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水泥涙々(みぃどろ・るいるい)

#アポカリプスヘル #ヴォーテックス・シティ

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#アポカリプスヘル
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#ヴォーテックス・シティ


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●水泥涙々(みぃどろ・るいるい)
「質を問わなきゃ、何でもある」
 方唇を嫌らしく釣り上げる様な、下卑た仕草が、髑髏渦巻く、この街には良く似合う。行き交う者に正気は無く、狂気と愉悦と快楽がこの街の全て。希望を無くした瞳が頑丈な鎖に繋がれ、奴隷商人に引き摺られ、市場で捌かれる。明日を生き延びられれば幸運で、2度目の朝日を拝めれば、主の寛容に感謝する。
 隣人は乾いた音一つで息絶えて、時に戯れに殺し合わされ、色欲を満たす為の玩具として扱われ、明日は己かと頭の歯車を狂わせる。壊れて用無しならば、やはり何時か何処からか調達された彼等に加工され、悪鬼共の糧となる。
 髑髏と渦巻きの紋章が、満たされた退廃に、満足するようにはためいて、妖しく嗤う。人の不幸も、血も肉も、極上の蜜。滴る汗血全て、ヴォーテックス・ファミリーへの献上物。治める都市の名はソドムでもゴモラでも無く、ヴォーテックス・シティ。
 超超巨大都市の高層建築物、その応接間で、持ち込んだ石像は生身の人間を塗り固めた一品であると、捕獲したレイダーが大袈裟に語り、変わった趣味だと嘗ての王が愉悦に嗤う。
 身動き取れぬ商品が、流せぬ涙を伝わせながら、断崖の絶望に、儚き希望を求めて歌う。光など、有りはしないと知りながら。

●グリモアベース
「レイダーの大型都市が見えた……不幸に遭っとる人等が居るけー、救出を頼みてえ」
 見えた物の悪趣味さに、不機嫌を隠そうともせず、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は吐き捨てる様に救出を頼むと、猟兵の方を見て、首を数度振る。
「酷え言い方じゃった。済まん。順を追って説明するよ。先ずは行って貰う世界についてじゃな。分かっとる人等は適当に聞き逃して良えからな」
 そう言って資料を猟兵に配り、自身もページを捲りながら、事件の起こった世界について説明していく。
 世界はアポカリプスヘル。オブリビオンストームと言う嵐によって人類の大半が死滅した世界であり、生存した人類は禁忌としたオーバーテクノロジーを解き放ち、ベースと言う拠点を築き、生活している。既存文明はほぼ破壊され、都市間通信も侭ならない荒野の世界だ。
「物資が極端に少ねえ上にレイダーってオビリビオンや、動く死体に機械、果ては発狂した人間なんかも荒野に闊歩しとって、生存が厳しい環境じゃな」
 そんな中でも人類は逞しく生き延びようとしており、人道に背いている技術を開放した理由も、捨て身の反撃を試みる為だ。
 物資困窮に対して、荒野に出て動き回る者達を奪還者、ブリンガーと言い、猟兵の立場はこれになる。
「猟兵の皆は大体、好感を持たれる環境じゃねえかな。通貨も当然整備されてねえから、物資やサービスのやり取りは物々交換が主流になるよ」
 極限環境であるせいか生存本能が強いらしく、優秀な奪還者は恋愛対象として求められやすい様だ。
「と、長うなったな……代わりにこっちの頭も大分冷えたよ……付き合ってくれて有難う。今回の依頼について、きちんと説明していくな」
 レイダー達が根城にしている大規模な都市が見つかった。嘗て栄えた大陸の主要都市、その2倍はあろうかという規模の有る、ヴォーテックス・シティ。
「支配者はヴォーテックス・ファミリー。髑髏と渦巻の紋章が特徴じゃ。勿論、レイダーの都市で人の権利なんてな。有るわけが、無えんよ」
 あらゆる悪逆と欲望の渦巻く狂気の都市。その土地での人の命は米一粒と等価値で有れば良い方だ。
「今回は生きたまま石像にされた人等の売買が行われる現場に出向いて、この人等を助けて欲しい。小せえ悪事に見えるけど、人の命を軽んじとんのは変わらん」
 場所は都市の一角に聳え立つ高層ビルの最上階、一帯を仕切るレイダーの応接間。丁度取引がされる現場に飛び込む事になると、鎮は告げた。
「奴隷は10人行かん程度、もう一度言うけど、まずは救出をお願いしてえ。やり方は皆に任せるよ。宜しく頼む」
 最後に鎮は丁寧に頭を下げ、皆を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。
 今回はアポカリプスヘル。
 2章からは都市内でカーチェイスしながらの戦闘になる予定です。
 
●シナリオ:章構成
・1冒険→2集団戦→3ボス戦です。

●シナリオ:ギミック等
・転送先は高層ビル周辺、奴隷達は最上階の応接間で売買されている所です。
・応接間:ガラス張りで外が一望出来る、品の良い広間。中央に硝子の角テーブルと革張りの高級ソファ。
・周辺の表通りは開けた大通りで、鍵を掛けていない車がその辺にごろごろ無法駐車されています(大体レイダーが近くに居ます)。裏路地が沢山有ります。
・侵入方法や経路はお任せしますが、既に商品の持ち込みは終わっており、売買交渉途中である事は明記しておきます。
・石化:この章で問題なく治療できます。ユーベルコードは必要ありません。
・奴隷の数は10に満たない程度、購入するレイダーはインテリアにするつもりのようです。この街にしては有情な扱いと言えるでしょう。

●その他
・1章毎にOPを作成します。
・PSW気にせず、好きな様に動いてみて下さい。
・2章以降の途中参加を歓迎しております。
・色気には期待しないで下さい。

●最後に
 なるべく遅延の無い様、シナリオを運営していきますので、
 宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『セーブ・ザ・スレイブ』

POW   :    レイダーを腕力で成敗する

SPD   :    逃走経路を探し、秘密裏に奴隷を逃がす

WIZ   :    自身もあえて奴隷となり、現地に潜入する

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

囁石灯・銀刃郎
◎人身売買はよくある話だけど、生き石像かぁ、ぞーっとする話ね。
まぁ、レイダーを潰せる機会だし、やりますか。

まずは逃走経路の確保かしらね。
とりあえずクランクバッグを無法駐車してる車に紛らせておくかな。
車が沢山密集してるのは――

はーい、こんにちは?なにかよう?
車を止める訳だし、まぁレイダーに見つかるわね。
トラック一台じゃ心もとないし、一応他にも車を用意しときたいのよ。
…とりあえず、あっちの方で話さない?(裏路地を示して)

『ミュータントブレイド』相手する時間が惜しいから、ね?
早業、細く、長く、伸ばした触手を振るい、暗殺。
纏めて適当な車引っ張ってトランクにでも詰めて隠す。これで良し。


村崎・ゆかり
随分と荒んだところね。そう思わない、アヤメ?
街ごとどうにかしたいところだけど、そうするには戦力が足りないか。
まずは今回の取引に使われる、奴隷にされた人たちを助けなきゃ。
あたしたちはマントにフードで外見をごまかした方がよさそうね。

始めるわ。「式神使い」で黒鴉召喚。ビル周辺を索敵。乗り込むのに適した自動車と当面の移動経路、周辺のレイダーの位置まで、ビル周辺を徹底的に探り尽くす。
アヤメ、自動車の運転出来たっけ?
ま、奴隷の人たちを連れ出してくれる人に期待しましょ。

黒鴉の式は事前に潜入組に見せておいて、ビルを降りたら誘導に従ってもらうわ。拝借する車の中に一羽と、その上空から監視する一羽を用意したい。


ルパート・ブラックスミス
愛機こと専用トライクに【騎乗】、更に車体から青く燃える鉛の翼を展開し【空中浮遊】【ダッシュ】。
上空から大剣を【投擲】し【先制攻撃】、ガラス破りながら応接間に突入。

その商談、御破算とさせてもらう。
邪魔立て、口答え大いに結構。端から目についた順に殺す算段なのでな。

殲滅した方が後腐れが無いが【救助活動】優先だ。
UC【贄伸ばし絶えぬ火手】による鎧から400本の【炎】属性の鉛ロープ展開、
数束ねて鞭の要領で【なぎ払い】奴隷の周囲から売買人を【吹き飛ばし】。
後は鉛ロープや短剣【投擲】【弾幕】でレイダーたちを迎撃しつつ
奴隷たちを愛機の後部座席に回収、
他の猟兵が動いてるようなら任せて逃走経路を確保し先陣を切る。


エルヴィン・シュミット
人身売買か…文字通りの無法地帯だな。
アポカリプスヘルじゃよくある事なのかも知れんが、実際目の当たりにすると気分が悪くなるな…

こんなモンはさっさと叩き潰すに限る。
【ECLIPSE】の【迷彩】と【目立たない】で潜入してから、【変装】でレイダーになりすまして…
『テメェ、何だその目は!?俺をバカにしてんのか!』
【大声】で叫び立ててから手近なレイダーを【怪力】でぶん殴る。
必ずしも猟兵として乗り込む必要はないんだろう?
だったらレイダー同士で理由もなく喧嘩を初めたことにして辺りを滅茶苦茶にしてやる。
レイダー共を片っ端から叩き潰して混乱を引き起こせば他の猟兵も仕事がしやすい…はずだ。


テフラ・カルデラ


こ…これは魅力的…じゃなくて石像にされた方々を助けなければいけませんね…
まずはこっそり侵入しつつ…石像と化した奴隷達に紛れつつも【石化ポーション】で自分自身を一時的に石化して機会を伺いましょう…
そしてタイミングよく石化から解放したら思いっきり暴れつつ相手のヘイトをこちらに向けます
攻撃されそうになれば【兎少年黄金像】で防御してもっともっと注目されます!
その間に他の猟兵さんが奴隷さん達を助けてくれると思います…


勘解由小路・津雲

仮初とはいえ人の身を得たのだが、ときに人のふるまいを理解できないときがある。……だが同時に、人はそのようなふるまいを罰する神話も残している。その振れ幅の中にこそ、人間性があるのかもしれぬな。さて、硫黄と火の代わりに、あの街に何を降らせたものか。

【行動】
ガラス張りに開けた大通り。秘密裏に近づくのは難しそうだ。だが、ガラスは温度差に弱く、すぐに曇ってしまう。冷気の【属性攻撃】で曇らせ、【式神】で屋上に移動。最上階なのは都合がいい。隙をついて【式神】で空から脱出といこうか。

おそらく全てを運び出すことはできないだろうが、まあ残りは他の猟兵たちの手に任せるとしよう。


ネウ・カタラ

痛みに耐えて救いを求めて。生きたいって願う声を
無視するなんてできないから
だから、いくよ。
かなしいヒト達の涙をとめるお手伝いに

進むのは薄暗そうな裏路地
ぐるりと辺り見渡しながら目的のビルまで
猟兵のヒトがいたら、極力協力して動く

猟兵以外のヒトは見かけてもしらんぷり
気づかれてないなら静かにやり過ごす
もし絡まれたりした時は、じぃっと観察
相手に髑髏と渦巻があれば
大きく口あけにんまり笑って
君達はわるいヒト、でしょう
それなら…食べてもいいよね?

ブラッド・ガイストで殺傷力増した大鎌を、
素早く手にし早業にてなぎ払う
痛みも騒ぎも最小限に済ませるよう、迅速に

君達が、今まで誰かにしてきたことだもの
悪く思わないでね?


レテイシャ・マグナカルタ

正義感ある感じです

●事前
女だとわかれば余計なもめ事も起きるだろうからマントで姿を隠しつつ
無惨な有様に怒りで飛び出しそうになるも堪えて目的地へ、いつか必ずみんな助けてやる……!

●突入
近くのビル屋上から様子を伺い、誰かが窓に近づいたタイミングで走って飛び出す
マントを外して翼を広げて加速! 窓を突き破って蹴り飛ばす!

●戦闘
常に石像が被害に遭わない事を一番に気を付けつつ

ソファーを片手で掴み周囲を凪飛ばしながら入口に投げつけて増援を阻止
硝子テーブルを掴んで角で殴り倒す
砕ければ次は倒れた敵を掴んでこん棒代わりだぜ

●脱出
ついでに購入代金もいただいて行く
石化とけた人達をロープで固定して地上まで飛んで行く



●女婦(めおと)鴉
「随分と荒んだところね。そう思わない、アヤメ?」
「確かに良い印象は抱けませんが、人目を憚る必要が無ければ、この様になるのも、人の性なのでしょう」
 主である、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)も、人の倫理からはズレている。指摘をしないでいると、心を読まれた様な返答が返って来る。
「あら、彼等よりはマシだと自負出来るわ」
「自覚、有るんじゃないですか」
「私は何が、とは言ってないのだけど……」
 予め放っていた黒鴉の式が集めた情報を、羽織ったフードから覗く紫蘭の瞳が隈無く走査する。勉強学習、兎角、記憶については得意分野だ。
「所でアヤメ、車の運転出来たっけ?」
「絡繰の基本を教えて頂ければ、此処なら気軽に練習出来そうですねえ」
「……ま、他の人に期待しましょ」
 にべもなく切り捨てると、アヤメが少しいじけて、そうした仕草が可愛らしいと、ゆかりは満足気に微笑んだ。
 レイダーに見つからぬよう、式の情報とアヤメを頼りに、裏路地を辿り、息を殺して身を潜める。案外こう言う単純な方が効果的だと、何処からか取り出した大きな襤褸布に2人仲良く包まって、暗がりに身を寄せる。

●クランクバック
「人身売買は良く有る話だけど……生き石像かぁ、ぞーっとする話ね」
 装甲車両のハンドルを緩やかに切りながら、囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)は、青みがかった銀眼を滑らせる。流れる景色に映るレイダー、物、そして、サイドウィンドウに、並行する一匹の黒鴉。監視役にしては、何か言いたげに視線を投げかけて来るので、窓を開けて引き込むと、助手席に行儀良く収まり、話し掛けてくる。
「ああ、お仲間さんね。それじゃ、逃走経路の確保は任せるわ。後ねえ……」
 アカシが、鴉を通じて、その主に無法駐車の密集地帯の所在を聞く。彼方にも都合が良かったようで、此処からの距離を伝え、経路を案内し始める。
「OK。助かるわ、ケヴィン」
 積載されている人工知能搭載ドローンが、音声を認識し、経路を図面化。提示する。
「それじゃあ、此処で失礼するわ。窓を開けてくれるかしら?」
「助かったわ。それじゃ、また後でね」
 ゆかりと名乗った少女の式神に別れを告げ、ケヴィンの案内に従って愛車を走らせる。低回転域の小さな駆動音が耳を打ち、僅かな振動に身体を揺らす。
 見えてきた無法駐車帯にクラッチを切りながら、シフトレバーを落とし、ブレーキを踏む。丁寧な停止動作にタイヤは悲鳴を上げること無く、静かに、他の車両に紛れて停車する。
(さあて、やりますか)
 にっと唇を釣り上げた後、にこやかな表情を作り、寄ってきたレイダー達を出迎える。彼等の殆どの言いたい事は大体想像が付く、先手を打つ。
「はーい。こんにちは? 何かよう?」
 黒髪を後ろ手で結んだ、やけに陽気な猟兵が、のんびりとした様子で話し掛けてくるという事態に、レイダー達は困惑し、顔を見合わせ、直ぐに持ち直す。
「何か用かじゃねえ、此処が誰の縄張りか知ってて言ってんだろうなぁ!?」
「まあまあ、落ち着いて、ね……とりあえず、あっちの方で話さない?」
 裏通りを親指で示すと、レイダー達はいやらしい笑みを浮かべ、了承した。表通りの大多数のレイダーが律儀に、アカシの案内に合わせ、ゆっくりと歩き出す。

●眞白の獸(その名前を口にしては、いけないよ)
「痛みに耐えて、救いを求めて」
 生きたいという願いの声を、無視など出来よう筈も無い。茫洋たる氷の瞳は気怠げに垂れているが、確かな光を宿す。
「だから、きたんだ」
 彼等の歌は確かに届いたのだ。それが呪われた眞白の獣で有ろうと。ネウ・カタラ(うつろうもの・f18543)は少々自嘲の様な考えを持ちながら、裏路地を気儘に歩く。
 肩に留まった黒鴉は同類の使い、近々他の猟兵が、トラックと共に通りがかると囁いて、空へと舞い戻る。
 絡む相手は居らずとも、細路地に有る光景は弱者を虐げる者ばかり、時には首無しの死体、ビル周辺に近付くにつれ、清潔度が上がっていくのには、首を傾げた。耳飾りがちりりと大きい音を滴らせる。やや静かな足取りと、大人数の無遠慮な足音に、足を止めた。静かに歩く方ががきっと、そうなのだろう。良く似た匂いがする。

●眞白と瞬銀
 持っていた携行用チョコバーを一囓り。背中を見せ、なるべく無害な女を演じながら、路地裏の闇へと身を溶かす。付いてくる気配を逃さないように、人目の付かない方へ、ふと視線を上げれば、見覚えの有る鴉が飛び立った。
(近くに1人、ね……有難いわ) 
 不規則で、やけに落ち着いた足音を耳に留め、不意に、歩みを止める。レイダーの武装は把握済みだ。殴り掛かる、等は無い。人の身では扱えぬ重機関銃を構え始めたのを、アカシの銀瞳は正確に捉えた。最前列のトリガーアクションに、細く編まれた鋼糸の刃が、ふわりと掛かる。音も無く、人差し指が寸断され、生々しい音を立てて地面に落ちる、と思いきや、数十に分断された肉塊が、路地裏に赤黒い影を作る。
 湧き上がる怒号、気にもせず唇を釣り上げて、それが隙だと言わんばかり、足に銀色が絡み、瞬いた。虚しく響く風切り音。二肢と胴体が呆気なく別たれる。何かを言おうとしたレイダーの1人に、ちりりと耳飾りの音が揺らぐ。
 まるで無感情な、幼い子供の様な氷の瞳。この場に於いては不気味としか言い様のない雰囲気を纏って、茫洋とした両目が、狩猟者の好奇心を伴って、彼等を覗く。髑髏の渦巻模様を確認すると、大きく口を開けてにんまりと嗤う。
「君達はわるいヒト、でしょう。それなら……」
 食べても、良いよね。
 虚ろの刃が鮮血の気配に歌い嗤う。昏い暗い所においでと首を食む。分断された頭が干涸らびて、雨も降らないのに思わず唇を舌で湿らせる。レイダーが重機関銃の掃射を再び敢行しようとするのを、纏めて三つほどを、手にした大釜で吹き飛ばす。遅れて降る紅い雨に、思わず獰猛な笑みが零れた。
 突出した先、左右からの射撃態勢に、静かに銀の糸刃が良湾に滑り込み、瞬断する。痛がりだと即座に大鎌が黄昏に手を招く。鮮血を余す事無く喰らい、干涸らびて身体が粉になり、風に浚われる。
「君達が、今まで誰かにしてきたことだもの。悪く思わないでね?」
「……トラックに積み込もうと思ったけど、そっちの方が良さそうね! その調子で全部食べてくれないかな?」
「うん……いいよ。同類の頼みだみだから、銀色のあなた」
「そっちはギンジロウ。私はアカシ。合わせて囁石灯の銀刃郎ってね。宜しく、同類ってことは、白の獸くん……で良いかな?」
「……うん、いいよ」
 静かに振るわれる異形の銀と、昏き大鎌。死体は残らず干涸らびて、残った塵を、残らず風が浚っていった。
 表通りに2人で戻り、所持者の居なくなった車両を纏めて貰う。近くに潜んでいたゆかり達がこれを機に合流し、纏めて置かれた車両を結界を展開し、隠匿する。

●ハイライズ・クライミング
「何時か必ず……みんな助けてやる」
 ヴォーテックス・シティの有様は無惨と言う他無かった。レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は怒りを抑える用に、改造マントの首元を握り締めた。青のリボンで左右に纏めた金髪を、黒鴉がふわりと撫でて、彼女に耳打ちをする。目的地付近のレイダーの集団は路地裏に誘われる事、術者の名前はゆかりという事、猟兵で有り、味方で有る事を告げ、すぐに風に乗るように飛び去って行く。
「……ありがとな」
 周囲に聞こえないように呟き、路地裏から近くのめぼしいビルを見付けると、地を思い切り踏み込み、竜翼で空力を無意識的に調整しながら、跳躍。少々勢いが足りず、ビルの壁面を2,3度蹴り、屋上から目標を見張る。異変に気付く者など、居る筈も無い。

●潜入工作(カチコミ)
(こ……これは魅力的……じゃなくて)
「石像にされた方々を助けなければいけませんね」
「文字通りの無法地帯だな。良く有る光景なのかもしれんが、気分が悪くならないと言えば嘘になる」
 エルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)は気を取り直すように、暫し金瞳を閉じ、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は顔を引き締めた。
「では、行きましょう」
「エレベーターまで行けば注意は引く。上手くやってくれ」
構造は飛んで来た猟兵の遣いが粗方教えてくれた。エルヴィンは改造した学園服の上から、偽装機能を備えた外套を羽織り、ビルに侵入する。意外にも中は清潔で、受付とは名ばかりのレイダーが1人。身形を外の連中より整えているのが、やけに不自然に映る。
 偽装外套には先ず姿を隠すよう設定し、裾にテフラを紛れ込ませ、エレベーターの近くまで誘導し、外套の機能を偽装に切り替え、エントランスのフォーマルスーツのレイダーの元へ戻る。
「……ん? テメェ何ほっつき歩いてやがる! 早く持ち場に戻らねえか!」
「何だとテメェ!? 俺が仕事をサボってる用に見えんのか!? バカにしてんのか!?」 
わざと大声を上げまがら、顔面に加減した拳を見舞う。
 レイダーの中でも、特に見下されるような見た目とした偽装は、目論見通りの効果を発揮した。流石に倒れる筈も無く、すぐさま殴り合に発展し、ビル内から手の空いた人員が群がってくる。
「テメェ等、何してやがる! 早く止めねえか!?」
「知るか、先に手ェ出したのはコイツだ!」
 何やら揉め始めたのを良い事にエルヴィンは片端から拳を見舞う。
「どうも腰抜けしかいねえみてェだな!」
「だァれが腰抜けだとテメェ!? 何も知らねえ青瓢箪の癖にフカしやがって! 良いぜ、どうせ死なねえんだ、とことん戦ろうじゃねえか!」
 群れたレイダー達の1人の顎に蹴撃を見舞い、顎を砕く。間髪入れずに横から殴り掛かってきた方には裏拳を見舞い、背後の相手には身体を入れ替えながら振り向き、勁力と体重を乗せた捻り正拳を突き刺し、吹き飛ばす。前方跳躍、吹き飛ばしたレイダーの頭を宙空で掴み、ドラゴニアン特有の怪力で振り回す。遠心力で骨肉が軋む音、膂力で頭蓋に罅が入る音を気にも留めず、痺れを切らした後続に向けて投げ飛ばす。
 怯んだ相手を挑発するように中指を立て、ついでに親指を立てて首を掻き切るサイン。血が上り、キレたレイダーが、ありったけの戦力を1Fに呼び寄せようと警報を作動させる。

●石像の兎耳
 エレベーター内に警報が鳴り響く。最上階まで使用する者は居らず、テフラは首尾良く、商品となっていた彼等に紛れ込む事が出来た。廊下に出た時点で、石化ポーションを使用し、搬入される前の商品へと紛れ込む。微かな羨望は彼等に悟られないよう、心中に仕舞う。納入が決まったのか、放置場所が悪かったのか、1人のレイダーが通りかかり、応接間へと納入される。
「納品予定の石像を此方に搬入させました。それと……1階で揉め事が起きているようですが、如何なさいます?」
「あれだけ言い聞かせても理解しないとは予想外だ……商談が終わるまでは捨て置け。後で纏めて掃除せねばな」
「は……仰せのままに」
 応接間のソファにもたれ掛かり、組織のボスと思われる大男は向かい合った優男と商談を再開する。
「さて、騒がせた。此方としても丁度欲しかった所だ。良い物を仕入れてくれて感謝しているよ。セメントというのが少々惜しい」
「これは私の趣味も兼ねていますから。まあ、そう仰るなら考えますよ。貴方はお得意様ですからねえ」
 ふと、硝子が曇っているのに大男が気付く。

●霜鉛
(仮初めとは言え、人の身を得たのだが……人の振る舞いを時に理解出来ない事が有る……だが同時に、人はその様な振る舞いを罰する神話も残している)
「その振れ幅の中にこそ、人間性が有るのかもしれぬな。さて、硫黄と火の代わりに、この町に何を降らせたものか……」 
 口元を隠すように広げていた扇を弾く。黒鴉の式神が状況報告を担ってくれているのは中々に楽だと、勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は、霊符に息を吹き込み、鳥の式に変化させ、周囲に滞空させる。
「鉛で良いなら、幾らでも降らせて見せるのだがな」
 ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、鎧姿の体内から流出する鉛を操作し、半ば融合した自動三輪に跨がり、スロットルを回す。威嚇するような高回転域のエンジン音と共に、気筒から排煙を噴かす。
「役目としては、アンタにはうってつけだな。近くに1人、突入の機を見計らっているのが1人居るそうだ。今回降らせるのは精々、霜が良い所か。俺は後続になるだろうよ。見ての通り、非力なんでな」
「嘯くのは貴殿の悪い癖だな。津雲殿」
「高く買われたもんだ。さて、やるとするか」
 小さな鳴き声と共に、亀の四神が錫杖に姿を変え、津雲の掌が軽く握る。同時に錬成された大量の霊符が五芒星を描き、茫洋と光る。
「急急如律令!」
 高層建築の下方から霊力によって紡がれた冷気が包み込み、見る見る間に最上階へと這い上がる。頃合いだと停止させていた三輪の動力を本格的に起動させ、愛機に鉛の翼を生成する。

●突入
 スロットルを開く度に、動力が唸る。排気筒が歓喜の悲鳴を上げながら、宙空を車体に生えた鉛の翼が割り開く。壁を沿うように、垂直に風を切り、動輪が虚空を蹴る。飛行とも、跳躍とも、走行とも言い難い疾駆。然し、明確に風を切る感覚のみを、鎧の身体を通して伝わってくる。
 目標の最上階に達し、腕を振り上げるようにし、前輪を浮かせ、勢いに任せ、曇った硝子を叩き割る。兜の隙間から、飛び散る数多の硝子結晶を捉えた。
「その商談、御破算とさせてもらう」
 同時に、他の場所の窓硝子が割れ、金髪の少女が乱入する。緊急事態に席を離れたオブリビオンを尻目に、ソファを引っ掴んで手近に居た優男を薙ぎ払う。入り口付近に居た長身の男ごと、魔力強化された膂力でソファを投げ付け、吹き飛ばしながら、入り口を封鎖する。
「 邪魔立て、口答え大いに結構。端から目についた順に殺す算段なのでな」
「てめえ等全員、骸の海に送ってやるからよ。覚悟しな!」
 機が巡って来たとテフラが石化を解き、入り口に飛ばされた長身の男をついでに杖で思い切り殴打する。健在となったのは、組織のボスのみ。階下の騒動は現在も続いているが、増援を呼ぶ経路は断たれている。
「我が血肉は在りし形を手放し。されど…捕えし贄は放さず!」
 400の鉛で形作られたロープが、生き石像とされた10の石像を捉え、後部座席に収納する。このまま消えるには不安が残ったが、上階から霊符で作られた鳥の式神が、きっちりと彼等に対してクッションと支えを作る。
「成程、猟兵と言うのは、上手く動くものだ」
「偉そうに言いながら、テメエ、全っ然、動いてねえじゃねえか」
 レティシャが、倒れた優男を引っ掴み、スーツ姿の男を思い切り薙ぎ払う。
「何、この程度の商品は幾らでも提供者が居る。面子は多少潰されたが……まだこのビルで、俺が保有しているかも知れない石像を、全て壊す様、指示を出すか」
「テメ……っ!」
「寛大で結構なこった。まだ有るってなら、全部頂いていくとするか。なあ?」
 津雲の言葉に怒りを抑え、レティシャは一先ず応接間を後にし、ルパートも宙空を降る。津雲は式神を駆使し、黒鴉と情報を交換しつつ、ビル内を隈無く漁る。テフラも其方に奔走する。
「精々足掻く様を楽しませて貰おう。営業人、契約不履行だ。責任を取って貰おう。全ての人員を使い、取り戻してこい。終われば好きな報酬をくれてやる」
「分かってますよ……あいつら全員、固めて纏めて献上してやる……! 糞猟兵共が!」

●救出
 ルパートの抱えた石像は、地上に降りた際に式神に込められた霊力で石化が解け、すぐさま、調達した車中に乗せられる。
 折り返し猟兵が突入すれば、1階に集中した戦力に、テフラはまず、自身が黄金増になることで、敵の目を潰しつつ、注意を引く。その隙に、エルヴィンとルパート、レティシャの3人で手早く敵戦力を薙ぎ払い、事情を説明する。
 迅速な行動絶えず式神によって情報収集をしていたゆかりの功績も有り、ビル内に設置された石像の石化を解除し、全ての住民を解放する事に成功したが、中には経年劣化で片腕を失った様な物も居り、レティシャは強く奥歯を噛む。
(野郎、次会った時は許さねえからな……!)
 全員をそれぞれの方法で運搬し、隠匿結界に包まれた車両群と合流する。
「脱出ルートは割り出しているわ。運転出来ない人、戦えない人は彼女のトラックへ!」
 全員の乗り込みとエンジンの始動を確認すると同時に、隠匿の結界をゆかりが解く。
「口は閉じたかな。舌噛んで死にたくはないよね?」
 返事を聞いて、アカシがペダルを踏み込む。トラックを筆頭に、車両の排気筒が立ち上り、悪徳の都を駆け抜ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『彫塑略奪者『セメントアタッカー』』

POW   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●凝滞転輪
 レッドゾーンギリギリの回転域で、エンジンが悲鳴染みた駆動音を響かせる。吸気と排気の繰り返しは息を切らさぬ鉄の呼吸音。化石燃料を循環させる度に、鋼の心臓が脈を打つ。汗の代わりに、気筒に余った水蒸気が、無法のアスファルトを湿らせる。
 逃走経路のハイスピード・ドライブ。それを猟兵達は躊躇無く実行する。人質達には舌を噛まない様に注意し、掛かる衝撃を、出来る限り最大限に和らげる。
 車幅の有る四輪は、二輪に比べ、逃走経路は限られる。入れる路地には限りが有り、細道は小回りが利かず、何方かと言えば不利と言える。必然、ルートはそう変わった物を選べない。
 この環境下で暴走行為を働けば、視認されるのは時間の問題だ。加えて、ビルに居た商売人による追撃は迅速と言って良かった。情報提供、討伐に関わらず猟兵に懸賞を掛け、情報を徹底的に浚いながら、ありったけの勢力を投入した。
 彼等に限らず、幾つもの車両が猟兵達の車両に目星を付け、商売人の一団がとうとう、猟兵達の八方を塞ぎ始めた。
「テメエ等の所為で俺の信用と面目は丸潰れだ。その身体で全部支払って貰う。なぁに。気に入ったら、生かしてやるよォ! 商売道具としてなァ!」
 怒りに塗れた挑発、従えるのは何れも似た容姿の金髪碧眼。腕と一体となった規格外の大口径砲はから射出されるのは、生きたまま人を石像と化す狂った水泥が詰められた大型砲弾。
 機動砲撃を掻い潜るか、相手の車両に取り付くか、はたまた罠を仕掛けるか、猟兵達は各々考えを巡らせながら、状況を如何に打破するか、頭を回す。

●状況把握
 猟兵達は奪取した車によって逃走経路を疾走していたが、詰まる所、相手の対応は迅速だった。総合的な地の利、巨大都市に住まうのが全てオビリビオン故に、情報収集役には事欠かず、獲得も扇動も容易い。
 逃走経路はほぼ完全に包囲され、大半に待ち伏せがされている状況だ。勝利を確信した商売人が何らかの手段で猟兵達を挑発してきた、と言う状況だった。
 車両に乗り込んでいる主要敵オブリビオンはセメントアタッカー。水泥入りの砲弾での攻撃を主とし、足を止めれば集中砲火、疾走するならば追従しての機動射撃戦を主とするだろう。
 情報を浚え、纏め終わると、改めて猟兵は状況打破を思考し、行動を開始する。
エルヴィン・シュミット
よっしゃ、作戦の第一段階はクリアしたみたいだな。
とはいえ、ここからが本番って所か。

俺はUCを使って車両と並行して援護する!
俺がマジになればそこいらのクルマとは桁違いの速度で翔べるからな!

車両と並行して翔びながら追撃してくる奴らを【怪力】と【重量攻撃】、【薙ぎ払い】を駆使して片っ端から叩き潰す!
何なら運転席ごとふっ飛ばしてやってもいいんだぜ?
奴らのセメント銃は【見切り】と【野生の感】、【第六感】も使って避けていくぞ。
あんなモン引っ掛けられたら落とす落とさないの問題じゃなくなりそうだしな。

『さて…テメェらに俺が捕まえられるかな?飛ばして行くぜ!』


村崎・ゆかり
このまま逃げ続けるのは難しいわね。
地の利が彼らにあるというなら、その前提を変えましょう。
「結界術」浄玻璃紫微宮陣、最大規模で展開!
敵の行く手を遮り、視界を塞ぎ、迷い込んだオブリビオンは薙刀で狩る。
出口の位置は偽の出口をあらかじめ用意しておいて、あたしたちが近づいたら偽の出口を閉じ本当の出口へ。
これでかなりのオブリビオンは撒けたはずだけど、まだ集まってくるなら引き続き紫微宮陣で足止めにかかるわ。

陣の外の様子は、黒鴉召喚の式で把握を継続。こちらが袋の鼠にならないように。
遅れてる人はいないわね? それじゃ一気に突っ切りましょう!

前方に火力が必要なら、九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を叩き込むまで。


勘解由小路・津雲
ふむ、敵地のど真ん中だけあって、八方を囲まれつつあるのだな? 運転は任せられそうだし、おれは後を担当しようか。

【作戦】(逃走しながらの戦闘を想定)
【エレメンタル・ファンタジア】で氷属性の雨を降らせる(あくまで液体の雨)。そして後方に向け、【属性攻撃】で路面を凍結させ、事故を誘発させよう。さすがに氷結対策はしておるまい。まあそれはこちらにもいえること、ゆえに後方に限定せざるをえないがな。なに、頼りになる仲間もいるから、他は任せるとしよう。

 敵の攻撃は、降りしきる雨に【結界術】と【浄化】で水行の結界をはり、石化能力の無力化をはかろう。こちらの行動は全方位、かつ車を止めての戦闘にも対応できるだろう。


テフラ・カルデラ


予想はしていましたがやはり大変な事になっていますね…
向こうがそうであればわたしも同様のことをするまでです!
人質を巻き込まないところからユーベルコード【サイキックブラスト】で相手が行動に移す前に麻痺させたり、相手と同じ武器である【セメント噴射器】を使って石像…どころかドロドロまみれのオブジェに変えてやりますよ!
(やられフラグについてはお任せします)


ネウ・カタラ
あっちもこっちもわるいヒトの群れ
人気者で、こまっちゃう、ね?

乗り込んでいた車両の荷台から、後方を眺めつつ
呟きと共に大鎌から衝撃波を放ち
追っ手のヒトや車両を斬り伏せ逃走経路の確保につとめる
水泥や砲弾は出来る限り見切りで躱すけど
どうしようもない時は、大鎌を盾代わりに

ああ、それにしても
飛び交う罵声や怒号
こえが頭にひびいて、とてもうるさい
…あたまでも、冷やしたら?
募る苛々と共に氷呪血槍を展開

これだけ沢山。よりどりみどり
おいしくなくても、おなかの足しにはなってくれるでしょう?

多少の無茶も、承知のうえ
だって助けにきたんだもの、ね
負けてなんか、してやらない

追っ手へ、はれやかにわらって
ねぇほら、次は、誰の番?


囁石灯・銀刃郎
トラック運転
安々とは逃げ切れないわよねそりゃ。

信号拳銃で車の窓から榴弾を発射。近付いてきてた敵車両に目潰し
石像を思い出させるようで悪いけど―
『銀衣の旅人』車を水銀で覆い加速ダッシュ
かなり揺れるから、死にたくなかったらジッとしてなさい。
運転任せた。

人工知能に運転を任せ車の上に早業で跳び移る
足元固定。水銀でトラックの中も固定。

よく見える。
道先、バリケードに向かって、水銀のジャンプ台を作って跳ぶ
水銀を衝角の様に形成、螺旋状に回転、敵のセメントを弾き、バリケードに突撃、吹き飛ばして突破

レイダー相手に加減なんていらないもの。…大盤振舞。
破壊工作、バリケード突破時、左右の敵へグレネードを投げ置いて範囲攻撃


ルパート・ブラックスミス

怯えて諦めたならば今回は見逃してやるところだったが…
よくもまぁ態々来てくれたものだ。
先に言ったぞ。目についた順から殺す算段とな。

【騎乗】する愛機(専用トライク)をUC【荒狂い破滅齎す戦車】形態に変形。
己の意のままに動く短剣に燃える鉛を付加【武器改造】。

塞がれたなら開ければいい。単純だ。

【先制攻撃】で短剣【誘導弾】の【投擲】【弾幕】。
牽制に加え噴射器銃口を塞ぎさらに燃える鉛で噴射器の内部機構を熱で歪める【武器落とし】を狙いつつ
突撃、轢殺しつつ逃走経路に突破口を開く。

人質たちの乗った車両に敵の砲弾が飛ぶなら【かばう】。
大剣で【武器受け】と燃える鉛による【焼却】で無力化しよう。


レテイシャ・マグナカルタ


うじゃうじゃ沸いてきやがるな
オレは後ろから折ってくる奴らを少しでも潰して回るか

はぐれないように十分な長さのフック付きロープで自分と車を繋いでおき、後方の車へ向かって跳ぶ!
飛んできた泥はマントを広げ防ぐ!
敵からすれば泥を防がれても単身乗り込んでくれば袋の鼠だと思うだろうが……甘めぇよ! 誰が乗ると言った!
無意識に常に体に張り巡らされている魔力、それを右手に集中させて
「ぜりゃあああぁっ!!」
一台を真っ二つに上手くけば障害物にもなるだろ

その後はボンネットを引っぺがしながら翼を広げて車に引っ張られ凧のように飛ぶ。
他の車からの泥はボンネットを盾代わりにしてまた突撃して車を両断していくぜ


エア・ルフェイム
話は聞かせて貰ったので!
エアちゃんとロン君も助太刀参戦ッ!

動かせそうな単車か二輪見繕ったら、
聞き耳と追跡と自分の目と感を頼りに追っかける

道中もし現地の人と会えたら
持ち前のコミュ力使って出来る限り情報収集しとく!
どんな些細な事でもOK!
何か役に立つかもだから!

敵見つけたら、エンジンフルスロットルで近づいて
ねー!エア達もまーぜーて!

ご挨拶代わりに蒸気銃型ガジェットの熱い弾丸をお見舞い
余裕があれば車のタイヤを狙い撃つよう試みて
少しでも意識反らせたなら
ロン君、お待ちかねのショータイム!
黒猫狂想曲で巨大化したロン君で、敵だけをぼこすか攻撃
油断してると痛い目みるんだから!

逃げる迄の時間稼ぎは任せといてネ!



●畏れの所以
「話は聞かせて貰ったので、エアちゃんもロン君と一緒に助太刀するよっ!」
 事前に貰った資料を、お気に入りの電子端末に入力し、粗方の事情を把握したエア・ルフェイム(華焔・f02503)は、転送先周辺の慌ただしさに、大きな緑色の瞳が、楽しげに煌めいた。
 派手な表通りも気になるが、影で動く物が居ないかと路地裏に似合わぬ軽快な足音を響かせ、紛れていく。少しでも幅が有れば、スパイク付きの二輪に乗ったレイダーが、高揚の侭に声を上げながら、荒い運転でセミショートの赤髪を勢い良く揺らして、情報に無い猟兵、エアを視認する事無く、駆け抜け、通り過ぎる。
 徒歩で情報収集を主に役目としている者達が、偶に通り掛かり、小声で何事かを話し合う。時に通信機を使用する。動作を何となく把握していると、不意に、服の裾を掴まれ、視線を遣る。黒い襤褸布を被った小さな手が、微かに震え、顎の震えに、歯が幾度も噛み合って、かちかちと僅かに音を立てる。無理に絞り出した声、首元の拘束具、怯え切った瞳、服の裾を引っ張った手を取って、エアは不安を掻き消す様に微笑んだ。
 一度手を離し、屈んで目線を合わせ、首輪に触れる。彼が焼けぬよう、炎の膜で包んでから、掌に宿した超高温の焔で、仕込まれた逃走防止機構ごと、灰に帰す。
 異変に気付いた飼い主が怒号を上げると、狭い路地で、子供は喉からか細い悲鳴を漏らし、その場から動けなくなるが、その時には既に、間合いを詰めたエアの蹴撃が、男の顔面を捉えていた。
「先手必勝って言葉、知ってるかな?」
 相手によっては無駄になる恫喝をする暇が有るのなら、四肢の一つでも叩き込む方が効率が良い。戸惑う子供に、ロンと名付けた絡繰りの黒猫を操作し、子供の傍で護衛させ、自身は気絶したレイダーを子供の見えない所まで引き摺って行く。
「ちょっとの間エアちゃんと仲良くしてくれると嬉しいなー!」
 意識を取り戻させたレイダーに、満面の笑顔を見せながら、指の一本を折る。汚い悲鳴が響く。
「轡とか有れば良かったんだけどねー、贅沢は言えないよネ!」
 極めて明るい口調の侭、二本目を折る。悲鳴が響く、知っていることを話して欲しいと要求するも、男からは悪態のみしか聞こえず、五指全てをへし折った。
「仲良くしたいんだけどナー」
 残った五指を順に折る。慣れて来たのか薄ら笑いを浮かべながら、路地に唾を吐き捨てた。ゆっくりゆっくり、触れた先から高熱で身体を炙る。焼却を通り越して、皮膚が溶解し始めたのを目の当たりにして、いよいよ、喉を引き攣らせた悲鳴が上がる。
「あの子にも同じ様な事してたんだよネー? エアちゃんもさー、キミと同じでね、死んだ方がマシって思える方法、幾つか知ってるんだけどー……仲良く、したいナー?」
 本人の好悪に関わらず、羅刹の本性が、この街には誂え向きだ。悲鳴混じりの了承の意。何度も首を縦に振りながら、恐怖に駆られた瞳が仇敵の友好要求を呑む。
 情報を引き出し終え、生気の無くなったレイダーを引き連れて子供の元へ戻る。
「ロン君お留守番ありがと! それじゃあ行こっか。またネー!」
 子供と仲良く遊ばせていた絡繰り仕掛けの黒猫に礼を行ってから、、レイダーに明るい調子で別れを告げると、怯えた様子で逃げて行く。幾つかの情報と、自動二輪の宛てを付けたエアは、子供の手を引いて、路地裏を後にする。

●露払い
「作戦の第一段階はクリアしたって所だが、ここからが本番って所か」
 白銀の鎧を纏い、早々に高速での併走飛行を開始したエルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)は側面から襲撃するレイダー達を一刀の元に黙らせる。飛行によって生まれる運動エネルギーにドラゴニアン特有の怪力を乗せた凶悪な一閃、特別な加護を持たない、丈夫な片手半剣が、力任せにレイダーの身体にめり込み、骨ごと押し斬る。
「さて…テメェらに俺が捕まえられるかな?飛ばして行くぜ!」
 主を無くした自動二輪が転げて間を作り、距離を取るレイダーの車両を纏めて薙ぎ払う。滑らかさとは遠い断面、千切れたように首が飛び、白銀に鮮血の雨が舞う。
「あっちもこっちもわるいヒトの群れ」
 ネウ・カタラ(うつろうもの・f18543)は華を数度ひくつかせ、乗り込んでいた車両の荷台から、後方を一瞥し、ゆらりと立ち上がる。
「人気者で、こまっちゃう、ね?」
 楽しそうに口角を釣り上げ、手にした大鎌を一閃。生じた風刃が、回避の間に合わなかい後方の追撃者数人の身体を二つに裂く。自由に動けない事に不満を感じ、しなやかな動作で荷台の上に飛び移る。突風が短い白髪を踊らせ、黒の外套が忙しなく棚引いた。
「予想はしていましたが、大変な事になっていますねー……制圧放電が良いでしょうか?」
 魔力集中を終えたテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)が、両の掌を広げ、トリガーに手を掛けたレイダー全てに放電、感電により麻痺させる。
 それでも間に合わなかった分をネウが宙空で大鎌を振るい、切り落とした。纏わり付く粘性の液体に眉を顰め、血振るいの要領で払った。弾速は脅威では無いが、問題は量だ。
「うじゃうじゃ沸いてきやがるな」
 予め車両に引っ掛けたフック付きロープを頼りに、レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は痺れで攻めが停滞したのを好機と車体を蹴って跳ねた。肉体に無意識に張り巡らせている魔力を操作し、掌に集中する。
「ぜりゃあああぁっ!!」
 気合と共に力任せの手刀一閃。唐竹に叩き込まれた大型自動二輪が、乗り込んだレイダーごと斬断する。行き場を失った電気系統が火花を散らし、燃料に引火、爆発を引き起こす。
「……キレイな花火だね」
「バカ言え、汚ねえ花火の間違いだろ」 
「同感だな」
「どっちでも良いと思いますがー……」
 軽口を叩き合いながら、各自、状況に応じて護衛を続行していく。

●ポップコーン
「怯えて諦めたならば、今回は見逃してやるところだったが……」
「そりゃあ、面子潰されて易々と逃がす訳無いわよね」
 囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)はサイドブレーキを引き、クラッチを切る。荷重移動に合わせ、ハンドルを的確に切り。車体を滑らせる。最低限の減速による高速ドリフトを実行しながら、大口径の短身銃を取り出し、榴弾を装填、一瞬で狙いを付け、引き鉄を引く。低弾速で撃ち出され、着弾と同時に信管が作動、逃げ遅れたレイダーを車両諸共、高熱を伴った弾殻が拡散し、衝撃と共に焼き尽くす。
黒い円盤型のAI搭載ドローン、ケヴィンに運転を任せ、車体の上へ、一挙動で跳び移る。
 ケヴィンは連携して動く車両にアクセスし、動作をクランクバックと同期させ、トレースさせるよう、プログラムを奔らせる。
「よくもまぁ態々来てくれたものだ」
 追走するルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は合わせて愛車のハンドルを切りながら、間を埋め、照準を向けるレイダーに、燃える鉛を纏わせた短剣を操作し、銃口に投擲する。高温の鉛が砲の内部に浸透し、熱で形状を歪め内部機構が狂ったまま、トリガーを引く。ハンマーに叩かれた砲弾が砲身の中で暴発し、爆発。噴煙から抜け出した短剣が次の獲物目掛け、高速で飛来する。、
「先に言ったぞ、目に付いた順から殺す算段だと、な」
 他の猟兵とあわせ、砲弾は射出する前に対処して行けば良い。漏れがあれば都度迎撃、適宜起こる爆発の轟音と煙に紛れれば、多少の時間は稼げる。
「鎧君、やるねえ。やっぱり此処だと良く見える。改」
 ルパートの手際にアカシが口笛を吹く。ナノマシンを一部励起。足裏のみを水銀に変化、半固体として固定し、徐々に広げ、クランクバックを水銀で覆い、追走する車両にも水銀を纏わせ、装甲を強化する。
「石像を思い出させるようで悪いけど……」
 銀の装甲で覆われた車両群が、猟兵の援護を元に逃走経路を突き進む。

●夜天宮
「地の利が向こうにある以上、逃げ回っても同じ事の繰り返し。イタチごっこも良い所ね。前提を変えないと」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)はアカシの調達したクランクバックの中で黒鴉を頼りに状況を把握していく。不安がる住民達にアカシの水銀が注ぐが、それがソファを形成し自身を固定すると、敵意が無い事に胸を撫で下ろした。
 予め渡していた通信符で伝達、多重五芒星を愛用の霊符で車内に描き、霊力を通しながら、九字の印を切る。一つ切り終わる度に多重五芒の一角が淡く光を灯し、白一色に一筆書きの星が灯る。大本の魔法陣に霊力を注ぎ込み、宮内の構造を思い描く。
「青龍、白虎、朱雀、玄武、勾陳、南斗、北斗、玉女。急急如律令! 天に坐す北辰と傅く二十八の星宿を今この大地に降ろし、星界の彷徨のいや果てに、不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
 一際強い発光と共に、最大規模の結界術によって、世界が清浄な星空に区切られる。入り口は一つ、出口も一つ、経路を知るのは猟兵のみ。地の利は断たれ、追走するレイダー達が、破魔と玄妙な霊気の気配に足を止める。
 疲労感を誤魔化す為に深く息を吸うと、傍に居たアヤメが、大量に吹き出した汗を拭う。彼に付けていた黒鴉一羽を解く。

●北極星に霧の雨
「おっと、成程ねえ。余裕が無えから、後はこっちに任せるって事だな。然しまあ、良くやるもんだ」
 作られた結界の広さに勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は感心しながら、彼女の描いた法陣にも似た地図を霊符に込め、式神として飛ばす。ほぼ全員が屋根上に居る関係で、伝達自体は簡単に済む。迷宮構造の把握を済ませ、ケヴィンは画像データとして視覚センサが走査し、読込と記録を終わらせる。細かな調整は近くの式で指示を伝達する様だ。星空の迷宮にライトを照らし、ルートマップを作りながら、手筈通りに走行する。
「二十八宿か、此処は俺達にとっちゃあ都合が良い。バン・ウン・タラク・キリク・アク」
 宙空で五芒星を描く。話し掛けられた玄武が応える様に錫杖に身を変える。
「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女。此処に張り巡らされた霊力のお陰で、随分と楽が出来そうだ。派手にやろうぜ、玄武」
 九字切りを終え、錫杖を一薙ぎ。迷宮に雲も無く、夜天より、さあさあと声を上げて霧雨が降る。優しい墨色の地面がゆっくりと湿り気を帯び、徐々に堆積して行く。
「一応、中を探っておくか」
 霊符を祭祀服の袖から作り出す。地面に落ちるはずのそれが、はらはらと宙空を舞い、次第に折紙の様な鳥に変わり、星空を舞う。千里鏡に映し出される風景を注視する。

●塗り変わる風景
「急に夜になっちゃったネ。大丈夫?」
 サイドカー付きの二輪を走らせながら、助けた子供を乗せ、エアは迷宮内を宛てなく走らせる。事態に付いて行けているか確認すると、小さく、だが確りと頷いた。
「オッケー! それじゃあ飛ばすよー!」
 配置情報等も手に入れたが、この状況では役に立たず、術者は十中八九猟兵であると考えれば、解除を待つのも手だ。ならば、穏やかな霧雨が、澄んだ綺麗な夜空に振るこの空間を楽しみながらのドライブも、ロマンティックと言って良いだろう。
 そう考えながらも、緑の瞳が敵影を捉える。子供に断りを入れ、すぐさま頭を切り替え、スロットルを開け、急加速。
「ねー! エア達もまーぜーてー!」
 蒸気銃型のガジェットに自身の力で熱を通す。魔導技術で作られた極小のボイラが稼動し、機構を励起。込められた弾丸に焔を纏わせ、照準を滑らすように定めてのクイックドロウ。焔に包まれた弾丸が、二輪乗りのレイダー達を撃ち落とす。注意が此方に向いたのを良い事に、車体を急旋回、逆側に逃げるように走りながら、動輪を狙い撃つ。
「ロン君、お待ちかねのショータイム!」
 相棒の黒猫を模した絡繰が巨大化し、二輪に乗車したレイダーを前足で叩き潰し、蹴り上げて破壊する。霧雨に黒い毛並みが薄く濡れる。
「本当は時間稼ぎだったんだけどネー」
 ぼやいていると、はらりと式神が肩の上に留まり、浮き上がる魔力光が、迷宮の構造を知らせてくれた。今の位置を確認する。
「オッケー! エアちゃんこのまま撹乱しながら敵を叩けば良いんだね!」
 巨大な絡繰りの猫が、レイダー達を殴打していく。

●状況流転
 敵の位置を把握するなり、津雲は片端から路面凍結を起こし、事故を誘発させ、機動力を残らず削いでいく。偶に降り注ぐセメントの砲弾は、霧雨に含まれた浄化結界が無効化し、霧散する。少々遠目の場はエアが黒猫で潰して回り、此方に来た者をエルヴィンの剣が砕き、テフラのセメント噴射機が敵の動きを止め、レテイシャが拳を叩き込む。仲間が減少して行くにつれて、段々と怒号が大きくなり、玄妙な星空に似合わぬ騒音が増加する。ネウが次第に嫌悪感を露にし、言葉を紡ぐ。
「きみの命で、みちて、満たして……これで、頭でも、冷やしたら?」
 620の氷槍が、幾何学模様を描きながら、宙空を飛翔しながら、気紛れにレイダーを殲滅する。残らず血液を吸い取り、干涸らびた身体に霧雨が虚しく注ぐ。還元される血液、消える騒音に、白貌に晴れやかな笑みが浮かぶ。
「ねえほら、次は、誰の番?」
 多少の無茶は承知の上、助けに来たのだから、負けることは許されない。
「幾らでも。まけてなんか、やらないから、ね」

●跳躍突破
 出口の近くに1つの扉、残った追従者はエアと猟兵の板挟み遭いながら、出口は奴等が知っている筈と、巨大化した黒猫の絡繰から逃げながら、猟兵に追い縋る。黒鴉で外の様子を探っていたゆかりが、先にバリケードが有る事を通信符で告げる。夜天の迷宮の出口が近付いた所で、アカシが車体に水銀で衝角を形成する。
 打ち合わせ通り、偽の出口に敵を誘導し、閉鎖。自分達は本来の出口へ、結界に閉じ込め、出口の先に橋を架け、ルパートとアカシは準備を終える。
「成程、誂え向きだな。借り受ける」
「どうぞ、レイダー相手に加減なんていらないもの。大盤振舞よ」
 水銀で覆われたクランクバックと、鉛で覆われたルパートの愛機がバリケード目掛けて跳躍、夜天の空を突き抜け、銀の橋を渡り、蒼空を舞う。
 クランクバックの形成された衝角が螺旋状に回転し、敵を宙空から掘削、降り注ぐセメント弾を弾き、持て余していたネウの氷槍が砲弾と相打ち、ルパートの短剣が射出を阻む。着地と同時に破壊音、バリケードの先に群れる四輪。その悉くを銀の衝角と、ルパートの車体が破壊する。繰り出す歩兵を、合流したエアを含め、残った猟兵が迎撃し、アカシがピンを抜いたグレネード二つを左右に放る。甲高い音が数度響き、数秒後に轟音と共に爆煙が上がる。
 面子を潰された商売人が恨み言を叫び、焔の中に包まれ、躍り出たレテイシャが、手刀で首を飛ばす。
 猟兵達が包囲網の突破を成功させた矢先に、不自然な倒壊音が鳴り響く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『荒野の王』

POW   :    覇王の刻印(ロード・オブ・ハイペリア)
全身を【覇王の刻印のもたらす超重力の力場】で覆い、自身の【混沌の荒野を恐怖で統治し、秩序を築く意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    この私こそが我が軍の保有する最強の力なのだよ
【戦車砲を軽く弾き返す無敵の肉体と反応速度】【伝説の黙示録CQCと冷静沈着な判断力】【片手に持った支援重火器による激烈な弾幕】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    殲滅が望みならば応えよう
【執務を行う陸上戦艦“凱王”を殲滅形態】に変形し、自身の【持つ統治者としての最後の慈悲の一欠片】を代償に、自身の【指揮する機甲死人大隊と試作超能力強化小隊】を強化する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は才堂・紅葉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●果て無き野心
 男はかつて、荒野に一大勢力を築き上げ、そこに秩序を齎した。それを天命とし、勢力を拡大し、この都市へと行き着いた。恐怖によって築かれた秩序と、ただ圧倒的な軍事力。無慈悲な人体実験を糧とし、自身の肉体を最強の保有戦力と嘯きながら、築き上げたそれ等は、ヴォーテックス・シティにしてみれば、一勢力に過ぎないと言う事実に、男の自負が倒壊し、野心が轟々と渦を巻いて膨れ上がる。
 この都市を手にするのだと。渦巻いた野心が、この都市で生んだ化物を稼動させる。自らが居るビルに取り付き、根元から八本脚の関節が、自身の根城であった高層建築締め上げ、瓦解させる。
「音声認識は良好。試験稼動には良い口実だ。勢いの侭制圧出来れば良いが。彼等は何処まで護り切れるものかな? いや、彼等の正義の手伝いだと褒められて良い行いだなこれは」
 超大型多脚戦車の上で、大口径の砲門が辺り構わず災禍を撒き散らし始める。都市部の一角を炎と硝煙に染めながら、荒野の王は猟兵達を嘲笑う。

●状況整理
 ヴォーテックス・シティの一角に、一際大きな黒煙と炎が上がる。取引をしていた高層建築の主が、戦車よりも遙かに巨大な多脚戦車に乗り、見境無く砲撃と追撃を開始した様だ。レイダーも人間も巻き添えにする無差別砲撃、多脚による三次元高機動力を活かし、高速で移動しながら、周囲一帯を炎の海としながら進軍する。目的は不明、自棄にも見える。
 多脚戦車には重火器が過剰と言えるほど搭載されている。主砲となる無反動砲が2門、ガトリングが副砲として4門、格闘戦用の間合いを想定した火炎放射器が2門。格闘戦用に、収納可能なショート・ブレードが8本の脚に1本ずつ。操作は基本音声認識の様だ。目に付く者を皆殺しと言う訳でも無さそうだが、周囲に構う筈も無く、オブリビオンの目的も不明瞭だ。
 猟兵は逃走経路と、鉄製の巨大蜘蛛、そして逃げ惑う人間達を見比べ、手を差し伸べる範囲を考えながら、行動を開始する。
エルヴィン・シュミット
親玉のお出ましか…
奴を潰さねえとここからは逃げ切れんだろうな。

奴に小細工が効くとは到底思えん。
真正面から仕掛けて他の猟兵達が攻撃できるだけの隙を作れるか試す以外に無いか…!

とにかくユーベルコード発動!
真正面から【怪力】【グラップル】で殴りかかる!
【見切り】と【野生の勘】で相手の動きをよく見て可能な限り確実に殴りつけ、雷撃で攻撃する!
どうやっても反撃は受けるだろうからそこは【気合い】と【覚悟】と【激痛耐性】で押し通す!
俺だけでどうにかなる相手じゃねえ、他の猟兵の為にも出来るだけ持ちこたえたい所だ…!

『ここが本気の正念場だ、全開で行くぞ!』



●業火の街に降る稲光
「親玉のお出ましか。奴を潰さねえとここからは逃げ切れんだろうな……」
 エルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)は追走してくる鋼の蜘蛛と、上がる火の手に、トラックの上で独りごちる。救出に奔るにも、逃走するにしても、足止め役は必要だろうと、鎧の下の瞳孔が開く。
「奴に小細工が利くとは思えん。俺だけじゃあらゆる意味でどうにもならんだろうが、正面から殴り合って気を引こう」
 ぶっきらぼうな伝達を終え、魔力変換。騎士の鎧を解除、同時に竜血の覚醒を促進させつつ、翼を蒼空へ向ける。矢弓の如く飛翔する。
 見開かれた金瞳は元々そうであったかのように、爬虫類のそれを宿し、骨格が人のそれから竜の物へと筋肉の肥大化に追い縋るように骨格が変形、5メートルもあろうかという巨体が、雷光の如き光を纏う。遙か上空から竜の瞳が鉄騎に乗る砂色の大男を捉え、咆吼と共に竜の尾を棚引かせ、稲光が、業火渦巻く都市に落ちる。
「大仰な果たし状だな。だが、好ましくもある。此方に構うな。。お前はそのまま、好きに暴れていろ」
 指示を受けた鉄蜘蛛の制御系が飛び立った大男の指示に従い、半自律モードに切り替わり、轟音を響かせては、建物に取り付き、瓦解を助長する。
 様子を一瞥しながら、覇王の刻印が仄かに灯り、超重力の力場を発生させ、反発を許可し、降る雷を真っ向から受け止めんと、超速で跳躍する。当然のように音を置き去りにするそれを、エルヴィンは勘だけで感じ取る。
「当たるべき所を間違えているとは思わんか? 私はお前達と向いている方向は同じなのだがな」
 互いの衝突に、蒼空に耳を塞ぎたくなる轟音が鳴り響く。互いの繰り出した雷撃の籠もる巨大な爪撃を受け止める。当然のように傷一つ付いておらず、エルヴィンは舌打ちと共に返しの一打を捌きながら離脱。敵の言葉は聞き流す。
「此処では石像の方が長く生きられる。保証しよう。全ては、私がヴォーテックス・ファミリーを打ち倒し、秩序を打ち立てるまでの間だ。有情だとは思わなかったか、お前が叩きのめした1階の連中は皆、小綺麗な格好をしていただろう? あのビルの近くは、他に比べて清潔だったろう?」
「良く言うぜ。何であんなに怯えてたんだって話だ」
 彼等の増援は確かに、何かに怯えていた。清潔は規則の様な物だったのだろう。死なないオブリビオンが恐れるのだから、目の前の男の懲罰は、常軌を逸した物だと容易に想像出来る。
「恐怖は秩序を敷くにあたって不可欠な要素だ。恐怖無くして統一非ず。私は彼等の無秩序が許せんのだよ」
「手前ェの事を棚上げて良く、口が回るもんだ!」
 閃光となって絡み合い、衝撃と轟音を蒼空に撒き散らしながら、巨体の身体に重力入りの拳が幾度も叩き込まれ、持ち前の怪力と技術でいなし、それでも伝わる痛覚を歯を食い縛って気合で耐える。出し惜しみは命取りの超高速飛行戦闘を、エルヴィンは凌いでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

レテイシャ・マグナカルタ


とんでもねぇモン出してきやがったな
車を襲う軌道の瓦礫等は全て拳で打ち砕いて救助者を守りながら
車が跳ねるタイミングを狙って飛び降りあえて敵車の真下に
大質量大重量が押しつぶそうと迫る中で、体内の魔力を総動員した拳の突き上げで真下からボスの所までぶち破るぜ!
そのままの勢いでボスの顎に一発ぶち込めれば行幸だ!
「テメェにどんな御大層なお題目があろうと、全部オレがぶち抜いてやる!」

●事後
直ぐに全てを救えないのはわかっているが見過ごせず
帰らずに潜伏して出来る範囲の情報収集と救助を決意
悪徳の街の影へ消える
欲望と暴虐の渦巻く闇の中で自身も様々な危険に曝されながら暗闘を続けていく


ネウ・カタラ
意志の強さは折り紙つき
だからそう、なり果てたんでしょう
ひとをやめたひと。怪物に
そういう意味では、似たようなものかもね。俺も

血統覚醒を使って、大鎌からの衝撃波となぎ払い
力場に阻まれてももう一度
仲間が攻撃できるすきが出来たらそれでいい

恐怖は己の狂気で相殺して
痛みはじっと堪えて我慢する
だって痛い痛いと嘆き苦しんだヒト達が
ここには沢山いたんだから

だいじょうぶ、わかってる
あいつに伝えてやらなきゃ、ね?
きみ達の、声を

呪詛の籠もった黒剣の刃を
大柄な体躯目掛けてふるう

きこえる?
散っていったヒト達の悲願のこえ
一度うけた呪いは消えないよ
いのちが潰えたそのあとも、ずっと

きみが与えた恐怖を、きみにも返してあげる、ね?


村崎・ゆかり
こんな大物まで追っ手として出張ってくるとはね。
OK。立ち塞がるならぶっ潰すまで。

アヤメは他のレイダーを警戒しつつ、救出した人たちを守って。

「高速詠唱」の方術『空遁の法』で一気に薙刀の間合いを作り、薙刀で「なぎ払い」「串刺し」「衝撃波」を交えた連続攻撃を、転移を絡めながら仕掛ける。
「地形の利用」で周囲の車を盾にしながら、ウィンドウ越しに付きを放ったり。
敵が明確にあたしを目標に定めたら、『空遁の法』で別の場所に転移して、それから再転移し、死角からの攻撃を加える。
とにかく変幻自在な高速戦闘を仕掛けて、反撃を受ける機会を減らし、全力を叩き付けるわ。

仕留めた! さあ、自由への脱出よ! 突っきりましょう。


勘解由小路・津雲
同じ系統の術者がいると楽でいいね。が、最後の相手は楽に、とはいかなさそうだ。火力だけでも後鬼の数倍はありそうだ。だが、こいつはヴォーテックス一族とは別、この街の本の一部なのだな。

【作戦】
 陸上戦艦と軍隊の投入とは、熱烈歓迎、痛み入るぜ。こちらは【歳刑神招来】を使用。
鋼鉄の蜘蛛が槍や鉾で貫通できる装甲とは思わない。だが多脚戦車の関節部を【スナイパー】で狙うとしよう。そこも当然防御が施されているだろうが、構造上そこまでの強度はないはず。破壊までは出来ずとも、確実なダメージを与えられるだろう。

残りの槍矛は敵部隊の牽制に。こちらはこちらでやっかいそうだが、頭を叩けば弱体化するだろう。



●空遁
「こんな大物まで追っ手として出張ってくるとわね。OK。立ち塞がるならぶっ潰すまで。アヤメ、こっちの護衛任せた」
「では私も外へ参りますので、陣をお借りしますね」
「……そんな簡単に干渉出来るなんて言われると、それはそれで傷付くわね」
「伊達に式神の身体では有りませんよ」
 従者であり、恋人でもある彼女にその様に微笑まれ、従者村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は溜息を吐いて、立ち上がる。先程、霊符で作り上げた結界用の法陣の中央に立ち、早口に呪を紡ぎながら、手早く印を結ぶ。呼応した陣が暗闇の中で、小さな光を灯す。
「現世の裏に無我の境地あり。虚実一如。空の一心によりて、我が身あらゆる障害を越えるものなり。疾っ!」
 紫刃を携えたゆかりの身体が食い合う陰陽魚の如くに捻れて消え、その後にアヤメが踏み入れ、座標を変更し、転移の門を潜る。
「もう少しの辛抱ですから、ご安心下さい」
 救助した者達に振り返り、安心させる様に、微笑んで手を振り、業火の戦場へと飛び込んでいく。

●秩序と欺瞞
「同じ系統の術者が居ると楽で良いが、最後の相手は楽に、とはいかなさそうだ」
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は自律行動を始めたらしい鉄の大蜘蛛の姿を、式神を通し、持ち上げた金属鏡に認め、独りごちた。人が居なければ建物に取り付き、多脚を絡めて倒壊させ、或いは足場として、罅を入れる。そうして炙り出され、自身を襲撃する人影を優先して焼き、蜂の巣にし、逃げ惑う者には無反動砲に角度を付け、榴弾で雑に焼き払う。挙動に津雲は若干の違和感を覚えたが、その正体を掴む前に、敵の新たな追っ手が後方から迫る。遙か上空で、衝撃を撒き散らす大男が慇懃に唇を釣り上げる。
「空の上から熱烈なこった。歓迎、痛み入るぜ」
 倒壊した建物の瓦礫を踏み潰しながら、陸上に無限軌道の大型戦艦が地鳴りを上げ、陸上戦艦が鈍重な機体の砲塔を持ち上げた。
「とんでもねぇモン出して来やがったな」
 レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は追っ手を一瞥して、毒付きながら、砲撃の余波で飛散する瓦礫を、魔力の宿る拳で打ち砕く。
「本当に熱烈な歓迎ですねえ」
 数は300、内30の人員が頭痛に苛まれながら、自在軌道で車両を強襲し始める。
「んだコイツ等?!」
 狂気を宿した者、錯乱しながら向かう者、見えぬ者を見ながら何事かを呟きながら、向かう者。正気を失った超能の兵総勢30、男の秩序とは詰まる所、そう言う事だ。
「強化手術と言う奴か。どう言おうが、性根は矢張り変わらん。八将神が一柱、刑罰を司る歳刑神の名において、汝を裁かん。急急如律令!」
 手早く五芒星を切り、宙空に陣を描く。自在軌道で威圧する彼等を津雲の操作する長得物が追い掛ける。間にレテイシャと視線を交わす。それぞれが意図を理解し、撃墜に注意が向いた所で、超能兵士へと拳を叩き込む。感触に吐き気がした。
(人間じゃねえか……!)
 オブリビオンでは無く被害者側。手を差し伸べるべきか。再起不能と諦めて引導を渡すべきか、レテイシャは悩んで歯噛みする。
「丁度良い所だった様ですねー。飛んだりは出来ませんが、跳ねたり、目を潰すのは得意ですよー?」
「頼むぜ。こっちを追ってくる、大仰なあれとは別に、暴れてる奴も居るみたいでな」
「人間だ……助けられるか?」
「そりゃあ……折れる骨が肋骨だけで足りるなら御の字ってやつだ」
 目眩く状況の進行と共に、陸上戦艦の砲が照準を合わせ、轟音。水銀で強化されているとは言え、砲弾に耐えられるかは未知数だと判断し、津雲は手早く九字を切り、簡易の結界を張る。車両全体を爆撃から守護、同時にアヤメが分身を展開、宙空で生成した苦無をばら撒き、逃走経路を限定、迎撃に足を止めた所で、急所を外し、切っ先で貫く。気絶へと容易に持ち込めるそれを錯乱しながら、逃走する相手に困った様な顔をしつつ、分身一体を作り、其方の両手を発射台とし、逃れた強化兵に蛇のように絡んで抱き付いて、首を締め上げ、気絶させ、そのまま車両に持ち帰る。
「どうやら薬の類も使用されている様です。助けたとしても、普通の生活を送るのは困難かと」
「……クソが!」
 アヤメの言葉に、レテイシャは吐き捨て、戦闘を続行する。

●化獸
「意志の強さは折紙つき、だからそう、なり果てたんでしょう。ひとをやめたひと。怪物に」
 そう言う意味では、にたようなものだと、ネウ・カタラ(うつろうもの・f18543)は自虐的に上で衝撃を響かせて縺れ合う大男に語り掛ける。ちりりと耳飾りが揺れて、茫洋とした瞳に血が灯る。
「その名前を、口にしては、いけないよ。呪われてしまうから、のろわずにはいられないから。いのちの川を渡って、さあ、おいで」
 身体の中で血が暴れ、拍動が加速度的に脈打つ。細められた瞳孔、背を突き破る様に蝙蝠の翅を携えて、発達した犬歯が口唇に触れる。眞白の獸が亡者の呪いと血臭を引き摺り舞い上がる。
 接近戦をするエルヴィンを援護する様に、夜色の大鎌を一閃。拳一つで相殺され、その隙を縫って雷光を宿す爪撃が叩き込まれるも、真っ向から拳一つで相殺する。構わず音無しの二合、紡がれる鎌鼬に、男が視線を寄越す。
「夜を治める者が何故、私の邪魔をしに来たのかな」
「なんで? 分からない?」
 可笑しい可笑しいと、唇を歪めて含み笑う。大鎌を投げ付け、影色の大剣を構え、エルヴィンと鋏み打つ形で横薙ぎに振るう。
「聞こえる? きこえるよね。なげき、うらみ、つらみ、いたみ。うめき。ねえ、可哀想。かわいそう」
 呪詛を練り込めた影色の刃。視覚化し、渦巻く呪の濃度に、血色が混じり、一閃ごとに、大男を渦巻いて取り囲む。
「全ては尊い犠牲だ。大事の前の小事という奴だ。獣には理解出来んだろうがね」
「じゃあ、さっさと統一しなさいよ。出来ない独裁者気取りの妄言なんて、笑われて当然よね?」
 結わえた黒の三つ編みと、紫刃が妖しく揺らめいて、虚空に線を描く。ゆかりの腕を削ぐ一撃が、恐るべき肉体強度によって皮膚で止まり、振り切るのを諦める。
「開!」
 即座に転移、エルヴィンとネウが敵の軌道を限定したのに呼応し、三方からそれぞれ、雷鳴と怨嗟、紫刃の軌跡が描かれ、それら全てを重力を宿した拳による近接格闘術で捌く。僅かでも距離が開けば、支援重火器による煙幕弾を展開し、視界を奪い、エルヴィンの翼がそれを吹き飛ばすが、足を止めた所で、加速と体重を乗せた肘が突き入れられ、瞬時に頸動脈を裂く軌道の紫刃と、頭蓋を砕く唐竹の軌道で、黒剣が叩き込まれ、渦巻く呪詛が皮膚にじくじくと浸食する。
「きえない、消えない。ひがんのこえ。いのちが潰えたそのあともずっと、ずっと」
「振り向いたら毎日千人が死にそうな呪い言葉ね、それ……」
 狂気を深めるネウに呆れたように言いながら、ゆかりは360度全方から転移を繰り返し、相棒の薙刀を幾度も振るう。

●多脚戦車
 射程外から飛来し、奇妙に自身を襲撃する金属をセンサーアイは捉え、出鱈目に機関銃を放ち、時に高層建築を足場に跳躍し、ガトリングで撃ち落とす。高周波の音は硝子の飛散音と、音感センサを通じて判断し、尚も弱点である関節を的確に狙い、機動力を削ぐそれ等を、殲滅最優先対象とし、他の事項を優先度を最低限に移行。
 目前に入る熱源反応を無視、した筈が、火炎放射器で焼き払う。レッドアラート。深刻なバグの発生を自覚し、関節を一度、飛来物が貫く。想定外の負荷が判断機構に掛かり、警告が室内に鳴り響き続ける。訳が分からぬストレスに振り回されながら、響く四言の侭に包囲網を敷く飛来物に照準を合わせ、火砲を連続的に振り撒く。


●幕間
 要塞の車速は幸い此方に比べれば遅速、30の超能力兵をどうにか沈黙に追い込みながら、トラックの荷台に積み込み、津雲が拘束の呪によって沈静化させる。他方、遠目に居る多脚戦車の様子のおかしさに、式神とした二足歩行戦車の事が思い起こされる。
「……まさかな」
 特殊な場合を除き、意思が宿るとは考え辛い。非人道的な行いを辞さないと言うならば、中身に何を使っていようと不思議では無いと、金属鏡を覗き込む目を細めた。一先ずは脚を?ぐ程度に抑えるべきだろう。

●砕き星
 車体が支援砲撃の余波で浮くと同時に、レテイシャは宙空を睨み付け、歯を食い縛る。慈悲など何処に有る物か。この所業、只の悪党と、何が違う。
「ああ、とっくにぶち切れてんだ。俺はよ」
 竜の瞳が引き絞られ、無意識に目に集中した魔力が、動体視力を極限まで高め、上空の動きを明確に捉え、牙を剥く。流動する魔力が勝手に脚に集中し、爆発的な脚力強化を生む。地面を割りながら、金色の流星が一筋、悪徳の都に流れた。
「テメェにどんな御大層なお題目があろうと、全部オレがぶち抜いてやる! 歯ァ食い縛れ。クソ野郎!」
 脈動する全魔力を総動員した単純過ぎる突き上げ、だが絶好の拍子に鋏まれたそれが、大男を突き刺し、更に蒼空へ、その身を突き上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ルパート・ブラックスミス


石像の方が長く生きられるだと?
生物としての一切の自由を封じられる事が、どれだけ精神を狂わせるのか解っているのか!
恐怖と狂気しか存在しない世界など、それこそ今とどれだけの差がある!
貴様の語る秩序は、人をまさしく彫刻程度の存在として蒐集しているだけに過ぎん!

【騎乗】する愛機を加速させ、多脚戦車の前方へ寄せ次第
タイミングを【見切り】飛び降り速度そのままに多脚に体当たりしがみつくように【グラップル】
その状態でUC【黒騎士呑み込む青き業火】を起動、脚を【部位破壊】しつつ燃える鉛に変換。
戦車の追撃能力を削ぎつつ、変換した鉛で【限界突破】した戦闘能力と【武器改造】強化大剣をもって
敵に【空中戦】を仕掛ける!


エア・ルフェイム
おじさん、馬鹿だなぁ
恐怖で秩序を敷いたって上手くいくわけないのに
あたし達がここに居るのが良い証拠
助けを求める声は届くんだよ。必ずネ!

リミッター解除した蒸気銃で、
蜘蛛戦車へと熱した焔の弾丸を的確に撃ち込んでいく
狙えるなら多脚の付け根あたりを狙って
至近距離では華焔を纏いながら、炎宿る縛霊手で装甲を砕く

相手の巨体も利用しながら、見切りも用い攻撃は回避に努め
危ない時は華焔を盾の様にして凌ぐ

動き止められたら破壊はせず一旦様子確認
中に人居たりしないよね…?必要そうなら救助などに専念
心配不要だったらおじさん討伐の応援に

どんな過酷な時でもエアのハートは無敵!
その腐った性根ごと熱々の炎で骨まで溶かしてあげる!



●陽動
(石像の方が長く生きられる……だと?)
 ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は義憤に駆られながら轟音と業火で埋め尽くされていく市街で、180度高速ターン。地面との摩擦に硬質ゴムが悲鳴じみた摩擦音を響かせながら、後方に現れた陸上戦艦へと真っ向から突貫する。
 すぐさま、人1人を容易に押し潰せる質量砲弾が高速で飛来するのを、肉眼で捉え、スロットルを更に開き、愛機の速度を限界まで加速させ、左右自在に切り返し、蛇行。降り注ぐ速射機銃の雨霰を掻い潜り、車体ごと跳躍、突貫する。

●メルト・ドライバー
「……おじさん、馬鹿だなぁ。恐怖で秩序を敷いたって上手く行くわけないのに。こんな物まで作っちゃってさー」
 特に細工もされていないバイクは危険と、助けた子供は予め、合流時に別の車両へと預けたエア・ルフェイム(華焔・f02503)は、出て来た陸上戦艦を見るなり、呆れたように呟いて、露払いに動いたルパートの後を追う。
 自在軌道の鉾と槍の援護を受け、鈍色と閃光の雨を見切りながら掻い潜り、自動二輪を蹴って飛び移る。乗り捨て、宙を舞うバイクを、自身の操作する炎で覆い、侵食。秒を待たずに轟音と爆煙、機械部品を周囲に撒き散らす。
 装甲に罅は無し。上がる煙で身を隠す程度ならば十分だ。背後から飛来する数百の加護を受けた鉾槍が、主要な砲塔を潰し、火砲の勢いが弱まっていく。
「穴開けるからちょっと待っててネー!」
 黄金色の鉤爪、炎宿す縛霊手に焔を集中し、装甲板に押し当てる。超高温の焔を真下に向かって射出。炎熱が真下まで貫通し、戦艦内部への道を作る。滞空していた式神が内部を探り、後に続くように鉾槍が内部へと侵入して行く。
「こっちはこれで良いかナ?」
「二人とも有難うよ。手間を掛けさせちまったな。後はこっちで機能停止まで追い込めるだろう」
 式神の主と言葉を交わしながら、ルパートが車両を回し、エアが後部座席へと飛び乗る。
「ありがと! 黒騎士さん?」
「ルパートだ。好きに呼んでくれ」
「私はエア。宜しくね! 後は多脚戦車だけかナー」
「上の戦況も気になる所ではあるがな」

●機甲死人大隊
 戦艦内部に存在した270の死人大隊は、敵の強襲を受けながらも指揮は失わず、一度進軍を止め、敵性存在の排除に乗り出した。紙製の鳥が、一瞬視界を過るとほぼ同時、外骨格ごと止まった心臓を、鉾が射貫く。血液を口から吐き、侵した罪が脳裏を巡り、塵となって掻き消える。原理不明の飛来するそれ等に銃口を向け、撃墜を試みるが、火線を潜り、八方を囲みながら脚部を無慈悲に射貫かれる。
(科学で作られた死人の大隊か……叩けば埃が舞い上がるばかりだな)
 車両の上で銀瞳を無感情に揺らし、歳刑神の加護を宿す数百の槍鉾を操作しながら、陸上戦艦を足早に制圧していく。巨大な鉄屑に、残魂の灰が降り積もる。

●レッドアラート
 本来の戦闘力、機動力をかなぐり捨てる様に、命令を無視する様に、制御系を一切無視する様に、暴走としか思えない挙動を繰り返す。そう思うのは何かすら、曖昧になりつつある。理性としていた補助機構を食い荒らし、機械が屍の山を積む。視覚センサに映るのは炎と、死体と、絶え間の無い閃光。正体不明の飛来物。四肢を的確に奪う自在軌道から逃れながら、目に映る何もかもを殲滅する鉄の蜘蛛。飛来物が脆い関節をまたもや掠めて悲鳴の代わりにガトリングの砲身が回転し、涙の粒のように空薬莢がばら撒かれ、甲高い悲鳴を上げる。
「……助けを求める声は届くんだよ。必ずネ! ちょっと痛い思いをさせるけど、我慢だよ!」
 恐怖に引き攣らせた、微かな悲鳴でも、聞き取る物好きは居る者だと、明るく片目を瞑って見せながら、後部座席で蒸気銃の最終セーフティを解除。計器の針がレッドラインを指し示し、限界一杯で細かに振れる。構わずに圧力と熱量を注ぎ込み、エアが感覚で臨海を見極め、トリガーを引く。弾丸自体が焔を纏い、超高温の炎弾と化して、多脚の骨肉を獰猛に食い千切る。
 脚を失い、体勢を崩した所でルパートが愛機を乗り捨て、鉄蜘蛛が跳ねるのに合わせ、跳躍、間接部を掴む。
「我が血はもはや栄光なく…されど未だ我が業と炎は消えず……」
 静かな言の葉。触れた先から脚がどろりと溶解し、指の先から鎧の内部に取り込み、鉛の翼を作り出し、佩いた大剣に集約させる。宙空で火炎放射機が、甲冑に向けられ、その姿が瞬時に消える。
「悪いが、逃げる隙は与えん」
 3本目の脚部を、急降下と共に上段から振り下ろされた大剣が叩き斬る。対応する様にブースターを蒸かせ、向きを変え、機体ごと孤月を描いて、展開したョートブレイドが切り上げる軌道を、黄金色の鉤爪が掴み、炎熱と膂力が砕く。
「エアのこと忘れてたでしょ? あなた、様子がおかしいって言われてたけど」
 焔の外套を纏ったエアが、炎熱を鉤爪に宿し、手刀を脚部に叩き込み、合わせてルパートが大剣を水平に薙ぐ。残る脚をエアが引き千切り、ルパートが鉛を纏わせた短剣を投げ付け、ブースターを塞ぐ。熱量の逆流が発生する前に、不自然に火が消え、胴体が落下する。大仰な音を立て、落下したそれは、戦意を喪失した様に、視覚センサの光を消した。
「中に人居たりしないよね……?」
「……確率は低くは無いだろうな。上に行く。後は貴殿に任せよう」
 身体に生やした鉛の翼を操作し、爆発的な加速を生みながら、ルパートは上空に突き上げられた大男を追撃する。

●欲求
 戦意を失った胴体の内部、メンテナンス用に作られたハッチを見付け、エアはゆっくりとそれを開く。冷たい鋼の檻の中にこぽり、こぽりと気泡の昇る水音。小さな硝子制の容器に詰められた小さな人型。丁度妖精程の体躯が治められ、有機接続ケーブルによって機器ケーブルに繋げられていた。バイタルチェックを兼ねたモニタに映し出されるのは、余りにも当然すぎる欲求を示した4文字が延々と羅列されている。
「生きたい」
「そっか……ねえ、外でも生きられる身体だよネ?」
 敵意の無い言葉に、微かに首肯。硝子容器が身体に刺さらない様に、力を加減して容器を破砕し、有機接続ケーブルを抜く。取替が利く理由は、恐らく生体ユニットの交換を視野に入れていたのだろう。生体ユニットの不在に警告が鳴り響き、制御系に拳を叩き込んで潰す。一先ず衣服の胸ポケットに小人を仕舞い、自身の焔で焼かない様に加護を施した。
「生きたい人はもっと居そうだよネ!」
 エアを始め、手の空いた猟兵は戦火の収まりつつある一帯で、救助活動を行っていく。

●酩酊
 腹部に奔る衝撃に思わず呻く。最強の保有戦力であると自負する覇王の肉体が軋む。同時に煌めく鉛色の閃光と、見慣れた、怒りに染まる蒼炎。
「貴様の行為が、どれだけの精神を狂わせた。生物としての一切の自由を封じ、闘争を信望し、狂気に奔らせ、恐怖をばら撒き、それのみが存在する世界に、どれだけの差異が生まれる」
 下段から、加速を乗せた逆風の軌道が浅く大男の身体を裂く。
「では聞こう。お前達の小さな正義感は何を生む」
「口を開くな、外道。貴様の騙る秩序は、嗜好品の如く、人を蒐集しているだけに過ぎん! 理想を謳いながら生命を冒涜し、玩び、使い捨てるだけの狂人、それが貴様だ!」
 返す刃で上段の構え。体内に流出する鉛の最大量で大剣を巨大化。身の丈の優に3倍は有る、燃える鉛の刀身を唐竹から振り下ろす。重量を物ともしない瞬剣を、重力纏う拳が真っ向から受け止める。拳の表皮が高温に溶け、骨肉が次第に剥き出しになり、やがて支える骨に罅が入り、押し切った大剣が、肉体を縦に割る。
「……生きる希望くらいは与えられるだろうな」
 過去を失った伽藍銅にも出来る事が、目の前の男は出来なかった。秩序などと、大それた言葉を使うのは、己の野心を誤魔化す為の美辞麗句。男はそれに酩酊していただけだ。「救助活動打か……成るべく助けてやらねばな」

●救助
 首魁が消え、騒動が沈静化した所で、一先ず運転役と幾人かの護衛を乗せ、逃走経路の終着点を辿る。手の空いた猟兵達がそれぞれ出来る限りの人間を助け出し、救助を進める。大容量のトラックがあればレイダーを殴り倒し、要救助者を其処へ乗せの繰り返し。そうして運搬を何度か繰り返し、時には自身の背に乗せて運び、予想以上の人間をヴォーテックス・シティから逃す事に成功し、猟兵達は意気揚々と近場のベースへ彼等を送り届けていった。

●終幕
 エルヴィンは送り届けたベースで特有のギャンブルを見付け、暫くそれを楽しんだ。
 レテイシャは全てを救えないと分かっていながら救助に手を尽くした後、暴虐の街の影に溶け、情報収集と暗躍を続けていく。
 ネウは空腹感にやる気を無くして項垂れながらも、次は美味しいのが良いと暴虐の街を後にする。
 ゆかりはアヤメと助け出した超能力部隊の後遺症を抑える薬方を幾つか考え、提案し、津雲も同様に後遺症を取り除く様、霊符と陣による浄化を試みた。
 エアは目が覚めた掌大の小人に服を見繕い、交友を深めた。専用に作られたフラスコチャイルドの亜種の様な物と、本人が語ってくれた。行く所も無く、羽根があるわけでも無く、一先ず居候させて欲しいと言った小人と、これからどの様に付き合っていくのかは、彼女次第だろう。
 ルパートは乗り捨てた愛車を、ベースでチェックを黙々と済ましていく。無茶な扱いを繰り返している所為か、にそろそろ各部が深刻に痛んで来ていると、頭を悩ませたかも知れない。
 暴虐の街が変わらず悪徳と狂気を糧に胎動するように、猟兵達も束の間の平和を糧に、英気を養っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年09月19日


挿絵イラスト