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迷宮災厄戦⑱-18〜それがわたしのイマジネーション

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン #イマジンモンスター


●おすすめデコレーション
「強いって、何かしら?木いちごのパイより大事なものなの?」
 オウガ・オリジンはドレッサーの上に置いた粘土をつつきながら、見えない顔にふくれっ面を作った。
「トランプの兵隊もダメ、鏡の女王もダメ。役に立たない連中ばっかり!」
 邪悪な悪戯や残酷なお仕置きはともかく、剣を合わせる戦士の事などこれまでろくに考えたこともないのだ。
 要はネタ切れなのだ。愉快な仲間であれアリスであれ、ただ裁きを下して一方的に滅びを与えてきたアリスにとって、戦いそのものが主軸となる今回のような状況は初めてだった。

「面倒だわ、早く皆殺しにしてお茶の時間にしないと……そういえば新しい茶葉が」
 早くも飽きて立ち上がったオウガ・オリジンの足に、こつんと何かが当たる。
「何かしら……これ!?」
 それは見覚えのある姿をした人形。事もあろうに自分の力を盗んでいった泥棒共に似せて作った7体の人形だ。何故こんなところに?
「……いいこと思いついたわ」
 オウガ・オリジンはにまりと笑い、まずは人形を纏めて何度も踏みつけた。
「こうして!こうして!こうして!こう!!」
 バラバラになった人形の頭を、腕を、胴体を、ドレッサーに置いた粘土の上にぐちゃぐちゃと飾り立てる。
「へえ、あなたは時間を止められて、あなたは透明になれるの?
 バカになる光線に骨を溶かす槍、人喰いのおっぱいに鉤爪と剣!
 すてき!1人じゃてんでダメだけど、これで強そうになったじゃない。
 ハッピーバースデー、「ドミラルドブレハンプクル鉤ウォック」」

●全部載せラーメン
「おう、男の夢だな」
 言い切ったガン・ヴァソレム(ちょっと前流行ったアレ・f06145)に、猟兵達の反応は様々だった。背油は苦手だの、魚介はシンプルさ命だの……別の戦争が起こりそうだ。

「まあいいや、いよいよガチンコだ。がっつり飯は後でゆっくり食おうぜ」
 ガンの展開した画像には、子供部屋を数百倍に大きくしたような、カラフルで雑多な空間が映っている。
「想像力の国、だと。オウガ・オリジンの奴はここで俺様達を迎え撃つ気だ」
 オウガ・オリジンの持つ現実改変ユーベルコードを増幅するために作られたこの国で、
 彼女は自身の想像力から生まれた「イマジンモンスター」に変化しているのだという。

「ただ……まあ、アレだ。奴さん色々考えすぎて、そろそろ疲れちゃったみたいな」
 続けて表示されたのは、モンスターというにはただただ醜悪なだけの肉の塊だった。
 ぶよぶよの本体の上に適当に手足や首が複数生えた、グロいだけでよくわからないもの。

「恰好はアレだがパーツは優秀だぜ、見てみな」
 ブックドミネーター、プリンセス・エメラルド、キング・ブレイン、クルセイダー、レディ・ハンプティ、鉤爪の男、サー・ジャバウォック。目を凝らすと、かつて戦った猟書家達の身体がばらばらに張り付いているのだ。

「敵は連中の能力を全部備えてる、雑だが強力だ。で、こっちはってえと……同じことするのさ」
 ぶよぶよのぐちゃぐちゃは流石にごめん被る猟兵達。

「そこまで真似すんなよ。この「想像力の国」の力は俺様達も使えるのさ」
 つまり、アリスと同様にイマジンモンスターとなって、匹敵する力を得ることが出来るというのだ。
 その姿は自身の想像の通り自由に造形され、イメージが具体的である程強力になるという。

「超強いロボとか怪獣とかプロレスラーとか、考えたことくらいあるだろ?
 お前等のセンスと黒歴史の見せどころだぜ」

 そわそわする内心を隠しつつ、猟兵達は冷静を装って準備を始めた。


荒左腕
 荒左腕(あれさわん)です。よろしくお願いします。

 アリスラビリンスでの戦争もいよいよ最終局面です。
 個人的には全部乗せ合体とか大好き。

●「プレイングボーナス」について
 本シナリオでは以下の行動に基づく行動をとることで有利な結果を得ることができます。
 プレイングボーナス……『さいきょうのそんざいに変身する。』
 敵の攻撃については、OP及びオブリビオンのデータをご確認ください。

 基本が少女趣味のオウガ・オリジンには合体のロマンが理解できないため、
 猟書家全ての能力を使えると言ってもそれらをただ振り回すだけで、本物ほど能力を生かすことはできません。
 皆さんがイマジンモンスターに変身するにあたっては、オウガ・オリジンへの対抗と言うより、ご自身が変身した姿の絶対最強完全爆発っぷりを熱く語っていただく方が効果的です。
 イマジネーションでがっぷり四つに組み合ってください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『『オウガ・オリジン』とイマジンモンスター』

POW   :    イマジンモンスター・ギガンティック
【現実改変ユーベルコード】を使用する事で、【全身からオウガ達の頭部】を生やした、自身の身長の3倍の【イマジンモンスター】に変身する。
SPD   :    イマジンモンスター・スピード
【現実改変ユーベルコードを使用する】事で【イマジンモンスター】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    イマジンモンスター・ディフェンス
対象の攻撃を軽減する【イマジンモンスター】に変身しつつ、【身体から溢れ出すトランプ】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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鈴木・志乃
(アド連歓迎 好きにしてやって下さい)
なーにが「センスと黒歴史の見せどころだぜ」だよァ……
あ、だめだ、泣きそう(遠い目)

変身! ふよふよ浮く光球の精神生命体!
物理的存在じゃないので物理攻撃は透過してやる! ついでに瞬間移動までこなしてやるぞ! 残像沢山残して敵を攪乱だ。そのまま光輝いてUC発動、お前の認識能力を破壊してやる!

私は本当に君の敵かな? 敵はそう、そこに落ちてるお人形やナイフじゃないのかな? さァ敵に向かって殴れ、殴れ。私はそこに向かって容赦なく全力魔法でなぎ払い攻撃仕掛けてやるから。

不意打ちで正気が戻って攻撃食らっても残念、それは分身の私だ。
本物はここだって言ってやる。
忍者か私は。



 すぐ目の前には手のひらサイズの城郭が、遥か彼方には天を衝くほどの色鉛筆が広がり、見渡す限りパステルカラーで埋め尽くされたちぐはぐな想像力の国。

 波打つ絨毯の道を踏みしめて歩く巨大な芋虫――いや、イマジンモンスター「ドミラルドブレハンプクル鉤ウォック」の上に玉座を拵えたオウガ・オリジンは、その奇怪な姿に似合わぬ乗り心地の良さに気をよくしていた。
 しかし、久々のご機嫌にもやっぱり連中は水を差しに来たようだ。
 オウガ・オリジンは猟兵達の姿を確認すると、見えない顔をいっぱいにしかめて足元に怒鳴り散らした。
「さあ、出番よ化け物!首を刎ねられたくなければ、連中を皆殺しにしなさい!」


「あのちんちくりんオヤジめ、なーにが「センスと黒歴史の見せどころだぜ」だよァ……」
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)は間近で見る敵の異様さに改めて絶句していた。
 巨大な芋虫という形容は正直可愛い方だ。皮膚を剥がれた巨大な肉の塊はどくどくと脈打ち、その上にケーキの蝋燭みたいに刺さった猟書家達と思わしきパーツは時々うめき声まで上げている。
 
「こんなのセンスとかの問題じゃないじゃん……」
 正直あまり長く見ていたくはない。そのためにきちんと対策を見据えた「姿」を用意してきたのだ。
「だったら、こいつでどうだ!」
 意識を集中すると、ふわふわした感覚と共に身体が宙に浮くのを感じる。
 手足のない光る球体。これが志乃の思い描いた姿だ。

「下品な羽虫め!……クルセイダー!」
 オウガ・オリジンの声に呼応して肉の塊からもぞもぞとパーツが動き、クルセイダーと思わしき腕から槍が放たれる。だが槍は志乃を投下してその向こうへ飛んで行った。

「ざまァ!これは物理的な存在じゃないから効かないの!そして!」
 志乃の「UNKNOWN」。相手の脳機能にダメージを与える波長をもつ光だ。
「こいつで頭パーになれ!」
 光を受けたクルセイダーの頭がぐらぐらと揺れ、方々に生えた手足もあらぬ方向に向かって攻撃を始める。

「よし、この調子で……!?」
 追撃に移る寸前で何かを察知した志乃が飛びのくと、その一瞬後に何かが目の前を通り過ぎる。

「バカは要らないわ」
 次の瞬間にはクルセイダーの頭がごとりと落ち、肉塊の中に沈んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴィアン・フォンテーヌ
最強の存在に変身、ですか
そして敵は猟書家の合体怪獣……名前は、ドミラルドブレハンプッ!?舌噛みました
……ごほん。ともあれ、私が想像する最強の存在は、いずれ現れるだろう……現れて欲しい理想の英雄です
私の聖剣を託すべき美化されまくりの理想の勇者(イケメン男子)になって、普段は秘匿してる聖剣イクスカリバーを抜き放ちます
勇者を導く選定の剣。勇者の運命を決め、だが、その運命の先が未知なる聖剣。それがイクスカリバー。いくぞ聖剣抜刀!
結末見えぬ運命の剣、定めの刃。束ねるは我が運命、終わり見えぬ道の灯、未来切り開く極光の剣!
未知なる運命の剣(イクスカリバー)ぁぁぁ!
と聖剣イクスカリバーからビームぶっ放します



「そこまでです、ドミラルドブレハンぶペッ……中略ウォック!」
 リヴィアン・フォンテーヌ(湖の乙女・f28102)は途中で舌を噛んだがなんとか言い切った。ガッツがある。

「私の思う最強の存在……それは、私の聖剣を託すべき勇者様!」
 隠し持っていた聖剣イクスカリバーを鞘から抜き、常日頃から夢想してきた理想の勇者様をイメージする。

「そう、勇者様は身長180㎝代体脂肪率8%以下、一見細身なのに脱ぐとしっかり逆三体型の20代前半、年の割に低い激渋ボイスにサラッサラの金髪と大きな緑の眼が印象的な2.5次元系で髪の毛からは柑橘系の香りがして都内のタワマンに大きい犬と住んでて年商7億円のベンチャー社長で」
 淀みない口ぶりでお出しされる設定。多分実家の家族構成まである。

「なんて気迫……!鉤爪、行きなさい!」
 あまりの圧に気圧され、オウガ・オリジンは「鉤爪の男」のパーツを呼び寄せて繋げ、リヴィアンへの攻撃を命じる。若干おかしな動きながらも強力なプラズマを帯びた機械の大爪が彼女を捉えたその時。

「……ゆくぞ、聖剣抜刀!」
 剣を抜き放ち、大爪を受け流したその姿。
 それは身長180㎝代体脂肪(中略)社長、夢想に夢想を重ねた勇者様のそれであった。

「今こそ貴様を倒す!そして会社に戻り3億の取引を成立させた後はジムで汗を流し、犬のグルーミングをしながら自らフレンチの夕食を作るのだ」
「くっ、なんという忙しい生活!あと柑橘系の匂いがする」
 盛り過ぎですごい生き急いでる人みたいになってきたが、想いの強さは本物だ。

「結末見えぬ運命の剣、定めの刃。束ねるは我が運命、終わり見えぬ道の灯、未来切り開く極光の剣!
 刮目せよ、未知なる運命の剣(イクスカリバー)ッ!!」
 バリトンと共に聖剣が振り下ろされると、剣から延びる光の筋が鉤爪を両断し、遥か後ろのオウガ・オリジンの玉座までに傷をつける。

「むう、なんと良い声……!」
「でしょう?でしょう?」
 攻撃と同時に元に戻ってしまったものの、リヴィアンはそれはそれは幸せであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・フィアネーヴ
思わず浮かべてしまったのは、己の中の封じられた災禍の力
そして師に聞いた、
かつて一国を滅ぼした、同じ災禍の力を操ったという生ける災厄「災禍の黒竜」

いや…迷う暇はない、か
敵が猟書家の力全てを操るというのなら
この世界を護るために、その力を私に貸せ……災竜アドウェルス!!

肉体、魂、想いさえも
全てを熱し暴走させ焼き焦がす熱と
全てを凍えさせ凍結し永劫に停めてしまう冷気
それらを操る漆黒の鱗の巨竜に変じ、

そして【限定解放:災禍の巨神】
己の影から生じた武器を大地に突き立て、それを核に災竜の眷属、
地震、噴火、津波、嵐、吹雪、そして“星落とし”
それら天災の化身たる巨神達を召喚

その全てを以て、お前を終わらせる……!



「レディ・ハンプティ!目障りな羽虫を噛み砕いておしまい!」
 オウガ・オリジンの命令でずるりと起き上がるのは、レディハンプティの胴体だ。
 豊かな乳房がふるふるとわななくと、がばりと開いて敵を噛み砕く顎となる。

 強大な獣を思わせる顎に対面して、セツナ・フィアネーヴ(災禍貫く竜槍・f26235)は「それ」を連想した。
 自分に連なるという力を奮い、かつて一国を滅ぼしたという生ける災厄「災禍の黒竜」。
 
 恐るべき力に身震いするも、セツナがイメージしうる最強の力こそ、その黒竜であった。

「迷う暇はない……か」
 意を決して拳を開き、掌に広がる炎を胸に押し当てる。

「災いの巨神……否、災禍の黒竜よ!!」
 胸に広がる炎がセツナの身体を包み、一層大きく膨れ上がる。
 そして風船が破裂するように弾けた炎の中から、それは姿を現した。

 魂までも焦がす熱と時をも凍らせる冷気を両手に抱き、漆黒の翼を広げたその姿こそ、
 セツナの恐怖と力の権化、災禍の黒竜である。

「ただのイメージでも、まだきつい……!でも、少しの間なら……!」
 荒れ狂う2つの力を必死で押さえつけながら、セツナなレディ・ハンプティの顎に飛び込んだ。
「……!?」
 首のないレディの胴が虚を突かれてたじろぐが、もう遅い。
 竜はがばりと開いたレディの口にそのままかじりつき、鋭く剛い牙でその上顎を引きちぎった。

「――!!」
 片方の顎を失い、残った片顎から悲鳴を上げるレディをつかみ上げ、黒竜が空へ舞う。

「星落としの力を!!」
 はるか上空に舞い上がると、自由落下――いや、自身の翼で更に速度を上げる。
 自身を天から落ちる星と変え、地上を熱と衝撃の地獄へ見舞う。それが「星落としの力」だ。

「何っ!?」
 オウガ・オリジンがは咄嗟に玉座と下僕達を盾替わりにして爆風を防ぐ。
 しかし、後に残っていたのは全壊した玉座と、ひどく平らかになったイマジンモンスターの背中であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
わははは、どんな存在であれ『世界』そのものには敵わない。そして私は『夜(デモン)』である。故に『夜の世界』へと変身よ☆(デモニックワンダーラビリンス。出口は星々のどれか)
くくく、猟書家全部乗せといえどガチ災害には対処は難しいだろう。ただの災害ではなく神罰だし、コレ。そう、世界としての神罰なので猟書家の力は略奪しておくわね♪
そして、噴火なり竜巻なりで上空に吹き飛ばした後に待っているのは、世界最強の武器『地面』さんである。『夜』に浮かぶ双子月から放たれる重力波で地面に向かって吹き飛ばし叩きつけるのだ。そのまま地面に埋葬(捕食)するわ☆

お任せプレイング。お好きなように。
汝が為したいように為すがよい。



「どんな存在であれ『世界』そのものには敵わない。そして私は『夜(デモン)』。
 『夜の世界』……デモニックワンダーラビリンス」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)は絶対強者の概念として「世界」を選択した。
 彼女を基点として、ユーベルコードに基づいた迷宮を模した「世界」が広がっていく。

「……「イッツ・ア・スモールワールド」。そうね、わたしもそう思うわ」
 オウガ・オリジンはその姿を見て、さもありなんといったため息をついた。

「想像力の国」には、その主であるオウガ・オリジンも無意識のうちに見落としていた穴がある。
 この国に限定された力である以上、「想像力の国」を超える概念にはならないのだ。
 恒星より大きな巨人も、銀河団を両断する剣も全ては「想像力の国の中」の事になる。

 然して、「世界」と化すことに成功したアリスは、彼女の考える世界の構成要素――土塊や、海や、雲、星など――を内包する、地球によく似た巨大な構造物となってオウガ・オリジンに対する事となった。

「やだ!もっと絶対的で一方的な奴がよかったのに!」
「それはできない相談よ、だってわたしが「絶対」なんだもの」
「なら今から絶対になってやるわ!くらえ神罰!」
 イメージの欠如はスペックで補う。アリスは体内に内包した自然災害を泥団子でも投げるようにぽんぽんと放り投げた。街や国を蒸発させるほどの噴火や洪水、落雷がオウガ・オリジンを襲う。
「大物には大物ね……エメラルド。ちゃんと働きなさい」
 プリンセス・エメラルドの首がぐりっと顔をもたげて口を開いた。
 続いてオウガ・オリジンがばら撒いたトランプから次々と宇宙戦艦が出撃し、主砲を開いてアリスの災害を迎え撃つ。
 全長数十キロ以上の巨大構造物による大質量の応酬。不思議の国においてさながら宇宙戦争が始まった。

「ちょこざいな……ん!?」
 巨大なアリスの視界から、同じく巨大な宇宙戦艦やオウガ・オリジンの姿が消える。
 プリンセス・エメラルドの透明化能力の応用と思われるが、ここまで広範囲になるとは。
 なまじ巨大化したアリスはその気配や動きを感じ取ることができない。

「だったら……思い知りなさい、神の怒り!」
 小回りに対応できないならと、アリスは頭を切り替えた。
 戦場を埋め尽くす程に巨大化した自分自身を、想像力の国に丸ごとぶつけるのだ。

「わたしの国で下品な真似を!」
 舌打ちを一つして、オウガ・オリジンはイマジンモンスターの肉体をちぎってアリスへ投げた。
 プリンセス・エメラルドの首が生えたその肉塊に彼女の宇宙艦隊が追随し、同じく質量爆弾となって激突する。

 深夜が真昼になる程の光と、海が干上がる程の爆発。普通ならば他の猟兵達も危なかったろう。
 だがここは不思議の国、天変地異同士の激突も実質的には想像力の殴り合いとして帰結する。
 爆発の跡には力を使い切ったアリスと、その半身近くを削り取られたイマジンモンスターの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御門・結愛
ユニコーンに選ばれたアリスナイト。
正義の味方に憧れて目指す少女。
現在、なぜかメダルとの変身能力を失っている。

ポーチからユニコーンメダルやペガサスメダルを取り出して
「まだ、あなた達の声が聞こえない」
「けど、この世界なら」
私の力が弱っていたとしても、想像力が現実になるこの世界なら
「ユニコーン!」
「ペガサス!」
メダルが融合し少女の体を光で包み込む
天使のような純白の翼、白と金に彩られた聖騎士のドレス、ユニコーンの聖剣が金色に染まり大剣へと変わる。
「ユニコーンペガサス。二つの力を一つに」
飛翔と共に、大剣に聖なる雷を纏う
「憐れなアリス。せめて、安らかに眠りなさい!」
聖剣で両断する
「クリュサオルの剣よ!」


草守・珂奈芽
相手がちぐはぐ寄りあわせなら、統率のとれた物量で勝ってみせるのさ!
蛍石の鱗を生やして、身に付けて、更に増やして!
鱗纏った竜人の姿プラスたーっくさん従えて操る蛍石の鱗!
…憧れてた本家のヒーローの固い鱗と力強い爪。うちの家系、ドラゴニアンらしい姿。
何だって守る強い姿にわたしの力をプラスして!
「竜の血と、精霊力と神通力が合わさって!これぞ奥義『草化竜為・蛍火絢爛』!!」
神通力で操る鱗に森羅万象の精霊さん達の力を加えて、攻撃を一致団結して押し止める!
その隙に翼で飛び込み、手の爪に精霊力を込めた全力の一撃!
形だけ集まった貴女は一人。でも精霊さん達も助けてくれるわたしなら――押し負けない、絶対に!!



「おのれ、おのれおのれ!生意気な羽虫がわたしの身体を!!」
 半壊したイマジンモンスターの上で激高するオウガ・オリジン。
 残った猟書家の手首を乱暴に引き抜くと、ばりばりと噛み砕いてその力を解放した。

「ブックドミネーター、いい加減に働きなさい!」
 アリス・オリジンの足元に転がる首が目を開くと、戦闘態勢にあった御門・結愛(聖獣の姫騎士・f28538)の右手が突如動かなくなる。

「これは……ブックドミネーターの時間停止能力!?」
 麻痺や拘束とは少し違う。右手のある空間の時間が固定され、その場所に縫い付けられたかのようだ。

「全身の時間を止めたら苦しみも感じない。丁寧に切り刻んでから心臓と頭の時間を止めてあげる」
 笑いながら連発される時間停止の力で、結愛の手足が徐々に縫い付けられていく。

「せめて……あなた達を使えれば……」
 やがて首も動かすことが出来ない程に全身を「停止」されたまま、ポーチの奥にしまい込んだメダルの事を考えていた。

 何が原因か、その力を失っている2枚のメダル。だがそれこそ、彼女の信じる最も強い力であった。
「ユニコーン……ペガサス……」
 身体を動かすことはできなくとも、想像することは、想うことは可能だ。
 信じる彼等と、一度に心を通わせる方法……

「……ダブルスロットインターフェイス?」
 想像力の国が、結愛の左手に銀色の治具を現出させる。鈍く輝く大振りのプレートには、メダルと同じ幅の溝が2つ。

「小さい想像力だこと」
 オウガ・オリジンの嘲笑も聞こえず、結愛は呼びかけた。今こそその時なのだと。
「お願い!ユニコーン!ペガサス!」

 ポーチから2枚のメダルが飛び出し、吸い込まれるように結愛の左手に吸い込まれる。
 <UNICORN JOINED><PEGASUS JOINED>
 機械音声も高らかに、溢れる力が時間停止の魔力を砕く。

「二つの力を一つに!」
 <CONBINE TO FEATHER PALADIN――HAND IN HAND!>
 自由になった右手でメダルに触れると、結愛の想像力が結実した。

 純白の翼を広げたユニコーン、そしてその背には金色の聖剣を携えた結愛の姿。
 彼女が目指していた姿、ユニコーンナイトだ。

「獣が1匹増えた所で!ブックドミ……」
 ブックドミネーターの首を引き抜いて、時間停止の力を乱発するオウガ・オリジン。
 だが、一度そのくびきを打ち砕いた結愛は止まらない。

「クリュサオルの剣よ!」
 黄金に輝く一閃が振り下ろされ、オウガ・オリジンの腕ごとブックドミネーターの首を両断した。

「わたしの……わたしの、腕を!!」
「憐れなアリス。せめて、安らかに眠りなさい」


 そのパーツの大半を失い、主たるオウガ・オリジンが手傷を負ってなお、イマジンモンスターには底知れぬ力が溢れていた。
「生意気な羽虫共が!借り物の力で!……わたしの!……わたしが!!」
 それはオウガ・オリジンの怒りか、荒れ狂った想像力か。

 吠えるような叫びに気おされつつも、草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)は一歩足を踏み出して構えた。
「そっちがちぐはくの寄り合わせなら、こっちは!」

 意識を集中すると蛍石の髪が急激に成長し、若葉のような鱗を形作ってゆく。
 一瞬にして樹木のように繁茂した鱗に包まれ、珂奈芽は自身のイメージにその身をゆだねた。
(わたしが望むのは――)
 かつて追い続けた背中、未だ届かない憧れ。
 強靭な肢体を堅牢な鱗で包んだ、正統のドラコニアンヒーローだ。

 対するオウガ・オリジンは珂奈芽を一瞥すると、指をひとつ鳴らして周囲に散らばった頭や手足を引き寄せて継ぎ合わせる。その姿は猟書家が一人、サー・ジャバウォックのものだった。
「殺せ!ジャバウォック!!」
「……幕引きは私にお任せを」
 装飾を失った強い命令に、サーの人型は恭しく礼を取った。
 竜殺しの剣を構えると同時に体躯が膨れ上がり、艶やかな鱗と雄大な翼が姿を現す。
 竜人体、本来のサー・ジャバウォックの戦闘形態だ。

「お嬢さん。その偽物の鱗で、私についてこれますか?」
 爆発的な加速。瞬時に懐へ飛び込まれた珂奈芽は、すんでのところで身を躱し、鉤爪で剣をいなす。
「速い!?」
「竜の鱗は鎧ではない。その一つ一つが風を操る帆の役割も果たすのです」
 反撃する珂奈芽の爪を剣で絡めとり、そのまま下手に投げ飛ばす。
「爪と牙は触覚の延長です。単調な攻撃は隙に繋がる」
 講釈でもするかのように珂奈芽を翻弄するサー。だが、主たるオウガ・オリジンはその悠長が我慢ならない。
「何を遊んでいる!早く!切り刻んで!殺せ!!」
 余裕のない命令に、サーはひとつため息をついた。

「……そういう事です、お嬢さん。私の前で偽物のヒーローになった愚を悔いてください」
 サーが倒れ伏した珂奈芽に切っ先を合わせたその時。

「偽物じゃ……ない!」
 珂奈芽の心臓の更に奥から、もう一つの火がついた。
「これは……わたしだ!いつかたどり着く、わたしなんだ!!」
 肉体に恵まれた彼等の事を羨んで育った。それでも戦う道を諦めたくなかった。
 そのために模索し、鍛え、錯誤し、積み重ねてきた。 
 彼らに比べれば回り道でも、必ず同じ地平に立つ。

「今の私と、未来の私!全部合わせて、お前を倒す!!」
 珂奈芽の背中からさらに鱗が芽吹き、大きな翼の形を成す。
 蛍石でできた翼からは「今」の珂奈芽の力、精霊の光が噴き上がっていた。

「……研鑽を経て、未来へと向かう姿!そう、それこそが!」
 精霊の呼ぶ風が生み出す爆発的な加速。サーはまるで宝物を見つけた子供のように目を輝かせた。
「……サー・ジャバウォック!?」
 鋭い爪の一撃は見事にサーの胸を貫いたが、珂奈芽が先に感じたのは違和感だ。

 深々と突き刺した胸に、手ごたえがなさすぎる。
 爪を引き抜くと、そこには一滴の血すら流れない。
 サーの、いや猟書家たちの仮初の体は、皆空っぽの張りぼてだったのだ。
「あなたは……」
「お行きなさい、ヒーロー」
 乾いた砂山のように崩れていくサーに背中を押され、珂奈芽は再度蛍石の翼をはばたかせた。
 

「ジャバウォック、惨めな裏切者!さっさと首を刎ねておくべきだった……ブレイン!」
 地団太を踏みながら最後の猟書家を呼び立てるオウガオリジン。しかし、返事は帰ってこない。
「ブレイン、早く来なさい!首を刎ねられたいの!」
 返事はなく、代わりに一片の紙がひらりと足元に落ちてくる。
 それはキング・ブレインのものと思われる走り書きだ。ご丁寧に似顔絵も添えてある。

 ――一身上の都合で退職します。吾輩の次回作にご期待ください!――

「……ばッ……!?」
 怒りのあまり二の句を告げなくなるオウガ・オリジンのもとへ、再加速した珂奈芽が迫る。

「何故だ……何故誰もいない……!?わたしは……!わたしに……!」
「殺して壊すばかりの想像力の国なら、当たり前の結果よ!」
 精霊の力が蛍石の翼に力を与え、天翔ける力とかつてない速度を生み出す。

「奥義、『草化竜為・蛍火絢爛』!!」
 輝く矢となった珂奈芽が、全ての手駒を失ったオウガ・オリジンの見えない顔に蛍石の爪を突き立てる。
「いやだ……いやだ……ああ!あああア!?」
 オウガ・オリジンは断末魔と共に崩れ去った。


 戦いの後。無人となったその国からは想像力の産物も徐々に失われていった。
 消えゆく想像力の国に最後まで残っていたのは、新しいヒーローの誕生に拍手を送り続ける掌だけだったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月01日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト