エルブンフォレスト・インフェルノ
●異世界よりもたらされし物
森が燃え上がる。
炎が広がり、悲鳴と叫びを上げながら逃げ惑う動物とエルフ。
それを追うように炎をあちこちに振り撒いていく山賊達。
言うまでも無いが、この森に火を付けたのは奴らだ。
「ヒャハハハッ! こいつぁ凄ぇ武器だ、魔法を使わずとも炎が出るぞ!」
「ああ、雇い主サマがくれたこいつがあれば、面白いように燃やせるなァ!」
「お、エルフがこっちに来たぞ! ……オラッ、くたばれッ!!」
体に装備された砲台が火を噴き、逃げてきた不運なエルフを粉々に吹き飛ばす。
奴らが装備しているのはアームドフォート……この世界には存在しない武器であった。
森を易々と燃やす事が出来るのも、この装備があってこそだ。
「……しっかし雇い主サマの命令で、エルフは皆殺しにしろってのが惜しいな」
「ああ、エルフの女は売れば金貨数枚に匹敵するってのに、勿体ねえぜ……」
「ま、命令は絶対だ。その分、金品を奪うのは自由だからそれで我慢しようや」
そう言うと、山賊達は放火と虐殺を続けていく。
エルフの森が灰になるまで、そう時間はかからなかった……。
●アレキサンドライトを打ち砕け
「アックス&ウィザーズにある、エルフの森を焼き払おうとしている幹部を確認したわ」
グリモアベースに集まった猟兵達を前に、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)が説明を始める。
幹部の名はチーフメイド・アレキサンドライト。
プリンセス・エメラルドの配下であり、A&Wに送り込まれたクリスタリアンだ。
「エルフの森には世界樹イルミンスールから株分けされた聖なる木って言うのがあって、その木が森と外界を隔てる迷いの森を造り出しているそうよ」
今回の敵である、アレキサンドライトの狙いは決して燃える事のない聖なる木。
それを見つけるために森全体を焼き払ってしまおうと企んでいるようだ。
いくら迷いの森とて、焼かれてしまえば意味は無いと言う事なのか。
「しかもアレキサンドライトは現地の山賊を雇った上で、スペースシップワールドにしかないアームドフォートをあいつらに供与し放火・虐殺をさせるようね……」
予知でその凄惨な光景を見たであろうアヤカが苦い顔をする。
どうやらアレキサンドライトは森を焼くどころか、エルフを皆殺しにしオブリビオンとして蘇生させると言う非道も行うつもりらしい。
「みんなの目的は現地のエルフと協力し、アレキサンドライト一味を叩き潰す事よ」
大半が世間から隔絶した暮らしをしているエルフだが、神秘的な事柄への順応力が高い事もあり、猟兵達が訪れてもすんなりと状況を理解し、迅速に協力してくれるとの事だ。
彼らの手助けを受ければ、有利に戦えるはずだろう。
「森を焼き払い虐殺をするだなんて、そんな事は絶対に止めなきゃいけない……あいつらに情けは一切必要ないわ。思いっきりやっちゃって!」
アヤカは猟兵に全てを託すように言うと、ゲートを開いた。
エルフの森と彼らの命を守る事が出来るのは猟兵しかいない……急ぎ出撃せよ!
NS
はいどうも、NS(えぬえす)でございます。
猟書家との戦いは概ね優勢の様子と言ったところでしょうか。
今回はA&Wからお送りします。どうぞよろしくお願いします。
●目的
焼き払われようとしているエルフの森を守る。
ゲートから出てきた直後、既に山賊団が森に放火した状態から開始となります。
幹部シナリオは全て二章構成となっております。
第一章はアームドフォートを装備した山賊との戦闘。
第二章はチーフメイド・アレキサンドライトとの対決。
…以上の構成となっています。
山賊はOPの通り、全員がアレキサンドライトから供与されたアームドフォートを装備していますが、射撃すると言った最低限の使い方しか分からないようです。
今回のプレイングボーナスは『エルフ達と協力し、共に戦う』です。
彼らの戦力は猟兵には遠く及びませんが、迷いの森の効果で敵を迷わせたり、弓矢や魔法・消火作業などで猟兵に最大限の支援を約束してくれます。
何かしらの支援要請内容の希望があればプレイングにどうぞ。
ただし、彼らに出来る範囲内での指定でお願いします。
なお無事に任務を完了した際、エルフ達は『もし今後「聖なる木」の力が必要になるような事があれば、いつでもすぐに協力する』と誓ってくれます。
それが今後の何らかの展開に影響するやもしれません。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部分を書いてからになります。
リプレイはいつも通り、ある程度集まってから少しずつ消化。
また、最低でも失効までには必ず仕上げる方針でやっていきます。
もしNSのキャパシティをオーバーしそうな場合は早めに受付を締め切ります。
調子が良く、早めに執筆出来そうな場合は早めにお返ししたいと思います。
それでは、エルフの森を火災と絶対的な悪意から守って下さい。
第1章 集団戦
『山賊』
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POW : 山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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●悪意の炎を止めろ
「くそ、奴らは一体なんなんだ!? あんな武器は見た事がないぞ!」
「向こうでも火の手が上がっている! このままでは森が……!」
エルフの森は混乱の最中にあった。
突然やってきた山賊達が見知らぬ武器であっと言う間に森に火を付けたのだ。
早く奴らをなんとかしなければ、森が全て燃え尽きてしまう。
だが見知らぬ武器の威力はかなりの物らしく、エルフも迂闊に迎撃出来ずにいた。
……猟兵達がやってきたのは、まさにそのタイミングであった。
「むっ!? 何者……いや、君達はもしや……!」
「て、天の助けだ! 伝承は本当だったんだ!」
いきなり猟兵達が現れたにも関わらず、彼らは状況を瞬時に理解したようだ。
「状況は見ての通りだ。我々だけでは奴らに太刀打ち出来そうにない……」
「私達が出来る限り支援もする、だから……!」
そこから先は言わなくとも分かっている。
やるべき事は一つ、森を守る……それだけだ。
急ぎ山賊共を排除すれば、森の燃焼は最小限に抑えられる事だろう。
まずはエルフ達と協力して、森を焼き払おうとしている輩を倒すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
お邪魔させていただきますねぇ。
それでは参りますぅ。
まずは『F●S』3種を展開し『FBS』を四肢に嵌め飛行、山賊達の上を取りますねぇ。
そして【秤濤】を使用、『魅了』と『超重力波』の[2回攻撃]&[範囲攻撃]を行いましょうかぁ。
『魅了』の効果で同士討ちを誘えれば良し、誘えなかった相手は『超重力波』で動きを止め[砲撃]で撃ち抜きますぅ。
『アームドフォート』の攻撃も『重力波』で押さえれば良く、山賊達の技量では此方を狙うのもほぼ不可能でしょう。
後は『流れ弾等からの火災』対策に、エルフさん達に『消火』をお願い出来ましたら。
利用出来そうですし『アームドフォート』は回収したいですねぇ。
●救世主は空より現れる
「……おい、アレを見ろ!」
「お、女が飛んでるぞ!? フェアリーにしちゃデカすぎるし、何なんだありゃ?」
山賊達の視界に入ったのは浮遊武装FBSを四肢に装着し、飛行状態の夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)である。
「なんだっていい、エルフは皆殺しにしろと言われてるが、そうでないなら好きにしていいと雇い主サマは言ってたからな!」
「それもそうだ、ならとっとと撃ち落としちまってからお持ち帰りと行くか!」
下卑た笑いを浮かべつつ、山賊達はるこるにアームドフォートを砲撃を放つ。
「こんな攻撃、目を閉じてても余裕で避けられますねぇ」
だが、るこるは飛んできた砲弾をひらりと回避する。
そもそもにしてアームドフォートの使い方は最低限しか理解していない山賊だ。
高度を取った相手に当てる事など、素人に出来るはずもない。
「さて、火の手が回る前に手早く片付けませんと」
るこるは山賊達の真上を取ると、そこから『豊乳女神の加護・秤濤(チチガミサマノカゴ・ハカリノナミ)』を使い、周囲に乳白色の波動を放つ。
波動に一瞬面食らう山賊達だったが、何も起きない事に気付くと砲口を向ける。
「今何をしたかと思えば驚かせやがって!」
「だが今度は逃がさね……うッ!?」
その時、ガクッと山賊達がその場に膝を突く。
るこるの放った波動は超重力空間を発生させる効果があり、その超重力を受けた事が原因だ。
「か、体が重い……なんなんだこりゃ……おい待て、なんで俺に銃口を向けて」
山賊の一人が言い終える前、仲間のアームドフォートの砲口から激しい炎が噴き上がり、その身を焼き尽くす。
森を焼くほどの炎を浴び、山賊が絶命する。
「グヘヘ、熱いぜ熱いぜ熱くて死ぬぜェーッ!」
錯乱したような目で仲間を焼き殺す山賊。
秤濤で放たれた波動を受けた者は超重力の他、肉体を傷付けず魂を魅了する。
それ故に同士討ちを始めたと言うのが答えであった。
「今の内に一網打尽にしちゃいますよぉ。まとめて狙って……どーんっ!」
当然、このチャンスを逃するこるではない。
超重力でまともに動けない山賊達に向け、浮遊武装の砲撃を一斉に叩き込む。
その直後、山賊達は無残に吹き飛ばされていった。
「す、凄い……賊をこうも簡単に……!」
戦いの様子を眺めていたエルフがるこるの……猟兵の強さに圧倒される。
「こっちは片付きましたので、エルフの皆さんは消火作業をお願いしますぅ」
「分かった、任せてくれ!」
山賊を始末したるこるは直ちに消火指示を出すと、彼らは急ぎ現場へと向かう。
この様子なら、このエリアの被害は軽微で済むだろう。
「まだ使えそうな物は……いくつかありますねぇ。回収しておきましょう」
一方るこるは、山賊だった物の中から壊れていないアームドフォートを回収する。
どうやら何かに使えると考えているようだ。
それらを別のエルフに預けると、他のエリアへ援護に向かうのであった。
成功
🔵🔵🔴
オル・フィラ
地元の方々から支援をいただけるのは、とても心強いですね
この状況なら、私と同程度の体格の射手を一名、ご同行願いたいです
戦場となる森の中で身を隠し易い、射撃に適した位置を同行者に教わります
可能な限り敵に悟られないよう移動し【泥流弾】で一人ずつ仕留めましょう
最初の数人は同じ位置から射撃し、敵にこちらが単独かつ移動していないと思わせます
その間に同行者には別の射撃位置へ移動してもらい、私も敵に気付かれたら一時後退です
あとは私と同行者の十字砲火に丁度良い位置へ誘導するも良し、私が囮を続けて同行者に敵の死角から撃ってもらうのも良しですね
山賊達には一方的に撃たれ続ける恐怖を、存分に堪能していただきましょう
●共同戦線
森の中を二人の少女が進む。
一人は弓矢を持ったエルフ、もう一人は猟兵のオル・フィラ(Rusalka・f27718)。
エルフの方はオルの希望で同行してもらっており、入り組んだ森の中をスムーズに進む役割を果たしていた。
因みに体格は小柄でオルと近く、その辺りも同行者条件に入れたとの事だ。
「……こうして木々を操れるとは、エルフも凄い物ですね」
まるで壁のように行く手を阻む木々も、近付くだけで意思を持ったかのように道を開けてくれる様子を見たオルが感心する。
これもエルフの使う迷いの森の魔力か何かなのだろうか。
「いえ、私に出来る事はこれくらいですので……あ、見えてきました!」
エルフが指差した先には、我が物顔で森を焼き払う山賊達の姿が見えた。
こちらは木々が姿を隠してくれる事もあってか、向こうに気付かれた様子もない。
「……それで、これからどうしますか?」
「射撃に適した位置を教えてください。今必要なのはそれです」
「そう、ですね……ここからだと……」
エルフが指差したポイントに目印となる枝を生やす。
「この辺りなら、上手く隠れつつ撃てるはずです」
「十分使えそうですね。では、簡単に手筈を説明するのでその通りに……」
オルはエルフに作戦を話す。
二人が取った行動とは、果たして……?
「ぐはッ!?」
森を焼いていた最中、山賊の一人が背後から胴体に風穴を開けられ倒れる。
すぐさま敵の攻撃に気付き振り返るも、下手人の姿は見えない。
「くそ、どこだ、警戒を怠たばッ!?」
続いて頭を吹き飛ばされ、その場に崩れ落ちる山賊。
「ええい、そこか!? 死ねェーッ!」
破れかぶれで砲撃を放つ山賊。
木々が爆風で吹き飛び、穴を開けられていく。
そこへカウンターで飛んでくる弾丸が山賊の一人をまた撃ち抜き、即死させる。
「相手は凄腕か! みんな、気を付けろ!」
この短時間に三人がやられたのを見て、警戒度を最大に引き上げる山賊達。
今更説明するまでもないが、オルはエルフに教えてもらったポイントから『泥流弾(マッド・フロウ)』を放ち、上手く悟られずに狙撃を行っていた。
「オラァ、出てきやがれ!」
山賊達は下手人を炙り出すべく、弾の飛んできた方へ向けて砲撃の雨を降らす。
爆風で枝が吹き飛ばされると、運悪くオルの隠れ場所が露見してしまう。
「見つかったようですね。ならばここは……」
「逃げたぞ、追え!」
素早く後退するオルに追う山賊。
そこへ思わぬ方向から矢が飛んできて、山賊の体に深々と突き刺さる!
「がぁぁぁッ!?」
突然の激痛に悶絶する山賊。
放ったのは別の射撃ポイントに移動していた同行者のエルフだ。
囮となったオルを追わせ、油断しているところへ撃つ……それが作戦だった。
「さて、一方的に撃たれ続ける恐怖を、存分に堪能していただきましょう」
このまま十字砲火となるように、オルは足の止まった山賊に泥流弾を撃つ。
死を呼ぶ弾丸と森を守る矢は、悪漢達を一人、また一人と撃ち抜いていった。
成功
🔵🔵🔴
緋月・透乃
そっかー、普通は別世界の兵器はかなりの驚異になるのかー。
猟兵やっていると色々な世界へ行くからその感覚もなくなっちゃったねぇ。
森が邪魔なら焼けばいいという敵の策の大胆さは結構好きだけではあるかな。ま、やらせないけどね!
武器はもぐもぐ欲張りスプーンを使おう。
戦闘方法は単純に近づいて火迅滅墜焼をくらわせていくだけ!
燃えるのは森じゃなくてあんた達だー!
火器なら火を浴びせれば暴発とかしそうだし、悪くないんじゃないかな。
敵の攻撃は武器で弾き返したりガードしよう。避けて森が燃えても良くないし。
エルフ達には敵を私の近くに誘導してもらえるとありがたいね。迷わせる応用でできないかな?
●山賊焼き・桃色炎仕立て
「そっかー、普通は別世界の兵器はかなりの驚異になるのかー」
緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は改めて、この世界に存在しないアームドフォートの危険性を認識する。
異世界の装備を持ち込めるのは猟兵の特権だが、例外と言えるケースが今回の件だ。
アレキサンドライトが持ち込んだアームドフォート……それが森に災いを引き起こしていると言ってもいいだろう。
「森が邪魔なら焼けばいいという敵の策の大胆さは結構好きだけではあるかな。ま、やらせないけどね!」
透乃は愛用の武器である、もぐもぐ欲張りスプーンをグッと握り締める。
森を助けに来た以上、このまま全焼させるつもりは毛頭無い。
「ところで我々は何をすればいい?」
戦いを前にエルフが尋ねてくる。
「確かエルフは森を操って、敵を迷わせる事が出来るんだよね? なら、迷わせる応用であいつらを私のいるとこに誘導出来ないかな?」
山賊達を迷い込ませた先に透乃が待ち構え、そこで叩きのめす。
それが彼女の考えた手のようだ。
「君のいる場所へ誘導するように迷わせればいいんだな? よし、やってみよう」
「決まりだね! じゃ、よろしくっ!」
作戦が決まれば、後は決行するのみ。
透乃とエルフ達はすぐさま行動を始めるのであった。
「ここで会ったが百年目、あんた達の好きにはさせないよ!」
「な!?」
山賊達は迷いに迷った挙句、行き着いた先でビキニの女性といきなり遭遇する。
言うまでもないが、待ち伏せしていた透乃だ。
奴らはエルフに迷わされた後に、こうして彼女の元に上手く誘導されたようだ。
「……って女じゃねえか! しかも人間! エルフじゃないなら好きに」
その直後。
一歩、二歩と透乃が急接近してくる姿が見えた。
手には巨大なスプーンが握られ、今にも振り下ろそうとしている様子が。
……よくよく見れば、スプーンには桃色の炎が纏われているではないか。
「燃えるのは森じゃなくてあんた達だー!」
鈍い打撃音の後、桃色の炎が山賊の体を焼く!
透乃の『火迅滅墜焼(ヒジンメッツイショウ)』だ。
「う、ご……お、俺の、俺の体が燃えてェェェ!?」
桃色の火だるまとなった山賊が辺りを転げ回る。
透乃の戦い方は至極単純、接近して火迅滅墜焼で殴り燃やすのみであった。
「もいっちょ、ていやぁー!」
殴られた別の山賊の体が燃えると、アームドフォートの火炎放射燃料タンク部分に引火し、誘爆を起こす。
「なんだ!? 爆発したぞ!?」
「くそ、こいつ!」
慌てて山賊も反撃に転じ、砲撃を放つ。
(来た! 避けたら流れ弾で森が燃えるだろうし、ここは……)
素早く状況を判断した透乃が取った行動、それは……
「ちぇすとーっ!」
飛んできた砲弾をスプーンで……弾き返した!
「バ、バカなグワーーーッ!?」
予想外の行動に、信じられないと言った顔をしたまま、弾き返された砲弾に吹き飛ばされる山賊達。
「さあさあ、死にたくないなら今の内に逃げた方が身のためだよ!」
残った山賊達へ向け、威勢よく啖呵を切る透乃。
彼女の姿はエルフ達からすれば、とても心強く映った事であろう。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
久しぶりに激烈にキレてる
お前等さぁ…
エルフの森を焼くッてどういう意味か知ってるか?
そいつはなぁ…
私を残酷に八つ裂きにして下さいって意味だぁ!(UC起動
本来なら全終焉を使いたいが…あれはこの森まで潰しかねないからな
エルフ
皆は消化作業を頼む
おれは今から此奴らを粉砕する!
【属性攻撃】
今回は土属性を全身と武器に付与
重力フィールドを強化
良いだろう
お前らと同じ物で遊んでやるよ!
グラビティバスターで【重量攻撃・一斉射撃・遊撃】
そして距離を詰めれば
【空中戦・見切り・第六感・残像】で攻撃を回避し飛び回りながら
【二回攻撃・早業・串刺し】
槍で容赦なく串刺しにして更に二刀に持ち替えれば切り裂き
離れれば再度砲撃
●怒れるエルフ
「もうこんな火の手が回っているのか!? 森が……くそっ!」
視界に入った紅蓮の光景に言葉を失うテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)。
近くには逃げ遅れ、炎に焼かれて命を落としたであろう動物の黒焦げの死体が転がっており、なんとも痛々しい。
「……いや、我々が一丸となって消火作業に当たれば、まだ何とかなるはずだ!」
「奴らが火の手を広げなければ、私達の森は助かるわ!」
本来守るべきエルフ達も、森を守るために命を張る覚悟が彼らの言葉からも伝わる。
一歩間違えば炎に巻かれて焼死しかねないと言うに……
「っ、そうか……そうだな……!」
彼らの覚悟を受け取ったテラは、いつになく真剣な表情になる。
森を守るために、エルフ達を助けるために自分が出来る事はなんだ?
……そんな事は一つしかない。
「皆は消化作業を頼む。おれは今から此奴らを粉砕する!」
自身の使命を胸に、テラは走る。
森を焼き払い同族の命を奪おうとする悪漢達を叩き潰すために、走る。
その背にエルフ達の声援を受け、若き猟兵は森を往くのであった。
「……見つけた!」
テラがターゲットを発見するのは幸いにもすぐだった。
視界にはアームドフォートの火炎放射で森を今も焼いている山賊達の姿。
奴らの悪行に、テラの怒りにも火が付いた。
「おい、待てっ!」
「あん? なんだァ?」
呼びかけを受けて山賊達が一斉に振り向く。
「お前等さぁ……エルフの森を焼くッてどういう意味か知ってるか?」
「……おいおい、誰かと思えばガキじゃねえか。しかもエルフだとよ」
「大人だったらまだ良かったが、ガキ相手じゃあなあ!」
奴らの気に障る発言が、よりテラの怒りの炎に油を注いだのは言うまでもない。
「そいつはなぁ……私を残酷に八つ裂きにして下さいって意味だぁ!」
ついにテラの怒りが『モード・グランディア』と共に爆発した。
ブワッと広がる怒気に一瞬、山賊達が怯む。
「く……ガキが、大人をなめんなよ!」
アームドフォートを向け威嚇する山賊達。
「良いだろう、お前らと同じ物で遊んでやるよ!」
テラは同じくアームドフォートである星霊重力砲『グラビティ・バスター』を向け、容赦なく射撃する。
重い一斉射を受け、山賊達が枯葉のごとく吹き飛ばされた。
「な、なんだありゃ!? こっちとは威力がダンチだぞ!?」
「か、構うな、撃て! 撃て!」
慌てて山賊達も応戦するが、射撃は超重力フィールドに阻まれ容易に弾かれる。
そこから飛翔したテラが森の中を飛び、高速で山賊に肉薄すると紅龍槍『廣利王』で串刺しにする。
深々と突き刺された槍は悲鳴を上げる間もなく、悪漢の命を消し去った。
「まだまだぁ!」
槍はそのままにし、星刃剣『グランディア』と錆鞘之太刀を素早く抜くと竜巻のごとき勢いで山賊を切り裂いていく。
まさに圧倒的だ。
「同じエルフの危機、黙って見過ごす訳にはいかないからな! さあ、死にたい奴はどんどんかかってこい!」
あまりにも強大なプレッシャーを放つテラを前に、山賊達が震え上がる。
奴らが骸の海へ還るまで、あと僅かであった。
成功
🔵🔵🔴
エーデル・グリムワール
異世界の兵器による侵攻…我が国へのものでは無いとしてもこれは我らの世界への宣戦布告と、パルミラ連邦が将エーデル、エルフ軍と共に迎撃を行います!
私はエルフ軍より弓兵部隊、魔導士部隊を借りて指揮権を移譲して頂き、彼らを指揮して敵を殲滅いたします。
敵は兵器の力に頼っており、戦略を介さぬ愚兵の一団。
なれば私は迷いの森の効果と炎による視界不良という【地形の利用】をしつつ【拠点防御】の基本に則った撹乱各個撃破戦術を採用。
私は【団体行動】指揮を執り【神算鬼謀】を発揮、魔導士と弓兵をマンツーマンとし、森に紛れながら散開し四方より魔法を付与した矢の【制圧射撃】を行う【集団戦術】により敵を各個撃破してゆきます。
●魔軍師の大戦術
「早速ですが、状況はどうなっていますか?」
エーデル・グリムワール(魔軍師・f25392)はまず真っ先に、エルフから現在の森の被害状況を尋ねた。
「賊は広範囲に散らばって森を焼いているようだ。数までは分からないが、おそらくかなりいるかもしれないな……」
「数で圧倒は戦術の基本ですね。であれば、私達も数で対抗すべきでしょう」
既にどう戦うべきかが頭にあるエーデルの行動は早かった。
「すぐに動ける弓兵部隊と魔導士部隊は?」
「ああ、半数以上が偵察や消火のために駆り出されているが……もしもの時のために、使える戦力なら多少は」
後ろを振り向けば、およそ五~六人規模の部隊が控えていた。
数としては、これくらいでも問題なく行けるだろう。
「では彼らをお借りしたく。それと指揮権を移譲していただく事は?」
「もちろん君に一任しよう。我々が戦うよりも上手く出来そうだろうからね」
エルフのリーダーらしき男は快く対応してくれた。
こちらを全面的に信頼しているのは間違いないようだ。
ならば、すべき事はただ一つ!
「異世界の兵器による侵攻……我が国へのものでは無いとしてもこれは我らの世界への宣戦布告と、パルミラ連邦が将エーデル、エルフ軍と共に迎撃を行います!」
勇ましく宣言するエーデルに、エルフの部隊が『おぉーっ!』と応える。
パルミラ連合国の第3軍団を指揮する将軍であり、魔軍師の異名を持つ戦略家が今、エルフの森を守るために立ち上がる!
「ああ、なんなんだこの森は……ぐるぐると同じとこを回らさせてる気がするぜ」
森の一部が燃え盛る中で、山賊は迷いの森の魔術に惑わされていた。
仲間に『手分けして道を探そう』と提案すべきではなかったと後悔する。
「もう面倒だし、こいつで木をブッ飛ばしちまうか? よし、ちょっと離れて……」
アームドフォートのトリガーに指をかける山賊。
……その時であった!
「今です!」
凛とした号令と共に、四方八方から風を切る音が響く。
その瞬間、山賊の体は無数の矢に貫かれてその場に崩れ落ちた。
「仕留めましたね。まだ敵はいるかもしれません、警戒は怠らずに」
「ハッ!」
エーデルの指示を受け、エルフの部隊が無駄なく動く。
そもそもにして相手は兵器の力に頼っており、戦略を介さぬ愚兵の一団。
ならばこちらは、迷いの森の効果と放火による炎の視界不良と言う地形の効果を生かしつつ拠点防御の基本に則った撹乱各個撃破戦術を採用。
魔導士と弓兵をマンツーマンとし、森に紛れながら散開し、個別で迷い込んだ山賊に四方より魔法を付与した矢の制圧射撃で倒す……
これがエーデルの『神算鬼謀(パーフェクト・オペレーション)』だ。
「軍団長殿は本当に凄い方なのですね。今日顔を合わせたばかりの我々を、こうも上手く使うだなんて……」
そんな中、エルフの一人がエーデルの指揮能力の高さにただただ感服する。
「それが私の仕事ですので」
と、クールに返すエーデル。
その直後……
「皆は森が焼かれて不安でしょうが、大丈夫……この戦、私が勝たせます」
彼女の自信に溢れた一言に、エルフは安心感を覚えるのであった。
成功
🔵🔵🔴
神咲・七十
アドリブ・連携お任せ
伝承にもなってるんですね、猟兵って・・・
え~と、山賊達をぶっ飛ばしにいくので協力して下さ~い(お菓子もぐもぐ)
(UC『制約:狂食者』を使用。自分に攻撃を集めて、ダメージは圧倒的な再生力でどうにでもして、大剣と尻尾の連帯攻撃で倒していきます。
エルフさん達には、樹上に居て貰って逃げ出したのを倒してもらったり、消火に回って貰ったりします。)
何というか、やられ役そのままの山賊でしたね。
(こっちの変な武器を持ってたから余計にそう思うのでしょうか?)
まぁ、後は猟書家の人が相手ですね。(お菓子もぐもぐ)
(結構、幅広くやってる理由が気になるので無理矢理にでも取り込めたらいいのですが)
●そのダンピール、凶暴につき
「伝承にもなってるんですね、猟兵って……」
持参したお菓子を口にしつつ、神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)が呟く。
「ああ、我が森に伝わる伝承でね。『森に滅びの危機が訪れし時、光の門より異界から勇者が現れ、我らに救いの手を伸ばす』……と」
「で、その通りになったと……あ、何かお菓子あります?」
「あ……ああ、妹が焼いてくれたクッキーなら。必要なら食べてくれ」
「ん、どーも。……お、これはなかなか」
エルフから革袋を受け取り、中に詰まったクッキーをつまむ七十。
大分フリーダムな感じではあるが、彼女は一定時間甘い物を口にしないと禁断症状に陥ってしまうから仕方ない。
「え~と、山賊達をぶっ飛ばしにいくので協力して下さ~い」
「も、もちろん森を守るためだ。出来る限りの事はしよう」
七十はやはりお菓子をもぐもぐしながら協力を仰ぐ。
その様子を見て『いや、本当に大丈夫なのかこの娘は……?』と一抹の不安を抱くエルフ達。
そう思うのは仕方ない事かもしれないのだが、この後……彼らはその認識を改めざるを得なくなるのであった。
「……あ、いたいた。えっと、今からぶっ飛ばされて、ください?」
山賊達を発見次第、いきなり前に出て進路に割り込んで一言。
「あ? 俺らの邪魔するってんなら、痛い目見るぜ?」
「ま、邪魔しなくてもタダで帰す訳にはいかねえがなあ!」
ここにやってきたのが運の尽きだと言わんばかりの事を言う山賊達。
「なんでもいいのでぶっ飛ばしますよ?」
そう言うと、漆黒の大剣を片手で軽々と振り回す。
それを見るや、こいつは只者ではないと素早く察知した山賊達がアームドフォートを向ける。
「そんなモンでこいつに勝てると思ったか、マヌケ! 吹き飛びやがれッ!」
直後、一斉に発射されたアームドフォートの砲撃が七十を襲うと、彼女の体を無情にも吹き飛ばしていく。
「あぁっ……」
樹上に待機していたエルフ達からため息が漏れる。
が、次の瞬間、彼らと山賊達は信じられない物を目にする。
明らかに即死級のダメージが再生し……回復している!?
「Rose, die das Leben isst……」
何かを口にしながらゆらりと立ち上がる七十。
彼女は『制約:狂食者(セイヤクキョウショクシャ)』を使い、凄まじい回復能力を得ていた。
流血しながらこちらへとやってくる七十。
振り下ろされる大剣と、鞭のようにしなる彼女の尻尾が山賊達を葬り去っていく。
「う、うわあッ!? バケモノだーッ!?」
それを見て慌てて逃げ出す山賊。
「あ、逃げますよ。エルフの皆さん?」
七十の合図を受けて我に返ったエルフ達がすぐに弓矢で追撃、トドメを刺した。
「何というか、やられ役そのままの山賊でしたね」
山賊達を始末した七十が口を開く。
先程まで戦いを見ていた樹上のエルフ達は消火作業に当たっているようだ。
「まぁ、後は猟書家の人が相手ですね」
そう呟くと、再びお菓子を口にする。
(結構、幅広くやってる理由が気になるので無理矢理にでも取り込めたらいいのですが)
まだ見ぬアレキサンドライトに対し、そんな事を思う七十であった。
成功
🔵🔵🔴
純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
【妖邪天】
馬車で空を翔け、存在感で注目集め♪
一番目立つ所へ降り立ちUC使用♪
後でこの森で一番の美少女、エルフのお姫様を紹介してね♪
今回はその為に来たんだよ♪(可能ならUC運命の出会い使用。奴隷として捕まった所を救出)
領土にした地形全体の敵へUCの魅了(誘惑)と吸魂(生命力吸収/捕食/大食い/継続ダメージ/略奪)の範囲攻撃の精神攻撃で蹂躙して神罰♪
魅了した敵は同士討ち♪
大声で(元気/勇気/優しさ/情熱)力が湧く歌唱とダンスのパフォーマンスを演技して仲間二人とエルフ達を鼓舞♪
敵味方関係無く、希望も絶望も崇拝も、その感情が強い程に像とぴゅあの力が増すよ♪
エルフの皆はぴゅあへの信仰を捧げて協力してね♪
ロッテ・ブラウ
WIZ グループ【妖邪天】
予め潜伏場所を決め
エルフさん達には敵の誘導と
効果範囲に入らないようにお願い
森やエルフさんたち、ピュアニカさんに手を挙げるとか
マジ天誅―慈悲は与えないぞ(怒
【結界術】を展開
【操縦】【化術】の応用で『隠形』と『時間加速』を付与
1秒を1分に加速した結界内で
【継戦能力】を使い【多重詠唱】を開始
タイミングを合わせて【結界術】を解除
解除と共に空間が崩れて姿を現しながら選択ユベコを起動
十二分に時間を掛けさせてもらったからね―
どうなっても知らないぞ♪
事象の改変で
盗賊たちを足元に現れた無数の触手が底なし沼に引きずり込み
森を復元して周囲の火災は一切合切無かったことに改変します
純真天使・ペトラエル
【妖邪天】
いきなりピュアさんに馬車へ乗せられ、そのまま連れて来られましたが……しかし、それがエルフの皆さんを救う為なのでしたら!
……その主目的がどうあれ(目を逸らし)
「愛と奇跡を司る天使の力、お見せしましょう!」
消火の為に、瞳を閉じ、手を組んで祈り、天候操作で雨を降らせます。
「愛は奇跡を起こします!」
「私の持つ、ヴァルキュリアのグラビティなら……!」
ピュアさんの歌とダンスに合わせて黙示録の七天使を楽器演奏してUCを奏でます。
これで皆さんを癒し、敵の強化……アームドフォートも破壊しやすくなったはずです。エルフの皆さん、あの武器を狙ってください!
この森とエルフの皆さんが無事ならよかったです!
●妖邪天、エルフの森に現る
ゲートから出てきたのは一台の馬車……その中から三人の猟兵が降り立つ。
「ここがエルフの森ね。さてさて、どんな可愛い子がいるのかなー♪」
早々に何やら不穏な事を口にするのはグループ妖邪天の一人、純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫・f30297)。
「既に山賊は動いているみたいだね。急がないと……」
二人目はピュアニカと共にやってきたロッテ・ブラウ(夢幻・f29078)。
「いきなりピュアさんに馬車へ乗せられ、そのまま連れて来られましたが……しかし、それがエルフの皆さんを救う為なのでしたら!」
三人目は有無を言わさず、ピュアニカに連れて来られた純真天使・ペトラエル(ヴァルキュリアのパラディオンミュージックファイター・f30430)だ。
因みに彼女は猟兵として初めての任務である。
「早速だけど、今の状況はどんな感じ?」
まずロッテがエルフに現状を尋ねる。
「斥候からの連絡では、今もまだ放火して回っている賊がいるようだ。早くしなければ取り返しの付かない事になってしまう……」
「それじゃあ、エルフさん達には敵の誘導をお願いしてもいいかな?」
「分かった、全力でやらせてもらおう」
ロッテの策を信じ、エルフが同意する。
ここで今、頼りになるのは猟兵以外いない。
「あ、それと……ボクが合図した後、出来るだけ遠くに離れてもらえないかな?」
「遠くに? それは構わないが……しかし消火作業をしなければ……」
「それについてもボク達に任せてよ。大丈夫、元通りに出来るから」
フェアリーの小さな体だが、自信ありげに胸を張るロッテ。
彼がそれだけ言うのだから、きっと何とかしてくれるのだろうとエルフは納得する。
「とーこーろーでー」
と、ここでピュアニカが割って入ってくる。
……どこかニヤニヤしているようにも見えるのは気のせいではないだろう。
「無事に森を救ったら、お礼の方も忘れないでね♪」
「そ、それはもちろん! 我々が出来る限り、最大限の礼はさせてもらうとも!」
「ホント? なら後でこの森で一番の美少女、エルフのお姫様を紹介してね♪」
何やらとんでもない事を口にしたピュアニカ。
この幼女、こう見えても(経歴はここに書けない内容だが)伝説の邪神なのだ。
しかも美少女大好きな百合趣味である。
「えっ、ひ、姫様を……?」
「今回はその為に来たんだよ♪」
困惑するエルフに対し彼女はド直球な動機を包み隠さず言う。
……そこは邪神だからこそ、なのかもしれないが。
「そ、そう来るとは思わなかったな……いや、しかしこの森を救うためだ。私が姫様と長老に話を付けてくる事を約束しよう」
「ふふん、約束ね♪」
予想外のお願いに困惑せざるを得ないエルフだが、今は悩んでもいられない。
後で胃が痛くなる事になるかもしれないが森の未来のためならば、だ。
一方のピュアニカは、後のお楽しみの約束を取り付ける事が出来て上機嫌のようだ。
「ピュアさんがやる気になってくれたようですね……その主目的がどうあれ」
そんなエルフとピュアニカのやり取りを見ていたペトラエルが目を逸らす。
唐突に馬車に乗せられやってきたA&Wが初の出撃となるが、その原動力がこれとは少し締まらない。
「いえ、ですが私も猟兵の端くれとして、全力を尽くして戦うのみです!」
それでも真面目に猟兵として戦うべく、自らを奮い立たせるペトラエル。
今回はエルフの命がかかった大事な任務だ。
是が非でも成功させなければならないのは確かである。
「じゃ、早速向かいましょ♪ うふふ、終わった後が楽しみね♪」
どこか楽しそうな様子のピュアニカが馬車に乗ると、ロッテとペトラエルも続く。
……果たして妖邪天の三人が、山賊達を相手にどう戦うのか?
そしてエルフ達はこの戦いの後、色々な意味で大丈夫なのであろうか?
「お、おい……なんだありゃ?」
「って馬車が飛んでるぞ!? どうなってんだ!?」
森の中を空飛ぶ馬車が駆け抜けていく様子を目にし、山賊達の足が止まる。
馬車は森の開けた場所に降り立つと、その中から妖邪天の三人が出てきた。
「皆の信仰がぴゅあの力になるんだよ〜♪ これから毎日拝んでね〜♡」
まず、ピュアニカが馬車から降りた直後に『【召喚】純真なる黄金像(サモン・ゴールデンピュアニカ)』を発動させる。
ドスンッと何もない空間から突然降ってきた、黄金のピュアニカ像が異様なまでの存在感を放つ。
「じゃじゃーん、凄いでしょ~♪ ぴゅあを信仰しても、いいんだよ♡」
あざとくウィンクするピュアニカ……直後、唐突に山賊達が同士討ちを始めた。
黄金像の効果で魅了されたのが原因である。
各々が血走った目で『あの像は俺の物だ』とか『あのガキは俺が持ち帰る』だのと、欲望を剥き出しにした上での同士討ち……誰にも止められはしない。
中には運良く魅了されなかった者もいたが、それらは黄金像による吸魂の犠牲となって地に伏した。
この邪神幼女、なんとも恐ろしい……!
「まだ森が燃えて……ならば愛と奇跡を司る天使の力、お見せしましょう!」
続いて、森は未だ燃えているのを見たペトラエルが瞳を閉じ、手を組んで祈る。
その時、(森の中かつ火災の最中では分かりにくいが)晴天だった天候に変化が生じ……
「あ、雨だ! これなら火の手が弱まるぞ!」
三人の援護として樹上にいたエルフの一人が叫ぶ。
この状況においての雨はまさに天の助け……火災の勢いが弱まっていく。
「愛は奇跡を起こします!」
どうですかと言わんばかりに断言するペトラエル。
実際には天候操作を行った訳だが、今この場においてはまさに奇跡と言う他ない。
「くそ、これじゃ放火が……」
「おい見ろ、エルフだ! こうなったらあいつらだけでも始末するぞ!」
足並みが崩れ、狼狽える山賊達であったが……その内の一人が逃げるエルフの姿を見つけると、仲間と共に追いかけていく。
「お、来た来た」
ロッテの視界には逃げてくるエルフと後ろに山賊達の姿が。
どうやらこちらへと上手く誘導してくれたようだ。
因みに彼は今いるポイントに潜伏しているため、山賊達に気付かれる様子はない。
「森やエルフさんたち、ピュアニカさんに手を挙げるとかマジ天誅――慈悲は与えないぞ」
怒りの様子を見せながら、ロッテは結界術を展開すると隠形と時間加速を付与し、多重詠唱を行う。
一秒を一分に加速した結界内で行われる多重詠唱は、その力を増大させていき……
「十二分に時間を掛けさせてもらったからね――どうなっても知らないぞ♪」
結界を解除すると空間がパリンと割れ、その中からロッテの姿が現れた。
因みにこちらに向かってくるエルフにはその事を話してあるため、あとは合図をして逃げてもらうだけだ。
「今だよ!」
ロッテが合図をすると同時に『這い寄る悪夢(クローリング)』を発動させる。
合図を受けエルフが魔法で飛び、樹上に退避した次の瞬間!
「う、うわぁッ!? なんだこりゃあッ!?」
「しょ、触手!? やめろ、来るな、来るなーッ!」
山賊達の足元に現れたのは底無し沼、それも無数の触手付きだ。
あっと言う間に触手まみれとなり、沼に引きずり込まれていった。
更に先程まで燃えていたはずの森は、這い寄る悪夢の事象改変で元通りだ。
「大丈夫だった? 巻き込まれてないよね?」
「は、はい。我々はなんとか。しかし、凄い……本当に森が元に……」
引き付けた山賊を退治し、エルフの逃げた樹上に飛ぶとロッテは声をかける。
それに対し、エルフはただただ感嘆するように答えるしかなかった……
「みんなノってきたかな? それじゃ、行くよ♪」
「私の持つ、ヴァルキュリアのグラビティなら……!」
一方、黄金像の降った場所ではピュアニカが力が湧く歌唱とダンスのパフォーマンスを行い、ペトラエルが『「寂寞の調べ」(セキバクノシラベ)』で更に後押ししていく。
辺りは熱狂の空気に支配されつつあった。
「エルフの皆はぴゅあへの信仰を捧げて協力してね♪」
「うおぉーッ、ぴゅあ様! ぴゅあ様!」
援護に来ていたはずのエルフ達もすっかりピュアニカに魅了されてしまったか、感情を爆発させている。
……もっとも、それが彼女の力となるのだが。
「く、くそ……一体なんなんだありゃ……」
同士討ちを未だ続ける山賊、黄金像の吸魂で虫の息になっている山賊、そして今、遠巻きにその様子を見る事しか出来ない山賊と、カオスな様相を示していた。
連中は困惑しており、隙だらけだ。
「まだ山賊が残っているようですね……しかし、今が最大のチャンス。エルフの皆さん、あの武器を狙ってください! そうすればピュアさんも喜んでくれます!」
「おぉッ、ピュア様のために!」
ペトラエルが生き残った山賊に気付くとエルフに攻撃を依頼し、弓矢が放たれる。
ピュアニカのパフォーマンスと寂寞の調べで強化された矢は異世界の兵器を易々と打ち砕き、山賊の体をも貫いた。
こうして猟兵達の活躍により、山賊達はほぼ壊滅。
森の燃焼被害も最小限で済んだようだ。
「この森とエルフの皆さんが無事ならよかったです!」
真面目に任務を遂行したペトラエルがひとまず安心する。
……一部はとんでもない事になってるような気もするが、それはさておき。
山賊を退治した猟兵達の戦いは、まだ終わっていない。
何故なら、まだ本命が残っているからだ。
それは……!
成功
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第2章 ボス戦
『チーフメイド・アレキサンドライト』
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POW : カラーチェンジ
対象の攻撃を軽減する【赤紫色のボディ】に変身しつつ、【100発/秒で弾丸を発射するガトリング砲】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : メイドの嗜み
【カラーチェンジした腕】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、カラーチェンジした腕から何度でも発動できる。
WIZ : 掃除の時間
【ガトリングからサイキックエナジーの弾丸】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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●破壊の使者、現る
「く、くそ、あんなのがいるなんて聞いてねえ!」
「こうなりゃ逃げるしかねえ! 雇い主の事なんか知るか、逃げるぞ!」
運良く僅かに生き延びた山賊が慌てて逃げていく。
あれだけいた仲間があっさりやられていったともなれば、それが正しい選択であろう。
これで奴らが森を襲う事は二度とあるまい。
「おお、賊が引き上げていくぞ……!」
「やった、私達はやったのね!」
「森は多少焼けてしまったが、被害も最小限で済んだぞ!」
異界の武器を使う山賊から森を守り抜いたと喜ぶエルフ達。
……しかし、まだ終わってはいない事を猟兵達は知っている。
その直後であった。
森の中で野太い悲鳴と重火器の音が響く。
今のはもしや……
「まったく、とんだ給料泥棒達でしたね。給与の一割分すら働けないとは……」
ガトリング砲を軽々と手にしたメイド服のクリスタリアンが、ブツブツ言いながらやってきた。
奴が今回の元凶であるチーフメイド・アレキサンドライトに違いない。
「ん……なるほど、猟兵ですか。それならあの有象無象がどうにか出来る訳もない、と」
猟兵達の存在に気付くと、それならば仕方ないかと口にする。
こちらの事は完全に想定外だったようだ。
「ですが誰が相手であろうと、私のすべき事は一つです。この森を掃除し、お嬢の求める聖なる木とやらを確保する……それだけの事」
ガシャンとガトリング砲を構えるアレキサンドライト。
あの重い武器を軽々と扱う辺り、見かけによらずパワーもあるようだ。
「全てはお嬢の為に。ぶっ飛ばしますわよ」
このまま奴の好きにさせては、結局森が焼き払われてしまう事に変わりはない。
ならば、悪しきクリスタリアンを今こそ打ち砕くのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この方が元凶ですねぇ?
回収した『アームドフォート』を『FCS』と連動させ『設置砲台』として使用、エルフさん達に『迎撃地点で使えそうな場所』への設置をお願いしますぅ。
『F●S』3種を展開し『FBS』を四肢に嵌め飛行、【仰域】を使用しますねぇ。
『ガトリングガン』の攻撃ならば、数は多くても『銃弾一発の威力』は然程凄まじくはない筈ですから、此方で『乳白色の波動』をバリア状に纏えば吸収が可能ですぅ。
そして、そのエネルギーで強化した『各種の[砲撃]』を連射(=[2回攻撃])で浴びせ、確実に削って参りましょう。
今後の『アームドフォート』の扱いはエルフさん達次第、不要なら持帰りますぅ。
●森を守るための戦い
「こいつが賊のリーダーなのか!?」
「また見知らぬ武器を持っているぞ……」
現れたアレキサンドライトを目にしたエルフ達がざわめく。
アームドフォートの脅威は先の戦いで目にした事もあり、あの武器――ガトリング砲はどれだけの威力があるのか戦々恐々と言ったところか。
「皆さん、ちょっといいですか?」
るこるが緊急でエルフを集める。
どうやら何かを話し合っているようだ。
「……では、そのようにお願いしますねぇ」
簡単にかつ素早く打ち合わせを終えると、エルフ達は方々へと散っていく。
一体彼女は何を伝えたのだろうか?
「……何やらエルフ共が逃げていったようですが、『ここは私に任せて逃げて下さい』をやるつもりでも?」
律儀にも、るこる達の打ち合わせが終わるのを待っていたアレキサンドライトが改めて武器を構える。
「いくら猟兵が邪魔をしても無駄な足掻きである事を教えてやりましょう」
そう言うと、アレキサンドライトの体の色が赤紫色に変わる。
次の瞬間、轟音と共にガトリング砲が火を噴く。
秒間百発の弾丸が吐き出されると、掃射を受けた木々が易々と穴を開けられ、あっという間になぎ倒されていく。
反動もかなりの物のはずだが、射線がブレない辺り腕力も相当な物らしい。
「これは……あまり森に被害を出す訳にもいきませんねぇ」
FBS装着状態のるこるは、スイスイと空中を飛び回って避けていく。
しかし攻撃を回避する事で森に被害が出る事に気付くと、すぐさま手段を変える。
るこるは『豊乳女神の加護・仰域(チチガミサマノカゴ・ノミコマレシセイイキ)』を使い、乳白色の波動をバリア状に纏う。
その直後、敢えてガトリング弾を……受けに行く!
「自ら死にに来ると何を考えて……これは!?」
アレキサンドライトの表情が変わる。
発射されたガトリング弾が乳白色の波動に吸収されているではないか。
「これだけでは終わりませんよぉ」
るこるがそう口にした直後、思わぬ方向から砲撃が飛んでくる。
咄嗟の攻撃を回避しきれずに砲撃を喰らうアレキサンドライト。
「くっ!? 今のはどこから……ッ!?」
視線の先には、樹上にロープで括り付けられたアームドフォートが。
先の山賊との戦闘で確保したアームドフォートをエルフに頼み、迎撃地点に設置してもらう……るこるはこのために先程の打ち合わせをしていたようだ。
なお、発射自体はるこるの装備しているFCSと連動させており、エルフが撃っている訳ではないため安心である。
「自分の持ってきた武器にやられる気分はどうですかぁ?」
「生意気な……!」
「それでは、今度はこっちの番ですよぉ」
るこるが浮遊武装の砲撃を連続で行う。
息つく暇もない怒涛の攻撃に押されるアレキサンドライト。
「この程度の攻撃など軽減……こ、この力は!? ……うあぁぁっ!?」
攻撃が軽減されていない!?
一体何故と思う間もなく吹き飛ばされた。
……るこるの仰域は『吸収した力を自身の強化に変換する』効果がある。
軽減が薄れたのはそれが原因だ。
思わぬ倍返しを受けたアレキサンドライトは自らの慢心を思い知るのだった。
成功
🔵🔵🔴
オル・フィラ
重火器だけでも脅威なのにコピー能力もあるとは、普通に撃ちあってもダメそうです
あと少しだけ、同行の彼女にお手伝い願いましょう
…ここまで一緒に戦った戦友ですし、ちゃんと名前を聞いておかないと、ですね
最初は正面から【泥流弾】を撃ち込んでみます
恐らく防御、コピーされるでしょうから、敵が私の正確な位置を見失うまで木々を遮蔽にして逃げ回りましょう
敵が索敵を始めたら戦友の出番、私が潜む位置とは別方向の木に枝を生やしてもらいます
可能なら複数箇所、立て続けに生やしてもらった方が効果的ですね
そちらに注意を向けた敵の隙を狙って本命の【泥流弾】を命中させる作戦です
森に潜むゲリラを甘く見てはいけませんよ、猟書家
●戦友
「そう言えば、まだ名前を聞いてませんでしたね」
「え、オルさん? こんな時に何を……」
唐突に名前を聞かれ、先の山賊退治で共に戦ったエルフの少女が困惑する。
今は元凶であるボスとの戦いの最中だが……
「ここまで共に戦ってきた戦友だからこそ、名前を聞いておくべきだと思いまして」
「戦友……私が、ですか? 私はただのエルフなのに、そんな……」
「いえ、ですがあの援護のおかげで山賊をスムーズに倒せたのは確かです」
人に矢を放つのは初めてで、戦うのは怖い……でも森を守るためなら覚悟を決める。
出発前に彼女はそんな事を口にしていた。
実際にその覚悟は、先の戦いでしっかり見せてくれたのをその目で確認済だ。
「ならば今こそ、あのボスを倒して森に平和を取り戻しましょう」
「……サリア。私の名前はサリア、です」
自分を戦友と認めてくれた事が嬉しかったのか、エルフの少女――サリアは自らの名をオルに語った。
「ではサリアさん、行きましょうか。次の手を手短に話しますので、そのように」
「はい、引き続き……力を貸して下さい!」
吹き飛ばされたアレキサンドライトが戻ってくるまでもうすぐだ。
次の手も上手く行く保障はないが、作戦の要でもあるサリアを信じるしかない。
戦友とはそう言う物なのだから。
「少しばかり油断をしたようですが、まだこの程度で……」
アレキサンドライトが戻ってきたと同時にオルが正面から泥流弾を即時発砲する。
本来なら相手を無残に破壊する死の弾丸だが、奴は左腕を変色させると……それを受け止めた!
「奇襲が私に通用するとは思わない事です。そして、こう言う事も出来るのです!」
そこから左腕が輝くと、泥流弾を……撃ち返す!
「っ! ……受け止められるどころか、まさかコピーされるとは」
咄嗟にオルが身を屈めた数瞬後、コピーされた泥流弾が近場の樹木を破壊する。
自分の技の事は自分がよく知っているだけあって、撃たれると厄介……当たれば即死かそれに近い威力なのを改めて知る事となる。
「ですがこれも想定内、ここからプランBです」
撃ち合いは不利と悟ったオルは樹木などを利用し、この場から反転する。
「ふふ、自分の技がコピーされてショックのようですね。ですが、逃がしません!」
アレキサンドライトはコピー泥流弾を放ちつつも追跡を開始する。
……しかし、迷いの森でもあるこの森は逃走に適した地形。
加えてオルとの打ち合わせで、サリアが逃走経路に多くの木の枝を生やした事から、あっと言う間に見失ってしまった。
「私とした事が……この森の特性を忘れてしまうとは」
索敵警戒に移行したアレキサンドライトが周囲を見渡す。
邪魔な枝を吹き飛ばそうとコピー泥流弾を放とうとした次の瞬間……突然の銃声!
「くあッ!?」
クリスタリアンの体に激痛が走る。
見れば左足太腿部分に弾丸がめり込み、ヒビが入っていた。
「……奇襲が私に通用するとは思わない事だと、そう言いましたね」
森の中からオルの声がする。
どこに潜んでいるのかは分からない
「森に潜むゲリラを甘く見てはいけませんよ、猟書家」
「くっ……!」
このままでは狙い撃ちにされる。
そう直感したアレキサンドライトは慌ててこの場から逃げ出すしかなかった。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
よぉ
お前が元凶かぁ
そうか(表情が消える。怒りが振り切れた
【属性攻撃】
重力属性を付与
【戦闘知識】
敵の武装と状態
動きの癖を冷徹に観察
【見切り・第六感・残像・空中戦・盾受け】
飛び回りながら可能な限り回避
避け切れないのは盾で致命を避け
距離を詰めれば槍による【串刺し】
【早業・二回攻撃】すぐに剣と太刀に切り替えての斬撃猛攻
【遊撃・レーザー射撃・砲撃】
ガンドライドによる支援射撃で追い込み
戦いながらも常に観察を続けその動きを見切らんと
上空から見下ろし
……何だろうなこの感覚
凄く熱いのに…頭の奥が凄い凍えそうだ
確実に狙い
メテオブラストぉ!!
【重量攻撃】で破壊力を増幅させる
……吐きそうだ……なんだこれ…
●爆発する、怒り
「私の体にヒビが……おのれ、猟兵……」
おそらく安全圏であろう場所まで逃げ延びたアレキサンドライトは、先に受けたダメージを確認する。
左足を撃たれ、動きに若干影響を及ぼすダメージではあるが、痛みは我慢出来るレベル……戦闘に支障はまだない。
「このままでは計画に支障が出ますね、一刻も早く……」
「よぉ、お前が元凶かぁ」
そこへやってきたのは……いや、たまたま居合わせたと言うべきなのだろうか。
同じエルフの猟兵、テラであった。
「誰かと思えばエルフ、しかも猟兵ですか。……ええ、それが何か?」
「そうか」
短く返すとテラの表情が消えた。
貯まりに貯まった怒りがついに爆発したのだ。
同族の森を容赦無く焼き払い、なおかつ虐殺を行おうとしている敵。
……ようやく会えた。
……ようやく殺せる機会が巡ってきた。
ならば何を迷う事がある?
「うおぉぉぉぉ……ッ!」
考える間もなく、テラの体は弾丸のような速さで動き出し、アレキサンドライトに向けて牙を剥いた。
ここまでエルフが殺されたと言う話は少なくとも聞いていない。
……だが何の罪も無い動物達が逃げ遅れ、焼け死んだのをテラは、見た。
少なくとも彼らの分までブン殴ってやらなければ、気が収まらない。
「なるほど、少しはやるようですね。ですがその程度の攻撃など!」
赤紫に変色したアレキサンドライトはテラの攻撃を幾らか受けるも、ダメージ軽減により有効打には至っていない。
反撃として放たれるガトリング砲が火を噴き、テラを襲う。
それを飛び回りながら必死に避け続けていくも、弾幕は厚い。
「くっ、これしきの事……でっ!」
避けきれない分は可変式攻防光盾で受け、被弾を減らしていく。
熱くなりすぎては勝てない相手だ。
「こっのおぉぉぉぉ!」
上手く距離を詰めつつ廣利王の連続突き、更に二刀流でのラッシュも、重力属性を付与しているにも関わらず、アレキサンドライトの体に軽い傷を付ける程度に留まるだけであった。
それでも、相手の癖や武器の扱い方は戦いながらある程度、把握出来たつもりだ。
どうにか奴を釘付けにし、そこから必殺の一撃をブチ込む。
それがテラの狙いであった。
「……ヘカイテアッ!」
テラの呼び掛けに三界神機『ヘカテイア』が虚空より現れた。
突然現れた鋼の機兵にアレキサンドライトが驚愕する。
「な、あれは一体
……!?」
驚く暇は与えないとばかりに、ヘカテイアに搭載されたRS-F『ガンドライド』が支援砲撃を行い、相手の動きを止める。
ここがチャンスとばかりに、テラが飛んだ。
(……何だろうなこの感覚。凄く熱いのに……頭の奥が凄い凍えそうだ)
上空から相手を見下ろしたテラは奇妙な感覚にあった。
違和感はあるが、やるなら今だ。
「これは貴様らに殺された動物達の分だ……喰らえぇぇ、メテオブラストぉ!!」
上空から超重力を纏った踵落とし『メテオ・ブラスト』が炸裂する!
叩き付けられたインパクトは直撃地点にクレーターが出来る程の威力で、アレキサンドライトは再び吹き飛ばされた。
「やった……けど、吐きそうだ……なんだこれ……」
一撃を叩き込んだ直後、その場にへたり込んで頭痛と吐き気に襲われるテラ。
無茶をした代償か何かだろうか?
いずれにせよ、アレキサンドライトに痛烈な一発をくれてやった事は確かだ。
成功
🔵🔵🔴
緋月・透乃
山賊を利用していたメイド……使い捨ての駒として金持ちが賊を雇ったりするやつかな!?
猟書家もベタなことをするんだねー。
そしてベタならメイドは強いはず!戦うのが楽しみだね!
近づいて殴りたいけれど流石に途中で撃たれそうだねぇ。
重透勢を使い、RX推進戦鎚九六式の推進機を利用した高速移動で接近するよ。
狙いずらくするために移動はジグザグがいいね。
敵は手数が多く全ては避けきれないだろうけれど、そこは強化されている防御力と気合いで耐えよう!
接近できたら怪力を活かした攻撃を叩き込むよ!
攻撃を軽減されるとはいえ、宝石の体に重い打撃は結構効くんじゃないかな!?
●森の激突
透乃が森の中を駆け抜ける。
向かう先は激しい戦闘音の聞こえた場所。
おそらくはその近くに討つべき敵がいるはずだ。
「山賊を利用していたメイド……使い捨ての駒として金持ちが賊を雇ったりするやつかな!? 猟書家もベタなことをするんだねー」
相手はスペースシップワールドからやってきたクリスタリアン。
きっとあの世界の珍しい品々をチラつかせ、その気にさせたに違いない。
「そしてベタならメイドは強いはず! 戦うのが楽しみだね!」
一体何故その思考に、と思うやもしれないが……そもそもにして透乃は戦闘好きであり、特に敵が強ければ強い程喜ぶタイプだ。
相手が幹部と言う事であれば、先程蹴散らした山賊よりもずっと強いに違いない。
だからこそ、なのだろう。
「むむっ、あれは……見つけたっ!」
そう口にする、彼女の視線の先には……
「私とした事が、猟兵の力を侮りすぎましたか……まさかこれ程とは……」
ボロボロになったメイド服に傷付いたクリスタリアンの体。
ここまでの交戦で押され続けたアレキサンドライトの姿があった。
「已むを得ません、こうなればここで森に火を……」
「そうはさせないよ!」
アレキサンドライトがガトリング砲に手をかけた瞬間、透乃が割り込むように飛び込んできた。
彼女の手にはRX推進戦鎚九六式……キャバリア用のロケットハンマーが握られていた。
「あんたの悪事もここまでだよ! 私がブッ飛ばすんだから!」
「ええい、どこまでも私の邪魔を……ならば容赦はしません!」
アレキサンドライトの体の色が変色すると同時に、素早く距離を取る。
そこからガトリング砲が盛大に火を噴き、無数の弾丸が銃口より吐き出される。
「来た来た! それじゃあ……ごり押しでいっちゃうよ!」
戦いが始まるや否や、透乃は『重透勢(ジュウトウセイ)』で自身を強化する。
このユーベルコードは敏捷性を犠牲にし、攻撃力と防御力を強化する物だ。
そこから彼女は戦鎚九六式の推進機を吹かし、高速移動を行う。
敏捷性はこちらで補うと言うつもりのようだ。
「武器を移動に!? 少しは考える頭もあるようですね!」
相手の出方に驚きつつも、アレキサンドライトは下がりながら射撃を続ける。
ジグザグに動きつつ攻撃を避けながら接近を試みる透乃だったが……
「あ、マズっ……わあぁぁぁっ!?」
敵の射撃の腕はなかなかの物だったらしく、いくらか被弾してしまう。
これが普通の体ならば即ミンチにされていた事だろうが……
「なかなかやるね……でもこのくらい、気合で耐えるっ!」
重透勢で強化していた事が幸いしたか、ダメージは少なかったらしい。
透乃は被弾しつつも森の地形を生かし、半ば強行突破めいた突撃を敢行する。
「あ、あれだけ弾を受けているのに何故倒れないのです!?」
「よし、間合いに入った! ここだぁーっ!」
透乃のタフさに驚愕するアレキサンドライトは一瞬の油断を突かれ、ついに接近を許してしまい……今まさに振り下ろされる戦鎚九六式が視界に入った。
咄嗟に防御態勢を取った直後、凄まじい衝撃が体を走り……細かな光る欠片をバラ撒きながらアレキサンドライトは三度ブッ飛ばされた。
本来キャバリア用であるハンマーに、透乃の凄まじい怪力も合わさった一撃を叩き付けられてしまえば、攻撃を軽減する効果があっても無事で済むはずがない。
アレキサンドライトが倒れるのも時間の問題となっていた……。
成功
🔵🔵🔴
エーデル・グリムワール
あれが敵ですか…なるほど、知略よりも力押しのタイプに見えますね。
エルフ軍は引き続き協力を、私達の力で悪しき者を森から叩き出すのです!
【瞬間思考力】で即座に敵の戦術と能力を見極め最適な戦略を【戦闘知識】を活かして構築。
敵は大火力ながら単騎、武装の取り回しはそれほどよくない…ならば【地形を利用】し正面に攻撃を惹きつけての包囲飽和攻撃が最適解。
【総攻撃命令】にて呼び出した第3軍団を再編して攻撃、大盾隊を前面に押し出して【盾受け】しつつエルフ軍の射手、魔術隊と第3軍団の弓兵隊に敵を包囲させ【制圧射撃】、同時に騎士隊を四方から突入させる【集団戦術】を私の【団体行動】指揮により実現して敵を圧倒します。
●エルフの反撃
仲間達がアレキサンドライトと激しい戦いを繰り広げている中、エーデルはエルフ部隊の緊急再編を行っていた。
先程まで消火作業に当たっていたエルフが戻ってきた事もあってか、部隊の人数も倍近くまで再編出来たのは大きいと言えるだろう。
もっとも、このような事態になるのは今回が初めてで、訓練は怠っていなくとも実戦経験のない者達ばかりと言うのが少しばかりの不安要素であった。
……彼らを一人も死なせる事なく、この戦いに勝利する。
それがエーデルの密かなる誓いでもあった。
「斥候より報告! 敵首領を発見、これまでの交戦により受けたダメージは大!」
「ならば今が攻め時のようですね……全部隊、前進!」
エーデルが進軍の号令を出すと、彼女を先頭にエルフの軍勢が前進する。
エルフの反撃の時は、もう間もなく始まろうとしていた……
「あれが敵ですか……なるほど、知略よりも力押しのタイプに見えますね」
エーデル達がアレキサンドライトを発見したのはすぐだった。
相手を見て、彼女は瞬時に相手を分析する。
敵は大火力ながら単騎、武装の取り回しはガトリング砲故、それほどよくない。
ならば地形を利用し、正面に攻撃を惹きつけての包囲飽和攻撃が最適解だろう。
「エルフ軍は引き続き協力を、私達の力で悪しき者を森から叩き出すのです!」
「行くぞみんな、軍団長殿の指示に従えば……我々は、勝てる!」
エルフの部隊長が部下を鼓舞し、彼らも続く。
そして激戦続きでひどく傷付いたアレキサンドライトがそれに気付くと、余裕のない表情でガトリング砲を構えた。
「く……いくら有象無象を揃えたところで!」
少し予定は狂ったが、ここでエルフを殺してしまえばオブリビオンとして蘇らせる事も出来るはずだ。
そうなればこっちの物……と考えているのだろうか。
今まさにアレキサンドライトのガトリング砲が火を吹こうとした直前であった。
「来たれ我が精鋭、パルミラ連合第3軍団よ!」
エーデルが魔剣ゾルダートを構え、叫ぶ。
すると彼女の目の前に魔法陣が展開され、その中からパルミラ連合第3軍団が姿を現した……『総攻撃命令(レギオン・アタック)』である。
「蜂の巣になり……な、盾ですって!?」
まず大盾隊が前面に押し出されると、放たれたガトリング砲を受け止める。
城塞のごとき堅牢な大盾は無数の弾丸を物ともしない。
「射手部隊は大盾隊に後ろに! 彼らの後ろにいれば生き残れます!」
素早く指示を出し、エルフ射手部隊を移動させる。
大盾隊は少しずつ広がるように包囲陣形を展開していく。
「続いて射手、魔術隊は第3軍団の弓兵隊と合わせて制圧射撃を!」
「射手隊、矢を放てッ!」
次に魔力を付与したエルフの矢と、第3軍団弓兵隊による矢の嵐がアレキサンドライトを釘付けにする。
ユーベルコードの使えないエルフではあるが、魔力付与の矢は決してバカに出来ない威力だ。
「今が好機です! 騎士隊は四方より攻撃を!」
「騎士隊突撃! 我らの力を見せてやるぞ!」
猛然と騎士隊が突撃し、剣を振るう。
隙の無い集団戦法を前に、防戦一方のアレキサンドライト。
「くぅっ……! エ、エルフの分際で……!」
取るに足らないエルフごときに自分がここまで押されると言う屈辱に、アレキサンドライトが歯噛みする。
自慢のガトリング砲もまともに撃つ事が出来ず、クリスタリアンの体に更なる傷が付けられていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ロッテ・ブラウ
WIZ グループ【妖邪天】
ピュアニカさんの【邪神の宝物庫】との連携
魔法陣を盾にしながら一緒にガトリングの速射から身を守りつつ
『ついでにコレもお願い♪』と召喚したボクの【死に舞う蝶】も吸収して貰い
「高速発射」能力を活用して
告死蝶と幻覚を誘発する鱗粉を効率よく散らして貰います
目的は「幻覚作用」による行動妨害と副次効果の「自己再生」と「増殖」の数の暴力に任せた『粗食』攻撃
うん~舞う蝶の群れは幻想的だよね?
ただ潰せば潰すほど増えるし、効果内容は最低―
撤退が最適解だけど、気づいた時には夢の中ってねー
もう聞いてないかもしれないけど…バイバイ?
純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
妖邪天
サクッと終わらせて、早くエルフのお姫様迎えに行かなきゃ〜♪
魔法陣を盾に、吸い込んだ弾丸は加速して他に展開した魔法陣から撃ち返しちゃえ♪
はぁい♪ロッテ君の蝶も貯蔵して発射♪
森へ被害を出さないように淫魔の翼で敵の真上へ飛んで行って(空中浮遊/推力移動/空中戦/地形の利用)地面の敵へ向けて特大魔法陣展開♪敵の足下にも同じ大きさの魔法陣を展開して上下で挟み撃ち♪
ロッテ君とペトラちゃんとエルフさん達にも魔法陣シールド付けてあげるね♪
魅了の歌で精神攻撃〜♪
隙をついてガトリングを歌か魔法陣で奪っちゃえー♪
魔法陣から取り出してぴゅあがガトリング使ってあげるよ♪(神罰)
ほらほらー♪(ガトリング撃ちながら)
純真天使・ペトラエル
妖邪天
ヴァルキュリア、ペトラエル・ターンが導きます!
UCを楽器演奏してエルフさん達へ英雄の如き力を導き与えます!感情系技能を与える効果を仲間のお二人にも!
上下からはピュアさんが攻撃しているので皆さんで囲い込みましょう!
攻撃はピュアさんの魔法陣盾と光のオーラ防御で防ぎます。
怪我をした人には光の翼で飛んで行って天使の光輪の力で治療します。
治療と支援が最優先ですが隙を見てウォンドからの光魔法(レーザー射撃)で攻撃します。
戦闘が終わった途端、ぴゅあさんが私とエルフの方を乗せて馬車で飛び出してしまいましたが……恐らくはエルフのお姫様の所でしょうね……
……あとで私もピュアさんと沢山イチャイチャしたいです!
神咲・七十
アドリブ・連携お任せ
さっきの山賊の後だと言葉遣いが丁寧に感じますね。実際はそうでもないですけど(お菓子もぐもぐ)
(UC『万花変生』を使用。アレキサンドライトの攻撃を防ぐ大型の盾のような植物を出してエルフさん達に援護してもらいながら接近し、大剣と尻尾の連帯攻撃で、攻撃していきます)
色々と気になってることがあるので教えて貰いますよ?(お菓子もぐもぐ)
(近距離で盾の前面部をアレキサンドライトに向けて、そこから粘度の高い粘液を飛ばし、出した粘液が固まる形で拘束する)
ほむ、私としてはここからが重要ですが。
(隷属させる植物を植え付けて、吸血をしてゆっくり弱らせて隷属の条件を満たして取り込もうとします。)
●悪しきメイドに裁きを
アレキサンドライトは満身創痍であった。
最初はあれだけの余裕を見せていたにも関わらず、猟兵達とエルフの連携により次第に追い込まれ、今となっては美しい体の一部がひび割れ、砕けてしまっている程だ。
「こ、こんなバカな事が……私が、この私がここまで追い込まれるとは何かの間違いです……!」
こうなった理由はただ一つ……猟兵とエルフの力を侮りすぎた、それだけである。
異世界の武器ならば余裕で森を焼き払えると思っただろうが、猟兵の介入もあって計画は失敗。
今まさに、追い詰められている状況であった。
「サクッと終わらせて、早くエルフのお姫様迎えに行かなきゃ〜♪」
早く仕事を終え、お楽しみと行きたいピュアニカ。
「いよいよ虫の息ってところだね。なら、確実に倒すよ」
「はい、エルフの皆さんは私達が守ります!」
ピュアニカと共にやってきたロッテとペトラエル。
「さっきの山賊の後だと言葉遣いが丁寧に感じますね。実際はそうでもないですけど」
そして先程同様に、お菓子を口にしながら喋る七十。
この四人と、後方に控えるエルフ達がアレキサンドライトを包囲する。
向こうからすれば、まさに絶望的状況とも言えるだろう。
「……こうなれば已むを得ません。このアレキサンドライト、タダで死ぬつもりはありません」
ここに来て覚悟を決めたか、アレキサンドライトがガトリング砲を構える。
こんな状態であっても、最後まで戦うつもりだと言うのだろうか。
「一人でも多く、骸の海へ道連れにしてやりましょう。ふふ、ふふふ……!」
そう言うと怪しげな笑いを浮かべる。
奴が自棄になったと言うべきかどうかは分からないが、危険な事に変わりない。
「……皆さん、ご注意を! 相手の戦う意思はまだ折れていません!」
ペトラエルが真っ先にアレキサンドライトの殺意に気付くと、周りに警告した。
「でも大丈夫。ボク達と共に戦えば、絶対に勝てるからね」
続いてロッテがエルフ達を鼓舞すると。
「それに、ぴゅあの信仰が強ければ誰にだって負けないよ♪」
先の山賊退治にて、同行したエルフ達を魅了し力を得たピュアニカが更に煽る。
「早いとこ済ませましょう。やらなきゃいけない事もありますからねー」
やはりお菓子を口にしつつ喋る七十。
さあ今こそトドメを刺して森に平和を取り戻せ、猟兵よ!
「みんなまとめてぶっ飛びなさい!」
ガトリング砲からサイキックエナジーの弾丸が放たれ、猟兵達に向けて一斉に牙を剥く。
通常弾と違い、サイキックエナジーの弾丸は視認している相手に向かって飛んでいく誘導弾のような物だ。
例え身を隠しても、弾丸は障害物を避けるように飛んでくるだろう。
「来ましたね。ならここは防ぎましょう」
まず七十が『万花変生(バンカヘンジョウ)』を使うと、大型の盾のような植物を召喚しサイキックエナジーの弾を防ぐ。
植物とは言え、耐久力もかなりの物らしく直撃を物ともしないようだ。
「エルフの皆さん、援護お願いしますね」
七十の呼びかけを受けたエルフ達は魔法や弓矢を放ち、後方支援を行う。
その中を縫うように、七十は接近すると大剣と尻尾の連帯攻撃でアレキサンドライトを攻めていく。
相手も時折ガトリング砲を振り回すなどしながら距離を取るなどしつつ、サイキックエナジー弾で反撃を試みていく。
「危ない攻撃は……吸い込んで返しちゃえー♪」
一方のピュアニカは『邪神の宝物庫(イーヴィル・メモリーズ)』を発動させると、目の前に魔法陣を盾のように展開。
飛んできた弾を吸収すると、別方向にも展開した他の魔法陣から直接撃ち返した。
七十との交戦中、突如自分のところへ高速で撃ち返されたサイキックエナジー弾に驚愕するアレキサンドライト。
しかし、別の弾が寸前のところで相殺し事無きを得る。
何故こちらの攻撃が撃ち返されたのかを考える間もなく、激しい攻めから逃げ回りつつ更に反撃を続ける。
それが自滅を誘発している事に気付くのは、もう少し先の事だ。
「ヴァルキュリア、ペトラエル・ターンが導きます!」
同じ頃、ペトラエルが『永勇幾聖(エインヘリアライズ)』を楽器演奏で奏で、この場の仲間達全てに力を与える。
永勇幾聖で猟兵と同等の戦闘力を非戦闘員含め与える力を受けたエルフ達は、更に戦意が昂揚。
ユーベルコードの使えない彼らでも、その攻撃一つ一つがユーベルコード並の威力を持った物となる事であろう。
「さあ、皆さん! 森を守るために今こそ全力を尽くす時です!」
「「「オォーッ!」」」
ペトラエルの鼓舞を受けたエルフ達が強力な攻撃を放ち、アレキサンドライトに追い打ちをかける。
一部、魔法陣の隙間を縫ってサイキックエナジー弾がエルフに被弾する事もあったが、素早く駆け付けると天使の光輪の力で即時治療。
それ以外はウォンドからの光魔法で、エルフと共に攻撃を行っていく。
アレキサンドライトが一歩、また一歩と追い込まれつつあるのは明白だ。
「ついでにコレもお願い♪」
更にはピュアニカの魔法陣でアレキサンドライトのサイキックエナジー弾から身を守られているロッテが、召喚した『死に舞う蝶(プシュケー)』を吸収させる。
超速の自己再生と増殖の器官を生やした、危険な幻覚作用のある鱗粉を散らす告死蝶が次々と魔法陣の中へ吸い込まれていく。
使い方を一歩間違えば、こちらにも危険が及ぶであろう物だ。
「はぁい♪ それじゃあ、準備を始めるよー♪」
ピュアニカがふわりと淫魔の翼でアレキサンドライトの真上を取る。
その直後、ロッテが交戦中の七十に呼びかけた。
「……七十、一旦下がって! 巻き込まれるよ!」
「む、分かりました。何かヤバそうな感じですからね」
警告を受けた七十が直感的に危険を察知すると、素早く後退した。
次の瞬間、アレキサンドライトの頭上と足元に特大の魔法陣が展開される。
「これは……魔法陣!?」
「挟み撃ちだよー♪」
ピュアニカが展開した魔法陣の中から、吸収したサイキックエナジー弾とロッテの死に舞う蝶が上と下から次々とアレキサンドライトを襲う!
「うあぁぁぁぁぁーーーッ!?」
避けようのない攻撃に身を削られていくアレキサンドライト。
「少しでも遅かったら巻き添えになってましたね。危ない危ない」
七十がポケットからお菓子を取り出し口にすると、間近で苦しむアレキサンドライトを見て他人事のように呟く。
……しかし、まだまだ奴にとっての悪夢は終わらない。
「うふふ、今日は気分がいいから、ぴゅあの歌を聞かせてあげるね♪」
「や、やめなさい……何をする気で……」
更にピュアニカは魅了の歌で精神攻撃を仕掛け、よりアレキサンドライトを追い詰めていく。
肉体と精神、両方に深刻なダメージを受けて苦悶するアレキサンドライトは、ついに得物であるガトリング砲を手放した。
「これこれ、これが欲しかったの♪ ほらほらー♪」
魔法陣から吸い込まれ、自分のところに吐き出されたガトリング砲を手にしたピュアニカはおもちゃを扱う子供のように、楽しそうな様子で発射。
無慈悲な追撃を叩き込む。
「……ここまで来ると、敵とは言え少し同情しますね」
じわじわと死に向かいつつあるアレキサンドライトを見たペトラエルがぞっとしたような様子で呟いた。
ピュアニカだけは絶対に怒らせてはいけないと、改めて思う。
「まあ森とエルフさん達を焼き払おうとしたのは事実だし、当然の報いだけどね」
一方のロッテは淡々と口にする。
「それにしても、ロッテさんの告死蝶はきれいですね。近付いたら危険ですけど」
「うん~舞う蝶の群れは幻想的だよね? ただ潰せば潰すほど増えるし、効果内容は最低―撤退が最適解だけど、気づいた時には夢の中ってねー」
今もなお、告死蝶とピュアニカが奪ったガトリング砲で少しずつ削られていくアレキサンドライト。
そう簡単には死んでもらうつもりがない辺り、実に邪神らしいやり方だ。
「……あ、すいません。ちょっと攻撃を止めてもらってもいいですか? ええ、少しばかり猟書家の人に聞きたい事がありまして」
と、そこへ七十がお菓子をもぐもぐしながら口を挟む。
どうやら何かしらの目的があるようだが……?
「んー、いいよ♪ やる事は大体終わったし♪」
「そうだね、もう死にかけてるような物だし」
七十の要請を受け、ピュアニカとロッテはそれぞれ攻撃を止める。
既にアレキサンドライトは虫の息だ。
「どうも。……さて、色々と気になってることがあるので教えて貰いますよ?」
お菓子を食べつつ、七十が接近すると盾の前面部をアレキサンドライトに向け、そこから粘度の高い粘液を飛ばすと、出した粘液が固まる形で拘束する。
これも万花変生の効果の一つだ。
「な、何を……する気です……」
「ほむ、私としてはここからが重要ですが」
七十は隷属させる植物を植え付けて、吸血をしてゆっくり弱らせていく。
「あ、ぐぐ……!」
「猟書家と言うのは随分と手広くやっているそうですので、取り込んだ上で詳しく教えてもらおうかと」
「ぐ……お、お嬢のため、私は死んでも……口を……わ、割り、ま……せん」
それだけ言い残すと体の耐久力が限界を迎えたのか。
アレキサンドライトの全身にヒビが入ると、ついには粉々に砕け散った。
おそらくはあと少しと言うところで隷属させ、奴を取り込めたやもしれないが……プリセンス・エメラルドに対する忠誠心がギリギリでそれを上回ったのだろうか。
「むー、上手くいきませんでしたか。情報が得られると思ったのですが」
さすがに猟書家相手ではそう簡単にいかないのか。
砕け散ったアレキサンドライトの破片を眺めつつ、七十が呟く。
……ともあれ、これで森を焼き払おうとしていたアレキサンドライトの計画は阻止する事が出来た。
「うんうん、これで無事に終わったね♪ それじゃ、早速たっぷりお礼してもらいに行かないと、ねー♪」
任務を終えたピュアニカが仲間とエルフを馬車に乗せる。
この後の事を詳しく書く事は出来ないため、各々の想像に任せる事になるが……里で念願のお楽しみタイムであろう。
(どうにか初めての任務は完了しましたが……今日は疲れました。ともかく、無事で済んで何よりです)
半ば振り回されるような形で初任務に出撃し、戦い抜いたペトラエルが馬車の中でため息を一つ。
きっと今は『ご褒美として、あとで私もピュアさんと沢山イチャイチャしたい』と思っている事やもしれない。
「もう聞いてないかもしれないけど……バイバイ?」
そして戦場から遠ざかっていく中で、ロッテが砕け散ったアレキサンドライト『だった物』に向けて、別れの言葉を手向けるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
最終結果:成功
完成日:2020年12月12日
宿敵
『チーフメイド・アレキサンドライト』
を撃破!
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