは目を細めた。
「ね、教えてあげると言ったでしょう、ヘルメス様」
 ダンピールのキスは確かに、『彼女』の魂を吸収していたのだ。
 『彼女』自身、元々備わっていたかいつしか生まれたかすら知りえぬ、機動プログラムとは全く存在異なる“半分”の魂を。
成功 🔵🔵🔴

アレクシア・アークライト
この馬鹿でかいのが戦艦だなんて、ホント冗談みたいな話ね
でも今なら、あいつ一人を倒すだけでこの戦艦を潰すことができる
これだけ大きなリターン、逃す手はないわね

力場を防御用に展開
UCとして「電子操作」を使用し、インペリウムのシステムに介入
敵がこの戦艦を掌握しているなら、逆にそのシステムから敵の精神に干渉することも可能な筈
干渉まで行かなくても、ハッキングへの対応として大きな負荷を掛けることはできる

その間にこちらは戦艦内の電力を集約
自分の力と併せて雷霆を放つ

これだけの戦艦の力を一度も使わずに消しちゃうのはもったいわよね?
せっかくだから、貴方を倒すのに使ってあげるわ

UC指定:ハッキング、エネルギー充填



 『彼女』の存在そのものとシンクロしているらしい、新インペリウム内部にて次第にバグが大量発生し、徐々に殻に罅が入るが如く耳障りな軋り音を轟かせる。
 聡明なルビーの瞳でしっかりとその姿形を捉えながら、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)は思わずの声を漏らす。
「この馬鹿でかいのが戦艦だなんて、ホント冗談みたいな話ね」
 これが完成し動いたあかつきには、この宇宙はどうなってしまうのか。
 普通であれば、どう攻略すべきか作戦に相当な時間を要するものであろう、けれど。
 ――でも今なら、あいつ一人を倒すだけでこの戦艦を潰すことができる。
 瞳の奥で、力強い使命の炎が燃え上がった。
 この機を逃す手はない。 
 敵と十分な距離をおいて、アレクシアは防御用に展開した力場の中で、すっとその目を鋭くした。
 意識も視線も巨大戦艦へ。
 ――本気で行くわよ。
 アレクシアの瞳から光沢が薄れ、まるで『彼女』と似た硝子玉のような色味となる。
 【超能力】に全神経を集中すれば、その脳裏に複雑怪奇と言えるコンピュータの細々とした点滅が映され始めた。
 今、念動力によってハッキング・干渉しようとしているのは他でもない、『彼女』と繋がる新インペリウム。
 ――……流石これだけ巨大ともあって、重圧が半端ないわね。
 電子空間内の操作に力を注ぎ極限まで駆使し続けているアレクシアの肌にも、うっすらと汗が浮く。
「ッ何者かの侵入を感知。ただちに排除せよ」
 新インペリウム内の無人機たちへ命令コードを飛ばしながら、ヘルメスデウスのサーチが無重力歪む力場を捉えた。
 すでに先の猟兵たちからの攻撃にて火花散らす、自身の鉄の体へのダメージも厭わずに、一直線にアレクシアへと突進する。
 バチィッ!
 アレクシアが纏う防御の力場が、妨害を阻んだ。
 しかして一切の痛みも感じぬままに、腕が欠けても、ショルダーフレームが弾き飛んでも、『彼女』は突進をやめなかった。
 焦り……どうやら、大きな負荷が掛かる事確実らしいわね。
 敵の猛突を微か視野に入れながら、ならばその精神に全力で干渉してやろうとアレクシアの、念動力の出力とも呼べる能力の輝きが全開となる。
「――ッ――ッッ」
 戦艦内の電力すら集約させ本来の流れと逆流させれば、繋がる『彼女』の体が大きく傾いだ。
「これだけの戦艦の力を、一度も使わず消しちゃうのはもったいないわよ、ね?」
 雫を一筋、力場にしたたらせたアレクシアが表情変えぬまま、周囲の仲間たちへ一言のみ、放つ。
「離れて!!」
 その二秒後、強大な電子の海から集まった電力と、己の力とが合わさった雷霆が『彼女』に迸った。
 無重力空間に走った電光の中で、一瞬、硝子玉の瞳と目が合えば、心から不思議そうな色を浮かべていた……ように見えた。
 空間震わせたほんの刹那の天候変化の後、鋼鉄の体が在ったそこには銀色の粒子たちが微か漂っているだけだった。
「苦労して集めた電子力たちだったんでしょう。
 無駄にせず貴方を倒すのに使ってあげたわ」


 沈む、沈む、宇宙の彼方へ。
 ヘルメスデウス・ブレインコアの消滅により、巨大な惑星戦艦も今や次々と分解していき、果てない闇の塵芥へと流れて行くだろう。

 恨めしそうに、冷たき瞳を一度だけ猟兵たちへ向けた後、漆黒の蝙蝠マントを翻しいずこかへ消えた少女には気付かぬまま。
 スターライダーの操る小型船がゆっくり、大きく旋回し無線からの言葉が鳴り響く。
「すごい、存在だな……猟兵も、そしてこの宇宙も……」
「わくわくするだろう?」
「……ああ」
 友であり真の友と成った、紅の麗人へアグラードは照れくさそうな、素直な返答を鳴らす。
「我らも宇宙もいつまでも冒険者であり冒険地じゃよ」
「クックたちが立ち止まらぬ限り、まだ見たことの無い食材が待っていてくれるからな!」
 灰のドラゴンの背で、楽しそうに伸び縮みジャンプする存在を、何となく一心に見つめながら。
「アグラードさん、レギオンたちを誘導してくれた際の、あの繊細なブースター派出のタイミングを少しお聞きしたいです」
 銀のキャバリアの中で乱れた長い髪を整えながら、真面目且つどこか可憐な声が聞こえれば、喜んで教えようとスターライダーも活き活きと返す。
「どうやら皆でまた、ささやかな祝勝会にでもなりそうだな」
「そうだな、大勢での食事はまた格別な勝利の味だー!」
「……君はどうだ? 見た所エージェントか何かのようだが。時間はあるか?」
「いえ。さすがに力を酷使し過ぎたので。戻って報告して、……調整槽で眠るわ」
 燃える赤い瞳同士が交われば、そんなやり取りが交わされながら。

 それぞれの気概に触れたスターライダーの胸には、再び夢への情熱が灯されたのだった。
成功 🔵🔵🔴

最終結果:成功

完成日2021年01月14日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴