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これが全て、これが望み

#UDCアース #UDC-HUMAN #シリアス #ダーク

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●壊れたモノ

 奪われた、失った……失意の中で女性は、空っぽになった心と頭のまま深夜の繁華街を歩く。
「ここ、は……?」
 古びた電灯が明滅しながら道を照らしており、コンクリートで作られた新しく小さな橋の上に立っていた。
 流る川の音に、時々ぽちゃんと川に小石が落ちた様な音が響く。
「もう、終わり……意味、なんて――」
 女性は身を乗り出して、小さな川へと落ちようとしていた。
『それで良い。写本の魔導書にさえ読んでも分からぬ。だが、弱った心の持ち主を此処まで連れてくるのは容易、である』
 パタン、と黒皮で出来た本を閉じると“写本・魂喰らいの魔導書”は、口々に言いながら目の前で人間がUDCへと変わるのを見詰める。

『さぁ、こちら側へ……』
 喉でクックッと笑いながら、電灯の線が切れたのであろう闇に支配された世界で女性は、川へ身を投じた。


●グリモアベース

「皆様、お集まりいただきありがとうございます。さて、巷で騒がれいる“人がUDCへと変貌する”事件が予知されました」
 穏やかな笑みを浮かべたままロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は言うと、UDCアースを画面に映しながら今まであった事件の例を映しながら説明を始める。
「この事件の発端は、同じ人間が誰かを弱らせ、陥れ、ボロボロにしてしまう――所謂、UDCへ変貌する程の仕打ちをして楽しむ者たちの所為です」
 ロイドは小さく息を吐くと、地図と写真を映し出しながら説明を続ける。
「予知では、この場所で人がUDCへと変貌します。変貌しているからと言って、倒すしか道がないワケではありません。人に戻せる可能性が残っております」
 灰色の瞳に猟兵を映すと、ロイドは真剣な表情で見つめた。
「本当に可能性です。早く倒せば、という条件となります。そして、変貌させた現況をどうするかも皆さんの判断にお任せしましょう。あくまで、制裁ですので命を奪うなんて行為はしないようにお願いします。それでは、皆様いってらっしゃいませ」


龍真 神
 オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
 龍真 神(タツマ シン)と申します。
 よろしくお願いします。

 久しぶりのUDCアースのシナリオです!
 3章の日常のみロイドは同行出来ます。

 最低限の文字数でも、ステータスシートを見ながら書かせていただきますので、『まだよく分からないけど、シナリオ参加したい!』という方でも遠慮せずにご自身の文で書いて送って下さい。
 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『写本・魂喰らいの魔導書』

POW   :    其方の魂を喰らってやろう
【複製された古代の魔術師】の霊を召喚する。これは【触れた者の絶望の記憶を呼び起こす影】や【見た者の精神を揺さぶる揺らめく光】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    その喉で鳴いてみせよ
【思わず絶叫をせずにはいられないような幻覚】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    魂の味、これぞ愉悦
自身の肉体を【触れる者の魂を吸い脱力させる黒い粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

スラーヴァ・ネスピ
【共闘・アドリブ歓迎】
UDCが人に戻る…にわかに信じがたい話ね。けど依頼は依頼。受けた仕事は確実にこなすわ。

ファーストターゲットはどの行動も時間を掛けると厄介なものばかり、依頼主のオーダー、『人に戻す』事も考慮すれば短期決戦が最適と判断。
私は戦闘知識、瞬間思考力、2回攻撃を発動して九死殺戮刃を行使、こちらに被害が出る前に一気に畳み掛けるわ。
まあ、その際に誰かに傷をつけてしまうかもしれないけれど。
許してとは言わないわ、任務達成の為にも、私が生きる為にも、必要なこと事だから。


アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●変わった事実、変えた現実

 目にする、人が己の命を己の手で奪い、そして――UDCになり果てるその瞬間を。
「にわかに信じがたい話ね。でも、それを見てしまったからには、見捨てるワケにはいかないね」
 表情に出さないが哀れむ様な視線を向けながらスラーヴァ・ネスピ(トゥマヌ・ルダ・f29886)は、腰から“三十四式コンバットナイフ・カスタム”を引き抜いた。
 しかし、スラーヴァよりも先に風を身に纏っているかのように燃えるような赤い髪を靡かせながらアメリア・イアハッター(想空流・f01896)は、エメラルドの様な緑色の瞳に“写本・魂喰らいの魔導書”を映した。
「その喉で鳴いてみせよ――」
 写本・魂喰らいの魔導書が連れている男が呟くと、赤い装丁が施されているハードカバーの魔導書が開きパラパラと激しくページを捲る音が響いた。
「ムダよッ! 風が教えてくれたわ!」
 音も無い幻影、瞼を閉じて惑わされずに風の音でオブリビオンの方へ素早く近づき、宇宙バイク“エアハート”で無差別攻撃を避ける。
「(数は多いけれどもっ、これで一気に減らしてやるよ)」
 スラーヴァのサフイアの様に青い瞳が妖しく光を放ったかと思えば、三十四式コンバットナイフ・カスタムを振るい無数の白刃が写本・魂喰らいの魔導書を切り刻む。
「ごめんね」
 と、スラーヴァが言うとアメリアは、三十四式コンバットナイフ・カスタムをエアハートで軽く受け流す。
 生きることが先決であるスラーヴァ、ユーベルコードによって寿命が奪われて救える命が減るのを恐れて代償を避ける為にも仲間を攻撃するしかなかった。
「気にしないで、私はスラーヴァちゃんをサポートする為に来たのよ」
 赤いカウボーイハットの鍔を人差し指で上げると、アメリアはニカッと笑みを浮かべながら言った。
「私が囮にもなるし、スラーヴァちゃんのユーベルコードの代償は受けてあげる。だから、あのオブリビオンの群れを蹴散らしてやろうよ!」
「はい。ご迷惑をお掛けしますがお願い」
 アメリアの言葉を聞いたスラーヴァは、内心胸を撫で下ろすとエアハートで駆け出すアメリアの背を追いかける様に駆け出した。

 私が、UDCになってしまった人を助ける、と――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……フン。
お膳立てが済んでから動くような、
三下に用はないんだよ。
その一押しが必要か不要かはこの際置いておく。
アタシが許せねぇのはな……
そうやって尻馬に乗ろうとするお前らの泥棒根性だよ!

憤りのままに、サイキックの『念動力』を紡ぎ上げ。
『属性攻撃』の『オーラ防御』として、
アタシの周囲に球状の膜として作り上げる。
ああ、そうさ。
御託はいらねぇ、邪神の眷属はぶっ潰す。
【嵐裂く稲妻】となったアタシを、
粘液になっただけで止められるなら止めてみろ!
駆け抜けるまま、暴れ回るまま。
『範囲攻撃』の如くに『ダッシュ』で周囲を蹂躙する!



●祓え、伸ばすべき手

 まわりくどい、と女が呟いた。
 ざわめく胸の震えを抑えるかのように拳を胸元で握り締めると、三白眼の小さな瞳が鋭い光を宿しながら写本・魂喰らいの魔導書たちの後ろで行われている光景を見据える。
「……フン。お膳立てが済んでから動くような、三下に用はないんだよ」
 と、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は低く呟き、彼女の身体からバチリと電撃が小さく放出された。
「稲妻のごとく、駆け抜ける……!」
 パァン、視界が白くなり、破裂する音が響く――
 多喜の胸から風船の様に膨らんだ電撃を伴う球状サイキックバリアが自身を覆う。
「その一押しが必要か不要かはこの際置いておく。アタシが許せねぇのはな……」
 地面を蹴って閃光の如く駆け出した。
「そうやって尻馬に乗ろうとするお前らの泥棒根性だよ!」
 激しい電撃が轟かせながら多喜が光を放つと、写本・魂喰らいの魔導書たちは闇に溶け込むようにドロリと身体を液体化させる。
「御託はいらねぇ、邪神の眷属はぶっ潰す! 粘液になっただけで止められるなら止めてみろ!」
 吠える様に言うと多喜の気持ちに合わせるかの様に、電撃が地面を走って液体化した写本・魂喰らいの魔導書たちを裂き、破裂させた。
 液体は四散し、地面に飛び散るとアスファルトを溶かす独特な臭いを放ちながら蒸発する。
「それで……いいのかよっ!」
 手は届かない距離だが腹から声を出せば届く距離、だから多喜は拳を握る手に力を込めながら言葉を届けた。
「あぁ、邪魔……お前ら、邪魔なんだよ!!」
 電撃で貫いても、燃やしても、数が減らない写本・魂喰らいの魔導書たちに向かって多喜は再度吠えた。
 友の顔が、記憶が、脳裏にハッキリと浮かぶ。

 少しでもいい、真相が分かるならば――……

 暗闇を電撃が光で満たし、女性が涙で濡れた顔を向ける。

 唇が言葉を紡ぐ、たすけて、と――

大成功 🔵​🔵​🔵​

真城・美衣子
☆サポート&おまかせ専門
何を考えているかよくわからない猫っぽい少女

喋るペンダント『マキさん』

・UDCアース人や猟兵としての一般常識はある
・鋭い感覚、高い運動能力、強靭な肉体で頑張る
・ぼんやりしているけど動きは早い
・無表情で説明もないまま行動するので、奇行に見える事も多いが、本人は一生懸命

・マキさんは主に解説・交渉などの会話を担当
・PLが直接操作しない方針なので挙動はご自由に!

☆セリフ例
「にゃ」
『みーこさんは「こんにちは」と言っています』

「……すんすん」
『みーこさんはニオイを確認しているようです』

『お時間よろしいでしょうか、事件についてお話を……』
「にゃ」
『みーこさん、今は喋らないでください』



●白銀の閃光

「ふーっ!」
 本能なのか、それともプログラムに組み込まれているのだろうか?
 真城・美衣子(まっしろみーこ・f12199)の尻尾は天を指し、毛が膨らんで“写本・魂喰らいの魔導書”の不気味な笑い声を振り払うかのように体を震わせた。
『みーこさん、どれから片付けますか』
 チャリ、と首元で揺れるペンダントのマキさんは独特な機械音性で問うと、美衣子の周囲にペンダントから光を放ち幾何学模様を宙に描く。
 “ねこねこミサイル”が召喚され、シューと音を響かせながら写本・魂喰らいの魔導書たちに向かって放たれた。
「ない、これは無機物――!」
 写本・魂喰らいの魔導書が一斉にページを捲る音が響き、ねこねこミサイルを防ごうとしてもソレは“生物”あらず“無機物”故に不可能であった。
『怯んでいます。みーこさん、追撃するなら今です』
「にゃ!」
 マキさんが美衣子の中にある猫のデータを取り出し、瞳に映し出された文字の羅列が野生の本能として呼び出される。
「本体さえ、守れば!」
『本から魔力反応を感知、みーこさん切り刻んでしまいましょう』
 雲の合間から満月が顔を出し、美衣子は金色の光に照らされると瞳が黒曜石の刃物の様に妖しく光る。
 野生の勘、猫、それだけで夜は美衣子自身が最も能力を発揮出来る。
「にゃっ!」
 白銀の残像が写本・魂喰らいの魔導書を捉え、細い身体の何処から力が出ているのか理解出来ない程の力で本体である魔導書を真っ二つに引き千切った。
『あの一般人を助けなければ……みーこさん、ミサイルのおかわりをしましょう』
「にゃん!」
 マキさんの言葉に美衣子はこくり、と頷く再び“ねこねこミサイル”が召喚されると写本・魂喰らいの魔導書たちに向かって放った。

 目の前の助けるべく命の為に、白銀の少女は閃光の様に駆け出した――

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリウス・ストランツィーニ(サポート)
助けが必要と聞いて馳せ参じた!

どんな理由であっても人々に害為す敵は許さん!いや、理由によっては許すかもしれないがとにかく全力で戦う!
我が一族の誇りに懸けて、私の剣で成敗してやる!もしくは銃で成敗してやる!

もちろん敵とは正面から堂々と戦う!
しかし必要とあらば隙を伺って死角から襲ったりもするぞ!これは戦いだからな!
うおおおおお!

はあはあ、どうだ……!まいったか!
……まいったよね?

(アドリブ連携等歓迎)



●抗う

「待て! 君は、君は本当にそれでいいのかい!?」
 馬の尾に似た正にポニーテールを揺らしながらマリウス・ストランツィーニ(没落華族・f26734)は、闇に落ちゆく姿を大きな瞳に映すが……
 パララ、と写本・魂喰らいの魔導書のページが夜風で捲れる音が響き、ぬるりと魔導書を黒い粘液が包んで人の形と成す。
「悉く退けよ!」
 チン、と鍔を鳴らしながら“八重霞ノ太刀”を引き抜き、マリウスの素早い刀捌きと共に斬撃と灰色の霞が放たれた。
 彼女のユーベルコード『閻去刃(フィオリ・ディ・グリージョ)』によって、黒い粘液が飛ばされてもその魂を吸う力は無効化されてしまった。
 だが、物理的な威力はあるがマリウスは必死に八重霞ノ太刀を振るい、斬撃で黒い粘液を弾き飛ばす。
「助けるんだ! 邪魔をしないで欲しい……いや! 邪魔するなら斬る!」
 吠える、キャンキャンと子犬の様な声ではなく月に向かって吠える狼の如く。
 マリウスの言葉とは裏腹に写本・魂喰らいの魔導書たちは、道を譲る事も退く事もせずに黒い粘液を飛ばす。
「これ以上は――」
 グッ、と柄を握りしめなおすとマリウスは、コンクリートの地面を蹴って駆け出した。
 白刃が煌めき、黒い粘液と共に写本・魂喰らいの魔導書をなぎ払う。
 夜空に裂かれた写本・魂喰らいの魔導書たちの紙片が舞う中で、マリウスは手を伸ばそうとした、が――
「……ッ!」
 寸前のところで闇に喰われる。
「(間に合わなかった……けど――)」
 肩で息をしながらマリウスは感じた。

 手を伸ばした瞬間に、また女性もコチラへと手を伸ばしていた事に

 まだ、彼女は完全に絶望はしていない、と――

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『幸福な災厄』青峰・満月』

POW   :    永劫に女性的なるモノ
【唇から紡ぐ真理の言葉】【善悪を超越した無限の光】【年相応の少女としての魅力】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    無謬の愛
【みんなを幸せにしたい、不幸を無くしたい】という願いを【こんな自分を信じてくれた信者の人たち】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
WIZ   :    Miss Self-Destruct
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【祈る、誰もが幸せな世界の為に、己の神性】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は伊美砂・アクアノートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悲しみ

 泣いていた

 誰かが私を陥れた、否――否定した

 全て……

 全て……!!

 泣いても、助けを求めても

 所詮は“他人”の“得”にもならない願い

 だから、私は――
「幸せにしてあげましょう。力だけで戦う野蛮な皆さん」
 過去の自分が消えたのを見てUDC-HUMANである“『幸福な災厄』青峰・満月”は、満月を背にして笑みを浮かべると猟兵たちの前に姿を現した。

 UDC-HUMANに成って間もない彼女を倒すのか、それとも救うのかは“アナタ”次第だ。
ロバート・ブレイズ
「嗚呼――悪くない。良い。悦々しいほどに感情的だ。人間が此処まで『進化』『真価』を発揮するのは正しく幸福の証。成程、野蛮と言うならば悉く『獣の数字』らしく冒涜して魅せる」
否定! 拒絶! これほど人を愛しく想う行為はない
冒涜物――人間どもよ。貴様等の負の感情を教えてやれ
「此れは救いでも戦いでもない。ただの、無聊な俺の心身の深域だ。幸せも不幸せも『ない』と知るが好い。生きる事に、生きる事に、意味など『ない』と屈するが好い。故に人間は『受け入れ』僅かな楽しみに縋るべきなのだよ――超常など愚か者が啜る珈琲よ。解せないか? 同じなのだよ。我々(ひと)の脳髄……」
Tru'nembra、奴の精神性を侵蝕せよ



●嗤うモノ

 時にスーツを纏った顔の無い男だったりするロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)は、白い髪と髭を持つ老人の姿で闇と同じ底が見えぬ黒い瞳に青峰・満月を写しながら口元を吊り上げた。
 白き女、女神の様な風貌なのに青峰・満月からは憎しみ、悲しみと噴水の如く湧き出ているのを感じる。
「嗚呼――悪くない。良い。悦々しいほどに感情的だ。人間が此処まで『進化』『真価』を発揮するのは正しく幸福の証。成程、野蛮と言うならば悉く『獣の数字』らしく冒涜して魅せる」
 喉から笑い声を漏らしながらロバートは、両手を広げて星一つない夜空に向かって咆哮する。
「面白い方ね」
 光を失った瞳を細めながら青峰・満月が鈴の音を転がす様な声色で言うと、ゆっくりとロバートが上半身を彼女の方へ向けた。

 彼女は女神ではない、中に元となった人間がいるのだ――

「だからこそ……人間は愛おしい!!」
 呵々と笑いながらロバートは、青峰・満月の中に残っている“人間”の部分が受けた負の行いをもっと見たい、感じたい。
 いや、終えれば会える。
 そんな確信を感じながら咆哮を上げた。
「此れは救いでも戦いでもない。ただの、無聊な俺の心身の深域だ。幸せも不幸せも『ない』と知るが好い。生きる事に、生きる事に、意味など『ない』と屈するが好い。故に人間は『受け入れ』僅かな楽しみに縋るべきなのだよ――超常など愚か者が啜る珈琲よ。解せないか? 同じなのだよ。我々(ひと)の脳髄……」
 夜風にスーツの上着が靡く音が響いた瞬間――青峰・満月は満月を背にして祈る。
「Tru'nembra、奴の精神性を侵蝕せよ」
 誰もが“美しく普通の幸せ”を願っているワケではない、“貪欲で汚い幸せ”等の幸せの形が違うのだ。
「そんな、そんなハズは――」
「良くも、悪くも、人間の幸せの形は違うのだよ……」
 青峰・満月の中に居る女性の意志が少し目覚める、悲鳴に似た悲痛な声で言うとロバートは首を横に振る。
「見せよ、その人間の闇、を――……」
 ロバートが『幸福な災厄』青峰・満月という精神を蝕み、人間である女性の意識へと手を伸ばす。

 嗚呼、正に人間の業だ。

 自分自身の地位の為に虐げる女、そして弱さに漬け込んで金を毟る男の二人が見えた。

 女性の心から溢れる闇は、ロバートにとってチョコレートを齧るかの様な感覚に包まれた――

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
そう言う、事かよ……ッ!
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おい、一体「何があった」。
ああそうだよ、お前「達」に聞いてるんだ。
青峰、だったか。
テメェは彼女の『何』に引き寄せられた?
絶望か?それとも、「自分なんか」って自らを蔑む心か!?
ふざけ、やがれ、ッ!

誰かがアンタらを蔑み虐げたのなら、
それは「ヒト」の世界での所業だろ。
だったら怒れ、憤れ。
世の理不尽に絶望し、外なる世界を頼る前に、
人の世の力を頼ってくれよ。
どんな手口だ、やり口だ?
やり返す方策を一緒に考えようじゃないのさ。

そうして彼女を『鼓舞』してやるんだ、
だから青峰さんよ、お前はお呼びじゃねぇ。
さっさと退散してくれな。



●抱えていた悲しみ

「そう言う、事かよ……ッ!」
 俯きながら数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は低く、今にも消え入りそうな声で呟いた。
 UDC-HUMANである『幸福な災厄』青峰・満月が満月の光を背負っていても、足から伸びる影はまるで彼女自身の心の闇の様だった。
「おい、一体“何があった”」
 多喜は顔を上げ、青峰・満月を真っ直ぐ見据えながら言った。
 青峰・満月は首を傾げながら自身を指しながら首を小さく傾げる。
「ああそうだよ、お前「達」に聞いてるんだ」
 慈悲深そうな女神の様な笑みを浮かべている彼女を瞳に映したまま、多喜は言葉をつづけた。
「青峰、だったか。テメェは彼女の『何』に引き寄せられた? 絶望か? それとも、『自分なんか』って自らを蔑む心か!?」
 冷たい風、澄んだ空のハズなのに星一つ無く、あるのは満月だけという違和感ばかり感じる場所で多喜は叫んだ。
「いいえ、人が人を変えた理由は弱者を傷付ける、同じ弱者だから――同じ悲しみを増やさない為に……」
「ふざけ、やがれ、ッ!」
 鈴音を転がす様な声で青峰・満月が言おうとするが、多喜はこれ以上聞いたらきっと手加減が出来なくなると感じて言葉を遮った。
 否、言葉にする前にユーベルコード『過去に抗う腕(カウンターパスト)』でもう、“見て”いた。
 叫びに近い言葉を聞いて青峰・満月は、目を丸くして両手で口を塞いだ。
「辛いなら辛いと叫んで、された事に怒れ、憤れ。世の理不尽に絶望し、外なる世界を頼る前に、人の世の力を頼ってくれよ」
 多喜は喉から血の様な味がしている気がしつつも叫んだ。
 泣きそうで、嗚咽を漏らしそうな体を抑えながら気丈に振る舞いながら――
「どんな手口だ、やり口だ? やり返す方策を一緒に考えようじゃないのさ」
 と、言うと多喜は手を伸ばした。
 女性らしい手の大きさ、猟兵個人の手であり、人間の小さき手。
「――っ!」
 青峰・満月の人である部分が揺らぐ、『幸福な災厄』青峰・満月である姿ではなく人間としての姿がノイズ交じりのラジオの様にチラつく。
「大丈夫、そんな青峰(ヤツ)をの力をかりずとも、あたしが助けてやるよ」
 多喜は力強く手を握りしめると、一瞬だけ人間の部分が見えた。
 幼子の様に涙で顔を濡らして、ぐしゃぐしゃになった顔で『ありがとう』と言っているのが聞こえた気がした。
「(そうか、言いたくても……助けてくれない。そんな世界ならば――)」

 あたしが、助ければ良い

 その為の力、その為の猟兵だ!

 彼女の中にあった男女の顔、彼女の幸せそうな表情を胸にしまいながら多喜は力強い眼差しをUDC-HUMANへと向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

プリシラ・マーセナス(サポート)
『記憶はなくても、物事の善し悪しはわかるよ』
『援護は任せて!君には当てないから!』
 キマイラですが、記憶を喪失した状態でダークセイヴァーで暮らしています。
ユーベルコードはどれでも使いますが、移動手段として「黒虎」を、緊急の近接手段として「ガチキマイラ」を使い、基本的にはマスケット銃での中・遠距離戦を好みます。
 依頼内容には拘らず、手当たり次第に選ぶ傾向があります。また、一人で戦うよりも前衛の隙を補う戦法を選びます。
 相手の年齢、性別を問わず少年的に振舞います(素を出すと侮られると思っている為)。但し、咄嗟に女性的になる場合があります(驚いた時の叫び声など)
後はお任せ、よろしくお願いします!



●夜の世界から

 くん、と小さな鼻を動かす。
 UDCアースの夜は何処かダークセイバーに近しい気がするが、もしかすると目の前で不幸な女性がオブリビオン化しつつあるからなのかもしれない。
 琥珀色の瞳を細めながらプリシラ・マーセナス(迷い子猫(21)・f21808)は、茶色く長い髪を少し乾いた風に靡いた。
「記憶はなくても、物事の善し悪しはわかるよ」
 気付いた時にはダークセイバーという世界で佇んでいたプリシラ、しかし記憶を取り戻そうと猟兵として様々な世界へと向かう日々。
 キマイラフューチャーにはいない人間、猟兵たちから告げられた話を信じているが――
 やはり、失った記憶を自力で取り戻したい、とプリシラは肩に掛けていたマスケット銃を手にした。
「君には当てないから!」
 『幸福な災厄』青峰・満月へ撃鉄を起しつつ銃口を向けながらプリシラは言うと、狙いを定めて引き金を引いた。
 固定されていた撃鉄が落ち、L字型のフリズンに当たって銃口から弾丸が射出される。
「そんな姿にさせたヤツも、そこまで追い込まれたお姉さんを見過ごせないよ」
 弾丸が肩を貫くと、プリシラは中に取り込まれている女性に向かって叫んだ。
 伸ばされてくる手を、払い退けるのではなくライオンの頭部へと形を変えた腕で喰らい付いた。
「幸せな願いよりも、僕の記憶を戻して欲しいよ!」
 プリシラが吠える様に言いながら、キッと『幸福な災厄』青峰・満月を睨みつけた。

 幸せなんて、記憶を戻してからでも見付けられるのだから――

成功 🔵​🔵​🔴​

雲母坂・絢瀬(サポート)
ややおっとりめ、マイペース系関西弁女子ね。
臨機応変な柔軟さがモットーなんよ。
スキルやUCは使い時にはしっかり使うていく方針。
【見切り】【残像】【敵を盾にする】【フェイント】で相手を撹乱しつつ、間合いを詰めてからの【なぎ払い】が基本戦術やろか。
後は相手を【体勢を崩す】【武器受け】からのUCとかやね。
ヒットアンドアウェイ大事やね。
たまには【挑発】してもええかも。
UCは基本的には多数相手に【剱神楽】、とどめには【天狼】、牽制や巨大な敵相手には【白灼の殲刃】、無力化狙う時は【三弁天】【鬼薊】ってとこやね。まあ柔軟に、やわ。
基本お任せのアドリブ大歓迎でよろしゅうお願いします。



●ズルい

「ほんまや、逃げるのは悪いとはいわへん……けどな、時には違う方法で戦うのも必要なんや」
 優しい笑みを浮かべたまま雲母坂・絢瀬(花散る刃・f23235)は、ツユクサの様な藍色の髪を揺らした。
 優しい光を帯びた瞳を『幸福な災厄』青峰・満月の欠損した部分から見える女性を見据え、“蘇芳一文字”を腰から引き抜いた。
「やさかい……この“蘇芳一文字”で切り離してやるね。縫い貫け――」
 夜の帳に覆われた空、ひんやりとした空気を小さく吸い込むと絢瀬は駆け出す。
 カッカッ、とブーツのヒールが音を響かせながら接近する。
「そうはさせません!」
 『幸福な災厄』青峰・満月が薄紅色の唇を吊り上げると、光を放ちながら言葉を紡ぎ始めた。
「そんなん、近づかなければええだけやね!」
 元より間合いを詰めるために駆け出しただけの絢瀬は、蘇芳一文字を振るうと斬撃が地面を抉りながら走る。
「なっ!?」
 青峰・満月は目を見開き、斬撃は彼女の身体を切り裂くと紫紅色の剣気が傷口から入り込む。
 取り込んだ女性を避け、オブリビオンの身体の内部に侵食するソレは薔薇の茎の様にトゲを生やして動けぬ様にした。
「っ!!」
 動くたびに激痛が走る、動きたくても本能的に痛みを避けて体は動けないと錯覚させた。
「動けへんやろ? でもな、その痛みはまだ始めや。うちの中で腐った根性のしたヤツ等のした事が何よりも、胸がふつふつと怒りで煮えたぎっているんや……」
 絢瀬はぐっと自身の胸元で拳を握りしめながら言うと、強い意志を込めた瞳で青峰・満月を見詰めた。

 だから、殺さへん

 絶対に助けるんや!

成功 🔵​🔵​🔴​

伊武佐・秋水
●POW

幸福か
生憎だが、記憶の無い私にはどのような幸福があったかも覚えていない
しかしだ。そんな私にも分かる
貴殿は絶望のほとりに佇むが偽りの幸福を望んでいない、と
神剣抜刀、起きよ火廣之太刀
身体を蝕む闇の穢、この【破魔】の力を宿りし利剣の『剣刃一閃』にて斬って進ぜよう

真理の言葉、善悪を超越した光…それは貴殿の心の叫びに過ぎず
駄々をこねる童の泣き声に過ぎぬ
それで現実を変えれぬ事は貴殿が重々承知であろう
然りて、そうならずにはいられない
魔書の暗示が貴殿を駆り立てさせるのだからな

少女か…常人ならば斬る直前で戸惑おうが、不思議と私はそう思わぬ
恐らく記憶を喪う前はひとでなしであったかもしれぬな…いざ尋常に参る



●断ち斬る

 むせかえる様なニオイは、風に乗って頬を撫ぜる。
「幸福か……生憎だが、記憶の無い私にはどのような幸福があったかも覚えていない」
 綺麗に切りそろえた髪の毛を揺らしながら首を振った伊武佐・秋水(Drifter of amnesia・f33176)は、アメシストの様な紫色の瞳で『幸福な災厄』青峰・満月を見詰めた。
「しかし、だ。そんな私にも分かる」
 ゆっくりと瞬きし、腰に携えている“神剣・火廣之太刀”の柄に手を静かに添えた。
「貴殿は絶望のほとりに佇むが偽りの幸福を望んでいない、と」
 秋水は再び満月を視界に入れると、彼女は胸を掴みながら苦虫を噛んだような表情で低く呻く。
「起きよ火廣之太刀」
 凛とした秋水の声が響き、キィンと鍔鳴りと共に夜の帳まで切ってしまいそうな程に白刃が煌めきながら空を斬った。
「させない!! 絶対に!!」
 叫ぶ、オブリビオンの部分が否定する言葉を――
「無駄だ。真理の言葉なんて綺麗ごとを纏めただけの内容だ」
「ならっ!」
 満月が光を放つと、秋水は目を細めてただ眩しそうに目を逸らす。
「ならばっ!!」
「待て、それ以上何を言っても駄々をこねる童の泣き声に過ぎぬ」
 満月は最後に自身の魅力で惑わそうと声を上げだ。
 しかし、全く興味が無い秋水は嘆息しながら淡々とした声色で言う。
「なんで! なんでよ!!」
「魔書の暗示が貴殿を駆り立てさせるのだからな……返して貰おう、その身に閉じ込めた女性を――」
 無数の白刃が残像を残しながら走る。
 ばたり……
 満月がユーベルコード『剣刃一閃』で切断され、過去の海へと変えるべく消えてゆく最中に力なく女性が倒れた。
 納刀してから秋水は、女性に駆け寄って割れ物に触れるかの様に手を伸ばす。
「(嗚呼、これは許せぬ。これが野放しとはな……)」
 やせ細った体に刻まれた傷を見て秋水は、彼女を担ぐと病院へ向かった。
 許せない、けれども人命が優先だ。
 開いているであろう病院の前に女性を置くと、覚悟したかの様に頷きながら夜の街へと駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●野放しにされている罪

「あーあ、何処に消えたんだかー」
 派手な女が舌打ちしつつ酒をあおった。
「陰湿~“親友”だったんだろう?」
 喉でくっくっと笑いながら男は、派手な女の肩を抱き寄せた。
 男は歳は食っているクセに金髪のドレッド、ボロボロのシャツとジーンズという貧相な服に着られたヤンキーという見た目だ。
「そっちだって、オモチャが無くなって発散出来ないんじゃねぇの?」
「まぁな、質素だが素質はあるし……何より、タダだ」
「脅しが聞いているし、ああいう性格の女は周りに助けを求める様な事しないしねぇ」
 タバコに火を点け、一口吸ってから煙を吐き出しながら派手な女はゲラゲラと笑いながら言った。

 さて、彼女を追い込んだ二人。

 場所はクラブ、小さな箱なので広くはない。

 お金や酒をエサにすればホイホイと釣れる様な人々しかいない。

 約束は一つ、無関係の人たちや建物を破壊しなければ可。

 どうするかは、猟兵であるアタナに任せよう――
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

ひとまずは病院で、
被害者の入院手続きとかを付き添って済ませちまうよ。
そしたら後は……仕置きの時間だね。

こいつら二人の関係も、それほど良いもんじゃないだろ。
いかにも遊び好きな風に『変装』して、
「あ~、いたいた!」と『コミュ力』を発揮しながら
男の方へ馴れ馴れしく近寄るよ。
前にも会ったと『言いくるめ』ながらね。
そして「こないだのイイ話なんだけど、面白くなってきてさ~」
と軽く興味を『おびき寄せ』、女との仲の『傷口をえぐる』。
そうして言い争いを初めてくれりゃ、
そこに合間合間で『挑発』を入れて諸々ゲロってもらおうじゃないの。

allianceで盗撮し続けてるから証拠にも十分だろ!


伊武佐・秋水
●POW

命に別状がなく幸いであったが…『アレ』を見てしまった以上、流石に放ってはおけぬか
とはいえ、私は無益な殺生を好まぬ
裏を返せば斬るに値せぬモノであるが、それでは私の腹の虫が収まらない
なので一計を案じよう
法で裁けない悪を裁く、仕事人として

まず、クラブの支配人を買収だ
停電を装い暗闇にしたところで【闇に紛れ】【目立たない】ようにし、火廣之太刀にて『剣刃一閃』
【切断】せしは肉体に非ず
相手への感情、結びつきの関係、互いの運勢、その他諸々だ
今しがた談笑しあった仲であるが、明かりが戻れば【催眠術】をかけられたかのように険悪となろう
また、運に見放された事で他に恨みや不興を抱く者が押しかけよう
後は自浄効果だ



●クラブ

「あたしが、あなた自身が受けてきた事を……因果応報としてとっちめえてやるからな」
 女性を乗せたストレッチャーが病院内へ運ばれるのを見届けた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、冷たい夜風が頬を撫でるのを感じながら踵を返す。
 掌で胸の鼓動を感じながら冷たい空気で肺を満たすと、道を照らす街灯を背に浴びながらとあるクラブがある方向へ駆け出した。

「命に別状がなく幸いであったが……『アレ』を見てしまった以上、流石に放ってはおけぬか」
 脳に刻まれたかの様に蘇る彼女の記憶は、自身が体験したかの様な感覚と感情が流れ込んだのを思い出す。
 伊武佐・秋水(Drifter of amnesia・f33176)は闇に身を隠し、深夜と呼ぶ時間帯にも関わず明るい街で行き交う人々を横目に歩き出す。
 目立つであろう秋水の衣は夜闇が隠し、人々の視線から元からそこには何も居ないと錯覚させた。
「(ここか……なんと奇抜な城であろう)」
 ドンドン、と腹の底に響く重低音、歓声の様で獣に似た甲高い声が響く。
 人の往来が激しい通路に入り込み、目立たぬ様に足を進める秋水。
「(あれは、門番であろうか?)」
 注意深く、出入りする若者たちへ視線を向ける黒服の大柄な男が立っているのを見て、秋水の歩む速度が少し落ちる。
「(あたしの後に着いてきな)」
 多喜が唇を動かすと、微かに頷き秋水は歩む速度を合わせた。
「今日は一段と賑やかになりそうだな」
「そう……だろうか?」
 多喜はチケットを見せながら言うと、黒服の男は小さく首を傾げながら答えた。
 クラブ内を一瞥し、いつもと変わらぬ風景に返答しようと視線を戻すが――
 そこにはもう、多喜の姿は無く似た様な姿をした若者たちが行き交っていた。
 ドン!
 背中を押されたかと思えば、クラブのホールから一斉に駆け出す若者の姿が目に入った。
 何が起きたのか? と、言葉を口にする前に地面に頭部を打ってしまい、黒服の男は意識を手放した。


●因果応報を教えよう

「あ~、いたいた!」
 ワックスで髪の毛を弄り、赤いボディコンと呼ばれる類のワンピースを身に纏った多喜は、明るい声でターゲットの男女に声を掛ける。
「へぇ、良い子じゃん。お前気が利くなぁ!」
「え? だ……」
「あたし、つっきーの友達のたっきーよろ~」
 そそくさと金髪の男の隣に座ると多喜は、派手な女が喋ろうとしてい所に言葉を被せた。
「(さて、私は……)」
 秋水はぐるり、とクラブのホールを見回す。
「(二階もあるのか)」
 キラキラと眩しい位にステージから光とサウンドが響く中で、秋水は影になって見えにくいが階段を発見した。
 静かに、息を殺して闇に身を隠しながら階段を上る。
「(客には見えぬな……彼女たちは遊女であろうか? ならば、ここでは上の立場である存在……)」
 酒をグラスに注ぐように促す支配人の前に秋水が立つ、直ぐに視線を向けた。
「なんだ?」
「率直に言おう。私が暴れるので、口封じと前金をこれでどうであろうか?」
 足を組んだまま怯む様子を見せない支配人に向かって秋水は、彼の膝の上に金が詰まったケースを乗せた。
 ケースを開けて中身が本物かどうかを支配人は手早く確認すると、静かにケースを閉じた後に立ち上がる。
「交渉完了だ。俺たちやスタッフが適当に理由をつけて追い出すから、その後の事は好きな様にするがいい」
「では失礼する」
 支配人たちが裏口から出ていくのを見届けずに秋水は、踵を返して二階のフロアからホールを見下ろした。
 視線が交わった若者たちを催眠術を掛ける。
「(こんなモノだろう……そろそろではないか?)」
 スタッフがそわそわと動き始めるのを感じながら秋水は、カウンターで喋っている多喜へと視線を向けた。
「こないだのイイ話なんだけど、面白くなってきてさ~――」
「あら、そうなの?」
 多喜の言葉に派手な女は少し苛立ち気味に答えた。
「だろ? 俺ならもっと良い話もあるんだけどなー」
「ああ、そうそう、ちょっと聞きたいんだけどさ?」
 多喜は口元を吊り上げ、腰に手を回してくる男の手を払った。
「そっちの男が粗末なモノ持っているって、彼女から聞いたんだけど本当?」
「そんなワケねぇよ!!」
 弱点を突いてしまえば直ぐに彼らはボロを出す、それは多喜自身が良く知っている。
「マジ、マジーこいつしかも、早いから相手がいないんだよ!」
「はぁ!? 脳みそ空っぽの体だけの女のクセにがよぉ!!」
 派手な女とヤンキーな男はにらみ合い、互いの不満をデカイ声で言い合う。
「(正に、醜い争いってヤツだな)」
 多喜はそんな二人を眺めつつ、イヤリング型のカメラ“alliance”でしっかりと彼らの色んな悪事を証言しているトコロを収める。
 BGMが小さくなり、スタッフが変えるように若者たちを促そうとホールに灯りを点けた。

 その瞬間――

 阿鼻叫喚の地獄絵図、醜く互いの不満をぶつけ合い始めた。
「逃げようと、思うな」
 スタッフルームへ逃げ込もうとする男女の前に秋水が現れ、彼女は携えている“神剣・火廣之太刀”を抜刀すると剣先を向けた。
「なんか知らないけどごめん!!」
 土下座をする男女、しかしこの様なヤツらは口先だけの謝罪を安売りするタイプ。
 諭そうしても、ムダ――
「認めるわけにはいかない」
 素早い刀捌きを繰り出し、男女の周囲を残像を残しながら切り刻む。
「あ、あと、これはしかるべき場所に提出させてもらうからな」
 へたり込む男女の前にスマホを掲げ、動画が再生されると音声もお流れ出す。
 自身がした悪事を話す内容に二人は顔を青ざめさせると、多喜の足に縋り付くがそれを振り払った。
「……許せん」
「だから、これは一番の被害者である彼女と、今までの被害者たちの為に使う。だから、お前たちは途方もない罪を死ぬまで背負い続けな!」
 秋水は非常ベルを押すと、多喜と一緒にクラブから抜け出した。
 多喜は直ぐに証拠品を警察へ提出し、彼女が目覚めるまで代理人として弁護士の元へと行った。

 まだまだUDC-HUMANは生まれてくるであろう。

 根絶は不可能でも、助けれる存在を猟兵の手で救える。

 ほら、現に彼女はこれから新しい未来へ歩めるだろう。

 きっと――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月30日


挿絵イラスト