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迷宮災厄戦⑱-2〜涙の海を越えて

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン


●グリモアベースにて
「迷宮災厄戦もついに最終局面といったところね。猟書家の戦力を減らすことには成功したけど、その分オウガ・オリジンは力を取り戻しているわ。現実改変ユーベルコードは厄介だけど……アリスラビリンスを救うためにもみんなで力を合わせましょう」
 長い戦いで猟兵たちも疲弊している。けれどこうしてグリモアベースに集まってくれる仲間たちに心から感謝しながら、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は次なる戦場の説明を始めた。
「オウガ・オリジンは現実改変ユーベルコードで様々な不思議の国を作り出しては猟兵たちを待ち受けているわ。みんなに向かってほしいのは、『涙の海の国』と呼ばれる場所よ」
 その名の通り、海が広がるその国は海水に触れると、自然に涙が溢れ出し、過去の悲しい思い出が次々と蘇るのだという。
「オウガ・オリジンは海の中に潜っているの。だから、この海に入らないと近づくこともできないから……辛い思い出は時に外傷以上の痛みを伴うわ。それを乗り越えて……戦ってほしいの」
 海に潜っているオウガ・オリジンは、その性格から全く悲しみを感じない。この海が彼女に不利を与えることはない。
 けれど、戦いの中でこそ強くなる。それが猟兵というものだ。
「悲しみを乗り越えることで、もっと強くなれると思うから……涙が溢れるくらい辛い過去だとしても……どうかその悲しみを克服して、オウガ・オリジンと戦って。みんなならきっと大丈夫だと思うから」
 猟兵たちの顔を一人一人見つめ、力強く頷くと、エリシャは星型のグリモアを出現させ、新たな戦場へと転送を開始した。


湊ゆうき
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦」における⑱-2『オウガ・オリジン』と嘆きの海のシナリオとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 いよいよ佳境ですね。がんばります。
 自身の内に抱える悲しみを乗り越えてオウガ・オリジンと戦ってください。海の中に入ってもらいますが、呼吸や細かいことは気にしなくても大丈夫です。思いっきり心情に振りきってもらっても構いませんが、ボス戦ですのでユーベルコードの設定はお願いします。

 プレイングボーナスは「過去の悲しみを克服しつつ戦う」です。

 プレイングはOP公開後すぐに受付いたします。
 参加者が多数になった場合は全員採用の確約はできませんが、できる限りは書かせていただきます。
 それでは、ご参加お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『『オウガ・オリジン』と嘆きの海』

POW   :    嘆きの海の魚達
命中した【魚型オウガ】の【牙】が【無数の毒針】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    満たされざる無理難題
対象への質問と共に、【砕けた鏡】から【『鏡の国の女王』】を召喚する。満足な答えを得るまで、『鏡の国の女王』は対象を【拷問具】で攻撃する。
WIZ   :    アリスのラビリンス
戦場全体に、【不思議の国】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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シホ・エーデルワイス
親しい人に罵られた事を思い出す


最初は一時的な付き合いになると思っていた
でも不思議と縁は続き
何度も一緒に世界を巡って戦った

そんなある日…

私は公の場で反論の余地を与えられず一方的に非難された

その非難を真に受けたその人が私を罵った時
私の心は潰れてしまいそうなぐらい悲しみで一杯になった

けど

誤解されたまま終わるのは嫌だった

非難の言葉と向き合うと精神的に気持ち悪くなったけど
その人との絆を守る為
私は自分と戦った

そして非難に根拠はなく
人の行いは見る視点によって幾らでも変わる事を説明し
親しい人の誤解を解く事ができた


これからも私は様々な非難や誤解を受けると思う
けど大切な人達と一緒に居られるよう心を強く持ち続けたい



●高潔な勇気
 ここはオウガ・オリジンが現実改変ユーベルコードで作り上げた「涙の海の国」。
 涙は海の水に似ている。しょっぱくて、そして涸れることはなくて。この国の海は誰かの涙でできているのだろうか。
 この地に舞い降りたオラトリオの聖者――シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は、目の前に広がるどこまでも続く海を見つめていた。この国はシホの好む静かな場所ではあったけれど、この地においては静寂は悲哀を深めるだけだった。
 一歩、踏み出してみる。砂浜から海へ。この先に強大な敵がいる。そこに辿り着くまでにも乗り越えなければならないものがある。
 けれど。シホには強い思いがある。このアリスラビリンスの世界を、そこに生きる人々を、関わった人たちを助けたい。そのためならば苦難だって乗り越えられる。いつだってそうやってきたのだから。
 海水に触れると、シホの青い瞳からはらはらと涙が零れ落ちる。涙とともに思い出されるのは、とても悲しい思い出で。
 それは、親しい人との忘れられない記憶。
 その人と出会ったとき、最初は一時的な付き合いでしかないのだと思っていた。けれど不思議と縁は続き、ついには何度も一緒に世界を巡って戦うことになった。
 親しいと言っていい仲になったと思っていたそんなある日。
(「私は公の場で反論の余地を与えられず一方的に非難された……」)
 非難されたこと自体も辛いことだったけれど、その非難を真に受けたその人がシホを罵った時、まるで心が潰れてしまうのではないかと思うぐらい悲しみが全身を駆け巡った。
 どうして、なぜ。私を信じてくれないの?
 親しいと思っていたからこそ悲しみが深くなる。
 涙の海に沈みながら、シホはその時感じた深い悲しみに打ち震えていた。あの時、あの人が自分を見た顔。失望したその表情が頭から離れなくて――。
 でも。
 このままでいいの? このまま誤解されたまま、疎遠になってしまっても後悔しないの?
 自分が悪いわけでもないのに。
(「誤解されたまま終わるのは嫌……!」)
 これは自分の心だけの問題じゃない。シホとその人との絆を守るため。
 水底へと沈んでいたシホの身体は再度浮上する。その青の瞳に強い光を宿して。
 自分に向けられた非難の言葉。それに向き合うだけでも精神的に気分が悪くなるほどだったけれど、自分の誇りにかけて立ち向かう。
 相手がシホに向けた非難は、それは相手の視点から見たもの。
 コップに半分入った水を、もう半分しかないと思うか、まだ半分あると思うかだってその人の感情次第。誰かにとっての悪魔が、誰かにとっての救いの神かもしれない。
 人の行いは見る人の視点によって幾らでも変化する。だから、シホが一方的に非難された事実をシホの立場からきちんと説明すれば、それが誹りを受けるものでないとわかってくれると思うから。
(「そして、わかってくれた……」)
 誤解を解くことができた。相手の言葉に流されたとはいえ、親しい相手にまで罵られるのは辛かった。けれど、こういったことがこれからだってあるだろう。シホはシホの思う道を行く。全てを思い出すことはできない前世の記憶が彼女を猟兵として目覚めさせたのだと思うから。罪の償い、約束、そして願いを強く抱き、前に進んでいくのだ。
 海中にオウガ・オリジンの姿を捉え、シホは涙の海を泳いでいく。もうその頬に涙はない。
「あなたの魂に救いあれ」
 魔力を銃弾に変換する白と黒の聖銃二丁の銃口をオウガ・オリジンへと向ける。まるで楽器を奏でるように、光の精霊弾と銀の弾がオウガ・オリジンへと連射される。
(「大切な人達と一緒に居られるように……」)
 心は強く持ち続けたい。シホの髪を飾る花はエーデルワイス。その花言葉は「高潔な勇気」。
 高貴な白を体現する少女は、たとえそこに苦難が待ち受けていたとしても、何度でも立ち上がり、立ち向かっていくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド
ボクには過去の記憶がない
最近は少しづつ記憶の欠片が思い出しつつある
憶えてないけれど
ボクにはお姉ちゃんがいたような
姿形は思い出せないけど
青い瞳のお人形さんみたいな人だったような気がする
幼過ぎて記憶にも残らなかった感じだけど
優しく温かく抱きしめられていたような

アリスラビリンスで最近よく見かけるオブリビオンを見て涙が出てくる
何かしらボクに縁のある関係なのだろうか

かなしみくれてばかりじゃ先に進めない
愛と勇気と希望を抱きしめて
『華麗なる姫騎士』に変身して戦う
想像力を具現化するアリスランスのホフヌングランツェ抱きしめて



●遠き日の憧憬
(「ボクには過去の記憶がない」)
 涙の海の国へと転送されてきたオルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)は、目の前の海を見つめながらそう心の中で呟いた。約一年前から昔の記憶が全くなくて、ゼロから異世界での生活を始めたのだ。けれど、この一年の記憶は確かに自分のもの。アリスラビリンスを中心として、猟兵として事件を解決してきたのだ。それに、最近は少しずつではあるが、記憶の欠片と呼ぶべきものが蘇っている感覚がある。断片的ではあるが、過去を思い出しはじめたのだ。
 寄る辺ない身ではあるけれど、仲良しの友達だってできた。だからきっとこの海が呼び寄せる悲しみに打ちのめされたりしない。
 少女と見紛う愛らしい表情を引き締め、一歩一歩海へと歩みを進める。覚悟はしていたけれど、やはり海水に触れた途端、胸が悲しみの感情で満たされる。藍色と青紫色のオッドアイから涙が溢れると、ぷっくりとした柔らかそうな桃色の頬を伝って流れていく。
(「憶えてないはずなのに、どうして悲しくなるんだろう」)
 それは記憶でなく、魂に刻まれているというのだろうか。それとも思い出せないことが悲しいのだろうか。
 最近思い出しかけている記憶の欠片を手繰り寄せるように。オルヒディは心から湧き上がる悲しみとともに一つの記憶を呼び起こした。
(「ボクにはお姉ちゃんがいたような……」)
 姿形の詳細までは思い出せないけれど、青い瞳のまるで人形のような人だった気がするのだ。記憶を失ったせいなのか、そもそもオルヒディが幼かったため、記憶にも残らなかっただけなのか。けれど、この懐かしい気持ちは何だろう。優しく温かく抱きしめられていたような気がするのだ。
(「ああ、それに……」)
 涙が出ると言えば、この迷宮災厄戦でも何度か出会ったオブリビオンを見るたびに、不思議と涙が溢れるのだ。悲しいのだろうか。懐かしいのだろうか。青い瞳の愛らしい顔をしたオブリビオン――。
 涙が溢れるのは一度だけではなくて。偶然とは言えない。記憶はなくてもきっと何かの縁があるのかもしれないと考える。
 悲しみとともに海の底へと沈んでいたオルヒディだが、涙を拭うとオッドアイに決意の色を滲ませ上を向く。
(「かなしみにくれてばかりじゃ先に進めない……!」)
 記憶を失ったとしても、オルヒディが今ここにいる理由があるはずだ。今まで救ってきたこのアリスラビリンスの世界に住む住人を守るためにも、目の前に立ちはだかる強大な敵を倒さなければならないのだから。
 愛と勇気と希望を抱きしめて。その強い思いを胸に抱くと、華麗なる姫騎士へと変身を遂げる。悲しみをもその胸の内に抱きしめ、克服したオルヒディは、想像力を具現化する美しき白銀の槍【ホフヌングランツェ】を携えオウガ・オリジンへと相対する。
 オウガ・オリジンはこの海にあっても微塵も悲しみを感じないという。無貌の敵からは何の感情も読み取ることができない。
 ホフヌングランツェを一度ぎゅっと抱きしめて。想像力を具現化する白銀の槍はユーベルコードの力を受け、美しく輝いていた。
「かなしみを乗り越えてこそ強くなれるから……!」
 美しく澄んだ透き通る声が海の中に響き渡る。嘲笑うかのようにこの海の中に迷路を作り出そうとしたオウガ・オリジンへと、フワリンの加護を得た高速の飛翔能力で迫ると、オルヒディはその無貌を白銀の槍で貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
…(悲しみ、か)
…(私の故郷は過酷な凍土だ。低温環境、食糧難、人手不足…)
…(脱出すら儘ならぬ地で、生きる為に肩を寄せ合う。…それでも、全ての村人が生き残れるわけではない)

…(当たり前だと、どこも似たようなものだと割り切っていた…)
…(悲しいなんて、いつ以来だろう。死者の…苦しみに満ちた、最期の顔…)

…(だがそれは、闘わない理由になりはしない!)

…(【氷術・貫】巨大な氷の弾丸を高速射出し、女王もオリジンも悲しみも、全てを撃ち抜く)

…(あの村にとって、出稼ぎに出る者と彼らによる仕送りは『希望』だ)
…(私もその一人だ。ここで死ぬ訳にはいかない)
…(終わらせて…帰省する。その為に闘い続ける…)



●氷の決意
(「……悲しみ、か」)
 ここは「涙の海の国」と呼ばれる場所。オウガ・オリジンが現実改変ユーベルコードで作り上げた不思議の国の一つ。海水に触れると自然と涙が溢れ、悲しい思い出が蘇るのだという。
 チル・スケイル(氷鱗・f27327)の出身世界であるアックス&ウィザーズにも海はあるが、彼女の故郷は過酷な凍土だった。極寒の地で生き抜くためには数々の困難を乗り越える必要があった。低温環境、食糧難、人手不足……ならば他所へ行けばいいという単純なものでもない。脱出すら儘ならない閉ざされた不毛の地で、生きるために最善を尽くし肩を寄せ合う。
(「……それでも、全ての村人が生き残れるわけではない」)
 ある時は凍える寒さに命の灯を消され、食料を求め出ていっては二度と帰ってこない者、食糧難で栄養不足となりやせ細り力尽きた者もいた。
 けれどそれは何も自分たちだけではないのだと思っていた。チルの故郷は凍土であったが、灼熱の大地や水が貴重な砂漠地帯、危険な生物が棲む場所に住まなければいけない人々など、他にもきっとたくさんいて、どこでも似たような苦難が少なかれあるのだと思っていた。
 氷を思わせる蒼いローブを翻らせ、チルは海へと進む。海水に触れると、忘れていた悲しみの感情が胸に広がっていく。
 悲しいと思ってはいけないと無意識に思っていたのかもしれない。自分たちだけが不幸だなどと思ってはいけないと。
 竜派ドラゴニアンであるチルの雪のように白い鱗を伝って一筋涙が零れ落ちる。一度溢れてしまった涙は、海のような静けさを湛える青い瞳から次々と零れ落ちていく。
(「悲しいなんて、いつ以来だろう」)
 身体が海水に浸るにつれ、悲しみはその存在を主張するように膨れていく。
 一緒に生きたかった。できることなら救いたかった。せめて苦しまずに……。
 脳裏によぎるのは、死者たちの苦しみに満ちた最期の顔で。
 悲しみから逃げていたわけではない。忘れていたわけでもない。その感情がチルをまた奮い立たせるのだから。
 チルは思い出す。村で暮らす者たちの顔を。そうしてスナイパーライフルに似た魔法の杖【カシュパフィロ】を強く握りしめる。
 オウガ・オリジン。海の中にその姿を確認する。
 この海にあっても悲しみなど微塵も感じない彼女は嘲笑うようにチルに問いかける。
『所詮は悲しみに心囚われるなど哀れなものよ。大人しく海の藻屑となるのはどうだ?』
 そうして手にした砕けた鏡から鏡の国の女王が召喚される。拷問具を持った女王がチルへと迫る。
(「確かに私の中に悲しみはある。それは時に私を弱くさせるのかもしれない……」)
 返答次第では手にした拷問具を用い、満足な答を得るまでは逃さないとでも言うように、女王はチルに迫りながら答を待っていた。
(「だがそれは、闘わない理由になりはしない!」)
 返答など不要だ。チルの瞳にもう涙はない。カシュパフィロから巨大な氷の弾丸が高速射出され、迫る鏡の国の女王もその背後のオウガ・オリジンも、そして悲しみさえも撃ち抜いていく。
(「あの村にとって、出稼ぎに出る者と彼らによる仕送りは『希望』だ」)
 誰もが村を出られるわけではない。残った者は不便であれあの場所で暮らしていかなければならないのだ。
(「私もその一人だ。ここで死ぬ訳にはいかない」)
 ボロボロになりながらも、質問の答を得ようと女王が拷問具を持って再度迫る。射程と威力を増したカシュパフィロが近づく前に氷の魔法弾で女王を貫くと、今度こそ女王は消えた。
(「終わらせて……帰省する。その為に闘い続ける……」)
 立ちはだかるのは強大なオブリビオン。
 氷のごとき強い意志は、涙の海においても流されることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
大物主神の荒魂が起こした戦により兄の本体が破壊された
…死は別れではない
その魂は愛した者を、愛した土地を守るために土地神となる
それなのに―…
私は大切な人を失うのが怖かった
本来ならば村を救う為の力を全て使って兄の魂を人形に封じ込めた
離れたくない、ただそれだけの理由で
私の我侭で村は滅んだ

村の為に力を使えば村は滅ぶことはなかったと今でも思う
けれど過去をやり直すことはできない
やり直せないなら
今聞こえる助けを請う声は取りこぼしたくない
この手で助かる命があるのなら

UC【破邪顕正】使用
毒耐性のオーラを纏った結界で身を守りつつ破魔の力を込めた御神矢を一斉発射

それが罪滅ぼしになるとは思わない
ただ私がそうしたいだけ



●ヤドリガミの回顧
 涙の海を前に、凛とした表情の少女が佇んでいた。いつもは物静かで優し気な印象の吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)の澄んだ藍色の瞳には、これから訪れる感情に流されまいと強く静謐な決意が見て取れた。
 この海の水に触れると、自然と涙が溢れ、過去の悲しい思い出が次々と蘇るのだという。
 狐珀にとっての悲しい思い出とはおそらく――。
 纏った衣服が水を吸うように、海水に触れると、悲しみが狐珀の心の深くに染み込んでくるようで。
 脳裏に過去の記憶が蘇る。
 ヤドリガミの狐珀がかつて狐像として祀られていたのは吉備稲荷神社。そこには村があり、人々が暮らしていた。
 ある日、大物主神の荒魂が災いを引き起こした戦によって村と神社が炎に巻かれ、兄と慕う狐像の本体までもが破壊された。
 心が引き裂かれるようだった。大切な兄を失ってしまうのだと。
 ――死は別れではない。その魂は愛した者を、愛した土地を守るために土地神となる。
 忘れたわけでも信じていないわけでもない。
 ただ、怖かった。大切な人を失うのが。
 狐珀には、村を救うだけの力があった。おそらくその力を使えば村を、人々を救えたのだと思う。
 けれど、喪失の恐怖に怯えた狐珀は、破壊された兄の魂をからくり人形の中に封じ込めた。そのために持てる力の全てを使ってしまったのだ。
 ――離れたくない。理由はそれだけだった。
(「私の我侭で村は滅んだ」)
 泣きながら子の名前を呼ぶ母。炎に巻かれた神社を呆然と見つめ、それでも神仏の名を唱える村人。この神社を、狐珀と兄を祀ってくれていた人々の村が消える。
 藍色の瞳から涙が溢れる。けれど狐珀の表情は悲しみではなく、やはり決意に満ちていた。
 後悔がないと言えば嘘になる。あの時、別離の恐怖に負けることなく土地神になる兄を信じ、村の為に力を使えば村は滅ぶことはなかったのだと冷静に思う。けれど、今更思ったところで過去をやり直せない。
 狐像のヤドリガミであった狐珀が今こうして異世界で強敵に立ち向かっているのは罪悪感からではない。今更やり直すことができないのなら、今聞こえてくる助けを請う声を取りこぼしたくはないからだ。
(「この手で助かる命があるのなら……!」)
 心が引き裂かれるような痛み。自分の選択によって失ったものの大きさを知った時の悲しみと苦しみ。ならば、今度は同じことを繰り返さないように、次こそは助けて見せるのだと――。
 その頬に涙はもうない。過去を受け止め、狐珀は海中にたゆたうオウガ・オリジンに狙いを定める。魚型のオウガの牙が毒針へと姿を変え、こちらへと向かってくる。
 毒耐性のオーラを纏った結界を身体の周りに作り出せば、毒針は水中でその動きを鈍らせる。
 狐珀は破邪の力を持った御神矢を狙いを定めて解き放つ。それは魚型オウガや毒針を、そしてオウガ・オリジンへと向かっていく。
 この強大な敵を討てば、この戦いは終わる。倒せなければ、この世界は消滅する。
 ならば、狐珀がすることは決まっている。この世界で助けを叫ぶ無数の命のために。
(「それが罪滅ぼしになるとは思わない」)
 あの時そう決断したのは狐珀なのだ。過去をやり直せないように行いは消せない。失ったものを決して忘れない。
「……ただ私がそうしたいだけ」
 誰に流されるわけでもない。この悲しみを受け止め、それを力に変えて、狐珀自身が選んだ未来を掴むために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・奏
悲しい過去・・・11年前にお父さんが目の前で単身で野獣の群れと戦って目の前で死んでしまった事でしょうか。その時、お母さんは肩に怪我をしていて腕が使えない状態でした。

厳しい人でしたが、逞しい背中はいつも憧れでした。その背中が多数の野獣の攻撃を受けて血塗れで地に倒れた姿は今も忘れることは出来ません。

でも、命を捨ててまで私達を護ってくれたお父さんのように私は大事な人を護れる騎士になりたいから。先に進ませて貰います!!【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で敵の攻撃を凌ぎ、信念の一撃で攻撃します!!



●憧れの背中
「悲しい過去……」
 涙の海の国と呼ばれる場所へやってきた真宮・奏(絢爛の星・f03210)は、目の前に広がる海を見つめながら自身の過去を振り返っていた。
 一番に思い出されるのは、11年前に亡くなった父のこと。幼心に厳しい父だったことを覚えている。けれどその分、かけてもらえる優しい言葉が本当に嬉しかった。
 そんな父は奏の目の前で命を落としたのだ。
 父のことを思い出しながら海へと入ると、あの時の情景が、感情が……はっきりと蘇る。
 奏の紫の瞳からはとめどなく涙が溢れた。胸を突き刺すような喪失感。父は目の前で自分と母を助けるために戦い、力尽きたのだ。
 父は強い人だった。自分にも他人にも厳しくて。でも厳しいだけじゃなくてちゃんと優しい言葉をくれて。
 11年前に奏たち家族を襲ったのは野獣の群れ。放浪の旅を続ける父と母は強い戦士だった。けれどあの時、母は肩に怪我を負って腕が使えず満足に戦うことができなかったのだ。
 だからこそ父は母子を守るため、単身野獣の群れに飛び込んだ。その逞しい背中は奏の憧れだった。厳しくて多くを語らなくとも、小さな奏と母を守ってくれる頼もしい存在。その背中が野獣たちの攻撃を受けて深い傷を負い、血塗れになっていた。一人で立ち向かうにはあまりに数が多かったのだ。やがてその頼りになる強い父が傷だらけになり、力尽きて倒れる姿は……今となっても決して忘れることができない。
 大切な人との死別。奏も母も悲しかったが、父も無念だったろう。以前依頼で父の霊と対面した。それがオブリビオンの攻撃だとしても、二度と会えないと思っていた父と言葉を交わせた経験は嬉しくて……。その分、今自分たちのそばにいない寂しさに、流れる涙は止まりそうもない。
 でも。こんな風に悲しみに沈んでいる自分を父はどう思うだろう。
 深く水底へと沈んでいく身体を浮上させ、奏は顔を上げ、愛らしい表情をきりりと引き締めた。
(「命を捨ててまで私達を護ってくれたお父さんのように、私は大事な人を護れる騎士になりたいから」)
 父はもういない。けれど父が守ってくれた自分が、また他の誰かを守るのだ。父のことをいつだって誇りに思う。だから厳しい父がそれでもいつか褒めてくれるような強くて頼もしい騎士になるのだ。
 奏の信念を宿した紫の瞳が、オウガ・オリジンが放った魚型オウガを捉える。こちらに放たれる無数の毒針をオーラ防御と【白銀の小盾】で跳ね返し、【ブレイズセイバー】を構える。
「先に進ませて貰います!!」
 奏の信念が宿る美しい剣は、その熱き思いをのせた一撃で魚型オウガを真っ二つに切り裂いた。
 悲しみを乗り越えることで人はまた強くなれるから。きっと父もどこかで自分を見守ってくれている、そんな気がするのだ。
 この海にあっても全く悲しみを感じていないというオウガ・オリジンへと向かっていく。
 奏は父と自分の誇りにかけて、その強敵に対し、渾身の力で信念の一撃を叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
石に囲まれた薄暗い部屋で独り泣いてる。
恐らく故郷の古城だ。心もとない蝋燭の灯の泣き顔。
髪は肩まででかなりの小躯。気の遠くなるくらい遠い過去。
…。
水面に指を触れただけで…やれやれ。
私は無意識にだが露にわかる程に顔を顰めていたらしい。
「…問題ない」
…。
海水に身を包まれてから悪寒にも似た寒気が止まらん。不快だ。
いつも泣いていて。何か呼びかけていて。城の中をウロウロと。
陽は常に射さず城の中は濃い闇がわだかまっている恐怖。
明かりはランタンの蝋燭の灯だけ。頼る者は…いなかったはず。
こんな環境下でよく心が壊れなかったと感心する。
…。
現在は陽がいるから安心だ。色々うっとおしい陽だが。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と!
墨みたいな真っ黒い色だけど透明度が高そうな水ね。
負の感情の色なのかしら?それともオリジンの…。
とにかく潜らないと!
「レーちゃん? 大丈夫? …苦しい?」
初めてみる表情ですっごく心配だわ。
…そんなに凄いの?この水。

海水に触れたとたん理解したわ。これ…これって。これ。
次々にあたしの身体の内に入り込んでから出ていくわ。
手にしてた人達が消えて一人ぼっちになる感覚が…痛い。
手にしてた人達がどうして消えたのかわからないけど。
寂しい気持ちと冷えた身体(石)の感触が…忘れてたのに。

でもね。ある人に救われてからこの感情は断ち切れたの。
だからね。もう大丈夫。レーちゃんの手を握るわ。



●そこにある陽だまり
 ここはオウガ・オリジンが現実改変ユーベルコードで作り上げた「涙の海の国」。
 悲しみを湛えているのか、その水面が墨を落としたかのように真っ黒に見えて。不思議に思って、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は海を覗き込んだ。
「真っ黒だけど、透明度は高そうね。負の感情の色なのかしら? それともオリジンの……」
 水に触れる前にあれこれ考えていた露の横で、その白く細い指先を水面へと触れさせるシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)。
 触れた瞬間、過去の思い出が脳裏に蘇る。あの時感じた悲しい気持ちが乗り移ったかのようにシビラの金の瞳から涙が零れ落ちる。
 そこは石に囲まれた薄暗い部屋だった。いるのはシビラひとりだけ。
 恐らく故郷の古城だろう。薄暗い部屋を照らすのは心もとない細い蝋燭の灯りだけ。その灯りが小さなシビラの泣き顔を照らしている。
 今は腰ほどまである銀の髪は、肩までしかなくて。小さく痩せた身体だったあの頃は、三百年以上生きているシビラにとっての気の遠くなるくらいの過去で。
「レーちゃん? 大丈夫? ……苦しい?」
 温かい腕がシビラをいたわるように抱きしめる。過去の思い出へといっていた意識がようやく現実へと返ってくる。
「……そんなに凄いの? この水」
 以前も過去の幻影を見せてくる敵と対峙したことがあった。あの時も辛そうではあったけど、またそれとも違う、初めて見るシビラの表情に露は心配になって問いかける。
 露の心から心配そうな様子に、自分がどんな顔をしていたのか理解して、シビラは肩を竦める。
「水面に指を触れただけでこれか……やれやれ」
「このまま進んで大丈夫?」
 海の底に待っているのは、強大な敵だ。倒すべき敵でもあるが、シビラがこれほどまで辛そうならばそれもためらってしまう。
「……問題ない」
 だがシビラはいつものように冷淡にも思える声音でそう告げると、ためらうことなく海へと歩みを進めていく。
「あ、レーちゃん待って!」
 シビラを追いかけるように海へと分け入った露もまたこの海の性質を理解した。
(「これ……これって。これ……」)
 海水に触れた途端、過去の悲しみの思いが露の身体に次々と入っては出ていく感覚。知らず涙が零れ落ち、頬を伝って落ちていく。
 ブルームーンストーンが本体のヤドリガミである露は、月光だけを浴び続けていた数千年もの年月がある。その歳月からすれば人の命など短くて。石である露を手にしていた人がやがて消え、いつも露はひとりぼっちになるのだ。
(「……痛い」)
 それは悲しみだったのだろうか。ひとりぼっちになる感覚を露は痛みとともに覚えていた。
 けれどまた新しい誰かが露を手にして。そうしてまたいなくなっていく。一緒にいる時間が短い時も長い時もあった。手にしていた人達がどうして消えてしまったのか。その理由は露にはわからないけれど。
 理由はどうあれ、ひとりぼっちになる寂しい気持ちと、手にしてくれていた温もりが消えて、冷えた身体の感触が蘇り、涙となって溢れてくる。
(「……忘れてたのに」)
 自分自身の身体を抱きしめて、悲しみの色を湛えた海底に沈んでいく。
 長い年月、繰り返す孤独。
 けれど。露はその感情から解き放たれたのだ。ある人に救われたから。
(「だからね。もう大丈夫」)
 悲しみにだって終わりはある。闇も絶望も光が照らしてくれるから。
 それはきっと同じだから。
 露は涙の海を泳ぎながら、大好きな親友の少女の姿を探す。その手を取るために。

 海の中へと潜れば、悲しみの感情は先ほどにもましてシビラの記憶を呼び覚ました。
 知らないうちに身体が震えていた。水温が低いのだろうか。いいや、この悪辣とも思える海がシビラの身を苛み、悪寒にも似た寒気をもたらしているのだ。
(「不快だ」)
 先ほどから、自分の意志ではなく流れる涙も気に入らない。確かに昔はよく泣いていたものだが。
 故郷の古城で、シビラはいつも泣いていた。誰かを探しているのか、何か呼びかけては城の中を彷徨っていた。
 太陽の光が城の中を明るく照らすことはなかった。陽の射さない城内にはいつも濃い闇がわだかまっていて。小さいシビラにはそれがとても怖かったのだ。
 灯りを求めても、ランタンにつけられた頼りなく思える蝋燭の火だけ。シビラが頼れる存在は……おそらくいなかった。
 恐怖と孤独と悲しみが、闇とともに迫ってくる。どこへ行っても、出口なんてなくて。
(「こんな環境下でよく心が壊れなかったものだな……」)
 どこか客観的にそう分析しては、自嘲めいた微苦笑を浮かべる。
 あの頃は闇に覆われて、光なんて見えなかった。
 けれど。
「レーちゃん、見つけた!」
 海水で冷え切ったシビラの手を温かい手がぎゅっと握りしめる。
 いつだってシビラに光をもたらす天真爛漫な明るい少女が今はそばにいる。
(「現在は陽がいる……色々うっとおしい陽だが」)
 心ではそう思いながらも、その温もりに安堵を覚えるのも確かで。
 二人の目にもう涙はない。その瞳は、倒すべき相手を見つめていた。
 オウガ・オリジン。現実改変ユーベルコードを操る強大な敵。
 倒すべき敵を見定め、こちらへと迫りくる魚型オウガに対し、シビラは詠唱を始める、威力を上昇させた消滅の閃光が、毒針をもって迫る魚たちを無へと帰していく。
「悲しみは乗り越えられるのよ。誰かと一緒なら!」
 誰かとの別れが悲しみを生むのだとしても、それを乗り越えるのも、また誰かとの絆だったりするから。
 露の拳が鈍色に染まる。小細工なしの純粋な素手での一撃が、悲しみを感じることのないオウガ・オリジンへと叩きつけられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
大好きな人を傷つけた
何も分かってねーくせに偉そうなこと言って、酷い言葉を叩きつけたんだ

自己嫌悪
嫌われているのではないかという不安
悔いている自身に酔っているのではないかという悪循環

『悪魔め死んで詫びろ』と四王天・燦の顔が罵る

アークウィンドの刃を見て不穏な考えが過る
死ねば誠意も伝わるかな?

溜息
責任感じられちゃうわな
自害なんてしたら彼女を壊しちゃう
何より心底好きなんだ
独りで死ぬのも、死なれるのも真っ平御免だ

彼女を信じろ
自分を信じろ
二人なら悲しみを超えられる!
確かな想いに殉じろアタシ!

気を取り直して女王の拷問具を引きちぎる
涙の海底に冷ややかにカウントダウンを落とす…真威解放、起爆
アタシの想いを弄ぶなや



●殉じる想い
 目の前の海にたくさんの猟兵が飛び込んでは、自らの過去の悲しみに打ち克ち、強力なユーベルコードを操るオウガ・オリジンへと攻撃を仕掛けている。
 アリスラビリンスの命運を賭けた迷宮災厄戦。
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)もまた、ここに至るまでにもいくつもの不思議の国を舞台に戦ってきた。オウガ・オリジンは強敵だ。だが、まずはそこへ辿り着くまでに過去の悲しみを乗り越えなくてはいけない。
 涙の海は例外なく燦にも悲しみの感情を抱かせた。勝ち気で負けず嫌いの燦の金の瞳からも涙がとめどなくあふれだす。
(「大好きな人を傷つけた」)
 燦の胸に波のように押し寄せるのは、悲しみと後悔と自己嫌悪。
 傷つけるつもりなんてもちろんなかった。ただ自分が正しいと思ったことを言っただけのつもりだった。
(「何も分かってねーくせに偉そうなこと言って、酷い言葉を叩きつけたんだ」)
 目に見えるもの、耳にしたものが全てではなかったのに。解き放った言葉は鋭い刃となって大切な人を傷つけた。
 辛い思いをさせたことだろう。突き刺さった刃は棘となって以後もその人を何度も苛むかもしれない。
 大好きな人なのに。そのことをきっかけにもう二度と自分に笑いかけてもくれないのではないかと……嫌われてしまったのではないかと不安が苛み胸を締め付ける。
 けれどその一方で、そんな風に悔いている自分自身に酔っているのではないかと思う自分もいる悪循環。
 激しい自己嫌悪に頭がくらくらとする。
『悪魔め死んで詫びろ』
 ああ、この深い海の底で自分を罵るのもまた自分の顔で――。
 手にしていた妖精の祝福を受けた短剣の刃を見れば不穏な考えがよぎる。
(「……死ねば誠意も伝わるかな?」)
 この罪は命を捧げることで贖われるだろうか?
 そこまで考えて、燦は溜息をもらした。
(「いや、それじゃ責任感じられちゃうわな」)
 自害なんてしようものなら、彼女の心を壊してしまいかねない。傷つけたいわけじゃないのに。
 猟兵として寿命を代償に戦い続けることも少なくない。少しでも死を遠ざけようと聖なる加護を持つ薬だってもらったのだから。
(「何より心底好きなんだ」)
 ああだこうだ考えても、結局最後に行きつくのはたったひとつの大切な気持ち。
 独りで死ぬのも、死なれてしまうのも真っ平御免だ!
 深い水底へと沈んでいた燦は、自分を鼓舞するように心で強く念じる。もうその瞳に涙はない。
(「彼女を信じろ……自分を信じろ……」)
 大好きな存在だからこそ、信じられる。もう二度と同じ過ちは繰り返さない。そして彼女を大好きな自分の気持ちを裏切るわけにはいかないから。
「二人なら悲しみを超えられる!」
 心がすれ違うことがあるのは、一人じゃなくて誰かがいるから。ならば二人なら、話し合って心を通わせて、もう一度分かり合えるはずだ。
(「確かな想いに殉じろアタシ!」) 
 死ぬぐらいの覚悟なら、自分の思いに正直に、命を投げ打ってもいいと思えるくらいの強い気持ちで。
 浮上した先にオウガ・オリジンの姿が見える。燦の姿を認めると、からかうように問いかけてくる。
『死ぬ覚悟はできたのか?』
 砕けた鏡から、鏡の国の女王が召喚される。迫る女王が手にした拷問具を燦は思いのまま力任せに引きちぎった。
「生きるも死ぬもアタシの自由だ……」
 もう迷いはない。
 【アークウィンド】で巻き起こした旋風が、鏡の国の女王とオウガ・オリジンをもろともに海底へと吹き飛ばした。
「逆に問いかけてやろうか? 死ぬ覚悟はできたのかってな」
 巨大化した箱型時限爆弾【カウントダウン】が、無情に最後の時を刻んでいく。
「真威解放――起爆」
 冷ややかに告げられたその言葉が爆発の合図となった。
 その威力は海中でも衰えることなく、激しい爆発を巻き起こし「はじまりのアリス」にして「はじまりのオウガ」である強敵を消し去った。
「……アタシの想いを弄ぶなや」
 この思いある限り、強くなれるから。
 さあ、帰るのだ。大好きな人の元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月28日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト