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常闇に堕つる白

#ダークセイヴァー #『妖聖妃』マリーデマイヤ #白鎧の騎士『エバイル』

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#ダークセイヴァー
#『妖聖妃』マリーデマイヤ
#白鎧の騎士『エバイル』


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 領民が円を描いて集う。
 二重三重に広がる円は、この村のすべてだ。
 常闇の国を覆う空は昏く染まり、円は雨に降られ、彼らの最後の足跡を遺す。
 声は揚がらない。涙は流れない。
 皆、受け容れた―諦めた―のだ。
 一人、顔を上げた。虚ろな瞳は常闇に浮かぶ白を見る。
 安息は……目の前だった。

 「ダークセイヴァーでオブリビオンが領民を虐殺しています」
 星野蒼火は、ブリーフィングルームに集まった猟兵たちに予知を告げる。
 「いえ、残念なことにオブリビオンが領民を虐殺する。これ自体はダークセイヴァーでは日常なのです……」
 蒼火は何かを思案するそぶりを見せ、再び口を開く。
 「確定した情報ではありません。ですので必ずしもそうとは限らないのですが……」
 蒼火は思案の末に猟兵たちに伝える。
 ――敵は猟兵を誘っている。

 領民を集め見せしめに殺す。ここまではオブリビオンにおいては普通の行動だろう。しかし、彼女は領民に対し猶予を与えた。
 「『これより3度目の夜、貴方達に救済を与えます。祈るも拒むも好きになさい。私は全て赦します』これがオブリビオン、『妖聖妃』マリーデマイヤが領民に告げた言葉です。そして、今日がその3度目の夜になります」
 恐怖を煽るならその場で殺せばいい。絶望を与えるなら圧倒的な支配か、もしくは2日目の昼当たりに皆殺しにすればいい。そうでないのならば……。
 「マリーデマイヤは猟兵が領民を助けに来るように仕向けた……」
 ボソリと呟く蒼火の声は、なにか未知なる不安を孕んでいた。


Canon
 お久しぶりです、Canonです。
 ダークセイヴァーにてなにやら不審な動きを予知しました。
 opの通り、背後に何か企みがあるようですが、現状では明かされていません。
 ですので、基本は場当たり的な対処で問題ないです。しかし、先を見据えて事前に策を打つようなプレイングにはボーナスがつきます。
 1章の募集は幕間追加後に開始しますので、しばしお待ちください。
13




第1章 ボス戦 『『妖聖妃』マリーデマイヤ』

POW   :    聖光は謡う、幸福の道標
【杖から放つ光の矢】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【秘めた願望や渇望】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    天使は歌う、楽園の讃歌
レベル×1体の、【若く美しい男性または女性の姿をした、胸元】に1と刻印された戦闘用【の天使達】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    聖者は謳う、救済の福音
【対象を肯定し褒め讃える説法】を披露した指定の全対象に【身命を賭して彼女の力になりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ギージスレーヴ・メーベルナッハです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 「猟兵達は本当に訪れるのですかね?」
 妖聖妃は領民に投げかける。
 虚ろな目をした領民は、ただ頷くのみ。その目は救いを求め、歪な救済を与えられようとしている。
 「……来ればそれで良し、来なければ貴方達に救済を与えれば良しですか。」
 ひとりでに満足した妖聖妃は、妖しく柔和な笑みを浮かべた。
 「貴方様の思惑通りになりますかね?」
 視界の隅に映る白い陰は、軽く肩を揺らすと姿を消した。
プフェルトラム・メーベルナッハ
この気配。貴女も私達と同じ家名を名乗る者ですか。
色々思う処はありますが、まずはその企み、潰させて頂きましょう。

周囲の人々の様相、如何やら何等かの手段で虚脱状態となっている模様。
誘い蕩かす娼天使にて呼び出した天使をかの人々の元へ向かわせ【催眠術】を応用して正気を取り戻すよう働きかけさせましょう。
敵がユーベルコードを用いて洗脳を行う可能性もありますので、彼女の言葉で心動かすことなきよう説得と催眠を試みさせます。

私自身は近接戦闘を仕掛けていきます。
【ダンス】の動きに基づく【フェイント】や【残像】による移動・攻撃の欺瞞にて幻惑し、隙を見せた処へ攻撃。
「…貴女にお褒め頂いても、喜びは感じませんね」


ミーナ・ヴァンスタイン
ダークセイヴァーにある町の女領主。
助けを求める人々を導き、敵対者を容赦なく滅するダンピールの聖女。

ゆったりと優雅にドレスを翻し近づきながら
「死は救済。それは事実ね」
救済の聖女たるミーナは右手に聖銀の剣を構え、接敵する。
「ただし、救済されるのはあなただけよ『妖聖妃』」
相手が民を嗾けてきたら、こちらもUCを使用。左手で魔眼封じの眼鏡を外し真紅の瞳を見た民たちを幸福な眠りへ誘い無力化させる。
「ごめんなさい。少し夢を見ててね」
そして眠った人たちを巻き込まないよう、聖剣を杖で防いだ『妖聖妃』にもUCを使い少しふらついたところをダンピールの怪力で誰もいない場所まで押し飛ばす。
「ここからが本番よ『妖聖妃』」



 「この気配。貴女も私達と同じ家名を名乗る者ですか。色々思う処はありますが、まずはその企み、潰させて頂きましょう。」
 村の家屋に転移したプフェルトラム・メーベルナッハ(千夜の踊り手・f00012)は、オブリビオンを感じると、その妖艶な微笑みのうちに少し因縁めいた色を浮かべる。
 しかし、ひとたび瞬きをすれば、その笑みは見る者を魅了するプッフィの物へと変わった。
 「お勤めのお時間ですよ。さぁ、参りましょう」
 プフェルトラムは戸を開け、舞台へ舞い上がる。その傍らのは幼くも美しい疑似天使たち。その姿を虚ろな目が捉えた。
 天使たちは領民へ駆け寄り、その心を強く持たせようと言葉をかける。
 「あら、貴方様は……。救済を待つ彼らを誑かすのはいけませんね」
 マリーデマイヤは笑みを浮かべ、プフェルトラムを一瞥する。
 ――ああ、彼の思惑通りになった。よもやメーベルナッハの名を持つ者が来るとは。
 「ええ、ええ、救いを前に甘い夢を見る。いいでしょう。それほどまでにこの世界は辛いのですから。ええ、だからこそ私が救済するのです。さぁ!」
 マリーデマイヤの言葉は領民の耳朶を打ち、再び心を揺さぶる。
 天使たちも耳元で囁き、心をつなぎとめようと躍起になる。

 囁きが心に染みて、領民の目に光が宿る。
 しかし、数人は救済にとらわれ、頭を掻き毟る。
 「ごめんなさい。少し夢を見ててね」
 領民は声の方を振り返った。そして見た。
 長く艶めく黒髪。その細く美しい左手が、彼女と彼らを阻む最後の壁を取り払う。
 「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」
 赤き魔眼は迷えるその心を沈め、深い眠りへと誘う。
 「貴方様も救済を拒むのですね……」
 マリーデマイヤ笑みを崩さず、しかし不快感をあらわにする。
 「死は救済。それは事実ね」
 ミーナ・ヴァンスタイン(救済の聖女・f00319)は胸を張って前に出る。彼女から溢れる気品と余裕は、彼女が歩を進めるたびに踊るドレスが物語っている。
 「ただし、救済されるのはあなただけよ『妖聖妃』」

 プフェルトラムは炎の、ミーナは銀の剣を構え、マリーデマイヤへ畳みかける。
 炎の舞と銀の剣閃。これらを前にマリーデマイヤはジリジリと後退する。
 「素晴らしいですわ。これならきっと満足に足るでしょう」
 「……貴女にお褒め頂いても、喜びは感じませんね」
 炎の剣による回転斬りを連続で繰り出すも、すべて手に持つ杖で防がれてしまう。それでも、一際大きく振りかぶる。マリーデマイヤはもちろん防ごうとするが……繰り出したのは剣ではなく脚。
 美しい脚線美はまっすぐに顎を捉え、大きくのけぞらせる。
 その隙を見逃さず、ミーナは剣の腹で殴りつけ、村人から遠ざける。
 「ここからが本番よ『妖聖妃』」
 赤い瞳はまっすぐに歪な救済を見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
●WIZ/アドリブ他おまかせ
必要なら協力は惜しまないよ

そう…だね、ここではよくある話だ。そう珍しくもない
それにわざわざ猟兵を誘い出すなんて何を考えているのやら…
とはいえ見過ごせないよね、大丈夫、まだ間に合う!

使い魔のユールを呼んでサポートしてもらうね、頼んだよ!
黒の細剣を抜いて接近攻撃を仕掛ける
もし領民が操られたりするなら高速詠唱で『指定UC』を使い少しだけ眠ってもらう
出来る限りかばったりして領民への被害を抑えたい
多少の怪我は耐える、これくらいどうってことない

僕も何度も味わったから…救済に縋りたくなる気持ちはわかる。だけど、お前たちから与えられるそれはただの死だ
悪いけどお前には退場してもらうよ


フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【POW】
「死んで救われるかどうかなんて、誰にも解らないだろうに」

解放剣を構え、そう言う。

「だから、手っ取り早くお前を倒して生きてる人間を救うことにするよ」
そして【ブレイズフレイム】で全身から炎を噴出させ、解放剣で斬りかかります。(【属性攻撃】)


【聖光は謡う、幸福の道標】に対しては回避できないのであれば致命傷にならない位置にあえて攻撃を喰らい
相手の攻撃時の隙を狙ってカウンターを仕掛けます。(【覚悟】【カウンター】【激痛耐性】)



 「……確かにここではよくある話だ。そう珍しくもない。それにわざわざ猟兵を誘い出すなんて何を考えているのやら……」
 「死んで救われるかどうかなんて、誰にも解らないだろうに」
 指に青い友をのせ、悲しげに耳を垂らすアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)と、この理不尽な常闇の世界を救わんとするフリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)
 「だから、手っ取り早くお前を倒して生きてる人間を救うことにするよ」
 「うん、見過ごせないよね。大丈夫、まだ間に合う!」

 フリージアは全身から炎を発し、それを剣に乗せて振るう。
 「あなたにとっては救いかもしれないけど……」
 剣はしかし、杖に弾かれ一歩届かない。
 「一方的な押し付けは……あいつらと変わらないのよ!」
 眼帯の奥がうずく気がした。
 炎はさらに燃え上がり、大きく構えをとる。
 「そう……貴方様が救済を与えるのね」
 マリーデマイヤは避けない。しかし、フリージアの視界の隅に一つの影が映る。
 
 「こっちはみんな落ち着いたみたいだね。ユール、そっちはどうだい?」
 領民の様子を確認したアリステルとユールは、ひとまずほっと息をつく。
 そのままおもむろにフリージアの方を向けば、剣を構え、今にも繰り出さんとするフリージアと、その後ろから掴みかかろうとする虚ろな領民の姿が目に入る。
 「お願い今ひとときだけ君たちの力を貸して!」
 アリステルの声に応えるように、美しい鳥が素早く翔け寄り、領民を眠らせた。

 視界の隅の鳥と背後の気配。憂いは無くなったようだが、フリージアの剣はほんの一瞬だけ気を取られてしまった。
 「貴方達……そう、救済を拒むのね」
 脇腹を赤く染めたマリーデマイヤは、呻くように口を開く。傷は深いが致命傷には届かなかった。
 「どうやら異端の神に連なる者みたいだけど……」
 「……関係ない……この世界を脅かすなら何度でも倒す」
 互いに目を合わせ軽く頷く。

 まず前に出たのはフリージア。一筋の光のように、真っ直ぐ突貫する。
 マリーデマイヤは傷が痛むのか、先ほどまでとは打って変わって、杖から発する光で迎撃する。
 「そのさえずりは深き眠りを誘い、蒼穹を舞う翼は僕の敵を翻弄する……」
 瞬間、アリステルの声と共に鳥が舞い、フリージアの露払いを担う。
 炎を纏ったその一撃をマリーデマイヤはかろうじて受け流す。が、しかしその体制は大きく崩れながらも杖の先には光が宿る。
 「僕も何度も味わったから…救済に縋りたくなる気持ちはわかる。だけど、お前たちから与えられるそれはただの死だ。悪いけどお前には退場してもらうよ」
 フリージアの真後ろから現れたアリステル。手にする黒斧は、度重なる攻撃で脆くなった杖をたたき切る。
 アリステルは斧を黒の細剣に変え、胸をめがけ致命の一撃を放つ。
 「……誰よりも疾く」
 フリージアは初撃の後、瞬時にマリーデマイヤの背後へと回り込んだ。
 その手にはこの常闇の世界を解放する剣が握られている。
 「これが……あなたの信じる救いよ」
 同じく胸をめがけた致命の一撃。

 救済を謳うオブリビオンを貫いた二つの剣は交差し、奇しくも十字架を描いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『蹂躙魔法兵器『ウォールゴーレム』』

POW   :    ウォール・キャプチャー
【ウォールゴーレム本体】が命中した対象に対し、高威力高命中の【本体へ取り込みと石化同化】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ウォール・キャプチャー
【ウォールゴーレム本体】が命中した対象に対し、高威力高命中の【本体へ取り込みと石化同化】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    ウォール・キャプチャー
【ウォールゴーレム本体】が命中した対象に対し、高威力高命中の【本体へ取り込みと石化同化】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、領民は無事に避難した。
 村の中央には、果てて骸の海へ帰る妖聖姫と、辺りを警戒する猟兵達。
 すると突如、猟兵達の足下が盛り上がる。
 地中から現れたウォールゴーレムは猟兵達を取り込もうとするが、警戒を怠らなかった猟兵達は難なく回避した。
 奇襲に失敗したウォールゴーレムは猟兵達へ向き直り、再び突進する。
ミーナ・ヴァンスタイン
取り込まれた人々を見て一度目を瞑り、真紅に染まった瞳を見開く
「今、開放してあげるわ」
真紅の魔眼が輝き、周囲の敵の動きを第六感と視力で見切り、カウンターでUCを使用。
「ごめんなさいね」
優雅な動きで攻撃を回避し、高密度の魔力を纏った拳や裏拳や回し蹴りが当たった壁を「断罪撃」の力でUCを無効化し人外の怪力をもって粉砕する。
「あなた達は何人もの犠牲者を出してきたのかしら?」
決意を秘めた瞳で睨みつけ
「あなた達が奪った人たちを、みんな返してもらうわよ」
戦いが終わったら、静かに祈りを捧げ
『主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに』


フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)

【SPD】

「こいつ等は一体何だ?」
急に地中から現れたウォールゴーレム、やはりさっきの戦いで終わった訳じゃなかったのか。


「おっと、危ない」

当たるとまずいと判断し、突進してくるウォールゴーレムに対しては大きく距離を取るなどして回避に専念する。
攻撃に関しては回避後に【解放剣】をウォールゴーレムに突き刺す形の戦法を行い、確実に相手にダメージを与えていくことにする。

恐らくこの戦いだけで終わるわけではないだろうから、次を考えてこちらのダメージは最小限に抑えたいものだ。



 「こいつ等は一体何だ?」
 地中から湧き出たウォールゴーレム達を見て、フリージアは思わず声をあげる。
 2m程度の壁は、悪魔のようなオブジェを冠し、その身には数多の領民が永久に変わらぬ姿で囚われている。
 とうの昔に果てているのは明白だ。
 「これに比べれば妖聖姫の手にかかることは救いだって言いたいの?」
 フリージアは憤りを隠さない。その手に握る剣は震え、奥歯を強く噛みしめる。

 ミーナは目を閉じて深く深呼吸をし、真紅の瞳を見開く。
 「今、開放してあげるわ」
 四肢に魔力を宿し、正面から迫りくる壁を殴り壊す。
 驚き目を見開くフリージア。
 「ごめんなさいね」
 ミーナは領民だった者へ声をかける。
 砕けた壁は砂になって消え、過去の者となった領民も少し遅れて消える。
 
 フリージアは震える剣を強く握りしめる。
 「こんなの……おかしいよ……」
 理由もなく、ただ悪戯に弄ばれる。命は軽く、殺すも、ましてや生かされるのも彼らの戯れなのだ。それがどんな形であろうと。

 ――だから。
 フリージアは背後から忍び寄る気配を感じ、横へ大きく飛び退く。直線的な敵の動きは落ち着いてみれば脅威ではない。
 そのまま背後をまばゆい輝きを放つ解放剣で貫く。
 「戦いは終わらない。こいつらの背後に親玉がいるはずよね」
 砂になって消える過去の者を見つめ決意を新たに剣を取るフリージア。
 「こいつらを片付けて親玉を引きずり出すわ」
 体力の消耗を押さえるため、最小限の動きでかわし、攻撃する。
 剣の輝きは一層増している。

 一方、複数を相手取るミーナ。
 「あなた達は何人もの犠牲者を出してきたのかしら?」
 左右から迫った壁が拳と蹴りで砕かれる。
 「あなた達が奪った人たちを、みんな返してもらうわよ」
 その瞳に宿るのは領主としての誇り。
 背後から迫りくる壁はドレスを翻してかわし、裏拳をお見舞いする。
 挟撃はサマーソルトの要領で一体を蹴り駆けあがり、着地と同時に鋭い後ろ蹴りを。
 そうして彼女らを襲う壁は片付いた。
 「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」
 ミーナは膝をつき、ロザリオを握りしめて十字を切った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

プフェルトラム・メーベルナッハ
かの妖聖姫、何やら不穏なことを言っておりましたが…
ともあれ、まずはこの敵を排除するところからですわね。

敵は兎角近接を狙って接近してくることでしょう。
囲まれないよう立ち位置に注意して距離を取りつつ、フォックスファイアをぶつけて攻撃致しますわ。
しかし石となると炎で燃やすは少々骨が折れるでしょう。全ての炎を纏めて一体ずつに叩き付け、以て確実に敵数を減らす方針にて参ります。

…ですがこの敵、もしやすると村人を取り込みにかかろうとする可能性も考えられますね。
村人を襲おうとする敵、逃げる村人の退路を塞ごうとする敵がいれば、これを最優先で攻撃します。



 『素晴らしいですわ。これならきっと満足に足るでしょう』
 妖聖姫の残した言葉。それが頭の片隅に引っ掛かる。
 「満足に足る……果たしてどのような意味合いなのでしょうね?」
 何物かが猟兵たちを眷属にしようと企んでいるのか、はたまた自身より強い者を求める戦闘狂か。いずれにせよ、なんとも回りくどいやり方に感じる。
 
 「ともあれ、まずはこの敵を排除するところからですわね」
 プフェルトラムが思考を廻らせているうちに、辺りにはストーンゴーレムがぞろぞろと集まってきた。
 おもむろに突進してくる巨体をひらりひらりとかわし、距離をとるプフェルトラム。
 両手に狐火を宿し舞う様は、平時であれば観客を大いに魅了しただろう。しかし今宵の観客はいささか無粋。ましてや両の手の狐火も飾りではないのだ。
 放たれた狐火はゴーレムに命中するものの、大きな成果は得られない。
 「石となると、炎で燃やすは少々骨が折れますね」
 プフェルトラムは両手の狐火をさらに大きく纏めながら、壁の間々を舞いぬける。
 彼女を囲おうとするゴーレムはしかし、いつの間にやら一点に集められていた。
 「確実に仕留めて参りましょう」
 両の手を離れた狐火は一つになり、無粋な観客へ至る。
 この常闇に走った一時の太陽が如き輝きは、観客の瞳に焼き付き、その身を燃え上がらせた。

 存外の成果に驚きつつも、プフェルトラムは辺りに目を配る。
 周囲に逃げ遅れた領民はおらず、ほっと胸をなでおろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
●POW/アドリブその他◎おまかせ

…取り込まれた人たちに祈りを捧げるよ
少なくともその魂が安らかに眠れることを願う

お前たちはいつでもそうだよね、人から奪って踏みにじる
だから僕はお前たちがだいっきらいなんだ

当たるとまずいと思うから回避を優先!
敵の攻撃をよく見て見切ったりしていくよ
念の為にオーラを張り巡らせて防御もしようかな

ユールには引き続き援護を頼むね
注意を引いてもらってる間に、闇に紛れて一気に距離を詰める
黒の細剣を抜いて指定UCを全力で叩き込むよ!
他の猟兵さんの邪魔にならない程度に、そして敵の行動を阻害するように延焼させておこうかな

奪った命はお前の命で償ってもらうよ
骸の海に還っても後悔し続けろ



 悪趣味な装飾の壁が蠢く。
 物言わぬ壁は、物言えぬ装飾を掲げアリステルへにじり寄る。
「お前たちはいつでもそうだよね、人から奪って踏みにじる」
 奥歯を食いしばるアリステルと、傍らに佇むユール。
 彼らの気も知らず、さらにさらにと歩を進める。
 「だから僕はお前たちがだいっきらいなんだ!」

 アリステルの心からの叫びに呼応し、溢れた漆黒の炎は地を這い広がる。
 開戦の狼煙だった。
 逆立つ尻尾を沈め、アリステルは剣を執る。
 青い友人が羽ばたいた。次の瞬間、猛き憎悪は常闇に溶け、その姿を捉える者はいなくなった。
 壁はユールを標的に定め突進する。
 「奪った命はお前の命で償ってもらうよ」
 声が響いた。
 漆黒の炎が叫びをあげる。
 闇を塗りつぶす炎は、悪趣味な過去を清算せんと燃え続ける。
 「骸の海に還っても後悔し続けろ」
 周囲を取り囲む壁は後退を始める。
 しかし炎は過去を逃さない。

 辺りは漆黒の炎に包まれ、アリステルは目を閉じる。
 ――せめて囚われた魂が安らかに眠れることを願う。
 ユールがアリステルの肩へ戻るとき、1枚の羽根が舞い落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐和足・妹子(サポート)
『み、みなさんの足手まといにならないよう、がんばります!』
『ポチさん!よろしくお願いします!』
『し、正気度は、け、削れる、ものですよねっ(ぐるぐる目)』

▼特徴
至って普通のUDCエージェントです。青黒い犬のようなUDC(ポチさん)を使役しています。ポチさんの影響からか、三角形のものを好む傾向があります。基本的に真面目で、一生懸命ものごとに取り組みます。

▼戦闘
自身はあまり戦闘が得意ではないため、UCでポチさんを召喚して戦います。ポチさんを強化するための生命力や正気度の提供は躊躇しません。


その他、MS様にお任せいたします。連携・アドリブ等可です。



 薄暗い小屋の中。転移した先はついさっきまで住民がいたであろう居間だった。
 玄関の扉をほんの少し開け、辺りの様子をうかがう佐和足・妹子(人間のUDCエージェント・f14599)
 「もう済んでしまったんですかね……?」
 彼女はやや遅れて転移したのか、外はやけに静かで戦闘の様子は見られない。
 
 扉の隙間からそっと影の追跡者を放つ。
 追跡者は村のはずれに残る敵、ウォールゴーレムを見つけた。
 ゴーレムは逃げた領民を探しているようで、辺りをきょろきょろと見回す。
 おもむろに村の中心へ向かってきたかと思うと、家屋の窓から中を覗き込んだ。
 
 今なら奇襲が出来る。
 そう思った妹子がふと窓に視線をやれば……目が合った。
 無表情で不気味な双眸からは意志を感じられない。
 しかし妹子の思考は廻り絡まる。
 奇襲、敵、ポチ、△、石、敵、奇襲、ポチ、△。
 言葉は出ずとも体は動いた。
 削れた正気をかき集めながら、右手を伸ばす。
 三角形の魔方陣より現れたポチは戸を突き破り、その爪でゴーレムを砕く。
 「ポ、ポポポポチさん!お、おね、お願いします!」
 声を出した頃には、ポチは傍らでちょこんと座っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『白鎧の騎士『エバイル』』

POW   :    閃
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【神秘を纏った剣の複製 】で包囲攻撃する。
SPD   :    破
対象のユーベルコードに対し【過去に見た、それを打ち消す威力のあるUC】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    解
【己が使命に対する誓い 】を籠めた【白く輝く剣】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【ユーベルコードの源】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カノン・トライスタです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は森へ逃げた領民の無事を確認した後、オブリビオンの気配を感じて村へ戻る。
 その中央に佇むのは白い鎧を纏った騎士。遅れてやってきた猟兵の様でもあるが、その気配はれっきとした過去のモノだった。
 「期待通りだ。無慈悲に、理不尽に蹂躙されようとする領民を助ける。それでこそだ」
 白鎧の青年は凜とした声で猟兵達を賞賛する。
 「なればこそだ。君達には守るものがいる。譲れない矜持がある。それを踏みにじる私を殺せ」
 白鎧の騎士は地面に突き刺した剣を抜き、猟兵達へ向ける。
 「私はエバイル。使命を負い果てた過去。今一度の生に意味を見出せるなら、この常闇を焼き尽くす焔。すなわち君達を討ち払おう!」
 ゆるりと構える白鎧の騎士エバイル。彼の目は信念に燃え、しかし陽炎のように歪む事を自覚しない。
 「私は世界の平定の為に剣を振るう。さぁ!君達は何を求め力を振るう!」
アリステル・ブルー
僕は故郷に、この世界に光を取り戻したい
他の世界のように…吸血鬼に怯えずに済む世界が欲しい
だから今回みたいな理不尽な出来事は見逃せない見過ごせない
お前に、いや君にも何か事情はありそうだが…罪無き民を危険な目に合わせた事は絶対に許さないよ

ユール力を借りるね、詠唱を高速で重ねて全力で指定UCを使う
打ち消すならご自由に、君に誓いがあるように僕にも叶えたい願いと誓いがあるんだ
黒の細剣を抜いて応戦するよ
可能な限りダッシュで距離を詰めてね
反撃はよくみて回避したり耐性で耐えるよ大丈夫僕はまだ戦える

殺せと言う君は死にたいの?何の為にその剣を振るうんだ?
猟兵と錯覚しそうな程なのに、君は過去から蘇っている…
何故だ?



 「僕は故郷に、この世界に光を取り戻したい。他の世界のように……吸血鬼に怯えずに済む世界が欲しい」
 アリステルは心の底を吐露するように、ゆっくりと口を開く。
 「だから今回みたいな理不尽な出来事は見逃せない、見過ごせない」
 エバイルは深く頷き、言葉を紡ぐ。
 「それが君の『源』か。己が正義を疑わず、私を悪と断ずるならば剣を抜け。この世界は力こそが正義、その理に抗うならば、打ち砕かんとするならば、力を示せ。理に則り、理を破り、新たな理を打ち立てろ。為せぬのであれば……ここで散れ!」
 アリステルはエバイルの重い言葉を受け止め、剣を構えた。
 (お前に、いや君にも何か事情はありそうだが……)
 「罪無き民を危険な目に合わせた事は絶対に許さないよ」
 
 エバイルはニヤリと口元を釣り上げ笑う。
 言葉はもう要らぬと言わんがばかりに剣を振り上げた。
 「ユール、もう少しだけ力を貸してくれるかな」
 アリステルはその言葉に友との絆、そして友―ユール―を贈ってくれたもう一人の友人との深い絆を込め、まさしく全身全霊の一撃を放つ。
 友の身体は雄雄しき蒼炎と猛き風に包まれ、黒の細剣の突撃に合わせ天翔ける。
 その二人を割くように、白く輝く軌跡が走る。
 二人は左右に身を翻し、そのまま白鎧を挟撃一閃。
 エバイルの腰布は灰燼に帰し、右肩の鎧は砕け散った。

 「殺せと言う君は死にたいの?何の為にその剣を振るうんだ? 猟兵と錯覚しそうな程なのに、君は過去から蘇っている……何故だ?」
 アリステルの問いは常闇に消える。
 エバイルはただ、微笑むのみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緑杜・シオ(サポート)
 フラスコチャイルドのゴッドペインター×レトロウィザード、15歳の女です。
口調 女性的(私、~君、です、ます、でしょう、でしょうか?)
大自然の中では 無口(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)です。
素直で大人しい子です
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 「私は世界の平定の為に剣を振るう。さぁ!君達は何を求め力を振るう!」
 「私は……よくわかりません」
 小さく答えるのは緑杜・シオ(遺失画家・f29318)
 その手に持つ魔法の筆にすがり立つ様は、平時ならば騎士に守られる側だろう。しかし、シオはエバイルと対峙した。
 二人の間に沈黙が流れ、白鎧が口を開く。
 「ならば去れ。命は取らん」
 エバイルは興味が失せたように吐き捨て、他へ目を向けようとするが。
 「それでもっ!」
 視線をとどめ、シオの言葉を待つ。
 「それでも……何かしたいんです。胸を張ってありがとうって……言うために」
 うつむきがちなシオの目にはしかし、曖昧ながらも確固たる意志が見て取れた。
 「それで、君には何ができる。その思いを胸に、ただ膝を抱えて過ごすのか?」
 「絵を……描きます」
 そう言ってシオは魔法の筆を振るう。
 「それが君の力の『源』か。ならば……断ち切ろう」
 ユーベルコードにより高速で描くシオへ、エバイルは剣を振り上げる。
 白く輝く剣は筆を捉え、しかし断ち切るに至らなかった。
 エバイルの表情は一瞬驚きに溢れ、次には微笑みを浮かべ、歯を食いしばった。
 「それが君の力か。……なるほど、認めよう」
 エバイルは剣を収め、背を向ける。
 背後にはUCの代償で眠るシオと、花畑で安らかに眠る白鎧の騎士の絵。
 この絵が彼の心に響いたのかは分からない。しかし、思うところはあったのだろう。
 もしかすれば、これこそが彼の求めるものかもしれない……。

成功 🔵​🔵​🔴​

プフェルトラム・メーベルナッハ
成程、その為に私の一族の者を利用した、と。
既に過去のものとは言え、良いように使われたこと、気分良いものではありませんね。
メーベルナッハの名の持つ意味が如何なるものか。教示させて頂くとしましょうか。

【ダンス】の動きで敵へと接近、魔法剣にて敵を攻撃します。
運足や剣の振りに【フェイント】を交え撹乱。
隙が見えたところで響き合わす円舞曲を発動、斬撃を撃ち込みに行きますが、敵がユーベルコードでの相殺を狙ってくるでしょうから、初撃はこれも【フェイント】、タイミングを外して【2回攻撃】での本命を撃ち込みます。

我ら一族は唯、己の心、己の欲のみに従うもの。他者の駒たりえぬもの。
それこそがメーベルナッハの矜持です。



 「成程、その為に私の一族の者を利用した、と」
 プフェルトラムは剣を抜きエバイルを見据える。
 「既に過去のものとは言え、良いように使われたこと、気分良いものではありませんね」
 「互いに都合のいい相手だっただけさ。それを否定する気も、ましてや詫びる気もない」
 肩をすくめ、かぶりを振るエバイル。その姿にフラメ・テンツェリンのルーンは激しく輝く。
 「ええ、構いませんとも。ですがメーベルナッハの名の持つ意味が如何なるものか。その身にしかと教示させて頂くとしましょうか」
 「誇りをかけた戦いか。よかろう。私はエバイル。この世界に平定をもたらす者だ。いざ……参る」
 
 エバイルは剣を胸の前に掲げ、名乗りを上げ、そのまま距離を詰める。
 プフェルトラムは舞い踊る。激しい腰の動きと円運動を中心とした、その身を芸術のさらに上へ昇華させるような動きにて剣戟を躱す。
 合間にフラメ・テンツェリンを振るう様は、炎の衣を纏うかの如く。
 そうして打ち合い、舞い踊るうちに互いのペースが掴めてくる。
 そして、ペースをつかめたならば、フェイントを織り交ぜるのも容易になる。
 情熱的な腰使いの舞から緩やかな川を思わせる舞へリズムを変え、タイミングをずらす。
 騎士の剣はそのしなやかな身にはかすりもせず、エスコートされるがままだ。
 そうするうちに剣舞に綻びが生じる。
 エバイルは体重の移動がかすかに遅れ、無理な姿勢で爆炎を受け止めた。
 
 その隙を見逃さず、プフェルトラムは回転によって威力の増した斬撃を放つ。
 エバイルはかろうじて凌ぐも、大きく体はのけぞった。
 次の瞬間には白鎧は赤く染まり、プフェルトラムが突き刺した剣を引き抜くと、エバイルは膝から崩れ、剣を杖にかろうじて立っている様だった。
 「我ら一族は唯、己の心、己の欲のみに従うもの。他者の駒たりえぬもの。それこそがメーベルナッハの矜持です」
 苦虫を噛み潰したようなエバイルを尻目に、プフェルトラムは静かに呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【SPD】

「何を求める、か……」
【解放剣】を構え、戦闘態勢を取る。
こういうタイプは小細工せず真正面から打ち倒すに限る。

「私が求めるものはこの理不尽な世界の解放、そのために私は此処にいる!!」

【ダークセイヴァー】で勢いよく斬りかかる、相手の【破】に対してはどちらの想いが強いかの真っ向勝負だ。(【覚悟】【勇気】)



 「何を求める、か……」
 フリージアは大きく息を吸い、自身の始まり、凄惨な出来事を瞼の裏に描きながら想いを連ねる。
 「私が求めるものはこの理不尽な世界の解放、そのために私は此処にいる!!」
 心の底からの叫びは空気を揺らし、やがて束の間の静寂が訪れる。
 「私が求めるのは世界の平定。しかし……私と君では見ている景色は違うのだろうな」
 エバイルからぽつりと零れた言葉。それは雨に打たれながら傘を持たないことを嘆くような、諦めにも似た悲しみをはらんでいた。
 「私が、私たちが望むのは……皆があなたたちの陰に怯えることなく、笑顔で暮らせる世界。そんな『あたりまえ』が私は欲しい」
 オブリビオン相手に胸中を語ったところで、現状が変わるわけではない。それでも、フリージアは話さずにはいられなかった。
 「そうか……やはり私は過去の者で、君たちは今に生きる猟兵なのだな」
 それでも、とエバイルは続ける。
 「私は私の正義を信じている。君も君なりの正義がある。であればこれ以上の言葉は不要だ」
 剣を構える白鎧の騎士エバイル。
 「小細工はいらない……。私はこの眼帯に、魂に誓った」
 フリージアが構える解放剣は、その魂に呼応し一層激しい輝きを放つ。
 
 一陣の風が吹いた。
 ――刹那、二つの正義はぶつかり合い、過去は倒れた。

 
 「それでいい。これから先、君たちは戦い続けるだろう。その苦難の道のりをあえて往くのであれば、それほどまでに強い願いならば、ああ、君たちならばきっと為せるだろう」
 仰向けに倒れ、四肢の一本も動かせないながら、その眼には星が輝く。
 「ああ、これでいい。猟兵よ、後は頼んだ。ありがとう……」
 
 こうして、領民を危険に巻き込み、危険にさらした白鎧の騎士は海へ還った。
 猟兵達は決意を胸に、この常闇の空を見上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月06日


挿絵イラスト