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迷宮災厄戦⑱-16〜回るトランプ巨人団

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン


 戦いは数であると誰かが言った。
 そこでオウガ・オリジンは自分を無限に増やす事を考えた。

 だが自分には協調性がなかった。
 そこでオウガ・オリジンは自分を忠実なオウガへ変えて無限に増やす事を考えた。

 忠実なオウガ『トランプの巨人』となったオウガ・オリジンが増殖し、巨人団となるにさして時間はかからなかった。

●車懸りの陣(仮)
「今のわたしはトランプの巨人。」
「オウガ・オリジンに忠実なるオウガ。」
「故にオウガ・オリジンの勝利という目標の下。」
「わたしがいがみ合う事はない。」
 整然と並ぶトランプの巨人、それはオウガ・オリジンが変じた姿だった。性格の悪さ故に足を引っ張り合った以前の無限増殖と違い、協調性のあるトランプの巨人となって増えたのだ。
「個々の力は削がれたが。」
「今ならどんな陣形も組む事ができる。」
「そう、車懸りの陣のような――!」
 伝え聞く、何処の地で軍神が使ったとされる陣形。猟兵を打ち砕くに相応しいとオウガ・オリジンはほくそ笑む。整然と円形に並んだ無数の巨人が高速で駆け回り始めた。

 連なる巨人が次々と猟兵に一撃を与えて駆け抜ける陣形、攻撃を間断なく浴びせ続ける無敵の陣。だが聞きかじりの言葉から思い描いた陣形が孕む欠点を、オウガ・オリジンが思い至る事はなかった。

●グリモアベースにて
「皆さん、オウガ・オリジンを予知しました。トランプの巨人に変身して無限増殖しているようです。」
 アルトリンデ・エーデルシュタインが猟兵たちに呼びかける。開かれた聖典のグリモアの頁には、丸く円を描く陣形を取っているトランプの巨人の群れ。
「今回は互いにいがみ合う事はなく、陣形を組んで襲ってきます。どうやら車懸りの陣をやろうとしているようなのですが……」
 列をなすオウガ・オリジンが次々と猟兵に攻撃をして駆けてゆく陣形はエンパイアウォーで上杉謙信がとった物と似た陣形と言える。だが、聞きかじりの知識で構築した陣形には致命的な欠点があったのだ。
「……一人でも止まると、後続が追突して陣が崩れるようなのです。」
 無敵の陣など存在しないし、思い描く通りに事が運ぶ事も無い。ここは相手の陣形を利用して一気に倒してしまおう。
「個々の力は元のオウガ・オリジンに比べれば劣るとはいえ、攻撃に関しては熾烈を極めます。ですが、明確な欠点がある以上、皆さんならば攻略できるでしょう。」
 そう言葉を括り、アルトリンデは猟兵を送り出したのだった。


こげとら
 しばらくぶりです、こげとらです。
 こちらは『迷宮災厄戦』、オウガ・オリジンとの戦闘シナリオとなります。難易度は『やや難』です。

 オウガ・オリジンはトランプの巨人となり無限増殖しました。一糸乱れぬ整然とした行進で襲い来る、トランプの巨人に変身したオウガ・オリジンの群れに立ち向かいましょう。
 このシナリオでは下記の特別なプレイングボーナスがあります。

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 プレイングボーナス……敵の陣形を攻略する。
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 オウガ・オリジンが使う陣形は、車懸りの陣を聞きかじったオウガ・オリジンがフィーリングで構築した高速で駆ける円陣です。猟兵へ向けて、駆け抜けるトランプの巨人が次々と攻撃を仕掛けてきます。攻撃手段はユーベルコードの他、手にした剣も使います。
 どれか一人でも止められれば後続が追突して陣形が崩れますので、転んだ敵を一網打尽に出来ます。上記のプレイングボーナス条件もこの方法で得る事ができます。相手は巨人ですので、転ばすにしても動きを止めるにしても巨体である事を考慮すると良いかもしれません。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!!
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第1章 集団戦 『『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団』

POW   :    巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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鍋島・小百合子
WIZ重視

…大層なでかぶつがよう兵法を真似たものじゃ
わらわが合戦における本物の兵法を見せてやろうぞ

「一人でも止めてしまえば後は総崩れぞ。天馬武者軍団!かかれ!」
UC「天騎要塞陣」発動にて浮遊城塞を待機させ軍団の目を引き付けさせておき、その隙にわらわは身を隠しつつ彼奴等の視認外から長弓にて陣形中腹にいる敵の足を狙撃し陣の総崩れを狙う(視力、スナイパー、範囲攻撃、鎧無視攻撃、部位破壊併用)
敵が総崩れになれば城塞から天馬武者の一軍を出撃
こちらも数に任せた集団戦術として車懸りの陣を披露、動けぬ烏合の衆共を殲滅させていく
わらわは引き続き長弓での援護射撃、天馬武者軍が撃ち漏らした敵を確実に仕留めていく



 轟々と地が揺れている。オウガ・オリジンの変じたトランプの巨人、その巨躯が円陣を組み回っている。組まれた陣形は正確、遅滞なく回転する車の如き陣形。遠目にも分かる暴威を前に鍋島・小百合子は独り言ちた。

「……大層なでかぶつがよう兵法を真似たものじゃ。」

 伝聞で真似ている、その点においては評価はできよう。だが、と小百合子の視線が回る巨人の群れを射る。

「わらわが合戦における本物の兵法を見せてやろうぞ。」

 正面から当たる事しか考えぬ陣など戦の場には通用しまい。小百合子は【天騎要塞陣(アマカケルムシャタチノコウシン)】により不落の城、数多の天馬武者を乗せる浮遊城塞が出現した。
「あの要塞……猟兵か!」
「巨人と化したわたしの陣で。」
「轢き砕いてくれる!」
 突如出現した浮遊城塞にオウガ・オリジンが息まきながら突き進んでゆく。回転する円陣を維持したまま前進する様子は見事と言えるだろうが、城塞から離れた小百合子に気づかなかったのは兵法の読み合いに慣れていないせいか。

「眼前の敵しか見えんようではのぅ。」

 身を隠した小百合子が長弓を引き絞る。狙うは陣形中腹、巨人の足。風を切り飛んだ矢は狙い違わずトランプの巨人の足を射抜いた。全力で走っている最中に足を射抜かれた巨人が転ぶ。
「なに!?」
「伏兵か!?」
 気づいた時にはすでに遅し、転んだ巨人に後ろから巨人がぶつかり、次々に倒れてゆく。

「一人でも止めてしまえば後は総崩れぞ。天馬武者軍団! かかれ!」

 小百合子の号令に浮遊城塞から天馬に跨った武者の軍団が飛び立つ。折り重なり倒れた巨人が身を起こすより早く、天馬武者が整えた陣形は車懸りの陣。天馬の速力を落とさず大薙刀を振り抜く武者が次々と総崩れとなったオウガ・オリジンへと襲い掛かる。倒れていながらもトランプの巨人が放つ巨大なトランプのカードを小百合子が長弓で射抜いた。

「貴様らに立て直す機会など与えぬのじゃ。」

 ユーベルコードを封じる手段も潰され、無念の声をあげながらトランプの巨人は天馬武者に討ち取られてゆく。天馬武者の陣形の合間を抜けた巨人も小百合子の長弓に仕留められていった。
 開戦して僅かの間にオウガ・オリジンが受けた損害は大きな物となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
一人でも足が止まると陣形が崩れるそうですが……。あの巨体をどうにかして陣形を崩すというのは何か策を練らないと厳しそうですね……。

まずはUCを地上へと投下し周辺を氷の結界へと変えつつその上に舞い降ります。
オリジン様の群れが私に気付き……。陣形を組んで襲ってきましたら氷壁の盾受けにて巨大なトランプの直撃は避けつつ……。氷による属性攻撃と全力魔法を合わせてオリジン様付近を氷の足場へと変えてしまいましょう。
その後は一番先頭にいるオリジン様の上半身に向けてUCを放ち、足場の悪さと合わさり転倒しないか狙ってみますね。
オリジン様が転倒をし、陣形が崩れましたらそのうちに全力魔法のUCにて次々と撃退を狙います。



 数を減らしたトランプの巨人が再び陣形を組んで回り出す。車懸りの陣は強力な陣、先ほどは同じ陣形に敗れたのだから――オウガ・オリジンはそう考え、再び陣形を組み直す。速度を上げて回る陣形を前にネーヴェ・ノアイユは聞いていた弱点を思い返した。

「一人でも足が止まると陣形が崩れるそうですが……。あの巨体をどうにかして陣形を崩すというのは何か策を練らないと厳しそうですね……。」

 トランプの巨人の巨体故に単純に正面からぶつかり合えば苦戦は必至と言えるだろう。さりとて中途半端な小細工もあの巨躯には通じまい。ならば相応の備えを、相応しい舞台を作るまでだ。空へ舞い上がったネーヴェは地上へ【ice bomb(アイスボム)】を振りまいていった。
 回るオウガ・オリジンの視界に広がってゆく氷の結界が映る。
「氷ごときでわたしを止められるなど!」
「猟兵ごと打ち砕いてやる!」
 厚く、大きくなってゆく氷壁にオウガ・オリジンは突き進んでゆく。氷の壁如き、いくら厚くなろうとも削り砕いて見せると。

「来ましたね……。」

 氷壁の向こう、【ice bomb】が落ちて地面に広げた氷の結界の上でネーヴェが迫るオウガ・オリジンの群れを見る。向こうも結界の中にいるネーヴェをすぐに見つけるだろう。氷壁にトランプの巨人が振う剣が次々に叩きつけられる。削れ、割られた氷壁の向こうに見えたネーヴェの姿に巨人がトランプのカードを投げつける。新たに形成した氷壁でトランプを受けて直撃を避け、ネーヴェがオウガ・オリジンへと全力の氷の魔法を放った。
「この程度の魔法で!」
「わたしを倒せるなど……うおぉ!?」
 氷を巨体で打ち砕いたオウガ・オリジンが傾ぐ。見れば、オウガ・オリジンの足元は見事に凍り付いていた。ネーヴェの氷魔法は初めからオリジンではなく、その足元を氷の足場へと変える為の物だったのだ。

「当たる……。外れる……。どちらに転んでも都合がいいのです。」

 ネーヴェの【ice bomb】がオウガ・オリジンの傾いだ巨体を直撃する。バランスを崩した巨体は氷の足場に足を取られ、止まり切れずに後ろから追突した巨体と共に転倒した。玉突きのように次々とぶつかり合って転んで行くオウガ・オリジン。脆くも崩れ去った陣形、転んで重なった露ランプの巨人の巨躯に向けネーヴェの【ice bomb】が降り注いだ。全力で放たれる巨大な氷塊がオウガ・オリジンを打ち砕き、さらに積み上がる氷の塊がオウガ・オリジンが身を起こす事すら困難にして。
 やがて全てが氷の下へと埋まる頃にはオウガ・オリジンの数も大きく減らされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺(本体)の二刀流

陣形自体、ある程度の習熟度必要だと思うんだが…。

基本存在感を消し目立たない様に立ち回る。
可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC五月雨、および同時に投げられるだけの柳葉飛刀も投擲。なるべく一体に集中させ、物理的に足止めを狙う。
というか高速で動いてる最中に召喚したら絶対詰まるだろ。
個人的に攻めてくる相手に、迎撃の布陣、もしくは物量で誘導するのがこの手のUCの使い方だと思ってるし。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。



 周囲を押し潰していた氷を割り砕き、オウガ・オリジンが再び円陣を組む。既に足元に不安はない。高速で回転を始めた車懸りの陣を模した陣形は綺麗な円を描いていた。一見すれば非常に完成された円陣を前に、黒鵺・瑞樹はヤドリガミである自身の本体である黒鵺を左手に、そして胡を右手に持つ二刀流の構えで臨んだ。

「陣形自体、ある程度の習熟度必要だと思うんだが……。」

 陣形とは一定の型を取り続ければいいと言うものではない。状況に応じて臨機応変に立ち回ってこそその強さは十全に発揮される。その為には陣形の長所、短所を把握して優位性を活かさねばならないが、聞きかじりの知識ではそれは望めまい。存在感を消し、身を潜めた瑞樹がオウガ・オリジンへと近付いてゆく。まだオウガ・オリジンはこちらに気づいていない。そして十分に距離を詰めた瑞樹が黒刃の大ぶりなナイフ、黒鵺を振った。

「喰らえ!」

 【五月雨(サミダレ)】が複製した黒鵺がオリジナルの振られた軌跡い沿うように舞い、トランプの巨人の死角から突き立つ。さらに同時に投擲された幾つもの柳葉飛刀が同じ巨人に突き刺さった。
「猟兵だと!?」
「おのれ、いつの間に!」
 トランプの巨人は小さな刃物に刺された程度では止まらない。この程度躱すまでもないと剣を振おうとした巨体の動きが鈍る。トランプの巨人を刺した刃の数々は斬り裂いて動きを止めるのではなく、マヒさせて動きを止める為の物。動きの鈍った剣戟を躱し、瑞樹が巨人の一体の動きを確実に止めるべく黒鵺を翻す。そうはさせまいとオウガ・オリジンは己の身体が動かずとも影響のないトランプ兵を呼び出した。だが。

「というか高速で動いてる最中に召喚したら絶対詰まるだろ。」

 瑞樹の予想通りに召喚されたトランプ兵が勢い余った巨人の足にぶつかり、マヒして思うように身体の動かない巨人諸共に倒れた。後ろに続くトランプの巨人も次々に躓いて倒れてゆく。

「個人的に攻めてくる相手に、迎撃の布陣、もしくは物量で誘導するのがこの手のUCの使い方だと思ってるし。」

 つまり、攻撃を重視している車懸りの陣(仮)とは相性が悪い。巨人の転倒に巻き込まれなかったトランプ兵を斬り捨て瑞樹が倒れた巨人へと走る。重なり合い動きの制限された巨体が対処できぬ位置へ潜りこみ、一閃。一体、また一体と確実に葬ってゆく瑞樹。次のトランプの巨人へと斬りかかろうとした瑞樹に、巨人が強引に身体を捻り巨大な剣を叩きつけた。予期せぬ一撃を第六感で察知した瑞樹が黒鵺で受け止める。巨大な戦槌とも打ち合える黒鵺はしかと巨大な剣から瑞樹を守ったが、動きの止まった瑞樹にトランプ兵が殺到した。組み合わさり、トランプの数字がみるみる増えてゆく。威力を増したトランプ兵の一撃は瑞樹のオーラの防御に阻まれるもそのすべてを止めきる事はなく。
「……!!」
 身を裂く激痛を抑えこみ瑞樹が振う刃が袈裟懸けにトランプ兵を斬り散らす。返す刃が振り下ろされてトランプの巨人の首を裂き、その命を刈り取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュドミーラ・シェスタコフ
とても迫力がありますね…あの攻撃をまともに受けたら、ひとたまりもなさそうです…。
遠目にもわかる大きさと伝わる振動に竦みそうになるのを抑えて立ち向かいましょう。

戦闘能力の乏しい私がUCを封じられる前に、先手を打たないといけませんね。
敵が突撃をかけ始めると、その距離が近くなる前に≪微睡みの光≫を発動。
先頭にいるトランプの巨人を眠らせて後続の追突を狙います。
上手くいけば、崩れたそこへ「祈り」を込めた「全力魔法」を放ち、
眠っている間に回復してしまうので、眠らせた巨人にもしっかりと当てて起こします。
戦闘中、負傷している方がいれば「祈り」、「浄化」の「医術」を施します。



 倒れた巨人の骸を踏み砕き、トランプの巨人が立ち上がる。物言わぬ亡骸は唯の障害物という事か。均した地を踏み、再びオウガ・オリジンの陣形が回り出す。巨体が集い駆けて大地を揺らし、その振動はリュドミーラ・シェスタコフの足元まで揺らしているかのようだった。

「とても迫力がありますね……あの攻撃をまともに受けたら、ひとたまりもなさそうです……。」

 トランプの巨人、その巨大な体そのものが脅威となり得る。遠目にも分かる大きさと伝わる振動に竦みそうになる己を抑え、リュドミーラは巨人へと立ち向かう。
 リュドミーラはこれまでの戦闘中も祈りを捧げ、味方の傷を浄化の医術を使って癒していた。それ故に巨人の巨体が生み出す破壊力は直に目にして分かっている。

「戦闘能力の乏しい私がユーベルコードを封じられる前に、先手を打たないといけませんね。」

 リュドミーラの姿を見つけ、迫ってくるトランプの巨人の群れ。リュドミーラは祈りを止め、オウガ・オリジンが近くまで来る前にその突撃を止めるべく淡く温かい光を放った。

「穏やかな眠りの中で、ひと時の癒しをお与えください。」

 リュドミーラから柔らかく広がる【微睡みの光(ライトスリープ)】の光がオウガ・オリジンの群れを包み込んでゆく。
「たかが光の術などで!」
「わたしを止めること……な……ど……」
 嘲笑うオウガ・オリジンの威勢が急速に萎んでゆく。一息に潰さんと迫る勢いのまま、先頭にいた一体の頭がカクリと垂れる。揺れる頭に引かれるように地に倒れ伏したオウガ・オリジンは安らかな寝息を立てていた。続く後続も追突しながらも光に包まれ寝息を立ててゆく。やがて追突は柔らかな光の範囲の外まで広がり、かくして陣形は崩壊する。だが、寝かせただけでは倒せないし、何より寝たままでは【微睡みの光】の癒しを受けてしまう。

「荒事は苦手ですが……。」

 リュドミーラから眩い光が投射される。先ほどの優しい癒しの光とは打って変わり、祈りを籠めた強力な光がリュドミーラの全力を以て放たれ、寝こける巨人を打ち付けた。優しい微睡みから叩き起こされた巨人が身を起こす間もなく光はオウガ・オリジンを消し飛ばしていった。元が現実改変で増えた存在だったせいか、祈りの光はあっけなく巨人たちを虚構へと巻き戻し掻き消していた。
「ぐぐ……おのれ!」
「おのれおのれ!!」
 怨嗟を吐き残った巨人が立ち上がる。だがその数は既に大分少なくなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
車懸りの陣……?
詳細はよくわかりませんけど、とにかく次から次へと攻撃と離脱を繰り返す
って事でいいんでしょうか……

でしたら
まずは何はともあれカードや攻撃の回避に全力です。
ロッドから炎を出して焼却を狙い、さらに第六感と見切りで残りも避けます……
避けさえすればあとは、仕掛けてきたトランプ巨兵に攻撃を
焼却時の炎が当たっていればそのまま、そうでなければダガーを投げつけてでも「攻撃」を当てて、

そのまま【バインドチェイン・ライトニング】を

相手は、移動封じの電撃の拘束を付与され後続への障害物になった挙句
それ自身が周囲へ連鎖雷撃をばらまく起点と化すわけです……

後は一人づつ、動けないところを炎で炙ってあげますね



 怨嗟を猛らせるオウガ・オリジンが再び円陣を組んで駆け始める。最初に比べれば幾分も小さくなった陣形を目にエアリーネ・シルベンスタインは呟いた。

「車懸りの陣……?」

 そういう名の陣形と聞いた。そして、それが何を目的とする陣形なのかも。トランプの巨人が高速で回る様はまるで竜巻かミキサーのようにも見えた。

「詳細はよくわかりませんけど、とにかく次から次へと攻撃と離脱を繰り返すって事でいいんでしょうか……。」

 であるならば、無策で突っ込めばただではすむまい。エアリーネを見つけ、迫るトランプの巨人がその巨体から繰り出す剣を、放つトランプを全力で回避せんと試みた。
「正面からのぶつかりあいなら負けるものか!」
「猟兵、今度こそ引き裂いてやる!」
 正攻法で来る者に負けはしない。それはオウガ・オリジンの驕りであったのだろうか。飛び来る巨大なトランプをエアリーネのロッドから噴き出た炎が燃やす。燃え尽きるトランプを裂いて振るわれる巨剣をエアリーネは第六感を加えて動きを見切り、躱した。

「避けさえすればあとは……。」

 巨人が裂いた、燃え落ちる巨大なトランプのカード。巨人の視界を阻むそれを影に、エアリーネはダガーを投げつける。固い音を立てて巨人の身体に弾かれるダガー、だがしかし、“攻撃が当たった”事に変わりはない。

「しばらく動かないでいてくださいね……お掃除が、終わるまで。」

 トランプの巨人の巨体に電撃が走る。【バインドチェイン・ライトニング】が攻撃が命中した対象に付与する電撃の拘束。動きの止まった巨人に追突する後続の巨人が周りを巻き込んで倒れる。刹那、周囲の巨人へ向けて雷撃が迸った。トランプの巨人のみに連鎖的に広がってゆく雷撃が足を止められ崩れ去った陣形を蹂躙する。

「後は一人づつ、動けないところを炎で炙ってあげますね。」

 ロッドから放たれる炎に焼かれ、巨人は動けぬままに一体、また一体と倒されていった。
 残る数は、もはや僅かに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
……まぁ、所詮聞きかじりでは軍神には遠く及ばないということですね。

トランプの兵たちに足止めをさせ、その隙に接近する算段でしょうか?
まずはこちらもトランプの兵たちに対処しましょうか。

胴体に大きく数字が刻印されている。これだけ分かり易ければ……
フィンブルヴェトを手に氷の弾丸でトランプ兵たちを撃ち抜いていきます。数字が増えると強くなるようですし、こちらも胴体のマークを狙うようにしてそのトランプの数字の数だけ弾丸を撃ち込めばちょうどいいくらいでしょうか?

トランプ兵の対処が終わり、巨人が射程に入ったなら【アイスリンク・バレット】を敵の足元の地面に撃ち込み、高速回転する勢いのまま転んでもらいましょう。



 幾度も瓦解を繰り返してなおオウガ・オリジンはその陣形を取ろうとしていた。それが、最強の陣形だと信じているかのように。

「……まぁ、所詮聞きかじりでは軍神には遠く及ばないということですね。」

 オウガ・オリジンの陣形をセルマ・エンフィールドはそう評した。元がオウガ・オリジンの地力とトランプの巨人の忠実さで補っていたが故に強力だった見様見真似の車懸りの陣は、数を削られ、その優位を殺がれている。回転する円陣の周囲に散開しているトランプ兵の姿を認め、セルマはオウガ・オリジンの狙いを見抜いていた。

「トランプの兵たちに足止めをさせ、その隙に接近する算段でしょうか?」

 たしかに、如何に数を減らしたとはいえ巨人が群れて突っ込んでくるのは厄介だ。トランプ兵との乱戦中ともなれば尚更の事。だがそれと分かっていれば対策も容易である。

「まずはこちらもトランプの兵たちに対処しましょうか。」

 セルマがマスケット銃、フィンブルヴェトを構える。発砲音が響くたび、トランプ兵が氷の弾丸に撃ち抜かれて吹き飛んだ。だが撃たれれば攻撃者が居る事も、射撃が来る方向も敵に知られる。
「向こうか!」
「トランプ兵! ぐずぐずしないで壁になれ!!」
 オウガ・オリジンの叫びの下、トランプ兵が折り重なりトランプの数字が増えてゆく。数字が増えれば戦闘力が増加し、それは耐久力が増す事を意味する。故に射撃除けの壁にするには最適とオリジンは判断したのだが。

「こちらも胴体のマークを狙うようにしてそのトランプの数字の数だけ弾丸を撃ち込めばちょうどいいくらいでしょうか?」

 セルマが予測をもとに数字と同じ数だけの弾丸でトランプ兵が倒せる事を把握してからは、その程度の策など障害とはならなかった。トランプ兵一体を一射で倒すか、5体纏まったトランプ兵に5発弾丸を撃ち込むかの差でしかないのだ。セルマの下へと駆けるトランプの巨人が距離を詰める頃には、トランプ兵は全て倒されていた。
「役立たずのトランプ兵が!」
「だが距離を詰めれば狙撃手など!」
 わめきながら近づいてくるトランプの巨人には、既にどこから射撃が飛んできているかは分かっていた。近づくまでに撃たれはするだろうが、来ると分かっている射撃ならば車懸りの陣を止めないよう防御する事も可能。であれば負ける道理無しと判じたオウガ・オリジンが一気呵成に突き進む。その耳に、セルマの声が聞こえた。

「直接当てるだけが能ではありませんよ。」

 直後、【アイスリンク・バレット】が巨人たちの足元へと撃ち込まれる。自らへの射撃を警戒していたトランプの巨人は極限まで摩擦抵抗を無くした地面に対処できずに足を滑らせた。最初の一体が滑って転び、続く巨人が激突する。既に数を減らしていたトランプの巨人が追突し一並びに固まった所に、狙いすましたセルマの氷の弾丸が放たれた。弾丸は一直線に残っていたすべての巨人を貫き、残る全ての増殖したオウガ・オリジンは倒される。
 改変された現実が消え、オウガ・オリジンが骸の海へと還った後。何事もなかったかのように元に戻った不思議の国に、氷の欠片が風に舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月22日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト