息吹の竜、グラスアボラス。実りをもたらす祝福の竜として各地で親しまれ、生命の力を大地に吹き付ける姿は信仰の対象になる事もある。
そして、グラスアボラスが頻繁に立ち寄るというある森の入口には、その恩恵を少し変わった形で利用する里があった。
「それが、この竜鱗細工ですじゃ」
森の中で時折見つかるグラスアボラスから落ちる鱗を加工して作られた花瓶や食器。ガラスとも金属ともつかない輝きをもったそれには生命の力が少しずつ残っており、そのまま花を咲かせることもあるという。
縁起物としても人気が高く、街からも発注のある里の重要な特産品だが、最近材料となる鱗が不足しているのだという。
「以前は小さい獣程度しかおらなんだ森にモンスターが増えてのう、危なくて職人が近づけんのですじゃ」
「そこで俺達冒険者の出番ってわけだな!ついでにグラシアボラスの角でも貰って帰るか」
「無茶はせんでくれよ、わし等は鱗をいただくだけで十分じゃで」
●咲乱竜の森へ
「……って言って信じて送り出したワナビどもが続々返り討ちにあってるわけだ」
ガン・ヴァソレム(ちょっと前流行ったアレ・f06145)はプラモをパチパチやりながら資料を展開していた。指の数少ないのによくやるものだ。
「ぶっちゃけると原因はそのグボ助だ。オブリビオンになったせいで狂暴化して、森中オブらしてるんだな。今は困った程度で済んでるが、このままこいつの力が増せばオブリビオンの森が広がって、里やその先まで飲み込まれるぜ」
そういう話ならアドベンチャラーじゃなくてイェーガーの出番だろ、とガンは周辺のマップを提示する。
「そこら中オブ汁だらけなせいか、周りには他にも小物が集まってやがる。本命の前にまずはこいつらを蹴散らしてくれ。
アルラウネっつったか、身体はエロくないのに数多いわ声でかいわでなかなかいやらしい連中だぜ」
そもそもオブるとかオブ汁とかって何だ。
質問すべきかつっこむべきか迷う猟兵達の前に、ガンは最後の資料を出す。
「本命のグボ助な。花びらやブレスの範囲攻撃が充実してるが、何より生命の竜ってだけあってとにかくタフだ。全力叩き込んでいくのがいいだろうな」
展開された資料には、花びら舞う中に降り立つグラシアボラスの画像があった。
一見美しい光景ではあるが、その足元には既に冒険者の屍が積み重なっている。
パステルカラーに飾られようと、猟兵達が向かうのはやはり戦場なのだ。
「それからよ、さっきの里のジジイに一応ナシつけに言ったんだけどな」
いらん事しいばかりの彼にしては珍しく、グラシアボラス退治について事前に説明しに行ったらしい。
「世界が滅びるんじゃ仕方ねえって話もあったが、鱗どころか丸々1匹分の材料が手に入るわけだからな。鎮魂の意味も込めてドカンとでかい細工を作りたいってさ。結構抜け目ねえな」
ガンは出来上がったプラモをブンドド振り回しながら付け加えた。
「で、竜退治の英雄様にもアイデアだのデザインだのを手伝ってほしいってよ。量があるから結構なデカブツも作ってもらえるだろうし、覚えがあるなら自分で作ってもいい。今度は英雄様の里にでもすんのかね」
異世界の希少材料、オーダーメイドの美術品。そう考えるとなかなかリッチな報酬だ。
「ま、自由な発想はグボ助をぶっ飛ばしてからだ。頼むぜ、ドラゴンスレイヤー様よ」
荒左腕
荒左腕(あれさわん)です。正月休み過ぎると急に時間なくなりますね。
以下、OPの補足になります。
戦闘としての目的は「アルラウネの集団の撃破」、その後「グラシアボラスの撃破」となります。
どちらも植物に根差した能力を持ち、範囲攻撃を得意としています。懐に入る、炎で焼き尽くすなど、様々な戦い方が考えられるでしょう。
また、同じ戦法・同じ能力値の攻撃が続くよりは色んな角度からトライしていただく方がリプレイ描写の幅を拡げる事ができそうですので、ぜひお試しください。
戦闘終了後、里に戻って龍麟細工の製作を楽しんでいただけます。OPの通り職人さんにアイデアを出すだけでも構いません。ただし、大変申し訳ありませんが、製作した細工を持ち帰ることはできません。
(アックス&ウィザーズ世界の魔力でできた鱗は、グリモアベースまでその形を保てないようです)
里の英雄の証としてご寄贈いただいた、という事でひとつご了承ください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『アルラウネ』
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POW : ルナティック・クライ
【聞く者を狂わせるおぞましい叫び声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : スクリーミング・レギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【マンドレイク(アルラウネの幼生) 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : リパルシブ・シャウト
対象のユーベルコードに対し【それを吹き飛ばす程の大音声 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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箒星・仄々
心情
竜鱗細工も楽しみですけれども…
素敵な祝福の竜さんが
オブリビオンになってしまったとは残念です
元に戻す手立てないならば
せめて早く骸の海へ還して差し上げたいです
手段
今を生き未来へ進む者たちを称える歌で仲間を鼓舞しつつ
Kリートを奏で聖なる調べで敵の声に干渉し
行動を鈍らせたりクライやシャウトの威力を弱めます
:歌唱&演奏&鼓舞&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ&破魔
魔法で溶け込むように姿を隠した後
一気に残像分身してマンドレイクさんらへ一斉攻撃!
トリニティで攻撃力を高め火炎纏うKナーゲルで貫きます
:迷彩&忍び足&残像&早業&先制攻撃&見切り&属性攻撃&串刺し
敵攻撃は迷彩&残像&早業&見切り&忍び足で回避
「――――ッ!!」
可聴域をとうに過ぎた叫びが四方に乱れ、周囲の木々や木の実が破裂する。
オブリビオンの影響を受けた狂えるアルラウネは、自身を育む森をも無為に破壊しながら繁茂しようとしているのだ。
その様子を、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は沈痛な面持ちで観察していた。息吹の竜だけでなく、オブリビオンはこうして世界の全てを歪めていくのだろう。
「……ならば、せめて早く骸の海へ還して差し上げましょう」
仄々はアルラウネ達の前に躍り出て、懐から懐中時計を取り出す。
「未来へ進む者達の歌を!」
時計の針を10時10分に合わせると、左右対称に開いた針が機構を展開し蒸気機関式竪琴「カッツェンリート」がその姿を現した。
「――――……ッ!?」
突然の登場に反応するように叫び声をあげるアルラウネ。だが、その叫びに先程のような鋭さはない。カッツェンリートに装填された47本のシリンダーが叫びに合わせて振動し、破壊の音色を中和しているのだ。
「此方ですよ」
動揺するアルラウネ達の間隙を縫って、仄々がその眼前に肉薄する。
「亡霊を引き裂く猫の爪を!」
手にした細剣・カッツェンナーゲル。その半身に刻まれた箒星が赤い炎を宿し、破壊を生み出すアルラウネの喉を正確に刺し貫いた。
成功
🔵🔵🔴
シュデラ・テノーフォン
竜鱗細工早く体験したいな
硝子細工創作に良いアイデアわきそう
でもその前に、狩だ
アレがオブらせてる奴?
なんだアルウラネか
取り敢えず耳障りな叫び声からは距離を置く
狙撃に近付く必要は無いからね
じゃあ始めよう
一匹一匹確実に狙うとして
マンドレイクはすぐ落とせるな
楽しくなってきた
相殺は実際見ないと成功し難いんだっけ?
実はね、 銃撃の間に
予め複製した銃を近くの木々に潜ませていたんだ
森って良いよな色々隠し易くて
そう、もうね
君達包囲されてる訳だ
では改めてGlasregenをどうぞ
何処から来るか判らない銃撃は面白いだろう?
さぁ、たんと喰らいな!
あァ…俺今悪い顔で笑ってそうだ
きちんと狩尽くして、さて次だ
待ってな獲物
「龍麟細工か。あの形はカットだけじゃないと思うんだけど……」
シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)は樹上でアルラウネの移動を待ちながら、グリモアベースで見た画像を頭の中で反芻していた。
「細工はダメって言ってたけど、道具とレシピくらい……ん」
趣味の細工物に傾倒する幸せな時間は、森の端々で響く金切声と破裂音で終わりを告げる。シュデラはひとつ舌打ちをして、頭を切り替えた。
「まあいい、まずは狩だ」
シュデラの見つけたアルラウネは自身の眷属たるマンドレイクを数体呼び出して周囲を守らせている。突破は結構な手間と思われたが――
「3,2,1……ビンゴ!」
マンドレイクの一体が突如弾け飛ぶ。シュデラが予め周囲に配置しておいた銃が、その脳天を貫いたのだ。
植物にもかかわらず浮足立つアルラウネの様子を見て、シュデラは満足げに目を細めた。ユーベルコードの力で複製された愛銃は他の場所にもある。敵が動揺した今が一斉攻撃のチャンスだ。
「Glasregenはここからだ!見えない銃撃をたっぷり味わいな!」
狩狂いなどと自称しているが、その実ハンターの頭脳は非常に冷静だ。数挺の銃だけで広大なはずの森を檻のように区切り、獲物を囲い込む。煽るような口調は獲物に焦りを植え付けるための経験則でもあった。
アルラウネとマンドレイクは動くはずの足を縫いつけられたようにその場から動くことも出来ず、数十発の銃声の後に再び地面に還る事となった。
成功
🔵🔵🔴
小宮・あき
竜鱗細工? 素敵な民芸品ね!
ぜひ自分でも作ってみたいなあ、と思って参加します。
竜1頭撃破ですか、うんうん、沢山の鱗が取れそうだね!
その前にあるアルラウネ戦ですか、頑張ろう!
●WIZ対抗
UC「ジャッジメント・クルセイド」で後方より攻撃。
同じ遠距離攻撃、距離を保ったまま戦います。
ユーベルコードを吹き飛ばす大声ですか、声量で攻撃してくるのね。
しかも一度見られていたら相手の有利になってしまう…。
じゃあ、一発で仕留めなきゃ!
私のジャッジメント・クルセイドは「指先」を向けるだけで済むわ。
遠距離から通常攻撃を連発し、相手は攻撃した直後に[早業]で指を向けるわ!
「ジャッジメント・クルセイド!」
「うーん、困ったなあ……」
小宮・あき(人間の聖者・f03848)は木陰に隠れてマンドレイクの群れを遠巻きに眺めていた。龍麟細工の輝きを見て自分も作ってみたい!と森の中に入ったはいいが、前座のはずのアルラウネは思ったより数が多い。
その上、先程見た敵のユーベルコード。相手のユーベルコードを打ち消す超音波は、此方の手の内をさらす程に効果が高まってしまう。複数対1の状況で真正面から当たれば押し負けてしまうのは明らかだ。
「いやいや、こんな時こそ笑顔でいるのが経営者よ!」
既にアイデアは浮かんでいた。あとは実行する度胸の問題だ。あきは意を決し、両手で頬を張る。
「さあ、いくわよ!」
小石を2つ握り、1つをアルラウネに投げる。石が当たったアルラウネが1体、群れから外れてこちらに近づいてきた。十分に群れから離れたことを確認して、あきは姿を現す。
「ジャッジメント――」
詠唱と共に2つめの小石を投げるとそれに反応して、アルラウネの喉から轟音が迸った。放たれた小石が音の激流に飲み込まれ、砂粒になって消えていく。
「すご!?……でも!」
音を操る敵なら、こちらの声に反応するのではないか?あきの仮説が実証されたと共に勝負が決まった。
指先をアルラウネに向けて心の中でトリガーを引くと、天空から一筋の光条が伸びてその胸を貫き、アルラウネが倒れ伏す。威力と引き換えに詠唱を必要としない彼女のユーベルコード特性を利用したフェイントであった。
「ジャッジメント・クルセイド!」
それでも言ってしまうのは、まあ気持ちの問題である。
成功
🔵🔵🔴
シシィ・オクトニーア
オブリビオンになってしまった祝福の竜さんですか。少し心は痛みますが、これ以上被害を出さないためにも狩らせていただきます……!
まずはアルラウネさんたちを倒さないといけませんね。
数が多いとのことなので『瞬きの饗膳』を使って範囲内のアルラウネさん全員を攻撃します。
マンドレイクを召喚されたらそれらも攻撃の対象にします。
ただ、同じ攻撃をし続けるだけでは攻撃を相殺されそうですので、通常の近接攻撃も交えて攻撃しますね。
叫び声の前兆があれば距離をとって攻撃を受けないように立ち回りたいです。
器用な戦い方はちょっと不得手なので、まっすぐな気持ちで戦います。
とにかく確実に数を減らすことを重視して頑張ります!
「……最初に見た時はこんなに多かったかしら?」
シシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)はのんびりとした口調に似合わず、全速力で森の中を駆けていた。時折覗く木漏れ日に反射して、透き通る髪がきらきらと輝く。
しかし多勢に無勢、さらに集まってきたアルラウネによってシシィは周囲を完全に囲まれてしまう。
「……そろそろ皆さんお集まりのようね?」
だが、シシィは笑みを崩さない。この状態を誘っていたのだ。
敵の攻撃は広範囲にわたる超音波だが、この配置なら同士討ちや相殺が始まって十分に効果を出せない。対して、追い詰められたはずのシシィにはこの包囲こそが最大の勝機であった。
「さぁ、おもてなしさせていただきます!」
輝く左手を翻すと、豪奢なドレスから無数の食器が放たれる。
「瞬きの饗膳(アミューズ・ブーシュ)!!」
フードファイターの得意とするカトラリーは、その威容に反して繊細に動く。お気に入りのケーキを口に運ぶ時のように、素早くかつ丁寧に。小さな銀色の嵐が薄暗い森を荒れ狂い、次々とアルラウネを引き裂き、刺し貫いた。
やがて残ったのはシシィと、大量の木屑のみ……のはずだったが。
「!?」
間一髪避けたシシィの眼前を貫いたのは、同胞の屍を盾に生き延びたアルラウネが投げ返したデザートナイフ。猟兵との戦いで学習したのか、それともただ生きる執念か。
「……まだ終わらせてはくれないと言うことね」
成功
🔵🔵🔴
ルチル・ガーフィールド
「ひどい……森は、彼女たちにとっての住処であり、同じ植物の仲間でもあるはずなのに…」癌細胞のように森を侵食するアルラウネに心を痛める【優しさ】
「なんども使えば、打ち消される危険性が増します。ここは一気に…!!」弓を構え、ユーベルコードを唱える。
「炎よ!! 鏃に纏いて彼のモノどもを焼き払え!!」【属性攻撃】
集団に向かって扇状に矢たちを放ち、もし近接戦闘を挑む仲間がいるなら、相手の誘導と混乱を誘う【援護射撃】
初弾群はアルラウネを、次弾群からはマンドレイクを中心に狙う
自らのテリトリーである森の中で、アルラウネの継戦力は特筆に値する。
倒れてもその屍を踏み砕いて別の個体が迫る様は、さながら屍鬼のようでもあった。
「ひどい……同じ仲間のはずなのに……」
ルチル・ガーフィールド(魔法仕掛けの家政婦さん・f03867)の目に涙が溜まる。戦いの最中に悠長な考えだと言われた事もある。だが、その憤りこそが白磁の身体に熱を与え、敵を討ち伏す力となるのだ。
涙を拭って弓を番えたルチルの右手から鋭い魔力の筋が伸び、赤く燃える矢の形を成す。
「炎よ!鏃に纏いて彼の者を焼き払え!」
放たれた矢が2つ、また2つと枝分かれし、アルラウネの群れに襲い掛かった。
「ッ!?」
迎撃の咆哮を放とうとした喉は、しかし灼けた空気に妨げられる。思ったよりも強い炎の原因は、足元に伏す同胞の屍であった。まるで切り捨てた仲間に足を掴まれるかのように、炎に巻かれたアルラウネは倒れていく。
「どうか、安らかな眠りを……」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『息吹の竜『グラスアボラス』』
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POW : フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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「――――ッ!!」
最後のアルラウネが、倒れる寸前につんざくような叫びをあげる。
まさに断末魔。その叫びには猟兵達を害する力こそなかったが、鋭く遠く森の果てまで届き、そして「奴」を呼ぶこととなる。
「この風……?」
その時感じた風は、鬱蒼と茂る森に似合わぬ暖かな日差しの匂いがしたという。
「……来たか」
誰ともなく口にした言葉と共に、猟兵達の上空を轟音が舞った。
その翼に花びらを纏い、その吐息は大地に実りをもたらす。
骸の海に侵される前と全く同じ有り様で、それは現れた。
息吹の竜・グラシアボラス。だが息吹は既にオブリビオンの理に縛られ、この世界を骸の海に沈めるために放たれようとしているのだ。
その威容が森に降り立つだけで、アルラウネとは比較にならない圧が猟兵達を襲う。その瞳は殺意に輝き、その牙からは既に乾いた血がこびりついている。
あるものは悲しみを、あるものは決意を込めて、猟兵達は変わり果てた彩色の竜に相対した。
シュデラ・テノーフォン
来たキタ
アレだね、狩ろうか
あー成る程、アレがオブ汁か
確かに綺麗な光景だね
残念だ、だからせめて
君が居たこの森と花を最期の記憶に
花弁やら息吹で攻撃?上等
来な、と視界に出て挑発
まァ他の猟兵がやりやすい様にタゲ取りも含めてだけど、一応これでも俺パラディンなんだ
君の攻撃、全力で盾受けしようか
左手を翳して指輪の盾を展開
うん、楽しいね…!
さり気なく右手はCenerentolaを用意、複製
獲物の攻撃が止み息を整える隙に装填した氷の精霊弾でGlasregen
君を持ち帰るから、燃やさないさ
足元や口を狙い凍らせ体力を奪い弱らせ、もがく間にAschenputtelを構え狙いを定める
その眉間か心臓、撃ち抜いてあげようか
「あー成る程、アレがオブ汁の出所か」
先程とうって変わって、シュデラは真っ先にグラシアボラスの前に出た。だが巨竜は気にした風もなく、ぐいと体をひねる。尻尾の一振りから大量の花びらが舞い踊り、青い剣の嵐となって猟兵達へ襲い掛かった。
「チッ!グラス……」
その嵐の大きさにいち早く気づいたシュデルは、準備していた銃を大急ぎで迎撃に切り替える。
準備は万端のはずだった。だが各所に配置した銃も、予備に仕込んだ武器も撃ち尽くしてなお、嵐の勢いは止まらない。
「なら、あとはこいつだけだ!」
左中指に収まった指輪から、切子模様のように硝子の盾が展開する。青い剣は盾をさらに打ち据え、打ち据え……そして止まった。
傷だらけになった硝子の盾越しに、シュデルは竜を見据えた。勢いの止んだ竜胆の花びらは再び柔らかく宙を舞い、森を彩る。
「……ああ、確かに綺麗だね。本当に残念だ」
シュデルの後ろには、ユーベルコードを練り上げた猟兵達の姿。
「だからせめて、君がいたこの森と花を最後の記憶に……」
自分が守り切った先に、一斉攻撃の勝機が見舞う事に彼は気づいていた。
「散っていきな」
崩れかけた膝を叩き起し、再び銃を構える。
大成功
🔵🔵🔵
小宮・あき
大きいですね。これが竜鱗細工に!
あきには素材にしか見えてないようです。
●WIZ対抗
UC【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃。
[聞き耳]と[視力]で相手の行動をしっかり見て、[第六感]と[野生の感]で回避!
[勇気]と[覚悟]を持って、己を[鼓舞]し、[全力魔法]を放ちます。
敵の攻撃は受けるではなく回避。くらうとダメージが怖い。
直接対峙は少し怖いな。クレリックだけど前衛に出ず、後衛でUCを打とう。
その分、しっかりと回復を。UC【生まれながらの光】で皆さんの回復もします。
(生まれながらの光は未活性です)
ルチル・ガーフィールド
「まるで…悪夢から… 溶け出してきたかのよう…です…」それ以上の言葉を継げず、竜の口元にくぎ付けになる(陽気なピエロさんが、血まみれの斧を持って目の前に現れた時のような感覚)のを首を振って払い、ルーンソードを構える。
不用意に近づけばPOWで、広がってかく乱してもSPDで、持久戦に持ち込んでもWIZでと、相手に死角がないのは分かっているため、そのうちの一つを完全に押さえるように動く、花畑が広まったら自分のコードを発動し、本体には少しずらして当て、体勢を崩して味方への攻撃のチャンスを作ると同時に、地面へのインパクトを大きくして、花畑をリセットする。「貴竜の、その力の源を断ちます!!」
「……ひ……っ!?」
シュデルが竜胆の嵐に立ち向かうほんの少し前。ルチルはグラシアボラスの口元を凝視して立ち竦んでいた。
あれは幾つの頃だったか、人づてに聞いた殺人ピエロの話。
血塗れの斧を引きずって陽気に笑う口元から覗く乱杭歯。小さな(ドールだが)ルチルは、育ての親が少しでも離れるとピエロの陰に怯えて泣き出していた。
グラシアボラスの牙と斑に残った血痕の赤白。目の前の脅威と死を想起させる色合いが、運悪くトラウマに結びついてしまったのだ。
「どうしたの?龍麟細工まであと少しだよ!」
小さく震える背中にあきが触れる。こちらは既に戦闘後に意識が飛んでいるようだ。
「実は……」
恥を忍んでルチルは昔の話をした。そんな場合でない事は頭では分かっている。だが、身体がどうしようもなく追いつかない事もあるのだ。
「んー……ピエロってあれでしょ?オススメのアニメとか紹介するやつ」
「あにめ?」
ピエロフィリアはそもそも文化的な側面が強い。そもそもピエロも直接見る機会あまりない地域に育ったあきには、ホラー映画どころかそのパロディの中のキャラクタでしかないのだ。
「そうそう、「ハァーイ、ルチルゥー?ケモミミ女子いっぱい出るアニメを見ようぜー?」って」
認識からしてずれているあきにはそもそも理解ができていないし、モノマネは全然似ていないし、なんか勝手にシャクレている。
「……ふふっ」
だが、それだけで十分。必要なのはちょっとしたきっかけだ。小さなルチルを苛めるピエロは最早アニメおじさんでしかないし、もうルチルは小さくなどないし、今はオブリビオンから人々を守る猟兵なのだ。
「細工を作って帰ったら、一緒にあにめ、を見ましょう」
「ケモミミ女子のやつ?」
「ええ、いっぱいのやつ!」
奮い立つルチルの背に、あきはもう一度手を触れる。
生まれながらの光。本来は傷をいやすための力だが、今はなんだか色んな事が出来る気がした。ルチルもひとつうなずくと、ルーンソードを構えて術式を起動した。
「深淵虚空の彼方より、わが召喚に応え……導き来りて、彼のモノを打ち砕け!」
グラシアボラスはシュデルの鉄壁の前にたたらを踏み、態勢を立て直すべく周囲を花畑に変える息吹を放とうとしていた。
「貴竜の、その力の源を断ちます!」
そこに被るようなタイミングで、ルチルの隕石が放り込まれる。
魔力を生む花が焼き払われてしまったばかりでなく、花の力を大きく吸い込もうとしていた竜の鼻腔に火の粉が襲う。たまらず目を瞑る竜の横面を追う様に、あきの指先が突きつけられた。
「――ジャッジメント・クルセイド!!」
閃光、そして爆発。
再び巨体がたたらを踏み、背後の木々をなぎ倒していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
箒星・仄々
心情
竜さんが慈しんでいたこの地を
この世界の未来を守る為
竜さんを倒します
手段
引き続き
命の賛歌で仲間を鼓舞しつつ
聖なる調べでオブリビオンの理に干渉し
行動を鈍らせたり息吹の威力を弱めます
:歌唱&演奏&鼓舞&祈り&優しさ&勇気&恩返し&手をつなぐ&破魔
魔法で姿を隠した後
一気に残像分身して連続攻撃
トリニティで攻撃力高め
風纏う魔法剣で貫きます
:迷彩&忍び足&残像&早業&先制攻撃&見切り&属性攻撃&串刺し
迷彩&残像&早業&見切り&忍び足で回避
竜胆の花弁や地形の花畑は刃から旋風放ち吹き飛ばします
事後
竜さんへ鎮魂曲を捧げます
この森は今を生きる皆が
未来へとしっかりと繋いで下さるでしょう
骸の海でどうぞ静けく安けく
よろめきながらも猛り狂う龍を、仄々はどこか遠い目で見つめていた。生命を育む竜が、よりによって世界の未来を奪う存在に貶められるとは、その痛みいかばかりか。
「ならば、せめて貴方の慈しんだこの地で」
隠蔽の魔術を解除した仄々は、箒星の刻まれた細剣を正面に構えて決闘の礼をとる。破壊に狂う竜に理解できるとも思っていないが、今は敬意を払いたかった。
だがその時、場違いな花の香が仄々の鼻腔をくすぐる。
「これは
……!?」
嫌な予感がしたのもつかの間、鋭く硬化した花びらが頬をかすめた。
グラシアボラスのフラワーカッターは、事前にその息吹でマーキングした対象を追尾する性質があるという。おそらくその本質は息吹ではなく吐き出す気体にあったということだろう。ダメージを受けた竜の荒い息が充満する懐に入った仄々は、既にマーキングを受けていたのだ。
「風纏う刃を!」
間一髪、箒星の細剣に碧の光が閃き、迫る刃を次々に裂いてゆく。
さらに仄々は花の刃を遡るように細剣を滑らせ、竜の翼を切り裂いた。
成功
🔵🔵🔴
シュデラ・テノーフォン
そんな強い嵐だったんだ
想定外、だからこそ面白いね
益々楽しいよ
ならとっておきを見せたいな
大分相手も頭に来てるんだろうから、またひと嵐来そうだしさ
あ、もう一度防ぐから防御持ってない仲間は俺の後ろ居てね
さァ俺の方を向いて貰おうか花トカゲ
Cenerentolaに再度氷の精霊弾を装填
目や口を狙い注意を引く
来な、硝子の城壁見せてやるよ!
獲物の息切れ迄耐え切ったら、反撃だ
俺の翼から一枚、羽を抜いてAschenputtelへ
君に騎士の称号を。目覚めの姿を観せて
Accoladeで光線銃に変化させ、とびきりの一撃を放つ
あまり焦がしたくないからね
急所を一点集中で狙撃(スナイパー)するさ
眠るなら、この花畑にしておきな
あと一押し。だが竜の周囲をぐるりと囲む無数の花に阻まれ、なかなか最後の一手を出せない。
「なら、とっておきをみせないとな」
シュデラは何度か牽制の射撃を放ち、再び竜を向き直らせる。先程の攻撃から、グラシアボラスも全力の一撃を放った直後は隙も大きい。だが、単純な遠距離攻撃ではまた花畑で防御を固めてしまうのだろう。
「だったら、飛び込むしかないよな?……Gloria(栄 え あ れ)!!」
竜の顎が届かんばかりの距離まで近づき、シュデラはユーベルコードを解放した。
硝子の障壁(グラスブルグ)。魔力で形成された城塞は、まず隠れて敵を射る狩人をやっている間は使い所のあまりない力だ。だが、今こそ自分の持つべきものであるとシュデラは考えていた。
猟兵達の攻撃で、グラシアボラスには既にかなりのダメージと疲労が蓄積されている。初撃のように攻撃を耐えきりさえすれば、今度こそ無防備な瞬間を狙えるのだ。
「さぁ、我慢比べと行こうぜ!」
再び花の嵐と硝子の壁がぶつかり、互いの身体を削り合う。
竜の息吹が充満した中で花はさらにその威力を増し、無敵と思えた硝子の城塞にも少しずつ傷がついていく。だが、猟兵達の何度とない攻撃で、竜の身体もまた限界が早まっていたのだ。
「……!」
徐々に息吹と花の勢いが弱まり、強大な竜の顎が夏場の犬のようにだらんと開いた瞬間を、シュデラは見逃さなかった。
「もういいだろ、眠りな」
愛銃の引き金を引き、光線を喉奥へと滑り込ませる。そしてそれが合図となって猟兵達の最後の一斉射撃がシュデラの銃撃を追った。
無数の銃撃が喉から脳天を貫くと、息吹の竜は立ったま動かなくなった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『芸術作品の製作』
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POW : ジャンルへの愛とセンスのままに、荒々しくも力強い作品を製作する
SPD : 磨いた技術の粋を凝らした、素早く精緻な技巧を凝らした繊細な作品を製作する
WIZ : 学んだジャンルの歴史と豊富な知識に裏打ちされた、重厚で深みのある作品を製作する
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「やった……のか……?」
巨大かつ生命の力に満ちた竜。動きが止まったからと油断はできなかったが、やがてその足が大地を踏む力を失い、巨体がどう、と地面にたたきつけられる。
何より、その目から全ての光が消え、怒りも殺意も感じられなかったことこそが、猟兵達に戦いの終わりを確かに告げていた。
その姿を見て安らかな眠りを祈る者、魂を鎮める歌を爪弾く者もいる。
横たわる竜の骸は先程の嵐とうって変わって酷く静かで、立ち込めていた花の香りも徐々に失せ始めていた。
●そして数日後
猟兵達は再び村を訪れ、里長の元にやってきた。
「大変お疲れ様でした。事情は伺っております、半分もわかりませんじゃが」
里長の落ち着いた様子からするに、オブリビオンの話はともかく、グラシアボラスの討伐自体は里長も想定していたようだ。
「それからお約束通り、龍麟細工の準備もできましたじゃ。皆様のお蔭で龍麟はかつてない量、職人たちもはりきっておりますぞ」
その本心まではわからなかったが、里長はにこやかに猟兵達を出迎えてくれた。
シュデラ・テノーフォン
よし、お楽しみだね
勉強させて貰おうかな
先ずは村長や村の人達にご挨拶
職人の人達に話色々聞きたいな
素材の選び方とか、道具の使い方とか
へェ、そんなモン使って加工するんだ
硝子にも応用できないかな
後作品をスケッチしてもいい?
持ち帰られないの本当に残念
作ってる所は話さず最後迄見る
作るってさ、集中したいものだからね
邪魔にならない程度に観察して
終わった後に工程の質問しようか
残さずメモったら俺も作ろう
思い出すのはぶつかり合ったこの竜燐の主
強くて、綺麗だった。生きていた躍動感を残せたらいいな
丁寧に加工して花瓶にしよう
硝子越しに見た竜の花を飾って欲しいから
うん、よく出来たかな
良かったら村の何処かに飾ってくれるかい?
「へェ、そんなモンつかって加工してるのか」
シュデラは龍麟の加工工程に興味を持ち、職人達に張り付いていた。
龍麟の加工工程は前半は木材、後半は金属に似ている。数日かけて乾燥させると鱗が脆くなるので、これを小さく削りだす。その後は熱を加えて曲げ伸ばしや、場合によっては鍛造で形を変えていくのだという。
「んー……なんかこう、これぞ龍麟細工!みたいなのない?」
独特ではあるが、分解してみれば既存の工芸品と変わらない。シュデラが欲しかったのは自分の硝子細工に加える新しいエッセンスだ。
「したら、こんなのはどうでしょ?火の入れ過ぎで溶けた奴ですがね」
火ぶくれした顔の職人が黒い塊を寄越す。
「竜の魔力がぎゅっと詰まるみたいで、傍で魔法使うと光るんですわ。冒険者が時々買いに来て…」
聞くや否や、シュデラはインスピレーションを感じて製作に取り掛かる。
先程の黒い塊を基部に、持ち前の技術で丁寧に加工した花瓶。モチーフは勿論、数日前に対峙した竜だ。
「あの強さを、躍動感をこいつに込めるために……」
シュデラは指先からそっと花瓶に魔力を込めた。
成功
🔵🔵🔴
ルチル・ガーフィールド
「……同じように思われている方も、いらっしゃるかとは思いますけれど……わたしは…」息吹の竜の像を作れないかと提案をする。里の真ん中の…できましたら、花壇の中に…。鱗などの効果が浄化され、前のように力を出せれば、花壇の花たちを育ててくださいますでしょうし…そうすればお花の中に、ずっと、ずっと息吹の竜がいられると…。(ほんとうは、アルラウネやマンドレイクもとと言いたいのですけれど…里の方には説明しずらいです…ので、息吹の竜を祝福する樹木の精霊たちとしてこのようなものはいかがでしょうと、彼女たちの像も周りにつくていただけないかと提案する)
「里の真ん中の、できれば花壇の中に」
ルチルは里長に、息吹の竜の像を作れないかと提案していた。
「そうすればお花の中に、ずっと、ずっと息吹の竜がいられると……」
アルラウネやマンドレイクも含め、今回の戦闘で倒した魔物は全てオブリビオンによってその性質を歪められたものだ。
猟兵の使命であるとはいえ、この世界の生命を奪ってしまったように思えて、ルチルは贖罪を探していたのかもしれない。
若干目の泳いでいるルチルを見て、里長は声をかけた。
「……お嬢さんは、随分と育ちのいい冒険者だね」
ルチルは目を伏せた。猟兵になってこの方、その言葉をいい意味で使われたことはない。猟兵には命のやりとりに慣れきった者が多いため、ルチルの感傷を無駄の一言で切り捨てられたこともある。
「命のやり取りで生活してるなら、殺すのも殺されるのも当然じゃ。
じゃが、その中でわしらと同じことを考えてくれたお嬢さんを、この里は歓迎するよ」
「それって……?」
里長が指差した方向には、里で最も大きな作業場。
手に入った素材のおおよそ半分近くを使って、大型の竜の像が製作されていた。
「あ、あの!でしたらマ……お花の女の子とかも!」
顔を輝かせ、ルチルは作業場に向かって走り出す。
成功
🔵🔵🔴
箒星・仄々
完成した竜鱗細工の盛大にお披露目会を開きましょう
竜さんの鎮魂も兼ねて
里の宣伝にもなりますよ?
特に竜の像は目玉になりそうですよね
Kリート奏で歌を披露
:歌唱&演奏&優しさ&勇気&恩返し&鼓舞&祈り&手をつなぐ
歌の主人公の一人は
この世界を慈しみ
沢山の祈りをもたらして下さる息吹の竜さん
もう一人の主人公はこの里の皆さん
自然や森への感謝の心と
それを活かす知恵と技術をお持ちの里の方々を称え
この先も恵みに祝福されることを願い歌います
その後
賑やかな喧噪の元
祈りを捧げます
竜さんが大切にされたこの世界を
きっと皆さんがより善き未来へ繋げて下さいます
どうか安心してこの世界を託されて下さい
骸の海でどうぞ静けく安けく
●芽吹く龍麟細工
さらに数日後。龍麟細工の像が完成したとの報せを受けて、仄々は再び里へ足を運んでいた。
「では盛大にお披露目会といきましょう。里の宣伝も必要なのでしょう?」
確かにグラシアボラスを討伐してしまった以上、村に追加の龍麟を手に入れる算段はない。呼べるうちに人を呼び、これからの事を考えなくてはならない。
仄々の提言に里の人々は急ピッチで準備を進め、
ついに今日、周囲の村や街から集まった人々の前でお披露目となったのである。
「それではご覧ください。グラシアボラスへの感謝と敬意を込めて造られた、わが里渾身の特大龍麟細工にございます!」
里長の挨拶とともに天幕が引かれ、その姿があらわになる。
「これは……」
大地を踏みしめ、高く伸びあがって天を仰ぐ竜。陽の光を受けて淡く輝く姿は、今にも動き出しそうな迫力があった。
仄々は吸い寄せられるように竜のそばに向かい、蒸気竪琴を展開する。
今の気持ちを表すためにキーをひとつ下げ、そして即興で静かに歌い始めた。
彼の森に舞い降りし
生命はぐくむ息吹の竜よ
今は翼をひととき閉じて
骸の海へ静けく安く
彼の森に残されし
竜の恵みを受け継ぐ民よ
巧の技に思いを託し
龍麟の里は気高く永く
誰もがその歌に聞き入り、しばしの沈黙が流れる。
と、それを破ったのは誰かが像の前に置いた、硝子の花瓶だった。
一見普通のその花瓶には、魔力に反応する性質のある龍麟の残滓が使われている。それは花瓶の形をなしたことで仄々の歌に込められた魔力を蓄積し、そして放った。
「花が
……!?」
グラシアボラスの息吹と同じ、花びらの奔流が花瓶から吹き上がる。人々の驚きに満ちた歓声の中、舞い落ちる花びらがうっすらと竜の像を覆っていった。
この現象が起こった理由について、問うものはあまりなかったという。
「どうか、安心して」
誰かが呟いた言葉に応えるように、人々は空を見上げていた。
成功
🔵🔵🔴