革新を促せ、エースの標
●フルーⅦ
クロムキャバリアは戦乱が終わらぬ世界である。
平穏が訪れたとしても、それは仮初のものに過ぎない。いつだって騒乱が続く。それは自分が生まれたときから変わらぬことであり、平和知らぬからこそ平和というものに強い憧れを抱く。
だからこそ、少国家『フルーⅦ』を平和に導こうと日夜戦い続けた。
終わらぬ戦いを前にしても膝を折ることはせずに、ただひたすらに駆け抜けた。いつしか己の心は歪みきってしまっていたようであるが、それでも誰かが言ったのだ。
『どす黒い血にまみれた過去から続く未来は、それでもまだ真っ白なんだ! これからの道行を決めるのは、アジン、貴方なんだよ!』
かつての戦いで心歪んだ己に投げつけられた言葉である。
その言葉が、今も『フルーⅦ』のアジン……嘗て少将の階級で呼ばれていた己の心を鼓舞する。
「……だからこそ、私は諦めない」
彼は友好国であった『グリプ5』侵攻の失敗の責任を問われ、今は軍法会議を受ける身である。
己はきっと助からないだろう。
この国、『フルーⅦ』の上層部は『周辺国への武器密売』や『人民の言論統制』を行っている。『グリプ5』との先端を開いたきっかけは此方の最新キャバリア『ブレイジング・バジリスク』の盗用であった。
だが、それは『フルーⅦ』の上層部が技術と機体を横流しした結果であった。
アジンもまたその真実に一歩近づいたはずであった。だが、それは叶わなかった。彼の心はあるキャバリアに搭乗してから変わった。歪んでしまった。
それがオブリビオンマシンの為せる業であるとは知らずとも、それでも徒に戦端を開き、人名こそ損失はなかったが、キャバリア大部隊の全てを失った責任は重い。
「潔いのか諦めが悪いのかわからん人だな、アジン少将……いや、元、少将と言った方がいいな。悪い悪い」
女の声が響く。それは軽口を聞くような口調であったが、アジンはその声の主をよく知っていた。
「どうしてお前が此処に居る。また私を利用しようとでも思っているのならば、生憎だったな。私はもう何の権限もない。明日には粛清される運命であろう」
「いや何。そうあんたの生命も捨てたもんじゃあないってことを伝えようとしただけさ。あんたを、『キマイラ』の名を慕う連中が行動を開始している。革命を起こすつもりだぜ。連中は」
その言葉はどこか楽しむような声色であった。
声の主である女性はまるで遠足前夜の子供のようにおかしそうに笑う。まるで明日が待ちきれぬと言うように。
「私はもうこの国には用はない。この国に齎すものはすでに然るべき者に渡っている。精々長生きするこったな」
踵を返す音がする。
それは最早、声の主である女性がアジンと問答をするつもりがないという意思表示であった。
だが、アジンは手をのばす。その手が届かぬと知りながらも手をのばす。
もしも、己を救うために、この国を変えようとしている者たちがいるのであれば、それは愚かな行為であると伝えなければならない。
それは罠だ。
上層部がアジンを餌に国内の不穏分子をあぶり出そうとしている策略に過ぎない。
「頼む! やめさせてくれ! わかっているだろう、お前も! 私がただの餌にすぎないことを! 繰り返されてしまう! 頼む! 彼等だけは、部下たちだけは助けてくれ! ――アイン!!」
だが、その言葉は聞き届けられることなく、虚空に響くだけであった――。
●革命蜂起
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件は、クロムキャバリアの少国家の一つ、『フルーⅦ』にて起こる武装蜂起……革命の人々を救うための戦いとなります」
彼女は頭を下げて猟兵たちを出迎える。
武装蜂起が引き起こされてしまう少国家の名は『フルーⅦ』。
かつて『グリプ5』の同盟国であり、唐突なる同盟破棄によって侵略を仕掛けた国でもある。その侵略事態は猟兵たちの活躍に寄って阻止されている。
その少国家『フルーⅦ』では、その侵略の失敗の責任によって粛清されようとする元少々のアジンと呼ばれるキャバリアのエースパイロットを救わんとする武装蜂起が起ころうとしているのである。
「それ自体は私達猟兵が介入することではありません。ですが、この国の上層部は『周辺国への武器密売』や『人民の言論統制』などの明らかな不正義を行なっているのです。『キマイラ』と呼ばれたエースパイロットであったアジンさんは、オブリビオンマシンによって心を歪められる前は、この上層部に対抗する派閥であったのです」
だが、心を歪められたアジンは事もあろうか『グリプ5』へと侵攻を開始し、猟兵たちに打ち倒されている。
それが原因でアジンは幽閉され、明日にでも処刑されようとしているのだ。
だが、それは上層部の罠である。
「アジンさんを餌に上層部に反感を抱く不穏分子を一掃しようという罠なのです。皆さんには、この革命軍と共に罠を踏破し、上層部が放つキャバリアの大部隊と戦い抜き、この上層部を『不正義』に堕としたオブリビオンマシンを打倒して頂きたいのです」
今までアジンを旗印に上層部の不正を暴こうとしていた革命軍が敗れてしまえば、『フルーⅦ』はさらなる混乱と恐怖に寄って支配される国となるだろう。
それがオブリビオンマシンの目的である。これを打倒しなければならない。
「すでに罠は張り巡らされています。アジンさんの処刑される荒野には地雷や空中機雷が大量に敷設されています。すでに其処は地雷原なのです。まずはその地雷原を革命軍に先駆けて皆さんが踏破し、血路を開かねばなりません」
その後に現れるオブリビオンマシンの配下はオブリビオンマシンではないが、それに準じた姿をした精鋭部隊である。
オブリビオンマシンに引けを取らぬ強さであり、革命軍のキャバリア乗りたちでは太刀打ちできない。
彼等と共に連携し、撃破することが最大の目的となるであろう。
そして、今回のターゲットであるオブリビオンマシンを破壊すれば、猟兵たちは革命の混乱に乗じて去ればいい。
「確かに革命が成った後は政情が乱れることになるでしょう。ですが、それは私達が介入する必要はありません。彼等は革命の徒。何かを為すと決めた人々です。ですが、オブリビオンマシンの齎す戦禍は彼等ではどうにもできないことです」
だからこそ、とナイアルテは言う。
その瞳は輝いていた。これまでもクロムキャバリアでの戦いを見ていた。猟兵たちが戦火を納める姿を。
信じているのだ。
猟兵たちが戦う姿こそが、人々の希望であり、その勇姿は伝播していくのだと。
「どうか、オブリビオンマシンによる戦禍ではなく、人の手による平穏を齎すために戦って頂きたいのです」
そう言ってナイアルテは猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリアにおいて、かつてオブリビオンマシンによって歪められた人々によって侵略した側の国、『フルーⅦ』に巻き起こる革命の芽を摘ませることなく、戦火を齎すオブリビオンマシンを打倒するシナリオになっております。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
●第一章
冒険です。
すでに革命軍は荒野にて処刑されようとしている『キマイラ』と呼ばれたエースパイロット、アジンを助けるために武装蜂起しています。
ですが、彼等の行く手を阻むのは地雷原です。
地中に敷設された地雷は勿論、空中機雷もあり、彼等だけでは突破することはできません。
ですが、猟兵の皆さんが先駆け、その道筋を指し示すことによって彼等の信頼と安全を勝ち取ることができます。
●第二章
集団戦です。
地雷原を抜けた先には、『フルーⅦ』の上層部が放ったキャバリア精鋭部隊『赤い災厄』と呼ばれるオブリビオンマシンではありませんが、オブリビオンマシンのような、それに準じたキャバリアが無数に存在しています。
これを革命軍と共に撃破し、皆さんはターゲットであるオブリビオンマシンへと迫りましょう。
●第三章
ボス戦です。
ターゲットとなる上層部の人間の心を歪ませ、戦乱を呼び込もうとするオブリビオンマシンである機動殲龍『煉獄』との戦いになります。
このオブリビオンマシンを打倒することに寄って、革命は成ります。
半生物でありながらキャバリアのオーバーフレーム、アンダーフレームによってキャバリアの規格を越えた凄まじき巨大な敵です。
それでは争乱続く世界、クロムキャバリアにおけるオブリビオンマシンの暗躍によって閉ざされようとしている平穏への道に光明を齎すために、危険の中を疾駆する皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『地雷原を抜けて』
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POW : 多少のダメージは覚悟して、守りを固めて爆発の中を駆け抜ける。
SPD : 囮や斥候を放ち、安全ルートを確保する。
WIZ : 技能やアイテムを駆使して地雷を探知し、回避しながら進む。
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少国家『フルーⅦ』の市街地から離れた荒野。
そこは重大なる不利益を国家にもたらしたとして嘗てのエースパイロット『キマイラ』とも呼ばれた元少将アジンの処刑の場であった。
しかして、革命の旗印として彼を掲げる革命軍は彼の処刑を阻止し、不正義蔓延る少国家を本来の平穏に取り戻すべく行動を開始する。
「しかし憐れなものよ。これが罠と走らずにのこのことやってくるのだから。征くは地雷原、戻るは反逆者の烙印。そして、希望の芽は摘まれる」
この処刑の指揮を取るのは、穏健派であったアジンと対立していた剣呑なる一派の代表でもある『セキズ』。
彼の抱える精鋭部隊『赤の災厄』と彼の乗機である三つ首の竜の如きキャバアリアが控える。
例え地中の地雷、空中の機雷を躱したとしても、その先に待ち構えるのはキャバリアの精鋭部隊。
万一にもそれを抜けたとしても、其処にあるのは絶望という名の破滅だけだ。
「革命軍などと嘯いているが、所詮は旗印たるアジンがいなければ何も出来ない烏合の衆よ。国とは強き者が治めるべきもの。人は脆弱でどうしようもない存在であるからこそ、強き君臨者が統治せねばならない。無秩序と自由を履き違えた愚かなる民衆には、革命など夢見るべきではないと知らしめなければならないのだよ」
なあ? と『セキズ』は囚われのアジンへと嘲るように問いかける。
かつてのアジンであれば、このような事態になる前に対策を打っていただろう。だが、オブリビオンマシンに心を歪められてしまえば、如何な英雄であっても戦乱をまねこうとする者の企みを打ち倒すことはできない。
「無力だな、アジン。貴様の死を以て、愚昧なる者たちに知らしめよう。人は愚かでどうしようもない存在であると。希望など見るから絶望が在るのだと!」
哄笑が響き渡り、アジンは項垂れる。
己ができることは最早ない。
彼は助けを求めた。いや、求めたが答えが返ってくることはなかった。戦乱続くクロムキャバリア。その世界にあって助けを求めることは弱者のすることだった。
『弱くては生きてはいけないのが人間である。
だが、優しくなければ生きている資格すらない』
アジンの嘗ての師の……さらにその祖から伝えられてきた言葉の意味をアジンは、己の死を目前に迎えてもなお、違えることはなかった。
誰かのために戦う。
それがオブリビオンマシンによって歪められる前の彼の心情であった。
戦いが続く世界だからこそ、人の優しさこそが人の弱さを救うのだと信じていた。もはや遅きに失することであったが、それでも。
「誰か……! 頼む……せめて、部下たちだけでも。私の生命はどうなってもいい! 彼等を!」
助けてくれと叫ぶ。
その叫びは世界の悲鳴となって猟兵たちに届くのだ――。
フュテュール・ステラセ
・心情
アジン少将……あの時の、方ですか
ならば、行きましょうセイヴェリオス
あの日、私達は「彼をあの場所で死なせない」と誓いました
それならば、このような形で、終わらせる訳にはいきません
・行動
POWを選択
ユーベルコード『トリニティ・エンハンス』で『風の魔力』を用い、『防御力』……特に脚部の防御力を上げることを選択します
更に、【オーラ防御】を足回りに使用します
……えぇ、申し訳ありませんセイヴェリオス、『あの時』と同じように無理をさせます
文字通り道を斬り開く為に、地雷原を敢えて踏み抜いて突撃しましょう
・その他
アドリブ等は大歓迎です
クロムキャバリアは戦乱在りきの世界である。
今もこの世界の何処かでは砲火が響き渡り、人々の悲鳴が止まぬ。そんな世界にあってこそ、猟兵の存在は燦然と輝く。
希望の光なれというように、その白き騎士のごとき姿のサイキックキャバリア『魔導機神セイヴェリオス』が舞い降りる。
その姿は白き騎士であり、天使の如き女性の姿でもあった。
かの光景を嘗て『グリプ5』侵攻というオブリビオンマシンによって心を歪めさせられ、愚行を犯したアジンはその瞳に写した。
「あのキャバリアは……!」
おぼろげな記憶に蘇る。
あの女性のシルエット。その声を。
己の愚行を止めてくれた者たち。歪んだ心では憎き仇敵であったことだろう。だが、今の彼は違う。
彼は救いを求める者。
己の救済よりも誰か他の者のために救命を求める者。であればこそ、フュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)は、その心に、求めに応じるのだ。
「アジン少将……あの時の、方ですか」
フュテュールは思い出す。
クロムキャバリアにおける戦いの記憶。凄まじきエースとしての力量を見せた嘗ての心歪められし者。その救いを求める声にこそフュテュールは応える。
「ならば、行きましょうセイヴェリオス。あの日、私達は『彼をあの場所では死なせない』と誓いました」
戦いの記憶。
心歪められた者。オブリビオンマシンが在るからこそ、その信念も理念も捻じ曲げられてしまう。
それが騒乱を呼び、人々の心にやすらぎを齎さぬといのであれば。
『ええ、私達が救いましょう。あの方が贖罪を望み、誰かのために生きるために』
「それならば、このような形で終わらせる訳にはいきません」
『魔導機神セイヴェリオス』の機体に渦巻くのは風の魔力。
装甲を覆っていくユーベルコード、トリニティ・エンハンスの輝きが力となってあらゆる衝撃に対する緩衝材となって展開される。
「地雷原……空中機雷……私達の到着を遅らせる。そして同時に革命軍の皆さんの戦力を削ぐ……」
『アジン少将が処刑されてしまえば、革命軍はまとまることはないでしょう。ならばこそ』
風の魔力が『魔導機神セイヴェリオス』の脚部に分厚くまとわりつく。
その機体が地雷原へと降り立つ。
それは自殺行為であった。地雷原はキャバリアのアンダーフレームなど簡単に吹き飛ばす威力を持っている。
だが、この戦いは猟兵だけ事をなしてはいけない戦いである。
国を変える革命を起こすのであれば、その国の当事者たち。蜂起した者たちに寄ってこそ、なされなければならないものである。
「……えぇ、申し訳ありませんセイヴェリオス。『あの時』と同じ様に無理をさせます」
フュテュールは沈痛なる表情で詫びる。
だが、『魔導機神セイヴェリオス』は、その鋼鉄の微笑で持って答え、地雷原を駆け抜ける。
それは地雷原を回避するためではなく、あえて爆発させることに寄って道を切り開くためだ。
凄まじ爆風が機体を揺らす。
けれど、それでも『魔導機神セイヴェリオス』は止まらない。爆風を風の魔力に寄って吹き飛ばし、その美麗なる装甲に傷一つ、煤一つつけさせずに進む。
『貴方の想いに応える。それが人の世の平穏を取り戻さんとする想いで在るのならば――!』
どこまで『魔導機神セイヴェリオス』は応えるだろう。
文字通り道を切り開くために地雷原をあえて踏み抜いて進む。爆風が収まれば、其処に在るのは轍という名の活路である。
「あなたの力の源は私。魔力を回します。存分に……セイヴェリオス!」
フュテュールは地雷原を駆け抜ける。
人の世を乱そうとするのがオブリビオンマシンであるのならば、人の想いが紡ぐのが平穏である。
その尊き平穏の芽を守り抜くためにフュテュールは疾風のように爆風の中を駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アリッセ・トードゥ
私達も強行突破だ。バリア展開、スラスター全開!
『え、やだ』
…やだとか言うなよ、軍用AI…。
『じゃあ…非効率的と判断。地雷探知後、砲撃による除去を提言します』
自分の言う事だし仕方ない。「重力波レーダー」による【情報収集】で地雷の位置を探る。
通常のレーダーは地中は探れないが、これは重力波を利用し周囲の質量分布を探るシステム。遮蔽もステルスも効かない。
グリプ5から技術提供された兵器の一つ。疑似質量で撹乱する「フィジカルジャマー」はこれに対抗する為に開発されたとか。
【フォースレイヤー】。無数に分裂するミサイルで進路上の地雷を爆撃、除去。
グリプ5の技術であの軍人を救うのも皮肉だけど、世の中そんなものだ。
少国家『フルーⅦ』の革命軍が保有するキャバリアの数は大部隊と呼ぶには些か数の足りないものであった。
しかし、それでも彼等はやらなければならない。明らかなる不正義を振りかざす国家の上層部を取り除かなければ、『フルーⅦ』はいつまでたっても平穏なる日常を送ることはできない。
それ故に立ち上がり、旗印として『キマイラ』と呼ばれるエースパイロット、アジンの存在は必要不可欠なのだ。
キャバリアパイロットとしての技量もさることながら外交戦術もまた彼は一流であった。
これまで戦わずして戦争を回避してきた。
『グリプ5』への侵攻はオブリビオンマシンによって心歪められたが故の愚行であったが、それをとりなすことができるのはアジンしかいない。
「アジン少将を取り戻せ……! あの方がいなければ、上層部は益々持って人々に不正義のツケを払わせる! そんなことがあってはならない」
だが、彼等の進撃は止まる。
アジンの処刑される場所である荒野には地雷が敷設され、かといって空中をスラスターで飛ぼうとすれば空中機雷によって阻まれる。
強行しようにもどうあっても消耗は避けられない。このままではアジン処刑の前に間に合うことすらできないだろう。
だが、絶望に打ちひしがれるのはまだ早い。
「私達も強行突破だ。バリア展開、スラスター全開!」
アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)の駆るXナンバーを持つキャバリア『CZ-X』が荒野に飛び出そうと操縦桿を握りしめる。
だが、そんあアリッセの行動を留めるのは、アリッセと同一人格のAIでありOSでもある『ALICE』であった。
『え、やだ』
その言葉はAIらしからぬ表現豊かでありながらも端的な拒否の言葉であった。
人が扱う機械であればこそ操縦者の意志に逆らうことはないはずだが、それでも『ALICE』はアリッセの行動に異を唱える。
「……やだとか言うなよ、軍用AI……」
アリッセにとって今は非常事態である。ここで駆け抜けなければ、『フルーⅦ』は戦火の中に身を投じるほか無いだろう。
それは避けなければならないことである。
このまま戦争へと突き進めば、『グリプ5』侵攻のおりに失った戦力だけでは国を護ることすらおぼつかない。待ち受けるのは滅びだ。
『じゃあ……非効率的と判断。地雷探知後、砲撃に寄る除去を提言します』
それは端的であったけれど、効果的なやり方であったことだろう。
同一人格であるからこそ、AIから齎される提案をアリッセは即座に肯定する。重力波レーダーを起動し、地中に敷設された地雷の存在を探る。
波長の変わったパターンが複数検知される。
種類の違う地雷が複数。
それも一つを探知、回避すれば、即座に別の地雷が作動する仕組みになっている。この地雷原を設置した敵の指揮官はこういう戦いに慣れているのだろう。
「だからって、こっちがそれを看破できないつもりでいるのなら!」
かつての『グリプ5』に研究開発されていた『フィジカルジャマー』はアリッセの機体に搭載されている。
疑似質量に寄って分身を生み出し、撹乱する技術であるが本来こう使う予定であったのかもしれない。
空を飛ぶことが難しいクロムキャバリアにおいて、地雷は極めて有効なる戦術である。
どうあっても地上を歩行せねばならないキャバリアにとって地雷とはどうあっても克服しなければならないものであった。
「フィジカルジャマー! ――ロックオン……ファイア!」
無数の疑似質量を伴ってアリッセの機体が地雷原を駆け抜ける。
フォースレイヤーの無数に分裂するミサイルで進路上の地雷を爆撃していく。一つの地雷が除去されれば、さらなる地雷が起動する。
だが、それら全てはフィジカルジャマーによって生み出される分身を狙って作動し、本体であるアリッセの機体にまで爆風が届かない。
「グリプ5の技術であの軍人を救うのも皮肉だけど、世の中そんなものだ」
オブリビオンマシンによって人の心はどれだけ高潔なるものであっても歪められてしまう。
それはこの世界に戦乱が終わらぬ理由でもある。
だからこそ、このフィジカルジャマーを研究し、開発した嘗ての誰かは願ったのだろう。
人を狂わせるのが力であるのなら、人を救うのもまた力である。
その力を違えず使う事のできる誰かのためになるようにと、連綿と紡いできた結果が、今、アリッセの駆る機体に結実している。
爆風の中を切り開き、アリッセは革命しようとする人々の希望となるようにスラスターを噴かせ、輝きを放つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
うーん、事情は良く分かんないけど……行く手を阻むは地雷源、そのまま踏み込んだら確実に死んじゃう量!と来たら、派手に吹っ飛ばして進むのが一番だね!
後から着いてくる人も安心☆
まずは地図とかで【情報収集】して目標までの最短ルートを割り出すぞ!
そしたら次はガジェッティアレーザーの出番!
ユーベルコードでたくさん複製して、ガンガン撃って【地形破壊】だ!
半分は地中の地雷を吹っ飛ばして、半分は【スナイパー】的に空中の機雷を撃って爆破しちゃおう。
後はバイクを【操縦】して【悪路走破】するだけ!
じゃあみんな、着いてきてね☆
鋼鉄の巨人が砲火を交える世界、クロムキャバリアにおいて少国家は無数に存在するものである。
それらは常に続く戦乱によって生まれては消え、時に名を変え、体制を変えていく。戦乱の常なれど、そこには人心を慮ることはない。
人々は流されるままに争いが日常になる。
「うーん、事情はよくわかんないけど……行く手を阻むは地雷原、そのまま踏み込んだら確実に死んじゃう量!と」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は荒野にて革命軍と共に、この少国家『フルーⅦ』において穏健派と呼ばれる『アジン』という人物を処刑から救出するために赴いていた。
彼女はクロムキャバリアの少国家群の間に起こった出来事を全て把握しているわけではない。
けれど、彼女は世界を戦乱に陥れるオブリビオンマシンの策動を見過ごすわけにはいかない。ここでオブリビオンマシンを取り逃がしてしまえば、『フルーⅦ』は上層部の掲げる不正義のための犠牲になる人々が増えるだけである。
それは断じて成させてはならぬことであった。
だが、目の前に広がるのは敷設された地雷と、空中機雷。
戦いの主戦力が鋼鉄の巨人キャバリアである以上、地上を行くほか無い。何故ならば、このクロムキャバリアの世界には殲禍炎剣と呼ばれる暴走衛生が存在しており、空を高速移動しようとすると尽くが撃ち落とされてしまう。
「さらにはキャバリアのスラスターを使って低空飛行しようとすると空中機雷にひっかかる、と来たら――」
「どうするつもりだ? 地雷の排除に割く時間は……このままではアジン少将が!」
時間はあまり多くは残されていない。
すでに革命軍の旗印となる人物の処刑は差し迫っている。革命軍も焦ったように声を上げる。
その焦りを前にニィナは人差し指を指し示して落ち着くように言うのだ。
「派手にふっとばして進むのが一番だね! キミたちは後から付いてくれば大丈夫だから、安心☆」
にっこり笑うニィナに革命軍の面々は唖然とする。
地雷原を吹っ飛ばす? それがどのようなことか想像も付かないのだろう。即座にニィナは地図で荒野にある処刑場への最短ルートを導き出す。
彼女が目指すのは最速最短にして安心安全なる道。地雷原と言えど、地雷が発動した後には轍のように安全な道が出来上がる。
爆風に寄って地面がえぐれていようが、そのためのキャバリアである。人型である利点は其処にそある。
人型の巨人は、どれだけ地雷でえぐれた荒野であろうとも容易く踏破することだろう。
「それじゃ、行っちゃうよ☆」
ニィナは単身宇宙バイクにまたがり、地雷原へと突っ込む。そのままでは空中機雷に阻まれてしまう。
しかし、彼女はただの兵士ではない。猟兵である。その瞳がユーベルコードに輝く限り、彼女に不可能はない。
「せーの、ばぁん☆」
彼女のユーベルコード、ガジェット忍法・弾丸祭の術(ガジェットアーツバレットフェスティバル)によって複製されたのは大型レーザー砲。
それらは無数に複製され、宇宙バイクを駆るニィナの周辺に浮かぶ。宇宙バイクから送られたエネルギーを受けて、無数のガジェッティアレーザー地中に敷設された地雷と空中に浮かぶ機雷を狙い撃ちにしていく。
一つの地雷が発動すれば、連鎖するように地雷が次々と爆破するように仕組まれていた地雷原は地面をえぐる。
無防備に進めばどれだけの被害が出たかも知れぬ惨状であったが、それでも地雷のない道はできあがるのだ。
「じゃあみんな、着いてきてね☆」
にこやかに笑いながら、ニィナは宇宙バイクでもってキャバリアを駆る革命軍を先導していく。
地雷原は確かに時間を稼いだのかも知れない。
けれど、この後に待ち受ける大規模なキャバリア戦闘において、革命軍のキャバリアに損傷がないことは大きな意味を齎すだろう。
ニィナは次々と複製された大型レーザーにエネルギーを供給しながら、彼等の安全を確保するために乱れ打ち続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
まあ雇われたからには頑張るよ。
ユーリー・ザルティア。レスヴァント出るッ!!
行動:SPD
まずはレーダーユニットで『索敵』『情報収集』っと。
どうせこちらに侵入はばれてるんだし、派手にやっても問題ないわね。
索敵した情報を味方に送信。
ボクは囮で派手に引っ掻き回すから。このルートでよろしく。
さて、さっきの索敵で判明した地雷群の圧が強い方へ向かうよ。
ブーストッ!!
地表すれすれを高速飛行しつつ。アストライアの制圧射撃で地雷や罠を破壊しながら進むよ。
『ジャミング』で機体数をごまかす。
何やってるかといったら、強引なごり押しで進行ルートを確保してるって誤認させるの。
敵の注意がこちらに向いたわ。
今のうちに行って!!
少国家『フルーⅦ』にはキャバリアの数が減っていた。
それは嘗ての同盟国へと突如として侵攻した際に、オブリビオンマシンと化していたが故に猟兵達の介入に寄って撃破されているからである。
元々は『キマイラ』の二つ名を持つアジンが指揮する大部隊であった。だが、『フルーⅦ』において不正義を振りかざす上層部が有する精鋭部隊の数は手つかず。革命軍のキャバリアはかき集めてもなお、精鋭部隊に質も量も劣るものであった。
だが、それでも彼等が武装蜂起したのは、革命の旗印であるアジンの処刑を止めるためである。
「まあ雇われたからには頑張るよ」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)の心中は複雑なものであった。
彼女もまた嘗て少国家『グリプ5』において『フルーⅦ』の侵略を止め、多数のオブリビオンマシンを破壊した猟兵の一人である。
アジンもまた心を歪められたとは言え、戦った相手。
そんな相手を救う立ち位置になるのだから、わからぬものである。だが、そんな心中を振り切ってユーリーは、彼女のキャバリアレスヴァントのコクピットで操縦桿を握る。
どちらにしてもオブリビオンマシンの策動を見過ごすわけにはいかない。
「――ユーリー・ザルティア。レスヴァント出るッ!!」
勢いよく荒野を征くレスヴァントを駆り、ユーリーはレーダーユニットから送られてくる情報を精査していた。
今も多くの猟兵たちが地雷原そのものを爆風で吹き飛ばしている。
だが、革命軍の武装蜂起はキャバリアだけではない。キャバリアに随伴する歩兵たちだっている。
彼等の安全を護るためにユーリーはより安全なルートを作成する必要があったのだ。
「どうせこちらの侵入はバレてるんだし、派手にやっても問題ないよね! 情報はそっちに送っているよ。役立てて」
「アンタはどうするつもりなんだ? このままじゃ……」
「ボクは囮で派手に引っ掻き回すから。このルートでよろしく!」
ユーリーは革命軍にそう伝えると一気にレスヴァントを駆り、地雷原へと飛ぶ。レーダーユニットから得られた情報から察するに、ユーリーが向かう方面が一番地雷群の圧が強い。
本来であれば、そここそが避けなければならないルートである。
だが、ユーリーの考えは違う。逆に考えるのだ。地雷が厚く敷設されているということは――。
「逆にそこは突いてほしくないって言うことだよねッ!! ならさぁッ!! 飛べ…ボクのキャバリア…ボクと一緒に…トベ―――――ッ!!」
ユーリーのキャバリア、レスヴァントがユーベルコードの輝きに包まれる。
オーバーブースト・ラストスパート。
それは彼女のキャバリアを強化し、機体から殲禍炎剣に感知されぬ特殊粒子をばら撒きながら空を駆け抜ける。
地表を飛ぶ姿はまさに稲妻か矢のようでもあった。
空中に撒かれた機雷も彼女の操縦テクニックの前には無意味だ。
次々と放たれるアサルトライフルの弾丸が機雷を打ち抜き、爆風を上げる。そんな最中を華麗に飛ぶレスヴァント。
「レスヴァント、ジャミング発生ッ!」
機体から放たられる妨害電波によって、敵はこちらの数を正確に把握できないだろう。囮として飛ぶこともそうであったが、一番の目的は敵に己達の目的を悟らせぬようにするためだった。
彼女の単騎での突撃は敵からすれば強引な力押しで進行ルートを確保しているように思わせたことだろう。
「今の内に行って!!」
敵の目は革命軍よりユーリーへと集まる。
そうなれば、革命軍たちはより安全に地雷原を抜けることができるだろう。派手に立ち回ること、それはユーリーの操縦テクニックがあればこそだろう。
如何に強力な兵器であるキャバリアであろうとも、これだけの爆風の中を傷一つ負わずに飛ぶことは至難の業である。
だが、ユーリーは華麗に宙に舞う。
ユーベルコードに寄って生み出された粒子が光を反射し、レスヴァントの機体を爆炎の中に踊らせ続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
猟兵はオブリビオンという病原に対する抗体。ただオブリビオンだけを討滅すればいい。
革命騒擾なんかに本来用は無いんだけど、国家首脳部がオブリビオンマシンに汚染されている以上仕方ないわね。自称革命軍の前を歩きましょ。
行くわよ、アヤメ。
地雷原を相手にするなら、キャバリアは不要。
折紙で作った力士型の式神を多数「式神使い」で操り、地雷を踏ませることで進むべき道を掃除する。
いかにキャバリアがあろうと、戦争の基本は歩兵。対人地雷も多数あるはず。キャバリアでは見落とす対人地雷こそが私たちが潰すべき敵よ。
アヤメは苦無で空中機雷の処理お願い。あと、地雷の配置とか読める?
『キマイラ』アジン元少将か。つくづく苦労人ね。
世界が悲鳴を上げる時、それはグリモア猟兵の予知となって猟兵へと伝えられる。
人の生命が虐げられる時、オブリビオンによって望まぬ戦乱に巻き込まれる時、そのときこそ、猟兵の働きは人々に一時であっても安寧を齎すことだろう。
クロムキャバリアとは戦乱が絶えることのない世界である。
人々の心には平穏を求める心があれど、それが叶えられることはない。
いつまでも終わらぬ戦争。
戦火の影に暗躍するのは常にオブリビオンマシンの存在である。
「猟兵はオブリビオンという病原に対する抗体。ただオブリビオンだけを討滅すればいい」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は今回の事件の概要をあらためて、そう評した。
少国家『フルーⅦ』に起こった武装蜂起。それは不正義を掲げる上層部を覆し、処刑されんとしている『キマイラ』の二つ名を持つ嘗てのエースパイロットである『アジン』を救うために決起したのだ。
彼の存在は同盟国であった『グリプ5』に侵攻したことによる関係の悪化を修復するためには必要不可欠なる人材だ。
「革命騒擾なんかに本来用は無いんだけど、国家首脳部がオブリビオンマシンに汚染されている以上仕方ないわね」
本来関わることもない革命軍に協力することはないのだが、それでもオブリビオンマシンの存在は捨て置くことなどできはしない。
そのままにしておけば、オブリビオンマシンは次々と人心を荒廃させていく。どれだけ高潔なる思想を持っていたとしても、それを歪めては戦乱へと引きずり込んでいく。
そうなって喪われるのは常に弱者だ。
「行くわよ、アヤメ。――急急如律令! 我が愛しき虜よ、主命に応え姿を現せ!」
愛奴召喚(アイドショウカン)によって呼び出された恋人にしたエルフのクノイチの式神・アヤメが現れる。
「はい。空中の機雷は私におまかせを」
特に指示したわけではないが、それでも早速と駆け出す式神・アヤメの存在は頼もしい。
それならば、とゆかりも地雷原へと駆け出す。
「地雷原を相手にするなら、キャバリアは不要」
ゆかりの手には折り紙で作った力士の形をした式神が無数に握られていた。敷設された地雷の数が多く、安全なルートを模索する時間が無いのだというのならば、全てを踏み抜いていけばいい。
地雷原は確かにキャバリア相手には有効な戦術であろう。
戦線を滞らせ、機体を損傷させる。さらに万難を排して進もうとすればするほどに徒に時間だけが消費していく。
この地雷原を敷設した敵の指揮官は時間こそが己達の味方であることをよく理解している者であった。
「この敷設の仕方……一つを巻き込んで他の地雷も連鎖させようとしている仕組みになっています」
式神・アヤメが告げる。
ゆかりは頷く。だからこそ、敵の術中に嵌るわけにはいかないのだ。投げ放たれた折り紙の式神が無数に投げ放たれ、重量を増した力士型式神たちが地雷を踏み抜き爆炎を上げる。
「除去に掛かる時間を短縮する。いかにキャバリアがあろうと、戦争の基本は歩兵。対人地雷も多数あると見るべきが自然よね――なら!」
アヤメから送られてくる視覚情報。
それら全てに精査をする時間はない。なればこそ、術者の手足となって働く式神こそが、今回の対人用の地雷を除去するためには必要な最善手であったことだろう。
力士の式神たちが次々と対人地雷の盾となって革命軍の歩兵たちを護りながら、進むべきルートを開拓していく。
革命軍の最大の目標は旗印でもある『アジン』の確保。
そこから起こる政情の不安定さは言うまでもないだろう。だが……。
「『キマイラ』アジン元少将か。つくづく苦労人ね」
ゆかりはため息をつく。
有能な人物であることには変わりない。刃を交えたことがあるからこそわかる。彼は不安定な政情の国家に必要な存在だ。
彼が望むと望まざるとて、きっと彼の存在は人々の大きな拠り所となるだろう。
だからこそ、革命すら起こる。
革命の騒動に関与するつもりなどゆかりはさらさらないが、彼の苦労をおもえば、ゆかりはわずかに同情するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
え…誰このおっさん…
あ、嘘嘘多分覚えてる…そのアレ…一時期流行ったアフリカの方の鍋…
違う
えっと、そうあの時キャバリアの下半身消し飛ばした人!
何か囚われのお姫様みたいにになってるし
ウケる
ま、いいや
折角だしここにも恩を売っておこうかな
たかーく回収させて貰うけどね
●
地雷原…
火薬使い放題の時代の特撮みたいだなあ…
ちまちま撤去するのもめんどいし、一気に処理しよ
地形が変わっても仕方ない
【QG・ボルテックスランチャー】起動
マイクロブラックホールを進行方向に放出して周囲の地形ごと地雷を処理
爆風は『オーラ防御』で防ぐ
それを繰り返して進行ルートを作って行こうかな
悪路になるけどまあ『悪路走破』も問題なし
徒歩で来た!
少国家同士の衝突の耐えぬ世界であるクロムキャバリアにおいて、戦乱とは常なるものである。
例え日常に平穏らしきものが訪れたのだとして、それは仮初に過ぎない。いつでもどこでも争いの火種はくすぶっている。
今回の事件の舞台である『フルーⅦ』と『グリプ5』もまた同様である。
かつての事件に置いて侵略する側であった『フルーⅦ』は今、内乱という形で戦乱の渦中にあった。
元少将アジン。
彼は本来であれば、戦争を回避する外交手腕と類まれなるキャバリアのエースパイロットとしての技量を併せ持った人物であった。だが、オブリビオンマシンによって歪められた心は戦争をしかけ、猟兵達の前に敗れた。
如何にオブリビオンマシンによって心を歪められた結果であれ、その責任は取らねばならない。例え、それが不正義を振るう国の上層部が決めたことであっても。
「え……誰このおっさん……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の第一声はまさかのものであった。
確かにキャバリア越しでしか対面しておらず、面識があるとは言い難いものであった。だが、名前くらいは覚えておいてくれても良かったのではないかと一瞬誰かが思ったものである。
「あ、ウソウソ、多分覚えてる……そのアレ……一時期流行ったアフリカの方の鍋……」
とんがり帽子のような形の蓋がついた土鍋ではない。惜しい。韻はちゃんと踏んでいるがそうではないのだ。
「違う。えっと、そうあの時キャバリアの下半身消し飛ばした人! 何か囚われのお姫様みたいになってるし」
ウケる。玲は人知れず笑いを噛み殺していた。
ピンチ姫かよってね。いや、それはいいのだ。どちらにせよ、彼を助けなければ、この『フルーⅦ』は例え上層部を打倒したとしても、まとめ役のいない無軌道な革命軍に寄って国という体裁すら保てなくなって消滅するだろう。
それさえもオブリビオンマシンの狙いであるのかもしれない。
「せっかくだし、ここにも恩を売っておこうかな。たかーく回収させて貰うけどね!」
転ぶ前から転ぶことを考える者ではないけれど、事態が動くのならばアクロバティックにトリックを決めるのが玲という猟兵である。
目の前には地中に地雷、空中に機雷の敷設された地雷原。
先行した他の猟兵たちの行動によって荒野に広がる地雷原は、まさしく火薬使い放題の時代の特撮みたいなものだなぁ、というなんともぼんやりした感想を漏らす玲。
確かにちまちまと除去するのも面倒であるという気持ちは否めない。彼女だってそうなのだ。
「よし、一気に処理しよ。地形が変わっても仕方ない」
さらりと物騒なことをあっさりと言う玲に革命軍の面々は冗談だよな? と顔を見合わせる。
ところがどっこいである。
玲の言葉は冗談のときもあるが、大抵の場合は『そのとおりになる』のである。
「出力臨界。照準固定。安全装置解除、【魔弾】解凍……」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
闇よりも深き闇色をした魔弾がユーベルコードによって解凍される。それこそが、QG・ボルテックスランチャー(クアンタムグラヴィティ・ボルテックスランチャー)である。
マイクロブラックホールを別次元からパッケージングしたものを呼び出し、解き放つ。
その一撃の前には何者も防ぐことはできない致命の一撃と成る。さらに、その周囲は周囲の地形を容易に変えうるものであり、絶大なる威力故に今回の地雷原にとっては効果的であった。
放たれたマイクロブラックホールの一撃が地雷原の大地をえぐり取る。それは周囲の地形を変形させてもあまる衝撃であった。
一つが起動すると周辺の地雷をも巻き込む形で設置されていた地雷や機雷が次々と爆発し、猛烈なる爆風で持って玲たちを襲う。
「うまいこと設置していたみたいだけど、それくらいは想定内ってね」
展開されたオーラの力が爆風から玲と革命軍を護り切る。
革命軍たちは皆、その光景に一言も声を上げることはできなかった。想像を絶する光景。それを経った一人の女性がなしたという事実が、にわかに受け入れることができなかったのだろう。
「地形が変わっちゃって悪路になってるけどまあ、問題なし! キャバリアってそういうものでしょ? それに私にも関係ないしね」
何故って?
「――徒歩で来た!」
謎の決めポーズに誰も突っ込むことはできなかった。
下手なことを言うものではないという空気が、玲の周辺には渦巻いていたのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ジーノ・エヴァーソン
※アドリブ歓迎
空に地面に雷管の壁……へッ、ご丁寧で
(革命軍へ)悪いが俺はお行儀良くエスコートなんか出来ないんで。ま、道は作るさ。そういう仕事だ
【UC】作動、最大速度で移動しつつ〈瞬間思考力〉で空の歪み、地上の影…地雷機雷の場所に当りをつける
その場所へ全武装、両のライフルによる〈レーザー射撃、乱れ撃ち〉、ミサイルの〈一斉発射〉で周囲一帯の地雷を破壊する
鉢合わせた地雷にはフラッシュブースターの〈ダッシュ〉も合わせて回避を行う。少しの被弾は考えとくか
澄んだ電子音のバックで、四方八方から爆発音の衝撃と音。
こんなもんが、ひどく心を冴えさせる――
「友軍に連絡。"道"に残った地雷には注視しといてくれ」
雑多な音楽がキャバリア『メビウス』のコクピット内に鳴り響く。
それは常なることであったけれど、それでもミュージックが鳴り響く限り、ジーノ・エヴァーソン(Xeno_Fire・f30003)は己が如何なる存在であるかを忘れることはないだろう。
目の前には地雷と機雷が敷設された地雷原。
すでに多くの猟兵たちがこの戦場に集まっているが、それでも武装蜂起した革命軍全てが地雷原を抜けることができたわけではない。
何せ、今回の武装蜂起にとって時間とは有限であり、迅速に事を成さなければ、ただ徒に少国家『フルーⅦ』に混乱を齎すだけになってしまうからだ。
「空に地面に雷管の壁……へッ、ご丁寧で」
ジーノが見やる地雷原の敷設の仕方を見ればわかる。
懇切丁寧。
一つが起動すれば巻き込む形で他の地雷も爆発するようにしかけられている。
一つが取り除かれても二の手、三の手を打つ徹底した策謀型。
それがこの地雷原を敷設した指揮官なのであろう。手に取るように解る。いつの時代も、いつの戦場にもこの手合はいるのだ。
「悪いが俺はお行儀良くエスコートなんか出来ないんで。ま、道は作るさ。そういう仕事だ」
「ま、待ってくれ、まさか――」
革命軍の面々がたじろぐ。
多くの猟兵たちがそうでったように、ジーノもまた『そのつもり』なのだ。
白きキャバリア『メビウス』が一気に宙を舞う。
凄まじき加速でもって機体を飛ばし、宙に浮かぶ空中機雷を両手に構えたライフルで撃ち抜く。
爆風が白い装甲を舐めるようにして吹き荒れるが、それに構わず『メビウス』の白い機体がきらめく。
それこそがジーノのユーベルコード。
オーバーブースト・マキシマイザーによって驚異的な速度で地雷原を駆け抜けていく機体は白い流星のようでもあった。
すでに地中に敷設された地雷はあたりが付いている。
あの懇切丁寧な敷設をした指揮官であれば、対キャバリアだけではなく対人の地雷も仕掛けているだろう。
「丁寧すぎるっていうのも考えものだよな――!」
鳴り響くミュージックに乗せてトリガーを引く。放たれたレーザーやミサイルが周辺一帯の地雷を破壊する。
凄まじい爆風が迫りくるが、前後に備え付けられたブースターが一瞬の明滅と共に加速し、不規則なる動きで持って爆風を躱していく。
踊るように、ワルツに乗るように。
ジーノの機体は爆炎を受けて輝きながら、それでも次々と地雷原を踏破していく。
「めちゃくちゃだ……あんなキャバリアの操縦ができるものなのか……?」
革命軍のキャバリアパイロットたちは呆然とジーノの駆るメビウスの機動を見送るほか無い。
地雷が爆発する音にかき消されながらも、それでもジーノは己の感覚が研ぎ澄まされていくのを感じていた。
澄んだ電子音のバックミュージックがあったとしても、衝撃と音が機体を揺さぶっても、それでも。
「こんなもんが、ひどく心を冴えさせる――友軍に連絡。“道”に残った地雷には注視しといてくれ」
全て除去できたとは限らない。
対人用の地雷だって残っているかも知れない。
全てを自分たちが為すこともできるかもしれないが、それでもこの戦いは彼等の戦いだ。
自分たちができるのは、彼等の手に終えぬオブリビオンマシンのみ。
そのためにジーノたち猟兵はこの世界に駆けつけたのだから。それゆえに彼等にもまた己達の手で革命を為したという実感と、責務を果たしてもらわなければならない。
人は一人で立つことができる。
けれど、時にはよろめくこともあるだろう。けれど、それはずっと続くわけでもないのだ。
この少国家『フルーⅦ』が生まれ変わり、新生となるか。
その瀬戸際に今、ジーノは立っているのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束
久しぶりのクロキャなので
ちょっと気合いれて、いっきまーす!
『先駆け』の役目、引き受けましょう
かもんっ!『ファントムシリカ』!
そしてシリカ(猫)の説得から!
シリカよく聞いて下さい
Pシリカの装甲なら地雷程度なんて平気です
しかも空中浮遊しているPシリカなら爆風も直撃しません
そこで!エンジェライトスラスターの全力で
地雷が爆発する前に駆け抜ければダメージは実質ゼロなのでは!
さらに【VR忍術】風纏いの術で防護膜作ればより安全では?
…ダメ?やってみません?(駄々こねて許可もらいます
※アドリブ連携OK
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……」
揺れる少国家『フルーⅦ』に前口上が響き渡る。
その声はクロムキャバリアにおいては久方ぶりに響き渡る声であったことだろう。
しかしして、その口上を聞いたことがある者は、それが如何なる者が告げたものであるかを知っている。
クノイチ。
褐色の肌をはずませ、目立たぬ隠密にて敵を討つ影なる者。それこそが、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)である。
彼女の微笑みは人々に希望の星となって届けられることだろう。
「胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
もはやお約束の領域にまで昇華した前口上の前に人々は確かに潜めない。あれはひそめるわけがない。潜めさえてはならぬ至宝であるという類の言葉がうんうんとうなずかれたのだった。
主に男性陣を中心であり、女性陣からは男性陣への醒めた視線が突き刺さっていたが、それはまた別の話である。
「久しぶりのクロムキャバリア! うん、気合を入れていっきまーす!」
先駆けの役目である地雷原の突破。
それこそが、今時間との戦いを強いられている革命軍に必要な役目であった。
すでに地雷原は多くの猟兵達によって突破されつつある。だが、それでも対キャバリアを想定したものの除去を力技で持って押し切る姿が多い。
対人地雷に対してもアプローチがかけられているが、それでも未だ完全に地雷原を突破するには至っていない。
「かもんっ! 『ファントムシリカ』!」
サージェの指が鳴らされると、即座に現れるのは淡い紫と白のキャバリア『ファントムシリカ』。
それに勢いよく飛び込むサージェがはじめに行ったのは、起動でもなんでもなく、そのキャバリアに宿るアバターである『シリカ』への説得であった。
「シリカよく聞いて下さい」
『いや。聴きたくない。どうせ突貫なんでしょう』
まさかの聞く前からの否定にサージェはたじろぐ。
だが、ここで怯んでいる時間はない。まくしたてるようにサージェは言葉を紡ぐ。
「ファントムシリカの装甲なら地雷程度なんて平気です。しかも空中浮遊しているファントムシリカなら爆風も直撃しません。そこで!」
握りこぶしを握って力説するサージェを白猫又のシリカは半眼で見やる。
もうここまで言われたら、何を言ってもどうやっても、サージェはそれをやるだろうということは長年の付き合いで理解していた。
「エンジェライトスラスターの全力で地雷が爆発する前に駆け抜ければダメージは実質ゼロなのでは! さらにさらに風纏いの術で防護膜作ればより安全では?」
すでにVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)によって専用メモリをコンソールにインストールし終えているサージェ。
此処まで来るともう説得ではなく事後承諾の類ではないかとシリカは半ば諦めていたが、それでも機体を傷つけられることは避けたい。
機体の損傷はそれ即ち主であるサージェに害が及ぶということである。
兵器であるが故に使用者の安全を考慮するのは当然であるのだが、それをサージェは理解しているのだろうか。
他者のために戦う猟兵であればこその思考。
己を顧みないことは美徳であるが、残されたものは如何なる感情を抱くのか。それをサージェは理解していないのかと思うシリカであったが、それでも。
「……ダメ? やってみません?」
そんな風に言われてしまっては断ることなどできない。
やれやれとため息を付いてシリカは不承不承で機体を起動させる。なんだか背後でシリカ愛してる! とかなんとかサージェが言っているが聞いていないふりをする。
やると決めたらやる。
それがどんなに危険なことであってもサージェはやる。それが人のために成ることであるからと。
そんなサージェが傷つくことは悲しいけれど。それでも、彼女が彼女らしく戦うためにこそ己達がいるのだ。
『傷、一つもつけたらダメですからね』
その言葉にサージェは頷き、地雷原を駆け抜ける。
爆風が渦巻き、地雷原のあらゆる地雷を起動させ、尽くを無効化させ、踊るようにサージェは活き活きとその活躍を、まったく潜めていないことを気にもせずに革命軍の面々に見せつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
AIは女性の声で敬語
アジン、あの時のパイロットか。死ぬには惜しい人材だ
自分の命よりも他者の命を優先するのか、やっぱり慕われているんだな
あの時はまだ起動していなかったが力を貸してくれ、Minerva
SPDで判定
俺が地雷を、UCでキャバリアの操作を任せたAIには機雷の探査を行う
専用端末で連絡を取り合いながら、俺は【暗視】【視力】【聞き耳】【情報収集】、AIには【情報収集】【世界知識】【戦闘知識】などを使って地雷や機雷の無い場所を探って通る
【悪路走破】、【地形の利用】、【足場習熟】からの【ジャンプ】、【忍び足】で移動し革命軍を先導する
革命軍が冷静じゃない場合は【落ち着か】せる
「アジン、あの時のパイロットか」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は革命軍が武装蜂起した理由を知る。
彼等は皆、『キマイラ』と呼ばれたキャバリアのエースパイロットであるアジンを慕う者たちである。
オブリビオンマシンによって心歪められたアジンしか知らぬルイスにとって、彼の人となりはなんとなくでしか理解はしていなかった。
けれど、今の革命軍たちの面々を見ればわかる。
本来の彼は外交手腕によって殆どの紛争を回避してきた者である。それは政情を知る手腕だけではなく、他を納得させるだけのキャバリアパイロットとしての技量もあればこそであろう。
まさしく外交手腕とエースパイロットの『キマイラ』であったのだ。
「死ぬには惜しい人材だ。自分の生命よりも他者の生命を優先するか……やっぱり慕われているんだな」
だからこそ、死なせるわけにはないかない。
少国家『フルーⅦ』は今瀬戸際に立っている。
このまま革命が成ったとしても、アジンのような人物がいなければ混乱をまとめることはできない。
そうなれば混乱のままに周辺国に食いつぶされてしまうだけだ。それは事実所の滅びである。
だからこそ、彼を死なせず『フルーⅦ』の滅亡もまた防いで見せなければならない。それにはオブリビオンマシンの存在は邪魔でしかない。
「あの時はまだ起動していなかったが力を貸してくれ、Minerva」
『了解しました、オート・モードに移行します』
キャバリアである銀の銃兵の戦闘補助システムである『Minerva』が起動し、立ち上がる。
その姿を頼もしく思いながらルイスは地雷を避けるべく地雷原の中を進む。
地雷を吹き飛ばしてもいいのだが、この地雷原を敷設した敵の指揮官は丁寧にも一つの地雷が作動すれば連鎖的に爆発させるような仕組みを使っている。
それがどれだけ時間稼ぎに有効であるかを知っている者の戦術であった。
「調査する時間も、除去させる時間もない。なら、全てを見切って進むほか無いだろう」
ルイスのメガリスの義眼が輝く。
彼の瞳の中に映る世界は通常の人々とは違う。AIと専用端末で情報共有しながら、地中と空中に敷設された地雷の位置を特定する。
敷設するだけして戻る時は地雷原を迂回することは、地中に設置しているがゆえにロスにしかならない。
だからこそ、敷設した者たちが安全に抜けるルートを用意しているはずなのだ。
「そこか……Minerva、革命軍に伝達を。そしてキャバリアには情報をダウンロードさせろ。ルートが見えた」
ルイスが走り出す。
どれだけ安全なルートを発見できたとしても、先駆けを征くことは恐れを伴うことだ。
だからこそ、ルイスは己が先陣をきって駆け出す。己の後に続く者は安全だ。それを知らしめるために駆ける。
誰かのために何かを為す。
他者の生命を己の生命よりも優先する。それが革命軍が慕うアジンの人間性であるというのなら、ルイスの献身こそ革命軍たちの信頼を得るに値する行為であったことだろう。
彼の勇気ある行動が、革命軍を動かしたのだ。
次々にルイスに続く革命軍たちは、安全に損失を出すことなく地雷原を抜けようとしていた。
「落ち着け。俺の後をたどればいい。必ず助け出す。己の生命よりも誰かの生命を優先する者にこそ、これからの『フルーⅦ』に必要な人間であると、知らしめる必要があるのだから――」
ルイスの言葉に革命軍たちは皆一様に頷き、想いを一つにする。
バラバラであった者たちをまとめ上げる。それがオブリビオンマシンがバラバラにしようしていたものであり、今再び一致団結する集団へと革命軍を変えた瞬間であった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
オブリビオンによる失態を政争に利用されるとは…
関わった者として遣り切れなさを覚えます
猟兵として介入の余地(オブリビオン絡み)があったことは不幸中の幸いと言えるのか…
いえ、今はアジン将軍の元へ急ぐのみですね
飛ばした妖精ロボに備えた地中レーダーで高周波の電磁波照射
反射の分布から埋設物を●見切り●情報収集
空中機雷もキャバリア用、小型のSSW製妖精は流石に想定外でしょう
後は埋設地雷や浮遊機雷をサブアームのライフルで撃ち抜き、爆風や鉄片などの余波を盾受けしながらロシナンテⅣの●推力移動で突破
オブリビオンが齎した歪みを人の手で正せるならば…それを為す手助けをするのが騎士の務め
(革命軍へ)
私が先導いたすます
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は今、遣り切れぬ思いを抱きながら地雷原を見つめていた。
小国家『フルーⅦ』。
それはトリテレイアや他の猟兵たちにとっては、かつて同じ小国家『グリプ5』へと侵攻を企てたが故に打倒した小国家の名である。
本来であれば同盟国であった『フルーⅦ』が何故侵略という蛮行に至ったのか。
それはオブリビオンマシンの存在があるからだ。
穏健派であった『キマイラ』の二つ名を持つアジンは、そもそもが外交手腕によって戦争を回避してきた人物である。
オブリビオンマシンによって心を歪められたからこその蛮行であったが、それは猟兵たちによって阻止されている。
だが、その責任の所在は指揮官であったアジンの元にある。
それ自体は仕方のないことであったが、それを政争に利用されるというのは、関わった猟兵であるトリテレイアにとってはあまりにも不条理であった。
「猟兵として介入の余地があったことは不幸中の幸いと言えるのか……いえ、今はアジン将軍の元へ急ぐのみですね」
自律式妖精型ロボ 格納・コントロールユニット(スティールフェアリーズ・ネスト)を作動させ、複数の妖精型偵察ロボが地雷原の上を行く。
空中機雷を巧みに躱しながらの複数コントロールは至難の業であったことだろうが、戦機たるトリテレイアにとって、それは並列処理でしかない。
電脳を持つ者だからこそできる作業の並行は、ウォーマシンだからこそである。
「なるほど……地中の地雷は一つを踏み抜けば連鎖して空中の機雷が誘導される仕組み……二重三重に罠として作動させ、一つのミスで敵に打撃と心理的動揺を与える目論見ですか……」
トリテレイアは妖精型偵察ロボから送られてくる情報を確認しながらつぶやく。
敵指揮官の地雷敷設の技術は対したものであった。
だが、それはあくまでキャバリアを用いた戦闘においてのみである。
ここクロムキャバリアにおいて兵器とは鋼鉄の巨人キャバリアの事を差す。
故にスペースシップワールド……異世界の兵器に対する対抗手段は内に等しい。
「想定外があることを知って頂きましょう」
量産型改造キャバリアである『ロシナンテⅣ』を駆り、トリテレイアは地雷原へと進む。
偵察ロボの情報によって全ての地雷の位置はわかっている。サブアームから展開されたライフルが次々とそれらを打ち抜き、爆風を巻き上げる。
鉄片や岩などが飛んできたとしても、それは余波にしか過ぎない。構えた大盾が尽くを防ぎ、歩みを進める。
スラスターが凄まじい推力を生み出し、地雷原を次々と突破していく。革命軍は己の機体が通った轍を進めばいいのだ。
それにすでに多くの猟兵たちがそうしているように地雷原があったとしても破壊してしまえばいい。
己たちの役目はあくまでオブリビオンマシンの撃破。
革命軍たちが何かを為そうとする手助けをすればいい。
「オブリビオンがもたらした歪みを人の手で正せるならば……それを為す手助けをするのが騎士の務め。私が先導致します。皆さんのキャバリアは消耗を控えて頂きたく」
トリテレイアは革命軍へと通信を入れる。
彼等の戦いはこれからだ。己達猟兵は、その露払いだ。如何にオブリビオンマシンが強大な存在であったとしても、この世界に住まう彼等こそが、世界を少しづつでも良い物に変えていくことができる。
誰もが望んで戦っているわけではない。
穏やかな明日を望みながら戦っているのだ。それはかつて心歪められたアジンにもあった願いであり想いであったからこそ、トリテレイアは戦う。
少しでも誰かの平和を願う想いを護るために、トリテレイアはその責務を果たすべく地雷原の爆風の中を進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
この辺りの国はどこもこんな感じなのかなぁ
ちょっとオブビリオンマシンが集中しすぎてる気もするけど
まずは目の前の障害から何とかしようか
式神白金竜複製模造体で使い魔と金属柱を召喚
複製創造で搭乗席とガトリングガンを生成
それらを使い魔の念動力で形成
完成した鉑帝竜に搭乗するよ
兵装創造でフルアーマーを創造
攻撃回数を半分にして装甲を5倍にし
そのまま地雷原に突入
地雷や機雷を作動させつつ移動して道を作ろう
神気と装甲で爆発の威力は防げるし
希少金属は重いから吹き飛ぶ事もないと思うよ
ちょっと揺れるのですよー
万が一遠距離から砲撃を受けても大丈夫だから
盾にして貰っても良いよ
この機体はそう簡単に行動不能になったりしないからね
戦乱ばかりを目にしてきたような気がすると感じるのは、この世界クロムキャバリアがあまりにも平和から遠き存在であることを知るからであろう。
小国家が乱立し、人類は一つもまとまることはなく争いばかり続けている。
そこには他者より優れたるを求める生命としての本能があるからではないように思えたのは、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が猟兵であり、他の世界を見つめてきたからでもあったからかもしれない。
「このあたりの国はどこもこんな感じなのかなぁ……ちょっとオブリビオンマシンが集中しすぎている気もするけど……」
晶がそう感じるのも無理なからぬことであった。
オブリビオンマシンはいつのまにかキャバリアとすり替わっていることが多い。
それが如何なる原理に寄って行われているのかを未だ猟兵たちは知らない。
だとしても、オブリビオンマシンが次から次へと現れているのは、この周辺の国家群に集中しているようにさえ思えてしまう。
まるで誰かが手引をしているとしか思えないのだ。
「まずは目の前の障害からなんとかしようか――さぁて、でかいの一発いってみようか」
晶のユーベルコードが式神白金竜複製模造体と共に召喚された金属柱を分解し、搭乗席とガトリングガンを形成していく。
それはさらなる兵装創造(オルタナティブ・ウェポン)によってフルアーマー化し、晶を護る完成された鉑帝竜として地雷原へと足を踏み入れさせる。
地雷原に敷設された地雷は対キャバリア用地雷である。
どれだけ強固な装甲を施されたキャバリアとて、その爆風の威力の前には擱座せざるを得ない。
だが、ここに在る鉑帝竜は違う。
晶のユーベルコードに寄って装甲を凡そ通常の機体よりも5倍にまでひきあげられた超高硬度を持った機体なのだ。
「地雷原程度で止められると思うなよ!」
『でもちょっと揺れるのですよー』
その進撃は止められない。
どれだけ強烈な地雷や空中きらいが寄ってきても、鉑帝竜の圧倒的な装甲強度の前にはただ揺れる程度でしかない。
「希少金属で組み上げられた装甲は単純に重いからね。万が一に砲撃を受けても大丈夫。さあ、皆、この機体を盾にしてもらって良いよ。この北はそう簡単に行動不能になったりしないからね」
晶は超高硬度の装甲に覆われた鉑帝竜の搭乗席で笑う。
今の鉑帝竜は盾である。矛である必要はない。
どれだけの攻撃、爆風にまみれても決して倒れぬ盾であればいいのだ。そうすることで道が轍のように紡がれて、安全なルートとして確保される。
数多の猟兵たちがそうしたように、革命軍の損害をゼロに近いまで抑え込むことこそが、今後の『フルーⅦ』の国としての混乱を治めるためには必要なことであったからだ。
優秀な指導者だけでは成り立たない。
その為政を実行する者たちがいなければ、意味をなさない。けれど、優秀な指導者なくば人々は混乱するだけだ。
そういう意味ではオブリビオンの企みは二重三重にこの国を苦しめるために敷かれている。
だからこそ。
「その企みは全部踏み潰す! オブリビオンマシンが人の心を歪めるなら、人の心は何度でも正しく元に戻ることを示さなきゃならないんだから」
晶は知っている。
人の心は歪むけれど、それをなしたオブリビオンマシンですら猟兵たちは滅ぼす。けれど、猟兵達の力は挫折した人の心までは救えない。
その心を救うのはいつだって、この世界、その当事者達である。
だからこそ、晶はオブリビオンマシンを取り除く。
人の心の戦いが、これからはじまるのならば在ってはならぬ存在は骸の海へと帰さなければならないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【WIZ】
地上ではなく空中にも機雷がのー
まずはこれを処理せねばならぬのがいかんところじゃのー
UC「電磁力もまた自然の摂理」を発動させ、電磁力属性の大津波を起こして前方にある機雷に電磁力を持たせて一か所に集中するように仕向ける
そして衝突と同時に相打ちのように機雷を自爆させて道筋を確保する
万が一警護の為のキャバリアが来るようなことがあれば、電磁力の竜巻を起こして機雷を含めて巻き込んで大爆発を起こさせる
機雷といっても所詮は金属、なら電磁力で操れんことはないけーのー
メイスン自身は能力のコントロールに集中し、電磁力が後方に及ばないように電脳魔術を行使し続ける
アドリブ絡みOK
人の営みはいつだって複雑である。
人は一人では生きることは難しい。だからこそ寄り添い、助け合って集団へと変わっていく。
村が都市に、都市が国になるように人と人との繋がりこそが人の生存圏を広げていくのだ。
そうすることによって生命は紡がれていく。
だが、それを許さぬ戦乱がクロムキャバリアにははびこっていた。何処を見ても戦乱の火種ばかりがくすぶっている。
火を放ち、その業火でもって人の営みすらも滅ぼさんと虎視眈々と暗躍し続ける。それこそがオブリビオンマシンである。
「地上だけではなく空中にも機雷がのー」
メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は癖のある訛り言葉で目の前に広がる地雷原を見つめていた。
多くの猟兵が戦場に降り立ち、その地雷原を突破しつつある。
これだけ大規模な地雷原を敷設しているところからして、この事件に暗躍しているオブリビオンマシンもまた、この小国家『フルーⅦ』の分水嶺が此処であることを自覚しているに違いない。
「まずこれを処理せねばならぬのがいかんところじゃのー」
わりとめんどーじゃけども、とメイスンはため息をつく。
だがこれも平和に引きこもるためである。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
電脳魔術を手繰る彼女が生み出すのは、電磁力もまた自然の摂理(ルール・オブ・ネイチャー)である。
電磁力を大津波のように起こして、前方に在る地雷原へと押し流す。
「電脳魔術でもこいつは一際厄介じゃけーのー」
制御が難しく暴走しやすいユーベルコードによって生み出された電磁力。
それを完璧に制御しながらメイスンは空中に浮かぶ機雷を一箇所に集中させるように力を操る。
次々と機雷が一点に集まってきた瞬間、何かに触れることによって起爆する機雷たちは尽くが同士討ちするように凄まじ爆風を空中に撒き散らす。
さらに電磁場が形成され、地中に埋まった地雷が誤作動し爆風を吹き荒れさせる。
対キャバリア用に敷設されていた地雷も、歩兵用の地雷も全てが金属であるのならば。
「所詮は金属よ。なら電磁力で操れんことはないけーのー」
彼女の言葉通り、その全てが誘爆し無効化されていく。
確かに地雷は空を飛ぶことが叶わぬクロムキャバリアにおいては有効なる戦術であろう。
ときには戦争すらも左右しかねない力である。
だが、それはクロムキャバリアにしか生きていない者たちの観点である。数多の世界を巡ってきたメイスンにとって、それは対策の取れぬ戦術ではないのだ。
「このまま一気に地雷を無効化するけーの! 僕の電脳魔術こそ、対策を打つべきじゃったと後悔しても、もう遅いのじゃけー!」
メイスンの完璧なる電磁力の制御に寄ってあらゆる地雷や機雷が暴発し、無効化されていく。
制御の難しい電磁力であっても後方に漏れることはなく、メイスンの実力の高さをうかがい知ることしかできないであろう革命軍は、己達の味方に此処まで心強い者がいることに士気が高揚する。
「これならアジン少将を救える……! ありがたい……!」
メイスンに例を述べ、安全と成ったルートを進んでいく革命軍のキャバリアたち。
集中していたメイスンにとっては、それは微笑ましい光景でも在った。
だが、本番はこれからである。
「この後に控えるキャバリア部隊……精鋭揃いということじゃったけどもー……ま、なんとかなるじゃろ!」
そう、敵のオブリビオンマシンに指揮された精鋭部隊。
それが待ち受けている。だが、それでも猟兵たちはそれらを躱し、首魁であるオブリビオンマシンを打ち倒さなければならない。
そうしなければ見えぬ混乱の先の希望があるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
荒覇・蛟鬼
明けても暮れても戦。実に埃っぽい世界ですな。
ある意味幽世より滅びに近いかもしれません。
■行
【SPD】
さて、【鬼の宴】を始めましょうか。
咎人よ、地雷を三つ掘り起こしたら解放します。
……とは言いましたが、彼等に見つけられるわけがありません。
本当の目的は“囮”として地雷を踏ませ、地上の安全ルートを
開拓することです。
私は後方の安全な場所から地雷の爆発が確認できたところを
ゆっくり進みましょう。棒付き飴を咥えてね。
万一に備え【オーラ防御】程度は張りますが。
嗚呼、実に美しい。
業火の如く猛り狂う爆炎、共鳴する轟音と悲鳴。
塵が消え行く様はいつ見ても絶景だな?濡姫よ。
『煙臭いのは嫌いです』
※アドリブ歓迎・不採用可
戦乱だけが常に在る世界。
それがクロムキャバリアである。
初めて降り立ったその世界は荒覇・蛟鬼(鬼竜・f28005)の瞳に如何なるもののように映ったことだろうか。
「明けても暮れても戦。実に埃っぽい世界ですな」
そう端的に表現したのは的を得た見解であったことだろう。
空には暴走衛生『殲禍炎剣』。地上にありては鋼鉄の巨人キャバリアが闊歩する世界のどこに平穏を見出すことができようか。
彼の出身世界であるカクリヨファンタズムもまた滅びと隣り合わせの世界である。
「ある意味幽世より滅びに近いかもしれません」
それは尤もな意見であったことだろう。
だが、その滅びもまた齎さんとするのは過去の化身、オブリビオンマシンである。
だからこそ、蛟鬼は戦いに挑まねばならない。
人の営みの隙間に存在し、人の心を歪ませ戦乱の火種を撒き散らすオブリビオンマシンこそが此度の標的にして罪人である。
なればこそ、その手にした獄卒帳には消えぬ罪過があると知らねばならぬ。
「では、本日の罰を執行します……咎人よ」
ユーベルコード、鬼の宴(オニノウタゲ)によって呼び出されたのは粗末な武具で武装した鬼の角を生やされ、思考を奪われた咎人の幽霊たち。
彼等は皆蛟鬼の獄卒帳に記された罪人たちの魂である。
彼等に罰を与えることこそが、彼の役目。だからこそ、罪には罰を。そして罰には赦しが必要である。
「地雷を三つ掘り起こしたら解放しましょう」
命ずる言葉にしたがって咎人の幽霊たちが次々と地雷原へと進んでいく。その姿は膨大であり、どれだけの咎人の魂が獄卒帳に記されているのか。
確かに温情であったのかもしれない。
人を死に至らしめる地雷を三つ掘り起こして無効化する。それは嘗ての罪を濯ぐには十分な働きであったのかもしれない。
だが、蛟鬼は別の意味で彼等に支持していたのだ。
開放されるには足りない。
彼は安全な場所から地雷撤去の様子を見ている。それはまさしく獄卒として正しい姿であったのかもしれない。
咎人の幽霊たちが地雷を発見できることはない。
彼等にその知識はなく、地雷というものがどういうものであるのかもしらない。それ故にうかつに武具を地面に振り下ろした瞬間、作動した地雷の爆風にふきとばされていく。
だが、それでも彼等の魂が解放されることはない。
「――……ふむ。囮としては使えました。ならば、良き。さあ、進みなさい咎人よ。貴方達の罪を濯ぐために」
棒付き飴を加え、蛟鬼は次々と地雷と機雷が作動し爆風を吹き荒れさせる荒野を見下ろす。
ゆっくりとした足取りで蛟鬼は幽霊たちが作動させ無効化せた大地を歩く。
「嗚呼、実に美しい。業火のごとく猛り狂う爆炎、共鳴する轟音と悲鳴」
それはまるでオーケストラのようであるように蛟鬼には感じられた。
ハーモニーのように響く爆炎と悲鳴は、交響曲のようでもあり、彼の感性を刺激する。
「塵が消え行く様はいつ見ても絶景だな? 濡姫よ」
そう問いかけるのは蛇の使い魔である『濡姫』にである。
これだけ素晴らしいハーモーニーを見遣りながら、柄にもなくなんともロマンチックな気分になってしまう。
だが、そんな蛟鬼の言葉に当の『濡姫』はそっぽを向いて。
「煙臭いのは嫌いです」
そう一言だけ告げて頭を引っ込めるのだ。
これはなんとも手厳しいな、と感じながらもそれでも蛟鬼は咎人の魂を開放することはなかった。
約束は違えない。
地雷を掘り起こせといったのだ。爆発させろとは一言も言っていない。
「咎在りきの魂には、その罪に罰でもって磨かねばならぬ。人の世には人の法があるように、幽世にもまた幽世の法がればこそ」
爆炎轟く地雷原を蛟鬼はまるで指揮棒のように棒付き飴を振るいながら進むのであった――。
大成功
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第2章 集団戦
『ファイアディザスター』
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POW : ガトリングストーム
【両腕のガトリングガンの連射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : ハウリングショット
レベル分の1秒で【両腕のガトリングガン】を発射できる。
WIZ : ガトリング・フィアー
【轟音を伴うガトリングガンの掃射】を披露した指定の全対象に【動けない程の恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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「……馬鹿な。地雷原を突破された? それも連中のキャバリアに損害無く、だと?」
小国家『フルーⅦ』の上層部、その責任者でもありオブリビオンマシンによって心を歪められた『セキズ』は驚愕していた。
己が敷設した地雷原は対人、対キャバリアと二重三重にも張り巡らせた罠であった。
地雷を撤去する時間を取られればアジンは処刑されてしまう。
けれど、無理に突破しようとすれば一つ作動する毎に周囲を巻き込むように敷設した地雷と機雷によって戦力であるキャバリアは損壊してしまう。
そのようにして革命の徒である彼等を見せしめに壊滅させるつもりであったのだ。
だが、その目論見は猟兵達によって尽く踏破されてしまった。
「ならば、精鋭部隊の……『赤い災厄』を出せ! 連中を一人残らず抹殺しろ!」
焦りがじわりと喉元に支えるようにこみ上げてくるのを『セキズ』は感じずにはいられなかった。
アジンと己は違うと理解していた。
アジンであればどうしただろうかという焦りが己を追い詰めていく。
「くそ……! だが、あの部隊ならば……!」
オブリビオンマシンではないが、『フルーⅦ』にとって最期の切り札である最強の部隊。
殲滅戦に特化した部隊であり、その攻撃力をして周辺国家に『フルーⅦ』の名を知らしめているのだ。
あの部隊ならばきっと……! その思いを見透かすようにアジンが笑う。
「当てが外れたようだな、セキズ。見たか、革命軍の者たちの顔を。彼等は私が居なくても、きっと革命を遂げる。私の存在が重要に見えたのなら、お前の目は節穴だ。歪んでいると言ってもいい」
何を、とセキズがうろたえる。
だが、それでも彼は止まらない。なぜなら、オブリビオンマシンによって破綻した心をさらに捻じ曲げられているからだ。
「人が変わるのは止められない。誰も彼もがそうであるように。それに抗うというのなら、早くしたほうがいい。そら、もう彼等は其処まで来ているぞ――」
その言葉に反応するように、荒野ではキャバリアの大部隊同士が激突する。
精鋭部隊『赤い災厄』。
そのキャバリアである『ファイアディザスター』から放たれる嵐のようなガトリングガンの斉射が、荒野に鳴り響くのだった――。
村崎・ゆかり
敵もキャバリアを繰り出してきたか。『迦利』、出番よ。
「式神使い」と器物覚醒で機甲式『迦利』を起動。
「ジャミング」で「目立たない」ように空を進み、敵機を射程に捉えたら、「弾幕」「制圧射撃」「一斉発射」で「レーザー射撃」。
浮き足だったところで、先端の鋭角に「オーラ防御」を集中させて、敵の先頭に立つ機体に吶喊。
「レーザー射撃」の「弾幕」で牽制しつつ、目につく敵機に同じ攻撃をぶち込み続ける。
敵の反撃が激しくなったら、『迦利』は低空へ離脱。
そろそろね。「全力魔法」雷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」を乗せた九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を、敵軍の全部を巻き込むように叩き込むわ。
さあ、目的地はすぐそこよ!
その精鋭部隊『赤い災厄』は、圧倒的な速射性能を実現した両腕に備えられたガトリングガンの斉射でもってあらゆる敵を殲滅してきたキャバリア部隊である。
一分間に放たれる弾丸は数千発を優に越えている。
それが人間大ではなく、鋼鉄の巨人キャバリアの5mを超える機体が扱うものであれば、どんな破壊の力が齎されるのかは想像に難くない。
赤き硝煙を上げながら、『ファイアディザスター』は歩みをすすめる。
「敵機確認。革命軍と……あれらは奴らに雇われた傭兵風情か」
ならば手加減をする必要などないと言わんばかりに『ファイアディザスター』の機体は、その両腕に備えられたガトリングガンの銃口を向ける。
一度放たれれば、この轟音の痕に残るのは破壊でしかない。
ここまでは調子よく進むことができたであろうが、『赤い災厄』の前には幸運を二度も続けさせることはできないのだと知らしめるようにトリガーを引こうとした瞬間、彼等の機体を貫いたのはレーザー射撃の制圧射撃であり、弾幕であった。
ここクロムキャバリアにおいて飛行するキャバリアは少ない。
低空飛行であれば問題ないが、キャバリアを飛ばすとなると確実に在る一定の速度と高度が必要になる。
「な、なんだ――!? あれは!」
そう、キャバリアはスラスターによって地面すれすれに飛ぶことはできても、その機動は限られる。
けれど、もしもの話であるが、人を乗せることを想定しないキャバリアがあったのならば、その大前提は覆ることだろう。
クロムキャバリアの空に奇妙なる逆三角形のキャバリア、機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』が舞う。
それは村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)の式神使いとしての才能と異世界の技術が融合した結果、その結実たる逆三角形のシルエットをした飛翔体が生まれたのだ。
「敵もキャバリアを出してきたか。出番よ!」
放つレーザー射撃もさることながら、驚愕せしめるのは、その変幻自在なる機動である。
人が乗っていては加速度によって内部の人間はこらえることができないであろう。そうなってしまえば、コントロールを喪って失墜するほかない。
「こんな……! 馬鹿げた機動を行うキャバリアがいるだと!?」
ガトリングガンがどれだけ速射性能をひけらかしたとしても当たらなければ意味がない。
その変幻自在なる機動を前にうろたえた『赤い災厄』たる部隊のキャバリアたちが浮足立ったところに一体の『ファイアディザスター』の頭部へと『迦利』のオーラの力をまとわせた鋭角の一撃が突き刺さる。
突き刺さったまま放たれるレーザー射撃が周囲に点在していた『ファイアディザスター』たちを寄せ付けない。
目につく敵機全てにレーザー射撃による打ち込み続け、近寄らせることはない。
「敵の反撃が激しいわね……やっぱり、あのガトリングガンの斉射能力は怖い……なら、迦利!」
レーザーを撃ち込んだ『ファイアディザスター』が装甲とアンダーフレームを喪って擱座した瞬間、『迦利』はひらりと低空飛行して離脱していく。
「そろそろね……九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
ゆかりが放つは周囲の視界を阻害するほどの激烈なる落雷を放つ、九天応元雷声普化天尊玉秘宝経(キュウテンオウゲンライセイフカテンソンギョクヒホウキョウ )の一撃。
それらは周囲の『ファイアディザスター』たちを巻き込み、さらには彼等の視界を塗りつぶす。
全ての『ファイアディザスター』を打倒する必要はない。
この戦いは速度の問題だ。アジンという救出対象を処刑よりも早く奪還すること。それこそが今回の戦いにおける革命軍の本命である。
そして、同時に猟兵たちにとっての本命とはオブリビオンマシンである。
精鋭部隊『赤い災厄』はオブリビオンマシンではない。どれだけ指揮系統によって踊らされているのだとしても、殺すわけにはいかない。
「さあ、目的地はすぐそこよ!」
ゆかりの呼びかけによって革命軍のキャバリアたちが走り抜けていく。
彼等にとっての希望はアジンという指導者であろう。
ならば己達がなすべきことは決まっている。
ゆかりは明滅する雷撃が染める中、彼女にしかできぬことを為すために力を振るい続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
AIは女性の声で敬語
地雷源を越えて来ている時点で別の作戦にすればよかったのにな
人は殺さないがそのまま向かってくるなら容赦しない
SPDで判定
まずは【挑発】し攻撃を誘発
【見切り】【早業】【地形の利用】【迷彩】を使いながら攻撃を回避
物陰に隠れたら藍の災い:圧壊【重量攻撃】をUCで付与した弾丸を【スナイパー】【早業】【全力魔法】【範囲攻撃】で敵の足元に放ち、【地形破壊】することで【体勢を崩す】
それから橙の災い:爆破【爆撃】を同じように付与し【スナイパー】【全力魔法】で弾丸を撃ち出して攻撃する
この際、コックピットは避ける【救助活動】
『フルーⅦ』の上層部が擁するキャバリア部隊『赤い災厄』の『ファイアディザスター』が荒野を席巻するように歩みをすすめる。
その両腕に装備されたガトリングガンの斉射能力は人型の5m級兵器が扱えばいかなる戦術が取れるであろうか。
その凄まじい連射能力はあらゆる障害物をなかったことにするように破壊し尽くすだろう。
さらに『ファイアディザスター』には連射能力をさらに短縮するための特殊な機構すら備えている。
『赤い災厄』という部隊名は伊達ではなく、まさしく精鋭部隊であったのだ。
「この『ファイアディザスター』の速射機構の前にはいかなるキャバリアの装甲も意味をなさない。この力を持って、周辺国家を制圧する……それこそが我等の正道」
彼等の駆る『ファイアディザスター』はオブリビオンマシンではない。
けれど、それでもオブリビオンマシンじみた面影があるところから察するに、大本であるオブリビオンマシンによる影響もあるのかもしれない。
「地雷原を越えて来ている時点で別の作戦にすればよかったのにな」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は彼の乗機である『銀の銃兵』の姿を晒し荒野を行く『ファイアディザスター』たちを挑発する。
「この時点で力押しを選んだのは過信でしかない」
自分たちの駆るキャバリアの持つ圧倒的な速射能力。
それを頼みにするからこその面での制圧。それは確かに正しい戦術であったのかもしれない。
通常の戦闘であれば、であるが。
「荒野に障害物はない。けれど――」
ルイスは銀の銃兵を駆り、弾丸に属性付与(エンチャント)した義眼のメガリスの力を開放する。
藍色に輝く瞳が放つのは、圧潰の力。
放たれた弾丸は『ファイアディザスター』の足元へと打ち込まれ、その足場を崩壊させる。
ひび割れ、耐性を崩した『ファイアディザスター』へとさらに放つは橙の災いのちからが込められし弾丸。
爆撃のように爆発が巻き起こり、『赤い災厄』部隊は混乱に陥る。
どれだけ速射機能が優れていたとしても、それを扱うのが兵士であるというのならば、精神的揺さぶりをかければいいのだ。
「パイロットを殺すつもりはないが……そのまま向かってくるなら容赦しない」
次々と放たれる爆発は、ルイスの義眼が橙に輝く限り終わることをしらない。
コクピットブロックは避けて放っているが、それでも耐性を整えてくるのは、精鋭部隊ならではであろうか。
身を翻し、荒野を駆け抜ける銀の銃兵。補助用システムであるMinervaの助けもあって、ルイスは障害物のない荒野を巧みに銃弾の雨から逃れる。
「速射の反動で狙いを付けることができないんだろう……! 驚異的な速射能力が仇となったな」
ルイスが放つ橙色の災いの輝きは、『赤い災厄』の色を塗りつぶすように爆撃の光で持って煌々と照らす。
それは一種の目くらましでもあった。
ルイスが『赤い災厄』部隊を引きつけている間に革命軍のキャバリア部隊がすり抜けるようにしてアジンの処刑場へと向かう。
今回の戦いは猟兵たちと革命軍の目的は似て非なるものである。
あくまで猟兵達の目的はオブリビオンマシン。
そのオブリビオンマシンを引きずり出すためには、アジンの奪還が必須なのだ。
「此処は俺達が抑える……お前たちはアジンを!」
ルイスの義眼が再び輝き、どちらが『災厄』の名を持つに相応しいかを問いかけるように、その力を振るい『赤い災厄』部隊の足を押し留め続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジーノ・エヴァーソン
戦闘開始、だな。第二フェイズに移行する
戦術機動【瞬光】実行。低空中から連続のダッシュブーストでガトリング弾を突撃しつつ回避。狙いを定めさせないよう高速で動く
カウンターとしてRavenの射撃とAltairのレーザーをメインに敵を片付ける
至近距離にまで近づいた敵機には、左腕内のブレードで切断攻撃、その後移動…波を少しずつ減らしていく
これで災厄、嵐って言うなら…少しのどか過ぎるな
「戦闘開始、だな。第2フェイズに移行する」
それは、他の猟兵たちが精鋭部隊である『赤い災厄』――『ファイアディザスター』と呼ばれるキャバリア部隊との交戦が始まった瞬間であった。
ジーノ・エヴァーソン(Xeno_Fire・f30003)の駆る白きキャバリア『メビウス』のコクピットの中には未だ雑多な音楽が鳴り響いている。
片時も止めるつもりはない。
機体のカメラアイが猟兵たちと交戦を始めた『赤い災厄』の『ファイアディザスター』の機体を捉える。
すでに情報はあったのだが、直に見るのとそうでないのとでは雲泥の差である。
敵機の特徴はその外見からも察することができる。
両腕に装備されたガトリングガン。その速射、斉射能力は凄まじく、5m級のキャバリア用の武装としては破格の破壊力を持っている。
彼等が戦闘を実行した場所が市街地であれば、半日で更地にしてしまうほどの力である。
だが、同時にその斉射能力は機体に過度の熱を溜め込むが故に排熱する赤い硝煙のような放熱が特徴的であり、『赤い災厄』と呼ばれる所以でもあるのだ。
「だが、一度斉射を始めてしまえば容易にターゲットを変えられない。即座に止めて砲身を動かすこともできない……ならよぉ!」
ジーノの駆る『メビウス』の機体がユーベルコードに輝く。
それは、ジーノの得意とする戦術機動:瞬光(タクティカルムーヴ・ブリンク)と名付けられたコンバットパターンである。
「――この瞬き、捉えられるものかよ」
放たれた矢のように『メビウス』の白い機体が流星のように荒野を駆け抜ける。
低空飛行からの連続のブースターを絶えず噴射した状態で飛び込む戦場は、まさに目まぐるしく変わる万華鏡のようであった。
行き交う弾丸を捉えるジーノの反射神経は如何なる負荷がかかっているであろうか。
それでも関係なしに戦場という戦場を圧倒的な速度と戦術機動でもって翻弄するジーノの技量は、如何な精鋭部隊であろうとも捉えきれるものではなかった。
「くそ――! なんだあの白いキャバリアは! 速すぎ、ぐわあ――ッ!?」
放たれたレーザー射撃が『ファイアディザスター』のオーバーフレームを薙ぐ。
その一撃はほとんどの攻撃力がオーバーフレームに集中している『ファイアディザスター』を無力化するには十分な威力であった。
「反応が遅い――! 精鋭部隊と言っても、戦術がなければこの程度かよ!」
踏み込む『メビウス』の構えた左腕が閃く。
それは内蔵武器であるブレードの一閃であった。
放たれた斬撃が『ファイアディザスター』の腕部を斬り飛ばし、即座に離れる。攻撃を受けたと知覚した瞬間に、すでに『メビウス』の機体は目の前にはないのだ。
それほどまでの高速戦闘。
瞬光と名付けられたコンバットパターンの由来であろう。
波状攻撃のように『メビウス』が戦術機動の軌跡を描く。白き流星の駆け抜ける姿は、俯瞰して見てないければ、その全容を伺い知ることはできなかっただろう。
「これで災厄、嵐っていうなら……」
放たれるレーザーの乱舞。
ブレードの斬撃。対する『赤い災厄』は類稀なる斉射能力を活かすことなく、また一体、また一体とその数を減らしていく。
目にも留まらぬ白き残光しか彼等は捉えることができない。
「少しのどか過ぎるな」
嵐のような銃撃。けれど、それすらもジーノのキャバリアのコクピット内に響く音楽をかき消すことはできない。
それほどまでにジーノにとって彼等の攻撃は長閑なるものであったのだろう。
これこそが本当の嵐であると言わんばかりにジーノの駆る『メビウス』は、星雲のように『ファイアディザスター』から上がる硝煙を切り裂いて、戦場を駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
ふう、地雷原は抜けたみたいね。
さすがにきつかったけど…もうちょっとだけ頑張ってレスヴァント!!
『索敵』開始。『情報収集』し革命軍に一番近い敵機を補足。
うん。こいつらをまず倒そう。
レスヴァントをフルアーマーモードへ変形させ、攻撃力を強化数旅。
炎の剣…使うときが来た!!
敵の攻撃を『瞬間思考力』で一瞬で判断し『操縦』テクニックで前進しつつ回避行動。
『悪路走行』と『ダッシュ』で地表を加速させていくよ。
当たらなければ意味がないんだよ!!
アストライアの『範囲攻撃』の『制圧射撃』で敵集団の動きを封じつつ、炎の剣と一体化したイニティウムで敵機を連続で『切断』するよ。
爆発する。死にたくなければ脱出しなさい!!
猟兵達の活躍に寄って革命軍は消耗なしに地雷原を抜けることができた。
それは革命軍にとっては本来であれば在りえぬことであり、猟兵達の助力なくば地雷原を抜けることもできなかたことだろう。
「ふぅ、地雷原は抜けたみたいね。さすがにきつかったけど……もうちょっとだけ頑張ってレスヴァント!!」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)はキャバリア『レスヴァント』を駆り、『フルーⅦ』の上層部が擁するキャバリア部隊、『赤い災厄』と呼ばれる精鋭部隊の『ファイアディザスター』の前に躍り出る。
「こいつ……速い……!」
「それはそうでしょう! ボクってば“撃墜女王(エース)”だからね!」
一気に肉薄した『レスヴァント』が『ファイアディザスター』の一機を蹴り飛ばす。
機先を制するために放った蹴り。
彼等の持つ両腕に装備されたガトリングガンの速射性能は容易くレスヴァントを蜂の巣にするだろう。
彼等の強みは点による突破力ではなく面による制圧能力だ。
ガトリングガンの速射に寄って障害物を尽く破壊せしめるだけの弾丸を打ち出すことができる。
それ故に周辺国には『赤い災厄』として恐れられている。
だからこそユーリーは己に射撃が集中せぬようにとレスヴァントを駆る。
「力と霞と炎よ。今こそ我に加護を…なんてね……レスヴァント、フルアーマーモード!!」
ユーベルコードに輝くユーリーのキャバリア。
それは炎の剣と盾、そしてすべてを包み込む霧の鎧によって己の機体を強化する。炎の剣が燃え盛るように一気に力を噴出させる。
「こいつ――ッ!!」
周囲の『ファイアディザスター』から放たれる無数の銃弾が雨のようにレスヴァントを襲う。
だが、それはあまりにも遅い。
フルアーマーモードへと変形したレスヴァントを捉えることはできない。
ユーリーの持つ瞬間思考力は、銃弾の雨を大きく回避することではなく、銃弾の隙間をかいくぐることによって前進することを選択した。
それは一瞬の攻防。
放たれる無数の弾丸を一つ一つ見分けられるわけがない。
だが、ユーリーならばそれができる。彼女の類まれなる操縦テクニックと状況を瞬時に判断し、最適を読み切る瞬間思考力があればこそ為せる業であった。
「当たらなければ意味がないんだよ!!」
間隙を縫うようにしてレスヴァントが駆ける。肉薄した『ファイアディザスター』のコクピットの中でパイロットが驚愕に怯える姿すらも今のユーリーには見て取れるようでもあった。
「怯えるくらいなら――! 誰かの生命を弄ぼうなどと思うんじゃない!!」
放つアサルトライフルが周囲の『ファイアディザスター』を制圧するように火を噴き、抜き払った炎の剣と一体化したブレードが敵機の両腕と両足を一瞬の内に切断し、その戦闘力を奪う。
「死にたくなければ脱出しなさい!!」
炎の剣の熱がエネルギーインゴットを誘爆させる。次の瞬間、『ファイアディザスター』はその名の通りに爆風と共に吹き飛ぶ。
その背後でコクピットブロックが排出されるのをユーリーは見届け、さらに戦場を駆ける。
どれだけ戦っても戦場はユーリーというエースを求め続ける。
フリーのキャバリア乗りとして戦い続ける彼女にとって、戦乱続くクロムキャバリアは己の力を示す場所であったことだろう。
だが、だからといって人の生命が徒に損なわれていいとも思っていない。
「次――ッ!」
それでも戦場がユーリーを呼ぶ。
人と人との争いが続くのであればこそ、彼女の力量こそを求める者が後を絶たないだろう。
精鋭部隊を相手取って戦うレスヴァントの機体が爆炎に揺らめいて、その装甲色を染め上げる。
その炎剣振るうは変革への標となるか……それとも破壊の権化としての激情足り得るのか。
未だ答えはでない。けれど、それでも確かにユーリーの駆るレスヴァントは変革の炎として革命軍に反撃の狼煙として、その瞳に映るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フュテュール・ステラセ
・心情
さて、どうやら手強い敵のようですね
ですが、こちらも止まる訳には……そのまま、駆け抜けましょう、セイヴェリオス
・戦闘
敵の攻撃は【オーラ防御】で受けつつ、ユーベルコード『吹雪乱舞』で、『殲禍炎剣』に攻撃されぬよう大地を滑りながら攻撃します
その熱き炎、少し冷やされてはいかがでしょう?
搭乗者が脱出できるようには、加減致しますので
・その他
アドリブ等は大歓迎です
その両腕に装備されたガトリングガンは5m級のキャバリアが装備することに寄って凄まじき制圧能力を有する。
一度弾丸が放たれ始めてしまえば、毎分毎に放たれるのは数千単位の弾丸である。
それが『フルーⅦ』の上層部が擁する精鋭部隊『赤い災厄』と呼ばれるキャバリア、『ファイアディザスター』である。
彼等が投入されれば、小国家の都市部であれば半日足らずで更地に変えるとまで言われる過剰なる戦力であった。
だが、それは平時における戦乱であればの話である。
今此処に在るのは革命の戦いであり、同時に猟兵という規格外の戦力が革命軍に与して戦っているのだ。
彼等の戦いこそ、一人ひとりがエースパイロットと遜色ない働きを見せていることは言うまでもない。
「さて、どうやら手強い敵のようですね」
『捨て置く事の出来ぬ敵でもあります』
フュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)が駆るサイキックキャバリア『魔導機神セイヴェリオス』が『赤い災厄』と呼ばれる『ファイアディザスター』の前に立ちふさがる。
彼等の狙いは革命軍のキャバリアであろう。
フュテュールたちのような特機戦力を相手取るよりも、通常のキャバリアであり革命の主力である革命軍を制圧するほうが彼等の目的にかなっていると判断したのだろう。
「ですが、こちらも止まる訳にはまいりません。そのまま、駆け抜けましょう――セイヴェリオス!」
フュテュールの言葉に応えるように『魔導機神セイヴェリオス』の瞳がユーベルコードに輝く。
『風よ、氷よ、躍り狂え』
放たれる銃弾の雨をオーラの力によって弾き飛ばしながら『魔導機神セイヴェリオス』が飛ぶ。
確かに『ファイアディザスター』の放つ速射能力の高い銃弾が装甲に与えるダメージは凄まじいものだ。
毎分数千発と放つことのできる弾丸は躱そうと思って躱せるものではない。そして、防ごうと思って防ぐことのできるものですらない。
だが、『魔導機神』の名は伊達ではない。
フュテュールが駆り、『魔導機神セイヴェリオス』が放つ力は、銃弾すらも弾きながら大地をすれすれに舐めるようにして低空で飛びながら、サイキックによる無数の風の刃と氷の矢を放ち続ける。
それはまるで吹雪乱舞(ブリザード・サーカス)のようでもあった。
「氷……!? なんだこの兵器は……! こんな攻撃をするキャバリアがいるのか!?」
彼等を取り巻くのはサイキックによって生み出されたものである。
どれだけ弾幕をはろうとも、それらをかいくぐって襲い来る刃と矢に『ファイアディザスター』たちは攻撃力がオーバーフレームに集中している弱みを尽く突かれる。
「その熱き炎、少し冷やされてはいかがでしょう?」
放たれた刃と矢が次々と、『魔導機神セイヴェリオス』の周囲に集まった『ファイアディザスター』たちの両腕を切り落とし、アンダーフレームの脚部を矢によって内貫いていく。
「馬鹿な……! こちらの弾幕など効かないというのか……!」
「加減は致しました。脱出するのならば、今の内に。味方の銃弾によって生命を落とすなど……そんなことはあってはなりません」
突きつける『魔導機神セイヴェリオス』の剣の切っ先がコクピットハッチから這々の体で抜け出すパイロットたちを見送る。
それを見た『セイヴェリオス』は再び戦場を駆け抜ける。オブリビオンマシンではないキャバリアであったが、それでもパイロットの生命までを取ろうと思わない。
彼等もまた兵士の一人に過ぎない。
革命に寄って混乱は起こるだろうが、この国を構成する民の一人には違いない。己達の目的はあくまでオブリビオンマシンである。
『この混乱を招いたのがオブリビオンマシン……ならば、それを切り捨てることによって革命の礎となしましょう』
「ええ、セイヴェリオス。そのために私達は駆け抜けましょう。その革命こそが人々の安寧へとつながると信じて」
フュテュールとセイヴェリオスは前を向く。
今はまだ遠き平和への道のり。
けれど、この革命が僅かであっても確かに平和への一歩だと信じて、彼女たちは戦い続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アリッセ・トードゥ
凄まじい火力だな。
だけど特化した機体だけを揃えちゃ連携は出来ない。将の素人共に戦場を教育してあげようか。
【加速機能】発動。高速機動モードに入る。
「マルチプルミサイル」を【一斉掃射】。【誘導弾】【念動力】で操り、上空からミサイルの雨を降り注がせ【範囲攻撃】。
その機体じゃ避けるのは無理。機銃掃射で撃ち落とすのが正解だ。
彼等の銃口が空に向かった隙を狙いスラスター全開で高速【推力移動】。集団の懐に飛び込む。乱射しか出来ないガトリングは乱戦では同士討ちになる。
「フィジカルジャマー」の【残像】で撹乱し【早業】【瞬間思考力】で回避しつつ「フォースチェーン」を振り回し【なぎ払い】【切断】。機能停止させていく。
『ファイアディザスター』と呼ばれるキャバリアの脅威なる点はたった一つである。
それは両腕に装備されたガトリングガンである。
その速射能力は凄まじいの一言に尽きる。毎分数千発もの弾丸を放ち、その銃弾を発射する時に生じる摩擦熱を逃がすためにオーバーフレームは赤熱したように硝煙を撒き散らす。
その姿から周辺国からは『赤い災厄』とまで渾名されるほどの脅威として知られているのだ。
「凄まじい火力だな」
アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)は素直にそう言葉を漏らした。
すでに他の猟兵達と精鋭部隊である『赤い災厄』のキャバリア、『ファイアディザスター』たちは交戦を開始している。
モニターに映る『ファイアディザスター』のガトリングガンの斉射は凄まじいものであるが、その唯一の脅威すらも猟兵たちは凌駕する。
アリッセもまた、その一人であった。
「だけど特化した機体だけ揃えちゃ連携は出来ない」
アリッセの瞳がユーベルコードに輝く。
加速機能(アクセラレータ)と呼ばれるユーベルコードがある。それは自身と機体を超加速させる力である。
高速演算でもって導き出される攻撃予測は最早未来予知と言っても良いほどの精度を誇っている。
「加速!」
一気に高速機動によって戦場へと割って入るアリッセと機体。
マルチプルミサイルが無数の弾頭を放ち、『ファイアディザスター』たちの上空からミサイルの飴を降り注がせる。
「確かに強力なキャバリアだ。連射速度も申し分ない。けれど、その速射機能故に、一度射撃を開始すれば即座に動きを止めることができない。同時にそれは、狙いを急に変更できないということだ」
その凄まじき速射能力と引き換えに、喪ってしまったのは柔軟性である。
確かに面での制圧能力は凄まじいものである。
数を揃えれば『ファイアディザスター』だけでも一国を攻め落とす事も可能かもしれない。
けれど、それは机上の空論だ。
いつだって戦場は変化している。
「その機体じゃ上からの攻撃は交わすことなんてできやしないだろう! 機銃掃射で撃ち落とすのが正解だ。けれど――」
そう、速射機能の反動故に標的を即座に変えることができない。それこそが驚異的な制圧能力を誇る『赤い災厄』の抱える致命的な弱点であった。
ミサイルの雨が降り注ぎ、爆炎が上がる中をアリッセはキャバリアと共に一気に懐へと飛び込む。
その踏み込みは神速の速度と言っても良かった。ユーベルコードによって強化された機体の速度は尋常ならざる速度であり、アリッセは彼等を乱戦へと引きずり込んだのだ。
「こ、の……ちょこまかと!」
彼等は焦るだろう。これまで懐に入らせることはなかった。そんな事をされる前にガトリングガンの放つ銃弾によって吹き飛ばしていたからだ。
だが、アリッセは違う。
彼等の予想を上回る速度で飛び込んできた上に、残像すら残すフィジカルジャマーによって生み出された疑似質量を持つ残像に惑わされ、射線が僚機に結ばれている事も忘れて盛大なる同士討ちを始めたのだ。
「僚機にトリガーロックもかけていなかったのか……慢心が招いた過ちだと知れ! やはり将は素人同然! これならまだ『キマイラ』アジンの指揮した部隊の方がよほど手強かった!」
アリッセは自在に伸縮する鎖状のサイキックを振り回し、周囲に存在する『ファイアディザスター』たちの両腕やアンダーフレームを尽く切断し、無力化していく。
彼等の機体は、攻撃力の殆どをオーバーフレームに集中させている。
その強みであるガトリングガンさえ破壊してしまえば、後はアンダーフレームを破壊するだけで無力化できるのだ。
「どれだけ数を揃えようとも――戦略がお粗末であれば、戦術もまた然り。使い所を間違えたね……お前たちは革命軍も私達も侮りすぎたんだ――」
アリッセは銃弾の雨をかいくぐりながら、サイキックの力を振るい、『ファイアディザスター』を次々と無力化していく。
「これが戦場と言うものだよ。私の教育は優しくはない……戦場の恐ろしさを存分に刻むがいい」
アリッセは言う。
これが戦争であると。これが戦場であると。
だが、それでもパイロットの生命は奪わない。彼女の戦場は此処であるが、戦う目的はそうではない。
オブリビオンマシン。
戦乱を齎す人の心を歪ませる悪しき者。それを討ち果たすためにアリッセは戦場を駆け抜ける。
目指す敵はすぐ其処だと、アリッセのサイキックが輝くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
やー、派手にやってるね☆
ここはにぃなちゃん、こっそり行こうかな!
【ジャミング】かけつつスーツの【迷彩】機能を使ってなるべく見つからない様にしよう。
バイクには覆い被さる感じで乗ってればバレにくいかな?
平らな道を選んでスピードも抑えれば、バイクででも【忍び足】できるはず。
流れ弾や破片は【オーラ防御】で耐えて、敵陣の真っ只中まで前進だ!
上手く行ったらユーベルコードでミサイル一斉発射!
【範囲攻撃】でまとめて【吹き飛ばし】ちゃうぞ☆
さーて、生き残りに狙われたらヤバいから後は【ダッシュ】で逃げろー!
あ、逃げながらライフルで煙幕弾を撃って【目潰し】したら【時間稼ぎ】できるかも!
赤き硝煙が煙る荒野にあって進軍するは精鋭部隊『赤い災厄』と呼ばれたキャバリア『ファイアディザスター』であった。
その両腕に備えたガトリングガンの斉射は凄まじく、毎分数千発もの弾丸を打ち出すことができる。
その面制圧の力は凄まじいものであり、周辺国にとって恐怖の対象でしかなかったことだろう。
故に此処で精鋭部隊を持ち出したことこそが、この事件の首魁であるオブリビオンマシンによって心を歪められた者の焦燥であることがわかるだろう。
多くの猟兵たちが革命軍に消耗を強いることなく戦いに挑んでいる。
革命軍と猟兵の戦いは人々のための戦いであることは共通してるが、それでも目的が違う。
猟兵の目的はオブリビオンマシンの破壊。
戦乱の火種を撒き散らすオブリビオンマシンさせ破壊できれば、後のことは革命軍に任せればいい。
「やー、派手にやってるね☆」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は他の猟兵達の戦いぶりの最中であったが、ジャミングとスーツの迷彩機能を使ってなるべく見つからぬようにと行動していた。
鋼鉄の巨人たちが戦う戦場は、『ファイアディザスター』のガトリングガンが弾丸を打ち出すことによって生み出される摩擦熱を排熱する硝煙と煙も相まってニィナの行動はわからないようになっていた。
彼女の駆る蒸気エンジンと階差機関によって動く宇宙バイクであっても、容易に敵部隊の中枢まで忍び込むことは容易であった。
「バレにくいようにって思ってたけど、案外簡単なモノだね☆ 他の猟兵さんたちが派手にやってくれているおかげかな☆」
時折、戦闘によって激突した『ファイアディザスター』の破片や流れ弾が飛んでくるが、なんとか張り巡らせたオーラのバリアで防ぐことができた。
それにしても何故彼女がこうまでして敵部隊の中心まで至ろうとしたのか。
彼女は鋼鉄の巨人出るキャバリアではなく生身で宇宙バイクを駆る。それは5mクラスのサイズ差があるニィナと『ファイアディザスター』の差を埋めるには必要なことであったのだ。
「目標、射程範囲全部ろっくおーん!カーニバルだよ、れっつだーんす!!!」
敵部隊の中心に至った瞬間、ニィナのユーベルコードが輝く。
宇宙バイクから放たれるのは無数の高機動マイクロミサイルの雨である。このミサイルカーニバルと言うべきユーベルコードは無差別攻撃である。
猟兵であれば躱すことはできよう。
だが、革命軍のキャバリアパイロットたちでは躱すことはできないかもしれない。だからこそ、ニィナは危険を承知で敵部隊の中心まで己の身一つで駆けたのだ。
降りしきるミサイルの雨の乱舞が『ファイアディザスター』たちを襲う。
「ど、どこからだ!? どこからミサイルが……こんな! ぐわっ!?」
彼等の驚愕も尤もであろう。
突如として部隊の中心からマイクロミサイルの雨が降り注ぐのだ。
キャバリア同士の戦闘ばかり行っている彼等にとって、まさか生身で危険極まりない行動をする者がいるとは考えもしなかったのだ。
次々と武装に誘爆し、『ファイアディザスター』の機体が擱座していく。
それを見るや否やニィナは宇宙バイクを翻して、踵を返す。
「生き残りに狙われたらヤバいから後はおまかせってね! 逃げろー!」
一撃離脱。
それがニィナの戦法であった。だが、逃げながらライフルで煙幕弾を打ち込んで、『ファイアディザスター』たちの視界を奪うことも忘れない。
しっかりと時間稼ぎをする抜け目のなさと、ニィナの見事な胆力に如何な精鋭部隊と言えど、煙に巻かれたようなものであったことだろう。
突如として降り注ぐミサイルと煙幕。
それは彼等にこれ以上無く効果的であり、革命軍にとっては精鋭部隊との戦闘を避け、彼等の目的であるアジンの確保に割く戦力を保ったまま進軍できるのだった。
「ふんふーん☆ あとはそっちの問題だから抜かりないようにねー!」
ニィナの瞳はもう別のところを向いている。
精鋭部隊である『赤い災厄』を退ければ、後に控えるのはこの事件の首魁であるオブリビオンマシンだけだ。
それを打倒してこそ初めて猟兵としての戦いが終わる。
ニィナは最終目標へと最速で至るべく、宇宙バイクのスロットルを全開にして突き進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
おっと失礼助太刀にきたぜ
『赤い災厄』ね…こいつの初陣には丁度いい
いくぞクロムスティール!
[SPD]
ガトリングは厄介だけどそれなら撃てない様にするまでさ
斉射を【第六感、瞬間思考力】で避けつつ敵陣に接近(推力移動、ダッシュ
DHBの射程に入り次第【乱れ撃って爆撃の衝撃波で体勢を崩させる】
後はそのまま敵陣に乗り込んだら敵を壁にする様に立ち回り(戦闘知識
UC付きのCBRとCBBで敵を多数巻き込む事を意識しつつ攻撃(貫通攻撃、なぎ払い
ご自慢の武器も使えなければ無用の長物ってね!
生憎とあんたらと遊んでる暇はないんでねさっさと終わりにして貰うぜ
余裕があればコクピットは外すが…ま、あんま期待すんなよ
アドリブ歓迎
精鋭部隊と言えども、その部隊構成はあくまで制圧戦に向けてのものである。
両腕に装備されたガトリングガンの斉射能力は凄まじいの一言であり、そのキャバリアの名『ファイアディザスター』に相応しき力であると言えるだろう。
「――……すでに小隊が壊滅しているだと……!? 革命軍の連中のキャバリアに其処まで高性能な機体はいなかったはずだ……! エースがいた気配もない!」
だというのに『赤い災厄』と呼ばれた部隊の内、いくつもの小隊の反応が消えているのまた事実である。
これまで『赤い災厄』と呼ばれた精鋭部隊は、己たちに損失を与える暇もなく圧倒的な火力でもっていくつもの戦いを制してきた。
それはつまるところ十全たる状況を用意する者たちが居てこそ真価を発揮するものであったことだろう。
「おっと失礼」
赤い硝煙を撒き散らしながら弾丸を放つ『ファイアディザスター』の一機が擱座する。
一瞬の交錯。
それが何を意味するのか『ファイアディザスター』のパイロットたちは即座に理解した。
敵だ、と思った次の瞬間には機体を襲う衝撃。
「助太刀に来たぜ。『赤い災厄』ね……こいつの初陣にはちょうどいい。いくぞ、クロムスティール!」
そのロールアウトカラーのキャバリアが疾駆する。
肩にマウントされた無反動砲からの砲撃が、『ファイアディザスター』で構成される部隊の連携を崩す。
その鈍く輝く鉛色のキャバリアを駆るのは、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)であった。
これが彼の有するキャバリアの初陣である。
『クロムスティール』と名付けられたキャバリアが赤い硝煙と煙幕煙る戦場にあって、鈍く輝く。
乱れ撃つ無反動砲の衝撃が『ファイアディザスター』たちの耐性を崩させる。
かの『赤い災厄』の本領は面での制圧である。
その速射機能故に、即座に標的を切り替えることのできないが故に、単騎で迫るキャバリアに対しては反応が遅れてしまうのだ。
そこに接近戦を仕掛ける祐一のキャバリアは、ユーベルコードに輝く。
それはクロムキャバリアにおいては凄まじき力である。
冬雷(トウライ)。
それは彼のユーベルコードであり、キャバリアを通して発現するビームの出力を底上げするものである。
長剣のようなビームを振るい、『ファイアディザスター』のガトリングガンを切り払う。
砲身を切り裂き、其処に打ち込まれるアサルトライフルの弾丸がアンダーフレームを打ち抜き、即座に擱座させる。
「この一撃雷で終わりにしようぜ…!」
即座に『クロムスティール』が旋回し、己へのターゲットをつけさせない。
初陣であることを差し引いても、その動きはデタラメに近かった。彼のキャバリアの操縦技術もまた、この世界においてはエースと呼ぶに足りうるものであったことだろう。
アサルトライフルから放たれる弾丸が周囲に展開する敵を薙ぎ払うように寄せ付けない。
「ご自慢の武器も使えなければ無用の長物ってね! あいにくとあんたらと遊んでる暇はないんでね。さっさと終わりにして貰うぜ!」
初陣故に余裕はない。
この『クロムスティール』の鈍色に輝くロールアウトカラーを見ればわかる。
けれど、それでもコクピットを外すつもりではあった。これが戦争であることは否定しない。
戦わなければ死ぬだけの戦いであるともわかっている。
けれど、祐一は猟兵である。
彼の敵は、この世界に生きる人々ではなくオブリビオンマシンである。
「戦乱の火種を蒔く連中だけだ……! ま、あんま期待すんなよ。自分の生命は自分で守れ!」
祐一は叫ぶ。
生きようと願うのならば、もがかねばならぬと、こんな世界であるからこそ、生命の尊さを知れと叫ぶように『クロムスティール』と共に戦場を疾駆するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(機体背部コンテナから取り出し組み立てたキャバリアサイズのUCを準備し)
面制圧に長けた部隊…後の事を考えれば革命軍に被害は出せませんね
コンテナから出した手榴弾を●投擲し爆風で●目潰し
射撃精度落とした一瞬の隙にバリアで弾を防ぎながらUCで敵陣地中央に突撃、乱戦状態に持ち込み
突撃後にUCの槍を地に突き立て
持ち手を軸にブレイクダンス宜しく機体旋回
自機を●ハッキングし直結●操縦し己の身体と為すことで実現
サブアームの二丁ライフルと全格納銃器の●乱れ撃ちスナイパー射撃で武装のジョイント破壊し武器落とし
無手で抵抗する機体は剣盾で捌き撃破
私達の敵はこの先の機体、只一機
申し訳ございませんが押し通らせて頂きます
砲火の音が戦場に響き渡る。
その銃撃の凄まじさは言うまでもない。周辺国の人間であれば、誰しもが恐怖したであろう。
『フルーⅦ』のキャバリア『ファイアディザスター』。またの名を『赤い災厄』。その両腕に装備されたガトリングガンはあらゆる障害を無きものとするように放たれ、毎分数千発にもおよぶ弾丸を打ち込むことができる。
その弾丸が放たれる摩擦熱を逃がすためにキャバリア本体の機体は放熱し続け、赤い硝煙となって立ち煙るのだ。
だが、今その『赤い災厄』と呼ばれたキャバリアの精鋭部隊は散り散りになっていた。
まるで獣の群れに襲われたようにまどい、小隊レベルにまで分断された彼等の胸中は焦燥と恐怖に染まりきっていたことだろう。
「馬鹿な……! 部隊内の反応が消えていく……! こんなことがあっていいのか!」
「お、おい……どうなってんだよ。革命軍のキャバリアがこんなに化け物ばかりだなんて聞いて――ヒッ!」
彼等の耳に届いたのは、何か重たいものが取り出される音であった。
煙幕が立ち込める荒野において、視界の不良は仕方のないことであったが、それでも見えぬという恐怖はキャバリアに乗っていても、心までは鎧うことのできぬことを示していた。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
その言葉は白銀のキャバリア、『ロシナンテⅣ』から響く。
艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)――それはあまりにも巨大な機械槍であった。
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の駆るキャバリアの背に負うコンテナから引きずり出された機械槍は凄まじい威容を放ち、煙幕に包まれた荒野に在ってなお、その存在感を示すものであった。
トリテレイアは手榴弾を投げ放ち、爆風に寄ってさらなる土煙を上げさせる。
すでに『ファイアディザスター』を駆る精鋭部隊の面々は恐怖にかられている。数多の猟兵たちが戦いに参加したからこそ、精鋭部隊のキャバリアパイロットたちと言えど抵抗らしい抵抗もできずに撃破されていっている。
それは人間らしい反応であるとトリテレイアは思ったかもしれない。
「恐怖は射撃精度を著しく落とします――その隙、いただきます」
その一瞬の隙に構えた機械槍から傘状のバリアが展開し、放たれる弾丸を防ぎながら一気に敵の小隊レベルにまで落ち込んだキャバリアの群れへと突撃する。
その突撃は凄まじいものであった。
恐慌状態に陥った敵の一機を機械槍の穂先が頭部を貫き、弾き飛ばす。
「足癖が悪いのはご容赦を!」
穂先を突き立て、持ち手を軸にブレイクダンスのように蹴撃を見舞うキャバリア。
その動きは兵器としての動きというよりも円舞のようでもあった。
放たれた鋼鉄の足が『ファイアディザスター』たちの頭部を薙ぎ払い、さらにサブアームに構えられたアサルトライフルと格納銃器から放たれる弾丸が乱れ撃たれる。
それは『ファイアディザスター』たちのお株を奪うようなものであった。
弾丸の嵐が撒き散らされ、けれど、その狙いはコクピットブロックを外して穿たれていた。
狙うは武装のジョイント。
『ファイアディザスター』はその武装と攻撃力の殆どをオーバーフレーム、即ち両腕に集中させている。
だからこそ、無効化するためには其処を狙う必要があった。
「私達の敵はこの先の機体、只一機。申し訳ございませんが、押し通らせていただきます」
『ロシナンテⅣ』の機体が機械槍の持ち手を変え、地面に降り立った時、そこに立っていたのはトリテレイアだけであった。
周囲には武装を破壊され無力された『ファイアディザスター』たちが擱座するのみ。
トリテレイア、猟兵達にとっての敵はオブリビオンマシンだけである。
戦乱の火種を蒔くのがオブリビオンマシンであるというのならば、トリテレイアは騎士としてそれらを詰む。
その責務がある。
それを違えることなくトリテレイアは見事に『赤い災厄』を振り払い無力化し、革命軍の損耗を防ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【SPD】
ここで精鋭部隊を出してくるとは少しはわかっておるのー
じゃけどその自慢の精鋭でも止められんということを知るべきじゃのー!
ハウリングショットの弾丸が到達する前にUC「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で機体を巨大化させる
胴体を狙っていたなら足に命中するくらいにはなるので、気にせずにミサイル・榴弾の弾幕で撃ち返して隊列を崩す
さらに召喚した大魔王第一形態には空中から魔導重砲と真紅の破壊光線で援護射撃を行い、その隙にレーザー砲ユニットのブレードモードで斬り込む
革命軍の諸君にもそれに続けと言わんばかりに鼓舞
そんな小さい豆鉄砲では止まらんからのー! 一気に突破してやるけーのー!
アドリブ絡みOK
「ここで精鋭部隊を出してくるとは少しはわかっておるのー」
その声はなんとも間延びしたものであったけれど、それでも荒野に展開する精鋭部隊『赤い災厄』と呼ばれたキャバリア『ファイアディザスター』の姿に僅かに感心する声色であった。
確かに彼等のキャバリア『ファイアディザスター』は面制圧の力に長けている。
毎分数千発にも及ぶ弾丸を放つガトリングガン。
その脅威は言うまでもない。
彼等こそが周辺国に恐怖を撒き散らし、それ故に自国である『フルーⅦ』の護りの要でもあったのだろう。
だが、それでもメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は軽快に笑う。
恐怖に引きつりかけた革命軍の面々の、その不安を吹き飛ばすように高らかに宣言するのだ。
「じゃけどその自慢の精鋭でも止められんということを知るべきじゃのー!」
メイスンが仁王立ちして高らかに笑うのは巨大二足歩行戦車。
見慣れぬキャバリアであったが、メイスンが謳うはユーベルコードである。
それは、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり(キヨモリ・デストラクション・アンティーク)と盛者必衰の理を示すように、己のキャバリアを巨大化する。
如何なる魔術を使えば、そのようなことが可能であるのか。
放たれた『ファイアディザスター』たちの凄まじき弾丸の嵐がメイスンの搭乗する二足歩行戦車へと打ち込まれる。
だが、巨大化した機体にとって、彼等の弾丸はいわば豆鉄砲のようなものであった。
「巨大二足歩行戦車と大魔王との共演、とくと味わうとよいのー!」
高らかな笑い声が戦場に木霊する。
それは如何な銃撃の音も塗りつぶすようであり、革命軍の面々が抱く恐怖を塗りつぶすには十分過ぎるものであった。
お返しとばかりに巨大二足歩行戦車からミサイルと榴弾の雨が降り注ぐ。
すでに多くの猟兵達の活躍に寄って精鋭部隊は分断されている。
そこへさらに隊列を崩すようにメイスンの放ったミサイルが降り注げば、彼等は散り散りになってしまう。
「お前たちの強みは集団戦闘! 面制圧の力があるからこそ、隊列を組むことこそが、その力を最大限に引き出すための戦術。それを食い破られればどうなるかわかってあるじゃろーのー!」
隊列の乱れた『ファイアディザスター』たちに打ち込まれるのは魔導重砲と真紅の破壊光線である。
荒野に鳴り響くのは、圧倒的な破壊の力。
荒野がえぐれ、『ファイアディザスター』たちは攻撃能力の集中した両腕とアンダーフレームを撃ち抜かれ擱座していく。
隊列が崩れ、精鋭部隊と言えども戦列を維持することは難しいだろう。そこへダメ押しとばかりにブレードモードへと切り替えたレーザー砲ユニットでもって二足歩行戦車が突撃する。
「そんな小さい豆鉄砲では止まらんからのー! 一気に突破してやるけーのー!」
まさに大魔王と呼ぶに相応しい威容。
それに続けとメイスンは鼓舞するように革命軍に呼びかける。
圧倒的な力の誇示。
それは無用な争いを避けるためには必要なものであった。
力なき者の言葉を誰が聞く。戦乱の世界であるクロムキャバリアにおいて、それは当然の摂理であったことだろう。
だからこそ、メイスンの駆る巨大なる二足歩行戦車の威容は、それでこそ遺憾なく力の誇示することにつながる。
「抵抗は無駄じゃけー! お前たちにも家族がおるじゃろーさっさと道を開けるんじゃー!」
その言葉に精鋭部隊のキャバリアはさらに散り散りとなって道を開ける。
切り開かれた道をメイスンは革命軍と共に進む。
無駄な争いはしない。
避けられる闘いがあるのならば避けるべきである。メイスンは己が猟兵であることを自覚している。
己達の敵は人間ではない。クロムキャバリアに戦乱の火種を蒔くオブリビオンマシンだけだ。
そして、その首魁たる一機は、もうすぐ目の前にいるのだ。
どれだけこの後に控える混乱があろうとも、それはこの国『フルーⅦ』に生きる者たちの問題だ。
メイスンは二足歩行戦車の歩みを止めること無く、元凶たるオブリビオンマシンへとまた一歩と近づくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
引き続きファントムシリカに乗って参戦です!
あっれー!?(敵の武装見て)
これどう行動しても壊れるの不可避の流れでは!?(冷や汗たらり
あ、あの、シリカさん?敵の弾当たっても怒らないでくださいね?ね?
というかガトリングガンみたいな広範囲手数系は相性が悪いんです><
とりあえずファントムクォーツユニット起動!
幻影でかく乱しながら接近します
当たりそうな弾はフローライトダガーを両手に武器受け
損傷を出来るだけ回避!
懐に入り込めたら一気に【疾風怒濤】で仕留めます
「手数こそ正義! 参ります!」
ガトリングを速攻で無力しますよ!
そして本体もさくっと倒しますよ!
ううう、早く新装備作ろう(しくしくしく
※アドリブ連携OK
白と紫を基調とした女性型のキャバリア『ファントムシリカ』が戦場を駆ける。
その姿は流麗なるものであったことだろう。
だが、磨き上げられた装甲色は今は煤とオイル、そして粉塵によって僅かに陰っている。
それは戦場においては致し方のないことであったことだろう。
どれだけ美しい機体であっても、戦場に出れば傷一つ付かぬことはありえない。鋼鉄の巨人であるキャバリアが接近戦をすれば互いにぶつかることもあるだろう。
放たれる弾丸の摩擦熱が排熱されれば、煤に汚れることもあるだろう。
だが、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、その額に僅かな冷や汗をかいていた。
たらりと頬に落ちる汗が鬱陶しいと思うほどにサージェの心の中は焦りに溢れていた。
「あっれー!?」
そう、彼女が想定していた敵……精鋭部隊とはまるで違う装備内容。
汎用性の高い装備であるからこそ、精鋭部隊としての技量が遺憾なく発揮されると思っていたのだが、ここ『フルーⅦ』においては圧倒的な面制圧能力に長けた『ファイアディザスター』と呼ばれる両腕にガトリングガンを装備したキャバリア部隊のことを指し示すのだ。
彼等の放つガトリングガンの弾丸は毎分数千発にも及ぶ。
半日もあれば都市部を更地に変えることができるとまで言わしめた圧倒的な火力。
対するサージェが駆るキャバリア『ファントムシリカ』は高機動型であり、接近戦への仕様が高い。
「これどうこうどうしても不可避の流れでは!?」
『……』
仕方のないことだから、あたっても仕方ないよね。私のせいじゃないよね、とその思いを込めて言葉に出して見たものの、サージェはちらりと視線をアバターであるシリカへと向ける。
だが、シリカは何も言わない。
普段なら装甲に傷がつくとかなんとか、わーわーきゃーぎゃー言うのだが、沈黙している。
それがたまらなく怖い。
な、何か言ってよぉというようにサージェが口を開く。正直、それは災の元ではないだろうかと思うのだが、誰も止める者がいないのが不幸であった。
「あ、あの、シリカさん? 敵の弾にあたっても起こらないでくださいね? ね? というか、ガトリンガンみたいな広範囲手数系は相性が悪いんですよ!」
そんな言い訳がつい口に出てしまう。
ばりぃ!
もう何の音か言わないでもいいだろう。
「ひぃーん!」
無言の抗議の前にサージェは『ファントムシリカ』の機体を跳ねさせる。
ファントムクォーツユニットを起動させ、幻影で撹乱しながら『ファイアディザスター』たちへと接近する。
放たれる弾丸の嵐は凄まじいというほかない。
並のキャバリアであれば、それだけで蜂の巣になって爆散することだろう。だが、サージェが駆るのは、高機動型であり、その幻影装置に寄って生み出される撹乱能力は、この場においても随一であったことだろう。
弾丸にまたかすめでもしたら、またばりぃ! という音が響くかも知れない。
そんなスリリングな戦いをサージェが強いられているとは誰も思わないだろう。それほどまでに華麗なる幻影との乱舞。
懐まで入り込めば、もはやサージェを止めることはできない。
「手数こそ正義! まいります! そにっくぶろー!!」
今、万感の思いを込めて、疾風怒濤(クリティカルアサシン)の超連続攻撃が始まる。
それは手にしたフローライトダガーの緑色の残光と共に放たれ、ガトリングガンを切り裂き、無効化する。
さらにオーバーフレームとアンダーフレームをコクピットを残して細切れにし、『ファントムシリカ』は踵を返して、新たなる標的へと迫る。
その戦闘機動は鬼気迫るものであり、その戦い振りを見たものは後にこう語るであろう。
「あれは――まるで何か自分の大切なものを護るために戦うやつの戦い方だった。見事だったよ」
そう語られる真実をあえて語る必要もないだろう。美しいものは美しいままでいいのだ。
「ううう、早く新装備作ろう」
しくしくとサージェはその褐色のお肌にヒリヒリするひっかき痕をさすりながら、被弾しても起こられないような装備に思いを馳せるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
荒覇・蛟鬼
見ろ濡姫。あの人型の鉄屑共はその醜い姿を晒すのみならず、
彼方此方に塵という塵を撒き散らしているのだ……潰さねばな?
『若の兵器嫌いも此処まで来ると称賛ものです』
■闘
では、少々姿を変えさせて頂きます。
【竜神飛翔】で竜の姿に返信し、滑空を開始致しましょう。
同時に強く吼え猛り、【恐怖を与え】ますか。
戦闘中は周囲に雷による【範囲攻撃】を仕掛けつつ、
空中を縦横無尽に飛び回り狙いを定めにくくします。
銃口を向けられたら【オーラ防御】を展開しつつ、
タイミングに合わせ全身から【衝撃波】を放ち相殺。
雷があまり当たっていない敵を見つけた時は【ダッシュ】で
一気に肉薄し、【捕食】するかの如くがぶっと。
※アドリブ・連携歓迎
争いの火種はそこかしこに燻っているものである。
今まさに火を放ち、その火でもって業火と成らんとする。それは悪意という華を咲かせることだろう。
人の世に、世界に滅びをもたらそうとするもの。
それを蒔き続ける者がいる。
それはオブリビオンマシン。
過去より蘇りし化身であり、同時に人の心を歪めるものである。
「見ろ濡姫。あのヒト型の鉄屑共はその醜い姿を晒すのみならず、彼方此方に塵という塵を撒き散らしているのだ……潰さねばな?」
荒覇・蛟鬼(鬼竜・f28005)の心に去来するもの何であるのか。それを使い魔である『濡姫』はよく理解していた。
彼の心のなかには嫌悪がひしめいている。
争うことが罪でるというのならば、生命に宿るものこそが原罪であろう。罪には罰を与えなければならない。
『若の兵器嫌いも此処まで来ると称賛ものです』
ため息が出る。
それほどまでの嫌悪を募らせることは心身共によろしくないことであろうが、蛟鬼は構う古都無く、その姿を変貌させる。
その姿はユーベルコードの輝きに寄って、竜神飛翔するが如く完全なる竜の姿へと変貌を遂げる。
しかして、このクロムキャバリアには暴走衛生『殲禍炎剣』がある。
それもまた忌々しいことであるが、今はどうすることも出来ぬがゆえに低空飛行の如く地表を舐めるように竜神の巨体が行く。
その咆哮が凄まじき衝撃となって戦場に響き渡る。
それは機械と兵器に囲まれた世界にあっては、奇異なるものであったことだろう。聞いたことのない咆哮。鳴き声。
それは未知なるものに恐怖を抱く生命としての性に訴えるものであった。
「あ、あれは……なんだ? キャバリアでもない……い、いきものなのか、あれが!?」
精鋭部隊である『赤い災厄』と呼ばれるキャバリア『ファイアディザスター』を駆るパイロットたちが見たのは、まさしく竜。
その竜が広範囲に雷を落としながら縦横無尽に駆け巡っているのだ。
夢ではないのかと疑うほどに、その光景は彼等にとって非日常的であり、恐れを抱くには十分なものであった。
引き金が引かれ、毎分数千発とも言われるガトリングガンの弾丸が放たれる。だが、その弾丸の尽くが竜の身体を覆うオーラの力に弾かれ、さらに振るう咆哮の衝撃波が弾丸の全てを弾き飛ばすのだ。
龍鱗を些かも傷つけること無く、蛟鬼が変じた竜はゆうゆうと舞う。
その姿に神性を見出すことはできなかったかもしれない。今や、この戦場において竜の姿は恐怖そのもの。その象徴であったのだから。
「其処に居たか、塵――」
吠えたける竜神が戦場を駆ける。
雷撃に寄って弛緩した『ファイアディザスター』たちへと一気に肉薄し、捕食するかのごとく、そのオーバーフレームを食いちぎり、コクピットブロックすれすらに噛み砕く。
その様はまさに荒ぶる神そのものであった。
理不尽そのものであったかも知れない。だが、それでもなお、蛟鬼の嫌悪は晴れぬ。鋼鉄の巨人が戦乱を撒き散らすのならばこそ、その兵器というものがどれだけの痛みを加速させるものであるのかを知るからである。
人の営みに争いは尽きることのないものである。
だが、だからと言って罪を罪のままにしてはおけぬが獄卒の務めである。
「例え全て立ち消えぬものであったとしても、罪は罪。罰を持って灌がねばならぬ故――」
その感情の赴くままに、竜神は戦場をぐるりと取り囲み、その咆哮を轟かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
あー…正気のパンピー相手ってやりにくいよねー
コックピットをズドン!っていければ一番楽なんだけど…まあそーはいかないし
というか、なんかこー…なんかこー…
うーん対キャバリア用の新しい戦い方無いかな…
何か無い?
●
ガトリングオンリー装備って男らしいよね
まあだからこそ、色々と分かり易いんだけど
『メカニック』の知識から、ガトリングの構造を大体把握
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【神器複製】を起動
私自身は他のキャバリアの物陰に隠れつつ複製剣を『念動力』で飛ばす
狙うのはガトリングの回転機構と給弾機構
まあ、武装さえ潰してしまえば…ってね
後はまあ現地の人に任せよ
私はとりあえず武器狩りしとこ
精鋭部隊『赤い災厄』たるキャバリア『ファイアディザスター』を駆るパイロットたちはあくまで一般の兵士と変わらぬ存在である。
猟兵達の標的は常に過去の化身……クロムキャバリアにおいてはオブリビオンマシンである。
だからこそ、その力を十全に振るう事にためらいを持つ猟兵もまた存在する。
『ファイアディザスター』はまさにオブリビオンマシンではなく、ただのキャバリア。だが、その両腕に装備されたガトリングガンの威力は言うまでもない。
凄まじい火力と速射能力に寄って、その面制圧能力は周辺国においても随一である。
「あー……正気のパンピー相手ってやりにくいよねー」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は荒野に展開されたキャバリア群を見て、そうつぶやいた。
彼女にとって、精鋭部隊のキャバリアパイロットと言えど、一般人。彼女の言うところのパンピーでしかない。
その言葉の裏側には尋常ならざる力を持つことへの裏付けがあってこそである。
「コクピットをズドン! っていければ一番楽なんだけど……まあそーはいかないし。というか、なんかこー……なんかこー……」
荒野を見下ろす彼女の瞳は、いまいち戦意にかけていた。
割と面倒なのだ。コクピットブロックを外して敵を無力化するということは。圧倒的な力量差があれば、それも片手間でできることなのかもしれない。
けれど、相対するのは5m級の鋼鉄の巨人である。
的が大きい分当てやすくて楽だよね、と思っていたけれど、それはそれで面倒である。
「うーん対キャバリア用の新しい戦い方無いかな……何か無い?」
こんな時、隣居るのが青い猫型未来ロボットであるのならば、どんなによかっただろうかとは思っても口にしない。
問いかけられた革命軍の歩兵たちは、いや無理無理と首を横に振るのが精一杯であった。
玲の戦闘力はすでに彼等も知るところである。
彼女は彼等にとって超常の人である。生身単身でもってキャバリア用の地雷の敷設された大地をえぐることのできる者に己達の戦法が役立つとはとても思えなかったのである。
「無い物ねだりしてもしかたないね。ま、なら……」
戦場に駆け出す。
その手に抜き払ったのは模造神器の二振りである。青い輝きを放つのは、彼女のユーベルコードを受けてのことだろう。
神器複製(コード・デュプリケート)。
それは玲が生み出した模造神器すらも複製する恐るべき超常。
二振りの模造神器の切れ味は言うに及ばず。複製と呼ぶにはあまりにも圧倒的な技巧。それら全てが彼女の念動力によって制御され、宙を舞う。
「ガトリングオンリー装備って男らしいよね。まあ、だからこそ色々と分かり易いんだけど」
ガトリングガンの長所は一つの銃身で弾丸を放つことなく摩擦熱を回転させながら排熱するところにある。
凄まじい勢いで排出される弾丸が持つ摩擦熱は凄まじく、圧倒的な速射能力故に『ファイアディザスター』は、その排熱をオーバーフレーム、アンダーフレームでもってさらに補っている。
だが、其処にこそ弱点が在る。
速射能力が凄まじくても、その弾丸を打ち出す反動は人型である以上アンダーフレームに収束する。
即座にターゲットを切り替えられない上に、アンダーフレームが支えるのだ。一度発射してしまえば、それは容易には止められない。
「そして、給弾される部分さえ止めてしまえば――!」
玲はかく座したキャバリアの影から念動力によって宙を駆ける模造神器の複製を一気にガトリングガンの給弾部分を貫く。
誘爆した弾薬が火を吹き出し、その両腕を脱落させる。
さらに飛来する模造神器がアンダーフレームの軸を切り裂き、ガトリングの回転機構に砂をかませるように刃を突き立てるのだ。
「まあ、武装さえ潰してしまえば……ってね。攻撃能力をオーバーフレームに集約させすぎたのは失敗だったね」
彼女の瞳が見つめるのは、『ファイアディザスター』の欠点。
ガトリングガンの排熱ばかりに気を取られてた構造。圧倒的な速射能力ばかりを突き詰めた機体など、このように終わりを迎えるのが相応しいというように、玲は再び駆け出す。
「後は現地の人に任せよ。私は――」
そこではじめて玲は笑う。
ここからがお楽しみだと言わんばかりに駆け出すのだ
「武器狩りしとこ!」
複製された模造神器と共に戦場を駆け抜ける玲。その超常なる戦いは、佳境を迎えようとしていた――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
準備万端なのかもしれないけど
こちらも出てくる事はわかってるからね
蹴散らすくらいの勢いで突破を目指そう
こちらもガトリングガンで射撃しつつ
突っ込んで格闘戦で攻撃
尻尾や噛みつきで戦うよ
ガトリングガンの音で恐怖させるつもりみたいだけど
いつも自分で使っているからね
大して怖いとは感じないよ
神気と装甲をそうそう貫けるとも思えないしね
邪神の施しを使用して鉑帝竜を強化しようか
元々金属の塊だから見た目は変わらないけれどね
射撃が得意そうな機体に見えるけど
格闘はどうなのかな
乱戦に持ち込んで大暴れしよう
まだ本来の目標にはたどり着いていないから
手間取ってなんていられないからね
皆と協力して突破を目指そう
大暴れするのですよー
すでに猟兵達が介入した荒野の戦いの趨勢は革命軍に傾いていた。
いや、はじめから決まっていたことなのかも知れない。
如何に精鋭部隊である『赤の災厄』のキャバリア『ファイアディザスター』の制圧能力が高くとも、猟兵たちはそれを上回っていく。
「準備万端なのかもしれないけど、こちらも出てくる事はわかってるからね」
そう、グリモア猟兵の予知によって猟兵である佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)たちにはすでに敵対する者たちが如何なる能力を持つのかを知る術があるのだ。
それは現代戦闘においては何よりも貴重な情報である。
「蹴散らすくらいの勢いで突破を目指しているんだから!」
放たれるガトリングガンの斉射。
しかし、度重なる猟兵との戦いによって『ファイアディザスター』の数はどんどん減ってきている。
その制圧能力の強みは集団であることが重要である。
並べ立て、一斉に速射してくる火力は半日で都市部を更地にするほどの性能である。だが、その数の利を今、『赤の災厄』である部隊は活かせていない。
分断され、蹴散らされ、無力化されているのだ。
晶もまたガトリングガンを携行式とは言え常に扱う猟兵である。晶にとって、ガトリングガンの音は対して恐れにつながるものですらなかったのだ。
鉑帝竜を駆る晶のユーベルコード、邪神の施し(リビング・スタチュー)によって彫像化の魔法陣が機体を包み込む。
それは機体を改造し、さらなる戦闘力を付与するためのユーベルコードである。
「元々金属だから見た目は変わらないけどね」
神気と重装甲によって踏み出す鉑帝竜は、『ファイアディザスター』の放つ大火力のガトリングガンの一斉射を受けてもなお揺らぐことはない。
その装甲に傷一つ負わせることもできずに、鉑帝竜は一気に距離を詰める。
その姿、その威容はあまりにも強烈なるものであった。
撃っても撃っても、怯むどころか勢いを増す鉑帝竜は、『ファイアディザスター』を駆るキャバリアパイロットたちを恐怖へと陥れるだろう。
「射撃が得意そうな機体に見えるけど――! 格闘はどうかな!」
接近戦に持ち込めば、その爪が、尾が、キャバリアの機体をしたたかに打ち据える。超硬の装甲の前にひしゃげる『ファイアディザスター』の装甲の破片が吹き飛び、擱座させていく。
『大暴れするのですよー』
まるで緊迫感のない、けれど、それ故に怖気を走らせるように鉑帝竜に施された邪神の力が顕現する。
「まだ本来の目標にはたどり着いていないから、手間取ってなんて居られないからね」
さあ、と晶は革命軍を促す。
この戦いにおいて、彼等の目的は『フルーⅦ』の上層部が掲げる不正義の払拭と、新たなる指導者としてのアジンの身の安全である。
本来猟兵達の目的とは違うものである。
だが、それでもオブリビオンマシンこそが全ての元凶。
これを取り除くためには猟兵達でなければできないこと。
けれど、同時に『フルーⅦ』を復興させることができるのもまた革命軍にしかできないことだ。
だからこそ晶は未だ見据えぬオブリビオンマシンを求めて、鉑帝竜と共に戦場を闊歩する。
「オブリビオンマシンは破壊する。それがどんなに高潔な意志があっても、それでも人の心を歪めるのなら、そんなものは存在してはいけないものなのだから」
咆哮する鉑帝竜が最期の『ファイアディザスター』を打倒する。
その視線の先に控えるであろう、オブリビオンマシン。その三つ首の竜を模した、生物と機械が融合したようなキャバリアの眼光を捉える。
「そこにいたんだね……! さあ、悪夢の幕引きといこうか――!」
晶は戦う。今は遠回りの道にしか見えぬ戦いかもしれない。
けれど、平和への一歩は確実に踏み出しているのだと信じて、元凶たるオブリビオンマシンと対峙するのであった――。
大成功
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第3章 ボス戦
『機動殲龍『煉獄』』
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POW : 殲機滅煌機構『赫煌』
自身に【UCを防ぎ、敵の装備を根源から焼く灼煌翼】をまとい、高速移動と【共に近づく物を焼き切る。また太陽フレア】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 殲界浄熾機構『灼熾』
【体に業火を纏い戦場を焼く巨砲とミサイル群】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を根源から燃やす消えぬ炎で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 殲業鎮燻機構『煉獄』
全身を【敵の知性体の殺害数に比例した量の癒しの炎】で覆い、自身が敵から受けた【際に敵の殺害数に比例して炎量を増し、総量】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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何故という疑問が己の心のなかに浮かび上がる。
何故、己はアジンのようには為すことができないのだろうかという疑念が常に心のなかにあった。
それは羨望でもあったのだろう。
戦争を回避するために政治的手腕を振るう外交戦術と、一度戦いとなれば手傷を負う事なく敵を駆逐するエースとしての力量。
そのどれもが己――『セキズ』には足りぬものであった。
「俺はお前に劣っているはずはない。俺はお前よりも、お前の持つ力よりも強大なものをもっている! 機動殲龍『煉獄』!! 起動せよ!!!」
苛立たしげに足を踏み出す度に、劣等感だけが己の心を支配していく。
アジンを超えたい。認めさせたい。
己が上であると。己こそがこの国を治めるに相応しい人物であると。
「強さこそが俺が俺であるための標! 俺はお前じゃない。お前も俺ではない! お前を標とすることなどない! 例え幾千の民がお前を標としても! 俺は幾万もの賞賛を持ってお前を越えていく!」
激情のままに踏み出す『セキズ』にアジンは問いかける。
「強さを求めてもそれだけでは意味がない。わかっているのか、『セキズ』。人は確かに強くなければ生きていけないだろう。だが、人は優しくなければ、生きる資格などないのだぞ」
それは嘗ての『憂国学徒兵』であった者の残した言葉だった。
『フュンフ・エイル』。
己の祖である者たちの師。
彼の言葉だ。その言葉があったからこそアジンは人々の精神的支柱になったのだ。誰かのために戦う者にこそ、力が宿るのだと信じて戦ってきたのだ。
「黙れ! 強さなくば人は、人として生きることすら叶わぬ! だからこそ、俺は証明してみせる。お前よりも優れていると!」
起動した機動殲龍『煉獄』が咆哮する。
炎の力を宿した半生物、半機械のオブリビオンマシンは、まさにその羨望と嫉妬、そして憎悪を吸って生きとし生けるものを業火に焼べんと戦場へと、その威容を踏み出させるのであった――。
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
AIは女性の声、敬語
いつどんな者にも人を羨む気持ちはある、それとどう付き合うかが大事だろうに
賞賛を得ようが、羨む気持ちがある限りその心が晴れることはない
すまない、また無茶をさせる
SPDで判定
敵が攻撃してきたら【早業】【ダッシュ】【見切り】で回避
回避できない攻撃は橙の災い:爆破【爆撃】を付与した【範囲攻撃】【全力魔法】を伴わせた弾丸で相殺を狙う
多少は【覚悟】して受ける
それから藍の災い:【圧壊】を付与した弾丸を【スナイパー】で敵の足元に撃ち込んで【地形破壊】し【体勢を崩】させた後、【2回攻撃】【鎧無視攻撃】で同じ災いの弾丸を龍の頭部の一つを狙って放つ
コックピットは攻撃しない
機動殲龍『煉獄』。
それは半生物と半機械の融合に寄って生み出された傑作成る兵器。
その身に纏う炎はあらゆるものを燃やし尽くす。根源から燃やすがゆえに一度放たれてしまえば、その存在が消え失せるまで燃え続ける。
背に負ったミサイルランチャーから放たれる無数の弾頭が『フルーⅦ』の荒野を埋め尽くし、雨のように降り注ぐ。
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)の駆るキャバリア『銀の銃兵』が雨のように降り注ぐミサイルの雨の中を疾駆する。
「いつどんな者にも人を羨む気持ちはある。それとどう付き合うかが大事だろうに」
その言葉はオブリビオンマシンに乗る『セキズ』に届くだろうか。
人を羨み、それ以上を望む者に、他者の声は届くことはあったのかもしれない。だが、それでもオブリビオンマシンに心歪められた者には響くことはあっても、その歪みを正す事はできない。
結局の所、破壊するしかないのだ。
オブリビオンマシンが如何に過去の化身であったとしても、その力の源を骸の海にさえ還してしまえば、歪んだ心もまた時間とともに元に戻るだろう。
かつてアジンと共に『フルーⅦ』を支えた人物として、互いに高めあっていく未来だってあったはずなのだ。
「俺は、俺の力を示す! 俺の力こそが唯一にして絶対であると! 我が機動殲龍『煉獄』の炎は消えず! 如何に貴様たちがエースであろうとも!」
放たれるミサイルの雨。
その弾頭を躱すことができても、地面へと降り注げば、炎が噴出し、機動殲龍『煉獄』の力を高めるだけである。
だからこそ、ルイスは『銀の銃兵』のAIである『Minerva』に詫びるのだ。
「すまない、また無茶をさせる……だが、これは必要なことだ!」
ミサイルの雨が降り注ぐ大地を疾駆する『銀の銃兵』。
その戦術機動は、ミサイルを躱すためのものではない。あのミサイルが大地を焼けば、それだけであの機動殲龍『煉獄』は力を増していく。
そういうユーベルコードなのだ。
だからこそ、あのミサイルをどこへも落とすわけにはいかない。
全て――撃ち落とさなければならない。
「銃を使わせて貰うぞ」
ルイスの瞳が属性付与(エンチャント)に輝く。
キャバリアでる『銀の銃兵』が持つ魔銃に力が込められていく。それは義眼のメガリスの輝きである。
付与されるは橙の災い。
放たれた弾丸は全てがミサイルへとぶつかり、相殺しては空に爆煙の焔を噴出させる。
その光景は昼間であっても目がくらむほどの光景であった。
「すべて……撃ち落としたというのか!? ばかな!」
『セキズ』の驚愕した声が響く。
だが、それで終わるわけではない。ルイスの義眼がさらに藍色に輝く。
その弾丸に付与された力は『圧潰』。
「お前の機体は半生物……ならば、その巨体を支える脚部をくじく!」
放たれた弾丸が藍色の災いを齎すように、その巨体の脚部を穿つ。打ち込まれた弾丸が災いの力を開放し、その脚部を押しつぶさんと周囲の大地ごと揺らがせる。
ひび割れた大地に足を取られ、機動殲龍『煉獄』の巨体が傾ぐ。
「称賛を得ようが、羨む気持ちがある限り、その心が晴れることはない。それを知ってこそ、前を向くことができる。人間とはそういう生き物だろう!」
狙いすました一撃が三つ首の竜の一つを狙って放たれる。
傾いだ巨体は、圧壊の災いを受けて更に体制を崩し、その巨体が大地へと地響きを立てて倒れ込む。
その様子を見遣り、ルイスは言ったのだ。
誰もが強さを求める。誰よりも最良を求める。そういう生き物である事は否めないのだと。
けれど、誰もがそうであるように、今まで弱者であった己を護ってきた者たちが居ることを忘れてはならないと。
「それを忘れるな。例えオブリビオンマシンに心歪められたのだとしても――」
大成功
🔵🔵🔵
フュテュール・ステラセ
・心情
強さがなければ、人として生きることすら叶わぬ……なるほど、それは確かに一つの真理なのでしょう
ですが、その炎はきっと、あなた自身も燃やし尽くすのでしょうね
ならばこそ、ここで止めさせて貰います
・戦闘
ユーベルコード『吹雪乱舞』で敵を攻撃します
可能な限りミサイルを撃ち落としたいですが……
・その他
アドリブ等は大歓迎です
猟兵の放った一撃に寄って機動殲龍『煉獄』の巨体が大地に沈む。
だが、それは一時の物に過ぎない。
オブリビオンマシンである半生物、半機械のキャバリアである機動殲龍『煉獄』は、その三つ首の竜の頭部を咆哮させる。
あらゆるものを怨嗟という焔で飲み込み、燃やし尽くさんとする業火でもって世界を呪う。
「何故、俺はあいつより劣っているのだ! あんなにも、こんなにも、俺は努めてきたはずだ! 研鑽を忘れなかったはずだ! あいつと同じ様に、同じ量だけ俺は己を鍛え上げてきたはずだ! なのに何故、俺は後も違うのだ」
それは羨望と嫉妬、あらゆる感情がないまぜになった咆哮であった。
機動殲龍『煉獄』のコクピットに座す『セキズ』の怨嗟は、まさに咆哮に重なる。
「強さだ……! 強さがなければ! 誰も彼もが俺を認めない! だからこそ、俺は!」
機動殲龍『煉獄』のミサイルランチャーからミサイルが放たれる。
雨のように降り注ぐミサイル。
それら全てが猟兵たちを狙っている。だが、それら全てを迎撃するように風の刃と氷の矢が飛翔する。
再び空に爆炎が満ち満ちる。だが、その焔は大地を燃やすこと無く消えていくだろう。
「強さがなければ、人として生きることすら叶わぬ……」
その声は静かなものであった。
猟兵の一人であるフュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)の玲瓏なる声が響き渡る。
彼女が駆るサイキックキャバリア『魔導機神セイヴェリオス』が放つ風の刃と氷の矢をコントロールしながら飛翔する。
「なるほど、それは確かに一つの真理なのでしょう」
フュテュールの瞳は悲嘆の色に染まる。
その言葉の意味は確かに生命としての前提であったことだろう。強くなければ生き抜くことの出来ぬ世界。
争いばかりが満ちる世界であるクロムキャバリアにおいては、そう思わざるを得ないだろう。
だからこそ、フュテュールは悲しいと思った。そこまで追い詰められてしまった『セキズ』に憐憫の情を抱くのだ。
彼の抱く劣等感、羨望、嫉妬、あらゆるものがきっと……。
「その炎はきっと、あなた自身をも燃やし尽くすのでしょうね」
その結末を知る者として、その感情こそがオブリビオンマシンによって歪められたものだと知るからこそ、フュテュールはその瞳をユーベルコードの再び輝かせる。
戦場を華麗に飛ぶ姿は対極なるものであったことだろう。
かたや煉獄。かたや吹雪乱舞(ブリザード・サーカス)のように舞う『魔導機神セイヴェリオス』。
互いに打ち込み続けるミサイルと風の刃と氷の矢。
一進一退を見せる攻防の前に爆煙だけが周囲に吹き荒れる。
「ならばこそ、ここで止めさせてもらいます」
「させるものか! 俺の抱く激情こそが世界を加速させるのだ! 誰もが思うだろう! 誰かより優れているものになりたいと! 願うだろう! 誰かを踏みつけにしたいと! そのためには力が要るのだ!」
吹き荒れるミサイルの応酬。
けれど、フュテュールの瞳はもう悲嘆に揺れてはいなかった。
決意したのだ。
その歪んだ心を正すために振るう力を。氷雪の如き乱舞の中を『魔導機神セイヴェリオス』と共に駆ける。
『過ぎた力は誰しもが持てるものでしょう。ですが、その力に身を焦がすことを知らずに使うこととはまた別の理』
流麗なるキャバリアの騎士が爆炎と氷雪の中を飛び、その長剣を振りかぶる。
きらめく輝きは、心の輝き。
身を焦がすほどの激情ではなく、『セキズ』は本来、それを求めるべきであったのだ。
アジンが持っていて『セキズ』が持たぬもの。
「誰かを思う心にこそ、輝きは宿るもの。それが力の源だと知りなさい」
フュテュールの輝きが見せるのは、長剣の一閃。
その一撃は、機動殲龍『煉獄』の巨体を袈裟懸けに切り結ぶ、絶大なる一撃となって刻まれるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
強さねぇ…一人だけの強さ、強いだけの存在なんて、ただのキャバリアだけで十分よ。
無人運用の技術があってもキャバリアに人がなぜ乗り込むのか…。
それが案外答えなんじゃない?
さて、レスヴァントは無茶かけすぎたから…ここからは切り札で逝く!!
起動シビリアンジョー!!(密かにARICAに後から運ばせてきた)
これが『ヒト達』が乗るキャバリアの力!!
『読心術』でパイロットの思考を読んで、『瞬間思考力』で敵攻撃軌道を読みこむよ。
後はボクの『操縦』テクで『悪路走行』『ダッシュ』の機動力で軽やかに攻撃を回避。敵機の死角に回り込むよ。
『エネルギー充填』以下省略。
『レーザー射撃』…ウルティメイトキャノン…連続発射!!
剣の一閃が機動殲龍『煉獄』の巨体に刻まれ、その半生物と半機械の機体を結ぶ。
迸る炎が吹き上がり、その体に内包したエネルギーを噴出させる。
その光景はまさしく煉獄そのもの。
「強さ……! 強さがなければ!」
機動殲龍『煉獄』を駆る『セキズ』は歯噛みする。
これが初めてではない。己の心の中を駆け巡る敗北感と焦燥、そして劣等感。心を苛むそれらの感情を彼はこれまでも感じていた。
どれだけ惨めであっても、それでも己は努力してきたはずだった。
それでも埋まらぬ差は、いつのまにか諦観へと変わっていた。けれど、それが間違いであることを知ったのだ。
己とアジンの違うはなんであるかを知る。けれど、それでも理解できない。納得できない。
「俺とやつの強さの何処に違いがある! 強さは強さだろう……!」
『セキズ』の咆哮に合わせるように機動殲龍『煉獄』は迸るような怨嗟の声を上げる。己の機体を傷つけた猟兵対する憎しみだけが、その機体を突き動かすのだ。
「強さねぇ……」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は消耗しきったキャバリア『レスヴァント』のコクピットの中で怨嗟の如き咆哮を聞いた。
彼女にとっての強さとはなんであろうか。
これまで戦ってきたエース級のパイロットたち。
彼等の中にも確かに強さを感じるところがあったことだろう。
誰かを思うからこそ、歪められてもなお力を発揮する者たちがいた。
「……一人だけの強さ、強いだけの存在なんて、ただのキャバリアだけで十分よ」
そうユーリーはいい切る。
キャバリアとは力だ。力の象徴だ。
無人運用の技術があってもキャバリアに何故人が乗り込むのか。それはすでにユーリーが得た答えであろう。
「さて、レスヴァントには無茶をかけすぎたから……ここからは切り札で行く!!」
コクピットハッチが開き、無人の状態でAIによって大地を疾走するユーリーのもう一つの乗機。
その名は――!
「起動シビリアンジョー!!」
その名を呼ぶことに寄って、かつてのオブリビオンマシンが目を覚ます。
そのカメラアイに宿るは、意志の輝き。ユーリーの言葉に応えるようにして、その機体が駆け抜ける。開かれたコクピットハッチにユーリーは飛び乗り、その搭乗席に収まる。
「機体を変えた……! 貴様……!」
放たれるは機動殲龍『煉獄』の背に負ったミサイルランチャー。
未だ膨大な数を抱えるミサイルを吐き出すようにして空を覆う。その一撃一撃は苛烈なる火力を有するものであっただろう。
躱せば地形が変わり、消えぬ炎が大地を侵食してオブリビオンマシンを強化していく。
だが、そんなことユーリーには関係なかった。
「これが『ヒト達』が乗るキャバリアの力!!」
これまでの猟兵達の戦い方を『セキズ』はよくみていた。彼等はミサイルランチャーから放たれるミサイルを撃ち落としていた。
躱せば大地が変形し、炎に包まれる。
そんな環境でこそ、機動殲龍『煉獄』は力を増すと知っていたのだ。
だが、ユーリーは違う。
戦術起動によってそれら全てを躱す。まるで最初からそういう風に軌道を描くと知っていたかのように躱し、大地が炎に包まれ機動殲龍『煉獄』の能力が上がろうとも意に介しない。
「どこまでいっても人は一人! だけど、そのキャバリアだって人一人の力では作り上げることすらできない。人が乗るキャバリアには――!」
大地を疾駆するシビリアンジョーが機動殲龍『煉獄』の死角に回り込む。鮮やかであり、軽やかである機動。
それがユーリーの持つ操縦テクニックに由来するものである。シビリアンジョーだけでは描くことの出来ぬ戦術であり、ユーリーだけでも実現することの出来ない戦い方であった。
「ウルティメイトキャノンモードへ移行。エネルギーライン、全段直結。チャンバー内、正常加圧中…ライフリング回転開始…発射準備完了!!」
シビリアンジョーに備えられたユーベルコードが輝く。
それは、ウルティメイトキャノン。
輝くユーベルコードは、物質化するほどの膨大な質量の電力の塊となって打ち出される。
「強さを追い求めることが悪なんじゃない。周りが見えなくなって、誰彼かまず傷つけることが悪と知りなさい!! シビリアンジョー!!!」
その言葉に応えるようにシビリアンジョーのカメラアイが輝く。
放たれた電力の塊が凄まじい勢いで機動殲龍『煉獄』の機体を穿つ。
それは明滅する輝きとなって荒野に吹き荒れる。
強さを追い求めるからこそ、その身の内を焼く激情がある。それを知る者にこそ、本当の意味での強さをしることもまたできるであろう。
ユーリーは放たれるユーベルコードの輝きの中に、それを見たのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
地雷原と精鋭部隊は壊滅させた。最後くらいは自分の手でやってみなさいな、革命軍。
……何より、向こうに回してる戦力はないものね。
『迦利』を引き続き運用。「式神使い」と器物覚醒で、より精密な動きを。
『迦利』には、「弾幕」「一斉射撃」「制圧射撃」で敵機の動きを制限させる。側面全体がレーザーの集束レンズで覆われているもの。手数ではそう負けないわ。
状況が膠着している間に、巫覡載霊の舞を使ってから、方術『空遁の法』。
転移先は敵の首の真下。『空遁の法』の連続攻撃を「衝撃波」を放つ薙刀で叩き込んで、首の一つでももらっていくわ。
余力があれば、もう一度、背中に転移して、兵装を破壊したい。
そうできたら『迦利』で撤収。
打ち込まれた電力の塊に寄る砲撃は、機動殲龍『煉獄』の体を穿つ。
だが、それだけの攻撃を受けてなお半生物、半機械の機体は咆哮を上げる。それは怨嗟であり、己の境遇を悲嘆してのものであったことだろう。
誰もが誰かを羨む気持ちを持つものである。
それは止めようのないものであり、どうしようもないことであったのかもしれない。
「俺は超える……越えなければ、俺の、俺のために」
その言葉は機動殲龍『煉獄』を駆るパイロットにしてオブリビオンマシンに心歪められた『セキズ』の言葉であった。
震えるように機体から背に負ったミサイルランチャーが放たれる。
無数の雨のようにミサイルが降り注ぐ中を、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)の操る無人のキャバリア、機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』が飛ぶ。
「地雷原と精鋭部隊は壊滅させた。最後くらいは自分の手でやってみせなさいな、革命軍」
その言葉に多少の余裕の無さを含ませながら、ゆかりは言い放つ。
加減ができる相手ではない。どうあっても、これより先は死地である。それをゆかりは自覚するからこそ、革命軍の面々に言い放つ。
対する敵はオブリビオンマシン。そして、それに心歪められた人物である。
「すまない……! アジン少将のことは我々に任せてくれ! 武運を!」
『迦利』が空を舞い、逆三角形の機体の側面からレーザーが乱れ撃たれる。弾幕のようにミサイルとレーザーの乱舞が巻き起こり、周囲に爆炎が迸る。
「……頼んだわよ。向こうに回してる戦力はないものね」
そう、対するオブリビオンマシン機動殲龍『煉獄』は並大抵の相手ではない。アジンを救うために猟兵が割ける戦力は多くはないのだ。
「邪魔を――するな!!」
再び放たれるミサイルが『迦利』を襲う。
ミサイルが尾を引くようにして空舞う『迦利』へと猛追するが、それをレーザーが尽く破壊する。
このまま敵の消耗を待つ事も考えられたが、それまで敵の攻撃を躱し続けることができるかは一種の賭けであった。
だからこそ、ゆかりは打って出るのだ。
「現世の裏に無我の境地あり。虚実一如。空の一心によりて、我が身あらゆる障害を越えるものなり。疾っ!」
己を神霊体へと変身し、唱えるは方術『空遁の法』(ホウジュツ・クウトンノホウ)。
自分を囲む空間を切り取り転移する術式に寄って、一瞬で彼我の距離を詰める。
対する半生物、半機械のキャバリア、機動殲龍『煉獄』の三つ首の一つの下へと転移したゆかりが振るう薙刀の一撃が、その太い首を両断せんと襲いかかる。
「首の一つでももらっていくわ!」
薙刀の衝撃波が鋭い刃となって機動殲龍『煉獄』の首の一つへと打ち込まれる。
鮮血の如き体液が迸るも、ゆかりはそれをかぶることはなかった。
一瞬で背面……その背に負った武装の上へと転移する。
「その大仰な背中の武装! 消えぬ炎があなたの力になるというのなら――!」
そう、ミサイルランチャーから放たれるミサイルが猟兵に当たらなくとも、そのミサイルが大地に失墜し炎を上げる。
その炎の上に立つ機動殲龍『煉獄』にとって、その炎こそが力の源となるのだ。
離れたた薙刀の一撃がミサイルランチャーの一基を破壊し、爆発を引き起こす。そこから爆煙にまぎれてゆかりは『迦利』と共に戦線を離脱する。
敵に打撃は与えることはできた。
確かにオブリビオンマシンは強大な存在であろう。
だが、それでもゆかりは恐れるに足りるとは思わなかった。後に続く猟兵たちがいることを知っている。
「一人だけが抱える強さなんてたかが知れている。あたしたち猟兵は確かに個ではあなたに敵わないのかも知れない。けど……負ける道理はないのよ」
その言葉と爆発が引き起こされる機動殲龍『煉獄』の背を尻目にゆかりは、後続の猟兵に場を繋ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アリッセ・トードゥ
随分とアジンの力を高く評価してるんだな。
だったら彼を友やライバルとして認めて、その強さを学び取れば良かったんだ。
出来る訳がない、か?それがお前の弱さだ。
【エナジーフォールダウン】を使う。過去からの力を遮断し敵機のUCを封じる。
どれだけ強力でも、容易く手に入れた力なんてそんなものだ。どうする?お前自身には何が出来る?
スラスターでの【推力移動】と【瞬間思考力】での状況判断で敵の攻撃を回避しつつフォースセイバーとフォースチェーンでの【2回攻撃】で【切断】する。冷静に時間を稼がれるとまずい。挑発に乗ってくれるといいんだが。
正気を失ってた事は私達が一言添えてやる。助かったらもう一度彼としっかり話し合え。
機動殲龍『煉獄』の三つ首のうちの一つに深々と刻まれた裂傷は猟兵の攻撃に寄るものであった。
半生物、半機械のキャバリアである機動殲龍『煉獄』にとって、その機体を構成し、維持するための体液が溢れ出るのは死活問題であった。
それらを塞ぐためのユーベルコードもまた備えている。
戦場となった荒野に降り注いだミサイルから生まれた消えぬ炎が、機体に集約し、その機体を癒やす。
この機動殲龍『煉獄』が最高傑作と言われる所以であろう。
破壊を齎す炎と、その炎を持ってして再生する機体。
それは永遠に戦い続けることを意味していた。それ故に、『セキズ』は猟兵がどれだけ殺到しようとも敗北を意識してはいなかったのだ。
「俺は超える。アジンを超える。『キマイラ』を越えてみせる……!」
それは羨望と嫉妬の対象であった。
どうあがいても追いつけぬ絶望が『セキズ』の心身を削っていく。どうしようもないほどの心の痛みが、傷跡となって存在する。
そこにオブリビオンマシンがつけ込んだのだ。歪められた嫉妬心こそが戦乱を招く火種であると言わんばかりにオブリビオンマシンである機動殲龍『煉獄』は吠えたける。
「随分とアジンの力を高く評価してるんだな。だったら彼を友やライバルとして認めて、その強さを学び取ればよかったんだ。それを彼も望んでいたはずだ」
そうすることで『フルーⅦ』という国は発展していったことだろう。
いつか訪れるであろう平和の先にこそ、見据える未来があればこそ。アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)はキャバリアのコクピットの中で言い放つ。
人の心に羨望や嫉妬は当然在りきのものである。
「ばかな……! 蹴落とすだけの存在に! 誰がそれを望むものか! 己の力を誇示するためには、己が常に先を征く者でなくてはならない! 並び立つ者など不要!!」
『セキズ』の方向に合わせるように、機動殲龍『煉獄』が咆哮する。
すでに落ちかけていた三つ首の裂傷がふさがり始めている。
「それがお前の弱さだ。決して強さなんかじゃあない」
アリッセの瞳がユーベルコードに輝く。
それは過去を遮断するサイキックエナジーを放出する。機体から放たれるサイキックエナジーは戦場に飛び火した消えぬ炎そのものを打ち消していく。
決して消えぬ炎。
それこそが、機動殲龍『煉獄』の力の源であるというのならば、それを遮断すればいい。
「エナジーフォール……ダウン!」
そのユーベルコードは、扇状全てのオブリビオンのユーベルコード残滓すらも無力化する。
凄まじき力と言う他無い。
ユーベルコードを打ち消すユーベルコード。
それは機動殲龍『煉獄』の持つ最大の利点を今、損ない、潰す。再生できぬ機体からは体液の如きエネルギーが溢れ出す。
刻まれた傷跡を癒やすこともできず、機動殲龍『煉獄』は悶えるように咆哮し、その怨嗟をアリッセへと向ける。
「どれだけ強力でも、容易く手に入れた力なんてそんなものだ。どうする? お前自身は何ができる?」
アリッセのキャバリアが戦場を駆け抜ける。
スラスターの光がまるで尾を引くように消えぬ炎すらも立ち消えた荒野を進む。
暴れ狂うような機動殲龍『煉獄』の攻撃などアリッセの前には意味をなさない。その尽くを躱し、アリッセは飛ぶ。
サイキックエナジーを噴出させる刃と鎖が、機動殲龍『煉獄』の機体を捉える。
「それを証明するために貴様らを滅ぼす! 俺は、人の枠だとか、優しさだとか、そんなものなどいらない! 俺は、俺の強さを証明するために――!」
心歪んだ者の心は、ここまで醜くなるのかとアリッセは目をそらしたくなった。
だが、それはしない。
その心の歪み、醜さもまた生命の放つ輝きの影にあるものであろう。
だからこそアリッセは目を背けない。それを真正面から見据え、その歪みを断ち切らんと刃を振るう。
フォースセイバーの一撃が機動殲龍『煉獄』の胴を切り裂き、フォースチェーンの鎖が武装を構える腕部を捉え、ぎりぎりと縛り上げながら高速回転するサイキックエナジーの力に寄って両断する。
アリッセは挑発するつもりで言葉を紡いだ。
確かにアリッセのユーベルコードは強力だ。だが、それは彼女の力量に由来する時間しか発動しない。
冷静に時間を稼がれてはならないことであった。
けれど、アリッセは言葉を紡ぐ。
破壊することは誰でもできる。けれど、そのために生み出された己であっても紡げる言葉がある。
そうすることのできるだけの経験を彼女は積み上げてきた。
「正気を失ってた事は、私達が一言添えてやる。助かったらもう一度彼としっかり話し合え。人は刃だけではなく、言葉を持つからこそ、分かり合うことができるのだから。そのためには――!」
そのオブリビオンマシンは邪魔である。
そういう様にアリッセはキャバリアと共にサイキックエナジーを迸らせながら、戦場を剣閃の乱舞でもって刻むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
元々持っていた歪みを
オブビリオンマシンに煽られた感じなのかな
歪みも負の感情も持たない人なんていないけど
国の中枢が乗っ取られると酷い事になるね
飛来する砲弾やミサイルを躱しつつ低空飛行で接近
地表すれすれならミサイルは曲がり切れないしね
万が一直撃しそうなのがあれば
神気で防御し通過するよ
接近したら邪神の涙を使用しつつ格闘攻撃
極低温物質で自他を冷却しつつ戦おう
消え無い炎だとしても冷気と神気で
凍らせてしまえば害にはならないと思うよ
鉑帝竜も使い魔も金属から成るから
低温でも困らないしね
いやまあ、使い魔は見た目だけでは人間と変わらないけど
僕自身は凍っても冷気耐性で耐えられるから
極低温物質と神気の操作に集中しよう
「負ける訳にはいかない! 俺は、負けてはならない。二度と負けられんのだ! あいつと俺は違うのだと! それを示さなければ!」
機動殲龍『煉獄』のコクピットの中で『セキズ』は咆哮する。
それは嫉妬と羨望が在りきの心であるからこそ、怨嗟として迸るのだ。それが例えオブリビオンマシンによって歪められ、暴走した心であったとしても、その根底にあるものは変わらない。
人は変わる生き物であるけれど、それでも、変えられぬものもまたあるのだ。
背面のミサイルランチャーは一基喪われているが、力を振るうには未だ十分であった。
「元々持っていた歪みをオブリビオンマシンに煽られた感じなのかな……」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はなんとも言えぬ表情まま、戦場に怨嗟の咆哮轟かせる機動殲龍『煉獄』と、そのパイロットである『セキズ』を見つめる。
その視線の先にあるのは、猟兵たちに与えられた傷を癒せずに悶え苦しむように三つ首をもたげる邪竜の如き姿。
「歪みも感情も持たない人なんて居ないけど、国の中枢が乗っ取られるとひどいことになるね」
それはこれまでもクロムキャバリアの世界には度々起こった出来事であろう。
世界が平和になろうとする度に、このようにオブリビオンマシンによって歪められた者が戦乱を引き起こす。
戦いに心をすり減らした者たちであればこそ、その歪みと傷は暴走という名の火種となって爆発するのだ。
放たれたミサイルの雨が晶と鉑帝竜を襲う。
飛来するミサイルを低空飛行で飛びながら躱す。地表すれすれに飛ぶ鉑帝竜にミサイルは届かない。それでも大地にぶつかり巻き上がる爆炎を神気で遮断しながら、一直線に飛ぶ。
「人間にはできない無茶だよなぁ……けど!」
それでも成さねばならぬことがある。晶のユーベルコードによって徐々に機体がこおり始める。だが、同時に機体の周辺には極低音の物質が放たれ、あらゆるものを冷却していく。
それは消えぬ炎もまた同様である。
「邪神の涙(ゼロ・ケルビン)――なんて、洒落た名前の割にはえぐい……!」
晶の駆る鉑帝竜は超硬なる金属の塊である。どれだけ低温になっても問題など無い。
「炎が、凍る……!? 何を、した!」
理解できぬ光景がある。
目の前の炎に包まれた荒野。消えぬ炎すらも凍りついた戦場にあって『セキズ』は混乱していた。
それはそうだろう。
消えぬ炎は、機動殲龍『煉獄』は力の源にして世界に破壊を齎す炎である。それは機体の傷をも修復するための原動力であったのに、晶のユーベルコードによって尽くそれが無に帰すのだ。
「凍らせただけだよ。炎が凍らないなんて、誰が決めたんだい。僕のユーベルコードは炎すら凍らせる。君が嫌う理解できない力だろう。けど、その理はちゃんとあるんだ。人ならざる者の中に、だけど」
けれど、それでも。
全ての人間が全てを理解できることなんてない。
同時にそれは、誰もが同じものには成れぬということだ。『セキズ』は他者を羨んだ。アジンの人望、能力、あらゆるものを妬んだ。
己がそうでないことに絶望したのだ。
「超える必要なんて無い。誰だって同じ人間なんていないんだから。優しさの前に強さはひれ伏す。どれだけ大きな力であっても、それが人の手によって扱われるのなら、その力がどんな結末を迎えるのかは、いつだって、その人次第なんだよ」
晶の言葉に応えるように、鉑帝竜の超硬の爪が機動殲龍『煉獄』の機械の装甲と半生物の肉を切り裂き、鮮血の如き体液を迸らせる。
その爪痕は決してこの戦いで癒えることはないだろう。
傷を焼いて塞ぐように、極低温の物質が、その傷口から侵食するように体液すら凍らせて彼等を消耗させていく。
「だから、それがわかるためには、オブリビオンマシンなんて必要ない――!」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
竜退治はもう飽きた…って台詞あったよね
めっちゃ龍だわー、世界観変ったわー
規格統一とはいったい…って言いたくなるよね
おっさんおっさん
まああんまりカリカリしない
それ、熱が出た時の奇行みたいなもんだから
ぜーんぶその機体が悪い、だから安心して倒されて後でうわぁぁって恥ずかしがってね
4K画質で録画したげるから
●
【決戦兵装:建御雷神】起動
圧縮空間より、兵装転送
神剣より、ブースターに『エネルギー充填』
殺傷力を高めた神剣で煉獄を狩る
推力任せに無理矢理煉獄に追い付く
どっちみち装備は使い捨て、最低限身を守れば良い
前面に『オーラ防御』でバリア展開
後はブースターで加速を付けて一閃『なぎ払い』、3つの首の内1つを頂く!
あるサブカルマニアは知っている。
『竜退治はもう飽きた……』
その言葉は何処かの世界の何某かが言った言葉であろう。いや、ただのキャッチコピーであるし、同時にそれは別に飽きられることなく延々と竜退治はナンバリングを重ねていくわけであるが、今はそういうことではないのだ。
「めっちゃ竜だわー、世界観変わったわー」
規格統一とはいったい……と月夜・玲(頂の探究者・f01605)はつぶやきを漏らした。
キャバリアとはオーバーフレームとアンダーフレーム、そしてコクピットブロックによって構成される汎用性の高さが売りの兵器である。
だが、今猟兵たちが相対するオブリビオンマシンは、その規格性から逸脱した存在であるように思えた。
機動殲龍『煉獄』――半生物、半機械のキャバリア。
いわば、生物ユニットがアンダーフレーム。その所々機械化された部分と背に負った武装こそがオーバーフレームと言ったところだろうか。
「けど、それでも限度ってあるでしょうに」
まったくもーと緊張感のかけら無く玲はひらりと手のひらを返す。だからといって放置していい理由になどなっていないのだから。
すでに猟兵達の攻撃に寄って本来であれば大地を覆う炎によって、その損傷を癒やすであろう機動殲龍『煉獄』もあらゆる手段でもって猟兵たちに妨害され、消耗を蓄積していっているのだ。
「邪魔をするな! 俺は超える! 越えて見せる! そして全ての人間に認めさせるのだ! 俺が、俺こそが優れたる者であると!」
パイロットである心歪められた『セキズ』にとっては玲の存在など目にも入らないだろう。
玲はキャバリアを持たない。
5m級の鋼鉄の巨人が騒乱の主役であるクロムキャバリアにおいて生身の人間など障害にすら成りえない。
だが、ここに例外が存在する。
「おっさんおっさん。まあ、あんまりカリカリしない。それ、熱が出た時の奇行みたいなもんだから。ぜーんぶその機体が悪い、だから安心して倒されて、後でうわぁぁって恥ずかしがってね」
玲は冗談のように笑って告げる。
こちらの言葉は届いていないだろう。それだけオブリビオンマシンの齎す心の歪みは深いものである。
嫉妬や羨望、妬み嫉む心がない人間などいないだろう。
だからこそ、共感できる。
駆け出す玲の体に封印を解かれし決戦兵装が圧縮空間より転送される。
彼女の腕とサブアームにマウントされた模造神器の四振りが決戦兵装『建御雷神』を起動させる。
充填されたエネルギーがその装甲に青いエネルギーラインを迸らせる。
輝く力は彼女のユーベルコードの力である。
「4K画質で録画したげるから。だから、思う存分にやらせてもらうよ。だって――今日は大盤振る舞い!模造神器4振り全部持ってけ!」
玲の体に決戦兵装:建御雷神(ケッセンヘイソウ・タケミカヅチ)が鎧う。
その手にするは合成神剣・天。
四振りの模造神器を一つに纏め、振るうために必要なユーベルコードの力は通常の数倍以上にも及ぶだろう。
だが、それは玲の研究に寄って全てクリアされている。
「ふざ、けるな――!」
灼熱翼が広がる。機動殲龍『煉獄』が放つフレアが触れた者は全てユーベルコードを無効化される。
そのフレアは音速を超える勢いで周囲に放たれる。
触れてしまえばユーベルコードはたちまちに霧散し、消え失せることだろう。
玲のユーベルコードも例外ではない。
――否。
此処に例外がある。
模造神器のエネルギーを全て注ぎ込んで充填された決戦兵装の速度は神速。
推力に任せた速度は、一瞬で機動殲龍『煉獄』に取り付く。凄まじき速度。決戦兵装の名に恥じぬ凄まじき力。
生身のままでオブリビオンマシンの巨体へと振るうは合成神剣・天。
フレアの衝撃が玲の体を襲う。
決戦兵装がフレアによって破壊されるより早く、出力されたユーベルコードの輝きが、兵装事態を自壊させていく。
「どっちみ使い捨てだからね! その首の一つ、頂く!」
振り下ろされる合成神剣。
その一撃は再生すら間に合わせるつもりのない、激烈なる一撃であった。自壊していく兵装から放たれた圧倒的推力が振り下ろす剣の一撃へと力を加える。
一刀両断のもとに放たれた斬撃は戦場となった荒野に視界を明滅させるほどの鮮烈なる剣閃を放つ。
重たい地響きを立て、機動殲龍『煉獄』の三つ首のうちの一つが大地に落ちる。
「ま、後で楽しみにしておいてよ。黒歴史になるような、そんな映像になっているからさ。でも、誰にだってあるよ、黒歴史。見たくない過去からしか人は学べないからね。成功から学ぶことなんて一つもない。だから――」
だから、その後は自分次第だと玲は告げるように分離した合成神剣を納めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジーノ・エヴァーソン
…オブリビオンマシンによる暴走であっても、基にあるのはその嫉妬心ってワケか
他人の命を取れば優位の証明になるとはね、くだらねー
UC作動、最高速でミサイルをこちらに近づけさせず、〈レーザー射撃〉ライフルの〈スナイパー〉で打ち落とす
こっちが発射するミサイルは相殺させずに相手に食らわせる事に集中させる
命の取り合いしてる時に、他の誰かをよそ見なんてしてりゃあ…劣等なんて感じる間もなく
あんたは死ぬ
――って形式上はなるし?生き返った気になってやってみれば?いいんじゃない、どーでもいいが。
とりあえずは頭冷やす為に…そのオブリビオンマシンから離さなきゃな……
……標的の生け捕りってこんな重労働だったっけな…
機動殲龍『煉獄』の三つ首の内の一つが猟兵の一撃に寄って両断され、大地に失墜する。
それは半生物であるキャバリアの残された首から痛みと憤怒による咆哮によって塗りつぶされる。
あれだけの消耗を経てもなお、機動殲龍『煉獄』はオブリビオンマシンとしての力を振り絞る。
破壊の権化として、その姿をもって己の優位性を認めさせるように全てを破壊せんと、その炎を噴出させるようにミサイルランチャーから雨のようにミサイルを放つのだ。
「おのれ! おのれ! おのれ! 俺の優位性を揺らがせるな! 俺は優れたものだ! 否定などさせるものか! 俺は必ずあいつもよりも、何よりも優れている……!」
機動殲龍『煉獄』のコクピットの中で『セキズ』は咆哮する。
それに連動するようにオブリビオンマシンはほくそ笑むだろう。人の心の歪みこそが戦乱を呼ぶ火種である。
だからこそ、オブリビオンマシンは搭乗者の心を歪め、平和という誰もが望むものを破壊しようと目論むのだ。
「……オブリビオンマシンによる暴走であっても、基にあるのはその嫉妬心ってワケか」
ジーノ・エヴァーソン(Xeno_Fire・f30003)は『メビウス』のコクピットの中に響くミュージックの中にため息を一つ漏らしていた。
それはどうしようもなく、この上ない感情であったのかも知れない。
「他人の生命を取れば優位の証明になるとはね」
それはジーノにとって、唾棄すべきほどのことではなかったのかもしれない。
同時に、考えてみたこともないことであったのかもしれない。
己の存在を、己の優れたるを知らしめるとい行為。
それ自体は生命であれば、誰もが一度は抱くものであったことだろう。だが、それはジーノにとって。
「……くだらねー」
そう、くだらない。
そこに意味はない。例え、それによって得た優位があったとしても、それはジーノにとって無価値なるもの。
白きキャバリア『メビウス』が飛ぶ。
凄まじい勢いで持ってユーベルコードの輝きを放ちながら、オーバーブースト・マキシマイザーの推力でもって戦場を駆け抜ける。
『メビウス』が持てる最高速を持って迫るミサイルすらも振り切って、すれ違いざまにレーザーとライフルの弾丸が尽くを撃ち落としていく。
さらに白い流星のように戦場を駆ける『メビウス』の全搭載武装が放たれ、その砲撃の全てを機動殲龍『煉獄』に集中させる。
「この機動……! 違う、あいつじゃない! だが、なんだこの機動は! 俺の前に立つな! 俺よりも先に行くな! 俺は――!」
『セキズ』の咆哮が響き、爆炎が機体より上がる。
それは怨嗟の咆哮をかき消すものであった。結局の所、ジーノに優位など興味はない。
己が為すべきことを為す。
それが傭兵としての生き方であろうし、あらゆる怨嗟すらもコクピットの中に流れるミュージックが洗い流してくれる。
「生命の取り合いをしてる時に、他の誰かをよそ見なんてしてりゃあ……劣等なんて感じる間もなく」
そう、今この戦いこそが生命のやり取りである。
己と他者の生命を賭けた戦いである。そこにあるのは懸命という言葉以外にない。
「あんたは死ぬ」
今は戦っているのだ。
生命を奪わんとする者と、それをさせぬという者がいる。
ならば、両者の主張は食い違い、強気ものの主張こそが正義となるだろう。だからこそ、『セキズ』は敗れる。
「――って形式上はなるし? 生き返った気になってやってみれば? いいんじゃない、どーでもいいが。とりあえずは――」
その頭を冷やすといい。
そういう様にジーノと『メビウス』は戦場を飛ぶ。
あらゆる武装を放ち、オブリビオンマシンを破壊しようとする。その心が歪み暴走した原因がオブリビオンマシンであるのならば、それから引き離さなければならない。
そうすることによって、ようやく『セキズ』はスタートラインに立てる。
誰かのためじゃない。
己のためにこそ、それを為すべきだとジーノはトリガーを引く。オブリビオンマシンの尽くを破壊し、存在を否定する。
例え戦乱の世界にあってもオブリビオンマシンは必要ないとジーノは力を振り絞る。
「……標的の生け捕りってこんな重労働だったっけな……だが!」
それでもやる。
やると決めたのだ。己の信条のために。今まで流した血のために、何もかもを投げ捨てるのには、ジーノは未だ濯ぎきれていない。
だからこそ、『メビウス』は飛ぶ。
その力の限り、為すべきを為すために――。
大成功
🔵🔵🔵
荒覇・蛟鬼
なんという……此れほどの咎人を見るのは久しぶりです。
その鉄屑も、其れを操るあなた自身も、世を破滅に導く
“塵”しか生み出さない……否、“塵”其の物のようですな。
■闘
最早かける言葉はありません。人の身体に姿を戻し、
【空中浮遊】しながら戦いを挑みます。
先ずはあの砲弾……強化は厄介ですが、避けますか。
放たれるミサイル群を【視力】を凝らしながら目視し、
『弾幕の隙間』を探索。発見したら一瞬の【ダッシュ】で
通り抜け、鉄屑に接近を図ります。
仕上げは【大首が迫る】勢いで距離を縮め【怪力】を込めた
寸勁を放ち、砕け散って頂きましょう。
なお放つ際は炎が燃え移らないよう、【オーラ防御】を纏います。
※アドリブ・連携歓迎
「なんという……これほどの咎人を見るのは久しぶりです」
荒覇・蛟鬼(鬼竜・f28005)は荒野の戦場にありて、その消えぬ炎、歪みきった心が齎す破壊の化身とも言うべき機動殲龍『煉獄』の咆哮を聞く。
三つ首のうちの一つは切り落とされ、武装を破壊され、身を穿たれてもなお、世界を呪うような怨嗟の咆哮は消えぬ。
未だ破壊をもたらし、戦乱を呼び込もうとするささくれた心が、どこまで世界を歪めていく。
それを蛟鬼は『塵』と呼んだ。
「その鉄くずも、其れを操るあなた自身も、世を破滅に導く『塵』しか生み出さない……否、『塵』其の物のようですな」
その言葉はきっと届かない。
いや、懸ける言葉などありはしないと蛟鬼は嘆息する。竜神の姿をほどき、人型へと戻った彼は見下ろす。
其処に在る破壊の化身。
過去の化身として蘇った鉄屑。それを止め、破壊しなければ、世界に戦乱の火種は尽きることはない。
その『塵』を払うことこそが、己の責務。
空中に浮遊しながら蛟鬼は放たれたミサイルランチャーが火線を引く弾頭を捉えていた。
弾幕のように張り巡らされたミサイルは、きっと己へと近寄るなと言う意思表示であったことだろう。
「ですが、それに付き合う道理などない。そちらの道理に合わせる気など、こちらにはないのですから」
駆け出す。
その瞳が捉えていたのは、弾幕の如き放たれるミサイルの間隙。
一瞬の間隙であったが、己の身に為すことのできぬことではない。蛟鬼は一瞬で距離を詰める。
眼前には、そのオブリビオンマシンの醜悪なる姿があった。
見るに耐えぬ姿である。
怖気すら走る。それに対する嫌悪はこの場に居た猟兵の誰よりも強烈なるものであったことだろう。
「軽くつつくだけですので」
その巨体の胴体へと、そっと掌を添える。
それは地の力とたゆまぬ反復動作が生み出す最小にして最大の力へと変える絶技。
大首が迫る(オオクビガセマル)ように触れた掌が、相反する力を発揮する。その身に宿した圧倒的な膂力を最速最短最小の動きで持ってロス無く放つ。
それこそが寸勁。
魔法でも魔術でもなければ、ユーベルコードでもない。
鍛錬が生み出す理。
打ち込まれた拳が加速した掌底を放ち、その機械で覆われた巨体を穿つ。どんな装甲も、衝撃を吸収する機構も何もかも無意味。
この拳の前にはあらゆるものが障害とは成りえない。
「その意志、その歪み、その羨望、その嫉妬、あらゆるものこそ罪在りき。故に私の拳が砕きましょう。罪は濯ぐために。そして罰はこれより」
砕いた装甲から炎が噴出するも、蛟鬼には届かない。
大地に降り立ち、消えぬ炎として、機体を強化させることもしない。
すべて彼の放ったオーラの力が包み込み、その炎すらも掌底の一撃と共に打ち込まれる。
巨体が冗談のように浮き上がり、その暴れ狂う圧倒的な力の奔流で持って内部から、その巨体を破壊の力で染め上げていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
栄光も称賛も称えてくれる誰かがいてこそだろうに
目先の事ばかり考えてると本当に欲しい物は手に入らねーぞ
[SPD]
まずはCSの【限界突破】モードを発動
Es、機体を可能な限り持たせといてくれ!
『了解お任せを…ですが後が大変ですね?』
なに死ぬよりゃマシさ!
基本は【推力移動による空中戦】
巨砲は【第六感】で察知して射線を【見切り】
ミサイルはHGGの【弾幕】で撃ち落とす
その内、相手が痺れを切らすのを【読心術】で感じたら
大振りの攻撃をする瞬間に【ダッシュ】で接近しつつUC発動
CBBで【なぎ払い体勢を崩させ】CBRで撃ち抜くぜ(零距離射撃
うっかり死んでも恨むなよ!
生きてたら精々頭を冷やしとくんだな!
アドリブ歓迎
三つ首のうちの一つを喪った機動殲龍『煉獄』の巨体が浮かび上がるような凄まじき拳に寄って跳ね上がるのを、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は捉えていた。
それは他の猟兵が放った攻撃の一瞬の隙。
未だ雨のように放たれるミサイルランチャーの砲撃をかいくぐり、鈍色のロールアウトカラーのキャバリアと共に戦場を駆け抜ける。
『クロムスティール』と名付けられた機体の限界を超えた戦術機動が戦場にスラスターの噴射光を迸らせる。
かつての銀河帝国性AIユニットであるEinsに機体の制御を任せる。
此処からはマニュアルでの戦術機動でなければ、限界を超えた『クロムスティール』の速度と機動は維持できない。
「Es、機体を可能な限り保たせといてくれ!」
『了解。おまかせを……ですが、後が大変ですね?』
AIの言葉に苦笑いしてしまう。
確かに限界を越えた駆動によって、機体のあらゆる箇所が損傷するだろう。整備も大変であるが、その後の請求書を見るのも顔が青ざめることだろう。
だが、それでも限界を超えなければならない。
祐一にとって、それが今なのだ。
「なに死ぬよりゃマシさ!」
一気に速度を上げる。暴走衛生『殲禍炎剣』によって、高度をあげることができない。低空飛行のまま、凄まじい速度でキャバリアの機体が迫る。
かのオブリビオンマシンを倒さなければならない。
あのパイロットは人の心を歪められている。それが本位ではないにしても、嘗て抱えた心の歪みでもあったことだおる。
「俺に称賛を! 栄光を! 俺は俺のためにこそ戦わなければならない! 何もかも超える! あの! 『キマイラ』をも越えて――!」
『セキズ』。
今回のオブリビオンマシンの搭乗者であり、心を歪められた者。その言葉はまるで怨嗟であった。
彼の求める栄光も、称賛とも程遠い咆哮。
「栄光も称賛も讃えてくれる誰かがいてこそだろうに。目先のことばかり考えてると本当に欲しいものは手に入らねーぞ!」
『クロムスティール』の頭部に備え付けられたバルカンがミサイルを撃ち落としながら、爆煙の中を突き進む。
「黙れ――!」
振るうは、その巨大な尾。
炎の力を纏った痛烈なる一撃が『クロムスティール』を襲う。その一撃を受けてしまえば、機体は愚か祐一の身すら危なかったことだろう。
だが、彼はその時を待っていた。
勝負を決めようと放つ必殺の一撃。その大ぶりの一撃にこそ、己が求めた隙がある。
振るうキャバリアのビームブレイドが尾の一撃を切り払い、放つビームの一撃が、その巨体を打ち砕く。
「うっかり死んでも恨むなよ!」
ビームの一撃に誘爆したエネルギーインゴットが機動殲龍『煉獄』の巨体を包み込み、巨大なる火柱となって戦場となった荒野の空似迸る。
その光景を目の当たりにしながら祐一は『クロムスティール』と共にビームの弾丸を打ち込み続ける。
誰だってやり直せることができる。
手遅れなんてことはどこにもない。己がやり直し、償うという意志があればこそ、手遅れはありえない。
だからこそ、祐一は吠える。
「生きてたら精々頭を冷やしとくんだな!」
その後のことは、彼を助ける者がいるだろう。
生きてさえいれば、遅きに失することなんてない。
いつだって、そのスタートラインは自分で決める。他の誰かがなんと言おうとも、それすらも贖罪として歩むことこそが、人に与えられた希望でもあるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
にぃなちゃん、ミサイルは好きだけど撃たれるのはノーサンキュー!
とゆー事でここは一つかわしていくぞ☆
ユーベルコードで変形したバイクを【操縦】しつつスマートグラスで【情報収集】。
ミサイルや砲弾の軌道を【瞬間思考力】で予想して、回避しながら接近だ!
行く手を阻むミサイルは【スナイパー】らしくライフルで撃っちゃえ☆
徹甲弾なら撃ち落とせるかも!
さて、ミサイルなら誘導弾だし砲弾も足元に撃てそうな感じじゃないかな。
だったら燃える地面に踏み込まれる前に【ダッシュ】で近付いて、足元潜りながら出力全開のレーザーでお尻から頭まで【貫通攻撃】!と行きたいね!
機動殲龍『煉獄』は咆哮する。
それは喪った三つ首のうちの一つと尾……そして、その巨体に刻み込まれた猟兵達による攻撃の傷跡への怨嗟であった。
過去の化身であるオブリビオンマシンにとって戦乱こそが望むものである。
戦いがあるからこそ、オブリビオンマシンは存在できる。争いのない世界など、オブリビオンマシンにとって存在意義がないのと同じである。
戦うために生まれ、戦うために破壊されていく。
それがキャバリアという兵器の本質であると知らしめるように、その咆哮と共に雨のようなミサイルが大地へと降り注ぐ。
猟兵も、大地も、全てを灰燼に帰さんとするように消えぬ炎で持って破壊の権化とならんとしているのだ。
「全て壊す! 俺を認めぬものを! 俺の優位を脅かすものを! 全て燃やし尽くす! 壊し尽くしてやる!」
機動殲龍『煉獄』のコクピットの中では『セキズ』が咆哮する。
それは心を歪められた者の末路であったのかもしれない。だが、それでも猟兵たちは戦う。
その歪められた心にこそ、やり直す機会があるのだと叫ぶように。
「にぃなちゃん、ミサイルは好きだけど撃たれるのはノーサンキュー!」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はユーベルコードの輝きに寄って変形した己の宇宙バイクを駆り、スマートグラスから送られてくる情報全てに目を通し、あらゆる機動、速度を読み切ってミサイルの雨を躱し続ける。
それはゴッドスピードライド、神の如き操縦テクニックであればこそ為せる業であったことだろう。
刹那の間に読み切ったミサイルの機動と間隙を縫って、宇宙バイクでニィナは駆け抜ける。回避したミサイル同士が衝突し爆煙を上げて大地へと失墜していく。
だが、それでもニィナに迫るミサイルは数を減らすことはない。
むしろ、躱せば躱すほどに躍起になってニィナを撃ち落とさんと迫るのだ。
「しつこい☆」
構えたライフルで撃ち落とし、ミサイルの爆煙を躱しながらニィナは機動殲龍『煉獄』へと肉薄する。
徹甲弾に変更したライフルの弾丸がミサイルを効果的に撃ち落としていく。
ミサイルが誘導弾のようにニィナ自身を追尾し続けるのであれば、足元にだってやってくるだろう。
だからこそ宇宙バイクの速度を緩めない。
蒸気機関と階差機関のエンジンが唸りを上げ、ニィナを急降下させるように機動殲龍『煉獄』へと潜り込ませる。
それを追いきれぬミサイルが次々と大地へと激突し、その消えぬ炎を撒き散らす。その消えぬ炎こそが、機動殲龍『煉獄』の機体を癒やし、強化していくのだとニィナは知っている。
「そこに踏み込む前にー!」
ニィナが宇宙バイクと共に機動殲龍『煉獄』の腹の下へと潜り込んだのは、ミサイルを躱すためではない。
その無防備たる装甲無き半生物たるキャバリアの弱点をつくためだ。
「やっぱりがら空きだー☆ せーの!」
構えたガジェッティアレーザーの一撃が、胴から頭部に向けて放たれる。
熱線の一撃は宇宙バイクから供給されたエネルギーを強烈なる威力に変えて、一文字に刻まれる。
その一撃の重さは言うまでもないだろう。
打ち込まれた熱線は有機的な巨体を焼き切り、その内部へと言えぬ傷を刻んでいく。
これまで他の猟兵達の刻んだ傷と合わせてしまえば、それがどれほどの消耗を齎すかは明白だろう。
「ばっちりだよね☆ 後もう一息!」
痛みに悶えるように咆哮する機動殲龍『煉獄』の姿を尻目に、ニィナは宇宙バイクと共に空へと舞い上がる。
その咆哮は怨嗟。
誰かを羨み、妬み、嫉む心の歪みが生み出した怪物なのだとしたら、今まさにニィナたち猟兵は、その歪みを破壊するのだ。
そうすることで、小国家『フルーⅦ』が新たなる第一歩を踏み出せると、ニィナは確信していたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【WIZ】
強さを求めることはこの戦乱の地では悪いことはでないがのー
とはいえ、それで英雄になれるとは限らんということを証明してやろうかのー
搭乗したKIYOMORIをオブリビオンマシン形態「清盛」に変形させて参戦
UC「機竜の大海、空にありて天罰を下さん」を発動させ、周辺上空に帝竜ワームの質量のある雷雲の海を放出
無尽蔵の雷を持って煉獄を撃ち付け、さらに内部機構にある殲業鎮燻機構も無力化していく
限られた時間で雷を受けて纏いながら加速し、最大スピードにて最大威力を叩き出す回転しながらのレーザークローを突き出した突撃で、一気に癒しの炎を撃ち破る攻撃を敢行
そんな戦い方は間違っておるけー、止めてやるのー!
数多の猟兵たちが攻撃を加える機動殲龍『煉獄』の姿はもはや満身創痍であった。
尾は断ち切られ、胴にはいくつもの砲撃や斬撃に寄る傷跡が残っている。さらに三つ首であった首の内の一つは両断されている。
本来であれば、大地に放たれた消えぬ炎は、その傷跡を癒やし永続的に戦場に在りては、破壊をもたらし続けるためにこそ振るわれる力であったのだ。
「何故だ、何故再生しない……! 整備不良? いや、違う! 何故再生機能が動かないのだ……!」
己の作り上げた機動殲龍『煉獄』は傑作であったはずだ。
不具合などありえるはずがない。
それは猟兵達のユーベルコードの輝きに寄ってこそ成された業であることを『セキズ』は認められなかった。
「強大なはずだ。これほどの力であれば、あらゆるものが思い通りになるはずだ! なのに! 何故俺はこんなにも」
焦燥に駆られているのか。
その理由を『セキズ』は未だ認められないでいた。己が追い詰められているという事実を、認められないのだ。
「強さを求めることはこの戦乱の地では悪いことでないがのー」
メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は一定の理解をしめした。
戦乱渦巻く世界、戦争やまぬ世界であるクロムキャバリアにおいて力こそが生存のための前提条件であることは言うまでもない。
だが、そこに強さ以外のものを見出そうとするの出れば、力だけではダメなのだ。
「とは言え、それで英雄に慣れるとは限らんということを証明してやろうかのー」
搭乗していた二足歩行戦車がオブリビオンマシン形態である『清盛』へと変形する。
その姿は、竜を思わせたかも知れない。
迸るは帝竜ワームの因子から来る雷雲の力。
「上空は僕の清盛が制したけーのー、早々に諦めることじゃ!」
『清盛』のドラゴンヘッドのブレス放射装置から、戦場の上空を雷雲が埋め尽くす。
それはこのクロムキャバリアにおいて第二の空を生み出すのと同義であった。
例え、今『殲禍炎剣』が空から飛翔するものを打ちのめすのだとして、空を覆う雷雲の下にいるものには、かつての帝竜ワームの持つ質量在る雷雲の海より放つ落雷の一撃が撃つ。
機竜の大海、空にありて天罰を下さん(パニッシュメント・プリズン)とするユーベルコードの輝きは落雷の明滅に寄って塗りつぶされる。
その凄まじ力はまさに創世の力を思わせることだろう。
無尽蔵なる落雷は、あらゆる機械兵器を無効化する。紫電の一撃が、機動殲龍『煉獄』の機体を撃つ。
「放電が、間に合わない、だと――!?」
「無尽蔵じゃけー、こちらのエネルギー切れを狙おうとも無駄じゃけー!」
メイスンの言葉通り、無尽蔵なる雷撃がオブリビオンマシンを襲う。
雷撃を逃がすことも出来ず、機動殲龍『煉獄』は内部機構を無力化される。再生の力も、雷撃の力によって焼き尽くされれば、いよいよもって敗北が足音を立てて近づいてくる。
「敗ける……! 俺が敗ける、のか……ありえない! この機動殲龍『煉獄』は、無敵であったはずだ! 戦いでもって俺は、奴を、アジンを超えることができるはずだったんだ! それを――!」
邪魔するなと、咆哮一閃、機動殲龍『煉獄』が駆け抜ける。
無尽蔵なる雷撃であっても、ユーベルコードは有限である。メイスンの力量で持って一分半弱。
その時間の間にメイスンは勝負を決しなければならなかった。
『清盛』と共に駆け出す。
最大のスピードと最大威力を叩き出す回転するレーザークローが突き出され、大地に蔓延る消えぬ炎を振り払いながら、メイスンは絶命たる一撃を機動殲龍『煉獄』へと叩き込む。
その一撃は胴を穿ち、その巨体を吹き飛ばす。
「そんな戦い方は間違っておるけー、止めてやるのー!」
メイスンの言葉通り、機動殲龍『煉獄』は吹き飛ばされ、その動きを止める。
未だその瞳に怨嗟の輝きは消えぬ。
けれど、オブリビオンマシンは破壊する。心歪める力を持つからこそ、人の弱み、傷跡に漬け込むやり方は、赦してはおけない。
その想いを受けるようにして『清盛』の頭部が開き、雷撃のブレスでもって、機動殲龍『煉獄』を撃ち抜くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
己が現状と理想の狭間に呑まれたのか…
(私もあるいは…)
全てを灰燼に帰しても、貴方を認める者は誰一人いません
それは『黙らせた』というのです
強さとは、優しさとは、他者によって成り立つもの
そんな単純な理屈すら見失わせるその機体…破壊させて頂きます
自機を●ハッキング、先程使った●破壊工作用手榴弾を満載した背部コンテナをパージし射出
焼かれる前にライフルで撃ち抜き爆破
灼煌翼吹き飛ばし高速移動制限
●推力移動で接近し組み付き
フレア…キャバリアは兎も角、故郷では恒星付近での船外作業もありましたので(●環境耐性)
機体乗り捨て飛び出し頭部●怪力で殴り倒し顎を引き裂き
今まで充填していたUCを口内で解放
頭部切り落とし
「己が現状と理想の狭間に呑まれたのか……」
それは一つ間違えば、己の未来であったかのようにトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は思えた。
目の前には数多の猟兵に寄る攻撃に寄って消耗し尽くした機動殲龍『煉獄』があった。
最早、その三つ首のうちの一つは喪われ、尾は叩き切られ、背面の武装をも破損している。
度重なる雷撃に寄って再生する炎を生み出す機構もまた喪われている。
その姿にトリテレイアは未来の己を幻視する。
己もあるいは、ああなるのではないかという懊悩が電脳のエラーとして放たれるのだ。
だが、それを踏み越えてトリテレイアは言葉を紡ぐ。
「全てを灰燼に帰しても、貴方を求める者は誰一人いません。それは『黙らせた』というのです」
認めたということにはならない。
それがどんなに虚しいことであるのかを『セキズ』は知らねばならない。
屍を積み重ねても、人は誰一人として称賛することはないだろう。ただ押し黙り、うつむき、次なる標的が己ではないことを願うだけの存在にしかならない。
それは人の世に在って、人の心を持つ者には耐え難きものであったことだろう。
「黙れ! 俺は俺のためにこそ強さを得るのだ! この強さを持って、全て! 全て手に入れるのだ! 破壊してでも!」
その歪んだ心は、破綻した論理を生み出す。
どうしようも無いほどの心の歪み。だからこそ、アジンは『セキズ』に言葉を送ったのだろう。
そんな力に意味はないのだと。
「強さとは、優しさとは、他者によって成り立つもの」
トリテレイアは己のキャバリア『ロシナンテⅣ』の背面コンテナを切り離す。パージされた破壊工作用手榴弾を満載したコンテナが質量兵器として機動殲龍『煉獄』へと放たれる。
それをライフルで打ち抜き爆破し、凄まじき爆煙で持って炎の翼を吹き飛ばす。
一瞬の交錯であった。
爆煙が視界を埋め尽くす中にあって、トリテレイアはしっかりと標的を捉えていた。破戒をもたらし、戦乱を呼び込む火種を蒔く存在。オブリビオンマシンを!
「戯言を! 強さの前に優しさなど何の役に立つ! おためごかしにしか過ぎないのだと! この戦乱の世界が証明している!」
そう優しさは役立たない。
戦争が続き、人心乱れる世界に在りて、優しさは弱さにつながるのかも知れない。
けれど、トリテレイアはそれを否定する。
「ならば、それを否定しましょう。優しさ無きものは生きる資格などない。誰かを思いやることのできぬものは永遠に孤独でしかない。貴方の真に求めるものとは真逆であるのです!」
『ロシナンテⅣ』が爆煙から急速にスラスターを噴き上がらせ、機動殲龍『煉獄』へと肉薄する。
例え放ったフレアが機体を襲おうとも、それしきのことで銀河の海を征く世界で存在し続けた戦機、ウォーマシンが止まるわけがない。
機体同士が激突し、その巨体を抑え込む。
「そんな単純な理屈すら見失わせるその機体……破壊させていただきます」
『ロシナンテⅣ』のコクピットからトリテレイアが単身飛び出す。
充填していたエネルギー粒子を撒き散らしながら、その白き極光の如き刀身をさらけ出す。
コアユニット直結式極大出力擬似フォースセイバー(ダイレクトコネクトセイバー・イミテイト)、それこそがトリテレイアの持てる最大の一撃であったことだろう。
握りしめた柄に充填されたエネルギーが極大の刀身となって戦場となった荒野を光で埋め尽くす。
放つ突きは三つ首のうちの一つの口腔へと打ち込まれ、開放されたエネルギーが爆発的に放たれる。
そのエネルギーは口腔から内側を焼き切り、さらに振りかぶった一撃が、その首を切り落とす。
「貴方にあってアジン少将にあったもの……その答えをいつかお聞かせ願いましょう。心の歪みが落ちきった後に、その答えは今とはきっと違うものであるでしょうから――」
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
引き続きPシリカに乗って参戦!
できたー!届きましたよ、シリカー!
このセラフィナイトスピアなら
敵の攻撃を防ぎながら突っ込めますね!
(突っ込むスタイルを変えるという選択肢は無かった
これで怒られる心配は無くなりました!
というわけで穂先に斥力バリア展開!
エンジェライトスラスター起動で
一直線にいっきまーす!
赫煌の炎とて天使の加護は破れないでしょう!
接近したら斥力展開したまま【疾風怒濤】で!
ふふ、実は槍でも放てるのです!
「手数こそ正義!参ります!」
一気に仕留めたいところですがカウンターで
槍を焼かれたら素早くフローライトダガーにスイッチ
何度でも【疾風怒濤】で斬りつけてあげましょう!
※アドリブ連携OK
極大の光に飲み込まれて、機動殲龍『煉獄』の巨体が誇る三つ首の内、二つが損失する。
それは猟兵たちが紡いできた戦いの結果であった。
すでにあらゆる武装が破壊され、その機体の半生物、半機械たる体は散々たる状況であった。
だが、それでも赫灼たる炎は燃え盛る。
己の理想を、己のための力を、強さを追い求める欲望は尽きぬとばかりに『セキズ』は歪んだ心のままに叫ぶ。
その咆哮を持って、機動殲龍『煉獄』はその力を振るう。
「できたー! 届きましたよ、シリカー!」
その声は、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の喜びの声であった。
『セキズ』の上げた怨嗟の咆哮とは違う喜びに満ちた声。
同じ力を求める声であったとしても、ここまで違うものかと思わせるほどにサージェの声は明るいものであった。
これで守れるものが在るという心が上げる声は、たしかに新たな力の産声としては相応しいものであったのだろう。
白と紫を基調としたキャバリア『ファントムシリカ』の手にあるのはセラフィナイトスピア。
それは突槍と呼ばれる形状の斥力を発生させる武装である。
穂先から展開される力場に寄って突撃する際には帆のように『ファントムシリカ』の機体を護ることができるのだ。
これならば敵の攻撃を防ぎながら突っ込むことができるとサージェは自信満々であったが、アバターであるシリカは内心突っ込もうかどうか悩んでいた。
『突撃することには変わらないんですね。というか突っ込むスタイルを変えるという発想はなかったのですね』
と。
それを言葉にしようとした瞬間、サージェが嬉しそうに言うのだ。
「これで怒られる心配は無くなりました!」
違う、そういうことじゃない。
そう言いかけたシリカをよそにサージェは斥力バリアを展開させたセラフィナイトスピアを構え、エンジェライトスラスターを起動させ、一直線にオブリビオンマシンへと突き進む。
その速度は凄まじいの一言であったことだろう。
流星に例えることなどもできない。一閃の如き直線的な動き。それは通常のキャバリア戦においては捉えやすい直線的な動きであり、即座に撃ち落とされるものであったことだろう。
だが、穂先に展開された斥力バリアがあらゆる攻撃を防ぐのだ。
どれだけ凄まじい炎が襲ってこようとも、天使の加護の名を持つ槍の前には霧散して消えていく。
「勝負を決めます! そにっくぶろー!!」
疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如く放たれるは超連続攻撃。
槍の穂先から放たれた高速の連続刺突が機動殲龍『煉獄』の巨体を穿ち続ける。これまで猟兵達によって刻まれた傷跡が開き、体液が鮮血のごとく吹き荒れる。
だが、それでもなお攻撃は止まらない。
「まさか、俺が……! こんなところで――!」
『セキズ』は機体の中で見ただろう。
歪んだ心では見ることの出来なかった在り得たかもしれない未来。掴み取ることのできた未来。
祖国である『フルーⅦ』をアジンと共に支えていく未来を。
それを手放したのは己自身だということに彼の心は歪んでなお、気がついた。
「手数こそ正義! 参ります! その悔恨、後悔、憤怒、あらゆるものを霧散させましょう! 遅いことなんて無いのです! いくらでもやり直せます!」
もしも、また『セキズ』の心が歪むことがあるのならば。
何度でもサージェたち猟兵は現れるだろう。
だから安心していいのだというようにサージェの刺突は終わらない。炎に槍が焼失しても、ビームダガーに切り替え、終わらぬ連撃を刻みつけ続ける。
機動殲龍『煉獄』の巨体を切り刻み、コクピットブロックを残して全てが破壊さた瞬間、『ファントムシリカ』の掌のうちにはコクピットブロックが抱えられていた。
踵を返すように、コクピットブロックを奪わんと腕を伸ばす機動殲龍『煉獄』――オブリビオンマシンの残滓をビームダガーが切り裂いた瞬間、オブリビオンマシンは骸の海へと還っていく。
決して言えぬ傷跡を残したオブリビオンマシン。
確かに『フルーⅦ』はこれから動乱の時代を迎えるだろう。けれど、それでも。
人の心に輝きがあるかぎり、その動乱すらも乗り越えて、平穏への道を手繰ることを、猟兵たちは知る。
そうあって欲しいと願う心は、この世界に住まう人々であっても、猟兵であっても変わることはないのだから――。
大成功
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