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深海宵色アクアリウム

#UDCアース #呪詛型UDC

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●真夜中の青
 夜の水槽に満ちるのは、静寂の青。
 天から降り注ぐ煌めきが静かに落ちる中、悠然と游ぐ魚たち。
 そんな、普段目にする事さえ出来ないはずの真夜中の水槽の世界を。
 特別に揺蕩い、探検する事ができる夜があるのだという。
 いや、ただ訪れ楽しむというだけではない、秘密の時間が過ごせるのだ。
 何せ、今宵一晩だけ――貴方も魚たちみたいに、水族館の住人になれるのだから。

 けれど、気を付けて。
 真夜中に歌声が聞こえたら、吸い込まれてしまうから。
 静寂の青に満ちた大水槽の深海に。

●お泊り水族館
「昨年のクリスマスに案内したUDCアースにある水族館だが。この水族館に泊れるという催しが行なわれるそうだ」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、昨年購入した水族館のマスコットキャラ・ジンベイザメのジベザベス3世のぬいぐるみをもふもふしながらも。集まってくれた皆に礼を言い、そして視えた予知を語り始める。
「昨年は夜の水族館であったが。水族館に泊まれる今回の催しでは真夜中の水族館が楽しめ、好きな水槽の前で寝泊まりできるという人気の催しのようであるが。その催しを楽しむ人々が、UDCの怪異に巻き込まれるという予知を視た」
 それはUDCによる呪いのようなもので、怪異に誘われるのはその場で日常を満喫している者達という事が判明した。なので猟兵達が一般人のかわりに満喫しUDCに連なる怪しい誘いを引き寄せ、その奥に潜むUDCを退治する……そういう依頼内容である。
「なのでまずは、水族館に泊まるべく赴き、真夜中の水族館を満喫して欲しい」
 UDCの怪異が起こるのは、お泊り水族館の消灯時間後。なのでまずは怪異を引き起こすべく、閉園時間から消灯時間までの間、水族館を楽しむ必要がある。

 閉園後、誰もいなくなった真夜中の水族館は、また全く違った秘密の雰囲気。
 すやすやと眠っている魚もいれば、真夜中だからこそひょこりと姿を現す海の住人も。
 仄かな明かり灯る海中トンネルをくぐれば、空を飛ぶように水中を泳ぐマンタやサメたちと、真夜中の海底散歩も。
 沢山のクラゲがゆうらりふわり、優しく照らされ揺らめく夜の姿はとても幻想的で。
 よちよち可愛いペンギンのお散歩も、今宵だけはちょっぴりだけ夜更かし仕様。
 月と星の煌めき降る大水槽を見上げれば、沢山の魚たちやジンベエザメとの出会いが。
 色鮮やかなトロピカルフィッシュや少し変わった海の生き物は見ていて飽きないし。
 紅葉模様が入ったレアな熱帯魚を見つければ、幸せが訪れるなんてウワサも。
 館内や水槽も秋の飾りや彩りに染められていて、いつもとは違った雰囲気で。
 それに何より、仄暗い真夜中の水族館は静かで、まるで深海にいる様な臨場感も抜群。
 寝る場所も水族館内であれば自由に決められ、希望者にはジベザベス3世をはじめ、海のなかまたちの着ぐるみパジャマや抱き枕も貸し出してくれるという。

 そして今回は特別に、お土産が買えるアクアリウムショップや飲食物が買える売店やカフェも、消灯時間前まで深夜営業している。
 アクアリウムショップに並ぶ商品のラインナップもとても華やかで豊富だという。
 特に、この水族館のマスコットキャラである、ゆるふわジンベイザメ・ジベザベス3世のグッズは種類も豊富で大人気。一番の売れ筋であるジベザベス3世ぬいぐるみは極上の手触りで。最近では、ふわふわジベザベススマホケースやストラップ、チンアナゴの自撮り棒などのスマホグッズも人気だという。勿論ジベザベス3世だけでなく、各種海の生物のぬいぐるみやグッズも沢山あるようだ。
 幸せを呼ぶクリオネのアクセサリーも人気で、各種海の生物モチーフのアクセサリーも揃っていて。海の生物をステンドグラス調に描いた水族館限定ブックマークも、様々な絵柄から好きなものを選ぶことから楽しいし、気軽なお土産にもってこい。
 その他、水族館らしいモチーフのお菓子等、好みの品が探せばきっと見つかるだろう。
 また、水槽に囲まれた夜のアクアリウムカフェのメニューも必見。
 チンアナゴに見立てたチュロスは、定番のプレーン味とイチゴ味、そして今の時期だけの季節限定マロン味が。
 濃厚プリンのプリンアラモードには、紅葉とペンギンさんのお菓子細工がちょこん。
 2段重ねパンケーキは、ジベザベス3世のイラスト入り。甘いアイスやフルーツのトッピングは勿論、甘い物が苦手な人も大丈夫な甘くないサラダ系やおかず系のパンケーキもあるので、好みに合わせて選べるようだ。
 また、夜の海に星がしゅわり煌めくかのような深海ソーダは、大人にはカクテルで、未成年やアルコールが苦手な人にはクリームソーダで提供してくれるし。海の生き物のラテアートに、普通の珈琲や紅茶や各種ジュースなどの飲物も用意されているという。
 これらのカフェメニューは、水槽に囲まれた深夜のアクアリウムカフェででも、好きな水槽の前で頂けるテイクアウトでも、どちらでも楽しめる。

「そして就寝時間となり、必要最低限の照明以外が落ちた後……真夜中の水族館で、怪異が起こる」
 その怪異のはじまりの合図は、誘う様な歌声なのだという。
 そして歌に導かれるまま、ジンベイザメや沢山の魚の群れが泳ぐ大水槽の前にやって来れば――その水槽の中に吸い込まれてしまうのだという。
「水槽に吸い込まれた者は、歌をうたう怪異に魂を抜かれ殺されてしまうというが。猟兵であればそれに抗えるし、吸い込まれた先の水槽の中では息も出来るようなので。大水槽はとても広いが、歌声を元に水槽内を探索し、怪異の元凶を見つけ倒して欲しい」
 清史郎の言う様に、大水槽の中に引き込まれても息は出来、泳げなくてもそれなりに動けば移動することもできるようなので。
 魚たちが游ぐ静かな青の世界……真夜中の水槽の中を探索して。
 被害者が出る前に、元凶を見つけ出し倒して欲しいというわけだ。

「水族館にこの日泊まるのは、猟兵だけになるよう手配している。従業員も消灯時間後は安全な場所にいるため、一般人の介入は気にしなくて大丈夫だ。存分に真夜中の水族館を楽しみ、そして大水槽の世界を探索し、元凶を倒して来て欲しい」
 清史郎はジベザベス3世のぬいぐるみを抱いたまま、もう一度皆に頭を下げてから。
 その掌に満開桜のグリモアを咲かせ、静かな青広がる夜の水族館へと皆を送り届ける。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いいたします!

 ※ご連絡※ プレイング受付開始は、11/27(金)朝8:31からです。
 期間外に送信された分は流れる可能性が高いです。
 締め切り等のお知らせはMSページ等で決まり次第お知らせいたします。

 今回のシナリオの内容は以下となっております。

 第1章:たのしい水族館(日常)
 第2章:真夜中の冒険(冒険)
 第3章:元凶との戦闘(集団戦)

 1章2章は、POW/SPD/WIZは参考程度に行動いただいてOKです!

 第1章では、夜や真夜中の水族館を楽しんで下さい。
 できることは、だいたいOPにある通りです。
 時間は、閉園後20:00から消灯時間23:00頃までです。
 その他、水族館でできそうな事、いそうな生物の観察等ご自由にどうぞ!
 真夜中の水族館の水槽見学やカフェや土産屋を楽しむのもOKですし。
 お好きな水槽の前で寝具を広げた、お泊り会が中心でも構いません。
 飲食はカフェや売店の物なら可、ありそうなものは大体あるかと思います。
 お喋りやゲームや枕投げ等は、魚達が驚かない、周囲に迷惑でない程度ならばOK。
 海の生物の着ぐるみパジャマや抱き枕も用意されていますので、お好みでどうぞ!

 第2章は、ジンベイザメや魚の群れが泳ぐ大水槽内の探索です。
 怪異の仕業で大水槽の中に吸い込まれ、呼吸も移動も可能ですので。
 魚たちのように、元凶を見つけるべく青の世界の探索を楽しんでいただけます。

 第3章は、怪異を起こした元凶との戦闘です。

 第2章第3章の詳細は、追加OPを記載します。
 締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
 ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが複数人の場合は失効日の関係上、同行者と送信タイミングが離れすぎていたり、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせていただきたく思っています。
 どうぞお気軽にご参加下さい!
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第1章 日常 『たのしい水族館』

POW   :    お土産をたくさん買う

SPD   :    魚をいっぱい見る

WIZ   :    イルカやアシカなどのショーを楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

巡・ひととせ
こがねさん(f30244)と一緒に

「わぁ! これが噂の紅葉模様の熱帯魚ね……!」
少し前に街中で見かけたこの水族館の広告
任務だと言い聞かせ落ち着こうとするけど、年頃の女の子らしく少しはしゃいでしまう

ふと水槽越しに、後ろから微笑ましく見つめるこがねさんに気が付く
子ども扱いされているようで急に気恥ずかしくなり俯く
「(いつもそうやって、大人ぶるんだから……)」

一頻り色んなコーナーを楽しんだ後は、こがねさんが好きそうなアクアリウムショップに
ちょっと退屈ね……

ショップを出てすぐに手渡された、紅葉が刻印されている熱帯魚のストラップに思わず嬉しくなる
「ありがとう。大切にするね。」


穂紬・こがね
ひととせさん(f20334)と

貸切の水族館は人が少なく不思議と落ち着く
目の前で、水槽をジッと見つめて控えめにはしゃぐひととせさん
普段は大人しい彼女も、年相応の女の子なんだなと思わず微笑んでしまう

「噂の熱帯魚は見つかりましたか?」
話しかけると俯くひととせさんに、何か気に障っただろうかと少し焦ります

他のコーナーをまわり終えアクアリウムショップへ
少し退屈そうなひととせさんに、喜んでもらえそうなものをと店内をまわる
「すごく綺麗ですね」
飴細工のような凝った作りのストラップに思わず技師としての血が騒ぎます

「こういうのはお好きですか?」
恐る恐る手渡したストラップに、ひととせさんの表情が明るくなりほっとします



 普段は沢山の人で賑わっているだろう空間も、今はまるで波のない海の様に静かで。
 人が少ない館内……貸切の水族館は不思議と落ち着く、なんて。そんな気がするのは穂紬・こがね(夕暮れ狐・f30244)。
 見上げればステンドグラスの様に煌めく青、その青に泳ぐ様々な彩。広がる静寂は、沢山のからくり時計の針がかちこち動く音もはっきり聞こえそうで。
 それに――。
「わぁ! これが噂の紅葉模様の熱帯魚ね……!」
 目の前で、水槽をジッと見つめている彼女が思わず控えめに上げた声を聞けば、思わず微笑んでしまう。
 ……普段は大人しい彼女も、年相応の女の子なんだな、って。
 いや勿論、任務で此処に赴いていることは分かっているのだけれど。
 少し前に街中で見かけたこの水族館の広告、そして今、目の前にある青の世界。
 任務だと言い聞かせ落ち着こうとするけど、でも巡・ひととせ(ガーデナー・f20334)がつい年頃の女の子らしく少しはしゃいでしまうのも無理はない。
 気になっていた水族館で、さり気なく一生懸命探していた、幸せの熱帯魚を見つけたのだから。
 そんな花の様に咲かせた笑みを思わず零していたひととせであるが。
 青の水槽越しに、ふいにぱちりと合う視線。
 後ろから微笑ましく自分を見つめるこがねに気付いて。
「噂の熱帯魚は見つかりましたか?」
 声を掛けられれば、ふいっと思わず俯いてしまう。
 そして、何か気に障っただろうかと少し焦る彼を後目に、俯いたまま思う。
(「いつもそうやって、大人ぶるんだから……」)
 だって、急に気恥ずかしくなったから。何だか子ども扱いされているようで。
 それから館内をぐるりと巡って、水槽に咲く色々な彩を楽しく一頻り見てから。
 ふたりが立ち寄ったのは、沢山の商品が並ぶアクアリウムショップ。
「すごく綺麗で凝った作りですね」
 ふとこがねが立ち止まって見つめるのは、飴細工のような海の生き物たち。
 そのストラップの先で揺れる細工の精巧さを見れば、思わず技師としての血が騒ぐというもの。
 そんな職人談義に花を咲かせ、色々と店内を見て回るこがねとは逆に。
(「ちょっと退屈ね……」)
 ひととせはちょっぴり持て余し気味。
 けれど――ショップを出てすぐに瞳に映ったのは。
「こういうのはお好きですか?」
 そう恐る恐るこがねが差し出した……先程水槽の中で見たものと同じ、秋の彩りが咲いた熱帯魚。
 彼女に喜んでもらえそうなものをと探していたこがねが見つけた、紅葉が刻印されている熱帯魚のストラップ。
 それを受け取ったひととせは、思わず嬉しくなって。
「ありがとう。大切にするね」
 紡がれた礼に笑み返したこがねは、泳ぐように揺れる幸せの熱帯魚を見つめる彼女の姿に、ほっとする。
 紫の瞳に映る眼前の表情が、ぱっと明るく咲いていることに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シアン・ルー
【SPD】【袖会】
ルーナは水族館初体験だそうなので、わたしがしっかりエスコートしましょう。
お泊まりで参加者が猟兵だけなら、ばっちり水族館を堪能できるでしょう。
今日ばかりはぱんだパジャマからシャチパジャマに着替えます。お供のぱんだが震えている気がしますが、今日だけ。今日だけですからね。

寝床は天井まで水槽のトンネルの中です。今日はふたりじめですね。
「寝転んでこの水槽を見上げると、まるで海の中にいるようですね」
「水族館、素敵でしょう?……昔のことはもうほとんど思い出せませんが、水族館に来ると、不思議と胸が温かくなるんです」
「ええ、約束です。また必ず、来ましょうね」


ルーナ・オーウェン
【袖会】
お友達とのお泊り、それも初めての水族館
とても楽しい時間になりそう
(わぁぁ、初めてだから、素敵なんだろうなぁと内心わくわく)

お土産屋で入手した鯱のぬいぐるみ
シアンはパンダさんが相棒だから、今日の私は鯱を連れて
模様がお揃い
しゅわしゅわのソーダを片手に3週も見て回れば、そろそろお泊りタイム
シャチのパジャマもお揃いで
あれ、パンダさん震えてる
大丈夫、パンダさんもお揃いだよ

水槽の中のトンネル
寝転んで見上げれば海の中
「うん、すっかり海の中、空を飛ぶみたいに、私たちも泳げるかな」
「色んな生き物が見れて、とても綺麗で楽しかった」
「今日の思い出は、きっとこれからも残り続ける」
「またいつか、来よう」



 きょろりと赤の視線を巡らせれば、広がるのは静かに煌めく青のいろ。
 これから始まるのは、ルーナ・オーウェン(Re:Birthday・f28868)にとって、初めてがいっぱいの夜。
(「お友達とのお泊り、それも初めての水族館。とても楽しい時間になりそう」)
 海の様な、けれど好きな星空の様な……魚たちが彩りを添える、不思議で綺麗な沢山の水槽。
 そんな水族館を歩くルーナは視線を巡らせながらも、内心わくわく。
(「わぁぁ、初めてだから、素敵なんだろうなぁ」)
 だって隣には、心強い友達も一緒だから。
(「ルーナは水族館初体験だそうなので、わたしがしっかりエスコートしましょう」)
 そう相棒のぱんだとも、こくりと頷き合ってから。
 人の少ない、静かな夜の水族館を見回してみるのは、シアン・ルー(千武・f00616)。
 たまにすれ違う人たちも、今この館内にいるのは全員猟兵だけだという。
 依頼の為に赴いている事情上、一般人がいれば何かと心配事も増えてしまうけれど。
(「お泊まりで参加者が猟兵だけなら、ばっちり水族館を堪能できるでしょう」)
 怪異を引き寄せる為にまずやるべき事……お泊り水族館を存分に楽しむという条件を満たすべく。
 物珍しそうに周囲を眺めるルーナを、すかさずエスコートするシアン。
「まずは、そこのお土産屋に行ってみましょう。その後、何か飲み物を買って見て回りましょうね」
 何気に水族館の予習はばっちり、抜かりなく要領良いルートを選定して。
 ゆっくりと水族館が楽しめるよう、そう提案を。
 そしてアクアリウムショップへと足を運べば……ルーナの目に留まったのは、パンダさん??
「あ、模様がお揃い」
 それはパンダさんと同じ白黒模様の、ふわふわなシャチさんぬいぐるみ。
 ルーナはシアンのぱんださんを見て、もう一度シャチさんへと視線を戻してから。
(「シアンはパンダさんが相棒だから、今日の私はこの子を連れて」)
 出逢った今宵の相棒を、ぎゅっと抱きしめる。
 そして入手したシャチさんを連れ、目の前の水槽の様ないろをした深海ソーダを買って。
 手の中にあるしゅわしゅわの青も一緒に、ぐるぐると館内を何度も巡れば。
 3周し終えたあたりで――そろそろ消灯時間に。
 けれど、まだ楽しみはこれから。そう、お泊りタイムのはじまり。
 いつもはぱんだパジャマだけれど、今日ばかりはと同じ白黒模様のシャチパジャマに着替えるシアン。
 ルーナも勿論、お揃いのシャチパジャマ! ……なのだけれど。
「あれ、パンダさん震えてる」
「今日だけ。今日だけですからね」
 シアンのお供のぱんだが、ぷるぷると震えている気が……!?
 けれど、これはシアンの言う様に今夜だけであるし。
「大丈夫、パンダさんもお揃いだよ」
「今日ばかりは、ぱんだもお揃いのシャチですね」
 パンダさんもシャチのパジャマを着れば、みんなお揃いでひと安心。
 それからぽふりと寝具を敷いたのは――ぐるり水槽に囲まれた、海底トンネルの中。
 そしてころんと一緒に寝転んで見上げれば、広がるのは星空の様に煌めく静かな海のいろ。
「寝転んでこの水槽を見上げると、まるで海の中にいるようですね」
「うん、すっかり海の中、空を飛ぶみたいに、私たちも泳げるかな」
 空の様な、海の様な……そんな眼前の秘密の景色を、今日は贅沢にふたりじめ。
 ひとことで海の生き物と言っても、実際目にしたどのいろも、決して同じものなどなくて。
「色んな生き物が見れて、とても綺麗で楽しかった」
「水族館、素敵でしょう? ……昔のことはもうほとんど思い出せませんが、水族館に来ると、不思議と胸が温かくなるんです」
 ルーナは、そう返ってきたシアンの声に、何処か納得してしまう。
 だってきっと、自分にとっても同じだと思うから。
「今日の思い出は、きっとこれからも残り続ける」
 今日のことを思い出す度に、胸が同じ様に温かくなるだろうし……ずっとその温もりは消える事はないだろう、って。
 そして自分達しかいない海の底で、ふたりは交わし合う。
「またいつか、来よう」
「ええ、約束です。また必ず、来ましょうね」
 必ず、またいつか一緒に来よう、って――そう、約束げんまん。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・紅
オズさん(f01136)と

はいは~い
ぴょこんといちご色のチュロスもご挨拶させて
楽しいっ

するするっ♪

すごぉい、きれいっ
元気にお手々とおでこを大きな水槽にペタン
二人ライトに輝く極彩色の中、幸せ色を探すのです
もみじさんどこですかっ
そしたらぽかぽかな色が瞳に映って

わ、わぁ
オズさんオズさんっ
思わず袖をひっぱって指をさす
たんぽぽさん!
オズさんを思わせるお花柄

わ、ほんとですっ
僕の髪飾りと一緒っ
二匹お花が踊ってるみたい
きっとなかよしさんっ

もみじさんは見つからなかったですねぇ
ぅや、そうかもっ素敵

そこへ鼻を擽る甘い匂
オズさんっ幸せの薫りがしますっ
菫色がきらりキトンブルーを捉え輝く

しあわせ、きちゃいましたね!


オズ・ケストナー
紅(f01176)と

チュロス、かわいい
ぴこぴこ動かして
もしもーし
クレナイのチュロスにごあいさつ
ひとくちこうかんしよっ

熱帯魚が視界に飛び込めば駆け寄って
ガラスに張り付く
きれいっ
もみじの子、いるかなあ
どこですかーっ

わあっ、ほんとうだ
あの子たんぽぽみたい
クレナイすごいっ

よーしわたしもっ
クレナイが見つけてくれたから
わたしもクレナイのすきな模様を見つけたくて

みてみてっ、あの子ヒガンバナみたいっ
いっしょにおよいでるね
なかよしさんかな

わたしたちのすきな花ににてるもの
きっとしあわせをつれてきてくれるよっ

しあわせのかおりをすんすん
カフェだっ
よなかなのに、あまいものがたくさんだねっ
ふふ、もうしあわせがきたのかな?



 青い水の中でゆうらゆら、沢山並んで揺れていた本物をついさっき一緒に見たばかり。
 ――ぴこぴこっ。
「もしもーし」
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)の手の中でひょこりと挨拶するのは、秋の味がする甘いチュロスのチンアナゴさん。
 それに応えて、もう一本ひょっこり。
「はいは~い」
 ぴょこんとご挨拶を返すのは、見目も可愛いピンクいろ。朧・紅(朧と紅・f01176)の、いちご味のチンアナゴさんチュロス。
 そしてぴこぴこ仲良く一緒に動かせば、思わず顔を見合わせて笑みがふふり。
「チュロス、かわいい」
「チュロス、楽しいっ」
 それに勿論、かわいくて楽しいだけではなくて。
「ひとくちこうかんしよっ」
「するするっ♪」
 ほっぺたが落ちそうなくらい、甘くて美味しい交換こ。
 それからぐるり、特別な夜の青が揺らめく水族館の冒険を再開!
「すごぉい、きれいっ」
 キラキラ輝く水に、ゆったり泳ぐ様々な魚たち。
 やって来たのは、青に揺蕩うカラフルな熱帯魚たちの水槽。
 そんな大きな水槽に、元気にお手々とおでこをペタン、きょろりと視線を巡らせてみる紅。
 オズも一緒に駆け寄って、同じ様にガラスにペタンと張り付けば。
「きれいっ。もみじの子、いるかなあ」
「もみじさんどこですかっ」
 ……どこですかーっ、て、そうっと声を掛けつつも捜索開始。
 煌めき輝く極彩色の中、探すのは――そう、幸せ色。
 けれど刹那、紅の瞳にひょこりと飛び込んできたのは……もみじの子とは、ちょっと違ったけれど。
「わ、わぁ。オズさんオズさんっ」
 くいくいっと思わず隣の袖を引っ張って、見つけたそのいろを指差す紅。
 それはまるで、さした指の先を追う彼のような。
「――たんぽぽさん!」
 ぽかぽかふわりと優しい、オズさんを思わせるお花柄のお魚さん。
「わあっ、ほんとうだ。あの子たんぽぽみたい」
 ……クレナイすごいっ。
 オズは、紅が見つけてくれた泳ぐ春のいろを、キトンブルーの瞳にも咲かせてから。
 ――よーしわたしもっ。
 ぐっとより気合いを入れて、水槽の青と再び瞳を重ねて。
 色んないろの中から、あれはどうかなちょっとちがうかな、って真剣に探してみる。
 だって、絶対見つけたいって思うから。自分も、紅のすきな模様の子を。
 そして――ぱっとオズの瞳に鮮やかに咲いたのは、ぱちりと弾ける様なとっておきのいろ。
「みてみてっ、あの子ヒガンバナみたいっ」
「わ、ほんとですっ。僕の髪飾りと一緒っ」
 刹那、ぽかぽかの春が咲いた子とぱちぱち秋の彩り纏う子が、スイッとお隣同士に並んで。
「いっしょにおよいでるね」
「二匹お花が踊ってるみたい」
 オズと紅は、こくり顔を見合せ頷き合う。
 ――なかよしさんかな。
 ――きっとなかよしさんっ。
 だって、自分達の様ないろをしている子たちなのだから……なかよしさんに、決まっている。
 そんなタンポポの子とヒガンバナの子を微笑まし気に眺めながらも、紅はふともう一度ぐるりと水槽を見回しつつも呟く。
「もみじさんは見つからなかったですねぇ」
 見つければ幸せになるって言われている、もみじの子は見当たらないけれど。
 でもオズは、確信しているから。
「あの子たち、わたしたちのすきな花ににてるもの。きっとしあわせをつれてきてくれるよっ」
「ぅや、そうかもっ素敵」
 だってほら……早速、ふわりと鼻を擽る、甘い気配がするから。
「オズさんっ幸せの薫りがしますっ」
 紅の声に、オズもしあわせのかおりをすんすん。
 ふたり誘われる様に、甘い幸せの匂いを辿っていけば。
「カフェだっ。よなかなのに、あまいものがたくさんだねっ」
 今夜だけ、特別。ずらりと美味しそうなスイーツが並ぶ、アクアリウムカフェへ到着!
 もみじの子もだけど、自分たちだけのとっておきの子たちだって、やっぱり運んでくれたのだ。
「ふふ、もうしあわせがきたのかな?」
「しあわせ、きちゃいましたね!」
 そう……優しくて嬉しくて美味しい、ふたりだけのしあわせを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
実は恋人と水族館デートすんの
ささやか〜な夢だったんだよネ
元が、――ヒュドラが海の生き物だからさ
海みたいなここ、落ち着くんだよなぁ
あら、エスコートしてくれんの?じゃあ、甘えるよ

ほんと詳しいなあ、海の生き物
誰から学んだの?家族とか?
トビウオ?あれ飛ぶの!?あ、飛ぶように跳ねるってやつか
へえ――それにあやかって今日の仕事もうまくいくといーけど
サメ嫌いなの? ああ、そっか
グリードオーシャンのサメとこっちのサメって違うんだもんな

おー、きたきた俺の好きなやつ
スナメリ
かわいくない?むにょーってしてて
この緩さがたまんないね、和む
なあ、エコー。今度海いかない?寒いけど
海賊船!いいね、ツテあっかなぁ


エコー・クラストフ
【BAD】
へぇ、水族館……ほとんどが海になってるグリードオーシャンにはなかった発想だ
あの世界では魚を飾っておくことなんてないからね
ボクも落ち着くよ、この場所。海で育ったからね
それじゃ、ボクの手を握って。案内兼解説を担当するよ

魚の知識? ……最初は、ボクがいた海賊団の人たちに教えてもらったけど、途中からは自分で見て覚えたかな
お、アレとかボクの好きな魚だ。トビウオだよ
航海中、トビウオが跳んだのを見れたらその航海は安全に終わるんだ
で、アレはサメだね……あんまりいい印象はないな。危ないし

スナメリ……? はは、なんか間抜けな顔してるね。たしかに可愛いかも
いいね。海か……海賊船でも作って乗ってみる?



 此処はまるで深い深い海の底、夜を彩る静かな青。
 そんな人の姿も殆ど見えない閉館後の館内を、ふたり並んで歩きながら。
「実は恋人と水族館デートすんの、ささやか〜な夢だったんだよネ」
 ハイドラ・モリアーティ(Hydra・f19307)がそう、隣に在る海のいろの瞳をした恋人を見遣れば。
 意外にも珍しそうに周囲に視線を巡らせているエコー・クラストフ(死海より・f27542)。
 海は彼女にとって、世界そのものであったはずなのだけれど。
「へぇ、水族館……ほとんどが海になってるグリードオーシャンにはなかった発想だ」
 ……あの世界では魚を飾っておくことなんてないからね、と。
 延々と続く海の世界に生きていたからこそ、わざわざ海の生き物たちを飾るという行為が珍しいのだ。
 それにいつも居るのは海の上であるけれど……今は、深い海の底にいるようで。
 ハイドラはゆうらり揺れる青を、見つめるふたつの己のいろと重ねながら、呟きを落とす。
「元が、――ヒュドラが海の生き物だからさ。海みたいなここ、落ち着くんだよなぁ」
「ボクも落ち着くよ、この場所。海で育ったからね」
 同じ様に、波に身を任せるかの如く、気持ちがが凪ぐ感覚を覚えるエコー。
 母なる海のいろ、そして共に在る今。
 それにどうせ深い海の底に沈むのならば、ふたり一緒がいいから。
 そしてスッとハイドラの前に差し出されるのは、エコーの掌。
「それじゃ、ボクの手を握って。案内兼解説を担当するよ」
「あら、エスコートしてくれんの? じゃあ、甘えるよ」
 そう笑みと共にハイドラが手を取れば、じわりと体温が混ざり合って。
 そっと引かれる導きは、頼もしい今宵の冒険の羅針盤。
 いや、羅針盤なだけではなくて。
「ほんと詳しいなあ、海の生き物。誰から学んだの? 家族とか?」
「魚の知識? ……最初は、ボクがいた海賊団の人たちに教えてもらったけど、途中からは自分で見て覚えたかな」
 見るだけでスラスラと名前や特性が出てくるエコーの知識は、図鑑も顔負け。
 そしてふと水槽に戻したエコーの瞳に飛び込んできたのは。
「お、アレとかボクの好きな魚だ。トビウオだよ」
 胸びれをひらり広げて泳ぐ魚。確かにその鰭は翼の様に見えるけれど。
「トビウオ? あれ飛ぶの!? あ、飛ぶように跳ねるってやつか」
「航海中、トビウオが跳んだのを見れたらその航海は安全に終わるんだ」
 エコーの言葉に、ハイドラも飛ぶ様に水の中をゆくトビウオへと向けて銀の片眸を微か細め紡ぐ。
「へえ――それにあやかって今日の仕事もうまくいくといーけど」
 それからふと、ゆらり大きめの影が落ちれば。
 エコーは何処か苦笑するように、その影の主を見遣って。
「で、アレはサメだね……あんまりいい印象はないな。危ないし」
「サメ嫌いなの?」
 一瞬そんな反応にきょとりとするけれど。
 ああ、そっか、とすぐにその理由に思い至る。
「グリードオーシャンのサメとこっちのサメって違うんだもんな」
 海上に生きていた者にとっては危険な生き物も、世界が変われば水槽を悠然と泳ぐ人気者に。
 そして、次に目の前にやって来たのは――。
「おー、きたきた俺の好きなやつ」
 ハイドラはゆるっと泳ぐその姿を指して、エコーへと視線を向ける。
 ――スナメリ、って。
「かわいくない? むにょーってしてて」
「スナメリ……? はは、なんか間抜けな顔してるね。たしかに可愛いかも」
「この緩さがたまんないね、和む」
 ゆるーっと愛嬌たっぷりに泳ぐ、クジラの様なイルカの様なその姿を一緒に眺めてから。
 ふとふたり目が合えば、スナメリが泳ぐ青の下、思わず漏れる笑い声。
 そしてハイドラは青の世界を再び見つめながら、こんな提案を。
「なあ、エコー。今度海いかない? 寒いけど」
 水族館も勿論楽しいけれど、今度は本物の海の航海に乗り出すのも楽しいかもしれない。
 そしてその時は、勿論。
「いいね。海か……海賊船でも作って乗ってみる?」
「海賊船! いいね、ツテあっかなぁ」
 荒々しく海をゆく、海賊船での冒険に決まっている。
 何ていったって、頼もしい本物の海賊がいるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

水族館のお泊りイベントね。いいね。奏が子供のように目を輝かせてぜひ行きたい!!と言っているので、家族3人で行こうか。

まず奏が足を止めたのはお土産屋。え?ジベザベス3世の縫いぐるみ欲しい?まあ、奏には堪らないフォルムだろうね。買おうか。アタシは・・・(クリオネのペンダント見て)これにしようか。

そして家族3人で立ち寄るカフェで食べるのは2段重ねパンケーキ。奏と瞬はチュロスもプリンアラモードもパンケーキも制覇する勢いだが、元々スイーツに目が無い子達だからね。多少の財布の中身の損害も気にしないでおこうか。

さて、ジンベイザメの水槽の下で休むとするか。念の為、抱き枕だけ借りて置くよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

水族館のお泊りイベント!!(目をキラキラさせて)ぜひ行きたいです!行きましょう!!

お土産屋さんに付いてジベザベス3世の縫いぐるみを母さんにおねだり。大事そうに抱えてカフェへ。

カフェはチュロスもプリンアラモードもパンケーキも全部頂きます!!瞬兄さん、手伝ってくれますよね?

夜になったら大張り切りでジベザベス3世の着ぐるみを着て、しっかり抱き枕を抱えてお休み。何かあったら起こしてくださいね。zzzzz・・・(僅か10秒足らずで寝息を立て始める)


神城・瞬
【真宮家】で参加

ふむ。水族館のお泊りイベントですか。興味あります。何より奏の目の輝きようを見れば張り切って出かけますとも。

お土産屋さんについて目につくのはブックマーク。母さん、買ってもいいですか?

カフェについたら早速奏のペースに巻き込まれます。え?チュロスもプリンアラモードもパンケーキも全制覇?何て力技。まあ、僕もスイーツ大好きですし、全制覇、付き合いましょう。

お休みの時間になって早速寝ている奏に微笑みながら、枕だけお借りしますか。せめて僕位は、すぐ動けるようにして置きませんと。



 本来ならば、足を踏み入れる事さえできないはずの時間なのに。
 静かに広がる蒼き夜の世界を、ただ眼前に見ることができるというだけではなくて。
「水族館のお泊りイベント!!」
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)が瞳をキラキラさせ、逸る気持ちのまま言ったように……今宵だけ特別に、水族館で寝泊まりが出来るというのだ。
 いや、勿論、予知された依頼の為ではあるのだが。
「ぜひ行きたいです! 行きましょう!!」
 奏が子供のように目を輝かせてそう言うだろう事は、真宮・響(赫灼の炎・f00434)には十分予想できたし。
「水族館のお泊りイベントね。いいね」
「ふむ。水族館のお泊りイベントですか。興味あります」
 神城・瞬(清光の月・f06558)も、ふたりの声に、こくりと同意する様に頷く。
 水族館に泊まれるという、滅多に出来ない体験ができることもなのだけれど。
(「何より奏の目の輝きようを見れば張り切って出かけますとも」)
 わくわくした様子の奏を見れば、断る理由など何もなく……むしろその無邪気な目の輝きように、同じ様に密かに心も躍ってしまう気がするから。
 そんな奏や瞬の言葉に、家族3人で行こうか、と響も勿論異論はなく。
 足を踏み入れた夜の水族館を並んで歩きながら、3人がやって来たのは――アクアリウムショップ。
 正確に言えば、奏の足がぴたりと止まったのである。
「母さん、ジベザベス3世です!! ふわふわしたこの手触り、気持ちいいです~」
 ほわりと蕩けた様に奏が抱きしめるのは、この水族館のマスコットであるという、ジンベイザメのジベザベス3世のぬいぐるみ。
 極上のふわもふとウワサ高い人気の一品は、欲しいです~と、もふもふ好きな奏がついおねだりしてしまうほど。
「え? ジベザベス3世の縫いぐるみ欲しい?」
 響はそんな娘の言葉に瞳を瞬かせるけれど、すぐにジベザベス3世を見つめれば納得してしまう。
「まあ、奏には堪らないフォルムだろうね。買おうか」
 そしてそんな響の言葉に奏が瞳をさらに輝かせる中、瞬もふと目についたものを手にして訊ねる。
「母さん、これを買ってもいいですか?」
 それは、奏が抱っこしているジベザベス3世をはじめ、海の生き物たちが美しいステンドグラス風に描かれたブックマーク。
 そんなふたりに頷きながらも、響も店内へと視線を巡らせてみれば。
「アタシは……これにしようか」
 見つけたのは、つければさり気なく首元で揺れる、幸せを呼ぶクリオネのペンダント。
 それからそれぞれ選んだお土産を購入して、次に向かうのは――美味しそうな匂い漂うアクアリウムカフェ。
 大事そうに買って貰ったジベザベス3世を抱え、カフェへとやってきた奏は勿論!
「カフェはチュロスもプリンアラモードもパンケーキも全部頂きます!!」
「え? チュロスもプリンアラモードもパンケーキも全制覇?」
 いや、分かっていたけれど……何て力技、と。
 思わず呟かずにはいられない瞬に、奏は視線を向けて続ける。
「瞬兄さん、手伝ってくれますよね?」
 そうまたもやキラキラした瞳を向けられれば、もう返す言葉はこれしかない。
「まあ、僕もスイーツ大好きですし、全制覇、付き合いましょう」
 そんな早速自分のペースに持ち込む奏と、すっかり巻き込まれている瞬の様子を見守りながらも。
 響が頼んだのは、買ってあげたジベザベス3世が描かれた2段重ねのふわふわパンケーキ。
 今日はちょっぴり特別な夜のお出掛けであるし……何より、チュロスもプリンアラモードもパンケーキも制覇する勢いの子供達は嬉しそうだし。
(「元々スイーツに目が無い子達だからね」)
 次々とテーブルに並べられていく甘い物とそれを張り切って食べるふたりの姿に、響は瞳を細める。
 ……多少の財布の中身の損害も気にしないでおこうか、って。
 家族で過ごす楽しい時間を思えば、何てことないから。
 それから、一通り水族館を楽しんだ後。
 やはり寝る場所に選ぶのは、此処しかありません……!
(「さて、ジンベイザメの水槽の下で休むとするか」)
 そう――大きなジベザベス3世が悠然と泳げる様な、大水槽の傍。
 そして奏の今夜のパジャマは、そんなジベザベス3世とお揃いの姿。
 大張り切りでジベザベス3世の着ぐるみを着て、しっかりぎゅぎゅっと抱き枕を抱えれば。
「何かあったら起こしてくださいね。zzzzz……」
 僅か10秒足らずで寝息を立て始めちゃいました!
 そんな奏の健やかな姿に、瞬は微笑みながらも。
 響と共に念の為、奏とお揃いのジンベエザメ抱き枕を借りてから。
 消灯時間になり、最低限の照明だけになった館内で横になっておく。
 奏にも、何かあったら起こして欲しいと頼まれたことだし。
 此処に赴いた目的は、これから起こるのだから。
 瞬はすやすや寝息を立てる奏にもう一度瞳を細めながらも、静かに来たるその時を待つ。
 ――せめて僕位は、すぐ動けるようにして置きませんと、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シェキザ・シップスキャット
【ウミホタル】

※明るい場所では声が大きく表情もはっきり、
暗い場所では「!」を使わず表情も穏やかになる

おおー、ここが陸の海があっとこかァ!!!
――っと、いけねぇいけねぇ、声ぁ抑えめにしねぇとか!
ハハ、確かに波音も潮風もねぇのァちと不思議じゃあらぁな!
お、トンネル?
あの海の中みてぇな水槽ってぇやつか!(わくわくと進む)

おお……深ぇ青だ。これが陸の海かァ
海育ちたァいえ、海ってのァ基本船から見るもんだから、こういうのァ新鮮だぁな
深く、遠く、青く――
この世とあの世の境が溶けるみてぇだ

おう、構わねぇさ。いくらでも寄りな
オレの翅の青白い光は、普段は死者の拠り所になるモンだが
今夜は珂奈芽の灯火になってやらぁな


草守・珂奈芽
【ウミホタル】

じゃーん、これが水族館なのさ!(小声で)
おっと今日は特にお静かにっ!
…ごほん、海の中みたいですごいっしょ?
と言っても、波の音もしないしシェキザくんには変な感じかな。
人工の海だけど…でも嫌じゃないならよかったのさ。
あ、あっちにトンネルもあるのさ。行こ行こ!

ふわあ、すごい、暗い中に魚がふわふわしてるのさ。
月明かりがぼんやり散って、水の色も昼より濃くて影が踊ってて。
わたし達以外海に沈んでなくなったみたい――なんだか吸い込まれそう。
こ、怖くなってきたかも。
シェ、シェキザくん、もちょっと寄っていい?
その翅の光が今日ばかりはなんだか安心できるのさ。
まさに海の導き手、灯火…心強いね。



 足を踏み入れた水族館は、キラキラ輝くライトが水槽の揺らめきをより明るく照らして。
 眼前に広がるのは、様々ないろを咲かせた魚たちがスイッと泳ぐ、鮮やかな海。
「じゃーん、これが水族館なのさ!」
 えっへんと、でも気持ち小声でそう言った草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)に。
 シェキザ・シップスキャット(セントエルモの灯は踊る・f26310)は、煌めき纏う周囲をぐるり大きく見渡しながらも。
 いつもの様に、小さな身体に似合わぬよく響く声と興味深々な豪快な笑みを返すけれど。
「おおー、ここが陸の海があっとこかァ!!!」
「おっと今日は特にお静かにっ!」
 しーっと人差し指を口元に持っていく彼女に一瞬、ぱちりと瞳を瞬かせる。
 ついつい、どんな状況でも何処にでも届くようにと、いつもの様に声を張ってしまったけれど。
「――っと、いけねぇいけねぇ、声ぁ抑えめにしねぇとか!」
 今日はちょっぴり、大きな声は控えめに。
 そう彼的には抑えめの声で頑張って続けたシェキザに、こくり頷き返してから。
「……ごほん、海の中みたいですごいっしょ?」
 咳払いをひとつ、気を取り直した珂奈芽は、沢山の魚たちが泳ぐ水槽を見遣るけれど。
 ふと、彼へと視線を向けて小さく首を傾ける。
 ……と言っても、波の音もしないしシェキザくんには変な感じかな、って。
 巨人の海賊船で育ったという彼が見てきたのは、何処までも広がる本物の海。
 だから人の手で作られた眼前の青の世界を、彼がどう思うのだろうかと……そうっと少し思ったのだけれど。
「ハハ、確かに波音も潮風もねぇのァちと不思議じゃあらぁな!」
「人工の海だけど……でも嫌じゃないならよかったのさ」
 楽し気に笑う彼につられて、笑み零した後。
「あ、あっちにトンネルもあるのさ。行こ行こ!」
「お、トンネル? あの海の中みてぇな水槽ってぇやつか!」
 怒られない程度にきゃっきゃとふたり向かうのは、わくわくと心躍る海底トンネル。
 先程までの明るいライトに照らされた水槽も、キラキラ輝いて綺麗だったけれど。
「ふわあ、すごい、暗い中に魚がふわふわしてるのさ」
 まるで深海に居るかのような……見渡す限りの、静かな夜の青。
 そんな星空の海をゆうらりふわりと泳ぐ魚たち。
「おお……深ぇ青だ。これが陸の海かァ。海育ちたァいえ、海ってのァ基本船から見るもんだから、こういうのァ新鮮だぁな」
 そう呟いて、シェキザは珂奈芽と共に、陸の海を見上げてみる。
 先程の全開な笑顔とはまた違った、穏やかな笑みを宿しながら。
 これまで色々な海のいろを数えきれないくらい見てきたはずなのに……彼女と一緒に眺めているのは、初めて見る彩。
 それは、深く、遠く、青く――。
「この世とあの世の境が溶けるみてぇだ」
 ぽつり落ちた彼の呟きを耳に、珂奈芽は海に耀く蛍の如き淡い光たちを見つめる。
(「月明かりがぼんやり散って、水の色も昼より濃くて影が踊ってて……わたし達以外海に沈んでなくなったみたい」)
 ――なんだか吸い込まれそう、って。
 シェキザの言うように、幽世と現世の狭間に、自分達も溶けてしまいそうで。
 世話を焼かれるのが苦手だから、普段はちょっぴり強がったりもしてしまうのだけれど。
 ……こ、怖くなってきたかも、なんて。
「シェ、シェキザくん、もちょっと寄っていい?」
 そうそっと彼へと思わず声を掛けてしまう珂奈芽。
 そんな彼女の声に、シェキザは瞳を細めて。
「おう、構わねぇさ。いくらでも寄りな」
 光纏う翅をぱたりと羽ばたかせ、続ける。
「オレの翅の青白い光は、普段は死者の拠り所になるモンだが、今夜は珂奈芽の灯火になってやらぁな」
 深海の様な深い青にただ燃ゆる薄青い光は、死者の魂を呼び、時には船乗りに恐れられるような灯火であったかもしれないけれど。
 でも、夜を仄か照らすシェキザの青は、荒くれ共も嘆きの亡霊も、等しく導いてきたから。
「その翅の光が今日ばかりはなんだか安心できるのさ」
 珂奈芽は、不安に微か揺れていた心の波が凪いでいくのを感じる。
 蛍石を優しく照らし重なる優しい青のいろに。
 ――まさに海の導き手、灯火……心強いね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

約一年ぶりかな。あの時と違って今回は一人だけど。
…いやあの時も結局皆とはぐれて俺は一人だったけどな。
去年は皆もいたしこっそりジベザベス3世のぬいぐるみを買ったが、今年は栞だけでいいかな。あとは夜の共に軽食とコーヒー。

クラゲの水槽の前でコーヒー飲みながら。
人が怖くて猟兵の仕事以外で出かける事も無くなってしまった。来年は少しは出かけられて、そして本を増やせたら。
そう思う一方で。水に何もかも沈めて…、自分自身さえも沈んでしまえたら。とも思う。
戦場で折れる事も、自ら折れる事も出来ない。
なら暗い水底で貝のように何もかも閉ざして。そのまま静かに朽ちてしまいたい。
そう願うのは我儘だろうか。



 何処か見覚えのある眼前の風景を以前見た時は、沢山の人で賑わっていたけれど。
 今は、人の姿も疎らで、静かな青がただ目の前に広がっている。
(「約一年ぶりかな。あの時と違って今回は一人だけど」)
 前に此処を訪れたのは、クリスマスの時期で。
 ふとその時のことを思い出しつつ、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)はそっと苦笑する。
(「……いやあの時も結局皆とはぐれて俺は一人だったけどな」)
 それから足を向けてみるのは、アクアリウムショップ。
 去年は皆も一緒だったから、こっそりとジベザベス3世のぬいぐるみを買ったけれど。
「今年は栞だけでいいかな」
 その手に取ったのは、ふわりとゆったり泳ぐ美しい海月が描かれたステンドグラス風の栞。
 そんな読書のお供な土産を購入すれば、あと買っておきたいのは、今夜のお供の軽食とコーヒー。
 そしてやはり腰を落ち着けたのは――クラゲの水槽の前。
 ふわりと香り漂う珈琲を口に運びながら、暗い海に揺蕩う幻想的ないろを眺め、瑞樹は思う。
(「人が怖くて猟兵の仕事以外で出かける事も無くなってしまった」)
 だから、来年は少しは出かけられて、そして本を増やせたら……そう思う一方で。
 深い海の底の様な夜にひとり、こうも考えてしまう。
 ――水に何もかも沈めて……、自分自身さえも沈んでしまえたら、とも。
 暗い海を揺蕩う眼前のクラゲたちは、一体何を思っているのだろうか。
 いっそ、感情なんてものも全部、深い深い海の底に沈めて……ただ、何も感じず揺蕩えれば。
 こんな思いに苛まれない、モノであった時に戻れれば、なんて……つい、思ってしまう事も正直ある。
 だって――戦場で折れる事も、自ら折れる事も出来ないのだから。
(「なら暗い水底で貝のように何もかも閉ざして。そのまま静かに朽ちてしまいたい」)
 眼前に広がる真夜中の海の様な、限りなく深い青に――瑞樹はそう、己の瞳にそのいろを重ねつつも。
 もうひとくち、珈琲を口へと運びながらも、ふるりと小さく首を振る。
 ――そう願うのは我儘だろうか。
 そんな呟きを、ぽつりとひとつ落としながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレイ・アイビー
シーラ(f27554)

珊瑚礁の生き物と海月が漂う水槽の一番良い場所を確保
ぼくもここまでの光景は見たことはねぇです
海にも色んな世界があるんですねと感動

着ぐるみパジャマはお任せ
さて、これは何ていう生き物でしょう?
気に入ると思いますが

シーラのパジャマも可愛いじゃねぇですか
よく似合ってやがりますよ
ついぼくより歳上だということを忘れて、頭を撫でたくなりますが…お前も撫でてくれるんですか?
少し屈んだら、よしよししてもらいましょう

海の生き物を眺めながら勉強したら、良い夢が見られそうじゃねぇですか?
つい夢中になってしまいそうですが、シーラがうとうとするようなら、そのまま静かに寝かせてあげましょう

おやすみなさい


シーラ・クリステラ
グレイ(f24892)と

水族館、少し暗い。海って暗いところ?
…明るい海もあるの?
うん、綺麗
森で見る星にも負けてない
キミはこんな海見たことある?

きぐるみのパジャマはおまかせ
こういうの初めて着た、ふわふわしてる

似合ってる?
…キミのはなんて名前の生き物なのかな
頭を触るのにはどういう意味があるの?
……そっか。
いいよ。シーラもしてあげる

勉強?この水槽、色んなのがいるから、夜更かしになるかも。シーラが寝るまでならいいよ。…まずどれから調べる?



 ぐるり巡る青の世界は、夜の静けさと仄かな煌めきを纏っていて。
 シーラ・クリステラ(異端・f27554)は視線をきょろり巡らせながらも、こてりと首を傾ける。
「水族館、少し暗い。海って暗いところ?」
 ……明るい海もあるの? って。
 真昼の海を閉じ込めた瞳が見つめる先には、ふうわり暗い海を気儘に揺蕩う海月たち。
 けれど、シーラは知らない眼前の海のいろを、知っている景色のものとふと重ね合わせる。
 暗い闇の中、キラキラと輝く数多の光たち。
 そして――うん、綺麗、って。ひとつ、こくりと頷く。
 ……森で見る星にも負けてない、そう思ったから。
 そんなシーラと共に、珊瑚礁の生き物と海月が漂う水槽の一番良い場所を確保して。
「キミはこんな海見たことある?」
 不意に自分に向けられた青に、グレイ・アイビー(寂しがりやの怪物・f24892)は宝石の如き琥珀のいろを細めて返す。
「ぼくもここまでの光景は見たことはねぇです」
 この水槽に辿り着くまでにも、沢山の海のいろがあって。
 泳ぐ魚たちやそこに息づく生き物たちも、一匹だって同じ彩りのものはなく……それは、眼前の暗い海に揺れる彩もそう。
 グレイはゆらゆらと漂う幻想的な海月を見つめ、抱いた感動の言の葉を零す。
 ――海にも色んな世界があるんですね、と。
 そして明るい海も鮮やかでいいのだけれど……今宵は水族館の住人、夜を過ごすにはこの暗い海の傍はうってつけで。
 水族館の人にお任せで借りた着ぐるみパジャマをそれぞれ着てみれば。
「こういうの初めて着た、ふわふわしてる」
 ふわもこな肌触りに、ぱちくりと瞳を瞬かせるシーラ。
 そんな彼女の着ぐるみパジャマは、ゆるふわペンギンさん。
 そしてもふもふと自分の纏うパジャマを触ってみながらも、シーラがふとその顔をあげれば、再びこてんと傾げられる首。
「……キミのはなんて名前の生き物なのかな」
 自分と同じ様に、海の生き物さんの着ぐるみパジャマを着たグレイの姿を見つめて。
 グレイは自分をじっと見つめる彼女に、ふと同じ様に首を傾けてから。
「さて、これは何ていう生き物でしょう?」
 彼女のものと色合いは似ているけれど、明らかにフォルムの違う生物である自分の着ぐるみパジャマを見遣ってみる。
 今はその正体は分からないけれど……でもやはり、ふわふわしている肌触りは心地良いし。
 可愛くも何処か格好良い気がするこの生き物は、なかなか気に入っているのであった。
 そんな彼が纏うのは……そう、海の王者であるシャチの着ぐるみパジャマ。
 そしてシャチさんになった彼に、ペンギンさんなシーラは訊ねてみる。
「似合ってる?」
「シーラのパジャマも可愛いじゃねぇですか。よく似合ってやがりますよ」
 刹那、ゆるふわ可愛いペンギンさんなシーラの頭に、思わず伸びるグレイの大きな掌。
 グレイのそんな行動に、シーラはふと彼を見上げて。
「頭を触るのにはどういう意味があるの?」
「ついぼくより歳上だということを忘れて、お前の頭を撫でたくなったので……」
「……そっか。いいよ。シーラもしてあげる」
「お前も撫でてくれるんですか?」
 優しくふわり触れた大きな手になでなでされた後、お返しに、少し屈んだ彼の頭をよしよし。
 そしてよしよしして貰った後、その顔を上げれば……瞳の中にもゆらりと泳ぐ、沢山の魚たち。
 グレイは薄暗い海にいる生き物達をぐるりと一度見遣って。こう、思いついたように紡いでみる。
「海の生き物を眺めながら勉強したら、良い夢が見られそうじゃねぇですか?」
「勉強? この水槽、色んなのがいるから、夜更かしになるかも」
 海に揺蕩うかの様に夢の世界に誘われるのか、それとも夢中になって眠れなくなってしまうのか。
 けれどどちらにしろ、それも面白いかもしれないから。
「シーラが寝るまでならいいよ」
 ……まずどれから調べる?
 水槽をじっと見遣って、目についた生き物たちをふたりで調べていくけれど。
 静かで暗くて、ゆらゆら煌めきが揺れる水槽を見つめていれば……次第にゆうらり、うとうと。
 すうっといつの間にか寝息を立て始めたシーラに、パジャマと同じペンギンさん柄のふかふか毛布を掛けてあげながら。
 グレイはすっかり夢の世界を泳いでいるだろう彼女に、そうっと静かに告げる。
 ――おやすみなさい、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふわぁ、なんだかドキドキしますね。
この時間はもう外に出ていないといけないのに、こうしてお泊りができるなんて素敵ですね。
って、アヒルさん気が早すぎですよ。
もうパジャマに着替えているなんて、それにしてもよくアヒルさんサイズの着ぐるみパジャマがありましたよね。
フェアリーさんとかもいらっしゃいますしUDCの職員さんが用意してくれたのかもしれませんね。
私もパジャマに着替えてきますね。
私も着ぐるみパジャマです。
フード付きだから帽子の代わりになっていいですね。



 水族館と言えば、人でいつもいっぱいで、賑やかな雰囲気な人気スポットという印象だけれど。
 眼前の景色は人もほとんどおらず、シンと静まり返っている。
 何せ今宵だけは特別……一晩だけ、水族館の住人になれるというのだ。
「ふわぁ、なんだかドキドキしますね」
 フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はそわそわおどおど、周囲をそうっと見回して。
 大きな帽子を押さえつつ、人の姿もほぼ見えない館内に並ぶ水槽を眺めながら歩き出す。
「この時間はもう外に出ていないといけないのに、こうしてお泊りができるなんて素敵ですね」
 普段ならば、とっくに閉園時間を過ぎていて、館内に入られないような時間。
 けれど今宵は、お泊り水族館……真夜中の水族館が楽しめるというのだ。
 とはいえ、まだ消灯時間になるまで結構あるというのに。
「って、アヒルさん気が早すぎですよ」
 思わずそうフリルはツッコまずにはいられない。
 颯爽と一足早く、ジベザベスな着ぐるみパジャマを纏うアヒルさんに。
 そんな何処かどや顔なアヒルさんに、フリルは首を傾ける。
「もうパジャマに着替えているなんて、それにしてもよくアヒルさんサイズの着ぐるみパジャマがありましたよね」
 けれどよく考えてみれば、アヒルさんよりも小さな身体の種族なども存在するから。
「フェアリーさんとかもいらっしゃいますしUDCの職員さんが用意してくれたのかもしれませんね」
 そう納得して、フリルもお揃いの着ぐるみパジャマに着替えてみる。
 そんなジベザベスパジャマは、ふわふわもふもふ、心地良い肌触りで。
 それに……何よりも。
「フード付きだから帽子の代わりになっていいですね」
 やはり何かかぶっていないと落ち着かないから――フード付きの着ぐるみは、願ったり叶ったり。
 そしてアヒルさんと一緒に、今宵はジンベイザメさんになって。
 来たる時まで……おやすみなさいのフリを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀
幸也さん(f13277)と
真夜中の水族館とか初めてなのでわくわくです!
いろいろ出来るみたいですけど俺達はこれですかね。

(ジベザベス3世の着ぐるみパジャマと抱き枕を借りて)
幸也さん見てください!着ぐるみパジャマ借りちゃいました〜。
可愛いですよね〜。
流石にいい年の男なんで普段は着れけどこういう時ならいいかなって。
幸也さんはごろごろするのには最高装備。
あと…眼鏡姿は初めて見るのでなんか新鮮です。

はー…水槽前占拠してゲームとかすごい贅沢ですよねー…。
(二人でごろごろしながらソシャゲのパズルゲームで勝負)
あ、あの魚可愛い。
って負ける負ける。幸也さん容赦ないですね(頬を膨らめせつつも楽しそうに笑って


十朱・幸也
真紀(f06119)と
アドリブ歓迎

水族館が貸し切り状態とか
なんというか……贅沢通り越して、夢みたいだな
とりあえず、パジャマは
いつものこれ(上下スウェット)にしておくか
あと、ゲームすっからブルーライトカットの眼鏡と

真紀、どこ行ってたん……
(着ぐるみパジャマ姿を思わずガン見してしまう)
フラッシュ焚かねぇから、ちょっとステイ
まあまあ、記念に一枚撮らせろって

魚見てる場合か?(くつくつ
うし、コンボ繋がった……スキル発動しとくか
悪いけど、ゲームに関しては容赦しねぇからな(にやり
あー、でも
あの小さい魚とか、真紀のヘアピンみたいな色だよな
可愛いって思うのもわか――あっ(LOSEの文字に本気の凹み



 水族館と言えば、家族連れからカップル、友達同士やお一人様だって楽しめる、人気リア充スポット。
 だからいつも、沢山の人で賑わっているイメージがあるけれど。
「水族館が貸し切り状態とか。なんというか……贅沢通り越して、夢みたいだな」
「真夜中の水族館とか初めてなのでわくわくです!」
 人の姿も疎らで、しかも猟兵しかいないという館内をぐるり見回し言った十朱・幸也(鏡映し・f13277)に、花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)はこくりと頷いてから。
 ……いろいろ出来るみたいですけど俺達はこれですかね。
 そうわくわく心躍るまま、自分達らしく過ごせるように、早速準備に取り掛かる。
 そんな真紀を後目に、幸也もお泊りモードに。
「とりあえず、パジャマはいつものこれにしておくか」
 リラックスするには、普段から着慣れている上下スウェット姿がきっと一番。
 それに、忘れてはいけません……!
 あと、ゲームすっから、と。すちゃりと抜かりなく装着したのは、ブルーライトカットの眼鏡。
 そして準備も万全、愛用のスマホを弄っていれば。
「幸也さん見てください!」
「真紀、どこ行ってたん……」
 不意に掛けられた声に、ふと顔を上げた瞬間。
 何処かから戻ってきた真紀の姿を、思わずガン見してしまう幸也。
 ……いや、だって。
「着ぐるみパジャマ借りちゃいました〜。可愛いですよね〜」
 ――流石にいい年の男なんで普段は着れけどこういう時ならいいかなって、なんて言いながら。
 ジベザベス3世の着ぐるみパジャマを着て、抱き枕をぎゅうっと抱いている……そんな姿を見れば。
「フラッシュ焚かねぇから、ちょっとステイ」
 ……まあまあ、記念に一枚撮らせろって、と。
 パシャリと向けたスマホで撮影してしまいたくなるのは、至極当然だろう。
 そして今度は、ジベザベス3世仕様になった真紀が、幸也の姿をじっと見つめて。
 納得するように、こくりとひとつ頷く。
「幸也さんはごろごろするのには最高装備。あと……眼鏡姿は初めて見るのでなんか新鮮です」
 纏う上下スエットは勿論のこと。猟兵として仕事をしている時には掛けていない眼鏡姿の彼はすっかりリラックスモードで、新鮮で。
 眼鏡を掛けた見慣れない幸也は、ちょっぴり知的に見える……かも、しれない?
 いえ、ガチでゲームするためのブルーライトカット用なのですけれど。
 ということで、ふたりが楽しむのはやはりこれ!
「はー……水槽前占拠してゲームとかすごい贅沢ですよねー……」
 ふたり並んで水槽の前でごろごろしながら、ソシャゲのパズルゲームで勝負!
 静かで人もいない薄暗い館内は、ある意味すごく快適なゲーム環境かもしれない。
 そしてふわふわなジベザベスをお供に、ごろごろとゲームに勤しんでいた真紀であったが。
「……あ、あの魚可愛い」
 ふと目に入ったのは、ちっちゃくて可愛らしいお魚さん。
 けれど、気を逸らせば命取り……!?
「魚見てる場合か?」
 くつくつと笑い、すかさず攻勢に出る幸也。
「うし、コンボ繋がった……スキル発動しとくか」
 ――悪いけど、ゲームに関しては容赦しねぇからな。
 そうにやりと、笑みを宿して。
 そんな彼に、むぅ、と頬を膨らませつつも。
「って負ける負ける。幸也さん容赦ないですね」
 お魚さんから再びゲームへと意識を戻し、巻き返さんと対抗するジベザベスな真紀。
 そして楽しそうに笑う、そんな横顔を様子見でちらりと見遣れば。
 幸也の瞳にふと映るのは――すいっと泳ぐ、お魚さんの姿。
「あー、でも……あの小さい魚とか、真紀のヘアピンみたいな色だよな」
 オレンジに黄色、ピンクに緑……小さいけれどカラフルなお魚さんは、隣に居る真紀の髪を留めているいろと同じで。
 つい、その様を目で追ってしまえば。
「可愛いって思うのもわか――あっ」
 ……魚を見てる場合じゃないですよ、なんて。
 楽しそうな声が聞こえたと同時に目にするのは――LOSEの文字。
 そんな一瞬の油断を逆に突かれ、本気で凹む幸也。
 そう……互いの最大の敵は、隣にいる彼ではなくて。
 実は、ちらちら誘惑してくる可愛いお魚さん、なのかも……!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐々・夕辺
ベルさん【f18504】と

初めて…? そうなのね!
私も滅多に水族館には行かないから
目一杯楽しみましょう
色んなのがいるわね…え、どれ?
ああ、あれはマンタよ!口が可愛いわよね
変だけどなんだかのんびりしてるわね

ペンギン可愛いわね!
えーと、スマホ、スマホ……カメラ、カメラ…
此処を押して撮影…っと
ペンギンは飛べないけど、海だと取っても速いのよ

私?
私はチンアナゴが面白くて好きよ。ほら、頭を出してるけど…
ふふ!ガラスをとんってすると一斉に引っ込めるの

ああ~!このサメ抱き枕可愛いわ!買って帰りましょう!
ベルさんはジベザベスに目を付けたのね!
ええ、ええ! 一族の人もきっと喜ぶわ!


ベル・ルヴェール
ユウベ(f00514)

僕は水族館と呼ばれる場所は初めてなんだ。
海の中で本物の魚を見た事はある。でもこれは初めて。
どこを見ても魚がいるな。僕の見た事が無い魚も沢山いる。
マンタ。あれがマンタか。変な生き物だ。

ペンギンが散歩をしている。ペンギンも初めて見た。
小さくて歩みが遅い。中々前に進んでいないようにも見える。
写真。僕もカメラを借りて来ればよかったな。
ユウベ。ユウベの好きな魚はいるか?
あれがチンアナゴ。砂漠に居る怪物の子のようだ

一通り見たら土産も見よう
水槽にも色んな魚が居たがここにも沢山いるな。
僕はジベザベスのストラップにしよう。
土産に持ち帰り、一族の皆に見せようと思う。面白い魚の話もしないとな。



 砂漠には海はないし、だから当然海の生き物もいない。
 でも、猟兵であり様々な世界を征くベル・ルヴェール(灼熱の衣・f18504)は目にしたことがあった。
「海の中で本物の魚を見た事はある」
 けれど、そのあと彼はこう続ける――でもこれは初めて、と。
「僕は水族館と呼ばれる場所は初めてなんだ」
 海のようで、でも海ではなくて。見たことがあるようで、知らない魚たちが沢山。
 そんな水族館を訪れるのが初めてだというベルを、佐々・夕辺(凍梅・f00514)は藍色の瞳で見上げて。
「初めて……? そうなのね! 私も滅多に水族館には行かないから、目一杯楽しみましょう」
 初めてな彼をエスコートするように、次はこっちね、と。順路通りにぐるり、水槽を見て回ることに。
「どこを見ても魚がいるな。僕の見た事が無い魚も沢山いる」
「色んなのがいるわね……え、どれ?」
 じっと大水槽を見上げ紡がれたベルの声に、夕辺も彼の視線を追ってみれば。
 そこには、ゆったりひらりと舞う様に泳ぐ、大きな姿が。
「ああ、あれはマンタよ! 口が可愛いわよね」
「マンタ。あれがマンタか」
 ……変な生き物だ。
 そう、魚にしては奇妙なカタチをしているマンタを見つめつつも首を傾けるベルに頷きながらも。
「変だけどなんだかのんびりしてるわね」
 マイペースにゆるっと泳ぐその姿を、夕辺も思わず彼と一緒に暫し見つめてみる。
 それから出逢ったのは、よちよち可愛らしい大行進。
「ペンギン可愛いわね!」
「ペンギンが散歩をしている。ペンギンも初めて見た」
 並んで歩く姿は、やはりとても可愛いから。
「えーと、スマホ、スマホ……カメラ、カメラ……此処を押して撮影……っと」
 夕辺はすかさず取り出したスマートフォンで、ぱしゃりとペンギンさんの行進を激写!
「写真。僕もカメラを借りて来ればよかったな」
 そんな彼女の様子を見て、ベルはそう思いながらも。
 ペンギンたちへとふと再び、緑色の瞳を向けてみる。
 よちよちてくてく、行儀良く列を成して散歩しているのだけれど。
「小さくて歩みが遅い。中々前に進んでいないようにも見える」
 何だか、めっちゃ進むのが遅い。
 いや、鳥が空を飛んでいる姿ならばよく目にするけれど……ゆったり散歩する姿はなかなか見ないし。
 さらにペンギンは、水中を泳ぐのだというが。
「ペンギンは飛べないけど、海だととっても速いのよ」
 そんな夕辺の言葉が信じられないほど、眼前のペンギンの歩みはやはり、のんびりである。
 そしてベルは色々と知っている彼女に、こう訊ねてみる。
「ユウベ。ユウベの好きな魚はいるか?」
「私? 私はチンアナゴが面白くて好きよ。ほら、頭を出してるけど……」
 夕辺はそう答えつつ、ちょうど目の前にあるチンアナゴの水槽を指差して。
 沢山並んでゆらゆら揺れている彼らの水槽を軽く突いてみれば。
「……!」
「ふふ! ガラスをとんってすると一斉に引っ込めるの」
 そんなぴゅっと引っ込んだ長細い生き物達の様子に。
 何だか似たものを、砂漠でも見たことがある気がすると思い返すベル。
「あれがチンアナゴ。砂漠に居る怪物の子のようだ」
 いや……多分それは、チンアナゴとはきっと似て非なるものっぽいけれど。
 そして一通り水槽を見て回ったふたりが足を運んだのは、アクアリウムショップ。
「水槽にも色んな魚が居たがここにも沢山いるな」
 マンタにペンギンに、チンアナゴ……これまで見てきたものを、順に思い出しながら。
 ベルは覚えた生き物たちのぬいぐるみをひとつひとつ、手に取ってみて。
「ああ~! このサメ抱き枕可愛いわ! 買って帰りましょう!」
 思わず耳や尻尾がぴこり、夕辺の心を一瞬で射止めたのは、ふわふわで可愛いサメさんの抱き枕。
 そしてお持ち帰りを決めた夕辺の隣で、ベルもふと見つけたそれに手を伸ばす。
「僕はジベザベスのストラップにしよう」
「ベルさんはジベザベスに目を付けたのね!」
 やはり、この水族館のマスコットキャラになっているだけあって。
 ジンベイザメことジベザベス3世は、流石の貫禄だったから。
「土産に持ち帰り、一族の皆に見せようと思う。面白い魚の話もしないとな」
「ええ、ええ! 一族の人もきっと喜ぶわ!」
 連れて帰るサメの抱き枕やジベザベスストラップは勿論なのだけれど。
 珍しくて面白い生き物たちを沢山見た今宵の話こそ――きっと一番の思い出であり、お土産だろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メドラ・メメポルド
【サメ友】
最初はひとり、大水槽を見ているわ
噂のこともあるけどそれ以上に、うらやましい
メドの水族館ではもう、こんなにたくさんの泳ぐ姿、見られないのだもの

あら、ちいさなあなた
迷子かしら?お名前は?
……ちがうの?
ののかさん、というのね
メドはメドラよ。ひとりだと色んなひとに埋もれてしまうわ

ののさん、でいい?
さめさん好きなのね、メドもよ
ええ、おんなじ
ここの大きなさめさんはパンケーキにも書かれてるそうよ
ねえ、一緒に食べに行きましょう

カフェに行ったら少し悩む
そうね、メドはプリンアラモードにしようかしら
ミルクティーも一緒に注文するわ
ソーダはおいしい?パンケーキは?
おいしく食べる子には、こっちのも一口あげるわ


有海・乃々香
【サメ友】
ジベザベス3世の着ぐるみパジャマを纏い準備万端
さっき買った3世のぬいぐるみをお供に大水槽を眺め
目当ては勿論、ジンベイザメを始めとしたサメさんたち
すごい、すごい!とぴょんぴょんはしゃぎ

話しかけられれば、目ぱちくり首傾げ
ののか、まいごじゃないよ?
だって、はじめからひとりだもん
おねーさん、だぁれ?
……メドラ?
じゃあ、メドちゃんだねぇ!

うん、ののか、サメさんだいすき!
メドちゃんも?
えへへ……じゃあ、ののかといっしょ!
お誘いには大きく頷き

パンケーキと一緒に深海ソーダも頼み
お口に広がる幸せにばたばた
わぁ、わぁ、しゅわしゅわー!
パンケーキもふかふかー!
両方おいしいよ!
メドちゃんにも一口あげるね!



 ゆうらりと、夜の水族館にくらげの様に揺蕩うのはひとりの少女。
 いや、くらげのような、ではなくて……メドラ・メメポルド(フロウ・f00731)は、くらげの娘だから。
 月の如き白と蒼を湛えたなだらかな髪を泳がせるようにふわり、海の様な薄暗い館内を歩いていたけれど。
 ふと足を止め、ひとり、淡く仄かな緑に映すのは――大水槽の青。
 そしてメドラは思わずにいられない。
 ……噂のこともあるけどそれ以上に、うらやましい、って。
 だって、眼前の美しい青の中にあるのは沢山のいろ。
(「メドの水族館ではもう、こんなにたくさんの泳ぐ姿、見られないのだもの」)
 けれど今の自分は廃れた水族館でひとり、彷徨うばかりだから。
 そして、そう大水槽を見つめていたメドラの視界の端にふと飛び込んできたのは。
 ぴょこぴょこと飛び跳ねている、小さな人影。
 その姿を見て、メドラはもう一度大水槽に目を遣ってみる。
 だって、彼女――有海・乃々香(愛情欠乏症・f26728)が着ているパジャマが、丁度目の前を泳ぐジンベイザメ・ジベザベス3世の姿にそっくりだったから。
 そんなメドラの視線にも気付かずに、すごい、すごい! と。
 ジベザベス3世の着ぐるみパジャマを纏い、買ったばかりのジベザベスぐるみをお供に、おおはしゃぎな乃々香。
 そして大水槽を眺めている彼女に、メドラは声を掛けてみる。
「あら、ちいさなあなた。迷子かしら? お名前は?」
 小さい子がひとり、夜の水族館にいるなんて……迷子かと思ったから。
 けれど、突然掛けられた声に、円らな緑色の瞳をぱちくりとさせて。
 首をこてりと傾けつつ、答える乃々香。
「ののか、まいごじゃないよ?」
「……ちがうの?」
 再度問われた声に、うん、と頷いて。
「だって、はじめからひとりだもん」
 そう返した後、今度は逆に乃々香が訊ねる。
「おねーさん、だぁれ?」
「ののかさん、というのね。メドはメドラよ」
「……メドラ? じゃあ、メドちゃんだねぇ!」
 メドちゃん、と呼ばれれば。
 メドラも微かにそっと首を傾けてから口を開く。
「ののかさんは……ののさん、でいい? ひとりだと色んなひとに埋もれてしまうわ」
 それから見つめるのは、大事そうに彼女がぎゅうっと抱いているジベザベス。
「さめさん好きなのね、メドもよ」
「うん、ののか、サメさんだいすき! メドちゃんも?」
 ……えへへ……じゃあ、ののかといっしょ! って。
 ぱあっと笑顔を咲かせる乃々香に、ええ、おんなじ、と頷いてから。
 メドラは彼女に、こんなお誘いを。
「ここの大きなさめさんはパンケーキにも書かれてるそうよ」
 ――ねえ、一緒に食べに行きましょう、って。
 そして大きくすぐに頷いた乃々香と共にメドラが向かうのは、アクアリウムカフェ。
「ののかは、サメさんのパンケーキ!」
 乃々香は当然即決で、ジベザベス3世が描かれたふわふわパンケーキ。それに、深海ソーダも一緒につけて。
 逆にメドラは、少し悩む様にメニューと睨めっこ。
「そうね、メドはプリンアラモードにしようかしら。あと、ミルクティーも」
 そう注文も終わり、それぞれの目の前に頼んだ品が並べば。
 ちゃんと手を合わせ、いただきます!
「わぁ、わぁ、しゅわしゅわー! パンケーキもふかふかー!」
 しゅわり弾けるソーダを口にして、はむりとひとくちパンケーキを食べてみれば……ふわっと広がるいっぱいの幸せに、思わずばたばた。
 そんなを乃々香見つめ、メドラが彼女へと訊ねてみれば。
「ソーダはおいしい? パンケーキは?」
「両方おいしいよ! メドちゃんにも一口あげるね!」
 差し出されるのは、ふわふわとしゅわしゅわのお裾分け。
 でも貰うだけよりも、もっと楽しくて美味しい魔法を、メドラは知っているから。
 ――おいしく食べる子には、こっちのも一口あげるわ、って。
 もう今はお互い、ひとりじゃないから。
 スプーンで掬った甘いプリンのお返しを、彼女に……ふたりで仲良く、交換こ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と

そうですね、暇と気力があれば割と行ってました
最近は忙しくて今日は久々で……
確かに、水槽って箱庭的でひとつの世界かもしれません
(今日も相棒さん、元気みたい。楽しんでもらえるかしら?)

チンアナゴは喧嘩したり引っ込んだりして飽きないし
エイの裏側ってなんだか面白い顔っぽくないですか?
あれを見てると肩の力が抜ける気がするんですよ
もちろん、それ以外も好きだから全部しっかりと見て回りましょう
いつもの時間と違うから、今まで見たことがないものがみられるかもしれないし


セフィリカ・ランブレイ
【颯夏(f00027)と!】

水族館、颯夏ってよく来るの?
私はあんまりだけど、大きな水槽に沢山の魚が泳いでるやつ、好きかな
これも一つの世界なんだなー、みたいにぼーっと色々考えちゃったりしてさ
見所沢山で飽きないとでもいうか

『セリカはたまにぼうっとする位ででいいわ。やかましいのよ、基本的に』
隙あらばシェル姉……相棒の魔剣は私に小言を言う。全くもう

颯夏は水族館で好きなコーナーとかお魚いる? そこ行こうよ!

チンアナゴにエイかあ
よく見ると愛嬌のあるタイプが好みと見た
私も今日はお気に入りのタイプを発掘しちゃおうっと!
そうと決まったら色々見てまわないとね!
そうだ。夜ならではの違い、颯夏の解説期待しちゃおうかな



 今年の夏、一緒に海は見に行ったけれど。
 今度は、海は海でも、まるで深くて暗い海の底の様な――そんな静かな、夜の水族館。
 水族館と言えば、賑やかで人気のお出掛け施設のような印象があるけれど。
「水族館、颯夏ってよく来るの?」
「そうですね、暇と気力があれば割と行ってました」
 最近は忙しくて今日は久々で……と。
 そう返す青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)の目的はきっと、賑やかに過ごすというよりも静かに海の生き物たちを見ているのだろうなと。
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)はそう思いつつも、眼前の青の世界に視線を向ける。
「私はあんまりだけど、大きな水槽に沢山の魚が泳いでるやつ、好きかな」
 ……これも一つの世界なんだなー、みたいにぼーっと色々考えちゃったりしてさ、なんて。
 そう、言葉を紡げば。
「見所沢山で飽きないとでもいうか」
『セリカはたまにぼうっとする位ででいいわ。やかましいのよ、基本的に』
 すかさず入るのは、隙あらばなシェル姉の小言。
 そんな相棒の魔剣に、全くもう、とセフィリカが零すのを聞きながら。
(「今日も相棒さん、元気みたい。楽しんでもらえるかしら?」)
 そうそっと思いつつも、先程のセフィリカの言葉に頷く颯夏。
「確かに、水槽って箱庭的でひとつの世界かもしれません」
 明るくて鮮やかな水の箱庭もあれば、暗い海を静かに揺蕩う生き物達の箱庭もあって。
 そんな沢山の世界を一度に見て楽しめるのが、水族館の醍醐味だから。
「颯夏は水族館で好きなコーナーとかお魚いる? そこ行こうよ!」
 そんなセフィリカの声に颯夏は頷いて、隣に並んで歩きながら。
 きょろりと菫色の視線を巡らせ、ちょっぴりそわりと口を開く。
「チンアナゴは喧嘩したり引っ込んだりして飽きないし、エイの裏側ってなんだか面白い顔っぽくないですか?」
 ……あれを見てると肩の力が抜ける気がするんですよ、と。
 それを聞いて、ピンとくるセフィリカ。
「チンアナゴにエイかあ。よく見ると愛嬌のあるタイプが好みと見た」
 そんな颯夏の趣向をずばり予想しつつも、もう一度ぐるりと視線を巡らせてみて。
 ……私も今日はお気に入りのタイプを発掘しちゃおうっと!
「そうと決まったら色々見てまわないとね!」
 そう俄然張り切るセフィリカと、やっぱりと言ったような様子のシェル姉を交互に見てから。
「もちろん、それ以外も好きだから全部しっかりと見て回りましょう」
 颯夏はそうっと密かにわくわくした様子で続ける。
「いつもの時間と違うから、今まで見たことがないものがみられるかもしれないし」
 何て言ったって今いるのは、特別な真夜中の水族館。
 見慣れたものとは違う面白い発見も、きっと沢山あるはず。
 セフィリカはその言葉に、そうだ、とぽんっと手を打ってから。
 何処から観察しようかとそわり水槽を見回す颯夏へと、こんなお願いを。
「夜ならではの違い、颯夏の解説期待しちゃおうかな」
 彼女にお任せすれば、きっと――自分にもとっておきのお気に入りが見つかるって、そう思うから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
着ぐるみの種類は白熊
倫太郎はペンギン、ですね
可愛らしいです

ふふ、着ぐるみも早く歩けない仕様になっているようですね
折角の水族館なのです、ゆっくり歩いて行きましょう
転んでしまわないように手を繋いで、歩幅も彼に合わせて

おや、そうなのですか?
なるほど、北極と南極の生き物……
着ぐるみだからこそ、可能な組み合わせなのですね

……仰る通りですね
サムライエンパイアで生まれ、そこで生きた者と別の世界で生きた者
それが共に居るのですから、これも奇跡と呼ぶべきなのでしょうね
この姿も、感慨深いものになりました

疲れたのならば、私が運びましょう
落ちないようにしっかり掴まっていてくださいね?
塒は貴方と一緒ならば何処でも


篝・倫太郎
【華禱】
選んだ着ぐるみパジャマ着て
シロクマな夜彦とペンギンな俺

色々想い出あるから選んだけど……
夜彦、まって……股下殆どない、これ
(よちよち歩きオンリー。ヨチヨチ)

転ばないようにと差し伸べられた手を繋いで
夜彦とのんびり塒探しの散策

なぁ、夜彦……知ってる?
シロクマは北にしかいねぇんだぜ?
で、ペンギンは南にしかいねぇの

着ぐるみとは言え……
こんな風に過ごしてんのはちょっと浪漫だ

だって、そうだろ?
世界が繋がらなかったら
俺はあんたに出逢う事も無かったんだぜ?
旦那サマ?

夜彦ー
これで歩いて移動すんのちっとばかし疲れた……
抱っこして?ダメ?
ん!ちゃんと捕まっとくから大丈夫

塒、どこにしような?
え?俺もだよ、夜彦



 賑やかな昼の水族館を家族で楽しむのも、確かに楽しくて嬉しいけれど。
 人も疎らで周囲には誰も見当たらない様な、そんなふたりだけの真夜中の水族館は、今夜だけの特別なもの。
 それに……ふたりが選んだ格好も、ある意味特別仕様……!?
 シロクマなふわふわ着ぐるみパジャマに身を包むのは、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)。
 そしてその傍らには勿論、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の姿があるのだけれど。
「倫太郎はペンギン、ですね」
 ……可愛らしいです、と微笑む夜彦とは逆に。
「夜彦、まって……股下殆どない、これ」
 シロクマな彼と並んで一歩踏み出そうとした倫太郎は、思わず琥珀の瞳を瞬かせる。
 うん、どう頑張ってもできるのは、よちよち歩きオンリー。
 だって、ペンギンさんですから!
 色々想い出あるから選んだけど……と、思わぬ展開にヨチヨチしながらも紡ぐ倫太郎の様子に。
 ますます、とても可愛らしいですね、なんて。さらに、にこにこしてしまう夜彦。
 けれど、いくら可愛くても、このままだと一向に前に進めそうにないから。
「ふふ、着ぐるみも早く歩けない仕様になっているようですね。折角の水族館なのです、ゆっくり歩いて行きましょう」
 そっと優しく手を繋いで、歩幅もヨチヨチな彼に合わせる夜彦。
 可愛く歩く大切な彼が、転んでしまわないように。
 そんな差し伸べられた手を取って繋いで、のんびりヨチヨチと。
 倫太郎はシロクマさんな彼と、塒探しの散策を。
 そしてふと――なぁ、夜彦……知ってる? って。
 彼を見つめながら、続けてこう紡ぐ。
「シロクマは北にしかいねぇんだぜ? で、ペンギンは南にしかいねぇの」
「おや、そうなのですか? なるほど、北極と南極の生き物……着ぐるみだからこそ、可能な組み合わせなのですね」
 本来ならば、別々の場所に在るはずなのに。
 そんな両者が今、共にあるということ。
 倫太郎はちょっぴりだけ慣れてきたけれど、でもやはりヨチヨチ歩きつつも。
 着ぐるみ部分ではない、握り合う手の温もりが混ざり合うのを感じながら、噛みしめる様に紡ぐ。
「着ぐるみとは言え……こんな風に過ごしてんのはちょっと浪漫だ」
 そして自分を見つめる翡翠に己の琥珀を重ね、笑ってみせる。
「だって、そうだろ? 世界が繋がらなかったら、俺はあんたに出逢う事も無かったんだぜ?」
 ――旦那サマ?
 そう囁くように呼ばれれば……仰る通りですね、と。夜彦も、向けられた琥珀だけを映す翡翠の瞳を細め頷く。
「サムライエンパイアで生まれ、そこで生きた者と別の世界で生きた者。それが共に居るのですから、これも奇跡と呼ぶべきなのでしょうね」
 それは奇跡であり……そしてきっと、巡り合うべくして繋がった運命。
 全く異なる色である赤と青が重なって、二藍の紫の色合いになるように。
 それから夜彦は、改めて自分たちの姿を眺め紡ぐ。
「この姿も、感慨深いものになりました」
「夜彦ー。これで歩いて移動すんのちっとばかし疲れた……」
 ヨチヨチ歩き、実はめっちゃ体力使うし疲れる。
 だから、倫太郎はちらりと視線を向け、旦那サマにお願いを。
 ――抱っこして? ダメ? って。
 ダメなんて答えが返ってくるわけがないことなんて、知っているけれど。
 だって……どうしても最後はお互いに対して、つい甘くなってしまうから。
 そしてやっぱり、思った通り。
「疲れたのならば、私が運びましょう」
 ――落ちないようにしっかり掴まっていてくださいね?
 優しく紡がれる言葉と向けられる笑みに、こくりと頷く倫太郎。
「ん! ちゃんと捕まっとくから大丈夫」
 そしてひょいっと抱えられれば、落ちないよう彼の首にそっと腕を回して。
 よちよちペンギン歩きからも解放され、いざ、さくさく塒探し!
 ……と、いきたいところだけれども。
「塒、どこにしような?」
「塒は貴方と一緒ならば何処でも」
 即、返って来た言葉に、倫太郎は笑みと共に再び彼へと返す。
「え? 俺もだよ、夜彦」
 もしかして違う意味で、これはなかなか塒探しが難航しそうな気配……?
 けれどそれでも、共に在れる今の奇跡が嬉しい事には、変わりないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
【紅灰】

再びの水族館じゃね
うむ、この着ぐるみパジャマの着心地のよさ…
あとでお土産に買って帰ろ
あや君も似合っておるよ~!

おお、メメも興味津々…そうか、魚など初めてじゃもんね
メメもララも並んで挨拶しておる(かわいいとぱしゃり
もちろん送るんじゃよ、ほれ(お魚と一緒な写真をしゅっと

確かに小腹もすいてくる
チュロスの他にも色々あるかもしれんし
修行の相談のおともにしよか
山でのエンジョイ修行計画を立ててしまおう…!

あや君は山は初めてか?
なら沢山楽しい事しよ
魚釣りして、バーベキューして、やはり夜はキャンプファイヤーよ
あとスモアをせんとな
もちろんメメとララも一緒じゃよ
いつにしよか、冬の山も良い
少し先の春…迷うの!


浮世・綾華
【紅灰】

最初は照れくさかったジベザベスのパジャマも
纏えば案外着心地いいし何より寒がりに丁度良く
これすげぇあったかい。と布団の上でぬくぬく
嵐吾さん、めっちゃ似合いますネ
ほんとデス?いや嵐吾さんの方が…
そう言いかけるも最後はこくり受け入れた

ララ、珍し?
水族館なんて来たことないもんなぁ
あ、それ俺にも下さい
メメララ初水族館きねーん
きました。ありがとうございまぁす

傍の水槽にはちんあなごがにょきっと
去年のチュロスを思い出し
後で夜のおやつに買っちゃいましょうか

お泊りと言えば、修行…!
長期間山に泊まるなんてしたことないからめちゃ楽しみで
ふふ、やった
いつからにしましょうか
それぞれ良さがありそうとわくわく練る計画



 ……いや、照れ臭いことには違いないのだけれど。
 もう、慣れてしまったのかもしれない。
「再びの水族館じゃね」
 去年のクリスマスの事を思い出しながらもそう言う今宵の終夜・嵐吾(灰青・f05366)は狐さんではなく、ジンベエザメのジベザベス3世……!?
「うむ、この着ぐるみパジャマの着心地のよさ……あとでお土産に買って帰ろ」
 自慢の尻尾もふっわふわだけれど、すちゃりと纏うジベザベスなパジャマもふっかふか。
 そして背中のチャックをちょっぴり開けて出している尻尾を揺らす彼は、やはり抵抗などないどころか満足気で。
 そんな姿を何度も間近で見れば、そして最初は抵抗もあったけれど何度もこんな感じの格好をしていれば……うん、慣れてしまったのかもしれない。
 いやむしろ、最初は照れくさかったジベザベスパジャマも。
「これすげぇあったかい」
 纏えば案外着心地もいいし、何より寒がりな自分には丁度良くて。
 それに、着てしまえば……自分の姿は見えないから。
 浮世・綾華(千日紅・f01194)はもう気にしないことにして、布団の上でぬくぬく。
 ……なのだけれど。
「嵐吾さん、めっちゃ似合いますネ」
「あや君も似合っておるよ~!」
 へらり向けられた笑みと共に即返ってきたその言葉には、何だかちょっぴりだけ複雑。
 ――ほんとデス? いや嵐吾さんの方が……。
 そう言いかけるも……けれどやはり慣れたのか、最後はこくりと受け入れた綾華。
 とはいえ、再び訪れた夜の水族館は、わくわく楽しみには違いなく……そしてそれは、何も自分達だけではなくて。
「ララ、珍し? 水族館なんて来たことないもんなぁ」
「おお、メメも興味津々……そうか、魚など初めてじゃもんね」
 ヤンチャで好奇心旺盛なララだけでなく、メメも一緒に、ぺたりとガラスに興味津々張り付く双子の精霊達。
 そしてスイッと寄ってきたお魚さんたちに、ひょこりとふたり揃ってお辞儀して。
「メメもララも並んで挨拶しておる」
 ……なにそれめっちゃかわいい、と。
 すかさずサッと取り出したスマートフォンで、かわいい瞬間をぱしゃりと激写する嵐吾。
「あ、それ俺にも下さい」
 ――メメララ初水族館きねーん。
 これはやはり、親としてはどうしても欲しい貴重な1枚……!
「もちろん送るんじゃよ、ほれ」
「きました。ありがとうございまぁす」
 しゅしゅっと手早くお魚と一緒なメメララ写真を送ってくれた嵐吾に礼を告げてから。
 ばっちり抜かりなく保存完了です!
 そしてふと傍の水槽に何気に目を遣れば……にょきっと顔を出すチンアナゴたち。
「あ、嵐吾さん。コイツもしかして、去年のへんな顔のやつじゃないですか?」
「ん? そじゃね……いや、こっちのが去年のへんな顔のやつじゃろ」
「それか、こっちのかも……?」
 どれもへんな顔で、正直分かりません……!
 けれど、にょきっと顔を出した長いその姿を見れば――思い出すのは、去年食べたチンアナゴのチュロス。
「後で夜のおやつに買っちゃいましょうか」
「確かに小腹もすいてくる。チュロスの他にも色々あるかもしれんし、修行の相談のおともにしよか」
 だって、夜はまだまだこれから。
 布団でゴロゴロしながらふたりが話し合わんとしていること、それは――。
「修行の相談のおともにしよか。山でのエンジョイ修行計画を立ててしまおう……!」
 そう、先日話が出ていた、山でのエンジョイ修行の計画!
 今日もお泊りという体ではあるけれど、一応依頼であるし。
「お泊りと言えば、修行……! 長期間山に泊まるなんてしたことないからめちゃ楽しみで」
「あや君は山は初めてか? なら沢山楽しい事しよ」
 本格的な山籠もりとなると、また楽しみもいっぱい。
「魚釣りして、バーベキューして、やはり夜はキャンプファイヤーよ。あとスモアをせんとな」
 嵐吾はそれから、何だかそわりとしている様子の精霊達に気付いて。
 こくりと頷いて続ける――もちろんメメとララも一緒じゃよ、と。
 そんな言葉に嬉しそうな様子のメメララと一緒に。
「ふふ、やった。いつからにしましょうか」
 綾華も思わずはしゃぐように、微か身を乗り出せば。
 着ぐるみの下でぺちゃり寝かせてある嵐吾の灰青の耳も、ぴこり。
「いつにしよか、冬の山も良い。それか、少し先の春……迷うの!」
「冬も春も、それぞれ良さがありそう」
 へんな顔のチンアナゴたちに見守られながらも、買って来たおやつを摘まみつつ練っていくのは。
 心も逸る、わくわく楽しい未来の計画。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
せっかくだから甘味を楽しむわよ。
一通りお魚さんを見て回ったらカフェへ向かうわ。

「プリンアラモードが私を呼んでいるの」(幻聴です)

濃厚プリンをしっかり楽しんだら次はパンケーキよ。
ええ、ヤドリガミはカロリーが怖くない(幻想です)

どちらにしてもこの後お仕事だから、その前ぐらいは楽しませてもらうわね。



 滅多に足を踏み入れる事ができない、真夜中の水族館。
 そんな館内を見て回れるというだけではなく、今宵はお魚さん達と一緒に、水族館の住人になれるのだという。
 とはいえ、彼女が目がない大好きなもの……それは猫さん。
 けれど、猫さんはちょっと水族館にはいないみたいだから。
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)が、真夜中の水族館で目一杯満喫せんとするもの。
「せっかくだから甘味を楽しむわよ」
 そう……それは、アクアリウムカフェにずらり揃えられた、甘くて美味しいスイーツのメニュー!
 ……いえ、ちゃんとお魚さんも、一通り見て回りましたし。
 本来の目的である、UDCの怪異の事件のことだって、覚えていますとも。
 でもその怪異を呼び起こすためにはまず、この真夜中の水族館で過ごすひとときを楽しまなければならないから。
「プリンアラモードが私を呼んでいるの」
 怪異より先に、プリンアラモードに呼ばれるヴィオレッタ。
 そんなプリンアラモードの声は勿論、幻聴……いえ何でもありません!
 しかし、彼女を呼んでいるのは、何もぷるるん甘い濃厚プリンだけではない。
「次はパンケーキよ」
 しっかりプリンアラモードを楽しめば、次はふわっふわなジベザベスが描かれたパンケーキ!
 真夜中にスイーツのはしごなんて、女子的にタブーであるのだけれど。
「ええ、ヤドリガミはカロリーが怖くない」
 ヤドリガミの身体は、ある意味とっても万能……!?
 というか、それって幻想……いえいえ、何でもありません!
 いや、幻聴とか幻想とかカロリーとか、そんなものはいいのです。
 はむりとアイスの添えられたジベザベスパンケーキを口に運び楽しみながら、呟きを落とすヴィオレッタ。
「どちらにしてもこの後お仕事だから、その前ぐらいは楽しませてもらうわね」
 そう――これは、これから片付ける仕事に必要なことであるし。
 何より、楽しんだもの勝ちなのですから……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミラ・ホワイト
【磐境】

ひらりふわふわなクリオネぐるみに着替え
ハート型クッションをぎゅっと抱いたら
わたしも皆様の仲間入り!

あきらさま&ジベザベスさまを囲むよに
ころんと横になれば頭上に飛ぶお魚の群れ
タツノオトシゴさんのお袖を引いて
ね、透明でぷかぷか浮かぶあれはなぁに?
あっ、クラウンさまとユヴェンさまの見つけたお魚も気になりますっ
どれかしらって目で追って
気付けばお布団の上をすいすい、ふわふわ
ふふー、小鉄さまもあきらさまも、游ぎがお上手!

わ、可愛らしいプレゼント…!
んん、どれも素敵で選びきれませんっ
わたしに似合いのひとつを、エールさまが選んでくださると嬉しいわ?

重くなる瞼は我慢の子
楽しい夜をもうすこし、游いでたいの


ユヴェン・ポシェット
【磐境】

クラウンはタツノオトシゴでエールはジベザベスか、イカしてるな!大家サンはエールとお揃いか。気持ち良さそうで良いな。
志島の魚も似合ってる。ヒレのところもよくできてるな。
ミラはクリオネか、愛らしいその姿ぴったりだ。
俺はマンタを着てみたぜ。着心地良いものだな

ん?確かに大きな顔だ。クラウンよく見つけたなぁ、しかしこんな魚もいるんだな…お、いま目があったか。ははっすげぇ迫力だな!ミラも、こっちからだとよく見えるぜ

これは…揃いの物って何か嬉しいものだな、ありがとなエール

目の前で魚達が泳ぎ、布団の上で皆で泳いでいる姿を見ると本当に海中にいる気分だ、心地よい。
そうだな、楽しい時間はまだこれからだな


志島・小鉄
【磐境】

(人間サマと同じ姿デお泊りデス!)

お二人ハ昨年もお泊り会二参加ヲされたのデスカ。今年も楽しみませう!
水族館ノ中で眠るトハ。夢ノやうデス!

わしはお魚ノパジャマを着て参加をシマス
お魚二囲まれてお魚ノ中でスーイスイ。スーイスイ?
ハイ!スーイスイと泳ぎませう!

ジベザベスノも可愛ゐデスネ~
ペンギンもタツノオトシゴも可愛ゐデスネ~
ドノお魚も可愛ゐ。それに触り心地も抜群デスヨ
コレヲ抱いて寝たら楽しゐ夢が見れそうデスネ。わしも大満足デス!

ほほぅ。良いモノデスネ!ではわしはコチラヲ頂きマス。
わしはグッスリ眠れるアイマスクしか持って来て無ゐデス!
いやはや。眠るのが勿体無いデス。眠くなるマデ一杯遊びませう!


クラウン・メリー
【磐境】

お泊りとっても楽しみ!
ジベザベスさんを運び

俺のパジャマはタツノオトシゴ!
エルルはジベザベス!
わ、俺の頭食べられちゃう!

お布団ごろごろー!
はっ!お魚さんも寝ているからしー、だね?

ミラどうしたの?と首を傾げ
わあ!あのぷかぷかはクラゲさん!
ふわふわなクリオネさんといっしょで綺麗だね!

ユヴェン見て!お顔がおっきなお魚さんがいるよ!
なんてお名前だろう?

ころりと寝転べば
お魚さん達といっしょに泳いでるみたい!すーいすい
小鉄もいっしょにすいーすいー?

ペンギンのぬいぐるみ持って
皎向かってヒレを広げる
がおー!ふふ、皎はペンギンさん見たことある?

わーい、エルルありがとう!
これに決めた!

夜はまだまだこれから!


隠乃・皎
【磐境】

使い魔、白露の体を借り
ジベザベスさんぬいぐるみのお口に
ここがわたくしの今日のベッド…!(にょろにょろ)

ふふ、そうなのですユヴェン様、お揃いでございますっ!
皆様お似合い!
スイスイ、楽しそう…
わたくしもスイスイ…スイスイさせてくださいませ、小鉄様っ(お願い
ミラ様も一緒にスイスイ…スイスイよりふわふわかしら?

ぺんぎん…!
本物のペンギンは初めてでございます!かわいらしい…
一羽使い魔に…ううん、難しそうでございます

わわ、エール様からの素敵な贈物
わたくしはこれにいたします!(ひとつくわえ

眠くなるまで、楽しい夜
いえ、眠ってしまってもきっと楽しい夜
ふふ、夢の中でも皆様と海の中を泳げそうでございますっ


エール・ホーン
【磐境】

わぁ、白露さんすっぽりだ
素敵なベッドだね

ボクは勿論ジベザベスさ!
ギザギザな歯がとってもかっこいいんだと得意げ
クラウのタツノオトシゴもお口がかわいいねっ?

みんなと一緒にお布団へごろごろ~!
はっ。しーってしなきゃと口抑え

じゃーん
トランプの様に広げるブックマーカー
色んな絵柄があるんだよ
みんな、一枚ずつどうぞ~!

じゃあミラちゃんにはクリオネさん
だってね。とっても似合っていて、可愛いから

ユヴェンさんにこくこく頷き
うん、お揃いとっても嬉しいっ

それから今日これなかったみんなの分もお土産にそっと仕舞って

アイマスク!ぐっすりすやすや出来そうっ
小鉄さんの言葉に瞳輝かせ
今日は特別だもの
夜更かししてもいいよね



 いつも互いに顔を合わせる洞窟アパルトメントも、静かに降り注ぐ光を纏った湖の水面がキラキラ美しいけれど。
 眼前に広がる水の煌めきは、海の生物たちが息づく真夜中の水槽たちのもの。
 普段ならばとっくに閉じている水族館の扉だけれど……今宵だけは、内緒で特別。
「お泊りとっても楽しみ!」
 そう……クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)の言う様に、そうっと開かれた夜の扉の先へ進めば。
 そこは今宵一夜限りの、招かれた者たちだけのお泊り水族館。
 そして今夜は幽世の住み家ではなく、皆一緒に、水族館の住人になるご近所さんたち。
 大水槽の前にやって来て、ふかふかのお布団を敷いて。
 もふもふな海の生き物さんたちのぬいぐるみをぽふりと並べてみれば。
 クラウンの肩からぴょんと飛び降りたのは、一匹の白蛇……?
 いや、もっふもふなジベザベス3世のぬいぐるみの大きなお口に、にょろにょろすかさず入り込んだのは。
「ここがわたくしの今日のベッド……!」
 使い魔である蛇の白露の体を借りた、隠乃・皎(不全・f28163)。
 まだちょっぴりいわさかのお外に出るのは躊躇われるけれど……憧れのUDCアースへの皆とのお出掛けに、そわりと逸る気持ちを抑えられなかったから。
 そんなぴったりサイズのお口の中に、ちょこんと納まった姿に。
「わぁ、白露さんすっぽりだ。素敵なベッドだね」
 笑顔をぱっと咲かせるのは、エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)。
 そして去年も此処に来たことがあるという人たちの話を聞きつつ、今年も楽しみませう! と。
 わくわく皆とやって来たのは、いつものずんぐりもっふりな獣姿……ではなく、今日は人の姿をとっている志島・小鉄(文具屋シジマ・f29016)。
 水族館というだけでも、心躍るお出掛けスポットであるのに。
「水族館ノ中で眠るトハ。夢ノやうデス!」
 仲良く皆で水族館でお泊りなんて、楽しくないわけがない。
 そしてやはり、お泊り会といえばコレ!
「俺のパジャマはタツノオトシゴ!」
「ボクは勿論ジベザベスさ! ギザギザな歯がとってもかっこいいんだ」
 クラウンとエールが早速着てみるのは、海の生き物さんのもふもふ着ぐるみパジャマ!
 お泊り会といえば、やはりパジャマ姿になって、みんなでごろごろするのが醍醐味だから。
「エルルはジベザベス! わ、俺の頭食べられちゃう!」
「クラウのタツノオトシゴもお口がかわいいねっ?」
 そうキャッキャはしゃぐふたりの変身ぶりに、生き物が好きなユヴェン・ポシェット(opaalikivi・f01669)も笑み宿さずにはいられない。
「クラウンはタツノオトシゴでエールはジベザベスか、イカしてるな!」
 そしてジベザベスといえばと、まったり寛いでいる白露へと視線を向けて。 
「大家サンはエールとお揃いか。気持ち良さそうで良いな」
「ふふ、そうなのですユヴェン様、お揃いでございますっ!」
 白露な皎はそう、にょろっと嬉しそうに返してから。
 ふたりに続いて着ぐるみパジャマを着てみた彼の姿にも声を。
「ユヴェン様もお似合いです!」
「俺はマンタを着てみたぜ。着心地良いものだな」
 ユヴェンが選んだのは、フォルムと表情がちょっぴり変わっていて面白いマンタさん。
 そしてそんなマンタさんの隣には、幸せを呼ぶ海の妖精さんが。
「わたしも皆様の仲間入り!」
「ミラはクリオネか、愛らしいその姿ぴったりだ」
 ひらりふわふわした天使の様な愛らしいパジャマに、ハート型のクッションをぎゅっ。
 今宵のミラ・ホワイト(幸福の跫音・f27844)は、流氷の天使といわれているクリオネさん。
 そんな可愛いクリオネさんはふかふかの中を泳ぐかのように、ジベザベスのお布団に包まれている皎を皆と囲みつつ、ころん。
 そう横になってみれば……視界一杯に広がるのは、静かに煌めく海の空を泳いで飛ぶ魚さんたち。
 そんな魚さんたちを見つめる赤のいろで追っていたミラは、ふとその手を伸ばして。
 首を傾けながらも、タツノオトシゴさんのお袖をくいくいっ。
 タツノオトシゴさんなクラウンも、そんなミラと一緒に、こてりと首を傾げれば。
「ミラどうしたの?」
「ね、透明でぷかぷか浮かぶあれはなぁに?」
 好奇心に煌めく視線の先……ふわりゆうらり揺蕩うのは、お魚さんとはまた違ったぷかぷかな何か。
 そんなミラが気になる、ぷかぷかの正体は。
「わあ! あのぷかぷかはクラゲさん!」
「あのぷかぷかさんが、クラゲさん……!」
「うんっ、ふわふわなクリオネさんといっしょで綺麗だね!」
 そう、クリオネさんと似ているそれは、ゆらゆら揺れるクラゲさん。
 そして刹那、クラウンの目の前に現れたのは、新たなる愉快なお魚さん。
「ユヴェン見て! お顔がおっきなお魚さんがいるよ! なんてお名前だろう?」
 お名前、訊いてみようかな! なんて。
 無邪気に笑みながら、水槽のお顔のおっきなお魚さんに、試しに声を掛けてみるクラウン。
 そんな彼の声に、ユヴェンもふと顔を上げれば。
「ん? 確かに大きな顔だ。クラウンよく見つけたなぁ、しかしこんな魚もいるんだな……お、いま目があったか」
 ちょっぴり愉快な大きなお顔のお魚さんと、視線がぱちり。
 そして暫し見つめ合って睨めっこすれば、思わず先に笑ってしまって。
「ははっすげぇ迫力だな!」
「あっ、クラウンさまとユヴェンさまの見つけたお魚も気になりますっ」
「ミラも、こっちからだとよく見えるぜ」
 今度は、どれかしらって目で追うクリオネさんも一緒に誘って、じーっとお見合いを。
 そして沢山の魚さん達が水槽の中でスイスイ泳いでいる、すぐ傍で。
 着ぐるみな海の生き物になった皆も、お布団の上をすいすいふわふわ。
 特に小鉄は、泳ぐのが得意そう?
「志島の魚も似合ってる。ヒレのところもよくできてるな」
 何て言ったって、水槽をスイスイ泳ぐ皆とお揃いな、ユヴェンも着目するほどの立派なヒレがついたお魚さんパジャマなのだから。
「お魚二囲まれてお魚ノ中でスーイスイ。スーイスイ?」
 水槽のお魚と一緒に、もふもふなお布団の海をスーイスイ。
 そんな小鉄と並んで、すいーすいー?
「お魚さん達といっしょに泳いでるみたい! すーいすい」
「スイスイ、楽しそう……わたくしもスイスイ……スイスイさせてくださいませ、小鉄様っ」
「ハイ! クラウンも大家サンも、スーイスイと泳ぎませう!」
 お魚さんな小鉄と一緒に、クラウンと皎もスーイスイ!
「ふふー、小鉄さまもあきらさまも、游ぎがお上手!」
「ミラもスーイスイ、游ぎませう!」
「ミラ様も一緒にスイスイ……スイスイよりふわふわかしら?」
 気が付けばいつの間にか皆で一緒に、ふわふわのスーイスイ!
 そして、そんなスイスイしている皎に向かって。
 クラウンがばさっと広げたのは……ふと手にした、ぬいぐるみのヒレ。
「がおー! ふふ、皎はペンギンさん見たことある?」
「ぺんぎん……! 本物のペンギンは初めてでございます! かわいらしい……」
 知識として知ってはいたけれど、ころんと可愛いその姿を見たのは初めてで。
 じーっと白露な皎は、翼の様にヒレをパタパタさせているペンギンぬいぐるみを見つめ、思わず呟く。
「一羽使い魔に……ううん、難しそうでございます」
 でも、竜神ぱわーがもっともっとアゲアゲになれば、もしかして……?
 そんなジベザベスのお口のもふもふの中で、真剣に思案する姿へと、小鉄は微笑まし気に視線を向けて。
「ジベザベスノも可愛ゐデスネ~。ペンギンもタツノオトシゴもクリオネも可愛ゐデスネ~。マンタは面白ゐデス~」
 着ぐるみな皆の姿をぐるりとそう見回してから、並ぶぬいぐるみたちを順にもふもふ。
「ドノお魚も可愛ゐ。それに触り心地も抜群デスヨ」
 そんなもふもふに囲まれて、ゆうらり夜の水族館を揺蕩えば。
「コレヲ抱いて寝たら楽しゐ夢が見れそうデスネ」
 ……わしも大満足デス!
 そう小鉄は、一等手触りの良いジベザベス3世のぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめて、もふもふもふ……!
 それにやっぱりお泊り会は、わくわくどきどきだから。
「お布団ごろごろー! 楽しいね!」
「みんなとお布団ごろごろ~!」
 クラウンとエールはついごろごろ、大はしゃぎしちゃうけれど。
「はっ。しーってしなきゃ」
「はっ! お魚さんも寝ているからしー、だね?」
 お魚さんがビックリして飛び起きない様に、しーっ。
 慌てて口を抑えるエールに、こくこくクラウンも頷いて。
 それからちょっぴり声を抑えつつも、じゃーん、と。
 エールがおもむろに取り出して、トランプの様に広げたのは――色とりどりの、ステンドグラス風なブックマーカー。
「色んな絵柄があるんだよ。みんな、一枚ずつどうぞ~!」
「わ、可愛らしいプレゼント……!」
 差し出されたキラキラ七彩に煌めく海たちに、ミラは瞳を輝かせるけれど。
「んん、どれも素敵で選びきれませんっ」
 あれもそれもと目移りしちゃうから、ミラはエールにこんなお願いを。
 ……わたしに似合いのひとつを、エールさまが選んでくださると嬉しいわ? って。
 そして、エールが彼女の為に選んだのは。
「じゃあミラちゃんにはクリオネさん」
 ……だってね。とっても似合っていて、可愛いから、って。
 はい、と手渡すのは、ハートを抱えたクリオネさんの1枚。
「ほほぅ。良いモノデスネ! ではエール、わしはコチラヲ頂きマス」
「わーい、エルルありがとう! これに決めた!」
 小鉄が手にしたのは先程もふもふしたジベザベスの絵柄、クラウンのは曲芸が得意なイルカさん。
「わわ、エール様からの素敵な贈物。わたくしはこれにいたします!」
 そうはむりと白露がひとつくわえたのは、ペンギンさんのブックマーカー。
「これは……揃いの物って何か嬉しいものだな、ありがとなエール」
 パジャマとお揃いのマンタが泳ぐ1枚を手に、ユヴェンがそう紡げば。
 エールも彼の言葉に、大きくこくこく。
「うん、お揃いとっても嬉しいっ」
 だって、エール自身も一緒なのがすごく嬉しいし。
 今、楽しんでいる皆だけでなくて、もっといっぱいの嬉しいをお揃いにしたいから。
 ブックマーカーを手に笑む皆を見ながらもそっと仕舞うのは、今日来られなかったみんなの分のお土産。
 それからも一晩限りの水族館の住人たちはふわり、お布団の上を自由に揺蕩って。
「目の前で魚達が泳ぎ、布団の上で皆で泳いでいる姿を見ると本当に海中にいる気分だ、心地よい」
 ぬくぬくなもふもふに包まれて深海を游ぐような……そんなふわふわした心地の中、そう口にしたユヴェンに。
 すかさず満を持して、ガサゴソと小鉄が取り出したのは、コレ!
「わしはグッスリ眠れるアイマスクしか持って来て無ゐデス!」
「アイマスク! ぐっすりすやすや出来そうっ」
 確かにアイマスクを付ければ、もっともっとゆらゆら気持ち良く眠れそうなのだけれど。
 でも小鉄は、今はまだそれを付けずに取っておく。
 だってアイマスクの出番は、もう少しだけ後にしたいから。
「いやはや。眠るのが勿体無いデス。眠くなるマデ一杯遊びませう!」
「今日は特別だもの。夜更かししてもいいよね」
「夜はまだまだこれから!」
 小鉄の言葉に瞳輝かせるエールに、全力の小声で続くクラウン。
 ユヴェンも大きなマンタさんのヒレを揺らしながら、同意する様に大きく頷いて。
「そうだな、楽しい時間はまだこれからだな」
 ちょっぴりとろんと微睡む瞳を、ミラはそうっとこっそり擦ってから。
 ――楽しい夜をもうすこし、游いでたいの。
 重くなる瞼は、頑張って我慢の子。
 そして、ジベザベスのお口の中に再びすっぽり収まりつつ。
 まるで魔法が掛かったかの様な特別な深い青の夜を、まだまだ皆と一緒に楽しむつもりだけれど。
 白露な皎は、にょろんと楽し気に紡ぐ。
「ふふ、夢の中でも皆様と海の中を泳げそうでございますっ」
 ――眠くなるまで、楽しい夜……いえ、眠ってしまってもきっと楽しい夜、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有/f00133

水族館に連れてく約束はしたけども
まさかのお泊まりだよ、有ちゃん
素敵だねぇ!綺麗だねぇ!暗くて青いねぇ!うんうん!
目出度いし酒飲もうか
今夜ばかりは甘いカクテルも悪くない
綺麗だし
眠い?寝てもいいけど

ねぇ、有ちゃん
好きなお魚は見つけたかい?
僕はジンベイザメかなぁ……景気良くデッカいとこがいい
頑張れば背中に住めるよ、あの大きさは
派手な熱帯魚やクラゲもいいね、派手で摩訶不思議なとこがとってもいい

このあと君も僕もあの魚たちみたいに水中に行くらしいからさ
どうんな風な水棲生物に倣いたいのか
こうやってイメトレすんのさ
スイスイってさ

クラゲ泳ぎ……?出来るかな……
楽に泳ぐ方法……うーん……?


芥辺・有
ロカジ/f04128

ほんとに連れてってもらうとはね
こういうシセツってのに泊まれるとは知らなかったけど
はいはいそうだね
……たしかに真っ青ってやつだ
青くて光って見える水も悪くない
酒もあるなら尚更ね
これも海っぽい見た目だことで、凝ってるもんだ
海みたいなのに甘いのは不思議な感じもするけどね
これくらいじゃまだ眠くはないさ

ん?好きな魚か……
さて、――たしかにアレは住めそうなくらいデカイね
器用に泳ぐもんだし
その頭ならあそこの魚の群れにも仲間に入れてもらえるんじゃない
私は……そうだな、クラゲかな
上からは見たことあったけどこうして見るのは初めてだし
なんか楽そうだし

あんなふうに動けるとは思えないけど
イメトレねえ



 薄暗い館内を染めるいろは、静かな煌めき纏う深い青。
 水槽の中を泳ぐ海の生き物たちは、相変わらず気儘で。
 夜を迎えた館内は、いつもならば人の姿のない魚たちだけの時間のはずなのだけれど。
 今宵だけは特別に――水族館の住人になれる扉が密かに開かれるのだという。
 いや、普段の人で賑やかな水族館であっても、きっと愉快に違いないだろうけれど。
「水族館に連れてく約束はしたけども。まさかのお泊まりだよ、有ちゃん」
 交わした約束を果たせただけでなく、やって来たのは特別仕様の真夜中の水族館で。
 しかも、ほぼ貸切状態ときたもんだ。
 そして己の名を紡いだロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)をちらりと見上げてから。
「ほんとに連れてってもらうとはね」
 ……こういうシセツってのに泊まれるとは知らなかったけど、と。
 寝るには確かに、暗くて静かで悪くはない、なんて。
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)も静かな館内を見回してみるけれど。
「素敵だねぇ! 綺麗だねぇ! 暗くて青いねぇ! うんうん!」
「はいはいそうだね」
 いつだってまぁ大体楽しそうではあるのだけれど。
 子供かの様にはしゃぐ隣の声色を、毎度の如く適当にあしらいつつ。
 彼の言葉自体には、同意せざるを得ない。
「……たしかに真っ青ってやつだ」
 静寂の夜に落ちるそのいろは、何処を見ても青だとしか言いようがないし。
 有はもう一度、楽しそうなロカジを後目に、館内へとざっと視線を巡らせ思う。
 ……青くて光って見える水も悪くない、って。
 それに、何て言ったって。
「酒もあるなら尚更ね」
「目出度いし酒飲もうか」
 どうせゆうらり揺蕩うのならば、酔っているくらいがきっと丁度良い。
 安いビールで乾杯でも、アルコールであればそれで十分なのだけれど。
「今夜ばかりは甘いカクテルも悪くない」
 ……綺麗だし、と。
 しゅわり星が弾ける様な、これまた真っ青な深海カクテルをロカジはつらつらと眺めて。
「これも海っぽい見た目だことで、凝ってるもんだ」
 とりあえず乾杯して口をつけてみれば、何だか小洒落ている甘い酒。
 けれど、たまにはこういう酒も悪くないし。
 有は金の瞳をその深い青に重ねながらも、首を微か傾げる。
 海の様に塩辛すぎる味は御免なのだけれども。
 ……海みたいなのに甘いのは不思議な感じもするけどね、って。
 そんなじっと深海カクテルを見ている有の顔を覗き込む様に、こう声を掛けるロカジ。
「眠い? 寝てもいいけど」
 暗くて静かな夜ともなれば、眠気に誘われることだって不思議じゃない。
 けれど……何だかそれも、味気ないような気がしないでもないから。
「これくらいじゃまだ眠くはないさ」
 そう彼に言葉と視線を返した後、甘い海をもうひとくち、有は口に運ぶのだった。
 そしていい具合にほろ酔いになってきた頃。
 眼前の大水槽の青に泳ぐ色とりどりの魚を眺めながら、ロカジは訊ねてみる。
「ねぇ、有ちゃん。好きなお魚は見つけたかい?」
「ん? 好きな魚か……」
 ……さて、なんて水槽を見遣れば、どれが何だか分からないくらい魚たちがいっぱいで。
 気だるげに、でも何気に水槽を眺めている有と共に、青の世界へと視線を向けながらロカジは続ける。
「僕はジンベイザメかなぁ……景気良くデッカいとこがいい」
 ……頑張れば背中に住めるよ、あの大きさは、って。
 さっきゆらりとやって来たジンベイザメは、そりゃあ驚くほどデッカかったし。
「――たしかにアレは住めそうなくらいデカイね。器用に泳ぐもんだし」
 デカいのにスイッと悠然と泳ぐあの姿を見れば、住み心地は案外悪くはないかもしれない。
 そんなことを思っていれば、楽し気に続けられる彼の声。
「派手な熱帯魚やクラゲもいいね、派手で摩訶不思議なとこがとってもいい」
「その頭ならあそこの魚の群れにも仲間に入れてもらえるんじゃない」
 有がそう交互に見遣るのは、派手派手な蛍光ピンクの熱帯魚の群れと、似た様な色をしたロカジの頭。
 それからふと、ふわりと水の流れに身を任せ揺蕩うソレを見つけて。
 彼に先程問われた答えを、ぽつりと返す。
「私は……そうだな、クラゲかな。上からは見たことあったけどこうして見るのは初めてだし、なんか楽そうだし」
 そんな言葉に笑んだ後、ロカジは上手に泳ぐ魚たちに倣って。
「このあと君も僕もあの魚たちみたいに水中に行くらしいからさ。どんな風な水棲生物に倣いたいのか、こうやってイメトレすんのさ」
 ――スイスイってさ、って。
 そう練習に、空を櫂てみせるけれど。
「あんなふうに動けるとは思えないけど、イメトレねえ」
 彼女が好きだと言ったクラゲをじいっと見つめながら、呟きを落とすロカジ。
「クラゲ泳ぎ……? 出来るかな……」
 足で懸命に漕いでいるわけでもなく、たまに何かびよんと伸びたり縮んだりしているけれど。
 ふわんと浮かんでいるだけの様に見えるクラゲに真剣な眼差しを向け、その泳法を盗まんとするも。
 ――楽に泳ぐ方法……うーん……?
 やはりただ流れに任せ揺蕩っているようにしか見えないクラゲの姿に、大きく首を傾げるロカジであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

硲・葎
三日月さん(f01960)と。
わあ、夜中の水族館とか幻想的で素敵だなあ。昼間は来たことあるんだけど、夜は初めて!
せっかくだし、クラゲとか見てみたいな!なんだかゆったりとしてて、透明な宝石みたいだし。
「三日月さんは、水族館初めて?気に入ってもらえるといいなあ。カフェのパンケーキ、テイクアウトして、クラゲ見ながら食べようか」
甘いものより、サラダ系がいいみたいだから、スクランブルエッグのパンケーキとかどうかな?私はベリーのパンケーキにしよう。
「今度は、依頼抜きでゆっくり来たいね」今のこの時間だけでもゆっくり楽しもう。


月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

水族館……魚を見られる施設なのだね。こういった場所には私はあまり来たことがないから、硲さんのオススメがあったら教えてほしいな。

ここの喫茶店は飲み物も食べ物も洒落ているね。しかし、この後に怪異との戦闘が控えているしあまり食べるときついか……。サラダ系のパンケーキ? というのはあっさりした食べ物なのだろうか? そうだったらそれを頼みたいな。

クラゲの水槽の前で、テイクアウトした料理をいただこうか。毒を持った生き物でも、こうして眺めてみると幻想的だな。こうしてゆったりした時間を過ごしていたいものだけれど、此度は怪異退治のために集まっているわけだしそうもいかないのが残念だよ。



 キラキラ輝く青の水槽の中を泳ぐ、様々ないろをした魚たち。
 同じ青でも、水槽によってその色の深さや濃さ、明るさも違って。
 水の世界に息づく生き物達の種類も、水槽によって多種多彩。
 そんな水族館は、いつもならば沢山の人で賑わっているし。
 普段ならば、今の時間は館内に入ることさえ叶わないはずなのだけれど。
「わあ、夜中の水族館とか幻想的で素敵だなあ。昼間は来たことあるんだけど、夜は初めて!」
 人の姿もほとんどない薄暗い館内には、ただ揺らめく青のいろだけが静かな煌めきを纏い落ちて。
 水族館自体は訪れたことがあるという硲・葎(流星の旋律・f01013)にとっても、眼前に広がる此処は初めて見る空間。
 だって、今日だけ特別なのだから。真夜中の水族館への扉が開かれるのは。
 そんな昼とはまた全く違う雰囲気に興味津々、ぐるりと視線を巡らせる葎と並んで歩きながら。
「水族館……魚を見られる施設なのだね」
 彼女と違い、水族館という場所を訪れること自体が初めてである月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)は。
 今まで見たことがない様な沢山の魚たちや海の生き物たちの様子を、何処か物珍し気に見つめつつ。
「こういった場所には私はあまり来たことがないから、硲さんのオススメがあったら教えてほしいな」
 楽しそうに瞳を輝かせる葎へとそう紡げば。
「せっかくだし、クラゲとか見てみたいな! なんだかゆったりとしてて、透明な宝石みたいだし」
 返ってきた彼女オススメの生き物は、ふわり気儘に青の海を漂うクラゲたち。
 けれど、今日は特別仕様な夜の水族館。だからまだまだ、夜は長いし。
「三日月さんは、水族館初めて? 気に入ってもらえるといいなあ。カフェのパンケーキ、テイクアウトして、クラゲ見ながら食べようか」
 何よりも葎は、彼に沢山水族館を楽しんで貰いたいから。
 美味しいものを調達して、食べながらクラゲの水槽を楽しもうとそう提案して。
 ふたりがやってきたのは、アクアリウムカフェ。
「ここの喫茶店は飲み物も食べ物も洒落ているね」
 海にちなんだ工夫が施されているメニューを眺め、三日月はそう口にするけれど。
 でも此処に赴いた目的は、遊びのためではないから。
「しかし、この後に怪異との戦闘が控えているしあまり食べるときついか……」
 これからのことを考え、悩まし気に首を傾ける三日月。
 確かに今の時間、重すぎたり甘すぎるものを食べるのは考えてしまうけれど。
「じゃあ、甘いものより、サラダ系のパンケーキとかいいんじゃないかな?」
 彼の呟きを聞いた葎が指差すのは、甘くない軽食系のパンケーキ。
 そんな彼女の声に、三日月は再びメニューへと視線を戻して。
「サラダ系のパンケーキ? というのはあっさりした食べ物なのだろうか?」
「うん、このスクランブルエッグのパンケーキとかどうかな?」
「だったら、硲さんの教えてくれたそれを頼みたいな」
 この後の負担になりそうにない、葎が勧めてくれたスクランブルエッグのパンケーキに決めた三日月。
 そんな彼の横で、少しだけ葎は迷いながらも。
「私はベリーのパンケーキにしよう」
 甘酸っぱい実やソースが散りばめられた、たっぷりベリーのパンケーキに。
 そしてパンケーキを購入すれば、いざ向かうのはクラゲの水槽。
「毒を持った生き物でも、こうして眺めてみると幻想的だな」
 買ったパンケーキを少しずつ摘みながら、暗い海にふわり漂うクラゲたちの不思議ないろを葎と一緒に眺めて。
 暫しのんびりと、三日月は真夜中のクラゲたちの揺蕩いを見ていたけれど。
 でもすっと、楽しんでばかりはいられない。
「こうしてゆったりした時間を過ごしていたいものだけれど、此度は怪異退治のために集まっているわけだしそうもいかないのが残念だよ」
 水族館を楽しむことも、怪異を呼び出す条件であるようだし。
 猟兵としての仕事は、決して忘れてはいないけれど。
 甘酸っぱいベリーの美味しさに瞳細めながらも、眼前の綺麗で深い深い青の世界へと目を遣ってから。
 ふんわり暗い海を漂うクラゲたちを見つめ、葎は紡ぐ。
「今度は、依頼抜きでゆっくり来たいね」
 だけどその前に、怪異に誘われるそれまでは――今のこの時間だけでもゆっくり楽しもう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

昨年の場所に今年は泊まれるのか。楽しみだ…と
お前と様々な海で美しい景色を見てきたからな
それに…いざとなればお前が助けに来てくれるのだろう?

宵と手を繋ぎ案内図を取りに売店へ向かうも
白いチンアナゴの抱き枕と目が合えば思わず手を伸ばしてしまうやもしれん
なんと珍妙な…と。…宵は気になる物はないのか?共に購入する故に

その後はマンタとジンベイザメが泳ぐ大型水槽の前に座り宵と共に見上げよう
俺は身に星を纏うジンベイザメが宵の様だと思うのだが…と
…格好良い、か
だが、水槽の俺は向こうの宵に夢中の様ゆえ、お前は此方で我慢しておけと揶揄う様な笑みを
…来年はマンタの人形を買って帰るのも良いやもしれん、な


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ええ、そのようです
水族館にお泊まりなんて、とてもわくわくしますね

きみも海には少し慣れたようで、嬉しいですと笑って
向けられた言葉にはもちろんですよと返し
僕はきみのヒーローですから

手を繋いで売店に向かったなら、かれの気になったらしいそれに目を瞬かせ
問われて店内を見渡せば、自然と目を惹くのはジベザベス3世のふわふわぬいぐるみ
僕、これがいいです
抱いて寝たら気持ち良さそうですね

それからマンタが泳ぐ大きな水槽の前で寝具を広げましょう
寝る前に寄り添って座りながら水槽を見上げ
ああ、マンタはやはり格好いいですね
きみのようです
我慢だなんて、とんでもない
一番の望みですよ、マイダーリン



 ふたりで此処を訪れるのは、初めてではなくて。
 前回は、沢山の人で賑やかな聖夜の水族館巡りだったけれど。
「昨年の場所に今年は泊まれるのか。楽しみだ……」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の言う様に、今年の夜の水族館はまた一等特別仕様。
 本来ならば足を踏み入れる事はできない水族館で、一夜が過ごせるというのだ。
 そして聴こえたザッフィーロの声に頷いてから。
「ええ、そのようです。水族館にお泊まりなんて、とてもわくわくしますね」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、夜の静けさと深い青が広がる館内を、星瞬く深宵の視線で見回してみる。
 昨年の様な賑やかな館内もとても楽しかったのだけれど……眼前に広がる青の世界を今一緒に見ているのは、自分とかれのふたりだけ。
 だって今宵は、招かれた人だけの秘密のお泊り会だから。
 ……それに。
「きみも海には少し慣れたようで、嬉しいです」
 宵がそう笑えば、ザッフィーロも銀の瞳を細め紡ぐ。
「お前と様々な海で美しい景色を見てきたからな」
 昨年は、深海のような海中トンネルが恐ろしかったけれど。
 でもあの時だって、強く握ってくれたその手に救われたから。
 ザッフィーロは宵に笑み返し、こう続ける。
「それに……いざとなればお前が助けに来てくれるのだろう?」
 そして向けられた言葉に、宵は応える――もちろんですよ、と。
 かれのためならば……荒れ狂う海だって、深い海の底だって、助けに行くに決まっている。
 だって、かれは唯一無二の大切なひとであるし。
 宵はザッフィーロだけを映す星空を柔く細めて続ける。
 ……僕はきみのヒーローですから、って。
 今みたいに、しっかりと互いに手を繋げる様な距離にいられるように。
 そしてふたりが向かうのは、アクアリウムショップ。
 売店には、水族館の案内図を取りにきたつもりが……ぱちりと、目が合ってしまったのだ。
「なんと珍妙な……」
 ザッフィーロは視線が合ったそれに、思わず手を伸ばしてしまう。
 白いチンアナゴの、もふもふ抱き枕に。
 宵は、かれの気になったらしいそれに、ぱちくりと目を瞬かせて。
「……宵は気になる物はないのか?」
 共に購入する故に、と。
 すっかり白いチンアナゴを抱えているかれの問いに、店内を見渡してみれば。
 自然と目を惹いたのは、この水族館のマスコット。
「僕、これがいいです」
 そう……宵が手にしたもの、それはジベザベス3世のふわふわぬいぐるみ。
 その手触りを確かめるように、宵はジベザベスをもふもふしてみつつ。
「抱いて寝たら気持ち良さそうですね」
 心地良い手触りのその子は、これから宵の就寝のお供になりそう……?
 そしてチンアナゴとジベザベス3世をそれぞれもふもふ抱えながらも、再び確り手を繋いで。
 辿り着いたのは、お目当ての大水槽の前。
 そこで寝具を広げ、チンアナゴとジベザベスも並べてから。
 腰を下ろしふたり隣に並んで……ふと一緒に、夜空の様な海のいろを見上げてみれば。
 刹那、ゆうらり大きな影が目の前を横切って。
「ああ、マンタはやはり格好いいですね」
 宵はザッフィーロにまた、笑って告げる。
 ――きみのようです、って。
「俺は身に星を纏うジンベイザメが宵の様だと思うのだが……」
 ザッフィーロはもふもふなジベザベスへと視線を向けながらも。
 ……格好良い、か、って。
 少々和む、なんて。去年も思ったその姿を見つめていたけれど。
 さらに姿を見せたのは、噂をしていた星纏うジンベイザメ。
 そして仲良くマンタとジンベイザメが並んで泳ぐような姿をみながら、ザッフィーロは揶揄う様な笑みを宿し口を開く。
「だが、水槽の俺は向こうの宵に夢中の様ゆえ、お前は此方で我慢しておけ」
 そんな言葉に、ふるりと宵は首を横に振って。
「我慢だなんて、とんでもない」
 ぎゅっと強くその手を握り、紡ぎ返す……一番の望みですよ、マイダーリン、って。
 ザッフィーロは宵の手の温もりと届いた声に笑みを零しつつも。
 ふと青が満ちて揺れる大水槽へと改めて目を遣り、そっと思うのだった。
 ――来年はマンタの人形を買って帰るのも良いやもしれん、な……なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
【蜜林檎】

えへへへへ、そうなの?
一緒に見たいって思ってくれてた事が嬉しいんだよ
くらげがいっぱいっ
相棒のくらげが傍でふよふよと浮いている
クノちゃんことノアはぼくの親友

隣に敷いた布団で水槽を見つめる
ふふふー本当だね
ぼくに似てるかな?
ぼくには触っても痺れないよ
ほら
繋いだ手をゆらゆらと揺らしながら
ありゃ、痺れちゃう?

そうそう、この子だよ
クノちゃんがぺこりとご挨拶
この子も触って痺れないと思うから
気軽に仲良くしてあげてねっ

んにー
十雉ちゃんはかぁいいからねー
ペンギンさんとかどうかな?
飛べなくても飛べてもかぁいいことに違いないから
大丈夫だよ

お土産にくらげのぬいぐるみを渡そう
十雉ちゃんのお守りになったらいいな


宵雛花・十雉
【蜜林檎】

あのね、ずっとティアちゃんと一緒に見たいと思ってたんだ
クラゲの水槽
水槽の前に布団敷いてさ、のんびりしようよ
もちろんクノちゃんも一緒に

ふかふかの布団の上で寝そべりながら水槽を眺める
見て、ティアちゃん
クラゲが泳いでる
ふわふわして掴みどころが無くって、触ったら痺れちゃう
ティアちゃんに似てるね
あれ、気付かなかった?
ティアちゃんもね、触れるとピリッてするんだよ
悪戯っぽく笑いながら手を揺らし

ティアちゃんとクノちゃんは仲良しなんだっけ
オレともよろしくね、クノちゃん

もしもオレが海の生き物だったら何だったかな
ふふ、ペンギンか
飛べない鳥、オレらしいかも

え、オレにくれるの?
有難う、ずっとずっと大事にするよ



 足を踏み入れた真夜中の水族館は、まるで魔法が掛けられたかのように深い青で満ちていて。
 様々ないろをした海の生き物たちが泳ぐ水槽が沢山あるのだけれど。
 宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)のお目当ての水槽は、初めから決まっているから。
「あのね、ずっとティアちゃんと一緒に見たいと思ってたんだ」
「えへへへへ、そうなの? 一緒に見たいって思ってくれてた事が嬉しいんだよ」
 そう、すぐ隣で笑み咲かせるティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)と一緒に、彼が見たかったもの。
 それは――。
「くらげがいっぱいっ」
 ふわりと気儘に夜の海を揺蕩う、クラゲたちの水槽。
 そして、ティアの傍でふよふよと。
 漂う様に浮いているクノちゃんことノアは、彼女にとって相棒であり親友だから。
「水槽の前に布団敷いてさ、のんびりしようよ」
 十雉はぽふりと水槽の前に布団を敷きながらも、こう声を。
 ……もちろんクノちゃんも一緒に、って。
 それから、ころんと寝転がってみれば。
「見て、ティアちゃん。クラゲが泳いでる」
 眼前に広がるのは、幻想的ないろを纏いふわりと漂うクラゲの海。
 そんなクラゲをじっと見つめながら、十雉は紡ぐ。
 ――ふわふわして掴みどころが無くって、触ったら痺れちゃう……ティアちゃんに似てるね、なんて。
「ふふふー本当だね。ぼくに似てるかな?」
 ティアはそう楽しそうに笑んで。
 ……ぼくには触っても痺れないよ、って言うけれど。
「あれ、気付かなかった?」
 きょとりとわざと首を傾けて見せつつも、ふふっと悪戯っぽく笑って十雉は続ける。
「ティアちゃんもね、触れるとピリッてするんだよ」
「ありゃ、痺れちゃう?」
 けれど――ふたり繋いだその手は変わらず、ゆうらゆら。
 そして自分たちの手と同じ様にゆらり揺れるクラゲさんを見て、ふと訊ねる十雉。
「ティアちゃんとクノちゃんは仲良しなんだっけ」
「そうそう、この子だよ。この子も触って痺れないと思うから、気軽に仲良くしてあげてねっ」
 そんなティアの紹介と共に、ぺこりとご挨拶するクノちゃんに。
「オレともよろしくね、クノちゃん」
 同じ様に、十雉もご挨拶を。
 そして広がる青の世界を眺めながら、彼女にこんな質問を。
「もしもオレが海の生き物だったら何だったかな」
「んにー、十雉ちゃんはかぁいいからねー。ペンギンさんとかどうかな?」
 こてり首を傾けつつも紡がれたそんな答えに、十雉は橙の瞳を細めて。
「ふふ、ペンギンか。飛べない鳥、オレらしいかも」
「飛べなくても飛べてもかぁいいことに違いないから、大丈夫だよ」
 そうっと伸ばされたティアの掌が、ペンギンさんみたいにかぁいい彼を、よしよし。
 それから――十雉ちゃんのお守りになったらいいな、って。
 手渡すのは、お土産のくらげぬいぐるみ。
「え、オレにくれるの?」
 十雉は差し出されたそれに瞳を瞬かせ、思わずきょとりとするけれど。
 すぐに笑みを返し、受け取ったその子をふにふに抱っこする。
 ――有難う、ずっとずっと大事にするよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
前にここに来たのはクリスマスだったか。
マクベスと水族館に訪れるのは三度目。
私達にとって水族館は思い出の場所だからな。

さて、クリスマスと同じくクラゲのエリアで過ごすと言っていたな。今回は夜を通して過ごすのだから何か飲み物を買ってくるか。
あぁ、それもまたあの時の私がカクテルでマクベスがノンアルコールの深海ソーダだな。
分かった買ってこよう。

(クラゲエリアに戻ると着ぐるみパジャマのマクベスに頬を緩め)
随分可愛らしい格好をしているな。
その格好が暖かいなら私がそばにいなくても…冗談だ。
ほら、深海ソーダだ。
綺麗な青だ…まぁ、やはりマクベスの青には敵わんがな


マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
今年もグラナトさんと水族館楽しみに来たぜ♪

やっぱり寝る場所は去年観たクラゲの前かな
グラナトさんとデートした思い出の場所だし
うーん、グラナトさんが飲み物買いに行ったしオレは…
(いたずらっ子の笑顔)

レンタルできるサメの着ぐるみパジャマ着て驚かせるぜっ
ついでにジベザベス3世ぬいぐるみも購入しよう
おお…っ、これはかなりいい手触り…!

(グラナトが帰ってきてクルリと回って見せ)
ねぇねぇ、グラナトさんどう?びっくりした?可愛い?
む~、もう少し驚くと思ったんだけどなぁ
これ結構暖かいんだぜ?(グラナトにくっついて)

ふふっ、そりゃグラナトさんが好きな青だからね



 ほんのり薄暗い館内に広がる、色々な青の水槽。
 水族館に共に訪れたのは、これが三度目で。
「前にここに来たのはクリスマスだったか」
 此処を訪れたのは、去年の聖夜の日以来。
 そう、グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)にとって、水族館は思い出の場所で。
 足を踏み入れれば感じるのは、あの時を思い出す様な懐かしさと、またこの前とは違う新鮮さ。
 いや、それはグラナトだけではなくて。
 水族館が思い出の場所なのは、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)にとっても勿論、同じ。
 そして今年はまた昨年とはちょっぴり違った、特別な今宵だけのお泊り水族館。
 そんな特別な夜を、一緒に過ごす場所は――。
「やっぱり寝る場所は去年観たクラゲの前かな」
 ……グラナトさんとデートした思い出の場所だし、と。
 深い夜の海を幻想的な青い光がゆうらり揺蕩う、クラゲの水槽の前。
 けれど今年はお泊り会、夜はまだまだこれから長いから。
「今回は夜を通して過ごすのだから何か飲み物を買ってくるか」
「またあの海色のソーダが飲みたいかな」
「あぁ、それもまたあの時の私がカクテルでマクベスがノンアルコールの深海ソーダだな」
 ……分かった買ってこよう、と。
 そうグラナトが向かうのは、アクアリウムカフェ。
 そんな彼の背中を見送ってから。
「うーん、グラナトさんが飲み物買いに行ったしオレは……」
 ふと刹那マクベスに浮かぶのは、笑顔。
 笑顔は笑顔でも――いたずらっ子のもの。
 ということで、グラナトが戻ってくる前に、素早く着替えて変身!
「サメの着ぐるみパジャマ着て驚かせるぜっ」
 そしてついでにと購入したのは、この水族館のマスコット・ジベザベス3世のぬいぐるみ。
 そのウワサのふわもふ具合を確認するように、試しにもふもふぎゅぎゅっとしてみれば。
「おお……っ、これはかなりいい手触り……!」
 ウワサ以上の、極上なもふもふです……!
 それから万全にサメさんになって、ジベザベス3世を抱きしめつつも、わくわくそわそわ。
 グラナトが帰ってきたのを見つけたマクベスは、クルリと回ってみせて。
「ねぇねぇ、グラナトさんどう? びっくりした? 可愛い?」
 ビックリするその顔や反応を見るべく、彼をちらり見上げてみるけれど。
「随分可愛らしい格好をしているな」
「む~、もう少し驚くと思ったんだけどなぁ」
 予想外に微笑まし気に見つめられ、首を傾げつつちょっぴり苦笑してから。
「これ結構暖かいんだぜ?」
 もふもふサメさんなマクベスは、グラナトにぴたり。
 けれど、そんな彼をちょっぴり揶揄う様に。
「その格好が暖かいなら私がそばにいなくても……冗談だ」
 グラナトが言えば、むむ~とさらに唸るマクベスだけど。
 ほら、深海ソーダだ、と。しゅわしゅわ弾ける青を手渡されれば機嫌も直って。
「綺麗な青だ……」
 深い海の様な青に、金の瞳を細めるグラナト。
 でも――もっともっと綺麗で愛しい青を、グラナトは知っているから。
「……まぁ、やはりマクベスの青には敵わんがな」
「ふふっ、そりゃグラナトさんが好きな青だからね」
 マクベスも、グラナトが好きな己の青に、彼の姿だけを映して笑む。
 最後の時まで一緒にありたいと思う――赤のいろを、見つめて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

周・助
【桜夢】

「わあ…!」
初めて訪れる水族館に瞳輝かせ
魚を見るたび子どものようにはしゃいでしまい

終夜くんもあまり来たことがないのならと
「一緒に楽しみましょうね…!」
笑顔で彼の手をとった

一面の青に藍色は煌めき
終夜くんの指差す先のあの子は、「くらげ」と言うらしく
「ほんとだ…お月様みたいで、綺麗ですねえ」
海の中って、こんなに色んな生き物がいるのだと
未知の世界でとっても楽しく

沢山見て回った後はカフェにて一休み!
私が注文したのはクリームソーダ
とても美味しくて、終夜くんにも勧めたり

終夜くんからパンケーキを勧められ
「……えっ!?いいんですか…?」
自然なあーんにドキドキしつつ
おずおずと一口、いただきます…!


空・終夜
【桜夢】

「助、水族館初めて…なのか
俺も…あまり来た事はないんだ
楽しめると、いいな…?」

はぐれないように
転ばないように
助に手を差し出して仄かに笑いかける

海中トンネルを潜りると
思わず溜息が零れる
助がはしゃぐ姿は可愛くて思わず和む

「海の中にいるみたいだな…
あ…。あれ…クラゲ、か…?……まるで、海に月が降ってきてるみたいだ…」
海の中に夜空があるみたいに

やがて水槽を辿っていくと
甘い匂いが香ってくる

!…カフェ、だ…
あそこで一休みしよう

俺はパンケーキを注文
愛らしいアートにトッピング
…クリームソーダを勧められると
それなら、パンケーキも食べてみろ…
美味しいぞ、と1口サイズをフォークで刺して助の口元へ



 夜の煌めきを纏い、静かに輝きを放つ水槽に負けないくらいに。
「わあ……!」
 魚を見るたびに藍色の瞳をキラキラ輝かせるのは、周・助(咲か刃・f25172)。
 だって、はしゃいでしまうのも無理はない。
 助にとってこれが、初めて訪れる水族館なのだから。
 そんな姿をじっと見つめて。
「助、水族館初めて……なのか。俺も……あまり来た事はないんだ。楽しめると、いいな……?」
 今宵は特別な真夜中の水族館だから人はあまりいないけれど、深海のように静かで暗いから。
 空・終夜(Torturer・f22048)は、助へと手を差し出す。
 はぐれないように、転ばないように……って。
 そんな彼も、あまり来たことがないのならと。
「一緒に楽しみましょうね……!」
 助は差し出されたその手に己のものを重ねる。ぱっと満開の笑顔を咲かせながら。
 そしてふたりがやって来たのは、まるで海の底のような――海中トンネル。
 見上げれば、静かに煌めく海の中を悠然と飛ぶように泳ぐ、沢山の魚たち。
 そんな星空の様な海の底の景色に、終夜は思わず溜息が零れて。
 一面の青に藍色煌めかせる助にそっと瞳を細める。
 はしゃぐその姿は可愛くて、思わず和んでしまうから。
 そして終夜はふわり、夜の海を泳ぐ幻想的ないろを見つける。
「海の中にいるみたいだな……。あ……。あれ……クラゲ、か……? ……まるで、海に月が降ってきてるみたいだ……」
 彼が示す指の先を視線で追えば、そこには、ふよふよした子。
 あの子は「くらげ」と言うらしい、と助は思いながらも。
「ほんとだ……お月様みたいで、綺麗ですねえ」
 まさに、ゆうらり揺蕩う様は海の月の様。
 海の中に夜空があるみたいに。
 そして助は、さらに心躍らせる――海の中って、こんなに色んな生き物がいるのだと。
 未知の世界を知ることは、とっても楽しいから。
 それが誰かと一緒ならば……尚の事。
 それから、順に色々な水槽を辿って歩いていけば。
 刹那、終夜はぴくりと、微かに反応を示す。
 だって、漂ってきたその匂いがとっても甘いから。
 そしてきょろりと視線を巡らせれば。
「! ……カフェ、だ……あそこで一休みしよう」
 見つけたアクアリウムカフェで、暫し休憩を。
 助が注文したのは、海の様ないろをしたしゅわしゅわクリームソーダ。
 終夜は、愛らしいジベザベスのアートにトッピングしたふわふわパンケーキ。
 早速、ぷかりとアイスが浮かぶ深海ソーダをひとくち飲んでみる助。
 瞬間、口に広がる味はとても美味しくて、終夜にも勧めてみれば。
「それなら、パンケーキも食べてみろ……」
 ……美味しいぞ、と。
 フォークに刺された一口サイズのパンケーキが、口元へと差し出されて。
「……えっ!? いいんですか……?」
 終夜のそんな自然なあーんに、助はドキドキしつつも。
 ――いただきます……!
 おずおずと一口、彼からの甘いお裾分けを、ぱくり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

猫希・みい
🎑🐱

私も全然縁がなかったから楽しみ!
夜にご縁があるのはやっぱりお月様の神様だから?
ふふ、ドキドキするね

初めての世界に色違いの眸が瞬く
大きな水槽越しに海が広がって
硝子に手を当てて歓声を上げちゃう
わあわあ!みんなのびのび泳いでる!綺麗だね!

はしゃぎすぎて喉渇いちゃった
え、買ってきてくれるの?ありがとう!
店員のお姉さんの頬が真っ赤に!
やり取りは聞こえないけど気持ちはわかるよ、お姉さん
黎くんは格好いいもんね!
おかえりなさい、黎くん!
あれ、ドリンクにフルーツなんてついてたっけ
私の真似でこうなるって…?
もう、黎くんは素敵なんだから自覚してねっ

手を繋いで次へ
黎くんが楽しそうで私も幸せ
もっと色々見ようね!


月詠・黎
🎑🐱

水族館…水に生きる者達の世界だったか
確かに夜なのは俺が月神だからかもな
噫、と愛し気にみいへと咲って

知らぬ世界
水槽越しの世界は森には縁の無い者達ばかり
のびのびと泳ぐ様に、時折足を止めて
そうだな、綺麗だ
目を輝かせるお前もと

みいが隣では愛し猫への紡ぎ
けれど店に飲み物を求めに行く際は神の、
すまぬ、夜に煌めく水槽の様な飲み物を二つ頂けるかのう?
ふわり花のかんばせで咲えば
ほう、さぁびす?
礼と共に受け取って

みいを真似たら快い対応をして貰えたと
夜の水族館を模した飲み物を渡そう
自覚…自覚?
微かに首を傾げるけれど

さ、之こうと
手を攫い夜色が煌めく次の水槽へと
共に見る初めてを存分に
俺もお前が楽しそうで嬉しいと



 静かに夜に落ちるそのいろは、ただひたすらの青。
 けれど青と言えど、深かったり濃かったり、はたまた鮮やかであったり。
 煌めきを纏う水の世界が見せるのは、様々な青。
 そして其処に息づく、普段はなかなかお目にかかれない様な生き物たち。
「水族館……水に生きる者達の世界だったか」
 満ちる月色の視線をぐるり巡らせ言った月詠・黎(月華宵奇譚・f30331)に。
 傍らに在る猫希・みい(放浪猫奇譚・f29430)も、こくりと大きく頷いて。
「私も全然縁がなかったから楽しみ!」
 きょろり巡らせていたその翡翠と曙草に、ふと蕩けて映し出すのは美しき満月の双眸。
 だって今宵は特別……いつもならば閉じている、真夜中の水族館の扉が開かれているのは。
「夜にご縁があるのはやっぱりお月様の神様だから?」
 ……ふふ、ドキドキするね、って。
 きっと、笑み向ける神様のおかげ。
「確かに夜なのは俺が月神だからかもな」
 黎もそんな言の葉に、噫、と……愛し気にみいへと咲って。
 初めての世界に瞬く色違いの眸を、優しく見つめ返す。
 そしてみいはぺたり、大水槽の硝子に手を当てて。
「わあわあ! みんなのびのび泳いでる! 綺麗だね!」
 大きな水槽越しに広がる海に、思わず歓声を。
 其れは黎にとっても、知らぬ世界で。其処に在るのは、森には縁の無い者達ばかり。
 そんな悠然と泳ぐ生き物達の姿に、時折足を止めつつも。
 黎は、はしゃぐみいへと言の葉を返す。
「そうだな、綺麗だ」
 ……目を輝かせるお前も、と。
 そして沢山の海を目にする度、わあっとはしゃぎすぎて。
 喉渇いちゃった、なんて呟きを落とせば。
「え、買ってきてくれるの? ありがとう!」
 愛しの猫の為に黎が求めるは、深海の如きしゅわり弾ける曹達。
 そして赴いたアクアリウムカフェで、ふわり。
「すまぬ、夜に煌めく水槽の様な飲み物を二つ頂けるかのう?」
 花のかんばせで咲えば……向けられた店員の頬が、真っ赤に染まって。
 その理由が、みいにはよーく分かる。
「やり取りは聞こえないけど気持ちはわかるよ、お姉さん」
 ……黎くんは格好いいもんね! って。
 あの花笑みを向けられて、平然としていられる乙女などいるはずがあろうか。いや、ないから。
 そして飲物を差し出された黎は、烏羽色の髪をそうっと揺らし、首を微か傾けて。
「ほう、さぁびす?」
 礼と共に受け取ると、みいの元へ。
「おかえりなさい、黎くん! ……あれ、ドリンクにフルーツなんてついてたっけ」
「みいを真似たら快い対応をして貰えた」
「私の真似でこうなるって……?」
 夜の水族館を模した飲み物を渡されながら、ぱちくりと色違いの瞳を瞬かせた後。
 色々と察したみいは、びしっと言い放つ。
「もう、黎くんは素敵なんだから自覚してねっ」
「自覚……自覚?」
 そう呟き首を傾ける無自覚な神様は、どうやら罪作り。
 そしてフルーツ付きの深海ソーダで喉もすっかり潤えば。
 ――さ、之こう。
 愛し猫のその手を攫い、月に照るかの如く夜色煌めく次の水槽へと。
「もっと色々見ようね!」
 ……黎くんが楽しそうで私も幸せ。
 紡がれるそんな言の葉に、神様はさらなる幸せを与えるべく。
 共に見る初めてを存分に……はしゃぐその姿に、柔い月のいろを降らせる。
 ――俺もお前が楽しそうで嬉しい、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
弟の真琴(f08611)と

水族館は久しぶりだね
ウキウキする真琴が可愛くて
思わず頬が緩む姉バカ

タイにヒラメにジンベイザメに
あ、チョウチンアンコウだ!
UCの海の仲間を思い出すよ
流石にウサミミは生えてないけどね

トンネルの所とかどう?
寝ころんでもお魚さん見えて海の中みたい

はいはいジンザベスだね♪
ぬいぐるみをお供に寝るなんて
真琴もまだまだ子供だなぁ
確かこっちに
…!?
お魚さんの着ぐるみパジャマと目が合って
これって運命の出会いかも?
思わず即買い(詳細お任せ
勿論真琴の分も
お魚さんと一緒に写真撮ろ♪

アクセサリー?
まさか女の子にお土産!?(はらはら
と思ったら私に?
お姉ちゃん泣いちゃうよ、ありがとう!

※アドリブ歓迎


琶咲・真琴
姉さん(f12224)と

服装はうさ耳付きフードポンチョなどを着た、いつもの女の子仕様

滅多に見れない水族館の様子にウキウキ
ジンベエザメや熱帯魚などの水槽には行ってみたいな

好きな水槽の前で泊まって寝れるんだよね
姉さんはどこがいい?

ボクは…候補が多くて決められないっ
寝る前に1枚描こうかなって思うと候補が多すぎて…!

トンネル!
いいね、そこにしようっ!

お土産も欲しいものが多いよ〜
悩むなぁ
あ、ジベザベス3世のぬいぐるみは買うよ
寝る時のお供っ

アクセサリーも1つ買おうかな?
アクアリウムみたいなの
姉さんのも買おう

いやいや
女の子なら可愛いのは大歓迎でしょ
ねー?お祖母ちゃん
(着ぐるみパジャマはお任せ)

アドリブ歓迎



 ぴょこぴょこと、まるで踊る心のように。
 小刻みに跳ねているのは、フードポンチョに付いたうさ耳。
「水族館は久しぶりだね」
「ジンベエザメや熱帯魚の水槽には行ってみたいな」
 洋服のうさ耳を躍らせながら、そう滅多に見れない真夜中の水族館にウキウキしている琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)の姿が可愛くて。
 思わず頬が緩む姉バカを早速発揮させているのは、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)。
 けれど弟がめっちゃ可愛いのだから、それは仕方がないのです。
 そしてふたり一緒に水槽を巡り、見て回れば。
「タイにヒラメにジンベイザメに……あ、チョウチンアンコウだ!」
 小太刀が思い出すのは、己が喚ぶ愉快でかわいい海の生き物っぽい仲間達。
 でも、スイッと泳ぐ水槽の魚たちには、流石にウサミミは生えていません!
 そんな姉に、洋服にだけどうさ耳生えている真琴はふと首を傾けて。
「好きな水槽の前で泊まって寝れるんだよね。姉さんはどこがいい?」
 悩まし気にぐるりと、沢山並ぶ水槽を見回して続ける。
「ボクは……候補が多くて決められないっ。寝る前に1枚描こうかなって思うと候補が多すぎて……!」
 折角、なかなか入る事のできない真夜中の水族館。
 昼には見られない様な、あんな魚やこんな生き物だって顔を出しているかもしれないし。
 水族館定番の絵になるような子を描くのだって、きっと楽しい。
 そんな悩める弟に、小太刀が提案したのは。
「トンネルの所とかどう? 寝ころんでもお魚さん見えて海の中みたい」
 見渡す限り海の景色が広がる、海底トンネル。
「トンネル! いいね、そこにしようっ!」
 真琴もそう大賛成の声をあげて。いざ、海のトンネルへ……行く、その前に。
 立ち寄っておくのは、アクアリウムショップ。
「お土産も欲しいものが多いよ〜。悩むなぁ」
 けれど、真琴はこれは最初から決めている。
「あ、ジベザベス3世のぬいぐるみは買うよ。寝る時のお供っ」
 そう、ぎゅうっと抱っこして寝ればもふもふ幸せになれる、ふっかふかなジベザベス3世のぬいぐるみは。
「はいはいジンザベスだね♪ ぬいぐるみをお供に寝るなんて、真琴もまだまだ子供だなぁ」
 小太刀は弟の可愛さに笑みを宿しながら、彼が所望するジベザベスが並んでそうな棚の方へと歩みを進めて。
 確かこっちに……そう、紫の視線を巡らせた、刹那。
「……!?」
 ――これって運命の出会いかも?
 小太刀は出逢ってしまったのだ。
 何だか面白くてゆるっとした、決して憎めない顔がかわいい気もする……スナメリさんの着ぐるみパジャマに。
 そして真琴には、ハートのクッション付きの可愛いクリオネのものをチョイスして。
「お魚さんと一緒に写真撮ろ♪」
 そうくるりと弟を振り返ればー―。
「アクセサリーも1つ買おうかな? アクアリウムみたいなの」
「アクセサリー? まさか女の子にお土産!?」
 アクセサリーを選んでいる真琴の姿に、小太刀ははらはら。
 けれど……姉さんのも買おう、と。
 真琴が選んでいたのは実は、誰でもない小太刀のもので。
「……と思ったら私に?」
 それを知れば、勿論。
 ――お姉ちゃん泣いちゃうよ、ありがとう!
 泣いちゃうほど嬉しいに決まっています……!!
 そんな姉に真琴は、いやいや、とひらり手を左右に振りながらも同意を求める。
「女の子なら可愛いのは大歓迎でしょ」
 ――ねー? お祖母ちゃん、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

おー…
瑠碧姉さん可愛い…
しげしげ見つめ
おおペンギンちょい落ち着くぜ
手差出し
…2回目だから大丈夫?

真夜中ってこんななんだな
…あのペンギン寝ぼけてんのかな?
って仲間じゃねぇし来んな!?

寝る場所大水槽でいい?
おー…こりゃすげぇな
水槽が月と星できらきらしてる
あの魚寝てんのかな?
今なら魚獲り放題食い放題じゃね?
大丈夫こっち食うし
テイクアウト品指差し
瑠碧姉さんパンケーキちょっと食う?
おかず系だけど
イラストも割と可愛いぜ
写メし
えっ?
そ、そっか
じゃあ食う前にそっちも
一緒に写メ
おー見て見て深海ソーダ
水槽の中そっくりだ

あっジンベエザメ
似てるかな
ジベザベス3世の抱き枕と並べ

今度は昼間も来てみてぇな
また一緒に


泉宮・瑠碧
【月風】

赤ちゃんアザラシの着ぐるみパジャマを借りて
理玖のペンギンは、南瓜の日以来です
ほのぼのと手を取り
UDCアースは不慣れですが…此処は2回目なので

ペンギン…
きらきらとお散歩風景を見て、こんばんは
ふと理玖を見て
…着ぐるみで、お散歩に混ざれそうです?
お兄さんペンギン、ですね

はい、大水槽で
見上げれば月と星の煌きが…
水槽に、夜空が出来てます
…理玖、獲ったら駄目ですよ

私も、プリンアラモードと紅茶を
プリンを口にして…幸せ
パンケーキは感謝して一口貰い
理玖も、プリン一口と…お菓子細工、食べます?
私、可愛いと食べられなくて…
理玖のソーダは、正に深海のイメージですね

イルカの枕を抱えて
また…一緒に、来てみたいです



 滅多に足を踏み入れることが出来ない、特別な真夜中の水族館も。
 確かに、目を奪われるほど綺麗ではあるのだけれど。
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)の青い瞳に映っているのは、もふもふ可愛い赤ちゃんアザラシさん……?
 いや、アザラシさんはアザラシさんでも。
「おー……瑠碧姉さん可愛い……」
 赤ちゃんアザラシの着ぐるみパジャマを借りて着ている、泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 そんな瑠碧の姿をしげしげ見つめている理玖が着ているのは。
「理玖のペンギンは、南瓜の日以来です」
「おおペンギンちょい落ち着くぜ」
 すっかり着慣れている、ペンギンさん。
 そして、そっと手を差し出して。
「……2回目だから大丈夫?」
「UDCアースは不慣れですが……此処は2回目なので」
 彼の気遣いにこくりと頷いてから、瑠碧はほのぼのとその手を取って。
 並んで歩いていれば……見つけたのは、よちよち歩く可愛い行列。
「ペンギン……」
 そう、夜のお散歩をするペンギンさんたち。
 そんな行儀よく並んで歩くペンギンさんたちに、こんばんはとぺこり挨拶してから。
 ふと瑠碧が視線を向けるのは。
「真夜中ってこんななんだな……あのペンギン寝ぼけてんのかな?」
 隣でペンギンさんを見ている、理玖の姿。
 いや、だって、今の彼もペンギンさんであるし。
「って仲間じゃねぇし来んな!?」
 仲間と認識したのか、理玖によちよち寄って来るペンギンさんたち。
 そんな様子に、瑠碧は深い青の瞳を微笑まし気に細める。
「……着ぐるみで、お散歩に混ざれそうです?」
 ――お兄さんペンギン、ですね、って。
 それから、ペンギンさんのお散歩行列とようやく分かれて。
「寝る場所大水槽でいい?」
「はい、大水槽で」
 向かうのは、この水族館で一番大きな海の元。
 そんな夜空の様に深い青にキラキラと降り注ぐのは。
「おー……こりゃすげぇな」
「水槽に、夜空が出来てます」
 月と星が照らし出す、優しくて柔い煌めき。
 そして揺らめく海の星間をスイッと悠然と泳ぐ魚たちもいれば。
「あの魚寝てんのかな?」
 夜だから眠っているのか、じっとしているお魚の姿も。
「今なら魚獲り放題食い放題じゃね?」
「……理玖、獲ったら駄目ですよ」
 そうじっと自分を見つめる瑠碧に、大丈夫こっち食うし、と。
 理玖が指差すのは、カフェで調達しておいた、夜のお供のテイクアウト品。
 瑠碧も、プリンアラモードと紅茶を事前に買っておいたから。
 水槽の海を眺めながら、スプーンでそっと掬ったプリンを、はむりと口にすれば。
「……幸せ」
 思わず零れ落ちる感嘆の声と溜め息。
 そんなほわほわ甘い幸せに浸る瑠碧に、理玖は自分のパンケーキを写メしつつも彼女に勧めてみる。
「瑠碧姉さんパンケーキちょっと食う? おかず系だけど。イラストも割と可愛いぜ」
 そしてお言葉に甘えて、彼のパンケーキをお裾分けして貰った後。
「理玖も、プリン一口と……お菓子細工、食べます?」
 私、可愛いと食べられなくて……と。
 瑠碧がお礼にと差し出すのは、甘いプリンとペンギンさん。
「えっ? そ、そっか」
 理玖は瞳をぱちくり瞬かせてから、じゃあ食う前にそっちも、と。
 ぱしゃり、お菓子のペンギンさんにもシャッターを切ってから。
「おー見て見て深海ソーダ」
「理玖のソーダは、正に深海のイメージですね」
 深い青にしゅわしゅわ炭酸が煌めくその様は、まさに同じ。
 ふたりが今一緒に並んで見ている、月と星の煌めきが降るその彩に。
 理玖はそっと夜の空に深海ソーダを掲げ、見比べてみる。
 ――水槽の中そっくりだ、って。
 そんな甘い海のいろを美味しく飲んでいたら。
「あっジンベエザメ」
 ……似てるかな、って。
 やって来た水槽の中のジベザベス3世と、傍らにある抱き枕を理玖は並べてみつつも。
「今度は昼間も来てみてぇな」
 彼が落としたそんな呟きに、イルカの枕をぎゅうと抱えた瑠碧もこくりと頷いて。
「また……一緒に、来てみたいです」
 彼女の紡いだ言葉に、理玖ももう一度返す――また一緒に、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
悠里(f18274)と共に

仄暗い水族館に浮かび上がるような青の世界を散策する
悠々と泳ぐ魚
友と歩みつつ眺める水槽に目を細めて穏やかに
水の世界は心を静かにさせてくれる

ふと考え込む様子の悠里を見て、そっと名を呼び

今は恐ろしいものはない、穏やかに楽しめばいい、と
いいや。何も考えなくていいということだよ

青に沈むように水族館を歩き
土産を買うという悠里と共にショップへ
オレは海月とジンベイザメのブックマークを
本を読むんだ、幾つあってもいい
友が選ぶものを興味深そうにしつつ

…悠里を恨むことが、悠里が一番みよに残したいものかい?

それだけ伝えてぽんと頭を撫ぜ
未来と命にいつか気づいて欲しいと
また青の世界へと浸りにゆこう


水標・悠里
ディフさん/f05200
本で見た海の中を硝子の箱に入れられて沈められたみたい
こんな風に水の中に沈んで
誰かの死に際を追体験させられては溺れて窒息してた頃を思い出す

楽しむ? どうやって
欲求が満たされた状態、ここは共有したい、なのかな
笑って何が面白いかと話し合うのが正しいでしょうか

みよにお土産買っていこうと思っていたんだ
大きなぬいぐるみを抱くと心が不思議と落ち着く
仔猫の友達じゃなくてベッドになりそう

猫の平均寿命って15年程なんだって
一人遺される悲しさも寂しさも、苦しみも味わったのに、僕はこの子にそれを与えてしまう
僕のこと、恨んでくれるかな

寂しくて死んでしまう位なら
僕を恨んででも生きて欲しい
唯の我儘



 本来ならば、眼前の夜のいろは魚たちだけのものなのだけれど。
 今宵はその世界に、少しだけお邪魔させて貰える特別な夜。
 悠々と泳ぐ魚、静かに煌めく真夜中の海、其処に息づく海の生き物たちの気配。
 ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)は、そんな仄暗い水族館に浮かび上がる青の中を散策する。
 友と並んで歩みながら、眺める水槽たちに満ちるいろに目を細めて、穏やかに。
 ……水の世界は心を静かにさせてくれる、って。
 そんなディフと共に夜の水族館に足を運んだ水標・悠里(魂喰らいの鬼・f18274)は、深い青に宿る煌めきを見て思う。
(「本で見た海の中を硝子の箱に入れられて沈められたみたい」)
 そして、思い出してしまうのだ。
 こんな風に水の中に沈んで……誰かの死に際を追体験させられては溺れて窒息していた頃を。
 ごぽりと吐き出した息は泡となって、上へ上へとあがってゆくのに。
 落ちたこの身は、青に飲み込まれるかのように底へ底へと、苦しさと共にただ沈んでゆくしかなくて……。
「――悠里」
 ふと思考と記憶の海に沈んでいた意識を掬い上げたのは、己の名を呼ぶ友の声。
 そして視線を向ければ、耳に届くのは優しい響き。
 ――今は恐ろしいものはない、穏やかに楽しめばいい、と。
 けれど……わからないのだ。
 だからその優しい音にも、ふるふると悠里は首を横に振って、ぽつりと言の葉を落とす。
「楽しむ? どうやって」
 それから、自分なりに考えてみる。
「……欲求が満たされた状態、ここは共有したい、なのかな。笑って何が面白いかと話し合うのが正しいでしょうか」
 そんな悠里に、今度はディフがそっと首を横に振って。友に、こう教えてあげる。
「いいや。何も考えなくていいということだよ」
 ……何も、考えなくていい。
 悠里は聞いた言葉をそう一度、口にしてから。
「……みよにお土産買っていこうと思っていたんだ」
 少し離れたところに見えるアクアリウムショップへ向けて、ディフと共に歩き出す。
 沢山の硝子の海の合間を通って……真夜中の水族館の青に、沈むかのように。
 そして辿り着いた店内で悠里が手にするのは、大きなジンベイザメのぬいぐるみ。
 その手触りは、もふもふふわふわ、心地良くて。
(「大きなぬいぐるみを抱くと心が不思議と落ち着く」)
 ゆうらり揺れていた心も、少し凪ぐ様な気がするから。
 けれど……悠里はふと、ジンベイザメさんと見つめ合いながら、こうも思う。
 ――仔猫の友達じゃなくてベッドになりそう、って。
 ディフはそんな友が選んだもふもふを興味深そうに見つめながらも。
「本を読むんだ、幾つあってもいい」
 そっと手に取ったのは、ステンドグラス風に描かれた、海月とジンベイザメのブックマーク。
 悠里はそんな友の言葉に、自分もよく本を読むと、そう微かに笑むけれど。
「猫の平均寿命って15年程なんだって。一人遺される悲しさも寂しさも、苦しみも味わったのに、僕はこの子にそれを与えてしまう」
 ……僕のこと、恨んでくれるかな。
 そう呟くように紡ぎ落とす。
「寂しくて死んでしまう位なら、僕を恨んででも生きて欲しい」
 ――唯の我儘、それは分かっているのだけれど。
 そして友の言の葉を静かに聞いていたディフは、ただこれだけ彼に伝える。
「……悠里を恨むことが、悠里が一番みよに残したいものかい?」
 それから、ぽんと優しくその頭を撫ぜて。
 また青の世界へと浸りにゆこう――そう、友の青と己の青を重ね、再び共に歩き出す。
 未来と命にいつか気づいて欲しいと……そんな思いのいろを、そっと秘めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と

大水槽の前で、二人寝具を広げ

思い出すのは夏に訪れたグリードオーシャンの海底教会
陽光煌めく蒼の世界と、そこに泳ぐ魚たち
かの地も夜にはきっと、この水槽に広がる世界のように、違った顔を見せるのでしょう

満天の星空をヴォルフと二人眺めることは今までにもあったけれど
こんな風に魚たちに見守られて夜を過ごすのは初めてね

二人で一つの毛布にくるまり、互いの体温を感じながら
彼の胸の鼓動を聞けば、命の証に安堵する
水の中の楽園は、この後の怪異の予感など信じられないほどの穏やかさで
だからこそ、その静けさに不安を感じることもあるけれど
大丈夫、貴方がいれば何も怖くない

強い腕に抱かれ
おやすみのキスを


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と

大水槽の前で寝具を広げ、愛しい妻と夜を過ごす
硝子の壁を隔てた海の世界と、こちら側の陸の世界
その両方に等しく、月と星の優しき光は降り注ぐ
命の巡りを見守るように

屋内とはいえ、冬の寒さも近づく時期だ
凍えぬように彼女の体を毛布で包み抱き寄せる
彼女の体が震えているのは、高鳴る鼓動が伝わってくるのは
さえざえとした夜の空気のせいか、これから起こる怪異への不安か

己の体温を、生命の証を彼女が忘れぬようにと強く抱きしめて
周囲に気取られぬよう彼女の姿を毛布で覆い隠し、唇を重ねる

災厄を呼ぶのが怪異の歌声なら
その災厄を祓うのもお前の歌声だ
大丈夫だ、俺たちは負けない
何があってもお前を守る



 深く濃く、何よりも静かで美しい青。
 そんな眼前に広がるいろに似た景色を、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)はふと思い出す。
 夏に訪れた、何処までも続く大海原の世界。
 そして、水底に沈んだ静寂の教会に煌めき降る陽光の蒼と、そこにゆうらり揺蕩い泳ぐ魚たち。
 けれど、あの海底教会佇む海底の景色も。
(「かの地も夜にはきっと、この水槽に広がる世界のように、違った顔を見せるのでしょう」)
 蒼穹が星月夜へと移り変わる様に、眼前の青の如くその表情を変えているだろう。
 そう青に満ちる水槽を見つめ思う愛しい妻と、特別な一夜を過ごすべく。
 ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は大水槽の前に寝具を広げてから。
 そっと妻と寄り添い合い、暫し共に、ふたりだけの青の世界を揺蕩う。
 硝子の壁を隔てた海の世界と、こちら側の陸の世界。
 けれど息づくものも景色も違うふたつの夜に等しく、月と星の優しき光は静かに降り注ぐのだ。
 まるで、命の巡りを見守るように柔く。
「満天の星空をヴォルフと二人眺めることは今までにもあったけれど。こんな風に魚たちに見守られて夜を過ごすのは初めてね」
 二人で一つの毛布にくるまり、互いの体温が混ざり合うのを感じながら。
 ヘルガはそう紡ぎつつも、そっと安堵する。
 聞こえてくる彼の胸の鼓動……その命の証に。
 眼前に広がる水の中の楽園は、この後に誘われるという怪異の予感など信じられないほどに穏やかで。
 だからこそ……今の静けさに不安を感じることも正直あるのだけれど。
 でもそれ以上に、隣で包み込んでくれているヴォルフガングを見つめるヘルガは、知っているから。
 ――大丈夫、貴方がいれば何も怖くない、って。
 そして、ヴォルフガングも感じているから。
 妻の体が震えているのも、伝わってくる高鳴る鼓動も。
(「さえざえとした夜の空気のせいか、これから起こる怪異への不安か」)
 屋内とはいえ、冬の寒さも近づく時期。
 その体が凍えぬように、そして揺らめくその心をも一緒に。
 ヴォルフガングは彼女を毛布で包み抱き寄せ、そして紡ぐ。
「災厄を呼ぶのが怪異の歌声なら、その災厄を祓うのもお前の歌声だ」
 それから澄みきった青い瞳を真っ直ぐに見つめ、誓う様に続ける。
「大丈夫だ、俺たちは負けない」
 ――何があってもお前を守る。
 そしてその証をそっと優しく、ヘルガへと示すヴォルフガング。
 己の体温を、生命の証を……彼女が忘れぬようにと強く抱きしめながら。
 周囲から覆い隠した愛しき妻と、唇を重ねる。
 刹那、揺らめいていた心が凪いでゆくのをヘルガは感じる。
 そう、抱いていた不安を消してくれたのは――自分を抱く強い腕と、優しく落とされたおやすみのキス。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五条・巴
夜の魚たちは、どんなふうに過ごしてるかな。
プレゼントに貰ったクラゲからふと気になって。

静かな館内に猟兵の仲間たちの楽しむ声だけが響く
夜の水族館

魚たちって何を話してるのかな。
話が聞けたらいいのに。
動物会話で聞き取れたりするだろうか?

今日はひとり、自分のペースでゆっくりと
キャプションを見ながらひとつひとつ覗いていこう。

夜に体の色が変わる魚、
海藻咥えながら寝てる魚

そして、
大水槽には月と星の煌めきを浴びたジンベイザメ。

大きな身体を優雅に動かす姿に目が離せなくて、
今は何も考えずに、この美しい景色を見ていたい。
君みたいに優雅に泳げたらいいなあ。

座れるところに腰掛けて、時が来るまで眺めていよう



 今宵だけ扉が開かれた此処に足を運んだのは、ふと気になったから。
 ――夜の魚たちは、どんなふうに過ごしてるかな、って。
 そう思った切欠は、プレゼントに貰ったクラゲさん。
 静かな館内に時折聞こえるのは、猟兵の仲間たちの楽しむ声だけ。
 五条・君みたいに優雅に泳げたらいいなあ(照らす道の先へ・f02927)がやって来たのは、そんな静かな真夜中の水族館。
 それからふと、並んで仲良く泳ぐ魚たちをじっと見つめて。
「魚たちって何を話してるのかな。話が聞けたらいいのに」
 ……動物会話で聞き取れたりするだろうか?
 なんて、真剣に耳を澄ましてみたりもするけれど。
 硝子の向こうのお喋りは、魚たちだけの秘密みたい。
 賑やかなのも悪くないけれど、でも今日は折角の静かな夜。
 今日はひとり、自分のペースでゆっくりと、巴は青の世界を魚のようにひらり揺蕩う。
 そしてキャプションを見ながら、ひとつひとつ青の世界を覗いてみる。
 まるで深くて濃い青に溶けるかのように、夜に体の色が変わる魚。
 揺れる水の流れにぷかりと身を任せ、海藻を咥えながらすやぁと寝ている魚。
 それから――眼前の大水槽には、降り注ぐ月と星の煌めきを浴びたジンベイザメ。
 ゆうらりひらりと、夜空の如き煌めきの海を飛ぶように泳ぐ姿。
 大きな身体を優雅に動かすその様に、目が離せなくて。
 巴は大水槽が臨めるベンチに腰掛けて、時が来るまで眺めていようと、そう思う。
 ――君みたいに優雅に泳げたらいいなあ。
 そんな憧れを思わず抱くような、月の耀きを背負った水族館の人気者を。
 そしてゆうらり悠然と彼が泳ぐ、この美しい青の景色を。
 今は何も考えずに……ただ静かに、見ていたいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
クロト(f00472)と

魚は眠らない
けれど夜は体を休めるらしい
かれらの安寧を妨げぬよう
ジベザベスの抱き枕をもふっと抱きしめ
はしゃぐ心を押し込めて

魚の綺麗な動きを360度余さず眺め
幽玄な珊瑚の彩りに心奪われ
アザラシの赤ちゃんの愛くるしさに涙ぐみ、蹲り…
声を殺しながら全力でときめいて
…何やら魚と一緒に観察されている気が?

食用や毒のある魚ばかり見ていた彼が
足を止めた水槽に心引かれ
メダカ、好き?とそわそわ向けた目に、
儚い命にもの思う姿を収めれば
そっと見守る眼差しに変えて

小さな魚が、彼の心に触れたところはどこだろう
其処に大切なものがあるように思われ
知りたい、けれど今は唯…明りが落ちるまで
このときを護ろう


クロト・ラトキエ
千之助(f00454)と

水族館。来た事くらいあるのに。
こんなに心浮き立つのは…
今の此処が、過日のみなそこを思わせるから?

誰かさんは絶賛、もふもふやお魚に夢中の様ですけど!
…その姿は、結構見応えありましたけど。
魚だと、鰯の大群とか丸々した海老とか蟹とか…
後は性質故?フグやらオコゼに目が行ってたのはご愛嬌。
ぐるっと凡そ見て回った…つもりで。
気付く、やたら地味な一角。
『世界のメダカ』?

小さな硝子の匣に、ぽつぽつとメダカ達。
実際地味で…けど相当な数。
脆く儚く、外に放てばすぐ息絶える
…何処かで識る気のする、いのち達。

消灯時間に居るなら、此処がいい。
人の少なさを、ほんの少しの心細さと、寄り添う言い訳にして



 こうやって真夜中に足を踏み入れる事こそ余りないとはいえ。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)にとって、特段珍しく思う様な場所でもないし。
 性格的にも年齢的にも、はしゃぐような性質でもない。
 ……ない、はずなのだけれど。
(「水族館。来た事くらいあるのに」)
 ――こんなに心浮き立つのは……。
 クロトは、己自身も意外な心のさざ波の原因を見つけるべく思考を巡らせて。
 ふと脳裏に浮かぶのは……非日常すぎて、でも、与えられた月の雫や言の葉に泣きそうになった、ひかりの祝福降る景色。
 ――今の此処が、過日のみなそこを思わせるから?
 そんなことを思いながらも、ちらりと青の視線を連れへと向ければ。
(「誰かさんは絶賛、もふもふやお魚に夢中の様ですけど!」)
 そう――隣に在る彼・佐那・千之助(火輪・f00454)は、めちゃめちゃ心躍らせているのである。水族館というときめき空間に。
(「魚は眠らない。けれど夜は体を休めるらしい」)
 ……かれらの安寧を妨げぬよう、と。
 もふっと抱きしめるのは、ふわっふわな手触りのジベザベス3世の抱き枕。
 そしてふわもふにたまに顔を伏せるのは、はしゃぐ心を押し込めるため。
 だって、ときめかずにいられるだろうか。いや、いられない。
 スイッと青の世界をゆく魚の綺麗な動きを360度余さず眺め、青に映える幽玄な珊瑚の彩りに心奪われて。
 思わず涙ぐみ、蹲ってしまうのは……きゅう、と鳴いては円らな瞳で見つめてくるアザラシの赤ちゃんが、あまりにも愛くるしくて尊いから。
 その度に、ぎゅうとジベザベスを抱きしめ、声を殺しながらも全力でときめいて。
 ふと顔を上げれば……ぱちりと合う視線。
(「……何やら魚と一緒に観察されている気が?」)
 海の生き物さんではなく、何故か自分を見つめる青の瞳と。
 いや……いちいち海の生物さんたちにときめいているその姿は、結構見応えはあったとは思うけれど。
 クロトは愛らしい生き物にきゅんときている千之助とは、また違う水槽を見つめる。
 そんなクロトがつい目を向けてしまうのは、ひたすらぐるぐる回遊する鰯の大群とか丸々した海老とか蟹とか……そう、食べられそうな魚。
 後は、フグやらオコゼに目が行くのは、その毒を持つ性質故にか……? まぁそれも、ご愛嬌ということで。
 そして、ぐるっと凡そ館内を一通り見て回った……つもりだったけれど。
(「――『世界のメダカ』?」)
 クロトがふと気付いたのは、やたら地味な一角。
 そんな、食用や毒のある魚ばかり見ていた彼が足を止めたことに、千之助は気が付いて。
 一緒に覗いてみた水槽に心引かれ……メダカ、好き? とそわそわ目を向けてみるけれど。
 見つめる二藍の双眸を、そっと見守る眼差しに変える。
 クロトが眺めるのは、小さな硝子の匣。そこにぽつぽつと在るメダカ達。
(「実際地味で……けど相当な数」)
 それは、脆く儚くて。外に放てばすぐ息絶えるような存在。
 そしてクロトは、そんなメダカ達と重ね合わせる……何処かで識る気のする、いのち達と。
 千之助は、儚い命にもの思うその姿を収めながら。
(「小さな魚が、彼の心に触れたところはどこだろう」)
 それをそっと探るかのように、隣の綺麗な横顔を見つめてみる。
 だって、其処に大切なものがあるように思うから。
 そしてそう思っていれば、ふと耳に届いたのは。
「消灯時間に居るなら、此処がいい」
 クロトが紡いだ、そんな声。
 人も少ないから、なんて……ほんの少しの心細さと、寄り添う言い訳にして。
 そして千之助は思う――知りたい、って。
 けれど今は唯……明りが落ちるまで、このときを護ろう――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニーナ・アーベントロート
亜厂さん(f28246)と

噂の水族館、一度行ってみたくて
気儘にぶらつこうかと思ったけど
見覚えあるふさふさ尻尾を発見
亜厂さんも来てたの、奇遇だねぇ
再会に声弾ませて
折角だし一緒に見て回ろってお誘いを

視界を埋め尽くす蒼い夜は綺麗で
故郷の夜よりずっと、優しい
初めて来たのに何だか安心する
最後に目指すは、会いたい子がいる大水槽
どこかな、と見上げた先に差す影
…おっきなジベザベス、きたー!

お土産屋さん…いいねぇ、寄ってこ
きらり光る瞳にウインクを返す
うん、とびきりふわっふわのジベザベスを探そーね
リボン付きの可愛い子を見ればふにゃり笑んで
じゃああたしは、と選ぶ琥珀色
今日の思い出と一緒に、ぎゅーってしたくなっちゃう


五月雨・亜厂
ニーナ(f03448)と

魚釣られた猫ではにゃいですが
夜の水族館とは趣深い
そこへのまさかのお声掛け
見返り見ればおやまあ吃驚
またもニーナに会えますとは
是非是非ご一緒致しましょ
ご機嫌三つ尾もご挨拶

四方の夜海に瞳取られるは
己だけではありますまい
これはなんだか落ち着きますなと
橙と琥珀の眼が次に探すは勿の論
ほう…!これがジベザベスでありますか!
大きくも愛くるしい

ニーナ
再会記念も兼ねまして
揃いの土産はどうでしょか?

選ぶはやはりジベザベスのぬいぐるみ
ふわふわ心地は堪能せねば損なこと
見れば着脱可能なリボンが付けられる子のようで
ならば橙色をとりまして
見合わせ眼の色重ね
どちらも可愛く着飾らせ
今日の想い出増やしましょ



 いつも沢山の人で賑やかな水族館だけれど。
 でも今宵は特別仕様、真夜中の水族館の扉が開かれているのだという。
 そんな噂の水族館に、一度行ってみたくて。
 まるで魔法をかけられたかのような、静かな青で満ちる館内に赴いたのは、ニーナ・アーベントロート(埋火・f03448)。
 閉園後の水族館は人の姿も疎らで、気儘にぶらつこうかと思っていたのだけど――。
 ふと黄昏色の瞳に飛び込んできたのは、ゆうらりゆれている見覚えあるふさふさ尻尾。
 そしてその尻尾の主に、ニーナは声をかけてみる。
「亜厂さんも来てたの、奇遇だねぇ」
 ――魚釣られた猫ではにゃいですが、夜の水族館とは趣深い……なんて。
 魚たちが泳ぐ水槽を眺めていた五月雨・亜厂(赤髪の黒猫・f28246)は、聞こえた声にくるりと振り返って。
「またもニーナに会えますとは」
 おやまあと思わず吃驚……まさかのお声掛けと、またもの再会に。
 ニーナはそんな嬉しい偶然に、声を弾ませこんなお誘いを。
「折角だし一緒に見て回ろ」
「是非是非ご一緒致しましょ」
 それに答えるのは、すぐに紡がれた言の葉と、ご機嫌に揺れてご挨拶する三つ尾。
 そして改めて……今度は、彼女とふたり並んで。
 深い青へと瞳を向ける亜厂。
「これはなんだか落ち着きますな」
 ……四方の夜海に瞳取られるは、己だけではありますまい。
 呟きを落としたのは、そう思ったから。
 そしてニーナも、こくりと頷く。
「初めて来たのに何だか安心する」
 静かに煌めきが降り注ぐのは、視界を埋め尽くす一面の蒼。
 そんな蒼い夜は綺麗で……故郷の夜よりずっと、優しいって。そう思ったから。
 それから、色々な水槽を一緒に見て回って。
 最後に巡り来たのは、一番のお目当て――会いたい子がいる大水槽。
 そして、橙と琥珀の眼がきょろりと探してみるのは、水族館の人気者。
 どこかな、って見上げてみれば……先に差す影に気付いて。
「……おっきなジベザベス、きたー!」
「ほう……! これがジベザベスでありますか! 大きくも愛くるしい」
 そう――ゆうらりと、ふたりに会いに来たかのように泳ぐ、ジンベエザメのジベザベス3世。
 そんなゆるかわ大きなジベザベス3世にご挨拶して、暫しその姿を眺め堪能すれば。
 ふと亜厂は、彼女にこんな提案を。
「再会記念も兼ねまして、揃いの土産はどうでしょか?」
「お土産屋さん……いいねぇ、寄ってこ」
 勿論ニーナも大賛成、きらり光る琥珀にぱちりとウインクを返せば。
「ふわふわ心地は堪能せねば損なこと」
「うん、とびきりふわっふわのジベザベスを探そーね」
 やってきたアクアリウムショップで狙い定めるは、一等のふわふわ。
 極上の手触りのジベザベス!
 それから、もふもふ心地を確めんと手を伸ばした亜厂は気が付く。
 並ぶジベザベスは、着脱可能な小洒落たリボンが付けられていることに。
 ならば、とその手を伸ばしたのは――黄昏色のリボンが結ばれた子。
 そんな彼が手にした可愛い子を見れば、ふにゃりと笑んで。
 じゃああたしは、とニーナが選ぶのは琥珀色の子。
 そして、見合わせ眼の色重ねれば。
「今日の思い出と一緒に、ぎゅーってしたくなっちゃう」
「どちらも可愛く着飾らせ、今日の想い出増やしましょ」
 黄昏と琥珀が交わり、顔を思わず見合せれば――青き楽しい夜に、笑みもまた咲くというもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻館

水に音に、蒼く照らされる闇
まるで海の中の様だと好奇心がとまらない

サヨ、チオリ
此処が水族館かい?
水槽の中に海が切り取られている
川があり、湖があり水の纏う世界が此処にある―不思議な心地だね

これがジンベイザメという生き物かい?
命というものは素晴らしいね
食い入るように見つめる

甘い香りに、私の巫女の満面の笑み
パンケーキも?
私は勿論パンケーキだよ
これが好きなんだ
チオリもかい?
同じだね
そなたもパンケーキ好きなのかな
ラテアート……私はここあというものでジベザベス3世を
サヨ、食べすぎではない?
けれどわかるよ
とても美味しい

寝転び見上げる海
まだ、私のしらぬ世界
人魚に、なんて之もまた奇妙で
そして嬉しいひと時だ


誘名・櫻宵
🌸迎櫻館

夜の水族館…ロマンチックで胸がときめくよう!
カムイの様子がかぁいらしくてたまらない

まるで深海に潜ったようね!
千織、カムイ
二人を誘うのは夜のカフェ
水底の女子会よ

私、ジンベイザメの水槽の前で食べたいの

揺らぐ魚に揺蕩う水面
甘いスイーツに甘い笑顔
素敵よね
ねぇ二人はなにを食べる?
千織は何がお好きかしら?
カムイの好きなパンケーキもあるわよ!
このジベザベス3世っていう子…かぁいいわね
私はチェロスにプリンアラモード、パンケーキ!
ラテアートはペンギン印、甘いいちごミルクにしてもらうわ
千織のもかぁいい!
夜に禁断を頂く心地でたのしみましょう


そのまま水面を眺めながらお休みしましょ
泳げない私も、人魚の気分よ!


橙樹・千織
迎櫻館

水族館…夜に来るのは初めてですねぇ
昼間とはまた違った雰囲気

ええ、ええ。もちろん
ゆったり泳ぐジンベイザメを見てみたいですからねぇ
カムイさんの様子に微笑んで

差し込み揺れる光が本当に海底にいるよう
あら、私もパンケーキにしようかしら
ええ、好きですねぇ
ベリー系のフルーツとソース、ホイップクリームのトッピング
ふふふ、ジベザベス3世可愛いですねぇ
絵にクリームのおひげをつけてクスクス

カムイさんは何にしたのですか?
櫻宵さんは盛り沢山ですねぇ
あら、可愛いラテアート。ちょっとヨルさんに見えるかも
私は抹茶ラテでジベザベス3世にしてもらいました

ゆらり、ゆるり
ゆっくり流れる空気にほわり微笑み
ほんのちょっぴり人魚気分



 ゆうらり揺れる深い青に、柔く静かに降り注ぐのは星を散りばめた様な夜の煌めき。
 耳に響く流水の奏では心地良く優しく、闇さえも青に照る世界。
 そう、それはまるで海の様だと。
 朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)の好奇心も咲き誇るばかりで。
「サヨ、チオリ。此処が水族館かい?」
 朱砂の彩を抱く彼の桜も、眼前の青に負けぬほどキラキラと輝きを纏っていて。
 きょろりと、その朱を巡らせるたびに。
「水槽の中に海が切り取られている」
 見るもの全てが、物珍しくて。
「川があり、湖があり水の纏う世界が此処にある――不思議な心地だね」
 青に数多息づく未知のものを見つけては興味津々、楽しそうな笑みを咲かせる。
 そんなカムイに、ええ此処が水族館よ! と笑みと共に返してから。
「夜の水族館……ロマンチックで胸がときめくよう!」
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は、今宵限り開かれた真夜中の海に声を弾ませながら。
 ひとつひとつ、識らないものを映しては瞳輝かせる己の神様の姿を微笑ましく思う。
 ……カムイの様子がかぁいらしくてたまらない、って。
 普段ならば、沢山の人で賑わっていて、そしてこの時間は足を踏み入れることはできないのだけれど。
 今宵の水族館は、招かれた人だけの為の特別仕様……そう、夜のお泊り水族館であるから。
「水族館……夜に来るのは初めてですねぇ」
 ……昼間とはまた違った雰囲気、と。
 ゆらり尻尾を揺らしながら、橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)も興味深そうに周囲を見回して。
 夜空の如く煌めく水の揺蕩いをふたりと共に楽しみながら、橙の瞳をふわり細める。
 そんな夜の世界は、深く濃く静かで。
「まるで深海に潜ったようね!」
 ひらり袖を遊ばせ、深海を游ぐ桜魚は千織とカムイを誘う。
 甘やかな香りが咲く、夜のアクアリウムカフェに。
「私、ジンベイザメの水槽の前で食べたいの」
 そして櫻宵が提案するのは、水底の女子会!
「ええ、ええ。もちろん。ゆったり泳ぐジンベイザメを見てみたいですからねぇ」
 この水族館一押しのジンベイザメには、是非とも会っておきたいし。
 ゆうるり大きなその姿を眺めながらの女子会というのも、なかなか乙なもの。
 千織は櫻宵の誘いに、こくりとすぐに頷きながらも。
「ジンベイザメ……? サヨが行きたいなら、そこで食べよう」
 こてりと首を傾けつつも心躍らせ櫻宵に並ぶカムイの様子に、思わずほわり。
 それから逸るように、訪れたカフェで甘味咲くメニューを眺めて。
「ねぇ二人はなにを食べる? 千織は何がお好きかしら?」
 櫻宵はふと、メニューの頁を捲っていたその手を止める。
 だって、見つけたのだから。
「カムイの好きなパンケーキもあるわよ!」
 己の神様が好きなものを。
 そんなしなやかな指のさす先を覗き込んで。
「パンケーキも? 私は勿論パンケーキだよ。これが好きなんだ」
「あら、私もパンケーキにしようかしら」
 カムイと千織は同時にそう紡いで。
「チオリもかい? 同じだね。そなたもパンケーキ好きなのかな」
「ええ、好きですねぇ」
 パンケーキ好き同士、ふわり笑み合う。
 そんなふたりの姿に、櫻宵も嬉しさを咲かせながら。
「私はチュロスにプリンアラモード、パンケーキ! ラテアートはペンギン印、甘いいちごミルクにしてもらおうかしら」
 甘やかが満開に溢れる注文を。
 そして吸い込まれそうに大きな青の水槽の前で始まるのは、真夜中の女子会!
 そんな楽しいひとときを共に過ごしたいのか、ゆるりと姿をみせたのは。
「これがジンベイザメという生き物かい? 命というものは素晴らしいね」
「このジベザベス3世っていう子……かぁいいわね」
 そう、ジンベイザメのジベザベス3世。
 千織も、食い入るように水槽を見つめるふたりとともに、ゆったり泳ぐ大きなその姿を見上げてから。
 ふと、ベリー系のフルーツとソース、ホイップクリームをトッピングして貰った手元のパンケーキへと視線を落として。
「ふふふ、ジベザベス3世可愛いですねぇ」
 パンケーキのジベザベス3世にクリームのおひげをつけて、クスクス。
 それからふと、櫻宵の方に目を遣って。
「櫻宵さんは盛り沢山ですねぇ」
「サヨ、食べすぎではない?」
 ずらり並んだ沢山のスイーツに、カムイも思わず瞳をぱちくりするけれど。
 甘い香りに、己の巫女の満面の笑み……すぐに宿す表情が再び花笑みへと変わって。
 はむりとひとくち、パンケーキを口に運べば。
「けれどわかるよ。とても美味しい」
 納得する様にそう、こくり。
 櫻宵は自分の買った甘味を眺めるふたりを交互に見てから、甘いいろで満ちるマグカップを手に咲う。
「折角の真夜中の女子会ですもの、夜に禁断を頂く心地でたのしみましょう」
「あら、可愛いラテアート。ちょっとヨルさんに見えるかも。私は抹茶ラテでジベザベス3世にしてもらいました。カムイさんは何にしたのですか?」
「ラテアート……私はここあというものでジベザベス3世を」
「ええ、私のペンギン印はヨルに似ているわね! 千織のもカムイのもかぁいい!」
 ほわり温かなそれぞれの甘い海にも、可愛らしい海の生き物たちが。
 だって、女子会には必須だから。甘いものとかわいいものは。
 そして甘味を楽しんだ後、そのままころりと。寝転んで、揺れる水面を見上げてみれば。
「泳げない私も、人魚の気分よ!」
「ふふ、確かに、人魚になったみたいですねぇ」
 ゆらり、ゆるりと。ゆっくり流れる青のひとときに揺蕩いつつも。
 そうほわり微笑み合う櫻宵と千織の声を耳に。カムイは改めて、眼前の海を眺めながら思う。
(「まだ、私のしらぬ世界」)
 ……人魚に、なんて之もまた奇妙で――そして嬉しいひと時だ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
いやぁ、こんな立派な水族館を
猟兵だけで貸し切れるなんてね
こういう時、猟兵やってて良かった~なんて思うよ

カフェのテーブルの上には
ここに来る前に買ったジベザベス3世のぬいぐるみを
可愛いよね~この子
手触りも抜群でずっと触っていたくなる
ことあるごとに撫で撫でむにむに

俺は2段重ねパンケーキを注文
ケーキの上にもジベザベス3世が居て
目が合って思わずにっこり
梓のプリンも一口ちょーだいっ

ふと横を見れば
本家本元の巨大ジベザベスがすぐ傍で泳いでて
小さな魚を引き連れ優雅に泳ぐ様は
とても幻想的で、荘厳な雰囲気すら感じられて
俺もこの中に入って隣で揺蕩えたらどんなに気持ちいいか
あ、このあと本当に中に入れるんだっけ


乱獅子・梓
【不死蝶】
仕事という名目で水族館で遊べるのは役得だよな
なんて会話をしながら
カフェでメニュー表を眺める

綾が買った(というか俺に買わせた)ぬいぐるみ眺め
こいつってたまにこういう
子供や女子が好みそうなものを欲しがるよな…
自分もむにむに触りつつ

俺はプリンアラモードを注文
お菓子細工の精巧さに感心していたら
焔と零が顔を覗かせ目を輝かせてて
フルーツやクリームを分けてやって
欲しがる綾にも一口分けてやって…って
気付けばプリンしか残ってないし!?

ああ、あとで存分に泳げるぞ
「この中に入って一緒に泳いでみたい」
多くの人のそんな想いに
UDCはつけこもうとしたのかもな
それでもこんな機会そう無いわけで
正直、ワクワクするよな



 普段ならば、沢山の人でいっぱいの人気スポットなのだけれど。
 今は人の姿も疎らで、しかもいつもであれば入る事さえ叶わない真夜中の水族館。
「いやぁ、こんな立派な水族館を猟兵だけで貸し切れるなんてね」
 ……こういう時、猟兵やってて良かった~なんて思うよ。
 そうにこにこ笑む灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)に、こくりと頷きながら。
「仕事という名目で水族館で遊べるのは役得だよな」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が視線を落とすのは、カフェのメニュー表。
 けれど、テーブルに置かれているのは、目移りするスイーツがいっぱいのお品書きだけではなくて。
「可愛いよね~この子」
 ……手触りも抜群でずっと触っていたくなる、って。
 綾が、ことあるごとに撫で撫でむにむにしているゆるふわな子。
 そう、ここに来る前に買った、極上のふわもふなジベザベス3世のぬいぐるみ。
 そんな綾が買った……というか、綾に買わされたジベザベスを、梓はじっと見つめてから。
 嬉しそうにもふもふしている眼前の姿を見て思う。
(「こいつってたまにこういう、子供や女子が好みそうなものを欲しがるよな……」)
 何気に手を伸ばし、自分もむにむに触りながら。
 そして、そんな可愛いもの好きらしい綾が、運ばれてきた2段重ねパンケーキを見つめれば。
 ケーキの上にもいるジベザベス3世とぱちり目が合って、思わずにっこり。
 梓も、注文したプリンアラモードの上にちょこんと乗っているペンギンさんへと視線を向けて。
 そのお菓子細工の精巧さに感心していたら……キュー、ガウ、と。
 聞こえてきた鳴き声に顔を上げれば、ひょこりと顔を覗かせキラキラ目を輝かせている焔と零の姿が。
 けれど、食べるのはちょっぴりだけお預け。
 フラッシュをちゃんと切ってから、ペンギンさんの乗った映えるスイーツと可愛い仔ドラゴンたちを、抜かりなくスマホでぱしゃり。
 そして可愛く撮れた出来に満足気に頷いてから、フルーツやクリームを分けてやれば。
「梓のプリンも一口ちょーだいっ」
 すかさず綾も、プリンのおねだり。
 そんな欲しがる綾にも一口、梓は分けてあげた……のだけれど。
「プリンしか残ってないし!?」
 気付けばプリンアラモードが、いつの間にかただのプリンに……!?
 綾は驚愕する梓を余所に、おいしーっとプリンの甘さに笑んでから。
 ふと横を見れば……すぐ傍でゆうらり動く、大きな影。
 そう、その影の主は――ー本家本元の巨大ジベザベス!
 小さな魚たちを引き連れて、青の世界を優雅に泳ぐ様はとても幻想的で。
 何だか、荘厳な雰囲気すら感じられて。
「……俺もこの中に入って隣で揺蕩えたらどんなに気持ちいいか」
 ぽつりと、そう呟きを落とした綾だけれど。
 ふわふわのジベザベス3世をもふもふしつつも、あ、と顔を上げる。
「このあと本当に中に入れるんだっけ」
「ああ、あとで存分に泳げるぞ」
 梓はそう返しつつも、綾と共にジベザベスや魚たちが泳ぐ海を眺めながら、ふと思う。
 こうやって大水槽を見つめていれば、きっと多くの人が思うだろう。
 ――「この中に入って一緒に泳いでみたい」って。
「そんな想いに、UDCはつけこもうとしたのかもな」
 それがUDCの仕業であり、被害が出る前に怪異の元凶は早急に断つべきだけれど。
 でも……それでも、こんな機会そう無いわけで。
 梓は残ったプリンをはむりと口にした後、揺れる青を映した赤い瞳を細め続ける。
 ――正直、ワクワクするよな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾宮・リオ
駒知さん(f29614)と



久し振りの水族館ですね
中学に入るまでは、よく来てましたけど
この静かな雰囲気も、青の世界も好きです

泳ぐ魚に夢中な駒知さんを見て
嬉しそうに、にこにこと笑う
囁くような小さな声を
聞き漏らさないよう距離を詰め
このお魚は───ですよ、と
そっと耳許で紡ぎ返した
足取り軽やかな彼女の手を取り
迷子にならないでくださいね

鳴ったお腹に対して
くすくすと肩を震わせた
お腹が空くのは良いことですよ
パンケーキを奢ってテイクアウト
大水槽の前で頬張る彼女が可愛くて
思わず手を伸ばして頭を撫でた

──ああ、すみません、
駒知さんが可愛くて、つい
頬を掻いて視線を逸らし誤魔化すように
良かったら僕にも一口貰えますか?


明日川・駒知
リオくん(f29616)と
アドリブ、マスタリング歓迎

_

…水族館には初めて
泳ぐ魚たちに瞳瞬き気づけば目で追い
「…あの魚、何という名前なんでしょう」
眠っている魚たちを起こさないように話し声も小さく
その為常よりリオくんと距離は近く
心配性ねと小さく笑って手を繋ぎ
歩む足取り軽やかに


不意に鳴るお腹
…魚たちを見てお腹が空いたなんて決してそんなことは
静かに、けれど慌てて弁明
お金は良いと言ったのに、結局彼に上手く言いくるめられテイクアウトしたパンケーキ。
煌きの降る大水槽の前で一口食べ
その美味しさにほにゃりと頬が綻び

頭を撫でられきょとんと彼を見上げ
一口どころかたくさん彼にあーんして

…可愛いのは、貴方のほうですよ。



 黒曜の豊かな髪がゆうらり流れる様に館内を揺蕩い、きょろりと泳ぐ夜の瞳にも映る海の青。
「……水族館には初めて」
 そうそっと呟きを落とした明日川・駒知(Colorless・f29614)と並んで。
「中学に入るまでは、よく来てましたけど。この静かな雰囲気も、青の世界も好きです」
 ……久し振りの水族館ですね、とぐるり周囲を見回すのは、尾宮・リオ(凍て蝶・f29616)。
 駒知は見つめる青の世界を泳ぐ魚たちに、ぱちくりと瞬いて。
 好奇のいろを宿した視線で追いかけっこしながらも。
「……あの魚、何という名前なんでしょう」
 眠っている魚たちを起こさないようにと、こそり小声で口にすれば。
 泳ぐ魚に夢中なその姿を見てにこにこと、嬉しそうに笑みを向けていたリオはその声を聞き漏らさない。
 だってちゃんと聞こえる様に、すぐ近くにいたから。
 そしてそっと内緒話をするかのように、耳許で紡ぎ返す。
 ……このお魚は――ですよ、と。
 何の魚だったのかは、ふたりだけの真夜中の秘密。
 水槽は降り注ぐ煌めきを纏ってキラキラと綺麗だけれど、でもやっぱり夜の水族館は薄暗いから。
「迷子にならないでくださいね」
 水の中を泳ぐ魚のようにひらりと。足取り軽やかな彼女の手をリオが取れば。
 駒知は彼にふわりと返す。心配性ねと小さく宿した笑みと、握り返した手の温もりを。
 そして今度はふたり、軽やかに真夜中を青を揺蕩っていれば。
 きゅぅ、と不意に鳴るのは、はらぺこなお腹の音。
「……魚たちを見てお腹が空いたなんて決してそんなことは」
 そう静かに、けれど慌てて紡がれた駒知の弁明に、思わずくすくすと肩を震わせて。
「お腹が空くのは良いことですよ」
 上手に言いくるめて財布を開けさせずに。
 彼女へとリオが買ってきてあげたのは、テイクアウトしたパンケーキ。
 そしてキラキラと静かに光が降る大水槽の前で、ぱくりとひとくち頬張ってみれば。
 その美味しさに零れ落ちそうなくらい、ほにゃりと綻ぶ駒知の頬。
 それからはむはむ、幸せそうにパンケーキを食べている、そんな姿が可愛くて。 
 リオは思わずその手を伸ばして……彼女の頭を優しく、撫で撫で。
 そんな温かくて大きな掌の感触に、きょとんと彼を見上げれば。
「――ああ、すみません、駒知さんが可愛くて、つい」
 頬を掻いてそっと視線を逸らしてから。
 誤魔化すように、リオはこんなお願いを。
「良かったら僕にも一口貰えますか?」
 駒知はこくりと頷いて、一口どころかいっぱい彼へとあーんしてあげて。
 はむりとそれを口にしながらも、やっぱりちょっとだけまだ視線を泳がせるリオに花笑む。
 ……可愛いのは、貴方のほうですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

夜の水族館は幻想的じゃが
深夜にはまた
違ったお顔が見れるのじゃろうか?

お泊まり楽しみ!と
隣の彼へ笑いかけ

深夜のデート、なんて
どきどきも増しゆく気がするの
ねぇ
今は、デート、と呼ぶのよね?
あなたはどこへゆきたい?

冗談粧した言の葉も
絡む指も
鼓動早めるには十分で
もぅ、と赤らむ顔は水槽に逃すけど
そっと指は絡め返して

ジンベイザメも凄いけど
沢山のお魚も見たいよぅ!
夏の日にあなたが連れた影の子のような

海の底で眠るよな体験も素敵だけれど
特別な一夜だもの
夢に拐われるのは勿体無くて
だからね
眠らぬように魔法をかけて

おねだり叶える彼の魔法が
想像以上に甘やかで
頬染める儘
あゝ今宵は本当に眠れない


ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

硝子を染める深海の色や
知らぬ景に感嘆を零して
違う顔があると聞いては
夜も気になり始めつつも

僕も楽しみだよ、何て
笑み返した無邪気な君と
過ごす夜に今は身浸そう

ン、ぐ、面映ゆい響きだなあ
はじめての、とも冠するなら
何だか不思議な心地だけど
僕にとっては、今も、だよ?

冗談粧して、指を絡めて
君とならば何処へでも

夏の友を追えるのは、嬉しいな
ミズクラゲも鈴蘭のかたちに
花を描くようで愛らしいね

人魚のようにかろやかに
深海を歩む一夜は夢のよう
夢往くも魅力的だけれど
閉じた目蓋にくちづけて
めざめの魔法を、君に

紅葉のよな、朱色が滲む
その愛らしいかんばせから
ひとときも眸離さぬよう
きっと、僕も眠れない



 煌めき降る硝子の向こうに綴られるのは、広がる青き海のものがたり。
 けれど青は青でも、それは静謐なる深い宵のいろ。
 そんな落ちる闇さえも青に染まった館内を、すいすいっと巡りながら。
 夜の水族館は幻想的じゃが、と呟き落とすティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)は、好奇のいろ纏う瞳で水の世界をじぃと見つめる。
「深夜にはまた、違ったお顔が見れるのじゃろうか?」
 そんな彼女のすぐ隣で、感嘆を零していたライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は、紡がれたその声にそわり。
 硝子を染める深海の色や知らぬ景に、ただでさえ溜息漏れるというのに。
 違う顔があると聞いては……夜も気になり始めてしまうのは、当然の心。
 そして泳ぐように歩むティルは、ひらり薄絹の鰭軽やかに。
 隣の彼を見上げ、笑いかける。
「お泊まり楽しみ!」
 そんな無邪気な姿に、ライラックは笑みと共に返す。
「僕も楽しみだよ」
 ……何て、と。
 君と過ごす夜に今は身浸そう、そう続ければ。
 ちらりともう一度藤の眸向けたティルの心は、どきどきも増しゆく気がする。
 だって、今宵のこのひとときは特別。
「ねぇ。今は、デート、と呼ぶのよね?」
 ……深夜のデート、なんて。
 そう紡いでみれば尚の事、胸の鼓動は早くなって。
「ン、ぐ、面映ゆい響きだなあ」
 ライラックは一瞬だけ、その視線を青に泳がせ、呟きを落とすも。
「はじめての、とも冠するなら、何だか不思議な心地だけど」
 ――僕にとっては、今も、だよ? って。
 そう冗談粧しながらも、そっと絡める。伸ばした己のものを、細くしなやかな彼女の指に。
 そして、混ざり合う温もりを感じながらも……彼にも聞こえてしまうのではないかと。そんなドキドキしたままの心で。
「あなたはどこへゆきたい?」
 ティルが問いを降らせれば、ライラックは其の答えをふわり紡いで返す。
 ――君とならば何処へでも、と。
 それからふたり旅立つは、真夜中の青を共に揺蕩う冒険。
「ジンベイザメも凄いけど、沢山のお魚も見たいよぅ!」
 ……夏の日にあなたが連れた影の子のような、って。
 ティルがそう花笑めば。
「夏の友を追えるのは、嬉しいな」
 ゆうらり漂うミズクラゲも、ふんわりと。
「花を描くようで愛らしいね」
 咲かせるそれは、鈴蘭のかたち。
 そして今宵は、ただの夜の水族館ではなくて。
 特別に、魚たちの世界の住人になれる夜。
 そんな海の底で眠る様な体験も、人魚のようにかろやかに歩む深海の夢も、とても素敵なのだけれど。
「特別な一夜だもの」
 だって折角の、深夜のデートであるのだし。
 夢に拐われるのは、まだ勿体無くて。
 だからね、って……彼見上げるティルは、こんなおねだりを。
「眠らぬように魔法をかけて」
 そうそっと目蓋閉じれば、ふわり羽のように柔く――君へと。
 落とされるのは、めざめの魔法。
 そして、おねだり叶える想像以上に甘やかな其れは、藤の眸をぱちりと花開かせるだけではなくて。
 ――あゝ今宵は本当に眠れない。
 彼女の頬を、紅葉のような朱色に染めて。
 ライラックもきっと、今宵は眠れそうにない。
 だって――眠るどころか、瞬きすら惜しいから。
 その愛らしいかんばせから、ひとときも眸離さぬよう……と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

満月・双葉
【虹氷】
シャオちゃん、クラゲ、クラゲ
ここにしよう

テイクアウトで買ってきたチュロスとオレンジジュースを抱えて水槽を指差して
少しはしゃいだ声になるのはシャオちゃんと居るから
初めての親友と初めてのおとまり
後で敵と渡り合わないといけないけど取り敢えず今は楽しもう
シャオちゃんにあーんして、シャオちゃんが凍らせたドリンクをあーんして貰おう
凍らせちゃった?都合が良いよ、食べちゃおう
僕が体温高いからシャオちゃんと丁度いいし気にしない気にしない
同じ布団に入って寝ちゃう?
男子相手だけど性別が気にならない相手…故になんの気無しに誘ってみてしまう

すべてが終わった後で絵を描こう…シャオちゃんにあげるね


シャオ・フィルナート
【虹氷】
双葉さんが、クラゲがいいなら…俺も合わせる

テイクアウトで紅茶と、イチゴ味のチュロスを
食べた事ないけど、イチゴが気になったから…

双葉さんのそれ…ちゅろす…?
何味にしたの…?

興味本位に聞いただけだけど
差し出されたのを見れば一瞬躊躇うものの大人しくあーんされ
ん…少し、味、違う…

紅茶は始め普通に飲んでいたが
意識を双葉さんやクラゲ達に向けていた為か冷気を抑えるのを忘れ
無意識にシャーベット状に

あ……凍った…
食べるの…?
いいけど……お腹、壊さないでよ

求められれば素直にあーんで返し

え、でも寝るのは、その…寒いかもだし…
気にならないなら、いいけど……あんまり、くっつかないでね…

貰った絵は大事にしまう



 足を踏み入れた館内いっぱいに溢れている海のいろ。
 けれど、沢山並ぶ水槽の青はひとつひとつ違っていて。
 そんな中、満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)が、ここにしようと選んだのは。
「シャオちゃん、クラゲ、クラゲ」
 ふよふよ揺れる、クラゲたち漂う水槽。
「双葉さんが、クラゲがいいなら……俺も合わせる」
 シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)はそう、彼女の進むまま共に歩んで。
 双葉のお目当てである、クラゲたちの水槽の前に辿りつけば。
「食べた事ないけど、イチゴが気になったから……」
 テイクアウトした紅茶と、イチゴ味のチンアナゴチュロスをぴょこり。
 それから、オレンジジュースと共に双葉が買ったそれに目を遣って。
「双葉さんのそれ……ちゅろす……? 何味にしたの……?」
 双葉は、シャオちゃん食べてみる? と。こてり首を傾ける彼に、あーん。
 いや、本来の目的だって、忘れてなどない。
 でも、水槽を指差す双葉が、少しはしゃいだ声になるのは……シャオと居るから。
 後で敵と渡り合わないといけないのだけれど。
 でも、今は楽しもうって――初めての親友と、初めてのおとまり。
 そして双葉も、シャオの前に自分のチュロスをひょっこりお裾分け。
 興味本位にただ聞いただけだから、一瞬、瞳をぱちくりするシャオであるけれど。
 差し出されたのを見て躊躇いも一瞬、大人しくあーんされる。
 それからもぐもぐ、秋限定のマロン味チュロスと交換こすれば。
「ん……少し、味、違う……」
 あーんし合えば、一度にふたつの味が楽しめる。
 そんなチュロスを食べ、最初こそ普通に紅茶を飲んでいたシャオだが。
 意識を双葉さんやクラゲ達に向けていた為か、冷気を抑えるのを忘れて。
「あ……凍った……」
 無意識に、紅茶のシャーベットの出来上がり……!?
 けれどそれも、無問題。
「凍らせちゃった? 都合が良いよ、食べちゃおう」
「食べるの……? いいけど……お腹、壊さないでよ」
 あーんと差し出されればぱくり、求められれば素直にあーんで返して。
 甘くて美味しいひとときが、おなかをいっぱいにすれば。
「え、でも寝るのは、その……寒いかもだし……」
「僕が体温高いからシャオちゃんと丁度いいし気にしない気にしない」
 ……同じ布団に入って寝ちゃう?
 そうなんの気無しに誘ってみてしまう双葉。
 だって、すぐ傍の彼は、性別が気にならない相手だから。
「気にならないなら、いいけど……あんまり、くっつかないでね……」
 双葉は、そうころんと寝転がるシャオへと目を向けて口を開く。
「シャオちゃんにあげるね」
 ……すべてが終わった後で描こうって、そう思った絵を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
のんびりと見て回ろう
先に売店……アクアリウムショップを覗いてからにしようか
水槽を眺めてる間に消灯時間になりそうだから

色んなものがあって面白い
スマホ、というのが通信機器なのは分かるけれど
別段不便がないから持っていない
どうしようかとショップ内をふらふら

あぁ、ぬいぐるみ……
ぬいぐるみの山……(なんとなく近くのぬいぐるみをもふもふ)

なるほど、色々居るな
うろうろ見て回って、手に取って
最終、大きなイルカのぬいぐるみを購入
……流石に竜はないから仕方ない
実在しない生き物だと思われてるからだろうし
水族館には居ないものな

さて、寝床はクラゲの水槽の傍にでもしようか
ゆらゆらしてるのを見るのは案外と飽きなさそうだから



 静かな夜の館内を、せかせかと回るのも何だし。
 のんびりと見て回ろう……そういつもの様にマイペースに歩き出すのは、鈴久名・紡(境界・f27962)。
 けれどふと、水槽並ぶ展示室に行かんとしていた足を留めて。
(「先に売店……アクアリウムショップを覗いてからにしようか」)
 行先変更、海の生物にちなんだグッズや菓子などの土産物が並ぶ店へ。
 まったり水槽を眺めている間に、消灯時間になりそうだと思ったから。
 そしてずらりと並ぶ商品を眺めてみれば、興味津々。
「色んなものがあって面白い」
 それから手に取ってみたのは、チンアナゴの模様をした長い棒。
 自撮り棒と書いてあるそれはどうやら、何らかのスマホに関連したグッズらしいけれど。
(「スマホ、というのが通信機器なのは分かるけれど、別段不便がないから持っていない」)
 そんな紡には、自撮り棒はきっと不要なもの。
 なので首を傾げながらも元あったところへそっと戻してから。
 どうしようかと、ショップ内をふらふらしていれば――。
「あぁ、ぬいぐるみ……ぬいぐるみの山……」
 なんとなく手を伸ばして、近くのぬいぐるみをもふもふ。
「なるほど、色々居るな」
 それからもうろうろ見て回っては、色々興味深げに手に取って。
 悩んだ挙句に連れて帰ると選んだのは、両腕でぎゅっと抱えた大きなイルカのぬいぐるみ。
「……流石に竜はないから仕方ない」
 竜は実在しない生き物だと思われてるからだろうし。
(「水族館には居ないものな」)
 そもそも、水族館には居ません。
 そして紡は、購入したイルカさんと一緒に。
「さて、寝床はクラゲの水槽の傍にでもしようか」
 ゆうらり幻想的な、クラゲ水槽の前で休むことにする。
 ふよふよゆらゆらしているのを見るのは……案外、飽きなさそうだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
ゆいと/f29405

海のナカはよく知らなくて
見る機会が出来て嬉しい
魚さんが住むアオの世界、ワクワクするね

特に気になるのは海の深い場所
まぁ!深海は光がないの?真っ暗?
でもココ光ってるの…って、よく見ると魚さんで
コッチの海月さんは虹イロだわ
ね、ね、とゆいを手招いてはしゃいでしまう

喉が渇いたらカフェへ
ぬ、コレが噂の曹達…!
いばらはクリームソーダを、たのもうー
はじめてのパチシュワ感覚に驚いて、思わず目を瞑る
深海ってデンジャーだわ
ゆいのはお酒で…海の味?
楽しそうに嗜む様子はこの世界に良く似合うの
サメさんのパンケーキも添えれば
席が一層賑やかに
海中でのお茶会のよう

こんなに素敵な夜は初めてだわ
ありがとう、ゆい


雨・萱
いばらと/f20406

今宵はこの深いアオに共に潜ろうぞ
海底の生物たちは我の知らぬところ
長い時を経ても知らぬことは多いものだの
我知らず心弾むのう

さまざまに彩照らされる海月に月星煌めく大水槽を泳ぐ南国の彩魚
海の底は光が届かぬと思うたが
なかなかに賑やかじゃの
不思議な海の生き物もおもしろいが跳ねるいばらも愉快だの

一通り見て回り疲れたのならカフェへと歩みを進める
ほう 深海曹達…これは嗜まねばな
海の色したカクテルを頼もう
海を飲んでいるかのような気分になれるであろ
酒精の為か常よりも歓楽を覚える
心覚えにもひとつ
ぱんけぇきなど如何じゃ

海の茶会か
賑々しい夜も悪くない
不客气(どういたしまして)、我友よ



 静かに広がる硝子の向こう側、夜に煌めくその青は未知のもの。
 そんな海のナカはよく知らなくて。
 だから、城野・いばら(茨姫・f20406)はその心いっぱいに咲かせる。
「見る機会が出来て嬉しい」
 見たことがない世界への、好奇の花を。
 そう緑色の視線をきょろり巡らせるいばらに、雨・萱(天華ウーアーリン・f29405)もこくり頷いて。
「今宵はこの深いアオに共に潜ろうぞ」 
「魚さんが住むアオの世界、ワクワクするね」
「海底の生物たちは我の知らぬところ。長い時を経ても知らぬことは多いものだの」
 未知を識れる今宵に、我知らず心も弾むというもの。
 真夜中の水族館は一面、海色に染まっているけれど。
 でも覗き見る水槽ひとつひとつ、その青のいろや息づく生き物たちは違っていて。
 さまざまに彩照らされふわり揺蕩う海月たちに、降り注ぐ月星煌めく大水槽を友禅と泳ぐ南国の彩魚。
 萱はその彩たちを興味深そうに、見つめる己の青にも泳がせて。
 そして、特にいばらが気になる場所は。
「まぁ! 深海は光がないの? 真っ暗?」
 静かで深い、海の底。
 けれど、すぐにこてりと小さく首を傾けて。
「でもココ光ってるの……って、よく見ると魚さん」
 夜の様な闇色に瞬く光の正体は、すいっと流れ星のように泳いでゆくお魚さん。
 そして、ふいにゆうらり架かるのは。
「コッチの海月さんは虹イロだわ」
 幻想的ないろを纏い揺らめく、クラゲさん。
 そんな深く濃い水底に揺蕩う彩りや光に、瞳を輝かせて。
 ね、ね、と萱を手招いては、ぴょこりとはしゃいでしまういばら。
「海の底は光が届かぬと思うたが、なかなかに賑やかじゃの」
 萱もそう、眼前の深い深い青を見つめるけれど。
 不意に映すのは、隣に在るその姿。
 ……不思議な海の生き物もおもしろいが跳ねるいばらも愉快だの、って。
 けれど楽しい海の冒険にも、休憩は必要。
 ふたりは赴いたアクアリウムカフェでメニューと暫し睨めっこ。
 そして興味を惹いたのは、やっぱり海のいろ。
「ぬ、コレが噂の曹達……! いばらはクリームソーダを、たのもうー」
「ほう、深海曹達……これは嗜まねばな」
 いばらはぷかりとアイスが乗った深海クリームソーダ、萱は海の色したカクテルを。
 ……海を飲んでいるかのような気分になれるであろ、なんて。
 運ばれてきた海に萱が口付けてみれば。
「ゆいのはお酒で……海の味?」
 いばらも続いて、しゅわり弾ける海をひとくち飲んでみるけれど。
 刹那、ぎゅうと思わず目を瞑ってしまう。
 だって、はじめてで驚いてしまったから。口に広がる、パチシュワ感覚が。
「……深海ってデンジャーだわ」
 そうぽつりと声落とせば、酒精の為か常よりも歓楽を覚える、と。
 呟き聞いた萱が宿すのは、楽し気ないろ。
 はじめてのパチシュワにはちょっぴりびっくりしたけれど。
 いばらも、萱のそんな様子を見て微笑む。楽しそうに嗜む様子はこの世界に良く似合うの、と。
 そしてご機嫌に萱が紡ぐのは、心覚えにもひとつ。
「ぱんけぇきなど如何じゃ」
 ジンベエザメの描かれた甘くてふわふわなパンケーキも添えて。
 一層賑やかになった席は、そう……まるで、海中でのお茶会のよう。
 いばらはそんな青の世界に瞳細め、礼を告げる。
「こんなに素敵な夜は初めてだわ」
 ――ありがとう、ゆい、って。
 そして、海の茶会や賑々しい夜も悪くないと。
 萱も、共に楽しいひとときを揺蕩ういばらへと返す。
 ――不客气、我友よ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

君影・菫
nyx

前にちぃと来たから夜の水族館は知っとるて少し得意げ
お泊りも出来るなんてなんや楽しみやね
ふわりふわり
からころ楽しげに花下駄を鳴らす

なあなあと、ふたりを手招いて
海の子たちのパジャマとか抱き枕も貸してくれるんやて
手にはジンベイザメの抱き枕
なあ、この子の名前知っとる?って興味津々
ジベザベス3世いうんね
よろしゅうて抱き枕のキミを抱きしめて
パジャマは…うん、ラッコにしよ!
第一印象とおとーさんの助言はだいじ
ちぃのジベザベスも
刻の海豹もよう似合っとるんよ
これでうちらも海のなかまや

はら特等席!
ふふ、その水槽はきっと綺麗やな
ころりと寝転んだらゆうるり微睡んで

夢のなかでも三人で
海のなかまとしていーっぱい遊ぼな


宵鍔・千鶴
nyx

夜の水族館は何度か来たけれど
紺碧の世界を眺め泊まれるなんて贅沢
菫にもまた一緒に来れて良かった、って
ふわふわ笑って

パジャマと抱き枕…
うん、かわいい。かわいいけど
ちらと刻の様子も伺って躊躇うのは
所謂恥ずかしさ的なもの
菫の瞬く期待と楽しそうな表情に
首是してしまうのは当然
この子はジベザベス3世、っていうんだ
取り出したサメは以前買った自前のもの
俺はやっぱりジベザベスのパジャマで
菫はラッコが似合いそう
刻は…アザラシ、成程、豹だもんね
……俺が一番つよいぞーなんて威嚇の悪戯

星月煌めく水槽でサメやクラゲの揺蕩う近く
此処、どうかな?俺達の特等席
三人でころり寝転び微睡もう

夢の世界でもきっと皆で魚たちと遊ぶんだ


飛白・刻
nyx

夜の海は以前一度
だが水族館とは初なもの
水中住まう生物の宝物庫と聞く
獣使いの興味は水中へも有効で
泊まる事も出来るとは楽しみだ

菫の手招く声にと近付けば
鮫の抱き枕を抱えて笑顔の誘い
抱えるは成程ジベザベス三世と言うのだな
しかしても
千鶴と目が合えば考えるは恐らく同じ
…着ても良いものかと躊躇うも
あの迷いなき眸を向けられては敵うまい
どうせ今更繕えぬ二人の前
そうと手に取る海豹
豹使いとして海の豹にも触れておかねば?
我ながら単純だとは思うが
微笑む猟虎と威嚇の鮫に
真顔の海豹が混ざり込むも目立つまい

星月も見れるとは贅沢な特等席
並び寝転び静謐の夜宝箱を共に見上げ

夢の中であれば共に揺蕩うも出来る
靜かで賑やかな一夜を



 静かに煌めき降る夜の青の世界、そしてそのいろの中に生きるものたち。
 以前一度、夜の海ならば、其の世界を覗いたことはあるけれど。
 ……水中住まう生物の宝物庫と聞く、と。
 飛白・刻(if・f06028)にとって、水族館とは初なもの。
 けれど夜の海でイルカに心擽られた様に、獣使いの興味は水中のものたちにも有効で。
「泊まる事も出来るとは楽しみだ」
 その上、さらに今宵は、一夜限りの水族館の住人になれるのだという。
「夜の水族館は何度か来たけれど、紺碧の世界を眺め泊まれるなんて贅沢」
 そう、今夜揺蕩う海のいろをぐるり見回す宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の隣で。
「前にちぃと来たから夜の水族館は知っとる」
 ……ふわりふわり、からころ、と。
 少し得意げな音を奏でるのは、君影・菫(ゆびさき・f14101)。
 そんな青の世界に鳴る音を聞きながら、千鶴もふわふわの笑みを――また一緒に来れて良かった、って。
 そして今宵の水族館はお泊り空間。そう……お泊りといえば。
 なあなあと、ふたりを手招いて。 
「海の子たちのパジャマとか抱き枕も貸してくれるんやて」
 菫がぎゅぎゅっと抱っこする子は、この水族館の人気者。
「なあ、この子の名前知っとる?」
 そう興味深々、手にした子とじぃと見つめ合う菫の声に。
 すかさず千鶴が取り出したのは、以前買った自前の子。
「この子はジベザベス3世、っていうんだ」
「ジベザベス3世いうんね」 
「成程ジベザベス三世と言うのだな」
 千鶴と菫のジベザベスが仲良くこんにちはをし合うを、刻も微笑まし気に眺めるけれど。
 ふいにぱちりと合うのは、己と同じく、何処か躊躇う様な視線。
 千鶴がちらと刻の様子を窺ってしまうのは、所謂恥ずかしさ的なもの。
「パジャマと抱き枕……うん、かわいい。かわいいけど」
 そう……着ても良いものかと。
 そんな男ふたりの複雑な心模様は知らず。
「……うん、ラッコにしよ!」
 ぱっと笑んで菫が手に取るのは、ラッコさんの着ぐるみパジャマ。
 そしてふたりに向けられる眼差しに宿るは、期待のいろ。
 そんな迷いなき楽しそうな笑顔をみれば、瞬く期待を向けられれば。
 こくりと頷いてしまうのは、当然で。
「菫はラッコが似合いそう。俺は……やっぱりジベザベスのパジャマで」
 潔くその心決めて、もふりと千鶴が手にしたのは、ジベザベスの着ぐるみパジャマ。
 そして、刻も続いて。
(「どうせ今更繕えぬ二人の前」)
 そうと手に取るは、やはり豹。けれど勿論、豹は豹でも。
「刻は……アザラシ、成程、豹だもんね」
「豹使いとして海の豹にも触れておかねば?」
 ……我ながら単純だとは思うが、なんて思ったりもするけれど。
 第一印象とおとーさんの助言はだいじ、とラッコに変身した菫は、ほわりとふたりの姿に笑み零す。
「ちぃのジベザベスも、刻の海豹もよう似合っとるんよ」
 ――これでうちらも海のなかまや、って。
 そしてすちゃりとジベザベスになった千鶴は威嚇するように、がおー!?
 ……俺が一番つよいぞーなんて、悪戯っこ。
 そんな微笑む猟虎と威嚇の鮫に何気に混ざり込み、共に在るのは……真顔の海豹さん。
 大丈夫、皆一緒なら何も恥ずかしくなんてない。多分きっと。
 それから今宵限りのふわふわな海の仲間たちが、泳ぐようにスイッとやって来たのは。
「此処、どうかな?」
 ――俺達の特等席、って。
 サメやクラゲがすぐそこに揺蕩う、星月煌めく水槽。
 そう、ゆうらり揺れる今宵の塒に、千鶴がふたりを誘えば。
「はら特等席! ふふ、その水槽はきっと綺麗やな」
「星月も見れるとは贅沢な特等席だ」
 敷いたふわふわのお布団の海にぽすりとダイブして、ころり。
 並んで寝転べば、静謐の夜に散りばめられた煌めきいっぱいの宝箱。
 そんな青や煌めきを3人占め、ゆうるり共に揺蕩うは微睡みの中。
「海のなかまとしていーっぱい遊ぼな」
 星纏うジベザベスは勿論、きっと硝子の向こうの子たちとだって、一緒にすいっと泳げるはずだから。
 柔い月の光が降り注ぐ――靜かで賑やかな、一夜の夢の世界で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユリィ・ミディット
※他者との絡み&アドリブ歓迎

【魚をいっぱい見る】

海…?
本や映像の中では見た事ある

でも
本物に近い物は、無い


…不思議な空間だ

青い水
キラキラと揺れて、光るもの

こんなに多くの水も、見た事ない

その中に入ってるなんて…


星の様な、煌めきを見る

遠くの星の間に、何か動くものがある
あれが、生き物…
生き物は、あんな風に動くんだ…

(暫く圧倒される様に水槽を眺めていて…遠くの月に気が付き)

これも、生き物…?
白い、月みたい…
それが沢山、ゆらゆらふわふわ…惑わす様に、ゆっくり動くもの

結構…好きかも…

(小一時間、その水槽も眺め)

もう、就寝時間…?

(ふと頭上から影が差し、大きなものが通り過ぎる)

ふふ
あれ、ぬいぐるみのと似てる…



 静まり返った真夜中の世界に広がるのは、揺らめく青のいろ。
 ユリィ・ミディット(銀色の月・f30122)は、透んだアメジストの瞳をぱちりと瞬かせて。
 じっと、眼前の水槽を見つめて呟く。
「海……?」
 海ならば識ってはいる。本や映像の中では見た事があるから。
 でも――。
(「本物に近い物は、無い」)
 そして実際に見る眼前の風景は、本や映像のものとはまた何か違っていて。
「……不思議な空間だ」
 キラキラと揺れて光る青の水槽へと改めて目を向けてみる。
「こんなに多くの水も、見た事ない。その中に入ってるなんて……」
 それからユリィは青の中、星の様な煌めきを見る。
(「遠くの星の間に、何か動くものがある」)
 ――あれが、生き物……生き物は、あんな風に動くんだ……って。
 そう呟きを落としながらも、瞳を凝らしてみれば。
「これも、生き物……? 白い、月みたい……」
 目に入ったのは、ふよふよと揺蕩う、白き月のような謎の生き物の群れ。
 ただ浮いているだけのようで、でもなんか時折びよんと伸び縮みしている気もして。
 それが沢山、ゆらゆらふわふわ……惑わす様に、ゆっくりと動いている。
 そんな海の月――クラゲ水槽の硝子にぺたり両手をくっつけて。
「結構……好きかも……」
 じいっと見つめること――小一時間。
「もう、就寝時間……?」
 消灯の合図でもある音楽がゆっくりと流れ始めるのを耳にしながら。
 ユリィはふと、ゆらめく大きな影に気が付いて。
 頭上から影が差し、通り過ぎるのは大きなもの。
 けれどその影の主を、ユリィは見たことがあったのである。
 ――あれ、ぬいぐるみのと似てる……って。
 そう、それは水族館の人気者……たくさんもふもふ並んでいた、ジンベエザメ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

十河・章人
【SPD】
布『ボウヤ……ミズ……シンパイ……』
……ヒラ助はなんで落ち着かない感じなんだろ(何故かソワソワしてるUDCを見て
とりあえず目立つから姿見せないように……手だけでもダメに決まってるだろそれこそホラーだから。

とりあえずまずは水族館を楽しめばいいんだよな……
……俺にはまだ記憶とか戻ってきてないんだけどさ
こういう場所には行ったこと、なかった気がするんだよな……

(分からないながら色々見て回ってからクラゲの水槽にたどり着き)
……くらげ。へえ、見てて落ち着く感じがするし……なんかうちの布に似てるな。(「ボク、フニャフニャ、チガウ!」というUDCの抗議を聞き流しながら

(※アドリブ歓迎)



 キラキラと輝く水槽が並ぶ水族館は、沢山の人が訪れる人気の施設で。
 昼間でもどこか薄暗く、静かな場所だけれど。
 それが真夜中で、しかもほぼ貸切状態となれば、また雰囲気も違ってくる。
 そんな夜の海の如き館内に足を踏み入れた十河・章人(彩色と透明少年・f26508)だけれど。
 ふと、大きく首を傾ける。
『ボウヤ……ミズ……シンパイ……』
 何だか、ソワソワしているから。
「……ヒラ助はなんで落ち着かない感じなんだろ」
 天蓋の如く広がる色とりどりの派手な布――何故か自分に付き従うUDCが。
 その何処か落ち着かない様子である理由は分からないけれど。
 ――とりあえず目立つから姿見せないように……。
 章人は細腕を出さんとする布助に言って聞かせる。
「……手だけでもダメに決まってるだろそれこそホラーだから」
 仄暗い水族館で布から手が出ていますなんて、一歩間違えればお化け屋敷になってしまうから。
 それから章人は、周囲をぐるりと見回して。
「とりあえずまずは水族館を楽しめばいいんだよな……」
 聞いた予知を思い返しつつ、館内を巡ってみながら。
 ふと、思い出せない記憶の糸を辿ってみるけれど。
(「……俺にはまだ記憶とか戻ってきてないんだけどさ。こういう場所には行ったこと、なかった気がするんだよな……」)
 何となく、これまで来たことが無さそうな気がする。
 そして分からないながらも色々と見て回って、辿り着いたのは。
「……くらげ」
 ゆらゆらふよふよ、水槽の中を揺蕩うクラゲたちの水槽。
 そんなひらり流れに身を任せている姿をじっと見つめ、章人は呟く。
「へえ、見てて落ち着く感じがするし……なんかうちの布に似てるな」
 けれど刹那、何かを訴えるようにヒラヒラと。
 ――ボク、フニャフニャ、チガウ!
 そう抗議してくる、そんなUDCの言葉は聞き流しながら。
 章人はふよふよ揺蕩う布みたいなクラゲたちを、楽しそうに眺めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
【🍓🌺】

一面に拡がる青の景色のうつくしきこと
まるで、水のなかを游いでいるかのよう
まい、とあなたに声を掛けましょう
水がニガテだと告げていたけれど
今は、平気?

嗚呼、それはよかった
逆立つ尻尾は知らぬふりをしましょう

じべざべす三世、ですって
常夜に住まう王のような名だけれど
ふうわり、手触りがよいわ
ずうと触れていたくなってしまいそう
お揃いだなんて、ステキね
わたしは、この子にしようかしら

館の皆さんへのお土産は何がよいかしら
お茶と共にいただけるもの
やはり焼き菓子かしら
海の生き物が描かれたくっきーがあるわ

定められた時間に眠るだなんて
なんだか不思議
やわくあたたかな温度に包まれて
うつくしい青のなかで眠りましょう


歌獣・苺
【🍓🌺】
わぁ…これが、
すいぞくかん…。
きらきらでお魚さんもいっぱい…!
前に幽世の彩魚さんたちと
泳いだ時みたいだね!

ん?なぁに?なゆ
うん!だって今日は固い絆で結ばれたなゆが側にいるもん♪
へーきへーき……ふぎゃっ!?
(突然水槽の前に現れた大きなサメに驚き猫の尻尾がぶわわっ!)

じべじゃ…さんせー?
…わわっ、ほんと、きもちい~。
ずっと…?ねね、だったらこの子
なゆとお揃いで欲しいな…!

館のみんなには…そうだね!
くっきーにしよう!
じべじゃべしゅさんせーも
紹介しなきゃ!
……言い難いね。この名前。

あ、大変!そろそろ寝る時間!
なゆ!着ぐるみパジャマと抱き枕!借りに行こう!水槽は…イルカさんの前がいいな~♪



 今宵限り開かれた真夜中の扉の向こうを染めるいろは、海の如き青。
 その彩りは、柔く降り注ぐ星や月の煌めきを纏っていて。
 水中の星間をスイッと游ぐ、沢山の魚や海の生き物たち。
「わぁ……これが、すいぞくかん……。きらきらでお魚さんもいっぱい……!」
 揺らめく水槽の輝きに負けぬくらい、巡らせる瞳をキラキラさせながら。
 つい好奇に弾む、歌獣・苺(苺一会・f16654)の声に頷いて。
「一面に拡がる青の景色のうつくしきこと。まるで、水のなかを游いでいるかのよう」
 蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)も、青満ちる夜を楽しむべくゆうらり揺蕩わんとするけれど。
「前に幽世の彩魚さんたちと泳いだ時みたいだね!」
 そう続いた言の葉に――まい、と呼ぶ声をひとつ。
 そんな己の名を紡ぐ七結に、瞳をぱちくりさせて。こてりと首を傾げて視線返せば。
「ん? なぁに? なゆ」
「水がニガテだと告げていたけれど。今は、平気?」
「うん! だって今日は固い絆で結ばれたなゆが側にいるもん♪」
 優しい声色の問いに、苺はそう大きく頷いてみせて。
 ふとゆらり揺れた青に瞳を戻してみれば。
「へーきへーき……ふぎゃっ!?」
 ――ぶわわっ!!
 声上がった刹那、猫の尻尾がぶわぶわに。
 だって、水槽の前に大きなサメがいきなり現れたのだから。
 七結は返る言の葉に笑み咲かせて。
「嗚呼、それはよかった」
 眼前でぶわりと逆立つ尻尾は知らぬふり。
 そんな、水槽の中のサメにはちょっぴり驚かされたけれど。
「じべざべす三世、ですって」
 ……常夜に住まう王のような名だけれど、と。
 伸ばした七結の掌がそうっと撫ぜるのは、ジンベエザメのぬいぐるみ。
 触れた指先が、ぽふりとその身体に沈めば。
「ふうわり、手触りがよいわ」
 七結の掌に伝わるのは、ふわふわな良い心地。
「じべじゃ……さんせー?」
 苺はきょとりとその、じべじゃなんちゃらをもふもふする七結と同じ様に。
 その身体を、試しに触ってみれば。
「……わわっ、ほんと、きもちい~」
「ずうと触れていたくなってしまいそう」 
 聞こえた七結の声に、ピンと閃くこんな名案。
「ずっと……? ねね、だったらこの子、なゆとお揃いで欲しいな……!」
「お揃いだなんて、ステキね」
 七結は素敵な提案に、ふふ、と眸細めて。
「わたしは、この子にしようかしら」
「じゃあ私はこの、じべじゃべさんせー!」
 それぞれ連れて帰る子を、もふもふぎゅうと抱きしめる。
 そして自分たちのものは決まったけれど。
「館の皆さんへのお土産は何がよいかしら。お茶と共にいただけるもの……やはり焼き菓子かしら」
「館のみんなには……そうだね! くっきーにしよう!」
 美味しいお茶にぴったりのクッキーを探してみれば。
「海の生き物が描かれたくっきーがあるわ」
 見つけたのは、甘くて可愛らしい海の仲間達。
 そして、お茶とクッキーを頂きながら咲かせる話題は勿論。
「じべじゃべしゅさんせーも紹介しなきゃ!」
 楽しい今宵のお土産話。
 でも、その前に。
「じべじゃ、じべざべしゅさんせー……言い難いね。この名前」
 名前をすらりと言う練習がちょっぴり必要……?
 そして、楽しく土産も全て選び終わった、その時。
「あ、大変! そろそろ寝る時間!」
「定められた時間に眠るだなんて、なんだか不思議」
 あっという間に訪れる、消灯時間。
 照明が落ち始める中、苺はハッと顔を上げて。
「なゆ! 着ぐるみパジャマと抱き枕! 借りに行こう!」
 七結と、そしてぎゅっと抱っこするジベザベス3世も一緒に。
 ふわふわなパジャマと抱き枕を慌てて借りに。
「水槽は……イルカさんの前がいいな~♪」
 そう紡ぐ苺と深い青落ちる夜をひらり、游ぐ様に楽しく駆けながら。
 七結はふわりと頷き、笑み返す。
 ――やわくあたたかな温度に包まれて、うつくしい青のなかで眠りましょう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
【千夢】
智夢さんと真夜中水族館でお泊まり会です!
ペンギンさんパジャマをお揃いでお借りしてまずはテイクアウトできるお菓子を探しに行きましょう

智夢さんは何か気になるのはありますか?
私はプリンが…ほら、ペンギンさんも乗ってますよ!
もちろん!と頷きお菓子を買えたら海中トンネルの方でゆっくり食べましょうか
ふふ、夜のお菓子というのもまた楽しい気分になりますね

海中トンネルに向かってると目の前のペンギンさんのお散歩に瞳を輝かせ
か、可愛いですねっ!!
ずっと眺めていられそう…と呟きつつもそういうわけにはですね
楽しい時間はこれからですから、と智夢さんの手を取りペンギンさんたちとお散歩しながら戻りましょう


百鬼・智夢
【千夢】
薄荷さんとお泊まり会
この水族館も、懐かしいですね

私もお揃いのペンギンさんパジャマで
お菓子…どれも気になるけど……えっと…
じゃあ、この、パンケーキにしようかな…
薄荷さん…一緒に食べてくれます…?

買ったら一緒に海中トンネルへ
はい、とっても楽しいです
カロリーがちょっと気にな…ううん、今日は気にせずでいきましょう
お魚さん達も、内緒だよ…?

道中見つけたペンギンさんのお散歩には、同じく瞳を輝かせ
可愛い……ペンギンさん達も、今日は夜更かしですね
同じ空間にお泊まり出来るって考えたら、とってもワクワクします…!
薄荷さんと手を繋いで
ペンギンさん達と一緒に歩いて
トンネルに着いたら…何から、話しましょうか…?



 静かに煌めく夜の青を一緒に見るのは、初めてではなくて。
「この水族館、懐かしいですね」
 百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)はそう、あの時と同じ様に。
 隣を歩く、薄荷・千夜子(陽花・f17474)へと紡ぐ。
 此処には以前も足を運んで、共に楽しんだことがあるのだけれど。
 でもまた去年とは、ちょっぴり違う今宵の水族館。
 だって今夜だけ、真夜中の水族館の住人になれるというのだから。
 そう、今日は特別に。
「智夢さんと真夜中水族館でお泊まり会です!」
「薄荷さんとお泊まり会、楽しみです……!」
 魚たちと一緒に、お泊りができるのだから。
 そしてお泊り会といえば、やっぱりパジャマ!
 お揃いのふわもこペンギンさんパジャマをしっかりと借りてから。
 これも勿論、欠かせない。
「まずはテイクアウトできるお菓子を探しに行きましょう」
 お喋りのお供になる夜の甘いお菓子は、お泊り会の醍醐味。
「智夢さんは何か気になるのはありますか?」
 ――私はプリンが……ほら、ペンギンさんも乗ってますよ!
 そう、ペンギンさんがちょこんと乗ったプリンアラモードを千夜子が選べば。
 智夢はきょろり、メニューに視線を巡らせて。
「お菓子……どれも気になるけど……えっと……じゃあ、この、パンケーキにしようかな……」
 ふわっふわな、ジンベエザメ印のパンケーキを。
 けれど、2段重ねのそれは、結構なボリュームみたいだから。
「薄荷さん……一緒に食べてくれます……?」
 そうっと、そうお願いしてみれば。
 すぐに返ってくるのは、もちろん! と心強い千夜子の声。
 そして戦利品を抱え、向かうのは――ゆっくり食べられそうな、海中トンネル。
 並んで足取り軽く、泳ぐように夜の館内を歩きながら。
「ふふ、夜のお菓子というのもまた楽しい気分になりますね」
「はい、とっても楽しいです」
 弾む千夜子の言葉に、智夢もぱっと笑み咲かせるけれど。
「カロリーがちょっと気にな……ううん、今日は気にせずでいきましょう」
 今夜だけは食べちゃっても、それもきっと特別。
 そして智夢は、自分達を見つめている魚たちに、しーっと人差し指を立てる。
 ――お魚さん達も、内緒だよ……? って。
 そんな楽しくてちょっと秘密なお泊りを満喫するべく、海中トンネルへと向かっていれば。
「か、可愛いですねっ!!」
 刹那、キラキラと輝く千夜子の瞳。
 去年も同じ様に心ときめかせたけれど、何度見てもきゅんとくる。
「可愛い……ペンギンさん達も、今日は夜更かしですね」
「ずっと眺めていられそう……」
 よちよちお散歩する、ペンギンさんの行列と出逢ってしまって。
 けれど、このまま足を止めたままというわけにはだから。
「楽しい時間はこれからですから」
「同じ空間にお泊まり出来るって考えたら、とってもワクワクします……!」
 ふたり互いの手を取り、ぎゅっと優しく繋いで、海底トンネルへ。
 よちよち並んで歩くペンギンさんたちと一緒に――楽しい真夜中のお散歩をしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葉山・鈴成
🐟カエナちゃん(f27672)と

ヒャハ、そうっすねェ。
今日はとびきりの歌声が聴けるかと思うと楽しみッスよ。

人間は知りたがりっスから、こういう場所がたくさんあるんスよ
カエナちゃんにとって身近な魚を展示してるなんて、不思議っすよねぇ。
笑い声を零しながら夜の水族館探索へ

おぉ〜、海中トンネルすげーっス!
青の世界へ入り込めばどこを見ても
ゆらり揺れる水面の光と優雅に揺蕩う魚たち

まるで海の中に迷い込んだみたいだ。
カエナちゃんの故郷もこんな綺麗な場所っスか?

持ち込んだブランケットに包まって
お互いをクッション代わりに
青の世界と魚を堪能
ぬくぬくにうとうと

マンタおっきいっスねぇ
夢に出てきたら乗って海の中を泳ぐっす


カエナ・ネオフォカエナ
🐟鈴成(f28041)と一緒

海へ誘う歌声とは
まるで伝説のセイレーンのようではないか
のう、鈴成?

海の生物を展示する施設
UDCには不思議なものがあるのじゃな~
人魚の体を浮かせながら鈴成と共に水族館探索じゃ

鈴成、見て見て。海のトンネルがあるのじゃ!
彼の袖をくいくい引いて
熱帯魚揺蕩うマリンブルーへ泳ぐように潜り込む

うむ。本物の海と見間違えてしまうのじゃ
わらわの故郷もここみたいに…
…いいや、此処以上に綺麗な所じゃぞ
鈴成にも見てもらいたいのう

ブランケットと隣にぬくもりに
ほこりと温まりながら
泡と魚が光に反射してきらきらする姿を眺め

ならば、わらわはお主の隣で一緒に泳ごうかのう
綺麗なもの、たくさん見せてあげる



 足を踏み入れ並んで歩くこの場所にはただ、青の揺らめきと静けさだけが広がっているけれど。
 硝子の向こうの水面を照らす光がもう少し落ちた時、聴こえてくるというのだ。
「海へ誘う歌声とは、まるで伝説のセイレーンのようではないか」
 カエナ・ネオフォカエナ(彼の背骨・f27672)の口にしたように、人々を誑かす歌声が。
 そして……のう、鈴成? と。
 夜の青を泳ぐ人魚は、隣をゆく彼の名をそう覗き込むように紡いで。
「ヒャハ、そうっすねェ。今日はとびきりの歌声が聴けるかと思うと楽しみッスよ」
 葉山・鈴成(右魂・f28041)はそうへらりと軽く笑んで返す。
 海といえば、カエナにとっては見慣れたものばかりのはずだけれど。
「海の生物を展示する施設。UDCには不思議なものがあるのじゃな~」
 意外にも人魚の体を浮かせながら探索するその瞳に宿るのは、好奇の彩。
 いや、馴染み深いからこそ、カエナにとっては珍しいのだ。
「カエナちゃんにとって身近な魚を展示してるなんて、不思議っすよねぇ」
 鈴成の言うように、海のものをわざわざ集めて飾るということが。
 そしてからりと笑って、鈴成は続ける。
「人間は知りたがりっスから、こういう場所がたくさんあるんスよ」
 だからこそ、人を化かして揶揄うのは面白いのかもしれない。
 そんなことを話しながら、真夜中の水族館をぶらり揺蕩っていれば。
 カエナの手がふいに、彼の袖をくいくい。
「鈴成、見て見て。海のトンネルがあるのじゃ!」
「おぉ〜、海中トンネルすげーっス!」
 鈴成も早速足を踏み入れてみた青の世界に声を上げる。
 ひとたび入り込めば、何処を見ても熱帯魚揺蕩う深いマリンブルー。
 そんな水底のいろへ、カエナは泳ぐように潜り込んで。
 海のはずなのにまるで夜空の様な、ゆらり揺れる水面の光と。見上げる鈴成の瞳の中にも泳ぐ、煌めきの間を優雅に揺蕩う魚たち。
 ……まるで海の中に迷い込んだみたいだ、なんて。
 そう呟きを落とした後、鈴成はすぐ傍で夜を泳ぐ彼女に訊いてみる。
「カエナちゃんの故郷もこんな綺麗な場所っスか?」
「うむ。本物の海と見間違えてしまうのじゃ。わらわの故郷もここみたいに……」
 刹那、ふと一瞬言の葉が途切れて。
 ふるり、海のいろを蕩けさせたような髪を揺らしカエナは首を振る。
「……いいや、此処以上に綺麗な所じゃぞ」
 ――鈴成にも見てもらいたいのう、って。
 そんな夜の海を存分に遊んだ後は、ぬくぬくうとうと。
 持ち込んだブランケットに包まって身を寄せれば。
 お互いがほわりあったか、クッション代わりに。
 そしてほこほこ温まりながら、煌めく泡にキラキラする魚たちを眺めていれば。
 ゆうらり、見渡す限りの青の世界を悠然と泳ぐマンタと出逢う。
「マンタおっきいっスねぇ。夢に出てきたら乗って海の中を泳ぐっす」
 そうゆったり飛ぶように揺蕩うマンタを見上げ言った鈴成に。
 カエナは楽し気にその瞳を細める。
「ならば、わらわはお主の隣で一緒に泳ごうかのう」
 ――綺麗なもの、たくさん見せてあげる、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紹・羅沙
【分福堂】
夜の水族館に入れるなんて滅多になくてわくわくするアル
ラファンを引っ張って入口から出口まで順番に水槽をコンプリートするネ

ワタシも長く長く水の中で暮らしてたアル
でも、ここにはワタシの見た事ない魚ばかりがたくさんヨ
強いて言うなら、川の流れを再現した水槽の魚が似てるネ
サケ。この10倍は大きいのを丸呑みしてたアルヨ
思い出したらお腹減ったネ
チンアナゴのチュロスを食べるヨ
めちゃくちゃ甘いネ
こんなこともあろうかとコーヒー持って来たアル
美味しい、美味しい
誰かと食べるが一番おいしいネ


ラファン・クロウフォード
【分福堂】
水族館という場所は初めてで、並ぶ暗い水槽に圧倒されそうになったけど
羅沙の何も考えてないような明るさに釣られて笑う
未知への怖さはどこへやら
好きなように歩く後についていってみようか
散歩されてる犬の気分だな。わくわくするぞ
ぬうっと泳ぐ大きな魚に驚いて足を止める
海とは違う、別の魚。地味ではあるが……うまそう?
小腹がすいた時用に、売店で買ったチュロスを渡して二人で腹ごしらえ
そんなに、甘いか? 普通だろ?
故郷では希少な甘い菓子。ねだるジャスミンにもおすそ分け
コーヒーを飲み終わったら、探検の続きをしようか
今度は俺が先を歩くよ



 今宵だけ開かれた真夜中の扉の先は、未知なるいろに満ちた世界。
 夜の闇に落ちる青の空間は、怖いくらいに静かで。
 ラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)にとって、初めての場所。
 そんな真夜中の水族館に視線巡らせれば、並ぶ暗い水槽たちに思わず圧倒されそうになったけれど。
「夜の水族館に入れるなんて滅多になくてわくわくするアル」
 静寂の中、耳に届いたのは、紹・羅沙(白漠の帽蛇・f12083)の楽し気な響き纏う声。
 それを聞けば、未知への怖さはどこへやら。
 何も考えてないような明るさに釣られ、ラファンは思わず笑ってしまって。
 ……好きなように歩く後についていってみようか。
 入口から出口まで順番に水槽をコンプリートする気満々な羅沙に引っ張られながらも、覚える何かとの既視感。
「散歩されてる犬の気分だな」
 けれど、怖いどころか……不思議とわくわくしてくる。
 そんなラファンを連れて、相変わらず飄々と。
「ワタシも長く長く水の中で暮らしてたアル。でも、ここにはワタシの見た事ない魚ばかりがたくさんヨ」
 それからぐるり視線を巡らせた後、ふと足を止めて。
 ひょいと目の前の水槽を覗き込んで羅沙は続ける。
「強いて言うなら、川の流れを再現した水槽の魚が似てるネ」
 そんな羅沙に並んで、ラファンも水槽に近づかんとすれば。
「……!」
 ぬうっと泳ぐ大きな魚に驚いて、一瞬足を止めてしまうけれど。
「サケ。この10倍は大きいのを丸呑みしてたアルヨ」
「海とは違う、別の魚。地味ではあるが……うまそう?」
 そうっともう一度、水槽を窺い見てみれば。
 羅沙の言うように食べてみたら、美味しそう……かも、しれない?
 そして、そうじっと魚を見つめ首を傾けるラファンに、羅沙はこう続ける。
「思い出したらお腹減ったネ」
 そんな彼にラファンが手渡すのは、小腹がすいた時用に売店で買ったチュロス。
 愉快な顔のチンアナゴを模したそれを食べて、腹ごしらえ。
 でも、はむりと口にした羅沙は瞳を瞬かせて。
「めちゃくちゃ甘いネ。こんなこともあろうかとコーヒー持って来たアル」
 チュロスとコーヒーを順に口に運ぶ作戦。
 その様子にこてりと、甘い物に目がないラファンは首を傾けて。
「そんなに、甘いか? 普通だろ?」
 故郷では希少な甘い菓子を、もうひとくち食べてから。
 キュルル~♪ と鳴いてねだるジャスミンにもお裾分け。女の子は甘いものが好きですから。
 羅沙は不思議そうに自分を見る彼に瞳を細めて。
「美味しい、美味しい」
 コーヒーを飲みながら、はむりとチュロスを口にして紡ぐ。
 ――誰かと食べるが一番おいしいネ、って。
 そんな羅沙の声にひとつ、頷いてから。
「コーヒーを飲み終わったら、探検の続きをしようか」
 ラファンは踊る心のまま、わくわくする青の世界へと一歩踏み出す。
 ――今度は俺が先を歩くよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『真夜中の冒険』

POW   :    直感で進んでみる

SPD   :    身軽さや器用さで効率良く進める

WIZ   :    周囲の様子を注意して観察してみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第2章プレイング送信の受付は、【12/6(日)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
.
🐟

●青き大水槽の冒険
 消灯時間が過ぎ、館内の照明も最低限に落とされて。
 夜の闇を仄かに照らすのは、水槽に反射し静かに降り注ぐ、月や星の煌めきの欠片だけ。
 そんな夜の青の只中、何らいつもと変わらぬ様子で、好きなように揺蕩う海の生き物たちだけれど。
 彼等には、果たして聞こえていうのだろうか。
 何処からともなく聴こえてくる――妖しくも美しい歌声に。
 少なくともその歌声は、微睡みの只中にいた猟兵達の耳には、確りと届いていて。
 まるで誘われるかの如く……響く歌声を辿り、そうっと夜の水族館を歩みゆけば。
 辿り着いたのは、広大な大水槽の前。
 そして猟兵達は大きく首を傾ける。
 だって響く歌は――明らかに、この大水槽の中から聴こえてきているのだから。
 けれどそれは、予知で聞いていた通り。UDCの怪異である事に恐らく違いないが。
 歌声に導かれる様に、青で満ちるガラスへと手を触れてみれば。
「……!!」
 思わず、大きく瞳を見開いてしまう。
 ガラスに触れたその手が……いや、全身が。
 ずぶりと、大水槽の中へと吸い込まれてしまったのだから。
 けれど、これはやはり夢か幻なのか。
 水の中であるはずなのに息苦しくはなく、どうやら他に誘われた者との意思疎通も可能なようだ。
 響く歌が、いまだ聴こえてくるのと同じ様に。
 刹那、目の前を横切るのは、鮮やかな熱帯魚たちのいろ。
 ふと影が落ち見上げれば、星の煌めきを纏うジベザベス3世やマンタたちが悠然と泳いでいる。
 大水槽はとても広いが、怪異の元凶を見つけ出すには、この中をくまなく探索する必要があるようだ。
 本来ならば泳げぬ者も、見様見真似で手足を動かしてみれば前に進めるであろう。
 今のところ、水槽の中を泳ぐ海の生き物たちに何らかの影響は出てはいないようであるが。
 水族館を楽しんだ自分達が今、この様な怪異に見舞われていることは事実。
 そして歌うUDCが真に誘うのは……大水槽に入った者たちの死であるだろう。
 まるで伝説に聞く、歌う海の魔物かのように。
 そんな人を取り殺さんとする、歌声の主のUDCを見つけることが目的であるが。
 確り探索しながらも、海の生き物たちと暫し青の世界で戯れ漂うのもきっと楽しいだろう。
 そう……これから始まるのは、真夜中に揺蕩う青の冒険。

●マスターより
 第2章は、吸い込まれた大水槽の中の探索になります。
 水族館を楽しんだ皆様の身に降りかかった、不思議な怪異ですので。
 問題なく呼吸もでき、水槽内に吸い込まれた他の猟兵との意思疎通もできます。
 水中の意思疎通は喋るというよりは、頭の中に声が響いてくるというイメージです。
 本来泳げない人も、問題なく移動できます。
 また、服のままでも濡れない不思議空間ですので。
 借りた着ぐるみパジャマや、ご自身の寝間着や私服のままで問題ありません。
 水底を歩くのも良いですし、すいっと水の中を泳ぐように進むことも可能です。
 歌う怪異は、大水槽をゆけばそのうち見つかるかと思いますので。
 要は、海の生き物たちが泳ぐ広大な大水槽で、真夜中の冒険をご自由に楽しんで頂ければと!
 大水槽内には、ジベザベス3世やマンタなど、色々な生き物がいます。
 そんな魚や生き物たちと共に、戯れたり泳ぐことも勿論可能です。
 夢か現か、怪異の仕業の現象とはいえ。
 海の生き物や水槽内の環境は傷つけないようお願いします。
 水族館のスタッフ等の一般人は、消灯後は怪異の及ばない安全場所にいるので。
 一般人への対処などは一切不要です。
 真夜中に煌めく青の世界を、思い思いにご自由に楽しんでいただければです。
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやTwitter等でお知らせ致します。
真宮・響
【真宮家】で参加

おや。(気付けば抱えていた枕が目の前でぷかぷかと浮いている)成程、これが猟兵のいってた現象か。まあ、さすがに奏も目が覚めるだろう。

息が出来るのは不思議だねえ。このまま泳いでも支障ないなら、水槽にいるマンタと泳いでみようかね。こういう魚に向かって試してみたいことがあってね。赫灼のアパッショナートで歌を口ずさんでみる。集まって来た魚達がどういう反応をするか。歌うイルカというのも聞いたことあるし、歌い手としては興味ある。この夜かぎりの不思議なひと時、存分に楽しもうか。


真宮・奏
【真宮家】で参加

ん?(目が覚めたらジベザベス3世の縫いぐるみがぷかぷか浮かんでいる)え?本当に水槽の中ですか?息が出来ますね?あ・・・向こうにいるのはジベザベス3世その人(?)じゃないですか!!

着ぐるみでちょっと泳ぎ辛いですが、すぐジベザベス3世の元に。あ、初めまして。宜しければ一緒に泳いでいいですか?・・・えと、嫌でなければ尻尾に障らせて貰っても?まあ、凄く機嫌良くなって、絢爛のクレドでくるくる回転しちゃうでしょうが・・・魚さんも一緒に回転し始めたら・・・さぞや楽しいでしょうね!!折角なので満喫しちゃいましょう!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

あ、なるほど。これがグリモア猟兵さんがいってた怪現象。本当に水槽の中ですね。(ぷかぷか浮かんでる枕を捕まえながら)息出来るようですし、少し楽しむ時間があるなら。

母さんが歌で魚達を集めてるのを見て僕もやってみようかと。サウンド・オブ・パワーで歌を歌い、集まって来る魚さんに笑顔。出来れば少し触らせて貰いたいなあ…まあ、ダメでも一緒に泳ぎたいですね。この夜だけの不思議な時間、楽しみますか。



 それは、特別な一夜だけの水族館で見ている、真夜中の夢だろうか。
 静かに揺れては煌めく青のいろを、つい先程まではガラスの外から眺めていたはずなのだけれど。
 でも、今は……気が付けば、その青の只中にいたのである。
 微睡みの中、何処からともなく聴こえる歌に誘われるように吸い込まれたそこは、一面の水の世界。
 ……おや、と。
 微かに瞬かせた真宮・響(赫灼の炎・f00434)の瞳に映るのは、ぷかぷかとすぐ目の前で浮いているジベザベス。
 いや、ジベザベスはジベザベスでも、さっきまで抱えていた枕である。
 そんな、まるで水の中で泳ぐように浮いている抱き枕を見つめながらも。
 特に、響に動揺した様子などは全くない。
 何故なら、事前に分かっていたから。
「成程、これがグリモア猟兵のいってた現象か」
 不思議なこの現象が起こるということを聞いた上で、此処に来ているのだから。
 それは、神城・瞬(清光の月・f06558)にとっても同じ。
「あ、なるほど。これがグリモア猟兵さんがいってた怪現象。本当に水槽の中ですね」
 そう――今いるのは、水族館の大水槽の中。すなわち水中であるのだが。
 これは予知に聞いていた通り、UDCが元凶の怪異であろう。
 呼吸もできるし、脳内に互いの声が響いて会話もできる。
 瞬はぷかぷか浮かんでいる抱き枕を掴まえながら、誘われた水槽内を見回して。
(「まあ、さすがに奏も目が覚めるだろう」)
 響がまだ眠そうに瞳を擦っている真宮・奏(絢爛の星・f03210)へとふと視線を向ければ。
「……ん?」
 先程ショップで買ったジベザベス3世のぬいぐるみが、ぷかぷか。
 それに気づいた奏は、響が思った通り、瞳をぱちくり見開いてから。
「え? 本当に水槽の中ですか? 息が出来ますね?」
 魚にでもなってしまったかのように、水の中にいるという状況や呼吸が苦しくないことを確認する。
 本当に水槽の中にいるのか、それとも幻惑か何かか……それは分からないが。
「息が出来るのは不思議だねえ」
「息出来るようですし、少し楽しむ時間があるなら」
 誘われた怪異とはいえ、響と瞬も改めてそうそれぞれ紡げば。
 刹那、ぱっと輝く奏の瞳。その視線の先には――。
「あ……向こうにいるのはジベザベス3世その人じゃないですか!!」
 そう、大きな大きな、ジベザベス3世その人(?)!
 そんな水槽を悠然と泳ぐジベザベス3世の着ぐるみを着たままだから、ちょっぴり泳ぎ辛いけれど。
 奏はすいっと、すぐに泳いで近づいて。
「あ、初めまして。宜しければ一緒に泳いでいいですか?」
 そう、ジベザベス3世に訊ねてみるけれど。
 相変わらずゆったりマイペースに泳いでいるのを見れば、特に嫌な感じではなさそう。
 奏はそんなジベザベスと並んで泳ぎながらも、もうひとつだけ、こんなお願いを。
「……えと、嫌でなければ尻尾に障らせて貰っても?」
 これまた嫌な様子ではないようだから……奏はそうっと、その尻尾に手を伸ばしてみる。
 そんな水槽内をジンベエザメと伊予ぐ奏の姿を見守りながらも。
「このまま泳いでも支障ないなら、水槽にいるマンタと泳いでみようかね」
 響は、ゆらりやってきたマンタを見つけ、隣へと並んでから。
 ……こういう魚に向かって試してみたいことがあってね。
 刹那口遊むのは、情熱を込めた歌――『赫灼のアパッショナート』。
 水の中で歌う事は、本来ならば叶わぬことであるが。
 響の胸に滾る熱情を込めたその歌声は、青の世界に響き渡って。
(「集まって来た魚達がどういう反応をするか。歌うイルカというのも聞いたことあるし、歌い手としては興味ある」)
 歌いながらも興味深く魚たちの動向を眺めていれば……あっという間に寄ってくる、沢山の魚たち。
 瞬も、魚たちを集め囲まれている響の様子を見て。
 僕もやってみようかと、と……展開するのは『サウンド・オブ・パワー』。
 歌声を響かせてみれば、歌声に誘われるように集まって来る魚さん。
 そんな魚たちを見つめ、笑顔を宿しながらも。
「出来れば少し触らせて貰いたいなあ……まあ、ダメでも一緒に泳ぎたいですね」
 そうそっと手を伸ばしてみれば、魚さんの方から手のひらをつんつん。
 そしてふたりが歌を歌い、青の世界に響かせている中。
 ジベザベスや周囲の魚たちを共に泳ぐ奏は、凄く機嫌も良くなって。
 『絢爛のクレド』で水の中をくるくる、踊るように回転すれば。
 一緒に泳ぐ魚たちも奏を真似る様に、くーるくる。
 そんな踊るようにくるくる泳げば、もっともっと楽しくなって。
「折角なので満喫しちゃいましょう!!」
 はしゃぐ心のまま、そう紡げば。
 瞬と響も、こくりと同意する様に頷く。
「この夜だけの不思議な時間、楽しみますか」
「この夜かぎりの不思議なひと時、存分に楽しもうか」
 マンタや色とりどりの魚たちに囲まれて……夢の様な青の世界をしっかりと満喫しながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーラ・クリステラ
グレイ(f24892)


おはようグレイ
うた、どこから?
シーラ怖くないよ、着替えて一緒にいく
パジャマよりいつものが泳ぎやすいもん
うとうと、でも隣にいるよ

ちょっとびっくり。うん、すっかり覚めちゃった
海の中でも息ができる、変なの
海の生き物にも触れる、フシギ
遊んでいいなら、いっぱい遊びたい、かも

…ん。気になるもの
魚と泳いだら気持ちよさそう
キミも同じ気持ちならシーラから誘うよ
…一緒に泳ごって

海の生き物と一緒に遊泳
なにか見つけられるまでは目的を忘れて泳ぎに夢中。見つけられたらはっとするかも。


グレイ・アイビー
シーラ(f27554)

パジャマは汚したくねぇんで、事前に着替えておきましょう
歌声が聞こえれば、それが怪異の始まりらしいですが…シーラは怖くねぇんですか?
ぼくの可愛い友人は勇敢ですね
頼りになります

吸い込まれた先、外から見たものとは全く違うそれに
一瞬、元凶の手の内ということを忘れてしまいそうです
シーラも目は覚めたでしょうか?
これを見ねぇというのは勿体ねぇですよ

ぼくも青の世界を彩る魚達に好奇心が抑えきれそうにねぇです
シーラはどうです?
気になるものは見付かりましたか?
ぼくにもそれを教えてください

彼女からの誘いには喜んで応えましょう
元凶を見付けるまでは、彼女と一緒にこの冒険を楽しむつもりです



 これは現実なのか、はたまた夢の続きなのか。
 微睡みの中、何処かからゆうらり聴こえてきたのは――歌。
 それは優し気なような、けれどどこか切ないような……寂しいような。
 そんな、不思議だけれど何だか不穏ないろを孕んでいて。
 響く歌にそっと揺り起こされたかのように、むくりと身を起こしたのは、シーラ・クリステラ(異端・f27554)。
 そして――おはようグレイ、って。
 まだ眠そうに、真昼の海のいろを湛える瞳を擦りながらも。
 起きた自分へと視線を向けるグレイ・アイビー(寂しがりやの怪物・f24892)へと、こう訊ねる。
「うた、どこから?」
 そんなシーラに、逆に訊き返すグレイ。
「歌声が聞こえれば、それが怪異の始まりらしいですが……シーラは怖くねぇんですか?」
 聴こえる歌声は、事前に聞いていたもの。
 けれどやはり真夜中に揺れるその響きは、美しくも不気味な怪異だから。
 そして彼を見上げ、こくりと頷き答えるシーラ。
「シーラ怖くないよ、着替えて一緒にいく」
 それから、シャチさんの着ぐるみパジャマは汚したくないからと、事前に着替えておいたグレイと同じ様に。
「パジャマよりいつものが泳ぎやすいもん」
 うんしょっと、ペンギンさんからいつもの服へと着替えてから。
 ちょっぴりまだうとうとしちゃうけれど……でも隣にいるよ、って。
 歌の聞こえる方へと、真夜中の水族館をゆうらり歩み出せば。
 隣をゆくグレイも夜のいろをシーラと共に再び揺蕩う。
「ぼくの可愛い友人は勇敢ですね」
 ……頼りになります、って。
 そして歌声を辿り、やって来たのは――真っ青な世界が広がる大水槽。
 そのガラスに、そうっと手を触れれば。
「……!」
 ずぶりと、青の中へと吸い込まれる。
 今まではガラスの外から見ていたそのいろ。
 けれど吸い込まれた先の世界は……外から見たものとは、全く違うもので。
「一瞬、元凶の手の内ということを忘れてしまいそうです」
 ……シーラも目は覚めたでしょうか?
 先程までまだ半分ほど微睡みの中にいた彼女へと、琥珀の視線を向けるグレイ。
 だって、UDCの怪異だとしても……例え夢でも、幻でも。
「これを見ねぇというのは勿体ねぇですよ」
 きっと一夜だけの、特別ないろだから。
 聞いていたとはいえ、シーラも水槽の中に吸い込まれて、ちょっとびっくりしちゃったけれど。
「うん、すっかり覚めちゃった」
 だからおめめもぱっちり、もう眠くはないから。
 それからぐるりと一面の青を見回して、こてんと首を傾ける。
 此処は水槽という海、水の中であるはずなのに。
「海の中でも息ができる、変なの」
 息も普通にできるし、頭に響いてくる声でグレイと会話だってできるし。
「海の生き物にも触れる、フシギ」
 つん、と寄ってきた魚をそっと突いてみながらも、瞳を瞬かせてから。
 シーラはふわり、海の中を漂う。
 ……遊んでいいなら、いっぱい遊びたい、かも、って。
「ぼくも青の世界を彩る魚達に好奇心が抑えきれそうにねぇです」
 そんな彼女にこくりと、グレイも頷いて。
「シーラはどうです? 気になるものは見付かりましたか?」
 ……ぼくにもそれを教えてください。
 そう、きょろりと視線巡らせるシーラへと紡げば。
「……ん。気になるもの。魚と泳いだら気持ちよさそう」
 純白の髪をふわり揺蕩わせ、真昼の海のいろ満ちる瞳に映した彼へとシーラは手を伸ばす。
 きっと、グレイも同じ気持ちだろうって、そう思ったから。
 ……一緒に泳ご、って。
 そしてそんな青への誘いに、グレイは勿論喜んで応えて。
 彼女とこの冒険を楽しむべく、ゆうらり水の中を泳ぎ出してみる。
 シーラと、色鮮やかな海の生き物たちと一緒に。
 それからふとグレイは、目の前を横切った生き物を目で追って。
「シーラ、これさっき勉強したやつじゃねぇですか?」
「ほんとだ。なんだっけ……メンダコ?」
 ひらり泳ぐ面白いカタチのそれに、へんなの、とシーラはもう一度首を傾けてから。
「シャチとペンギンはいねぇんですかね」
「……どうだろ。探してみよっか」
 海の生き物たちとの遊泳を楽しみながら、互いに着ていたパジャマのことを思い出してきょろり、視線を巡らせてみる。
 勿論、いまだ響く歌の元凶を探すことも忘れていないし。
 なにか見つけたら、ちゃんとはっと気が付くだろうから。
 それまでは――ちょっぴりだけ目的を忘れて泳ぎに夢中になっても、きっといいはず。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
…グリードオーシャンの時と様式は違うようだがまた水中で探索をする事になるとはな…どうも水中で行動するのにはいつまでたっても慣れないな。
すまんがまた手を借りるぞ
(そっとマクベスと【手をつなぐ】)
底を歩けるならそちらの方が助かる。
ここの魚は人慣れしているからか警戒心があまりないな。
マクベスや私の周りにもまで集まってきている。
神である私が言うのも何だが水中で魚が泳ぐ様は神秘的だな。
命は美しいと…。
私がこう言う事を言うのは意外か?
人間以外の生き物は嫌いでは無い。
一番好んでいるのはお前だが。

お前の存在は何よりも力強くて美しい。

お前の色に?
あぁ、本当だな。これはこれでいいものだ。


マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
※服装はサメパジャマのまま

おおっ、オレたち水槽の中に入ってる?!
呼吸は…なんでか出来てるっぽいね、会話もできるし
……ふふっ、グラナトさんは相変わらず水の中苦手?
それじゃ【手をつないで】水槽の底を歩いてみよっか♪

少し薄暗いけどライトが照らしてるからかな
水がキラキラしてて幻想的だなぁ
お?みてグラナトさん、ジベザベス3世がいるっ
ははっ、仲間だと思って寄ってきたのかな?

ううん、全然意外じゃない
グラナトさんが本当は優しいの知ってるもん

それに海も苦手なだけで嫌いじゃないでしょ?
オレは好きな色は赤だけど、
今はグラナトさんを自分の色で染められたみたいですごく嬉しいよ



 今までその海のいろは、ガラスの向こうに見えるものだったはずのに。
 特別な夜にかけられた不思議な魔法か、夢か幻か。
「おおっ、オレたち水槽の中に入ってる!?」
 満ちるいろとお揃いの青の瞳を思わずぱちくりと瞬かせながら声を上げた、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)の言うように。
 聴こえる歌に誘われるように吸い込まれたのは、沢山の海の生き物たちが息づく大水槽の中。
 そう、これはUDCが引き起こした怪異。その目的はいまだはっきりとは分からないが。
「呼吸は……なんでか出来てるっぽいね、会話もできるし」
 息苦しくもなく、脳内に響いてくる声で話もできるし、マクベスの着ているサメさんパジャマも濡れていない。
 すいっと魚のように、容易く移動もできるようだけれど。
「……グリードオーシャンの時と様式は違うようだがまた水中で探索をする事になるとはな」
 ……どうも水中で行動するのにはいつまでたっても慣れないな、と。
 何処か落ち着かない様子なのは、マクベスの隣に在るグラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)。
 水の中の探索ははじめてではないが、やはり火炎を司る神としては、やはりどうしても水の中は不安でそわりとしてしまう。
 そんな彼の様子は、同じ状況下で何度か見てきたけれど。
「……ふふっ、グラナトさんは相変わらず水の中苦手?」
 マクベスはそう笑った後、以前と同じ様にその手を差し出す。
 ――それじゃ、手をつないで水槽の底を歩いてみよっか♪ って。
 その手があったから……これまでも、慣れない水の中でも何とか事を成せたし。
「すまんがまた手を借りるぞ。底を歩けるならそちらの方が助かる」
 今回も、グラナトはそっとマクベスと手をつなぐ。
 深く静かな真夜中の青の底を、共に並んで進む為に。
 マクベスはそんなグラナトの手を引いて、エスコートする様に歩きながら。
「少し薄暗いけどライトが照らしてるからかな。水がキラキラしてて幻想的だなぁ」
 ふと見上げてみれば……まるで夜空に瞬く星のような無数の耀きが、静かに降ってきて。
 それを、見つめる己の青にも煌めかせながらも、マクベスはその背に星を纏う存在を見つける。
「お? みてグラナトさん、ジベザベス3世がいるっ」
 大きな影を落とし、ゆうらりと泳ぐのは、大きな大きなジベザベス3世。
「ははっ、仲間だと思って寄ってきたのかな?」
「ここの魚は人慣れしているからか警戒心があまりないな。マクベスや私の周りにもまで集まってきている」
 海は海でも、此処は人の手によってつくられた世界。
 だからか、ジベザベス3世も色とりどりの魚たちも、まるで挨拶するかのようにふたりの周囲をすいっと泳いで回って。
 グラナトは金の瞳にも魚たちのいろを泳がせながらも紡ぐ。
「神である私が言うのも何だが水中で魚が泳ぐ様は神秘的だな」
 ――命は美しい……と。
 生命の起源であると言われている海。
 だからこそ、水の中は少し苦手であっても、神であるグラナトは余計に息づく命たちにそう思うのかもしれない。
 それからグラナトは、ふと自分を見つめるマクベスへと金の視線を向けて。
「私がこう言う事を言うのは意外か?」
 そう問うてみるけれど。
「ううん、全然意外じゃない」
 すぐに、ふるりと首を横に振るマクベス。
 ――グラナトさんが本当は優しいの知ってるもん、って。
 そして、そんなマクベスへと。
「人間以外の生き物は嫌いでは無い。一番好んでいるのはお前だが」
 グラナトは言の葉を続ける――お前の存在は何よりも力強くて美しい、と。
 眼前の、何よりも愛しい青だけを見つめて。
 マクベスはそう紡ぐグラナトの手を引きながら、笑って。
「海も苦手なだけで嫌いじゃないでしょ?」
 満ちる青に灯る大好きな炎の如きいろに、瞳を細める。
「オレは好きな色は赤だけど、今はグラナトさんを自分の色で染められたみたいですごく嬉しいよ」
 青の世界に揺蕩う、赤のいろ。
 それは何だかとても嬉しくて、何処か擽ったくて。
 ぎゅっとより強く握られたそんなマクベスの手を、優しく握り返しながら。
「お前の色に?」
 あぁ、本当だな……そうグラナトも一面の青の中、笑み返す。
 繋がれた手の温もりが混ざり合い、ひとつになるのを感じながら――これはこれでいいものだ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
【灰紅】

水槽の中に入れるなど、楽しみじゃな!
しかしメメとララは水の中…ってもう入っとる!
好奇心旺盛じゃね、ではわしらもいこか
そうそう、迷子に…もうどこかわからんなっとる…
あ、おった!

おお、水の中…息もできるは不思議
あや君、ついてきとる?
メメララはお魚さんと仲良しじゃな
(写真とっとこ、と耐水スマホだしあとで送ると笑って)
しかしせねばいかんことがある―

それはジベザベス3世へのご挨拶じゃ!(ぐっ)
3世に近づいて一緒に泳ぎたいだけじゃけどな

おお、ゆうゆうと泳いでおる
メメ、近づくならわしの傍に…って早いの
ひとりではおいつけんからな

あや君もララもいこ
歌もええ歌なんじゃけどね
まぁ今だけ、楽しんでおこ


浮世・綾華
【紅灰】

中に入れる?
本当だろうかと手を伸ばし
――!マジだった
なんてやってる間に嵐吾さんの声がして
おわ、ほんとだ
あのふたり、ほっといたらどんどん先行っちゃいそうだし
迷子になったら困りますもんネ
え…
って、良かった

濡れる水中はまだ苦手だケド
不思議水中には結構慣れてきている
でも久々だとやっぱり泳ぎにくくて――
何とか…大丈夫デス
ほんと、めちゃ楽しそうにしてる(和む
しなきゃいけないこと…?
ぐっとする嵐吾さんに、ふはと笑ってしまう
いや、はい。でも大事とこくり
ふふ、折角だし一緒に泳ぎましょ

はやくって頭に乗っかるララに
お前なぁと言いつつも嵐吾さんのあとについて

はい、なんか不思議な――
先には何があるんでしょうネ



 静かな真夜中の水族館に響くのは、誘うような美しい歌声。
 そしてふらりと、その歌に導かれるままやって来たのは――大水槽の前。
 これから起こる事は、予知を視た友から聞いているから。
 怪異の仕業とはいえ、むしろちょっぴりわくわくしたように。
「水槽の中に入れるなど、楽しみじゃな!」
 灰青の尻尾をゆらゆらそわりとさせているのは、終夜・嵐吾(灰青・f05366)。
 そんな嵐吾の隣で、浮世・綾華(千日紅・f01194)は、中に入れる? と。
 ちょっぴり半信半疑、向こう側に青の世界が広がる水槽へと、そうっと触れてみれば。
「――! マジだった」
 ずぶりとガラスを通り抜け、水の中へと誘われる手のひら。
 そして夢か幻か、水の中でも難なく探索できるとは聞いていたものの。
 ふたりと共にある双子の精霊は、炎の子たちだから――。
「しかしメメとララは水の中……ってもう入っとる!」
「おわ、ほんとだ」
 主たちの心配を余所に、いつの間にかすでに水の中に入っていました!?
 そんな好奇心旺盛な様子に顔を見合せ、精霊達に続いてふたりも水の中へと吸い込まれれば。
「おお、水の中……息もできるは不思議。あや君、ついてきとる?」
「何とか……大丈夫デス」
 濡れる水中はまだ苦手だけれど、ここは不思議水中。
 そんな呼吸も会話もできる水中には、結構慣れてきても。
 でも久々だとやっぱり泳ぎにくくて――綾華は、魚の様になかなかいかない様子に、ちょっぴり苦笑しながらも。
「あのふたり、ほっといたらどんどん先行っちゃいそうだし。迷子になったら困りますもんネ」
「そうそう、迷子に……もうどこかわからんなっとる……」
「え……」
 まずは怪異の元凶よりも、メメララを探さなければいけない状況に……!?
 そしてきょろりとふたり、青の中を揺蕩うふたつの炎を探してみれば。
「あ、おった!」
「って、良かった」
 魚たちの群れに混じって、きゃっきゃ戯れているメメとララの姿が。
「メメララはお魚さんと仲良しじゃな」
「ほんと、めちゃ楽しそうにしてる」
 その姿を見てほっこり和む綾華に頷きながらも、写真とっとこ、と。
 嵐吾はすかさず耐水スマホを取り出して、ぱしゃぱしゃ激写!
 綾華へと、あとで送ると笑えば。
 ふと、メメとララが次にじっと見つめているそれへと、一緒に目をやって。
「嵐吾さん?」
「……穴の中を出たり入ったりしとるの」
「やっぱり近くで見ても、へんな顔ですネ」
 皆で暫し眺めてみるのは、ひょこりと並んでゆらゆら揺れているチンアナゴさん。
 けれど嵐吾は、ここでチンアナゴさんに足止めされるわけにはいかないのだ。
「しかしせねばいかんことがある――」
「しなきゃいけないこと……?」
 首を傾ける綾華に、うむ、と頷いてから。
 嵐吾は、ぐっと拳を握り言い放つ。
「それはジベザベス3世へのご挨拶じゃ!」
 いや、ジベザベス3世に近づいて一緒に泳ぎたいだけなのですけれど。
 そんな野望にぐっとする嵐吾に、ふはと綾華は思わず笑ってしまうも。
「いや、はい。でも大事」
 こくりと頷いた後、頭上に落ちた大きな影を見上げ、青の中を揺蕩う。
 ……ふふ、折角だし一緒に泳ぎましょ、って。
「おお、ゆうゆうと泳いでおる。メメ、近づくならわしの傍に……って早いの」
 言い終わる前に、ちょこんと頭の上ですでに準備万端。
 ふわふわお耳につかまるメメに、ひとりではおいつけんからな、と嵐吾は頷いて。
 はやく、って急かすように頭に乗っかってはちょんちょんつついてくるララに、お前なぁと言いつつも。
「あや君もララもいこ」
 そう声を掛ける彼のあとに、綾華も続いて。
「歌もええ歌なんじゃけどね」
「はい、なんか不思議な――先には何があるんでしょうネ」
 歌が聞こえてくる方へと、青の世界を進んでいく。
 念願のジベザベス3世への挨拶を済ませ、ゆったり泳ぐその隣に並んですいっと泳ぎながら……まぁ今だけ、楽しんでおこ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「こういう時はやっぱり周囲の観察よ」

まずは下手に動き回らず周囲に違和感がないかを確認するわ。
多少薄暗くても[暗視]があるから大丈夫。

こういうところで歌っているということは岩の上っぽいところじゃないかしらね…?
怪しいところを見つけたら皆にそっと伝えましょう。

すぐに見つからないようなら移動するけど、ちょっとやってみたいことがああるの。
ジベザベス3世やマンタのような大きな魚がいるのよね?
その下側にそっとくっついてコバンザメごっこよ。

遊んでいるわけじゃないわよ?
敵とかに気づかれないようにするための移動の為です嘘じゃないです(棒読み)



 ただでさえ、水族館は薄暗い場所なのだけれど。
 それが真夜中となり、消灯時間を過ぎれば、水槽に満ちる青はより深く濃くなって。
 仄かに灯る必要最低限の証明と、それにキラキラ輝く静かな水の煌めきが夜の闇に降り注ぐ。
 そして予知された通り、聞こえた歌に誘われて。
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)がやって来たのも、他の猟兵と同じ大水槽。
 覗いただけでは、中に何か異変が起こっているようには見えないけれど。
 でも……歌はまだ、確実にこの中から聴こえてきているから。
 ヴィオレッタは水槽のガラスに手を翳し、怪異の究明に乗り出すべく……大水槽の水の中へとその身を委ねる。
 そして聞いていた通り、呼吸や移動も問題なく行なえることを確認した後。
「こういう時はやっぱり周囲の観察よ」
 まずは下手に動き回らず、周囲に違和感がないかを探ってみることに。
 水槽の中は仄かな照明は灯ってはいるものの、やはり薄暗くて。
 けれど、暗視があるから大丈夫、と。
 色とりどりの魚たちが泳ぐ中、色の違う宝珠の瞳でぐるりと周囲を見回しつつも、あたりをつける。
(「こういうところで歌っているということは岩の上っぽいところじゃないかしらね……?」)
 人を美しい歌で惑わす存在は、伝説や謂われでは岩に座っていることが多い気がするから。
 怪しいところを見つけたら、同じ様に水槽内にいる猟兵の皆にそっと伝えられるようにと思いながらも。
 ひととおり見回してみたところ、見えるところに異常は感じられなかったから。
 ヴィオレッタは広い大水槽内を移動せんとするけれど――。
(「ちょっとやってみたいことがあるの」)
 ふと影が落ち視線を上げれば、そこにはジベザベス3世やマンタのような大きな魚たちが。
 そして、そんなジベザベス3世の下側に、そっとくっついてみるヴィオレッタ。
 そう――コバンザメごっこです!
 ……いや、決して遊んでいるわけじゃありませんよ?
「敵とかに気づかれないようにするための移動の為です嘘じゃないです」
 すいっとコバンザメごっこを何気に楽しみながらも。
 紡ぐヴィオレッタの台詞が棒読みなのは――きっと多分、気のせいです。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シアン・ルー
【WIZ】袖会
水泳の心得はもちろんありますが、このような不思議な形で水中に入ったのは初めてです。
ルーナは水中は大丈夫ですか?息苦しさは感じませんか?
服も濡れていないようです。
慎重に探索しましょう。

といったものの、不思議な状況の割には平穏というか……こんな状況でなければじっくり楽しみたかったです。
水槽のガラス越しに見るのと水中で見るのはまた違うものですね。スキューバダイビングが流行るわけです。
色鮮やかな熱帯魚も目を引きますが、大きなジンベエザメも間近で見るとすごい存在感です。
タカアシガニなんかもちょっとしたモンスターですね。
熱帯の水槽はじっくりと。深海魚の水槽はおそるおそる。極寒の水槽は足早に。


ルーナ・オーウェン
【袖会】
歌声を聞きながら、水の中
これが悪いものじゃなかったよかったのに、なんて
せっかくの時間だから、シアンと一緒に楽しむ
不思議なくらい苦しくない
シアンの方も大丈夫?

鮮やかな熱帯魚やジンベイザメさんと一緒に水の中を行く
歌声を辿って、奥へ奥へと
黒と白の袖をなびかせて行く姿、マンタさんに似てる?
シャチと一緒に眠って、マンタさんのように泳ぐ
今日は不思議な日
シアンも、まるで飛ぶみたいに泳いでてかっこいい

見落とさないように、岩の影もくまなくチェック
洞窟みたいになってて、宝探しみたい
うつぼさんこんばんは、ちょっと通るね
エビさんこんばんは、はさみが強そう
色んな生き物、いろんな景色
一緒に見れて、よかった



 真夜中の水族館に響く歌に導かれるままに。
 そっと水槽へと手を触れてみれば……吸い込まれる様に誘われたのは、見渡す限りの青の世界。
「水泳の心得はもちろんありますが、このような不思議な形で水中に入ったのは初めてです」
 聞いていた通り、呼吸もできるし会話もできるようであるけれど。
 一緒に水の中へと身を委ねたルーナ・オーウェン(Re:Birthday・f28868)へと念の為、声を掛けてみるシアン・ルー(千武・f00616)。
「ルーナは水中は大丈夫ですか? 息苦しさは感じませんか?」
「不思議なくらい苦しくない。シアンの方も大丈夫?」
「服も濡れていないようです。慎重に探索しましょう」
 互いにそう確認し、こくりと頷き合ってから。
 ふたりは、満ちる青のいろを漂う様に泳いで進んでみる。
 耳に聴こえる美しい歌。その声の主を探すべく、水の中を探索することが目的で。
 この状況は、UDCによる怪異の仕業であることは、重々分かっているけれど。
 ルーナは水槽の世界を揺蕩いながら、こう思わずにはいられない。
 ――これが悪いものじゃなかったよかったのに、なんて。
 でも、きちんとやるべきことは勿論確りとやるけれど。
(「せっかくの時間だから、シアンと一緒に楽しむ」)
 一緒に目一杯楽しまないと、勿体無いから。
 そしてそれは、慎重にと言ったものの、シアンも同じ気持ちで。
(「不思議な状況の割には平穏というか……こんな状況でなければじっくり楽しみたかったです」)
「水槽のガラス越しに見るのと水中で見るのはまた違うものですね。スキューバダイビングが流行るわけです」
 何事もないように自由に泳ぐ海の生き物たちを眺め、きょろりと視線を巡らせる。
 それからふたり並んで、歌声を辿って。
「色鮮やかな熱帯魚も目を引きますが、大きなジンベエザメも間近で見るとすごい存在感です」
 鮮やかな熱帯魚たちやジンベイザメさんと一緒に……奥へ奥へと。
 夜空の星の如き煌めきの間を、ふわり泳ぎながら。
「黒と白の袖をなびかせて行く姿、マンタさんに似てる?」
 お揃いのパジャマをゆうらゆら。
 出逢ったマンタさんとも、何だか似ているかもしれない。
 ルーナはそんな、パンダのようなシャチのような、マンタのような……シアンと共に変身して遊ぶ、今宵の夜に思う。
(「シャチと一緒に眠って、マンタさんのように泳ぐ。今日は不思議な日」)
 そしてすぐ傍にいる友達を見つめ、紡ぐ。
「シアンも、まるで飛ぶみたいに泳いでてかっこいい」
「ルーナも、とても様になっていますね」
 シアンもそう返した後。
 ふと、海底にいる生き物へとじっと視線を移せば。
「タカアシガニなんかもちょっとしたモンスターですね」
「洞窟みたいになってて、宝探しみたい」
 ……うつぼさんこんばんは、ちょっと通るね。
 ……エビさんこんばんは、はさみが強そう。
 ルーナは律儀に、色々な生き物さんたちにご挨拶。
 熱帯の水槽はじっくりと、深海魚の水槽はおそるおそる、極寒の水槽は足早に……シアンはそう慎重に、けれど楽しみつつも、スイッと水の中を泳いで。
 改めてシアンへと、ルーナはこう言の葉を紡ぐ。
 ――色んな生き物、いろんな景色……一緒に見れて、よかった、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎と共に大水槽の中へ
着ぐるみパジャマは着たままで

倫太郎、白熊は泳ぐが得意だそうです
これもこの着ぐるみの効果だったりするのでしょうか

気を付ける?あぁ、なるほど
私は着ぐるみを着る時に簪も指輪も巾着に入れて懐に仕舞っております
いずれも絶対に失くす訳にはいきませんからね
お互い気を付けておきましょう

確かに不思議なもので、聞くというよりも響いてくるという感じですね
そういえばイルカという生き物はこのように仲間と意思疎通をするのだとか
えぇと……それは程々にお願いします
周りの方にも響いてしまうのは、少し恥ずかしいです

周囲を探索していると倫太郎が魚に好かれているようで
此処は腕を広げて威嚇してみましょう


篝・倫太郎
【華禱】
夜彦と二人、大水槽の中へ
※着ぐるみパジャマは着たまま

すいーっと泳げちゃうのは便利だけど
それはないんじゃ、ないか、な……?
結構広いから、気を付けないとな

え?あんたは簪と指輪、俺は指輪
此処で落としたら探すの大変だぞ?絶た……

あ、ハイ
気を付けマス

なんか、面白いな
これ、相手にしか聞こえないんだろか
そうなら沢山好きって言うんだけど、どう思う?

そんな事を夜彦と話しつつも
魚達の遊び場でもある海藻や岩場の陰を覗き込んで探索
ん-?薄暗いから暗視とかも使ってこ

んん?なんかつんつんされる
やめてやめて、まってまって……

遊びのつもりなのか
俺を突いて来る魚の群れに追われて
夜彦の傍に慌てて戻る

へへ、夜彦あんがとな?



 ようやく塒を見つけて落ち着いて、いざ共に夢の中……とはいかずに。
 何処からか響いてくる歌に気付いたシロクマさんとペンギンさんは、てくてくよちよち。
 やって来たのは、真っ青な世界が広がる大水槽の前。
 そしてふたり手をガラスへと翳せば、ずぶりと吸い込まれる青の中。
 けれどむしろ、水中の方がある意味、動きやすいかもしれない……?
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、静かに煌めき降る青の世界を進みながらも。
「倫太郎、白熊は泳ぐが得意だそうです。これもこの着ぐるみの効果だったりするのでしょうか」
 そう首を傾けつつ、真面目に思案するけれど。
「すいーっと泳げちゃうのは便利だけど……それはないんじゃ、ないか、な……?」
 ペンギンさんの羽をそっとぱたぱた横に振る、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
 とはいえ陸ではよちよちなペンギンも、水の中では飛ぶように悠然と泳げるから。
 もしかして、夜彦の言う事も一理あるかもしれない……?
 ……いや、それはともかく。
 倫太郎は琥珀の視線を広い大水槽の中へとぐるり巡らせ、そしてふとこう紡ぐ。
「結構広いから、気を付けないとな」
 そして――気を付ける? と。
 もう一度首を傾げた夜彦を見て、真剣にこう続けるけれど。
「え? あんたは簪と指輪、俺は指輪。此処で落としたら探すの大変だぞ? 絶た……」
「あぁ、なるほど。私は着ぐるみを着る時に簪も指輪も巾着に入れて懐に仕舞っております。いずれも絶対に失くす訳にはいきませんからね」
 ――お互い気を付けておきましょう、と。
 言の葉と共に、柔く細められた翡翠の瞳で返されれば。
「……あ、ハイ。気を付けマス」
 もう、そうとしか返せない倫太郎。
 けれど、そんな水の中で出来るやり取りは、思えばやはり不思議で。
「なんか、面白いな。これ、相手にしか聞こえないんだろか」
「確かに不思議なもので、聞くというよりも響いてくるという感じですね。そういえばイルカという生き物はこのように仲間と意思疎通をするのだとか」
 相変わらず生真面目に紡ぐ夜彦を、倫太郎はじっとと見つめてから。
「そうなら沢山好きって言うんだけど、どう思う?」
 覗き込むように、夜彦に笑ってみせれば。
 瞳をぱちくりとさせた後、そっと思わず口元に手を当てつつも返す夜彦。
「えぇと……それは程々にお願いします」
 ……周りの方にも響いてしまうのは、少し恥ずかしいです、と。
 そんな事を夜彦と交わし合いながらも、倫太郎はひょこりと、魚達の遊び場でもある海藻や岩場の陰を覗き込んで。
 暗視を駆使したりしつつ、探索も勿論忘れていません。
 いや、真剣に元凶の手がかりなどないか、探しているのですけれど。
 ――つんつん。
「んん? なんかつんつんされる」
 ――つんつん、つんつん。
「やめてやめて、まってまって……」
 ――つんつん。
 ――つんつんつん。
 遊びのつもりなのか、懐いているのか……やたら倫太郎を突いて来る魚の群れ。
 敵意や威嚇ではなく、好意的なものであるっぽいのは雰囲気でわかるけれど。
「いや、だからまって……!?」
 何だかエスカレートする、つんつん……!?
 そんな魚の群れに追われながらも、倫太郎は夜彦の傍に慌てて戻って。
 ……倫太郎が魚に好かれているようで。
 なんて、微笑まし気に眺めていた夜彦だったけれど。
 あまりの好かれっぷりに、シロクマさんらしくガオーと言わんばかりに腕を広げ、威嚇して助け舟を。
 そして、またようやく二人っきりになれば。
 倫太郎は笑みを向けながらも、そっとその耳元に近づいて伝える。
 ――へへ、夜彦あんがとな? って。
 彼ひとりだけに、聴こえるようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

水の中でも息ができるなんて、妙な感覚だよ。これも怪異の影響なのかな。
向こうの匙加減ひとつで水中に取り残されることもあり得るのだろうか……。少し不安だけれど、進まないわけにもいかないね。

硲さん、手をひいてくれるのかい? ありがとう、助かるよ。
実は、私はあまり泳ぎは得意ではなくてね……。移動に支障は無いようだけれど、水の中というだけであまり落ち着かなくて。

硲さんは、あの大きな魚……確か、ジベザベス3世、だったかな? あの魚が気になるのかい? 珍しい魚だよね、私は初めて見たよ。
滅多にない機会だ。怪異がどこにいるかもわからないし、ジベザベス3世と泳いでみるのもよさそうだ。


硲・葎
三日月さん(f01960)と。
わ、すごい!技能とか使わなくてもこんな風に
息ができるなんて。
相手が何を企んでいるか分からないから、気をつけないとね。
すごく不思議。いろんな場所を注意深く視力で見ながら進んでいこう。聞き耳立てて何か聞こえたりしないかなあ……三日月さん、大丈夫かな?
ちょっと不安そうな顔してる。
声掛けてみようかな。
「あ、ほら三日月さん、ジベザベス3世さんだよ!近く行ってみよう?」
彼が嫌じゃなければ手を引いて近くまで行って一緒に泳いでみたいな。少し照れくさいけどね。
第六感を駆使して、直感を信じて泳いでみよう。ジベザベス3世さんが連れてってくれないかなあ?



 ガラスの向こうに広がる青のいろは、ただ眺めるだけしかできなかったけれど。
 響く歌に誘われて、水槽に触れてみれば――それは、夢の続きか幻か、はたまた真夜中に掛けられた魔法か。
 ずぶりと吸い込まれるのは、大水槽の中。
 けれど本来ならば、呼吸すらままならない世界のはずなのに。
「わ、すごい! 技能とか使わなくてもこんな風に息ができるなんて」
 事前に予知として聞いてはいたのだけれど、やはり驚きの声を上げずにはいられない硲・葎(流星の旋律・f01013)。
 そんな葎の声に、月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)もこくりと頷いて。
「水の中でも息ができるなんて、妙な感覚だよ。これも怪異の影響なのかな」
 おもむろに、魚たちが泳ぐ青の世界を見回してみる。
 呼吸だけでなく会話も交わせるという不思議な現状は、UDCの怪異によるものだろう。
 現に、自分達を誘うような歌声は、この水槽の何処かから今もなお響いている。
 そしてこの怪異を生み出している元凶が何を目論んでいるのかははっきりとは分からないが……人にとって被害を及ぼす事には間違いないから。
(「向こうの匙加減ひとつで水中に取り残されることもあり得るのだろうか……」)
 そんな恐怖が一瞬、三日月の脳裏に過ぎるけれど。
「少し不安だけれど、進まないわけにもいかないね」
「相手が何を企んでいるか分からないから、気をつけないとね」
 ひとりではなく、隣には葎も一緒であるし。
 此処へ赴いた目的を完遂するべく、ふたり頷き合って慎重に水槽の世界を進んでゆく。
「……すごく不思議」
 葎は、じゃれるように近寄ってきた色鮮やかな熱帯魚たちに笑顔を向けて。
 青を彩る様々な生き物たちのいろを楽しみつつも、探索も手を抜かずにしっかりと。
 色々な場所を注意深く、視力を駆使し見ていきながらも。
「聞き耳立てて何か聞こえたりしないかなあ……」
 そう耳を澄ましつつ、ふと隣の彼を見てみれば。
(「……三日月さん、大丈夫かな? ちょっと不安そうな顔してる」)
 すぐ傍にある横顔は、何処か不安気で。
 葎はそんな様子の彼に声を掛けてみると同時に。
「あ、ほら三日月さん、ジベザベス3世さんだよ! 近く行ってみよう?」
 そっと三日月へと差し出したのは、手のひら。
 彼が嫌じゃなければ手を引いて……近くまで行って一緒に泳いでみたいな、って。
 少し照れくさいけどね、なんて笑みながらも、そう思ったから。
 そして三日月は、差し出されたその掌に一瞬、瞳を瞬かせてから。
「硲さん、手をひいてくれるのかい? ありがとう、助かるよ」
 己の手を、彼女のものに重ねて握り締める。
 瞬間、ふわりと安心するような熱が伝わって。
「実は、私はあまり泳ぎは得意ではなくてね……。移動に支障は無いようだけれど、水の中というだけであまり落ち着かなくて」
 水がそれほど得意ではないと素直に告げつつも、ふと頭上を見上げてみれば。
 葎がその手で導く先――大きな影がゆうらりと揺れて。
 悠然と星の如き煌めきの中を泳ぐのは、その背に星を抱いたような。
「硲さんは、あの大きな魚……確か、ジベザベス3世、だったかな? あの魚が気になるのかい?」
 そう、水族館の人気者――ジベザベス3世。
 珍しい魚だよね、私は初めて見たよ、と。
 大きな大きな身体や口に、ゆったり悠然と泳ぐその姿を三日月も見つめてみて。
「ジベザベス3世さん、こんばんは! 一緒に泳いでもいいかなあ?」
「滅多にない機会だ。怪異がどこにいるかもわからないし、ジベザベス3世と泳いでみるのもよさそうだ」
 そうっとジベザベスに近づいて挨拶する葎に、こくりと頷く三日月。
 そして葎は、三日月と繋いだ手を再び引きながら。
 第六感を駆使し直感を信じて、静かに煌めきが降る青き夜の水の中を泳いでみる。
 それから響く歌を辿りつつも、ふと並んで泳ぐ大きな身体を見つめ、思うのだった。
 ――ジベザベス3世さんが連れてってくれないかなあ? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
ミラと/f27844

眠るにはまだ早くて
身体を起こせば夢のような世界にジャンプ!

眠っていないのになんだか夢心地で
ふわふわクリオネさんを見る
うんうん、ゆらゆらとっても穏やかでクリオネさんみたい!

ふふー、俺も俺も!
クラウノオトシゴはクリオネさんの
手を取ってすいすいーと泳いじゃうよ!

わあ、ミラ凄いね!
おっきなジベザベスさん!ふふ、なんだか可愛いね!
うんうん、もう少し近づいてみよっか!

大丈夫だよ
手をぎゅっと握って笑顔を向ける

ほら、他のお魚さん達も来てくれた!
みんなで泳いじゃう?なんて手を引いて
もっともっとミラを楽しませようと

青い世界は穏やかでキラキラで
ミラが隣にいてくれるからより一層輝いてる気がするな!


ミラ・ホワイト
クラウンさまと/f03642

こっそりお布団を抜け出して
飛び込んだのは星空のような青の世界

両手を揺らしてふわふわ
うふふ、クリオネさんのまねっこ
まぁ、クラウノオトシゴさまさすがです…!
手を繋いでくださったならすいすいと
わたしも泳ぎが上手になった心地!

悠々游ぐぬいぐるみとそっくりなお姿に
あの子がジベザベスさまね?可愛いっ
もっと近くに寄っても大丈夫?
緊張で握る手にきゅっと力がこもるけれど
笑顔の魔法でやわらぎます

わ、色鮮やかなお魚さんがこんなに…!
くるりひらり踊るよに身を翻し
みんなで楽しく泳ぎましょ!

クラウンさまと征く世界は
いつもどこでも煌めいて見えるから
夜更かしの時間をもう少し
あぶくにおねだりを乗せて



 いつもだったら、とっくに夢の中を揺蕩っているはずの時間だけれど。
 こっそりお布団を抜け出して、しーっと人差し指を口元に当ててはそっと笑み合いながら。
 ドキドキわくわく、不思議な歌声を辿ってゆく真夜中の冒険。
 そして辿りついた大水槽の前で、顔を見合せ頷き合って。
 せーの、って一緒にジャンプすれば……飛び込んだのは、キラキラ星空のような青の世界。
 眠っていないのに、なんだかゆうらり夢心地で。
 クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)が星のいろをした瞳を巡らせれば。
 両手を揺らしてふわふわと、青の世界を揺蕩うクリオネさんの姿が。
 ……うふふ、クリオネさんのまねっこ、って。
 そう楽しそうに笑み湛えるミラ・ホワイト(幸福の跫音・f27844)に、クラウンはこくこく頷いて。
「うんうん、ゆらゆらとっても穏やかでクリオネさんみたい!」
 ……ふふー、俺も俺も! って。
 掌を差し出してクリオネさんと手を繋げば、水の中を軽快にすいすいー。
「まぁ、クラウノオトシゴさまさすがです……!」
 クラウノオトシゴさんに手を引かれれば、泳ぎがとっても上手になった心地!
 そんな青の世界をすいすいーっと漂っていたら……ふと現れたのは、とても大きな誰かの影。
 その影の主を見上げれば、ミラの赤の瞳に飛び込んできたのは、前にも何処かで見たことがある姿。
「あの子がジベザベスさまね? 可愛いっ」
「おっきなジベザベスさん! ふふ、なんだか可愛いね!」
 目の前の本物のジベザベス3世は、うんと大きいのだけれど……悠々游ぐ様は、ぬいぐるみとそっくり。
 ミラは、深い青の星間を飛ぶように游ぐ姿を目で追いかけながら。
 ……もっと近くに寄っても大丈夫?
 そうそっと、紡いでみれば。
「うんうん、もう少し近づいてみよっか!」
 緊張できゅっと力がこもった小さな手を、クラウンはぎゅっと優しく握り返して。
 ぱっと向けるのは……大丈夫だよ、って。不安も和らぐ、そんな魔法の笑顔と言の葉。
 そしてすいっと、夜空の様な水の中をジベザベスと一緒に游ごうと近づいてみれば。
「わ、色鮮やかなお魚さんがこんなに……!」
「ほら、他のお魚さん達も来てくれた!」
 宝石を散りばめた様ないろとりどりのお魚さんたちも、一緒に游ぎたいみたい。
 そして、もっともっとミラを楽しませたいから。
 ……みんなで泳いじゃう? なんて。
 繋いだその手を引けば、くるりひらりと。
「みんなで楽しく泳ぎましょ!」
 まるで踊るように身を翻しながら、ふふって笑み零すミラを見れば、クラウンももっと嬉しくなって。
 みんなで進むのは、とっても穏やかでキラキラした青の世界。
 そしてふたり手を繋いで游ぎながら、顔を見合せ笑い合う。
 ……ミラが隣にいてくれるからより一層輝いてる気がするな!
 ……クラウンさまと征く世界は、いつもどこでも煌めいて見えるから。
 だから、星の様にぷくりと上がる泡の煌めきたちに、ミラはこんなおねだりを。
 わくわく楽しい夜更かしの時間をもう少し――って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

魚たちは本物なんだろうか。
それとも呼吸ができてると思える方が幻なんだろうか。
ぁ、毛先の方で結い紐で結っておかないと。

ゆっくりと水底を歩こう。
泳ぐこと自体は好きだけど、歩くこと自体は水の中に入っても難しいしこの機会に。
上を仰ぎ、今年の夏に花の泉に潜った時を思い出したり、海中の向日葵を見た事を思い出し。なんでだろ…思い出ばかりが蘇る。
泳ぐカラフルな魚たちを眺めながらふと、このまま立ち止まって何もかも放棄してしまえば、朽ちたいという願いは叶うのでは。
そう思ってしまうけど、でもやっぱりどういう結果になろうとも歩みは止められない。
それが、いつかくる終わりに向かってでも。

…怪異を探さないと。



 深く落ちた真夜中の闇に、思考も意識も沈め揺蕩わせていれば。
 ふと聴こえてきたのは、何モノかの歌声。
 いや、その正体が何かは、事前に聞いているから分かっている。
 水族館を楽しんだものが引き寄せてしまうという、UDCの怪異。
 その歌声は、心惑わすような優しくも怪しい響きを孕んでいるけれど。
 依頼を完遂するべく、敢えて歌声のする方へと歩みを進める黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)。
 そして大水槽に触れれば……ガラスの向こうの深い青に、吸い込まれて。
 夜の海のいろをすいっとゆく魚たちが、見つめる青い瞳にも泳ぐ。
(「魚たちは本物なんだろうか」)
 瑞樹がそっと眼前の魚へと手を差し出してみれば、つんつんと軽くつつくような感触。
 いやそもそも、水の中だというのに苦しくもなくて。
(「それとも呼吸ができてると思える方が幻なんだろうか」)
 どちらが夢なのか、それともどちらも幻か、はたまたどちらとも現実なのか。
 そう首を傾げてみるけれど。
「ぁ、毛先の方で結い紐で結っておかないと」
 ゆらり銀髪が無造作に漂わないよう、きゅっと髪を結んでおく。
 それから準備ができれば、水の中を泳ぐのではなく、ゆっくりと水底を歩く瑞樹。
 泳ぐこと自体は好きなのだけど。
(「歩くこと自体は水の中に入っても難しいしこの機会に」)
 この不思議な水中は、怪異の仕業だと分かってはいるけれど。
 でも折角だから……普段はできないことをするのも良いはず。
 そしてふと水底から上を仰げば――。
(「なんでだろ……思い出ばかりが蘇る」)
 それは、今年の夏に花の泉に潜った時のこと。
 そして、海中の向日葵を見た時のことも。
 深い青に支配された水底は、けれど青だけではなくて。
 泳ぐカラフルな魚たちを眺めながらもふと、瑞樹は思ってしまう。
 ――このまま立ち止まって何もかも放棄してしまえば、朽ちたいという願いは叶うのでは、なんて。
 けれど何度そう思っても……それはどうしても、自分では叶えられないことで。
(「でもやっぱりどういう結果になろうとも歩みは止められない」)
 たとえ、進む道が水底であっても……それが、いつかくる終わりに向かってでも。
 そして瑞樹は、指をつんつんしてくる魚を見つめた後、顔を上げて歌声のする方へと視線を向ける。
 ……怪異を探さないと、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀
幸也さん(f13277)と
わわっ、水槽の中に入っちゃいましたね。
会話って言うより念話って感じで意思疎通はできるみたいですね。
水中散歩とか憧れではありますけど俺着ぐるみパジャマのままなんですよねー…。
あっ、でも心なしか魚達にあんまり警戒されてないというか…めちゃくちゃ寄ってくる…!!
可愛いけどあんまり数が多いとちょっと怖っ!
…!あっ!幸也さんあれ!ジンベイザメですよ!
ほら俺の着ぐるみパジャマのモデルの…!
わぁ…でっかいなぁ…けどなんか雰囲気は優しい。
さて、UDCは十中八九この歌の歌い手でしょうし。魚達に影響がないともかぎらないですから。
ちゃんと倒さないとですね。


十朱・幸也
真紀(f06119)と
アドリブ歓迎、水中は少し苦手

待て待て待て待て
ちょっ、いきなり水の中とか……!?
怪異の馬鹿野郎、マジで勘弁し……わーお、普通に息出来るわ
少し吃驚しただけだから平気だ、悪いな

きぐるみのままだから
仲間か何かだと思われてるんじゃねぇか?
……真紀、大丈夫か?
(ひとしきり笑ってから、魚の群れから引っ張り出そうと

つか、でかっ!?
こっちに気付いたみたいだな
折角だし、少しだけ触らせてもらったらどうだ?
人も魚も見た目によらない、って事かもな

歌声はそう遠くなさそうだし
さっさと倒して、魚達も安心させてやるか
無事に終わったら……また、昼間にでも会いに来てやろうぜ?



 今日はもしかして、ツイていない日なのかもしれない。
 いや……ガチャ爆死に凹む事もしばしば、リアルラックは低いのがデフォだけれども。
 ソシャゲのパズルゲーでも、余所見している内に負けてしまったし。
 聴こえてきた歌声の出所を探るべくやって来た大水槽に、何の気なく触れた瞬間。
「待て待て待て待て! ちょっ、いきなり水の中とか……!?」
 ずぶりと中に吸い込まれ、赤の瞳を大きく見開いて声を上げるのは、十朱・幸也(鏡映し・f13277)。
 そんな何だかちょっぴり慌てた様子の幸也に、花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)も続いて。
「わわっ、水槽の中に入っちゃいましたね」
「怪異の馬鹿野郎、マジで勘弁し……わーお、普通に息出来るわ」
「会話って言うより念話って感じで意思疎通もできるみたいですね」
 息も意思疎通もできることを確認しつつ、先程まで慌てていた幸也を真紀が改めて見れば。
「少し吃驚しただけだから平気だ、悪いな」
 ふっと息をひとつ吐きつつも言った幸也は、実は水中は少し苦手だけれど。
 眼前の真紀の姿を見れば、思わず笑ってしまう。
「水中散歩とか憧れではありますけど俺着ぐるみパジャマのままなんですよねー……」
 だってそう言った彼は今、ゆるかわなジベザベス。
 さらに、いつの間にかすいすいっと。
「あっ、でも心なしか魚達にあんまり警戒されてないというか……めちゃくちゃ寄ってくる……!!」
「きぐるみのままだから、仲間か何かだと思われてるんじゃねぇか?」
 ジベザベスな真紀の周囲には、色とりどりの魚たちでいっぱいに!?
 そんなつんつんじゃれる様につつかれたり、すっかり囲まれてしまっている様子にひとしきり笑った幸也だけど。
「可愛いけどあんまり数が多いとちょっと怖っ!」
「……真紀、大丈夫か?」
 ぐいっと、魚の群れから真紀を引っ張り出してやれば。
 ホッと一息ついた瞬間落ちた影の主を見上げれば、今度は眼鏡の奥の瞳がキラキラ。
「……! あっ! 幸也さんあれ! ジンベイザメですよ!」
 ――ほら俺の着ぐるみパジャマのモデルの……! と。
 そう興奮気に紡ぐ真紀の視線を幸也も追ってみれば。
「つか、でかっ!?」
 近くでみれば、さらに大迫力なその姿。
 けれど、泳ぐその姿は、ゆったりゆうらりしていて。
「わぁ……でっかいなぁ……けどなんか雰囲気は優しい」
「こっちに気付いたみたいだな。折角だし、少しだけ触らせてもらったらどうだ?」
 近づいてきたジンベエザメには敵意の欠片もなく、むしろ好意的な様子で。
 伸ばした手を嫌がる素振りもないから……星を纏ったようなその身体を、そうっと撫で撫で。
 そんなジンベイザメの格好でジンベエザメと戯れる真紀の姿を見守りつつ、幸也はそっと瞳を細める。
 ……人も魚も見た目によらない、って事かもな、って。
 そして気儘に泳いでゆくジベザベス3世に手を振り、その姿を見送りながら。
 真紀と幸也は、改めて響く歌声に耳を傾ける。自分達を誘う様な、一見優しいその響きに。
 けれど、それが人を惑わす怪異だということを、知っているから。
「さて、UDCは十中八九この歌の歌い手でしょうし。魚達に影響がないともかぎらないですから。ちゃんと倒さないとですね」
「歌声はそう遠くなさそうだし。さっさと倒して、魚達も安心させてやるか」
 それから幸也は、静かに煌めく真夜中の水槽の海を真紀と共に進みながら、続ける。
 ――無事に終わったら……また、昼間にでも会いに来てやろうぜ? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐々・夕辺
ベルさん【f18504】と

ほっほほほ本当だわ……!
面白半分で水槽に触ったら、私たち、ついに展覧される側に…!
あわわわ、置いていかないで!
水底をそっと歩くようにベルさんに追いすがる
足が離れてしまったらいよいよ怖いので、歩くように水槽内をゆく

わ、私だって水槽の中なんて初めてよ!
…い、いいわよ!冒険してやろうじゃない!

わあ、ジベザベスさん!本物だ!
大きいなあ……私たちよりずうっと大きい生き物が、この世にはたくさんいるのね
あ!あれ見て!向こうの方、ペンギンが泳いでる!ほらほら、速いでしょう!

水族館で魚と泳ぐなんて、きっと一生に一度あるかないかくらいだわ
目一杯楽しんでやりましょう!ほらベルさん、こっち!


ベル・ルヴェール
ユウベ(f00514)

ユウベ!!僕らは水槽の中にいる……!
少し手を動かしただけで前に進める……!
息もできる。ここは夢のような空間だな。
それよりも元凶を探さなければいけない。
でも僕は水槽の中に入るのは初めてだ。少し冒険をしても良いか?

あそこにいるのはさっきストラップを買ったやつに似ているな。ジベザベス3世だ。
マンタもいる!ユウベ!僕らは魚と一緒に泳いでいる……!
砂漠の旅ではなく水槽の旅だ!
魚を追いかけていたら元凶の元に辿り着けるかもしれない。
ペンギン?どこだ?!いた!
よちよち歩きじゃない!とても速いな!

魚と一緒に泳ぐのは楽しいな。今は人はいないが僕も魚になった気分だ。



 それは夢か幻か……歌が、聴こえたから。
 明かりも落ちた真夜中の水族館を、そっと歌声のする方へと進んで。
 辿り着いた大水槽にふと触ってみたのは、面白半分であったのだけれど。
 刹那吸い込まれたのは――今までは眺めるだけしかできなかった、一面の青の世界。
「ユウベ!! 僕らは水槽の中にいる……!」
「ほっほほほ本当だわ……! 私たち、ついに展覧される側に……!」
 思わず瞳を見開いたベル・ルヴェール(灼熱の衣・f18504)の声に頷く佐々・夕辺(凍梅・f00514)も、驚きを隠せなくて。
 先程までガラスの向こう側で見ていた魚たちが、すぐ目の前をすいっと横切っていく。
 そして夜の煌めき纏う水の中、ベルがそっとその手で水を掻いてみれば。
「少し手を動かしただけで前に進める……! 息もできる。ここは夢のような空間だな」
 すいっとまるで魚の様に、水槽内を泳げそうなのだけれど。
「あわわわ、置いていかないで!」
 水底をそっと歩くようにベルに追いすがって、水槽内をゆく夕辺。
 だって、足が離れてしまったらいよいよ怖いから……!
 ベルはそんな夕辺と共に水底を歩きながら、きょろりと好奇のいろ宿す瞳でぐるりと周囲を見回すけれど。
「それよりも元凶を探さなければいけない」
 此処へと赴いた本来の目的も、勿論忘れてはいない。
 ……のだけど、やっぱり。
「でも僕は水槽の中に入るのは初めてだ。少し冒険をしても良いか?」
 自分の服の袖をちょこんと摘まんで、何処となく腰が引けている気がする夕辺へと緑色の視線を移し訊ねれば。
「わ、私だって水槽の中なんて初めてよ!」
 ぷるぷるしている足を懸命に踏ん張りつつも、ちょっぴり振るえ声で夕辺は言い放つ。
 ……い、いいわよ!冒険してやろうじゃない! って。
 そして、頭上から大きな影が落ちた事に気が付いて。
 ベルがふと顔を上げれば、その視線の先。
「あそこにいるのはさっきストラップを買ったやつに似ているな。ジベザベス3世だ」
「わあ、ジベザベスさん! 本物だ!」
 近くで見ればさらに大迫力な水族館の人気者・ジベザベス3世がゆうらり気儘に泳いでいて。
 ひらり、飛ぶように水の中をゆくのは。
「マンタもいる! ユウベ! 僕らは魚と一緒に泳いでいる……!」
 ……やはり変な生き物だ、なんて。ベルはマンタを見つめつつも、すいっと彼らと並んで泳いでみて。
「大きいなあ……私たちよりずうっと大きい生き物が、この世にはたくさんいるのね」
「砂漠の旅ではなく水槽の旅だ!」
 ……魚を追いかけていたら元凶の元に辿り着けるかもしれない、なんて。
 青の世界をゆく魚たちに水槽の旅の道案内をベルがお願いせんとすれば。
 刹那上がるのは、何かを見つけた夕辺の声。
「あ! あれ見て! 向こうの方、ペンギンが泳いでる!」
 ……ほらほら、速いでしょう! って。
 ベルはその声に、先程よちよち歩いていたその姿を再び見ようと探してみれば。
「ペンギン? どこだ!?」
 ――いた! とすぐに見つけたのだけれど。
 驚いたように、思わず瞳をぱちくり。
「よちよち歩きじゃない! とても速いな!」
 全然前に進んでいなかった陸でのよちよと歩きからは想像もつかないような。
 飛ぶようにすいすいと青の世界を悠然とゆく、ペンギンたちの姿が。
 水族館を巡り、色々な海の生き物をガラス越しに見るのも楽しかったけれど。
「水族館で魚と泳ぐなんて、きっと一生に一度あるかないかくらいだわ」
 夕辺はそう改めて、広がる海のいろを見つめながら。
「目一杯楽しんでやりましょう! ほらベルさん、こっち!」
「魚と一緒に泳ぐのは楽しいな」
 自分を手招く夕辺と色とりどりの魚たちと一緒に、ベルもすいっと水槽の冒険を彼女と共に暫し楽しむ。
 そして、真夜中の水族館には、今は人はいないけれど。
 ベルはガラス越しに眺めていたいろを、歌に導かれる様に進んでゆく。
 ――僕も魚になった気分だ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五条・巴
何度目かの海の中
眺めていたジンベイザメと同じ場所にいる訳だけど……。

まあ、まだまだ君のような雄大さは僕には足りないみたいだ。

探すなら歩くよりも、足で泳ぐよりも、乗った方が早いね。
ふわふわゆらり、大きな海月を呼び出して

夜の海を楽しみながら、月下の宝探しをしようか

君はどんな海を泳いできたのかな
一方的に海月に話しかけながらふらりふわり

ねえ、僕の元に来る前は、この小さな魚達は君の住んでた所にいた?
君の見た月はどんな姿だったかな?
こんな月や星が煌めいてたのかな

優しい夢物語を語るような、しずかなあたたかいひと時にしよう
目では元凶を探しつつ、海月と沢山仲良くなろう。
これからたくさんの時間を過ごすから



 この青に身を委ねるのは、もう何度目か。
 見渡す限りの景色を彩るのは、海のいろ。
 そう、五条・巴(照らす道の先へ・f02927)が誘われ、吸い込まれたのは大水槽の中。
 それからふと、星降る夜空の様な青に、大きな影が揺らめけば。
(「眺めていたジンベイザメと同じ場所にいる訳だけど……」)
 見上げた巴の瞳に映るのは、星をその背に纏う大きな姿。
 そんなゆうらり泳ぐ姿を、巴は水底から見送る。
 ――まあ、まだまだ君のような雄大さは僕には足りないみたいだ、って。
 刹那、ふと耳に響くのは、何モノかの歌声。
 此処へと飛び込んだ目的は、そんな人を惑わすような歌声の主を見つけること。
(「探すなら歩くよりも、足で泳ぐよりも、乗った方が早いね」)
 だから、ふわふわゆらり……呼び出すのは大きな海月。
 ――夜の海を楽しみながら、月下の宝探しをしようか。
 そう海月と一緒に、真夜中の海の冒険へいざ出発。 
「君はどんな海を泳いできたのかな」
 巴は海月に話しかけながら、ふらりふわり、夜の青を揺蕩って。
 ……ねえ、僕の元に来る前は、この小さな魚達は君の住んでた所にいた?
 ……君の見た月はどんな姿だったかな?
 深い海の青をゆく様々ないろたちを眺め、降り注ぐ星の様な瞬きの間を潜りながら。
 ……こんな月や星が煌めいてたのかな。
 海に漂う月へと、問いを重ねる。
 まるで優しい夢物語を語るように……しずかなあたたかいひと時になる、言の葉の魔法を紡ぐ。
 勿論、歌う怪異の姿は確りとその目で探しつつも。
 ゆうらりまったり――海月と沢山仲良くなろう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ等歓迎

3世だ(即答)
……多分あのデケーやつだろ

サイキッカーにはこーいうのが得意なやつもいるんじゃねェの?
ま、俺もお前も使えねーから
ちょっと面白いな
後で写真でも撮るか?
ここならいけるだろ、服も濡れないみたいだしな

…氷月に情報は任せてジベザベス3世を追いかけて泳ぐ
予想よりざらっとしてんな…
けど模様は確かに星空みたいで海の中の星空っぽいな

くは、一緒に泳いでくれんの?
結構人懐っこいな、お前
つーか、一番でかいお前のぬいぐるみはまるまるしてたが
あれよりヒレとかシャープでかっけーなァ

魚たちと泳いでたら音の強くなるところくらいは分かるだろ
ひーづーきー、お前もこっち来いよ


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ歓迎

ジベザベス……あー、何世だっけ?
そうそう、3世だったね
ドコだろうなー?ゆーくん、そっち見える?

というか、こういうテレパシー的なのって新鮮だねー
真夜中の水族館っていうシチュエーションも
なんかこう……SNS映えしそうだし
いいね、フラッシュだけは気を付けておけばイケるかな?

ジベザベス3世はゆーくんに任せて
俺は元凶探しといきますか
『Invader』を使って【情報収集】【索敵】開始
声が聞こえる方向、声の大きさとかから
ざっくりとした位置を割り出せれば

おのれ、ジベザベス3世……(こっそり、ジト目
まぁ、ゆーくんが楽しそうだからいいケド
(声掛けに笑顔で)ハイハーイ、今行くよー!



 真夜中の水族館、ゆうらり煌めき纏う大水槽。
 吸い込まれたガラスの向こうは、海のいろが広がっていて。
 そしてこの青の世界で一等大きな、その背に星を纏う人気者。
 それは、ジンベイザメの――。
「ジベザベス……あー、何世だっけ?」
「3世だ」
 首を傾げ言った氷月・望(Villain Carminus・f16824)に、すかさず即答するのは月待・楪(Villan・Twilight・f16731)。
 1世でも4世でも13世でもなく、楪の言う通り、3世です!
 そんな楪の即答に、こくりと望も頷いて。
 きょろりと視線を周囲に巡らせてみるけれど。
「そうそう、3世だったね。ドコだろうなー? ゆーくん、そっち見える?」
「……多分あのデケーやつだろ」
 ゆうらり泳いでいるその姿を、やはり即見つける楪。
 そんなふたりは言わずもがな、怪異に誘われ水の中に在るのだけれど。
「というか、こういうテレパシー的なのって新鮮だねー」
「サイキッカーにはこーいうのが得意なやつもいるんじゃねェの?」
 呼吸も、そして意思疎通も問題なく行なえる不思議。
 そして脳内に聞こえる声は確かに、超能力者のテレパシーのような感じであるけれど。
「ま、俺もお前も使えねーから、ちょっと面白いな」
 これは怪異の仕業で、人に被害を及ぼすものになりかねない事ではあるけれど。
 楪はこの不思議な状況を楽しむかのように笑んでから。
「真夜中の水族館っていうシチュエーションも、なんかこう……SNS映えしそうだし」
 そう呟くように聞こえた望の言葉に、こう続ける。
「後で写真でも撮るか?」
「いいね、フラッシュだけは気を付けておけばイケるかな?」
「ここならいけるだろ、服も濡れないみたいだしな」
 こんなに映えそうな景色や状況、なかなかないから。写真を撮らないと勿体無い。
 けれどその前に、やるべきこともきちんとやります!
(「ジベザベス3世はゆーくんに任せて、俺は元凶探しといきますか」)
 望は『Invader』を使って情報収集を試みつつ、索敵開始。
 歌声を響かせる元凶がいるのは、今自分達が身を置いているこの水槽の何処かであることは分かっているから。
(「声が聞こえる方向、声の大きさとかから、ざっくりとした位置を割り出せれば」)
 そう慎重に、広い水槽の中を探っていく。
 その間、氷月に情報は任せて、ジベザベス3世を追いかけて泳ぐ楪。
 大きいけれど、まったりゆらりと泳ぐその隣に並んでから。
 そっと試しに、その手を伸ばしてみれば。
「予想よりざらっとしてんな……」
 所謂サメ肌であるその手触りに、そう呟きを落としてから。
 楪がふと見つめるのは、大きくて広いジベザベスの背中。
 手触りはざらっとしていたけれど。
「けど模様は確かに星空みたいで海の中の星空っぽいな」
 星を纏うと言われているその背は確かに、夜空のようないろと煌めき。
 そんな楪と、のったりぴたり並走するように泳ぐジベザベス3世。
「くは、一緒に泳いでくれんの? 結構人懐っこいな、お前」
 水族館は人の手で作られた海だから、ジベザベスもある程度人には慣れているのだろう。
 それから楪は改めて、その大きな身体やフォルムを眺めつつも紡ぐ。
「つーか、一番でかいお前のぬいぐるみはまるまるしてたが。あれよりヒレとかシャープでかっけーなァ」
 ぬいぐるみはコロンと可愛かったけれど、眼前の本物は格好良さも兼ね備えていて。
「魚たちと泳いでたら音の強くなるところくらいは分かるだろ」
 楪は怪異の歌が響いてくると思われる方向に、ジベザベスと共にふらりひらり。
 『Invader』で大体の位置を割り出し終えた望は、そんな楪に……いや、ジベザベスに、むぅとひとつ唸る。
「おのれ、ジベザベス3世……」
 そうこっそり、ジト目で。
 そんな望の心も露知らず、楪は手招きするように声を掛けて。
「ひーづーきー、お前もこっち来いよ」
 向けられた声や表情を見つめ、呼ばれた通りに。
 楪やある意味ライバルなジベザベス3世の隣に並びつつも望は思う。
 ――まぁ、ゆーくんが楽しそうだからいいケド、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
紅(f01176)と

わあ、クレナイだいじょうぶ?
回る姿を見つけ
ふふ
くるんと真似っこしてから

わたしも水の中でくるくるしちゃったことあるんだ
クレナイ、手をかして
止まれるよう両手繋いで
止まったら片手を離す

いこう、クレナイっ

外に誰もいないからガラスが鏡みたいで
どこまでもつづいて見える
ふしぎ

あの子はね、ジンベエザメのジベザベス3世だよ
おみやげやさんにぬいぐるみがあったっ
ちかづいてみよう

こんばんは、ジベザベス
わたしはオズだよ

一緒にさんぽ
クレナイ、あそこになにかかくれてるっ
たこさんっ?

ほんとだ、ジベザベスのなかよしさんかな
わたしもくっついてみようっ
いーれーてっ

マアジの大群に
わーっ
一緒にくるくるん

たのしいねっ


朧・紅
オズさん(f01136)と

とぷんと入れば髪が広がり体が浮いて
うややっ
くるんと回って慌てる
けれど一緒に回る姿にふふり
オズさんも?
手を伸ばす
同じ様に止めて頂いたのでしょか
連鎖が楽しくて笑顔でありがとー
また回っちゃいそうできゅっと握って

はいですっ

頭上に大きな影
わぁ
おっきぃおさかなっ
オズさんあの子はなんて言うお魚ですかっ?

あのぬいぐるみの子です?
おっきぃ
サメさんなのにのんびりさん
ぅや
目が合いました
遊んでくださるかもっ

こんばんは
紅なのですよっ
わ、お肌ザラザラっ

むむ
あれは…
タコさんでは!?
ジベザベスさんのお腹にも平べったいのが!
僕もーっ

わわ、わぁ
ベイト・ボールに煽られ
オズさん巻き込みまたくるるん

楽しい~



 いつもはすやぁと、とっくに夢の中にいる時間だけれど。
 今宵飛び込むのは、不思議な不思議な青の世界。
 聴こえる歌を辿ってやってきた大水槽へと掌を翳してみれば……とぷん、と。
 中に吸い込まれれば、朧・紅(朧と紅・f01176)の紅色の髪もふわり青に泳ぐように広がって。
 ぷかりと、身体が浮いたかと思えば。
「うややっ」
 水の中を、くるんっ。
 そんなくるくる回って慌てる紅の姿を見つけて。
「わあ、クレナイだいじょうぶ?」
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は、キトンブルーの瞳をぱちくり瞬かせるけれど。
 すぐにそれを楽しそうに細めて。
 くるんと、紅の真似っこを。
 そんな一緒に回るオズに、ふふりと紅が笑み零せば。
「わたしも水の中でくるくるしちゃったことあるんだ」
「オズさんも?」
 そうきょとりとする紅に、オズは手を伸ばす。
 ……クレナイ、手をかして、って。
 そして彼の両手に、己の手をそれぞれ重ねてみれば。
 くるくる回っていた身体も、ぴたりと止まって。
 安定した紅の様子を見て、そっと片手だけ離すオズ。
 そんな彼の言葉を思い返して……同じ様に止めて頂いたのでしょか、なんて思いながらも。
 連鎖が楽しくて笑顔でありがとーと礼を紡ぐ紅だけれど。
「……!」
 オズの手を思わず、きゅっ。
 また、くるんと回っちゃいそうで。
 そんな手と手を確りぎゅぎゅっと繋いでから。
「いこう、クレナイっ」
「はいですっ」
 今度は、水槽の中の冒険にいざ出発!
 水槽に満ちる青を、さっきまではガラスの外から見ていたけれど。
 自分達が覗いていたみたいに、今は外には誰もいないから……降り注ぐ光がガラスに反射してキラキラ、まるで鏡みたいで。
(「どこまでもつづいて見える、ふしぎ」)
 オズはそれを見つめる青にも、煌めきをいっぱい宿して。
 ふと頭上に落ちる影を見上げた紅は、その大きさに瞳を瞬かせながらもオズに訊いてみる。
「わぁ、おっきぃおさかなっ。オズさんあの子はなんて言うお魚ですかっ?」
「あの子はね、ジンベエザメのジベザベス3世だよ。おみやげやさんにぬいぐるみがあったっ」
「あのぬいぐるみの子です?」
 大きさが全然違うから、言われるまで気付かなかったけれど。
 確かに眼前のジベザベス3世の姿は、ずらり並んでいたふわふわなぬいぐるみたちと同じ。
 そして、おっきぃ、と改めて紅はジベザベス3世へと視線を戻して。
「サメさんなのにのんびりさん」
 ゆったり泳ぐその姿を、じっと見つめれば……ぱちり。
「ぅや、目が合いました。遊んでくださるかもっ」
「クレナイ、ちかづいてみよう」
 オズはそう紅の手を引いて、ジベザベス3世の元へ。
 それからふたり、ご挨拶を。
「こんばんは、ジベザベス。わたしはオズだよ」
「こんばんは、紅なのですよっ」
 そしてそうっと紅は、大きな大きな体へと手を伸ばしてみて。
「わ、お肌ザラザラっ」
 撫でてみれば、サメ肌な感触にちょっぴりビックリしたけれど。
 ゆるりと一緒に、水槽の中をおさんぽ。
 青の世界には、色々な生き物が気儘に泳いでいて。
 それを眺めていたオズは、はっと顔を上げる。
「クレナイ、あそこになにかかくれてるっ」
 ゆらり揺れる何かの足。
 紅はオズの指す方向へと視線を向けて。
「むむ、あれは……タコさんでは!?」
「たこさんっ?」
 ふたりでじーっと見つめてみれば……確かに、8本足のたこさんの姿が。
 それから今度は、紅がはっと顔を上げる。
「ジベザベスさんのお腹にも平べったいのが!」
 ぺたりと、大きなおなかにくっついている平べったいのを見つけて。
「ほんとだ、ジベザベスのなかよしさんかな」
 オズはそう小さく首を傾げた後、すいっとジベザベスのおなかに近づいて。
「わたしもくっついてみようっ」
 ――いーれーてっ。
 そう平べったいのと一緒に、ぺたりっ。
 そして勿論、紅も。
 ――僕もーっ。
 オズに続いて、ぺたりっ。
 けれど冒険には、ハプニングも付きもの……?
 わわ、わぁ、と巻き込まれちゃったのは、マアジの大群が成したベイト・ボール。
 それに煽られた紅はオズも巻き込んで、またまた一緒に、くるるんっ。
 でもそんなハプニングも、とっても楽しくて。
 くるくる、くるりん、一緒に回っていたら。
「あっ、クレナイ……!」
「! オズさん、この子……!」
 目の前をすいっと泳ぐのは――ずっと探していた、幸せの紅葉の子。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
悠里(f18274)と共に

水の中を不安そうに見つめていた友を気遣い
……悠里、大丈夫かい?

落ち着くまでは留まろう
友が落ち着いたなら歌を辿るように揺蕩う夜の深い青を探索しようか

傍を通る魚に髪を擽られ
悠々と泳ぐ星煌くこの水槽の主に添うてみたりして
海の星か、綺麗だね
流れのままに夜の水槽の中を楽しみ

水の中は好きなんだ
そう零し
全て沈めて水を揺蕩うと
不思議と己の内の声も聞こえそうな気がして
――聞こえやしないかと、いつも期待してしまうんだ

聴こえないけれどねと静かに笑み
今宵も己の内は静寂のまま

ラジオみたいなものかい
そう言って、勿論だよと友の手を引いて

そのくらい雄弁なら良かったんだけどねと
小さく笑って水をかいた


水標・悠里
ディフさん/f05200
水の中に入れば過去のことを思い出す
手足が竦む
思考が凍り付く
少女の嗤う声がする
違う、それは昔のこと

乱れた息が整えばもう大丈夫
ここでは溺れないし
五月蠅いものは歌で掻き消したから

星空を水槽に落としたみたい
天地がひっくり返ればこんな風になるのかも

魚だ
魚は僕が怖くないのかな
恐る恐る手を伸ばしてみたけれど
やっぱり怖い

そうなの?
僕は色んなものが見えて聞こえてしまうから
内容に耳を傾けてはいけないけれど
彼らは雄弁だから聞いている分には楽しいよ
ラジオ、そうかも
でも自分の声は聞こえないんだ

我が儘を言ってもいい?
手を繋いで欲しい
誰かと一緒に揺蕩う青を泳いだ事覚えていて欲しい



 静かな闇が落ちる真夜中の水族館をゆけば、辿り着いたのは大水槽の前。
 そしてガラスの向こうの青に、その身が吸い込まれれば。
 広がるのは、深い深い水底のいろ。
 これは夢か幻か、UDCによる怪異だから……呼吸も出来て、苦しくはないはずなのに。
 水標・悠里(魂喰らいの鬼・f18274)はどうしても、息苦しくて堪らなくなる。
 手足が竦んで、思考が凍り付いて……少女の嗤う声がする。
 水の中に入れば――過去のことを思い出してしまって。
 けれど刹那、脳裏に響くのは、ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)の声。
「……悠里、大丈夫かい?」
 ふと恐る恐る顔を上げれば、自分を見つめる青のいろ。
 でもそれは過去に沈んだ青とは違って、自分を気遣う優し気な青をしているから。
 悠里はふるりと微かに首を横に振り、己に言って聞かせるように過去の青を振り払う。
 ――違う、それは昔のこと、と。
 それから乱れた息が整えば、もう大丈夫、と悠里は告げて。
「ここでは溺れないし、五月蠅いものは歌で掻き消したから」
 そう落ち着いた友に頷き、ディフは揺蕩う夜の深い青を探索する。
 この水槽の何処かから聴こえてくる、美しくも怪しい歌を辿るように。
 そして水槽に満ちる青を見回せば、この世界が青だけではないことに気が付く。
 色とりどりの熱帯魚たちに髪をちょんっと擽られて。
 ゆうらりと姿を現した星を纏う水槽の主に、ふたり一緒に、そっと添うて揺蕩ってみたり。
 静かに降る煌めきの間を縫う様に、真夜中の青を泳いでみれば。
「星空を水槽に落としたみたい。天地がひっくり返ればこんな風になるのかも」
「海の星か、綺麗だね」
 悠里の言の葉に瞳細めながら、流れのままに星の海を楽しむディフ。
 そんな彼と共に水の中をゆきながら、そろりと視線を巡らせてみれば。
 ……魚だ、と。
 悠里は、蝶々の様な尾鰭を揺らし近寄ってきた魚を、じっと見つめてみて。
「魚は僕が怖くないのかな」
 恐る恐る、その手を伸ばしてみたけれど。
 そっとその手を引いてしまう……やっぱり怖い、って。
「水の中は好きなんだ」
 ふと零れるのは、ディフの声。
 そして自分へと視線向けた悠里へと、こう続ける。
「全て沈めて水を揺蕩うと、不思議と己の内の声も聞こえそうな気がして」
 ――聞こえやしないかと、いつも期待してしまうんだ、って。
 でも自分は、からっぽの人形。
 故に知らなくて……だから知ろうって、そうは思うのだけれど。
 ディフは友へと、静かに笑んでみせる。
 ……聴こえないけれどね、って。
 今宵も己の内はいくら耳を澄ましても、やはりからっぽ……静寂のままだから。
 そんなディフの言葉に、悠里は瞳をぱちくりとさせて。
「そうなの?」
 そう、きょとりとするけれど。
 でも……違うけれど、友と同じかもしれない。
 ――だって。
「僕は色んなものが見えて聞こえてしまうから。内容に耳を傾けてはいけないけれど……彼らは雄弁だから聞いている分には楽しいよ」
「ラジオみたいなものかい」
「ラジオ、そうかも」
 悠里はそっと瞳を細めてから、こう続ける。
 ――でも自分の声は聞こえないんだ、って。
 自分達は色々と違うけれど、でも同じ……己の内の声が聴こえない同士だから。
 それから悠里は、ディフをそっと見上げて。
「我が儘を言ってもいい?」
 ――手を繋いで欲しい、って……そう紡げば。
 すぐに返ってくるのは、勿論だよって届いた声と差し伸べられる掌。
 そして友のものが重なれば、ディフはその手を引いて。
「そのくらい雄弁なら良かったんだけどね」
 交わした会話を思い返しながら、小さく笑って。
 星の海を優しくその手で掻く。静かに降る煌めきを、散りばめるように。
 そして悠里は、混ざり合う互いの体温を感じながらもその心に思う。
 ――誰かと一緒に揺蕩う青を泳いだ事覚えていて欲しい、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

青葉・颯夏
【セフィリカさん(f00633)と】

手に伝わる感覚が間違いなく水の中と言っているけど
苦しくないし、ちゃんと言葉も伝わってます
この前、海に行ったときは見ただけだったから
次は泳いでみるのもいいかもしれませんね

溺れる危険がないなら心置きなく楽しめるし
セフィリカさんがはしゃぐのも自然だと思いますよ
相棒さんにそう返しながら……本当は相棒さんも同じ気分なのかも

時間はともかくとして、このアングルからの眺めは多分ないはず
セフィリカさん、見るだけじゃなくて一緒に泳いでみません?


セフィリカ・ランブレイ
【颯夏(f00027)と!】

うおー!息ができる!
声も?ちゃんと伝わってる?
凄いなー、私、故郷には泳げる場所川しかなかったから水の中って新鮮なんだよね

身体も全然普通に動くし、ほら見て全然濡れてない!
『はしゃぎ過ぎ。颯夏も、大変でしょ。セリカうるさくて』
相棒の魔剣…シェル姉は呆れた声だ。仕方ないでしょ、この光景はそう味わえるものじゃない

でも、昼間たっぷり水族館巡りしたけど、光が落ちて……水槽の中から見ると、全然違う光景だよね
エイ、またいないかな? 真下から見られる事なんてそうないだろうし

オッケ!泳いでみよう!
魚の群れと並走してみたりとか、映えそうじゃない?
うーん、写真とか取りたくなっちゃう!



 ただでさえ薄暗い水族館の明かりが、最低限に落とされた後。
 どのくらい時間が経った頃だろうか……ふいに聴こえるのは、美しい歌声。
 人を惑わすような、甘く優しく怪しい歌声だけれど。
 それが怪異のものだということは、分かっているから。
 敢えて誘われるようにやってきた大水槽のガラスに、そっと手を触れてみれば。
 刹那吸い込まれるのは、ガラスの向こう側……大水槽の中。
 そこは本来ならば、呼吸をすることもできない水の中であるはずなのだけれど。
「うおー! 息ができる! 声も? ちゃんと伝わってる?」
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、そう瞳を大きく瞬かせながら、隣にいる青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)へと視線を向ければ。
「苦しくないし、ちゃんと言葉も伝わってます」
 こくりと頷きつつも、手に伝わる感覚を確認する颯夏。
 それは間違いなく水の中だと言っているのだけれど……呼吸もできるし、会話もできるし。
 何処からか響いてくる歌だって、聴こえている。
 セフィリカは一面青で持ちる世界を興味津々、ぐるりと見回した後。
「凄いなー、私、故郷には泳げる場所川しかなかったから水の中って新鮮なんだよね」
「この前、海に行ったときは見ただけだったから、次は泳いでみるのもいいかもしれませんね」
「身体も全然普通に動くし、ほら見て全然濡れてない!」
 颯夏の言葉に、大きく手足を動かして見せれば。
『はしゃぎ過ぎ。颯夏も、大変でしょ。セリカうるさくて』
 すかさず聞こえてくるのは、相棒の魔剣……シェル姉の呆れ声。
 そんな呆れた様子の相棒さんに、颯夏は目を向けて。
「溺れる危険がないなら心置きなく楽しめるし、セフィリカさんがはしゃぐのも自然だと思いますよ」
「仕方ないでしょ、この光景はそう味わえるものじゃない」
 そうそう! と言わんばかりに続いたセフィリカの姿に瞳細めながらも、そっと思う。
 ……本当は相棒さんも同じ気分なのかも、なんて。
 きっとそうでも、言ったら違うって言われるだろうから、敢えて言葉にはしないけれど。
「でも、昼間たっぷり水族館巡りしたけど、光が落ちて……水槽の中から見ると、全然違う光景だよね」
 セフィリカは昼間見たよりも静かで深い夜の青を改めて見渡してから。
「エイ、またいないかな? 真下から見られる事なんてそうないだろうし」
 きょろりと、夜の海をひらり飛ぶように泳ぐエイの姿を探して。
「時間はともかくとして、このアングルからの眺めは多分ないはず」
 颯夏も、滅多に見る事のできない海をこの目で見たいから。
 それを満喫できるような、こんなお誘いを。
「セフィリカさん、見るだけじゃなくて一緒に泳いでみません?」
「オッケ! 泳いでみよう!」
 勿論、すぐにそう返って来た声に、颯夏は小さく笑んでから。
 セフィリカと、神秘に満ちた夜の海の探検へ。
 いや……それは何も、ふたりとシェル姉だけではなくて。
「魚の群れと並走してみたりとか、映えそうじゃない? うーん、写真とか取りたくなっちゃう!」
 大水槽の中を気儘にすいっと泳ぐ、色とりどりの魚や海の生き物たちも一緒に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

芥辺・有
ロカジ/f04128

ガラスをすり抜ける手を見て
ほんとに入れるんだな
なんて少し驚きはするけど
……何、子どもみたいな顔してるね
振り向く顔に肩を竦めて、続くみたいに水に入っていく

一、二歩と歩いてみて
そうだね、なんか変わった感じだ
息苦しくないってのは初心者にゃ大助かりかもね
まあ、慣れたらなんとかなるんじゃないかな
……ビビるように見えるかい?

軽く跳ねたくらいで随分浮くな、なんて
だらりと力を抜いて下を過るモノを眺める
少なくとも私にはあり余りそうな広さだね

ん?今度はクラゲかい
忙しないね、ここ
すいと向きを変えようとして
うまく動けない時にゃ手を引かれて体勢を整えたり
……クラゲも言うほど楽じゃなさそうだったな


ロカジ・ミナイ
有/f00133

ガラスを通り抜けた手が、水中に触れている
驚きと好奇心に見開いた目を有ちゃんに向けた
君もワクワクしてるのかな、怖がってないかな、いつも通りかな
なんにしても僕はニッと笑って君を水中へ誘うのさ

泳ぐのは初めてだっけね
僕は得意だけども
しかし息も出来るし服も無事だし、なんて優雅な水中だろう
気分はどうだい?なんてことはないだろう?
……ビビってる?

力を抜いて浮いてみりゃ
僕らの下をジンベイザメが通ったりね
何畳あるんだろ?ワンルームじゃきかないな

ホレホレ、あっちにクラゲがいるよ
ついといで
はぐれちゃいけねぇって、必要なら手を引いてやって
クラゲの真似っこに笑って吹き出したって
ここじゃなんてことはない



 照明が落ちた真夜中の水族館は、夜の闇と静寂で満ちているけれど。
 だからこそ、聴こえる歌に導かれた先……見上げるほど大きな水槽が纏う煌めきが、星の様に落ちて。
 海の世界と此方の世界を隔てるはずのガラスを、そうっとその手で触れてみた……はずだったのに。
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は刹那、ぱちりと思わず瞳を見開いてしまう。
 ずぶりと、通り抜けるはずのない境界をすり抜けた手が、水中に触れていたから。
 そんな驚きと好奇心のいろを宿した青の瞳を尚も瞬かせながらも。
 ロカジが視線向けるのは、隣にいる芥辺・有(ストレイキャット・f00133)。
「ほんとに入れるんだな」
 なんて、ガラスをすり抜ける手を見て、少し驚きはする有だけれど。
 ちらりと彼へと視線を返しつつ、肩を竦める。
「……何、子どもみたいな顔してるね」
 ――君もワクワクしてるのかな、怖がってないかな、いつも通りかな。
 そう愉快気にニッと笑って、自分を水中へと誘うロカジを見遣りながら。
 彼に続く様に、有も真夜中の青へと吸い込まれてゆく。
 そして、水底を一歩、二歩とそうっと歩いてみれば。
「泳ぐのは初めてだっけね」
 ……僕は得意だけども、って。
 すいっと水を上手に掻いてみせるロカジの言葉に、有は小さく首を傾ける。
「そうだね、なんか変わった感じだ」
 ふわふわ浮くような、でもゆっくりと沈んでゆくような。
 地に足がついていても、ゆうらり揺れる不安定な感覚。
 そんな慣れない様子の有に、ロカジは再び目を向けて訊ねてみる。
「しかし息も出来るし服も無事だし、なんて優雅な水中だろう」
 ……気分はどうだい? って。
「なんてことはないだろう?」
「息苦しくないってのは初心者にゃ大助かりかもね」
 ……まあ、慣れたらなんとかなるんじゃないかな、なんて。
 慎重に一歩ずつ進むその姿を見て。
 楽しそうに笑み宿し、ひょいとロカジはその顔を覗きこむ。
「……ビビってる?」
「……ビビるように見えるかい?」
 ちらりと返された視線とそんな声に。
 彼女に向けられるのはやっぱり、子どもみたいな彼の顔。
 それから少し慣れきて、水底をトンと蹴ってみれば。
「軽く跳ねたくらいで随分浮くな」
 まるで星が降る夜空へぷかりと浮かんで飛ぶような、不思議な感覚。
 そしてゆうらりだらりと、力を抜いて流れのまま揺蕩ってみれば。
「何畳あるんだろ? ワンルームじゃきかないな」
「少なくとも私にはあり余りそうな広さだね」
 ふたりの下をゆうらりと通り過ぎるジンベエザメ。
 星を纏うような大きな背は、一人で住むには贅沢すぎるくらい。
 いや、ゆらゆらと海のいろを漂うのは、何もジンベエザメだけではない。
「ホレホレ、あっちにクラゲがいるよ」
「ん? 今度はクラゲかい。忙しないね、ここ」
 ロカジが指した方へと、すいと向きを変えようとした有だけれど。
 くるりと身体が回ってしまいそうで、なかなか思う様に動けない。
 そんな彼女の元へ、すいっと得意の泳ぎで近づいて。
「ついといで」
 差し出した掌に重ねられたその手を引きながら、ロカジはまた無邪気に笑う。
 ――はぐれちゃいけねぇ、って。
 そして引かれる大きなその手を頼りに、何とか体勢を整えてから。
「……クラゲも言うほど楽じゃなさそうだったな」
 ふっとそうひとつ息を吐いた有に、一層ロカジは愉快気に笑む。
 クラゲの真似っこは意外と骨が折れるけれど、でも、可笑しくて噴き出してしまって。
 奇天烈な夜にゆうらり揺れる水の中――ここじゃそれも、なんてことはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草守・珂奈芽
【ウミホタル】

うわ、ホントに海の中だー!?ふわふわして変な感じ!
でも蛍石体質?で猟兵になる前は水も塩も苦手だったから感動なのさ!
だから、うん、泳ぐのなんて初めて。
エスコートお願いしちゃおっかな、なーんてね?
ちょっと不安だけどそれは内緒っ。

交渉なんてできるの?ってわわ、おっきいサメさんなのさ。
乗ったり掴まったりして平気?えへへ、ありがとうね。
背びれにきゅっと抱き着いて連れて行ってもらうのさ。
すごいね、飛んでるみたいなのさ!
水の中ってこんなに綺麗だったんだ!

シェキザくんは平気なの?さっすが海の子なのさ。
…うん、なまら安心できるのさ。やっぱり優しい光だあね。
優しいしカッコイイね、海賊さんなのにね?


シェキザ・シップスキャット
【ウミホタル】
海ん中なら慣れたモンだ
さぁて、オレぁ当然泳げるが、珂奈芽はそうじゃあねんだろ?
ハハ、海賊にエスコート頼むヤツがいるたぁ驚いた
――お手をどうぞ、なんてな

UCでサメの言葉がわかるゴーストを翅から呼ぶ
言葉がわかるってか、サメのゴーストなんだが
(ただし外見は青白い炎のような姿)

泳いでるジンベイザメに話つけてきてくれ
あいつら温厚だし、何より耳がいいかんな
背ビレん掴まっても気にしねぇヤツがいい

よォ、夜なのに来てくれてありがとさん。ツレ乗せてくれ
そしたら、サメの耳を頼りに進まぁな
夜の海をゆっくりと、先へ
オレは掴まらずにサメの傍で泳ぐ
こんくらいなら疲れやしねぇ
それに、光は見えてたほうがいいだろ?



 静寂に包まれた真夜中の水族館にふと響くのは、美しい歌声。
 その歌が、人を惑わす怪しいものであることは、分かっているのだけれど。
 敢えてそれに誘われやって来たのは、深い夜の青が満ちる大水槽の前。
 ガラスの向こうに広がる海を模した世界には、本来ならば触れる事すらできないはずだけれど。
 ふと掌を伸ばしてみれば……ずぶりと吸い込まれる水の中。
 いや、真夜中の水族館を楽しんだ者に起こる怪異についても、聞いてはいたけれど。
「うわ、ホントに海の中だー!? ふわふわして変な感じ!」
 ゆうらりふわり、海の青に緑の彩りを躍らせながら。
 草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)は覚束ない足元に声を上げつつも。
「でも蛍石体質? で猟兵になる前は水も塩も苦手だったから感動なのさ!」
 きょろりと、好奇のいろを宿した星彩の瞳を煌めかせる。
 そんな、ちょっぴり水の中が不慣れな様子の珂奈芽とは逆に。
 ――海ん中なら慣れたモンだ、と。
 シェキザ・シップスキャット(セントエルモの灯は踊る・f26310)は、すいっと水中を掻いてみせて。
「さぁて、オレぁ当然泳げるが、珂奈芽はそうじゃあねんだろ?」
「うん、泳ぐのなんて初めて」
 こくり頷いた珂奈芽は、ちらりと彼を見て軽い調子で続ける。
「だから、エスコートお願いしちゃおっかな、なーんてね?」
 ちょっぴり実は不安だけど……それは内緒。
 そんなお願いに、シェキザは笑って返してから。
「ハハ、海賊にエスコート頼むヤツがいるたぁ驚いた」
 ご所望通り、珂奈芽へと手を差し出す。
 ――お手をどうぞ、なんてな、って。
 それから重なったその手を引いて、先導する様に海をすいっと泳いでゆきながら。
 ひらりとシェキザが揺らした翅から喚んだのは、荒波を切るかの如く現れたサメのゴースト。
 青白い炎のようなそのゴーストは、サメの言葉がわかるから。
「泳いでるジンベイザメに話つけてきてくれ」
 シェキザが選んだ交渉相手は、この大水槽で一番大きなジンベエザメ。
「あいつら温厚だし、何より耳がいいかんな。背ビレん掴まっても気にしねぇヤツがいい」
 海の生き物のことならよく知っているから。
 そして暫し待てば、すいっと泳いでジンベエザメを連れてくるゴースト。
 シェキザはゆうらり姿を見せたジンベエザメに、こんなお願いを。
「よォ、夜なのに来てくれてありがとさん。ツレ乗せてくれ」
「交渉なんてできるの? ってわわ、おっきいサメさんなのさ」
 近くでみれば、その身体はさらに大迫力。
 けれどシェキザの言う様に、のんびりやさんみたいだから。
「乗ったり掴まったりして平気?」
 訊ねる珂奈芽の声にも、嫌そうな素振りは全くないから。
 ……えへへ、ありがとうね、って。
 そう笑み零しながらも、そうっとその背に乗って、背びれにきゅっと抱き着けば。
「……! わ、すごいね、飛んでるみたいなのさ!」
 ――水の中ってこんなに綺麗だったんだ! って。
 キラキラと煌めき降る海の星間を泳ぎ始めたジンベイザメの背で、幻想的な青の世界を見回す珂奈芽。
 そして耳の良いサメに、行く先はお任せして。夜の海をゆっくりと、先へ。
 けれど、シェキザは敢えてその背びれには掴まらずに、サメの傍で泳いで進む。
 そんな彼に、ふと首を傾けて。
「シェキザくんは平気なの?」
「こんくらいなら疲れやしねぇ」
 返って来た言の葉に、さっすが海の子なのさ、とこくこく納得する珂奈芽の手を引きながら。シェキザは、こう続ける。
 ――それに、光は見えてたほうがいいだろ? って。
 深い青に灯るのは、青白き夜の灯火。
 その仄かに照る光はいつだって、海の導きとなる。
 それに……少しだけ不安だったはずの気持ちも。
「……うん、なまら安心できるのさ。やっぱり優しい光だあね」
 彼の青が行く道を照らしてくれれば……いつの間にか心が穏やかに凪ぐ様な感覚がして。
 珂奈芽は頼もしくも優しいその姿に、安心したような、けれど楽し気な笑みを零す。
 ――優しいしカッコイイね、海賊さんなのにね? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユリィ・ミディット
【周囲の様子を観察してみる】

さっきは…入れ物の中の生き物を見てたけど…入れるとは思わなかった
…こういう風にして、あの生き物達は入ったのかな
ぶわぶわして変な感じ

歌声みたいなものが聞こえるけど…この中に居ると、記録で見た「オルゴール」の中にいるみたいだ…
小さいのから大きいのまで、沢山の生き物が周りを動いているし…
何だか、楽しいかも

死亡しているのじゃなくて、こういう所には動かない生き物も居るって何かで見た
「ヒトデ」とか「貝」とか、そういうものだったと思う
触ると危険なものもあったと思うから、気を付けないと

底をゆっくり歩きながら、耳を澄まして音を聞く
上や周りも見て歩く
何か、面白そうなものが見つかるといい



 真夜中の水族館にふと響く歌声に、ふらり誘われる様に。
 辿り着いた大水槽へとそっと手を触れてみれば、ずぶりと吸い込まれたのは水の中。
「さっきは……入れ物の中の生き物を見てたけど……入れるとは思わなかった」
 ……こういう風にして、あの生き物達は入ったのかな、なんて。
 ユリィ・ミディット(銀色の月・f30122)は、こてりと首を小さく傾けながらも、そっと一歩踏み出してみるけれど。
 いつも歩いているのとは全く違う感覚に、澄んだアメジスト色の瞳をぱちりと瞬かせる。
 ……ぶわぶわして変な感じ、って。
 そして、月の如き銀の髪をふわり夜の青に揺らしながら。
 ふと聴こえてくる歌に耳を澄ましてみれば。
 この中は記憶で見たものと何だか似ているって、そう思う。
(「歌声みたいなものが聞こえるけど……この中に居ると、記録で見た「オルゴール」の中にいるみたいだ……」)
 蓋を開ければ鳴り響く、オルゴールのようだと。
 それから改めて、深い青の世界へと紫の視線を巡らせれば、そこには沢山の海の生物の姿が息づいていて。
(「小さいのから大きいのまで、沢山の生き物が周りを動いているし……」)
 ユリィはじいっとそれらを見つめながら、双眸の宝石を細める。
 ――何だか、楽しいかも、って。
 そんな彼が次に見つけたのは、じっとひたすらその場に留まっているものたち。
(「死亡しているのじゃなくて、こういう所には動かない生き物も居るって何かで見た」)
 ……「ヒトデ」とか「貝」とか、そういうものだったと思う、って。
 まるで星が水底に流れ落ちてきたようなそれらも、生きているのだという。
 そしてそれらに、思わず手を伸ばしたくなるけれど。
 でも、ユリィはちゃんと何かで見て知っているから。
「触ると危険なものもあったと思うから、気を付けないと」
 もしかしたら、すやすやと寝ているのかもしれないし。
 ユリィは深く濃い青の水底をゆっくり歩きながら、改めて耳を澄まして音を聞きながら。
 キラキラと静かに光が降ってくる海を見上げ、夜空の様な周囲も見回して歩く。
 オルゴールの様に歌を響かせる、大水槽という入れ物の中を。
 ――何か、面白そうなものが見つかるといい、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
千之助(f00454)と

あの魚、刺されると痺れますね、とか。
魚に触れて、火傷させてしまわないだろうか、とか…
呼吸や濡れない事とも同じ様に、案ずる必要など無ければ良いと思う。
だって彼、やっぱり楽しそうだから
…って、まーた観察しちゃってますが。

水面近くまで上ったり、下りたり。
来た方から奥まで、ぐるり回ってみたり。
…装備はある。
着衣水泳くらい当然出来る。
己の役目も見失ってはいない。
恰もサイレンの歌…
被害を出さぬ為にも、出所を探り――

って、何か視線を感じる様な?
何考えてらっしゃるんでしょう…?と気になりつつ。
魚達の、優しい青の世界。
だからつい、彼へと手を差し出して。
はい。一緒に楽しく、お仕事しましょ?


佐那・千之助
クロト(f00472)、この魚はさわっていい?
痺れ、やけど…OK、これは見るだけ
…彼の声が頭に響くのは少し照れる

歌声の方角を辿ろうと目蓋をおろし
第六感に身を任せ、これはと目を開けたら
目の前におわすジベザベス
そなたが怪異…!
ではない
実物は大迫力、大かわいい
触れてよさそうならそろーっと撫で
これが…サメ肌…!

振り向けば透き通る宵色を泳ぐ彼
綺麗…
貝から生まれたヴィーナスか何かか
揺蕩う髪も海色の瞳も白い肌も人魚のようで
もし海で歌を歌ったなら大型船が彼のまわりに渋滞しそう
はっ、思考が脱線した
好きがすぎる

いつも考えるのは彼の事
仕事中に楽しそうな彼を見ると嬉しい
楽しいお仕事いっぱいしよう
今度は彼に手を引かれて



 美しくも怪しい歌が響く真夜中の水族館をゆき、水槽へと触れてみれば。
 そこは数多の命が息づく、青き水中の世界。
 けれど広がるいろは、ただ夜を染める深い青だけではなく。
 気侭にすいっと泳いだり水底を這ったりしている生き物たちの、多種多彩ないろ。
 そんな水槽の中を、そわりと見回して。
 佐那・千之助(火輪・f00454)は、夢かわ色をした可愛い魚を見つけるけれど。
 念のため、すぐ隣にいるクロト・ラトキエ(TTX・f00472)に訊ねてみる。
「クロト、この魚はさわっていい?」
「あの魚、刺されると痺れますね。毒で火傷したように爛れたりも」
 痺れ、やけど……そう、返ってきた言葉を反復する様に千之助は呟いてから。
「……OK、これは見るだけ」
 伸ばしかけた手をそっと引きつつ、可愛いいろをしているけれど結構えげつない魚さんは見るだけに。
 そして、いちいち可愛い海の生物さんたちとじっと見つめ合うその姿を眺めながらも、クロトは思う。
(「魚に触れて、火傷させてしまわないだろうか……。呼吸や濡れない事とも同じ様に、案ずる必要など無ければ良いのだけれど」)
 ――だって彼、やっぱり楽しそうだから、って。
 そして魚と戯れる姿を、微笑まし気に見守りつつ。
(「……って、まーた観察しちゃってますが」)
 海の生き物ではなく、千之助からどうしても目が離せない。
 そんな自分を見つめているクロトに、再び訊ねる千之助。
「このゆるかわな生き物は、さわっていい?」
「それは大丈夫ですね」
 そして、こくり頷いて返すクロトをちらりと見て、そっと思う。
 ……彼の声が頭に響くのは少し照れる、って。
 けれど水槽内にやって来た目的は、海の生き物さんたちと戯れることだけではない。
 響いてくる歌声の方角を辿ろうと、ふっと目蓋をおろし、第六感に身を任せてみる千之助。
 そして、満を持して――これはと。
 目を開けたら、そこには。
「そなたが怪異……!」
 ……ではなく。
 目の前におわすのは、ゆらりといつの間にか近寄ってきたジベザベス3世。
 いや……実物は大迫力で、そして大かわいい。
 それからのんびりゆったり泳ぐジベザベスへと手を伸ばし、そろーっとその身体をよしよし撫でてみれば。
「これが……サメ肌……!」
 ざらっとした、さすがサメ肌な手触り。
 そんなジベザベスときゃっきゃ……いえ、探索している千之助と手分けして。
 水面近くまで上ったり、下りたり、来た方から奥まで。
 クロトはぐるり回ってみたりしながらも、再度しっかりと確認する。
(「……装備はある。着衣水泳くらい当然出来る。己の役目も見失ってはいない」)
 大水槽に響くそれは恰も、人を惑わすサイレンの歌。
 被害を出さぬ為にも、出所を探り――クロトがそう、青の海を泳げば。
 ――綺麗……。
 ふと振り向いた千之助は、そう思わずにはいられない。
 透き通る宵色にだけでなく、二藍の双眸の中にも泳ぐ、彼の姿を見つめて。
(「貝から生まれたヴィーナスか何かか。揺蕩う髪も海色の瞳も白い肌も人魚のよう」)
 ……もし海で歌を歌ったなら大型船が彼のまわりに渋滞しそう、なんて。
 クロトを見つめる千之助。
 いや、サイレンの歌なんかよりもよほど、その姿に惑わされているし。
 惑わされたって、構わない――。
(「はっ、思考が脱線した」)
 千之助はふるふると尊さに小さく首を降りつつも、改めて思うのだった。
 ……好きがすぎる、って。
(「って、何か視線を感じる様な?」)
 ――何考えてらっしゃるんでしょう……?
 そう自分をガン見している気がする彼の考えていることが気になりつつも。
 見回してみれば……魚達の、優しい青の世界。
 だから、つい――クロトが彼へと差し出すのは、手。
 千之助はその手に己のものをそっと重ねて。
「楽しいお仕事いっぱいしよう」
「はい。一緒に楽しく、お仕事しましょ?」
 互いに視線を重ね、顔を見合せ微笑みあって。
 すいっと一緒に、青のいろを揺蕩う。
 そして、今度は彼に手を引かれながら。
 ……仕事中に楽しそうな彼を見ると嬉しい、って。
 千之助は、藍と紅が重なる二藍をそっと細める。
 ――何考えていたか、って? そんなの、決まっている。
 いつも考えるのはそう、彼の事。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
水槽の中に取り込まれたら
一度『外』を見てみよう
こんな体験は貴重なものだから
少しくらい魚の気分を味わうのも悪くはない

にしても……
何となく懐かしいような気分が良いような気がする
やっぱり竜神の血みたいなものの影響だろうか?

抱き枕代わりのイルカのぬいぐるみを片手に抱えて探索
棲家の影とか
岩の影とか……そういう処なんだろうか?

ん?ダメだぞ?
これは俺のイルカだからな?
そんな風に興味あるって態度で来てもやらないぞ?
だめだって……
これはちょうど抱えたサイズが
俺専用の抱き枕(竜神である叔父の尻尾)に近くていいんだ

そう訴えれば
突いていた魚が仕方ないね、と言いたげに離れるのを見送って

イルカを抱きかかえ直すと探索再開



 先程までは、ガラスの外から眺めていた世界。
 そこはガラスに阻まれて、触れる事など叶わないはずの場所であるのに。
 歌に誘われる様に手を翳してみれば、吸い込まれたのは一面の青の中。
 けれど、鈴久名・紡(境界・f27962)がふと、まず視線を向けるのは、そんな取り込まれた青の世界ではなくて。
(「一度『外』を見てみよう」)
 怪異の仕業という事はわかっているけれど……こんな体験は貴重なものだから、と。
 見つめるのは、さっきまで自分がいた外の風景。
 ――少しくらい魚の気分を味わうのも悪くはない、って。
 それから紡は、ふと首を傾ける。
(「にしても……何となく懐かしいような気分が良いような気がする」)
 それが何故なのかは分からないけれど、心当たりはある。 
 ……やっぱり竜神の血みたいなものの影響だろうか? って。
 そして大水槽の中を紡は探索するべく歩き出す。
 今宵の冒険の相棒である、抱き枕代わりのイルカのぬいぐるみを片手に抱えて。
(「棲家の影とか、岩の影とか……そういう処なんだろうか?」)
 そうきょろり、イルカさんと一緒に、何か手掛かりなどないか探していたら。
 ――つんつん。
「ん? ダメだぞ? これは俺のイルカだからな?」
 イルカさんにじゃれてくる魚に気が付いて、さっと背中の後ろに咄嗟に隠してみるけれど。
 ――つんつんつん。
「そんな風に興味あるって態度で来てもやらないぞ?」
 すいっとすぐにまた回り込んで、イルカさんをつんつんするお魚さん。
「だめだって……これはちょうど抱えたサイズが、俺専用の抱き枕に近くていいんだ」
 ちなみに彼専用の抱き枕とは、竜神である叔父の尻尾のことです。
 そうじっと見つめ合い、攻防を繰り広げ、頑張って訴えてみれば。
 すいすいっと諦めて群れに紛れるお魚さん。仕方ないね、とでも言いたげに。
 そんなお魚さんを見送り、つんつんから死守したイルカさんをぎゅっと抱え直して。
 紡は再び探索を再開する。叔父の尻尾に似た尾鰭を、そっともふもふしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾宮・リオ
駒知さん(f29614)と



歌声に誘われて
吸い込まれた大水槽の中
突然の事に瞬きひとつ
水中で息が出来るのは凄いですね
こうして水底を歩けるのも不思議です

駒知さん、泳げますか?

返答に優しい眼差しを向けて
恥ずかしがる事はありませんよ
誰でも出来ないことはありますし
君が泳げないのなら
僕がエスコートしますね

そっと手を差し出して
共に青の世界を巡る旅に

折角の真夜中の冒険ですし
少しくらい楽しみましょうか
駒知さんと一緒に過ごせる時間は
僕にとっても掛け替えのないものですよ

彼女の両手を引いて
天に向かい、ゆっくりと泳ぐ
慣れない事に辿々しくも
確りとついてきてくれる彼女の姿に
自然と口許には微笑みが浮かんでいた


明日川・駒知
リオくん(f29616)と
アドリブ、マスタリング歓迎

_

「…あら」
こういうこともあるのですね、と
ぱちりと一つ、瞬き

……お恥ずかしながら、私、泳げないのです。
此度は歩くことが出来たのが幸いですが、ふと足を地から離すと一気に不安定に。
見様見真似で動こうとしてもなんだかぎこちなく。
彼のお言葉に甘えて、そっと手をとり

…そうですね、こんな経験もう二度とないかもしれません。
少なくとも貴方と過ごすこの一分一秒は、同じものはない唯一無二。
リオくんの手に引かれ、ゆっくりと泳ぎ
それはまるで空へ昇るようで──
そして、月明かりに照らされた彼の微笑みがひどく美しくて。
印象的だったことを…憶えています。



 それは夢の続きか、それとも――。
 微睡みの中、ふいに聴こえてきたのは美しい歌声。
 そんな響きに誘われて、吸い込まれたのはガラスの向こう側……大水槽の中。
 起こる怪異の話は、事前に聞いていたとはいえ。
「水中で息が出来るのは凄いですね。こうして水底を歩けるのも不思議です」
 尾宮・リオ(凍て蝶・f29616)は突然の事に橙の瞳をぱちくり、瞬きひとつ。
 いや、それはリオだけでなくて。
「……あら」
 ……こういうこともあるのですね、と。
 彼と揃って、ぱちりと一つ瞬きを落とすのは、明日川・駒知(Colorless・f29614)。
 リオは、そんなすぐ隣にいる彼女へと訊ねる。
「駒知さん、泳げますか?」
 その声に、ちらりと駒知は彼を見上げて。
「……お恥ずかしながら、私、泳げないのです」
 そっと、そう返す。
 今回は水底を歩くことができるから、まだよかったけれど。
 でも……ふと足を地から離すと、一気に不安定になってしまうし。
 見様見真似で動こうとしても、くるっと回ってしまいそうだったり、なかなか前に進めなかったり……なんだかぎこちなくて。
 ちょっぴり恥ずかしそうに俯いた駒知に、リオが向けるのは優しい眼差しと言の葉。
「恥ずかしがる事はありませんよ。誰でも出来ないことはありますし」
 そして彼女へと、そっと手を差し出しながら続ける。
 ――君が泳げないのなら、僕がエスコートしますね、って。
 さっきは可愛いって言われてしまったけれど……今度は確りと、格好良いところをと。
 重ねられたその手を引いて――共に、青の世界を巡る旅に。
 その目的は、響く怪しい歌声を辿って、事の元凶を見つけることであるのだけれど。
「折角の真夜中の冒険ですし、少しくらい楽しみましょうか」
「……そうですね、こんな経験もう二度とないかもしれません」
 星の如く静かに降る煌めきの間を、すいっと泳ぎゆきながら。
 ゆうらり、ふたりで手を繋いで……暫し煌めく青の世界を揺蕩ったって、きっといいはず。
「少なくとも貴方と過ごすこの一分一秒は、同じものはない唯一無二」
「駒知さんと一緒に過ごせる時間は、僕にとっても掛け替えのないものですよ」
 だって、自然と微笑み合う互いの気持ちは、一緒だから。
 水底からふわりと足が離れても、今は平気。
 彼に手に引かれ、ゆっくりと泳いでゆけば、それはまるで空へ昇るようで。
 駒知は、花開かせた闇宵に映る彼から、目が離せない。
 月明かりに照らされた彼の微笑みが、ひどく美しくて。
 そしてリオが自然と口許に微笑み咲かせてしまうのは、手を引いている彼女のせい。
 慣れない事に辿々しくも、確りとついてきてくれるその姿が……やっぱり、可愛らしいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

大丈夫ですよ、ザッフィーロ
どこであろうと、僕がきみを導いてみせますとも
そう、この不可思議な水の中でも、ね

握った手をしっかりと確かめれば、ゆっくりとかれの歩みに合わせて進み水槽の中へと
不思議ですね
ゆったりと泳ぐかれらの世界のなかに、自分たちもいるとは……

ゆったりと泳ぐマンタが見えたと思えばすっと前へと立ちはだかるかれに笑って
言ったでしょう、僕はきみが一番いいと
でも、妬いているきみもとても可愛らしいです
それにほら、あちらの僕もあちらのきみに夢中のようですよと
マンタへゆっくり近づくジンベイザメを見上げ
それからチンアナゴを見つめるかれには笑って行きますよと声をかけましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

水槽の中に入るのか…?
い…いや、本物の海底ではない故まだ良いが…
…宵、手を離すなよ…?

水槽に入る瞬間は一瞬強張るも、繋いだ手を見れば肩から力を抜こう
先程眺めていた場所に入っているのだなと感慨深げに周囲へ視線を
だが、なんだ。宵が格好いいと言っていたマンタを見ればそっと宵とマンタの間に割る様に身を滑らせてみよう
否…その、妬いている訳では…
そう視線を逸らしかけるも、共に泳ぐマンタとジンベイザメを見れば表情を緩めてしまうやもしれん
…、…本当に。互いに夢中なのは変わらんな

探索の途中顔を覗かせるチンアナゴには思わず足を止めてしまうやもしれん
…本当に面妖な…と
ああ、すまん。今行く故に、な



 照明も落ち、静寂と暗闇が広がる真夜中の水族館。
 そんな微睡みの中、ふいに聴こえてきた歌声を辿れば……眼前にあるのは、青を湛える大水槽。
 いや、深夜の任務にはこれまでも赴いているし、暗い中での活動は何ともないのだけれど。
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、思わずぴたりと足を止めて。
 不安気な瞳と声を、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)へと向ける。
「水槽の中に入るのか……?」
 聴こえてくる歌は、間違いなく目の前の水槽の中から聴こえてきているし。
 水槽の中へと吸い込まれる……今回起こる怪異のことだって、聞いてはいるのだけれど。
 やはり、ガラスの向こうの青の世界に身を置くのは、少々不安に思ってしまうザッフィーロであるけれど。
「い……いや、本物の海底ではない故まだ良いが……」
「大丈夫ですよ、ザッフィーロ」
 進むのを躊躇しているかれへと、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)はその手を差し伸べて。
 星瞬く深宵の瞳を細め、紡ぐ。
「どこであろうと、僕がきみを導いてみせますとも」
 ……そう、この不可思議な水の中でも、ね、って。
 ザッフィーロはそんな宵の手をきゅっと強く握って。
「……宵、手を離すなよ……?」
 やっぱり水槽に入る瞬間は一瞬強張ってしまうも……繋いだ手を見れば、肩からふっと力を抜いて。
 握った手をしっかりと確かめつつ、ゆっくりとかれの歩みに合わせ進む宵。
 そしてガラスに手を翳せば、水槽の中へと共に吸い込まれて。
「先程眺めていた場所に入っているのだな」
「不思議ですね。ゆったりと泳ぐかれらの世界のなかに、自分たちもいるとは……」
 そろりと周囲を見回しながらも感慨深げに言ったかれに、宵もこくりと頷く。
 そしてふと目を向けるのは、ひらりと深い青を泳ぐマンタ。
 その姿を見れば……おもむろにそっと、身を滑らせるザッフィーロ。宵とマンタの間に割って入る様に。
 だって、宵がマンタのことを格好いいと言っていたから。
 そんなかれの様子に、宵は一瞬瞳を瞬かせるも。
 すぐに笑み宿し、柔い声色で紡ぐ。
「言ったでしょう、僕はきみが一番いいと。でも、妬いているきみもとても可愛らしいです」
「否……その、妬いている訳では……」
 くすりと笑う宵から、ザッフィーロはそう視線を逸らしかけるも。
 ……それにほら、と。
 続けた宵の視線を追えば、そこには――マンタへとゆっくり近づくジンベイザメの姿が。
「あちらの僕もあちらのきみに夢中のようですよ」
「……、……本当に。互いに夢中なのは変わらんな」
 そう思わず表情を緩めてしまいながらも、ふたり手を確りと繋いで。
 いざ、水槽内の探索……を、していたのけれど。
 ふと再び止まる、ザッフィーロの歩み。
 そしてひょこりと顔を覗かせているそれらをじーっと見つめ、呟きを落とす。
「……本当に面妖な……」
 それはやはり気になってしまう、チンアナゴさんたち。
 そんな、チンアナゴを見つめるかれに笑って。
 行きますよ、と宵が声をかければ、素直に頷くザッフィーロ。
「ああ、すまん。今行く故に、な」
 そして……そう言いつつも、もう一度だけ。
 ゆらゆら揺れるチンアナゴたちを、ザッフィーロはちらり、チラ見するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
弟の真琴(f08611)と

スナメリさんな着ぐるみパジャマで
携帯のカメラ構えて準備万端

クリオネさん着ぐるみな弟が可愛くて
寝顔写真をこっそり撮影♪
起きたらおはよーって誤魔化すよ

真琴の絵の住人達に合わせる様に
私もかわいい海の仲間達を召喚
皆で大水槽の中へ

水の中をすーいすい
海の仲間のコミュ力活かしてお魚さん達と会話
情報収集しながら探索するよ

本物のスナメリさんいた!
一緒に泳いで
真琴のカメラにはいポーズ♪
めっちゃ楽しいね

ん?どうしたのお祖父ちゃんお祖母ちゃん?
遊んでばっかりいないで、怪異の元凶を探しなさいって?
大丈夫大丈夫、忘れてないよ?(忘れてた

手掛かり…
スナメリさんも何か知ってるかな?

※アドリブ大歓迎!


琶咲・真琴
姉さん(f12224)と

お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(familia pupa)に起きてーと言わんばかりに軽く揺さぶられながら行くよ

うぅ、はしゃぎ疲れて寝ちゃってた
姉さん選りすぐりのクリオネパジャマとぬいぐるみの抱き心地もよかったからかな
あれ、姉さんどうしたの?

UCを使い
寝落ちする直前まで描いていた絵から海の生き物を呼び出す

…うん、目が覚めてきた
今度はカメラで写真撮っていくぞー!
驚かさないようにフラッシュ機能は止めて…
よし、準備OK

姉さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん!
一緒に写真撮ろー

情報収集も抜かりなく
他の海の生き物さん達も知ってるみたい

今度はUDCさんのところにレッツゴー!

アドリブ歓迎



 消灯時間が過ぎて、どのくらい経っただろうか。
 真夜中の水族館にいる皆も、すっかりすやぁと夢の中……かと思いきや。
 スナメリさんな着ぐるパジャマをばっちり着こなし、準備も万端なのは鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)。
 そんなスナメリさんな小太刀がふいに構えるのは、携帯のカメラ。
 いや、だって可愛すぎだから……クリオネさん着ぐるみですやすや寝ている弟の姿が。
 水族館の何処からか、美しくも怪しい怪異の歌声が響いているけれど。
 琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)を起こそうとしたお祖父ちゃんとお祖母ちゃんには、ちょっぴりだけ待って貰って。
 小太刀はすかさず構えたスマホでパシャパシャと、可愛いクリオネさんな弟の寝顔をこっそり激写!
 そして何なら動画も撮りたかったところだけれど。
 可愛い寝顔写真を撮り終えれば、起きてーと今度こそ言わんばかりに、真琴を軽く揺さぶるお祖父ちゃんとお祖母ちゃん。
「うぅ、はしゃぎ疲れて寝ちゃってた」
 ……姉さん選りすぐりのクリオネパジャマとぬいぐるみの抱き心地もよかったからかな、なんて。
 目を擦りながら言った真琴は、眼前の姉の様子を見て、こてんと首を傾ける。
「あれ、姉さんどうしたの?」
 そんな弟に小太刀は、おはよーって誤魔化すように笑み返してから。
 いざ、歌声を追いかけ、姉弟仲良くおもむろに吸い込まれたのは、大水槽。
 そして真琴が喚び出すのは、寝落ちする直前まで探求者の筆を走らせ描いていた、絵の中の海の生き物たち。
 小太刀もそんな真琴が描いて喚んだ絵の住人達に、合わせるかの様に。
 ――私もかわいい海の仲間達を召喚!
 おいでおいでーと召喚するのは、コミュ力も高い愉快でかわいい海の生き物っぽい仲間達。
 それから皆で、大水槽をすーいすい。
 海の仲間のコミュ力活かしてお魚さん達と会話し、情報収集しながら探索をしていれば。
「……うん、目が覚めてきた」
 ――今度はカメラで写真撮っていくぞー!
 真琴もそう、先程のリベンジの写真撮影を。
 ちゃんと驚かさないようにフラッシュ機能は止めてから。
「よし、準備OK。姉さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん! 一緒に写真撮ろー」
 そんな真琴の言葉に小太刀が頷いた、その時だった。
 大きく見開いた小太刀の瞳に飛び込んできたのは――。
「本物のスナメリさんいた!」
 そう、纏う着ぐるみパジャマと同じ、ゆるかわなスナメリさん!
 そんな遊びにきてくれたかのようなスナメリさんと一緒に、すいっと泳いで。
 小太刀はすかさず、真琴の向けたカメラに――はいポーズ♪
 めっちゃ楽しいね、なんて笑い合っていれば。
「ん? どうしたのお祖父ちゃんお祖母ちゃん? ……遊んでばっかりいないで、怪異の元凶を探しなさいって?」
 ちょんちょんと袖を引く、お祖父ちゃんお祖母ちゃん。
「大丈夫大丈夫、忘れてないよ?」
 いえ、怪異のことを忘れていたなんて、そんなことは……うん、ちょっぴりだけ!
「手掛かり……スナメリさんも何か知ってるかな?」
「他の海の生き物さん達も知ってるみたい」
 ちゃんと情報収集も、抜かりなくやります!
 大水槽には、スナメリさんをはじめ、沢山の海の生き物さんたちがいるし。
 ふたりが喚んだ、絵の中の海の生き物たちや、愉快でかわいい海の生き物っぽい仲間達も一緒だから。
 わいわい賑やかに、みんなで青の世界を探索して冒険をする。
 そして着ぐるみなスナメリさんやお祖父ちゃんお祖母ちゃんと共に、着ぐるみなクリオネさんはすいっと大水槽を泳ぐ。
 ――今度はUDCさんのところにレッツゴー! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
いざ、大冒険の始まり始まりーなぁんてね

まず向かうのは勿論ジベザベスのもと
他の魚たちに混ざって彼についていく
隣で泳いでみたい、そんな夢が早速叶うなんて

次は小さくて綺麗な模様の魚が近づいてきて
そっと手を差し出してみれば
興味深そうに指先にツンツンされ
ちょっとくすぐったい感触が気持ちいい

ねぇ梓、見て見て
この子たちとっても可愛いよー……って
梓ってば可愛い仔竜たちをガン見してて
だめだこりゃ、すっかり自分の世界に入ってる
彼にとってはこの水槽の魚たちよりも
何よりも可愛い存在だからね、仕方ないね

…でもちょっとくらい俺の相手もしてほしいなって
えいっと後ろから不意打ちチョップ
んー?怪異の仕業じゃないー?


乱獅子・梓
【不死蝶】
さぁて、お楽しみの大水槽探検の時間だな
でもあんまり一人で遠くに行くなよ
迷子になるぞ
まるで父親が子どもに言うような注意を綾に
…聞いてるのか聞いてないのか
一目散にジベザベスのもとに行ってしまったが

ほら、お前たちも好きなだけ泳ぎな
焔と零も水槽内に放ち自由に泳がせる
魚と並行してスイスイと泳ぐ様…
小さな魚たちに囲まれツンツンされて困っている様…
いつの間にか真後ろにジベザベスが迫っていて
大慌てで逃げる様…
ああ、何もかも可愛いなこいつらは…!
余すことなく写真に収めたいところだが
フラッシュ焚くと他の魚たちの迷惑になるし我慢我慢
しっかりガン見してこの目に焼き付けよう

あだっ!?
おい、突然何しやがる綾!!



 シンと静まり返った真夜中の水族館に、何処からともなく歌が響き出せば。
 辿り着いた大水槽の中で始まるのは、そう!
「さぁて、お楽しみの大水槽探検の時間だな」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の言うように、先程まではガラスの外から眺めていた水の中をゆく、大冒険。
 けれど、わくわくした様子の灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)へと、梓は言って聞かせておく。
「でもあんまり一人で遠くに行くなよ。迷子になるぞ」
 そんな、まるで父親が子どもに言うような注意を。
 けれどやっぱり、案の定……?
「いざ、大冒険の始まり始まりーなぁんてね」
 聞いてるのか聞いてないのか……すいっと、一目散にまず綾が向かうのは。
「隣で泳いでみたい、そんな夢が早速叶うなんて」
 そう、勿論――ジベザベス3世のもとへ。
 ゆったり泳ぐ大きな彼に、綾もすいすいっとついていく。他の彩り鮮やかな魚たちに混ざって。
 そしてジベザベスとすいすい、青の世界をお散歩した後。
 ひらりと近づいてきたのは、小さくて綺麗な模様の魚。
 ふとその子に、そっと手を差し出してみれば……興味深そうに、指先にツンツン。
 そんなツンツンと指にキスされるような感触に、綾はつい笑み零してしまう。
 ……ちょっとくすぐったい感触が気持ちいい、って。
 そんな水槽の中の世界を存分に堪能している綾が迷子にならないよう、一応ちらりとその姿を確認してから。
「ほら、お前たちも好きなだけ泳ぎな」
 梓が大水槽の中に放つのは、焔と零。
 そして……ガウ、キュー、と。
 嬉しそうに鳴いて、自由にすいすいと泳ぐ仔ドラゴンの姿を見つめる梓は、勿論。
 ――魚と並行してスイスイと泳ぐ様……。
 ――小さな魚たちに囲まれツンツンされて困っている様……。
 ――いつの間にか真後ろにジベザベスが迫っていて、大慌てで逃げる様……。
「ああ、何もかも可愛いなこいつらは……!」
 やはり、親ばかムーブ全開です。
 そんな超絶可愛いうちの子たちを、余すことなく写真に収めまくりたいところだけど。
「フラッシュ焚くと他の魚たちの迷惑になるし我慢我慢」
 梓はそう、写真を撮ることは我慢する。
 だから、そのかわりに……しっかりガン見してこの目に焼き付けよう、と。
 無邪気に魚たちと遊ぶ焔と零の姿を、ひたすらじーっと見つめまくる。
 そんな梓に、綾はふと声を掛けるけれど。
「ねぇ梓、見て見て。この子たちとっても可愛いよー……って」
 梓は今、可愛い仔ドラゴンたちをガン見していて取り込み中……!?
「だめだこりゃ、すっかり自分の世界に入ってる」
 いや、彼の近くにいる綾は、よく知っているから。
(「彼にとってはこの水槽の魚たちよりも、何よりも可愛い存在だからね、仕方ないね」)
 所謂、親ばかというやつです、仕方ない。
 ……でも。
(「……ちょっとくらい俺の相手もしてほしいな」)
 綾は、仔ドラゴンを眺めることに夢中な梓の背後から、そうっと近づいて。
「えいっ」
「あだっ!?」
 後ろから、びしっと不意打ちチョップ!!
 そしてようやく自分へと目を向けて。
「おい、突然何しやがる綾!!」
 抗議の言葉を紡ぐ梓に、綾はしれっとこう言っておく。
「んー? 怪異の仕業じゃないー?」
 周囲のお魚さんたちにも、ねーって――そう同意を求め、楽しそうに笑みながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

うおっすげぇ
水槽の中にいる
俺入ってみたかったんだよな
餌やりしてんのとかいいなって

とりま行くか
手差出し海底歩こうと
海結構二人で行ったけど
水槽の中って思うと不思議だな
大体赤ちゃんアザラシとペンギンだし
どう見えてんだろな?
途中にいる海老突こうと
あっ逃げられた
えっ?
振り返り
…美味いぞ?

瑠碧姉さん
この辺ちっさい魚一杯いるぜ
海藻の陰覗き込み
引かれれば
おおそっとな

浮きあがるエイを追うように泳ぎ
あっマンタもいる…
てかどっちがどっちだ?
追いかけてジベザベス3世と合流すれば
すっげぇ迫力!
嬉しげに目細め
触って大丈夫かな?
おー結構なサメ肌

それにしても
どっから聞こえてんだ?
瑠碧姉さん分かる?
もう少し泳いでみるか


泉宮・瑠碧
【月風】

水槽の中…
暮らすには不向きですが
お魚達の気持ちは、分かるでしょうか
手を繋ぎ、水底の散歩へ

水中で…頭にですが会話も出来ますし、呼吸も
不思議でも、水の精霊の助けですいすい歩き
どう見える…赤ちゃんアザラシとペンギンの、大冒険…?
思案中に海老が逃げた方を見て
理玖の後ろへ
…殻が昆虫の様で、少し苦手な気が…
…私は、食べません

声に海藻の陰をそっと覗き
あ、本当…
小さく、挨拶とお邪魔していますを添えたら
静かに行きましょうと手を引いて

理玖に続いて泳いで
海中の子達はそんなに詳しくなくて…
エイとマンタを見比べていたら
ジベザベス3世も見えて皆にご挨拶

歌も、頭に届いてます…?
自分の感覚と、水の精霊にも訊いてみます



 消灯時間をとっくに過ぎた真夜中の水族館にふと響くのは、歌。
 そんな歌声を辿って、そっとふたりで夜の闇をゆけば。
 歌が響いてくるのはどうやら、やって来た大水槽の奥から。
 そして、そうっと水槽に触れてみれば――。 
「うおっすげぇ、水槽の中にいる」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)は思わずそう声を上げる。
 ガラスに阻まれるはずの手が、水の中へとずぶり入り込んで。
 気が付けば、吸い込まれてしまっていたのである。
 深い夜の海を思わせる、水槽の中に。
「俺入ってみたかったんだよな。餌やりしてんのとかいいなって」
 そう、夜の海を泳ぐ魚たちを目で追いながらも言った理玖の隣で。
「水槽の中……暮らすには不向きですが、お魚達の気持ちは、分かるでしょうか」
 そっと視線巡らせるのは、泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 そんな瑠碧に――とりま行くか、って。
 理玖が手を差し出せば、瑠碧もそっと重ねて繋いで。
 ふたり並んで、海底を歩く水底の散歩へ。
「海結構二人で行ったけど、水槽の中って思うと不思議だな」
「水中で……頭にですが会話も出来ますし、呼吸も」
 これは夢か幻か、いや、UDCの怪異の仕業であるのだが。
 不思議でも、水の精霊の助けですいすい歩く瑠碧。
 そして水槽の中というだけでも十分、非日常な感じだけれど。
「大体赤ちゃんアザラシとペンギンだし」
 ……どう見えてんだろな? って。
 自分と彼女の着ている着ぐるみパジャマ姿へと、改めて視線を向ければ。
 彼の言葉に、きょとりと首を小さく傾ける瑠碧。
「どう見える……赤ちゃんアザラシとペンギンの、大冒険……?」
 すごく、何だか可愛いです。
 そんな赤ちゃんアザラシさんと、確り手を繋いで。
 ヤンチャなペンギンさんが、途中にいる海老を突こうとした刹那。
「あっ逃げられた」
 ぴゅっと逃亡して隠れる海老。
 そんな海老の動きを見て、理玖の後ろへと隠れる瑠碧。
「……殻が昆虫の様で、少し苦手な気が……」
「えっ?」
 理玖はそう声を上げ、彼女を振り返ってきょとり。
 それから気を取り直して、改めて勧めてみるけれど。
「……美味いぞ?」
「……私は、食べません」
 彼の背中からそっと様子を窺いつつも、やはりふるふるとそこは断固拒否。
 そんな海老は、苦手なのだけれど。
「瑠碧姉さん、この辺ちっさい魚一杯いるぜ」
 海藻の陰をひょいっと理玖が覗き込んで声掛ければ。
 同じ様にひょこりと、瑠碧もそっと彼の隣で覗いてみる。
「あ、本当……」
 それから小さく、挨拶とお邪魔していますを添えたら。
 繋いだ理玖の手を瑠碧は引いて紡ぐ……静かに行きましょう、と。
 そんな言葉に理玖も小声で、おおそっとな、とこくり。
 だって、今は真夜中だから……海藻のベッドで、お魚さんたちも夢の中かもしれないから。
 そして海の底を歩くのも楽しいけれど。
 小さく地を蹴ってみれば、ふわりゆうらりと浮き上がって。
 理玖が追いかけっこするのは、ひらひら泳ぐエイ。
 いや、エイだけではなくて。
「あっマンタもいる……てかどっちがどっちだ?」
 マンタも発見するけれど、見分けがつかなくなってしまいました……?
「海中の子達はそんなに詳しくなくて……」
 瑠碧も首を傾けながら、エイとマンタをじっと見比べてみるけれど。
「すっげぇ迫力!」
 刹那、声をあげた理玖の前にゆったり現れたのは、ジベザベス3世。
 そんな大きな大きなジベザベスと合流すれば、嬉しげに目を細めて。
 ……触って大丈夫かな?
 そうそっと、星纏うその身体に手を伸ばしてみれば。
「おー結構なサメ肌」
 やっぱり、ざらっとした手触りのサメ肌です。
 そんなジベザベス3世や皆に、瑠碧はぺこりとご挨拶。
 そしてぷかりふわりと、まるで星空のように煌めき降る海を泳いでいれば。
 聴こえてきたのは――美しく優し気な、怪しい歌声。
「それにしても、どっから聞こえてんだ?」
 ……瑠碧姉さん分かる?
 そう手を繋ぐ彼女へと、理玖が視線向ければ。
「歌も、頭に届いてます……?」
 瑠碧はふと訊いてみる――自分の感覚と、水の精霊にも。
 響く歌声は、水槽に入った時よりも近くなっている気はするけれど。
 理玖はふっと彼女の手を改めて握って、満ちる夜の青を逆手で掻く。
 ……もう少し泳いでみるか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と

引き込まれた水槽の世界は、夜の色の海
あの日と同じように、二人手を繋いで泳ぐ

悠然と泳ぐ魚たちは、怪異の予感など信じられないほどの穏やかさで
この子達に危害が及ぶ様子がないのは幸いではあるけれど
それでも人の命を奪う危険な存在をそのままにはしておけないわ

揺蕩う泡の音の向こう、響く歌声を頼りに
魅入られないように心を強く持って
心の中で、聖霊の加護を祈り聖歌を歌う
繋いだ手を決して離さぬように

彼の言葉が頭に直接伝わってくる
わたくしの思いも不安も、彼に伝わっているのかしら
大丈夫、心配しないで
あなたがいればわたくしは何も怖くない
この歌が、理不尽の闇を照らす光となるように……


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と

妻の手を取って、大水槽の中を進む

月明かりに照らされた静けき水面も、そこに泳ぐ魚たちの群れも
普段と変わらぬ光景で
俺達を誘うあの妖歌だけが、ここが怪異の只中であることを物語っている

……それほどまでに穏やかなのだ
あの歌がなければ、背後に控える敵のことなど忘れてしまいそうなほどに
暫しの間、魚たちと触れ合い夜の逢瀬を過ごしたとしても
あの歌と共に常に怪異の予感はつきまとう
魚たちの無事に彼女は安堵してはいたけれど

繋いだ彼女の手を強く握り返す
ヘルガ、お前は俺が必ず守る
油断はせぬように、しかし恐れに飲み込まれぬように
今のお前ならきっと大丈夫だ

行こう
彼女が歌う鼓舞の歌を、共に心に響かせて



 真夜中の海の底は、夏に一緒に見た昼の海の中よりも静かで深いいろをしているけれど。
 気儘に泳ぐ魚たちはその夜の青にも、鮮やかな彩りを添えながら泳いでいる。
 そしてそんな世界を、本来ならばガラスの外からしか覗けないはずなのだけれど。
 ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は、細くしなやかな妻の手を取って。
 あの日と同じように、二人手を繋いで泳ぐ――引き込まれた夜の色の海、大水槽に広がる世界を。
 ヘルガは確りと、包み込むような彼の大きな手を握りながらも。
 すいっと泳ぐ魚たちへと向けた、澄み切った青い瞳を細める。
「この子達に危害が及ぶ様子がないのは幸いではあるけれど、それでも人の命を奪う危険な存在をそのままにはしておけないわ」
 そう……月明かりに照らされた静けき水面も、そこに泳ぐ魚たちの群れも、普段と変わらぬ光景で。
 けれど、これは普通ではないのだと……ここが怪異の只中であると、そう物語っているのだ。
 自分達を惑わさんと誘う、あの妖歌だけが。
 ヴォルフガングは妻の手を優しく引きながら、煌めき降る夜の海を見回してみる。
 ただひたすらに広がるのは、静寂。
(「……それほどまでに穏やかなのだ」)
 背後に控える敵のことなど忘れてしまいそうなほどに――あの歌が、なければ。
 そして目の前を泳いでゆく魚の群れを視線で追いながら、その心に思う。
(「暫しの間、魚たちと触れ合い夜の逢瀬を過ごしたとしても。あの歌と共に常に怪異の予感はつきまとう」)
 いくら美しい響きで騙さんとしても……響く歌は、静謐なる穏やかな海を脅かす怪異なのだ。
 それからそっとヴォルフガングは、魚たちにも囲まれ愛されている妻を見つめる。
 ……魚たちの無事に彼女は安堵してはいたけれど、と。
 いや、ヘルガの耳にも届いているのだ。
 揺蕩う泡の音の向こう――響く歌声に。
 けれど決してそれに魅入られぬよう、心を強く持って……その声を頼りに、青の世界を泳ぎつつも。
 天使の歌声を持つ歌姫は、心の中で歌う。
 聖霊の加護を祈りながら聖歌を――聖霊来たり給え、七つの秘蹟を与えたまえ……と。
 互いの熱がじわり混ざり合ってひとつになった、繋いだその手を――決して離さぬように。
 そして聖歌をその心に歌いながらも、ヘルガは愛しき夫を見上げ思う。
(「彼の言葉が頭に直接伝わってくる」)
 ……わたくしの思いも不安も、彼に伝わっているのかしら、って。
 いや、きっと伝わっているって、分かっているから。
 ――行こう、って。
 守るように寄り添い、優しく引いてくれる彼の手の熱を感じれば。
 だから、ヘルガも歌い続けるのだ。
「大丈夫、心配しないで。あなたがいればわたくしは何も怖くない」
 己と、そして愛する夫の心に共に響かせる、鼓舞の歌を。
 この歌が、理不尽の闇を照らす光となるようにと……そう祈りを馳せながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、何で私達は水槽の中にいるんですか?
水族館でお泊りはしていましたが、水槽の中に入った覚えはありませんよ。
ああ、これはきっと夢ですね。
水の中で息ができますし、これはきっと夢ですね。
ふえ⁉アヒルさん痛いですよ。
突かないでください。
あれ?痛いってことは夢じゃないです。
ふえええ、おやすみなさいのふりが本当に眠っていたからアヒルさんが怪異の中に運んだって、起こしてくれればいいのに。



 真夜中である今の時間は、すやすや健やかな夢の中……のはずで。
 眼前にぷかり浮いているお魚さんだって、寝ているみたい。
 ……いや、そもそも。
「ふええ、何で私達は水槽の中にいるんですか?」
 フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、おどおどと周囲を見回しつつも、そう声を上げてしまう。
 だって、何でだかさっぱりわからないから。
「水族館でお泊りはしていましたが、水槽の中に入った覚えはありませんよ」
 水族館には確かにいたけれど……今、何で自分が、大水槽の中にいるのかは。
 けれど、水の中にいるというのに、ちっとも息苦しくないから。
 フリルは、ぽんっと手を打ってひとり納得する。
「ああ、これはきっと夢ですね。水の中で息ができますし、これはきっと夢ですね」
 だって水中で息なんて普通はできないし、何だか他の人と会話もできるみたいだから。
 これは夢だと、そうこくりと大きく頷いた――その時だった。
「ふええ!? アヒルさん痛いですよ。突かないでください」
 つんつんつんっと、すかさず容赦なく突いてくるアヒルさん。
 そして、アヒルさんに抗議の視線を向けながらも。
 はっとフリルは気が付くのだった。
「……あれ? 痛いってことは夢じゃないです」
 これは夢か幻か、それとも現実なのか……?
 それに何より、何で大水槽の中にいるのか。
 けれどその疑問は、すぐにアヒルさんの口から解明されるのだった。
「ふえええ、おやすみなさいのふりが本当に眠っていたから、アヒルさんが怪異の中に運んだって」
 そしてやっぱりフリルは、アヒルさんに抗議の瞳を向けるのだった。
 ぷくりと目の前を泳ぐフグさんみたいに、ちょっぴりだけ頬を膨らませて――起こしてくれればいいのに、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸迎櫻館

いやー!?カムイ、千織ーーしぬーー!
……?

あら、苦しくないわ
安堵して穏やかな千織の声に微笑む

千織は余裕なようね
見上げながらカムイにしがみつく
か、カムイが怖いといけないからくっついてるの
私こわくないもん
大丈夫よカムイ
くっついててあげる

見渡せば海の中
人魚のあの子がみている世界のよう
悠然と泳ぐジンベイザメ、思ったより大きくて
自由に泳ぐ魚たちは、夜空に流れる星々のよう

何だか不思議な気分だわ
ここが―水槽の中だなんて
人に造られた海なのね
あら、かぁいいお魚にヒトデに……皆仲良しに暮らしているわ!

うふふ
靡く袖がまるで人魚ね、千織!

鎖された水槽は水獄の牢のよう
でも怖くないのは本当よ
あなた達が一緒だもの


朱赫七・カムイ
⛩迎櫻館

サ、サヨ!?
大丈夫だよ
死なせない
じたばたする巫女を抱えて瞳を閉じ―チオリの優しい声にはたと気がつく

此処は水槽の中?
しがみついたままのサヨをあやしながら悠然と泳ぐジンベイザメや魚たちを見上げ
チオリは順応がはやい
流石だ

見よう見まねで泳ぐ
サヨ、私は怖くない……(怖くないと言えば離れてしまうだろうか)こわいからね
掴まっていてね

こんなに近くに魚がいるなんて!
海には行ったことがなく
水に潜るのだって初めてだ

目の前に広がる光景が嬉しくて楽しくて堪らない
ジンベイザメをおってみたい
あの岩の物陰に隠れている魚が気になるな
止まない好奇心は泡沫のよう

横を見ればサヨがいて
チオリが穏やかに笑んでいる


本当に
美しいね


橙樹・千織
迎櫻館

あらあら、水槽の中とはまた不思議な
ふふ、お二人とも大丈夫ですか?
ちゃあんと息も出来ますからねぇ
ゆるり揺蕩い、櫻宵さんとカムイさんを振り返る

ほら、仲良しさん達、前を見てくださいな
くっつく二人にくすくす笑う
ほんの少し手をひいてみましょうか

まあまあ、ジンベイザメというのは本当に大きいのですねぇ
すぐ隣を泳いでゆくジベザベス3世の大きさに驚いて

ふふふ、湖とは違った水の流れ
面白いですねぇ
くるり、ゆらり魚たちと泳ぐ

プラネタリウムみたいですねぇ
頭上で泳ぐ魚たちは煌めいて星のよう
夏に海底から見上げたあの景色と似ている

ええ、ええ
お二人と一緒にいるからこそ、美しい景色だと思えるのでしょうねぇ



 はじまりは、美しくも怪しき歌なのだという。
 人を惑わし深い青に引き摺り込む、海の魔物かの様に。
 いや、現に敢えて誘われた歌を辿って……吸い込まれたのは、大水槽の青の中。
「あらあら、水槽の中とはまた不思議な」
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)にとって、水中に身を沈める事は慣れているのだけれど。
 見回してみるのは、普段目にしているものとはまた違った、静かに煌めいては揺れる夜のいろ。
 けれど、大抵の者にとっては……特に、水に対して恐怖を抱く者にとっては、そうもいかず。
「いやー!? カムイ、千織ーーしぬーー!」
 刹那水の中に響くのは、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の悲鳴……!?
「サ、サヨ!?」
 そんな己の巫女の声に、朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)は朱砂の彩咲かせた桜を大きく見開いて。
 手足を振ってじたばたする巫女をその身で包むように抱えて。
 ――大丈夫だよ、死なせない。
 そっと瞳を閉じれば、共に水底へと深く沈んで……。
「ふふ、お二人とも大丈夫ですか? ちゃあんと息も出来ますからねぇ」
「……?」
 ……もう私終わったわ、このまま海の藻屑に……くらい思ってしまっていたが。
 櫻宵は聞こえる千織の声に、そっと桜霞の瞳を開いて。
「あら、苦しくないわ」
 ほっと心から安堵し、ゆるり揺蕩いながらも自分達を振り返る千織に微笑んで。
 カムイも掛けられた優しい声に、はたと気がつく。
「此処は水槽の中?」
 そして、一応大丈夫だとは分かったものの、まだぎゅうとしがみついたままのサヨをよしよしと宥めて。
 そんなくっついている二人の様子に千織はくすくす笑いながら手を差し出す。
「ほら、仲良しさん達、前を見てくださいな」
 瞳を閉じていたままでは、気付かなかった水の中の世界。
 ただの深い青だけでなく、その青には沢山のいろが揺蕩っていて。
「チオリは順応がはやい。流石だ」
 千織の手を取り、ゆっくりと引かれながら。
 カムイは星が降る様な煌めきの中を泳ぐものたちの姿を瞳に捉える。
 見上げれば、海の星間を悠然とゆくジンベイザメや魚たちの群れ。
 千織は余裕なようね、とカムイにしがみついたまま、魚の様に嫋やかな友へと櫻宵は紡いだ後。
 己の神様の視線を追って、水底から海の天を見上げながらも。
 ふわふわと笑んで自分達を微笑まし気に見ている千織と自分を抱いて宥めるカムイを交互に見て、こう口にする。
「か、カムイが怖いといけないからくっついてるの」
 ……私こわくないもん、って。
 そんな言葉に、櫻宵を伴い見よう見まねで泳いでいたカムイは一瞬きょとりとするけれど。
「サヨ、私は怖くない……」
 そこまで言いかけ、それからふと口を噤んでから。
「……こわいからね、掴まっていてね」
「大丈夫よカムイ。くっついててあげる」
 そう言いながらも一層ぎゅぎゅっと掴まる櫻宵に笑みを向ける。
 本当は怖くはないのだけれど……そう言えば、櫻宵がくっついていられる言い訳が言えないから。
 こわいということにしておこうと思ったのだ。己の巫女が、離れないでいいように。
 それにカムイにとって、水の世界は神秘と未知でいっぱいに溢れていて。
「こんなに近くに魚がいるなんて!」
 海には行ったことがなく、水に潜るのだって初めてだから。
 目の前に広がる光景が嬉しくて楽しくて堪らない。
 そんな3人の頭上に刹那、ゆうらりと影が落ちて。
 見上げればそこには……背中に星纏う、大きな大きな水族館の人気者。
「まあまあ、ジンベイザメというのは本当に大きいのですねぇ」
「あら、思ったより随分大きいのね」
 すぐ隣を気儘にゆるっと泳いでゆくジベザベス3世の大きさに驚いて。
 カムイはふたりにこんな提案を――ジンベイザメをおってみたい、って。
 そして大きな星の子を追いながらも、改めてそっと満ちる海のいろを見渡せば。
 水の中は確かに怖いけれど……櫻宵はふと、嬉しさのいろを宿した微笑みを咲かせる。
 だって、きっとこんな世界なんだろうから。人魚のあの子がみているのは。
「自由に泳ぐ魚たちは、夜空に流れる星々のよう」
「ええ、プラネタリウムみたいですねぇ」
 深く濃い静寂の青は、まるで夜空の様で。
 降り注ぐ煌めきを纏い自由に泳ぐ魚たちは、流れる数多の星の子たち。
 そして海の空を仰ぎながら千織は思う……夏に海底から見上げたあの景色と似ている、と。
 カムイはジンベエザメを追いながらも、ふと朱の視線を巡らせて。
「あの岩の物陰に隠れている魚が気になるな」
 かくれんぼしているみたいな魚たちに気が付いて興味深々、そうっと覗いてみる。
 そんな止まない神様の好奇心はそう、泡沫のよう。
 そしてカムイにくっついたまま、櫻宵も一緒に覗いてみれば。
「あら、かぁいいお魚にヒトデに……皆仲良しに暮らしているわ!」
 青の世界に息づく、沢山の生き物たちの姿が。
「何だか不思議な気分だわ。ここが――水槽の中だなんて。人に造られた海なのね」
「ふふふ、湖とは違った水の流れ。面白いですねぇ」
 そう笑んで、くるり、ゆらり魚たちと泳ぐ千織の姿に、思わず笑み零す櫻宵。
「うふふ、靡く袖がまるで人魚ね、千織!」
 だってそれは、水の中をひらり舞う美しい鰭のようだから。
 そして櫻宵は、ガラスに囲まれた青の世界をゆきながらも思う。
 ……鎖された水槽は水獄の牢のよう、と。
 そう落とした呟きに視線向けたふたりに、櫻宵はそっと花霞の瞳を返し、細めて続ける。
「でも怖くないのは本当よ」
 ――あなた達が一緒だもの、って。
 最初は驚いて動揺してしまったけれど、でも、もう今の心はとても静かに凪いでいて。
 櫻宵は深い夜の海に、美しき微笑みの桜を咲かせる。
 そんなすぐ横にいる己の巫女に、カムイは笑み返して。
「ええ、ええ。お二人と一緒にいるからこそ、美しい景色だと思えるのでしょうねぇ」
 ひらりと優雅に揺蕩い泳ぐ千織の穏やかな微笑みに、花笑んで紡ぐ。
 ――噫、本当に美しいね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

十河・章人
う、わ?!(本当に水槽に吸い込まれて慌てる
布『ボウヤ?!』(もっと慌てるし章人の腕をつかむ

ちょ、ちょっとびっくりしただけだし、大丈夫だって……ほら何でかわからないけど普通に息もできるし苦しくないし
布『ホントニ?』
ほんとにほんとに。

まだ聞こえてくる歌を頼りに探索しようと思う。この布の加護のおかげで【水中機動】にも問題はなさそうだし。

それで進んでたら熱帯魚が集まってきたな。こんな近くで見れる機会なんてそうそうないだろうn……あっ(布助に熱帯魚が集まる
布『ボク、カイソウデモナイ!!』
ぶっ……凄いことになってるな(少し笑う
布『ボウヤ、ナゴンデル……』(海藻扱いは嫌だが愛しの坊やが楽しそうなので複雑



 響くこの歌声は、いつから聴こえているのだろうか。
 いつの間にか気が付けば、真夜中の水族館に甘く優しく誘う様にそれは響いていて。
 夜のいろが落ちる中、それを辿れば――目の前には、真っ青な大水槽が。
 そしてふと何の気なしに、ガラスに触れてみれば。
「う、わ!?」
 思わず声を上げてしまう、十河・章人(彩色と透明少年・f26508)。
 いや、予知された怪異の話は、確かに聞いていたのだけれど。
 本当に水槽に吸い込まれて、章人は慌ててしまって。
『ボウヤ!?』
 章人よりももっとわたわた慌てるのは、ヒラヒラな布助。
 その布から刹那にゅっと伸びた細腕が、ガシリと章人を腕をつかめば。
「ちょ、ちょっとびっくりしただけだし、大丈夫だって……ほら何でかわからないけど普通に息もできるし苦しくないし」
 吸い込まれた水の中、そう章人は言うけれど。
『ホントニ?』
 何だか信じていない感じの布助くん。
 そんな疑り深いヒラヒラに、ほんとにほんとに、と言ってから。
 章人はふと、顔を上げる……大水槽の中に響く歌声を聴いて。
 そしてまだ聞こえてくる歌を頼りに、探索開始。
(「この布の加護のおかげで、水中機動にも問題はなさそうだし」)
 そうヒラヒラゆらり、青い水中を進んでいたら。
 集まってくるのは、色とりどりの熱帯魚。
 何だか一杯集まってくる魚たちに、章人は微笑まし気に瞳を細めるけれど。
 そう……気が付いたのだった。
「こんな近くで見れる機会なんてそうそうないだろう……あっ」
『ボク、カイソウデモナイ!!』
 海藻と間違えて、ヒラヒラにじゃれつく様に魚が群がっていることに。
「ぶっ……凄いことになってるな」
 魚につんつんされつつも、海藻ではないと訴える布助に、章人は思わず少し吹き出して笑ってしまって。
 海藻扱いは、嫌なのだけれども。
『ボウヤ、ナゴンデル……』
 複雑な気持ちになる布助であった。
 だって――愛しの坊やが、楽しそうだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
【千夢】
ペンギンパジャマのまま大水槽へ
これは本当に海泳ぐペンギンになった気分ですね…

はい!ちゃんとお声は聞こえてますよ
動くのも問題なさそうです
それでは怪異探しも兼ねて探検と参りましょう!

智夢さんと並んで大水槽の中を泳ぎましょう
【動物と話す】【情報収集】でお魚さんたちにも歌について聞いてみましょうか
何か分かれば嬉しいですが、それがなくとも素敵な時間にお返しを
良ければ皆さんにも素敵な景色を
UCを使用して水中に色彩豊かな花弁を舞わせましょう
智夢さんの星の煌めきもとても綺麗…!!
お魚さんと私たちの彩りで一時の水中舞踏を楽しみましょう


百鬼・智夢
【千夢】
ペンギンさんパジャマのまま水槽に入ってしまい
一瞬驚いたようにわたわたと

聞いてた通り、息はちゃんと出来ますね…
リアムも濡れてない…不思議…
薄荷さん…私の言葉、聞こえます…?

念のため意思疎通を確認後そっと周りに視線を移し

折角だからお魚さん達とお話がしたいです
未だに言葉を聞く事は出来ないけれど
動きから少しだけ読めるようにはなったから

歌ってる人…何処でしょうね
貴方達、なにか知ってる…?

花舞う景色には瞳を輝かせ
薄荷さん凄いです、とっても綺麗です…!

私も何かしてみようかと逡巡し
【導きの星】を攻撃ではなく演出として
魚達は傷つけないよう
星屑の翼から溢れる輝きは水中に煌めくダイヤモンドダストのように



 消灯時間を過ぎて、一体どれくらい経ったのだろうか。
 本来ならば、すやすや夢の中を微睡んでいるはずの真夜中だけれど。
 ふと聴こえてきた歌に気付いて、そうっとよちよち並んで歩いて。
 辿り着いた大水槽のガラスに手を触れてみれば――吸い込まれた先は、水の中。
 いや、大水槽に吸い込まれる怪異に見舞われることは、事前に聞いていたけれど。
 一瞬驚いたようにわたわたとしてしまう百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)。
 だって、ペンギンさんパジャマのまま水槽に入ってしまったことに気が付いたから。
 それは勿論、智夢と共に大水槽に入った薄荷・千夜子(陽花・f17474)も同じで。
「これは本当に海泳ぐペンギンになった気分ですね……」
 そう、ヒレに見立てた腕を、そっとペンギンさんのようにぱたぱた振ってみる。
 それはまるで、夢の続きかのようで。
「聞いてた通り、息はちゃんと出来ますね……リアムも濡れてない……不思議……」
 智夢はそう、借りたお揃いのペンギン着ぐるみを着せたテディベアのリアムをじっと見つめてから。
「薄荷さん……私の言葉、聞こえます……?」
 念のため、意思疎通ができるかどうかの確認を。
 そう問われた声に、千夜子はこくりと頷いて。
「はい! ちゃんとお声は聞こえてますよ。動くのも問題なさそうです」
 ふたり一緒に大水槽の中を、すいっ。 
「それでは怪異探しも兼ねて探検と参りましょう!」
 いざ、真夜中のペンギンさんたちの大冒険のはじまりです!
 そんなふたりがゆく大水槽に響いているのは、誘うような歌声。
 智夢はそっと周りに視線を移し、気儘に泳ぐ魚たちの群れを見つけて。
「折角だからお魚さん達とお話がしたいです」
 ……未だに言葉を聞く事は出来ないけれど、動きから少しだけ読めるようにはなったから、って。
 そして、歌ってる人……何処でしょうね、と視線を巡らせれば。
 ふと近寄ってきた小さな魚さんたちとぱちり目が合って、訊いてみる。
「貴方達、なにか知ってる……?」
 千夜子も智夢と並んで大水槽の中を泳ぎながら、動物と話すスキルを駆使して情報収取を。
 お魚さんたちにも、響いている歌について何か知らないか訊ねてみれば。
 怪異は魚たちには及んでいないらしく、歌については知らないらしいけれど。
 何か今までいなかった存在がいるみたいだと、みんな同じ方向をさす魚たち。
 そんな話を聞かせてくれた魚たちに、千夜子が返す御礼は、美しく咲く彩りたち。
 素敵な時間のお返しにと開花させるは、七彩天趣――水中に色彩豊かな花弁を舞わせれば。
「薄荷さん凄いです、とっても綺麗です……!」
 魚たちと戯れる様に花舞う青の景色に、智夢はキラキラと瞳を輝かせて。
 そして、うーんと逡巡する。私も何かしてみようかと。
 刹那、深い青に煌めいたのは、導きの星――輝く星屑で出来た翼がばさりと羽ばたけば。
「智夢さんの星の煌めきもとても綺麗……!!」
 大水槽に溢れる輝きはまるで、水中に煌めくダイヤモンドダストのよう。
 そんな虹色の花弁と数多の星屑が煌めく中、ふたりはくるり、魚たちと仲良く水中を踊るように泳いでゆく。
 みんなで楽しむのは、キラキラ煌めく、ひとときの水中舞踏。
 深い青に、魚たちや自分たちの彩りをいっぱいに満たしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

満月・双葉
【虹氷】
シャオちゃん、僕泳げないんだけどどうしようね?!沈む…し……
慌てそうになったところで手を繋がれ落ち着く
その手をそのまま額に当てさせようとし、当ててくれたらそのままじーとして
よし頭冷えた…

便利な怪異だね?水槽の中の魚の気分を味わえるってのは貴重な体験だよ
向こうの人は魚達にはどんな風に見えているのだろうね?
あの魚なんだろ
毒あるのかな…美味しい?
着眼点がずれているのは旅ぐらしのせいだよと言い訳
塩焼き…煮付け…カルパッチョ…シャオちゃんや、魚が逃げていく気がするのだけど気のせいかな
大丈夫だよ食べないからお腹空いてないし…あっ美味しそうな魚…あれなんだろ
野生の勘で索敵しつつ魚を愉しむことにしよう


シャオ・フィルナート
【虹氷】

水中での動きには慣れてるけど
1人慌てる双葉さんをじぃっと見てからそっと片手を取り

落ち着いて…息、出来る……

手を額に引かれるのは止めずに好きにさせておく
氷の能力の影響か、過去の弊害か…極度の冷え性だから
頭冷やしたいならそのままでいいと思うけど…
…いっそ頭凍らせてみる?(真顔だけど冗談です


一時は水辺で過ごしてた時期もある身だから
海の生き物はそれなりにわかる
専門家ほど詳しいわけでもないけど

聞くの…最初に食べれるかどうかなんだね…
一応【動物と話す】技能で魚の声を確認しつつ
双葉さん…お腹空いてる?
魚達、怖いって
今度川ででも捕るの付き合うから、ここのは諦めよ…?(言葉は選ばないスタイル



 真夜中の水族館にふいに響くのは、何処からともなく聴こえる美しい歌声。
 そして最低限灯る明かりを頼りに、歌声のする方へと足を向ければ。
 辿り着いたのは、大水槽の前。
 いや、歌声はこの水槽の中から聴こえているから……そうっとガラスに手を触れてみれば。
 ずぶりと水を触る感触がした瞬間、青の世界へと吸い込まれる。
 そんな真夜中の水族館で突然降りかかった怪異にも、シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は特に動揺する様子もない。
 事前に話に聞いていたし、何よりも、水中での動きには慣れているから。
 そう、自分は慣れているのだけれど。
「シャオちゃん、僕泳げないんだけどどうしようね!? 沈む……し……」
 何だか一生懸命もがきつつ、隣でひとり慌てている満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)をじぃっと見つめてみる。
 そして、ぶくぶくと沈んでいきそうになる彼女の片手をそっと取って。
「落ち着いて……息、出来る……」
 その声と繋がれた手の感触に、双葉ははたと気が付いて。
 息もできるし、彼と意思疎通もできる現状を把握し、ようやく落ち着いてから。
 シャオの手をぴとりと、額に当てさせる双葉。
 氷の能力の影響か、過去の弊害か……極度の冷え性だから、その手はひんやり冷たくて。
 額に手を引かれることは特に気にせず止めずに、彼女の好きにさせておきながら。
「頭冷やしたいならそのままでいいと思うけど……」
 そのままじーっとしている双葉を見て、シャオは続ける。
「……いっそ頭凍らせてみる?」
 いえ、勿論冗談です、真顔ですけれど!
 頭が凍るのは、ちょっとさすがに困るとはいえ。
「よし頭冷えた……」
 双葉はそうこくりとひとつ頷いてから。
 周囲を見回して、首を傾けてみる。
「便利な怪異だね? 水槽の中の魚の気分を味わえるってのは貴重な体験だよ」
 ……向こうの人は魚達にはどんな風に見えているのだろうね? って。
 ガラスの外から眺めていた水中の世界は、本来は触れる事すら叶わないのだけれど。
 夢か幻か、いや怪異の仕業なのであるが……その中に身を置いている今。
 周りの景色や息づく生き物たちを見る余裕が少しでてきた様子の双葉は、ふと瞳に映った魚を見つめて。
「あの魚なんだろ」
 そう呟きを落としてみる。
 それを聞いて、彼女の視線を追ってみるシャオ。
 専門家ほど詳しいわけでもないとはいえ、海の生き物はそれなりにわかる。
 一時は、水辺で過ごしてた時期もある身だから。
 やはり水槽の海を泳ぐ魚たちは色とりどりで綺麗だから、双葉が興味を示すのも分かる――。
「毒あるのかな……美味しい?」
「聞くの……最初に食べれるかどうかなんだね……」
 ……いや、彼女の心を擽ったのは、どうやら食い気のようです。
 そして双葉は、自分を見つめつつもそ言ったシャオに、こう返す。
「着眼点がずれているのは旅ぐらしのせいだよ」
 そんな、言い訳を。
 だって、大水槽に泳ぐ魚は様々で、色々な大きさやカタチのものが沢山だから。
「塩焼き……煮付け……カルパッチョ……」
 そうぼそりと、調理方法を思わず口にすれば。
「シャオちゃんや、魚が逃げていく気がするのだけど気のせいかな」
「双葉さん……お腹空いてる?」
 ふと不思議そうに首を傾ける彼女に、動物と話すのスキルを駆使し、一応魚の声を確認するシャオは続ける。
 ……魚達、怖いって、と。
 やっぱり、塩焼きや煮付けやカルパッチョにされるのは、嫌みたい。
 そんなシャオの言葉に、ふるりと首を振って。
「大丈夫だよ食べないからお腹空いてないし……あっ美味しそうな魚……あれなんだろ」
 すいっと泳ぐ魚を視線で追いながら、秒で説得力ゼロなことを紡ぐ双葉。
 いえ、きちんと野生の勘をさらに研ぎ澄ませ、美味しそうな魚……もとい索敵も行なっていますから。
 色々な意味で、魚を愉しみながら。
 けれどここは水族館の水槽の中、此処の魚たちは恐らく観賞用だから。
 シャオは、食い気溢れる瞳で魚たちを眺める双葉を宥める。
「今度川ででも捕るの付き合うから、ここのは諦めよ……?」
 ……ええ、言葉は選ばないスタイルです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
水の中落ち着くなァ、久々だ
でっか。クジラ……あれもサメか
まー、俺の方が大きいな
いつかお前にも見せるけど
実は俺ってメチャ大きいドラゴンなんだよ
300mくらいの、――可愛くないモンスター
……はは、怪獣ショーをお楽しみに

さすがに人慣れしてんなぁ
お、普通のサメ
お前に攻撃理由がなくて何より
人間に管理されて腹いっぱい食べて
此処でゆーっくり過ごしてるだけ
今日は奴らはそっとしたげて。
UDCアースは綺麗な海少なくってさ
俺みたいな貧乏人は海外の海行けねえし
あ、今ならできるのか。稼いでるし
…グリードオーシャンの海の方がいいかもね

…何それゾンビジョーク?
死んでても出来ることあるよ
俺を幸せにするとかさ


エコー・クラストフ
【BAD】
へえ。なかなか面白い現象だね
水の中なのに息ができる……深海島と似ているようで違うな

ハイドラのほうが大きい……? どこが……あ、真の姿ってやつか
300mのドラゴンのハイドラか。ちょっと想像つかないけど、見てみたいな
どんな姿でもハイドラはハイドラだからね

うわ、サメだ。……サメって凶暴だし、かといって海の生き物を殺すと運気が下がるしで対処しづらいんだよね
綺麗な海……こっちの世界だと海に綺麗とか汚いとかあるんだ?
そうだね、この世界の綺麗な海に行くこともできるし……グリードオーシャンの一面の海に行くこともできるよ

生きていれば案外、色々できるもんだよ
……まぁ、ボクはもう死んでるけどね



 先程までは、ガラスの向こうから眺めていた深い青の世界。
 けれど歌に導かれる様に夜を揺蕩い、そっと辿り着いた大水槽に手を翳せば。
 此方と水の世界の境界であるはずのガラスをすり抜け、吸い込まれた水の中。
 それは夢の続きだろうか、それとも幻か……いや、UDCの怪異の仕業なのだけれど。
「へえ。なかなか面白い現象だね」
 見舞われた怪異にも特に動揺することもなく言ったのは、エコー・クラストフ(死海より・f27542)。
「水の中なのに息ができる……深海島と似ているようで違うな」
「水の中落ち着くなァ、久々だ」
 ハイドラ・モリアーティ(Hydra・f19307)も、すいっと深い青のいろをその手で掻いてみながら。
 ふと落ちた影に気付き見上げれば、悠然と泳ぐ大きな生き物の姿が。
「でっか。クジラ……あれもサメか」
 そう、ゆったりと水の中をゆくジンベエザメ。
 でも確かに、ジンベエザメの身体は大きいのだけれど。
「まー、俺の方が大きいな」
 そう聞こえたハイドラの声に、エコーはふと首を傾ける。
「ハイドラのほうが大きい……? どこが……あ、真の姿ってやつか」
「いつかお前にも見せるけど、実は俺ってメチャ大きいドラゴンなんだよ」
 エコーの言葉に、ハイドラはこくりと頷いてから。
 そして、こう続ける。
 ……300mくらいの、――可愛くないモンスター、って。
 いや、実はでっかくて可愛くないモンスターだなんて……こうやって言えるのは、エコーくらいで。
 可愛くないモンスターって言っても、返ってくる言葉は大体わかっているから。
 そしてエコーはそんなハイドラを見つめ、紡ぐ。
「300mのドラゴンのハイドラか。ちょっと想像つかないけど、見てみたいな」
 ――どんな姿でもハイドラはハイドラだからね、って。
 どうしようもなく何でも受け入れてくれる、そんないつもの調子で。
 そして返ってきたその言葉に、ハイドラは銀の瞳を細めて笑う。
 ……はは、怪獣ショーをお楽しみに、って。
 大水槽に広がる世界は、海ではあるのだけれど。それは人の手で作られた海であるから。
「さすがに人慣れしてんなぁ」
 特に自分たちにことを怖がる様子もなく、気儘に泳ぐ魚たち。
 そして、ふたりの前に現れたのは――。
「お、普通のサメ」
「うわ、サメだ」
 刹那、反射的に身構えるエコー。
「……サメって凶暴だし、かといって海の生き物を殺すと運気が下がるしで対処しづらいんだよね」
 延々と大海原広がる世界で生きていた彼女にとっては、サメは脅威になる存在という意識が強いのだろうけれど。
 ハイドラはすいっと泳ぐサメを見上げ、お前に攻撃理由がなくて何より、と言ってから。
 眉を顰めているエコーを宥めるように、もう一度笑う。
「人間に管理されて腹いっぱい食べて、此処でゆーっくり過ごしてるだけ」
 ……今日は奴らはそっとしたげて、って。
 人間に管理された生き物たちに、グラスに囲われた作られた海。
 けれどそれは、星の様な煌めきが静かに降る夜空のようで……穏やかないろに満ちていて。
 自由ではないはずなのに、悠然と好きに泳いでいる姿を見ながら、ハイドラは言葉を落としていく。
「UDCアースは綺麗な海少なくってさ」
「綺麗な海……こっちの世界だと海に綺麗とか汚いとかあるんだ?」
 ハイドラの声に、きょとりと視線を向けるエコー。
 海があることは当然で、生活の場そのもので。
 それをじっくり眺めて何かを思うなんて、なかったから。
 同じ海やサメであっても、生きてきた世界が違えば、それに対する価値観や印象や思いは面白いほど様々で。
「俺みたいな貧乏人は海外の海行けねえし。あ、今ならできるのか。稼いでるし」
 ……グリードオーシャンの海の方がいいかもね。
 そう紡がれたハイドラの言葉に、エコーはこくりと頷く。
「そうだね、この世界の綺麗な海に行くこともできるし……グリードオーシャンの一面の海に行くこともできるよ」
 綺麗な海を一緒に観に行くことは、今の自分達にはいくらでもできるから。
 そしてエコーは、こう続ける。
「生きていれば案外、色々できるもんだよ」
 ……まぁ、ボクはもう死んでるけどね、って。
「……何それゾンビジョーク?」
 そんな聞こえた言葉に、ふと視線を向けて。
 さっきは魚の知識を沢山教えてくれて、エスコートしてくれたから。
「死んでても出来ることあるよ」
 今度はハイドラが、手を差し出して教えてあげる。
 ――俺を幸せにするとかさ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
【🍓🌺】

硝子に触れた指の先から呑み込まれてゆく
気がつけば硝子の内側、真っ青な水のなか

嗚呼、そういえば
あなたは水がニガテと告げていたわね
まい、手を繋ぎましょう
ぎゅうと結わえばこわくない

ね、こわくないでしょう
とても上手な游ぎだわ
すこうし先へと進んでみましょう

水中遊泳するとりどりの魚たち
ゆうらり揺れる青の世界を彩るかのよう

あら、このお魚は
見憶えのある姿をじいと見つめましょう
じべざべす三世。お会い出来て光栄だわ
まあ、その背に乗せてくださるの
そうね、ご挨拶を告げなくては
ご挨拶の言葉は、そうお伝えするのね

うぉーーん
これで如何かしら?

その背に乗ったのならば心が踊るかのよう
青の世界の探索は、始まったばかり


歌獣・苺
【🍓🌺】

…ひっ、水…こわいっ
あ…なゆ。えへへ、ありがとう
なゆと手を結んでたら平気みたい
『めんだこきぐるみぱじゃま』
のおかげか
ふわふわり。自然と優しい泳ぎに

わぁ…とっても綺麗…!
ほら!色んな色のお魚さん!
マンタさんもいるよ!
まるで綺麗な星空の下で
魚さんと泳いでるみたい…♪♪

?なゆ?どうし……わわー!
こ、これって…
じべざべすさんせい!?
あっ!言えた!!!
…え?乗っていいの?
なゆ!なゆ!乗せてもらおう!
あのね、じんべいざめさんの
言葉でありがとうはね、こう!
『うぉーーーん!』
ささ、なゆも一緒に!
『うぉーーーん!』

よーし!じべじゃべすに乗って
夜の海を探検だ~♪



 真夜中に響くのは、誘う様な美しくも怪しい歌。
 その声を辿って、静寂の中を漂う様に歩みゆけば。
 歌声の主はどうやら、眼前の大水槽の中にいるようだから。
 そうっとあおが満ちる硝子へと触れてみれば……指の先から呑み込まれて。
 気がつけば、身を投じたのは今まで眺めていたいろ。
 其処は硝子の内側――真っ青な水のなか。
 蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)はそのいろを、ぐるりと興味深そうに見つめていたけれど。
「……ひっ、水……こわいっ」
 耳に届いた歌獣・苺(苺一会・f16654)の声に、ふと振り返って。
「嗚呼、そういえば。あなたは水がニガテと告げていたわね」
 そっとしなやかにその手を差し出す。
 ――まい、手を繋ぎましょう、って。
 そして互いの指を絡め、ぎゅうと結わえば。
「あ……なゆ。えへへ、ありがとう。なゆと手を結んでたら平気みたい」
「ね、こわくないでしょう」
 深くて濃い青のいろも……ほら、こわくない。
 それに怪異の影響か、呼吸も移動も難なくできるようだし。
 いやきっと、纏っている『めんだこきぐるみぱじゃま』のおかげか。
 ふわふわり……自然と流れに身を任せ、優しい泳ぎをする苺に、七結は微笑む。
 ……とても上手な游ぎだわ、って。
 そんな游ぎも上手な、めんだこさんの如き苺と一緒に。
「すこうし先へと進んでみましょう」
 ゆうらりと手を引いて、海のいろをすいっと掻いてみれば。
「わぁ……とっても綺麗……! ほら! 色んな色のお魚さん! マンタさんもいるよ!」
 苺が抱いていた恐怖も、あっという間に好奇のいろに。
 深い夜の海のいろの水底は、まるで綺麗な夜空のようで。
「星空の下で、魚さんと泳いでるみたい……♪♪」
 星が降るような静かな煌めきの間を、魚たちと泳ぐひととき。
 そんな海いろの夜空を、ふと七結は見上げて。
 水中遊泳するとりどりの魚たちを、見つめる瞳にも游がせながら紡ぐ。
 ……ゆうらり揺れる青の世界を彩るかのよう、と。
 そして刹那、ふと大きな影がゆうらりと目の前に現れて。
「あら、このお魚は」
 七結は、じいと見つめてみる。見憶えのあるその姿を。
 そう、この大きな魚は確か――。
「じべざべす三世。お会い出来て光栄だわ」
「? なゆ? どうし……わわー! こ、これって……じべざべすさんせい!?」
 ――あっ! 言えた!!!
 メンダコ効果か本人が目の前にいるからか、ついに上手に言えました!
 そんな苺にくすりと微笑まし気に笑んでから。
 七結は、ぱちくりと瞳を瞬かせる。
「まあ、その背に乗せてくださるの」
「……え? 乗っていいの? なゆ! なゆ! 乗せてもらおう!」
 ゆうるり自分達に、星を纏う様なその背を向けるジベザベス3世に。
 そしてそうっとふたり、大きな背中に乗ってみれば。
 苺はえっへん、七結に教えてあげる。
「あのね、じんべいざめさんの言葉でありがとうはね、こう!」
 ……うぉーーーん! って。
 そんな苺の声に、七結もこくりと頷いて。
「そうね、ご挨拶を告げなくては。ご挨拶の言葉は、そうお伝えするのね」
「ささ、なゆも一緒に!」
 ――うぉーーーん!
 ――うぉーーん。
「これで如何かしら?」
 ふたり揃って、ご挨拶してみれば。
 ――うおぉーーん。
 届いたのは、ジベザベスのお返事の声。
 そんな仲良しになった星纏う子の背に乗れば、心が踊るかのようで。
「よーし! じべざ、じべじゃべすに乗って夜の海を探検だ~♪」
 苺の言葉に、七結も楽し気に揺れるいろ宿す瞳を細める。
 わくわくする青の世界の探索は、これから――始まったばかりだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

周・助
【桜夢】
アドリブ、マスタリング歓迎

_

瞳をぱちぱちと瞬き
えっ…私たち、今水底にいるんですか…!?
目の前を通り過ぎる魚たちを視線を追いながら、驚愕と同時に瞳の奥を輝かせ
お邪魔します、なんておそるおそる挨拶をして、そろりと足を踏み出し
……泳ぐのは慣れていなくて、ぎこちなく気をつけて歩くようにしつつ
し、終夜くん、裾を握っててもいいですか…!?
来たことない水底に心細さを感じながら、けれど好奇心は抑えきれず
彼が手を差し出してくれたから、彼の厚意に甘えてそっと手を重ね

終夜くんに支えられながらこの青の世界を揺蕩い
挨拶をしてくれる様すり寄ってきた魚にくすぐったく笑みを溢しつつ
楽しくて、終夜くんと笑い合った


空・終夜
【桜夢】
アドリブ大歓迎

魚をぼんやり見上げて
助の言葉に頷く
そう、みたいだな…
水の中に入るだなんて驚いた
息も、できるみたいだな…
不思議な感じだ

泳ぐのは幸い得意な方だから
なんとかバランスは取れた
助の言葉と表情には小さく笑みを零して
来た時のように彼女に手を差し出す

掴まってろ
俺が、引っ張ってく…
こんなのめったにないからな
どうせなら楽しもう

助を片腕で支えて歌が響く水中を少し泳いで見せよう
より魚とこの水の世界を楽しめるように
人懐っこい魚に指を寄せる事でコミュニケーションを取りながら
楽しそうに笑う助をみて
つられるように笑い合う

共に来れたよかった…
彼女が楽しいと思う所で感動を味わう姿は、心が温まると感じるから



 消灯時間からどれくらい経ったのか、本来ならば夢の中をふわり漂っているはずなのに。
 歌が聴こえる真夜中の水族館で、今揺蕩っている其処は――。
「えっ……私たち、今水底にいるんですか……!?」
 そう、触れた大水槽に吸い込まれた、水の中。
 驚きの声と同時に、周・助(咲か刃・f25172)が藍色の瞳をぱちぱちと瞬かせれば。
 その前をすいっと通り過ぎるのは、魚たちの群れ。
 そしてその姿を視線を追いながら、驚愕と同時に、助は瞳の奥をキラキラと輝かせる。
 そんな助と一緒に、魚をぼんやり見上げて。
「そう、みたいだな……水の中に入るだなんて驚いた」
 助の言葉に頷くのは、空・終夜(Torturer・f22048)。
 いや、ただ水の中に入れているだけでも驚きであるというのに。
「息も、できるみたいだな……不思議な感じだ」
 まるで魚たちみたいに、水の中でも不自由ではないのである。
 けれどゆらゆら、進む勝手は陸とは同じというわけにはいかなくて。
 泳ぐのは幸い得意な方である終夜は、なんとか巧くバランスが取れたけれど。
 ……お邪魔します、なんて。おそるおそる挨拶をしてから、そろりと足を踏み出した助は。
「し、終夜くん、裾を握っててもいいですか……!?」
 ちょっぴりわたわたと、思わずその手を伸ばす。
 泳ぐのは慣れていなくて……気をつけて歩くようにしていたけれど、やっぱりどうしてもぎこちないから。
 終夜は、そんな助の言葉と表情に、ふっと小さく笑みを零してから。
「掴まってろ。俺が、引っ張ってく……」
 彼女へとその手を差し出す。そう、水族館に来た時のように。
「こんなのめったにないからな。どうせなら楽しもう」
 そんな言葉に、助はこくりと頷いて。
 彼の厚意に甘えて……差し出してくれた手にそっと、自分の手を重ねる。
 来たことがない水底は心細さを感じるけれど、でも好奇心は抑えきれないし。
 繋いだ手から伝わる温もりや感触は、頼もしくてホッとするから。
 終夜は、そんな助をそっと片腕で支えて。何処かから聴こえる歌が響く水中を少し泳いで見せる。
 人懐っこい魚に指を寄せる事でコミュニケーションを取りながら……彼女がより、魚とこの水の世界を楽しめるように、と。
 助は彼と共にゆく青の世界を揺蕩いつつも、広がる水中の世界に瞳を輝かせて。
 挨拶をしてくれる様にすり寄ってきた魚が、つんつん。
 ふと差し出してみた手をくすぐるお魚さんのキスに、笑みを溢しつつ。
 顔を上げれば、ぱちりと終夜と視線が合って。
 一緒に泳ぐ海いろの世界は、とても楽しくて……顔を見合わせればふたり、零れる笑顔。
 終夜は楽しそうに笑う助をみて、つられるように彼女と笑い合いながら。
 ――共に来れたよかった……。
 そう、心から思う。
 だって、自分の腕の中で……楽しいって、たくさん笑って。
 感動を味わうその姿を見れば、心が温まると感じるから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨・萱
いばらと/f20406

消灯しひっそりと静まり返ると見事なアオの底
大水槽から歌声が響いてくれば、怪しき怪異とは此の事かと
そ、と水の壁に触れれば何の抵抗も無く
外から見れば緩慢な魚の動きと思うたが
成程此れは心地よい
揺蕩っていたくなる重みじゃ

直接響くような音を頼りに探して行こうかの
泳ぎ方を知らぬと聞いたが…はて如何程か
慣れぬようであれば手を取り導こうか

慣れてきたならば、いばらに悪戯小僧のように微笑んで声を響かせる
探索ついでに遊ぼうではないか。かくれおになど如何じゃ。
我は隠れ逃げようぞと南国の彩魚の群れに紛れて彼方此方
よき練習になるであろ

おう、勿論仕事も忘れておらぬぞ
隠れ場所を探せば自ずと探索となろうよ


城野・いばら
ゆいと/f29405

お茶会のおかげでお腹も元気も充電バッチリ
今度はお勤めを頑張るぞと
声に誘われるまま水槽へ
歌っているのは、物語に出てくるような人魚さん?
それとも歌う骸骨さんかしら

夜の水のナカは
思ってたより暗くて、静かで
でも知らないに満ちていて
ね、ね、とゆいを振り返れば
軽やかに泳ぐ貴女の姿
傍にと手足を動かしてみるけれど…むむ、上手く進まない
でも折角だから泳ぎを覚えたいわ
足をバタバタ見様見真似で、ゆいに手を伸ばす

かくれおに楽しそう!
魚さん達も一緒にね、あそびましょ
いばらがオニさん役なのよ
さぁ、にげてにげてー
今度はね、ゆいに追い付いてみせるの

岩陰を覗いたり
歌を辿れるなら追いかけて
勿論、探索も忘れずに



 ただでさえ薄暗かった館内の明かりが、最低限まで落とされた消灯時間から如何ほどの時間が経ったか。
 ひっそりと静まり返る真夜中の水族館自体が、見事なアオの底に沈んだようで。
 静寂の中、ふいに聴こえてきたのは――歌声。
 けれどその誘う様な声は、事前に聞いて知っていたから。
 雨・萱(天華ウーアーリン・f29405)はそっと真夜中の青の底を進む……怪しき怪異とは此の事か、と。
 そんな萱と共に聴こえる歌声を辿るのは、城野・いばら(茨姫・f20406)。
 海のお茶会のおかげで、お腹も元気も充電バッチリだから。
 自分達を惑わさんとするような美しい声に、敢えて誘われるままに。
 ……今度はお勤めを頑張るぞ、と。
 辿り着いたのは、見上げるほどの青に満ちた大水槽。
 そんなガラスの向こう側……水の中から、歌声は響いているから。
「歌っているのは、物語に出てくるような人魚さん? それとも歌う骸骨さんかしら」
 いばらがふと首を傾け、緑色の瞳に深い青のいろを重ねれば。
 萱は何の抵抗も無く……そ、と。水の壁に触れれば、吸い込まれるは水の中。
 今までは、ガラスの外から眺めるばかりであったけれど。
「外から見れば緩慢な魚の動きと思うたが、成程此れは心地よい」
 ぷかり浮かびながらも、ゆっくりと沈んでゆく……そんな心地に、萱は己の青を細める。
 ……揺蕩っていたくなる重みじゃ、って。
 そんな萱とともに水の中へと誘われ、きょろりと視線を巡らせてみれば。
 夜の水のナカは、いばらが思っていたよりも暗くて、静かで――でも、いっぱいの知らないに満ちていて。
 ね、ね、と萱を振り返ってみれば。
「直接響くような音を頼りに探して行こうかの」
 そう紡ぎ、すいっと水を掻いては軽やかに泳ぐ姿が。
 その傍にと、いばらも手足を動かしてみるけれど。
「……むむ、上手く進まない」
 簡単そうに見えていたけれど、これがなかなか難しい。
(「泳ぎ方を知らぬと聞いたが……はて如何程か」)
 そう萱はふと、手足を一生懸命動かすいばらへと目を向けて。
 ……でも折角だから泳ぎを覚えたいわ、って。
 慣れぬ様子ではあるが、頑張る彼女へと、そうと手を伸ばす。
 青の中をゆく手助けをと、優しく導くように。
 いばらは見様見真似で足をバタバタ、萱に手を伸ばして。
 一緒に暫し揺蕩い、その技を盗むべく泳ぎのレクチャーを。
 その努力の甲斐あって、泳ぐのに随分といばらが慣れてきたならば。
 萱はこう、いばらへと提案の声を響かせ微笑む。
「探索ついでに遊ぼうではないか。かくれおになど如何じゃ」
 まるで、悪戯小僧のように。
 そんなお誘いに、いばらはぱっと笑み宿して。
「かくれおに楽しそう!」
 勿論、すぐにこくりと頷く。
 それを見れば……我は隠れ逃げようぞ、と。
 すいっと萱が水を掻けば、南国の彩魚の群れに紛れて彼方此方。
 ……よき練習になるであろ、なんて鬼さんを見遣れば。
「魚さん達も一緒にね、あそびましょ」
 いばらは寄ってきた魚さん達も、かくれおにに誘って。
「いばらがオニさん役なのよ。さぁ、にげてにげてー」
 いーち、にー、さーん、って十まで数えてから。
 ぐっと気合いを入れて、青の世界をすいすいっ。
 ――今度はね、ゆいに追い付いてみせるの、って。
 けれど鬼さんが探して追うのは、萱やお魚さんたちだけではない。
 ひょこり岩陰を覗いたりしながらも、いばらは勿論、忘れずに追いかける……水槽に響く歌声も。
「おう、勿論仕事も忘れておらぬぞ」
 それは萱も同じ、ちゃんと成すべきことは忘れてなどないけれど。
 歌声を追いながらも、鬼さんに捕まらぬようそうっと、青の世界でかくれんぼ。
 ――隠れ場所を探せば自ずと探索となろうよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

君影・菫
🌸🐣

水槽から歌…
キミ、うたうの?
手を伸ばせばそこはもう、大水槽のなか
硝子越しに広がる碧の世界

…ゆめ、これ夢なんかな?
ほんならちぃと同じ夢見れてるんや
ふふ、うれしいなあ

およぐ、というのはきっと初めての感覚で不思議
でも手を取ってくれるのが安心のキミやから
怖さなんてなあんも無いの
水中でーとってやつ、教えて?てふわりふわり
サメとラッコのパジャマのままで
すれ違う子たちに挨拶してこ
ラッコ、うちとお揃いの子やね
なあなあ、サメはん
この子とお揃いの――うちも撫でて?
甘えラッコは期待の眼差し

ふよふよのクラゲを見つめたり
鮮やかな熱帯魚に混ざってみたり

ほんま夢みたい
けど、
この子たち守りたいて思たのは
きっと夢やない


宵鍔・千鶴
🌸🐣

歌が、聴こえる……?
大水槽へと導かれるまま
身を沈みこませ

ねえ、菫、
俺達まだ夢を見てるのかな?
硝子越しの世界の中へ
飛び込んで、碧に揺蕩いて
きっと泳ぐのが初めてのきみの
手を取って
怪異を探しながら、水中でーと、ってやつ。楽しんじゃおうよ。
サメとラッコのパジャマのまま
海の仲間に挨拶
ジベザベスを見つけたら
並んで自由に泳いでみたいな
菫、見て、ラッコもいる
きみのパジャマで親近感湧いて
そうと撫でてしまうのは仕方ない
……甘えんぼのラッコにも、ね
ゆらゆら水中で囁いて
同じように触れるから

クラゲをつついてみたり
熱帯魚の群れに参加したり

本の中でしか識らなかった
美しい生き物たちを
間近で共に過ごして
守らなきゃ、って



 ゆうらりと、微睡みの夜に揺蕩う夢の中。
 ――歌が、聴こえる……?
 いや、それは夢か幻か、はたまた現実か。
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の耳に聴こえるのは、美しい声色。
 静寂の中に響くそれは、優しくも甘く……そして怪しい歌声であった。
 そんな声に誘われて、真夜中の闇を漂いやってきたのは大水槽の前。
「……キミ、うたうの?」
 君影・菫(ゆびさき・f14101)はそう、眼前の深い青のいろに問いを落とす。
 聴こえる歌声は確かに、水槽の中から聴こえているから。
 そして千鶴と一緒に手を伸ばせば――硝子をすり抜けて、身を沈みこませた先は水の中。
 硝子越しに広がるのは、静かに満ちる碧の世界。
 そんな硝子越しの世界の中へと共に飛び込んで、碧に揺蕩いて。
「ねえ、菫、俺達まだ夢を見てるのかな?」
「……ゆめ、これ夢なんかな?」
 千鶴と顔を見合わせた菫は、ふふ、と嬉しそうに笑み零す。
 ……ほんならちぃと同じ夢見れてるんや、うれしいなあ、って。
 そんな菫にとって、およぐ、というのはきっと初めての感覚で。
 それはとてもぷかぷかふわり、不思議なもの。
 けれど、菫はふるり首を横に振る。
 ――怖さなんてなあんも無いの、って。
 だって、きっと泳ぐのが初めてのきみへ、って……そう手を取ってくれるのが、安心のキミだから。
「怪異を探しながら、水中でーと、ってやつ。楽しんじゃおうよ」
 そう手を引いてくれる千鶴と並んで、菫もふわりふわり。
「水中でーとってやつ、教えて?」
 これから始まるのは、わくわく心躍る水中でーと。
 そんなふたりの格好は、サメさんとラッコさんだから。
 海の仲間さんたちとだって、すぐに仲良くなれるはず。
 すれ違う海の子たちに挨拶しながら、魚たちとじゃれ合うように泳いで。
 千鶴が見つけたのは、お揃いの姿をしたジベザベス3世。
 そんな大きな大きな背中に星を纏う子と戯れ、暫し自由に並んで泳いだ後。
「菫、見て、ラッコもいる」
 千鶴が手を伸ばし、そうと撫でてしまうのは仕方ないこと。
 だって、きみのパジャマで親近感湧いたから。
 そんなジベザベスの裾を、くいくい。
「なあなあ、サメはん。この子とお揃いの――うちも撫でて?」
 そうサメさんに向けるのは、甘えラッコの期待の眼差し。
 そんなラッコさんのおねだりに、サメさんはゆらゆら水中で囁く。
「……甘えんぼのラッコにも、ね」
 そして同じ様に、甘えんぼな菫ラッコさんも、よしよし。
 大水槽は確かに海の青で一面満ちているけれど。
 其処に在るいのちは、思ったよりもずっと、いろんないろをしていて。
 ふよふよ揺蕩うクラゲさんを見つめて、つんつんつついてみたり。
 すいすい泳ぐ鮮やかな熱帯魚の群れに混ざって、水の中のお散歩に参加してみたり。
「……ほんま夢みたい」
 菫はそう、未知の海の世界に菫色の瞳を細めるけれど。
 でも、きっと夢やない……そう、青の世界をもう一度見回す。
 この子たち守りたいって思ったのは――夢じゃないから。
 千鶴も、そんな菫の声にこくりと頷く。
 サメさんとラッコさんの真夜中の冒険は、とても楽しくて。
 本の中でしか識らなかった美しい生き物たちと、間近で共に過ごす今。
 やっぱり思うから……守らなきゃ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葉山・鈴成
カエナちゃん(f27672)

…歌が聴こえるッス。
不思議な歌声はそれはそれは魅力的
これがセイレーンの歌声?
こんな綺麗な歌声なら、惑わされちゃうのも無理ないっすねぇ。

物語に出てくる人魚は美しい歌声で人を惑わすという
カエナちゃんとどっちが上手?
今度聴かせてよ、と懐っこく笑う

大きなマンタに、おぉ〜!と目を丸くして
マンタと泳ぐ!?やりたいッス!
ワクワクを抑えきれず輝く瞳
魚を真似て化け術を使うよ
化けるのはもちろんマーマン
カエナちゃんと手を繋いでマンタと一緒にふわふわ泳ぐ
泳ぎどう、上手い?

さぁて、怪異の元凶探しましょ
マンタくんよろしくっス
なんて言っても周りは面白いものばかり
魚たちはこんな世界を見てたンすねぇ


カエナ・ネオフォカエナ
鈴成(f28041)

…人を惑わす魔の歌声
悪いセイレーンでもいるのじゃろうか
子守唄にしては少々美しすぎるが、
折角誘われておるのじゃ
応えてやらねばのう

ふふふ、ではそうじゃのう
今度聞かせてあげようか
これでも歌声には自信があるのじゃぞ、とどこか得意げに

マンタを見上げ
乗るのは難しいじゃろうが
共に泳ぐことは叶うかもしれぬぞ?と
彼の手をとり浮き上がる

鈴成の化け術はすごいのう
大丈夫、上手に泳げておるよ
わらわとお揃いじゃな、と
嬉しそうに尾鰭は揺らめいた

マンタにとって此処は住処みたいなものじゃろう?
怪異の元へ連れて行ってくれるかも
たとえ辿り着けなくても
海中散歩など滅多にできぬものじゃろ?
共に楽しもうではないか?



 ぬくぬくうとうと、真夜中の夢を漂っていたのだけれど。
 まだ夢の中なのか、それとも現実か。
「……歌が聴こえるッス」
 ふと耳に聴こえる歌声に、葉山・鈴成(右魂・f28041)はふと気づいて。
 耳を澄ましてみれば――それはそれは魅力的な、不思議な歌声。
 いや、その歌が聴こえているのは、鈴成だけではなくて。
「……人を惑わす魔の歌声。悪いセイレーンでもいるのじゃろうか」
 彼の傍らに在るカエナ・ネオフォカエナ(彼の背骨・f27672)の耳にも届いている。
 そんな彼女の声に、鈴成は首を傾けて。
「これがセイレーンの歌声? こんな綺麗な歌声なら、惑わされちゃうのも無理ないっすねぇ」
「子守唄にしては少々美しすぎるが、折角誘われておるのじゃ」
 カエナは甘く怪しい歌声のする方へと緑の視線を巡らせる。
 ……応えてやらねばのう、って。
 そして鈴成は、懐っこく笑う。
「物語に出てくる人魚は美しい歌声で人を惑わすというけど、カエナちゃんとどっちが上手?」
 ――今度聴かせてよ、と。
 そんな鈴成のおねだりに、ふふふ、とカエナは笑んで。
「ではそうじゃのう。今度聞かせてあげようか」
 ……これでも歌声には自信があるのじゃぞ、とどこか得意げにえっへん。
 歌に敢えて誘われ、大水槽の中に吸い込まれれば――其処は海いろの世界。
 そして深く濃い夜の青をゆうらり泳ぐのは、大きなマンタ。
 そんなひらり泳ぐ姿に、おぉ〜! と目を丸くする鈴成に。
 カエナは、マンタを見上げながらも紡ぐ。
「乗るのは難しいじゃろうが、共に泳ぐことは叶うかもしれぬぞ?」
「マンタと泳ぐ!? やりたいッス!」
 途端に輝くのは、ワクワクを抑えきれない紫の瞳。
 そんな彼の手を取って、すいっとカエナが浮き上がれば。
 マンタは、すぐそこに。
 けれど上手に一緒に泳ぎたいから――どろん、と。
 鈴成が使うのは、魚を真似た化け術……化けるのはもちろん、半人半魚のマーマン。
「泳ぎどう、上手い?」
「鈴成の化け術はすごいのう。大丈夫、上手に泳げておるよ」
 マンタと一緒にすいすいふわふわ泳ぐ鈴成と手を繋いだまま、カエナはこくりと頷いて。
 嬉しそうに尾鰭をひらり揺らめかせる……わらわとお揃いじゃな、って。
 そして準備も万端、静かに煌めき降る星の海を大きく掻いて。
「さぁて、怪異の元凶探しましょ」
 ひらひらお揃いの尾鰭を揺らす鈴成と共にゆきながら、カエナはマンタに視線を向けて。
「マンタにとって此処は住処みたいなものじゃろう? 怪異の元へ連れて行ってくれるかも」
「マンタくんよろしくっス」
 大水槽の中のことをよく知っているに違いないマンタくんに、行き先はお任せ。
 けれど、たとえ辿り着かなくても……周りは面白いものばかりだから。
「海中散歩など滅多にできぬものじゃろ? 共に楽しもうではないか?」
 そう歌うように紡ぐカエナに、鈴成は勿論大賛成。
 そしてぐるりと、深く濃い海の世界を、改めて見回してみる。
 ――魚たちはこんな世界を見てたンすねぇ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紹・羅沙
【分福堂】
こころゾワゾワする不快な歌声の主
ラファンより先に見つけるネ!
と、意気込んではみたけれど、推理はまったくもって苦手ヨ
だが、ワタシには千年モノの野生の勘がアル!
キュピーン! ピココーン! バキューン!
反応ある場所にラファンを引っ張ってて捜索するアル
見つけたヨ!
金運があがる白いハコフグ
恋愛運があがる白いのヒトデ
一日幸運になれる白いカワハギ
見つけるシリーズの白、コンプリートしてバンザイ
防水のスマホを持ってきてよかったネ
ちがう。探すのこれじゃないのヨ
さっきまでの自信満々、恥ずかしくてチンアナゴのように砂に潜りたいネ

すごいネ、大きいネ!
ジンベイザメ、触りたいネ!
ラファンと一緒に記念の写真とるアル


ラファン・クロウフォード
【分福堂】
深い深い海の底にいるような青一色の世界は静かで怖いと思った
羅沙と一緒にいなければ
怪しい場所まで引っ張ってくれるから、うん、とても移動が楽でいい
身体が浮かぶ感覚を心地よく感じながら目を閉じる
精神を集中して歌声の強弱を探ってみよう
それにしても、何を歌っているのだろう
耳に心地よくて、どこか、寂し気だ

つか、見つけるシリーズの白コンプリート、マジですげえな!?
歌声のヌシが潜んでいそうな方向へ羅沙と捜索に向かう
悠然と泳いで近づいてくるジンベイザメを羅沙に教えよう
ああ、触らせてもらおう。向かう方向も同じようだしな
勿論、写真も。羅沙と肩を組んで楽し気に笑う
笑顔でこの場所が溢れるよう。退治しないとな 



 ガラスの外から深い海の底を覗いただけでも、未知への怖さを感じて圧倒されたけれど。
 それが、深い深い海の底にいるような青一色の世界となれば……やはり、思ってしまう。
 ――静かで怖い、と。
 いや、正確に言えば、そう思ってしまっていただろう。
 羅沙と一緒にいなければ、と。
 そんなラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)と、大水槽へと吸い込まれ身を投じた紹・羅沙(白漠の帽蛇・f12083)だけれど。
「こころゾワゾワする不快な歌声の主。ラファンより先に見つけるネ!」
 真夜中の大水槽に怪しく響く歌声を耳にしながら、そう意気込んではみたものの。
「推理はまったくもって苦手ヨ」
 でも、推理力はなくても!
「だが、ワタシには千年モノの野生の勘がアル!」
 ――キュピーン! ピココーン! バキューン!
 ピカーンと野生の勘が反応した場所へとラファンを引っ張って、捜索する羅沙。
 そんな怪しい場所まで、羅沙が引っ張ってくれるから。
 ……うん、とても移動が楽でいい。
 ラファンは、ぷかり身体が浮かぶ感覚を心地よく感じながら、おもぬろに目を閉じてみる。
 精神を集中して探ってみるのは、大水槽の何処かから聴こえてくる、歌声の強弱。
 視界を一時遮断すれば……頭の中を侵すかのように、じわりと歌声が染み渡ってきて。
 ラファンは羅沙に引かれたまま、歌を聴きながら思う。
(「それにしても、何を歌っているのだろう」)
 ……耳に心地よくて、どこか、寂し気だ、って。
 そんなゆらゆらと、夢か幻かのように意識を揺蕩わせていたら。
「見つけたヨ!」
 耳に届いた羅沙の声に、ふと再び瞳を開けば。
 ――金運があがる白いハコフグ。
 ――恋愛運があがる白いのヒトデ。
 ――一日幸運になれる白いカワハギ。
 見つけるシリーズの白、コンプリートしてバンザイ!!
「防水のスマホを持ってきてよかったネ」
 そう、すちゃっとすかさず羅沙は、水の中でも大丈夫なスマホを構えて。
 無事コンプリートした見つけるシリーズの白へと、パシャリとシャッターを切るけれど。
「ちがう。探すのこれじゃないのヨ」
「つか、見つけるシリーズの白コンプリート、マジですげえな!?」
 元・蛇竜の野生の勘は、さすが恐るべし!?
 いえ、すごいのですけど……うん、ソレジャナイ。
 だから……チンアナゴのように砂に潜りたいネ、って。
 さっきまでの自信満々さがちょっぴり恥ずかしくなる羅沙だけれど。
「ほら羅沙、あそこにジンベイザメが」
 歌声のヌシが潜んでいそうな方向へと一緒に捜索に向かいながらも。
 ラファンは羅沙に教えてあげる。悠然と泳いで近づいてくるジンベイザメを見つけて。
 その言葉に、穴から出てきたチンアナゴみたいに、ひょこりと顔を上げて。 
「すごいネ、大きいネ! ジンベイザメ、触りたいネ!」
「ああ、触らせてもらおう。向かう方向も同じようだしな」
 ぱっと瞳輝かせ言った羅沙に、ラファンは頷く。
 そして羅沙はもう一度、しゃきんっと防水スマホを取り出して。
「ラファンと一緒に記念の写真とるアル」
 ……勿論、写真も、と。
 ラファンは、羅沙と肩を組んで楽し気に笑う。
 それから聴こえてくる歌声を耳にしながら思う――退治しないとな、と。
 ……笑顔でこの場所が溢れるよう、と。
 深い青の世界を共に征く今、もう全く不安はない。
 何より、羅沙と一緒であるし――運気が上がる白い生き物たちだって、見つけてコンプリートしたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メドラ・メメポルド
【サメ友】
まあ、まあ
びっくりした。ここ、水槽の中なのね
ふしぎ、いつもの水の中とは感覚が少し違うわ

ののさん、大丈夫?
ほら、呼吸できるから怖くないわよ
メドはこういうの慣れっこだけど、ののさんは動きにくいかしら
慣れないならメドが手を繋いであげましょう

ええと、確か、そう
UDCを探すのよね、覚えてるわ
きっとこの歌を辿ればいいのだけど……
ちょっとの寄り道も許してもらえるはずよ
探し物をしながらお散歩しましょう

あの大きい子はジンベエザメ、きっと、そのジベザベス3世さんね
まあ、くらげもいるの?
ふふ、そうよ。メドもくらげなの

メドや、さめさんの世界へようこそ
ずっと?……そうね
夢が覚めるまでずっと、いてもいいのよ


有海・乃々香
【サメ友】
わぁ、わぁ、すごーい!
とぷん、って入っちゃった!

だいじょうぶ。ののか、息とめるの得意だよ
……あれ、息できるの? ……なぁんだ
慣れてないわけではないけれど、嬉しいからお言葉に甘えて手を繋ぎ
ジベザベスの着ぐるみパジャマのまま、サメさん気分で水中散歩
サメさんに乗らず自分の足で歩くのは、なんだかとっても新鮮で

うん、おうたがきこえる方に行けばいいんだよね
どこにいるのかな……あ、みてみてメドちゃん、おっきいサメさんがいるー!
あれがジベザベス3世かなぁ?
わっ、こっちはくらげさんがいるよ!
ふわふわで、ひらひらだね
メドちゃんみたい!

えへへ、メドちゃんの世界、きれいだね!
ののか、ずーっといてもいいかも!



 沢山一緒に色々な海の生き物を見て、美味しい物もいっぱい食べたし。
 真夜中の水族館でふたりは、ゆうらりすやすや、夢の中……。
 ……ではなくて。
 同じゆらゆら揺蕩っていても、一緒に飛び込んだのは、青の世界。
「わぁ、わぁ、すごーい! とぷん、って入っちゃった!」
「まあ、まあ。びっくりした。ここ、水槽の中なのね」
 そう、有海・乃々香(愛情欠乏症・f26728)とメドラ・メメポルド(フロウ・f00731)が吸い込まれたのは、大水槽の中。
 満ちる海のいろをゆくのは、慣れっこではあるけれど。
「ふしぎ、いつもの水の中とは感覚が少し違うわ」
 メドラはそう淡く仄かな緑の視線を、ゆらり巡らせてから。
 ジベザベス3世のぬいぐるみをぎゅうと抱っこする乃々香に、声を掛ける。
「ののさん、大丈夫?」
「だいじょうぶ。ののか、息とめるの得意だよ」
 メドラの問いに、乃々香はこくりと頷いて。
 んっ、って息を止めてみせるけれど。
「ほら、呼吸できるから怖くないわよ」
「……あれ、息できるの? ……なぁんだ」
 得意な息を止めることを見せられなくて、ちょっぴり残念そう……?
(「メドはこういうの慣れっこだけど、ののさんは動きにくいかしら」)
 メドラはふと、自分よりちいさな彼女へと視線を向けてから。
「慣れないならメドが手を繋いであげましょう」
 乃々香へと、手を差し出すメドラ。
 いや、慣れてないわけではないけれど。
 でも乃々香はお言葉に甘えて、ぱっと笑顔でその手を取って繋ぐ。
 だって、嬉しいから。
 そんな乃々香は、ジベザベスの着ぐるみパジャマのまま。
 だから大好きなサメさんになったような気分で、メドラと一緒に水中散歩。
 そしてぷかりゆらりと、ふわふわ手を繋いで進みながら思う。
 ……サメさんに乗らず自分の足で歩くのは、なんだかとっても新鮮、って。
 そう二人並んで、青の世界をとことこ進んでいたけれど。
 聴こえてくる歌声を耳にしながら、メドラはふと首を傾ける。
「ええと、確か、そう。UDCを探すのよね、覚えてるわ」
「うん、おうたがきこえる方に行けばいいんだよね」
「きっとこの歌を辿ればいいのだけど……」
 どこにいるのかな……って、メドラと一緒に、乃々香もきょろり探してみれば。
「……あ、みてみてメドちゃん、おっきいサメさんがいるー!」
 うんと背伸びする様に見上げた先にいるのは、大きな大きなサメさん。
 そのサメさんの姿は、乃々香とお揃いだから。
「あれがジベザベス3世かなぁ?」
 抱いているぬいぐるみと水槽を泳ぐ大きなサメさんを、交互に見比べる乃々香に。
 メドラは、月の白と蒼を映したなだらかな髪を微か揺らしながら頷く。
「あの大きい子はジンベエザメ、きっと、そのジベザベス3世さんね」
 眼前の小さなジベザベスの子を見つめる緑の眸を柔く細めて。
 それから、そっと小さな手を引いて、再び青の世界を探索するけれど。
「ちょっとの寄り道も許してもらえるはずよ」
 大丈夫、ちゃんとやることは分かっているから……ちょっぴりだけ。
 ……探し物をしながらお散歩しましょう、って。
 そんな大水槽の冒険は、海の生き物たちとの出会いも沢山。
「わっ、こっちはくらげさんがいるよ!」
「まあ、くらげもいるの?」
 乃々香は、ふんわり揺れるクラゲさんをじぃっと見つめてから。
「ふわふわで、ひらひらだね。メドちゃんみたい!」
 そう、メドラとクラゲさんを緑色の視線を交互に向ければ。
 メドラはふわりと、こくり頷く。
 ――ふふ、そうよ。メドもくらげなの、って。
「えへへ、メドちゃんの世界、きれいだね!」
 わぁ、と青に揺蕩う色々ないろを映した瞳を、乃々香はキラキラと輝かせて。
「メドや、さめさんの世界へようこそ」
 そう笑んだメドラに、乃々香はこう続ける。
 ……ののか、ずーっといてもいいかも! って。
 だってこの世界では――サメさんも、そしてメドちゃんも一緒なのだから。
 そんな言葉に、メドラはぱちりと淡く仄かな緑を瞬かせてから。
「ずっと? ……そうね」
 歌声が響く中をゆうらりふわり、彼女の手を引きながら紡ぐ。 
 ――夢が覚めるまでずっと、いてもいいのよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『腐屍海の百人姉妹』

POW   :    神歌:永劫の夢に微睡む貴方へ
【深海に眠る大海魔】の霊を召喚する。これは【無数の触手】や【神経系を破壊する怪光線】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    召歌:黒骨のサーペント
自身の身長の2倍の【骸骨海竜】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    戦歌:インフェルノウォークライ
【召喚した怪物の群れによる一斉攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第3章プレイング送信の受付は、【12/15(火)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
.

●うたう人魚たち
 海の生き物たちと共に揺蕩いゆく、深く濃い青の世界。
 けれど……大水槽の奥へと進むたび、脳内をじわり侵すかのように響く歌。
 それに、歌声はひとつだけかと思っていたけれど。
 歌う元凶に近づくにつれ、それは複数の声から成っていることに気付く。
 そして奥へ奥へと向かえば……ふいに、一緒に泳いでいた魚たちがくるりと進む方向を変える。
 この先に行ってはいけないと――本能で感じ取っているみたいに。
 だがこの先に、元凶であるUDCがいることは確か。
 猟兵達は海の生き物たちと別れ、歌が聴こえる大水槽の最奥を目指して。
 先程まで鮮やかであった魚や生き物たちの姿が全くない、夜に沈む青を泳ぐ。
 そして、静かに降る星の様な煌めきの中、猟兵達が目にしたのは。
 ゆらり揺れる水中を自由に泳ぎ歌う――人魚たちであった。
『ふふ、海の世界は楽しいでしょ? 楽しんで貰えたら嬉しいわ』
『だって楽しかった世界が、実は死の世界だって知ったら……きっと貴方達、素敵な顔をするでしょ』
『そう、理性を失って狂気に染まる顔』
『そうなれば、邪神様もきっと喜ぶわ』
 うふふ、と笑み歌いながら、人魚たちは水の中をすいっと泳ぐ。
 神秘のいろに満ちた海の世界を覗いてみたい――そんな水族館を楽しむ人々の気持ちにつけこんで。
 呼吸も移動も難なくできるのは、その願いを叶えてあげるため。
 そして歌う人魚たちは、対価に貰うのだ。
 人が垣間見せる死への絶望と、理性を失い狂気に染まるさまに酔いながら……その命を。
 人の心を掻き乱し惑わす歌を、うたいながら。

●マスターより
 第3章は『腐屍海の百人姉妹』との集団戦です。
 戦場は引き続き大水槽の中ですが、通常の戦闘と同様に考えていただいて構いません。
 水中であることは、戦闘判定には影響しません。
 これはUDCの怪異が引き起こした不思議な水中ですので、炎系のUC等も水中でも問題なく使用できます。
 基本、通常の戦闘と同じと考えていただければと。
 ですが、水中を泳ぐように移動し攻撃する、ちょっとぎこちない泳ぎだけど頑張る……等々。
 水中ならではな行動をしていただいても構いません。
 その際も、判定に有利不利はなく、あくまで描写においてのフレーバー扱いとなりますが。
 水中だからこそできることや皆様らしい行動をしていただくことも、勿論歓迎です!
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやTwitter等でお知らせ致します。
花菱・真紀
幸也さん(f13277)と
まぁ、泡になって消えるだけが人魚じゃないですもんね…どちらかと言うとローレライって感じか?
俺たちの攻撃を当てるわけにはいかないし魚達が居ないのは好都合だよ。

俺はいろいろあったからわりとあぁいうの大丈夫なんですけど(【狂気耐性】【呪詛耐性】)幸也さんは大丈夫ですか?
わわっ(撫でられて表情が緩み)
…ありがとうございます。

今日は楽しかったよ。絶望とか狂気じゃなくてお前達には感謝しか浮かばない。
あいつの方がタチ悪かったし。
それでも幸也さんを傷つけられるのは嫌だから…守ります。
UC【絶対防御の壁】
幸也さん、攻撃はよろしくおねがいします!


十朱・幸也
真紀(f06119)と
アドリブ歓迎

死後の世界とか笑えねぇな
さっきの魚達の方が可愛げがあったっつーか……
此処はお前らの餌場じゃねぇんだよ、さっさと消えろ

水中への恐怖心は今もぬぐえねぇし
下手すりゃ、人魚の意思一つで溺れ死ぬかもしれねぇ
心は騒めくばかり、だからこそ平静を装う【演技】
真紀の方こそ平気か?
……って、色々あったからってノーダメージな訳でもねぇだろ
(頭をわしゃわしゃと撫でようと

魚達が逃げてくれて助かった
遠慮なく、存分に血を流せるからな
UC:血宴
守りは真紀に任せて、血の刃で【切断】を試みる

生憎、俺達の感情をくれてやるつもりはねぇよ
絶望だの狂気だのが欲しけりゃ
テメェらので我慢してろ



 ガラスの外からゲームをしながら眺めていた水槽の世界も、魚やジベザベスたちと泳いだ海の彩も、生命のいろに満ちていたのに。
 人魚たちが我が物顔で泳ぐ眼前の世界は、ただ深く濃い青だけが広がっている。
 けれど、人魚たちはすいっとご機嫌に泳ぎながら歌う。
『海の中は楽しい世界だと思ったでしょ?』
『でも残念、此処は死の世界』
『深く深く沈んで、絶望のまま藻掻き苦しんで死んじゃうの』
 うふふ、あはは……。
 歌声と共に響く不快な笑い声に、微か眉を顰めるのは十朱・幸也(鏡映し・f13277)。
「死後の世界とか笑えねぇな」
「まぁ、泡になって消えるだけが人魚じゃないですもんね……」
 ……どちらかと言うとローレライって感じか? と。
 花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)は不穏な歌をうたう人魚たちを見遣り、呟きを落とす。
 恋人に裏切られて身投げした美しい乙女が水の精となり、船頭を誘惑しては船を沈没させる――ローレライ。
 王子様の出てくる童話よりも、難所で語られる伝説の方が、真紀が好む都市伝説に近い気はするけれど。
 勿論、歌う水の精の思惑通りに歌に惑わされる気は毛頭ないから。
 それに今はまだ実害は及んでいないとはいえ、海の生き物たちが引き返したことをみても……到底人魚たちが歓迎されているとは思えない。
 見渡すいろは闇の様に深い青一色だけれど、真紀は逆にホッとする。
「俺たちの攻撃を当てるわけにはいかないし魚達が居ないのは好都合だよ」
 この世界が、怪異が見せる夢なのか幻か、それとも現実なのか……それは分からないけれど。
 大水槽の住人たちに気を掛ける必要がないのは幸いであるし。
『うふふ、怖いでしょ?』
『楽しかったはずの場所で、溺れて死んじゃうのよ』
『絶望を抱いて人が死ぬ姿を見れば、邪神様もとても喜ぶわ』
「さっきの魚達の方が可愛げがあったっつーか……」
 確かに、魚たちに囲まれすぎはしたけれど……ジベザベスな真紀にじゃれる様子は、悪意とは無縁の好意的なものであったようだし。
 何よりも、此処で人魚たちの言う通りに沈む気もないから。
 幸也はくるくると水中を泳ぐ化け物たちに言い放つ。
「此処はお前らの餌場じゃねぇんだよ、さっさと消えろ」
 そんな幸也に、真紀はちらり視線を向けて。
 人魚たちの歌が響く中、こう声を掛ける。
「俺はいろいろあったからわりとあぁいうの大丈夫なんですけど、幸也さんは大丈夫ですか?」
 大水槽に入った時も、少し不安そうな様子であったし。
 自分は狂気や呪詛の類にはある程度耐性があるけれど、人魚たちの歌は負の感情を揺さぶる響きを帯びているから。
 けれどそんな真紀の声にも、幸也は何ともない調子で逆に返してみせる。
「真紀の方こそ平気か?」
 そして手を伸ばすと、魚たちの様な色とりどりのヘアピンで留められた髪をくしゃり。
「……って、色々あったからってノーダメージな訳でもねぇだろ」
 そう紡ぎながら、わしゃわしゃと頭を撫で回せば。
「わわっ……ありがとうございます」
 その大きな掌の温もりと撫でられる感触に、ふにゃり緩む真紀の表情。
 そんな様子に瞳細める幸也は、平然としているように見えるけれど。
(「水中への恐怖心は今もぬぐえねぇし。下手すりゃ、人魚の意思一つで溺れ死ぬかもしれねぇ」)
 そう思えば、心は騒めくばかりだけれど。
 でも――だからこそ、平静を装う演技をする幸也。
 そして刹那、深い青の世界を咲くように彩るのは、赤のいろ。
「魚達が逃げてくれて助かった。遠慮なく、存分に血を流せるからな」
 己の血を流すことなど厭わぬ様に……いっそ、流し切ってしまえばいいという様に。
 ――利用出来るなら、精々有効活用させてもらおうかね、と。
 自らつけた傷から零れ落ちる血が鋭利な刃と化し、人魚たちを取り囲めば。
『……!』
 瞬間、幾重にも揺らめく赤の彩り。 
 不安を煽らんとする歌を二度と歌えぬよう、血刃が人魚たちを容赦なく捌き切断して。
『怪物の群れに食われる死に方なんてどう?』
 人魚たちの戦歌に喚ばれた怪物たちが、幸也に襲い掛からんとするけれど。
「今日は楽しかったよ。絶望とか狂気じゃなくてお前達には感謝しか浮かばない」
 ……あいつの方がタチ悪かったし、と呟きを落としながらも。
 真紀はすかさず、揺るぎなき想像力をもって創造する。
「それでも幸也さんを傷つけられるのは嫌だから……守ります」
 ――この壁は絶対壊れない……!
 幸也を守る、絶対防御を誇る強固な壁を。
「幸也さん、攻撃はよろしくおねがいします!」
「生憎、俺達の感情をくれてやるつもりはねぇよ」
 得意ではない水の中であっても、耳に届いた守るというその言葉に不安は一切ないから。
 再び素早く展開された幸也の赤き刃が、再び人魚たちを次々と血祭りにあげてゆく。
 ――絶望だの狂気だのが欲しけりゃ、テメェらので我慢してろ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
紅(f01176)と

にんぎょさんだ
うん、海のせかいはたのしいっ
だけどね
ここにくるのはわたしたちで最後だよ

ふふ、クレナイもにんぎょっ
にあってる
きれいな尾びれだねっ

人魚の歌が聞こえても
クレナイが歌ってくれるからへいき
げんきいっぱい
やるぞーっ

ガジェットショータイム
大きな法螺貝
わあ、海っぽいっ
ぶおーって吹くんだよね?

息を吹き込めば渦ができて
竜巻が作られる

クレナイっ
クレナイに手を引かれながら人魚に向け竜巻を
いっしょに歌いたくもなるけれど
あ、吹いてたら歌えないね
貝に向けて言えば音符が飛び出して
竜巻を彩る

わ、もしかして
ジベザベスっ
言えばデフォルメされたジンベイザメがゴーン(物理)

いたそう

おっけー、ぺんぎんっ


朧・紅
オズさん(f01136)と

このお歌ザワザワします…

人魚さんきれーっ
ねっ楽しいいっぱいでしたっ
海の世界は楽しいのままに致しましょう

人魚さんいいなぁって思いながら
空想造血
ぅや錠剤?
ぱくん
脚が赤くてひらひらな尾びれに!
ですか?えへへ♪

人魚のお歌には力があるのですよねっ
お花が泳ぐ~すいぞくかん~♪
今日の楽しいを詰め込んだお歌は人魚のお歌をかき消して
オズさんをとびっきりの元気でぱわーあっぷっ

貝殻?
わぁすごいぐるぐる~

オズさんこっち♪
手を取って
攻撃なんて当たりませんよっ人魚ですもん♪
お歌でリズム
アクロバティックにくるりひらり回避

音符?きれ~っ
今のは?

わぁい
ジベザベスさんだぁ!

オズさん次はペンギンさんで!



 ついさっきまでは、キラキラいっぱいな絵本のようないろで溢れていたのに。
 大水槽の最奥に広がっていたのは、ただ深い闇の如き青のいろだけ。
 そして響くのは、ずっと誘う様に聞こえていた歌。
「このお歌ザワザワします……」
 美しい響きはしてはいるのだけれど……でも、朧・紅(朧と紅・f01176)は感じていた。
 待っていた人魚たちが歌うこの歌は、楽しいお歌ではないことを。
『ふふ、歌に誘われた海の世界は楽しかったでしょ?』
 そう歌いながらも笑う人魚たちの言葉に頷くのは、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)
「にんぎょさんだ。うん、海のせかいはたのしいっ」
「ねっ楽しいいっぱいでしたっ」
 紅も、オズと一緒に笑顔を宿して、これまでのことを思い出してみる。
 ぴょこんと飛び出すチュロスのチンアナゴさんに、お互いの花を咲かせた子や紅葉の子、ジベザベスやコバンザメやタコにマアジとくるくるもして。
 他にもすごく、楽しいでいっぱいだったから。
「だけどね、ここにくるのはわたしたちで最後だよ」
「海の世界は楽しいのままに致しましょう」
 ふたりはそう、人魚たちに告げる。
 ザワザワするような歌は、楽しい世界にはいらないから。
 けれど人魚たちは、歌うのを止めない。
『楽しい? 残念、此処にあるのは絶望よ』
 ひらり、ゆうらりと、大きな尾鰭を水中に遊ばせながら。
 そんな水の中を自在にすいすい泳ぐ人魚たちを見遣って。
 ――人魚さんいいなぁっ。
 なんて思いながら、紅が展開させた空想造血でつくりだしたのは。
「ぅや錠剤?」
 そして……ぱくん。
 首を傾けながらも、それを口に含んでみれば。
「わぁっ、人魚さんになっちゃいました!」
 紅の脚が、赤くてひらひらな尾びれに早変わり!
 オズはそんな人魚さんになった紅に、こくこくと楽しそうに頷いて。
「ふふ、クレナイもにんぎょっ。にあってる、きれいな尾びれだねっ」
「ですか? えへへ♪」
 人魚さんな紅はそう笑み返してから、歌をうたう。
 だって、人魚のお歌には力があるのだから。
 ――お花が泳ぐ~すいぞくかん~♪ タンポポさんにヒガンバナ、もみじさん~♪
 幸せを沢山見つけた、今日の楽しいをいっぱい詰め込んだお歌は、悪い人魚の歌になんて負けやしないから。
(「人魚の歌が聞こえても、クレナイが歌ってくれるからへいき」)
 骸骨海竜を喚ぶ召歌さえも、かき消して……とびっきりの元気で、オズもぱわーあっぷっ!
 げんきいっぱい、やるぞーって。
 オズも元気いっぱい張り切って、ガジェットショータイムを展開すれば。
「わあ、海っぽいっ」
「貝殻? わぁすごいぐるぐる~」
 オズの手には、大きな法螺貝が。
「ぶおーって吹くんだよね?」
 オズはそう法螺貝を口に当てて思いっきり、ぶおーっ。
 息を大きく吹き込めば、ぐるぐる渦ができて。
『……!』
 悪い人魚たちが歌を思わず止めてしまうような竜巻に!
『貴方達、絶望に沈んじゃいなさいっ』
 そして骸骨海竜に乗った人魚が竜巻を生み出すオズへと突進してくるけれど。
「オズさんこっち♪」
「クレナイっ」
 すいすい、ひらりっ。
「攻撃なんて当たりませんよっ人魚ですもん♪」
 オズの手を取った紅が、ひょいっ。
 お歌でリズムを取って、アクロバティックにくるりひらりと回避すれば。
 いっしょに歌いたくもなるけれど。
「あ、吹いてたら歌えないね」
 オズはもう一度、悪い人魚たちへと、法螺貝をぶおーっ。
 一緒には歌えないけれど……でも貝に向けてそう言えば、飛び出したのは音符たち。
 リズムに乗って踊るように、ぐるぐる悪い人魚たちを巻き込む竜巻を彩って。
「音符? きれ~っ」
 ……今のは?
 そうこてんと首を傾ける紅に、オズは笑んでこう紡ぐ。
「わ、もしかして、ジベザベスっ」
 そしてまた、ぶおーっと法螺貝を吹いてみれば。
「わぁい、ジベザベスさんだぁ!」
 大きな大きなデフォルメジベザベスが、骸骨海竜ごと悪い人魚たちに突撃してゴーンッ。
『! いったぁい!』
 思わず声を上げて消滅する悪い人魚に、いたそう、と呟くオズに。
 紅はきゃっきゃ、こんなリクエストを。
「オズさん次はペンギンさんで!」
 そんな声に、オズはこくりと頷いて。
 ――おっけー、ぺんぎんっ。
 そう口にした後、ぶおおーっと元気に法螺貝を吹けば。
 悪い人魚を懲らしめるのは、水ではすいすい素早いデフォルメペンギンさんたちの、おさんぽアタック!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

変な事言うんだな。死の世界が楽しいのは当たり前だろう?
だって死後まで生前の苦しみを負う必要なんてないんだから。

存在感を消し目立たない様に立ち回り、マヒ攻撃を乗せた暗殺のUC五月雨と飛刀投擲で攻撃。できれば部位破壊で骸骨の関節を狙えばより動きの邪魔は出来るんじゃないかな。
目くらまし攪乱目的だが当たればよし、当たらずとも初期の目的が達成できれば良い。
その隙に接近し二刀で斬りかかる。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。



 水底を歩いて辿り着いたのは……カラフルな魚たちも近づかない、ただ青だけが広がる深い海の底。
 そしてその闇の様な青を泳ぐのは、歌う人魚たち。
 怪異を引き起こしている元凶は、あの人魚たちであるだろうことは明白で。
 黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は、右手には胡、左手には黒鵺と、握る二刀をすかさず構えるけれど。
『素敵な海のお散歩はどうだったかしら?』
『でもね、残念。此処は死の世界よ』
『絶望に溺れちゃいなさい』
 そう、うふふっと笑う人魚たちの言葉に、首を傾げて紡ぐ。
「変な事言うんだな。死の世界が楽しいのは当たり前だろう?」
 それは、朽ちてしまいたいという願いが叶うこと。
 折れる事ができない自分が、解放されること。
 ……だって死後まで生前の苦しみを負う必要なんてないんだから、と。
 けれどそう思ってもやっぱり、足を止めることは、できないから。
 歌う人魚たちを在るべき海に還すべく、刃を向けるだけ。
 派手に動き回る敵の死角をつき、存在感を消して目立たない様に立ち回って。
 ――喰らえ!
 召歌、黒骨のサーペントによって召喚された骸骨海竜の隙を見逃さず放たれるのは、痺れる様な暗殺の刃。
 まさに五月雨の如き黒い大振りなナイフが降り注ぎ、骸骨の関節を狙い投じられた柳葉飛刀が水中を飛び交えば。
 動きが鈍った骸骨海竜に乗った人魚が、完全に瑞樹の姿を見失う。
 そして目くらましの攪乱に翻弄されている敵へと、一気に接近して。
『……あ、っ!』
 歌う暇など与えぬ間に、黒鵺と胡の斬撃を見舞って斬り伏せる。
 さらに、別の骸骨海竜に騎乗した人魚が迫らんとするけれど。
 守りの気を纏い、耐性で痛みを凌ぎながら、巨大な戦槌にも引けを取らぬ丈夫さを誇る黒鵺で攻撃を受け流して。
 生じた隙に刃を振るい、折れることができぬ己の代わりに……青の底へと、敵を斬り捨て沈めてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
へぇ、どんなやつが作った空間かと思えば
人魚のオブリビオンか

ははっ、グラナトさんと海の中を歩けたんだから
これは感謝してもいいかもな
だからといって殺されてはやらねぇけど
骸の海にはお前達だけで沈んでな

軽く【挑発】しながら
魔装銃に雷の精霊を纏わせて【属性攻撃】【範囲攻撃】でUC使用
纏めて痺れさせてやるよ
グラナトさん、トドメよろしくっ

この空間が終わっちゃうのはちょっと残念だけどな
また今度は本物の海の中を散歩出来るといいね


グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
魚達は逃げたな。
なら力を振るっても問題はあるまい。

すまんがお前達のそれは私にとっては絶望にも狂気にもならん。
むしろ普段は触れ合うことのできないもの達と近づけた事を嬉しく思う。
マクベスとも良き時間を過ごせたしな。

これが正直な気持ちなのだが敵にとっては精神を逆撫でするだけかもしれんな。

私達だが害はないが一般のものにはキツかろう。
魚達にもあまりいい環境ではない。
お前達は骸の海に還るといい。

UC【紅蓮の剣】
あちら側にはいかせん。ここで終わらせる。
(【結界】を張り魚の方には行かせない様に)



 辿り着いたのは、大水槽の最奥――魚たちさえ踵を返す、人魚たちの縄張り。
 美しい命溢れる海のいろはそこには既に無く、ただ静かに広がる此処は、まさに死海。
『貴方達は、怖い怖ーい海の底に引き摺りこまれたのよ』
『うふふ、死の恐怖に怯えるといいわ』
 人魚たちは楽しそうに狂気の笑みを宿し、謳い歌う。
 誘き寄せた獲物達の、恐怖や絶望のいろを期待して。
「へぇ、どんなやつが作った空間かと思えば。人魚のオブリビオンか」
 けれど、そうぐるりと周囲を見回すマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)に、人魚たちが望むいろは微塵も見えない。
 いや、マクベスだけではなく、勿論すぐ隣に在るグラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)も同じ。
「魚達は逃げたな。なら力を振るっても問題はあるまい」
 人の手で管理され穏やかに暮らしている魚たちでさえ、近寄る事を嫌う歌声。
 この生命の気配を感じない死の海は、むしろ魚たちを巻き込む心配がなく好都合であるし。
 グラナトは美しくも怪しい歌声を重ねる人魚たちへと、こう続ける。
「すまんがお前達のそれは私にとっては絶望にも狂気にもならん。むしろ普段は触れ合うことのできないもの達と近づけた事を嬉しく思う」
 ……マクベスとも良き時間を過ごせたしな、と。
 水中での行動に苦手意識はあれど、泳ぐ様々ないろは命の美しさを数多彩っていて。
 そんな青の世界を、何よりも愛しい青と共に触れたひととき。
 憑り殺される気が微塵もないその心に、絶望など生じるわけはなく。
「これが正直な気持ちなのだが敵にとっては精神を逆撫でするだけかもしれんな」
「ははっ、グラナトさんと海の中を歩けたんだから、これは感謝してもいいかもな」
 マクベスは彼の言葉に、湛える青を細めてから。
「だからといって殺されてはやらねぇけど。骸の海にはお前達だけで沈んでな」
 軽く挑発しながら手にし構えるは、雷の精霊を纏わせた魔装銃。
『水の中は怖いでしょ、不安でしょ?』
『死の絶望に溺れればいいわ』
「纏めて痺れさせてやるよ」
 ――てめぇにゃ、コイツをお見舞いするぜっ!
 誑かす様に言の葉を吐きながら戦歌を歌い、人魚が喚んだ怪物もろとも。
『……ッ!』
 引き金引かれた刹那、迅雷の如くリンドブルムが鳴れば。
 走る銃弾の雷撃が容赦なく人魚たちを捉え、これ以上歌わせぬとその身を痺れさせれば。
「私達には害はないが一般のものにはキツかろう。魚達にもあまりいい環境ではない。お前達は骸の海に還るといい」
 深い青しかなかった世界を彩るのは、雷光と共に燃え上がる紅蓮。
 互いの耳に片方ずつ咲くいろと同じ……そんな赤のいろを、青き瞳に映しながら。
「グラナトさん、トドメよろしくっ」
 ――紅蓮の剣よ舞い踊れ。
 マクベスの声に応えるかのようにグラナトがそう紡げば、魔法剣の紅蓮がさらに鮮やかさを増して。痺れて歌えぬ人魚たちを包囲した瞬間、踊るように飛来し容赦なく焼き焦がす。
「あちら側にはいかせん。ここで終わらせる」
 紅蓮の剣を躍らせ人魚たちを焦がしながらも、決して魚たちの方には行かせぬと。
 結界を張り巡らせるグラナトの隣で、バチリと雷電弾ける魔装銃を構えて。
「この空間が終わっちゃうのはちょっと残念だけどな」
 マクベスは再び、握るリンドブルムの引き金をぐっと引く。
 一面の青の世界に、金と赤の衝撃を一緒に生み出しながら。
 ――また今度は本物の海の中を散歩出来るといいね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と

……こう、歌で破滅に誘われるのは嫌
沈みがちな思考は明るいセフィリカさんの声に救われている

彼女の持つ蒼は水に似て、でもその姿はしっかりと目に映る
「ええ、行きましょう」
そう答え
「セフィリカさんとあたしの仲ですから、大丈夫」
寄せられる信頼は嬉しくて、相棒さんへの返事にも喜色が混ざる
蒼の軌跡を埋めるように弓曳落星を
そこから変わった花びらはきっと舞うように敵へ向かうのかしら


セフィリカ・ランブレイ
【颯夏(f00027)と!】

じゃ、掴んだ一芸披露って事で!
シェル姉、行くよ!

『……子供みたいにはしゃいで』
シェル姉は呆れ声

【魔神姫】を発動
幾多の戦いを経て、より深く魔剣と同調した姿
溢れた魔力が髪を刃の色と同じ蒼に染める

奇麗な蒼だけど、水の中だと目立たない?

うん!超絶パワーアップで相手の動きも手に取るようにわかるけどこの状態長くもたないんだよね
颯夏、一緒にさっさとキメちゃおう!

『ノリで動いてるわね。颯夏がいるからどうにかなるって算段でしょ。この子、こんな風に甘える奴だから迷惑な時は言ってやりなさい?』
うぐっ、深層心理を言葉で解説しないでよ!

颯夏もそういってくれるならもう愛称でいいのにー!



 あれほど、好奇心を擽って止まなかった青の世界であったのに。
 大水槽の最奥に広がっていたのは、魚たちも寄り付かぬ死の海のいろ。
 そして響くのは、邪悪な気配を纏う人魚たちの笑い声と。
『海は美しい世界だと思った?』
『此処は死の世界、満ちるのは絶望よ』
『さぁ、溺れなさい?』
 折り重なるように響く、美しくも怪しい歌。
 そんな心を掻き乱すような歌声に思わず眉を顰めるのは、青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)。
(「……こう、歌で破滅に誘われるのは嫌」)
 ふるりと鈍色の髪を微か揺らし、不快な響きに思考も沈みがちになるけれど。
「じゃ、掴んだ一芸披露って事で! シェル姉、行くよ!」
『……子供みたいにはしゃいで』
 俯きがちになっていた颯夏の顔を上げさせたのは、いつもの根っからの明るい声と呆れ声。
 そんなセフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)とシェル姉こと魔剣シェルファの掛け合いに、颯夏の表情を微か和らいで。
 そしてそっと改めて思う……明るいセフィリカさんの声に救われている、って。
 刹那、王宮設えの白い鞘から抜かれたのは、青い刀身の両刃の剣。
 先程呆れ声を向けていた、認めた主のみが使える意志持つ魔剣。
 ――ついてきてね、シェル姉!
 瞬間、溢れた魔力が、水中を踊る金色の髪を刃の色と同じ蒼に染めあげる。
 それは幾多の戦いを経て、より深く魔剣と同調した魔神姫の姿。
「うん! 超絶パワーアップで相手の動きも手に取るようにわかるけどこの状態長くもたないんだよね」
 歌う人魚よりも格段に速く水中を征きながらも、セフィリカは颯夏へと声を向ける。
 ――颯夏、一緒にさっさとキメちゃおう!
 そう届いた言葉に、こくりとひとつ頷き答える颯夏。
「ええ、行きましょう」
 ……奇麗な蒼だけど、水の中だと目立たない? なんて、少し首を傾けているセフィリカの蒼は、確かに水に似てはいるけれど。
 でもその姿はしっかりと、この菫色の目に映っているから。
『ノリで動いてるわね。颯夏がいるからどうにかなるって算段でしょ。この子、こんな風に甘える奴だから迷惑な時は言ってやりなさい?』
「うぐっ、深層心理を言葉で解説しないでよ!」
 再び溜息交じりに紡がれたシェル姉の声に、セフィリカはそう言葉を詰まらせつつも言い返すも。
 戦いの最中でも相変わらずなふたりに瞳を細めてから。
 颯夏はこう、迷うことなくシェルファへと返す。
「セフィリカさんとあたしの仲ですから、大丈夫」
 セフィリカから寄せられる信頼は嬉しくて。
 相棒さんことシェル姉への返事にも混ざる、喜色の響き。
「颯夏もそういってくれるならもう愛称でいいのにー!」
 そう颯夏の言葉に、セフィリカは声を上げながらも。
 美しくも力強い青の閃きを、悪しき人魚目掛けて振り下ろせば。
 彼女の繰り出した蒼の軌跡を埋めるように、雪紐の絡繰から射放たれるは落星の如き数多の矢。
 そして青の衝撃に戯れる様に、それは美しき花弁へと姿を変える。
 不快な歌をうたう人魚たちを、本来在るべき躯の海に還すべく……死海に餞の華を咲かせ、散らせる様に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

満月・双葉
【虹氷】
出たねぇ…歌が上手いとか羨まし

ホイ来た全力で戦っちゃえ
シャオちゃんを後方から支援
光弓の首飾りを展開して【弾幕】をはり敵の動きを誘導してシャオちゃんの射程に入れていきシャオちゃんが動きやすいように
シャオちゃんの死角に入っていたりするなどの隙があればその隙を埋めていく
【早業】で素早く近付き軽く殴りつけ触れたタイミングで【爆撃】の魔力を展開してパァンさせる

僕の歌も聞いてみる?(音痴)
音痴さに敵がキレたりしたらユーベルコード発動
カエルのマスコットさんは水の中は一番得意でしょ
君も穴を埋めるように

僕がいる限り安心するといいよシャオちゃん
僕も君がいる限り安心さ
補強に感謝しつつウィンク(ただし無表情)


シャオ・フィルナート
【虹氷】
出たね、歌の主…
双葉さん、いける?

選んだ場所が悪かったね
俺に【水中戦】を挑むのが間違いだよ

【暗殺】の要領で素早く水中を移動しながら
★氷麗ノ剣を振るっての【属性攻撃】で水流操作と凍結を組み合わせ
敵の周囲に水の無い空間を作って泳ぎを封じたり
敵ごと凍結させたり
接近してきた敵は直接斬り伏せ

敵がUC発動の兆しを見せたらこちらも【蒼魔】を発動
うっかり全て凍らせないよう魔力制御はしつつも
冷気を纏せた両腕を伸ばしながら回転する事で周囲に暑い氷の壁を張り
怪物達が氷にぶつかった隙に高ジャンプ
★氷の翼から氷の弾丸を一斉発射する【範囲攻撃】

ついでに、氷で水槽の壁も補強しとくよ…
爆発軽減……念の為……



 生命のいろを失った深い青にただあるのは、我が物顔で泳ぐ人魚たちと。
 彼女らが歌う、美しくも怪しく響く歌だけ。
 人魚たちにとって、歌に誘われ大水槽の奥へとやって来た者たちは格好の獲物。
『海の世界は楽しくて、そして怖いところなの』
『歌を聴いて頂戴、素敵な死の歌よ』
 絶望と死の恐怖に染まる様子を楽し気に眺めながら、響かせる歌で惑わせその命を奪うのだ。
 ただし……それは、対抗する術を持たぬ一般人に限った話。
「出たねぇ……歌が上手いとか羨まし」
「出たね、歌の主……」
 人を誑かす歌声を前にしても、満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)とシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は恐怖を覚えることも、絶望することもない。
 それもそのはず――ふたりは歌う怪異を滅するべくやって来た猟兵だから。
 ……双葉さん、いける?
 そうちらりと向けられた藍の視線に、双葉はこくりと頷き返して。
「ホイ来た全力で戦っちゃえ」
 軽い口調で返ってきた言葉が届いたと同時に、夜空の如き青を飛ぶように泳ぐシャオ。
「選んだ場所が悪かったね」
 ……俺に水中戦を挑むのが間違いだよ、って。
 そんなシャオがより動きやすいようにと、双葉が手にし番えるは、首飾りに擬態していた光の弓矢。
 光弓の首飾りを展開し、深い青に耀く弾幕を張って敵の動きを誘導すれば。
 素早く接敵したシャオが人魚目掛けて振るうは、氷や水の力宿す氷麗ノ剣。
 水中を泳ぐ人魚たちを暗殺するかの如き動きで立ち回りながら、握る刃で組み合わせるは水流操作と凍結。
 敵の周囲に水の無い空間を作り上げ泳ぎを封じたり、敵ごと凍結させたりしながらも。
『……あぅッ!』
 すいっと巧みに近寄ってきた人魚は、鋭利な刃で直接バサリと斬り伏せる。
 そしてまた1体、すかさずシャオの死角から仕掛けんとするも。
 それよりも速く……双葉が人魚を軽く殴りつけた刹那、水中に轟く爆破音。魔力をもって繰り出された爆撃がまた1体、人魚をパァンと躯の海へと誘う。
 けれど数だけは多い人魚たちは、戦歌――インフェルノウォークライを口遊んで。
 超高速連続攻撃を繰り出すという、怪物の群れを召喚せんとするけれど。
 ――……俺が、蒼魔と呼ばれるに至った所以……教えてあげようか……。
 瞬間、シャオの全身を覆うのは、触れた物全てを凍結させる鋭い冷気。
 うっかり全て凍らせないよう魔力制御はしつつも、冷気を纏せた両腕を伸ばし回転すれば。
 蒼魔という名の如く成される蒼は、厚い氷の壁。
『……!』
 そんな眼前に成された氷の壁にぶつかる怪物達を後目に、シャオは深い海空へと高く舞い上がって。
 ビキビキッと周囲の水が凍る音が鳴り、その背に羽ばたき輝くは氷の翼。
 そんな冷たく輝く翼から撃ち出されし氷の弾丸が、人魚たちを容赦なく撃ち抜いて。
「僕の歌も聞いてみる?」
 人魚の如く、双葉も歌って……みるけれど。
『え……歌??』
『き、聴くに堪えないわっ』
 その絶妙な不協和音に、思わず歌うのを止めて耳を塞ぐ人魚達。
 そして、その怪音波やめて! と敵がキーキーキレた隙をついて。
「カエルのマスコットさんは水の中は一番得意でしょ」
 ――吸い取ってしまえ。
 そう紡ぎ双葉が人魚へと差し向けるは、デフォルメされたカエルのマスコット。
 そしてやはり何故か双葉に飛び蹴りを入れてから、ぴょこんっと。
 カエルの呪いが、ぷんすかする人魚を蹴りつけ、その力を奪うべく蝕んでゆく。
 それから、星の如き氷の煌めきを放ち深い海を飛ぶシャオを見上げて。
「僕がいる限り安心するといいよシャオちゃん。僕も君がいる限り安心さ」
「ついでに、氷で水槽の壁も補強しとくよ……」
 爆発軽減……念の為……と。
 人魚よりもむしろ、パァンと生じる爆撃で大水槽が壊れないよう補強するシャオに。
 相変わらず無表情のまま――双葉は彼へと感謝のウィンクをひとつ、パチン。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミラ・ホワイト
クラウンさま/f03642

優しい青と柔らかな光揺れる世界の奥
深い夜の水底に響くまどろみ誘うよな唄声は
――ここに、居たのね

ふわふわ舞う花びらに包まれて
そうねせっかくなら楽しみましょ!
あなたの手を取りくるりひらり游ぐダンス
ピエロさまの水中ショーも素敵ねっ

切ったり叩いたりは苦手ですけれど
時間稼ぎならお任せあれ…!
合図を受けてキャロルを紡げば
ひらり舞い躍るホーリーの葉
ちょっぴりちくっとするでしょう?
動くともっと痛いの、じっとしていてくださいな

相手が鈍った一瞬を見計らって
…今です、クラウンさま!
可憐な黄色い花嵐の勢いを増すよに
緑葉と紅い実の風で後押しを

この穏やかな青を絶望の世界になんて
決してさせません


クラウン・メリー
ミラと/f27844

海の世界はとっても楽しかったけれど
楽しむみんなの笑顔を盗むなんて許さない!

くるりくるりと惑わすように
人魚の瞳を奪うように花びらと共に踊る

ミラもいっしょに踊っちゃう?
ふふー、折角なら楽しんだ方が良いもんね!
これなんてどう?
ふわりふわりとボールをジャグリング

隙を作れたら
ミラにウィンクして合図する

鮮やかな彩にきらきらと瞳を輝かせ
紡ぐ歌声と彼女の姿を見れば
まるで天使みたい!なんてにこにこ笑顔!

――ほらほら、よそ見しちゃダメだよ

彼女の合図は笑顔でお届け!
花びらに隠していた黒剣を取り出して
身動き出来ない人魚さんにスパッ

ちょこっと痛いけど我慢してね!
絶望じゃなくて幸せな世界にさせちゃお!



 夜の水族館に……いや、海の世界にずっと響いていた誘うような歌声。
 一緒に泳いでいた魚たちの鮮やかな彩は、此処に辿り着いた今はもうないけれど。
 ――ここに、居たのね。
 優しい青と柔らかな光揺れる世界の奥……深い夜の水底に居たのは、まどろみ誘う唄声の人魚たち。
 そして、ミラ・ホワイト(幸福の跫音・f27844)の落とした呟きを掬い上げるかのように。
『うふふ、いらっしゃい、海底に広がる死の世界へ』
『海は楽しい場所だと思ったでしょ?』
『残念、海はこわいところよ……もう今更気付いても遅いけれど』
 ……ふふふ、あはは。
 そんな、愉快気に、けれど残忍に笑う人魚たちの声にも。
 クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は決して楽しそうないろを絶やさないまま。
「海の世界はとっても楽しかったけれど、楽しむみんなの笑顔を盗むなんて許さない!」
 くるりくるりと惑わすのは、道化師にとってはお手の物。
 ――手品で、皆を驚かせちゃうよ!
 人魚の瞳を奪うように闇の様に深く濃い青に花びら舞わせ、戯れる様に水中を踊る。
 そんなふわふわ舞うフリチラリアの彩りに包まれて。
「ミラもいっしょに踊っちゃう?」
 そう笑顔で手を差し伸べられれば、楽しいマジックショーの舞台へご招待。
「そうねせっかくなら楽しみましょ!」
「ふふー、折角なら楽しんだ方が良いもんね!」
 絶望や恐怖を感じる時間なんて勿体無い、いっぱい楽しんだ者勝ちだから。
 手と手を取り合えば、人魚たちに負けないくらい、くるりひらりと游いでダンス。
 そしてさらに楽しませようと、クラウンはふわりふわり。
「これなんてどう?」
 深い青に鮮やかに映えるカラフルなボールたちをひょいひょいっとジャグリング!
「ピエロさまの水中ショーも素敵ねっ」
 ミラはそう笑みと共に、クラウンへと賞賛と笑みを向けるけれど。
 パチンと、ピエロさんからの秘密のウインクの合図は見逃さずに。
(「切ったり叩いたりは苦手ですけれど、時間稼ぎならお任せあれ……!」)
 ――Fa-la-la……。
 青の舞台にキャロルが紡がれれば、ひらり舞い躍るホーリーの葉。
「わぁ、まるで天使みたい!」
 きらきらと輝かせたクラウンの瞳に映るのは、鮮やかな彩と、歌を紡ぐ天使の様な彼女の姿。
 そう、さらににこにこ笑顔になるクラウンに笑み返してから。
 ミラは人魚へと視線を移し、告げる。
「ちょっぴりちくっとするでしょう?」
『でもこの程度の葉っぱくらい、私の尾鰭で……ッ!?』
「動くともっと痛いの、じっとしていてくださいな」
 そして鬱陶しそうに纏わりつく聖なる葉を払わんと動きを止めた邪な存在を見遣って。
「……今です、クラウンさま!」
 緑葉と紅い実の風が青の世界を飾り付ける。
 可憐な黄色い花嵐の勢いに、彩りと力を添える様に。
 そんな数多のいろに、すっかり人魚たちの気が向けられれば。
「――ほらほら、よそ見しちゃダメだよ」
 彼女の合図は笑顔でお届け!
 タネも仕掛けも……実は、花びらに隠していました。
 クラウンはすかさず花嵐に隠していた『愉快な大玉』たる黒剣を取り出して。
『……っ!』
「ちょこっと痛いけど我慢してね!」
 動きを止めた人魚目掛け、スパッ。
 そしてふたり、視線を合わせ頷いてから。
「この穏やかな青を絶望の世界になんて、決してさせません」
「絶望じゃなくて幸せな世界にさせちゃお!」
 深い海底の世界に賑やかな彩りを与えていく。
 顔を見合わせては、お互い楽しそうに笑顔を交わし合いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
終始、平和であれば良かったのですがね
怪異があるからこそ、私達も此処へ来ているのです
全て、還しましょう

狂気・呪詛耐性を歌の対策として活用
はい、ペンギン殿は援護をお願いします
――参ります

2回攻撃となぎ払いを活用し、広い範囲にて複数を攻撃
敵が大海魔を召喚した際には一度距離を離す
倫太郎の術で拘束したのを合図に早業の二刀流剣舞『襲嵐』
一撃目を確実に当て、嵐を繰り出して周囲の敵ごと巻き込む
その後、討ち漏らした敵の追撃

敵の攻撃は武器受けにて防ぐ、または武器落としにて弾く
その後、そのままカウンター

海中で襲嵐を使ったのは初めてですが、まるで渦潮のようですね
なるほど……こうした戦い方にも使える、と


篝・倫太郎
【華禱】
夜彦の髪色よりも濃い夜色をした海
そこを泳ぐ人魚……ってのは
幻想的で綺麗ではあるんだけどさ
怪異じゃなければ、の話だな

念の為、歌は狂気耐性で対処してく
今日の俺は後方支援的な感じになっちまうや
何せ、よちよちだもん……
シロクマさん、よろしくな!

拘束術使用
詠唱と同時に水の動きで鎖の軌道を読ませないよう
衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して範囲攻撃で2回攻撃をして
範囲内の全ての敵を拘束

拘束できなかった敵は
華焔刀で再度攻撃しつつ夜彦の死角もフォローする

敵の攻撃は回避するよか受けた方が確実かな
オーラ防御で防いで凌ぐ
凌ぎ切れない場合は武器受けでいなしてカウンター

水中で観る嵐ってのも綺麗だな



 先程までは、あれほど生命のいろで鮮やかに彩られていた青が。
 今、眼前に広がっているのは――見つめる琥珀の中で揺らめく藍の髪よりも、もっと濃い夜色をした海だけ。
 いや、その海をすいっと泳ぐのは……美しく怪しい歌をうたう人魚たち。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、そんな深い闇色に遊ぶ人魚たちを見遣りながら。
「夜彦の髪色よりも濃い夜色をした海。そこを泳ぐ人魚……ってのは、幻想的で綺麗ではあるんだけどさ」
 ……怪異じゃなければ、の話だな。
 そう続ければ、すぐ隣に在る月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、こくりとひとつ頷いて。
「終始、平和であれば良かったのですがね」
 ……怪異があるからこそ、私達も此処へ来ているのです、と。
 此処へと赴いた目的を、明確に端的に口にする。
「全て、還しましょう」
 幾重にも折り重なり、脳内を侵さんと響く人魚たちの歌声。
『楽しい海のお散歩も終わり』
『死の世界で、絶望に溺れちゃいなさい』
 けれど、狂気への耐性で対処する倫太郎……いや、ペンギンさんは惑わされることはなく。
「シロクマさん、よろしくな!」
 何せ、よちよちだもん……そう、シロクマさんの後方支援的な立ち回りをせんと声を掛ければ。
「はい、ペンギン殿は援護をお願いします」
 狂気や呪詛孕む歌声の対策も万全な、頼もしいシロクマさんは。
 ――参ります。
 曇り無き刃の愛刀をちゃきりと鳴らし向き直りながらも、そうただ短く返して。
 ――縛めをくれてやる。
 災禍狩りとしての基礎術式を変換させた、災いを縛る見えない倫太郎の鎖が人魚へと放たれると同時に。
『……えっ!?』
 歩くのはよちよちでも、水中はペンギンさんも得意とするところ。
 振るい薙ぎ払う華焔刀に乗せるは、衝撃波と吹き飛ばし。
 さらに美しい刃紋が映えるその刃先を返し、広範囲に及ぶ連撃を繰り出して範囲内の全ての敵の拘束を試みれば。
 夜彦も連撃と薙ぎ払いをもって広範囲にて複数の敵へと攻撃を繰り出しながら。
 深海に眠る大海魔の霊を人魚が神歌にて喚べば、一度は距離を離すけれど。
 倫太郎の術に敵がかかったことを合図に、濃く深い青の世界へと夜彦は巻き起こす。
 ――振るう刃は、嵐の如く。
 それは飛来する閃光の嵐。早業の二刀流『襲嵐』の斬撃を。
 一撃見舞われれば、さらにその剣撃は止む事無く青のいろに逆巻いて。
 二たび嵐となり、周囲の敵ごと巻き込んで斬り伏せる。
 数だけはいる人魚たちも、さらなる大海魔を召喚せんとするけれど。
 倫太郎は敢えて避けず守りの気を纏い、防いで凌いで。
 焔舞い踊る黒塗りの柄を握り、夜彦の死角へと回らんとする人魚を薙いで払えば。
 夜彦は翡翠のいろで見据えた敵の群れへと、再び追撃の嵐を繰り出せば。
 巻き込む様な無数の斬撃は、まるで渦潮のよう。
 そしていつもとはひと味違った、二刀から生み出されし嵐を見遣りながら。
「海中で襲嵐を使ったのは初めてですが、なるほど……こうした戦い方にも使える、と」
 そうやはり生真面目に呟きを落とすシロクマさんな夜彦と背中を合わせ、互いに刃を振るいながらも。
 ふと青の世界に生じた渦潮の如き嵐を見つめ、ペンギンさんな倫太郎は琥珀の瞳をそっと細める。
 ――水中で観る嵐ってのも綺麗だな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グレイ・アイビー
シーラ(f27554)

これだけの数、囲まれると厄介ですね
シーラ、後ろを任せても良いですか?
お前は守られるだけのか弱い存在じゃねぇでしょう
一緒に暴れてやりましょう

自身の腕を咬み切りUC発動
オーラ防御と激痛耐性を備え、出来るだけシーラと同じ敵を狙い各個撃破を
乱れ撃ちからの鎧砕き、仕留めきれずとも部位破壊で機動力を削ぐ

霊の召還を試みる敵がいれば、優先順位を切り替えてグラップルからの継続ダメージで召還の中断を狙い、怪力で締め落とす

シーラに回避不可の攻撃が通るようであれば、庇いましょう
女の子が痛い思いをするのはあまり見たくねぇですし
怪我はシーラが治してくれるらしいですし、ガンガン攻めていきましょう


シーラ・クリステラ
グレイ(f24892)

お魚がいっぱい
これは全部シーラたちの敵?
…わかった。
シーラの後ろはキミに任せる
うん。シーラは強いから大丈夫
気にしないでキミは暴れて

することは単純
向かってくる相手に
拳と脚をぶつけるだけ。
シーラの体が一番の武器だから。

グレイが仕留めきれなかったのはシーラが落とす。…うん、いつもより戦いやすい。

キミが他にターゲットを見つけたなら
この子達はシーラが引き受ける。

キミが怪我をしたらシーラが治す
これくらい簡単
シーラなんでもできるよ



 一緒に泳いでいた色とりどりな魚さんたちは、いつの間にかいなくなったけれど。
 かわりに、深く暗い青の中を歌いながら泳ぐのは――人魚の群れ。
 ひらり尾鰭を揺らしながら、惑わす様に歌声を重ねるその姿を見遣って。
「お魚がいっぱい。これは全部シーラたちの敵?」
 そうこてりと首を傾けるのは、シーラ・クリステラ(異端・f27554)。
『楽しかった海の世界はね、実は死の世界なの』
『だから貴方たちも、死の底に沈むの』
 うふふ、と笑み零しながら美しい歌を紡ぐけれど……強く感じるのは、邪悪な気配。
 そんな歌う人魚たちは、大水槽を好き勝手に泳ぎ回っているけれど。
「これだけの数、囲まれると厄介ですね」
 グレイ・アイビー(寂しがりやの怪物・f24892)はその数の多さに、そう呟きを落としながらも。
「シーラ、後ろを任せても良いですか?」
 ちらりと人魚たちを見つめる隣の彼女へと声を掛ければ。
 こくりと、すぐに頷いて。互いの死角を補い合う様に彼と背を合わせ、返すシーラ。
「……わかった。シーラの後ろはキミに任せる」
 グレイは届いたそんな声に、美しい煌めき宿す琥珀をふっと細めてから。
「お前は守られるだけのか弱い存在じゃねぇでしょう」
 背中には憂いなく、己の眼前の敵へと視線を投げれば。
「うん。シーラは強いから大丈夫。気にしないでキミは暴れて」
 そして続いたシーラの言葉に、声だけで返す。
 ……一緒に暴れてやりましょう、って。
 刹那、深い闇の如き青に咲いて広がるのは、血の彩り。
 自身の腕を咬み切りグレイが流す赤が、敵を仕留める殺傷力をさらに増大させて。
(「することは単純。シーラの体が一番の武器だから」)
 ……向かってくる相手に、拳と脚をぶつけるだけ。
『深い死の海に沈んじゃいなさいっ』
 召喚されし大海魔の霊が放つ無数の触手を、シーラは放つ蹴撃で次々と打ち払って。
 堪え性なく距離を詰めてきた人魚へと、振るう強烈な拳を捻じ込む。
 そして大きく上体を揺らした敵へとすかさず標的を変えたグレイが、大海魔の霊の召還を中断させるべく。
『……が、っ!』
 組み付き継続的に衝撃を見舞いながら、ぐっと怪力をもって一気に締め落とす。
 さらに、そんな彼へと迫る別の人魚の前へと飛び出したシーラが、蹴りからの拳の連撃を叩き込んで。
「グレイが仕留めきれなかったのはシーラが落とす」
 ……うん、いつもより戦いやすい、と。
 互いにひらり海を泳ぐように自由に、自然と連携をはかりながらふたり敵を蹴散らして。
 また1体、敵を締め落とした後、不意に大きく海底を蹴るグレイ。
(「女の子が痛い思いをするのはあまり見たくねぇですし」)
 刹那、シーラ目掛け放たれた大海魔の触手の衝撃を肩代わりすれば。
 赤が飛沫く傷も厭わず、少々強引に触手を掴み引き寄せ、強烈な一撃をお見舞いする。
 グレイが彼女の盾となり、そしてガンガン攻めに出られるのは、知っているから。
「キミが怪我をしたらシーラが治す。これくらい簡単、シーラなんでもできるよ」
 シーラの聖なる光が、たちどころに傷を塞いでくれることを。
 そして今度は、庇ってくれたグレイの後ろを守るべく。
「この子達はシーラが引き受ける」
 彼の眼前の敵はグレイに任せ、迫る敵へと再び蹴りを叩き込み、固く握った拳を放つシーラ。
 そして彼女と共に敵の数を確実に減らしていきながらも、グレイは紡ぐ。
 ――やっぱりぼくの可愛い友人は勇敢で、頼りになりますね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
ゆいと/f29405

歌の主さんみーつけた!
この海はアナタ達が見せてくれた夢なのね
有難う、とても楽しかったの
でもねアナタ達が望む願いはあげれない
ね、とゆいを見て…笑顔にきょとり
いばらもゆいの笑い方、すきよ

対価が欲しいなら捕まえてみせてと花咲かせ【UC】
もういいよ、の合図変わりに贈るわ
今度はアナタ達が鬼さん役ね!

水に融け、完璧な隠れん坊のゆいは少し狡い(唇尖らせ
ならいばらが囮役を
ほら。こっちよ、あっちよと
沢山の花弁で誘惑し
水中の花霞がアナタの視界を、
怪物さんの進攻をお邪魔虫

避けれない時は挿し木で武器受けて
ゆいの縄に続けと、蔓を絡め生命力吸収を
アナタの海へお帰り
勿論、ゆいに酷い事はダメ!茨でかばうわ


雨・萱
いばらと/f20406

侵食してくる歌の主はおぬしらか
礼を言ういばらを見ながら呵々と笑う
すまん。面白くての
おぬしのそういうところが我は好きだよ
いばらの問いにはしれっと首肯する
死の世界よりも。酒のない世界の方が怖いからの

ほ。かくれおにの続きかの
よかろう、心して探せよ人魚たち
いばらの声を合図にひゅるりと其の身を水に隠して
異質とはいえ雨も水
頬を膨らますいばらを尻目にゆらゆらと

と。いかん。
敵の手がいばらに伸びれば姿を現し祟り縄で縛り上げて呉れよう

見つかったとしても。しかし触れるまで鬼は交代せぬぞ
捕まる前に【咒】で雨を降らし
雨粒より相手の生命力吸収
雨は我 我は雨
噫…――好吃
敵が弱れば【颯】で吹き飛ばそうか



 ……鬼さんこちら、手の鳴る方へ。
 まるでそう囃し立てるかの様に、大水槽に響く歌声を辿れば。
『ふふ、楽しい時間はもうお終い』
『今度はたくさん、絶望と恐怖を見せて頂戴』
 深く濃い青の世界を泳ぐのは、歌うように紡ぐ人魚たち。
 そして人魚たちは、迷い込んだ獲物をさらに惑わすべく、歌声を重ねてくるけれど。
「侵食してくる歌の主はおぬしらか」
 誑かされている様子もなく紡いだ雨・萱(天華ウーアーリン・f29405)に続いて。
 ……歌の主さんみーつけた!
 そうはしゃぐように言った城野・いばら(茨姫・f20406)は、歌う人魚たちへと笑みを向ける。
「この海はアナタ達が見せてくれた夢なのね。有難う、とても楽しかったの」
 泳ぎもこんなに上手になったし、かくれおにもとても楽しくて。
 萱と、色とりどりの魚たちの様に水中をすいすいと冒険したひとときはわくわくしたけれど。
「でもねアナタ達が望む願いはあげれない」
 ね、と――隣へと視線を向けたいばらは、萱の顔を見てきょとり。呵々と笑うその笑顔に。
 そんな自分を見つめる緑色の瞳に、萱は愉快気に細めた青のいろを返す。
「すまん。面白くての」
 ……おぬしのそういうところが我は好きだよ、って。
 いばらは、そんな声にぱちりと瞳を瞬かせるけれど。
「いばらもゆいの笑い方、すきよ」
 すぐにぱっと、笑顔を咲かせる。
 そしてそんないばらから先程向けられた問いに、しれっと首肯する萱。
「死の世界よりも。酒のない世界の方が怖いからの」
 だから、人魚たちの思惑通りにしてやる気など毛頭もないし。
 絶望と恐怖を抱くには、死の世界では少々物足りぬから。
 けれど、それでも対価が欲しいというのならば。
 ――捕まえてみせて。
 いばらがそう人魚たちへと指先向ければ、はらりひらりと青の世界に遊ぶ白薔薇の花弁たち。
 歌声を辿った人魚たちを、自分達はさっき、ばっちりと見つけたから。
「今度はアナタ達が鬼さん役ね!」
「ほ。かくれおにの続きかの」
 ……よかろう、心して探せよ人魚たち、と。
 異質とはいえ雨も水――萱もひゅるりと、上手に水へと身を隠して。
 ひらひらいばらが贈った花弁は、もういいよ、の合図変わり。
 そしていばらは唇尖らせ、ちょっぴりむぅ。
 だって、水に融けた萱は、完璧な隠れん坊だから。
 そんな頬を膨らます様を尻目に、萱はゆらゆらと水中を揺蕩って。
 なら、といばらが引き受けるのは、囮役。
 萱が隠れることの達人ならば、自分は通せんぼが得意だから。
 ……ほら。こっちよ、あっちよ。
 そう、おやすみの口付けをあげるように、青の世界に指先を向けて。
 沢山の花弁で誘惑しながら、水中の花霞で人魚の視界を目隠しして。怪物さんの進攻を通せんぼする、お邪魔虫に。
 けれど鬼の交代は、見つけるだけじゃなくて、触れるまでできないから。
 ――雨は我 我は雨。
「噫……――好吃」
 捕まる前にしとしとと萱が降らせるは、生命を美味しく頂く呪いの雨粒。
 そして上手く泳げなくなった人魚を、はらり開いた赤と金のいろで大きく煽げば。
『……きゃっ!』
 吹き飛ばされた鬼さんは、到底萱を掴まえられそうにない。
 けれど鬼さんは沢山いるから。
「……!」
 鬼の手をひらり躱しながらも、いばらが咄嗟に伸ばすのは薔薇咲く挿し木。
 ……と。いかん、と。
 姿を現した萱がいばらへと迫る人魚へと放つのは、祟り縄。
 投じられた縄が、ぎゅっとその身を縛り上げれば。
 もうそろそろ……かくれおにも、お終い。
 いばらも萱の縄に続けと、蔓を絡め生命を吸いながら、人魚たちを導いてあげる。
 ――アナタの海へお帰り、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

硲・葎
三日月さん(f01960)と。
おとぎ話の人魚姫とかってもっと綺麗なものだと
思っていたんだけどな。
触手は見切りとフェイントを使って避けながらかわしつつ、触手をがんじがらめにしてやりたいな。三日月さん、大丈夫かな。
水の中の戦闘なんて、私も初めてだから不安だな……。彼の様子を見ながら動こう。
怪光線も第六感で上手く避けれればいいけど。動けなくなるくらいまで絡ませてから、地形の利用とジャンプを使って相手の頭上を取ろう。そのまま血華磔刑で串刺してやろう。
「咲き誇れ!」
相手の動きが止まったら捨て身の一撃。
「今度はもっと綺麗な歌声で迎えて欲しいね」
戦闘が終わったらすぐに彼の元へ。


月隠・三日月
硲さん(f01013)と共に

あれは、人魚……? 随分と禍々しい雰囲気だね。それにあの歌声、あまり聞いていたいものじゃないな……

私は硲さんを補助する形で動こうか。敵の動きを観察して(【視力】【情報収集】)、硲さんを攻撃しようとしていたら【紅椿一輪】で斬りつけて行動を妨害しよう。
泳ぎは得手ではないけれど、多少であれば動けるからね。必要であれば敵の上方から回り込む等して攻撃しよう。踏ん張りは利かなくなるけれど、紅椿一輪なら刀が当たりさえすれば対象を切断できるはずだ。

特に敵の怪光線は神経系を破壊する作用があるという話だから、気をつけないとね。敵が光線を発射する器官などあったら斬っておきたい。



 美しい歌声に導かれやってきた、大水槽の最奥。
 そこは生命のいろが全くない、深淵の世界。
 そして深く濃い青に響く歌をうたうのは――人魚の群れ。
『海のお散歩はどうだったかしら』
『ふふ、ようこそ死の世界に』
『さぁ、絶望や恐怖の表情を見せて頂戴』
 歌うように囁く声や旋律は、直接頭に響いてきて。
 ――あれは、人魚……? と。
 そう首をっ傾けつつも、月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)はふるりと首を横に振る。
「随分と禍々しい雰囲気だね。それにあの歌声、あまり聞いていたいものじゃないな……」
「おとぎ話の人魚姫とかってもっと綺麗なものだと思っていたんだけどな」
 そんな彼の言葉に頷くのは、硲・葎(流星の旋律・f01013)。
 王子様と恋に落ちて泡となって消えてゆく……そんな儚い人魚姫のイメージとは全く雰囲気が違う、眼前の邪悪な輩たち。
 しかも彼女たちが歌によって喚び出すのは、まさに怪物。
 深海に眠るという大海魔の霊を召喚し、刹那放たれるは無数の触手。
 けれど咄嗟に敵の動きを観察し、紅椿纏し紅染の妖刀を三日月が振るえば。
 彼に斬りつけられ行動を妨害された触手の隙を咄嗟に見切り、フェイントをかけて躱した葎は、触手をがんじがらめにしてやりつつも。
(「三日月さん、大丈夫かな」)
 そう、あまり水の中が得意ではなさそうであった彼へと、ふと視線を向ける。
 いや彼も心配だけど、自分自身も自信があるわけではなくて。
「水の中の戦闘なんて、私も初めてだから不安だな……」
 でも初めてながらも、苦手意識の強そうな彼をフォローしたいと、様子を見ながら立ち回らんとする葎。
 そしてそんな彼女の思いを汲み取り、安心させるかのように。
「泳ぎは得手ではないけれど、多少であれば動けるからね」
 そう紡いだ三日月は、海底を大きく蹴って。
 ――落ちろ。
『……っ!』
 敵の上方から回り込んで、紅椿一輪の一閃を敵へとお見舞いする。
 上から仕掛けるとなれば、踏ん張りは利かなくなるけれど。
 でも、ぽとりと首を落とすかの如き紅の斬撃をもってすれば、当たりさえすれば敵を切断できるはずだから。
 そして敵を斬り伏せながらも、三日月は油断せず敵の動きを注視し紡ぐ。
「特に敵の怪光線は神経系を破壊する作用があるという話だから、気をつけないとね」
 ……敵が光線を発射する器官などあったら斬っておきたい、と。
 そんな三日月と同様、葎も怪光線を十分に警戒しつつ。
 第六感を研ぎ澄ませ避けるべく敵を見据えつつも、動けなくなるくらいまで十分に絡ませてから・
「咲き誇れ!」
 青き海の空へと舞い上がり、血華磔刑を展開すれば。敵を頭上から串刺しにせんと咲き誇る彼岸花。
『……ぐっ!?』
 そして、敵の動きが止まれば――叩きつけるは、捨て身の一撃。
「今度はもっと綺麗な歌声で迎えて欲しいね」
 人魚をまた1体、還るべき海へと送ってから。
 葎はすいっと青の世界を泳いで――同じ様に敵を斬り伏せた、彼の元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐々・夕辺
ベルさん【f18504】と

あれが歌声の主ね
ええ、ベルさん
人々を危険に晒す敵を放って水中散歩、という訳にはいかないわ

私が扱うのは普段は管狐……なのだけれど
こういう事も出来るのよ
盛大な合図になるけど、構わないわよね?

造物・現代流管狐――
最近だと人間は鉄の塊を撃つらしいわね
ではこれはどうかしら?
氷で作った造物を、合図代わりに一気に
大海魔もろとも敵にけしかける
私はこの弾丸を疑わない
私はこの合図と共に進むベルさんを疑わない!

泳ぐように…は…難しいけど!
やってはみるわ!


ベル・ルヴェール
ユウベ(f00514)

魚たちが逃げた。そうか、この先にいるのだな。
ユウベ。僕たちの出番だ。
冒険には強い敵がつきものと言うからな。

僕が扱うのは砂漠特有の力だ。ユウベも驚く力だ。
けど折角の水槽を砂だらけにするわけにはいかない。
僕はこっちを使おう。ユウベ、合図を出してくれ
合図と共に僕が近づいて仕掛ける。あとは任せた。

銃か刃か。僕が扱う武器は相手に合わせた物だ。
砂漠を生き抜く技を水槽の中で披露する事になるとは。
ユウベの合図で僕は一気に近付く!
泳ぐのも慣れて来たな。
自由に動き回れる分、砂漠よりもやりやすい気がする。

ユウベも泳ぐように動いてたら良い。
案外楽しいと僕は思った。



 大水槽を彩っていた、沢山の生命の彩り。
 けれど……響く歌声が近づくにつれ、共に泳いでいた海の生き物たちの数が減っていって。
 大水槽の最奥に近づけば、くるりと群れごと引き返す魚たち。
 そんな様子に、ベル・ルヴェール(灼熱の衣・f18504)はふと首を傾けるけれど。
 その理由を、一瞬にして理解する。
「魚たちが逃げた。そうか、この先にいるのだな」
 聴こえている歌声がするのは、もうすぐそこであったから。
 そしてただ深く濃い青の世界を進みゆけば。
『海の世界、楽しかったかしら?』
『でもね、水の中はこわーい場所』
『死の世界に、貴方達も沈めばいいわ』
 すいっと泳ぎながらも歌うのは、沢山の人魚たちであった。
 そして、彼女たちこそ。
「あれが歌声の主ね」
 佐々・夕辺(凍梅・f00514)の言う通り、人に被害及ぼす怪奇を引き起こしている元凶。
 けれど、ただ歌声に誘われたのではない。
 ベルは隣の彼女へと緑色の瞳を向け、紡ぐ。
「ユウベ。僕たちの出番だ」
 ……冒険には強い敵がつきものと言うからな、と。
 大水槽で待ち構えている敵の存在は、事前に把握済。
 だから人魚たちの望むような、絶望も不安もない。
 夕辺も彼へとこくりと頷き返し、歌う人魚たちを見遣る。
「ええ、ベルさん。人々を危険に晒す敵を放って水中散歩、という訳にはいかないわ」
 大水槽の冒険は沢山の出会いがあって、楽しかったけれど。
 ふたりはそんな青の世界を楽しみながらも、決してやるべきことは違えない。
「僕が扱うのは砂漠特有の力だ。ユウベも驚く力だ」
 ベルは敵の動向を注視しつつ言うけれど、今回はその力を使う気はない。
 折角の水槽を砂だらけにするわけにはいかないから。
 だからかわりに、こっちを使おう、とそう決めてから。
「ユウベ、合図を出してくれ。合図と共に僕が近づいて仕掛ける」
 ……あとは任せた、と続ければ。
「私が扱うのは普段は管狐……なのだけれど。こういう事も出来るのよ」
 夕辺が展開するのは『造物・現代流管狐』――。
「最近だと人間は鉄の塊を撃つらしいわね」
 ――ではこれはどうかしら?
 思い描き想像から創造するは、氷で作った砲弾。
「盛大な合図になるけど、構わないわよね?」
 刹那、人魚の神歌にて喚ばれた大海魔の霊が、触手を伸ばさんとしてくるけれど。
 ――私はこの弾丸を疑わない。
 ――私はこの合図と共に進むベルさんを疑わない!
 己の能力を、そして共に征くベルのことを、なにひとつ疑念になど夕辺は思わない。
 そして揺るがぬ想像から創り出された砲台が刹那、無敵で派手な一発を景気良く放つ。
 大海魔もろとも敵にけしかけ、そして彼へ送る盛大な合図となるべく。
 それを耳にした瞬間、ベルも一気に敵の只中へと仕掛けるべく。
(「銃か刃か。僕が扱う武器は相手に合わせた物だ」)
 ……砂漠を生き抜く技を水槽の中で披露する事になるとは。
 そう炎生み出す愛用の金の鎖を手にすれば――変形したのは、何ものをも叩き斬る鋭利な刃。
 夕辺が弾丸を撃ち出す中、まるで海を飛ぶようにベルが接敵すれば。
『……ぐ、ッ!』
 振るう刃が閃いた瞬間、歌う人魚を斬り伏せる。
 そして迫る敵の気配を察知し、ひらりと身を躱して反撃の刃を見舞って。
 夕辺の弾丸が撃ち抜き、また1体、在るべき海へと還ってゆく様を後目に、ベルは海底をトンと蹴ってみて。
「泳ぐのも慣れて来たな。自由に動き回れる分、砂漠よりもやりやすい気がする」
 すいっと青の世界を翔けるように立ち回りながら、夕辺へとこう言葉と視線を向ける。
「ユウベも泳ぐように動いてたら良い」
 水の中は未知の世界であったけれど。
 でも、案外楽しいと――そう思ったから。
 そんなすっかり水の中に慣れた様子のベルの姿を見つめながら、夕辺は瞳をぱちくりさせた後。
「泳ぐように……は……難しいけど!」
 海底から足が離れるのは、まだちょっぴり不安だけれど。
 ――やってはみるわ!
 まずはそうっと、小さくぴょこりとジャンプしてみることから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
[SPD]

水中戦ならグリードオーシャンで練習してきたわよ?
ということで無理なく泳いで戦うわね。

いきなりユーベルコード【ダミードール】。
40体ぐらいの自分そっくりのダミー人形を水中にばらまいて相手を混乱させてあげる。
その中を揺らめきながら不思議水中で弓の攻撃よ。

「ダミーが消える前にはそれなりに痛い目にあわせることができるかしら?」



 最初は水族館内に微かに響いていた歌。
 そして大水槽を泳いでゆけば、次第にそれははっきりと聞こえて。
 歌をうたうモノが揺蕩う水槽の最奥にいくたびに濃くなるのは、魚たちや海の生き物さえ近寄らず引き換えずほどの、邪悪なこえと死の気配。
『海はね、ほんとうはすごくこわいところなの』
『だから、あなたたちはみーんな溺れて死んじゃうの』
『ふふ、絶望と恐怖に染まるいろを、みせて頂戴』
 歌をうたうモノ――怪異の元凶は、暗く澱んだ青の世界を泳ぐ人魚の群れ。
 けれど残念ながら、人魚たちの思惑通りにはならない。
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)の様子には、絶望も恐怖のいろも見られないから。
「水中戦ならグリードオーシャンで練習してきたわよ?」
 少し不思議な怪異による水中ではあるけれど、水の中はこれが初めてではないから。
 延々と海が広がる世界での経験を活かし、ヴィオレッタは無理なく泳いで人魚たちを迎え撃つ。
 ――これで騙せるかしら?
 そう……40体ぐらいのヴィオレッタ!?
 いえ、ヴィオレッタはヴィオレッタでも、ヴィオレッタ本人ではありません。
 開戦早々発動するのは、そう――『ダミードール』。
『!? どういうこと』
 歌をうたう人魚たちも、思わず驚いたように声を上げて。
 自分そっくりのダミー人形を水中にばらまいては、相手を混乱させるよう立ち回るヴィオレッタ。
 そして――その中を揺らめきながら、ダミーたちの合間を縫って。
「ダミーが消える前にはそれなりに痛い目にあわせることができるかしら?」
『! ぐうっ!?』
 不思議水中で番えては射放たれるのは、狙い澄まされた矢の一撃。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
【🍓🌺】

共に游いでいたお魚たちが戻ってゆく
耳に触れる聲は心地よいとは言えずに
遥かみな底へと引き摺り込むかのよう
まい、あなたにも聴こえているかしら

まあ、ふふ。水妖たちのご登場のようね
この水中を游ぐことが出来るのは
あなたたちの不思議なちからのおかげかしら

わたしと手を繋いだままでいましょう
だいじょうぶ
あなたを水の牢に残しはしないわ

惑わしの歌がゆく道を阻むのならば
歌も、水の隔ても、すべてを攫ってみせましょう
まい、あなたの歌をきかせてちょうだいな

指のさきであかい花びらを摘んで
まっかな嵐を喚び起こしましょう
不思議な水のなかでは薙ぎ払いも出来るよう

無事にお土産を届けなければならないの
退いてくださるかしら


歌獣・苺
【🍓🌺】

?じべざべす…?
どうし…そう。
この先、行きたくないんだね
わかった
じゃあ少し寂しいけど
ここでお別れだね
とっても楽しい時間を
ありがとう…!
またね!

…うん、聴こえるよ。なゆ。
水妖さん達のおかげで
難なく泳げて
素敵な時間を過ごせたのは
ありがとうだけど
人や魚さんたちを困らせるお歌は
放っておけないな。

きゅうと握られた温もりに安堵し

……なゆ。ありがとう。
とっても心強いよ…!
これなら気持ちよく歌えそう!
水妖さん。お歌っていうのはね
『惑わす』ためのものじゃなくて
『伝える』ためのものだよ!

『これは、貴方を忘れない詩』

かえろ、なゆ。私たちの夜へ。
みんなの待つ彩夜の館へ…!



 ようやく、10回のうち8回くらいはちゃんと名前を呼べるようになって。
 仲良くすいっと、沢山の彩りが溢れる青の中を揺蕩っていたのだけれど。
「? じべざべす……?」
 急に方向転換をしたジベザベスの様子に、ふと不思議そうに首を傾ける歌獣・苺(苺一会・f16654)。
 けれどその様子をみれば、その理由が分かったから。
「どうし……そう。この先、行きたくないんだね」
 ……わかった、とこくりと頷いて。
「じゃあ少し寂しいけど、ここでお別れだね。とっても楽しい時間をありがとう……!」
 ――またね!
 そう最後に撫でてあげてから、ゆったりと泳ぐ姿を見送る苺。
 いや、それはジベザベスだけではなく。
 ……共に游いでいたお魚たちが戻ってゆく。
 蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)は、じゃれる様に寄り添っていた魚たちがジベザベスと同じ様に踵を返す様を見つめて。
 彼らを見送った後、ふとより深い最奥の青へと瞳を向ける。
 奥から聴こえるのは――歌。
 けれど美しいはずなのに、耳に触れる聲は心地良いとは到底言えずに。
 ――遥かみな底へと引き摺り込むかのよう。
 誑かし惑わさんとする、邪悪なモノの気配。
 そして同じ様に、魚たちへと背を向けた先を見つめる苺へと問うてみる。
「まい、あなたにも聴こえているかしら」
「……うん、聴こえるよ。なゆ」
 水はやっぱり苦手だけど……でも。
「水妖さん達のおかげで難なく泳げて、素敵な時間を過ごせたのはありがとうだけど」
 刹那ゆうらりと青に蠢くのは、沢山の影。
 そして歌を尚も響かせるそれら――人魚たちを見据え、苺は口にする。
「人や魚さんたちを困らせるお歌は放っておけないな」
 折角仲良くなったみんなの平和を脅かす存在は、見過ごせないから。
「まあ、ふふ。水妖たちのご登場のようね」
 七結も大水槽の最奥に居る、怪奇の元凶たちに瞳をそっと細めながら。
「この水中を游ぐことが出来るのは、あなたたちの不思議なちからのおかげかしら」
『そう。海の中は楽しいでしょ? でもね残念、此処は死の世界なの』
『ふふ、このまま沈みましょう?』
 悪しき微笑み湛える水妖たちから、ふと隣の苺へと視線を移す七結。
 そして繋いでいる手を、そうと握り締め紡ぐ。
「わたしと手を繋いだままでいましょう」
 ……だいじょうぶ。あなたを水の牢に残しはしないわ、って。
 そんな言の葉と、きゅうと握られた温もりに顔を上げて。
「……なゆ。ありがとう。とっても心強いよ……!」
 まだ正直ちょっぴり不安だった気持ちも、安堵へと変われば。
 七結はその表情を見届け、もう一度柔く笑み咲かせてから。
「惑わしの歌がゆく道を阻むのならば。歌も、水の隔ても、すべてを攫ってみせましょう」
 繋ぐ温もり混ざる彼女へと、リクエスト。
 ――まい、あなたの歌をきかせてちょうだいな、って。
「これなら気持ちよく歌えそう!」
 苺はすぐに大きく頷いてから。
「水妖さん。お歌っていうのはね、『惑わす』ためのものじゃなくて、『伝える』ためのものだよ!」
 すっと息を吸い込み、そして人魚たちにも教えてあげる。
「『これは、貴方を忘れない詩』」
 歌を届ける相手の音を、知りたい。そんな――知りたがりの歌姫。
 心揺さぶる歌声でも、絶望や不安ではなくて……『伝える』旋律を。
 そして、苺の歌声が生み出す衝撃波に戯れるかの如く。
 ――みつめて、繹ねて。
「まっかな嵐を喚び起こしましょう」
 深い青に咲くは、牡丹一華――指のさきで、あかい花びらを摘んで。
 泳ぐようにひらりと七結が遊戯ばせるは、まな紅の華颰。
『……っ!』
 此処は、不思議な水のなか。
 響く隣の愛し歌姫のこえに踊るように、巻き起こる花嵐がひらりはらりと。
 人魚たちを薙ぎ払ってゆく。もう二度と、惑わすこえを出せぬように。
 そして七結は、深い青を泳ぐ人魚たちへと紡ぐ。
「無事にお土産を届けなければならないの」
 ――退いてくださるかしら、って。
 可愛らしいくっきーを摘みながら、沢山の思い出話をしなければいけないし。
 ちゃんと、じべざべすって、折角言えるようになった……と思うから。
「かえろ、なゆ。私たちの夜へ」
 ……みんなの待つ彩夜の館へ……!
 苺は青の世界を彩る花嵐に、伝えるための歌を添えて乗せる。
 繋いでいる手を、きゅっともう一度握りしめながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

とんだ人魚姫だな
でも十分楽しませて貰ったし
お返ししねぇとな

ちなみに瑠碧姉さん
水の精霊さんに俺も手伝って貰うのって可能?
移動の時加速するような感じで

残像纏い水蹴り移動
手近な敵に間合い詰めUC起動しグラップル
拳で殴り他の敵に吹き飛ばし
追い打ちで蹴り
おおすげぇ
姉さん精霊さんありがとうな
楽しげに手ぶんぶんしつつ殴る手は止めず

背後に気配感じれば
何も心配なさそうだな
合わせて攻撃

海竜呼ばれれば
でけぇし逆にいい的だぜ
生命力共有してんなら
どっち殴ったって一緒だな
それに
もう見切った

真夜中なんだ
帰って寝る時間だぜ
歌なら自分に歌っとけ
子守歌でも鎮魂歌でもな
瑠碧姉さんに歌って貰うし
間に合ってるぜ
蹴りの乱れ撃ち


泉宮・瑠碧
【月風】

歌声は、人魚でしたか…
青の世界で遊べた事は、感謝ですが
死の世界には、させません

理玖の質問は
水の抵抗や水流を精霊達に頼めば、大丈夫と思います
水の精霊へ
私達の移動や行動の助力を願い

…理玖
ちゃんと前を、見ましょうね

私は弓を手に
射掛けて、人魚達を引き付けつつ
理玖から後退します
ある程度離れたら
理玖の元へ転移光雨

人魚の背後側に回り込む形で
その背や頭を狙います

海竜も
理玖と離れる形で引き付け
転移して射撃

近付く相手へは水流を操り
横を通過させたり
向かい風の様にして進み辛くさせたりの補助と
仲間に怪我があれば光雨で治すように

あの…
私、必要外で歌うのは、恥ずかしいです…

楽しい世界を、ありがとう
…どうか、安らかに



 ずっと聴こえていた、歌声の正体。
 それは大水槽の最奥を泳ぐ――人魚たちの群れが織り成す響き。
「歌声は、人魚でしたか……」
 魚や海の生き物たちが危険を察知し引き返してくれたことにそっと安堵しながらも。
『ふふ、海の世界で待っているのは、死よ?』
『絶望と恐怖のいろをたくさん見せて』
「青の世界で遊べた事は、感謝ですが。死の世界には、させません」
 ……とんだ人魚姫だな、と。
 歌うように嗤う人魚たちを見遣り呟きを落とす陽向・理玖(夏疾風・f22773)は、泉宮・瑠碧(月白・f04280)の言葉に大きく頷く。
「でも十分楽しませて貰ったし、お返ししねぇとな」
 それから、ふとこう訊ねてみる。
「ちなみに瑠碧姉さん。水の精霊さんに俺も手伝って貰うのって可能?」
 ……移動の時加速するような感じで、って。
 そんな向けられた問いに、瑠碧はこくりと頷いてから。
「水の抵抗や水流を精霊達に頼めば、大丈夫と思います」
 水の精霊へ、お願いを……自分達の移動や行動の助力を。
 刹那、深い青の世界が揺らめいて。
 残像纏い思い切り水を蹴った理玖が、水の精霊の力に乗って、一気に手近な敵へと距離を詰めれば。
 ――見えた。
 落ちる言の葉と同時に繰り出されたのは、人魚へと捻じ込まれた拳。
 そして他の人魚の居る方へと殴り飛ばし、覚えた動きの癖やパターンを見極め隙を狙って。
 追い打ちで、強烈な蹴りを叩き込んで。
「おおすげぇ、姉さん精霊さんありがとうな」
 楽しげに、ぶんぶんと手を振れば。
「……理玖。ちゃんと前を、見ましょうね」
 殴る手は止めないまま、自分へと手を振る姿にそうひとこと。
 そんな瑠碧は弓を手に射掛け、人魚達を引き付けつつも彼から離れるように後退して。
 ――此方と彼方を繋ぎし門よ、精霊の導きによりて、開かれん。
 ある程度離れれば……紡ぎ降らせるのは、異常も流す癒しの光宿す雨。
 そしてその輝きは、理玖の元へと瑠碧の身を運んで。
 人魚の背後側に回り込んでは、その背や頭を狙い番えた矢を解き放つ。
 理玖も、背後に気配感じながらも。
(「何も心配なさそうだな」)
 そうそっと瞳を細めてから、攻撃を合わせ重ねて。
『海竜をも魅了する、私の召歌はどう?』
 人魚が歌い、骸骨海竜が召喚されれば。
 瑠碧は再び瑠碧と離れ引き付け、そして再び転移しては射抜いて。
 近くに寄ってくる敵あれば、水流を操っていなし、向かい風の様に進行を妨げてみる。
 そんな瑠碧の支援を受けながら、理玖は再び拳を握りしめて。
「でけぇし逆にいい的だぜ。生命力共有してんなら、どっち殴ったって一緒だな」
 水流に乗り、敵の攻撃を躱しつつも、勢いをつけた一撃を見舞う。
 ――それにもう見切った、って。
 そして、骸の海へと還る様を後目に。
「真夜中なんだ、帰って寝る時間だぜ。歌なら自分に歌っとけ、子守歌でも鎮魂歌でもな」
 ……瑠碧姉さんに歌って貰うし、間に合ってるぜ。
 そう続けながらも、敵へと蹴りの乱れ撃ちを放つ理玖だけれど。
「あの……私、必要外で歌うのは、恥ずかしいです……」
 理玖へとちらりと視線を向け、そう紡ぐ瑠碧。
 それから、彼に歌を歌ってあげるかは、今はともかく。
「楽しい世界を、ありがとう」
 感謝と祈りを乗せ、瑠碧は矢を再び射放つ……どうか、安らかに、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草守・珂奈芽
【ウミホタル】
わたし、見せてもらったから知ってるのさ。
海にはあの水槽みたいに沢山の生き物がいるって。
確かに死んじゃうことはあるさ。でも陸も海も誰かが生きてる場所なんだから!
お魚さんもわたしたちも――精霊さんも!

草化媛、精霊さん達を指揮して!
前から来る相手は任せて。相手の正面を盾で押さえつつ側面から攻撃するのさ!
色んな属性の力で翻弄しちゃえ!

ちらっと視界に入るシェキザくんの仲間さんはちょーっとおっかない見た目。
正直怖さはあるけど…今は敵の前、あの人たちは守るべき味方なのさ!
後ろで頑張ってる怖い雰囲気も、へ、へっちゃらなのさ。
だってここは海の中で、わたしには導き手がいるから!


シェキザ・シップスキャット
【ウミホタル】
アハハ、今更何言ってんだか
海に死なんざ、そらァつきモンさ
海じゃあ明日の命もわからねぇ
オレは、オレ達は、それをよォく知ってる

巨人、人間、海の生き物――海での様々な死がオレの背にある
死が見てぇってんなら見せてやらぁな
出番だ、野郎共(UC)

前方は珂奈芽達がやってくれる
テメェらが引きずり込むのは、後ろから来る連中だ

(UCはゴーストが、本来の姿である死んだ時の姿になる
首がなかったり腹が裂けてたりするのも珍しくねぇ
だから、そういうヤツらは珂奈芽から見えねぇとこで戦ってもらう
見えそうなとこァ、傷の少ねぇヤツらに頼まぁな)

オレぁ、必ず珂奈芽の視界の中にいる
翅の光が【落ち着】ける拠り所となるように



 魚や海の生き物たちさえも引き返してしまう、大水槽の最奥にいたのは。
『海の世界を楽しんだ後は、死の世界に絶望するといいわ』
『此処はこわいこわい海の底よ?』
 歌うようにそう紡ぐ――人魚たちの群れ。
 海の世界は楽しいものではない、死と隣り合わせなのだと。
 不安定な環境の中で死を突き付けられれば、海に慣れていない者は不安に駆られるだろうけれど。
「アハハ、今更何言ってんだか。海に死なんざ、そらァつきモンさ。海じゃあ明日の命もわからねぇ」
 ――オレは、オレ達は、それをよォく知ってる。
 そのことが当たり前なくらい染みついているからこそ、シェキザ・シップスキャット(セントエルモの灯は踊る・f26310)は人魚たちの歌う声に惑わされることはない。
 海と共に在り、そして海に呑み込まれんと戦う日々なんて、海賊に取って今更のこと過ぎるから。
 そしてそれを知っているのは、シェキザだけでなく。
「わたし、見せてもらったから知ってるのさ。海にはあの水槽みたいに沢山の生き物がいるって」
 草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)も、ちゃんとその目で見たから。
 それらは皆、生きている。自分達と同じ様に。
 ……だから。
「確かに死んじゃうことはあるさ。でも陸も海も誰かが生きてる場所なんだから!」
 ――お魚さんもわたしたちも――精霊さんも!
 常に生と死は隣り合わせで。陸でも海でも、生命が息づく場所に違いないのだ。
 そして、シェキザの背にあるのは……海での様々な死。
「巨人、人間、海の生き物――死が見てぇってんなら見せてやらぁな」
 ――出番だ、野郎共。
 そう紡げば刹那、水の中に現れるのは、死の海へ引摺り込もうとする無数のゴースト。
 ……それでは、よいコウカイを、と。
 魂の香を何処までも辿り、ジョン・ドゥ達は誘う。自分達の仲間に引き摺り込まんと。
 そんな野郎共に、シェキザは声を向ける。
「前方は珂奈芽達がやってくれる。テメェらが引きずり込むのは、後ろから来る連中だ」
 そしてゆらりゴーストたちが後方へと向かう中。
 ――草化媛、守護装式顕現! 堅固なる盾掲げ戦陣を成し、我が手に代わり戦禍を阻め!
「草化媛、精霊さん達を指揮して!」
 珂奈芽は草化媛を戦場に躍らせ、魔術障壁を操る精霊達を導くようお願いしつつも。
 前から来る敵を相手取り立ち回らせ、様々な属性の力で逆に人魚たちを惑わせる様に翻弄して。
 人魚たちが召歌にて喚んだ骸骨海竜を、正面から盾で押さえつつ。
『……ぐ、うっ!』
 ――側面から攻撃するのさ!
 生じた隙を見逃さず衝撃を見舞い、在るべき躯の海へと人魚たちを返していく。
 そして……ちらりと、シェキザのゴースト達の姿が目に入れば。
 自分が怖がらないようにと配慮してくれて、なるべく見えないところで戦ってもらうようにしてくれてはいるけれど。
 首がなかったり、腹が裂けてたりと……本来の姿である死んだ時の姿だというから。
(「シェキザくんの仲間さんはちょーっとおっかない見た目。正直怖さはあるけど……」)
 でも珂奈芽は同時に、心強くも思う。
 だって、今は敵の前――あの人たちは守るべき味方なのさ! って。
 とはいえ……やっぱり。
(「後ろで頑張ってる怖い雰囲気も、へ、へっちゃらなのさ」)
 何となーく、ぞわりとしてしまう気も、するのだけれど。
 でも珂奈芽は、深く濃い青の中で迷子になる事はないって、知っている。
(「だってここは海の中で、わたしには導き手がいるから!」)
 ――翅の光が、落ち着ける拠り所となるように。
 いつだって金の瞳には常に、まるでウミホタルのような――ホッとする青白い光が灯っているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
UDCと分かっていても絵になる光景だね
ただ穏やかに泳いでいるだけの存在なら
ジベザベスと並んで水族館の目玉になったかもしれないねぇ
でも彼女たちはきっとそんな籠の鳥のような
生き方は望まないだろうね
だからもっと広くて深い海へ送ってあげるよ
「骸の海」って言うんだけどね

まずはUC発動し、自身を強化
わぁ、じゃあお言葉に甘えて
梓から貸してもらったドラゴンに乗り込み
素早く泳ぎ回りながら敵とのすれ違いざまに
Duoによる2回攻撃を高速で叩き込む

海竜と人魚は生命力を共有しているということは
海竜だけを狙っても人魚は弱っていくはず
女の子を斬り刻む趣味は無いからね
最後は人魚らしく泡になって消えていくのかな?


乱獅子・梓
【不死蝶】
ああ、人魚ショーとか悪くないな
きっと人魚グッズがバカ売れだろうな
残念なことにこいつらが人に届けるのは
喜びじゃなくて厄災なわけだが…

水中で戦うのはグリードオーシャン以来か
あの時とは違ってだいぶ自由が効くようだが
折角だから水中戦にふさわしいこいつらを見せてやろう

UC発動し、水属性のドラゴンたちを召喚
シーサーペントのような泳ぎに適した形状
お前らの骨だけの竜よりもよっぽど
格好良くて強そうだろう!まぁ強いがな
ドラゴンの背に乗ってドヤ顔
綾にも1体ドラゴンを貸してやる

水中を縦横無尽に泳ぎ回り敵を翻弄
死角から1体が攻撃を仕掛ける
それを皮切りに一斉に頭突きや体当たりで総攻撃
1匹ずつ確実に仕留めていくぞ



 深い真夜中の青に揺蕩う、美しい歌声の人魚たち。
「UDCと分かっていても絵になる光景だね」
 それは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の言う様に、童話や御伽噺の様な光景に見えるけれど。
「ああ、人魚ショーとか悪くないな。きっと人魚グッズがバカ売れだろうな」
「ただ穏やかに泳いでいるだけの存在なら、ジベザベスと並んで水族館の目玉になったかもしれないねぇ」
 そう紡ぐ綾に同意する様に頷いてみせてから、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は続ける。
「残念なことにこいつらが人に届けるのは、喜びじゃなくて厄災なわけだが……」
 物語は物語でも、眼前の人魚たちが綴らんとしているのは……死の物語。
 それになにより、綾は思うのだ。
「でも彼女たちはきっとそんな籠の鳥のような、生き方は望まないだろうね」
 それならば、自分達はお誂え向きの場所を知っている。
「だからもっと広くて深い海へ送ってあげるよ」
 ――「骸の海」って言うんだけどね、って。
「水中で戦うのはグリードオーシャン以来か」
 夢か幻か、怪異の仕業で、水の中とはいえグリードオーシャンのものと勝手は違うけれど。
「あの時とは違ってだいぶ自由が効くようだが、折角だから水中戦にふさわしいこいつらを見せてやろう」
 ――集え、そして思うが侭に舞え!
 刹那、紡いだ梓が戦場に喚ぶのは、水の加護を受けたドラゴンたち。
 人魚も対抗するかのようにすかさず歌を歌って、召喚した骸骨海竜へと騎乗するけれど。
「お前らの骨だけの竜よりもよっぽど、格好良くて強そうだろう!」
 ――まぁ強いがな!
 シーサーペントのような泳ぎに適した形状の自分のドラゴン達の背で、えっへんドヤ顔の梓。
 そしてどやりながらも、綾へと自慢の子を差し向けて。
「綾にも1体ドラゴンを貸してやる」
「わぁ、じゃあお言葉に甘えて」
 よいしょ、と骸骨海竜よりも断然格好良いという梓のドラゴンに乗り込んでから。
 よろしくねーって、そう声を掛けた後。
 ――ちゃんとついてきてね。
 深い青に閃くのは……綾が飛沫かせた赤を纏う、赤と黒の非情なるいろ。
 素早く泳ぎ回りながら敵とのすれ違いざま、素早く大鎌の連撃が振るわれれば。
 さらにその刃が、重なる赤にべとりと濡れて。
 梓も縦横無尽、飛ぶように青の世界を泳ぎ回り人魚や海竜を翻弄すれば。
「1匹ずつ確実に仕留めていくぞ」
 死角から1体が仕掛けた攻撃を皮切りに。
『……なっ!?』
 一斉に頭突きや体当たりで総攻撃、在るべき海へと人魚たちを還してゆく。
「海竜と人魚は生命力を共有しているということは、海竜だけを狙っても人魚は弱っていくはず」
 綾はそう、人魚が乗っている海竜へと狙いを定め、ざくりとその首を刎ねれば。
 思った通り、共に躯の海へと消えてゆく人魚たち。
「女の子を斬り刻む趣味は無いからね」
 綾は海竜へと容赦なく赤と黒の閃きを放ち、同時に人魚たちから歌う自由を奪っていきながらも思う。
 ――最後は人魚らしく泡になって消えていくのかな? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
例えば、魚が迷い込む万が一に備える、とか?
護るのが、彼の在り方。
己の遣り方は…奪う事。
えぇ。あれ等の相手はお任せくださいな。

戦場は全方位…
尤も此方にしてみれば、空中戦よりやり易いくらい。
海竜の進行方向は、視線、体動など遊泳の前兆から。
速度、人魚との連携、攻撃方法…等、
凡ゆるを見切り、回避の材料として。
動く序で、まだ緩めた鋼糸を周囲の障害物に仕掛け。

はい。大変楽しかったですよ?お陰様で。
それにまぁ…
上げて、墜とす、愉しみも。
絶望に歪む様も、実に宜しいかと。
…けど。
君等には何もあげません。
だって、その歌…
ずぅっと、邪魔でしたから。

生命力共有は好都合。
鋼糸を引き、起動…
範囲攻撃にて、遍く断つ
――拾式



 次第に濃くなる闇の如き青の奥へと向かうは己一人。
 けれど、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)はよく知っているから。
(「例えば、魚が迷い込む万が一に備える、とか?」)
 そう……護るのが、彼の在り方。
 そして、己の遣り方は……奪う事。
 手分けして互いの在り方を全うするべく、進む方向は違えど。
「えぇ。あれ等の相手はお任せくださいな」
 そう呟きを落としたクロトの青い瞳が捉えたのは、敵の群れ。
『ふふ、ようこそ死の海へ』
『深く深く、永遠に沈みましょう?』
 歌をうたう人魚たち……倒すべき、奪うべき標的。
 それからいつものように冷静に、クロトは視線を巡らせ把握する。
(「戦場は全方位……尤も此方にしてみれば、空中戦よりやり易いくらい」)
 そして、召歌に喚ばれた海竜の進行方向を、視線、体動など遊泳の前兆から見極めて。
 ――速度、人魚との連携、攻撃方法……。
 凡ゆる其れは、全て回避の材料。
 けれど、ただ動くだけでは芸もない。
 序でに、まるで漁網かの如く、まだ緩めた鋼糸を周囲の障害物に施しつつも。
『海の世界はどうだったかしら』
『楽しかった後に、死の絶望……素敵でしょ?』
「はい。大変楽しかったですよ? お陰様で」
 それは嘘偽りない、本心で。
「それにまぁ……上げて、墜とす、愉しみも。絶望に歪む様も、実に宜しいかと」
 うふふと笑う人魚たちに、クロトは肩を竦めてみせた後。
 ……けど、と落とした声に続ける。
「君等には何もあげません」
 ――だって、その歌……ずぅっと、邪魔でしたから、って。
 そして、向かってくる海竜の動きを見遣る青をふっと細めて。
(「生命力共有は好都合」)
 刹那、鋼糸を引き起動……――拾式。
 遍く断つ閃きが瞬間、深く濃い青の世界に、鮮やかなあかの彩りを咲かせる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有/f00133

しかしこう快適だと水中だってこと忘れちゃうね
まるでお空を飛んでるみたいだ
いや僕飛べないんだけども
お空だったら僕も手を引っ張ってもらうようだったかもね
びびってるわけじゃなくってね、慣れの問題でさ
有ちゃんは?空飛べる?

そういやここは禁煙なのかい
……だって呼吸出来るし火も使えるよ、ホラこの通り
そう言って、見事な狐火で見事に人魚を屠ってやる
焼き魚は干物の次に好きよ

とっくに狂った頭だもの
歌を聞いたくらいでそうそうどうなるということもない
有ちゃんのご意見ももっともだ
けども
煙草が湿気る前には片付けたいもんだね


芥辺・有
ロカジ/f04128

そうだね
慣れたら確かにそれなりだけど
……ん、空か
どうだろうな、似てるかな……
比べるほど空を飛び回っちゃいないが
まあ、飛べるといえば飛べるかな
慣れたらこっちよか快適かもよ

……ああ、タバコ、そういやすっかり吸ってなかったな
そうやって火が使えるなら吸いたいもんだけど
どうせ周りに人なんかいないし
焼き魚もつまみにゃ悪くないけど、それはうまそうじゃないね
蛇の餌くらいで丁度いいんじゃない ……食ってきな

しかし、お世辞にも気持ちいいなんて歌でもないね
楽しそうなとこ悪いけど黙っておいで
ほんとに死の世界だってなら狂うなんてこともったいないだろ
なんてね
……ほら、一服の前くらいの手間だってさ



 煌めき纏う青で満ちる大水槽をすいすい、ゆうらゆらと。
 魚かそれともクラゲか、真似るように漂い泳いでいれば。
「しかしこう快適だと水中だってこと忘れちゃうね。まるでお空を飛んでるみたいだ」
 そう紡ぎ笑うロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)の言葉に、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)も頷いて。
「そうだね。慣れたら確かにそれなりだけど。……ん、空か」
 ……どうだろうな、似てるかな……。
 ふと首を傾け、考えてみるも。
「いや僕飛べないんだけども。お空だったら僕も手を引っ張ってもらうようだったかもね。びびってるわけじゃなくってね、慣れの問題でさ」
 ――有ちゃんは? 空飛べる?
 そう訊ねる彼へと金の瞳を向け、返す。
「比べるほど空を飛び回っちゃいないが。まあ、飛べるといえば飛べるかな」
 けれど、流れに身を任せ揺蕩っている今を思えば。
「慣れたらこっちよか快適かもよ」
 空を飛ぶよりも、海を泳ぐ方が楽チンかもしれない。
 そんな、もう随分慣れたようにすいっと進めば……いつの間にか辿り着いたのは、歌声響く青の最奥。
『楽しい海のお散歩は、もう終わり』
『深い深い死の海に沈んじゃうの』
 美しくも怪しい歌をうたいながら、そう口にし嗤う人魚たちを後目に。
「そういやここは禁煙なのかい」
「……ああ、タバコ、そういやすっかり吸ってなかったな」
「……だって呼吸出来るし火も使えるよ、ホラこの通り」
 闇の様に深く濃い青にロカジがぽっと灯すのは、炎。
 そんな炎となり燃ゆる可燃性丸薬――『葬捨男の八法心薬』を調合する材料は、向いた怨念や情念なのだけれど。
「そうやって火が使えるなら吸いたいもんだけど、どうせ周りに人なんかいないし」
 有は揺らめく炎へとちらり視線を向け、言うけれど。
 人魚たちが歌いながらちょろちょろ泳いでいれば、ちっともゆっくりタバコだって吸えやしない。
 だからロカジはタバコの前にまず、成した見事な狐火で見事に人魚を屠ってやらんと、炎を向ければ。
「焼き魚は干物の次に好きよ」
「焼き魚もつまみにゃ悪くないけど、それはうまそうじゃないね」
 焼き人魚はちょっと自分達には美味しそうではないから。
「蛇の餌くらいで丁度いいんじゃない」
 ……食ってきな。
 こんがり焼いた人魚たちは、有が喚んだ巨大な黒蛇のおやつに。
 深い青の中を炎が踊り、さらに歌う人魚たちを次々焦がしていけば。
「しかし、お世辞にも気持ちいいなんて歌でもないね」
 ……楽しそうなとこ悪いけど黙っておいで。
 煩い人魚の歌は遠慮したいから……差し向けた黒蛇でぱくん。
 けれどまた別の人魚が、怪物の群れを喚ぶ歌を歌わんとするけれど。
『人魚の歌で、死の世界に誘ってあげる』
「歌を聞いたくらいでそうそうどうなるということもない」
 だって――とっくに狂った頭だもの。
 歌う人魚へと、青の瞳細めたロカジが言えば。
「ほんとに死の世界だってなら狂うなんてこともったいないだろ」
 ……なんてね、と続いた有の言葉に、こくり。
「有ちゃんのご意見ももっともだ」
 そして夜空の様な海に炎を再び生み出しながらも、ロカジはふっと息を吐いてみせる。
「けども、煙草が湿気る前には片付けたいもんだね」
 折角吸えるようになっても、肝心のタバコが湿気てしまったら火さえつけられやしないから。
 海の中で吹かす一服はどんな味なのだろうか、なんてちょっぴりだけ思いながらも。
 有も同意する様に頷き、黒蛇を暴れさせつつも紡ぐ。
 ……ほら、一服の前くらいの手間だってさ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

ふむ、この怪異の黒幕はコイツか。(眉を顰めて)歌を生業とするものとしては人の心を惑わす歌は許せないねえ。奏、瞬、気を惹き締めな。

敵は騎乗してパワーアップする見たいだから、その対処をするかね。真紅の騎士団で手数を増やし、泳いで向かってくるだろう敵の動きを【戦闘知識】で読み、【槍投げ】【串刺し】【気合い】で【怪力】で思いっきり槍を投げる。人魚の方の対処は子供達に任せ、アタシは海竜を狙う。乗っている海竜は大きい分、狙いやすいはずだ。敵の攻撃は【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ごうかね。槍が当たったら【衝撃波】【体勢を崩す】で追撃を。


真宮・奏
【真宮家】で参加

今ここで死ぬつもりはありませんので!!綺麗な歌ですけど、母さんと瞬兄さんの歌に比べればちっぽけなものです。この水族館の平和は返して貰いますよ!!

まずトリニティエンハンスで防御力を上げ、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【狂気耐性】【激痛耐性】で霊の攻撃をきっちり受け止めますよ。なんか頭が痛くなったりいらいらしたり、気持ち悪いのがからみついてくるんですが、こんなのには負けませんよ!!逆に【二回攻撃】【衝撃波】で反撃です!!いざとなれば【怪力】【グラップル】で人魚さんを殴り飛ばしますよ!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

この人魚の群れが黒幕ですか。音楽に馴染みの深い僕達に取って、歌を人を害する事に使い、平和な水族館を死で満たそうとする存在は許す訳にはいきません。止めさせて貰います。

人魚と海竜のコンビは危険故、崩させて貰います。【誘導弾】に【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【吹き飛ばし】を併せ、人魚を攻撃。海竜から人魚を叩き落すことを狙います。更に風花の舞で追撃を。飛んでくる敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。この水族館に死を齎す存在は似合いません。ここは生きている魚達の場所ゆえ。貴方達の居場所は骸の海です!!



 いつもならば、歌をうたっている方なのだけれど。
 真夜中の水族館に響く歌に誘われてやってきたのは、吸い込まれた大水槽の一番奥。
 大水槽の中は色々な海の生き物たちの姿で彩られ、静かに揺らめきながらも賑やかだったのに。
 歌をうたう主の声が近くになるにつれ、魚や海の生物たちは青の世界をくるりと引き返していく。
 まるで響く歌声が危険なものだと悟ったかのように。
 そして生き物のいろが全くなくなった、深く沈んだような濃い青の只中で泳ぐのは。
『海の中は綺麗で楽しかったでしょ?』
『でも此処は死の世界、溺れて死んじゃうわよ』
『うふふ、絶望と恐怖に染まった顔を見せて』
「ふむ、この怪異の黒幕はコイツか」
「この人魚の群れが黒幕ですか」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)と神城・瞬(清光の月・f06558)の言う様に、怪異へと誘う元凶――歌をうたう、人魚の群れであった。
 そして、声重ねる様に歌う人魚たちへとふたりが思うのは同じこと。
 響は脳内を侵すようなその歌声に眉を顰めて。
「歌を生業とするものとしては人の心を惑わす歌は許せないねえ」
「音楽に馴染みの深い僕達に取って、歌を人を害する事に使い、平和な水族館を死で満たそうとする存在は許す訳にはいきません」
 ――止めさせて貰います、と。
 瞬もひとつ頷きつつもそう続ける。
 歌や音楽に馴染み深いからこそ、人の命を奪わんとする歌声は放ってはおけない。
 そして人魚たちへと、びしっと言い放つのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)。
「今ここで死ぬつもりはありませんので!!」
 それに奏は、いつも聞いているから知っているのだ。
「綺麗な歌ですけど、母さんと瞬兄さんの歌に比べればちっぽけなものです」
 響や瞬の歌の方がずっと魅力的だということを。
 だから決して3人は、人魚たちの歌に惑わされることはない。
「奏、瞬、気を惹き締めな」
「この水族館の平和は返して貰いますよ!!」
「止めさせて貰います」
 人に被害を及ぼさんとするオブリビオンの群れを、躯の海へと送り返すために。
 奏はトリニティエンハンスを展開し、魔力をもって守りの能力をぐんと上げてから。
 人魚の神歌によって現れた深海に眠る大海魔の霊の攻撃を、守りの気を纏い盾や武器で受け、狂気や激痛への耐性を活かしきっちりと受け止めてから。
(「なんか頭が痛くなったりいらいらしたり、気持ち悪いのがからみついてくるんですが、こんなのには負けませんよ!!」)
 敵の神経系を破壊する怪光線にもぐっと耐えるように、奏が海底を大きく蹴れば。
『……ッ!』
 逆に、連撃から繰り出す衝撃波で反撃に出て。
 近づいてくるまた別の人魚を、握る拳で殴り飛ばす。
「人魚と海竜のコンビは危険故、崩させて貰います」
 瞬もそう口にするやいなや、誘導弾に鎧を無効化するような痺れを伴う攻撃を向け、目潰しや部位破壊を行ない、吹き飛ばしを併せて。
 海竜から人魚を叩き落すことを狙うべく、さらに展開する。
 ――少々乱暴な手段ですが、行きます!! 避けないでくださいね?
 刹那、瞬の愛用の魔法の杖が人魚たちを追撃する。
 そして響は、子供達とは違う海竜へと狙いを定めて。
(「敵は騎乗してパワーアップする見たいだから、その対処をするかね」)
 ――さあ、アンタ達、出番だよ!! 全力でやっていいよ!!
 戦場へと喚ぶのは、槍や剣で武装した真紅の鎧の騎士たち。
 そして敵の動きを戦闘知識を用いて読みつつも。
(「乗っている海竜は大きい分、狙いやすいはずだ」)
 人魚たちを串刺しにせんと気合いを入れて、怪力で思いっきり槍を投げる響。槍が当たれば、衝撃波を繰り出し体勢を崩させて。
「この水族館に死を齎す存在は似合いません」
 瞬は、そんな響や奏と共に人魚たちを躯の海へと還しつつも続ける。
 ――ここは生きている魚達の場所ゆえ。貴方達の居場所は骸の海です! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【紅灰】

一見可愛い女の子ですけどねえ
俺も、っと――こっちもばっちりデス
はい、今日はメメもララもいますし
水中でめらめら出来ることなんて滅多にないですし?

俺の?いーケド普段の味のがいいんじゃない?
ふたりのやりとりに此方も困惑するけれど
ララはと言えば調子に乗って自分もと主張し出した

嵐吾さん…普段メメのこと…甘やかしてません?
いや、ふふ。嵐吾さんらしーですケド

ええっと、俺と嵐吾さんの炎混ぜて
みっくす味にすんのはどうでしょ
ほら、こうして――お味はいかが?
ま、今日はこれで勘弁な

さ、しっかり働いてもらうぜ
って言う前からやる気満々だな
好きに暴れるふたりを見守りつつ
燃やしきれなかったもんには鬼火を
――ですねえ…


終夜・嵐吾
【紅灰】

歌っとるんはあの人魚か
このまま好きに歌わせておくわけにもいかんしの
水の中で炎は…うむ、よう燃えるの!
わしらがやるといったらひとつじゃね、なぁ、あや君

メメ、ここは水ん中じゃからな
炎はわしのをお食べ、あや君のがええ?
大きなのじゃなく小さめを色々? グルメだから味を変えてほしい?
味を変える…? 味…? あや君どうすればええと思う?
(わしの表情、狂気ではなく困惑に染まってしまうわぁ)

甘やかしてなど…いや甘やかしておるかも…
味の探求は今度にしよな、メメ
おお、そじゃね。今日はみっくす味じゃ

炎食べたからすすいと泳げるて
そじゃな、本性現して遊んでおいで
援護はしたげよ
大暴れじゃな…誰に似たのか…わしらか



 不思議な大水槽の冒険も、いよいよ佳境の時。
 メメとララも、ふいに引き返したお魚さんとバイバイしてから。
 先程まで鮮やかに彩られていたものとは違う……海の生き物たちの姿が皆無な深い青の中を進めば。
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)は闇の様に濃いいろの中に、歌をうたう彼女たちの姿を見つける。
「歌っとるんはあの人魚か」
 そう――それは人魚の群れ。
 浮世・綾華(千日紅・f01194)もひらり尾鰭を揺らし泳ぐ姿を見遣って。
「一見可愛い女の子ですけどねえ」
 気儘に歌い泳ぐその姿は、確かに一見すれば美しいのかもしれないけれど。
「このまま好きに歌わせておくわけにもいかんしの」
 脳内を侵す様に響く歌声は、人を誑かす邪悪な旋律。
 水の中で炎は……なんて呟きを落としつつも、ここは不思議水中。
 メメララの炎も燃えているままだから、嵐吾は物は試しにと、その掌に狐火を生み出してみれば。
「……うむ、よう燃えるの!」
「俺も、っと――こっちもばっちりデス」
 青に揺れるもうひとつの炎は、綾華が成した緋色の鬼火。
 そしてふたつの異なる炎で、互いに海の世界を照らしながらも。
「わしらがやるといったらひとつじゃね、なぁ、あや君」
「はい、今日はメメもララもいますし」
 嵐吾の声にこくりと頷いて返す綾華は、沢山のあかを重ねた瞳を細め続ける。
 ……水中でめらめら出来ることなんて滅多にないですし? って。
 それから、すいっと近寄ってきたメメへと嵐吾は視線向けて。
「メメ、ここは水ん中じゃからな。炎はわしのをお食べ……あや君のがええ?」
 何だか、ちらちらっと綾華の鬼火も気になる様子のメメにこてりと嵐吾が首を傾げつつも紡げば。
「俺の? いーケド普段の味のがいいんじゃない?」
「大きなのじゃなく小さめを色々? グルメだから味を変えてほしい?」
 ――味を変える……? 味……?
 そう今度は反対側へと首を傾げる嵐吾の表情に宿るのは、狂気ではなく困惑??
「あや君どうすればええと思う?」
 そんなグルメなメメの主張に、嵐吾はちらりと綾華を見て訊いてみるも。
 綾華も、嵐吾とメメのやりとりに困惑。
 そしてララを見れば……調子に乗って自分も! とメラメラ。
 その様子にふっとひとつ息をつきつつも、綾華はおもむろに視線を戻して。
「嵐吾さん……普段メメのこと……甘やかしてません?」
「甘やかしてなど……いや甘やかしておるかも……」
 言われれば、もごもごと紡ぐ嵐吾の尻尾も左右にゆらゆら。
「いや、ふふ。嵐吾さんらしーですケド」
 そんな年上なんだけれど可愛らしい様子に、思わず笑み零してしまう綾華だけれど。
「味の探求は今度にしよな、メメ」
「ええっと、俺と嵐吾さんの炎混ぜて、みっくす味にすんのはどうでしょ」
 メメに言って聞かせようとした嵐吾は、聞こえた名案にお耳をぴこり。
「おお、そじゃね。今日はみっくす味じゃ」
「ほら、こうして――お味はいかが?」
 ……ま、今日はこれで勘弁な、って。
 狐火と鬼火のミックス味の炎を、きゃっきゃ食べるメメララを見守った後。
「さ、しっかり働いてもらうぜ。って言う前からやる気満々だな」
「炎食べたからすすいと泳げるて」
 元気いっぱい、炎もさらに激しくメラメラと揺れて。
 嵐吾は再びその手に狐火を招き、張り切る精霊達へと告げる。
「本性現して遊んでおいで」
 ……援護はしたげよ、って。
 やっぱり甘やかしている、のかも?
 刹那、ふわりと双子のフードが外れれば――燃ゆるあかが、一層鮮やかに迸って。
「大暴れじゃな……誰に似たのか……わしらか」
 次々と人魚を燃やしてゆく炎を見つめ、その彩りに狐火のものも重ねつつ。
 ぽつりと嵐吾が呟き落とせば、綾華も燃やしきれなかった敵に鬼火を放ちながら。
 ――ですねえ……。
 ヤンチャな様子に、ちょっぴり苦笑する。
 何せあのふたりは、自分たちの心のたまごから生まれた子たちだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
イルカは置いて行く
さっきちょっかいをかけて来た魚に見張ってて貰おう
帰りに回収しに来るから、見張っていて欲しい

人魚……この世界では伝説の生き物だったか
この世界だと、竜神もとうの昔に伝説の生き物だけれど

なんとなく、そんな事を想ってみたり

煉獄焔戯使用
神力を氷の銛に変え、射程内の敵に先制攻撃
召喚された霊も合わせて攻撃

敵の攻撃は見切りと残像で回避し
回避不能時はオーラ防御で防ぐ
回避が間に合わない場合はオーラ防御と葬焔と禮火で防ぐ
負傷したら、痛みは激痛耐性で耐え
以降の攻撃に生命力吸収も使用して回復も兼ねて行く
歌声には狂気耐性も用いて対処

伝説の生き物だからって
死を呼んでいい訳じゃないからな
還ると良い、人魚姫



 歌声が聞こえる水槽の奥へと進むたび、魚や海の生き物たちが引き返し始めて。
 それに気づいた鈴久名・紡(境界・f27962)は、留守番させることにする。
 ぷかぷかと青い世界に揺蕩わせた、抱えるほどの大きさのイルカさんを。
「帰りに回収しに来るから、見張っていて欲しい」
 そうお願いするのは、先程つんつんとイルカさんにちょっかいをかけて来たお魚さん。
 さっきのライバルは今の友?? 無事に話をつけて、見張っていて貰うことにして。
 先へと進めば……すいっと我が物顔で泳いでは歌う、怪異の元凶たちの姿が。
 その正体は、そう――。
「人魚……この世界では伝説の生き物だったか」
 紡が紡いだように、人魚の群れであった。
 いや、人魚も伝説の生き物だという認識のようであるが。
 ……この世界だと、竜神もとうの昔に伝説の生き物だけれど。
 なんとなく、そんな事を想ってみたりする。
 けれど伝説の生き物同士でも、響く歌声を彩るのは悪意。
『死の海に沈みましょ、絶望しましょ?』
 到底、仲良くなんてできなさそうだから。
 ――欠片も残さず、灰燼に帰せ。
 神力が変化した得物は、氷の銛。
 それを敵が動く前に振るい、深海に眠る大海魔の霊もろとも攻撃を見舞って。
 伸ばされる触手を見切って回避し、間に合わぬものは守りの気と葬焔と禮火で凌いで。
 歌声が齎す狂気も耐性でやり過ごし、逆に人魚から生命力を奪う。
『……く、ッ』
 同じ尾鰭を揺らし泳ぐ魚でも、眼前の人魚はイルカさんとは大違い。
 早くそんなイルカさんを迎えにも行ってあげたいから。
「伝説の生き物だからって、死を呼んでいい訳じゃないからな」
 紡は躊躇なく握る氷の銛を振るい、彼女たちから悪しき歌を奪ってゆく。
 ――還ると良い、人魚姫、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シアン・ルー
【POW】袖会
できれば綺麗なまま終わりたかったですが、そういうわけにもいかないのが辛いところですね。
でも、ここが夢の世界だというなら好都合です。水槽を汚したり壊したりしないで済みますからね。
悪い水族館は営業停止ですよ。
さあ、みんなまとめて海の藻屑にしてあげます。

ルーナ、フォローをお願いしますね。
アイコンタクトしながら大立ち回りをします。

『人獅子殺法』、【範囲攻撃】と【怪力】【切断】などで大海魔も触手も骸骨海竜も人魚も、まとめて赤爪で薙ぎ倒します。
怪光線は【敵を盾にする】ことでしのぎましょう。

「最後は一緒に、あわせてぶっ飛ばしますよ」
「せーの!!」


ルーナ・オーウェン
【袖会】
綺麗で不思議な世界
海の中は確かにいいところだった、けど
こんな素敵な場所を死に染めたりはさせないから
シアン、ここで止めよう

でっかい骨の竜
その大きさと強さは脅威だけど、的は大きくなっているから
敵は生命力を共有してるから、手数を増やせば有利に戦えるはず
だから呼び出すのは分身
海に、岩の裏に、いろんなところに潜んで
一撃離脱で戦ってもらう
同時に、射撃したり、隙をカバーしたり
でも、本命はまた別に
できるだけ視線を引き付けてからシアンに合図

鮮やかな爪の一閃
やっぱりかっこいいなと思う
うん、水族館は素敵なおもいでを作るための場所だから

うん、タイミングを合わせていこうか
分身の銃撃と私の斬撃
……せーの
えいっ



 奥へと進む度に、不思議と広がる青が次第に濃くなるような気がして。
 同時に、魚や海の生き物たちもいつの間にかいなくなったかわりに……聞こえる歌が、大きく脳内に響き渡る。
 辿り着いた大水槽の最奥は、夜の闇の如く深く濃い青に侵食されていて。
 そのいろの中を泳ぐのは――歌をうたっていた、元凶の存在。
『海のいろは綺麗だったでしょ?』
『でも、辿り着いたこの場所は死の海』
『藻掻いて苦しんで、絶望のまま沈みましょう?』
 それは、うふふ、と邪悪な笑み宿し歌う、人魚の群れであった。
 そんな人魚たちの言葉に、ふるりと首を横に振るのは、ルーナ・オーウェン(Re:Birthday・f28868)。
「綺麗で不思議な世界。海の中は確かにいいところだった、けど。こんな素敵な場所を死に染めたりはさせないから」
「できれば綺麗なまま終わりたかったですが、そういうわけにもいかないのが辛いところです」
 シアン・ルー(千武・f00616)もそう、人魚たちの声を聞きながらも。
 ぐるりと大水槽の中を見回し、続ける。
「でも、ここが夢の世界だというなら好都合です。水槽を汚したり壊したりしないで済みますからね」
 ――悪い水族館は営業停止ですよ、って。
 ルーナは改めて、シアンへと鮮やかな赤い瞳を向けて。
「シアン、ここで止めよう」
「さあ、みんなまとめて海の藻屑にしてあげます」
 ぱちりと目が合って同時に頷き合えば、すいっと水の中を共に征く。
「ルーナ、フォローをお願いしますね」
 そんな声にアイコンタクトを返したルーナの眼前に刹那現れたのは、人魚の召歌が喚んだ骸骨海竜。
(「でっかい骨の竜。その大きさと強さは脅威だけど、的は大きくなっているから」)
 ……敵は生命力を共有してるから、手数を増やせば有利に戦えるはず。
 だから、ルーナが呼び出すのは――分身。
『……!?』
 海に、岩の裏に、いろんなところにかくれんぼ。
 そして潜んだ先から飛び出しては一撃離脱、人魚たちを攪乱しつつ、射撃したり隙をカバーしたり……分身たちには、様々な攻め方で戦ってもらう中。
 でも――本命はまた別に。
 その視線をできるだけ引き付けてから、ルーナがシアンに合図すれば。
 ――人獅子殺法、セーフティ解除。対象を切除します。
 ざくりと、まとめてシアンが振るった赤爪が薙ぎ倒す。
 深海に眠るという大海魔も、それが放つ触手も。骸骨海竜も、それに乗る人魚も……怪力を駆使し、範囲内にいる敵全てを切断して。
 ルーナのフォローのもと、シアンは青の戦場で大立ち回りを。
 そんな、鮮やかな爪の一閃を、やっぱりかっこいいなと見つめて。
(「うん、水族館は素敵なおもいでを作るための場所だから」)
 ルーナはそう思いながらも、届いた声にこくりと頷く。
「最後は一緒に、あわせてぶっ飛ばしますよ」
「うん、タイミングを合わせていこうか」
 そしてもう一度顔を見合せ、こくりと頷いてから。
 ――せーの!!
 ……せーの、えいっ。
 悪しき存在たちへと刹那、容赦なく見舞われるのは――息もぴったり、強烈な爪撃と銃撃と斬撃のコンビネーション。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸迎櫻館

綺麗な海の世界だったわね!千織、カムイ
切り取られた海の世界を満喫できて楽しかったわ
見事なものね

か、カムイはもう怖くないのかしら……わ、私だって
うう、戦いだもの…カムイの足を引っ張ってはいけないわ
手を離し、服の裾を摘む

歌――でも、あのこの歌声ではないわ
私の人魚の歌の方が、ずーーっとすごいんだから!
千織は泳げるから自在にいけるかしら
なんと頼もしく見事なことね…さすが先輩巫女だわ

桜化の神罰巡らせて
衝撃波と共になぎ払う
邪悪は浄化と破魔で打ち消して
【朱華】
ひとつ残らず喰らってしまいましょ

あなたに喰らわすいのちなど何一つないの
海の藻屑になるのはあなたの方

さぁ、海中に咲き誇る
美しい桜にお成りなさい


朱赫七・カムイ
⛩迎櫻館

噫、はじめてみる世界だったよ
本当の海にも行ってみたくなったよ

……こんな世界を死で満たさせなどしない
私にとっても、人魚の歌といえば――あの子の歌だ

サヨはもう大丈夫なのかい?
無理しなくていいんだよ
離された手が少し、物寂しい
私は……大丈夫
きみを守るよ……ほら、サヨ
流されそうになっているよ

チオリはもう馴染んでいるようにみえる
頼もしいね
私は大丈夫だと視線を送って微笑む

水の中を飛ぶこともこれはこれで良い
早業で駆け跳んで切り込み歌ごとなぎ払い切断する

―再約ノ縁結

降す神罰
そんな歌はこの世界に約されていない
存在ごと、斬り祓う

海に咲く桜――なんて良いものが観られた
泡ではなく、桜に変わる人魚
散り際は美しいね


橙樹・千織
迎櫻館

ええ、ほんとに綺麗でした
ジベザベスさんとも泳げましたものねぇ
とっても素敵な想い出になりそうで良かったです

ふふ、確かに…人魚の歌といえば、彼のですよねぇ
泳ぐと言うよりは揺蕩ってるだけなのですよ
水の流れを野生の勘で読み取りつつ、揺蕩って微笑む

カムイさんは大丈夫そうかしら?
…ふふ、心配はいらなさそうですねぇ
ふと、視線を移してカムイさんの様子を窺い再び笑んで

海の世界を楽しめたとはいえ…
人に仇為すのは見過ごせませんねぇ
破魔とオーラ防御を巡らせて、構えるのは藍焔華
そっとフォローもしつつ、マヒを伴う衝撃波を放ち、藍雷鳥はUCで散らす

最期に見るのは海の中での花吹雪
そのまま自身も桜になってしまえばいい



 大水槽の中に広がっていた青を彩る、数多の生命のいろ。
 海の底はちょっぴり怖かったりもするけれど、でも見上げた風景は煌めきでいっぱいに溢れていて。
「綺麗な海の世界だったわね! 千織、カムイ」
 共に揺蕩ってきたふたりへと、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の笑みがぱっと開けば。
「噫、はじめてみる世界だったよ」
「ええ、ほんとに綺麗でした。ジベザベスさんとも泳げましたものねぇ」
 すぐにこくりと頷いて返す、朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)と橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)。
「切り取られた海の世界を満喫できて楽しかったわ。見事なものね」
「とっても素敵な想い出になりそうで良かったです」
「本当の海にも行ってみたくなったよ」
 海のいろをぎゅっと詰め込んだ、今宵の想い出は色鮮やかに……そして今度は、いつか本物の海へ。
 そんな海の彩はとても綺麗であったのだけれど。
 水槽の奥へと向かうたび、魚や海の生き物たちのいろが次第に減って。
 深くて暗い闇のような青だけが今、眼前には広がっている。
 その原因は――先程よりもより大きく響いてくる歌。
 それを嫌って、魚たちは引き返していったのだ。
 この先にいる、邪悪なモノの気配を本能的に感じて。
 そして深い真夜中の水底を進みながら、そうと櫻宵はすぐ傍にある己の神様を見つめて。
(「か、カムイはもう怖くないのかしら……」)
 ……わ、私だって、と暗い水槽の先へと視線を向ける。
 辿り着いたのは、大水槽の最奥――そこに在るのは、複数の歌う人魚たちの姿。
 この水中の冒険の目的は……邪悪な歌をうたう輩を、在るべき海へと還すことなのだから。
 櫻宵はもう一回だけぎゅうと、繋がれているその手を握ってから。
(「うう、戦いだもの……カムイの足を引っ張ってはいけないわ」)
 そうっと手を離し、かわりに服の裾をちんまりと摘む。
 そんな様子に、カムイはふと朱砂に咲く桜を向けて。
「サヨはもう大丈夫なのかい?」
 ……無理しなくていいんだよ、って、そう声を。
 離された手が少し、物寂しくて。
 そして、カムイは大丈夫? と返る言の葉にひとつ、頷いてから。
「私は……大丈夫。きみを守るよ……ほら、サヨ」
 ……流されそうになっているよ。
 そう青を揺蕩いそうになる巫女を、己の傍へと再び引き寄せて。
(「カムイさんは大丈夫そうかしら?」)
 最初は慣れない様子であった彼へと、千織も橙のいろを向けてみるけれど。
(「チオリはもう馴染んでいるようにみえる。頼もしいね」)
 ゆらりと水中を嫋やかに進む姿に、カムイも視線を送れば。
 ぱちりと交わり合った互いのいろにふたり、微笑みを咲かせる。
(「……ふふ、心配はいらなさそうですねぇ」)
 私は大丈夫だと、そう千織の瞳に映る彼の桜の龍瞳が告げているのが分かったから。
 けれどそんな3人を前に、うふふと楽し気に歌い、残忍に笑う人魚たち。
『海のお散歩は楽しかったでしょう?』
『でも海はこわいところ』
『溺れて沈んで、死の海からは二度と浮かび上がれないわ』
 響く歌は脳内を侵すように聴こえてくるけれど。
 櫻宵はふるりと花灯の桜鼠湛える艶髪を揺らし、首を横に振る。
「歌――でも、あのこの歌声ではないわ」
 刹那、櫻宵の瞼の裏を鮮やかに泳ぐのは、水中をしなやかに揺蕩い歌う美しい人魚の姿。
 それは勿論、眼前の悪しき人魚たちのものではない……愛し人魚のもの。
 煌めき揺れる月光ヴェールと銀細工の歌聲を思い返しながら、櫻宵は目の前の人魚たちへと胸を張って言い放つ。
「私の人魚の歌の方が、ずーーっとすごいんだから!」
 その声に、カムイもすぐに頷いて。
「私にとっても、人魚の歌といえば――あの子の歌だ」
 ……こんな世界を死で満たさせなどしない。
 沢山の海に息づく生をいろをこの目で見たからこそ、尚更強くそう思うし。
 やはり人魚の歌と言えば、思い当たるのは彼のもの。
 それは、千織も同じで。
「ふふ、確かに……人魚の歌といえば、彼のですよねぇ」
「千織は泳げるから自在にいけるかしら」
 むしろ人魚かと見紛うかのように、ひらりゆらりと青に漂うその姿を見て、櫻宵は感心した様に紡ぐ。
 ――なんと頼もしく見事なことね……さすが先輩巫女だわ、って。
「泳ぐと言うよりは揺蕩ってるだけなのですよ」
 冬の時期はちょっぴり辛く思う時もあるけれど、巫女にとって禊は慣れたもの。
 水の流れを野生の勘で読み取りつつ、揺蕩って微笑む千織。
 そして刹那、水底を大きく蹴ったのは、カムイ。
 銀朱の髪が海を泳ぐように揺らめき、早業で駆け跳んで
 ――人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は……。
 詠う様に紡ぎ結んで閃かせるは、断ち降す神罰――再約ノ縁結。
「そんな歌はこの世界に約されていない」
 ……そんな歌はこの世界に約されていない。
 桜龍が牙を剥くかの如く。朱砂の太刀が、怪物の群れを喚ばんとする戦歌ごと、人魚をなぎ払い切断すれば。
 ――咲かせて、散らせて、奪って、喰らって――あなたは美味かしら。
 その手は一旦離れたけれど。水底蹴るたび揺れる赫の寵愛で、いつだって確と互いに結ばれているから。
 桜化の神罰巡らせて、浄化と破魔の衝撃波で櫻宵も邪悪たちをなぎ払ってゆく。
 右耳で揺れる櫻と人魚の泪を伴い、桜纏い裂き咲かす屠桜を振るいて。
 誘七の七つ神楽、参――『朱華』。
「ひとつ残らず喰らってしまいましょ」
 桜獄大蛇がそうわらえば、深い真夜中の青に舞い踊る桜のいろ。
「海の世界を楽しめたとはいえ……人に仇為すのは見過ごせませんねぇ」
 千織も破魔と守りの気をその身に纏わせ、黒鉄に藍の装飾咲く刀を構えれば。
 そっとフォローする様に振るわれる刃の衝撃が、人魚たちを痺れさせて。
 ――はらりと舞うは、櫻花と面影。共に散らさん、汝が魂。
 刹那散らすは、藍雷鳥……黒鉄の刀身に藍が囀る薙刀。
 山吹と八重桜を織り成す刃の花弁が、雨の如く水中に舞い踊れば。
 その剣舞は巻き起こる華嵐となりて、人魚たちへと容赦なく降り注ぐ櫻雨。
「あなたに喰らわすいのちなど何一つないの。海の藻屑になるのはあなたの方」
 ――さぁ、海中に咲き誇る美しい桜にお成りなさい。
 紡いだ櫻宵が、その手を伸ばせば。
『……なっ、……ッ!』
 瞬間、暗闇の世界を一瞬にして彩る春。
 そして、千織も……そのまま自身も桜になってしまえばいい、と。
 最期に見るのはそう、海の中での花吹雪。
「海に咲く桜――なんて良いものが観られた」
 さらにカムイは紡ぐ。泡ではなく、桜に変わり還ってゆく人魚たちを見つめて。
 ――散り際は美しいね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
【千夢】
狂気に落とす歌声は申し訳ありませんがこれ以上響かせるわけにはいきませんね

多数で来られようとも大事な友人は傷付けさせませんよ!
【早業】で智夢さんとUDCの間に割り込み【高速詠唱】【結界術】でUC発動
巨大な花盾で攻撃を防ぎながらUCの花盾を媒介に【迷彩】【破魔】の力を持った花弁で花嵐を巻き起こし目眩しも兼ねた攻撃を
私の花は特別ですよ?
智夢さん、今のうちに…と声をかけようとしたらリアムから瞬間的に放たれた呪詛にぞわっと(テレパシーの声色は聞こえず)
こちらに向けた悪意ではなかったけれど今の力はどこから!?
探ろうとしつつもすぐに消え首を傾げつつまずは目の前の相手からと切り替えましょう


百鬼・智夢
【千夢】
折角素敵な歌声なのに…
でも…楽しかった
それだけは…ありがとうございます

★【破魔】の薙刀を構え
善霊さん達に【オーラ防御】を張ってもらい
舞うような【薙ぎ払い】で攻撃を

でも、いつも霊頼りだから
自力防御は得意じゃなくて…

ひゃっ!?
あ、ありがとうございます薄荷さん…
あれ…リアム…?

目が眩んだ一瞬でリアムが居なくなって…


リアムは自分の意思で【UC】を
智夢には見えない位置に瞬間移動
敵に触れ、【呪詛】を与え、蝕む恐怖を
智夢には聞こえないテレパシーで

智夢ニ牙ヲ剥イタ報イダヨ


智夢の視界に移る頃にはただのぬいぐるみに戻り
離してごめんねリアム…怪我はない?

何が起きたのかはわからないけど
その隙に薙刀で追撃を



 深く沈むような真夜中の青に響くのは、先程から聴こえていた歌声。
 その声が、聴く者たちを誘うのは……大水槽の最奥。
 魚たちや海の生物たちも寄り付かぬ、深く暗いいろの水底。
『海は楽しかったでしょ? そしてようこそ、死の世界へ』
『自分の死を目の当たりにして、絶望や恐怖に染まるといいわ』
 そんな歌いながらも笑い、紡ぐ人魚たちの群れへと視線を向けて。
「折角素敵な歌声なのに……」
 百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)は、テディベアのリアムをぎゅっと抱きながら。
 これまでの海の冒険を思い出し、こう続ける。
「でも……楽しかった。それだけは……ありがとうございます」
 夢のように楽しかった海の探索。
 でもだからと言って、人魚たちの歌声に屈するわけにはいかないから。
「狂気に落とす歌声は申し訳ありませんが、これ以上響かせるわけにはいきませんね」
 薄荷・千夜子(陽花・f17474)ははっきりとそう人魚たちへと告げて。
 戦歌にて喚んだ怪物の群れの一斉攻撃を仕掛けんとする、悪しき人魚たちよりも早く。
 善霊さん達に守りの気を張ってもらいながら、智夢が構えた破魔の薙刀を舞う様に振るえば。
 美しき鈴の音がちりんと鳴り、魔を薙ぎ払ってゆく。
 けれど、いつも霊頼りであるから……自力防御は得意ではなくて。
 怪物たちが一斉に、智夢へと襲い掛からんとするけれど。
「多数で来られようとも大事な友人は傷付けさせませんよ!」
 ――守りの青星、花盾となれ。
 刹那、その間に割り込んだ千夜子が高速詠唱し、素早く発動する結界術は『桔梗星盾』。
 巨大な桔梗の花盾が怪物の攻撃を防ぎ、さらにそれを媒体にして。
「私の花は特別ですよ?」
 迷彩や破魔の力を持った花弁がひらり、青の世界に巻き起こるは花嵐。
「ひゃっ!? あ、ありがとうございます薄荷さん……」
 目眩しも兼ね舞い遊ぶ花弁たちをその瞳にも舞わせながら、智夢は花々咲き誇らせ守ってくれた千夜子に礼を言うけれど。
 ふと気付き、首を大きく傾ける。
「あれ……リアム……?」
 くらりと目が眩んだ一瞬で、リアムが居なくなっていたから。
 そして、そんな智夢へと声を掛けんと。
「智夢さん、今のうちに……」
 口を開きかけた千夜子は瞬間、緑を湛える瞳を大きく見開く。
 思わずぞわっとするような、放たれた呪詛に。
 それは……智夢には見えない位置に瞬間移動した、リアムから発せられたもの。
 その瞳はいつの間にか、青から赤へと変わっていて。
 ――智夢ニ牙ヲ剥イタ報イダヨ。
『……っ!』
 智夢や千夜子には聞こえないテレパシーで人魚へと紡げば、その手を伸ばして触れて。
 呪詛を与え――蝕む恐怖を。
(「こちらに向けた悪意ではなかったけれど今の力はどこから!?」)
 千夜子がそう、放たれた強烈な呪詛の源を探す様に視線を巡らせるも。
 智夢は視界に移ったリアムを、再び抱きしめる
「離してごめんねリアム……怪我はない?」
 ただのぬいぐるみに戻った、その身体を。
 そして千夜子は、探ろうとしつつもすぐに消えた禍々しい気配に首を傾げつつも。
 ……まずは目の前の相手から。
 そう切り替え、再び智夢たちや己を守る桔梗の花盾を青の世界に咲かせて。
 何が起きたのかはわからないけど……智夢もぐっと、美しい破魔の薙刀を再び握りしめて。
 生じた敵の隙をつき、花弁舞う海いろの戦場で人魚たちにお見舞いするは――ぶんっと振るう薙ぎ払いの追撃。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
おー、大漁だ
エコーが狩りやすいように獲物に圧かけてくぜ
何もかも締め上げちまえば早いが
魚たちには優しくしねーとな

【DEEPER】、海の主様のお出ましだ!
水槽は壊さない大きさに調節してやるが――可哀想に
逃げても俺の首が通せんぼさ
「どこに逃げようが」とぐろの中だよ
ヒュドラの毒は使わねえ、水質に障るかンね
代わりに九つ首のドデカ海竜ショーだ!
さァ逃げまどえよ稚魚どもが!逃げ遅れた端から食っちまうぞ――俺は魚が大好きだからさァ
怖い?助けて?残念、三枚おろしのお時間――つうか細切れだな
勿体ないから呑んでやろ

……この姿あんまり好きじゃないンだけど
そっか――エコーがそういうなら、悪いもんじゃない、な


エコー・クラストフ
【BAD】
まったく。せっかく人がデートしてるときに
たかが人魚が、群れを成したところで敵うと思うのか?
地獄を見せてやる

【一切の希望を捨てよ】。追い立てられた人魚たちのすぐ近くの水から杭を射出し、貫く
お前たちを守ってくれるのはこの骸骨か? 随分スカスカで水が入りやすいじゃないか
水でありさえすればそこは、何であろうと地獄の入り口に早変わりだ……海竜の体内から有刺鉄線を飛び出させ、バラバラに引き裂く
ああ……三枚おろしにはできなかったな。まぁ、ごめん。丸呑みでいいんじゃない?

ボクは好きだよ、その姿も、人間の姿も
ボクより大きいか小さいかくらいの違いだ。だから、ハイドラらしくいられる姿でいればいいよ



 ふたりでゆく海底のいろは、奥へと進むたびに深く濃くなって。
 同時に、大きくなってゆく響く歌声。
 そして、鮮やかな彩をした魚たちや海の生き物が近寄ろうとせず踵を返した、大水槽の最奥へと進めば。
「おー、大漁だ」
 ハイドラ・モリアーティ(Hydra・f19307)は眼前を泳ぐ存在に、いろの異なる瞳を向けて。
『海の中は、死の世界よ』
『さぁ、深く深く沈みましょう』
 聴こえていた歌をうたう元凶……人魚たちへと圧をかけるハイドラ。
 隣の恋人が、獲物を狩りやすいようにと。
「何もかも締め上げちまえば早いが、魚たちには優しくしねーとな」
「まったく。せっかく人がデートしてるときに」
 そう笑ってみせるハイドラの隣で、盛大に溜息をつくエコー・クラストフ(死海より・f27542)は。
 デートの邪魔をした、万死に値する彼女たちへと紡ぐ。
「たかが人魚が、群れを成したところで敵うと思うのか?」
 ――地獄を見せてやる、と。
 そして、ハイドラが与えた圧で追い立てられた人魚たちへと突き付ける――『一切の希望を捨てよ』と。
 刹那開かれるは、そう……人魚たちを誘う地獄の扉。
 人魚たちも歌う召歌で骸骨海竜を喚び出し騎乗し、襲い掛からんと牙を剥かんとするけれど。
「お前たちを守ってくれるのはこの骸骨か? 随分スカスカで水が入りやすいじゃないか」
 ――水でありさえすればそこは、何であろうと地獄の入り口に早変わりだ……。
『なっ……ぐぅっ!?』
 刹那、バラバラに引き裂かれる海竜の身体。
 骸骨の体内から有刺鉄線と焼けた鉄杭が飛び出せば。その身を共有しているという人魚が、深い青に赤を咲き飛沫かせる。
 けれど、数だけは多い人魚たちが再び骸骨海竜へと乗り込み、今度は一斉に仕掛けんと迫るけれど。
「海の主様のお出ましだ!」
 ――よォ。びっくりしちゃった?
 ハイドラが刹那姿を変えたのは、九つ首で黒の鱗、金色の裏面を持つ竜。
 そして落とされるのは、憐れみの声。
 ……水槽は壊さない大きさに調節してやるが――可哀想に、と。
 だって、もう人魚たちは自由ではないのだから。
「逃げても俺の首が通せんぼさ」
 ――「どこに逃げようが」とぐろの中だよ、って。
「ヒュドラの毒は使わねえ、水質に障るかンね」
 けれど代わりに特別に披露するのは、九つ首のドデカ海竜ショー!
「さァ逃げまどえよ稚魚どもが! 逃げ遅れた端から食っちまうぞ――俺は魚が大好きだからさァ」
『……!』
 懸命に人魚たちは尾鰭を揺らし、骸骨海竜を操らんとするけれど。
『! あ……ぐっ』
「怖い? 助けて? 残念、三枚おろしのお時間――つうか細切れだな」
「ああ……三枚おろしにはできなかったな」
 三枚どころか再び人魚をバラバラに引き裂いてから、エコーは敵の群れを見遣り続ける。
「まぁ、ごめん。丸呑みでいいんじゃない?」
「勿体ないから呑んでやろ」
 こくりと頷いたハイドラは、大きな口をあーん。
 片っ端からバキバキと人魚をいただいていきながらも、ふと呟きを零す。
「……この姿あんまり好きじゃないンだけど」
 そしてそう、ちらりとエコーへと視線を向けてみるけれど。
 普段と何ら変わらない様子で、迷いなく返ってくる声。
「ボクは好きだよ、その姿も、人間の姿も」
 やっぱり知っていたけれど……見上げるその視線は、何だって受け入れてくれて。
「ボクより大きいか小さいかくらいの違いだ。だから、ハイドラらしくいられる姿でいればいいよ」
 だから、そうエコーが言ってくれるから。 
 ハイドラは、そっか、と深い青の中、瞳を細めて返す。
 ――エコーがそういうなら、悪いもんじゃない、な、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ザッフィーロのいう伝承はローレライ、という伝説ですね
ふふ、もっとも僕自身も―――そしてかれも
あなたがたにさしあげるものなど髪の毛一本もありはしないのですが
ええ、ザッフィーロ
きみを誘惑する不埒な人魚など、成敗してみせましょう

ザッフィーロの背を守るように後衛にて位置取り
「高速詠唱」で詠唱を速め省略した「全力魔法」を
星の「属性攻撃」に変換し、「範囲攻撃」にて敵の掃討を狙いましょう

合間にもザッフィーロが動きやすいよう「衝撃波」を放ち
敵の体勢を崩すように「吹き飛ばし」を狙いましょう

かれにまことの意味で哀しい顔も、そのような想いもさせぬと決めていますので
どうぞ、お覚悟を


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

人魚か
アースの伝承では美しい歌声でヒトを水の中に引きずり込む者も在ると聞くが…斯様な狂った者が居たのやもしれんな
まあ、斯様な者に命をやるつもりはないが
宵、お前もそうだろう?

戦闘時は前衛にて行動
光の盾を展開し敵の攻撃を『盾受け・かば』える様水の振動を『第六感』で把握しつつ行動を
間合いに入った敵へは手にしたメイスを振るい【stella della sera】
宵の元に行かせぬ様攻撃を続け宵が動きやすい様援護をしつつも動きやすいよう放たれる衝撃波と宵の声を聞けば思わず口元が緩んでしまう
俺も同じ心持ちだとそう伝えるには…少々遠いか
ならば早く倒し隣に戻らねばならぬ故…疾く骸の海に帰ると良い



 様々な海の生き物たちのいろで満たされていた大水槽の中。
 聴こえる歌声を辿って、その最奥までやってくれば……そこに広がっていたのは、海の生き物たちも近寄らぬ闇の如きいろ。
 そしてその只中を、好き勝手に泳ぐのは――。
「人魚か。アースの伝承では美しい歌声でヒトを水の中に引きずり込む者も在ると聞くが……斯様な狂った者が居たのやもしれんな」
 そう、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の言う様に、歌う人魚の群れであった。
「ザッフィーロのいう伝承はローレライ、という伝説ですね」
 そんなかれの言葉に、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は続くけれど。
『楽しい海の時間ももう終わり……此処は、死の海だから』
『絶望と恐怖に苛まれながら、永遠に沈みましょう?』
 歌をうたいながらも嗤う人魚たちに、宵ははっきりと告げる。
「ふふ、もっとも僕自身も――そしてかれも。あなたがたにさしあげるものなど髪の毛一本もありはしないのですが」
「まあ、斯様な者に命をやるつもりはないが」
 ……宵、お前もそうだろう?
 そうザッフィーロが銀の瞳を隣の彼へと向けてみれば。
 こくりと大きく頷いて、宵は笑みと言の葉をかれへと返す。
「ええ、ザッフィーロ。きみを誘惑する不埒な人魚など、成敗してみせましょう」
 これ以上、愛しい人を惑わさんとする歌などうたわせぬというように。
 ――太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る。
「そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです。さあ、宵の口とまいりましょう」
 刹那、高速で詠唱を紡ぎ省略した全力魔法が、星の煌めきを編み上げて。
 ザッフィーロの背を後ろから守るべく、深く暗い青の世界に降らせるのは流星の矢。
 そんな流れ星の耀きと共に、ザッフィーロがすかさず前へと出れば。
 その手に展開した光の盾をもって、召喚された怪物の群れの攻撃を防がんと第六感を研ぎ澄まして。
 水の振動を把握しつつ、身体を張ってでも宵を守れるよう立ち回る。
 そして、召歌にて喚ばれた骸骨海竜が間合いに入ってくれば、手にしたメイスの鎖をじゃらり伸ばすと。
 射程を伸ばした得物を振るい、展開するは――『stella della sera』。
 宵が動きやすい様に……それに何より、宵の元に敵を行かせぬ様に、援護を。
 宵も流星の矢を真夜中の青に降らせながら、かれが動きやすいようにと衝撃波を放って。
 敵の体勢を崩し吹き飛ばしつつも、絶望へと誘わんと歌う人魚たちへとこう紡ぐ。
「かれにまことの意味で哀しい顔も、そのような想いもさせぬと決めていますので」
 ――どうぞ、お覚悟を、と。
 そんな、ふいに耳に届いた宵の声を聞けば、思わずザッフィーロの口元が緩んでしまうけれど。
(「俺も同じ心持ちだとそう伝えるには……少々遠いか」)
 ザッフィーロは人魚の只中により一層踏み込み、握るメイスを容赦なく振るってゆく。
「……疾く骸の海に帰ると良い」
 気持ちを伝えられるくらい、愛しい人の近くに――ならば早く倒し隣に戻らねばならぬ故、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空・終夜
【桜夢】
アドリブ可

欲張りな神にくれてやる命はない
ああ…死なせないさ、誰も

助の事も…傷つけさせない

罪深い美しき人魚に似合いの裁きを与えよう
顕現しろ、Spider

掌を切り裂き
血によるUC起動
それは罪犯す女に罰を与える為に在る刃
柔肌に刃を突き立てて喰らいつく刑具

刃は蜘蛛の如く敵を追尾
刃突き立て絡めとるよう捕縛
喰らいついたら逃さない
傷口を抉り動きを封じる

…助、行け
彼女の足元に刃を滑り込ませて足場を作る
花の様に美しき乙女を送る為に

狂気は常に俺には宿ってる
敵を殺す為だけに作られた兵器で既に狂った怪物だから

罪深い魂が
綺麗な死の世界に行けるはずがない

歌に惑わされはしない
少なくとも今は
目の前の彼女を護りたいから


周・助
【桜夢】
アドリブ、マスタリング歓迎

_

死なせません、誰一人として。
かみさまの贄になんて──させない。


終夜くんを最優先に庇いながら。
彼と意識して連携するまでも最早なく、自然と呼吸はわかっている
蝶がそっと指先に留まるよう、軽やかに彼の刃を足場にして、一息に人魚へ距離を詰め
刃を振れば、ぱ、と花咲くよう
そして陸に、天に焦がれた御伽話の人魚姫ように遥か水面下の空へ跳んで──


「弐の剣── 桃華双雷」


──流星の如き一閃。次ぐ、穿つ雷撃。


_
(死の世界がこんなにも美しいのなら、と頭の片隅で無意識考えてしまった己を責め、諫める。

死を焦がれるな。責務から逃げるな。
散って逝った家族のあとを追うのは、今ではない。)



 人魚たちがうたう歌は、美しく優しく響いているけれど。
 でも……滲んで隠せぬのは、狂気に満ちた邪悪な気配。
 邪神に捧げるために、かみさまが喜ぶだろうからと。
 海の世界を楽しませ、そしてその後で、死の恐怖と絶望を思い知らせるのだというけれど。
「死なせません、誰一人として」
 周・助(咲か刃・f25172)はそう、はっきりと告げる。
 かみさまの贄になんて――させない、って。
 そんな彼女の声に、空・終夜(Torturer・f22048)もこくりと頷いて。
「欲張りな神にくれてやる命はない。ああ……死なせないさ、誰も」
 助の言うように、誰一人だって死なせやしないし。
 それに――助の事も……傷つけさせない。
 だから終夜は、罪深い美しき人魚に似合いの裁きを与えんと。
「顕現しろ、Spider」
 ――啜れ、罪の血を……。
 刹那、切り裂いた掌から赤が飛沫けば、流れ落としたそれを浴びて目覚める。
 まるで蜘蛛の足のような、6本の刃が。
 それは罪犯す女に罰を与える為に在る刃、柔肌に刃を突き立てて喰らいつく刑具。
 流れた血が蜘蛛と成った得物に教えるのだ。敵の命の味を。
 そして蜘蛛の如く敵を追尾する刃が、突き立て絡めとるよう人魚の身を捕獲すれば。
 ――喰らいついたら逃さない。
 人魚が召喚した骸骨海竜ごと、傷口を抉り動きを封じて。
 刹那、戦場を駆ける助へと向けられる緑色の瞳。
「……助、行け」
 そしてすかさず、彼女の足元へと刃を滑り込ませる終夜。
 花の様に美しき乙女を、送る為に。
 刹那、海の空に舞う蝶々がそっと指先に留まるように、軽やかに。
 一気に人魚へと距離を詰め、助が刃を振れば、花が綻び咲き開くよう。
 そして、御伽話の人魚姫の如く……陸に、天に恋焦がれるかのように。
 遥か水面下の空へと、跳んで。
「弐の剣―― 桃華双雷」
『……!!』
 怪物の群れを召喚せんと歌う人魚に、流星の如き一閃。次いで、穿つ雷撃。
 素早く繰り出された連撃に揺らぐ人魚へと、頭上からの一撃と天まで裂くが如き双雷が閃く。
 彼と意識して連携するまでも最早なく、自然と呼吸はわかっているから。
 そんな助を送り届け、人魚を蜘蛛の餌食にと捕えては喰らいつきながらも。
 終夜は、人魚たちが死の海だと告げる、深い海底のいろを見つめ思う。
(「狂気は常に俺には宿ってる。敵を殺す為だけに作られた兵器で既に狂った怪物だから」)
 ――罪深い魂が、綺麗な死の世界に行けるはずがない、と。
 そんな死へと誘う歌にも惑わされはしないし。
 だからせめて、少なくとも今は――目の前の彼女を護りたいと、そう思うから。
 そして誰一人として死なせないと、その言葉に嘘偽りはないけれど。
 でも……頭の片隅で、無意識考えてしまう。
(「死の世界がこんなにも美しいのなら――」)
 けれど、助はすぐに己を責め、諫める。
(「死を焦がれるな。責務から逃げるな」)
 彼とともに、青の世界に赤の花を咲かせながら。
 ――散って逝った家族のあとを追うのは、今ではない、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾宮・リオ
駒知さん(f29614)と



残念ですけど
僕にその誘惑は効きませんね

楽しかった海の世界よりも
夜に沈む青、死の世界のほうが
僕には似合ってます、なんて
別の人魚さんを相手にして
揺蕩っているお姫様には言えませんが

ああ、聞いてしまいましたか?
僕と君だけの秘密にしてくださいね
自身の唇にそっと指を添えて
眼前の敵に向け穏やかに微笑む

水底に足を着いて
鞘から妖刀を引き抜いた
揺らめく紫の怨念は
自身が多数喰らってきた証
得物を構えて、前を見据える

良い子になんて、ならなくても
僕はありのままの駒知さんが素敵だと思うので

カーテシーに倣って
挨拶代わり、にこりと笑みが咲く

さあ、フィナーレですよ


明日川・駒知
リオくん(f29616)と
アドリブ、マスタリング歓迎
ヴァレンタインの攻撃方法お任せ

NG:味方を攻撃する

_

──まあ、
「不躾で、いらっしゃるのね」

ふわり揺蕩い、お嬢さんの唇を指先でそっと撫で

狂う様を美しいと仰るの?
いいえ、否定するつもりはないの。美的感覚は心の数だけあるのだから。
けれど…私とヴァレンタインには受け入れられないわ。
この世界をとても楽しませてもらった。
だからこそ、心苦しくはあるのだけれど
「──私たちは、かみさまの『良い子』で在るつもりなんて、なくてよ」

ごめんあそばせ。


刹那広がる闇。咆哮する影。
「ヴァレンタイン」
それではお行儀良く、暴れましょうか。


カーテシーを以てふわり笑み


「ご機嫌よう」



 美しく優しい響きの歌声が、聴く者たちを誘い引き摺り込む。
 楽しいものかと一度は思わせた海に……死の深淵の如く深く濃い、真夜中の水底へと。
 けれど誘われたのではなく、敢えてその歌を辿ってきたから。
「残念ですけど、僕にその誘惑は効きませんね」
 大水槽の最奥に辿り着き、歌う人魚たちへと告げるのは、尾宮・リオ(凍て蝶・f29616)。
『楽しいと思った海に沈むのもいいでしょ?』
『海の底は、絶望と恐怖が待っている死の世界よ』
 うふふ、とそう歪に笑みながら歌う人魚たちだけれど。
 ――まあ、と呟きをひとつ落とすのは、明日川・駒知(Colorless・f29614)。
 そしてふわり青を揺蕩い、ルージュのようなあかいいろを引いてあげるかの様に。
「不躾で、いらっしゃるのね」
 お嬢さんの唇を、指先でそっと撫でる駒知へと視線を向けてから。
 彼女が構っているのとは別の人魚を前に、リオはこんな内緒のひとりごと。
「楽しかった海の世界よりも。夜に沈む青、死の世界のほうが僕には似合ってます」
 ……揺蕩っているお姫様には言えませんが、って。
 そして、眼鏡の奥の瞳をふっと細めて……しぃ、と。
「ああ、聞いてしまいましたか? 僕と君だけの秘密にしてくださいね」
 自身の唇にそっと人差し指を添えて、眼前の敵へと穏やかに微笑む。
 けれどその秘密は、お姫様には告げられない。
 だって、内緒話を聞いた人魚は、喰らわれるから。
 トンと水底に足を着いたリオが、スッと鞘から引き抜いた妖刀に。
 揺らめく紫の怨念は、自身が多数喰らってきた証。
 そして前を見据え、刃振るえば――まるで御伽噺の人魚姫が、泡となって消えてゆくかのように。
 融けて、消えて……それは沫雪の如く。また紫のいろがゆうらり、海のいろに揺らめく。
 人々を誑かし、死の絶望と恐怖に彩らんとする人魚たち。
 そんな彼女たちの言の葉を聞いて、駒知は小さく首を傾ける。
「狂う様を美しいと仰るの? いいえ、否定するつもりはないの。美的感覚は心の数だけあるのだから」
 でもすぐに、駒知はふるりと首を横に振る。
「けれど……私とヴァレンタインには受け入れられないわ」
 人魚たちのおかげで、海のいろ満ちる世界をたくさん、彼と一緒に楽しませて貰って。
 だからこそ、心苦しくはあるのだけれど。
 駒知はふっと微かに口角を上げて、紡ぐ。
「――私たちは、かみさまの『良い子』で在るつもりなんて、なくてよ」
 ……ごめんあそばせ、と。
 刹那広がる闇、咆哮する影。
「ヴァレンタイン」
 駒知はそう、己の騎士の名を呼んで。
 ――それではお行儀良く、暴れましょうか。
 瞬間、純真可憐な少女の意志が輝く間……眼前の人魚たちをあっという間に飲み込む闇のいろ。
 そして悲鳴も断末魔もあげる暇さえ与えず、再び静けさが戻ってきた青の中で。
「ご機嫌よう」
 駒知はカーテシーを以て、花のように開かせた笑みをひとつ、ふわり。
 そんな彼女に、にこりとリオも笑み咲かせる。
「良い子になんて、ならなくても。僕はありのままの駒知さんが素敵だと思うので」
 カーテシーに倣って、挨拶代わりに。
 そしてお姫様をエスコートするように紡ぐ――さあ、フィナーレですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と

やはり、魚さんたちはわかっていたのね
あの怪異……人魚たちが「危険な存在」だということを

彼女たちの口から繰り出される悍ましい言葉の数々
人々の海への憧れを、美しい景色を、生命の恵みを利用して欺き
その純粋な想いを狂気に歪め、命を踏み躙る

なんという邪悪
底知れぬ悪意
生命の理を乱すその所業
決して許しておくものですか

歌うはレクイエム【怒りの日】
放たれる無数の破魔の光輝は
召喚された怪物もろとも邪悪な人魚を神罰の光で灼き尽くす

この美しい水の世界は
海の生き物たち、そしてこの世界に生きるすべての愛しき命のために
破滅と絶望に誘う邪悪な企てになど、決して穢させはしない


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と

醜いな
人々の想いを謀り、狂気と絶望を食らう邪悪な性根
姿形と甘い声で欺いたつもりでも、その本性は毒沼の汚泥より尚どす黒い

俺達をこの美しい海の世界に招待してくれたこと『だけ』は感謝しよう
だがその目的が、人々を狂気に陥れ命を食らうためならば容赦はせぬ

骸骨海竜に騎乗し強化したか
だが図体がでかくなった分、こちらも攻撃を当てやすくなったのも事実
【疾風の青狼】の野生の勘と培った戦闘経験、
何より人々を、そしてヘルガを守る覚悟があれば
恐れるものは何もない

大振りになった敵の攻撃を回避し、避けきれなければ激痛耐性で耐える
隙を突いて鎧砕きの力を込めた破魔の一撃で
海竜もろとも人魚を一刀両断



 響く歌は一見、美しく優しいもののように聞こえるけれど。
「やはり、魚さんたちはわかっていたのね」
 大水槽の最奥へと向かうたびに……聴こえる歌声が大きくなるたびに。
 まるでこの奥には行きたくないと、すいっと引き返す魚たちを見送りながら、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は続ける。
 ――あの怪異……人魚たちが「危険な存在」だということを、と。
 そしてやってきた大水槽の奥で、歌い泳ぐ人魚たちは口を開く。
『楽しいと思った海が、実は死の世界だって知ったら……絶望しちゃうわよね?』
『ふふ、絶望や不安に歪む顔を見せてちょうだい』
 そう楽し気に笑う人魚たちから感じるのは、強い悪意。
 そんな彼女たちの口から繰り出される悍ましい言葉の数々に、ヘルガは堪らずふるりと首を横に振る。
(「人々の海への憧れを、美しい景色を、生命の恵みを利用して欺き。その純粋な想いを狂気に歪め、命を踏み躙る」)
 ――なんという邪悪、底知れぬ悪意、と。
 そして彼女のすぐ傍に在るヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)も、思わず呟きを落とす。
「……醜いな」
 人々の想いを謀り、狂気と絶望を食らう邪悪な性根。
 ……姿形と甘い声で欺いたつもりでも、その本性は毒沼の汚泥より尚どす黒い、と。
 そして愛する者を守るべく、前へと立ちながら。
「俺達をこの美しい海の世界に招待してくれたこと『だけ』は感謝しよう」
 ――だがその目的が、人々を狂気に陥れ命を食らうためならば容赦はせぬ。
 ヴォルフガングはそうはっきりと、人魚たちへと言い放つ。
 そして召歌に喚ばれ、骸骨海竜が青の世界に成されるけれど。
「骸骨海竜に騎乗し強化したか。だが図体がでかくなった分、こちらも攻撃を当てやすくなったのも事実」
 ヴォルフガングはそう冷静に敵を見据え、刹那展開する。
 ――我は狼、我は風! 何人たりとも我が行く手を阻むことは敵わん!
 戦士としての経験と、野生の狼の闘争本能……そして何より人々を、そしてヘルガを守る覚悟があれば。
「恐れるものは何もない」
 向けられる海竜が剥いた牙も恐れるに足らず……地を蹴って身を翻し、回避するヴォルフガング。
 そしてヘルガも、眼前の邪悪や悪意には、決して屈しない。
「生命の理を乱すその所業。決して許しておくものですか」
 深く濃い青の世界に響かせるのは――レクイエム『怒りの日』。
 人の尊厳を踏みにじる悪意への恐怖や嫌悪を乗り越え、聖なる歌姫は捌きを下す。
 放たれるは無数の破魔の光輝……召喚された怪物もろとも、邪悪な人魚を神罰の光で灼き尽くして。
 ヴォルフガングは大振りになった敵の攻撃を躱し、避けきれず受けた衝撃の激痛も地を踏みしめ耐えながらも。
『……ぐ、ぅっ!』
 隙を突いて海竜へと叩き込むは、鎧砕きの力を込めた破魔の一撃。
 そして海竜と生命力を共有している人魚がうめき声を上げ、骸の海へと還されるのを見送りながら。
 ヘルガは愛しく頼もしい夫の背を見つめ、祈りを込めるように戦場に歌を響かせ続ける。
(「この美しい水の世界は。海の生き物たち、そしてこの世界に生きるすべての愛しき命のために」) 
 ――破滅と絶望に誘う邪悪な企てになど、決して穢させはしない、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ等歓迎

ジベザベスが…!
せっかく気持ち良く泳いでたっつーのにド下手くそな歌聞かせんじゃねェよ!

邪神も眷属もまとめて叩き潰してやる

まずはその鬱陶しい歌を歌えなくしてやるよ
【念動力】で水を使って【衝撃波】をぶつけて頭を揺らす
なんだあの触手気持ちわりぃ…
光線の攻撃は念動力で屈折させて【カウンター】
【Cat'stail】で人魚、触手、海竜
全部まとめて括っとくか

ふ、くははッ
あの様子なら随分景気良く燃えたみてーだな
アレならマリンスノーにもならないか

…つか俺には幻覚も悪夢も見えねーのに
勝手に見てきょーゆーすんな、バカ月
(氷月の目元を隠す)

さっさと戻ってジベザベスぬいぐるみと寝るぞ


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ歓迎

あ、ジベザベスも行っちゃったねー
ゆーくんお怒りモードっぽい?
つか、死の世界ねぇ……邪神の眷属だかなんだか知らねぇケド
本当の『死』を教えてやるよ

ゆーくんが人魚とその他諸々止めている間に
【先制攻撃】【催眠術】込みの、UC:惨死再現
灼熱による死の幻覚を生み出す

さァて、問おうか
『テメェらの絶望は何だ?』
生温い答えじゃ、焼死の幻覚は止まらない
水中で燃やされる気分はどうよ?

ああ、助けてほしいとかは聞かないよ
テメェらが今までしてきたコトだろ?
――さっさと沈めよ、クソ人魚

(不意に目元を隠されてきょとり)
ゆーくんの怒りの矛先
もしかして、俺に向いてる感じ……?
うん、帰って休もっか



 青の世界をゆく、真夜中の大水槽の冒険。
 けれど、歌声が聴こえる奥へ奥へと向かうたびに、魚たちが先に進みたくないと。
 そう言わんばかりに、次々と引き返し始めて。
 月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は、ハッと大きく瞳を見開いて呟きを落とす。
「ジベザベスが……!」
「あ、ジベザベスも行っちゃったねー」
 先程から響いている歌は、すぐ近くから聴こえていて。
 ゆうらりジベザベスが戻ってゆくのを見送っていれば……かわりに現れたのは、うふふ、と笑い歌う複数の存在。
『海のお散歩ももうお終い』
『死の海に、永遠と沈むといいわ』
 大水槽の最奥で歌をうたっていたのは、真夜中の暗い青を好き勝手泳ぐ人魚たちの姿。
 そんな人魚たちに、楪は鋭い視線を投げつつも言い放つ。
「せっかく気持ち良く泳いでたっつーのにド下手くそな歌聞かせんじゃねェよ!」
 ――邪神も眷属もまとめて叩き潰してやる、と。
 望は、ジベザベスとの別れにしょんぼりしつつも言った、そんな楪の声を聞いて。
「ゆーくんお怒りモードっぽい?」
 こてりと小さく首を傾けるけれど。
「つか、死の世界ねぇ……邪神の眷属だかなんだか知らねぇケド」
 ――本当の『死』を教えてやるよ。
 人魚たちの、その身をもって。
「まずはその鬱陶しい歌を歌えなくしてやるよ」
『……!』
 刹那、神歌を歌い深海に眠る大海魔の霊を喚んだ人魚へと、念動力で水を使って生み出した衝撃波を見舞って。
「なんだあの触手気持ちわりぃ……」
 くねくね動く触手に眉を顰めながらも、楪が展開するは『Cat'stail』――魚、触手、海竜、全部まとめてぎゅっと。
 放った見えないサイキックエナジーで括っておく。
 そして楪が人魚や触手や海竜、その他諸々止めている間に。
 ――殺される側に立ってみろよ。
 望が敵よりも素早く放つのは、催眠術込みの『惨死再現』。
 それから望は、人魚へと問いを投げつつも戦場に喚ぶ。
「さァて、問おうか――『テメェらの絶望は何だ?』」
 術者と対象以外には見えぬ、『死』の幻覚を。
『絶望? それは私たちが貰うもの……っ、!?』
「生温い答えじゃ、焼死の幻覚は止まらない」
 ……水中で燃やされる気分はどうよ?
 そう望が人魚へと目をやれば、刹那燃えだし慌てるその様に、赤の瞳を細め続ける。
「ああ、助けてほしいとかは聞かないよ。テメェらが今までしてきたコトだろ?」
 ――さっさと沈めよ、クソ人魚、と。
 そんな様子に、楪は愉快気に笑って。
「ふ、くははッ。あの様子なら随分景気良く燃えたみてーだな」
 ……アレならマリンスノーにもならないか、と。
 けれどふと、その腕を望へと伸ばして。
「……つか俺には幻覚も悪夢も見えねーのに。勝手に見てきょーゆーすんな、バカ月」
 望の目元を、掌で覆って隠す楪。
 そんな不意の目隠しに、望はきょとりとして。
(「ゆーくんの怒りの矛先。もしかして、俺に向いてる感じ……?」)
 そう小さくもう一度、首を傾げてみるけれど。
「さっさと戻ってジベザベスぬいぐるみと寝るぞ

 楪の言葉に、望はこくりと頷く。
「うん、帰って休もっか」
 煩い歌をうたうクソ人魚は、さっさと燃やして沈めて。
 早くジベザベスと楪と一緒に――今度は夢の中を揺蕩って、遊びたいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
悠里(f18274)と共に

綺麗な歌と共に、美しい世界に招待してくれたのは嬉しいけれどね
命まで取り込んでしまうのはダメだよ

悠里、いくよ
危なっかしい友が無茶をしないよう
前に出て守るように

現れた怪物を静かに見つめ
首のポーラータイのベニトアイトに触れ
UC発動

君はユーラ。深海の清き水。魔を穿とう。静寂の波を此処に

浄化の力持つ水の矢での全周囲攻撃
何処から攻められたって些細な事だ

悪いけど、貴女たちの望む顔はしてやれない
こんなものは狂気でも絶望でもないよ
夜の海へと招待してくれた対価を渡せないことは、すまないけれど
海におかえり、人魚たち

…悠里は、大丈夫かい?
その言葉に頷いて、そって手を差し出し
ならばなにより


水標・悠里
ディフさん/f05200

綺麗な海は良いけれど
ふうん、そう
それはそれは僥倖ですね
生憎と慣れ親しんだ世界のようで安心しました

ええ、ディフさん
命を削る程のものじゃないから大丈夫だよ

狂気と言うには生温い、どちらかというとお化け屋敷のような――少し、目が醒めた
扇を開いて要に結わえた鈴を揺らして鳴らす
余興だよ、花でも添えようか

黄昏よりも尚紅く、宵より昏き闇の底
門出の炎を今ここに
地獄へと下れ『火車』

視認した敵へと花を手向ける
それを抱えてお眠りよ、それとも子守唄も必要かな

安易に死だの狂気だの語られ見せられるのは、嫌いだ
それは人の一大事、軽々しく振りまくものではないからね

僕は大丈夫、怪我は無いよ
ディフさんは?



 大水槽に広がる深い青は、奥へと向かうたびに濃くなって。
 同時に、響く歌声も次第に近くなっているのが分かる。
 そして気が付けば其処は、魚たちをも寄り付かぬ深淵の世界。
 そんな深く暗い青を我が物顔で泳ぐのは――歌う人魚たち。
『美しい海は楽しかったでしょ? でもね残念、此処は死の海』
『深く深く、沈めてあげる』
「綺麗な海は良いけれど。ふうん、そう」
 そう楽し気に笑いながら歌う人魚の群れに……それはそれは僥倖ですね、と。
 水標・悠里(魂喰らいの鬼・f18274)は冷めた青を人魚たちに投げながらも続ける。
 ――生憎と慣れ親しんだ世界のようで安心しました、と。
「綺麗な歌と共に、美しい世界に招待してくれたのは嬉しいけれどね」
 ……命まで取り込んでしまうのはダメだよ、って。
 ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)もそう、柔く言って聞かせる様に人魚たちへと紡げば。
 すぐ隣に在る友へと視線を移して声を掛け、前に出る。
「悠里、いくよ」
 危なっかしい友が無茶をしないよう……守るように。
 そんなディフの姿に、悠里は彼の胸の内を察して言の葉返す。
「ええ、ディフさん。命を削る程のものじゃないから大丈夫だよ」
 そして人魚が歌う戦歌が、怪物を戦場に喚べば。
 ディフは邪悪な気に満ちたそれらを静かに見つめ、そっとその手で触れる。
 深い蒼は海か、それとも穹か……貴女の願いか、人形の思考か。
 首のポーラータイのベニトアイトに。
 刹那、ゆうらり踊るように深海に湧き出すは、水の精。
 ディフは眼前の水の精へと、こう告げる。
「君はユーラ。深海の清き水」
 ――魔を穿とう。静寂の波を此処に、と。
 そしてそれに応え、友に輪舞を踊るかの如く。
「何処から攻められたって些細な事だ」
 浄化の加護宿す水の矢をもって、怪物へと全周囲攻撃を見舞えば。
(「狂気と言うには生温い、どちらかというとお化け屋敷のような――少し、目が醒めた」)
 刹那、ぱっと青の世界に翅を広げるかの如く開かれるは、黒蝶の描かれた漆黒の扇。
「余興だよ、花でも添えようか」
 ――黄昏よりも尚紅く、宵より昏き闇の底……門出の炎を今ここに。
「地獄へと下れ『火車』」
 ……それを抱えてお眠りよ、それとも子守唄も必要かな、って。
 悠里はひらりと咲かせ手向ける。青の視線でつかまえた人魚へと――死霊が抱く獄炎の花を。
 そして、ふるりと微か首を横に振る。
(「安易に死だの狂気だの語られ見せられるのは、嫌いだ」)
 ……それは人の一大事、軽々しく振りまくものではないからね、と。
 そんな友人の咲かせた地獄を視線の端に映しながら。
「悪いけど、貴女たちの望む顔はしてやれない。こんなものは狂気でも絶望でもないよ」
 人魚たちを飲み込まんと再び輪舞を踊る。ディフの……ユーラの、静寂の波が。
 そして人魚たちから歌を奪い、ディフは彼女たちを在るべき場所へと導いてあげる。
「夜の海へと招待してくれた対価を渡せないことは、すまないけれど」
 ――海におかえり、人魚たち、と。
 それから再び、真夜中の深く静かな青が広がる中。
「……悠里は、大丈夫かい?」
 そうふと友に視線向け、訊ねてみれば。
「僕は大丈夫、怪我は無いよ。ディフさんは?」
 返る声に頷いて、見つめる青を細めながら。
 ディフはそっと、悠里へと手を差し出す――ならばなにより、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カエナ・ネオフォカエナ
鈴成(f28041)

甘い歌声に誘われてみれば
外見だけとはいえ、本当に人魚と出会うとは
オブリビオンでなければ
友達になれるかもしれなかったのじゃがのう…
残念じゃな…、と鈴成と同じように尾鰭を揺らしてみる

だがしかし、
少し悪戯が過ぎるのではないのかのう
ちょいと灸を据えてあげねばの

鈴成よ、前は任せてもよいかの?

ふふふ、格好良い海の王様じゃの
ときめいてしまうの、とどこか心弾ませて
後ろからの手助けは任せておくれ、と
短杖……バブルワンドを指揮棒のようにふわりと振るって
魚の群れから出てきた所を見計らい
泡で攻撃を仕掛けるのじゃ

泡に触れてしまえば
わらわの呪いが身体を蝕むじゃろうて
人魚姫の最期のように消えておしまい?


葉山・鈴成
カエナちゃん(f27672)

うわぁお!人魚がいっぱいいるっすねぇ。
せっかく俺も泳げるから友達にでもなれたら良かったンだけどなー。
あーぁ。と残念そうに尾鰭を揺らして
同じ人魚でもカエナちゃんとは大違いッス。

オッケー!前は俺に任せてよ!
マーマン姿のままスイスイと海中を泳ぐと前へ出る
UCで様々な海の生物を模したバトルキャラクターを召喚
ヒャハッ!今日はオレが海の王様っスよ!
敵を覆い隠すほどの小魚の群れが銀幕となって動きを封じる
小魚の群れから飛び出してきた所をカエナちゃんに狙ってもらうッスよ!
もちろん俺のバトルキャラクター達も突撃っス!

人魚姫の最期は泡っすからねぇ。
綺麗で悲しい最期っすね。
消えていく泡眺め



 甘い歌声に誘われて、その響きをゆうらり辿って。
 辿り着いたのは、大水槽の奥の奥――深くて暗い青が広がる、深淵の世界。
 そしてその中をひらりと泳ぐのは、歌う人魚たち。
「うわぁお! 人魚がいっぱいいるっすねぇ」
「外見だけとはいえ、本当に人魚と出会うとは」
 そんな人魚たちをじっと見つめるのは、カエナ・ネオフォカエナ(彼の背骨・f27672)と葉山・鈴成(右魂・f28041)。
 けれど、人魚たちはオブリビオン。
「せっかく俺も泳げるから友達にでもなれたら良かったンだけどなー」
「オブリビオンでなければ、友達になれるかもしれなかったのじゃがのう……」
 ――あーぁ。
 ――残念じゃな……。
 そうふたり、残念そうに尾鰭をゆらゆらひらひら。
『ふふ、死の海で仲良くしましょうよ』
『深くて暗い海に、永遠に沈みましょ?』
 でも、そう邪悪に笑う眼前の人魚たちとは、やはり友達にはなれなさそう。
「同じ人魚でもカエナちゃんとは大違いッス」
 鈴成は悪意しかないオブリビオンたちの言葉に、ふっと肩を竦めてみせて。
 人魚友達には残念ながらなれないけれど。
「だがしかし、少し悪戯が過ぎるのではないのかのう。ちょいと灸を据えてあげねばの」
 ――鈴成よ、前は任せてもよいかの?
 カエナは悪しき人魚たちから鈴成へと視線映せば。
「オッケー! 前は俺に任せてよ!」
 スイスイッとマーマン姿のまま、海中を泳いで前へと出て。
 ――ヒャハッ! 今日はオレが海の王様っスよ!
 鈴成が従えるのは、様々な海の生物を模したバトルキャラクターたち。
『えっ!? ……なっ』
 刹那、人魚の動きを封じる海の王様。
 その身を覆い隠すほどの従える小魚の群れが銀幕となって。
「ふふふ、格好良い海の王様じゃの」
 ……ときめいてしまうの、と。
 カエナはそう、どこかワクワク心弾ませながらも。
「後ろからの手助けは任せておくれ」
 海の生物たちも突撃する中、小魚の群れから飛び出してきた所を狙って。
 水泡を操る短杖……バブルワンドを指揮棒のように、ひらりふわり。
 ――消えゆくお前も綺麗じゃよ。
 まるで人魚姫の童話の如く、深い青に浮かぶ泡で攻撃を仕掛けるカエナ。
 さらに悪しき人魚たちを包み込んで離さないのは、泡の中で溶けてしまう様な、痛みを伴う幻覚。
「泡に触れてしまえば、わらわの呪いが身体を蝕むじゃろうて」
 ……人魚姫の最期のように消えておしまい?
 そう、深い青に溶ける様に骸の海へと還ってゆく様を見遣って紡がれた言の葉に。
「人魚姫の最期は泡っすからねぇ」
 海の仲間たちに囲まれながら消えていく泡を眺め、鈴成はぽつりと呟きを落とす。
 ――綺麗で悲しい最期っすね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
弟の真琴(f08611)と

これまた沢山の人魚さんが
でも数ならこっちも負けてないよ
かわいい海の仲間達に
ウサミミ付けてパワーアップ!

真琴の絵の仲間達が隠れるなら私達は陽動にまわるね
ふふふ、息の合った連携を見せてあげるから

ウサミミな海の仲間達が縦横無尽に泳ぎ回って敵の狙いを撹乱
挑発に乗って一斉攻撃を仕掛けてくれたら狙い通り♪
敵の群れの動きを見切り
残像によるフェイントで攻撃回避して
群れの背後に回りカウンター攻撃をお見舞いするよ
海の仲間の体当たりと
その影から飛び出して人魚達への一閃!
大漁だね

水中散歩は楽しかったけど
水族館に邪神はいらないよ
人魚さんも怪物さんも
水槽じゃなくて骸の海に還りなね?

※アドリブ歓迎


琶咲・真琴
姉さん(f12224)と

UDCさん発見!
なるほど
人魚さん達でしたか

寝落ち直前まで描いていたスケッチブックに再度力を込めてUC使用

絵の海の生き物達にボクの白炎を纏わせる
この白炎は蜃気楼(迷彩・残像・目立たない・物を隠すなど)を起こす
かくれんぼにはピッタリの力です

幻畏白炎を使ってボクも蜃気楼で隠れて攻撃

絵の生き物も姉さんの友達と一緒に突撃ー!
白炎纏っている分
とーっても痛いですよ

お祖父ちゃんは人魚さんに近付いて撹乱(スピード系、空中系技能適用
お祖母ちゃんは光線で援護射撃(射撃系技能フル活用

第六感・野生の勘等で防御&カウンター

ここは水族館の子達の縄張りです
人魚さん達も自分のお家に帰りましょ

アドリブ歓迎



 広い広い大水槽をぐるり巡っては、沢山探して。
 聴こえる歌を頼りに、辿り着いたのは……水槽の最奥。
 魚たちや海の生き物たちも近寄らない、深くて暗いその場所で歌っていたのは。
「UDCさん発見! なるほど、人魚さん達でしたか」
「これまた沢山の人魚さんが」
 琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)と鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)が同時に言ったように――複数の人魚たちの姿。
「でも数ならこっちも負けてないよ」
 ――行くよみんな!
 小太刀が刹那喚ぶのは、ウサミミ付けてパワーアップ!
 ウサミミを生やした、海の仲間達。
 同時に真琴も、寝落ち直前まで描いていたスケッチブックに再度力を込めて。
 絵の海の生き物達に、自らのサイキックエナジーから生み出した白炎を纏わせれば。
「かくれんぼにはピッタリの力です」
 蜃気楼に隠れてゆらゆら、真琴も幻畏白炎を使って、上手にかくれんぼ。 
 そんな真琴や絵の仲間達が隠れるなら、と……小太刀とウサミミな海の仲間達は陽動に。
「ふふふ、息の合った連携を見せてあげるから」
 刹那、ウサミミ揺らしながら縦横無尽に泳ぎ回って、敵の狙いを撹乱するウサミミな海の仲間達。
『く、ちょろちょろしてるわね……!』
『ここは死の海よ、大人しくしててっ』
 人魚たちは戦歌をうたい、召喚した怪物の群れで一斉攻撃をせんとするけれど。
 挑発に乗って一斉攻撃を仕掛けてくれたら、それこそ狙い通り!
 敵の群れの動きを確りと見切り、残像によるフェイントでひらりすいっと攻撃を躱して。
 怪物や人魚たちの背後に回れば……カウンター攻撃をお見舞い!
 ドーンッと海の仲間の体当たりと、その影から飛び出した小太刀の一閃が人魚達を捉えて。
「白炎纏っている分、とーっても痛いですよ」
 同じく、ドーンッと絵の生き物も、ウサミミな海の仲間達と一緒に突撃ー!
 その間にも、真琴のお祖父ちゃんはスーイスイ、人魚に近付いてはスピードで撹乱して。お祖母ちゃんは光線を放って、皆を援護射撃。
 そんな、みんなで力を合わせて人魚たちをやっつけていきながら。
 ……大漁だね、そう小太刀はぱちりと真琴に片目を瞑ってから。
「水中散歩は楽しかったけど、水族館に邪神はいらないよ。人魚さんも怪物さんも、水槽じゃなくて骸の海に還りなね?」
「ここは水族館の子達の縄張りです」
 本来在るべき骸の海に、纏めて還してあげる。
 ――人魚さん達も自分のお家に帰りましょ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
お魚さん達が向きを変えていますし、私達もそちらに行きましょう。
ふええ、やっぱりダメですか。

あれは人魚さんでしょうか?
なんだか禍禍しいものを感じます。
ふええ、やっぱり怖いものを召喚してきました。
ガラスのラビリンスで攻撃を防ぎましょう。
ふえ?なんだか攻撃が止められないみたいですので後ろに回り込んで倒してしまいましょう。



 大水槽の中を漂いながら、おどおどきょろきょろ。
 最初は沢山の魚や海の生き物たちも、一緒に泳いでいたのだけれど。
 聴こえる歌声が大きくなるたびに、1匹2匹……時には群れ全体が、くるりと方向転換して。
 水槽に満ちる青のいろが、深く暗く濃くなってゆく。
 そんな一緒に泳いでいた魚の様子に気が付いて。
「お魚さん達が向きを変えていますし、私達もそちらに行きましょう」
 そう隣にいるアヒルさんに試しに言ってみる、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)だけれど。
「ふええ、やっぱりダメですか」
 やっぱり、ダメでした!
 そしてアヒルさんにツンツンと水の中でも突かれながら。
 魚たちがみんないなくなった頃――辿り着いたのは、水槽の一番奥。
 そんな奥の奥にいたのは、歌をうたっていた元凶。
「あれは人魚さんでしょうか?」
 そう、フリルの言うように、人魚の群れであった。
 ……でも。
『うふふ、ようこそ、死の世界に』
 そう笑う人魚から、なんだか禍禍しいものを感じて。
 刹那、聴こえる歌は戦歌――人魚が戦場に喚んだのは、怪物の群れ!
「ふええ、やっぱり怖いものを召喚してきました」
 フリルはそうおどおどしながらも、ガラスのラビリンスで攻撃を防がんとするけれど。
 ぱちくりと瞳を瞬かせて、慌てて水中をすいっ。
「ふえ? なんだか攻撃が止められないみたいです」
 なので、作戦変更――後ろにくるりと回り込んで、怪物と人魚を倒してみます!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユリィ・ミディット
※アドリブ絡みOK
死の世界…?
死んだ事が無いから、よく…分からない
僕が分かるのは、動けるかどうか、だけだから

僕が…言う事じゃないかも知れないけど…
人を殺したら、もう駄目だから
【使用可能なら①指定UC使用。不可なら②】
①的が大きいと当てやすい
体力があるなら、弾数と他武器の傷付け方で、普通より沢山痛くなるかも知れないけど…ごめんね
②いくら此処が大きくても、キャバリア迄は無理
生身で実戦は、初めて
「瞬間思考力」「継戦能力」をベースに他猟兵の攻撃が当たり易い様に動いたり、泳ぐ
(武器の途中持ち込みが大丈夫なら)「弾幕」を張ったり「援護射撃」で皆の攻撃補助

でも…
あなた達が作ったこの空間も、とても綺麗だと思う



 大水槽に響く歌を辿って、次第に濃くなる青の中を進みゆけば。
 辿り着いた奥の奥――魚や海の生き物たちも引き返すようなその場所にいたのは、人魚の群れ。
『海は楽しいって、そう思ったでしょ? でも実は、こわーい場所』
『此処はね、死の世界だから』
 他の猟兵達の手によって、歌う人魚の数はもう数えられるほどまで減っているけれど。
 それでもまだ、人を誑かさんとする歌声を響かせる人魚たち。
 そしてそんな彼女らの言葉に、こてりと首を傾けるのは、ユリィ・ミディット(銀色の月・f30122)。
 人魚たちは、此処が死の世界だと言うけれど。
「死の世界……? 死んだ事が無いから、よく……分からない」
 そう、ユリィが分かるのは――動けるかどうか、だけだから。
 ……いや、でもこれも知っている。
「僕が……言う事じゃないかも知れないけど……人を殺したら、もう駄目だか」
 人を歌で引き摺り込んで殺そうとするのは、駄目なことだっていうのも。
 そして人魚がうたう召歌が、彼女たちの2倍もの大きさの骸骨海竜を喚ぶけれど。
 でもそれ以上に大きいのは、ユリィが乗るキャバリア。
 此処は不思議水中だから、すごく大きくても大丈夫!
 まだすいっと水中を泳ぐ人魚は、体力が結構あるのかもしれないから。
 そうなれば……弾数と他武器の傷付け方をすることになってしまうけれど。
「普通より沢山痛くなるかも知れないけど……ごめんね」
 そう謝りを入れてから――飛ぶようにキャバリアを青の世界に泳がせて。
 ユリィが人魚へと見舞うのは、全搭載武装の同時攻撃。
『! いったぁ……!』
 やっぱり、すごく痛いみたいだけど。
 だからこそ早く、在るべき場所へと還してあげようと攻撃を重ねて。
 ユリィは深い青のいろに消えてゆく人魚へと、最後にこう告げる。
 でも――あなた達が作ったこの空間も、とても綺麗だと思う、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

五条・巴
生き物の音がしない
閑かな夜の海
小さく聞こえる海流の音と、楽しそうに嗤う女の声

耳障りだなあ

聞こえる大きさで歌っておいて、対価を求めるなんて図々しいな

あのジンベイザメほど美しくはないね

連れてきた海月は僕の信頼する仲間だ
共にここまで来た
僕から離れふわふわと当たりを舞う
戯れに、誘うように

その子と遊んであげて

ああでも、ちょっと煩いから歌うのを辞めてくれないかな?

お願い
”星は光りぬ”

海月に触れた彼女達の、歌にならない声が耳に届く

この美しい夜に似合わない声

ここには魚たちの泳ぐ音、それだけで充分だよ

さあ、魚達と共に泳いで帰ろうか



 ゆうらりふわりと、やってきた大水槽の最奥は深く濃い青が広がっていて。
 先程までの様な、鮮やかな魚の群れも海の生き物たちの姿も、みえない。
 ただ聴こえるのは――小さく聞こえる海流の音と、楽しそうに嗤う女の声。
 ……耳障りだなあ。
 そうぽつりと落とされたのは、五条・巴(照らす道の先へ・f02927)の声。
 先にやって来ていた仲間達によって、煩い人魚たちの姿はもうほとんどないけれど。
 それでもまだ、歌が聴こえる。人を誑かし、死の海に沈めんとする……悪しき響きが。
『海の世界は楽しかったでしょ? だから今度は貴方が、死への絶望と恐怖のいろを頂戴?』
「聞こえる大きさで歌っておいて、対価を求めるなんて図々しいな」
 巴はひらひら揺れる人魚の尾を見つめ、大きく首を傾げてみせてから。
「あのジンベイザメほど美しくはないね」
 刹那ふわりと、深い青へと解き放つ。
 連れてきた海月は信頼する仲間。そして共に、ここまで来た子。
 そんな海月は巴から離れ、あたりを舞ってふわふわ――戯れに、誘うように。
「その子と遊んであげて」
 巴はそう、一旦は口にするも。
 眼前を泳ぐ人魚へと、こんなお願いを。
「ああでも、ちょっと煩いから歌うのを辞めてくれないかな?」
 伸ばされた海月の触手が人魚へと触れれば――『星は光りぬ』。
『歌を止めるですって? そんなのイヤ……ッ、!!』
 お願いを聞いてくれなかった人魚は瞬間、歌を奪われて。
 刹那響くのは――この美しい夜に似合わない声。
 歌にならない声が巴の耳にも届く。
 けれど、それはすぐに、真夜中の静寂へと溶けて消えてゆく。
 人魚たちが全て、在るべき場所――躯の海へと還れば、星の瞬く音さえも聴こえそうな静けさが広がって。
 巴はまた、ゆらりふわりと青に揺蕩う。
「ここには魚たちの泳ぐ音、それだけで充分だよ」
 ……さあ、魚達と共に泳いで帰ろうか。
 きっともうすぐ――海を漂うこの夢も、終わりを告げるだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月22日


挿絵イラスト