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黒い花が見せる夢

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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 きらきら、ふわふわ素敵な花畑。
 白にピンク、黄色に水色。蝶々や小鳥も飛び回り、疲れたら元気が出る美味しいベリーも沢山。
「よいしょっと、おじゃましま~す!」
 そんなフェアリーランドにのんびりとした声と共にどこからか現れた白兎娘。辺りを見回し、腰に手を当て辺りの景色を眺めると大きく頷いて。
「ふっふっふ、イイとこ見つけた流石私! うんうん、壺の中とは思えないぐらい、広くて素敵な場所だね!」
 兎娘……猟書家レプ・ス・カムが大きく手を振ると、今まで見た事が無い大きく真っ黒い花が咲いて……咲いて咲いて、花畑を埋め尽くして。黒い花は他の花を覆って枯らして、陣地を増やしていく。
 黒い花に触れた蝶々は為す術なく地に落ち、小鳥は羽根を黒く染め弱弱しく藻掻く。花粉に毒が含まれているのだろう。
「さぁて、これで花畑は真っ黒、悪夢の世界! 後はー、天上界への鍵を探しに行かなくちゃ!」

「ああぁ私の……私の花畑が……」
 黒く染まった花畑を見て崩れ落ちる、薄桃色の羽根を宿したこのフェアリーランドの主であるフェアリーの少女。
 ぽろぽろと涙を零し、未だ影響を受けていない花畑を守ろうとして……黒い花を止められず絶望に蹲る。
「誰か……誰か助けて……」

「全員集まったかしら。今回はアックス&ウィザーズに猟書家が出たみたい」
 猟兵達を前に、御乃森・雪音(La diva della rosa blu・f17695)は話を切り出す。
「レプ・ス・カムは何かの鍵を手に入れるために、フェアリーランドを悪夢の世界に変えていっているらしいわ」
 レプ・ス・カムが鍵を探している間、ユーベルコードは解除できないようにされているらしい。自身が大切にしていた世界を汚す悪夢を見せられ続け、力を使い続けてフェアリーは大分衰弱してしまっているのだろう。
「今回助けて欲しいのは、リーアという名前の女の子。内気で、花が大好きで……大切に育てていた花畑がフェアリーランドの中にあったみたい。最初に彼女を見つけて、落ち着かせてあげて」
 まずは花畑でリーアを探し、少しでも悪夢の進行を食い止めるために楽しいことを考えてもらう必要がありそうだ。
「リーアの気持ちが前向きになれば、悪夢化が停滞して猟書家も気付いて見に来る筈。そこを倒す感じになるわね」
 雪音は手の上にグリモアの光を生み出すと、猟兵達の方を向く。
「元々はとても素敵な世界だったの。リーアの手に、返してあげたいから……お願いね」


真空。
 見て頂き有難う御座います、真空。(まそら)です。

 アックス&ウィザーズ猟書家シナリオです。
 第1章:花畑を抜けてリーアを救え(冒険)
 リーアを探して助けてあげて下さい。黒い花は踏んだりちぎったりすると猟兵が痺れる位の毒花粉をばらまきますので注意。
 第2章:対レプ・ス・カム(ボス戦)
 となっております。

 全章共通のプレイングボーナスは【フェアリーに楽しいことを考えてもらう】です。
 悪夢化の進行が止まったり、世界が猟兵に有利になったります。

 フェアリーのリーアは大人しく優しい子で花が大好きです。花畑を荒らされた事ですごくダメージを受けています。
 気持ちに寄り添ってあげたらきっと心を開いてくれる筈です。

 公開された時点から受付開始となります。
 細かい進行等についてはマスターページに記載の予定です。

 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称も)とID】のご記入お願い致します。
 あまり大人数だと難しいです、すみません……。

 皆様の参加、心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『魔性の花園』

POW   :    とにかく脇目も振らずに進む。

SPD   :    花の少ない場所を見つけて進む。

WIZ   :    慎重に対策を施して進む。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロッテ・ブラウ
ひとまずはリーアと合流だね
ちょっと高い位置まで飛んで、侵食が完了していない場所に向かうよ
「おまたせ♪もう大丈夫だよ」ってね

さてさて…ふむふむ
繁殖力とボクら猟兵も痺れる毒性とか中々素敵だね
研究対象としても十分の価値があるよ♪

とりあえずは、リーアとボク、他の猟兵の分の解毒飴を【ヒュギエイアの杯】で作成
甘い飴を口の中でころころしつつ
サンプルとして「黒い花」を摘んで荷物へぽいぽい
進行を遅らせる専用の除草剤を【ヒュギエイアの杯】で作って周辺へ散布します
まぁ気休めだけど、サクッと原因除去の兎狩りしてくるよ
お土産も摘んだしね
(にっこりと励ましつつ、裏で悪い笑みを浮かべてニシシと笑っています。)



●妖精の秘薬

 黒が侵食する花畑、まだ鮮やかな色を残す領域を飛び回る一人のフェアリー。
「うん、この辺はまだ大丈夫と。リーアはどこにいるかなー」
 大きな茶色の瞳を好奇心に輝かせ、ロッテ・ブラウ(夢幻・f29078)は影響を受けないように黒い花の範囲を避けつつリーアを探す。
「見つけたー、ねえねえ、君がリーアだよね?」
 僅かに草丈が高くなった場所、隠れるように蹲っていた薄桃色の羽根のフェアリーは羽根を震わせ頷いた。
「おまたせ♪もう大丈夫だよ、さて、まずは解毒の薬がいるよね……古の知識よりココに!!」
 ロッテが自身の力……ヒュギエイアの杯を使い解毒剤としての力を持つ飴を作り出すと、リーアに手渡す。
「はい、君の分とー、後の分は他に助けに来た人がいたら渡してあげてよ」
 飴を口に含むと、ロッテはリーアを促しふわりと飛び立つ。まずは……浸食の境界点へ。薬が効いているか確認しながら近寄ると、端の方の黒い花を摘み取り始めるロッテ。
「繁殖力とボクら猟兵も痺れる毒性とか中々素敵だね、研究対象としても十分の価値があるよ♪」
 いくつかのサンプルを確保し荷物へ放り込むと、飴の効果で毒が効かないことを確認していよいよ本番。先程と同じ力を使い、黒の進行を食い止めるための除草剤を作り出す。
「ほら、見てて」
飛び上がると薬を撒き始めるロッテ。キラキラと光る粉を浴びた黒い花は僅かに動きが止まったようだ。
「ね。言ったでしょ。まあ気休めだけど、効いてるうちにサクッと原因除去の兎狩りしてくるよ」
「ありがとう……気を付けてね」
 眼の前で浸食を食い止めた事でリーアも少し気持ちが前向きになったのだろう、顔を上げて微かに笑うと更に悪夢の進行が速度を落としていく。
「そうそう、落ち込んじゃだめだよ。どんな時でも笑顔が大事」
 にっこりと笑いながら励ますロッテ。しかしリーアがロッテから視線を外し花畑に目を向けると、笑みに一瞬悪い雰囲気が混じった。
「……お土産も摘んだしね」

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
「悪夢の滴」たるこの私の前で悪夢を弄ぶ愚かな猟書家
すぐにその身の程知らずを後悔させてあげましょう

しかしまずは妖精さんを探しませんとね
「第六感」を使いつつUCも発動し
五感を拡張して探索を行いましょう

妖精さんはおそらく、かろうじて残っている本当のお花を
必死で護ろうとしているのではないでしょうか
つまり本当の花が感じられる方向に彼女はいるはずです
毒花を踏まないように「見切り」つつ
多少の毒は「毒耐性」で凌いで進みます

妖精さんを見つけたら本物の花を「オーラ防御」で包みこみ
毒花から守ります
妖精さん、こんな小さな可愛らしいお花も
必死で耐えつつ咲いているのです
この子が残す種はきっと強く鮮やかに育つことでしょう



●悪夢と悪夢

 漆黒の艶やかな髪を靡かせ花畑に降り立った黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は形の良い眉を顰め周囲を見回す。
「これが悪夢……ね」
 「悪夢の滴」たるこの私の前で悪夢を弄ぶ等愚かな猟書家、すぐにその身の程知らずを後悔させてあげなければ。しかし。
「とりあえず、今は妖精さんを探しましょうか」
 魅夜が自身の指先を僅かに傷つけると、浮き出す血が鮮やかな鮮紅の蝶となって空を舞う。自身の勘に従い、未だ黒の影響を受けていない範囲へと蝶を飛ばしてリーアの姿を探し始める。
 先導するように舞う蝶と共に歩みを進める魅夜。毒花を避けつつ足を進めると、まだ無事な花畑の中で、お気に入りの花を助けるために掘り起こそうと手を土に汚し頑張るリーアが見えた。
 彼女を見つけた魅夜は驚かせないようにそっと近寄ると声をかける。
「貴方が……ここの主、ね?」
 文字通りに飛び上がって振り返るリーアに、魅夜は敵ではないと優しく微笑む。
「大丈夫、貴女を助けに来たのよ。ほら、見ていて」
 瞳を伏せると長い睫毛が頬に影を落とす。細い指が祈りの形に組まれれば、ふわりとオーラが広がり近辺一帯の花畑を包み込む。そうしている間にも黒の浸食は進んでいくが、包まれたエリアだけは影響を受けていない。
「すごい……」
 眼を開けた魅夜はしゃがみ込むと、一輪の花に手を伸ばす。リーアの羽根と同じような淡い桃色の花は未だ確りと首を上げてその生命を咲かせている。
「ねえ、妖精さん。こんな小さな可愛らしいお花も必死で耐えつつ咲いているのです。たとえ一度花が駄目になっても、また育てましょう。この子たちの種は、きっと強く鮮やかに育ってくれるわ」
「この子達の、種……種が出来るように、残った子達は助けてくれる?」
「勿論」
地面座ったままのリーアを見つめて、確りと頷く魅夜。約束を受けたリーアの瞳にも力が戻り始める。
「うん、うん……私、頑張る。頑張って、また花を咲かせなきゃ」
絶望に囚われず進みだし始めた妖精の心に、呼応するように悪夢は薄れていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

梟別・玲頼
鳥形態にて
まずはフェアリーのお嬢さんの所に急行
空から向かい、美しき花も黒き毒花も傷付けぬ様に
彼女の上をくるりと一周してから舞い降りるとしよう

大事無いか、この小さな世界の小さな主よ
嗚呼、怯えないでくれ
私はレラ、ただのお節介やきのフクロウに過ぎぬ
其方の泣き悲しむ声に思わず文字通り飛んできてしまったのだよ

心配は要らぬ
其方の大切な花畑を斯様にした悪しき存在がいる
それを追い払う為に、其方の力も貸してくれまいか

さぁ、私の背に乗ると良い
しっかり掴まっているのだぞ
まだ彩り残る花畑の上をゆっくり飛び、問い掛ける
本来の花畑の彩を私に教えてくれ、自慢してくれ
其方の大切なものの形を想い描けば、悪夢の花など消え失せよう



●知恵の神と希望の力

 未だ動き続ける黒い花の上を飛ぶ大きな翼。梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)は梟の姿となってリーアを探す。
 空から向かう事で、美しき花も黒き毒花も傷付けぬ様に。ようやく見つけた彼女の上をくるりと一周してから舞い降りる。
「大事無いか、この小さな世界の小さな主よ」
 目の前に降り立った梟に驚き、身を竦めるリーア。
「嗚呼、怯えないでくれ。私はレラ、ただのお節介やきのフクロウに過ぎぬ。其方の泣き悲しむ声に思わず文字通り飛んできてしまったのだよ」
 優しい声、真摯な瞳の温かな琥珀色。警戒していたリーアも落ち着いたのかそっと顔を上げると玲頼へと視線を向ける。
「心配は要らぬ。其方の大切な花畑を斯様にした悪しき存在がいる。それを追い払う為に、其方の力も貸してくれまいか」
「私に、何かできるの……?」
「出来るさ。さぁ、私の背に乗ると良い。しっかり掴まっているのだぞ」
リーアを背に乗せ、まだ彩り残る花畑の上をゆっくり飛ぶ玲頼。
「本来の花畑の彩を私に教えてくれ、自慢してくれ。其方の大切なものの形を想い描けば、悪夢の花等消え失せよう」
 問いかけられたリーアは、残る花畑を……その後に少し離れた場所で広がる黒い花を見て、口を開く。
「……色々な色のお花と、鳥さんと蝶々がいたわ。どこを飛んでもいい香りがして、飛んで遊んで疲れたらベリーを食べるの。仲良くなった人間を招待して、ベリーでケーキを作ってもらってパーティーをしたこともあったわ。楽しくて、素敵で…大切な、場所なの」
 話すうちにうつむきそうになるも、玲頼が励ますように僅かに体を揺らせば、ぎゅっと手を握り顔を上げる。
「大切、だから。また綺麗に直すの。花も、種から育てて、鳥さんも看病して、また……誰かと笑えるような、綺麗な花畑を作るの」
「よく言った。ほら、悪い夢が薄れていくぞ」
 先程までとは明らかに違い、黒い花の動きは止まる。枯れてしまった部分は地面がむき出しになってはいるが、見えている範囲の土に毒の影響などはなさそうだ。
「よし、では悪夢の源を退治するとしようか」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『レプ・ス・カム』

POW   :    ミラージュ・ラパン
自身と自身の装備、【自身がしたためた招待状を持つ】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    兎の謎掛け
【困惑】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【鬼火の塊】から、高命中力の【蒼白い炎の矢】を飛ばす。
WIZ   :    素敵な嘘へご案内
【巧みな話術】を披露した指定の全対象に【今話された内容は真実に違いないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハーバニー・キーテセラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ちょっとー、花止まっちゃってるんですけどー」
 黒い花が姿を消していく花畑。茂みから姿を現したレプ・ス・カムは辺りを眺め、腰に手を当てて頬を膨らませる。
「まだ鍵見つかってないのにー。誰誰ー、余計なことしてくれちゃってんのは」
 猟兵達へと視線を向けたレプ・ス・カム。
「こんなのここに居た覚えない……あんた達ね、邪魔してるの! 許さないんだから!」
ロッテ・ブラウ
「化術」+「催眠術」の応用=「分身幻影」を風下
ボクは姿を隠しながら風上に立って

ほんと毎度、毎度、毎度―っ、ペラペラと良く回るお口だよね
マジで口から生まれて来たんじゃない?
もうキミいい加減に見飽きたから、耳折り曲げてすごすご帰ってくれないかな?

馬鹿にした口調で注意を引きつつ
「黒い花」の麻痺毒をベースに【ヒュギエイアの杯】で生成した
オリジナルブレンドの毒を「暗殺」を添えて空中に散布して
吸引させる時間を稼ぎます

まぁ招待状で見えなくても
口が回らなくなって術を発動出来なくしてあげるよ

自分用に解毒剤を持っている可能性もあるけど?
無力化狙いだし普通の解毒剤でどうにかできるのは散布しないよん♪



●幻影と毒

「ほんと毎度、毎度、毎度―っ、ペラペラと良く回るお口だよね。マジで口から生まれて来たんじゃない? もうキミいい加減に見飽きたから、耳折り曲げてすごすご帰ってくれないかな?」
 姿を現したレプ・ス・カムへ一寸高い位置からびしっと指を突きつけるロッテ。猟書家を止める為に何度も撃退しているからこそ諦めろ、と文句の一つも言いたくなるのだろう。
 このレプ・ス・カムと会うのは初めてだけれど、何度も妨害されているという情報は共有されているのかぎゅっと眉を寄せ、指を突きつけ返す兎娘。
「はあぁ? 毎度毎度邪魔してくれてんのはそっちじゃない! そっちこそもう関わらないでよっ!」
 頬を膨らませて言い返したレプ・ス・カムがぶん、と手を振るとその姿が一気に透明に変化していく。通り抜ける際に何か行ったのか花畑に幾つか残っていた黒い花が花粉をまき散らそうとするが、その前にロッテが動く。
「もう遅いって。僕の方が上手だったね」
 今まで喋っていたはずのロッテがにやりと笑うとその姿がゆらりと揺らぎ、消える。今まで此処に居たのは幻影。本体は――ヒュギエイアの杯を使い妖精の秘薬を作り出し、既に散布することに成功していた。生成したのは先程積んだ黒い花をベースに自身の力で改良と殺意を加えた麻痺毒薬。
「まぁ招待状で見えなくても、口が回らなくなって術を発動出来なくしてあげるよ」
 すぐに花畑の一角が乱れ、見る間にレプ・ス・カムが姿を現す。へたりと座り込み荒い呼吸と咳を繰り返す姿、どうやら逃げる間もなく思いっきり吸い込んだらしい。
「自分用に解毒剤を持っている可能性もあるけど? 無力化狙いだし普通の解毒剤でどうにかできるのは散布しないよん♪」
 手が届かない上空からしてやったりと笑うロッテ。レプ・ス・カムは咳き込みながら悔し気に彼を睨みつける。
「サイテー…マジ最低!むっかつくー!」
「何とでもどうぞー。引っかかるほうが悪い、ってね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
まったく「困惑」です
鎖で引き裂くか牙で貫くか魂を破壊するか
どの殺し方があなたには似合うか、ずっと悩んでいるのです、ふふ
「悪夢の滴」たる私の前で悪夢を弄ぶあなたのような愚者にはね

くっ、これが猟書家の炎ですか
嗚呼、何と強い炎、凄まじすぎて耐えられません
このまま倒されてしまうのですね……

──と、見えたのでしょうが、それは幻
あなたの魂を私が操ったことによる、ね
妖精さん、面白かったでしょう? この茶番、ふふ

そう、私の力は敵の力を強化しますが
同時に敵の魂を自由に操るもの
ふふ、今回はこの殺し方があなたに相応しいと決めました

さあ、幻影の中で踊り狂いながら
強化された自分自身の炎で身体も魂も焼き尽くされなさい



●惑わす闇

 魅夜は身体を痺れさせたままよろよろ立ち上がるレプ・ス・カムを前にして、僅かに首を傾げ頬に手を当てる。真っ直ぐにレプ・ス・カムを見る瞳が何かを見定めるように瞬きを繰り返すと、ふう、と小さくため息を零す。
 鎖で引き裂くか牙で貫くか魂を破壊するか……どの殺し方が貴女には似合うのだろう。魅夜こそが正に「悪夢の滴」。だというのにその前で悪夢を弄ぶような愚かな者をどうしたものか、と。
「まったく「困惑」です」
「迷ってる……今ならいける?よーしっ、炎よ、矢となりなさいっ!」
 まさか相手が自分の殺し方で悩んでいるとは思わず、レプ・ス・カムは反撃の状況が整ったと引きつりながらも笑顔で手にしたランプから鬼火の塊を呼び出し、いくつかの青白い高温度の炎の矢を作り出すと素早く魅夜へ放つ。 
「くっ、これが猟書家の炎ですか。嗚呼、何と強い炎、凄まじすぎて耐えられません、このまま倒されてしまうのですね……」
 避ける間もなく炎の矢を受け、鬼火に包まれると顔を伏せて呟く魅夜。レプ・ス・カムが仕留めた、とふらつきながらも笑みを浮かべる……が。
「──と、見えたのでしょうが、それは幻。あなたの魂を私が操ったことによる、ね」
 ゆっくりと上げられた顔には笑みが浮かぶ。どういう事だ、と逆に困惑の表情を浮かべたレプ・ス・カムだったが、気が付けば自身の身体が、先程自身が放ったのと同じ炎に包まれていることに気付いて眼を見開く。
「え、え……何これ?」
「ねえ妖精さん、面白かったでしょう? この茶番、ふふ……そう、私の力は敵の力を強化しますが、同時に敵の魂を自由に操るもの」
 あくまで優雅に、今までの一連がレプ・ス・カムの幻であると告げる魅夜。漆黒の瞳を細め艶やかな唇が笑みを深くし、囁くように悪夢の終わりを告げる。
「ふふ、今回はこの殺し方があなたに相応しいと決めました」
 差し伸べられた白い手がレプ・ス・カムへと向けられると同時、その身体を包む炎が力を増して燃え上がる。
「さあ、幻影の中で踊り狂いながら、強化された自分自身の炎で身体も魂も焼き尽くされなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロッテ・ブラウ
あはははっ♪
魅夜さんの茶番最高♪なかなか芸達者だね♪
いやぁそれにしてもズタボロだね
良い「悪夢」は見れた?

ぼちぼち良い感じに毒も回ってロクに動けないでしょ?
言いたいことは目を見ればわかる
何度も何度も言うけど、引っかかる方が悪い
それに、ボクら妖精族を舐め切ってるキミが悪い

さぁて頃合いだね……
じっと「幻魔の瞳」の冷たい視線で見つめ
にんまりと悪い笑みを浮かべます
何をするかって?キミの大好きな「悪夢」
そうだねー終わりのない深い深い「悪夢」の世界にご招待さ…
もう遅いよー
幻も現実も紙一重、キミが今見ているボクも幻覚かもね
じゃぁね?おやすみなさい



●悪夢の瞳

「最悪……最悪過ぎないコレっ!」
「あはははっ♪魅夜さんの茶番最高♪なかなか芸達者だね♪」
 毒に侵され炎に焼かれ、身も心も弱り切って立っているのがやっとの様子のレプ・ス・カムの前に再びふわりと舞い降りるロッテ。
「いやぁそれにしてもズタボロだね、良い「悪夢」は見れた?」
 にやりと笑いながらかけた言葉に言い返すことも出来ずただ睨みつける兎娘に対し、大きく手を広げて片眉を上げると、芝居がかった口調で告げる。
「ぼちぼち良い感じに毒も回ってロクに動けないでしょ? 言いたいことは目を見ればわかる。
何度も何度も言うけど、引っかかる方が悪い。それに、ボクら妖精族を舐め切ってるキミが悪い」
 鍵を狙って同族を襲い続ける猟書家の所業、ロッテにとっては何があっても許せるものではないのだ。だからこそ、フェアリー達に対して自身が何をしたか、確りと思い知らせてやろうとその力を開放する。
「さぁて頃合いだね……」
 口元は笑みを深めるが、瞳から笑みが消え纏う色が変わる。じっとレプ・ス・カムを見つめる冷ややかな瞳には彼の持つ幻魔の瞳の力が乗せられている。
「何をするかって?キミの大好きな「悪夢」……終わりのない深い深い「悪夢」の世界にご招待さ……」
 自身へと及ぶ力に気付いたレプ・ス・カムだったが、目を逸らそうとしてももう、間に合わない。一度揺さぶられたように視界が揺れ、ぎゅっと瞑った眼を開くと、先程まで身を包んでいた炎が再び燃え上がり、慌てて逃げようとすれば花の蔓に足を取られ、蹴とばしてしまった黒い花の花粉が今度は自身へと向かってくる。自分が放った筈の悪夢が自身を傷つけてくる現状に身体の痛みも忘れ、悲鳴を上げると頭を抱えて蹲る。
「もう遅いよー。幻も現実も紙一重、キミが今見ているボクも幻覚かもね。じゃぁね?おやすみなさい」
 苦しむレプ・ス・カムを見下ろし、ロッテが冷たく告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー
おぬしの目的は、天上界へと至るための鍵を見つけることであったか
この世界を黒き花で侵しつくし、なおその力に染まらぬ物があるとすれば、それこそが鍵というわけじゃな
なるほど、考えたものじゃのう

もっとも、一つ問題があるとすれば、時間が掛かる故にわしら猟兵に見つかってしまうことじゃな
今から成敗してやる故、覚悟するが良い

おぬしは姿を消す力を持っておるようじゃが、空間の揺らぎはおろか、音も匂いも消せぬのか
わしの見術をもってすれば、丸見えも同然じゃぞ

まずは光剣で敵の足を斬り、移動を封じよう
続けて光剣を突き刺し、UCの力をもってじっくりと骸の海に還そうぞ

自身の身体が侵される気分、おぬしもとくと味わうのじゃな


梟別・玲頼
リーア殿、あれが先程話した悪しき者だ
今追い払う故、危ないから隠れておると良い

と、リーアが背から離れたら敵の前まで飛んで人間態に

余計な事してんのはテメェだクソウサギ
綺麗な自然の楽園、台無しにしやがって

さぁ、狩りの時間だ
矢を番え、射る事で攻撃開始
向こうが何か言ってこようと、適当に受け流しつつ
…と言うか多分ブチ切れたツッコみしかしねぇなオレ
多少炎の矢が飛んできても、こっちも矢で相殺

森の狩人を相手にしちまった時点でウサギであるテメェの負けは確定なんだよ
逃げようとしても無駄だぜ
放つ矢は弧を描き急所を射貫く
還れ、骸の海の果てに

リーア、これで大丈夫だ
いずれ元に戻ったら、自慢のベリーご馳走になりに来るぜ?



●梟の神と光の戦士

「リーア殿、あれが先程話した悪しき者だ……今追い払う故、危ないから隠れておると良い」
頷いた妖精が背中から飛び立ち、離れた茂みの方に隠れると更に前へ。レプ・ス・カムの前でばさり、と一度大きく羽搏いて大きく風が巻くとその場から梟は消え、険しい表情をして弓を手にした琥珀色の瞳の青年が立つ。
そして、戦いの場にもう一人。
「なるほどな」
 クレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)はゆったりとした様子で歩み寄ると通ってきたフェアリーランドの様相を見て、レプ・ス・カムの目的と手段を理解し、金色の髪を揺らし大きく頷く。
「おぬしの目的は、天上界へと至るための鍵を見つけることであったか」
 黒の花でこの小さな世界を埋め尽くしてしまえば、最後に残る黒に染まらなかったものが鍵。考えたものだ、と言いつつもその作戦には決定的な弱点があると指摘する。
「しかし、時間がかかるのが問題であったな」
 レプ・ス・カムの考えは確実ではあるが、遅い。だからこそ、猟兵に見つかりこうしてこの世界を救いに来る事が出来ているのだから。
「何なのよもうっ! 次から次に余計なのが邪魔ばっかり!」
「余計な事してんのはテメェだクソウサギ、綺麗な自然の楽園、台無しにしやがって」
 悔し気に地団太を踏むレプ・ス・カムに玲頼は先程までと違う強い言葉をぶつけると、月の名を持つ金の弓を静かに構えた。
「さぁ、狩りの時間だ」
 先に動いたのは玲頼。茶色の羽根を数枚懐から取り出すと、弓に番える。見る間に羽根が矢に変わり、幾本も放ったそれは弧を描いて足元に胴体に突き刺さり、鬼火を呼び出そうとしていたレプ・ス・カムの動きを封じる。
「痛っ!ちょっと、話くらい聞きなさいよっ」
「うるせぇよ」
 攻撃が間に合わないとみて、姿を消して一旦逃げようとするレプ・ス・カムをクレアは微かな足音と揺れる花の香りで判別し、細く白い手が似合わぬ力強さで光剣を空気の揺らぐ方へ正確に振るう。
「おぬしは姿を消す力を持っておるようじゃが、わしの見術をもってすれば、丸見えも同然じゃぞ」
 持ち主の動きに合わせて伸びる光の刃は容赦なく逃げようとした足を払い、攻撃を受けて集中が切れたレプ・ス・カムが地に転がる。
「や、やだっ!」
「森の狩人を相手にしちまった時点でウサギであるテメェの負けは確定なんだよ、逃げようとしても無駄だぜ」
 まだ逃げようとするレプ・ス・カムを、玲頼の放つ矢が的確に急所を狙いその場に縫い留めていく。矢の合間を抜けたクレアが一気に距離を詰めると、剣を振り上げ真っ直ぐに突き刺すと同時に力を解放する。還送機能Ⅲ……レプ・ス・カムの猟書家たる力の核を狙う一撃。
「骸の海に還れ」
 二人の攻撃を受けたレプ・ス・カムは一度驚いたように目を見開くと、次の瞬間跡形もなく消滅した。兎娘が消えた途端、未だ僅かに残っていた黒い花も一気に枯れて砂と化し散り去って、後には何も残らない。
 何も残っていないから、時間がかかってもまた直せるという事だ。隠れて見ていたリーアが勢いよく飛び寄ると、二人の周りをくるくると回る。
「ありがとう……ありがとう!良かった……私、また、頑張るから。絶対、元に……ううん、元よりも綺麗にするから」
「もう大丈夫だ。いずれ元に戻ったら、招待してくれよ。自慢のベリーご馳走になりに来るぜ?」
「妖精郷の茶会か、それは是非に」
 今はまだほぼ枯れたままの花畑、残る花々が再会の約束を喜ぶように優しく揺れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月20日
宿敵 『レプ・ス・カム』 を撃破!


挿絵イラスト