●数日前の話
「あー……やられたなぁこりゃ」
アックス&ウィザーズのとある村ではここ最近、泥棒騒ぎが相次いでいた。
男は家の外にある貯蓄庫の扉の錠を見てため息をついた。重厚な錠は鍵をひしゃげており無残な姿へと形を変えていた。
「お前んとこもやられたかい」
「あぁ。食料全部さ……」
頭を抱えていると同じ被害にあった他の村人が慌てて男の元へとやってきた。
盗まれるものは貴金属でも、タンスの中に仕舞ってある銀貨や金貨ではない。盗まれたもの全てが食料品なのだ。
「春にゃ草木も生えるが、そこまでの間俺達はどうすりゃいいんだ……」
少しの希望を持って開いた倉庫には穀物一粒残らないほど綺麗になった床を見て男達はただただため息をつくだけであった。隣の村までは数日もの距離がある。そこまで食料を買いに行けば他の家族は餓死してしまう。
どうにもできずに二人は首をガックシと項垂れた。
ぐー、という腹の虫だけが静かに鳴いていた。
●グリモアベースでの話
「と、いうわけで始めるぜ!」
綿貫・武蔵(羅刹の剣豪・f13777)は集まった猟兵達を見遣る。アックス&ウィザーズの地図と今回の依頼書を猟兵たちに見せながら今回の依頼の説明を始めた。
「依頼書に書いてある通り、ここにある村では最近食料盗難が相次いでたみたいでな。盗賊の退治を依頼してたみたいなんだが、どうやら人がなかなか来ないらしい」
武蔵は誰にも触れられていないような小綺麗な依頼書を手に首を振った。
ため息をついたのちに、また口を開いた。
「んで、俺が予知したのはこの村の行く末、ってやつさ。他の村と結構離れてるせいか結局食料も分けてもらえず、全員が腹を空かせたところにオブリビオンが襲撃、村は壊滅、ってな」
武蔵は視線を地図から猟兵達へと移す。
「そしてどうやらこの食料盗難騒ぎもこの襲撃したオブリビオンが関係しているらしい。つまりオブリビオンを倒せば飢餓もなくなる、村も壊滅しない、の一石二鳥だぜ」
さらに、と言いかけて武蔵は眉間にしわを寄せた。腕を組みうーん、と唸る。
「なーんか、ボス格みたいなやつが奥に居そうな気がするんだよなぁ……。まぁでもとりあえず数を減らせば被害は減るだろうし、ボスも顔を出すだろう」
猟兵達は顔を見合わせて頷いた。
「あんた達の力でこの村を救ってほしい、頼む」
武蔵はじっと周りの猟兵達の目を見つめた。
「ちなみに、この仕事が終わったら村の人達が宴会をしてくれるみたいだから、とっとと終わらせて楽しもうぜ!」
重苦しい雰囲気を幾分か和ませた後、猟兵達は件の村へと足早に向かった。
荒木るんど
はじめまして。荒木るんどです。
今回は盗賊退治になります。
性根が腐ったやつらをみんなでこらしめましょうね!
第三章は日常パートで宴会が開催されます。
良かったら武蔵も誘ってくださいね!
それではプレイングお待ちしております!
第1章 集団戦
『山賊』
|
POW : 山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
政木・朱鞠
食糧はこの世界では命に係わる大事なライフラインだもん…一刻も早く山賊さん達を追い出さないと犠牲者が出ちゃうよね…。
黒幕が何を求めて村々を襲わせているのかが気になるから…後ろで糸を引いているオブリビオンを炙り出すためにも山賊さんを捕まえて、どの様に襲撃の提案があったのか確かめないとね。
出来るだけ命を奪わず生け捕りにしたいけど…ちょっと動揺を誘うために「山賊は咎人…生死は気にしない!」というスタンスで【挑発】しておこうかな。
【SPD】
『咎力封じ』を使用して用心棒の動きを拘束する攻撃していきたいね。
武器は拷問具をチョイスして、技能をいかして【鎧砕き】で防御を緩めて【傷口をえぐる】でダメージを狙うよ。
佐之上・権左衛門
【POW 】最近暴徒の鎮圧しかしてない気がするが多分気のせい。悪人というかオブリビオンに人権はないしね。
という訳で周囲の猟兵達に一声かけてUC 【即席閃光弾】を作り出して山賊達の中心にポイ捨て。
大丈夫大丈夫、死にはしないよ。目は痛いけど。
怯んでる間に愛用の斧で「範囲攻撃・なぎ払い・怪力・鎧砕き・騙し討ち」で攻撃を仕掛ける。
山賊の攻撃は「第六感・気合い・残像」で頑張って回避してみる。
※アドリブ・絡みばっちこーい
ホーラ・アイアンアーム
レーション以外の食べ物って、ホーラ興味があるのだ。
防衛戦はホーラの十八番なのだ。
ここは、あえて貯蓄庫に山賊をおびき寄せて密集して動けなくなっている所に一方的に遠距離攻撃を撃ち込むのが良いと思うのだ。『拠点防衛』
山賊をおびき寄せた所で『ダッシュ』で近づいて、ベアリング弾を詰めた爆弾(選択UC、攻撃回数優先)を放り込んで電流『属性攻撃』を流せば、貯蓄庫の設備を破壊しないで中の人間にだけ致命的なダメージを与えられると思うのだ。
レクイエム・アビス
アドリブ、絡み歓迎。POW使用。
まずは敵からのヘイト集め+撃退を目的として、UCを使い呪詛にまみれた赤黒い泥の怪物へと変化し常人には何を言っているかわからない叫びを上げながら山賊を狩る怪物へと変化。目につく山賊から片っ端に攻撃をしかけていく
ミーア・レギンレイヴ
【POW】
主は申されました。振りかかる火の粉とかすごい危ないから、火の元をしっかり処理しなさいと。すなわち! 悪い人! オール! バスター!
とは言いましても私は守りが得意な性質ですので、山賊さんの心が折れるまで攻撃を受けたいと思います。
えぇ、えぇ。我が装甲、我が大楯。撃ち抜けるものなら撃ち抜いてみなさい。
……いえ、痛いものは痛いので、出来れば私が攻撃を受けている間に他の皆さんが後ろからコッソリ騙し討、もとい、奇襲をかけてくださったりすると助かるのですが。(チラ)
助かるのですが!(チラチラッ)
●
天頂から光が猟兵達を照らす時、猟兵達は「オブリビオンが盗みに入る」と予知された貯蓄庫の前で敵を待ち構えていた。
「なんか最近、暴徒の鎮圧しかしていない気がするが……気のせいか」
口にくわえた煙草に火をつけようとして――未成年を気にしてくわえただけにした佐之上・権左衛門は眩しい光に少し目を細めた。果たして言葉は独り言なのか、それともちょっとした愚痴だったのか。それは定かではない。
「でも、食料はこの世界では命に関わる大事なものだもの」
政木・朱鞠は腕を組んでふう、とため息をつく。朱鞠がこの村についた際に見た村人たちの顔は全員元気そうに振舞っているものの明らかに覇気がないことは目に見えていた。村の野郎共が朱鞠の体躯を見た瞬間に今まで元気の無かった瞳に光、というよりも炎が宿ったのは気のせいだったか。
「ご飯! 食料! レーション以外の食べ物ってホーラ、興味があるのだ」
食糧庫の扉をそっと開けて興味津々に匂いを嗅いだり、置いてある食料を覗いたり、とそわそわしていた。赤髪をひょこひょこと遊ばせながら背伸びをして、ジャンプをして、と好奇心を隠せない様子だ。
「ところで作戦はあえて貯蓄庫に敵をおびき寄せて、密集してるとこにドカンと攻撃を打ちこむのが良いと思うのだ」
「それだと中の食料に攻撃が行きませんか?」
澄んだ碧眼をキラキラと輝かせながらホーラへ問いかけるのはミーア・レギンレイヴだ。農村を故郷に持つ彼女にとってこの依頼は自分の問題にも感じた。
「例え地面に落ちた穂一粒でも食べ物ですし……」
「それなら、入り口に集めればいいと思う。幸いこの食糧庫は入口と中の食料は距離があるから」
「なるほど! それならば我が装甲、我が大楯も役に立ちます!」
ふわふわと周りに浮く機械の手の片方を食糧庫へと向けるレクイエム・アビスは、淡々とミーアへと話す。
そしてレクイエムのもう片方の手は別の方向を指さした。そこにいたのは明らかに風貌が怪しい男達だ。
「山賊が来た」
「あら本当だわ。ボスとやらの情報も知りたいし、できるだけ生け捕りにして捕まえたいんだけど」
「いえ、主は申されました。火の元をしっかり処理しなさいと。すなわち! 悪い人! オール! バスター! 主が申されたのでノー問題です!」
「おいおい何だかすごいな。ま、俺も同意だな。悪い人、ってかオブリビオンには人権はないしな」
一匹くらいなら生け捕りにするか、と話すミーアと権左衛門。その二人を仕方ない、といった視線で眺める朱鞠。
「おびき寄せるのは誰かに任せるのだ! 合図をよろしくなのだ!」
「わかった……とりあえず食糧庫の前におびき寄せる」
ホーラとレクイエムも食糧庫の扉から少し離れてもう少しで交錯しそうな山賊の集団と向き合う。
「それじゃあ、とっとと終わらせようぜ!」
権左衛門の言葉を皮切りに、五人は山賊の集団へと走り出した。
●
「呪エ呪エ全テヲ呪エ。森羅万象残ラズ我ガ祝福ヲ受ケルガイイ!」
ユーベルコード『世界呪イシ狂イ神』。レクイエムは対峙した山賊の目の前でその姿を『かつて呪神と呼ばれた古きモノ』――赤黒い泥の怪物へと変化させる。
「ウガアアアアッッ!」
ユーベルコードを使ったことによって浮かんでいた機械の手から繰り広げられる攻撃の威力はすさまじいものとなる。また山賊が投げる石もただ当たるのみで他に何の意味もなさない。
山賊達は理性の失ったレクイエムから逃れるためになんとか足を素早く動かそうとする。しかしそれが山賊の間違いと気づくには少し遅かった。
レクイエムは素早く動いたものへと視線を動かす。視線の先のものを呪うが如く武器を振りおろした。
しかしその手から逃れたものはまっすぐに食糧庫へと向かう。
食糧庫の前に立っていたのはミーアだ。
「我が装甲、我が大楯。貫けるものなら貫いてみなさい! その刃で!」
どや顔で、この場合完全に山賊達を煽るようなシチュエーションである、山賊達を待ち構えるミーアへ、山賊達は次々に強く握りしめた刃物で叩き切ろうとする。
しかしミーアの身体には傷一つ付かない。たかが薄い装甲、しかしユーベルコード『無敵城塞』を使った彼女にとってただ痛いだけなのだ。そう、痛いことは痛いのだ。
「いたっ……地味にいたっ、あの!」
チラチラと山賊の向こうにいる他の猟兵達へ合図を送る。
「ちょ、お願い、お願いしますーっ!」
「おーけー、ちょっと目を閉じてなよ!」
ちょうどレクイエムから逃れた山賊達がひと塊に集まった頃を見計らって、権左衛門は掌から閃光を放つ。
「案外、こんなシンプルなのが結構効くんだぜ?」
目も眩むような閃光によって山賊達の視界は一瞬にして真白になる。目を覆う者、目を開けていながらもまるで酒飲みの千鳥足の様に覚束ない足取りになる。
「大丈夫大丈夫、死にはしないよ。ちょこっと目は痛いけど」
その機を逃さずホーラはユーベルコード『ヴァリアブル・ウェポン』――自身の内蔵兵器であるベアリング弾を詰めた爆弾を山賊の集団へと放り込んだ。爆弾から放たれるのは電流だ。
『うわああっ!』
周りも見えなく、突如襲った電流の属性攻撃に盗賊達は震えあがりその場からとにかく逃げようと試みる。
「あ、ちょ、痛い痛いです!」
ついでにミーアにも電流攻撃は当たった。傷一つ付かないが。
「それじゃ、参ろうか」
髭のはやした口元を不敵に微笑ませ、愛用したギガントアクスを肩に担ぎ、横に薙ぎ払う。鎧を砕かんばかりのその衝撃に山賊達は為す術なく倒れていく。
山賊達は訳の分からぬまま持っている刃物をとりあえず振りまくる。
「おっと、危ないぜ?」
ありとあらゆる方向から適当に放たれるその斬撃をしゃがむことで、時にはなんとなく避けたらそこに斬撃が撃ち込まれていたように、器用に山賊の攻撃を避ける。
「ほらほら、行くぜぇ?」
「ちょっと、一人は生け捕りにするんだったわよね」
朱鞠は集団のうち、まだ息のある山賊へと近づく。
「暴れられると困るから……ちょっと失礼するわね」
ユーベルコード『咎力封じ』――手枷と拘束ロープで身動きを取れなくすることで山賊の動きを制限し攻撃をしにくくする。拘束ロープを引っ張り人気の少ない場所へと朱鞠は山賊を引きずる。
「ねぇ、これって誰の命令なの?」
『…………』
「だんまり、ね」
黙りこくる山賊の目の前に朱鞠は自身の武器である拷問具を取り出す。
「別にあなたのような山賊は所謂咎人だし、生き死になんてどうでも良いの」
やや挑発気味に山賊を見下ろすと拷問具を電流による傷跡に当てる。つー、とそこを撫でるだけで山賊は目を見開き瞳に涙を浮かべて絶叫する。
「動くともっと傷をえぐることになるの、早く言いなさいよ」
山賊は必死な目で朱鞠を見た。朱鞠はゆっくりと傷口へと武器をめり込ませていき、山賊は震える声で話し始めた。
●
「で、何だって?」
他の山賊達を片付け終えた四人は尋問を終えた朱鞠を待っていた。
「どうやら近くにある洞窟にいる水の蛇みたいなオブリビオンに指示を受けていたらしいの」
「山賊が……蛇に?」
理性を取り戻したレクイエムは近くのベンチに腰を掛けて朱鞠の話を聞きながら首を横に傾けた。
「ご飯食べたかったのかな?」
レクイエムの隣でホーラが食糧庫に視線を移しながら問いを投げかける。
「何にせよ、次の目的地は決まりましたね!」
ミーアは村の外にある洞窟目がけて指を向けた。
権左衛門はボトムスの土ぼこりをパッパと掃うと斧を肩に担ぐ。
「それじゃあ行くとしますか!」
「えぇ。犠牲者が出る前に!」
朱鞠もそれに応じて村の出口へと視線を向け、歩き出した。
他の猟兵達もそれに続いて、歩を進めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
雛河・燐
んー、なーんかいっつも遅れて到着してる気がするなー。
ま、いっか。
洞窟に残党が残ってるなら今のうちに露払い。
残ってないなら偵察だけでもするかね。
【視力・目立たない・地形の利用】で隠れて偵察。
盗賊残党が居たら【ウィザードミサイル・二回攻撃】で先手を取る。
「んー、なーんかいっつも遅れて到着してる気がするなー」
食糧庫のそばで次の目的地について話す猟兵達を見遣りながら雛河・燐は「ま、いっか」と踵を返した。向かうのは風に乗って聞こえた洞窟という単語。
「山賊とやらが残ってるんだったら今のうちに露払いでもするかね」
残っていないなら偵察だけでも、と心の中で呟きながら村の外にある洞窟へと足を運ぼうとし、洞窟の前の草木に隠れた。目に入ってきたのはおびえた様子の一人の山賊だった。幸運なことに山賊は燐には気づいていない。気をかける余裕もないのだろうか。
「村から逃げてきたやつ……かな?」
それとも敵前逃亡したものか、それは燐にとってはどうでも良かった。
「ま、やっかいなことになる前に、やるか」
燐は怯えた山賊に追い打ちをかけるように氷の矢を放つ。ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』。
あーらよ、という燐の軽い掛け声とは異なり勢いよく何本もの氷の矢が山賊を襲う。その氷の矢は的確に山賊の肢体に突き刺さり、山賊はあっという間にその場に倒れ伏す。
『――! な、なにが』
「悪いね」
口角を少し上げて笑みを浮かべる燐を前に山賊は絶望の表情を浮かべる。しかし次の言葉を待たずして燐は持っていた短剣でトドメを刺した。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『水の大蛇』
|
POW : 水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD : 口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ : 身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●
蛇、もっと詳しく言うのなら水の身体を持った蛇は手下として使っていた山賊達が帰ってこないことに違和感を抱いていた。
普段ならばとっとと食料を持ち帰り、この薄暗く湿った洞窟の中を下品な声とガヤガヤと煩わしい音で埋め尽くすというのに、時間が経っても、待てども待てども帰ってこない。
おかしい。蛇がそう思うのにさして時間がかからなかった。
裏切ったか、とも思ったが山賊達がそんなにできたオツムを持っているわけでもない、と自問自答を繰り返す。それとも誰かにやられたか。しかし全員がこんな小さな村の住人に負けるはずがない……。
思考を繰り返している間に洞窟の入口から音が反響し始める。人の声だ。
なんだ、と安堵したのも束の間、普段とは違う声に気が付いた。
--いたぞ!
その声は蛇を見るなり叫び、ぞろぞろと押し寄せた集団は蛇に視線を浴びせた。蛇は山賊達がこいつらにやられたのだ、と反射的に理解した。
理解したと同時に、蛇はその声--猟兵達に襲い掛かった。
ミーア・レギンレイヴ
【POW】
蛇がヒトを使役していたことに霊長の諸行無常と言うか弱肉強食の理と言うか、そう言ったものが感じられますが――さて、いよいよ正念場。
申し訳ないのですが、私の楯はすごい痛いので、我慢せず昇天して頂けるといろいろ楽になりますよ!
恐らく多対一になってしまいますね。
アナタも山賊さんを使っていたわけですし、まさか卑怯とは言いませんよね?
それに、今のトレンドは適者生存ですしね! 主も仰ってました。
YOU 適者だから生存して良いよ、と!
そんなわけで私の楯をくらえーっ! シールドキーック!
ホーラ・アイアンアーム
【POW使用】【アドリブ、絡み歓迎】
まっすぐ行ってぶっ飛ばす。右ストレートでぶっ飛ばすのだ!
腕と一体化しているアサルトライフルで【範囲攻撃】しながら【ダッシュ】で大蛇に近づいて
【戦闘知識】で攻撃をかいくぐり【グラップル】で【選択UC】を叩き込むのだ。
余裕があれば味方にアサルトラフルで【援護射撃】するのだ。
政木・朱鞠
「お痛をした咎の責任はキッチリと取って貰うんだからね。」
戦闘
【SPD】
水系の化生と火遁系の私とでは相性悪いから『降魔化身法』を使用して水の大蛇君にアタックだよ…。
武器は刑場槍をチョイスして【串刺し】→【鎧無視攻撃】→【傷口をえぐる】でダメージを狙うよ。
確かに代償の蓄積は不安だけど悩む時間が勿体ないし、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
水の大蛇君と村とでどんな過去の因縁が有ったか気になる所だけど…モタモタと考えて困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰されちゃうもんね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよ!
レクイエム・アビス
アドリブ&絡み歓迎です。POW使用。
真の姿を開放、前回のUCとは違い白い泥に包まれた姿は一見怪物だが正しく理性もあり会話にも応じれる状態です。左右の機械手をガトリングと大砲に変化させ更にUCも開放。限定開放状態になったガトリングは砲門が増え、大砲は更に巨大化。弾丸は呪詛になる。味方に【フルバーストでの先制射撃を行います。弾幕に当たらないように。命令を貰えれば射撃を止めますし、欲しい時に再開します】と。一斉発射、援護射撃、呪詛、範囲攻撃、2回攻撃を使用
●
洞窟は湖のあるやや大きめの空間だった。猟兵達が水の大蛇を視認した瞬間、水の大蛇は先手必勝と言わんばかりに鋭い水の牙を持つ口から弾丸を放った。
しかしそれはミーア・レギンレイヴの楯に当たり跳弾、洞窟の向こうへと姿を消した。
「ふふん、私の楯はすごく硬いのですよ!」
紫の眼が鋭く光り猟兵達を睨む。
「それにしても今回は多対一になってしまいますが……まぁ卑怯なんて言いませんよね!」
「でも、まっすぐ行ってぶっ飛ばす! それだけ、だよね」
ホーラ・アイアンアームもミーアと混ざり自身の拳をシュッシュとシャドーボクシングをする。
「そうね。お痛をした咎の責任はキッチリと取って貰うんだからね」
政木・朱鞠はその身体に鬼を宿す。ユーベルコード『降魔化身法』。その身に妖怪や悪鬼、幽鬼といったものを宿すことで自身の力を超強化するものだ。しかしその強大な力にはもちろん反動がある。
「ぐっ……」
心窩部から襲う強烈な不快感、そして頭の働きが遅くなるような感覚に囚われる。つまりは毒だ。
「大丈夫?」
レクイエム・アビスは淡々と、しかしその瞳はしっかりと朱鞠をじっと見つめる。
「……大丈夫よ、悩む時間も勿体ないし、死ぬこと以外かすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけにはいかないよ!」
「うん、わかった」
レクイエムは少し、じっと見なければわからない程度に、口角をあげると、三人の前へと歩み出た。
「今からフルバーストでの先制射撃を行いますので、弾幕に当たらないように」
そう言いながらレクイエムの両にある機械手がガトリングと大砲に変化する。
『要請承認。これより当機の呪詛を意図的に暴走させ指定された装備を神話再現レベルまで覚醒させます』
ユーベルコード『対オブリビオン決戦兵器試作零型』。レクイエムの持つ武器の封印を解いて完全開放状態へと変化させる。それによってレクイエムの放つ一撃は凄まじいものとなる。その代償にレクイエムの姿は白い泥に包まれた怪物の様な姿へと変貌する。しかし山賊戦とは異なり意思疎通はできる。
「命令をもらえば射撃は止めますし、欲しいときに再開します。なので言ってくださいね」
聞こえるように、と半ば冗談めいたことを言いながらレクイエムは機械手を大蛇へと向けた。
大蛇が一つ鳴いた。猟兵達を挑発するかのように。
その音とともにレクイエムの機械手が火を吹いた。そしてそれと同時に戦いが始まった。
●
レクイエムの無数の銃弾が大蛇へと襲う。しかしその大半は大蛇の水の身体によって摩擦抵抗を極限まで減らした表皮を跳ねてしまう。
「レクイエムさん、ストップなのだ! まずあれをどうにかしないと攻撃が通らないのだ!」
ホーラのその一言で銃弾の雨が止む。流れを止めぬようにホーラはダッシュで大蛇へと近づく。大蛇は自身に接近させまいとまた口から水の銃弾を放つ。ホーラはそれを器用に潜り抜ける。数発掠ったもののそれは大きな問題ではない。
ホーラはその身を大蛇へと肉薄させる。大蛇の纏った水飛沫が顔に掛からんほどだ。
そしてその体躯に一発、拳を当てた。
「右ストレートで、ぶっ飛ばすのだ!」
ユーベルコード『灰燼拳』。ホーラの素手の一発。しかしそれは音をも超える超高速かつ大威力の一撃。たかが一撃、されど一撃で大蛇は吹っ飛ぶ。
その脇から朱鞠とミーアも大蛇へと接近する。
鋭く長いその槍をのけぞった大蛇へと突き刺す。
「村とあなたにどんな過去の因縁があったのかは気になる所ではあるけど、モタモタ考えてたらあっという間に未来が過去に喰いつぶされちゃうもんね」
朱鞠は串刺した槍をそのままに前後左右に動かす。そんな抉る攻撃は既に摩擦抵抗云々は関係ない。
「何かあったとしても、私はあなたの犯した咎の責任をとる必要があるのよ」
痛みに悶える大蛇をやるせなさそうに見下ろした。
――ガアアッッ!
大蛇は近場の水場、つまるところの湖へと向かおうとする。その手負いの身体を癒すには水を体内に取り込む必要があった。
「させませんよー!」
しかし大蛇の動きはミーアの楯に阻まれる。
「申し訳ないのですが私の楯はすごい痛いので、我慢せず昇天して頂けるといろいろ楽になりますよ!」
そう言いながら盾を構えた。ユーベルコード『ハイパーシールドバッシュ』。盾による近接攻撃。超高速で楯を敵に当てることで大威力の一撃を放つものだ。
「無理を受け止め――道理を、圧し通すっ! そんなわけで私の楯をくらえーっ! シールドキーック!」
大蛇の顔面に楯が命中する。大蛇は湖とは逆方向へとまた宙を飛び吹っ飛ぶ。それは満身創痍の大蛇がその身体を復元できない、ということだ。
既に大蛇の体力は心もとない。しかしここで諦めてしまえば大蛇が今まで行ってきたことは全て無駄になってしまう。それだけはなってはいけない。大蛇は身を立たせる。
「――――ッッ!!」
大蛇は咆哮した。残りすべての体力を奮い立たせ、自身の身体の摩擦抵抗を極限まで減らす。
文字通り、最後の力を振り絞って猟兵達の前に再び立ち、牙を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
佐之上・権左衛門
【POW】(アドリブ・絡みOK)
水の身体・・・俺の武器物理がメインだからなぁ・・・ダメもとで使ってみようか。
「これだけの爆弾、食らって無事でいられるかな?」とUC「あんぱん爆弾(本人これでもマジメです。すいません)」を発動させて生成された爆弾を全て水蛇に。
何故あんぱん爆弾なのか。それは自分にも判らないが脳裏に浮かんだのだから仕方ない。
これでも倒せなかったらダメ元で愛用のギガントアクス
で「鎧無視攻撃・二回攻撃・鎧砕き・毒使い・マヒ攻撃」で叩いてみる。
ステラ・カガミ
扇(サウンドウェポン)を使って踊りを舞うように攻撃します。
(力溜めとパフォーマンスを使って華麗かつ強力な一撃を狙います)
『踊り子兼歌姫の踊り、見せてあげるわ』
サウンド・オブ・パワーを使って皆の援護も行います。
(歌唱を使ってさらに効果を高めるようにします)
明るく元気な性格なので、踊り子兼歌姫として皆を盛り上げていければと思います。
『もう少しよ!みんな、頑張って!!』
ツインテールにした銀髪と紫の瞳に愛用の露出度の高い踊り子の衣装が特徴です。
他の方がいたら積極的に協力・援護します。
牙を向けた水の大蛇は猟兵達に襲い掛かろうとし、顔面に飛んでくる物に面食らった。
それは『あんぱん』だった。
「ダメもとだが……これだけの爆弾、食らって無事でいられるかな?」
ぼさぼさの髪にあごの無精ひげ、カーキ色のコートをたなびかせて登場したのは佐之上・権左衛門だ。おっさん然した見た目の権左衛門が投げたそのあんぱんはやがて大蛇へと到達し。
「既にそのあんぱんは爆発物に変わっているんだぜ?」
ユーベルコード『あんぱん爆弾』。なぜあんぱんなのか。それは権左衛門にしかわからない。そして権左衛門にもわからない。あんぱんは爆発しその爆風は大蛇を襲う。バリバリと洞窟の壁が揺れ、細かい粉塵が猟兵達と大蛇に降った。
「踊り子兼歌姫の踊り、見せてあげるわ」
飛来したあんぱんが突如爆発しさらに面食らった大蛇にさらにステラ・カガミは、美しい飾りを纏わせた扇を手に華麗に舞う。その見た目にそぐわない強烈な一撃は大蛇へと加わり大蛇はバランスを崩す。しかし倒れはしない。尾で何とか持ちこたえると口から大量の水の銃弾を吐き出す。
「あいだだだ……俺のサイボーグ部分が錆びたらどうしてくれるんだよ」
「でも……皆のおかげでもう少しで倒せるわ! もう少しよ、みんな頑張って!」
権左衛門は飄々と文句を言いながらも大量に襲うそれを感覚でほとんどを避ける。ステラは洞窟の中にいる猟兵達に向けて歌声を届ける。
ユーベルコード『サウンド・オブ・パワー』。ツインテールの銀髪が舞い、踊り子の衣装の装飾がきらめく。その踊りと共にある歌声はそれを聞き共感した猟兵達の力を底上げする。
対抗するように大蛇も大きく声をあげる。先ほどの爆弾で洞窟の天井に少しひびが入ったようで、パラパラと砂埃が舞っている。
ここで大蛇を倒すか。大蛇を倒しきれず土に埋まるか。互いに残り一度の攻撃だけが残っている。
「あんぱんでダメなら、こいつでトドメだな」
権左衛門が取り出したのは大斧だ。使い込まれたギガントアクスを使い慣れた手つきで肩に担ぐと大蛇に向かって駆けだした。
ステラのユーベルコードによって底上げられた腕力と、権左衛門の培った技術を込めたそのギガントアクスを大蛇を立てに真っ二つに割るように振り下ろす。
しかし水の身体である特性上、叩いて割れたそこから身体が元に戻ろうと水が蠢く。
「誰が一撃なんて言った?」
ステラの歌声が耳に届き、権左衛門の腕力に普段以上の力が入る。振り下ろされた斧をそこで止めず、縦に下ろし、そのまま横へ薙いだ。
大蛇は四つに割れる。それと同時に絶命したのだろう。身体はもう元に戻ることは無く、分散しただの水となった。
はぁはぁ、と荒い息が静かな洞窟に静かにこだまする。権左衛門は愛用の武器を肩に担ぎなおすと達成感を感じにやりと口角をあげる。
ステラもそんな権左衛門と共にやりがいを感じていたが、やがて目を見開いて権左衛門を見つめた。
「ん? 俺に惚れた?」
しかしステラが見ていたのはややしたり顔を決めた権左衛門ではなく、その後ろだ。
「権左衛門さん、皆、急いで逃げるわよ!」
「え?」
「後ろよ!」
素っ頓狂な声をあげ権左衛門はステラに言われた方向を見やる。それは今まさに崩壊せん洞窟の壁だった。その向こうには水が見える。凄まじい音と粉塵も混ざりこのままでは――。
「うわぁあああああ!!」
猟兵達は疲れた体に鞭を打ち慌てて洞窟の外へ走り出す。なんとか猟兵達が日の下へと出てきた直後、洞窟の入口は完全に閉ざされてしまった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『宴会をしよう』
|
POW : 気合で食べ物を食べる。
SPD : 速く食べ物を食べる。
WIZ : ゆっくりと食べ物を食べる。
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
幸いにも、水の大蛇と山賊が村から奪った食料は洞窟にほど近い別の場所へ保管されていた。穀物から果実、涎が滴れるほど旨そうな肉の塊までうず高く積まれていた。
猟兵達はそれを各々持てる分だけ持ち村へと持ち帰った。
「も……戻ってきたぞおっ!!」
猟兵達の帰還を待っていた村のある青年の声を皮切りに、今まで暗い表情しか見せなかった村人は戻ってきた猟兵達のもとへと集まる。
涙を流し喜ぶ者。成し遂げたことにただただ驚く者。
そして返された食料を見て笑顔と涙でぐしゃぐしゃになった顔で何度も何度も猟兵達に礼を言う者。
猟兵達はそんな村人達の様子を見て達成感が溢れ出た。
「皆様、本当にありがとうございました」
そのうち村の長と思われる老爺が猟兵達の前に現れ、深々とお辞儀をした。
「感謝の意と、開催できなかった感謝祭の代わりと言っては何ですが、明日より村全体で宴会を執り行います。ぜひ皆様にはこの村の美味しい食べ物と素晴らしい料理の数々を召し上がって頂きたい」
老爺のその言葉に猟兵達のお腹がぐー、と鳴った。そういえばこの村に来てから何も食べてなかった、と猟兵達は思い出した。
「別に参加しても問題ないぜ。今のところすぐに帰らないといけない理由も無いしな」
武蔵は親指をあげて猟兵達に向けて言った。お腹と背中がくっつきそうな猟兵達はそれを聞き喜んで宴会に参加することにしたのだった。
ホーラ・アイアンアーム
【WIZ使用】【アドリブ、絡み歓迎】
わーい。ごはんーなのだー。
……ええっと、これ、どうやって食べるのだ?
接続ケーブルは何処なのだ?
政木・朱鞠
【WIZ】
ゆっくりご馳走になろうかな…まあ、私にとって本当のご馳走は『甘やかし』で貰うモノなんだけどね。
でも、お腹空いているからってあまり調子に乗って欲張らない様に気をつけないとね…。
一方的にもてなされるのも悪いし『フォックスファイア』を使った芸をしようかな…。
宴がある程度盛り上がった所で席を離れて…たぶんこれをしたら奇異の目で見られる自慰行為と思いつつ。
咎人を狩る者として魂に思いを向けて倒した水の大蛇や山賊達へ弔いの祈りをしておきたいかな…。
『罪深いあなたが転生できる時がいつになるのか分からないけど…今度、未来を喰い潰す存在じゃなく生まれ変わったら、うっかりと仲良しの友達にでもなろうね…。』
ミーア・レギンレイヴ
んー。
ん~~。
すいませんが! お料理を作る側に回らせてもらえないでしょうか!
ジッとしているのとか、人様に作っていただいたお料理をいただくだけというのは、えぇ、えぇ。どうにも。
折角ですから得意料理を披露させていただきたい!
この大楯! 一見すると何の変哲もないどこにでもある楯ですが、なんと!
鉄板にもなります!
ほーら、目玉焼きとか焼けるんですよー。
え、これでオブリビオンを殴ったりしていなかったか、ですか?
そりゃ殴りますよ、楯ですからね!
はい、今サイコパスかよみたいなこと言った人思った人感じた人は後でお説教でーす。主の教え『やられる前にやれ』をみっちり説いて差し上げましょう!
ステラ・カガミ
宴会に参加して村の皆さんの前で自慢の歌や踊りを披露しようと思います。
(猟兵はやっていても元々の本業はこちらですから)
村の皆さんや他の猟兵の皆さんが楽しんでくれれば、と思います。
歌唱やパフォーマンスを使用し、宴会のムードに合わせて明るく華やかな曲や、動きのある振り付けの踊りを踊って皆を盛りあげようと思います。
戦闘で乱れた服装や髪も綺麗に整え、猟兵ではなく『踊り子兼歌姫のステラ』として舞台に上がります。
飲み食いした後では踊れないので、料理は歌や踊りの後にいただきます。
(ステラは未成年なので、お酒は飲めませんから、ジュースで乾杯します)
――乾杯!!
猟兵達は村の一角にある大きな集会所に招かれていた。そこには熱々のご飯と大量の飲み物が用意されていた。猟兵達が奪い返した穀物や農作物をふんだんに使った御馳走だ。
早くも赤くなる村人の表情は、この村に来たばかりの頃とは全く異なる。それは猟兵達が見ていた陰気ですべてを諦めた様なものではない。
生き生きと希望に満ち溢れた、そんな表情だった。
「わーい。ごはんーなのだー!」
ホーラ・アイアンアームは周りに置かれた御馳走をきょろきょろと眺めて、そして首を横に傾げた。
それを見ていた政木・朱鞠が声をかける。片手には小さめのジョッキ、もう片手にはある程度の量のご飯がのっていた。
「どうしたの、ホーラちゃん?」
「……ええっと、これ、どうやって食べるのだ?」
「…………へ?」
きょとん、そんな擬音がマッチするような声が朱鞠の口から飛び出る。
「いつも接続ケーブルを付けてるのだ。ケーブルは何処なのだ?」
一瞬の沈黙。
その後、「あっはは!」とホーラの髪が全て後ろに持って行かれるような笑いがあたりに響いた。
「お嬢ちゃん、面白い子だなぁ! ほら、これでも食べな!」
そこにいたのは村のご老人。持っていた発泡酒のジョッキを近くのテーブルへと置くと料理の置いてある場所へと赴く。数分後、持ってきたお皿に盛りつけられたのはこの村のご当地料理。炊いた穀物に肉とチーズを入れて火にかけたシンプルだがとてつもなく美味な逸品だ。
「ちょっと待ってな、冷ますからなぁ」
ふー、と一匙とりご老人は冷ます。ある程度湯気が収まるとご老人はホーラの口の中にそれを突っ込んだ。
「どうだい?」
ホーラの口に『味』が広がる。これが果たして実際の味覚というものによるものなのか、それとも機械の再現なのかはわからない。しかし口から前進へと駆け巡る旨味がしばらくホーラの思考を止める。
「……えへへ」
「どうだ、美味しいだろぉ?」
「うん、うん、美味しい、美味しいのだ!」
夢中でもう一度口の中へと入れる。笑顔が止まらない。そんな感覚に囚われる。
「お嬢ちゃん、そんなに急がなくてもたーっぷりあるから、ゆっくり食べなぁ」
がはは、とご老人は笑う。その隣でホーラは頬を膨らませるくらい口の中で御馳走を味わっていた。
「良かったわね」
朱鞠はそんなホーラの頭を優しく撫でる。ふと視線をあげると集会所の中央では一発芸大会の様な物を行っていた。
しゃらり、と軽やかな装いと共に歌われる綺麗な歌声。かと思えば激しく華やかな歌と踊りへと変わる。猟兵の、ではない。踊り子兼歌姫のステラ・カガミの踊りに村の住人は思わず目を奪われていた。
村の住人や宴会に参加した猟兵達に楽しんでほしい、という思いと共に歌と踊りは終わりを迎える。
「ふぅ……ありがとう」
――おおおおっ!
大きな拍手と共に鼓膜の破れるような歓声が集会所を覆いつくす。一つ礼をするとステラは用意された席へと戻り、ジュースと置かれた食事へとゆっくりと手を付け始めた。
「綺麗だったわ」
「あら、ありがとうございます」
朱鞠はステラへと感想を伝える。それはうわべのモノではなく心からのものだった。
「朱鞠さんも何かやられるの?」
「うーん、一方的にもてなされるのも悪いしなぁ……ちょっと芸でもしようかな」
朱鞠はそう言ってステラの踊っていた舞台へと上がる。
ユーベルコード『フォックスファイア』を使った一芸だ。朱鞠の放った狐火が朱鞠の元から散らばると周りに立っていた蝋燭へと近づく。バっとそれは花火の様に弾けそして消える。
綺麗で、少し儚いような芸に村の住人達はうっとりと昇る煙を見つめていた。
◆◇◆
「あら、ミーアさんはこちらにいらっしゃったんですか?」
ステラは共に戦った人の姿を探し辺りを探していた。ミーア・レギンレイヴの姿は厨房にあった。
「あ、どうもステラさん!」
「ミーアさんはお食事いただかないの?」
ミーアは彼女の愛用の武器でもある大楯で調理をしていた。卵を落とし火にかけたその楯の中央では目玉焼きが良い香りを放っていた。
「どうもジッとしているのとか、人様に作って頂いたお料理をいただくだけというの、いよっと」
器用に楯を使い目玉焼きを皿へと落としていく。
「ステラさんはもう召し上がりましたか?」
「ええ。踊りと歌を披露してから頂いたわ」
「あー、それは見たかったです! そうだ!」
ミーアはエプロンを脱ぐと、ステラに案内されて集会所の中央へと姿を現した。
「あー、あー、皆さん! ちょっと聞いてください!」
ミーアが手を高く持ち掲げるのは先ほど調理に使っていた楯だ。
「この大楯! 一見すると何の変哲もないどこにでもある楯ですが、なんと!」
それと同時に住人たちに配られたのは何とも美味しそうな目玉焼きだ。良い感じに半熟になっている。
「なんとこちら、この大楯で焼いたんでしょう! 鉄板にもなるんです、すごいでしょう!!」
芸、というよりも通信販売のような語りだ、と皆が思っただろう。
「お嬢ちゃん、それって楯だろう?」
「見た通り、そうですよ!」
「それで敵を殴ったりしないのか?」
ははは、と冗談を笑うようにミーアは笑う。抑えようと思っても抑えきれない、そんな笑いだ。
「これでオブリビオンを殴ったりしないのか、ですか? そりゃ殴りますよ、楯ですからね!」
元気よくミーアは言い放つ。しかしそれとは真逆に見ていた住人達は静かになる。
こいつぁやべぇ、と言わんばかりの顔だ。
「はい、今こいつやばいんじゃないか、みたいなこと言った人、思った人、感じた人全員後でお説教でーす! 主の教えみっちり解いて差し上げますからね!」
住人達の反応に不満を持ったミーアはしゃー、とまるで猫が威嚇するかのようだった。
ふふ、とステラは微笑み、そして朱鞠が外へと出て行く様子が見えた。
◆◇◆
「朱鞠さん」
「あら、ステラさん」
ステラが外に出ると空はもう暗い。扉の外で朱鞠は祈るように手を組み目を瞑っていた。ステラはその隣でじっと黙って待つ。
「お祈り?」
「……そう」
朱鞠が祈り終わるとステラは声をかけた。
「ごめんなさいね。宴を邪魔するつもりじゃなかったのだけど」
「いえ、私もちょっと外の空気が吸いたかったの」
すー、はー。とステラは深呼吸をした。冷たくなった空気が火照った身体を冷ましていく。
「咎人を狩るものとしては、倒した者達に弔いの祈りをしておきたいかな、って」
「どんなことをお祈りするの?」
ステラが朱鞠へと尋ねる。すると、朱鞠は空を見上げる。つられてステラも空を見上げた。
何百、何千、何万もの星々が煌めいている。空気が澄んでいるせいか手が届くかのように感じた。
「罪深いあなたが転生できる時がいつになるのか分からないけど……今度、生まれ変わった時に未来を喰い潰すような存在じゃなかったら、うっかりと仲良しの友達にでもなろうね……って」
「……そうなると、良いわね」
二人は向き合って、ふふ、と笑った。
満天の星空に、星が流れた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵