7
キッチン大戦争☆アンコール(かぼちゃ編)

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン #お料理バトル

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#【Q】
🔒
#お祭り2020
🔒
#ハロウィン
#お料理バトル


0




●ハロウィンの国
 ふよふよ。
 ウミウシのような透明ボディで、彼らはこの国の風景を彷徨う。
 ハットをかぶり、キャンディケーンを回し、
 ハロウィンパレードの真似事なんてして。

 おっきなウミウシはなみだ色。
 お腹をすかせて森の中をたゆたう。
 ああ、ゆかいな出で立ちのこの子たちが。
 オウガでさえなければ、よかったのに。

●お料理バトル☆リバイバル(仮装パーティもあるよ!)
「皆集まってー!」
 猟兵たちに呼びかけるリグ・アシュリーズの声はやけに嬉しそう。
 その理由は、彼女の言葉を聴けばすぐに知れた。
「ハロウィンパーティをするわよ! あ、ちがった。オウガの手からハロウィンの国を取り戻すわよ!」
 本音がうっかり先に出たが、つまりは。
 今回待ち受けるのも、愉快な部類の冒険になりそうだ。

 アリスラビリンスにて繰り広げられた、迷宮災厄戦。
 戦いの余波で、ハロウィンの国とも呼べる新たな国が生まれていた。
 南瓜のランタンは大きな裂け口で笑い声を響かせ、
 森には仮装して練り歩くのにぴったりな小道など、
 そこはハロウィンパーティにうってつけの場所だそう。
「でもね。この国はオウガ・オリジンの力で生まれたものだから、まだまだ危険がいっぱいなの」
 森にはいまだオウガが潜み、愉快な仲間たちが楽しく住むにはほど遠い。
「だから、まずはオウガたちを追い出しちゃいましょ!」
 そういって、リグはガッツポーズを作った。

 リグによれば、立ち塞がるオウガの姿は二種類見えたという。
「まず皆が森に入ったら、ちいさなウミウシさんたちが襲い掛かってくるわ」
 ひとの記憶を食べて生きる彼らは、森の仮装の力を得てパワーアップしている。
「わかりやすく言えば、衣装をまとって気が大きくなってる感じね! でも実際力も強まってるから、気を付けて!」
 対抗するにはやはり、こちらも森の力を借りてしまうのが手っ取り早い。
 つまり、コスプレしよう! という事らしい。
「あ、でもね。ハロウィンの森はとっても気まぐれだから、皆の望む衣装が出てくるとは限らないわ」
 イタズラ好きな森は、あえて不釣り合いな衣装をよこして人を試す事もあるという。
 エプロン、肉襦袢、ネコミミカチューシャ……。
 そんな森の悪ふざけを受け入れる度量があるかで、森を乗り切る難しさは変わってくるだろう。

「森の中央のキャンプ場ではね、おっきなウミウシの親玉が陣取ってるみたい。しかもね」
 なんとこのウミウシ、無敵の力を誇る。
 ハロウィンの不思議な魔力で強化されたオウガは、力を解除するまでほとんどの攻撃が効かないという。
「……うん? どうやって倒せばいいのって?」
 待ってましたとばかりのわざとらしい間。
 勿体ぶった後、リグはしたり顔でお玉とフライパンを取り出した。
「私たちには、料理があるじゃなーい!」
 つまりは。口で説明するかわり、リグは以前も使ったスケッチブックを取り出す。

『1.オウガはおいしいものが苦手』
『2.攻撃耐えつつおいしい料理作る』
『3.食べさせる』
『4.>>オウガちる<<』

 なんか、どっかで見た事あるやつだーー!
 オウガは無敵だけどおいしい料理作って食べさせると弱体化する、という事らしい。

 なお、今回向かうキッチンにはなぜか大量のかぼちゃが置いてある。
「せっかくだし、かぼちゃメニューにしてみるのもいいんじゃないかしら! 小さいのから大きいの、変わり種のものまで色んなのがあるみたいよ!」
 ちなみに今回のオウガは、料理中でも空気読まずにアタックしてくる悪い子だ。
 もし料理に自信がなくとも、誰かが料理する時間を稼ぐ戦い方もあるだろう。

 ――ところで。
 例によって例の通りなら『おいしい料理を食べたオウガは料理について事細かに批評かつ絶賛した挙句に力を失う』はず、だが。
「……え? 料理の感想、くれるのかって?」
 リグが掲げたゲートの向こうには、ふよふよ漂うウミウシさんの姿。
 宇宙宿すような体の色は、とっても綺麗で素敵だけれど。

 あなた、しゃべ、れる……?

 ……。

「知らない知らない! 私、しーらーなーーい!!」
 何かをあさってにぶん投げる勢いで、グリモアの道は開かれた。


晴海悠
 はらぺこ猟兵の皆さーん、アンコールかかってまーす!
 というわけで、仮装して練り歩いた後オウガに向けてお料理砲をぶっ放しましょう!
 仮装や料理に自信がなくても大丈夫。
 愛嬌でコスメして愛情をたっぷりエッセンスすれば万事OK、です!

『シナリオについて』
 このシナリオは特殊な構成で、2章のみで完結します。
 また10/31までに成功した「ハロウィンの国」のシナリオ本数に応じ、ハロウィンパーティ当日、ひいては「いずれアリスラビリンスで起こる猟書家との戦い」に影響があるかもしれません。
 仮装やお料理を楽しみつつ、戦いに備えましょう!

『1章:集団戦』
 共有する者達。
 森から授かったコスプレ衣装で着飾り、パワーアップしています。

 この章のプレイングボーナスは「森から飛び出してきたコスプレ衣装を身につけて戦う」です。
 ただし、飛び出る衣装は完全な気まぐれ! 中にはえも言われぬ……というか、ウンともスンとも言われぬ姿の猟兵が爆誕する危険もあるでしょう。
 でも森はそんな場面でこそ勇気を出せる人を歓迎するようです。
 ……あとはわかりますね?

『2章:ボス戦』
 リカイシャ。
 共有する者達の中でも、特に悲しい記憶を食べた個体が変異した姿です。
 この敵は、ハロウィンの国の力により「ほぼ無敵」となっています。

 この章のプレイングボーナスは「おいしい料理を作って食べさせる」。
 料理を食べれば敵は徐々に弱体化していくので、敵の攻撃を耐えつつキッチンで美味しい料理を作りましょう!
 なお、今回のキッチンにはなぜか多種多様なかぼちゃがわんさか置いてあります。
 手の込んだ料理、気持ちのこもった料理……あなたらしいやり方で取り組んでみて下さいね!

『補足:お料理のテーマについて』
 かぼちゃ編とありますが、無理に沿わなくてもオッケーです。
 参加されるキャラさんの個性を活かして、楽しく考えてみて下さい!

『プレイング受付について』
 各章ともに短い断章を公開し、それをもって受付開始の合図とします。
 1章はサクサク進む予定ですが、2章は……晴海が力尽きるまで頑張ります!!

 それでは、胸のワクドキやお腹の音が鳴りやまなくなる愉快なプレイングをお待ちしています!
132




第1章 集団戦 『共有する者達』

POW   :    遊ぼう!遊ぼう!
自身の【食べたアリスの悲しい記憶】を代償に、【食べたアリスの楽しい記憶にあるもの】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【その姿に見合ったもの】で戦う。
SPD   :    見て見て!そっくりでしょ?
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【食べたアリスの記憶にあるもの】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    お茶会しよう!色んなお話し教えて!
【食べたアリスの記憶の中にあるアリスの好物】を給仕している間、戦場にいる食べたアリスの記憶の中にあるアリスの好物を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ふわふわ、と。
 わたあめみたいな軽やかな体で、小さなオウガたちは森をゆく。

 行く手に猟兵たちの姿を見れば、森の力をよびさまし。
 テーン! と、意気たっぷりにおめかし姿でえっへん胸を張る。

 気前のいいハロウィンの森は、
 誰にだって衣装を貸し出してくれる。
 けれど、気を付けて。ひとたび森に踏み入れば。

 ――森の気まぐれで、ヘンテコな姿に着せ替えられてしまうかもしれないから。
大宝寺・朱毘
アイドルたる者、どんな衣装を纏っても【パフォーマンス】できて当然……ってンなわけあるか! それでコトが足りた日にゃプロのデザイナーとかスタイリストが軒並み失業するわ!
……ま、泣き言言っててもしゃーない。

策はある。
大抵、尖った衣装であるほどそれにマッチする楽曲がある。猫耳に猫踏んじゃった、ウェディングドレスに結婚行進曲、等。
どんな衣装に【変装】する羽目になろうと、衣装に合った曲をギターで弾くことで【サウンド・オブ・パワー】の加護を得る。適した曲を選べるか、選んだ曲を弾きこなせるかは【演奏技能】次第か。
そして想定外の衣装に戸惑う周囲の猟兵も【鼓舞】しつつ、【全力魔法】の【衝撃波】で敵を攻撃する。


ジャム・ジアム
アドリブ大歓迎

オウガ・オリジンが残した国、ね。
どうするつもりだったのかしら
ふふ、似合うものでも無くてもどんと来なさい
楽しく演じてみせるわ

あら、オウガたちが何かくれるの?
いいわ、頂きましょ。だってハロウィンだもの!

●希望
衣装の道具やギミックも利用して攻撃したいわ
ハロウィンならではの風景も楽しみたい
遭遇したら敵に集中!


警戒して進みながら
『謎のレモン』の蔦を、辺りに目立たぬよう這わせておくわ
敵が出たら給仕を楽しみつつ観察して【情報収集】よ

必要に応じ
『しっぽの針』や『ガラス蜘蛛』で牽制しオーラ防御
隙をついて蔦やUCで【捕縛】し仕留めたいわ
可愛らしい子達だけど、御免ね
アリスを食べる悪い子にはオシオキよ!



 特徴あるハスキーボイスに、トレードマークのサングラス。
 1036プロが誇るアイドル歌手、大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)が着せられたのは。
「アイドルたる者、どんな衣装を纏ってもパフォーマンスできて当然……ってンなわけあるか!」
 ――あま~いピンクのロリータ服であった。
 思わず地面にペーンと脱ぎ捨てたいのを堪え、朱毘は森へシャウトを轟かせる。
「あ・の・な! それでコトが足りた日にゃ、プロのデザイナーとかスタイリストが軒並み失業するわ! 衣装はステージに合わせて選んでこそ、なんだよ……!」
 大体あたしに甘々ロリータとか考えて着せてくれよ、と苦情のひとつも言いたくなるが、朱毘にとって一番の問題はそこではない。
 アイドルとしても活動する朱毘は、舞台を縁の下で支える裏方たちとも親交がある。その時、その場所にふさわしいメイクやコーデを手掛ける彼らは職人といって差し支えない。彼らの功績を軽視されるのは、朱毘としても居心地が悪いのだ。
「オウガ・オリジンが残した国、ね」
 檻の中で生まれた子は、ファッションの常識に今一つ疎い。
 だから本人の反応から察するしかないのだが、自分のカラーと違う服を着せられ不服そうな朱毘を、ブルーの瞳が気の毒そうに見た。
 けれど、それも僅かの間。一体こんな風に国を生まれ変わらせて、どうするつもりだったのかしらと、おばけ南瓜のなる不思議な森を珍しそうに見て。
「ふふ、似合うもので無くてもどんと来なさい」
 楽しく演じてみせるわ、と――森のいたずら全てを受け入れるように、ジャム・ジアム(はりの子・f26053)は不敵に笑った。
 あっさり森のお節介を受け入れたジャムは、奇術師のような姿へと変身を遂げ。赤と黒のトランプ柄シャツの上、シルクハットが紫の髪の上にちょこんと飾られた。
「あら素敵。意外とセンスいいのね?」
 オウガの手の内へ、自ら飛び入るように。大胆に身を躍らせるジャムはしかし、無策で飛び込んだわけではない。
 地面にまいた、レモンの色した不思議な実。そこから伸びる豆の蔦は、彼女の目となり耳となって周囲に索敵網を張り巡らす。
「……ま、言っててもしゃーない、か」
 そんなジャムを見た後では、泣き言を言うのもはばかられ。
「策はある。どんな尖った衣装にも、ピッタリ合う曲ってのはあるもんだ」
 そういってギターを構える朱毘たちの眼前、オウガたちが二人の到来を今かいまかと待ち構えていた。

   ◇    ◇    ◇

 ウミウシのような姿したオウガたちには、敵意の欠片もない。
 また新たな感情を運んできてくれたのだとそう信じ、感情の宿主たちを出迎えようとのん気にお茶会の準備などしている。
「あら、何かくれるの?」
 紅茶とあわせて振る舞われる、スコーンやクッキー、数々の焼き菓子。
 それらはかつて、アリスの好物だったもの。たくさんの好みを教えてくれた、そのアリスたちは『もういない』けれど。
「いいわ、頂きましょ。だってハロウィンだもの!」
 ジャムはオウガたちのお茶会を受け入れ、カップを傾けて温かい紅茶をゆっくりと味わう。何の変哲もない、それでいてやわらかい茶葉の香りが舌の上に広がり、鼻を温かくくすぐる。
『ねえ、ねえ! 色んなお話、教えて!』
 オウガたちは訪問者を引き留めようと、くつろぐ者には紅茶を、先を急ぐ者にはゆるやかな時間を振る舞う。
 けれどいつまでも留まっていてはいけない――この子たちも所詮はオウガ、訪れたアリスを食らう事に何の躊躇いもないのだから。
『こんどは君のキモチ、教えて!』
 大口を開けて飛びかかるオウガを、銀の泡宿す薄布でやわらかに受け止めて。
「ふふ、紅茶にクッキーおいしかったわ! お礼に素敵なもの見せてあげる」
 そう言ってジャムがステッキをかざせば、しゅるりと足元と伸びた蔦が彼女を背丈よりうんと高く持ち上げる。
 お立ち台の上にて1・2・3! ハットをひっくり返せば白い鳩が一羽、オウガたちの方へと飛び立った。
 そして鳩の動きに合わせ、唐突にかき鳴らされる弦の音。
「――ヨォ。手品にサウンドは、いるかい?」
「ええ、ぜひ!」
 朱毘がギターの弦を弾けば、それを合図として鳩に化けていたもの――猛毒を秘めるジャムの蔦が、オウガたちの身を縛り拘束する。
「お見事。さて、次はあたしの番だ」
 かわいい衣装に見合わぬ、赤鬼のギター。ボディを抱えて弦を掻き下ろす事一度、力強いストロークがあたりの空間ごと鼓膜を震わせる。
 サウンド・オブ・パワー。
 生きとし生けるもの、いや無機物であっても根源から揺らがす、魂の音楽。
「女は見かけによらずってな……甘くかわいいだけが『ロリータ』じゃねーぜ?」
 ロリータ。この服にふさわしい音楽として選んだのは、朱毘が得意とするロックのサウンド。
 スウィート・ロッカーの名に恥じぬシャウトで激情を煽るように弦を鳴らせば、心の臓を震わす激しい音塊が味方に力を届けていく。
『わあ、おおきな音! ボク、にがて!』
 逃げようとしたオウガの一匹を、ジャムのしっぽの針が打つ。かわいい体と侮るなかれ。その身に隠した空飛ぶ針は狙い定めたが最後、敵をどこまでも追いかけ違わず捕らえる。
 全身全霊朱毘の放つ、魔力の衝撃波が敵を打つ中で。
「あんた、いいな!」
 耳元に響いた声。衣装の無茶ぶりに戸惑うどころか、喜んで受け入れた――飾らぬ言葉は、そんな懐深い彼女へ宛てて。
 返礼は、目配せひとつ。ジャムの方からしても、にぎやかな音は苦手だけれど――彼女の音はふしぎと耳に心地よく響き。
「可愛らしい子達だけど、御免ね。アリスを食べる悪い子にはオシオキよ!」
 音の波の合間を縫って、猛る毒蔦が駆け抜けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
衣装お任せ(高露出系以外

オウガ・オリジン、可愛い衣装着て美味しいもの食べて
ハロウィンパーティー楽しみたかったのかな
敵だけど何だか憎めない子だったよね
戦争のことをしみじみ思い出しつつお着替え

あははは、梓かーわーいーいー
残念なコスプレ梓を指差してケラケラ笑いつつ
梓ちゃんこっち向いて~
からかいながらスマホのカメラを構える
焔と零の撮影会に熱中している姿を
後ろからこっそり撮ってやろっと

おや、君たちもおめかしして可愛いねぇ
小さなオウガたちに癒され
振る舞われる紅茶やお菓子を頂く
うん、クッキーもスコーンも美味しい
梓の作ったお菓子にも負けないくらい

ひとしきり楽しい時間を過ごしたら
UCの花弁で優しく倒す


乱獅子・梓
【不死蝶】
衣装お任せ(高露出系以外

衣装を見た時「チェンジで!」と叫びたくなったのだが
そんな俺を「プークスクス意気地なし」とでも
言いたげに南瓜どもが笑うから
出来らぁ!と着てしまったのが運の尽き…

やかましい綾!笑うな!撮るな!
…ハッ、そうだ
仔竜の焔と零を指差し
こいつらにも着れる衣装は無いのか?
出てきた衣装を着せれば…うむ、めちゃんこ可愛い
写真を撮りまくり荒んだ心を癒す

なんか戦う気が失せるオウガたちだな…
綾に釣られるように菓子を貰う
お、なかなか美味いじゃないか
焔と零にも食わせてやる
じゃあ御礼に、と自身の手作りクッキーを差し出す

悪いな、楽しい時間はもう終わりだ
UCでオウガの行動を封じ
トドメは綾に任せる



 木々にぶら下がるおばけ南瓜、垂れさがる蔦の先にはケタケタ笑うウツボカズラ。
 赤いグラス越しに見るハロウィンの森は、陽気な赤と黄色に彩られていて。
「オウガ・オリジン、可愛い衣装着て美味しいもの食べて、ハロウィンパーティー楽しみたかったのかな」
 今はなきオウガの首魁へと宛て、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はそんな優しい空想を巡らせる。
 敵だけど何だか憎めない子だったよね、と共に旅する男へ呼びかければ、そこには銀髪の男の代わり、サングラスをかけたカカシが立っていて。
 しばしの間。そらされる目線。赤いグラス奥の糸目が引きつるように震え。
「あははは、梓かーわーいーいー」
「ええい笑うな、やかましい綾!」
 堪え切れず笑いだした綾へと、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は抗議めいた声を浴びせる。
「くそっ、あの南瓜どもが笑うから……!」
 衣装(?)を出された瞬間「チェンジで!」と爽やかに叫びかけた梓だったが、おばけ南瓜たちの笑い声にプライドを傷つけられた気がして袖を通したのが運の尽き。
 ――出来らぁ、馬鹿にすんな!
 勇んでまとったカカシの着ぐるみは魔力で梓をがっちり捕らえ、元からこの姿だったような謎のフィット感を醸し出している。
 というかこれ、すぐには脱ぐ事もできなさそうな……?
 カシャリ、と響いた音に振り向けば、なんと綾がスマホのカメラを構えていて。
「梓ちゃん、こっち向いて~」
「やめろ、撮るな!」
 当の綾もおおきなペンギンの着ぐるみを着てひょこひょこ歩いてるのだが、恥ずかしがる素振りがないせいか何の違和感も抱かせない。むしろひょうきんな印象を出すのに成功してしまって、仮装をばっちり楽しんでる感じすらする。
 なんだ、この差は――!
「……ハッ、そうだ」
 頭を抱えていた梓はふと、連れてきている仔竜たちを指差す。
「こいつらにも着れる衣装は無いのか?」
 森へとリクエストをしてみれば、ぽぽぽーい、と飛んできたのはチビ竜サイズのフードパーカー。
「キュー♪」
 炎竜の焔はパンプキンヘッド風のフードをすっぽり被ってご満悦。
「ガウ……!」
 日頃はクールな氷竜の零も、フランケンシュタインのようなネジネジフードを控えめに被り、似合う? と上目遣いで梓に感想を求める。
「……うむ、めちゃんこ可愛い」
 うっかり入った何かのスイッチ、自分がしてる格好も忘れてパシャパシャ写真を撮りまくる梓。親バカ、ここに極まれりである。
「あはは、いいスクープネタゲット~。……おや」
 撮影会に興じる無防備な背中を撮っていた綾は、ふと現れた者の姿に気づいた。

   ◇    ◇    ◇

「梓」
 綾に声をかけられ、梓も来訪者に気づく。
「来たみたいだよ。君たちもおめかしして可愛いねぇ」
 集まってきたオウガは二人をお茶会に招き、まだ自分たちの知らぬ話を聞こうとする。振る舞われるお菓子を自然な流れで手に取り、綾は口へと運ぶ。
『ねえ、それ何の格好? 聞かせて、聞かせて!』
「なんか戦う気が失せるオウガたちだな……」
 梓もつられてクッキーを口にすれば、小さく割った欠片は口の中でほどけ、自然な甘みが舌の上に広がる。
「お、なかなか美味いじゃないか」
「うん、クッキーもスコーンも美味しい。梓の作ったお菓子にも負けないくらい」
 しゃがんで焔と零にも分け与えれば、二匹の仔竜は無言ではむはむとかじり、指についた粉すらペロペロなめる始末。どうやら、相当美味しかったとみえる。
「じゃあ、御礼に……というか、取り換えっこだな」
 梓が差し出したクッキーは、焔や零の大好物。大好きなご主人の焼く食べなれたお菓子に、仔竜たちの目がきらりと輝く。
 桜花の形した香ばしいクッキーに、オウガたちも興味津々で。
「……どうだ、美味いか?」
 口いっぱいに頬張るオウガたちは、もはや喋るどころではないけれど。
 抹茶、桜……こっちの味は? と次々口にする様子は、もはや美味いかなどと問うまでもない。
(「そりゃ、美味しいだろうねぇ」)
 よくその味を知る綾の目が、グラスの奥で柔らかく笑った。

 お茶会の魔力は、訪ねる者をゆるやかな停滞に包み込む。
 けれど、時間は過ぎ去るもの。そして忘れてはならない事がもうひとつ――このウミウシのようなオウガたちも、とうに過ぎ去ったものだから。
「悪いな、楽しい時間はもう終わりだ」
 短く、別れを告げるような梓の声に、オウガたちはふと顔を上げる。
 零、頼む――主の声を受け、氷の竜が胸いっぱいに息を吸いこんだ。
 コォォ、と辺りに霜をまいて吐き出される氷の吐息。万物を眠らす極寒の息は、ティーセットごとオウガたちを凍らせ、不思議な力までも封じ込める。
 森の広間に、時間が戻る。お茶会はこれにてお開きに。
 彼方へ旅立ったアリスの記憶と共に、過去の澱みはいま晴らされる。
 綾の手からこぼれた幻惑の胡蝶が、紅い花びらとなって風に舞った。
 せめて、痛みなど感じなくて済むように。
「紅く彩られながら、おやすみ」
 やわらかなティータイムの後に午睡をもたらすように、無数の花びらはオウガたちを眠りへと誘っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『リカイシャ』

POW   :    どうして帰りたいの?
自身が【疑問】を感じると、レベル×1体の【アリスが元の世界で体験したトラウマ】が召喚される。アリスが元の世界で体験したトラウマは疑問を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    どうして帰りたくないの?
自身が【疑問】を感じると、レベル×1体の【アリスがこの世界で体験したトラウマ】が召喚される。アリスがこの世界で体験したトラウマは疑問を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    どうして“  ”たいの?
対象の攻撃を軽減する【傷一つ付かない外殻を持つ姿】に変身しつつ、【物理攻撃も魔法も全てを喰らう口】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィリア・ラズワルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ハロウィンの森の奥へと分け入れば、
 そこはキャンプにおあつらえ向きな大きな広場。
 洗い場にかまど、魔法の焚き火。
 色々と整ったキッチンは、どんな料理だって作れそう。

 けれど、キッチンはただいま貸し出し中。
 なみだ色をした、おおきな体。
 哀しみを知るリカイシャは、ぐずぐずと澱んだ涙を流す。

 このオウガは、哀しみについて問うばかりで。
 それ以外の意味ある声を、聞かせてくれやしないけど。

 そろそろ教えてあげなくては。
 骸の海へ連れ去ろうとする魔の手をかわし、
 いっぱいいっぱい、食べさせて。

 この子の知らない、驚きを。
 この子の知らない、酸いも甘いも。
 そして――この世には、こんなにたくさんの味があるって事を!
乱獅子・梓
【不死蝶】
大人しく料理させてくれるわけじゃないんだな
オウガ・オリジンはお利口に待ってたというのに
綾一人にオウガの相手を任せるのは気が引けるが…
悪いな、任せた
はいはい、あとでたらふく食わせてやるよ

綾が長時間戦い続けなくてもいいように
なるべく時短で作れる料理が良いよな
大量の南瓜を眺め……よし、南瓜パンケーキだ!
卵、牛乳、砂糖、油、
更にすり潰した南瓜を入れてよく混ぜたら
薄力粉、ふくらし粉をふるい入れさっくり混ぜる
あとはフライパンで焼くだけ
…よっと!(手首のスナップを効かせ器用にひっくり返す

仕上げにチョコソースで
ジャックオーランタンの顔を描き
生クリームを添えて完成
ふふふ、ハロウィンっぽくなっただろう


灰神楽・綾
【不死蝶】
俺と梓だったら料理が得意なのは圧倒的に梓だからね
俺がオウガをひきつけておくから
梓は料理に専念してよ
あ、頑張ったご褒美に、あとで俺にも
梓の手料理食べさせてよね

さぁて、梓の邪魔はさせないよ
相手は無敵で倒すことは出来ないから
耐えること、躱すことに専念
UC発動し、飛翔能力で高速で飛び回り
敵の意識をひきつけつつ攻撃を躱す
躱しきれない攻撃は紅い蝶に盾になってもらう

…こんな華やかな世界で
君はずっとそんな悲しげな顔をしていたの?
悲しいまま世界に留まるのは辛いだろう
せめて楽しい気持ちで骸の海に行けるように
もう少しで梓が世界一美味しい料理を持ってきてくれるから
ほら、いいにおいが漂ってきたよ



 ぽたぽた、と。黒い雫を零すオウガは、哀しみを分け与える事しか頭になく。
 今にも覆い被さってきそうな巨体を前に、乱獅子・梓はため息をつく。
「オウガ・オリジンはお利口に待ってたというのに……今度のは大人しく料理させてくれるわけじゃないんだな」
 料理は段取りが命、邪魔が入っては味や出来栄えに差し支える。
 眼前のオウガは素直に言う事も聞いてくれなさそうだが、一人に相手を任せるのは気が引けた。
 相方の意向を伺うように、隣をちら、と見ると。
「俺と梓だったら、料理が得意なのは梓だからね。料理に専念してよ」
 灰神楽・綾は指先に蝶を纏わせ、既に戦いの準備。
 この状態の綾はもう、何を言っても聞かないだろう。
「……悪いな、任せた」
 観念した梓の言葉に笑いをこぼし、綾はひとつだけ言い添え、駆け出していく。
「頑張ったご褒美にあとで俺にも食べさせてよね」
「はいはい」
 去る背中に声を投げかけ、厨房に置いてあったエプロンを身に着け、腕をまくる。
「あとでたらふく食わせてやるよ」
 旅路を共にした二人の仲。軽い口約束だけで足りるとばかり、梓は背を向けキッチンの方へと向き直った。

   ◇    ◇    ◇

 身をくねらせるオウガの前に、立ち塞がる綾。
 パチリと指を鳴らせば、指先から零れたオーラの蝶が無数の群体へと分裂する。
「さぁて、梓の邪魔はさせないよ」
 相手はハロウィンの魔力に包まれ無敵。であれば、その力が弱まるまで耐えるか躱すほかない。
 紅の蝶がもたらす恩恵は、まさにその目的に適っていた。
 無数の蝶は浮力をもたらし、綾の身体をふわり宙へと浮き上がらせる。
「……さ、おいで」
 黒い夢の塊となって襲い来るアリスのトラウマを紅い軌跡と共に躱し、キッチンから遠ざかる方へと誘っていく。
 鋭く尾を引き舞い踊る様は、蝶ではなく鳥のよう。
 赤いツバメが弧を描いたかと思えば、一拍遅れて黒の夢が追う。
 綾が敵の意識を惹きつけている間に、梓は料理の下ごしらえを終えていた。
「よし、火は通ったな」
 綾が戦い続けなくてもすむようにと、なるべく手短に作れる料理を考えた時、梓は即座に「パンケーキだ」と閃いた。
 蒸したカボチャを擂り粉木で潰し、あら熱をとる間に次の準備。
 卵を割り、牛乳に砂糖、溶かしバター。少し冷ましたカボチャのペーストを投入し、均等になるまで混ぜていく。
 粉はだまにならないよう、ふるいにかけて少しずつ。薄力粉とふくらし粉を入れてさくりと混ぜれば、おいしいパンケーキの素のできあがり。
「あとはフライパンで焼くだけだな」
 普通よりも少し粘り気のある生地をレードルで掬い、焼き目にムラができないよう熱したフライパンに落とし込む。
 あえて楕円気味にしたパンケーキの形は、焼き色がつけばつくほどカボチャのよう。ふつふつと端にたつ気泡を見て取り、梓は一番の見せ場を迎える。
「少し大きいが、いけるか……よっと!」
 手首のスナップを効かせれば、ぽんっと生地が返って綺麗な焼き目が覗き。
 両面についた焼き色を見て、梓はうまくいった事を確信した。

   ◇    ◇    ◇

 黒い夢の塊に、紅い蝶が数羽飲まれて翅を散らせた。
 綾の分を肩代わりした蝶に、実体はない。
 だから食べても美味しくないと言ってはおいたのだが、聞くはずないよねと綾は静かに首を振る。
 虚ろな眼窩から黒の泪を滴らせるリカイシャは、ハロウィンの森の陽気さ、鮮やかさには似つかわしくない。
 仲間も、戻る場所も失って彷徨う姿は、綾に憐憫の心を抱かせた。
「……こんな華やかな世界で君は、ずっとそんな悲しげな顔をしていたの?」
 悲しいまま世界に留まるのは辛いだろうと、オウガの心を慮る。
「せめて楽しい気持ちで、骸の海に帰りなよ……もう少しで梓が世界一美味しい料理を持ってきてくれるからさ」
 話している間にも生地の焼ける香り。香ばしく立ち込めるそれに一瞬目を閉じ、綾はオウガをたしなめるように声をかける。
「ほら、いいにおいが漂ってきたよ」
 オウガを引き連れ、誘うようにキッチンへと戻れば、梓が最後の仕上げに取り掛かっていた。
「あとは、口を描けば……」
 チョコソースで描くジャック・オー・ランタン。ギザギザの口元は陽気に笑い、楽しい事しか知らぬよう。
「ふふふ、ハロウィンっぽくなっただろう」
 生クリームを添えたプレートを差し出せば、オウガの動きはぴたりと止まった。

 哀しみの色したオウガは、ゆっくりとパンケーキを口にし、そして。
「……!」
 オウガの身体がうねうねと波打ち、ガーベラのような濃い黄色へと色を変える。
 膜のようなヒレを翼のように広げれば、それはまるで巨大なスクリーン。
 黄色の部分が上から順にとろーり溶けるように流れ落ち、現れたのはチョコを思わせる茶色の模様。
 おおきな目。笑う口。
 その模様はさっき梓の描いたジャック・オー・ランタンにそっくりで。
 下に描かれたチョコのような文字は、猟兵たちの知る言葉ではなかったけれど、それの意味するところは頭の中へと流れ込んでくる。

 ――Is This Halloween?

 哀しみの味しか知らぬオウガには、濃厚なカボチャの味は新鮮で。
 素朴であたたかいパンケーキの味はオウガの腹を満たす代わり、包んでいた魔力を僅かにはぎ取った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大宝寺・朱毘
「また、。辛気くせーのが……」
哀れっぽい雰囲気ではあれ、恐らくアリスを散々喰ってきた存在。戦いにくいの何のと言っていられまいが。
「ま、今回は関係ないか。飯作るだけだし」

料理は山梨名物ほうとう(自身は山形出身なので所縁があるわけじゃないのだが)
かぼちゃは甘さ控えめな品種を選択。甘い方が美味説あるけど、味噌と喧嘩しないよう絶妙に調味する自信はない!
具材は、しいたけ、にんじん、油揚げ、かぼちゃ。
それぞれ一口大にざく切りにして、味噌仕立てで煮込む。具材がぐずぐずになって溶け合うくらいじっくりと。最後にうどんを投入してもう一煮込みして完成。
「小洒落た見目ではないけど、食うと温かさが腹に沁みるんだぜ」


ラ・ベル
仔細は全てご想像に委ねます
変わった名前ゆえ、『ベル』とお呼びください
微力ながら応援に参りました

オウガが涙を?
命を奪う貴方がなにを悲しむのです?
ここで量産機は使い辛い。自身の力に頼ります
【ガジェットを敵を追尾する大きな翼に改造して威嚇】
敵をキッチンから離れさせましょう。
刺激しすぎない程度に応戦させ拠点防御。関心を持たせて時間を稼ぐのです。
私も精一杯、南瓜のスープは如何でしょう。
トラウマを見せられるなら、用意した出汁を一口戴きましょう。
温もりには、心を静める魔力がありますから

蒸したあと潰し、裏ごしして生クリームと塩胡椒を加えて出汁とゆっくり温めながら混ぜ合わせます
どうですか?少し不慣れなものですが



 転がる岩のように、反抗の意思を。
 腐った当たり前への叛逆を音に乗せる、それこそがロックの源流だ。
 めそめそ下を向くなどあり得ない――そう肝に銘じ生きてきたロッカーの魂に、しみったれたムードは受け入れられず。
「また、辛気くせーのが……」
 大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)はそう独り言ちる。
 哀れな風を装ってみても、その実体はアリスを喰らったオウガに外ならず。
「ま、今回は関係ないか。飯作るだけだし」
 そういって朱毘は、この場に居合わせたもう一人に目を向ける。
 ミレナリィドールの少女が贈るは、敵意の眼差し。色を欠いたような容貌の中にあって、薄桃の瞳がオウガを見据える。
「オウガが涙を? 命を奪う貴方がなにを悲しむのです?」
 ラ・ベル(おくりもの・f29950)の心は見目に惑わされず、相対する者の姿を的確に捉え。朱毘の言わんとした事を代弁するかのように、敵対の意をあらわにする。
 時にキャバリアを駆るベルだったが、この小さな森のキッチンを壊さぬよう立ち回るのに、量産機は向かず。ならばと彼女が持ち出したのは、アルダワの誇る魔導蒸気機械――ガジェットだった。
 蒸気があふれ、機械が音を立てて展開される。奇怪な見た目のガジェットは、大きな翼を備えていた。
 ベルは即座に、その使い道を理解する。
「無敵というなら、ひとまずこの場を離れさせましょう」
 がしゃり。勢いよくレバーを引けば、自律して浮かび上がった翼の機械は敵を追尾するように空を駆ける。
 蒸気を噴き出し、ベルの命で魔導ミサイルを放つ機械。
 その様子を見て、朱毘は「頼んだぜ」と短く呟いた。

   ◇    ◇    ◇

 蒸し器の中、ごろりと大きなかぼちゃが横たわる。
 朱毘が選んだのは、甘さの控えめな大きな実をもつ品種だった。
「ほうとう、って知ってるか?」
 別に地元の味って訳じゃないけどな、と前置きしつつも、朱毘はその美味しさをよく知っていた。
 太く平たい独自の麺。それ単体でもほうとうと呼ぶが、朱毘がいま作ろうとしているのは麺を味噌やかぼちゃ、野菜で煮込む、同名の郷土料理だった。
「甘いかぼちゃで作る方が美味って説もあるけど、味噌と喧嘩しそうだからな」
 だからその分、具材の味で。カゴいっぱいに用意した野菜類を、朱毘は手際よく切っていく。
 しいたけと油揚げは薄切りにし、にんじん、かぼちゃは汁によく馴染むよう一口大で乱に切り。昆布といりこで煮出した出汁に、野菜の旨味を合わせていく。
 普通の煮物なら煮崩れを警戒するところ、この料理は逆だ。
 味噌を溶かす頃にはかぼちゃはほろほろ、崩れだした実が味噌と溶け合い独自の風味を作りだす。
 横目でベルの様子を伺えば、彼女もまた鍋に向かい、自身の料理を作っていた。
「温かい物つながりで、南瓜のスープは如何かと思いまして」
 こちらの鍋に沸くのは、朱毘のものと異なる洋風のブイヨン。
 野菜くずなどを煮込む間に、ふかした南瓜の皮を丁寧に落としていく。
 黄色い実だけを潰して裏ごしすれば、器に乗るのはきれいな黄色。
 それに生クリームを少しずつ加え、均一になるまで合わせていく。
 オウガの攻撃は概ねガジェットが阻んでいたが、途中呼び出された黒い悪夢の塊がキッチンを覆う。
「くそ、あと一息で仕上げって時に……!」
 危うく夢の中へ落ちかけた朱毘へ、ベルが小皿を差し出した。
「よければ、これを。温もりには心を静める魔力がありますから」
 よく煮出されたブイヨンスープは、温かい湯気を立てていて。舌の上に広がる甘い旨味の感覚が、非現実的な幻想を打ち払ってくれた。
 南瓜のペーストをスープに溶かし、だまにならないようかき混ぜていけば、ポタージュスープの仕上がりも間近。
 そして朱毘の作る郷土料理も、火を止める頃合いを迎えていた。
「さっきはサンキュ。後でお前も食うかい? 小洒落た見目ではないけど、食うと温かさが腹に沁みるぜ」
 そう言って向き直る朱毘の眼前、腹をすかせたオウガが大きな翼を広げていた。

   ◇    ◇    ◇

 湯気の立つふたつの皿は、このオウガにとって未知のもの。
 ガジェットを追い回していた勢いは失われ、オウガは黒い眼窩に好奇と警戒の色を滲ませた。
「さあ、食ってみな!」
 そそのかすような朱毘の声に、まずオウガはほうとうを啜る。
 ――ちゅるんっ。
「……!?」
 勢いよく喉に飛び込む麺に、驚いてオウガの巨体が後ずさる。
 太麺が用意できずうどん麺にはなったが、しっかり煮込んだその味は本場と比べても遜色のないもの。
 冬の寒気も払うような味噌の味に、青一色だったオウガの身体が熱を帯びる。
 続いてオウガが口にしたのは、ベルの作ったかぼちゃのスープ。
 かぼちゃだけでは味気なくなりがちな所を、丁寧に煮出した鶏がらと野菜出汁が補う味のハーモニー。
 形はないのに実を感じさせるつぶ感は、裏ごしした事でいっそうなめらかな舌触りをもたらす。

 熱いほうとうと温かいポタージュを完食したオウガは、ふつふつと鍋の湯のように体の表面を泡立たせ。
「……!!」
 ぼわん。大きく吐き出した湯気のカタマリが、空へと昇る。
 お鍋二つ分の熱量のこもった湯気は、雲に混ざる寸前、文字のようなものを描く。

 ――dEliCioUS――yUmMY――iT hUrts――slEEpY――。

 感情を滅茶苦茶にぶちまけたような文字列の、意味までは分からなかったけれど。
 ほわわ、とオウガが小さくあくびする姿を見て。
「よし、この調子なら……!」
 朱毘とベルは、手間暇こめた手料理の効き目を確信するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャム・ジアム
お気に召すまま

泣いてるの?
あのね、紅茶を頂いてからある味を思い出してならないの
かぼちゃのスフレ。
オウガの為よ、ええ。つまみ食いなんて
問題は手間よ。狸たちの力を借りましょ!
しっぽの針も浮かせて拠点防御ね

手洗い消毒OK!コック服似合うわよ
オーブンを温めて!メレンゲや砂糖に卵黄粉類は任せたわ!私は南瓜を!
小さく切ってサッと蒸すの
水気を飛ばし、潰して。メレンゲを生地と少しずつ混ぜるのね?
このふかふか感、匂い好き。器も可愛いわ

皆キビキビと……得意そう
うん、型に入れて焼きましょ?焦げないよう完成まで私も時間を稼ぐわ。皆は仕上げを
さあ、程よく冷ました出来立てスフレに
紅茶と冷たい生クリームを添えて召し上がれ!



 オウガの身を包むハロウィンの魔力は、まだまだ健在。
 けれど力の厄介さとは裏腹に、オウガはぽたぽたと涙を流してばかり。
「泣いてるの?」
 そんなうつむき気味のオウガの顔を、ジャム・ジアムはガラス玉のような青の瞳で覗き込む。
 先の陽気な子たちとは似つかぬ様子の彼へ向け、ジアムの励ますような声が響く。
「あのね、紅茶を頂いてからある味を思い出してならないの」
 ジアムが作ろうと思い立ったのは、かぼちゃのスフレケーキ。
 小さな子たちが淹れてくれた、アリスの好きだった紅茶。
 身も心も安らぐ温かな香りには、やわらかいケーキがぴったりに思えた。
「あなたに食べさせてあげるわ! だからしばらく辛抱お願いね」
 しかし作る時間もさることながら、問題は手間のかかること。
 美味しいスフレを作るには、黄身と白身を分けて、泡立ててと、やる事が多く、とにかく一人では手が足りない。
「さて、いよいよ出番ね。お願い、きて、おいで……力を貸してほしいの!」
 木の葉をわっとまき散らせば、どろん!
 姿を現した子狸たちが、コック服を纏って現れた。

   ◇    ◇    ◇

 纏う衣類に織り込んだ、ジアム自慢のしっぽの針。
 自律して飛び交う針をキッチン防衛の大役に任命し、ジアムは衣装の上からぱさりとエプロンを身に纏う。
 きゅっと後ろでリボンを結び、シンクの前に立ち気合は十分。
「手洗い消毒OK! コック服似合うわよ!」
 溌溂とした声、しゃかしゃか手洗いを終えた子狸たちも眉がきりり。
「オーブンを温めて! 卵や粉類は任せたわ!」
 ぽんぽこおててで敬礼して、狸たちはそれぞれの持ち場へと散っていく。
 今回呼び出された狸たちは、お料理に慣れた専門部隊。手際よく卵白と卵黄を分け、ちゃっちゃか泡立て器で混ぜていく。
 粉はふるいにかけ少しずつ。なめらか食感へ向けて着実に歩む狸たちの頼もしさに、ジアムはふふっと微笑んで。
「私は南瓜を!」
 実の固いかぼちゃは、さすがに狸たちには任せられず。
 手を切らないよう気を付けて包丁の背を押せば、パカリと色濃い黄色が現れた。
 小さく切ったかぼちゃを蒸して、水気を飛ばして、ヘラの先で潰し。
 ここでジアムはふと、狸たちの方へ目をやった。
「メレンゲを生地と少しずつ混ぜるのね?」
 ――そう、確認するように狸たちの方を見れば。
 卵白を混ぜる狸の後ろに、大きくそびえるウミウシのような巨体。
 針の猛攻を掻い潜ったオウガが、おいしそうな食材へと猛アタックを仕掛けていた。
「きゃーっ! め、メレンゲーっ……!」
 からこーん、と転がるボウルの中身。
 白くふわふわな未知の食べ物を、オウガはよっぽど食べたかったのだろう。
 慌ててボウルを回収すれば、中身は半分ほどに減っていて。
「で、できるかしらスフレ……ううん。やるのよ、ジアム!」
 お料理にアクシデントはつきもの。
 オウガを遠くへ追い払い、気合を入れ直してリカバリーを試みる。
 念入りに泡立て直したメレンゲを3分の1ずつ、泡を潰さないようにかき混ぜて。
 型に流し込んだ生地を、ジアムは祈りをこめながら熱々のオーブンへと運んだ。

   ◇    ◇    ◇

 できあがったスフレを前に、ジアムと狸たちはちょっぴりしょげた顔。
 なぜならば――ペコン。
 ふっくら焼き上がるはずの、スフレの真ん中には大きなくぼみ。
 オウガの食べてしまったメレンゲの分が、膨らまずに焼けてしまったのだ。
「焼き色も匂いも、とってもいいの。器も可愛いわ……けど」
 ジアムの大好きな、スフレのふかふか感。
 そればかりは、たっぷりのメレンゲなしには出しきれず。
「ううん。皆キビキビと頑張ってくれたもの。せっかくのスフレ、このままお出しするわ!」
 気を取り直し、せめて見た目はばっちりと。
 冷たい生クリームを横に添え、蒸らした紅茶と共にオウガへ差し出す。
「さあ、召し上がれ!」
 先ほど待ちきれなかったオウガは、スフレをもぐっと勢いよくひと齧り。

 やわらかな、かぼちゃの味にオウガの触覚が光る。
 うねうねと体を波打たせ、黄色にオレンジにと色を変えた、けれど。

 ――hUngRY――shORtAgE――。

 お腹に浮かべた不思議な模様は、まるで空腹を訴えるしょんぼり顔のようで。
「もう……さっき食べたの、あなたじゃない」
 軽く抗議をよこすように腰に手を当ててみせた後、ジアムはオウガの様子にぷっと噴き出すのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
アリスを食べた事は…赦してはいけなくても
オウガも、悲しみに染まって…
涙までが黒く…その苦しみが、悲しい

…作るのは出来る、程度ですが
料理でお腹を満たして
悲しみも少しは癒えるなら…頑張ります
(仮装は駄目だったのには目を逸らす)

南瓜の…ベイクドチーズケーキにします

作業中は天飛泡沫で
水鳥を飛ばしてオウガの気を引いておき
焼く間は私自身も気を引く方へ回ります

南瓜などの下拵えや計量、型の準備
オーブンも温めておいて
…オーブンは、以前に使い方を学びました

他の機器類には不慣れなので
南瓜は蒸したり
材料を混ぜるのも手作業で
生地は漉しながら型に流し入れオーブンへ

焼き上がれば、少し冷まし…
緩めの生クリームを添えて、どうぞ



 罪を憎むもの。あるいは、存在自体を厭うもの。
 猟兵といえど、オブリビオン――忘れ去られた者との向き合い方は各々に異なる。
 泉宮・瑠碧(月白・f04280)の感受性豊かな青の瞳は、敵の目の奥にすら哀しみや苦痛の色を見出だしてしまう。
「アリスを食べた事は……赦してはいけなくても。悲しみに染まって、涙までが黒く……」
 はらはらと涙こぼす敵の姿に、来し方を思う。
 言葉の通じぬ相手の過去に思いを馳せても、想像でしかないとはいえ。
 歪められていようと、元はただアリスを理解したかっただけ。過ちを止めてもらえず、悲哀の青に染まっただけなのでは、と。
 眼前のオウガの苦しみを思うほどに、悲しさが募った。
 このオウガを涙の日々より、解き放つただ一つの手立て――瑠碧はキッチンに並ぶ食材へと目を向ける。
「料理……作るのは出来る、程度ですが」
 仮装は無理だった分も、料理でなら。
 悲しみが僅かなりとも癒えるならと、瑠碧はエプロンを身に纏った。

   ◇    ◇    ◇

 木の葉枯らす風の吹き抜ける森は、羽織物を纏っていても多少肌寒い。
「……この季節なら、温かい飲み物と合うものがいいでしょうか」
 瑠碧が作ろうと決めたのは、南瓜のベイクドチーズケーキ。
 ぎっしりと詰まったケーキは腹ペコさんでも満足でき、紅茶とともに味わえば秋風のお供にもふさわしい。
 手はじめにビスケットの破片とバターを型に敷き詰め、瑠碧は上に乗せる生地を作っていく。
 南瓜を蒸し器でふかす間に、用意したのはたっぷりのクリームチーズ。
 調理の熱でチーズを緩め、卵、生クリームを少しずつ練り混ぜていく。
「南瓜は、丁寧に裏ごしして……」
 ほくほくに蒸した南瓜でも、ざるを通すには力が要るけれど。
 裏ごしはなめらかケーキに欠かせぬ関門、時折手を休めては根気よくヘラで濾しとっていく。
「……オーブンは、以前に使い方を学びました、ね」
 おそるおそる火を入れ、予熱で温めて。
 火の扱いは不得手ながらも、習った通りに火加減を見、火と対話するように薪を少しずつくべていく。

 瑠碧は、複雑な調理器具の扱いには慣れていない。
 その理由は、大自然の中で暮らした日々にあった。
 エルフは元より、木々と語らう森の民。
 文明の利器など用いずも、旅先でオーブンを借りてクッキーを焼けば、身も心も満たされると知っていた。
 必要なものを、必要なだけ。
 そんな瑠碧の手掛けるケーキには、余分なものは一切なく。
 かぼちゃの風味がそのまま舌に乗るよう砂糖も控え、けれど爽やかさを足すレモンは絞りたてを。
 いいと思ったものだけを入れていく瑠碧の調理は、まさに感性の成せる業だった。

 不意に味見に訪れたオウガへ向け、川より飛び出た水塊が放たれる。
「まだ、だめです……」
 清き水塊は鳥の翼を模して空を駆け、オウガの体にあたって弾けて消える。
 水の鳥たちはオウガを倒す事こそできないが、清流の持つ浄化の力は敵をキッチンから遠ざけた。
「……後できちんと出来上がったのを、差し上げます、ね」
 じっくり火を入れた型を取り出せば、中から出てきたケーキはずしりと重く、紅に染まりゆく落ち葉のような黄金色をしていた。

   ◇    ◇    ◇

 焼き上がったケーキの隣には、緩く絞った生クリーム。
 好きな分量だけつけられるよう、別で添えたクリームは瑠碧の気遣いでもあり。
 かぼちゃの香りにそそられたオウガが、興味を示して近づいてくる。
「きっと、お腹が満たされれば気持ちも安らぎますから……どうぞ」
 勧めるようにして離れる瑠碧と入れ替わりに、オウガはテーブルの前へと歩み出る。
 ひとつ、ケーキの欠片を頬張れば、オウガの青の中に橙色が灯る。
 ふたつ、サクサクの下地を噛みしめれば、ビスケットの心地よい歯触りに紅色が宿る。
 哀しみの中に異なる感情が芽生え、温もり色へと変わりゆく。
 いつしかオウガの体は、虹のように鮮やかな水玉模様を湛えていた。

 ――sLee――Py――、yUm――mY――。

 鳴き声とも、眠りに落ちる前の呟きともとれるオウガの囁きは、エルフの鋭い聴覚をもってしても聞き取りづらく。
 ただ、はらはら落ちる黒の雫が次第に小さくなるのを見て、瑠碧はオウガの眠りが近い事を感じていた。

 ――fOr――gETN――Ot――mE――。

「……大丈夫」
 途切れゆく涙と一緒にこぼれる囁きの、意味はわからずとも。
 瑠碧は、言葉を投げかけずにはいられなかった。
「君の居た事も、アリスの事も……きっと私たちが、覚えていますから」
 最後の言葉の響きに、色の消えゆくオウガの形なき瞼がゆっくりと閉ざされる。

 甘い、しょっぱい、温かい。
 振る舞われた数々の味に、ハロウィンの魔力は溶け消えて。
 哀しみの記憶を湛えたオウガは、森を猟兵たちへと明け渡すように、ゆっくりと骸の海の底へと帰っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月27日


挿絵イラスト