「はーい、皆さん注目ですっ!」
ぶんぶんぶん、手を振ってフルール・トゥインクル(フェアリーの精霊術士・f06876)が猟兵達にアピールする。
何事か、依頼か、と集まってくる猟兵達を見渡してフルールはにっこり笑った。
「皆さんの中に大食いが得意な方はいらっしゃいますかっ!」
がやがやとした空気が一瞬で停止した。
数秒の時が流れ猟兵の一人が恐る恐るといった風に話の続きを促す。
「はっ、いけないいけない。ちゃんと説明しないとですね」
うんうんと頷いてフルールはさっそく説明に入る。
「ええと、話に入る前に……皆さんはキマイラフューチャーの世界はご存知でしたっけ。念のため簡単にご説明させていただきますね」
簡易な(しかし小さい)手作り絵を見せながら続けていく。
キマイラフューチャーとはその名の通りキマイラ達の暮らす世界である。
人類は滅んでおり、生き残ったキマイラ達が人類の残した都市で楽しく生活をしている世界だ。
「そんな世界だったのですけど、現在はオブリビオン……怪人が現れてキマイラさん達を襲っているのですよ。そして本題なのです」
怪人のイメージと思われる頭がティラノサウスの不可思議な絵を片手にフルールは真剣な顔で猟兵達を見回す。
「怪人がキマイラフューチャーに住む方々にとある勝負を仕掛け、勝利する模様を動画にあげて人気を得ようとする事件が発生するのを予知したのですっ!」
恐らくは人気を集めて有名になり、滅んだ旧人類はすごかったんだってことを見せつけたいのだと思うのですが……と続けたフルールは困ったものですと肩をすくめてみせる。
「皆さんには住人の方々の代わりに勝負を受けていただいて、真っ向勝負で勝ったり出し抜いたりはたまた勝負自体をうやむやにしちゃったりなどで怪人が勝てないようにしてほしいのですっ」
勝負自体は猟兵だろうが関係なく積極的に仕掛けてくるようで特に工夫せずとも勝負は挑まれるし、現場付近はほとんど人通りもないため人払いは心配しなくて大丈夫だとフルールは続ける。
しかも目標の怪人は頭がティラノサウルスとなっているティラノサウルス怪人で猟兵側からも接触を間違えることはないだろうというわかりやすさ付きだ。
ところである勝負って?とここまで話を聞いていた猟兵から質問が飛んだ。
フルールは小さく首をかしげると告げた。
「最初に言ったですよ?大食いって」
再び沈黙が支配しそうになる中、フルールは言葉を紡ぐ。
「怪人は大食い勝負を仕掛けてくるのですよ。都市の機能を上手に使ったなぁと言わんばかりなのですけど」
キマイラフューチャーでは都市の適切な場所を適切なタイミングでコンコンコンすることで食べ物や服などが出てくるのだ。それを使った大食い勝負なのだろう。
「どうか皆さんのお得意の方法で怪人を勝たせないでほしいのですよ。勝てない時は怪人は認めずに逃げると思うのですけど、そんな状況が何度も続けば焦りから怪人も追い詰めることができるはずなのです」
大食いでビックリしたかもしれないですけど、私は真剣なのです。どうか力をお貸しください、と言葉を結びフルールは猟兵達に頭を下げるのだった。
心音マリ
初めまして、心音マリと申します。
皆様のキャラクターに込められた愛情や感情を少しでも多くくみ取り描いていけたらと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、こちらの依頼はティラノサウルス怪人との大食い勝負でございます。
オープニングにもある通り人払いなどは気にせずとも大丈夫ですので、いかに自分の得意な方法で大食い勝負と相対するかを考えていただければと思います。
それでは猟兵対ティラノサウルス怪人の大食い勝負、開始でございます。
第1章 冒険
『ライバル怪人の挑戦!』
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POW : 勝負を正面から受けて立つ
SPD : ワザを編み出す、有利になる情報を掴む
WIZ : 知恵や口車で勝負自体をうやむやにする
👑11
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緋月・透乃
【POW】
ティラノサウルス!恐竜との命を懸けた戦い!いいね!
……恐竜なのは頭だけで大食い勝負なんだねー。いや、大食いでも戦いに違いないし、がっつり食べてばっちり勝ちたいね!
ティラノサウルの頭ってことはやっぱり肉が好きだったりするのかな?
食材が選べて敵とこちらで統一できるのなら、野菜等の肉以外の食材で勝負を挑んでみよう。
食べ方は序盤からとばして、胃が満腹を感じる前に食べられるだけ食べてしまうよ!
それに、勢いが良いほうが動画栄えしそうだからね!
もしも食材に肉があったとしたら、フードファイト・ワイルドモードを発動してよりはやく食べられるかな?これは大食い勝負という戦闘だよね?
「ティラノサウルス!恐竜との命を懸けた戦い!いいね!」
緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)はどことなく興奮しながら怪人を探して歩く。
命はかかってないが大食いとはいえ戦いは戦いなのだ、食べることが好きなのも含めてやる気に満ち溢れていた。
「む!そこなナイスバディな姉ちゃん、大食いとか興味あるかい?いや、どっちでもいい、動画映え!俺と勝負だ!」
声を掛けられ透乃が振り返るとそこにはティラノサウルス頭の怪人がいた。
その後ろには簡易なテーブルとイス、小型カメラまでばっちり準備してある。
「うん、もちろんだよ!食べるの大好きなんだよね」
きたきた、とばかりに透乃が笑顔で応じるのとほぼ同時、導かれるように2人はイスに着席していた。
怪人がコンコンコンとノックするとテーブルの上に現れましたは山盛りのサンドウィッチ。
野菜多めだがハムが一枚挟まれている一品だ。
「はじめっ!」
怪人の合図で同時に食べ始め、大食い対決開始。
ティラノサウルス怪人はその大口の中に次々とサンドウィッチを放り込んでいくが、透乃の速度はそれを上回っていた。
最初から飛ばして満腹を感じる前にさらに食べる、それが透乃の作戦だ。
さらにハムのおかげで【フードファイト・ワイルドモード】が発動し細胞が活性化、そのおかげでさらに食べられるという好循環を生み出した!
「えっ!?早!?ちょっ、まっ
……!!!」
焦る怪人を尻目に衰えぬ勢いのまま次々とサンドウィッチを平らげていく。
──そして数分後。
「ぐぅ……くそぅ……」
「私の勝ちだね!ご馳走様!」
お腹をぱんぱんに膨らませてダウンする怪人。
一方、余裕の勝利に笑顔を見せる透乃。
その笑顔にプライドに更なるダメージを負ったのか、満腹にしては素早い動きで小型カメラ付きテーブルを抱え、半泣きで怪人は逃げて行った。
なお、大口にサンドウィッチを次々入れていく怪人より、とんでもない勢いで食べ続け最後まで速度が衰えなかった透乃のが動画映えがよかったのは言うまでもないだろう。
成功
🔵🔵🔴
ラハブ・イルルヤンカシュ
POWで真っ向勝負
「ん、食べるだけでいいとは、なんて素晴らしい依頼」
「お腹減った。私もやる」
無表情のままとことこ歩み寄って参戦
勝負開始とともにガチキマイラで左手をライオン頭にする
相手が何か言ってきたら
「…? キマイラだから頭くらい増える」
特に気にせず食べる
普段から腹ペコな上に
食べる→ガチキマイラ維持でエネルギー消費→食べる
の無限ループ
「ん、おかわり…これじゃ足りない。もっと欲しい」
コンコンコンコンコンコン…
右手で連打しながら左手のライオンで食べ続ける
相手がギブアップしようと食べ続ける
暫く続けたら
「ん、飽きた。……お前美味しそう。大きなトカゲ……丸焼き?」
無表情のまま怪人に目を向け首を傾げる
「ん、食べるだけでいいとは、なんて素晴らしい依頼」
無表情なのにどことなく嬉しそうなのはラハブ・イルルヤンカシュ(悪魔でドラゴン・f04872)だ。
ラハブが歩き回っているとちょうどテーブルを設営し終わったばかりと思われる怪人を発見。
臆することなくとことこ歩み寄る。何せお腹が空いている。
「お腹減った。私もやる」
「お、おう?まぁいい、チャンジャーなら歓迎だ!」
突然の参戦に驚いた怪人であったが、断る理由などない、むしろばっちこいだ。
ちょこんとラハブは椅子に座ると左手を【ガチキマイラ】でライオン頭に。
準備完了といった様子のラハブに、怪人から待ったがかかった。
「ちょっと待て、お嬢ちゃんそれで食べるつもりかい?」
「……?キマイラだから頭ぐらい増える」
「え、そうなの……か?いや、気にしねぇ!俺も男だ!やってやらぁ!」
何を言っているんだ、といわんばかりのラハブの雰囲気に圧倒されたのか、これも動画映えと怪人はそれ以上突っ込むことをやめた。
開始の合図とともにコンコンコンされテーブルの上に現れたのは山盛りのホットドック。
怪人は一口でホットドックを飲み込んでいく、一般的に見たらなかなかの速度だ、が。
──コンコンコンコンコンコン……
「……何だこの音は?」
食べる音とは別に正確なノック音。
その音は怪人の隣、ラハブからだった。
「ん、おかわり…これじゃ足りない。もっと欲しい」
コンコンコンコンコンコン……
左手のライオンで食べ続けながら右手はひたすらノックを繰り返す。
食べながらも【ガチキマイラ】の維持でエネルギーを使ってさらに食べるという無限ループでひたすら食べ続けるラハブ。
反則じゃね?と今更言い出すこともできず、怪人はただ圧倒されたまま食べることしかできなかった。とても惨めだ。
その勢いはラハブに食べた量でダブルスコアを突きつけられ、怪人が降参してもしばらく続いた。
やがてラハブが食べるのをやめると、やっと終わったと言わんばかりに早々に撤収準備に入る怪人。
椅子に座ったままその様子を見ていたラハブはこういった。
「ん、飽きた。……お前美味しそう。大きなトカゲ……丸焼き?」
「ひぃっ!!!」
びくっと全身を震わせたティラノサウルス怪人はテーブルを抱えて恐ろしい速度で逃げて行く。
後には首を傾げたラハブだけが残されていた。
成功
🔵🔵🔴
黒瀬・ナナ
大食い勝負なら、おねえさんに任せなさーい!正々堂々、正面から受けて立つわよ。いざ、尋常に勝負!
朝からご飯抜いてきたから、兎に角思いっきり食べるわね。
でも、ただ食べるだけじゃなくて、美味しいものに対する感謝を忘れず綺麗に優雅に食べる事を心がけるわ。
ボロボロ零したりとか料理に対して失礼だし、動画の視聴者も気分悪いでしょ?
これはこんな味で、ここが美味しい!って、ちゃんと言葉で伝えながら美味しい楽しくいただきまーす♪
あちこちの美味しいものを食べ歩いてきたわたしの食レポと食べっぷりに敵はないんだからねっ
「いざ、尋常に勝負!」
ティラノサウルス怪人から大食い勝負を仕掛けられた黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)は真剣ながらもどこか嬉しそうに勝負を受けていた。
なにせ彼女、この大食い勝負のために朝からご飯を抜いていたため、声をかけられるまで少々不機嫌になるレベルでお腹を空かせていたのである。
コンコンコン!
試合開始の合図で現れた今回の料理はざる蕎麦。
一枚一枚きちんと小分けにされており、つゆも薬味もしっかり用意されている。
「ふふふ、これなら食べやすそうだ」
不敵に笑い、器を持って蕎麦だけを口の中へ投げ込むように食べていく怪人。
一方のナナは目の前のざる蕎麦に手を合わせると、つゆにつけてから優雅に一口。
「うん、美味しい♪程よいコシがあって食べやすいしおつゆとの相性も抜群!」
そしてテーブルに備え付けられた小型カメラを相手に食レポを開始した。
これは大食いバトルではなかったのかと確認したくなるが、食レポをしながらもその手は食べるために動いている。
「なん……だと
……!?」
突然の食レポには耐えた怪人であったが、ナナの食べ方に目を見開いた。
なんと食レポをこなしながら楽しそうに美味しそうに、しかも汚したり細かい欠片1本残すことなく綺麗に食べていたのだ。
「大食い勝負だぞ?だというのにそんな、美味しそうに……」
「だってボロボロ零したりとか料理に対して失礼だし、動画の視聴者も気分悪いでしょ?」
「ぐっ!!!」
痛いところを突かれたのか、怪人の食べるペースがあからさまに落ちた。
なにせ怪人の食べ方は到底綺麗といえるものではなく、器の積み上げ方も適当。すべてが優雅で綺麗なナナと比べるとその差は明らかだった。
心にダメージを受けたらしい怪人を捨て置いて、そのままペースも食レポも楽しげな様子も一切変わることの無かったナナが余裕の勝利を収めたのだった。
成功
🔵🔵🔴
天月・鳴海
【WIZ】
都市の機能を利用した、大食い勝負…
たしかに、ちょっと面白そうだね(くすっ)
…とはいえ、こんな明らかな体格差のある女の子に勝って嬉しい?
それって弱いものいじめと変わらなくないかな?
私全然食べれないし、途中で泣いちゃうかもしれないよ?
そんな中勝っても動画映えすると思う??
(おはぎなら沢山食べてもいいけど…と思いつつ、批判でまくし立てて言いくるめようとする)
分かってくれたかな?
ところで、私あんまりここ等辺り詳しくなくて…
コンコンしたら服も出てくるんだよね?
良かったら案内して欲しいなー…なんて、どうかな?
(誘惑して連れまわし、大食い勝負から脱線させて疲れさせる)
「大食い勝負……ちょっと面白そうだね」
ナンパにも似た声掛けで大食い勝負を仕掛けられた天月・鳴海(Red memories・f05858)はくすりと笑みをこぼした。
「おう、じゃあやろうぜ!な!」
今にも鳴海を会場(といってもテーブルと椅子が設置してあるだけだが)へ連れて行かんとするティラノサウルス怪人を制して、鳴海は言葉を続ける。
「でも、こんな明らかな体格差のある女の子に勝って嬉しい?」
「え?お、おう。勝つことに意味があるんだからな!」
「それって弱いものいじめと変わらなくないかな?」
「うっ、いや、そんなことは……」
恐ろしいぐらいの正論に怪人の表情が固まった。
(ま、おはぎなら沢山食べてもいいけど…)
内心そんなことを考えながらも鳴海の批判は続く。
「私全然食べれないし、途中で泣いちゃうかもしれないよ?そんな中勝っても動画映えすると思う?批判しかないと思うよ?」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ」
見事に言いくるめられ、返す言葉もなくなった怪人。
そんな様子を見て鳴海は再びくすりと笑った。
「わかってくれたかな?」
「わ、わかった。動画映えしないものは撮れないからな」
じゃあこれで……と新しい対戦相手を探そうとする怪人の手を鳴海は掴んで引き留める。
「ま、まだなんかあるのか?」
「実は私あんまりここ等辺り詳しくなくて……服も出てくるんだよね?」
良かったら案内して欲しいなー、と軽い上目遣いで誘惑する鳴海。
正直あんなことをいろいろ言われた手前、断るのも咎めるものがあったのだろう。
怪人の迷いは一瞬だった。
「食べ物探しのついでに見つけた場所でいいなら……」
「ありがとう!」
──こうしてもはや本来の目的を見失った怪人は服探しに連れまわされ。
都市内を歩き回り。
出した服を片っ端から持ち歩き。
案内し終わった頃にはかなり疲弊して、ふらつきながらもどこかへと去って行った。
大成功
🔵🔵🔵
クリス・ベルガー
【思考】
大食い勝負と聞き、馳せ参じました。
どんな料理が出てくるのか、わたくし楽しみでなりません。
お野菜や果物も良いものですけれど、ユーベルコードを考えるとやはりお肉を多めに食べるべきでしょうか。ふむん。
え? 勝負をうやむやにする? 食べる以外の方法、ですか?
………………。
……とにかく食べ続ければよろしいのでしょう?
勝負は時の運、と存じております。わたくし、食事量にはいささか自身がございますので、勝負を始めてみるのがよろしいかと。
では、いざ実食!
【行動】
とにかく無心で食べます。真っ向勝負以外考えず、食べて食べて食べまくります。
考えるのは面倒なので。困ったときはとりあえず優雅に笑顔。実質思考放棄。
シェーラ・メルフィーア
肉?そんなの当然食べなきゃ!
私は真っ向勝負を挑むわー
戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加するフードファイト・ワイルドモードでいざ!
食べることは戦うこと!戦うことは食べること!
肉を食べるならだれにも負けない!塩でもソースでもわさびでもレモンでも、新鮮なら刺身もいいわよね?
食べていいならどれだけでも食べちゃう☆嬉しいなー♪
勝負と言いつつ好きなだけがつがつ食べちゃいます
量に限りがあるわけじゃないなら、遠慮なく食べちゃうなー
稲穂・あかり
真っ向勝負
「フートファイトがあると聞いてきましたぁ」
「相手は、あなたですかぁ? よろしくおねがいしますぅ」
と言って、お辞儀
ちょっと修行して【大食い】に磨きがかかったので、相手が恐竜さんでも、負けないと思ってます
「あ、ちっちゃいからと言ってぇ、手加減するとかなしですよぉ」
と釘を刺しつつ、真剣勝負
肉類がメインになるなら、フードファイト・ワイルドモードも使用して、さらにたくさん食べます
お腹いっぱいまで食べます。その間に相手が逃げるようなら
「次の勝負も待ってますねぇ」
と言って、見送ります
「ああくそう!結局一本も動画が取れてないじゃないか!」
対戦相手を探しながらティラノサウルス怪人は頭をかきむしる。
否、動画は撮れているのだ。内容が自分の望んだものではないだけで。
「何としてでも一発逆転を……ん?」
そんな怪人の前にいつの間にか3つの影があった。
「大食い勝負と聞き、馳せ参じました」
にこり、微笑んでみせたのはクリス・ベルガー(ミレナリィドールのフードナイト・f01938)である。
清楚な見た目から飛び出した『大食い』の単語は、聞かなかった方が外見にあっていたかもしれない。
「フートファイトがあると聞いてきましたぁ」
よろしくおねがいしますぅ、とお辞儀をしたこちらは稲穂・あかり(妖狐の戦巫女・f01085)だ。
やはりその小柄な見た目から『フードファイト』の言葉は不釣り合いに感じる。
「食べることは戦うこと!戦うことは食べること!」
食べる気満々の様子を隠してすらいないのはシェーラ・メルフィーア(百味・f02300)。
二重の意味で戦う気満々である。
そんな大食い勝負に挑まんとする三人を見て、怪人は思った。
……めっちゃ動画映えしそう!!!だと。
クリスは何より清楚で見た目が良い。
シェーラはそのスタイルから注目されること間違いないだろう。
あかりは小さく子供らしい可愛さでまた別の良さがある。
「お姉ちゃんたち大食い勝負するんだな?いいんだな?もう後戻りはなしだ」
いいネタを手に入れたとばかりにテーブルを増やして簡単に準備をする怪人であるが、彼はすっかり忘れていた。
今まで彼を負かしたのは皆女性であったことを。
「よし、じゃあ開始と……の前に」
準備を整え、後はコンコンコンとするばかりのタイミングで怪人は自身の隣に座ったあかりを見た。
「本当に嬢ちゃんは一人でいいんだな?」
この怪人VS猟兵達の大食い勝負、チーム戦ではなく個人戦となっている。
というより、ごくごく普通な流れで皆別々に座ったのだ。
気が咎めたのか一番幼いあかりに怪人が声をかけたのだが……
「あ、ちっちゃいからと言ってぇ、手加減するとかなしですよぉ」
真剣勝負を望むあかりは頬を膨らませて逆に釘を刺したのだった。
なぜだか悲しい気分になりながら怪人は続いてちらりとクリスを見やる。
「勝負は時の運、と存じております。わたくし、食事量にはいささか自信がございますので、勝負を始めてみるのがよろしいかと」
クリスには優雅に微笑まれ、もはや何も言うまいと怪人はコンコンコンとして料理を出し、そのまま勝負開始!
登場した料理は……
「肉!肉を食べるならだれにも負けない!」
シェーラが目を輝かせたのも無理はない。
現れたのは唐揚げの山だった。きちんとレタスとレモンも添えてある。
さすが、誰も負けないというだけはありシェーラはかなりの速度で唐揚げを平らげていく。
ちゃっかりレモンを使うことも忘れていない。
「唐揚げ、おいしいですぅ」
あかりもにこにことしながら次々唐揚げを食べている。
一方のクリスは食べていた。食べて食べて食べていた。
ひたすら無心で食べている。
「な、なんか姉ちゃんたちよく食べるな……」
怪人も負けるまいと食べ続けるがどうしても三人に劣る。
スピードは落ちていないはずなのに徐々に徐々に差が開いていく。
それもそのはず、三人は三人とも【フードファイト・ワイルドモード】を使っていたのだ。
唐揚げという肉を食べ、細胞を活性化させ、さらに食べる、さらに活性化させる……その食事は終わることを知らない。
しかし、怪人にも意地がある。ここでいい動画を撮ってやるという意地が!
「ぐぬぅぅぅぅ、負けるかぁぁぁぁぁ
!!!!!」
必死に口の中へ唐揚げを詰め込む。
──そして数分後
「ぐ、ぐぇ……」
哀れな声を出して最初にダウンしたのは怪人だった。
ダウン時点で食べた量では最下位であり完全なる負けであった。
「恐竜さんもうお腹いっぱいですかぁ?」
首をかしげながらあかりは純粋な瞳で見つめる。
その傍ら食べるのはやめていない。
「あらあら、無理はよろしくないかと」
怪人を心配していいものかどうか、どことなく困った笑顔を浮かべているのはクリスだ。
話すために今こそ食べていないが積みあがったお皿の数からかなり食べているのがうかがえる。
「これで私たちの勝ちね!」
シェーラは輝かんばかりの笑顔を浮かべている。
それでいて片手はコンコンコンとノックを続け、現れた唐揚げを食べているのであるから驚きだ。
「く、くそう!覚えてろよー!!!」
余裕そうな三人の様子にプライドを思いっきり傷つけられたのだろう。
もはや小型カメラさえも捨て置いて、よったよったと逃げ出したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 冒険
『怪人を追え!』
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POW : とにかく全力で追いかける
SPD : ルートを読んで事前に罠を仕掛けておく
WIZ : 話しかけて注意をひく
👑11
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「くそう、こんなに負けるなんて絶対に認めないぞ。認めてやらないんだからな」
ぶつぶつ呟きながらティラノサウルス怪人はいつものように逃げていた。否、そのはずだった。
度重なる大食いでその速度は落ち、瞳から落ちる熱いものはその痕跡を残し、思考は勝つことだけに占められていた。
今なら追えるのでは?逃げ去った怪人を見ていた猟兵の一人が呟く。
その呟きに賛同するように猟兵達は怪人の追跡を開始するのだった。
ラハブ・イルルヤンカシュ
WIZで判定
「ん、みつけた。大きなトカゲ。丸焼き」
左手を【全て喰らう竜の顎(ガチドラゴン)】で竜に変えた状態で追いかけながら話しかける
「待て丸焼き…素揚げか唐揚げ。ハンバーグ」
左手を変じた竜の顎をカチカチ鳴らしながら追いかける
届くなら尻尾の先くらいは食べるかもしれない
グールドライバーの成せる業
『捕食される恐怖』で気を引き、他の人へ意識が向かないようにする
「この際生でも構わない」
食欲故の行動かもしれない。
上手く気が引けるならどちらでもいいだろう、と深く考えない
それより目の前の大トカゲが食べたい
「逃げるな食物。黙って喰われろ」
「ん、みつけた。大きなトカゲ。丸焼き」
逃げるティラノサウルス怪人を最初に見つけたのはラハブ・イルルヤンカシュ(悪魔でドラゴン・f04872)だった。
ちなみに彼女、怪人を見つける過程であちこち歩いては転んでいたにもかかわらず目標を見つけた途端、軽やかに駆け始めている。
大食い勝負で散々食べたにもかかわらず、それでもなおラハブは怪人を獲物と狙う。
しかも左手はいつの間にか竜に変わっている。
「待て丸焼き……素揚げか唐揚げ。ハンバーグ」
「おうちょっと待てや嬢ちゃん、俺のことなんだと思ってんの!?」
明らかに不穏な単語を連発されて我慢ならなかったのか振り返って怪人が叫ぶ。
が、ラハブの左手を見た瞬間、体勢を戻して走ることに全力を尽くし始めた。
そりゃあ今すぐにでも噛みつきたいとばかりに竜の顎をならされながら本人は無表情で追われたら怖い、とっても怖い。
ラハブとしては捕食される恐怖で気を引こうとしているだけなのだが、なかなかどうして迫力があった。
「逃げるな食物。黙って喰われろ」
「ひぃっ!!!」
「この際、喰えるなら生でも構わない」
いや、駆けながら左手を伸ばし尻尾でも構わず食べようとする様子は、もしかすると気を引くよりは食欲の方が優先されているかもしれなかった。
しかし怪人には、完全に食い物として見てるじゃねーか!!!と突っ込む余裕などない。
ただひたすらにラハブから逃げようと狭い路地を走り抜けていく。
「喰われてたまるか、何としてでも逃げ切らねば……」
怪人は火事場の馬鹿力とばかりにスピードを上げて逃げていく。
完全に逃げることにシフトした怪人の思考はラハブの狙い通り、他者への意識が向かないようにすることに成功していた。
成功
🔵🔵🔴
天月・鳴海
【WIZ】
何だかオブリビオンなのに妙に人間味溢れてて、ボロボロの姿を見てると可哀想になってきちゃうね…
でも、キマイラさん達に迷惑をかける様な計画は諦めて貰わなくちゃ…!
話しかけて注意を引きつつ、勝負を諦める様に言いくるめてみるよ!
「あ、怪人さーん!さっきはありがとうね!」(声をかけて駆け寄る)
「って、泣いてるの?大食い勝負、全部負けちゃったんだね…」
よしよしと優しく慰めながらハンカチで涙を拭いて、話を聞きます。
「ねぇ、勝ち負けってそんなに大事かな?どうせ頑張るなら、皆が笑顔になるような事をして人気を得た方が私は良いと思うなぁ。私に此処を案内してくれたみたいに、ね!」
※アドリブ歓迎です!
「ぜー……ぜー……くそう、なんでこんな目に」
全部自業自得、身から出た錆といわれかねないことを呟きながら、先ほど全力を出した弊害で小走りになっているティラノサウルス怪人が呟く。
(さすがにちょっと可哀想になってきちゃうね……)
物陰からその姿を見つけた天月・鳴海(Red memories・f05858)は苦笑いをするしかなかった。
オブリビオンであることもやろうとしていたことも踏まえて止めねばならないのは間違いないのだが、汗だか涙だかわからないものを流しながら駆けていく姿は正直多少の同情もしたくなる。
だからせめて勝負を諦めるよう、そう思って鳴海は駆け出す。
「あ、怪人さーん!さっきはありがとうね!」
「ぬ!?む、服のお嬢さんか!?いや、今は構っている暇は……」
気を取られている暇はない、逃げねばとさらに足を動かす怪人に追いついた鳴海は自身のハンカチを持つと怪人の目元に手を伸ばした。
「って、泣いてるの?大食い勝負、全部負けちゃったんだね……」
鳴海のハンカチが怪人の涙を拭う。
同時に怪人の足が止まった。
「う、うぅ……そうなんだよ。こんな事認められないのになぁ……」
突然向けられた優しさにえぐえぐと泣き始めた怪人。
その様子にどことなく苦笑を帯びた微笑みを浮かべながら話を聞く鳴海。
身長差はそこそこあるのだが鳴海のが年上に見える状態であった。
「ねぇ、勝ち負けってそんなに大事かな?どうせ頑張るなら、皆が笑顔になるような事をして人気を得た方が私は良いと思うなぁ」
私に此処を案内してくれたみたいに、ね!そう鳴海は続けて今度はにこりと笑って見せる。
「勝ち負けか……ああ、それもいいかも……いや、駄目だ!」
優しい言葉と笑顔に頷きかけた怪人であったが、気づいたように首を横に振った。
「それでも俺は勝たなきゃならないんだ!負けるわけにはいかないんだよ!!!」
そしてまた一人駆け出していく、猟兵達から逃げるために。
しかしその足どりは先ほどとは別の要因でとても重そうであった。
成功
🔵🔵🔴
クリス・ベルガー
【思考】
まだ腹六分目といったところですが、仕方がありませんね。
怪人様はあまり速度も出ていないようですし、この分ならすぐにでも……あら、あの人だかりは一体。
……こちらをコンコンでスイーツが? ……本当ですね。もぐもぐ。
いけません。このままでは怪人様を見失ってしまいます。
遅れた分は急いで……こちらからはローストビーフが?
……気を付けて追いかけなければ(もぐもぐ)。
【行動】
全力で追いかけます。ただし、道中は相手を見失わない範囲であちこちコンコンして食べ物を出しながら。
エネルギーと戦闘能力を補充しながら追いかける、まさに一石二鳥。
肉じゃないのも多いとか、追跡は戦闘でないというツッコミはなしで。
「あら、あの人だかりは一体……」
怪人を追って狭い路地に入ったクリス・ベルガー(ミレナリィドールのフードナイト・f01938)はキマイラ達の集まりに気づいた。
逃げることに集中していた怪人は全く気付いていなかったようだが、クリスはその会話とそこから漂う匂いを逃さなかった。
「……こちらをコンコンでスイーツが?……本当ですね」
言われた通りノックして出てきたたい焼きを美味しくいただくと、本来の目的を忘れてはいけないとばかりに再び怪人を追って走り出す。
ところが……
「あら、こちらからはローストビーフが?」
「あちらでは卵焼きが?……甘いのですね」
追いかける最中、あちらこちらで食べ物の情報を手に入れてはついついノックして食べてしまう。
なにせ大食い勝負がひと段落した時点でまだ腹六分目といったところだったのだ。食べ物に引かれるのも致し方ない。
見失わないように心がけているおかげで追うことはできているが距離はあまり縮まってはいなかった。
「いけません。このままでは怪人様を見失ってしまいます」
呟きながらクレープ(イチゴチョコホイップましまし)を食べ終え、クリスは駆ける。
彼女が幸運なのはいろんな料理を食べているおかげで肉を口にする機会もそこそこあったことだ。
【フードファイト・ワイルドモード】──細胞が活性化することによってクリスは疲れを感じることなく走ることができた。
さらに空腹になることもなかったため思考も継続し、怪人を見失わなわずに済んだのだ。
「遅れた分は急いで……聞こえました。ジンギスカンがこちらで出るのですか?」
捕らえられずとも徐々に、しかし確実に怪人は追い詰められていた。
成功
🔵🔵🔴
稲穂・あかり
怪人の置いていったカメラを手に取り、テトテト追いかけつつ、声を掛けます
「恐竜さ~ん、待ってくださ~い、カメラ忘れてますよぉ~~~」
どんな要因にせよ、追いついたら、カメラ手渡します
「はい、お返ししますねぇ」
そのあと、撫でてほしそうな表情をして誘惑します。後は仲間にお任せします
もし、追いつけそうもないなら、相手の罪悪感と周りの同情心をあおる感じで泣き出します(嘘泣きですけど)
「ふぇ~~~ん、あかりはカメラを返したいだけなのに~~~~えぐえぐ」
これで相手の足が鈍る事を期待します
「恐竜さ~ん、待ってくださ~い、カメラ忘れてますよぉ~~~」
一生懸命声をかけながら稲穂・あかり(妖狐の戦巫女・f01085)もまたティラノサウス怪人を追っていた。
その手には怪人の置いていったカメラが握られている。
「待って~、待ってくださ~い」
懸命に追いかけるあかり、しかし怪人はいっこうに耳を貸さない。
二人の距離も縮まりそうにない。
それならば、とあかりは駆けていた足を緩めると……
「ふぇ~~~ん、あかりはカメラを返したいだけなのに~~~~えぐえぐ」
思いっきり泣きだした。
迫真の泣きっぷりであるが嘘泣きである。
しかしながら突然の泣き声に、何事かと近くからキマイラ達も集まってくる始末だ。
「うぇっ!?な、泣くことはないだろ!?」
怪人もまた、泣きだしたあかりに狼狽え脚が思いっきり鈍っている。いや、もはや歩いていた。
「恐竜さんのために持ってきたのにぃ~~~」
えぐえぐと怪人にむかいながらもあかりは泣き続ける。
そして、こんな小さい子を泣かせたのか……とばかりに周囲から怪人へは冷ややかな視線が向けられている。
「う、いや、気持ちはありがたいがそれはもういらないから……」
「ふぇ~~~ん!!!」
断って場を収めようとする怪人。
さらに声をあげて泣き続ける(嘘泣きだが)あかり。
加速する怪人への冷たい視線。
「ご、ごめんよぉ!!!」
いたたまれなくなった怪人は全てから逃げるように走るのを再開した。
ただ、泣くあかりが気になるのかちらちらと振り返っていたため、その速度はかなり遅かった。
成功
🔵🔵🔴
大豪傑・麗刃
大食いで動きが落ちた相手とはいえ、ティラノサウルスなので足は速そうなのだ(偏見)
わたしも全力で追いかけるのだ!
もしわたしが疲れてきて離されそうになったら。
あわてても仕方ないのだ。ここはひとやすみして体力を回復……ZZZ
(こんなタイミングでしかも路上で寝る奴があるかー<誰かのツッコミ)
痛!!
そなコトする子は、麗ちゃんぶつじょ!!
これはあくまでネタのためにあえて相手に離されかねないという不利な行動をとることでわたしの身体能力を上げる秘技【変態的衝動】のためであり、本気で昼寝がしたかったわけではないのだたぶん。
あとは誰かが足止めしてくれる事を期待しつつ、わたしは追うだけなのだ。
「わたしも全力で追いかけるのだ!」
意気揚々と大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)はティラノサウルス怪人を追っていた。
大食いで動きが落ちた相手とはいえ相手はティラノサウルス、足は速そうという考えのもと全力で追いかけていく。
しかし、なかなか全力を維持するのも難しい。疲れを感じ始めた麗刃はある行動に出た。
「ここはあわてても仕方ないのだ」
日当たりの良い路地で唐突に立ち止まるとその場に座ってうたた寝を始める。
寝ているふりでもなく本当に寝始めた!
どこかの動物たちのかけっこでやろうものなら普通に負けるフラグのそれである。
「……ZZZ」
いや、何してるの!?なんでこんなところで寝ようとしてるの!?そんなツッコミは偶然近くを通りかかったキマイラよりもたらされた。
「む、うるさいのだ!そなコトする子は、麗ちゃんぶつじょ!!」
えっ!?と突然の麗刃の反応に驚くキマイラを無視して、再び彼は走り出した。
その速度は明らかに最初の時より出ている。
それもそのはず、ネタのためにあえて昼寝するという自分に不利な行動をとることで麗刃の【変態的衝動】が発動していたのだ!
おかげで麗刃の身体能力は増大しており、より速く追うことができるようになっていた。
(別に本気で気で昼寝がしたかったわけではないのだ、うん)
そんなことを考えながらも後は追うだけ、とばかりに彼は強化された身体能力で追跡を続けていった。
成功
🔵🔵🔴
緋月・透乃
【POW】
私を大食い対決に誘った時は威勢がよかったのに、随分惨めな感じになっちゃったねぇ。
まあでも自業自得だからしょうがないね。
そんな惨めな怪人を更に惨めにするために、今度は追いかけっこで勝負だね。
腹ごなしと戦闘前のウォーミングアップには丁度いいかな。
追いかける方法は小細工とか無しでとにかく後ろから走って追いかけるのみ!
相手の速さによるけど、走りやすいところではとばし、入り組んだところでは見失わないように周囲を気にしながら走るよ!
もしも障害物とか置いてきたり、越えるのが面倒な壁の先とかに行かれたら、グラウンドクラッシャーで壊しちゃおう!
(私を大食い対決に誘った時は威勢がよかったのに、随分惨めな感じになっちゃったねぇ)
色んな意味でボロボロな怪人を追いながら緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は苦笑する。
最初にティラノサウルス怪人が見せた自信などは今は微塵も感じられない。
「まあでも自業自得だからしょうがないね」
腹ごなしと戦闘前のウォーミングアップには丁度いい、追いかけっこだろうが手加減はしないと真っすぐに透乃は駆ける。
怪人の速度はこれまでの精神的なものを含めたダメージにより大して出ていない。すぐにでも追いつけそうな勢いだ。
「げぇっ!ナイスバディの姉ちゃん!」
背後からの気配に気づいた怪人が振り返り、透乃の姿を認めると何とも哀れな声を上げた。
彼女に傷つけられたプライドが疼いたのだろう、追いつかれたらたまらんとばかりに脇道へ入る。
続いて透乃も脇道へ突入。
「うっわぁ……」
そんな彼女を出迎えたのは、その辺にあった荷物などを適当に投げて作ったと思われるバリケードもどきだった。
先に入った怪人が足止め目的でその辺りにあったのを積み上げたのだろう。
しかし、透乃は迷わなかった。
「よし、壊しちゃおう!」
ズドン!
笑顔で一振り。
重戦斧【緋月】──自身の苗字と同じ名を持つ大斧を振るい、その重い一撃でバリケードをものの見事に破壊。
「何だと!?あれそこそこ重かったんだぞ!?」
大きな音に何が起こったのか察した怪人の声はもはや悲鳴に近かった。
わざわざ立ち止まって壁を作ったにもかかわらず、それを一撃で破壊されてしまったのだから無理もないことだ。
怪人との距離は積み上げるのに時間を使ったため明らかに縮まっている。
猟兵達が怪人を追い詰めるのにはもうさほど時間はかからないだろう。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ティラノサウルス怪人』
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POW : ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
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やがて長くもない時が流れ、ついに猟兵達は路地の行き止まりにティラノサウルス怪人を追い詰めることに成功した。
「くっそぉ……こうなったら!」
追い詰められ観念するかと思われた怪人であったが、逆に右手の長い爪を猟兵達に突きつけ宣言する。
「お前ら全部倒してやらぁ!そしたら勝者は俺だ!!!」
瞳の涙は消え、強い勝利への執念が彩る。
猟兵と大食い勝負を仕掛ける怪人との最後の戦いが始まろうとしていた。
緋月・透乃
【POW】
いよいよやる気になってくれたね。
初めからこうしていればよかったのに。
命をかけた戦いって人気でそうじゃないかな?流石に死者がでたら配信できなくなっちゃうかなー。
敵のユーベルコード使用までにできるだけダメージを与えておきたいね。
ってことでいきなり突っ込んでグラウンドクラッシャーを叩き込みに行くよ!
そのあとは防御を意識しつつ、突っ込んで攻撃したあとすぐに離れるヒットアンドアウェイでちくちく攻めていくよ。
敵がユーベルコードで強化されたら、あまり動かずに守りを固めて、隙ができた時だけ攻撃しよう。
速く動く物を攻撃するみたいだから、斧を1つ投げて囮にできないのかも試してみるよ。
「いよいよやる気になってくれたね」
大々的に宣戦布告をかましたティラノサウルス怪人を見ても緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は動じない。
明るい元気な笑顔はそのままに自らの武器である重戦斧【緋月】を構えた。
「命をかけた戦いって人気でそうじゃないかな?流石に死者がでたら配信できなくなっちゃうかなー」
軽く喋りながらも先に仕掛けんと透乃は走る。
素早く怪人の元まで突っ込んだ勢いそのままに、先ほどはバリケードへと振るわれた大斧が振り下ろされる!
「ぐぅっ!!!」
鈍い音とともに斧が攻撃を防ごうと構えた怪人の腕に深い傷を入れる。
さらに斧による重い一撃は直撃した怪人だけでなく、その威力は衝撃波となって足元まで及び、怪人を中心に小さなクレーターが出来上がった。
「はは、面白れぇ。こいつを生放送すればよかったかもなぁ
!!!!」
答えるように怪人が吠える。同時、その姿は巨大なティラノサウルスへと変貌していた。
「ぐるるぅぅぁぁぁぁ
!!!!!!」
もはや言葉も発せないほどに理性を失った怪人が噛みつかんと迫る。
しかし、透乃は対策を立てていた。
「これでどうかな!」
手元から投擲されたのは斧だ。
それは怪人とは見当違いの方向に投げられ意味がないようにも見えた。
だが、透乃を狙っていたはずの牙は唐突に投げられた斧へ向き、斧に噛みつき落とすだけで終わった。
「うん、予想通りみたいだね」
斧に気が逸れている間に距離を取った透乃は、先手を打った時とは変わりあまり動かず守りを固めることに専念する。
速く動かなければ標的にならない、確証を得た透乃は自身の愛斧を構えながら次なる攻撃のタイミングを見定めていた。
成功
🔵🔵🔴
大豪傑・麗刃
基本は動きを最小限にすること。これにより、ザウルスモードに入られた時、攻撃を食らいにくくなるはず。
ティラノクローに対しても最小限の動きでかわす。残像だ。で、かわしたところで剣刃一閃。いや2回攻撃するから二閃。
これをあとのせサクサクと呼ぶのだ(後の先と言いたいようだがそもこれはアトノサキではなくゴノセンが正しいらしい?)
羽毛モードで来た時だけは近接戦を避けたいので、距離を離すためにで大きく動く。で隙を突いて斬る。
巨大なティラノザウルスへ変貌した怪人へ次に仕掛けたのは大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)だった。
理性もなく動くものを無差別に牙や尻尾を振るう怪人。
それに対し麗刃は必要最低限の動きで怪人の標的からも攻撃からも逃れ、いつの間にやら距離を詰めきると構えていた刀を振るう。
「これが剣刃一閃。いや2回攻撃するから二閃だな」
その宣言通り、一瞬にして振るわれた刀が牙を切断し、鋭い爪の生えた腕も1本切り裂いていく。
「ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉ
!!!!!!!!」
痛みに声をあげ暴れまわるティラノサウルス。
無作為に振るわれた尻尾はしかし、最小限の動きでかわすことを心掛けていた麗刃には届かない。
むしろかわしては、残像だ、とちょっと自慢気な顔をするだけに終わった。
「ふふふ、これをあとのせサクサクと呼ぶのだ」
安全圏まで下がった麗刃は怪人へ指を突きつけて言い放つ。
が、それは『あとのせサクサク』ではなく『後の先(ゴノセン)』が正しい言い方であるのだが……そのことを突っ込める猟兵はいないようであった。
むしろ『あとのせサクサク』がかき揚げを連想させ、何名かの猟兵のお腹が減ったとか、減らなかったとか。
成功
🔵🔵🔴
クリス・ベルガー
【思考】
なるほど、最後は純粋な力勝負、と。非常にわかりやすくて助かります。
それでは……ご覚悟くださいませ!
……ところで、勝者へのご褒美は何かあるのでしょうか?
【行動】
正面からの力押しです。相手が巨大化しようが、巨大テーブルナイフを振り回し隙を見て距離を詰め、最も接近したタイミングでユーベルコード【破城槌】を打ちこみます。
(武器の柄による殴りこみ)
また、自分以外に標的が向いた場合も注意を引くように顔の付近を攻撃します。
目移りですか? 私を無視されるなんて……つれないお方!
どれだけやられても笑顔は忘れずに。優雅に。熱く激しく語り合いましょう。
……今の運動でまたお腹が空いてきてしまいましたね。
「あとのせサクサクかき揚げうどん……はっ、いけませんいけません」
かき揚げの魔力に負けかけた猟兵がここにいた。
クリス・ベルガー(ミレナリィドールのフードナイト・f01938)はふるふると首を横に振って気を取り直すと自身の武器を構える。
それは巨大な、巨大なテーブルナイフだった。
文字通りテーブルサイズのテーブルナイフという小柄で清楚な見た目とはギャップを感じさせる姿で彼女がとった行動は……
「それでは……ご覚悟くださいませ!」
完全なる力押しであった。
テーブルナイフを振り回し、正面から今や理性のないティラノサウルスと化している怪人へ突撃していく。
「ぐおぉぉぉ!!!」
雄たけびを上げ振るわれる尻尾をテーブルナイフでいなし、噛みつかんと迫る牙を優雅に避け、順調に距離を詰めるクリス。
ついに懐へ飛び込んだ彼女は見上げるまでになった怪人へ笑顔を向ける。
「御安心下さい。柄打ちです」
告げると同時、テーブルナイフの柄を高速で怪人の腹部へ打ち付けた。
柄打ちであろうが超高速かつ大威力で放たれた一撃は、巨大な身体でさえ吹き飛ばしてみせる。
路地の壁に強かに体を打ち付けティラノサウルスはすぐに起き上がったもののあちこちにダメージを負っていた。
「ぐるるぅぅぅぅ!!!」
「うふふ、優雅に。熱く激しく語り合いましょう」
痛みと怒りに吠える相手に一切恐れる様子を見せず、クリスは笑顔を浮かべたまま軽く首を浮かべてみせた。
(……今の運動でまたお腹が空いてきてしまいましたね)
しかし内心、燃費の異常に悪い彼女は空腹を感じ始めていたのだった。
成功
🔵🔵🔴
天月・鳴海
宣戦布告中、もしくは仲間との戦闘に気を取られている内に神隠しの外套【深紅の花】を纏った迷彩効果で息を潜めて忍び足で接近し、暗殺技術で不意打ちをします。
「こうなる事は何となく分かってたけど…やっぱり残念だなぁ」(上手く決まったら花弁の幻影と共に姿を現し
「でも、この勝負なら乗ってあげられるよ。思いっきり暴れて清々しく負けてってね。さっき付き合わせた分、今度は私がとことん相手してあげるから!」
ユーベルコードで敵の動きを予測し、残像とフェイントを駆使して攻撃を避けつつ近づくね!
早く動くものを狙うみたいだからダッシュを使う時は小石を投げてから!
近づいたら、鎧無視攻撃と2回攻撃を駆使して怒涛の連撃を!
態勢を立て直した巨大ティラノサウルスが猟兵達へ突撃せんと駆けだしたところで黒い影が走る。
「こうなる事は何となく分かってたけど…やっぱり残念だなぁ」
その正体は神隠しの外套【深紅の花】を身にまとった天月・鳴海(Red memories・f05858)だった。
花弁の幻影を纏いながらすれ違いざまに手に持つ刃を振りぬき、怪人へ一撃を加えるとそのまま距離を取る。
実は彼女、戦闘が開始した時点で身を潜めており不意打ちの機会をうかがっていたのだ。
「でも、この勝負なら乗ってあげられるよ。思いっきり暴れて清々しく負けてってね。さっき付き合わせた分、今度は私がとことん相手してあげるから!」
宣戦布告返しとばかりに宣言する鳴海の前で腹部へ切り傷を入れられたティラノサウルスがシュルシュルと小さくなっていく。
気が付けばそこには元のティラノサウルス怪人が立っていた。
怪人は口元の血を拭うと未だ絶えぬ執念を瞳に宿して不敵に笑う。
「言ってくれるじゃねぇか、お嬢さんよぉ。だが、勝つのは俺だぁ!」
爪を長く伸ばし鳴海を刺し貫かんと迫っていく。
しかし怪人を真っすぐに見据えた鳴海は動かずにいた。
まずは一人とほくそ笑んだ怪人だったが、どうしてか望んだ手ごたえがない。
次に怪人が見たのは──
「自分を…信じる!」
直感を信じ、たった一歩、右に動いただけで攻撃を回避した鳴海の姿だった。
「マジかよ、俺の速度を見切ったってのか!?」
「まだまだ、相手してあげる!」
驚愕の表情に彩られた怪人へさらに刀が振り下ろされる。
一閃、続けてもう一閃。
「ぐっ!くっそ……」
連撃に慌てて距離を取るが、その傷はしっかりと刻まれている。
徐々に、徐々にだが怪人は追い詰められつつあった。
成功
🔵🔵🔴
シェーラ・メルフィーア
食後の運動にはちょうどいいんじゃない?
まあ、だからといって軽くなんて言わないわ。全力で行くのが礼儀よね。
【ウィザード・ミサイル】で火属性の矢の雨を降らせましょ。
「最後はティラノの丸焼きでいかが!?」
得意分野で勝てなかったからと暴れるのはいただけないわねー
決めた勝負なら最後まで貫かないと?
まあ、暴れるのも得意そうだから、それも含むってンなら受けて立つわよ
稲穂・あかり
「勝負に負けてもいいじゃないですかぁ、自分を鍛えてぇ、次勝てばいいだけですからぁ」
「それにぃ、観る方も勝敗の決まったぁ、勝負を見てもつまらないと思いますよぉ」
と説得を試みてみます。
ダメだったら、自分の非力を謝りつつ仕方がないので攻撃
「ごめんなさい……もうあなたに伝えられる言葉を思いつけません」
「このまま、あなたがみんなに迷惑をかける前にぃ、止めますぅ」
そういうと、舞を踊ります。そうすると、彼女の周りに火の玉が現れ、
舞が進むにつれその数が増えます。最終的に16個になります。
そして、怪人を指さすと、全ての玉が怪人に向かいながら一つになり、怪人を攻撃します
「勝負に負けてもいいじゃないですかぁ、自分を鍛えてぇ、次勝てばいいだけですからぁ」
ティラノサウルス怪人がその身を元に戻したことで説得を試みているのは稲穂・あかり(妖狐の戦巫女・f01085)だ。
「それにぃ、観る方も勝敗の決まったぁ、勝負を見てもつまらないと思いますよぉ」
「……悪いな小さいお嬢さん、それでも俺は勝たなきゃいけないんだ!あのキマイラどもも含めて全てに勝たなきゃいけないんだよ!」
一切戦意を削がれることも迷いもなく言い切る怪人。もはや説得は無意味であった。
幼いながらもそれを理解したあかりは少しだけ申し訳なさそうな顔をしながら舞い始めた。
「ごめんなさい……もうあなたに伝えられる言葉を思いつけません」
舞い始めると同時に彼女の周囲に浮かび上がる火の玉。
それを見た怪人は先手を打とうとその身を羽毛モードへ変え、鋭く尖った針のような羽毛を放つ。
舞に集中しているあかりへあわや直撃というところで後方から飛んできた赤い光が羽毛を迎撃する。
「何だと!?」
まさか防がれるとは思っていなかった怪人は驚愕に彩られた表情であかりの後方を見やる。
そこには杖を構えたシェーラ・メルフィーア(百味・f02300)が立っていた。
「得意分野で勝てなかったからと暴れるのはいただけないわねー。決めた勝負なら最後まで貫かないと?」
やれやれと首をすくめながらシェーラは杖を振るう。
それに合わせてシェーラの周りに先ほど飛んだのと同じ赤い光──火属性の魔法の矢が出現する。その数なんと70本。
「まあ、暴れるのも得意そうだから、それも含むってンなら受けて立つわよ。ゴー!」
宣言を受けて火の矢が飛んでいく。見た目にはまるで火の雨といっても間違いではないかもしれない。
「ぐ、だがそのぐらいなら!」
飛んでくる矢を見て怪人が選んだのは、防御だった。
わかっているのならこの羽毛で防ぐことができる。
怪人の判断は正しい、正しい判断だっただろう。そう、相手をしているのがシェーラ一人だけであるならば、の話だが。
「このまま、あなたがみんなに迷惑をかける前にぃ、止めますぅ」
シェーラに気を取られている間にあかりの舞は終わっていた。
今やあかりの周りには16個の火の玉が浮かび、すっと怪人を指し示すのに合わせて1つずつ合体しながら飛んでいく。
「これは、しまっ……!」
失策に気づいたときにはもう遅い。
シェーラの火属性の魔法の矢、あかりの合体した火の玉、いくら攻撃の軽減に優れた羽毛モードとはいえ二人の攻撃を受け止めるには不足していた。
「最後はティラノの丸焼きでいかが!?」
高らかなシェーラの宣言と同時に二人の渾身のユーベルコードが直撃する。
直撃と同時に焼け焦げた匂いと煙が辺りを包む。
やがて煙が晴れた時、そこには身体を火の矢で貫かれ傷口を焼かれながらもまだ立ち上がる怪人がいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ラハブ・イルルヤンカシュ
遂にこの時が来た。
「今こそ大とかげを食べる時」
[野生の勘]と[第六感]を駆使して攻撃を回避し、敵の位置を予測して…捕食者の烙印をもってダメージ覚悟の[捨て身の一撃]で噛みつき、喰いちぎる
ついでに[生命力吸収]と[吸血]で減った体力を回復していく
そして【顕現せし暴食の悪魔竜】を使用
『欠片も残さず喰い尽くす』
三つ首で言いながら二種類のブレス(炎の[属性攻撃]、[マヒ攻撃])で動きを封じて、残りの一つで[生命力吸収][吸血]付きで喰らいつく
『遂に大とかげの丸焼き。いただきます』
後はただただ『喰らう』為に暴れる
ついに、ついにこの時がやってきた。
無表情であるのにどこか歓喜を漂わせ、ラハブ・イルルヤンカシュ(悪魔でドラゴン・f04872)はそこに立っていた。
目線の先はもちろん先ほどちょうど焼かれたティラノサウルス怪人だ。
「今こそ大とかげを食べる時」
瞳をぎらつかせラハブは駆ける、ただ食べるために。
「ああ、そうだったな。嬢ちゃんはずっとそうだったなぁ!?」
もはや呆れか感心か、複雑な感情を乗せ再び怪人は吠える。
おそらくそのままでいたら丸呑みにされそうだとでも考えたのだろう。
「大とかげが巨大とかげになった。食べがいがある」
変身した姿を見ても駆けるラハブはひるまない。
ティラノサウルスから振るわれる尻尾も噛みつきも全て自らの勘で避け接近していく。
それは全てが全て、食べるために他ならない。
「ついに一口」
最接近したラハブに再度振るわれる尻尾。しかし彼女は避けることなく逆に口を開け尻尾へ飛び掛かった。
勢いのまま振るわれる尻尾に食らいつき、ついには食い千切る。
「ぎゃおぉぉぉ
!!!!!!!!!」
痛みに暴れるティラノサウルスをよそに、ペロリと唇を舐めたラハブの姿が変わっていく。
その姿は竜だ。しかもただの竜ではない。一つの体に三つの首を持つ三つ首竜だ。
「「「欠片も残さず喰い尽くす」」」
恐竜と竜ならばどちらが強いのか。その疑問の答えになりそうな光景であった。
それぞれの首が同じことを言いながら、一つは炎を、一つは雷を纏ったブレスを吐いてティラノサウルスの動きを止めさらにこんがりと焼きあげる。
これで調理は完了。そして調理が終わったならばやるべきことはあと一つ。
「遂に大とかげの丸焼き。いただきます」
残された首が怪人に食らいつき、抉る。
念願を果たしたラハブの歓喜の咆哮と肉を抉られた怪人の悲鳴が同時に響いた。
成功
🔵🔵🔴
天月・鳴海
まだ立ち上がるんだ…流石の執念とタフさだね。
でも、そろそろ幕引きだよ。こっちも本気を出させてもらうね…!(真の姿解放、現在出せる最大まで解放し、尻尾が三本に増える
攻めのユーベルコードで決着、もしくは決着に繋がる一撃を!
「全力で─来い!」
ダッシュで一気に接近、襲い来る攻撃は『紅の一刀』で全て両断する心持ちで走り込むよ!
「深紅よ、走れ…私と共に!!」
懐に入り込んだら、致命的な部位を狙う為に外套を脱ぎ捨てて気を逸らすフェイントをかけ、自分はあまり動かずに狙いを定めて一閃。
「深紅の花を貴方の手向けに。撮れ高最高の幕引きでしょ?」
(トドメじゃない場合仲間に「ヨロシク!」といった感じで任せる
※アドリブ歓迎
緋月・透乃
なかなかしぶといね!伊達に恐竜の怪人やってるわけではないってことかな?
とはいえそろそろとどめといきたいところだね。
この一件は大食いで始まったし、しめも食べてからいこうかな。
持参しているおにぎり、にんじん、お肉を食べて【色々食べよう!】を攻撃力重視で発動させるよ!
あとはひたすら攻撃攻撃!グルメツールを投げつけけん制し、その間に接近して重戦斧【緋月】でガンガン攻撃するよ!
攻撃されても気にせず攻撃し続け、相手が間合いを取ろうとしてもすぐに追いかけて斧の間合いを維持し続けるよ。
こっちが倒れる前に倒す、その意気だね!
命の削りあい、存分に楽しみたいね!
稲穂・あかり
「これ以上苦しめたくないのでぇ、一気に勝負を決めますぅ」
そういうと、舞を踊り、その軌跡が複雑な模様を描きます。模様が完成すると、そこから光の帯が天空に伸び、彼女を包みます
光が消えると2mの金毛九尾の妖狐の姿に変じてます
「これで、終わらせます。斬!!」
そして、手に持ったなぎなたを振ると、衝撃波が怪人へと飛びます
倒せたら、元の姿に戻り
「生まれ変わったらぁ、勝ち負けにこだわらないぃ、たのしいふーどふぁいとしましょうねぇ」
と言いつつ、冥福を祈ります
「なかなかしぶといね!伊達に恐竜の怪人やってるわけではないってことかな?」
その身を焼かれ、肉を食われ、ふらついていても未だ倒れない怪人を見て緋月・透乃(f02760)は感心する。
「確かに、流石の執念とタフさだね」
透乃の隣で刀を構え、同様に怪人を見定めていた天月・鳴海(f05858)も同意を示す。
一目でわかる、怪人の負傷はいつ倒れてもおかしくないようなものばかりだ。
猟兵達に刻まれた傷、火傷、食われた箇所からはまだ血が流れている。
それでもまだ倒れないのは耐久に優れたティラノサウルスの姿で勝利への執念を抱え続けているからだ。
「でも、これ以上苦しめたくないですぅ」
稲穂・あかり(f01085)は思う。敵だとしてもこれ以上戦いを長引かせること、苦しめることはないのだと。楽にしてあげるべきだと。
「だから、一気に勝負を決めますぅ」
強い決意を抱いて再びあかりは舞い始める。
右へ、左へ、円を描き、続いていく。
その軌跡は少しずつ模様を描いて──
「そうだね、そろそろとどめといきたいところだね」
あかりの優しさを感じたのか透乃は終わらせるために持参していた荷物をほどく。
出てきたのは三角のおにぎり(梅干し)に生のニンジン、そして程よく焼かれた肉だった。
「もぐもぐむぐむぐ……美味しく食べて元気にいこー!」
それらを一瞬にして食べ終えることでユーベルコードを発動、攻撃力を重視し強化した透乃は躊躇いなく怪人へ突っ込んでいく。
もちろんグルメツールを素早く投げることで怪人の気をそらすことも忘れない。
「ぎゃおぉぉぉぉぉぉ!!!ぐおぉぉぉぉぉ
!!!!!」
「命の削りあい、存分に楽しみたいね!」
そのまま巨大なティラノサウルスを攻撃圏内に収めた透乃は明るい雰囲気はそのままに重戦斧【緋月】を振るい、逃げる隙を与えず攻め立てていく。
「これで恐竜さん、あなたを止めますぅ」
あかりの舞はまだ続く。
前へ、後ろへ、恭しく腰を折り、手に持つ扇を開く。
その軌跡が描く模様は複雑に、さらに複雑に──
「そう、そろそろ幕引きだよ。こっちも本気を出させてもらうね…!」
舞い続けるあかりの姿を視界の隅に収め、鳴海は力強く地面を踏みしめる。
同時、彼女の黒い髪と同じ色をしていた妖狐の証ともいえる尻尾が三本へ増える。
三尾の姿、これが鳴海の『真の姿』だ。
「全力で─来い!」
刀を携え、怪人の懐を目指して走る。
その素早さに理性のない怪人は鳴海を狙おうとするが、攻撃を続ける透乃がそれを許さない。
「深紅よ、走れ…私と共に!!」
ティラノサウルスの懐へと勢いのまま飛び込んだ鳴海。彼女は一呼吸の間を置いてから自らの外套を脱ぎ捨てた。
一拍の停滞、そして”素早く”脱ぎ捨てられた外套。
その瞬間、怪人の視線は外套を追った。それだけで鳴海には十分すぎる隙。
「深紅の花を貴方の手向けに。撮れ高最高の幕引きでしょ?」
振るわれる一閃。それは狙い能わず巨大なティラノサウルスの首元を切り裂く。
だが、ふらつくもののまだ倒れない。しかしこれで十分だと鳴海はわかっていた。
「後はヨロシクね!」
声をかけるのは後方、ずっと舞っていたあかりへ。
「はい、これで……これで……」
ピタリ、あかりの動きが止まる。
今までの舞によって描き出された模様は複雑に絡み合い、ついに完成した。
模様から光の帯が伸び、あかりを包む。
「これで、終わらせます」
光が消えた後には今までの彼女の倍、2mにもなる金毛九尾の妖狐の姿があった。
「斬!!」
気迫と共に手に持つなぎなたを振るう。
一振りで生まれた衝撃波は透乃の横をすり抜け、鳴海が見据える前でティラノサウルスへと直撃する。
衝撃で土ぼこりが舞い視界を覆う。
「ぐ、お……」
怪人からは小さな唸り声が漏れたが、それだけであった。
ズドン
……!!!
──土ぼこりが晴れた後、猟兵達が最初に見たのは元の姿に戻り、そして二度と動かないティラノサウルス怪人の姿だった。
そう、猟兵達はついに怪人を倒すことに成功したのだ!
「とことん相手させてもらったよ。でもやっぱり、残念だな」
一番近くにいた鳴海が怪人の目を閉ざして呟く。
唯一大食い以外で相対した彼女なりに思うことがあるようだった。
「存分に楽しませてもらったよ!一応、ありがとうになるのかな?」
「生まれ変わったらぁ、勝ち負けにこだわらないぃ、たのしいふーどふぁいとしましょうねぇ」
「あ、それいいね!」
何か言うべきかと小首をかしげた透乃だったが、元の姿に戻って冥福を祈るあかりの言葉に同意して笑う。
「ちなみに帰る前に何か食べていくのはどうかな?」
「それならぁ、お肉がいいですぅ」
「私は……おはぎだったら食べられるかな」
こうして猟兵達によって大食い勝負を挑んでくる怪人の事件は幕を下ろしたのだった。
成功
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