●墜ちた星
墨汁を流し込んだような黒に、青白いひかりが沢山瞬いていた。
それこそ、零れ落ちそうなほど。
マイナス50度を下回るその森に、妖怪たちは居た。思い思いのクリスマスを過ごすカクリヨファンタズムの住人たちの所に、異変が起こる。
「おい、見ろ! 星が流れたぞ!」
「わぁ、ほんとうだ! おねがいごとをいわないとー」
「……ねぇ、あのお星さま、どんどん近づいて来てない?」
「うわぁ! 星が落っこちて来たぁ!」
流星雨はどんどん森に墜ちていき、蒼い炎となって木々を燃やしていく。
猫又も、唐傘おばけものっぺらぼうも、わぁわぁ言いながら逃げ惑うばかり。
そうして、今日も世界の終わりが訪れてくるのだった。
●ヤドリガミ、かく語りき
「やぁやぁ、今年一年お疲れ様! りんふぁから、カクリヨファンタズムでの天体観測へのご招待だよー。クリスマスプレゼントってやつだ」
耳に提げたペンデュラムを弄びながら少女、戴・凜風(浄化を祈る・f23661)は言う。
「今回案内するのは、極寒のカクリヨファンタズムだよ! とーっても寒くて、なんと気温はマイナス50度! でもその分空気がとっても澄んでいて、満天の星を望めるよっ」
にこにこ、とても楽しそうに大きく手を振り回す凜風は、予知した光景を語っていく。
「すーっごい綺麗な星をね、妖怪たちが眺めていたんだ。そしたら流れ星がキラッて流れ出したの。ただの流れ星だったらよかったんだけど、なんとその星が落っこちてきちゃったのさ! 星の炎が森を焼いて、その世界に終わりを告げるの。
でもねっ、その炎を少しずつ他の場所へ移すと不思議な蒼い炎はどんどん小さくなっていくみたい。例えば、蝋燭とか、カンテラとかにその炎を移すと、森の炎はちっちゃくなるの。猟兵のみんなが炎を移しているのを見たら、きっと妖怪たちもそれに倣って炎を小さくしていくよ。
教えてあげてもいいし、お友達と一緒に炎を移していっても、どっちでも大丈夫!
この炎は不思議なもので、願い事を思い浮かべながら吹き消すと叶っちゃうって言い伝えがあるんだ。ま、信じる信じないはキミたち次第!」
ぱちっとウィンクを飛ばして、凜風は蝋燭を用意してキミたちに手渡していく。
「さぁ諸君、カクリヨファンタズムの未来は諸君らの双肩にかかってるぞ!楽しんで、いーってらーっしゃーい!」
八卦盤の形をしたグリモアを広げ、一人ひとり転送していく。
「みんな、一年おつかれさま。みんなの願い事が叶いますように!」
涼村
お久しぶりでございます。涼村と申します。
クリスマスですヤッター。よろしくお願いします。
プレイングはOPが公開された時点で送っていただいて構いません。
受付終了はマスターページと、タグで行う予定です。ご参考までに。
OPで紹介した通り、極寒の森の中でキャンドルに火を移しながら天体観測を楽しもう! というシナリオです。
蝋燭ではなく、火が移るものでしたらなんでも対応可能です。
特に妖怪たちへの言及がなくても、彼らはみなさんを見て勝手に蝋燭に火を移していきますので、みなさんは思い思いに楽しんでください。
おひとりで、お友達と、恋人と。どなたさまもどうぞいらしてください。
ひとりだけどちょっと寂しいなーって方は、妖怪や凛風にお気軽にお声掛けくださいね。
ちなみに、マイナス50度以下の場所では、息に含まれる水分が凍り、耳元で微かな音を立てるそうです。これは『星のささやき』という現象みたいです。なんだかロマンチックですね。
それではみなさま、バーンとぉ!行っちゃってください!
第1章 日常
『カクリヨファンタズムのクリスマス』
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POW : カタストロフを力ずくで解決して、妖怪達とクリスマスパーティーを楽しむ
SPD : カタストロフから妖怪達を救出して、クリスマスパーティーを楽しむ
WIZ : カタストロフの解決方歩を考えたり、クリスマスパーティーの企画や準備をする
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ルイル・ミーツァ
さむーいのだ!
でも燃やし尽くすのは熱すぎるのだ、極端なのだ!
ルイルがカタストロフを阻止するのだ!
たっくさんロウソクはもらってきたのでどんどん炎を移すのだ
炎を移して、地面にロウを垂らして固定したら次に行くのだー、どんどん行くのだ~♪
焼き尽くされる危険がなくなったときには、きっと辺りは青い炎のロウソクでいっぱいなのだ
綺麗だなー
空を見上げると星もいっぱいなのだ
こっちも綺麗なのだ
はっ!そういえば願いが叶うと聞いてきたのだ!
ルイルの願いは――世界が平和でありますように、なーのだー
偉いお願いなのだ!
……あとたくさんお菓子もください、なのだ
●空の星と、地の星と
満天の星空の元、ぽーん! と元気に転送されてきたルイル・ミーツァ(内緒のアリスナイト・f31419)は、まんまるボディをふるりと震わせる。
「さむーいのだ!」
吐いた言葉がぱちぱち凍っていく。寒いは寒いが、燃やし尽くしてしまうのは熱すぎる。カタストロフを阻止すべく、ルイルは両手に抱えた色とりどりのロウソクを抱え直して、てってこ森まで走っていく。
わぁわぁ逃げ惑う妖怪たちを救うべく、ルイルはせっせとロウソクに青い炎を移していく。
炎を移して、その炎でロウを垂らして固まる前に、倒れないようにしっかりと固定して……。繰り返しているうちに、のっぺらぼうがルイルの真似をしてロウソクに炎を移していく。
「手伝ってくれるのだ? ありがとーなのだ!」
のっぺらぼうへ笑顔を向けて、一緒になって炎を移していくルイル。
持ってきたロウソクが無くなったころ、森の炎はすっかり小さくなっていた。
満足げに周りを見渡すと、青い炎でいっぱいになり、きらきら輝いている。
「空の星も、みんなで作ったロウソクの星も綺麗なのだ!」
空の星を見上げ、にっこり笑うと。そういえば、と言い伝えを思い出した。
傍のロウソクを吹き消すためにそっとしゃがんで。思い浮かべる願い事は、
――世界が平和でありますように。
ふぅっと吹き消すと、ぱちぱちと音を立てて炎が消える。
偉いお願いをした、と満足げに見渡すルイルの目に入るのは、まだまだたくさんの青い炎。……もう少し、違うお願いをしてもいいだろう。
違うロウソクの前にしゃがんで、吹き消す。
ぱちっと音を立てて消えた炎を見送って立ち上がると、傍にのっぺらぼうが立って何かを差し出してきていた。
「うん? なんなのだ? あっ、おほしさまなのだ!」
差し出されたのは色とりどりの金平糖。
「綺麗なのだ。ありがとーなのだ!」
立ち上がった時に少しだけずれた王冠を直して受け取る。
きっと、他のみんなのお願い事も叶うだろう。それこそ、星の数だけ!
大成功
🔵🔵🔵
ワン・シャウレン
森が焼かれるというのは具合の悪い話
この時節でも危機に事欠かんのうカクリヨは
ともあれ今回は寒さが気にならんこの身体が都合が良さそうじゃ
それに流れ星からのもらい火、
極寒での火遊びというのも楽しめそうじゃし
手伝わせて貰うぞ
持参したのはランプじゃが機能的には問題あるまい
早速火を貰っていこう
吹き消しても良いのじゃな。願いは…まぁ格別のものもない故
素直にこの場の平穏を願い。
妖怪と顔を合わせることがあれば火の対処も教えよう
もらい火もあと一回で十分くらいになったらそうじゃな…
最後は来年の平穏を願っておこうかの
寒さが気にならんとは言うたが、確かに澄んだ気配を楽しめたのう
良い一時じゃった
●寒くて暖かい
ふぅわり、淡金色の長髪をなびかせて極寒の地に降り立ったのはワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)
どのような時期でも世界の終わりの危機に陥るカクリヨを想い、ランプを握り森へ歩みを進める。
ミレナリィドールの彼女は寒さが気にならない。都合がいい、と空を仰ぎ見ながらひとときの火遊びに興じる。
持参したランプに青い炎を移し、じぃと見つめる。普通の炎とは違い、星がはじけるようなぱちんっとした音が聞こえた。
その綺麗な炎に眦を緩めて願うのは、このカクリヨの平穏。
ふぅっと消すと、一瞬大きく輝いて空へと還っていく。
もう一度炎を貰いに行こうとすると、唐傘お化けがぴょんぴょん近づいてきた。
「きみ、なにをしているの? はやくにげないともえちゃうよ!」
身を案じてくれた唐傘お化けに優しく微笑んで、対処法を教える。
「あの炎を他のものに移すんじゃよ。小さな炎なら吹き消すのも容易かろう。お主もやってみるが良いぞ」
ワンの言葉に唐傘お化けは大きく頷いて他の妖怪たちへ伝えに行った。森の炎が鎮火されるのも時間の問題だろう。
最後の炎をランプへ収めたワンは、その炎を持って静かな場所へ移動した。そこは空が大きく見える天体観測には絶好の場所だった。
いつか映画で見たような、満天の星空だ。
星を写したみ空色の瞳をゆるめ、最後の願いを込める。
来年は平穏な日々を送れますように――
ぱちんっと炎は弾け、ゆるりとした時間が流れていく。
澄んだ空気が気持ちいい。すぅ、と静謐な空気を吸い込んで、目を閉じた。
Merry Christmas and a Happy New Year!
大成功
🔵🔵🔵