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闇夜に紛れて猿を討て!

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 場所は長崎にある、今は誰も住んでいないはずの御城。
 時は夜。今宵は新月で月明かりもなく、辺りは真っ暗。
 だが、天守閣には明かりが薄っすらと浮かんでいる。
 部屋の中にいるのは、猿面の面頬を被った赤黒い鎧武者が佇んでいた。
 そして闇夜に向かって唐突に歌い出した!
「我の名は猿面武者 a.k.a エイプサムライ! 過去から蘇ったこのサプライズ! 天下獲ろうぜエンタープライズ! ワックなイェーガー、まじバスター! ファットな我がバッタバッタ! 斬って張ったしてやるぜ、Kics ass! バックワイルドに行こうぜ!」
 それは流れるようなRapであった。

「サムライエンパイアでRap好きのオブリビオン武将が、打ち捨てられた城を占拠して侵略準備をしている予知をキャッチしたよっ!」
 蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が、サムライエンパイアの地図を広げると、長崎にある山城を指差した。
「今回はね、猟兵のみんなにはこのお城に忍び込んでもらって、まずは侵略の情報を掴んでほしいんだよっ!」
 情報さえ掴んでしまえば、あとはおのずと侵略の阻止に近付けるだろう、というのがレモンの予知の結果だ。
「配下がまだ少ないみたいだから、お城へ忍び込むのは簡単だよ。転送もお城のすぐそばなんだよっ! だからみんなは、情報収集に集中してほしいなっ! 体力に自信があるなら、天井に張り付く等して頑張ってみてもいいし、素早く隠れて盗み聞きしてみてもいいかも? あっ、猟兵ならユーベルコードや魔法とか、すごい機械で情報収集も出来るかもねっ?」
 ともかく、やり方は様々だ。色々と試してみるほかないだろう。
「潜入捜査に必要な技能があれば、もっと有利に事を運ぶ事が出来るかもっ!? そうそう! 現場は真っ暗闇だから、何かしら視界を確保しないと何も見えないから注意してねっ!?」
 とはいえ、明かりを常時使用していては、こちらの存在がばれてしまう。何かしらの工夫が必要だろう。
「それじゃあ、みんな、今回もがんばってねっ!」
 レモンのグリモアが輝くと、サムライエンパイアへ転送が始まるのだった。


七転 十五起
 七転十五起、なぎてんはねおきと申します。
 初めましての方はお見知りおきを。
 お久しぶりの方は今回もよろしくお願いします。

 さて、今回、第一章から第三章まで、全編通してほぼ暗闇の中でシナリオが進んでゆきますのでご注意ください。まさに暗中模索。
 暗闇の中で繰り広げられる情報戦と戦闘をお楽しみいただければ幸いです。

 ちなみに、ボスの猿面武者が何故Rapをキメていたのかは、第三章まで辿り着けば判明しますので、頑張ってください。
 皆様のご参加、お待ち申し上げております。
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第1章 冒険 『壁に耳あり障子に目あり』

POW   :    密談の何時間も前から潜入しておく、人間の限界に挑戦しありえない体勢で情報収集

SPD   :    人の死角を突いた隠密、読唇術等の技術で情報収集

WIZ   :    サムライエンパイアではありえないオーバーテクノロジーや魔法で情報収集

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
心情
ラップを謳う猿面武者さんですか
どんな御仁か興味が沸いてきましたよ

それは兎も角
オブリビオンの自覚のある剣呑な敵の様です
油断せずに行きましょう

手段
暗視と聞き耳を使い行動

魔法で姿を隠し(迷彩
足音を忍ばせて(忍び足
こっそりと侵入します(目立たない

小柄な体とUCを活かして狭い所も通り抜けて
天井裏や(クライミング
床下から盗み聞きします(聞き耳&情報収集

途中で猫や鼠、鳥さんや虫さん等に在ったら
仲良くなり話を聞かせていただきます
(優しさ&手をつなぐ&礼儀作法&動物と話す

敵の狙いや戦力
その場所等色々と調べますよ~



 草木も眠る丑三つ時。棄てられた城に灯る僅かな明かりを目視したケットシー、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は足音を立てずに城の中へ忍び込んでゆく。自身に魔法を施し、迷彩を施す事で周囲の景色と同化。その甲斐あって、配下の見回りを難なくやり過ごす事が出来た。
(ラップを謳う猿面武者さんですか。どんな御仁か興味が沸いてきましたよ)
 予知の内容を聞いた箒星の好奇心は刺激され、この天守閣にいるであろう猿面武者に想いを馳せる。
(それは兎も角、オブリビオンの自覚のある剣呑な敵の様です。これは油断せずに行きましょう)
 幸い、箒星は夜目が利くので城の中で迷うことはない。また、自らをペロペロなめる事で、摩擦抵抗を極限まで減らすユーベルコード『猫の毛づくろい』を発動。
(おっと、あんな所に忍び込めそうな小さな穴がありますね)
 破却を免れたとはいえ、長い間、人の手入れがされていない城内は荒れ放題だ。当然、あちらこちらに穴や破損が見受けられる。だが、それは箒星にとっては侵入経路が増えたも同然。彼はこの幸運に感謝しつつ、柱に爪を立てて軽々と登ってゆくと、天井の穴へするりと滑り込んでいった。
 すると、配下であろう者たちの会話が聞こえてきた。
「殿の次の標的は佐賀藩だ。この廃城から、よもや挙兵するなど誰も思うまい」
「この周辺の集落は制圧するのか?」
「無論だ。逆らわなければ、死、あるのみ」
 これで敵の狙いを知る事が出来た。
 次に、箒星は床下につるんっと潜り込むと、ネズミの家族に遭遇する。ネズミたちは大きな猫である箒星を見てびっくり!
「怖がらないでください。食べませんから。それより、お願いがあるのですが……」
 怯えないように優しくネズミたちに城の内情を探ってもらうように頼む箒星。すると、ネズミたちは快諾してくれた。そして彼自身、床下から聞き耳を立ててみることに。
 すると、今度は別の会話が聞こえてきた。
「武器庫の鍵、閉め忘れていたぞ! 外の蔵の鍵はしっかり閉めろとあれほど申したであろう!?」
「こ、これは申し訳ありません!」
「一体、何度目だ!? 殿に手討ちにされたいのか!?」
「ヒィ! お許しくださいませ!」
 箒星は考えた。
(武器庫はよく鍵をかけ忘れているのですね……)
 そこへネズミたちが戻ってきた。なんと、武器庫の鍵を盗んできたというのだ!
「ありがとうございます。では、武器を破壊してしまいましょうか」
 ネズミたちの案内で武器庫に辿り着いた箒星は、鍵を使ってまんまと武器庫に侵入。中にある刀や槍、そして銃などを、鋭い尖端の両刃細身の魔法剣カッツェンナーゲル(ねこのつめ)で細かく切り刻んでゆくのだった。
 もうこれで武器庫にある武具は使用できない。侵略阻止に向けて、大きく前進しただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠呂智・景明
さて、と。狙うは猿の首ってな

【風林火陰山雷 陰の如く】を使って姿を消すぜ。
一応【忍び足】【迷彩】【目立たなさ】を使って念には念を入れつつ何食わぬ顔で堂々と城へ入る。

狙うのはこの城の城主についてだ。潜みつつ城主がどんなやつかを城のヤツらの話を聞いたり資料を漁ったりして聞くとするか。

もし仮に不平不満言ってるような奴がいりゃ【コミュ力】使って対話を試みよう。
もし抵抗するってんなら仕方ねえ【暗殺】する。

調べ終わったら【地形の利用】【見切り】を使って死角みつけて、ほかの猟兵が動き出すまで体力回復に努めとく。



 廃城の門の前は、時が止まったかのような静寂が横たわっていた。見張りの姿もなく、本当に配下はまだ少数なのだと窺い知れる。
 遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ・f00220)は城の天守閣に灯る僅かな明かりを見上げて、にやりと口角を吊り上げた。
「さて、と。狙うは猿の首ってな」
 早速、遠呂智はユーベルコード『風林火陰山雷 陰の如く』を発動させる。
「知り難きこと陰の如くってな。さあ、隠密行動させてもらおうか」
 途端、彼の姿は透明化してゆき、視認が難しくなる。発動させている最中は毎秒疲労感に苛まれるが、背に腹は代えられない。
「隠密行動というものの、侵入は堂々と正面の門からっていうのは皮肉が利いてるな」
 最大級の警戒を払いつつ、彼は大手門から城内へ忍び込んでゆく。

 透明化した遠呂智は忍び足で場内を徘徊。暗闇も相まって隠密活動を順調にこなしてゆく。ただし、彼自身が夜目が利かず灯りを用意していないので、書物などの内容を目視で確認することはできない。また壁を手で伝って前後左右を確認して進んでゆくほかないのはやむを得ない。とにかく、明かりが灯っている部屋を目指して進む事にした。
(明かりがあるってことは、誰かがいるはずだ。何か情報が掴めるかもな?)
 遠呂智の欲しがっている情報は、この城の城主について。城主の性格や特徴を捉えて、戦闘に役立てたい考えだ。
 明かりの灯った部屋の内から、配下らしき者の独り言が聞こえてきた。
「殿が渡来人の影響で、我らと同じ異教徒になったところまでは良かったのだ……。だが、殿は異教徒の文化にのめり込み過ぎたでござる。RapやHipHopなるものにかまけて、我らに戦支度を任せっきりとは、嘆かわしい……」
 どうやら、部屋の中の部下は城主に不満を抱えているようだ。これは好機と、遠呂智は透明のまま部屋に侵入した。
「その話、もうちょっと聞かせてくれないか?」
「何奴!?」
「おっと、振り向いたら首筋を掻っ切るぜ?」
 透明化を解いた遠呂智の手に握られた『懐刀 棗』が部下の首筋にあてがわれていた。
「ひ、卑怯者……!?」
「正直に話してくれれば手は出さない。さて、と。殿の事について、教えてくれないか?」
「わ、わかった! 我は無理矢理、ここに連れてこさせられた侍だ! 村に嫁と娘がいるんだ、殺さないでくれ……!」
 この侍の情報では、異教徒の文化に傾倒し過ぎた城主は、戦闘とRapをこよなく愛する狂人らしい。
「目の前の敵が素晴らしいリリックをぶつけてくると、戦闘中にもかかわらず、思わず攻撃の手が緩むのだ」
「なるほど。攻略の糸口が見えてきたぜ」
 これは重要な情報である。早速、持ち帰って他の猟兵へ拡散すべきだ。
「そこの御仁。すまぬが、我をここから逃がしてくれぬか? もう、あの殿の下で働くのは御免でござる」
「……わかった、一度、城の外へ出るか」
 遠呂智は再び透明になると、侍の手を取った。すると、彼の身体も透明となり、敵に見つかる心配はなくなった。このまま2人は大手門から脱出。
「かたじけない。ああ、もし身を隠すならば、二の丸の宝物庫に身を潜めるとよいだろう。場所は……だ。我がその番をやっているので、鍵はここに。そなたに授けよう」
「ああ、ありがたく貰っておくぜ」
 こうして、遠呂智は二の丸の宝物庫に身を潜めて体力を回復させつつ時を待つ事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天海空・奏楽
配下がまだ少ないってことは、これから集めるの?
昨日今日会った連中が、暗闇の中ですごす。
お互い誰かわかるんだろうか…。

てなわけで。

新米です、よろしくって自己紹介しながら配下に紛れる。
正面から堂々とスパイってやつだ!
配下にどんな力や技を使う者がいるのか、人数はどれほどか。
仲良くなって様子を伺う。
俺は過去を忘れた流れ者だからな。
そこは嘘つきようが無いから正直に答える。
少ない人数で籠城するなら、罠作ったりするかも?
作動しないように仕込んでおくか。
あと食糧庫の場所をチェックしとこう。
攻略のための仕込みを意識しながら作業をどんどん手伝うよ。
戦いが始まるその時まで、潜入してまーす。



 ここにもひとり、大手門から堂々と侵入してゆく猟兵がいた。
 侍の鎧甲冑を着込んだ天海空・奏楽(人間のフォースナイト・f13546)である。
「うわ、難なく侵入できた。警備がいないってことは、本当に配下がまだ少ないのか。てことは、これから集めるの?」
 天海空は三の丸に堂々と入り込むと、暗闇の中を壁伝いに進んでゆく。
「昨日今日会った連中が、暗闇の中で過ごすこの状況、お互い誰か判るんだろうか……?」
 廊下は明かりが一切なく、目の前は闇だ。これでは、擦れ違った相手の顔など見えないはずだ。となると、当然、誰かが立っているかなども判らない訳で。
「おい、誰だ? 拙者の兜を叩く無礼者は!?」
「へ? わっ、ごめんなさい!」
 どうやら、暗闇の中にいた見張りの被っていた兜を、壁だと思ってぺちぺちと叩いてしまったようだ。ここで天海空は苦肉の策を講じた。
「あ、あの、新人です。初めまして。真っ暗でよく分からなくて……」
「なんだ、新人か。夜目が利かぬ者を駆り出すとは、いよいよ人材不足が深刻になってきたという訳か……」
 何やら思案に暮れている侍が呟いている。放置されている天海空の作戦は上手くいったようだ。
「えっと、すみませ~ん? 俺、どうすればいいんですか?」
「ん? ああ、すまない。新人はまず、講習を受けてもらう。この城の武具の説明や、貴様の部署の割り振り先などを指導しよう」
「ありがとうございます。お願いしま~す」
 こうして、天海空はまんまと新兵として内部に潜入する事が出来た。そこで知り得た情報は3つ。ひとつは深刻な人材不足。佐賀藩に攻め込むにしても、兵力は300人にも満たない現状で城攻めすらできない。ふたつめは、主力のオブリビオン兵士は夜目が利くこと。明かりをつけると周囲に悟られやすくなるため、暗闇でも行動が可能な者を集めているそうだ。みっつめは、周辺の街や村から、無理矢理に兵士として人員を“徴収”しているが、総じて士気が低いことだ。
「そんな人たちを一同に集めたら、反乱がおきませんか?」
 天海空の質問に侍は鼻で笑って一蹴した。
「オブリビオン侍に立ち向かえるのは猟兵くらいよ! 反乱が起きたところで打ち負かせるし、奴らも判っているから刃向かってこぬのだ!」
「なるほど~」
 こうして、天海空は詰所まで送り届けられると、休んでいる兵士たちに話し掛けた。
「……と、いうわけだから、みんな、今すぐここから逃げて」
「かたじけない! みんな、逃げるぞ!」
「応っ!!」
 天海空の手引きによって、詰所から大勢の兵士たちが武装したままこっそり脱走してゆく。これで場内の兵力は大幅に低下した。城内の罠もチェックして、見付け次第、彼は破壊して回ってゆき、騒ぎが大きくなる頃には中庭の枯井戸の中に身を潜ませるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソモ・サン
さて、アタシも動くとしましょうか…。
まどろっこしいのは苦手なのよ、ここは一気に対象の首を狙うわ。
暗闇に紛れて、移動するのはあたしの専売特許だしね

それには対象がどこにいるか場所を、聞き出さないと…
人なんて所詮は、自分が大事。背後から忍び寄って首筋に刃を当てれば喋るわ。
1人でダメなら何人でも、わかるまで繰り返せば問題ないわね。

場所がわかり次第、すぐに確認
いけそうならアタシひとりで肩をつけてやる。



「まどろっこしいのは苦手なのよ」
 ソモ・サン(闇夜の暗殺者・f13667)はそう語る。
 幼少期に経験した事件によって、彼女は人を信じようとせず常に疑念を抱きながら他者と接している。そんな彼女が狙うのは、城主の暗殺ただひとつ。
「さて、アタシも動くとしましょうか……。暗闇に紛れて、移動するのはあたしの専売特許だしね」
 城内に忍び込んだソモは目を凝らして辺りを窺う。完全な闇の中、右も左も判らない。いくら彼女が暗殺者とはいえ、特別、夜目が優れている技能を有しているわけではない。ゆえに、ソモは暗殺者としての勘で城内を慎重に進むほかない。そのためだろうか。途中、袋小路に迷い込んだり、壁にぶつかりそうになったり、探索するにも苦戦を強いられていた。
「くっ……、こんな城も大将首も、アタシがカタをつけてやるのに……」
 うまくいかず、苛立ちばかりが募る。
 だが、偶然、向かい側から足音がソモへと近付いてくる。タイミングを見計らい、背後から足音の主であるオブリビオン兵士に飛び掛かると、首筋に刃を当てた。
(人なんて所詮は、自分が大事。背後から忍び寄って首筋に刃を当てれば喋るわ)
 そう考えたソモが語気を強めて尋ねた。
「さぁ、死にたくなければ大将の居場所を教えなさいよ」
「曲者だぁっ!! であえ、であえっ!!」
「えっ?」
 ソモは呆気にとられていた。捕らえた兵士は大将の居場所ではなく、いきなり増援要請を叫んだからだ。ソモの反応に対して、オブリビオン兵士が勝ち誇ったように答えた。
「拙者たちは殿に忠誠を誓った身なり! そう簡単に口を割ると思うたか! どうせ叫ぶなら、貴様を捕らえるために仲間を呼ぶ方が賢いやり方で御座候! 命など惜しくないぞ!」
「なら望み通り、死ね!」
 ソモが兵士の喉笛を刃で掻っ切ると同時に、城外へと全速力で逃げてゆく。後ろから追い掛けてくるオブリビオン兵士たちを辛くも撒ききったソモは、一連の出来事に混乱していた。
「なんで!? どうして自分の命よりも、他人を守ることを選ぶの!?」
 確かに外から徴収された兵士たちの士気は低いが、彼らを監督・監視するオブリビオン兵士たちの、大将への忠誠心は非常に厚いものであった。これは大きな誤算だ。そして彼女にとってはカルチャーショックといってもいいだろう。
 とはいえ、これも情報のひとつ。猟兵側にとっての有益な情報であることは間違いない。
 だがソモの発見により、城内の警戒度が急激に上昇してしまった。今後は猟兵たちの慎重な行動が必要となってくるだろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユウ・タイタニア
【心境】
「潜入任務っすか…実は騎士もあこがれるのは当然っすが、忍者も気になるのでござる忍忍。」

【行動】
体の小ささを利用して侵入っす。
『目立たない』のはあっしの特徴っすから…あれ目から雨が…。

天井裏に移動して調査っす。『暗視』能力で暗闇も問題なしッす。
人には小さい隙間でもあっしには十分な大きさ、隙間から部屋の様子をうかがうっす。使えそうな証拠シーンは妖精の輪を使って『撮影』っす。
証拠物品は人がいなくなった隙をついてフェアリーランドで収納していただきっす。

見つかったら騒がれる前に『串刺し』してお休みいただくっす。永遠に…。
置いて行ったらやばいのでフェアリーランドにしまっておくっす。
これも世の無常



 物々しい雰囲気へと変貌した城内を、その小さな体を活かして天井付近を飛んでゆくフェアリーの女竜騎士がいた。ユウ・タイタニア(フェアリーの竜騎士・f03116)である。彼女は『囚われたお姫様を救い出す騎士の物語』に感化されて騎士の道を志した勇敢な少女なのだ。だが、今の彼女はニンジャスタイルの装束に身を包んで相棒のドラゴンランスの白竜『ネメシス』に跨っている。
「ニンニン! 実は騎士も憧れるのは当然っすが、忍者も気になるのでござる。あっしは夜目が利くのでばっちりっすよ。潜入捜査、やるっすでござる……!」
 古来より、ニンジャと騎士は反目するものという風説もあるらしい。だがユウはニンジャ初体験にワクワクドキドキしながら、慎重に冷静に隠密活動をこなしてゆく。やはり、フェアリー特有の小柄な身体を活かせるのは非常に有利である。
「こういう時、あっしの目立たなさが重宝するっすね」
 何気なく自画自賛したつもりの言葉だったが、同時に自分のコンプレックスにぶっ刺さってしまい、自然とユウは涙が零れていた。
「……あれ? ぐすっ、目から、汗が、ぐすっ……、な、泣いてなんかいないっす、ぐすん……」
 見兼ねた相棒のネメシスが、ユウの頬を伝う涙を舌で舐めとっていった。ネメシス、めっちゃ良い奴やん。

 気を取り直して、ユウは天井裏から部屋の中を覗いていた。室内は薄暗いロウソクの火が何本かあるだけだが、他の場所が暗い分、明かりがやけに目立っていた。ちょうど、これから軍議が行われているようだ。
「殿は天守閣でお休みになるゆえ、我々に軍議を任せると仰せ付けられた。佐賀藩へ攻め入る行軍の路であるが……」
 部下のオブリビオン兵士たち数名が、地図を囲ってああでもない、こうでもないとロンギヌスを白熱させてゆく。
(これは決定的光景っすね!)
 フェアリー用超小型スマートフォン『妖精の輪』を操作し、動画撮影機能で軍議の様子の一部始終を収めてゆくユウ。これを猟兵たちに共有すれば、侵略阻止は一気に事が進むだろう。
「うむ、やはり兵糧と人員が足りぬ。明日の朝、近くの漁村で“調達”を行う。よろしいか?」
「異論はござらぬ」
「右に同じ」
 どうやら、このままでは夜明けとともに、近くの漁村が襲われてしまうようだ。
 その前に大将の猿面武者を撃破しなくてはならない。
 軍議が終わり、オブリビオン兵士たちが部屋から離れてゆくのを確認したユウは、ユーベルコード『フェアリーランド』を使用すべく、壷を召喚した。
「この地図をフェアリーランドにしまって奪ってゆくっす」
 卓の上に降り立ったユウは、証拠品兼妨害として地図を壷の中に放り込んでしまった。これでオブリビオンたちは佐賀藩までの道程が分からなくなったはずである。
 だが、そこに運悪くオブリビオン兵士の1人が戻ってきてしまう。
 鉢合わせになるユウと兵士!
「いたぞっ! くせも……」
「永遠におやすみなさいっす! ネメシス!!」
 乗っていたドラゴンを槍へと変化させると、ユウは素早く兵士の心臓を槍で串刺しにして貫き絶命させる。そして死体をフェアリーランドで放り込んで隠蔽する。
「これも世の無常でござる……」
 だが、既に城内の警戒度は最高まで引き上げられている。そして先程の騒ぎでオブリビオン兵士たちが城内を巡回し始めた。
 ここからは、大将の猿面武者のいる天守閣へ向けて猟兵たちは襲い掛かってくる兵士たちを切り捨てながら進まねばならない。
 戦闘の準備を整えよ、猟兵たち!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 魔王と呼ばれる信長が魔法で召喚された渡来人。その渡来人が持ち込んだとされる宗教があった。
 長崎のとある区域では、その宗教を熱心に信仰する村々が集まっており、猟兵たちが今まさにいる城も、かつてはその宗教を信仰していた大名の居城であった。
 城内を巡回している兵士……切支丹武者も、その宗教の信者である。
 猟兵たちが集めた情報によれば、大将の猿面武者も改宗をするほどハマっているらしい。渡来人は、宗教以外にも異文化を持ち込んだとされているのだが……?
 ともかく、天守閣へ行くには、行く手を阻むこの切支丹武者たちを切り捨てて前へ進むほかない。
 君達は武器を取ると、強行突破を図るのだった。
ソモ・サン
ちっ!このアタシが敗走させられるなんて…
何より、ここにいるやつらの考え方が気に食わない!

絶対にアタシが今回の奴の首を取る!
誰にも邪魔させない!

(SPD)に物言わせて全力疾走
(絶望の福音)で動きを読みながら、立ちはだかる雑魚どもをヤッてやる!

(怪力・暗殺)
死角に入れればアタシの間合いよ
一息に喉元掻き切るやる!



 城内を切支丹武者たちが巡回しはじめた。
 先程、なんとか逃げおおせたソモ・サン(闇夜の暗殺者・f13667)は、苦虫を嚙み潰したような声を漏らしながら、物陰から敵の動向を探っていた。
「ちっ!このアタシが敗走させられるなんて……! 何より、ここにいるやつらの考え方が気に食わない!」
 他人の目的のために自分の命を犠牲にするという考え方に触れたソモ。それは彼女が今まで経験してきた中でまったくもって考えられない思想であった。故にソモは苛立ち、その考えを否定し、激昂した。
「絶対にアタシが今回の奴の首を取る! 誰にも邪魔させない!」
 どの猟兵よりも真っ先に動きだすソモは、暗闇を天守閣の明かり目指して最短距離で全力疾走してゆく。だが、その足音は敵の耳に入り、早速、召喚された切支丹女武者の霊の銃撃の雨に晒されてしまう。流れ弾のひとつが、ソモの左肩を掠める!
「ぐっ!? っざけるなぁ!!」
 激怒したソモはユーベルコード『絶望の福音』を発動!
 これより10秒後の未来を先読みした彼女は、すかさず回避行動に移る!
「これでもう、銃弾は当たらない! そして! そこにいるのは分かってる!」
 発砲の際の火薬の炎で、敵影が一瞬だけ目視することが出来ることに気付いたソモは、縮地めいて一気に切支丹武者たちに接近!
「これだけ近いと、仲間に誤射するよね! アタシが一息に喉元掻き切ってやる!
 有無を言わさず、ソモは怪力にモノを言わせて兜の隙間から刃を滑り込ませると、切支丹武者たちの頸動脈を素早く断ち切ってしまう。噴き出す血飛沫を浴びながら、更にソモは敵影を見付けるなり次々と襲い掛かってゆく。
 その姿はまるで悪鬼の如き獰猛さを誇り、ソモの通った道には屍の山が築きあげられてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユウ・タイタニア
【心境】
「やっぱり、あっしには忍者より騎士の方が似合ってるっす。」
行くッすよネメシス。

【戦闘】

竜形態のネメシスに『騎乗』して天守閣に進むっす。
サムライエンパイアのお城って不思議な造りっすねー。
おっと、敵っす。
敵の攻撃をドラゴンスケイルシールドで『盾受け』してルーンソードで『カウンター』をお見舞いっす。
攻撃はUC:タイタニアスラッシュっす。あっしの必殺技を食らうっす。

先の『情報収取』で得た情報とあっしの『第六感』そして出現する敵の方角から道を割り出して進むっすよ。ここどこっすかー。


遠呂智・景明
アドリブ、他の参加者との連携絡み歓迎

さて、そろそろ行きますか。

ほかの猟兵に合わせて動き出す。
後方から精霊を使った雷撃と刀による斬撃で支援する!
【風林火陰山雷 雷霆の如く】を発動し切支丹武者と召喚された軍馬に雷撃を!

この暗闇の中だ、稲光で少しは明かりが取れるんじゃねぇか?
とは言ってもそれは敵も同じだろうな。敵の攻撃には【見切り】【残像】を用いて対応する。【フェイント】と暗闇の中で【地形の利用】をして敵を翻弄するぜ。

距離が近くなりゃ自分で刀を抜いて直接斬りつける。【2回攻撃】と【鎧無視攻撃】でぶった斬る!

生憎神にゃ祈らねぇのよ。さっさと蹴散らして猿に会わせてもらおうか!


箒星・仄々
心情
確固とした信念を持つ切支丹さんには
猿面武者さんの非を解いても
無駄のようです

過去の現し身であるオブリビオンさんのお心は
過去に囚われたまま変わる事がないのでしょう
お可哀想に

倒すことで解放して差し上げたいです
そして天守閣へ進みましょう!

手段
魔法で闇に溶け込み姿を隠した後
一気に残像分身し一斉攻撃!
霊を撹乱したり馬の股を潜り抜けたり
分身さん達&私が様々な動きをしながら
小柄な体を活かし懐に飛び込み
炎の魔力による高熱の刃のKナーゲル(=トリニティで攻撃力↑
で鎧ごと貫きます
:迷彩&忍び足&残像&早業&先制攻撃&見切り&属性攻撃&串刺し

迷彩&残像&早業&見切り&忍び足で回避
雷には雷撃防御で斬り払いも


天海空・奏楽
目的は猿で、こいつらじゃねえ。
なるべく回避で逃げきるんだぜ!
今回も光源無しの暗中模索ってやつだ。
天からの雷が発せられた瞬間、相手の位置がわかるし
鉄砲の火花が散ればどこらへんにいるか察することができる。
あとそれらの光が武器や鎧に反射するから見逃さない。
敵集団がどのへんにいるか把握して、
深追いしないで足元すり抜けてくしかねェな。
こっちも喰らえば痛ぇけどよ。
メイスで軍馬の脚を打ち、引っ掛けてもつれさせ転ばせる。
武者のほうも同様に対処。
前進できないように隊列崩して将棋倒しを狙うぜ。
集団戦を挑む敵を混乱させて、その隙に天守閣の明かりを目指す。
前回の潜入で把握した知識を生かしてたどり着きたい。



 月明かりさえない暗闇の中、偶然にも猟兵たちは一堂に会していた。そして、各自が持ち寄った情報によって、天守閣までのおおよその道程を導き出す事に成功した。
「助かったっす! 第六感で進んだら迷ってしまって途方に暮れかかってたっす!」
 ユウ・タイタニア(フェアリーの竜騎士・f03116)が安堵の声を漏らせば、天海空・奏楽(人間のフォースナイト・f13546)も猟兵たちの集合を素直に喜んだ。
「俺一人でも暗中模索で天守閣へ行けたけどな? だが、仲間がいるなら心強いぜ」
 もとより無駄な戦闘を避けたい考えだった天海空だが、ここまでの道中、鉄砲で狙われまくって苦戦を強いられていた。単独で進むよりも、戦力を集めて敵をなぎ倒した方がむしろ安全だろう。
「目的は猿で、こいつらじゃねえ。俺達の目的は天守閣でふんぞり返ってる猿を斬ることだ。だから行く手を遮る敵だけを倒して、あとは深追いせずに先を急ごうぜ!」
「そうだな。すべての配下を相手にしていたら、こちらが先に消耗しちまうからな」
 遠呂智・景明(さむらいおろち・f00220)も、天海空の案に賛同を示した。
「それにしても……、切支丹さんたちは、なんとお可哀そうに」
 ただひとり、オブリビオンへ憐憫の念を抱くのは箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)だ。
「確固とした信念と忠誠心を持つ切支丹さんには、いくら猿面武者さんの非を解いても無駄のようです。過去の現し身であるオブリビオンさんのお心は、きっと過去に囚われたまま変わる事がないのでしょう」
 箒星にとって、主の野望のためならば死すら恐れない切支丹武者たちは、討伐対象であると同時に救済対象でもあった。彼らが囚われている過去からの解放、それが討伐することで達成できるのならば、と。
「私は、あの方たちを倒すことで魂を過去から解放して差し上げたいです。そして天守閣へ進みましょう!」
 猟兵たちは暗闇の中で一斉に頷いた。
「さて、そろそろ行きますか」
 遠呂智の掛け声を合図に、猟兵4人は小走りで本丸を目指してゆく。

 散発的な切支丹武者たちの襲撃はあったものの、本丸までの道中は猟兵たちが圧倒していった。楽勝かと思われた矢先、本丸に乗り込んだ猟兵たちは愕然とする。
「なるほど、ここに殆どの兵を詰めさせてたって訳か!」
 天海空の目の前には、密集陣形を組む切支丹武者たちの姿があった。武者たちは軍馬を召喚するとそれに跨り、一斉にこちらへ突っ込んできた!
「おっと、敵っす! 行くッすよネメシス!」
 ドラゴンランスの化身である白竜ネメシスに騎乗したユウが、騎馬武者のひとりと激突! 振り下ろされた斧槍を竜の鱗で作られたカイトシールドであるドラゴンスケイルシールドで打ち払うと、ユーベルコード『タイタニアスラッシュ』でカウンターの一撃を敵の懐へ見舞わせる!
「あっしの必殺技を食らうっす!」
 金属同士がぶつかり合う音が何度が暗闇に響き、火花が散ってゆく!
「うわ、この鎧、斬れなくはないっすが硬いっすね?」
「確かに、こいつら硬ぇな……! あの軍馬、鋼でできてるんじゃねぇか?」
 遠呂智もユーベルコード『風林火陰山雷 雷霆の如く』にて放つ精霊術による雷撃で切支丹武者たちが乗る軍馬を斬り伏せるも、完全に断ち切れずにいた。
 どうやら、敵のユーベルコードと相性が悪いようである。
「だったら、私がやります! トリニティ・エンハンス!」
 炎の魔力・水の魔力・風の魔力で自己強化をした箒星は、瞬時に残像を活かして分身2体を作り出した!
「「さぁ、一気に仕掛けますよ!」」
 3人に増えた箒星が、軍馬に乗った切支丹武者たちに切り掛かってゆく! その身軽さと小柄な体格を駆使し、軍馬を掻い潜り、武者たちの頭を乗り越え、火属性を宿した鋭い尖端の両刃細身の魔法剣カッツェンナーゲル(ねこのつめ)を次々に敵の鎧を融解させて突き刺して撃破してゆく。3本の赤熱した刃が赤い閃光の軌跡を描き、猟兵たちはそれを間合いの目安にする事が出来た。
 この勢いに乗じようと天海空も腹を括って前に出る。
「此処を突破しねぇと天守閣へ行けねぇなら、やってやるぜ! ほら、撃ってこいよ!」
 突っ込んでくる軍馬の脚をメイスで強打! よろける軍馬の後ろから玉突き衝突してなだれ込む後続の軍馬の更に後ろ、切支丹女武者の霊を呼び出した小隊が猟兵たちに銃口を向ける。次の瞬間、雷撃めいた砲火とともに繰り出される一斉射撃が放たれる!
「ネメシス! 回避っす!」
 白竜を巧みに操りながら第六感とドラゴンスケイルシールドで銃弾から身を護るユウ。遠呂智と箒星は砲火の瞬間に敵影を目視、すかさず銃弾を見切ると残像を残して難を逃れた。
 一方、天海空はユーベルコード『絶望の福音』の効果で10秒先の行動を読むことが可能だ。故に、弾丸の軌道を先読みし、暗闇に紛れて銃撃小隊へ接近!
「此処まで近付けば! ぶった斬れろ!」
 フォースセイバーを具現化させると、銃撃小隊のど真ん中で暴風の如く振り回し始めた。サイキックエナジーで出来た光の刃は、敵の鎧を物ともせず貫き、切り刻み、小隊を混乱に陥れてゆく。
「道が開いたっす! 天守閣へ向かうっすよ! にしても、サムライエンパイアのお城って不思議な造りっすねー」
 ユウは自ら盾になりながら敵に突っ込み、血路を切り開いてゆく。
「やっぱり、あっしには忍者より騎士の方が似合ってるっす」
 自身の本懐を戦闘の中でユウは見出していた。
 遠呂智はユーベルコードの相性の悪さを思い知ると、自身の愛刀で戦う事を選んだ。
「やっぱり、こういうときは大蛇切 景明が頼りになるな!」
 先程の苦戦が嘘のように、大蛇を斬り伏せた謂れのある名刀は切支丹武者たちを容易く斬り伏せていった。闇の中で素早く2回剣閃が煌めけば、たちどころに命が鮮血の花を咲かして散ってゆく。
「なんたる暴挙……。貴様ら、神の御心に叛するつもりか!」
 怒りに打ち震える切支丹武者のひとりが遠呂智に言葉を投げかけた。
 それに遠呂智は愛刀を正眼に構えて返答する。
「生憎、神にゃ祈らねぇのよ。だから御心がどうのこうの何ぞ知ったこっちゃねぇのさ。さっさとお前を蹴散らして、猿に会わせてもらおうか!」
「景明! 早く来い!」
「凄い敵の数ですね、私たちが道を開けます! こちらへ!」
 闇の中から天海空と箒星の声が聞こえる。遠呂智は一呼吸だけ肺から空気を漏らすと、地面を爆ぜるように切支丹武者の懐へ向けて駆けだした!
「じゃあな。骸の海の中で神に祈ってろ」
 擦れ違いざまに大蛇切 景明の刃が走れば、武者は既に事切れて地面に崩れ落ちていった。
 いよいよ、猟兵たちは天守閣へ乗り込んでゆく!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猿面武者』

POW   :    不見
レベル×1個の【陰火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    不言
予め【鉤爪を構えておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    不聞
自身が戦闘で瀕死になると【狐面や狸面を被った武者の亡霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は秋稲・霖です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 天守閣へ上り詰めた猟兵一同。
 そこに、赤黒い鎧を着込んだ猿面の面頬を被った武者が待ち構えていた。
「本当にここに来ちまうとはな……!」
 猿面武者は肩をすくめて呆れていた。
「それじゃ、挨拶がてら俺のリリックをかますぜ、YO!」
 そして彼は閉じた扇子マイク代わりに握り締めると、脈絡もなくRapを繰り出し始めたではないか。
「俺はリリカルマダラーでギャングスタ! 猿面武者 a.k.a エイプサムライ! サムライエンパイアのビッグスター! クールビーンズなリリックで馳せ参じた! 目指す野望は天下統一だ! 倒すぜOEDO! 討幕だ! まずはイェーガー倒して名を挙げ、俺が真のキングだ Believe that(わかったか)!」
 フゥッと満足げに猿面武者が扇子を猟兵たちの前に投げ付けた。
「ほら、次はお前たちのアンサーだろ? かかってこいよ! 異文化のRapっていいよな、こうやって互いのソウルを言葉でぶつけ合って戦えるんだからよぉ! あ、もちろん、戦闘もするぜ? 俺を殺しに来たんだろ? どっちも受けて立つぜ、俺はよ!」
 フザけた言動が目立つが、コイツの実力は本物だ。
 さぁ、猟兵たちよ。全身全霊のアンサーをRapで切り返しつつ、猿面武者へ反撃をお見舞いしてやろう!
ソモ・サン
何がアンサーよ!
ふざけた態度しやがって…

行くわよ!我が血を代償に、よこせ!『降鬼顕彰』!
一気に方をつけて、この胸糞悪い仕事からおさらばよ!

「第六感」に従えば、あんたの攻撃なんて当たらないんだから!
近づきさえすればここはアタシの間合い。
アタシの「怪力」と「暗殺」の前じゃ、そんなチンケな「鎧無視」よ。

「串刺し」にしてやるわ!



「何がアンサーよ! ふざけた態度しやがって……!」
 真っ先に天守閣へ乗り込んだソモ・サン(闇夜の暗殺者・f13667)は吐き捨てるように呟き、不快感を露わにした。
「アンタはアタシに殺されるんだ。大人しくここで死ね!」
 これに猿面武者は、鉤爪を構えながら小さく首を横に振った。
「こいつは730(ヤバそう)な奴だぜ。RapやHipHopに興味ねぇってか?」
「うるさい、黙れっ!」
 もはや猿面武者の聞く耳すら持たないソモは、ダガーを構えてユーベルコードを発動させた。
「行くわよ! 我が血を代償に、よこせ! 『降鬼顕彰』!」
 ソモの身体に邪鬼・悪鬼・幽鬼の三鬼を宿し、超強化を果たした。
「一気に方をつけて、この胸糞悪い仕事からおさらばよ!」
 瞬間、床を蹴って爆発的に加速するソモ。高速で放たれる手裏剣を必死に猿面武者は鉤爪で防御!
「ちっ! 速ぇじゃねぇかよ! だがそこだ!」
 負けじと鉤爪を振り上げる猿面武者だが、高速移動するソモに見切られてしまった。彼女の第六感が危険を察知し、脊髄反射で攻撃を回避させたのだ。
「あんたの攻撃なんて当たらないんだから!」
 気が付けば、ソモは猿面武者に肉薄! 超至近距離からダガーを突き出す!
(アタシの怪力と暗殺の技量の前じゃ、そんなチンケな鎧なんて無意味よ!)
 突き出された刃が猿面武者の脇腹を鎧ごと貫く!
「ここはアタシの間合い! 串刺しにしてやるわ!」
「ぐっ……! そうだ、な、お互いにな!?」
「!?」
 零距離からの鉤爪による高速二連撃がソモに放たれる!
 ソモは初撃こそ回避したが、次撃を袈裟斬りに浴び、その場に倒れ伏した。
「ど、どうして……!?」
 斬撃の傷と、自身のユーベルコードの副作用による流血作用も相まって血が止まらないソモ。擦れゆく意識の中で、彼女は敵へ問うた。
「そう不満を漏らすなよ……。この一合、お嬢ちゃんの勝ちだぜ……。だが、完勝できなかった理由は非常にシンプルなんだぜ?」
 猿面武者も、脇腹を抑えながら壁までもたれかかると、問いの答えを返した。
「お嬢ちゃんは一撃必殺、俺は二撃必殺なんだぜ……? 一手多い方が、有利に決まってんだろ……。ま、あとは“運が悪かった”と思えや……。なんだかんだで、相討ちだからな……? 状態異常を背負ってるお嬢ちゃんにしては、良くやったぜ……?」
 血が止まらないソモは痛み分け。しばらく行動が出来ない。だがそれは、猿面武者とて同じ。互いに行動が出来ず、他の猟兵たちが駆け付けるまで、睨み合いが続くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユウ・タイタニア
【心境】
「なんすか、この生れた世界と時代を間違えた奴は…。」
なんすかねー。正直サムライエンパイアには似合わないっす。
いろんな意味で…。

【行動】
ネメシスをランス形態で右手に、ドラゴンスケイルシールドを左手に向かうっす。
あっしの最大戦闘形態っす。なんかアレに負けるのは非常に不愉快なので本気っす。

敵の攻撃をドラゴンスケイルシールドで『盾受け』して『カウンター』でネメシスを『串刺し』するっす。『火炎耐性』と『激痛耐性』で簡単には倒れないっす。
そして、あっしの一撃は『鎧砕き』で鎧ごと貫くっすよ。

鎧を貫いた感触と同時にUC:ドラゴニック・エンドを発動っす。
召喚したネメシスパパにそのまま焼き殺されるっす。


箒星・仄々
歌の戦いだけならどれ程良かったことか

過去に囚われ変わる事がない
哀れなお心を解放して差し上げましょう


未来へ進む者たちを称えるrapで仲間を鼓舞・癒しながら
奏でる聖なる調べで猿面さんのrapパワーを減弱
:歌唱&演奏&鼓舞&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ&破魔&UC

未来は命の重み!
今を生きる人達が未来を創り上げていく!

戦で消える大勢の命
未来の否定と同じ事

命と未来を護る
それが猟兵!


迷彩&残像&早業&見切り&忍び足で回避


事後
猿面さんへ鎮魂曲を奏でます

今を生きる方々はきっとより善き世界を
未来へと繋げて下さいます
嘗ての貴方がそうだったように

どうか安心してこの世界を託されて下さい
骸の海でどうぞ静けく安けく


天海空・奏楽
目立つの目的、誰でもカモン
それじゃ手下もついて来ないぜ、yoyo
タダのお猿のお騒がせ!

そんで、手下なんてハナから必要じゃねえぐらい強いってことだ
クルセイドをフェイントで、見切られないよう搦め手で指差して使ってく

■不見
回避や防御の動きに指先を隠してクルセイド
動き回ってお猿の注意を引き付ける
操作するにも動く俺を目で追う必要あるね?

■不言
まめに攻撃をして構えを作れないようにする
二回攻撃→、一度目はメイスで近距離打撃、腕振り切ったところで
指先でyo! 指したら雷 ドン だ よ!

■不聞
連携する人がいるなら、俺は亡霊の押さえに回るぜ
状況によっちゃ押さえをやってるよーに見せつつ、
すかさずクルセイドもありかな



 あとから駆け付けた猟兵たちは、傷を抑えて立ち上がる猿面武者と対峙する。
 猟兵たちに猿面武者は、まるで古い友人に語り掛けるかのように、気さくに話しかけてきた。
「Yo! イェーガーども? What's Up?(調子はどうだ?) 早速、第2ラウンドと洒落込もうぜ? Check it out!」
「なんすか、この生れた世界と時代を間違えた奴は……?」
 ユウ・タイタニア(フェアリーの竜騎士・f03116)は目を細めてドン引きしていた。
(なんすかねー。正直サムライエンパイアには似合わないっす。いろんな意味で……)
 口には出さないが、彼女は目の前の敵に強い違和感を覚えていた。
 これに同調するのが箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)だ。
「ユウさんの仰る通りです。歌の戦いだけならどれ程良かったことか……」
 箒星は短く嘆息を吐くと、武器を構えた。
「過去に囚われ変わる事がない、哀れな御心を解放して差し上げましょう」
 対して、天海空・奏楽(人間のフォースナイト・f13546)は投げ出されていた扇子を見るや否や、それを拾って握り締めた。
 そして、次の瞬間、天海空のリリックが炸裂する!
「目立つの目的、誰でもカモン! それじゃ手下もついて来ないぜ! YoYo! タダのお猿のお騒がせ! つーか手下なんてハナから必要ねえ! それだけあんたはすげぇ強ぇ! だからやろうぜ珠玉のバウト! 念願叶って嬉しいか? What's going on? Hey! ノートリアス・エイプサムライ! 掛かってこいよ! 相手になってやるぜ!」
 ユウと箒星が唖然としている。そりゃあ、そうだろう。何の前触れもなく、キレッキレのRapを繰り出されたら、状況を飲み込むのにしばし時間が掛かるというものだ。だが、天海空は猿面武者の思惑に乗っかることを選んだのだ。リリックによって熱い魂の叫びを伝えたかったのだ。このリリックに対して、オブリビオンの武者が、猿の面の下から喜色を滲ませた声を漏らす。
「粗削りだが、勢いがあって心に刺さってくるリリックだったぜ……! お前のアンサー、確かに受け取った。はは、なんだかよ、さっきまでお前たちを殺してやろうと思ってたんだが、なんだかどうでも良くなってきちまったぜ……」
 なんと、猿面武者の殺気が急激に削がれてゆくではないか!
 とはいえ、完全に殺気が失せたわけではない。まだ猟兵を排除せんという確固たる意志自体は残っている。猟兵たちは言葉ではなく心でそれを理解した。
「さて、イェーガー? こっからは喧嘩だ、喧嘩! お前たちは俺を殺すつもりで来いよ? でないとこちらも張り合いがねぇからよ?」
「んん……、何とも奇怪なオブリビオンっすね」
 掴みどころがない相手に、ユウは困惑していた。
 一方、箒星は真剣な表情で肉球の掌を突き出して宣言した。
「分かりました! 猿面さん、私も戦闘中にリリックとやらを捧げます! しっかり聞いて下さいね!?」
「おう! 期待してるぜ、猫の坊主!!」
 猿面武者が嬉しそうに声を弾ませた。
 意外にもこの状況に順応するケットシー、それが箒星である。
「……で、そっちの妖精騎士様は、どうなんだ? ん?」
 猿面武者に尋ねられたユウは固まってしまう。
 ひとりだけこの状況に乗り遅れたユウは、数秒の間、沈黙をしたのちに意を決して叫んだ。
「あっしは真面目に戦うっす!! ネメシス! 最大戦闘形態っすよ!!」
 面倒くさくなった彼女は、一気に戦闘モードへ移行する事にした。
 騎乗していた白竜ネメシスをランス形態で右手に、ドラゴンスケイルシールドを左手に持ち、自身の羽で宙に浮いて身構えた。
「なんかアナタに負けるのは非常に不愉快なのでこっちも本気っす。覚悟するっすよ!」
「ま、だろうな?」
 苦笑いを漏らす猿面武者は、25個の陰火の炎を自身の周囲に召喚した。
「そんじゃ、そろそろおっぱじめようぜ? Kick your ass!(お前ら、ぶっ飛ばす!)」
 唐突に陰火の炎が天守閣内を舞い狂う!
 そのひとつがユウの正面から激突して爆ぜる!
「ぐっ!? 熱っいっす! でもあっしは炎と痛みに強いのが取り柄っすよ!」
 竜鱗の盾で炎の熱を凌いだユウは、小さい体を活かして火の玉を掻い潜り、時に盾を突き出して無理矢理に突破してゆく。
 そんな彼女の動きを悟った天海空は猿面武者へ向けて挑発を開始する。
「ヘイ、サムライ! 俺の方が的がデカいぜ? こちらに火の玉投げてこいYo!」
「いい度胸じゃねぇか! ほらよ、リクエストに応じてやるぜ!」
 ユウへ向けていた火の玉の一部が天海空へ飛んでゆく!
 それに天海空は避ける仕草をしながらこっそりと、指先を火の玉へかざした。
 すると、火の玉は天からの光に貫かれて消失してしまった!
「残念だったな、エイプサムライ!」
「なんだ、今の? 妙な技を使いやがるな?」
 面白れぇな、と呟いた矢先、猿面武者の目の前にユウがランスを突き付けて突撃してきた!
「炎の弾幕が薄くなった今がチャンスっす!」
「おっと、まだ陰火の炎は残ってるんだぜ!」
 残っていた7つの火の玉が合体! 巨大な火の玉が生み出されると、ユウの身体を丸ごと飲み込んでいった!
「ユウさん!?」
 光学迷彩で身を潜めていた箒星がユーベルコード『シンフォニック・キュア』を発動させようとしたその時だった。
 炎の中から、白銀の槍が飛び出して猿面武者の腹を貫いた! その一撃は容易く猿の鎧を打ち砕き、ユウの身体ごと猿の体内を貫通!
「騎士道大原則ひと~つ。騎士は決して途中で折れないっす! そして、あっしの槍が突き刺した相手にユーベルコードが発動されるっす!」
 突如、天守閣内の空間が歪みを生じてゆく。その中から、猿面武者の背丈を超える巨大な白銀の竜が召喚された!
「ドラゴニック・エンドっす! ネメシスパパにそのまま焼き殺されるっす!」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!』
 紅蓮の炎が白竜から放たれ、猿面武者ごと天守閣の半分を爆発させて吹っ飛ばした! 真冬の暗闇を炎が彩り、辺りは唐突に赤熱に輝く。
「だぁぁぁぁっ!? 流石に死んだかと思ったぜ!?」
 だが、猿面武者は辛うじて生存!
 ユウは白竜を引っ込ませると、箒星のところまで退避する。
 その間に猿面武者は次の一手を放つ。
「瀕死になったことで、ブラザーを呼び出せるようになったぜ!」
 猿面武者の両脇に、狐面と狸面を被った武者の亡霊が召喚される。ふたつの霊体は非常に強力な殺気を放っており、かなりの手練れだと猟兵たちは直感で理解した。
「だったら、俺が相手だ!」
 天海空がユウと箒星を守るべく立ち塞がる。
(攻撃役は俺ひとりか。手負いのユウは回復してもらわないと厳しいな……)
 覚悟を決めた天海空は、両手の指先を猿面武者とふたつの霊体へ向ける。
 先に動いたのはふたつの霊体だ!
「ジャッジメント・クルセイド!」
 左右の指先を二体の霊体へ向け、天からの光で貫く! しかし、霊体は止まらない! 天海空、連続クルセイド! 隙を伺って本体へもクルセイドを連発! それでも徐々に押されていってしまう。ユーベルコードの相性はあまりよくないようだ。
 天海空が踏ん張っている間、ユウの火傷を治療すべく箒星はシンフォニック・キュアを発動させる。
「ユウさん、今、治療しますね!」
 箒星は歌う事で、共感した者の傷を癒す事が出来るのだ。
 すると、唐突にリズムを刻みだした箒星はリリックをかまし始めた。
「未来は命の重み! 今を生きる人達が未来を創り上げていく! 戦で消える大勢の命、未来の否定と同じ事! 命と未来を護る、それが猟兵!」
 箒星の優しさと勇気、そして祈りのリリックがユウの火傷を回復させてゆく。ユウの手を取り、優しく踊るようにユウをグルーヴに誘えば、彼女もいつの間にかノリノリでRapを聞き入っていた。
 だが、聞き入っていたのは敵の猿面武者も同様だった。そして同時に共感をしていた。
「こいつはイル(超カッコイイ)なリリックだぜ……! ん? 俺の傷が癒えてゆくんだが?」
 なんと、敵にまで癒しの効果が発現している!
「仄々、ストップっす! 敵が回復してるっすよ!」
 歌を制止するユウだが、それを天海空が遮った。
「いや、傷が癒えるのが正解だぜ! 見ろ!」
 天海空がニヤリとほくそ笑む。猿面武者の傍らで戦っていた狐と狸の亡霊武者が消失してゆくではないか!
「奴の召喚能力は瀕死の時だけだ! 傷が癒えたことで、亡霊武者を現世に留めることが出来なくなったんだぜ!」
「マジかよ……! だが、回復したらなら、俺が攻撃すれば!」
 猿面武者が鉤爪を構える。だが、天海空は指先を猿面武者へ向けて言い放った。
「いいや、アンタの負けだ、猿面武者。ジャッジメント・クルセイド!」
 天からの光が暗闇を打ち払い、猿面武者の頭を貫いた!
 急所を射抜いたその一撃は、たちまち燃える天守閣に猿面武者を沈めさせた。
「なる、ほ、どな……。急所を撃ち抜かれたら、召喚は、できねぇ、な……」
 猿面武者の身体に火の粉が掛かり、その体を燃やしてゆく。
「もう……、痛みも、熱さも、感じねぇ……。ここまでか……。喧嘩……、楽しかったぜ……!」
 炎に包まれる猿面武者が、最後に猟兵たちへ告げた。
「Keep it real(自分に正直に生きろよ)! じゃあな……!」
 燃える天守閣。崩れゆく廃城。猟兵たちは急いで城から脱出するのであった。

 今を生きる方々はきっとより善き世界を
 未来へと繋げて下さいます
 嘗ての貴方がそうだったように

 どうか安心してこの世界を託されて下さい
 骸の海でどうぞ静けく安けく

 箒星の鎮魂歌が、焼け焦げた城とオブリビオンたちへ贈られる。
 オブリビオンの心の救済は前途多難な業だが、今回に限っては、それがきっと叶ったはずだと、猟兵たちはうっすらと確信していた。
 そして、東から朝日が昇り始める。
 暗闇は終わりを迎え、今日も新しい未来が訪れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト