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波間に輝く死者の星

#グリードオーシャン #七大海嘯 #完結シナリオ

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#グリードオーシャン
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#七大海嘯
#完結シナリオ


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●船乗りたちの与太話
 グリードオーシャンのとある海域。この辺りを航路として利用している船乗りが集まる酒場ではこんな噂が流れていた。

 ―――獣の形をした岩の頭上に月が昇る頃、獣の顔と睨み合いながら西へ行く船は気をつけろ。獣の岩を通り過ぎた時、波間に青い星が見えるだろう。
 それはいつからか現れた死者の島への案内状。死人を迎える鬼火の色だ。
 青い星を見つけたら何をおいても引き返せ。青い星がその背中を見ているぞ。

 そのまま進んだらどうなるって?そりゃあお前、面白がって見に行った船が帰ってこねえんだ。想像がつくだろ―――青い星の仲間入りさ。

 それを聞いた船乗りは海によくある話の一つだと酒の肴として聞き流し、別の場所でふと思い出したそれを話す。今やその噂は別の海域でも広まって、中には青い星を追ってやろうと出向く者さえいる始末。
 今日もまた青い星を追って船が来た。落ち窪んだ眼下に青や紫に灯した炎を追って。
 その炎が今や死者に支配された島への招待状だと信じていれば、青い星の仲間に入ることもなかっただろうに。

 新たな死者が増える様を、島に翻る鬼火の旗が見下ろしていた。

●ビーチフラッグin死者の島
「噂を頭から信じるのはあんまりよくないけど、面白がって広めた結果がこれだよ!」
 バンバンと相棒のメガロスのボディを叩くキャロ・エレフセレリア(たーのしー!・f12156)。メガロスは気にせず寒い中来てくれた猟兵達に暖かい飲み物を配っている。
 ほっと一息ついたところで改めてキャロが話したのはグリードオーシャンで突発的に起こる船の行方不明事件―――とは言っても犯人が誰かはもう分かっている。
 船乗り達が噂する青い星とはとある島に翻る海賊旗と、その旗の下に集まったコンキスタドールの眼窩に灯る鬼火であり、行方不明になった船はコンキスタドールによって沈められたのだ。
「その島は海流の具合でどこかで沈んだ船の残骸とかが集まってくるから『死者の島』なんて呼ばれてるんだけど、島民はちゃんと生きた人間だよ!」
 島には資源が少なく島民は流れ着く船の残骸から遺体を見つければ丁重に弔い、まだ息があれば懸命に介抱した。その代わりに船の残骸を生活に利用して暮らしていた。
「それが『七大海嘯』って言うすっごいコンキスタドールが現れちゃって、あっという間に島は支配されたんだよね。しかも配下のコンキスタドールが島にうじゃうじゃ!」
 現在島には七大海嘯の縄張りであることを示す『鬼火の海賊旗』が翻り、配下のコンキスタドールによって島民は苦しめられている。
 海に飲み込まれ死んだ者達から生まれたと言う怨霊騎士『ディープ・ライダー』は島全体に配置され、七大海嘯から支配を任されたコンキスタドール『水底の落とし子』が率いている。
 かつて生贄として、あるいは誰かのみせしめに深海に沈められた子供たちの無念と生者への嫉妬を抱えた水底の落とし子による支配は容赦なく、島民たちは縄張りに入ってきた船乗り達の遺体を集め新たな配下にするための儀式を行うために働かされている。
 配下が活動しやすいよう闇に支配された島では作物が育たず配給される食糧がないと生きていけない。逆らった者は家族や友人まで連帯責任で殺され配下の仲間入りだ。
「島の人達を助けるためにも、この島に近付いて殺されちゃう人をこれ以上出さないためにも、みんなにはコンキスタドールを倒して『鬼火の海賊旗』を燃やしてほしいんだ!」
 死者の島に翻る鬼火の海賊旗は七大海嘯の内『鬼火』の支配下であることを示す『海賊旗のメガリス』でもある。コンキスタドールを倒しこの海賊旗を燃やせば島民は解放されるだろう。
 死者の島は東側から南側にかけてなだらかな砂浜、西側から北側は岩礁と絶壁で船を寄せ付けないが、水中には洞窟があり島内部に侵入できる。
 猟兵ならばどこからでも侵入できるだろうが、どちらもディープ・ライダーに見張られている。侵入したら即戦闘になるだろう。
「グリードオーシャンの船乗りって基本的に覚醒者なんだけど、それでも島に行ったら帰って来れなかった。みんなも十分に気をつけてね!」
 キャロのグリモアが起動し、猟兵達は恐ろしい死者がはびこる島へと向かった。


水見
 猟兵のみなさんはじめましてこんにちは。マスターの水見です。
 今回の舞台はグリードオーシャン。『七大海嘯』の一つ『鬼火』の配下に支配された島を開放し島民を助けるために頑張るお仕事です。

 全編通して夜のような闇の中での戦闘や活動が続くので、明かりの持ち込みなどの対策をお願いします!

 第一章は『ディープ・ライダー』の集団を倒すお仕事。
 海で溺れ死んだ者、配下たちに殺され仲間入りした船乗りや島民がオブリビオンに成り果てた異形のアンデッドは島のあちこちに蔓延っています。
 島の東西(砂浜)南北(岩礁か洞窟内)の自由な場所を選んで侵入してください。自分の得意な戦場を選ぶとより戦いやすいと思います。

 第二章は『水底の落とし子』を倒すお仕事。
 かつて生贄や見せしめのために深海に沈められ死んでいった子供たちの無念と生者への嫉妬から生まれたオブリビオンはこの島の実質的な支配者です。
 倒せばこの島は解放されたも同然。頑張ってください!

 第三章は『鬼火の海賊旗』を燃やすお仕事。
 オブリビオンを倒してもまだ島は闇に包まれたまま。
 レガリアである『鬼火の海賊旗』を燃やさなければこの闇は晴れません。暗闇の中を探索して海賊旗を探して下さい。

 みなさんのプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『ディープ・ライダー』

POW   :    怨みの一撃
【怨念を纏う巨大な三叉槍】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    海の底から来る者
【突如地中より溢れ出す黒く濁った海水】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ   :    猛毒の細針
レベル×5本の【猛毒】属性の【ウニの一種、ガンガゼのような細長い毒針】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夜空には満天の星と月が輝き眩しいほどに海を照らしている。その光は遠目に見える『死者の島』も照らしているはずだが、島は霧のように闇に覆われていた。
 時折光る青い星―――あれが島を支配する『七大海嘯』の内『鬼火』によって島に放たれた異形のアンデッド『ディープ・ライダー』の眼窩に灯る鬼火。
 猟兵達が乗る船が近づくにつれ鬼火の数は増えて行く。密かに侵入することは難しい。島に辿り着けば即座にディープ・ライダーの集団と戦闘になるだろう。
 死者の島の東西は広くなだらかな砂浜。砂は細かく足が沈みやすいが、下半身が蟹のような形状をしたディープ・ライダー達には障害にはならない。
 島の南北は岩礁が多く船が入れないためそれ以外の手段で岩礁を越えてごつごつとした岩場から上陸するか、水中にある洞窟から侵入し島の内部にある湖から上陸する事になるだろう。
 七大海嘯の一つ『鬼火』の配下に支配された島を解放するため、猟兵達はそれぞれの戦場に向かった。
紬雁・紅葉
怨念屍鬼…ならばそれこそ
御鎮めせねばなりますまい

砂浜から

羅刹紋を顕わに幽か笑み

先制UCに破魔水属性を乗せて最大範囲展開
結界術にて場を清め強化効果を味方にも付与

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
足場熟練と悪路走破で砂地も些事

九曜、巴、鳳翔を適宜使い分け
射程に入り次第破魔水雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で防ぐ

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

大海神…母なる海よ
送り給え送り給え
無念を燃やす鬼火不知火
その穢れ濯ぎ黄泉路へ水底へ

無念の鬼火!
去り罷りませ!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


ゲニウス・サガレン
脚の形状から推察するに、ディープ・ライダーは遊泳よりは沿岸の移動力に長けている。

アイテム「潜水作業服」で水中の洞窟から島内に侵入し、アイテム「星屑のランタン」の明かりを頼りに足場の良い場所まで進みたい。

アイテム「フライング・シュリンプ」、有翅エビの大群で相手を攪乱し、多対一を避ける。

UC「ガジェットショータイム」
打撃武器出てくれ!ハンマーとか、バールのようなものとか……
カニのように関節の多い脚なら打撃が効果的なはずだ!
ハサミと武器の両方が届く、相手の正面を避けて戦おう。

さて、ここで騒ぎを大きくすれば他の猟兵が他から侵入しやすくなるはず……やばくなったら、湖から泳いで逃げようかな……




 船から見える砂浜は暗闇に沈み、満天の星も月も届かない。揺れているのは紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)の接近に気づいて砂浜に集まる異形のアンデッド『ディープ・ライダー』の眼窩に灯る鬼火のみ。
「怨念屍鬼……ならばそれこそ御鎮めせねばなりますまい」
 剣神を奉る巫女である紅葉にとって、邪なるものを鎮め封じるのは務めである。額から伸びる角が示す羅刹の力と戦を好む性質はディープ・ライダーの群れとの戦いを忌避することもない。
 胸元に顕れる羅刹紋を一撫でし幽かな笑みを浮かべた紅葉は長い漆黒の髪と巫女の装束を翻し砂浜に降り立つと、赤茶色の瞳で押し寄せるディープ・ライダーの群れに向かって『九曜陣・八雲(クヨウジン・ヤクモ)』の陣 を描いた。
「八雲立つ、出雲……!」
 叢雲が象りし九本の剣に込められた破魔の力は紅葉に襲い掛かるディープ・ライダーに痛手を負わせ、砂浜に突き立った剣はその場所を起点に巨大な九曜紋を砂浜に描き出す。
「大海神……母なる海よ。送り給え送り給え」
 紅葉の祝詞と共に九曜紋から場を清める破魔の力と水の力が広がり紅葉の力を高めて行く。
 砂浜も暗闇も、紅葉にとっては障害にはなり得ない。一見すると緩やかに、しかしその独特の歩法で残像を作り出す紅葉はいとも容易くディープ・ライダーの集団に近付き突如として猛威を振るった。
「無念を燃やす鬼火不知火。その穢れ濯ぎ黄泉路へ水底へ 」
  無二の友である聖なる霊が名付けてくれた『薙刀「巴」』は破魔の力を宿し、紅葉の羅刹たる力で振るわれれば周囲を薙ぎ払う恐るべき嵐の如き威力を見せた。
 その嵐は雷を伴い、大いなる海が傍にある事でなお強まる水の力を得て広がりディープ・ライダーが持つ猛毒の細針など諸共切り払い吹き飛ばし荒れ狂う。
 まだ巴の刃が届かない場所にいたディープ・ライダー達が射程の外から一斉に毒針を放つが、長柄の武器を振り回しながらも身軽に動く紅葉に躱され霊木を組み込んだ『破魔重弓「鳳翔」』と言う不死不浄を祓う弓に射貫かれた。
「無念の鬼火!去り罷りませ!」
 振るわれた巴の刃がまた一つ、砂浜に破邪の嵐を巻き起こす。


 島の南北に広がる岩礁へ向かったゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は潜水作業服に身を包み、月明かりの一筋さえも届かない暗い海へと潜る。
 『星屑のランタン』の静かな銀色の光に照らされた海中には生命の気配すらなく不気味だったが、ディープ・ライダーがいる様子ない。
(脚の形状から推察するに、ディープ・ライダーは遊泳よりは沿岸の移動力に長けている。当たってたようだね)
 元は漁業で栄えた島の出身であり海に慣れ親しんだゲニウスはスムーズに洞窟を通り島の内部に侵入を果たした。
「流石にここまで来たら見逃してくれないか……」
 ゲニウスの灰色の髪が水気とは違う島を支配する暗闇の空気に晒される。
 周囲を取り囲む異形のアンデッドの数は多く、包囲を突破するのは難しい。
「打撃武器出てくれ!ハンマーとか、バールのようなものとか……」
 ディープ・ライダーに有効な武器を召喚するため『ガジェットショータイム』を敢行する。
 そんなゲニウスを援護するのはカバンから『フライング・シュリンプ』と言う文字通り空飛ぶエビ。次々と飛び出し大群を成すと主人と認めたゲニウスのため、果敢にディープ・ライダーの集団に飛び掛かる。
「よかった、大当たりだ……」
 ほっとするゲニウスは頑丈な槌頭を持つロングハンマーを振りかざし、フライング・シュリンプに攪乱されるディープ・ライダーの集団に殴りかかった。
 ディープ・ライダーの下半身は蟹に似た形状をしている。ゲニウスの観察眼と知識は関節の多い脚の弱点を見抜き、鋭い鋏と銛による攻撃が脅威となる正面を避けて回り込む。
 節足動物の足はその場での方向転換が難しい。なんとか防御しようとした銛を跳ね飛ばすようにディープ・ライダーの関節に命中。下半身を砕き、追撃の一振りで上半身を破壊した。
「ここで騒ぎを大きくすれば他の猟兵が他から侵入しやすくなるはず……」
 他の猟兵達のためにもロングハンマーを振り回しフライング・シュリンプの援護を受けながらディープ・ライダーを砕くゲニウスに、ディープ・ライダー達も次々とテレポートし集まってくる。
「……やばくなったら、湖から泳いで逃げようかな……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

七大海嘯ね。グリードオーシャンには少し関わりがあってね。多くの人達の命が関わってるなら放って置けない。不吉な奴らは退治しないとね。

アタシら家族は水中にある洞窟を戦場に選ぶ。ここが一番戦い易い。泳ぎには自信はあるが、瞬の呼び出す水の精霊の助けは借りる。灯りは子供達に任せようか。

さて敵の槍を正面から受ける気は無い。正面からの抑えは子供達に任せて【目立たない】【忍び足】で敵集団の背後を取る。背後を取れたら【範囲攻撃】化した竜牙を使用。追撃で【怪力】【グラップル】で蹴り飛ばそうか。死を齎す異形はこの世にいらないねえ。とっとと消え去りな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

グリードオーシャンには関わりがありまして。何か厄介な勢力が蔓延っているようで。沢山の無辜の命が奪われるのは阻止せねば。まずはこの不気味な骸骨の退治ですね。

水中にある洞窟を戦場に選択。瞬兄さんの召喚する水の精霊の力も借りて泳ぐ。

何か不気味な針が飛んでくるのでトリニティエンハンスで防御力を上げ、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【毒耐性】でなるべく攻撃を引き受けます。態勢を崩すと痛打を喰らうので出来るだけ踏ん張りますよ。攻撃する余裕があれば【二回攻撃】【衝撃波】を【範囲攻撃】化して攻撃。いかにも継ぎ接ぎした感じの戦力に見えますので、先兵は即急に退場して貰いましょう。


神城・瞬
【真宮家】で参加

僕達家族は少しグリードオーシャンに関わりありまして・・・大勢力を持って死を齎そうとは許し難い。この島に暮らしている住民の皆さんの為にも悪逆の輩は駆逐しましょう。

水中にある洞窟を戦場に選択。泳ぎの補助に水の精霊を召喚。洞窟に着いたら光の精霊で灯りを。

前面から敵の攻撃を受ける奏の負担が大きいので援護を。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を【範囲攻撃】化して敵集団の動きを制限し、【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢で攻撃を。飛んでくる敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。さあ、どいて貰いましょうか。死を齎す存在はこの世界にはいりません!!




 死者の島に近付くほど夜の海を眩く照らす月と星の光は遠ざかり、水面は暗闇に染まり黒い岩礁との見分けさえつかなくなって行く。
「鬼火の七大海嘯ね……」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)はこころなしか茶色の髪を揺らす風すらじっとりと重く気味の悪いものに変わった気がして紫の瞳で暗く沈む島を見据え腕を組む。
 ここからでもちらちらと青い光―――島に蔓延るディープ・ライダーの鬼火が見える。
「何か厄介な勢力が蔓延っているようで。沢山の無辜の命が奪われるのは阻止せねば」
 響は茶色の髪も紫の瞳も自分のものを受け継いだ娘、真宮・奏(絢爛の星・f03210)にもちろんだと頷いた。
「多くの人達の命が関わっているなら放って置けない。不吉な奴らは退治しないとね」
 そうだろう?と問うまでもない。奏はもちろん、赤と金のオッドアイで暗闇の中増えて行く鬼火を見据える神城・瞬(清光の月・f06558)もまた同じ思いで船上に立っていた。
「大勢力を持って死を齎そうとは許し難い。この島に暮らしている住民の皆さんの為にも悪逆の輩は駆逐しましょう」
 長い金色の髪を照らす光はすでにない。船は岩礁地帯に到着していた。
「ここから先は精霊の手助けを借りましょう」
 瞬が『精霊のフルート』を奏でると、精霊術士である瞬の呼び掛けに応えた水の精霊が三人を包み込むように集まって来た。
 響も奏も泳ぎに自信はあったが、これから行くのはディープ・ライダーの群れが待ち受けている水中洞窟で、それも光の届かない暗闇の中なのだ。船から海に飛び込み水中洞窟へ向かう途中でさえあまりの暗さに互いを見失うかと思うほど。
「瞬兄さん、ありがとうございます」
 水中洞窟に入り水が途切れる場所に辿り着き、今度は月の力が込められた『月虹の杖』を翳し洞窟内を照らす瞬に奏が礼を言う。それに瞬も笑みを返すが兄妹の微笑ましいやり取りも洞窟の奥から響く硬い音に中断された。暗闇から灯り増えて行く鬼火。岩盤と爪が当たる硬い音を響かせながらディープ・ライダーの群れが近付いていた。
「二人とも、準備はいいかい?」
 豪快な性格を表すかのようなオーラを纏う『真紅のガントレット』の具合を確かめる響に奏と瞬が頷き、先に奏がそれぞれに精霊の力が込められた『アクア・セイバー』と『エレメンタル・シールド』を構えてディープ・ライダーの群れに挑む。
「まずはこの不気味な骨の退治ですね!」
 炎の魔力、水の魔力、風の魔力を束ねる『トリニティ・エンハンス』で防御力を強化した奏はディープ・ライダーの銛を盾で受け止め、体勢を崩さないように足に力を込める。
 押し寄せるディープ・ライダーの群れの数は多い。もし体勢を崩せばその隙を突かれて痛手を喰らい、数で押し切られるだろう―――奏がたった一人で戦っていれば。
「援護します」
 瞬の結界術がディープ・ライダーの群れを飲み込むように展開して行く。結界に組み込まれたいくつもの術は肉の体と眼を持たないディープ・ライダーには充分な効果を発揮しきれなかったが、肉を持たない骨と甲殻の体だからこそ効く術もある。
 肉に守られていない骨格にひびが入り動きが鈍った。
「さて、これを見切れますか?」
 洞窟内を照らす淡い光が『氷晶の矢(ヒョウショウノヤ)に反射する。高速で練り上げられた魔法はその短い時間に全力で魔力を注がれディープ・ライダーに突き刺さり、骨格をへし折り貫く。
「さあ、どいて貰いましょうか。 死を齎す存在はこの世界にはいりません!!」
「その通りだよ!」
 響の声はディープ・ライダーの群れの背後から、激しい破砕音と共に響いた。
 真紅のオーラが洞窟の中で乱舞しディープ・ライダーを殴り飛ばし、蹴り飛ばす。
 奏が前面に立ってディープ・ライダーを引き受け、瞬が援護をしてディープ・ライダーを撃破して行く間に響は忍び足で群れの背後まで回り込んでいたのだ。
「この一撃は竜の牙の如く!!喰らいな!! 」
 響の怪力はただ殴るだけでも強烈だが、『竜牙』の威力を加えられた拳はディープ・ライダーのあばらをへし折るだけではとどまらず、そこから体を切断する。
 一体二体がやられてもそれ以上の数で響を仕留めようとディープ・ライダーは次々に攻撃を仕掛けて来るが、襲いかかる怨念を纏う巨大な三叉槍は奏が剣で払い除け、放たれた毒の細針は盾で受け止める。
 奏の横をすりぬけ回り込もうとするディープ・ライダーは瞬の結界術に文字通り足止めを受けて氷の矢でまとめて貫かれる。
 そして二人が仕留めきれなかったディープ・ライダーは背後から少人数での挟み撃ちを敢行した響がとどめを刺して行く。
「死を齎す異形はこの世にいらないねえ。とっとと消え去りな!! 」
 増援なのだろう。集団の背後をとった響の後ろにディープ・ライダーが迫っていたが、響回し蹴りで頭蓋骨が半分吹き飛んだ。敵の背後をとったからと言って油断はしていない。
 増援らしきディープ・ライダーの集団に向けて竜牙を放ち、まとめて蹴り飛ばし切り落とした。
 洞窟の奥から出て来るディープ・ライダーの数はまだ多いが、三人が共に戦えば道が拓けるまでそう長くは掛からないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マヤ・ウェストウッド
「何でだろうね。この世界にいるとやたらと"血"が騒ぐ……」
・マヤの故郷は宙船が行き交う星々の海である。そして彼女はヴァイキングの牧畜犬を起源とするウェルシュコーギーのキマイラ。海が険しいほどに闘志が漲るのは血筋がそうさせるから
・島の東海岸から侵入を試みる。自前の宇宙バイクは魔改造で水中も移動可
・パンジャンドラムで派手に騒ぎ立て、怨霊騎士どもをバイクやら点滴スタンドやらで蹴散らしつつ敵たちの注意を惹きつけんとする
・敵陣のど真ん中で重力茶をすするのは挑発も兼ねるが、怪しげな成分がマヤの戦闘力を底上げさせる
・毒攻撃は闇医者御用達のアイテムたちでカバー
「さあ、アタシ史上最大の作戦を始めるとしようか!」


火土金水・明
「侵入即戦闘ですか。先手を取られないように気を付けましょうか。」
魔法の箒に跨って【空中戦】の技能を使用します。侵入経路は島の東西(砂浜)から。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『ディープ・ライダー』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。




 黒い隻眼で見上げる夜空も輝く星々も月も、マヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)が見慣れている星々の海とは似て非なるもの。茜が混じる焦茶の髪と同色の牧羊犬に起源を持つ犬の耳に吹き付ける潮風などこの世界に来て初めて触れたはず。
「何でだろうね。この世界にいるとやたら”血”が騒ぐ……」
 漲る闘志を落ち着けるため深く呼吸をすると香る潮風と、淀んだ死臭―――ディープ・ライダーの集団が砂浜に集まって来る。
「さあ、アタシ史上最大の作戦を始めるとしようか!」
 マヤの親友と同じ名を持つ『巡洋重型二輪エマニュエル・ハイドラ』のエンジンをふかす。度重なる魔改造で水中・水上も走れる宇宙バイクは船から飛び出すと一直線にディープ・ライダーの集団に突撃する。
 宇宙バイクのライトに照らし出されたディープ・ライダーが一斉に猛毒の細針を放とうとしている。このまま突っ込めばマヤは一瞬でハリネズミかウニのようになるだろう。
「ドローン、展開……」
 突然無数のAI搭載型『英国式輪入道(パンジャンドラムス)』が表れ、猛毒の細針を放とうとしたディープ・ライダーの集団に襲い掛かる。英国式輪入道はディープ・ライダーに接触した瞬間爆発し消滅するが、その数は400を超える。
「バカとハサミとパンジャンは使いようってね!」
 無数の爆発に浮足立ったディープ・ライダーの集団に飛び込んだマヤはそのままバイクで目の前の一体を撥ね飛ばし、本来は治療道具のはずがもっぱら打撃武器として定評がある『タクティカル点滴スタンド』で周りの数体をなぎ払う。毒針が腕に刺さったが、『LX-R インテリジェント・ピルケース』が毒を分析し錠剤を精製。味はゲロマズだが解毒作用は抜群だ。
「なんだい。手応えのない……これなら点滴針を嫌がって暴れるガキのような傭兵どもの方がまだ厄介だったよ」
 英国式輪入道の爆発で騒がしい戦場のまっただ中マヤは口直しを兼ねて高重力製法で抽出した紅茶を優雅に味わう。怪しげな成分が闘志に効く。
 ディープ・ライダーの知能はそれほど高くないが、マヤの優雅な一杯に挑発されているのは理解できたのだろう。英国式輪入道の爆発と散らばる残骸を乗り越えた集団がマヤを狙う。
「我、求めるは、冷たき力」
 宇宙バイクのライトの明かりに、マヤとは別の方向から放たれた氷の矢が照らされた。
 500近い氷の魔力で作られた矢は嵐を伴う雨の如く激しくディープ・ライダーに降り注ぎ周辺一帯を氷漬けにする。
 暗闇の中に溶け込むような黒色のマントに黒い帽子に黒い魔女の装束。長い黒髪と黒い瞳。露わになった肌だけが白い。
 『魔法の箒』に跨った火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はディープ・ライダーの集団の頭上で旋回し高速詠唱で破魔の魔力と氷の魔力を練り上げた『コキュートス・ブリザード』を放ち、混戦模様の戦場に氷の矢による新たな混乱を巻き起こす。 
「即入即戦闘ですか。先手を取られないように気を付けましょう」
 ―――と考えていたが、先鋒となったマヤの派手な戦闘にここぞとばかりに続いて箒を空に走らせたのだった。
「これはむしろ気を窺っていたら出遅れたかもしれませんね」
 しかしどちらかが単騎で奮闘し続けていればいずれ負傷で攻勢が弱まり押し寄せるディープ・ライダーの数に負けていた可能性もある。明は偶然にも同じ戦場に立つ事になった仲間達の暴れっぷりに負けじと全力で魔力を練り上げる。
 自称とは言え”荒野の魔王”アゼル=イヴリスの落とし子である自分が戦いに置いて遅れをとるわけにはいかないだろう。
 明を狙って放たれる毒の細針は暗闇の中では判別が困難だが、先に戦闘に突入した仲間の光源がある。
「残念、それは残像です」
 肉眼で敵を捉えているわけではないディープ・ライダーの感覚すら騙す残像で翻弄し、どこから飛んできたかも分からない流れ弾から身を守るのは魔力で編まれたオーラの鎧。
 毒の細針へのお返しにコキュートス・ブリザードで無数に降り注ぐ氷の矢をお見舞いしながら次の敵へと標的を変える。
「少しでもダメージを与えて次の方に」
 偶然にも同じ戦場に立つ仲間の助けにもなるように、明は魔法の箒を駆り暗闇に支配された島の空を翔ける。

 やがて戦場に押し寄せるディープ・ライダーの数は減って行く。
 そして静かになった島には残ったのはディープ・ライダーの僅かな残骸と、島の各所で行われた激しい戦闘に勝利を収めた猟兵達の姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水底の落とし子』

POW   :    織氷縛鎖
【足元を凍てつかせる冷気】【縛り上げる氷の鎖】【釘付けにする氷柱】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    引き摺り堕とし
見えない【、命中した対象を水底へ引き摺り込む呪い】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    方舟
【様々な海洋生物の特徴】で武装した【異形の子供たち】の幽霊をレベル×5体乗せた【幽霊船】を召喚する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠毒島・林檎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 島に充満するじっとりした暗闇の気配が薄まった―――たった一体しかいない己の手足の代わりに島全体に配備された異形のアンデッドに何が起きたのか、考えるまでもない。
 足元に溜まった水と表面に張った薄氷を踏みながら暗闇の中心、『鬼火の海賊旗』から離れ外に出る。
「覚醒、者……」
 枯れ枝のように細い首をもたげた先にはアンデッドの群れを駆逐しながら島の中心へと集まって来る侵入者達がいる。
「旗を……」
 この島の支配を命じた『鬼火』に聞いている。他の島でも次々と海賊旗を燃やしている覚醒者がここにもやって来たのだ。
 ならば、沈めてやらねばならない。
 今までこの島に来た連中のように、逆らった島民のように、かつて己がそうされたように、暗く冷たい海の底へ。
 『水底の落とし子』は骨に皮膚と氷がはりつき冷えきった死人の体を揺らしながら侵入者のもとへ向かう。
 歩いた跡は滴る水で濡れ、放つ冷気に凍っていた。
ゲニウス・サガレン
「水底の落とし子」、沈められた子供たちの慣れの果てなのか……哀れな……

(ランタンで相手を照らし出そうとする)
慰霊してあげたいが、勝てたらの話だろうね
見るからに離れてても攻撃してきそうだね……私の苦手なタイプだ

アイテム「潜水作業服」をきっちり着込む。最悪、冷気に捕まっても断熱効果でしばらくは低温にやられることはないだろう
水中に囚われても酸素がある限りは持つ

アイテム「C式ガジェット」
UC「ガジェットショータイム」
ここからは運試し、取り出すは魔導蒸気による火炎放射器

君を天へと火葬する
叶わずともせめて相手の冷気を邪魔し、続く猟兵のために隙を作りたい

……問題はガジェットを使いこなせるか、あてずっぽうだ!



「『水底の落とし子』、沈められた子供たちの成れの果てなのか……哀れな……」
 海運交易と漁業が盛んな島で生まれ育ったゲニウスにとって海で命を落とす人の話はけして珍しいものではなかったが、『水底の落とし子』の枯れ枝のような体と生者への嫉妬に濁った黒い眼球と赤い瞳が悲しかった。
「慰霊してあげたいが、勝てたらの話だろうね」
 先ほどの戦闘で少し乱れていた潜水作業服をきっちりと着込む。水中作業用の特殊スーツは酸素だけでなく体温も維持してくれる。水や冷気に対して効果が見込めるだろう。
 ランタンを掲げて水底の落とし子を照らし出すと、赤い瞳がぎょろりと動いた。
 あ、まずい。と思った時にはしっかりと目が合ってしまった。すっと水底の落とし子の手が動く。距離は離れていたがゲニウスは急いでその場から跳び退いた。
 目に見えない何かがゲニウスの背後にあった木に絡みつき、幹が裂けるほどの力で突然根元に現れた水底へと引きずり込んだ。
「見るからに離れてても攻撃してきそうだと思ったけど……これは予想以上に厄介なタイプのようだね」
 接近戦は不利と見たゲニウスが取り出したのは蛸―――の形をしたキュビエ派に属するガジェッティア謹製『C式ガジェッド』の火炎放射器。
 トリガーを軽く引くだけで吹き出す炎の帯が噴き出した。対して水の落とし子は再び見えない力で直接ゲニウスを狙って来る。
 見えない攻撃は呪いの力。捕らえたものを水底に引き摺り込むだけでなく、物を掴んで投げつけるなど幅広い攻撃方法にゲニウスは攻めあぐねる。
 やはりあともう一手が欲しい。
「……問題はガジェットを使いこなせるか、あてずっぽうだ!」
 『ガジェットショータイム』で召喚されたのは鉄板に支柱に車輪と衝立がついた謎の塊―――いや、これは砲台だ。博物学も嗜むゲニウスは形状から予測を立てると足場に駆け上がりC式ガジェットを設置した。
「君を天へと火葬する」
 即席の火炎放射戦車の射手となったゲニウスは鉄板と支柱の形をした魔道蒸気機関に強化されたC式ガジェットのトリガーを引く。
 激しい炎の奔流が周囲に残った氷と水を蒸発させ水底の落とし子に襲い掛かり、冷え切った体を焼き焦がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヤ・ウェストウッド
「みな、其処から救ってやるさ……」
・闇医者としては既に生きていない者は「専門外」だが、死してなお怨念にかられ、闘争を強いられている亡者を放ってはおけない。ましてや、それが幼子であれば……
・知性ある拳銃「Xキャリバー」に焼夷弾の生成を命令し、UCで速射する。一般的な焼夷弾の火炎は水を掛けると燃料が飛び散り、逆に火の手が増すもの。敵の得意技である水と氷と冷気を封じる目論見
・自前の白衣による[火炎耐性][氷結耐性][環境耐性]で敵の攻撃と自身の技に対応。水中に引き込まれた場合、[咄嗟の一撃]を繰り出そうとソウル・ランセットを用意している
「たとえ水底でも掬ってやるのさ。サア、おとなしく荼毘に付されな」



 炎に巻かれた水底の落とし子はこびりつく炎に苦しみながらもその部分を氷で覆い鎮火する。
「炎……やっぱり、旗を燃やしに」
 己が守る『鬼火の海賊旗』を狙ってやってきた覚醒者。それも生者への嫉妬と怒りが呪いとなって周囲にまき散らされる。
「いくら闇医者でも既に生きていない物は『専門外』だが―――」
 マヤの脳裏に浮かぶのは、闘争に明け暮れる中で見て来た光景。力によって踏みにじられる人々、生きるためにまだ幼い手に武器を持ち戦わねばならなかった子供たち。
「死してなお怨念にかられ、闘争を強いられている亡者を放ってはおけない。ましてや、それが幼子であれば……」
 人柱として、何かの見せしめとして、無残にも命を落とした子らの成れの果てがいるならば。
「みな、其処から救ってやるさ……」
 知性ある拳銃『Xキャリバー』に焼夷弾の生成を命令する。
 見えない呪いの力は厄介だが、マヤがこれまでの戦いで積み重ねた経験と勘が迫る危険を察知し致命的な一撃を避け、追いすがってくる呪いの力を避けながらXキャリバーの引き金を引く。
 『超獣技法・八射鴉(チョウジュウギホウ・ヤシャガラス)』―――闘争の中で磨き上げ使い慣れたXキャリバーによる銃撃は89分の一秒と言う恐るべき連射速度。
 焼夷弾は着弾と同時に燃料が飛び散り火炎が起こる。ハンドガンの口径に合わせたサイズでも、凄まじい速度で着弾した炎は一度燃え広がれば容易に消せるものではない。
 それならと射手であるマヤを狙い噴き出した呪いがついに足を捕らえる。
「悪いね。それくらいでは沈んでやれないよ」
 きらりと水の落とし子の体を燃やす炎に何かが光り、突き刺さる。それは悪しき心をも切除する手術刀『ソウル・ランセット』。足を取られた瞬間咄嗟にマヤが放った物だ。
 思わず突き刺さった刃物に目をやった水底の落とし子に銃口を向ける。
「たとえ水底でも掬ってやるのさ。サア、おとなしく荼毘に付されな」
 放たれた弾丸の炎は手術刀が突き刺さった傷口にも燃料が潜り込み、体内から焼き尽くさんと燃え上がる。
 水底の落とし子の口から叫び声が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三日月・蓮華(サポート)
 賢い動物のウィザード×クレリック、12歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、覚醒時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 天才を自称していますが知識は年相応。困った時は賢者の書(難解な字で書かれた分厚い絵付きの本)を取り出して読み解決法を探しますが、時により解決できたりできなかったり。
 敵には勿論自分に危害を加える相手には例えイェーガーでも容赦せず攻撃します。
 無垢ですぐ騙されます。
 頭を撫でられるのが大好きで撫でられるとほにゃほにゃと溶けます。
 甘い物が大好きですが最近は体型を気にするように(でも食べる)。


アストラ・テレスコープ(サポート)
宇宙とロマンと冒険が大好き!

ロマンを感じだらミニロケットを噴射して後先構わず飛んでいくよ!

戦うときはコズミックロングボウから矢を乱れ撃ちしたり
左腕のミニロケットを発射して爆撃したり
ロケット噴射しながら飛び回って空中戦したりするのが得意!
あと元は天体望遠鏡だから目の良さには自信があるよ!

必殺技は「流鏑流星(メテオリックストライク)」、「星間尋矢(スターダストストライク)」、「追星彗撃(コメティックストライク)」の遠距離攻撃と
「ロケットブレットハートビート」で自分ごと突撃したりロケットだけ突撃させたりする攻撃(使うとおバカになる)だよ!

アドリブも連携もアレンジもなんでも大歓迎!

よろしくね!



 眼前で繰り広げられる光景に後続として駆け付けた三日月・蓮華(自称天才ウィザード・f25371)は藍色に三日月が輝く瞳を更にまんまるにしながら『三日月の杖』を手に魔力を練り上げ攻撃をする。
「どうにか隙を作れば……」
 真っ白な毛皮に覆われた小柄な体は二足歩行する白い兎そのもの。だが賢い動物であると言う自負を持ち天才を自称する蓮華は野生の兎のように怯えて逃げたりはしない。
 戦闘の余波でなぎ倒された木々や抉れた地面を駆け抜けながら広げるのは蓮華の知識の源である『賢者の書』。可愛らしい挿絵付きの文章が書かれているが、難解な文字を読めるのは蓮華だけ。
「ここにご招待するなら抵抗できないようにするか、隙を突いて当てるかですね」
 どちらにせよ今も他の猟兵と激しい戦闘を行っている水の落とし子に気付かれず接近するのは難しい。
 しかも炎によって大きな打撃を受けた水底の落とし子が様々な海洋生物の特徴で武装した異形の子供たちを乗せた幽霊船の影に隠れてしまったのだ。
 魔力弾で船員を気絶させて数を減らしても、肝心の水底の落とし子にはなかなか近づけない。
「援護するよ!」
 賢者の書をめくりながら手順を考える蓮華に、同じく後続としてやって来た天体望遠鏡のヤドリガミ、アストラ・テレスコープ(夢望む天体望遠鏡・f27241)が任せて!と笑顔でサムズアップした。
 偶然にも蓮華のように藍色の瞳に月や星を思わせる輝きを持つアストラ。シンパシーを感じた蓮華は元気よく毛先が跳ねたピンク色の髪の少女とがっちり握手する。
「それじゃ行っきまーす!」
 駆け出したアストラは『コズミックロングボウ』を構える。一見すると矢がないように見えるが、そこに集まる光が矢を形成し、引き絞られるのはアストラいわく夢と宇宙のパワーを感じる光の矢。
 周囲にまき散らされた呪いも肉を裂き骨まで届くような冷気も気を抜けば動けなくなりそうだったが、アストラは持ち前の元気と足場の悪い場所をジャンプで乗り越え走り回りながら耐えた。
「光……今更、光なんて」
 水底の落とし子にとって光の矢も溌溂とした生命力を放つアストラも酷く煩わしく妬ましい。数を減らされた異形の子供たちの幽霊船を更に増やし、矢から身を守る盾にする。
「そんなにたくさんの子供が死んじゃったんだね……」
 水底の落とし子がどういった存在なのか聞いていたアストラは異形の亡者が船団を組んで襲い掛かって来る光景に恐怖ではなく胸が傷むような哀しみを感じる。だからこそ子供たちを死してなお利用される状況から救うべく矢を引き絞った。
「何処までも……飛んでけっ!」
 溢れる思いを弓に込め、華々しく光り激しく燃える流星のような矢―――『流鏑流星(メテオリックストライク)』が船団を撃ち抜き激しい光を巻き起こした。
「今です!」
 機会を窺っていた蓮華が駆け出し、爆発的に広がる光に水底の落とし子が目を眩ませている水底の落とし子に向けて賢者の書を広げた。
「絵本の世界にご招待です!」
 ぽふっと小さな音を立てて冷たい体に接触した本の三日月が輝き、水底の落とし子が『三日月の絵本』の中に吸い込まれる。
 三日月の絵本の中は三日月が浮かぶユーベルコード製の森。美しく神秘的な光景は思わず目を奪われるほど美しく穏やかな世界―――だが、周囲の人間の身勝手や悪意によって冷たく暗い海底に沈み、今や光を避け生者に嫉妬を抱き彷徨う存在となった水底の落とし子にその美しさも穏やかさも分からない。
「むむっ」
 三日月の絵本から這い出て来る気配を感じた蓮華は三日月の杖を構えて跳び退る。
「旗を、守る。覚醒者……みんな沈んで」
 一切の平穏を拒絶し這い出て来た水底の落とし子に、蓮華とアストラは再び杖と弓を構えて戦いを続ける

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紬雁・紅葉
哀しき哉
哀しき哉
其方が此方を沈めるならば
此方が其方を鎮めましょう

幽か笑み羅刹紋を顕わに灯し"都牟刈"を顕現
先制UC発動

攻撃、防御、状態異常力に水の魔力を付与
地形を利用し魔力を増幅、纏った水を激しく循環

残像足場習熟悪路走破忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔水雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受けUC等で防ぐ
何れもカウンター破魔水雷属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払い吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

流水凍らず
怨念永らえず
流れ下りて比良坂下り
全て濯いでただ滔々と

去り罷りませ…


真宮・響
【真宮家】で参加

見たまんま水難で死んだ犠牲者、か。瞬ので冷気は慣れているがこの底冷えのする冷たさは頂けない。無念は分からないでもないが、生きているものを巻き込むのはやめて貰おうか。

出来るだけ呪いには耐えたいが、攻撃は見えないので水底へ引きずりこまれる可能性はある、か。ならせめて水底へ入る前に真紅の騎士団を発動、【オーラ防御】【残像】【見切り】でダメージを減らし、【気合い】を込めた【範囲攻撃】化した【衝撃波】で攻撃を。ただではやられない、悪あがきって奴だ。あわや水底にダイブしたら後は子供達と真紅の騎士団に任せる。

まあ、上手く復帰できたら、怒りを込めて【グラップル】【怪力】で殴り飛ばしてやるか。


真宮・奏
【真宮家】で参加

さ、寒いっ・・・この冷気、この細い手足の人もまた犠牲者、ですか。この姿になった経緯は察して余りありますが、犠牲者を出す訳には行きません。立ち向かわさせて頂きます。

一応トリニティエンハンスで防御力を上げますが、流石に敵の3連撃を回避するのは賭けですね・・・UCを解除しても耐えれるように【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で防御を固め、【氷結耐性】【呪詛耐性】も併用して頑張って耐えます。もし母さんが水底に入れられてしまったら真の姿を発動(黒髪金眼になり青のオーラを纏う)母さんの穴を埋めるべく【属性攻撃】で炎属性にした【衝撃波】を【範囲攻撃】化して奮戦しますよ。


神城・瞬
【真宮家】で参加

この方は水難の犠牲者ですか…境遇には同情しますが、今生きている人達の命を脅かすなら、退治しなければ。いつまでも彷徨っていてはいけませんよ。

敵の攻撃の性質から、母さんと奏の被害は避けられませんね・・・せめて援護を。【マヒ攻撃】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を【範囲攻撃化】して出来るだけ敵の動きを拘束、敵の幽霊船には月読の同胞に対処を手伝って貰います。僕は【高速詠唱】【全力魔法】で【誘導弾】【吹き飛ばし】で幽霊船に乗った異形の子供達を狙います。もし母さんが水底に引きずり込まれたら真の姿を発動(両目が赤くなり銀髪になる)して更にラッシュを。



 海底に沈められ死んでいった子どもたちの霊魂の成れの果て、水の落とし子が同じように死んでいった子どもたちを乗せた幽霊船を召喚して戦う。もしかすると自分たちが死ぬ原因となった七大海嘯の旗を守るために。
「哀しき哉哀しき哉……」
 紅葉は少しの間顔を俯かせ胸元に手を当てる。
「其方が此方を沈めるならば、此方が其方を鎮めましょう」
 顔をあげ幽かにほほ笑んだ紅葉の胸元に灯るのは羅刹紋【ムラクモ】の光。剣神の鬼巫女として選ばれるほどの力の証。その力を鎮め救うために振るおう。
 紅葉自身の魂の具現である『天叢雲剣”都牟刈”』が黒曜石の古風な拵えから抜き放たれる。
「壱の式……来たれ」
 そして纏うは『トリニティ・エンハンス壱式』によって紡がれた水の魔力。水底の落とし子が操る呪いと冷気の力とはまた違う、濁った水を循環させ押し流す恐ろしくも純粋な水の奔流を思わせる魔力が紅葉に力を与える。
 ゆらりと踏み出す紅葉を狙い、水底の落とし子は縛り上げる氷の鎖、釘付けにする氷柱を次々と放つ。そのすべてが足元を凍てつかせる冷気を纏っていた。
「流氷凍らず、怨念永らえず―――」
 紅葉は触れれば凍てつくどころか肉さえ避けそうな氷が迫る中、剣神に捧げ水底の落とし子を導くための祝詞を紡ぎながら流れるような足さばきで荒れ果てた戦場を進む。
 へし折れて転がる木々、抉れて凍り付いた地面、水でぬかるんだ場所も紅葉の足さばきを乱す事はなく、ゆったりと見える独特の歩法で生み出した残像が水底の落とし子の狙いを迷わせる。
 だが狙いを定められず攻撃を迷っていれば、破魔の力を持つ剣に紅葉の水と雷の魔力を乗せた剣風が迷いを持った氷の鎖や氷柱を周囲ごとなぎ払い吹き飛ばす。
「流れ下りて比良坂下り、全て濯いでただ滔々と―――」
 ぱきんと水底の落とし子の足元に張った薄氷を踏む音。紅葉は水底の落とし子の眼前に迫っていた。
 手にした都牟刈の刃に走る雷光が、水底の落とし子の目にはひどく眩しい。
「去り罷りませ……」
 間近で受ける斬撃は轟音と衝撃を伴い、周囲の氷や水ごと水底の落とし子を吹き飛ばした。

「だめ……また、沈む……沈みたくない……」
 吹き飛ばされた先で水底の落とし子が声を震わせながら起き上がる。
 細い手足は普通なら折れるかちぎれるかしていただろうが、オブリビオンの体はまだ立ち上がれた。何より海底に沈んだ子どもたちの記憶がそうさせるのだ。二度とあの暗く冷たい場所に沈みたくない―――だから海賊旗を守らなければ。目の前にいる覚醒者たちを沈めなければ。
「見たまんま水難で死んだ犠牲者、か」
 響は死人の体から血ではなく水滴と氷片を零す水底の落とし子の姿に拳を握る。深紅のガントレットがきしりと音を立てた。
 ―――生贄にされ見せしめにされ沈んでいったならばただの水難ではあるまい。本来なら自分たちを守ってくれるはずの大人たちの手で沈められた子どもたちだ。
「無念は分からないでもないが、生きているものを巻き込むのはやめて貰おうか」
 猟兵である前に子を持つ母である響は水底の落とし子の境遇に胸を痛めるが、だからと言ってこの拳を下すつもりはない。
 胸に抱く決意は娘の奏も、息子の瞬も同じ。
「この姿になった経緯は察して余りありますが、犠牲者を出す訳には行きません」
 愛用の剣である『ブレイズセイバー』の刀身に些かの曇りもなし。護るという信念に迷いはなく、決意に躊躇いはない。
「立ち向かわせて頂きます」
 精霊の力がこめられたエレメンタル・シールドを構え、家族を守り戦う姿勢を見せる。その視界には母の響と兄の瞬。この二人を守り抜くために『トリニティ・エンハンス』で炎の魔力、水の魔力、風の魔力を紡ぎ防御力を上げる。
「さ、寒いっ……」
 水底の落とし子から流れる冷気は防御力とは別の力で奏を震わせるようだ。ならばとオーラを展開し耐性を強化しようとする奏の様子に、瞬はこの冷気は自分が精霊の力を借りて操る力とはまったく性質が異なるのだろうと考える。
「……境遇には同情しますが、今生きている人達の命を脅かすなら、退治しなければ」
 これ以上犠牲者を増やさないために、そして不幸な最期を迎えた子供たちがこれ以上生者への嫉妬を抱え罪を重ねながら彷徨うことがないように。
「月読の同胞、力を借ります!」
 月虹の杖を掲げ込められた力を媒介に呼びかける。現れたのは月読の紋を付けた戦士の霊―――『月読の同胞』は手に剣や弓を携え三人と共に水底の落とし子と戦う姿勢を取った。
 彼らは精霊の力によって象られ召喚された霊だが、水底の落とし子とは根本的に違う。
 瞬は月読の同胞に対抗するために異形の子どもたちの霊が乗った幽霊船を召喚する水底の落とし子と船団を見据える。
「いつまでも彷徨っていてはいけませんよ」
 瞬が月読の同胞に戦闘開始を告げる。様々な海洋生物の特徴で武装した異形の子どもたちの幽霊から棘が射出され、月読の同胞が放った矢と交差する風切り音が合図となって三人と水底の落とし子達の戦いが始まった。
「さあ、アンタ達、出番だよ!!全力でやっていいよ!!」
 響の召喚に応じたのは胸に1と刻印された真紅の鎧を纏った騎士で構成された『真紅の騎士団』。槍や剣で武装した騎士たちは瞬が召喚した月読の同胞と共に幽霊船の船団に突撃。それに合わせて三人も共に前に出た。
 剣と槍と拳、弓と棘が交差し激しい戦闘が繰り広げられる。
「行くよアンタ達!アタシに続け!」
 響が真紅の騎士団と共に幽霊船に飛び乗り拳を振るう。襲い掛かって来る異形の子どもたちの攻撃をかわし、拳を叩きこむ。
「―――!母さん、私の後ろに!」
 高い防御力を頼みに剣を振るっていた奏が異形の子どもたちが一斉に放ってきた棘や体液に気付いてかばう。
「あの集団を狙ってください!」
 次々に叩きつけられる攻撃は今三人が乗り込んだ物とは違う船からだ。瞬は月読の同胞に指示を出しながら結界を作り出した。
 異形の子どもたちごとと周囲を包む結界にはありとあらゆる術が組み込まれ、結界内に入った敵の視界を遮り動きを鈍らせる。その術は強固な甲殻に守られた異形の子どもにも効果を発揮する。
 瞬の援護と奏の守りの助けを受けて響の拳は次々と敵を薙ぎ払って行くが―――突然響は骨身に染みる冷気を感じた。
 放たれたのは水底の落とし子の凍てつく冷気。氷の鎖が月読の同胞と真紅の騎士団に絡みつき、氷柱が奏と瞬に突き刺さり釘付けにする。
「奏、瞬!」
 咄嗟に攻撃を見切ってかわした響だったが、駆け付けることはできなかった。
 足元に広がるのは触れるだけで凍えそうな水―――水底の落とし子の見えない呪いの力が響を捕えていた。
「母さん!」
 奏と瞬の叫びが重なり、二人の目の前で響が水の中に引き摺り込まれる。
 とぷんと跳ねる水の音。その瞬間、二人の様子が変わった。
 奏の髪が黒く染まり、瞳が金色に輝く。瞬の両目が赤く染まり、銀の髪がたなびいた。
 母を目の前で引き摺り込まれた二人は水底の落とし子に向かって走る。
 奏の魔力が炎を作り上げ、衝撃波を伴った剣の一閃が異形のこどもたちをまとめて薙ぎ払う。その隣を走る瞬が高速詠唱で紡いだ魔力はまるでミサイルのように宙を奔り、周囲を吹き飛ばし、二人と水底の落とし子の間に立ち塞がるものを悉くなぎ払った。
「母さんを返せ!」
 炎の奔流と魔力の激流が同時に水底の落とし子に襲い掛かり、その身を貫いた。
 その衝撃で召喚された幽霊船の船団と、呪いの力が緩む。
「とどめは任せな!」
 子ども達の奮闘に、母が応えないわけにはいかない。
 呪いの力が緩んだ瞬間、怒りを込めた力で這い上がってきた響が二人の間を駆け抜け、水底の落とし子にとどめの一撃を放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『闇の中へ』

POW   :    自ら闇の中へ飛び込む

SPD   :    気配を消して進む

WIZ   :    注意深く行動する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水底の落とし子の体がぼろぼろと崩れ落ちる。死人の体であるために血ではなく体に張り付いた氷と水がこぼれ、足元に貯まった水に音を立てて落ちて行く。
「あ、あ、いやだ……また沈むのはいやだ……」
 黒と赤の瞳は生者の嫉妬ではなく恐怖に染まり、猟兵達ではなく島のどこかに向けられていた。
「まだ……戦える、だから……」
 助けを求めるように伸ばされた手も崩れ、水底の落とし子は過去の骸の海へと還って逝った。
 最後まで島のどこか―――おそらく『鬼火の海賊旗』を見詰めながら。

 島を覆う暗闇はいまだに晴れる事はない。この暗闇を生み出しているのは島を支配していた者達ではなく、島のどこかに翻る『鬼火の海賊旗』―――レガリアの力によるものだ。

 ここから先は戦闘を極力避けるために慎重に行かねばならない。
 グリモア猟兵からの情報によると、ディープ・ライダーは猟兵達が戦ったもの以外に海賊旗が置かれている周辺を巡回しているものもいると言う。
 発見されたら海賊旗を隠されるならまだしも、見せしめとして島の住民が虐殺される危険がある。
 巡回しているディープ・ライダーに見つからないように海賊旗を探し出し、燃やす事ができれば島の暗闇は去り、ディープ・ライダー達も退散するだろう。

 猟兵達は海賊旗を燃やし島の住民たちを解放するために暗闇の中へと進む。 
ゲニウス・サガレン
さて、水底の落とし子がせめて天に召されるよう、島を闇から解放しないとね。
「鬼火の海賊旗」を探したいが、真っ暗な上、ディープ・ライダーがいるとなると厄介……

【SPD】

アイテム「フライング・シュリンプ」
有翅エビの群れをそっと四方に放つ。水中でも暮らす彼らは、人間よりずっと光や振動に敏感だ。周囲を観察し、ディープ・ライダーを避けて行くべき方向を翅や関節の鳴らし方で教えてくれるだろう。

UC「ゴーイング・マイウェイ」
手持ちの金貨をすべて突っ込んで、運命の好転に期待しよう……金貨足りなくないといいけど(汗)

アイテム「星屑のランタン」
覆いをかけて足元に光を絞る。エビの誘導のままにそっと移動しよう。



「さて、水底の落とし子がせめて天に召されるよう、島を闇から解放しないとね」
 水底の落とし子が消えて行った跡に黙祷を捧げたゲニウが気持ちを切り替えるよう戦闘で汚れた服をはたきながら立ち上がる。冷たく暗い深海に沈められ命を落とした子どもたちから生まれたのがあの水底の落とし子ならば、弔いは光に照らされた場所がいい。
「しかし真っ暗な上、ディープ・ライダーがいるとなると厄介……なら彼らの出番だ」
 ゲニウスはここまでも何かと役に立ってくれた空飛ぶエビ『フライング・シュリンプ』の大群を呼び出し、その羽音が目立たないようにそっと四方に放った。
「後は運命の好転に期待しよう……」
 鞄の中にある財布を引っ張り出す。ずっしりとした重みを感じるが、これからゲニウスがしようとしている事を考えると不安を拭えず汗がたらりと流れる。
「……金貨足りなくないといいけど」
 財布をひっくり返しすべての金貨を代償に敢行したのは、あらゆる行動に成功するというとんでもない能力『ゴーイング・マイウェイ』―――ただし、自身の金貨を困難さに応じた数だけ代償にできなければ失敗するが。
 フライング・シュリンプの後を追い、ゲニウスもまた暗闇の森へと足を踏み入れる。

 島が支配されてどれだけ経っているのか、改めて見ていると森の木々は弱り幹も枝葉も硬く萎び、既に枯れた木もちらほら見かける。
 覆いをかけて足元に光を絞った星屑のランタンで見える範囲だけでもそんなありさまで、ゲニウスは枯れた根っこを跨いで避けながら何としても島を解放しようと更に決意を固める。
 その時フライング・シュリンプの一匹がゲニウスの前に来て飛び回る。危険を知らせる飛び方だ。エビの尾から聞こえる関節を鳴らす音はその危険度を表している。
 どうやらゲニウスが今向かっている方向はディープ・ライダーの巡回経路の真っただ中らしい。幸いディープ・ライダーはフライング・シュリンプの存在にもゲニウスがルートの近くにいる事も気付いていないようだ。
 ゲニウスはフライング・シュリンプの偵察を頼りに巡回ルートを避けながら探索を続ける。徐々に暗闇が濃く重くなる気がするのは錯覚だろうか。それとも鬼火の海賊に近付いている証拠なのか。
 自分の運命がまだ良い方向に転がっている事を祈りつつ、ゲニウスは探索を続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マヤ・ウェストウッド
「それでは諸君、シゴトをはじめよう。治療すべき"患部"は『鬼火の海賊旗』、術式は"火炎滅菌"で」
・宇宙コロニーK9の特殊救急隊員を召喚する。敵対する魔物等からの脅威を退けつつ、傷病人の保護を行うべく戦闘訓練を受けた医療チームである
・隊員たちにはマヤの指示の下、島中に散開して森の中に隠れつつ[情報収集]を行ってもらう
・マヤ本人は、敵の動線や"臭い"を手掛かりに[野生の勘]で旗探しを試みる。島に生息している[動物と話す]ことでヒントを乞う
・隠れてシゴトをすることには変わりはないので、隠密行動は[暗殺]技術を転用
・Xキャリバーに焼夷弾を装填して旗を焼く
「やれやれ、"ハタ"迷惑な連中だねまったく……」


紬雁・紅葉
常闇の宝探し…何するものぞ

羅刹紋を顕わに秘やかに笑み

UC発動、特にスブホラ(鼠)を大量に召喚
残像忍び足悪路走破足場習熟にて縦横無尽
闇に紛れて最大範囲を捜索

闇はこちらにも利する…
一番大事な物を置く場所は…?
自らも地形を利用し闇に紛れ波音に足音を忍ばせ次々範囲を網羅
拠点防御の知識を応用し一番守り易い場所を特定していく

発見したら弓に一矢番え破魔神罰闇炎属性を付与し力を溜めて乾坤一擲の一射にて点火

海神の罰以て鬼火の旗を聖火に転じ成さん
墨染の闇旗…去り罷りませ…!

他者が見つけたらその行動に合わせ援護射撃

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※




 猟兵達はそれぞれの方法で探索を開始した。島はそこまで大きくないが、この場に集まった猟兵達の人数だけで鬼火の海賊を探し出す事を考えると困難であるのは間違いない。
 マヤは早速『”裏”救急要請(コード・ブラック・オペレーション)』を行い、あらゆる危険が存在する宇宙で活動しいついかなる時も患者を救うため訓練を受けた医療チーム『宇宙コロニーK9の特殊救急隊員』を召喚した。
「それでは諸君、シゴトをはじめよう。治療すべき”患部”は『鬼火の海賊旗』、術式”火炎滅菌”で」
 戦闘、医療、工作隊としても信頼できる隊員達はディープ・ライダーが蔓延る島での探索で大きな助けになるだろう。マヤの指示を受け四方に広がる森に散会して行隊員を見送る。
「この業界、汚れ仕事(ブラック・オプス)はつきものさ。さっさと処置(オペ)してしまおうか」

 鬼火の海賊旗の力によって生み出された暗闇に覆われた森は、異様なほど静まり返っている。本来の森であれば感じるはずの動植物の気配ですらないのだ。
「アテが一つ潰れたか」
 マヤはここまでその優れた感覚と野生の勘を働かせる事で森を進みディープ・ライダーの巡回に鉢合わせしないようにやってきたが、もう一つの”アテ”である動物から情報を得る手段が潰れてしまったかと嘆息する。
 だが森に散会している隊員達は順調に情報収集を続けており、先程は羽根が生えたエビを見付けてディープ・ライダーの巡回路を教えてもらったと言う。
「……そうか、エビも動物だね」
 羽根の生えたエビがゲニウスのものだと知っているマヤはその隊員と合流し、動物と話せる能力でより細かく情報を聞き出すだけでなく隊員が得た情報も共有する。そうする事でマヤだけでなく他の猟兵達にも情報が行き渡り、探索がよりスムーズに行えるだろう。
 それにしても鬼火の海賊旗とやらはどこまでも面倒な事をしてくれる。
「やれやれ、”ハタ”迷惑な連中だねまったく……」
 そう言って肩を竦めたマヤにまだそこにいた隊員のえっ、今なんていったの?と言いたげな視線が突き刺さったが、何事もなかったかのように流す。
 潰れたと思った”アテ”がやって来たのだ。
 枯れ枝にかろうじてぶら下がっただけの葉をもそもそと食べている小さな虫。暗闇の中しぶとく生き延びている虫たちから得た情報をヒントに、マヤは鬼火の海賊旗を求めて森の中を進む。


 先行した猟兵達が得た情報は共有され、他の猟兵達へと伝わって行く。一人探索行に出向いていた紅葉にもマヤが召喚した隊員の一人が接触しこれまで得た情報のやり取りを終えた所だった。
「異なる方面、異なる視点の情報まで得られたのは行幸。常闇の宝探し……何するものぞ」
 秘めやかな笑みで見やるのは周囲の木々の根元―――紅葉は一人で探索を行っていたわけではない。ちょろりと根元から出て来たのは小さな鼠。それも一匹だけでなく何匹もが暗闇の中で紅葉の指示を待っている。
「闇はこちらにも利する……一番大事な物を置く場所は……?」
 それを探すにはもう少し数を増やした方がいいだろうと、胸元の羅刹紋も顕わに陣を組む。
「声探す御方、先導く御方、道嗅ぎ分ける御方、いざいざ来たり賜え」
 紅葉が祝詞を捧げるのは『御先神・ナキメ、ヤタ、スブホラ』。雉や鴉や鼠の姿をした御先神(ミサキガミ)。極めて発見され難く、自身と五感を共有する御先神の中でもスブホラ―――鼠をより多く召喚し、島の探索を行っていたのだ。
「一部は他の皆様のもとへ……頂いたものはわたしからもお返しせねば」
 御先神の群れのなかから一部が他の猟兵を目指して駆け出した。残りは新しく増えたものと共に島の探索を再開する。

 海岸にほど近いこの場所では紅葉の忍び歩くごくごくわずかな足音や衣擦れの音は打ち寄せる波音に消され容易にはその存在を知らせない。
 より小さく忍び歩くに向いた鼠達はなおのこと。島中を走り回っては紅葉の下に繋ぎとして数匹をやり、次々と捜索範囲を狭めて行く。
 紅葉は己が旗を守るとしたらいかに守るかと知識を基に仮の拠点と守護対象を頭の中で組み立てて、鼠達が持ち帰って来る情報から考えた手の一つ一つを消去し候補を絞る。
「一刻も早く暗闇を晴らすためにも、どうかご助力を……」
 祈り願うのは島中を駆け回っている御先神と、手にした弓。榊と竹を組み合わせて作られた『鳳翔』の乾坤一擲の一射にて鬼火の海賊旗を焼き、島を覆う暗闇と不浄なるものどもを祓うため。紅葉も更なる探索へと足と頭を働かせる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

隣・人(サポート)
『隣人ちゃんは隣人ちゃんですよ隣人ちゃんと呼んでくd』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × 四天王
年齢 20歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 実は奴隷だった ハイテンション! いつも笑顔 刺激に敏感
口調 隣人【ジコ担当】(自分の名前+ちゃん、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)
恋人には 収容違反(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
人型のオブリビオンが相手だと三半規管を狙います
それはもう執拗に狙います
相手が『見せられなく』なるまで

真の姿の際は『殺人』特化
普段とは違い、シリアスな感じでお願い致します


アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では『吸血鬼には触れられない(アルタニハコウカガナイヨウダ)』を使用し、自身へのダメージをなくしたうえで依頼遂行のために行動します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てアドリブなどOKです。
よろしくお願いします。




 暗闇の中、ディープ・ライダーの残党が未だに巡回を続けている環境にも関わらず、猟兵達は探索を続けその情報を互いに共有する事で鬼火の海賊旗を目指す探索行は順調に進んでいる。
 一方、後続組として到着した隣・人(? ̄テᄏf13161)は『名状し難いバールのようなもの』を一振り。おおいに働いた証にべったりと何かの液体や藻のようなものが絡みついた柄をさっと拭う。
 周囲に転がっているのはあちこちが砕け、眼窩に灯る鬼火が消え去ったディープ・ライダーの残骸だ。
「このあたりのディープ・ライダーはこれで全部かしら?」
 長い榛色の髪の乱れを簡単に整えて見回す。
 しんと静まり返った砂浜に立っているのは人のみ。他は砂浜のあちこちに転がったディープ・ライダーの残骸と、人の『六六六番外・隣人千闇流眩暈覇製・永久回転謳吐無間(ロクロクロクバンガイ・エターナルメイドトルネード)』により吐き出した大量の『モザイク』のみ。
「隣人ちゃんの邪魔をするにはちょっと物足りなかったね!」
 ケラケラと楽しそうに笑う人。後続組としてもう一人の猟兵と到着した彼女は先行組とは別の場所でディープ・ライダーの集団を発見していた。
 先行組は既に海岸近くから島の奥へと進んでいたため、状況を鑑みてもう一人は探索に加わったが、人は己の中にある衝動を解放するためもありここでの戦闘を選んだ。
「隣人ちゃんにお任せしてくださいね。まだまだたくさん、もっと吐き出さないと」
 人の戦いは己の衝動の赴くままに、狙い、破壊し、吐き出す物。メイド服で差し出すコーヒーカップやティーポットは全て毒や摂取した相手どころか人本人にまで異常をもたらす物で満たされている。
「隣人ちゃんはよき隣人ちゃんとして、皆さんの背中をお守りしますよお」
 けふ。と『モザイク』を吐き出した名残の口元を拭い、暗闇の中探索を続ける猟兵達に向かっておじぎをすると、未だにこの辺りに猟兵が来ていないかとやってくる間抜けなディープ・ライダーを探して海岸沿いを歩くことにした。


 隣人と共にやって来て探索組に加わったアルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)は幼い頃から生きるために身に着けた技能を活かして暗闇の中探索を続けていた。
 闇に溶け込むような黒髪に青い瞳はともかく、種族特性の表れた白い肌と端正な顔立ちは故郷の貧民街では余計な苦労を背負う原因であった。
 そんな中で否応なしに磨かれた技能が役に立っている事に少しばかり複雑な思いを抱えつつ、アルタは暗闇の中を進む。
 闇の呪詛が込められた外套は夜であるため実体を持ちパーカーの上からアルタの体を包みより発見されにくくなってはいるが、この島のあちこちに配置されているディープ・ライダーは肉眼とは別のもので周囲を認識している。
「発見されたら……即座に……」
 刀身にルーン文字が刻まれ、氷の精霊の力を宿した魔法刀『氷桜刀』はいつでも抜けるようにしてある。
 人が海岸線でディープ・ライダーを引きつけているため今の所注意しなければならないのは島の巡回を行ているディープ・ライダー達だが、発見されたらアルタだけでなく他の猟兵達にも影響が出るかもしれない。
「邪魔は……させない……」
 吸血鬼としての能力を発動する際に浮かび上がる『吸血紋』がある場所に手を当てる。
 今は探索中、戦闘とはまた違う状況のためこの力を使う事はできる―――『吸血鬼には触れられない(アルタニハコウカガナイヨウダ)』は非戦闘行為に没頭している間という限定条件があるものの、外部からの攻撃を遮断し、生命維持すら不要になるほどの効果を発揮する。
 目立たないように闇に紛れながら文字通り呼吸すら潜めて身を隠し探索を行うには丁度いい。
 そうして進んでいると、木々の間を走る影が視界に入った。
「……鼠?」
 暗闇に覆われた森は弱り、動物達の気配すらなかったと言うのに。
 マルタは念のためその鼠を観察したが鼠に敵対の意思はなく、むしろアルタに何かを訴えるような仕草をしたため警戒を解いた。おそらくこの鼠は他の猟兵が放った物だろう。
「これを……わたしから……」
 鼠にここまでの探索で得た情報を書いた紙を渡すと、鼠はそれを受け取ってすぐどこかに駆けて行く。
 この情報は鼠を介して他の猟兵達にも伝わり、鬼火の海賊旗までの距離を更に縮める事に貢献する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加

まあ、洞窟の一箇所だけでなくディープライダーは島全体にいるんだろうね。むやみに戦闘騒ぎを起こして島の住民を巻き込んだらいけない。アタシ達家族は余り隠密行動には向いてないが・・・仕方ないね。

まあ、何かあったらすぐ対応できるように赫灼の戦乙女は召喚しておく。アタシは【目立たない】【忍び足】で先行するから、奏と瞬は後から付いておいで。危険な事があったらすぐ知らせるよ。広い島だろうから「鬼火の海賊旗」そのものを見つけるのは時間がかかるだろうが、この島の人達の為だ。少しは生活もマシになるだろうからね。根性入れて頑張るか。


真宮・奏
【真宮家】で参加

(真の姿を解きながら)そうですね、恐らくあの不気味な骨の化け物は島中にいるんでしょう。なら、この暗闇の大元を断つしかないんでしょうね。被害を減らすには戦闘を避ける必要があると。

念の為に風の妖精騎士に同行して貰います。念のために【毒耐性】【呪詛耐性】は使用しておきますか。先行して進む母さんの姿を見失わないように慎重に進みます。私も狛犬の昴を先行させますかね。広い島でしょうから「鬼火の海賊旗」を見つけるのは時間がかかるでしょうが、この不気味な闇を晴らし、少しでも島の人々の心が休まるよう、とことん捜索しますとも。


神城・瞬
【真宮家】で参加

(真の姿を解きながら)まあ、この洞窟だけでは済まないでしょうね。島の住民の皆様の安全の為には大元を破壊する必要がありますか。まあ、罠は嵌って踏み潰すタイプの母さんと奏は隠密行動は苦手でしょうが、何とかしますか。

何かあった時の為に月読の戦士を呼んでおきます。【式神使い】で鴉の朔を先行する母さんに同行させて捜索の精度を上げますかね。広い島をしらみつぶしに探すので、時間はかかるでしょうが、跋扈する化け物の厄介さはこの身で体験しましたので、これからの島の住民の皆様の安全の為に諦めないで探しましょうか。




 島の四方に散って探索を行う猟兵達の間を行き来する空飛ぶエビや鼠、特殊救急隊員によって得られた情報は他の猟兵達にも共有され、響達三人の下へも伝わっていた。
「まあ、洞窟の一箇所だけでなくディープ・ライダーは島全体にいるんだろうね」
 ふんと鼻を鳴らす響に、真の姿を解いた奏もその懸念に同意する。
「そうですね、恐らくあの不気味な骨の化け物は島中にいるんでしょう。なら、この暗闇の大元を断つしかないんでしょうね」
 母を目の前で沈められた衝撃も怒りも今は落ち着き、気に掛けるのはこの島の住民たちの安全だ。
「被害を減らすには戦闘を避ける必要があると」
 懸念すべきは自分たちの特性上、隠密行動には向いていないという事実だった。
 響も奏が何を思っているかよく分かっている。
「アタシ達家族は余り隠密行動には向いていないが……仕方ないね」
「まあ、この洞窟だけでは済まないでしょうね。島の住民の皆様の安全の為には大本を破壊する必要がありますか……」
 瞬もまた真の姿を解いていつも通りの穏やかな様子に戻っているが、その口元には苦笑が浮かんでいた。
 何せ母と妹の性質は共に行動している自分が一番よく分かっているのだから。
(罠は嵌って踏み潰すタイプの母さんと奏は隠密行動は苦手でしょうが、何とかしますか)
 いや、自分も冷静ではあるが時と場合によるな―――水底の落とし子との戦いの最中、奏とほぼ同じタイミングで真の姿になって突撃した事を思い返す。冷静にならねばと、肩から落ちてきた元の色を取り戻した髪を背中にやる。
「あなたの力を借りましょう」
 まずは何かあった時のために『月読の戦士(ツクヨミノセンシ)』を召喚する。
 現れた月読の紋を付けた術士に協力を頼み、式神でもある霊力豊かな鴉である『朔』に響との同行を頼む事にした。
「跋扈する化け物の厄介さはこの身で体験しました。島の住民の皆様の安全の為にも、諦めないで探しましょう」
「もちろんだ。この島の人達の為だ。少しは生活もマシになるだろうからね。根性入れて頑張るか」
 アンタ達も協力しておくれと響が召喚したのは瞬が呼んだ月読の戦士とは趣が異なる、いかにも戦うためにあると言った風情の『赫灼の戦乙女(カクシャクノイクサオトメ)』だった。
「奏と瞬は後から付いておいで。危険なことがあったらすぐ知らせるよ」
「広い場所を捜索するなら目と手は多い方がいいですね」
 奏も『風の妖精騎士』を召喚し、同行を願う。こちらも戦闘向きだが広い島、それも暗闇の中で『鬼火の海賊旗』を探すには人でも必要だ。
「この不気味な闇を晴らし、少しでも島の人々の心が休まるよう、とことん捜索しますとも」
 あなたも先行してもらえる?と妖精騎士とは別に狛犬の『昴』を呼ぶと、星のようなきらきらとした目で主人に頼みごとをされたと喜び勇んで駆け出して行った。

 先行する狛犬の昴が人より小柄な体を活かして物陰から周囲を確認し、響が目立たないよう忍び足で周囲を探り、別の方向を同行する戦乙女と鴉の朔がその手助けをする。
 瞬はその第六感で何かしらを感じ取れないか慎重に周囲を確かめ、響と瞬の間を行く奏が二人が離れすぎないように目を配りながらいざという時はすぐに対応できるよう、月読の戦士と妖精騎士と共にいつでも武器を抜けるようにする。
 隠密行動には向いていないと言った三人だったが、それぞれの異なる能力と多くの『目』を活用する事でより安全に探索を行う事ができていた。
 他の猟兵達から得られた情報もあり、何も手掛かりのない手探りの探索も情報を基に敵の巡回ルートをある程度割り出し『鬼火の海賊旗』があると思われる方向を予測する事が出来ようになったのも大きい。
 互いに共有した情報により、猟兵達はより正確に、より無駄なく『鬼火の海賊旗』へと近付いて行く。

 そして―――。

「どうやら、ここが当たりのようだね……うすら寒い気配がする」
 響きが見上げたのは石造りの古風な屋敷。所々に掲げられた篝火は、この島に蔓延るアンデッドが灯すものと同じ青や紫に燃えている。
 足元には水が溜まり、今はほとんど溶けているが氷が張っていた名残もあった。
「水底の落とし子はここを拠点にしていたようですね」
 奏と瞬はその自らすっかり呪いの力が失せている事を確認してから周囲に目をやる。そこには別の場所で探索を行っていた猟兵達が揃っていた。
 誰一人として巡回のディープ・ライダーに襲撃される事もなく辿り着き、ここに辿り着いたのだ。
 水底の落とし子によって屋敷の出入り口は氷で封鎖されていたが手分けして氷を破壊し、屋敷の中に入る。
 『鬼火の海賊旗』は本来なら憩いのひと時を過ごすために作られたであろうホールの中ほどに設置されていた。
 まるで神を祀る祭壇のように飾り立てられた台座に鎮座する『鬼火の海賊旗』―――島に闇をもたらすレガリアはついに破壊の時を迎える。
 猟兵達の手で破壊され、燃え上がる海賊旗は最後にレガリアの力を解放し、島を覆う暗闇を晴らして行く。
 暗闇が晴れた瞬間差し込んだのは夜空で眩く輝く月と星ではなく、太陽だった。
 輝く朝日を見た住民たちは何事かと外を窺い気付くだろう。島に蔓延るアンデッドが姿を消し、暗闇が晴れている事を。
 やがて解放された事を知った島の住民たちがあげた喜びの声を聞き、猟兵達もまたこの島の解放に成功した喜びに安堵して帰路につくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月16日


挿絵イラスト