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他人の手紙は蜜の味

#アルダワ魔法学園


●それゆけ、しろやぎさん
「きょうもほうさくだめぇ~」
「ちょっとくらい、たべてもバレないめぇ~」
「それはだめだめぇ~! 上司におこられるめぇ~!」
「せちがらいめぇ~」
 もふもふ、ぴょんぴょん。
 めぇめぇ、もきゅもきゅ。
 たくさんのお手紙を抱えたしろやぎが1匹、2匹、3匹……えとせとら。とある迷宮の中に、そのもふもふたちはいた。
「……ちょっと!」
「1枚くらいならきっとバレないめぇ~」
「っこら、返しなさいったら!」
「だめだめぇ~! そういって、昨日もぜんぶたべためぇ~!」
「このっ……! 返せって言ってるでしょ!?」
 もふもふ、ぴょんぴょん。
 ……ぴたり。
 しろやぎたちの暢気な会話に交じる、しろやぎじゃない声。しろやぎたちはそこでやっと気付いたように、ぐるりと後ろを見る。一斉に振り返るしろやぎたちは、少し怖い。その視線の先、そこにいたのは1人の少女だった。アルダワ魔法学園の生徒だろうか、どうやらしろやぎたちにお手紙を奪われてしまったらしい。
 少女は隙間のないもふもふたちの間を抜けるように、必死に手を伸ばしていた。しかしもふもふの数はあまりにも多く、手紙を持ったしろやぎたちには、どうにも届かないのだ。
 互いに顔を見合わせたしろやぎたちは、こくりとひとつ頷くと、またぴょんぴょんと動き出す。
「1めぇさま、おかえりめぇ~!」
「おとといきやがれめぇ~!」
 もふもふの波に流されに流され、それはさながらバケツリレー。あっという間にフロアの外までの案内された少女は、もふもふの波に押し流されながら叫ぶことしか出来ない。
「返しなさいよ、私のラブレター!!」
 ぁー。ぁー。ぁー。
 ドップラー効果。
 虚しくフロアに木霊する声を残して、しろやぎたちは今日の収穫を胸にほくほくと帰ってゆくのだった。

●おてがみをまもれ!
「由々しき事態だ……」
 猟兵が集まるグリモアベースの片隅にて、クリス・ホワイト(妖精の運び手・f01880)は深刻げな表情で溜め息を吐いた。あのしろやぎは自分よりももふもふしていた気がする。溜め息がまたひとつ。
 そこでやっと猟兵の視線に気付くと、クリスはこほんと小さく咳払いをして前に向き直る。
「今回君に来てもらったのは他でもない、アルダワ魔法学園の迷宮を突破し、フロアボスを倒す手伝いをしてもらいたいんだ」
 アルダワ魔法学園については、ご存知の通り。説明無用だろうとして、クリスは話を急ぐ。いつもの鷹揚とした所作とはうって変わり、その姿はどことなく落ち着きがない。
「まず、アルダワ魔法学園の女生徒の間で、とある迷宮を超えた先にある大きな木の下で手紙を添えて告白すると恋が叶う、というジンクスが流行っているんだけれど」
 大きな迷路のような、ちょっと不思議な迷宮。なんでも、その奥にあるフロアにある大きな木の下で、思いの丈をぶつけた恋文を差し出して告白すると、成功率が高いらしい。果てしなく肩唾な話ではあるが、世の中そんなものである。
 その流行りに乗じて、女生徒たちの間ではここ暫く告白ブームが到来していたとかなんとか、その辺はどうでも良いのだが、要するにそのフロアに最近住み着いたオブリビオンがいるのである。
「グルメなしろやぎ。彼らがどうにも、ジンクスを信じてやってくる生徒たちの手紙を食い物にしているようなんだ」
 そっくりそのまま。なんと本当に手紙を食べている。
 おかげさまでアルダワ魔法学園の女生徒たちの恋愛事情に大打撃。皆困っているとのことで、それを解決するために猟兵にフロアボスを撃破してほしい、というのが今回の依頼である。
「迷宮の突破がまず第1関門になるから、気を付けて行ってきてほしい。あとは余裕があれば、手紙好きの特性を逆手にとって手紙を持っていくと、しろやぎの注意を引けるかもしれないね」
 手紙の内容はお好きなように、親愛なる君。
 それこそ告白の恋文でもよいし、夕ご飯のレシピでも明日の買い物のメモでも。とクリスはレターセットを手に、ひらりと振ってみせる。それを合図に線を描くようにして現れたグリモアが一際強く光ったなら、猟兵が次に目を開いたときには次なる世界が映っていることだろう。
 新しい冒険へ赴く猟兵を見送って、クリスは健闘を祈るように目を伏せる。やっぱりあのもふもふ、自分よりももふもふしていた気がする。


atten
お目に留めていただきありがとうございます。
最後までたっぷりほのぼの依頼をお届けします。

▼ご案内
舞台はアルダワ魔法学園になります。
迷宮を超えて、フロアのオブリビオンを撃破してください。
よわよわもふもふなので、危険はほぼありません。
お手紙を持っていくと、たまにお手紙を食べたやぎが感想だったり何だったり色々言うこともあるかもしれません。

皆さまのプレイングをお待ちしております。
よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『迷宮大迷路』

POW   :    力ずくで全てを踏破。進み方は好きにしろ!

SPD   :    技術を駆使して出口の場所を推測だ!

WIZ   :    魔法や知識で出口を探し出すぞ!

👑11
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スノウ・パタタ
お手紙、きちんと届かないとたくさんの人が困っちゃうのよ。助けるお手伝いしたい、です!

【行動・探索】WIZ
「迷った時は風を見ろ、グランマ言ってました。」

(香水瓶の魔法)自分の周囲を緑のインクで陣を描き、自身の能力を強化したのち(エレメンタル・ファンタジア)で自然属性の精霊達を召喚。
(全力魔法)で広範囲の探索を試みます。
風と木の精霊の魔法を合わせ、滞りなく風が進み、発現させた葉や花弁が流れて行く方向を探ります。

「めじるし、迷ったらこれを見れば進めるのよー!」


栗花落・澪
手紙なんて初めて書いたなぁ

1枚だけハートのシール(フェイク)
残りは星のシールが貼られた計5枚の封筒(予備)を
そっとポケットに

折角の想い
取られたら悲しいもんね
念の為侵入してる生徒がいないかを確認しながら
突破を目指すよ

風で飛んで来てる可能性もあるし
紙片等が落ちていないかを【見切り】
【全力魔法】で起こした風の流れを読む事で行き止まり回避
UCの花を乗せたら
花弁の動きでより見切りやすいね

怪しい分かれ道では【歌唱】で音の反響を見るのも手かも
壁が無ければ音は戻って来ないから
反響しない方を進むよ

他の猟兵に協力時
方針は相手に合わせ
僕の技能が役立つなら積極使用

※本人の服に甘い花の香りが付いているので
手紙にも残り香



●めいきゅうをこえて
 蒸気と魔法が発達した世界、アルダワ魔法学園ーーそしてその下層に閉ざされた、究極の地下迷宮「アルダワ」。数ある迷宮のうちのひとつである大迷路に訪れた猟兵たちは、件のしろやぎへ辿り着くために、大迷路を攻略しようと足を進めていた。
 大迷路と呼ばれるに相応しく、周囲は見渡す限りの壁、壁、そして壁。機械仕掛けのような奇妙な造りの壁はどうにも圧迫感があるうえに、天まで届きそうなほど高く果てなく、先を見通すのもむずかしい。
「……手紙なんて、はじめて書いたなあ」
 ポケットに忍ばせた封筒は全部で5枚。ぽん、と優しくポケットを叩いて栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はしみじみとした気持ちで呟く。普段あまりしないことだからこそ、ひとは手紙に気持ちを込めるのかもしれない。
 でも、そんな手紙だからこそ、取られてしまったらやっぱり悲しい。生徒の想いを守るためにも、まずはこの迷宮を突破しなければ。澪は強く頷いて、歩みを進めていく、
「あっ、また分かれ道!」
 そうして指差した先には、二手に分かれた道。澪はむむむ、と悩むように腕を組んで小首を傾げる。
 手紙は全部食べられてしまったのか、辺りには紙の破片ひとつ落ちておらず、手掛かりになりそうなものがなかったのだ。おかげでどこを見ても似たような壁に阻まれて、同じところをぐるぐると回っているだけのようにも感じてしまう。
「迷ったときは風を見ろ、グランマ言ってました」
 悩んだ様子の澪のとなりで、スノウ・パタタ(ブラックタールのゴッドペインター・f07096)が思い出したように空のように青い瞳を煌めかせて、手を叩いた。
 世界は目に見えるものがすべてではない。自然は、精霊は、いつもそばに在る。グランマの言葉はいつだって正しかった。
 そこまで言ってしまえば、考えることは同じだったのか2人は顔を合わせてにっこりと笑い合う。力を合わせれば、出口もすぐに見つけられそうだ。
「おいで、おいで。みどりのせーれーさん」
 スノウがくるくると歌うように香水瓶の魔法で陣を描けば、ふしぎと力が湧いてくる。そして漲る力をもってして召喚されたのは、自然に属する精霊たちだった。風と木の精霊が力を合わせれば、辺りにゆっくりと涼やかな風が巡ってゆく。ふわり、ふわり。風が流れてゆく先に、出口はきっとある。
「次は僕の番だね、任せて!」
 風が巡るのをすばやく感じとった澪はそう笑って『Staff of Maria』を手に、くるりとバトンのように回してみせる。杖の先から雪のように散ってゆくのは、美しく輝く鈴蘭の花びらだ。スノウが呼び出した精霊たちが起こす風の流れに乗るように、澪が生み出した花びらが流れてゆく。
「めじるし、迷ったらこれを見れば進めるのよー!」
「よーし、あっちだね! 行こう、しろやぎさんのところへ!」
 ふわり、ふわり。風と花びらの流れに身を任せて、2人は楽しげに歩いていく。るんたった、るんたった。そんな音がしそうな程に軽快な歩みの後には、やわらかな花の香りがほのかに漂っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トレイシー・ライト
【準備】
 ポケットにくしゃくしゃの手紙を押し込んで迷宮に入る。
【心情】
 手紙を食べるオブリビオンか。見られたくない手紙とか、闇に葬ってくれたりするんじゃないか? そう考えるといっそありがたい気もするけど、オブリビオンである以上は倒さなきゃいけないんだよな。
【行動】
 俺は宇宙バイクを使って足で迷宮踏破を目指すよ。走り回りながら地図でも書いたら、少しは探検気分になるんじゃないかな。
 地図も『何かが書かれた紙』であることは間違いないけど、さすがに手紙じゃないから食べられないよな? 取られないように周りを警戒しながら進もう。



 ぶおぉぉん。
 大迷路に響き渡る一際大きな機械音。トレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)が操る大型のバイクが吐き出すマフラー音だ。
 迷宮突破を目指して、宇宙バイクを足掛かりに大迷路を駆け回っていたトレイシーは、分かれ道を進み突き当たりまで来ると鋭い音を立ててブレーキを掛ける。
「……っと、また行き止まりか」
 そう言いながら取り出したのは、何やら描きかけの地図だった。どうやら地道に地図を書き込みながら迷宮を踏査しているらしい。
 マッピング作業も、探検気分を味わうひとつの醍醐味なのかもしれない。新たな線を書き込むトレイシーの横顔は、どこか楽しげに見えた。
「しかし、それにしても広いな……」
 大迷路というだけはある、といったところだろうか。隅から隅までを書き込むとしたら、いったい何日掛かることやら。少しずつ増えてきた線の道を見下ろして、トレイシーはその先を考える。
 行き止まりに来てしまったら少し道を戻って、また反対側の道へ進む。ひと苦労ではあるけれど、それを繰り返していけばそのうち出口に着くだろう。宇宙バイクがあれば、どこまでだって行けるはずだ。そうして進んできた道を確認したトレイシーは、地図を畳んで懐へ戻していく。
 手紙ではないが、地図も何かが書かれた紙であることは間違いない。手紙を食べるオブリビオンも、見られたくない手紙を食べて消してくれると考えれば、考え方によってはありがたい存在ではあるけれど。せっかく描いてきた地図まで食べられてしまったら大変だ。用心に越したことはないと、どこか愛着さえ湧いてきた地図を胸に、トレイシーは再び宇宙バイクで大迷路を駆けて行く。
「……ん?」
 分かれ道まで戻って、トレイシーは小さく鼻を鳴らす。あまい花のような香りが、僅かに残っているのを人狼であるトレイシーの鋭い嗅覚が感じとったのだ。自分以外にも、この道を進んで行ったものがいるらしい。
「……匂いを追ってけば、出口まで行けるかもしれねぇな」
 一か八か。どちらにせよ、進む他に道はない。
 ポケットにくしゃくしゃと詰め込まれた手紙を確認して、トレイシーは花の香りを追うように先へ進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

檀・景路
ももさん(f13477)が危なくないように、一緒に行きますね。

えっと…もふもふ。ですか。かわいらしいとは思うのですが、その、お手紙を食べるのは、あまりよくないかな、って…
えっと、私はそう思うってだけなのですが…

あぁ、急いでたからお手紙を持ってきてしまった……
ももさんへのお手紙なので、目の前で本人に見せるのは、さすがに、恥ずかしい。なかなか言葉にしずらいことも、あると思うんです。でも、お手紙なら難しくないかなって…いつも貴方に力を貰っています、ありがとうって、言葉を。

迷宮は暗くありませんか?灯りなら灯せますから、呼んでください。
右手を壁に沿えて進めば迷宮は抜けられると聞きますが、どうでしょうか。


桃乃・なつめ
みちくん・f13444といっしょに

もふもふなのね…
ステキなもふもふなのね……
でもでも 大切な言葉を綴ったお手紙
食べちゃうなんていけないのよ
ロマンチックな恋のおまじないは
女の子の大切なスパイスなんだから!

お手紙はなんてかこう?
隣にいる大きな恥ずかしがり屋さんのこと書こうかしら?
『いつもお顔を隠そうとするの
どうしてかしら?
時々アイスクリンのように溶けていってしまいそうよ!
とってもとっても 恥ずかしがり屋さんみたい
早くいっぱいおしゃべりしたいわ
どうしたらいいかしら?』

お手紙握りしめて
お歌でも歌いながら進みましょ
10体のお友達が色んな道を散策してくれるわ
ええっと こういうの マッピングっていうのよね



「もふもふ……」
「もふもふ……」
 もふもふとは、もふもふであるからして、もふもふなのである。
 そんな話に聞く素敵なもふもふへ意識を飛ばしながら、お互いに深く頷きあって桃乃・なつめ(MOMO・f13477) と檀・景路(翼など似合わない・f13444)はそれぞれ手元の手紙を見下ろす。
 それは書いたばかりの、真新しい便箋だった。この思いの丈を書き綴ったそれを渡すのは、まだ少しばかり気恥しい。だから2人はそっと自分の懐にしまって、はにかむような笑みを交わすとゆっくりと大迷路を歩き出した。
「もふもふはステキだけれど……。でもでも、大切な言葉を綴ったお手紙を食べちゃうなんて、やっぱりいけないと思うの」
「えっと……そう、ですね。可愛らしいとは思いますが、その、お手紙を食べるのは、あまり良くないかなっ、て……」
 ロマンチックなおまじないは、女の子の大切なスパイスなんだから。なんて。夢見がちな少女のようにやわらかく微笑むなつめを見て、目元まで覆うアッシュグリーンの奥で伏せ目がちな瞳をうろつかせながら景路も小さく頷く。
 大切な言葉を綴ったお手紙だから、大切にしたい。それはきっとみんな同じ思いなのだ。懐にしまい込んだ手紙に手を添えて、景路はゆるりと目を伏せる。
 ありがとうの一言さえ、言葉にするのはむずかしいけれど。でも文字にしてしまえばきっと伝えられると、景路が万感の思いを込めたそれは、いわゆるファンレターのようなものだった。
 思いを込めた手紙をいざ手渡すとなると、やっぱり恥ずかしい。でもこの冒険で手紙を守り抜けたなら、勇気を出して、渡せるかもしれない。手紙に触れる指先が熱く震えるようで、景路はそっと頭を振る。
「みちくん? どうしたの?」
「いっ、いえ……。あの、えっと、道は、こっちで合っていますかね……?」
 思考を払うように周囲を見渡せば、いつの間にか随分と奥まで来てしまっていたらしい。不安げに顔を曇らせた景路を元気づけるように、なつめは明るく笑って分かれ道を指差す。
「大丈夫よ、お友達がいろんな道を散策してくれているわ!」
 指差した先には、2人を案内するように立つバーチャルキャラクター。全部で10体排出されているうちの1人だ。なつめと景路が穏やかな会話を楽しむ間にも、バーチャルキャラクターたちはその道先を踏査し、行き止まりではない正解の道へそっと導いてくれていたのである。
「さあ、行きましょう。きっとしろやぎさんたちも、この先で待っているわ」
 本当は、もっとたくさんおしゃべりしたいけれど。いまはその気持ちは手紙の中に閉じ込めて。なつめは景路の手を引くように、大迷路の奥へと足を進めていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

糸縒・ふうた
アドリブ・絡み・改変等歓迎

恋って、どんなきもちなんだろう?
でもおいしいってことは、たくさんたくさん大事な想いを込めて書いたってことだよな
だったら食べちゃ、め! ってしてやんなきゃ!

【疾風】の背中にのって、ひたすら迷路を進んでいくぜ
難しいことはよくわからないから、かずうちゃあたる! っていうやつだ

もちろん手紙も持っていくぜ

字を書くのはあまり得意じゃないんだけど
はじめてできたともだちに向けてがんばって書いたんだ

もし途中でしろやぎに出会ってオレの手紙が食べたいって言い出したら
じゃあここの出口まで案内してってお願いしてみる

強引に奪おうとしてきても【疾風】の足なら追い付けっこないから逃げるが勝ち、だぜ


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
人の気持ちを踏み……食べにじるとは酷い!
生徒達の未来の為に、まずはこの迷宮を突破するぞ

とりあえず迷宮全部探せばいずれ出口見つかるだろう
行き止まりに着いたら後戻りが面倒だからグラウンドクラッシャーで壁を破壊!
分厚い壁だって力を溜めて何度も叩いて絶対に壊す
「行き止まり?オレの目には出口までの通路しか見えないぜ!」

分岐がある度に床へ武器で傷をつけてあっちはもう通ったルート、
こっちはまだ進んでないルートであると記録を残しておく
こうしておけば同じ所をグルグルしないで済むはずだ

適度に休憩しつつ、しろやぎと戦う時の手紙を用意しておこう
内容はこの迷宮でのオレの自画自賛
沢山食われていいように沢山書いておくぞ


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

一筆箋と筆記具を手に
書き付け乍ら迷宮を散策

桃の文香を添えれば雅でしょうかね

口調ものんびり
けれど
第六感を研ぎ澄まし
壁や床に白く光る毛が付着して無いか
周囲をよく観察
其れらを辿って出口を捜索

蝙蝠や鼠などの動物がもし居るなら
山羊の行方や内部構造、首魁の情報等も訊ねておく

不意打ちに備えて第六感と見切り
誘き寄せになったのなら
食事中は彼らに隙が生まれるのなら
宛も無い書簡故に
どうぞ召し上がれ
(食べる姿が和むとか何とか)

風霞む
薄紅に
芳る花
染むるは苑か
触る指か

霞の如き花色に染まるのは
春を迎えた苑でしょうか
貴方に触れる此の指先でしょうか

桃の花言葉は「貴方の虜」だそうですよ?

逃亡したら後を追いますね



●しろやぎをおえ!
 どんがらがっしゃーん、と大迷路に反響するそれはそれは大きな破壊音。そびえ立つ壁すべてを打ち壊してしまいそうなその音は、まるで恐竜が暴れているかのよう。しかしその実、騒音の中心にいたのは恐竜などではなくひとりの小さな少女だった。
「行き止まり? オレの目には出口までの通路しか見えないぜ!」
 それもそのはず。行き止まりであった壁を音を立てて崩した張本人、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は胸を張って大きく笑った。
 どれだけ大きな壁だって、分厚い壁だって、グァーネッツォのバーバリアンとしての力をもってすれば豆腐よりもやわらかい。竜の骨で出来た斧を抱えて、グァーネッツォは崩した壁の先を覗き込む。
「まだ傷もないし、こっちが新しい道だな!」
 床や壁を傷つけることで目印としたグァーネッツォは、真新しい道の様子を見て出口へ続く道と確信する。そして満足げに大きく頷けば、そろそろ休憩しようかと肩を回して近くの壁を背に座り込んだ。
 懐から取り出されたのは、真っ白な紙や書きかけの紙。どうやら今から手紙の準備に取り掛かるらしい。何を書こうか、唇を尖らして考え込んだグァーネッツォはやがて思いついたように目を輝かせてペンを手に取った。
「ぶっ壊してきた迷路のことを書こう! なんたって、オレに壊せないものはないからな!」
 ふんふんと鼻歌を歌いながら、滑り出すペン先。先程壊した壁も、この道も、彼女の武勇伝のひとつとして語り継がれるなら本望というものだろう。ご機嫌な様子で手紙を綴るグァーネッツォに、しかし突如として影がかかる。
 もふり。めぇ~。
「……ん?」
 もふり。めぇ~。もふもふ。んめめぇ~。
「んんん?」
 ゆっくりと顔をあげれば、何かに埋もれるように視界はホワイトアウト。しかし触ればもふもふとやわらかな感触が手のひらに伝わってくる。慌てて飛び退いたグァーネッツォの視線の先にいたのはーー、
「ああーー!!!!」
「めぇ~~!!!!」
 ひとりと1匹の叫び声が高々と響き渡る。
 グァーネッツォの前にいたのは、なんと1匹のしろやぎだったのである。しかも手癖が悪く、書き上げられたグァーネッツォの手紙を1枚掴んでいるではないか。
 バレた、と言わんばかりの表情で手紙を忍ばせた1匹のしろやぎは、くるりと方向転換をするとあっという間に駆けて行く。その間、わずか数秒。
 あまりに急な出来事にぽかんと目を見開いたグァーネッツォだったが、我に返れば早く、斧を掴んだ彼女もしろやぎを追うようにまた駆け出していく。
「あいつ! オレの手紙を持ってきやがった……!」
 手紙の匂いに釣られたのか、なんなのか。現れたしろやぎはしかし意外に足がすばやい。あのもふっとした図体のどこにそんな瞬発力があったのか。そうして始まる追いかけっこは、大迷路の出口を目指して進んでいくのであった。

 その一方で。
 どこからか響いたしろやぎの絶叫に、糸縒・ふうた(朱茜・f09635)と都槻・綾(夜宵の森・f01786)はそっと顔を見合わせて大迷路の壁を見上げていた。
「いま、声がしたような……?」
 聞こえてきたのは、分かれ道の先からだろうか。反響する音を辿って、その方向へ向き直ったふうたは首を傾げる。確認するように隣を見上げれば、綾もまた同じく。やがて考えるような所作で指先が添えられた綾の口元が、薄らと笑みを形作る。
「もしかしたら、出口が近いのかもしれませんね」
 青磁の瞳が周囲をつぶさに観察すれば、ところどころではあったものの、光に反射するように煌めく名残が見受けられる。しろやぎから抜け落ちたものなのだろう。
 そんな綾の言葉に表情を明るくしたふうたは、ぐっと拳を握って進む先を見据える。聞こえてきた声の先に、出口があるかもしれない。
 ふうたにはむずかしいことはよく分からないけれど、数打ちゃ当たるというのもまた事実。観察眼に優れた綾の後押しもあればこそ、出口が近いところまで来れたということだろう。
「だったら俺たちも急ごう。食べちゃ、めっ! て、してやんなきゃな!」
 恋がどんな気持ちだったとしても、美味しいということはそれだけたくさんの大切な思いを込めて書かれた手紙だということだから。
 持ってきた手紙を大切に持って、ふうたは気持ちを新たに疾風を召喚する。影から生まれたこの狼に乗っていけば、出口までもきっとひとっ飛びだ。
「駆けよう、疾風みたいに。ーー綾も、一緒に!」
 手を伸ばして、ふうたと綾は2人で疾風に乗り合わせ、大迷路を駆けていく。聞こえる声の先を追いかけて、追いかけて。
 出口はきっと、もうすぐそこにある。ふわりと立ちのぼる桃の香りに綾はまだ見ぬしろやぎを思って、小さく笑みを零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『グルメなしろやぎ』

POW   :    めぇめぇじゃんぷ
予め【めぇめぇ鳴きながらぴょんぴょん跳ぶ】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    おてがみはりけーん
【カバン】から【何通ものお手紙】を放ち、【視界を埋める事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    めぇめぇタイム
【めぇめぇと、歌う様な鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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●Interval
 もふもふ。ぴょんぴょん。
 めぇめぇめぇ。
 猟兵たちが迷宮大迷路を越えて辿り着いたそのフロアには、たくさんのしろやぎがひしめいていた。
 あっちを見ても、こっちを見ても。
 見渡す限り、グルメなしろやぎ。
「きょうも、はたらくめぇ~!」
「いっぱいたべるめぇ~!」
「やったるめぇ~!」
 どうやら朝礼中だったらしい。元気いっぱいのしろやぎたちは、口々にやる気を表したところでやっと猟兵たちに気づいて、後ろを振り返る。一斉に振り返るしろやぎたちは、やっぱり少し怖い。
「おしごとのじかんだめぇ~!」
 もふもふ。ぴょんぴょん。
 もうひとつおまけに、ぴょんぴょんぴょん。
 猟兵たちを前にして跳ね回るグルメなしろやぎの目は、その手に持つ手紙を確かに狙っていた。
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
ここはこの世の楽園なのか!?
いや、こいつらはオブリビオン、惑わされちゃダメだ!
世界を守る為に戦うぞ!

ジャンプして強くなるのならオレもパワーアップするぜ!
アースジャイアントで召喚した大地の巨人と大地との友情合体し、
パトカーロボに変形!
「手紙を食べちゃう悪いやぎは逮捕(攻撃)だ!」

たくさんジャンプされて手がつけられないほど強くなったら困るから
動体視力でたくさんジャンプしているやぎ達を見つけて
スライディングで突撃しながら先制攻撃、
斧と槍の二刀流でなぎ払っていくぜ
「食べるか動くかどっちかにしろー!」
反撃をもろに食らわない様に何時でも武器受けやカウンターが出来る様注意も払うぜ



●しろやぎとおてがみ
 大迷路を越えて辿り着いたそのフロアには、広く深く大きな自然が広がっていた。奥に見える大樹の下が、例のジンクスにあった告白の場なのだろう。しかしそれよりも目に付いたのは、白くてもふもふな塊。そう、グルメなしろやぎの群れである。
 奪われた手紙を追いかけて、追いかけて。ついに辿り着いた出口の向こうに広がっていたその光景に、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は思わずといった様子で目を輝かせた。
「ここはこの世の楽園なのか!?」
 もふもふ。めぇめぇ。
 白くてもふもふな楽園に飛び込めば、さぞ気持ちの良いことだろう。しかしそうは言っても、グルメなしろやぎもオブリビオン。猟兵であるグァーネッツォにとっては如何に可愛かろうとも倒さなくてはならない存在なのである。
 くっ、と苦肉の選択に厳しい表情を浮かべたグァーネッツォは、断腸の思いで雑念を振り払う。
「こいつらはオブリビオン……こいつらはオブリビオン! 惑わされちゃダメだ!」
 自己暗示である。
 とはいえ、その効果は大きかった。世界を守る為に戦うぞ、と決意を新たにしたグァーネッツォの目にもう迷いはない。そうして先手必勝といわんばかりに拳を突き上げたグァーネッツォは、声高らかに宣言する。
「手紙を食べちゃう悪いやぎは逮捕だ!」
 宣言するが否や、ずもも、と鈍い音を立てて地面が揺れた。あまりの強い揺れにわらわらと慌てて動き出すグルメなしろやぎたちを他所に、やがて盛り上がった土が形を成していく。
 なんということでしょう。匠もびっくり、そうして現れたのは大地から生まれた巨人。アースジャイアントである。グァーネッツォの小柄な体躯を覆うほどの巨体は、およそ2m近くあるように見えた。しかもそれだけでは終わらない。お互いの拳を突き合せるようにした2人はそして、続くように高らかに声を合わせて叫ぶ。
「――大地の恵みと力を見せる時だ!」
「めぇ~~!?」
 そんなのありですか!? と悲鳴も交々にまあるいおめめを見開いたグルメなしろやぎの前に現れた、再びの巨体。それはグァーネッツォとアーツジャイアントが合体した大地と友情の化身、その名もパトカーロボ!
「にげるめぇ~~!」
「せかいかんがちがいすぎるめぇ~~!」
 もふもふわらわら、ぴょんぴょんぴょん。
 これは敵わないと散ってゆくグルメなしろやぎを千切っては投げ、千切っては投げ。そしてパトカーロボ、もといグァーネッツォはしろやぎたちに正義の鉄槌を下していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トレイシー・ライト
【準備2】
 ポケットの中のくしゃくしゃの手紙は故郷の両親に宛てたもの。人狼病を理由に追放された(あるいは自ら家出した)後、初めて手紙を書こうとした。
『父さん母さんへ。お元気ですか。俺は(この先は何度も書いては消した跡があるだけで、何も書かれていない)』
【行動】
 しろやぎさんに俺の手紙を渡す。ほら、これなら食べていいから。むしろ食べちゃってくれ。これは出さない手紙だから。
 書き損じを全部食べてもらったら、ユーベルコード【人狼咆哮】を使う。たくさん食べて丸々太ったやぎなら、狼にとって最高のごちそう……なんてな。視界を塞いだって口を塞がなきゃ俺のユーベルコードは防げない。がおーっ!



「やっ、やる気かめぇ~!」
 しゅっしゅっ。しゅっしゅっ。
 もふもふとした柔らかそうな手で、まるで影を打つようにファイティングポーズを取るグルメなしろやぎに思わず苦笑い。トレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)は腰を屈めてグルメなしろやぎと目線を合わせると、そっとお手紙を差し出す。
「ほら、これなら食べていいから」
 むしろ、食べてしまってほしい。これは出さない手紙だから。そんな思いは飲み込むように、くしゃくしゃになった飾り気のない手紙を差し出してトレイシーはグルメなしろやぎの様子を伺ってみる。
 しろやぎはまだ警戒したような様子ではあったものの、恐る恐ると手を差し出してその手紙を手に取った。じぃ、と見るまんまるな目はやがてキラキラと輝いて。じゅるり、と涎の垂れそうな仕草でしろやぎはトレイシーを見上げる。
「本当に食べてもいいめぇ? 怒らないめぇ?」
「ああ、いいよ。食べてくれ」
 自分には書けなかったもの。自分には、送れなかったもの。
 書き損じた手紙なのに、紙くずにもできなかったもの。
 くしゃくしゃの手紙が、むしゃりむしゃりとゆっくりと食べられていく様を見守るトレイシーの目は凪いだ海のように静かだった。
「む、むむ。んめぇ~!」
 ちょっと苦いような、でもその苦味がまた美味しいような。
 攻撃してくる様子もないトレイシーにすっかりと気を許した様子のグルメなしろやぎは、最後まで食べきるともう1枚、もう1枚と期待するような目で見る。しかし、世の中そんな甘い話はない。
「俺の手紙は食べてもいいけど、あんたはちょっと人様の手紙を食べ過ぎたな」
 別に怒らないけれど、攻撃しないとは言っていない。きらきらおめめで見上げたグルメなしろやぎに、トレイシーの激しい咆哮が襲い掛かる。たくさん食べて丸々太ったやぎなら、狼にとって最高にごちそうに違いない。すっかり安全な人間と思い込んでいたグルメなしろやぎは、突然の咆哮にころころと転がるように飛んでいってしまった。
「うそつきめぇ~!」
 めぇ~。めぇ~。めぇ~。
 フロアに残響するグルメなしろやぎの悲鳴に、トレイシーは苦く小さな笑みを残す。
「――そうさ。だって俺は、狼だからな」

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
やっぱりもふもふ可愛……こほん
食べ過ぎには注意だよ

取れるものなら取ってみなよ
わざと『4枚』の手紙で気を引きながら
ヤギ達の上を飛び囮に

手紙には色んな思いが籠っているから
簡単にはあげられないな

どさくさに紛れて一匹の背中にダイブして
もふもふ堪能しつつUCで一掃

ヤギさんのSPD は
風の【全力魔法】で吹き飛ばし

おっとと、取られちゃった?
まぁいいけどね
花の残り香のする手紙
ハートはアップルパイのレシピだよ
三枚の星はそれぞれ友達への感謝の手紙

ずっと孤独で
つきあい方も知らなくて
実は結構ネガティブで
そんな僕でも受け入れてくれた皆へのありがとう
僕は今
とても幸せ

最後まで隠した1枚
大切な恩人への手紙だけは秘めたままに



 音にするならば、ふわり。
 そんな重力を感じさせないほどのしなやかさで、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は宙を舞う。その手には4枚のお手紙。ひらひらとわざと見せびらかして気を引くようにグルメなしろやぎたちの上空を飛べば、しろやぎたちは面白いほどに食いついた。
 ぴょんぴょん。もふもふ。
 けれど悲しきかな。しろやぎたちの手足はあまりにも短く、どれほど懸命に跳躍してみせても澪の足先にさえ届きはしない。
「手紙にはいろんな思いが篭っているから、簡単にはあげられないなぁ」
 なーんて、ね。
 やっぱりもふもふ可愛いなあ、としろやぎの様子を眺めながら。澪は小さく笑みを零して、しろやぎの背中に飛び降りる。ばふり。そしてもふもふ。
 とっても柔らかなしろやぎの背中が澪を包み込み、束の間の至福の時間。しかしその時間は長く続かず、横から伸ばされた別のグルメなしろやぎの手が澪の手紙を掠め取る。
「とっためぇ~!」
 なんと嬉しそうな声だろう。けれど、それも澪の予想の範疇。取られた4枚の手紙に、グルメなしろやぎたちからそっと距離を取った澪は、変わらず笑みを浮かべていた。
「あまいめぇ~! おいしいめぇ~!」
 もきゅもきゅ。むしゃむしゃ。
 美味しそうに手紙を食むグルメなしろやぎたちが取ったのは、花の香りを残した可愛らしい手紙だ。ハートで閉じられた手紙は、アップルパイのレシピ。きっと林檎のような優しい味がするのだろう。残りの3枚は友達への感謝を綴った手紙。こちらもまた、柔らかくて瑞々しい味がするに違いない。そのありがとうの気持ちには、澪の幸せがしっかりと込められているのだから。
「取られちゃったね。でも――食べ過ぎには注意だよ」
「……んめぇ?」
 にっこり笑顔。手紙を食べられても可愛らしい笑顔を崩さない澪に、グルメなしろやぎたちは揃って首を傾げる。おいしい、おいしい、おかしい。
 けれど、そう気付いたときには既に時遅く。澪の全身から放たれたすべてを浄化する光に照らされて、グルメなしろやぎたちは暖かな光の中に消えていくのだった。
 周りのしろやぎを一掃して、残った澪はそっとポケットから1枚のお手紙を取り出す。最後まで隠していた、大切な大切な1枚。しろやぎたちにはあげられない、その大切な恩人への手紙にそっと口付けて、澪はまたフロアの奥へと進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

糸縒・ふうた
アドリブ・絡み・改変等歓迎

おしごとがんばるのはいいことだけど、大事なお手紙は食べちゃだめっ!

【人狼咆哮】で叱りつつ
向かってくるしろやぎがいたら【喚び聲】で喚んだなかまに応戦してもらおう

もちろん、オレの書いたお手紙がたべられないようにしっかり隠すことも忘れないよ

こっちの話を聞いてくれそうだったら
一匹一匹、視線を合わせて説得してみようかな

すきのきもち、うれしいきもち、ありがとうのきもちが届かないのは悲しいだろ?
おいしいな~って思うのも、自分だけじゃんか
だから、食べちゃだめ
その代わり、そのきもちを届けてありがとうって言ってもらおうぜ


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

ぬいぐるみ工房みたいで愛らし…

依頼を一瞬忘れて和みかけ
気を引き締めて対峙

道中で書き付けた手紙が有効ならと取り出す封書
仄か桃の馨

風霞む
薄紅(うすくれなひ)に
芳る花
染むるは苑か
触る指か

霞の如き花色に染まるのは
春を迎えた苑でしょうか
貴方に触れる此の指先でしょうか

桃の花言葉は「貴方の虜」
拙い作ですが
恋歌はやはり甘い味がするのだろうか

死角からの攻撃には第六感と見切り
オーラで自他共に防御

ぬいぐるみの海に人形を放つ心地で少し愉快
縫を向かわせる
数が多いなら花筐で一掃
対個体には七縛符で味方の援護

さて
愈々上司さんのお出ましでしょうか
クリスさんと何方がよりモフなのか見極めねば

なんて
くすくす楽し気に



●めぇめぇふぃーばー!
 もふもふ。ぴょんぴょん。
 めぇめぇ。もきゅもきゅ。
 一体どこから湧いて来ているのか、しろやぎたちは一向に減る様子がない。ひとところに固まりがちなグルメなしろやぎを見つめて、いけないと思いながらも都槻・綾(夜宵の森・f01786)は表情を和らげてしまう。だってこんなに、ぬいぐるみ工房のように愛らしいのだから。
 けれど油断は禁物。なぜならその歌うような可愛らしい鳴き声も、グルメなしろやぎたちにとっては戦闘力を強化する術のひとつなのである。
「ぱわーあっぷめぇ~!」
 もふもふもふ。もうひとつおまけに。もふっと。
 どのあたりが強化されたのかは分からないが、なんとなく増毛した様子は綾の目から見てもよく分かった。またしても口元が緩んでしまうけれど、しかしそこはやはりお仕事。一瞬忘れかけてしまった気を引き締めて、綾はもこもこ具合の増したしろやぎたちと対峙する。
「……いけませんね、つい気が緩んでしまいます」
「分かるぞ、オレもなんだか気が抜けちゃいそうだ」
 うんうん、と強く頷いたのは隣に立っていた糸縒・ふうた(朱茜・f09635)だ。その気持ちはよく分かるといたく同意を示して、次にぴっと人差し指を立ててグルメなしろやぎたちと目を合わせながら、ふうたは眉を吊り上げてみせる。
「でも! おしごとがんばるのはいいことだけど、大事なお手紙は食べちゃだめっ!」
 すきのきもち、うれしいきもち。ありがとうのきもちが届かないのは悲しいことだから。いくら美味しくたって、食べちゃだめ。それよりも、そのきもちを届けてありがとうって言ってもらった方が、絶対にたのしい。
 そんな気持ちを込めて、ふうたはしろやぎ1匹1匹と目を合わせていく。けれど。
「おしごとだから、しかたないめぇ~!」
「おなかがすいちゃうから、しかたないめぇ~!」
「めぇ~!」
 どうやら交渉は決裂してしまったらしい。
 目の前のごはんに目が眩んだグルメなしろやぎたちは、手紙へ一直線。手にした桃の香が仄かに薫る封書めがけて飛び込んできたしろやぎに封書を放り、綾は残念そうに肩を竦めたふうたを労わる。
 その間にも。もきゅもきゅ、とあっという間に食べられていく手紙は跡形もなく、甘い恋の味はわたあめのように溶けて。指先から離れた香りもまた薄く、たちどころに消えてしまった。
「風霞む、薄紅に。芳る花、染むるは苑か――触る指か」
 するりと残り香を撫でるように指先でなぞり、綾は微笑む。交渉が決裂したなら、お腹がいっぱいになったなら。その次は。
「いつか見た――未だ見ぬ花景の柩に眠れ、」
 ひらり、ひらり。
 いつの間にやら舞うのは色とりどりの四季を謳う彩り、その花びら。それは綾の操る少女人形とかたどる花筐。
 すぴー、と寝息を立てながらまるまって山を作ったしろやぎたちに、ふうたも残念やら何やらと複雑な気持ちを抱えて、それから大きく息を吸い込む。仕上げは一声。最後にがおーっと大きく声を上げて、食欲旺盛すぎたグルメなしろやぎたちを叱り付けたふうたは、山を崩してころころとフロアの奥へ転がしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

檀・景路
だ、だめですよ。お手紙は食べてはいけません。ちゃんとお届けしましょうね。

■WIZ
食べられないようにお手紙はしっかり鞄のなかに入れて、距離をとって戦います。食べられたら、困りますから。
UCの氷の炎でやぎさんたちの足を止めるように展開します。それで恐がって食べるのをやめてくれたらいいんですが……、止まってくれないなら、ちょっと痛い目にあってしまうかも……すみません。でも、お手紙を食べるのはやっぱりいけないと思うので…!

めぇめぇ、と鳴き始めたら、申し訳ないんですがUCによる冷気を広げて邪魔させてもらいます、ね。寒いなかでめぇめぇ、鳴きづらくなる、かも、しれません。

アドリブ、絡みOKです。


桃乃・なつめ
【アドリブ・絡み可】

もふもふして ぴょんぴょんして
めえめえしているわ!
お手紙 食べちゃイヤよ
大事なお手紙なんだからね
あっ もう!食べちゃダメって言ってるのにーっ!

【グッドナイス・ブレイヴァー】【サウンド・オブ・パワー】【バトルキャラクターズ】を使用

みんな こんにちは
今日のLiveはアルダワからの中継だよ
いたずらっ子なやぎさんたちと一緒に お歌を歌うわ

ライブ配信のドローンをセットして
ホログラムの鍵盤だけが宙に浮いた電子ピアノで演奏
歌って猟兵さんたちや14体のお友達を強化
お友達は猟兵さんたちのお手伝いをしつつパフォーマンスで盛り上がるような演出も忘れずに!

歌はそうね
やっぱり やぎさんのお歌よね!


スノウ・パタタ
お手紙じゃないもの、たっくさん混ぜて食べさせちゃったらお腹いっぱいになるかも?
食あたりにちゅーい!です!

ポシェットから沢山取り出した紙の上にペイント武器(グラスペン)でお絵描き。
自然現象の「香水瓶の魔法」でこっそりこっそり、魔法を綴じて。

氷のせーれーさん、おなか痛くなるかも!火のせーれーさんは、あつくて汗が止まらなくなるかもなのよー!

増えたもこもこさんは気持ちよさそうだねえ、かわいいけど、やっぱり食べるのはめーなのよ!



「もこもこさん、気持ちよさそうだねぇ」
 めぇめぇ鳴いて、もこもこ増えて。
 冬支度を終えた動物のようにまるまるとした、ただいま増毛キャンペーン中のしろやぎさんたちを眺めながら、スノウ・パタタ(ブラックタールのゴッドペインター・f07096)はポシェットからごそごそっと紙束を取り出していく。1枚2枚3枚……えとせとら。とにかくたくさんの紙がばさばさと目の前で取り出されていき、グルメなしろやぎたちも思わず「めぇ!」と目を輝かせていた。
「こうしてー……こう! です!」
 集まるしろやぎたちの視線も何のその。スノウは広げた紙に『StormGrassPen』で楽しく絵を書いていく。雪の結晶や、雪だるま。雪うさぎも添えてみたり。そんな風に、好きなものを好きなだけ綴じ込めて。こっそり香水瓶の魔法も綴じたなら、スノウはにっこりと可愛らしい笑顔で誰に宛てるでもない紙束を宙へ放り投げる。
 ばさばさと広がっていく紙の海に、群がるしろやぎたち。
 めぇめぇ。ぴょんぴょん。わらわらと。
 すべての紙がしろやぎたちに行き渡り、もきゅもきゅとしろやぎたちが食べはじめたなら――、
「氷のせーれーさん、おなか痛くなるかも! 火のせーれーさんは、あつくて汗が止まらなくなるかもなのよー!」
 さてはて、どの紙に何を書いたのやら。そして自分が食べた紙には何が書いてあったのか?
 スノウがそう声を掛けたなら、突然始まったロシアンルーレットにはグルメなしろやぎたちもびっくり。悲鳴が交々、じわじわ伝染するようにフロアに反響していく。そして。
「しょ、しょくあたりめぇ~!」
「ひをふいちゃうめぇ~!」
「たすけてめぇ~~!」
 はたしてそれは当たりか、外れか。
 あまりの痛みや辛さにぴょんぴょんと跳ねるようにグルメなしろやぎたちは奥へ奥へと逃げていく。どうやら奥に、彼らの帰る場所があるらしい。スノウも追うようにその後を追いかけて、更に声を掛ける。
「食あたりにちゅーい! です!」
「もうおそいめぇ~~!」
 お腹いっぱいにはなったけれど、その代償はあまりにも大きい。スノウに返されたしろやぎの悲鳴は、それはそれは切実にフロアに響いていた。

「あっちでもこっちでも、もふもふしてぴょんぴょんして、めえめえしているわ!」
 駆けて行くグルメなしろやちたちを見送って、そう目を輝かせたのは桃乃・なつめ(MOMO・f13477)だ。そして減ったり増えたり、忙しない様子のしろやぎたちを目で追う彼女の後ろに迫る白い影――そのもふもふの手のひらがポケットのお手紙を掠め取る前に、氷の炎が壁を作るように放たれる。檀・景路(翼など似合わない・f13444)が放った、0-K(ケルビン)である。
「だ、だめですよ。お手紙は食べてはいけません」
 ちゃんとお届けしましょうね、としろやぎたちの足を止めるように。自分の手紙もしっかりと鞄の中へ入れて、食べられないようにと気を配りながら景路はなつめを背に庇う。
「わっ、ありがとうみちくん! もう、大事なお手紙なんだから、食べちゃダメなんだよ!」
 手紙を食べられずに済んだことに気付いて、なつめは景路にお礼を述べながらもしろやぎさんを叱り付ける。しかしそうは言っても、やはりグルメなしろやぎ。食べ逃した手紙に追いすがるように手を伸ばして、やっぱり立ち止まってはくれそうにない。顔を合わせて肩を竦めた2人は、そうしてお手紙を守るためにしろやぎたちと対峙する。
 まずは景路が生み出す氷の冷気。しろやぎたちの方へ向けられた冷気は気温を下げて、しろやぎたちは身を合わせるように固まって震えはじめた。これではめぇめぇお歌も歌えない。
「さ、さむいめぇ~!」
「おっと、それだけじゃないよ!」
 めえめえ、もふもふ。おしくらまんじゅうのしろやぎたちを前に、なつめも続くように声を上げる。そんな彼女の背後にはいつの間にか14体のお友達が控え、そしてホログラムが映す鍵盤が彼女の手元を彩っていた。
「みんな、こんにちは! 今日のLiveはアルダワからの中継だよ!」
 ぐるりと彼女の周りに飛ぶドローンは、ライブ配信用の機械なのだろう。ぱちんと可愛らしくウィンクを決めたなつめは、軽やかな指使いで楽しげな音楽を奏でて歌を重ねていく。めえめえしろやぎさん、なんて語りかけるようなその陽気な歌には思わずしろやぎたちも聞き入ってしまいそうだった。
 目の前で行われるLiveに目を輝かせるのは、何もしろやぎだけではない。景路もまた、アッシュグリーンの向こうで目を輝かせていた。なんといっても生Liveである。しかしその至福のときも長くは続かず、しろやぎたちの隙を狙うなら今しかない。はっとした表情で頭を振った景路はそして、名残惜しい気持ちを閉じ込めるように魔力を込めた水を燃やし、氷の炎を放ってグルメなしろやぎたちを囲っていく。
「――ももさん、今のうちに!」
「ええ、行きましょう!」
 氷の炎に閉じ込められて身動きが取れなくなってしまったグルメなしろやぎを背に、景路となつめは手を取って駆け出す。向かうのはフロアの奥。この先に待つフロアボスを目指して、2人もまたグルメなしろやぎたちの食欲を振り切るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『上司のくろやぎ』

POW   :    でりしゃすれたー
【『あまい』告白の手紙】【『しょっぱい』別れの手紙】【『からい』怒りのお手紙】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ようしゃしないめぇ!
【『するどいきれあじ』の催促状のお手紙】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    そくたつぽっぽさんめぇ!
レベル分の1秒で【頭上にいる速達担当の相棒ぽっぽさん】を発射できる。
👑11
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●Interval
 音にするなら、のしのし。いや、やはりもふもふだろうか。
 フロアの奥から現れ、見事な重役出勤を決めたそのやぎは、上司のくろやぎ。先ほどまで対峙していたグルメなしろやぎと一見似ているようにも見えるが、その毛の色は黒く、体も一回りほど大きいだろうか。我が物顔で道を歩いてきたくろやぎは、ころころと転がって眠っているしろやぎたちを見て大きな大きな声を上げる。
「お前たち、何をやってるめぇ~~!」
 どしどし。いや、やはりもふもふ。
 地団駄を踏んでいるように見えたが、その音はどこまでももふもふ。しかしくろやぎが怒っていることは、その様子からも確かだろう。
「ぜんっぜん今日のノルマを達していないめぇ! 終わるまで帰さないめぇ~!」
 ブラックである。
 ころころ伸びたホワイトなやぎたちを前に、こうなれば自分が手紙を回収するしかない、と重い腰を上げた上司のくろやぎは、そして大きな木の下で猟兵たちを迎え撃つのであった。
栗花落・澪
黒ヤギさんも可愛いなぁ…
仕事疲れは体に毒だし
たまには休憩もしなきゃだめだよ?

というわけで
今からお手紙書くので待って下さい

白紙の便箋と封筒を出し
飛行+壁を下敷きにのーんびりレシピ執筆

注意を引きつつ
【歌唱】UCで足元を掬って転倒
ぽっぽさんを花で攫う等で遊ぶ
手紙書くの楽しくてつい歌っちゃった

攻撃は回避
もーせっかちなんだから
それじゃあ…こっち配達してくれる?

予め持ってた手紙をちらつかせ
向かってきたら
はい残念、ダメでーす♪
かわしてから上に乗ってもふもふ

この手紙は自分で渡すよ
風の【全力魔法】で花畑を舞い上げ
強烈な竜巻と花刃の組み合わせ攻撃

ー手紙ー
『自由を教えてくれてありがとう
 これからもいっぱい護ってね』


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
すごいもふもふだ、偉そうな態度のギャップでよりもふもふ映えしてる
でも学園の手紙を守る為にもふり、じゃなくてぶっ倒す!

なるべく大きい木を傷つけたくないから
木からお互い離れるように誘導させる様な攻撃で牽制攻撃していくぞ

もしくろやぎがでりしゃすれたーで自己強化を図るなら
『審判竜の特大剣』ですぐに全力攻撃!
この剣自体はダメージを与えないから木を傷つけないで済むし、
オレが今まで軽めの攻撃してたからくろやぎにはフェイントになれるかな?

特大剣が命中したらすかさず「手紙食べるの禁止!」とルール宣言
手紙を食べれば食べる程ダメージを与えられるが
強化自体はされてるから反撃されない様回避を心がけるぜ


スノウ・パタタ
私が白ヤギさんのおなか、ごろごろにしました!じゃまをしてごめんね、でもお手紙は届けて欲しいの、食べて欲しくないの!
やぎさんのお仕事は、お手紙食べること?届けること?

もし届けることが目的なら誤解をときたいです。食べられたくないから、白ヤギさん達を止めてました!黒ヤギさんも食べる事が目的なら、遠慮なくめー、しちゃうのよ!
【攻撃】香水瓶の魔法を展開、広範囲の全力攻撃。
【回避】バウンドボディとブラックタールの伸縮性を使ってちょこまか逃げ回ります。
ついでに、食べるために取られちゃったお手紙を取り返せたらいいなあ。後でちゃんと、届けてあげたいのよ。



●しろやぎさんたら、おてがみたべた!
「すごいもふもふだ、偉そうな態度のギャップでよりもふもふ映えしてる……!」
 ある日、大きな木の下でくろやぎさんと出会った。そんな一節が脳裏を過ぎる中、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は思わず目を輝かせて体を震わせていた。しろやぎも可愛かったが、こちらもまた可愛らしい。
 辺り一面が大きな森のように構成されていた自然溢れる迷宮の中で、一際目立つ大樹。その大樹こそが迷宮の最深部である証拠である。つまりこのくろやぎ――上司のくろやぎこそが、フロアボスなのだ。
「来るなら来いめぇ~! 私が相手をしてやるめぇ~!」
 しろやぎよりも更にやる気に溢れた様子のくろやぎは、そのやる気を示すように両手を上げて威嚇の構えを取っているらしい。まるでアリクイの縄張り争を見るようなその構えは猟兵から見ればただただ可愛らしいだけのものだったが、けれどそのやる気は本物。やはり戦うしかないのだとグァーネッツォは学園の手紙を守る為に己を奮い立たせ、竜骨で作られた巨大斧を握り締める。
 だが、その横で。
「ちょっと待ってください! 今からお手紙を書くので!」
「めっ……めぇ?」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が白紙の便箋と封筒を取り出してそう言えば、勇み足のくろやぎも少し戸惑ったようにたたらを踏む。のんびりと執筆するその様子に悩む仕草を見せるも、ノルマ達成の誘惑にくろやぎは抗えない。
 やがて、仕方ないめぇと言って猶予を持たせたくろやぎに、スノウ・パタタ(ブラックタールのゴッドペインター・f07096)もまたグラスペンを手にして問いかけた。
「やぎさんのお仕事は、お手紙を食べること? 届けること?」
 もし届けることが目的なら、誤解を解きたい。そう願うゆえの問いかけは、ここに立つ全員の疑問といってもよいのかもしれない。本当の目的はどちらなのか、届けることが目的ならどうして食べてしまうのか。尽きない疑問を胸にまっすぐな目で見つめるスノウをちらっと横目に見たくろやぎは、手紙が書きあがるまでの間と、短い腕を組みながら大きく胸を張って答える。
「もちろん届けることが我々のお仕事だめぇ!」
 しろやぎも、くろやぎも、そのお仕事は郵便屋である。手紙を受け取り、そして届けることが仕事といっていい。けれどその本質は、あくまでもやぎ。
「けどめぇ、お手紙を見ると、しろやぎはついつい食べてしまうめぇ。ノルマ達成の道は遠いめぇ」
 くろやぎ曰く。しろやぎの理性は少しばかり足りないらしい。集めるうちにお腹が空いてつい1枚、そしてまた1枚と食べてしまう手紙の数は減る一方で仕事になりやしない。
 嘆くように溜息を吐いたくろやぎだったが、おもむろに鞄から手紙を取り出すと――むしゃり。
「……って、お前も食べてるじゃないか!!」
「……あっ、」
 てんてん、てん。
 その沈黙は耳に痛く響くようだったが、しかし悲しきかな。くろやぎもまた、やぎである。
 そして束の間、グァーネッツォの指摘に慌てて手紙をごくりと飲み込んで、くろやぎは誤魔化すように頭上のぽっぽさんへ指令を出す。バレてしまったなら仕方ない。そくたつぽっぽさん、発射!
「ええい、うるさいうるさーい! お手紙を持ってるなら、ようしゃしないめぇ!」
 逆上するように放たれたぽっぽさんが狙う先は、お手紙を手にした澪の元。かわいいお顔の真ん中に位置する鋭い嘴を向けて、ぽっぽさんが迫り来る。
 けれど、その嘴は届くことはない。何故ながらその行く手を阻むように、グァーネッツォとスノウが立ち塞がったからだ。
「黒ヤギさんも食べる事が目的なら、遠慮なくめー、しちゃうのよ!」
「スノウの言うとおりだぞ! 手紙を守る為にもふり、じゃなくてぶっ倒す!」
 ――手紙食べるの禁止!
 召喚した特大剣をもってして、自身の欲に抗えず手紙を食べたくろやぎに宣誓されたルールは、奇しくもその欲を抑制するものだった。ショックを受けたように固まったくろやぎに澪もまた懐の手紙をちらつかせながら、くすくすと笑みを零す。
「もーせっかちなんだから! でも、残念。やっぱりこの手紙は自分で渡すよ」
 再び迫る速達ぽっぽさんの一撃を交わして、澪は優しい歌声で花びらを操る。足元を美しい花畑へと塗り替えた澪の花びらは、速達ぽっぽさんを攫うように風に踊っていた。相棒を攫われたくろやぎには、成す術もない。
 澪は合図を送るようにスノウを視線を交わし、それを受けたスノウもまた心得たといわんばかりに大きく頷いて見せた。
「黒ヤギさんも、めーなのよ!」
 その声を合図として、冬を内包したような『StormGrassPen』で描いた香水瓶の魔法、その飛沫がくろやぎに襲い掛かり、そしてくろやぎは大樹から離れるように後退するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

糸縒・ふうた
アドリブ・絡み・改変等歓迎

ついに出たなボスめぇめぇ!
でもボスはお手紙を届けようとしてる……?
いやいや、でもこのめぇめぇもオブリビオンなんだから、
ほんとはここにいちゃいけないんだよな!
それに、ブラック、だめぜったい!
みんなが安心して恋のお手紙を届けられるように、いなくなってもらうぜ!

【疾風】と一緒に、戦うぜ

向かってくるそくたつぽっぽさんと催促状に気を付けつつ、
間合いを詰めて爪で切り掛かる

痛がる様子に心が痛むけど、相手はオブリビオン
みんなが困っちゃうから、って心を鬼にして攻撃するよ

【疾風】の俊敏さを生かしてボスめぇめぇを翻弄してやるぜ

敵じゃなかったらそくたつぽっぽさん、連れて帰りたかったなぁ……


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

成程
此れが噂に聞く、ぶらっく企業
そして正に黒幕の悪代官

世界知識と照らし合わせて頷くも
多分色々ズレている

噂の樹下で待つ逢引相手(ボス)
手紙を持って駆け寄って
告白すれば良いのでしたか?

不意打ちに備えて第六感を研ぎ澄まし
見切り、残像で回避
オーラ防御

手紙を差し出す振りでフェイント
だって其れは
本当は星の護符だから

符を高速詠唱で山吹の花弁に変えて贈る餞――花筐

悪代官(ぶらっく)には
山吹色の菓子と相場が決まって…違います?

さぁ
今夜は早く寝床に帰って
安らかにお眠りなさい
眠れないなら数えましょうか
羊が一匹――あ、山羊でしたね、スミマセン

戻ったら
クリスさんに
彼らのもふもふ具合をお伝えしませんとね


桃乃・なつめ
アドリブ・絡み可

黒くて おおきな もふもふ……
くろやぎさんは 怒りん坊なのね
そんなに怒っちゃうと しろやぎさんたち泣いちゃうわ…めえめえ

引き続きライブ中継しつつ
今度は頑張って ヒーローショーするの
15体のお友達は合体すると強くなるんだから!
えいえい とう! もふもふ ぽよよん
むずかしいのね……
ここは 猟兵さんたちの盾になって
かっこよく散るのがヒーローっぽいかしら…
とっても痛そうな攻撃が来たらお友達がかばうわ!

えっと わたしはみんなの応援してるの
転がってるしろやぎさんもふもふ むぎゅむぎゅ
ちょっとお触りしてるだけよ…


檀・景路
くろやぎさん、しろやぎさんたち、がんばっていらっしゃった、ので。邪魔したのは私たち…なので、怒らないであげてください…

■WIZ
あっ、ぽっぽさん、飛び出して来ては、危ないです。当たったら貴方も怪我をしてしまいますよ。
ぽっぽさんが飛び出しにくいようにUCの冷たい冷気を、漂わせますね。やぎさんのそばから離れたくなくなる、かも。もし飛び出してきたら、【オーラ防御】をまとった氷の炎を重ねて、ソフトに受け止め、ます。
くろやぎさんも、諦めてくれるといいのですが…どうしてお手紙を食べて、しまうのでしょうか。出来るなら、手荒なことは。したくは、ないのです。

帰ったら、ライブを見たいですね。

アドリブ、絡みOKです。


トレイシー・ライト
【心情】
 あれが上司……食べる量にノルマとかあるのか。オブリビオンも大変だな。俺の手紙はもう無いから、上司のあんたもノルマ未達だな。ちなみにポケットに隠しているこれは迷宮の地図であって手紙じゃないし、あげないからな。……あげないからな?
【戦闘】
 魔道書を使おうと思ったけど、これも紙だな……食べられるとほんとに困るし、今回は杖に持ち替えて戦ってみるか。
 木を上手く遮蔽物に使いながら、【ウィザード・ミサイル】でぽっぽさんと撃ち合いをする。そっちが速さならこっちは数で勝負だ。炎属性だから、手持ちの手紙が燃えないように気をつけな!



●くろやぎさんたら、おてがみたべた!
 どしどし、もふもふ。
 怒り冷めやらぬ上司のくろやぎを前に、桃乃・なつめ(MOMO・f13477)は感嘆の息を吐く。
「くろやぎさんは怒りん坊なのね」
 しろやぎとはまた違う、黒くて大きなもふもふ。
 とってもかわいいけれど、そんなに怒っちゃうとしろやぎさんたちが泣いてしまいそう。なんて思いながらも、端に転がるしろやぎたちに視線を移せば思わず伸びてしまう手があった。そっともふもふ。ついでにむぎゅむぎゅ。その柔らかな感触に、なつめの口元は思わず綻ぶ。その横で。
「くろやぎさん、しろやぎさんたち、がんばっていらっしゃった、ので……。邪魔したのは私たち、なので。怒らないであげてください……!」
「ふんっ、結果が伴わない努力に意味なんてないめぇ! ノルマ未達成の事実は変わらないのめぇ!」
 ころころ転がったしろやぎを慮る檀・景路(翼など似合わない・f13444)だったが、自分も手紙を食べた事実はお空の上に、ぷんぷんと地団駄を踏むくろやぎにはその言葉も届かないようで。
「成程。此れが噂に聞く、ぶらっく企業……」
 後方に立つ都槻・綾(夜宵の森・f01786)とトレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)は顔を見合わせて、感心するように大きく頷いていた。ノルマが如何ほどかは知らないが、オブリビオンも大変なんだなあ、とトレイシー呟いた言葉は心のままに。けれどまあ、
「食べるのが目的っていうなら、遠慮なく戦えるな」
 そう言うが否や、ポケットに隠した地図と同じように、食べられては敵わないと魔道書もしまって杖に持ち替えて。トレイシーは気だるい仕草で杖の先をくろやぎ――ではなく、速達ぽっぽさんに向けると高速詠唱をもって先制攻撃を仕掛ける。ウィザード・ミサイル。そちらが速さで来るならば、こちらは数で勝負だと放たれた炎の矢は100本近く。
 その矢に合わせるように景路もまた0-K(ケルビン)の冷気を放ち、速達ぽっぽさんの行く手を阻んでいく。速達ぽっぽさんさえ動けなくしてしまえば、くろやぎは自分で戦うしかないのだ。

「ついに出たなボスめぇめぇ! ブラック、だめぜったい!」
 速達ぽっぽさんを足止めする一方で、上司のくろやぎを狙うのは糸縒・ふうた(朱茜・f09635)だ。みんなが安心して恋のお手紙を届けられるようにという決意を胸に、疾風の俊敏さを生かすように即座に間合いを詰めて、鋭い爪を振り上げる。
「めぇ! うちはやりがいのある、笑顔あふれるアットホームな職場めぇ~!」
 まるで絵に描いたようなブラック企業の謳い文句である。
 しかし眼前に迫る爪先をその身に似合わない俊敏な動作で避けたくろやぎは、ブラックとはなにごとだ、とぷんぷんと怒ったように鋭い切れ味の催促状が放つ。
 その攻撃からふうたを庇ったのは、なつめが召喚した15体のお友達のうちのひとり。催促状の切れ味に攻撃を受けたお友達は消えていってしまうが、なつめのヒーローショーはまだ終わらない。消えた先からまたひとりを呼び出して、なつめは仲間を鼓舞するように大輪の笑みを向ける。
「わたしのお友達が、みんなを守るわ! 傷ひとつ付けさせないんだから!」
 その言葉の、なんて心強いことだろう。
 なつめの笑みに応えるように、綾もまた柔く笑みを深めて手紙を持って前に出る。噂によれば、手紙を持って告白すればよいのだったか――けれど、その手紙は見せかけの贈り物。その本当の姿は、星の護符。一度は目を輝かせるも、その実態に気付いたくろやぎは愕然とした表情で絶叫する。お手紙はどこへ行ってしまっためぇ!?
 しかしあったのははじめから、星の護符だけ。綾の高速詠唱により護符は更に山吹色の花びらへと姿を変えて、やがて餞となる。
「今夜は早く寝床に帰って、安らかにお眠りなさい。眠れないなら、数えましょうか?」
 羊が一匹、二匹――あ、山羊でしたね。
 すみません、と笑むような小さな謝罪は眠りゆくくろやぎには聞こえないまま。今が好機と声をあげたなつめの後に続くように、トレイシーの炎の矢が速達ぽっぽさんを貫き、景路の0-K(ケルビン)が氷の炎で閉じ込めて。そしてふうたの召喚した疾風の鋭い爪がくろやぎを追い詰めていく。
 そうして最後、迷宮大迷路のフロアボス、上司のくろやぎはぐるりと目を回して大地に背中から倒れるのだった。もうだめぇ。

●春よ恋
 戦いの末にフロアボスの座を奪われたやぎたちには、もはや何もできないだろう。
 束の間の平穏を取り戻した学園迷宮のひとつ、迷宮大迷路の奥で大樹は変わらずにその葉を風に揺らしている。大樹を見上げて顔を見合わせた猟兵たちは、誰からともなくそっと微笑み合った。
「よし、帰ろうか!」
「は、はい。帰ったら、ライブを見たいです……!」
「あーあ、敵じゃなかったらそくたつぽっぽさん、連れて帰りたかったなぁ……」
 お楽しみはすべて、お家に帰ってから。もふもふとの別れは少しばかり名残惜しい気もするけれど、その感触は忘れずに胸に閉まって。守りきったお手紙を手に、猟兵たちは踵を返していく。
「戻ったら、彼らのもふもふ具合をお伝えしませんとね」
 彼らの背後、風に乗って離れていく大樹の葉に紛れて薄桃の花びらが舞う。
 平穏になったこのフロアなら、きっとまた生徒たちが来るようになるだろう。そして春が来れば大樹もいずれ花を咲かせ、果実を実らせ、生徒たちの恋をより祝ってくれるに違いない。恋のお手紙はもう誰にも食べられることなく、想いびとへ届くのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


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#アルダワ魔法学園


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メーアルーナ・レトラントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト