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極寒、猟兵裸雪山チャレンジ

#カクリヨファンタズム


「寒い冬にはこれ……?」
 眠たげな、眠たげな眼で、どこからか飛んできた広告紙をそれは拾い上げた。
「火と鉄火だか、ビートでっかだか、知らないけど……許せない……」
 それは、寒さを退ける画期的な服。しかし彼女にとっては天敵とも言うべきもので。
「氷の眠りを邪魔する『服』なんて……無くなってしまえばいい……!」

 ◇◇◇

「てえへんだ、てえへんだ!」
 子墨・次郎吉(ねずみ小僧・f30682)は慌てふためいて、バタバタと両手を扇いだ。
「幽世から服が無くなっちまったんだ!」
身に纏うもの『服』が無くなった世界は、吹雪が視界を覆うような『極寒の世界』になってしまったらしい。
「そんで寒さに弱っちまった妖怪に骸魂が宿っちまってオブリビオンになっちまってんだ。どうかソイツらを助けてやってくれ!」
 オブリビオンになった妖怪は、倒すことで元の妖怪に戻すことが出来る。
 だが、防寒着も無くなった世界で、妖怪達が凍え死なないようにするには、元凶を倒さないといけない。
 その元凶がいるのは、雪山のてっぺん。そこまでオブリビオンとなってしまった妖怪達を助けながらそこまでまず辿りつく必要がある。
「多分転移したら、カタストロフィに巻き込まれて、服は全部すり抜けるみたいに風に拐われてどっか行っちまう」
 吹雪で真っ白だから、近付かれない限り問題はないだろうけど、服で軽減できないなら、なにか寒さの対抗策を考えないといけない。
 寒さで動きが鈍ったら、オブリビオン化した妖怪にも負けてしまうかもしれない。
「でも猟兵ならきっと大丈夫だ。宜しく頼んだぜ!」
 信じて彼は送り出すのだった。


熱血漢
 第一章、極寒の世界に、一糸纏わぬまま寒さをどうにかしてオブリビオンを倒して、妖怪を助ける場面です。
 普通にオブリビオンとして倒せば、妖怪は助かります。

 第二章で、ボスと戦い。
 第三章で、吹っ飛んでいった服を探しにいきます。

 ではプレイングお待ちしています!
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第1章 集団戦 『『剣客』雪だるま』

POW   :    雪だるま式に増える
自身が戦闘で瀕死になると【仲間】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    抜けば玉散る氷の刃
【その手でどうやって持つんだかわかんない刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    雪合戦
レベル×5本の【氷】属性の【雪玉】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
有栖河・鏡
◎☆

うぉぉぉぉ!さみぃぃぃ!
が!だ、が!
一糸纏わぬ裸体で野外ってたまんねぇぇぇっ❤️
くひひ…興奮し過ぎてタっちまったぜオイ!

そう、これだ、この境地こそ【意馬心猿】の極地!
もう寒さなんか感じねぇ!

オラオラオラいくぜぇ!
俺様の檄エロなアレを目に焼き付けてる間に気持ちよく逝かせてやるぜ!

吹雪の中でも【野生の勘】で敵の位置を【見切り】【切り込んで】【暴力】的な【我流の剣術】を駆使して【切断】【部位破壊】【串刺し】にしてバラしてやるぜ。
反撃は【咄嗟の一撃】で【受け流し】だ。

戦いが終わったら使い魔の【たま】(ボクっ娘)を呼びつけて、次まで暖を取るぜ。
何なら運動でもしながらな❤️



「うぉぉぉぉ! さみぃさみぃぃいいッ!」
 ごうごうと吹く吹雪の中、そんな声が響いていた。
 風に流れる黒の長髪。整った端正な顔立ち。服の無い世界で白い肌を隠さないその姿を、男が見たのであれば思わずに顔を反らすか、それとも食い入るように見つめるか。
 だが、ようよう見ればその股の間に生る立派な果実を見れば顔を青ざめるだろう。
 有栖河・鏡(悪に咲く狂刃・f22059)。『彼』は容赦なく彼の体を乱暴にまさぐっては凍り付いた舌で温度を奪う寒風に、しかし、心から溢れる笑いを上げる。
「一糸纏わぬ裸体で野外ってたまんねぇぇぇっ❤️」
 喜悦に歪む笑み。
 悴む指先の温度で張り付く唇を溶かす。生の風が体にあたる感覚。足が雪を跳ねて、胴体について溶けた水が滴るむず痒さ。そして。

 ――それを見ている相手がいるという興奮。

 縮こまるはずの海綿体に血が滾り、熱を発して鎌首をもたげ上げる。
「くひひ…興奮し過ぎてタっちまったぜオイ!」
 鏡は日本刀を一気に引き抜くと、真っ白に染まる吹雪の帳へと振り下ろした! と同時に、向こうから現れた切っ先が走る。
 鏡の胸の皮を僅かに削いでいた。
「ああ、外したか? 良いじゃねえか、良い、良い!!」
 悴んだ指に少し剣が乱れた。なら修正すれば良い。傷の痛みが、熱が冷えた体を忘れさせてくれる。
 痛い。凍る傷が皮を引っ張る。
 気配がする。殺そうとしている気配。一体じゃない。複数で囲んで、刻んで、貫いて、殺そうとしてやがる。
「オラオラオラいくぜぇ!」
 白い視界の向こうで何かが蠢く。その一瞬後に伸びた刀を、鏡は掲げた刀の刃に滑らせては、その先にいた何かを、雪だるまを袈裟斬りに切り捨てた。
「俺様の檄エロなアレを目に焼き付けてる間に気持ちよく逝かせてやるぜ!」
 裸足が雪を蹴り飛ばして、鏡は滾る体を凍る闇に走らせた。

 ◇◇◇

「さて、親玉はまだ先かァ、どう思う?」
 鏡は、雪だるま達をざんばらに切り刻んでから呼び出した化け猫のたまに問いかけ、その人間体の体を抱いて、山頂を目指すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
くっ…
…(行きたくないが、我ながら適任すぎる…)

…(氷を体に纏うのは無理でも…氷塊を周囲に生み出し、視線を遮る事はできるはず…!)
…(服がなくとも冷気耐性と、氷竜の肉体がある…魔力を操り、ある程度逸らすこともできる…)
…(この程度で凍りつくわけには…)

…(凍りはしないが…しかし雪が体に張り付く…体が真っ白に…)
…(…ん?これは使えるのでは…?)

…(全身を覆う雪を利用して、雪像に擬態する。敵に見つからないようにゆっくりと歩き、時々立ち止まり敵の目を欺く)
…(そして敵を射程内に捉え、狙撃魔杖カシュパフィロから氷塊を射出。一撃で撃ち抜く。撃った後は敵が騒ぐだろう…あえてその場に立ち止まり雪像のフリ)



 試しに氷で作った服、というか鎧が体をすり抜けて砕け散って、白い滑らかな鱗が風に晒される。
 氷を纏うのは服判定らしい。
「くう……っ」
 チル・スケイル(氷鱗・f27327)は静かに歯噛みした。
 氷を自在に操る氷竜の鱗はそう簡単に凍り付くことも無ければ、そもそも冷気への耐性は高い彼女にとってはこの極寒も、魔力で冷気を操作すれば、ある程度体温低下を防ぐ事もできる。
 問題は、彼女がれっきとした文化人である、と言うことだった。
(……氷塊で視線を遮る事はできるはず……)
 吹雪に真っ白で視界が悪い上、そうそう誰かに出会うような状況ではない。とはいえ、この真裸でいるのを誰かに見られたとして、チルは平気な顔などはいられない。
 乙女である。恥じらって何が悪いというのか。
 本当は来たくなかった、が。前述通り、この事件、その環境。
(……我ながら適任すぎる)
 というわけで、周囲に氷礫を浮かべながら進んでいく。
 風が雪を運んで肌に張り付いていく。触れても溶けない雪は、払ってもすぐに運ばれる。いくらかは周囲の氷で軽減しているが、すぐに体が真っ白に染まっていく。
(この程度で凍りつくわけには……、ん?)
 と、チルはそこでふと気づく。
 雪が体に積もっている?
(これは……使えるのでは……?)

 ◇◇◇

 どうやって歩いているのか分からないが、雪だるまのオブリビオンが、雪山をさまよっている。
 そして、ふと見慣れないものを目に留めて、彼(?)は立ち止まった。
 良く出来た竜人の雪像だ。抱えている白い棒状のものは杖だろうか。
 一体が立ち止まれば、周りにいた雪だるま達もわらわらと雪像鑑賞に勤しんでいた。
(鱗の質感がまるで間近で観察して緻密に再現したようだ、腕が良い)
(今にも動きだしそうなリアリティ、絶対零度の如く情熱を感じるな)
(この涼やかな顔立ちが堪らん)
 と、身を寄せあう彼らがそんな事を言っていたのかは分からないが、一通り雪像を見終わった彼らが、再び歩きだそうと背を向け少し離れた、その時。

 ヒュバァン!!

 そんな音と共に一体の雪だるまの頭が弾け飛んでいた!
 一拍を置き、事態を飲み込んだ雪だるま達は周囲を見渡した。狙撃による一撃だとわかる。だが、この視界の悪さ、強風。
 超遠距離からの狙撃は難しいだろう。だが、雪だるまの吹雪に慣れた目にも、怪しいものは映らない。
 明らかに攻撃が放たれたとあれば、彼らはその敵を見つけんと、徐々に捜索範囲を拡げてゆく。
 そして――。
 バアン! と再び雪だるまが倒れ、それに視線を釣られた他の個体が続けざまに、撃ち抜かれる。
 どこから……ッ!
 そう周囲を見るも、あるのは先程の雪像だけで。
 その雪像が動いたような気がしたその瞬間。
 雪像が持っていた杖の――いや、チルの持つスナイパーライフルに似た魔法の杖の先から氷の弾丸が放たれ、雪だるまは上の球を吹き飛ばされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヤコ・ナゴ
ケモセーフでもしょべるくんの中にいれば割と寒さは凌げる!
そう思った矢先にしょべるくんのエンジンキーが吹雪で吹っ飛ばされました。なんでですかあ…
羽毛である程度凌げるとはいえホントある程度だから割とどうしようもないんですよね…

ぶはっ(顔面に雪玉直撃)
泣きっ面に雪玉ですかそこの雪だるまぁ…(置物と化したしょべるくんの影に隠れる)
いいですよ…たっぷり返して差し上げますから…(雪玉を作る)(雪玉を嘴でつついて石に変える)(石を芯にした雪玉を作る)(この工程を何度も繰り返して石入り雪玉を量産する)
死に晒せぇ!ついでにそのマフラーとかよこせぇ!!(大人げなさ全開の石入り雪玉投擲攻撃!)



「ふふふん、裸だろうと構いませんよ」
 到着早々、着ていた服一式どこかに吹き飛んでいったヤコ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)は、しかし余裕の笑みを浮かべる。
 寒さにガチガチと嘴は鳴っているが。
 しかし、彼には羽毛がある。全裸だろうとあんな所そんな所は羽毛で隠れている。いわゆるケモセーフである。しかもある程度暖かい。
 更に、彼は自らの愛キャバリア『しょべるくん』と共に転移して来たのだ。
 寒かろうが、風が強かろうが、機内にいれば問題なし。
「能あるコカトリスは転ばないように杖をもつのでぶぁッ――!」
 ヤコが、誰も見てない所で自慢げにコクピッドへと上がろうとしたその時、不意に突風が吹き。
「はわわわ、さぶさぶ、早く中……に……」
 気付けば、摘まんでいたエンジンキーがどこかに行っていた。
「……?」
 足下には落ちてない。
「……ん?」
 しょべるくんの周りをぐるりと見ても落ちてない。
「……ッスー……」
 羽毛が暖かい、といってもやはりずっと風に晒されていると話は別だ。冷えてきた体を震わせて、絶望に声を震わせる。
「えぇ……なんでです――」
 その瞬間。
 肩を落とすヤコの数センチ手前にまで、雪玉が近付いていた。
「く、ぉ、あ」
 そして、それは、頬にめり込み。
「ぶぁ!」

 炸裂――!

 ◇◇◇

 犯人は分かっている。
「泣きっ面に雪玉ですか、そこの雪だるまぁ……ッ」
 置物と化したしょべるくんを壁にして、数の差を感じとる。だからどうしたというのか。
 今のヤコに、もはや情け容赦は無い。
「私にこの手を使わせた事誉めて差し上げますよぉ……」
 お手軽ヤコ直伝コカトリス流雪合戦必勝法、雪玉作製編。

 掌で小さい雪玉を作り、嘴でつつく。
 石化させる。
 周りに雪をコーティングする。
 完成。――大量の雪玉(石入り)の山が出来上がっていた。

「よし」
 よし、じゃないが。
「死に晒せァ!! ついでにそのマフラーとか寄越せァるァンッ!?」
 レギュレーションも倫理も捨て去った、バーリトゥード雪合戦――。

 今、ここに勃・発!!

 なお、マフラーとか唐笠は、雪だるまを倒したら一緒に消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鼬川・琥太郎
☆◎
まあ言うてこちとらイタチやで?毛皮もあるし冬毛にもなったとこやし、そもそも寒さには割とつよいタイプのアレだし寒さはよゆ…いやさっむ!
いや多分、毛がなくて寒さ耐性がない人間とかより全然マシなんだろうけど寒いもんは寒いわ。いや寒さってすごいわ。まあ我慢できんほどではないけども…。

服がない事に関しては特にあんまり気にせんしなぁ。
それより雪で視界があんまり良くない方がめんどくさいかもなぁ。こっちの攻撃的には近づかんといけんやつしかないからなぁ。
もうちょっと見えれば近づいて斬るねんけど…でも動いてた方がまだマシだろうしチャッと動いてピャッて斬る感じかなぁ。

(金玉がデカいですが、ブツは小さいです)



「まあ言うてこちとらイタチやで? 毛皮もあるし冬毛にもなったとこやし、そもそも寒さには割とつよいタイプのアレだし寒さはよゆ…いやさっむ!」
 鼬川・琥太郎(雑種系イタチ妖怪・f28181)は、話しながら転移の光に包まれて、風にまかれた瞬間に、体を震え上がらせていた。きゅう、と琥太郎の大きなお社様も縮こまり、ご本尊が隠れて見えもしない。
「いや、普通に寒いわ! なんやねん、私の服どこいったん!? いや、どっか行くんは知ってたけども」
 雪かそれよりも軽い調子で攫われていった服一式に文句を言って、肩をすくめたまま歩き出す。
『普通に』寒い。とはいうが、カタストロフの極寒下で、普通に寒いだけに留まっているのは、毛がなくて寒さ耐性がない人間とかより全然マシなんだろうというのは、何となくわかっているが。
 寒いものは寒い。
「いや寒さってすごいわ。まあ我慢できんほどではないけども……」
 さくさくと、雪を鳴らしながら、たしたしと足を進める。
 琥太郎自身、服がない事に関しては、あんまり気にしてない。普段からして褌を晒してるわけだし、なんなら、衆人の中で褌もなくなっても『どこ行ったんかなあ?』くらいにしか思わないかもしれない。
 恥ずかしい、とかより、まず、お縄に付けられる心配が先に来る。
「……見づらいなあ」
 というわけで目下の問題は、真っ白に染まる視界だった。
 こう雪しか見えない景色だと、そこらにオブリビオンがいてもまるで気付けない。
 例えば、今このように。
「のぉわあ!?」
 先に、何かがちらっと見えたな? と思った瞬間、刃が飛び出してきたのを四つ足をついて回避した瞬間に、刃が切り裂いた風の間から、1メートル程も離れていない所に接近していた雪だるまのマフラーが揺れた。
 もっと先の岩か何かが見えたと思っていたけれども、予想よりも断然近い場所だったようだ。
「うへえ、囲まれてそ……」
 なんとなく嫌な予感がして、ばっと飛び出せば背後に刀が落とされるような音がする。どうにも場所はばれているらしいし、動いてた方がマシだろう。と琥太郎は体に風を纏わせると、雪だるまを風の太刀でなで斬りにして駆け出していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽・ノエル
◎☆
WIZで判定。

…まぁ、こういう時は素直に退避するとしようかね。

【幻影陸軍】を発現、兵士と共に現れる装甲兵員輸送車に乗り込む。
外よりはマシだろうし、【環境耐性】とも合わせて寒さ対策は問題ないよね。
兵士に関しては幽霊だし寒さは何とでもなるよね。

敵に対しては車中から【戦闘知識】を元にして指揮をとるかな。
幽霊兵士のアサルトライフル掃射による【範囲攻撃】で数を減らしていくとするよ。
完全防備の兵士が200人以上いるし、これで充分だよね。
まぁ、俺も車内から自前のアサルトライフルで多少の支援はするよ。
全裸にアサルトライフルとかシュールな絵面だけど…まぁ威力は変わらないし問題なし、と。



 数秒で、肌が凍り付いていくようだった。
 思わず太腿の付け根に手を添え、血管の多いそこからの熱放射を遮りながら神楽・ノエル(矛盾少女・f24548)は、もし裸でこんな仕草をする女の子がいたら、思わず見いっちゃうだろうなあ、と益体もない事を考えながらパチンと指を鳴らす。
「……まぁ、こういう時は素直に退避するとしようかね」
 すると、雪の帳をかき分けて装甲兵員輸送車が現れ、その中から200を超える完全武装の兵士が現れた。
「こっちは、服着てるんだ」
 とノエルは、防弾チョッキやらを着込んでいる兵士の幽霊たちを恨めし気に眺めながら、入れ替わるように装甲兵員輸送車に乗り込んだ。
 風が遮断されると体感温度は、まったく違うようになる。じっとしていればもっと肌の境膜が温度が奪われるのを防いでくれるだろう。が。
「何もしないわけにもいかないよね」
 冷えた座席に直接座りながら、尻を撫でる冷たい革に身を震わせながら、輸送車の周囲に兵士を歩行させながら、進む。
 当然そんな大がかりな行軍。嗅ぎ付けられないはずはなく。
 弾丸のごとく放たれた雪玉が、車両の装甲を激しく叩いた。同時に、いくつかの兵士に直撃して、あたりどころが悪かった兵士の幽霊が散って消える。
 素早くノエルは、車内にかけておいたアサルトライフルを握り、雪玉の方向や数から敵の規模を計算する。
 数は、そこまで多くないが、固まってはいないようだ。
「来たか、――進行方向正面! 目視は難しい、左右陣形ごとに散らし、掃射!」
 号令を放った瞬間に、銃声が吹雪の音をかき消すような轟音が、はじけた。抵抗するように白い雪玉が駆け、鉛がそれを覆いつくすように放たれる。
(全裸にアサルトライフルとかシュールな絵面だけど)
 ノエルも、車内からアサルトライフルで銃撃支援を行いながら、引き金を引いて反動を全身に響かせる。
「……、撃滅した、か?」
 数秒も経てば、雪玉の弾幕は消えうせ、あとはごうごうと吹雪の叫びが響いているだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『冷凍睡眠・アイスラヴァー』

POW   :    凍眠への誘い
【眠たさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【雪だるまの大群】から、高命中力の【睡眠毒と冷凍ガス】を飛ばす。
SPD   :    凍てつく体
【凍てつく冷気】を籠めた【氷の杖】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【凍結耐性】のみを攻撃する。
WIZ   :    凍眠する世界
【自らも朦朧とするほど、睡眠毒と冷気の力】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
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「……、ええ……なんか来たんだけど」
 極寒の中心で、ぼやいた元凶、アイスラヴァーは、自ら展開した冷気と睡眠ガスの中に入ってくる気配に、閉じていた目を開けた。
「寝かせてほしいんだけど……、あと五分、……いや、やっぱり五百年くらい……」
 目を開けた、と言いつつ、半分閉じて、眠気に朧げだが。
「大丈夫、『凍眠』してればあっという間だし……」
 目も眩むような睡眠欲が襲う、吹雪の中で猟兵達は、アイスラヴァーと相対する。

 ◇◇◇

 第三章

 寝るな、ねむったら死ぬぞ! てきな敵です。
 寒さと眠気に耐えながらの戦いになると思います。

 プレイングお待ちしています!
※訂正

×第三章
〇第二章
チル・スケイル
引き続き雪像な姿
アドリブ大歓迎

…(この雪像めいた姿…)
…(思ったより全裸と変わらない…恥ずかしい!)

…!?(体が硬い…動けない!)
…(さらに強まった冷気で、全身の雪が固まったのか?本当に雪像になってしまった…)

…(寒さは平気だが、眠気まで…意識はまだある…このまま戦うしかない)

…(氷竜様の霊を召喚。私は魔力供給に徹する)
…(凍気はともかく、氷塊の質量による攻撃は普通に有効だろう)
…(氷塊に冷気を浴びせても、大きくなるだけ。攻撃力も上がる)
…(たとえ私が眠ってしまっても、霊は寝ない。寝ないはず)
…(氷竜様にも自我はある。自立行動して戦ってくれるはず)



 チル・スケイル(氷鱗・f27327)は気付いてしまった。
 冷気を操って、降りかかる雪を体の表面に固着させた雪像を真似た姿。それによって裸を覆い隠す革新的な一手。
 と、思っていたのだけれども。
(思ったより全裸と変わらない……!)
 そう、均一に肌からの距離に押し固めているような姿は、結構うまくいっていた。クオリティが高いのは、チルの操作能力の賜物だろう。
 鱗の質感とか、髪の房とか、その他いろいろの体の凹凸も結構きれいに再現されてしまっているわけで。
(……恥ずかしい……ッ!)
 寒いのに、体温が上がっていく、そんな不思議な感覚を覚えながら、チルは気配を感じた。
 オブリビオンのそれだ。
(近い……、っ!?)
 風が一瞬にして変わる。
 それは、今まで辛うじて自然災害的に吹いていた風が、明らかに何かしらの力を受けて暴れる冷気に――それも、制御下に置いていた雪をそのまま氷へと変えられてしまう力。
 雪像を真似た姿、ではなく、もはやチルは真白くきめ細やかなに写実的に作られた雪像そのものとなってしまっていた。
(……っ、だけ……じゃない)
 一瞬、ふわりと体の浮くような睡魔に襲われて、どうにか持ちこたえる。一瞬で制御を奪われたのは、この睡魔も関連しているだろう。
(単純に、力の差……じゃないのは朗報)
 絶対絶命な状況ではあるが、打てる手がないわけじゃない。
 動けないなら、動かなければいい。
(意識はある、魔力は廻せる……このまま戦うしかない)
 固まる全身に、どうにか力を振り絞り、息を吐く。雪の隙間から抜け出た吐息がチルの魔力を帯びて冷気に混ざり、凍てつく青を纏い燃え上がる。
 雪像を守る様に、そこに顕れたのは一体の竜。偉大なる氷竜だ。
「――」
(いた)
 膨大な冷気が氷竜の支配に乱れた切れ目から、気配が漂ってくる。だが、チルが思考できたのはそこまでだった。
 全身からしみ込んだ強烈な催眠毒が、チルの意識を冷たい帳の向こうに閉ざしていく。
(――あとは……)

 ◇◇◇

「……おおきいね」
 アイスラヴァーは、依然その眠たげな表情を崩さずに、雪を張り付けていたから都合がいいとそのまま睡眠毒を染み込ませて固めた誰かを守るドラゴンを見上げた。
 一瞬、冷気の制御が奪われたけれども、雪像の中の術者が眠りに落ちて魔力の供給が少し不安定になったようで、すぐに制御を取り戻す。
「そっか、……どうにか、しないと」
 ビキキキ、と音がする。氷のドラゴンの周囲に氷の槍が生まれている。冷気の奪い合いはまだ勝てた。でも、氷をぶつけられたらたまらない。
 氷の杖を手に、その氷塊をどうにか逸らそうと考えを巡らせた、その瞬間。
「――」
 嘶きと共に、巨大な氷の槍が宙を駆けぬいた!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヤコ・ナゴ
【ゴリ押しPOW】あ、ヤバい…なんかすごく眠くなってきました…
少しだけ…少しだけ仮眠を―――

………そういえば
まだしょべるくんの修理資材代の決済が終わってませんでした。
ヤバい寝てる場合じゃない!!!寝たら(未払いからの延滞金とかモロモロで経済的に)死ぬ!!!!!
(ヤコは興奮状態で無理矢理覚醒した!)

お願いだからまだ寝かせないでください!!ガチで寝かされると死ぬんですよ!!!
(ヤコはしょべるくんから持ち出したアサルトライフル(海賊版)を連射した!なお興奮状態なので狙いは雑)
多分寝て死んだらそれこそ*あーん*な仕事で稼がなきゃいけなくなりそうなんでそれこそ(社会的に)死ぬんですよ!!



 動かない雪玉避けの障壁と化したしょべるくんから持ち出したアサルトライフルを抱えて進むヤコ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)は。
「あ、ヤバい……なんかすごく眠くなってきました……」
 急に襲ってきた眠気にたたらを踏んだ。
 なんかすごい眠い。
 なにがどう眠いかといえば、とても眠い。寒さも感じないくらいなんかぎゅぎゅっと眠い。
 なんというかこのまま寝ちゃっていいんじゃないか、ってくらいに眠い。
(……少しだけ……少しだけ仮眠を、……ああ……でも、何か月かだけ。依頼……でも、まあほかの猟兵の方がいるわけですし……)
 すん、とヤコは目を瞑って――。

 そういえば、しょべるくんの修理資材代の決済終わってなかったんじゃ?

「ッッ! ヤバいッ!!! 寝てる場合じゃない!!!」
 ガバア!! と跳び起きたヤコは自分の頬に往復ビンタをかまして、駆け出した! 体温が低下すると思考が鈍ってそのままぐっすりだ。
「寝るな! 寝ちゃダメですよ私! 寝たら死にますよ!」
 主に、未払いからの延滞金とかモロモロで経済的に。
 固有資産で一番即金になるのはしょべるくんだが、こっちに呼び出してきている。差し押さえは無いだろうけれども、それならそれで、やりようがあるのは知っているし、なんならそっちの方が悲惨だ。死んだものとして何もかも奪われ、生きてると判明した瞬間、更に搾取され追放され、最悪、正規ルートから一切資材を手配できなくなる。
「お願いだからまだ寝かせないでください!! 寝かされるとガチで死ぬんですよ!!!」
 猪突猛進、というか。
 わき目も振らず一気にオブリビオンの気配へと突進していくヤコは、ひしひしと感じる危機感に、裸だとか、近くにほかの猟兵がいるかもだとかそんなことは考えずに、ひとまず言葉を紡いで頭を寝かせないことだけを考える。
「ちょっとアレな感じのが一番金回りがいいんですよ! それに、私結構需要があるらしいので! くそったれな体験で身に染みてるのでッ!!」
 最近つぶれた国の地下で、さんざん思い知らされたは記憶に新しい。大金を払って、そのクソ野郎が『研究対象』を仕入れてる話も聞かされた。
 なんなら、そっちの方で名が売れてしまったなら、社会的な死だ。
 経済的と社会的な、二重死。勘弁である。
「アアアアッッ!!」
 もはや言葉になっていない声と共に、気配に向けてアサルトライフルを連射する。果たして、狙いも雑に放たれたそれが、ついにヤコが眠気に負けて倒れ伏すまでどれだけ命中していたのか。
 それは神のみぞ知ることであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖河・鏡
◎☆
おぉぉ…やっぱさみぃ…クソ、なんか燃料燃料……おっ❤️
いるじゃんいるじゃん、吹雪でもハッキリ見えるぜぇ!やたら厚着しててもハッキリ分かるぜぇ!
テメェは、めちゃシコにマブイのがよぉぉぉぉ!

【野生の勘】によりアイスラヴァーがめちゃマブな事と居場所を完全に【見切り】【切り込む】

オラオラオラオラァァァ!
俺様はもうギンギンなんだよ!この一発をブチ込んでやるぜぇぇぇ!

【咄嗟の一撃】であらゆる障害を【受け流し】ながら近接し【グラップル】で組みついて、そのまま【鬼崩し】をブチ込み、膝とか諸々を打ち込みまくって身体の熱を高めつつ欲求は発散しちまうぜ。



「なんだよ、呆気なくイッちまいやがって……」
 ザクザクと雪を踏み荒らしながら、有栖河・鏡(悪に咲く狂刃・f22059)は凍える雪風に身を晒したまま進む。
 剣と剣の命の取り合いで昂った熱は、未だ冷めやらず、痛いほどに天を突くように脈を打っている。
「クソ、なんか燃料燃料……――」
 この気持ちのいい感覚を忘れぬような何か。それを求めて気の向くままに歩を進めていた彼の脳裏に、痺れるような目眩が走る。
「おっ❤️ いるじゃんいるじゃん……吹雪でもハッキリ見える……ハッキリ、分かんだよ!」
 吹雪で視界は閉ざされている。だが鏡にははっきりと分かった。
 この目眩は眠気だ。滾る体が、その熱を発散もせずに眠りにつこうとしている。そんな不条理を押し付けてくる存在が『この先』にいる。
『そこ』にいる。
「めちゃシコにマブイのがよぉぉぉぉ!」
 迷いもなく吹雪を突っ切る。雪に毒が混ざっていようが構わない。今すぐ体に巡るこのどうしようもないマグマのようにどろどろとした欲を吐き出したくて仕方がない。
「オラオラオラオラァァァ!」
 雪も風も、鏡の足を止めることはかなわず、気付けば鏡はアイスラヴァーの眼前に辿り着き――その胴体に強烈な膝蹴りをぶっぱなしていた!!
 ドバア!! と爆発するような音がしてアイスラヴァーが吹き飛んだ。その瞬間、鏡の肌に液体が降りかかる。
 一瞬で警告が脳を埋めるが知ったことじゃあない。アイスラヴァーが吐き出したそれを一つ舐めとって、顔に笑みを張り付けた。
 まだ足りない。この熱はまだ滾っている。
 眼前に広がる先程まではいなかった影を、鏡は睨み付ける。
 睡眠毒と冷気を操る雪だるまの大群。アイスラヴァーにもう一度辿り着くには、そいつらを一掃する必要があるのだろう。
 足がふらつく。
 間近で浴びた毒に瞼が重い。
 だが。
「は、まだまだブチこみ足りねえんだ……こんな欲求不満のまま、ぐっすりおねんねなんざ出来るわけねえだろ」
 鏡は、刃を握り、雪だるまににやりと笑みを返した。
「まずは、全員相手してやる……テメエらは簡単に――イッちまわねえでくれよなァア!?」
 吠えるように鏡は、雪だるまの群れへと飛び込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鼬川・琥太郎
◎☆
寒いと眠くなるって本当だったんだなぁ…。急に眠くなってきたわ…。
まあさすがに冗談だけども、寒さと眠気ってのは厄介だなぁ。
身体ががっつり固くなりそう…眠気はなぁ。
まあいつも割と眠いときあるけど。
眠気がめちゃくちゃえぐい時ってあれよな、血流が一部に集まる時あるよな。バレへんと思うけど。
少なくとも体を動かして何とかごまかすしかない…わなぁ。

身体が若干固まっても動いて斬っていけばセーフやんな?
足が固まったら…まあその時はある程度ダメージ与えたってことであとはもうほかの猟兵に任せて氷像になる覚悟決めてポーズか何か決めまくっとこう。
凍るならまあギリ死なんやろ。
そうならんのが一番だけども…。



「寒いと眠くなるって本当だったんだなぁ……急に眠くなってきたわ……はぶ、ごほ、ごっほ!?」
 はうあ~、とあくびをした瞬間に、雪が喉に入って盛大に咳き込んだ鼬川・琥太郎(雑種系イタチ妖怪・f28181)は思わず涙目になりながら、雪に文句を吐き出した。
「冗談やんけ冗談! ……はあ、でもまあ寒さと眠気ってのは厄介だなぁ」
 息を整える。咳き込んだお陰で少し眠気を忘れたけれども、長続きするとは流石に思えない。
 立っているだけでも、ふらふらと揺れる感覚がある。ついさっきも気が付けば雪の布団に倒れ込んでいてもおかしくない状態だったのだ。
「てか、ちょっと歩きにくいし」
 それくらい眠いし、それくらい眠いと、眠いときの生理現象もなんだかんだ起きやすくなってしまう。
「――いや、なんつうか、ほら、疲れナントカとか寝ぼけナントカとか言う奴」
 ナントカ、というよりナニではあるような、現象だが、むずむずするような感覚が微妙に煩わしい。
 そんな眠気に苛まれる琥太郎だが、勿論敵はそれだけではなくて、吹き荒れる冷風も勢いを増して、数秒じっとしているだけで体の節々に氷が張って動けなくなっていったりする。
「動き鈍くなってるのは分かってるし……」
 霜か氷かも分かりづらい雪の塊を、纏わせた風で剥がして琥太郎は、思いっきり踏み込んだ!
「あんまりのんびりはあかんよな……!」
 向かうはオブリビオンの気配。
 一足飛びにその気配へと肉薄し、殆ど腕に沿わせるような形で顕現させた風の刃を一閃する。
 ざぱん――! と確かな手応えを感じながら、琥太郎は着地しようと体勢を整えたその時。
「のあ……っ!?」
 唐突にバランスを崩して、横倒しのまま雪に突っ込んでいた。
 何の事はない、いくら元が小さかろうが、足の間に硬いものを挟んで激しく動けば制御もくずれるという者だ。
 そして。
「あ、これアカンやつ」
 どうにか立ち上がった琥太郎は、踏み締めた足がまるで重いブーツを履かされたように動かないのを見下ろして、そう呟いていた。
 固まっている。なんか風をぶつけてもどうしようもない感じに。刃でざっくりいけば抜けれるかな? な感じに。
 琥太郎という男。人生諦めが肝心と悟った。tまりは。
(……、よし後は残る猟兵の人らに任せるか)
 やるだけやったから後は他人任せである。
 ひとまず発見されたとき、何かしらリアクションが欲しかったので、何処か遠くを指差して、希望と威厳に満ちた表情を作ってから動きを止めたのだった。

 ◇◇◇

 アイスラヴァーはそうこうしている内に撃破された。
 ひとまず、解放された琥太郎は、一部に集まっていた血液がちゃんと全身に正常に戻っていっていることを確認してから、ほうと息をついたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『妖怪かくれんぼ』

POW   :    気合いで見つける

SPD   :    いろんな場所を歩く

WIZ   :    わざと驚かされる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 アイスラヴァーを撃破し、オブリビオンと化した妖怪を救いだした猟兵達。
 妖怪達は猟兵達への感謝の気持ちを伝えようと――

 猟兵達がカタストロフの際に落とした服とかを持って山の中に隠れてしまった。

 かくれんぼで楽しんで欲しい、そして見つけられたらご褒美として服とかが返してもらえる。なんて嬉しい恩返しなのだろうか。
 楽しんで、なお、服がも返してもらえるなんて。
 直接返せ、とかありがた迷惑、とか言ってはいけない。
 いや、いいか。言っても良いけど納得しないマイペース妖怪達は、既にお宝を持って隠れてしまった。

 そのまま帰るわけにもいかないし、妖怪を見つけて、無くしたものを返して貰おう。

 ◇◇◇
 
 第三章、 かくれんぼです。

 寒くはないです。
 基本お好きに。プレイングお待ちしています!
ヤコ・ナゴ
はぁ…ようやく終わった…ようやく………


…(未だに置物になっているしょべるくんを見る)(ツナギとエンジンキーを持って行った妖怪を思い出す)

ほんっとありがた迷惑なんですけどお…(げんなり)
とりあえず服返しなさいってぇ…いくらケモセーフとはいえですねえ…流石に作業着とエンジンキー持ってかれるのは困るんですよお…
(先の戦闘でテンション使い切ったからか割と元気が無さげ)
ねえ、どこに行ったんですかあ…
(山道をとぼとぼ歩く)
返してくださいよお…
(かわいそう)



 果たして、これは何だろうか。
 触れてみた。
 冷たい。
 こんなにしょべるくんは冷たかっただろうか。
 いや、でも、自部が触れたところが少し暖かい。それを思えば、ようやく終わったと実感できた。少しの間豪雪の中に放置してはいたが、動力系統は無事だろうか。
 ヤコ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)は、ツナギとエンジンキーを持って、韋駄天のごとく何処かへと消えていった妖怪を思い出す。
(……追剥に遭ったみたいですね、……いや、遭ったのか、なにも違わないじゃないですか)
「はあ……ほんっとありがた迷惑なんですけどお……」
 げんなりと言葉をこぼしたヤコは、なんかもう涙も出ない憔悴具合で、しょべるくんに背を向けた。
 この山のどこかに隠れている。
 らしい。
「え、ほんとぉ?」とか疑う気力ももうない。
 それでも歩きを止めないのは、流石に作業着とエンジンキーを持っていかれたまま帰るわけにはいかないからだ。
 キャバリアでどこかに出かけて、全裸を楽しんでいて鍵を無くしたんだなあ、と生暖かい目で見られかねない。いや、悪乗りのする連中の目に触れれば、コクピッド内はいつも全裸だのなんだの、ありもしない噂を流されるだろう。
「……困るんですよぉ……返しなさいってぇ……」
 ケモセーフだ、ケモセーフだと言っていても、限度がある。裸には変わりないのだ。
 力のない声が山間に響く。
 いや響きもしない。なんというか、数メートル先にべちゃ、と落ちる反響だけが辛うじて聞こえるような。そんな声だった。
「……どこ、行ったんですかあ……」
 雪の解けた山道をとぼとぼと歩く。
「返してくださいよお……」
 今、雪玉を投げつければ、おいおいと号泣しだしてしまいそうな雰囲気を抱えていた。服と鍵を見つけたら泣き崩れるような悲壮感に、妖怪たちは見つけづらさレベルをちょっと下げる事を決定していた。

 まあ、それでもしばらく全裸で徘徊することにはなったのだが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
…(今度は私がこの世界を氷漬けに)
…いや、やめましょう。戦いは終わりです

全裸で歩くつもりはないので、雪と氷で服を作りましょう。透けない氷で透けない服を。
念の為、氷雪製の下着も着用。絶対透けません。透けませんよ。透けてたまるものですか

さて、服探しですね。ですが私の服には私の魔力が染み込んでいます。その魔力を辿って捜索します
むしろ私の服を持っている妖怪が凍えてしまうかもしれませんね
服ごと氷漬けになってたりは…しませんよね、さすがに

彼らは楽しんでいるだけのようですし、捕まえた妖怪を叱るのもそこそこに、何かもっと普通の遊びでもしましょうか。
でも服泥棒は本当に絶対金輪際やめてほしいです…



 まだ、辱めるというのか、このふざけた世界は。
「……」
 今度は私が全霊の力を振り絞って、この世界を氷漬けにしてしまおうか、と物騒なことを考えてしまっていたが、ひとまず、氷雪で作った下着に手を触れても問題ない事に安堵してチル・スケイル(氷鱗・f27327)は、カタストロフ計画を凍結させる。
 空気を含ませた氷は透けることなく、足を通したチルの秘部を覆い隠す。動いても問題のない事を確認すると、その上に更に氷をつなぎ合わせた服を作り出して完全防備だ。
 全身を身をひねり確認する。
 雪像に身をやつしたときのように、体のラインに忠実になりすぎて全裸と変わらない、とか、後ろから見たらすごい透けてる、とかそういったことがないかと、丹念に確認したチルは、一切問題がない事を確信して、ようやく服探しへと本腰を入れた。
「さて――と、私の服には私の魔力がしみ込んでいますからね」
 氷竜の魔力だ。チルにとっては慣れ親しんだそれを辿るくらいは訳ない事。少し意識を集中させれば、妖怪が通ったであろう道すらも感じ取れる。
 だからこそ、チルは焦ってはいなかったのだが、それと同時に、だからこそ、少し早く回収したいと考えていた。
 というのも。

 ◇◇◇

「はぶぶぶ……この服……なんか持ってるとヒヤッとするって思ってたけど」
 岩陰に隠れている妖怪が、服を抱えてうっすらと霜の張っている地面に座り込んでいた。
 彼の周りだけ、というよりも、チルの服の周りが少しずつ温度を下げているのだ。空気が凍り始めている、と言い換えることもできるかもしれない。
 ともかく、寒い。
 寒いのだ。
 この一言に尽きる。
 持っていては凍えるというのに、彼がそれを離さないのは理由がある。
「……で、でも、助けてくれた人が楽しいなら……っ」
 善意であった。
 いや、善意というよりは、良くしてくれた猟兵達への恩返しか、
 ともかく、チルは、そんな妖怪たちの無邪気な感情を分かってはいるので、魔力を辿った先の岩陰を覗いては、困ったようなしかめ面で。
「女の子の服を勝手に取っちゃダメです……返してください」
 叱るのもそこそこに、そう手を差し伸べたのだった。
「遊ぶならほかの普通の遊びで……、その前に、帰って暖まりましょうか」
 氷の服を一度解除し、慣れ親しんだ衣服に袖を通したチルは、まったく、と安堵の息と共に呆れた声を出した。
「服泥棒は本当に絶対金輪際やめてほしいですね」
 チルの言葉に、妖怪は申し訳なさそうに頭をかくのだった。

 ◇◇◇

 そうして、世界は服を取り戻し、あたたかさを取り戻す。
 今年の冬は、少しはあたたかく過ごせるような……そうでもないような、そんな気がする一騒動は、こうして和やかに幕を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月12日
宿敵 『冷凍睡眠・アイスラヴァー』 を撃破!


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#カクリヨファンタズム


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠チリー・スティーリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト