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デコ盛りキメ盛り演技盛り!

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミズ・ルチレイテッド #バーチャルキャラクター #10111・606『め皿め』

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#猟書家
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#ミズ・ルチレイテッド
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#バーチャルキャラクター
#10111・606『め皿め』


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●日陰者、宇宙怪人になる
「あーあ、ムカつく」
 ある建物の屋上から煌びやかな世界を見下ろす少女がいた。目がチカチカするほどの派手なビジュアルをキメた彼女は怪人であった。
 地上ではバーチャルキャラクターのアイドルがライブを行っていた。観客達の熱狂は彼女がいる屋上まで立ち昇ってきそうな程だ。歓声を浴びて「ありがとう」などとほざいているのが気に食わない。
 自分のほうがとびきり可愛くて“映(ば)える”はず――なのに光の中にいるのはブサイクなバーチャルキャラクターばかりで、自分は今も日陰者。
 今すぐライブ会場に飛び込んで全てをぶっ潰してやりたかった。そのための力が欲しかった。
 その願望に呼応したのは漆黒の漿船だった。
 日陰者は日陰者らしく影の中に――いや違う。
 怪人の少女は異変に気づき空を見上げた。漿船が頭上を覆っていた。
 そして次の瞬間には、彼女は焼け付くようなビームの中だった。

●宇宙怪人、オンステージ!
「きゃああぁぁぁ!! 何!?」
 どよめく会場。無力な観客達は我先にと会場を離れようとする。
 漿船からビームを浴びて宇宙怪人化した少女がステージへと飛び込んできたのだ。
「どう? チョーばえるっしょー」
 顔や首などに宇宙の星をイメージしたような小さな宝石が埋め込まれた彼女は、デコレーションてんこ盛りのスマートフォンで自撮りを始めた。
 ステージを背景に写真を撮り、一つの願望を結実させる。
 そして次の狙いは、アイドルだ。
「アンタ達もさァ……宇宙デコ盛りキメちゃいな!」
 逃げ遅れたアイドル達に、毒牙が迫る――。

●キマイラフューチャー・2ndラウンド
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は『ぐりもあのーと』を両手に抱えながら走っていた。
「大変でーす! 『キマイラフューチャー』の世界で、怪人がー!」
 後は言わずとも猟兵は皆、察知できる。声を聞きつけ集まった面々にロザリアは説明を続けた。
「怪人はどうやらアイドル活動をしているバーチャルキャラクターを狙っているようです! 誘拐して宇宙パワーで洗脳して、邪悪な洗脳ソングを広めるのが目的みたいです!」
 宇宙パワーとは何なのか。本質はわからないが、宇宙と言うだけあって、裏で手を引いているのは猟書家幹部の一人、ミズ・ルチレイテッドその人だ。
 怪人はミズ・ルチレイテッドが乗る漿船から放たれたビームを受けて、宇宙怪人と化してしまったらしい。肌に埋め込まれた宝石がその証。
「今から現場に皆さんを送りますので、まずはアイドルを襲っている怪人を倒してください! ミズ・ルチレイテッドが乗る漿船は現場からまだそれほど離れていませんので、倒してから追いかけても間に合うはずです! よろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 連休うぇーい! 頑張ります。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『10111・606『め皿め』』
 猟兵の皆さんが到着するのは彼女がバーチャルキャラクターのアイドル達に襲い掛かる直前くらいになります(個人差があります)
 現場はアイドルのライブ会場。ステージと観客席は2メートルくらいの高低差があって、音響機材なんかも周りにはあるかと思います。
 観客等々、アイドル達以外の住人は逃げ出しています。
 アイドル達は猟兵達登場後、安全な場所に引っ込みながら応援してくれるようです。

 第2章:ボス戦『ミズ・ルチレイテッド』
 漿船を追いかけた、という体で話は進むのではないかと思います。
 特殊な仕様は無い普通のボス戦です。演技を生暖かい目で見守りながら倒しましょう。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『10111・606『め皿め』』

POW   :    コッチ見て? ファンサしてあげる♡
【盛り盛りのデカ目 】から【きゅ~となウィンク】を放ち、【魅了状態の心酔感】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    オロナミン~?
【映える自撮りを撮る 】事で【あげみざわモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ラビちゃんに埋もれちゃえ!
自身が装備する【🐰ちゃん人形 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメルヒェン・クンストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神咲・七十
アドリブ連携お任せ

もの凄いキラキラした見た目の人ですね・・・
(そして、一部言っている言葉の意味が分からない)
とりあえず、落ち着いても貰ってから倒しますか(お菓子もぐもぐ)


(UC『制約:略奪者』を使用。大量の蔓で囲んでWIZのUCを奪い取り大量の人形を出してめ皿めを埋もれさせ)

落ち着いた、のでしょうか?
まぁ、このままいきますか。


(め皿めを埋もれさせる人形と視界と動きを阻害する人形に分けて大剣を尻尾の連帯攻撃で攻めていきます。)

何というかあの人とこの人形だと私だけ微妙に場違い感がありますね・・・
ウサミミでもつければ多少は場違い感も緩和されるのでしょうか?
そのあたりどうすればいいと思います?



●噛んでる、でも噛み合わない
「もの凄いキラキラした見た目の人ですね……」
 現場に到着した神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は怪人の少女を前にそんな感想を漏らした。
 髪の毛から衣装からスマホから、果てはぶら下げている眼帯のウサギ人形までもカラフルデコレーション。そして今は宇宙怪人化による宝石トッピング付きだ。
「なぁにー、聞こえないー。ガチでバイブスブチアゲまくりのアタシになんか文句あるー?」
「文句……というか」
 本当に同じ言語を喋っているのかが謎だった。七十にとって少女とは、どうあがいても友達にはなれないタイプなのかもしれない。
(……とりあえず、落ち着いてもらってから倒しますか)
 方針を整える傍ら、手は絶えず黒蜜でコーティングされたお菓子を口に運んでいた。糖分補給は七十にとって死活問題だった。
「……あ、もしかしてアタシのファンだったりするわけー? ならせっかくだしー、ファンサしてあげる♡」
 少女は勝手に話を進め、盛られたデカ目をパチリ、ウィンクを飛ばしてきた。少女とは言え怪人だ。そのウィンクには魅了が宿る。
 突然の攻撃に七十の意識はくらりと傾きかけた。視界が薄ら桃色に染まる中、手は反射的にお菓子の袋に突っ込まれていた。
 掴めるだけ掴んで口に詰め込む。舌に響く過剰な甘味で脳を強引に叩き起こした。
「ほのようは、ふぁんはは……」
 もごもご、もぐもぐ。咀嚼し飲み込むまでちょっと大変だが、緊急事態だ、仕方ない。
 ごくり、とようやく。
「……いりませんので」
 お菓子を漆黒の大剣に持ち替えた。
『eine Rebe, die Kraft isst』
 唱える。直後、大量の蔓が飛び出しステージ上の少女へと伸びていった。
 やはり敵は敵だった。少女は目を吊り上げる。
「マジサゲなんですけどっ!」
 蔓を前に少女は体術で反応した。蔓の先端を蹴り飛ばしながらステージ上を動き回る。七十の蔓は次から次へと生み出され襲い掛かってくるのだ。全てを同じ場所で捌き続けるのは困難だった。
 蔓は少女を追い回す。少女は厚底ブーツながらよく避けていたが、広くステージを視認できる七十が蔓を上手く操作し追い詰める。
 いつしか少女はぐるりと蔓に囲まれていた。
 どこに蔓の先端が隠れているかがわからない。もぞ、と蔓山が動くのを察知して少女は振り返ったが、あざ笑うかのように蔓は目を離した側から伸びていた。
「――あっ!」
 蔓は少女がぶら下げたウサギ人形を攫っていく。少女が慌てて伸ばした手はわずか届かない。
 七十が奪った人形は少女の力の一端だ。蔓が人形を高々と掲げると、空から同じような人形がスコールのように降ってきて蔓に囲まれた空間を埋め尽くした。
 カラフルな人形の山が綺麗な三角錐型に出来上がる。
「落ち着いた、のでしょうか?」
 人形の山の中に生き埋め――それが致命傷になるかはよくわからない。
 よくわからないなら攻撃あるのみだ。ステージへ飛び乗り、人形の山へと接近する七十。携えた大剣の横では尻尾が揺れていた。
 尻尾を山に突き刺し掻き分ける。その中には少女がいるはずだ。とは言えこの人形は少女を束縛する役目も担っている。
 慎重に掻き分け掘っていくと、
「ちょ、何――」
 見つけた。間髪入れず七十は大剣を振り下ろした。人形が千切れて綿が飛び、少女の体に刃が刺さる。
「あぅ!」
 剣圧で人形の山が噴火するように弾けた。それに巻き込まれ、脇腹から大きく斬られた少女がどしゃっと転がっていく。
「このぉ、よくもラビちゃんを~!!」
 少女は七十へ恨みのこもった視線をぶつけるが、どうやら暖簾に腕押し。七十の意識は別のところに向いていた。
「何というか、あなたとこの人形だと私だけ微妙に場違い感がありますね……ウサミミでもつければ多少は場違い感も緩和されるのでしょうか? そのあたりどうすればいいと思います?」
「はぁ!? 知るかぁ!!」
 わざわざ大剣を収めてウサミミのジェスチャーを見せる七十に、少女はやけっぱちで叫んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クライド・エント
「宇宙デコ盛りってのも良くわからんが…まあ可愛い娘なら歓迎するぜ」
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】【POW】

まずは【切り込み】や【武器受け】で距離を詰めて攻めてくぜ

相手が距離をとって離れたら、逃がさないようすぐ追いかける

ただ、女好きな性格+女の子相手の油断ってのもあって、追いかける途中に放たれたウィンクをもろに食らっちまう…
「何だ…ドキドキして目が離せねえ」
動きが止まったところで2発目、3発目も食らってしまい完全に魅了されてメロメロになりすっかりファン気分に

そのまま無抵抗で嫐られそうになるが、ギリギリで正気に戻って近づいたところにこっちのUCをお見舞いするぜ!



●め皿めちゃんのファンやめます
「宇宙デコ盛りってのも良くわからんが……まあ可愛い娘なら歓迎するぜ!」
 少女の言葉は奇妙奇天烈奇々怪々。クライド・エント(だらしない海賊・f02121)が理解に苦しむのも無理はない。
 しかし容姿においては奇抜な派手さはあるものの、なかなかのレベルと言える。
 敵ながら天晴。クライドはバスタードソードを手に迫りながらそんなことを考えていた。
「へぇ……アンタは、アタシのファンなワケ? でもそういうオサワリは困るんだよ……ねっ!」
 腕力を武器に振り下ろされた刃へ少女は蹴り上げるように厚いソールを合わせ受け止めると、そのまま壁キックの要領で剣を蹴り飛ばしクライドから距離を取る。後方宙返りでカラフルな髪が靡いていた。
「おっと、逃げるとは釣れねぇな!」
 剣は弾かれたがクライドはすかさず前進する。二度、三度、ステージに突き刺さらんという勢いで剣を叩きつけて少女を追い込んでいた。
「あぁもう、ほらファンサファンサ!」
 しつこく追い縋ってくるクライドへ少女はパチパチと連続ウィンク。刹那、クライドの心臓がドクンと高鳴り速くなる。
「何だ……ドキドキして目が離せねえ」
 まるで耳元に心臓があるかのように鼓動が響くのを感じていた。足が止まる、手が止まる。一分、一秒でも少女から目を離したくないという衝動に駆られていた。
「は~ん……ほら、コッチ見て?」
 魅了攻撃に効果ありと見た少女はステージを飛び回りながらまたパチパチとウィンクを飛ばす。クライドはまるで太陽を追いかける向日葵のようにぐるぐる首を回して追いかけた。
 女好きと自覚するクライドに少女の攻撃は効果覿面。戦意に大きなダメージを受けていた。クライドの精神を少女という沼が飲み込もうとしている。足を取られ身動きが取れないまま、頭までとっぷり沈んでしまうのか――。
「ウケる~♪ そのまま宇宙デコらせてアゲる!」
 少女は巨大スピーカーを足場に高く跳び上がりクライドの頭上へ。厚底ブーツの必殺踵落としだ。
 クライドは少女の一挙手一投足を凝視していた。猟兵としてではなくファンとして、彼女の行動を目で追ってしまっていた。
 踵、踵だ。踏まれれば、キモチイイ、キモチイイ……いや痛い、きっと痛い!
「……っ!」
 ピンクに淀んでいた視界が急にクリアになった。危うく無抵抗のまま顔面に踵を落とされるところだった。もう数秒遅ければ――というギリギリのタイミングでクライドは正気を取り戻し剣を握り締めた。
 踵の下を潜り抜けるように前に出た。背中をぞりっと削られるような寒気を覚えたが、少女の覇気に当たられただけ、と気を保つ。
 踵は確かにクライドの背の傍を通ったが間一髪、逃れていた。
 落ちるところへ振り向き様に一閃、断つ。
「はぐぅ! ……っこンのぅ……っ!!」
 背中に一太刀浴びた少女は前のめりによろけながら、ファン心理から脱出したクライドを振り向き様、恨めしそうに睨みつけていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神羅・アマミ
そうじゃな、そうじゃな…自分の配信が全ッ然伸びないとこの世の全てを呪って消し飛ばしたくなるよな…
しかしそれをするかしないかがオブリビオンと猟兵…貴様と妾の決定的な違いじゃよッ!

奴は過剰なナルシシズムによってパワーアップするというなら…そのテンションとやる気を大幅に削いでやるべし!
此度の作戦初動が慣用、まずはUC『箱馬』を発動、【ダッシュ】と【ジャンプ】で一気に間合いを詰める!
そして奴の自撮り範囲内に、妾が変顔や変なポーズでひたすら映り込み、”映え”とは程遠い絵面にしてやるという寸法よ。

ドッキリ悪戯企画には思わずキマイラの住人もニッコリ。
キレ散らかす奴さんには一撃もブン殴れたら御の字じゃな。



●突撃アマミのドッキリ悪戯
 他人から目を向けられない辛さ。神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)には身に沁みる感情だ。一族の復興をひたすらに信じ続け、動画を製作、配信する日々。
 動画の内容は嘘情報のようだが、その善悪はどうでもいい。アマミにはアマミなりの信念があり、その信念が本物である限り、他人にとやかく言われる筋合いは無いのだ。
 ともかく動画配信とは、人の目に触れなければ立ち行かぬもの。視聴回数がカラカラ回っていく「~してみた」動画を暗い部屋で歯ぎしりしながら見つめ、自分の投稿した動画ページをひたすらリロードして変わらぬ数字に嘆く――。予知に伝え聞く少女の思い。それはアマミの動画製作に通ずるものがあった。
「そうじゃな、そうじゃな……自分の配信が全ッ然伸びないとこの世の全てを呪って消し飛ばしたくなるよな……」
 真に迫る思いが籠る言葉だった。説得力、とはこういうものを言うのだろう。
「アンタ……ワカるクチ? なら――」
「しかしそれをするかしないかがオブリビオンと猟兵……貴様と妾の決定的な違いじゃよッ!」
 少女が何かを言いかけて――アマミはきっぱりと己と少女の存在の違いを突きつけた。思想は自由であるべきだが、世界には決して踏み越えてはならない一線というのもまた存在する。
 如何な理由があろうとも、それを踏み越えてしまった少女には鉄槌を下さねばならない。それが猟兵としての使命。
「だったら何? 今のアタシが……最ッ高、だっての!」
 言い捨てて少女はデコレーション盛りまくりのスマホを掲げた。カメラモード、レンズは少女自身に向いている。
 その動きを見てアマミは飛び出していた。地を蹴るダッシュ、空を蹴るジャンプ、全ての推進力を前に向けて。
「オロナミ――」
「憤ッ! 破ッ! どうじゃ? 捉えられるか? 妾のこの見事な跳躍を!」
 声を被せて割って入った。焚かれたフラッシュがちょっと眩しかったが、瞳をクワッと開き口に両手の指を入れ、思い切り引き延ばす変顔ポーズがカラフルな少女の存在感に負けず劣らずスマホの中に収まった。
「は……ハァ!? ちょっ、もう一度……オロナ――」
「じゃがこの跳躍、貴様には視認することさえ叶うまいて!」
 少女は向きを変えてまた映える写真を撮ろうと試みたが、反復横跳びのように舞い戻ったアマミが再びカメラのレンズに映り込んだ。舌をんべっと出して瞳はぎょろっと上を向く三白眼。それで顔の横にダブルピースを掲げる謎ポーズが、少女の求める「映え」を完膚なきまでに打ちのめす。
「何あれ、ウケる~!!」
「あははっ、変なの~!!」
 戦いを見守るバーチャルキャラクターのアイドル達は思わず吹き出し、もっともっと、などと囃し立てる。ドッキリ悪戯企画は大成功。
 当然、怪人の少女にとっては堪ったものではない。
「こンのぉ~! マジムカつく!!」
 自撮りの妨害を立て続けに受けた少女は怒りに任せてラビちゃん人形をぶん回してきた。しかしスピードも反応速度も並の攻撃、スーパーボールのようにステージ上を跳んで跳ねての繰り返しなアマミに躱せぬはずがない。
 ラビちゃん人形がぶぉんと空に振り上げられた。あまりにも大振り。アマミの瞳がご丁寧な隙を前にしてキラリと光った。
「死ねーッッ!!」
「ほぐんにゅっ!」
 気迫の籠ったボディブローが少女へと突き刺さり、ステージの端付近まで吹き飛ばし転がした。髪が乱れ、毒々しい川となってべたりと広がっている。
「うぐ……キッツ……」
「ほう、耐えおったか……ま、妾としては、一撃ブン殴れただけでも御の字じゃ」
 アマミは今し方殴り飛ばした手をぷらぷらほぐして、盛大にドヤってみせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎

WIZ

俺はアイドルとかには疎い
とはいえ、何かを頑張っている人というのは応援したくなるほうでね
でも君のやろうとしている事は見過ごす事は出来ない
だから止めさせてもらうよ
アイドルの皆さんを傷つけさせないよっ!

会場の無機物を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
風の疑似精霊に指示を出し自分の周囲に風で出来た防御膜を形成
これに触れたものは風に切り刻まれる
例え多数の人形が複数方向から襲い掛かって来ても返り討ちだ

そのうえでさらに光陣の呪札の【乱れ撃ち】で人形の数を減らす
相手の攻撃の隙を突いて退魔刀を手に【ダッシュ】で間合いを詰め、相手が防御しようともその上から退魔刀の一撃による【貫通攻撃】をお見舞いする



●守るべきもの
「アイドルの皆さんを傷つけさせないよっ!」
 ステージの隅にじっと留まるバーチャルキャラクターのアイドル達。顔を見たが、鳳凰院・ひりょ(人間の聖者・f27864)には誰が誰なのかさっぱりだった。
 アイドルとしての彼女達に思い入れは無い――が、ステージで笑顔を振り撒きファンに夢と希望を届ける彼女達も、裏で人知れず努力しているのであろう。
 歌を、ダンスを。他人のためにひたむきに頑張る彼女達を、ひりょは素直に応援したいと思った。
 だからこそ、この少女を見過ごすことはできなかった。自身の置かれた境遇を嘆くだけで、自分の力で道を切り開こうとしない少女。理不尽な暴力に努力の花が潰されてはならないのだ。
「そう……いうの……アーアー、ウザい! ウザいンだヨ!」
 だらっと腕を下げて立ち上がる様は幽霊のようだった。どこか力無い姿の少女だが、まだ戦意は残っている。
「ラビちゃんに埋もれちゃえ!」
 ピンクのウサギ人形ラビちゃんを空中で無数に複製すると、盛った瞳の念力でばらばらに動かし始めた。耳をピンと立てて、引っ張る力で縦に伸びたラビちゃん人形は立体交差しながらひりょの頭上を狙ってくる。
『場よ変われ!』
 ステージ上を踊るように飛び跳ね移動しながらラビちゃん人形をかわし、音響機材を風の疑似精霊へ変換した。
「人形を防げ!」
 疑似精霊が巻き起こす風はひりょを包み込む防御膜となる。ごく薄い膜だがそこは急激な気圧変化により鋭い風の刃へ変わり、降ってきたラビちゃん人形をズタズタに切り刻みひりょを守る。綿や布切れが膜に沿ってひりょの背後へ飛ばされていった。
「んぎーっ!」
 少女はやけくそのように次々とラビちゃん人形をぶつけてきた。殺到するラビちゃん人形はやはり防御膜の前に散らされるが、視界を塞ぐほど大量に降ってくるとさすがに防戦一方となってしまう。
 風を使って受け続ける時間がしばし続く。ひりょは打開策を探り、手に光陣の呪札を取った。前方へばら撒くように投擲すると呪札は正面に飛んでくるラビちゃん人形を避けるように漂い宙へと舞い上がった。
 光がゆらっと走り抜け召喚されたラビちゃん人形を貫く。大元を絶つことで正面の攻防を少しでも緩和するためだ。ひりょと少女は二方面で戦火を散らしていた。
「……っ! ラビちゃん!」
 空に手を伸ばし、呼び掛けるが新たなラビちゃん人形は出てこない。弾切れだ。ぼすん、と宙に浮いた残りのラビちゃん人形を光が突き通していく中、生まれた隙をひりょは逃さない。
 退魔刀『迅雷』を手に、風の膜を突っ切った。千切れた綿が体に当たってどこかへ跳ねていく。
「こうなったら……」
 ラビちゃんはいる。オリジナルが少女の腕の中に。
 ひりょは刀を脇の下に引いた。少女は最初から持つラビちゃん人形を盾にして身構えているが――防御すら貫く一撃を。
 体重を乗せて刀を送り出す。つぷ、とラビちゃん人形にめり込んだ切っ先はそのまま抵抗なく少女の背後に出現した。
 少女は盛られた目を一層見開き、カタカタと口を震わせて、
「あ……またアタシ、陰……に……」
 ひりょは刀をずるっと引き抜き、振り向き様、露を払うように一振り。その後ろでは膝から崩れ落ちる少女が物言わぬ陰へと戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミズ・ルチレイテッド』

POW   :    インクルージョン・ウェポン
【掌から生成したルチルの弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    クロックパルス・イベイジョン
【水晶振動子を利用し、完璧なタイミングで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    クリスタライズド・バレット
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【透明化させたルチル弾】で攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠椎宮・司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●空中決戦
 バーチャルキャラクターを襲う怪人を撃破した猟兵達は漿船を追った。建物を飛び越え、オブジェを乗り継ぎ――そうして間近までやってくると、不意に入口と思われる扉が開いた。
「猟兵諸君……わが漿船(クリスタルシップ)へようこそ!」
 ミズ・ルチレイテッド。彼女こそ漿船の主。わざわざ外へ出てきたということは、猟兵達の接近に気づき、待ち構えていたか。
「わが配下の怪人を倒し、ここまで辿り着いた褒美として……最高の戦場を用意しよう。アハハハハ! アーッハッハッハァ!!」
 ミズ・ルチレイテッド、彼女は彼女なりに首領を演じているのだろうが、どうにも作ったような笑い声は、怪盗のそれを思わせる軽さがあった。
 さて、ミズ・ルチレイテッドが言う最高の戦場とは、漿船の甲板だった。巨大な漿船の甲板は動き回るのにも十分広いが、漿船は浮遊する存在であることを忘れてはならない。
 黒光りする甲板の上で、猟兵はミズ・ルチレイテッドと対峙した。
火土金水・明
「最高の戦場である漿船の甲板から落下しても困りますから、こちらは空中から攻撃させてもらいますね。」
魔法の箒に跨って【空中戦】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーランス】で、『ミズ・ルチレイテッド』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●閃く雷撃
「最高の戦場である漿船の甲板から落下しても困りますから、こちらは空中から攻撃させてもらいますね」
 ひゅう、と魔法の箒に跨ってやってきたのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だ。
「いいでしょう」
 ミズ・ルチレイテッドは寛大な態度を示す。明を見上げ――そして。
「では……このルチル弾の餌食となりなさい!」
 集中から解き放たれたルチル弾なる謎の弾幕。透明化されていたが、明はミズ・ルチレイテッドの視線を頼りにオーラの防御壁を張りながら飛び回る。
 弾丸の軌道が衝撃波で揺らいでいた。明の飛行速度に遅れを取っていた弾丸の流れが徐々に追いついてくる。
 ついにはオーラ防御を掠めてきた。蛇行を繰り返して飛行し的を絞らせないようにしていたが、これ以上逃れ続けるのは難しいと見て攻撃に移る。
『我、求めるは、新たな雷撃の力』
 空より出ずる雷が魔法の槍と化す。明の周囲に展開された無数の槍、その穂先が一斉にミズ・ルチレイテッドへと向いた。
「弾幕勝負……構いませんよ!」
 ミズ・ルチレイテッドは視界に捉えた魔法の槍全てにルチル弾を放っていく。空気が面ごと揺れてミズ・ルチレイテッドの姿が一瞬歪んだ。明は飛び続けながら眼下のミズ・ルチレイテッドへ槍を放つ。
 ふわり、明の手が動いた。魔法の槍が、くん、とブレて弾丸の傍を掠め抜ける。
「撃ち終わるのを待っていましたよ」
 バチリ、と雷の力がさらに明の手の中に現れる。抑えきれぬエネルギーに弾けた雷が二の槍へと変化した。
 フェイントをかけられ弾丸は空の彼方へ。眼前に迫る一の槍を迎撃するには集中する時間が足りず、
「くぅっ!」
 ジャケットを翻すようにして顔を庇った右腕に雷撃の槍がスコールとなって降り注いだ。焼けるような痛みが走るのを必死に堪えていたが、腕の中でさらに大きな閃光を見た。
 釘付けにされていたミズ・ルチレイテッドへと追撃の槍が襲い掛かる。明の全力の魔力を籠めた槍が腕の一点に集中し、ついにミズ・ルチレイテッドの守りを貫いた。
「きゃああっ!!」
 浮遊感は一瞬だった。すぐに固い甲板へと打ち付けられ、ミズ・ルチレイテッドの体が小さく跳ねる。
 何メートルか吹き飛ばされてようやく止まるミズ・ルチレイテッド。黒煙を上げる腕で体を起こしながら、猟兵の力というものを噛み締める。
「なる……ほど……なかなか、やりますね……」
「えぇ、少しでも多くダメージを与えて繋ぐのが、私の役目ですから」
 明は指先に残った雷をピンと弾きながら答えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
出やがったなルチレイテッド!
腕前には自信がおありのようじゃが…ならば無理してキャラ作ってるそこを突く!

UC『特機』にてソードビットを【一斉発射】、余裕で躱す奴さんに【大声】でレスバトルを仕掛ける!
「キング・ブレインにそこまで忠誠を誓う理由とはなんぞや!?」「然して貴様の信念とは!?」「好きな食べ物は?」「今日の下着何色?」
パーソナリティに迫るほど素が出やすくもなろう。
会話の途中、万一キャラを忘れた瞬間が訪れようものならすかさずその点を指摘!
はっとした心に訪れる刹那の空白こそパーフェクト・タイミングを乱す好機!

かすり傷一つでもつけば宝石は最早完璧な輝きを放つこと能わず。
果敢に攻めを継続じゃあ!



●暗殺者のホンネ
 よじ登ったタワーからムササビの如くアマミは飛び出した。
「出やがったなルチレイテッド!」
 漿船の甲板へと落ちながら標的を一喝。着地の体勢を取りながらも空中で仕掛けた。
『とくと見やれ、ガラクタより組み上げし妾の華麗なる剣舞! せめて一思いに骸の海の藻屑へと還してやろうぞ! 死ねーッッ!!』
 カッと見開いた瞳、牙のように剥き出した犬歯。親の仇を討つかのような迫力だ。
 召喚されたソードビットは対空ミサイルのようにシュババンと一斉発射。甲板のミズ・ルチレイテッドを追尾する。
「ハハッ……威勢は、いいようだな!」
 どこか乾いた笑い声を上げながら水晶振動子にその身を託す。一定の周期でタン、タン、タンとダンスを踊るかのようにくるり、ひらり。交差しながら飛び交い切り刻まんとするソードビットを絶妙なタイミングで回避していく。
「余裕そうじゃのぅ」
 手と足を使い蜘蛛のように平べったく着地したアマミはミズ・ルチレイテッドの表情を覗く。先の猟兵の攻撃によるダメージはあるだろうが、その色はまだ見えない。
 やはり幹部猟書家となるだけの実力は持っている――無論アマミもそれは承知。全て回避されたとて、それは想定の範囲内。
 故に、アマミは貼り付けられたまやかしの仮面を剥がしにかかる。
「キング・ブレインにそこまで忠誠を誓う理由とはなんぞや!?」
「何を今更! 上に立つものでありながら誰よりも謙虚で努力家! まさしく大器に他ならない!」
 問答、つまりはレスバトル。アマミからの問いはなお続く。
「然して貴様の信念とは!?」
「エメラルドお嬢様の命の下、世界をキング・ブレインの手に!」
「好きな食べ物は?」
「チョコバナナクレープ……っ!?」
 カチカチと正確に時を刻んでいた針の周期が微かに。
「今日の下着何色?」
「な……そんなこと、今は関係ないでしょう!?」
「くはははは、そいつがお主の地というやつじゃな!? げに可憐な乙女よのぅ!!」
「――っ!!」
 ミズ・ルチレイテッドの全身にぞわっと羞恥心が走った。ぺりぺりと仮面が剥がれていく幻聴。決して配下に見せまいとしていた真の顔が晒されて。
 不意の動揺が針とステップの同調を乱す。ひゅっと真横から薙ぐように飛んでくるソードビットを前に、一瞬の無が隙となった。
 刃がミズ・ルチレイテッドを撫でるように切り裂く。
「――っつぅっ!」
 脇腹にできた傷を押さえながらずれたステップを戻そうとするが、ソードビットが織り成す刃の結界がその暇を与えない。ザン、ザンと足や腕を連続で斬りつける。
「最早完璧な輝きを放つこと能わず! ほぅれ、まだまだじゃあ!!」
 アマミが操るソードビットはミズ・ルチレイテッドを包囲しながら、少しずつだが確実にその体力を削っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

相手の攻撃はこちらを視認して初めて効果を発揮する
それなら!
道中で拾っておいた無機物を媒体に固有結果・黄昏の間を発動
地の疑似精霊に自分の前方に多数の岩壁を形成
バリケード及び視認妨害の壁と成す
ついでにその後ろにダミーの石像を作成
万一岩壁を攻撃で破壊された場合の保険とする

自分はその間に念の為に風の疑似精霊に自分周囲に風の防御膜を形成させた後、甲板と同じ黒で【迷彩】を施す
【忍び足】で敵正面から切り込まず、回り込んで敵の隙を伺う
特にダミーの石像を破壊したタイミングなどはチャンス
【ダッシュ】しつつ一気に距離を詰め退魔刀による刺突攻撃で【串刺し】
接近戦なら咄嗟にルチル弾での攻撃は出来まい!



●迫る黒
 ミズ・ルチレイテッドの攻撃のトリガーに気づき、ひりょは手にしたガラクタな無機物を目の前に放った。
(相手の攻撃はこちらを視認して初めて効果を発揮する……それなら!)
 現れた地の疑似精霊はひりょの意思を汲み取り、ひりょの前方に多数の岩壁を形成した。
 屹立した岩壁がひりょとミズ・ルチレイテッドの間を厚く遮る。
「身を隠して……何になると、言うのです……!」
 この時には、ミズ・ルチレイテッドも肩で息をするようになっていた。消耗が積み重なり無理が利かなくなったところへ、持久戦に持ち込み体力切れを狙おうという算段か。
 ミズ・ルチレイテッドは思考を巡らせる。漿船に生み出された猟兵のテリトリー。どういう狙いであれ、放置するわけにはいかない。
 視線を集中しルチル弾を放った。透明な弾丸が岩壁を抉り、砕き散らしていく。複雑な層を構成する岩壁を破壊し、破壊し、破壊する。
 その先に見えた影――馬鹿正直に真正面で待ち構えて、何になるというのか。
「死になさい!!」
 間髪入れず放たれた弾丸が楕円に象られた頭を砕いた。
 砕け、そして散ったのだ。石片が。
「――フェイク!?」
 そこにあったのはデュラハンになってしまった石像だ。ならば、ひりょはどこへ――?
「……接近戦なら!」
 ひりょは音無くミズ・ルチレイテッドの領域へと侵入していた。無数に生み出した岩壁は狙いを悟らせないため。石像まできっちり破壊してくれた分、肉薄するほどに接近できた。
 風を纏い、甲板の黒の中に潜み機を伺っていたひりょは退魔刀を手に、掬い上げるような刺突を放つ。
「咄嗟の反撃はできまい!」
 自身の体へと伸びてくる切っ先をミズ・ルチレイテッドは目で追うが、ルチル弾の発射は間に合わない。
 がりっ、と削るような感触に、構わずひりょは突き通した。
「がっ……ぐっぅ!?」
 石像の仇を取るつもりはないが。砕かれた気分はどうだと言わんばかりに貫いた刃でそのままミズ・ルチレイテッドを半身切り崩した。刃に砕かれて隙間の空いた体はふらつき、がくんと膝から崩れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

お~、ものすごく高いですね。
落ちないようにしないとですね~(お菓子もぐもぐ)

こういう船がある時って、逃げられたり倒してもこの船が落ちちゃったりしますよね・・・まぁ、なのでこんな感じで♪


(UC『万花変生』を使用。漿船を丸呑みにするほどの植物を出して、漿船を丸呑みに)

これでこの後も安心ですね。

(自分は空中に撒いた大量の巨大綿胞子に飛び移りながら、落ちてるミズ・ルチレイテッドに隷属させる植物を植え付け)

戦場変わりますけど、続きしましょう♪

(綿胞子をミズ・ルチレイテッドに括り付けた後、大剣で攻撃・ルチル弾の攻撃は綿胞子を飛び移って回避して戦いうまくいくなら隷属させようとします)



●捕食の果て
「こういう船がある時って、逃げられたり倒してもこの船が落ちちゃったりしますよねー」
 ミズ・ルチレイテッド無き漿船の末路を憂う七十は引き続きお菓子をもぐもぐ。新しい袋に手を出していたが、これもまた美味。
「お……落ちるなどと、いうことは……」
 ミズ・ルチレイテッドは言い切れない。落ちるかもしれない――というより、自身の消滅を想起させる事態に陥っていた。
 傷口には細かいヒビが走り、零れ落ちる欠片は今も甲板に跳ねて淡い色を放っている。
 継戦に支障をきたし得る損傷。不意に走った寒気は、心の隅に生まれようとしていた敗北感を目ざとく見つける赤き瞳を見たせいか。
「まぁ、なのでこんな感じで♪」
 船下、地上で地鳴りが響き、急激に成長し漿船に到達するまでに至った食虫植物様の生命体。がばっと捕食器官を開くとぱくり、漿船を丸ごと飲み込んだ。
 植物の内壁に触れて漿船がぐらぐらと揺れる。
「これでこの後も安心ですね」
 発光器官に照らされながら七十はひょいひょいと空中に撒かれた大量の巨大綿胞子を飛び移り、またお菓子をもぐもぐ。
「……っ……これ、は……っ!」
 ミズ・ルチレイテッドは体勢を保つのに必死だった。漿船は前後に傾きを繰り返し、まるで踊らされているようだ。
 ずるりと甲板を滑り落ちていくミズ・ルチレイテッドへ新たな植物が伸びた。粘着質を多分に含んだ柔らかい蔓が腕に巻き付き捕らえる。
「戦場変わりますけど、続きしましょう♪」
「ハッ……いい、で……しょうっ!」
 もはや虚勢に等しくもあったが、ミズ・ルチレイテッドは宙の七十へ視線を向けた。しかし不安定な足場にさらに腕を取られていては、定まる狙いも定まらない。放たれたルチル弾は七十を掠めることもなく植物の内壁に埋まり、たまたまうまく飛んだものも七十はぴょんと綿胞子の上を飛び移って回避する。
「ここで会ったのも何かの縁……私に隷属してみませんか?」
「隷属……何、を。この身が、果てようと……心はキング・ブレイン、そして……エメラルドお嬢様と、共に――」
「あっ、そう、じゃあ果ててください」
 七十は玩具に飽きた子供のように冷たく言い放つと、ミズ・ルチレイテッドと自身を繋ぐ植物を引きながら綿胞子から飛び降りた。
 もう一方の手には大剣――それは奇しくも、漿船と同じ漆黒。
 ようやく固定された視界に収まるその姿。放たれた弾丸に七十は雑な一振り。
 それでも全て弾いてどこかへ飛ばす。それほどにミズ・ルチレイテッドは力無く。
 大して食らえないなあ、と内心呟きながら叩きつけられた刃は肩から対極の太腿までを一気に断ち切って。
「……また次の、探そっと」
 植物の深部に墜落する漿船、そしてミズ・ルチレイテッド――だったもの。
 それらには目もくれず、七十は綿胞子に乗って脱出するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月30日
宿敵 『ミズ・ルチレイテッド』 を撃破!


挿絵イラスト