おいでませボルケーノ ~灼熱を添えて~
●熱いのがお好き?
「へくちっ!」
とあるフェアリーのユーベルコード、フェアリーランドにやってきたレプ・ス・カム。しかしこの世界は外の世界を反映してか、タイトスカートの彼女にとっては少々寒かった。
「あーもうそういう季節ですもんねー……って、フェアリーちゃん頑張って過ごしやすい環境にしてよー! ……ま、私が悪夢に変えちゃうんですけどねー。はー、あったかい悪夢、あったかい悪夢ーっと」
まるで塗り絵をするように、レプ・ス・カムはふんふん鼻歌を歌いながら世界を作り替えていく。
そうして出来上がったのは、暖かい――というより熱い、灼熱の火山の世界。立ち入るだけで体中から汗が吹き出してきそうな地獄と化していた。
レプ・ス・カムのすぐそばを溶岩流が通っていく。そのうえをぴょんと飛び越えて、
「うーん……やり過ぎた気もしますけど、邪魔が入っても困りますから、このままにしておきますか。よーし、探しますよー!」
レプ・ス・カムは軽快に山を登っていく。どん、と地面が振動し、火口からはまた溶岩とガスと灰が噴出していた。
●アックス&ウィザーズ・3rdラウンド
「寒いのは困りますけど、熱すぎるのも困りますね!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は力説する。ここ、グリモアベースは年中快適な温度に保たれており、今はぽかぽか暖かい。
「アックス&ウィザーズでレプ・ス・カムがまた暗躍しています! 飽きない人ですね!」
何をそんなに躍起になって探し回っているのか。それがどういうもので何を起こすためのものなのか。未だ解明に至っていない部分はあるが、幹部猟書家が動くとなればそれなりの物なのだろう。
「概要ですが、レプ・ス・カムはフェアリーランドに侵入して、その中を悪夢のような世界に変えてしまっています。その影響はフェアリーさんにも出ていて、そのまま放っておくと衰弱死してしまうので、助けに行かなければなりません!」
レプ・ス・カムを倒せば世界は元に戻るので、猟兵はフェアリーランドに入り込み、レプ・ス・カムを探して倒せばよい。しかし当然、フェアリーランドは悪夢となって猟兵に牙を剥く。
「今回向かって頂くフェアリーランドですが、灼熱火山です! 熱すぎてちょっと耐えられないレベルかもしれませんので、対策はしっかり行ってくださいね!」
複雑な地形ではないものの、環境としては劣悪と言える。猟兵とて安全とは限らない。
「大変な時期ですけど、皆で乗り越えていきましょう! 宜しくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
自分の猟書家シナリオ運営はすでに1月モードです。
●フラグメント詳細
第1章:冒険『灼熱火山地帯』
ガッデムホットどころではない熱さに皆さんは見舞われることでしょう。
気力で乗り切るのもいいかもしれません。何か熱さ対策で物を持ち込んでもいいと思います。
地形的には火山岩がそこらに転がっている火山地帯で、傾斜が少しあります。レプ・ス・カムはどうやら火口付近に向かったようなので、その後を追うようにしていけば道順は大丈夫かと思います。
フェアリーランドに入る前に、フェアリーランドを作り出したフェアリー(女の子)に声を掛けることができます。楽しいことを考えてもらえれば、フェアリーランド内の悪夢化が緩和されるようです。
第2章:ボス戦『レプ・ス・カム』
レプ・ス・カム戦でも火山は猛威を振るいますが、1章の対策を継続していれば問題はないかと。
レプ・ス・カムはこのクソ熱いところで炎の矢を放つようです。ほんと困ったウサギさんですね。
遠慮なくやっつけましょう。
●MSのキャパシティ
合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
ゆったりペースで進行予定です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『灼熱火山地帯』
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POW : 忍耐力こそパワー。熱さに耐えて行動する。
SPD : 時間をかけずにダッシュで行動する。
WIZ : 熱さ対策を施して乗り切る。
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ロッテ・ブラウ
この前のスライムのときも大概だったけどさ、、、
バカじゃねぇ?ほんとバカ!!
マジで加減ってもの覚えろよな!!
あの駄目兎!!下手したら鍵も燃えるだろコレ!?
空中に浮かびながら
飛べない人たちと比べれば幾分かマシだろうけど、文句をたらたら恨み節を口にします
まぁこの程度で足止めになると
思われてんのも本気で腹立たしい、、、
幻想領域を展開!!
自身の身体をスピード重視&耐熱属性が向上するように変化
マグマなんてなんぼのもんじゃい!!
※演出はお任せします。
さぁ一気に行くぞ!!
ウサギ狩りじゃい!!
待ってろよ!!
また品剥いてやるからな!!!
水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:レイリ
フェアリーさん、何が好きなんだろ。お話を聞きながら、フェアリーさんがみんなと遊んでいる絵を描こう。
「怖くなったら、この絵を見ててね。きっと、大丈夫だから」
人格:アノン
フェアリーランドに入ったら人格交代。UDCを纏って黒い狼の姿になるぜ。
「あっちィ……どんな兎か知らねェが焼き兎になる前に探して喰わねェとな」
冷気を纏い、雪を降らせながら火口に向かって飛ぶぜ。ちっとは熱さもマシになるだろ。マグマは氷をぶつけて固める。火山弾は小さいヤツは怪力で叩き落として、デカいヤツは足場にしてやる
ある程度火口に近づいたら勘も頼りに痕跡を探す。殺気を放ったら咄嗟に火矢でも撃ってこねェかな
黒城・魅夜
あの愚かなウサギは本当に懲りませんね
まあ何度でも引き裂いてあげるまでです
「悪夢の滴」たるこの私が真の悪夢の力をもってね
妖精さんも女の子
可愛いプロポーションを維持するために日々努力していることでしょう
つまり、物は考えようです
このフェアリーランドに無料のサウナができたと思えばいいのです
これでダイエットも安心ですよ、ふふ
もちろんちょっと暑すぎますから私が猟書家を懲らしめてきますけれどね
私も暑さは少々苦手ですので
形状を自在に変化させる衣服を大きく広げ
さらに「オーラ防御」を展開することで熱気を遮断しつつ
「環境耐性」で耐えながら進みましょう
「早業」で駆け抜けながら
イレギュラーの溶岩は時を止めて切り抜けます
●火山の洗礼を越えてゆけ
ユーベルコードの主であるフェアリーは、ぺたんと地面に座り込んで苦しそうに呼吸している。
「フェアリーさん、ちょっとお話できるかな?」
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――レイリはフェアリーの前に座り込み、スケッチブックと色鉛筆を取り出した。
「は、はい……」
「フェアリーさんは何か好きなもの、ある?」
「好きな、もの……虹、でしょうか……。空に綺麗な虹が、かかると、嬉しい気持ちに、なります……」
「虹かぁ……綺麗だよね」
フェアリーと会話しながら色鉛筆でさらさらとスケッチ。雨上がりの空、虹がかかって太陽が皆を照らしている、楽しそうな情景が描かれていく。
「お上手ですね」
「これでフェアリーさんが少しでも楽しい気持ちになってくれればいいんだけど」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が横から覗き込んでいた。レイリはその場にいた猟兵達とフェアリーが遊ぶ絵を描き上げると、ぴりぴりと紙をはがしてフェアリーの前に差し出す。
「怖くなったら、この絵を見ててね。きっと、大丈夫だから」
「ありがとう、ございます……」
「それでは、私からも一つアドバイスを」
魅夜はピンと右手の人差し指を一本立てながら話し始める。
「物は考えようです。このフェアリーランドに無料のサウナができたと思えばいいのです。これでダイエットも安心ですよ、ふふ」
女性の悩みの種になりがちな体重問題は種族を問わず起こり得ることだろう。フェアリーはふと自分の体を見下ろして、ふふっと笑いを吹き出した。
「そう考えると……面白いですね」
表情が明るくなり、少し気力を取り戻したように見えた。
「もちろんちょっと暑すぎますから私が猟書家を懲らしめてきますけれどね。さて、そろそろ向かいましょう」
フェアリーを励ますと、猟兵達は壺に触れてフェアリーランドへ入っていく。
火山の地熱が足元から上がってくる。遠くに流れる溶岩は赤く輝く川を作っていた。
「この前のスライムのときも大概だったけどさ……バカじゃねぇ? ほんとバカ!! あの駄目兎!! 下手したら鍵も燃えるだろコレ!?」
ロッテ・ブラウ(夢幻・f29078)が火山の噴火にも負けないような怒りを爆発させている。空中に浮いている分だけ他の二人よりはいくらかマシだが、過去の所業を思い返せば文句の一つも吐き出したくなる。
「この程度で足止めになると思われてんのも本気で腹立たしい……」
「ウサギの浅知恵には辟易しますよ。あの愚かなウサギは本当に懲りませんね……ですが」
魅夜は含みを持たせるように言葉を止める。頬にたらりと汗が伝っていた。
「私は少々暑さが苦手ですし……下手な策でも足元をすくわれるのは困りますから少しばかり対策を」
魅夜は纏う衣の胸元に手を触れ意識を集中する。すると衣はしゅるしゅると形を変えて大きく広がった。風通しをよくしつつ、さらにオーラ防御を張ることで熱気を遮断。それでもじんわり感じる熱は環境への耐性で押し通すことにした。
「確かに……こいつはちっとばかしあっちィな……」
魅夜の横には黒い狼がいた。
彼の名はアノン。レイリは多重人格者としての人格の一つであり、アノンも然り。フェアリーランドに入った時に人格交代し、UDCの液体金属を纏って黒い狼の姿へ変化していた。
アノンは雪のイメージを脳裏に移し、冷気の魔術を発動させる。熱気を弾く冷気の層がアノンの体の表面に作り上げられた。
「まぁ、念には念を、だね」
魅夜とアノンの二人に続いて、ロッテは体を変化させる。今必要なのは、ふざけた環境を一気に突破するための速度と、何があっても問題ないように備える耐熱属性だ。
その二つを身に付け、ロッテは火山に向けて叫ぶ。
「マグマなんてなんぼのもんじゃい!! さぁ一気に行くぞ!! ウサギ狩りじゃい!!」
「あァ……どんな兎か知らねェが、焼き兎になる前に探して喰わねェとな」
「引き裂くお手伝いくらいはしますよ。『悪夢の滴』たるこの私が真の悪夢の力をもって……ね」
「待ってろよ!! また引ん剝いてやるからな!!!」
その叫びは届いているか。三人は頂上の火口目指して駆け上がる。ロッテとアノンは飛翔し、魅夜は地を疾駆する。いずれも速度に重きをおいた手段で熱気を跳ね除け突き進んでいた。
最中、火山に雪が降った。アノンの力の一つだ。地表付近の大気を冷やすことでより涼しく。特に彼らは風を切って移動しているため効果的に恩恵を受けることができていた。
ぐんぐん近づいてくる火口。だが突如足元が揺れる。自然の猛威――噴火だ。立ち昇る噴煙と共に吐き出された火山弾が放物線を描き、猛スピードで落下してきた。
「っと、こういうこともあるよなァ!!」
「時を止めます、その間に!」
落下するまでの数秒を「吸血」し、火山弾を空中で固める。そこへアノンが体当たりして破壊した。
比較的小さめのものが多かった。被害なく立ち回ることができたのは、フェアリーの気持ちを立て直した効果もあったことだろう。
揺れが収まり、三人はまた上を目指す。途中マグマの川に遭遇したため、アノンが氷をぶつけて固め橋を作る。
「……さすがにこの辺にいると思うけどね」
火山弾やマグマを乗り越えて、長い道のりを登ってきた。火口そのものの熱気も受けるような場所だ。
「もう逃げられねェぜ……大人しく喰われなァ!!」
アノンが吼えた。兎を狩るのは狼の領分。放った殺気は空気をびりびりと震わせた。
すると返ってきたのは、
「大人しくしてたら……ぶよぶよのお肉になっちゃいますよっ!」
「あァ?」
声は猟兵の誰のものでもなく――さらに射掛けられた炎の矢が。直感で気づいたアノンは逆側に飛んで回避する。
その射手はレプ・ス・カム。件の猟書家が彼らの前に現れた。
大成功
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第2章 ボス戦
『レプ・ス・カム』
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POW : ミラージュ・ラパン
自身と自身の装備、【自身がしたためた招待状を持つ】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD : 兎の謎掛け
【困惑】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【鬼火の塊】から、高命中力の【蒼白い炎の矢】を飛ばす。
WIZ : 素敵な嘘へご案内
【巧みな話術】を披露した指定の全対象に【今話された内容は真実に違いないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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●頂上決戦
身震いを覚えて飛び出してみれば、そこには猟兵達の姿があった。
いずれ見つかってしまうのなら、いっそ先に仕掛けよう。
先手を取った炎の矢は外れてしまったが、不意を突かれるよりはマシだ。
「こんな歓迎は全然嬉しくないけどね! でも引き下がってくれないだろうし、相手になるよ!」
レプ・ス・カムの声に反応してか、火口でガスがゴングのように小爆発を起こしていた。
ロッテ・ブラウ
「声」はそもそも「音」-
なら「音」が聞こえなければ「術」が発動しないのも通り
『アノン』が目立ってくれたおかげで、ボクの術を準備する時間を貰えちゃったよ
いたずらぽい表情を浮かべ指を口に当てて
お口チャックのポーズ
レプ・ス・カムとボクらの間に「音」を遮断する結界を『結界術』で設置
相手がなんかしゃべっているけど聞こえないって状態を作り出し
仲間の攻撃に合わせて【幻魔の瞳】を発動
少し意識を外すことが出来ればボクの「幻術」を割り込ませれる
後は宙にでも浮きながら85m以内で高みの見物とさせて貰うよ
さぁ夢の中で、ボク、プロデュース♪
現実と虚構を混ぜ混ぜブレンドを楽しんでくださいな♪
(*幻術の内容はお任せします)
シアン・ナアン(サポート)
◎
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』
◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである
◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
死に対して一家言ある
行動指針に一貫性がなく都度変わる
爆発物好き、派手好き
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!
●人を惑わば夢を見よ
「やっ! はぁっ!」
レプ・ス・カムは敵意に反応するように炎の矢を放ち猟兵と交戦する。おかげで小さき存在、ロッテは気づかれることなく術を準備することができた。
話術にも一癖ありのレプ・ス・カム。それに対抗する秘策だ。
「そういえばっ! 知ってるかなっ!? この火山――」
始まった。レプ・ス・カムの巧みな話術が嘘か真か、猟兵の意識を混沌の世界に誘う――その瞬間。
レプ・ス・カムと視線が合ったロッテはいたずらっぽい笑みを浮かべて、人差し指を口元に当てる。
それから親指と人差し指で口の端をつまむような動作を見せ、左から右へ、お口にチャック。
そのジェスチャーが何を意味するか、レプ・ス・カムにはわからない。
「………………………………………………………………!!」
だから何か言ったはずだ。口はぱくぱく動いていたし、表情はちょっとムスッと塞ぎながら、次の瞬間にはまた得意げになった。
だが、世界は途切れていた。ロッテがレプ・ス・カムとの間に作り出した結界は音を遮断する。
声もまた音だ。結界はレプ・ス・カムの話術を完全シャットアウト。如何に真実味のある嘘を並べたとしても、届かなければ意味がない。
「…………………………………………!?」
ロッテの反応の乏しさを訝しんだか、レプ・ス・カムの眉間に皺が寄る。声は届かないが、仕草、表情で何を考えているかはある程度読み取れた。まるで無声映画を見ているようだ。
「何あれ、顔がどっかんぼっかん、爆発してる~♪」
音のないレプ・ス・カムの行動が究極的には娯楽と映ったのか、シアン・ナアン(自己壊乱・f02464)はケラケラ笑っていた。それを見てレプ・ス・カムは湯気を立てて怒りだすが、やっぱり音は聞こえないのであははと笑う。
「あー楽しい。こんなに笑ったのは久しぶりだぜ。んじゃ、お礼に……爆発だよね☆」
不安定な口調から極限の破壊衝動がぶちまけられた。
『ぜーんぶぶっ壊しちゃえばいいんだよォ
!!!!』
ぽんぽんぽんっとシアンそっくりの分身がいくつも現れる。そして現れた傍からレプ・ス・カムへ向かって突撃し、ロッテが設置した結界を抜けた。
「なるほど……音を遮断、というわけかなっ!?」
からくりにようやく気が付いたようだ。だが殺到するシアンの分身を前にして、その気付きは遅すぎた。
先陣を切って分身の一人がレプ・ス・カムへとダイブした。久方ぶりに出会った友人のようにその体を受け止めるわけにはいかない。レプ・ス・カムはひょいと身を翻して避けようとするが、シアンの分身は突如閃光を放ちズドンと自爆した。
爆心に近いレプ・ス・カムは爆発の衝撃で宙に放り出された。全身黒く煤け、あちらこちらに穴が開いた衣装が爆発の威力を物語る。
「分身は、特攻
……!!」
全身の皮膚を無理矢理剥がされたかのような痛みだ。実際皮膚は焼け爛れているところもある。レプ・ス・カムは宙で自身を透明化し追撃からの逃避を試みた。
だが、自爆の射程は宙に漂うレプ・ス・カムの体を地上から拾えるほどに広く、またレプ・ス・カムも宙を自在に動けるわけではない。まるで自爆を楽しむかのように勝手に爆発するシアンの分身に巻き込まれ、レプ・ス・カムは透明のまま焼かれ続けた。
どしゃりと地上に落ちるレプ・ス・カムの体は透明化を失い、その姿は黒焦げウサギ。
「いたぁ……程度ってのを知らないのかな、この子は……」
『さぁ、夢の世界へ……』
「な――あっ」
互いの言葉は決して交わらない。ロッテの幻術だけがレプ・ス・カムの意識に割り込んで、深き幻魔の世界へ堕とす。
「あっ、や、やめて……」
虚ろな目でレプ・ス・カムは狼狽えだした。その様子をロッテは空から高みの見物。ぺたんと座り込んだレプ・ス・カムは両手を前に突き出して拒絶の意志を示すが、幻術の中の何者かはお構いなしにレプ・ス・カムの元へ――。
「ひぎゃあああぁぁぁ!! 火傷に唐辛子は……ペーストなんて特にぃぃぃぃあああぁぁ!!」
まるで洗濯機の中に放り込まれたかのように地面でぐるんぐるん悶えるレプ・ス・カム。
「さぁ、もっともっと現実と虚構を混ぜ混ぜブレンドを楽しんでくださいな♪」
その時ばかりは、ロッテは無邪気な悪魔となる。
レプ・ス・カムが現実に引き戻されるのは、それからしばらく後のことだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
引き続きUDCを纏った黒い狼のような姿。
「へェ……美味そうな兎じゃねェか」
胴部から液体金属のUDCを触手のように伸ばし、周囲の岩を掴んで投げる。姿が消えても投げ続けつつ、礫や土煙、火山の煙の動きを情報収集で見ておく。透明になるだけでそこに居るなら、違和感があるから見つけられるだろ。見つけても近づいてくるまではこっちから仕掛けずに、飛んでくる火矢や火山弾に岩をぶつけて対応するぜ。触手が届く場所まで近づいたらだまし討ち。怪力で掴んで喰い千切る。
「やっぱ焼くより生だよなァ、ヒャハハハハ」
●食物連鎖のままに
「へェ……美味そうな兎じゃねェか」
「うぅ……ぅう!? なんか、いやーな視線が……」
レプ・ス・カムの視線の先には黒い狼が佇む。アノンは右前脚を踏み出してすぐにでも飛び掛かれる姿勢で、しかしただじっと睨みを利かせていた。
狼と兎。喰う側と喰われる側という食物連鎖の構図は果たして二人にも当てはまるのか。
先にアノンが動いた。胴部から液体金属のUDCを触手のように伸ばすと、周囲に転がる岩を掴み取り、
「……ッラアァ!」
宙返りでUDCをぶん回して投げた。遠心力により弾丸のように放たれた岩がレプ・ス・カム目掛け直進する。
「いやぁぁぶつかるぅ!」
痛む足を引きずりながらも体を反らすことで何とか直撃は免れた。だがアノンの攻撃がただの一投で終わるはずがない。
そこら中の岩を手当たり次第に掴み、放っていく。そのどれもが一撃必殺の威力を持つ投擲であり、レプ・ス・カムは反撃に転じる暇もなく死に物狂いで逃げ回る。
傷ついた体が重い。体力が削られていく、という感覚を否が応でも意識させられる。
このままでは遠からず倒れてしまう、と悟ったレプ・ス・カムは無理矢理体を動かす。
「こうなったら……!」
ぴっ、と焼け焦げた服の内側から取り出したのは一通の封書。それは無色の世界への招待状だ。レプ・ス・カムの姿が岩山と赤い空の中に消えていく。
目標を失ったアノンだが、攻撃の手は緩めなかった。まずはレプ・ス・カムが居た場所へ。そして手ごたえがないと感じれば周囲へ散らしながら地面や空の動きを観察する。
レプ・ス・カムはただ透明になっただけ。存在はするのだ。動きがあれば、それは景色の変化となって現れてくる。
小岩がじゃりじゃりと擦られるように斜面を下った。盛り上がった砂煙が何かに遮られ、細長い筒状に流れていく。
透明な何かはレプ・ス・カムに違いない。アノンは景色の変化を注視しつつ狙いを悟られないよう、降ってくる火山弾へ向け岩を放った。アノンの頭上で火山弾が岩と衝突し弾け、ぱらぱらと欠片が降り注ぐ。
攻撃の手が緩んだのは火山弾の対処のためであり、待ち伏せているわけではない――偽りの主張がレプ・ス・カムを呼び込む。
(今がチャンス……!)
レプ・ス・カムの接近に合わせ、不自然な岩石の移動、砂煙の流れがアノンへ近づいてくる。アノンは横目に捉えながらもまた火山弾へ、今度は大きくジャンプしながら岩を放り投げた。
黙っていればどこかへ飛んでいったであろう火山弾は突然の対空投擲を受けて破裂、花火のように両者の破片が散っていった。アノンの体は未だ空中――無防備。決め時だ。
手のひら大の岩が地面から大きく跳ね飛んだ。細腕でも不意打ちならきつい一発をお見舞いできる、と勇んだレプ・ス・カムが一気に踏み込んだのだ。
そう、不意打ちならば。
アノンは着地と同時に地面にUDCの触手を這わせた。そして新しく立ち昇る砂煙のすぐ上を包み込むように掴む。そこには砂煙を立ち昇らせる何かがある。
「え、ちょ――」
触手で掴んだものを思い切り引っ張った。当然それはレプ・ス・カムの足であり、足を取られたレプ・ス・カムの体ががくんと傾く。
引っ張った向きと足の傾きから胴体のおおよその位置は把握できる。アノンはここぞとばかりに跳躍し牙を剥いた。空にがぶりと噛みつくと確かな感触、鉄臭い血の味、柔らかく生々しい肉の食感。
「きゃあああぁぁああっっ!!?」
悲鳴と共に透明化が解けたレプ・ス・カム。右肘から先はアノンの口にあった。
「アァ……骨周りの生肉がたまんねェなァ! ヒャハハハハ」
肉は余さず喰い尽くす。噛み所を変えるべく口の中で腕をくるっと回転させると、はみ出した手首の先に引っかかっていた招待状がぽろっと落ちた。
大成功
🔵🔵🔵
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします
・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ラング・カエルム(サポート)
「なんだ、さては楽しいことをしているな!よし、私も混ぜるといい!」
何かと首を突っ込みたがる。とても偉そうだけど人類みな友達だと思っている毎日ご機嫌ハイカラさん。
別に男に間違われてもなんら気にしない。そもそも自分の性別を意識していない。
とてもポジティブ。人類みな友達だけど、悪いことした奴に叱るのも友達。なので誰にだって容赦もしない。容赦なく殴る。容赦なくUCも使う。だって友達だからな!
コーデリア・リンネル(サポート)
アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
大崎・玉恵(サポート)
『あまり、老狐に無理をさせるでないぞ』
妖狐の戦巫女×陰陽師女です。
普段の口調は「女性的(わし、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」、気にいったら「尊大(わらわ、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、公序良俗に反する行動はしません。
ユーベルコードを絡めた【誘惑】による認識操作や籠絡、【呪符】に【破魔】【焼却】等の【呪詛】を込め【呪殺弾】とする、薙刀による【薙ぎ払い】【2回攻撃】が得意です。
卑劣な手段をとる敵には【威厳】【存在感】を放ち神として振る舞います。
●ウサギさん、フォーエバー
レプ・ス・カムの悲鳴は轟々滾る火山の鳴動を劈き猟兵達に届いていた。
「……見えました。あれですね」
「おおぉお? なんだ、とても楽しそうなことをしているじゃないか!」
架空・春沙(緋の断罪・f03663)が指差すと、ラング・カエルム(ハイカラさんの力持ち・f29868)は右手で額にひさしを作って様子を眺めた。黒い獣が何かを喰らい、レプ・ス・カムは右腕から流れ出る血を抑えようと抱きすくめている。だがそのような対処ではどうにもならなさそうだ。
「ひぅ……やぁ……」
コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)には少し刺激が強すぎたか、すぐにパッと目を伏せる。心情を察して大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)がコーデリアの姿を背中に隠した。
「戦も終焉が近いか……老狐故あまり無理はできぬ。ある程度は任せるぞ」
「わかりました。では、私達で先に行きましょう」
「おう! よーし、目一杯混ざってくるぞー!」
春沙とラングが足を速め、戦場へと飛び込んでいく。その後ろ姿を見送りながら、玉恵は背後で震えるコーデリアの頭をそっと撫でた。
「おぬしはそのまま目を閉じておれ。その力、わしがしっかり導いてやる」
何もできないまま終わりたくはない――ほんの少しの勇気が、コーデリアの首を小さく縦に振らせた。
「無辜のフェアリーを苦しめた罪は重い……よって、あなたを断罪します」
断罪の緋鎌を高々と振り上げた春沙がレプ・ス・カムの背後に迫る。右腕を奪われた激痛で気絶さえ通り越していたレプ・ス・カムだが、不意の気配が迫ると本能的に前方へ転がり跳んでいた。
振り下ろされた鎌の刃は紙一重、届かず地面を穿つ。しかし地面を抉り取って再び持ち上がった春沙の二の刃から緋色の衝撃波が放たれレプ・ス・カムを追った。地表に細い筋を刻みながら水平に直進する衝撃波に対し、レプ・ス・カムは反転して防御姿勢を作るのが精一杯。残った左腕に骨が軋むほどの衝撃を受けて吹き飛んだ。
「あぐぁ……あぁ……!」
片腕を失った状態では手を付いて立ち上がることすら容易ではない。負傷していればなおさらだ。今にもぽっきり真ん中から折れてしまいそうな腕でどうにかこうにか膝立ちまでもっていく。そして服の内側から二通目の招待状を取り出すと口に咥えた。
透明化する手負いのレプ・ス・カム。だが、その力は機敏に動けてこそ生きるもの。動けなければただの的に過ぎない。
「おりゃー! ウサギだって友達だー!!」
ラングが一目散に駆け込んで幅跳びのように大きくジャンプ。空中で両足を広げると、がっしり足で空を掴んだ。
「ふむぐ、うぅ~~~!!」
足の間から呻き声が聞こえる。レプ・ス・カムの声だ。顔を押さえこむようにホールドしたラングは実に楽しそうに両手を頭上で振っていた。レプ・ス・カムがもがく度にゆらゆら体が揺れて、ロデオマシンにでも乗っているようだった。
その様子をはしたないと見る者もいるかもしれないが、ラングは一切気にしない。楽しければそれでいいのだ。
「じゃあ、このまま大回転だ! いっくぞー!」
ラングが体を前に傾けて重心を移動させると、重さに耐えきれずレプ・ス・カムの体が反っていく。それだけでもボロボロの体にはかなりのダメージだが、ラングは手を地面につくと足を振り上げてレプ・ス・カムを真上に引っこ抜き、そのまま半回転させて地面へと叩きつけた。
「はぎゃっ!!」
衝撃で周りの岩が吹き飛び、思わず口から招待状を離してしまったレプ・ス・カムが現れる。バウンドした体が背中から転がって地面に蹲る。
「うぎゅ……ううぅぅ~~!!」
全身を強打し、目から火が出そうな程に痛みの信号が脳に流れ込んでくる。骨ももう何か所も折れているだろう。
「そろそろ、わしらの出番じゃのう」
そこへ玉恵とコーデリアが追いついた。玉恵はコーデリアの手を握り、コーデリアは玉恵の装束へ顔を埋めるようにして寄り添っている。
「さて……所詮、生とは泡沫よ。享楽にふけるがよい」
口ずさみ、神通力をレプ・ス・カムへと通わせた。不可視の思念がレプ・ス・カムの痛覚へと割り込もうとする。
「あぅ……な、なに、こ、れ……」
「もう十分戦ったじゃろう? ここらで一休みしたらどうじゃ」
「や……す……みぃ……」
「そうじゃ、全てをわしに委ねよ」
レプ・ス・カムのお株を奪うような話術が合わさり、レプ・ス・カムの心がついに折れる。だらりと腕を下げると、そのままばたっと仰向けに倒れてしまった。
もう何もいらない――放心状態だった。
「いい子じゃな。どれ、この……なかなか迫力のある武器じゃのう、これをこうして……」
コーデリアが構えたフォトンサイクロンの方向や角度を玉恵が合わせる。レプ・ス・カムはもう動く気配がない。二人羽織のような不思議な作業だが、多少時間を使っても何ら問題はなかった。
「いい……ですか……?」
「うむ、いくのじゃ」
「は、はい……ウサギさん、せめて、安らかに眠れますように……」
コーデリアはゆっくりとトリガーを引いた。砲身内部で強化増幅された光子が銃口から溢れビームとなって発射される。寝転がるレプ・ス・カムに角度をつけて入射したビームは胴体の真ん中から地面まで突き抜けた。
「ふぁ……か、からだ、が……」
コーデリアの一撃で我に返ったレプ・ス・カムだが、そこにあるのは喪失感。光子に貫かれた体はそれ自身が光子になってしまうかのようにホロホロと崩れていく。
一切が無へ。全てのしがらみから解放されたレプ・ス・カムの表情は安らかに、消えていく。
コーデリアが放ったビームが掘り起こした地面からは、一本の鍵が顔を出していた。
最後の最後でレプ・ス・カムは望みを叶えていたが、彼女がそれを知る由もない。
成功
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最終結果:成功
完成日:2021年01月07日
宿敵
『レプ・ス・カム』
を撃破!
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