ボクはあいつの事を見つけたんだ。あいつは声をかけてやってもじっとして動こうとしないで、愛想も良くなかったけど、なんだか寂しそうで、気になった。
あいつが見つからないようにした後、ボクは走って家に帰った。お母さんに、あいつを家で飼うのをお願いするために。
お母さんは最近病気になって、寝てばかりいるけど、あいつの世話はボクが全部やるから大丈夫って言おう。お母さんは優しいからきっと、いいよって言ってくれるはず。
「だけど、少年は『あいつ』を飼う事はできなかった……家に帰ると彼のお母さんは危篤状態に陥っており、医者の治療もむなしく、亡くなってしまった。父も既にいない少年は親戚の家が預かる事になった」
カナ・ディラック(f00179)が説明を続ける。
「少年が飼おうと思っていたのは実は影朧だった。けれど私に見る事が出来たのは少年が何らかの影朧をどこかにかくまっているという所まで。皆には少年に接触し、彼から影朧の居場所を聞き出し、影朧を鎮めてほしい」
俺たちはどうすればいいんだ? 猟兵の一人が聞いた。それにカナは答え、
「さっきも言ったとおり、彼は親戚の家に預けられるはずだったんだけれど、途中の駅で逃げ出して『あいつ』の所に行くために列車に乗り込んだ。皆はその少年を探し出し、彼がどこに向かうのか探ってほしい。だから皆を送り込むのは、その列車の中。ちょっと豪華な木造列車だよ。食堂車両や展望車両もついてる。少年を発見してからそこに連れて行って、心を開いてもらうのもいいかもしれないね」
それじゃあ、後は頼んだよ。カナは、そう言って猟兵たちをサクラミラージュへ送り込んだ。
八雲秋
第一章は列車内での少年の捜索です。どこを探すか、少年からどのように聞き出すか、あるいは追跡するか、などプレイングに書いてもらえたら良いかと思います。
第二章は影朧の捜索。
第三章は影朧との対決になります。
第1章 日常
『旅客車に揺られて』
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POW : 食堂車両で何かを頂く
SPD : 展望車両で景色を眺める
WIZ : 客席車両でゆったりする
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フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡みOKです。
転送される前に聞いた少年の特徴を頼りに、先頭車両から順に乗客の顔をチェックしていきますね。
この地では知名度もありますし、通路を普通に歩いていけば、自然と乗客の方もわたしの方を見てくれるでしょう。
少年は心ここにあらず、と言った感じかもしれませんし、わたしの方を見ないかもしれませんけど…注意して探していきますね。
「ここ、よろしいですか?」
もし少年の隣の席が空いてるようなら、少しお話をしましょう。
「綺麗な列車ですね。貴方はどちらまで?」
「何か、悩みごとがありそうですけど…」
少し緊張がほぐれたら、気遣うように話しかけます。
子供相手でも礼儀正しく丁寧に、優しく笑顔でお話しますね。
ポノ・エトランゼ
連携・アドリブ歓迎
一人でいる少年を探しましょう
保護されるくらいだからそれなりに幼い筈
元気がなく、そわそわとしているんじゃないかしら?
もしかしたら他の猟兵と一緒にいるかもだけど
見つけたら
あなた、ひとり? って声を掛け
お姉さんもなの
ここの食堂車のお菓子とお茶が気になって行くところなんだけど、お姉さんのお喋りに付き合ってくれない?
や、ちゃんと誘拐じゃないよーににっこり無邪気に話しかけるわね(汗
私、食べ歩きが趣味であちこち行ってるんだけどね
って自分のことを話して、少年の事を聞こうかな
これからどこへ行くの?
お友達のところ?
じゃこのお菓子、持って行ったら喜んでくれるかもね
って持ち帰り分のお菓子も持たせよう
「茶色の上着に青い帽子、年は9歳の男の子でしたね」
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は影朧と接触した少年を見つけるために先頭車両から確認してまわっていた。幸い電車はさほど混んでいない。
それに彼女はこの世界で歌手を生業としている。そのせいか車内を歩いていると、自然と彼女を目で追う人も多く、不自然に人の顔を覗き込むような真似をしないで済んでいる。
フィーナと気づいて、小さく声をあげる人や手を振る人に、微笑んだり、手を振り返したりしつつ進んでいくと、ボックス席に一人座る青い帽子の少年を見つけた。目立たないようにしているのか、それとも早く目指す駅に着くことを祈っているのか。誰からも顔をそむけるように、窓の外を見ていた。
「ここ、よろしいですか?」
フィーナは少年に声をかける。少年はびくっと体を震わせ、彼女の顔を恐々見上げたが、追手ではないことがわかると無言でうなずいた。
彼女は向かいの席に座ると少年と同じように窓の風景を眺めた。ただ、田畑が広がっているばかりの特に見るものもない風景。彼女は少年に笑顔で話しかける。
「綺麗な列車ですね」
そう言われて少年は初めて気づいたように車内を見回し、座席の生地を掌でなぞり、少し口元を緩めた。
「クッションも良くて座りやすいですよね」
「ボク、あんまり電車に乗ったことないから」
少年は戸惑いがちに答える。
「そうなのですか。今日は貴方はどちらまで?」
子供相手でも丁寧に礼儀正しいのは、依頼遂行のためというよりも彼女の性分なのだろう。だが、少年はその問いには口をつぐんだ。
「何か、悩みごとがありそうですけど…」
気遣うように話しかけると、少年は何か言いたげな様子を見せたが、言葉がまとまらないのか、それとも、やっぱり黙っていようと思ったのか、再び俯いた。
ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)は一人で電車に乗っているだろう少年を探していた。そうしてボックス席の二人を見つけた。女性の方が親身に語り掛けてはいるが、少年の態度はややぎこちない。恐らく女性は猟兵だろう。
「もしかして、あなた、ひとり旅?」
ポノは少年に聞いてみた。少年は彼女を見上げ頷く。
「お姉さんもなの。ここの食堂車のお菓子とお茶が気になって行くところなんだけど、お姉さんのお喋りに付き合ってくれない?」
どう答えたらいいか悩む少年の表情を見て、
「や、誘拐とかじゃないよー」
慌てて違う違うというように両手を振る。
フィーナもとりなすように少年に言う。
「きっと、このお姉さんなら大丈夫ですよ」
三人、連れ立って食堂車に向かう。そこでは南瓜フェアが開かれていた。
南瓜タルト、南瓜クッキー、南瓜アイス、南瓜パフェ……。皆でシェアしようと色々頼んでみる。
お菓子が並んでも少年は手を出そうとしない。
「食欲無いのかな? でも折角だから食べてほしいな」
差し出された南瓜ケーキを食べ、少年は思わず頬をほころばせる。
「おいしい……あいつも何か食べてくれてるかな」
「あいつ?」
「ううん、なんでもない」
ポノはいかにもおいしそうにお菓子を食べながら、
「私、食べ歩きが趣味であちこち行ってるんだけどね、こういう季節の限定メニューとかに出会えると、嬉しいよね。
あなたはこれからどこへ行くの? お友達のところ?」
なんでわかったんだろう、少年は驚きの表情を浮かべる。
「あいつ、って言ってたから、なんとなくね。じゃこのお菓子、持って行ったら喜んでくれるかもね」
そういってクッキーを持ち帰り用に包んでもらうと少年に渡した。少年は大事そうに受け取る。
「ありがとう! ボク、客席に戻るね」
お礼を言って、立ち上がりながら、
「……」
少年は小さい声で駅名を呟いた。
「え、今のは?」
「ボクの降りる駅だよ、寝過ごさないように気をつけなくちゃ」
自分に言い聞かせるように少年は呟いた。
成功
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高宮・朝燈(サポート)
『私とおかーさんが居れば、どんなオブリも大丈夫!』
妖狐のガジェッティア×電脳魔術士、8歳のませたガキです。
普段の口調は「ちょっとだけメスガキ(私、あなた、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、機嫌が悪いと「朝燈スーパードライ(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは、レギオンガジェット>お料理の時間>その他と言った感じです。レギオンガジェットで出てくるガジェットはお任せします。大抵補助的な役割を好みますが、多少の怪我は厭いません。口調はませたメスガキですが、性格的には良い子で、基本的に犯罪的な行為はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。
一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。
仲佐・衣吹(サポート)
私ことウォッチが対応致しましょう
執事のように礼儀正しく丁寧口調の人格
常に微笑みを絶やさず立ち振る舞いはスマート
調べ物や相手から信用を得ることが必要ならば適任でしょう
あー……少々吃驚したり怖かったりするアクシデントには弱いのですけれど
(数秒固まった後に)微笑みと口八丁で誤魔化すのは得意です
アイテムやユーベルコードはその場に応じて選んで下さって結構です
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします
・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
じっと、車窓から外の景色を見つめている青い帽子をかぶった少年に、
「ねぇ君一人で旅行してるの?」
誰かが声をかけた。振り返ると彼よりも幼いであろう女の子が首を傾げ、彼の顔を覗き込んでいた。高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)だ。
少年が頷く。
朝燈の隣には同じく猟兵のステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)がおり、へぇ、と声をあげ、
「まだ子供なのに凄いね、偉い偉い」
と感心したように言った。
「そっちだってまだ子供じゃないか」
2人を見比べながら少年は言葉を返すと、ステラは心外そうに片眉を上げ。
「あら、アタシはアンタに比べたら、随分お姉さんだよ」
こう見えても下に三人も弟がいるお姉ちゃんだ。まだ何か続けて言ってやりたいところだが、そこは飲み込み、少年に話しかける。
「そんな事より、アンタがどこまで乗っていくのかしらないけど、次の駅に着くまでにしたってまだ時間も随分あるし、退屈してない?」
「別に」
ぶっきらぼうな答えに、朝燈は、
「でも、ずーっと外見てるだけだったよね」
「そうだけど」
朝燈はじゃあさ、と続け、
「同じ景色を見るんなら展望車両の方がもっと楽しいよ」
「展望車両?」
ステラはふふんと笑い、
「知らなかった? この列車にあるんだよ、ね、行こうよ」
「ほら、この車両だよ」
ステラが入り口の扉を開ける。
展望車両は座り心地がよさそうなロングソファが外の景色を眺めやすいように、いくつも配置されていた。
「思ったより人がいないね、ラッキー。どの辺がいいのかな」
朝燈がきょろきょろと見回していると、
「おや、賑やかな人たちが来たようですね、よろしかったら、こちらへどうぞ」
仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が、さながら執事の物腰で場所を開けると手のひらで指し示し、彼ら三人を席へ導いた。
ステラ、少年、朝燈が並んで座ると、衣吹と架空・春沙(緋の断罪・f03663)は三人の背後に回り、背もたれに手をかけ、外の景色を楽しむ。
春沙が進行方向を指さし、声を弾ませ、
「ほら、橋にさしかかりますよ」
レンガ積みのアーチ橋の上を列車が走る。少年は身を乗り出すようにして、電車の向かって行く先を見つめる。
「お家に帰るのですか?」
少年に春沙が問いかける。
「家には帰らないよ。誰もいないし」
そう答えてから、皆が不審に思うのではと不安になったのか、
「あいつの……友達の所に行くんだよ」
と付け加えた。
「お友達のお家ですか」
春沙が重ねて問うと、少年は少し笑って首を横に振り、
「お家じゃないよ、友達って言ってもさ、人じゃないから。本当は家で飼いたかったんだけど」
「飼いたいって……猫とか?」
「犬……だと思う」
彼は再び首を横に振り、自信なさげに答えた。
「わかんないの?」
「いつも暗がりにいて出てこなかったから、はっきり見た事ないんだ……でも友達なんだ」
朝燈がからかうように言うが、少年は怒るでもなく、うなだれた。
『長らくのご乗車有難うございます。次は……』
車内にアナウンスが響く。
「降りなきゃ」
少年が立ち上がる。衣吹がその背に声をかける。
「ちゃんと切符は用意していいらっしゃいますか?」
「あ、切符……どうしよう」
恐らく彼は切符の用意もないままにこの電車に飛び乗ったはず。
「それなら、一緒に降りましょう。君が途中で切符を無くしたという事にするから」
「でもお金とか……」
「気にしなくていいですよ」
少年と猟兵たちは揃って同じ駅に降り立った。
「皆もここで降りていいの?」
「心配だからね」
ステラが、また、お姉さんぶった言い方をしてみせた。
「心配なんて」
彼が言いかけるのを春沙が遮り、問う
「あなたのお友達の犬、ちょっと不思議な感じがしませんでしたか?」
その言葉に少年は言い訳するように答える。
「え……うん、でもさ、あいつ何だかさみしそうに見えて、だから、ボクは」
衣吹が自身の胸に手を当て頷きながら
「ええ、あなたの気持ちはわかります、ですが、その方は非常に危険な存在なのかもしれないのです」
「あいつの事、どうするの? どっかに連れてくとか、殺しちゃったりとかするの?」
朝燈が困ったような顔をして言う。
「それは会ってみないと、わからないんだ、だから」
ステラが続ける。
「アタシたちを一緒に連れて行ってくれないかな?」
少年は、悩んだ様子を見せたが、結局頷いた。彼らなら、自分が抱えていた不安を解決してくれそうに思えたからだ。
成功
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第2章 冒険
『うつろひの迷宮』
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POW : とにかく進んで踏破する
SPD : なんらかの規則性を見つけて進む
WIZ : マッピングしながら進む
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「……あれ?」
猟兵たちに道案内をしていた少年は思わず声を出した。
犬だと信じている彼の友達がいるはずの森の入り口には季節外れの紫陽花が咲き乱れていたのだ。
「前、来た時はここは普通の森だったんだ」
少年はそう言った。影朧の力なのか、それともこの森自身の力なのかわからないが、森の中は紫陽花の迷路となっているのだろう。
森の奥のそんなに大きくはない洞の中に、友達はいるという。
少年にこれ以上道案内は出来そうにないが、少年に森の入り口で待っていてもらうか、それとも、一緒に来てもらうかはの判断は猟兵たちで決めていい。ともかく今はこの迷路に入り、影朧の元までたどり着いてほしい。
フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡みOKです。
少年に着いてきてもらうかどうかは、他の皆さんの意見にお任せします。
同行する場合は疲れてないか気を付けますね。
「さて…どうしましょうか?」
首をかしげて思案します。
「そうだ、みんなに手伝ってもらいましょう♪」
インストルメントで【悠久に響く幻想曲】を演奏、小人さん達を召喚。
少年から洞の特徴を聞いて、小人さん達に伝えます。
「お願い、小人さん。森の中から、洞を探してきてください!」
見つけたら楽器を演奏して教えてくださいね。
わたしも翼を広げて飛び上がり、紫陽花の花の上から周囲を見渡しながら探索しましょう。
さて、洞に待っているのはどんな相手なんでしょうか?
お話が通じると良いのですけど。
ポノ・エトランゼ
わたしはこの子に一緒に来てほしいかな
先がどうなるかは分からないけれど、再会に、別れに、『あいつ』さんにもきっと言葉って届くと思うのよね
あっ、クッキーも渡さないとね☆ ね?
さっきは聞きそびれちゃったけど、少年の名前はなんていうんだろう?
私はポノだよ
と、軽く自己紹介しとくわね
【SPD】
ここは小鳥型サーチドローンを飛ばして、上空から情報収集ね
空からなら何か見えるんじゃないかしら?
規則性を見出したり、先へと続く道を見つけたりしながら進みましょう
紫陽花、綺麗ね
花言葉は辛抱強い愛情だったり、寛容だったり、結びつきに関するものが多かったりね
影朧は声掛けてくれた少年のことをどう思っていたのかしら
グロリア・グルッグ(サポート)
家庭用ゲーム機から宇宙戦艦まで!
ハッキングのことなら電脳ハッカーにお任せあれ!
わたくしこう見えて凄腕の電脳魔術士ですので、困ったことがあればまず電脳検索で情報を仕入れるんですよね。
ふむふむ、なるほど! 完全に理解しました!(理解していない)
単独で難しそうなら金色魔女でもう一人の私を召喚します。
単純に人手が増えるのと、同じく電脳魔術が使えるのでより精度の高い作戦が取れますからね。
あと私は生粋の軍人(鎧装騎兵)でもあるので、身体能力および状況への適応力には自信があります。
人探しなどの捜索系の案件でしたらハッキングの腕を発揮して街中の監視カメラやSNSなどから情報を入手してみせますよ。
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は紫陽花の迷路の前、少年の顔を見、それから猟兵の面々に向かって言う。
「この子に着いてきてもらうかは、皆さんの考えにお任せしますわ」
「そうだね、それなら……」
ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)が言いかけた所を、
「家庭用ゲーム機から宇宙戦艦まで! ハッキングのことなら電脳ハッカーにお任せあれ!」
グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)が颯爽と現れた。
「グリモアベースの説明もそこそこに駆け付けましたが、間に合いましたか?」
「では状況をお話した方がいいでしょうか」
「一寸待って!」
グロリアはフィーナの言葉を制し、やおら端末に向かう。
「わたくしこう見えて凄腕の電脳魔術士ですので、困ったことがあればまず電脳検索で情報を仕入れるんですよね。ふむふむ、なるほど! 完全に理解しました!」
腕組みして頷く、これ絶対にわかってない顔だ。
それを察したかは定かではないが、フィーナはグロリアに少年の事と迷路、森にいる『あいつ』について話し、ポノは、それでね、と隣にいる少年の方をポンと叩き、言った。
「わたしはこの子に一緒に来てほしいかな」
影朧と少年の対面がどのような結果になるかはまだわからない。それでも、少年の言葉が影朧――『あいつ』にもきっと届くと彼女は信じたい。
少年も頷き、
「森が変わっちゃったの見た時は、どうしようって思ったけど、ボクもやっぱり行きたい! それに……」
少年は小さな包みを取り出すとポノが笑みを見せる。
「うん。クッキーも渡さないとね☆ ね?」
「さて……どうしましょうか?」
フィーナは首をかしげ思案する。迷路の探索に必要なことと、自分のできる事。
ポンと手を叩く。
「そうだ、みんなに手伝ってもらいましょう♪」
悠久に響く幻想曲を演奏すると、小人達が召喚された。
少年から洞の外見や大きさといった特徴を聞くと小人達に伝える。
「お願い、小人さん。森の中から、洞を探してきてください!」
わかったと返事代わりに、それぞれ楽器を鳴らす。
「ええ、洞を見つけたら同じように楽器を演奏して教えてくださいね」
小人たちは、それぞれ森へ向かって行った。
グロリアは超高度コンピュータ内蔵のゴーグル、ラプラスを装着し、周辺の情報を調べるが、眉を顰める。
「私もこの辺りの監視カメラをハッキングして……森の周辺には該当するカメラが少ないですね。ではこうしましょうか、そう『私がもう一人いれば楽勝ですよ』」
ユーベルコード金色魔女を唱えるとグロリアの前にもう一人のグロリアが現れる。超高速演算に特化した彼女ならマッピング、迷路解析に活躍してくれるだろう。勿論、単純に人手も増えるという利点もある。グロリアも何かわかったら、皆に伝えると、迷路へ先行していった。
ポノは小鳥型サーチドローンを飛ばした。
「空からなら何か見えるんじゃないかしら?
迷路の規則性や進路のヒントがないか探ってみる。
「入り組んではいるけど、途中で変化したり罠があったりはないみたいね」
残った面々は少年と共に迷路を進んでいく。
そう言えば少年の名前を聞きそびれていた。ポノは手のひらを自分の胸に当て、少年に言う。
「軽く自己紹介しとくわね、私はポノだよ、あなたのお名前は?」
「ボクはタケル、だよ」
フィーナも笑みを見せながら言う。
「わたしはフィーナと言います。タケルさん、まだ歩きますけど、疲れていませんか?」
「ううん、まだ全然元気だよ。電車でも休んでたし」
そう言ってかけっこをするように両手をブンブン振ってみせる。緊張こそしているだろうが、けして強がりで言っているのではないようだ。
「それなら良かったです。私も少し空から見てみますね」
フィーナは翼を広げ、飛び上がる。紫陽花の花の上、少年から離れすぎることない位置から周囲を見渡す。
「紫陽花、綺麗ね」
花に囲まれながらポノは思わず呟いた。行く手を惑わすものとはいえ、その美しさは変わらない。
「タケル君は花言葉って知ってる?」
「うん。紫陽花にもあるの?」
「花言葉は辛抱強い愛情だったり、寛容だったり、結びつきに関するものが多かったりするね」
結びつき……影朧は声掛けてくれた少年のことをどう思っていたのかしら。ポノはふと、そんな事を考えた。
成功
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左衛門三郎・白雷(サポート)
雷と戦を司る竜神の剣豪×神器遣い、25歳の男です。
数多の死線を潜り抜けた先に有る『何か』を求めて戦い続けている様な戦好きですが、性格は穏やかです。
戦闘では、竜の雷を操る他、居合術や投擲技術を駆使して戦います。
普段の口調は「男性的(拙者、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)相棒には 友好的に(拙者、相棒、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
鞍馬田・珠沙子(サポート)
普段の口調は「~っしょ。~だべ?~じゃね?」といったギャル風。
戦闘時に敵を煽ることもしばしば。
性格も口調と同様その場のノリで生きる喧嘩っ早い性格ですが、元箱入り娘らしく分別と道徳心は割と持ち合わせています。
猟兵のスタンスとしては、自分の知り合いといった『自分の手の届く範囲の人』を守れれば十分と考えているため、態々依頼に参加する理由は何か面白そうだったから、もしくは『映え』そうな場所だったからといったふわっとしたものが大半を占めます。
割と勝つために手段を選ばない性格で、素手による戦闘を身上としてはいますが陰陽術を使った相手への妨害や周囲のものを武器として利用することも積極的に行います。
メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。
その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「拙者が前を歩こう。用心するに越したことはない」
左衛門三郎・白雷(竜神の剣豪・f29303)が、刀を腰にさしてはいるが、それに手を触れる事もなく、紫陽花咲き乱れる中を進んでいく。
まるで無警戒のようだ。だが、いざ、敵と対峙する事態となれば、彼の刀は一閃。居合の技が振るわれるはずである。
無造作なようでいて、実際は周囲の気配を敏感に察知しながら歩を進めているのだろう。
幸い、攻撃などの罠が仕掛けられている様子はない。ただ、森の奥へ奥へと紫陽花は、猟兵たちをいざなう。
「あの……洞には、お友達がいると言っていましたよね」
言葉少なく、俯いたまま歩くタケルに、メイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)は思い切って声をかけてみた。対人恐怖症とまでは行かないが、自分から声をかけるのは緊張するたちだ。
「う、うん」
彼女の緊張がタケルに移ってしまっているかのように、タケルも戸惑うようなぎこちないしぐさを見せながら答える。
やっぱり、うまく会話できてない。へこみながらも、メイリンは続けて問うてみる。
「えっと……お友達のお名前は?」
「……まだつけてない」
「つけてない?」
「友達って言ったけど、そいつは人間じゃないんだ、ハハ、おかしいかな、それで友達なんて」
少し笑って見せた後、タケルは再び俯く。
メイリンも幼い頃からドラゴンと心を通わせ、ドラゴンの言葉すらわかるようになっていた。勿論、少年がそこまでできる訳ではないのだろうが、それでも彼を笑う気になどなれない。だから。彼女は軽く腰をかがめ、タケルの顔を覗き込むようにして
告げる。
「大丈夫。全然、おかしくなんかないですよ」
「そっか……よかった」
タケルは、ホッと安堵の息をついた後、顔をあげた。
そんな彼らの背後から、女の楽し気な声がした。
「ちょう映えじゃーん」
鞍馬田・珠沙子(SUTEGORO☆ONMYOJI・f26157)だ。後衛の位置から少年を守ると言いながらも、しっかり紫陽花を眺めては時折立ち止まり、シャッターを切っている。この依頼に来たのも『映え』そうな場所だったからと彼女は言い切る。
「あ、自撮りもしとこ。みんなはしてかないの? ほら、あっちなんか、青にピンクに紫に白に色とりどりで綺麗じゃね?」
「あの……とっても楽しんでますね」
メイリンの言葉に、
「楽しいよ。そりゃだって、紫陽花迷路で、そこを潜り抜けた先には、雰囲気ありの洞があるんしょ? もう、ワクワク……て、タケル、キミはそうでもないの?」
珠沙子に驚きの目を向けるタケルにそう尋ねると、彼はもごもごと、
「あの、だって、急にこんな紫陽花迷路がでてきちゃったし、もしかしたら、なんか変なのが出てきたりするかもだし……」
「怖いのか?」
白雷が前を向いたままタケルに問う。
「うん」
恥ずかしそうに答えるタケルに、
「何、その段となれば拙者が守ろう」
そう言って白雷は左手で刀の鞘をグッと握ってみせる。
「あたしもいるよ。まぁ殴れば何とかなるっしょ」
珠沙子は力こぶを作る仕草をしながら、ニッと笑った。
「む……」
小さく唸り、白雷が立ち止まった。
「どうしました?」
「見ろ」
彼が指さす。その先にあったのは、
「あ、『あいつ』がいる洞だ!」
タケルが声をあげた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『その場から動かない影』
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POW : 僕は待ち続ける
全身を【敵対的な行動を完全に防ぐ拒絶状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 忘れ果てても待ち続ける
【身体をあらゆる敵対行動を拒絶する影】に変形し、自身の【知性と感情】を代償に、自身の【防御能力】を強化する。
WIZ : あなただけを待ち続ける
非戦闘行為に没頭している間、自身の【影】が【記憶に残っている何かを模倣し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
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この洞で間違いないのか、と問う猟兵にタケルは頷いて見せた。
明かりで中を照らすと影朧が一体。その名は『その場から動かない影』
微動だにしない影朧の足元に何かある。毛糸の編み物の破片。マフラーのようにも見えるが、それにしてもボロボロだ。それだけの間、この影朧はここにいたという事か。
影朧『その場から動かない影』 にはタケルが知る由もない過去があった。
昔々、タケルが生まれるよりもずっとずっと昔、影朧になってしまう前、それは洞でこっそり飼われていた。と言っても鎖でつながれていたわけではない。犬は好き勝手に森の中を遊んでいた。飼い主は決まった時間に洞に餌を持って来て、洞の中で犬と一緒に遊んでは帰っていく。
飼い主はタケルと同じ年位の少年。痩せていて顔は青白く、時折咳き込み、如何にも病弱そうだった。
ある日の事、
『そろそろ寒くなってきたね』
自分のマフラーを犬につけてやった。自分の方がよっぽど必要だろうに。
少年の顔はいつもよりも青白く、いつもより激しく咳き込んでいた。
『じゃあね、また明日』
そう言ったのに、少年は翌日、現れなかった。次の日も、その次の日も、ずっと何日も何日も。首に巻かれたマフラーが外れて落ちてしまってもなお。それはもう森の中を歩くことをやめ、少年が来るのを洞の中で待つようになった。
洞に入ってこようとするものは何であろうと追い払った。
それは誰もこの洞に寄せ付けず自分が待ち続けてさえいれば、いつか、きっと飼い主はこの洞に戻ってくる、そんな祈りのようなものだったのかもしれない。
けれど、少年が戻ってくることはなかった。
それはひたすら待ち続ける。もはやそれが侵入するものを追い出そうと考えなくても、その侵入するものもいなくなった。
だからそれはただ待ち続けるようになった。そうしてその思いだけを持ち、それは影朧と変わっていた。
今、影朧の前には猟兵たちとタケルがいる。影朧は彼らをじっと見る。だが、動きは見せない。
「僕では連れて帰ってあげられないのかな」
タケルは寂し気に呟いた。
ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。
一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!
グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》
「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」
通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。
「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」
マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。
「ボクが偵察に行くね!」
グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)が空を蹴り、上方から近づいていく。
無防備なようでいて、その実、真正面からの急接近は避け、影朧の実体とその周辺の様子をじっくり観察する。
(洞の中の広さは十分、複数名入っても大丈夫。影朧の足元に何かある、編み物……? もう少し接近できるかな?)
「バゥッ!」
「うわっ!」
影朧の咆哮にグァンデが体勢を崩す。声に驚いたわけではない、その咆哮は衝撃波となってダメージを与えてきたのだ。
グァンデは急ぎ、間合いを取り、振り返って皆に伝える。
「あの辺りまで近づくと攻撃をしてくるみたいだね、縄張りなのかな」
「むしろ、あの場自体を守っている、影朧にとっての聖域というものに近いかもしれませんね」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は何か見えないものでも見るかのように自身の精霊の目を細め、呟く。
「その聖域に分け入らないと、何もできないんだろうね、なら、アタシが」
ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)が一歩踏み出す。
「お姉ちゃん! ボクも」
「『お姉ちゃん』、弟たち以外に言われるのも悪くないね、でも」
タケルが後を追おうとするのを片手をあげて止める。
「アンタはここにいな。敵の真正面に立つのはアタシの役目」
それに、とスピレイルが申し訳なさそうにタケルに告げる。
「ここは危険かもしれません、できれば今の間だけでもこの場を離れてもらった方が」
「……でも、ボクは『あいつ』を見守らなきゃいけないんだ」
必死に言いすがるタケルに、
「うーん、それなら」
グァンデがタケルの上空に来ると、降下しながらヘルメットに変形し、スポッとタケルの頭に装着される。
「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」
「え、えぇ?」
タケルが戸惑うのも気にせず、グァンデは攻性ユニット支援用AIの口調となり、
「失礼します……『自立行動モードを終了し、攻性ユニット支援モードに移行します』」
タケルの全身がマシンヘルムとなり防御力が高まる。
「え、でもこれ動けない」
「多少は不自由になりますが。我慢して頂けますよう」
ステラが双剣を取り出し、
「グァンデ、ありがとうね、安心して向かって行けるよ!」
そして影朧に対峙する。
「私は援護を」
スピレイルは後衛の位置から精霊印の突撃銃を構える。
「グァウ!」
咆哮に咄嗟に双剣をクロスさせ、防御の姿勢をとる。
ビリリと空気が震えた。それでもどうにか耐える。
「次はアタシの番」
剣が影朧の肌を斬った。
影朧は混乱する。
今までは洞の奥にまで侵入するものは、威嚇すれば、咆えれば、自身を恐れ、逃げ去っていたはず。
ところが彼らは逃げない。
「まだまだ!」
ステラの攻撃は続く。
影朧は考える。攻撃を受け続ければ、やがて自身はここから消え去る事になる、ここに残れなくなる、待てなくなる、それは嫌だ。
『僕は待ち続ける』
影朧はそう念じ身を固くした。彼に対しての敵を否定し、攻撃を無効にする。
「防御をあげた? けれどまだ……」
ステラが再び剣を振り上げるが、
「待ってください!」
背後からスピレイルが声をあげた。
「攻撃するほどに心を閉ざしていっているように思えます」
そうか、この状態は。ステラは理解する。
「このまま攻撃して影朧を倒せはするだろうけど」
「ええ、それが正しいとは思えませんね」
ステラが双剣をしまう。それに合わせるようにスピレイルも銃をおろした。
成功
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フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡みOKです。
タケルさんにとってはつらい別れかもしれませんが、影朧には転生してもらいたいです。
心からの願いを込めて、影朧に向き合います。
影朧に過去の自分を重ねながら、【この広い世界で、出逢えた理由を】の曲に乗せて語り掛けます。
大切な人が居なくなった寂しさ、切なさで動けなくなっていたあの頃。
でも、あの人はそれを望まないと思ったから。
「いつまでもここに居ても、貴方の大切な人には会えません…」
「その人も、そんなことはきっと望んでません」
「一歩前に、明日に向けて歩き出してください―」
わたしと、同じように。
「転生したら、きっと会いにきてあげてくださいね…」
最後に、影朧にそっと言葉をかけます。
ポノ・エトランゼ
どことなく、影が記憶に残っている何かを模倣したのを見た気がした
ずっとずっと待ち続けていたのね
寂しさは孤独や拒絶を生み出すのかもしれない……
影朧の荒ぶる魂と肉体を鎮めなきゃ
その少年との優しい思い出に美しさを感じてくれるように、UCで水芭蕉を咲かせる
タケルくん、行こう
その青い帽子をあの子に被せてあげて
多分だけど、ううん、きっと新しい思い出が紡がれるはず
マフラーのような破片をそっと拾って首に掛ける
空色の傘を影朧に差し、鎮まれって書いた護符をのせる
ね
少年とタケルくんとの思い出でいっぱいになった?
新しいあなたになってみる気はないかしら
その脚で駆け回って、タケル君と一緒にいろんなものをたくさん見て感じるの
これから私たちは、この洞にいる影朧を消滅させようとしている。
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は彼女の隣に立つタケルを見る。彼にとって、つらい別れになるだろう、それでも、影朧の転生をフィーナは望む。そのために必要なのは、きっと、心から願う真摯さと影朧に真正面から向き合うこと。
洞の奥の影朧をポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)は見つめる。
どことなく、影が記憶に残っている何かを模倣したのを見た気がした。気がしただけのはずなのに、その場を守る姿も、影朧の足元のマフラーらしきものの意味も全てが繋がった。
「ずっとずっと待ち続けていたのね」
ポノは呟く。
どれほど寂しい思いをしてきたのだろう、その孤独は全てを拒絶し、そうやってまた傷を負い、魂をささくれさせ。
「影朧の荒ぶる魂と肉体を鎮めなきゃ」
ポノは決意し、唱える。
「『さあ、お行きなさい』」
ユーベルコード、エルフ・プラント。生み出される花は水芭蕉、その花言葉のように少年との優しい思い出、その中にある変わらぬ美しさが影朧の胸の内に宿るように。
ポノは今ここにいる少年に手を差し伸べる。
「タケルくん、行こう」
ポノが振り返り、フィーナを見る。
フィーナは頷くと、曲を奏で始める。少年の支えとなるために、影朧に伝えるために、『この広い世界で、出逢えた理由を』。
演奏しながら影朧に過去の自分を重ねる。自分の前からいなくなった大切な人、その寂しさ、切なさに彼女は動けなくなっていた。でも、その人はそんな自分を望まないと気づけた。だから彼女は確信を持って告げられる。
「いつまでもここに居ても、貴方の大切な人には会えません……その人も、そんなことはきっと望んでません」
影朧はその曲、言葉に耳を傾けているようだったが、それでも、ポノとタケルが自分の聖域に踏み入った時、影朧は反射的に攻撃していた。
「ガゥッ!」
「くっ!」
咆哮による衝撃波。しかし、タケルは無事だった。水芭蕉の花々が衝撃を散らせ、ポノが彼をかばったから。
「お姉ちゃん、大丈夫?!」
「優しいね、君も」
ポノがタケルに笑いかける。
きっと影朧が昔出会った少年も優しかったはず。その証拠に影朧は昔を懐かしむように、再び、フィーナの曲に身をゆだねていく。
「タケルくん、その青い帽子をあの子に被せてあげて」
多分、いや、きっと新しい思い出が紡がれるはずだから。
ポノもマフラーのような破片をそっと拾いあげると影朧の首に掛けた。それから空色の傘を影朧に差し、鎮めの護符をのせる。
「ね、少年とタケルくんとの思い出でいっぱいになった?」
ポノは影朧の前で首を傾げてみせる。
「新しいあなたになってみる気はないかしら。その脚で駆け回って、タケル君と一緒にいろんなものをたくさん見て感じるの」
それは、今の姿では出来ない事、だから、フィーナが祈りの言葉を響かせる。
「一歩前に、明日に向けて歩き出してください―」
わたしと、同じように。フィーナは影朧と向かい合い、同時に自身の過去とも向き合う。
皆が見守る中、影朧は傘を見上げた。そこには青い空がある。それから、
「アオーーーーン」
遠吠えを一つ、昔の主人をに語り掛けるように、それとも、タケルに別れを告げるように。
影朧の輪郭がほどけていき、黒い煙のようになっていき、存在を薄れさせていく。
「転生したら、きっと会いにきてあげてくださいね……」
フィーナがそっと言葉をかけ、影朧は完全に消滅した。
「あ、クッキー……」
タケルが呟いた。結局渡せなかった。彼は洞に置いていこうと一瞬考えたが、やめる。もし、再び出会えるにしても、それがこの洞とは限らないから。
「お姉ちゃんたち、このクッキー、一緒に食べよう」
「いいの?」
タケルは頷く。
「うん、その代わり『あいつ』の名前をボクと一緒に考えてほしいんだ、いいよね?」
大成功
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