ウェイウェウェウィンタウェーーーイ!!!!!
●ウェインターシーズン到来!
ゴヒ島は別名、灼熱の島と呼ばれている。
日中気温は常に高く、日が沈んだ夜さえも二十五度を維持する暑さ。
島民は暑さに強く、辛味を好み、熱気を愛した。
「ウェン……ウェ………ウェアア」
「ウェイーイ……ウェーイ。ウェイン……」
「ヴェエエエイ……ヴェエエエイ……」
今日は週一で行われる鍋パが行われようとしていた、のだが島民等は落ち着いているどころか落ち込んでいた。萎びて白菜になって人生とはなんぞやと考えるのも時間の問題だった。
島のシンボルでもあるクソデカ土鍋を山火事のごとく燃やすキャンプファイアーに両手を添えて暖を取っていた一人の島民はムズかゆい感覚を鼻に覚えてしまっており、欠伸をするのかように口を大きく開けては噛み殺そうと口を閉じようとしている。
よくよく周りを見てみると、島民たちはウェーイと騒ぐこともなく、ウェッショイウェッショイと踊ることもなく。ぐるりと火を取り囲んでは静かに暖を取ろうと満員電車のすし詰め状態よろしく密密の密。
隙間という隙間に島で流行りのアフロを押し込んで隙間風を駆逐している島民たちはいったいどうしたというのか。皆、身体を震わせ縮こまっているではないか!!
「ウェ、ウェ…………っウェブウェイ!!!」
あ、くしゃみ。くしゃみを我慢していたウェイがついに放った音は島全体に響くはずもなく、白い床を作り出した結晶体に吸われてしまった。
くしゃみをした後に起きる謎のうめき声を発するウェイは口を両手で覆い、
「ウィ~~…………っサッブウェイ!!!」
今度は手できちんと抑えて、もう一度大きなくしゃみをした。
つまるところ、冷えているのだ。島の気温は雪が積もる程に下がっている。寒いのだ。だって冬だもの。
ゴヒの民は暑さにはメチャメチャ強いのだが寒さには弱かった。さらには氷食生活を強いてくる高飛車女によってちょっぴり雪がトラウマになってしまって弱化に補正がかかっていた。
今や彼らは雪が頬に触れるだけでしょんもりしてしまう軟弱なウェイ。このままだと島民はダークサイドウェイになってしまうのだろう。
ダークサイドに落ちてしまうとどうなるかだって? 知らんのか。
グレて人が食えたもんじゃないレベルの冒涜の暗黒火鍋を作って食って集団体調不良でお陀仏フィニッシュです本当にありがとうございました。あれこれ放っておいても良くね? ウェイたち一体どうなっちゃうの~!?
●ウェイ! ウェウェイウェウェーウェーイ!? ウェーイ!!!
「雪合戦でもしてきてください。雪遊びならなんでもいいので、とにかく雪を使って遊んでくれれば大丈夫ですので、何も考えずに雪島で遊んできてください」
グリモアベースにて。
左目からもハイライトが無くなりそうな様子のジェリッド・パティ(red Shark!!・f26931)はもう何も考えたくないのだろう。
グリモアを展開させ、せっかく集まってくれた猟兵たちをグイグイと現場に押し込む勢いで近づいてきた。なんだこのウォーマシン。
「場所はグリードオーシャン。島の名はゴヒ。
島民はウェイと鳴き、頭も態度もノリも軽い。それでゴヒは常夏島なのですが、今年は寒波の襲来に弱っています。
今までは熱気を絶やさずに毎日祭りを開催することで冬を越してきたようですが、
クソ迷惑まき散らしたコンキスタドールの超いらねー置き土産によって島民は雪や氷などに対して過度な恐怖心を持ってしまっているようです」
一度植え付けられた恐怖を和らげることは難しいものである。ペットに噛まれて動物に触れなくなった、ビーフ100%のハンバーグかと思ったら豆腐100%だった、えとせとら。えとせとら。
しかし何故、雪遊びを猟兵は強いられているのだろうか。これに対してジェリッドは自論にはなるのですが、と注釈を入れて説明を始めた。
「まず、ゴヒ島の気温が高い理由は気候だけでなく、島民の熱気も含まれます。島単独で発熱しても雪が積もった理由はここにあります。
島民が弱気になればなるほど島は寒くなり、逆にハイテンションだと灼熱地獄へとなるわけです。
常に高いテンションを維持してきた彼らは雪を知らずに育ちましたので、雪への対処法を知りません。
そこで皆さんに雪遊びの伝授をしていただきたいのです。直接教えずとも、遊んでいる姿を見せればスポンジ頭の彼らは勝手に情報を吸収して遊び始めます」
そうして遊んでいるうちに萎びた白菜はシャキシャキ白菜へと生まれ変わり、クソデカ土鍋の中へぴょお~~んする勢いで走り回っては雪を溶かすのだと、ジェリッドは言ってのけるのだ。
「『なるほど』か『わからん』かは、お任せします。とにかく!!
雪遊び、よろしくお願いします! 楽しんできてください!」
前回はノリでなんとかなりましたので今回もノリでなんとかなります信じています。と、終始早口で急き立ててきた隻眼は、猟兵たちを現地へと送り届けるのだった。
さあ、クリスマスだ!!!!
拳骨
このシナリオは一章構成なので、一章のみで完結します!!
●なんだこのシナリオ!?
雪遊びしようぜ
!!!!!!!!!! 雪が関わっていたら何してもいいと思います。
雪遊びを一通り終えたら島民も復活しているので、火鍋なども色々食べられるんじゃないかなあって考えます。
●ゴヒ島について
N02W10に存在する、UDCアースから落ちてきたらしい島です。
毎週火鍋を食っては流行りのアフロを被り、バイブスブチ上げ天界丸な島民がウェイしています。
●島民について
「ウェ」と「イ」の2音の微妙なアクセントの違いによって会話を行うウェイ系民族です。
ノリで生きていますが、いまいちノリに乗れていません。
助けてあげてもらえたら、嬉しいです。
●雑記
拳骨です。5作目です。コミカル強めのほのぼのです。
ハッピーメリクリウェーイ
!!!!! 頑張ります!! よろしくお願いします!
第1章 日常
『グリードオーシャンのクリスマス』
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POW : 巨大なキャンプファイヤーや、沢山の料理を準備してパーティーを楽しむ
SPD : 歌や踊りや隠し芸などで、パーティーを盛り上げて、皆を楽しませる
WIZ : 意中の人と示し合わせてパーティーを抜け出して、恋人たちのクリスマスを楽しむ
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●ウェイウェイウェー、ウェイウェイウェー、ウェッウェイウェイウェイウェーイ
猟兵たちがたどり着いた島、ゴヒ。現在の気温は七度くらいだろうか。
島を囲む冬の海はどす黒く、潮風は衣服を通り過ぎて肌に触れてきた。寒さを感じた身体は徐々に温もりを奪われていき、その身が環境に適応するまで、少しばかりは震えてしまう者もいるだろう。
潮風に吹かれる真白な粒は、地面に落ちても消えることなく数を重ね層をつくる。肉眼ではっきりと視認できる粉状の雪はしっかりとしていて、地蔵のようにじっと其処に佇んでいれば、徐々に徐々にと肩を重くさせるのだろう。
「ウェ
。…………ウェエ? ……ウェー!?」
あっ!? 第一島人!!!! エントリーナンバーワン、ゴヒの民野郎だ!!!!
野郎、萎びてやがるじゃねーの。萎びている割には猟兵を己の死んだ目に移し、幻覚かなと目をこすったが幻覚じゃなかったから猟兵の存在に驚いたようだった。
島外の者を歓迎するフレンドリーさとアグレッシブさを持つウェイはチャラく元気よくウェイと挨拶をするのだ。えらーい!
「ウェ、ウェエ
…………。……ェエー……イ
…………」
おやおや声が小さいですね。手も一瞬万歳してすぐわきの下に引っ込めましたね。そして縮こまりもしました。気温が一度下がったような感覚を猟兵の皆さんは察することがあるかのかもしれません。
挨拶を終えた第一島民は雪の寒さに震えてキャンプファイアーの元へと戻っていってしまった。ガチガチに萎びているせいかマジのマジで身体も心も元気がないようだ。
このウェイたち、本当に雪遊びで釣れるのだろうか? 否、釣るしかないのだ。なんなら手づかみでもウェイなハートをげっちゅーして着火インフェルノォォォォオオウボンバイエッするしかないのだ。
兎にも角にも雪遊びだ! 例え島民をスルーしても雪遊びしてりゃあ自然解凍が可能なのだ!! 雪遊び、しよう!!!!
ニコリネ・ユーリカ
ウェイ……/私は100%完璧超人ウェイニコリネ
ウェェェイ/久々に来たと思ったらこの有様
ウェーイ!/みんなしっかりして!!
第二の故郷に踏み入れた瞬間バイヴスMAX!ハジケMAX!
右手にサングラスを、左手にごっついラジカセを担ぎ
パリピのドレスコードはばっちりキメて
ナヨった住民にシーウォークで接近しウェイ語で語り掛ける
「娘が帰ってきた」くらいの近さで仲良くなりたい
さぁ雪遊びをしましょ!
シャッター棒をぶんぶん、この構えで覚えているのは――そう野球!
北欧出身の私は雪玉を⚾に雪原で野球をしたし
サマーウェイスノウウェイガールとも遊んだわ
嘗て私達のチームは勝った
氷雪を淘汰したあの時の感動を思い出してウエーイ!
●ウェウェウェイ! ウェウェウェイ! ウェウェウェイ、ウェ! イ!
ゴヒ島はUDCアースから落ちてきた島である可能性が高く、横たわったビルがあれば途切れた高速道路が所々に存在している。繋がっていないフリーウェイは地上より天に近い為か雪がこんもりと積もっており、横断するならば膝が湿ってしまうほどに分厚い層を作っていた。
そんな真っ白くなったコンクリートロードのハイカラーを取り戻そうと、除雪作業を行う集団が二つあった!!!
片や陽気でイケてる音楽にノリながらシーウォークでずんどこどこどこヒップでホップなステップステップワンツーワンツーくるりと回って落ち武者の幽霊を退散させる勢いでイナバウアッしながら。
片や超エキサイティンなバトルオーラを展開しつつ火炎属性付与(エンチャント・ファイア)された心底シビれるスノーボールをキックだパンチだかかと落としする勢いでスーパーノヴァギャラクシーエンシェントジェノサイドブレイバァァァシュゥゥゥーッしながら。
ノースウェイとサウスウェイ。二つの勢力が仮設式SHEKIGAHARA会場にて、天下ウェけめイのどちらがより多くの雪を溶かせるか選手権がお互い同意の上で始まろうとしていたのだった――!!
●プウェイボーーーーーーーーーーーーーーーール
!!!!!!!!!!!!!!!
まあ北と南がぶつかる前の出来事をこれからお話させていただくんですがね、良い子の皆さん。練り飴は持ったか? 行くぞォ!!
今日はクリスマスではあるが、クリスマスが過ぎれば年末である。年末といえば故郷に帰省する者も居るのではないだろうか。第二の故郷を久々に訪れたニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)は、ナンテコッタァイと冷えっ冷えなゴヒの有様に驚かざるを得なかった。
「ウェーイ?! ウェェェィ……ウェイウェウェ! ウェイ!」
すっっっごい萎びているじゃない! みんなしっかりして!!
と、ウェイを極めてしまった彼女は島に入るや否やバイヴスMAX、ハジケMAX、メリークリスMAXの極大スリーウェイを発揮してしまい、100%完璧超人ウェイニコリネにフォルムチェンジしていた。
右手にはサンフラワーをモチーフにしためちゃイケサングラス、左手にはごっついラジカセを担いで服装はオーバーサイズのTシャツにダボっとしたサルエルパンツ。アクセントのシルバーアクセは付けすぎず、靴はこだわりのスニーカー。
そんなウェイ系コーデにクリスマス特有のくそダサいセーターを合わせた彼女のドレスコードはチリバツパーペキパーリーピーポー。ちなみにこのセーター、トナカイのぬいぐるみが胸元から背面にかけて胴を突き破った感じでくっ付いている。
見る人の度肝を抜く浮かれ具合はまさしくウェイだった。もう100%なんてもんじゃねえ、5000兆%ウルトラセイントウェーイニコリネだ。
ユーベルコード【A High“HOPE"(ハイ・ホープ)】。このリージョンフォルムは個人事業主であるニコリネが滅多にないオフの日の贅沢を代償にした結果によって為されたものであった。
英気を養う休日を我慢してまで休日出勤してきたくれたのだ彼女は!! 第二の故郷を救うために!! こんなのあらゆる行動に成功しなくてはいけないでしょうよ!? なあ世界!!! そうだろ世界!!!
オッケーウフフってワールドウェイだって言っています。希望を前にシーウォークで進むんだ。ズンチャズンチャとクソデカ土鍋に集っているナヨった島民へと接近するウルトラセイントウェイニコリネはそらもう流暢すぎて聞き取れねえ方言で語り掛けるわけですよ。
「イイウェエエエエーーーーッ!!! ウェイウェウェ、ウェーーーイエウェーー!!」
「ウェ、ウェウェイ?!」
ただいまー!! と娘が帰還のドアをノックノックすれば、パザーとマザーはあっれ娘ちゃんじゃーん!? なんでこんなところに~!? って驚きながらもにこやかに出迎えてくれるわけ。
のはずなんですが、この島民ってば独身なのか俺に娘なんていたっけ……と神妙な面で困惑しておられた。島の娘はお前の娘でもあるのです。俺たちは家族だ。家族で食べようファミリーホットポット!
「ウェイ……ウェエエイ? ウェイッ」
「ウェ、ウェ
……??」
「ウェェェイッ! ウェンウェーウェイウィンタウェッウェッウェ!」
「イウェー!? ウェウェウェ、イーウェ!! ウェイエー……ウェ、ウ、ェッブシ!!」
「ウェーイ! ウェイウェウェウェ、ウェーイ!」
帰省の挨拶もほどほどに、さぁ雪遊びしましょ! と誘ってみるも寒がりなウェイは拒絶のくしゃみを人に向けないようにそっぽを向いて放ったではないか。なんたる。
それでもシーウォークを続けるニコリネは愛用のシャッター棒を取り出して、シングルウェイのミニマムハートを着火ボンバウェイすべく雪遊びの楽しさをアッピールし続けるのだ。
雪玉をぎゅっぎゅと作るニコリネは鼻歌だって歌っちゃうぞ。それを耳にした島民はウェイの習性ゆえかなんだなんだと寒さに震えながらも気になって首を伸ばしてしまうんだなあ。それに対してウルトラセイントウェイはにっこりとイイ笑顔で返すのだ。
「ウェエイ……」
ここに冷えんこ雪玉があるじゃろ? こいつを空高く投擲してな……。どこぞの博士が解説しているうちにニコリネは地面を数回スニーカーで蹴り、立ち位置を調整して腰を下ろす。空高くに投擲しすぎた雪玉が戻ってくるまでに彼女は力を抜いて膝を曲げ、遠くを見据えて腕を後ろに持っていく。
構えは万全。あとはホームラン狙いの強振でシャッター棒をぶん回す!!
「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ
!!!!!!!!」
打った!! 打ちました!! ニコリネ選手、真上から直角に落ちてくる魔球を捉え流し打ちーーー!!!
北欧出身のニコリネは雪玉を野球ボールに見立てて雪原で野球をしたし、夏にはサマーウェイスノウウェイガールとも遊び、そして勝ちもした。圧倒的なウェイーイェーガーのプロフェッショナルすぎる広角打法。打球の勢いなんて簡単に落ちるはずがないんだぜ。
「ウェ、ウェイエーーー?!?」
「ウェ、ウェウェ!! ウェーーーー!!」
真っ直ぐ飛ぶ打球に青空観客席も驚いています! ニコリネ選手走る!! まだグラウンドの整備整ってないのでベースも何も用意されていないけど一塁へとシーウォークで走ります!! そのまま二塁、三塁!!
ああっと雪玉が落ちました!! そしてたまたま近くにいた島民が鍋を持つ際によく使用するミトンをグローブの代わりにして投げ返してきました!! いつの間にか本塁にはキャッウェーがこれまたミトンを装備してどっしりと構えています!! ウェイト、ニコリネの本塁打を阻止できるでしょうか!?
「ウェイウェーーーーーーッ!!!」
「ウェエエエエエエエエエエエエエエーイ!」
雪玉とニコリネのデッドヒート!! 三塁から駆けるニコリネ、悪路走破しつつ全力疾走です! 雪玉だって氷雪を淘汰したあの時の感動を思い出したウェイトの気持ちが乗っているのか燃えています! なるほど、ダストシュートじゃねーの。
「ウェイ、ウェイウェイ、ウィエーイイ!!」
星の願いは天に聞き届けられたのか、バッウェーたるニコリネがベースをタッチした瞬間にぼふんとミトンが雪玉をキャッチしたではありませんか! あれ野球って確か球取った守備が野手タッチしないとダメなんですっけ。つまりは、間に合ってないですね。……勝者はニコリネ選手でございます!!!
「ウエェェェエエイ!! イウェエエエエエエエエエイ!!」
喜びのシャッター棒ぶんぶん!! ぶんぶんしすぎて縄跳びできるレベルでしなっている!! コイツ、跳べるぜ!!! 同じチームらしいウェイが集まって八の字し始めちゃったではないか。
草野球できそうなくらい雪原の面影が消えていっていますね、周辺。
「イェーイ……ウェ!!」
「ウェエイ……!」
対して同じチームではないウェイたちは次は負けないぞと熱き闘志を燃やしておる燃やしておる。そこら辺で拾った木の棒をシャッター棒の形に削ったらしい職人ウェイ、まだ攻防入れ替わっていないのにもう打席に立っていた。そしてピッウェーも職人ウェイと同じチームっぽいのに構えている。自主練かな???
だがこれは野球ではあるがベイスボールではなく、ベウェイスボール。ルールだってウェイ仕様に改定されているので急に同チームで勝負し始めても問題ないのである。例えバッウェーが五人くらいに増えていたとしてもルール違反ではないのだ。三塁を守っているサーヴェなんて三人守備についていますからね。どうなってんだこの球場。だが島民たちは思うままに野球を楽しんでおり、雪が肌に触れても気にしなくなっている。
雪玉だって自ら生成しているし、よく見たら雪だるま作っている者もいるではないか。かしこーい!!
「ウェイ。ウエーーーイ!! ベウェッイスノボール
!!!!」
「「「「プウェイボーーーーーーーーーーーーール
!!!!」」」
ウルトラセイントウェイニコリネ率いるゴヒ族たちの試合はまだまだ始まったばかり!! 体を動かして、もっともっと暖まり、燃えましょう! ウェーイ!!!
大成功
🔵🔵🔵
ゲニウス・サガレン
こんにちは、オーシャンの北国出身のゲニウスです。
まずはその辺の固まった雪をがじがじとかじりながら登場して、ゴヒのピーポーの度肝を抜いて登場します。気分はブロードウェエエイ!
【POW】
バイザウェエエイ!まずは雪を溶かして、アイテム「新月の夜より黒い珈琲」をゴヒの諸兄に振る舞います。あっつあつで体はヴォルケイノォォ!カフェインがんがんで気分はハイウェエエイ!
さあ、みんな珈琲で体があったまったら、雪合戦しよう!
ゴヒの民草に雪玉ぶつけて挑発しよう。
ぶつけて走り回っているうちに体はホットホット!
さあ、この寒さと低テンションからゲットアウェエエイ!
全員にUC「眠れる力を呼び起こせ!」
かかってきたまえェイ!
サティ・フェーニエンス
※アドリブ・コメディ大歓迎
常夏も極寒も自然現象。自然は敵でも味方でも無く、誰に対しても等しく平等です。
必要以上に怖がる必要はないのだと教えてあげられればいいですが
…法則性、イントネーション…成程、解読し甲斐があります。
おっと。今はウェイ語に夢中になってはいけませんよね
まずは適当な木を的として、距離を取って雪玉ぶつけます。
あの木は1点、あっちの遠いのなら5点、と割り振って…む、意外と難しいです
え?うぇい?やってみますか?はい、どうぞ
…あっ。僕より遠くに当ててる…っ?
こほん。中々やりますね、では勝負といきましょうか?
掛け声?気合が入って飛ぶ?分かりました
うぇーーーい!!
(いつしかノリに巻き込まれ)
●ウェーウェウェイウェイウェイエイエ、ウェーウェウェイウェイウェイエイエーイエッ
何処ぞでベウェイスボールが開催されている間、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)はうす暗い道を照らす星屑のランタンを片手に持ちながら、その辺の固まった雪をがじがじと齧り食っていた。
「うーん……不思議だ。通常、雪の中にはエアロゾル粒子が含まれているが為に食べても美味しくはないし、身体に悪い。
だのに、普通に食える。甘さなどは一切感じられないのだが……やはり不純物や気泡がないだけで変わるものだねえ。サティ君もどうだい?」
「いいえ、僕は遠慮しておきます」
「原料は水だけだと思うけどなあ」
「寒い日に冷たいものを食べるとお腹壊しそうで、ちょっと、ちょーっと手を出しづらいのです」
「まあ僕が食あたり起こして君もそんなことになったら大変だからね。フグを二番目に食べる人は慎重にならなくてはならないだろう」
「一番目に食べた人が犠牲にならないことを祈りますよ、僕は。なので五つ目に手を出そうとしているゲニウスさんを流石に止めます」
それ以上いけない。がじがじぼーりぼりと氷塊を食らうゲニウスに静止をかけたサティ・フェーニエンス(知の海に溺れる迷走っコ・f30798)は、彼と合流を果たした時に度肝を抜きかけた。
だってその辺に落ちてた雪塊食ってたんだもの。同じ猟兵の奇怪な行動にサティはギョッと目を見開き、大丈夫ですか?!?! と色々な意味で心配せずにはいられなかったのだ。今も本当に大丈夫なのかなあとハラハラしていたりする。
「おっと、スナック感覚でつまめてしまうな……ひょっとして私は貧血なのだろうか」
「そもそも、なんで拾い食いを?」
「ゴヒのピーポーの度肝を抜かそうと思って」
「か、体張ってますね……僕の肝は冷えたので、効果は確かだと思えます」
「だろう? だからサティ君も民草を発見次第同じことをやろう!」
「えっ食べませんよ!?」
「そこは大丈夫、食べるのは僕だけ。サティ君は雪塊を持っているだけでいいから」
「ああ、それなら……って食べないでくださーい!」
人間とヤドリガミ。種族は違えど旅人である二人は、同行者がいると旅が心強く楽しいものであることを知っていた。世の中を渡るというのは大変である。意識せずとも人を思いやり、助け合ってしまうのはお互いに癖みたいなものなのだろう。
そんな旅人たちはクソデカ土鍋に集う島民たちをついに不思議発見してしまった。奥の方からはプウェイボーーーーーーーール!! って叫び声が駄々洩れており、どうやら先に着いた猟兵が野球でもしながら島民たちを解凍しているらしい。しかし、それに釣られなかった萎びた白菜たちは頑なに土鍋の前から動こうとはしなかった。
風の子ではないウェイたちはまさしくタケノコである。ニョッキさせるには猟兵たちの震えるほどに熱きビートでハートを燃え尽きさせるまで。
「では、手はず通りに!」
「打合せなんてしてなかったけど、はい!」
ぽぽぽぽーいとサティの両手にはたくさんの雪塊、それと同じ色をした陶器一式。それを投げたゲニウスは口の中にありったけの雪を掻き込んで公演を行いにいざ参らん。
トラベラーズの気分はまさしくブロードウェエエイ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい。むしろ此方から寄るぞ寄るぞ見るぞ見るぞ!!
「ウェイ? ……ウェ、イイイイ!!?」
折角温もりに触れているのに頬にかかったひんやりとした冷気の異常を感じ取り、後ろを振り向いてみた島民は首をウェイんと二度見した。な、なんか雪持った男性二人がこっちに向かってきているけどなんでぇ!? 雪こわい!!!
「ウェッウェーーーーーーーーーーーッヒ
?!??!」
「やあやあ、こんにちは! オーシャンの北国出身のゲニウスです」
「ウェ、ウェ!?」
「バイザウェエエイ! こっちは古書が本体のサティ君。そしてこれはなんだと思う? 君を温める魔法の珈琲だ」
「ウェ!? ……ウェウェウェー!」
「そうさ、そうなんだよ! コレは君へのプレゼントなんだ。なんたってクリスマスだからね!
私はサンタではないが、サンタの真似事はできるんだ。諸兄もどうだい、あたたまるよ」
「えっと、冷まさずに口にすると火傷を負いかねます。急がずにちょっとずつ、ゆっくり飲んでみてくださいね。この雪塊を使って適温にするのも良いのかもしれません」
やっ野郎、どうやって淹れたての新月の夜より黒い珈琲を用意できたんだ!? そいつはサティの七つ道具の中に、たまたま魔法瓶が入り込んでいたことが原因だった。
深煎りの珈琲豆はゲニウスがとある旅先で買った逸品であり、そこら辺の雪を蒸気の力で溶かして淹れた珈琲は夜の香りを漂わせる。少し前に試飲していたサティは、苦みが強くも不思議と落ち着く味を思い出し、思わず口元を緩めて笑った。
どうぞ、と蹲っている島民たちにほっとほっとな珈琲を振舞えば。おっずおっずと島民たちは受け取り、ウィエーイイウィエーイイと液体を冷ましてから口を付けてみる。
「ウェイウェ、ウェー。ウェー……ウェッイイ!」
「ウェ!? ウェウェウェウェーーー、ウェウエーー。……ウェエイ」
「ウェイウェウェ。イイイエエイ!」
「いやあー、いい飲みっぷりだね! おかわりはいかがだろう?」
「ウェイー」
冷ましても熱かったのか舌を出して冷ます者、に驚いて慎重に息を吹きかける者、とは違って腰に手を当て豪快に飲み干す者それぞれ。ウェウェイと夢中で珈琲で暖を取る島民のやり取りに、サティは思わずとも夢中になりかけていた。
彼らのイントネーションは大方理解できたのだが、法則性は全くあてにならず仮説は次々に立て替わっていく。解読するのは骨が折れる作業かもしれないが、言葉が理解できれば彼らの事をもっと理解することができ、助け合うことができる。
(常夏も極寒も自然現象。自然は敵でも味方でも無く、誰に対しても等しく平等です。
……必要以上に怖がる必要はないのだと、教えてあげられればいいですが)
怖がることは決して否定しない。怖れは大事な感情なのだから。しかし、それが少しでも和らいでくれたら、きっと今よりずっと生きやすい。
「さあて、どういった遊びにしようかな……」
雪玉を複数作り終えたサティはきょろきょろと辺りを見回し、手ごろな的を探してみる。間隔がちょうどよく空いていて、枝は細すぎない樹木たち。
「……、此処かも?」
サティの現在地から百二十センチメートル先にある木を一点、そこから右斜めに七十センチメートル離れた細長い木を五点。ついでにその隣に合った背の低い切り株、あれは……四点くらいだろうか。
試しに当ててみる的は自分の身長と大体同じくらいの距離ではあるが、案外遠くに見えるものだなと思いながらサティは体勢を整える。利き腕を大きく振りかぶり、手首のスナップを効かせて一球入魂!
「……む、意外と。難しい」
力強く投げた第一球は飛びはしたが的の先を行き、白い絨毯に埋もれて隠れてしまっていた。このゲームは単純な筋力よりはコントロール力が必要なのだろうとサティは考えながら第二球の軌道修正を行っている。
そんな古書に何をやっているんだろうと、珈琲を両手に抱えたクワトロコーヒーツインズウェイがやってきた。顔がクリソツなのは一卵性なのだからだろう。
「ウェエーイ? ……ウェ、ウェエイ!」
「ウェイエー……ウィエー?」
「うぇい? えー……と、そうですね。この雪玉を目の前の木、奥の木、その隣の切り株へと当てて点を競う遊びになります。
点の説明は……あれ、ウェイ。あれがウェウェウェウェイ。切り株ウェウェウェイ」
色白な指で方向を差し説明を行うサティに対してツインズウェイは大きくウェイっと頷いてみせる。
「ウェイ! ウェウェー、ウェイー?」
「え。ああー、やってみますか? では雪玉を……はい、ぞうぞ」
「ウェイ!? ウェエエエイ……!」
チャレンジマンな片割れウェイは雪玉の冷たさに一瞬ビクつくも、やってやろうじゃねーのと心を燃やして冷えに対抗した。ノットチャレンジウェイは三杯目の珈琲に口をつけ、首を揺らして片割れウェイの熱気からも暖を取っているようだった。あたたまりポインヨ発見である。
「ウェーーーーーーーーイイ!!」
「……あっ」
まさかの切り株へのクリティカルヒット。この片割ウェイ、なかなかのポテンシャルを持っているらしく、コントロール力を磨けば優秀なピッウェーになること間違いなしだろう。
ノットチャレンジウェイが称賛する一方でサティは対抗心を燃やしていた。どちらも初心者である条件は一緒だったはずなのに、自分より遠くの的に当てられるとちょっぴり悔しい。しかし、ムキにはならないぞと咳ばらいを一つ。
「こほん。中々やりますね、では……勝負といきましょうか?」
「ウェイ? ……ウェイウエーーーーイ。ウェウェイウェウウウエ」
二回戦開幕。先攻は片割ウェイ!! 雪玉を握り突き出すように投げるスタイルはいわゆるナックルボールに近いもので、コントロールに自信のあるウェイはこの魔球を制御しきっていた。
ほとんど回転しない球はまたしても切り株に吸い寄せられるかのように弧を描いて到着する!!
「ウェエーーイ……」
「点差は八点。ですが、僕だって負けていられません!!」
魔球を見てますます気合いが入るサティ。しかしノットチャレンジウェイがウェイっとサティの両肩をぽぽぽぽーんと叩いてきた。どうやら肩にも力が入っていたらしい。続けてノットチャレンジウェイはアドバイスだと言わんばかりに球を投げる動作を見せる。
「ウェエエーイ。ウイェ?」
「うん? ……うーん、掛け声でしょうか。うぇい?」
「ウェ!! ウェーーーーーーーーーーーイ!! ウェイウェイウェイウェーーーーーーーーー!!! イエウェイ!」
「なるほど、うぇいと叫ぶと気合いが入って飛ぶ……分かりました!!」
頷いたサティに頷き返したノットチャレンジウェイは四杯目の珈琲を啜り始める。ちなみにカフェインの取りすぎは普通に危険が危ないから程々に、しよう!!
「うぇーーーーーーーーーーーーーいっ!!」
サティ選手、再び一球入魂!! しなやかに曲がる雪玉は回転がかかっており、サティの目の前にある木の周辺をぐるりと回り、向かう先は右斜めの細長い木!!
「やっ……たーーー!!」
見事、ぶち当たった雪玉は破砕し姿を消すが、これでサティは五点取ったことになる!!
ノットチャレンジウェイとハイタッチ! 片割ウェイとだってハイタッチ!! 三人そそってトライアングルハイタッチ! ウェーーーイ!!
勝敗なんて関係なしに的当てゲームでボールが的に当たると誰だって嬉しくなってしまうのだ!!
「ウェーーーーーーーイ!!!」
「ウェウェウェウエーーーーーーーーーイ!!」
「いうぇーーーーーい!! …………ゴホンッ、失礼。ついはしゃぎすぎま――」
「ウェウェイウェウェーーー!!!」
「ウェウェウェウエーーーーーーーーーイ!!!」
「うぇっちょ、ちょっと!? うぇ、うぇ~~~~~~
?!?!」
そのまま胴上げだうぇっしょいうぇっしょい!! うぇっしょいしょーーーい!! バイブス打ちあがりのツインズウェイに翻弄されるサティと変わって一方その頃。
「うあばばばーーーーーーーーーーーっ
?!??!」
珈琲をゴヒの民草に振るっていたゲニウスは雪玉の集中砲火を浴びていた。雪壁から顔を出した途端に皆一斉に顔面目掛けて雪玉を投擲してくるものだから、ゲニウスの視界は一気に白に塗り尽くされて黒にも変わる。前が見えねえにもほどがあるぜ。
「はははははっ!! このままだと顔が霜焼けて、数日後には大変な思いをしてしまうのかな私!? 後できちんと軟膏を塗っておかないとだね。
今までずっとやられっぱなしだったわけだが、そろそろ反撃と行こうじゃないか! ちょっと卑怯かもしれないが、フライング・シュリンプを使わせてもらうよ。
だってグーとパーで別れた際に何故か私だけグーで孤立してしまった故、味方がいないんだ! でも面白かったなあ、あの光景……」
思い出に耽る主人の命令を待つ空飛ぶエビの大群等は、飛んでくる雪玉を器用に回避しながらホバリングを継続させる。まだかなーまだかなーと黒眼に灰髪を映してみるも、回想に入ってしまった故が命令がくるのは当分先だろうなと諦めてしまっていた。
――さて、みんな。体があったまっただろう? あったまりすぎて……あっつあつのホットウェイだろう!
――ウェエエエエイ!! イェエウェイウェー!
――てなわけで、雪合戦しよう! こう。雪を集めて……球ができただろう?
――ウェエイ。ウェイ?
――そうそう、そうしたらぶつける
――ウェイーーーーーーーーッ?!
――さあ、この寒さと低テンションからゲットアウェエエイ! かかってきたまえェイ!
ユーベルコード【眠れる力を呼び起こせ!】。ゲニウスのブロードウェエエイに同意した全てのウェイにはバトルオーラが付与されていた。
戦闘力が増加した彼らはウェーイ力も増しに増して気分はハーーーーーーーーイ!! リズムにもハーーーーーーーーイ!!!
カフェインガンガンあちーちあちちボディはホットホットオブヴォルケイノォォオオオオオオ! うおォんまるで人間火力発電所だ。
ゴヒの民が発熱すると島の気温もアガるもんだからあながち間違った表現じゃあない気がする。
「ん~……よし、私が囮になるから奇襲を頼むよ。くれぐれもケガをさせないように、手加減重視で!」
無事に過去から戻ってきてくれた主人の言葉に了承したフライング・シュリンプはゲニウスの元から離れて散開する。ゲニウス本人は雪壁から飛び出し、ゴヒの民草に雪玉をぶつけて彼らに挑発を仕掛けた!
「さあさあ、私はここだ、ウェーーーーーーーイ!! ……って、相変わらずすっごい雪玉の数だなあ~!!」
背中を見せるゲニウスに雪玉を投げつけるのは当然ウェイ。しかしウェイの無防備な背中を狙うエビィが空からやってきた!! 空爆はせず、同じ目線になって雪玉をぶつけてこようと突進してくるエビィの大群にウェイたちは翻弄されてしまう!
「ウェ、ウエエエ!!」
「エイエ!! エッッッウェ!?」
「ウェイウェイウェイウェ! ウッェイ!」
「よおーし、上出来だフライング・シュリンプ! 私も君たちに少しずつおかえししていくよ!!」
「イェウェウェウェウエーーー!!」
「あばらばーーーっっっ
!?!?」
ウェイウェーーーーーーッ! ウェエエエエエエエイ!! イウェウェウェーーーーーーー!!? うぱぽーーーーーーっ?!?
ぶつけぶつけられて島中を走り回っているうちに、ゲニウスも島民も身体は発熱して温まりポインヨを広げていく。白い大地はどんどん塗り替えられていき、終いにゃ高速道路までやって来ていてガンガンに灰色陣地を伸ばしていっていた。
その頃にはゲニウスも島民も、フライング・シュリンプだって息絶え絶えの限界殺生丸。サティスファクションエンドの向こう側へ行こうとする彼らの後を追ってきたサティとツインズウェイは、衛生ウェイとして飲み物やらタオルやらを戦い続けたウェイ系戦士たちへと配っていく。
「お疲れ様です、ゲニウスさん」
「やあ、サティ君。明日は筋肉痛が確定したよ、私は」
「島のシンボルがある地からだいぶ離れたところまで来ましたね……でも、見渡す限り、結構除雪できていると思いませんか?」
「まあ、ね。その除雪作業を行ってくれたゴヒの民草はスゴイよー。バテている私とは違ってピンピンしているし、先ほどから熱気がすごい」
「あれが本来の彼らの姿、なのかもしれませんね」
旅人二人の目に映るゴヒ族は最初に出会った頃の面影がすっかり消えたシャキシャキ白菜。みずみずしくウェイウェウェウェッショイとコールをしながら雪を溶かしていく彼らはもう雪なんて怖くねえ! 野郎全部溶かしてやらぁ!!!
怒涛の勢いを止めない島民を見届けるゲニウスは今の内にと英気を養い、サティは北側から聞こえる陽気でイケてる音楽に不思議に思って、高速道路の先にも島民が居るのだろうかと首をかしげたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御形・菘
はーっはっはっは! ウェーーーーーーイ!!!
妾、再臨!
テンション低いことを責めはせん
そういう時って、人生にたまにある!
そんな者たちを! 徹底的にアゲるために! 妾は在るのだ!! ウェーーイ!
やる気が無かろうが関係ない! 巻き込んでやろう!
問答無用で雪玉をぶつけて煽るぞ
妾は躊躇なく顔面狙い(手加減あり)ができる!
はっはっは、ハンデをやろう
左手とか尾は封印、妾は右手一本だ!
それにお主らのようなしょぼくれた者たち、頭数がどれだけ増えようとも関係ないしな?
妾の雪合戦での役回りは決まっておる!
ヘイトを稼ぎ暴れ回り、皆の心を束ねて、ド派手に散る!
雪に埋もれ沈もうが気にしない、皆が楽しければ良いのだ!
●ウェイウェウェーーーーッ!!
時は戻る。だーいぶ戻る。ダイブだけにってか~!? と上手いことを言ってみたかったがタイムダイブってなんだよ案件だったので何の成果も得られませんでした。
ゴヒ島はグリードオーシャンという世界の一部であり、グリードオーシャンに存在する島々は異世界から落ちてきたという所説がある。嘗て、コンキスタドールに支配されていたゴヒは猟兵たちの活躍によって平和を取り戻したはずだったのだが四季が回って冬が来た。氷神よりもずっとこわーい自然現象がやってきた!!
「はーっはっはっは! ウェーーーーーーイ!!!」
ヒャア!! 邪神さまだってやってきたアルネ
!!!!!!!! つまりはキマフュで彼女、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の配信を楽しみしている視聴者だってゴヒにやってきたといっても過言ではない。帰ってきた灼熱の島へ元気よく挨拶の弾幕だ、ウェーーーイっ!!
「妾、再臨ッ! 久々に訪れてみたゴヒ島は……寒い!! なーんと雪が降っては積もっておる!!」
灼熱の名が泣くぞと言わんばかりに大寒波。もはや此処は寒地獄。それは島民のテンションが低いことが原因であった。ご覧くださいよ島民の姿を!!
ワックスを使っていない髪はぺしゃんこプリン。上下スウェットにぬくいどてらを重ね着て、キャラもの靴下にド派手なスニーカーを履いた姿はあまりにもテンプレートすぎるド田舎マイルドヤンキーだった。……でもコレはコレでアリじゃんよ!? 萎びているけども。
「………………ウェイ」
「……ウェ?
………………ウエーー……イ」
「………………、……ウェ?」
萎びすぎたあまりに声が小さくなったの耳が遠くなったのか、聞き逃しては聞き返す島民たちの具合はしょぼっしょぼのしなしなリンゴ。熱気を奪われた彼らの水分は60%は超えていたとしても、やる気スイッチは水没していて探せやしない。
そんなテンションバリ低限界問題どすこい白菜委縮丸を見つめる金眼は、彼らを決して責めることなどしなかった。強く光る星の輝きを覆う鋭い心眼はギラギラと激しく、しかしながら底には慈しみという核がある。
人生を説明するのは難しいし、例えるのも厳しい。だが気落ちする時ってのはたまにあれば、結構ある。そりゃあテンションが低い時なんて無い方がいいのかもしれないけれど、ひとの感情を否定するのはかなしいことである。感情とは縛られるものではないのだから。
――だが、このまま放っておくだなんて。実に冷たい選択ではないだろうか? それこそかなしい世界ではないか!?
「今日は悪が物理的に蔓延っている様子はない。が!! よしんば『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』は配信中!!
妾にカメラが回っている限り、お主ら全員ッ妾に巻き込んでやるまでよ!!!」
だって世界は妾の物。故に島民だって妾の物!! 邪神様のお通りだ
!!!!!!!!!
「やる気が無かろうが関係ない! そんな者たちを!!! 徹底的にアゲるために!!! 妾は在るのだ!! ウェーーーーーイ
!!!!!」
白い地面に横たわるテンションバリ低限界問題どすこい白菜委縮丸。ダークサイドに落ちかけようとしていたウェイたちに対してダークヒーローは問答無用で雪玉の空爆を仕掛けるし、躊躇なしに顔面狙いでぶつけるぞ!!!! こいつは悪(ワル)ですねえ
!!!!!!!! 悪魔(デビル)ですよお
!!!!!!!
「ヴェベンっ」
「ヴェー?……ヴェヴェウェ!? イッブヴェーーーーーー!?!」
「ウェヒーーっ!? ウェ、ウエ!? ウェエ………ェエエイ
!!!?」
「はーっはっはっはっは!!!! ウェーーーーーーイ!!!! 手加減ありでも顔面を攻撃されるというのは驚きだろう。恐怖だろう!!
妾は何かって? この島を再び寒さで支配しようと目論む邪神たる者よおーーーーっ
!!!!」
「「「「ウェ
?!?!??!!? ウェンウェウェェーーーーーーーーーーーーーーーーッ
!!?!?」」」
ななななんだって~~~~~~~??!! そいつはマズイぜすっとこどっこい!! と、だらけていた島民たちはとりあえずスタンドアップしたものの、昔に虐めてきた氷神より強そうだしその割には味方オーラがハンパなくて、島民たちはちょっと判断に迷っていた。でも雪をぶつけてきたからもしかしたら悪い奴なのかも?
「ウェ~~
……???」
「ウェンウェウェウェウィ、イイイウェ、エエウェイ」
「ウェウェウェ、ウェッ。ウェッショイショ?」
「ウェ!? イイエェイ!」
「「「…………ウェーーーイ
???」」」
「うむうむ、雪玉を急にぶつけられても怒ることなく、好意的に解釈するその漢気あるフレンドリーマインド。と~~~~ってもイイ長所であろう。
だがしかし、妾は攻撃をやめないぞ! ヴェヴェーーーーーーーーーッ!! 妾はウェイを超越するッ! ゴヒの民よ、お主たちのピュアなハートでだァーーーーーーッ!!」
「「「ウェッウェウェウェーーーーーーーーーーー
!!?」」」
首を右に左にとフクロウよろしく運動させる島民たちに対して、判断が遅いと平手打ちするが如く御形は再び雪玉の弾幕をまき散らす。でえじょうぶだぁ、顔面セーフだし手加減もされてるべ。キズは浅いさ唾でも付けとけか~~~~っぺ!!
その甘ちゃん思考は楽観的でイイかもしれないが、騙されやすいってのは何かと危ないもんだ。守りたいね、無辜の民。
「はーっはっはっはっは
!!!!! 希望ゥーーーに身を委ねるがいィスイートピュアウェイどもォォオオーーーーッ!!!」
「ウェっっっウェイ~~~~~!!?」
「ウェ…………ウェエエエエエエエエエエエエイっっ
!!!!」
「……ん~~~~っ!? なんだァこの雪玉は~~~ッ!! やっと妾に反撃してくれたな? いいぞ、実にイイぞ!!」
おお、スイートピュアハートのウェイたち。一方的にやられてしまうとは情けない。とでも思ったか!?
相手が強そうなヤツだからって、負けるとわかってるからって!! スイートピュアウェイは勇気を持って戦わなくてはならない時があるのだ。だから光の戦士はちゃっちいぽけぽけ雪玉を冷えに怯えながらも投げたのだ。その小さな一歩は大きな一歩!! ウェイちゃん、明日って今さ!!
「はっはっは……ハンデをやろう。左手とか尾は封印、妾は右手一本だ!
それにお主らのようなしょぼくれた者たち、頭数がどれだけ増えようとも関係ないしなァ~~~~~~!?」
「ウェイウェ~~~~
?!?!??」
「ウェイ、ウェウェウェウェーーーーーーー!!!」
「「「ウェッショーーーーーーーーーーーーーーーイ!! ウェッショイショーーーーーーーーーーーーーイ
!!!」」」
ヘ、ヘイト稼ぎ……! 挑発にまんまと引っかかったウェイも居れば仲間を呼びにいったウェイもいるし、だらけの抜けたライトサイドウェイはぶんぶんハロー雪玉を投げてくれている。
邪神様のゲリラライブを見に来てくれている視聴者キマイラたちはコメント欄で「ウェイたちがんばえ~~~っ!!」と島民を応援する者も居れば「常勝邪神!! 常勝邪神!!」と御形を応援する者もいて、煽りは一斉見当たらないククク我らに勝てるかな賑やかコメント応援合戦が始まっていた。
御形がにやりと笑ったのは、果たして何に対してであろうか。
「さあ、かかってくるがいい。灼熱のゴヒに生まれし者たち!!! 実は寒いのがちょっぴり苦手な妾は一斉攻撃されたらやられてしまうかもしれない。が!? しかーーーーーし!!!!
今のお主たちの団結力は果たして如何程か!!! 急に集められたメンツでどれだけ太刀打ちできるのか!!! 試させてもらおうか
!!!!!!!!!」
さあ、ラスボス様との戦いだ
!!!!!!! 攻略のヒントにきちんと耳を傾けた故か島民たちの団結力は凄いぞ、こ奴ら集団戦を心得ているのか、邪神様をぐるりと囲んできたではないか!! 囲んで叩くは古来より伝わる狩りの手法。古事記にもそう書いてある。
しかし、ラスボスはタフでタフで強くて強い!! なんで二回言ったかって? 第二形態があれば第三形態もあるからだ。
「ウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイーーーーーーーーッ!!!」
「はーはっはっはっはっは!!! なるほど、なるほど! ラッシュの速さ比べか。右手のみとて妾は負けぬぞ!! ウェーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!」
「イイイイイイイウェエエエエエエエエエ
!!!!!!!!!!!!!!!」「ウェイウェウェーーーーーーーーーーーーーー
!!!!」
「な、なにぃーーーーーーーーーーーーーっ!? タイマンではなく、三人同時攻撃だとォ!!?」
「ウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェイウェーーーーーーーーッ!!!」
「はーーーーーーーーーーーーーーーーーはっはっはっはははあ
!!!!!!!! 皆、心を束ねておるなあ!! 楽しいか? 妾は楽しいッ
!!!!!!!!」
楽しいから
!!!!! 雪に埋もれ沈もうが気にしない。ヘイトを稼ぎ暴れまわった邪なる神は、いずれは討たれるものなのだ。
皆が楽しければソレで良い。皆の笑顔を確認できたならば、最後はド派手に散るまでよ。それが妾の役回り! だって妾、真の蛇神にして邪神たるもの!!
「WAYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYyyYYYYYYYYYYYYYYYY-------------っ
!!?!??!?!」
派手な火薬をまき散らしたキマイラは爆発四散っ
!!!!!!!!!! カメラからも島民からも映らぬようにすっかり消えた
!!!!!!!!!!!!!
あ、でもよく見たら眼帯落ちてますね。ドロップアイテムですよこいつはァ!! ラッキーーーーー!!!
「「「「「「ウェッショーーーーーーーーーーーーーーーイ
!!!!!! ウェッショイショーーーーーーーーーーーーーイ
!!!!!!!!!!」」」」」
おめでとうゴヒの民!! おめでとうゴヒキュア!! 島民たちには見えない歓声のコメントは、どっかの異世界にて溢れ流れて蓄積されて、やがてうなぎ登りの再生数へと至るのです。
一仕事を終えた御形は、予備の眼帯あったけな~と、天地通眼の届かぬ場所にて荷物を確認するのであった。
●ウェーーーーウェーウェウェウェイウェイウェイウェ
!!!!!!!!!
もうちょっとだけつづくんじゃ。此処は超・絶! 冒頭の高速道路、仮設式SHEKIGAHARA会場。ほら、天下ウェけめイのどちらがより多くの雪を溶かせるか選手権が始まろうとしていたんですよ。
「ウェーーーイ!! 実況兼解説は妾、御形・菘が務めておるぞ~~。北のヒップホップに南のサンバカーニバル! どちらも引けを取らない美しさと賑やかさ!!
ゲレンデのように積もっておった雪が面白いほどに溶けるわ溶ける!!」
やっべもう始まってんじゃ~ん!? 高速道路といえばストリートダンスである。だから北と南で分かれて集団ダンス対決が行われていたんですね。
先陣切ってブレイクダンスをしている北の猟兵はベーゴマの如く黄金の回転を魅せており、よくよく注視してみると、御形がよく知っている顔をしていていました。前よりウェイに磨きがかかっているというか、ウェイ過ぎて気づかないほどに溶け込んでいた彼女に対し、御形は大きく頷きグッドサイン。気づいたウルトラセイントウェイは、セイヤセイヤッサとニッコリダブルピースを返してくれました。
一方南側の猟兵たちはサンバなのに神輿だわっしょいと担がれており、御形が手を振ってみると一人は大きく元気よく両手でブオンブオン手を振り返してくれて、もう一人の方は照れくさそうにしつつも小さく手を振り返してくれました。
「うむうむ。天地で島全体をグルリとみて回ったが、島民たちはすっかり寒さを克服しているんじゃあないか??
皆も見たであろう。雪だるまやカマクラだってあれば、氷像だって作っていた!! これはかなりスゴイことである!!」
ゴヒにとって、氷像とは恐怖の象徴であった。島のシンボルである土鍋の代わりに無理強いを迫られ作ったコンキスタドールの形をしたソレは、支配から解放された今ではすっかり跡形も残らずに溶けてなくなっていたものの、ひとの記憶からは簡単に消えないものだ。
だから雪を恐れた。寒さに怯えた。冬が近づくにつれて毎日のようにびっしりとつく窓の結露は、まるで身にもこびり付いているようで、拭き取っても。拭き取っても、自然には敵わない。
だが、自然とは戦わなくていいのだ。自然とはともに生きるものである。勇気を振り絞って触れてみて、曇ったガラスに線を描けば文字にもなるし、絵もなる。
そうして遊んで触れてみて、少しずつ溶けて溶かして溶かされて。解ってしまえば、こわくない。
「熱気を取り戻した灼熱のゴヒに雪は残らないだろう。が、しかし~? 思い出は残る!!!!
それも楽しかった思い出だらけが残る!! 雪遊びができないことを惜しむほどにだ!!
それはとっても、と~~~っても!! 素晴らしい前進であると妾は、思うぞ」
「ウェウェウェーーーーーーーーーー!! ウェウェウェーイ!!」
「おっ? 島民が妾を呼んでいる!! 暫しの間、離席するぞ!」
配信をミュートせずに行う邪神様の行く先に対し、視聴者たちは「いいな~~」とコメント打っていた。
天地は彼女に火鍋が振舞われる姿を捉えていたのだから、それ故おなかを鳴らした複数人によって、キマフュではこれから火鍋ブームが巻き起こるのかもしれないが、それはまた別のお話なのだろう。
いただきます!! と、御形の食の感謝が、グリードオーシャンのみならず、異世界の向こうにも響き、伝わり。伝われたのであった。
大成功
🔵🔵🔵