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そらへとかえるひかり

#カクリヨファンタズム #お祭り2020 #クリスマス

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#カクリヨファンタズム
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#クリスマス


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●おとずれ
 それは月の無い夜のこと。
 カクリヨファンタズムのとある山間の村では。ちらちら、はらはらと。空から白い雪が舞い落ちていた。
 それらは深々、降り積もり。ゆっくりと家屋や大地を白く染め上げていく。
 その様を、黒い毛並と金色の瞳を持つ、1匹の猫が窓から静かに眺めていた。しかしその猫の尾をよく見たなら、2つに分かれている事に気づくだろう。そう、この猫は猫又なのだ。
 黒い猫又はただただ白くなりゆく村を、じっと眺めていた。けれども、何かを待っている様でもあった。
 しばらくして。雪は止み、耳が痛いくらいの静寂が村を包む。猫又の瞳は村外れにある森の方へと向いていた。森はよく目を凝らさないと気が付かない様な、小さく儚げな白い光球がちらちらと輝いていた。
「そろそろ、雪蛍達が空へと昇る頃になったのだにゃあ……」
 どさどさどさどさっ!!
「にゃっ!! にゃんにゃのだ今の音は!!」
 その光を認めた猫又が何処か嬉しそうに金色の瞳を細めたその時。空から雪の塊が降ってきて、村を埋めた。

●そらへとかえる
「師走の忙しい中悪いんだけれど、ちょっとお願いがあるんだ」
 グリモアベースの片隅で。髪飾りの鈴をしゃらと鳴らして、月華が猟兵達に声を掛ける。
「んとね、カクリヨファンタズムにある1つの村が雪で埋っちゃったんだ。カタストロフのせいなんだけど。だから、助けてきてあげて欲しいんだ」
 月華曰く、村は文字通り雪に埋まってしまっているとのこと。家屋の屋根が顔を出している程度で、もし中から扉を開けたらホワイトアウトしている状態だと言う。
「このまま見過ごすと、村ひとつか地図から消えることになりかねないから……簡単に言えば、大規模な雪かきだね」
 雪掻きは住民や家屋に危害が及ばなければ、どんな方法でも良い。因みに外に出られる者達が既に雪掻きしているが、進捗は芳しくない。
「とにかく大量の雪を相手することになるから……素早く沢山片付けられる方法があればいいかもね」

「でね、その村は雪蛍の名所なんだって。あ、雪蛍っていうのはね。その雪で埋まっちゃっている村……正確には村の近くの森で見られる蛍なんだ」
 蛍と言っても昆虫の蛍ではないのだけれどもと続けて。月華は袖の中から白い手帳を取り出すと、雪蛍について軽くまとめたページを開いた。
「雪蛍って言うのは、毎年師走の下旬に、その村外れの森に現れる、白く光る小さな妖怪なんだ」
 この雪蛍という妖怪はほとんどの期間を土の中で過ごし、今くらいの時期になると雪の降り積もった地面からふわりと現れるという。
「なんかね、警戒心は無いみたい。かと言って、人懐っこいわけでも無いんだって……例えるならば、好きに飛べる綿毛みたいな感じかも」
 自由気ままに、飛びたければ飛び、羽を休めたければ休む。そんな妖怪らしい。そして、夜明けが近くなると皆一斉に空へと昇る。その様は光が空へと還るような、幻想的な光景だそうだ。
「それはとても綺麗な光景なんだろうね。でね、森に行く時に気をつけて欲しい事があるんだ。雪蛍達は自分たち以外の光を嫌う気があるんだって。だから、森の中では出来れば明かりは使わないで欲しいんだ。けど明かりは無くても大丈夫みたい。雪蛍の光だけでも十分に明るいくらいに、沢山飛んでいるそうだから……ね、さくっと雪を片付けて見に行ってみない」
 そう言って。月華は猟兵達へと小首を傾げて、お願いと誘いを掛けるのだった。


雪月キリカ
 お目にとめていただき有難うございます。はじめまして、もしくは結構お久しぶりです。雪月です。
 ゲンジボタルの学名はLuciola cruciataと言うそうですね。赤い部分に黒く十字が入っているからだそうで。一体誰を慰めたいのでしょうか。
 それと、OPに出てくる猫又は村長です。

 さて、ざっくりと説明をば。
 冬の蛍狩りのお誘いになります。が、その前に大規模雪掻きをして頂く事になります。
 雪掻きをして頂く時間帯は昼。雪掻きを手伝うと村長から金平糖が貰えます。けれど雪掻きについては割りとさくっとさせますので、どのように雪掻きするか記載して頂ければ大丈夫です。雪蛍を見るのがメインですから。

 雪蛍を見る場所は村外れにある森になります。
 そこでは雪蛍達がふわふわ飛んでいます。結構沢山。
 時間帯は夜から夜明け前になります。雪蛍は夜明け察知すると、空へと昇り始めてすっと居なくなります。

 良識の範囲内でご自由にどうぞ。
 けれども。あっ、これはちょっと無理かもと判断したらその時はごめんなさい。

 もしかすると再送の御手間を取らせてしまう可能性があります。それでも構わないよ!! というお方向けになるかもです。
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第1章 日常 『カクリヨファンタズムのクリスマス』

POW   :    カタストロフを力ずくで解決して、妖怪達とクリスマスパーティーを楽しむ

SPD   :    カタストロフから妖怪達を救出して、クリスマスパーティーを楽しむ

WIZ   :    カタストロフの解決方歩を考えたり、クリスマスパーティーの企画や準備をする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

舞音・ミケ
寒い……やだ。
けど、猫が困ってる。助けないと。

雪かき……。
やっ(猫パンチでぱしぱし雪を飛ばす)
……つめたい!
やややややっ……ううう……(涙を堪えながら連続猫パンチ)
駄目……こたつ……こたつはどこ……。

なら少しずつ邪魔にならない所に運ぼう。
寒さに強い猫たちといっしょに。
道具が借りられればそれで、
無ければ服とかで無理やり運ぶ。
びしょびしょになるけど。冷たいけど。

雪が何とかなったら……家に、屋内にお邪魔させて……。
このまま外にいたらわたし、凍る……。

雪蛍だっけ?
窓からでも見える?

ふわふわなのかな。
つついてみたいな。
雪が無くなったらまた来たいな。

とりあえず今日はここからでいい……ここからがいい……。



●猫ソリ……?
「寒い……やだ」
 ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)は寒さに震えながら呟く。
 猫が困っているならば見捨てるわけにはいかない。その猫が妖怪でも、幽霊でも。その為に、先ずは雪かきして村を掘り出さないといけない。
(「雪かき……」)
 雪を見上げ、どうやって退かそうかと少し考えると。ミケはおもむろに右手を握る。
「やっ」
 そして掛け声からタイミングが僅かにずれたところで。ぱしっ、という音と共に小さく雪が飛んだ。ミケは猫パンチで雪を飛ばしたのだ。
(「……つめたい!」)
 それでもミケは涙を堪えながら、連続で猫パンチを繰り出す。
「やややややっ……ううう……」
(「駄目……こたつ……こたつはどこ……」)
 正直、寒かった。今すぐにでもこたつに潜り込みたかった。
『お嬢ちゃん、その恰好じゃ寒いでしょう。褞袍と手袋貸してあげるから、着なさいな』
 肩を抱いて震えていたミケを見かねたのか、橙色した褞袍と手袋を抱えた化け狐の村人が声を掛けて来た。
「ありがとう……」
 礼を述べ、化け狐から大きな褞袍と手袋を受け取って羽織るミケ。序でに雪かき用の道具も借りられないかと尋ねてみれば、化け狐は『ちょっと待ってなさいな』と一旦何処かへと向かう。そして少しの間を置いて戻って来た化け狐は、雪かき用のスコップと子供用のソリをミケに手渡した。
 スコップで雪をかいて、ソリで運び出せという事だろう。
 ミケは雪の壁へと向き直ると、スコップでごすごすと削って雪をソリへと乗せていく。そうしてソリにある程度の量を乗せた所で、寒さに強い長毛の猫霊達を喚び出した。
「このソリに乗っている雪を、村の外側に運び出して」
 にゃあ、にゃんと猫霊達は返事をすると、そりを引きずって遠ざかっていく。そうやってミケは、猫霊達と協力しながら雪かきを進めていくのだった。

●猫は炬燵で
 時刻は空が焼ける夕暮れ時。皆の協力あって、雪かきは殆ど終わっていた。
「家に、屋内にお邪魔させて……このまま外にいたらわたし、凍る……」
 ミケは村長である黒い猫又を見つけると、暖かい屋内へと上がらせてくれないかと頼み込む。因みに褞袍セットは返却済みである。つまり、現在ミケは薄着だ。
『その気持ちはとても分かるのにゃ……吾輩の家に上がるといいにゃ』
 もしかしたら村長も寒いのかもしれない。そしてついて来るにゃと踵を返して、ミケを自宅へと案内した。

「おじゃまします」
 村長の家に上がったミケは、村長と同じタイミングで炬燵へと滑り込んだ。猫仲間、考える事は同じらしい。
 首から上を出して、こたつむりになって。ミケはそういえばと口を開く。
「雪蛍だっけ? 窓からでも見える?」
『そこの窓からだったら、雪蛍の森を見ることが出来るにゃ。今日は沢山飛んでいるだろうからにゃ……少しばかり遠くからでも見える筈にゃ』
 そう言って村長は、こたつから二股尻尾を出すと。その先で丸窓の方を指し示す。尻尾の先を追って視線を向けた先。何かが白く、儚く輝いているのが見えた。
 あの白い光は、ふわふわとしているのだろうか。つついてみたら、どうなるのだろうか。
(「……雪が無くなったらまた来たいな」)
 だけど、雪が無くなったらもういなくなっちゃっているかな……等、頭で巡らせていたら、村長に声を掛けられた。
『にゃあ。おみゃーさんは、森に行って雪蛍を見にゃくていいのかにゃ?』
「とりあえず今日はここからでいい……ここからがいい……」
 窓から見える白い光から目を離さないまま、ミケは村長の問いに返す。
 寒いのはもう充分。今はこたつのあたたかさを、堪能していたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・源次
【煉鈴】
(義体の性能を生かした疲れを知らない雪かきを難なくこなし、それからの雪蛍探索。とやら。UDCアースの都心に住む自分としてはこれだけの積雪量を見るのは珍しく、新鮮味を感じる。雪を一掴み掬ってじっと見つめてから伴へ目を向け)サギリ、お前は全体的に白いのでこの景色に溶け込むようだな。アナライザーとインターセプターを持ってすれば直ぐに見つかるのだろうがはぐれるのは得策ではない。離れるな。

(雪蛍達を目の当たりにして、感情を表すことの無い機械の眼球のレンズが収縮する)…俺の義眼に涙を流す機能が備わってたのならば、きっと涙を流していたかもしれない。良い景色だ。

分からん…が、穏やかなところであればいい


サギリ・スズノネ
【煉鈴】
こいつはすげーのですよー!
雪かきならー故郷のエンパイアでもよくやっていたのです
スコップをお借りしてーサクサクいくのです!
『陽光ノ神楽』でー、ちょっとだけ動きやすくするのですよ!

雪かきを終えたら雪蛍を探すのです!
はっ!そうなのですよ!これならサギリもカメレオンのようになれるのです!
合点なのです、お兄さん!離れないようにー、進むのですよ!

◇雪蛍を見つけたら
頂いた金平糖を口の中でころころさせながら、雪蛍を眺めます。
はいなのです、とっても綺麗景色なのです。心が震える、とても素敵な景色なのですよー!
夜明けと共に、空へと昇っていく雪蛍。
お兄さん、あの子達はー、どこへ旅立って行くんですかねぇ。



●ドカ雪は隔年で降る気がします
「こいつはすげーのですよー!」
 雪に埋まってしまっている村を前に、サギリ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)は髪飾りの鈴をりんりんと鳴らして驚きの声を上げる。故郷のサムライエンパイアでも雪かきはよくやっていたものだから、そんな難しい事ではない。けれども、エンパイアでもこれだけのドカ雪は降らなかったように思う。
 一方、源次(DEAD SET・f14403)は物珍しそうに、多量の雪を眺めていた。居住しているUDCアースの都心に雪が降らないわけではない。ただ、降ってもすぐに溶けてしまうか融雪剤を撒かれてしまう為に、これほど積もっている雪を見る事は中々無くて。故に新鮮味を感じていたのだ。
「お兄さん、雪かきサクサクいくのです!」
 源次が声の方を振り向けば、サギリがスコップを差し出していた。近くにいた村人に雪かきを手伝う旨を話し、2本分を借りてきたのだ。

 源次は義体の性能を活かして、効率よく、疲れる事無く雪かきをこなしていた。難無くスコップの先を雪に割り入れ、ざく、ざくと雪をかいている。
 サギリも負けじとスコップを雪に割り入れるのだが、人の身故にか繰り返している内に疲労が溜まってしまう。少し一休みとスコップを雪に刺し、持ち手に顎を乗せたサギリは、何かいい方法はないかと思考を巡らせ、ひとつ思いついた。
「よーし、ちょっとだけ動きやすくするのですよ!」
 サギリが両手を広げれば。辺り一帯にひらり、はらはらと花弁が舞い始めた。それは透き通った陽光で出来た桜の花弁。その桜吹雪が舞った一帯は、陽光の降り注ぐ場所と同じ環境になる。
 その環境に適応出来る者は行動成功率があがる上に、陽光効果で寒さが緩和される。寧ろ環境に適応出来ないという方が難しいもので、必然的に一帯に居た者達の雪かきが捗る。
「……あまり無理はするなよ」
 やる気全開でざっくざくとスコップを振るうサギリへと源次が声を掛ければ、「だーいじょうぶなのですよ!」と返って来た。

●こころふるえる
 陽が西に沈み切る前に、無事に雪かきが終わり。そして猫又村長が金平糖を配り歩いて、陽が沈み切った頃。
 村の入り口にある石燈籠の灯りの下で源次はおもむろに屈むと、雪をひと掴み分掬う。そして手のひらの白をじっと見つめてから、サギリの方を見た。サギリは猫又村長から貰った金平糖を手に、満面の笑みを浮かべていた。
「……サギリ、お前は全体的に白いのでこの景色に溶け込むようだな」
 源次のその言葉を聞いたサギリは、瞬時にハッとした顔をする。
「はっ! そうなのですよ! これならサギリもカメレオンのようになれるのです!」
 雪は、白い。サギリも、全体的に白い。もし、サギリが雪原に駆け出したら溶け合ってしまうだろう。
 だが源次の左目のアナライザーと腕時計型のインターセプターを以ってすれば、例え溶け合っても直ぐに見つけ出すことが出来る。
 けれども。
「はぐれるのは得策ではない。離れるな」
「合点なのです、お兄さん!離れないようにー、進むのですよ!」
 逸れぬ様に横に並んで、雪を踏みしめながら。サギリと源次は雪蛍の森への道を歩く。

 森へと足を踏み入れた2人の前に広がっていたのは。ふわふわと白く輝く雪蛍達が自由に、時折明滅しながら森の中を飛び交っている光景だった。明滅する様は柔らかな光の波を連想させ、息をするのも忘れてしまいそうな神秘的な世界だった。
 その光景を見た源次の眼球のレンズが、微かな機械音を立て収縮する。それは本来感情を表すことの無い機械が、感嘆したかのようだった。
「……俺の義眼に涙を流す機能が備わっていたならば、きっと涙を流していたかもしれない」
 源次が手を雪蛍へと手を伸ばしてみれば、1匹がその指先に止まる。けれども長居せず、雪蛍は直ぐに飛び立つ。
「良い景色だ」
 その雪蛍が飛んだ先を目で追いながら、心の底から生まれ出でた言葉を声にする源次。
「はいなのです、とっても綺麗な景色なのです」
 サギリもそれに同意して、大きくうなずく。
「心が震える、とても素敵な景色なのですよー!」
 難しい言葉や装飾は必要ない。美しいものに出会った時は、言葉を忘れてしまうものなのだから。

 ふと思い出したように。サギリは村長である猫又から貰った金平糖を、懐から取り出した。摘まんだ金平糖を口に含み、ころころと転がせば、口の中に素朴で優しい甘さが広がった。
 サギリはそれを味わいながら、ふわふわと雪蛍が舞う様を眺める。近くの樹の枝に羽を休めたその姿を観察してみれば。触れたらふわふわとしていそうな、綿毛みたいな姿だった。
 すると1匹、また1匹と。雪蛍達が空へ向かってゆっくりと舞い上がりはじめた。それは、そろそろ夜明けが近くなったという報せ。いつの間にやら、森に足を踏み入れてから結構時間が経過していた様だ。
 空へと昇る雪蛍の数は次第に増え、遂には殆どの雪蛍が空を目指し始める。皆真直ぐに空へと向かうものだから、サギリと源次は光の柱の中に居るのではないかと錯覚しそうになった。
「お兄さん、あの子達はー、どこへ旅立って行くんですかねぇ……」
「分からん……が、穏やかなところであればいい」
 サギリは視線を天から離さぬ源次の方を見た後、また雪蛍達を見上げる。そしてぎゅうと源次の袖を握って、天上には安寧の地がありますようと願いながら、雪蛍達を見送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウイシア・ジンジャーエール
●小宮・あき(人間の聖者・f03848)

幻想的な光景が見れると聞いて。
私は座っているだけでいいの?

あなた、ユーベルコードの子ね。
頭を撫でてほしいの?かわいいこね。

雪は一か所に集めて。造形にすると体積を減らせるかも。

私と遊びたい子、雪だるま、一緒に作りましょ。
真面目にする子、あの道は交通量が多いから、優先的にね。

猫又村長さん、かわいい。
金平糖ありがとう。

手をつなぎ、森へ。
他の灯りは無いから、足元に気を付けて。暗視12、視力12。

綺麗。
初めて見たわ。
この世界も、初めて。
あなたも初めてだったのね。

誘ってくれてありがとう。
今年最後の思い出をありがとう。
あなたと沢山の思い出をつくれた。

私、とても幸せよ。


小宮・あき
ウイシア(f09322)と。
雪掻きは私がやるわ、ウイシアは指示出しをお願いね。
終わったら、一緒に蛍を見ようね。

◆雪掻き
UC【戦場のハレム】で89体の私そっくりの人間を召喚。
89体+私で、雪掻きをしていきます。
そこ、サボらない! 観光に走らない!
ああ、ウイシアにひっついて何遊ぼうとしてるのおお!
召喚体は私自身。2割くらいの分身体は自由に動き回るでしょう。
仕方ない、残った分身体で雪掻きを進めていきますよ~!

◆雪蛍
他の灯りを嫌うんでしたね。
ウイシアと手をつなぎ、森へ。
ふわふわの綿毛が舞う…、なんて幻想的な光景なのでしょう…!
ベンチになりそうな木があれば、そこで2人座り、穏やかに過ごします。



●自分だけれどやきもちを焼く
「雪掻きは私がやるわ、ウイシアは指示出しをお願いね」
 あき(人間の聖者・f03848)はウイシア(探索者・f09322)の手を引いて、丁度良さそうな岩へと座らせる。
「私は座っているだけでいいの?」
 その言葉を聞いたウイシアはきょとんしとした顔をしたが、あきがそう言うならばと素直に従う。
 そしてあきはウイシアに背を向けた。しかし少し進んだところで一旦立ち止まる。
「雪かきが終わったら一緒に蛍を見ようね」
 くるりと振り返ったあきに笑いかけられたウイシアは、こくんとうなずいた。

 ここは人海戦術ねと。あきは『戦場のハレム』で89人にも及ぶあき自身を喚び出し、雪かき作業を開始する。ウイシアも分身体達へと、指差しながら効率よく雪かきが出来るよう指示を出す。
「雪は一か所に集めて。造形にすると体積を減らせるかも。あの道は交通量が多いから、優先的にね」
 術者本人である、あきと合わせて90人。これだけの人数が居れば、雪かきの作業も捗る……。
「そこ、サボらない! 観光に走らない!」
 かと思いきや、あきの注意が分身体に飛んだ。分身体全員が全員、真面目に雪かきを行うという事は無かったのだ。未知の白銀世界に、つい興味惹かれて観光に走ったり。少し作業して、直ぐ一息ついたり。中にはウイシアに近寄る分身体も居た。
「あなた、ユーベルコードの子ね」
 近寄って来た分身体のあきに、ウイシアは声を掛ける。分身体はうなずくと、ウイシアの隣に座りぴとりと寄り添う。
「頭を撫でてほしいの……? かわいいこね」
 そう感じたウイシアは、分身体の頭を撫でる。それを見たあきは、思わず声を荒げる。
「ああ、ウイシアにひっついて何遊ぼうとしてるのおお!!」
 分身体は自分自身なのだから、2割くらいは自由に動き回るだろうとあきは予想してはいた。予想はしていたけれども、ウイシアにくっついている分身体に、やきもきせずにはいられなかった。
(「仕方ない、残った分身体で雪掻きを進めていきますよ~!」)
 雪かきを終わらせ、ウイシアと雪蛍を見る為に。拳を握ってあきは気合を入れるのだった。
 一方ウイシアは分身体に寄り添われたり、頭を撫でたりしながら。遊びながらでも出来る除雪の方法を思いついた。
「雪だるま、一緒に作りましょ」
 その言葉に分身体達は瞳を輝かせて。ウイシアの手を引き、はしゃぎながら雪だるまを作り始めたのだった。

●月下美人に寄り添う光
 夕刻には雪かきも終わり、村全体が顔を出した。雪かきの礼として、金平糖の小袋が詰まった鞄を背負った猫又村長が、それを皆に配り歩いている。
(「猫又村長さん、かわいい」)
 配り歩きをしている村長を、ウイシアはじっと見つめた。勿論、2人の許にも村長はやってきた。
「金平糖ありがとう」
 小袋を受け取って礼を述べれば、村長は二股尻尾を振った。
 そうして、陽が沈んだのを見届けて。ウイシアがあきの手を取れば、あきは優しく握り返す。
「足元に気を付けて」
 森への道は灯りが無く、暗い。けれどもウイシアの瞳をもってすれば、夜道を歩くことなど造作も無い。お互い離れぬ様に雪蛍の森への道を進めば。先の方向に白い光が飛び交っているのが見えた。

 白い光に誘われるように、森へと踏み入れた2人の瞳に映ったのは。白く輝く綿毛が、時折明滅しながらゆっくりと空を舞う幻想的な光景だった。2人はその光景に、つい見惚れてしまう。
「ふわふわの綿毛が舞う……なんて幻想的な光景なのでしょう……!」
「……綺麗。初めて見たわ。この世界も、初めて」
 あきがこの世界で見ることが出来ると言っていた『幻想的な光景』とは、ふわふわとした光が舞うこの光景だったのだとウイシアは理解した。
 ウイシアはこの世界と近いUDCアースにはよく訪れていたが、カクリヨファンタズムの地を踏むのは今回が初めてだった。「そういえばあきはこの世界は……」とウイシアが尋ねようとして、けれどもその先を言葉にする前に。あきは「実は私もなの」と、小さく笑った。
「あなたも初めてだったのね」

 丁度よく座れそうな倒木が、2人の目にとまり。その倒木の雪を掃うと並んで座った。ウイシアもあきも、しばらくは無言で雪蛍達を眺めていた。
 2人を避ける事無く、ただ、気ままに。雪蛍達は森の中を音も無くふわふわと飛び交う。
 不意に、ウイシアの髪に咲く月下美人に雪蛍が羽を休めた。花に寄り添った光を見たあきは、顔をほころばせる。その笑顔を認めたウイシアは口を開いた。
「誘ってくれてありがとう。今年最後の思い出をありがとう。あなたと沢山の思い出をつくれた」
 きゅっと、あきの手を握って。ウイシアは言葉を続ける。
「私、とても幸せよ」
「私もよ、ウイシア」
 ウイシアの言葉にあきもうなずく。
 寄り添いながら、穏やかに。あきとウイシアは夜明けまで、幻想的な時間を過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
お昼のうちに雪かきを終わらせないといけませんね。蛍狩りに間に合わなくなってしまいます。
ここは人海戦術でいきましょう!
UC【一獣当千】で犬達を呼び出し雪をソリでどんどん運んでもらいます。
お礼は村長さんがくださる金平糖とみんなで冬の蛍狩りです!

雪かきが終わったら皆で森へと移動。
月代、夜は冷えますから、私のマフラーの中に入って雪蛍を見ましょうか。
わんこさん達やウカやウケ達とくっついていたら夜でも寒くないですね。ふふ、もふもふで気持ちいいです。

わぁ、本当に綿毛みたいで可愛いです!それが光ってとても幻想的ですね!
間近に星空が広がっているみたいです。

夜明けまで月代達と幻想的な雪蛍の光景を楽しみ過ごします。



●もふもふのちから
「これは……お昼のうちに雪かきを終わらせないといけませんね」
 雪に埋まってしまった村を見た狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は口許を手で押さえた。
 これだけの量の雪を夜まで放って置いてしまったら、きっとカチカチに固まってしまうだろう。そうなってしまったら、蛍狩りどころではなくなってしまう。
 蛍狩りに間に合わなくなるその前に、まだ陽が高い内に雪かきを終わらせてしまおうと。狐珀は拳をぐっと握って心に決める。
「ここは人海戦術でいきましょう!」
 狐珀は『もふっと大辞典』を手に取ると、ぱらぱらと頁を捲る。そしてとある頁でぴたりと止めた。
「もふもふさん、もふもふさん、あなたの持っている力を私に貸してください……!」

『わふっ!』
『わんわん!』
『くぅーん……』

 狐珀の呼び掛けに応え現れたのは、青い瞳をしたシベリアンハスキー達だった。狐珀はハスキー犬達に、ソリを引いて雪をどんどん運ぶように求める。ハスキー犬達は、対価は何と言っている様に首を傾げた。
「お礼は村長さんがくださる金平糖とみんなで冬の蛍狩りです!」
 それを聞いたハスキー犬達はわふわふと鳴き、尻尾をぶんぶんと振った。交渉は成立したのだ。
 それから、狐珀やウカ、ウケがスコップで掬った雪をソリへと投げ入れ、雪が溜まったらハスキー犬達が村の外へと運び出すという作業を繰り返していくのだった。

●もふもふにかこまれて
 ハスキー犬達やウカ、ウケ達の協力あって、雪かきは陽が沈む前には終わった。
 お礼の金平糖が入った小袋を手にほこほことしつつ。昼間より、夜の方が冷えると。手袋、耳あて、マフラーを用意して、狐珀は防寒対策をする。
 不意に、傍らを浮遊していた月代が小さくくしゃみした。それを見て、狐珀は自身のマフラーを少し緩める。
「月代、夜は冷えますから、私のマフラーの中に入って雪蛍を見ましょうか」
 そう言って招けば、月代はその隙間に潜り込んで。もぞもぞと方向転換をした後、顔を出した。
 少しばかり村を観光して陽が沈むのを待ち、殆ど暗くなったところで。狐珀は皆と一緒に雪蛍の森への道を進む。

 誘われるように、雪蛍の森へと足を踏み入れたならば。白く発光する綿毛のようなものがふわふわ、ふよふよと飛び交う、幻想的な光景が狐珀の視界に映った。
「わぁ、本当に綿毛みたいで可愛いです! それが光ってとても幻想的ですね!」
 ずっと白く発光しているわけでは無く、時折皆で同時に明滅して。たまに地面からふわりと新たな雪蛍が現れては、光の群れの中へと溶けて行く。
 雪蛍達に近付いてみても、特段逃げる様子はなく。何匹かハスキー犬達の背で羽を休めていたりもした。
 少し辺りを見回して、皆で休むのに丁度よい場所は無いかと探してみれば。大きな倒木が目に入った。狐珀は倒木に積もる雪を掃い、皆でくっついて倒木に腰を落ち着ける。
「ふふ、もふもふで気持ちいいです」
 ハスキー犬達が答えるようにくぅんと鳴いた。月代、ウカとウケ、ハスキー犬達。皆とくっつけば、冬の夜でも寒くない。
(「間近に星空が広がっているみたいです……」)
 もし地上で星が見られるとしたら、このような光景なのだろうかと。雪蛍達を眺めながら狐珀は思う。
 捕まえるわけではなく、なんとなしに、狐珀は手を伸ばしてみる。伸ばした指先には、1匹の雪蛍が止まった。近寄せても逃げないものだから、思わず笑顔がほころんだ。
 連れ帰ることは出来ないけれど、記憶に残すことは出来る。
 狐珀は雪蛍達が天へと昇る夜明けまで。皆と共に幻想的な光景を楽しみ過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
ずいぶん沢山雪が積もったなぁ…。
これは家とか潰れそうだ。
手早く雪をどかさないと。

雪の精霊様に頼んで、移動をお願いしたい。
邪魔にならない空き地とか、村の外あたりなら、邪魔にならないよな?

雪を積み上げたら、一部水の精霊様をかけて…
ぎっしり固まって氷になって貰って…
要らない所を削ったら!

ほら!大きい氷の像!
確か雪だるまって言うんだよな?
雪じゃなくて氷だるま、だけど。
ただ雪があるより楽しいかなって。

わ、村長さん、ありがとうございます!
金平糖だ!(口の中でコロコロ)…うん。美味しい。

金平糖を食べながら森で雪蛍を見たい。
雪の中を飛んでる蛍って不思議だな…。
凄く綺麗で…精霊様みたいだ。
ずっと眺めていたいな。



●原材料は雪だから、雪だるまでも強ち間違いではないと
「ずいぶん沢山雪が積もったなぁ……」
 雪に埋まってしまった村を前に、都月(妖狐の精霊術士・f21384)は零す。このまま放ってしまったら、家屋が潰れてしまいそうだ。
 村の住人達は慌てていない事から、潰れてはいないのだろう。けれども手早く雪をどかすに越したことはない。都月は精霊様が宿っている『精霊の石』を取り出して。雪の精霊を喚び出した。
「雪の精霊様、御助力をお願いします」
 ふわりと現れた雪の精霊へと、邪魔にならない空き地や村の外の平地に雪の移動をお願いする都月。雪の精霊は快く承諾すると雪へと宿る。
 ずずっ……と。雪かきをする時に鳴る様な音が響く。それは、雪自体が動いている音だった。雪の精霊が邪魔にならない場所に雪を寄せ集めているのだ。雪は次第に雪山となっていった。
 積み上がった雪山へと都月は近寄ると、今度は水の精霊を喚び出して。雪山へと一部水をかけて貰う。たっぷりと水を吸わせたところで、ぎっしり固まり氷となって貰えば。雪山だったものはかなりコンパクトになった。
 都月はダガーを取り出し、氷塊の要らない部分を削り始めた。そうしてどんどん削って行けば……

「ほら! 大きい氷の像!」

 其処に立っていたのは、氷で出来た雪だるまだった。
(「確か雪だるまって言うんだよな? ……雪じゃなくて氷だるま、だけど」)
 そう思ったところで。不意に足元から声が聞こえた。
『ほぉ、面白い趣向ではにゃいか』
「わ、村長さん! ……ただ雪があるより楽しいかなって」
 何時の間にか猫又村長が音も無く近寄ってきていたのだ。その背には何かが詰まっている鞄が背負われていた。都月は鞄の中の小袋を受け取れと促されたので、有難くそれを受け取る。
「ありがとうございます! 金平糖だ!」
 小袋を開けてみれば、その中には金平糖が詰まっていた。
「……うん。美味しい」
 一粒口の中で転がせば、素朴な甘さが広がった。

●ネイチャーイルミネーション
 陽が沈み、辺り一帯が暗くなってから。都月は雪蛍の森へと歩を向けた。道は村長に確認してある。それに、白い光が見えるからすぐにわかるとも聞いた。
 歩いていたら、夜目に森が見えた。その森に、白く光っているものが沢山飛んでいるのも。少しばかり早足になりながら、都月は森の中へと足を踏み入れた。

 都月の瞳に映ったのは、まるで幻想でも見ているのかと思う光景だった。ふわふわと白い綿毛みたいな光が、雪で包まれた森の中をゆっくりと飛び交っている。これが雪蛍かと、初めて見る存在に都月は瞳を丸くした。
 不意に一匹の雪蛍が、都月が手に持っていたロッドにすっと止まった。都月は雪蛍の顔は何処だろうと観察してみたが、綿毛に包まれていて顔の場所はわからなかった。
 そうしているうちに、ふわ、と雪蛍はロッドから飛び立つ。それを目で追いかけると、他の雪蛍達に紛れていった。
 雪蛍達を座ってよく眺めようと。丁度良さそうな倒木を見つけて雪を手で払い、都月はそこに腰掛ける。
 まだ金平糖が小袋の中に残っていたことを思い出した都月は、一粒つまむとそれを口に含んだ。今度の金平糖は味付きだったらしく、葡萄の味が口の中にじんわりと広がった。
(「雪の中を飛んでる蛍って不思議だな……」)
 蛍は夏の夜に飛ぶものだというのが一般的な認識だ。だから冬の、しかも雪の積もっている森で光が飛び交っているのは、眺めていてとても不思議な心持ちがした。
「凄く綺麗で……精霊様みたいだ」
 妖怪とは聞いていたが、もしかすると精霊に近い存在なのかもしれない。
 (「……ずっと眺めていたいな」)
 時折、同じタイミングで明滅しながら飛び交う様は。都月には自然のイルミネーションの様にも思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

スコップを雪にざくっと埋めて、怪力でぐぐっと掘ってお家救出
雪をコロコロ転がして雪だるまをどんどん作っていけば、雪だるまが増えてく分、村も見えてくる
村の皆、揃ってる?
猫さん、迷子がいないか確認してね

村長さんに頂いた金平糖と、白銀の仲間が動かす雪だるまを引き連れて森の中へ

手にもつ雪玉に止まる雪蛍達が暖かく光る
見て、まつりん。灯り玉。

森に雪蛍がふわふわ灯り、なんだか踊っているみたい

ん、わたし達もダンス
まつりんと手を繋ぎ雪蛍達とリズムを合わせるようにステップ踏んで
ふふ、雪だるまさん達も揺れて踊ってる
雪蛍達が明け方に空へ還るまで
皆で一緒に楽しもう

メリー、メリー、クリスマス


木元・祭莉
今日もアンちゃん(f16565)とー♪

ホントだ、埋もれちゃってる。
じゃあ、助っ人呼ぼうかな。れっつ・だんしん!
(踊るヒマワリがぽんぽん生える)
もう夏ですよ、それー♪(あったか除雪植物)

わーい、金平糖だ。
ありがとね♪(猫さんナデ)
アンちゃんと雪だるまコロコロしながら森へ。

あ、いるいる。フワフワだー♪
こっちおいでー。金平糖水、甘いよ?

少し開けた広場で、雪だるまさんをまぁるく並べて。
舞ってる雪蛍さんを見てたら、うずうずしてきた。
よし、もっかい。れっつ・だんしん♪

雪だるまさんや雪蛍さんの歌を即興で作って、ステップ踏んで。
アンちゃんと顔見合わせて、ふふっとご挨拶。

メリークリスマス!(すちゃっと敬礼!)



●力はすべてを解決する(違う
「ホントだ、埋もれちゃってる」
 祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)は素直に、見たままの現実を言葉にする。村は雪で埋もれていて、少し屋根が顔を出してはいるが殆ど真っ白だ。
 その祭莉の近くでは、杏(きゅぴん。・f16565)が只管にスコップを雪に割り入れて家屋救出進めていた。

 ざくっ……どさっ。
 ざくっ……どさっ。

 小さな体に見合わぬ怪力で結構な量の雪をスコップで掬っては、邪魔にならない空き地へと放る杏。それでもスコップで一度に退けられる雪の量は、積もる雪の比ではない。
「むー……雪かき、大変……」
 その姿を見ていた祭莉は、アンちゃん1人だと大変だよねと。頼もしい助っ人を喚ぶ事にした。
「じゃあ、助っ人呼ぼうかな。れっつ・だんしん!」
 ぼすぼすぼすぼすっ!!
 祭莉の掛け声と共に、雪面を割りながら踊るヒマワリ達がぽんぽんと生えて来た。
「もう夏ですよ、それー♪」
 満面笑顔で春を通り越して夏だと告げれば。ヒマワリ達は葉に雪を掬い取り、夏に雪なぞ不要と言わんばかりにそぉいと空き地に放り投げる。
「見て見てアンちゃーん……あれ?」
 結構たくさん雪かき出来てるでしょーと、杏に話しかけようとして。けれどその方に杏がいない事に祭莉は気付いた。
「~♪」
 杏は鼻歌まじりに雪玉を作り、転がしながら村中を回っていたのだ。雪玉を転がせば雪がくっつき、だんだんと大きくなる。杏の怪力を以ってすれば、大きな雪玉を転がすのは簡単だった上に楽しくて効率も良い。それは一石二鳥の方法だった。

 杏が雪をころころ転がし、祭莉のヒマワリがどんどん雪を放り投げていけば。だんだんと村が顔を出し、夕刻前には村が完全に顔を出した。
 因みに、杏が作った雪玉は、ある程度の大きさになったら空き地に置いてきていた。雪は大量にあったものだから、必然的に雪玉はそれなりの数になっていた。

●ましろいろルーチェ
「村の皆、揃ってる? 猫さん、迷子がいないか確認してね」
 雪かきが終わったところで。杏は金平糖を配り歩いていた猫又村長を見つけて、村人の安否確認を取るよう促す。村長は『少し待つにゃ』と目を閉じて、ひげと二股尻尾をぴんと立てた。少しの間を置いた後に村長は目を開けると、口を開く。
『消えた妖力は無いみたいだにゃ。つまり村人はみな無事にゃ』
 そして村長は双子に背負っている鞄から、金平糖の入った小袋を受け取るよう促した。
「ありがとう、猫さん」
「わーい、金平糖だ。ありがとね♪」
 村長の頭を祭莉が撫でれば、村長は猫らしくゴロゴロと喉を鳴らした。
 やがて陽が完全に沈んだ頃。双子は貰った金平糖の小袋を大事にしまって、雪蛍の森へと向かい始めた。
 杏の『白銀の仲間』が転がす昼間に作った雪玉と、祭莉が転がす雪玉と。それはまるで賑やかな行進の様に歩いて行く。

 森の中へと足を踏み入れてみれば。優しく輝く白い綿毛達が双子を出迎えた。このふわふわ達が雪蛍なのだと、すぐ理解出来た。
「あ、いるいる。フワフワだー♪」
 聞いていた通りにふわふわと気ままにしていて、祭莉が近付いてみても逃げなかった。
「こっちおいでー。金平糖水、甘いよ?」
 祭莉の言葉に誘われたのか、はたまた偶然なのか。雪蛍達は杏が手に持っていた雪玉にふわりと止まる。雪蛍の止まった雪玉は、雪蛍から光を受け取ったように暖かく輝いていた。
「見て、まつりん。灯り玉」
 輝く雪玉を祭莉に見せる杏。祭莉は「きれいだねー♪」と、にぱっと笑って杏の頭を撫でた。

 拓けた場所が何処かにないかと。少しばかり森を探検する杏と祭莉。たくさん雪蛍達が輝いているから、夜の森でもちっとも怖くない。
 そうしてまぁるく拓けた広場を見つけた双子は。探検しながら一緒に白銀の仲間と転がしてきた雪玉を重ねて、雪だるまにしてまぁるく並べる。
「ふわふわ灯り、なんだか踊っているみたい」
 時折同時に明滅しながら、ふわふわ、ふよふよと舞う雪蛍達を見て呟く杏。そんな雪蛍達を見ていたら、祭莉はうずうずを抑えられなくなって。
「よし、もっかい。れっつ・だんしん♪」
「ん、わたし達もダンス」
 雪だるま達の間を縫うように、踊るヒマワリ達がぽぽぽんと顔を出す。
 それは楽しい舞踏会の始まりの合図。杏と祭莉は手を繋いで、雪蛍の明滅のリズムと合わせるように軽やかにステップを踏めば。2人のダンスに惹かれるように、雪蛍達が周りに集った。
 即興で作った雪蛍と雪蛍の歌を口ずさみ、くるりくるりと回って。雪蛍もふわふわ揺れて。
(「ふふ、雪だるまさん達も揺れて踊ってる」)
 心なしか、雪だるま達も楽しくなって踊っている様に杏は見えた。
 繋いだ手をぱっと離して背中を合わせて、それからとんと弾けて半回転。
 祭莉はすちゃっと敬礼して、杏は人差し指を唇に当てウインクして。顔を見合わせご挨拶。
「メリー、メリー、クリスマス♪」
「メリークリスマス!」
 そしてふふっと笑い合う。
 クリスマスの夜はまだまだ続く。だからみんなで一緒に楽しもう。
 そう。雪蛍達が空へと還る、その時まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鏑木・寥
【鏑木邸】

同感だな、俺も寒いのは嫌いだ
もこもこ重装備
カイロ貰いつつ手を擦る

あと腰もまずい。大丈夫だろうか
若いもんに任せる形じゃ駄目かな

帝都じゃ雪かきなんてやった事ねえしな
少年から貰った器具をしみじみと見る。ほう、腰で
……いや、人魚さんとヨシュカが凄いんだが
もうこれでいいんじゃないだろうか、俺が何もしなくても

まあ一応やってみるか。人力
………(途中で無言で停止する)
ダメだこれ、重い。後寒い

あっという間に少年の横に座り込む
紅茶はわかるが、シュトーレンってのはこっちじゃ売ってねえな
美味いなら何かの商売に使えたりしねえかな…

森。蛍が見られるんだったか、いいんじゃないか
嗚呼でも、夜はもっと寒いかな……


夕時雨・沙羅羅
【鏑木邸】

ゆき。どっさり。
見るだけならきれいだけど、うん
凍らないように、たくさん動こう

いっぱいあるなら、僕はおおきくなって食べてしまおうか
うずさんのだしてくれた道具を使うのも、気になるけど
それでも埋もれるほどは、まだまだある

あ、うさぎかわいい
よしゅかさん、僕にも作って
僕は小さい雪だるま作ろう
あまい紅茶に金平糖
きらきらを見ながら、とても良い
うずさん、森まで歩ける?乗せようか?
がんばれるか、えらい
りょうさんもふぁいと

ふわふわ、きらきら、妖怪というのも色々あるんだな
クリスマスらしくと思って、シュトーレン切って持ってきたけど、あたたかいやつのほうが良かっただろうか
紅茶も金平糖も、おいしい
ほっこり、癒し


ヨシュカ・グナイゼナウ
【鏑木邸】

雪は好きですが寒いのは嫌いですー…
関節がきしきしするー(毛皮でもこもこしている)
張るカイロ必要でしたらどうぞ。文明の利器です

それはそれとして雪かきは頑張ります。猫さんの為なら人一倍頑張るわたしです
故郷では雪かきは専らスコップでしたが、成る程、腰で押す感じで
あははは!ブルドーザーみたい!
鏑木さま全然進んでない!(きゃっきゃ)


倒れている雲珠さまのそばにこっそり作っていたユキウサギ達を置いてみたり
うんうん、皆さまお疲れ様でした
では、夕時雨さま雪だるまさんと交換です!

紅茶、ありがたいですねえ。それにシュトーレン!ふふ、少し懐かしいです
折角なので雪蛍の見られる森でいただきませんか?


雨野・雲珠
【鏑木邸】
※極寒の雪里生まれ。氷結耐性有

年の瀬にひとさまのお役にたてるなんて本望です。がんばります!
【六之宮】でスノーダンプを希望者分出しましょう。
腕で押さず、体全体…腰で押すのがコツです。
ぜぇ…はぁ…所詮は人力……わ、シャララさんすごい!



……
俺はもうだめです…
金平糖を食べないと歩けません(雪上にパタリ)
…あ、うさぎ……かわいらしい…そうだ、蛍!
もうちょっと歩きます(むく)
鏑木さんも頑張りましょう!(引っ張って起こす)

きれいですねえ…精霊みたいなものでしょうか
そうだ、お砂糖入りの熱い紅茶を魔法瓶に入れてきたんです
みんなで飲みましょう。
しゅとーれんは初めて食べます…、…!(無言でキラキラする)



●世界は白かった
「雪は好きですが寒いのは嫌いですー……」
 もふもふ帽子ともふもふコートで防寒対策をしても、関節がきしきしするとヨシュカ(明星・f10678)は零す。
「同感だな、俺も寒いのは嫌いだ」
 白い息を吐きながら、同じくもこもこ重装備防寒をした寥(しあわせの売人・f22508)もそれに同意する。
「貼るカイロ必要でしたらどうぞ。文明の利器です」
 ヨシュカが懐炉を差し出せば、寥は受け取り手の中で擦る。いくら手袋や襟巻、外套で防寒しても、寒いものは寒い。特に指先は冷える。
「あと腰もまずい。大丈夫だろうか。若いもんに任せる形じゃ駄目かな」
 自身の腰を痛めてしまうのではなかろうかと。心配して消極的な寥とは相反する様に、雲珠(慚愧・f22865)は両手の拳を握ってやる気満々だった。
「年の瀬にひとさまのお役にたてるなんて本望です。がんばります!」
 雲珠はいつも通りの服装に、少し防寒をしているくらいだった。極寒の雪里生まれ故に、この程度の寒さなど平気だった。
「ゆき。どっさり。見るだけならきれいだけど、うん」
 じぃ、と。沙羅羅(あめだまり・f21090)は村を埋める雪を見る。沙羅羅の身体は雨だまりの池の水。だからじっとしていたら、きっと集めたものごと凍ってしまうだろうと。そうならないように沢山動こうと、1人うなずく。

●でも実際、雪かきは結構疲れる
 雪かきをするにあたり、スコップよりもこの道具が良いだろうと。雲珠は『六之宮』を発動し、スノーダンプを創り出す。
 そのスノーダンプは確りとした造りの金属製。模造品ではあるけれど、誰かを助けたいという強い情念は、本物と遜色ない造りと性能を与える。
「腕で押さず、体全体……腰で押すのがコツです」
「成る程、腰で押す感じで……」
 ヨシュカの故郷での雪かきは専らスコップだったので、スノーダンプは初めて使う。雲珠のアドバイス通りに、腰で押すようにしてスノーダンプを押し動かしてみれば、面白い位に皿へと雪が溜まった。
「あははは! ブルドーザーみたい!」
 はしゃぎながらスノーダンプでどんどん雪を集めては、空地へと放るヨシュカ。どうやら楽しいらしい。
(「うずさんのだしてくれた道具を使うのも、気になるけど……」)
 沙羅羅は雲珠が出してくれたスノーダンプが気になってはいた。けれど、雪がこんなにもたくさんあるならば。いっそ大きな水の魚となって食べてしまおうと考えた。
 そして『水』を発動させ、沙羅羅は巨大で透明な魚となる。魚となった沙羅羅は、しゃくんと雪を大きなひとくちで食べた。けれどもそれでは食べきれぬ程には、雪はまだたくさんある。
「ぜぇ……はぁ……所詮は人力……わ、シャララさんすごい!」
 少し張り切り過ぎたのか、息を切らしながら雪かきをしていた雲珠は。沙羅羅の雪かきならぬ雪食みに、感嘆の声を上げる。
「……いや、人魚さんとヨシュカが凄いんだが」
 先程からずっとスノーダンプを押して走り回るヨシュカ。大きな魚の口で雪を食み除けてく沙羅羅を見て、寥は若いもんに任せていいんじゃないだろうか。俺が何もしなくても良いんじゃないだろうかと思う。
 だが雲珠が寥の肩をぽんと叩き、やってみましょうとスノーダンプを渡す。心の中を読まれていた様だった。
 寥は渡されたスノーダンプしみじみと眺める。雪かきの経験はなかったが、腰を使って押せば出来るという雲珠を信じて。一応やってみるかという気になった。
「ほう、腰で……」
 力を入れ、寥はスノーダンプを押してみる……のだが。
「………………」
 1メートルも進まなかった。それを見た雲珠は、何と言葉を掛ければ良いのかわからなかった。
「ダメだこれ、重い。後寒い」
「鏑木さま全然進んでない!」
 あっという間に雲珠の横に座り込んだ寥を指差し、ヨシュカはきゃっきゃと笑う。その後ろで沙羅羅が、また雪をひとくち食んだ。

●南天は薬用植物
「うんうん、皆さまお疲れ様でした」
 時は夕刻。猫又村長から貰った金平糖の小袋を手に、ヨシュカはやりきった顔をしていた。
「…………」
 対し雲珠はぱたりと、無言で雪上に沈んだ。張り切って雪かきをした反動だ。雪がクッションになっているので、倒れた際の衝撃はそれ程無い。
「俺はもうだめです……金平糖を食べないと歩けません」
 だが雲珠には小袋から金平糖を取り出す気力すら無かった。その雲珠の隣に、どさりと寥が座り込んだ。一応少しは働いたからもう動きたくないし寒いと、暗に寥の表情が告げていた。
 倒れる雲珠と座り込む寥の傍に、ヨシュカは半球状の何かを置いた。それは南天の赤い瞳と緑の葉の耳を持つ、雪うさぎだった。こっそりと作っていたのだ。
「あ、うさぎ……かわいらしい……」
「あ、うさぎかわいい。よしゅかさん、僕にも作って」
 置かれた雪うさぎ達を見て、雲珠はふにゃりとした笑みを浮かべる。
 沙羅羅もヨシュカの雪うさぎに瞳を輝かせる。もし作ってくれたなら小さい雪だるまを作ろうと、交換条件を持ち掛ければ。ヨシュカはそれを快く受け入れる。
「では、夕時雨さま。雪だるまさんと交換です!」
 そして始まる雪だるまと雪うさぎの交換会。けれども交換会が終わっても、寥と雲珠は沈黙したままだった。
「うずさん、森まで歩ける? 乗せようか?」
 倒れたままの雲珠に心配そうに声を掛ける沙羅羅は、小首を傾げて言葉を続ける。
「クリスマスらしくと思って、シュトーレン切って持ってきたけど、あたたかいやつのほうが良かっただろうか」
 あたたかい、という単語を聞いた雲珠は。思い出したようにがばりと顔を上げた。
「そうだ、お砂糖入りの熱い紅茶を魔法瓶に入れてきたんです。みんなで飲みましょう」
 それとシュトーレンというものも気になると、雲珠は沙羅羅の方を見る。クリスマスに食べる美味しいお菓子だと簡単に説明されて、雲珠は心を躍らせた。
「紅茶はわかるが、シュトーレンってのはこっちじゃ売ってねえな」
「紅茶、ありがたいですねえ。それにシュトーレン!」
 美味いなら何かの商売に使えたりしないかと、軽く顎に手を当て思惟する寥の傍で。ヨシュカは妙案を思いついた様に手を合わせると、折角だから雪蛍を見ることが出来る森で紅茶とシュトーレンをいただかないかと皆を誘う。
「そうだ、蛍! もうちょっと歩きます! 鏑木さんも頑張りましょう!」
「森。蛍が見られるんだったか、いいんじゃないか」
 雪蛍の事を思い出した雲珠はむくりと起き上がって、服に付いた雪を手で掃うと。寥の手を引っ張り、雪上から起こそうとする。
「がんばれるか、えらい。りょうさんもふぁいと」
 起き上がった雲珠を沙羅羅は褒めながら、寥も応援する。寥は雲珠に引っ張り上げられながら、のそりと立ち上がった。
「嗚呼でも、夜はもっと寒いかな……」
 少しばかり苦い顔をしてぼやいた寥に、ヨシュカが「カイロの追加いりますか?」と。新しい懐炉を差し出すのだった。

●誰が為に光舞う
 夜分遅くなった頃、一行は雪蛍の森へと訪れた。森の中では白く輝きながらふわふわと、雪蛍達が舞っていた。雪蛍は柔らかな綿毛の様な姿をしていて、時折みな同じタイミングで明滅していた。
 少し奥の方まで歩を進め、丁度良さそうな倒木を見つけると。雪を掃って椅子と机の代わりにし、雪蛍を眺めながらの茶会と洒落込む。
「ふわふわ、きらきら、妖怪というのも色々あるんだな」
「きれいですねえ……精霊みたいなものでしょうか」
 沙羅羅がシュトーレンを取り分けながら言ちれば、雲珠がしみじみと返す。
「しゅとーれんは初めて食べます……」
 取り分けられたシュトーレンを物珍しそうに見つめた雲珠は、意を決したようにぱくりと一口。
「……、……!」
 雲珠は瞳をきらきらと輝かせ、無言でシュトーレンを更に頬張った。言葉を失ってしまう程に美味だったのだ。
「あまい紅茶に金平糖。きらきらを見ながら、とても良い」
 雲珠の持参した紅茶も、猫又村長から貰った金平糖も、どちらも美味で。それらを味わいながらの蛍狩りに、沙羅羅はほっこりと癒されていた。
「ふふ、少し懐かしいです……って、鏑木さま大丈夫ですか? もっとカイロの追加いります?」
 シュトーレンを見て懐かしそうに微笑んだヨシュカは、寥がずっと沈黙していることにはっと気が付いた。
「…………大丈夫だ。少し休眠しかけていただけで」
「それ全然大丈夫じゃないですよ!」
 強制休眠打破と言わんばかりに、ヨシュカは寥の服の隙間に次々と懐炉を突っ込む。そのお陰か、寥は紅茶を啜れるくらいには動けるようになった。もう少しすればシュトーレンも食べられる程に回復するだろう。

 不意に、それまで気ままに辺りを舞っていた雪蛍達が空へと昇り始めた。それは夜明けが近いという報せ。どうやら談笑している間に結構な時間が経っていた様だ。
 初めは数匹だったのが、次第に数を増やして。そして全ての雪蛍が何かに導かれる様に空へと昇る。それは自分達は今、星の海に落ちているのではと錯覚しそうになる、神秘的な光景だった。
 最後の光が空へとかえるまで。一行は雪蛍達を見送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月04日


挿絵イラスト