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ハロウィンに紛れる怪奇

#UDCアース

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#UDCアース


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●豊島区、池袋にて
 JR池袋駅東口からサンシャインシティに向かう道中にある、サンシャイン60通り。
 常日頃から若者やサラリーマンでごった返すこの通りだが、今日はいつにも増して人で賑わっていた。
「トリックオアトリート!」
「あはは、ハッピーハロウィーン!」
 様々なモンスターや怪物の仮装をした人々が、口々に発するハッピーハロウィーン。
 この数日間、町を上げてのハロウィンイベントが、ここで行われていた。近隣の飲食店にも、期間中は仮装したまま入店できるおまけ付き。
 それ故に、かなり力を入れた仮装をした大人たちが大いに集まり、日本らしいハロウィンを楽しんでいた。
「今年のハロウィンも凄いねー」
「皆、気合入れて仮装してるなー」
 そんな中、ヴァンパイアの仮装をした男性と狼男の仮装をした男性が、二人して通りを歩きながら周囲に目を配っていた。
 結構なイケメン二人が、バチバチに仮装をして人々に愛想を振りまいている。当然、あちらこちらからカメラのシャッター音と黄色い声が飛んでいた。
 また今も、ごついカメラを構えたカメラマンが二人の元へとやってくる。
「お兄さんたち、かっこいいねー。写真一枚いいかい?」
「あ、いいですよー。どうぞ……あれ?」
 にこやかに応対した狼男の方が、ふと、キョトンとした顔をする。
 人波の上を、何かがふよふよと通過していったような。
 突然のことに思わず『それ』が流れていった方に視線をやるが、何もない。
 同行するヴァンパイアが首を傾げながら相方に声をかけた。
「どうした?」
「いや、今何か……気のせいかも。すみません」
 気のせいだろう、何かを見間違えたのだ、きっと。そう思うことにして、狼男はカメラの前に収まってポーズを取る。
 幸運だったと言えるだろう。この仮装をしている二人組が、怪異や怪奇現象を抑え込む側の、UDC組織の人間でなければ、事態はこんな程度では済まなかったはずだ。
「……」
 ふよふよと宙を浮かぶエイのような生き物は、何も音を発することなく人波の上を飛んでいった。

●グリモアベースにて
「ハロウィンともなると、怪異もこれ幸いと街中に溢れ出すようだな」
 イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)はそう呟き、グリモアから映し出される映像を見ていた。
 市街地、人混み、様々な仮装。今、いろんな世界がハロウィンで沸き立つ真っ最中だ。
 そんな中、世界を守る人々を嘲笑うように事件は起こる。イミが夢に見たのは、UDCアースでの事件だそうだ。
「UDC組織の豊島区支部にも裏を取った。どうやら、街のハロウィンイベントに紛れてUDC……怪物の方がな、活動をしているらしい。先輩たちには、これの撃破を頼みたい」
 曰く、ハロウィンイベントで人々が仮装をして街に繰り出している中に、紛れるようにして蠢くUDC怪物がいるとのこと。
 今は何もしていなくても、人々の生活を、人生を脅かすことは明白だ。被害が出ていないうちに対処しなくてはならない。UDC組織が存在を把握し始めているのなら猶更だ。
「現場はUDCアースの東京都、豊島区。一帯では『池袋』と呼ばれる地域の大通りだ。今はそこで、街を上げてのハロウィンイベントが行われている。市民も客も一緒になって、仮装をしてハロウィンイベントの真っ最中だ」
 イミがグリモアから映像を映し出すのは、池袋駅の東口側、サンシャイン60通りの辺りだろうか。店が立ち並ぶ中に人がたくさん、そのいずれもハロウィンらしく、怪物の仮装をしている。
「UDCアースだからな、基本的には人間ばかり。仮装もそれ相応だ。必然的にどこまでも自然に異形をしているのは、猟兵かUDC、となるわけなんだが……これを見てくれ」
 自身もケットシー、UDCアースの世界では異形に分類されるイミが、映し出した映像を止めた。ぐっと拡大するのは人混み、ではない、その上。人々の頭上の空間に、『何か』が映っている。
「分かるか? 人ごみに紛れて、浮遊している謎の物体がある。これを見つけた時、俺は言い知れぬ不気味さを感じた。UDCに違いないんだろうが、こいつが何かを隠している可能性がある。見つけ次第、排除してくれ」
 謎の浮遊物体。イミによれば、これを認識するとそれが引き金になり、様々な怪異を引き起こすらしい。その物体がいることを知らせたくなったり、内部に入ったらラーメン屋だったり、狂わされてしまったり。今はまだ誰にも認識されていないからいいが、認識され始めたら大ごとだ。
「それと、活動している大元のUDCだが、どうも巧妙に隠されているようでな。姿も能力も、俺には見えなかった。だが、この浮遊物体を排除すれば、見つけられるようになるだろう」
 そう話して、イミは力なく頭を振る。グリモア猟兵として、敵の存在を予知できないのは悔しい部分もあるだろう。だが、隠されていては仕方がない。夢見の形で予知することにも関わるだろうから。
 ともあれ、その秘匿されているUDCを倒したら事件は解決、街はいつも通り、ハロウィンを倒しむことになる。
「ああ、それと……事件が解決したらUDC組織の豊島区市部に行ってもらいたい。なんでも支部で保護されているUDC-Pを交えて、ハロウィンパーティーを行うんだそうだ。顛末の報告にもちょうどいい」
 依頼が終わった後の話に移って、イミがにやりと笑った。
 組織に保護されているUDC-Pも、結構な人数になってきた。彼らも、日々のイベントを楽しむことくらいは許されるだろう。ハロウィンなら余計にだ。元々怪異な彼らである。
 そこまで説明をして、映像を止めるイミだ。グリモアを内包したガジェットを、手の中でくるりと回して言う。
「準備はいいか、先輩たち? ちゃんと無事に帰って来てくれよ」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 10月ですね。ハロウィンですね。
 街中でのハロウィンイベントに紛れるUDCを退治しましょう。タコパもあるよ。

●目標
 ・UDC×1体の撃破。

●戦場・舞台
(第1章)
 東京都豊島区、池袋の街中です。だいたいサンシャイン60通りあたり。
 ハロウィンイベントが行われており、人がたくさんいます。その中に紛れて未確認飛行物体が飛んでいます。
 人々が存在を認識して狂ってしまう前に撃破しましょう。

(第2章)
 第1章と同じく、池袋の街中です。
 未確認飛行物体を倒したことで、存在が隠されていたUDCを認識できるようになります。
 人々に被害をもたらす前に撃破しましょう。

(第3章)
 UDC組織豊島区支部の建物内です。
 支部内でハロウィンパーティーが開かれており、タコ焼きロシアンルーレットが行われています。
 また、本シーンにはUDC組織に保護されているUDC-Pが何人か登場します。登場人物の詳細は断章に記載します。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『未確認飛行物体『エイがいます』』

POW   :    UDC-040-JP『エイはいます』
【あなた】は周囲にエイがいる事を【知らせて】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    UDC-1910-JP『エイとの対話』
【 オイシイUFOラーメン (\390) 】を給仕している間、戦場にいる オイシイUFOラーメン (0) を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    『あなたはそこにいますか?』
対象への質問と共に、【上空】から【認識できない謎のオブリビオン】を召喚する。満足な答えを得るまで、認識できない謎のオブリビオンは対象を【存在を認識すると狂わせる、感染同化音波】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木常野・都月
ハロウィン、またこの季節が来たんだな!

あとでゆっくり楽しむ為にも、今はUDC退治だな。

俺は元々妖狐だけど、人から見たら仮装に見えるだろうし、このままでも問題ないかな。

とはいえ、相手は空なのか。

空飛んだ方が早いけど、流石に飛んだら人目につきそうだ。

ここは風の精霊様に頼ってしまいたい。

風の精霊様に、上空を飛行するUDCをマーキングして欲しい。
あ、飛行機はダメだ、飛行機じゃない飛行敵UDCだ。

俺自身も、風の精霊様のマーキングを頼りに、[野性の勘、第六感]を駆使して敵を捕捉したい。

捕捉できたらUC【雷の怒り】で敵のUDCを撃ち落としたい。

敵の音波は風の精霊様の[属性攻撃]の[カウンター]で対処したい。



●存在証明
「ハロウィン、またこの季節が来たんだな!」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は嬉しそうに尻尾をふさりと揺らしながら、池袋の街に降り立った。
 いつものように狐耳狐尻尾の妖狐姿、それでも一般人からしたら、立派に仮装しているように見えるわけで。
「あっ、そこの狐のお兄さん、いいねー! 一枚どう?」
「ありがとう、でも今は急いでいるんだ、ごめん」
 道行くカメラマンが声をかけてくるのをさりげなくかわしながら、都月はきょろきょろと辺りを見回した。
「空飛んだ方が早いけど、流石に飛んだら人目につきそうだ……よし。風の精霊様」
 流石にこれだけ人がいる中で、飛行したら騒ぎになりかねない。そう考えた都月は風の精霊を呼び出した。
「上空を飛行するUDCをマーキングして……あ、違う、飛行機は違う、飛行する敵UDCだ」
 空を飛ぶUDCを探してもらおう、と思ったところで、ちょうど上空を飛行したジェット機目掛けて風の精霊が上昇するハプニングこそあったものの。
 都月の意図を汲んだ風の精霊は、件の飛行物体を探すべく人混みの方へ飛んでいった。
「よし……それじゃ、俺も」
 気を取り直して、都月も人混みの中に足を踏み入れていく。
 東洋の妖怪、西洋の妖怪、神に天使に架空のキャラクター。様々な仮装がひしめく中を、都月は進んでいった。
「人の頭の上を飛んでいるって話だったけど……あっ」
 頭上あたり、あまり上すぎないあたりに視線を向けていた都月は、ある一点で視線を止めた。
「あれか」
 ヴァンパイアの仮装をしている背の高い人、その頭上数十センチのところを、ふよふよと浮かぶ土星……それと、エイらしき生き物がいる。
 その飛行物体に視線を止めた都月だが。急に飛行物体が振り返った。
『あなたはそこにいますか?』
「え……っ!?」
 飛行物体の声、と思しきものを認識した途端、都月の頭上から怪音波が降り注いだ。
 分からないけど、何かがいる。そして自分に変な音波で攻撃している。
「く……風の精霊様!」
『……!』
 なんとか気を持ち直して、都月は風の精霊に呼び掛けた。飛行物体のそばに付けていた精霊が、風の魔法で攻撃を加える。
 その瞬間、音波が止んだ。しっかと立ち、指を突き付ける。
「俺はここにいる……それは間違いない! 雷の精霊様!」
 呼び出すのは雷の精霊だ。飛行物体目掛けて上空から落雷が落ちてくる。
 空気をつんざく音と一緒に降ってきた落雷に打たれ、飛行物体はそのまま消えていった。
「わっ、何!?」
「びっくりした……雷の予報出てたっけ?」
 周囲の人々が、何事かとあたりを見回した。落雷の音をこそ認識したが、都月が食らった怪音波や、飛行物体の方は認識せずに済んだらしい。
「ふぅ……あれは、一般の人が認識したら厄介だ」
 ホッと胸を撫で下ろしながら、その怪異の威力に恐れを抱く都月だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
去年は当時存在確定直前のUDC-Pの大量確保だったが今回は真っ当に沸いてきた形か。それにしてもそんなに目立つ職員が居たのに驚くが。

【狸塚の呼び鈴】と【鼬川の指輪】で二人を召喚。
まあ我の格好も二人の獣耳と尻尾も普通に見える日だからな楽だろうて。
三人で市民を【誘惑】する事で人を集めながら【大狸囃子】を上に常に放つ事で近いにいる人間に対する謎の存在の音波をかき消しながらエイの動きを止めて遠距離からの【衝撃波】で仕留めていこう。指向性のある音波を撃てる技だからできる荒業だがな。

鼬川はハロウィンの時に従者にしたし、終わった後のパーティーも顔見知りも多い事だろう。なればこそ頑張らんとな。



●不在証明
 通りの別のところにて。キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)と、従者の狸塚・泰人と鼬川・瞬太は、三人揃って町の中を歩いていた。
「今回は真っ当に沸いてきた形か」
「去年と違って、気を引き締めないとならない展開ですね」
「去年なー。そういえば俺がご主人様のところについたの、去年のハロウィンの時だっけか」
 淡々と発しながら歩くキングの後ろを、泰人と瞬太も粛々と歩きながら視線を周囲に巡らせる。
 普段だったら華美すぎて目立ってしまうキングの服装も、どこぞの王族のような雰囲気を醸し出して場に馴染んでいた。
 狩衣姿の泰人と、パンクロックファッションの瞬太。更に言えば泰人の手元には鳴り続ける大太鼓。ちぐはぐだが、逆にそれがいい。
 事実、彼ら三人の見目麗しさも手伝って、衆目を集めるには十二分に作用していた。
「やだ、超イケメン……」
「あの狸の子もかわいい……」
「えー、アタシはイタチっぽい子の方が好みかもー」
 女性陣が黄色い声を上げながら、三人の姿をもっとよく見ようと寄ってくる。結果的にこの三人の周囲には、黒山の人だかりが出来ていた。
「順調に集められていますね」
「この調子なら、すぐに問題のやつも見つけられるんじゃねーかな」
「油断はするなよ。狸塚、音波は途切れさせるな」
 泰人と瞬太が笑みを見せながら言えば、キングは鋭い視線を二人に投げかける。
 あの飛行物体のUDCが、この周辺にいる人間の誰かに見つけられてしまえば終わりなのだ。その前に、何としても自分たちで見つけ、始末せねばならない。
 と。泰人と瞬太の視線が、ある一点に向く。
「ご主人様」
「あれっぽいぜ。音波にやられて動きが止まってる」
 見上げれば、空の若干高いところでピクピクと震える土星があった。へばりついているエイらしき飛行物体は、泰人の絶えず放っていた指向性の音波をモロに食らったらしい。
「よし、狸塚、絞って一気に当てろ」
「かしこまりました……発っ!」
 キングがほくそ笑めば、泰人が気合を入れて太鼓を一発。レーザーのように射出された音波が、飛行物体の身体を貫いて消し去った。
「よし、片付きましたね」
「終わった後のパーティーも顔見知りが多い事だろう。なればこそ頑張らんとな」
「そうだな。頑張ろうぜ、ご主人様!」
 太鼓をしまった泰人と、いざという時のために風の刃を準備していた瞬太に微笑みかけるキング。この後のハロウィンパーティーを楽しむためにも、ここでしっかり仕事を完遂する。それが、三人の共通認識であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

物部・十王
土星??
今、夜だっけか?

まぁ、わしも、古の妖怪だしのぅ。
UDC排除した竜神様のように、わしも、こそっとやってしまうかのぅ。
いくら目立とうとも、わしの事に気づかなければ、どうにでもなるもんじゃな。
過去の地球じゃあ、そうはならなかたしのぅ。

しかし、猟兵の能力は便利じゃのう。
そして、わしは「鵺」じゃ。空中なぞ問題ないのじゃ。
奴が来たら、【空中浮遊】でこっそり接近し、【属性攻撃】で雷撃を土星にぶち飲めたら、UC使用し、更に接近して尻尾の蛇で噛み付いて【毒使い】でぐったりさせたら、あとは蛇が丸呑みじゃ。

土星に妙なことさせるよりは、わしが気づかれるぐらいなら、まだマシじゃからのぅ。



●暗中模索
「土星?? 今、夜だっけか?」
 物部・十王(東方妖怪のスピリットヒーロー・f29685)は空中をふよふよ漂いながら、そう嘯いた。
 今は真っ昼間、土星どころか月すら見えるはずもない。とはいえ、これから相対するUDCは正しく土星のそれだ。しかも随分低いところにある。
「まぁ、わしも、古の妖怪だしのぅ。UDCを排除した竜神様のように、わしも、こそっとやってしまうかのぅ」
 そう言って空中を大胆に移動しながら、十王はUDCを探す。
 当然、道中で人の目には留まるが、そこは猟兵ゆえ。その姿でそこにいることに違和感を持たれない。
 しかも十王は古来よりの妖怪「鵺」だ。飛んでいて当然である。
「ねー、なにあれ?」
「あれ? ……なんだよ、本物の妖怪が飛んでるだけじゃん」
 その行動が妖怪として自然であるがゆえに、見つけられても一般人は特段の疑問を抱かない。鵺らしく振舞うが故に、十王はこの場を切り抜けられていた。
「猟兵の能力は便利じゃのう。気付かれても、気にされなければ、どうにでもなるもんじゃ」
 目だっても、気付かれなければ問題ない。気付かれても、気にされなければ問題ない。猟兵の世界の加護を実感する十王である。
 と、彼が視線を落としたその先に。明らかに異質な土星が見える。
『……』
「いたな。そこじゃ」
 即座に距離を詰めた十王が、土星めがけて雷を落とす。雷に強かに撃たれた飛行物体が身を強張らせる頃には、もう遅い。
『!?』
「ほれ、これでも食らうがいい」
 続いて放たれる十王の護符で、飛行物体の動きと攻撃が封じられた。寿命を削るが、そもそも妖怪。気にするほど寿命に限りがない。
「最後にもう一押し。これでトドメじゃ」
 さらに距離を詰めた十王は、飛行物体に尻尾の蛇で噛みつかせた。毒を注入し、弱らせた獲物に、蛇が大きく口を開ける。
「頃合いじゃな。蛇、食ろうてしまえ」
『……! ……!!』
 動けず、反撃できず、苦しむ飛行物体が、土星ごと十王の蛇に飲み込まれた。
 ごぐん、と飲み込むさまを、無論仮装する市民も見ているが、対象を認識していないが故に十王が一人で何かをやったようにしか見えていない。
「あの妖怪さん、なにかやった?」
「パフォーマンスかなにかでしょ。すごいわよねー」
 口々にそう言いながらこちらを見上げる一般人を見下ろして、十王は再び空を駆ける。
「土星に妙なことさせるよりは、わしが気づかれるぐらいなら、まだマシじゃからのぅ」
 そう割り切りながら、彼は次の獲物を探すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バロン・ゴウト
この人混みの中で皆がUDCの存在に気付いたら、大パニックが起きるだけじゃ済まないのにゃ。人目に付かないようUDCを倒す作戦を考えなきゃなのにゃ。

花の妖精の仮装をして、アイリスの嵐で花びらを操る【パフォーマンス】を行うのにゃ。
地上では花びらを動かしてハート型や星型を作って人々の目を惹きつつ、一部の花びらで上空のエイもどきを攻撃なのにゃ!
派手なパフォーマンスで人目を釘付けにしてる間に倒してしまえば、誰も上空のエイもどきに気付かずに済むのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●有名無実
 人混みの中、人々の足元をバロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)が進む。
 いつもの騎士らしい装いでなく、緑とピンクをあしらった羽付きの可愛らしいドレスに身を包んだバロンを、一般客が見つけて指差した。
「あ、見て見て、ちっちゃーい」
「あらほんと、かわいいわねー」
 ケットシーの中でも小柄なバロンが可愛らしさを振りまく様は、人目を引くのに充分だった。
「この人混みの中で皆がUDCの存在に気付いたら、大パニックが起きるだけじゃ済まないのにゃ。人目に付かないようUDCを倒さなくちゃなのにゃ……」
 自分を見つめて目を細める人々をチラと見ながら、バロンは進む。
 そうして道のそば、車よけのポールの上にぴょんと飛び乗った。
「皆さんハッピーハロウィーン! ここで花の妖精のボクから、パフォーマンスをお届けするのにゃ!」
 そう言いながら、バロンがば、と両腕を広げた。
 武器を構えないままにアイリスの嵐を使う。まるでどこからともなく現れたかのように、無数の花びらが舞い上がった。
 ハート、星、渦巻き。次々に形を変えていく薄紫の花びらの舞に、通りを行く人々の目が釘付けになる。
「わーっ!」
「かわいいーっ!」
 観客の目を楽しませながら、バロンはチラリと上を見上げた。自分の頭上、そんなに高くないところに、何かが浮いている。
「(あそこにいるにゃね)」
 場所的にも好都合だ。バロンが右手を高々と掲げる。
「はいっ、次は大技行きますにゃー!」
 掲げた腕をぐっと下に降ろす。一度舞い上がった花びらが急降下して、バロンの足元で渦を巻いた。
 この「一度舞い上げた」瞬間に未確認飛行物体にアイリスの花びらを叩きつけ、攻撃を加えているとは、観客たちは気付きもしない。
 そして、飛行物体が度重なる攻撃に耐えきれず、人知れず消滅した瞬間。
 バッとバロンの足元からアイリスの花が咲き誇った。
「「わぁぁーっ!!」」
 大きく咲いて、一瞬で崩れていく花に、大きな拍手と歓声を送る観客たち。
 彼らの無事を確認して安堵しながら、バロンはペコリと頭を下げた。
「はい、これでおしまい。どうもありがとうございましたにゃ」
 惜しみない拍手がバロンに送られる中、ポールからぴょんと飛び降りて人混みの中に消えていくバロン。
「上手く行ってよかったにゃ……このまま、問題のUDCも見つけられるといいんだけど……」
 人混みのあちこちに目を向けながら、人に蹴られないよう気をつけつつバロンは捜索を再開した。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
ハロウィンイベントなだけあって人でごった返していやがるな。
この人混みの中にエイみたいなUDCが現れたって話だったな。
「・・・大きな被害が出る前に対処しないと。」
そうだな、相棒。
幸い、俺を被っている相棒は仮装に紛れられるだろうしなッ!
「・・・素直に喜べません。」

相棒の巫女服は霊的防御で呪詛や狂気に耐性があるとはいえ、十分に気を付けろよ。
例のUDCは認識するとヤバいって話だ。
なら、第六感を研ぎ澄まして違和感を感じた存在に千刃桜花を叩き込んで破魔の花弁で斬り刻んでやる。
千刃桜花は対象だけを攻撃できるから人混みでも存分に力を発揮できるしな。


【技能・呪詛耐性、狂気耐性、第六感、破魔】
【アドリブ歓迎】



●五里霧中
 仮装した人々でごった返す池袋の町の中を、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)−−こと、凶津を被った神代・桜は歩いていた。
「ハロウィンイベントなだけあって人でごった返していやがるな」
「……大きな被害が出る前に対処しないと」
 桜が淡々と呟けば、凶津も同調するようにからからと笑った。
「そうだな、相棒。幸い、俺を被っている相棒は仮装に紛れられるだろうしなッ!」
「……素直に喜べません」
 鬼の面を被り、巫女服を身に着けた桜は、正しくこのハロウィンという場面に溶け込んでいた。
 猟兵であることを抜きにしても、凶津の存在に疑問を持つ存在はいない。現代日本でのハロウィンであることが、それをより助長していた。
 ともあれ、人の意識に強く残らない中で、凶津は件のUDCがいないか、目を光らせる。
「例のUDCは認識するとヤバいって話だ。相棒の巫女服は霊的防御で呪詛や狂気に耐性があるとはいえ、十分に気を付けろよ」
「……分かっています」
 あくまで猟兵の自分に身体を貸し、協力している一般人、という位置づけの桜に凶津が声をかけると、桜は普段通りの平坦な口調で言葉を返した。
 この相棒は、有り難いことにいつも通りだ。狂う様子も、戸惑う様子もない。そういう点で、凶津は吐けない息を吐く。
「それは何より……で、どうだ」
「違和感は、かすかに、あちこちで……一つ、近くにあります」
 桜が凶津の目を通して見る先は、一般人が集まっている広場の、その頭上。具体的には何とも言えないが、「何か」がいる感覚が、桜には確かにあった。
 そこをまっすぐ見据えて、凶津は刀を抜き放つ。
 突然人混みの中で抜刀した凶津に、周辺の人々がざわつく中で、二人は刀を真一文字に構えた。
「よし、分かった……行くぞッ!」
「……いけ、千刃桜花」
 刹那、ざ、と風が吹く。
 風に乗って舞い上がる無数の桜の花びらが、人々の上空、対空していた飛行物体へと襲いかかった。
 傍目から見たらただ風に吹かれ飛んでいったように見えただろうが、しかしその行き先には明確な指向性を持っている。人には触れず、しかし確かに、桜の花弁は飛行物体を食らい、虚空へと消えた。
 再び手元に戻ってきた刀を鞘に収めながら、桜が小さく息を吐く。
「どうだ、やったか?」
「近くの違和感は、消えました……大丈夫だと、思います」
 何が起こったのか、とキョトンとする人々をそのままに、凶津と桜はその場を立ち去った。まだ、終わりではない。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
東京という街で、且つお祭り騒ぎの只中だからまだ被害が出ずに済んでますけど、一般の人達が認識してしまったら……。
せっかくのハロウィンパーティーです。思い切り楽しむためにも、それ以上のおいたは許しませんよ。

ジャック・オ・ランタンを被った魔女の仮装をする予定です。
一般の人にユーベルコードを見られても、そういうエフェクトと誤解してくれると期待します。

【竜巻導眠符】を広範囲に撒いて、エイと謎のオブリビオン共々勢いを削ぎます。
質問はサイレンサー付きの狙撃でYesと答えます。

最後に、【竜巻導眠符】、勿忘草色ノ使蝶、記憶消去銃の「催眠術」で巻き込まれそうな人たちに対しては寝ぼけたのだと思ってもらいたいです。



●二律背反
 池袋の人々が事件のことを知らないままにハロウィンを楽しむ中。
 春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)はカボチャのランタンを頭にかぶり、真っ黒なローブを身に纏って、おまけに木製の大きな杖までつきながら歩いていた。
「東京という街で、且つお祭り騒ぎの只中だからまだ被害が出ずに済んでますけど、一般の人達が認識してしまったら……」
 今はまだ、誰にも被害が出ていない。しかしそれは今だけかもしれない。どこで、いつ、UDCが牙をむくのか分からないのだ。
「うん。せっかくのハロウィンパーティーです。思い切り楽しむためにも、それ以上のおいたは許しませんよ」
 そう決意を新たにしながら、カボチャの魔女の仮装をした遙は街をゆく。
 UDC組織の一員としても、世の中に出て悪さをするUDCは見過ごせない。それを隠匿し、覆い隠すのが彼女たちの仕事だからだ。
 それならば、少々派手に立ち回るのもやむを得ない。本当、その点においては仮装して街に繰り出し警邏をしてくれたイケメンの同僚に感謝である。
「はーい、トリック・オア・トリート! 悪い子にはいたずらしちゃいますよー」
 朗らかに言いながら、彼女は手に持った杖を掲げた。竜巻導眠符もこうして発動し、杖の先から紙片をばらまくようにすれば、立派に魔女の魔法だ。
「わっ、派手……!」
「ん……ふわぁぁ……なんか急に眠く……」
 一般人のいくらかが遙の「魔法」に目を見張り、一般人のいくらかがなんとなしに眠気を感じる中、遙は鋭く人々の頭上を見つめる。
 そこには、導眠符にまとわりつかれて眠気に襲われている飛行物体が、フラフラしながら空中を漂っていた。
『あなたは……そこに、います……か……?』
「眠たそうですね。答えはもちろん、こうですよ」
 飛行物体のぼんやりとした問いかけに、きっぱり返しながら遙は銃口を向ける。
 サイレンサー付きの銃から放たれた銃弾が、静かに飛行物体の命を摘み取った。
 消えゆく飛行物体に背を向けて、遙は再び杖を掲げ、符を撒き散らす。
「夢は現、現は淡い夢の中……今のひととき、皆さんは夢の中にいたのです。いいですね?」
「ん……」
「ふぁ……」
 彼女の言葉に、帰ってくるのは人々のあくびばかり。全ては彼らにとっては夢、何も無かったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
この世来るんは久しぶりや
あいも変わらず人はウジャウジャおるんにウチらの事は忘れてまうなんて寂しいわぁ
てか、皆ケッタイな格好して歩ってるけど何なん?
はろうぃん…?なんやけるとの連中のあれが来ないな所までやっとるんかいな
せやかてウチらの事は見えんくなったんに格好だけ真似よってほんま人間ってどんやわぁ

ま、ええわお仕事お仕事
うん?そこにおるか、やって?
そうやなぁ…おるかも知れへんしおらんかも知れへんねぇ?
せやかてここにおるん人らにゃ見えんくなってもうたから幽世に行かざるを得んかったんや
居るのに視て貰えないんは果たして居ると言えると思うか?
ウチらが狂っとるんか、世界が狂っとるんか…さぁ、どっちやろねぇ?



●巧言令色
 相変わらず、仮装をした人が方方に行き交う中で。
 ブラッドルファン・ディラィトゥオクア(西洋妖怪のレトロウィザード・f28496)は大きな熊のぬいぐるみを抱きながら、その秀麗な口元を小さく歪めてみせた。
「この世来るんは久しぶりや。あいも変わらず人はウジャウジャおるんに、ウチらの事は忘れてまうなんて寂しいわぁ」
 西洋妖怪のブラッドルファンにとって、UDCアースはかつて在った場所、懐かしき今世。今も昔もこの世界は人で溢れ、怪奇と日常が隣り合わせだ。
 とはいえ、怪奇を人々が認識せず、あり得ないものとして意識の外に弾き出しているのが、違うといえば違うか。
 そのことに一抹の寂しさを感じながら、青い肌の淑女はぐるりと辺りを見回す。
「にしても、はろうぃん……? なんや、けるとの連中のあれが、こないな所までやっとるんかいな。せやかてウチらの事は見えんくなったんに格好だけ真似よって……」
 元はケルトの悪魔崇拝、それが形を変えて姿を変えて、今日日本でこんなお祭りとして形を持った。元の宗教的な意味合いなど欠片もない、が、キリスト教の影響が入った段階で何を況んや、だ。
「ほーんま、人間ってどんやわぁ」
 本当に人間は、鈍感で、素朴で、純真。それがまた、ブラッドルファンには愛おしい。
 そこに。
『あなたは、そこにいますか?』
「うん?」
 どこからか、声が聞こえて。
 その方を見やれば、自分を真正面から見下ろしてくる、土星に貼り付いたエイの姿。
 常人が見ればここで正気度をごっそり削られるところだが、しかしブラッドルファンは悠然と微笑むばかり。
「そうやなぁ……おるかも知れへんし、おらんかも知れへんねぇ?」
『……?』
 その、どちらとも取れぬ回答に、飛行物体が小さく首を傾げる。
 その反応にくすりと笑いながら、ブラッドルファンは両腕を広げた。
「せやかてここにおるん人らにゃ見えんくなってもうたから、幽世に行かざるを得んかったんや。居るのに視て貰えないんは、果たして居ると言えると思うか?」
 そう言いながら展開する魔法剣、光の軌跡を描きながら幾何学模様を作って飛び交うそれを、人々はただ見上げるばかり。
 その切っ先の貫く先に、土星が、エイがいて、音もなく消えゆくさまなど、誰も気にしない。
「ほら……こうしてもここん人らは知らん顔。目に入らんはずもないのに、ただ祭りの余興や、と疑問にも思わへん」
 消えゆきて、世界から退去していく飛行物体に声をかけつつ、ブラッドルファンはくるりと身を翻した。パキン、と音を立てて魔法剣が消える中、守りを失った「それ」が人々の群れの中から浮かび上がる。
「ウチらが狂っとるんか、世界が狂っとるんか……ふふ、さぁ、どっちやろねぇ?」
 そう嘯きながら彼女が見る先、静かに佇む真白のフードを被った人物が、そこにいた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『忘却者』セレスタイト』

POW   :    過去の忘却
【自身を満たす無限の空虚】を籠めた【、記憶を奪う、一切の無駄のない完璧な打撃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【一番大事にしている思い出】のみを攻撃する。
SPD   :    未来の閉塞
全身を【攻撃者の希望を自身の内の空虚に喰わせる姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    存在の喪失
【自身を満たす無限の空虚】から【無数の、対象の思い出や対象が描く未来の姿】を放ち、【それらが取り憑き凄惨な幻覚を伴う自爆】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルトリウス・セレスタイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●柳暗花明
 人々の波が割れる中、「それ」はただそこにいた。
 白く、薄汚れた布を被り、目元を隠した、見たところ、青年。
 それがただならぬものであることは、すぐに認識出来た。
 これに関わってはいけない。
 この世の人間が如何に鈍感でも、その錆びついた本能が警告するほどには。
「……何故だ」
 青年が問う。誰に問うでもなく。
 その問いは姿を暴かれたことに対してか。怨敵がそこにいることに対してか。
 ゆるり、手が前に伸びる。
 ここに、退くこと許されない戦いが始まろうとしていた。

●特記事項
 ・『忘却者』セレスタイトは、一般人より猟兵を優先して狙いますが、ユーベルコードの効果範囲に一般人が入ったとしても、気にせず攻撃を仕掛けてきます。
  一般人が攻撃されても命に別状はありませんが、彼らが攻撃を受けないようにするためには、相応の対応が必要となります。
バロン・ゴウト
できれば人の少ない所におびき寄せたいところだけど、この人混みの中だとそれも難しそうだにゃ。
だったらすることは一つ、一般の方に被害が出る前に敵を倒すことだにゃ!

敵の死角から【目立たない】ように【忍び足】で近づき、近づいたら【ダッシュ】からの【スライディング】で【先制攻撃】、敵に足払いをかけるのにゃ。
敵の体勢が崩れている間に左の【必殺肉球パンチ!】を叩き込み、すかさず右の【必殺肉球パンチ!】で【2回攻撃】なのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●急襲
 敵のオブリビオンがその姿をあらわにしたそのタイミングで、バロンは敵の懐に潜り込むべく距離を詰めていた。
「できれば人の少ない所におびき寄せたいところだけど、この人混みの中だとそれも難しそうだにゃ……」
 出来れば人の少ないところで対処をしたいが、今の状況では難しい。何とかして味方の力を借りたとして、周辺の猟兵に力を借りるのが精々だ。
 出来ることは限られる。だからこそ、バロンは周囲に視線を配った。
「だったらすることは一つ、一般の方に被害が出る前に敵を倒すことだにゃ!」
 今ここで、出来ることをして敵を倒し、周辺への影響を無くす。それがバロンの心情のとても大きな部分を占めていた。
 攻められる前に攻める。攻められる前に、守る。非常に効率のいい攻め方をバロンはしていた。
 そして。
「よし……ここで、攻めるのにゃ!」
 敵の守りが薄くなるそのタイミングに、バロンは攻め立てた。その両手の肉球を押し付けるように、思いきり両手を振るう。
「っ……!?」
「ボクの肉球パンチを、侮ってもらったら困るのにゃ!」
 バロンの肉球パンチを食らって、敵の身体がぐらりと傾ぐ。さらには全速力で攻め立てられる彼の手。そうしてスキを作りながら、バロンはしっかと両の足を踏んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
真の姿解放して金属の翼と肩当装着。
ハロウィンらしからぬ
存在を問う物と存在を漂白する者の組み合わせか。
遊興に浸る民には邪魔だ、そのまま消えるがいい。

狸塚と鼬川には避難誘導と【救命活動】を任せて我が前に出る。
そして【エレクトレギオン】を四百体召喚、
人々を守らせるように全部を突っ込ませる。

機械に幻覚は効かん、
そして取りつかんと自爆できんのなら取りつかれた物だけを上空に飛ばして行けば被害も最低限で済む。更に攻撃していけばそれは減って射線は出来る。
後は【ノーライフ】で撃ち抜くのみよ。

去年も鼬川に避難誘導させていたな、そういえば。
そういう思い出や絆を消そうとするならば我は貴様に対して容赦はせん。



●浮雲
 真の姿を解放し、機械翼と肩当てを装着しながらキングは敵を見据えた。
「ハロウィンらしからぬ、存在を問う物と存在を漂白する者の組み合わせか」
 目の前の薄汚れた青年は、このハロウィンには似つかわしくないものだ。一般人を害することを優先しないとしても、この世界に在ってはならないものだ。
 だからこそ、キングは傍らに立つ二人の従者に声を飛ばす。
「狸塚、鼬川」
「はい、ご主人様」
「何をすればいい?」
 泰人と瞬太が、真剣な面持ちで返答を返す。それに対してキングが指さすのは、混乱の只中に放り込まれた群衆の方だ。
 突然人混みの中で始まった戦闘行為、セレスタイトから距離を取りながら逃げ惑っている。このままでは、いつどこで一般人が被害を被らないとも限らない。
「避難誘導を。道中で怪我人を見つけたら、それの救助も頼む」
「分かりました」
「よし、行こうぜ狸塚!」
 キングの指示を受けて、泰人と瞬太が走り出した。周辺の一般人を落ち着かせながら、池袋駅の方に向かって人波を流していく。
「此方は危険です、すぐに退避をお願いします!」
「駅の方なら安全だから、そっちに向かってくれー!」
 そうして、自分の仕事を全うする従者たちを見て、キングはふっと口元に笑みを浮かべた。
「ふっ……去年も鼬川に避難誘導させていたな、そういえば」
 そう、去年は都内の某遊園地での仕事だったか。UDC-Pの獣人が多数確認されたあの事件でも、瞬太は一般人の避難誘導を行っていた。
 機械翼をがしゃりと鳴らしながら、キングがセレスタイトを睨みつける。それと共に召喚されるのは、エレクトロレギオンが400体。
「そういう思い出や絆を消そうとするならば、我は貴様に対して容赦はせん。遊興に浸る民には邪魔だ、そのまま消えるがいい」
 その400体を、キングは一斉にセレスタイトに突っ込ませた。
「……」
 それに対応するべく、セレスタイトも自身の空虚から無数の思念弾を放っていく。その弾がレギオンに取り付いて動作を阻害しようとするが、機械相手、思うように動きを止められないようである。
「機械に幻覚は効かん。未来を想うこともない。そして自爆されても上空に飛ばせば、被害はない」
 キングは笑みを浮かべながら、ただただレギオンを繰り続けた。満足に動かなくなったものは空中に打ち上げて爆破させ、動くものはどんどん思念を食らわせる。
 そして、思念の壁に、確かに穴が開いた。
「そこだ」
「――!」
 その射線を逃すことなく、キングの手に握られたノーライフが穿つ。弾丸に撃たれたセレスタイトの頭が、ぐらりと後方に傾いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
おいおの、あのぼろマント野郎からただならぬ気配をビンビン感じるぜ。
「・・・決して放って置いていい相手じゃありません。」
だな、相棒。
ここで仕留めるぞッ!

雷神霊装でいくぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」

先ずは霊装で引き上げたスピードで奴の周りに『結界霊符』を貼り、結界術を展開して俺達とあのぼろマント野郎を結界の中に封じ込めるぜ。
これで、周りの一般人を気にせず戦えるってもんよ。

奴の攻撃はヤバそうだ。
引き上げた反応速度で奴の動きを見切って攻撃を避けつつ、破魔の雷撃を纏った妖刀でぶった斬ってやる。
隙をみてカウンターも叩き込んでやるぜッ!


【技能・結界術、見切り、破魔、カウンター】
【アドリブ歓迎】



●泡影
 一般人の避難誘導が進む中、凶津と桜はセレスタイトの姿を見て、その身体から発せられる威圧感と力に驚きの声を上げた。
「おいおい、あのぼろマント野郎からただならぬ気配をビンビン感じるぜ」
 あれは簡単に倒せるような相手ではない、それは痛いほどに分かる。桜も頷いて凶津に同調した。
「……決して放って置いていい相手じゃありません」
「だな、相棒。ここで仕留めるぞッ!」
 ここで仕留める。その意思をお互いに確認し合って凶津と桜は右手を高く掲げた。
「いくぜッ、雷神霊装!」
「……転身ッ!」
 途端に、空から落ちてくる雷。それが桜の身体を包み込み、雷撃を纏う霊装へと姿を変えた。
 セレスタイトがその姿を認識するより早く、凶津の姿が視界から消える。
「……っ!?」
 突然いなくなったことに驚いたセレスタイトが周囲を見回すと、そこは既に結界が貼られていた。ちらほらと見える、地面に張り付けられた護符。
「へ、どうよ。この結界があれば、周りの一般人を気にせず戦えるってもんよ」
 いつの間にか後方に回り込んでいた凶津が、セレスタイトに刃を突き付けながら笑う。
 それに相手は答えない。答えないまま、自身の身体から闇を溢れさせた。
「……」
「希望を空虚に喰わせる姿、ってやつか。だがッ!」
 その闇に覆われた体に、凶津は刀を叩きつけていく。相手が攻撃に対してほぼ無敵になっているなど構いもしない。動けなくなっているなら攻撃し放題だ。
「希望なんてのは果てがねぇ、お前ひとりでは到底喰らいきれんほどになッ!」
 刃から破魔の雷撃を迸らせながら、凶津は吠えた。吠えて吠えて、その手に力を籠める。
「全力でぶちかますぜ、相棒ッ!!」
 そして大上段に振り上げられた刀。そこから溢れんばかりの雷光が走った。
 刹那、振り下ろされる。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「う……!?」
 その攻撃に、僅かにセレスタイトがたじろぐ。次の瞬間にはセレスタイトの纏うぼろ布に、一閃の傷が確かに走っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

物部・十王
ふむ、こいつが現況かのぅ。
表向き、人型だが、UDCらしいからのぅ。
だったら、なるべく気づかれずに【目立たない】状態で、【空中浮遊】しながら近づいて。UCで動きを止めさせていただくのじゃ。
そして、相手の虚無攻撃を【狂気耐性】で耐えて、そして、右前足で相手を、一般人が少ない方向に飛ばさせてもらうのじゃ。


ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
『忘却者』なぁ…忘れとる人やのうて忘れさす人なんやねぇ…勝手お人やわぁ
記憶っちゅうもんは大事なもんやで
人間は知る事で智を得て過去を、恐怖を克服しよるが…過去がのうなったら怖がる事も忘れてまう
そない大事なモンを好き勝手されたら人間壊れてまうわ
しかもあれやろ、何かあったらあったでウチら妖怪の所為にされるんやろ?
堪ったもんやないで
せやったら黒い霧に化けよって周り覆ったろ、人間にゃただの演出に見えはるやろ
最近人工霧とか色々作り出しとるさかいなぁ、人間は勤勉やわぁ
フン…ウチの希望差し出せゆうたって、そないなの『この世』に戻る事だけやわ
とっくのトォに潰れよった希望やわ、そんなんで良ければ喰うてけや



●無常
 ぐらり、とぐらつきながらも、なおもサンシャイン60通りの真ん中に立つセレスタイトを、十王は姿を隠しながら宙に浮かんで見下ろしていた。
「ふむ、こいつが元凶かのう。表向き人型だが……」
 見てくれは、人だ。多少の服装の汚れとほつれこそあるが、立ち姿は人のそれだ。
 だが、しかし。
「雰囲気、空気、底知れぬ圧力。UDCであることは明白じゃな」
 それがただの人間でないことは、その立ち姿が如実に物語っている。誰からも意識されないような、意識に留められないようでありながら、その粘度の高い圧力は隠しきれていない。
 こんな人間は、いるはずがない。
「であれば……容赦をする必要はないのう」
「……!?」
 十王がば、と前脚を持ち上げれば、セレスタイトの動きがびしっと固まった。背中には一枚、呪文の書かれた護符が貼り付いている。
「動けぬであろう? 攻撃も出来ぬであろう? ならば――」
 身動きの取れない相手に対し、十王は思い切り右の前脚を振り上げた。
 そして。
「せぇいっ!!」
「っ……!!」
 一気に振り抜いてセレスタイトの身体を弾き飛ばす。
 その白い身体は池袋駅とは反対方向、サンシャインシティの方へ……今まさに、人々が避難する方とは逆方向へと飛ばされていく。
 その飛んでくる相手を、ブラッドルファンは待ち構えていた。
 否、むしろ彼女は飛んでいく様を見送っていたともいえるだろう。何故なら、『彼女』は十王がいるその周辺から、既に『いた』のだから。
「はん、『忘却者』なぁ……忘れとる人やのうて、忘れさす人なんやねぇ……勝手なお人やわぁ」
 鈴を転がすようなブラッドルファンの声が、セレスタイトを取り囲む黒い霧の中から聞こえてくる。どこから声がするのか、セレスタイトには分からない。
 彼女は変幻基本セット『ヴァンパイア篇』によって、戦場を覆い隠す黒い霧へと化けていた。その戦場とはすなわち、一般人と猟兵との境目、サンシャイン60通りの車道だ。
 霧は十王やセレスタイトの居たあたりから、車道の内側を覆うように展開している。十王が宙に浮かんでいるのも、一般人には見えていないというわけだ。
「人間は知る事で智を得て、過去を、恐怖を克服しよるが……過去がのうなったら怖がる事も忘れてまう。そない大事なモンを好き勝手されたら人間壊れてまうわ」
 記憶を持つこと、覚えていること、忘れないでいることの大事さを、ブラッドルファンは説く。説きながら、霧の範囲をどんどん狭めていく。
「しかもあれやろ、何かあったらあったでウチら妖怪の所為にされるんやろ? 堪ったもんやないで」
「かかかっ、違いないのう!」
 呆れたように発するブラッドルファンの物言いに、十王も笑って同意した。お互いに妖怪、ヒトの所業に思うところは、やはりあるようで。
 ぞわり、黒い霧が蠢いて。その中からブラッドルファンの姿が静かにまろび出る。
「フン……ウチの希望差し出せゆうたって、そないなの『この世』に戻る事だけやわ」
 手に握った箒の、刃が付いた方をセレスタイトに向けながら、冷たい眼差しで彼女は言う。
 その手が、すぅと持ち上げられて。
「とっくのトォに潰れよった希望やわ、そんなんで良ければ喰うてけや」
 氷のように冷え切った言葉を乗せて、ブラッドルファンの刃がセレスタイトの身体を切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月
俺は猟兵だ。
人と世界を守るのが仕事。
一般人を守りたい。

まずは周囲の一般人に可能な限りの[オーラ防御]をかけたい。

一般人に興味を示さなくても、下手に巻き込みたくない。

多少大変でも、一般人に被害が出ない事を最優先にしたい。

まずは周囲の闇の精霊様にお願いして周囲の一般人に目隠しをしたい。
完全に目隠しする訳じゃなくて、俺と敵が見えなくなってくれればいい。

UC【精霊召喚】で敵に不利な精霊様を召喚して、敵にまとわりついて欲しい。

攻撃が効かないなら、効くまで攻撃するしかない。

[属性攻撃、全力魔法]で俺の出来る最大魔力をぶつけたい。


春霞・遙
思い出や未来というと退院していった子たちの笑顔とか成長した姿でしょうか。
それだとこちらからは攻撃しにくいですけど……、病院と縁なく過ごせている人たちが傷つくことは回避しないといけませんよね。

一般の人達が対象にされないように【葬送花】の花びらで周囲の目くらましをします。
敵のユーベルコードから放たれたものは心情的に撃墜できないと思いますけど、周りを巻き込まないよう自分で受けます。
痛みは「激痛耐性」で耐えるしかないけれど、幻覚は子供達を殺さなければならないわけでなければ覚悟でもって乗り越えます。

敵の姿が確認できたら、接敵して全てを塗りつぶす花吹雪と杖による打撃で戦います。



●不定
 傷つき、それでもなお立ち上がるセレスタイトの身体から、空虚が溢れ出すのを見ながら、遙と都月は同時に眉間にしわを寄せた。
「思い出や未来というと……私は、退院していった子たちの笑顔とか成長した姿でしょうか」
「思い出……俺は、なんだろう。じいさん、かな」
 思い出、懐かしい人、大切な過去。それが襲ってくるというのは、どうしても心に来るものがある。
 杖を握った都月が不安そうに、漏れ出しては世界に消えていく空虚を見つめた。
「じいさんが、襲ってくるんなら、攻撃しづらい……」
「うん。こちらからは攻撃しにくいですけど……病院と縁なく過ごせている人たちが傷つくことは、回避しないといけないよね」
 勇気づけるような遙の言葉に、都月は頷いた。避難していく一般人に守りのオーラを分け与えながら、闇の精霊を呼び出す。
「ああ、俺は猟兵だ。人と世界を守るのが仕事。だから……一般人を守りたい」
「それじゃ、力を合わせよう。せぇのっ!」
 同時に遙も杖を掲げ、光を溢れさせる。光に呼応して巻き起こった薄桃色の花吹雪が、戦場を覆い、セレスタイトと都月、遙を取り囲んだ。
 更には都月の闇の精霊によって、戦場は闇で覆われている。これで、一般人が標的になることはない。
 狙いを定める先が限定されたこともあってか、セレスタイトの空虚から幻影が一気に飛び出してきた。都月が身構えるも、その前に割り込んだ遙に幻影が殺到し、破裂を受ける。
「くっ!」
「遙!」
 苦痛に表情を歪める遙に、都月が守りのオーラを分け与えた。死に至ることはない程度だが、それでも苦痛は逃がせない。
 それでも、遙は逃げずに立ち向かった。立ち向かい、その身を攻撃に晒した。
「何故……」
「何故? ……さぁ、何故でしょうね」
 その姿にぽつりと疑問を零すセレスタイト。彼の疑問に、遙は小さく笑った。
「私は、医者ですから。子供たちが、傷つく姿は見たくありません。たとえそれが、幻覚だったとしても……自分の手で傷つけるなんて、したくありませんから!」
 笑いながら、まなじりを決しながら、遙は力の限り叫んだ。
 守りたい、助けたい、力になりたい。その為なら、自分はどこまでも犠牲に出来る。その覚悟に、セレスタイトが僅かに動きを止めた。
 その隙を狙って、都月が杖を掲げて精霊を召喚しにかかる。
「くっ……あいつの属性、それに有利な属性の精霊様は……!?」
 悩みながらも、掲げられた杖。精霊は確かに召喚された。天使のような、小さな生き物だ。しかし、その齎す力がどのようなものであるか、都月には分からない。
「えっ……え、えぇと、これは……!?」
「都月くん、落ち着いて! 召喚されたのなら、使えるはずだよ!」
 混乱する都月に遙の声がかかる。はっとして視線を前にやれば、セレスタイトがこちらに右手を向けていた。
「希望……未来……」
 小さく呟かれる空虚な言葉、しかしそこには、確かに何かへの想いが、望みが、見て取れた。
 都月は理解した。『彼』が何を齎すものなのか。それに対する『これ』が何を齎すものなのか。
 杖を振ると同時に、遙も杖を振った。姿が顕わになったセレスタイトに光を浴びせ、花吹雪を巻き起こす。
「風に舞う薄紅の嬰児よ、惑う命の導きと成れ!!」
「そうか……心の精霊様、最大出力!!」
 薄桃色の花びらを巻き起こしながら、舞い踊る竜巻、想いの結晶。
 それが、セレスタイトの身体に数多の傷を刻んでいく。
「心……」
 花びらが空に消えていくのに巻き込まれるようにして、空虚なUDCはその姿を失い、午後の青天へと消えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『あつあつロシアンたこ焼きルーレット!』

POW   :    胃の中に入れば何でも同じ!物怖じせず、片っ端から口に放り込む

SPD   :    アタリは多い内の方がいい! みんなが手を伸ばす前に何個か確保!

WIZ   :    盛り付けている店員の気持ちを読み取り、どこにハズレを配置しているか見極める!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●飛花
 UDCの退治が終わり、池袋に安寧が齎されたところで。
 猟兵たちは現場を引き上げ、迎えに来たUDC組織の車に乗って、豊島区支部のレクリエーションルームにやってきた。
 そこでは。
「「ハッピーーハロウィーーン!!」」
「しゃにゃー!!」
 魔女の仮装をした青白い肌の少女と、額に護符を張り付けてキョンシーの仮装をした犬獣人の青年が、満面の笑みでたこ焼きの乗せられた皿を差し出してきた。
 足元に目をやれば、悪魔の翼を模したケープを身につけた、一匹のつちねこがこれまたいい笑顔。
 彼らの向こうで出迎えてくれた、ヴァンパイア、狼男、フランケンシュタインはいずれもUDC組織の職員で。
 更に言えば中央のテーブルで次々にたこ焼きを生産している、妖狐と妖精も、またUDC組織の職員だ。
 まさにハロウィンパーティーの会場と言うに相応しい、しかし同時にたこ焼きパーティーの会場とも言える、人間もUDCもごっちゃ混ぜの混沌たる会場が、そこにあった。
「すごいでしょ? 皆、猟兵の皆さんが来るのをずっと待ってたのよ」
 猟兵たちの送迎に来てくれた栗須・沙綾が扉を押さえてにっこり笑えば、迎えてくれたUDCの二人も嬉々として猟兵たちを中へと誘う。
「はい! 皆さんが来るのを、今か今かと待っていたんですよ!」
「たこ焼き、たくさん、あります……早く食べないと、冷めてしまいますよ……」
 狗巻・祐也が現役大学生らしい人懐っこい笑顔で言えば、納谷・橙子もはにかみながら言葉を発する。
 UDC組織の職員たちも、猟兵たちを出迎える気マンマンだ。手には飲み物、そしてたこ焼き。既に酒を飲みたい猟兵を待ち構える、酒を飲むつもりの職員もいる。
「あ、ほら栗須さんも。もう変身解いて大丈夫ですから」
「おっと、そうだった」
 と、祐也が沙綾へと声をかければ、レクリエーションルームの中に踏み入った彼女の腰から、大きな栗鼠の尻尾が生える。
 彼女も、そうなのだ。
「さ、入って入って。今日は一緒に、楽しみましょう?」
 そう言って栗鼠の獣人の女性が、猟兵たちににっこり笑いかけた。

●特記事項
 ・舞台はUDC組織豊島区支部の建物内、レクリエーションルームです。
  ルームの中央には大テーブルが置かれ、たくさんのたこ焼きとジュース類が置かれています。お酒はルーム端のテーブルに分けて置いてあります。
  たこ焼きは普通にタコ入りだったりソーセージやチーズが入っていたり、チョコレートが入っていたりしますが、一定の確率で【ハズレ】が混じっており、激辛だったり納豆入りだったりします。
 ・ルーム内にはUDC組織の職員の他、UDC-Pが参加しています。プレイングに記載いただければ、登場するUDC-Pの希望に極力沿います。
  確実に来ているのは下記の面々です。性格や言動は、下記URLのシナリオをご参照ください。
  
  納谷・橙子(発酵少女)
  渋谷区支部で保護されているUDC-P。日々の体臭ケアによって、だいぶ身体から発するにおいは薄まった。タコ焼き機に興味津々。
  https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=15790

  狗巻・祐也(街を往く獣人)
  埼玉県浦和区支部で保護されているUDC-P。犬獣人の男性。変身は長時間維持できるようになった。大学の授業が後期もオンライン授業になったため、他人との交流に飢えている。
  https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=17827

  ねこたん(つちねこ)
  千代田区支部で保護されているUDC-P。人間に遊んでもらうことと、回し車で走るのが大好き。たこ焼きを食べてみたい。
  https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=17826

  栗須・沙綾(街を往く獣人)
  豊島区支部で保護されているUDC-P。栗鼠獣人の女性。普段は組織のUDC研究に協力しながら、雑務の手伝いをしている。デザート系のたこ焼きに興味を引かれている。
  https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=14792
●連絡事項
 プレイング受付の〆切は、10/24(土)の夜となります。
 だいたい21時ごろまでにお送りいただけると助かります。
バロン・ゴウト
沙綾さんもつちねこさんもお元気そうで良かったのにゃ!えへへ、今日はお久し振りに色々お話したいのにゃ。

栗須・沙綾さんの傍に行って、お久し振りですとご挨拶するのにゃ。
一緒にたこ焼きを食べながら、近況などを聞いてみるのにゃ。
「今、沙綾さんは幸せですかにゃ?幸せならボクもとっても嬉しいのにゃ。」

沙綾さんとお話してたら、つちねこさんが近づいてきたのにゃ。
つちねこさんを撫でながら、【動物と話す】でお話するのにゃ。
「つちねこさんもお久し振りにゃ。今はねこたんって名前があるのにゃ?ねこたんが元気そうでボクも嬉しいにゃ!」
たこ焼きを割って少し冷ましたら、ねこたんに食べさせてあげるにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●ねこたん「しゃにゃーん」
「つちねこさーん!」
「うにゃしゃーん!」
 バロンが両手を広げるところに、つちねこが飛び込んでいく。
 スピードも抑えめ、カマイタチも出さずにバロンの胸の中に飛び込んで、バロンと一緒に床でゴロゴロと転がるねこたんを見ながら、沙綾がにっこり笑った。
「どう? すっかり人馴れしたでしょ、その子」
「うん、元気そうでよかったのにゃ!」
 ねこたんの頭を撫でながら、バロンが満面の笑みを見せる。そしてそのまま、バロンは沙綾へとにっこり笑いかけた。
「元気そうといえば、沙綾さんもお元気そうで何よりなのにゃ」
「あら、ありがとう。君も良かったわ、元気にしてるみたいで」
 彼女ら獣人のUDC-Pが、UDC豊島区支部に保護されたのが、およそ一年前のこと。その間に猟兵たちと絆を結んだ獣人もいる中で、沙綾はそういう相手を持たず、UDC組織で職員として働いていた。
 ゆっくり立ち上がって、テーブルの上の皿を手にする沙綾。タコ焼きがこんもり盛られたそれを持ってきて、彼女はバロンの隣に座った。
「はい、タコ焼き。沢山あるから、一緒に食べましょう」
「ありがとうなのにゃ。つちねこさんも一緒に食べるにゃ?」
「にゃー! しゃにゃにゃー!」
 バロンが傍らのねこたんに声をかけると、頷きながらも何かを主張し始めるねこたん。
 その言葉に金色の瞳を見開きながら、バロンは小さく首を傾げた。
「うん……と、ねこたん? そう呼んでほしいのにゃ?」
「しゃにゃ!」
「あらすごい、その子と喋れるんだ、君」
 ねこたん、の言葉にはっきり彼が頷く。それを見て沙綾は目を大きく見開いた。
 UDC組織の人間で、UDC-Pだとしても、別種であるつちねこの言葉は、沙綾には分からない。バロンが動物と話す技能を持っているがゆえに、出来ることだ。
 ともあれ、せっかくのタコ焼き。食べないと勿体ない。湯気の立ち、青海苔が踊るそれを、バロンがぱくりと頬張る。
「んっ……焼きたてのタコ焼き、美味しいのにゃ」
「どんどん食べてちょうだい、先輩たちがしこたま焼いてるから……はふっ」
 一緒に沙綾も、爪楊枝に指したタコ焼きを口に運んだ。熱々のタコ焼きに、口から声がこぼれる。
 外はカリカリ、中はトロトロ、タコやチーズ、ソーセージが存在を主張する。そういえばハズレがあると言っていたけど、それに当たる様子は今のところ、無い。
「ねこたんには、冷ましてからあげるのにゃ」
「にゃー」
 ねこたんの前の小皿にタコ焼きを入れ、割って冷めやすいようにしながらバロンが言う。タコ焼きの中から覗く真っ赤なタコに、ねこたんの瞳は釘付けだ。
 粗熱が取れたタコ焼きを、ねこたんがむしゃむしゃ食べ始めるのを見てから、バロンは沙綾の顔を見上げた。
「今、沙綾さんは幸せですかにゃ?」
 彼の言葉に、沙綾が小さく目を見開く。
 幸せ。抽象的ではあるが、間違いなくそうだと言える。
「そうねー。転職を余儀なくされたのはそうだけど、組織の皆とも打ち解けてきたし、友達も出来たし……何より、組織のお手伝いをさせてもらえるのが、嬉しいし。充実してるわ」
「うん、幸せならボクもとっても嬉しいのにゃ」
 はっきりと言う彼女に、バロンもにこりと笑った。
 この世界に滲み出して形を持ちながら、世界と共存する意思を持ったUDC-P。何人ものUDC-Pがこの世界に生まれ出ているが、彼らが幸せに日常を送れているなら、それはいいことだ。
「しゃにゃにゃ!」
「ねこたんも幸せにゃ? よかったにゃ」
「今やすっかり、千代田区支部のアイドルだからねー、ねこたんは」
 タコ焼きをペロリと平らげたねこたんも、嬉しそうに一声鳴く。
 その頭を撫でるバロンへと、沙綾はもう一度、優しく微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
(巫女の少女と宙を浮かぶ鬼面が納谷・橙子に話かける)

よう、久しぶりだな橙子の嬢ちゃん。
いつかの事件以来だな。
口下手も改善されてるようで何よりだぜ、なあ相棒。
「・・・お元気そうで何よりです。」
今日は無礼講らしいし一緒に楽しむとしようぜッ!

酒あるじゃんッ!
酒飲みながらたこ焼きを食うとするぜッ!がっはっはっ!
おっと相棒は未成年だから駄目だぜ?橙子の嬢ちゃんもか?

とりあえず適当にっと。
これ、中身納豆?
いやでも、これはこれで悪くねえな。
なんだ橙子の嬢ちゃん、タコ焼き機に興味津々か?
なら試しに作ってみりゃいいんじゃねえか?
「・・・失敗しても凶津が食べますから。」
俺かよ!?いや食うけどさッ!


【アドリブ歓迎】



●納谷・橙子「人と話すのも、あんまり怖く、なくなりました……」
 ルームの別の場所では、凶津と桜が橙子と顔を合わせていた。
「よう、久しぶりだな橙子の嬢ちゃん。いつかの事件以来だな」
「お元気そうで、何よりです……」
「あ、仮面の人……お、お久しぶりです……」
 橙子がUDC組織渋谷区支部に保護されたのがおおよそ一年前だ。あれから彼女も成長し、人との交流にも慣れてきた。体臭もだいぶ改善され、同じ部屋にいても気にするほどではない。
「口下手も改善されてるようで何よりだぜ、なあ相棒」
「はい、とてもいいことです……」
 凶津の呼びかける言葉に、桜もこくりと頷いた。二人の話に、橙子もはにかみながら頷く。
「は、はい。あれから、練習して……組織の人とも、たくさん話して、話すことが、怖くなくなり、ました……」
 橙子の話に、桜がニッコリと微笑んだ。凶津も鬼の面ゆえ、口元は動かないが嬉しそうだ。
「今日は無礼講らしいし一緒に楽しむとしようぜッ!」
「は、はい……タコパしましょう……」
 凶津の言葉に、橙子が嬉しそうに右手を突き上げた。
 かくして、橙子がルーム真ん中の大テーブルに向かい、凶津がその後をついていく、というところで。凶津がふ、と視線を部屋の隅の方に向けて喜びの声を上げた。
「おっ、酒あるじゃんッ! 酒飲みながらたこ焼きを食うとするぜッ! がっはっはっ!」
「凶津、私と橙子さんには、飲ませないでくださいね……」
「は、はい……私もまだ、二十歳ではないので……」
 桜がやんわり諌めるような言葉を言うと共に、橙子も恥ずかしがりながらいった。曰く、今年で19歳。まだまだお酒は飲めないお年頃である。
 ともあれ凶津が缶ビールを手に取って、橙子がタコ焼きの皿を持ってきて、三人で一緒に爪楊枝片手にタコ焼きパーティーだ。
「とりあえず適当に、っと……ん、これ納豆か?」
「あ、それは……」
 凶津が口に入れて咀嚼したタコ焼きを、橙子がハッとした表情で見た。どうやら凶津、早々に「ハズレ」を引いたらしい。
 チラチラ中央のテーブルに目を向ける橙子を見て、凶津がふと声をかけた。
「いやでも、これはこれで悪くねえな。なんだ橙子の嬢ちゃん、タコ焼き機に興味津々か?」
「ええと……はい、もっと、作りたいなと思ってます……楽しいので……」
「あ、もしかしてこのタコ焼き……」
 彼女の言葉に、桜が何かに気付いた様子。しかし凶津は気付かないようである。
 そんな相棒に、桜がいたずらっぽく笑った。
「……失敗しても、凶津が食べますから、試しに作ってみればいいんじゃないですか?」
「俺がかよッ!? いや食うけどさ!?」
 桜の言葉に凶津が声を上げるが、しかしその声は楽しそうで。橙子が元気にしていることが、彼も楽しそうである。
 橙子が、頬を赤らめながら笑顔を見せた。
「じゃ、じゃあ、ちょっと作って、いいですか……?」
「おう、作れ作れ!」
 凶津がノリノリで橙子に声をかけて。桜も苦笑しながら彼女に笑いかけて。
 また橙子は、中央のテーブルにタコ焼きを作りに駆けていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
ふぅん、ここのお人らも真似てよるんやね
ま、それが今の風潮なんやろウチがトヤカクゆう事あらしまへんわ
んでこの丸いんがタコヤキ、っちゅうん?
ぽっふぇるちぇかけぃくぽっぷか思うたけど、掛かっとるそぅすはちょこやないんか黒いんに塩辛いって罠やんかぁ
しかも中からでびるふぃっしゅの脚出てきよるし…アレ異界のにょろにょろ連中みたいで苦手やでこんなん考える東洋人の気が知れんわぁ
これならぱえりあにしよったほうがええんちゃうん?
えっ、これゆぅでいしぃろしあの料理なん?
あっこ、こないなもん食べてたかいな
酒ばっか飲んどるいめぇじしか無いけどぁ…
んぁあッ!?これ入っとるんふぁめんとそぃびぃんずやんけ!こらあかんやろ!



●狗巻・祐也「日本のハロウィンは、仮装をするのが醍醐味かなと思います」
 UDCも人間も、一緒になってハロウィンを楽しむ中、生粋の西洋妖怪なブラッドルファンは、物珍しさと珍妙さが入り混じった視線をルームの中に向けていた。
「ふぅん、ここのお人らも真似てよるんやね。ま、それが今の風潮なんやろ。ウチがトヤカクゆう事あらしまへんわ。ただ……」
「ただ?」
 何か、言いたげな視線を隣の祐也に向けるブラッドルファン。彼女は自分を見下ろす犬獣人を見上げつつ、こてんと首を傾げた。
「あんさんとあんさんは、わざわざ真似しいひんくても、自力で化けれるんと違うのん?」
 そう言って彼女が見るのは祐也と沙綾、街を往く獣人の二人だ。
 確かに、彼ら彼女らはどんな姿にも化けられる。人間にもなれれば巨大な魔獣にもなれる。というかそもそも、普段の獣人姿ですら十分仮装として成立する。
 しかし、二人とも苦笑しながら首を振った。
「まあ、そうなんだけどね。人間姿に耳尻尾生やすだけでも、十分仮装になるし」
「自力で化けないで、わざわざ仮装をするのが楽しいイベントですから、ハロウィンって」
 そう話す二人に、ふっと息を吐くブラッドルファンだ。本当に、本来のハロウィンからは大きく形を変えて定着したものである。
 そして、彼女の興味は中央のテーブルに積まれたタコ焼きへと向いた。
「ふぅん。んでこの丸いんがタコヤキ、っちゅうん? ぽっふぇるちぇか、けぃくぽっぷか思うたけど……このかかっとるそぅすは、ちょこやないんか」
「はい、中濃ソースです。しょっぱくてちょっとスパイシーなんですよ」
「ポッフェルチェって、あれ? あのオランダの、丸くてパンケーキみたいなやつ。どっかのファストフード店で食べたことあるわ」
 オランダの伝統的な菓子や、アメリカで人気の菓子の名前を挙げながら、爪楊枝に刺さったタコ焼きをつまみ上げるブラッドルファン。
 確かに、たこ焼きに類似した「生地を丸く焼き上げるお菓子」は、意外とあちこちの国にある。とはいえいずれも菓子で、甘いものだ。タコ焼きのように出汁が効いて、中にタコやらソーセージやらが入って、おかずとして成立しているものは珍しい。
「うわぁ、黒いんに塩辛いって罠やんかぁ。しかもこれ、中からでびるふぃっしゅの脚出てきよるし……あれ苦手やわぁ」
 西洋人にとって、タコは悪魔の魚。不慣れな者もまだまだ多い。げっそりした表情でタコ焼きを食べるブラッドルファンだ。
「あー、まぁ、海外の人からしたらそうよね」
「でもなんか最近、海外の人にもタコ焼き人気ですよね、『サムライボール』とか言ってて」
 沙綾と祐也も、苦笑しながらタコ焼きをつまんでいく。そうしてチーズ入りやソーセージ入りのものが当たったら喜び、タコ入りのものが当たったらげっそりして、を繰り返すブラッドルファンだったが。
「これならこの脚、ぱえりあにしよった方がええんちゃうん? ……ん?」
「ブラッドルファンさん?」
 ふと、口の中に感じた感触に動きが止まる。何事か、と首を傾げる沙綾の前で、ブラッドルファンはいきなり口の中のたこ焼きを飲み込んで紙コップのお茶を流し込んだ。
「んぁあッ!? これ入っとるんふぁめんてっどそぃびぃんずやんけ! こらあかんやろ!」
「ふぁめ……?」
「……あ、納豆ですか!? 栗須さん栗須さん、お茶かジュース持って来てください! 『ハズレ』です!」
 ファメンテッド・ソイビーンズ。つまり納豆だ。見事に、彼女にとっての大ハズレを引いてしまったわけである。
 えずきはじめるブラッドルファンに、二人の獣人が慌てた様子でお茶とジュースのペットボトルを差し出す。その後しばらく、彼女のテンションは最下層だったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
ねこたん!ねこたんだ!
俺の事覚えてるかな?
あれから元気に過ごしてたかな?

UDCの職員の人達は、ちゃんと餌とかくれてる?
回し車はまだ壊れてない?
さわっていいですか?
良ければそっと撫でたり、あごのあたりをふわふわしたい。

そうそう、たこ焼き持ってきたんだ。
でも、中が凄く熱くて。
中広げて、少し冷まして……
はいどうぞ。

わわっ!チィ、大丈夫、ちゃんとチィの分もあるから!
火傷に気を付けて仲良く食べるんだぞ?

あ、狗巻さん!こんにちは!
学校、まだ通うのは時間がかかるって聞いた。
俺、学校行った事ないから分からないけど、早く友達沢山作らないと!

俺、応援してる!



●ねこたん「にゃしゃーにゃー」
 都月の瞳が、きらきらと輝いている。
 目に見えるのは様々な仮装。美味しそうなタコ焼き。そして。
「ねこたん! ねこたんだ!」
「しゃにゃ!」
 かつて出逢ったUDC-P。ねこたんに駆け寄ると、あちらも顔を輝かせて都月に近寄ってきた。覚えてくれていたらしい。
「UDCの職員の人達は、ちゃんと餌とかくれてる?」
「しゃにゃ!」
「回し車はまだ壊れてない?」
「しゃ……」
「さわっていいですか?」
「しゃにゃー!」
 都月が話しかけたら、しっかり返事を返してくれるねこたん。顎を撫でようと手を伸ばしたら、ぐいと顔を持ち上げて撫でやすいようにしてくれて。
 そうしてねこたんの顎の柔らかさを堪能した都月が、気が付いたように持って来たタコ焼きを差し出した。
「そうそう、タコ焼き持って来たんだ。熱いから、広げて冷まして……」
「しゃー……」
 焼き立てのタコ焼きが開かれ、湯気が立つ様をじっと見つめるねこたん。口の端からよだれが垂れていた。
 そして冷めたたこ焼きを乗せた皿を、ねこたんの前に優しく差し出す。
「はいどうぞ……わわっ! チィ、大丈夫、ちゃんとチィの分もあるから!」
「チィ!!」
「しゃっ!!」
 と、横からチィが手を出してきた。チィもチィでタコ焼きが食べたいらしい。
 ねこたんとタコ焼きを巡っての争いを始める前に、都月がもう一枚皿を出す。そこにタコ焼きを乗せてチィに差し出せば、こちらもゆっくり食べ始めた。
「もう……二人とも、火傷に気をつけて仲良く食べるんだぞ」
 二匹並んでたこ焼きを食べる様子に、都月が優しく微笑む。と、彼の頭上から声がかかった。
「職員さんに話を聞いた限りだと、ねこたんの回し車、もう四代目らしいですよ。それももうそろそろ寿命が来そうだとか」
 見上げれば、額にお札を張り付けた柴犬頭のキョンシー。祐也である。
「にゃにゃしゃ!」
「あ、狗巻さん! こんにちは!」
「はい、お久しぶりです、木常野さん」
 これまた久しぶりの再会だ。顔をパッと輝かせた都月が立ち上がって祐也の手を握る。
 そこから、お互いの近況報告が始まった。この世界で仕事をした、あの敵と戦った、という都月の話に、祐也が感心したり、恐れたり。
 そうして、次は祐也の番とばかりに都月が話を振る。
「学校、まだ通うのは時間がかかるって聞いた……俺、学校行った事ないから分からないけど、早く友達沢山作らないと!」
 そう意気込む彼に、祐也が苦笑する。通う大学は後期もオンライン授業が決定し、学内のサークル活動も活動停止状態。学内に居場所を求めるのは、難しい状況だ。
「そうなんですよね。なので最近は、浦和支部の周辺で、趣味のサークルにも参加してみてるんです。音楽系のサークル、市内で見つけて」
「あ、そうか。ロックが好きだって言ってたもんな」
 そう話す祐也に、都月が耳をピンと立てた。確かに以前、この獣人の青年はロックミュージックが好きで、古今東西のロックに造詣が深いことを話していた。
 学内ではなく、住む市内で場所を見つける。彼はそれに、見事に成功したわけだ。
 さらに、頬の毛をかきながら祐也が口を開いた。
「はい、それと、何人か出来たんです、友達……僕の獣人の姿を見ても、怖がらなくて、カッコいいって、言ってくれて。それで、一緒にバンド、組まないかって誘ってもらって」
「そうか……すごい! 俺、応援してる! 音楽のことは……まだあんまり分かんないけど」
 思いもよらない報告に、都月は胸が熱くなるのを感じた。
 まさか、本当に彼の獣人姿を、受け入れてくれる人がいるとは。それも学外で。言ってみるものである。
 都月がもう一度、祐也の手を握りしめた。嬉しそうに尻尾を振りながら手を振る都月に、祐也も嬉しそうに笑った。
「はい、ありがとうございます……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

キング・ノーライフ
ここに居るUDC-Pほとんどに多かれ少なかれ関わっているというのも含めて歴史だな。折角だ、大きく関わってるのと交流してみるか。

そんな訳で狗巻や燈子の近況を聞きながら従者達と一緒にたこ焼きを食べるとするか。鼬川も狗巻の世話したし変身した姿を我は見た事ないから一度見たい。そして燈子のその後も狸塚も気になるだろうしな。でも二人とも楽しそうなら何よりだ、これからも従者達と仲良くしてやってくれ。

お前も忘れてたなとつちねこにもたこ焼きを……けど猫舌だろうから冷えてきたのを選んでおく。

まあ当たり外れは我は普通に食うし、従者達は割とそういうのは大きく反応しそうだけどな。そういうのも見るのも悪くないかと楽しむ。



●狗巻・祐也「僕たちも幸せに日常を送れています」
 パーティーがどんどん盛り上がる中、キング、泰人、瞬太の三人は満足そうに笑って頷いていた。
「ここに居るUDC-Pほとんどに、多かれ少なかれ関わっているというのも含めて歴史だな」
「全くですよね」
「思えばほとんど、狸塚との出会いから始まったようなもんだもんな」
 キングが猟兵として覚醒して、程なくの頃に出会った泰人と瞬太。そこで泰人を従者に迎え、瞬太は一度骸の海に還ってからまた出逢って従者にして。その間に何人ものUDC-Pと出会い、交友を育んで。
 本当に、UDC-Pとの出会いはキングにとって重要な歴史となっている。それは間違いないだろう。
 事実、この場にいるUDC-Pの全員は、何らかの形でキングを覚えているわけで。
「あ、ノーライフさん、狸塚さんに鼬川さんも!」
「お久しぶり、です……」
「あー、あの時のイケメンさん。覚えてる覚えてる」
「しゃにゃーん!」
 祐也も、橙子も、沙綾も、ねこたんも。キングや従者の姿を見つけて寄って来た。彼らにキングも、にこやかに笑みを返す。
「うむ、また顔を見れて嬉しく思う。折角だ、狸塚、鼬川、二人も話してくるといい」
「はい!」
「うっす! よーし狗巻、タコ焼き食おうぜ!」
 主人の言葉に、従者二人も頷きながらUDC-Pと話をしに行って。キングはその間を、話の輪に加わりながら移動していく。
「イケメンさんとは別に直接話したわけじゃないしね、あたし。楽しんできてー」
「うむ、そうするとしよう」
 さっさと輪から離れた沙綾を見送り、キングがまず向かったのは橙子のところだった。ちょうど泰人がタコ焼き片手に話をしている。
「納谷さん、だいぶ身体のにおいが無くなりましたね。今もお手入れは続けているんですか?」
「は、はい……組織の職員の人に、体臭に効くボディーソープとシャンプー、教えてもらって……愛用しています……」
「日々のケアは大事だからな。それに、人慣れもしたようでよかった」
 橙子も、随分スムーズに人と話せるようになってきた。体臭のコンプレックスが軽減したことも、きっとあるのだろう。嬉しそうに言いながらキングが次の場所に向かう。
 その向かった先では、瞬太と祐也が次々にタコ焼きを食べながら、会話に花を咲かせていた。
「狗巻、大学生だっけ? 学校で変身解けたり、しなくなったか?」
「はい、あ、でも今、大学がキャンパス閉鎖してて……でも、バンドの練習中でも変身が解けることはなくなりました。意識しなくても維持できるようになって」
「バンドやってんの!? すげえ!」
「ほう、居場所を見つけたか。ところで、我はお前の変身した姿を見たことがないが、今変身出来るか」
 祐也の言葉に瞬太とキングが目を見張る。そして「変身姿を見たい」というキングの催促に応え、祐也がさっと人間に変身した。明るい栗色の髪が眩しい、感じのいい青年だ。
「えー、カッコいいじゃんカッコいいじゃん」
「なるほど。なかなかいい見目をしているではないか」
 二人とも、祐也の変身した姿に満面の笑みだ。この姿を負担なく維持できるようになったのであれば、きっと学内でも人気が出るだろう。
 と、キングのズボンをつんつんとつつく者がいる。
「しゃにゃ!」
「む、つちねこか」
「この子も元気そうで、よかったですね」
 キングが優しくねこたんの頭を撫でると、ねこたんも気持ちよさそうに喉を鳴らした。随分と人慣れをしたものだと思う。
 ふと、キングが顔を上げてUDC組織の職員に目を向ける。千代田区支部の建物で見かけた顔だ。
「回し車は、まだあの時の図面のものを使っているのか?」
「はい。幸い、材が入手しやすく、作りやすいのもあって……活用させていただいています」
 その言葉に満足そうに笑いながら、キングはテーブルの上のたこ焼きに手を伸ばす。
 だが、そのたこ焼きを見て祐也がぎょっとした。見るからに、色が赤い。
「ふむ、それならよい」
「えっ、ちょ、ノーライフさん? その皿のタコ焼き、さっきすごい辛いのあったんですけど……」
「ご主人様、結構辛いのも平気ですしね……納豆もお召し上がりになりますし」
 まごつく祐也に、泰人が肩をすくめながら言う。どうもキングは味に好き嫌いが無い、を通り越して、なんでも食べられるらしい。
 呆気に取られる祐也と橙子。そこに果敢にも、瞬太が明らかに赤いたこ焼きを爪楊枝でピックアップした。
「いや、俺は賭ける! こいつが辛くない可能性に――って辛ェェェェェ!!」
 案の定、激辛だったらしく。口から炎を吐きそうな勢いで、というか獣人姿に戻りながら、瞬太は叫んだ。さもありなん。
「い、鼬川さん!?」
「水……じゃない牛乳! カルピスとかないですか!?」
 慌てふためきながら瞬太の背中を叩く祐也と、これまた慌てふためきながらジュースを取りに走る泰人。橙子とねこたんは、あまりの事態にその場から動けずにいる。
 その、賑やかながらも楽しい、平和的な空間に。
「……ふふっ」
 キングはもう一度、口元を緩めて笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月26日


挿絵イラスト