奪う者と奪い返す者の輪舞曲
●とある無法者に支配された町
新興傭兵国家『ヘキサ』の郊外に広がる死の荒野『ミド・バール』。この荒野の地下深くには精密機械の製造に欠かせないレアメタル鉱床が存在し、かつては鉱山業が栄えそこから採掘されたレアメタルによってコンピュータ機器の製造が盛んな工業地帯であった。
だが、暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」の爆撃によって壊滅し、この影響で幾多の化学薬品や粉末状に加工された鉱物が上空へと舞い上げられた。これにより薬品と重金属が混ざりあった人体に有害な酸の雨が不利続け、周囲は深刻な土壌汚染と大気汚染に苛まれて動物はおろか人が住めぬ地となった……一箇所を除いて。
そこは遠い昔に工業地帯の労働者へ食料を供給していたプラントである。天の裁きから生き残った人々らは自然とプラントの周囲に集まり、廃材を集めて立てたバラック状の家に寄り添いながら復興を遂げた。これがミドの町の始まりである。
プラントから作り出される浄化剤を汚染された大地に撒き、耕し、何とか荒地で育つ作物が収穫できるまでに復興を遂げたのだが…悲劇はそこから始まる。今も地下深くに眠る今やプラントでも生産できるか分からないレアメタルを求め、ならず者の山師達が襲撃したのだ。自衛の装備で抵抗はしたがミドの町は陥落し、今や広域指定キャバリアマフィア・シルバーファミリーが牛耳るあらゆる悪徳が武装する、牙を持たぬ者は生きて行かれぬ無法と暴力の町となった。借金の肩、身に覚えのない罪状、人攫い等で男達は死と隣り合わせのレアメタル採掘に従事させられ、女達は慰め物とされた。
こうしてミドの町はシルバーファミリーがその暴力をもって牛耳り、無法の限りを尽くしていた……彼らが戻って来るまでは。
「首尾はどうだ?」
「上々だ。何とかしてキャバリア、運搬するキャリアも調達してきた」
ミドの町より離れた廃墟に男達が集まり、何やら話し合っている。
「列車はどうなっている?」
「近日、町に向かう補給便がやってくる。そいつを奪う手筈も整えた」
彼らはかつてシルバーファミリーの襲撃に破れたミドの町防衛隊の生き残り…今は地下に身を潜めゲリラ活動を行っている反乱軍だ。そのリーダー格の男は、同士達の報告に頷きながら各準備を入念にチェックした。
「…よし、機は熟した。今こそ、あのうす汚いマフィア達から町を奪還する時が来た」
「へへ、腕が鳴るな」
「長い間、ヘキサの外人部隊でコネやツテを作って、ようやくここまでこぎ着けたんだ。失敗は許されねぇぜ?」
男達は笑いあい、互いに蒸留酒が注がれたグラスで勝利への祝杯をあげる。喉が焼けてしまいそうな度数の強い火酒を飲み干した彼らの瞳には、長きに渡って燻っていた報復心の炎が燃え盛っていたのであった。
●グリモアベースにて
「先月に渡って繰り広げられた猟書家との戦いも、ようやく一段落しましたね。皆様のご活躍により月の侵食が食い止められました事、この場を持って感謝させて頂きます」
シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は猟書家との戦いに一段落を付けた猟兵達の労をねぎらった。
「そしてそんな中、猟書家の侵略が起きていない各世界にも動きが起きたました。私が皆さんをお呼びしたのはそれについてで、どうやらクロムキャバリアにおいてオブリビオンマシンに支配された地を奪還する武装蜂起が各地で散発化しているようです」
彼が予知したのは長きに渡りキャバリアを駆るならず者達に支配された町を奪還するゲリラについてだった。なんでも襲撃した当初からオブリビオンマシンが存在し、それがもたらす破壊と破滅により一つの町が食い物にされてきた。しかし、その奪還を諦めない者達によって町を奪還する反攻作戦が起きようとしているのだ。
「本来であれば我々も堂々と介入するべきなのですが、今回は下手に介入すると反乱軍の計画が狂い、数多の犠牲が生じることが懸念されます。なので、我々も反乱軍の一員となって町の奪還をするという作戦になります」
詳しく言えば、反乱軍に協力して彼らと共にオブリビオンマシンに支配された町を奪い返すという事である。反乱軍は当時の守備隊の生き残りの他、隣国ヘキサに渡り国外からの志願兵で構成される外人部隊で腕を磨き、そこで作った戦友を引き入れたりとしているとの事。構成は雑多という具合であるので、紛れ込むのは容易いだろう。
「オブリビオンマシンさえ破壊すれば、後は彼らが自らの手により町を奪還する筈です。私達の役割についてはここまでとなります。では、ご武運を」
シグルドは意識を集中しゲートを作り出すと、猟兵達を反乱軍のアジト周辺に転送させるのであった。
ノーマッド
ドーモ、ノーマッドです。
あっという間に年の瀬となり、今年も僅かとなりましたね。
急に冷え込んだりしてお体を崩しがちの季節になりましたが、体調管理には気をつけていきましょう。
●シナリオ解説
第一章は【冒険】フラグメントです。
今や悪徳の町になってしまったミドの町。
そこへ向かうシルバーファミリーが所有する補給列車を停止させ、反乱軍が奪う内容となります。
対キャバリア戦闘はありませんので、クロムキャバリアでは珍しいキャバリア抜きでの活動になります。ご了承ください。
第二章は【集団戦】フラグメントです。
反乱軍と共にミドの町へ殴り込みをかけます。
シルバーファミリーの構成員がキャバリアで応戦しますが、彼等は「オブリビオンマシンのような見た目の通常のキャバリア」であります。ですが、精鋭部隊に変わりありませんので、通常の集団敵オブリビオンマシンと遜色ない強さを誇ります。
第三章は【ボス戦】フラグメントです。
シルバーファミリーのボスが駆る、かつてミドの町を襲撃したオブリビオンマシンとの戦闘となります。
これを撃破すれば撤収となり、混乱の収束は反乱軍に任せる形となります。
第二章と第三章については、現時点で開示出来る情報はありません。
章が進展する毎の情報開示となりますので、ご了承下さい。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『敵の補給艦を叩け!』
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POW : 力ずくで止めてやるぜ
SPD : 密かに乗り込んで機関部に細工しよう
WIZ : 乗組員を口八丁手八丁で騙して停止させます
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
草木一つも生えていない死の荒野『ミド・バール』を砂塵を巻き上げながら輸送列車が横断する。砂煙の中に日の光に照らされキラキラと青く輝く物があるが、これこそがこの地に恵みをもたらし、不毛な大地に変えさせた元凶たるレアメタルの結晶体である。
微粒子状のレアメタルによる鉱毒が大地を汚染させ、風で舞い上がった粉塵を吸い込めば生きる物の肺を蝕み、恵みの雨も化学反応により酸性の雨となる死の結晶体だ。だが、これらによりこの地は守られていたのも否定はできない。人々はマスクで身を守り、キャバリアも特殊な防塵処理を施さなければ、この地に足を踏み入れる事さえ憚る物だ。痩せて土壌汚染された小国家を狙う者は、どういう経緯で知り得たのか定かではないが地下に眠る巨万の富を生み出すレアメタル鉱脈を狙ったシルバーファミリー以外に他ならなかった。
列車は走る。『消耗品』を載せ、ミドの町に向けて走る。積荷は他所の小国家から合法非合法構わずに攫って来た人間達で、彼らはミドの町で使い潰される運命の奴隷である。彼らに待ち受ける未来は死のみであるが、今回は違う。
列車が発進する前に反乱軍が、猟兵達が密かに乗り込み、列車に揺らされながら身を潜め、作戦開始の時間を待つ。刻まれる時計の秒針が指定の時刻になると彼らは動いた。
無法の限りを尽くすシルバーファミリーの暴虐に終止符を打つ為に、運ばれる奴隷達を解放する為に、この列車を無傷で奪い取る為に。
リーゼロッテ・エアクラフト
選択【POW】
止めろ…な。
ま、どんな世界であれ組織の対立ってのはあるし利権問題やらなんやら合法であれ違法であれ成り上がりの為なら手段は選ばんってか
気は乗らんが暴れろというならば暴れるさ。
…ただしどうなっても責任は持たんし周囲への影響は一切考慮しないがね。
と、いうわけで『音』をもって物理的に進む列車を後退させようか。
列車に乗っている敵勢力であってもさすがに音の突進は対処しようがないだろう
その間に混乱している場をほかの面々が制圧するなりすればミッションは完了ってな
――止めろ…な。
他の拠点から仕入れたであろう補給物資が積み込まれた貨物車の中で、リーゼロッテ・エアクラフト(混ざりものの『アリス』・f30314)は乱雑に積まれた荷物の影に身を潜めながら呟いた。
作戦の全貌は、この列車に乗り込む前に少数の反乱軍を一同に集めたブリーフィングで聞かされている。まずはこの補給列車を奪うこと。この列車と路線はミドの町の礎となったプラント同様に、暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」の災厄から生き延びたかつて工業地として栄えていた名残である遺構の一つである。元々は作られた製品を輸出する為のものであったが、今や有毒物質に汚染された広大な荒野を生身で渡る手段であり、これがミドの町と外界を結ぶ一本の糸。つまりは、ここを押さえればミドの町は文字通りに陸の孤島となって、その中に暴虐の限りを尽すシルバーファミリーを逃す手立てを封じるという訳だ。
ふたつ目は運ばれる奴隷たちの解放だが、これは反乱軍の中には肉親を連れされた者も少なからず存在するからという理由でもあるのを、リーゼロッテは感じ取っていた。これが達成されれば、一つの敵を倒すという目的の元で結成された寄せ集めに等しい反乱軍の士気高揚に大いに貢献されるであろう。事実、この列車には反乱軍の中でも白兵戦に腕があるメンバーしか乗り込んでいない。後はキャバリアキャリアーで密かにキャバリアを運搬したり、今こうして作戦行動区域内で妨害電波を張り巡らせている。救難信号を封じている間に列車を奪えば、反乱軍が奪った列車を何食わぬ顔で町に凱旋できる。みっつ目の列車を無傷で奪還するのはその為である…が、実はこの列車こそがミドの町を解放させる為の最大の鍵であるとも伝えられている。実際どのような事かを聞かされた時は驚愕したが、確かにそれしか手立てはない、と彼女は渋々納得し、今ここに居る。
「気は乗らんが暴れろというならば暴れるさ。…ただしどうなっても責任は持たんし周囲への影響は一切考慮しないがね」
作戦区域に入る時刻になったのを、時計の無機質な電子音が告げる。
「と、いうわけで『音』をもって物理的に進む列車を後退させようか。列車に乗っている敵勢力であっても、さすがに音の突進は対処しようがないだろう」
密室内に漂う埃を払いながら、リーゼロッテは列車の汽笛折音とそれを織りなす風切り音に耳を澄ませた。そしてUC、四獣の音楽祭(ブレーメンズ・ミュージックフェスタ)を列車の先頭車両へと放つ。
「これより放つは戦いを強いられた獣達による勝利のための四重奏、とくと聞け。そして怯えろ」
詠唱を終えた直後、列車全体に衝撃が走る。急ブレーキを掛けたかのように、車輪と線路が火花を散らしながら金属同士が摩擦する音が外から激しく聞こえてくる。
「これで作戦時間を大幅に延長だ。その間に混乱している場をほかの面々が制圧するなりすればミッションは完了ってな」
この音源が続く限り、リーゼロッテが放った四匹の獣による妨害は続く。そして彼女は倒れた荷物に腰を掛けると、悠然と自然と人工物が奏でる鋼のオーケストラを聞き入りながら演奏する獣達へ指揮棒を振るうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
故郷を憂うは兵士として当然。
オブリビオンマシンがあるなら尚の事、壊しましょう。
襤褸を纏い奴隷に混じり、見張りを確認。
見張り交代の隙をついて仲間の反乱軍と共にダッシュ、急所狙いの気絶攻撃。
首尾よく見張りを片付けたら隠していた武器を装備。
ここからだ。敵を壊せ、簒奪者達を破壊しろ。ハシレ、走れ奔れ…!
『ブレイクダッシュ』反乱軍の報復心に奉い戦意高上、思考を研ぎ澄まして…シルバーファミリー達がいる区画へ切り込みます。
戦場へ飛びこむと同時に、アンサーヒューマンの動体視力と瞬間思考力で状況を把握しメガスラスターで推力移動。列車区画内を上下左右へと飛び跳ね銃弾や武器を回避しながら、サーベルで斬り伏せます。
火霧・塔子
こんな反逆魂に溢れる方々がいるのなら、全霊を賭して力を貸すのが私です!
人が多い列車内ですし、火炎瓶はマズいですね
作戦が開始されたら【存在感】を放ち、UCを使って叛逆者の同志たちを【鼓舞】します!
生きるにひたむきな人々が開墾したミドの町! そこを我欲で食い荒らす悪は我々が殲滅します! 汚れた銀は私たちの魂の熱で償却し、少しずつでも緑を広げていくんです!!
奴隷にされようとしていた人たちにも活力を与えて、共に戦ってもらいましょう!
戦い慣れていない人たちには【集団戦術】の指示を出しつつ、もちろん私も戦いますよ!
『奪還』と書かれた主張板で【なぎ払い】攻撃をして敵を列車の外にパコーンです!
絡みアドリブ歓迎
売られた者、騙された者、さらわれた者。更にはクロムキャバリア各地で勃発する紛争で負けた敗残兵に、戦争犯罪人として死を待つのみであった死刑囚。列車が運ぶ奴隷達の過去は乱立する少国家のように種々雑多であるが、彼らは分け隔てなく窓のない『家畜用の運搬車両』に押し込められていた。
照明はあるものの裸電球が数個ぶら下げられた程度で、暖房なんて物は存在しない無機質な鉄板張りの冷たい箱であった。人々は列車を預かるならず者から与えられたボロを纏って身を寄せ合い寒さから逃れていた。彼らを見張る二人のならず者はしきりに腕時計を見ながら苛立っている様子で、恐らく交代の時間が近いかそれとも遅刻しているかのどちらかであろう。
やろうと思えば奴隷達で見張りを倒せるだろうが、彼らはならず者の顔色を伺うようにボロから視線をチラチラと向けるだけだ。彼らが手にしている電磁警棒で日頃抱いている憂さ晴らしをするかのように、一方的に反抗的な目であるという理由だけで奴隷を痛めつけているのもあるだろう。しかし、彼らの後ろにある扉の先はならず者達の詰め所である車列なのが一番の理由でもある。仮にこの二人のならず者を殺めたとしても、叛乱はすぐさま鎮圧されてしまう。人々は終着で待ち受ける己の運命を受け入れるしかなかった……尤もそれは彼らを除けば、であるが。
その一人、朱鷺透・小枝子(ディスポーザブル・f29924)はボロを纏いながら奴隷に混じり、見張りの挙動をつぶさに観察していた。その近くには同じく奴隷に扮した反乱軍に仲間の猟兵達も紛れ込んでいる。
──故郷を憂うは兵士として当然。オブリビオンマシンがあるなら尚の事、壊しましょう。
国を失えども、戦うべき敵がいる。彼女は己の境遇と国を尊厳を奪われた反乱軍と重ね合わせ、同時にこの一件の背後にはオブリビオンマシンを破壊せよと人工の脳が絶えず訴えかけている。作戦開始の刻限もあと僅かという時に、列車に大きな衝撃が走る。まるで何者かに列車の進行を押さえつけているかのように。
「今でありますね」
これを好機と見た小枝子はボロを脱ぎ去ると、傍に控えていた反乱軍の兵士と共に何が起きたと狼狽えている見張りに目掛け走る。そして急所を狙い、一撃の元ならず者を昏倒させた。それを目の当たりにしてどよめく奴隷達。だが、その後ろで何者かが叫んだ。
「皆さん、抗い、逆らい、今を反(かえ)ましょう! 暴虐と言う名の圧政統治を焼き討ち、私たちこそが今を反(かえ)るんですっ!!」
高らかに反抗と反逆を煽る演説をかましながらボロを脱ぎ去れば、現れたのは火霧・塔子(火炎瓶のヤドリガミ・f16991)である。彼女は脱ぎ捨てたボロに普段は複製した火炎瓶に籠められる『神から簒奪した炎』を焚べ、炎の揺らめきに照らされながら演説を続ける。
「今こそ奴隷の象徴、権力者の枷を脱ぎ去り、革命の炎を燃やすのです! 生きるにひたむきな人々が開墾したミドの町! そこを我欲で食い荒らす悪は我々が殲滅します! 汚れた銀は私たちの魂の熱で償却し、少しずつでも緑を広げていくんです!!」
その熱の籠もった言葉に心打たれた奴隷がぽつり、ぽつりと呟く。
「そうだ。俺は、あいつらの分まで生きなければならないんだ……」
「開墾した町…そうだ、まだやり直せる。やり直せれるんだ」
「……俺は負け犬じゃない、負け犬なんかじゃない!」
塔子が燃やしたボロは燃えカスとなって炎は消えてしまったが、それらが火種となって奴隷達の反抗心に火を付ける。瞬く間にそれは燃え上がり、絶望に打ちひしがれていた目には闘争心が再び灯り始める。
「武器はある。戦う意志がある奴は手に取れ!」
潜入する際に密かに持ち込んだ武器を反乱軍兵士が次々に取り出し、猟兵へ、反乱軍へ、そして叛逆と言う名の闘争を求める奴隷へ渡される。その騒ぎを聞きつけたならず者が扉を開けるが、もう後の祭りだ。
小枝子が散弾銃を構えると、すぐさまならず者を吹き飛ばし、それを踏みつけて走る。
「ここからだ。敵を壊せ、簒奪者達を破壊しろ。ハシレ、走れ奔れ…!」
反乱軍の報復心に奉い戦意高上させた彼女は先陣を切り、ならず者達が控える車列に切り込む。彼らは慌ただしく銃を構えるが、アンサーヒューマンとしての動体視力と瞬間思考力で、小枝子は配置や人数などの状況を瞬時に把握する。そして脚部に仕込んだメガスラスターを噴射させ、遅れて放たれた銃撃を縫いながらサーベルで斬り伏せる。
『このアマがぁ!!』
仕留め残したならず者が背後から自動小銃を撃とうと構えたが、その背後には反逆魂に燃えた塔子が『奪還』と描かれた主張板を掲げて突撃する。
「戦い慣れない子羊さん。戦いは正々堂々に拘らず、不意打ち上等でこうするのです!」
バコーン!!
ならず者が壁に叩きつけられる音を控え所中に響かせながら、塔子は武器を手にした奴隷達へと鼓舞と扇動を送るのであった。
成功
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才堂・紅葉
※UCは防御力重視
「こう言う荒事も久しぶりね」
迷彩外套にゴーグルの荒野装備一式で参加
作戦前は外套を目深に被り、【存在感】を消して一行の一員として紛れ込みます
まずは【コミュ力】による対話と、【忍び足】の【偵察】で【情報収集】
蜂起の際に押えて置く戦術拠点を整理しておきますね
・アクション
赤の塗料で戦化粧を行います
携帯SMGで敵兵を射撃し、高周波シャベルによる白兵戦で車両制圧
対戦車杭打ち銃で天井をぶち抜き、機構靴の【メカニック】で屋上を移動
敵の防衛陣地を、杭打ち銃で天井を破っての奇襲で混乱に陥れるプランです
纏う外套には最大限の防御性能をもたせます(UCは防御力重視)
「さて。楽しくなってきたじゃない」
『くそっ! 何だって奴隷達が叛乱を起こしやがったんだ?!』
最後方の車列、奴隷を収容していた貨車から起こった蜂起は、燃え盛る炎のように延焼しながら列車の前へ前へと進んでいく。
『ミドの町との連絡はまだか!?』
『やってる! どのチャンネルも砂嵐ばかりで繋がらねぇんだ!!』
列車は先頭の車列が押し返されているかのような抵抗を受け速度を落とし、今だ反乱軍が事前に設置した妨害電波帯を脱しておらず、必死に無線を送るが電波はかき消されて音信不通のままだ。
『こうなりゃ籠城戦をするぞ。ここの車列は武器庫だ。構うな、奴隷共はぶっ殺しちまえ!』
予てよりゲリラ戦を仕掛けてくる反乱軍を撃退するべく、銃や弾薬類を満載した武器庫へとならず者たちがなだれ込んだ。バリケードを築きながら押し寄せる猟兵、反乱軍、奴隷を迎え撃つ準備を整える中、迷彩色の外套を目深く被ってゴーグルを付けた小柄な者が携帯SMGを手に取ると、慌ただしく奔走するならず者へ尋ねた。
「武器庫はここだけ?」
『ああ? 何寝ぼけた事を抜かしやがる。後方にもう一つあるだろ。そこはキャバリア用だがな!』
そう、と迷彩外套姿の者が弾倉を携帯用SMGに差し込み、ジャキッと音を鳴らしながら棹桿を引いて銃弾を装填する。そして銃を構え、ならず者達を背後から撃ち始めた。
『ぎゃあ!!』
『お前、裏切ったか!?』
「裏切った? いいえ、表返っただけよ」
撃ち切った銃口から硝煙を燻らせながら、声の主である才堂・紅葉(お嬢・f08859)は目の前の悪漢にそう答える。猟兵である彼女は最後列の貨車に身を潜めず、ならず者一行の一員として紛れ込んでいた。とは言え、見慣れない顔である以上、極力目立たず身を潜めながらであったが。弾倉が空になった銃を最後のならず者に投げつけて怯ませ、その隙に腰から高周波シャベルを抜くや否や、頭を叩いて気絶させた。
武器庫車の制圧に成功すると、外套のフードを脱ぎ赤い塗料で彩られた戦化粧を施した素顔を曝け出し、中に収められた物を確認し始める。
「マスクは…あった。人数分はあるわね。これなら外に出ても、吹き込んでも大丈夫」
そう呟くと、マスクを一つ手にして装着して奥の扉を開けると、そこは蒼い砂が舞い上がる列車の外だった。打ち付ける砂粒を意にせず、紅葉は目の前にある車列の屋根に登り、身を屈めながら機構靴に仕込まれた吸着機能で一歩ずつ前へと進む。そして車列の半分を過ぎた辺りで止まり、中折式の携帯式パイルバンカーを展開させた。
「こういう荒事も久しぶりね」
そう呟き、杭を打ち付けて車列の天井を破った。
突如穴が空いた天井から肺へ吸い込めば死に至る蒼い砂塵が車列内に流入し、中で防御陣地を構築していたならず者達をパニック状態に陥れる。開けた大穴から侵入すると、ならず者は布で口を覆いながら片手で自動小銃を撃つが、それらはUCで高い防御性をもたせた外套により弾かれたのであった。
「さて。楽しくなってきたじゃない……狩りの時間よ」
そうして再び高周波スコップを抜き、この車列も制圧するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
イヴ・クロノサージュ
【ワンダレイ】
担当:治癒/後方支援
女子供の一員である私は無茶できませんよね……
構成員撃退、列車制圧は皆さんに任せましたよ
事前に救急箱や医療キットを持ち込み、ベルトポーチにもてる分だけ持ちます
静かに潜入して列車の扉をハッキングして突入口/突破口を開きます
潜入すれば、UCを扱い列車の後方で『消耗品』となった人々を癒します
治療をする時に子供がいれば
「大丈夫だよ。おねーさんたちが守るから……任せてね。」と優しく微笑んで声を掛けます
🌸🌸
「リリー先生、この患者さんの症状わかりますか…?」
「ジェイ君光学迷彩ありがとう。……私これで潜伏バッチリかなぁ?」
「ヴィリーさん私予備弾薬持っています。……どうぞ。」
ヴィリー・フランツ
SPD(アドリブOK)【ワンダレイ】心情:(舌打ち)胸糞わりぃ…野郎叩き潰してやらぁ!
手段:駅で警備の一人を始末し防塵マスクを奪っておく、遺体はバレねぇようにゴミボックスに隠す。
車内は小銃背負ってマスク被りファミリー構成員の振りをすれば恐らくバレねぇだろ、リリー先生(f30386)にランス(f24255)、クロノサージュの嬢ちゃん(f02113)も潜入してる、何気なく車内を巡回し仲間の手引きや車内の状況を調べておくぜ。
戦闘時は【クイックドロウ】でレーザーガンを素早く抜いて射撃、小銃による弾幕、敵集団にはプラズマグレネードを投擲して列車内の制圧を目指すぜ
「嬢ちゃん助かるぜ!(弾倉交換)」
ジェイ・ランス
【SPD】【ワンダレイ】※アドリブ歓迎
■心情
ん、そんじゃ、みんな手はず通りに。大丈夫だよイヴちゃん、ばれないって~
……悪徳はびこる街の開放か。アポヘルよりはマシとはいえ、結構大概だな。まあいいや、開放の第一手と行きましょうかね。
■行動
【ワンダレイ】の仲間と共に、熱光学迷彩(迷彩+目立たない)によって列車に潜り込み、乗組員の中の機関士の一人を【情報収集】してUCを自身に発動、なり替わります。なり替わった機関士が離れた隙に、他の機関士を交代だと【言いくるめ】、先頭車両から追い出し、機関室を占拠。停止手順から停止させようと試みます。
んー、我ながらスマートな行動。作戦はかくあるべきだね~
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】【ワンダレイ】
※アドリブ歓迎
※『リリー先生』等別称を好む
悪徳街は闇医者的に慣れてるけど
傭兵らしく任務は私情抜き
乗っ取り作戦に一肌脱ぎますか♡
※ユベコ始動
ジェイさん、熱光学迷彩ありがと♪
早速活かして物陰に隠れたら
出てきた機関士達を手招きで【誘惑】
「ね、おにーさん。アタシとお話しよ♪」
街に買われた高級娼婦っぽく振る舞うけど
『アイス・ミルク』混入のリップを仕込み済
【医術】で調合した睡眠薬のキスをアゲる♡
後は『コード・テスタロッサ』活用
【瞬間思考力】で停止作業を支援したり
【ハッキング】で位置情報等を偽装っ
ヴィリーさん、ハデにやるねえ
イヴさん、そっち治療の手助け必要?
…む、ノドちょっと診せてね
最後尾で起きた猟兵の扇動による奴隷達の叛乱、猟兵と反乱軍による車列の制圧が開始される少し前。前方の機関部にも潜んでいる者達が動き始めていた。
『ちょいとションベンに行ってくる』
『さっさと済ませてこいよ』
制御パネルの数値に合わせて粒状に加工されたエネルギーインゴットを列車の心臓部である炉に焼べていた機関士の一人が用を足しに持ち場を離れ、隣の車列にあるトイレへ入っていくのを、ゆっくりと熱化学光彩を解除しながら姿を現すジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)は確認する。そして見て聞いた、顔、声質、背丈、癖などを頭にインプットすると、その機関士と瓜二つの姿となり悠然と歩みながら機関室へと入っていった。
『おっ、随分早いじゃないか』
「そりゃあ、うかうかと持ち場を離れるわけには行かないからね」
一方、ジェイが成り代わった本物の機関士とは言うと…。
「ね、おにーさん。アタシとお話しよ♪」
用を済ませてトイレから出てくると、ジェイの熱光学迷彩で一緒に隠れていたリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)に高級娼婦然の身なりと仕草で誘惑され、機関士は何でこんなところに女が居るのだと訝しんだ。可能性があるとすれば、この列車に忍び込んで密入国する者。シルバーファミリーがミドの町を牛耳った事で、少なからずそのおこぼれに与ろうとする者も居る。他の国で食いっぱぐれた裏稼業者がその代表格だろう。
とは言え、日頃活動が活発化していると聞く反乱軍のスパイという可能性も否定はできない。機関士は近くに居た顔をフルフェイス型の防護マスクで覆ったファミリー構成員に通報しようとしたが、その手をリーゼロッテは掴んで身を寄せると、背伸びをして機関士の耳元に囁いた。
「暫くの間、眠っていてね?」
そう言い終えると、香水瓶を取り出して機関士の顔にプシュッとひと噴射。思わずそれを吸い込んだ機関士は次第に目が虚ろとなって倒れ込み、そして眠った。
「思ってたのと違って堅物だったな。先生」
それを一部始終を見ていたファミリー構成員…いや、それに変装していたヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が近づくと、眠った機関士を羽交い締めにしながらトイレの扉を開けて、そこへと押し込んで隠す。
「そうね。ここまでの真面目君だなんて、せっかく塗った睡眠リップも台無しだったわ…あら? イヴちゃん、その子は?」
本来であれば気を良くした機関士に口づけをして眠らせる予定であったのだが、まさかここまでの堅物君だったとは苦言を零しながら、一緒に乗り込んで隠れていたイヴ・クロノサージュ(《機甲天使》―― Old type.・f02113)の隣りに居る子供について尋ねた。
「あの、その…町に出稼ぎへ行ったまま帰ってこないお父さんが心配で列車に乗った……本当の密入国者の子のようです」
「そう…じゃあ、イヴちゃんはその子の面倒を見ていてね。ヴィリーは引き続き見回りをお願い」
「ああ。だが、正直言うと胸糞わりぃ野郎の姿を早く解きたいけどな」
機関室から車列の方に走るケーブル類の点検パネルを開きながら二人に指示を送り、持ち込んだ端末とケーブル端子を制御盤に繋いだ。そしてその時、先頭車両に何かがぶつかったような衝撃が走り、大きく揺れた。
『どうした、何があった!?』
猟兵が放ったUCにより機関室は混乱に陥り、何かで押さえつけられるように列車の速度が落ちていく。メーターは正常な数値を示しているが、機関士に扮したジェイがパネルに手を触れると一転して異常を示す数値を叩き出す。
「大変だ! どうやら機関室に焚べられたエネルギーインゴットに細工されたみたいだ。きっとゲリラ、反乱軍の仕業だろう。もうすぐ機関室が吹き飛ぶぞ!!」
ジェイがそう叫ぶと、血相を変えた機関士達が爆発から逃れようと機関室から一斉に逃げ出していく。だが、ジェイがパネルから手を離すと…数値は元の正常な値に戻った。バーチャルキャラクターの電脳魔術士である彼にとっては、デジタル化された数値を変える事など手に触れるだけで造作もない簡単な事であった。
「……なーんてね。んー、我ながらスマートな行動。作戦はかくあるべきだね~」
誰も居なくなった機関室に残されたジェイは変装を解き、大きく背伸びをしながら壁に貼られマニュアル化された手順に沿って列車の機関停止を試み始める。
そして誤情報で逃げ出した機関士達はというと、機関室から出てきたところをヴィリーの手によってクイックドロウされたレーザーガンの早撃ちで、次々と撃たれていった。
「へっ、ザマァねぇな。前は片付いたぜ。後は後ろを守るだけだ」
「ヴィリーさん、ハデにやるねえ。待ってねー。こっちも、あとは…こうしてっと」
リーゼロッテはカタカタと端末のキーボードを鳴らしながらコードを打ち込み、最後はエンターキーを軽快に叩きプログラムを走らせる。
──ガチャン。
重々しい音と共に車列を結ぶ扉に電子ロックが掛けられる。同時に機関室では何も問題は起きていないという偽装情報も流し、これで例え機関室が占拠されたことが分かったとしても時間は稼げるだろう。こうして得られた安息の時だが、それを破るように密入国した子がケホンと咳き込んだ。
「リリー先生。この子少し熱っぽいようですけど、症状わかりますか…?」
「どれどれ。イヴちゃんの医療キットを借りるよ。はい、お口を開けて、あーん」
ひとしきりの作業を終えたリーゼロッテが、密入国者の子の喉をペンライトで照らして覗き込む。
「ああ、こりゃあ扁桃腺が腫れてるね。随分と無茶してたね、この子。えぇっと、この症状の処方箋は…っと」
診察を終えたリーゼロッテがガサゴソと手持ちの医薬品も確認する中、不安そうな顔で子供はイヴの手を握った。
「大丈夫だよ。おねーさんたちが守るから……任せてね」
イヴは優しく微笑みながら手を握り返し、せめて少しでも苦痛が和らげればと魔法陣を展開させ回復魔術を施したのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ルヴァイド・レヴォルジニアス
【狩人】
●心情
無傷で列車を奪えばいいんだな。任せろッ!
とりあえず反乱軍として潜入して列車が動いたら ぶん殴ってやるぜ(脳筋)
●行動
「オラオラオラァ!」
邪魔な構成員をぶん殴る。窓の外にブン投げたり邪魔するヤツをブッ飛ばす。
戦闘は『機械剛拳』『機械剛脚』UCを扱います。難しいことは皆に任せるわ(脳筋)
●共闘
「……って誰だーッ!人間の姿をした怪物って」と笑いながらツッコミ風味で返事して
(…こっそり、シエルを守るように立ち回る
綺麗な女の子だし、傷つけたくねェ)…と気合をいれる
怪物は怪物らしく強行突破で敵意を惹き付ける
拳に【オーラ防御】包み込み【怪力】で真っ直ぐぶん殴って邪魔な壁や扉を【地形破壊】するぜ
シエル・カーネリアン
【狩人】WIZ アドリブアフレコ可歓迎
おおぅ…見事なまでの脳筋プレー…。そんじゃあたしは乗組員を上手く使ってきますかー
列車内で乗組員っぽい格好に変装。とりあえず好き勝手にやってるルヴァイドさんをネタに列車を止めてもらうよう説得
「大変だー列車内で人間の姿をした怪物が暴れてるぞーこのままじゃ列車ごと粉砕されるぞー今すぐ止めるんだー(何故か棒読み)」
これで説得できれば良し。
説得に応じなくて拉致が明かなそうならUCで範囲内の乗組員を一回気絶させましょうか。
「はぁ、素直にやってくればいいのに…あ、もうこれ運転手に直接言った方が早いやつ。大変だー(以下同じ説得セリフ)。」
猟兵の手により機関室が占拠され、目に見えない何かによる抵抗の減速とは別に機関部の出力が落とされていく。そして後方から押し上げる猟兵達とは別行動する形で、車両前方に忍び込んで身を潜めていた猟兵も作戦行動時刻に合わせて活動した。
後方からの叛逆、前方からの襲撃。シルバーファミリーのならず者達はそんな板挟み状態の中で応戦するが、列車の警備システムは列車全体の管制室でもある機関部からのハッキングによりシステム全体が塗り替えられていた。いくら作動させようとしても、解除しようとしても、コンソールは沈黙したままだ。
「無傷で列車を奪えばいいんだな。任せろッ! オラオラオラァ!」
その前方から列車を奪還する一人、ルヴァイド・レヴォルジニアス(『悪鬼の死神』・f08084)がならず者をなぎ倒してぶっ飛ばす。貨車の壁にぶつかれば大きく揺れる。
「おおぅ…見事なまでの脳筋プレー…」
その様子を見ながら、列車が走る前に奪ったシルバーファミリー構成員の服で変装していたシエル・カーネリアン(通りすがりのぐうたらひぃろぉ・f28162)がぽつりと呟き、ルヴァイドに守られているように後ろから付いていく。
「そんじゃあたしは乗組員を上手く使ってきますかー。大変だー列車内で人間の姿をした怪物が暴れてるぞー。このままじゃ列車ごと粉砕されるぞー。今すぐ止めるんだー」
「そうだぜ、俺は……って誰だーッ! 人間の姿をした怪物って」
若干棒読みなシエルの言葉に反応しつつ、また一人ならず者をぶっ飛ばす。
『野郎、このバケモンがぁ!!』
顔を歪めて殴り飛ばされる仲間の仇を討とうと、ならず者が銃を構えて撃つが、シエルを庇うようにルヴァイドはバリアを張り巡らせ銃撃を防ぐ。そしてまた、拳を振るう。
「悪いな、ここはオレの間合いだ。くらいなッ! マージナルカウンター!」
『グワーッ!!』
拳にオーラを纏わせながら、ルヴァイドは殴る、殴る、殴る。その度に貨車は揺れ、彼もぜぇぜぇと呼吸を見出していく。だが、休まずに彼は前へ前へと進み、拳を振るう。
(シエルは綺麗な女の子だし、傷つけたくねェ)
単に彼女を傷つけたくない一心で、ならず者達の敵意を一身に集めて攻撃をその身で受け、そしてぶん殴る。愚直なまでの不器用さっぷりには、流石にシエルも色々と察しているようで、大きくため息をついた。
「はぁ、素直にやってくればいいのに…あ、もうこれ運転手に直接言った方が早いやつ。大変だー」
流石に自分も何かしなければ。暴れに暴れているルヴァイドをネタにした届かない説得に痺れを切らし、彼女もUCでビットくんを召喚して攻撃をし始める。
「ビットくん達~、列車が脱線しちゃう前にやっちゃってちょうだい!」
あらほらさっさ~と主人の命に従うビットくんと呼ばれる攻撃用ビットを放ち、ルヴァイドがならず者を列車内部の壁に叩きつける前に倒していく。
「おっ、なんだ競争か? それじゃ、俺も負けていられねぇな! オラオラオラァ!」
額から落ちる汗を腕で拭うと、ルヴァイドは彼女に良いところを見せようと更に突き進んで、再び殴る、殴る、殴りまくる。
こうして二人は車列を大きく揺らしながら制圧していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティー・アラベリア
奉仕人形ティー・アラベリア、ご用命に従い参上いたしました♪
この世界で室内戦闘とは珍しいですね☆
ごきげんよう皆様、そしてさようなら☆
カーテシーでご挨拶しつつ、広がったスカートから躯体内部の人工妖精生成機構で生成した近接防御妖精と対人同化妖精を展開致します♪
対人同化妖精に周囲の敵を捕食させながら、零式を抜刀し、近接防御妖精と97式の散弾も交えながら白兵戦闘を実施いたします
ある程度死体が増えた頃合いで躯体内で浸食同化妖精を生成し、UCを発動
死体に浸食同化妖精を取り憑かせ、ボクの魔力で神経系を同化しつつ操っちゃいます♪
同化妖精達はこんなに可愛らしいのに、何故かおぞましいと言われちゃうんですよね☆
『何なんだ、彼奴等は!?』
列車の後部、そして前部から迫ってくる猟兵の猛攻を前に、この補給列車を預かるシルバーファミリーの一人が無情な叫び共に怒りを吐き出す。数ではこちらが勝っていたとしても、そこは相手がUCを操る一騎当千の猟兵であるならばUCを持たぬただの人間である彼らが太刀打ちできる通りなどなかった。あるとすれば、こうして後退する度にバリケードを築いてはささやかな抵抗の後、また後退しての繰り返し。
こうもしているうちに、列車の大半は既に猟兵達の手に奪われてしまっている。逃げ出そうにも、外は殲禍炎剣ホーリー・グレイルが焼き払った地平線の彼方まで果てしなく続く死の荒野である。抗戦か逃亡か、どれを選んでも彼らには安息など訪れる事など無い。
「奉仕人形ティー・アラベリア、ご用命に従い参上いたしました♪」
猟兵に追い立てられるかのように車列へ逃げ込み、調度品の粗末な机やイスで入り口を塞いだ車列の中…誰も居ないはずだった車列の中で声が聞こえた。
迫りくる理不尽な恐怖から目をそらすと、一体の人形…ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)が両手でスカートの裾を軽く持ち上げながら挨拶をした。スカートで隠れて見えないが、片足を斜め後ろの内側に引きながらもう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま挨拶するというカーテシーと呼ばれる礼儀作法。このような場でなければ、例えば社交パーティーであれば、それこそパーティーの華として映えていただろう。
だが、ここは迫りくる猟兵達を中に入れないようバリケードを築くために荒らされた部屋であり、迫りくる不安、中に居た得体のしれない存在に彼らは叫びながら一斉に銃撃を放った。それもその筈で、そのスカートの中から産み出されるように何かが転がり、おぞましいソレは彼らへと迫っていったのだから。
「ごきげんよう皆様、そしてさようなら☆」
表情を崩さずにティーは手にした杖の先に魔力の刃を作り出し、自らの脚部射出孔から排出された人工妖精に気を取られている手近なならず者を斬り、吹き出した鮮血が車内の天井を染め上げる。近接防御妖精が主の壁となって銃撃を防ぐ中、対人同化妖精と浸食同化妖精は彼女が殺めたならず者に集ると、与えられた餌を貪るように骸と同化した。
そしてソレは立ち上がるとゾンビのようなうめき声を上げながら、かつての仲間に襲いかかった。そうして、また一人、また一人と仲間を増やしていった。
「同化妖精達はこんなに可愛らしいのに、何故かおぞましいと言われちゃうんですよね☆ これより始まりますは無情悲惨の傀儡劇。騎士たちの活躍に祝福あれ☆」
車列の外にまで聞こえる悲痛な叫び声も、内部から聞こえる銃声で掻き消される。そうしている内に静かになり、後からやってきた反乱軍がバリケードを破壊して侵入する。そこには誰も居なかったが中は血だらけであり、密室内に確かに居たならず者達の骸も妖精もティーの姿も忽然と姿を消していたのであった。
成功
🔵🔵🔴
アイオライト・セプテンバー
ホーリー・グレイルに焼かれた土地、か……
青い輝きは見た目には綺麗だけど、なんとも背筋に寒いものが走るわね
荒れた土地にならず者がはびこるのは流れでしょうけど、見過ごして気持ちの良いもんでもないし
ちょいと手助けさせてもらいましょ
キャバリアに限らず、乗り物の【操縦】と構造には一通り知識がある
仲間が行動を起こした混乱に乗じ、その経験とカンを活かして機関部へ忍び込み、コントロールを奪いましょう
小柄な私なら、多少目立たないでしょうしね
……おっと、マスクの着用は忘れずに
白兵戦は専門じゃないし、列車に傷はつけたくないしね
大暴れは他の猟兵さんに任せるわ
それでも戦闘の必要があったら……色仕掛けで不意をついてみるか
木常野・都月
要は街を占拠してる奴らの列車を止めて、奪えばいいんだな?
列車を止めるのは他の猟兵に任せるか。
俺は止まった列車に乗り込んで、列車の中にいる敵を無力化していきたい。
奴隷の人達の安全確保を最優先にしたい。
止まった列車に乗り込んで、敵を見つけたら、[催眠術]で眠らせたい。
抵抗する敵は雷の[属性攻撃、気絶攻撃]で電気ショックで失神させたい。
敵だけど…。
一応、この世界を生きてる人達だろうから、出来れば殺さないようにしたい。
でも奴隷の人達に危害を加えるようなら、容赦しないぞ。
必要があれば奴隷の人達に[オーラ防御]をかけたい。
万が一、奴隷に怪我人がいるようならUC【緑の癒しの狐火】で回復させたい。
そうして列車の機関は停止し、自らの重みで速度を徐々に落としながら止まった。
「ホーリー・グレイルに焼かれた土地、か……。青い輝きは見た目には綺麗だけど、なんとも背筋に寒いものが走るわね」
補給列車が停止すると、車列の窓からアイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)が外一面に広がる蒼い荒野を改めて目にする。
かつてこの地に富を生み出し繁栄をもたらしたレアメタルは、暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」によって地上の貯蔵施設や工場が爆散して飛散。それらは長い時間を経て砂状となり、風と共に砂と混ざり合って作り出した景色は遠目で見ると澄んだ南国の海のようにでもあった。しかし、それ自身は生物にとって有害であり、自然分解されない大地を蝕む死の荒野。気密性が確保されているこの列車が洋上に浮かぶ繋がりあった箱舟だとすれば、ミドの町は水面にポツンと点在する孤島であり、何も備えもせずに入れば吸い込んだ蒼い塵が肺を蝕み大地へと溺れさせるのだろう。
だがそれはならず者も一緒で、身ぐるみを剥がされ放逐されればどうなるかは彼らが一番よく知っているかもしれない。線路沿いに晒されている人骨は何なのか…アイオライトはこれ以上の詮索を止め、死の砂が入り込まない車両の内部であったとしても万が一の時に備えて身につけている防塵マスクがずれていないか車両の壁に設けられた小さな鏡で身だしなみを確認すると、最後に残った車列の確保に向かった。
「これが最後の車両か」
木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は反乱軍の兵士達と共に車両を降り、外から包囲する一団の中に居た。兵達は銃を構え、反乱軍のリーダーの命令があれば引き金を引く準備を整えている。車両の中に立て籠もるならず者達も様子を伺っているようで、何方かが動けば片方も動き出す一触即発の状態だった。
──敵だけど…。一応、この世界を生きてる人達だろうから、出来れば殺さないようにしたい。
都月の胸の中では、誰も傷つけ合うことなく最後の車両を奪う事を願っていた。奪う側と奪われる側、ならず者と反乱軍。彼らはこの列車の戦いで、その多くが負傷して血を流しあった。都月は救える命があればと敵味方問わずにUCで治療を施し、今ここに立っている。全員が固唾を飲む中、反乱軍のリーダーが叫んだ。
「残ったのはこの車両だけだ。お前達は我々により包囲されている。無駄な抵抗をせずに投降すれば、その生命だけは奪わない事を約束する」
それは彼も同じであった。理想的、といえばそれまでだが、このまま撃てば風穴が開くだろうが車両を確保できるだろう。だがそれは、自分達も彼らと同じ無法者である事でもある。己の正義のため、国の大義のため、いくら正当化しようが数しれぬ無辜の民はその戦火の炎にみまわれるクロムキャバリアの理の元では誰でもそうであろう。
『けっ、甘ちゃんが』
ガラス越しにならず者が銃口を覗かせているのに気づいた都月は不味いと判断し、誰にも悟られないように小声で精霊へ祈りを捧げた。
「眠りの砂をもたらす精霊ザントマンよ…彼を眠らせ給え」
祈りは通じ、彼が引き金を絞る直前に頭上で砂のような物がパラパラと降っているのに気づいた彼は思わず上を見上げた。眠りの精霊が振り落とした眠りの砂が彼の目に入るとそのまま倒れるように眠りこけてしまった。その様子に他のならず者達がどよめいたが、車列を繋ぐ扉の隙間からその様子をアイオライトが覗いていた。
「なんだかよく分からないけど、注意はあっちの方に向いたようね」
列車の奪還に役立つと反乱軍から事前に手渡されていた催涙手榴弾を握り、そのピンを抜くと隙間からそれを車両に投げ入れ扉を閉める。コロコロと転がる催涙手榴弾から煙が立ち昇ると、その煙は瞬く間に車両内を充満した。
全員マスクをかけてはいたが、それは防塵用マスクであってフィルターは砂塵用に過ぎず、ガスマスクのような機能は備えていない。目に突き刺さるような痛みに襲われて咳き込みながら、ようやく彼らは反乱軍に投降するする事を選択して車両の外へ逃げ出すと待ち構えていた反乱軍の兵達に取り押さえられて拘束されていった。
『…はっ。殺さずに慈悲を与えたかもしれねぇが、せいぜい寝首をかかれねぇようにな』
「俺達はお前達とは違う。然る後に、法の裁きを受けて貰うからな」
そうしている内に、停止した列車の後方から砂埃を巻き上げて何かがやってくる。それは列車を追っていた反乱軍の車列であり、反乱軍と猟兵達のキャバリアを積んだキャリアカー、解放した奴隷達や拘束したシルバーファミリー一味を乗せるトラック、奪った列車でミドの町を奪還するための『最後の仕上げ』を満載した車両である。
こうして反乱軍はほぼ無傷のまま列車を奪い、迅速に全ての作業を終わらせると、奴隷達を乗せていた列車は何もなかったかのように終点であるミドの町に向かって進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『シャドウブレイダー弐型』
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POW : 幻影格闘機動
装備中のアイテム「【EPミラージュユニット】【BXプラズマ剣】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
SPD : 朧纏い
【無音高速移動を可能とするEP遮音ユニット】【機体を低視認化させる光学迷彩システム】【あらゆるセンサー探知を無効化する特殊装甲】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 鉄冠変幻
自身の【キャバリア(武器も含むかは任意で選択) 】を【戦場内の指定した敵キャバリアのいずれか】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミドの町の郊外に広がる遮るものが何もない荒野『ミド・バール』では、季節風が吹き抜ける度に蒼い死の砂が町へと押し寄せてくる。人々は町への侵入を防ごうと最初は工業地帯跡地から集めたスクラップで壁を建設していたが、長い歳月と共に今や鉄筋コンクリート性の壁へと変わって城郭都市さながらの風貌を醸し出していた。
壁は二重となっており、プラントを中心に広がる居住区の内側と多少の砂の流入はやむ無しと外側に設けられた農業用地とで分けられている。元は工業地帯の貨物用路線であった列車の終着地点は農業用地側にあり、町は二重の壁と二つの門で閉ざされていた。これが今まで反乱軍が奪還できずに居た理由の一つでもあり、ミドの町の守りは要害堅固な城そのものであったのだ。
『定期便のご到着だな』
門の上に設けられた詰所からシルバーファミリーの一味が、双眼鏡越しに町へ戻ってきた列車を覗いた。第一の門が解放され、列車を城郭の中に入れる準備が整えられた時、ある者が異常に気づく。
『やけに早くないか、あれ?』
列車はスピードを緩める事なく突き進んでくる。このままでは車止めを乗り上げて脱線し、居住区に続く第二の門に激突してしまう。
『聞こえるか、減速しろ…止まれ!』
一向に速度を落とさない列車へ警告を送るが、無人の列車にはそれを聞き入れるものなど乗っておらず、その勢いのまま車止めを破壊して車両がそれを乗り越え、車列が次々と門へ激突した。
──ドワオォォォオオオオオッッ!!
そして、大きな爆発が起こり、爆風と爆圧によって両方の門が破壊された。通常の列車であればせいぜい第二の門をひしゃげる程度であろが、既に反乱軍に奪われた列車にはこれには運んでいた人や物資を『大量の爆薬』に積み替えられており、先頭車両の激突によって一斉に起爆したのだ。
一体何が起きたのだと町を支配するならず者達、檻の中に閉じ込められた住民達が突如起きた爆発音と衝撃、立ち上る黒煙に注視する中、それらは煙の中から出てきた。反乱軍のキャバリア部隊である。
先頭はアンダーフレームのみで構成され、装甲の増設と対キャバリア兵器で武装化させた陸戦型戦闘ポッド『ロードランナー』が、脚部を屈めて両足とボディに取り付けられている三つのタイヤで走行するヴィークルモードで先陣を切る。その後ろを隣国ヘキサで製造されている量産型キャバリア『ピースメーカー』が、猟兵が乗るキャバリアが浮足立つシルバーファミリーのキャバリアへ攻撃を行った。
「GoGoGo!」
陣地を確保した反乱軍のロードランナー部隊へ追いついたピースメーカー部隊が、機体を丸ごと覆うシールドで防御陣地を構築していく。奇襲は成功して戦況は反乱軍が優勢の中、猟兵達は彼らと別行動を取る形でオブリビオンマシンを破壊するべく町の奥へと侵入していく。町の中心である広場に出ると、そこには既に反乱軍の部隊章が描かれたピースメーカーが居た。既に反乱軍はここまで奪還したのか、そう思った瞬間、それは攻撃してきた。
離反か、裏切りか?
猟兵は反撃を行うと、ソレは正体を現した。
幻影の正体は、希少鉱物であるこの地の底に眠るレアメタルを惜しげなく使用した演算ユニットが作り出す光学迷彩が生み出した裸眼立体技術による幻。機体の周囲や表面に虚構を映し出すことで、デジタル解析はおろか人間の目でもどの方向からでも光を屈折させて錯覚し、周りの目を完璧に欺くことができる次世代型カモフラージュ技術など様々なステルス機能を持ったニンジャとも言えるキャバリア『シャドウブレイダー弐型』だ。
周囲の風景に溶け込んでいた僚機も姿を現し、どうやらキャバリアマフィアの精鋭部隊により包囲されていたようだ。彼らはBXプラズマ剣を作動させ、猟兵達に襲いかかった。
○貸し出しキャバリアについて
二章目よりキャバリア戦が解禁され、反乱軍が使用している二機のキャバリアを使用する事ができます。
・陸戦型戦闘ポッド『ロードランナー』
https://tw6.jp/gallery/?id=120707
コストを優先した結果、アンダーフレームのみで構成された戦闘ポッド型キャバリアです。大量生産された超安価兵器として使い捨てにされるような物で「歩く棺桶」の蔑称を持っています。武装と装備は通常のキャバリアと比べれば心もとないですが、その小型さと軽快な機動性から乗り手次第では驚異的な性能を発揮させる事もあります。
・HCM-74『ピースメーカー』
https://tw6.jp/gallery/?id=113238
隣国の傭兵国家ヘキサが開発した量産型キャバリアです。武装と性能には突飛つした物がない、謂わば「特長がないのが特徴」で、良く言えば欠点がなくバランスが取れている、悪く言えば凡庸な機体です。ですが、裏を返せば改造次第では如何なる局面でも対応できる優秀な設計であると言えるでしょう。
両方とも自由に装備の変更やカスタマイズ化は可能とし、プレイングに記載して貰えればそのように描写していきます。
皆様の熱いキャバリア魂が込められたプレイング、お待ちしております!
才堂・紅葉
「迦楼羅王」
指を鳴らして相棒を召喚だ
隠密機群を前に、静かな水面に映る月をイメージ
【野生の勘】で殺気を感知して回避する達人技を披露する
敵機を見るのではなく、薄目を開けて周囲を睥睨し、個ではなく風景の違和感で【見切り】をつけるのだ
最も、それだけで捌ける境地にはまだ遠いので、建物や壁等の【地形を利用】し敵機の配置を制限する小技も大事だ
反撃は【早業】でリボルバーによる【カウンター】
威力による【吹き飛ばし】効果も売りだが、アルダワ錬金科の【メカニック】による、命中した対象に強烈な【存在感】を発揮する特殊ペイント弾が本命だ
次々とマーキングしたい
「皆さん! お願いします!!」
仕上げに【援護射撃】を依頼する
リーゼロッテ・エアクラフト
なるほど。罠に嵌めたつもりが逆に罠を張られていたという事か
…まぁ反乱軍『だけ』だったらこれで終わってただろうけど。
キャバリアの貸し出しがあるというがまぁ必要だろうという事で自前のキャバリアを使います。
二機あるがここは防御特化の【シールダーファランクス】で出た方がいいだろう。武装は盾しかないが盾だけでも十分凶器だし新素材の効果のほどを試すいいチャンス。
とはいえ盾で防御は万全でも攻撃がとなるのでそこはUCで攻撃…
文字通りの豆鉄砲かもしれんけどただでは終わらんよこれは。
相手への行動の抑制、遅延にもなるだろうから時間稼ぎになるだろうし
そもそも一人で全部つぶすわけじゃないから体制が整えばそれでいい
火霧・塔子
突撃! 爆破! 雪崩れ込み! これぞ反逆といった感じです!
さて、私のキャバリア"ムーンシャイナー"の強化外装は自壊前提ですからね
ここは温存し、武器とUCで上手く立ち回りましょう!
敵がコソコソしているのなら火炎放射の【なぎ払い】で敵機を透明なる隠密から燻り出しましょう!
火に巻かれても、身を隠すを優先できますか!?
ミラージュユニットも【焼却】です!
敵機の位置を捉えたら、不留の棍棒をムーンシャイナーの手に
キャバリアが持てば針サイズですが、いつだって強者を打ち倒すのは小さな一針です!
障壁貫通の力でどんな守りも貫き、コックピットをブッ貫き通します!!
(イラストがないので自機の描写はご自由にお願いします)
「なるほど。罠に嵌めたつもりが逆に罠を張られていたという事か…まぁ反乱軍『だけ』だったらこれで終わってただろうけど」
あたかも、ここに反乱軍の部隊章がマーキングされた量産型キャバリア『ピースメーカー』が押し寄せてくるのを、事前に察知していたかのように『シャドウブレイダー弐型』が待ち伏せをしていた。相手が想定していた相手ではないと判断したのか、それとも手にしていたハンドマシンガンを撃ち尽くしたのか。シャドウブレイダー弐型のEPミラージュユニットが作り出す立体ホログラムによる3D偽装システム『鉄冠変幻』を解除させながらBXプラズマ剣の青白い刀身を展開させているそれを、リーゼロッテはシールダーファランクスの盾越しにモニタリングをしていた。
この作戦に参加する際、彼女は自ら所有するキャバリアの二機のうちどれを持ち出すか迷ったが、市街地戦での不意を突く奇襲に備えてEPキャバリアシールド【モノリス】をはじめとした多数の盾、古代において用いられた円形の大盾を構える重装歩兵による密集陣形を体現させたかのような機体『シールダーファランクス』を選択した決め手はそれであった。彼女の想定ではミドの町の市街地に身を隠すギャングが歩兵携行型対キャバリアミサイルを撃ってきたり、建造物の迷路である市街地戦ならではの待ち伏せに備えてだったが、まさかこのような形で憂惧していた事が的中したかと苦笑した。
今になって考えてみれば『全てが上手く行き過ぎていた』。
奪った補給列車は物々しい警備とは言い難く、まず物資運搬用の護衛としてのキャバリアが積まれていなかった。猟兵が混じっていたとは言え、少数精鋭の反乱軍を足した上でも最低限の数だったとも思えるならず者達。そして、爆薬を満載して門を破壊させた列車爆弾も線路を爆破してやれば防げたものの、それも行っていない。
ただの野盗や犯罪集団なら兎も角、闇社会に生きるマフィアであれば何処かでこの計画を察知していてもおかしくない筈だ。つまりは猟兵が介入していなければ、ここで反乱軍は彼らキャバリアマフィア『シルバーファミリー』が仕組んだ詭謀により壊滅する運命であったのかもしれない。
とは言うものの、盾しかない機体でどう戦うか。考えを巡らせながら今は背後に控える仲間の盾として、目に見えない敵を牽制するしかなかろうと彼女は判断を下した。
「突撃! 爆破! 雪崩れ込み! これぞ反逆といった感じです!」
一方、様々な廃材やキャバリア残骸の継ぎ接ぎだらけで、様々な実証試験や試行錯誤を経て洗練されて完成に至る量産型キャバリアの規範から大きく外れているような、ロボットならぬボロット。素材がスクラップなだけに敵の攻撃はおろか、何か行動しただけで自壊しそうな悲鳴に似た軋み声を立てるハンドメイド量産型キャバリア『ムーンフェイス』に乗った塔子は、列車爆弾の派手な爆発と炎を越えてミドの町へと雪崩込んだ反乱軍の勇姿を見て以来、未だ衰えない叛逆の炎を目に滾らせていた。
先程の先制攻撃をまともに受けていれば、恐らくムーンフェイスは蜂の巣になっていただろうが、先行していたシールダーファランクスにより難を逃れていたのである。だがそれは彼女の設計範囲内である。自壊前提の強化外装に隠された本来のムーンシャイナーは彼女のみぞ知るのだ。
戦いとはまず真っ先に武装が満足もない弱い相手から倒すものだとばかりに、背後の風景に溶け込んでいたシャドウブレイダー弐型が二人の背後からEP遮音ユニットにより駆動音もなく姿を現し、奇襲を仕掛けようとした。
「また姿を現しましたね! ムーンフェイスを侮って貰っては困ります! こういうのはパワーだけが取り柄だとお約束ですが、ムーンフェイスの十八番は火力です!」
ギギギと軋ませながらムーンフェイスが両腕を突き出すと、腕の関節に取り付けられた噴出孔から地獄の業火と思わず形容してしまう程の炎を迸らせた。というのも、これは火炎瓶ヤドリガミである塔子と直結して焚べられる魂の炎を燃料に機体を溶かすほどの熱エネルギーを生み出すキャバリア用内燃機関から放出される、エンジンの炎ならぬ炎神のブレス。その火力は塔子の瞳に宿る叛逆の炎と比例し、最大火力に近い灼熱の炎にシャドウブレイダー弐型は包まれた。
「火に巻かれても、身を隠すを優先できますか!? ミラージュユニットも焼却です!」
その炎は勢いを衰えさせず周囲の建物をも燃やし始めていく。建物の中からは悲鳴に近い叫び声が聞こえ、携行型対キャバリア兵器で待ち構えていたならず者達が次々と飛び出してきた。ある者は地面を転がり、ある者は全身を炎に巻かれながら倒れ込む。それはキャバリアも同然で、機体を溶かすほどの熱を持つ炎によって、細身のボディに集約されている各種センサー類の破壊音がしたかと思えば大きな音と共に爆散した。
「……迦楼羅王」
その炎を背にしながら、市街地でのゲリラ戦に警戒して乗っていたバイクを止めた紅葉が指をパチンと鳴らす。周囲に反響させながら激しく燃える炎に吸い込まれる合図の音に誘われたかのように、召喚された迦楼羅王が炎の中からゆっくりと歩みながらその姿を現す。そして彼女の元に近づくと跪き、開かれたコクピットへと紅葉が飛び乗る。この様子なら燻された炎に虫けら共は勝手に出てくると判断した為であり、主がコクピットに座すると高機動モードを作動させ迦楼羅王の首元から赤い焔をV字状に噴出させる。
「これより前衛に突出します。足場をお貸しください」
「分かった。好きな盾を踏み越えていけ」
跳躍した迦楼羅王がシールダーファランクスの円盾のひとつを踏み台にし、リーゼロッテの操作による反動を利用して大きく前方へと躍り出る。コンソールにはセンサー反応がまったくないが、紅葉は静かに瞼を閉じると意識を集中させて耳を研ぎ澄ます。瞼の奥に浮かぶのは静かに澄んだ水面と水鏡に映る月のイメージ。波風もないそこに波紋が広がったのを彼女は視ると、薄目を開きながら周囲を睥睨し、感じ取れる違和感と殺気を感知しながら機体を動かした。
突如虚空に現れては消える青白い残光が、身を翻す迦楼羅王の機体から迸る赤い焔を斬り裂く。景色が歪む僅かな違和感の正体は、低視認化させる光学迷彩システムで周囲の光景と同化させたシャドウブレイダー弐型である。音も気配もなくBXプラズマ剣を振るが、紅葉の意識と無意識の狭間で映し出される明鏡止水に今も広がっている波紋の正体であるその殺意だけは消せなかった。
──最小の動きで躱し、相手の隙を誘い出す。
センサーに映らないということは、相手も仲間のセンサーを感知できる手段は限られている。現に振られるBXプラズマ剣は一機分であった。その軌道には法則性がなく、見えない事を利用して単機を複数に見せる手段であるかもしれない。それならば…。
機体を翻しながらキャバリア用リボルバーの引き金を絞ると、気配を感じる場所へ攻撃の意思を悟られないよう、銃口を流しながら撃った。銃弾はシャドウブレイダー弐型の装甲を掠め、地面へと着弾する。僅かながら牽制の役割を果たしたようで、気配が距離を取るように遠のいていくのを感じたが、紅葉の真の狙いはそこではない。
「これより放つは少年が手にした小さな豆、それはやがて芽が出ていつしか天を貫く巨木となりて…」
空中に浮かぶ色味が強い蛍光塗料に、リーゼロッテがシールダーファランクスから何かを飛ばした。塗料の正体は弾が掠めようともカプセルが炸裂して付着すれば強力な存在感を放つ特殊ペイント弾によるもので、それを目印にリーゼロッテが弾丸の如く放ったのは一つの豆。それは粘度のある塗料に付着した瞬間に芽を出し、みるみると成長して豆の木となって天高く伸びようとする。その苗床となったシャドウブレイダー弐型は豆の木に窪みのような物を作らせたが、その締め付けと圧力によりユニットが破損すれば内部に取り込まれて磔にされたような姿が晒し出された。
「反抗とは抑えられぬ本能(イド)! 突破しますっ! 真名解放、不留の棍棒!」
そしてそれを目掛け、キャバリアが持てば針のように小さい不留の棍棒をムーンシャイナーが器用に投げつけた。御神木を強引にへし折り加工した非常に硬質な角材の先端には魂の炎がマッチのように灯されている。それがシャドウブレイダー弐型へのコクピットへと突き刺されば炎が一気に燃え広がり、UCが作り出した豆の木ごと機体を燃やし尽くすのであった。
大成功
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イヴ・クロノサージュ
【ワンダレイ】
宇宙戦艦クロユニにて出撃
●行動「戦艦」
了解!レーヴェンツァーン射出します。ジェイ君お気をつけて
あら……かわいいっ!リリー先生宜しくお願いします!敵をやっつけちゃって!
ヴィリーさん出撃の準備が出来ました!いつでも発進可能です
全員出撃したら、最後に
「皆さま……御武運をお祈り致します……。」と祈りながら出撃を見守ります
●行動「キャバリア」
・BG-3『ナイトメアプラス』
降下する時に航空機形態⇒キャバリア形態に変形
ジェイ君、リリー先生、ヴィリーさんに
僚機を4機づつ後ろに付けて
猟兵を【部隊長:エース】と指定して、一つの部隊として支援
僚機は皆さんのプレイング通りの指示を受けて行動します
ヴィリー・フランツ
POW【ワンダレイ】※リリー先生(f30386)ランス(f24255)嬢ちゃん(f02113)と合同(宇宙戦艦クロユニにて出撃)心情:屑野郎共の割には高級な機体用意しやがったな、なら手加減はいらねぇな!
手段:UC【熟練操縦士】発動!ヘヴィタイフーンMk.Ⅹに搭乗して僚機共に降下開始だ!連中の機体は光学迷彩を纏ってるが、それはランスが無力化する予定だ。俺は集団戦術を意識し連携を取りながら化けの皮が剥がれた機体を無反動砲やレールガン、ミサイルで処理すりゃ良い。予備弾薬も携行して備えるか。
相手の近接にはスパイクシールドで防ぎ、スラスターを吹かしてぶちかまし、その後スパイクによる咄嗟の一撃で反撃するぜ
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】【ワンダレイ】
※アドリブ歓迎
※『リリー先生』等別称を好む
いいねえ、ド派手な突入作戦
アタシもパーティーのお手伝い♪
指揮下の僚機達に拾われ戦艦へ上がったら
イヴさんにウインクしつつ愛機へ飛び乗り
「ナインス・ライン、イケるよっ」
後は敵機の只中へ空挺降下…に見せかけ
オペレーション4番【バーテックス・ブースト】開始
騙して悪いけど、盛大にヤッちゃうよ♪
「ジェイさん、敵の展開状況頂戴っ」
包囲の薄いトコを狙いたいからね
1機…手数が余れば2機?を確実に破壊後
爆炎と【弾幕】で撹乱しつつ急降下
着地時も1~2機位【踏みつけ】て【重量攻撃】
後は僚機達と連携、包囲網を食い破るっ
「ヴィリーさん、もっとぶっ放してっ」
ジェイ・ランス
【SPD】【ワンダレイ】※アドリブ歓迎
■心情
いやー、派手に行ったねえ。勿体無いけど、まあいいや。
んじゃイヴちゃん、レーヴェンツァーン射出しちゃって~
さて、降下しながら演算開始だ~
■戦闘
クロユニより、包囲網中央に出撃。自身は熱光学迷彩(迷彩+目立たない+ジャミング)しつつ、僚機としてイヴちゃんのUCを受け、自身のUCと"事象観測術式"、"時空制御術式"にて高速演算(情報収集+偵察+索敵)を開始。敵機の【あらゆるセンサー探知を無効化する特殊装甲】の穴である「何も存在しない移動する空間」にスポットを立てていき、友軍の支援を行います。自衛は"慣性制御術式"、"重力制御術式"による高速移動で対処します。
「いやー、派手に行ったねえ。勿体無いけど、まあいいや。まずはイヴちゃんへの支援要請の連絡だね」
強固な守りで固められたミドの町に突入する為に爆発する破城槌として尊い犠牲となった補給列車に思いを馳せながら、ジェイは自ら乗るレーヴェンツァーンから暗号化された無線をイヴの元へと送った。
「やっほー。イヴちゃん、聞こえる?」
「はい、ちゃんと聞こえます。そちらの方角から凄い爆発音が鳴って黒煙が上がっているのを観測していますが、列車を使った作戦は無事に成功したのですね?」
「うん、したした。もう派手にドカーンってね。イヴちゃんにも見せたかったなー…おっと、話が脱線しちゃったね」
どこか心配げなイヴとは対象的に、ジェイは飄々とした様子で列車爆弾作戦が無事成功した旨を伝えた。果たしてイヴが何処に居るのかと言うと…ミドの町から少し離れた場所にある隆起した岩山の間に偽装用の天幕を張りながら身を潜めるように着艦している宇宙戦艦クロノトロン=ユニット》の艦橋からであった。何故ここに身を隠しているのかと言うと、ひとえに言えば遥か上空の衛星軌道上から日夜24時間地上を今も監視している暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」の存在あってだ。
百年前の大破壊おいて、ジェット推進の戦闘機や輸送機などのありとあらゆる高速飛翔体を尽く迎撃、あるいは破壊して世界を断絶させたと謂われる暴走衛星だが、それは何故迎撃するに至ったとなる。今も様々な憶測に近い仮説を各小国家の学者らが唱える中、一つの興味深い説がある。それは『ホーリー・グレイルにとって自らが驚異と判断した物を片っ端から破壊している』というものだ。その学説に則り、この全長275mにも及ぶ巨大な宇宙戦艦を上空に浮かばせたとしよう。
上空からその姿を捉える暴走衛星は何を思うであろうか? 何を判断するであろうか?
答えは簡単だ。それを衛星が驚異を排除しようと破壊を行う。それだけである。
故にクロノトロン=ユニットの艦長であるイヴはホーリー・グレイルによって一度は滅びた地に再び災厄を招く事態だけは避けようと、こうして指令所兼補給基地として上空かの監視から逃れるように身を隠している次第であった。
「でさー、予想外の事態が起きちゃったんだよね。…そうそう、敵の待ち伏せ。あまり目立たないように少数精鋭で来ちゃったのが裏目に出ちゃったんだよ」
「……分かりました。それではAIで無人操作する僚機をそちらに転送します。座標は送って貰った場所で間違いありませんか?」
「うんうん。間違いない、間違いないって。イヴちゃんは心配性だなー」
おおよそ戦場の中で送られているとは思えない通信を遮るように、仲間であるヴィリーとリーゼロッテから無線が割って入った。
「おおい! 嬢ちゃん、ランス! 援軍と補給、それに奴らの無効化はまだか!? そろそろ予備弾薬も尽きそうだ!!」
「ヴィリーさん、援護するよ。何処に隠れているか分からないけど、纏めて吹き飛ばしてやるよ!」
クロノトロン=ユニットに響く砲撃音とミサイルが飛び交う発射音に炸裂する爆発音。どうやら見えない敵相手に苦戦を強いられているようで事態は緊急を要しているらしい。イヴはコンソールを操作しながら転送する品目に漏れがないかをひとつひとつ確認していると、ジェイからの無線が入る。
「ごめんごめん。お陰でようやく準備は整ったよ。そろそろ反撃の始まりだね……作戦ターイム!」
仲間が稼いでくれた時間内に得られた索敵結果の解析を終えたジェイが自身のUC、事象観測演算術式『獅子の思考』を発動させた。それはシャドウブレイダー弐型が有する、あらゆるセンサー探知を無効化する特殊装甲の『穴』を突いた物である。
それは『何も存在しない移動する空間』。
ただの無の空間であるが、無であるが故に元素も電波も存在しない。それを固定化しながらシャドウブレイダー弐型と重ね合わせる事により、センサー探知の無効化がそもそも『存在しない』事象として逆に無効化させてしまうという理論によるものである。
当然ながら、ジェイは膨大な演算を処理しながらシャドウブレイダー弐型を観測し続けなけれなならない。よってその時間稼ぎを、仲間であるヴィリーとリーゼロッテに任せた次第だ。
「お待たせしました。今より補給物資、並びに僚機のBG-3『ナイトメアプラス』を転送します。本来であれば航空機に変形できますが、ホーリー・グレイル対策として変形判断機能は一時停止しています。その点に留意してください」
イヴの無線の後に転送装置が作動し、クロノトロン=ユニットからの支援物資と補給用ロボット、並びにAIが搭載されたキャバリアの僚機であるBG-3『ナイトメアプラス』が転送される。ジェイのUCにより特殊装甲のステルス性を無効化されたシャドウブレイダー弐型へ射撃を行った。
突如現れたキャバリアもそうだが、それらは捉えられないはずのこちらを正確無比に射撃してくる。それに困惑して攻勢が逆転する中、身を潜める物陰ではレーシングカーのピットイン作業さながらな迅速な補給作業が進められている。
「よぉし、弾薬燃料もバッチリ補給できた。今まで散々やってくれたな、屑野郎共。お礼は倍返しで、容赦なくぶん殴ってやるぜ! 火器管制システムオンライン、センサー・駆動関係異常無し、全システムオールグリーン、よーし…反撃開始だぜ!!」
今までは雲を掴むような防戦であったが、センサーが敵機を捉えている今となればそれに従うだけだ。ターゲットをロックオンすると、キャバリア用155mm無反動砲が反動を抑制するバックブラストを派手に巻き上げさせ、まずは一機目を爆散させる。そして、巻き上げられた砂塵と発射煙を煙幕代わりとさせながら、ヘヴィタイフーンMk.Ⅹのカメラアイ越しにヴィリーは肩部8連装ミサイルポッドから放たれた誘導弾が煙幕を抜けて二機目を爆散させた。
そして自機をも煙幕からスラスターを吹かしながら姿を現すと、重装甲を誇るヘヴィタイフーンMk.Ⅹの質量を武器に手近な敵機へスパイクシールドでの白兵戦を仕掛ける。
「こっちも補給は完了したよ。ジェイさん、敵の展開状況頂戴っ」
「りょ~かい、リリー先生。えぇっと…向こうの建物の手前と裏に隠れているのが居るようだね」
「建物の下、か。それならあの手が使えるね」
ヴィリーが作り出した煙幕を利用し、まずは手前の一機を両肩に内蔵した小型多弾頭ミサイルで破壊し、MPC-RW9r-LEX『ナインス・ライン』のスラスターを噴射させて建物の頂上に着地させる。そして、その真下に敵機が居るのを承知の上で、リーゼロッテはナインス・ラインの頭部を動かしながら周囲を索敵させる。そして気づかないふりのまま、背後を取られる距離で地面へ着地しようと跳んだ。勿論下に居たシャドウブレイダー弐型は、背後を取ろうと無音高速移動で着地地点を狙い行動するが、それをモニターで観測しているリーゼロッテからは筒抜けだ。
「オペレーション4番『バーテックス・ブースト』開始。騙して悪いけど、盛大にヤッちゃうよ♪」
突如軌道を変えたナインス・ラインが四肢を地上へと向けると、両手に装備した火器と両肩に内蔵した小型多弾頭ミサイル、そして肘に内蔵された多連装拡散パルスキャノンを一斉発射させた。雨あられとなって降り注ぐ砲火の前にシャドウブレイダー弐型が爆散すると、それの残骸を踏みつけながらナインス・ラインが華麗に着地してみせる。
そうして反撃の狼煙は更に続くのであった。
成功
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ルヴァイド・レヴォルジニアス
【狩人】
●行動
反乱軍の主力部隊に混ざる形で出撃します。
搭乗する機体は、黒龍型機械鎧兵の『ルヴァイド』(装備8)
列車に乗った反乱軍の人に協力を仰いで(『ナイトメアプラス』『ロードランナー』の2~3名)
「アンチステルス/マーカー」を射出して貰い光学迷彩を打ち破ることを第一目的
偉そうなAIと一緒に愚痴を吐きながら《M34ビームライフル/ロナ》(装備7)を射出します
「よーし、準備はいいか野郎共!ここから反撃開始だぜ。
開戦だぜ、オープンコンバット!」
――
・BG-3『ナイトメアプラス』
外見は黒色、ステルス戦闘機のような形状
・「アンチステルス/マーカー」
特殊なインクで出来た殺傷力の薄いミサイルポットです
――
シエル・カーネリアン
【狩人】アドリブ大歓迎
さーて、仕事はやりましたし帰…え、まだ終わってない?マジっすかー…わかりましたよー最後までやりますって。
せっかくだからこの反乱軍のピースメーカーを使いますよ!戦場を駆けろ、紅の死神!(勝手に赤色に塗装して命名)。味方の牽制に合わせてRXキャバリアソードで片っ端から倒しますよ 。
でも一体ずつ倒すのめんどくさいなー範囲攻撃あれば…ってあるじゃん!レッツ、チェンジアップ、モードX(変身演出)!うーん雑魚処理ならこれで片づけた方が早いね。当たれー!Xフルバスターショット、超絶弾幕スペシャル!!
うーん、キャバ操作もいいですけど、なんかこっちの方がしっくり来ますねー。
猟兵達がシャドウブレイダー弐型との攻防を繰り広げる中、後方からポイントをひとつずつ制圧してきた反乱軍の一部隊が追いついてきた。本来であれば彼らが最初の犠牲者となるはずであっただろうが、猟兵という運命に穿たれた楔によってそれは事なきを得たのだ。
「さーて、仕事はやりましたし帰…」
「よーし、準備はいいか野郎共! ここから反撃開始だぜ。開戦だぜ、オープンコンバット!」
「え、まだ終わってない? マジっすかー…わかりましたよー最後までやりますって」
反乱軍の突き上げで仕事は真っ当したと、錆止め用の赤い塗料で荒野に朽ちている残骸の赤錆色と同じ風合いに塗装された反乱軍から拝借したピースメーカーを操縦するシエルは安堵して、これで帰れて昼寝やゲーム三昧とだらけた日常に帰れると思った。だが、相方のルヴァイドとは言うと、縦深攻撃の魁として大地を疾走する命知らずのキャバリア乗り御用アンダーフレームのみの陸戦型ポッドであるロードランナーの登場にまだやる気のようだ。
「戦場を駆けろ、紅の死神!」
半ばヤケクソ気味にたった今命名したピースメーカーの名前を叫びながら、RXキャバリアソードでシャドウブレイダー弐型のBXプラズマ剣をいなしていく。方やルヴァイドはキャバリアとは別の存在である、オブリビオンと戦うためにこの世界『クロムキャバリア』へやってくる以前より製造した高性能・機械鎧兵《ルヴァイド・レヴォルジニアス》を駆っている。
「ところで、ナイトメアプラスはどうなってるロナ!?」
「ココニ辿リ着ク前ニ、撃破サレ落伍シタゾ」
無機質でありながらも何処か偉そうな口調の制御用AI『ロナ』は、ありのまま取り繕わずに報告する。絶対的に戦力が不足している反乱軍へ供出した機械鎧兵を量産型化したカスタマイズ可能なキャバリアである量産型・機械鎧兵Ⅲ《ブルーゴースト・ナイトメアプラス》。やはり乗り慣れた尖った所は無い汎用機だが操縦性は良いピースメーカーに乗り慣れている分、習熟運転もままならずなぶっつけ本番での慣れていない機体であれば致し方なしと言った所か。だが、彼らの犠牲あってこうしてロードランナーが押し上げてきたのかもしれない。戦いとはダイスの出目のように、生きるも死ぬも幸運の女神が微笑むか戦場で命を回収する死神が笑うか運次第だ。
「しかたねぇ、無いものは無いでやるしかねぇな。アンチステルス/マーカー発射!」
「了解シタ」
ルヴァイド・レヴォルジニアスに取り付けられたミサイルポッドが開かれ、多数のミサイル弾が放たれる。シャドウブレイダー弐型はステルスモードに入り視界から消えミサイルの追尾を逃れようとしたが、それはシャドウブレイダー弐型に向かってではなく宙に向けて上昇していく。そして時限信管が作動して爆発すると、塗料の雨が大地に向けて降り注いだ。その雨が止めば、塗料が付着した人型のような物が浮かび上がっていた。塗料を浴びた敵機がマーキングされ、これなら見失う事もない。
「よぉし、ロナ。陸戦フレーム展開」
「Code_Levide Les Volgianias; ―――承認。陸戦フレーム、スタンバイ。▼召喚サレタ装備を装着シヤガレ」
ルヴァイド・レヴォルジニアスがUCにより召喚された2倍ものの大きさを誇る陸戦フレームと合体し、トレースされた動きに合わせてそれは駆動した。巨体が跳び、巨腕が振り下ろされる。それはまるで、見えないネズミを追いかける猫のようだと、シエルはバチバチとキャバリアソードとプラズマ剣の力場が反発し合って光が迸る剣戟を征し、ようやく一機目を倒したところでそう思うのでった。
「あっちは楽しそうですねー。こっちもコクピット体感ゲームのようで楽しいです。でも一体ずつ倒すのめんどくさいなー範囲攻撃あれば…ってあるじゃん!」
このままでは埒が明かないと判断したと言うか、たんにひとつずつ倒していく作業に飽きたと言うか。ピースメーカーをアイドリング状態で停止させると、コクピットを開けてシエルは外へと飛び出した。通常のキャバリア乗りであれば何も異常のないまま乗り捨てるのは不可解な行動そのものであり、シャドウブレイダー弐型のパイロットも例に漏れず困惑した。考えられるのは…自爆と。
「レッツ、チェンジアップ、モードX」
まさか敵がそう考えて身構えているとは露知らず、シエルは本来のアームドヒーローとしての戦い方に打って出てきた。遠距離戦闘用フォーム、モードX。一角獣と思わせるヘッドギアを装備した戦闘形態となり、アームビームキャノン『フォトンバスターX』の銃口が徐々に光らせていく。
「うーん雑魚処理ならこれで片づけた方が早いね。当たれー! Xフルバスターショット、超絶弾幕スペシャル!!」
シエルの叫び声とともに、収束された光が放たれた。チャージされたフォトンバスターの巨大エネルギー弾の周囲を追尾型特殊エネルギー弾が回りながら拡散されていく。それらはマーキングされた塗料を目印に追尾し、命中して派手な爆発が起これば光学迷彩を解除したシャドウブレイダー弐型の残骸が転がっていた。
「うーん、キャバ操作もいいですけど、なんかこっちの方がしっくり来ますねー」
やはり自分にはコレが性に合うと、窮屈なコクピットとは違う外の世界で伸び伸びと背伸びしながら思うシエルなのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
木常野・都月
古代の精霊「アエラ」を召喚して、キャバリア「いなり寿司1号」に乗り込みたい。
アエラ、初陣だ。頑張ろう。
精神と魔力をアエラと接続したい。
これで、考えた通りに動くし、いつもと同じように精霊術も使えるはずだ。
なんか不思議な感じだけど、アエラに魔力を流し込めば動けるはず。
[野生の勘、第六感]で敵を捕捉したい。
風の精霊様には敵に張り付いてマーキングをして欲しい。
UC【精霊の矢】を雷の精霊様の助力で撃ちたい。
風の精霊様がいる所に目掛けて撃てば基本当たるはずだ。
敵の攻撃は[高速詠唱、属性攻撃、カウンター]で対処したい。
「…アエラ、初陣だ。頑張ろう」
都月は彼がアエラと呼んだ、機体分ほどの巨大な杖を持つサイキックキャバリア…『いなり寿司1号』の中に居た。名前だけを聞くと米俵のようなずんぐりむっくりとした風貌を想像するが、その外観は西洋の魔術師を象ったようなキャバリアである。謎めいた「古代魔法帝国時代」製で搭乗者の超能力(サイキック)で動くキャバリアである事からサイキックキャバリアと呼ばれる機体の例に漏れず、この身体が機械で出来た魔術師の中には古代精霊「アエラ」が宿っている。
この地、この世界クロムキャバリアで出会った精霊の導きにより、いにしえに眠りへついた、魔法の騎士(キャバリア)は彼、都月と契約して現在に至るのである…何故『いなり寿司1号』と名付けたかは、アエラから契約名を付けよと促された折に付けた名前である。その時お腹が空いて好物のいなり寿司が頭によぎったのか、それとも好きな食べ物の名前を付けたのかは彼のみぞ知る。いや、名付けた本人自体もどうして名付けたかは記憶があやふやなのかもしれない。こうして『アエラ』と呼んでいるので、そうしておこう。
「アエラ。風の精霊様と雷の精霊様とへ同調してくれ」
サイキックキャバリアならではの操縦桿やペダルなど無いポッカリと周囲が見渡せる空間とも言えるコクピットの中で、都月はアエラに指示を送った。彼の精神と魔力を同調さえすれば、歩けと思えば歩き、走れと思えば走る。魔力を介して思考が伝達する仕組みなのだろうが、正直言えば彼自身もまだ戸惑いがあった。とは言え、何時も精霊の助けを借りる際も似たようなものであると腑に落ち、徐々に慣れつつあった。
蒼い砂混じりの砂塵が舞い上がり、風の精霊が敵機が何処に居るか、頭の中で言葉にできない感覚的な認識の元で指し示される。気づけば反乱軍のキャバリア部隊がぽつりぽつりと追い上げてきて、合流しつつある。猟兵達がこの広場に到着した時には擬態が失敗に終わったが、今となってはUCを持たない一般人である反乱軍兵達にはかく乱させる手立てとなるだろう。
「…コイツか」
風の精霊が教えてくれたのは、先程合流したピースメーカーの1機だった。計器の反応では味方を指し示す認識ビーコンが表示されている。しかし、光学迷彩によって風景と同化する透明化や外部に立体視映像を投写して別の機体に成りすます忍者のようなキャバリアだ。これも偽装しようと思えば偽装できるかもしれない。
とは言え、それを判別できるのも猟兵あっての事だ。反乱軍に敵が紛れ込んでいると伝われば同士討ちを招きかねない。敵の真意もそれを狙い、仮に作戦が失敗して敗走した後も『組織内部にスパイが居る』と実態なき架空の内通者、裏切り者が居ると疑心暗鬼に陥りらせて組織を壊崩させるのも容易いことだ。故に、あたかも流れ弾に当たったかのようにしなければならない。
「雷の精霊様、奴に天罰を」
アエラが杖を向ければ、それを通して増幅された雷の魔力が空気中に漂う蒼きレアメタルの粒子に電気伝導される。常人からすれば突然起きた謎の発光現象……閃光弾の類いと思われるだろう。視界を奪う中、雷の魔力は偽装するシャドウブレイダー弐型の動力部へと流れ爆発した。機体が倒れて正体を曝け出すが、後続の反乱軍キャバリア部隊はあたかも以前からそこに放置されていた残骸と判断し、徐々に押し寄せるのであった。
成功
🔵🔵🔴
アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎
静音、迷彩、ステルス……初めて見る型だけど、厄介な機体ね
自機クロムキャバリア、【ブルーテイル・ダッシュ】は高度なOSで制御された高性能機
下手にセンサー性能に頼っては、逆に翻弄されるのがオチか……ならば
センサー・カメラ系をアナログ式の物のみ有効に
機体の操縦補助、被ロックオン警告を全てオフにして全操作をマニュアル化
頼れるセンサーは、今までキャバリアと戦い続けてきた……この私自身の、経験とカン
見えない敵でも、動かすのが人ならば、戦いのセオリーとクセがある
それを紙一重で【見切り】、【操縦】技術にてねじ伏せ
こちらのBXSビームダガーとライフルで攻撃
パイロットは、可能な限り殺さぬようにね
「静音、迷彩、ステルス……初めて見る型だけど、厄介な機体ね」
音もなく忍び寄り、機体を風景と同化させ、センサーが反応した頃には急襲を受けている。UCを用いるオブリビオンマシンであれば為せる技を、一組織でありながらも下手な小国家にも匹敵する組織力と技術力を持ったマフィアが密かに建造した、隠密機動作戦型キャバリア『シャドウブレイダー弐型』。今まで数多くの戦乱渦巻く小国家を渡り、幾多の戦場を経てきたアイオライトであったが、このようなキャバリアと遭遇したのは今回が始めてであった。果たして、一介の犯罪者集団がこれ程の技術力を持つものなのか?
そのように訝しみはしたが、今はこの局面を突破して、このミドの町に存在しているオブリビオンマシンを見つけ出すのを優先するのに思考を切り替える。今で特異なるその機体に翻弄されていたが、幾つか憶測の範囲ではあるが分かった事が幾つかあった。
ひとつはEP遮音ユニット、光学迷彩システム、センサー探知を無効化させる特殊装甲の機能についてだが、どうやらこれらを作動している間は攻撃を行ってこないこと。もうひとつは、BXプラズマ剣や他の装備で攻撃する際に姿を現すと言うことである。開幕でキャバリアに擬態していた状態で攻撃を行ったのも、これに当て嵌まるだろう。
「ここまで分かれば、上出来よね」
今まで積み重ねられた経験と技量。成人に満たない年齢であるが、その身体に宿る漠然とした感覚、死線を潜り抜け続けて養われた勘、無意識的な判断力、一つの言葉に言い表すとすれば『SENSE』と呼ばれる五感の一つである『感覚』で感知できるもの。根拠の欠片もないものであるが、今はこれに頼るすべしか無いのが実情でもある。それが自らの愛機『ブルーテイル・ダッシュ』が高度なOSで制御された高性能機であれば尚更で、俗言う『目の良さが命取りとなる』のが今の状況に他ならない。
「下手にセンサー性能に頼っては、逆に翻弄されるのがオチか……ならば」
アイオライトがコンソールを軽快な音を鳴らしながら操作すると、機体の操縦補助や被ロックオン警告等キャバリア戦ではなくてならない機能全てを一時停止させ、各種センサーやカメラ系統はアナログ式の物のみを残した。
全てを切り替えると、本来はコンピュータ処理されて明確に見えるディスプレイモニターに表示される外の映像が荒くなる。本来であれば各種センサーが破壊された際に使われる非常事態の緊急システムなのだが、それでしか見えない世界があるのも事実だ。シャドウブレイダー弐型のコンセプトは、謂わば各種計器がもたらす情報へ妄信的に頼らざるを得ないパイロットという名のソフトウェアを騙すトロイの木馬だ。
「……そこね!」
形あるものとして存在するものを、あたかも存在しないように見せる為の欺瞞。今までコンピュータ処理された映像では何も違和感がなかったが、こうして視ると何処か違和感を覚える。空間が僅かに歪んだそこに、アイライトはブルーテイル・ダッシュを旋回させて体当たりを仕掛ける。何もない虚に見えない壁にぶつかったような衝撃でコクピットが揺らされながらも、見えない人型のそれのねじ伏せる形で抑え込む。それから逃れようとBXプラズマ剣を展開させ、シャドウブレイダー弐型は姿を現した。
だが、その反撃はイニシアチブを取られた形でアイオライトが奪い取り、逆にそれで相手の頭部を突き刺すと首元まで引きながらプラズマの刃で焼き切っていく。そして、後もう少し引けばコクピットに到達する所で彼は止めた。
──俺達はお前達とは違う。
列車を奪った際に最後の車両を奪った時に聞いた、猟兵か反乱軍の誰かが放った言葉が彼の頭の中によぎる。BXプラズマ剣を引き抜くと、各種配線が集約されているアンダーフレームの脊髄とも言える箇所を狙い、そこに突き刺す。
「これでもう、動くこともままならないわよね……あとの処置は町の人か反乱軍の兵隊さんに委ねるわ」」
アイオライトは通信回線も切られたコクピットの中で誰にも聞かれない言葉を囁き、ブルーテイル・ダッシュの機体を立ち上がらせたのであった。
成功
🔵🔵🔴
朱鷺透・小枝子
ジャイアントキャバリアを操縦。
光学迷彩機…ッ!視覚情報は頼りにならない!
フレイムランチャー、周囲へ炎をふりまき後退。
眼倍を起動、視力ではなく、超感覚的知覚、第六感にて敵を感知する。
位置を元に、瞬間思考力で敵機へのルートを即座に構築、
SPD『ディスポーザブル』発動。亡国の主よ、この命を壊せ…!
双剣形態のフォースサーベルに装備を持ち変え、高速推力移動。
らああああ!!!
飛び出し、炎を駆け抜け敵を破壊する。次だ!
早業、爆発的なスピードと、反応速度とで次の敵へ襲いかかり、また次へ、そのまた次へ、迅速にかつ冷静に対処する。
まだオブリビオンが残っている。ここで壊れるつもりは、ない!
「光学迷彩機…ッ! 視覚情報は頼りにならない!」
小枝子が操縦する、かつて彼女が生まれた今は主滅した国の廃都に鎮座していたユミルの子、ジャイアントキャバリア『亡国の主』が、彼女の激昂と共に咆哮を轟かせる。威嚇するように周囲に溶け込み、そこに居るであろう『シャドウブレイダー弐型』を一瞥すると、右腕に手にしたフレイムランチャーで周囲に炎を振りまいた。ナパームジェルで燃え盛る炎は油を撒いたかのように激しく火柱を上げ、炎の壁が両者を隔てさせる。流石にシャドウブレイダー弐型も精密機器の塊である機体では破損の危険があると判断してか、この炎を飛び越えることはままならないようだった。
一方、亡国の主とはと言うと、炎の揺らぎの隙間から垣間見える対岸に居るであろう対面時に覚えたシャドウブレイダー弐型の臭いを嗅ぎ取るかのような仕草で、高性能索敵レーダーに匹敵する第六感を得えられる義眼のサイキック増幅装置『眼倍』で見回し、その頭部の中で小枝子はジャイアントキャバリア独自とも言える獣性と形容すべ知覚で得られた情報を元に思案していた。
「おおよその位置は…こことここ。この炎を越えて来ないとすれば……このルートで攻めてくるはず」
感情が昂ぶれば昂ぶるだけ冴え渡る戦いの為に作られた頭脳が、絶えず膨大な情報量が流れ込んで今にも爆発しそうな程に熱を帯びだ脳が敵の予想進行ルートを即座に導き出していく。幾多のルートがあったが、可能性の高いものだけを残し、瞬間的な思考力がそれらをより正確に精査していく。そして、その中に挟み込まれる破壊の衝動が彼女の恐怖心を掻き消していく。
「壊れろ…壊れろ、壊れろ壊れろ、壊れろ壊れろコワレロ、コワレロコワレロコワレロ」
次第に瞳に狂気が宿り、壊れた端末のように破壊の言葉を繰り返す小枝子。全ての思考が終わると、彼女はヌシに勅命を下した。
「亡国の主よ、この命を壊せ…!」
亡国の主が一際高い咆哮を上げると、彼女の命に従い大地を蹴った。破壊対象はシャドウブレイダー弐型。その完遂を行うため……未だ衰えることを知らない火中へと機体を走らせた。
「ああああ!!!」
炎に装甲板が焼かれ、その熱がコクピットにも伝わるが、彼女は進撃を止めない。ナパームの火渡りを終えて飛び出すや否や、双剣形態のフォースサーベルがそこに居たシャドウブレイダー弐型の胴体を十字に斬り裂いた。彼女は導き出したルートで待ち構える防戦に回らず、敵の動きに合わせて襲撃する手段を選んだのだ。前衛を務めていた仲間が無残な姿となって姿を現すと、後衛のシャドウブレイダー弐型は仇を撃つかのように軽い身のこなしでBXプラズマ剣を展開し斬りかかろうとした。だが、爆発的な反応速度で機体制御を処理している小枝子にとっては、時間が止まっているのも同然の速さであった。
捨て身とも言える突進で振られたプラズマの刃を掻い潜ると、組み付くように距離を詰め、亡国の主の鋭い牙が敵機のオーバーフレームに喰らいついた。強靭な顎で圧潰されたボディからどす黒い血のように吹き出したオイルで顔と身体を染めながら、抜けたオイルで骸同然となったシャドウブレイダー弐型を振り捨てると、再び亡国の主が唸り声を上げる。
「まだオブリビオンが残っている。ここで壊れるつもりは、ない!」
そう、これは前座に過ぎず、まだオブリビオンマシンが残っている。そしてそれは、小枝子の叫びとジャイアントキャバリアの咆哮に応えるように姿を現したのだ……。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『機動殲龍『追躡』』
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POW : 大山崩壊機構『鳴轟』
【4門の砲からマッハ50で撃ちだされる砲弾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を衝撃波で吹き飛ばし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 永劫追跡機構『追躡』
【外輪を展開し、LVのニ乗倍の速さで動く事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【速度により敵を貫通する衝角による突進】で攻撃する。
WIZ : 障害液状機構『地崩』
【短距離転移を繰り返し飛翔するミサイル】から【接触した物体に対し固有振動数】を放ち、【接触物の結合を弱め物体を液状化させる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:右ねじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ビードット・ワイワイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それは地平線の彼方から線路を通じ、激しく打ち付ける蒼い砂嵐と共にやってきた。
唸るように放たれる巨砲の前にはミドの町の城壁は紙くずにも等しく、その巨躯は城門をいともたやすく打ち破り、後続する配下のならず者達によりミドの町は炎に呑まれて瞬く間に占領された。ある者は嬲られ、ある者は命乞いする様を嘲られながら殺され、ある者は決死の脱出の末に死の荒野『ミド・バール』が牙をむく無慈悲な現実に屈した。
だが、町から脱出してかろうじて生き延びた者達は悪徳が支配する故郷を取り戻すべく立ち上がり、彼らと同じ手法で奪還作戦を展開させたのだった。そして、反乱軍と猟兵の前に再び悪魔が姿を見せたのだ。
『手下から近頃ネズミ共の動きが盛んになってると聞いて一芝居打ったが、まさかこうもしぶといとはなぁ?』
キャバリアと言うよりも移動要塞と言って差し支えないオブリビオンマシン、機動殲龍『追躡』より響く声の主こそ、キャバリアマフィア・シルバーファミリーの上級幹部であり、この地を襲撃した者達の首魁『フィロメーセ・マッサリーニ』に他ならなかった。
「ああ、知っていたさ。鼻が効くドブネズミがウロチョロと嗅ぎ回って察知していたのをな。だが、こうして今お前の前に居る。俺達の町を返して貰うぞ」
悪しき巨竜に臆する事なく反乱軍の残存部隊が攻撃を仕掛けるが、フィロメーセはそんな豆鉄砲なぞ効かないとばかりに嘲笑いながら竜の頭を象った機首を向けさせる。
『フハハハハッ! あン時は町から逃げ出す負け犬共を追う暇は無かったが、今度は徹底的に叩きのめしてやるぜ。おっと、簡単に死ぬなよぉ? 後でいたぶる楽しみがなくなっちまうからなぁ?』
機動殲龍『追躡』が動き出せば、配下と言えども敗者は用無しとばかりに、車輪が先ほどの戦闘で転がる残骸を踏み潰していく。自身の欲望を満たすために弱き者は淘汰され、勝者が全てを手に入れて敗者が平等に奪われるのみ。それがこの世界、クロムキャバリアの理だ。
この戦いで何方が何を奪い、何方が何を奪われるか。様々な思惑が錯綜する中、猟兵達は反乱軍と共にオブリビオンマシンの破壊に乗り出すのであった。
リーゼロッテ・エアクラフト
下種だねぇ…マフィアの頭目もこんなもんを幹部に召し抱えるとなるとたかが知れてるというべきか。
まぁでも…どうにかするだろ。猟兵が
えらい他人事のようなことを言いつつナノはやることがいつもと変わらんからという余裕。
戦い方としてはまぁキャバリアで守り強引に近づいてぶん殴る、ただそれだけ。
元が強襲用で防御に特化させてる分距離を詰めるのは造作もないと思うが
念には念を入れアリスナイト・イマジネイションでさらに防御を上乗せしておこう
突破口は作るからあとは味方に丸投げしますよ
「下種だねぇ…マフィアの頭目もこんなもんを幹部に召し抱えるとなるとたかが知れてるというべきか」
果たしてこのミドの町を支配している者はどういった者であるか。内心興味があったリーゼロッテは、ついに姿を見せたオブリビオンマシンに搭乗するシルバーファミリー幹部『フィロメーセ・マッサリーニ』の下種さへ呆れたようにため息をついた。知的なマフィアとはかけ離れた言動からして彼は実行部隊、つまりは消耗品に等しい鉄砲玉に過ぎないのかもしれない。かつてこの地へ繁栄をもたらし、今もその礎を築いた手付かずのレアメタル鉱床が眠るとは言え、一度町の外へ出れば百年余りの時が過ぎてなおも人体に有害な蒼い死神が潜む荒涼とした大地が広がる地である。巨万の富を得れるが山師さえ寄り付かない死と隣り合わせのこの地に、せいぜい死んでも構わない有能だが性格に難ある三下を幹部格に祭り上げて送り込んだのだろう。
「まぁでも…どうにかするだろ。猟兵が」
周囲の町の悲惨さも、目の前の救いようのない悪党をも、どこか他人事のように零しながらもリーゼロッテは巨体のオブリビオンマシンに自らの愛機を向けさせる。それは例えどんな相手であっても「オブリビオンを倒す」に他ならず、その猟兵には彼女を含めさせた余裕の表れであった。
『何ごちゃごちゃ抜かしやがる。まずは挨拶代わりに、コイツで吹き飛ばしてやんよ!』
そんなリーゼロッテに苛立ちを覚えたか、フィロメーセは機動殲龍『追躡』の主砲を向ける、龍の咆哮と思わる巨砲の砲声を轟かせた。本来であれば対拠点用の攻城兵器である大山崩壊機構『鳴轟』。大口径カノン砲から漏れ出る炎は龍が吐き出すブレスを思わせるもので、至近距離から放たれたそれを回避する時間を与えられぬままシールダーファランクスへと撃った。砲撃が着弾するや否や爆発して瓦礫や土塊が混ざったものがバラバラと降り注ぐ。
『ハーッハッハ! 大した自信だったが、ざまぁねぇな!!』
「……それはどうかな? 言っただろ、シールダーファランクスは守りが取り柄だと」
フィロメーセが目障りなネズミを一匹始末したと確信する中、もうもうと立ち籠める砂煙の中から何かが突出してきた。それは爆破四散したかと思われたシールダーファランクスであり、リーゼロッテのUC『アリスナイト・イマジネイション』により無敵の戦闘鎧として創造され直されていたのだ。木っ端微塵にしたかと思ったものが無傷同然の姿で現れれば、フィロメーセの嗤い声が驚嘆へと変わる。
「元が強襲用で防御に特化させてる分、距離を詰めるのは造作はないだろう。礼儀として挨拶には挨拶で返さんとな。まずは天狗になったその鼻先でも殴り折るか」
通常のシールドの上に新素材の層を追加し、防御力を大幅に向上させた超大型のシールド『モノリス』。腕に備えられた本来は身を守るための物であるシールドを拳代わりとさせ、バーニアを噴射して距離を詰めながら飛び上がり、その勢いのままオブリビオンマシン追躡の頭部に備え付けられた衝角をぶん殴った。衝突音に近い打撃音が鳴り響くと、キャバリアサイズもある頭部が激しく揺さぶられ、鋭く尖った衝角部を打ち砕き破壊せしめる。
その衝撃が首部を伝播しコクピットに伝わる中、フィロメーセはリーゼロッテが零した一言を思い起こす。猟兵、という言葉を。
大成功
🔵🔵🔵
アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎
……こいつは、速い!?
あの質量の機体が、あの速度で動くというの……!?
本機の火力でまともに仕留めるのは、骨が折れそうね
……衝角による突貫
アレは厄介だけれど、突貫を前提としている以上、小回りが利くとは考えにくい……為らば
ブルーテイルの【真の姿】……リミッターを解除した高機動形態
敵機の突進タイミングを【瞬間思考】して【見切り】、【推力移動】を全開にして紙一重で突進を回避
すれ違いざま敵機の突進の勢いを利用して、カウンターで砲口にキャバリアライフルの徹甲弾を叩き込む
一歩間違えば轢かれて終りね
極限の集中……失敗は許されない
けれど、引くわけにも行かないのよ
これ以上、何も踏みにじらせはしない!
才堂・紅葉
「好き放題言ってくれるじゃない。今度はあんたが奪われる番よ」
鼻で笑い「アサルトライフル」で中距離戦を挑む
驚異的な速度と衝角相手に白兵は難しく、遠距離の打ち合いは火力差が大きい
付かず離れずで、回避と射撃を堅実に繰り返して削りにいきたい
狙いは周囲の【地形を利用】して、奴の突撃ルートを密やかに制限することだ
突進ルートを絞れば勝機はある
銃器を投げ捨て【気合】で踏み止まり、迫る衝角を【ジャストディフェンス、見切り、野生の勘、怪力】の白刃取りで【体勢を崩す】
「しぃっ!!」
自身への重力【属性攻撃】で自重を奴より跳ね上げた上で、勢いを殺さず反り投げ【グラップル、早業、重量攻撃】での【カウンター】を狙いたい
火霧・塔子
町の人のみならず、自分の仲間まで轢き潰して行くとは、これは許せぬ邪悪!
鼠と侮るなかれ! 窮鼠、猫を噛む! 私たち反逆鼠ならば竜をも噛み砕きます!
ミサイルにはムーンシャイナーの火炎放射で対処を!
炎と煙の目眩ましで砲弾の狙いをハズし、【悪路走破】で敵に近づいていきます!
ある程度近づいたら反旗を掲げて【存在感】を出し、『追躡』を誘いましょう!
そうしたら私はUCの火炎瓶と追い重油をたんまりキャバリアに残す【破壊工作】を済ませて脱出です!
これこそムーンシャイナーの真の姿!
キャバリアそのものを一つの火炎瓶のように扱い、相手の攻撃を受けて起爆!
外装が弾けて流星と降り注ぐ、反逆(カウンター)兵器なのです!
『猟兵…そうか、テメェらがそんじょそこら中で派手にやってるってぇ猟兵かい。ハハ、そいつぁ面白ぇ! ただのネズミよりも轢き廻し甲斐があるじゃねぇか!!』
この世界、クロムキャバリアに猟兵がやってきてはや数ヶ月が経っている。その噂はオブリビオンマシンの破壊活動により絶えることのない戦火の炎に逃げ惑い喘ぐ無辜の民にとっては、華々しく戦う彼らの活躍が人づてに伝わってちょっとした語り草となりつつある。しかしながら、光あれば影あり。小国家のように主だった形を見せない裏社会、ひいては下手な小国家に匹敵する戦力を保有し、ましてや今こうして目の前に存在するオブリビオンマシンをも所有するキャバリアマフィアとなれば、世界の危機を調停する影法師たる猟兵の存在を知り得ていてもおかしくないだろう。とは言え、猟兵とオブリビオンは水と油だ。オブリビオンマシンがもたらす世界を戦乱の坩堝へと化させようとする破壊衝動が、フィロメーセに再び闘争心を与えて目を野獣のようにギラつかさせた。
「町の人のみならず、自分の仲間まで轢き潰して行くとは、これは許せぬ邪悪! 鼠と侮るなかれ! 窮鼠、猫を噛む! 私たち反逆鼠ならば竜をも噛み砕きます!」
『はっ! 奴らは戦いに負けた負け犬だ。世の中はなぁ、強ぇ奴が正しいンだよぉ!!』
戦乱の小国家同士が表立って軍と軍の衝突を繰り広げるよう、裏社会でも日夜抗争に明け暮れている。平和共存派も居るだろうが、彼のような武力排除派が多数を占めているのだろう。オブリビオンマシン『追躡』が首をもたげながら頭部の口を吠えるように開かせると、無数の小型ミサイルを放った。ムーンシャイナーは火炎放射で迎撃するが、撃ち落とし漏らしたもので外装が吹き飛んでしまう。四周に放たれたミサイルの爆炎により周囲はもうもうと土煙が立ち籠もる。そこにギラついた目のような光が灯ると、何かが凄まじいスピードで塔子の隣を横切った。それは外輪を展開した追躡で、先端が先ほどの猟兵による一撃で折れたとは言え衝角全体は未だ健在だ。ましてや、衝角が備わっている頭部はキャバリアサイズ程ももあり、本体はその倍ほどもある巨体だ。衝角の衝突を躱したところでも、その圧倒的な質量を前にしては轢かれるのがオチなのだろう。
「……こいつは、速い!? あの質量の機体が、あの速度で動くというの……!?」
町の広場と言ってもせいぜいキャバリア同士が戦闘できる程度の空間であり、その中を軽快に右往左往と自由に動くオブリビオンマシンに、アイオライトは衝撃を受けた。通常の常識ではありえない軌道だが、これもオブリビオンマシンならではのUCによる賜物なのか。彼は先ほど戦ったキャバリアとも異なる機械の獣を前にし、彼はオブリビオンマシンにより巻き上げられる粉塵で見通しが効かない空間の中で機体が拾う音に耳を傾ける。大地をえぐるように直進する音、火花を散らしているかのような甲高いブレーキ音、建造物を破壊しながら旋回しているような音…。そしてその次にオブリビオンマシンは再び突撃してきた。
──……衝角による突貫。アレは厄介だけれど、突貫を前提としている以上、小回りが利くとは考えにくい……為らば。
得られた情報はこれだけだが、今はこれに賭けるしか無い。アイオライトは補助システムを起動させると、ブルーテイル・ダッシュが誇る高性能OSによるセミオート駆動で回避行動に移らせながらコンソールに指を走らせた。
「好き放題言ってくれるじゃない。今度はあんたが奪われる番よ」
紅葉はフィロメーセが言い放った言葉を鼻で笑いながら、音が鳴る方向にアサルトライフルで牽制射撃を行う。この空間には反乱軍も居るが、どうやら自分達が猟兵であると認識してからオブリビオンマシンに宿る意思によるのか、ターゲットはこちら猟兵に絞られているようだった。とは言え、反乱軍を蹂躙させる訳にも行かない。応戦する反乱軍と共に紅葉もまた銃弾を放ち、こちらの位置を教えるかのようにオブリビオンマシンを誘導させた。
『ハーッハッハッハ! んな豆鉄砲で、この装甲を撃ち破れるかよ!!』
嘲笑う奴の笑い声が癪に触り、勝ち誇っている顔をぶん殴ってやりたい衝動に駆られる中、弾倉を交換して再び銃弾を放つ。この突撃を前にしては彼女に出来るのは『その時』が訪れるまで、付かず離れずな決定打を与えれないが挑発しうるには有効な回避と射撃を堅実に繰り返すしかない。そしてそれが実り、時間にしてはほんの僅かであろうが、アイオライトはブルーライト・ダッシュのリミッターを解除するコードを打ち終えた。
カメラアイが強く光ると機体の反応速度が鋭敏となり、常人であればほんの些細な操作でも振り回されるまでの過敏さに、アイオライトでさえも突然別の機体に瞬間移動して乗り換えたかのような錯覚を覚えてしまう。だが、裏を返せばそれは頭の思考に機体が付いてこられる事でもある。事実、UC『ハイスピード・ゾーン』によってもたらされる瞬間的な思考力で時間が極めて遅く、もしくは時が止まったようにも感じるが、それは等しく平等に与えられている時間が伸びた訳でも停止した訳でもない。ただ単にコンマ1秒の世界へ、彼の意識がポツンと置かれているだけなのだから。
──一歩間違えば轢かれて終りね……失敗は許されない。
極限の集中でニューロンがオーバーロードして焼き切れてしまう程に熱を帯びる脳が悲鳴を上げるかのように疲労していくのが否応にも知覚する中、彼と同様に各部品の限界を超えて爆発的な反応速度を開放させたブルーテイル・ダッシュがバーニアで急加速した。砂煙の中から徐々に輪郭が見えてくる物に照準を合わせ、意識と直結させたかのように撃鉄を落とす。狙ったのは4門ある主砲の1門のひとつで、その砲口へとキャバリアライフルの徹甲弾が吸い込まれていくのが見えるの最後に、度重なる戦闘で疲弊していた彼の脳が限界点に達して無意識的な安全装置が働くようにUCが解除される。どっと押し寄せる疲労感の中で聞こえたのは派手な爆発音であり、呼吸を荒げながら額から脂汗を滲ませるアイオライトは確認せずとも、その結果を確信していた。
『ちぃ、まぐれ当たりか!?』
彼とは置かれた時間が異なるフィロメーセにとって、撃った弾が偶々次弾装填済みであった砲弾の信管に命中した程度の物だったのだろう。主砲のひとつが爆散した衝撃でスピードを落としながらバランスを保とうとしているその時、紅葉は千載一遇のチャンスが到来したと動いた。
「さて、覚悟なさい」
手にしていたアサルトライフルを捨て、迦楼羅王は赤い焔を噴出させながら巨竜の首元を両腕で捕らえた。本来であればキャバリア数十機分はあるであろうその巨体を、キャバリア1機の質量で制することは不可能である。しかし、オブリビオンマシンは主砲を失う爆発で体勢を崩していて、彼女が狙っていた事をするには条件が揃っている状態だ。
「しぃっ!!」
柔よく剛を制す。その言葉は体の小さい者が相手の力を利用して大きい者に勝つことを表すものである。如何なる強大な相手であっても振るわれるその力を反対に利用してしまえば、例え小柄な者であっても倒せる。激しく焔の噴き出すのに合わせて機体出力を増していく迦楼羅王がまるでオブリビオンマシンの首を掴んで振り回すかのように、車輪の軌道を狂わせると離した。振り落とそうと回した車輪が仇となり、止まらぬ勢いの元にオブリビオンマシンが建物に激突して停止する。
『つぅ…舐めやがって!!』
「小さくとも、この一投で状況はひっくり返ります! これこそムーンシャイナーの真の姿!」
自らの衝突で崩れた建物の瓦礫から抜け出そうとする機動殲龍『追躡』に何かが走り寄ってくる。こんな機体はあったのかと誰もが思ったそれは、手足の生えた火炎瓶のような物だった。その正体こそ、塔子の愛機であるキャバリアもどきな量産機『ムーンシャイナー』。スクラップのツギハギな外装の下に隠されていた真の姿である。ガチョンガチョンと音を立てながら走るムーンシャイナーのコクピットハッチを開けると、彼女は手持ち全ての火炎瓶とコクピット内に追い重油ぶち撒ける。最後に自動操縦されたムーンシャイナーから飛び降り、機械の巨竜へと立ち向かう愛機の後ろ姿を見送った。
「キャバリアそのものを一つの火炎瓶のように扱い、相手の攻撃を受けて起爆! ムーンシャイナーはこれだけではありません。例え修復不可能なまでに爆散しようとも、第二、第三のムーンシャイナーが悪しき支配者の元に現われ、革命の一灯による反逆(カウンター)をするのですから!!」
そして瓦礫から抜け出したオブリビオンマシンの車輪に飛び込むと、凄まじい爆発と共に機動殲龍『追躡』が爆炎に包まれたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ルヴァイド・レヴォルジニアス
【狩人】
●説明
挑発しながら正面から殴り合いします
シールドを張る⇒接近して近接格闘
●心情
「おいおい、此処まで追い込まれてて
まだ勝てるとでも思ってるのか?タコか?」
サイズでナめられるんは、すげぇ気に喰わねぇからUCで張り合い
バカ正直に直進して《ユグドラシェル・シールド》で
正面に厚いバリア(オーラ防御、拠点防御)を展開
《鋼鉄黒竜のツノ》でヤツの顔面に頭突き喰らわして
《機械剛拳》でぶん殴り
《鋼鉄黒竜のシッポ》で(怪力と暴力)で乱暴に(重量攻撃)して
(覇気と威厳)ってヤツで、逃げねぇ引かねぇ男のプライド維持ってヤツよ
●台詞
「マメ鉄砲みてぇだな?ハハハ!男の喧嘩っつーのはこうするもんだぜ、教えてやるぜ!」
シエル・カーネリアン
【狩人】POW
おっとーボスのお出ましですかー。デカいですけど精々中ボスレベルですかねー?あ、早く帰りたいので倒していいですかね、いいですよね?答えは聞きませんよ!!
デカい相手にはデカい兵器を、カモーンたいたす君!
マイキャバリア【ライドロボ・たいたす君】でまずは【ダッシュ】で接近。【重量攻撃】で敵の脆そうな装甲を狙って部位破壊、多少機体にダメージあっても何のこれしき!ある程度装甲を壊したらたいたす君の仕事はここまで。
「さーちょっくら本気だしましょか。チェンジアップ、モードZ!からの…極限解放ッ!!(真の姿に超変身)」
後は装甲破壊した部分を必殺UCで戦闘不能に追い込みますよ!
決死(?)のキャバリア自爆による爆発は赫奕たる閃光を放ち、広場を囲っていた建物という建物は衝撃波によって瓦礫と化した。敵味方ともに人害な被害をもたらしたこの爆発では、流石にオブリビオンマシンと言えども無事では無いはず……誰もがそうであって欲しいという願いは、もうもうと立ち籠もる砂煙の中から機動殲龍『追躡』は健在な姿を見せた。
『効ぃたぜぇ…今のは効いた。だがな、コイツも! 俺も! まだ死んじゃいねぇ!!』
事実、オブリビオンマシンの装甲はその大部分に亀裂が走っている。しかし、ナノ装甲とは別の異質な速さでみるみると修復がなされていく。通常のマシンではない悪魔のマシン、オブリビオンマシンだからこそなし得るものである。だが、それは生体ユニットであるパイロットにも負担が掛かる事になるのだが、この巨体を修復できるほどの気力と野心をフィロメーセが持っている事なのだろうか。
「おいおい、此処まで追い込まれてて、まだ勝てるとでも思ってるのか? タコか?」
ルヴァイドの言葉通り、奴は追い込まれていた。幾らパイロットから無限の破壊力と再生力を得ようとも行き着く先は破滅であり、このまま修復し続ければ彼の命は尽きるのが明白だ。
『何言ってやがるチビ助が。シルバーファミリーにはなぁ、失敗の二文字はねぇんだよ! 生きるか、死ぬか。このままおめおめ逃げ帰りゃ、粛清されるのが関の山だ。どんな手段を使っても、勝ちゃあ良いんだよ!!』
フィロメーセがそう言い捨てると残存する主砲でルヴァイドが駆る機械鎧兵《ルヴァイド・レヴォルジニアス》に照準を合わせ、剛砲の大山崩壊機構『鳴轟』が放たれた。ルヴァイドは避ける動作もせずに直撃した……かように見えた。着弾の衝撃で舞い上がった砂塵の中から姿を現したのはルヴァイド・レヴォルジニアスの残骸ではなく、UC機械鎧兵《陸戦フレーム》で再び陸戦フレームと合体した姿であった。
「マメ鉄砲みてぇだな? ハハハ! 男の喧嘩っつーのはこうするもんだぜ、教えてやるぜ!」
巨大なオブリビオンマシンと肩を並べるサイズとなったルヴァイド・レヴォルジニアスが互いに怪獣大決戦さながらの戦いを繰り広げている一方、シエルが爆風から逃れるために隠れていた残骸より顔を出してその様子を目の当たりにする。
「おっとーボスのお出ましですかー。デカいですけど精々中ボスレベルですかねー?」
どこかやる気が抜けている口調のまま、ハンマーのように振るい打つ頭と鋼鉄黒竜のツノで縄張り争いをする鹿の如く頭をド突き合ってメンチを切り合う二機を眺めていたが、どうやら埒が明かないご様子であった。早く帰って部屋の中でゴロゴロしたいシエルは、このままでは一向に帰れない事に気付くと、内に秘められたやる気を引き出すように高らかと手を掲げた。
「あ、早く帰りたいので倒していいですかね、いいですよね? 答えは聞きませんよ!! デカい相手にはデカい兵器を、カモーンたいたす君!」
カムヒアと呼ばれれば何処から召喚される量産型キャバリアのライドロボ・たいたす君にシエルは乗り込むと、コクピットハッチを開けた状態で駆動させる。
「修復されきっていない装甲はそこですね! たいたす君パーンチ!」
大型ブースターで加速して繰り出すナックルが、深々と装甲の亀裂を破りオブリビオンマシンの内部を抉る。そしてそのままたいたす君のバーニアの逆噴射してナックルを引き抜くと、彼女は再びコクピットハッチからジャンプしてキャバリアを乗り捨てた。
「さーちょっくら本気だしましょか。チェンジアップ、モードZ! からの…極限解放ッ!!」
フォームチェンジの掛け声と共にシエルの姿は光に包まれ、真の姿モードZにチェンジアップする。
「そんじゃいっちゃいますか、あたしの必殺技パートワン!! Zスラッシュ!!」
ヴォンヴォンと音を鳴らしながらZ字を描いて振るわれるフォトンセイバーZ。その光り輝く刀身から放たれた衝撃波による真空斬りで、先ほどたいたす君が曝け出した鉄の鱗に覆われた肉とも言うべき内部機構にZを刻む。その巨体では僅かに穿たれ僅かに斬られた程度だろうが、自らの臓物を斬られたような痛みがフィロメーセに走ると、彼の声なき慟哭が機体を通して周囲に轟いたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
朱鷺透・小枝子
戦え
『狂わし機』ディスポーザブル01を操り、吶喊
真っ直ぐ、敵だけを見据え走る。
鳴轟を食らう。食らって、押し返す。
この地を呑み込んだ全ての戦意にくらぶれば、この程度何する物か。
フェイント、存在感
戦わせていた01を囮に、目立たないように亡国の主を操縦し、接近。オブリビオンの背に飛び乗って掴んでへばりついて
…うぇ……とったぞ…ッ!
継戦能力、代償の流血は興奮作用で無視。
地縛鎖竜骨装甲の鎖を敵追躡に突き立てエネルギー充填、
グラビティシャード、敵に加重を掛け機動を抑え、ブレス攻撃。
壊せ、壊せぇえええええ!!!
そして、
真っ正面から来た01に何度も何度でも、
壊れるまで、絶えるまで、潰えるまで、殴らせる。
木常野・都月
いたぶられるのは困る。
折角、俺がアエラと契約して、いなり寿司1号を動かせるんだ。
いたぶられる前に、敵を押し潰してしまわないと。
それに街の人達の家がここにあるんだ。
人と世界を守るのは猟兵の仕事。
引き下がる訳にはいかない。
UC【精霊の瞬き】を闇の精霊様の助力で使用したい。
精神を接続したアエラを経由して、アエラにいなり寿司1号を動かして貰っている状態だけど…。
今俺はアエラと繋がってるんだから、俺が普段通りやれれば、出来るはず。
UCの攻撃が敵に刺さったら、それを起点に、闇の[属性魔法]で、敵を押し潰して貰いたい。
潰れてしまえ!
敵の攻撃は[高速詠唱、カウンター]、必要があれば[オーラ防御]で対処したい。
『ガ……ァ、ァァッ!!?』
内臓にナイフを突き立てられて刻まれたと言うべき耐え難き痛みがフィロメーセの身体を襲う。機械に受けたダメージであれば、それを操縦するパイロットには感じる事はない。しかしながら、彼が乗るのはオブリビオンマシンだ。人間を生体ユニットとして活力を得ているのであれば、ましてや少なくともミドの町を襲撃した頃からオブリビオンマシンに乗り続けていたとしたら、果たしてどうなるか?
それは彼がオブリビオンマシンと一体化したように同調している事で証明させていた。アドレナリンを始めとする人に闘争心や多幸感をもたらす脳内麻薬物質。それがもし、オブリビオンマシンに乗り込むことで、オブリビオンマシンと同調することで、オブリビオンマシンと感覚を共有化することでもたらされるとしたら?
オブリビオンマシンに乗り込んだ直後であれば影響は少ないだろうが、年単位で猟兵でもオブリビオンでもないただの人間が乗り続ければ、オブリビオンマシンの一部、即ちオブリビオンマシンと一心同体の『部品』となり得てもおかしくはないであろう。その様子を憐れむように、都月はいなり寿司1号…もといアエラの中で眺めていた。
「ああなれば可哀想だけど、このままこっちがいたぶられるのは困る。折角、俺がアエラと契約して、いなり寿司1号を動かせるんだ。いたぶられる前に、敵を押し潰してしまわないと」
やらねばこちらがやられる。半ばオブリビオンと化しているのであれば、世界を救うために引導を渡すのが猟兵としての使命。都月は自らに言い聞かせるよう続ける。
「それに街の人達の家がここにあるんだ。人と世界を守るのは猟兵の仕事。引き下がる訳にはいかない」
仮に彼が今までの悪事を詫びようとも、どんなに彼が許しを請ようとも、ミドの町の住民へ行ってきた数々の悪行は許されものではない。そんな思いにふける都月とは別に、小枝子は視界を徐々に血で赤く染めていた。
レッドアウト…主に強烈なGが掛かる機体に乗るパイロットに見られる症状で、血液が眼球内の血管に集中して視野が赤くなるものだが、彼女はまだ自らの機体のジャイアントキャバリア『亡国の主』を微動だにさせていない。それを引き起こしている正体は、彼女のUC『狂わし機(カヤルハマブイ)』の発動に見られる初期段階であった。高まる戦意で否応に心臓の鼓動が強まり、頭へ強まった血流が一気に押し寄せてくる。目が血走ってくるにつれ、彼女の呼吸が荒くなり…耐えきれなくなった毛細血管が破れ血の涙を流すと同時に、小枝子は獣のように吠えた。
──戦え。
無意識に宿る獣性が幻聴となり耳元でざわざわと囁く。
眼球に溜まった血が抜けていくに連れ、視界がクリアとなっていく中、目の前に彼女が所有する機体の量産型キャバリア『重装甲ディスポーザブル01』が佇んでいた。
──操れ。
ディスポーザブル01が頭の何へ、そう語りかけてくる。
脳に熱を帯びた血潮が酸素を供給させながら駆け巡り、機体に宿る悪霊へコンタクトした。誰も乗っていないはずのディスポーザブル01が動き出し、それに合わせるよう亡国の主も駆け出した。
──鳴轟を食らう。食らって、押し返す。
この地を呑み込んだ全ての戦意にくらぶれば、この程度何する物か。彼女はオブリビオンマシンのみしか見えなかった。
『ぐぅ…やろ…う……ざっけんなぁ!!』
フィロメーセが叫び、オブリビオンマシンを稼働さえようとするが動かない。まるで何か重しが乗せられているかのように。
「精神を接続したアエラを経由して、アエラにいなり寿司1号を動かして貰っている状態だけど…今俺はアエラと繋がってるんだから、俺が普段通りやれれば、出来るはず。闇の精霊様、敵を押し潰しください!」
サイキックキャバリアが手に持つ杖から黒いカーテンのような波動を迸らせ、それが機動殲龍『追躡』を覆っていたのだ。身動きの取れないオブリビオンマシンへ、悪霊の扇動の元で亡国の主が跳び、巨竜の背中へと降り立つ。
「…うぇ……とったぞ…ッ!」
地縛鎖竜骨装甲の鎖を突き立て、オブリビオンマシンのエネルギーを亡国の主へと吸収させる。そして吐き出すブレスが装甲板を分解せしめ、剥き出しとなった内部へ食らいつく。
「壊せ、壊せぇえええええ!!!」
声の限り、彼女は叫んだ。その叫びに応えるよう、ディスポーザブル01も大型クローで装甲板に爪を立て、こじ開ければ更に掻き乱す。巨竜の首がまるで断末魔を叫ぶかのように、首ごと頭を天を向けさせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イヴ・クロノサージュ
【ワンダレイ】
宇宙戦艦クロユニにて出撃
●作戦
担当は、列車の通過位置情報や捕捉
戦闘補佐に防護フィールド(バリア)を皆さまに展開します
アイテム《ユグドラシェル》
●行動
《広域サポート》で敵移動要塞を捕捉
クロユニから皆さんに列車の通過位置情報をリアルタイムで伝達
「殲禍炎剣の上空限界(500m)と感知限界速度に気をつけて下さい。」
高火力弾の転送、最適な待機位置等
様々なサポートを行い尽くします
●攻撃
皆様の指示に従って
射線が空いたタイミングで戦艦から砲撃支援を行います
皆様ありがとう……
《拡散パルスレーザー砲》スタンバイ―――。
うまくいくかどうかは、祈ります
だって、私聖者なんですもの…♪うふふ……
技能【祈り】
ヴィリー・フランツ
【ワンダレイ】アドリブOK WIZ 心情:オイオイ、さっきのステルス機と言いこの大型機と言い犯罪組織程度が何処から戦力を調達しやがった?…今回解決出来ても近いうちにまた呼ばれそうだ。
手段:引き続きタイフーンに乗って任務継続だ、相手は大型砲や地盤液状化現象と言った厄介な戦法を使うが、その辺はランスのコードが数十秒無効化してくれる、それにリリー先生が装甲に大穴を空ける手筈になってる。
俺は仕上げに【スーサイダードローン】430機を召喚し、そこへ無反動砲・ミサイル・レールガンの全武装の一斉射撃と共に突入させれば大損害だろ! それに、万が一反撃が来ても嬢ちゃんの防護バリアと俺の装甲なら耐えられるだろう
ジェイ・ランス
【WIZ】【ワンダレイ】※アドリブ歓迎
■心情
おうおう、面倒臭くなったねえ。じゃあまあ、そうなる前に全部平らげてやるよ。先手必勝(先制攻撃)ってね!
―――こいよ"ツェアライセン"。(融合し、真の姿へ)
これより織り成すは、"我々"が力の一端也。総てを食らい、【蹂躙】せよ。最早、抵抗など考えぬことだ。
■戦闘
真の姿のキャバリア形態となり、UCを起動。オブリビオンを媒体とする全権能を一時的に剥奪。その後、リリー先生の空けた穴へ"光線"、"ガトリング砲"、"加速砲塔"で【一斉発射】し【鎧無視攻撃】します。また、"重力制御術式"で瓦礫などを撤去し、クロユニの射線を開けます。
艦砲射線確認、勝利の女神は微笑むか
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】【ワンダレイ】
※アドリブ歓迎
※『リリー先生』等別称を好む
生きて帰るのが『一端の傭兵』
だから防護フィールドやジャミングは歓迎
でも長期戦は不利だし短期決戦
…ジェイさん、焼き付かない様にね
11号【パラディン】起動
両手の銃を簡易ハンガーに預けたら
右腕に六連装チェーンソー、左腕に大型コンデンサ
副腕『フレア・ヴェンデッタ』に大盾接続
後は盾を左右に広げ【ダッシュ】
帯電鋸を装甲の一点にブチ込み【部位破壊】っ
何故敢えて【捨て身の一撃】を?
脆いドローンを盾とバリアで護り活かす為
イヴさんは勝利の女神♪
って事で十分穴が空いたら急速後退
ヴィリーさん、全機この穴へっ
戦後は医療支援するよ
喉や呼吸器の患者多そうだし
『グ……ガァアアアッ!!』
全身の肉という肉を抉り取られているかのような幻痛に襲われながら、フィロメーセはUCの束縛が緩んだ隙を付いて機動殲龍『追躡』を走らせて、取り付いた猟兵を振りほどいた。同時にミサイルハッチが開放されミサイルが放たれた…その瞬間、周囲で突如爆発が起こる。
障害液状機構『地崩』。ミサイルを短距離転移を繰り返し飛翔させるUCで、発射すれば目標がどれだけ離れていようがワープされた弾頭が目の前に転送され、避けることは敵わないものだ。更には接触した物体に対し固有振動数を放つ事で接触物の結合を弱め物体を液状化させる、即ち地面に向ければ底なし沼となって、物質に命中すれば溶かすように液体化させてしまう、正に奥の手である。
「防護フィールド、転送」
宇宙戦艦《クロノトロン=ユニット》より、遠く離れて戦う仲間たちへイヴが支援を行う。本来であればクロノトロン=ユニットを防護するものであるが、それを切り取るように転送させれば隔壁となるのだが、それをも水飴のように分解させていた。
「オイオイ、さっきのステルス機と言いこの大型機と言い、犯罪組織程度が何処から戦力を調達しやがった? …今回解決出来ても近いうちにまた呼ばれそうだ」
ヴィリーがそう零すのも尤もで、確かに一介の犯罪組織にしては過ぎた物である。しかも、今回は恐らく氷山の一角に過ぎないであろう。
「おうおう、面倒臭くなったねえ。じゃあまあ、そうなる前に全部平らげてやるよ。先手必勝ってね!」
得体知れないクロムキャバリアの闇に不安がるヴィリーとは対象的に、ジェイはどこか楽しげな様子で、多次元偵察電子機体『レーヴェンツァーン』の中から上空を仰いだ。
「―――こいよ"ツェアライセン"」
彼の呼びかければ、虚空から巨大な板が現れた。それがレーヴェンツァーンと同化すると、切れ目が走ったと思えば次々と展開していき人の上半身を形勢させた。最後に頭部と思わしきものが口を開けば、ジェイの意識そのものは真の姿『ツェアライセン』の元に居た。サーフボードが下半身と形容すべきそれの複眼に光が灯れば、ジェイはUCを発動させる。
「Operation:Dreizehn_Schwarz_Löwe Lauf」
オブリビオンマシンを中心に弧を描きながらツェアライセンが移動すると、残された残像のように13基分複製された"ツェアライセン"が取り囲んでいく。それらが寸分の狂いもなく同一の動きをすれば、全敵勢体の行動制限を行う電脳結界がオブリビオンマシンを固定化させ、全敵勢体のオブリビオンを媒体とする全権能を無効化せしめた。だが、如何にUCで為せる技であるとはいえ、その負担は登場者と機体と共々凄まじいものである。普段何処か掴みどころがない彼の言葉だが、どこか苦痛混じりの声が仲間たちに送られた。
「…これで奴の自己再生能力も封じ込めた。流石にオレも正直しんどいから、あとはリリー先生。手早くお願いね」
「生きて帰るのが『一端の傭兵』さ。長期戦が不利であれば短期決戦に挑むだけさね。…ジェイさん、焼き付かない様にね。11号パラディン起動!」
ナインス・ラインの背部コンテナが副腕用大盾2枚と六連装鎖鋸に変形し、両手の銃を簡易ハンガーに預ける。右腕に六連装チェーンソー、左腕に大型コンデンサ、副腕『フレア・ヴェンデッタ』に大盾が接続されれば、盾を左右に広げ機体を守りながらブースターで走らせた。リーゼロッテを近づけまいとミサイルを放とうとするが、ジェイの機体のみならずに空間の事象をも上書きさせるハッキングにより機能不全となったオブリビオンマシンにはそれは叶わなかった。
「装甲がかさぶたになっているのはそこだね!」
機能不全に陥るまでに修復されていた装甲の一箇所、僅かにまだ修復しきれていない一点へ帯電鋸のメスが入る。竜の鱗を想像させるまでに強固な装甲をズタズタに切り裂けば動力部と思わしきオブリビオンマシンのコアが剥き出しとなった。
「ヴィリーさん、全機この穴へっ」
「任せておけ。ドローン展開、ありったけの弾をぶち込んでやるぜ!」
UCにより召喚された無数の攻撃用ロータードローン編隊を展開させ、機体に搭載されたカメラがリーゼロッテがこじ開けた大穴を捉えると、ぶら下げられているように取り付けられたミサイルが一斉に放たれる。そしてリーゼロッテが離脱したのに合わせ、ヴィリーも照準を合わせると無反動砲・ミサイル・レールガンと、ヘヴィタイフーンMk.Ⅹに搭載されたありとあらゆる全武装の一斉射撃を執り行った。
『くそぉ! 何故だ、何故動かねぇ!?』
沈黙するオブリビオンマシンを動かそうとフィロメーセは操作するが、ジェイにより全権能を停止されたマシンは応えない。敵弾が迫るアラートが鳴り響く中、彼はコクピットの中で叫んだ。
『た、助けてくれぇぇぇぇっ!!』
それが彼が残した最後の言葉であった。コアに目掛け放たれた雨霰の銃弾、砲弾、ミサイルはオブリビオンマシンに搭載された弾薬をも誘爆させた。激しい爆発音と共に残骸は町の外にまで吹き飛ばされ、かつてそれがここに存在していた証は竜を模した頭部のみを辛うじて原型を残すだけであった。
「ふぃー…流石に今回は、オレも焼ききれて死ぬかと思ったよ」
「ジェイさん、お疲れ様でした。オブリビオンマシンの反応はこちらでも消えたのを観測し、本ミッションはこれで終了です」
UCを解除して極度の緊張から解き放たれたジェイを労りながら、イヴはクロノトロン=ユニットからオブリビオンマシンを撃破したことを伝えた。となれば、後は長居は無用。頭目のオブリビオンマシンが討ち取られたとなれば、あとは反乱軍が残存するならず者達を掃討していくだろう。猟兵たちが展開されたゲートからそれぞれの帰路につく中でリーゼロッテは振り返り、瓦礫が広がり至るところで炎で燃え盛るミドの町を見つめた。
例え反乱軍が勝利を収めて町を奪い返したとしても、この惨状では家を失った者、家族を失った者、ありとあらゆる負傷者に満ち溢れる事となるのが容易く想像できる。彼女はゲートからきびすを返すと、医療従事者としての看過できない火中に戻っていった。
「ごめん。イヴちゃん達は先に戻ってて。やっぱり見過ごせれないし、私は残って医療支援するよ。こんな環境だと喉や呼吸器の患者多そうだしね」
「……はいリリー先生、分かりました。それなら、私達も医薬品をたくさん持って戻ってきますね。先生が今手持ちの物だけだと厳しいでしょ?」
「…ありがとう。じゃあ、先に私を待っている患者さんの元に行ってるからね」
仲間達が一旦グリモアベース、自らの世界に戻っていくのをリーゼロッテが見届ける。そして彼女は医薬品や診察器具が収められた医療かばんを片手に、銃声や砲声が未だ止まない瓦礫が散乱する町の奥へ、戦火に喘ぐ声なき患者の元へ向かうのであった。
成功
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