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雲の海に薔薇の咲く

#アックス&ウィザーズ #戦後 #群竜大陸 #創世雷雲領域

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●雲海を泳ぐ
 夏の終わり、まだまだ大気の熱は相変わらずだけれども季節の移り変わりは本来在らざる創世雷雲領域にもやってくる。
 白雲に浮かぶ黒雲の小島の一つ、そこに咲き乱れるのは異常な生命力を持つ不滅の薔薇。
 帝竜『ワーム』の滅びと共に出現した恐ろしく人の目を惹きつける美しさを宿すこの薔薇は、秋の訪れを前にしても鮮やかな紅き色を雲海の中で主張し続けている。
 そんな不滅の薔薇の群生する小島の近くに黒竜、そして着ぐるみのようなサメ達がその牙を研ぎ、捲土重来を夢見ながら潜伏しているのだった。

「アリスラビリンスの迷宮災厄戦も無事終わったところなんだけど、ちょっとみんなの力を貸してくれないかな」
 クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は猟兵達にそう切り出す。
「今回向かって貰いたいのは群竜大陸の創世雷雲領域だ。元々地面が存在しなかった場所なんだけども帝竜『ワーム』の力によって生まれたこの場所、そこにオブリビオンが潜んでいるみたいなんだ」
 帝竜はすべて倒された、けれど群竜大陸の危険性が失われたわけでもなく残党たちもそこかしこに残っているのだと、クーナは説明する。
「放置したら何をされるか分かったものじゃない。だからもう一つの厄介事と合わせて今のうちに片づけておきたくてね……引き受けてくれるかな」
 もう一つの厄介事、そう一人の猟兵が聞き返せばケットシーは説明する。
「この地の財宝は不滅の薔薇でね。決して枯れる事のないやたらと生命力の強い薔薇。冬の寒さ程度で枯れ果てるような生易しい薔薇じゃないだろうから、今のうちにある程度剪定して数を減らしておいた方がいいんじゃないかと思ってね。そんな訳で冬が来る前に皆に剪定をお願いしたいんだ。刈り取った薔薇は持ち帰ってもいいけども……保管は厳重にね。ミントとか竹とかがかわいく見える位に繁殖力とか生命力が厄介だから」
 流石に他の土地を汚染するのはまずいからね、と頭に飾った赤い薔薇をいじりつつクーナが言う。
「それで今回の流れとしては創世雷雲領域を泳いで目的地に辿り着き、黒幕配下の着ぐるみ職人集団を撃破、そして黒幕である雷の黒竜を撃破してくる感じだね。向かって貰いたい場所は雲の色で密度が分かるようになっていて、白雲はその中を泳げる水のような感じ、そして黒くなる程密度が上がって泳ぎ難くその上を歩ける位になってる。それで黒雲の塊が白雲の雲海に所々小島のように浮かんでるから適当に休憩しつつ目的地に向かって欲しい」
 あと一応まだ暑いから水着でも特に寒くはないみたいだにゃー、とクーナが付け加えグリモアを取り出す。
「オブリビオンとの戦いは流れでもなんとかなるとは思うけども油断は禁物。それじゃ、頑張ってきてね」
 そうクーナが締め括るとグリモアより輝きが溢れ、猟兵達を創世雷雲領域へと転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 夏の終わりの群竜大陸で一泳ぎ(不滅の薔薇のお土産付き)などいかがでしょう。

 第一章は泳げる雲の海を泳いで不滅の薔薇咲く雲の大地へと向かってください。
 白い雲は程よい感じの密度で猟兵なら問題なく泳げます。濃い色の雲ほど密度が高く、歩行可能な雲もそれなりに浮かんで小島のようになっています。
 なお、白雲は深くなる程色が濃く密度が高くなり一番下の方は海底のようになっているようです。
 第二章は黒幕に率いられ、新天地の新素材を求めてやって来たオブリビオンの『ハッピー工房』との集団戦となります。基本コミカルな戦いになるかと思われます。
 第三章は黒幕であるオブリビオン『レーヴィン』との戦いになります。
 創世雷雲領域の雷の力を吸収しているようで、周囲の雲に雷を纏わせ雷雲に変えて追加攻撃を仕掛けてくるようです。
 なお、この黒幕を撃破すれば不滅の薔薇の咲き乱れる小島へと辿り着く事が出来ます。

 二章以降は冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『群竜大陸の探索』

POW   :    地道に歩き回って情報を集めたり、あえて危険な場所に踏み込んで捜索する

SPD   :    潜伏するオブリビオンの痕跡を見つけ出し、隠れ場所を突き止める

WIZ   :    オブリビオンの行動を予測して網をはったり、偽情報で誘き出したりする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
雲海を泳ぐ!
素敵ですね~

オブリビオンさんや薔薇さんも
勿論きっちりと役目を果たしますが
まずは雲海を堪能したいです♪

目旗魚のランさんもお呼びして
折角なので一緒に楽しみましょう

まずは自力でクロールや平泳ぎ
素潜りの要領で雲の底まで潜ったり

次にランさんに騎乗
雲の海から跳躍したり
雲海の中を自在に泳ぎ回ってもらいます

まだ暑いということですから
水分補給も大切ですよね

ランさんに咥えてもらったロープの先のゴムボートにごろんとして
雲の海を滑るように移動しながら
冷たい紅茶で喉を潤します

暫くは休憩として
この雲の海を満喫しながら
竪琴奏でて曲を口ずさみましょう
素敵な景色と体験で
素敵な旋律が浮かびそうですよ♪


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
ふんふん、泳ぐ。……サーフィンできるかにゃあ。(薔薇よりもフィールドに惹かれて)
レフティは子猫に変身。念の為【猫風の陣】による風の補助を受けつつ、呪いのオーラ防御をサーフボード状に変化させて、白雲に乗り滑っていくにゃあ。
にゃはは。折角楽しむなら一直線よりもアッチコッチと、搔き乱す様に滑ってくにゃあ。デッカイ雲もあれば、勢いに乗ってのジャンプパフォーマンスも期待できそうにゃん。(くるくるとダンスを舞う様に鼓舞し)
ぁ、情報収集も必要な感じだったら、楽し気な雰囲気に誘き寄せられた動物達と話して情報集めておくにゃん。



 空は見渡す限りの晴れ模様。陽射しも一番の盛りの時に比べれば少し穏やかになっているようにも見えて。
 そして視線を少し落とせば白と黒の雲が大海に浮かぶ小島のような光景を創り出している。
「雲海を泳ぐ! 素敵ですね~」
 黒いケットシーの少年、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は白い雲を手で掬いつつわくわくを滲ませている。
 白い雲はさらさらと水のように零れ落ち、それでいて彼の毛並には濡れた感覚が殆どない。
 そしてケットシーの彼よりも一回り小さな子猫姿に変身しているフェアリー、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は白雲を見渡しちょっと難しそうな顔。
 この先にいるのはオブリビオン、そして不滅の薔薇。この地を根城としていた帝竜を思い出しているのか。
「……サーフィンできるかにゃあ」
 まったく関係なかった。
 泳ぐ事はできる、そう聞いていたけれどもボードを浮かばせる程の浮力はあるのだろうか。
 今回ここに来たのはオブリビオン退治と薔薇の剪定、その役目はどちらも分かっているけれども――まずはこの雲海を堪能したい。
「ランさーん!」
 そして仄々が呼びかければ全長5mほどもあるソードフィッシュ――目旗魚のランさんが白雲の間から顔を覗かせそのアーモンドアイの瞳で黒猫を見上げる。
 まずは白雲の感覚に慣れる、その為に仄々は白雲に飛び込んでいく。水温もとい雲温はひんやりとしていて、浅い場所なら呼吸もちょっと苦しいができなくはなさそうだ。
 さらに猫の手足でクロール、平泳ぎ。雲が毛並を撫でていくような独特の感覚があるが、水中を泳ぐのと大して感覚は変わらないようだ。
 視界はそこまでよくはないけれども目に染みたりもしない。
 そして一度雲の上に顔を出し大きく息を吸い、潜る。かなり潜れば底があるとのことではあったが、潜る程水の抵抗が増していって進めなくなってしまう。灰雲ぐらいまで密度が上がってくると呼吸も出来ない。
 一時撤退、一呼吸入れてランさんに騎乗して再び雲の底へと挑戦。
 水中が得意な目旗魚ならば仄々一人では進み辛くなっていた深度も軽々と突破、どんどん視界の雲は黒く、暗くなっていく。
 そして辿り着いた雲の底、雲の粘りが邪魔だけれども雲の底に触れてみる。
 触り心地は小島の黒雲とほぼ変わらない。恐らくはこの雲の塊が剥がれるような形で浮いてきて小島を作っているのだろう。
 そんな事を考える彼、呼吸がちょっときつくなってきて急いでランさんに再度掴まって雲の上を目指す。
 勢いあまって水から飛び出して、大きく息を吸えば新鮮な空気が彼の胸を満たした。

 そんな仄々の様子を見つつ、レフティも動き出す。
 彼がにゃっと一鳴きすれば彼の周囲に風がぐるぐると渦巻き、そしてレフティが知性ある呪いをサーフボードの形に変化させればそれと彼とを白雲の上へと運ぶ。
 白雲にサーフボードが着水もとい着雲すれば、ちょっとばかり雲の中に沈み込むが、沈み切らないまま丁度いい感じのバランスが釣り合う。
 そうなればレフティの独壇場。纏う風を操り白雲の上を滑るようにして進んでいく。
 白猫の毛並を吹き過ぎる風は真夏のそれよりは随分涼しくて、進むほど何となくテンションが上がってくる。
 彼の正面に黒雲の小島が飛び飛びに浮かんでいて、更にその奥には小山のように盛り上がった灰色の雲が見えてきて。
 それをレフティはにゃあと楽し気に鳴いてまず小島の間をジグザグにすり抜けていく。
 普通のサーフボードでは難しいジグザグ走法も風の補助があれば余裕だ。
 更に山のように立ち上がった巨大な雲の塊もぐるぐると周囲を回るようにして登り、その頂点で跳躍!
 感じる無重力ににゃははと笑いつつ、レフティは軌道を風で調整しながら踊るようにサーフボードを操る。
 コンテストでもやっていたなら満点の着地を決めた彼に、渡り鳥が一羽惹きつけられて近寄ってくる。
 にゃあにゃあと、薔薇のある方角を訊ねれば、ぎゃーぎゃーと大きな声であちらの方に危なそうな変な花が咲いていた、と渡り鳥が応える。
 あと変な魚? のようなのが沢山もいたとも。
 魚のようなものは恐らくオブリビオンの事で、レフティ達が向かうべき目的地はきっと其方にあるのだろう。
 お礼を言いつつ渡り鳥に別れを告げ、風を操るレフティはサーフボードを加速させるのであった。
 
 一方、仄々は白雲に浮かぶゴムボートの上にごろんと寝転がっていた。
「水分補給も大切ですよね」
 たっぷり泳いだ後は小休憩、移動はゴムボートに結んだロープを咥えて牽引してくれるランさんに任せている。
 日向ぼっこで白雲に冷やされた体表がいい具合に温まった彼は水分補給に起き上がり、優雅に冷たい紅茶で喉を潤していく。
 そうすると泳いで芯まで熱くなった体も落ち着いてくる。
 そして周りを見渡せば白雲の海と小島は平穏な様子、こんな素晴らしい雲の海を見て仄々が何もせずにいられるだろうか、いやない。
 楽士たる彼が竪琴を取り出し軽く爪弾けば、竪琴の調子もご機嫌な様子。
 黒のケットシーは胸の奥から沸き起こる旋律に従い竪琴を奏で歌を口ずさむ。
 雲の海の中、そしてこの鮮やかな景色――ここでの見たもの体験したものから得た感覚を旋律に変えながら、黒猫の少年は目旗魚と共に薔薇の地へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

別宝・魔純
不滅の薔薇!姫たるわたくしにピッタリな物ですわね
ひとまず雲海を泳ぎますわ。わたくし泳ぎは上手な部類ではありませんけど泳ぐ事自体は可能ですのよ
足場になりそうな雲は色で分かりますのね。こまめに休憩させてもらいますわ

泳ぎきったら皆様お疲れの事でしょう
必要とあらば指定UCと【多重詠唱】で神聖なる治癒魔法を施しますわよ。もちろんわたくしも休憩ですの。セイントドリンク(聖茶)を嗜みますわ

雲海での優雅なひと時が過ごせましたわ
わたくしの身体が光を反射して眩しいかもしれませんわね。早々に目的地へとおいとましますわ
皆様も早くおいで下さいまし。あ、護衛は不要ですの。猟兵たるもの己の身は己で守りますわ



 白い雲の合間にきらりとピンクの宝石が煌めく。
 それは小島のような黒雲にゆっくりと近づいて、そしてピンク系統の宝石の体が白雲から立ち上がり、小島へと上陸する。
「不滅の薔薇! 姫たるわたくしにピッタリな物ですわね」
 薔薇自体にはあまり興味のない猫達とは異なり、クリスタリアンの別宝・魔純(暗黒のヒーラープリンセス・f29415)の目標は薔薇まっしぐら。
 恐ろしい程の美しさと不滅さ、それは宝石の体を持つクリスタリアンにも通じるものがある。
 お嬢様、お姫様、そんな彼女は泳ぎは得意ではないけれども、島から島へ休息を挟めば十分に進むことはできるようだ。
 小島に上陸し準備してきていたセイントドリンクをカップに注ぎ、きらきらと輝く陽光を浴びて一休みする彼女は小島の上を見渡す。
 黒い雲を土壌にまばらに生えている丈の低い草、それはどこかから渡り鳥が運んできた種が根付いたのだろうか。
 もしもこの領域が長い年月残り続ければこの地も緑で満たされていくのかもしれない、そんな考えが魔純の頭を過ぎる。
 この地は生命が根付くには少々厳しい環境かもしれないけれども、何だかんだで生命は強いのだから。
 そして聖茶をぐっと飲み干し一伸びした魔純は周囲を見渡し次の目的地を探る。
 見ればサーフボードに乗った子猫――多分猟兵なのだろう、がご機嫌な様子で一直線に向かっている。
 それを追いかけるようにすれば目的地である薔薇の群生地に辿り着けるだろう。
 優雅な一時のあとは猟兵としてのお仕事が待っている。
 戦う前に泳ぎ切った疲れを癒す時間があればいいのですけれども、とそんな事を考えながら、クリスタリアンのプリンセスは再び白雲へと飛び込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九尾・へとろ
雲の海を泳ぐ美しい影。
あれはなんじゃ!?鳥じゃ!?飛行機じゃ!?
ウチじゃー!!!

ということで類まれなる美少女のウチが雲の海を泳いで渡ってやるとしようかのー。
と、思ったんじゃが…濡れるんじゃろか。濡れるのは嫌じゃの。
見た感じや勘などで「情報収集」してトントンと雲を渡っていくとしようかの。
あ、猟兵の頭とか踏んじゃったらごめんじゃよ。

青い空の雲の上、雨天になることもない軽やかな海よな。
気分も乗れば踊りたくもなる。ひょひょひょ。

トーンタンタン、トンタンタン。
拍をつけ、描くは七色。雨天なき晴れ空にへとろが虹を贈ってしんぜよう。
かの島にも届くようでっかくな。御代は不滅の薔薇とやらを頂くとしようかのう。



 そして白き雲の間を泳ぎ渡る金色の影が一つ。
 時折のぞかせる金の狐耳と九つの尾は妖狐の証、陽光に照らされる九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)という名の美しい影は近くの小島へと上陸する。
 黒地に和風柄のセパレート水着にしなやかに伸びる色白の手足は正しく美少女。
 毛並にくっついてきた白雲は泡のようになっていて、彼女が軽く尾を振れば抵抗なく雲の海へと戻っていく。
 濡れるのは嫌だったが、軽く手を通して見た所どちらかと言えば泡の手触りに近くて殆ど湿らない。
 試しに少し泳いで来てみたが、狐の毛並にしんなり感は特になし。泳げるのに濡れない、そんな奇妙な感覚も雲ならではなのかもしれない。
 空を見上げれば雲一つない蒼空、今いるこの場所ならば雨に降られる事もないだろう。
 そしてへとろは次の黒雲の小島を見据える。距離はそれなり、間に飛石のように黒雲の小さな塊が浮かんでいる。
 その一番手前を目掛けへとろが跳躍。トーンとまず一歩、そして次はタンタンと短く跳ねて、そしてもう一歩大きくトーンと跳ねる。
 彼女の軌跡には飛行機雲の如き七色の虹が残る。雨なき雲の上にかかる虹は常とは真逆、けれど鮮やかさは地上で見る常のものよりも鮮烈。
(「ひょひょひょ、雨天なき晴れ空、もっと大きな虹を贈ってしんぜよう」)
 湿り気もほとんどないからりとした空気。拍を付け踊るように渡っていくへとろの調子も上がっていき、跳躍の距離もだんだん広く、かかる虹もより大きく。
 遠くから見たなら渡り鳥が踊るように虹をかけているようにも見えるのだろう。
 そんな彼女は目的地も届くような大きな虹を描きながら、黒雲の小島から小島へと次々に渡り進んでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ハッピー工房』

POW   :    最後の大仕事
自身の【手取りと心臓】を代償に、【召喚した愛する部下達と流れの職人】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【敵をも魅了する着ぐるみ】で戦う。
SPD   :    最低の仕事
全身を【部下を代償に作った最高傑作のサメ着ぐるみ】で覆い、自身の【工房への愛と研鑽に費やした年月】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    閉鎖する工房、ワンマン・オペレーション
非戦闘行為に没頭している間、自身の【雇用者および周囲】が【ストライキを起こし】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雲の海にサメぐるみ
 そしてこれまでのものよりも一回り大きな黒雲の島へと猟兵達はばらばらに到着し始める。
 最初に到着したのは風を操りサーフボードですっ飛ぶように上陸したレフティ、そしてほぼ同時にボートを乗りつけた仄々の猫たち二人。
 彼らが小柄な体で黒雲に隠れつつ周囲を見渡せば、かなり遠くに二足歩行のやたら丸みのあるボディラインの影――恐らくはオブリビオン、それが複数見える。
 そして地形を見れば、でこぼこした黒雲の上に所々白雲のかかっている場所がある。もしかすると沼地のように白雲が溜まっている場所もあるのかもしれない。
 そんな事を考える猫達の後ろからきらきら宝石の体に陽光を反射しながら魔純が上陸してきた。
 そしてそんな彼女の更に向こうから何かがやってくる。鳥のような、飛行機のような――
「ウチじゃー!!!」
 そんな声と共に、虹の軌跡を残しながら金色の妖狐へとろが黒雲の飛び石を渡ってきた。キラキラ輝く反射を目印に追いかけてきた彼女、着地も華麗に十点満点。
 オブリビオンの方を見遣れば距離があるからかまだ気づかれてはいないようで大きな動きはない。
 そして猟兵達は戦闘準備を手早く整える。
「皆様お疲れの事でしょう。お待ちかねの治癒の時間ですわ!」 
 多重詠唱で紡がれた魔純の治癒魔法が雲海を越えた疲れを猟兵達から取り除いていく。
 もし途中で気付かれ襲撃されそうになったとしても、ユーベルコードの効果でその攻撃はかなり鈍いものに変わっているだろうから問題はない。
 そして回復を終えた猟兵達は群成すオブリビオン達へとそっと近づいていく。
 声が聞こえる程に近づく。
 何やら工房めいた道具類を周囲に並べたオブリビオン達の姿はユーモラスなサメの着ぐるみ姿、けれどもその腕の蟹ハサミの赤さはやたらとホラーチック。
『サーメサメサメ! 蟹の抜け殻よりもこっちの薔薇のがいい素材になりそうサメ!』
『この生命力を活用できれば自己再生する着ぐるみも出来そうシャーク!』
 どうやら着ぐるみ職人らしい。サメぐるみなのに。
 周囲を見渡すが、机に数輪薔薇が並んでいる位でこの辺りには不滅の薔薇は自生してないようだ。
 物騒な不滅な薔薇のこと、近くで加工するのはいくらオブリビオンでも躊躇われたのか、恐らく少し離れた向こうに生えているのだろう。
『薔薇いい……最高……ワーム様……』
 全身に不滅の薔薇を巻き付けた、というか寄生されてそうなサメぐるみもいる。なんだか意識朦朧としているようだが撃破しなければならない事に変わりはない。
 後から合流する猟兵もいるかもしれないが、今はもう準備万全で奇襲をかけるには最高のタイミングだ。
 猟兵達は顔を見合わせ頷き合うと、オブリビオン残党掃討の為に其々行動を開始した。
北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理う解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。


ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意です
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながらサポート行動

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしないが、デザート系は別問題…奪います

後はおまかせでよろしくおねがいします



 最初に飛び出したのは二人。
 ダンピールの女はハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)。首元のストールと一体化した零刀をナイフへと変えつつ周囲の地形を確認する。
 彼女が得意とするのは暗殺、ほぼ平地に近い地形ではあるものの霧のように地面近くに滞留している白雲は利用できそうだ。
 川の中を歩くような白雲をかき分ける為の抵抗は少しはあるが気にはならない。
 山中の霧のように白雲が滞った位置を見出したハルピュイアは、その中へと紛れ気配を隠した。
 そしてもう一人、二振りの妖刀を構える北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は淀みなくサメぐるみへと向かっていた。
 向こうの理想についてはまあ、聞こえた会話で何となくわかる。つまりより良い素材でより良い着ぐるみを作るという事だろう。
 明らかにまずい素材を使おうとしている時点で碌なことにならないのが目に見えている。
 そして鴉のような黒い青年は白雲を突っ切り、接近を察知して構えようとしたサメぐるみへと刃を振るう。
 がきん、と硬質な赤の蟹鋏で受けるが優希斗は鋏を支点に回転、無防備なサメぐるみの胴体に刀傷を刻み込む。けれど分厚く柔軟な着ぐるみはその刃を中身にまでは通さなかったようで芯まで断ち切った手応えはない。
『むっ! 猟兵がこんなに早くやってくるとはシャーク!』
『ボコって身ぐるみ剥いで着ぐるみ素材にしてやるシャーク!』
 そして徐にサメぐるみが取り出したのはその姿によく似た一回りほど大きなサメの着ぐるみ。それは恐らくは彼らの最高傑作なのだろう。
 ――部下を素材に作り上げた最低の仕事、それを纏うオブリビオンは引き上げられた膂力による一際強烈な一撃を優希斗に見舞う。
 けれども二刀の剣士はその軌道を見切りバックステップで回避、鋏のレンジから逃れる。
 強化された力はサメぐるみの工房への愛と費やした年月に基づくもの、その力を齎す程の過去には少しばかり敬意を持ちはするけれども、倒さねばならぬ敵である事に変わりはない。
「――殺してでも、アンタを止めるよ」
 そして彼は二振りの妖刀を構え直して。
「躍るよ、蒼き月の舞を」
 ユーベルコードを起動し、サメぐるみの懐へと飛び込むと、無心に刃を振るう。超高速で振るわれる妖刀の乱舞は最高傑作たる着ぐるみでもダメージを殺しきれない。
 相手が工房の為に積み重ねた執念、愛をも凌駕するように、無心で優希斗は刃を振るい、そして右手の呪詛纏う白銀の刃がサメぐるみの中心を貫いた。
『やりやがった! 羽を毟った鴉みたいにしてやるサメ!』
 崩れ落ちる同胞の姿を見、派手に暴れる優希斗の元へと他のサメぐるみ達が駆け付けようとする。
 だが彼らが少し白雲の深くなった場所へと差し掛かった瞬間、その足元から何かが飛び出してふとましいサメの首筋に刃を突き立てて躊躇いなく真上へと切り裂いた。
 白雲に隠れていたハルピュイアの一閃、それはサメぐるみの急所を的確に裂き致命傷を与えていた。
「最低な仕事にはそれが報いよ。――あなたの夢をいただきます」
 無表情で淡々と述べるハルピュイア、仲間が倒れ敵討ちとばかりに襲い掛からんとするサメぐるみ達を一瞥しユーベルコードを起動する。
 途端、白雲と彼女の境界が曖昧になったかのように存在感が薄れ、そしてゆらめきその姿が掻き消える。
 どこへ行った、と声を上げる前にサメの首筋が斬り裂かれる。ほんの一瞬の間にハルピュイアが死角に潜り込み、そして急所へと斬撃を放ったのだ。
 音もなく白雲に紛れ残像を残しながら、彼女は淡々と最高傑作のサメぐるみ達を切り裂いていく。更に合流した優希斗と合わせて敵を量産品の如く屠っていく。
 部下を犠牲にして作った最高傑作を無惨に潰されていく、そんな絶望が最低の仕事への報いとしては相応しいのかもしれない。
 そしてこの場に駆けつけたサメぐるみの最後の一体が首を刈られ崩れ落ちる。
 けれど敵はまだまだいる。一つ息を吐いた二人は次のサメぐるみ達を倒さんと駆け出したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!



 一方、薔薇のサメぐるみを狙いに駆け出したのはクレリックのケットシーであるニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)。
 共に駆け出した宝石のお嬢様と金色の妖狐と共に彼女達が向かうと同時、薔薇を咲かせたサメぐるみは工房で何やら作業を開始する。けれど周囲のサメぐるみ達はそれに手を貸そうとはしない。
『給料を上げろ! もっといい道具をよこせサメ!』
 というか、明らかにサボっている。
「……アレってストライキですか?」
 緑の瞳を瞬かせ、サメぐるみ達の様子を見た白いケットシーの少女が呟く
 見た目は緩いけれども、一体だけ働かさせられている様子は少し哀愁漂うようにも見える。
 けれども、このサメぐるみ達が滅ぼさなければならないオブリビオンである事に変わりはない。
 ピンクの宝石の少女が誘導弾で仕掛けるのと同時、
「容赦なんてしませんから!」
 マリンキャスケットを整え緑の瞳できっとサメぐるみを見据え、ニノンは薔薇を生やしたサメぐるみを正確に指差しユーベルコードを起動する。
 途端、青天より光がそのサメぐるみへと降り注ぐ。
 周囲で誘導弾の攻撃を受けているサメぐるみ達も真上にまではいない。そして外界と薔薇のサメぐるみを遮断する力場が光の直撃を防ぐも、一部がサメ肌の表面を焦がす。
『薔薇……薔薇……もっといい着ぐるみを捧げるシャーク……』
 けれどサメぐるみは作業に没頭したままで、その痛みでは集中を切らさない。
 ならばどうするか。
「まとめてぶっ飛ばします!」
 ニノンさん、割と脳筋でした。
 再度ジャッジメント・クルセイドの天の光を降り注がせる。更に魔力を込めたその光は範囲を拡大して周囲のストライキ中のサメぐるみを巻き込み焼かんとするが、遮断する力場は相変わらず展開されている。
 けれどそんなとき、薔薇を生やしたサメぐるみの光ない瞳に光が飛び込む。
 それは天からの光の余波で煌めいた宝石の姫の輝きで、それに気を取られて少し周囲を見れば、宝石の輝きに周囲の白雲に描かれた狐の色彩の数々が鮮やかに照らし出されていた。
『……キレイ……』
 そんな一瞬の光景に、着ぐるみづくりの仕事の手を止めてしまった瞬間が運の尽き。
 没頭を止めてしまったサメぐるみを守る力場はあえなく霧散し、そして天の光がサメぐるみ達を焼いたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

別宝・魔純
WIZ、アド連歓迎。
サメ?と思ったら着ぐるみですのね?
魔王の娘モード、発動!※口調変化のみ

我は指定UCを発動。そして【生命力吸収】が可能な【誘導弾】を【多重詠唱】、良い意味で適当な敵へどんどん放つぞ!
あの薔薇を巻き付けたサメは絶好の的であるな!我が力を喰らうがいいわ!!
UC効果で当たれば我のエネルギー、外れても我々猟兵のエネルギーとなるのだ。フハハハハ、動けなくなってゆく気分はどうだ?ん?

皆の者、生命力を奪った今が好機であるぞ!畳みかけよ!!我も「闇」の【属性攻撃】の【弾幕】で追加の応戦だ。我が力にひれ伏すが良い!サメ共よ!ハッハッハッ!

ふぅ、久々に魔王の娘モードになりましたわ。疲れますわね。


九尾・へとろ
なんじゃこいつら。空の海の次は陸の鮫かえ。
いや、蟹か?そもそも丘でもないのう。

パンパンと拍手を打ち気をウチに向けさせよう。
トンタンと拍をとり、「フェイント」を織り交ぜた「ダンス」を披露してやろう。
不滅の薔薇の美々しさに負けぬへとろ舞。
此度の演目はそうさのう、鮫共に送る鎮魂の舞というところでどうじゃろか。

四肢と尾より描きたる色は薔薇にも劣らぬ深紅じゃ。
「暗殺」の要領でぺたりぺたりと鮫共に送ってやろう。
没頭しとる間無敵なんじゃろ?
じゃがウチの深紅は炎の熱持つ「属性攻撃」、我慢できるかえ?
ひょひょ、立派な職人なら炎の中でも鉄を打つじゃろうが、お前様方にはその器はないようじゃな。

アドリブ共闘歓迎じゃ



 少しだけ時を遡り。
 白猫のクレリックと共に、へとろと魔純は敵を見定めていた。
「なんじゃこいつら。空の海の次は陸の鮫かえ」
 遠くに見える特徴的なサメのフォルム、雲の上で陸というのも妙な気分だけれどもそうとしか言いようがないのだから仕方がない。
「サメ? ……と思ったら着ぐるみですのね?」
 丸っこいライン、そしてよーくみると縫い目が少し見えるような気もするけれど、コミカルな見た目であってもオブリビオンなのだ
「……いや、蟹か? 」
 そもそも陸でもないのう、とサメぐるみの手の血色の蟹鋏と踏みしめている黒雲を確認してへとろが訂正する。着ぐるみのオブリビオンだからどれもある意味では正解なのだろう、多分。
 そして顔を見合わせ、三人は一斉に駆け出す。狙いはやたらと目立っている薔薇を咲かせたサメぐるみだ。
 彼女らが駆け出すと同時、薔薇のサメぐるみが何やら作業を開始し、他の個体がサボり始める。
「……アレってユーベルコードですの?」
「みたいじゃのぅ……」
 アレってストライキですよね、という白いケットシーの呟きに、駆けながら二人が返す。
 見た目からして色物枠、だけれどもこういう相手程油断してはならないのもまた道理でもある。
「……まあいい、我の邪魔をするな」
 底冷えするような冷たい声、戦いに臨む魔純の口調はお嬢様のものから魔王の娘の如き威厳あるものへとスイッチする。
 そして射程範囲に入った瞬間、魔純が周囲に黒いハートを浮かべつつ魔力を練り上げていく。
「体力を丸ごと奪ってやろう……我が力を喰らうがいいわ!!」
 魔純の放つは誘導弾の群、狙うは目に留まった着ぐるみから薔薇を生やしたサメぐるみ。
 ぶつぶつ何事かを呟きながら着ぐるみづくりを続けるサメぐるみを狙い放たれたそれらは、周囲サボっているらしきオブリビオン達へと殺到していく。
 けれど不思議な力場が発生しているのか、誘導弾による攻撃は命中直前で逸らされて黒雲の地面を抉るに留まる。
「む……中々やるではないか」
 一体が一心不乱に作業に没頭する間、その周囲がストライキを起こして外部からの干渉、もとい攻撃を遮断するユーベルコードの力に魔純の攻撃は退けられている。
 そこにパンパンとへとろが拍手を打つ。仕事に没頭している薔薇のサメぐるみは見向きもしないけれども周囲のスト中のサメぐるみが一斉に振り返る。
 何かの怪談でもありそうな絵面だけれども、へとろは臆すことなく黒雲を爪先で叩いて拍を取る。
『ストに参加するのでシャーク!』
『見て見ぬふりは許さないシャーク!』
 挑発するへとろに対し、周囲のサメぐるみ達が襲い掛かる。それに対してへとろも舞の一歩目を踏み出し、その手足に深紅を浮かべる。
 飛び込んでくるサメぐるみ達に対してゆらり、ゆらりと虚をつくへとろの舞、サメ達は捉えられずまるで雲の上でダンスでも踊らされているかのよう。
 多くのサメぐるみ達に掠らせもしない彼女、それは舞の技術もあるけれども魔純の助けも大きい。
 命中せずともその残滓は白雲に留まり仲間達の生命力を活性化させる効果を持つ、そんな魔純のユーベルコードによりへとろの動きのキレは普段よりも増している。
「此度の演目はそうさのう、鮫共に送る鎮魂の舞というところでどうじゃろか」
 手足と尾の先に深紅の色を宿したへとろはその色を黒雲とその上に薄ら漂う白雲、そしてすれ違ったサメぐるみにさらりと乗せつつ、後方からの魔純の誘導弾を潜り抜けてへとろは薔薇のサメぐるみへと向かっていく。
 サメ達の少々見苦しい踊りの中、あの作業に没頭しているサメぐるみに咲いた不滅の薔薇にすら負けぬ優美さを示すのはへとろの舞のみ。
 踊るように黒雲の地を蹴り進みサメぐるみ達の隙間を抜け、そして天の光が降り注いだ直後にへとろが薔薇のサメぐるみへと到達、その豊かな狐の尾をサメの背へと触れさせ赤を乗せ、拍を打つ。
 その音と同時、
『……熱っ! 燃えてるシャーク!?』
 周囲のサメぐるみ達が慌てた様子で丸っこい体を雲の上にのたうち回らせる。
 へとろの乗せた色は異能の彩、炎の熱持つ深紅を体表に乗せられたサメぐるみ達は、ダメージこそ薄いようだがその熱に身悶えしている。
「ひょひょ、立派な職人なら炎の中でも鉄を打つじゃろうが、お前様方にはその器はないようじゃな」
 ごろごろ転がるサメぐるみを一瞥するへとろ、そして視線を本命の薔薇の着ぐるみへと向ける。
『暑い……でももう少し頑張るシャーク……』
 けれど作業没頭中の薔薇のサメぐるみは耐えている。ワンオペの使命感なのだろうか。
 そこに空からもう一条、強烈な輝きが降り注ぐ。天の光は力場に遮断されるが、その余波が戦場を照らし出し魔純のピンクの宝石の体が煌めかせる。
 周囲に振りまかれる桃色の輝き、それはサメぐるみの体のみならず白雲に乗った狐の深紅の色彩をより鮮やかに引き立てる。
 瞳に飛び込んだ宝石の輝きに、ほんの一瞬顔を上げてしまった薔薇のサメぐるみにその光景が飛び込んできて。
『……キレイ……』
 そして、仕事の手を止めてしまった瞬間が運の尽き。没頭を止めてしまった事で遮断する力場が消失、天の光がサメぐるみ達を焼き、周囲のサメぐるみ達が狼狽える。
 そこに魔純の誘導弾が次々に命中し、その生命力を奪っていく。
「皆の者、生命力を奪った今が好機であるぞ! 畳みかけよ!!」
 魔純の号令と共に闇の魔弾の群が残るサメぐるみ達に嵐の如く降り注いでいく。先の誘導弾で奪った生命力を乗せたそれは、頑丈なサメぐるみのボディを次々に撃ち抜いていく。
 さらにへとろの舞のテンポが上がり、サメぐるみ達の隙間を縫うようにして深紅を乗せて炎で焼いていく。
「我が力にひれ伏すが良い! サメ共よ! ハッハッハッ!」
 魔王の娘の如き魔純の高笑いが響く。
 天の光と闇の魔弾、そして焔の如き深紅に染め上げられた熱い雲が、ストを中断したサメぐるみ達を追い詰めていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・仄々
不滅の薔薇を悪い事に利用なんかさせません

着ぐるみさんを倒しましょう

風で浮遊移動
弦や剣に属性魔力を宿し
近距離⇔遠距離と自在に間合いを変え攻撃

因みに奏でる旋律は
先程雲海で思い浮かんだものです

翠の音や花萌の刃:風
緋の音や銀朱の刃:炎
蒼の音や紺碧の刃:水

特に薔薇さんに憑かれている方へは
炎で薔薇を燃やします

魅了の力に対して
風の奔放
炎の意志
水の慈悲を心に宿し対抗し
更に三魔力宿る旋律や刃で
魅了の力そのものを雲散霧消

工房さん
工房への愛を語る割りに
心臓が代償とは
蘇りが前提なのでしょうか
おいたわしいです

過去になにをお伝えしても
詮ないことですね

骸の海へ還して差し上げましょう

終幕
工房さん安寧を願い
先程の旋律を奏でます


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
にゃ?着ぐるみ?……どうしよう。遊びたくて、かみかみけりけりしたくて仕方ないにゃ。(うずうず/魅了?)
子猫に変身し、髭感知で動きを見切り、呪いのオーラ防御を纏った自身の肉体を武器や盾と化して攻撃を受け捌き、にゃあにゃっとじゃれる様にねこぱんち。もっともっと遊ぼう、トドメの一押し【猫ラブへのいざない】。
敵の魂を猫ラブに満ちた沼におびきよせたら、にゃーっと組み付いてのかみかみけりけり♪。
(存分に楽しんだら)……はっ、これが流れの財宝「魅惑の着ぐるみ」。にゃんて恐ろしい、玩具達にゃ。(かぶっ)



 そしてレフティと仄々は戦場を駆けていく
「にゃ? 着ぐるみ?」
 子猫に変身しているレフティが思わずつぶやいたように、この戦場で戦っているオブリビオンは着ぐるみのよう。
 もっちりとした丸みのあるデザインに微妙に視点が定まっていないような、サメなのにゆるキャラじみた顔立ち。どうみても着ぐるみだ。
 そして彼らは一体の少し偉そうな印象のサメぐるみと遭遇する。
『ギャー! 職人がほぼ壊滅したでシャーク!』
 嘆くサメぐるみ、この周辺に立っているのはこの一体だけだ。
「不滅の薔薇を悪い事に利用なんかさせません」
 きりっとした黒猫の仄々が箒星の象嵌が刻まれた魔法剣の刃を最後の一体へと向ける。
『かくなる上は……工房の存続こそ何よりも優先されるでシャーク』
 だから、とばかりにそのサメぐるみは自身の胸に蟹鋏を突き立てる。
 すると同時に彼の周囲には新たなサメぐるみ達が出現。それらはきっと愛する部下と流れの職人だ。
『敵を取るサメ!』
『通りすがりだがその心意気には応えるしかないルカン!』
『この仕事とてもいい……薔薇最高ハイ……』
 なんだか不滅の薔薇を使っているっぽい着ぐるみもいるようだけれども、彼らの纏う着ぐるみは敵対する仄々達から見ても上質で魅了されてしまいかねない程に丁寧な仕事を施されている。
「工房への愛を語る割りに心臓が代償とは……蘇りが前提なのでしょうか」
 オブリビオンは過去の存在、だから何を伝えても詮無い事だろう。けれどもその姿を仄々は哀れに思う。
「……どうしよう。遊びたくて、かみかみけりけりしたくて仕方ないにゃ」
 出現した着ぐるみ達にレフティの子猫の瞳が興味津々な様子で輝いている。子猫だから遊べそうな――その上魅了してくるものにそうなるのは仕方がないのかもしれない。
 もしかすると他の世界で言う家の障子とかそういうものを見た猫の抱く興味に近いものなのかもしれないけれども。
 そんな事を考える猫達に、サメぐるみ達はその血にまみれたような赤い鋏を向けて一斉に襲い掛かろうとする。
「骸の海へ還して差し上げましょう」
 慈悲と共に、仄々がユーベルコードを起動し風をその身に纏い風に浮かべる。そしてサメぐるみ達の隙間を縫うようにして流水の如き紺碧の刃で着ぐるみの胴を切り裂いていく。
 そしてレフティは猫のひげに伝わる感覚に従ってサメぐるみ達の鋏の猛攻を躱していく。
 躱して、躱して――なんだかぱちぱちするような感覚がある。
(「嵐が近い? ……まだ遠いみたいだけどにゃ」)
 そんな事を考えるうちに、連携して仕掛けてきた蟹の鋏の一つがレフティに直撃する。けれどレフティはその衝撃だけを猫のしなやかな体で受け流し、じゃれつくようにしてその蟹鋏に纏わりついて、足場にしてサメぐるみの頭へと飛び掛かる。
 そしてその肉球の猫の手をサメの額にぺたりと当てて、期待に満ちた瞳でサメの瞳を覗き込む。
 ユーベルコードの魔力を込めたそのまなざしは、着ぐるみ職人たるサメぐるみの心をも猫を愛する沼へと引き摺り込む。
『……敵討ちとかどうでもいいシャーク!』
 敵を魅了するどころかレフティに魅了されたサメぐるみはこっちだにゃーとばかりに離れていくレフティを全力で追いかけていった。

 そして風に乗り距離を取った仄々が懐中時計を蒸気式の竪琴を展開すると、弦に魔力を込めて魔曲を奏でる。旋律は雲海で心に浮かび上がった彼の旋律、音に色彩はないはずだけれども、翠の色彩を感じさせる旋律は風を操り鎌鼬のように着ぐるみ達を切り裂いた。
 さらに曲調は変わり、炎水風の魔力を調和させた音が響き渡り、サメぐるみに宿った魅了の魔力を中和する。
 見る者を魅了するサメぐるみだけれども、奔放さと強い意志を心に宿す黒猫を支配下に置くことはできない。
 魔曲と刃の協奏曲の前に、次々に倒れていくサメぐるみ達。けれど倒れている数は召喚された数よりもずっと少ない。
 その理由はレフティだ。彼は猫ラブに落とし込み少し離れた場所へと誘き出したサメぐるみ達と散々に戯れていた。
 にゃーと纏わりついて組み付いて、猫の蹴りと猫の肉球で散々に魅了しサメぐるみ達の体力を奪い尽くす。
 倒れたサメぐるみ達の表情はどれも一片の悔いなしといった具合に至福の表情、そしてレフティの方も触感最高な極上の着ぐるみと楽しみ御満悦。
「……はっ、これが流れの財宝『魅惑の着ぐるみ』。にゃんて恐ろしい……」
 ――玩具達にゃ、とレフティがサメぐるみ最後の一体の首筋にかぷっと噛みつけば、サメぐるみは至福の表情で倒れ込む。

 そして仄々の方では薔薇のサメぐるみを銀朱の刃が貫き、その着ぐるみごと炎に包み込んだ。
 炎が燃え落ち、あとには黒雲の地の上に仄かに重なる布団のような白雲の絨毯。
 その向こうには不滅の薔薇の赤い色合いの群生地が見えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『レーヴィン』

POW   :    コンダクター
【雷を纏う旋刃】【そこから放たれる空間を砕く雷鳴】【眩く世界を白に灼く閃光】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    サンダーボルト
自身に【雷光】をまとい、高速移動と【轟咆雷烙の領域内であれば無制限に雷撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ライトニングラム
【旋刃や雷撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【内の雷撃を強める迅雷領域:轟咆雷烙を深め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルーダス・アルゲナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雷の災害、レーヴィン
「ふぅ、久々に魔王の娘モードになりましたわ」
 疲れますわね、と魔純が蒼のドレスの白雲を払いながら普段通りの言葉遣いで一息つく。
「しかしまあ、派手にやったものじゃのう……」
 へとろが見渡す限り、サメぐるみ達がほんのり作っていた工房の下地は誘導弾や天の光、炎宿す色彩に焼かれ、無数の斬撃や魔曲の余波を受けたことで滅茶苦茶だ。
 そんなサメぐるみ達の夢の残骸に仄々の奏でる竪琴の鎮魂歌が響き渡る。安寧を願うその曲は雲海を渡る時に浮かんだそれで、戦闘中よりも優しい印象を受ける。
(「……何かおかしいにゃ」)
 周囲を眺めるレフティの猫髭にピリピリとした感覚、きぐるみと戯れていた事で意識から少しだけ外れていたけれどもその感覚はまだ止まない。
「急いだほうがいいかもしれないにゃ」
 ぴょんと一足先に前に出たレフティに続き、猟兵達は赤き不滅の薔薇の群生地へと歩みを進めていく。
 少しだけ黒雲が高く積もったその場所へ向かう直前、演奏を止めた仄々がふと空を見上げる。
 陽はまだまだ高い。けれど目的地の真上の空辺りに灰色の雲がかかり始めていた。

「間違いなくアレですわね!」
 魔純が指差す先にはいばらの群と所々に花開いた赤薔薇。その美しさは紛れもなく財宝たる不滅の薔薇だろう。
 周囲の生命を喰らい成長する危険な性質を持つこの薔薇を剪定するのが今回の目的の一つだ。
 管理に注意すれば持ち帰っても問題ないとの事なので、まずは数を減らすべく猟兵達は剪定を行おうとし――足を止める。
「……なんじゃこれは」
 足場の違和感にへとろが気付く。地面としている黒雲、それがぱちぱちと帯電し始めている。
「でかいのがくるにゃ!」
 猫の髭をぴこぴこゆらしレフティが飛びのき、そして他の猟兵達も後退する。
 直後。
 不滅の薔薇と猟兵達の間、黒雲を突き破り灰雲がかかる空へと雷纏う黒竜が飛び出し猟兵達を見下ろす。
 災害の具現たるその姿は雷を降らせる雷雲のよう。災害たる自分自身すらをも受容できない取るに足らぬ生命に対する侮りを以て雷で砕く暴雷の竜。
 黒竜が一鳴きする。それだけで周囲の雲が雷を帯び、彼の竜の雷撃を高める迅雷領域へと塗り替えられていく。
「空の方も雷雲が来ています!」
 仄々が空を見上げればいつの間にか青空を覆うように集まってきていた空の雲が雷雲へと変化、雷の轟きを周囲一帯に響かせていく。
 そして一筋の落雷が一輪の不滅の薔薇を焼いた。生命力の強い不滅の薔薇でも雷には耐えきれず黒く焦げてしまっている。
 このまま放置すれば不滅の薔薇は雷に焼かれ、そしていつか黒竜は世界を破壊せんと飛び立ち災厄を齎すだろう。
 その前に倒さねばならない。この創生雷雲領域に潜んでいた残党の一体たる雷の災害竜を討つために、猟兵達は戦闘態勢をとった。
ロニ・グィー(サポート)
アドリブ・連携歓迎
「サプラーイズッ!驚いた?」
基本的に極々自分勝手で悪戯好きな神様
怖いもの知らずで迷うこと無く(考えも無く)、直感に従って行動する
うまくいけばふんぞり返り、失敗しても悪びれない(が強く詰られると涙目になって逃げだす。三分後には忘れてる)
自分を信頼する人はダダ甘やかし(お菓子とかあげる)、自分の我が儘を許容してくれる人にはダダ甘える

・戦闘
たくさんの空飛ぶ球体を操って攻撃・防御する
球体のサイズや機能は様々、銃弾の様に蜂の巣にする、巨大な球で圧し潰す、ビームや雷を飛ばす等何でも適当に
影の中から全弾撃ち出しての不意打ちだまし討ちや、最後には力押し(拳・暴力)で解決するのが好き



 黒竜の咆哮と共に雷が降り注ぐ。それは生命を拒絶するような、この地を嘗て支配していた帝竜の如き雷のユーベルコード。
 猟兵達が地面としている黒雲へと降り注いで雲が雷を帯び、この領域での雷の力を高めるサイクルが成立してしまっている。
 それに加え風が吹き荒れはじめ、茨に咲く不滅の薔薇の花弁が風に巻かれて飛ばされていく。
「やー面白いね!」
 そういうピンク髪の猟兵の少年はロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)。雷はともかく何となく風の方に親近感を抱きつつ、彼は自身の影よりいくつかの球体を出現させる。
 サイズも形も様々なそれらは彼の武器。空を舞うあの黒竜を討つ為の道具だ。
 降り注ぐ雷を牙を生やした球体が口を開け待ち構え、喰らう。形ないモノすら喰らうその凶暴な餓鬼球に護りを任せながら、スニーカーへと改造した神々のサンダルでロニは球体群を足場代わりにしてととん、とテンポよく飛び跳ねて黒竜の真上を取り、その背を踏みつけにする。
 雷を帯びているその体に直接触れに行くのは普通に考えれば無謀だろう。けれどもロニは怖いもの知らず、思いついた事を第六感でいけると判断したなら迷わず行動しただけだ。
 空にかかった雲はまだ薄く、太陽の光も仄か。それに加えロニの真上に小さな白昼の光の霊球が浮遊していて、ロニの影を黒竜の体表へと落としている。
 途端、ロニの神様の影から巨大な鉄球が出現。黒竜の体を圧し潰すように重力に従い加速する。
「サプラーイズッ! 驚いた?」
 鉄球の出現と同時に飛び跳ね霊球へと飛び移ったロニは黒竜を見下ろしながら胸を張る。
 影を使った不意討ちは初見には酷く効果的だったようで、黒竜は鉄球の加速から逃れる事も出来ず黒雲へと墜落する。
 けれど鉄球の下には黒竜の姿はない。
「潜っちゃったかー、成程ね!」
 嫌な気配を感じてロニが頭上にいくつか小さな鉄球を展開、さらに乗っている霊球を加速させ移動すれば、鉄球に向けて雷が落ちてくる。
 多少のダメージは通っているようだがまだまだ元気な様子。初っ端にあんな風に一撃喰らったなら侮りももうなくなっているだろう。
 さて次はどう攻めてからかってやろうか、そんな事を考えながら少年の姿をした神様は降り注ぐ雷を避けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

髪塚・鍬丸(サポート)
「御下命如何にしても果たすべし
死して屍拾う者無し」

【人物】
時代劇に出て来る遊び人の兄さん風の、飄々とした言動の人物です。
正体は抜け忍です。基本的には任務の為なら手段を選びませんが、そういう殺伐とした生き方を嫌って逃亡した為、残虐非道な行動だけは避けます。

【行動】
情報収集時は、出来るだけ状況を楽しみつつ、忍者時代の技術を活かして行動。
戦闘時は、忍装束を纏い忍者として気を引き締めて戦います。
【早業】の技能を活かし、手持ちのユーベルコードから、適切な能力で行動します。
連携、アドリブ感激です。


別宝・魔純
SPD アド連歓迎
強そうな龍ですわね、あの雷撃を何かに利用できたら良いのに。
……まぁ、わたくしのやる事はただ一つ。己を含めた治癒ですわ。

指定UCで【生命力吸収】の強さをほぼ600にまで高めてから【高速詠唱】の【弾幕】で相手より早くドレイン魔法弾を仕掛けてみますわ。
当たったら相当疲労して雷撃も放射している場合じゃなくなりますわよ。

生命力を奪い取った後は、ついでに【毒使い】【属性攻撃】の魔法弾によって毒を付与して差し上げますわ。じわじわと体力が減っていきますの。

黒き雷龍よ、生命力の尊さを感じるがいい!(魔王の娘モード)

不滅の薔薇はわたくしは一本で充分ですわ。皆様お好きにお取りくださいな。



 そして、黒竜が雷光を纏い黒雲から再び飛び上がり、空へと飛翔する。
 その速度は先程までの比ではない。雷雲から力を得るようにして黒竜レーヴィンはその力を全開に引き出していた。
「強そうな龍ですわね、あの雷撃を何かに利用できたら良いのに」
 黒雲の地より黒竜を見上げながら魔純が呟く。あの強力な力を利用できれば――けれど気性的に無理だろうと思い直す。
 確かにあの竜は強敵だ。でも、だからこそ魔純は彼女にできる事を堅実に行う事を決めていた。
 ユーベルコードを起動し、生命力を奪い取る力を高めて魔法弾を構築、そして空の黒竜へと放つ。
 本格的に加速が始まる前に高速で紡がれたそれは、けれど黒竜の雷に相殺されてしまい、そして黒竜が高速飛行を開始する。
 しかしそこに、音もなく一人の猟兵が浮遊する球体を足場にし高速で飛行する黒竜の正面から飛び込む。
 忍装束の彼の名は髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)、かつて習得した忍術はこのような不安定な足場でも全くぶれることなく移動を可能にしている。
「御下命如何にしても果たすべし死して屍拾う者無し」
 この領域は雷の黒竜の領域、圧倒的な不利ではあるが与えられた使命は確実にこなすと彼は強く決意していた。
 そんな羽虫のような鍬丸の動きをとらえようと、レーヴィンは視線を常に彼に向け続け雷光を放射し続ける。
 不意に両者の視線が交錯。その瞬間、無数に迸る雷光の一つが遂に跳躍した青年を捉え撃ち抜く。
 強烈な雷撃を受け黒焦げになった鍬丸が落ちて――それが燃え上がり、炎の中から火の鳥が出現しレーヴィンに向かって襲い掛かる。
 雷光纏う黒竜は意表を突かれ鷹のように一瞬戸惑うが、すぐに雷光を放射、けれども火の鳥はその雷光すら霧散させレーヴィンに向かって猛スピードで飛行、その上を取りその爪を黒竜の強靭な鱗に突き立てて翼を羽ばたかせて地へと落とさんとする。
 高速での飛行、雷光の放射。そのいずれもこの不死鳥には効果がない。何故だ、と黒竜は疑問に捕らわれたまま黒雲の海へと墜落し――

「……突然暴れ出しましたけど、何があったんですの?」
 黒雲の地より忍者と黒竜の空中戦を見ていた魔純が呟く。
 雷光の放射が空を灼き、それを掻い潜り球体から球体へと飛び移りながら距離を測る忍者。お互いに攻撃が当たる事もない状態で暫く戦っていた二者、突然黒竜が動きを止めてあらぬ方向に攻撃を始めたのだ。
 まるで存在しない幻覚でも見ているようなその行動、それは鍬丸のユーベルコードによるもの。幾度滅ぼそうと新たに生まれ出ずる取るに足らぬ生命のイメージ、視線を合わせた瞬間にそれを読み取り黒竜を幻覚に落とし込み、不死鳥のイメージとしてを襲わせたのだ。
 そして黒竜は地へと落ちる。何かに抑え込まれたかのように藻掻いている今の状況は、魔純にとっても理想的な状況。
「――黒き雷龍よ、生命力の尊さを感じるがいい!」
 威厳持つ魔王の娘としての声で告げ、生命力を奪う魔法弾をレーヴィンに向けて放ち、そして命中。
 恐ろしいレベルにまで強化された魔弾が吸い上げる生命力は、魔純の疲労を癒すと同時にレーヴィンからごっそりと体力を削り取る。
 その衝撃で幻から覚めたのか、黒竜が周囲を見るよう軽く首を回し、そして魔純と空から飛び降りて来た忍者へと視線を向けて怒りに満ちた咆哮をあげる。
 確かにダメージは重なっている。けれどこの黒竜の体力はすさまじい。倒し切るにはまだまだ攻撃が必要だろう。
 雷光が迸り、それを回避しながら二人は一時撤退したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・仄々
災害竜さんは
ただ雷の本分のままありたいだけかも知れませんが
災厄を許すわけには行きません
海へお還ししましょう

迅雷領域とは剣呑ですが…
利用させていただきましょう

周囲に満ちる自然エネルギーを
魔力に変換しUC

即ち
雷鳴を風の矢
雷光を炎の矢
雷雲蓄える水気を水の矢
とし攻撃

風を纏い空中浮遊
疾風の如き速さで回避


敵に弾かれたり壊された矢は
自然現象に戻ります

即ち
激風が雷雲を少しずつ吹き払う
敵に纏わりつく火の粉のプラズマが
雷のそれを相殺
同様に広がった水飛沫が電流を拡散減弱

少しずつ力を削いでいきます

こちらを侮っている災害竜さんが気づいた時には
時すでに遅し
三属性の矢で槍衾に

終幕
鎮魂の調べ
静かな眠りを

薔薇の選定
記念に1輪


レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
にゃあ良いデートスポットになりそうだし、ソッチが地形の力を借りるならレフティも。
【ガイアキャット】に変身、髭感知で動きを見切り、肉球たしたしと薔薇の群生地と迅雷領域を素材に、配下子猫達<迅雷の薔薇猫>を錬成。
立場的に上に立つリーダー効果で戦闘力を高め、不滅の薔薇と迅雷領域の特性を掛け合わせて生まれた、生命力と雷撃を吸収する配下子猫達と共に、配下子猫達の組体操による盾や連携攻撃で支援してくにゃあ。
元を言えば、溶岩に触れても錬成出来る様になる為の無効化能力だけど。それでも影響は影響にゃ。迅雷領域を奪ってくにゃあ。
もしも配下子猫達がここに棲むならルールを設けてもいいかもにゃ。



 そして入れ替わり、二つの小さな影が機を見計らったかのように飛び出してくる。
 黒い毛並の仄々と白い毛並のレフティ。いずれも雷の災害の具現の如き黒竜に対してはとても矮小な存在。
 けれども黒竜は最早侮る事などない。嵐の如き真空刃と雷を周囲に生み出しその迅雷領域:轟咆雷烙を深め自身の振るう力を高めていく。
 今でこそ雷も酷く厄介な薔薇もあり、そしてアクセスは危険極まりない群竜大陸という事で最悪に近いのだけれども、ここに来るまでに見た景色は正に絶景、良いデートスポットになりそうだと白い仔猫は普段の気まぐれなペースを崩さずそんな事を考えていた。
 向こうが地形を塗り潰しその力を借りるのであればこちらもやり返してやろうと緑の瞳が雷光を映し悪戯っぽく煌いた。
 恐らくはこの黒竜はただ雷の本分のまま在りたいのかもしれない、そう仄々は考える。
 この場所は元々存在しないはずの雲の領域。雷が轟くのもおかしくはないのだろう。
 けれどもこの黒竜は違う。オブリビオンであり、生ける者に対する災厄だ。在るべき場所――骸の海へと返す為にその緑の目を眇め周囲に満ちる自然のエネルギーを把握する。
 既に迅雷領域は完全に展開されている。雷の力が非常に強く、それ以外を拒絶するようにこの空間に満ちている。
 非常に剣呑である。だが、仄々には問題ない。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
 風を纏いその流れに身を任せるようにして雷撃と真空刃を躱しつつ、彼はユーベルコードを起動する。
 雷鳴を風に、雷光を炎に、そして頭上の雷雲に含まれる水気を水に。それぞれの属性の矢として変換し紡ぎあげ、それを放つ。
 苛立ったように黒竜が唸れば、雷の嵐は一層激しさを増しそれらの矢を撃墜していく。
 けれど砕かれた矢は雷に戻る事はない。火種は残り旋風は渦巻き、水は黒雲の上に落ちて染み込んでいく。
 レーヴィンには中々届かない。けれども仄々は彼の狙いの為に次々に魔力の矢を放ち、襲い掛かる自然の暴力を回避しつつ戦いを続けていく。

 仄々が風に乗り疾風の如気速度で雷を回避していく一方、ユーベルコードを起動したレフティは薔薇の群生地へと向かっていた。
 今の彼は地形の影響を受けない――たとえ溶岩に触れたとしても問題ないガイアキャットへと変身している。黒竜の雷に誘引されるようにして足元の黒雲から不規則に吹き上がってくる雷を感知して躱す彼はとうとう目的地に到達。雷に撃たれ黒く焼け焦げている不滅の薔薇たちにとんとんと飛び乗り肉球で触れていけば、薔薇と根付く黒雲――既に迅雷領域:轟咆雷烙と化しているそれから薔薇のように赤い毛並の仔猫が『錬成』される。
 その数凡そ八十、名づけるならば『迅雷の薔薇猫』だろうその仔猫たちはリーダーたるレフティの力を高め、黒竜の放った雷光との間に壁のようにして積み重なりシャットアウトする。ダメージこそあるようだが素材となった不滅の薔薇と迅雷領域の特性で活動に支障の出る程ではない。
 次々に降り注ぐ雷が迅雷領域を深めていくのに対し、周囲の生命全てを喰らい繁殖する不滅の薔薇の特性故かその雷を吸い上げるようにして仔猫達はレフティの号令の下領域を侵食するように走っていく。
 走れば走る程に、時間が経てば経つほど領域の力は損なわれていく。けれどもそれはレフティだけの力ではない。
 仄々の放つ魔力の矢が次々に砕かれていけば旋風は暴風のように強度を増して集まりくる雷雲を吹き払っていき、落ちた水は黒雲の中へと導線を引く事で空間に立ち込める雷を逃していく。
 雷の力を変換する事で領域の力の総量を減らし、そして変換したものは雷を打ち消すように働かせていく。
 そして雷の力が十分に弱まった瞬間、ここだと見切った仄々が竪琴を奏でれば、数百の三属性の矢が黒竜に殺到する。
 それを雷で撃ち落とさんとレーヴィンは吼えるが、けれど領域の力は殆ど失われてしまっている。半数を撃ち落とすことはできた、けれど残りはすべてレーヴィンへと突き刺さる。
 回避は間に合わぬと防御態勢をとったが、それでもダメージは非常に大きい。水と風の矢に体を貫かれ炎に焼かれ黒雲の如き雷の黒竜の全身は槍衾にされたかのようにボロボロだ。
 だが。
 黒竜は吼える。生命などに負けるかとばかりに力強く、雷鳴の如く。
 力を奪われた迅雷領域に再び雷の力が満ちていく。それは消える前の最後の輝きなのかもしれない。
 けれど自身がどうなろうと、眼前の猟兵達は必ず滅ぼす――そう物語るかのように黒竜レーヴィンの竜の瞳は殺意に満ちギラギラと輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「帝竜戦役の残党狩りですか。少しでも群竜大陸の危険を減らすためにも頑張りましょう。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】で、『レーヴィン』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【雷撃耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



 ――散らされた雷雲が再び収束する。
 間断なく空間を奔る稲妻と暴風は領域内のすべてを灰燼と為すかのように降り注ぎ、そして吹き散らしてしまうかのよう。
 かつてこの地を支配していた帝竜にも似た雷の地獄を猟兵達は持てる力で対抗し、力を削ぎ、そして反撃の機会を狙う。

「帝竜戦役の残党狩りですか。少しでも群竜大陸の危険を減らすためにも頑張りましょう」
 そんな中を夜闇のコートのウィザード、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は一直線に手負いの黒竜へと向かう。降り注ぐ雷を纏うオーラにより身体へと流さぬように負傷を抑えつつ彼女の術を紡ぎあげていく。
 彼女のがその術を放たんとした魔力が高まったその瞬間、狙いを定める為にか僅かに動きが止まったのを見逃さずにレーヴィンが巨大な暴風の刃を放ち、その黒き影を切り裂いた。
 だが。
「残念、それは残像です」
 その動作はフェイント――暴風の刃を誘う為の停止を挟んだ明は跳躍し回避、暴風が切り裂いたのは彼女の残像だ。
 そして空を見上げた雷の黒竜が目にしたのは無数の氷の矢を背にした魔術師の姿。
「我、求めるは、冷たき力」
 言葉はシンプル、しかしそれ故に込められた力は絶大だ。黒竜の魔力によって生み出された迅雷領域を空から串刺しにし塗り潰すかののように氷の矢の雨がレーヴィンに向けて降り注ぐ。
 氷の矢の嵐が迅雷領域に満ちる魔力をかき乱しながら一直線に貫き炎に侵された黒竜の鱗に突き刺さり、砕く。
 無数の氷の雨が降り注ぎ全身から雷を血のように溢れさせながら、それでも黒竜の体は屈さない。
 けれど既に終わりは確定していた。
 破魔宿す氷の矢の雨と領域を冒す迅雷の薔薇猫により生命を拒絶するような雷の領域の力は大きく減じていたのだから。

 黒雲へと着地した明は間髪入れずに先程と同じ数の氷の矢を展開、それと同時に黒猫の竪琴の旋律が奏でられれば迅雷領域の雷が炎と水、そして疾風の矢へと変換されていく。 それに対抗するように猟兵達を見据えた黒竜の咆哮が領域に響き渡れば指向性を持った稲妻の群が猟兵達に殺到。けれど空より落ちてきた球体の群と白い仔猫の指揮に従い猟兵達の前に壁を形作った仔猫の群が代わりに受け通さない。
 子猫の隙間、一人の忍者と再び目が合えば球体や仔猫を飛び越えるようにして不死鳥が舞い上がり黒竜へと急降下、其方に気を取られ上方への防御態勢を取ったその瞬間ルベライトの魔王の娘の放った魔力弾が黒竜の傷だらけの胴体に連続で命中。
 ただでさえ生命力を奪い取る性質を持つ上に毒を帯びたその攻撃に、さしもレーヴィンも一瞬意識が途切れてしまう。
 そしてその一瞬の空白に、四つの属性の魔力矢が横殴りの雨の如く襲いかかる。
 断末魔の咆哮、そして全ての矢が通り過ぎた後には黒雲に溶け込むようにして姿を崩れさせていく竜の姿と黒雲の隙間から射し込む陽光の輝きだけがあった。

●嵐の後の不滅
 嵐は過ぎ去り、空模様は綺麗な青空からやや赤みを帯びた夕方のものへと移り変わろうとしていた。
 災害として在った黒竜を悼む仄々の鎮魂の竪琴のメロディーが響く中、猟兵達は薔薇の群生地となっていたその場所を確認していた。
「……ボロッボロですわね!?」
 一通り現場を確認した魔純が呟く。
 雷の黒竜が散々に暴れまわった結果、余波でこの不滅の薔薇の群生地は滅茶苦茶になっていた。
 枯れはしない生命力を持つ不滅の薔薇も雷の直撃を何度も何度も受けてしまえば流石に炭になってしまう。
 元々不滅の薔薇の剪定もとい間引きもお願いされていたからそういう意味では問題はないのかもしれないのだけれども、自分達でやる前にこうなっているのはちょっと残念が過ぎる。
 そして別の原因で落ち込んでいる様子なのはレフティ。
「ここに住むルールづくりしてもよかったのににゃあ」
 迅雷の薔薇猫達は黒竜の消滅と同時に姿を消していた。錬成元の片割れがレーヴィンのユーベルコード解除の影響を受けたからなのかもしれない。
 元々この場は生まれたての不毛の地、仔猫が生きていくには厳しい環境でもある。けれども力を合わせればこの地でも――そんな事を考えながら、黒焦げになった薔薇の茂みを前足でてしてしと払っていく。
 黒焦げの茂みもよくよく奥の方を見れば、奇跡的に雷の被害を免れた不滅の薔薇が数輪見える。
 もしも雷の領域の力を削ぐように戦っていなければ本当に全滅していたのかもしれないけれど、今この場に残っていることが戦いの結果なのだろう。
 炭となった茨を払いのけて、魔純はほぼ無傷だった一輪を、そして鎮魂歌を奏で終えた仄々が美しく咲いていた一輪をそっと摘み取る。
 そして残る不滅の薔薇を剪定した後、猟兵達は秋の気配を帯びた風を感じつつ夕暮れに染まる雲海の地を後にしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月01日


挿絵イラスト